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2009-04-27 第171回国会 参議院 消費者問題に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十一年四月二十七日(月曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  四月二十四日     辞任         補欠選任         高橋 千秋君     自見庄三郎君  四月二十七日     辞任         補欠選任         藤原 良信君     藤谷 光信君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         草川 昭三君     理 事                 藤本 祐司君                 松井 孝治君                 柳澤 光美君                 岩城 光英君                 小池 正勝君     委 員                 大河原雅子君                 金子 恵美君                 自見庄三郎君                 島田智哉子君                 下田 敦子君                 徳永 久志君                 姫井由美子君                 藤谷 光信君                 藤原 良信君                 森 ゆうこ君                 石井みどり君                 礒崎 陽輔君                 佐藤 信秋君                 塚田 一郎君                 森 まさこ君                 山田 俊男君                 山本 香苗君                 大門実紀史君                 近藤 正道君                 松下 新平君    衆議院議員        修正案提出者   岸田 文雄君        修正案提出者   小宮山洋子君        修正案提出者   階   猛君        修正案提出者   仙谷 由人君        修正案提出者   園田 康博君    国務大臣        厚生労働大臣   舛添 要一君        農林水産大臣   石破  茂君        環境大臣     斉藤 鉄夫君        国務大臣        (内閣官房長官) 河村 建夫君        国務大臣     野田 聖子君    内閣官房長官        内閣官房長官  鴻池 祥肇君    副大臣        内閣府副大臣   増原 義剛君        国土交通大臣  金子 恭之君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        並木 正芳君        総務大臣政務官  坂本 哲志君        文部科学大臣政        務官       萩生田光一君        経済産業大臣政        務官       谷合 正明君    政府特別補佐人        内閣法制局長官  宮崎 礼壹君    事務局側        常任委員会専門        員        小林 秀行君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       福富 光彦君        内閣官房消費者        行政一元化準備        室長       松山 健士君        内閣国民生活        局長       田中 孝文君        内閣食品安全        委員会事務局長  栗本まさ子君        警察庁長官官房        審議官      西村 泰彦君        総務省行政管理        局長       橋口 典央君        文部科学省初等        中等教育局長   金森 越哉君        経済産業大臣官        房商務流通審議        官        寺坂 信昭君        国土交通大臣官        房審議官     小川 富由君     ─────────────   本日の会議に付した案件消費者庁設置法案(第百七十回国会内閣提出、  第百七十一回国会衆議院送付) ○消費者庁設置法施行に伴う関係法律整備に  関する法律案(第百七十回国会内閣提出、第百  七十一回国会衆議院送付) ○消費者安全法案(第百七十回国会内閣提出、第  百七十一回国会衆議院送付)     ─────────────
  2. 草川昭三

    委員長草川昭三君) ただいまから消費者問題に関する特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告をいたします。  去る二十四日、高橋千秋君が委員辞任され、その補欠として自見庄三郎君が選任をされました。     ─────────────
  3. 草川昭三

    委員長草川昭三君) 消費者庁設置法案消費者庁設置法施行に伴う関係法律整備に関する法律案消費者安全法案、以上三案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 松井孝治

    松井孝治君 おはようございます。民主党の松井孝治でございます。  今日は、月曜の朝一番から関係閣僚にも大勢お集まりをいただきまして、修正案提案者共々御出席をいただきまして、ありがとうございました。  最初に、この法案質疑に入る前に、先週末から非常に国民的な話題にもなっております豚インフルエンザについて、これは消費者の関心という意味でも極めて深刻な問題でございますので、舛添厚労大臣石破農水大臣にも御出席をいただきまして、官房長官が今記者会見中ということで、代わって鴻池長官に御出席をいただきました。  まず最初に、鴻池長官にお伺いしたいんですが、今日、政府は、関係閣僚会議、全閣僚出席による関係閣僚会議を朝八時二十分から開催されたというふうに伺っておりますが、この豚インフルエンザ問題の現状認識及び政府としての対策、簡潔にお答えいただけますでしょうか。
  5. 鴻池祥肇

    内閣官房長官鴻池祥肇君) 今回の豚インフルエンザ海外における発生に対しましては、四月二十五日に官邸の危機管理センター情報連絡室を設置し、当該事案について情報を収集するとともに、同日、内閣官房厚生労働省及び外務省を始めとする関係省庁構成員とする関係省庁対策会議幹事会を開催し、本件事案について情報の共有を図りました。  また、昨日でありますが、四月二十六日、内閣危機管理監が主宰する緊急参集チームにおいて情報収集を更に強化をすること、国民に迅速かつ的確な情報提供を努めることなど、対応に万全を期していくことといたしております。  さらに、先ほど松井委員から御高承のお話がございましたように、本日八時二十分より豚インフルエンザ対策に関する関係閣僚会合が開催されまして、メキシコ等在外邦人への情報提供を含む支援、検疫入国審査強化感染者に対する適切な医療措置等政府対処方針を決めたところでございます。  政府といたしましては、メキシコ等における豚インフルエンザ発生は国家の危機管理上の重要課題であると認識しており、関係国とも緊密に連携し、対策全力を尽くしていくつもりであります。  なお、仮にWHOがフェーズの引上げを宣言した場合には、閣議決定新型インフルエンザ対策に関する政府対応について」に基づき、総理判断により、総理を長とする対策本部を設置し、緊急かつ総合的な対策を推進していくことと相なります。  以上であります。
  6. 松井孝治

    松井孝治君 ありがとうございます。  私は、こういう問題は決して今の政府対応をいたずらに我々が批判をしたりするんではなくて、しっかり国を挙げて対策を行っていかなければいけないと思っております。  そのことをまず申し上げた上で申し上げますと、総理が、ぶら下がり等で人—人感染可能性はないというような趣旨のことをおっしゃったり、ああいう発言が目立つというのは、新聞にも報道が出ていますけれども、CDC人—人感染ということを言及していますし、それから、現実にアメリカの高校生がメキシコに行って恐らく豚と接触したとは思い難いわけでありまして、明らかに人—人感染が起こっている。それがどの程度の規模に拡大しているかは別として、そういう状況ではないかと思うんですが、私は、ちょっと総理がぶら下がりという形で、どういうふうな発言をされたのか、これは確認をしなければいけませんが、農水大臣もテレビ番組出られたり、あるいはぶら下がりで御発言をされておられますけれども、昨日、局長レベル会合が行われたと聞きました。  私も夜、議員会館で、官僚の皆さんが勤務中でありましたので事情を十人ぐらいおいでいただいてお話を伺いましたから、役所方々が休日出勤もして対応されているということは、もちろんそれはそれで当然のことですし、結構なことですが、やはりこれは冷静な対応が必要だと思うんです。冷静な対応をするためにも、余りぶら下がりで、いいかげんと言ったらいけないけれども、報道の事実関係確認しなければいけないけれども、人—人感染可能性がないというようなことをもし総理がおっしゃったんだとしたら私は極めて問題だと思いますし、これ舛添厚労大臣、きちんとやっぱり政治家が、今日も関係閣僚会議やられたけれども、週末であっても厚労大臣がきちんと記者会見をするなり、まとまった情報をきちんと流さないとこれは混乱を招くと思いますが、この総理発言趣旨舛添厚労大臣は聞いておられますか。
  7. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 総理がぶら下がりでそういうことをおっしゃったというのは、私は報道確認しておりますけれども、存じ上げておりません。それで、今朝私は正式な会見をして、持てる情報はすべて正確に流したところであります。  それで、すべて陣頭指揮をやっておりましたけれども、問題は、松井委員御承知のようにWHO緊急会議の結論が先送りになりましたので、これを専門家会議を待たないと正確な判定ができませんので、それを待っているという状況でありますし、我が省からも担当官、既にジュネーブに着いて一緒になって情報収集を行っておりますんで、それで今朝も国民の皆様に先ほど記者会見で申し上げましたけれども、正確な情報、新しい情報が入り次第、私ないし担当役担当官から公表すると、そしてその正確な情報に基づいて、我々は落ち着いて、そして国民一丸となってこの危機を乗り切りたいと思っております。
  8. 松井孝治

    松井孝治君 私も無根拠に言っているわけじゃなくて、例えば東京新聞の今朝の報道で、「首相が見解」、「人・人感染段階ではない」、「今はまだ人から人へというような段階に来ているわけではないと判断している」と、これかぎ括弧付き報道されているんです。こういう御発言がなくて普通新聞かぎ括弧付き発言しませんから、そこは事実関係確認して、余り軽はずみなことを、こういうことをおっしゃらないでいただきたい。逆に、冷静さを失った反応もいけないと思います、風評被害その他もありますから。冷静に、しかしきちんと国際的な連携を取って、基本的にCDC人—人感染の前提で今対策を講じようとしているわけですから、そこを十分わきまえていただきたい。  その関係厚労大臣に少し質問があるんですが、まとめてお答えいただきたいんですが、まず豚インフルエンザ潜伏期間というのはどれぐらいあるというふうに今認識しておられますか。  それから、総理水際対策が大切だとおっしゃるわけですが、そうであるとするならば、この潜伏期間関係するわけですが、一体、例えばこの一週間ぐらいでメキシコから帰国をした邦人がどれぐらいいらっしゃって、その方々が今、日本国の中でどこに居住地に戻っておられるのか。あるいは、逆に言うとメキシコから日本に来られた観光客ビジネス客方々がどこにいらっしゃるのか。そういう情報は、舛添厚労大臣が全部答えるわけにはいかないかもしれませんが、お持ちなんでしょうか。そういう情報がなくて、水際対策が大切だと、封じ込めなければいけないと言って、実効性があるんでしょうか。  これは今朝の通告になりますから、十分な用意をされてないかもしれませんが、御存じの範囲で結構ですのでお答えいただきたいと思います。
  9. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) ちょっと、委員もおっしゃったように事前の通告が直前でございましたんで。  今のところ、潜伏期間は不明です。そして、今朝私は相談センターを視察して督励をしてきましたけれども、土曜日に三百件、日曜日八百件、計千百件、そして十二台ぐらいの電話が鳴りっ放しという状況で、まずは水際作戦というのは、各省連携して成田その他の空港での検疫強化する。そして、特にメキシコ便についてはその体制強化する。そして、行かれた方々、これはもう空港でも既に御注意を申し上げていますけれども、ちょっとでも熱があったり異常があれば医療機関ないし保健所通告してくれと、そしてそれはきちんとサーベイをしていく。それから、海外、特にメキシコを中心とする発生地に行かれる方は、注意を喚起をしますので、行くかどうかの検討をしてくださいということを申し上げておりますので、いずれにしましても対策万全を取るような形で今やってはいます。  まず大事なのは、そのビールスを日本に入れないということでございますので、国土交通省その他関係省庁全力を挙げてこれに取り組んでいるというのが今の状況でございます。
  10. 松井孝治

    松井孝治君 全力を挙げていただくのは当然ですし、それは我々も是非応援しなければいけないと思っているんです。思っているんですが、例えば水際対策。次の直行便はいつなんですか、あしたなんですか。そこから入国者をフォローしていくというような報道があるわけですが、そうじゃなくて、今潜伏期間は不明とおっしゃったわけですね。そうだとしたら、ここ一週間ぐらい入ってこられた方々が今日本のどこにいらっしゃるのかと。  それはもちろん、空港で足止めというのはできないでしょう。だけど、どこにいらっしゃるかという情報はお持ちなのか。それを例えば居住都道府県などに連絡されていて、この方々はこの一週間以内にメキシコから御帰国になられましたよと。ですから保健所から、一日一回でも体調に変化がありませんかと、そういうフォローはできているんですか、できていないんですか。
  11. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 既に、今日じゃなくて、まず来ている飛行機、この案件発生してからメキシコから来た飛行機については検疫強化するなどの対策を取っております。そして、今おっしゃったことについても、これは国土交通省乗客名簿を見れば分かりますので。ただ、今の段階で、とにかくまずは自発的に注意をしていただく、そしてさらに今委員のおっしゃったようなことを次々とやっていきたいというふうに思っております。
  12. 松井孝治

    松井孝治君 別にここで、私はきちんとした対応を取っていただきたいし、冷静に対応していただきたいということを申し上げているわけです。ですが、例えば、それであれば、一週間以内にメキシコから、取りあえずやっぱり一番可能性が高いのは、ヨーロッパでも中東でもやっぱりメキシコに行かれている方で感染が生じているわけですから、行かれている方が、もし政府がしっかりした情報がなければ、それは最寄りの保健所連絡してくださいという呼びかけを例えば舛添大臣がきちんとされるとかいうことが必要でしょうし、国土交通省連携して乗客名簿を見て、その方の住所を割り出してきちんと都道府県連絡して、こういう方々メキシコに滞在されていましたよと、最近。そういうことをきちんと伝える努力をしていただきたいということでございます。それは要望であります。  それで、厚労大臣、伺いたいんですが、今回の豚インフルエンザに関してタミフルとかリレンザという抗インフルエンザウイルス薬、これは有効に効くんでしょうか。そこは海外からの情報収集しておられると思うんですが、いかがでしょうか。
  13. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 幸いタミフルリレンザは非常に有効だという情報であります。
  14. 松井孝治

    松井孝治君 有効であるとしたら、私は、水際作戦ウイルス入れない、その覚悟もいいですけど、現実には今これだけ人の移動が密接に素早く行われている状況の中で、それだけでは不十分だと思うんですね。  今、タミフルリレンザというのは、国で備蓄しているのは全人口比三四%まで行っているというふうに私は昨日伺いました。自治体がどこまで、プラス一一%分を自治体が三年間で備蓄するというふうに伺っていますけれども、これが今どこまで備蓄できているかというのは、昨日の段階では厚労省の職員の方は即答いただけませんでした。それは確認すれば分かることでしょう、調査をすれば。  ここで申し上げたいのは、今日補正予算を提出されるわけですね、政府は。この補正予算の中で、例えばタミフル、抗インフルエンザ薬であるタミフルリレンザ備蓄対策は含まれていないというふうに私は伺いました、役所の方から。そうであれば、イギリスは全人口比五〇%の備蓄を確保しているというふうに聞いています。国によっては日本よりも下回っている国もあることは聞いています。いたずらにそれを危機をあおるわけではありませんが、しかし、こういう状況の中で、例えば豚インフルエンザに対してもワクチン作るとなると、このワクチンの製造体制をどうするかというのは大変ですし、また恐らく半年掛かりますし、他のインフルエンザ製造体制をどうしても食ってしまうことになるんで、これはなかなか難しいとしたら、せめて、抗インフルエンザウイルス薬たるタミフルとかあるいはリレンザとか、こういったものを今回の補正を若干組み替えてでも追加をして、国民の安全、安心感というものをしっかり確保したらどうですか、厚生労働大臣
  15. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 現状備蓄状況を御説明申し上げますと、新型インフルエンザ対策行動計画国民の二三%、最大二千五百万人を想定して、医療機関受診者数ということで、これを十九年度末までに約二三%分の抗インフルエンザウイルス薬備蓄を終了しております。そして、実は二十年度の補正予算を付けまして、四五%分まで今委員がおっしゃったようにこの備蓄目標量を引き上げて、今引き上げている最中でございまして、今のところ、タミフルで三千三百八十万人分、リレンザで二百六十八万人分を備蓄をしております。  そして、今WHOと緊密に連絡を取りながら、どういう状況になっているのか、その情勢判断、そしてWHOの動向、専門家とも相談しながら、今、松井さんがおっしゃった件については検討を進めていきたいというふうに思っております。
  16. 松井孝治

    松井孝治君 それは分かっているんです、数字は。  だから、問題は、例えば今の現時点においては恐らく備蓄率でいうと三〇%台だと思うんです。三年後に恐らく四五%になると。それでもイギリス現状に比べて低いわけです。ですから、せっかく十五兆円に及ぶ補正対策を今予算編成されて出されているわけですね。これ、タミフル、たしか一一%分で三百八十五億円掛かっているんですね。要するに、全人口の一%積み増しでいうと、それはたかだか数億円の話なんですね。ですから、三億円や四億円の話なんですよ。だから、例えばそれを五%分積み増しをするだけでも、十五兆円からいうと非常に知れているわけですよ。  こういうことに、しっかり国民安心感を高めるということにお金を使うつもりはないんですか。そういうことに我々だって協力しますよ、そういうこと。そういうことにきちんと、例えば補正を組み替えるというようなことを決断されませんか。  舛添大臣がお答えできないなら、官房長官、大体この話になったところからおいでですから。今日補正出されているなら、タミフルは効くと、有効性があるというんだから、これをイギリス並みの水準にきちんと対応するために、金額的には十五兆円に比べたら微々たるものですよ。ミッシングリンクよりも国民の安全ということを重視されませんか。いかがですか。
  17. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 先ほど申し上げましたように、これは永遠に保存できるものじゃなくて、使わなかった場合、無駄になって破棄しないといけません。したがって、国民の税金を有効に使うということで、そういう意味WHO緊急会議が断続的に行われますので、その状況を見て、世界各国への伝播状況感染状況、そういうのを見て総合的に判断をさせていただきたいと思います。  松井委員のこのお考えを私は共有しておりますので、そのときには適切に対応したいと思っております。
  18. 松井孝治

    松井孝治君 今日の本来の質問に入る時間がどんどんなくなりますから、石破農水大臣おいででございます。  これ、やっぱり豚インフルエンザの問題は、家畜伝染病という意味においては恐らく非常に軽微な問題なんですね。だけれども、以前から、豚がある種、宿主になって新型インフルエンザ発生するということの危険性というのは従来から専門家は繰り返し言っていたわけです。現に、CDC豚インフルエンザ対策マニュアルを作っているんですね。だけれども、日本は慌ててこれからCDCが作っていたマニュアルを翻訳して、これから、じゃ自治体に配りますというような状況なんですね。これは舛添大臣の話ですけれども。  石破大臣に伺いたいのは、そうだとしたら、これなかなか役所縦割りのところで養豚場の豚の伝染病たる豚インフルエンザサーベイランスみたいなことは、これは農水省がやるのか厚生労働省がやるのか。人に対する危険性のある病原体の場合はそれは恐らく厚生省だということでしょうが、長年ここは農水省分野厚生省も入れていないというのが現状であると思うんです。  ですから、石破大臣から御決意を伺いたいのは、やはりこれはいろんな意味での風評被害も出かねない問題ですし、この例えば豚インフルエンザの問題について農水省厚生労働省が組織としての垣根を越えてしっかりその現状を、あるいはどういうウイルスが今家畜である豚のところではやっているのか、それがどういうリスクをはらんでいるのか、しっかり役所垣根を越えて、ある種の危機管理で、石破大臣の御専門分野ですからしっかり対応していただきたいと思うわけですが、その面での御見解を伺いたいと思います。
  19. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 委員がおっしゃるとおりで、当省として、豚のインフルエンザウイルス保有状況につき都道府県を通じて、うちは農場段階調査をやっている、厚生労働省は屠畜場段階でやっているということになっておるわけでございます。  これで、豚はインフルエンザにかかるというのは実に当たり前の話であって、よくかかるわけですが、年間数頭程度陽性反応確認をされておるということでございます。先ほど申し上げましたように、重い症状を示したわけではございませんが、新型インフルエンザ対策上の重要性にかんがみまして、サーベイランスウイルス保有状況調査、これは強化をしたいと思っております。全額国費でやりたいというふうに考えております。  また、生きた豚が四百二十一頭、平成二十年、入ってきておるわけでございますが、臨床検査、すなわちくしゃみするとかせきをするとか、そういうものに加えまして、精密検査を必要に応じてやろうというふうに思っておるわけでございます。  また、今回の補正におきまして、鳥インフルエンザ豚インフルエンザへも対応可能ですが、一億円程度インフルエンザ診断機器の充実を図りたいと考えておりまして、委員おっしゃいますように、これは農水省厚労省なんて言ってもしようもない話なので、サーベイランス強化につきましても厚生省連携を密に取って行っていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  20. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 我々は定期的な豚サーベイランスをやっておりまして、新型インフルエンザウイルス出現監視を目的とした感染源調査を豚についてやっております。例えば、二〇〇七年におきまして、豚の鼻から綿棒のようなものでぬぐい取って、それから気管をぬぐい取って、その液体、千十九検体を採取して分析したところですけど、そのうちの二検体から豚の分離ではよく見られますA—H3亜型というインフルエンザが分離されておりますんで、今後とも、これをずっと定期的にやっておりますんで、農水省とも連携をしながらこういう調査はきちんとやっていきたいと思っております。
  21. 松井孝治

