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2009-12-03 第173回国会 参議院 総務委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十一年十二月三日(木曜日)    午前十一時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         佐藤 泰介君     理 事                 加賀谷 健君                 武内 則男君                 林 久美子君     委 員                 高嶋 良充君                 土田 博和君                 外山  斎君                 友近 聡朗君                 那谷屋正義君                 内藤 正光君                 長谷川憲正君                 吉川 沙織君                 魚住裕一郎君                 澤  雄二君                 山下 芳生君                 又市 征治君    国務大臣        総務大臣     原口 一博君        国務大臣     亀井 静香君    副大臣        内閣府副大臣   大塚 耕平君        総務大臣    内藤 正光君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        田村 謙治君        総務大臣政務官  長谷川憲正君    事務局側        常任委員会専門        員        塩見 政幸君    参考人        日本郵政株式会        社専務執行役   佐々木英治君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○日本郵政株式会社郵便貯金銀行及び郵便保険  会社株式処分停止等に関する法律案(内  閣提出、衆議院送付) ○地域医療公立病院充実のための財政保障に  関する請願(第三八号外一件) ○灯油などの高騰から道民の暮らしを守るための  福祉灯油制度充実に関する請願(第五九六号) ○継続調査要求に関する件 ○委員派遣に関する件     ─────────────
  2. 佐藤泰介

    委員長佐藤泰介君) ただいまから総務委員会を開会いたします。  この際、申し上げます。  自由民主党改革クラブ所属委員に対し出席を要請いたしましたが、出席を得ることができません。再度出席を要請いたしますので、しばらくお待ちください。  速記を止めてください。    〔速記中止
  3. 佐藤泰介

    委員長佐藤泰介君) 速記を起こしてください。  自由民主党改革クラブ所属委員に対し出席を要請いたしましたが、出席を得ることができませんので、やむを得ず議事を進めます。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  日本郵政株式会社郵便貯金銀行及び郵便保険会社株式処分停止等に関する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、日本郵政株式会社専務執行役佐々木英治君を参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 佐藤泰介

    委員長佐藤泰介君) 異議がないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 佐藤泰介

    委員長佐藤泰介君) 日本郵政株式会社郵便貯金銀行及び郵便保険会社株式処分停止等に関する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 澤雄二

    澤雄二君 おはようございます。公明党の澤雄二でございます。  最初に、郵政民営化国民の生活の利便性を守るためには極めて重要な問題でございます。鳩山政権はこの民営化見直しを打ち出されまして、その第一弾として提案されたのがこの株式処分停止法案でございます。この極めて重要な法案が、本会議での趣旨説明質疑も行われず、野党第一党の自民党が出席できない状態で、委員長の職権で開かれました本日の委員会で採決まで行われようとしていることに強く遺憾の意を表明するものでございます。  最初に、質問通告はありませんが、原口大臣質問をいたします。  それは、昨日、暫定税率廃止について、それに伴う環境税導入について、菅副総理藤井財務大臣原口大臣の三者の間で、暫定税率は本年度末で廃止をし、来年四月から環境税を導入することで意見一致したという報道がございました。その後、夜になって、鳩山総理がこれに少し異論を挟むような意見を言われたようでございますが、これについてどういうふうに認識をされているか、大臣の御答弁をお願いします。
  7. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 澤委員にお答えいたします。  三大臣環境税を来年の四月一日から入れることに合意をした、一致をしたという報道に接しましたが、私たちはそんなことを一致したことは全くありません。今、税調でも、あるいは政府の中でも、来年度予算、これをずっと作っています。その中では、澤委員案内のとおり、中央地方の様々な政策、これは中央政府だけでやれる話じゃありません。  また、私たち国民皆さんにマニフェストでお約束をしています。そして、この厳しいデフレの中で、私たちデフレファイターとしてもやっていかなきゃいけない。そういう中で今、主な柱の議論をしているので、個々の環境税云々のことを合意するはずもなく、総理が御発言されていることと全くそごするものではないということを御理解をいただきたい。報道は知っておりますが、私はその報道は正確ではないと、このように認識をいたしております。
  8. 澤雄二

    澤雄二君 テレビを見ておりましたら、総理に対しては、三大臣環境税を導入するということで一致したようですがと、そういう質問に対して総理が答えられていますから、総理認識は三大臣が合意したという認識の下で答弁をされたと思いますが、違いますか。
  9. 原口一博

    国務大臣原口一博君) それは質問者がそうおっしゃっているんで、総理がそのような認識をされているというのはありません。  私、昨日、総理地域主権の問題でお話をいたしましたが、報道された方々の名誉もあるのでその取材がどこまでされていたかというのをつまびらかに私も聞く気は全くありませんが、全くの事実と違います。そこははっきり申し上げておきます。
  10. 澤雄二

    澤雄二君 それでは、郵政民営化法案について質問をいたします。  最初に伺いたいのは、この郵政民営化見直し担当大臣のことでございます。  鳩山総理亀井原口大臣に対してお互い協力し合ってやっていくようにという指示を出されたというように伝えられておりますが、担当大臣亀井大臣でよろしいんでしょうか。原口大臣補佐役ということでよろしいんでしょうか。
  11. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 総理からは、郵政抜本的見直し原口大臣と緊密に連携してやるようにという御指示でございました。  私はもとよりアバウトな男でありますから、緻密な原口大臣の全面的なお力をちょうだいしてまいっております。
  12. 原口一博

    国務大臣原口一博君) お答えいたします。  まさにもう格からいえば私が補佐役というか、このごろ小亀井さんと言われるぐらい大変な御指導をいただいておりますが、総務省日本郵政グループ監督等郵政事業を所管をしている、私はそこの大臣であるとともに、今、亀井大臣お話しをくださったように、郵政改革担当大臣と緊密に連携し、郵政事業の抜本的な見直しに取り組むようにということで御下命を総理からいただいているところでございます。
  13. 澤雄二

    澤雄二君 それでは、亀井大臣を中心に質問をさせていただきます。内容によっては原口大臣にもお聞きすることがございます。  この株式凍結法案でございますが、凍結後、凍結は解除されることがあるんでしょうか、売却されることもあるんでしょうか。
  14. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 抜本的な見直しをしていく上において、今の郵政事業についての形態小泉、竹中さんのこの郵政民営化という方針の下で決められておるそうしたフレームを、この際、株式売却をしていくという、そういうことからやはりきっちりとこれは解き放って、そして今後の事業展開考えていくということでございますので、今後の事業展開をどういう形でやっていくのかという、そうした中でこの経営形態どうあるべきかということも当然これは議論をしていくことでございますので、現在は売却凍結をするという、そういう象徴的な歯止めを掛けたということでございます。
  15. 澤雄二

    澤雄二君 とすると、売却する可能性もあるという認識でよろしいですか。
  16. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) まず、この会社形態を、今四分社化されておりますけれども、これをどういう形態にしていくかという、そういう検討もやらなければならぬわけでありますので、そうした全体の検討の後、この経営形態をいかにするかという、そういうことになっていくのかと思います。  これも当然、来年の通常国会において基本法を提出をいたしますので、そのときにはそういう形をはっきりとお示しをしたいと、このように考えております。
  17. 澤雄二

    澤雄二君 こういう、そういうという言葉が多いのでよく分からないんですが、全体像がまだ見えていないので苦しい答弁をされているんだというふうに思いますが、仮に、今後見直しをされていって、どういう状況になったら売却することができるんでしょうか。
  18. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) どういう状況にしていった方が新しい事業展開をしていく上において都合がいいか悪いか。まさに新しい事業展開との関係でそういう問題は決まってくることでございますから、今のうちにそうした形を申し上げるといいましても、これはなかなか難しいことであろうと思います。  喫緊にこの法律が成立をいたしますと、そうした新しい事業展開、またそれに伴う経営形態等を鋭意これを検討していく所存でございます。
  19. 澤雄二

    澤雄二君 どういう事業形態にしていくかということを今まさに検討をされているんだと思います。その検討されている事業形態の中で、どこが実現できれば、どこがこういう事業展開になれば売却できるんだというようなお考えは今お持ちではないということですか。
  20. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 私どもは、経営形態をどうするかが目的ではございませんで、地域のため、また国家のためにどういう在り方がいいのかということが我々の目標でございますので、そういうことの検討を抜きにして、じゃ株式を一部売却するとか、どの部分を民間に持たせるとか、そういう結論は出てこないわけでございますので、この点は是非ひとつ御理解を賜りたい。また、そういう問題につきましても、是非委員の方からもいろいろとお知恵をいただければ我々としてはきちっと参考にしてまいりたいと、このように考えております。
  21. 澤雄二

    澤雄二君 もう政権取られてから三か月たちますので、特に亀井大臣についてはそれ以前から考えられておられましたので、この法案を出すに当たっては、せめてどういう経営形態、どういう事業形態になることが望ましいかということはもう既に頭の中にあってこの法案を出されているんじゃないかなと思いましたので私は質問したんですが、じゃ逆から聞きますと、売却しないで一〇〇%政府所有のまま、つまり、言ってみればこれは国営企業でありますが、こういうことの可能性も頭の中にはおありなんでしょうか。
  22. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 私の独断ですべての事業展開決めていこうなんという気はもう更々ございませんので、先ほど申し上げましたように、広くいろんな方々の御意見も聞きながら、ただ、私がいつも言っておりますように、小泉さんがやってしまったああした民営化の以前の形に戻すつもりは全然ないということも申し上げ、以前の形にそのままするつもりはございませんので。  そういう意味では、ゆうちょ銀行あるいはかんぽ等につきましても、残念ながら、当初民営化をするときに、それが国債とか財投の言わば財源になっておるためにその辺り野方図な形になっておるんだというような問題点が出ましたけれども、御案内のように、民営化されても依然として八割は国債というような形になっておるわけでありますので、その辺りを、地域経済のためにどうその資金を活用していくか、あるいは日本産業社会にどういう形でその資金を活用していくか、あるいは世界的にはどう展開をしていくか、そういうことを是非やりたいと考えてもおるわけでございます。  また、郵便事業につきましても、ただ郵便を配達をしていく、小包を配達するということではなくて、地域社会においてもっと有用な、地域のためになる積極的な貢献できる仕事の在り方というのがあると、このように考えておりますので、そういうことを含めて、今、法律が成立した後、直ちに郵政株式会社の幹部も含めまして、私ども今度の事業展開を詳細に検討してまいるつもりでございます。その間について、我々だけ独善的にやるつもりはございませんので、委員の方からも、そういうことについての御意見があれば是非お伺いをしたいと、このように考えております。
  23. 澤雄二

