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2009-11-19 第173回国会 参議院 国土交通委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十一年十一月十九日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  十一月十六日     辞任         補欠選任      米長 晴信君     尾立 源幸君  十一月十七日     辞任         補欠選任      尾立 源幸君     米長 晴信君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         椎名 一保君     理 事                 広田  一君                 室井 邦彦君                 佐藤 信秋君                 吉田 博美君                 鰐淵 洋子君     委 員                 植松恵美子君                 金子 洋一君                 川崎  稔君                 輿石  東君                 田名部匡省君                 羽田雄一郎君                 平山 幸司君                 藤本 祐司君                 山下八洲夫君                 米長 晴信君                 大江 康弘君                 荻原 健司君                 加治屋義人君                 小池 正勝君                 長谷川大紋君                 山内 俊夫君                 脇  雅史君                 西田 実仁君                 渕上 貞雄君    国務大臣        国土交通大臣   前原 誠司君    副大臣        国土交通大臣  辻元 清美君        国土交通大臣  馬淵 澄夫君    大臣政務官        内閣府大臣政務        官        田村 謙治君        国土交通大臣政        務官       長安  豊君        国土交通大臣政        務官       三日月大造君        国土交通大臣政        務官       藤本 祐司君    事務局側        常任委員会専門        員        畠山  肇君    参考人        独立行政法人日        本高速道路保有        ・債務返済機構        理事長代理    田崎 忠行君        中日本高速道路        株式会社代表取        締役社長     高橋 文雄君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○国土整備交通政策推進等に関する調査  (公共投資社会資本整備在り方に関する件  )  (高速道路原則無料化に関する件)  (河川整備在り方及び八ッ場ダム建設事業に  関する件)  (中古住宅リフォーム市場活性化及び伝統  工法による建築に関する件)  (社会資本整備事業特別会計空港整備勘定の見  直しに関する件)  (交通基本法の制定及び地域公共交通に関する  件)     ─────────────
  2. 椎名一保

    委員長椎名一保君) ただいまから国土交通委員会を開会いたします。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  国土整備交通政策推進等に関する調査のため、本日の委員会独立行政法人日本高速道路保有債務返済機構理事長代理田崎忠行君及び中日本高速道路株式会社代表取締役社長高橋文雄君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 椎名一保

    委員長椎名一保君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 椎名一保

    委員長椎名一保君) 国土整備交通政策推進等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 広田一

    広田一君 おはようございます。民主党・新緑風会・国民新日本広田一でございます。  本日は、前原大臣始め政務三役の皆様方に御質問させていただきます。大変光栄でございますし、感謝を申し上げたいというふうに思います。  一方で、私は、民主党に入党いたしましてまだ一か月たっておりません。よって、民主党政策に対してまだまだ理解不十分なところ多々これありで、と同時に、私自身地方の選出の議員でございますので、地方の立場から今回御質問等もさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げたいというふうに思います。  まず、前原大臣の方にお伺いしたいんですけれどもコンクリートから人へ、このスローガンの考え方についてお伺いをしたいというふうに思います。  私自身も、さきの衆議院議員選挙におきまして、政治を変えるとは税金使い方を変えることである、そのために今こそ政権交代が必要なんだというふうに訴えて民主党の候補の方の応援もさせてもらいました。そういった意味で、税金使い方を変えるということは大賛成でございます。  そして、その中の具体的な一つとしてコンクリートから人へということがあるのじゃないかなと理解をしているところでございますが、この言葉の持つ意味につきまして、前原大臣所信の中で、今の日本の国には三つの主な不安要因があるんだと。こういったことを踏まえて、これからは社会資本整備に関する予算、つまり公共投資に掛ける予算より、人、つまり医療福祉教育、そういった分野配分をしていかなければならない、そういうふうな理解でまずよろしいんでしょうか。
  6. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) 広田委員お答えをいたします。  今御提示をされましたように、今三つ制約要因が主にあるだろうと。人口減少少子高齢化、そしてGDPの一・八倍にも及ぶ長期債務ということの中で、これからの日本の経営というものを考えたときに、一体どこに限られた財源国民からお預かりした税金を使っていくのかということを考えたときに、私は、一つはやはり一・三七という出生率をどう上げていくのかということ、これは我が党の目玉の政策である子育て支援、こういったものにお金を使うべきではないかということ。それと同時に、我々は考えていかなくてはいけないのは、これから高齢化がどんどん進んでいきますので、医師や看護師不足あるいは介護士不足、また供給体制不足、こういったものにもっと今以上に力を民主党政権では入れていかなくてはいけないだろうということであります。  となりますと、どこからかお金を削ってこなければなりません。私は大きく三つ削減分野があると思っていますけれども一つは、これも我が党が申し上げてきた公益法人、これは非常に大きな問題であります、天下り含めて。そして二つ目は、国と地方の関係、二重行政の問題、これをどう解消していくかと。三つ目公共投資の問題ということで、もちろん公共事業はすべて悪だと思っておりませんし、コンクリートは必要な道具でございますので、それを否定するわけではありませんが、この三つ分野を圧縮をしていって大事な政策重点配分をしていくと、そういう意味コンクリートから人へということを使わせていただいております。
  7. 広田一

    広田一君 どうもありがとうございます。  もう少し認識をお互いに深めたいというふうに思うんですけれども、私は、社会資本整備と、つまり公共投資と、先ほど大臣が言われました子育てを始めとする医療福祉教育、こういった分野というものは決して対立するものではないというふうに考えております。  お手元の方にも、命の道の必要性ということで写真を載せさせてもらいました。この中でも、例えば医療というふうな観点に立ちますと、私の地元高知県、この写真にありますように救急車反対車線を通っていかなければならないような、こういうふうな状態にもなっております。昨日の衆議院でも議論があったというふうに思いますが、カーラーの曲線、私もよく具体的な中身まで存じ上げているわけじゃないんですけれども救急救命を考えた場合、大量出血の場合、やっぱり三十分以内に搬送できれば助かる確率が五〇%に上るというふうなことを考えたときに、やはり命の道の整備というものも大変重要だと思っております。  と同時に、こちらの方の写真にもありますが、本当、災害が多い地域多々あって、この地域幹線道路が一本しかない。このように台風によって越波が起こって通行止めになる地域もございます。多くの皆さんが、これは台風のときに越波によって通行ができなくなる。もちろんその点もあるんですけれども、この写真にありますように、その後、これは場所が違うんですが、越波によって何百キロという岩石が打ち上げられる、このことによって通行止めの時間が長くなってしまい、先ほど言ったような救急車等が通れなくなるとか、そして透析の患者さんが病院に行くのに大変不便をするとか、そういったような状況がありますので、決して医療とかと公共事業というものは対立するものではありません。  と同時に、これからの高齢社会を考えたら、スウェーデンなんかもそうなんですけれども、バリアフリーなまちづくりということは、本当に、豊かな社会といっても一体何なんだということを思ったときに、私はその一つ答えというのは、高齢者とか体の不自由な方々の行動範囲を広げることが一つの豊かな社会答え一つだろうと思います。そういった意味での整備も必要です。  そしてまた、教育分野でいくと、この写真が本当にこういった通っているときの状況をずばり写した写真なのかはちょっと疑わしいところはあるんですけれども、このように通学一つ取っても、本当に子供たちがまだまだ安心して通れないような状況もあります。そういった意味での通学路整備というものはやっぱり必要になってくるということをるる考えていきますと、決して公共事業と先ほど申し上げたような分野というものは対立するものではなくて、大臣おっしゃるように、やっぱり優先順位の問題なんだろうなというふうに思っております。  大臣の方からも、コンクリートが悪ではないというふうなお話がございました。このことが共有できたことは本当に良かったというふうに思うんですけれども、それであるんだったら、今後もコンクリートというものは必要であるんだったら、まさしくコンクリートから人へというふうに言う以上、人の命とか、また生活の向上に資するような、そういった分野選択集中をしていただきたい、こういうふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
  8. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) 広田委員のおっしゃるとおりだと思います。  公共投資と、それから先ほど力を入れるべきだと申し上げた医療介護、あるいは教育子育て支援というものは対立するものではございませんし、両方両立させていかなくてはなりません。ゼロか一かという話ではないというふうに思っております。  ただ、委員も御承知のとおり、これは前政権補正規模を入れると百兆円ぐらいのお金を使って税収見込みが四十兆円を切ると、こういう状況でございまして、しかも累積債務は先ほど申し上げたようにかなり大きな規模に上っているということを考えれば、限られた財源の中で、これも委員おっしゃったように、どこに優先順位を付けてやっていくかということは大事なことだというふうに思っております。  委員の御指摘にものっとって、我々、費用便益については、命の道とかあるいは観光という、今までの三便益に加えて、今おっしゃったようなことも加えて、限られた予算の中でどういったインフラ整備をしていくのかということも検討をさせていただきたいと考えております。
  9. 広田一

    広田一君 どうもありがとうございます。  これからの選択集中の中で、大臣が今おっしゃったように、費用効果BバイCのことも十分考慮していかなければいけないというふうに思っております。  このことを踏まえて、じゃ、これからどこに選択集中をしていくのかというふうなことでございますけれども、一点御見解を聞きたいのがいわゆるミッシングリンク解消でございます。  実は、私の地元高知県の方からも提案をさせてもらっているんですけれども、今後の道路整備というものを考えた場合に、大都市部のような渋滞箇所、これを何とか解消するようないわゆる外部経済を改善するための道路整備というふうなところと、これはよく言われているように、一メーター造るのに一億円掛かる外環道お話はよく引かれるわけでございますけれども、そういった道路整備と、いわゆるミッシングリンクというものが存在することによりまして、先ほど申し上げたような、救命救急で不都合が生じている、また豪雨災害のときには通行止め等になって不便を生じている、そういった地域が孤立するような可能性のある、こういうものを解消するためのミッシングリンク解消、こういったことはやはりちょっと質、中身が違ってくるんだろうと思います。  私は、これからは外部経済を改善するための道路整備も必要かもしれませんけれども、今のこの地方の、地域の現状を考えた場合は、やっぱりミッシングリンク解消優先順位を付けるべきじゃないかなと思うんですが、いかがでしょうか。
  10. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) 基本的には広田委員のおっしゃるとおりだというふうに思います。  広田委員地元高知におきましても、つながっていない基幹道路、高規格道路というのがございますし、私の地元の京都にいたしましても、高速道路が穴が空いていると、つまりつながっていないというものがございます。これは今まで、高速道路を造っていて、つながっていないことによって機能を十二分に果たしていないということでございまして、これがつながることによって今までの投資あるいはこれから行う投資というものがようやく実を結ぶということになるわけであります。  事業規模はかなり抑制的にはなりますけれども、今おっしゃったことも含めて言わば優先的に考えていかなければならない視点ではないかと、このように考えております。
  11. 広田一

    広田一君 その御答弁を受けまして、本当にミッシングリンク解消に向けた取組をしている地域は安心をまさしくしたんじゃないかなというふうに思います。限られた予算でございます。これまでのようなスピードでは難しい面は多々あろうかとは思いますけれども、そういった中で是非とも着実な、継続的な投資をしていただきたいと、このことを強く要望したいと思います。  そういう中で、どうしても来年度予算に向けて、一部報道では百か所を超える直轄国道凍結をするんだというふうな報道がございました。これはもう会見等々でそういったことはないんだというふうなお話をされておりますので、そのことを踏まえて、これからも、やはりどうしても凍結とか休止ということになりますと、地域皆さん、自治体の皆さんから不安と懸念の声が必ず上がってまいります。これはもう大臣所信でも述べられているように、こういった事柄については地域皆さん合意形成を図るように是非説明責任を果たしていただければなというふうに思いますので、この点は御要請をさせていただきたいと思います。  以上のような観点を踏まえて、私自身思うんですけれども前原大臣がおっしゃるように、これからはどうしても公共投資は減らしていかなければならない。また、今回の資料にも付けさせてもらっておりますけれども民主党自身も今回のマニフェストの中で一・三兆円の公共投資を削減するんだというふうなこともおっしゃっております。実はこれ、既に来年度予算でほぼ達成してしまうぐらい頑張っていただいて、このマニフェストは既に実現をしてしまったわけでございますけれども。  こういったことを踏まえて、私は、御提案なんですけれども民主党政権の場合に、何か公共事業をこれだけ減らしますよというふうなこと、これは避けて通れないことかもしれませんけれども、むしろ民主党政権のこの四年間で、陸海空で一体どれだけの投資をするのかということをやはり体系的に、具体的に国民皆さんにお示しすべきだと思いますけれども、この点についての御見解をお伺いします。
  12. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) 現時点である年数を見越してどれぐらいの公共投資ができるのかということを推測するのは、なかなか財政事情を含めて難しいのかなというのが率直な感想でございます。  ただ、今、広田委員のおっしゃったことに符合しているのは、菅国家戦略担当大臣の下で複数年予算を組んでいこうと、こういう今計画を立てているわけでございまして、そのことによって今おっしゃったようなところも若干は見えてくるのではないかと、こういう思いでございます。  繰り返しになりますけれども公共投資を減らすことが目的ではありません。国全体の予算最適分配をどう考えていくかという中で抑制はしておりますが、今までのインフラ投資維持管理あるいは更新というものにもお金が掛かりますし、先ほど委員のおっしゃったミッシングリンク、こういったものの解消にも当然ながらお金を掛けていかなくてはいけないということでございますので、コストをどうしていくのかということと、あと、今国土交通省の中につくっている成長戦略会議で、例えばPFI、今までPFIというのはあるんですけれども、もう少しこれを工夫して、税でインフラ整備をするだけではなくて、いろんな投資を呼び込んでインフラ整備あるいは今までのインフラ更新なんかをやっていくということもいろいろと知恵を絞っていかなければいけないのではないかと思っておりますので、また委員各位におかれましては、そういった減らすだけだったらちょっと意気消沈してしまいますので、前向きな御提案も一緒に考えていければ有り難いなと、このように考えております。
  13. 広田一

    広田一君 是非よろしくお願いしたいと思います。  それでは次に、高速道路原則無料化について御質問をさせていただきたいと思います。  先日の大臣の御説明によりますと、この高速道路原則無料化につきましては、社会実験によりましてその影響を確かめつつ段階的に実施するとあります。そして、そのために来年度の予算について概算要求段階で六千億円計上をしているわけでございますけれども、最近の報道等ではこの六千億円も縮減をしていこうということなんですが、六千億円を前提にして御質問をさせていただきますと、これ、この六千億円で一体何をされるのか、積算根拠と併せてお伺いをいたします。
  14. 馬淵澄夫

    ○副大臣馬淵澄夫君) お答えをさせていただきます。  この高速道路無料化社会実験経費として、平成二十二年度概算要求におきましては六千億をこの予算として計上させていただいております。  この高速道路無料化についての社会実験ということでは、まず段階的実施のための初年度、その影響確認しつつ行っていくために必要な実験として、ある高速道路ネットワーク路線無料化を漸次行っていく。第一段階は、その路線特定の中で必要とされる料金収入、その補てん分ということでの六千億でございます。おおむね首都高阪神高速を除きますと料金収入は一兆八千億程度、その三分の一程度を今回概算要求に挙げさせていただいたわけであります。  この六千億に関しましては、実は影響を考慮しつつというのが私ども民主党がこの高速道路政策大綱で掲げた理念でございまして、その影響とは大きくは三つ考えられると思っております。一つは、渋滞混雑、これによって物流が停滞をする、すなわち経済を停滞させるというような要因になりかねない。二つ目は、CO2発生でございます。高速道路渋滞が当然ながらCO2発生を誘引するということはこれはありますが、一方で、一般道渋滞解消することによって交通量の転換が図られる、逆に、CO2発生量が抑制される、すなわち削減量が増大するといった効果も考えられます。また、三点目としましては、いわゆる公共交通機関への影響、これも十分に考慮しなければなりません。  こうした三つ影響要因というものを考慮しながら、我々としては初年度、まずは社会的な影響が最小限に収められるような程度の中で、また一方で地方経済活性化といった効果を得られる、その路線特定ということを、今次計算も含めながら特定作業をしておるところでございます。  おおむね三分の一と申し上げましたが、この年末の予算編成までにはこうした路線特定、そして正確な無料化における社会実験費用というものも算出した上で皆様方にお伝えをさせていただくというふうに考えております。
  15. 広田一

    広田一君 どうもありがとうございます。  馬淵大臣、この六千億円の予算についてなんですけれども、私はかつて予算委員会の方でも御提案させてもらったんですが、これ六千億円新たな財源を措置しなくても私は社会実験ができるというふうに考えております。  その理由は、御承知のとおり、既に国の方では二・五兆円、十年間一割料金を下げますと、プラス、スマートインターチェンジに五千億円ということで二兆五千億円債務承継をしております。私は、これを活用し、道路利便増進計画、これを見直せば六千億円という新たな財源を使わなくても今、馬淵大臣がおっしゃった社会実験はできるんじゃないか。これの方が、今この六千億円を縮減するというような議論をされていますけれども、また後で聞く事業仕分でかなり国土交通省予算にもメスが入っておりますけれども、そんなのを吹っ飛ばすぐらい財源が確保できると思いますけれども、いかがでしょうか。
  16. 馬淵澄夫

    ○副大臣馬淵澄夫君) 今、広田委員の御指摘の、これは利便増進事業として計上された、今年度の予算の中で出たものでございますが、この利便増進事業、御案内のように二兆五千億、また社会実験費用として五千億ということで十年間で三兆円というものが高速道路割引並びスマートインターチェンジ増設等に振り向けられているということでございます。  しかしながら、今御指摘部分、十分に勘案し得る点はあるかというふうにも存じますが、あくまでこれらは利便増進としての事業として造成されたものであり、今次私どもが行おうとしているのは社会実験であると。暫定的な社会実験の中で事業費用というものを使うということについては一定程度慎重にならざるを得ないというふうに思っております。ただ、御指摘の点ということは十分に私もあるかというふうに個人的には考えております。  今後、予算の厳しい制約条件の中で編成作業が行われるわけでありますが、当然ながら、大臣の御指示の下、政務三役の中でもしっかりとした議論を踏まえながら、国民皆さん方説明責任を果たし得る社会実験計画の方法として十分に検討させていただきたいというふうには思っております。
  17. 広田一

    広田一君 是非検討をしていただきたいと思います。減収補てんはやっぱり補てんすればそれで終わってしまうわけなんですよね。ですけれども保有機構が抱えている約三十五兆円の債務民主党政策だとこれはすべて無料化時点で承継するということでございますので、このことを考えたら、やはり既に国債等で承継している部分を有効活用する方が、先ほど来前原大臣がおっしゃっているように危機的な財政状況にある中で、私はこの政策、やり方の方がいいというふうに思います。  一点確認なんですが、この社会実験とか利便増進計画というのは、確かに言葉は違いますし、考える事柄としては意味合いが違うんだというふうに馬淵大臣はおっしゃっているのかもしれませんが、一点確認をさせていただきたいのは、この利便増進計画を見直すことによっても今副大臣が考えている社会実験は実行できると、これ事務的にも可能だと、これについては確認をさせてもらいたいと思います。
  18. 馬淵澄夫

    ○副大臣馬淵澄夫君) まず、お尋ねの点でございますが、当然ながらこれは利便増進事業として既に債務の承継を果たしておりますので、その利用に関しては機構並びに財務省とも当然ながら協議の上での判断ということになるかと思いますが、一方でこの利便増進事業、じゃ、あるから使えばいいということ、単純なものではなく、じゃ利便増進事業無料化社会実験のときにはどのような形で組み替えていくのか、抜本的な見直しを図るのかということも当然ながら検討の俎上にのせております。  したがいまして、私ども六千億という、一定程度概算要求の中で、想定し得る、路線特定しながら今回の計上をさせていただいておりますが、利便増進事業の抜本的見直しを図るという上においてはこれら併せての検討だというふうに考えております。
  19. 広田一

    広田一君 いや、副大臣、事務的には可能ですよね。その点だけちょっと御確認したいと思います。
  20. 馬淵澄夫

    ○副大臣馬淵澄夫君) 財務省ともまだ協議も含めてさせていただくことができるというふうに思っております。
  21. 広田一

    広田一君 野党でしたら更に突っ込みたいところでございますけれども、ここはちょっと寸止めでおきたいと思いますが、これ、事務的に可能なんです。私も確認をいたしました。可能ですけれども馬淵大臣がおっしゃるように、この計画をやっぱりどう今後見直していくのかというのは非常に論点があるわけでございますが、しかしながら、まさしく政治判断、政治主導でこれはでき得る政策でございますので、六千億円、一円も使わずに社会実験ができるわけですから、これは政策変更をしていただいて、結果としてお考えになる社会実験というものを実行していただきたいと、このように思います。  それでは、少しこの実験中身につきまして御質問をさせていただきたいと思いますけれども、この社会実験なんですけど、馬淵大臣、来年のいつから始められる御予定なんでしょうか。
  22. 馬淵澄夫

    ○副大臣馬淵澄夫君) 平成二十二年度、当然ながら来年の四月一日以降の実施というものを検討として今行っておりますが、詳細につきましては、当然ながらシステム改修、様々な準備期間がございますので、これにつきましては現在検討中ということでございます。少なくとも、二十二年度以降ということで、四月一日以降ということになるかと思っております。
  23. 広田一

    広田一君 お話あったように、やっぱりシステム変更にかなり時間が掛かるというふうに思いますので、是非とも時期を明示していただいて、それに向けた作業を促進させていただきたいというふうに思います。  それでは、あと社会実験の実施範囲なんですけれども、これ、副大臣、九州とか北海道とかエリアでやられるおつもりなのか、それとも会社別なのか、はたまたその中の限定した路線でやるのか、この社会実験の範囲についてどのような御所見をお持ちでしょうか。
  24. 馬淵澄夫

    ○副大臣馬淵澄夫君) まさにこの点につきましては検討中でございます。  そもそもこの高速道路無料化の基本的な理念というのは、これ高速道路政策大綱にも記しておりますが、TDMという観点、交通需要管理がそもそものこの無料化政策の根幹となるものです。交通需要を管理しながら国土全体の中で経済活性化を図る、ひいては地域活性化を図るというものでございます。その意味におきましては、日本全国の高速道路ネットワークの中で有効な範囲というものを検証していかなければならない。しかしながら、一方で、先ほど申し上げた三つ要因渋滞混雑あるいは一般道からの転換によってのCO2の削減、さらには公共交通機関への影響、これらを勘案した上でのネットワークの中での路線特定ということになります。  今御指摘のように、北海道だ九州だとか一部特定地域というふうなことをあらかじめ我々が限定した条件として検討しているわけではございません。全国の高速道路ネットワークの中で、今申し上げた三つ要因を前提条件としながら、可能な範囲の中で皆さん方理解をいただけるような形ということを路線として定めてまいりたいというふうに思っております。  詳細については今検討中ということでございます。
  25. 広田一

    広田一君 確かに詳細については検討中だというふうには理解はできます。が、これまた、例えばエリアでやる場合には、関係自治体の方への御説明等々、そして影響が出る業界に対する説得等々、これまた時間が掛かるお話だろうというふうに思いますので、この問題についてもやはり早く、早急に、エリアなのか会社別なのか路線別なのか、全体見て御判断されるとは思うんですけれども、更に具体的にお話を進めていかなければいけないんじゃないかなと思います。  次に、割引率についてなんですけれども、これ、副大臣は最初から無料化をするんでしょうか、それとも、今は料金引下げは大体平均三割だとは思いますけれども、これを四割とか五割とかいうふうに段階的な引下げにするのか、この点についての御所見をお伺いします。
  26. 馬淵澄夫

    ○副大臣馬淵澄夫君) 様々な考え方があるとは思います。  お話のように割引率を上げていく、すなわち限りなく無料化に近いところに下げていく、あるいは時間帯ごと、様々な考え方はあろうかと思いますが、私ども無料化ということをマニフェストに約束をし、国民皆様方説明をしてきたということでいえば、先ほど来エリアかどうかというお話もありましたが、私どもとしては全国の高速道路ネットワーク路線の中で考えております。その路線の中で無料化できる区間というものを選定しながら進めていくということでございますので、今現時点におけるシミュレーションは、路線特定をしながら無料化をしていくという考え方に立って今検討を行っているというところでございます。
  27. 広田一

