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2009-05-28 第171回国会 参議院 予算委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十一年五月二十八日(木曜日)    午前九時開会     ─────────────    委員の異動  五月二十六日     辞任         補欠選任      金子 恵美君     相原久美子君      古川 俊治君     佐藤 信秋君  五月二十七日     辞任         補欠選任      友近 聡朗君     鈴木  寛君     北川イッセイ君     西島 英利君      紙  智子君     仁比 聡平君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         溝手 顕正君     理 事                 犬塚 直史君                 小林 正夫君                 前川 清成君                 峰崎 直樹君                 森 ゆうこ君                 岩永 浩美君                 坂本由紀子君                 鶴保 庸介君                 荒木 清寛君     委 員                 相原久美子君                 石井  一君                 尾立 源幸君                 大石 尚子君                 大河原雅子君                 大久保 勉君                 大塚 耕平君                 郡司  彰君                 自見庄三郎君                 下田 敦子君                 鈴木  寛君                 富岡由紀夫君                 広田  一君                 福山 哲郎君                 藤末 健三君                 藤本 祐司君                 牧山ひろえ君                 蓮   舫君                 泉  信也君                 市川 一朗君                 岩城 光英君                 木村  仁君                 佐藤 信秋君                 関口 昌一君                 西島 英利君                 南野知惠子君                 林  芳正君                 山田 俊男君                 山本 一太君                 加藤 修一君                 草川 昭三君                 澤  雄二君                 仁比 聡平君                 福島みずほ君                 荒井 広幸君    国務大臣        内閣総理大臣   麻生 太郎君        総務大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣地方分        権改革))    鳩山 邦夫君        外務大臣     中曽根弘文君        財務大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣(金融、        経済財政政策)        )        与謝野 馨君        文部科学大臣   塩谷  立君        厚生労働大臣   舛添 要一君        国土交通大臣   金子 一義君        防衛大臣     浜田 靖一君        国務大臣        (内閣官房長官) 河村 建夫君    内閣官房長官        内閣官房長官  浅野 勝人君    副大臣        外務大臣    橋本 聖子君        財務大臣    石田 真敏君    大臣政務官        国土交通大臣政        務官       岡田 直樹君        防衛大臣政務官  岸  信夫君    事務局側        常任委員会専門        員        村松  帝君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       福島 克臣君        消防庁次長    株丹 達也君        外務大臣官房審        議官       中島 明彦君        外務大臣官房審        議官       廣木 重之君        外務大臣官房参        事官       小原 雅博君        文部科学省初等        中等教育局長   金森 越哉君        文部科学省高等        教育局長     徳永  保君        厚生労働大臣官        房審議官     岸田 修一君        厚生労働省健康        局長       上田 博三君        厚生労働省医薬        食品局食品安全        部長       石塚 正敏君        海上保安庁長官  岩崎 貞二君        防衛省防衛政策        局長       高見澤將林君    参考人        国立感染症研究        所感染症情報セ        ンター主任研究        官        森兼 啓太君        東京検疫所東京        空港検疫所支所        検疫衛生食品        監視課検疫医療        専門職      木村りよ君        自治医科大学地        域医療学センタ        ー教授        新型インフルエ        ンザ対策本部専        門家諮問委員会        委員長      尾身  茂君        国立感染症研究        所感染症情報セ        ンター長     岡部 信彦君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○平成二十一年度一般会計補正予算(第1号)(  内閣提出衆議院送付) ○平成二十一年度特別会計補正予算(特第1号)  (内閣提出衆議院送付) ○平成二十一年度政府関係機関補正予算(機第1  号)(内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 溝手顕正

  3. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 平成二十一年度一般会計補正予算(第1号)、平成二十一年度特別会計補正予算(特第1号)、平成二十一年度政府関係機関補正予算(機第1号)、以上三案を一括して議題とし、新型インフルエンザ北朝鮮核実験危機管理に関する集中審議を行います。  質疑者はお手元質疑通告表のとおりでございます。  これより質疑を行います。犬塚直史君。
  5. 犬塚直史

    犬塚直史君 おはようございます。民主党犬塚直史でございます。  今日は、新型インフルエンザ、そして北朝鮮核実験等を踏まえまして、我が国危機管理体制が本当にこれでいいのかと、国民が安心して安全な環境を政治の立場からしっかり守っていくための実のある集中審議にしたいと思いますので御協力をお願いを申し上げます。  まず、その本題に入る前に、今補正予算審議ですので、今回の補正国土交通省海賊対策に十分な装備予算、つまり、新しい「しきしまクラスの艦船が一隻では足りないと言われておりますけれども、これを補正に組まなかった理由を教えてください。
  6. 金子一義

    国務大臣金子一義君) まず、「しきしま」級を更に増やしていく前に、我が国昭和五十年初めに非常に急に海上保安庁艦艇整備いたしました。漁業海域昭和五十二年に一気に広がった、これに対応する必要がありましたので、五十四年にかけまして整備を非常に増やしました。その耐用年数が、航空機二十年、船舶で二十五年でありますけれども、今来ておりまして、持っております装備の四〇%耐用年数が来ているという状況になっておりまして、現在これを緊急整備していく、あと二、三年でこれを緊急整備させたいという計画の下に今進めております。  そういう中で、今回の補正はこの緊急整備ソマリアだけではなくて周辺海域、あるいは大陸棚も今広がってきている、大陸棚が広がってきて、その中には海底熱帯鉱床と言われるような非常に貴金属を含んだ、あるいはメタンハイドレートといったようなものも含んでいるという科学的な調査も今行われてきまして、そういう意味で、これから我々としてはそういう、海上保安庁重要性というのは、こういう海賊問題と同時に、この域内あるいはEEZにおける哨戒体制というようなものも見直していく必要があると。現在ある哨戒体制をもう一遍見直しながら、今の「しきしま」級の新たな予算というのは国民の理解を得られる形で何とか来年度予算で進めていくことができればと今思っているところであります。  そういう意味で、そういう哨戒体制の見直しを前提として「しきしま」を要求したいという意味で今度の補正には間に合わなかった。補正には、今行っている緊急整備の方に使わせていただいたということであります。
  7. 犬塚直史

    犬塚直史君 今ソマリア沖まで、地球の反対側までこれ、とらの子の「しきしま」を送ろうとしているわけでありますけれども、これ国交省の資料ですが、日本EEZ排他的経済水域国土の十二倍、世界第六位の広さなんですね。朝鮮半島がこれだけ我々に脅威を与えている中で、何も国の危機管理をするのは防衛省だけではない、国交省も行うわけでありますね。その中で、こうして「しきしま」を反対側まで出していいのか、一体この海賊対策に対しては近海の危機対策とどういう形でバランスを取るべきなのかという趣旨の質問なんでありますけれども。  ちなみに、この「しきしま」、一体これからこのソマリア沖まで恒常的といいますか、少し中長期的に考えるとしたら何隻購入をしなければならないのか、ついては幾ら掛かるのか、これは事務方で結構ですから教えてください。
  8. 岩崎貞二

    政府参考人岩崎貞二君) ソマリア沖に「しきしま」級の巡視船を派遣するとした場合の建造費でございますけれども、船が定常的に年間通じて行こうと思えば六隻必要になってまいります。今「しきしま」一隻ございますので、あと五隻の追加の建造が必要になります。  この「しきしま」級の船は、今の価格で申しますと一隻当たり、ヘリコプター二機搭載をしておりますので、それも含めますと三百五十億円掛かりますので、建造費だけで申し上げますと、三百五十億掛ける五隻分、千七百五十億の予算が必要となります。
  9. 犬塚直史

    犬塚直史君 ということは、「しきしまクラスが一艇当たり三百五十億円、現在一隻持っているものは、ソマリア沖まで視野に入れるとすれば六隻は必要であろうと、六隻掛ける三百五十億、耐用年数が二十五年、メンテが年間九億から十億、そして百名から八十名搭乗するとすると大変な経費が掛かってくるわけですね。  喜望峰回った方が安いんじゃないですか。国交大臣、どうですか。
  10. 金子一義

    国務大臣金子一義君) 今手元にちょっと資料ありませんけど、ほかの船が喜望峰を回りますと、燃費で約三割増、十日以上の航行日程が掛かるようであります。これは我が国コストというよりも民間商船コストになりますけれども。これは、本当に喜望峰を回るだけで済むのかということは、これは我々そんなに簡単には決められません。
  11. 犬塚直史

    犬塚直史君 今、燃費が何割かというお話、まあ時間のこともあるでしょう。しかし、初期投資だけでこれ本気でやるとしたら一千五、六百億円、それプラス、メンテ、人数、そして耐用年数等々を考えると膨大な費用が掛かるわけです。  掛けちゃいけないと言っているんではないんです。しかし、旗を見せろとか、靴を地面に着けろとかいう形で付き合いで出すのではなくて、日本の本当に安全保障体制を行うためにこれをソマリア沖まで出すことが必要かどうかという判断政府はしなければいけないと思うんですけど、どうですか。
  12. 金子一義

    国務大臣金子一義君) 冒頭に、今回ソマリアに出すのに「しきしま」級を直ちに造るという考え方政府の中にはありません。「しきしま」級を造るということは、今おっしゃられたような、我が国の、竹島もそう、尖閣もそう、大陸棚EEZも広がってきた、不審船も出てきている、こういう我が国のこれはまさに周辺海域となりましょうか、これと、それから海賊対策という意味では、ソマリアのこともそう、ありますけれども、マレーシアの海峡もあると。こういう地域に限定はありませんが、「しきしま」を今何隻も造ってソマリアまで持っていくという考え方はありません。  しかし、我が国海上保安庁の全体の戦力として、今現在課題になってきているソマリア以外にも多くの課題が出てきている、そういうものに対して、今「しきしま」級は一隻しかありませんので、それでは足らない。将来いろいろなことが出てきますから、これから「しきしま」を要求していこうと。  先ほど申し上げましたように、そのためにも、今の我が国周辺における哨戒体制で十分なのか、北朝鮮問題も出てきている、そういう意味で申し上げているので、五、六隻要求してソマリアに持っていくという考え方は、ソマリア海上保安庁がやるという考え方は今の政府にはありません。
  13. 犬塚直史

    犬塚直史君 もうこの件はこれで終わりにいたしますが、私が申し上げたいのは、例えば東南アジアの海賊対策、これは日本が長年主導してやってきたわけでありますが、二〇〇三年の七十件という海賊発生件数が、二〇〇八年、昨年は五十四件と激減をしているわけですね。これは別に艦艇を送ったわけではなくて、周辺国のエンパワーメントを日本が海保とJICAが中心になって行ったという海外的にも大変高く評価されている事例であります。  ですから、この海外の付き合い、あるいは少しは手伝ってやらなきゃいけないという気持ちは分かります。海賊対策は絶対しなきゃいけないということも分かります。しかし、それをやるんであれば、日本らしい、本当に日本が得意とする分野で行うべきではないかということを申し上げて、北朝鮮の問題に移りたいと思います。  まず、今回、北朝鮮核実験が行われましたが、まず官房長官に伺います。これが核実験断定をしたのはいつなんでしょうか。
  14. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) この断定の時期につきましてでございます。若干その前段を申し上げますが、五月二十五日に、午前九時五十五分ころであります、通常の波形と異なる北朝鮮核実験によるものである可能性のある地震波気象庁探知をいたしました。そしてまた、その日、同じ、その後、朝鮮中央通信を通じまして、北朝鮮から、地下核実験を実施して成功させたと、こういう旨の公表がございました。  政府といたしましては、同日正午に開きました情報集約関係省庁会議におきまして、以上の諸情報を総合的に勘案をした結果、核実験の実施によるキセノン等放射性物質状況確認を念のために行う必要がある、確定させるにはその必要があるが、しかし北朝鮮による核実験が実施されたとの前提に立ってこの問題に対応する必要がある、かつそれが可能であると、このような判断がなされたことを踏まえまして、五月二十五日の本委員会、参議院の予算委員会でございます、私から、北朝鮮による核実験が行われたものだという断定をいたしたと、このような答弁を申し上げたわけでございます。  なお、この二十五日、その後開きました安全保障会議におきまして、北朝鮮による核実験が行われたことを前提とする内閣総理大臣声明審議し、了承され、同会議後の記者会見におきましても、私から、北朝鮮に対し厳重に抗議し、断固として非難すると、このような声明を公表いたしたところでございます。
  15. 犬塚直史

    犬塚直史君 官房長官、今の質問に、そういうことを聞いているんではなくて、断定をしたのはいつですかということを聞いているんです。
  16. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 断定に至る経緯を御説明申し上げた上でと思って申し上げたわけでありまして、この中で申し上げましたように、同日の正午開きました情報集約関係者会議において、そうした諸情勢、諸情報、これを総合的に勘案した結果このように断定せざるを得ないということで断定をしたと、こういうことであります。
  17. 犬塚直史

    犬塚直史君 こういう危機対応のときに、官房長官一言一言断定をしたのか、核実験があったということを前提調査を進めるのかではこれは大きな違いなんですね。  官房長官が当委員会で発言された速記録手元に持っておりますが、官房長官は両方おっしゃっているんですよ。つまり、気象庁地震波確認をし、確たる確認ができる状況ではないが、核実験であるかどうかを調査するということを言った後で、北朝鮮側から核実験を成功させたという報道、韓国側からもそういう発表があったので、我々としてもこれは核実験が行われたものだと断定をしましたと言っているんですね。その後に、今度は断定ではなくて、核実験が行われたことを前提調査を進めるとおっしゃっているので、こういう表現は、特に第一報ですので、もう少し気を付けて発言をしていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  18. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 御指摘の点でございますが、私もあの答弁において、御指摘のとおり断定をしたという表現をいたしました。しかし、これはいわゆる確定的な断定ということになりますと、いわゆる技術的な……(発言する者あり)いわゆる技術的な面をもっての、いわゆる技術的な面をもって最終的な確定をするわけでございますが、しかしこれは危機管理でありますから、危機管理でありますから、このことを断定をして進めなきゃいかぬということをあのときに、行われたという前提に立ってこれは対応する必要がある、危機管理でありますから、そういうことを答弁で申し上げたわけでございまして、今もって、確実にこれが、いわゆる証拠的な、証拠を持ってやろうとすれば、証拠を持ってやろうとすれば、キセノン等の、これが出ているかどうかということを確実につかまえていく必要がまずあるわけであります。あるわけでありますが、いわゆる北朝鮮当局そのもの実験をしたと声明を出している以上、これを断定した上で対応を図っていく、こういうことが危機管理上必要であると、このように申し上げたわけです。
  19. 犬塚直史

    犬塚直史君 お話を聞いて今日ますます分からなくなってきたんですが、日本語の断定という言葉の意味を教えてください。
  20. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 政府として、核実験が行われたものだと、こういう確信を持って対応する必要があるという、危機管理断定をしたと、こう申し上げたわけです。
  21. 犬塚直史

    犬塚直史君 こういう、官房長官表現の一つでやっぱり非常に不安に思うわけであります。  それでは、この話はこれぐらいにして、外務大臣に伺います。  北朝鮮から核実験事前通報はあったんでしょうか。
  22. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 今般の北朝鮮によります核実験に関しまして、北朝鮮から我が国に対する事前通告はございませんでした。
  23. 犬塚直史

    犬塚直史君 この北朝鮮核実験情報は、韓国そして米国はこの実験が行われる前から知っていたということが言われておりますが、今度は、では、それを事前探知をした米国あるいは韓国から日本に対する事前通告はあったんでしょうか。
  24. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 米国を始めといたします関係国との間では我が国は平素から緊密に連絡を取り合っているわけでありまして、今般の核実験に関しましても米国から情報が伝わっていたということは事実でございます。
  25. 犬塚直史

    犬塚直史君 この米国からの事前通告がいつ行われたかということについて、当委員会で同僚の富岡委員尾立議員が何度も質問をしたわけですが、インテリジェンスにかかわることは答えられないということだったんですけれども、今の外務大臣のお答えだと、事前通報がアメリカからあったんだということでよろしいんでしょうか。
  26. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 基本的には、これはインテリジェンスということで、いつ、どういうような形で情報が伝達されたかとか、そういうことについては、これは外交上もこれについては明らかにしないと、そういうことになっておりますが、が、今回の北朝鮮による核実験に関しましては、米国から我が国に対して情報が伝達されたということにつきましては米国政府関係者も既に明らかにしているということから、我が国としてもこれを明らかにしたということであります。
  27. 犬塚直史

    犬塚直史君 米国からの事前通報あったと、昨日まではインテリジェンスだから答えられないとおっしゃっていたのが、通報があったと今お認めになったわけですが、実は今朝の民主党外交防衛部門会議におきまして、我が党の原口議員政府に問い合わせをしたところ米国からの情報はかなり前に伝わっていたと、こういう話があったんですが、どのぐらい前に伝わっていたんでしょうか。
  28. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 事前とか事後とか、そういうことにつきましては、これは明らかにされていないわけであります。
  29. 犬塚直史