    澤雄二君 今、亀井大臣が言われたようないろいろな事業展開、これは別に国営企業でもできるんですよね、一〇〇%政府が株を所有していても。そういう意味で、そういう可能性もありますか。
  24. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 先ほどから申し上げましたように、株式を公開をして上場して広くそうした資金を集めていくということ、また、経営自体株主の目で、広く一般国民方々の視野の中で運営していく上においては民間に株を開放した方がいいんじゃないかという議論もあります。そういうことを含めまして、今後検討していきたいということを先ほどから申し上げておるわけでございます。
  25. 澤雄二

    澤雄二君 この問題を少しくどく質問をさせていただきましたけれども、つまり、今の御答弁で分かったことは、凍結後、凍結した株式をどうするかということについてまだ何にも決まっていないということがよく分かりました。将来どうするのか分かっていないことについて今賛否を問うのは無理だと思います。これは世間の普通の人の考え方であります。白紙の手形を渡して後で好きな額面書いてください、こういうビジネスはあり得ません。つまり、白紙委任状を求められているのと同じだと思います。  亀井大臣は、今も御答弁の中でありましたが、次の通常国会郵政事業全面的見直し法案を提出すると言われていますので、民営化見直しの全体像が見えて、株式はこの事業のためにこうするんだ、この事業をやるためには株式を一〇〇%持っていた方がいいんだ、つまり、この凍結法案は、全体の見直しが出されたときに同時に、だからこうさせてくれということを求められるのが筋だと思いますが、何も決まっていない段階で凍結賛否を問われるのは少し無理があると思います。
  26. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 現在の法律では、十年で株式の全部売却ということがこれが義務付けられておりますので、そういう義務を解き放っていくと。まず、先ほども申し上げましたように、まさにそうしたこの条項というのは郵政民営化の象徴的な規定でもございますので、私どもとしては、そういう象徴的な規定というのを外して、そうして新しい事業展開をそうした義務から解放された形の中でやっていくということでございます。
  27. 澤雄二

    澤雄二君 象徴的な意味があるから法案を出したんだというのは、法律としてはすごく無理があると思います。  それから、改めて申しますが、何もその後のことが決まっていないので賛否を問うことはまず無理。この数年間、法案の骨格だけを決めて詳細はすべて政省令でというスタイルが増えてきていますが、この凍結法案はそれ以上であります。もうとにかく凍結するのを認めるか認めないか、その後のことは何も決まっていないが、見直しをする象徴なんだから賛成してくれと、これは少し無理だと思います。  それで、今言われた日本郵政株式は一〇〇%政府所有をしています。財務大臣が持っていらっしゃいます。そして、ゆうちょ銀行かんぽ生命株式持ち株会社日本郵政が一〇〇%持っていらっしゃいます。この日本郵政社長は、何回も答弁されているように、亀井大臣がほれてほれてほれ込んで社長に来ていただいた斎藤次郎さんであります。こういう仕組みの中で郵貯、簡保の株が売却されるなんというのは、象徴的にこんな法案通さなくても三〇〇%ないと思いますけど、どうでしょうか。
  28. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 澤委員、少し私たちの意図を整理して御説明申し上げたいと思いますが、これは、本総務委員会でも、あるいは当時の与党であった方々からも、当時の西川社長に対して、株式売却を急ぐべきではないと。それはなぜか。これは先生大変いい資料を出しておられますけれども、ゆうちょ銀行貯金残高はずっと下がり続けている、それからかんぽ生命新規契約もこういう状況だと。この主なものが分社化ロスなんですね。その分社化ロスを一刻も早く止めるためには、法律規定されている売却を一回凍結をして、そして経営形態を、株主はまだ国ですから、国の間に経営形態を変えて、一般の市場や一般株主に迷惑は掛けることないようにしっかりとした、この分社化ロスを整えて、そして国民共有の財産である日本郵政を立て直していこうと、これが私たちの基本的な考え方です。  これは、総務委員会で当時の与野党これまで議論をされてきたことの、まさにそのことを踏まえた法律案であり、私たちはそのために経営形態を今議論し来年の通常国会にお示しをするということを申し上げているんで、白紙委任状を皆様からお願いをしようなんということは全く考えておりませんので、御理解をよろしくお願いいたします。
  29. 澤雄二

    澤雄二君 分社化ロスだと。これが分社化ロスかどうかという議論は大きく分かれるところでありますが、その分社化ロスだからそれをなくしたいんだ、つまりそれは、郵政民営化見直し方向に少し踏み込んで今言われた話であります。  だとすると、見直しの全体像を示したときに凍結をするんだということが筋で、何もその全体像が示されていないときに凍結だけやってくださいというのは白紙委任状だと私は思います。世間の人も常識的にそう考えるだろうと思います。  この質問、これぐらいで終わります。  次に、斎藤社長について一つ懸念があるのでお聞きします。亀井大臣にお聞きします。  斎藤社長の天下り、わたりについては前回の委員会でお聞きしましたので、今日は触れません。  これは多分亀井大臣御存じだと思いますが、斎藤社長は二〇〇五年の中央公論十一月号に寄稿された論文で次のように述べておられます。かぎ括弧です。小泉改革の掲げる郵政民営化基本的方向は正しいものと考えられると述べておられまして、論文最後には、新たに出発した小泉内閣がこの現状を踏まえ国民の負担を伴う真の改革に立ち向かうことを切望してやまないと結んでおられます。つまり、小泉改革郵政民営化を賛成しているというか、賛嘆されています。  先ほど答弁にありましたが、亀井大臣が進められているこの民営化見直しというのは、小泉改革郵政民営化を否定するところから始まっております。亀井大臣斎藤社長が、これはわずか四年前の発言でございますが、これは今考え方を変えて、違うんだと、見直し方向でいくんだというお気持ちに変わったということを確認されておりますか。
  30. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 私は、四年前にそれを書かれたときに斎藤社長意見交換をこの問題についてやったわけではありませんけれども、恐らく、小泉さんが、それまでの郵政公社、いろんな問題の中で、やはりいろんな面においてまだ問題があると、そういう点をきれいに改革をしていきたいというそういう気持ちを持っておられること、そのことについては、斎藤さんとしては、やはり常に改革というのは前進し、組織というのは常に新しいチャレンジをしていくべきだという、そういう点においては私は賛同されたのかもしれないと思います。  しかし、私は、斎藤さんと長く何回かお話をする中で、また社長就任をお願いする中で、小泉改革なるものによってなされた今の郵政事業がもうがたがたになってしまっておると、これではいかぬという認識においては私と全く一致しておるわけでありまして、そういう意味では、新しい事業を、これを、だから何度も私申し上げておりますように、小泉さんがおやりになった以前の事業に戻す気はないということを私自身再三言っておるわけでございますけれども、また斎藤社長も同じでございまして、そういう意味ではやっぱり新しい事業展開をしていきたいという、そういう点において私と斎藤社長意見一致をしておるということでございます。
  31. 澤雄二

    澤雄二君 この中央公論論文は、郵政民営化だけではなくて、いわゆる小泉改革全般について言われている中でこういうことも言われているんですが、今、亀井大臣が言われたように、今の民営化された郵政は自分の考えとは違うと。だけど、それを立て直していく方向についてはもしかしたら亀井大臣考えておられることと違うことを考えておられるかもしれない。  新聞を散見しますと、亀井大臣がいろんなアイデアを、例えばワンストップ行政なんかについて言われていることについてかなり否定的なことも言われているんですよね。コスト掛かって無理だよとか言われていますので、これは杞憂であればいいんですが、ほれ込んで連れてきたのにおれと意見が違うよということが、これがどんどん来なければいいなという感想を申し上げて、これは時間がなくなりましたのでやめておきます。  このゆうちょ銀行かんぽ生命株式売却、今どちらも答弁で言われました。売却する可能性もある、しない可能性もあると言いました。ですから、一つだけ確認をしておきたいんですが、この株式売却には一つ解決しなきゃいけない問題がある。これは前の法案審議からずっと言われていることでありますが、参議院の特別委員会附帯決議でも、「敵対的買収に対する適切な防衛策を措置すること。」というのが決議されています。これは僕はいまだに残っている大きな問題なんだと。つまり、敵対的買収、特に外国の機関投資家人たち企業人たちから買収されるというのは非常に大きな問題なんです。  三年前に超党派の議員でオーストラリアに視察に行ってまいりました。そのとき、たまたまオーストラリア機関投資家人たちと話す機会がありました。いろんなことを言っていました。日本のいろんなものをおれたち買収しているんだよと。箱根にターンパイクという高速道路ありますよね、あれも買ったんだと。あれも黒字化したぞと言われて、僕はその後行ったら、普通は草がきれいに刈ってあるところを刈っていないんですよね。つまりそういうことをやって赤字の事業を黒字化したと。  いろいろなものを買っていると言われたので、最後にお聞きしたんですが、今の日本で一番投資の対象として関心あるのは何だと言ったら、ちゅうちょなく郵政民営化だと、これは世界常識だと言われました。十兆円、二十兆円ぐらいの資金で二百八十兆という資金を自由に動かせるわけですから、投資家から見たらこんなにいい物件はない、まさに世界常識だろうというふうに思います。  これも皆さん御存じのことでありますが、オーストラリア銀行が、ニュージーランドが一九八七年に民営化した後、その二年後にその株式を全部買収しました。すると何が起きたかというと、オーストラリアの買収した銀行合理化を始めました。地方のへき地にある銀行採算性が合いませんから、全部つぶし始めた。そうすると、そこに住んでいる人たちは四時間、五時間、六時間、片道車を走らせて中核都市まで行かないと銀行が使えなくなりました。次にやったことは、いろんな銀行サービス手数料を掛けていました。今まで掛けていたものは引き上げました。最後は、欧米ではそういうことが多いのでありますが、口座を開くのにも手数料を取るようになりました。これで何が起きたかというと、低所得者銀行口座を持てなくなってしまいました。このためにニュージーランドは二〇〇二年、もう一度政府が一〇〇%出資をして新しい銀行をつくらざるを得なくなりました。キウイ銀行でございます。日本で同じことが起きないとは言えないと思います。  そこで、質問でございますが、この敵対的買収からゆうちょ銀行かんぽ生命を守るために今どんなことを考えておられますか。
  32. 原口一博