    松井孝治君 是非これは、我々だって政府に対して足らざるところは指摘しますが、思いはやっぱり日本人の、あるいは日本人だけではないですけど、この新しい感染対策というものを万全を期していただきたいし、それはもう政治的なメンツということを超えて、補正を組替えをするなり追加をするなり予備費を使うなり、積極的に機敏に動いていただきたい、しかし冷静に動いていただきたいと思うわけです。  官房長官にこの件で最後に伺いたいと思うんですが、先ほど申し上げたんですが、総理が今この豚インフルエンザ人—人感染段階でないというふうに御発言をされたと、恐らくぶら下がりだと思います。こういうことを、今真剣に国際機関と情報を取りながら人の命にかかわることで全力を挙げて対応している中で、総理がぶら下がりということでこういう非常に軽はずみな御発言をされる。もしその発言が真実であればですよ。ただ、今日の東京新聞でクオーテーションがあって、かぎ括弧付き報道されていることですから、もし間違ったらこれはその新聞の恐らく名誉の問題、責任問題になるような御発言ですよ。  だから、こういうことについてしっかり、僕は昨日局長クラスが集まられたのはいいですし、専門家記者会見して説明されるのはこれも大事ですけれども、政府はしっかりやるからきちんと落ち着いて対応するようにというようなことを、細かいことまで、総理が御存じないことまでおっしゃる必要ないんです。御存じないことは専門家に任せればいいんです。だから、それをしっかり政府として対応してくださいよ、土日であったとしても。官房長官は土日でも危機管理で東京にいらっしゃるじゃないですか。こういう本当に、人—人感染段階でないなんてことをどういう根拠で総理がおっしゃったのか、そういうことも含めて今後しっかり対応していただきたい。そのことを官房長官として御発言願います。
  22. 河村建夫

    国務大臣(河村建夫君) 今日、御案内かと思いますが、今朝、閣議の前に閣僚全員に招集掛けまして、この対策についての報告を受け、総理からも、各関係省庁しっかり対応するようにと、これはやっぱり国家の危機管理上の大きな課題であるということがはっきり明言されております。  私からも先ほど、ここに来るのが遅れたのは、会見において国民の皆さんにも、政府としてもきちっとした対応を取ります、ただ、今の時点、我々はWHOの報告等も受けながら対応するので、もちろん十分意識は持ってもらいたいが冷静に対応もお願いしたいと、こういうことも記者会見において発表したところでございますので、御指摘のとおり、万全を期してまいりたいと思います。
  23. 松井孝治

    松井孝治君 万全を期していただきたいと思います。  舛添厚労大臣石破農水大臣は、委員長、御退席をいただいて結構ですので、御指示をいただければと思います。  質問を継続します。  今の問題は、私は消費者の問題、消費者の本当に、今、それこそ農水省に大変数多い電話が、何百本という電話が、例えば豚肉は大丈夫なんだろうか、そういうことが問い合わせが来ています。そういう意味では非常に消費者の関心の高い問題なので、あえて冒頭で触れさせていただきました。  この修正案について質問させていただきたいと思います。  まず、修正案提案者、仙谷議員になるんでしょうか、伺いたいと思うんですが、消費者庁設置法の三条の任務のところを修正をされました。そこで、消費者の権利の尊重という言葉が加えられております。ここで言う消費者の権利というのは具体的にどういう趣旨で加えられたのでしょうか。
  24. 仙谷由人

    衆議院議員仙谷由人君) おはようございます。  この度の修正で設置法三条に消費者の権利というものを書き込んだわけでございますが、これは、消費者基本法二条の消費者の権利を引用したものでございます。そして、消費者基本法二条のこの条文は、平成十六年の消費者保護基本法の消費者基本法への抜本的改正の際の与野党協議の最大の論点の一つであったようでございまして、その修正合意の結果、国際消費者機構が昭和五十七年に提唱した消費者の八つの権利について、理念規定の中ではあるけれども、余すところなく規定することとなったというふうに承知をいたしております。  八つの権利というのは、生活のニーズが保証される権利、安全への権利、情報を与えられる権利、選択をする権利、意見を聞かれる権利、補償を受ける権利、消費者教育を受ける権利、健全な環境の中で働き生活をする権利ということでございまして、消費者基本法第二条にきっちりと規定をされていると。それを、この設置法の第三条でも規定を引用して規定したということでございます。
  25. 松井孝治

    松井孝治君 仙谷議員、もう一問伺いたいんですが、そうだとすると、この法案全体に、今おっしゃったような消費者の権利の擁護という意味において、この法案全体のある種の法益として、保護、推進するべき法益として、今おっしゃった消費者の八つの権利をきちんと保障するための法案であるというふうに考えてよろしいんですね。答えだけ端的におっしゃっていただきたいと思います。
  26. 仙谷由人

    衆議院議員仙谷由人君) おっしゃるとおりでございます。私どもはそう考えております。
  27. 松井孝治

    松井孝治君 そこで、若干質問通告の順番とは違うんですが、ちょっと冒頭の問題で時間を食ってしまいましたので、少しスキップして、また後で戻らせていただきますが。  内閣府設置法の十二条に今回新しい規定を加えるというのが修正をされています。そこでも同じように消費者の権利という言葉が出てくるわけでありますが、ここでの消費者の権利という言葉の意味も、今、仙谷議員がおっしゃっていただいたことと全く同義と考えてよろしいでしょうか。
  28. 仙谷由人

    衆議院議員仙谷由人君) お答えをいたします。  修正協議の中で、今、松井議員がおっしゃられたとおりのそういう議論をいたしまして、同じ意味内閣府設置法の所掌事務といいましょうか、それをも規定をした次第であります。
  29. 松井孝治

    松井孝治君 委員方々はちょっとこれ専門的なことなのでよく御存じない方が多いかもしれませんが、内閣府設置法の第十二条というのは、特命担当大臣の権能について規定したものであります。  その特命担当大臣、今でいうと野田大臣がその任に当たられているわけでありますが、これは、野田大臣は、関係行政機関の長、例えば、今御退席をいただきましたが、農林水産大臣であったり厚生労働大臣に対して、例えば資料提出を求めることができる。あるいは、農水大臣、環境、何大臣でもいいんですが、経済産業大臣でも厚生労働大臣でもいいんですが、そこに対して勧告ができる。勧告をしたものについて報告を求めることができる。最終的には、内閣法六条の規定に基づいて総理大臣に対して指揮命令権を行使するように求めることができるという、言わば伝家の宝刀なわけでありますが、そういう規定に、実は先ほど仙谷議員がおっしゃっていただいたような消費者の権利、長い条文でありますが、消費者権利擁護のための基本的な政策に関することという規定が入ったわけでありますね。  その法益の実現のためには、勧告をすることができる、資料要求ができる、それから勧告に基づいてどういう措置をとったのか報告聴取ができる、そういう規定、そして最終的には総理がそれを受けてきちんと内閣法に基づいて指揮命令を行うことができるという、こういう権能を今回加えたというのが少しかみ砕いた解説なわけであります。  ここで伺いたいわけでありますが、これ、もう質問の時間の節約のために申し上げますと、こういう内閣法、内閣府設置法十二条の規定に基づく勧告というのは、行われたことが今まで一度もないんです。これは二〇〇一年に設けられた制度なわけですが、一度もそれは行使されたことがない。  私が知る限り一番行使に近かったのは、今鴻池長官御在席でありますが、鴻池長官が特区担当大臣に御在籍のときにいろんな議論を各省となされました。そのときに、この権能が鴻池大臣にあるかないかということになって、実は鴻池大臣は特命担当大臣であるけれども、内閣府設置法十二条に基づく勧告をする権限はないという解釈を政府は取っていたように私は思います。一回もこの内閣府設置法十二条の適用事例がない。  そして、そもそも内閣府設置法十二条はどういう事務に対してできるかということについて非常に限定的な解釈を政府が伝統的にしている。最後は政治家政治家の議論ですから、設置法の根拠なんて別に余り関係ないということでなさっていた政治家もいらっしゃると思うんですが、ここが非常に制約的に従来運営されてきている。例えば今回でも、内閣府設置法十二条の規定に、その根拠となるような内閣府設置法第四条第一項にどういう条文を書くかということについて随分いろんなやり取りがありました。  要は、各省の縦割りの権限というのは非常に強くて、分担管理事務というのは非常に強くて、そこを、例えば消費者の利益とか、あるいは別にほかの問題でもいいんです、例えば環境大臣にも今日お見えいただいているのはその関係ですが、別の法目的、横断的な法目的のために、それに対して勧告をするという制度がありながら、なかなかそこを発動させないような環境に置いてきている。実は、最初政府案の原案は、特命担当大臣であることは認めているんですが、環境の整備は野田大臣のお仕事だけれども、消費者の権利の擁護のための基本的な政策ということは野田大臣の御担当ではないというところから議論が始まっているんです。  こういう形で、どうしてもこれ、別に役所の悪口を言うわけではありませんが、昔からの憲法、内閣法の解釈、伝統的な解釈というのは縦割りの官庁まずありきという、そこが非常に強いんですね。ここをやっぱり私は少しずつでも崩していかなければいけないというふうに思っているわけですが、官房副長官、この御発言でもう御退席いただいて結構なんで、その数年前のことだったと思いますが、そこの縦割りとむしろ横断的な改革というもののはざまで御苦労されたと思いますので、この辺りについての一言御感想あるいは今後の御決意を伺いたいと思います。
  30. 鴻池祥肇

    内閣官房長官鴻池祥肇君) 六年から七年前のことでございますので、記憶をたどって御答弁申し上げたいと思います。  平成十四年に特区担当大臣を命ぜられました。その任に従って懸命に努力をいたしておりましたが、なかなか壁がいろいろございまして前へ進まないといったようなジレンマに陥っておりましたところ、平成十五年の四月に、半年後に特命大臣という辞令をちょうだいをいたしました。そこで、今、松井委員が御説明ございましたように、いわゆる勧告権というものを与えられたと承知をいたしております。いわゆる竹光で戦っておったものが真剣で戦えるようになったということでございます。ところが、内閣というのは一体性、統一性というのを非常に大事にしなければならない部分でございますので、ぎらりと引き抜くことはやはり耐えなければならないという思いもございました。そこで、各関係担当大臣と余人を交えず一対一でいろいろお話をして調整をした記憶がございます。  しかし、今回の消費者庁設置に関しましては、やはり国民から選ばれた政治家がそういう強い権限を持ちながら国民のために尽くしていくということが非常に大事であるということを、当時を思い浮かべながら今お答えを申し上げた次第であります。  以上でございます。
  31. 松井孝治

    松井孝治君 竹光から真剣になったけれども、真剣を抜くことはなかなか許されない、そういう運用がなされているというのが従来の政府の運用だと思います。これは行政各部中心主義を取る以上、例えば、内閣法制局長官今日お見えいただいておりますが、恐らく法制局長官にお聞きしても、そこは各省の分担管理と内閣府がそもそもどこまでの総合調整権を担っているかということについて伝統的解釈は非常に慎重でありまして、今回も与党を通じた与野党協議ではありましたが、そこの壁というのがなかなか厚いなというふうに私も感じた次第であります。  鴻池長官、もう結構でございます。  環境大臣に伺いたいんですが、環境省の設置法、これには実は勧告権というのがあるんですね。これは環境庁時代からあるんですね。答弁の手間を省くと、過去にたしか三件勧告をされたことがありますが、昭和四十六年ころに三つぐらい事例があったと思いますが、その後ありません。  これも、恐らく時の大臣がどこまで、それこそ真剣を抜くかということについて、多くの閣僚の方々は、歴代の閣僚の方々は真剣を抜くような戦い方はしてこられなかったというふうに考えるわけでありますが、この環境省設置法、古くは環境庁設置法で認められた勧告権というのがなぜここまで行使されてこなかったのか。何十年という歴史の中で三例しかなかったということについて、環境大臣はどう考えられて、今後も、例えば環境の保全ということといろんな各省の縦割りの利益というのが相反することがしばしば、あるいは日常的にあると思うんですが、この辺りについて今後どういう見解で取り組まれるのか、一言御答弁をいただきたいと思います。
  32. 斉藤鉄夫

    国務大臣(斉藤鉄夫君) 今お話がございましたように、環境省設置法には勧告権及びその勧告をしたときにどういう措置をとったか報告せよということを求める権限が決められております。これは環境庁時代からもそうでございまして、今お話がありましたように三件、これは主に騒音、飛行場や新幹線の騒音の問題に関して三件ございました。  この三件についてですが、当時の規制の体系ではなかなかその規制の体系が及ばなかったものに対して環境庁長官が勧告を行ったものでございます。その後、個別の規制法の強化、これはいろいろなところでこの個別の規制法の強化が行われてきました。  それから、何よりも大きかったのが、いわゆる環境アセス法、環境影響評価法のように、個別法に基づいて環境行政機関の長に対して意見を述べる仕組み、環境大臣の意見を申し述べるのがプロセスの中で入っております。環境大臣として意見を言いますと、ほぼその意見を無視することはもう各個別の大臣であろうともできない、そういう仕組みができたということ、それから、環境基本法に基づく環境基本計画のように、政府全体の環境施策に関する計画策定を行う仕組み、これは政策決定の段階からそういう意見が反映される仕組みができたこと、こういう法制度が整ってきたということで少なくなったというふうに理解をしておりますけれども、今後もこの法制度の枠外で出てきたようないろいろな問題についてはきちんとこの勧告権を行使してまいりたいと思っております。
  33. 松井孝治

    松井孝治君 そこは、従来でいうと、環境庁長官、長い自民党内閣において、僕も通産省に勤務していましたから分かるんですが、やっぱり環境庁長官、歴代の方々、遠慮があったと思いますね、正直言って。だけど、やっぱり時代も変わって、今、公明党御出身の斉藤大臣環境大臣なさっているんですから、事柄の性格にもよりますけれども、やっぱり大胆にこれは勧告して、それで各省がそれに従わないというものは従わないんで、堂々とやればいいんです。堂々と議論する。何か裏で全部できたものだけ根回ししてやるということではなくて、新しい行政スタイルで是非臨んでいただきたいと思います。  この関係で、仙谷議員に、あるいは提案者に伺いたいんですが、今回、内閣府設置法第十二条、特命担当大臣の勧告、勧告可能なような事務を内閣府設置法の四条に加えて、きちんと、今でいう野田大臣がしっかり勧告できるような規定を入れたと思います。だけれども、ここが今まで勧告ができていなかったこと、今回入れるに当たっていろんな条文上御苦労を提案者として与野党協議の中でされたと思いますが、その辺りで、今まで何でこれが使えなかったのか、あるいは、今回こういう規定を入れたから、むしろ今、政府でいえば野田大臣に、しっかりそれを、勧告権を入れたものをこういう観点で使ってほしい、そこら辺の思いを、余りテクニカルなことはいいですから、端的に提案者の方からお述べいただきたいと思います。
  34. 仙谷由人

    衆議院議員仙谷由人君) この関係法律整備に関する法律の中で内閣府設置法を改正案からも修正したというのは、これは私どもなかなか難しくて理解するのが大変な部分でありますが、いずれにしても、この四条の一項十六号で書かれておったものを十六号と十七号に分けて、消費者の権利をちゃんと尊重し支援するようなことに関する基本的な政策に関する事項が、消費者庁の、あるいは、そしてまたそれを受けた十二条で、特命担当大臣がそこに書かれたことについての権限を行使できるというふうに明確に規定されたということは、大変私は意義があるなと思います。  今までそういうことが、ちゃんと権限行使がどうもできていなかったと。これは、内部調整と称するところで、私どもに言わせればぐずぐずになっておって、駆け引きなのか取引なのか分かりませんが、要するに、古くからある役所ほど力が強いという、この日本のどこにでも見られるあしき習性といいましょうか慣行がある。それから、その時代的な意識といいましょうか認識といいましょうか、それを特命担当大臣が持って大胆にというか、やる気を持ってやるというのがなかったということだと思います。  最後に、何となくできにくいのは、権限規定がもうひとつ明確ではなかったということでございまして、私どもは改正案として、当初、内閣府設置法四条の一項十六号に、食品の安全性の確保その他消費者の利益の擁護及び増進を図る上で必要な環境の総合的な整備に関する事項が言わば消費者長官消費者担当大臣ですか、その権限の根拠であるかのような規定がありまして、これだと食品の安全性の確保その他、安全性の確保の付け足しみたいな消費者の利益の擁護及び増進ということになりますので、そういうふうにも読めなくもないと。あるいは、必要な環境の総合的な整備に関する事項ということになってきたら、もう外縁も外縁、外野席の外側で何かやってしまうみたいな話になってくると。それで、十七号というのを別項を設けて書くべきだということを強く主張しまして、現在のような形になったんです。  これで、あとはガバナンス問題といいましょうか、やる気の問題で、人を得ればちゃんとできると、こういうふうに確信をいたしております。
  35. 松井孝治

    松井孝治君 必要な環境の総合的な整備ということだと、環境の総合的整備で、個別の各省の判断に対して消費者担当大臣、特命大臣が勧告をできるかといったときに、できないという解釈を取られる可能性が極めて高いと。  したがって、消費者基本法第二条の消費者の権利の尊重及びその自立の支援その他の基本理念の実現並びに消費者が安心して安全で豊かな消費生活を営むことができる社会の実現のための基本的な政策に関する事項、長いですけど、これは基本的な事項ではあるけれども、これであれば各省のいろんな個別の政策に対して、こういう今申し上げたような利益の実現、基本的な事項ということで個別に勧告をすることが可能だというふうに、人を選べばとおっしゃいましたけれども、やる気さえあればできるというふうに修正案提案者は考えておられるというふうに理解してよろしいですか。仙谷議員、よろしいですか、そういう考え方で。
  36. 仙谷由人

    衆議院議員仙谷由人君) おっしゃるとおりでございます。誠に同意見でございます。
  37. 松井孝治

    松井孝治君 公正を期するために、あえて確認として岸田提案者にも、仙谷議員の今のお考えと同じで、人を選べば基本的な事項ということでいろんな各省に対してきちっと勧告できるというふうにお考えかどうか、確認しておきたいと思います。
  38. 岸田文雄

    衆議院議員(岸田文雄君) 私も、今の仙谷議員の意見と同じ意見でございます。
  39. 松井孝治

    松井孝治君 これは非常に重い答弁です。特に、与野党の提案者が一致して今の見解を取られたということは非常に画期的なことだと思います。  あとは大臣のやる気だというふうにおっしゃいました。じゃ、政府を代表して、今の見解で野田大臣は、いや、それは野田大臣で結構です、今の見解修正案提案者の趣旨を体して、基本的な事項ではありますよ、基本的な政策に関する事項でありますが、各省の個別具体的な事項を含めて野田大臣消費者利益の増進という観点からきちっと取り組まれるかどうか、特命担当大臣として取り組まれるかどうか、その決意を伺いたいと思います。
  40. 野田聖子

    国務大臣(野田聖子君) 与野党で真摯な修正協議していただいた結果、こういう形で明確化されたことを率直に私としては前進をしたというふうに受け止めておりますので、それを踏まえてしっかり行動してまいります。
  41. 松井孝治

    松井孝治君 別件で内閣法制局長官に御出席をいただいておりました。内閣法制局長官、今の修正案提案者のやり取りを受けて、それは内閣法制局として見ておられる内閣法あるいは内閣府設置法の趣旨に照らして適正なものだとお考えですね。
  42. 宮崎礼壹

    政府特別補佐人(宮崎礼壹君) お答えいたします。  先ほど御指摘のありましたように、内閣府設置法の第十二条で、特命担当大臣には横断的な強力な権限が与えられております。その対象というのが内閣府設置法第四条の一項、二項、三項あるうち一項又は二項に掲げてある事項についてはとなっておりまして、それについてはこのたび明確に十七号が追加されましたので、そういうことが法律として成立いたしますれば、当該事務につきまして、その基本的な事項とかというふうになっている事務につきましては、特命担当大臣は、第十二条各項の規定によって資料の提出の要求とか説明の要求とか勧告、あるいは総理への答申、意見の具申ができることは明確であると思います。
  43. 松井孝治

    松井孝治君 ありがとうございます。法制局長官には御通告申し上げた事柄と違うことで御答弁を突然いただきまして、ありがとうございました。ただ、今の答弁は大変重く私どもも受け止めさせていただきます。  いっぱい通告をしておったんですが、時間の関係できちんと御質問できないことをあらかじめお許しいただきたいと思います。  公益通報者保護の問題について伺いたいと思います。  公益通報者保護制度、この法律の所管は今回消費者庁に移りました。しかし、公益通報者保護というのは、具体的にその通報者が情報を通報したことによって不当な解雇、それはその権限を持っている者から不当な解雇を、その通報というのは結局のところ行政機関に通報するわけでありまして、それについてその所管の行政機関に本来通報しなければいけないし、別の機関に通報をすると、その所管の行政機関に対して通報を受けた行政機関はこれはどこに通報してください、うちではないんですよと、たらい回し条項みたいなものがありまして、どこに通報したらいいかというのはなかなか一般の国民には個別のこの法律、この法律違反ではないかという通報をどこにしたらいいかというのがなかなか難しくて分からないという問題が従来から指摘されていたところです。  そういう公益通報者保護制度が消費者庁に移管されたわけでありますが、しかし、じゃ、この公益通報制度の骨格は変わらないんですね。一元的な消費者行政をということであれば、むしろ消費者庁が一元的に消費者の通報窓口になって、そしてきちんと各省に対してそれを通知するというようなことがあるのが私は本来の一元的な消費者行政機関であると思います。ところが今回、そういう制度になっておりません。  これはせっかくの消費者行政の一元化といいながら、大きな瑕疵だと私は思うわけでありますが、なかなか修正協議、非常に幅広い項目があって、これを瑕疵だと言ってしまうのは酷なような気もいたしますが、今振り返られて、仙谷議員、この消費者庁が基本的な一元的な通報窓口になるような法修正をするべきではなかったか、反省しておられませんか。
  44. 仙谷由人

