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2009-03-17 第171回国会 参議院 国土交通委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十一年三月十七日(火曜日)    午後二時四十五分開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         田村耕太郎君     理 事                 長浜 博行君                 広田  一君                 伊達 忠一君                 山本 順三君                 鰐淵 洋子君     委 員                 植松恵美子君                 川崎  稔君                 北澤 俊美君                 輿石  東君                 田中 康夫君                 田名部匡省君                 羽田雄一郎君                 平山 幸司君                 室井 邦彦君                 米長 晴信君                 岡田 直樹君                 加納 時男君                 佐藤 信秋君                 長谷川大紋君                 吉田 博美君                 脇  雅史君                 西田 実仁君                 渕上 貞雄君                 大江 康弘君    国務大臣        国土交通大臣   金子 一義君    副大臣        国土交通大臣  金子 恭之君        国土交通大臣  加納 時男君    大臣政務官        国土交通大臣政        務官       谷口 和史君        国土交通大臣政        務官       西銘恒三郎君        国土交通大臣政        務官       岡田 直樹君    事務局側        常任委員会専門        員        畠山  肇君    政府参考人        外務大臣官房参        事官       小原 雅博君        国土交通大臣官        房長       増田 優一君        国土交通大臣官        房建設流通政策        審議官      小澤 敬市君        国土交通大臣官        房技術審議官   関  克己君        国土交通省総合        政策局長     大口 清一君        国土交通省河川        局長       甲村 謙友君        国土交通省道路        局長       金井 道夫君        国土交通省住宅        局長       和泉 洋人君        国土交通省鉄道        局長       北村 隆志君        国土交通省自動        車交通局長    本田  勝君        国土交通省海事        局長       伊藤  茂君        国土交通省港湾        局長       須野原 豊君        国土交通省航空        局長       前田 隆平君        国土交通省北海        道局長      奥平  聖君        国土交通省政策        統括官      井手 憲文君        観光庁長官    本保 芳明君        海上保安庁長官  岩崎 貞二君        防衛省防衛政策        局長       高見澤將林君        防衛省人事教育        局長       渡部  厚君        防衛省経理装備        局長       長岡 憲宗君     ─────────────   本日の会議に付した案件政府参考人出席要求に関する件 ○国土整備交通政策推進等に関する調査  (国土交通行政基本施策に関する件)     ─────────────
  2. 田村耕太郎

  3. 田村耕太郎

    委員長田村耕太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 田村耕太郎

    委員長田村耕太郎君) 国土整備交通政策推進等に関する調査を議題とし、国土交通行政基本施策に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 山本順三

    山本順三君 自民党、山本順三でございます。  まず冒頭、今日は二時四十五分から六時四十五分、非常に変則的な時間でスタートいたしました。私どもも理事をしております関係上、委員皆さんに大変御負担を掛けることになりましたけれども、積極的な国土交通行政審議をしっかりやっていこう、衆議院との調整もやっていこうということでこのような時間配分になりました。私の方から言うのもなんでございますが、民主党も含め、あるいはまた他の会派も含めて、皆さん方の御協力に心から感謝を申し上げたいと思っております。  さて、質問の第一でありますけれども、先般、北朝鮮が、これは三月十二日でありますけれども人工衛星打ち上げ用のロケット、銀河2号というふうに命名をしておるようでありますけれども、この発射をするという事前通報が入ってまいりました。これ、人工衛星とは言っておりますけれども実質はテポドン2号改良型という弾道弾ミサイル、これの発射実験というふうに我々は受け止めておるわけでありまして、このことについては大変に憂慮をいたしておりますし、また強い憤りを感じておるところであります。  例えば、国際海事機関IMO等々に北朝鮮側から日時等々、事前通告がなされたようでありますけれども、まさにこれは国連決議の、安保理決議の違反ということで、日本の国としては当然断固打ち上げ中止ということを要望しなければならない、要求しなければならないと思っておりますけれども、かの北朝鮮でありますから、どういうふうな具合になるか分かりません。  その体制をしっかりと整えておかなければならないと思いますけれども、四月四日から八日の間に打ち上げる、そして日本海側秋田沖、それから太平洋側銚子沖で落下する可能性ありということでございまして、防衛省と相協議をしながらということになろうかと思いますけれども国土交通省としても、そのときの飛行しておる航空機あるいはまた航行しておる船舶、この安全をしかと守っていくという責務があるわけでございまして、警報等々を発令しておるということは伺っておりますけれども、具体的にどのような体制を組まれておるのか、まず冒頭、そのことをお聞かせ願いたいと思います。
  6. 加納時男

    ○副大臣加納時男君) 四月四日から八日までの間、IMOICAO等に対して通告があったということは伺っております。まさに先生がおっしゃったとおり、しっかりした体制を組んでいかなければいけないということを感じております。  国土交通省交通事業を所管する立場でございます。その点から、船舶とか航空機の安全を確保することが基本的に重要だと認識しているところであります。  具体策はどうかという御質問でございます。  今申し上げた認識の下、私ども海事航空分野において、三月十二日から十三日にかけ、北朝鮮からの通報に対応したIMO及びICAO国際民間航空機関でありますが、の動きを受けまして、航行警報、これは海の方であります、それからノータム、これは航空情報でございます、を発出したところでございます。  今後とも、外務省を通じて収集するIMOICAO等動きに対応しつつ、船舶航空機に安全のための追加情報を提供してまいるところでございます。  また、関係交通事業者との間で更に情報交換が必要と考えておりますので、昨日から海事航空事業者海事・航空局との間で連絡会を開いております。こういうことで体制強化してまいる予定でございます。この中で、海事航空事業者に対し、危険区域とその周辺を含め幅広く迂回するように指導を行っているというところでございます。
  7. 山本順三

    山本順三君 北朝鮮ミサイルの言わば精度がどういうことなのかということを考えたときに、果たしてあちらさんがおっしゃっておる地域に落ちるのかどうか、それもある意味では不確定要素がたくさんあると思いますから、そのことも頭に入れた形で、幅広くということでありますけれども、しっかりとした体制を整えて、そして航空機あるいはまた船舶の安全な飛行あるいはまた航行是非とも国土交通省、しっかりと対応してもらいたいと、このことをまず要望しておきたいと思います。  それでは、景気対策等々に関連いたしまして何点かお話を申し上げたいと思います。  まさに戦後最大経済危機というふうに言われております。十—十二月期の、昨年でありますけれども実質経済成長率マイナス一一・七という、我々から見たらびっくりするような数字が出てまいりました。恐らくや一—三月期も二けたのマイナスになるんではないだろうかと、こういうふうなことが言われておる昨今であります。  そういった意味では、景気対策ということについてより明快な政策が必要である、そしてそれをスピード感を持って仕上げていくということが非常に肝心かなめだろう、このように思うところであります。  にもかかわらず、残念ながら、第二次補正で二段ロケットを噴射しよう、これは北朝鮮とは違う話でありますけれども、そういうことでありましたが、残念ながら、参議院に一月十三日に予算関連法案参りましたけれども、五十一日間も掛かってしまった。これは与野党共国民に対してまさに説明責任を果たすことができない、そういう状況なんだろうと思うんですね。  さはさりながら、先般、おかげをもって二次補正成立いたしました。これからはその二次補正の内容について、景気対策いろんな案件が盛り込まれておりますけれども、それをしっかりと、それもスピード感を持って対応していくということが重要だろうと思っています。  加えて、今参議院で、予算委員会で来年度予算審議が行われております。この来年度予算も、これは三段ロケットということになるんだろうと思いますけれども、早くに、何といっても今年度内にこれを成立をさせる。加えて、先般のような形で予算関連法案でずるずる後ろへ延ばさない。今我々は、国民に負託された議員としての責任を明快に果たしていく、そういう気持ちをお互いに持ちながら、この予算委員会、しかとした審議をしてもらいたい、このように思うわけでありまして、その予算成立をしましたら、二次補正に続いてこれまたスピード感を持って対応していってもらいたいと思います。  そこで、お願いかたがたお伺いするわけでありますけれども、今ほど申し上げたスピード感ということは、まさに国土交通省関係公共事業関係特化をするならば、何といっても徹底的な前倒しをしていく。そして、過去にも何例か事例がありますけれども、上半期でほとんどやっちゃうと。少なくとも、九割ぐらい前倒しをした過去の経緯もあると思いますけれども、そのことにつきまして是非強い意思を持って対応していっていただきたい。もう二次補正決まっていますからどんどん進めてもらうし、来年度予算も、四月一日もし成立したらそれから即座に対応していくということでお願いしたいと思いますけれども国土交通省としてはどのようなスケジュールをお考えなのか、その辺りのところをお聞かせをいただきたいと思います。
  8. 増田優一

    政府参考人増田優一君) お答え申し上げます。  御指摘のように、現在我が国は世界的な金融経済危機の中で大変景気が急速に悪化している状況でございます。大変各般にわたって厳しい状況であるということは先生指摘のとおりでございます。そういった中で、政府といたしましては、まずは平成二十年度の第一次補正予算と第二次補正予算に盛り込んだ公共事業等につきまして、これを効果的、効率的に執行するということが大事だというふうに考えております。可能な限り年度内に発注したいということで、早期発注に今取り組んでいるところでございまして、通常七週間程度掛かっております入札手続につきまして、何とか三週間程度に短縮するなど、そういった工夫もしながら、可能な限りの早期発注に取り組んでいるという状況でございます。  御指摘の二十一年度予算案公共事業予算関係でございますが、現下の経済情勢を踏まえますと切れ目のない執行是非とも必要であるというふうに認識をしておりまして、早期経済効果が発現するよう、この予算につきましても計画的、機動的な執行が必要であるというふうに考えておりまして、今後政府部内におきまして検討していきたいというふうに考えております。
  9. 山本順三

    山本順三君 是非、来年の予算早期発注について、先ほど半分ぐらいの日程で発注していくというような話もありましたけれども、これから大いに戦略立てていただいて、そして一日も早く景気対策効果が出るような、そういう体制を整えてもらいたいと思います。  それと、先般といいましょうか、三月十三日でありましたけれども総理から与党に対しまして追加経済対策準備をせよというような指示が出ました。補正予算ということではありませんけれども景気がどういうふうに変化していくか分からない、いざというときに最大体制が整うようなそういう準備をしろというような与党に対しての指示であったと、このように思います。  その中身を見ますと、基本方針として、大胆な発想でまずは掛かれと。それから、単年度ではなくて多年度、中長期的な視野を持って対応するようにしろと。そして、加えて、日本の国の未来成長力というものを強化するようなそういう方策を考えよと。こういうふうな指示が出たわけであります。  我が党におきましても、今ちょうど三時から党本部でも議論が行われておりますけれども、そういった将来の日本経済活力を取り戻すための方策というものを多岐の方面にわたっていろいろと議論して、いざという場合に準備をしようと、こんな状況であります。  例えば、今、学校耐震化のことをずっと二次補正、それから今年度予算も、皆さん方も大いに要望をされました。その学校耐震化だけにとどまらずに、公共施設耐震化というものも、これ将来の防災対策という観点からしっかりと考えていかなければならない。それから、学校耐震化に絡めて、そのときに一緒に太陽光発電学校全部にやろうじゃないか。あるいはまた、各住宅太陽光発電、もうドイツに抜かれたというような話もありますけれども日本のお家芸でありますから、そういったことをこの際進めていこう、グリーンニューディールというような、そんな話もございます。  それから、国際競争力を高めるということもこの際考えていかなければならないと思います。ハブ空港であるとかハブ港湾ということで、スーパー中枢港湾等々、あるいはまた成田や羽田空港拡充等々も行ってまいりましたけれども、残念ながら、周辺を見渡して本当にハブ空港として機能しておるのか、あるいはまたハブ港湾として機能をしておるのかといったときに、貿易立国日本としては誠にお寒い限りだなというふうに感じざるを得ない点もあります。  我々よく比喩で使うんでありますけれども、例えば私ども小さいころに教科書開けましたら、コンテナの扱い量世界トップテンの中に横浜港と神戸港が入る、それはもう当たり前のように思っておったわけでありますけれども、残念ながら今、トップ三十の中で二十位の後半に何とか一港か二港入るというようなこと、これで本当に貿易立国日本が保てていけるのだろうか、それを非常に心配をしております。  そういった意味では、中長期的な視点に立って、この際、国際競争力を高めるような施策も当然国土交通省の中で温めていかなければならない、このように思っておりますし、また卑近な例でいきますと、よく前の冬柴大臣がおっしゃっておりましたけれども日本全国で橋の補強をしなければならないところがたくさんあると。アメリカや他の地域でも橋が落ちてというようなことがありましたけれども、ちょうど維持管理という意味ではかなり大胆な予算をそれに付けていかなければならない、そういうことが我々の目の前にあるわけでございまして、そういったいろんな観点から次の追加経済対策というものをしっかりと温めること、国土交通省として、極めて大胆で、そしてまた前向きな成長戦略を描く青写真が当然必要になってこようかというふうに思います。  そして、そのことはもう今現在始まっていなければならない。もちろん、予算化できなかったら対応できませんが、こういう経済情勢であるがゆえに、国土交通省としては、国民生活の安定、景気回復のためにこれだけはやるんだという素案は、本当は今出せと言ったら出してもらうぐらいのそういうスピード感を持ってなければならないと思うんでありますが、きっとお持ちだろうと思います。  ただし、予算伴うことでありますから具体的な答えはお示ししにくいのかも分かりませんけれども、そういった短期的あるいは中長期的な成長戦略のための青写真、それを描くという、言わば国土交通省の抱負、心構え、そういった点についてお聞かせをいただければ有り難いと思います。
  10. 大口清一

    政府参考人大口清一君) お答え申し上げます。  委員指摘のとおり、総理与党に対しまして、今後の経済情勢の変化に対応するため何が必要かということに関して検討をするようにという指示が十三日に出されたということを承知しております。国土交通省としましても、先生おっしゃるように、未来成長力強化につながる、そうした大きな柱を打ち立てながら、これから重点的に様々な施策展開していく必要があろうかと思っております。  大きな柱立てとしまして、一つ基盤インフラを含みます国際競争力強化を図る分野、それからもう一つは、地域のいわゆる足腰を強くしながら自立あるいは活性化につながるような分野、それから三つ目は、地球環境時代とよく言われますけれども環境にも役立つ、そしてこれからの経済力強化にもつながるという、ある意味では両立を図れるような分野、こうしたものを重点的に取り組んでいきたいと、かように思っております。  具体的には、まず日本経済国際競争力強化ということを図る分野では、先生おっしゃるように、世界との玄関口である空港あるいは港湾、そしてそれらと都市を結ぶ鉄道あるいは道路、そうしたものの整備あるいは機能拡充、それから低コスト高効率な全国的な物流を図るシステム、そうしたものをしっかりとやっていく必要があるということが一点。  それから二つ目は、先ほど申し上げました地域足腰を強くするという観点からは、地域成長基盤整備につながるようなまさに防災、あるいは都市のいわゆる鉄道機能あるいはバスの接続機能、あるいは地域産業、人の育成にかかわるような地域経済活性化、あるいはさらには内需拡大にもつながるような観光の振興、それから地域生活基盤となるような安全対策、さらには地域活力創造のための拠点の整備、そうしたことを図りながら地域元気回復を図っていくということが二点目。  そして、三点目でございますが、先ほど環境とそれから経済両立と申し上げましたけれども、運輸それから住宅、それから建築物の部門、そうしたものの省エネ化あるいは新エネ化、そうしたものを図ることによって人と環境に優しい町づくり交通システム実現世界最高水準日本環境技術を更に一歩進めるような、そうした国際展開にも協力するような展開を図っていきたいと、かように思っております。  いずれにしましても、現在、経済財政諮問会議ともいろんなやり取りをしながら、また各省とも連携合力を図りながら、しっかりと地に足を付けながら取り組んでいきたいと、かように考えております。
  11. 山本順三

