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町田参考人 おはようございます。
経済ジャーナリストの
町田徹でございます。
委員長それから皆様、本日は、このような機会を与えていただきまして、ありがとうございます。
率直にということでございますので、できるだけ、ふだん、日ごろの取材で感じていることを申し上げたいと思います。よろしく
お願いいたします。
本日、私は、主に三点申し述べようと思っております。
今何が一番問題なのか、これが一点目です。これは、二次破綻が起きるのではないか、それを放置しておくと大変なことが起きるのではないかという問題意識を、日ごろ取材して持っております。これが一点目です。
二点目は、それを防ぐために何が必要か。この点では先生方のお力をおかりするしかないと思っていますので、その二点目を申し上げます。
さらに
最後、三点目に、そのために何が必要か、注意点についても申し上げたいと思います。
それでは、早速、一点目を申し上げます。
お手元に、
委員長の許可を得て資料を配付させていただきました。
一点目については、何が一番
懸念されるか、何が一番問題かと申し上げますと、二次破綻の
懸念が消えていない。
日本航空は、御案内のとおり、一月に
会社更生法の申請をいたしました。それで一たん破綻しましたが、さらにもう一度破綻するのではないかということが、日ごろ取材しておりますと、関係者の間では大変
懸念されております。
第一点目から申し上げますと、今現在、最近になってもう一度、人員カットが必要ではないかとか
路線の
削減が必要ではないかとか、随分話題になるようになっています。そもそも、こういうことが
最初にでき上がっていれば、今、二次破綻する心配はないんですね。だけれ
ども、今こういうことを議論しなきゃいけないような状態にあるということは、それができなければ、
黒字転換は難しく、
経営は再び
悪化し、再びとめどなく
公的資金の
投入が必要になりかねないということでございます。
これについて、四つ端的に申し上げますと、現在、月二百億円程度という説もあれば、一日当たり八億円から十五億円程度という説もありますが、
赤字、出血がとまっていないということを
日本航空について言われております。稲盛会長は、毎日流出が続いている、
赤字が続いているということを三月の
記者会見で認めています。それから、各種の
報道で月間二百億ではないかと、私自身もそう書いたことがありますが、言われているがどうかということに対して、十—十二月の決算発表の席でも、明確な
数字は言えないと答えただけです。
こんなディスクロージャーもしないで、
現状がどうなっているかもほったらかしのまま、
再建策なんかあり得ません。まず、これは
現状が今どうなっているのか、
徹底的に説明させるべきです。
ようやく二月分の旅客の
状況が発表になりましたが、間違いなく出血がとまっていないことを裏づけるような
数字がきのう発表になって、きょう新聞各紙に掲載されております。その
数字を見れば、
日本航空の二月の
国際線の乗客数は八十万四千百九十一人、これは前年同期比で一〇・三%の減少です。同じく
国内線も二百七十五万八十一人で、一・九%の減少です。しかも、この中身を見ていきますと、過去に積み上げたマイレージの消化であるとか、もう使えなくなっちゃう株主優待券の消化であるとか、要するに
運賃が物すごく安いお客さんがこの中でふえているという
状況です。物すごく収支は
悪化しているはずなんです。
これを一切説明しないまま、
国民の税金を、
公的資金を一兆円近くも
投入されながら、一切そこの
状況を説明しないということはあり得ません。このままいくと、この公金がどぶに捨てられるような形でなくなってしまうのではないか、回収できなくなるのではないかということが
懸念されていくわけです。
ただ、もしこのまま二次破綻が起きたら、既にこれは
民間の調査機関の調査でわかっていますけれ
ども、孫請まで入れると一万社を超える
会社が
日本航空と取引しているとされています。
世界経済、アメリカあたりは、
リーマン・
ショック直後の株価水準まで回復して明るさが出ているときに、日本だけがこの
日本航空の二次破綻によってもう一回
経済的苦境に陥りかねない
状況にあると我々は考えております。
ですから、この苦境で、絶対にこの破綻をさせないでいただきたい、何とか入れたお金で回して
再建を実現させていただきたい、これが一点目でございます。
二点目。二点目というのは、これを実現することによって
投入した一兆円近い
公的資金の回収が確実になりますから、これを実現してほしいわけですが、その際に注意いただきたいのは、実は、六月末までに