    衆議院議員仙谷由人君) この問題、実は修正協議の中盤に気が付きました。考えてみますと、何か窓口にはなっていないけれども消費者庁が企画立案の単独の所管になっておると。誠に妙ちきりんな話になっておるわけでございます。  ただ、この法律自身は割と労働現場の問題を、何といいますか、整備するために作られておるような雰囲気が非常に強くて、しかし、にもかかわらず、イメージしてみますと、ここから内部通報される話は多分、半分以上が消費者問題にかかわること、あるいは大宗は消費者問題と言える問題が内部通報されると、公益通報されるということなんだろうなと改めて今思っておりまして、これをもう一度修正協議ができるものならばちゃんと通報窓口にすべきだということをやるべきだったなと。これは今、松井議員からおっしゃられましたように、確かに私どもの修正で特段強く取り上げて強く主張すべきだったなというふうに考えているところでございます。
  45. 松井孝治

    松井孝治君 野田大臣、ちょっと伺いたいんですが、今もう一回やり直せるものならやり直してみたいというお話仙谷議員からはありましたけれども、やっぱりこの通報窓口を、せっかく一元的な消費者行政組織といいながら、結局各省縦割りの中で、所管のところに通報してくださいと、これはちょっと私どもも気付いていなかったわけではないんですが、余りにも修正項目多過ぎてできなかったんですが、ここについて、大臣の立場ではおっしゃりにくいかもしれませんが、やっぱりしっかり今後の検討事項としてこの窓口の一元化やるべきではないかとお考えになりませんか。政治家として御答弁いただきたいと思います。
  46. 野田聖子

    国務大臣(野田聖子君) 正しい御指摘だと思っています。  消費者庁のメリットの一つには一元化の窓口ということを売りにしておりまして、今、一般の方たちの通報に関しては共通番号を設けるなどして、そういう取組をしております。  この公益通報者保護法に関しましては、今おっしゃったように、修正協議になかったわけですけれども、今後そういうことがある、なしは別として、今の間はしっかりと、消費者庁に多くのそれが寄せられてもしっかりと、たらい回しという形ではなく、きちっと担当している行政組織に連絡を一元的にスルーできるような形で鋭意取り組んでいきますけれども、今後につきましてはやっぱり検討していくべきだと思っております。
  47. 松井孝治

    松井孝治君 ちょっと時間がありませんので、岸田大臣も何かさっきからにこにこ笑っておられますので、是非これは今後の課題として十分御認識いただきたいと思いますし、これはまた、この参議院としてどう取り組むべきか、我々として参議院の委員間でも協議をしていかなければいけない点だと思います。  もう一点伺いたいと思うんですが、消費者委員会の情報収集について伺いたいと思います。  設置法の八条の資料提出要求に民間事業者が対象として入っていない、これはいろいろ与野党協議の結果そうなったというふうに認識していますが、消費者安全法二十条は、消費者委員会が勧告を行う場合、消費者、事業者、関係行政機関、その他の者から得た情報その他の情報を踏まえて行うと、こういう規定がありまして、この規定を普通に読むならば、やっぱり消費者委員会自身は情報収集を民間事業者からも行うんだというふうに解釈するのが普通だと思います。  じゃ、どういう権限に基づいて消費者委員会は民間事業者から情報収集を行えるのか、これは任意の情報収集なのか、具体的に設置法八条の資料提出要求等には対象になっていないけれども、安全法二十条に入っているということは、どこまでの権能が、消費者委員会に民間に対する情報収集権があるのか、修正案提案者に伺いたいと思います。
  48. 仙谷由人

    衆議院議員仙谷由人君) お答えをいたします。  消費者委員会がこの安全法の第二十条で、ある種個別具体的な事案について勧告を行うということをしようとする場合に、やっぱりこれは、事案についての情報を的確に収集をして、それを踏まえなければならないということは当然でございまして、そのことを書いたと。しかし、そのような情報収集のための一般的な権限が設置法第八条の資料の提出要求等の権限でございます。  修正協議の過程で、この権限の対象が関係行政機関の長に限られまして、事業者等の私人に対する資料提出要求等ができないといいましょうか、法的にはできないということになったわけで、これは与党が二重行政になるということを理由にして合意しなかったということで、事業者等の私人に対する資料提出要求等が書き込まれなかったところでございます。  両方を前提にして考えますと、安全法第二十条の条文をそういうことで解釈しますと、消費者、事業者、関係行政機関、その他の者から得た情報を踏まえてという文言は、あくまでも消費者や事業者等からの自発的な通報、提供という形の受け身の情報提供を念頭に置いていることは間違いはございません。したがって、修正協議の全過程における議論をしんしゃくいたしますと、事業者等からの法律に規定された権限に基づく情報収集は、あくまでも関係行政機関の長を通じて行うということであります。  ただ、そうではありますけれども、法律上の権限としてでなくて、事業者の任意の協力の下に消費者委員会の側からアクセスして事情説明や情報提供の要請を行うというふうなことはできないわけではないというよりも、むしろそれをしないとこういう勧告はできないと。具体的な事案に関する調査を行うことまでそういう任意に行うのを否定しているものではありませんし、当然いろんな消費者団体の方や代理人からそういう積極的な情報提供もあると思いますし、協力もあると思います。事実上の調査活動については、本条は間接的に容認しているというふうに解釈をいたしております。  以上です。
  49. 松井孝治

    松井孝治君 はい、分かりました。分かりましたが、そういうことを活動を担保するためにも今のスタッフ、三人ですか、定員上付いているのは、それでは余りにも少ないということをこれも申しておきたいと思います。  あと一問だけ、済みません、姫井議員の御了解をいただいて最後に御質問させていただきたいと思うんですが、今回の消費者委員会の内閣総理大臣への勧告権、これは大きな一歩だと思うんですが、実は関係行政機関の長に対する勧告権というのが、食品安全基本法、食品安全委員会が持っている権能というのがこれは並列的にあるんですが、食品安全基本法では、食品安全委員会は関係行政機関の長に直接勧告できるんです。今回のものは内閣総理大臣には勧告できるんですが、関係行政機関の長はここに入っていないんですね。  そこの違いを、これはもう理由を聞くと長くなるので、今後これ関係行政機関の長に勧告を直接できるようにする余地があるのかないのか、提案者の意向。  それからもう一点。これは先日、この委員会の同僚の共産党の大門委員から御質問があったところでありますが、この消費者委員会をつくるのはいいんですが、消費者政策会議が並列的に並んでいるんですね。しかも、その消費者政策会議が何か消費者委員会の意見を聴いて消費者基本計画を作るという構造になっていて、消費者基本計画はこれは閣僚とか、その下の幹事会は事務次官級がメンバーなものですから、そこが何か消費者委員会の意見を聴いて何か物事をつくる上部にあるかのような位置付けになっているというふうにも理解できる。  ここの点についても非常に膨大な修正協議の中で正直そこまで詰め切れていなかったというのが実態かなとも思うわけですが、この点の今後のどうあるべきか、あるいは、先ほど申し上げた食品安全委員会との権限の違いを今度どう埋めていくべきか。  この二点について提案者である仙谷委員見解を伺って、私の質問を終わりにしたいと思います。
  50. 仙谷由人

    衆議院議員仙谷由人君) この関係大臣への勧告案は、民主党としては直接の勧告権を是非持たすべきだという主張もしておったのでございますが、内閣総理大臣に対する勧告権があれば、この消費者安全法では、十六条で内閣総理大臣の方から措置要求というのを各大臣にできるようになっているから、何とかそれでこなせるじゃないかと。  先ほど引用ございました食品安全基本法は、むしろ内閣総理大臣の措置要求が今度これは書いていないと。統一的な、特に消費者担当特命大臣との関係も出てこようと思いますので、この措置要求を実効あらしめるということで当分やってみようということで、関係大臣への勧告権を、何というんですか、この段階で譲歩したといいましょうか、強く押し込まなかったということでございますので、御理解をいただきたいと思います。  それから、消費者政策会議は、これは基本計画を策定する機関だということでありますから、一応守備範囲は切り分けをされているというふうに考えておりますが、消費者政策会議というのが専任の事務局がいるのかいないのか、あるいはその辺が、何というんですかね、いろんなところに足を掛けた話であるとすれば、これはもう私どもは、何というんですか、こういう関係閣僚会議というものは、むしろ現時点では、横串を刺した消費者庁あるいは消費者委員会との関係で、再定義といいましょうか、あるいは守備範囲をちゃんと定義をされなければならないと、こういうふうに考えておるところであります。
  51. 松井孝治

    松井孝治君 質問を同僚の姫井議員に譲りたいと思います。  ありがとうございました。
  52. 姫井由美子

    姫井由美子君 民主党の姫井由美子と申します。  まず、歴史的な修正合意にこぎ着けられました修正案提案者の方々に心から敬意を表しますとともに、今回質問の機会を与えてくださった皆様に感謝をいたしたいと思います。  今回の衆議院での修正について、今日お越しの仙谷議員は記者会見で自己採点六十点というふうにたしか記憶しておりますけれども、その真意、そして参議院で今審議が始まっておりますけれども、現段階では何点と評価されますでしょうか、お伺いしたいと思います。
  53. 仙谷由人

    衆議院議員仙谷由人君) なるべく簡潔にお話ししたいと思いますが、先進諸国を見て、この消費者問題というものの解決の仕方というのを見ておりますと、やっぱり現場で調停、あっせんが権威を持ったしかるべき、日本でいえば相談員ということになるのかも分かりませんが、消費生活センターや国民生活センターで行われる体制がちゃんとできなければならない。もちろん従事員の、従事していただく方々の質あるいは量というものも必要になると思いますが、そこがやっぱりポイントだと。現場でのいろんなトラブル解決ということが消費者の身近なところで行われるというこのことがしっかりしないと、霞が関に箱が一つできても、消費者庁という箱ができてもしようがないなというのが我々の基本的な思いで、したがって消費者オンブズマン、オンブズパーソンといいましょうか、権利院法案を提起したわけであります。  つまり、組織、権限、それから日本の場合には地方行政の在り方としてどう考えるか、そしてもう一つが違法収益の剥奪とか被害者救済と、この四本の柱があるだろうというふうに考えておりまして、修正協議に入って、まあ消費者権利院ということにならなかったわけでありますが、この組織の在り方それから権限については与党側も相当理解を示して、権利院はできませんでしたけれども、消費者委員会という形で消費者庁と並び得る監視機関をつくったということで、言わば中央各省行政の中で、各省が適切な権限行使をすることによって消費者の利益が守られるようにしてもらうということについてはかなりのところまで進んだかなという思いであります。  ところが、現場といいましょうか、我々の生活のところで消費者問題を素早く迅速に、裁判所にかからずに解決できる体制としてできたかというふうに考えますと、これは地方消費生活相談員の方々の権限、処遇等々を考えましても、あるいは各地方自治体のこの十年間ぐらいのやり方を見てみましても、これは相当中央政府から、何というんですか、お願いをするというか、強く要請をし予算措置もし、できれば地方財政法等々を含めて法改正もしなければ、そうは動いていかないんじゃないかという思いがございます。そこの部分がまだ道半ばだなと。  あるいは、団体訴訟を含めた違法収益の剥奪まで行かなくても、積み重なったものの保全ぐらいは何とかしたいなという部分ができなかったというのが私が少々自分に辛い点を付けているわけでございまして、消費者団体の方々や日弁連を始めとする今まで取り組んでこられた方々には相当いい点をもらっておるようでありますけれども、これからの課題として今申し上げたようなことが残っていると、こういう総括でございます。  以上です。
  54. 姫井由美子

    姫井由美子君 じゃ、これから百点に向けて仙谷議員自らも頑張っていただけるということで御理解したいと思います。  消費者庁実現に向けて運動の基になった忘れてはならない幾つかの事件、事故があったかと思います。本日は、パロマ湯沸器の事故でお子さんを亡くされた上嶋幸子さんが傍聴席の方に来ておられます。御遺族の方は、二度と同じような事故を起こしてほしくないという気持ちで、今日もこの委員会の審議を聞いておられることと思います。  パロマのガス湯沸器に関する事故については、私は、昨年十一月十三日、経済産業委員会で質問をしました。しかし、その後、残念ながら、今年に入って一月十七日に、岐阜県でパロマ製のガス湯沸器を使用した二名の方が一酸化炭素中毒でお亡くなりになりました。またしてもパロマかという印象を与えた事故でしたけれども、この事故原因に関する調査についての状況報告を経済産業省にお願いし、また製品事故に対してNITEという制度があります。  消費者庁が発足してからどのように連携を取って取り組まれるのでしょうか。今日は御遺族の方も聞いておられますので、その思いをしっかり酌み取っていただきまして、大臣に成り代わり谷合政務官にお願いしたいと思います。
  55. 谷合正明

    大臣政務官(谷合正明君) お答えいたします。  本日、御承知のとおり、パロマの事故でお亡くなりになりました上嶋さんのお母様が傍聴席においでになっておられます。謹んでお悔やみを申し上げます。  パロマ工業のガス湯沸器事故によりまして多くの方々の命が犠牲になったにもかかわらず、長年にわたりまして事故の原因究明とその対応が適切になされなかったことは、国民の生活の安全、安心の確保の観点から、経済産業省としても大変反省すべき問題でありまして、私個人としても痛惜の念に堪えません。  省内の事故情報連絡・共有体制が十分に機能していなかったという点、また、メーカー等から直接十分な情報収集が行われていなかったこと等によりまして、事故情報の収集・分析体制が十分でなかったことを当省といたしましても大いに反省いたしました。この事故を教訓といたしまして、平成十八年十一月に消費生活用製品安全法を改正いたしまして、重大製品事故情報公表・報告制度を創設いたしました。  本制度におきましては、メーカー等に重大製品事故情報の報告を義務付けると。原因究明のいかんにかかわらず、消費者に向けた注意喚起の観点からこれを公表しております。そして、消防、警察等の関係機関と連携を図り、独立行政法人の、先ほどもお話ありましたが、製品評価技術基盤機構、NITEにおきまして、事故情報の分析また原因究明に取り組んでいるところであります。  そこで、今回消費者庁が発足した後、重大製品事故の報告受付と公表は消費者庁が担当いたします。この重大製品事故の原因調査につきましては、消費者庁と経済産業省が共同、連携して行います。NITEに対して原因究明を経済産業省が指示いたします。さらに、経済産業省といたしましては、必要に応じて事業者に対してリコール等の指導を行ってまいります。  また、今年一月十七日の岐阜県で発生しましたパロマ製のガス湯沸器の事故でございますが、本年二名の方が一酸化炭素中毒によりまして亡くなる事故が発生いたしました。この事故で使用されていたガス湯沸器は再点検の対象となっている機種とは異なるものでありますが、しかしながら、その原因について現在警察を中心として連携しながら調査をしているところでございます。  引き続き、今後とも製品事故の防止に効果的に対応できるよう消費者庁と連携して、十分緊密に図って、連携してまいりたいと思っております。
  56. 姫井由美子

    姫井由美子君 消費者庁ができた後は共同体制ができるということで、このような事故が未然に防げるものと思います。  そして、もう一つ、シンドラー社製のエレベーター事故、これも記憶に新しく、非常に忘れてはならない事故だと思います。  本日は、お子さんを亡くされた市川正子さんも来たかったんですが、今日はおいでではないですよね。お仕事ということで、市川さんを支援をする赤とんぼの会の活動をされている皆様がお越しでございます。  これは、国交省が、警察で捜査中だということを理由に二年間原因究明に着手をしませんでした。そして、やっと国交省が昇降機等事故対策委員会の設置をし、事故後直ちに立入調査ができるということになりました。  しかし、この委員会も問題点が幾つかあります。まず、法律上の根拠がないということです。例えば、運輸安全委員会は運輸安全委員会設置法という法律に基づいて行われます。そしてまた、この昇降機等事故対策委員会は、国交大臣の諮問機関である社会資本整備審議会、そしてその下の建築分科会、さらにはその下の建築物等事故・災害対策部会、さらにその下にやっと昇降機等事故対策委員会があると。衆議院の消費者問題特別委員会で参考人に来られた中村弁護士は、地下四階にある組織でしかないというふうな感想を言われました。私もそのとおりではないかと思います。  このような事故の被害者の方も、この事故調査委員会を法律上の権限を持った独立した機関として設置してほしいと強く要望しておられます。国交省は、このような委員会の位置付けに対していかがお考えでしょうか。よろしくお願いいたします。
  57. 金子恭之

    ○副大臣金子恭之君) まず冒頭に、東京都港区のマンションで起きました大変痛ましいエレベーター事故でお亡くなりになった市川大輔さんの御冥福をお祈りし、御遺族の皆さん方にお悔やみを申し上げたいと思います。  今、姫井先生からのお話がございました、実はお母様、そして支援の皆さん方、昨年国土交通省にお見えいただきまして、一日も早い原因究明、またいろんな切実なる思いをいただきました。  そういうことも踏まえて、エレベーター事故の調査につきましては、法律に基づく機関でございます社会資本整備審議会の下に、従来は臨時に設置をしておりましたエレベーターワーキングチームによりましてやっていたわけでありますが、今年二月に、これは臨時ではなくて常設の昇降機等事故対策委員会を設置をいたしました。この委員会におきまして、事故発生原因究明のための調査及び事故再発防止対策に係る調査検討を迅速かつ的確に行いまして、これに基づいて、国土交通省において事故原因の公表及び必要な再発防止対策を講じてまいることとしております。  法律上の権限を持った独立した機関とすべきとの御指摘をいただきましたが、消費者庁とも事故に係る情報の提供を受けるなど密接に連携協力しながら、先ほども申し上げましたように、今回、法律に基づく機関である社会資本整備審議会の下に常設で設置をいたしました昇降機等事故対策委員会を最大限に活用いたしまして、的確な対応を取ってまいりたいと考えております。  なお、今後の対応の中で検討すべき事項が生ずれば更なる対応検討してまいりたいと思います。
  58. 姫井由美子

    姫井由美子君 金子大臣、どうもありがとうございました。御遺族の皆様、いかがでしょうか。  今の答弁を聞いておりまして、通告はしていなかったんですけれども、野田大臣にひとつ伺いたいことがございます。  それぞれ、消費者庁ができたからには連携をして、あるいは共同をして、法律上は明文がないけれども常設をした、でも今後は消費者庁と一緒になってということで、非常に消費者庁を頼りにされているというふうに私は伺ったんですけれども。  一方、一番最初に本日、松井議員の方が豚インフルエンザについて質問をいたしました、一番最初通告の前ですね。そのときに石破農水大臣は、豚肉は安全だということを明言されて、そしてその後、答弁の中で、農水と厚労が連携をして対応に頑張るというようなことをおっしゃいましたけれども、それを聞いて野田大臣は、この今回の担当大臣として、それぞれの大臣が言ったことを追認するだけでいいのか、あるいは、消費者庁が設置されていたとしたら、今回のこの豚インフルエンザ発生を受けて豚肉の安全性についてどのように対応するのか、伺いたいと思います。
  59. 野田聖子

    国務大臣(野田聖子君) 先ほどは恐らく現状の法律の中での対応ぶりだったと思います。  消費者庁ができたら豚インフルエンザのこの事態についてどういう対応をするかといえば、消費者に対する対策については消費者庁が受け持つことになります。  例えば、恐らく消費生活センター等に、豚肉を買ってもいいのか、また食べてもいいのか等々のお問い合わせがあるはずでございまして、それに対しては、国民生活センターにも当然寄せられると思いますけれども、そういうことに対してしっかりとした情報提供をしてまいると、それに努めてまいるということが考えられます。
  60. 姫井由美子

    姫井由美子君 何よりもこういった各省庁にかかわる事故こそ、あるいは事件こそがこのすき間事案と言われるものであります。ここを埋めたいというのが、毎回野田大臣が所信表明で言われた中にもあったかというふうに記憶をしております。  是非もっと、多分もっともっと一般の国民の皆さんは消費者庁に期待をしていると思うんですね。今の省庁が手ぬるい分、消費者庁が同等あるいは上になって厳しく調査を進めていただき、そしていち早く国民に不安を取り除く安全宣言をできる省庁がこの消費者庁ではないかというふうに思っておりますので、是非よろしくお願いしたいと思います。  そして、何よりも、パロマ事件も情報の共有化ができなかったということが大きな問題でした。この情報の一元化という問題が特に消費者事故に関する大きな問題になろうかと思います。消費者庁の最も重要な機能の一つでもあります。  衆議院で修正案も出され、附帯決議も付されており、また関係者の皆様からも情報の一元化ということが最も多く意見が出されているところかと認識をしておりますが、司令塔たる消費者庁に集まる情報は、消費者安全法に係る情報のみならず、消費者にかかわるあらゆる情報が集まるということになるかと思います。修正案、附帯決議も踏まえ、どういう情報がどの機関からどういう根拠で消費者庁に集約され、どの機関がどの範囲をだれに開示、報告するのか、この流れを御説明いただきたいと思います。
  61. 松山健士