    国務大臣原口一博君) お答えいたします。  非常に大事な御指摘です。まさに、私たち民営化のいろんなモデルを見てまいりました。その中で、オランダ、これも民営化していますね。そして、INGという、まさにあのINGの象徴はライオンです。そのスタートするときに社屋に本物のライオンを放って、そして世界に冠たるオランダのINGということでやったわけですけれども、そのINGを見ますと、民営化会社ですけれども、彼らはコングロマリットとしてたくさんのものを買収してきました。INGの皆さんに直接聞くと、じゃ、私があなたを食べることできるんですかと、買収できるんですかと、できないと。買収できない仕組みがあるわけです。それは、国民共有の財産であり、今、澤先生がお話しになったまさに金融社会権、貧しき人たちもちゃんと決済できるということが担保されているわけです。  私たちは、小泉民営化が、さっきの社長お話がありましたけれども、あそこで是認されているのはコーポラタイゼーションなんです、英語で言うと。プライバタイゼーションといういわゆる私物化までされるなんてだれも思っていないわけです、だから今見直そうと考えているわけで。  御質問にお答えをすると、ゆうちょ銀行及びかんぽ生命保険会社は、それぞれの定款において、企業価値が不当に毀損されることを未然に防止することを目的とした買収防衛策についての決議をできるという規定があります。それに基づいて今検討しているわけです、今やっと検討しているわけです。  例えば、私たち、あの例の三角合併やいろんなところの議論でやりましたけれども、信託型のライツプランを入れるとか、様々な検討をされていると聞いておりますが、この間にだって、今議員がおっしゃるように買収される危険性は今なおあるわけで、私は、国民利用者からの貴重な財産を預かる会社敵対的買収から貴重な財産を守る、委員がおっしゃる大事なものを守るために具体策を講じることを期待しているものでございます。
  33. 澤雄二

    澤雄二君 敵対的買収から日本郵政、ゆうちょ銀行かんぽ生命を守るというのは長い間議論されてきましたが、今ある現実的な方法は、原口大臣が少し言われましたが、ライツプランというのが一番現実的だろうと言われています。つまり、ほかの方法ではWTOは金融機関の規制を禁じておりますからなかなかそれできないですね。だから、その規制の中でできる可能性が一番高いのはライツプランだと思っております、私も。  このライツプランというのは新株を与えるときに制限を加える方法で、一つは、買収者以外の株主だけで行使できる新株予約権を使う。つまり、買収者以外に新株を与える権利ですから、買収者のシェアをこれで落としていけるということですね。それから、買収者が一定割合以上の株式をした場合に、買収者の株式を強制的に議決権制限株式にしてしまうと。これもシェアを落とすということですね。だから現実的だと言われて、今一番考えられているんだと思います。旧経営陣は多分これを考えたんだと思うんですが。  だけど、このライツプランということについてもいろんな条件が実は付いておりまして、まず最初に、企業価値を向上させるという目的の買収は制限ができないと。その銀行がもっと良くなるために買収するんだということが付いていればこのライツプランは発動できない。それから、防衛策についても情報開示を徹底的にしなきゃいけないということを求められています。それから、さっきおっしゃいました、これは違いますけど、経営者の恣意的な判断ではないと。つまり、経営者が自分たちの立場を守るためにこのライツプランを行使するんではないということも明確にしなければならないと。それから、買収者以外の株主に不利益を与えてはいけない等々条件があって、このライツプランだけではどうも敵対的買収から身を守るのは一〇〇%安全とは言えないぞと。ですから、何かほかに今考えていらっしゃいますかということでございます。
  34. 原口一博

    国務大臣原口一博君) まさに今おっしゃることを含めて私たち議論をしているわけで、ライツプランはその中の検討の中の一つだと聞いておりまして、先ほどキウイ銀行お話をされましたけれども、ニュージーランドのキウイ銀行は、たしか国がキウイ株というのを持っているはずです。つまり、言葉を、これは適切か更に精査しますけれども、黄金株的なものを持って、中央政府が、そして敵対的買収から様々な国民の財産を守ると、そういう考え方もあるんだと思います。  ですから、私たちはまず、今、ある意味非常に無防備な状況にあるとすれば、それは国民に対して申し訳ないことだというふうに思っておりますので、まさに委員がおっしゃるようなことも含めて、日本郵政の中で鋭意検討される。そして、私たちは、その中でできないことがあれば、来年の、亀井大臣中心に御議論いただいています法律の中に組み込んでいく、そのことが必要であると。しかし、それも大臣がおっしゃったように、全体像の中でパッケージとして出してくるものだと、このように考えております。  本当に大事な御指摘をありがとうございます。
  35. 澤雄二

    澤雄二君 今の原口大臣答弁に沿って質問をいたしますけれども、黄金株ではありませんが、御答弁はどちらがされるのがいいのか分かりませんが、将来、株を売却したときに、その売却する、今の法律では一〇〇%となっていますが、これをある程度制限を加えると、そういう可能性考えていらっしゃいますか。
  36. 大塚耕平

    ○副大臣(大塚耕平君) 実務を担当させていただいておりますので、御答弁させていただきます。  先ほど来の冒頭からの委員の御質問とすべて整合的につながっている御質問かと思うんですが、今回の郵政見直しは二つの視点から見直しをいたします。  一つは、政府考え方は、これはもう十月の二十日の閣議決定でお示しをしておりますが、閣議決定の内容に含まれた政府の問題意識を反映した改革を行うこと。同時に、既に民営化されて株式会社として機能をしておりますので、生きた経営体としての郵政としての考え方、今後の事業展開も承って、そして両者がマージされて改革案が決まっていく。もちろん、そこにはユーザーである顧客の御意見もこれからお伺いをしなくてはいけませんので、言ってみればこの三者がマージされて改革案が決まってくる。  そして、その際に、政府考え方事業体の考え方国民皆さんのニーズを満たす上で、例えば一〇〇%政府が保有する形態がいいのか、あるいは会社法の規定に従えば、政府の保有する割合を三分の二超にするのか、二分の一超にするのか、三分の一超にするのか、これによって行使できる権能が変わってまいります。あるいは、完全に売却する場合でも、原口大臣がおっしゃったような、一定の買収防止策を規定して、先ほど申し上げました政府の意思、事業体の意思、国民の意思に反するような展開を抑止すること。いろんな選択肢がございますので、これを国会での御議論も踏まえて適切に形に仕上げて通常国会でお示しをし、更に精査をしていただきたい、そんな段取りで考えております。
  37. 澤雄二

    澤雄二君 ですけれどもお話を伺えば伺うほど、そういう全体像が出たときに株式売却についてはどう考えているんだという法案をどうせそのときに出さなきゃいけないでしょう。そのときに一緒に出されればいいんで、今やみくもに、とにかく象徴だから凍結するんだというのは、ちょっとこれはやっぱり今国会でのこの法案の提出というのは無理があるんじゃないかなというふうに考えておりますが。  さらに、関連して次の質問に移りますが、四事業ありますが、郵便事業会社郵便会社はもう赤字転落目前であることは御存じのとおりでございます。それをゆうちょ銀行かんぽ生命の利益が今カバーをしているというような状況でございますが、このゆうちょ銀行かんぽ生命も安泰と言えるだろうかということであります。  皆様方に資料をお配りをしております。これを見ると一目瞭然でありますが、ゆうちょ銀行貯金残高推移というのは、この十年間で八十四兆円も減少しています。かんぽ生命保険の新契約数も、これ何分の一ですか、六分の一ぐらいまで減ってきています。つまり、これは分社化ロスというよりも、魅力がなくなってきている、また国民にその余力がなくなってきているからゆうちょ銀行かんぽ生命もどんどん契約者も預金高も減ってきています。これを何とか食い止めないと赤字転落をしていく可能性も、ゆうちょ銀行かんぽ生命もそこにもう来ている状況だと思います。だから、さきの政権が民営化考えたのも、まさにそのためであります。  それで、これ、赤字転落をしていけば、これだけの規模ですから負債も膨大なものになっていくことが予想されております。この負債が膨大に積み上がっていくと、かつての国鉄のように、いずれは国民負担でこの問題を解決しなければいけないというような事態にならないとも言えない。ですから、みんなが念願をしている郵便局の全国のネットワークとかユニバーサルサービスの維持とか、そういうこともまた本当の夢になってしまう可能性があります。  公明党は、この郵政民営化が軌道に乗るまでの間は、万一のことを考え株式売却益のうち一兆円を基金として積み上げて、全国のネットワークの維持とユニバーサルサービス維持のためにそのお金を使ってくれということを提案して、前の民営化法案の中には入れさせていただいたのでございますが、この長期低落傾向にこれでもって歯止めを掛けるという決意を両大臣にちょっとお聞きしたいと思います。
  38. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 私は、今の状況というのは当たり前のことが起きていると思います。それをねらっておやりになったわけではないと私は思いますけれども、ゆうちょ銀行、かんぽに行く金が都銀を始め他の銀行に行けばいいんだということでおやりになったのではないと思いますけれども、今の、委員、経営の実態、職員のモラール、このことを考えましたら、もう減らないのがおかしいと私は思います。  委員は御承知と思いますけれども、これは法律でそうなっておるわけでありますが、従来は、老夫婦だけが生活しておられるところに郵便配達をする、それと同時に、郵貯等のサービスもこれも同時にやっておったわけでもありますし、窓口においても非常に簡便な形で預け入れ、引き出し、いろんなことがなされておったことができなくなってしまっておる。そして、御承知のように、この部屋の半分ぐらいのちっちゃな庁舎が三つに仕切られておって、職員の行き来ができない。お互いに仕事を助け合うこともできない。また、監視カメラがずっとこれをねらっておって、特定郵便局長さんが国民新党の関係者と会っているのを確認しているのかどうか知りませんけれども、そうした監視状態にしてしまうというような、そんな状況の中で預金が増えたり契約が増えたりするはずはないわけでありまして、この度、そういうものを一切きれいに、新しい出発をして生き生きと仕事をしていこうと、法的にもそういうことが可能なやはり状況に変えていくということで、私はこの預金高、契約高等は元の状況に戻っていく可能性は高いと思いますので、現在の推移の中で今後の郵政日本郵政の経営を考える必要はないと、このように考えております。
  39. 原口一博