    広田一君 確かに無料化をその路線だけやるということについては一つのお考えだとは思うんですけれども、やはり私は段階的に無料化に持っていくということの方が、この後質問しますけれども、他の悪影響、マイナスの影響が出るフェリーだとかJRさんであるとか鉄道であるとか、そういったところを考えたときには、まさしく社会実験としては段階的な料金の引下げの方がむしろ合理的じゃないかなというふうに思っております。  まあマニフェストでは無料化、この無料化にいかにして影響を最小限に抑えながら持っていくということがまさしく政治の腕の見せどころだろうというふうに思いますので、この点につきましては是非とも段階的な割引ということも御検討していただきたいと思います。
  28. 馬淵澄夫

    ○副大臣馬淵澄夫君) 今の御指摘部分というのはまさに私ども検討している部分だということは付言させていただきます。  すなわち、無料化にできる路線、これは社会実験として予算を計上しながら行ってまいります。無料化でない路線に関しては利便増進という中での割引ということも当然ながら考えられる。これは、それこそ公共交通機関への影響等を考慮しながら様々な状況の中で判断ができるというふうに思っておりまして、御案内のように、ある程度特定できる路線というのもこれはもう一般に皆さん方が御承知部分もあるかと思います。  ただ、私どもは、それらも含めてすべての交通モードに対して客観的なデータでしっかりと影響を分析できるような形で皆様方に御提示をしながら、路線特定あるいは無料化でない部分についての利便増進の考え方等々併せて今後の計画として御提示をしていきたい、このように考えております。
  29. 広田一

    広田一君 是非、客観的なデータに基づいてというふうなことでございますので、この点は十分配慮していただいて物事を進めていただきたいと思います。  そこで、具体的にマイナスの影響の出る業界に対する支援策、これは先ほど申し上げたように、鉄道であるとか高速バスやフェリー、こういった分野社会実験事業の中に含んで予算化をされているのかどうか、この点について確認をしたいと思います。
  30. 馬淵澄夫

    ○副大臣馬淵澄夫君) 当然ながら、この社会実験を行う中でも影響を考慮しながらということでございますので、公共交通機関に対する影響を最大限配慮しながら行うということです。  他の公共交通機関といいますと、大きく交通モードで言えば、内航海運、鉄道、バス、さらには航空と四つの交通モードということがあります。それらに対して、先ほど申し上げたように、客観的データに基づいて、少なくとも今次にあります利便増進事業、いわゆる上限千円の、ETC上限千円の割引、これらに基づいた交通モードの転換あるいは旅客数の減少も含めて、客観的なデータに基づいて分析を今行っておるところです。  そして、具体的には、これら交通モードがどのような影響を受けるか、あるいは今後、私どもとしてどのような措置があるかということについても今検討をしているところでございまして、今後のこの予算の策定の中で影響に対する配慮ということも十分に検討させていただきたいというふうに思っております。
  31. 広田一

    広田一君 少し具体的にお聞きをしたいんですけれども、例えば、鉄道関係でいいますと、エリアにも関連するんですけれども、貸付料の減免であるとか第三セクターへの路線の使用料の減免とか固定資産税の減免、これはもう既にやっていますけれども、更に手厚くするのか。そして、三島でしたら、四国とか九州とか北海道でしたら三島支援ということで基金を積んでいるわけでございます。この基金の造成というのは本来の目的とは違ってはくる、別の議論はしなければいけないんですけれども、この影響を加味した基金に対しての支援とかしていくのか。こういった具体的なメニューを幾つか挙げさせてもらったんですけれども、これも含んだ社会実験だというふうな理解でよろしいんでしょうか。
  32. 馬淵澄夫

    ○副大臣馬淵澄夫君) まず、前提として委員にも御理解をいただきたいと思いますのは、当然ながら、今日における利便増進事業によって影響があったということについては、これは少なからず私どもも認めるものであります。  しかしながら、旅客数の減あるいは交通モードの転換も含めまして今日における極めて厳しい経済状況、この影響というものもこれは排除できません。私どもとしては、本当にこの利便増進事業によった影響なのか、そして、今後無料化を行っていく上でその無料化施策がどのような影響を与えるかということをまずしっかりと分析、把握をしなければならないと思っております。  その上で、先ほどもおっしゃるような鉄道事業あるいはフェリー、さらには高速バス、航空会社も含めた様々な交通モードに対する我々の措置というものが必要かどうか、これはその次の段階に考えるべきものであるというふうに考えておりまして、まず私どもとしては客観的なデータに基づく分析、影響確認というものを関係のその業界の方々、当然これも今運輸各局からの説明も含めまして、データ徴集あるいはヒアリング含めまして行っておるところでございますので、その上で、影響確認できた段階で私どもとしては措置を考えていきたいというふうに思っております。
  33. 広田一

    広田一君 そうしますと、社会実験を実施をして、それと同時並行で、先ほど申し上げたようなマイナスの影響の出てくる分野に支援を講ずるということではないということなんでしょうか。そうではなくて、客観的なデータを積み上げて、影響が認められたら支援をしていくのか、どっちなんでしょうか。
  34. 馬淵澄夫

    ○副大臣馬淵澄夫君) 年末までにまさにその客観的なデータに基づく影響を十分に把握をし、関係業界団体あるいは関係各社の皆様方理解を得ながら、その上で措置を講じるべきものについては措置の手当てをしていくということでございます。年末までにということですね。
  35. 広田一

    広田一君 是非そうしていただかないと、既に、例えばJRでしたら千円になってどれだけの影響が出たのかというのは試算をしているはずです。今日の朝も植松委員出席をされて、JR四国の組合の皆さんとも意見交換会やったんですけれども、それによりますと約十四億円ぐらい影響が出ているというふうなことの試算なんかも出ておりますので、是非ともそれの妥当性も含めて、早く吟味をしていただいて具体的な支援策というものも考えていただきたいと、このように強く要請をさせてもらいたいと思います。  それでは次に、ちょっと通告をしておりました質問がなかなか消化をすることができません。かなり飛ばしまして質問を進めたいと思いますけれども、次に観光について、藤本務官、お待たせをいたしました、質問をさせていただきたいと思います。  観光については、大臣所信にもございましたように、成長戦略の一つとして大変大きな位置付けを、重要な位置付けをしていただいております。私自身も観光関係の出身者といたしまして大変うれしく思うところでございますけれども、ただ、観光立国の推進ということを掲げ、今後、外国人旅行者の増大を推進していくというふうなことは大変重要なことだろうと思いますけれども、しかしながら、その前に、旅館業法等で私は見直していかなければいけないところもあるんじゃないかなというふうに思うところでございます。つまり、宿泊施設の法的な位置付けというものを是非考え直していただきたいと思います。  具体的に申し上げますと、これは厚生労働省の所管になるんですけれども、旅館業法の第五条、資料にも付けさせてもらっておるんですが、この条文は、伝染病なんかに明らかにかかっている場合を除いて宿泊を拒否できないと、こういうふうになっております。  この法律ができましたのが今から六十一年前でございまして、当時は宿泊施設というものが大変少ない時代。これを確保をしなければいけないという意味では必要な規定だったかもしれません。しかしながら、現在は、もう宿泊施設が飽和状態にある現状ではまず実態に即していないんじゃないかなということが一点と、やはり宿泊をするしないというのもやっぱり自由契約でございますので、こういった観点からも法律で義務付けるのは問題があるのではないか。  さらに、例えば暴力団は泊めなくてもいいみたいな解釈もできるんですけれども、暴力団か否かというのもこれはなかなか、一体どうやって判断をするのか。あなた暴力団員ですかとか病気にかかっていますかということをお客様に質問をすることはできないと。実態面としても私はこの条文というものはそぐわないと。  これから本当に様々な外国人の旅行者を更に更に受け入れるというふうなことを考えた場合に、やっぱり宿泊施設の法的な位置付けというものをこの際私は見直していかなければいけないと思いますが、いかがでしょうか。
  36. 藤本祐司

    大臣政務官藤本祐司君) 広田委員お答えいたします。  広田委員がおっしゃったとおり、この旅館業法は基本的には厚生労働省の所管でございまして、元々いわゆる公衆衛生とかそういったところからの観点でできたものなので、余り踏み込んで私がここで発言するわけには多分いかないんだろうというふうに思いますが、おっしゃるとおりでございまして、宿泊施設の整備状況が随分変わってきているということと、契約自由の原則というのがあるんだろうというふうに思いますので、余り特定的に縛りを掛けるというよりはもう少し自由度を高めた方がいいんではないかなというふうに思っています。  ただ、現実的に申し上げると、宿泊の拒否というのは、予約をする段階と予約をした後の段階と、ここをちょっと大きく分けて考えられると思うんですが、実際に予約をする段階では、満室でございますということで結構断ることがよくあります。これは、例えば、いろんな業界団体とかに入っているとか、あるいはその地域のところからいわゆるブラックリストというものが流れることがよくございまして、こういうような方々は、この方は、あるいは偽名を使って泊まられるとか、いろんな条件があるんですが、料金を払わないで逃げてしまうみたいなところがよくあったり、そういう場合は満室だということでお断りするような場合があると。  あと、予約をしてしまった後の場合は、条件が変わることがあるんですね。例えば、十部屋だったのが二十部屋くれとか、そういう場合はちょっとお断りせざるを得ない、物理的にもせざるを得ない場合等、様々な状況が変わってくるという、条件が変わってくるということの中で拒否をせざるを得ないというような場合があるんだろうというふうに思います。  ただ、これはある意味ケース・バイ・ケースでございまして、個々で判断をしていかなければいけないというような場面が多分生じてくるんだろうと思いますが、そういう声が今のところ直接的には上がってはきていませんが、いろんな事象がある中で、これ、実際には厚生労働省の所管でございますので、ちょっとそこは連携を取りながら必要に応じて今後はフォローはしていく必要があるんだろうというふうに認識しています。
  37. 広田一

    広田一君 是非フォローをしていただいて見直しを進めていただきたいと思います。具体的な声は上がっていないということでしょうけれども、しかしながら、私自身も旅館関係者、ホテル関係者の方とお話をしますと、この規定が結構足かせになっているというふうな現場のお声も聞きますので、是非とも見直しの働きかけをしていただきたいと思います。  それで、少し大臣所信に基づいてお聞きをしたいのは、訪日外国人旅行者を大幅に増やすために実効性の高い観光政策を強力に展開すると、このように述べております。これは、言い換えますと、今のような経済危機であるとか円高の状況でも強い魅力ある観光地をどのようにして創造していくのかということになろうかと思います。来年度予算でこの観光関連政策予算というものは大幅に増やす方針だというふうにお聞きをしておりますけれども、具体的にどういった新しい取組をされるんでしょうか。
  38. 藤本祐司

    大臣政務官藤本祐司君) 前原大臣所信の中にもその観光政策、これは我々の成長戦略としての大きな柱だということで位置付けていることは御承知のとおりだろうと思います。  観光の重要性というのは、大方お分かりだろうと思いますが、この人口、先ほどの不安要因の中の一つ人口減少と。この人口減少になってくると、定住者を増やすということは、やはり北は北海道から南は沖縄までいきなりすべて定住人口を増やすことができないというのはもう物理的に分かるわけで、これはやはり交流人口、訪問人口を増やすということになるんだろうと思います。  また、国内、日本の人口も減りつつある中で、やはり海外からお客様をいかに呼び込むかということの中で地域経済を発展させる、活性化していくという意味で、大変観光というのは重要な施策であり、観光地、多分全国どこにでもいろんな、いわゆる観光地というところ以外のところでもその固有な資源があるわけですから、それを活用していくという意味で大変重要な施策だというふうに認識をしております。  質問お答えすると、じゃどういうふうに具体的にやるかということなんですが、前政権のときは二〇二〇年まで二千万人の外客誘致をしましょうという話でありましたが、前原大臣からもお話がございまして、もっと意欲的にやるべきであると、その可能性は非常に高いということの中で、我々としては、今二〇一三年までに一千五百万、二〇一六年までに二千万と、ここで四年間前倒し、二〇一九年までに二千五百万という目標を掲げて、それぞれ三年ごとの中期計画を立てながらやっていこうと。今まで二〇二〇年まで二千万とぽおんと十何年間の目標があったんですが、もう少しやはり我々としては中期計画を立てた中で考えていくべきであるというふうに思っています。  まず第一期の中期計画、二〇一三年までの千五百万を達成するためには、今一番、やはりアウトバウンドというのは経済的な力があるかないかというところで決まってきますので、今はやはり中国市場、ここをやはり第一の重点市場として考えるべきであると。今世界はすべて中国市場をねらっておりますので、ここで後れを取ったら多分二〇一三年の千五百万は達成できないという考え方で、まずは重点的に中国、そして今非常に日本に対して外客としてインバウンド、日本から見るとインバウンドですが、来てもらっている韓国なり台湾なり香港、ここ辺りをやはり最重要地区として考えていくべきであると考えています。  ただ、そうはいっても、今まで来ている欧米のところに対しても今までと同じ程度にはやはりきちっとフォローしていかないといけないという思いがございますので、そういう意味で、重点的にはアジア四市場ということをやりながらも、ほかのところも含めてプロモーション活動で認知度を高めていくというような活動をしていきたいと。  そのプロモーションにおいても、もう時間がありませんので少し簡単にしますけれども、プロモーションにおいてもちょっとめり張りを付けながら、やはり本当にどのプロモーションが、どこのものが一番効果的かというところをやはり少し精査して、めり張りを付けたような活動をしていくということが重要だというふうに考えております。  以上です。
  39. 広田一

    広田一君 もう時間が参りました。  中国市場をねらうというのは全くそのとおりでございまして、私自身もこの前、露天ぶろへ入っておりましたら、私以外は全員中国人だったという経験がありまして、これはやっぱりすごいなというふうに思っております。  確かにプロモーションは大事なんですけれども是非これまでのプロモーションの費用効果を検証してみてください。ホテル関係者が聞くと、これちょっと様々な問題があるというふうに言われておりますので、こういったものを検証して、より良いものにまさしく発展させるように強く要望して、私の質問を終わりたいと思います。  どうも失礼しました。ありがとうございました。
  40. 脇雅史

    ○脇雅史君 自由民主党の脇雅史でございます。  冒頭にお聞きをしておきたいんですが、この間ちょっと予算委員会でしり切れとんぼだったんで、それに関することなんですが、私は大事なことだと思っています。  前原大臣の政治姿勢にかかわることなんですが、この間、大臣一つ忘れていたと言われていましたけれども、その後思い出していただけましたでしょうか。大臣自身の十九年の予算委員会における発言、それから、これはちょっと古いんですが、十二年の二月の衆議院国土交通委員会、建設委員会における発言で、簡単に申し上げれば、第十堰と川辺川に関する質問で、それぞれ地元が反対しているのに何で大臣は、当時のですよ、当時の建設大臣なり国土交通大臣が何で進めなくちゃいけないんだと、きちんと地元の声を聞けばいいじゃないかと、もし私がその立場にいたら間違いなく計画は白紙に戻して皆さんの意見を聞きますよと、こう明言されているわけですよね。  そのときと今と、私の目から見ると、少なくとも住民の意見を聞く、いろんな方々の意見を聞くという意味においては正反対、百八十度変わったように見えるんです。  そこで、大臣が何で、そういう地元のことを大事にしたいんだというお気持ちのように、読む限り見受けられるものですからね、今は違うんでしょうか。どうなったんでしょう。
  41. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) 脇委員お答えをいたします。  八ツ場の件で今、過去の私の委員会、国会での質問の議事録を挙げてお話をされているんだと思います。  私は、基本的な認識は変わっておりません。この八ツ場につきましても、本体工事の中止ということについては申し上げておりますけれども、これは予算委員会で脇委員に対してもお答えをしましたように、じゃ、ダム事業として、法定のダム事業として八ツ場ダムの事業を中止ということは申し上げておりません。  これは幾つか理由がございます。一つは、生活関連の事業は続けていきたいと。例えば、八ツ場でよく写真の出るところで、巨大な構造物がございますよね、高いところにTの字になった。あれ、よくダムと誤解をされる国民の方も多いんですけれども、あれは付け替え道路でありまして、ああいった付け替え道路というのは最後までやり切らなきゃいけないと、このように思っております。  そして、特定多目的ダム法の四条の四にのっとって言えば、もうこれは河川局におられた脇委員には釈迦に説法でございますけれども、最終的には関係自治体との調整、そして、予算でございますので、国会での議論、こういったものを経なければ法律としてのダム事業のいわゆる廃止にはならないということでございますので、結果としていろんな方々の御意見を伺う中で国会でお決めをいただくということになるわけであります。  いずれにいたしましても、また後ほど議論をさせていただければと思いますけれども、様々な制約要因の中で今までの河川行政の転換をしていかなければならないということの中で、そういった方向性も当該住民の方々にも御説明をしながら、しっかりと対話をしていきながら御理解を得ていくという姿勢は何ら変わっておりません。
  42. 脇雅史

    ○脇雅史君 それはちょっと詭弁ですよ。ダムがもし要らないんであれば、あんな橋なんてやめたらいいんです。本当にもし間違っていたというのであれば、全部やめて、川原湯温泉も元どおりに直してあげればいいんですよ。もし間違っていたらですよ。  大変なことをだから発言されているんですよ。地元に行って、ダムは中止なんだと住民の皆さんの前で言っているわけでしょう。私は大問題だと思いますよ。民主党が、やめる方向にしたんだとマニフェストで言うのは結構ですよ、政党として。だったら、ちゃんと、きちんと手続を踏んで議論を尽くすべきだから、最初に結論ありきなんてことにならないはずでしょう。取り消したらどうですか、地元で言った発言を。
  43. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) 取り消すつもりはございません。  それと同時に、川辺川ダムの地元の五木村でも申し上げたことでございますけれども、生活関連の施設というものについてはこれはやっぱり継続していかなければいけないと、付け替え道路あるいは代替地、お約束をしたことについては基本的にやらせていただくということでございますので、事業としてのダムは中止をしない、しかしダムの本体工事については中止をさせていただく、それについてはしっかりと話合いをする中でしっかりと詰めていきたいと、このように考えております。
  44. 脇雅史

    ○脇雅史君 論旨明快な前原大臣にしては非常に苦しい答弁で、そんなこと言わなくたっていいですよ。きちんと検討して、要るものならやればいいんだし、要らなければやめればいいんです。我々もそう思っているんですよ。国民皆さんもそう思っているはずなので、初めから結論なんて言うことはないんです。  そこで、この間、私、予算委員会でお聞きしたのは、民主党が八ツ場ダムをやめるという、これ結論出したわけでしょう。もし結論出すとすれば、であるとすれば、利根川の治水計画というのは一体どう考えるんだ、利根川の利水計画って一体どう考えるんだと。こういうふうに考えるから、だから八ツ場ダムは要らないですよという答えが出ているはずなんですね。相当の検討をなされたはずだと私は思うんです。だから、報告書がありますかと聞いた。そうしたら、あれも私相当腹立っているんですが、ホームページを見ろと。国会の審議を何だと思っているんだと。  そもそも私を支援してくださる方も、私に前原さんになぜやめるのか聞いてくれという多くの方々がおられるんです、国民として。国民の代弁者として、代表として、国会が一番大事な場ですよ、そこで聞いているんですよ。あなたには説明責任があるんですよ。それを、まあ口から出てしまったのかもしれませんが、ホームページはないでしょう。しかもその後、じゃ、あるなら送ってくださいといって、送られてきたものを見て私はまた二度びっくり。送られてきたものは何と埼玉県知事に対する答弁書ですよ、三枚紙の。  私、何でこんなこと言うかというと、私もずっと何十年、河川のことをずっとやってきました。あなたの今言われていることは極めて暴論だと思うんです。それは、今日皆さんのところお配りしてあるでしょうか。虫明先生、東大におられた先生方、多分土木工学の学問をやっておられる方はほとんどみんなそう思うはずなんです。これお読みいただければ分かりますが、全く暴論だと、そういうことを言われています。  それから、この間言いましたけれども、OECDの報告書でも、外国も日本の治水を評価しているんです。ダムが悪いなんてことは言っていません。それからまた、これは後で細かく聞いていきたいんですが、裁判の中でも各裁判官が三か所とも効果はあるんだときちっと言っているわけですよ。  だから、我々にしてみれば、極めて暴論だから何でそんな結論になるのかしっかり読んで勉強したい。我々も、これまでやってきたことがすべていいとは、そこまでは言いません。謙虚に皆さん方の意見があれば検討してみたいと、国民皆さんのために。それがこのペーパーですよ。ふざけていませんか、国会を軽視していませんか。どうですか。
  45. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) 国会を軽視するつもりは全くございません。  先ほど脇委員がおっしゃったように、OECDの報告書、この間も予算委員会でこの紙を提示をされて、これについては私も誇りを持っております。日本が評価をされていることですから誇りを持っておりますし、また脇委員から事前にレクチャーがあって、虫明先生の論文についても目を通させていただいております。  この間の予算委員会でもるるお話をしておりますし、またこの場でも繰り返してお話をさせていただきたいと思うわけであります。先ほど広田委員お答えをしたことにもかかわっているんですが、ダムが絶対駄目だと言ってない、公共事業も必要なものはやっていかなくてはいけないというふうに思っているわけでありますが、日本の置かれている状況の中で、今までどおりの公共事業が河川についても港湾についても道路についても空港についてもできないと。これだけの借金があって、人口減少を食い止めるための子育て支援、少子化対策もやらなきゃいけない、高齢化がどんどんどんどん進んでいく中で医療介護やあるいは年金に巨額の費用が掛かるという中で、今までの例えば御質問をいただいている治水の政策というものを続けていっていいのかといったところを根本的に見直していかなくてはいけないということを申し上げているわけです。これについては、恐らく脇委員も私は同意をしていただけると思うんですよ。  そうなると、今の百四十三、特に直轄事業が中心になると思いますけれども、この河川の整備在り方というものを根本的に見直していかなければ、これもこの間、予算委員会で申し上げましたけれども、今の利根川水系の治水計画でいえば、八斗島の基準点での基本高水が二万二千トン毎秒、そして計画高水が一万六千五百トン毎秒、この差をどう埋めるかということの中で、その一つとして八ツ場が位置付けられているわけでありますけれども、八ツ場だけでは全く足りないということで更なるダムを造ったりというふうなことになるわけでありますが、本当にそういうようなことがこれからどんどんどんどんできていけるのかどうか。八ツ場だけでも五十七年掛かってできていないという状況の中で、じゃ、二百年に一度の洪水に対応するためにどういうやり方があるのかということを様々な観点から再検証する中で、利根川の代替的な治水、利水の案を出させていただくということを繰り返し申し上げているところでございます。
  46. 脇雅史