    山本順三君 非常に前向きの答弁であったと思うんでありますけれども、今の経済状況は尋常ではない経済状況である、まずこれが第一番の前提条件だと思うんですね。したがって、今ほどの国土交通行政、その知恵を結集した恐らく答弁だと思いますけれども、それが直接景気回復につながっていくような、そして、その景気回復というのが将来の日本の国の在り方というものを議論するときに非常に重要なポイントになるような、そういう流れをスピード感を持って築き上げてもらいたい。だから、いずれそう遠くない将来に私は追加経済対策はやはりやらなければならないときが来ると思うんです。そのときに即座に出せるような、そういう体制をきっちり整えておいてもらいたい、そのことを要望しておきたいと思います。  それから、もう一点でありますけれども、これは国の直轄事業でありますけれども、この負担金の話について若干触れさせていただきたい、このように思います。  最近新聞等々を見ましても、地方が反旗を翻したとか非常にセンセーショナルな報道が出ておりまして、二月の二十日でありますけれども大阪府知事橋下府知事国土交通省に来られて金子大臣と激しいバトルを繰り返したというような報道にも接しました。  橋下知事お話によると、地方は国の言いなりに請求書どおりに払っておる、財源は府民の税金だ、こんなこと許されないというところから始まりまして、国と地方はまさに奴隷制度だと、そして奴隷の解放をしてもらいたいと、こんな、極論だろうとは思いますけれども。それでも、地方が非常に財政に逼迫しておる状況の中で何とかしてもらいたいという気持ちは私どもも理解できるというふうに思っております。このことに対して金子大臣財政負担平準化を図る必要があるというふうなお話をされたということは、何らかの脈があるのかなというふうに私どもは感じております。  実際、地方財政状況が非常に厳しいがゆえに、まさに国の直轄事業、あれもやりたいんだこれもやりたいんだ、ところがその負担ができない、できないから事業に手を挙げることができないというところがたくさんあるんです。これは現実にあります。そして、結果、負担ができるところに国土交通省直轄事業が徐々に集中をしていくということもあり得るやに思っております。  そういった中で、今後景気対策の一環として今ほどの追加事業をどんどん打っていくといったときに、これ地方協力が得られなかったらこれも前向いて進まないということもありますし、地方財政状況も限界に近づいておるというとき、この国直轄事業負担金というものについて少しやはり考えていかなければならないんだろうと。今日の新聞にも、国土交通省がそのことについて前向きに考える。ただし、一つ考えておかなければならないことは、負担金をゼロにするということになった場合に、まさに激烈な陳情合戦が始まってしまうということは確かにあると思います。あるいは事業量がその負担分少なくなってしまう、減少してしまうというような嫌いも出てくるかも分からない。そういうデメリットもあるのかもしれないけれども、さはさりながら、現実の地方財政状況はそれを超える厳しさがある、その対応をやはり打っていかなければならない、こんなに思っておるところでございます。  そういった観点から、今後、国直轄事業負担金についてどのようにお考えか、さらに、この話を進めていくと恐らくや地方分権ということにつながっていく、国直轄事業をどんどん減らして地方が分権していただく中でこういうふうにしていくんだという流れが出てくるというふうに私ども推測するんですけれども、そんなところも踏まえながら、今後の国土交通省の対応、どのようにされるのか、基本的な見解をお聞かせいただきたいと思います。
  12. 加納時男

    ○副大臣加納時男君) 先生指摘のとおり、直轄事業は元々が国家的見地から行われるものでありますけれども、その受益が地方にはっきりと出てまいりますので、費用の一部について法令に基づき受益者たる地方公共団体に相応の負担を求めてきたというのが経過であると、先生御存じのとおりの経過でございますが、これ、また今、山本先生指摘なさったように地方財政が非常に厳しいと、これは私ども地方、私は全国選出の議員でございますので全国四十七都道府県を何回も回っておりますけれども地方財政が非常に厳しいことは十分理解しております。そういった中でどのように考えていくのか。いろんな意見があると、そしてまた中には激しい御意見もあるということも承っているところでございます。  去る二月十六日に金子大臣と全国知事会の麻生会長との会談がございました。そこでは、麻生会長から金子大臣に対して、直轄事業負担金に関する協議の場を設けてもらいたいというお申出がございました。金子大臣は、これを受けまして、現在、省内で課題を整理している最中でございます。その上で全国知事会とどのように意見交換をしていくのか、御相談をしていくということでございます。  今先生がおっしゃったとおり、いろんな問題がございます。地方分権の在り方についても当然絡んでくる問題だと私どもは考えております。問題は、この意見交換の場をどうやって設定するかというのは正直に言いまして非常に大変でございまして、関係する方々に、お時間が今非常に詰まっちゃっている段階の中で、この中で何としても早く場を設定したいということで希望しておりまして、今いろいろ調整しているんですが、三月から四月ということで関係者、関係の知事さん始め関係者が確実に出席できる日程というものを何とかして早く調整しようというので、今毎日苦しんでいるというのが本当のところでございます。問題意識は先生と共有でございます。
  13. 山本順三

    山本順三君 私も県会議員からこういう立場になって、地元の県議ともいろいろ話す機会が多いんですけれども、本当にもうどうにもならない状態だというぐらいの地方財政であることは間違いない。かといって、赤字国債、赤字県債を発行するということは許されないとなってくると、もう職員の給与はカットするわ、もちろん県議会議員あるいはまた県の幹部等々も給与カットするわ、もういろんなことを今やっている最中でありますから、今この麻生政権になって、地方交付税一兆円という話から始まって様々な二次補正での交付金等々もありました。少し地方に光が見え出したという、そんな気持ちには徐々に変わってきつつある、潮目は変わりつつあると思いますから、この際、地方がこれから活力を求めて活動できるような動線というものを国土交通省にしっかり敷いてもらえたら有り難いと思いますので、そのことをくれぐれもお願いしたいと思います。  それから、道路問題に入りたいと思います。  道路問題の中で、後ほど法案で出てきますけれども、特定財源の一般財源化ということであります。そのことについてはもう決まったことでありますけれども、我々地方に住む人間としてはやはり必要な道路がまだまだたくさんある、何としても整備をしていきたいという気持ちは非常に強いものがあります。  一般財源化でどうなるんだろうというふうに心配をしておるわけでございますけれども、その中で例の地域活力基盤創造交付金、これが一兆円で、そのうちの六百億が社会保障の方に回りましたから九千四百億、恐らくや道路整備で八千億の関連インフラ、ソフト事業で一千四百億、こういうことでこれから具体的にいろいろと提案されていくんだろうと、このように思っております。是非地方としっかりと協議をされる中でやるべきことをしっかりとやっていくというような対策を打っていただきますように、これは要望にとどめたいと思います。  そこで、今ほどの真に必要な道路ということであります。無駄を排除しなければならない。先般、鳥取へ、委員長の地元でありますけれども、視察に参りました。ぶつ切れ道路だらけであります。これは一体どうなんだと、陸の孤島というような表現まで地元の知事さんやその他もろもろの皆さん方から出てまいりました。やはり、国土の均衡ある発展ということを勘案したときに、やるべきことはやらなければならない、そのために私どももしっかりと対応していかなければならない、このように思っておるところでありますが。  先般、自民党本部で講演がありまして、東京大学の准教授でありますけれども日本国際ムダどり学会の会長、ムダどりというのは無駄を取るという意味でありますけれども、会長といいながら、この会員が一人なのか二人なのか、それはよく分かりませんけれども、西成教授というのがいらっしゃいました。  そこで非常に私どもも考えさせられることがあったんでありますけれども、一体全体、無駄とは何なんだという定義を皆さんちゃんとしっかり理解していますかと。無駄とは何だということを判断した上で、無駄撲滅というような、あるいは無駄の排除というような議論をしていかなければならない。そうしたら、じゃ無駄とは何ですかというふうに聞きましたら、これが、無駄とは、ある目的をある期間で達成しようとするとき、最適な若しくは予想上のインプットとアウトプットの差益よりも実際の益を低くしてしまう要因。まあ分かったような分からないような話でありますが、ポイントは二つあります。  要は、その事業の目的は何なんだ、そしてそれをどういう期間で仕上げるんだと。目的と期間ということを明確にした上で無駄というものを判断していかなければならない。ということは、短期的な視野に立った無駄が長期的には無駄ではないということは十二分にあり得る。そのことを踏まえた上で、真に必要な道路とは何なんだということを我々もしっかり判断していかなければならない、こういうふうに改めて感じました。  そこで、BバイCの話でありますけれども、BバイC、日本の国では三要素、時間の短縮、経費減少、交通事故の減少と、この三つでBバイCを算出をしておるわけでありますけれども、諸外国ではもっともっとたくさんの要因を込めて、そしてBバイCを測っています。  ところが、私ども、つくづく思うのでありますけれども、そのBバイCの数値に我々が振り回されてはならない。今ほど申し上げた目的と期間というものをしっかりと見据えて、その中でこれは必要な道路、これは不必要な道路ということを仕分をするのは非常に難しいんですけれども、それをやらないといけないとつくづくと感じています。特に、昨今よく言われておりますけれども、命を守る道路、いわゆる救急医療施設への到着時間がどれだけ短縮されるか、これは本当に大きな大きな問題ですよね。そのことがBバイCに反映されていないということ自体が私は大きな問題だと思っている。多分、国土交通省もそこらは今しっかりと議論がなされておると思います。  加えて、観光の振興、ビジット・ジャパン、ようこそジャパンで一千万人の外国人観光客を誘致しようと。今の観光客は東京、京都だけにとどまらずに、いわゆるその他の地方にも行って日本地方の良さを知りたいと。が、行こうとしても、残念ながら交通手段に恵まれていない、だから結果的に行けない、そういう場面が多々あるやに伺っております。  そういった意味におきまして、観光振興、あるいはまた企業立地もそれで当然行われる、これはもう皆さんがよく言われていることでありますし、災害用の代替道路にもなることが十分に考えられると。私どももそれを平成十六年の台風時に経験いたしましたけれども、そういった様々な観点からBバイCを考えていく必要がある。目の前の無駄だけに気を取られて本質を見誤ることのないような、そういうBバイCの評価基準ということを明確にしていかなければならない、このように思っておりますけれども、そのことに対してのお考えをお聞かせいただきたい。  もう一点、この場で大江議員の方から金子大臣に、一以下は造らないのかというような話があった。それに対して、一に近づけるように努力するという答えがあった。これはそのとおりであろうと思うし、そのためにBバイCの評価基準変えるんだろうと思いますけれども、ただ、間違ってはいけないことは、今ほど言った、ある目的のためにある期間を掛けて道路を造るという、そういうふうな言わば本質的な議論の中でこの道路が必要であるというふうに決まるならば、今測った数字が〇・九であれ〇・八であれ、やっぱり造らなければならない道路は造らなければならない、この点は明確にしていかなければならない。BバイCの数字が一以下だから造れないということでは私はあってはならない、このように思っておりますので、その辺りも含めてお聞かせをいただければ有り難いと思います。
  14. 金井道夫

    政府参考人金井道夫君) 先生指摘のとおり、今我が国のBバイC、費用便益のはじき方は、いわゆる確実にはじけるという趣旨から、先生指摘の三便益、特に時間短縮を中心とした便益を中心にして算出をさせていただいております。  いろんな首長さん方から、今の事業評価は非常に過小評価ではないか、御指摘いただきましたとおり、命の道であるとか広域観光であるとか防災であるとか企業立地、こういったものが全く入っていないという強い御批判をいただいております。それから、諸外国の事業評価を見ましても、定量的か定性的かは別としまして、いろんな要素を取り込んだ評価が一般的になっておるということでございます。  そのようなことから、専門家のいろいろ意見もいただいておりますが、各自治体からも今いろいろ御提案をいただいておりまして、先ほど申し上げましたような便益について、こうやってはじけばいいではないかという提案をたくさんいただきました。逆に、専門家からは少し、全部同時にカウントすると二重カウントになるのではないかという御指摘もいただいております。  そのようなことから、いろいろな御提案をいただきましたので、それを是非試行させていただいて、いろんな考え方に基づいてそういった総合的な効果、総合的にはじけるように一生懸命努力をしたいと思っておりまして、専門家の御意見も踏まえながら、いろいろ前に進みたいというふうに考えております。  なお、BバイCが一を割ったらどうなるかというのは、そのBの中にどこまでの便益が入っているかということによって考え方が違うと思いますが、基本的には、BバイC、一割れば当然コスト縮減等に取り組むということもあると思いますし、先ほどの首長さんの御意見のように、合理的にBをいろんな、例えば命の道とかそういった便益がはじけるんであれば、そういったものもうまく取り入れさせていただいて、総合的にはじく道も検討させていただければなというふうに考えておるところでございます。
  15. 山本順三

    山本順三君 BバイCの一以下云々ということについては、やはりそれぞれ考え方もあるんだろうと思いますけれども、私が申し上げたいのは、数字に振り回されるべきではないということであります。その点をくれぐれも金子大臣にお伝えをいただきますようにお願いしたいと思います。  それから、もう時間が迫ってまいりましたので若干飛ばしまして、高速道路料金の引下げに絡んで何点か質問をしたいと思います。  おかげさまで私ども、本四架橋については三月二十日から休日通行料千円、そしてまた平日も三割引き、加えて通勤時間帯に五割引きというのは非常に、地元の島民にとっては生活道路でありますから、効いてきます。そういった意味では大変有り難く思っておりますし、また三月二十八日から高速道路地方道が割引になる。このことによってかなりの経済効果も出てくるというふうに思っております。それが景気対策の一助になればというふうに大いに期待するところであります。国土交通省の英断に私は敬意を表したいと思っています。  ただ、高速道路の料金を引き下げるということについて、負の効果も出てくるというのは御案内のとおりで、先般の委員会でも広田議員の方からお話がありましたけれども、旅客船とかあるいは内航船に対しては、これはかなり大きな影響が出そうであります。  私も瀬戸内に住んでいる人間でありますから、いろいろとつらいことを聞かされます。恐らく二〇から三〇%は減収になるんじゃないだろうか、一方的な政策で死ねと言われても納得いかない、当事者の自助努力の限界を超えるものだというような、もう本当に悲痛な叫び声が私どもの耳に入ってまいります。何としてもこれは海上輸送存続に向けて公的支援をしながら、その政策の公平性というものを図っていかなければならない。この公平性というのは非常に大事なんですね。いいと思ってやったんだけれども、結果的にこちらがマイナスになった、それを切り捨てるわけにはいかないという強いまず意思を持つことが肝心だろうと、このように思います。  私の地元の今治—竹原フェリー、中四フェリーと呼んでいますけれども、これ四月末でもう廃止をすることになりました。それから、ダイヤモンドフェリーというのが今治、私、今治なんでありますけれども、寄港しておりましたが、それも四月から寄港しないことになりました。そして、今治と前の大島というところをつないでいる、これは生活航路でありますけれども、この今治—大島フェリーもまさに存続の危機にあえいでおる。こういう状況でありますから、是非国土交通省におかれましては何らかの対応策を取ってもらいたい。  そして、海運関係皆さん方からは各所に本当に要望が届いているんだろうと思います。私のところへも参りました。入港料とかあるいは岸壁使用料、これ何とかしてもらいたい、大幅値下げ、あるいはもう無料化してもらいたいというような声もたくさん耳に入ってまいりますし、あるいは航路事業活性化のための様々な施策だったり、あるいは減税措置であったり、そしてまた、どうしようもない場合に船員の離職対策というものをどういうふうにしていくか、こんなことも含めてどんどんと要望が来ております。モーダルシフトをしっかり促進してもらいたいという、言わば長期的なそういう御要望も来ております。  いろんな分野で悲鳴が上がっているわけでありますけれども、その点についての対策、これは港湾とそれから海事局と両方に絡んでおると思いますから、それを総括して岡田務官からお答えいただきたいと思います。
  16. 岡田直樹