    国務大臣原口一博君) お答えいたします。  亀井大臣がおっしゃったとおりですが、この惨たんたる結果はまさに前政権が行った二つのあしき民営化の結果。一つは、先ほど申し上げました分社化です。分社化ロスはどれだけ出ているかと、私もこの職に就いて更に開示をさせましたけれども、物すごいロスです。それともう一つは、前政権はというか、小泉、竹中さんの郵政民営化というのは、メガバンク、オーバーバンクになっていた、それを減らす。そして、アメリカのあの投資銀行のような、五つの投資銀行、もう今は普通の銀行になりましたね、リーマン・ショック以来、ああいう投資銀行にしたいということであったのではないかと私はそのとき思いました。  しかし、国民皆さんが要求をしていたのはそうではなくて、地域を回る、少額なんだけれども決済ができる、先ほど澤議員がおっしゃったとおり、地域の自らのための決済機関であり、地域を潤わせるための、まさに根差した、そういう機関であったはずです。郵貯法、簡保法の第一条、これは崇高なことが書かれているわけです。まさに、ひとしくあまねく多くの人たちが、貧しかろうが富める人であろうが、ひとしくその人たちを、福利厚生をこの郵貯、簡保で行って、そしてそれが国民、国全体の発展につながるんだというのが郵貯法、簡保法一条です。  ところが、今どうか。物品の売買も二社でやっていますよ、もう地域人たちとは全く関係なしに。だったら、預金も、いや、郵便貯金で、郵政にお世話になっている、だから郵便貯金をやりますということが、もうその構造が壊れているんです。つまり、きずなそのものを壊したことが、今、澤委員がお示しになったこの惨たんたる状況にあるわけです。  私たちが今新たに株式凍結してやろうとしているものは、元々明治の時代の先輩方がおつくりになった地域のきずなの銀行あるいは地域のきずなの簡易保険を復活させようと、元々あった良さをしっかりやろうということでございます。  心して頑張っていきます。
  40. 澤雄二

    澤雄二君 時間がなくなりましたので、亀井大臣考えていらっしゃるいろんな新しい事業展開ワンストップ行政その他、実はこれも危ない要素をたくさん含んでおります。やればやるほど赤字になる、コストが増える。ですから、よほど慎重にこのワンストップ行政についても検討していただきたいというふうに思います。  先ほどからも亀井大臣が二回ほど言ってくださいましたが、もし何か新しい事業展開でアイデアがあれば言ってほしいと言われたことがありましたので、最後一つだけ提案をさせていただきますが、これは民業圧迫をしない、それから弱者の味方にもなる、それから、病院の負債が今どんどん膨らんでいますけれども、その負債をなくす効果もある、地域の活性化にもつながるというような一つの提案でございますが、両大臣にも多分賛成はしていただけるんじゃないかと思いますけれども。  ゆうちょ銀行では、企業に対する融資、多分それも中小企業を含めて考えていかれるんだと思います。それから、個人向けのローンももしかしたらお始めになるかもしれないと思っています。この個人向けローンについては、やる内容によっては地方銀行の民業圧迫になるかもしれないという心配もされています。こういう心配がなくて新しいローンを考えていただけないかという提案でございますが、住宅ローンとか教育ローンではなくて、私がやってほしいのは医療ローンの創設であります。私の周りの友人、知人も、私も団塊の世代でございますけれども、だんだん年取って親が危ないとか亡くなったり病気になったりする、自分の親が病気になって手術をするという方がたくさん増えてきております。  保険の適用が利く範囲は、幾ら掛かっても高額医療の限度がありますから、収入によって違いますが、普通なら八万円で済みます。ところが、入院すれば分かりますが、差額ベッドだとか、それから着ている浴衣ですか、とかいろんなものにお金が掛かってきてとても八万円で済まなくて、下手をするとすぐ二十、三十、四十と毎月掛かっていきます。このお金を払える人たちが少なくなっている。払えない人たちがどんどん増えていっています。  ですから、この費用を、子供を連帯保証人にして長期の金利の安い医療ローン、今医療ローンってないんです、今都市銀行地方銀行は、これは利ざやが薄いし、下手をするとリスクも高いといってこういうローンはやっていないんですね。だから、まさに庶民を救うためにこういうような医療ローンを、二世代にわたって返していっていいよ、金利も安くしておきますよ、こういうローンをこのゆうちょ銀行で新たに考えていただけないかという提案でございます。
  41. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 今委員の御指摘、私は初めてお聞きしておりまして、非常にいい着眼点といいますか、いわゆる非常に狭い地域の人間関係に、そういうことに密着をして、またその信頼関係の中で融資をしていくというような、そういうことを私は郵便事業であってできることではないかなという感もするわけでございますので、是非これは、委員の御提案のことは、法案が成立しますと直ちに私どもそういうことについて検討を開始いたしますので、詳細にちょっと御教示を賜れれば真剣に取り上げてまいりたいと思っています。
  42. 澤雄二

    澤雄二君 時間が参りましたので終わりますが、郵政民営化、非常に重大な問題でございます。見直すところもあるんだろうというふうに思っておりますが、見直し方向によっては、先ほど申し上げたように、非常に危険水域に今ありますから、余計なコストを掛けて赤字転落する可能性もあります。ですから、そこのところは、赤字転落をすれば新たな国民負担になってまいりますから、株式売却の範囲も含めて本当に慎重に検討をしていっていただきたいということをお願いしまして、質問を終わらせます。
  43. 佐藤泰介

    委員長佐藤泰介君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十六分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  44. 佐藤泰介

    委員長佐藤泰介君) ただいまから総務委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、日本郵政株式会社郵便貯金銀行及び郵便保険会社株式処分停止等に関する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  45. 山下芳生

    ○山下芳生君 日本共産党の山下芳生です。  郵政民営化によって、簡易郵便局の閉鎖、ATMの撤去、各種手数料の引上げ、集配郵便局の統廃合、さらには時間外窓口の閉鎖などなど、国民サービスが大きく後退したと思います。郵政事業は、長年にわたって国民の貯金や保険料金で、あるいは郵便料金で培ってきた国民共有の財産であって、地域住民の暮らしを支える重要な役割を果たしてきたと思います。  私は、郵政民営化見直しに当たっては、国民共有の財産を利潤追求の道具にするのではなくて、公共の福祉の増進のために活用する、そのことを経営の目的とする必要があると思いますが、亀井大臣認識を伺いたいと思います。
  46. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) もう委員御指摘のとおり、国民福祉の増進のためにこの巨大な事業体をきちっと使っていく必要がありますが、ただ、国民負担を増大をさせていかない、そのためのいわゆる収益事業等についても私は思い切って、民業圧迫という批判を受けない中でこれをきちっと展開をしていきたいと考えております。  長谷川政務官から具体的なことについてもちょっと説明させます。
  47. 長谷川憲正

    大臣政務官長谷川憲正君) 大臣から御答弁のありましたように、まさしく委員御指摘のとおりに、国家、公共のための事業としてきちんとした目的を定めていくことが極めて大事なことだというふうに思っておりまして、これから改革法案の中身を詰めてまいるわけでありますけれども、その基本に位置付けたいと思っております。
  48. 山下芳生

    ○山下芳生君 次に、郵便事業について少し考えてみたいと思うんですけれども郵便事業というのは、あまねく公平に、かつ通信の秘密を厳守し、さらには正確、迅速、安全に郵便物を集配することで国民生活や国民経済を支えるライフラインとして機能してきたと思っております。こうした公共的な業務を担っているのは、私は人だと思います。ピザ屋さんを蔑視するつもりは全くありませんけれども、ピザを運ぶのとはやはり違うと思います。信書を運ぶわけですから、やっぱり運ぶ人への信頼がなければ成り立たない事業だと思います。  その意味で、郵政事業にとって、私は人こそ宝、人は石垣、人は城と思いますけれども亀井大臣、その御認識おありでしょうか。
  49. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 私は、共産党の委員の方から唯心論的な立場でこの問題を提起されましたことを非常に敬意を払いたいと思います。  おっしゃるとおりでございまして、今の郵政事業は心を失ってしまっておる、それを取り返すということをしなくてはどういう事業再構築をしてもうまくいかないと、このように考えております。
  50. 山下芳生

    ○山下芳生君 私が今申し上げたのは、れっきとした唯物論に立っての立場ですけれども認識一致したと思います。  そこで、日本郵政に伺いますが、日本郵政グループには正社員、非正規社員がそれぞれ何人いるでしょうか。民営化時点とそれから現在の数字を報告してください。
  51. 佐々木英治

    参考人佐々木英治君) お答えいたします。  日本郵政グループ五社の社員数は、平成十九年十月の時点、民営化時点では、正社員が約二十三万九千人、非正規社員が約二十万一千人でございます。また、平成二十一年七月の時点では、正社員が約二十三万三千人、非正規社員が約二十一万六千人でございます。
  52. 山下芳生