    ○脇雅史君 見直すというときに、いろんな手法があるというんならまだいいんですが、日本における治水ってそんなに手法はありません。計画を作る、しかし計画どおりになかなかできないねということはあるでしょう、お金がないから。しかし、日本は戦後あんなに貧しい中でここまでやってきたんですよ。そのおかげでこんなに災害の少ない国になっているんです。ダムがどれだけ効果を果たしたかなんということは検証すればすぐ分かりますよ。ダムのおかげで洪水がなかった河川なんて幾らでもあるんですよ、これまでの降雨の実績を見れば。いかに多くの利益を成してきたか、そういうことをきちんと評価をせずに、ただやめればいいというのは全くの暴論なんですよ。  お金がなければ進度が遅くなるんです。国民皆さんに、ここまでやりたいけれどもほかに回さなくちゃいけないからしばらく我慢してくださいと、そう言えばいいのであって、お金がないからやり方そのものが変わるんだということには直結しないんです。お金がないからやり方についても考えてみようというのはいいですよ。そこの考えでうそがあったり間違いがあったりしてはいけないんですよ。どうですか。
  47. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) いや、それは脇委員のおっしゃるとおりだと思います。検証をして、それがうそであったりごまかしがあったりしてはいけないというのはそのとおりだと思います。  これは、是非、与野党を超えて、トータルでこれから日本の経営をどう考えていくのかということを専門家である脇委員にも是非逆にアドバイスをいただきたいと思いますが、ダムだけでも二千八百九十、今まで造っていますよね。これ、砂もたまり、あるいは老朽化してきているものもあって、これの維持管理も大変な状況になってきていると。百四十三の事業の中で、既存のダムの見直しをする、大々的に見直しをする事業だけでも、これは御承知のとおり八つあるんですよね。こういうふうに、造ったものの更新時期がいよいよこれやってくると。  昨日、実は衆議院国土交通委員会で共産党の穀田委員から天竜川の話が出まして、天竜川というのは中央構造線に掛かっているところなので特に土砂がたまりやすい、土砂の供給が多い川ではありますけれども、その中にはかなり砂がたまっているダムがあって、そしてまた土砂がたまっているということは、当然ながら、海岸に土砂が供給されないがために、天竜川のとこら辺に堆砂もあるけれどもかなりの海岸浸食が出てきて、またそれの工事もやらなきゃいけないというようなことで、この今まで造ったものの更新時期にも来ているし、また新たに造ればそれは何十年か後にそういったものを更新もしなきゃいけない。  繰り返し申し上げますけれども、私は脇委員がおっしゃった、今まで造ってきたダムで洪水が防げたケースというのはたくさんあると思いますよ。だから、ダムをすべて否定をしているわけではないけれども、限られた要因の中で今までのようにはいわゆるダム中心の河川整備はできない中で、どういう形で治水をやっていき、そして、国民のまさに今おっしゃったような生命、財産を守っていくのか、それを百四十三の河川ですべて見直しをさせていただくと、こういうことを申し上げているわけであります。
  48. 脇雅史

    ○脇雅史君 今までもどんどんどんどんお金掛けてやろうというわけじゃないんです。元々、戦後ずっと貧しい時代だった、日本は。その貧しい中でも何とか水害の悲惨をなくそうというんで必死で考えてやってきているわけですよ。造ったものは維持しなくちゃしようがないんです。ほかにどんな手がある。皆さんお金なくたって我が家は建てて一生懸命金掛けるでしょう。個人の収入の相当多くの部分を住居に掛けているはずですよ。それはしようがないんですよ、要るんですよ。  だから、国家を経営していく中でも、水害から守って安全に暮らすためには、日本というのは非常に自然条件が悪いんですから、もう洪水はんらん原に人が住んでいるようなものなんですから、お金要るんですよ。そこでサボれば必ず自然はしっぺ返しをするんです。  そのことを考えながら、できるだけ、確かに構造物だけに頼らずにソフトも入れて流域のことも考えてやろうと、みんな考えてきてやっているわけですよ。それを、全部今までのやり方が悪いんだというような言い方をするから、多くの国民皆さんは、それは自民党も悪いしこれまでの治水も悪いんだろうと今思い込んでいますよ。これは大間違いですよ。いや、一般の人は思っちゃうんですよ、前原さんにその気なくたって。  これはいいことか悪いことか。要するに、これまでの我が国の治水の歴史を見ると、必ずしも政治主導ではないんです。政治家は、前原さんのように今かなり勉強はされていると思うけれども、余り勉強して、この流域の治水どうやったらいいか、ダムにするのか、遊水地にするのか、河道を広げるのか、堤防を高くするのかと、そんなことは余り政治家は考えなかった。これは行政、官僚に任せてもいいと、任せられる分だけの自負を受けてやっていた官僚がいたんですよ。何も利権なんかでやったんじゃない。一生懸命日本という国を洪水から守るために、みんな我が先輩も必死でやってきたんですよ。それを冒涜するようなことを言うから私は許せないんだ。  そのことを、しかし全部認めろとは言っていませんよ、きちっと今の時点で見るのは結構。しかし、全部が悪いんじゃない。しかし、今のテレビなんか見てごらんなさい。何か利権ですべてが動いているんじゃないかと。我が国はそんな国じゃないですよ。戦後、何人死に物狂いで頑張ってきたか。  前原さんは、よく国交省の資料は信用できないなんて、まあ今言われているかどうか知りませんが、言うことがあるんだけれども、今の河川局だってほとんどそうですよ。信じてやらなかったらかわいそうですよ。だれが一生懸命働きますか。どう思っていますか。
  49. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) 幾つかおっしゃられたことでお答えをさせていただきたいと思いますが、我が家でも家が傷んだら直さなきゃいけない、それはそうですよね。ただ、私は今の日本財政状況を考えると、家とか会社だったら完全にもう破産それから倒産状況だと思いますよ。それぐらいのひどい状況が今の日本の私は財政の状況だと思います。このままのことでやっていけば、金利が暴騰してすべて日本経済がおかしくなる、こういう状況の私は寸前まで来ているような気がいたします。  したがって、この政権交代を機に今までの税金の使い道を変えていくということでありまして、脇委員がおっしゃるように、今までやってこられたことがすべて悪いなんということを私は一度も言ったことはありません。ただ、そのやり方を見直させていただくということを申し上げているわけでありますし、河川局のメンバーも、議論をしながら、政治がこういうやり方でやっていくんだということを言えば、それはみんな一生懸命やってくださっていますよ、それはもう脇委員のおっしゃるとおり。  ただ、利権の話とかということになったときにはやっぱり幾つかの問題がある。昨日も国会で議論になりましたけれども、例えば八ツ場ダムを請け負っている業者のところにかなりの天下りがいるとか、あるいはそこから自民党の議員に対しての献金とか、それは調べ出したら大変な額になると思いますよ。つまりは、ダムは必要であるけれども、そこに巣くっている利権とか天下りとか、そういったものも断ち切っていくということも私は大事ではないかというふうに思いますよ。  だから、これは物事は両面のみならずいろんな方面から見ながら、すべてを襟を正して、そして、国家の経営の中でこれからの河川政策をどうしていくのか、あるいは政治家、官僚もどう国民の前に襟を正していくのか、そのことが私は大事なことではないかと思っております。
  50. 脇雅史

    ○脇雅史君 多分、そんなに意見の相違はないと思うんだけどね。  金のあるところに利権屋が来るんですよ、金使うところに。だから、福祉だって何だって多額の予算を使うところには必ず利権屋っていうのは群がるんですよ、そういう人がいっぱいいるんだから。利権屋がいるから福祉はやめろなんて言わないでしょう。利権屋があるからダムやめろっていうのは短絡過ぎるんですよ。ダムをやれば金が掛かるから利権屋が来る。だけど、利権のためにダムなんか考えちゃいないんだ、少なくとも計画論の段階では。そのことだけはきちっと理解をしておいてほしい。
  51. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) いや、利権があるからダムをやめろと言ったことは一度もありません。それは委員がおっしゃるように、何か事業をやればそれに群がってくるという、まあ順序は逆でも、やっぱりそれをなくしていかないと、国民からお預かりしている税金ですからね、いかに効率的に使うかというところの襟は正していかなきゃいけないということを申し上げただけで、利権があるからダムをやめろとか福祉をやめろということを申し上げるつもりはございません。
  52. 脇雅史

    ○脇雅史君 それはもう当然だから申すまでもないんだけど、だけど胆沢ダムとか、ダムに絡んでお金が動くんですよ、政治家には。それはやっぱり気を付けなくちゃいけないし、そのことを直すっていうのはお互い大事なことですよ。政治家としての原点、それはそのとおり。意見は一致したと思うけど。  さっきからまだお答えになっていないんだけれども、私が真摯に皆さん方のお考えを検証したい、そのときにこんな上田知事に対する回答書を送り付けたというのは無礼だと思いませんか。
  53. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) 無礼だと委員が思われるのであればそれはおわびを申し上げますが、何度かの視察、そしてそのバックグラウンドにはいろんな方々からヒアリングをした資料、データ、そういったものを我が党で分析をした上で結論に至り、マニフェストに書かせていただいて、そのエッセンスが書いてあるということで御理解をいただければ有り難いと思います。
  54. 脇雅史

    ○脇雅史君 百歩譲っても意見になっていない、これ何にも答えになっていないもの。  あのね、もっとまじめにやってほしいんですよ。大変なことをやっているんですよ。あなたが言われるように本当にダムに頼らない計画にしようということは、今までの土木の常識を覆すんだから、大変なことなんですよ。それは、もう今八ツ場ダム一つやめるにしたって、これは訴訟ざたになるかもしれないし、いろんなことが起こってくる。国家のやってきたことが間違っているということがもしなれば、私は間違いなく間違っていないと断言しますが、しかし皆さん方は間違っていると言っているんだから、大変なことを言っているんですよ、本気で議論をしなくちゃ。だから私も一生懸命議論したいから、どうしてそういう結論が出るのか教えてくれって言っているんですよ。  物部長穂さんという方を御存じですか、物部長穂先生っていう。──御存じないですか。一八八八年に生まれた方ですが、これは大変な秀才で、今の日本の地震に対する計算手法を確立したとか、まあ土木の世界では、馬淵さんは御存じかもしれないけど、大変有名な方。  この方が、一九二五年ですから昭和の初め、昭和が始まるころに日本においても多目的ダムを造るべきだという論文を出されている。実はこの論文が我々土木にとっては聖書みたいなもので、それがもし間違っていたらえらいことですけれど、そういうものなんですね。  土木工学っていうのは、理論が先にあって答えが出るものじゃないんです。いろんなことが起こって、それを分析して分析していろんな共通項を見付けて、それを論理につなげて、そして学問として発達してきた。だから、水理学、水文学でも流出学でもそうだけれども、実際に起こった洪水、丹念にその現地行って調査をして、どれだけの雨が降ってどれだけ川に流れたのか、降った雨と流量の関係はどうなっているのかと、そういうことを一生懸命こつこつこつこつ実証に基づいて勉強しない限り出てこない。それが経験工学と言われる土木工学なんだ。  それを一生懸命やってきて、それから八十何年たった。我々も先輩から引き継いで、ずっといろんな観測をしたり、調査をしたり、解析をしたり、計算をして今日のものが築き上げてきたわけですよ。それが違うんだぞと言われれば、どこがどう違うのか根拠を言ってくれと。さっきの虫明先生の話もそう。みんな土木工学に関する人たちは今唖然としているんですよ、本当にそうなのかと。  そのことに対する説明責任前原大臣説明責任というのは、まさにテレビやなんかじゃないですよ、一番大事なのはこの場、国会の場ですよ。だから、ここにきちんとした資料を出してくださいよ。
  55. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) 今までの様々な土木工学、河川工学、そういったものの考え方に基づいて今までの河川整備がなされてきたんだろうというふうに思いますし、それについては、我々は何もそれを頭から否定をするつもりはありません。  繰り返しになって恐縮ですけれども、やはり我々は国民からお預かりした税金の中で様々な行政サービスを提供すると、そして国会の最も大事な役割というのは、その税金の使い道を決めると、予算編成というのが私は一番大きな国会議員の仕事だと思っているんです。そして、その予算の使い道を国会で議決をする。もちろんほかの政策を作ったり条約を締結したりということも大事なことでありますけれども、やはりお預かりをした税金をどう使うかということは極めて大事なことだと思うんですね。  今、日本の置かれている状況、本当に繰り返しになって恐縮ですけれども、借金がたくさんあって、もう会社だったら倒産している、個人でも破産している。こんな状況で、しかし日本の国の運営をやっていかなきゃいけない。しかも、人口的には少子高齢化が進んでいく、子育て対策、少子化対策やあるいは社会保障もやっていかなきゃいけない。  つまりは、限られた予算の中で、じゃ今、脇委員がおっしゃったようなことも含めてどうやっていけるのかということをやるために、この河川にしろ、道路にしろ、空港にしろ、港湾にしろ、今の公共事業在り方を見直させていただくということを申し上げています。  十二月になったら明らかにさせていただきますけれども、河川の整備在り方検討会というものを国土交通省でつくらせていただきます。そのメンバーは、私は人選を見てもらえれば納得していただける人選だと思いますよ。  つまりは、今までの河川工学なんかもやってこられた大家の方々というのがかなり入っておられて、私、非常にバランスの取れた方々にお話をして、こういう制約要因の中でどういう河川事業の転換が図れるかと。そして、できるだけ、その制約要因の中でいわゆる国民の生命や財産を守るためのいい施策をどういう基準によって作ることができるか、そういうものをその専門家の先生方にお願いをして、その基準を作る中で我々は新たな河川整備というものをやっていこうとしているわけです。  つまりは社会環境が変わったと。これは脇委員がまだ建設省ですか、におられたときだと思いますけれども、あれ、平成九年に河川法が変わりましたよね。あのときはまさに住民参加とか環境とか、そういう新たな変化を加味した改正河川法というのができたと。  河川法を改正するまで至るかどうか分かりませんけれども、私は河川法改正に匹敵するような河川整備の変更を今の制約要因の中でどうしていくかということを考えていきたいと、こう思っておりますので、先ほど脇委員おっしゃったように、一番大事な議論の場所はここですよ、おっしゃるように。だから、そういうこともしっかりと我々が提示して、そして国土交通委員会皆さん方にそれを徹底的に議論していただくと、そういう場に是非させていただきたいと思っております。
  56. 脇雅史

    ○脇雅史君 元々、お金に頓着せずに何でもいいから安全な計画作ればいいなんてだれも思っていない。できるだけ国民皆さんにとって合理的で、費用も少なくて、将来の維持管理費も少なくて済むような治水計画は何なんだろうかというのを追い続けてきたわけですよ。  その中で、河川法の歴史を見れば、余りにも行政大臣もひっくるめてですけれども行政ですべて決まり過ぎていやしないだろうかと、そういう反省があって、長良川のときもいろんなことがありましたけれども、我々は、やはり情報はとにかく出そうと、出して国民皆さんの意見を聞こうということで河川法も改正したんですよ。そういう意味なんです。だから、皆さんの声を大いに聞いて、納得してもらわないと、みんなの安全なんですから、そういうことを考えているんです。  そこで、自然を相手に物を考える、土木の基本は何かと。やっぱり僕は謙虚さだと思うんです。いろんなことが起こるんです、考えも及ばないようなことが。だから、何かがあったときに、本当にそうなんだろうかと疑って疑って、そしていろんなことを分析して、真実を求めていかないといけないんですよ。  思い出話して恐縮ですが、阪神・淡路大震災が起こったときに何に一番驚いたかと。あの阪神高速のひっくり返ったテレビがありましたね、あれを見てびっくりした。ところが私が本当に驚いたのは、そのびっくりした自分にびっくりした。  考えてみれば、自然というのはどんな力が来るか分からないから、日本は地震で倒れるような道路は造りませんと公言してきたけれど、倒れることはあるんですよ。そんなことにびっくりしては土木屋じゃないなと私は思ったんです、僣越だったと。そういうことは起こり得ると思っていなくちゃいけなかったと。で、私、自分に言い聞かせて部下にも言ったんだけれど、そんなものだと思う。余り簡単に結論出しちゃいけないんですよ。前原さんは簡単に結論を言い過ぎる。  例えば、八ツ場ダム造ったら砂で埋まって金掛かるって言うけど、その八ツ場ダム造らなかったら、じゃ、どれだけの効果が千葉を中心とした、銚子の中心で、銚子の人がいるけれども、その辺の海岸浸食が止まるのかと。これは物すごいまた難しいんです、海岸は海岸で。河川からどれだけの砂を取っていったか。戦後、大変な量を取っているんです。それから、木を植えることによって流出が減らせる。砂防ダムも流出を減らしたいわけですよ。だから自然に逆らうことを人間はいっぱいやっているんです、その都度。だから難しい。  八ツ場ダム造ったからすぐに、砂防では金が掛かるから、だから八ツ場ダム要らないなんてことじゃないんです。計画論というのは、金はできるだけ掛からないようにするんだけれども、一生懸命計画論を作るんですよ、謙虚に。だけれども、それに沿って計画的にやっていきたいと言っても、言われるように国家はお金がないからできませんよと、だったら五年でできるところは十年までにしましょうと。そこですぐ計画を変えなくちゃいけないというわけでもないんです。そんなことは織り込み済みで、できるだけいい計画を作っているはずなんです。  金がないから計画がすごく変わるというのは、それは今までの計画に対する前原さんの信頼がないからそう言われるのかもしれないけれども、私にしてみれば心外で、そこまではちゃんと考えているわけだから、できないんだったら、そのお金を少しずつ減らしてもそれはしようがないと、国民皆さん我慢しましょうと、その間に洪水来たら許してくださいと、そういうものなんですよ。すぐ計画論の悪いようなことを言うから。  それでここに戻るんだけれども前原さんは言われるけれども、この報告書は明らかに間違っているんですよ、その上田さんに対する答弁書がね。これ何て書いてある。八ツ場ダムは大洪水に対して役に立つダムではありませんと書いてある。そんなこと書けるわけがないんですよ、今私が申し上げたようなことからすれば。ダム造って、雨が降ってそこに水がたまれば、その分だけ下流に流れていかないんだから、必ず治水効果はある。その分だけ下流の負担が軽減されるんですよ。その負担がどれだけのものなのかということを議論するのはいいんですよ、それは土木で。このぐらいの効果だったらなくてもいいだろうというのはいい。だけれども、役に立たないというのは、これは何だと。治水でも利水でも、あれば必ず役に立つんですよ。だから、必ず役に立つダムをここまで来てやめるというのは天下の大愚策だと私は申し上げたいんです。いいですよ、ずっと幾ら議論していってもいい。その中で八ツ場ダムの本体を中止するなんていう選択肢は私は出てこないと思う。まあ謙虚で言わなくちゃいけないから余り結論を言っちゃいけないけれど、私はそう思っています。  だから、余り簡単に結論を言って人心を惑わすようなことをしてほしくない。本当の意味の情報が伝わらないと。その意味で、その砂の話と緑のダムというのは私は許せないんだよ。まあ緑のダム、これからするけど、その前に今私が申し上げた、これがおかしいということについてはどう思いますか。
  57. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) 謙虚さという言葉はすごく大事だと思いますね。私、この仕事に就かせていただいて河川の見直しというものを言って、非常に自分の置かれた立場の重大さというものを毎日かみしめながら、これは言葉だけではなくて本当にそう思っています。  川辺川ダムの議論を流域の首長さんや議員さんに集まっていただいて人吉というところでやったんですね。そのときに、ある県会議員さんが私にこうおっしゃったんですね。もしこの川辺川ダムやめて洪水が起きたときに、あなた責任取れるかということをおっしゃったんですよ。私は取れないと、それは。それは、どういう形で雨が降るか、洪水が起きるか。その雨の降り方も分からないし、洪水の起き方もすべて把握できるわけじゃない。もちろん、それこそ専門家の方々が想定をしながら、あるいは今までの経験値というものをしっかりデータベースに載せながら考えていくということはありますけれども、またその謙虚さということを考えたときに、すべてのいわゆる洪水、大雨、台風、これをダムや堤防で押し込めて、最後まで海に流すという発想自体が謙虚さに欠けるんじゃないかと、私はそう思っているんですよ。  ですから、まだどういう結論になるかどうか分かりませんけれども、専門家の方々にお集まりをいただいて新たなできるだけダムに頼らない治水を考えるときには、やっぱり国民の意識変革も一緒にやっていかないと私は駄目なんだろうと思うんですね。例えば地震が起きた場合には、これは急に起きるわけですよね、そうした場合には必ず被害が出ると。じゃ、もちろんできるだけ被害を最小化させるということも大事でありますけれども、先ほどの制約要因の中で、すべての被害をじゃ洪水に対しても全くゼロにするということはできるのかということになると、私できないと思うわけですよ。  この間、脇委員予算委員会議論をさせていただいたときに私が申し上げた中央防災会議の、あの利根川水系の、千年に一度の雨が降ったときと。これ、ちょっとだれも千年に一度の雨がどうやって降るか分からないんですけれども、そのときには三十四兆円の被害が出るということで、八斗島では二万六千トン以上の毎秒の水が流れると。これはまあ八ツ場を造ったってほかに幾つ造ったって、無理なものは無理なんですね。ですから、そういう意味での謙虚さというものと、費用効果の中で国民をどう啓蒙していくかということも併せて私は考えていかなければいけないことではないかと思っております。  いずれにいたしましても、我々は、この検証作業を通じて、この国会において、まさに日本の置かれた制約要因の中で、河川にしろ、道路にしろ、港湾、空港にしろ、どうやってこれから必要なものは整備していくのか、あるいは今まで造ったものを維持管理していくのか、その中で予算配分を決めていくということをしっかりやっていきたいと思いますので、脇委員含めて皆さん方是非自由闊達な御議論をいただきたいと、このように思っております。
  58. 脇雅史

    ○脇雅史君 いろんなところでダムが要らないわけじゃない、それからいろんな計画について予断を持つわけじゃない、謙虚にやりたい、それは総論としてはもうそこまで言っていただければいいんですが、しかし、その言葉の端々でダムに頼らないとか、頼り過ぎる必要はないんです、だけど、ダムはダムで日本というような自然条件であれば非常に大きな役割を持つんですよ。  だから、どっちに頼るというか、どっちをどう配分するかというのはその地域地域で違うんだから、まさに予断を持たずに、ダム、遊水地、河道、そしてその超過確率以上の洪水が来たときにどうするんだということもひっくるめて、昔の河川局は計画年までしか知らないと言っていたんです、計画対象年の洪水までしか知らない。知らないって無責任だけれども、それ以上来たらもうお手上げだから守りたいけど守れないと、もう自然相手に勘弁してくださいという行政をやっていたわけです。それじゃ駄目だよと。そこでスーパー堤防というのが出てきたんですよ。超過洪水が来ても少なくとも破堤はしない。その日本の沖積平野、関東平野みたいなところで破堤させたら大変なことになるから。  元々、関東平野なんというのは川なんですよ、ああいう扇状地とか三角州なんというものは川の土砂が運ばれてできるんだから。人間が手を加えなかったらあっち行ったりこっち行ったりして、それで自然条件ができるので、それを人間が勝手に、荒川はここですよ、利根川はここですよって勝手に決めているんです、自然にとっては迷惑な話で。  だから、物すごい無理があるわけ、河川というのは。そのことをよく踏まえれば、私も、人間は謙虚じゃないんだけれども、少なくとも学問ということについては謙虚でありたいと思っていまして、そういうものなんですよ、河川というのは。だから、予断を持たずにやってほしい。  だから、せっかくそこまで言われるんだから、八ツ場ダムについても予断を持たずに、しかしこういう経済状態だからしっかりと検討させてもらいますというような言い方にされたらどうですか。その方が前原さん、いろんな意味をひっくるめて国民皆さんは信頼しますよ。どうですか。
  59. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) 今堤防の話をされましたけれども、八ツ場ダムが、当初の予算が二千百億円、しかし、どんどんどんどん修正をしていって、現段階において最後まで造った場合には四千六百億円掛かると、こういう状況になっておりますけれども、それに対して河川改修の予算というのはどんどんどんどん減っていっているんですね。これを考えたときに、どこに重きを置くのか。  例えば、上田埼玉県知事が漏水の話をよくされますけれども、これは漏水だったらダムじゃなくてやっぱり堤防強化だろうと。これは脇委員も同意をしていただけると思うんですよね、そこの堤防をいかに強化するか、その付近の。破堤というものがいけないということはそのとおりでありまして、そういう意味で、この八ツ場ダムを含めた利根川水系においても、予断を持たずに、アリバイづくりではなく、再検証はさせていただくと、その中で今の我が党の方針というものを御理解をいただくというふうにしていきたいというふうに思っております。
  60. 脇雅史