    犬塚直史君 総理外務大臣、別にいいんですよ、事前に来ても。いいですか、どのぐらい前に来たって構わないんですよ。我々が問題にしているのは、日本政府が知り得たできる限り早い段階で対策本部を設置すべきじゃないですか。そういうふうに対策本部をきちんと設置していれば、いきなり来た核実験に対して我が国が、当委員会で、前回の審議の中で出たように、ああいうどたばたというのは極力防げたと思うんですね。  そこでもう一度聞きますけれども、事前通告が来たのは九時五十五分よりも前だったんでしょうか。
  30. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 先ほども申し上げましたけれども、この事前事後につきましては、これは申し上げることはできません。
  31. 犬塚直史

    犬塚直史君 聞いている今の答弁の中ででも、事前通告があった、なかったかということで答弁が二転三転するわけであります。  私は、外交というのは、別に我々が独断専行でやるわけではないんですよ。やっぱり有権者の代表としてやっているわけですから、できる限りの情報はオープンにして、今までの外交防衛委員会審議でも、何を聞いてもこれはインテリジェンスだと言われる、新聞読んだ方が早いような形になって、結局は新聞どおりになるというような今までの政府対応が続いているわけであります。  今、ちょっとこれ調べてみたんですけれども、私が個人的に外交防衛委員会に所属してたったの五年でありますが、その間に防衛大臣は九人替わっているんです。これだけ替わって本当に、官僚の皆さんのこのいろいろなシナリオを想定されたあらゆる文書を読んでいると思うんですが、こういうシナリオをきちんとブリーフして、そして対策を備えておくということはできるんですかね。  防衛大臣、どうですか、事前通告していませんが。
  32. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 先生の今御指摘の点につきましては、我々とすれば防衛大綱、そしてまた政府の方針というものがあって、その中で我々の対処方針というのは決まっているわけでありまして、その意味では、防衛大臣というよりも、逆に言えば政府全体としての安全保障体制、それに我々の防衛省の役割についてはその部分がしっかりと決められておりますので、大臣が替わろうとも我々の、憲法を守りながら、その中で、法律の中で自衛隊が活動するということはこれは変わりがないことであります。  そしてまた、営々として我が国の安全保障に関する件についていろいろな各国の軍事情勢も含めて我々はやっているわけでありますので、そういった意味では、先生の御懸念の点については、我々とすればしっかりとやっているつもりでございます。  そしてまた、今先生の御指摘された安全保障全体の件については、逆に言えば、そういった我々の一つの根本があるわけでありますので、それの上に立っていろいろな情勢判断をしながらやってきている。当然これは国と国との関係というのもございますので、先生の御指摘の点、大変、我々もできるだけそういった情報を出したいとは思っておりますけれども、そういう配慮しなければいけない点もありますので、そういうこともやっておるわけでございますので、大変先生方におしかりを受ける点もあるかもしれませんが、その点は御理解いただければと思っておるところであります。
  33. 犬塚直史

    犬塚直史君 外務大臣に伺いますが、この北の核実験外務省としては想定をされていたんでしょうか。
  34. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 北朝鮮の核開発関連動向、これにつきましては、我が国といたしましても平素からこれは情報収集、分析に努めていたところでございまして、関係国との情報の共有を含めまして様々な情報に接しているところでございますけれども、個々の具体的な情報について明らかにすることは、先ほどから申し上げておりますけれども、インテリジェンスにかかわることでありまして、また、相手国との関係、信頼関係、いろいろありますが、そういうこともありますので、これは差し控えたいと考えます。  また、その上であえて申し上げれば、これは委員も御承知と思いますが、四月二十九日の北朝鮮外務省スポークスマン声明におきまして、北朝鮮は国連安保理が直ちに謝罪をしない場合には核実験を実施する旨の立場を表明しているところでございます。  政府といたしましては、北朝鮮がこうした立場を表明したということも踏まえまして、北朝鮮が緊張を高める行為、これは控えるようにということで外交努力を重ねてまいりました。また、あらゆる事態に備えて、米国を始めとする関係国とも緊密な連絡を取って、連携を取ってきたところでございますが、今後とも、このように関係国とは緊密な連絡を取りまして、連携を取りまして情報の収集や分析に努めていきたいと、そういうふうに考えております。
  35. 犬塚直史

    犬塚直史君 今のお答え、想定していたというふうに理解をしたいと思いますけれども、これは言わば当たり前の話でありまして、例えばロイター通信などは、今年の三月二十八日に、秒読みの北朝鮮ミサイル実験、今後起こり得る六つのシナリオという形で二回目の核実験可能性指摘をしております。テレビ報道でもこれは何度も取り上げられております。  そして、今ここにお持ちをいたしましたけれども、アメリカの外交問題評議会、CFRのレポート、これは今年の一月のレポートですけれども、北朝鮮の現体制がどういう形で次の体制に移行していくんだという三つのシナリオを描いて、それぞれのシナリオにおいてどういう形でアメリカが対応していくかということを既にもう準備はしているわけであります。  私が今日伺いたいのは、日本政府はどうなんだろうなと。今お話ですと、想定をしていたとおっしゃったんですけれども、どうしてそれでは対策室が設置されたのは核実験があった日の十一時四十五分なんですか。
  36. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) この件につきましては、先ほど一部御答弁申し上げましたが、九時五十五分の気象庁地震波の観測、それが内閣に第一報が入りましたので、直ちに北朝鮮における地震波に関する情報連絡室をまず設けたわけであります。その後、聯合ニュース等々において北朝鮮核実験を行った、こういう情報が正式に発表されたということでありますから、そういうことで、さらに情報集約のための関係省庁会議を開いていったと、こういうことであります。
  37. 犬塚直史

    犬塚直史君 官房長官対応が後手後手じゃないですか。こんなレポートは、これはCFR、確かに権威のあるアメリカのシンクタンクのレポートですが、こんなものはたくさん出ているわけでありまして、外務省の官僚の皆さんは、こういうものはもうすべて目を通して、すべて把握をしているわけですよ。要は、そういうことが一体政治主導で生かされているかどうかということを今日は伺っているわけでありまして、せっかくのこの官僚組織を使いこなしていないんではないかと。今の自民党の外交危機対策はとても私は心配でたまらない。どうしてこれだけ事後対策に回ってしまうんですか。もう一度、官房長官、お願いします。
  38. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) これは、先ほど外務大臣答弁されましたように、あらゆる情報収集は絶えず取っておるわけであります。したがいまして、確実にその情報が入れば即態勢が取れるようになっておるわけでありますから、情報連絡室を立ち上げる、その段取りは既にずっと取ってあるわけであります。その手順に従って対応してきたということでありまして、事前対策本部をつくれと、こういう意味かもしれませんが、これまでもそういう形で取ってきたことはございません。あらゆる情報を収集して間違いない点で即座に対応を取っていくと、こういうやり方を取っておるわけであります。情報収集体制は万全を期してやってきた、こういうことであります。
  39. 犬塚直史

    犬塚直史君 外務大臣に伺います。  想定はしていたというお話でしたので伺いますが、例えばですけど、例えばこのCFRのレポートによると、北は六から八発の核を所有しているであろう、化学兵器は四千トン持っているだろうと分析をしています。そして、北がもし、これは三つのシナリオがここでは言われているんですけれども、安定的に次の政権に移った場合、あるいは非常に安定しないで混乱の中で次の政権に移りつつあるようなとき、あるいはそうではなくて国家自体が崩壊してしまうに近いような事態になったとき、この三つのシナリオに分けていろいろ分析をしているわけですが、ここで言われているのは、人口千人に対して五名から十名、内乱状態になれば二十名、つまり最大四十六万人の軍事の駐留が必要になると、ここまで最悪の事態は想定をしているわけであります。  そこで伺いますけれども、我が国として、もちろん、こういう軍事のことをやれと言っているわけではありません。例えばオーストラリアのエバンス元外務大臣が二十七日、東京に来まして言っているのは、こういうことを言っています。ミサイルに搭載できる核兵器の能力を現時点で有しているかどうか疑わしい、そして北朝鮮の核能力と意図をしっかりと見極める必要があると、こういうふうに言っているわけです。  外務大臣日本のこのシナリオ、今後のシナリオ、そしてそれに対する対応、話せる範囲で結構ですので、有権者の前で安心できるような答弁をしていただきたいと思います。
  40. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 今後の北朝鮮の国家としての動向等、今委員が幾つかのケースでお話しされましたけれども、これは私どもとしても、将来どうなるかということ、大変関心もありますし、また情報も収集しなければなりませんが、これはちょっと予断することはできません。  しかし、いずれにしましても、あらゆる事態を想定して我が国も準備を怠ることのないように、対応については日ごろからこれは検討しておくということは重要であろうと、そういうふうに思っておりまして、危機管理に間違いのないようにこれからも努めていきたいと思っております。
  41. 犬塚直史

    犬塚直史君 何かますます心配になってまいりました。  総理に伺います。内閣総理大臣声明が二十五日の日に発出をされました。この中で、北朝鮮に対して、対話と圧力という文脈で、何が最大の圧力になると。この中でいろんなことをおっしゃっています。NPT、国連決議一七一八、平壌宣言、六者会合、いろいろ言っているんですが、何が一番大きな圧力になるとお考えですか。
  42. 麻生太郎

    内閣総理大臣(麻生太郎君) 今、北朝鮮に対する圧力というのは実に様々なものがあろうと存じます。そのうち最大の圧力は何であるかというのは、これは日本の認識を明らかにするということは、これは北朝鮮との関係を見ましても、これは得策とはとても思えません。もうよく御存じのとおりです。  そもそも圧力というのは様々なものが複合的に重なり合うものなのは当然でありますから、これが最大の圧力というものは、私どもから見まして、総合的なものからつくり出す、いわゆる国際的な一致したそういった国際世論というものが最大の圧力と、常識的に言えばそういうことになるんだとは思いますが。  しかし、私どもは、今回の場合、今の段階で申し上げれば、少なくとも国連の安全保障理事会によります決議は極めてきついものが迅速に出されるということが大事な、今の段階で一番大きな圧力になり得ると思いますが、重ねて申し上げますけれども、何が最大の圧力かということを、我々としてはこれが一番になりますということを、今の我々の方から日本としてどうかということを申し上げるのは得策ではないと考えております。
  43. 犬塚直史

    犬塚直史君 総理、それは違います。  国際社会が一致してあらゆる手段をもって、まさに違いなく全体としてここに、北朝鮮に圧力を掛けていくと、これは当たり前の話であります。しかし、総理がここで言っておられる、これは官僚の皆さんが書いたと思うんですけれども、国連安保理決議、NPT、平壌宣言、六者会合の共同声明等々、この中で国際法上、強制力を持つのは決議一七一八号のこの枠組みだけなんですよ。どんなに六者会合を一生懸命やっていろいろな声明を出したところで、これは国際社会の国際法上の強制力にはならない。平壌宣言にしても同じです。二国間の協定でありますので、これを強制力をもって国際社会が押し付けることはできないんです。唯一これができるのが決議一七一八。つまり、これは二〇〇六年に採択をした憲章七章下の決議ですので、七章下という意味は、経済制裁も含む、そして場合によっては武力行使も含むという大変な決議をこれは取っているわけなんですね。ですから、最大の圧力は決議一七一八なんです。  外務省の方に伺いますが、それでは、一九九八年五月にインドが五回核実験をやった、その後パキスタンが核実験をやった、このときでさえも憲章七章下の決議が採択されなかったんです。これはどうしてですか。
  44. 廣木重之

    政府参考人廣木重之君) お答えを申し上げます。  先生御指摘のとおり、二〇〇六年十月の北朝鮮核実験の発表に関して採択された国連安保理決議第一七一八号には国連憲章第七章への言及があります。これに対しまして、一九九八年のインド、パキスタンの核実験に対する同決議第一一七二号でございますが、これにおいては国連憲章第七章への言及はございません。  これら二つの安保理決議は、採択時期、対象国や採択当時の国際社会の状況が異なっており、両決議の内容の差異について単純に比較することは適当ではないと思いますけれども、その上であえて申し上げれば、安保理決議第一七一八号において憲章第七章が言及されたことは、北朝鮮をめぐる情勢も踏まえ、北朝鮮による核開発が我が国の安全に対する重大な脅威であり、北東アジア及び国際社会の平和と安全を著しく害するものと断じて容認できないと、こういう国際社会の一致した厳しい認識を示したものであると、かように考えております。
  45. 犬塚直史

    犬塚直史君 ということは、二〇〇六年の一回目の時点の核実験でさえも、国際社会が一致をして、これは大変な危機であるという認識を示したということであります。  例えばミサイル実験については、これを禁じる条約があるわけではありません。そして、NPT、IAEAの保障措置、協定違反なんかもありますけれども、これはNPTから脱退すると法的にはそれは問えないことになってしまいます。  ですから、今回、既に出ている憲章七章の決議というのはまさに非常に強いものでありまして、そこでもう既に国際の平和と安全に対する脅威や破壊であるということが認定をされているわけですから、今後は、対話と圧力の圧力の部分は、この部分を一体どれぐらいの合意をもってどれぐらい突き付けていくのかということだと思いますが、麻生総理、昨日のクエスチョンタイムでこの件については我が国がリーダーシップを持ってやると力強くおっしゃっておられましたが、決意をもう一度お聞かせください。
  46. 麻生太郎

    内閣総理大臣(麻生太郎君) 今、インドと北朝鮮の情勢について、確かに時代背景が少々違っているとは思いますが、少なくとも、北朝鮮の一七一八当時は外務大臣をしておりましたんで、あのときの記憶を今改めてもう一回思い出しているところではありますが、少なくともほぼ一週間、連日徹夜みたいな状態が続いたと記憶をいたします。午前四時に最終的に決着したと思いますが。  あのような状況下において、やっぱり七章でやるかやらないかというのは最後までもめたところです。結果として七章を押し切ったわけですけれども、少なくとも、日本の側のリーダーシップによって国連の理事会の開会時刻が遅れるなどなど、いろいろあのころを思い出しますと、これまで国連安保理非常任理事国の日本がリーダーシップを取ったというのは、多分あれは国連に加盟して以来初めてだと思います。  そういった状況で、あの緊迫した状況だったと思いますが、今回の状況というものは、少なくとも、中ロがあのときはかなり難しい状況にあったと思いますが、今回はロシアが議長国として最初からこの決議というものを言っておるという状況。いろいろほかにも状況はございますが、あの一七一八をきちんと履行しておる国、あの一七一八で決められたいろいろなことをきちんと履行している国というのは日本が一番だと思っておりますが、そういう意味で、我々にとりましては隣国でもありまして、我々にとりましては極めて厳しい状況でありますから、今回、幸いにして非常任理事国としてあの中におりますんで、今回も同様に全力を挙げて、我々としては最初からこれを提案をし、少なくとも日本として決議を出すべきということで、非難決議をやるべく、P5プラス日本、若しくはP5プラス2、日本韓国というような形で何度となく会議を進めて、今言われておりますような方向で事を進めようと努力をしている最中であります。
  47. 犬塚直史

    犬塚直史君 総理のその意欲が、例えば、二十六日に行われました五常任理事国に日韓を加えた七か国の大使級の国連の非公式の会議の中では、日本からの明確な主張というのがこの文書を見る限りは出てきておりません。日本でなければ言えないことというのはやっぱりあると思うんですね。  ここで何が言いたいかというと、例えば、イギリス、フランスの提案では、ここにCTBT、決議の中にCTBTの言及もすべきだ、包括的にこれやろうじゃないかと、こういう提案までされているんですね。そこで、日本がリーダーシップを取れる分野として、やっぱりこの核廃絶に向けたしっかりとした発言をしていくべきだと思うんですが。  そこで、総務大臣に伺います。八月九日に選挙をやるんでしょうか。
  48. 鳩山邦夫

    国務大臣(鳩山邦夫君) なぜ私にそういうことをお尋ねになるのか分かりませんが、たった一つだけあることは、総理大臣が解散をお決めになると。で、実際、解散となった場合には直ちに臨時閣議が招集されて、そしてそのときに、四十日以内となっていますから、これこれが選挙期日でいかがですかという閣議請議を行うのが総務大臣だということでございますが、解散をお決めになるのは麻生太郎総理大臣お一人の権限でございますので、私としてはこれ以上お答えのしようがございません。
  49. 犬塚直史

