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山下芳生君 今
大臣がおっしゃったのは、
総務省が二〇〇六年三月に発表した多文化共生の推進に関する研究会の報告書の中に今述べられた一文がありますが、その次に書いていることが大事なんですね。企業にはそうした社会的責任が存在する、しかし、
外国人労働者を雇用する企業にはこのような社会的責任を十分に果たしていないという
指摘がされている。十分責任果たしていないんですよね。それが
総務省の報告書でも
指摘されているということも紹介しておきたいと思います。
需要がなくなったから帰国してください、定住者としての再入国は認めません、これでは納得できないという当事者の声も聞きました。この国の
外国人の受け入れ方の無責任さを私は改めて生の声を聞きながら痛感した次第です。
この
総務省の研究会の報告では、
外国人の受入れに関して基本的な責任を有する国の責務、そして
外国人労働者を雇用する企業の責務についてそれぞれ明確にすることを求めております。
ところが、国の政策で
外国人を受け入れながら、受け入れたら後は居住している
自治体任せになっているのが現状だと思います。
私、先日、
外国人登録者が人口の約六%、三千三百四十人に上る滋賀県の湖南市を訪問し、谷畑英吾
市長から市の施策と国への要望を聞かせてい
ただきました。湖南市で
外国人が増えたのはやはり一九九〇年、入国
管理法
改正で日系三世に制限のない
在留資格が認められるようになり、ブラジルあるいはペルーからやってくる人が急増したとのことでした。
外国人派遣の専門会社が、この湖南市にある工業団地の住宅が今空き家になっておりまして、そこをもう一括して借り上げて、そこに
外国人の方々に住んでもらって、そこから県内外の様々な企業にこういう方々を安価な労働力として供給したということも、この湖南市で
外国人労働者が急増した背景にあります。
谷畑
市長は、
自治体がこうした
外国人に
住民としての基本的な
サービスを提供し、
人権を守るためにどんな努力をしているか、非常にお忙しい中でしたけれども、一時間、熱っぽく私に語ってくれました。
例えば、通訳の配置であります。現在、市役所の窓口に八名の通訳者を湖南市では配置しております。
外国人からの相談は、雇用が今失われておりますから物すごく増えて、一か月に一千件を超えるそうであります。それから、市の広報も、
日本語だけでは駄目で、ポルトガル語あるいはスペイン語、何か国語かに毎月の広報を翻訳してこういう方々に配られておりましたし、それから、湖南市の地図も、これはポルトガル語の地図で、こういうふうに作ってお渡ししていたり、それから、もちろんごみの収集の仕方もポルトガル語で案内したり、それから、湖南生活ガイド・ポルトガル語版、医療、
教育、福祉の各
制度の案内ですとか各種公共機関の
電話番号が載っておりました。
こういうことを、
外国人も
住民として基本的な
サービスを受けてい
ただけるように、市独自で努力しているわけです。
それから、
外国人の子供たちの
教育も、これは特別の
対応が必要だということでした。この一九九〇年以降、
外国人が急増して、
日本語が分からない子供が一クラスに一気に五、六人増えた学校もあったそうで、そのときは、
日本語が分からない子供さんが教室にじっとしておることはできないわけですね。だって、言っていることが分からないわけですから、じっとしておれませんから、途中からぴゅうっと教室出ていって運動場で遊び始めると。そうしたら、
日本人の子供さんも、僕もということで釣られて遊びに行くと。だから、もう授業が成り立たない状況が当初あったと。だから、これはやっぱり
日本語をまず子供たちに分かってもらわなければということで、市独自に
日本語の初期指導教室、さくら教室というそうですけれども、これを開設して、分かるようになってから学校の教室に入ってもらうとか、あるいは学校に通訳者を配置したりという努力もされておりました。
総務大臣に
伺いますけれども、
外国人の受入れは、これは第一義的に国の責任であります。しかし、こうして関係
自治体が努力している、こういう
自治体の努力をどう受け止めるのか、これが
一つ。それからもう
一つは、こうした関係
自治体の
意見をよく聞いて、実態に合った私は財政
措置を行うべきではないかと思いますが、この二点、いかがでしょうか。