    ○脇雅史君 党の方針がこの三枚紙であれば、それは了解できないね。これおかしいもん、書いていることが、明らかに。これ取り消して、またくださいよ、民主党の方針、きちんと。この中に検証しているって書いてあるんだから、どんな検証をされてこういう結論になったのか。  それから、漏水というのはそう簡単に分かりません。どこで起こるか分からないんだから。例えば、例えがいいかどうか分からないけど、こういう糸があって、両側から引っ張る。必ずどこかで切れるんだけど、どこで切れますかということを事前に分かりますかっていったら、分からないんですよ。堤防も、どこで漏水ありますかって、どこでも可能性はあるから。その調査って、漏水って結構難しいんです、洪水が実際来てみないと分からないし。  それから、多摩川の水害って、「岸辺のアルバム」って覚えていらっしゃいますかね。四十何年か、もう随分前ですけどね。あのときはとんでもないことが起こったんですよ。我々の河川の常識では起こり得ない、上流側にどんどんどんどん浸食していって、まあ起こり得ないというのも変なんだけれども、後から考えりゃ分かるんだけど、そのときにあの辺を見てそんな水害が起こるとは思わない。計画高水位なんていうよりはるかに下の水位で起こった。  長良川の破堤、御存じですかね。これも計画高水位よりはるかに低い水位で破堤しちゃった。みんなびっくりしました。これ、びっくりしている場合じゃないんですね、そういうことが起こるんです。  だから、さっきの虫明先生の論文にも書いてあるけれど、堤防というのはどこで切れるか分からない。全部守りたいけれども、これは本当に人知を尽くしても、まさにお金もないし人もないんだから守れないんですよ。そのためには、できるだけ川に流れてくる水を減らす。五センチでも十センチでも低かったらそのために破堤を免れるということが現実にあるわけだから、そこで日本におけるダムの役割というのがあるんですよ。だから、ただ単にダムに頼らなければいいという答えにはならないはずなんですね。だから、そのことをよく踏まえてやっていただきたい。  それから、緑のダム。これは、この間も申し上げたけど、もういろんな文献見たって、洪水と渇水には効かないんですよ。山に緑がある方がいいことはもうみんな、国民全員の合意ですよ。どんどんどんどん森林、緑を増やせばいいけれども、緑のダムということで今造っているダムの代わりができると思ったら、これは間違いですよ。そのことは明確に言っておきたいと思いますが、どうですか。
  61. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) これはもう予算委員会で脇委員お答えをしたことと同じことを申し上げると納得をいただけると思いますが、集中豪雨に対して緑のダムが役に立つかというと、それほど役に立つものではないということはこの間の予算委員会で申し上げたとおりですし、脇委員の認識と私は同じであります。  しかし、日本国土が、まあ私が申し上げるまでもなく、委員皆さん承知のとおり、約七割が山ですよね。そして、ダムというものが大事だということを今、脇委員はおっしゃっていて、もちろんダムによって洪水調整がされてきた例も多々あると思いますけれども、例えば山の手入れがされずに土砂がむき出しになっているようなところ、結構ありますよね。
  62. 脇雅史

    ○脇雅史君 大してない。
  63. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) いや、ありますよ、結構。これは結構あるんです。  それが、例えば集中豪雨で土砂が削られて、そして川に流れたり、あるいは土石流になったりして災害が増幅されるというケースがあり、あるいは今まで計画をされていた以上に早いスピードでダムに砂がたまるというようなケースもあるわけじゃないですか。  それと同時に、間伐、除伐をせずに、ひょろひょろっとしたもやし材のようなものはうちの地元でも結構ありますよ。そういったものが集中豪雨で根がしっかりしていないから流れて、それでダムの中にそういった木がいっぱいたまっている写真なんかも私何度も見たことありますけれども、そういう意味においても、やはり私は山の手入れをしっかりし、保水能力を高めると同時に、今申し上げたようなことの防止をやることによって、いわゆる河川、あるいはその河川の一つの工作物であるダムに対する、あるいは砂防ダムに対する負担を軽減するということは大事なことではないかと、このように考えております。
  64. 脇雅史

    ○脇雅史君 森林が大事なことはもう国民だれも否定しないんだから、大威張りでやればいいんです。何も治水に効かなくても、渇水に効かなくてもやればいいんです。  それから、私、日本の国をしょっちゅう上から見ていて、特にヘリで利根川上流とか紀伊半島の上とか何度か飛んでいるんですが、見事に森林だらけですよ、被覆されています。本当に日本というのは今、すばらしい森林ですよ。これから新たにどこに木を植えるんだっていったって、目に付くところは何か所かあるかもしれませんが、そんなものはパーセンテージで見てごらんなさい、本当に一%もないですよ。  空から見てみたら分かりますよ。お忙しくてなかなか乗れないかもしれませんが、是非一度利根川の上流、ヘリで御覧になることをお勧めします。日本海も見えたり、天気のいいときじゃなくちゃ駄目ですが、実態を空から見るというのも一つ大きな大臣の役割だと思います。森林をきちんと整備していくというのは大事なことだし、これは今後大いに国としてやっていかなくちゃいけないことですね。それは私も否定しませんから、是非お願いをいたしたい。  それから、この本ちょっと面白いんですよ、御覧になりました、「水の革命」という本があるんですが、これはイギリス人のイアン・カルダーさんという人が書いていて、訳者は林業屋さんみたいですが、訳をされた方が林業関係の方のような、林業というか林学というか、訳者がね。ちょっと中身は、見るともう分かるんですが、これはダムにもちょっと否定的だし、緑のダムにも否定的だし、その意味で中立を取ったつもりなのかもしれませんが、イアン・カルダーさんがそう言っているのかどうかちょっと私疑問に思うところもあるんですが、ある種参考になりますので、こんな本もあるという。  それで、せっかく河川の話いっぱい出ましたので、ちょっと地方出先機関の話で、いわゆる地方分権ということでお話を伺っておきたいんですが、国がやるのがいいか県がやるのがいいか市町村がやるのがいいか、あるいはもうそういうことを組み替えてやるのがいいのか。公の仕事として、公務といいましょうか、役人がやらなければいけない仕事というのは最後まで残るんだと思うんですが、それをどういう役割分担でやっていくのがいいのかということであって、分権することがすべて善だというのは、さっき申し上げたように少し考慮が足りない。  しかも、仕事の中身によってみんな違うはずなんですよ。これ自民党時代にも私さんざん言ってきたんですが、自民党の中でも余り賛成しないので私はいつも怒っているんですが、仕事の一つ一つ中身を見て、この仕事はどこがどういう立場でおやりになるのが一番いいのかということをきちっと決めて役割分担すればいいんですね。その意味で、河川法というのは極めて役割分担をきちんと書いた法律だと私は思っているんです、歴史的に見ても。  さっきちょっと二重行政と言われましたが、河川法で二重行政ということをお感じになりますか。
  65. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) 私が二重行政と申し上げた意味は、特に出先機関もそうです、今から議論になる出先機関もそうですし、あとは政令市ですよね、これについてはかなり私は二重行政になっているのではないかと。  つまりは、道府県の中に政令市があって、例えば政令市というのは、地方自治法で元々が十八の役割を権限移譲されているのが政令指定都市なんですね、これは申し上げるまでもありませんけれども。にもかかわらず、例えば道府県の人数が減っていないとか、そして特に、私は実は京都の市内の選挙区なんですけれども、私は国会に送っていただく前は府議会議員をやっておりました。市内選出の府議会議員って、これを言うとまたうちの党も含めてえらい怒られるんですけれども、政令都市の中の県会議員、府会議員、道会議員って余り仕事ないんですね。(発言する者あり)まあ大江議員は県会議員されていましたから。  大体、主に三つなんですよ。一つは今議論になっている河川。それから、二つ目は高校、例えば府立高校とか県立高校とか。もう一つは警察なんですね。これぐらいしか重立った役割はないと。しかし、人数割りでそういった県会議員、府会議員、道会議員も選ばれるんですよ。こういうようなことは、私は、二重行政で、必ず見直していかなきゃいけないということなんです。  河川のことについてお尋ねがありましたので、若干ちょっと今思い付くままに簡単に申し上げますと、技術者というのは、やっぱり国である程度責任を持たなきゃいけない部分というのはこれからも出てくるんじゃないかと私は漠然と思っているんです。これは是非委員のお考えもお聞かせをいただきたいと思うんですが。  その理由は、この間これも国会で答弁をさせてもらったんですけど、今、橋の手入れがちゃんとできていなくて通行ができなくなっている橋が百二十一ある。しかも、重量制限を付さなければ通っちゃいけないという橋が六百以上あると。つまりは、こういった、先ほどのダムの二千八百九十余りじゃないですけれども、工作物でメンテナンスができずに危険になっているものがたくさん出始めているんですね。  それは何が原因かというと、二つ主な理由があって、人と金なんですね。地方自治体が管理をしている橋ですから、お金がない。それと同時に、ここはゆゆしき問題だと思うのは、人がいないということなんですね。様々な意味において、やはりこれから権限、財源地方に移譲していく。そして、もちろん人が育てばいいけれども、しかしそういった技術というものが、地方分権、権限を移譲していくことによって、人やノウハウも含めて先細るようなことがあってはならないわけで、そういった部分での中央が果たすべき役割というのは、河川に限らず、私はあるんではないかと、そういう思いを持っています。
  66. 脇雅史

    ○脇雅史君 先ほどの二重行政というより、二重政治家というか政治家がダブっているという感じですね、府議会議員とそういうね。おっしゃるとおり、政令市がこれだけ出てきたら少し役割分担を見直した方がいいというのは、各法律に出てきていると私も思います。  河川というのは、二つ以上の県にまたがる河川をだれが管理するかって、なかなか難しい問題が出るんですね。だから、やはりこれは国家の役割というのは多分あるんだろうと私は思うんです。あった方がいいだろうと思うんです。これはいろいろ議論してもらえばいいですが。国に代わる何らかの組織をつくるといっても、本当に今の国がやっているような公平な考え方ができるかどうか、いろいろ考えていただきたいと。単に分権すればいいというわけじゃなしに、元々河川法というのは役割分担をきちんとした法律ですから、この分野地方支分部局、事務所をなくすとか、地方建設局なくすということになるのであれば、河川法まで戻って、河川の仕事の仕方をどうやっていったらいいのかということをきちんと議論しないと、ほかがみんななくすからなくせばいいんだという議論は私は乱暴だと思うんです。これはもう自民党の時代も乱暴だった。是非皆さん方、自民党以上に乱暴にならずに、しっかりと考えていただきたい。本当に国民にとってどういう管理をするのがいいかということですから。  それから、さっきちょっと申し上げませんでしたが、治水ばっかり言いましたが、利水についても、皆さん方の資料を見ると、暫定水利権をそのまま渡せばいいとか言っていますが、こんなことをやったら、一生懸命お金を出して将来の水資源確保のためにやっている市町村たまりませんよ。おれのところもみんなやめてくれと。水の秩序というものが全く壊れます。これも、いかに今まで、ずうっと農地と水というのは一緒ですよ。土地と水はペア。土地があったって水がなかったら農業できないんだから。これから自給率を上げていこうというときに、どんどんどんどん水が余るなんということはあり得ないし、要らない水を出す必要もないけれども、今水利権を得るということは大変なことなんですね。物すごい、血で血を洗う、そういうような歴史があったわけですよ。それが今のように平穏になったからこんなのどかなことが出てくるんで、本当はあきれちゃうんですけど、こんなばかなことをよく言えるなと。本当にこれはひどいから、さっきも申し上げましたが、是非これ資料を出してください。お願いしておきます、委員長に。
  67. 椎名一保

    委員長椎名一保君) 後刻理事会で協議させていただきます。
  68. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) 河川を見直していく、河川整備在り方を見直していく中で、先ほどは治水の話ばかりやりましたけれども、利水のことについて議論をしていくということは委員おっしゃるとおりでありまして、利水も見直していかなくてはいけないというふうに思います。  先ほど議論になった利根川水系の話で申し上げると、やはりその計画が作られた時点というのは人口も増えていましたし、経済成長率もかなり今よりも高いレベルで経済成長が行われていた。それと同時に、節水の技術というものもどんどんどんどん生まれてきているわけですね。昨日、これも衆議院委員会で申し上げたんですけれども、水洗トイレ、最も水を使っていたときよりは今四割ぐらいで、水洗トイレ、水を流すことができるということで、節水というものがかなり行き渡ってきた。それは工場なんかでもそうだと思います。自分のところでリサイクルをして使うというようなところも出てきているわけでありまして、そういったものも含めてしっかりと見直していくということと、やっぱり水利権の在り方、もちろん歴史的には今委員がおっしゃったとおりですよ。血で血を争うような、それで戦いを、戦をやってきたような歴史がいっぱいあるわけですから。これは、見直していくというのはそんな簡単なものではないと思いますけれども。  ただ、これもやはり私は、新たな時代の中で有効活用するために見直していくということは大事なことだというふうに思いますので、そういった観点からしっかりとした議論に基づいて行わせていただきたいと考えております。
  69. 脇雅史

    ○脇雅史君 是非、見直しをきっちりするということについては悪いことじゃない。いつだって見直していけばいいんです。  ただ、古い計画、古い計画って、八ツ場ダムにしても、治水、利水古いじゃないかと言われる人がいますが、水資源の話については、去年フルプランの改定をして、その中できちっと位置付けて、最近の情報で八ツ場ダムの位置付けはきちんとして、なおかつ必要だということになっているわけですから、決して昭和二十年代に計画ができたからそのまま古いものをやっているということはありませんよね。それから、治水にしたって、十八年でしたか、実は改修実施基本方針の中できちんと位置付けられているわけで、何も昔やっているからじゃない。長く時間掛かったのは、ちょうど成田の闘争もあったころですから、強引なことはやめようと、とにかく大変なことだから住民の方の意見をよく聞いてということでやってきたわけですから。  是非前原大臣、本当に大変な役人の皆さんといいましょうか、職員の皆さんも毎晩毎晩、土日もいとわず本当に大変な議論を重ねられているんですよ、八ツ場。中身をよく見ていただきたい。それから、昔の映画で、美濃部さんのころに、美濃部知事が現地に行って、是非とにかく東京都のためにこのダムを造ってくださいと頭下げた映画もある。いろんな歴史があります。長いから要らないなんてものじゃないんです。今の時点に計画をきちんと新しくして、なおかつ要るということでやっているのだから、その辺はきちっと検証していただきたい。  ちょっと話題を移しますが、ちょっと前原大臣のトーンも変わってきましたが……(発言する者あり)いや、これから話すことについて、要するに公共工事どのぐらい要るか、だんだん仕事が減っていくぞと。減らすのは仕方ない部分もあるんですね、さっきも言ったように。だけど、日本という国の今のインフラのこの状況を悪くしないためにもお金要るんですよ。  私もうこの何年か申し上げてきたのは、これ以上減らすと、かつて荒廃するアメリカと言われたような状態になっていきますよ、だからもう減らせませんと。自民党の中でも、これ以上減らしちゃ無理だと、日本という国はおかしくなる、だから苦しいけれども何とかこの時点ぐらいでやりましょうと。業界の方に対しては、国が今後これぐらいの金を是非とも維持していくから、今のように生き残りでダンピング、ダンピングでやっていますけど、それは是非やめてもらって、この仕事量で生き残れるような業界規模になってくださいよと、淘汰していかなくちゃいけません。  しかし、その中できちんと仕事をしてきちんとした能力を付け、さっき前原大臣いいことを言われたんだけど、職員のことで技術力、今、日本で土木に関して技術力どこに確保しているかと。昔は相当役所にあった、私がいたころは、私はなかったけどね。そういう役所で技術力があった時代もあった。しかし、今はかなり技術力を担保できなくなった、忙し過ぎて。  発注業者に、建設産業に何とか技術力を担保させようというので、各建設会社は一生懸命、日本はやっぱりまじめだから研究所をつくってやってきた。ところが、もう今のような安い値段で仕事をさせられますと、それでは会社つぶれちゃうから、もう背に腹は代えられぬでどんどんどんどんそういうところを切っちゃう。そうすると、もう業者にも技術力は育たない。それから、もう一つ大事なのは技能力なんです。調査をして設計をして、そういう計画をするいわゆる技術と、その技術に基づいて決まったものを現地で造る技能力、日本は技能力がすばらしいんですよ、職人さんの力が。それが今みんななくなってきちゃう。  だから、そういうものをきちんと維持していこうと思えば、まさに前原大臣のお立場として、これから今後このぐらいの仕事量は確保するから、その仕事量の中で業界の方に技術力と技能力がきちっと維持できるようなことを発注者は考えなくちゃ駄目なんです。民間だからやらせておけというと、今仕事どんどん減らして、どんどん業者も減っていますよ。六十万社から五十万社、どんどん減ってきている。だけど、その減らし方というのは、ダンピング競争でサバイバルレースしているんです、技術力、技能力なんか知ったこっちゃないということで。それじゃ駄目なんですよ。いい仕事をしていい会社を残すということは、発注者が自ら選別するようなことすらしていかないと駄目なんです。と私は思うんですが、今後の仕事量はいいとして、業界に対する前原さんの考えを聞かせていただきたい。
  70. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) 公共事業のパイは、何度も申し上げているように、減らしていかざるを得ないということの中で、しかし技術を持った業界が生き残っていくということも大事なことであるというのはおっしゃるとおりだと思います。  一つは、私が大臣になってから申し上げているのは、ある一定規模以上の建設業者についてはやはり海外進出をもっと一生懸命にやっていただいて海外で仕事をしてもらうように、また我々もそれはバックアップをしていかなくてはいけないと、こう思っているんです。これは前回予算委員会でも脇委員に申し上げましたけれども日本のスーパーゼネコンと言われるところの売上げの海外に占める割合というのは二割以下、他国のスーパーゼネコンと言われるところの海外における受注割合は六割とか七割、こういうものを比較をしてもやっぱり日本は内弁慶だということを申し上げてきたわけです。したがって、そういった海外での仕事をどんどんどんどん展開をしていく中で、また日本のノウハウを生かし、技術もしっかりと維持し、あるいは発展をさせ、技術者も育てていただくと、そういうような観点がまず一つは必要かなと、このように思っております。
  71. 脇雅史

    ○脇雅史君 まあ海外でできる業者は知れていますし、なかなか海外でもうけるようになるには難しいですね。だから、それはもちろん国交大臣が後押しをしていただけるということで、そういう方向を、少し会社の方も工夫をしてそういう方向へ努力するということはいいんですが、そのことでは国内の技術力は担保されないと思いますし、まして職場としての人を雇う能力、雇用力というのはそんなことでは付きませんので、むしろ地場の建設産業をどうしていくかということが非常に大きな問題で、今、私もずっとこのところ全国回って聞いてきましたが、本当に惨たんたるものですよ。  何が悪いかというと、いわゆる落札率というやつですよ。あれで一〇〇に近いとおかしいなんというばかな考えがあるから、そのことで今大変な赤字でも受注しなくちゃしようがないと。なぜ赤字で受注するかというと、つぶれるよりはいいと。自分の給料は出なくても部下のために何とか仕事持ってなくちゃいけないし、また継続的に仕事をしていないと次に仕事が取れないという資格の問題もあって、まさに自転車操業、走っていないと倒れちゃうというようなことがあって、いや応なしに今の状況ではダンピングで安値で出せるんですよ。そのことをよしとして発注者が安いほどいいぞということでやっていたらもうどうにもならない。そのどうにもならないところにまさに今来ていまして、このことはきちんと認識しないと、一番の今悪さをしていることは安値受注ですよ。  それなのに、この間ちょっと、空耳ではないと思うんですが、前原さんがちょっとコストがまだ高いんじゃないかというようなことを言ったように思うんですが、どういうお考えなんでしょう。
  72. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) 私も先ほど申し上げたように地方議員上がりで、京都の実態を見ると赤字で仕事を取っている業者があるというのもよく知っています、それは。しかも、私が府会議員をやっているころというのはもう二十年近く前ですので、まだまだ談合が大っぴらに行われていて、私は国会議員になってから入札制度改革やっていたんですけれども、そのときでも談合が何が悪いんだと、こういうようなことをよく建設業界から言われたこともあるわけでありまして、今委員のおっしゃった赤字でも仕事を取っているというのはあります。  ただ、様々な大型事業を見ていると、その落札率だけで判断をするなというような御指摘もありますけれども、落札率の高さであるとか、あるいは具体的な事例の中で、これは私、これからいろんな方々にアドバイスをいただき、投書等も含めて、例えばこの道路を付け替えるのにはこういうやり方をやれば、今の工法ではなくてこういうやり方をやれば何十億あるいは何百億のお金が削減できますよというような提案をされる方々もおられるんですね、いっぱいね。だから、そういった提案というものを幅広く受け入れていく中で事業は行うと、必要な事業は行っていくけれども、できる限り価格が安くて事業を行える、いろんな提案をしてもらって行えるような形にしていかなくてはいけないという意味で、何の分野でもそうなんですよ、不断のやっぱりコストの見直しというものは、私はしていかなくてはいけないんではないかと思っております。
  73. 脇雅史

    ○脇雅史君 会計法上や地方自治法では、まあ地方自治法にはないけれども、会計法では予定価があって上限拘束掛けていますよね。上限拘束掛けるというのは、これは経済原則に外れた話だし、変な話なんですね。  国や県が予定価を定めるときに、これは実際に行われている工事を見て調査をして、現在の市場価を見ているわけです。市場価でその予定価が出て、それより上行っちゃいけませんよということは、必ず市場価より少しでも安く契約しなさいと。それを本当にまともにやっていったら、毎年減っていくはずなんですよ。今調べるのも、それなりの市場調査が行われて去年までやってきた結果を見ているわけだから、何らかの操作がない限りはそういうことになっちゃう。だから、上限拘束ということ自体もある種おかしな部分があって、ほかの分野と比べられない部分があると。  また、これ話し出すと、もう何度もこの委員会でもやっていますが、公共工事というものが一般の市場とやや違うところがあって、そんなこともきっちり踏まえた上で、要はいい仕事をきちっとやってもらって、さっき言ったような技術力、技能力も確保できて、将来とも国民が安心できるようなそういう建設産業にすることが大事なんだから、そのことだけきちっと踏まえておいていただきたい。時間がないからこの話はこれで終わります。  最後に、高速道路無料化について一言だけ、さっきお話出ましたけれども。  高速道路無料化というのは、世論調査でも必ずしも国民はそんなに望んでいませんね。それで、国交省、これまでどうだったかというと、これは有料道路であって、今内部補助をしながら、遠い将来、三十年だか四十年だか先に全部返し終えたら無料化にしましょうと言っていて、そのときどういうことになるかということを余り先なものだから役人も本気で検討していなかった。今返せばいいじゃないかというので、別にその借金を付け替えれば今すぐ無料化できるじゃないかというのはその限りではそのとおりなんですが、本当にそれが一番合理的かどうかはよほど考えた方がいいと思う。  日本の人と物の輸送体系の中で、道路に頼る部分はこれからもありますね。その道路に頼る部分で、無料の国道のネットワークと有料のネットワークと、これ二種類確保しておいた方がいいんじゃないかという考えもあると思うんです。そのときに、高過ぎる有料道路のネットワークは良くないから、よく言われる維持管理有料みたいに維持管理に使うお金ぐらい出してもらいましょうという考え方もあるはずですね。  道路だけで考えてもいけません。まさに陸海空、全部考えなくちゃいけない。よく総合交通体系といいますが、我が国が今後、二十一世紀にわたってどういう人と物の輸送体系をつくるかと。これをうまくつくれば、外国に比べてうんと競争力も付くはずですよ。だから、そのことを自民党の時代もきちっと議論をしてこなかったんだけれども是非、そこまで、無料化なんていうことまで提案しているぐらいだから、無料化ありきではなくて、一番いい道路のネットワークの在り方というものを本当にきちんと考えていただきたい、いろんな方の意見を聞いて。とにかくマニフェストに入れたんだから無料化やりゃいいんだと。そんな何千億も掛けてやるんだったら、このことのために、日本の二十一世紀のためにどういうネットワーク、交通体系がいいのかと本気で考えるべきだと思いますよ、私、私というか、自民党のときにちゃんとやってこなかったので恐縮ですけれども。  是非無料化やって失敗したじゃないか、ざまあ見ろというわけにいかないんだから、我々も協力しますから、本当にいい輸送体系を考えていきましょう。是非提案をしていただきたい。
  74. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) 協力をしてあげるという非常に力強いお言葉をいただいて、感謝を申し上げます。  今まで自公政権のときに、土日のETCの千円というものをやられて、また深夜割引ということをやられて、これは一つの私は社会実験だというふうに思っております。そのことによって、先ほど馬淵大臣広田委員質問にもお答えをしておりましたけれども、様々な影響が出てまいりましたので、そういった影響をしっかりと加味しながら、今おっしゃったような他の交通機関への影響というものをどうとらえていく中で、環境、CO2の問題も含めて、極めて合理的な社会実験を積み重ねる中で、国民理解を得るために努力をしていきたいと、このように考えております。
  75. 脇雅史

