○
田中康夫君 私は単なる一介の、もうじき五十三になりますけれども、
皆様よりも知識も経験も実績もはるかに及ばない
人間でございます。
しかし、今お話がありましたように、
金井さんの方からもお話があったように、
委員会でも恐らく
審議会でも、御用
委員ではない、皆さんがお選びになる大変に志のある
方々がこういう
観点を指摘されているわけでございましょう。でも、
委員会を開き、そこで多くの職員の方がまとめも行い、多くのスタッフがかかわり、また細かい、原理主義、市民運動家みたいな方からすれば、その
委員会の
費用が幾ら掛かったとか全く
意味がないので、
アウトカムが良ければいいんですけれども、今のような
観点を持ってきちんとやっていこうという提案があったにもかかわらず、プロフェッショナルであられる
皆様が、ましてや
道路に関して様々な厳しい
意見も出てきている中に、その
方々の
認識を、いや、そうじゃないんだと、
国土交通省はやっぱり深い洞察力や先見性があってやっているんだということを示す上において、イギリスのようなこれだけの項目を各
道路の区間において
地域の人に分かりやすいように一枚の紙の中できちんと、数字の羅列ではなく分かりやすい、そして私は、やっぱりここにあるような文化遺産であるとか景観であるとか水質ということは大変に大事なことだと思うんですね。
そうした
観点も、なぜせっかく
審議会なり
委員会でいろんなお話をお聞きになっても生かせないのか。皆さんのような大変に私よりもはるかに優秀な偏差値の教育を受けられたであろう
方々がなぜできないのかということが疑問なんでございます。別に私はいじめるわけではございません。
国土交通省の心ある
方々が、先ほど言ったように、これ
国土交通政策研究所がもう二〇〇三年にこういう提言をまとめているにもかかわらず、そして多くの文献も、
英語でも含めてあるにもかかわらず、なぜそれがまさに
アウトカムとして出てこないのか。
アウトカムとして出てこないから住民の
方々、国民の
方々が疑心暗鬼になられていると。これは大変憂うべきことだと私は思います。
そうした中で、これはイギリスの
交通政策も過去二十年間は民営化や規制緩和を
中心としてきたわけでございますけれども、これは「
道路の経済学」という本をお書きの松下さんという方が大変にまとめていらっしゃいますけれども、でも、その結果もたらされたのは自動車への依存だったんだと。自動車の騒音と公害は、町や都市に住む
人々の健康を害し、
生活の質を損なっていると。いや、もちろんそれだけではございません、利便性もございますが。しかし、そのことを多くの人が感じているから、原理主義
環境派だけではなく多くの
方々が
環境という
言葉を口にするようになってきたということです。美しい郊外が、郊外に皆、町がアメリカ型のように出ていってしまって、破壊されていってしまうと。優良農地がショッピングセンターになったり、あるいは住宅地になっていってしまうと。でも、しかしながら、年老いてくるので、それぞれの
地域においても
中心部にもう一回戻りたいという
方々がいて、郊外の優良な景観、ランドスケープのあったところは荒廃地になっていってしまうわけです。
ですから、そうした中で、この
交通政策ということは、単に道あるいは自動車というだけでなく、もちろん自動車の中でもバスであったり鉄道であったり、あるいはまさにLRTのような低床式の鉄道であったりバスであったり路面電車であったり、そうしたもの、こうした公共
交通機関に単なる資金援助のみならず、やはり
国土交通省がグランドデザインを
インテグレートして書いて、そして貨物に関しても、トラックのみならず鉄道へもまさに
シームレスで
インテグレートして行っていくというプランを示す必要があるんじゃないかと私は思います。
こうした中で、イギリスは、二〇〇〇年の
交通法というのは単なる脱小手先でございまして、向こう五年間の
交通戦略や
交通投資
計画というものは実はそうした中長期的なグランドデザインを示した上で、五年間に関して
地方交通計画、LTPという策定を義務付けたわけです、各
