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松井孝治君
委員の
方々はちょっとこれ
専門的なことなのでよく御存じない方が多いかもしれませんが、
内閣府設置法の第十二条というのは、特命担当
大臣の権能について規定したものであります。
その特命担当
大臣、今でいうと野田
大臣がその任に当たられているわけでありますが、これは、野田
大臣は、
関係行政機関の長、例えば、今御退席をいただきましたが、
農林水産大臣であったり
厚生労働大臣に対して、例えば資料提出を求めることができる。あるいは、
農水大臣、環境、何
大臣でもいいんですが、経済産業
大臣でも
厚生労働大臣でもいいんですが、そこに対して勧告ができる。勧告をしたものについて報告を求めることができる。最終的には、
内閣法六条の規定に基づいて
総理大臣に対して指揮命令権を行使するように求めることができるという、言わば伝家の宝刀なわけでありますが、そういう規定に、実は先ほど
仙谷議員がおっしゃっていただいたような
消費者の権利、長い条文でありますが、
消費者権利擁護のための基本的な政策に関することという規定が入ったわけでありますね。
その法益の実現のためには、勧告をすることができる、資料要求ができる、それから勧告に基づいてどういう措置をとったのか報告聴取ができる、そういう規定、そして最終的には
総理がそれを受けてきちんと
内閣法に基づいて指揮命令を行うことができるという、こういう権能を今回加えたというのが少しかみ砕いた解説なわけであります。
ここで伺いたいわけでありますが、これ、もう
質問の時間の節約のために申し上げますと、こういう
内閣法、
内閣府設置法十二条の規定に基づく勧告というのは、行われたことが今まで一度もないんです。これは二〇〇一年に設けられた制度なわけですが、一度もそれは行使されたことがない。
私が知る限り一番行使に近かったのは、今
鴻池副
長官御在席でありますが、
鴻池副
長官が特区担当
大臣に御在籍のときにいろんな議論を各省となされました。そのときに、この権能が
鴻池大臣にあるかないかということになって、実は
鴻池大臣は特命担当
大臣であるけれども、
内閣府設置法十二条に基づく勧告をする権限はないという解釈を
政府は取っていたように私は思います。一回もこの
内閣府設置法十二条の適用事例がない。
そして、そもそも
内閣府設置法十二条はどういう事務に対してできるかということについて非常に限定的な解釈を
政府が伝統的にしている。最後は
政治家と
政治家の議論ですから、設置法の根拠なんて別に余り
関係ないということでなさっていた
政治家もいらっしゃると思うんですが、ここが非常に制約的に従来運営されてきている。例えば今回でも、
内閣府設置法十二条の規定に、その根拠となるような
内閣府設置法第四条第一項にどういう条文を書くかということについて随分いろんなやり取りがありました。
要は、各省の
縦割りの権限というのは非常に強くて、分担管理事務というのは非常に強くて、そこを、例えば
消費者の利益とか、あるいは別にほかの問題でもいいんです、例えば
環境大臣にも今日お見えいただいているのはその
関係ですが、別の法目的、横断的な法目的のために、それに対して勧告をするという制度がありながら、なかなかそこを発動させないような環境に置いてきている。実は、
最初の
政府案の原案は、特命担当
大臣であることは認めているんですが、環境の
整備は野田
大臣のお仕事だけれども、
消費者の権利の擁護のための基本的な政策ということは野田
大臣の御担当ではないというところから議論が始まっているんです。
こういう形で、どうしてもこれ、別に
役所の悪口を言うわけではありませんが、昔からの憲法、
内閣法の解釈、伝統的な解釈というのは
縦割りの官庁まずありきという、そこが非常に強いんですね。ここをやっぱり私は少しずつでも崩していかなければいけないというふうに思っているわけですが、官房副
長官、この御
発言でもう御退席いただいて結構なんで、その数年前のことだったと思いますが、そこの
縦割りとむしろ横断的な改革というもののはざまで御苦労されたと思いますので、この辺りについての一言御感想あるいは今後の御決意を伺いたいと思います。