    大臣政務官岡田直樹君) 高速料金引下げがもたらす他の交通機関の影響でございますけれども、輸送距離とかあるいは利用者の心理などいろんな要素が入ってくるために、あらかじめこれを精密に予測することはなかなか難しいと考えております。  しかしながら、御指摘のとおり、内航フェリー等は比較的早期に影響が出るのではないか。私、事業者の方々の新年会にも出席をいたしましたけれども、そういう非常に厳しい懸念の声を多く聞きました。昨年、燃油高で大変御苦労をされまして、先ほど山本先生からもお話がありましたとおり、減便や路線の廃止を余儀なくされた業者さんもあるわけでございます。  二十年度の第一次補正で四十億円、これはスーパーエコシップの建造、あるいは既存の船の省エネ改造、こういったことに予算を付けまして、また第二次補正でも運航コスト削減の取組に四億円の措置をしてございます。  これからも知恵を出して、短期的なものあるいは長期的なもの、この内航フェリーの業界の存続、そして発展に向けて我々として一生懸命御支援を申し上げていきたいと思っております。
  17. 山本順三

    山本順三君 是非お願いしたいと思います。  港湾局におかれても、あるいはまた海事局におかれても、かなり前向きに検討していただいておるというようなお話が若干耳に入ってきておりますけれども、本当に厳しいですから、そういった意味では是非御支援方くれぐれもよろしくお願い申し上げたいと思います。  最後に、要望だけしておきます。  休日ならばどこまで行っても一律千円という、そういう前向きの宣伝が若干効き過ぎたのかなというそんな感じがするのでありますけれども、例えば、地方部は上限千円だけれども、首都高、阪神高速あるいは大都市近郊についてはそうではないということを分かっていらっしゃる方が割合少ない。千円出したらどこまででも行けるんだというようなイメージが定着しているような気がします。  それから、料金徴収システムの改修遅れということでありましょう。例えば、三月の二十八日から休日千円が始まるわけでありますけれども、約一か月間その調整ができないものだから、例えば仙台から静岡へ行くのに二千九百五十円で行けるところが、三千九百五十円、千円高めに一か月間は払わなければならないというような記事が出ておりました。  私ども、しまなみ海道もそうでありまして、他の二つの橋は高速と直結していますからそういう問題は起こらないのでありますけれども、我々の方は愛媛も広島共々に高速と直結をしていないところがありますから、そうなってくると、四月二十九日以降はしっかりした形になりますけれども、それまでの間は二千円で済むところが三千円掛かる、不公平じゃないかというような声が聞こえてきたり、またマスコミでその活字が躍ったりもしています。それから、銀座から名古屋まで行くのに割引が余り複雑過ぎて、何と十八通りの割引のパターンがある。それをどう選んでいくかというのもドライブの楽しみだという声もあるやには聞いておりますけれども、そうはいかないわけでありまして、より明快な政策というのが必要になってくるんではないかと、こういうふうに思っています。  そういった意味では、喜びも中くらいなりというようなことになったんでは、せっかく二年間で五千億掛けるというその効果が若干そがれてしまう、そのことを私、大変心配をいたしております。ですから、しっかりとした形で周知徹底をしていくということと、もう一つは、まさに一日でも早い方がいいといえばいいのでありますけれども、今言ったようないろんな料金徴収システムの改修が遅れたということによって混乱を巻き起こすような政策は、私は余りよろしき政策ではないんだろうと思うんです。  国土交通省の努力は多とするんでありますけれども、その結果がこうなるというのは若干残念だなというふうに思いますので、是非、一刻も早くこの案件について国民の理解が得られるような、そしてこの制度が、二年、五千億でありますけれども、その後どうするんだという声も聞こえてきますから、そのことについてもしっかり考えていくという、そういうお気持ちを持って国土交通行政を進めていただきますようにお願いして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  18. 鰐淵洋子

    ○鰐淵洋子君 公明党の鰐淵洋子でございます。よろしくお願いいたします。  今、山本委員の方からも公共工事の前倒しということで御質問ございましたが、ちょっと重なる点もございますが、私の方からもまずこの点につきまして質問をさせていただきたいと思っております。  前回の委員会で私の方からも、この厳しい経済・雇用情勢の中、これを乗り越えるためにできる限りのことを迅速に実施することが重要であるということで、例えばこの二次補正予算関連の直轄工事について速やかに発注できるように、そういった対応、仕組みを検討していただいて実施をしていただきたいということで要望、質問させていただきました。それに対しまして大臣の方からも、手続をなるべく簡素化し、去年の倍ぐらいの発注量を年度内に発注できるよう努力したい、こういった答弁をいただきました。  その後、この年度内の契約の見通しを、改めてそれ以降の見通しをお伺いしたいと思います。
  19. 関克己

    政府参考人(関克己君) お答え申し上げます。  先生指摘平成二十年度第二次補正予算にかかわります早期発注年度内発注に向けた取組でございますが、国土交通省におきましては、平成二十年度の二次補正予算にかかわります工事を早期に発注することで、その効果地域経済や雇用へ速やかに発揮されることが重要と認識しております。このため、入札手続に要する期間を、従来ですと七週間程度掛かっていたものを三週間程度に短縮する等の早期発注に向けた取組について、地方整備局等に周知徹底をしたところでございます。  この結果でございますが、第二次補正予算にかかわります工事発注の件数でございますが、現在約三百四十件、これは全体の四割に当たる数字でございますが、この工事につきまして入札手続を三週間程度に短縮する、こういった方法の活用を進めております。こういった点を通じまして、可能な限りの早期発注に取り組んでいるところであります。  国土交通省といたしましては、補正予算年度内発注につきまして最大限の努力をしてまいりたいと考えているところでございます。
  20. 鰐淵洋子

    ○鰐淵洋子君 ありがとうございました。  年度内の契約ということで更に努力をしていただきたいと思いますが、同じくこの二十一年度の本予算におきましても、まずは予算案関連法案を早期成立をさせていただきまして、最大限努力をして、この予算執行前倒しをするということで、これも私も大変重要なことだと思っております。  この件につきましては、参議院予算委員会におきまして、我が党の木庭議員の方からも麻生総理の方に質問させていただきました。麻生総理からも、いろいろ難しい課題もあるが、前倒しということで検討していかなければいけないと思うということで、こういった趣旨の答弁もあったわけでございますが、国交省といたしましても、この二十一年度の本予算におきまして、直轄工事、これをやっぱり、先ほどもお伺いしましたが、この二次補正の関連の対応と同じように様々手続等を簡素化する中で、これもやはり上半期にどこまでやるのか、それぐらいまで具体的に目標を決めて前倒しにしっかりと取り組んでいただきたいと思っております。  この本予算に対する対応も改めてお伺いしたいと思います。
  21. 加納時男

    ○副大臣加納時男君) 二十一年度予算についての取組についてお尋ねがございました。  今私どもの技術審議官の方から、平成二十年度の一次補正、二次補正に盛り込んだ公共事業等効果的、効率的な執行ということで、補正予算を一刻も早く執行するために入札手続を短縮したということを今申し上げました。普通七週間程度を三週間程度にしたと。  お尋ねの平成二十一年度の本予算でございますけれども、今、鰐淵委員から上半期に極力前倒しするなど工夫するようにということがございました。全く同じ思いでございまして、現下の経済情勢を踏まえまして、早期経済効果が発現するように計画的、機動的な執行に努めていくことが重要と考えております。そういう意味では、関連法案等につきましても一刻も早い成立をお願い申し上げたいところでございます。
  22. 鰐淵洋子

    ○鰐淵洋子君 今副大臣の方からもお話ございました。まずは私たちのやるべきことということで、来年度の本予算予算案又は関連法案の成立ということで、この点につきましても、先ほどもお話ありましたが、しっかり与野党力を合わせて全力で頑張らせていただきたいと思っておりますが、それ以降の執行ということで、是非とも補正予算と併せまして、来年度の本予算、この早期執行ということで更に努力をお願いしたいと思っております。よろしくお願いしたいと思います。  続きまして、今も経済景気対策というお話もございました。さらに、雇用の維持、創出という観点から具体的にどういったことができるのかということで、具体的に提案もしながら質問もさせていただきたいと思いますが、これも先ほど少しお話も出ておりました。  例えばということで、首都高や、あと橋梁、また下水道、直轄河川、社会資本ストック、こういったものを総点検をして、それぞれ緊急的な維持修繕工事、こういったことを実施していくことも重要ではないかと思っております。こういったものは、安心、安全のまちづくり、社会づくりという観点から、いずれ実施しなければいけないことでもありますし、そういった意味でも、これは早急に対応していく課題ではないかと思っております。  雇用の維持、創出、また景気経済対策という観点から、社会資本ストックの総点検、維持修理ですね、修繕工事につきましてどのような御見解をお持ちか、お伺いしたいと思います。
  23. 加納時男

    ○副大臣加納時男君) 社会資本ストックの総点検、維持が大事だと、どのように考えるかというお尋ねでございます。全く同感でございます。  先ほどもこれ、山本先生の御質問の中にあったと思いましたけれども、アメリカにおいても社会的なインフラ、特に道路ですとか橋梁のメンテナンスが非常に悪かったために、大きな落下事故が起きたり人命が失われております。あれはアメリカの話で、日本は別よということではございません。日本も、かつて高度成長期等に大量に造ってまいりました道路、河川、下水道、港湾等の社会資本でございますけれども、これから二十年ぐらいたちますと、建設後五十年以上を経過する割合が大変多くなってきます。ちょっと事務局に試算してもらったんですけれども、それで見ますと、例えば道路と橋と書いて道路橋とも言っておりますけれども道路橋については、平成三十八年度には約五〇%のものが建設後五十年という大変に老朽化してくるものでございます。古くなるから手が打てないというんじゃなくて、これも前もってきちんと点検をし、補修をしていくと。つまり、事後の手当てじゃなくて事前の予防、こういうことによって寿命が長もちする、高寿命化ということができると思います。  この社会資本全体の老朽化については、建設も非常に華やかなんですけれども、地味ではあるけれども大事なのが点検、維持補修というのはまさに鰐淵先生指摘のとおりでありまして、それを強く意識しながら私どもは対策を取ってまいりたいと思っているところでございます。  元々、社会資本整備は、国民生活の安全、安心の確保など重要な役割を持つとともに、これまた御指摘がありました地域の雇用の拡大が図られるという大きな効果があります。アメリカのグリーンニューディールというので一生懸命読んで、太陽と何だか風力だけやっているのかと思って読んだら、全然違いまして、一番肝心な予算、すぐ付ける予算はインフラであります。インフラも、建設もありますけれども、同時に整備もしっかり入っておりまして、これによって数十万の雇用を生み出すというふうにオバマさんの演説それから予算書見たら載っておりましたので、非常に今先生の御指摘とアメリカと、オバマさんと共通しているかなというふうに思いながら質問を伺っていたところでございます。  そこで、新規整備とともに維持管理を戦略的に進めていくということが我が省としましては非常に重要だと思っているところでございます。例えば、道路橋については、本年度の第二次補正予算から、点検に係る費用を新たに国庫補助の対象としたところであります。機動的かつ重点的に維持管理の対策を実施していく所存でございます。
  24. 鰐淵洋子

    ○鰐淵洋子君 ありがとうございました。  今副大臣の方から橋梁、道路の老朽化が進んでいるというそういった御指摘もございましたけれども、私の方からは、河川の管理施設の老朽化もこれ一つの大きな課題としてあるかと思いますので、この点について具体的にまず伺っていきたいと思います。衆議院の方では首都圏の下水道が一つ課題として挙げられたと伺っておりますが、よろしくお願いしたいと思います。  河川管理の状況なんですけれども、まず、水門、排水ポンプなどのこういった河川管理施設、これが一体どれぐらいあるのか、またどれぐらい老朽化が進んでいるのかということで、まず現状をお伺いをしたいと思います。
  25. 甲村謙友

    政府参考人(甲村謙友君) お答えいたします。  水門や排水ポンプなど国が管理する河川管理施設の多くは昭和四十年代後半から多く建設されておりまして、平成二十年三月末時点の施設は八千五十六施設となっております。  こういう施設、古くなりますと、毎年の維持管理費、さらには修繕費が多く掛かるようになってまいります。そういう意味で、保全コスト効率から見ますと、大体四十年で更新するのが一番効率的とされておりまして、平成二十年三月末時点で設置後四十年以上経過施設は、先ほどの八千五十六施設のうちの千八百七十施設、約二三%でございますが、これが更に十年たちますと、その施設が三千八百八十七施設ということで、全体の先ほどの八千五十六の約五割に達するような状況と想定しております。
  26. 鰐淵洋子

    ○鰐淵洋子君 ありがとうございました。  こちらの河川管理施設におきましても今御報告いただいたように大変に老朽化が進んでいるということで、これも大変に大きな課題になるかと思います。一方で、最近、温暖化の影響とも思いますけれども、ここ近年、台風、大雨、また一度に降る降水量が大変に増えているということで、こういった問題もあるわけでございます。  昨年は、台風は上陸は割と少なかったと思うんですけれども、ゲリラ豪雨と言われるような、本当に集中的に今まで考えられないような雨が降るということで、これで大変に大きな被害が出た地域もございました。東京も、八王子や町田市の方でもこういった被害もありまして、八王子の方は浅川という川がございますので、ここの川が水位が上がって床下浸水と。  ここまで東京でもこういった被害が出ている地域もございまして、河川管理施設が老朽化が進んでいるということと、最近の温暖化による降水量が増えている、台風、大雨が増えているという、こういった様々課題を抱える中で、やはり河川管理施設、これを更に、先ほどからお話し申し上げておりますが、しっかりと点検をしていただいて維持管理をしていただくということが大変に重要になってくるのではないかと思っております。  データから見ても降水量が増えているということで、時間の関係でちょっと省かせていただきたいと思いますが、ここ最近降水量も大変に増えているということで、そういった意味からも、老朽化が進んでいるということと降水量が増えている、こういった観点からも、是非こういった河川管理施設、これを計画的に維持管理をしていくということで、是非とも取り組んでいただきたいと思っております。  これは、直轄河川と都道府県管理河川とそれぞれございますので、それぞれこういった課題を抱える中で緊急的にどういった維持管理体制を組んでいかれるのか、具体的に直轄河川と都道府県管理の河川、この二点、お伺いをしたいと思います。
  27. 甲村謙友

    政府参考人(甲村謙友君) お答え申し上げます。  洪水災害による被害を軽減させ、国民の安全で安心できる暮らしを実現するためには、新しく計画的に堤防整備など治水施設を行うということと併せまして、既にでき上がっております河川あるいは河川管理施設の状態等を適切に維持管理して、いざ洪水が起きたときに効果を発揮させる必要がございます。  そのために、まず直轄河川についてでございますけれども、水門、ゲート等の老朽化の状況を踏まえまして、直轄河川については平成二十年四月に、河川用ゲート設備点検・整備・更新検討マニュアル案及び河川ポンプ設備点検・整備・更新検討マニュアル案を策定いたしまして、これらに基づきまして施設の設置条件等に応じた長寿命化対策及び最適な更新設備の取組を行っているところでございます。  さらに、都道府県が管理する河川管理施設におきましても、新たに平成二十一年度から、長寿命化計画の策定経費やこれに基づく保全対策等の補助制度を設けたところでございます。  また、こういう河川管理施設以外にも、河川に土砂が堆積している、あるいは河川に樹木が繁茂しているというようなことで、洪水時に降水が流れる阻害になるというケースが間々ございます。直轄河川については、計画的に堆積土砂の掘削、樹木伐採を行っておりますし、補助河川につきましても、平成二十一年度から、緊急的に治水安全度を向上させるための河道掘削等に対する経費の補助制度を設けているところでございます。
  28. 鰐淵洋子

    ○鰐淵洋子君 ありがとうございました。  安全、安心、こういった水害被害があったときに最小限度に被害を抑えるための対応ということで重要でもありますし、あと先ほどから申し上げております地域活性化、また雇用の創出という観点からもやるべき課題であると思いますので、是非ともこういった河川の管理施設の維持管理ということで更に進めていただきたいとも思っております。  これも、先日私も島根、鳥取に視察に行かせていただきまして、斐伊川の治水対策されておりました。やはりこれも大変に重要な課題で、地元の皆さんも最優先課題ということで取り組まれておりまして、是非とも、特に地域の方はそういった御自覚というか、思いは持っていらっしゃると思いますので、先ほどお話ありました二十一年度の都道府県の直轄河川においての対応は、是非周知徹底も都道府県の方にもしていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  続きまして、今社会資本ストックの維持管理体制ということでちょっとお話もさせていただきましたが、雇用の維持、創出という観点で今質問させていただいたんですが、次は社会資本ストックをどのように維持管理していくのかという、ここの部分の課題について少し質問させていただきたいと思っております。  これも前回の委員会道路や橋梁の維持管理にどのように取り組むのかということで道路局長の方に質問させていただきました。その中で、非破壊検査ということで紹介もさせていただいたわけですけれども、これはコンクリートや鉄筋などを破壊しないで内部のひびやさびを見付けることができるというそういった検査でございますけれども、これにつきまして、平成十七年に、国土交通省におかれましては、非破壊試験を用いたコンクリート構造物の品質管理手法の試行、これを実施するということで発表されております。  その後、様々検証もされているかと思いますけれども、この本格運用の見通しがどのようになっているのか、お伺いをしたいと思います。
  29. 関克己