地方に対して。
地方はどうぞ御自由にということではなく、やはりこの
国土全体は国なんですから、全部
地方にやっていただいたら、極論すれば本当に国の業務は、国家としてパスポートを発行し管理すること以外は全部
地方になって、
国会も不要どころか霞が関も不要という話になっていくんです。でも、霞が関が上とか下なのではなく、やはり
日本全体をきちんと考えることが必要であると私は思います。
そしてまた、こうした中において、皆さんも
十分御存じでしょうけれども、ヨーロッパというものは今都市の
中心部に人が住むと。それは年老いた方や小さなお子さんもいるからです。そして逆にオフィスは、
日本も大学を一時期、郊外の八王子を始めとするところにつくるという形がありました、厚木に青山学院が移ったりしましたけれどもまた都心に戻ってきてしまうという形ですけれども、郊外に逆にオフィスは
環境に配慮してつくるというような形になってきていると。そのことがやはり私はできているのは、例えばEUの議会があるストラスブルグでありましたり、ストラスブルグは人口三十万人ほどでございます、ここに路面電車LRTがあります。あるいはビルバオという町がございます、スペインにございます。実はここは製鉄都市で、そして廃墟のようになってまいりました。しかし、ここの市長がまさにLRTを入れ、そしてグッゲンハイム美術館、ニューヨークのグッゲンハイム美術館の分館を設けることによって、三十五万人の町に全世界から年間百万人を優に超える
方々がお越しになられるようになりました。
そして、イギリスにおいてもマンチェスターという四十四万人の町がございますが、ここにおいても、イギリス全体で一九九〇、一九九五年にPPGという新しいメソッドが出ました。これは、大型商業施設に関してはまずは市街
中心地に適地を探しなさいと、そこに見当たらない場合に隣接地でやると、それでも見当たらない場合に郊外かもしれないが、それはまさに連続的なシーケンシャルなアプローチをしなさいということを述べているわけですね。
本来、こうしたことを私は
国土交通省が示さなければ、青森市には町にもう一回人が戻ってきたという成功事例があると言っているかもしれませんが、そういうスポットでは仕方がないわけです。
日本全体に何千という町がある中で、それぞれの人に視察に行って青森市の状況、小布施町の状況を見ていただくというのではなく、やはりそれこそ私は国がデザインを描かなくちゃいけないんじゃないかと。
ですから、どういう形をしているかというと、これはスイスのバーゼルも同様でございますけれども、
中心地に商業施設や公共施設を置くと。そして、そこは、徒歩や自転車やまさに低床式の路面電車によって回遊ができるような形にしていくと。そして、イギリスにおいて今位置付けているのは、
日本も観光庁ができたわけでございまして、都市活性化の戦略の
中心には必ず観光というものを置いている、ツーリズムを置いているわけです。ですから、マンチェスターも実はビルバオに倣って、製鉄という重厚長大の産業の中で苦しくなったところをもう一回物づくりの産業をするという形ではなく、今言ったような町の中に観光で人が来ていただくような形のつくり方をしていくと。そして、それは、
少子高齢社会にふさわしい町づくりなんだという形をいたしております。
是非、こうした
観点に立った上で、
道路というものが
道路だけ、あるいは自動車だけなのではなく、どういう具合にしていくのか。イギリスは、皆さん御存じのように、二〇〇三年の二月にロンドンに関しては渋滞課金
制度というものを設けました、ロードプライシングですね。シンガポールは元々ナンバーが奇数の車と偶数の車で入れるのがあって、大金持ちの八八八八に乗っているような方は、多分七七七七と八八八八と両方持ってどっちでも入れるようにしていらっしゃるかもしれませんが。
ロンドンの場合には、これ五ポンドという金額が、七百三十三円が、平日七時から十八時三十分までは五ポンドを取っておりますけれども、これ自己申告制でございますからゴルフと同じでございます。でも、自己申告制だけれども、やはりそれがまさにジョンブル魂の国なわけでございまして、このことによって結果的に乗用車の通行量は二五%減少したわけです。
