○三ッ矢
委員 自由民主党の三ッ矢でございます。
きょうの
委員会は、実は私、個人的には、この
委員会は本当にやる意味があるのかなという疑問を持っております。
といいますのは、この
日本航空の
再建問題について
集中審議をやっていただくということで、これは与野党合意してその
方向で話が進められているわけでありますが、その過程で、いろいろな
資料を要求させていただいたり、それから、後ほど申し上げますが、
参考人の要求もさせていただいたりしてきているんですが、正直申し上げてなかなからちが明かない。
理事会や
理事懇の場でそういう話を申し上げても、これは表に出る話ではありませんから、与党の
理事の
皆さんから要求があって、ぜひ
委員会を開いてその場で
資料の要求あるいは
参考人の要求もしてほしいということで、きょうはこの
委員会が開かれたわけでございます。
それは後でちょっと正式に要求をしたいと思っておりますが、
日本航空の
再建問題については、一月十九日の
会社更生法に基づく
申請、それ以後しばらくマスコミ等でも鳴りを潜めていたようなところがあると
思います、断片的に時々マスコミに報道はありましたけれども。ところが、また最近になりまして、結構いろいろなところでいろいろな報道がなされるようになってきた。
先ほど来ほかの
委員からもいろいろ
質問もありましたけれども、
路線の縮小の問題ですとか
人員整理の問題ですとか、あるいは銀行団からのいろいろな要請とか、報道ベースではありますけれども、こんな話が表に出るようになってきた。
これはどうしてなんだろうと。本来は、一月十九日の時点で
再建計画の案を出されて、それに基づいて、
先ほど前原さんも、これを着実に実行していけば
再建は可能ではないかというふうにおっしゃっていましたが、どうもそうじゃないんじゃないか。このままいってしまうとどうも二次破綻のおそれがあるんじゃないかということを、
関係者、利害
関係人の方々が中心でありましょうが、気づき始めた。その結果、いろいろな動きが出てきているんじゃないかなということを私は推測しておるわけでございます。
これはちょっと余計なことかもしれませんが、
日本航空の今日の、凋落という言葉が適当かどうかわかりませんけれども、何か私、個人的には、やはり
日本という国家そのものの凋落といいますか、これと非常にダブって見えるんですね。
どうしてそういうことを申し上げるかといいますと、
日本も、戦後復興期から高度成長期、それからバブルがはじけるまで、ほぼ一直線に上昇してきた。ところが、バブルがはじけて以降、
日本全体がやはりおかしくなってきていて、
日本航空というのは国際線中心にやってきましたね。これは、
日本の
企業が海外に出ていく、物を売り、あるいはそれを追って
日本の金融機関とか商社とかどんどん外へ出ていく、そういう人
たちをたくさん運んで、あるいは観光客も、所得に余裕が出てきて海外に旅行に行きましょうということでどんどん出ていくようになった、そういう方を中心に
日本航空は業務をしてきたわけですね。
ところが、ここに来まして、どうも
日本全体の景気、経済の問題、それからもう
一つ言いますと、国内の、いつも
大臣がおっしゃる少子高齢化ですとか人口減少、あるいは産業
構造も変わってきているんだと
思います、そういう
影響を受けておかしくなってきた。
国内線に関して言いますと、これは比較的安定しているんですね。ただし、私は長期低落傾向だと
思います。じわじわと減っていくと
思います。人口も減少し、高齢化が進み、国内の
需要がこれ以上ふえていくか、非常に難しい局面に来ていると
思います。
国際線の方は、さっき申し上げたように、特に一昨年のリーマン・ショック以降、これは正直言いまして私はもう
ビジネスモデルが変わっちゃったんだと思うんですね。本来は徐々に
ビジネスモデルを変えていかないといけなかったのを、そこに対応し切れなかった、特に国際線に関しては。それが、古い
ビジネスモデルにしがみついたままで来てしまったものですから、こんなことになっているんじゃないかなというふうに
思います。リーマン・ショックと
インフルエンザというのは、いわばトリガーといいますか引き金を引いてしまったわけでして、これがリーマン・ショック以前の
ビジネスモデルに戻るかといったら、絶対戻りませんよ。
例えば、
企業の方が海外に出張に行かれる。重役はファーストクラスに乗っていた、あるいは部長クラスはビジネスクラスに乗っていた。これが、景気がもし回復したとしても、またそういうことが起こるかといったら、私はもう起こらないと思うんです。東京とアメリカの東海岸、ニューヨーク、これはファーストクラスで、正規の運賃でいいますと、多分往復百七、八十万円だと