    ○山下芳生君 今報告があったように、民営化後わずか二年間で正社員が六千人減らされて、その一方で非正規社員が一万五千人増えております。今や非正規社員がグループ全体で二十一万六千人、日本郵政日本最大の非正規労働者を抱える企業となっております。  その郵政職場で働く非正規社員の皆さんは一体どんな仕事をされているのか。例えば、非正規社員が十五万六千人と最も多い郵便事業会社では、郵便の配達とか区分けなど正社員と同じ業務を行っております。労働時間も、例えば集配課では四週八休の八時間雇用で、正社員と同じ時間帯で勤務している人が多いです。  私、何年か前に、集配局の統廃合の影響調査をするために、和歌山県の山奥にあります旧花園村というところに行ってまいりました。そこでたまたま赤いバイクに乗った配達員の方にお会いしたんですけれども、その方もお聞きしますとゆうメイトですと、非正規社員だとおっしゃっていました。こんな山の中まで非正規の方がちゃんと集配をされているんだなと思ったんですけれども。  そこで、原口大臣に伺いますけれども郵政の非正規社員の皆さん郵政事業にとって必要不可欠な基幹的業務を担っている方々だと、この人たちがいなければ郵政事業は一日たりとも成り立たないという御認識はおありでしょうか。
  53. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 山下委員にお答えいたします。  この間も給与法のときに答弁させていただきましたが、正規社員、非正規社員の連帯、これが大事だということをそのときお話をさせていただきました。言うまでもなく、最終的に責任を問われる管理事務等は正社員が担当するものでございますが、今委員がおっしゃったように、非正規社員数は全社員の相当数占めておりまして、事業運営に不可欠な存在と認識しています。  郵便事業の中には、例えば特別送達のような司法の根幹を担う、まさに公そのもののものも多いということで、私たちはそのことについて、あの理念なき郵政民営化に大きな警鐘を鳴らしてきたと、そういう立場でございます。
  54. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 私は、郵政事業を担う人たちが業務の内容その他から、非正社員、パート等でなければその事業の柔軟性その他の面からいってどうしても駄目だという分野なら別でありますが、そうでない分野については、郵政事業がただコストを下げるということで非正社員に業務を頼るというやり方は、これは間違っていると、私はこのように思います。
  55. 山下芳生

    ○山下芳生君 大変大事な御答弁があったと思います。その方向是非郵政の抜本改革を進めていただきたいと思いますが、もう少しこれ突っ込んで伺いますけれども。  ところが、その基幹的な業務を担い郵政事業を支えている非正規社員の待遇が今どうなっているか。日本郵政グループで年収二百万円以下の非正規社員はどれほど存在しているでしょうか。
  56. 佐々木英治

    参考人佐々木英治君) 非正規社員につきましては、一日の勤務時間、例えばフルタイマーとかあるいは四時間のパートタイムとか、あるいは週の勤務日あるいは雇用期間等が様々でございまして、今先生お話のありました待遇といいますか年収につきましては、その集計が非常に時間を要することになりますので、現時点においてはちょっとお答えは差し控えさせていただきたいと思います。
  57. 山下芳生

    ○山下芳生君 もう郵政で働く人の半分が非正規、そして日本最大の非正規を抱える会社であるにもかかわらず、その方々がどういう賃金の状況に置かれているかを調べてもないということ自身が私は問題だと思うんですね。  それで、北海道新聞が十月一日に、道内郵政職場の非正規労働者、年収二百万円未満が七割という記事を掲載いたしました。これは北海学園大学の川村雅則准教授と連合北海道の共同調査によるものでして、この調査をされた方々に心から敬意を表したいと思いますが、それによりますと、年収、昨年度ですね、百万から百五十万未満が三一%で最多であります。百万円未満も一四%、百五十万から二百万未満が二三%で、全体の七割近くが二百万円未満なんですね。さらに、三百万円未満も含めると、全体の九割を超える方々がその中に入っちゃうと。まさにワーキングプア、丸ごとそういう状況に置かれていると思います。  原口大臣、こういう非正規の郵政方々が七割が二百万円以下、異常だと思われませんか。
  58. 原口一博

    国務大臣原口一博君) お答えいたします。  先ほど亀井大臣がお答えなさったように、やはりそれが合理的な数字なのかと。私たちは労働を中心とした福祉型社会というものをつくりたいと考えています。そのためには、労働者が自らのその労働に適した、かなった給与を保障されるということが何よりも大事だというふうに思います。  ロナルド・ドーア、ちょっとしゃべりにくいんですけれども、ドーア先生が私にこうおっしゃいました、まだ労働界も様々な分断にある。今まさに共産党の山下先生が連合に敬意を表すとおっしゃいましたけれども、更なる連帯を進めて、私たちは労働者のしっかりとした境遇を保障する、そういう政治をつくっていかなければいけないのではないかと、こう考えております。
  59. 山下芳生

    ○山下芳生君 その点で是非政府としても、郵政職場で働く非正規の方々の賃金や待遇、それからモチベーションもかかわってくると思いますが、どうなっているか、実態を把握することが大事だと思いますが、いかがですか。
  60. 原口一博

    国務大臣原口一博君) まさに働く人たちがどのような環境にあるか。私は、この職に就いたときに総務省全体に、それぞれの心身の状態について調査して報告をしなさいということを最初指示をいたしました。経営というのは、一人一人のそこに働く人たちがいかに元気で生きがいを持ち、そして目標を持ちやるか、お仕事していただくかということでございますから、その数値を持たないということはあり得ないことだと、こう考えております。
  61. 山下芳生

    ○山下芳生君 私も、直接何人もの方から、非正規の方から話を聞きました。例えば勤続八年の三十代男性、大体八万円から十万円なんですね、月給にしますと。これではこれからも結婚はできません、休日も家から外に出る元気がありませんと、こういう方々を生んじゃっているんですね、今の郵政の職場が。亀井大臣からそういうことは間違いだというお話がありましたので、是非その方向で、郵政の職場で働く皆さんが誇りと働きがいを持って、そして生活が成り立つように、その方向改革が進むよう改めて期待をしたいと思います。  次に、高齢者再雇用制度について質問したいと思います。  高齢者雇用安定法に基づいて郵便事業会社には高齢再雇用制度があります。平成二十一年度、この制度による受験者は全国で一千二百七十四人でした。そのうち百二十三人が不合格になりました。一〇%不合格になっているわけであります。当委員会で私、以前質問をさせていただきまして、当時の鳩山総務大臣が調査すると御答弁されて、調査結果いただきました。そうしますと、不合格になった方々の八割の方が面接試験で不採用と決められているんですね。何が面接で駄目だったのかということをいろいろ説明受けましたけれども、私はこれは恣意的に判断されているなとしか思えなかったです、私は。  この制度は年金支給を六十五歳に延長したことに伴う制度であります。郵便事業会社の定年は六十歳であって、五年間の間、この高齢再雇用制度によって継続雇用されなければ労働者は安心して働けない。また、郵便業務に熟練した方々ですから、こういう方々は、そういう方々をしっかりと生かすことは郵便事業会社にとっても有用なことだと考えます。  原口大臣に伺いますが、この高齢者雇用安定法の趣旨にちゃんとのっとって、原則希望者全員が雇用を継続されるように制度の運用を行うべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
  62. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 御指摘のように、高齢者等の再雇用問題は、長年郵政の業務に携わってこられた熟達した社員が組織内の若年労働者への業務のノウハウの伝授、また退職者に再雇用の機会を提供することによる働く喜びを提供する上でも今後重要な課題であるというふうに認識をしておりまして、また郵政事業の信頼性を今後より一層確かなものとするためには高齢者等の再雇用は大切な課題であるというふうに考えております。  また、現状どうなっているか。郵便事業は、高齢者等の雇用の安定等に関する法律に基づいて継続雇用制度を導入して、平成二十年度から実施をされておるところでございます。そこでの再雇用希望者に対する試験あるいは面接というのは公正で公平なものでなければならないと、このように認識をしております。
  63. 山下芳生

    ○山下芳生君 公正で公平なものでなければならないということで、運用の改善を図りますというふうに、私、事業会社の方から説明を受けました。是非透明化を図って運用を改善していただきたいんですが、ただ、私は極めて不透明で恣意的だと感じた二十一年度不採用になった方々、百二十三人全国でいらっしゃるんですけれども、この方々はどうなるのかと。職を失ったままなんですね。  今、この方々がどうしているか、いろいろ聞きました。それぞれ生活の実態等を手記にして、私のところに届きました。そうしますと、多くの方、大半の方は、まずは九十日間失業給付を受けておられます。月二十万円程度です。それが九十日で切れた後は年金の報酬比例部分だけを受給すると。これは十二万から十三万円です、月ですね。とてもじゃないけどそれだけでは生活できませんから、多くの方はハローワークで仕事を見付ける努力をされていますが、もう六十歳の方ですから、なかなかそう見付かるわけはなくて物すごく苦労されておりますね。  その中にお一人、是非元の職場で働きたいということで、継続雇用、再雇用は不採用になったけれども、それではということで有期雇用契約のハローワークを通じて応募をしたと。そうしたら、その方の名前が伝わった途端に、もううちはいっぱいですといって断られるというようなことが幾つかの職場で起こっているということも聞きました。  私これは、ここまでやるのかと、やっちゃいかぬことだと思いますね。本来きちっと継続雇用されなければならない方を排除した上に、期間社員としても門戸を閉ざすような、あえてですね、名前を見たら。こんな不公正なことあり得ないと、あってはならないと思いますが、原口さん、こんな状況を放置したままではいけないと思うんですが、是非対応していただきたい。
  64. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 事業会社からつまびらかにそこの経緯を聞いてみたいと思っています。  私事で恐縮ですが、東大の大学院の法学部、三次試験まで受かりました。面接で落とされました、国会議員になってから。何で面接で落とすんですかと聞いたら、国会議員だからと、来れないからと。非常に憤慨しました。  私の場合は学問でしたけれども、まさにその方々は職ですよね、暮らしです。ですから、雇用のやはり労働関係法令に違反のようなことがなかったのか、恣意的なことがなかったのか、そこは厳しく見ていきたいと思っています。
  65. 山下芳生