    政府参考人(松山健士君) お答え申し上げます。  消費者庁におけます情報の一元化についてであります。  これは、委員御指摘のとおり、消費者安全法、これに基づいて、これが中心となりまして情報一元化をいたします。  具体的に申しますと、消費者安全法に基づきまして、先ほど来御説明のございました経済産業省、国土交通省を始め関係行政機関、また地方公共団体、国民生活センター、それぞれ消費者事故等に関する情報消費者庁に通知をするものとされております。また、重大事故に関しましては、直ちに通知しなければならないということで通知義務が法律上課せられているわけでございます。さらに、必要な場合は消費者庁から関係者に資料の提供等を求めることができるようにするということで、これは消費者安全法十四条に規定が設けられているわけでございます。これらを実効的に機能させることによりまして、消費者庁による一元的な情報の集約が可能になるものと考えているところでございます。  また、この運用に当たりましては、「消費者被害に関する幅広い情報が確実に消費者庁に収集されるよう、関係省庁や地方自治体との連携を密にする等、体制整備すること。」という衆議院におけます附帯決議をいただいていることを踏まえまして取り組む必要があるというふうに考えております。  次に、情報の開示についてでございますけれども、消費者安全法におきましては、消費者庁は、消費者事故等に関する情報の収集及び分析を行い、その取りまとめ結果を関係行政機関、国民生活センターに提供し、消費者委員会及び国会に報告するとともに、公表することになるということでございます。法律十三条でございます。  さらに、消費者被害の発生又は拡大の防止に資する情報については、都道府県及び市町村に提供するとともに、これを公表することをもって消費者への注意喚起を行うということで、法律十五条に基づく注意喚起を行うこととしております。  これらの運用に当たりましては、「消費生活に関わる事故に関する情報は、国民の共有財産であるとの認識に基づき、消費者庁を含む関係省庁は、消費者事故等に関する情報について、個人情報保護に配慮しつつ、十分な開示を行うこと。」、また、「内閣総理大臣は、消費者事故等の発生に関する情報の集約及び分析の結果の公表に関しては、適時適切に、国会に対し報告しなければならないものとする」と、衆議院におきまして附帯決議をいただいているところでございまして、これらを踏まえて取り組んでいく必要があるというふうに考えております。
  62. 姫井由美子

    姫井由美子君 皆さん、聞いていてどうでしたでしょうか。分かりやすかったでしょうか。  非常に、今までの国民生活センターの情報の流れ、経産省、いろんな省庁の情報の流れすら大変複雑な上に、今回これを言葉で説明されても非常に分かりにくいかと思います。  そこで、委員長、これはやはり分かりやすいフローチャート等の図表を作っていただきたいというふうにお願いしたいんですけれども、どうでしょうか。
  63. 草川昭三

    委員長草川昭三君) 今日、これ、出ていることを含めてですか。
  64. 姫井由美子

    姫井由美子君 いえ、まだ図表の方は作られていないということを伺っているんですけれども。
  65. 草川昭三

    委員長草川昭三君) 先生のこれのことですか。
  66. 姫井由美子

    姫井由美子君 私のではなくて、今の消費者庁の……
  67. 草川昭三

    委員長草川昭三君) また別の御意見ですか。
  68. 姫井由美子

    姫井由美子君 ええ、意見として。
  69. 草川昭三

    委員長草川昭三君) じゃ、それはまた追って理事会で御相談を申し上げたいと思います。
  70. 姫井由美子

    姫井由美子君 是非これは分かりやすい図表を作っていただいて、この流れをスムーズに一目で見て分かるように、イメージができるように、しかも、先ほど窓口の一元化、更なるやり直した修正案も入れられましたら、それもどういうふうに含めてかも検討していただきまして図表を作っていただきたいということをこの委員会を通じてお願いしたいと思います。
  71. 草川昭三

    委員長草川昭三君) 追って理事会で御相談をさせていただきます。
  72. 姫井由美子

    姫井由美子君 さて、それでは、一番関心が深い地方支援ということで野田大臣にお伺いしたいと思います。  平成二十年六月二十七日閣議決定消費者行政推進基本計画の段階では、この消費者庁の体制の在り方、当時の仮称、消費者政策委員会の設置によれば、消費者と直接接点を持つ地方自治体の意見を政策に反映する仕組みを構築するとありますが、これは、年に一回ぐらいの地方三団体との意見交換ぐらいでは地方自治体の意見を政策に反映する仕組みとは言えないと思います。また、有識者等に首長を委員に登用している例も多くありますけれども、広く地方自治体の意見が政策に反映されているとは思いません。  どのような仕組みの構築をお考えかお示しいただきたいとともに、こういった消費者委員会の委員長及び委員は全員民間登用となりますので、地方自治体の首長はもちろん委員長及び委員会の委員にはなれないと考えますが、この点について併せてお伺いしたいと思います。
  73. 増原義剛

    ○副大臣(増原義剛君) 姫井委員にお答え申し上げます。  地方公共団体は、国と並んで消費者行政を推進する重要な主体であるという認識を我々は持っておりますし、その意見を国の消費者行政に、特に政策に十分に反映していくことはこれまた重要であると思っております。  このため、この度の消費者安全法案におきましては、まず、国と同様、消費者安全の確保に関する施策を総合的に策定し、実施する責務を地方公共団体が有することを明らかにしております。法第四条でございます。  次に、内閣総理大臣が策定する消費者安全の確保に関する基本方針、この基本方針につきまして、地方で実施する消費生活相談等の事務の実施を通じて得られる知見でございますが、これに基づきまして都道府県知事がその変更を提案することができることといたしております。これは法第七条であります。  そしてまた、消費者被害の発生防止の、拡大防止のため必要があると認めるときは、都道府県知事は内閣総理大臣に対し、必要な措置の実施を要請することができる仕組みを新たに設けました。法第二十一条でございます。  こうした提案や要請につきましては、基本方針の変更提案については消費者委員会、修正案では委員会でございますが、の意見を聴いて変更の必要性を判断することが必要でありましょうし、また措置の実施要請については、関係大臣に回付して実施の要否を回答するものといたしております。これらの仕組みを整備することにより、地方の意見を十分に反映した施策を推進することができるのではないかと、そのように考えております。  それからさらに、消費者委員会、これには、民間委員であることから地方自治体などの意見が十分反映されないんではないかということでありますが、御指摘のとおり、民間委員といたしておりますので、地方公共団体の現職の首長を消費者委員会の委員とすることは困難と考えておりますが、地方公共団体の首長には、必要があれば特別の事項を調査審議していただく臨時委員とか、あるいは、ある分野に極めて造詣が深いということであれば、専門の事項を調査していただく調査委員専門委員という形で活躍をしていただくことを検討してまいりたいと、そのように考えております。
  74. 姫井由美子

    姫井由美子君 いずれにしましても、多様なところからの民間登用の委員をお願いしたいというふうに思います。  それでは、続きまして、相談員の人件費の問題についてお伺いしたいと思います。  消費生活相談員人件費の国費充当のことですけれども、野田大臣は、衆議院での審議や与野党の合意事項を踏まえて、この件について検討していくということで、これは衆議院の四月十六日、大口委員質問にお答えいたしておりまして、当初、二十一年度補正予算での上積みの百十億、これは相談員人件費に充当することができるようにした。そして、この消費者行政活性化基金は二十年度第二次補正予算で既に百五十億造成されていますが、これに関して、これも答弁の中で、この基金の活用も含めて人件費への支援も対象にすべく交付要綱の見直しをしていくということでしたが、それでよろしいでしょうか。
  75. 野田聖子

    国務大臣(野田聖子君) そのとおりです。
  76. 姫井由美子

    姫井由美子君 それでは、今日、皆様のお手元に配付の資料があるかと思いますけれども、ここに分かりやすく表になっております。  大口委員は、ですから、足して二百六十億をこの人件費等にも使えるということでしたけれども、まず二十年度、この補正予算は今年の初めには付いているわけですね。そして、そこは、右側にある(参考)従来のメニューということであります。この百五十億円が決まったときには人件費はありませんでした。そして、この上積み百十億の中で、新たな支援メニューということで、消費者教育、あるいはその上の一元的相談窓口緊急整備事業という中に人件費を支援というふうにあるわけです。  ですから、もう一度確認なんですけれども、右側にある従来のメニュー、そして新たな支援メニュー、このすべてが二百六十億で、各地方自治体、地方行政、地方の消費行政の中で自由に組み立てられるということでよろしいでしょうか。
  77. 田中孝文

    政府参考人(田中孝文君) そのとおりで結構でございます。  従来のメニューは主として施設としての、消費生活センターの場所としての拡充とその要員としての相談員の養成ということを主体としたメニューを用意しましたが、それだけでなく、衆議院等の御議論あるいは修正協議を踏まえまして、それだけではできないメニューを新たに追加したということでございまして、合わせて二百六十億についてすべてのメニューから御判断いただくということと考えております。
  78. 姫井由美子

    姫井由美子君 それでは、二枚目の資料を見ていただきたいと思います。基金造成による地方消費者行政活性化事業スキームという流れです。  これは、まずその右側に事業執行フロー(イメージ)という図が、流れがありますけれども、平成二十年の二次補正予算につきまして、これはもう百五十億につきまして配分が決まっており、その配分に基づいて各地方自治体はもうメニューを申請しているわけですね。そして、私の地元の岡山県でもそうですけれども、ほぼ全国的に今年の二月議会においてこの基金条例を制定をしております。  つまり、百五十億については、各地方自治体はこれでもうその配分に応じた計画を出しているわけですね。そして、今回百十億について更なるプログラムを作成し、それについて配分が決まり見直していくことですけれども、これに対しては変更計画、計画の変更という形でするということなんですけれども、このままでは百十億について、この左にある支援メニューで計画を追加をした形での変更計画を、そのままだと出されはしないかということが私は一つ心配です。これがすべて使えるということであれば、以前出した計画もすべて白紙に戻して、一から計画を立て直すという意味での計画変更を申請できるということに理解すればいいんでしょうか。
  79. 田中孝文

    政府参考人(田中孝文君) そのとおりでございます。  これ、既存の百五十億だけで事業を走らせておりますので、現在、基金をつくっていただくとともに、そこに対して資金を交付をいたしました。それに基づいて、このフローの流れでいいますと、基金の造成以下、市町村プログラムの策定等に既に取りかかっていただいておりますが、今度新たに百十億が加わりますので、誠に地方公共団体の方に御負担で恐縮でございますが、さらに手戻りで新たに基金の増額についての基金造成をしていただいて、新たなメニューも含めたプログラムの作成をお願いをしていきたいと思います。誤解のないように周知徹底を図っていきたいと思います。
  80. 姫井由美子

    姫井由美子君 それが地方自治体の担当者だけでなく、財政担当者のところにもきちっと伝わっていますでしょうか。
  81. 田中孝文

    政府参考人(田中孝文君) 財政担当者については、これまで私どもとしましては、総務省における財政担当者の説明において御説明の機会を得ることができましたが、個別の県については消費者行政の担当を通じてお願いしているところでございますが、今後さらに周知徹底を図っていきたいと思います。
  82. 姫井由美子

    姫井由美子君 実は、人件費が上積みされた百十億だけでこの新たな支援メニューをするか、あるいはすべて一から積み上げることができて二百六十億、最初の配分、それから新たに来る配分、両方含めて一から作り直せるかということは、かなり人件費に対するイメージも変わってくるし、人件費を増やそうかという、あるいは、これから処遇を手厚くしていこうかという、いろんな思いが変わってくるかと思うんですね。私がいろいろ聞いたところによりますと、担当者はそういったことが何となくできるということは分かっている。しかし、それが総務の財政をするところが分かっているかどうかという部分が、非常にその連携が私は難しいかと思います。  聞くところによりますと、先週末には各地方自治体の総務担当、財政担当の人を集めまして内閣府の方が説明をしたというふうにありますが、その辺り、本当に地方においてすべて一から作り直した中でこの人件費を含めてプログラムし直せることが伝わっているかどうか。もう一度、今後の説明会も含めてお伺いしたいと思います。
  83. 田中孝文

    政府参考人(田中孝文君) ちょっと、先週の末にあったという件については私は存じておりませんが、これは内閣府の方で、多分それは総務省の方でされたのかもしれません、それはちょっと済みません、確認してございません。  いずれにしましても、今後、合意事項等の御指摘を踏まえまして、交付要綱自体を作り直しますので、これは二十一年度の補正予算が成立した後に公表可能かと思いますが、鋭意準備をして、交付要綱等の変更ができましたら、遅滞なく、また誤解のないようにお伝えしていきたいと思っております。
  84. 姫井由美子

    姫井由美子君 例えば今回、地方消費者行政に対する財政支援ということで、二十一年度の地方財政措置、これ基準財政需要額を九十億円から百八十億円に倍増。これはこの消費者相談員のお給料に関して年間百五十万円を三百万円と換算して非常に幅を増やしたということでありますけれども、実はこれが各地方自治体に下りてくるときには一般財源の一部として下りてくるわけですね。  担当者は、消費者行政に対する相談員のこの報酬の部分が手厚くされたからその部分だけ地方交付税が増えたということはしっかりと理解をし認識しているんですけれども、実はそれを下ろしてくるところは一般財源の一部で、どう割り振るかということは全くその担当者の自由にはならなくて地方自治体全体で考えられてしまう、結局はどこに行ったか分からないというのが現状で、これは検証されるすべはないかと思うんですけれども、このことに関して、しっかりとそれが地方の消費者行政に根付くようにこの地方自治体の中で配分されているかどうかということはどのように確認されますでしょうか。
  85. 田中孝文

    政府参考人(田中孝文君) まさに御指摘の点については衆議院の議論においても多々御議論がございました。要するに、地方交付税は倍にしたけれども、それは一般財源で、必ずしも使われないのではないかということ。これに関しましては従来より、昨年の十二月二十六日、一月、二月と野田大臣の方から地方自治体の長の方に依頼をお願いしているところでございます。  従来、そうしたものがちゃんと使われるようにということで、従来の、私どもとしましても、百五十億の交付金の申請に際して、努力義務というか、そういうこととしてどのような消費生活相談員の処遇改善がされたかと、そういう処遇計画というものをお示しいただきたいという旨のことを申し伝えてございますが、この度、修正協議を通じて作成されました合意事項の二番目におきましては、ちゃんと読みますと、今般拡充された地方交付税措置を活用しつつ、今回の補正予算により新たに基金を上積みし、支援対象を集中育成・強化期間において増大する業務に関する人件費等に拡充するとともに、交付要綱等において処遇改善を図る地方公共団体への交付金の配分を手厚くする旨を定めることにより相談員の処遇改善を図るというふうにされたところでございます。  つまり、努力義務だけではなくて、交付要綱に、そういう改善をしたところに手厚く配分するというように仕組めという御要請がございます。なかなか難しい問題であります。これ、御趣旨を体してこれから交付要綱を考えていこうと思いますが、それと同時に、やはりきちんとそうした措置が、交付税についての措置がとられているかどうかということに関しましては内閣府としてもフォローアップをさせていただきたいと思っております。
  86. 姫井由美子

    姫井由美子君 是非そのモデル事例を広く公表し、ここからも情報の共有化で、こうすれば手厚い改善ができたというようなことを広く示していただいて、すべての地方自治体がいい改善プログラム行われるようにお願いしたいかと思います。  それで、先ほど言われました処遇のことなんですけれども、二十三日の当委員会で近藤委員質問にもありましたように、今回この処遇につきましては、地方消費者行政活性化基金の運用に際しては、支援対象を集中育成・強化期間において増大する業務に係る人件費に充当するとあり、附帯決議十七条で、超過勤務並びに社会保険及び労働保険に関し云々となっております。つまり、増大する業務に対応するために、新規採用する相談員の人件費については、超過勤務、社会保険、労働保険に係るコストも含めて、その一〇〇%を基金から充当できるようにするということでよろしいのでしょうか。
  87. 草川昭三

    委員長草川昭三君) 内閣府田中国民生活局長でいいですか。
  88. 姫井由美子

    姫井由美子君 申し訳ありません。これは修正案提案者、済みません。
  89. 草川昭三

    委員長草川昭三君) じゃ、小宮山洋子君。
  90. 小宮山洋子

    衆議院議員小宮山洋子君) 基金については政府が運用するわけですけれども、私たち修正をした者としては、先ほどお聞きのように、今回のことについても内閣府と総務省とどうも縦割りじゃないかという心配をやはり聞いていらっしゃる方は思われたと思うので、これは野田大臣にもしっかりと頑張っていただきたいと思うんですけれども、少なくとも私たちは地方の窓口、ここをしっかり充実する、相談員が官製ワーキングプアと言われないような状況にするということに非常に多くの時間を割き、最後まで合意ができなかったので、ここのところを各党の政策責任者と理事の合意文書という形でしたのが、先ほど政府委員が読み上げられたところです。  ですから、私どもは、とにかくこの集中期間の間に増加する部分、そこについてはしっかりと本当に必要な人件費がこの基金によって賄われるようにしてほしいというふうに希望を持っておりますし、三年後につきましてもやはりしっかりと、三年以内に処遇について考えるということもしっかり取っております。そうしませんと、なかなか、御承知のように、自治事務だからできないということで終始していたんですけれども、当初は、学校の教員とか警察官とかも最初は全部国が財源を持って全国に配置をして、その後自治事務にしていったという経過がございますので、是非そういう配置基準や処遇などもこの三年の間に決めて、そこのところはしっかりと政府が財源も保障する、そういう形にしてほしい。ですから、この基金についても十分に人件費に使えるようにしっかりとやってほしいというのが修正者の意思でございます。
  91. 姫井由美子

    姫井由美子君 とすると、更に増大する業務に関して増加した人件費にも一〇〇%基金から充当できる、今までゼロだったところが一人になった場合もこれも、増加あるいは新規どちらでもいいですけれども、一〇〇%基金から充当できるというふうに解釈してよろしいでしょうか。これは政府参考人の方からよろしくお願いいたします。
  92. 田中孝文

    政府参考人(田中孝文君) 今、修正案提案者の方から御答弁がありました趣旨というものを体して詳細を決めてまいりたいと思います。  したがいまして、集中育成・強化期間において増大する業務に対応するための相談員の増員等に関する経費に関しましては、それを手当てする方向で今後鋭意検討してまいりたいと思っております。
  93. 姫井由美子

    姫井由美子君 二十三日の野田大臣のお答えの中で、地方公共団体が消費生活相談というサービスを継続的に実施するために必要な経常的な経費としての相談員の人件費そのものは対象にしておりませんというふうに言われました。現場でも、既存の相談員の本来業務、これについてこの基金、あるいは充当できるかどうかという部分が非常に今クエスチョンな部分なんですね。  処遇改善なんですけれども、本来業務が例えば二十万円あったとして、これから業務が増大する部分が五万円あったとしますね。それは五万円だけというふうに区別できるかと思うんですけれども、その業務すべてを見直して、元々今よりも責任が重くなるということで業務すべてを見直して二十万から二十五万というふうに増額した場合は、それは、五万なのか、二十五万すべてに対して処遇改善ということで既存の相談員の報酬を全部見ることができるのかという部分が現場では非常に今クエスチョンなので、その部分をどういうふうに解釈したらよろしいでしょうか。修正案提案者です。お願いします。
  94. 小宮山洋子

    衆議院議員小宮山洋子君) 今おっしゃった部分は、多分附帯決議の十七で読んでいただいたらいいかと思うんですけれども、ここには、地方交付税の措置の方ですけれども、こちらで、その交付税の交付要綱などについて処遇改善を図る地方公共団体への交付金の配分を手厚くすることを定めて、相談員の時給の引上げ、業務日数の増加による実質的常勤化、超過勤務並びに社会保険及び労働保険に関し法令に基づく適切な対応等を含め取組を促進するということとなっていますので、今の地方自治だからできないという中でどうやったらいいかということで、この基金をなるべく集中期間については扱うこと、その後も含めまして、交付税の要綱を変えると言われていますので、要綱を変えて、そこでしっかりと本来の時給の方のアップにもつなげられるようにしてほしいというのが修正の意思です。
  95. 姫井由美子