    政府参考人(関克己君) お答え申し上げます。  非破壊試験を用いたコンクリート構造物の品質管理手法について御質問ございました。  先生お話しいただきましたように、河川施設あるいは道路構造物などの土木構造物は、目視、目で見るだけでは施工中の品質管理や供用後の劣化状況の把握が困難な部分がございます。適切にそれらの管理を行うための手段として、構造物を壊さずに、破壊せずに検査できるいわゆる非破壊検査技術というものは極めて有用なもの、有効なものと認識しているところでございます。  先生指摘の非破壊試験を用いたコンクリート構造物の品質管理手法につきましては、測定方法、測り方、あるいは精度、測った後の正確さと、こういったもの、あるいは機器の普及状況等について確認するために、平成十七年度から、橋梁それからボックスカルバートに限定して試行を行ってきたところであります。  試行の結果でございますが、この有用性が確認されたことから、平成二十一年度から、国土交通省発注工事の施工管理上の基準である、土木工事施工管理基準と申しますが、これに位置付けまして、標準的な技術として今後採用していくということとしているところでございます。  なお、橋梁及びボックスカルバート以外のコンクリート構造物やその他の土木構造物に関します非破壊検査技術につきましては、まだまだ技術開発の余地が残ってございます。今後の技術開発の状況を把握し、その有効性を確認した上で、順次標準化を図ってまいる所存でございます。
  30. 鰐淵洋子

    ○鰐淵洋子君 ありがとうございました。  先ほど来申し上げておりますが、社会資本ストックの老朽化が様々進んでいる中で、国民の皆様の安全、安心な生活を守るためにも直結した重要な課題であるかと思っておりますので、社会資本ストックをどのように効率的に維持管理をしていくのかという、そういった体制づくりを今急がなければいけないのではないかと思っております。  平成十七年に公共工事品質管理法、これが制定されておりますけれども、次のテーマとしては、社会資本ストックの品質を管理する、そういった法整備が次の課題として必要になってくるのではないかと思っております。例えば橋梁、いつどのような検査又は補整、補修工事をしていけばいいのかとか、また、いつどのような検査をしていけば一番効率的な対応ができるのかということとか、あと、先ほども非破壊検査のお話もございましたけれども、こういった技術の開発もそうですし、人材育成、こういったことも点検をしていただき、また補修工事をしていただく中でこの人材育成もまた大きな課題になってまいりますので、こういった社会資本ストックを総合的に維持管理していくための体制づくり、これを是非とも早急に私は取り組む必要があると思っておりますが、この点につきまして御見解をお伺いをしたいと思います。
  31. 加納時男

    ○副大臣加納時男君) 社会資本の維持管理を効率的にやっていくべきであるという委員の御指摘はそのとおりだと思っております。特に社会資本全体の老朽化が進んでおりますので、これについてはどのように取り組んでいくのか。  考え方としまして、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、何かトラブルが起きてから、あるいは傷が拡大してから、後どう補修するのかという事後的な管理ではなくて、早期に損傷を発見したり、事故や大規模な修繕に至る前に対策を行うことは、これは予防保全的な管理と言えると思いますけれども、これに転換していく方が実は効率もいいし、社会の安全、安心にもつながると思っております。これは、我々は戦略的な維持管理ともいうべきものとして重視してまいりたいと思っております。その強化に当たりましては、大切なことが幾つもございます。予算の確保、技術開発の促進、そして点検等に関する技術者の確保を図る必要があると思っております。  さて、具体的に尋ねられておりますので申し上げますが、道路、河川、下水道、港湾等の長寿命化計画を策定するに当たって、必要な予算地方公共団体に補助する制度というのは重要だと思います。これは実施に入っております。平成十九年度以降でありますが、道路橋からスタートしまして、港湾、下水道、そして河川というふうに毎年展開をしてきているものであります。構造物の劣化予測やその点検方法に関する技術開発、あるいは点検等に関する専門技術者の養成など具体的な対策を実施しまして、戦略的な維持管理に関する体制整備に努めてまいりたいと思っております。
  32. 鰐淵洋子

    ○鰐淵洋子君 ありがとうございました。  繰り返しになりますけれども、老朽化が進む中で社会資本ストック、これを効率的に維持管理をしていくための様々、法整備も含めてこういった体制づくりが重要になってくるかと思いますので、私もしっかり勉強して取り組んでいきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  続きまして、観光施策について伺ってまいりたいと思いますが、二〇二〇年までに訪日外国人観光客二千万人という目標がございます。これまで着実に訪日外国人の観光客伸びてきておりましたが、ここに来まして、世界同時不況の影響もありまして、昨年の八月より減少し始めております。これまで最も多かった韓国は、昨年の一月に比べて本年の一月は半分に減ってしまったということでございますが、それに対して中国、中国からの観光客は、昨年の一月と比べて本年の一月は三一・四%増加をしたと伺っております。今後、香港とともにですけれども、やっぱり中国にもしっかりと焦点を当てて、この訪日外国人、旅行者の増加ということで戦略的に対応していくことが重要ではないかと思っております。  しかし、御案内のとおり、中国の観光客の一つの課題としてやはりビザの問題があるかと思いますけれども、このビザも徐々に条件は緩和してきているとは伺っておりますが、そこでまたこれも現状をまずお伺いしたいと思いますけれども、時間も限られておりますので簡潔にお願いしたいと思いますが、過去三年間の団体観光客の旅行者数と、また昨年三月から観光ビザが発給されておりますけれども、現状をまずお伺いをしたいと思います。
  33. 本保芳明

    政府参考人本保芳明君) お答え申し上げます。  この三年間の団体観光ビザによります団体観光旅客者数でございますが、中国からでございますけれども、二〇〇六年が十二万三千九百五十五人、二〇〇七年が二十二万七千八百六十九人、二〇〇八年が三十二万二千六百四人ということで、十万人ぐらいずつ増えております。  それから、御質問のありました家族観光ビザでございますが、昨年の三月からビザが発給されておりますけれども、年末までの十か月間の実績は六家族十六人となっております。
  34. 鰐淵洋子

    ○鰐淵洋子君 ありがとうございました。  昨年三月から家族観光ビザが発給されたんですが、六組十六人ということで大変に少ないなというのが率直な感想でございます。これは家族二、三名の旅行なんですけれども、それに対して日本側、中国側から二名の添乗員が付かなければいけないという、そういった条件がございますので、やはりなかなか増えないのではないかと思っております。  この条件も、不法侵入者を出さないためとか、いろんなそういった条件というか理由があるからだと思いますけれども、やはり家族で旅行するのに他人が一緒で、また費用的にも掛かるという、そういったこともございますので、是非とも今後こういった中国からの観光客を増やすということで、中国の家族旅行に関しまして発給の条件をもっと緩和すべきではないかと思っております。この件につきまして、国交省の御見解をお伺いしたいと思います。
  35. 谷口和史

    大臣政務官(谷口和史君) 結論から申し上げますと、緩和の方向で今作業を進めております。  御存じのように、昨年十月の三十日にまとめた生活対策の中で、訪日ビザの見直し等による外国人観光客の拡大ということがこの中で挙げられておりまして、特に今後伸びていくことが予想される中国からの観光客の方についてビザ発給の要件の緩和ということで、外務省、法務省と今その調整を行っているところであり、これまでも行ってきて、まだ行っているところであります。  具体的な緩和の方策ですけれども、富裕層を対象として、先ほど御指摘のありました添乗員はなしということで、そういう富裕層を対象とする添乗員なしの個人観光ビザを実現をする方向で今月中、三月中に結論を出したいというふうに思っております。
  36. 鰐淵洋子

    ○鰐淵洋子君 ありがとうございました。  是非関係省庁と引き続き連携を取っていただいて、早期実現できるように頑張っていただきたいと思います。また、二〇一〇年に上海でも万博もありますし、そこでまた日本政府のパビリオンが出るということで、そういったこともございますので、それを機にまた中国側から日本にも来ていただけるように、そういったことも併せて早期実現できるように是非頑張っていただきたいと思います。  最後、もう一点お伺いしたいと思いますけれども、中国側からの観光客を増やそうということで、日本側の情報ですね、発信を更に充実させていただきたいと思っております。  具体的には、テレビ局の招請事業、やっていただいているそうなんですけれども、これもまだ十一番組でしょうか、中国では北京、上海中心にそういったぐらいしかできておりませんので、是非日本の情報をアピールするということで、更にこういったテレビ招請事業も含めて充実をしていただきたいと思っておりますが、この点について最後お伺いしたいと思います。
  37. 本保芳明

    政府参考人本保芳明君) お答え申し上げます。  委員から御指摘ございましたように、中国からの観光客誘致という面ではテレビなどのメディアの活用が非常に大事だと思っております。そういう観点から、これまでも様々のメディアの関係者の招請でありますとか、それを通じた商品の造成ということをやっておりましたが、例えば今年も、昨年末に北海道を舞台にしました中国のラブコメディーで、ちょっと中国語でうまく言えないんですが、フェイチェンウーラオという映画が大ヒットいたしまして、中国の興行史上第一番とも言われるぐらいの大ヒットでございました。この結果、北海道に対する関心が高まり、また引き合いも増えておりますので、これを機会に関係のメディアを招請したり、あるいは旅行会社をお呼びして商品を作ってもらうと、こういうことをやってきているところでございます。  こうした経験を通じまして、今後ともテレビ招請事業などを精一杯活用して日本の宣伝をしていきたいと思っているところでございます。
  38. 鰐淵洋子

    ○鰐淵洋子君 ありがとうございました。  是非皆さん日本に関心を持っていただく機会というか様々あるかと思いますので、メディアを使いながら文化芸術とかそういったことも含めて是非積極的にまた日本のアピールをお願いしたいと思っております。  以上で終わります。ありがとうございました。
  39. 大江康弘

    ○大江康弘君 改革クラブの大江でございます。  委員長には、この間、視察で随分お世話になりまして、本当にありがとうございました。  さっきまで行ったメンバーの皆さんが横歩きに歩いていまして、何でかなといったらカニの食べ過ぎで、私は余り食べないんで真っすぐ歩けたんですが、最近まで一番横歩きだったのが長浜理事で、随分食べられたのかなと思っておったんですけれども、いい経験をさせていただきました。  我々、自分のふるさとへ帰ったら、道路なんか自分のところだけかなと思うんですけれども、あれだけの河川だ、道路だ、いろんなインフラを見せていただいたら、やっぱり日本は広いなという思いがいたしまして、随分いい勉強をいたしました。この機会に改めてお礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。  私は、麻生総理頑張っておられるということを評価をさせていただいているんですが、一つ気になるのは、先般、地方分権推進改革委員会ですか、あそこから出たところで地方整備局の廃止ということが言われていました。これは総理もそういう発言をされたかに思うんですが、かつて省庁の再編の中で八局、そして五局、十三が八になったんだと思うんですが、記憶では。やはり地元、地域にとってみたら、県もそうですが、自治体にとってみてもやはり国交省の出先機関というのは大変これは心強いわけですね。それが一つの受皿になってくれて届きにくい声が国まで通って、そして予算化もされていくということでありますけれども、私はやっぱりこの方向というのは非常に危険だと思います。  地方にとっても大変不安だと思うんですけれども、ここのところは、これは政務官でいいんだと思うんですが、岡田務官、やはり地方の声もう届いていると思うんですが、どう思います。どう思いますというか、これは守ってもらわないかぬと思うんですが、ちょっと聞かせていただきたいと思います。
  40. 岡田直樹

    大臣政務官岡田直樹君) 大江先生の御指摘のとおり、地方整備局あるいは地方運輸局など、国土交通省地方支分部局ございますが、これは安全で活力ある国づくりという大きな目標に向かって地方公共団体とも役割分担をいたしまして大変重要な責務を担っておると、こう自負しているところであります。  やはり広域にわたるインフラ整備でありますとかあるいは河川の管理でありますとか、なかなか単一の都道府県では及び難い仕事もあるわけでございます。そうした意味から、いろいろと改善点はもちろんあると思いますけれども、しかしながらこうした出先機関の担っている役割の重要性は依然として変わらないと、このように思っているところであります。もちろん、今、国道や河川の移管等地方分権推進の取組も進めておりまして、先ほどお話のありました出先機関の在り方の見直しということも問題になっているわけでございますけれども、我々国交省といたしましては、出先機関がこれまで果たしてきた役割、機能というものを今後も引き続き失われることがないように、地方皆さんのお声にこたえていくことができるように努めてまいりたいと思うところでございます。
  41. 大江康弘

    ○大江康弘君 政務官、ありがとうございます。  かつて私は、小泉内閣のときに、耐震偽装のときに申し上げたんですが、すべてこれ官から民へというあの方向はおかしいんじゃないかと。やはり官がしっかりと責任を果たしていくということの必要性を説いた一人でありますけれども、そういうことから思いますと、やっぱり今、政務官と私は価値観を共有できたと思っております。我々もしっかりとやっぱりこれは守っていきたいと思いますので、また省の中で、政治家としてひとつしっかり物申していただきたいということをお願いを申し上げたいと思います。  今ほど鰐淵先生から、観光の話の中で中国の話がありました。私は台湾のことを少し触れたいと思いますけれども、実はワーキングホリデービザの件であります。  これは直接国交省とどう関係あるのかということでありますが、私はやはり、これは観光という部分に関しては非常に、ボディーブローのように間接的に私は非常に意義のある話だと思っております。今日まで、昭和五十五年にできたということですから随分、もう三十年近くたっておるわけですけれども、悲しいかな、三十年近くたって、二十九年でまだ九か国としか我が国はワーキングホリデービザのお互いの制度化をしていないということでありますけれども、実は台湾からこのオファーが今あると思います。  これはやはり、台湾というのは、後で観光庁にも聞きますが、何といったって役所は数字というような実績ですよね、役所というのはそういう社会なんです、皆さん方の社会は。これ、過去ずうっと台湾というのは、今ビジット・ジャパンで一千万人のインバウンド、これようやく九百万近くになってきた。やはり最大の功労者はこれは韓国ですね。そしてやっぱり二番手はこれ、台湾なんです、台湾。  ですから、私はこの数字の実績、事実を見ていただいても、やはり観光という部分からも応援してもらわにゃいけませんけれども、今外務省、これどんな感じで進んでいますか。
  42. 小原雅博

    政府参考人小原雅博君) お答え申し上げます。  先生指摘のございましたように、台湾との人的な交流、大変盛んでございます。また、台湾は我が国にとりまして重要な経済パートナーでございます。  こうした流れを我々としても促進していくという観点から、ワーキングホリデー制度、これは日台双方にとって非常に有意義だと考えておりまして、また、この日台双方の活発な青少年交流を通じまして相互理解の増進にもつながると考えております。  こうした観点から、外務省といたしましては、同制度の導入が一日も早く実現するよう、関係省庁と連携しつつ積極的に取り組んでいるところでございます。
  43. 大江康弘

