○鈴木副
大臣 この点もおっしゃるとおりでございまして、今、国立大学の附属病院のうち、病院収入だけでは診療
経費でありますとか債務償還
経費を賄えない病院に対しまして、病院運営費交付金というのを交付いたしております。
しかしながら、この第一期の中期目標
期間中におきましては、附属病院の運営費交付金を、病院運営の
効率化を求める、そういう方針のもとで、
平成二十一年度まで毎年二%の増収を図るということを一方的に求めて、そしてこの病院運営費交付金を削減し続けてきたところでございます。その結果、
平成十六年にはこの交付金は五百八十四億円でありましたけれ
ども、何と
平成二十一年度には二百七億円、わずかこの五年間で三分の一程度まで病院運営費交付金が削減をされました。
加えまして、診療報酬が減額改定ということになりまして、国立大学の附属病院の経営はこの五年間で極めて厳しくなりました。そのことが、
委員御
指摘の医療崩壊、
地域医療の最後のとりでである大学附属病院の経営
状況の悪化ということにつながって、医療崩壊を加速させたという御
指摘はそのとおりだというふうに思います。
加えまして、大学病院、附属病院というのは研究の拠点でもあるという御
指摘、そのとおりでございまして、この間、医学系の論文というのは、世界全体で見ますと二・七%ふえているわけでありますけれ
ども、国立大学の医学部におきましては論文数が一・三%マイナスになっているということで、我が国の医学研究のレベルも相当程度衰退をしてしまったということも事実でございます。
こうした中で、恐らく
平成二十二年度の
予算編成において最も力を入れさせていただいたことの
一つが大学病院の立て直しということだと思います。大学病院につきましては、
教育、研究、診療機能の充実、いずれも非常に大変でございますので、充実。それから、大変に過酷な勤務
状況に陥っております医療従事者の勤務環境の改善を図るために、附属病院への支援の充実を一挙に増額をさせていただいて二百八十億円の
措置をさせていただきました。
それから、今まで一方的に二%の増収を求めるという方針であったがために、国立大学の病院経営が非常にゆがんだものになってしまいました。大学病院のあるいは病院の使命である
地域医療の維持あるいは研究といったことが
効率化のもとになかなか十分にその機能を果たせなかったということがございますので、二%の増収を一方的に求めるという仕組みについては撤廃をさせていただきました。
加えまして、
平成二十一年度の第二次補正
予算におきましても、救急医療のための最先端機器の整備に要する
経費として八十二億円を
措置いたしましたし、
委員御承知のとおり、今回、四月一日から始まりました診療報酬改定におきまして、大学病院を中心といたします
特定機能病院の入院費について大幅な増額をさせていただき、救急、小児、産科、外科については、特に外科などは一・五倍程度の点数の改定を初めといたしまして、今言った分野に集中的な診療報酬の引き上げの原資を充てさせていただくことによりまして、少なくとも、大学病院の崩壊というものが、もちろんこれからさらに改善をしていかなければいけないと思っておりますけれ
ども、ここで何とか
一定の歯どめはかかったのではないかなと。
今まで、この五年間、一挙に減損していた病院収入は、恐らく今年度の
措置で相当程度回復、またはそれを上回る改善がなされるというふうに思っておりますが、さらに引き続き、我が国の医療水準の向上のために、あるいはライフイノベーション、成長戦略のために、あるいは
地域医療をさらに充実させていく。高齢化する日本社会の中で、医療崩壊というのは最も重点的にかつ早急に解決していくべき課題でございまして、その先頭に大学医学部、大学附属病院が立てるようにさらなる支援をしてまいりたい。
とりわけ、債務償還の問題が引き続き大学経営を圧迫しているという事実はございますので、そうしたことも踏まえて、ぜひこの
委員会での御
議論を深めていただき、御支援をいただきながら改善、拡充を図っていきたい、かように考えているところでございます。