    姫井由美子君 では、その部分も含めてしっかりと説明のときに技術的な部分を説明をして、地方自治体が、あるいは相談員が働きやすいように、使いやすいようにお願いしたいかと思います。  続きまして、消費者教育・啓発についてです。  今回の消費者教育につきましては、小宮山洋子議員も最も強く御主張されておりました。私は、司法書士として、元々こういった出前教室ということで、高校卒業生対象として、悪徳商法の手口を寸劇でするとかクレジットカードの使い方を指導するとかというような社会貢献、ボランティアをしておりましたけれども、相談と消費者の教育、啓発、これは切り離しては考えられないというふうに思っております。  しかし、政府・与党案に対しましては、この消費生活相談と教育、啓発、これは別物として扱っているというふうに私は理解をしております。是非、この部分は不可欠であるというふうに私は思うんですけれども、切り離すのではなく密接不可分という考えは、民主党及び他の野党のみならず、消費者教育と啓発、相談を行っている、現場では同じ団体がこの両方を行っているものです。司法書士会、弁護士会、相談員団体、消費者団体等の総意でもありますけれども、これを一つとして、教育をするからこそ相談に行く。今のままでは、消費者センターをつくったとしても、あるいは消費生活センターのない市町村の方が多い、どこに相談すればいいか分からない、あるいは消費生活センターが設置される市町村が増えても、消費生活センターを知っている消費者が増えるという保証はどこにもありません。この相談の誘引、掘り起こしをするためにも消費者教育・啓発が重要であると思います。  これを一体として考える、このような見解をどうお考えになるのか、まずこれを修正案提案者の方に伺いたいと思います。
  96. 小宮山洋子

    衆議院議員小宮山洋子君) この消費者教育につきましては、私も解説員をしていたころからいろいろと取材をしたり、力を入れなければと言ってきたんですけれど、まだまだ貧困な状態と言っていいと思います。おっしゃるように、せっかく情報が一元化され、消費者に提供されたとしましても、その情報を使いこなす知識、リテラシーが消費者の側になければ意味がないわけですので、おっしゃるように消費者教育と啓発、そして情報ということは一体なものだと思っております。  そして、姫井議員も司法書士でいらっしゃると思いますけれども、これまでも司法書士会、弁護士会、相談員団体、消費者団体などが学校へ行ったりとかいろいろな形で出前講座などをやっていただいているのは分かっています。ただ、それが全国に向けて行われているかというと、学校教育は文部科学省、そして社会教育は内閣府が行うということが消費者基本法に基づく消費者基本計画にも盛り込まれておりますので、それによって二つの省庁が連携してやっていると言われますけれども、まだまだ少ない。それは、教える方の部分と、あと消費者教育支援センターというものが文科省など四省共管でスタートをいたして、もうとっくにスタートをしておりますけど、教材の面などでもまだ不足をしている。  そういう意味で、せっかく消費者についての大きな法律ができるわけですから、消費者教育にもっともっと力を入れるべきだと、そういうふうに思っております。
  97. 姫井由美子

    姫井由美子君 野田大臣が会長としてまとめられた消費者庁構想の基となる、基礎となる自民党消費者問題調査会の取りまとめも相談と教育、啓発は切り離して考えられていましたけれども、今の発言等をお聞きになりまして、一体として今後施策に講じていっていただけるかどうか、この見解をお聞きしたいと思います。
  98. 野田聖子

    国務大臣(野田聖子君) 消費者教育の推進というのは極めて重要であることは言うまでもございません。消費者自身が自立して、そして合理的に行動できる主体になるということも大切でありますけれども、と同時に、被害に遭わなくて済むようにする観点からも推進していかなければならない、そういう立場に今あります。  今、小宮山議員からもお話がありましたけれども、消費生活相談というのは極めて複雑になりまして、また多様化が進んでいます。その中から、いろんな消費生活相談の実務があるわけですが、そこから得られたいろんな実践的な内容というのを教材作成とか、今お話があった出前講座などの消費者教育や啓発に生かすことができるのではないかと考えております。  また、出前講座や啓発パンフレットなんかを通じまして、これまで相談窓口を知らなかった人、そういう人たち大変多いんですね、実は。それを調査した結果、名前は知っているけれども活動内容を知らないという人が五割近いし、名前も活動内容も知らない、消費生活センターの名前も活動内容も知らないと答えた国民というのは実は平成二十年、去年の調査で何と二六%もいらっしゃるということでございます。ですから、そういう人たちが窓口の存在を知っていただき、相談した結果救済をされ、更なる被害の拡大を防ぐことにつながる場合も考えられるわけであります。  ですから、このように消費者教育・啓発と消費生活相談というのは相互に密接に関係をしておりまして、両者を連携させて取り組んでいくことが大変実効性ある消費者政策の推進のためになる、そういうふうに重要であると考えています。
  99. 姫井由美子

    姫井由美子君 ありがとうございます。  修正案で消費生活安全法第四条第六項に「消費生活に関する教育活動」が加えられ、この消費者庁稼働時までに一定の手当てあるいは準備をしておく必要があると考えられますけれども、修正案提案者はこの点いかがでしょうか。
  100. 小宮山洋子

    衆議院議員小宮山洋子君) おっしゃるとおりだと思っています。  先ほど表で御説明のありました新たな支援メニューというところで、基金のところでもこの手当てが行われようとしておりますので、今まで当然行われていなければいけなかったんですが、足りない状況の中、しっかりとここは進めてほしいというふうに思っています。
  101. 姫井由美子

    姫井由美子君 衆議院の消費者問題特別委員会の附帯決議第二十二条に消費者団体に対する支援が盛り込まれています。  対象を消費者団体一般ではなく「消費者被害の情報収集啓発を行う消費者団体」と限定している理由を修正案提案者に伺い、また、この情報提供については、もちろん対象を情報提供団体に限定することも理解できないことはないですけれども、活動のための施設や資金の確保等については限定するのではなく消費者団体全般を対象とすべきと考えますが、その点も併せてお伺いしたいと思います。
  102. 小宮山洋子

    衆議院議員小宮山洋子君) それもおっしゃるとおりだと思います。  ただ、修正協議、非常に時間が詰まった中で多くの項目をいたしましたので、ここでは今回残念ながら消費者団体訴訟法案の方は実現をすることができませんでしたけれども、現在差止め訴訟をしている適格消費者団体でも、一番強い参考人からの御意見が、費用が足りない、また、訴訟をするときにいろんな費用が必要でできないということでしたので、ここではその適格消費者団体を想定していたしましたけれども、そうした情報は多くの消費者団体持っておりますし、これから是非そちらの方へも広げていく必要があるというふうに考えています。
  103. 姫井由美子

    姫井由美子君 是非よろしくお願いいたします。  今後のスケジュールの関係を野田大臣にお伺いしたいかと思います。  この関連三法案及び修正案が成立すれば、実際に消費者庁が稼働するまで猶予の期間が一年あるわけですけれども、半年ぐらいは準備期間が必要と思われますけれども、今までの経緯からして一日も早く稼働をしてほしい、できれば十月一日ぐらいからは稼働してほしいという意見も私には聞こえてくるんですけれども、どのくらいの期間をお考えでしょうか。そして、どのような準備が必要と思われているのでしょうか。
  104. 野田聖子

    国務大臣(野田聖子君) 法案成立後、消費者庁と消費者委員会の設立のためには、政省令等の整備、そして新たな庁舎の確保また情報システムの整備など、様々な作業に一定の準備期間が必要だと考えられます。  いずれにしましても、とにかく一日も早く法案を可決、成立していただきまして、その準備に取りかかって一日も早く消費者庁が創設できることを是非ともお願いしたい立場でございます。よろしくお願いします。
  105. 姫井由美子

    姫井由美子君 私たちもこのように月曜日の朝から委員会を開いておりますので、迅速かつ丁寧に、速やかに成立させていくことに協力をしたいと思いますので、是非半年ぐらいでスタートできるようによろしくお願いしたいと思いますし、また野田大臣は、いつも消費者主役とするための消費者庁だというふうに訴えております。そのためには、その準備期間からいろんな消費者あるいは消費者団体等の意見を踏まえて、自分たちだけで準備するのではなくて、踏まえていろんな団体の意見を聴きながらその準備も進めていただきたいということをお願いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  106. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 自由民主党の礒崎陽輔でございます。  私も党の中で消費者の仕事をしておりまして、この消費者法案のまだ黎明のときに、形がまだないようなころに消費者政策委員会という話も聞きまして、そのとき私は手を挙げて、いや、これはもうちょっと権限を強めた方がいいのではないかという発言をしたんですが、そのときは党の中から余り相手にされませんでしたけれども。法案を国会に出しましたら、野党の皆さんの炯眼を得まして立派な消費者委員会ができまして、本当に良かったことだと思っております。  その間、岸田議員におかれましては、党にあって、あるいは政府におかれて、そしてまた今回は国会におかれて八面六臂の御活躍をいただきまして、本当に与野党すばらしい修正案ができたと思いますが、改めまして、今回の修正部分も含めまして、今回の関連法案ができますと消費者をめぐる状況はどう変わるのか、あるいはどういうこの立法の意義があるのか、改めてお伺いをいたしたいと思います。
  107. 岸田文雄

    衆議院議員(岸田文雄君) 御質問をいただきましたこの立法の意義あるいはこうした今回の議論を経てどのように消費者行政が変わるかということですが、野田大臣も度々答弁されておられますように、今回のこの法案をめぐる議論、さらには修正協議の中で、これまで縦割り行政の中で、産業振興官庁にそれぞれ付随する形で存在した消費者行政組織が一元化されるということは、行政改革という意味からも、あるいは行政の意識改革という意味からも大変大きな意義があるというふうに思っています。また、今回の議論を通じて、中央の消費者行政組織ももちろんですが、地方の消費者行政組織、それぞれの最前線で頑張っている皆様方に対して大きな関心が注がれ、そして議論の俎上にのっけさせていただいた、こうしたことも大変大きな意義があるというふうに思っています。  そして、そうした意義に加えてもう一つ加えさせていただくならば、事業者と消費者というもの、この消費者行政を考える際に、長い歴史で見た場合、かつては対立する図式で見られていた、こういった時代がありました。しかし現代においては、これはこれだけ世の中が複雑化し、そして国際化されてくると、これは対立しているばかりでは共に利益を得られない、こんな時代が来ているのではないかなというふうに思っています。  消費者にとっても、例えば食の安心、安全を得るためには、やはり事業者に生産、流通、販売、あらゆる過程において協力を得なければいけませんし、また事業者も日本消費者の厳しい目に堪えるということは国際ブランドとしても大きな力になる。日本の高級果物が中国で大変もてはやされている等はいい例でありますが、このように今の時代にあっては事業者と消費者、共存共栄しなければいけない、こういった時代が来ているというふうに思っています。  そういった中にあって、健全な市場をつくるという意味から、産業振興官庁と消費者を主役とする官庁、これが日本の国に共存することになったということ、これは大変大きな意義があるというふうに思っています。こうした様々な意義のある議論を衆議院におきましては六会派すべて合意の下に可決することができたということ、今後の消費者行政に大きな意義ある議論になると期待をしております。
  108. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 ありがとうございました。  今回の消費者法案等の目的はやはり縦割りの打破というのが大きかったんじゃないかと思います。先ほど言いました、我が党の中でも最初の議論でも、各省庁が最初のころは嫌な顔をして座っておったわけでありますけれども、よくここまでまとまったと。かなりの業法が消費者庁の方に権限移譲ができたと思うんですが、それでもまだ少し残っているんじゃないかと思うんですが、これどういう部分が残っているのか、ちょっと内閣官房の方にお伺いしたいと思います。
  109. 松山健士

    政府参考人(松山健士君) お答え申し上げます。  ただいま委員御指摘のとおり、今回、消費者庁が所管することとなりました二十九本の法律でございますけれども、これは、消費者庁が消費者行政に関する政府全体の司令塔として機動的に対応する簡素で効率的な組織としつつも、所管することが不可欠な法律二十九本を所管するということでございます。この法律を所管することによりまして、表示、取引や安全の主要な部分をカバーすることができ、消費者からの苦情相談の大半に対応することができるというふうに考えてはおりますが、御指摘のとおり、この二十九本の外側に、消費者が関連する法律であって消費者庁の所管とならない法律があることは事実でございます。  例えば消費者利益の擁護及び増進を主たる規制の内容としていない業法、例えば保険業法でございますとか金融商品取引法でございますとかクリーニング業法、そういった外側に業法もございます。また、食品などの生産・流通段階における専門的な知見を必要とする規制を定めた法律、例えば牛のトレーサビリティー法、薬事法といった法律でございます。またあるいは、消費者が安全規制等によりまして間接的に保護をされている法律、例えばガス事業法でございますとか建築基準法、そういった法律がございます。  このように消費者庁が今回所管しないという法律が多岐にわたるわけでございますけれども、こういった分野につきましては、消費者庁といたしましては、必要に応じまして消費者安全法に基づく措置要求を行う、また、内閣府設置法に基づきまして消費者政策担当大臣が勧告を行うということによりまして必要な対応を図っていくことが可能であると、そのように考えております。
  110. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 聞いていないこともたくさんお答えいただきましたけれども。  こういう分野も今回きちっと調整はされたと思うんですけれども、今答弁があったような手法も使って総合的な調整をやはり司令塔である消費者庁ではやっていかなければならないと思いますが、具体的なことは今日は言いませんが、三年後の見直し規定も入りました。もう少しやはり消費者庁としての権限も広めなきゃならぬ分野が私もあるんではないかと思うんですが、それについて岸田提案者、どうお考えでしょうか。
  111. 岸田文雄

    衆議院議員(岸田文雄君) 今回の消費者庁の所管する法律につきましては、度々何で二十九本なのだという質問が出されておりました。  この法律の所管につきましても、例えばどの法律を所管するかということを考えた場合に、この業法も入れるべきではないか、この法律も入れるべきではないか、こうした具体的な提案もあったわけですが、しかし、法律はその看板に惑わされると中身が随分違うというケースがあります。例えば保険業法とか銀行業法もこれは入れるべきではないか、こんな議論もあったんですが、法律の中身を見てみますと、膨大な法律の中に消費者がかかわる部分というのはごく限られている、こういったケースもありました。また、業界によってその業界の状況というのは実に様々であります。こういったことですので、単に法律をたくさん所管すれば勝ちで、少ないと負けだというような単純な議論ではないというのがまず基本でありました。  更に言うと、法律は全部所管したらいいことで、共管というのは悪いことだと言わんばかりの議論もありました。しかし、この共管の中身も、例えば様々な法律のこの表示部分を全部まとめて一元化しようということから、食品衛生法ですとかJAS法ですとか健康増進法ですとか、こうした法律の表示部分をそれぞれ抜き出して消費者庁に移管する、将来この表示の一元化を図ろうという意図の下に一部分共管するというような積極的な意味の共管もあったわけでありますし、また消費者庁、大変厳しい財政あるいは行政改革の中で、強大な組織をつくることはなかなか難しい。そうしますと、従来ある地方支分部局、行政組織を活用する手だてを考えなければいけない。あえて共管することによってほかの省庁の地方支分部局を活用する、そういった意味の積極的な共管もあるわけです。等々、この法律の中身、あるいは業界の実態、あるいは行政のありよう、こういったものをしっかり一つ一つ整理した上で、整理が付いたものとして取りあえず二十九の法律でスタートするということになったわけです。  ですから、今後もこうした議論を積み重ねて、この消費者庁を中心に検討した上で法律を加えていくということは当然あるべきことだと思いますし、事実、この国会におきまして、既にもう四月、米のトレーサビリティー法は参議院におきましても可決しているかと思いますが、この法律は消費者庁と農水省共管の法律でありますので、既に一つ法律は増えるということになっております。  等々、今後もこうしたことで法律の所管も見直していかなければいけませんし、何よりも消費者担当大臣の勧告権あるいは総合調整権、こういったものを活用して、どこまでこの消費者庁がかかわっていくのか、実際を見ながらしっかりと検討し続けていかなければいけない大きな課題だというふうに思っています。
  112. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 もう一点、修正についてお伺いしたいんですが、附則に不当な収益の剥奪と被害者救済制度が設けられました。これ、非常に重要な規定だと思います。これも自民党の中でも議論をしたんですけれども、なかなか制度設計が難しいので党の中の議論では見送った経緯もあるわけでありますけれども、もちろん重要であります。なかなか難しいんですけれども、これについて見通しはいかがでしょうか。岸田さんにお伺いします。
  113. 岸田文雄

    衆議院議員(岸田文雄君) 御指摘のように、不当な利益の剥奪、あるいは被害者救済制度、これ大変重要なテーマだというふうに認識をしています。この消費者被害というもの、ややもしますと同時多発的に発生する、なおかつ少額のものが多い等々特徴がありますので、こうしたものに対してどう対応していくのか、ついつい泣き寝入りをしてしまうとか、あるいはやり得になってしまうとか、こういった実態に対してどう対応していくのか、大変重要な課題だというふうに思っています。  しかし、これについては、そもそもこの対応の仕方、消費者被害というものは実に様々な形態を取っています。そして、それに対して対応する仕方としても、適格消費者団体による損害賠償請求がいいのか、あるいは課徴金という形を取るのがいいのか、あるいは他の外国に例があるような父権訴訟という形を取るのがいいのか、いろんな形がありますし、そもそも被害の確定をどのようにするのか、どのように配分するのか、あるいは当事者をどうするのか、様々な大きな課題があります。こうした課題がありますので、これはなかなか簡単なことではないと思うんですが、幸いいろんな関係者がいろんな案を今現在も提案をされておられます。  ただ従来は、残念ながら、そうした様々な提案を具体的に責任を持って調整する、こうした努力が少し足りなかったんではないか、そういった存在がなかったんではないかなというふうに思いますので、こうした具体的な調整を経ることによって、法律の附則にありますように、こうした問題についても成果を上げるように努力をしていかなければいけない、そのように思っています。
  114. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 次に、消費者教育について幾つか政府にお聞きをいたしたいと思います。  最近、学校教育上の配慮を求める法律というのが幾つかできていまして、特定の政策について教育上必要な施策を講じなきゃならないというような規定を持った法律が増えてきております。  文部科学省の当局の方にお伺いいたしますけれども、これについてはどのような今現在法律があって、このような立法が行われたときには文部科学省としてどういうような具体的な努力をするのか、それをちょっと教えていただきたいと思います。
  115. 金森越哉

    政府参考人(金森越哉君) 特定の政策について学校教育上必要な施策を講じることを定めている法律といたしましては、例えば平成十七年に成立をいたしました文字・活字文化振興法第八条では、「国及び地方公共団体は、学校教育において言語力の涵養が十分に図られるよう、効果的な手法の普及その他の教育方法の改善のために必要な施策を講ずるとともに、教育職員の養成及び研修の内容の充実その他のその資質の向上のために必要な施策を講ずるものとする。」といった規定がなされております。  そのほかにも、同様の規定を有する法律といたしましては、例えば、科学技術基本法でございますとか、文化芸術振興基本法、環境の保全のための意欲の増進及び環境教育の推進に関する法律、青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律などがございます。  文部科学省といたしましては、特定の政策について、学校教育上必要な施策を講じなければならないという立法がなされた場合には、その立法趣旨を踏まえ、学校現場における取組が促進されますよう、例えば学習指導要領等への反映でございますとか、教師用指導資料の作成、児童生徒への指導力を向上させるための教職員等に対する研修、講習会の実施、指導を行うために必要な教材や設備、施設等の整備、また学校において効果的に取り扱うために必要な指導方法や教材の開発などを目的とする実践的な調査研究の実施など、具体的な各種施策を講じてきたところでございます。
  116. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 今言ったように、もうたくさん出てきておりまして、私も海岸景観保全法というのを今議員立法で用意していまして、これ今、野党とも協議を始めたところなんですけれども、これもそういう規定を入れさせていただくんですけれども。  これはいいことなんですけれども、こんなものがばんばんばんばん増えますと、学校教育だってこれは授業時間限られておるわけでありますので、非常に無理が出てくるんじゃないでしょうか。もう一回、当局、お願いします。
  117. 金森越哉

    政府参考人(金森越哉君) 小学校や中学校、高等学校の学習指導要領の改訂におきましては、それぞれの時代における子供の現状や将来子供に求められる能力、社会からの各種の要請、授業時数とのバランスなど、幅広い学識経験者で構成される審議会、現在は中央教育審議会が総合的に検討し、その結果を踏まえた改訂を行っているところでございます。  今後とも、学習指導要領の改訂に際しましては、法令に明記されたものも含め、社会からの各種要請等を適切に勘案し、必要な内容をしっかり盛り込みますとともに、学校教育において教える必要性が薄れてきたものにつきましてはこれを見直すなど、適切に対応してまいりたいと考えているところでございます。
  118. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 ありがとうございます。私は、まあいいんですけれども、やっぱりだんだん無理が来ると思いますね。  でも、今日は消費者教育の話でありますけれども、これは非常に重要でございまして、憲法改正を考えたときに、成人年齢を下げるという約束、私は個人的には余り十八歳にするのは反対なんでありますけれども、これは公党間で約束しておりますので努力しなきゃならぬと。そのためにはやっぱり消費者教育をしっかりとこれをやっていかなきゃならぬと私も思うんですけれども。  ただ、従来のように社会科や家庭科の単元の中に、一単元の中でつくるぐらいのことでは立派な消費者教育は私はできないんじゃないかと思うんですね。アメリカなんかの教科書を見ましたけれども、こんな一センチか二センチぐらいあるような、消費者教育だけで教科書があるんですね。だから、こうしたものは従来のようなやり方では間に合わないんじゃないかと思うんですが、萩生田大臣政務官にもおいでいただいております。いかがでしょうか。
  119. 萩生田光一

