○柳澤光美君 私は、ただいま可決されました
消費者庁設置法案、
消費者庁設置法の
施行に伴う
関係法律の
整備に関する
法律案及び
消費者安全法案に対し、
民主党・新緑風会・
国民新・
日本、自由
民主党、公明党、
日本共産党、社会
民主党・護憲連合及び改革クラブの各派共同
提案による附帯決議案を
提出いたします。
良識の府、再考の府である参議院で真摯な
審議が行われ、また、多くの
参考人そして公述人の
皆さんから大変貴重な御
意見をいただきました。その
思いは三十四項目にわたる附帯決議になりました。一生懸命案文を読み上げたいと
思いますので、よろしくお願いしたいと
思います。
消費者庁設置法案、
消費者庁設置法の
施行に伴う
関係法律の
整備に関する
法律案及び
消費者安全法案に対する附帯決議(案)
政府は、
消費者庁関連三法の
施行に当たり、
消費者庁及び
消費者委員会の創設が
消費者基本法の基本理念を実現し、
行政のパラダイム(価値規範)の転換を行うための真の拠点となるものであることにかんがみ、
行政の意識改革を図るとともに、次の事項について万全を期すべきである。
一、
消費者庁がその任務を遂行するに当たっては、
消費者基本法第二条に定める
消費者の
権利の尊重及びその自立の支援その他の基本理念にのっとり行うことが明記された
趣旨にかんがみ、
消費者の
権利尊重に万全を期すること。
二、
消費者庁がその任務を十全に果たすことができるよう、
消費者行政に関する幅広い専門性を持った職員を
行政組織内外から登用し、
消費者の
視点を重視した配置を行うとともに、民間のノウハウの活用を図ること。また、
政府全体において公務員に対する十分な
消費者教育・研修を実施することにより
消費者行政を担う人材の育成を行うとともに、各府
省庁における
消費者担当部局の強化を行うこと。
三、
消費者委員会は、自ら積極的に調査
審議を行うとともに、
内閣総理大臣等への
勧告・建議を始め、その与えられた
機能を積極的に行使し、
消費者の利益の擁護及び増進のため、適切にその職務を遂行すること。
四、
消費者庁及び
消費者委員会は、
消費者の利益の擁護及び増進のため、各々の独立性を堅持しつつ、
情報の共有を始めとして、適宜適切に協力して職務に当たること。
五、
消費者の利益の擁護及び増進を図り、真に
消費者、
生活者が主役となる社会を実現するためには、
消費者行政を担当する
内閣府特命
担当大臣が、
消費者行政の司令塔である
消費者庁及び
消費者行政全般の監視
機能を果たす
消費者委員会双方の判断を総合的に勘案し、その掌理する
事務を遂行することが極めて重要であることにかんがみ、
消費者政策
担当大臣の判断を補佐するスタッフの配置を行うこと。
六、
消費者委員会の
委員長及び
委員は、すべて民間から登用するものとし、その年齢、性別、専門性等について十分配慮すること。また、
委員の任命理由を明確化する等、説明
責任を果たすよう努めること。
七、初代の
消費者委員会の
委員の三人について、常勤的に勤めることが可能になるように人選し、財政的な措置も行うこと。またその他の
委員についても、
委員としての職務に専念できるような人選を行うように努めるものとすること。
八、
消費者委員会からの
関係行政機関の長への報告徴求、資料の
提出要求等に対しては、各
行政機関は迅速かつ誠意をもって対応すること。
関係行政機関の長は、その有する民間
事業者に係る
情報及びその所掌に係る民間
事業者に関する
情報についても必要に応じて収集・分析を行い、個人
情報や企業秘密、適正手続の確保に配慮しつつ、
消費者委員会からの求めに応じ、積極的な提供に努めること。
九、
消費者委員会が個別具体的な事案に関して「
勧告」を行うにあたっては、当該事案に関して的確な
情報を得た上で、その必要性を踏まえたものとすること。
消費者庁及び
消費者委員会設置法第八条の「資料の
提出要求等」の
権限が、その
情報収集のための法的担保として設けられているものであるが、事実上の
情報収集の手段として、
消費者や
事業者等からの自発的な通報・提供という形で
情報を得ること、
消費者委員会の要請に対して
事業者等が自ら進んでこれに協力する等の形で、
消費者委員会が事情説明や資料提供等を受ける等の調査を行うことまで否定しているわけではないことに留意すること。
十、
内閣総理大臣、
関係行政機関の長等は、
消費者委員会からの建議又は
勧告に対して、迅速かつ誠実に対応すること。
十一、
消費者委員会が独立して
消費者行政全般についての監視
機能を十全に果たすことを担保するため、その
事務局については財政上の措置を含めた
機能強化を図るとともに、その職員については専任とするよう努めること。また、