    犬塚直史君 大臣が八月六日の広島、八月九日の長崎に行かれたことがあるかどうか私は存じ上げませんけれども、六十年以上にわたってこの時期というのは本当に、例えば長崎でいえば原爆の日、平和祈念式典が行われる。それだけじゃないんです。各地で原爆犠牲者の追悼が行われる。そして、夏休みですけれども、毎年、子供は登校して平和教育というのを長年受けているんですね。そして、核廃絶を訴える高校生一万人署名活動等々もやられている。こういう、長年、六十年以上にわたる有権者の営みがあって初めて日本は核廃絶を言うことができる権利といいますか、力が出てくると、私はそう思うわけであります。  この日は選挙はやらないでいただきたいんで、総務大臣としていかがでしょうか。
  50. 鳩山邦夫

    国務大臣(鳩山邦夫君) 八月六日とか八月九日というのが日本国にとって特別な日であるということは私も理解いたしておりますが、解散ということについては総理大臣がお決めになることでございます。
  51. 犬塚直史

    犬塚直史君 これから日本が、世界のだれもが反対できないような形で大きな物語を描いて、政治主導で、官僚外交は脱皮してやっていくこと、それをやるには民主党しかないということを申し上げて、次の質疑者に移りたいと思います。
  52. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 関連質疑を許します。鈴木寛君。
  53. 鈴木寛

    鈴木寛君 おはようございます。民主党・新緑風会・国民新・日本鈴木寛でございます。  早速、新型インフルエンザ問題に入らさせていただきたいと思います。  改めまして、本当に日夜懸命な努力を続けておられます厚生労働大臣、そして官邸、厚生労働省の職員の皆さん、現場の検疫官の皆さん、国立感染症研究所の皆さん、現場の医療関係者、保健所、衛生研究所、県庁、市役所、本当に大勢の皆様方の御尽力に、この場を借りまして心から敬意と感謝を申し上げたいというふうに思っております。  この問題は、二十五日も議論しましたけれども、厚生省も含めてだれ一人としてこの正解を知っている人はいない。だからこそ、最大限知恵を絞って、そして議論を尽くして最善を尽くす、そのことがとても重要だと思います。現場や専門家の意見にやっぱり謙虚に耳を傾けて、すべての関係者が立場を超えて国民の命を守る、その一点に絞って考え、発言し、そして行動するということが必要だというふうに思います。五月二十五日に、厚生労働大臣からは若干反省の弁、そしてそういったことの確認を私とさせていただいたわけでありますが、今日は麻生総理大臣もいらっしゃいますので、是非一緒に共有をさせていただきたいというふうに思います。  そこで、この検疫の偏重に批判が集まっております。検疫官の皆さん、大学病院あるいは自衛隊などから実に四百名を超える人たちがこの検疫に動員をされました。しかしながら、残念ながら、神戸、大阪ではかなり初期の段階でそれを擦り抜けて国内での感染が広がってしまったということでございます。  私は、この結果について云々するつもりは全くありません、非常に難しいことでありますから。後から振り返れば何でも言えるということだと思いますので、そのことを申し上げるつもりはございませんけれども、国内外の専門家あるいは現場が、まさにきちっとこの方針を支持していたのかどうなのかと。それが、支持して、議論を尽くし英知を絞った結果であれば、国民の皆さんも、そして我々も、そして政府の命令に従って本当に二十四時間頑張っておられる現場の方々も納得がいくと思いますが、この極めて重要な意思決定が一部の人たちの思い込みやあるいは思惑やメンツによってゆがめられているとしたら、それはゆゆしき事態。とりわけ、医学的な反論が封殺をされていたら、これはゆゆしき問題だと思いますので、この際きちっとただす必要があると、こういうふうに思っているところでございます。  第二波の到来というものの可能性が相当高い確率で専門家から指摘しております。そもそもインフルエンザを封じ込めることは不可能であるというのが専門家の常識でありました。日本感染症学会やWHOも、当初より封じ込めは不可能であると何度もアナウンスをしてきました。国立感染症研究所も検疫の限界というものを指摘してきたという報道もあります。資料にお示ししているとおりでございます。  この点について、二十数年間感染症研究の第一線で活躍されてこられました、今日参考人としてお見えをいただいております国立感染症研究所の主任研究官の森兼氏にお伺いをいたしたいと思いますが、こういう指摘が専門家からは寄せられていたということは事実なんでしょうか。お答えいただきたいと思います。
  54. 森兼啓太

    参考人森兼啓太君) 検疫の問題に関しまして私の見解を述べさせていただきたいと思います。  まず初めに、検疫は有症状者を見付けること、これに関しましては当然ながら有効であります。よく検疫が無効であるということに関して引用されるときのペーパーがあります。今日持ってまいりましたけれども、CDCが出しております二〇〇五年のボーダー・スクリーニング・フォー・サーズという、こういうペーパーです。SARSのときに、これはエグジットスクリーニングといいまして、空港から乗客が乗るときですね、出ていくときにスクリーニングをすると。これをやったけれどもちっとも引っかからなかったと、こういうペーパーです。  しかし、乗客は例えばアメリカからですと十二時間ぐらい飛んでおります。その間に発症するということは十分考えられることです。日本に着きましてそこでスクリーニングを掛ける。そこで実際に成田でも今日までに六名あるいは七名患者が見付かっておりますので、そういう形で引っかけることはできると思います。ですから、全く無駄ではないと思います。ただ、それに要する人手とお金、時間、手間、そういったところのバランスというところではないかというふうに思います。  二番目は、日本人の初発例ですね。これは正確に言えばシカゴで小学生が五月五日に見付かっているんですけれども、日本の領土内では成田空港検疫所で初めて患者が四人見付かりました。ただ、これが逆に言えば、見付かってしまったことでそちらの方に目が向いてしまったということは事実だと思います。これはもうどなたがどうこうということではなくて、恐らくここにいる皆さん、私も含めてそちらの方に目が向いてしまって、それで国内の体制というものが少しワンテンポ遅れてしまったんだと思います。ですから、これを大きな教訓として第二波以降に備えるべきだと思います。国内の対策も水際対策も両方とも大事であると、均等にといいますか、やっていくということが大事だと思います。  三番目に、国内例が見付かって、しかも最初から四十八時間ぐらいで百五十名ぐらいの患者が検知されました。国内でも既にもう流行しているということが分かった。この時点でやはり検疫の体制を速やかに縮小すべきだったというふうに思います。  これに関しましては、五月十九日火曜日の舛添大臣との会談の中でもそのように申し上げまして、私は直ちに、少なくとも機内検疫という大きな人手の掛かるもの、こういったものはやめて、それで有症状者のスクリーニング、そういうものに変えてみられてはどうかという提言を差し上げました。結果的に、三日後に政府の方針といいますか基本方針が変わりまして、それで速やかに機内検疫も縮小されて有症状者を見付けるという方に行きましたので、こういったスピード感を持った対策というのは非常に良かったのではないかというふうに思います。  それから、これは余り言われていないことなんですけれども、私はもう既に今年四回アメリカに行っておりますが、やはり、アメリカから帰ってきますと、もう一刻も早く自宅に帰りたいと思います。飛行機の中でもうそわそわしているといいますか、早く帰りたいと、早く電車に乗りたいと思います。恐らくほとんどの乗客がそうだと思います。  今回、一日七千人の乗客が毎日成田で機内検疫を受けました。最初のころはかなり混乱していたようで、二時間ぐらい待たされました。私も実際、二〇〇七年と二〇〇八年の空港検疫の訓練に参加しまして、二時間とか三時間とか掛けてスクリーニングをやるということを体験してみました。訓練だということは分かっているんですけど、それでも非常に不快な思いをいたしました。一日七千人、二週間やりましたので十万人を超える方々がそういった思いをされたということ、これは一つの記録として残しておくべきことではないかというふうに思います。  これが私の検疫に関する見解でありまして、いい悪いということももちろんありますけれども、やはり、こういったことに関する議論をしっかり深めて、半年後に来るであろう、あるいは来るかもしれない第二波、大きな波に備えるということが大事ではないかと、こういうふうに思います。
  55. 鈴木寛

    鈴木寛君 まさに、この検疫に偏り過ぎるということが、お医者さんの数というのは今本当に医師不足で足りませんから、これ大学病院から今回は引き揚げてといいますか、空港に行ってもらってやったと、そういったところの有限な医療資源の使い方ということで今後の糧にしていただきたいというふうに思います。  これについては、実は厚生省の内部にも、これは厚生省から事前にいただいた回答の中にありますけれども、今回のいわゆる検疫偏重についてでございますが、水際対策の変更については議論が必要だと考えていた職員もいたというようなことも聞いております。ここについてはいろんな議論があったわけでありますが、振り返りますると、そうした現場の声あるいは若手職員の声というのをもう少し、大臣は私からの再三の申出にこたえていただきまして、今の森兼さんをアドバイザーにもしていただくということでかなり改善はしていただいておりますが、木村さんに伺いたいと思います。  木村さんは空港の検疫の現場でずっと頑張ってこられたわけでありますが、木村さん自身はこの水際対策の偏重に対して当初から懐疑的な見解を、警鐘を鳴らしてこられました。結果としては警鐘を鳴らしておられたとおりになってしまったわけでありますが、その結果はともかくとしまして、どうしてそうした若手職員や現役の検疫官たちの疑問を持つ水際対策が、かなり強行をされたという印象を私も持っているわけでありますが、その背景をどういうふうに感じておられましたか、お話をいただきたいと思います。
  56. 木村もりよ

    参考人木村りよ君) 先ほど森兼参考人の方から、検疫がかなり縮小された、舛添厚生労働大臣の迅速な対応によって機内検疫がなくなったというお話でしたけれども、実際、現場としては大して変わっておりません。今もかなりの労力を掛けて検疫を行っている最中でございます。そういう意味では、人的にもかなりの負担を強いられているのが状況でございます。  前置きはそれぐらいにいたしまして、御質問に答えさせていただきます。  まず、なぜこんなに検疫偏重が起こったかと申し上げますと、大きく分けて三点あると考えます。  まず第一点には、毎日毎日テレビで、主に成田空港で、N95マスクを着け、あるいはガウンを着けて検疫官が飛び回っている姿というのは、非常に国民に対してのアイキャッチと申しますか、非常にパフォーマンス的な共感を呼ぶ、そういうことで利用されたのではないかというふうに疑っております。  二番目に関しましては、何か今回のインフルエンザのような新しい感染症が入ってきた場合には、検疫法というものがございまして、水際でシャットアウトするという法律で検疫が動かされます。しかしながら、検疫というのは、そもそも一人の患者さんも入れないようにしましょう、国内にそういった病気を広めないようにしましょうというのが基本ですから、そこで食い止めるというのを非常に偏り過ぎますと、国内に入ってからの問題というのが必ずおろそかになると思います。  国内に入ってまいりますと、これはまさに今稼働しております感染症法というものがございまして、感染症法はもちろん国の法律ではございますが、主導は地方自治体になります。ですから、逆を申しますと、感染症法になってしまえば、国の方は通知を出して、地方自治体やりなさいと言うだけで終わってしまうという危険性があります。そういう国内の整備に非常に危機感を感じていた声が届いていたのか届いていないのかは分からないのですけれども、感染症法という国内お任せをある意味想定外とした厚労省の考え方があったのではないかと、断定はできませんが、思っております。  第三に、この行動計画、今のインフルエンザ対策というものは行動計画に基づいて動いております。この行動計画には、私ども厚労省の中におります公衆衛生あるいは医療のプロフェッショナルと言われる医系技官が深くかかわっております。この医系技官の中であるいは十分な議論がされないまま、あるいは十分な情報の見直しがされないまま、収集がされないままこのような検疫偏重が行われてしまったのではないかと思っております。  以上でございます。
  57. 鈴木寛

    鈴木寛君 今も検疫法の改正に着手すべきだと、私ども民主党はこれは速やかに行うべきだと考えておりますが、これは厚生省は検討に入られているんでしょうか、いかがでしょうか。
  58. 上田博三

    政府参考人(上田博三君) お答えいたします。  新型インフルエンザに対する検疫対応については、昨年五月に法改正を行いました。新型インフルエンザ対策にかかわる規定を整備したところでございます。現在もその病原性や国内での発生状況等を勘案しつつ対策を推進しており、現時点では法改正の必要性等について議論するのは、まだ今回の流行が終息していないこともございまして、時期尚早であると考えているところでございます。  なお、検疫法に規定する隔離、停留等の措置につきましては、状況に応じて実施の要否を判断することができるようになっておりまして、その運用に関しては、今般の新型インフルエンザは基礎疾患を有する方々を除けばその重篤性は季節性インフルエンザと同程度であることが明らかになってきたことから、国内における感染拡大の状況等も考慮し、二十二日の金曜日に検疫における対応の見直しを行ったところでございます。
  59. 鈴木寛

    鈴木寛君 検討開始が時期尚早だとおっしゃるのは、私は全く理解できません。これ、こういうときこそまさにきちっと検討をして、そして、これをやるかやらないかについてはそれはいろいろな判断があろうと思いますが、私は危機管理というのはそういうことではないかというふうに思っております。  そこで、今回のいわゆる国内感染の発見の遅れという事態が起こってしまったわけでありますが、それがなぜ起こったのかと。いろんなことが指摘されておりますけれども、その一つにPCR検査、いわゆる遺伝子検査ですが、診断ですが、これが渡航歴のある人に限定をされていた、そういう指針が出されていたと。これは我々直接厚生省から聞いております。そのことが最大の理由だと。  じゃ、その背景は何かと。五月の二十五日に局長から御答弁いただきましたけれども、そもそもこのPCRの検査能力、検査体制が十分でないと、こういう御答弁もございました。一日千件ぐらいしかできないというお話だったというふうに思います。二十二日に新しい指針ができましたけれども、なお、これは結局キャパシティーに限界があるからやむを得ないんだと思いますけれども、渡航歴のある人を優先をしてということになっています。  しかし、ここは、国民の皆さんはやはりどういう状況新型インフルエンザが感染が広がっているかというのはやっぱり知りたい。本人も知りたいし、住民の皆さんも知りたい。そういうことで、まさに第二波のことを考えてこのPCR体制を抜本的に充実をさせるべきだというふうに思います。必要があれば、大学にはもう御協力をいただくということはこの前申し上げましたけれども、民間の外注なども併せて検討すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  60. 上田博三

    政府参考人(上田博三君) PCR検査につきましては、特殊な機械がまず必要だということと、プライマーあるいはこれは商業ベースで使っておりますキットが必要でございます。その辺、それから、検査に熟練をした方が必要でございまして、これらの方々のものがすべて整わないとできないという要素がございます。  また、PCR検査そのものは六時間程度掛かるということでございますので、今後、これまでもPCR検査等につきましては我々も国立感染症からプライマーを供給するなどの援助を行ってきましたけれども、今後はこれが更に充実するようにする。  また、御指摘のように、民間でもこういう検査ができること、あるいは簡易のA型インフルエンザキットでこういうものが検査をできるようなことについても、実現をできるように努力をしていきたいと考えておるところでございます。
  61. 鈴木寛

    鈴木寛君 これ、厚生省がPCRをやるやらないじゃなくて、現場のお医者さんがこれはやるべきだと思ったら速やかにできる体制をきちっと整えましょうということを申し上げているわけで、これはまさに予算の問題なんですね。是非これはきちっと対応をしていただきたいというふうに思います。  そこで、診断体制については今のお話でございますけれども、次に相談体制、発熱の場合の相談体制ですね。これは、発熱相談センターというのは保健所などがその主力になろうかと思いますが、これを御覧いただきたいと思いますが、(資料提示)健康局長、五月二十五日に一日四万件の相談を対応しているけれども、不足していると、パンクしていると、こういうお話でございます。これを御覧いただきたいと思いますが、二〇〇〇年から保健所は減っているんですね。こういう体制で本当に大丈夫なんだろうかということを思っているわけでありますが、いかがでしょうか。相談センターのパンクについて厚生省はどういうふうに考えているか。
  62. 上田博三

    政府参考人(上田博三君) 発熱相談センターにつきましては、五月二十七日現在で、四十七都道府県、七百十九か所が設置をされております。これは地域の住民の健康の保持及び増進に関する事業等で行っております保健所を中心に設置をされておりますが、そのほか都道府県の本庁及び市町村保健センターにも設置されております。  保健所につきましては、九・一一の同時多発テロあるいはSARSの発生等の経緯を踏まえて、健康管理上の、健康上の危機管理の拠点として保健所の役割は大きくなっているというふうに考えているところでございます。また、この保健所の運営にかかわる経費は地方交付税により措置をされておりまして、保健所の体制については地域の保健サービスのニーズに応じて整備されているところでございます。
  63. 鈴木寛