    ○山下芳生君 最後に、郵便輸送の問題について質問をしたいと思います。  郵政民営化に伴って二十年以上郵便輸送を専門にしてきた近畿高速郵便輸送株式会社、大阪エアメール株式会社の二社が一方的に〇八年六月末で事業閉鎖され、清算会社とされ、従業員全員が解雇されました。  先日、長谷川政務官に解雇された労働者の訴えを直接聞いていただきまして、生活の実態、それから信書を運んでいた誇り、責任感、こういうものを直接聞いていただきました。ありがとうございました。私は、そういうベテランの郵便輸送専門のハンドルを握っていた方々を切り捨てて、今郵便輸送がどうなっているか、私が聞くだけでも郵便輸送会社、子会社から様々な運送事業者に再委託がされているということがあると聞きました。  十月の四日、九州自動車道において郵便輸送車両の火災事故が発生いたしまして、郵便物などの損害が発生いたしました。その多くは信書であります。宮崎県内から差し出された各地域あての郵便物が積載されていたわけですけれども、この事故を起こした車は傭車だったと聞いております。郵便事業会社から子会社である郵便輸送会社に委託され、そこから更に別の輸送会社に再委託をされております。この場合、片道は、行くときには郵便物を運ぶかもしれないが、帰りはそうとは限りません。野菜や肉を運ぶかもしれません。そうやって、今とにかくコストが安ければ、運んでもらえればそれでいいんだということが広がっているんじゃないか、その中でこういう事故が起こっていると。  私、長谷川政務官にお会いいただいた、元郵便輸送の専門会社で働いていた労働者は、こう言っておりました。工業製品なら事故で燃えてもまた作ればいいが、手紙は燃えたら終わりなんだ、絶対そういうことがあっちゃならないんだと、そう思ってどんな気候の下でも事故を起こさないようにハンドルを握っていたというんですね。  私、こういうことまでやっぱりコスト優先の下で起こっているというのは、信書を輸送する郵便事業の信頼そのものをゆるがせにする事態だと思います。  その点でのまず感想、御所見を伺いたいと思います。
  66. 長谷川憲正

    大臣政務官長谷川憲正君) 私も先般そのお話を伺いまして非常に強い憤りを覚えたところであります。  御存じのとおり、私、元郵政省に勤務したこともありまして、郵便の実態というのはかなり詳しく知っているわけですが、昔は郵便は輸送なりと言ったんですよ。ですから、ポストに国民皆さんが投函をされて、そして各家々に配達されるまですべて、途中のソーティングはありますけれども、輸送なんですね。これは本当に時間にきちっと間に合わせなければいけない、郵便物がいつもよりも多くてもそこは気合を入れて時間に間に合わせるということを含めて、郵便は輸送なりとか、時間に間に合わせるという意味での郵便は結束なりという大原則があったんですが、いつの間にかそういうことが忘れ去られつつあるのではないかということに非常に危機感を覚えております。  信書をお届けするということは憲法で保障された国民の権利でもありますから、これはしっかり守っていくということを基本にこれからも見直しもしたいし、そしてまた運用の実態についてもきちんと見ていきたいと思っております。
  67. 山下芳生

    ○山下芳生君 具体的にちょっと二点提案させていただきたいんですけれども、今一つお触れになったかもしれませんけれども、こういう郵便輸送が今どういう実態になっているのかをしっかりと把握する、そして改善すべき点があればしっかりと改善をしていくと。それから二つ目に、その中で経験もある、責任感と誇りを持って郵便のマークの付いたトラックのハンドルを握っておられた方々もしっかりと生かしていくことができるなら、私はそうすることが郵便輸送の信頼を回復する上で非常に有効だと考えますが、この二点、いかがでしょうか。じゃ、原口大臣
  68. 原口一博

    国務大臣原口一博君) おっしゃるとおりだと思います。郵便に誇りを持ったあるいは経験を持った方々をしっかり再雇用していく、活用していくということは、国民郵政事業における権利をしっかり保障する上で大変大事なことだと思います。  先ほど亀井大臣が、おまえ、面接で生意気だから落とされたんだろうとおっしゃいましたけれども、私の場合は多分そういうこともあったかも分かりません。だけれども、本当に自分がなぜ職を奪われたのかということは、その人にとってはもう一生の問題でございますので、私たち日本郵政を所管する総務省としても特段の関心を持って注視をしていきたいと思っております。
  69. 長谷川憲正

    大臣政務官長谷川憲正君) 今大臣からお話のあったとおりでございますけれども、ただ、この個別の近畿高速郵便輸送や大阪エアメールの事件につきましては、現在訴訟中というふうにもお聞きをしておりますので、個別のことに触れるということではないというように御理解をいただきたいと思いますが、いずれにしましても、本当にこれは経験の生きる業種でありまして、そういう意味では熟達した人たちというのは非常に大事に扱うべきであるというふうに思っております。
  70. 山下芳生

    ○山下芳生君 最後亀井大臣に一言だけ。  今いろいろ議論をさせていただきました。郵便輸送・配達、この分野は単にコストの物差しだけで見てはならない、そうするととんでもない郵便の信頼を失うことになると、郵政の抜本改革方向としてこれは大きな柱として位置付ける必要があると思いますが、いかがでしょうか。
  71. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) お説のとおりでございます。
  72. 山下芳生

    ○山下芳生君 終わります。
  73. 又市征治

    ○又市征治君 社民党の又市です。  民主党、社民党、国民新党の三党で前国会に提案したこの法案が、参議院は通過をいたしましたが、残念ながらその後うまくいかなかった。それが今回は政府提案、こういう格好で政権交代で出されたことは大変喜ばしいことだと、こんなふうに思います。  今回の法案は、郵貯、簡保の株であるとかあるいはかんぽの宿などの、いつ幾日までに売却しろと、こういう決めをやっていることを何としても止めましょうと。これは国会で何度も議論したわけですから。そうした緊急かつ暫定的な法案ということでありまして、これはもう当たり前なことですが、この後、郵便、貯金、簡保を一体とした、国民への郵便局ネットワークサービスの低下であるとか破壊を何としても止めて、むしろ向上させていく、有形無形の国民の財産を守っていく、そういう法案通常国会に出していただいて、そしてしっかりとこれを審議をして国民サービスを守っていく、こういう努力をしていかなきゃいかぬのだろうと、こう思います。  そこで、亀井大臣にお伺いをいたしますけれども、行き過ぎた郵政民営化地域社会の崩壊に大変拍車を掛けた。また、かんぽの宿の売却事件に象徴されるような、公共的な財産であるとか国債の管理やクレジットカードなどの金融利権の投売りというのは、某大銀行系を中心とした特定の企業群に分け前を与えるものであったというように私は思います。我が党としても、あるいはまた私個人としてもこれに断固反対をして、それこそ原口大臣や長谷川さんと今年の五月、六月ごろまで一緒になってプロジェクトチームをつくって現地調査やあるいは郵政現場の生の声を聞くなど、こうした行き過ぎた民営化路線からの回復を国会の内外で訴えてきた。このことを改めて思い返すわけですが、民営化後のこの二年間の間にいかに国民にサービス低下が強行されてきたか、私自身もこの委員会で何度も申し上げてまいりました。  例えば、さっきも亀井大臣がおっしゃったけれども郵便局内で三つの会社に仕切って分断をして、そして職員間の出入りも監視をする、仕事の効率は全く台なしだ。おまけに年賀状にノルマを課して、今もまだあるようなんだけれども、これは大変な問題なんだけれども、自爆が起こる。つまり、自分でみんな買い支えないかぬ。そうでなかったら、結局査定に掛かってしまう。こういう問題がやられたり、あるいは利用者は貯金や簡保の出し入れが全く不便になって、例えば独り暮らしのお年寄りが年金を郵便屋さんに頼んで配達のときに持ってきてもらう、全部駄目になったわけでしょう、これ。禁止されてしまった。あるいは、郵政公社になって、目玉にしていたひまわりサービス、お年寄りのお宅へ一声掛けてくる、これもみんななくなってきてしまった。もう本当にひどい、地域社会の人間のつながりを壊している、こういうことでしょう。  そうした上に、この複合のメリットをなくしたために、郵便貯金、さっきも出ておりましたが、半年で一兆円ぐらい減っていっているんでしょう、今。こういう格好になっている。あるいは、小包やゆうパックを別扱いにして、JPエクスプレス社を途中までつくって分割した結果、封書などの配達や集荷と小包の配達、集荷を切り離して非効率にする。こんなことなどが起こっている。だから、本当はもうちょっとこれ聞きたかったんだけれども、時間がないから今日はやめますけれども。そして、これらに合わせて二百二十局に上る簡易郵便局や直営郵便局の廃止が行われたなどなど、挙げれば切りがない。  こういうことなんですが、さて、亀井大臣、連立政権が誕生して、国民皆さんもあるいは現場の人たちも大変期待をしている。こうした郵便局サービスの縮小や低下、あるいは働く現場が人間関係がずたずたになっている、こういうことをどこで早く決着を付けていくのか、これをどう向上に転じていくのか。そこのところの決意をひとつまずお伺いしたい。
  74. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 又市議員の今までの御熱心な御調査に基づいての御判断、私もそのとおりだと、このように思っております。ある意味では、もう神の手が動いてぎりぎりの時点でこうした郵政見直しができるという事態になったと、このように思っております。  この法案が成立をいたしますと、直ちに原口大臣と相談をいたしまして、また郵政会社斎藤社長とも相談いたしまして、直ちに郵政事業見直しの具体的な中身に対して着手をいたしますので、是非委員も、長い今までの御調査、御判断をその中に生かしていけるように、具体的な御協力を是非お願いしたいと思っております。やり抜きます。
  75. 又市征治