    ○大江康弘君 これは外務省、法務省、そして厚労省という三つの省庁にまたがるわけですけれども、外務省が一番気にする中国ですね、これ今まで中国に大変気兼ねして台湾政策というのは日本が進めてきたんです。  ですから、いまだ地域だなんというふうな呼び方をやっているわけですけれども、それはさておいて、香港は今年二月に恐らくできたと思うんです。ですから、そういう意味では政権も去年替わりましたし、非常に環境としては私はやってもらいやすい環境ができ上がったと思いますので、ひとつどうか早く私は進めてあげていただきたい。これはいろんな意味で背中を押すいい意味の私は制度になっていくと思いますから、そのことを要望だけして、もう参事官、結構でございます、どうぞお引き取りをいただいて結構でございますので、よろしくお願いしておきます。  そこで、観光庁にお願いしますけれども、今外務省も非常に有効だということを言ってくれました。観光の面でもやはりワーキングホリデービザは、いわゆるワーホリと言われていますけれども、これはやっぱり重要ですよね。
  44. 本保芳明

    政府参考人本保芳明君) お答え申し上げます。  ワーキングホリデー制度は言うまでもなく青少年交流の手段でありますけれども、青少年交流はやっぱり将来にわたって双方が交流を深めていくと、こういう意味で私ども非常に重要だと認識をしております。  こうした観点に立ちまして、一昨年六月に閣議決定されました観光立国推進基本計画の中でも、ワーキングホリデー制度を活用した青少年による国際交流の促進が位置付けられております。こういう仕組みが日台間でもできていけば、観光交流の増大につながりますし、将来にわたっての双方の関係強化にもつながると、このように理解をしているところでございます。
  45. 大江康弘

    ○大江康弘君 長官、ありがとうございます。  そこで、長官、ちょっと昨日の質問予告になかったんですが、二〇一〇年といえば来年ですけれども、これは着実に増えてきておる、インバウンドですけれども、これ原因は何だと思いますか、これ。こんなに増えていっている原因、順調にこのままいけば、恐らくあと百万ちょっとで二〇一〇年には一千万超すと思うんですけれども。いろんな環境整備もあったと思うんですが、長官はどんなことだと思いますか。
  46. 本保芳明

    政府参考人本保芳明君) お答え申し上げます。  まず、世界全体で国際観光交流が増大をしておりまして、二〇〇三年ごろ約七億人であったものが二〇一〇年には十億人台にまで増えていくと、こういう流れがございました。こういう中で、日本の製品輸出などを通じて、私ども日本のブランド形成、イメージ向上が図られていったものと考えております。そういうことを背景にいたしまして、二〇〇三年以降、ビジット・ジャパン・キャンペーンという形で官民が相携えて日本観光宣伝努力をし、また受入れの努力をしてきたと、これが実を結びつつあるのではないかと、このように考えております。
  47. 大江康弘

    ○大江康弘君 ありがとうございます。その認識だと思います。  そこで、私はやはり、これ、二〇一〇年の一千万人をどういうふうに到達をしていくかということになりますと、やはり数字というものの実績、そこで見てみますと、非常に羽田—金浦間の例えば韓国のシャトル便というのが大変貢献しているんですね。これ、平成十五年に始まったときは四万人だったのが、昨年の平成二十年には、百六十万人がわずか八便、往復十六ですけれども、シャトル便で行き来をしておるというこのチャーター便輸送、それを考えたときに、今、台湾から、松山空港、これはかつての国際空港ですが、そこから羽田に何とか飛ばしてもらえないかという話が来ておると思うんですけれども、これに関して航空局の方はどこらまでひとつ把握をしておられるか、ちょっと聞かせてください。
  48. 前田隆平

    政府参考人前田隆平君) 羽田空港と台北を結ぶ国際線について御説明を申し上げたいと思います。  まず、羽田空港について今後どのような使い方をしていくかについて簡単に御説明させていただきますが、昨年の六月に閣議決定されました経済財政改革の基本方針二〇〇八に基づきまして、第四滑走路が供用される二〇一〇年十月には、羽田空港について昼間の時間帯に約三万回の国際線を実現して、羽田にふさわしい近距離アジア・ビジネス路線として、ソウル、上海、さらには北京、台北、香港まで就航していくということにしております。  それから、御指摘のあった台北でございますが、首都圏からの需要は非常に大きいものがございますし、またビジネス需要も非常に見込まれる、まさに羽田にふさわしい就航先の一つであるというふうに考えております。特に、先生の御指摘にありました松山空港、まさに市内のど真ん中にある空港でございますので、羽田空港との間に国際線が実現できれば非常に利便性の高い路線が実現することになるというふうに考えております。  国際線の路線便数については、通常、政府間の航空協議で決定されるんですが、台湾の場合には外交関係ございませんので、日本の財団法人交流協会、それから台湾の亜東関係協会という民間の協会間の取決めに基づいて国際線が運航されるということになっております。  先月、両協会間の非公式な意見交換、これが開催されまして、引き続き私どもその後の経過について見守ってまいりたいと思っておりますし、羽田—松山空港間の路線の利便性の高さについては私ども航空局としても財団法人交流協会に対して十分伝えておきたいというふうに思っております。
  49. 大江康弘

    ○大江康弘君 局長、ありがとうございます。  先般、私は先週、お許しをいただいて台湾へ行かしていただいて、馬総統とお会いをさせていただいて、実はこのお話もいただいたので、これは先週、先々週に始まった話ではないんですが、JALの西松社長も馬総統と会っていただいて、どの機種を飛ばすかというところまでもう決めているんですね。いわゆる77と言われる三百人乗りのジェット機、747というのが松山空港には今、ただ、台湾も石油タンクまで移動さして、離発着に影響のないようにという大変な意気込みで今やっておるわけでありますから、大変局長から前向きなお話を聞かせていただきましたので、ひとつどうか、悲しいかな台湾は国交がありませんから今言われる交流協会と亜東関係協会との民民ということでありますが、これは民民というよりも両方ともやっぱり政府から補助金が、これ交流協会も日本政府のお金が入っているわけですから全くの民じゃないんですよ、これ。お互い今国交がないからこんな悲しいやり方をしているだけであって、ひとつどうかこの二番目の百四十万人日本に送り込んできているということをしっかりと評価をしてやっていただいて、一日も早く、来年の十月と言わずに、羽田のジェット枠が空けばたとえ一便でも試験的に飛ばしていただけるようにひとつまたお願いをしたいと思いますし、これは金子大臣も台湾非常によく精通をいただいておりますし、大臣、今少しはしょって聞いていただいたと思いますけれども、どうぞ今日はもう答弁ありませんから、どうかよろしく、聞くだけしっかり聞いておいていただきたいと思います。ありがとうございました。  それじゃ、最後になりましたが、岩崎長官、大変、八名、海上保安庁の皆さんがまさにポリシングと言われる警察業務でソマリアの方に行っていただいておる。悲しいかな、法律的にそうなったのか、あるいは物理的にそうなったのかは分かりませんけれども、長官は、衆議院のたしか予算委員会で長島さんの答弁のときに、海上保安庁では無理だということをやっぱり言明をされた。そこから、海上自衛隊をどうしていくのかという話も少し進んでいったかに思うんですけれども、やはりあの当時無理だと言われた最大の原因というのは何だったんですか。
  50. 岩崎貞二

    政府参考人岩崎貞二君) ソマリア沖に巡視船を派遣することにつきましては、日本からの距離、それから海賊がロケットランチャー等の武器を持っていること、それから諸外国が軍が派遣されておると、その辺の連携問題があるというようなことを申し上げましたが、特にやはり重視するのは、私どもやっぱり行ってちゃんと仕事を安定して継続的にしなきゃいけないと、そのときに敵の武器に襲われて仕事ができないようじゃ、これが最大のネックでありますので、やはり保安庁のこうした重武装の海賊に対して対応できる性能ある船が一隻しかないというのが最大の中でも課題であります。
  51. 大江康弘

    ○大江康弘君 基本的に、北朝鮮の不審船が来たときからそうなんですが、我々非常に不安に思っておったのは装備の不備ですよね、非常に老朽化もしておる。しかも、長い三万数千キロの海岸線の中で百キロに一隻と言われる船しか持ち得ない、その約四割がもう老朽化しておるという、本当にこんなことで大丈夫なのかという思いをずっとしてきたわけですけれども、まああれからいろんな国民の理解だ、いろんなやはり財政当局の理解もあって少しずつ進んできたと思うんですけれども、やはり私は、今マラッカ海峡でシーレーンを海上保安庁が海賊対策でやってくれておりますけれども、やはりどんどんどんどんとその守備範囲というのは広くなっていくと思うんですね。  ですから、大臣、これは海上保安庁はやる気があってもなかなかやはりいろんな縛りの中で、特にイージス艦一隻の値段で日本の海上保安庁が一万数千人の人と装備を持ってやっておるという、こういう話を聞けば、果たしてその数字というのは、海洋立国日本だなんて言って偉そうに胸を張ってやっていけるのかなと。私は、お金だけではありませんけれども、やはり目に見える一つの基準とすれば、そういうことを非常に不安に思う一人なんですけれども。  最後に大臣答弁お願いしていなかったんですが、このことに関してちょっと。
  52. 金子一義

    ○国務大臣金子一義君) 海上保安庁の装備の在り方、役割について御指摘をいただきまして、力強く感じさせていただいております。  沿岸水域の監視等々、大事な役割をコーストガードとして担っている海上保安庁でありますから、装備、定期的に計画的に新しくしているとはいえ、必ずしも十分でないという点がありますので、これは更に、今日いただきました御意見も踏まえて進めさせていただきたいと思います。
  53. 大江康弘

    ○大江康弘君 ありがとうございました。
  54. 長浜博行

    ○長浜博行君 大臣も戻ってこられまして、広田理事も予算委員会質問を終わられて戻ってこられまして、今日はいろんな委員会が花盛りといいますか、スタートしたなという感じが参議院の方でもしているわけでございます。  花盛りといえば、今日も随分暖かいですが、開花予想がそろそろ出て、同病相哀れむ方も多いわけでありますが、花粉がどのぐらい飛ぶか、黄砂がどうだ、こういうことをまた気象庁が発表したり、気象庁は国土交通大臣というか国交省担当でありますから、今話に出た海上保安庁もそうですし、それから道路の問題。いつも私から質問がスタートしますから、余りほかの方の質問を聞いてから質問をするというケースがないわけでありますけど、随分国土交通のテーマは広いなというのを実感をしているわけでございます。  今日は私と田中康夫さん、またかと思われるかもしれませんが、同じ顔ぶれでございますが、今日は植松さんという、ついに私の願いが通って、女性の委員を国交委員会にということが届いたということで今日は質問をしていただくという、間に挟んでという形でやらさせていただきたいと思いますが。  金子大臣の、前も尋ねたことがあると思いますが、所管業務、何を聞くんだと言われれば、当然国土交通の担当だというのはこの間大臣所信で伺いましたけれども、今、大江さんの話にもあったように、海洋の問題もあったりとか、正確に言うと何担当大臣という大臣になっておられるんでしょうか。そのほかもあればちょっと教えていただければと思うんですが。
  55. 金子一義

    ○国務大臣金子一義君) 国土交通観光担当、それから海洋立国推進担当、海上保安庁は国土交通の中に入っております。気象庁も国土交通の中に入っておりますので、何の担当だという御質問に対しては、国土交通観光担当、海洋立国推進担当と、三つであります。
  56. 長浜博行

    ○長浜博行君 そうですね。ですから、前の質問は、前回お聞きしたときは充て職ですかみたいな聞き方をしたんですが、充て職というのは、海洋政策担当大臣というのは国土交通大臣の充て職ですかということで、たしかそうではないみたいな御答弁をいただいた記憶がします。  ですから、観光をやり海洋政策をやりということでありますが、この海洋政策分野が、おっしゃられたとおり国土交通省の中に海上保安庁があって、大変分かりづらいところがあるように私は思います。その海洋政策担当大臣とは何ぞやと、海洋政策とは何ぞや。言うまでもなく、海洋に関する施策を集中的かつ総合的に推進するための企画立案及び行政各部の所管する事務の調整担当というような形で私は御説明を受けているわけですね。それで、初代が冬柴さんで、二代目が金子大臣。そして、一昨年になるんですか、二〇〇七年の四月に海洋基本法を、これまた国会でちゃんと海洋基本法を決めて、一元的な海洋政策としての海洋基本計画を決めてという形で海洋政策ということがスタートをしているんだというふうに思います。  様々この国土交通委員会には法案がかかってきて、一つ一つの法案の審議が私とても大事だというふうに思いますが、去年やったので復習みたいですが、領海等における外国船舶航行に関する法律案というのは、これ去年やったんですね。そのときに、私も全く不勉強でびっくりしましたんですけれども、これはもうできている法案ですが、なぜこの法案を作らなきゃいけないかといったら、我が国には領海及び内水において不審な航行をしている外国船舶を規制する法律がなかったという、えっ、本当なのという状況の中で、海洋政策担当大臣なのか国土交通大臣なのか分かりませんが、とにかくこの国土交通委員会にこの法案がかかって、そんな法律案、少なくとも不審をしている船を規制する法律がないなんという状況が海洋立国と言えるのかという状況の中でスタートしたということで、先ほどのお話じゃありませんが、海洋立国といいながら、本当に日本の海洋政策というのが機能しているのかどうかというところで私は疑問に思ったわけでございます。  今回もソマリアの海賊対策ということで新法が制定をされるやに報道されて、閣法が決定をされたということであります。それで、現行法制の中において自衛隊が艦船を呉基地から出すという状況の中において、船主協会を始めとしてどうして早く対応をしてくれないのという状況の中において、防衛大臣は、現行法制の中において自衛艦の派遣を逡巡をされていたと。それは防衛大臣なのか防衛省なのか分かりませんけれども、まあそうだろうなと。このそうだろうなという意味の解釈は、与党と野党で多分、あるいは立場を異にする方々においてそうだろうなの意味合いというのは違ってくるんだろうと思いますけれども、私もそうだろうなというふうに思ったわけでございます。  そして、閣議決定を見て、国会に提出されたのを見て、呉から自衛隊の艦船に、国土交通委員会でありますから、海上保安庁から海上保安官八名が四百名の自衛隊員とともに出ていった、こういう経緯だというふうに思います。  与野党ともこの問題に関して、一義的にはそれは海保だろうという言い方をしますけれども、この一義的には海保だろうと言われるゆえんは一体何でございましょうか。
  57. 岩崎貞二

    政府参考人岩崎貞二君) 海上保安庁は、海上における人命、財産の保護等を設置目的としておりまして、海賊事案、これへの対処は私どもの任務だと思っております。  具体的にも、海賊関係の規定として、海上保安庁の任務に、海上における犯罪の予防及び鎮圧、海上における犯人の捜査及び逮捕等が定められており、これへの対処は私どもの一義的な責務だろうと、このように考えております。
  58. 長浜博行

    ○長浜博行君 そうしますと、その次にいつも出てくるのでは、要するに手に負えない場合はやっぱり海自だろうという言い方もされるわけでありますけれども、手に負えないというのはどういうことでございましょうか。
  59. 岩崎貞二

    政府参考人岩崎貞二君) 私ども、仕事をするのには、もちろん私どもの船艇、航空機、人員、こうしたものを使っているわけでございますけれども、そうした私どもの持っている能力で対応できない場合、こうした場合が手に負えない場合だと、このように思っております。具体的には、これまで能登半島沖の北朝鮮の不審船の事案、それから中国の潜水艦の事案、こうしたものについては海上警備行動が発令されております。
  60. 長浜博行

    ○長浜博行君 一つ一つ、本来のしなければいけない業務と、しなければいけないというふうに法律にも決まっているけれども手に負えないという状況が想定をされるかどうかというのを、後ほどまた確認をしていきたいと思いますが、海保と海自の、本年度でもいいですが、予算額と人員について御説明をいただければと思うんですが。
  61. 岩崎貞二

    政府参考人岩崎貞二君) 平成二十年度でございますと千八百五十八億円が海上保安庁の当初の予算額でございます。それから、職員数、これ二十年度末で一万二千五百四人でございます。
  62. 長岡憲宗

    政府参考人長岡憲宗君) 平成二十年度防衛関係におけます海上自衛隊の当初予算額でございますけれども、一兆六百九十四億円でございます。また、実員数につきましては、平成二十年の十月末現在の数字で、海上自衛官が四万三千三百三十二名、このほか事務官等三千三百三十一名となってございます。
  63. 長浜博行