    鈴木寛君 これ、何を聞いても局長さんは大丈夫だと。しかし、国内感染が広がってしまったわけですよ。そして、相談でパンクしているわけです。そういう事実を基にここを改善すべきではないかということをお話を申し上げています。いかがでしょうか。
  64. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 今、各自治体、昨日も滋賀県の嘉田知事がお見えになりました。自治体と連携を取りながら、そしてまた各地域の医師会の協力も得ながら、特に神戸の場合、これはもう先行的に発熱外来ではなくて神戸の医師会がやってくださるということで、物理的にスペースを分けて発熱患者を診てくださるということであります。  総合的なことを申し上げれば、例えば保健所、こういうものについて、国民の生命と健康を守る、こういうところに今後の国家の方針としては、それは平穏無事なときには暇かもしれないですけれども、いざというときに間に合いません。それは検疫官もそうなんです。全体の削減計画があります。その中で十名です、増やしたのは、今年度何とか。そういう状況であれば、先ほど木村さん、現場の声をおっしゃったように、相当努力しているつもりですけれども、現場じゃほとんど労働条件変わっていないということなので、そういうことも含めて今後の大きな課題といたしたいと思います。  それからもう一つ、先日申し上げましたけれども、国内の感染者の発見が遅れたことについてなんですが、それは我々も水際に目が向いていたことはあります。もう一つ、学級閉鎖、インフルエンザでやっているところがあれば、それを定点観測をもっと強化しないといけないと、これは反省なんですが、実はそれをチェックすると、小学校、中学校については義務教育だからそれをやっていたんです。ところが、高等学校については、義務教育じゃないものですから、学級閉鎖があってもその情報が来ない。今回、圧倒的多数が高等学校だったので、これも反省点で、これは基本的には学校は文部科学省との連携でやらないといけないので、大きな一つの落とし穴は高等学校に目が向いていなかった。  ですから、そういう意味で、様々な反省点がありますので、一つ一つ改善して、来ちゃいけないことですが、万が一来るようなことが第二波あれば、対策をそれまでに立てたいと思っております。
  65. 鈴木寛

    鈴木寛君 是非しっかり反省をしていただきたいと思います。  それで、今度、診療、治療をしなきゃいかぬと、こういうことになるわけですね。その診療体制でございますが、月曜日にお伺いをいたしますと、今現在全部で千八百床ぐらい、プラス結核感染病棟などを使って二万七千ほどあると、こういうお話、御答弁をいただきましたので、じゃこれ、四十七都道府県ではそれぞれどういうことになっているんでしょうかということを二日前にお尋ねをしたら、いまだに答えが返ってこないんですよ。ここに今の回答書があるんですけれども、空欄ばっかり、これ東京とか大阪とか神戸、まだ埋まっていないと。これが今の厚生省の実態把握の実態でございます。  これ、結核病床ということになりますと、都心は少ないんですよね。例えば、東京というのは、全国の平均が十万人当たり六・七一床なんですけど、東京は四・六六床しかないんです。これ、厚生省が調べてくれないんでうちの学生スタッフにやってもらったんですけど、そんなことに二日掛かるわけでありますが、全国平均を一とすると東京〇・六九と、こういう状況であります。  それから、この問題は、実はSARSというのが二〇〇三年にありました。で、この呼吸器疾患に対しての病床をきちっと整備しなきゃいけないということが当時議論をされました。その現状は分かったけれども、じゃSARS以来どういうふうな整備をしてきたのかと、こういうことを伺ったら、その数字は把握していないという答えなんです。質問すらできないんですよ。議論すらできないんです。これが厚労省の実態でございます。  それで、更に申し上げますと、まさにこういったときに私は公立の病院、公的な病院というのが極めて重要になるわけでありますが、小泉総理以来の医療改革、いまだに二千二百億円の医療費削減方針というのは変更されておりませんけれども、銚子市立総合病院が閉鎖されたのはもう皆様方記憶に新しいところだと思いますし、大阪府の市立松原病院もこれ閉鎖をされました。それから、八百三十七の公立病院の実に一九%、百五十九病院がこれから再編統合されるんです。東京でも、十四ありました都立病院が七つに減ると。更に申し上げると、厚生年金病院十か所、社会保険病院が五十三か所ありますが、これは売却されると。  こういう状況で、この新型インフルエンザ対策を始めとする地域の医療というのは本当にやっていけるんでしょうか。総務大臣、お伺いしたいと思います。
  66. 鳩山邦夫

    国務大臣(鳩山邦夫君) 公的病院の、社会保険病院とかそういうことはちょっと直接の担当でありませんから、公立病院について申し上げますと、確かに平成十五年度は千三病院あったんですね。それが十九年度には九百五十七病院と減っております。言わば純減というんでしょうか、完全になくなってしまった、統廃合等で、そういうのが十一病院あります。それから、ベッド数が減って、これは医師不足等が、あるいは財政の悪化ということで、診療所になったものが二十二病院、それから民間に譲渡されたものが十七病院ということで、確かに減ってきているわけでございます。  私、いつも申し上げておりますように、感染症に対してということについては私は大した知識は持っておりませんから余り正確なことは言えませんが、とにかく、いわゆる採算の取りにくい部分、救急あるいは小児、診療というのはそうしたものでもやらなければならないという状況でございますので、それはいろいろ改革プランを作っていただいておりますが、ですから、それは公設民営化して逆に良くなったというような、地元の評判が良くなったというようなケースもありますが、やはり不採算、採算が取りにくいところでもやらなければならないとか、あるいは過疎地で、その地域で公立病院以外ないというようなところは格別の使命を帯びているわけでございますので、それは減ることは望ましくないわけでございます。  もちろん、再編がうまくいけばいいんですが、基本的には減らない方がいいという意味で、今年は七百億円地方交付税を増額して三千六百億円規模で、普通交付税が二千八百億、八百億が特交と。この特別交付税の方は、とりわけ不採算だから大変でしょうというところに御援助申し上げるという方式で増額をしたところでございまして、公立病院の使命は決して縮小することはないと思っております。
  67. 鈴木寛

    鈴木寛君 今の額では全く足りませんし、しかもそれを恒常的にやっていかなきゃいけないということを申し上げたいと思います。  次は、国立大学でございます。国立大学が要するに法人化されてから、もう国立大学は本当に大変でございます。これがグラフ。(資料提示)  まさに、これは既に文部大臣に五月二十五日に御答弁をいただきましたけれども、国立大学病院あるいは大学病院というのは、私立もそうでありますけれども、やっぱり特別の疾患、まれな疾患、あるいは新型インフルエンザのような新しい未知の疾患と、こういったところにきちっと治療体制、治療方法、あるいは新薬の開発、あるいは治験、これ極めて重要な役割を担っていると思いますが、結局そういうものというのは診療報酬でカバーできないんですね。だから運営費交付金というのが必要なんですが、三分の一です。これでどうやって新しい形のインフルエンザに対応していくのでしょうか。  これ、文部大臣に月曜日にお伺いをしましたが、お答えをいただけませんでしたので、今日は総理に伺いたいと思います。先ほどの公立の病院、そして大学附属病院の件、こうしたところに私は抜本的に力を入れていくべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  68. 麻生太郎

    内閣総理大臣(麻生太郎君) 公立大学の附属病院を含みますいわゆる国立の病院及び公立の病院の数につきましては、鈴木先生おっしゃるように、減少の傾向にありますのは間違いないところだと、私どももそう思っております。一方、感染症の治療というものなどを例に引きますと、感染症指定医療機関の数につきましては大体ほぼ横ばいぐらいの傾向にあると理解をいたしております。  政府としては、平成二十一年度におきまして、先ほどの感染症指定医療機関の施設の整備費や運営費の補助というものを行っており、こうした取組によってその数を減らさないように努力をいたしているところであります。その額が足りないというお話でしたけれども、その点は、私どもその額がどれぐらい足りないか等々、我々としてまだその数を正確に把握しているわけではありません。どれぐらい足りないかという数字をきちんと私どもは理解しておりません。  また、公立病院というものをきちんと経営をしていかねばならぬという独立大学法人になっておりますので、そういったことを考えましたときに、我々としては、独立大学法人として学校を経営していくという部分の一部にもこれは入ってくるわけですから、そういった点も考えておかなければいかぬと思いますが、いずれにいたしましても、新型インフルエンザ等々、これがまた更に変異してまた別のものになる可能性は十分にあるわけで、そういった意味では感染症の治療などに影響が出ないように配慮するというのは当然のことでして、引き続き医療機関の整備には努めていかねばならぬところだと思っております。
  69. 鈴木寛

    鈴木寛君 これは総理がどれぐらい足らないかよく分からぬと、こういう御答弁でございましたけれども。  厚生大臣でも結構ですが、今インフルエンザ、千八百が専用の病床ですけれども、二万もそれに代用できるということですが、現状でどれぐらいの患者に対応できるというふうに考えておられるんですか。
  70. 上田博三

    政府参考人(上田博三君) H5N1のいわゆる鳥インフルエンザが入ってきた場合の感染率というのは二五%、死亡率が二%でございます。そういうことになりますと、二%の死亡率ということですから数十万人が亡くなると、こういう状況になりますので、そういう点では二万床では足りないということになるわけでございますけれども、その場合にどのような対応を取るかということについては、例えばテントなどで野戦病院式のものを設置をするとか、あるいは今入っておられる軽症の方を一時退院してもらってやるとか、もうこれはいろんな形があるわけでございますけれども、そういうものをまず検討することが一つ必要でございます。  そのほかに、今回のように大体死亡率が〇・一%、この程度の死亡率の場合は、これは現在応用しておりますような形で、軽症の方は自宅で御療養いただく、一部の方は入院していただくと、こういう対応であれば比較的ベッド数は少なくても対応できると。また一方、一〇%を超えるような死亡が出た場合には、これはまた別の想定が必要ということで、その辺をこれから更に検討して病床新設等の必要性を割り出す必要があるというふうに考えているところでございます。
  71. 鈴木寛

    鈴木寛君 厚生省はこれから検証し、検討し、シミュレーションするということでございまして、もうらちが明かないので私どもでやらせていただきました。  日本感染症学会の提言、これ大臣お読みになっていると思いますが、これ非常にやっぱりよくできている。やっぱりこういう専門家の御意見というものを我々は率直に聞いて、それを実現するための予算であったり人員であったり、それが我々の仕事だというふうに思います。  今の足らない分、まさにテントでは駄目でありますけれども、プレハブの簡易病棟、仮設病棟で対応することはできるそうでありまして、これ一番低く見積もって六百八十三億九千万円ぐらいの規模であれば速やかに対応ができると、こういうようなことを言われています。  それから、若干今の厚生省の認識は甘いと思うんですが、これは感染症学会の提言ですけど、今回のインフルエンザでも、アメリカにおいてはその五%が入院して、さらにその一%の人がICUに入っているんです。季節性インフルエンザというのは一年間に約一千万人の方が感染します。そうしますと、五%で入院患者五十万人、そしてICU患者十万人ということなんです。そこに今のお話では全く対応できるとは思えないということを申し上げた上で、さらに、お手元の資料には配っておりますけれども、いろんなことを今やらなきゃいけないわけですね。  例えば血液の不活化技術というのがあります。これ、何を言っているかといいますと、今、兵庫県と大阪では献血が計画の五八%しか集まっていないと。結局、今献血をしますとその中にインフルエンザウイルスが入っているかもしれないということなんです。だから、これをまさに不活化、インフルエンザウイルスを殺さなきゃいけないんですね、簡単に言いますと。そういう技術の導入については、これは実は田中康夫議員がもう既に質問しているんです。しかし、これを政府は全くやっていないんで、こういうこともサボっていた、怠っていた。これを緊急にまさにやらなければいけないとか、あるいは、インフルエンザの新しい薬、タミフル、リレンザ以外の薬、これ日本陣営も相当頑張っていただいておりまして、これも早急にこの開発を促進し、そして承認のところでは厚生大臣にきちっと対応していただけるというようなことも聞いておりますので、それを是非確実にやっていただきたいと思います。もうアメリカのFDAはそういった緊急措置をとっております。それからタミフルの備蓄、これ冬に向けて更にこの予算を確保すべきだと。  こういういろいろな予算ニーズがありますが、今回の補正、インフルエンザの開発体制についてはやっていますが、今日一貫して議論をしてまいりましたインフルエンザ、新型なのかそうでないのかという診断、そして相談、そして、これ幾らタミフルがあってもそれをちゃんと治療する場所がなかったらこれは国民の皆さんの命を救えません。そういった項目がほとんど抜けているんです。だから、こういったことに、まさに補正予算というのは、当初予算で想定し得なかった今回のような新型インフルエンザのような問題が起こったときに補正なんですよ。  それから、いいですか、基金というのはこういうときのことのために使うんですよ。まさに第二波がいつ来るか分からないと。そのためにきちっと、用意できるものとか建物はこれは用意しておけばいいけれども、それ以外のいろんなものが必要です。そのときに基金を積んで、そしてこれはこのフェーズが上がってきたら直ちに導入する、これが基金の本来の使い方だということを私は申し上げたいと思います。  そこで、総理、こうした私ども、別に私どもが提案しているわけじゃありません、感染症学会が言っていることを我々が真摯に受け止めて、これ党派を超えてやりましょうという、こういう御提案をさせていただいているわけでありますが、総理財務大臣に御指示をいただいて、今本当に無駄な予算がもう山とあります。これを見直せばこんな額はすぐ出てくる。これを直ちに予算組替えをするように指示を出していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  72. 麻生太郎

    内閣総理大臣(麻生太郎君) ただいま予算の編成替えを行うという御要望を言っておられるんだと思いますが、それをするつもりは今ございません。  今般の新型インフルエンザ対策につきましての問題でしたけれども、当初予算及び補正予算の執行により対応が可能なものは、まずその予算の執行の内容によって対応していかなければならないと思っております。  また、地方自治体独自の取組ということを御心配しておられるんだと思いますが、これは、本補正予算に計上いたしております経済危機対策臨時交付金、約一兆円ございますので、その活用に加えて特別交付税によります対応も検討することができるということだと思っております。  なお、更に対応が必要とある場合には、予備費というものが約五千億あろうと思いますので、このように政府としては万全の対応を期していく所存でありますので、新型インフルエンザ対策につきましても、補正予算の修正とか、また第二次補正予算の編成とかいうものを今考えておるわけではございません。
  73. 鈴木寛

    鈴木寛君 私が申し上げているのは、第一波が入ってしまいました。そして、第二波が相当な確率で予測をされております。そして、その治療をするためのベッド、人員の確保、これ全くできておりません。だから、そこは今すぐに予算をきちっと確保して整備に入らなければいけないんです。それを予備費では対応できないんです。だから、補正を組み替えて、そしてきちっと予算を付けてこうした体制整備をしたらどうですかという私の御提案でございましたが、総理は全くやる気がないということがよく分かりました。  財源は、もう昨日からいろいろ申し上げておりますが、農林関係の基金、二十ありますけれども、これだけで七千億。例えば、あるいは官庁が導入する太陽光パネルが三百八億、あるいは官庁が買う環境自動車、三百十億、官庁がエアコンを交換するお金が二百三十五億、これを削ればまさに私たちの命を守るこの新型インフルエンザ対策が万全を期せると思いますけれども、総理、いかがでしょう。
  74. 麻生太郎

    内閣総理大臣(麻生太郎君) 今、基本的には、鈴木先生に対しては先ほど御答弁を申し上げたのが基本です。  その上で、今いろいろ言われた分につきましては、私どもとしては、いわゆる地球環境、温暖化等々の問題を考えたときにおいては、この種のいわゆるCO2というものの削減というものはこれ我々にとりましても健康上極めて重大な問題であって、地球の温暖化、高熱化に我々としては対応していく、長期的に考えておかねばならぬ大事な支出だと思っております。
  75. 鈴木寛

    鈴木寛君 完全なすり替えだと思いますし、我々と優先順位が全く違うということが分かりました。  最後に申し上げます。  総理、今厚生省分割をめぐって舛添さんとけんかしているみたいですけど、そんな暇はないんだと思いますが、これどういうふうに思われますか。厚生省分割議論じゃなくて、まさに新型インフルエンザ対策に遺漏なきようにするように是非この対策きちっとやっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか、厚生省分割。
  76. 麻生太郎

    内閣総理大臣(麻生太郎君) 舛添労働大臣とけんかをしているというような御意見でしたけれども、そのようなことはないと思っております。少なくとも、議論とけんかと大分意味が違いますので、そこのところはきちんと区別をしていただかぬと、話を妙にあおっても何ら建設的な話にならぬと思っております。  したがいまして、私どもとしては、こういった国民の安心、安全というものは極めて大事な問題でありますので、我々は関係部局というものを再編強化したいというのを基本的に考えておりますので、私といたしましては、いろいろな御意見というものを考えてやらせていただければと思って、官房長官を中心に関係閣僚で検討をさせているところであります。
  77. 鈴木寛

    鈴木寛君 インフルエンザ対策の観点からも速やかな政権交代が必要だということがよく分かりました。  終わります。
  78. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) これにて鈴木寛君の関連質疑は終了しました。  以上で犬塚直史君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  79. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 次に、山本一太君の質疑を行います。山本一太君。
  80. 山本一太