    ○脇雅史君 終わります。
  76. 椎名一保

    委員長椎名一保君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    正午休憩      ─────・─────    午後一時開会
  77. 椎名一保

    委員長椎名一保君) ただいまから国土交通委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、国土整備交通政策推進等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  78. 大江康弘

    ○大江康弘君 自民党・改革クラブの大江でございます。  まず、鰐淵先生と渕上先生におわびをいたします。今まで一番最後を務めておったのに、先に質問をする非礼をお許しをいただきたいと思います。  委員長、おめでとうございます、御就任。大変な時期ですが、頑張っていただきたいと思います、その人柄で。また、大臣、おめでとうございます。皆さん、おめでとうございます。  私は大臣には特に思い入れがありまして、随分お世話になりました。私はそれは絶対忘れません。一時期、私はあなたを総理にという思いで、党の中でいろいろ御指導をいただいた一人ですし、とりわけ二年前の私の選挙のときにはもう本当にお世話になりました。私はそのことはしっかりと忘れずにやっていきたいと思います。  そこで、お返しの一つと言ってはなんですが、先般、前に代表当時に行っていただきましたね、和歌山市の千旦の松下幸之助翁の墓所に行ってきました、御報告に。あのときに雨の中、代表と一緒にお参りをさせていただいて、そして今回こうして大臣になられて、松下幸之助翁、大変喜んでいまして、声が聞こえまして、大臣に言ってくれと。党の考えもいいけれども、やはり地方の思いをしっかり受け止めてやるようにという声が聞こえてきましたので、それは大臣にお伝えをしたいと思います。  いずれにしても、攻守所は変わりましたけれども、まさか国交大臣になると思いませんで、やりにくくてしようがない。今議員さんが、脇先生がきつくやれよと言うから、それは厳しくという意味で、別にお互い、もうこれは選挙が終わったんですから感情は捨てて、しかしどうも民主党さんはこだわりがあるんじゃないかという、後で申し上げますが、これは大臣個人じゃないですよ。  あの、今余計なことを言いましたが、松下翁でさえ高速道路がなかったから工場を持ってきてくれなかったんです。それで、辛うじて平成元年に、今パナソニック・エナジーという元々は松下電池、これは祐司さん、藤本務官祐司さんなんかと言ったら怒られる、藤本務官のあの静岡にあった工場の一部を持ってきてくれたんですね。しかし、なかなかテレビを作るだとか本体を持ってきてくれないんですよ。それはやっぱり高速道路がなかったからということをはっきり言われた。それで、平成元年ですからもう二十年前ですね、たかだか二十年前、あの松下翁が生まれたその在所の近くでさえもなかなか工場を持ってきてくれなかったという、和歌山県の立地の非常に不便さというものを少し前段に御理解いただけたらと思うんですが。  私は、まず一つは、大臣にお聞きしたいのは、この間、脇先生の予算委員会質問の中で、国土交通大臣だが国務大臣だと言われた。私はもうひとつその意味が分からないので後で説明していただきたいのと、もう一つは、本当はこんなことは、お互い来年選挙を控えてどう対立軸をつくっていくかというときに、余りこういうヒントは僕は与えない方がいいかと思うんですね、お互い。だけど、そうはいっても、さはさいっても、やっぱり地元の市町村というのは物すごく困っているんです、はっきり言って。  だから、どうも民主党政権の考え方は、陳情は県連に受皿をつくるんだと。そして、今和歌山県でも民主党で当選された先生方が何を言っておるかというと、議員が何を言っておるかというと、おれのところへ来ないと陳情事が中央へ行かないと言っているんですね。それは市町村長がはっきり言われているわけなんです。それは、そういうことはやっぱり政権を取ったんだから一理ある。  しかし、あの自民党でさえ、あの自民党政権でさえ、私は野党当時は党本部へは一度も足運びませんでした、地元皆さんが行っても。しかし、それとは分けて、また行政にどう陳情するかということをやっていたんですね。それを認めていたんです。そして、我々もどんどんどんどんお互い、当時、野党の立場であったけれども、非常に風通しよく行かせてもらった。  ところが、私は、今どうもあなた方の政権がやっておるやり方というのは、確かに選挙があってまだ二か月、三か月ですから、お互いしこりも残る、感情も残っておるでしょうけれども、もうそろそろそういうことを大局的に、僕は前原大臣だったらできる、あなたなら、あなたしかない。私は、やっぱり行政へ陳情に行くのと政党に行くのとは分けるべきだ。これだけ困っておるのに、これだけ自治体の首長が困っておるのに、まあ我々はそれやってくれたらいいんですよ、やってくれたらいいんです、どちらかといえば、選挙的に言えばやってくれたらいいんですが、まあしかし、我々これ議会、議員の立場、政党政治をやっている者の立場とやっぱり首長とは違いますよ。私は、もうそろそろ皆さん方が大人になって、どういう、まあ今までの陳情行政が駄目だっていうんだったら、政務三役が行きゃいいじゃないですか、出向いて。  それぐらいのことをやって、だから今日は私は、特に今日は中日本高橋社長もお見えいただいた、保有・返済機構の田崎理事長にもちょっと聞きたいことがあってお越しいただいたが、この質問の仕方も全然変わったんですね。もう質問取りに来ないから楽なんです、これ。それで、お互い政治家同士でやろうと。これは、まさにイギリス型の私はそういうモデルというのはいいことだとは思うんです。ですけれども、お互いはそれでよかっても、この立法府は、やっぱり千八百となんなんとする自治体、四十七の都道府県のそれぞれ県民やいろんな住民を抱えた中ではやっぱりそうはいかないと思うんですが、党に陳情のすべてをゆだねるという考え方はそれはそのままやっていくおつもりなのか、又は大臣なりにお考えがあるのか、ちょっと聞かせてください。
  79. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) まずは、私の恩師の一人であります松下幸之助さんのお墓参りをしていただいたということで、ありがとうございます。  幸之助さんがおっしゃった言葉で私が一つ覚えていることは、衆知を集めると、衆議院の衆、それから知る。だから、みんなの意見を聞いて、そして物事を判断しなきゃいけないと、こういうことだというふうに思いますので、いろんな方々の声を伺う中で政策判断をしていくということが大事なんだろうと思います。  そこで、陳情、要望のたぐいを党で今一括してと、こういうお話でございます。  正直言いまして、あの仕組みができてから我々は相当楽になりました。今までは政務三役で、六人おりますけれども、いろんな方々の陳情をできるだけお受けをするということで、政策の勉強にももちろんなりますし、地元の御要望を伺うということは確かに重要なことなんですが、それだけで一日が終わると言うと言い過ぎかもしれませんが、それぐらいたくさん来られるということで、確かに与党というのはこういうものかと、政府というのはこういうものかと思っておりましたけれども、今党がそれを引き受けてくれて前さばきをしてくれているということで、相当楽になりました。  これは大江議員には是非理解をいただきたいんですが、自民党さん、あるいは民主党ではないところから要望が来たやつははねるなんていうことはやっておりません。ただ、いろいろな陳情が余りにも多くて通常の業務ができないことも多々あるものですから、党本部でそういった仕分をしていただいておると。ちなみに、我が党で申し上げると、国土交通省所管を担当する副幹事長は四名いて、その四名がいわゆる仕分をしていると、こういうことでございまして、繰り返しになりますけれども民主党議員のみの陳情しか受けないということではなくて、いろんな方々からの陳情はすべからくお受けしたいと思いますけれども、窓口を一本化させていただいているということで御理解をいただきたいと思います。
  80. 大江康弘

    ○大江康弘君 前さばきをしていて楽だと。まあ我々にしてみれば、今の段階ですよ、どうも踏み絵にしか見えないんですね、踏み絵にしか。地方の御党の議員の言質を借りれば、やっぱりそういう、まあそれは分かるんです、高揚していて。しかし、もうそろそろ、お互い大人ですから、やっぱり頭をしっかり切り換えて、我々以上に地方主権だ、地方の立場だということを言われているわけですからね、僕は、大臣、もう少し考えていただけたらなと思うんです。  もう一つ気になるのは、どうもやっぱり民主党政権というのは今までの積み重ねを否定をするところから始まる、それが政権を取ったから許されるんだという、こういう論理展開になっている。  実は、大臣が選挙のときに、選挙の前に私の地元に来ていただいて、あれから、私、知らなんですが、町長に聞いたら、また私の県会議員当時の選挙区の日置川の奥へ行っていただいて、日置川町の立谷、市鹿野、実はあそこは旧川添村といいましてね、私の祖父が村長をしていたんです。
  81. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) 白浜の。
  82. 大江康弘

    ○大江康弘君 そうです。合併して白浜町になったんですけれども。  要するに、あのときに私の祖父はどういう立場かというと、関電がいわゆるダムを造るという話が出たんです、昭和三十年前なんですね。それで、やっぱり当時反対したんです。反対の先頭に立ったのが、当時村長だった私の祖父なんですね。そして、ところがやっぱり戦後間もない、まだ、今のような民主主義は残っていません。いろんな理由で押されてできたのがあの殿山ダムなんです。  これを基にできたダムというのは、大臣、知っていますか。
  83. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) いや、不勉強で申し訳ありません。
  84. 大江康弘

    ○大江康弘君 ごめんなさい、こんな回りくどい聞き方して。  今までだったら、本当だったら藤本議員が、私の部屋から十メートルなんでね、質問を聞きにくればいいんじゃない、これ、あしたどんなことを言うんだとか。  要するに、日本で最初のアーチ式ダムができたのがあの殿山ダムなんです。それをまねたのが、要するに黒部ダムなんですね。  当時はやっぱりいろいろ反対運動あったんです。先ほどの脇委員の八ツ場ダムじゃないが、やっぱり反対する人が多い。どういうことになっていくのか分からない。やっぱり自然体系も変わっていく。だけれども、やっぱり結果的に何十年たってどうかといったら、まあ治水もそうですが利水も、あの後、昭和三十三年の大水害がありましてね、もう家が全部流されたんです。まあ、あれが流れていなかったら、うちもかなり資産を持っていましたから、あれ残っていて、今ごろ裕福な生活をしていたんじゃないかというふうなことも、これはまあ冗談ですけれども。  だから、そういう僕は、地元のこういうことに限らず、それぞれ全国が、先ほど二千幾つのダムと言われましたが、やっぱりそれぞれ簡単にできた話じゃないんですよ。八ツ場にしても、普天間にしても十三年間皆さんは何もしてこなかったじゃないかと言うけれども、やっぱりそういう一つ一つの積み重ねをしてきた結果というその判断というのは、私はやっぱり大事にしてほしいというふうに思うんです。  ですから、何もかも、政権を取ったから、今までのものは駄目だ、ゼロだ、けしからぬのだという、やっぱりこういう切り捨て方というのは、私はかなり民主主義を否定したやり方であって、どうもこの民主党政権というのは独裁政権に近づいていっているんじゃないかなという、そういう危惧さえ持ちますが、これはまあ最終的には国民が判断する話ですから。ですから、やっぱりこの歴史的な積み重ねを大事にしてほしいということを私は要望をしておきたいと思います。  そこで、ちょっと、私はずっと気になっていたんですが、もう民主党当時から気になっていたんですが、この族議員という言葉、これどうも、族議員というのは一体どんな定義なのか。地元のことを一生懸命したら、私なんか道路のことで、道路が必要だと言ったら党を辞めろと言われて、これ、地元のことを言ったら族議員になってしまうのか。  前原大臣もそうですよね、府会議員をされた。我々も地方議員をやった。地方議員というのはオールマイティーでなかったらできぬのですよ、これ。何でもかんでも言ってくる、これ。だから、専門的なことなんか持てないんです。絶えずあるのは地元の視線なんです、これ。皆さん方がよく使う国民的視点、まあ国民目線とか視線というのはもう幾つもあるんだなとよく思うんですが。  ですから、私はやっぱりそういう、この族議員なんて、私ははっきり言ってゼネコンから一銭も献金も受けていませんし、じゃ、道路のことを言ったら、おまえ族議員かと、こんなことにレッテルを張られてしまうと。それだったら一生懸命地元のことやれないじゃないかと思うんですが、これどうですか。
  85. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) 政治家が地元の要望をしっかりと受けてそれに努力するというのは当たり前のことですから、それが族議員だとは私は全く思っておりません。  私もずっと外交や安全保障をやってきて、防衛族の中に何か範疇で入れられるようなこともありましたけれども、私は族と専門家の違いは、やはりそこに利権を求めるかどうかの違いだと私は思っておりまして、純粋な政策志向の中で物事を考えてその専門性を磨いていく人は私は族ではないと。そうではなくて、まさにその業界のために、あるいは自分の利害のためにそういった問題を一生懸命やるのが族ではないかという私は切り分け方をしております。
  86. 大江康弘

    ○大江康弘君 そうしたら、大江康弘は族議員じゃないんですね。
  87. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) いや、大江議員の、何族です、大江議員は。
  88. 大江康弘

    ○大江康弘君 私は地方族です。
  89. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) 地方族。地方族は、みんな議員は、まあその色の濃さ、キャラの濃さ、薄さはあるにしても、みんな地方議員じゃないですか。
  90. 大江康弘

    ○大江康弘君 それじゃ、道路族でないということを認めていただいたということを前提に、ちょっと道路のこと、順序を変えて、今日はちょっと実は幾つかやりたいんですが、ちょっとしゃべり過ぎました、前段階で。  先般、新聞を見ておりましたら、株式会社が、高速三社が怒られたと。要するに国の許可前に契約をしたというんですが、私は元々小泉改革のときに、たかだかですよ、大臣、たかだか国の高速道路の四十兆円、これ当時GDPは五百兆円やった、たかだか国のGDPの一割ない借金で国がしっかりと道路を造り上げていくということをやめるというのはおかしいんじゃないかと。やっぱり国がしっかり関与をして、私は少なくても最低限の幹線道路高速道路は造るべきだという、私はそういう立場でずっと言ってきました。  しかし、残念ながらこういう形になって、小泉改革の検証も十分されないまま、今、民主党政権になった。私は今日、本当は西日本、東日本来ていただきたいんですが、特に中日本、気の毒なのは社長が厳重注意という処分、重くされたというんですね。地元のために何とかという、まあ前の政権がやったことでしょうけれども、そういうところが、大臣、私は何か前の政権がやったから全部駄目だなんというのは、ここが感情が出ているんじゃないかということをさっき申したことになるんですが。  高橋社長、民営化になって、ああうちの会社は民間会社なんだと感じたことありますか。ちょっと簡単に言ってください。
  91. 高橋文雄

    参考人高橋文雄君) お答え申し上げます。  やはり今までと違いまして、まず財務諸表、PLだとかBSだとか、きっちりとそういうものを明確にした上で私どもの会社の健全性というものを皆様にお示ししていくようになっているということと、それからやはり安全、安心、サービスの向上ということで、やっぱりお客さんにいかにその辺を体感し評価していただかなければうちの会社は成り立ち行かないのではないかということを強く考えるようになっておりまして、私どもの会社の経営理念も良い会社を目指したいということでございます。  その辺、意識の上でもお客様に対する対応の考え方にしろ、非常に民間的要素が、そういう意味でいい意味のものが増えていると認識してございます。
  92. 大江康弘

    ○大江康弘君 もうちょっと端的に教えてください。  これ、民間会社で、高速道路で一番民間会社で売りにするというのは何なんですか、社長。
  93. 高橋文雄

    参考人高橋文雄君) やはり二つ大きくあると思っております。安全、安心、それとやっぱりサービスの向上、この二つにあくまで尽きると思いますが、やはり私ども、収入に応じて支出を減らすとか、やはり赤字を出さないようないろんな工夫を併せて行っていると、この辺ではないかと思っております。
  94. 大江康弘

    ○大江康弘君 安全、安心、サービスは分かるんです。しかし、その前の段階で、要するに料金があなた方の一番の、民間会社の売りなんでしょう、これ。違うんですか。料金をどうするかということをあなた方が一番の売りにせにゃいかぬ話なんですよ。  ところが、私は今自民党でこうして会派でおらしていただいていますから感謝もしているんですが、私は、あの千円もおかしい。どうもあれは当時の民主党の勢いの土俵にのった形で千円を言い出したり、休日。それで夜間割引、これはあれですけれども。  三日月政務官、私は、今民主党がやられているこの無料化、要するにもう、本来は場所的な移動というのが道路ですよね。そこに時間的な効用というものが入ることがこれ高速道路なんです。ところが、あなた方はそれをもうゼロにしようというんです。とにかくもう無料にすればいいわけだ。この理屈からいえば、聡明なあなただから、私は、道路のときもあなたは途中まで一緒にやってくれて、大変感謝しているんです。立場は分かるから、本当に私は途中まで一緒にやってくれたことに本当に感謝しているんです。  それで、私はなぜあなたに聞くかというと、そういう民主党の論理からいけば、例えば普通の乗車券で「のぞみ」に乗れるというような論理になっていかないのか。要するに、「のぞみ」に何で乗るか、二時間半、大阪、新大阪。それは早く着きたいからみんな一万幾ら、高いお金を払うわけですね。ところが、あなた方の論理からいけば、もう速さを求める、スピードを求める、時間的な効用を求めることはもう一切駄目なんだと。そういうようなことを言われるんであったら、それじゃもう普通の乗車料金で「のぞみ」に乗ったっていいという話になっていきますよね。簡単にちょっとどうぞ。
  95. 三日月大造

    大臣政務官三日月大造君) それぞれ会社の成り立ちですとかその会社が行うサービス、そのサービスに対して求める料金在り方、それはやっぱりそれぞれの会社によって違うと思いますので、一概に言われることに対して、はい、そうですと言うわけにはいかないなと思いますが。
  96. 大江康弘

    ○大江康弘君 ごめんなさい。私も時間がないからもうぱっぱぱっぱ言っているので、本当はじっくりと申し上げたいんだけれども。  何でこういうことを聞くかというと、私は、あの千円のときに、これ要は機構と民間会社と、高橋社長、おたくの会社なんかとこれ協定をして、手順を言うんですよ、そしてそこから政府へ上げて安くしてもらうんですよね、手順を。そんな手順あったんですか、あの千円のときに。
  97. 高橋文雄

    参考人高橋文雄君) まず、利便増進計画を含む千円上限の割引につきましては、基本的な方針についてはお示しいただいておりますが、その後、収支の計算でありますとか、もちろん、四十五年間で債務をきちっと返済するという大きなスキームの中で私ども料金の設定をしているわけでありますので、実際の運用面も考えながらその辺は調整して申請し、許可をいただいたということでございます。
  98. 大江康弘

    ○大江康弘君 機構に聞きますが、そういうそれじゃ申請をしてという、事前にそういう一つの、例えば当時の自公政権からそういうことであるんだけれどもどうだということはあったんですか。
  99. 田崎忠行

    参考人田崎忠行君) お答えをいたします。  今委員お尋ねの点は、利便増進計画ということだと思いますけれども道路整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律に基づきまして利便増進計画を会社と私ども機構が共同して作成するわけでございますが、先ほど高橋参考人からもございましたように、今年の一月に国土交通省の方から高速道路の有効活用・機能強化の進め方というものが示されまして、これに基づいて両者で協議をし、原案を作成し、国土交通省にお出しをしたというものでございます。
  100. 大江康弘

    ○大江康弘君 手順がしっかりと踏まれたということを理解しました。  それじゃ、今民主党政権が言っておるこの無料化というのは、私はなぜこういうことを聞くかというと、先ほど高橋社長に申し上げたように、民間会社で一番、だから本当に民間会社を感じたことがあるかと言ったら、余りしっかり答弁していただけなかったので残念だったんですが、要するに、そういう一番大事な料金設定を政治家が自分たちで決めたり自分たちの党の公約にしたり、そして勝ったらそれがどんどん通っていってしまうなんていったら、これはもう民間会社じゃないじゃないですか、これ。私は民主党政権になって道路公団に戻ったんかなという、僕は戻した方がいいんですよ、私はもういまだに民間会社なんというのは……。まあしかし、大臣たちが言われるように、これもう無料化にしたら、九千人近い職員が、雇用が大事だと言われているあなた方の政権で雇用がなくなってしまうんですよね。これもう今から考えておいてあげてください、段階的にやられると言うけれども、これ、子育ての世代もありますから。  だから、民間会社だという、自分たちで自主的に買うてきたんだという、それはまあサービスエリアでローソン入れようがそんな話じゃないんですよ。要するに、三社でしっかりとお互いが、これは今、それぞれ民間会社だから料金設定も僕は別でいいと思うんです。いみじくも三日月政務官言っていただいたように、それぞれ特徴があっていいと思うんですけれども、そういうことができないんですね、今の仕組みとしてできないんです。それはやっぱりなぜかといったら、償還主義でずっとやってきましたし、二十五円というこの一律の料金でやっていますから。でも、大臣、四十五年たってもうその会社がなくなるなんという会社は普通民間会社じゃないですよね。何かがあって倒産するとかいう。もう四十五年たったらこの会社なくなるんですよ、これ、今のスキームからいけば。  だから、私はやっぱり今回のこの無料化にしても、これ大臣、本当に機構がそれぞれの会社といろいろ相談されて、あなた方が政権として、国交省としてこういう無料化するからおまえさんたちどうだということの、そういう手順があったのかどうか、それはどうですか。
  101. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) 政権を我々が担わせていただいてから、今、大江委員からお話のありました前政権のETC千円、土日の割引それから深夜割引、こういったものを一つ社会実験として検証させていただいております。そして、先ほど馬淵大臣から答弁がありましたように、来年の四月以降でしかるべき時期から第一段階目の社会実験を行うということで、今どういったところを無料にし、どういったところを割引にし、どういったところは従来どおりの料金をいただくかというような計画を今作成をしているところでございます。  この社会実験をやっている間は我々概算要求で、例えば六千億円というものを出させていただいているということは、これは今の高速道路の株式会社が料金収入を取っておられるわけでありますけれども、その社会実験をやらせていただく上で減収になる部分予算として計上をさせていただいているということでございまして、しばらくはこの社会実験をやっていきたいと思っております、何回かに分けて。ただ、その間は我々が減収部分については補てんをすると、こういうことでございますので、そういう意味での予算要求をさせていただいております。  したがいまして、どういったところを無料にするか、料金を安くするかということも含めて、いわゆる高速道路の株式会社とは入念な相談をしながらこの社会実験というものをやらせていただく、そのための準備を今しているところでございます。
  102. 大江康弘

    ○大江康弘君 これ、機構にお尋ねするんですが、ちょっと方向が違うかなと思うんですが、これ、例えば無料化を言われたときには反対はできるんですか。
  103. 田崎忠行

    参考人田崎忠行君) 私ども機構は高速道路機構法に基づいてお仕事をしておりますけれども高速道路無料化ということにつきましては具体的な御指示をいただいておりませんので、今具体的にお答えは差し控えさせていただきたいと思います。
  104. 大江康弘

