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内閣総理大臣(麻生太郎君) 最後に言われた株価の方からいってみます。
株価、これは、正直申し上げて、
政府が介入するべきような種類のものであるかと言われると、これはなかなか御
意見の分かれるところだと思っております。
しかし、株というものに対しては、少なくとも空売りなどというものがいろいろ、ばっこしたという表現がちょっと言い過ぎかどうか分かりませんが、少なくとも昨年、いろんな形で急激な株安を招いていったものの大きな中に、やっぱりこれまでの規制の緩和によっていろんな形での、空売りを含めましていろいろなものの、外資の売りを浴びてみたり、そういったようなものに関しては、少なくとも日本の会社で自社株を買ってもいいようにしてみたり、いろんなことをさせていただいたと思いますが、ただ、この株価に対して
政府が安易に介入するというのは、為替の介入ほどではないにしても、基本的に、株式というものは市場に任せられてしかるべき種類の最も資本主義の中における大事な
部分だと思いますので、株価対策につきましては節度をある程度守りながらやらないとえらいことになる。
ただし、株価が急激に下がって何千円を割りましたとかいうことになってきますと、これは各企業が
自分で持っておられる保有株の資産が下がることになりますので、銀行にしてみれば、持ち株の資産が下がること、イコール自己資本比率が下がりますので、結果として金が貸せないという二次波及効果が出てくるという
部分は、これは経済全体を考える上では十分に配慮してしかるべきところだと思っておりますので、株価に対してはしかるべきなことをということをいろいろ考えておるのは事実です。ただ、これをやると言った途端に、逆に買われたり売られたり、難しいところだというのはもう大塚
先生よく御存じのとおりです。
それから、資金繰りのお話がありました。
資金繰りにつきましては、これは日銀、よくお詳しいところだと思いますが、CPやら何やらを日本銀行、これは我々がやらせたわけではありません、これは日銀の独立性の観点に立って
白川総裁自ら判断をされておられますので。
政府がやったと言われると、これはなかなか発言としては注意すべきところだと思いますが、CPなどを買い取っていただいたりしている
部分というのは非常に大きな
部分だと思います。
しかし、私が一番気になりましたのは、全国でやっぱり七割の人を抱えております中小・小規模企業におけます資金繰り、これが昨年末、今年度末というものを考えたときに、ここの資金繰りが付かないために黒字でも倒産する、イコール失業が生まれるということは最も避けねばならぬと思いました。
したがって、いわゆる信用保証と特別融資というのを昨年、一次補正で九兆円、二次補正で二十一兆円、合計三十兆円というのをやらさせていただいた結果、少なくとも四十万件、と言うよりは約四十万社と思っていただいてほぼ同じことだと思いますが、四十万社、約十兆円を超えるものがこれで対応ができたということだと思います。一社平均六人とかよく言われておりますが、六・五人とかいう表現がありますので、それからいったら約三百万人前後の方々の雇用に単純計算をすれば影響を与えたと思っておりますので、そういった
意味では、中小の資金繰りに関しましては多くの影響は与えられたと思って、これは成功した
部分だと思っておりますが、ただ、いや、決算というのがまた別にありますので、四月、五月、六月に向けて決算対策というのをもう一回、中小企業、零細企業、小規模企業やらなくちゃなりませんので、そこの
部分をもう一回どうするかという
部分は、これは大手企業を含めて決算対策というものは十分に注意をしてやる必要があるであろうと、私自身はそう思っております。
雇用に関しましてはそういったことですが、同時に、CPの市場が非常な勢いで信用収縮を起こしたために、大企業が売り出します社債、CPが売れなくなったために、大企業は直接
金融から間接
金融にそのシフトをせざるを得なかったという事情にあって、結果として大企業が銀行から金を借りるという間接
金融の比重が増え、銀行は確かに貸出しは増えましたけれ
ども、そこの
部分が大きく伸びたために、今度は逆に、中小、小規模の間におりますいわゆる中企業、中規模企業のところが非常に資金繰りが、銀行からの借入れが難しくなってきたなどなどのいろんな波及効果が出たことも事実ですので、そこのところは
金融庁をしていろいろな対策をやらさせていただいたということだと思っております。
それから、需給ギャップにつきましては、これは確かに今猛烈な勢いで、計算によって、人によって違いますが、何十兆という説がありますので、その需給ギャップが今生まれていることは事実であります。そういったものを埋めるためには、これはある程度輸出というものではなくて国内の需要を喚起するということをいたしませんと、そこのところの需給ギャップはなかなか埋まらない。
そこで、我々としては、少なくとも地方の
部分とかまた中小企業とかそういったようなところ、加えて生活に直結しております、消費が直結いたしますので、そういった
部分のことを考えますと、いろいろな
意味で補正を組ませていただいたりして、いわゆる定額給付金始め生活者に直接行くところ。
また、企業に対しましては先ほど申し上げたようなことをやらさせていただいて、少なくとも企業として、資金繰りは付いたけれ
ども仕事の絶対量がなければこれは仕事ができませんので、その
意味では仕事が出てくるようなことを考えねばならぬ。そのためには、今後、大企業というよりは、国内にあります中小・小規模企業にとっての仕事が出てくることを考えるような
予算というものを考えねばならぬのではないか。その
一つの例として、中長期的に見てエネルギーという問題から、太陽光発電というのはその
一つですが、こういったようなものをやりますと、屋根に付けるというのは多くは地方の工務店の仕事になる
部分が非常に多い、これは
一つの例ですけれ
ども。そういったようなものをやらさせていただこうと思っております。
いずれにしても、なるべく直接行くような形にしませんといかがなものかという感じがいたしております。
最後になりました輸出に関しましては、これは今から我々として相手の国の事情も考えねばなりません。ただし、今言われておりますように、環境というものが非常に大きな問題として、景気が悪くなってもこの環境の問題というものは、これは多くの外国の首脳の人たち、特にヨーロッパ、アメリカもオバマ大統領に替わってからこの環境という問題に関しては前と違ってかなり熱心にこの問題を考えておられるように見受けられます。
したがって、この技術というものに関しましては、我々は明らかにいろんな
意味で秀でている
部分は
幾つもあろうと存じます。少なくとも、エネルギー効率世界一を誇る日本でもありますし、そういった
意味ではアメリカの倍ぐらいエネルギー効率はいいとIEAの
資料で出ておりますので、それそのままだといたしますと我々はエネルギー効率は明らかにいいわけですけれ
ども、それプラス環境技術というものに関しましても今世界中に需要が出てきております。我々はそれに対応するため、昨日、ウクライナから排出権を買う、こちらからその分をといって、その分はおたくではこの金を使って環境衛生を、環境技術を使ったものにこの金を使ってもらわないと
意味がないんであって、
是非そういったようなものに使ってください。その技術、若しくは、企業としてのあれは、仕事は十分に我々としてやれる能力と自信がありますというような話をさせていただいたら、
一つの例ですけれ
ども、きちんとしたそういったものに結び付けていくという輸出の
部分というのは、
一つの例として今後伸ばしていかなければならぬ。
政府としては、後押ししてしかるべき範囲の輸出技術、また輸出につながっていくものだと期待をいたしております。