事務局職員の任命に当たっては、多様な専門分野にわたる民間からの登用を行うとともに、その所掌
事務を行うために十分な人員を確保することにより、同
委員会の補佐に万全を図ること。
十二、
消費者政策会議については、当
委員会で行われた
議論を十分踏まえ、
消費者庁及び
消費者委員会との
関係を総合的に判断し、
国会と連携を図りつつ存置を含めその
在り方の見直しを
検討すること。
また、次期の
消費者基本計画の案の作成に当たって
消費者政策会議は、本
委員会を始めとする
国会における
議論及び
消費者委員会の
意見を尊重すること。
十三、
消費者被害に関する幅広い
情報が確実に
消費者庁に集約されるよう、その手続を明確化することにより、
関係省庁や地方自治体との連携を密にする等、体制を
整備すること。
十四、
消費者事故についての調査が、更なる
消費者被害の発生又は拡大の防止に資するものであることにかんがみ、
消費者庁に集約された
情報の調査分析が機動的に行えるようタスクフォースを活用し、
消費者事故等についての独立した調査機関の
在り方について法制化を含めた
検討を行うとともに、
消費者庁及び
事故の
関係省庁、特定
行政庁と警察、消防など
関係機関は対等・協力の
関係をお互いに確認し、
事故原因の究明、再発防止対策の迅速化をはかること。なお、
事故情報の
一元化の体制
整備に当たっては、児童や高齢者、妊産婦、障害者等の
事故情報について特別な配慮をすること。
また、
消費者庁に
消費者事故等の
原因究明について分析能力を有する人材を登用するとともに、その養成を行うこと。
十五、消費生活に関わる
事故に関する
情報は、
国民の共有財産であるとの
認識に基づき、
消費者庁を含む
関係省庁は、
消費者事故等に関する
情報について、個人
情報保護に配慮しつつ、十分な開示を行うこと。
十六、
消費者教育の推進については、
消費者庁が司令塔
機能を果たし、
消費者基本法の基本理念及び
消費者基本計画の基本的方向のもと、
消費者が自らの利益の擁護及び増進のため、多様な
視点から物事をとらえる能力を身につけ、自主的かつ合理的な行動をすることができるよう、
消費者庁と文部科学省が連携を図り、学校教育及び社会教育における施策を始めとしたあらゆる機会を活用しながら、財政措置を含め、全国におけるなお一層の推進体制の強化を図るとともに、
消費者教育を担う人材の育成のための措置を講ずること。
また、
消費者教育に関する法制の
整備についての
検討を行うこと。
十七、
内閣総理大臣は、
消費者事故等の発生に関する
情報の集約及び分析の結果に関しては、適時適切に、
国会に対し報告しなければならないものとすること。
また、結果の公表は迅速に行うとともに、
国民に対する十分な周知を行うことができるよう、その公表の
在り方についても十分配慮すること。
十八、
消費者行政に係る体制
整備に当たっては、
関係機関、特に独立
行政法人
国民生活センター、独立
行政法人
製品評価技術基盤機構、及び独立
行政法人農林水産消費安全技術センターを始めとした商品検査
機能を有する各機関の
機能強化を図るとともに、
消費者庁及び
消費者委員会、地方公共
団体との連携強化のため必要な措置を講ずるものとすること。
十九、聴取能力及び
法律知識のみならず、あっせんや
行政との連携能力等各地の消費生活センターの相談員にとって必要な能力の水準向上を図るため、教育・研修の機会の拡充等を始め、独立
行政法人
国民生活センターによる支援を強化すること。
また、
国民生活センターに配置されている相談員について、その職務内容にふさわしい身分、待遇の改善に努めること。
二十、地方公共
団体における
消費者行政の推進に関しては、
消費者庁関連三法制定の
趣旨を地方公共
団体の長及び議会議長が参加するトップセミナーの実施等を通じて周知徹底し、全国あまねく消費生活相談を受けることができ、
消費者の安全・安心を確保する体制が確立するよう、万全を期すること。
二十一、各地の消費生活センター等が、障害者、高齢者を含めたすべての
消費者にとってアクセスしやすい一元的な
消費者相談窓口として
機能するよう、その認知度を高め、多様な相談受理体制の
整備が行われるよう万全を期すること。
二十二、相談員の執務環境及び待遇に関する種々の問題点を改善するため、相談員
制度の
在り方について全般的な
検討を行うとともに、地方公共
団体における
消費者行政の一層の充実を図るため、正規職員化を含め雇用の安定を促進するための必要な措置を早急に講じること。
また、その待遇改善に関しては、今般拡充された地方交付税措置が着実に活用されるよう地方公共
団体に要請するとともに、地方
消費者行政活性化基金の運用に際しては、支援
対象を集中育成・強化期間において増大する業務に係る人件費等に拡充するとともに、交付要綱等において処遇改善を図る地方公共