    ○大江康弘君 私、そこが大臣、大事だと思うんですよ、本当に。社会実験もいいですよ。だけれども、やっぱり巨額な税金をこれ投入されるわけですから。だけれども、私、あの千円である程度社会実験ができたんじゃないかと、そういうふうに思うんですけれども、それはもう政権を取られた皆さんがやられることですから、もうこれ以上は言いませんけれども。  いずれにしても、前段の話ですが、これからそれじゃ無料化にしていくということになれば、もう速さを求めて多少お金をたくさん払ったって高速に乗りたいんだという、この選択肢というのはもう全くなくなっていくんですね。
  105. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) 地域を決めて、無料にするところ、あるいは値下げをするところ、そして従来どおりの料金をいただくところ、こういったことを社会実験で第一段階でやらせていただくということでございまして、我々の発想は、今ある資源というものを有効に活用する中で、いかに経済的なメリットを生み出していくのかということをしっかり考えていきたいと思いますし、また先ほども、ちょっとこれは地域で申し上げられませんけれども、ある地域の首長さんが来られて、社会実験で自分のところのある区間が無料になるのかどうなのかということを聞かれたわけです。なぜ聞かれたかといいますと、それと並行して走っている在来線、一般道がえらい込んでいるというところで、バイパスを造る計画もあるんだけれども、しかし高速道路が一方であって、これが無料になるんであればバイパスを造る必要はないので、どういった検討になっているのかと聞かれたところもございました。  例えば、そういったところについては新たな投資をしてバイパスを造らなくても既存の高速道路を利用していただければそれなりの投資コストは縮減できるわけでありますので、様々なメリットというのが生まれてくるのではないかと思いますので、ただ、他の交通機関への影響、環境影響評価を含めて、また、実際、大江委員が今心配されています高速道路の会社あるいは保有機構さんとも綿密な相談をさせていただきながら、まずは社会実験をやらせていただこうと思っております。
  106. 大江康弘

    ○大江康弘君 それはじゃそれとして、また元に戻りますが、高速三社がいわゆる大々的に新聞で、しかられたと。これって非常にイメージ悪いんですね。何か前の政権の片棒担いでやっておったからおまえらけしからぬみたいな。  それで、私は、余り説明責任皆さんされないから、あの四車線化も駄目になって、和歌山もこれ駄目になったんですね。やっぱり駄目になった理由は何かといったら、今地元で言われるのは、あれは二階、大江がずっと一生懸命やっておったから駄目にされたんだと、こんなことがまことしやかに言われてずっと通っていく。それはなぜかというと、あなた方がしっかりと検証して説明責任をしないままにそういうことをどんどんどんどん切り捨ててやっていくからなんです。  だから、私に言わせれば、この三つの会社が、これ新聞まで出されて、大変不名誉な話で気の毒なんですけれども、当然、前政権のときに予算が付いて早くしてやらないかぬということは、これはやっぱりまさに民間会社の思いですよ。しかし、それがやっぱり断罪をされるということは、私から見れば、何か最初に事業中止ありきだということがあって、三社ともしかられたのではないか。特に中日本、今日来ていただいたのは、気の毒に、これ厳重注意で一番重い注意処分を受けたということで新聞にも載っていましたが、私は余りそういうやり方というのは大臣、良くない、本当に。  もう少しお互い紳士的に大人になった形の中で、お互い認め合った中でやっぱりやるべきだと思うんですね。どうですか、これ。
  107. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) 二つ大江委員に申し上げたいと思うんですが、今回厳重注意をさせていただいたのは、現政権が決めたことをやったから厳重注意したのではなくて、要は事業許可前に発注したということで、これは法律違反なんです。法律違反をやったから厳重注意したまでで、現政権が決められたことで事業許可をしているものについてはそれはやっていただいて結構なんですけれども事業許可を与える前に発注をされたということで厳重注意をしたということを是非理解をいただきたいと思います。
  108. 大江康弘

    ○大江康弘君 私が、大臣、お互い分かって言っているんですよ。しかし、そこまでのことの話なのかということを私は言っているんです。まあ発注前がどうって、だけれども、もっとその前に説明責任があっていいんじゃないかということを先ほど申し上げましたけれどもね。もう大臣、これ、僕はちょっと時間が、今日はもう一個聞きたいんです。もう道路はこれで、次回にちょっと譲ります。  ちょっと飛行機の話、ハブ空港を言われました。実は関西も、大臣、我々もこれ、関空に当時反対していたんです。何で第一種空港にこれ地方自治体が負担をしなきゃいかぬかと随分県議会でももめたんです。ところが、関西で伊丹もなくなるんだと、それを統合してやっぱり一つの大きな空港ができるんだということだったから、我々は地方分担まで出して、それを我々は協力をしたんですね。元々、あれは伊丹が廃止が前提なんですよ。それを伊丹に七千億近いこれ騒音費も入れて今までやってきて、どういうわけか伊丹はまた残してくれている。  私はやっぱり、そういう一つの需要予測に対しては、今回関空の予算をちょっと、事業の見直しですか、何か切る方向だと言うけれども、私はそれはおかしい。それをするんだったら、まずあの三空港の、あの狭い空域の中でこれ三つも空港ができて、そこをまず私は見直しをすべきであって、その検証も見直しもせずして関空けしからぬなんということは、これは我々にとったら看過できないんです。やっぱり県民の税金を、我々は百四十億近いお金を入れてきて協力をした。まあ大阪もそうだし、神戸も、兵庫もそうだったと思うんですけれども、この前提をどう見ます、大臣
  109. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) これは、大江委員おっしゃるように、歴史的な経過がありますよね。伊丹を閉じて新たな空港をと、それが初めは神戸沖だったというふうに聞いておりますけれども、神戸はそのときに反対をされて泉州沖、長安政務官地元でありますけれども、泉州沖に持っていったと。そうしたら、伊丹は残すわ、反対していた神戸まで自分で造るわということで、三つの空港ができたということであります。  先ほど大江委員が触れられた事業仕分の中で、補給金、これは凍結だという今仕分では話になっていますが、これは大江委員おっしゃるように、あるいは仕分人がおっしゃるように、この三空港の将来どうするのかということの抜本的なやはり方向性をどう示していくのかということは大事なことだと思いますし、その総括とか将来展望がないまま補給金を出すことはまかりならぬとか、あるいは今までの経緯で地方が出してこられたお金どうするんだという御指摘はもっともだと思うんですよ。ですから、我々も早急にこの関西三空港の在り方については検討をさせていただいて一定の結論を得たいと思いますし、そのときにまた、この国土交通委員会でもその関西三空港の在り方についても是非議論いただければ有り難いと思います。
  110. 大江康弘

    ○大江康弘君 だから、そういう前提があってあの需要予測も狂ってきているわけなんですね、関空も、我々何度も行きましたけれども。しかし、いまだに二十四時間といったって二十四時間の運営がされていないんです、あれはもう。本当に約十時間近くもったいない使い方をしているわけなんですね。だから、私は、今検証されると大臣が言われたんだったら、やっぱり検証をしっかりするまでは応援してやってくださいよ、これ。これは僕は国に責任あると思うんです、本当に。ですからやっぱりそこのところはよろしく頼んでおきます。  最後にですが、予算委員会のときに大臣の答弁でちょっとこの、いわゆるもう国にパイが少なくなってきたから外国に求める、僕はそのベクトルは間違いでないと思うんです。まあそれは、願わくば、先ほど脇委員が言われたように、やはり最低限のパイはどれぐらいかということを言ってやらないと、これいつまで下がり続けていくのか、いつまで削られ続けていくのかという。  私はこれ、地域、ゼネコン駄目になって何が一番びびるかといったら、和歌山なんかこれいつ地震が来るか分からない。今までゼネコンに、ゼネコンというか建設業者は非常に役に立ったんです。例えば、災害があって、夜中にでも電話入れたら、みんなユンボ出したり人出して、応急処置をしてくれた。それはやっぱり、仕事もあって、自分たちがお世話になっているからということで、無料でやってくれた。今はもう仕事ないから、そんなこと何で行かないかぬなんてみんな言っているわけですね。ところが、ばかな業者もあるんですよ。ちいと金もうけすりゃ、車を軽四からベンツに乗ったり、それで小さい家だったやつも御殿みたいに家建てて。そんなに公共事業というのはもうかるのかという、やっぱりこのえしみも実はあったんです。だから、やっぱり公共事業というのは、ある意味見直し部分もあるけれども、しかし、少なくとも地域のコミュニティーを建設業というのは支えてきているということ、今も支えているということだけは、これは大臣、頭に入れておいてください。  そこで、海外に求めるですけれども、もう時間がありませんが、私、あのODAというのはおかしいんですね。これだけ日本が一兆円近いODAをして、特にアフリカなんか見ても、まあタイドとアンタイドとありますけれども、私は日本お金を出してこれ中国が取ったり、あるいはフランスの企業が取ったりドイツの企業が取ったりという、こういう現実があって、そういう中で大臣が言われるこの説得性を持たそうと思えば、私はやっぱりODAなんかこれ、日本の企業にやらせればいいんですよ。ところができない。これはやはり私は、大臣がそこまで言及して言われているんだったら、やっぱりこういうことも変えていくということをしていただかないと、そんなに簡単に外国の中で市場へ入っていけませんよ、これ。ここのところどうですか。
  111. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) 大江委員おっしゃるように、円借款についてはアンタイド、そして無償協力、技協などの、技術協力などの無償についてはタイドということで、これは日本企業が取れるけれども円借款についてはなかなか取れないというところで、おっしゃっているのはよく分かる話でございますけれども、ただ、国際的な取決めの中でそうなっている部分もございますし、あとは、例えばこれが新幹線だ、下水の施設だと、こういうような話の中で、企画からどうやってうまくその国と話をしていくかということも大事だと思いますので、そういった意味では、国際的な取決めというものは尊重しながらも、委員がおっしゃるような、海外展開をしていくというんだったらそれなりの政府がサポートすべきだというのはそのとおりだと思いますので、できる範囲の中でしっかりとサポートできるように、そういった取組も研究させていただきたいと考えております。
  112. 椎名一保

    委員長椎名一保君) 時間が参りましたので、簡潔に。
  113. 大江康弘

    ○大江康弘君 もう終わります。  大臣、また道路の話に戻りますが、今日は社長と機構も来ていただいています。しっかり話し合っていただいて、やっぱり少なくとも民間会社だということだけは頭へ入れてあげてください。このことだけ要望しておきます。  終わります。
  114. 椎名一保

    委員長椎名一保君) 両参考人、御苦労さまでございました。
  115. 鰐淵洋子

    ○鰐淵洋子君 公明党の鰐淵洋子でございます。  今日は初めて前原大臣質問ということで、我が党から西田議員とともに、限られた時間でございますが、質問させていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  様々具体的な課題ということで、もう具体的に質問させていただきたいと思いますが、まず住宅政策について伺ってまいりたいと思います。  さきの国会におきまして、高齢者居住安定確保法、これが改正をされまして、今後、大都市圏を中心に六十五歳以上の方の人口が急速に進むということ、また高齢者の単独世帯、また高齢者夫婦のみの世帯、こういった世帯が増えてくるということも予測されますので、今後ますますこの高齢者の居住の確保、安定の確保が大変に重要な課題になってくるかと思います。  この法改正に当たりまして、また先日もいろいろこういった施設、私も視察をさせていただきまして、一つは品川のケアホーム西大井こうほうえんというところなんですが、もう一つは大阪の吹田市の吹田竜ケ池ハウス、こういったところを視察をさせていただきました。これはいずれも高優賃と介護福祉サービスなど一体となった、一体と整備されている、こういった住宅なんですけれども、ここで高齢者の方が自分の住まいにいながら一日二十四時間、三百六十五日安心して生活ができるという、こういったものでございます。  実際にそこで生活をされている方の、高齢者お話を伺って、今は自分のことは取りあえずできるけれども、将来どうなるか分からないので、いざというときにそういった支援が受けられるということも大変に安心だという声とか、あと実際に、百歳近いおばあちゃんが、それまでは老健施設にいたんだけれども、こういった高齢者住宅、この施設と一体となった住宅に移ることによって、寝たきりだったけれども今では自分のことができるように、動けるようになったと。食事も自分で取れる、動けるという。そういった形で、住環境が変化することによってそれぞれの生き方とか生活も大きく変わるということも改めて私も実感をいたしまして、これからいろいろますます高齢化が進む中で、高齢者のこの居住の安定確保、ますます重要になるかと思います。  さきの国会で法改正はいたしましたが、しかしまだまだ課題があるということで、是非とも、一つは、地方自治体におきましてこれから基本計画を策定していくことになるかと思いますが、これをまずしっかりと自治体におかれましても策定をしていただき、環境整備に積極的に取り組んでいけるように国としても支援をしていただきたいと思いますし、もう一つ、やはり地方財政が厳しいということで、更なる財政支援、こういった環境整備をする上で更なる財政支援をしていただきたいと思っております。    〔委員長退席、理事吉田博美君着席〕  今日、日経新聞の方にもその記事が載っておりましたので、具体的に、取り組んでいただけると思うんですけれども、改めてこの高齢者の居住の安定確保ということでどのように取り組んでいかれるのか、お伺いをしたいと思います。
  116. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) 鰐淵議員がこういった問題に積極的に取り組んでいただいていますことを心から敬意を表したいと思います。  極めて大事なテーマであると思っておりますし、この高齢者の居住の安定確保に関する法律をベースに更にこういった取組は進めていかなければならないと、このように思っております。  我が選挙区でも、京都に、元々は医療法人だったんですが、そのそばに住宅を造られて、二十四時間、まさに三百六十五日、今は元気な方が住まわれておりますけれども、何かあったら必ずその契約の中で医療サービスが受けられると、あるいは介護サービスが受けられるというようなところをやっておられるところがありまして、これは非常に私はいい取組をされている、これは委員が視察をされた品川や大阪の例と同じようなものだと思いますけれども、こういったものをしっかりやっぱり増やしていかなきゃいけないというふうに思っております。  その意味で、この法律をベースにしながらも、さらに高齢者向けの賃貸住宅の整備福祉施設や医療施設を併設するものを支援強化していきたいと思っておりまして、今、厚生労働省と国土交通省の共同チームを設置をいたしまして、更にこういった取組を進めていくための努力をしておりますので、更なる御支援をいただければというふうに思っております。
  117. 鰐淵洋子

    ○鰐淵洋子君 ありがとうございました。  是非大臣は御関心を持たれているようですので、またお忙しいと思いますが、品川またこの大阪の施設も御覧になっていただいて、今後、大事な課題ということですのでしっかりと私自身も取り組ませていただきたいと思いますが、いずれもこの施設は社会福祉法人が運営されているということで、今後ますますこういった社会福祉法人の役割は大きくなってくるでしょうし、もちろん民間の方にも頑張っていただきたいということで、いずれにしても、こういった支援が更に進んでいくのであれば、そういったこともしっかりと関係者に周知徹底も併せて今後しっかりとしていただきたいと思いますので、その点もよろしくお願いしたいと思います。  続きまして、同じく住宅政策で、馬淵大臣の方に伺ってまいりたいと思いますが、前原大臣の発言の中にも、今後、内需拡大のためには住宅・不動産市場の活性化が必要ということで、そのような発言がございました。先ほども申し上げましたが、これから六十五歳以上の高齢化人口がますます増えていくということと、また都市部にも増えてくると思うんですけれども、そういった意味で、あともう一つ、やはりこういった経済情勢の中で、これからは新規の住宅というよりもやはり中古の住宅に関心が高まるというか、そこの活性化が期待できるのではないかと、私自身もそのように考えております。  しかし、この中古住宅の現状は、もう言うまでもなく御存じかと思いますが、大変に流通シェアが低いということで、改めてちょっと御紹介させていただきたいと思いますが、日本の場合は全住宅流通に占める中古住宅の流通シェアは一三・一%ということで、アメリカは七七・六%、イギリスは八八・八%ということで、大変に低い現状であります。これは、そもそも住宅に対する考え方が欧米と日本では違うという、そういったこともあるかと思いますが、それ以外にも様々課題がございまして、価格が適当かどうかが判断できない、分からないといった消費者の声もありますし、そのほか物件に隠れた不具合とか欠陥があるんじゃないかという、そういった御心配もあると思います。  また、そのほか、見た目が汚くて自分がここに住むイメージがわかないとか、そういったこともなかなか中古住宅の流通が進まない、シェアが高まらない理由かと思いますけれども、こういった課題もありましたので、我が党としても、この中古住宅の流通シェア、これを更に上げていこうということで、いろいろ具体的に提案をさせていただいております。  例えば、消費者が安心して中古住宅選択して適切なリフォームができるように、リフォーム工事保険などの各種保険制度の創設、そのほかリフォーム融資制度の拡充、また中古住宅の価値を目利きするホームドクター制度、こういったものを創設することによりまして中古住宅の流通シェアを上げていこうということで提唱させていただいているわけでございますが、このように具体的に課題に取り組む中で、更に中古住宅またリフォームの活性化是非とも進めていただきたいと思っておりますが、この点についてまず伺いたいと思います。  あわせて、このリフォームなんですけれども、リフォームにおきましては、躯体、内装、設備、様々工事がございまして、多様性があることが一つの特徴でもあるかと思います。しかし、多様性をしっかりと踏まえた上で、ばらばらに支援をするのではなくて、画一的な支援ではなくて、総合的また柔軟に支援をしていけるような、そういった仕組みが必要ではないかと思っております。そういったいろいろ仕組みをつくる中で中古住宅またリフォーム市場活性化是非とも進めていただきたいと思いますが、この二点につきまして、副大臣の方にお伺いをしたいと思います。
  118. 馬淵澄夫

    ○副大臣馬淵澄夫君) お答えをさせていただきます。  今委員指摘のように、中古住宅の流通量というのは極めて欧米諸外国に比べて低いということでございます。いわゆる住宅産業が内需の大きなすそ野を持っていることはもう言うまでもありませんが、私どもとしましても、この中古住宅の流通というものについては是非、国交省挙げて、内需拡大の政策として、成長分野として取り組んでまいりたいというふうに考えております。    〔理事吉田博美君退席、委員長着席〕  また、その上で、御指摘部分、懸念とされておりますいわゆる品質を見極めることができるのか、あるいは価格の適正性は確かか、また欠陥が発見された場合の対応はどうなのかということが消費者の側からの一番の不安であるということも十分に承知しております。  その上で、私どもとしましては、今回、国民が安心して中古住宅を取得し、リフォーム工事を行えるようにということでの施策といたしまして、既存住宅リフォーム工事の質を確保するためのインスペクション制度、これを充実をさせていきたいと。これに関しましては、今日、瑕疵担保履行法が、これが施行されまして、いわゆる保険会社の保険員の方々、これは建築士の方々がその瑕疵担保履行法の中で検査をされます。こうした方々にインスペクターとしてこれをしっかりと、インスペクションの充実を図っていただくといったことがございます。  また、さらには保険制度の導入ということも、これも当然ながら欠陥やあるいは不具合に対しての市場整備ということで取組を進めさせていただきたいというふうに考えております。  いずれにしましても、この中古住宅の流通というものを内需の中心と据えていくということ、今日までは私ども国交省としましては、税制あるいは融資といった形でしか対応できませんでしたが、消費者の目線に立った形で制度の充実を図りたいというふうに考えております。
  119. 鰐淵洋子

    ○鰐淵洋子君 是非よろしくお願いしたいと思いますが、こういった中古住宅の流通とか、またリフォームの活性化とか、活性化されますと、一方でやはり悪質業者への対応というのもしっかりとやっていただかないと、これまでもそういった問題もありましたけれども、この点に併せてしっかりと力を入れていただきたいと思っております。  消費者の皆さんがトラブルが起こる前に回避できるような仕組みというのも大変に重要になってくるかと思いますので、それも是非併せてしっかりと取り組んでいただきたいと思いますが、その点についていかがでしょうか。
  120. 馬淵澄夫

    ○副大臣馬淵澄夫君) やはり、私も地元でもよくお聞きするんですが、どこの業者が安心できるんだろうということ、リフォームとなれば様々、中小も含めた工務店の方々が取り組んでおられます。その意味で、このリフォーム工事を安定してゆだねられるようなという意味での情報開示、相談体制の強化というものが非常に重要だというふうに考えております。  これは当然ながら、事前のということで、私どもとしましては、見積り内容あるいは価格に対するアドバイザーといった形も今後整備をしてまいりたいというふうに思っておりますし、またさらには事後の対応といたしまして、悪質な業者に対するその事案については公表してまいる。あるいは、裁判となりますと大変これは時間も掛かります。一般の方々、消費者がなかなか裁判という方法を取るということは難しゅうございますので、二十二年度からは裁判外の紛争処理、ADRのこの制度を行ってまいりたいというふうに考えております。  現時点におきましては、弁護士会に設置をしていただきました指定紛争処理機関、これを用いて裁判外での紛争処理制度、速やかな実現という形で消費者のニーズに対応していくというその体制を整えてまいりたいというふうに考えております。
  121. 鰐淵洋子

    ○鰐淵洋子君 ありがとうございました。  是非、消費者の立場に立った対応ということで、後半の部分質問に対しても取組をお願いしたいと思います。  ちょっと時間も限られておりますので、次に移らせていただきたいと思いますが、前原大臣の方に航空政策について伺ってまいりたいと思います。  大臣の発言の中にも、航空政策として、オープンスカイの推進、また羽田空港二十四時間国際拠点空港化、またそして成田空港の更なる容量拡大に取り組みつつ、両空港の一体活用などを推進ということで、このように述べておられます。  この点、私も是非進めていただきたいと高く評価しておりまして、そういう思いでおりますけれども、それと併せてこのJALの再建問題についても触れられておりますけれども、これはちょっと時間がないので一言申し上げておきたいと思いますが、このJALの再建問題につきましては、やはりただ単にこのJALの一社の救済対策ということではなくて、今後、日本の航空業界全体の発展につながるようなやはり対応でないといけないと思っておりますので、そういった観点でしっかりと取り組んでいただきたいということと、やはりこれから国際競争がますます激しくなる中で、航空業界がしっかりとその競争を勝ち抜いていける、そういった環境づくりも併せてしっかりとやっていただくことも重要かと思っております。  もう一つは、やはり利用者の立場に立った、料金のことも含めてそういった対応も重要になってくるかと思いますが、そういった環境整備を進めていく上で一つ是非提案というか私の持論なんですけれども、今後の環境整備といたしまして航空燃料税、これについてしっかりと検討していただきたい。もう、ちょっと言い過ぎかもしれませんが、撤廃してもいいんじゃないかと、私はそのように思っております。  この航燃税は空港整備に使われるということで、空港整備についてはほぼ一巡していると認識しておりまして、その必要性もなくなってきているんではないかなと思っております。諸外国におきましても、もう御存じのとおりこの航燃税はアメリカと幾つか、カナダとかということで、アメリカはもう二十分の一ぐらいの程度と伺っておりますけれども、いずれにしてもこれから国際競争力を付けていかなければいけない、そういった環境づくり。あと、利用者の立場に立ったというところで、一つの取組としてこの航燃税の在り方、私はもう、せめて低減、撤廃でもいいんじゃないかと思っているんですが、そのように考えておりまして、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
  122. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) 航燃税をどうするかどうかということも含めての話として委員の御質問お答えをしたいと思いますけれども、今、我々政務三役で空港整備勘定の見直しを行っております。その方向性は、恐らく委員の問題意識と方向性は全く一緒なんだろうというふうに思うんです。  今までいわゆる空港整備特会あるいは整備勘定というものがあり、結果的に九十八、今一つ廃止になりましたので九十七の空港ができてきたということになりますけれども、この空港整備というのは一巡したと思うんですね。もうこれで基本的に新しいものを造るという時代ではもはやなくなってきたというふうに思っております。  したがって、この仕組みは、じゃ、どう変えていくのかといったところで、一つの方向性は空港使用料、これの見直しというものに生かしていかなきゃいけないというふうに思っておりまして、その中には今おっしゃったような入りの部分での航燃税というのもあるわけでありますし、まあ、この航燃税を引き下げるかどうかという問題は若干横に置かせていただいたといたしましても、高い着陸料、例えば先ほどJALの話を委員触れられましたけれども、JAL一社だけでも年間一千億円以上の着陸料を払っているということでありまして、そういう意味においては、こういった空港整備勘定の見直しの中での空港使用料をどうこれから考えていくかということは、委員のおっしゃったような方向性も含めて整備勘定の見直しの中で検討させていただきたいと考えております。
  123. 鰐淵洋子