    ○山本一太君 私は自民党の山本一太でございます。  北朝鮮地下核実験の問題について総理に何問かお尋ねをしていきたいと思います。  北朝鮮が二回目の地下核実験を強行しました。その後も、二日間で四発か五発の短距離ミサイルを発射したり、あるいは韓国の李明博政権を挑発したり、いろんな瀬戸際政策を繰り出しているようですけれども、この間の北朝鮮の行動について、まず、総理日本のリーダーとしてどのようにとらえておられるのか、そこからお聞きしたいと思います。
  81. 麻生太郎

    内閣総理大臣(麻生太郎君) 北朝鮮がどのような意図を持っていわゆる核実験始め一連の不可解な行動を取っているかということにつきましては、我々の予想とかいうもので軽々しく言うべきではないと思っておりますので、少なくとも国際社会のいわゆる推論、判断、予想というものからは理解できない行動だと思っております。
  82. 山本一太

    ○山本一太君 今総理のおっしゃった理解できない行動を北朝鮮が繰り返しているわけですが、はっきりしていることは、地下核実験核実験をやれば核弾頭を小型化する技術が進む、ミサイル発射実験をやればミサイルの精度が上がるということで、明らかに日本にとって北朝鮮の脅威は高まっているということだと思います。  こういう状況下において政府危機管理を考える、これはもう目的はたった一つで、国民の安全を守るということだと思います。それは北朝鮮に核廃棄を促していくということだと思いますが、同時に、日本の国家としての抑止力というものを高める、これについてきちっと検討していく必要があると思います。  総理、抑止力を高める方法としては、一つは、先般から議論になっている国連安保理、国際社会と連携して圧力を掛けていく、抑止を強めていくというほかに、日本独自でも北に対する抑止力を展開するという方法があります。  そこで麻生総理にお聞きしたいんですけれども、今回のこの二回目の、今総理がおっしゃった、理解できない、日本としては受け入れ難いということも総理はぶら下がりインタビューでおっしゃっていましたけれども、この核実験を強行した北朝鮮に対して、現在日本北朝鮮に科している経済制裁、これを強化をして、例えば輸出の全面禁止等の措置に踏み込むと、そういうお考えがあるかどうかをお聞きしたいと思います。
  83. 麻生太郎

    内閣総理大臣(麻生太郎君) 日本北朝鮮に対するいわゆる対応につきましては、これはいろいろこれまでも検討が不断に行われてきているところでもあります。  今回の核実験につきましては、先ほど犬塚先生でしたか、お話があっておりましたが、安保理決議第一七一八の、何というの、決議案に明確に違反をしておることははっきりしておりますので、したがいまして、今回も強い非難というものが国連安保理でなされる、これは大事なことであります。そして、これが総会で決定されますと、まずはこれに書かれてあることを参加国、加盟国はこれを履行していただかにゃいかぬ。我々としては最もそれをきちんと履行している国の一つだと思っておりますので、そういった新たな安保理決議について直ちに我々としては作業を開始するということで、P5プラスということでほぼ一致をしていると思っております。  日本としてどのようなことをやるかということにつきましては、これは国連の安保理の新しい決議というものを見た上で検討させていただきたいと考えております。
  84. 山本一太

    ○山本一太君 今総理の方から国連の安保理決議の推移を見て日本対応を考えたいというお言葉があったんですけれども、私は、総理、個人的には、できるだけ早く日本は経済制裁を強化する、レベルアップするというメッセージを発信するべきだというふうに思っています。それは何も感情的な側面でそう申し上げているのではなくて、やはり今回の北朝鮮地下核実験で最も脅威を感じる国は日本だと、日本が、総理のお言葉じゃないんですけれども、最も怒っていると、緊迫した状況でこの北朝鮮地下核実験というものをとらえていると、そういうメッセージを発信するために、やはり日本がいち早く独自の制裁を強化するという私はメッセージを内外に発信するべきだというふうに思っています。  よく何か経済制裁については、私も改正外為法と特定船舶入港禁止法案にはかなり深くかかわりました。最後は民主党の方々とも協議をしてこの二つの法律を決めた。圧力を掛ける舞台装置をつくったわけなんですが、経済制裁については当時から、中国が協力しないと余り効果がないんじゃないかとか、国際社会の協力がなかったら余り意味がないんじゃないかという議論がありました。特に今は日朝貿易もかなり量が少なくなっているんですけれども、効果についての議論はいろいろあるかもしれませんが、私は日本の国としてのメッセージをしっかり発信すると、そのことがアメリカに伝わり、北朝鮮に伝わると。これはむしろ外交戦略として日本にとってベターだと思っておりますが、総理、早急に輸出の全面禁止も含めた経済制裁強化の決断を下されるお考えがあるか、もう一度お聞きしたいと思います。
  85. 麻生太郎

    内閣総理大臣(麻生太郎君) 先ほどの御質問にもありましたけれども、少なくとも今回の北朝鮮の二回目の核実験というものは前回の核実験のときに出された国連決議第一七一八に対する重大な挑戦であることは極めて明確だと思っております。したがいまして、我々としては今回は更に強いメッセージを迅速に国際社会のメッセージとして正確に伝えるというのが大事だということだと思っております。    〔委員長退席、理事岩永浩美君着席〕  したがいまして、我々としては国連安保理決議の臨時開会、あの日はたしかアメリカが休みの日だったんですが、我々はそれを要求してこの国連を、緊急に安保理事会を開催をさせております。議長国ロシアでありますので、御存じのような立場でありますからなかなか難しかったんですけれども、このロシアもこれに賛成をさせて、基本的に開催をさせるところまで行って、今まさに決議文というものの内容を詰めさせていただきつつあるというところであります。内容につきまして、その内容を詳しく申し上げるわけにはいきませんけれども、我々としてこういったことを言うのは、我々の提案を向こう側としてはなかなか、これ、各国調整しなくちゃいかぬところでもありますので、きちんとしたものを出す、そのあれを見た上で日本としてきちんとして、日本としてやれるところというのを改めて考えなければならぬところだと思います。  経済制裁につきましてはおっしゃるとおりです。今は八億ぐらいしかないと思いますので、かなりの額まで減ってきております。その分だけほかの国で急激に増えてきているところもありますので、そういう意味では経済制裁それ自体としてのいわゆる制裁の意味があるかという御疑念というのはかなり多くの方から出されているところでありますが、同時に日本としてのメッセージというものはきちんと出すべきであるという御意見には賛成であります。
  86. 山本一太

    ○山本一太君 タイミングはもちろん総理がお決めになることだと思うんですが、大変しつこいんですけれども、最後にもう一回繰り返しておきますが、前回のミサイル発射のときは、例えば北朝鮮が近々地下核実験をやるかもしれないと、そのときに日本が切れる制裁のカードを残しておこうという配慮もあったかもしれませんが、今回もしその経済制裁のカードを切らなかったらもうこれ切るタイミングがなくなってしまうと思いますので、そこら辺も是非踏まえていただいて、特に今回は衆参でこの地下核実験に抗議する決議が可決をされたと。これ全会一致ですけれども、かなり強い中身で、日本政府についても制裁の強化を含めて断固たる措置をとっていただきたいということを国会としても要請をしておりますので、是非、総理、そこら辺を踏まえた上でできるだけ早く決断をいただければというふうに思います。  次に、中曽根外務大臣にちょっとお聞きしたいんですけれども、地下核実験が行われてすぐ北朝鮮は短距離ミサイルを発射したと。たしか四月の二十九日だったと思いますが、安保理の議長声明が出たときに、北朝鮮当局がこれはけしからぬと、ちゃんと謝罪してくれと、謝罪をしないんであれば核実験やりますよと、それから大陸間弾道弾、ICBMもやりますよというふうにたしか表明したというふうに記憶をしておりますけれども、北朝鮮のこれからの動きをどのように外務省として分析をしているのか、更なる地下核実験があるのか、それとも、例えば大陸間弾道弾の発射実験みたいなところまで行くのか、そこら辺の展望を外務大臣にお聞きしたいと思います。
  87. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 今委員がおっしゃいましたように、四月の二十九日に北朝鮮外務省のスポークスマン、声明が出されたわけでありますが、その中では、国連安保理が直ちに謝罪をしない場合と。謝罪をしない場合というのは何かというと、その前の弾道ミサイル発射を受けて、強い議長声明が出されたこととか、あるいは新たに三社が制裁される会社と指定されたとか、こういうことだと思うんですが、そういう場合には核実験とそれから大陸間弾道ミサイル、これの発射実験を行う、そういう旨の表明をしているところでございますが、こういうようなことを表明したことを踏まえまして、我が国としてもやはり、私も委員会でも御答弁しましたし、官房長官記者会見で、あるいは総理も、各国の首脳、例えば訪中されましたとき、温家宝総理や胡錦濤国家主席、あるいは韓国の韓昇洙国務総理、あるいは日ロ首脳会談等においてこの問題を取り上げて、北朝鮮が緊張を高める行為を控えるような、そのようなことを求めてきたわけでありますが、それにもかかわらず、残念ながら五月二十五日に核実験を実施したわけであります。  これは、今委員がおっしゃいましたように、大変重大な脅威でありまして、我が国が特に一番この影響を受けるわけでありますが、この安保理の開催を我が国がいち早くこれを要求し、今総理からお話ありましたけれども、非公式協議において今この決議案の検討が行われているわけです。この検討の中でも我が国は強いメッセージを出すべきだということで、恐らく各国よりも強いものを我が国として要求していると、私はそういうふうに思っておりますけれども、今作業をやっているところであります。  今後のことでありますけれども、北朝鮮がどのような態度を取るとか行動を取ると、そういうことにつきましては予断をすることはできないわけですが、今後の言動が更に情勢を緊迫化させかねない、そういうものになっていると思います。したがいまして、我が国としてもこれを注視していかなければなりませんし、また、北朝鮮によりますこういう挑発行為的なものを国際社会としてこれは受け入れることはできないわけでありますが、我が国といたしましては、この国際社会が明確な意思を北朝鮮に示すということが大事であると、必要であると、そういうふうに考えておりまして、今回の安保理決議を迅速に強いものを出すべく努力をしているところでございます。  いずれにいたしましても、六者会合に復帰をして、また、我が国としての課題でありますこの拉致とか核とかミサイルの問題、こういうものを包括的に解決をするという方向に向けて努力をしていきたいと思っています。
  88. 山本一太

    ○山本一太君 今回の北朝鮮の瀬戸際政策はちょっと過去の瀬戸際政策と違うと、こういうふうに分析する北朝鮮専門家が日本に多い気がします。二〇〇六年というよりは、どっちかというと九二年、三年のあのときの第一次核の危機に近いんじゃないかと、ここでアメリカを引っ張り出せなかったら目的を達成するまで北朝鮮は相当のことをやるんじゃないかと、こういう分析もありますので、北朝鮮が四月二十九日に言及したICBMの件も含めて、是非、日本政府としてもしっかり監視をして対策のシミュレーションを怠らないようにしていただきたいと思います。  次に、安保理決議の話なんですが、今ニューヨークで各国のいろんな非公式協議も含めた話合いが行われているということなんですけれども、総理が、昨日かおとといの会見だったと思いますが、これは当然追加制裁を含むべきだというような意味のことをおっしゃっていますけれども、総理の目から御覧になって、今議論しているところですからなかなか具体的な項目まで言及できない部分もあると思いますけれども、総理として、今度の安保理決議は、日本が議論をリードするということですから、どういうものであるべきだというふうに思われているか、そのことをお聞きしたいと思います。
  89. 麻生太郎

    内閣総理大臣(麻生太郎君) 今、既に我々として出しております内容をこの場で申し上げるわけにはいきませんけれども、今まで一七一八を二年半前に出したときに比べて明確なメッセージというのはきちんと伝わる、しかもあれより早く伝わるというようにする必要がある、私どもは基本的にそう思っております。  前回のときは、例のミサイルのときには議長声明ということになりましたけれども、中国も含めて強いメッセージになってああいった形になりましたけれども、ああいう形ではなく、制裁を伴う決議文という形にきちんとするべき。なぜなら、一七一八は決議文ですから、それに違反しておりますんで、明らかにあれに勝るものにきちんとする、その内容につきましては目下交渉中という、ちょっとそれまでしか申し上げられません。
  90. 山本一太

    ○山本一太君 マスコミ報道とか、いろんなニューヨークの友人たちの何か情報とか、いろんな項目が出てきていて、例の北朝鮮の船舶の貨物検査、臨検を主張しているのがアメリカだとか、あるいは金融制裁までやるべきだとどこかの国が言ったとか、核、ミサイル関連の企業の資産凍結の範囲を広げる、人にももっと広げるとか、いろんなことが言われているわけなんですが、是非、先ほど中曽根外務大臣もおっしゃったように、強い国連安保理決議、追加制裁を含んだ安保理決議の採択に全力を尽くしていただきたいと思います。  この点について今日一つ総理にお願いしたいことがありまして、実は、二〇〇六年に地下核実験が行われて安保理決議が採択されました。地下核実験があると、地下核実験とミサイルのことに非常にスポットが当たって、日本にとって非常に重要な拉致問題の影が少し薄くなってしまうという傾向があるんですけれども、二〇〇六年の地下核実験の後に採択された国連安保理決議、ちょっと正確には覚えていないんですが、前文に人権問題、人道的な問題という部分が入ったというふうに記憶しています。これは拉致問題も含んでいるということで、ここは、たしか私の記憶が正しければ、日本政府としてはこの拉致という言葉を入れようとして、中国ほかの反対もあってこれを落としたと、正確にはちょっと分かりませんが、そういう経緯はあったと思いますが、拉致問題については日本しか言うところがありませんので、この強い安保理決議を草案をしていく過程で人道的、人権への配慮、これ、二〇〇六年と同じようにこれを盛り込んでいただく努力を日本政府としても是非やっていただきたいと思うんですけれども、総理のお考えをお聞かせください。
  91. 麻生太郎

    内閣総理大臣(麻生太郎君) 日本にとりまして核、ミサイルと同時に拉致問題というものが極めて重要であるということは申すまでもないところであります。今、安保理でできる限り強い決議というのを迅速にということをやらせていただいておりますが、確かに二年半前に人道上の懸念に対応するというような言葉がたしか使われたと記憶をいたしますが、いずれにいたしましても、山本先生の御指摘を踏まえて、今言われた文言等々、しっかりと対応してまいりたいと考えております。
  92. 山本一太

    ○山本一太君 いろいろ御質問したいことがあるんですけれども、今日は時間が余りないんで幾つか飛ばして、総理に引き続きお聞きしたいと思うんですが、日本の抑止力を高める、北朝鮮の核の脅威が高まったことを受けて、日本の国としての抑止力を高める、この手段を、ありとあらゆる選択肢をやっぱり検討していかなきゃいけないということを先ほど申し上げたわけなんですが、その中で注目されている抑止力を高める方策の一つ、もちろんミサイル防衛の開発、配備とかいろいろある中で、敵地攻撃能力というのがあります。敵地攻撃能力と言うとまるで先制攻撃を意味しているような印象があるので、策源地攻撃能力と言った方がいいと思いますが、これについては、もう釈迦に説法ですけれども、憲法の範囲内で行われるべきことであって、もちろん先制攻撃でもないと。ほかに手段がないときに、日本に急迫不正の侵害があって、例えばミサイル基地をたたかなければ攻撃を受けるという状況でほかに手段がないときには、敵の基地をたたくということは、これは自衛の範囲内だという、昭和三十一年でしょうか、有名な政府の統一見解があるわけですが、これについて総理は、一定の条件下であればこれは法理的には可能だということをおっしゃったやに聞いておりますけれども、そういう見解で間違いないでしょうか。
  93. 麻生太郎

    内閣総理大臣(麻生太郎君) これは、御存じのように昭和三十一年の国会答弁でその言葉を使われておりますんで、その文章というのは、ここにはまだ生まれていらっしゃらない方も大勢お見えですけれども、これを全部ちょっと読むのもいかがなものかと思いますんで、そちらで読んでいただくということでお願いを申し上げておきます。  少なくとも、今、我々としては防衛計画の大綱というものを見直しつつありますが、いわゆる敵基地攻撃能力の保持を盛り込むべきだという御議論というのは一部で行われていることは私どもも承知をいたしております。今、安全保障と防衛力に関する懇談会などなど、いろいろ我々としては開催をさせていただいて御議論をいただいているところでもあります。今後、防衛計画の大綱の見直しについていろいろ意見が出てくるところだとは思いますが、その御議論を見た上で改めて検討していかねばならぬと思っておりますが。  今、たしか急迫不正という言葉が、急に迫って正しくないという意味で急迫不正という言葉がたしかあのときも使われたと記憶します。その急迫不正の侵害として、日本国土に対して誘導弾等の、いわゆる、何というの、攻撃というのを、万やむを得ない場合にこれは未然に防がないとどうにもならぬという意味で、ほかに手段がないと認められる限りは、敵の誘導弾等の基地をたたくということは、法理的には憲法が認められている自衛の範囲に含まれ、可能であると考えておる、これはずっと昭和三十一年から同じことであります。少なくとも、これが従来よく言われるように、武力攻撃を着手していない時点での先制攻撃とは違うというところが一番肝心なところであります。  他方、現実の自衛隊の装備というものを見ました場合は、これは、敵基地攻撃というものを目的とした装備体系というものは、御存じのように飛行機でやる場合には幾つかの装備が要るわけで、御存じのとおりなんで、そういったものの装備体系を保有をしておるわけではありませんので、こういったものに関しましては、日米安全保障体制を更にきちんとした上で、我々としては日本の平和と安全を期するということを基本として考えております。
  94. 山本一太