    大臣政務官萩生田光一君) 礒崎委員におかれましては、党内の消費者問題調査消費者教育のワーキングチームの事務局長として消費者教育の必要性を非常に熱心に取り組んでいただいておりますことをまず感謝申し上げたいと思います。  児童生徒が消費者として主体的に判断をして責任を持って行動をする消費者教育は極めて重要だというふうに我々も認識をしております。このため、学校教育におかれましては、社会科や技術・家庭科を始め各教科を通じて消費生活や消費者問題について指導をしており、新しい学習指導要領においても消費者教育に関する内容の充実を図っております。また、教科の枠を超えた横断的、総合的な学習を行うため総合的な学習の時間が設けられており、各学校の判断消費者教育を行うことも可能となっております。  文部科学省においては、引き続き新学習指導要領の周知徹底を行い、各学校において消費者教育をしっかりと実施されるようにまずは努力をしてまいりたいと思っております。
  120. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 先ほど言いましたように、非常に今の学校というのはやっぱりいわゆる勉強ということを教えておる。海外の学校を見ますと、結構やっぱり実学といいますか、本当に役に立つ、例えばこの消費者教育でいえばクレジットカードの使い方であるとか、まあお金の借り方まで教えているのかどうか、多分教えているんだと思うんですね。そういうことをきっちりと教えているのが海外の例でもあるんですね。  したがって、やはり今言ったように、本当に子供たちに教えなきゃならぬことが増えてきています。もちろん学力の向上も大事でありますけれども、こういう本当に社会に出て立派な社会人になるための教育というのが私は重要だと思うんです。そうすると、今言ったような、指導要領の中にちゃんと入れる、それももちろん大切なことでありますけれども、従来の教科の枠にとらわれたような施策を講ずるんではなくて、やはり現代的な課題をとらえた実践的な教育については、従来の教科、国語、算数、理科、社会という教科の枠とは別にやはり教育の時間を設けていくということが大事じゃないかと思うんですね。  もう一点大事なのは、これ、そういうのをつくっても、日本は本当に受験勉強にならぬことは教えないと。日本史でも一番大事な現代史を教えない、ここが非常に今問題になっているんですね。余り試験じゃ出ないから現代史をほとんど教えない。ここが一番大事なところを教えないんですよ。  そういうことじゃ困るわけでありまして、やっぱりそういうことも考えますと、従来の国語、算数、理科、社会の、家庭科もありますけれども、そういう枠にとらわれないような実践的教育ということを文部科学省としてもぼちぼちお考えになってよろしいんじゃないかと思うんですが、もう一度政務官、いかがでしょうか。
  121. 萩生田光一

    大臣政務官萩生田光一君) 将来の我が国を担う子供たちが社会生活を営む上で重要な課題、現代的な課題にしっかり対応できるように教育をしていかなくてはいけない、これはもう我々認識は同じだというふうに思っています。  私は、先生の問題意識、全くそのとおりだと思っていまして、先ほどの答弁では各教科で指導要領を充実させて取りあえず教えると、こう答えたんですが、率直に申し上げまして、指導要領の改訂をしたのが二十年でございまして、消費者庁がこれからできるという時代的な背景の違いもありましたので、将来的には例えば教科化というのも一つの考えだと思いますし、また、それまでの間、せっかく司令塔としての消費者庁ができるわけですから、消費者庁と文部科学省と連携を取りながら、何か発達段階に応じたきちんとした消費者教育ができる副読本の作成もできることだったら試みてみたいなというふうに考えております。  お話がありましたように、例えばクレジットカードの使い方とかクーリングオフの仕方を小学生が必要かどうかって、こういう議論はあるんですけれども、実際にネット社会ではもう子供たちが間違ってそういった被害者になるケースもあるわけですから、かなりきめ細かく実践的な教育ができるようにこれから設置をされる消費者庁と連携を取って、是非、総合的学習の時間でただやってくれと言っても、これなかなか実践に即した授業ができるというふうには期待できない部分もございますから、何かミニマムスタンダードとなるような教材を一緒に考えて充実した消費者教育ができるように努力をしたい、こう思っております。
  122. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 ありがとうございました。一層の御尽力を賜りたいと思います。  私は、そういう観点からも是非これは、今度の法律を通していただいたら、政府と与野党協力して消費者教育推進法というのを是非とも作っていきたいし、作らなければならないと思うんですが、野田大臣、いかがでしょうか。
  123. 野田聖子

    国務大臣(野田聖子君) 本当に消費者教育は大切だなと、衆議院の審議そして参議院の審議を通じてだれもがおっしゃっておられます。ただ、それとは裏腹に、実際この日本では消費者教育は充実していないという問題があり、結果として多くの消費者被害が生まれ、また、ここの場でもよく消費者の権利という話が出ますけれども、教育を受けていなければその権利が何かも分からず、やはり有用な人生を少し損をされていることが多いんじゃないか。  私は、先日、質問に対して普通の消費者と言ってちょっと怒られましたけれども、その意味というのは、私自身、今年四十九歳になりますけれども、一度も正式に学校現場でも消費者教育を受けたことがないんです。成人してからも、出前講座とかいろいろあるという話はありましたけれども、一度もそういう出前講座とも触れる機会がないある意味不幸な消費者でございまして、もう少しいろんな勉強ができればもっともっと消費活動が有意義で楽しかったのかもしれませんが、そういう私のような人がたくさんやっぱり今、聞くところによると、ぼちぼち学校でも消費者教育というのをやり始めたのが遅くて、今二十九歳以下の人はそこそこ学校現場でそういうのが始まったというけれども、それ以上、つまり私たちの世代は恐らくだれも学校では消費者教育なんということを受けていない国民であるわけですね。  そういうことを踏まえたときに、学校現場、文科省が担当している学校現場はもちろんのことですけれども、人生のステージステージにおいて、中高年また高齢者も消費者被害の被害者になっているわけでありますから、網羅的に、包括的に、そして総合的に、様々な国民がしっかりと消費者教育を受けられるようなやっぱり国づくりというのは必要だと思っています。  礒崎先生を中心に自民党の調査会で法案作りをしていただいており、今会長の岸田先生の下で預かりという形になっていることも十分承知の上で、是非ともこういうことは、今回の消費者庁設置の関連三法案のように全党で知恵を出していただきまして取り組んでいただければ、政府としても御一緒できるんじゃないかと思っております。
  124. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 ありがとうございました。  最後に、ちょっと時間的な関係で短い確認質問だけさせていただきたいと思うんですけれども、先ほど松井委員質問の中でありました、消費者安全法第二十条の修正で消費者委員会に勧告権が認められましたと。その中で、勧告の前提となる当然情報の収集が必要になるわけでありますが、これは事業者に対する調査権というのはどのようなものかと、もう一度大臣のところでちょっと答弁を確認したいと思うんですが、よろしく。大臣の方からちょっとお願いします。
  125. 野田聖子

    国務大臣(野田聖子君) これ自体は公党間の修正協議によって修正されたものでございますけれども、消費者安全法案を提出した立場からの理解を申し上げたいと思います。  消費者安全法案第二十条第一項は、消費者事故等に関する情報の入手元の例示として、消費者関係行政機関の長と並んで事業者を挙げております。これは、消費者事故等に関する情報を事業者から得る場合があることを前提にしているからでございます。  しかしながら、消費者安全法案第二十条第一項の修正趣旨というのは、勧告の必要性を判断する際には、消費者、事業者、関係行政機関の長その他の者から得た情報その他の消費者事故等に関する情報を踏まえて行うものであることを明らかにしたものでございまして、この規定によって事業者に対する消費者委員会の調査権限を認めようとするものではないと承知しています。  また、消費者安全法第二十条第一項におきましては、情報収集の手段等に関して何ら規定されていないとも承知しております。実際に消費者委員会がどのように事業者に関する情報を得るかについては、修正協議におきまして消費者庁設置法第八条に消費者委員会による関係行政機関の長に対する資料提出等の要求権限が盛り込まれた過程を踏まえれば、この消費者庁設置法第八条の権限の活用に努めるべきであると考えられます。  一般論として、双方合意の下で行われる場合についてまで否定されるものではないと考えておりますけれども、実際には、修正協議の経緯をかんがみれば、設置法第八条の権限の活用に努めるべきというふうに考えています。
  126. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 岸田提案者、今の大臣の答弁でよろしいでしょうか。
  127. 岸田文雄

    衆議院議員(岸田文雄君) 修正協議の中でも、この事業者に対する情報収集、資料等の提出というのは大変大きな議論になりました。設置法第八条をめぐりまして与野党で議論をしたわけですが、結果としまして、二重行政になるということで合意に至らなかったというのが結論でありました。  そして一方、今御指摘いただきました安全法の二十条につきましては、これは内閣総理大臣に対する勧告ができるということを内容とする条文でありまして、これ、情報収集について具体的な手段を示した条文ではないというふうに考えております。  この二つを併せて考えますときに、二十条の情報収集というのは、関係行政機関の長を通じて事業者の情報が入ってくる、これを踏まえて内閣総理大臣に勧告する、これがこの法文の読み方だと理解しております。
  128. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 じゃ、午前中は終わります。
  129. 草川昭三

    委員長草川昭三君) 午前の質疑はこの程度とし、休憩いたします。    午後零時三十分休憩      ─────・─────    午後二時四十一分開会
  130. 草川昭三

    委員長草川昭三君) ただいまから消費者問題に関する特別委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、藤原良信君が委員辞任され、その補欠として藤谷光信君が選任されました。     ─────────────
  131. 草川昭三

    委員長草川昭三君) 休憩前に引き続き、消費者庁設置法案消費者庁設置法施行に伴う関係法律整備に関する法律案消費者安全法案、以上三案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  132. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 それでは、午前中に引き続きまして質疑をやらせていただきます。  午後の最初は、ちょっと消費者庁の組織問題について私は議論をしたいと思っております。特に、今回、消費者政策委員会を消費者委員会にするという大きな改正をやったんですが、逆に今度は消費者庁の内部組織というのはどういうようになるんでしょうか。並木政務官にお願いいたします。
  133. 並木正芳

    大臣政務官(並木正芳君) 消費者庁の設置に当たりましては、御案内のことかと思いますけれども、新組織の創設が行政組織の肥大化を招かぬよう、法律、権限、事務等を移管する府省庁から機構、定員及び予算を振り替えると、こういうようなことになっておりまして、基本的には関係府省庁から振替ということで、新規の増員は六人というようなことになっています。具体的には、消費者長官、次長の下に二審議官、二参事官、そして八課を置く体制として、定員については二百二人ということになっております。
  134. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 ありがとうございました。  今の御答弁でございます。福田康夫前総理がこの消費者庁の生みの親であるわけでありますけど、福田前総理自身が小さく産んで大きく育てようと、そのような御指示もなさったということで今、具体的な方針の下に組織構成をするんだということは私も理解をいたしております。  ただ一方で、今回の消費者庁は他省庁に対して司令塔となる組織でありますから、私はそれなりの構成が要るんだと考えておるわけでありますが、資料で配られております組織図の案を見てみますと局も部もないんですね。長官からいきなり課になっている。そういう組織なんで、率直に申し上げて、失礼ではありますが、大変お粗末ではないかと私は思うんですが、並木政務官、いかがでしょうか。
  135. 並木正芳

    大臣政務官(並木正芳君) 先ほど申し上げたとおり、設置についての一つのそうした考え方、今まさに福田総理が小さく産んで大きく育てると、こういうようなことを基本方針にしているわけですけれども、当初は司令塔部門、執行部門というか、そういった中で部を置くという考えもあったんですけれども、当初、いろいろな変化というか、始めてみて、そういった要請というのがいろいろあろうかと思います。そういったところでは柔軟に機動的に対応できるようにということで、審議官体制という方がふさわしいんじゃないかと。  今後、もちろん地方の消費者センター等々、そういったものを強化していく中で全体の底上げというのができてくると思いますけれども、そうした状況に応じて、いろいろ議員さんからも附帯決議等々いただいておりますので、そういった点での充実は今後検討していきたいと、そのように思っております。
  136. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 御答弁の意味も分かるわけでありますけれども、ただ、長官からいきなり課ということなんですけどね。  総務省の当局にお伺いいたしますけれど、現在の行政組織の中で庁が幾つかあると思うんですが、庁の中で、部のない庁というのは幾つかありますか。
  137. 橋口典央

    政府参考人(橋口典央君) お答え申し上げます。  現行の国の行政機関におきましては、局が設置されております金融庁以外では部のない庁はないということでございます。
  138. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 長い間、消防庁というのが一番小さな庁だったんですね、私も在籍したことがありますけど。消防庁はずっと部がなかったんです。ところが、国民保護法ができまして、国民保護・防災部というのをつくった途端に部のない庁はなくなったんです。その後、観光庁が新たにできましたけれど、観光庁は部が最初から、一部でありますけどあるんですね。したがって、今度消費者庁ができればまた部のない庁ができるわけでありますけど、これだけの政策をやるわけですから、せめて部ぐらい設けたらよかったと思うんですが、総務省、いかがですか。
  139. 橋口典央

    政府参考人(橋口典央君) お答え申し上げます。  消費者庁の役割といたしましては、制度の企画立案や政策調整を行う司令塔機能、それから消費者庁が所管する法律の執行機能とがあるわけでございますけれども、これらの機能を担う責任者として二人の審議官を置くこととしております。これは、先ほど並木内閣府政務官からも御答弁があったとおり、設立当初は業務の流れ等が定着していない状況であること、発足後しばらくは当初予見できなかったような新たな業務が出てくる可能性があることにかんがみまして、所掌事務の範囲が固定される部よりも、臨機応変に分担を変更することが可能であり、重大事案に対してはこれに専念するなど機動的な対応が可能な審議官とすることが適当であるとの判断により、内閣官房から要求がなされ、当局としてこれを認めることとしたところでございます。
  140. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 いろいろな答弁の仕方はあるんでしょうけど、組織査定の方程式というのがあるんですよ。部長と審議官、少し給料違うんですけど、大体同格なんですね。同格なんだけれど、部長と審議官はそうだけれど、部をつくるためには、審議官一つつぶしてもつくってもらえないんです。部をつくるためには審議官一つと参事官一つ、審議官プラス参事官イコール部という、こういう方程式は、大体お役所がやっておるんですね。  それも分かるんですけど、ただ、私も長い間地方行政やっておりまして、地方じゃこんなばかなことは言いません。それは、市長がこれがやりたいという施策をやるのであれば、どこかつぶすことももちろんスクラップ・アンド・ビルドで考えますけど、やはり総理がやり、あるいは今回は全党が一致で賛成してくれているわけですから、そうしたときにはそれなりの組織構成を持たないと、司令塔になるわけです。よその省は局長がおって部長がおるわけです。ここは局長も部長もなくて、審議官しかない。私はやはりちょっとお粗末じゃないかと思うわけであります。  そこで、坂本総務省政務官にお伺いいたしますけれど、やはり今回は、この消費者庁の設置というのは、行政府であります内閣の最高の政策であったわけであります。そしてまた、今回国会に出したところ、立法府も全会一致でこれを後押ししていただけると、そういう体制が今でき上がった。国家のもう一大プロジェクトなわけでありますから、こういう政策については、総務省もさっきのような方程式のようなことを言わないで、行政組織の面、付け加えれば職員定数の面でも、総務省として最大限の御配慮をしていただくと大変有り難いと思うんですが、いかがでしょうか。
  141. 坂本哲志

    大臣政務官(坂本哲志君) 委員おっしゃるとおり、まさに国家の政策であります。福田前総理も各省縦割りになっている行政その他を一元的にするんだと、そして力強い消費者行政をやるんだということを言っておられますし、麻生総理消費者の立場に立ってその利益を守ると強くおっしゃっていらっしゃいます。それだけ政府重要課題であるということは十分に認識しているところでありますので、委員等の御意見を十分勘案しながら、今後、消費者庁発足後における様々な業務の遂行状況、あるいはまた、新たにいろいろな行政課題も出てくると思いますので、その時々に必要な体制整備、適宜適切にやってまいりたいと思っております。
  142. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 今、坂本政務官から大変いい答弁をいただきましたので、ちゃんとこれは議事録をどこかに飾って残しておかなければならないのではないかと思うんですね。  ただ、この話は本当に重要なんです。今回の修正協議でも与野党一生懸命頑張っていただいて消費者委員会というのを格上げしてつくっていただく。そういう大きな議論は国会でできるんですが、ただ、実際の事務をやるときはやっぱり行政機構も大事なんですね。決して役人がどうこう言うんじゃなくて、役人がやっぱり頑張らないとこれはいい行政できないんです。ところが、そこは行政機関というか役人に握られておる。大きな議論だけ国会議員にさせておいて、細かいところは役所がそういうさっきのような方程式で決めてしまう。こういうところがやはり官僚主導だといって野党の先生方からおしかりを受けている一面ではないかと私は思います。  ただ、今もう政務官からいい御答弁をいただいたものですから、まあ今回はしようがないけれども、来年以降の組織要求は私はしっかりとやって、消費者庁としても頑張っていく必要があると思うんですが、増原副大臣、いかがでしょうか。よろしくお願いします。
  143. 増原義剛

    ○副大臣(増原義剛君) ただいまの御質問でございますが、私も党の方の行政改革推進本部で役員やっておりましたし、機構、定員等、同じように、今座っておられますけれども、私も総務省で機構、定員を担当する政務官もやっておりました。  庁といってもそれぞれ置かれた局面が違うんだろうと思うんですね。消費者庁、私は極めて重要だと思っております。かつての環境庁、それに匹敵するほどのものがあると思います。ただ、状況が違うこともあり得るわけであります。二百名余りで十分かといったら、今の時点では十分ではないんじゃないかという意見が多いかもしれませんが、例えば、水際で要するに検査体制がきっちりしてくると、すると事故米などのような事故がぐっと減るとか、あるいは事業者の方々消費者庁や各省庁が出すいろんな基準について、コンプライアンスにしろ品質管理にしろきちっとやり始めて、湯沸器におけるような事故がぐっと減ってくるとか、あるいは地方自治体も消費生活センターを充実されて、そこでかなりのものを消化されるようになるといった状況になってくると、今の状況とまた変わってくる状況もあるわけでございます。  まだまだこれからも更に増え続けるよということであれば、やはり今の想定しておる体制ではやや不十分かなと思いますが、いずれにしましても、具体的な課題などについては、タスクフォースをつくるとか、あるいは六十名予定しております非常勤の専門委員方々、こういった方々も十分に活用しながら頑張ってみて、必要がありますれば、また皆さん方の力強い御支援を賜って将来へ向けて頑張っていきたいと、そのように思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
  144. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 ありがとうございました。  いろいろな考え方あると思いますけれども、やはり司令塔というのは、ほかの省と交渉してやっぱりまとめていく力がないといかぬので、やはり組織の枠組みというのも非常に私は重要だと思います。先ほども総務省からもいい御答弁いただきましたし、今も副大臣から立派な御答弁いただいたので、どうか前向きに政府部内での検討を来年度に向けてやっていただきたいと思っております。  じゃ、次の観点に移っていきますが、午前中の審議の中でもやっぱり地方の予算が足らないので何とかしろという御質疑ありました。これももちろん、私も、本当に今地方が冷えていますんで、何とか地方の支援をしっかりとやっていかなきゃならぬと思うんですが、やはり国そのものがもっともっと頑張っていいのではないかと思うわけであります。  例えば、いろいろ議論されておりますけれども、もっと国民生活センターを活用して、地方の人件費を付けるのも大事でありますけれども、国民生活センターの相談員をもっと地方に派遣してはどうかと思うんですね。地方に頼る部分があってもいいけれども、やはり国が、もう東京だけにどんと座っておって後は地方でやれというんじゃなくて、国そのものが、国の関係の機関が地方に出ていって消費者相談を行うとか、そうすると経験豊富な人が行けるわけです。非常に地方は助かると思うんですね。  そしてまた、相談員の養成も、全部東京に集まれと言うからなかなか、金がないから、出張旅費がないから集まれないと言うわけです。国が出前をして各都道府県で相談員の養成を行う、そういうことも考えていいと思うんですね。  それをやらないと、地方に金を渡すのも大事でありますけれども、国がもっと地方に出ていって、この消費者問題については国がしっかり地方の面倒を見る、そういうことも非常に大事だと思うんですが、政務官、いかがでしょうか。
  145. 並木正芳