    ○鰐淵洋子君 大臣の方から、空港整備勘定の見直しということで今お話しいただきました。着陸料の話もいただきまして、またあわせて航行援助施設利用料、そういったものもあるということで、こういったことも含めて大きく是非見直しをということで、私も是非そのようにお願いしたいと思っておりますが。  その中で、これもちょっと具体的に伺っていきたいと思いますけれども、やはり利用者の方への説明責任を果たしていくという上でもこの空港整備勘定につきましてはしっかりと徹底した見直しが必要になってくるかと思いますが、まずは個別空港の収支を明確にして財務情報の透明性を図ることが必要ではないかと思っております。  今年七月に空港別収支が公表されておりますけれども、これを見ただけでは果たして、何というんでしょう、詳細が正直分からないもので、効率性とか投資の妥当性がどうなのかという判断ができないなと正直思いました。そういった意味でももっと空港別の収支を明確にしていただくということと、その上でこの財務情報の透明化を図っていただきたいということを申し上げておきたいと思います。その上で、やはり自らの収入に見合った整備、運営を実施していただいて、このサービスや効率性に対する評価も行っていただく、そして費用削減、効率化ということで是非とも進めていただきたいと思っております。  それと併せまして、これももう言うまでもなく取り組んでいただけると思いますが、航空関係の公益法人の見直し、これもしっかりとやらなければいけない課題になってくるかと思いますが、この個別空港の収支の在り方、またそれと含めまして公益法人の見直し、また航空業界全体にかかわるこういった空港整備在り方についてしっかりと見直しをしていただきたいと思っておりますが、この点につきましてどのように具体的に取り組まれるのか、お伺いをしたいと思います。
  124. 長安豊

    大臣政務官(長安豊君) 今お話のございました空港別の収支、これはやはり、今まで空港整備特別会計の中で、プール制という中で空港が整備されてまいりました。そういう中で、各空港がどのような収支になっているのかというのは、この空整特会というものを見直す中では当然重要な情報だと考えております。  今委員指摘がございましたように、八月十二日に国土交通省といたしましてもこの試算結果を公表いたしました。  簡単に申し上げますと、四つのパターンで報告をさせていただきました。共通経費の部分、一般会計からお金が入っている部分、これは純粋の一般財源部分と今お話のございました航燃税の部分、それからさらには、その共通経費の部分をどういう割り振りをするのか、あるいはそれを割り振らないのかというようなタイプを、四つにパターンを作りまして報告をさせていただいたわけでございます。  今後、継続して当然こういった数字というのは公表していかなければならないと思っておりますし、さらには今委員が御指摘ございましたように、どうしたら分かりやすい指標になるのかということも含めまして検討してまいりたいと考えております。  公益法人も併せて御質問いただきました。  現在、空港整備勘定の中から公益法人への支出というものに関しては基本的には一般競争入札で行われております。基本的には公益法人には競争入札であります。しかしながら、一方で競争入札とはいいながら、民間企業とのコンフリクトというものは当然発生するわけであります。民間企業の、民業圧迫ということがないようにこれはしなければならないという視点もあるのも事実です。  いずれにいたしましても、公益法人をゼロベースで見直すというのが我々国土交通省政務三役の考えでありますので、それに取り組んでまいりたいと考えております。
  125. 鰐淵洋子

    ○鰐淵洋子君 参議院の決算委員会に私も所属しておりますので、またその場でもしっかりと私自身議論させていただきたいと思いますので、そのときはよろしくお願いしたいと思います。  最後に、高速道路無料化につきまして伺ってまいりたいと思います。これは、本委員会でも、また昨日も衆議院の方でも様々議論されているところですけれども、改めて率直な疑問というか質問ということで、大臣に伺ってまいりたいと思います。  まず、高速道路原則無料化ということで、これは先ほどもお話ございましたが、利用者が料金を払う受益者負担の原則が大きく崩れるのではないかと思っておりまして、一・三兆円の借金返済と六千億の管理費、これで二兆円近い財政負担が新たに生まれるものであると思っております。  これは、例えば車を持てない人、高速道路を使わない人を含めて国民全体で負担していくことになりますので、先ほどもお話ありましたが、新幹線で旅行する人とか、そういった方の特急料金税金で補てんする、そういったことになるのではないかと、受益者負担の妥当性に欠ける政策ではないかと、そのように思っております。  大臣も今回の発言の中で、この無料化につきましては家計を直接応援するというそういった意味合いもあるとおっしゃっておりますけれども、実際には国民に新たな負担を押し付けるというか、そういった政策になるのではないかと思っておりまして、大臣のおっしゃっていることと実際逆進的な政策というか、そのようになるのではないかと思っておりますが、それについて御見解をお伺いしたいと思います。
  126. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) 我々、社会実験を通じて段階的に原則無料化というものを実現していきたいというふうに思っているわけでありますが、そのことによって、今委員も触れていただきましたように、物流コスト、運搬コストというものが下がることによって、すべからく多くの国民に対する利益にそれがつながってくるんではないかと、またそれが内需拡大効果経済へのプラス面の効果にもなってくるのではないかと、こういう面も我々あると確信をしております。  そういう面も含めての原則無料化、そしてその前提としての社会実験を行っていくということで御理解をいただければと思っております。
  127. 鰐淵洋子

    ○鰐淵洋子君 これも衆議院、また今日も話題になった点で、やはり国民皆さんのこの政策に対する支持は大変に低いというか、ほかのものに比べても低いということで、やはりこれは国民皆さんもよく分かっていらっしゃる。先ほども分かりやすい説明がありましたが、新幹線を使うのに、早く着くために、また、新幹線はその分長時間乗りますので、いすというか、いすの造りもちゃんと長時間に耐えられるようないすになっていますし、その分お金を払って使うという、そういった受益者負担ということになると思うんですが、それが崩れるということはやはり国民皆さんも一番分かっていらっしゃるからこういった判断になっているのではないかと思っております。  その点が一つやはり理解できないというか、点でありまして、この点はまた伺っていきたいと思っておりますけれども、その上でもう一つ、この国民皆さんのそういった思いもあると思いますし、これも先ほどから議論されておりますが、他の交通機関への影響、これも大変に大きいものがあると思いまして、私自身もいろいろ、バス、トラック、貨物ですね、フェリーと鉄道、こういった様々な業界の方から御意見を伺いました。  昨日も衆議院の方で高木議員からも具体的にお話があったかと思いますが、改めて別の点で御紹介をしたいと思いますけれども、鉄道におきましては、これはJR旅客六社になりますけれども高速道路の千円引下げによりまして年間二百五十億円の減収が見込まれているということで、もしこれが原則無料化が実施されることになりますと、JR旅客六社全体で約七百五十億円の減収になるだろうと、このような試算も出されております。  また、フェリーは高速道路が千円になった時点でもう大変に被害が出ているということで、これもいろんな支援はしてきているんですけれども、それでも大変に厳しい状況ということで、これも今年以降、昨年に比べて二〇%から五〇%、旅客と自動車輸送実績が減っているという、そういったお話もございまして、既に四社五航路で休廃止が決まっていると、そのようなお話もありました。  これは、離島の方とか、日本は島国ですので、移動する際にやはり海の道でもありますので、大変に休廃止されるということも、その地域皆さんの生活にもかかわりますし、またトラック業界の方もおっしゃっていたんですが、トラックの方がやはりフェリーで移動する、この移動時間が大変に休憩の時間になって大事なんだと。なので、フェリーが休廃止するということは自分たちの業界にも、雇用情勢にも影響するぐらい大事なことなんだという、そういったお話もございまして、いずれにしても、この無料化によりまして他の交通機関、大変に大きな影響を受ける、それはもう大臣の下にも声が届いているかと思いますけれども、この影響、やはりこれから実験をして、また検証して、支援も含めて検討するということなんですが、やはりさっき大臣もおっしゃっていただいたように、既に千円に引き下げた部分でメリットもありました。一時的な経済効果もあったんですけれども、やはり影の部分もあって、これだけ大きな影響が出ていると。これがなおさら無料化になったらこれだけ大変なことになる、現場の方のこういった声があるわけなんですが、この声をまずどう受け止められて、これはもう先ほど支援を考えるということだったんですが、これは後から考えるでは遅い話だと思うんですけれども、この点について大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  128. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) 主要マニフェスト施策の中でも、今委員がおっしゃったように、現段階においては余り人気のない政策一つ高速道路無料化であるということはよく存じております。  ただ、なぜこの国民理解というものが、人気がいま一つなのかということを考えたときに、どういった形で無料化が行われるのかという全体像がなかなか見えてこないし、また今委員がるるおっしゃったような、他の交通機関への影響というものに対してどのような配慮をしていくのかといったことも見えない、こういった将来の不安といいますか、見えない部分での否定的な意見が多いのではないかと、そういう認識を持っております。  例えば、先ほどおっしゃったことで、ちょっと言葉じりをとらえて申し上げるようでそこは申し訳ないんですが、例えば、昔フェリーってもっとあったと思うんですよ。しかし、高速道路ができたことによって廃業を余儀なくされたフェリー業界っていっぱいあると思うんですよね。特に、本四の間では三本も本四架橋ができたということで、相当程度の廃業された内航海運業があると私は思うんです。  それはそれとして、しかし、この無料化をするに当たってそれらの影響をどう考えるかということでありますけれども、自公政権がやられたETC千円土日割引、そして深夜割引というもので一つ実験になりまして、経済的なプラスもあったけれども、様々なマイナス面ももう実証されている面もあるわけですね。  ですから、こういった社会実験としての結果を我々も踏まえながら、他の交通機関への影響ができるだけないような形での社会実験をやらせていただく、あるいは、どうしても影響が出るところについてはそれに対する配慮というものも考えていくということで、徐々に徐々に社会実験をやっていけば国民理解も大きくなっていくんではないかと思いますし、何よりも、社会実験を始める前には、先ほど高速道路の社長さんも来られておりましたけれども、いろんな心配をされている業界団体、馬淵大臣を中心に今、事前にヒアリングをさせていただき、あるいは社会実験の設計図がある程度固まった段階でそういった方々にも事前に御相談をするということで、できるだけ配慮はしてまいりたいと考えております。
  129. 鰐淵洋子

    ○鰐淵洋子君 ありがとうございました。  大臣の方からフェリーの話もございましたけれども、やはりこれから少子高齢化人口減少、また環境の面での配慮ということで、フェリーもそうですし、鉄道もそうですし、航空も含めて、先ほども話題になりました全体のこれから日本交通政策をどうしていくのか、そういったものがしっかりとある中での議論高速道路無料化というなら分かるんですけれどもお話によると、これからそれもつくっていくということを伺っておりますけれども、順番的にはやはりそっちが先じゃないかなと。  総合的な交通政策日本としてこれからどうしていくのか、人口減少、環境、こういったことも含めた上でやっていくべきことであると思いますので、その上で、本当にこの高速道路無料化地域社会また経済活性化につながるのかどうか、また、公費投入するにもかかわらず民業圧迫につながるんじゃないかとか、そういった懸念もあるわけですので、順番が違うのではないかなと、マニフェストありきというのが出ているんじゃないかなと思うんですけれども
  130. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) 社会実験段階を踏んでやってまいりますし、今すぐ全面的に無料化をするということではございません。  その経緯の中で、我々が野党のときに社民党さんと共同で提案をした交通基本法というものがございます。これを今、辻元大臣中心に閣法として提出をすべく議論を始めているところでございますので、委員の御懸念は私はごもっともだと思いますので、そこができるだけオーバーラップするように努力をしてまいりたいと考えております。
  131. 鰐淵洋子

    ○鰐淵洋子君 時間になりましたので以上で終わりたいと思いますが、いずれにしても、重要な課題山積しておりますので、また是非こういった機会をいただければと思います。  以上でございます。
  132. 西田実仁

    ○西田実仁君 引き続き、公明党の西田実仁でございます。よろしくお願い申し上げます。  まず、私、伝統的な構法ということにつきまして御質問をさせていただきたいと思います。これにつきましては、もう国会で三回目の質問であります。  国産材を使った伝統構法というのは、私は、日本地域発の再生ということに大変に大きなインパクトのあるキーワードであると、こういうふうに思っております。たまたま先日、大臣地元の京都にも参りまして随分ポスターを拝見させていただきましたけれども、京の町家のたたずまいというのは大変に人々に安らぎを与えるものであるというふうに思っております。  この伝統構法は、林業の活性化はもちろんでございますけれども、地場産業の振興、あるいは地域文化の育成、さらには環境、あるいは観光資源の開発、様々この地域発の日本再生を成し遂げるポテンシャリティーを持った構法であると、こういうふうに私は思っております。しかしながら、日本の戦後の建築基準法ができていく過程で、この伝統構法というのがどうも隅に追いやられてきてしまっているというふうに懸念をしております。  その証左の一つとして、建築統計年報という年報がございますけれども、そこにはこの伝統構法を含む在来工法がどう規定されているのかといいますと、工法を三つに年報は分けております。一つはプレハブ工法、そしてもう一つはツーバイフォーと言われる枠組み壁工法、そして在来工法という、この三種類に統計が分けられているんですね。  この在来工法というのは、日本の古来の伝統構法も含んでいるものです。しかしながら、どうそこに規定されているかというと、プレハブ工法、枠組み壁工法以外の工法となっているんですよ。つまり、その他扱いになっていると。日本がずっと伝えてきたにもかかわらず、その他になっているというのでいかに、戦後の建築基準法ができて、そして建築行政においてこの伝統構法というのが位置付けが下げられているのかということを表して余りあるんではないかというふうに思うわけであります。  まず、今日大臣にお聞きしたいのは、報道によりますと、次期通常国会で建築基準法の改正というのを出されるというふうにも聞いております。そこでは、期間の短縮とか書類の簡素化とか厳罰というのが柱とされているというふうに報道されておりますけれども、この伝統構法については今、これから、あるいは今現在検討されている改正建築基準法の中でどう位置付けようとされているのか。  私自身、やっぱり、まず第一条の目的のところに伝統構法というものをきちんと位置付けていくというふうに抜本的に変えていかなければこの伝統構法をめぐる戦後の建築行政というのは変わらないんではないかと、こういう問題意識を持っておりますけれども大臣から御見解を聞きたいと思います。
  133. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) 西田委員の御質問というのは、京都生まれの京都育ちの私からすると非常に響く、心に響く御発言でありまして、そういったことを今まで一生懸命に国会で取り組んでこられた委員に心から敬意を表したいと思います。  実は、世界遺産の中で唯一、木造建築で金具が一切使われていないものというのが京都にございます。これは何かというと、清水寺なんですね。いわゆる清水の舞台というのが、これ世界遺産に登録されていますけれども、全く木だけでできていると。つまりは、そういった、議員が一生懸命に取り組んでおられる伝統構法のぜいを尽くして造られたものであります。  建築基準法の見直し、私指示しております。来年の法改正になるのか、まずは運用の見直しになるのかは別にいたしまして、私が指示をしているものは三つ、これは今委員が触れていただきましたけれども、書類の簡素化、そして承認期間の短縮化、そして問題を起こした方への厳罰化というこの三つでございますけれども、私はこの伝統構法を建築基準法にというのは非常に傾聴に値をする大事なポイントだというふうに思っておりまして、今ヒアリングをする中で、一部そういった御意見も寄せられているところでございます。  こういった伝統構法を活用するというのは、林業や木材産業、大工さん、工務店、そういった業界への発展に寄与するのみならず、まさに日本の伝統文化を継承していく上でも大変重要だと思っておりますので、委員が取り組んでこられた視点というものも建築基準法の見直しの中の一つとして是非検討させていただきたいと、このように思っております。
  134. 西田実仁

    ○西田実仁君 今まさに京都のお話をしていただきましたけれども、実際にそれだけ重要な伝統構法なんですけれども、まだ今、法にきちんと規定がされていないがために、現実にはなかなか建築確認が通っていないという現状があるわけです。特に足下フリーの伝統構法につきましては、現実的に建てにくくなってしまっていると。姉歯事件以降とりわけそうなっていると。  現実に、今ピアチェックでこの伝統構法、足下フリーの建築確認、年間どのぐらい確認申請通っているでしょうか。お分かりになれば教えていただきたい。
  135. 馬淵澄夫

    ○副大臣馬淵澄夫君) 済みません、年間の確認検査数ということでのお尋ねでございますが、ちょっと今手元の方で細かい数字ございません。
  136. 西田実仁

    ○西田実仁君 じゃいいです。済みません。  多分数棟だと思うんですね。現実なかなか建てにくくなっていると。  そこで、今三年計画で、税金を投じて設計法作りというのが行っております。平成二十三年度から運用を始めるということでございますが、ここは足下フリーかどうかというのが実は伝統構法とまた在来工法とを分ける一つの大きな、それだけじゃもちろんないと思いますけれども、大きな論点だと思います。この足下フリーの石場建て、これは実験を行うんでしょうか。新たな設計法作りにこの石場建ての実験は行うんでしょうか。
  137. 馬淵澄夫

    ○副大臣馬淵澄夫君) 今委員が御指摘部分というのは、伝統構法、石場建てについてどのような形で現在の基準法にのっとる形での設計方法を定めていくかということの検討についてのお尋ねだということで理解しております。  今おっしゃった実大震動実験につきましては、現在、伝統的構法木造住宅の設計法開発という部会におきまして実大震動実験を行っておりますが、これが今日までにおきまして十件という件数でございまして、この件数は私どもとしては決して多くはない件数だというふうに承知しております。したがいまして、こうした実大震動実験も踏まえて、この石場建て構法も含めて、現行の基準法にどのような形でのっとるようこの伝統構法というものを守っていくか、あるいはこうした設計法を確立するかということについては喫緊の課題だというふうに承知しております。
  138. 西田実仁

    ○西田実仁君 E—ディフェンスで石場建ての実験を行うんですか、行わないんですか。
  139. 馬淵澄夫

    ○副大臣馬淵澄夫君) 平成十九年以降、先ほど申し上げたように、実績が十件、大阪で九件、大分で一件ということでございまして、決して多い数ではないと思っております。その意味では、このE—ディフェンス、これはもちろん計画の中で今後決めていかなければなりませんが、この実証実験というものは行わねばならないということを、その認識を持っております。
  140. 西田実仁

    ○西田実仁君 是非、政治主導ということですので、今週月曜日にこの委員会が、親委員会ありましたね。そこで私がお聞きしているのでは、来年度が最終年度なんですよ、この実験の。そこで行うのは二つあると、少なくとも以下の二棟を予定していると。この二棟は簡易設計法と詳細設計法それぞれやるんですけれども、いずれも足下フリーじゃないんですよ、足下緊結なんです、やらないんですよ。やるんですか。
  141. 馬淵澄夫

    ○副大臣馬淵澄夫君) 各委員皆さん方承知かどうかあれです、私の方で存じ上げませんが、この石場建て構法というのは、本来ならば建物であればアンカー等基礎というものを中心に地盤に固結させる、これを今委員の方で緊結というふうにおっしゃいました。石場建てというのは、従来、いわゆる石の上に木造の軸石、軸柱を立てるということで、耐震上の中で言えば、これは縦震動であれば当然、固結しておりませんので、離れると。すなわち、地震力からは分断されるということで、従来の耐震設計の概念から離れております。これを実証試験において確認をしていくということが重要であるということで、今申し上げたようなこの研究部会が設置されたわけであります。  ただ、これに関しましては、私としても今日、委員にお伝えをしたいなと思っておりましたのは、極めてこの設計法開発のための委員会についてはしっかりと見直す必要があると思っております。と申しますのは、今日まで検討しておりました実証試験も十分ではないと思っております。さらには、この伝統構法に対する認識、本当に中立的な発想でこの委員会が行われているかということについては十分検証が必要だと思っております。  実は、十月十日にこのシンポジウムがございました。これは、伝統構法木造住宅の構造計画・構造設計というシンポジウムがございまして、そこにも出席もさせていただいて、いろいろとお話も聞かせていただいているというところの中で、今現在この委員会を構成するメンバーの中で、やはり少し問題があるかなと私が感じておりますのは、例えば委員からシンポジウムにおいて、ツーバイフォーであれメーカー仕様の在来工法であれプレハブであれ、絶対に伝統構法より耐震的であると、このように発言もありました。また、さらには、建築基準法をクリアしたとして、建築基準法の想定を超える地震があった場合、隣、これは在来工法ですね、これは倒壊しないが、おたくの家、これ伝統構法ですね、これは基準法ぎりぎりで、倒壊しかねない、死ぬかもしれませんよと施主に説明する必要があるというような発言もございまして、やはりこうした委員会が本来ならば中立的に、学術的に検証されなければならない。  若干、私自身は、新たにこの任を拝命いたしまして、伝統構法の確認という意味においては中立的なバランスを持って検証を行う必要があるのではないかというふうに思っております。その意味で、今日、委員の御指摘でもございましたので、改めて伝統構法というものは非常に重要であるということ、大臣の御指摘もございました、御指示もございますので、改めて見直してまいりたいというふうに思っております。
  142. 西田実仁

    ○西田実仁君 まさに、この石場建てを認めない関東版マニュアルというのがありますけれども、そのメンバーの方々が今のこの実証実験のほとんどのメンバーなんですよ。余り、ちょっと偏っていると。どっちがいいか、しっかりと実験、実証する必要がもちろんあるわけですから、これはメンバーの改編も含めてきちっと伝統構法の設計法作りというものを進めてもらいたいというふうに思うわけであります。
  143. 馬淵澄夫

    ○副大臣馬淵澄夫君) 一点だけ。  今委員指摘のマニュアルの件でございますが、いわゆる関東、関西と、西のマニュアル、東のマニュアルと呼ばれるものでございます。これが大きく設計法の思想そのものから違うということで、今委員の御指摘のようなことも十分に承知しております。  しかしながら、私どもとしましても、かつての震災の経験を踏まえて、やはり人命を失うような、脆性破壊を起こすような状況というものは、これは避けなければならないと。その意味におきまして、真摯な検証、これは本当に学術的にバランスの取れた検証というものが必要だということ、これは重ねて申し上げたいというふうに思っております。
  144. 西田実仁

    ○西田実仁君 もちろん、それが大事です。この設計法作りをしても、マニュアル、ガイドラインを作る、それでもあぶれるところがあってエキスパートジャッジをやると、こういうことも聞いております。しかし、この伝統構法というのは、まさにその土地にある木材を使って、その土地の気候に合った建築設計をするということでありますので、多種多様です。なかなかこれをマニュアルとかガイドラインだけで一律に規定しようとすると、現実にはその経済性の面からも建てられなくなってしまうという問題があると思うんですね。そうしますと、やはり多彩な伝統構法を一番知っている現場の人は大工とかあるいは建築士の方々、こうした方々に任せていくという方法がやはり大事ではないかというふうに思います。  それには大工の認定制度というのがございまして、建築大工技能士というのがあるわけであります。こういう仕組みをもっと、認定制度をきちんと整備をしていって、現場で、現場のその土地のことを一番よく知っている、そして責任がありますので、はっきり言って大企業で何か倒産してなくなっちゃうとかそういうのではなくて、地域で根差している大工さん、業者の方々、工務店の方々ですから、信用がなくなることが一番問題なわけですね。そういう方々に任せていくような、大工の裁量に任せていくというのも私は一法ではないかと思っているんです。  しかし、この建築大工技能士というのは、そもそも建築基準法には何にも位置付けられていないんですよ。資格だけは厚生労働省の方で何か認定していますけれども、全く位置付けられていないと。これでは、建築基準法が大工、棟梁という職能とか技能士の技能に対して意味を見出していないということを言っていることと同じになってしまうわけであります。こうしたこの大工の認定制度の整備ということについて、大臣、どのようなお考えでしょうか。
  145. 馬淵澄夫