    ○山本一太君 この敵基地攻撃能力は、自民党の中堅、若手で抑止力強化の勉強会をつくって議論をしてきたんですが、今総理おっしゃったように、自民党の正式な政調の機関、国防部会の小委員会で十二月にまとめられる防衛大綱への提言として入っていると。    〔理事岩永浩美君退席、委員長着席〕  これ、最後は総理がお決めになることだと思うんですが、この敵基地攻撃能力の保有、あくまで憲法の範囲内、もちろん先制攻撃とは違います、抑止力を高めるための一つの手段、場合によっては憲法の範囲内での日米同盟の盾と矛の役割をある程度見直す議論につながっていくかもしれませんが、これが防衛大綱に入る、これを盛り込む、こういうことは可能性としてはあるのか。最後は総理がお決めになることなんですけれども、そこら辺は総理可能性があると、こういうふうにとらえてよろしいでしょうか。
  95. 麻生太郎

    内閣総理大臣(麻生太郎君) この防衛計画の大綱の議論というのは、まだ議論の経過というか議論の途中でもありますので、今の段階であらかじめ予断を持ってお答えするのは差し控えさせていただきたいと存じます。
  96. 山本一太

    ○山本一太君 時間が四分ぐらいしかないんですが、最後に一つ総理にお聞きしたいことがあります。  北朝鮮に核廃棄をさせる、北朝鮮の方針転換をさせるためにどうしても不可欠なプレーヤーはアメリカと中国だと思います。中国をどうやって戦略的に巻き込んでいくかということはもちろん考えなければいけないんですが、アメリカに対して日本政府としていろんな働きかけをしていくべきではないかというふうに私は日ごろから思っておりまして。  総理、御存じのとおり、アメリカの国務省のケリー報道官だったかどうか、ちょっと名前、正確か分かりませんけれども、テロ支援国家指定の解除を見直すという可能性があってもいいんじゃないかということに言及をしたと。これはロイターの報道なんで本当に正確かどうかは分かりませんが、アメリカの財務省は、マカオの銀行バンコ・デルタ・アジアのケースなんかも踏まえて金融制裁も検討し始めたというような議論が、そういういろんなニュースが今出てきています。  実は、御存じかもしれませんが、最新のフォーリン・アフェアーズ、外交、国際政治の分野では最も権威のあるフォーリン・アフェアーズという雑誌のコラムにビクター・チャという例の国家安全保障、NSC……(発言する者あり)はい、前の日本部長なんですけれども、ビクター・チャが論文を書いていまして、彼がその中で、金融制裁は非常に有効ではないかと、もう一つ、テロ支援国家指定、このやはり見直しというものを考えるべきではないかというふうに言っています。  こういういろんな情報から考えると、アメリカにこういう政策を取ってもらうということは決して可能性のない話ではない。総理は、昨日か何かのぶら下がりか会見か分かりませんが、テロ支援国家指定解除の見直しに期待を示したというようなちょっと報道を見たんですけれども、期待されるというよりは、アメリカの北朝鮮政策ははっきり言って失敗の連続だと思いますので、やはり総理の方からオバマ大統領にアドバイスをして、是非テロ支援国家指定解除を見直して、そのことが日本北朝鮮に対する外交交渉力を上げることにもなりますので、期待するのではなくて、日本の方から働きかけてアメリカに北朝鮮に対する圧力を掛けてもらうと、そういうアプローチを取っていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  97. 麻生太郎

    内閣総理大臣(麻生太郎君) 電話の内容までちょっと説明できることはできませんので、御期待に沿っている線で動いていると思っております。ただ、内容について細目申し上げることは差し控えさせていただきます。
  98. 山本一太

    ○山本一太君 終わります。
  99. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 関連質疑を許します。西島英利君。
  100. 西島英利

    西島英利君 自由民主党西島でございます。  今日は新型インフルエンザについて御質問をさせていただきたいと思います。  今、新型インフルエンザが世界的に報告をされまして約一か月ちょっとがたちました。日本にも国内感染が発生をしているところでもございます。そして、今、直近では、全国の八都道府県だったでしょうか、八都道府県でございます、八都道府県で今新型インフルエンザが発生しているというところでございますけれども、神戸とそれから大阪が少し著明な数が出ているというところでございますが、そのほかは何とか抑えているのではないかという評価を私自身もしているところでございます。  ただ、先日、私、福岡に、医師会に行きまして、そのときに福岡で一件発生をいたしました。県とそれから県の医師会で話合いをしまして、こういう方針でやろうということで福岡県内に通知を出されたわけでございますが、医者の理解とそれから保健所の方の理解とがなかなかうまくいっていないというふうなところでございまして、やはり情報提供というのはいかに難しいのかなということをつくづく感じたところでもございます。  今日はそういうことも含めまして御質問をさせていただきたいというふうに思いますけれども、今回、数年前からWHO、世界保健機関が新型インフルエンザ、特に鳥インフルエンザが人に感染したときの重大性というものを警告をいたしました。そこで世界各国がその対策に取り組んできたわけでございます。日本でもその対策のために行動計画が作られまして、まずは二〇〇五年、平成十七年の十二月に第一回の行動計画が発表をされました。さらに、二〇〇九年、平成二十一年の二月に改訂版が発表されまして、来るべき新型インフルエンザの発生に関し着々と準備を進めてきたということでございます。  私も、与党の新型インフルエンザ対策に関するプロジェクトチームの一員といたしましてこの行動計画に関与をしてきたところでもございます。今日はその点から確認も含め、今日出席していただいています専門家の方々に御質問をさせていただきたいというふうに思います。  この計画を作っているときの、新型インフルエンザが発生し、そして日本に侵入をしてきたら、もし何もしなかったらどうなるだろうかと。全人口の二五%が感染をし、そして医療機関を受診する患者さんは千三百万人から二千五百万人、入院患者は五十三万人から二百万人、死者は十七万人から六十四万人に達するという予測がされたわけでございます。この数を可能な限り少なくするということを目的として様々な計画が練られてきたということでございます。そして、今年の四月の二十四日にWHOがメキシコ及びアメリカにおいて新型インフルエンザが発生していることを発表しまして、その後、世界に感染が拡大しているということで世界に警告をするように注意をしたということでございます。  今日は、先ほど鈴木委員から御質問されましたお二人の参考人の方がいらっしゃいますけれども、この方々の過去の御意見、これは森兼氏、木村氏でございますが、一つには、水際対策について、やはりこれは余り意味がないのではないか的なお話をされておったと聞いております。また、木村氏に関しましては、タミフルとかワクチンについても意味がないのではないかと、重大な訴えをいろんな週刊誌等々でされているということでございまして、国民はこういう言葉が発せられますと本当に不安になってしまうということでございます。  そこで、さらに、このことについてずっと専門的にされてきた方々にお話をさせていただきたいと思うんですが、ちょっとパネルを表示させていただきたいと思いますけれども、(資料提示)まず今回の新型インフルエンザは、これは世界各国どこでも侵入を防ぐことはできないというのが共通の認識でございます。ですから、侵入してきたときにピークになる期間をいかに先送りするのか、そのために様々な行動計画が練られているということでございます。  例えばワクチンの製造に関しましても、発生して初めてどういうウイルスか分かりまして、それからワクチンの製造に掛かるわけでございますから、ワクチンが完成するのに数か月掛かります。ですから、数か月の間、何とか時間稼ぎをする。それから、例えば急にピークが来た場合には、そのときには医療提供体制もこれはがたがたになってしまいます。破綻をしてしまいます。ましてや企業活動も全くできない状況が起きるということでございますので、まさしくこの時間を先送りしながら、何とか発生件数を抑えながら、そういう形で対策を練っていくというのが今回の行動計画の一番大きなねらいであろうというふうに思っております。  そこで、今日御出席をいただいております尾身参考人に、今回のこの新型インフルエンザの特徴、また一連の日本対策について、また世界的な動きを含めて御所見をお伺いしたいというふうに思っております。  尾身さんはWHOの西太平洋地域の事務局長をされておりまして、先ほどもちょっとお話出ましたが、この重症呼吸器感染症、SARSと言われた、これは極めて死亡率の高い実は感染症でございますけれども、この対策を指揮をされていた方でもございますし、またその後に鳥インフルエンザ対策も指揮を執られた方というふうにお伺いをしておりますので、グローバルな視点からの御所見をお伺いすればと思います。よろしくお願いいたします。
  101. 尾身茂

    参考人尾身茂君) 今の御質問に答える前に、政府の専門家諮問委員会委員長として二つだけ、二点だけ申し上げさせていただきます。  まず一点は、今回の事態は、新インフルエンザの事態は、政治的信条を超えて言わばオールジャパンで取り組むべきことだと思っております。それから二点目としては、専門家として感染症対策の基本の理念と客観的な事実に基づいてお話をさせていただきたいと思います。  さて、最初の水際作戦についてでありますけれども、これは確かに水際作戦は万能薬ではございません。本質的な欠点を持っております。その理由は二つございまして、一つは、いわゆる潜伏期間内、つまり感染しても症状が出ないうちにそこを通る人がいるということが一つの理由でございます。それからもう一つは、今回の場合は症状が比較的軽い人がいるということで、その二つの点でそもそも一〇〇%の万能薬ではないということがあります。  そういう中で、今回の水際作戦が効果があったかどうかということですけれども、これは私の見解は一定の効果はあったと。では、一定の効果は何かということで、もちろん感染者が検疫で見付かったということでありますけれども、実はそれ以上の意味が今回はございました。  一つは、国内の発生例、渡航歴じゃなく、大阪、国内の発生例が始まる前に、報告される前に言わば時間稼ぎと、時間が稼げたために、いわゆる最終診断のインフルエンザの診断薬が調製できて、それが各地方自治体に配付できて、最終診断の時間が今までは二十四時間以上だったものが数時間に短縮できたということが一定の効果の一つ。もう一つの効果は、成田で四例の感染者が最初見付かりましたね。私ども専門委員会も成田の病院に参ってかなり詳しい情報を聞きましたが、その分析によると、我々日本人の今回の新型インフルエンザに対する反応が、四例でかなり少なかったですけれども、アメリカ人及びメキシコ人の人とほぼ同じだということが分かった。この二つが一定の効果ということであります。  ただし、じゃ今回の水際体制が一〇〇%正しかったかというと、私は、私の個人的な見解は、水際作戦を一生懸命やった反面、実は、我々ももちろん、政府の中には渡航歴のない人から新しい感染者が出る可能性については認識がありました。つまり、メキシコあるいはアメリカから来ない人から感染が出る。つまり、それが起きたわけですね。このことに関する認識は、もちろん我々専門家もありましたし、私はこのことは政府の官邸あるいは厚生省の人とも話して、この認識は間違いなくありました。  ただ、何が問題だったかというと、この認識をはっきり分かる、まああのときは水際水際と言って各県の人もフォローアップで大変忙しいというときに、今回は来るから水際作戦でやると同時に、本来なら外来サーベイランスの立ち上げも強化、あるいはスクールサーベイランスといってコミュニティーの中で本当に起きたかどうかをやるそのメッセージ、メッセージは出たんですけれども、残念なことにこのメッセージがはっきりしなかったというところが今回の課題だと思います。  それから、事実関係としては、WHOに関しては確かにこの水際作戦というのは一般的には勧めておりません。しかし、WHOも、私も長くいましたから、こういう趣旨で言っています。リソースのある、例えば日本のような国、あるいはシンガポールのような国は、それで自分らの主権国家としての意思でやるということについては特に止めるということはないということで、実際に中国あるいはシンガポール、そういういわゆるアジア圏だけじゃなくて、ニュージーランド等の国でこの検疫はやられております。  ただし、次回においての一つの我々が学ぶべきことは、今回はWHOも感染力だけでいろいろフェーズを、感染の広がりということだけでフェーズを分けていたんですね。これも日本政府もそうです。次回の検疫のことについて、フェーズをつくる、あるいは対策をつくるとき、一方で感染力を縦軸に、そしていわゆる病原力を横軸につくる、やや二次元的なそういう対策をつくる、これが検疫においてもその病原性を含めて多少アジャストするということはこれからの課題で、これは厚生省がすぐにやるべきことだと私は思っています。
  102. 西島英利

    西島英利君 今、尾身参考人が水際対策お話をされました。一部の国がやっているということでございますが、実は日本は海に囲まれております。そういう意味では、侵入経路というのは海から入ってくるのか飛行機で空から入ってくるのか、これは大体もう決められるわけでございますから、そういう意味日本のやる意味というのは大きいだろうというふうに思っております。  学校閉鎖のことについても、これは特に、木村さんは成功したためしがないということをおっしゃっているんですが、この件についても、尾身さん、御見解をお聞かせいただければと思います、学校閉鎖の件で。
  103. 尾身茂

    参考人尾身茂君) 学校閉鎖の前に一つだけ、こういう感染症の基本について述べます。  このような新しい感染症の場合には、基本的にワクチンあるいは診断薬が当初はないんですね。これは新型インフルエンザだけではなく、すべての新しい感染症においては、初期の段階ではいろんなものが足りないんです。これが基本的に大事なことであります。  そういう中で、いわゆる十九世紀的な、現代のタミフルとかいう二十一世紀的なことよりも、むしろ十九世紀的な公衆衛生的な対策ですね、例えば人の隔離だとか、人と人の接触をなるべく避ける、これが十九世紀的な、古典的な公衆衛生が新しい感染症の、しかも初期の段階では非常に大事になるんです。  今の指摘の学校の閉鎖についてですけれども、今までの感染症の我々の経験では、これは長い間の経験で、初期の段階で学校閉鎖することが一定程度の効果があることはもう分かっております。その心は、なぜかというと、学校の場合には集団、子供たちがかなり長い時間一つの狭いところにいるから、この人たちを学校閉鎖するということが、もうこれは感染の初期の段階の、ある程度少なくするということに役立っているということが分かっていて、そういうことで、しかもいわゆる社会生活の影響という意味では、これは明らかに企業活動に比べて少ない。  夏休みを例えば前倒しにすることによって、御父兄の理解は必ずしも簡単ではないけれども、努力すれば得られると思って、しかも今回の場合は、神戸、兵庫がある程度抑えられたのはこの学校閉鎖がかなり効いたというのが私の判断であります。
  104. 西島英利

    西島英利君 次に、岡部参考人にお伺いをいたしますけれども、今回の行動計画は現場を知らない人間が作ったもので役に立たないというふうな御意見も言われているようでございますが、岡部参考人はこの行動計画に深く関与されてきたというふうに伺っております。  私も今回の計画作りの中に少し意見を言ったわけでございますけれども、毒性の高い鳥インフルエンザの人感染を想定して作られたものでございまして、危機管理の観点からは当然最悪のケースを想定して作るのがこれは当たり前のものだというふうに思っておりますが、岡部参考人にその点についてお聞かせいただきたいと思います。
  105. 岡部信彦

    参考人岡部信彦君) 国立感染症研究所の岡部です。  新型インフルエンザ対策行動計画というのは、一番当初は、私たちが考えていましたのは、私、新型インフルエンザ対策行動計画や何かをディスカッションしたときの専門家会議の議長をやっておりました。そのとき、その専門家会議の中で検討したことの大きな骨子は、これは新型インフルエンザが出たときの対策ではなくて、パンデミック、つまりいろいろな形のインフルエンザが形を変えて大流行したときの備えであるというようなことで議論を始めました。しかし、当初、当初といいますか、そのときからH5N1ということが非常に分かりやすい、説明しやすいということで、H5N1を中心にというような形になりましたけれども、あの対策会議の中ではかなりの幅を持っての議論を行いました。  危機管理としての最悪の想定、これがH5N1が入ったとき、並びに、これまで過去にあったスペイン型インフルエンザが出たときのことを想定し、しかし、それでも不十分だという声も随分ありました。もう一方の方は、かつて起きたパンデミックの中で比較的軽かったスペイン型、しかし、それでも通常のインフルエンザを超える被害がありますので、それを想定の低い方に置いたわけです。  それで、これは専門家会議でありますので医学関係の方が多いわけですけれども、そこの中には地方衛生研究所あるいは保健所、公衆衛生担当、学界の代表あるいは病院の代表あるいは医師会の代表の先生方、いろいろな専門家が集まって、メディアの方も入っていました。それでワーキンググループをつくって検討し、それでできた骨子案を私たちは厚生省に提出する形で、以前は専門家会議案として出たわけですけれども、それはいろいろな省庁間の調整を経て最終的に政府のものになったということがあります。  それで、これが低い場合には役に立たないというようなこともあるわけですけれども、その中には、一つ骨子として、行動計画等については適時適切に修正を行うことということになりました。これを是非利用していただければというふうに思います。
  106. 西島英利