    大臣政務官(並木正芳君) 国民生活センターについては、これまでも消費者行政における国の中核的機関として消費者相談とか相談員等の研修等を行ってきたところですけれども、今後、御指摘のとおり、地方消費者行政の支援を一層強化していきたいというふうに考えております。  具体的には、今御指摘あったところでもありますけれども、消費者センターが小規模なところとか、あるいはないところもあるわけですけれども、そういったところに委嘱させていただいた経験豊富な相談員をいわゆる巡回訪問させる、こういうようなことで助言、指導を行っていく。あるいは、今東京でということでしたけれども、今後は日本全国の主要都市で養成講座、いわゆる消費生活相談員養成講座、こういうものを行っていくというような方針でおります。  これらによって地方の相談員の方々のレベルアップを図るとともに、さらに相談員のすそ野を広げてそして全国的な消費者行政の底上げを図っていきたいと、このように考えております。
  146. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 今までの消費者行政のときのツールとしてPIO—NETというのがあるんですね。それで、これは非常に過去の事例とかも載っていて非常に役に立つものだと私も伺っておりますけれども。  ちょっとその整備率を聞いて私びっくりしたんですけれども、都道府県と政令市には全部配置されております。ところが、一般の市区、区というのは二十三区のことですね、市区は七百八十九あって三百十しかたしかいっていない。町村に至っては、このときは千五町村があるんですが、千五町村があってわずか七しか設置されていないんですね。このときが二十年の四月一日でありますけれども、計算しますと一八・四%で二割に満たないわけであります。  今、二十三区合わせるとちょうど千八百だと思うんです、この四月からですね。だから、もう少しその合併によって整備率は自然に上がった部分はあるのかもしれませんが、まあこれは二〇%じゃ大分これもお粗末じゃないかと思いますし、こういうまた町村みたいなところこそ情報がないわけだから、むしろこういう電子情報があれば本当に助かると思うんですね。  この前、北朝鮮のミサイル問題があったときにJアラートを全部整備したらどうだと私が決算委員会で質問したら、今度の補正予算では百十億付けていただいて、これはJアラートはもう一気に付きます。PIO—NETも決算委員会で言わなかったのが今残念だと思っておるんですけれども、これもこの機にPIO—NETも、これは国のお金で整備しているらしいですから、この機にもう全団体に一気に整備する、そのくらいのことやっていいと思うんですが、政務官、いかがでしょうか。
  147. 並木正芳

    大臣政務官(並木正芳君) 全国の自治体については千八百五十八ですか、先生の御指摘のとおりなんですけれども、今消費者センターにおいてもまだ五百八十六か所あるうち四百六十四か所ということで、百二十二か所は未設置ということでございます。先ほどお答えしたところですけど、巡回訪問等行っていって知見をいろいろ提供していくと。そういう中でも、PIO—NETの使い方とか、こういうものも御指導させていただくと、そういうようなレベルのところもあるわけです。  ですから、まずはその消費者センターの方に二十年度の補正によりまして追加配備を行うような運びになっております。約二百八十か所というところに追加配備を行うということを決定させていただいています。今後、消費者行政活性化基金、これを活用しまして、消費生活センターあるいは相談窓口等をこれから新設する場合に対応するため、また再度御要望等々調査いたしまして追加配備を行っていきたいというふうに考えております。  限られた予算でもありますので、先ほど先生、もっと発言すれば付いたんじゃないかというようなお話もありましたけれども、まずこうした限られた予算の中で消費者センターのPIO—NET端末をしっかりと配備して、地方における消費者の相談体制の充実というのをまずは進めさせていただきたい、そのように思っています。
  148. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 今から消費者庁つくるわけで、最初から全部とはいかぬでしょうけど、やっぱり国民が期待していますので、大臣、副大臣、政務官、どうぞ御尽力賜りたいと思います。  一つ技術的な質問をいたしますが、消費者安全法十七条ですき間事案に対する内閣総理大臣の勧告権が決められておるんですが、やっぱり心配するのは、こういう規定を作っても、各省が一応業法は持っているけれども個別の商品に対する権限を持っていないとか、あるいは事故の原因がこの法律で規定している消費安全性を欠くに至ったとはよく分からない場合もあるんじゃないかと。そのときに、消費者庁の長としての、消費者庁を管理する内閣総理大臣としてのこの勧告権が本当にうまく行使できるかどうか、やや心配なところがあるんですが、もう一回、政務官、済みませんが、いかがでしょうか。
  149. 並木正芳

    大臣政務官(並木正芳君) まさにこの消費者庁設置あるいは消費者安全法、これの目的というのが、消費者事故等の防止のために必要な措置がすき間に落ちてしまう、所管のいろいろそういう中で的確に講じられない、それをまさに実効的にきちっと講じられるように確保していくと、こういうところが目的でありますので、もちろんまずはほかの法律によって措置ができる場合には分担管理原則と、こういうことで各省庁の大臣対応していただくわけですけれども、その法律等がないと、あるいは時間的なすき間というのもあるかと思います、はっきりと分からないと、こういうときにはまさに消費者庁が自ら必要な措置をとると。これを内閣総理大臣による勧告と、十七条にそういう規定があるわけですけれども、さらに措置命令、そして十八条に譲渡等の禁止・制限措置、十九条において違反した場合の回収等の命令と、こういう規定を設けておりますので、機動的に発揮されるようにしていきたいというふうに思っています。
  150. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 そういうお答えがございました。まさにそういうお答えだと思うんですが、恐らく非常にすき間事案というのは、本当に権限を行使していいかどうか分からないような事案がまさにすき間事案になると思うんですね。どうか果敢に、消費者庁というのは消費者を守るためにつくるわけですから、どうぞ御尽力を賜りたいと思います。  最後に、野田大臣にお伺いしたいと思いますが、新しい役所をつくるわけですから、その草創のときの大臣政治家の役割というのは非常にこれは大きいんだと思うんですね。これまでも大変御尽力いただきましたけれども、やはり消費者行政の一層の進展ということに国民は大きな期待をしていると私も考えるところであります。  そこで、もちろん全力を挙げていただいておると思いますが、特にやはり野田大臣のリーダーシップというのが大事だと思いますので、その辺の御決意をお伺いいたしまして、また私の最後の質問にいたしたいと思います。
  151. 野田聖子

    国務大臣(野田聖子君) 消費者庁というアイデアというのは、消費者団体また日弁連、さらには野党の皆さんの御発言を聞いていますと、もう数十年来の悲願であったと聞いております。ただ、残念ながら、私は自民党の国会議員をやって十七年目になるんですけれども、その消費者庁という言葉を実際に皆さんが口に出して議論するようになったのはわずか二年、福田総理が誕生し、そして福田総理の所信の中で初めて消費者庁をつくるというお言葉を聞いてからにわかに自民党の方では動きが活性化してきたと思います。  調査会ができて、当時、岸田大臣の党のカウンターパートということで調査会ができまして、その折には礒崎先生には本当に専門家ということで非常に前向きな、私、会長をやっていたんですけれども、本当にそんなにどんどんできるのだろうかと思うぐらい前向きな御意見をいただきましたが、その後法案ができ、そして衆議院で審議、そして修正協議があり、今参議院の中で審議いただく中で、全党一致の中で新しい国づくりの第一歩として、またシンボルとして消費者庁が誕生に向けて皆さんのお力をいただいているということを日々感動の思いとともに受け止めているところであります。  私のリーダーシップというよりも、やはりこの国をどうにかしなくちゃならないという、もう与野党を超えたその熱い思いと新しい考え方が消費者庁という形に結び付いてきているものだと思い、そういう皆さん一人一人をしっかり尊重しながら、とりわけさっき礒崎先生が御指摘あった組織の問題は、余りこの国会の場では議論されなかったけれども、大臣としては大変苦労をいたしました。今日は松山室長がいるんですけれども、毎回毎回いろいろあったらしく、その都度組織図が変わることを一喜一憂してきたこと、今切なく思い出しているところです。  まだまだやっぱりこれから進化させていかなきゃならない国民のための消費者庁にあって、今後とも引き続き与野党の皆さん、そして国民消費者団体、すべての皆さんの英知が結集できるようなそういう土俵づくりにいそしんでまいりたいと、このような決意で取り組んでいきたいと思っています。よろしくお願いします。
  152. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 どうもありがとうございました。  終わります。
  153. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 自由民主党の塚田一郎でございます。よろしくお願い申し上げます。  若干、いろんな論点も出ておりますので少し重複して質問をするような箇所があるかもしれませんが、御容赦をいただきたいと思います。  野田大臣は今お話がありましたとおり自由民主党の消費者問題調査会の初代会長でいらっしゃいまして、岸田議員は現会長ということになるかと思います。まさに今日まで、ここまで来る道のりで、今大臣からも苦労をしたというような御発言がありましたけれども、様々な紆余曲折があったんだと思うんですね。  たしか十九年の参議院選挙の後に調査会が立ち上がったという記憶、秋ぐらいだったでしょうか、しております。私も参加をさせていただいて、何度か調査会の方にお邪魔したりしてお話をさせていただいたんですが、なかなか最初は参加者もそんなに多くなかったような記憶があるんですね。そういう中で、まさに野田初代会長のリーダーシップでここまでやっとこぎ着けたというか、いよいよこれからということなんだと思うんですが、その辺のところを私としても本当に感慨深いなと思いますし、まずは大臣、そしてまた岸田議員始め多くのこの問題にかかわってこられた与野党の議員の先生方、関係省庁の皆様に衷心より敬意と謝意をまず表させていただきたいと思います。  その上で、調査会のときから一度野田大臣にお伺いしたかったことがあるんですが、なぜこの消費者問題に政治家として熱意を持って、まさに自民党としては少し今までこぼれてきた部分だと思うんですが、取り組まれてここまで大臣としてリーダーシップを発揮されてこられたのか、そうした思いと、今の礒崎先生のお話にちょっと重複しますが、いよいよ設置というところが見えてきたところで、決意を改めてお聞かせいただければと思います。
  154. 野田聖子

    国務大臣(野田聖子君) 私自身、そんな大層な人間じゃありません。消費者行政に携わることができるきっかけをつくってくれたのは、今日も委員会に来ている森まさこ議員、そして後藤田正純議員がやはり国民のための政治をしたいと。そして、これまでの霞が関の省庁というのは、それなりに役割があるけれども、やはり複雑化、多様化した国民生活にはそぐわなくなっていると。そういうところで、やはり消費者国民が主役、国民目線のやはり新しい政策立案の下で魅力ある日本をつくっていきたいという、そういう若い人たちのお声をいただきまして、正直、郵政族で鳴らしていた私ですから消費者行政疎いところもありましたけれども、そういう若い人たちに背中を押され、そして、私自身国会議員として十数年やっておりますけれども、調査会の会長になったおかげで、これまで出会ったことがなかった消費者団体の皆さん、また日弁連の皆さんの今まで自民党になかった新しい考え方というか、そういうことも吸収させていただき、大変感動をいたしました。  法律案を作るに当たっては、その当時は岸田大臣でありまして、この委員会でも二十九本の法律が多いか少ないかという議論があるんですけれども、元々はそんな各省自分の大切な法律を手放すわけがないと、絶対無理だという中にあって、岸田大臣の剛腕で、消費者にとってとても必要なものだけはしっかり消費者庁がホールドしていくんだということで大きな第一歩が始まったと思います。  そして、与野党の合意の下で、時間は掛かりました、残念ながら福田総理のときには審議を始めることはできなかったですけれども、麻生総理になってから国会提出させていただいて、今年ようやく特別委員会をつくっていただいて、衆議院で六十時間ほど審議時間をいただき、その中で全党で修正協議をしていただく中で、これは今、ねじれ国会だ、いろいろ政局言われる中だけれども、すべての国会議員がやはり消費者行政を最優先に念頭に置いていただいたおかげで大変深掘りしていただき、私はどちらかというと遠慮がちに三法案を出したところ、やはりもっとこれはしっかりやるべきだということで、例えば消費者委員会の権限を、独立性を高め権限を強化していただいたのも修正協議でありましたし、また私自身の、先ほども松井理事からお話がありましたけれども、大臣としての明確な権限というのもしっかり修正協議の中でお定めいただきました。  まだまだ実は、小さく産んでというのは、できればがっちり産みたかったけれども、やっぱり諸般の事情というのがある中で、とにかく一日でも早く国民消費者庁の接点をつくりたいということである程度我慢したところもあります。我慢したところは、衆議院の附帯決議なり、またここの参議院の中でいろいろと浮かび上がってきているものがあるので、これをやはりしっかりと受け止めて、どんどんどんどんやっぱり国民にとって使い勝手のいい、フレンドリーな、そしてこの国自身の閉塞感を大きく転換できるような霞が関のスター官庁になれるようにこれからも切磋琢磨して頑張っていきたいと思いますので、今後とも議員もよろしく御指導お願い申し上げます。
  155. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 ありがとうございます。力強いお言葉をいただきました。岸田大臣、野田大臣共に消費者問題のパイオニアということでありますので、これから本当に国民本位の行政に大きく転換していく大きなきっかけになる消費者庁設置でありますので、引き続き大きなお力を発揮していただきたいというふうに思います。  午前中の質疑でも、消費者教育について礒崎議員からもお話がありましたけれども、私はやっぱり消費者教育というのは非常に重要だと思っています。これは言うまでもないことですが、消費者が自立した行動で主体的な役割を果たしてそれを必要な資質として備えていくことが、やはり国及び地方公共団体に課せられたもう一つの大きな仕事だと思うんですね。医療でいうところの予防医療みたいなものですね。  ですから、本来、病気になったときにこれは治さなきゃいけないわけですが、できるだけ体質改善を行って予防医療で行うことでそうした病気にかからないで済む、結果として医療費がかさまずに済むということと同じことでありまして、消費者教育を行うということは、結果として、消費者の皆さんに啓蒙された結果、いろんなきちっとした見極めができるようになれば消費者行政そのもののコストも恐らく効率的に削減されていく可能性があるんだろうと私は思っているんですね。  今、リアクティブからプロアクティブに政治はだんだん流れが変わってきていると思います。いわゆる起きた対症療法から、いかに事前に対応をしてそういうことを起きないようにするかという方向に政治がどんどん向いていかなければいけないという中で、まさにこの消費者教育ということは非常に重要な課題だと思います。自由民主党でも、消費者問題調査会で消費者教育に関するワーキングチーム、こちらで岸田会長を筆頭に消費者教育推進の基本的な考え方の取りまとめをされているというふうに伺っております。  そうしたことも踏まえて、今回、消費者安全法案に対する修正案第四条六項、「消費生活に関する教育活動」ということがうたわれているわけですが、具体的にどうしたことを念頭に目指していらっしゃるのか、その点について提案者の方から御説明をいただければと思います。
  156. 岸田文雄

    衆議院議員(岸田文雄君) 御指摘の消費者安全法案修正案の第四条六項ですが、「消費生活に関する教育活動」というこの部分を修正協議の中で追加させていただきました。この中身ですが、要は、消費生活において自ら進んで必要な知識や情報を習得する、さらには合理的かつ自主的に行動する消費者を育成していく、こういったことを内容としております。  食の安全ですとか、あるいは取引の安全、あるいは製品、設備の安全等、こうした分野ごとに、さらには国民においても年齢ごとに必要な情報あるいは知識、この消費者分野においても様々なものがあります。こういったものをしっかりと習得することによって、今、塚田委員おっしゃったように、典型的な消費者被害を未然に防止する、これが大変重要な点だというふうに思っていますし、自主的かつ合理的に行動するために必要な情報や知識を習得する方法を取得するというようなこと、さらには判断能力を向上させる、こういった点を想定しているというのがこの部分であります。  ただ、こうした消費者教育というものは、学校教育のみならず、家庭ですとか、あるいは地域ですとか、あるいは職域ですとか、いろいろな場で様々な努力が積み重ねられなければならないというふうに考えています。ですから、そういった消費者教育に対して、基盤の整備あるいは体系的に物を考える、こういったことが必要だということで、御指摘のように自民党の中においても消費者教育に関してワーキングチームをつくって、体系的に全体を見通した体制を考えていかなければいけない、こういったことにつながっているというふうに思っています。  こうした大切な消費者教育という部分を今回修正協議の中でこの安全法第四条六項の中に追加をさせていただいた、これが趣旨でございます。
  157. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 ありがとうございます。  まさに体系的に実施されることが重要だということと、あといろんな分野にわたっていると、学校であったり家庭であったり地域であったりということなんですね。そうすると、文部科学省もそうですし、いろんな関連省庁のまたがってくる要素がいっぱい出てくる。多分、その司令塔を消費者庁がこれから担っていくんだということの位置付けだと思うんですね。そうすると、消費者庁、それをどうやってきちっと履行していくかというか、実施をしていくかという点が重要になってくると思うんですね。  手元に、先ほど礒崎議員の質問にもありました消費者庁の組織図の案というのを今見せていただいています。部がないというようなお話もありましたけど、幾つかの課が構成をされているんですが、これぱっと見たところ、消費者教育をどこが担当するのかなということがちょっと分からないですね。企画とか消費者情報課とか安全課とかいろんなところに要素がまたがってくるんでしょうが、消費者教育がこれだけ重要だということで修正案にもうたわれている中で、やはり今度できる消費者庁の中にここが消費者の教育をやるんだよということがきちっと表現されている組織がないというのはちょっと寂しいなという気が私はするんですね。消費者庁の組織内にこうした教育政策担当の部署を私は設置をするべきだと思いますし、まさにそこが、文科省や関係の機関と連携をして進めていく消費者教育というのが求められていると思うんですが、大臣、いかがですか、ちょっと前向きな御答弁をいただければと思うんですが。よろしくお願いします。
  158. 野田聖子

    国務大臣(野田聖子君) 岸田議員からもお話ありましたとおり、消費者教育というのは極めて重要で、本当に被害の未然防止にとても大切なツールとなるわけでありまして、これまでも政府の方では消費者基本計画、これに基づいて内閣府と文部科学省が連携して消費者教育に取り組んでいるところなんです。  この法律、消費者庁の設置三法案、この審議の中の修正協議がございまして、そこで更に与野党が消費者安全法において国民の理解を深めるための国及び地方公共団体による消費生活に関する教育活動というのを位置付けたということで、こういう状況を踏まえつつ消費者行政の司令塔として消費者教育を担当する、これ今企画課でやります、もうちょっと親切に、一応企画課が予定しているところなんですけれども、もう少し丁寧に今後は書かなきゃいけないなと思っていますが。  ただ、申し上げたいことは、これまでは消費者教育というと割と散発的に、例えば何か事故が起きたり被害があったときに消費者教育必要だという話がにわかに出て、それで余り長続きしないという繰り返しだったと思います。消費者庁を皆さんがつくってくださることで、もう三百六十五日、二十四時間、消費者庁というところが消費者行政、消費者教育を発信していくことになりますので、今まで以上に、文部科学省のみならず他の役所にもそういう影響を与えることになると思う、実態的にやっぱりその影響を及ぼしてくることを期待していると同時に、さっきの礒崎委員からも部がないと。部がなければ課もないという感じになっているんですが、こうやって法律が成立して、そして創設され、運用される中で、やっぱりこれ要るよねということは必ず出てまいると、それだけやはり消費者庁というのは極めてこれからの国民生活にとって重要なパートナーでありますから、そういうところをやっぱりしっかりと検討して、迅速に対応していくべきだと私は思っております。
  159. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 是非これからそういう企画課をいずれ消費者教育課ができるように大臣からリーダーシップを取ってまたやっていっていただきたい、それぐらいの私は重要なことだと消費者教育というのは思っているので、あえて一つの独立した課を是非設けていただきたいと言っていることで、スタート時点ですぐにならないにしても、近い将来そういう形になるように是非、野田大臣からもイニシアチブを取っていただきたいということを要望させていただきます。  少し年齢的に消費者問題にどういった方が今被害に遭われているか等、実態をお話を聞きたいということでありますので、振り込め詐欺等の詐欺事案の実態について警察庁からちょっと調査の結果を教えていただきたいんですが、特に年齢別の被害状況を中心に御説明いただけますでしょうか。
  160. 西村泰彦

    政府参考人(西村泰彦君) 振り込め詐欺の被害状況につきましては、昨年上半期に過去最悪のペースで発生したために警察の組織を挙げた取締り活動及び官民一体となった予防活動を推進した結果、下半期には減少傾向に転じました。それでも認知件数が二万四百八十一件、被害総額が約二百七十六億円に達するなど、最悪だった平成十六年の被害総額にほぼ匹敵する状況となりました。  本年の被害につきましては、三月末までで認知件数二千三百十件、被害総額約二十七億円となっておりまして、昨年のピーク時の三分の一以下に減少しております。しかしながら、これを年換算すれば被害総額は百億円を超えるペースであることから、引き続き各種対策強化していかなければならないと考えております。  次に、年齢別の被害状況を見ますと、昨年では振り込め詐欺被害者の五四%を六十歳以上の方が占めております。これを類型別に見ますと、おれおれ詐欺では六十歳以上の方が八五%、還付金等詐欺では六十歳以上の方が七四%、架空請求詐欺では四十歳未満の方が六一%、融資保証金詐欺では三十歳代から五十歳代の方が七〇%といった状況であります。  以上申し上げましたように、特におれおれ詐欺と還付金詐欺では六十歳以上の方の被害が非常に多くなっている状況でございます。
  161. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 今御報告をいただいて、被害もその詐欺の類型によって若干異なるようですが、おれおれ詐欺、還付金等の詐欺に関しては、おれおれ詐欺が八五%、還付金等の詐欺が七四%。いずれも高齢者の方が大変多く被害に遭われているわけであります。その他の架空請求、融資保証等についても、比較的学校を卒業した年代の方というか社会人の方が多く被害に遭われているわけであります。  そうすると、消費者教育を考えたときに、学校教育はもちろん重要です。しかし、それだけではやっぱり十分じゃない。特に社会人、特にまた今のおれおれ詐欺等については高齢者、どうもこれ女性が特にその中でも多いと国民生活白書にも書いてあるんですが、こうした方が多く被害に遭われているという統計上の数字があるわけですね。そうすると、こういう学校に今行かれるような機会のない方々に対して消費者教育をどのように行っていくかというのが大変重要な消費者教育の課題のもう一つの点だと思うんですが、地域全般で多分消費者教育を役割分担していくということになると思うんですが、この点についてどのようにお考えか、これは副大臣でよろしいでしょうか、お願いします。
  162. 増原義剛

