○谷畑孝君
自由民主党の谷畑孝でございます。
私は、
自由民主党・
改革クラブを
代表して、ただいま
議題となりました
議院運営委員長松本剛明君解任決議案につき、その
提案理由を御
説明いたします。(
拍手)
その前に、一言申し上げたいと
思います。
過日の衆議院
議員選挙、熱くて長い、私ども
与党にとりましても、
自由民主党にとりましても、本当に、逆風といいましょうか、厳しい
選挙でございました。とりわけ、私は、奇跡の復活にてここに立たせていただき、大変感慨深い
思いでございます。
また、このたびの
選挙は……(
発言する者あり)ちょっと静かにしてください。また、このたびの
選挙は、
平成維新とも呼ぶべき大変な大変革の
選挙であった、このように思うわけでございます。このことは、
国民が
国会議員全員に突きつけたものであり、危機的な
状況を打破し、希望を持てる国づくりを託したものではないでしょうか。
与野党を超えてこの日本の社会の閉塞感を打破していく、こういう
国民の願いが今回の
選挙の結果ではないか、このように思っているわけでございます。
だからこそ、
与野党を超えてこの
国会を大事にしなければならないと
思います。まさしく、
平成維新を本当のものにするためには、仕分けだけが
政治じゃありません。この
国会でしっかりと、
与野党を超えてこの国をどうするかという
議論をしていく、私は、これが非常に大事なことであると
思います。
まさしく、
国会は
野党のものです。また、
国民の声なき声を聞く場所である、私はこのように思っているわけであります。どうか、
鳩山総理は、行
政府の
責任者でありますから、
国民の声なき声をしっかりと受けとめていくためにも活発な
国会をリードしていただきたい、このように
思います。
また、小沢
民主党幹事長の
提案によって、
党首討論ということで
国会が活性化するシステムをつくったわけですから、この
国会でぜひ
党首討論をすべきだ、私はこう
思います。
この十八日に
党首討論が予定されておりましたけれども、まさしく
与党は逃げたままで、
党首討論をやろうとしない。こんなばかげたことは許せない、私はこのように思うわけであります。
国民の
皆さんからすれば、
鳩山総理を含めて、
小沢幹事長の
政治資金疑惑隠しのために逃げておるのか、このように
国民の
皆さんは言っているわけでございます。
それでは、これから、まず案文を朗読して、
議院
運営委員長松本剛明君を
解任する。
右決議の
理由を申し上げてまいりたいと
思います。
解任の第一の
理由として、松本剛明君のその強権的な
委員会運営を挙げます。
議院
運営委員長は、
議会運営全般に対する
責任者であり、中立公正にその
職務を全うしなければなりません。
今
臨時国会は、
政権交代後、
与野党が初めて
議論相まみえる
国会であり、
国民は、
鳩山内閣がどのような政策を進めていくのか、どのような手法で
国会運営を行うのか、多大な関心を寄せているところであります。
他方、昨年の
金融危機以来の
経済の低迷もなお続いており、それに対する施策も必要とされておりました。まして、
鳩山内閣は自公
政権時代の
平成二十一年度補正予算の執行見直しを行っており、その
経済政策に関して注目が集められておる
国会であります。
今
国会の最
重要法案の一つが、
中小企業金融円滑化法案であります。
同
法案は、
中小企業の
資金繰りや
住宅ローンの
負担軽減に関する法律であり、
国民生活に多大な
影響を与える
法案であります。
GDPなどは
回復基調にあるとの発表がされましたが、
中小企業などがその
回復を実感するにはほど遠く、依然として、年末の
資金繰り不安などがささやかれておる厳しい
状況にあると言わざるを得ません。そのような
状況で
提出された
金融関連の
法案であれば、その
審議をめぐっては、慎重の上にも慎重な取り扱いが必要なことは明らかであります。
我々
自由民主党も、
中小企業や
住宅ローンの
借り手を支援する
思いは共有しており、
国会審議を通じてよりよい
法案づくりをしていこうといろいろな
提案をしてきたところでございます。
また、その被害が拡大の一途をたどるインフルエンザへの対応に関するインフルエンザ予防接種健康被害救済
法案も、
国民の関心が非常に高く、注目
法案の一つであります。
インフルエンザワクチンをめぐっては、その副作用に対する補償や接種者