    西島英利君 私もこの行動計画に少しだけ御意見を申し上げたんです。それは何なのかといいますと、先ほどのお話にもちょっと出ましたけれども、たくさんの方が重度になられて、その場合に本当に病院に収容し切れるのか、病院の中での治療がやれるのかと、そのときのことを考えなければいけない。となりますと、このインフルエンザの治療というのは、一つには隔離でございます。ほかの人に感染させないための隔離。もう一つは安静。もちろん抗生物質等々を使った治療も、これも重要でございますけれども、そういうところで考えていきますと、実は自衛隊の野戦病院的な機能もやっぱりしっかりと使うべきではないかという意見を申し上げたわけでございます。それが恐らくさっきの答弁の中に出てきたんだろうというふうに思っております。  もう一つの問題は、発生して、治療薬としてのタミフルをどう考えるのかということでございました。タミフルの備蓄をやっぱりしていかなきゃいけないということで、年々予算を組みましてタミフルの備蓄を増やしてきたという経緯がございますが、今回のその様々な御意見の中で、タミフルは効かないのではないかと、それからワクチンも、これは効果があるのかどうか分からぬというようなお話もされているというふうにお聞きしておりますので、この件について、また岡部参考人の御所見を伺いたいと思います。
  107. 岡部信彦

    参考人岡部信彦君) 岡部です。お答えをいたします。  いずれも、薬もワクチンも一〇〇%の効果を期待するというのは、また、医学の世界でなかなかあり得ないことでありますけれども、いずれも効果としては私は期待できるものであるというふうに思います。特に、抗インフルエンザ薬、今タミフルという名前が出ましたけれども、類似の薬でリレンザというものもあります。これは幸いに、ウイルスが出て初めて分かったことでありますけれども、耐性の遺伝子、つまり薬が効きにくいウイルスではないということも分かり、それは、国内でウイルスが検出されたものについても同様であるということが分かりました。ですから、ある程度の期待ができると思います。  ただし、基本的にはインフルエンザは、普通のインフルエンザも含めて、治療しなくても治る人が多いということも事実でありますけれども、少しでも快適になる、早く良くなるという意味では、私は十分に、そこはお金の問題になるわけですけれども、あれば、国民の健康ということでは十分使う価値があります。ただ、たった二つの薬で行くということが、まあ手のうちはたくさんあった方がいいわけですから、なるべく早く次の、既に開発は行われているわけですけれども、そういう薬に対する承認であるとか皆さんの合意であるとか、そういうものが早く取れるシステムは、これは必要であるというふうに思います。  ワクチンに関しましても、ワクチンは通常は健康な方に接種するものでありますから、なかなかその効果というのは見えにくいところもあります。非常に効果のいい、例えばポリオとかはしかに比べると、インフルエンザのワクチンは七〇%ぐらいの効果であると言われますけれども、しかし、そこに一定の効果があり、かかってしまうよりはかからない方があらゆる部分で得な面がありますので、私はワクチンというものを否定ではなくて、これは積極的に利用すべきものであるというふうに思います。  ただし、重ねて言えば、我が国はインフルエンザワクチンが生産できる数少ない国でありますけれども、ワクチンそのものに関する環境は日本は余りよろしくなくて、米国の十年前、二十年前に比べれば、そのときは同様でありましたけれども、現在アメリカの方が二倍、三倍のきちんとしたワクチンを国民に使用できるようになっている、こういう現状もこの背景にあるということをちょっと一言付け加えさせていただきます。
  108. 西島英利

    西島英利君 タミフルは、世界的な事例によりますと、今回の新型インフルエンザに関しましては、例えば糖尿病とかぜんそくとか腎透析の患者さん等々、この方々は重篤化してしまうという、こういう報告がなされておりまして、この方々にはやっぱり積極的にタミフルを使うべきだろうということは言われているところでもございます。また、妊産婦の方々も、新型インフルエンザにかかることによって早産それから流産の危険性があるということで、これもタミフルを積極的に使用するようにという、これは世界の私は今常識になっているだろうというふうに思っております。  それから、ワクチンの問題でございますが、これにつきましても、これはワクチンは必ずしも病気を抑えるというだけではございませんで、実は重症化を防ぐという意味での効果はよく言われているところでもございます。季節性のインフルエンザのワクチンを打ちましても、これはちゃんとやっぱりインフルエンザにかかる方はたくさんいらっしゃいますが、重症にならないということは、これは我々の中では常識になっているところでもございます。そういう意味では、ワクチンの重要性というのは是非総理も御理解をいただいて、今後の予算編成にも是非お願いを申し上げたいというふうに思います。  ところで、この秋にも第二弾が来るのではないかというお話でございますが、そのときにどういう対応を今お考えになっているのか、岡部参考人、簡単にお願いいたします。
  109. 岡部信彦

    参考人岡部信彦君) 簡単にお答えします。  第二波が来るというふうに考えて、次の想定をした方がいいと思います。
  110. 西島英利

    西島英利君 そういう意味で、今回もタミフルがどれだけ使用されて備蓄の量がどれだけ減ってきたのかということもあるわけでございまして、その辺りも今後しっかりと検討する必要性があるだろうというふうに思っております。  そして、今日いろんなお話をさせていただきまして、そしていろんな知識も、実は皆様方から御所見をいただいたところでもございます。  今日のこの一連の議論の中で、来るべき第二波に備えて、もう一つは、これはもう本当に強毒性と言われているんですが、鳥インフルエンザが人に感染した、この状況日本に来るということもやっぱり、もう当然でございますけれども、これは想定しなきゃいけないわけでございまして、そのときのために作られている行動計画を、そのときにはしっかりと全国的に実行できるようにするための総理大臣としての御決意をお聞かせいただいて、私の質問とさせていただきます。
  111. 麻生太郎

    内閣総理大臣(麻生太郎君) 今おっしゃいました件に関しましては、今回のインフルエンザがこの種の、何と言うの、病原菌というのは突然変異が起きますので、その意味では、人にうつる、また人から人にうつる、そういったような突然変異によって第二波が起きる、そのときにはタミフルに抵抗力が付いているかもしれない、これはいろいろ言われるところであります。  そういう意味で、日本として、前回の鳥インフルエンザ用のときはかなり病原菌のあれが低よりは高の方にあったものですから、そういった意味では、我々としては十分にその種のことも考えておかなければならないという御指摘であったと思いますので、政府としていろいろな対応を今後とも検討しておかなければならないところだと考えておりますし、現在作られておりますものも、今回の中でどこのところが現実論として、やってみた結果、対応してみた結果、ここに欠陥があるというようなところは十分に修正をして柔軟に対応すると書いてありますので、きちんと柔軟に対応をするような形のものをあらかじめ検討しておく必要がある、そのように思っております。
  112. 西島英利

    西島英利君 国民の一番の関心事、これは健康でございます。そして、やっぱり感染症というのは一番怖い病気であることは間違いございません。そういう意味での政府の御対応をよろしくお願いを申し上げたいと思います。  それでは、質問を終わります。
  113. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) これにて西島英利君の関連質疑は終了しました。  以上で山本一太君の質疑は終了しました。(拍手)     ─────────────
  114. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 次に、澤雄二君の質疑を行います。澤雄二君。
  115. 澤雄二

    ○澤雄二君 公明党の澤雄二でございます。  新型インフルエンザ対策について伺います。  持ち時間が十五分でございますので、急ぎ質問をさせていただきます。  金曜日に厚生労働省が新しい運用指針を発表いたしました。メキシコ、大阪が相次いで終息宣言を出しました。新しい患者の発生数が減ってきています。今、町の声は、もう大丈夫なんだという声が急速に広がってきています。本当に大丈夫なんだろうか。対応が万全であれば被害は最小限に抑えられる、抑えなくてはいけない、私もそう思っております。その視点で質問をいたします。  インフルエンザウイルスは高温多湿に弱い、動きが鈍くなりますし、死滅をしていきます。まさに今がこのシーズンであります。梅雨を迎えますし、真夏を迎えます。しかし、これからもまだ心配でありますが、秋以降はもっと心配でございます。今の新型はアジア風邪に似ていると言われています。このアジア風邪が第二波の攻撃をしてきたのは九月からでございます。  このことを踏まえて、まず政府対策本部の諮問委員長尾身先生に質問をさせていただきます。  月曜日の質問で舛添大臣は、今の新型と通常のインフルエンザの最大の違いは、基礎疾患、慢性疾患を持った人が重篤化することだというふうに答弁をされました。そこで、尾身先生にお伺いをいたします。具体的にどのような方がどのように重篤化するのか。済みません、時間がないので簡潔にお願いをいたします。
  116. 尾身茂

    参考人尾身茂君) 基礎疾患のある人、例えば糖尿病、ぜんそく、それから妊婦の人、それから小児、それから一部若い健康な人でも重篤化することがあります。
  117. 澤雄二

    ○澤雄二君 どういうふうに重篤化しますか。重篤化したらどういう症状が出ますか。
  118. 尾身茂

    参考人尾身茂君) 季節性のインフルエンザで老人が亡くなることが多いですけれども、これはウイルス性肺炎を起こして亡くなるんじゃなくて熱があって消耗して亡くなるということですけれども、今回の場合は、アメリカの例などではウイルス性肺炎としてかなり厳しくなって亡くなるということでございます。
  119. 澤雄二

    ○澤雄二君 舛添大臣に伺います。  先週末にお会いした中で、透析で一日置きに通院しなければいけない、また肝硬変で週一度通院しなければいけないという方がいらっしゃいました。今、尾身先生がおっしゃいました呼吸器系疾患、今日本全国で三百六十四万人いらっしゃいます。循環器系疾患の方が千百十四万人であります。糖尿病の方が二百四十七万人、妊婦の方が百万人、これだけで二千万人であります、つまり重篤化するかもしれないという基礎疾患、慢性疾患を持った。これ以外にもいろんな病気の方が言われています。  ところが、このハイリスクの患者の方たちが感染をして重篤化したときに受け入れる病院、ベッド数が全く足りないというふうに思われています。神戸では感染症指定病院のベッドは一日でパンクをいたしました。東京都は結核症の病床はもう受け入れる余裕がないと言っています。大手の総合病院は、今九割が満床でございますから、隔離しなければいけない病床はもうほとんど余裕がない。町の病院は、診察は受け入れることができるけれども、入院させることができない。ですから、もし第二波の攻撃を受けて基礎疾患を持った方が重篤化したときに収容する病院が足りない。しかし、第二波が秋だとするとまだ時間的余裕があります。  政府対応について舛添大臣にお伺いします。
  120. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 例えば、昨日、滋賀県の嘉田知事がお見えになりました。ほぼ正確な数字、私が記憶しているとおり申し上げますと、感染症指定の病院は七つ、しかし滋賀ではそれの倍の十四が、普通の病院ですけれども、そういうための病床の確保に協力しているということでありますので、そういうことを含めて、先ほど総理からも御答弁ありましたように、地域の緊急対策として一兆円の予算もあります。それから、地域医療再生計画で三千百億円というのもございます。そして更に予備費ということもございますので、これは基本的には都道府県が、地域の一番現場が大事ですから、現場のよく分かった方々が都道府県の地域計画を立てられる、それに応じて医師会も協力する、そして国も当然、財源的な措置も含めて協力してまいりたいと思っております。
  121. 澤雄二

    ○澤雄二君 自治体では、今ある総合病院の病床を増やそう、若しくはコンテナを造ろう、若しくはプレハブを造ろう、若しくはさっきのテントを造ろうと、いろんな計画をしているところがございます。いずれにしても、ベッド数を増やすということが大変大事でございます。  今日は総理大臣財務大臣出席されておりますので、お伺いをいたします。  この新型インフルエンザ国民の生命と健康を守るためにいろんな予算が掛かってまいりますので、予算措置を万端にお願いをしたいということと、それから観光業界等で経済的被害が出ております。これに対する支援もお願いをしたいというふうに……(発言する者あり)
  122. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 質問中は静粛にお願いします。
  123. 澤雄二

    ○澤雄二君 時間がないので、お願いをしたいというふうに思っております。  今、日本は大変な経済危機に見舞われておりますけれども、これ以上この被害で危機を大きくしないためのベストの政策は、感染拡大を防ぐということだと思っております。総理の御決意をお願いいたします。
  124. 麻生太郎

    内閣総理大臣(麻生太郎君) 新型インフルエンザ対策につきましては、先ほどいろいろ述べられておられましたとおりなので、予算執行によりまして基本的には対応してまいりたいと考えております。  また、地方自治体につきましては、先ほど補正の話の中で、いわゆる経済危機対策臨時交付金一兆円とか特別交付税によります対応が可能なんだというように考えております。当然、予備費という分も五千億あろうと思っております。  もう一点、休業など経営が悪化したという点を言われておりましたけど、これは観光業を含めまして、特に観光業、修学旅行の話がよく出たところでありますけれども、中小・小規模企業というのが多いんですが、こういう緊急保証とかセーフティーネットの貸付けなどを利用していただいて、我々としては支援をしてまいりたいと思っております。
  125. 澤雄二

    ○澤雄二君 舛添大臣に伺います。  当初予定していたのは、強毒なH5N1であります。発生の可能性はまだ消えていません。むしろ増えたということも言われています。我が国は今、織田に攻められた上杉みたいなもので、通常のインフルエンザ、新型、それからH5N1、三方から敵を迎えるということがこれから考えるわけでございます。  今年のワクチンは、当初、通常のインフルエンザは二千八百万本分、それからH5N1に対応するプレパンデミックワクチンが一千万本作る予定でございました。これがキャパです。ここに新型が入ってきます。この比率をどのように考えられるのかということが一つ。  それから、このワクチンの比率決めるのも感染の拡大を予想するのも、それからハイリスクの方がどれだけ重篤化するということを予想するのも何が必要かというと、今回の新型に対する新たなガイドラインを作ることが必要ではないかというふうに思っております。感染率、致死率を含めた健康被害の予想、分析、それから社会経済に与える影響の予想、分析、これを含めた新しいガイドラインを作らないと適切な感染防止策が進まないと思いますが、厚労大臣の見解を伺います。
  126. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) どういうふうにしてワクチン製造するか、これWHOもまだ決定を下しておりません。我々は今、日々この患者さんの状況を見ながら知見を集めていって、それによって季節型、そしてH5N1、そして今の新型インフルエンザ、H1N1ですね、これをどういう比率にするか決めたいというのが一つ。ですから、むしろそのガイドライン云々よりも、毒性がどうであるかとか症状がどうであるかと、そういうことの積み重ねをまずやることが大事であって、突然変異ということもまたあります。  それからもう一つは、ただワクチン製造だけではなくて、ワクチンを接種するときの接種方法にかかわる機器、例えば今まで十の量が必要なものを五で済むような機器を開発すれば倍増えるわけですから、それから更に全く違う新しいワクチンの方法、そういうことをすべて含めてただいま研究中でありまして、国立感染センターの決定を待って六月初旬にも決めたいというように思っております。
  127. 澤雄二

    ○澤雄二君 よく分かっていただけないところがありました。  ワクチンの比率だけではなくて、要するに感染率と致死率を含めた予想分析、それを含めて、それから社会経済に対する影響も含めた新しいガイドラインを至急作る必要があると。それがないとワクチンの比率も決められないですよということをお伺いしたんです。  時間がないので、タミフルについて伺います。  タミフルが今現在医療現場で十分に供給されていないという声を聞きました。都内で発熱外来を予定しておりますある大きな総合病院には今備蓄は十三人分しかありません。それで、問屋に聞いたら、それを使い切ったら新たに供給すると言われたということであります。ある薬問屋は、在庫は今四人分しかないと言われました。ある薬局では、在庫はゼロだと、百人分注文をしても来るのは五人分、それも良くて一週間後、通常は二週間掛かるというふうに言っています。東京都の備蓄二百万人分今ありますが、これは大流行期にならないと供給をされません。ですから、大流行期になるまでは流通分でとにかく乗り切るしかない。だけれども、今現場にタミフルが十分に供給をされていない。  このタミフルは四十八時間以内に服用しないと効果がありません。ですから、調子が悪いと思って病院に行ったときには、もう一日たっているかもしれない。速やかに処方することが最も大事なことでありますが、今この供給体制が心配であると思います。  大臣の見解をお聞きします。
  128. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 五月末から流通備蓄分の四百万人分を放出しております。今そういう澤さんの意見もありますけれども、ある病院でこれが足りない、直ちに供給するような体制を取っております。
  129. 澤雄二