    ○副大臣馬淵澄夫君) まさに大工、まさに職人の方々が、木の材質の特性、それこそ、その地域におけば、どの山のどの木がどのような材質でかつて造ったことがあるかといったことまで大工さんは、もうこの家を建てるならばこの山のこの木というようなところまで特定をされる方もいらっしゃるというふうに承知しております。その意味で、この伝統構法に基づくこうした知見というものを何らかの形で規定をさせていただくということは重要だと思っております。  しかし一方で、かつて耐震偽装事件以降、基準法の改正の中で、資格を定めることがやたらに混乱を、むやみに混乱を招くことにつながらないかということの現場からの御意見もちょうだいしております。その意味で、先ほど大臣からお話もございましたように、この基準法の改正というものは、今着工件数も極めて低下している住宅産業を今後発展させていくためには重要であるという位置付けの中、運用の見直し等含めまして、今後検討していく課題だというふうに認識しております。  今御指摘部分につきましても、どのような形で、やたらに、むやみに資格を作りながら、そして一方で、その運用、認定というものがまた一方の利権になりはしないかということも踏まえて検討させていただきたいというふうに思っております。
  146. 西田実仁

    ○西田実仁君 とにかくこの検討委員会税金を投じてお金もかなり掛かっています。E—ディフェンスという大掛かりな実験を使っているわけでありまして、先ほど来申し上げているような、その委員会がやや偏ったメンバーによって、そもそもこの実験は設計法に役立たなければやらないという方針があるんですよ。そうすると、そもそも石場建てなんという設計法は作る気がない人たちが集まっていれば実験すら行われないんですよ、もう。そもそもそれを基に設計法はできないという前提であればやらないということになるんです。現実に、来年度の予算の案として、この足下フリーのものは今のところ除外されていると。これは案ですから、これから是非政治主導で変えてもらいたいというふうに思います。
  147. 馬淵澄夫

    ○副大臣馬淵澄夫君) この伝統構法木造住宅設計法開発のこの委員会につきましては、先ほど申し上げたようにしっかりと見直しをさせていただくことをお約束いたします。
  148. 西田実仁

    ○西田実仁君 全然話題違います。今度は車の話なんですけれども、車の安全、安心ということで、自動車修理というのは大変大事であります。中でも、この事故損傷車両の修理が適正に行われるかどうかが車の安全ということを守っていくことになります。  通常、自動車保険の支払対象となります事故によって、その自動車が、車体整備というのがありますけれども、車体整備事業者にゆだねられた場合、その修理の内容と代金については、損保会社と車体整備事業者の間で交渉され協定なされることになっております。交渉はアジャスターと呼ばれる資格を有する者が行います。このアジャスターという資格は損保協会が認定しております。また、損保会社の子会社の社員が行っている場合もあります。このアジャスターが損保会社に代わって協定を行い、修理に要する作業時間と工賃の単価を決めているわけであります。  この作業時間の算定をだれが行っているかというと、実は株式会社自研センターというところが行っています。この株式会社自研センターはだれがつくったかというと、損保会社がつくっています。つまり、この自研センターは損保が出資をして設立した会社でありますので、損保会社がつくったに等しい作業指数を用いて損保会社の子会社の社員たるアジャスターが修理の内容と代金を車体整備事業者との間で協定していると、こういう関係になるわけであります。  作業指数が決まりますと、つまり作業時間でありますけれども、それ掛ける単価というのが決まってまいります。その単価、工賃単価、レーバーレートと申し上げますけれども、これは過去は各県ごとに損保協会と車体協会の協議で決定されておりました。しかし、平成六年、公取委からの指摘もありまして、個別交渉によっているということであります。  この修理の現場、すなわち修理工場ですけれども、ここで不満がたまっています。その多くは、今申し上げました作業指数が修理作業の実態に即していない、指数に示される時間内では作業ができないと、そういう場合に車体整備事業者の負担、つまりサービスの仕事になってしまう、お金がもらえないと。車体整備事業者は、指数が足りないからといって途中で修理をやめるわけにはまいりません。この安心、安全の責任は修理代を受け取る修理業者がすべて負っていると。言い換えれば、指数の示すとおりの作業では修理後の車の安全を担保できないということが多々あると。これは大変にゆゆしきことではないかというふうに私は思います。お客様の高い修理精度のニーズにこたえようとする修理業者と、損害額を少しでも減額したい損保会社との間にトラブルが生じやすいことは容易に想像できるわけでございます。  実際、この指数対応単価につきましては、個別の業者と損保会社との間で個別に話し合われるとされるものの、そもそも損保会社から提示される単価の算定方式というのは示されていません。また、会社の規模からいっても、物すごい零細な企業と損保会社という大きな会社、この大きな損保会社から一方的に押し付けられているという声も上がっている。特急料金というものは認められない。あるいは、作業指数、指数対応単価以外で修理代金を算定すると、仕事回ってこなくなってしまう、元請ディーラーに圧力を掛けて仕事を回さないようにすると、こういうことが実は決して少なくないというふうに思います。  こうした現状を国交省又は金融庁、それぞれどういう認識をされているのか。また、その実態をきちんと調べていくべきであるというふうに私は思いますけれども、それぞれお答えいただきたいと思います。
  149. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) 今委員が御指摘をされましたように、こういった事案については損保会社と車体整備事業者との間に個々の契約の下に行われているというふうに承知をしております。したがいまして、個別の契約について国土交通省が関与する立場にはないと考えておりますけれども、しかし、一般論としまして、そのような実態で安全上の問題が生じるとするならばそれは看過できない問題でございまして、少し実態を金融庁とも協力して調べさせていただく中で、また委員にもその結果をお知らせをさせていただきたいと、このように考えております。
  150. 田村謙治

    大臣政務官(田村謙治君) 今委員の方から詳しく御説明いただきましたように、いわゆる指数、標準作業時間というものを株式会社自研センターが策定をしているわけでありますけれども、それはあくまで一つの目安であって、結局個々に損保会社と自動車修理業者が協議をして決めているということでありますので、現時点においては民間当事者間で適切に行われているんじゃないかというふうに考えています。
  151. 西田実仁

    ○西田実仁君 金融庁、田村政務官ですか、何か適切に行われているとか今言っていましたけれども、国交省さんの方では大臣が今調査をすると言われたわけですよ。これ、一方で国交省だけが調べても、金融庁との、損保会社との関係ですから、国交省が損保会社を調べるわけにいかないわけですから、実態調査していただけませんか。
  152. 田村謙治

    大臣政務官(田村謙治君) 国交省さんと連携をしながら対応させていただきたいと思います。
  153. 西田実仁

    ○西田実仁君 今、私かなり細かく説明しましたけれども理解いただいていますよね。個別の交渉なんですよ、それはもちろん。個別の交渉だけど問題が起きているんじゃないかと私は申し上げているわけですよ。それを大臣は御理解いただいて、そういうふうに実態を調べると言ってくださったんですよ。どうですか。
  154. 田村謙治

    大臣政務官(田村謙治君) ですから、繰り返しになりますけれども、国交省さんとしっかりと連携をしながら対応をさせていただきたいと考えています。
  155. 西田実仁

    ○西田実仁君 これはやっぱり問題があるのは、例えばヨーロッパなどでは損保会社が出資をした会社が作業指数を決めているんではなくて、第三者がやはり、一番大事なのは車に乗っている人の安全が保たれるということなんですよ。損保会社が一方的に悪いとは申しませんし、また車体整備の人が一方的に何か善であるとも申し上げません。それを利用している車の安全、安心というものをどう守るのかということに懸かってくるわけでありまして、ヨーロッパなどでは、こうした自研センターは損保会社の子会社ではなくて、第三者の機関によって指数とか労働単価というのは決められていくわけなんですね。ですから、私はこういうお客様というか車のユーザーの、保険金を払っているのはユーザーですから、そこからお金が出ていくわけですからね。その公平かつ適正な保険金をお客様が受け取られるように仕組みを考えなきゃいけないと私は思うんですね。  作業指数の算定根拠そのものも、以前は前提条件分かったんですけれども、今は企業秘密だということで何も教えてもらえないんですよ。ですから、実際に修理している人がこれだけ時間掛かるよと言っても、そんなわけがないとかいうことで、結局さっき申し上げたサービスの仕事になってしまって、ひいてはこれが安全、安心ということを侵すことになりかねないと、こういうふうに私は思うわけでありまして、この作業指数とか指数対応単価を含めた自動車保険のシステムを、これは金融庁の所管している損保会社と国交省の修理工場、車体整備事業者の人たち、ここで是非実態調査した上で、どうすればそのお客様の、ユーザーの安全、安心ということがしっかり担保できるのかというような話合いをきちんとして公平な仕組みにしていかなきゃいけないんじゃないかというふうに思いますが、あと最後、お二人にお聞きして終わりたいと思います。
  156. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) るる委員から御指摘をいただきました。先ほど申し上げましたように、基本的には個々の契約の下について行われているということでございますけれども、一般論として安全上の問題が生じないように適切に行われるのが大切であり、もしそういうものが生じるとすればそれはゆゆしき事態でございますので、ちょっと時間をいただいて実態調査をさせていただきたいと、このように考えております。
  157. 田村謙治

    大臣政務官(田村謙治君) 委員の問題意識は十分に認識をさせていただきましたので、監督をする立場でございますけれども、まさにいろんな意味で適切な保険金をしっかりと支払う、そういう体制を損保会社が取るように監督をするとともに、先ほども申し上げましたけれども、国交省さんとも連携をしてしっかり対応してまいりたいと考えています。
  158. 西田実仁

    ○西田実仁君 終わります。
  159. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 社民党の渕上貞雄でございます。  新政権が発足をして二か月余りになりました。こちらから見ていまして、本当にまじめに元気に頑張っておるなという思いでございます。これからもひとつしっかり交通行政発展のために頑張っていただきたい。張り切り過ぎて健康を害しないように、ひとつ十分頑張っていただきたいと思います。  まず、交通基本法についてお伺いをいたします。  二十一世紀は本格的な高齢化社会の到来と地球環境問題への対応が大きな課題となっておりまして、新たなやはり考え方に立脚した人と地球に優しい総合交通体系の確立が求められていると思います。そこで、交通に関する基本理念を明確にして交通政策全体について総合的な考え方を示していくためにも交通基本法の法制化を是非やりたいと考えまして、社民党としても民主党と共同で過去二回ほど議員提案をさせていただきました。そういう経過がございます。  今回、国交省の中に交通基本法検討委員会が発足をして、去る十一日に第一回の検討委員会が開催されたことは心から歓迎をしたいと思っております。是非ともより良い法律作りに向けて検討を進め、できるだけ早く実現してほしいと思います。あわせて、単に法律を作るだけでなく、総合的な交通ビジョンや、今の運輸行政の棚卸しを一回やるような気持ちも含めて抜本的なやはり改革が必要ではないかというふうに思いますし、深くひとつ検討していただきたいと思います。  そこで、交通基本法制定に向けての決意をお願いを申し上げます。お伺いいたします。
  160. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) 今、渕上先生からお話がありました交通基本法案というものを、先生も中心に御尽力をされ、社民党さん、そして我々民主党で二度にわたって提出をさせていただきましたけれども、残念ながら今のところ成案を得るには至っておりません。  しかし、先ほど委員が御指摘がありましたように、高齢化が進んでいく中で高齢者の方々の移動手段としての公共交通の確保、あるいは環境問題等を考えた場合に、公共交通機関というのは極めて重要なものでございまして、それをしっかりと基本法案として位置付けるということは大事なことだというふうに思っております。  また、先ほど委員がお触れをされましたように、様々な事業者から話を伺う中で、例えば私なんかが思いますのは、今まで、ある分野では行き過ぎた規制緩和等もあったんではないかと、こういう思いも持っているわけでございまして、そういう意味では、様々な事業者からお話を伺う中であるべき交通の基本的な考え方をまとめて法律にすべきということは大事だと思いますので、辻元大臣を中心としてしっかりと成案を得て、できればすべての政党会派で御協力をいただくようなものに仕上げていきたいと、このように考えております。
  161. 辻元清美

    ○副大臣辻元清美君) 私が、今大臣の指示の下、交通基本法作りを進めております。進行は約半年ほどかけまして、いろんな関係者の皆様、各業界の皆様だけではなく、例えば障害者団体の皆さんやそれから環境問題に取り組んでいらっしゃる皆さんなど、様々な方の御意見を取り入れて半年ぐらいでまとめて進んでまいりたいというように思っております。  交通憲法のようなものを想定しておりまして、フランスでは一九八二年に既にフランス国内交通基本法というものを作っております。今エコロジーへの配慮、それからバリアフリーへの配慮、アンケートを取りますと、将来年取ったら歩いて暮らしていける、そんなまちづくりと交通体系が欲しいというような話もございまして、今までの公共交通にプラス自転車も一つ大きな交通手段として日本の中でもっと活発に利用できるような視点であったり、エココンパクト・バリアフリーシティー、まちづくりとセットで考えてまいりたいと思っております。  委員各位も様々な御意見をまた賜りたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  162. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 期待しておりますので、頑張ってください。  次に、地方バスへの支援についてお尋ねをいたします。  交通基本法の制定を検討され、人々の移動の権利を考えるならば、移動の手段、生活の足の確保は重要な課題です。国民の生活が第一の立場からも、人、村、環境に優しい公共交通にかかわる予算については優先的に確保すべきだと考えます。高速千円割引の影響地域のバスや鉄道、フェリーなどにも出ている中での地方バス路線維持補助金は、地域における生活路線維持に支障を来すことのないように、しっかりとどうかひとつ所要の額を確保すべきであると考えます。また、地方バス、地方鉄道等の生活交通の再生、活性化等が図られるよう地域公共交通活性化・再生総合事業についてもその拡充を図るべきだと考えます。  それらについて、事業仕分の対象にもなっておりまして大変厳しい状況でありますが、所要額の確保に向けてどのような見解をお持ちなのか、質問いたします。
  163. 辻元清美

    ○副大臣辻元清美君) 運輸関係は私の担務ですので、答弁させていただきます。  結論は、今地域の足としてバス路線、特に過疎地域などでは非常に重要な役割を果たしておりますので、予算を守ってまいりたいと考えております。コンクリートから人へと言われておりますけれども、これは人の部分予算でございますので、私どもとしては頑張ってまいりたいと思うんです。実際に、今地方バス路線維持対策、これには補助を出しております。そしてさらに、交通空白地域というところにつきましては、地域公共交通活性化・再生総合事業ということで、非常に交通空白地域だけれども三年間補助をさせていただいて、そして地域皆さんに力を付けていただいて独自にバスなどを活用したコミュニティーづくりを進めていただくというその二つ、力を入れております。  これは国交省だけで進めているのではなくて、それぞれの地域皆さんと一緒に協議会をつくって、どこにどんなものが必要かということを十分検討しながら進めておりますので、この予算はしっかり守っていきたいと考えております。
  164. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 大変な状況でございますけれども、どうかひとつしっかり頑張っていただきたいと思います。  次に、高速道路無料化問題について多くの議員質問をしておりましたけれども、改めて四つの問題についてお伺いをいたします。  まず、〇九年三月二十八日の土曜日から実施をされておりますETC利用における平日の全車両の割引や、土日、祭日の普通車終日の五割引き、上限千円などの交通料金割引が始まっておりまして既に半年がたっているわけでございますが、国交省として、バス、鉄道、フェリーへの影響についてどのように状況を把握しているのか、お尋ねをいたします。また、どのような対策を講じるつもりなのか、お伺いをいたします。  次に、高速道路無料化によって地域経済活性化を目指すのであるとしても、マイカー利用を後押しする偏った政策によって、マイカーを持たない人たちの移動の権利や九〇年度比の二五%のCO2削減目標との整合性はやはり明らかにすべきだと考えます。段階的実施であるとか複数のプランがあるとか言われておりますけれども、どのような手順と方法で進めていかれるのか、明らかにしていただきたいと思います。  次に、千円割引の経験から、今後高速無料化を実施をした場合、移動手段としてマイカーシフト増加は避けられないと思いますし、鉄道やバス、フェリーなどが競争上非常に不利な条件に置かれます。結果として、収入減、減便、撤退ということが想像されるわけでございます。そうすると、これまで確立をしてきました高速バスやフェリーの低廉かつ利便性が失われると同時に、内部補助で維持をしてきた生活路線の廃止もやはりちらほらマスコミ等でも明らかになってきておりますし、そうなりかねないと思うのです。  無料化を実施したときに影響を受ける公共交通事業者への支援策や、影響を受ける料金徴収所の人たちの雇用の問題、対策等についてどのようにお考えなのか、お示し願いたい。  次に、九月の世論調査の結果、国民の六、七割が、利用者だけが得をして不公平、それから渋滞も増える、CO2削減に逆行などの無料化に対する反対の意見というものが集約されておるようであります。地球温暖化対策それから財源対策、モーダルシフト、総合交通政策との整合性、地域生活交通への影響地域雇用等の観点を始め、いろいろな課題があるわけでございますので、実施に当たってはやはり国民の声をしっかり聞く場を設けるべきではないか。  影響効果、懸念される諸課題についてしっかり検証し、対策を講じることが必要でありまして、慎重に対応するよう求めておきたいと思いますが、その見解はいかがでございましょうか。
  165. 馬淵澄夫

    ○副大臣馬淵澄夫君) ありがとうございます。  五問の質問をいただきました。まず、高速道路無料化の施策に対しましては大変な御関心とまた御心配、御懸念もいただいたということで、そのことについては真摯に受け止めさせていただきたいというふうに思います。  最初の御質問にありました現行の利便増進事業高速道路割引につきまして、バス、鉄道、フェリー等公共交通機関への影響についてというお尋ねでございました。  御案内のように、昨年のリーマン・ショック以来の景気低迷ということも踏まえまして、対前年比でいいますと、これはもう各所で発表されておりますが、鉄道であれば、これはお盆について、例えばJR全体八%減、本四フェリー旅客二二%減、高速バスは一一%減といった状況報道にも上がっております、また発表もされております。  しかしながら、こうした公共交通機関の輸送量の減少というものにつきましては、景気後退あるいは新型インフルエンザの影響どもございまして、この利便増進事業影響がどのような形で具体的にあったのかということについてはしっかりと分析を行わねばならないということで、できる限り客観的なデータに基づいた検証を行っておるところでございます。  現在におきましては、もちろんその中でも、現状において土日、特に休日の千円上限ということで、高速バス、トラックなどが渋滞ということで、一部路線では運行に影響を与えているということも承知しております。  私どもとしましては、まずフェリーについて、現行におきまして、運航の効率化、あるいは利用促進に資する取組の支援ということを行っておりまして、また地方公共団体におきましても港湾使用料の軽減等の支援を行っているところでございます。その他の公共交通機関、先ほども申し上げていますように、客観的なデータに基づいた形で影響をしっかりと把握をした上で、関係会社あるいは団体の方々との協議をさせていただく上で、来年の社会実験のその予算の枠組みの中にも措置をしてまいりたいというふうに考えております。  そして、二問目でございますが、移動の権利ということのお尋ねでございました。CO2削減目標との整合性を明らかにしつつ実施すべきだということで御指摘いただきました。  この交通弱者に対する当然ながら配慮というものは、公共交通機関に対する措置ということが重要であるというふうに理解をしております。CO2の削減に関しては、これは私どもがその交通量のデータというものが一義的に国土交通省道路局の方で把握ができますので、こうしたデータを政権全体の中での二五%削減というところ、対策本部、こちらの方にも提出をさせていただきまして、政府全体の中で評価をしていただくように進める手順等を考えております。  当然、様々な議論があるかと思います。先ほど来申し上げているように、誘発交通量、これをどのように考えるのか。現時点においては確立されたモデルはございません。しかしながら、現行千円割引というものの中で得られる知見をもって想定すべきことというものも併せながら、このCO2発生量に関しましては、削減目標との整合性が得られるような社会実験路線の選定というものを考えてまいりたいというふうに思っております。  三つ目のお尋ねでございました、実際に実施した際に公共交通事業者への支援策、どのようにお考えかということでございますが、これは、先ほど来申し上げていますように、まずは影響の評価というものをしっかりと行ってまいりたい。実際に無料化を今実施しているわけではございませんので、あくまで千円割引から推計されるものということでありますが、少なくとも蓋然性の高いその状況というものをしっかりと踏まえた上で私どもとしては計画を立て、それを皆様方の御理解を得つつ措置をさせていただきたいというふうに思っております。  そして次に、雇用についてということで、これ料金所の収受員の皆さん方の雇用についてのお尋ねがございました。  現在、もうお帰りになられましたが、NEXCO三社の料金収受員の方々約一万五千人、これは平成二十一年の九月一日現在でございますが、いらっしゃいます。こうした方々の雇用ということについては当然ながら十分配慮しなければならないことを承知しておりまして、まずは社会実験でございます。これは無料化の実施段階ではございませんので、恒久措置ではないということから、当然ながらその間の雇用というものについては、私ども道路会社のその在り方も含めてこれは現行の状態ということを承知しております。その上で、恒久的な施策実施の段階におきましては雇用に最大限の配慮ということを、これも皆様方としっかりと議論の上で御提示をさせていただきたいというふうに思います。  最後にお尋ねがございました、世論調査の中でも様々な御意見、もうこれはとりわけ反対論が多いんだという中で、そうした声にどのように向き合うのかということでございました。  国民の声をしっかり聞く場を設けるべきであるという先生の御指摘でもございますが、私どもといたしましても、関係する機関のみならず、まずは国民の代表たる皆様方のこの国会の場にてしっかりと議論をさせていただく、さらにはパブリックな場面でのコメントを求める、また様々な形で発信を行うということで御理解をいただく。そのような十分な丁寧な配慮が必要だということも承知していることを併せましてお答えとさせていただきます。  以上でございます。
  166. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 最後の質問になりますけれども、海上保安庁関係についてお尋ねをいたします。  まず、海上保安庁の老朽、旧式化した巡視船艇、航空機等の緊急整備の進捗状況についてどうなっているのか。次に、老朽、旧式化した巡視船艇、航空機等の緊急整備を引き続き進めることが大切であろうと思います。その一方で、海賊対策を始め遠方海域、重大事案への対応体制の強化も必要であると考えます。  海賊取締りは、第一義的にはやはり海上保安庁の責務であることをやはり重く受け止めて、社民党としても「しきしま」級の新規の艦船の整備に着手するよう強く求めるものでございますが、決意のほどをお伺いをして、質問を終わります。
  167. 辻元清美

    ○副大臣辻元清美君) 海上保安庁も私の担務でございますので、お答えをいたします。  海上保安庁の様々な巡視船艇、航空機等、古くなっているものもたくさんあります。それで、中型そして小型から随時リニューアルしていくというように進めているんですけれども、まだまだその進捗状況は進んでおりません。そして、特に大型船になりますと三十五隻、それから航空機十四機の早期切替えというのが必要なんですけれども、これも滞っておりますので、今回もしっかり予算を付けて、海洋国家です、ですから進めてまいりたいと思っています。  皆さん御記憶に新しいところでは、つい先日、八丈島沖で漁船が遭難しまして、三名の方が生きておられました、生存されておりました。あれも、九十時間掛けて海上保安庁が非常に広い海域で悪天候の中捜索をいたしまして三名を、ほかの方は本当に残念だったんですけれども、救助をいたしました。  そういう意味では、海上保安庁といたしましては船艇等のリニューアルに更に力を入れてまいりたいと思っております。  そして、最後のお尋ねの「しきしま」です。これは一番大きな船なんですけれども、この「しきしま」は海賊対策やその他不審船等にも十分対応できる船なんですけれども、一隻しかございません。これがもう一隻あれば、この日本も四方八方海域に囲まれておりますし、海賊の問題も世界級になってきておりますので、日本としても万全を備えてまいりたいと思いますので、私どもといたしましては建造できるように努力していきたいと思っております。
  168. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 終わります。
  169. 椎名一保

    委員長椎名一保君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時二分散会