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阿部委員 社会民主党・市民連合の
阿部知子です。
本日は、先週に引き続きまして、
国民にとっても大変大きな関心事であります
現下の
新型インフルエンザにかかわりますさまざまな厚生
労働行政に関しまして、補充的な質問の場、そして、それのみならず、先ほどの松浪
委員のように御遺骨のことまで取り上げていただいて、幅広い厚生
労働行政の抱える課題についての
質疑の場が持たれたということを、まず冒頭、与野党の筆頭を初め
委員長に厚くお礼を申し上げます。
そして、その中で、実は、本日は与党にいただきましたお時間三十分、そのすべてを民主党の皆さんの御配慮で私
阿部知子がやらせていただくことになりまして、半分心苦しく、本来は、与党の皆さんの中にも、例えば本日話題になりましたような議題は与野党を問わない、本当に
国民の命にかかわるテーマでございますので、御質問をなさりたい方も多かろうと思います。その中でいただきました貴重なお時間ですので、なるべく本来的な、ワクチン行政の
安全性やあるいは
国民との対話ということに関して私はきょう御質問をしたいと思います。
これまでの御
質疑の中で、もう既に、今新たに
我が国のワクチン行政というよりも感染症というものにどのように、ある意味では立ち向かい、ある意味では、インフルエンザもそうですが、人類の歴史とずっと長く共存してきたものでありますから、どのようにすみ分けていくかということも含めて問われねばならない。
そして、
我が国でもしワクチン行政に大変なおくれがあったとすれば、それは、現政権で行政を担当なさる方も、また前政権の方も重々御承知のように、特に
安全性をめぐって
国民の間にさまざまな不安や不信を招いたということが大きく原因していると私は思います。
そもそも、通年の季節性のインフルエンザのワクチンの
接種に関しましても、その
有効性、そして副反応等々の問題を相対に勘案してもう一度見直さねばならないというふうな御意見が、既に平成十七年の三月、予防
接種に関する検討会中間
報告の中でも出されているわけです。
これは、簡単に申しますと、平成六年から、いわゆるそれまで子供たちに対して行われておりましたインフルエンザの予防
接種を、先ほど申しました
社会全体の流行を阻止し得ることを積極的に肯定する
データがないということからこれが除外され、かわって、平成十三年から、予防
接種法により
現下の六十五歳以上の御
高齢者の第二類
接種が始まった、そういう内容の検討会の中間
報告でございます。
その中に現在の審議にもかかわって大変有効と思われます部分があるので、幾つか抜粋いたしますが、通年型で使っております季節性インフルエンザのワクチンは、交差防御能が弱く、ワクチン株と流行株が不一致だと
有効性が減少する場合がある。すなわち、ねらうけれども、なかなかターゲットが定められない。あるいは、粘膜免疫や細胞障害性T細胞による免疫が誘導されない。これは、ワクチンとの攻防はまず粘膜で始まりますので、その部分に抗体を上げていっても効果がないということ。あるいは、初回の免疫誘導能が低い。要するに、それで最初に免疫を誘導することがなかなかできないということ等々、いろいろなことが指摘されております。
そうしたワクチンについての
有効性と
安全性、そして
もとになる感染症についての知識ということをめぐって、既に、例えば
足立政務官はワクチンを二回打つべきかどうかというところでこの間、さまざまに御尽力をされましたが、それの
有効性をどう担保するかという観点からの、ある意味での試行錯誤にならざるを得ない経過の過程であったと私は思います。
一方、
安全性ということにおきましては、現政権は、これまでの副反応
報告の仕組みと違って、今回は
厚生労働省にもダイレクトエントリーの窓口を持ちました。私は、これは画期的であり、そして、やはりすべての有害事案をきちんと
把握した上でそれを分析し、
国民に返しながらワクチン行政が進むということがこれから大変に必要になってくるさなかだと思います。
そこできょうは、いただきました、
現下の国産の
新型インフルエンザワクチンについて
厚生労働省がお始めになった、直接に有害事案、因果性は別として、例えば打って翌日にお亡くなりになるとか、打ってアレルギー反応を起こされるとか、そうした
報告事案についてお伺いをいたします。
皆さんのお手元、一枚目の資料をごらんください。
ここには「
新型インフルエンザワクチンの
医療機関からの
報告(速報値)」というのがございまして、十月十九日から妊産婦さんやあるいは何か御病気のある、持病のある方の
接種、それ以前に、実は十月十九日の時点は、ここは健康な
医療関連の従事者から始まりましたものと思いますが、この十一月十五日までの予防
接種対象者は、今私がほとんど申しましたような、
医療従事者と妊産婦さんとそして持病のある方というところで、これまで、四百五十万本と言った方がいいでしょうか、出荷がされております。
さて、その右端を見ていただきたいと思います。
この四百五十万本、全部が使われているかどうか、
医療機関には多少在庫がありますのでわかりませんが、そのうち、死亡事案が十三例ございます。これは十一月十九日の
報告分までで、実は、その横に書き足しました十一月二十日にはこれが二十一名とふえております。
もちろん、
もともと御病気をお持ちであるし、特に、この死亡事案二十一例のプロフィールを申しますと、八十歳代の方が十四例、七十歳代が五例、六十歳代が一例、五十歳代が一例で、御
高齢者に集中していることと、
もともと御病気をお持ちの方であるというような背景はありながら、さはさりながら、この数というのは、例年の季節型インフルエンザで
報告されておる死亡数よりも十倍あるいはもう一けた多い倍数くらい多かろうと思います。四百五十万本として二十一人お亡くなりと。
めくっていただきます。
従来の定期インフルエンザ予防
接種という方は六十五歳以上です。ここで
報告されている例数は、年間にお亡くなりになったというふうに
報告されるのは大体ゼロないしは二。このときの
接種本数は一千三百から四百万であります。
上の段は六十五歳以上の御
高齢者です。もう一つ下を見ていただきますと、下の段は
通常の薬事法に基づくインフルエンザワクチンですので、
通常私どもが外来で子供も含めて打つ方ですが、これを全例見ましたとしても、大体四千万本くらいのワクチンが使われる中で、死亡事案は一けた、五例、四例、二例となっております。
現下で、四百五十万人くらいしかまだ
接種していないとして、御
高齢者が多いとしても、二十一例のお亡くなりの数というのは、やはり厚生
労働行政を預かる側としては私は注意が必要な事案だと思います。
恐縮ですが、これは長
妻大臣に伺いますが、さっき申しました副反応を集めておられるこうした体制はこれまでのやり方よりも破格に進んでいるから、ここにこれだけ上がってきたこともあろうかと思います。しかし、同時にまた、もしかして予防
接種が引き金になって御
高齢者の健康を害したこともあり得るかもしれません。今後、どのような体制あるいは検討をしながらこの副反応等々について見ていかれるのか、お願いをいたします。