    ○澤雄二君 いや、その数字は事前に伺いまして、また質問通告のときに、こういう事実関係もあるので速やかに供給体制を確立をするということを事前答弁で聞いておりますので、今、大臣、もう一回答弁をお願いします。
  130. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 卸売業者や医療機関を通じて、今どこにも足りなくて、今お医者さんがタミフル投与しないといけないのに、ないよと言って悲鳴を上げているというのではないということを申し上げているので、ですからもう五月末から四百万人分放出していますし、そういう体制を整えているということでございます。
  131. 澤雄二

    ○澤雄二君 五月末から放出しているのは、事前に聞いているのは百万人分で、五百万人分ではありません。  それから、大事な質問をいたします。  秋になって通常のインフルエンザが流行しますと、数百万人単位でA型が出てきます。簡易キットでもう識別はできなくなります。これではもう遺伝子検査もその数は無理です。つまり、だれが新型でだれが通常のインフルエンザか識別できなくなるという事態が来るわけです。  こういうときには、とにかく一網打尽にしてインフルエンザを防ぐしかありません。ただし、簡易キットでインフルエンザに感染していることは分かります。ですから、感染した人にためらわずタミフルを処方すると、世の中にウイルスが蔓延していくことを防ぐことができます。しかし、お医者さんたちに聞くと、すべての患者に処方すると保険適用で問題があると逡巡されているお医者さんが少なからずいらっしゃいます。  こういう事態になったときに速やかにタミフルを処方するということが必要だと思いますが、大臣、どうでしょうか。
  132. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) それは当たり前なので、インフルエンザだったらやりますよ。ですから、その心配は全くないと思います。
  133. 澤雄二

    ○澤雄二君 時間がないのでやめますが、まだ二分ございますけれども。  実際に半分ぐらいのお医者さんが、すべてのインフルエンザにタミフルを処方するというのは保険適用で問題があるので逡巡をしますというふうに言われていますので、それをよく頭の中に置いていただいて、速やかにタミフルを処方できるようにお願いをしたいと思います。  これで質問を終わります。
  134. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 以上で澤雄二君の質疑は終了しました。(拍手)     ─────────────
  135. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 次に、仁比聡平君の質疑を行います。仁比聡平君。
  136. 仁比聡平

    仁比聡平君 日本共産党は、北朝鮮核実験という暴挙に断固抗議し、一切の核兵器開発計画の放棄と六か国協議への無条件復帰を強く求めるものでございます。  被爆者は、核兵器と人類は共存できない、激しく怒りの声を上げています。今こそ、核兵器の罪深さを伝えなければならないという被爆者の叫びにこたえて、被爆の実相を直視し、世界に発信し、核兵器廃絶のイニシアチブを発揮することが今、日本の政治に求められています。  そうした中、本日、原爆症認定訴訟で国の十八連敗目となる東京高裁判決が下されました。私は、線引きのない、被爆の実相に即した、一人残らずの一括解決を強く求めるものでございます。  官房長官にお尋ねしたいと思います。官房長官も東京高裁判決がタイムリミットだと述べてこられましたが、既にこの裁判の原告三十人のうち半数に上る十四人、全国三百六人の原告のうち六十八人が無念のまま他界されています。  齊藤泰子さんは二年前に亡くなられました。四歳のとき、六歳のお姉さんと二人、お母さんに連れられて広島の爆心地から一・四キロの自宅に戻り、瓦れきの山になった家を素手で掘り返し、破れた水道管から水を飲んだりして被爆し、発熱、下痢の急性症状、その後、がんになって、裁判所は原爆症だと認めたのに国はまだ認定をしておりません。九十六歳になったお母さんは、あのとき二人を広島へ連れていかなければ苦しませずに済んだのではないかと今も御自身を責め続けていらっしゃいます。これ以上、被爆者を苦しめてはなりません。  今日の判決を受けて、解決に臨む思いを伺います。
  137. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 東京高裁の判決が先ほど出たところでございます。詳細はまだ承知しておりませんが、国の主張の一部は認められ、一部は認められなかったということであります。  まずはこの判決を、この対応は関係省庁で検討していただくことが必要であると思っております。東京高裁判決の対応を決めた後に、残された原告についてどのような解決を図っていくか、これも関係省庁とよく相談をしたいと、こう思っております。  いずれにいたしましても、原爆症認定については個別の方の状況も踏まえて行われる必要がございます。政治的にこれ一括して認定ということについては私は難しい面もあるとは思っておりますが、これは従来から私も申し上げておりますように、今回の東京高裁判決を含めた一連の司法判断、これを踏まえて、その内容を精査して、私としても早期解決に向けて必要な対応を検討していかなきゃいかぬと、こう思っております。  被爆者対策については原告の皆さん方もいろいろお話を伺ってきております。高齢化されております。現行法の体系の中で対応可能なことは、一定の限界はあるのでありますが、この見直しも含めて、今どんどん認定を進めておるわけでございます。その中で可能な限り問題の解決をしていかなきゃならない、被爆者救済の考え方に立って対応していきたいと、このように思っております。
  138. 仁比聡平

    仁比聡平君 一人残らずの解決ということでなければ全面解決は私はできないと思います。  総理、オバマ大統領の核兵器のない世界への呼びかけを受けて、世界は動き始めております。ノーベル平和賞の受賞者十七人が五月十七日に発表したヒロシマ・ナガサキ宣言にはこうあります。人類がこれまで三度目の核兵器による悪夢を避けることができたのは、単なる歴史の幸運な気まぐれではありません。第二の広島、長崎を回避するために世界へ呼びかけ続けてきた被爆者たちの強い決意が、大惨事を防止することに確かに役立ってきたのです。  総理、被爆国の首相としてふさわしいイニシアチブを発揮する上でも、原告、被爆者の方々と今直接お会いになって、被爆の実相と核兵器廃絶への思いを直接受け止めるべきだと思いますが、いかがですか。
  139. 麻生太郎

    内閣総理大臣(麻生太郎君) 五月の十五日に出された大阪高裁の判決というのがありますけれども、これにつきましては上告はしないということを本日決定をいたしております。あわせて、本日出されました東京高裁の判決につきましては、これ一連の司法判断というものを踏まえて、我々としてはその対応を検討させていただきたいと存じております。これが基本です。  その上で今、もう仁比先生よく御存じのとおりに、昨年、一昨年か、昨年から審査の内容を変えてきております。それに伴いまして、一昨年度まで年間約百二十件ぐらいのものが昨年から二千九百件ぐらいまで増えてきておりまして、先ほど言われた例の方も、爆心地から三・五キロメートル以内ということになろうと思いますので、そういった対応もしていかなければならないと思っておりますので、意を酌んでいただければそれでよろしいかと存じます。
  140. 仁比聡平

    仁比聡平君 直接お会いいただきたいと思います。  終わります。
  141. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 以上で仁比聡平君の質疑は終了しました。(拍手)     ─────────────
  142. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 次に、福島みずほ君の質疑を行います。福島みずほ君。
  143. 福島みずほ

    福島みずほ君 社民党の福島みずほです。  北東アジアにおける非核構想についてお聞きをいたします。  社民党は北朝鮮核実験に強く抗議をします。社民党はいかなる国のいかなる核にも反対です。  社民党は二〇〇一年、二十一世紀の平和構想、いわゆる土井ドクトリンを発表しました。北東アジアにおける安全保障機構の創設、北東アジア非核地帯の創設を提言をしたんですね。そのためにモンゴル、中国、韓国を訪れ、同意を得てきました。六か国協議の議長である武大偉議長も社民党本部に来られて、この社民党の安全保障構想、非核構想を六か国協議の決議に盛り込んだとわざわざ言ってくださいました。  この朝鮮半島における非核化、そして北東アジアにおける非核化構想、これについて是非日本政府がイニシアチブを取って進んでやっていただきたい。いかがですか。
  144. 麻生太郎

    内閣総理大臣(麻生太郎君) 進めている最中であります。
  145. 福島みずほ

    福島みずほ君 北東アジアにおける非核構想について進めていただいているということで、大変ありがとうございます。  ところで、ヒロシマ・ナガサキ宣言で核保有国、とりわけアメリカに対する核兵器の縮減ということを、これをうたっております。オバマ大統領の核廃絶の演説は世界の、本当に衝撃を与えました。核保有国、とりわけアメリカの核の傘の縮減、これも被爆国日本としてはきちっと提起をすべきだ。いかがですか。
  146. 麻生太郎

    内閣総理大臣(麻生太郎君) 我々は、御存じかと思いますが、国連でずっと決議案を出し続けてきた最初の国です。是非この点だけは御記憶をいただきたいと思っております。ずっとやっている国は、最初からですから当然のことといえば当然なんだと思いますが、当然のことをやらせてきていただきました。これがまず第一点。  続いて非核化の話になろうと思いますけれども、これは当然のことですけれども、その地域に非核化の話があるにもかかわらず、それと全然逆方向に行っている国が隣にいるという話ですから、我々にとりましては。これは極めて状況は違う、ほかの国と、ほかの地域と。これは物すごくそこの条件が違ってきておりますので、我々としては依然不透明なものやら緊張関係がここに、地域に存在をしておりますので。  したがいまして、それを抑止するためにはそれに対抗できるだけの大規模な軍事力が要るとか、いろんな説が出てくるのは当然のことでして、非核化地帯構想を実現するための現実的な環境というのは、今この北東アジアにおいては極めて難しい状況にむしろさきおとといからなってきておるという状況も踏まえて対応していかなければならぬものだと思っております。
  147. 福島みずほ

    福島みずほ君 だからこそ朝鮮半島における非核化、北東アジアにおける非核化が必要です。核不拡散と同時に、核兵器の縮減、アメリカの核の傘もロシアも中国も核兵器の縮減をすべきだ、日本は特にアメリカに対してはっきり言うべきだと考えますが、いかがですか。
  148. 麻生太郎

    内閣総理大臣(麻生太郎君) 今申し上げたことと同じことになろうかと存じますが、少なくとも今この国際社会というところには、大量破壊兵器、いわゆる核を含みます巨大な軍事力が存在をしております。我々はロシアとも中国とも隣国を接しておりますし、アメリカとも、そういった地域にあるところに北朝鮮という問題がここに出てきておりますんで、核兵器だけを他の兵器と全く切り離して取り扱おうというのは、これは現実的ではないと思っております。かえって抑止のバランスを崩しまして安全保障を損なうことにもなりかねないということも考えておかなきゃいかぬと思っておりますので、我々は、当事国の意図だけで先制不使用とかいう話をされても、その保証はありませんので、そういった意味では、すべての国が賛同し得るような考え方をつくることというのは現状ではなかなか容易なことではないと思っております。
  149. 福島みずほ

    福島みずほ君 核兵器廃絶に関して、特にアメリカに対して、核保有国に対して日本ははっきり言うべきです。  一言、敵地攻撃について歴代の防衛庁長官は、日本がそうした攻撃能力というものを保有することはなり得ないと国会で答弁をしています。この方針を現在も維持するということでよろしいですね。一言で結構です。維持すると言ってくだされば結構です。
  150. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) いや、我々とすれば、維持を、今先生の御指摘のとおりでありますが、しかし、それは内容がちょっと、先生の言っていたことちょっと違いますので。  お尋ねの件は、石破防衛庁長官答弁を引いていらっしゃいまして、万一の場合には、敵地攻撃能力を持つとすると何が必要になるかとの質問に対して、空対地ミサイルだけでなく、敵のレーダー網を妨害するための航空機、最低限四つのものが具備されなければ敵地攻撃能力を確保することにはなり得ない旨、そのため、装備、軍事技術などの観点からの説明をしたものと我々は承知をしております。  以上です。
  151. 福島みずほ

    福島みずほ君 終わります。
  152. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 以上で福島みずほ君の質疑は終了しました。(拍手)     ─────────────
  153. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 次に、荒井広幸君の質疑を行います。荒井広幸君。
  154. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 改革クラブです。  テレビ中継が、私の場合、遅くなってしまって、三分で、途中で切れますので、まず最初に、順番を逆に、総理にお尋ねいたします。  今日は危機管理です。足下の話をさせていただきます。  武力攻撃事態やテロのときに、万が一があったときに消防団の皆さんに御協力を仰ぐことに国民保護法制でなっております。普通の消防団の活動にも頭が下がります。万が一のときに消防団の方々に、ボランティアの方々です、危ない状況でやってもらうというのは困ります。危ない状況での活動はしないということを確認的に総理から言っていただきたい。  二つ目。じゃ、危なくないときだけれども、果たして自分たち消防団はどんな手伝いをするのか、こういったことについて消防団の皆さんにもお伝えしておかないと不安でなりません。  この二点について総理の明確な御見解をいただきます。二分ぐらい、テレビ中継です。
  155. 麻生太郎

    内閣総理大臣(麻生太郎君) 時間がありましたら鳩山大臣の方から、テレビの外になるかもしれませんけれども。  基本的に、まず一番肝心なところですが、国民保護共同訓練、これ、国民保護法ができました後、消防団とのいろいろな共同訓練というのは各地でなされております。これは福岡県も新潟県も既にしておられると思いますが、しておるのが一点。  二つ目。その際に、地方公共団体所属の消防団員の安全の確保というものに関して配慮するということは、これは国民保護法にも明示をされておるところでありますので、我々としては、消防団員の方々に、いわゆるいったん緩急あったときの、いったん緩急って通じませんかね、身の危険があったときに住民の避難の誘導というものとか、武力攻撃によって災害、火災が起きたときなどの対処等々をお願いするということになろうと思っております。
  156. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 九十万人の消防団の皆さん、これは大丈夫な状態でお手伝いいただくということでございます。そして、消防団の皆さんには我々は大変感謝をしているわけです。  さて、北朝鮮による度々のミサイル発射や核実験、あるいはテロという、そういう危機も我々を取り巻いております。一方、新型インフルエンザの流行など、新たな脅威もあるわけです。相手が日本を攻めるというときに、未然に防ぐ方法を研究し確立する、これも今日の議論にありましたが、非常に重要なことだと思います。そして同時に、もう一つ、足下のこともあります。  実は、四月五日のテポドンが撃たれたときに、エムネット、いわゆるパソコンで通知をした姿を我々覚えておりますね、テレビで。もう一つ、今度はこれ政府を評価します。二十三秒で電柱やあるいはビルからピンポンパンポーン、危ないですよ、避難してください、このJアラートを今度の予算で一挙に整備する、こういうことです。評価します。  しかし問題は、国からの情報はいいんですが、地域地域情報が変わる場合があります。ゲリラ集中豪雨があるように、緊急事態のときもそうです。そのときに、役場で当直をしていたり、日曜日の場合、緊急、消防からの連絡が行かない、時間が遅れるということがあります。それから、ピンポンパンポーンと、あの流れるようなシステムをやっていない都道府県が二五%あるんです。これでは万が一のときに情報を共有する、それによって行動するというその初歩的なことができません。  総務大臣、どうやって自治体にピンポンパンポーンとあのつながるようなこと、一秒も早く伝わるようなそういった仕組みをつくるのか、積極的に対応してください。
  157. 鳩山邦夫

    国務大臣(鳩山邦夫君) 要するに、本当は、例えばJアラート、この間、テポドンのときは使わないということを最初から言っておりましたけれども、Jアラートであっという間にあれして、これが防災行政無線につながって一斉に、ピンポンパンポーンというんですか、それをやらなければいけない。ところが、実際、防災行政無線がないところが、先生おっしゃるとおり二五%あるんです。あるところでも二十四時間対応になっていない、つまり自動的にはなっていないというところがかなりあるんですね。ですから、二十四時間対応可能な市町村は千八百幾つかのうちの千百七十四団体しかない。  したがって、これ防災行政無線をつくる、それがまた二十四時間対応というのはもう絶対必要なことでございますので、できれば、地域活性化・経済危機対策臨時交付金、例の一兆円使っていただいて、消防本部に遠隔起動装置を整備していただくなど、全部の団体に整備されるように働きかけてまいりたいと思います。
  158. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 お願いします。  総理補正予算もいいことやっていますよ。改革クラブは足下、国民の足下を見て提言をしていきます。  ありがとうございました。
  159. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 以上で荒井広幸君の質疑は終了しました。(拍手)  これにて新型インフルエンザ北朝鮮核実験危機管理に関する集中審議は終了いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時五十八分散会