    ○又市征治君 そこで、もう少しお伺いしますが、この郵政民営化推進者の一番のねらいは、これはこれまでも亀井大臣おっしゃっておりますけれども、あるいは原口大臣からもありましたが、約三百四十兆円、郵貯、簡保の資金、まさにこれは、巨額ではあるけれども、中身を見てみれば実に小口な庶民のこういうものが集まっているわけですが、これを国際市場に吐き出させて大ばくち、マネーゲームに注ぎ込むことがあったんだろうと思うんですね。庶民の零細な蓄えをハゲタカファンドなどのえじきにされないように、これは何としても防衛をし、有効かつ堅実に運用させるということがむしろ政府の責務だ、こんなふうに私たちは思います。  そこで、連立政権の合意及び十月の閣議決定でも、郵貯、簡保を銀行法あるいは保険業法の適用から外して、これらに代わる新しい規制を検討する、こういうことになっておるわけですが、そこで、亀井大臣、さっきもお話ありましたが、もう少し具体のことをお聞きしたいと思うんですが、次の通常国会でどのような中身を、少し具体例挙げていただいて、法整備を、こんなこと、こんなこと、こんなこと、こんなことをやっていきたいということを、お考えのことは是非ここで少し御紹介いただきたいと思います。
  76. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 先ほど申し上げましたように、今から郵政会社共々と内容について検討していきますが、私ども持っております問題意識は、やはり郵貯、簡保の資金にいたしましても、八割を国債で運用しておるというような、そうしたことだけじゃなくて、預金をした方々がその地域で使っていける、またあるいは預金者自身がそれを簡便に、自分の預けた貯金を緊急の場合等も手軽に使っていくような、そういうようなことができないか。  私は、やらなければいかぬと思いますけれども、こういうことについても、信金、信組等々の、ある意味では競合関係等もございますので、その辺りをお互いに、競合じゃなくて、競争がないとうまくいきませんが、競争はいいんですけれども、競争はいいんですが、しかし、そういうところも、不当な形で圧迫しない、協調してお互いに、やり方は私はあるんじゃないかと思いますので、そういうことも既に今、大塚副大臣銀行サイドとも具体的な協議に入ろうとしております。  そういうこともやらせたいと思いますし、また、国債という形で政府の方に資金を供給するということだけではなくて、やはり産業資金をどう供給をしていけるかという、そういうパイプ、ルートも大事だと。ただ、これも融資をするノウハウがない者がやりますとやけどをするわけでありますから、そうしたノウハウを当面どうするのか、どう養成していくのか、仕組みはどうしていくのかという非常に大変な問題もあろうかと。  また、郵便事業にいたしましても、ただ単に郵便物を配達をしていくということじゃなくて、私なんか本当に大変な田舎で、ダムの予定地でございますから、私のところなんか、そういう地域社会にとって、やはり郵便局、また郵便配達をしておられる郵便局員というのは、かけがえのない地域社会にとって必要なネットワークであります。こういう方々に、郵便配達ということだけじゃなくて別なことでも地域を支えていただく方法はないか。  そういう場合、労働過重の問題もありますし、その辺りを、場合によっては新規採用をしていくとか、いろんなやり方もあると思いますけれども、私は、そのネットを利用をして、あるいは郵便局という拠点を使ってのそういう事業というのはいろいろあるんではないかと。これも都会と田舎は違うと思いますから、その辺りの、やはりきめ細かい現実に合ったものを検討していきたいと思っておりますが、それも法案が成立したら、先ほど申し上げました、直ちに本格的に検討に入りますから、是非お知恵をいただきたい。
  77. 又市征治

    ○又市征治君 大塚副大臣、少し、大臣とダブらないところで、なお公表できるところで今何か構想されていることがあったら、付け加えていただくことありましたら。
  78. 大塚耕平

    ○副大臣(大塚耕平君) 基本的には大臣の御答弁どおりでございますが、先般の閣議決定の内容を少し敷衍をさせていただきますと、ユニバーサルサービスを法的に担保できる措置を講じるほか、現在の業法に代わる新たな規制というふうに書いてあるわけですが、これは、ユニバーサルサービスを法的に担保できる措置というのはいろんな手法がございますので、今日の澤委員への答弁の中でも申し上げさせていただきましたが、本来の目的をたがわないような、つまり政府の方針、そして郵政事業会社の自主的な考え方、そして国民皆さんのニーズを踏まえて、かつユニバーサルサービスを法的に担保できる措置を柔軟に考えて対応してまいりたいと思っております。
  79. 又市征治

    ○又市征治君 そこで、政府としては国民経済活性化のために国債の活用、郵貯、簡保による引受けが、一方では、これはこれまでも大変重要な役割を果たしたし、この後もそうだろうと思うんですね。また一方で、庶民にとっては安全な貯蓄型の資産として国債に勝る商品はないと思っておいでの方はたくさんおいでになるということでもあります。逆に民営化では、例えば投資信託を郵便局が売って、そして半値まで元本割れして庶民に損失を被らせた事実というのは、去年、私はこれも追及をいたしました。この意味で、庶民の貯蓄が郵貯や簡保を経由して国債に向かうということは、これは一面では理にかなった問題でもあろうかと思います。  また、郵貯、簡保への資金は、私自身この委員会で何度も主張してまいりましたけれども地方自治体や地方金融機関へ重点的に向けるということも、これは地域経済の活性化に欠かせないことではないかということもあるわけでして、こうした活用方法の面で、改めて亀井大臣なりあるいは原口大臣なり、それぞれの分野での違いがあると思いますから、是非それぞれの考え方をお聞かせいただきたい。
  80. 原口一博

    国務大臣原口一博君) 又市委員と野党時代からずっと郵政事業における国民の権利を保障するために戦ってこれたことを本当に誇りに思っています。  その上で、もうおっしゃるとおりでございまして、民営化前の契約分に係る資産については、現在は法令により国債あるいは地方債の安全資産による運用を義務付けておりますが、亀井大臣が御答弁されたように、もう八割に上っている。ということは、地方から中央へお金を吸い上げる仕組みを固定化してはならないということでございまして、まさに委員お話しのように、地域経済の活性化に欠かせないための、例えば地域通貨、これまでの郵貯、郵政事業は、委員は富山の、売薬業ですが、やはりお薬をただ売りに来られたんじゃないんですね。お声を掛けてくださって、そして大丈夫ですか、安心を売ってくださっているわけです。  そういう意味で、地域経済活性化あるいは中小企業の下支えのためには、地域から中央資金を吸い上げる仕組みを変えて、資金面においても地域の自給力を上げていく、このてこにしていきたい。私たちは緑の分権改革ということを申し上げていますが、ある意味では地域通貨を支えるそのバッファーにもなり得るんではないか。様々な検討をしてまいりたいと、このように考えています。
  81. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 今、原口大臣がお答えいただきましたけれども、おっしゃるように地域で預けたお金が地域で使われていないんですね。だから、これを地域で使っていくという仕組みにできるんじゃないかと思います。ただ、信金、信組、地銀等との関係がございますから、その辺りとの協調関係。簡単に言いますと、そうした銀行等は集金する力は余りないんですね。それから郵貯、簡保は集める力はあるけれども運用するノウハウがないわけですから、この組合せをどうやっていくか。  それともう一つ、これはエアポケットみたいになっておるんですけれども、すぐお金が要る、余り多額ではない、そういう金を手軽にやはり、今もできないわけじゃありませんけれども、貯金者が使っていく、あるいは貯金した人じゃなくてもその地域人たちが、隣の人がした郵便貯金をそういう面で一時的に借りていけるというようなこと。私は、地縁血縁という信頼関係の中で、少額の融資、これをやれ担保だ、やれ保証人だということじゃなくても、相当きめ細かく郵便貯金の金が使っていけることもできるんじゃないかと。そのことがまたある面では地域の中の人間関係、きずなを深めていくという契機にもなっていく場合もあるんじゃないかなと、このようにも考えておりますので、是非、そこらは今後検討しますので、いい知恵があったらお願いいたします。
  82. 又市征治

    ○又市征治君 最後質問ですが、先ほど山下委員からも非正規雇用の問題が出されました。  この民営化の流れの中で、公務員、正社員からゆうメイト、期間雇用など非正規身分への置き換えと、賃金、休日などの労働条件の切下げが大変激しく進んだ。今、先ほどの話じゃありませんが、正社員が二十三万二千九百九人に対して、非正社員が二十一万五千八百七十三人、今年の七月末現在の数字だそうですけれども、こういう有様。つまり一対一ですよ、事実上もうほとんど。これ以外に高齢者雇用の問題などが入ってまいりますから、実際上はもうほとんど一対一、こういう格好だと。  こうした非正規の人たちの低賃金の犠牲の上にむしろ黒字を取ってくるというやり方がやられてきた。この人々のそういう思い、誇りも何も持てない、こういう格好で、さっきのじゃないけれども、それこそ一声掛けていくような、そういう仕事をしてきた人たちは、その声も掛けられない、それも禁止されてくるような格好でしょう。お年寄りから頼まれて年金をそれこそ自分のところの郵便局から下ろしてきてお届けする、大変感謝をされる、こんなことも切られていく。こういう状況などをどんどんやられて、人間労働らしからぬものがどんどんこういうことでやられてきている。  私は、公社時代あるいは株式会社時代を通じてこれに警告をずっと発して、西川前社長などにも随分追及しました。口では正社員への登用を図る、こう答弁されてきたけれども、現場では今申し上げたような数字がどんどん進行していく、こういう実は格好だ。まさにそういう意味では、雇い止めだとか賃下げによる自主退社を装った労働者の追い出しだとか使い捨て、こういう関係が横行しているという実態が、これが利潤追求という動きの中なんですよね。  特にゆうパック部門では、非正規労働者を本社よりも悪い条件で子会社へ移籍させた上で、二か月だ、三か月といった短期間雇用契約で職場の上司の言いなりに、服従しない者には雇い止めで脅しを掛ける。まさに不当労働行為。また、正社員に対しては、鹿児島などで年賀状セールスでさっき申し上げたような自爆、自分で全部買い取らなきゃならぬ、売り切れない、こういうノルマを課して、不払労働が常態化して、労働基準監督署の立入調査を受けたという問題もあると。  そこで、大臣、時間がありませんから、三党連立政権の下で公共性を取り戻そう、こう言っているわけでしょう。そういう状況の下で、この郵政事業において自ら労働諸法規違反を起こしたり、企業のモラルに反したこういう労務管理支配を続けさせちゃいかぬと思う。このことに対する毅然とした姿勢をまず大臣から示していただきたい。
  83. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 何も郵政事業見直しは、事業の外形的な形をやっていくとか、新しい事業展開をやっていくとか、そういうことだけじゃありません。雇用形態についても、同じ仕事をしておりながら、雇用形態、労働賃金等含めて、それが不正常な状況にあればこれをきちっと見直すのが郵政見直しでもあると、私はこのように固く信じておりますので、雇用形態についてもあるべき事態に見直していくというのが郵政見直し事業一つであります。大きな柱であると、このように考えております。
  84. 又市征治