企業再生機構が
管財人として更生計画を東京地裁に提出することになっています。これが絶対におくれてはならないということです。
ちまたでは、もしかしたらこれがまとまらなくて、これは要するにリストラ策なんですよ、
黒字が出ていく体制に変えるリストラ策で、これがあれば、金融機関が今
投入されている
資金の借りかえ融資に応じてくれるということなんですが、これに応じないおそれがあるわけですね。だから、これをまとめて六月に計画を提出できないということは、
再建のめどが立たないということになります。
ちまたでは、六月をジャンプして、秋にしようとか、八月末にしようとか九月末にしようとか、少し延ばしたらどうだという議論が出てくるんじゃないかと言われています。しかし、これを認めたら、この間の分だけ、税金、
投入された
公的資金の回収が難しくなります。運転
資金に使われてしまうおそれがありますから、これは絶対に認めてはならないと思います。
国土交通省に、絶対これを認めないように、議会の皆様の力できちっとこれは歯どめをかけていただきたいと思います。よろしく
お願いいたします。
三点目なんですが、こういう
公的資金を
投入して
再建していくこと自体、
高木参考人を含めて私の前に
意見陳述された
参考人の
方々は、国がやるべきことなんだ、そのことの理由もあるんだというお話でした。
しかし、もちろん国がやるべき場合もあると思っております、私も
経済ジャーナリストですがそういう場合もあり得ると思っていますが、それは自由主義
経済国家においては極めて限定されるケースで、例えば、
リーマン・
ショックの直撃を受けている金融機関に限定されるような一時的な危機であり、そのことが国全体の
経済に大きな悪
影響を及ぼす場合に限定されるべき話だと思っています。
今回の
日本航空に対する国の
支援を振り返ったときに、そういう議論がまず行われたのか。全くなかったですね。いきなり、
大臣に就任された方が白紙撤回と言われて、そのままなし崩し的に、腹案があるといって
タスクフォースができ、その
タスクフォースが
JALの中に入って
再生計画をつくるというステップに入っていったと思います。
したがって、何ゆえその
タスクフォースが外されたか、理解できないんだというお話もありました。それから、その後のことに関しては、プレパッケージになっていないという御指摘もありました。その後のことに関しては御指摘のとおりだと思いますが、その前の
段階のことに関しては、むしろ、
国民的なコンセンサスがなかったからこそ、そのまま任せることができず、ほかのグループにバトンタッチせざるを得なかったという部分がかなり大きいというふうに我々は取材して感じております。
そういうことも含めて、まずは、当時の
日本航空の
経営がどうであったのか。これに関しては、私が取材する限り、二〇〇六年当時に既に実質巨額の債務超過に陥っていたはずです。その
段階で、
機材関連報奨額、専門的な
言葉になって恐縮ですが、これは、飛行機を買ったとかエンジンを買ったというときに、それについて
航空機のメーカーからリベートをもらったら、そのリベートを利益に計上していたんですね。物を買って利益が出るようなことはありません。これは将来の利益を先食いするような決算処理ですから、後々の
日本航空の
経営の足を引っ張りました。それから、この時点で、二千億円を超す膨大な年金積み立て不足が二〇〇六年の
段階でありました。さらには、簿外のリースも巨額に存在しました。
こういう中で、最終
赤字に転落して無配に転落した中で、国内の大手証券二社が主幹事の引き受けを拒否する状態の中で、二〇〇六年の時価発行増資をこの
会社は強行しております。これに対して、当時、日本証券業協会の会長等からも厳しいクレームがついております。にもかかわらず、その後も、例えば年金
一つとっても、抜本策を講じないままにここに至っているわけですね。
その
会社を本当に
救済する必要があったのかどうか、その
国民的コンセンサスは
一体いつ受けたのか、これが全然ないままに来ているということだと思っています。
ですから、
経営陣に対するけじめの問題、それから、これをコンセンサスもつくらないまま
国民の公金を
投入してしまった問題、この二つについては、本当は
資金を
投入する
段階でけじめをつけるべき問題だったと思いますが、これは必ずつけないと、未来永劫、
国民の理解は得られることがないと思います。
この点も含めて、先生方のお力できちっとけじめをつけさせていただければと思います。よろしく
お願いいたします。
ありがとうございました。(
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