負担のあり方、接種の回数など、いろいろな
議論が行われており、
政府の
方針が二転三転したことで、いたずらに
国民の不安をあおってしまいました。
しかし、松本剛明君は、去る十一月十六日の
議院運営委員会において、
法案成立という果実のみを求める
与党と結託をして、
採決により、これら二件の
議案の本
会議趣旨説明を決めるという暴挙に出ました。
この強引な
委員会運営は、今
国会冒頭に
委員長本人が述べた公正
運営という
所信とはほど遠いものであり、
国権の
最高機関である
国会の
権威を大きく損なわせるものと言わざるを得ません。
議会に籍を置く者として、多数を
背景とした強権的な
委員会運営は断固として許すことができません。これらの
行為は、まさしく、
民主党が
野党時代に念仏のように唱え、非難してきた理不尽な
行為そのものではないでしょうか。
与野党の
立場を超えた
合意形成づくりという
努力を怠り、ひたすら効率性のみを追い求めるだけでは
議会制民主主義を破壊するばかりであることを、この場ではっきりと申し上げたいと
思います。
解任の第二の
理由は、松本君は、
委員長としての
公平性、
公正性に欠けるということであります。
そもそも、今
国会は大変短い
会期の中で始まりました。十月二十六日からの
会期の間、
国会がいわゆる不正常な状態に陥ったことはなく、各
委員会で
議論を深めようと円滑な協議を進めていたところでありました。我が
自由民主党は、か
つての
民主党のごとく何でも
反対の理念なき
野党ではなく、国家に対する
責任感を失わない建設的
野党として、いたずらに
日程闘争に明け暮れることはいたしませんでした。
しかしながら、
与野党協力して円満な協議をしていたにもかかわらず、
与党は十一月十六日の
議院運営委員会を境に、突如として、数を
背景とした強引な
運営を始めました。
去る十一月十二日に行われた
与党国会対策委員長の
会談で、
臨時国会に
提出された
法案を
会期内で成立させるという
方針を確認したという
報道がありました。事実であるとするならば、
法案の
趣旨説明も、ましてや各
委員会での大臣
所信に対する
質疑も行われず、
法案を
審議する環境が整っていない
状況で、なぜ、
野党の声に耳を傾けようとせずに早急な
方針を出すことができるのでしょうか。
政府・
与党には、
重要法案を真摯に
議論するという
考えはないのでしょうか。
重ねて申し上げますが、議院
運営委員長は、
国権の
最高機関である
国会にあり、あくまで中立公正に
委員会の
運営を行い、
議長とともに
国会の
権威を守るのがその
職務であります。今回のように、
与党の一方的な
言い分に従って
委員会運営を行うだけであれば、数の力のみが言論の府を支配することになり、
議会の
運営をつかさどる
委員長職の
権威は大きく失墜してしまい、ひいては
議会制民主主義の破壊にもつながります。
そもそも、ここまで強引な手法を使ってでも極めて短い
会期ですべての
法案を成立させようという
国会運営の裏には、何らかのねらいがあるのではないかという疑いを持たざるを得ません。
予算委員会の
質疑を通じて、我が党は、
鳩山総理の
政治資金問題について厳しい追及をいたしました。
総理の
政治資金問題は、今
国会で始まったわけではなく、
選挙前から数多く
報道されてきました。それにもかかわらず、一度
記者会見を開いたのみで、その後は、地検の
捜査への
影響を
理由に、
国民、
国会への
説明を怠ってきたのは、ほかならぬ
鳩山総理であります。
国民が
鳩山総理の
説明に納得していないことは
世論調査などで明白であり、我が党は、事あるごとに
国会の場での
説明を求めてまいりました。しかし、まことに残念ながら、
総理や
民主党からは、いまだ明確な回答は得られないままであります。
さらに、今
国会会期中には、新たに、六年間で五億円もの
所得隠し疑惑が発覚しました。行政のトップであり、この国のリーダーである
総理の
政治資金に
疑惑が持たれているわけですから、むしろ、積極的に
国会の場にお出ましいただき、
国民に対し開かれた形で御
説明されるのが、
責任ある
政治家として当然の務めであると存じます。
十一月三十日までで
臨時国会は閉じる。十一月十八日に開催することで調整されていた
党首討論は中止。これらの出来事が意味することは、
自分たちの通したい
法案のみを成立させ、