    ○副大臣(増原義剛君) 委員御指摘の消費者教育でありますが、極めて多義的な概念だろうと思うんですね、これは。教育というと、どちらかというと上から下なんですね。だから、学校教育なんかでは非常に分かりやすい。私も環境教育の議論をやっていましたときに、教育という議論はちょっと狭いんじゃないかと。環境学習、教育学習ですけど、同じ横並びの人が知恵を出し合うという、それできずなを深めていって、そういうことに遭わないようにするとか同じような行動を取るようにしようとか、学習と言った方がいいんではないかなという面も多々あると私は思います。  いずれにしましても、いわゆる広義の消費者教育というのは極めて大事でありますので、先ほど大臣も申し上げましたように、消費者基本計画、これによりまして、いわゆる、ここに学習機会の充実と言っておりますので、まさに学習だと思うんですが、幼児期から高齢者までのライフステージ別でやるのと、それから、いろいろ多義にわたると申しますのは、まさにいわゆるいろいろな、振り込め詐欺もあれば特定商取引もあれば、あるいは二十五年使っている扇風機から火が出て火事になったとか、いろいろあるわけですよ、電化製品から。そういうものをいろいろ分けてやらなくてはいけないということがあると思います。安全、あるいは契約取引、あるいは情報、環境、いろんなジャンルごとにやらなくてはいかぬのだろうということで、今計画でやっております。  当面、今やっておりますことは、国民生活センター、これが実施しております見守りネットワーク、委員既に御承知だと思うんでございますが、要は、高齢者や障害者の周りの方々、家族の方々だけではなくて、民生委員や訪問介護事業者の方とかあるいは社協とか、いろんな方々のところにできるだけ新しい新鮮な情報をお届けして、そういう方々が中心となってお年寄りをカバーしていくというふうなものがあります。これを更に充実していく必要があろうかと思っております。  いずれにしましても、消費者庁としましては、各省庁からの情報を適切に把握しまして、それをきちっと、地域のできれば協議体のようなものができれば一番いいと思いますが、そういうところにしっかり下ろしていって、それぞれの役割分担でもってやっていただくこと、これをしっかりこれから構築してまいりたいなと思っております。
  163. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 増原副大臣、ありがとうございます。  まさに今おっしゃっていただいたようなことだと思うんですけれども、やっぱり消費者庁で体系的に、各自治体とかに任せないでそういう形を示していただくということが大事なんじゃないかと思うんですね。それに対して、時に予算も必要になってくるでしょうし。  私は、やっぱり消費生活相談員の活用ということを是非考えていただきたいなと思うんですね。やっぱりいろんな今多岐にわたる、副大臣から御説明があったとおり、事案があります。いわゆる詐欺みたいなことに限らず、扇風機が火を出したとか、経年劣化の問題でどういうことが起きるとか、こうしたことの類型もありますし、それらを多分一番、現場としていろんな相談に乗っていらっしゃる相談員の方というのが一番教育の場所でも頼りになるのかなという気がするんで、今ほど民生委員の方とか介護に関係されている方が身近なところで高齢者の方というお話がありました。でも、そういう人たちは消費者教育の知識がないわけですから、そうした方に例えば教育をして、それからまたそうした消費者に向けた啓蒙活動をしていただくという意味でも是非相談員の皆さんを活用していただくことがいいんじゃないかと一つ思うんですが、審議の中で従来から相談員の増員や待遇改善の問題も提起されていますけれども、こうした相談員の方を養成というか研修教育をして、ふだんの相談にも対応できるし、あるいはこうした消費者教育の、社会のコミュニティーの中でいろんな立場で指導をしていただいたり、実際に御自身がそういったところで教えていただいたりという形の研修などを充実させることは重要じゃないかと思うんですが、この点についていかがでしょうか。
  164. 田中孝文

    政府参考人(田中孝文君) 御指摘のとおりでございまして、相談員は法令等についての専門知識を得ているだけではなく、日々の相談の中で事例としてどういうことが起こっているかということについて詳細な知識を持ってございます。こうしたものを消費者方々にお伝えする能力を付けていただくということが研修の上で重要かと思います。  ただいま地方自治体が基金を通じて行っていただく事業の中に新たに消費生活相談員を養成する事業というのがございますが、ここでも単に座学として法令等の知識を得るだけではなく、現場で実務相談に代わるような実地研修としてその知識を得ていただく。あるいは、既に相談員であられる方がスキルアップをするための研修というスキームも基金でできるように用意してございますが、こうした中でも、もちろんだんだん問題が複雑になっておりますので、高度な法律専門知識の習得も重要でございますが、是非お願いしたいと考えておりますのは、事例検討でありますとか模擬相談といったようなことを通じて、現場で実際に起こっていることをお伝えしていく能力というものを付けていただきたいと考えてございます。  それから、相談員の方々が他の例えばその地域の方々連携して何かをするという地域での連携のつくりということに関しましては、私どもこの基金の中で消費者行政活性化のオリジナル事業ということで、地域のそうしたニーズがあれば是非そういうことを企画していただきたいと考えているところでございます。
  165. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 是非積極的に取り組んでいただいて、消費者庁がそうしたことをいい形でどういうふうにやっていけばいいかという模範を示していただいて、生活相談員の方がまたやりがいがある仕事になっていくということだと思いますので、お力添えいただきたいというふうに思います。  学校における消費者教育については午前中からもいろんな議論がありました。大体やはり聞かれる声は、現実にはカリキュラムが手いっぱいでなかなか消費者教育に時間を割く余裕がないという学校の現場の声も多分あるんだと思うんですね。通常考えられるのは社会科ですとか技術・家庭科等でこうした消費者教育のものを教育として教えていただけるわけですが、もしこういう余裕がないんであれば、既存のいろんな科目の中に消費者問題を取り入れていただくのはどうかなというふうに思うんですね。例えば、国語の読解力とかそういうものの中に契約の考え方ですとか、時にはその契約書をどう理解するかとか、そうしたもう実例として、国語の理解力の中で、あるいは消費者問題を扱った論文か何かを取り上げていただくとか、そういう国語の授業の中でそうしたものを活用していただくとか、算数、数学であれば、ローンの金利ですとか家計の概念とかそういうことを、どうせ算数を学ぶんであれば、私も余り数学、算数は得意じゃありませんでしたが、身近な話題に置き換えていくということは非常に子供さんの興味がわいてくる部分ではないかと思うんですが。  そういう意味で、何も社会科とかに限らず、広い分野で教材等でこの消費者問題を取り上げていくことで消費者教育を進めていくという考え方をしてはいかがかなと思うんですが、まず文科省の方からその辺について御答弁いただけますか。
  166. 金森越哉

    政府参考人(金森越哉君) 各学校におきましては社会科や家庭科を中心に消費者教育が行われておりますが、御指摘ございましたように、社会科や家庭科以外でも消費者問題を扱った教材を活用することは有益でございまして、例えば、国語において地域通貨を題材とした評論文を掲載した教科書や、数学において数列に関連して金利計算を取り扱った教科書、道徳において物を大切にすることを主題とした読み物教材などを用いて消費者教育に資する教育が行われている例もございます。今般の小中高等学校の学習指導要領の改訂では、消費生活や消費者問題について、児童生徒の発達段階に応じた内容の充実を図ったところでございまして、その趣旨を踏まえた質、量共に充実した教科書が作成されることを期待しております。  また、学校現場におきましては、各学校の判断消費者問題も含めた様々な教材が活用されておりまして、今後、改訂された学習指導要領の趣旨が学校現場で着実に実施されるよう、関係府省や関係機関とも連携いたしまして、適切な教材の開発、活用の促進に努めてまいりたいと考えております。
  167. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 よろしくお願いします。  なかなか教育現場に、実態に沿わないと、いろいろ指導してもいかないケースがあると思いますが、是非文科省さん、その辺を、既にもう指導要領は二十年で改訂になっているんですかね。でも、副読本を作ったりとかそういうこともできるんだと思うんで、前向きに取り組んでいっていただきたい。少しでも消費者庁がまたそういうところに連携をしていただいて、この問題についても積極的にやっていただければなというふうに思います。  論点を変えまして、地方の消費者行政についてなんですが、この点についてもかなり論点が今、議論がもう既に出ておりますので少しまとめて御質問をしようと思うんですが、先ほどお話ししたとおり、地方、特に相談窓口の現場に立っていただく相談員の皆さんの待遇などが良くならないと、これは消費者庁としては大変厳しい状況があると思います。そういう意味で、地元からいろいろお話を聞くと、基金の活用、消費者行政活性化基金事業で、これは相談員の人件費に充当できないということで前々からお話がありました。  この点については衆議院の方で少しお話がきちっとまとまったように伺っていますが、この辺も含めて、トータルの消費者地方行政についての取組について御説明いただけますでしょうか。
  168. 田中孝文

    政府参考人(田中孝文君) 基本的な考え方としては、地方における消費者行政は地方自治事務として行うということでございます。したがいまして、これに対応しまして地方交付税の交付金措置を改善していただいたと。これが現実に消費生活相談員の待遇改善に結び付くようということで、私たちは、午前中の御答弁でも申し上げたように、当初は地方公共団体の努力義務ということで、基金の申込みに関してその計画を出すようにということでお願いをしたところでございますが、さらに、衆議院の審議、それを踏まえました修正協議の結果の合意事項におきまして、より踏み込んで、新たに積み増す百十億の基金の配分に当たりましては、地方交付税措置によって処遇改善を図っているということを、一種のそれに基づいた配分をしろということを御指摘を受けたところでございますので、こうしたことを新たな交付金の交付要領の改訂のときに盛り込みますとともに、したがいまして、当然、そうしたことが、お約束が実行されているのかどうかということを今後きちんとフォローアップしてまいることを通じまして、地方の消費生活相談員の処遇改善が現実のものとなるよう努めてまいりたいと思っているところでございます。
  169. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 済みません、ちょっと質問を一緒にしたためになかなかお答えにくかったのかもしれませんが、要は、まず交付金の手当ても、これは地方がきちっと反応してくれなければいけないわけですが、引き続き政府の方からも、総務省あるいは消費者庁からも御指導いただいて、きちっとこうした人件費の待遇改善に充てられるように、交付金が行ったけど地方はなかなかそれを回さないなんてことのないようにしていただきたいということでありますし、また、基金の活用についても柔軟に対応いただけるということですので、その辺りも含めて引き続きよろしくお願いをしたいと思います。  時間もだんだんたってまいりましたので、次は経産省と消費者庁の連携について少し御質問したいと思います。  特定商取引法、これは主務大臣の執行権限を都道府県知事にも委任をしているわけでありますが、現在、その処分件数ですとかが都道府県別で出ていると思うんですが、この辺りについて、経産省からまず状況を御説明いただけますか。
  170. 寺坂信昭

    政府参考人(寺坂信昭君) お答えいたします。  御指摘の特定商取引法の法執行につきましては、消費者保護の観点から、近年、国のみならず都道府県においても積極的に執行が進められているところであります。  具体的には、今から五年前の平成十六年度におきましては、行政処分の一形態でございます指示、必要な措置を命じます指示、これが二十四件、それから業務停止命令はゼロ件、なかったわけでございますけれども、昨年度、平成二十年度におきましては、指示が十六件、業務停止命令が八十七件となっております。ただし、各都道府県の行政処分の執行件数につきましては実際にはばらつきがありまして、積極的に取り組んでいる都道府県がある一方で、まだ六つの県、六県におきましては、これまで過去に特定商取引法に基づきます行政処分は行われておりません。  以上でございます。
  171. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 まだ、まあいろんな理由があるんでしょうけれども、都道府県によって少し処分についてはばらつきがあるようなところもありますが、この辺も今度、消費者庁としてもきちっと目くばせをしていっていただくようになるわけですが、こうした地方における消費者行政の強化に関して、都道府県における特定商取引法の執行の強化が重要であります。  その点について、消費者庁としては今後どのように取り組んでいくのか、増原副大臣の方からお願いします。
  172. 増原義剛

    ○副大臣(増原義剛君) 御指摘の点でございますが、特定商取引法に基づく各般の措置につきましては、まだいろいろばらつきも都道府県によってはあるというふうに考えております。したがいまして、この法案を通していただきまして消費者庁が発足しますと、やはりその強化を図っていかなくてはいけないと。当然のことながら、やはり消費生活センター、この強化が一番大事だと考えております。  そして、そことの情報交換、当然これは知事部局との関係もございますが、まず第一に、知事部局と消費生活センター等に対して法解釈を統一的に示すということがあると思います。消費者庁、経済産業省、都道府県、これにおける執行にかかわる情報を共有する、さらには執行を担う職員、これの研修をきちっと実施することが必要であろうと思っております。  第二に、一元的に集約されました消費者からの苦情相談などの情報あるいは申出、こういった情報に基づきまして、消費者被害の地理的な広がりを例えば把握するであるとか、あるいは、消費者庁、経産省、都道府県との間で情報連絡を密にしまして、それぞれの適切な役割分担の下で法執行を行っていくということになろうかと思います。  そして第三に、執行経験の少ない都道府県に対しまして、消費者庁自ら、又は経済産業省を通じて合同の立入検査の実施などを行いまして、執行に係るノウハウが地方自治体に蓄積されるようにしていく必要があると考えております。  いずれにしましても、都道府県における特定商取引の執行状況、本当に自治体によってまちまちでございますので、これを何とか、いつも野田大臣が申しておりますが、消費生活センター自体が地域によって凸凹だから何とかそろえよう、ならそうということでありますが、この分野においても同じだというふうに思っております。頑張ってまいります。
  173. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 是非よろしくお願いいたします。  岸田議員、長い間拘束して申し訳ありません。もう私の質問は結構ですので、もし委員長、御了解いただければ、お時間がないようであればどうぞ。──よろしいですか。済みません。  それでは、質問を続けさせていただきますが、消費者庁が今度、地方の経済産業局長に権限委任をして指揮監督をすることになるわけですね、組織的には。そうすると、新しい組織として経済産業局を現場としてうまく活用していかなければいけないわけですが、これがまずうまくいくかなという心配があるわけでして、こうした点、消費者庁は経済産業局との連携協力をどのように進めていくのか、並木政務官から御説明いただけますか。
  174. 並木正芳

    大臣政務官(並木正芳君) ただいま副大臣がお答えしたように、都道府県という、こういうところに対しても地方の経済産業局を通じてノウハウが蓄積されるようにしていくというようなことなんですけれども。  今、特商法ですけど、特定商取引法について、現在経産省本省にあります執行機関、これが消費者庁に振り替えられるというか、移ってくるわけですね。ですから、経済産業局というところとの関係というのは、元々そうした積み上げがある、その部分が、組織が移ってくると。そして、消費者長官の権限を御案内のとおり委任して、そして経済産業局長消費者長官が指揮監督していくと、こういう新体制になるわけです。  特にそこに加わってくるのは、消費者保護という観点が強くなってくるわけです。ですから、そうしたところでの経済産業局というのが、消費者庁に移った組織としては、しっかりと適切な役割分担というか、そうした観点を強めるというふうに執行を進めていくということになっていくと思います。  そして、日常的な連携協力については、先ほど副大臣お話ししましたとおり、まず執行にかかわる情報ですね、いわゆる消費者トラブルの現状とかあるいは悪質業者の手口等の情報とか、もちろん特商法の解釈、適用にかかわるこういう情報、こういうものをしっかりと共有していく。そして立入検査を合同実施する。あるいは、執行を担う職員に対する研修など、こういうのを通じてしっかりとした連携協力が取れるように日常から心掛けていきたいと、そういうふうに考えております。
  175. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 ありがとうございます。是非新しい枠組みになっても今まで以上に機能がきちっと行われるように取り組んでいただきたいと思います。  時間もないので、少し飛ばしてまいりますが、消費生活用製品安全法に関してなんですが、今後、消安法の重大事故報告・公表制度が消費者庁の方に移管がされることになります。今ほどの論点と同じなんですが、今度、事故の報告を統括する消費者庁と、その後のフォローを行っていく経産省との間の情報のやり取りが組織として分かれたためにスピーディーに行われない結果、問題が生じてはいけないということでありまして、消費者庁として、これは新しい制度になったときに経産省との連携をどのように具体的に図っていくのか、簡単で結構ですので御説明願います。
  176. 並木正芳

    大臣政務官(並木正芳君) これまでの経産省が取ってきたというやり方というか、どうしても業者から事情を聴取する、そういった点については、むしろ業者の報告はいろいろ、誤使用とかそういうものを調べたりしながら報告するということで、むしろ遅れることもあったかと思いますけれども、これからの消費者庁はいろいろな各方面から情報を集めていく。そういったところで、まずは重大事故等が拡大しないように注意喚起をしていくというような、スピーディーにそうしたところをやっていく。そしてなおかつ、これまで経産省が持っている、現在もそうですけれども、そうした知見、NITE等の組織を活用した、そうしたいろいろな対応、それをしっかりと消費者庁がやっていくと。こういうふうなところで、とにかく、先生おっしゃるとおり、スピード感を持ってやっていくということが、特に消費者庁になりますと、拡大防止に必須のことかというふうに思っています。
  177. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 よろしく是非お願いをしたいと思います。まさに縦割り行政の弊害を打破するためにこういう新しい仕組みができるわけですから、新たな遅れが出てこないようにやっていただくことが大事だと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。  あと、もう最後の論点にさせていただきますけれども、消費者庁設置について経済界の理解が本当に進んでいるのかなということなんですね。  もちろん、もう今世の中、消費者を無視してはどんな産業も成り立たないということは分かっているわけですが、さはさりながら、やはり経済界の一部には、消費者行政がかなり強化をされると産業経済活動が阻害をされるんではないかというような心配をされる声もないわけではないということであります。  この間、大臣として経済界の各層のいろんな声を聞かれてきたと思うんですね。まさにこの辺の連携がきちっと成ってこそ本当の意味での消費者庁の機能が、消費者行政がうまくいくというふうに思うんです。最終的には、やはり産業経済の発展と消費者保護が車の両輪のようにうまく回っていって、それで本当の意味での日本の経済が豊かになっていくということだと思うんですが、この辺の今までの経済界とのいろんなやり取り、理解に向けた、も含めて、大臣のこの辺りの、消費者行政と経済は一体となって進むんだよという辺りについての大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  178. 野田聖子

    国務大臣(野田聖子君) おっしゃるとおり、この法律案が世の中に出現するまでは、うわさの限りでは経済界の人たちは大変懸念しておりまして、これは巨大な産業規制官庁ができて、そういうことによって自分たちの経済活動が阻害されるのではないかという不安の声があったことは事実であります。  その後、法案が、骨子なり要綱ができてきて、それを基に、例えば消費者行政推進会議ワーキンググループ、ここにおいては、三つの経済団体、日本経団連、日本商工会議所、そして全国商工会連合会からヒアリングを実施しておりますし、事務局からも随時、政府案を作るに当たって連絡を取り合ってきました。結果、この提出させていただいている三法案につきまして特段の反対意見は今ございません。  と申しますのも、誤解が解けたというか、そもそも、規制を強化するのではなく、今ある、やってはならない、ルールを守れということを守らない、そういう悪質・悪徳業者が横行していて、そして、これは縦割り行政の中、片目をつぶって見て見ぬふりをしているところもありましたし、又はすき間事案ということで巧妙にどの役所からも行政処分を受けないような実態もありましたし、そういうところをしっかりと取り締まることが肝要だと、大事だということを申し上げて、逆に言うと、まじめに誠実に消費者第一で業をなさっている方にとっては、むしろ消費者庁ができて、そして、消費者教育を受けた健全な消費者の目線によってセレクトされた業者のみがしっかりと日本のすばらしい市場に生き残るということで、むしろそういうところを評価していただけているのではないか。  消費者庁というのは、もうこてこてに消費者を守るんではなくて、やはり消費者行政を広く浸透させることによって、国民一人一人が消費者教育と触れ合い、そして知見を持って、そして合理的にそして自主的に消費者行政の主体となる中で、選ばれし業者というか、そういうお商売が広く発展していくこと、私、よくウイン・ウインと言うんですけれども、そういうものをつくるために消費者庁というのを設立させていただくということで御理解をいただいているところだと思っております。
  179. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 まさに今大臣からウイン・ウインというお言葉がありましたけど、そのような形で進んでいくことがまさに消費者庁にとっても国の経済全体にとっても大事なことだと思いますので、引き続き大きなお力を発揮していただきたいということをお願い申し上げて、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  180. 草川昭三

    委員長草川昭三君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会をいたします。    午後三時五十六分散会