    ○長浜博行君 予算額と人員を聞いちゃってから、なんでございますが、その装備の違いと言ったらいいんでしょうか、予定をされている目的に応じての装備だと思いますが、装備の違いというのはどういうふうに認識をされておるんでしょうか。
  64. 岩崎貞二

    政府参考人岩崎貞二君) 私どもの巡視船は、警察業務であるとか、あるいは救難業務であると、こういうのが主たる業務でございます。そのために、それに必要な、最近特に力を入れておりますのはやっぱりスピードの速い船でありますとか、夜間にちゃんと活動できる船でありますとか、そうしたものの装備が中心でございます。  それから、特に自衛隊との比較で申しますと、武器も積んでおりますけれども、私どもの方で積んでおる武器は、機関銃でありますとか、砲も一部積んでおりますが、口径の小さい砲を装備していると、こういう状況でございます。
  65. 長浜博行

    ○長浜博行君 海保、当たり前ですけど、海上保安庁と言うわけでありますが、英語名ではその組織はどのように表示をされるんでしょうか。
  66. 岩崎貞二

    政府参考人岩崎貞二君) ジャパン・コースト・ガードと言っております。
  67. 長浜博行

    ○長浜博行君 コーストガードというと、基本的には、間違いがあれば訂正をいただきたいわけでありますが、いわゆる準軍事的組織というようなことを、国際慣行上といいますか、見られる。アメリカの場合は特にそうでありますが、準軍事的組織と、海上保安庁のことを言っているんじゃないですよ、そのコーストガードという概念からすると、そういうとらえ方でよろしいんでしょうか。
  68. 岩崎貞二

    政府参考人岩崎貞二君) 特に準軍事的組織が何かという概念、きちっと決まっておるわけじゃございませんけれども、やはりコーストガードが一番最初に始まったのはアメリカでございますし、世界で我々がお手本にしておるのはアメリカのコーストガードでございますので、今先生指摘のとおり、アメリカのコーストガードは軍事的な機能も果たすということになっておりますので、コーストガードと言うと軍と結び付けられる嫌いがないわけではありません。ただ、最近、日本も含めていろんな国でコーストガードができておりますけれども、そうした国はやはり軍と離れている、一歩置いているという組織もございますので、必ずしもすべてのコーストガードが軍と一体となっているというわけではないと承知をしております。
  69. 長浜博行

    ○長浜博行君 防衛省も来ておられているんで、せっかくですからちょっと伺いますけれども、自衛隊は、まあ当たり前と言ったらいいのかな、何か聞き方も難しいが、自衛隊は軍隊ではないですよね。
  70. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) お答えいたします。  自衛隊は、自衛隊法の定めに基づきまして任務を遂行する組織として設置されているものでございます。
  71. 長浜博行

    ○長浜博行君 それ以上聞くのはやめましょう。  こういう極めて難しい状況下の中において自衛隊があり、そしてまた、準軍事的組織と言っていいのかどうか分かりませんが、コーストガードがあり、日本でいえば、訳せば海上保安庁と、こういう状況下での対応を強いられる状況になっているわけです。  さっきも一番最初に申し上げましたように、海洋立国日本といいながら、海洋政策担当大臣の歴史は今の大臣で二代目でありますし、それから、今回のいわゆる海賊新法と言ったらいいんでしょうか、これがどこに付託されるのかよく分かりませんが、衆議院ではテロ特でやるんでしょうか、それを改組してまた委員会でやるのか分かりませんが、そういう国際状況の変化の中に果たして日本が対応し切れていっているのかどうか、国内法制も含めて、そんな重い問題をこの問題は提示をしているように思えてならないわけでございます。  海自は二〇〇一年からインド洋での給油活動をしておりますし、今回出港されたのが、どのぐらいでしょうか、三週間ぐらい掛かるんですか、ソマリア沖へ向かうわけでありますから、自衛隊が実質的には海外に派遣をされて、そしてそれぞれの時に応じて法律を作って、それに対応しながら結果として海外に出ているという状況でありますから、それを認識しながら、ここは国土交通委員会でありますから、海上保安庁の問題についてちょっと論を進めていきたいなというふうに思っております。  今回船に乗っている海上保安官八名の指揮命令系統でありますが、この八名は防衛大臣の指揮下に入っているのでしょうか。
  72. 岩崎貞二

    政府参考人岩崎貞二君) 防衛大臣の指揮下に入っているわけではございません。海上保安庁長官の指揮の下でございます。  今回派遣されております保安官と自衛官との間には指揮関係が生ぜず、いわゆる海賊行為の制止等の行為は自衛官が行う、それから司法警察権の行使は海上保安官が行う、それぞれ指揮関係は生じないと。ただ、船に乗っておりますので、船の中でのいろんな法定訓練の参加や緊急事態の行動等については自衛艦の艦長の指示に従うと、こういう取決めをしております。
  73. 長浜博行

    ○長浜博行君 頭が悪いのかもしれませんが、私にはちょっと分かりづらい。船に乗っているから艦長の指示に従うという、そういう意味においての指示は多分そういうことなんでしょうけれども、それも後でまた整理ができてくるというふうに思いますが。  海上保安庁の設立は一九四八年、世界初の海上警察・救難総合機関というような言われ方もしておりますが、これは保安大学校や何かを含めまして、海上保安官についてはどういう教育をされているんですか。こういう世界初だという、非常に意義がある機関だという教育をされているんでしょうか。
  74. 岩崎貞二

    政府参考人岩崎貞二君) 先ほどの答弁、ちょっと補足させていただきますと、一般的な管理事項について艦長の指示を仰ぐ、指示を受けるというだけでありまして、いわゆる司法警察権の行使という業務をやるときには海上保安庁長官が直接指示すると、こういう関係になっております。  それから、海上保安庁でございますけれども、先ほど申しましたように、コーストガードとしてはやっぱり先輩格はアメリカでございます。ただ、海上警察・救難と総合的で、かつ海上保安庁法にこれは海上保安庁は軍ではないと、こういうふうに明記されておりますけれども、そういう軍事的色彩のないこうした海上の総合機関としては、海上保安庁、恐らく世界初でありますし、今の規模も世界トップスリーには入る規模だろうと思っておりますので、そういう意味で誇りを持って仕事をするようにと、このように教育をしております。
  75. 長浜博行

    ○長浜博行君 何でこんな古い話をするんだということかもしれませんが、後ほどそういう新法の審議等があるんでしょうから、今日はそういう歴史の確認的意味も含めましてやらせていただければと思うんですが。  その二年後に朝鮮戦争が勃発をしました。一九五二年に海上警備隊が設置をされて、保安庁、警備隊が分離をされる経緯がありますが、この海上警備隊が設置をされて、もちろん、海上自衛隊ができる前の状況におけるこの保安庁、警備隊、分離の経緯等でありますが、そういったことについて御説明をいただければと思います。
  76. 岩崎貞二

    政府参考人岩崎貞二君) 昭和二十三年に設立されましたが、当時はまさに終戦直後でございましたので、非常に我が国周辺の海域は悪質な犯罪が多発している、それから灯台等も破壊されて航海の安全確保もできないと、こういう状態でございました。標語的に言いますと、暗黒の海だったのを何とか安全な海にしようというようなことでこの海上保安機関が設立されたと、こういうふうに記録に残っております。
  77. 長浜博行

    ○長浜博行君 先ほども海上警察・救難総合機関ということの話がありましたけれども、いわゆるこの海保の任務の中において、特に警備業務について、法律的な設置根拠について御説明をいただければと思います。
  78. 岩崎貞二

    政府参考人岩崎貞二君) 先ほども説明いたしましたが、保安庁法がございまして、その庁法の第一条、設置及びその目的では、海上における人命及び財産の保護、それから法律の違反の予防、捜査、こうしたことが目的としては掲げられております。任務といたしまして、法令の海上における励行、あるいは海上における犯罪の予防及び防止、犯人の捜査及び逮捕、こうしたものが任務として掲げられております。
  79. 長浜博行

    ○長浜博行君 設置根拠ですが、国家行政組織法第三条第二項及び海上保安庁法の第一条ですね。それからなお、その質問した警備業務等を円滑に推進するために設置されているといいますか、海上保安庁のほとんどの方々は海上保安官でありますが、海上保安庁法第三十一条と、それから特別司法警察職員と規定されているためには刑事訴訟法第百九十条でよろしいんでしょうか。
  80. 岩崎貞二

    政府参考人岩崎貞二君) 特に、司法警察職員としての業務は、今先生がおっしゃったところ、コアの庁法での記述だと承知しております。
  81. 長浜博行

    ○長浜博行君 自衛隊が今回派遣されるときにちゅうちょがあった一つの理由と言われますのが、いわゆる海上警備行動ですね、自衛隊法の八十二条に規定されている部分でありますが、これは日本近海をそもそも想定をしているものであって、先ほど、遠いから海上保安庁は行けないという物理的な理由もありましたけれども、今度は法律的に、自衛隊がソマリア沖まで行くことは、海上警備行動の中において、法の創設時においては想定されていなかったんではないかと、こういう議論もあったやに伺っておりますが、その点はいかがでしょうか。
  82. 岩崎貞二

    政府参考人岩崎貞二君) 海上保安庁の方では、海上保安庁法に基づきまして、海上における犯罪の予防と、海上という言葉を使っておりまして、特にこれについては地理的な制約が書かれているわけではございません。  もちろん、仕事はやはり日本国民の人命及び財産の保護でございますので、仕事の主たる活動の場は日本周辺海域になるわけでございますけれども、海上保安庁といたしましても、過去に、プルトニウムの輸送の護衛ということでフランスから日本まで護衛をしたこともございますし、それから、マラッカ・シンガポール海峡の方にも出ているというようなことはやっております。
  83. 長浜博行

    ○長浜博行君 長官、それはですね、これから私がお尋ねする答えでございまして、多分、今の私の質問防衛省の方が答えるんじゃないかなと思いますが、どうぞ。
  84. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) お答えいたします。  確かに、海上警備行動の範囲についてはいろんな議論があろうかと思いますけれども、例えば、最近の答弁で申し上げますと、これは石破防衛庁長官の答弁でございますけれども、ペルシャ湾等々で、あるいは洋上、その地域というのを特定するわけではございませんけれども、我が国の船舶を護衛する特別な必要というものが生じた場合は、第一義的に海上保安庁ができない、あるいは質的にもできないというような場合、あるいは長期に行動が及ぶというような場合ですけれども、そういう場合にはまさに自衛隊の対応ということもあり得るということで、これまでの答弁でも、特にこの地域でなければ自衛隊の海上警備行動は発動できないということにはなっていないかと思います。
  85. 長浜博行

    ○長浜博行君 質問の構成としては、今の答弁を受けて、つまり自衛隊における距離の概念と、それから海上保安庁における距離の問題ということで、海上保安庁法第一条第一項の改正の経緯、つまり海上保安庁は、海上保安庁もその守備範囲の中においては基本的には周辺海域というか日本近海であったのが、今はむしろ海上保安庁の中においては海域の制限はないという理解でよろしいんでしょうか。
  86. 岩崎貞二

    政府参考人岩崎貞二君) 失礼いたしました。  保安庁法の過去の経緯、調べてまいりますと、法制定当時は、日本国の沿岸水域と書かれておりました。ただ、当時の本なんかを読みますと、これも沿岸水域といっても公海、公の海も及ぶんだ、海上保安庁の勢力の及ぶ範囲内で含み得るとこう解釈されると、こういうのが残っておりますけれども、昭和二十七年に海上保安庁法一部改正をいたしまして、公海も広く含まれるということを明確化するために、先ほど答弁させていただきました、海上においてという形に変わっております。
  87. 長浜博行

    ○長浜博行君 そこで、一九九二年、平成四年、フランスからプルトニウム輸送船の護衛ということを海上保安庁が行われたわけでございますね。「しきしま」というのがよく名前が出ます。海上保安庁にも足の長い「しきしま」があるじゃないかと言われるこの「しきしま」でありますが、当時は世界最大級の建造をされたと。  この「しきしま」にまつわるといいますか、建造の経緯、それから今なぜ海上保安庁といいますか国土交通省のものになっているか等々含めて、もちろん派遣の経緯含めて御説明をいただければと思います。
  88. 岩崎貞二

    政府参考人岩崎貞二君) プルトニウムの海上輸送につきましては、日米の原子力協定で、これは武装の護衛船による護衛が必要であると、このように決められております。それを、じゃ、だれが日本でやっていくかということについて、平成元年の十二月でございますけれども、プルトニウム海上輸送関係閣僚打合せ会がございました。そこで、海上における犯罪の予防及び鎮圧は第一義的に海上保安庁の事務であるので、プルトニウム海上輸送の護衛船として海上保安庁の巡視船を派遣するという申合せがなされました。  そのために必要な船を造るということで、当時、科学技術庁がございましたが、科学技術庁の協力を得ながら、護衛に必要な性能、設備を備えた「しきしま」というのを建造し、平成四年四月に就役させたというところでございます。
  89. 長浜博行

    ○長浜博行君 国交省が造ったわけじゃないですね。変な言い方ですが、一円も出していないということですか。
  90. 岩崎貞二

    政府参考人岩崎貞二君) 予算面で申しますと、補正予算で最初造りまして、この船の建造というのは一年でできませんので、初年度補正予算でございましたけれども、次年度以降も負担が必要でございますけれども、そうした負担枠について、科技庁の方の協力も得ながら、あるいは特別の枠も得ながら造らさせていただいたという経緯がございます。
  91. 長浜博行

    ○長浜博行君 ちょっと分かりづらい。科技庁の予算で科技庁が造ったんですか、それとも国交省。
  92. 岩崎貞二

    政府参考人岩崎貞二君) 当時運輸省でございましたけれども、運輸省、海上保安庁の予算で造りました。ただ、各省ごとに当時もいわゆるシーリングというのはございましたので、そのときに科技庁の部分を一部移し替えてもらったと、こういうことだと承知をしております。
  93. 長浜博行

    ○長浜博行君 そういう手法もあるのかもしれませんが、現在はその「しきしま」という船が一隻、足が長いと言われるその船があるわけでございます。  昨年の五月十七日、十八日に海上保安制度創設六十周年記念ということで観閲式にお呼ばれをしまして、総合訓練を拝見をいたしました。私と笹川さんと二人だったようにこの日は記憶をしておりますけれども、すばらしい訓練を拝見をしながら、人命救助はもちろんでありますけれども、特に関心を持って拝見をしたのがサミット対策のテロ鎮圧訓練でありました。  私は、テレビでこの間の海自と海保の合同訓練の模様を拝見をしていたときに、あれっ、かなり訓練された部隊が展開をしていて、これは海自なのか海保なのか、当時を、拝見をした記憶をダブらせながら、いや、海上保安官は八名で、これはいわゆる犯人を拘束して逮捕するときの役割だからこの訓練の中にはいないんだろうなと思いながら拝見をしていたわけですが。  海上保安庁の特殊警備隊、SSTについて伺います。  海上保安庁の特殊警備隊と海上自衛隊の特別警備隊の違いは何でしょうか。特警隊という略称は海上自衛隊でしか使っていないようでありますけれども、この違いを御説明をいただければと思います。
  94. 岩崎貞二

    政府参考人岩崎貞二君) 海上保安庁の特殊警備隊のことについてお答え申し上げます。  平成八年に創設をされました。その前身は、プルトニウムの輸送等々に当たったときは警乗隊というものをつくっておりましたけれども、そうしたものを発展的に解消させまして、平成八年に創設したものでございます。海上保安庁の特殊警備隊は、銃器等を使用した凶悪犯罪、有毒ガス使用事案等、高度な知識及び技能を必要とする特殊な海上警備事案に迅速かつ的確に対処するため創設したものでございます。
  95. 長浜博行

    ○長浜博行君 海上警備行動が発令されたのが今回三例目ということで、第一例目が一九九九年、平成十一年の能登半島沖不審船事件でございます。これはテレビ中継を御覧になった方も多いと思いますけれども、簡単に言えば、遅くて付いていけないという状況展開の中において海自が出動というケースになったわけでありますけれども。  このときもSSTが関与されておられたと思いますけれども、これはどういう事例で、あるいはこのときの教訓はその後どう生きているんでしょうか。
  96. 岩崎貞二