    ○又市征治君 終わります。
  85. 佐藤泰介

    委員長佐藤泰介君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  86. 佐藤泰介

    委員長佐藤泰介君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  87. 澤雄二

    澤雄二君 私は、公明党を代表しまして、日本郵政株式会社郵便貯金銀行及び郵便保険会社株式処分停止等に関する法律案に対して反対の立場で討論をいたします。  まず第一に、この時期に本法律案賛否を問うのは無理があると考えます。処分が停止された郵政株式はいつ停止が解除されるのか、処分停止後どうなるのか、株式売却されるのか等が不明なままであります。言わば白紙の手形を渡して何でもいいから署名しろと言うようなものです。これでは後でどのような金額を書き込まれても文句は言えません。  政府は、次期常会に郵政民営化を全面的に見直すための郵政改革法案を提出する予定です。本来、この見直し法案によって改革の全体像を示し、同時に郵政株式処分停止法案を提出すべきです。したがって、現時点における郵政株式処分停止法案には反対せざるを得ません。白紙委任状にサインすることはできないからであります。  そもそも、郵便局ネットワークを維持し、ユニバーサルサービスを実現することは国民生活の利便性にとって極めて重要であります。公明党はその確保をかねてから主張してきております。そのための資金株式売却益を積み立てた社会・地域貢献基金から支出されることとなっております。しかし、郵政株式処分を停止することにより、一兆円の積立てが義務付けられている社会・地域貢献基金に積立不足が生じてしまうことになります。  また、日本郵政グループを取り巻く経営環境は厳しく、郵便貯金の残高はこの十年間で八十四兆円減り、簡易生命保険の新規契約件数はこの十年間で三分の一以下に減っております。したがって、収益を上げる新規事業開発をしないと新たな国民負担を生じさせる可能性があります。政府はどのようにユニバーサルサービスを確保していくのか、速やかに国民に示す必要があります。  さらに、日本郵政株式会社社長に元大蔵事務次官の斎藤次郎氏が就任した人事について、民主党は天下りではないとの見解を示しています。しかし、国民の目から見れば天下り、わたりであることは間違いありません。官僚によるあっせんを禁止しながら、政務三役による選任という形のあっせんを認めるのは、政治主導で天下り、わたりを根絶すると主張してきた民主党が政治主導により天下り、わたりを認めたことになります。  天下り先企業に対しては、人事権の行使が最高の権力行使になります。その結果、これまでの官僚と企業の癒着ではなく、今後は政治家と企業との癒着を深めていくことになります。日本郵政株式会社社長をめぐる人事は、民主党がマニフェストにおいて国民と契約した内容に反するものであり、完全な裏切り行為と言えます。  これに加え、本法案は、衆議院においては午前中のわずか二時間半の審議で可決され、その後の本会議に緊急上程され、参議院に送られてきたものであります。職権で開会された参議院の本委員会においても、わずか二時間弱の審議で採決をされます。これだけ重要な法案について、本会議における趣旨説明質疑もなく、委員会での十分な審議も行われず、強硬な議会運営で成立させるというのは、民主的手続に大きく違反するものであります。  最後に、亀井大臣は去る十一月二十六日の衆議院本会議において、本法案に関して、共産党だけではなく、自民党、公明党の知恵と力をちょうだいしたいと発言されていますので、一つ提案をさせていただきます。  それは、ゆうちょ銀行による医療ローンの創設です。これは、高齢者等で高額の医療費を支払えない場合、親子二代にわたって医療費を支払うというものです。都市銀行地方銀行ではできない業務、特に弱者や中小企業に対する業務をゆうちょ銀行は行うべきです。このような業務ならば民業圧迫とはなりません。  以上をもって私の反対討論といたします。
  88. 山下芳生

    ○山下芳生君 日本郵政株式会社郵便貯金銀行及び郵便保険会社株式処分停止等に関する法律案に対する賛成の討論を行います。  郵政民営化すれば社会保障も地域経済も外交も安保もすべて良くなるという自民党の荒唐無稽なバラ色の大宣伝とは全く逆に、郵政民営化によってもたらされたものは、国民サービスの大幅後退と新たな利権であり、郵政民営化を本丸とした小泉構造改革による貧困と格差の拡大であったことは今や明々白々であります。  第一に、郵政民営化によって国民サービスは大きく後退をいたしました。身近な簡易郵便局の閉鎖、ATMの撤去、各種手数料の引上げ、時間外窓口の閉鎖など、国民サービスの後退に利用者国民の苦情、不満の声が噴き出しています。郵便配達の拠点となる集配郵便局の統廃合によるサービス低下も深刻です。とりわけ地方、過疎地では、身近な郵便局の職員が減り、郵貯、簡保の外務サービスも統廃合され、郵便外務員による貯金サービスもできなくなるなど、最も深刻なしわ寄せを受けたのです。  第二に、郵政民営化の中で国民共有の財産を食い物にする新しい利権と腐敗が次々に明らかとなりました。かんぽの宿など郵政資産をたたき売りしようとしたのは規制緩和の旗振り役だった宮内義彦氏が会長を務めるオリックスグループであり、ゆうちょカード事業との連携で利益を上げたのは西川善文前日本郵政社長の出身銀行である三井住友グループでした。  こうした郵政民営化にストップを掛けることは当然であります。本法案は、郵政民営化について見直し検討を行うこととして、日本郵政郵便貯金、郵便保険会社株式処分の停止と、メルパルク、かんぽの宿の譲渡又は廃止の停止を行うものであり、郵政民営化を抜本的に見直していくために当然必要なものであります。  問題は、閣議決定された郵政改革の基本方針が経営形態株式会社形態としていることであります。日本共産党は、株式会社形態に限定せず、次の三つの基本点を踏まえ、国民的な議論を尽くして郵政民営化見直していくべきだと考えます。  第一は、郵政民営化によって取り払われた郵便貯金と簡易生命保険のユニバーサルサービス義務の復活であります。国民共有の財産である郵便局ネットワークにおいて、郵便郵便貯金、簡易生命保険の基本的なサービスを全国あまねく公平に、そして利用者本位に簡便な方法で提供することを法的に確保すべきであります。  第二は、四分社化見直しです。三事業一体で経営されていた郵政事業が四分社化されることでサービスの一体的な提供が阻害された上に、郵便局ネットワークの存続も危うくされたのです。分社化をやめ、一社体制に戻すべきです。  第三に、経営の目的の見直しです。郵便局ネットワークは、国民生活に不可欠なサービスを提供する国民共有のインフラとして営々と築き上げられてきました。この国民共有の財産を利潤追求の道具とするのではなく、公共の福祉の更なる増進のために効率的に活用することを経営の目的とするべきです。  こうした方向での見直しのためにも、国民サービスを大きく後退させた民営化の実態の精査と国民共有の財産を食い物にする利権と腐敗の仕組みを徹底調査し、明らかにするよう強く求めます。  なお、郵政株式凍結法案は、郵政民営化を抜本的に見直すために必要な重要な法案であり、十分な審議時間を保障し、丁寧に審議を尽くすべきであります。当委員会でわずか一回の審議で採決が行われるのは余りにも不十分です。こういう委員会運営には同意できないということを指摘し、賛成討論を終わります。
  89. 佐藤泰介

    委員長佐藤泰介君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  90. 佐藤泰介

    委員長佐藤泰介君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  日本郵政株式会社郵便貯金銀行及び郵便保険会社株式処分停止等に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  91. 佐藤泰介

    委員長佐藤泰介君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  92. 佐藤泰介

    委員長佐藤泰介君) 御異議ないと認めます。さよう決定いたします。     ─────────────
  93. 佐藤泰介

    委員長佐藤泰介君) これより請願の審査を行います。  第三八号地域医療公立病院充実のための財政保障に関する請願外二件を議題といたします。  まず、理事会において協議いたしました結果につきまして、専門員に報告させます。塩見専門員。
  94. 塩見政幸

    ○専門員(塩見政幸君) ただいま議題となりました請願三件につきまして、理事会における協議の結果を御報告申し上げます。  理事会におきましては、第三八号地域医療公立病院充実のための財政保障に関する請願外二件の請願につきまして、いずれも保留とすべきものと決定いたしました。  以上でございます。
  95. 佐藤泰介

    委員長佐藤泰介君) それでは、理事会において協議いたしましたとおり、第三八号地域医療公立病院充実のための財政保障に関する請願外二件は保留といたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  96. 佐藤泰介

    委員長佐藤泰介君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。     ─────────────
  97. 佐藤泰介

    委員長佐藤泰介君) 継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。  行政制度、公務員制度、地方行財政、選挙、消防、情報通信及び郵政事業等に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  98. 佐藤泰介

    委員長佐藤泰介君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  99. 佐藤泰介

    委員長佐藤泰介君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  100. 佐藤泰介

    委員長佐藤泰介君) 委員派遣に関する件についてお諮りいたします。  閉会中の委員派遣につきましては、その取扱いを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  101. 佐藤泰介

    委員長佐藤泰介君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時五十七分散会