思います。ビジネスで往復しますと百万円ぐらいなんですね。エコノミーの正規で多分五十万円弱じゃないかと思うんですが、ビジネスクラスに乗るのにエコノミーの二倍の運賃を払ってください、ファーストに至っては四倍近く払ってください、
企業が調子のいいときはそれでもよかったかもしれませんが、これは絶対にもうもとに戻らないです。
ところが、
再建計画の中身を、少なくとも公表されている
資料で見る限りは、イールド、要するに
旅客単価、これが急激に回復するという仕掛けにどうもなっているように見えます。二〇一三年の三月には、二〇一二年度ですか、九百四億円の
営業黒字が出ますよというような数字も出ていますけれども、これはイールドが二〇%ぐらいまた上がるということになっているんですね。これは絶対あり得ないと私は
思います。今からもう予言しておいて間違いないと
思いますけれども。
こんな計画でうまくいくはずがないと私はもともと思っておりましたが、いずれにしましても、どうもあの計画ではうまくいかないんじゃないかということをみんなが気づき始めた、その結果、いろいろな方々、利害
関係者が動き始めているというのが実態ではないかなというふうに思っております。
先ほど、最初の民主党の
委員の方から、九十七も八も地方の
空港をつくって、その
赤字路線を押しつけてきたことが、今日の
日本航空の窮境
原因の
一つになっていると言われました。私は、全く
影響ないとは言いません。ただし、これは俗論です。もしそれが最大の
原因であるのであれば、その
原因を除去すればいいんです。これを除いたって、絶対
黒字にならないですよ。だから、そういう俗論に惑わされるんじゃなくて、我々は、本当に今日の
日本航空がこういう
赤字になってしまった
原因をきちんと究明しないといけない。その上で、その
原因を
一つ一つ取り除いていかなければ、
日本航空の
再建なんて絶対できないですよ。
そこは
大臣わかっておられると思うんですけれども、何を申し上げたいかといいますと、私は、本来ですと、
日本航空は、幾ら公共交通機関であるとはいっても、純粋な
民間企業ですからね。今やろうとしていることは、例えば、
機構が
日本航空に三千億円以上出資します、DIPファイナンスで六千億とも六千五百五十億とも言われていますが、注入します、下手をすると一兆円近い公的資金がつぎ込まれて、しかもそれが返ってこない可能性がある。
皆さんの
政権が今やろうとしておられる農家の戸別所得補償あるいは高校の授業料無償化、これを合わせたような金額が、ひょっとすると
国民負担になって消えてしまうかもしれないんです。
我々の役目は、
日本航空の
再建は、もちろん私もやれるものならやったらいいと思う、やるべきだと思う。だけれども、これが二次破綻してしまう、あるいは、三年後にどこも買い手がなくて、引き取り手がなくて、三千億円の出資も無駄になってしまう、そのときにどうするんでしょうか、その
責任は一体だれがとるんだ、これを真剣に考えないといけないと思うんです。
今は非常に大事な
状況だと私は
思います。どうか、ナショナルフラッグキャリアなんという死語に惑わされるんじゃなくて、もうこんなもの死語ですよ。
日本航空がナショナルフラッグキャリアだからと言っている人がもし今でもいるとしたら、私は相当頭がぼけている人だと
思いますよ、正直言いまして。もうそんなものはない。
今、
世界の航空界を見てみますと、アメリカだってメガキャリアはもう三つしかない。ヨーロッパ、あの広い地域でどこが残っているのか。これも三つしかないんですよ。BAとエアフラとルフトハンザ、この三つしか残らないです。あとはニッチなところでロー
コストキャリアが飛んでいます。
日本が二つ国際線を
運航するキャリアを持っていくことが本当にいいのかどうか。数の問題ではないかもしれません。だけれども、そこはよく考えないと、私は誤った
方向に行ってしまうと思うし、
国民に大きなツケを残してしまうことになると
思います。
したがいまして、本来ですと、自主
再建をやってもらって、その中で、本当にどうしてもここは
赤字だけれども残さないといけないという
路線については、私は
補助金を出してもいいと
思いますよ。要するに、
国民負担を最小限に抑えて
再建を図っていく、これが筋だと私は思っております。
その上で、この
委員会では、この問題についていずれ正式の
集中審議ということでいろいろ
議論をさせていただきたいと思っておりますけれども、今申し上げたことにつきまして、
大臣の御感想があったらいただきたいと
思います。