つまり、休日に千円どこまでも乗れますと乗用車の方におっしゃる前に、やはり私は、古賀誠さんもトラック協会の重鎮であられるんだったら、
日本の物流を支えている業務車、あるいは逆に言えばバス、重量で通行料金も考えるなどというのはおかしいわけでして、
社会的貢献度によってどうなのかということを考えれば、トラックであったり乗合バスであったり観光バスであったり、あるいはもっと言えば実車中のタクシーであったり、そうしたものに関して逆に値段を下げる方が、まあこれは余談でございますけれども、本来、そういうところの団体の方が
皆様を支持されてきたはずなんでございます。しかし、そういう団体の方ではなく、
皆様は今、浮草のような、晴れていれば選挙に行かないし雨になっても選挙に行かないし、その日の気分で行く無党派の
方々をおつかまえになられようとお考えになって自動車の乗り放題千円とやられているのかもしれませんけど、これは本末転倒でございます。余りそういうことを言うと我々の票に響きますので、これ以上は申し上げませんが。
すなわち、こうした考え、同時に、そのことによって
国土交通省が、先ほど私は農業集落排水や合併処理浄化槽も
国土交通省が
インテグレートしましょうと言いました。皆さんがコンパクトシティーになる上でこれから大きな問題になっていくのは農業
委員会でございます。農業
委員会が優良農地を転用していく。そして、この
委員になられている方の大半は、多分七割以上は兼業農家の方でございます。そして、
地域のお歴々であられたり往々にしてします。
しかし、この農業
委員会が決めたことを、当該の市町村長も、あるいは都道府県知事も、一回優良農地を転用することに関しては
異議申立てができないわけでございます、法的には。そして、そういう土地がまたスクラップ・アンド・ビルドされていけば、優良農地は二度と農地には、商業施設になった後は戻りません。やはり、こういう点も
国土交通省が私はきちんと考えていく必要があるのではないかということを感じております。
時間が少なくなってまいりましたので、実はもう一点の大戸川ダムという点に関してお聞きをいたしたいと思います。
実は本日の京都の新聞に、新
河川法試み、国が阻むという記事が載っております。京都新聞の本日付けでございます。まさに、琵琶湖・
淀川水系整備計画策定と。この中で、
淀川水系流域委員会の元
委員長であられた宮本博司さん、実は宮本さんは皆さんと一緒に机を並べ、良い
河川法を作ろうと。そのことは前から申し上げているように、
河川は根幹でございます。水がなければ
人間が住めません。そして、この中において、
近畿地方整備局の
河川部長を務められ、また、
国土交通省のたしか防災課長を務められたと思います。その後、御自分の家業を継がれるために鴨川のほとりでお仕事をされるようになり、そして、
委員長を務められました。
実は
金子さん、
金子さんはたしか会見で、あるいはテレビも早とちりをして大戸川ダム凍結とか中止とか、そういう
言葉が躍りました。しかし、この
計画の中に、宮本さんもおっしゃっていますが、大戸川ダム凍結の記述はどこにもないわけでございます。すなわち、皆さんがお作りになった要綱のような
説明書きのところにはそういうものはございます。しかし、現実には、これからも調査を重ねていくとお書きになっていらっしゃる。
何ゆえ、
問題先送りを行ったのか。
委員会の答申は答申かもしれません。しかし、
国土交通省は、決断ということをどのように行っていこうとされているのか。当該の自治体長も、このダムに関しては、私は、四つの中の一つだけやめてくれれば、あとの三つは直轄負担金は払いますと言った四つの自治体長というのも少し私の理解ができない部分もないわけではございませんが、この点に関して、まず甲村さんから、この要点のところでは、大戸川ダムは括弧書きで凍結すると書いているのに本文の方では凍結などという
言葉はないと、この整合に関してちょっとお聞かせください。