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大門実紀史君 この
制度は、山井政
務官からわざわざ説明していただいたとおり、例の派遣切りで職も
仕事も失った方に対して
融資をするという
制度でございまして、半年間の家賃とか生活費を国が
融資するわけですけれ
ども、それは十年以内に返済すればいいということになっております。六か月以内に正社員になれば返済の免除
制度はあるというようなものでございますが、今お示しいただいた数字で、返済免除になった人、つまり正社員として就職できた方が全体の約三割という一つの推計ができるということでございます。逆に言うと、七割の人がこの
制度を使って半年たってもなかなか正社員になれなかったということも見られるわけでございます。
これは、一見、その三割の人にとっては
お金を借りて就職ができて返済免除もあるということで、この
制度は有効に働いたかなと
思いますが、七割の人にとっては結果的にはただ借金を抱えただけと、しかも
仕事が見付からないで借金を抱えただけというようなことも言えるわけでございます。
一つの、私調査に行ってまいりましたので、実例を申し上げますと、群馬県の伊勢崎市の三十一歳の男性なんですけれ
ども、これは、日産自動車の
下請で派遣切りに遭いまして、派遣会社の寮に入ったんですが、そこを追い出されたと。それでハローワークに相談してこの就職安定資
金融資を受けることになったんですけれ
ども、半年後、今申し上げたように、なかなか今、正社員そのものになれないということで、半年たっても就職ができないということで借金を抱え込んだだけの結果になったということでございます。しかも、せっかくこの
融資制度を使って借りたアパートもまた追い出されることになりました。
もう一つの
問題点は、この伊勢崎市の方、仮にAさんといたしますけれ
ども、Aさんが借りたアパートというのは、敷金なしで今急成長しております例の大手不動産会社、レオパレス21ということですね。テレビコマーシャルだと女優の藤原紀香さんがやっている、つい見てしまうコマーシャルですけれ
ども、あのレオパレス21ですね。ところが、このレオパレス21の契約というのは定期借家契約で、半年だけということを
最初からもう決めているわけでございます。したがって、何があろうと半年たったら出ていかなきゃいけないということですね。このレオパレスは敷金なしというのを売り物に急成長した大
企業ですけれ
ども、出ていくときにはクリーニング代とかいろいろ言って結局いろんな
お金を取るということで、大変消費者団体からも今問題になっているシステムなんですけれ
ども、そういうところでございます。
この三枚目の資料が、そのレオパレス21がわざわざこの厚労省の
制度にタイアップして作ったレオパレス住宅支援
制度というものでございます。いろいろ書いております。これは要するに人助けなんだと、社会貢献なんだと、厚労省の
制度に
対応する、連携するものなんだということが書いてあって、厚労省の
制度を使った方に家賃をちょっと割り引いてお貸ししますと。ただし、半年、六か月から最長八か月だと。まあ半年なんです、大抵は。出ていってもらいますと。半年たってどうしても引き続き住みたければ、一番下の方でございますけれ
ども、新たな契約をしてもらいたいと。つまり、これは
保証人付きでいろいろということなんですね。
しかも、この
制度はこういう不動産会社に先に六か月分の家賃とか入居費を前払で払います。先ほど言いました伊勢崎市のAさんというのは約四十万円、レオパレスに
お金を借りて払ったと。先払いなんですね。ですから、レオパレスとしては、この
制度を利用して、とにかく半年分先に
お金をもらえるんで何の不安もない、半年たったらそういう不安定な人は出ていってもらうと、こういうことになっているわけです。
御存じの方は多いと
思いますけれ
ども、レオパレス21というのは元々派遣労働者を大量に派遣会社の寮としてアパートを貸して受け入れたところでございます。リーマン・ショックで、派遣切りで、大量に派遣労働者が職を失う、追い出されると空き部屋がいっぱいできたわけですね。その部屋を空けておいてももったいないということで、この
制度に食い込んで、この
制度を利用して空き部屋を減らして
経営を戻そうということをやったわけでございます。一種の私は貧困ビジネスと言っても過言ではない会社だと思っておりますけれ
ども。
この半年の間、例えばそのAさんの例でいきますと、生活費として借りた分が百十万円、レオパレスに借りて払った分が四十万円で百五十万の借金を抱えることになりました。半年たっても何の解決もしなくて
仕事は見付からないと。たまたま地元の共産党の市
会議員に相談して、生活保護の申請をして、今は生活保護の申請をしたので住むところも借りて、それで求職活動をやっているということで、本人と会いましたけれ
ども、自殺も考えたと。つまり、先行きの見えないときに百五十万の借金というのは本人にとって大変重い話で、何度も自殺を考えたということをおっしゃっていましたが、今は生活保護を受けて就職活動をしているということでございます。
これはもうただ借金を抱え込んだだけという部分もこの
制度にはあるわけでございますし、これはAさんだけではなくて、私、七、八人の方、群馬の伊勢崎市のハローワーク関連だけで七、八人の方がこういう
事態になっているんで、この
制度が始まって一年ぐらいですけれ
ども、相当全国でこういう例が出ているのかなというふうに思っているところでございます。
厚労省として、この
制度が、まあいい面もありますけど、全面否定はしませんが、こういう人たちを大量に生んでいるということを、今の時点でどうでしょう、把握されているでしょうか。