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武部委員 農家の所得の向上、これは言うまでもないことですね。
北海道でもどこでもそうだろうと
思いますけれ
ども、今、現場での一番大きい問題は農家間の格差だと
思いますね。同じ面積で、同じ土地柄で、そして年齢的にも同じような担い手であっても、中には五千万借金がある人もいれば、五千万貯金を持っている人もいる。だから、やはり
農業構造を変えていくということが大事なんだろうと
思いますよ。
先般、我々は子
ども手当の
議論をいたしました。子
ども手当も、最初はみんな飛びついたでしょう。しかし、その後、いろいろな
議論があって、単なるばらまきになっていいのか、この子
ども手当が本当に
社会全体で子供を育てるということに資する、そういう
政策として理想どおりにいくのかどうか。いろいろな
議論がありましたけれ
ども、その中で、やはり、子供を
社会全体で育てるということについても、現物給付と現金給付とのバランスというものが必要じゃないかというのが結論だと
思いますよ。
また同時に、
財源問題というものも当然あるんでしょう。今、副
大臣、きれいごとを
お話しされましたけれ
ども、土地改良は七割カットですよ、リース
事業もみんな。今、北海道では、専業地帯ですよ、主業農家が多いところですよ。佐々木
政務官、よく知ってのとおりですよ。そして、今、北海道、確かに全体では、所得が減ったとか高齢化しているとか離農が多いとか、そういう問題はあるかもしれないけれ
ども、今現場でどういうことが起こっているか。やめられる人がやめるんですよ、やめられる人が。やめられない人がやめるにやめられずに
農村に残っているという現状もあるんですよ。
だから、我々は、こういった人
たちに頑張ってもらわなくちゃいけないんだから、意欲と能力のある、いわば認定
農業者を初めとするそういった人
たちに
日本の
農業を担う中心になってもらおう、
農業を
産業としての
政策として推進していこうということでやってきている。これがまた
成功している事例もたくさんあります。
全国一律、平均の単価で、基準単価で決めるというのも、これも怪しいんですよ。佐々木さん御存じのように、品目横断経営安定対策で、小麦の例を言いますと、当初の七中五のときには、十勝は、我々の北見よりも、網走管内よりも交付金が十億多かったんですよ、同じ面積で同じ収量で。だけれ
ども、先進型小麦生産経営安定対策、補正でやったこの対策は、直近のということで五中三なんですよ、私は直近三年と申し上げたんですけれ
ども。この五中三で支払った交付金は、同じ収量、同じ面積で、北見の方が十億円多いんですよ。これは事実ですよ。だから、全国平均で一律の単価で支援するということについても、先ほど
加藤先生の
議論の中にも不公平感の話が出てまいりましたけれ
ども、これはよっぽど実情、実態を検証しなければ問題が多い、私はこのように思うんです。
さて、そこで
大臣に、手前みそですけれ
ども、私が二〇〇一年の四月二十六日に
農林水産大臣に就任したときに、これは政治主導でなきゃだめだということで、お手元にあると
思いますが、「
食料の
安定供給と美しい国づくりに向けて」、この私の私案です。四月二十六日に就任して、五月三十日にこれを明らかにしたんですよ。ここで、
食料自給率の向上と循環型
社会の構築ということで、都市と
農山漁村は対立する関係ではない、お互いに支え合う関係だと。
むしろ、
皆さん方がつくり上げた今度の
基本計画では、「
国民全体で
農業・
農村を支える
社会」というけれ
ども、これは間違いです。
国民全体が
農業、
農村に支えられてきたんですよ、そうでしょう。
食料供給による恩恵、あるいは、おいしい水、きれいな空気、これはみんな
農村から供給されているんですよ。美しい景観、自然の恵みに感謝する気持ち、自然を恐れる謙虚な気持ち、これは
日本人の精神文化の源流だと私は
思います。こういったものが荒廃し切っているから、いろいろな
社会問題が起こっているんですよ。
私は、大切にしたい
日本の心とふるさと、家族愛というのがこの間の選挙のキャッチフレーズでしたけれ
ども、まさに今一番大事なのはそういうことだと思っているんですよ、
皆さん方はどう思うか知らないけれ
ども。それを提供し得るのは、ふるさとなんですよ、
農山漁村なんですよ。都市に生活している人
たちは、それがわからない。我々は自然界の一員であり、自然と共生しているというものを
言葉で言ってもわからない。
我々は、ありがたいことに、特に私のふるさとは、真冬は零下二十度以上になるところですよ。そこで、地元の農家の
皆さん方は、朝五時に起きて牛舎に行くんですよ。これは大変ですよ。中川一郎先生が、温室に大木なし、寒門に硬骨ありと、よく我々に教えてくれましたけれ
ども。しかし、
山田副
大臣は五島列島だから、必ずしも暖かいところからしっかりした人が出ないとは言えないと
思いますけれ
どもね。
ちょっと余談になりましたけれ
ども、やはり