総理の
政治資金問題を追及されぬよう
国会を早々に閉じるという、御都合主義の
国会運営そのものであります。まさに、
鳩山疑惑隠しの
国会運営と言わざるを得ません。
また、本日の新聞には、
民主党の
小沢幹事長に関する収支報告書の新たなる不記載
疑惑や、法律が禁じている
秘書からの寄附強要に関する証言が
報道されています。事実とすれば重大な問題であり、
民主党議員の
政治と金に対するずさんな対応に
国民は
政治不信を募らせてしまうのではないかと大いに危惧をしている次第であります。
顧みれば、
連立与党は、その発足当初より
国会を軽視してまいりました。
特別
国会は院の構成のみで閉じてしまい、長らく、論戦の舞台となる
臨時国会を召集しようとしませんでした。
鳩山総理は、
我が国の
国会において
所信の表明もしないまま、米国における国連総会や
金融サミットの場において温室効果ガス削減などの重要な政策を独断で提言し、立法府や行
政府のみならず、政財界を驚天動地に陥れました。
自由民主党、公明党、みんなの党は、新しく発足した連立政権がその方向性を
国民の前に速やかに提示すべきであると
考え、
鳩山総理に対する
臨時国会召集
要求書を衆議院
議長あてに
提出をし、また、官邸にも強く申し入れました。しかし、
内閣の反応は鈍く、内外に喫緊の課題が多くあることを認識しておきながら、
国会の召集は十月の二十六日にまでずれ込んだのであります。
内閣発足から実に四十日もの放置期間、何という無
責任と怠惰でありましょうか。
ようやく
臨時国会が召集されれば、
鳩山総理は、五十分の長きにわたる
所信表明
演説で美辞麗句を並べ立て、
マニフェストに掲げた政策を訴えられました。
政党や
政治家が掲げる政策とは、その
背景にある理念や哲学が明確でなければ有権者の理解は得られません。そして、
国民に
約束した政策が、身勝手な
理由からぶれたり、なし崩しでほごにされたりしたとき、
国民の
期待はたやすく幻滅へと変わるものであります。
例えば、
民主党が掲げる脱官僚であります。
か
つて、
民主党は、日本銀行総裁の同意
人事に関し、候補者が官僚
OBで元
財務事務次官であることから
反対し、
我が国の
金融の司令塔たる総裁ポストが一時不在となるような異常事態を招きました。
民主党は、
マニフェストに
天下り、わたりの全面禁止を盛り込み、
内閣発足後にこれを正式に決定いたしました。
ところが、一たん政権の座についてみると、日本郵政の
人事に関して、元大蔵事務次官である齋藤次郎氏を社長として
起用し、副社長にも複数の官僚
OBを充てるという驚きの
人事を実行いたしました。このことは、
国民に大きな失望感を生み、各種
報道も厳しい批判を突きつけました。大蔵次官だったのは十年以上も前の話といった陳腐な
説明が、どれほどむなしく響いていることでしょうか。
また、さきの
人事院
人事官に関する同意
人事でも、
内閣は脱官僚とはほど遠い江利川毅氏を候補者として挙げてこられました。人選の
理由につき、
鳩山総理は、
人事院そのものの存廃が必要なくらいの
人事院改革、公務員制度改革をしないといけない、中を知っている人が一人くらいいた方が大胆な改革ができると述べています。
しかしながら、候補者は、事務次官を二度歴任し、行政実務にはすぐれていても、公務員制度全般にわたる高い専門性を持っているわけではなく、また労使の協議に必要な
民間勤務の経験もほとんどなく、
内閣が
説明する人選の
理由と実情に大きな乖離が見られたのであります。
さらには、
議院運営委員会において
内閣から提示された
天下りとかわたりの
定義は、驚くべきずさんなものでした。
公務員が、法令に違反することなく、
府省庁によるあっせんを受けずに、再就職先の地位や
職務内容等に照らし、
適材適所の再就職をすることは、
天下りには該当しない。
めちゃくちゃなことを申したわけであります。全く、
天下りが幾らでもできる、特に大臣、政務官等を含めては、あっせんであればいいんだ、このようなことにもなったわけでございます。抜け穴をつくりかねない重大な欠陥を認める
政府見解であったわけであります。
鳩山内閣は、その
方針において一貫性を欠いており、人材活用の手法を変更したと表明するとともに、改めて
人事選定の判定基準を明確に提示すべきであります。
外交や安保政策においても、
鳩山内閣は迷走を続けております。