    政府参考人岩崎貞二君) 先生今御指摘のとおり、能登半島沖の事案のときには、私ども巡視船艇、航空機も動員いたしましたけれども、残念ながら逃げられてしまったと、それから海上警備行動を発令された、こういう事案でございます。  反省点といたしましては、やはり海上保安庁の装備が十分じゃなかったということを踏まえまして、それ以降、スピードのある、それから武器も高機能を持つ、こうした船の整備を図ってきたところでございます。それから、防衛省との間での連携関係が必ずしも適切ではなかったんじゃないかと、こういう反省もございましたので、その後、運用面において共同対処マニュアルというのを作りまして、早い段階から防衛省と情報共有をする、こうした連携協力が的確に行えるよう仕組みをつくってきたところでございます。  また、法制面でも、こうした不審船を停船させるための、今回、海賊の法案でも停船射撃というのを新しく提案させていただいておりますけれども、この不審船の事案に対応するために、平成十三年十一月に、海上保安庁に不審船を停船させるための射撃について、できるという条項を入れていただいたところでございます。  特殊警備隊につきましては、この能登半島沖の事案にも出動いたしました。詳細につきましては、警備上の観点からお答えを差し控えさせていただきたいと思います。
  97. 長浜博行

    ○長浜博行君 まさに今の御説明にありますように、素直に拝聴しておりましたが、そういった教訓を生かされて海自との連携も強化される中においては、先ほど申し上げました今回の活動分野の中において、少なくともその特警隊が行う任務の部分においてはSSTで代替が可能だという考え方はいかがでしょうか。
  98. 岩崎貞二

    政府参考人岩崎貞二君) 今回のソマリアの派遣につきましては、私どもは司法警察業務を行うと。海賊の制圧でありますとかそうした業務は自衛隊にやっていただくと、こういう形で役割分担をいたしました。そうした司法警察業務を担うということであれば、私どもの特殊警備隊を乗船させる必要がないと判断をいたしまして、今回の自衛隊の護衛艦には特殊警備隊を乗っけておりません。
  99. 長浜博行

    ○長浜博行君 一つのポイントですが、今日はこれ以上の議論は、その分野、そこのところはこれ以上はやりませんが、今のような問題点も含めまして、あるいは二〇〇四年ですね、平成十六年、これ海上警備行動の第二例でありますが、中国の原潜が、これは九州の南部の方ですかね、出たときの事例で、とても中国の原潜の問題に関しては対処ができないということで自衛隊になったわけでありますが、これも最初に申し上げましたような、その本来の海上保安庁に課せられた任務と、さっきからくどいほど法律上の設置根拠のことを言っておりますが、その任務と、日本の海上保安庁の装備だけではなくて、相手がいるわけですから、相手の装備がどんどん近代化なり最新化する中において対応できないという状況の中においては、これは別にイデオロギー論争をしているわけではありませんので、今申し上げた状況の中において、海上保安庁に課せられた任務、警備任務ですね、警護任務の中における限界性を長官はどうお考えになっておられます。
  100. 岩崎貞二

    政府参考人岩崎貞二君) 今、私どもの装備ですべてのいろんな警備事案、こうしたものに対応できる十分な装備、能力を持っているとはこれは申せない状況だろうと思っております。私も責任者としてこの海上保安庁の装備というのを充実させるべく努力をしていきたいと思って頑張っているところでございます。  近年、比較的財務当局、それから諸先生方の御理解も得て、保安庁の予算、少しずつ増えてはおりますけれども、まだまだ老朽更新をやりつつ、その中で近代化をしていくというのが精いっぱいでございまして、まだまだ不足しているというのは認識をしております。今後とも積極的に取り組んでいきたいと思っております。
  101. 長浜博行

    ○長浜博行君 自衛隊法第八十条と海上保安庁法第二十五条との関係を御説明をいただければと思います。
  102. 岩崎貞二

    政府参考人岩崎貞二君) 自衛隊法の八十条でございますが、内閣総理大臣は、防衛出動あるいは治安出動を命令をした場合において、特別の必要があると認めるときは、海上保安庁の全部又は一部を防衛大臣の統制下に入れることができる、このように自衛隊法八十条で決まっております。  一方、海上保安庁法の二十五条でございますが、海上保安庁は、軍隊として組織され、訓練され、又は軍隊の機能を営むことを認めるものとこれを解釈してはならない、このようになっております。  従前からもこの件については国会でも答弁させていただいておりますけれども、自衛隊法八十条一項で防衛大臣の統制下に入りましても、海上保安庁の任務でありますとか権限とか、こうしたものについては何ら変更がなく、保安庁法で定める所掌の範囲内において海上における人命、財産の保護等々の業務を的確に遂行するということで考えております。
  103. 長浜博行

    ○長浜博行君 衆議院での議論も聞いた上で御質問をいたしておりますけれども、海上保安庁に海上自衛隊の船を持たせるということは可能でありましょうか。先ほどちょっと「しきしま」の話等々もありましたが、今日は時間的制約もありますので、今申し上げた、衆議院の議論を聞いた上でということで御質問をしております。
  104. 岩崎貞二

    政府参考人岩崎貞二君) 法律上は、国有財産法で行政財産の配置換えをすれば、これは制度上はできます。ただし、そうした自衛隊の船を海上保安庁がいただくことが、これは政策の問題として適切かどうか。私どもは海上保安庁の任務に合った船が必要でございますし、自衛隊の船も決して、私の申し上げる立場にないかもしれませんが、余っているわけでもございませんので、そうしたことをやることは政策的な問題として適切ではないと考えております。
  105. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) 先ほどのちょっと御質問関係で補足をさせていただきたいのでございますが、潜没潜水艦に対する対処につきましては、平成八年の十二月二十四日の閣議決定におきましてそれは海上自衛隊が対応するということは閣議で決まっておりまして、既に中国の潜没潜水艦が問題になる以前から、政府全体としてはその問題については海上自衛隊が対応するという、そういった統一的な考え方の下でやっているということでございますので、まず事実関係としてその点だけ補足をさせていただきたいと思います。  それから、先ほどの海上保安庁と海上自衛隊の艦船の関係でございますけれども、基本的に、私どもの組織として必要なものをその任務に合わせて、護衛艦なりを造っておるものでございますので、まさに自衛隊の任務遂行の上で必要な不可欠なものだというふうに考えておりますので、護衛艦を海上保安庁に所管換えするというようなことは、現在のところ適切でないというふうに私どもも考えております。
  106. 長浜博行

    ○長浜博行君 今、南シナ海の方もある意味では大変な状況であって、アメリカが海洋調査をしているときに中国の、これもしゃべり方が難しいんですが、まあ新聞によると妨害行為を受けているという状況の中で、中国はパラセル諸島に派遣した農業省所管の監視船、これは四千四百五十トン級の軍艦を改造した、所属は農業省の監視船というような形を取っている状況の中において、先ほど来申し上げておりますとおり、日本国の国益を守っていく、国民を守っていくという観点の中においての今の御答弁は、今の状況からすればそうかもしれませんけれども、本当にこれでいいのかなということを感ぜざるを得ないわけでございます。  今日、質問通告をしている案件国土交通委員会でということで幾つもあるわけでございますが、時間の関係もありますので、観光庁に関しましては先ほど自民党の委員の方と公明党の委員の方が御質問をしていただきましたので、これに代えさせていただきたいと思いますし、まあ助かったと思っておられるかどうか分かりませんが、国交省の案件は、私がいつも大臣所信のときに、冬柴さんのときもスタートをしましたけれども、不祥事案件でございました。  本会議でもやりましたけれども、余りにも、建材、冬柴さんとやったときはニチアスの問題でありましたけれども、今回も耐熱性が偽装されているところの建材が、あのとき私はしつこく本会議で、あれは何でしたっけね、国交省の設置法の一部改正する案のときも、本会議でもこの問題をやりました。国交省の中において、国民の安心、安全を保障する建材の認定をして、それを試験機関に持ち込むと。大臣、耐火性のテストのときに、燃えないようにするために水にぬらしてからテストをしたとか、あるいは、もっと悪質の今回の例は、耐火試験は耐火試験にクリアする部材を持ち込んでクリアさせておいて、いざ製造するときはそれと違うものを使って、それで建材として、長期に使える住宅の法案も通しましたけれども、こういった家を建てる部材の中においての、大臣認定プログラムではありませんけれども、国交省の認定の問題でだれも責任を取らない状態がずっと続いているんですね。この委員会でも、国交大臣は、詐欺罪で訴えることも考えると言いながら、本会議のときには、証拠が不十分だから訴えることもしないという状況にもなった。  こんな案件質問通告をしておりますので、調べていただいたというふうに思いますけれども、今の海上保安庁の件は結構です。大臣答弁を求めたい点は、私が質問通告をしていた、この耐震偽装の問題もそうですけれども、国交省が認定をするという状況の中において、それを偽って町中で使われている、そして責任をだれも取らないと、この状況についてどうお考えになるか、最後に聞きまして、質問を終わらせていただきます。
  107. 金子一義

    ○国務大臣金子一義君) 今の件、ニチアスの不正受験、それから東洋ゴム工業の不正受験、それから三つ目、エクセルシャノン、三協アルミによる不正受験といったようなもので取得しておりました。  御指摘の件について、詐欺罪を立証するための具体的被害に関する資料の収集がなかなか難しいということで、まだ刑事告発が行われておりません。ただ、非常に重大な事件でありますので、大臣認定を取得しているすべての企業に対しまして自主調査を行わせる一方で、市場から調達した試験体を用いたサンプル試験も調査して、その結果、性能がないことが確かめられたものについても改修を指示しているところであります。  また、こういう不正受験の再発防止策として、試験体の製作過程についての性能評価機関の職員が現場に立ち会うですとか、試験体の完成から試験の実施まで、試験体をこん包、封印することなどへのチェックの実施によりまして監視体制強化する等々、認定制度の信頼を図っていく次第であります。  大変大事な御指摘であり、きちっと対応をさせていただきたいと思っております。
  108. 植松恵美子

    植松恵美子君 民主党の植松恵美子でございます。  金子大臣、私は香川県の選出でございまして、地元を香川県といたします。私の地元には瀬戸大橋が通っておりまして、また、瀬戸大橋の下には瀬戸内海に島々が浮かんでいるような状況でございまして、本日は、この瀬戸大橋の通行料金と、また離島の人々の暮らしについて大臣に御質問させていただきたいと思っております。  昭和六十三年四月に開通いたしました瀬戸大橋も、昨年でちょうど二十周年を迎えました。地元香川にも、また対岸の岡山でもたくさんのイベントがにぎやかに行われたわけでございますけれども、この瀬戸大橋は、橋脚が瀬戸内海の島、私ども香川県では与島、櫃石島、岩黒島を橋脚が下ろしているような状況でございまして、この島からは、橋を渡って本州やあるいは四国に向かうことができる、そういったアクセスが可能になりました。しかし、一方で、定期バスや自動車によって橋が使われるということで、定期航路がなくなったわけでございます。  この島は、与島の今住民が百三十人、そして櫃石島が今二百十八人という島民がおります。そういった小さな島でございますので、学校だとか大きな病院、そしてスーパーでの買物、また毎日のお勤め先というものは四国あるいは本州に橋を渡って行かなければなりません。ですから、島民はこの瀬戸大橋を生活道路だとおっしゃっておりますけれども大臣はこの橋は島民の方にとっては生活道路だとお考えになりますか、それとも、いや違うとお思いになりますか、お答えください。
  109. 金子一義

    ○国務大臣金子一義君) ある意味、島民の方にも使っていただく大事な国民の資産であると思っております。  そういう意味で、櫃石島、岩黒島及び与島につきまして、坂出市が認定します自動車、これ島民専用と思いますが、島民専用のカードを発行しまして、管理用車両の出入口を活用しまして瀬戸中央自動車道を利用ができるようになっております。現在、島民の利用料金については市が一部を負担するということで、島民の負担割合が通常の三七・五%となっておる等々、島民が非常に使いやすいように、なるべく使っていただけるようにしているところであります。
  110. 植松恵美子

    植松恵美子君 今大臣がおっしゃったとおりに、今地方自治体三七・五%の御負担をしていただいておりますけれども、実は櫃石島からこの四国の坂出北インターチェンジまではたった十二・一キロしかございませんけれども、資料で提出したとおり片道千八十七円の通行料が掛かっております。これは、往復しますと二千百七十四円、一か月二十日間仕事に使いますと一人四万三千円通行料だけで掛かります。ガソリン代は別になります。御夫婦が同じ車で同じ場所に勤めに行くわけにはいきませんので、別々の車を使ったとしますと一家で八万六千円の通行料金が掛かるわけです。毎日使って、これ観光旅行に行っているわけでもなく、一日仕事をして帰ってくるだけにこれだけの料金が使われているんですけれども、このことについて、島民の皆様には、大臣どう思われますでしょうか。島民の皆さんに対してお答えください。
  111. 金子一義

    ○国務大臣金子一義君) 地元の坂出市及び香川県が本四会社と協力しまして負担をしてもらいまして、この三月の二十日から島民の負担を二〇%に下げることとしております。島民の方々に利用しやすい料金にできるだけなっていければと思っております。
  112. 植松恵美子

    植松恵美子君 島内の中での産業というのは、もう本当に漁業しかございません、生活ができるような主な産業というのは。そして、その今漁獲高も減り、魚の値段も下がっている。そして、若い人が新しく漁師になろうとしますと、中古の漁船を買って、あるいは網一式買って、また網引きの権利の料金を払うと約二千万円掛かることになるんですね。ですから、やはりそういった漁師をするよりも島から外に出て工場だとか会社にお勤めに行こうという若い人たちがいらっしゃいます。  しかし、これ通えない距離ではありません。香川県に向かっては十二キロ、そして岡山に向かってはたった三キロなんですね。それにもかかわらず、八万円もお金が掛かるんだったらもう島外に出て、そしてアパートを借りて、島の中でも車を持ち、島の外でも車を持ち、アパートを借りてそして生活をしなければならないような状況になっております。  大臣大臣所信の中で、人口減少や高齢化の著しい地域に対しては、離島航路の維持やコミュニティーバスの導入などで暮らしやすい地域の形成を図るとおっしゃっていることからすれば、この高速料金さえ、先ほど二〇%安くなるといってもまだ片道五百八十円残っているわけでございます。この高速料金が壁になって若者が島から流出をしていっている状況、過疎化、高齢化が進んでいっている状況になっている大きな壁になっております。大臣はこの壁を思い切って取っ払うというような政治判断を下すわけにはいきませんでしょうか、是非下してほしいと思っておりますが。
  113. 金子一義

    ○国務大臣金子一義君) 無料化ということをおっしゃっておられるんだと思いますけれども、これ本四架橋を造ったその建設費というのはやはり返済をしていくと、維持管理もしていくということは、これは必要でありますので、市と香川県が更に今おっしゃられていることについて、二〇%も下げるんじゃなくて二〇%に下げるということになっておりますので、更にそこから先をお地元が、島民という、県民、市民ということに対してどこまで踏み込まれるのか、それはまた拝見したいと思っております。  それからもう一つ、バスを利用して移動する場合の料金と比較しても遜色がない料金と今回なっていると伺っております。そういう意味ではかなり利便性は高められたのではないかと思っております。
  114. 植松恵美子

    植松恵美子君 そもそもこの島民の方々は、橋が架橋されたときから、これは生活道路であるから無料にしてほしいとおっしゃっておりました。島民の方々にとって、この瀬戸大橋は高速で走れる必要は実はないんですね、生活道路ですから。ですから、普通の本州や四国に住んでいて高速道路を選択する、あるいは少々混んでいても、高いから下道を通って迂回してでも行けるという選択肢が残されておりますが、島民の皆様は航路がありません。そしてこの橋が、いわゆるゆっくりでもいいからただで渡れさえすればいいと思っているわけでございます。  今回、いわゆる生活支援策でしょうか、景気対策とおっしゃる理由で高速道路が一律千円、休日で通れるといったようなことになりますけれども、これ本当に生活支援策というものは、二十年前から島民の皆様が生活に根差したところでその時々に料金についておっしゃってきたにもかかわらず、ずっとほっといていたわけでありまして、一律に薄く広くそういった割引をすることも大切かもしれませんけれども、その陰で日が当たっていない状況が、私はこの島以外にも、全国でこの網から抜け落ちているような地域がたくさんあるんじゃないかということを懸念しているわけでございます。  本当に生活を支援する、また大臣が所信でおっしゃったように地域活性化する、元気付ける、人口流出をしている高齢化が進んでいる地域を手だてを打っていくとおっしゃるんでしたらば、こういったところに濃淡を付けて手だてを打っていく、光を当てていくということが大事であると思いますけれども大臣は、そのほかにも橋が架かっていないような離島には航路が道路として替わっていくわけです。こういった網から落ちそうになっている地域をもう一回見直して光を当てていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  115. 金子一義