基本計画というのは
農業、
農村をどうしていくのかという目安ですから、私のつくったものについてあれこれ言いませんが、これを農林省の役所の
皆さん方に示したんです。そして、八月三十日にでき上がってきたのが、
食料の
安定供給と美しい国づくりに向けた重点プランなんです。これは、工程表も全部でき上がっています。
そしてさらに、私はBSE患畜の発生で有名にもなり、
山田さんにも随分細かくねちねちと責められたことがあるのでありますが、そこででき上がってきたのが食と農の
再生プランですよ。これは、「消費者に軸足を移した
農林水産行政を進めます。」と。
一つの柱は、
農業の構造改革を加速化する、「意欲ある経営体が躍進する環境条件をつくります。」、それから真ん中に、食の安全と安心の確保、「消費者第一のフードシステムを確立します。」、そして、都市と
農山漁村の共生・対流、「人と自然が共生する美の国づくりを進めます。」ということで、御存じないかもしれませんけれ
ども、
バイオマス・ニッポン総合
戦略、この閣議決定したものは、当時農林省がつくったんですよ、我々が。
そういう、わかりやすく、政治主導というのであるならば、針原君を初め役所の
皆さん、あるいは、役所といえば、農林省だけじゃない、地方自治体も含めて、府県も含め、市町村も含め、それから、
農業団体を初め
国民各層にわかりやすく、これからの
農政はこう進むんだということを、きちっとメッセージを送っていただいたらいいのではないか、私はこのように
思います。
そこで、私に与えられた時間は余りありませんから、
戸別所得補償モデル対策の問題点。これは、まず、先ほど言いましたように、どうも所得補償制度の意義、目的というのがあいまいですよね。大体、
皆さん方がお示しになった
予算のPR版と
基本計画では、目的、
導入の必要性について説明にそごがありますよ。これはお尋ねはしませんが、何でこういうそごが生じてきているのか。やはりここのところは、そごがあるとすれば改めた方がいいですね。選挙前と政権をとってからとは、全然違うでしょう。
責任ある立場と、選挙目的で票を目指す、たくさんいただこうとする、その間にはそごがある、出てくるのは当然のことだと
思います。
そこで、このことはきちっとわかりやすく説明してもらいたいと
思いますが、実際、
本格実施に関する疑義ということを列挙しますから、これを答えてください。時間がないから、一問一答じゃなくて、
質問を先にしましょう。
まず、
農業農村基盤整備
事業の削減が与える影響。先ほど来
議論がありますように、土地改良
予算七割カットの激減
予算の中で、水利施設の更新をどのように
実施していくのか。水利施設の維持管理コストを農家に求めるのか、農家は
戸別所得補償制度の交付金からこれを捻出しなければならないのかが一点。
二番目に、
農業の生産力強化と
農業基盤整備、施設整備、流通対策など、
農業の持続的発展について、特に
戸別所得補償政策とのバランスをどう考えるか。先ほどの子
ども手当でいう現金給付と現物給付の問題ですよ、その見解。
それからもう一点は、新たな
基本計画では、
食料自給率を十年後に五〇%にするという意欲的な
目標を掲げていますけれ
ども、この
戸別所得補償制度の
導入で何%
食料自給率が上がるんですか。このことを答えてください。
それからもう
一つ、次は、
本格実施の時期。
平成二十三年度から
本格実施をするのか。先ほどの
答弁では
大臣は、二十三年度は必ずやると言ったけれ
ども、
財務省の副
大臣は検討するという
答弁だったようですね、メモをもらいましたけれ
ども。本当にできるんですか。
大臣、今、僕は少し怪しいと思っている。
なぜかというと、
赤澤さんの
質問に対しても、米価が下がるわけがない、あり得ない、こう言っているんですよ。これは、
大臣として、そこは慎重にやった方がいいですよ、私の経験からしましても。そういうのは非常に不遜というか、それは下がったらどうするんですかと聞かれますよ。そんな、あり得ないなんというのは。だから、そこのところは慎重にやった方がいい。
それから、品目横断経営安定対策についてはどのように取り扱うつもりなのか。このことについてちょっと私見を言いますと、私は、品目横断のときは、
大臣のときから検討していた
項目なんですよ。あのときは緑肥も入れようとしたんです。
これは、要するに、WTO対応のこともあり、畑作地帯は輪作体系を整えなきゃならないんですよ。でん粉の値段がどうなるのか、砂糖の値段がどうなるのか、このことによって所得率の高い作物にみんなシフトしていくようになるんですよ。そうなると、輪作体系が崩れる。だから、緑肥作物もその中に入れて畑作で、品目横断というのは畑作の問題なんですよ。これに私の後の人
たちが
水田を一緒にしちゃったからおかしくなっちゃったんですよ、
政策目的が。品目横断型の経営安定対策というのは、輪作をきちっと守るということなんです。
そういう
意味で、私は、恐らく佐々木
政務官はこのことについて私に賛成してくれるんじゃないかと
思いますので。あなたは、米どころか。