特に、米軍普天間飛行場に関する
総理の
発言及び関係
閣僚の
発言は、くるくると猫の目のように変わり、内外から大きな非難が浴びせられているところであります。
総理就任前には、基本的には県外、できれば国外と思っていると述べ、先月中旬には、来年は名護市長選と沖縄県知事選がある、知事選までということになると時間がかかるので、その中間ぐらいで
結論が必要と述べ、その翌週には、別に名護市長選の後でと言っているつもりはないと変わり、
予算委員会においては、日米
合意を無視して
結論を出すつもりはないと述べ、日米首脳
会談後の会見では、できるだけ早く解決すると申し上げた、前政権の日米
合意は重く受けとめていると述べたにもかかわらず、その翌日には、オバマ大統領とすれば日米
合意を前提と思っていただろうが、それが前提なら作業グループをつくる必要がないとの信じられない
発言をされています。
さらに、
発言のぶれは続き、日米
合意は重視するが、
合意のもとにすべてを決める話であれば
議論する必要はない、また、日米
合意を重く受けとめている、しかし
選挙では前政権と同じではない政策を掲げるとも語っています。
結局のところ、
鳩山総理は、日米
合意を無視しないのか、あるいは前提としないのか、はたまた重視するのか、全く理解に苦しむところであります。
先月末のウォールストリート・ジャーナルでは、
鳩山総理につき、
国民受けをねらう歌舞伎ショーとの社説が掲げられました。これほどまでに豹変するのは、
総理、やはりあなたが君子である証拠なのでしょうか。
また、国際的に評価の高い海上自衛隊によるインド洋上の給油活動をなぜ中止しようとするのでしょうか。中東に原油輸入の大半を頼る
我が国にとって、これ以上に重要な海上交通路はありません。テロとの闘いが続いている中、給油活動にかわる具体的な貢献策も示さないまま撤収することでは、得られる国益は何一つないのであります。
経済政策においては、みずからが掲げた目玉政策実現を優先する余り、成長戦略を欠いたばらまきが過ぎて、
鳩山不況に陥らないかと
心配の声が上がっています。
我が国の
経済がようやく
回復に向かっている中で、補正予算の凍結や来年度予算の仕分け作業は、不況で疲弊した地方
経済などに致命的な打撃となりかねません。
概算
要求には、
マニフェストに盛り込んだ巨額の財源が必要となる政策が並んでいますが、財源がほかの予算の削減であれば、政策の効果は相殺されてしまいます。来年度の国債発行額を四十四兆円以下にするのも不可能と言わざるを得ないでしょう。
当然のことながら、有権者はすべての政権公約に賛成しているわけではなく、行き過ぎた政策変更が混乱をもたらすのではないかと不安を感じる
国民の心情が最近の
鳩山内閣の支持率低下の原因となっていることは明白であります。不要不急の政権公約よりも、ここは、
経済の本格的
回復に向けた成長戦略を描くべきなのであります。
そもそも、本日、
臨時国会がこのような事態を迎えているのは、すべて
連立与党の
責任であります。
遅く召集し、十二件の閣法、三件の条約、二件の承認
案件を
提出し、わずか三十六日間の
会期で十分な
与野党論戦の時間が持てるのか、私
たちは、当初から疑問を呈し、重ね重ね
与党側に確認をしてまいりました。
あらかじめ外交
日程や宮中行事があると知っているにもかかわらず、短い
会期を議決し、みずからを窮地に追い込んだのは
民主党を筆頭とする
連立与党であり、自分が決めてしまった判断ミスによるしわ寄せに対し、一方的な議事の強行という形で帳じりを合わせようとする傲慢な
政治的姿勢は、断固として容認できません。
この間、松本剛明君は、議院
運営委員長として主体的な判断をされることなく、ただ
与党の
国会軽視の
方針に従うのみでした。多数を
背景に少数会派の
意見を封殺する松本君に
国会の
権威を守ろうとする気概は乏しく、
国会全体の
責任を負う議院
運営委員長としてその
職務を遂行するのは不適当であり、我々は速やかにその職を辞するべきであると
考えます。
以上の
理由から、ここに、議院
運営委員長松本剛明君の
解任を強く求めるものであります。良識ある
議員各位の御賛同を心からお願いし、
提案理由の
説明といたします。
長らくの御清聴、ありがとうございました。(
拍手)
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