○大塚耕平君 いや、御
就任されたばかりですし、急なことですので、もちろん結構なんですが。
事ほどさように、実は日本の常識、
世界の非常識、あるいは
世界の常識、日本の非常識ということは多々あるわけでありまして、日本では
財政法で原則としては
日銀の国債引受けは禁止されているんですが、いったん発行されたものが
市場に流通しているものを買い上げるのは
財政法で禁止している引受けではないからといってたんまり買っているわけですね。だから、そのことは
白川総裁がおっしゃったように、実は国債購入というのも、もう必ずしも伝統的な
政策の枠組みでないことをやっているというふうに言うこともできるという一つのお考えであったわけでありますが。
つまり、後で
財政状況の話もさせていただきますが、本当に
中央銀行にできることは最大限やっていただいて、
経済の底割れ、
金融市場の安定を守っていただくという、これはやっていただかなくてはいけないんですが、片方で、じゃ
財政は破綻していいのか、あるいは
財政が破綻するような方向で
中央銀行が加担をしていいのかというと、それはそうではないと。一体日本はどういう
状況なんだということを
財政当局にはよくよくお考えいただいて
中央銀行との
連携をしていただかなくてはいけないと、そういう局面なんです。
既に昨日、私
どもの
会議で御
出席いただいた
財務省や
金融庁、
日銀の職員の
皆さんにはお伝えしましたが、例えば
金融サミットで、
財政出動しましょうといって日本はアメリカから言われて、基本的には協力する姿勢を示しておられる。それ
自身はいいんですけれ
ども、その一方で米国
自身は、オバマ大統領の今年の予算教書には、任期中にプライマリーバランスの赤字は半減させるというふうにはっきり言っているんですね。そして、アメリカの
財務省は、債務残高の対GDP比、日本でいうと一六〇%とか一七〇%になっているものを、これをEU基準の六〇%を意識しながら運営するという、明言しているんです。だけれ
ども、アメリカよりも実は
財政状況が悲惨で
世界最悪なのは日本なんですね。ということは、日本はどういう行動を取るべきかということは本当によくよく
財政当局にも
中央銀行にもお考えいただきたいという、そういう脈絡で、後の方でちょっと
日銀法と
財政の関係も議論させていただきたいと思います。
そういう
認識をお話しさせていただいた上で
総裁にお伺いしたいんですが、今三つの当面の目標があるということで、金利の引下げと
金融市場の安定と最後に
企業金融の
円滑化ということをおっしゃられたわけでありますが。
皆さんにお配りさせていただいたお手元の資料のグラフの方ですね、これを御覧いただくと、右下は日経新聞のグラフの切り抜きで、上は
日銀からお出しをいただいたグラフなんですが、どのぐらい
金融緩和をやるとどのぐらいこれが貸出しに反映されているか、つまり信用乗数が高ければ高いほど
金融緩和が進んでいるというふうに言っていいかと思うんですけれ
ども。実は、九二年ぐらいから信用乗数はずうっと下がり続けて、そしてちょっと最近、ある局面から、この日経新聞の注書きによると、量的緩和を解除したところから上がって、そして横ばっていたものが、しかし、去年の秋以降、一生懸命
企業金融のことも考えて
金融緩和や非伝統的
政策をやっていただいているんですが、信用乗数がまたここに来て落ち始めているという、こういうグラフなんですけれ
ども。
一体、今やっておられる
金融緩和がなかなかこの信用乗数に及ばないのは、そもそもそれは及ばないものなのか、それとも及ばない現象になっていることに何か理由があるのか、そこについてちょっと御
説明をお伺いしたいと思います。