団体への交付金の配分を手厚くすることを定めることにより、相談員の時給の引上げ、超過勤務並びに社会保険及び労働保険に関し法令に基づく適切な対応等を含め、地方公共
団体における処遇改善を積極的に支援すること。
なお、地方
消費者行政活性化基金を真に地方
消費者行政の需要を満たすものとするため、事業を支援するメニューの
在り方等について地方公共
団体の
意見を踏まえるとともに、その弾力的な運用を行うこと。
二十三、消費生活センターについて、指定管理者
制度や委託等を採用している地方公共
団体においても、その受託機関における相談員の処遇については、各種誘導措置が講じられることにより、地方公共
団体が自ら行う場合における相談員等と同様に処遇の改善が図られるよう万全を期するよう要請すること。
二十四、今後三年程度の集中育成・強化期間後の国による支援の
在り方や、消費生活センターの設置、相談員の配置・処遇等の望ましい姿について、実態調査等を行うとともに、集中育成・強化期間の取組を踏まえ、その後も適切な対応が講じられるよう配意し、工程表も含め
消費者委員会で
検討すること。なお、
検討に当たっては、広域的な設置を含め地域の実情に応じた消費生活センターの設置、PIO—NETの
整備、相談員の資格の
在り方についても十分配意すること。
二十五、
消費者政策
担当大臣が掌理する
事務として、
内閣府
設置法第四条第一項に、
消費者の
権利の尊重及びその自立の支援その他の基本理念の実現並びに
消費者が安心して安全で豊かな消費生活を営むことができる社会の実現のための基本的な政策に関する事項が明記された
趣旨を十分尊重し、
消費者政策
担当大臣は、他の
行政機関の個別政策を含めた基本的政策に関する事項についての
内閣府
設置法第十二条の
勧告権の適切な行使等、
関係行政機関の
総合調整に万全を期すること。また、
内閣総理大臣は、
消費者政策
担当大臣の
権限行使が十分に果たされるよう
行政各部を
指揮監督すること。
二十六、
消費者安全法第二十条の
趣旨にのっとり、
内閣総理大臣は、
消費者委員会からの
勧告に対し、
消費者の利益の擁護及び増進のため、
内閣一体となった取組が行われるよう、誠意をもって対応すること。
また、
内閣総理大臣は、
消費者委員会から
勧告を受けたときは、当該
勧告の実施に関する
事務を所掌する
大臣に対し、適切な対応を行うこと。
二十七、
消費者の利益の擁護及び増進に関する
法律の
消費者庁の関与の
在り方を
検討する際には、公益通報の窓口の
消費者庁への
一元化、表示、取引、安全の分野における横断的な新法の制定を含めた
検討を行うこと。
二十八、多重債務対策を
消費者庁の重要な任務と位置付け、
消費者庁の関与やそのために必要な体制を含め、
内閣一体としての取組が可能となるよう
検討を行うこと。
二十九、適格
消費者団体を始め、
消費者被害の
情報収集、
消費者への啓発等を行う
消費者団体に対し、
関係する
情報を提供するとともに、活動のための施設や資金の確保等の支援のあり方について
検討を行い、必要な措置を講ずること。
三十、地方公共
団体の
消費者行政の実施に対し国が行う支援の
在り方について所要の法改正を含む全般的な
検討を加えるに当たっては、
消費者、
生活者が主役となる社会を実現する
国民本位の
行政への転換を目指す
消費者庁設置の
趣旨にかんがみ、国と地方の役割分担など
消費者行政の
在り方についても併せて
検討すること。
三十一、加害者の財産の隠匿又は散逸の防止に関する
制度を含め多数の
消費者に
被害を生じさせた者の不当な収益をはく奪し、
被害者を救済するための
制度の
検討に当たっては、いわゆる父権訴訟、適格
消費者団体による損害賠償等
団体訴訟
制度、課徴金
制度等の活用を含めた幅広い
検討を行うこと。
三十二、
消費者庁関連三法にかかる
政令及び
内閣府令の制定に当たっては、本
委員会における
議論を十分に尊重するとともに、
消費者団体を始めとする
国民各層の
意見を広く反映させるため、丁寧な
意見募集及び集約の
在り方に配意すること。
三十三、
消費者庁関連三法の附則各項に規定された見直しに関する
検討に際しては、
消費者委員会による実質的な
審議結果を踏まえた
意見を十分に尊重し、所要の措置を講ずるものとすること。
三十四、食品や
製品による国境を越えた
消費者被害が増加している
状況にかんがみ、OECD
消費者政策
委員会の活動や、食の安全における近隣諸国や貿易相手国との連携を始めとした、
消費者安全を確保するための国際連携を強化するとともに、その体制の更なる充実が図られるよう取り組むこと。
右決議する。
以上でございます。
何とぞ
委員各位の御賛同をお願い申し上げます。