    ○国務大臣金子一義君) 離島等に対しては航路あるいは空路も含めて考えていく、島民対策というのを打っていくということは十分に検討をしております。
  116. 植松恵美子

    植松恵美子君 大臣、本気で大臣所信にあったように地域を大事にしてくださるというには、少しちょっと御答弁活力がないような気がいたしますので、もう一度地域の人が伺って納得して、すごく力付けられるような御答弁をお願い申し上げたいと思います。
  117. 金子一義

    ○国務大臣金子一義君) 今度、今、国会で御審議いただいております新しい道路の枠組み、交付金というのは、道路だけでなくて道路の延長としての離島対策、フェリーですとかあるいは船そのものの買換えですとか、そういったようなことも交付金の予算の対象となるような対策として考えております。
  118. 植松恵美子

    植松恵美子君 確認までに、係の方で結構ですので御確認させてください。  今回、一律千円になりますと、休日千円になりますと、この島民割引の千八十七円とのいわゆるバランスが崩れると思いますが、島民の方々一体幾らの料金で渡れるようになるか、御配慮くださっているかどうか、もう一度御答弁いただけますでしょうか。
  119. 金井道夫

    政府参考人金井道夫君) 先ほど大臣からお答えをしたとおりでございまして、三月二十日から島民負担を二〇%にする割引を開始するように今最終的に調整をさせていただいておりますので、その場合櫃石から坂出まで五百八十円ということでございまして、千円よりは安い料金になるということでございます。  なお、御承知のとおりでございますが、非常に通行台数少ない、それから限定的に坂出市の認定で島民が利用するということでありますので、ETCの機械は取り付けておりません。
  120. 植松恵美子

    植松恵美子君 是非とも国交省のおっしゃる暫定的に、永遠に安くしていただければと思っております。できれば本当は島の皆様の御要望にこたえて是非とも無料にしていただけるように、大臣また御配慮いただければと思います。  そして、続きましては道路関係の公益法人等の改革について伺います。  大臣の所信にありましたように、昨年は国土交通行政をめぐって国民の信頼を揺らがすような事例が多く指摘されました。政策の棚卸しや公益法人向け支出の削減など、不適切な支出の是正に向けた取組を推進し、たゆまざる改革に全力で取り組みますとありますが、その最たるものが、この平成二十年四月十七日に提出されました道路関係業務の執行のあり方改革本部最終報告書であるかと思います。  まずは、公益法人の契約方式の改善について、現在の状況について伺います。  随意契約がこれまで九四%を占めている状況から四%まで随意契約を減らし、競争性の高い契約方式に移行すると提案されておりますが、達成の見込みはいかがでしょうか。
  121. 金井道夫

    政府参考人金井道夫君) 御指摘のとおり、昨年四月に取りまとめました道路関係業務の執行のあり方改革本部最終報告書にのっとりまして、競争性の高い契約方式を導入をいたしております。詳細なデータはまだ年度途中でございますので精査中でございますが、昨年四月から十二月までのデータで仮に計算をいたしますと、随意契約の割合が九四%から四%と大幅に減少しまして、一方技術で競争していただく企画競争方式の割合が、例えば平成十八年度の三%から九四%へということで大幅に増加をいたしております。
  122. 植松恵美子

    植松恵美子君 このことについてですけれども、マスコミ報道にもありましたが、この企画競争、公募はある意味見せかけの競争性だったと言われております。簡易公募型プロポーザルでは、結局は役所出身者の公益法人に評価が甘くなりがちで、実質的な競争条件の公平が確保できないという声が上がっております。これまで二社以上の応募があった事業はどれぐらいの割合、いわゆる入札に二社以上の応募があった事業はどれくらいの割合を占めるのか、また前年度と同じ公益法人が受注した事業がどれぐらいの割合を占めるのか、お聞かせください。
  123. 金井道夫

    政府参考人金井道夫君) 御指摘のデータについては、ちょっと年度途中で詳細まだ把握ができておりません。  ただ、ちょっと関連するデータだけ申し上げますと、四月当初はまだ情報の徹底がなされていない、それから準備期間が足らなかったということで、いわゆる一社だけ応募してきたという形のものがかなりございました。現在はかなり複数の社が応募してくるケースが増えておりまして、昨年の年末で見ますと大体三割を、一社の応募という業務は多分三割を切っているのではないかというふうに考えております。  いずれにせよ、当初一社の応募が多かったということで、民間事業者へアンケートをさせていただきましていろいろな指摘をいただきました。例えば、発注ロットを縮小しろとか、情報提供を拡充しろ、応募要件を緩和しろ、いろいろな御指摘をいただきましたので、そのような指摘を基にできるだけ多くの方に応募していただけるように改善の策を講じておるところでございます。  なお、道路関係の企画競争の全体で見ますと、大体三分の二は民間の業者が取られております。公益法人関係で受注しているのは、件数で見ますと大体三分の一程度かなというふうに今のところ、概数でございますが考えております。  以上でございます。
  124. 植松恵美子

    植松恵美子君 昨日の時点では数値は把握できていないとおっしゃったんですけど、昨晩一生懸命されたのかと思いますが、それにしましてもこの企画競争、公募が九三・九%占めているという数値はおかしいんじゃありませんでしょうか。一社しか、実際のところは、結局は随意契約と変わらないような結果になったということでよろしいでしょうか。
  125. 金井道夫

    政府参考人金井道夫君) 先ほども申し上げましたとおり、企画競争全体で見ますと約三分の二は民間業者が取られております。したがいまして、公益法人だけに有利な方式ということでは全くないと思います。  なお、先ほども申し上げましたとおり、応募要件をいろいろ緩和したり、民間の業者が更に取りやすくするような施策を今後どんどん講じていきたいと思っておりますし、また、これもさっき申し上げたとおり、最近は複数の社が応募していただくケースが大変多くなったと、競争条件がだんだん整ってきたかなというふうに考えております。
  126. 植松恵美子

    植松恵美子君 それでは、続いて、役員数や総人件費の抑制についての改革の進捗状況について伺います。  今回の報告書の中には、定年制の導入ですとか、六十歳を超えた国家公務員出身の給与の三から五割の大幅な削減が定められています。今現在において、これまで定年制によりお辞めになった方あるいは給与が削減された方は実績としてそれぞれ何人いらっしゃるか、教えてください。
  127. 増田優一

    政府参考人増田優一君) お答え申し上げます。  昨年四月に取りまとめた改革本部最終報告書におきましては、今御指摘ありましたように、平成二十一年度までに国家公務員出身の役員の在任は六十五歳までとするという、定年制の導入を図るよう要請をするということにしております。あわせまして、これも平成二十一年度までに六十歳を超えて在任する場合の国家公務員出身の役員の給与水準の抑制を図る、これは三割から五割ということで要請をいたしているところでございます。この二つの要請につきましては、道路関係公益法人につきましては真摯に受け止めていただきまして、期限であります二十一年度に向けてそのための準備をしていただいております。  ただ、現在までのところ、今申し上げました新しい定年制の導入により具体に退職された国家公務員出身の役員がいるとの報告はまだありません。  それから、給与水準の抑制につきましても取り組んでいただいておりますが、これにつきましては、対象法人のうち既に給与水準の抑制を行ったものは一法人あるというふうに聞いております。
  128. 植松恵美子

    植松恵美子君 大臣、先ほどの御答弁の中に、平成二十一年度までに完了すればいいから二十一年三月までに削減しておけばいいというような受け止め方でよろしいかと思うんですけれども、しかしながら、実際一法人一人は削減できているわけですよ。そうすると、ほかの法人が怠慢で削減していないと取られることもあるかと思いますけれども大臣、どうでしょうか。  給料を削減するのに平成二十一年度までに完了することと言っております。そうしたそのいっぱいいっぱいの猶予期間は一円も下げなくてもいいというとらえ方をするのか、できることから、今日からでもあしたからでも来月からでも、給料をみんなで相談して、これは取り過ぎだな、国民の皆様におしかりを受けているなということで削減するのか、どちらがこの改革に沿っておりますか。この改革は大臣が強い決意を持って始めた改革であると、この表紙、見開きのところに大臣のお言葉で書いていらっしゃいますが、いかがでしょうか。
  129. 金子一義

    ○国務大臣金子一義君) ちょっと経緯というか、今の現状をちょっともう一遍。
  130. 田村耕太郎

    委員長田村耕太郎君) じゃ、増田房長
  131. 増田優一

    政府参考人増田優一君) 補足をさしていただきます。  今申し上げました二つの要請は、一般的な公益法人の指導監督基準に照らしましても、大変厳しい上乗せした要請を行っているわけでございます。  道路関係公益法人、これは御案内のように、十八年度において道路特会から五百万円以上の支出があった法人で、かつ二十年度から取りやめたものを除く三十五法人に対してこの要請を行っているわけでございますが、その公益法人はそれぞれ、当然法人の業務の実行の問題でありますとか、あるいは内部の規定の整理でありますとか、それぞれ問題を抱えておりまして、私どもが設定しております二十一年度に向けて真摯に取り組んでいただいておりますので、そのうち結果が出てくるものというふうに考えております。
  132. 植松恵美子

    植松恵美子君 何度も言うようですけれども、一法人はもう既にできているわけです。できている法人を見習うように指導するのが私は改革であると思います。できていない方に合わせていたら、年度いっぱいいっぱいまで削減はできません。これは国民の目線に立った改革であるとおっしゃられて始まった改革です。  今、金融危機の折、非常に国民の皆様は厳しい生活をされているわけでありますね。その中で道路関係の公益法人が非常に無駄遣いがあったり大変目に余るような支出があったから改革をしているわけですから、是非できるところから、年度内いっぱいいっぱい猶予期間を使うんじゃなくて、できるところからされるべきだと思いますが、大臣、どうでしょうか。
  133. 金子一義

    ○国務大臣金子一義君) その趣旨を踏まえて各法人、今準備をしていると思っております。
  134. 植松恵美子

    植松恵美子君 それでは、是非とも、年度内でできていればいいというんじゃなくて、できるところからよろしくお願いいたします。  次に、公益法人の業務・組織形態の見直しについてお伺いします。  株式会社化を視野に入れて非公益法人化する法人のうち、建設弘済会、八法人あるかと思いますが、非公益法人化に向けての進捗状況はいかがになっておりますか、教えてください。
  135. 増田優一

    政府参考人増田優一君) お答え申し上げます。  これにつきましても最終報告書に盛り込んでおりまして、御指摘ありましたように、各建設弘済会については株式会社化を視野に入れ非公益法人化するというふうにされています。これにつきまして、各法人では今年度から取り組んでいただいておりまして、既に平成二十年度に開催されましたそれぞれの弘済会の総会におきまして、最終報告書を踏まえ、平成二十二年度中に非公益法人に移行するため所要の検討作業を進める旨、総会におきまして議決、承認をいただいているところでございます。  現在、その議決を踏まえまして、非公益法人化に向けた具体的な作業を進めていただいているというふうに伺っております。
  136. 植松恵美子

    植松恵美子君 ということは、結局、この改革の報告書が出されてからこのことをなされているのは、平成二十年五月ごろに行われた定期総会において非公益法人に移行する方向性を決定して、今後は準備して検討していこうねということを決めたきりだということでよろしいでしょうか。
  137. 増田優一

    政府参考人増田優一君) お答え申し上げます。  株式会社化を視野に入れて非公益法人化する、場合によっては株式会社になることもありますし、あるいは昨年の十二月からスタートいたしました公益法人改革に伴って一般法人に移行する等々、方途があるわけでございますが、それぞれ手続が必要になります。そういった手続を現在進めているわけでございまして、そういった総会の議決に従って粛々と進めているというふうに私どもは考えております。
  138. 植松恵美子

    植松恵美子君 粛々というよりは、のったりゆったり進めているとしか言いようがありません。  先ほどから、与党皆さん政策を進めるときにスピードが大事だとずっとおっしゃっておりました。しかし、改革はのったりゆったりではいけないんじゃないでしょうか。大臣、いかがでしょうか。
  139. 金子一義

    ○国務大臣金子一義君) 先ほどから、業務組織の見直しにつきましては、これ、改革方針で五十法人を十六法人にしようと。うち三法人はもう解散と、それから統合する法人は四、支出を取りやめる法人は十五、株式会社化を視野に入れた法人が今御指摘の十、一般法人化する法人は四ということで、五十法人を十六法人にするということで改革方針を決めさせていただきまして、これについては、手続というのはそれぞれの法人で総会あるいは株主総会に代わるもの、あるいは役員会でしょうか、これが必要であります。そういう意味で、平成二十二年度までに完了ということで進めておりますので、この点については、粛々とという言葉はのったりゆったりとちょっと聞こえますけれども、きちっと進めると、スケジュールに沿って進めるということであります。  また一方で、先ほどちょっと御指摘いただきましたが、政治主導だろうと、そのとおりで、道路関係公益法人の改革の中で要請した措置の実施時期については、既に道路関係公益法人に対して、契約方式の適正化、これは特命随意契約の割合、さっきちょっと御議論ありましたけれども、九十四から四、それから役員報酬や退職金に係る規定の策定、公表による情報公開の徹底、それから道路関係公益法人間での国家公務員出身の役員の兼職の解消、これは既にもう実施しているところであります。そういうことで、決してのったりゆったりではなくて、スケジュールに沿ってきちっと進めさせていただいていると思っています。
  140. 植松恵美子

    植松恵美子君 大変な金融危機の折です。今、公共事業前倒しで発注、出しましょうとおっしゃっておりましたけれども、これ、無駄遣いを直していこうという改革もまず前倒しにするぐらいの気持ちじゃないと、国民は納得できないと思います。  そして、今資料を提出させていただいておりますけれども、この株式会社化を含めた、非公益法人に移行するとされております八法人、いわゆる弘済会と言われるものの事業について支出額を書かせていただいておりますが、相変わらず常勤の役員の三十八人のうち三十七人が国交省の出身の方です。そして、平成十八年度、十九年度、二十年度、これ二十年度はまだ四半期残したような状態ですから、満額ではありませんが、最初の年は三百八十七億、十九年度が三百三十億でちょっと一五%支出を削減したように見えますけれども、二十年度になってまた三百四十九億と戻っているような状況でございます。  こういったところで無駄遣いだとかOBの役員数を減そうとしているだとか、あるいは統合だ、組織の改革をしているんだとおっしゃっても、国民は結果がまだ目に見えていないような状況でございます。せめてこの進捗状況をきちっと公益法人の様々な項目において把握をして、もう一度途中経過を国民の皆様に目に見える形で報告をする必要があるかと思います。  そして、今の状況、いわゆるのったりゆったり、何にもできていなくて年度末に慌ててやるような方向では、国民の皆様は、結局この一年間何にもやっていないじゃないかとおっしゃられても仕方がないかと思いますが、今国会中においてそういった途中経過の報告書をお作りになるつもりはありませんでしょうか。
  141. 増田優一

    政府参考人増田優一君) お答えいたします。  御指摘ありましたように、私ども、昨年四月の最終報告書につきましては、その都度フォローアップをしておりますので、改めて現時点での成果等につきまして取りまとめをさせていただきたいと思います。  それから、今御指摘ありました常勤、非常勤の役員数でございますが、お出しいただいている資料、配付資料の数字、これは下の方を見ていただきますと、二十年三月現在ということで、常勤役員数それから非常勤役員数合わせまして五十三名ということになっておりますが、これにつきましても、理事数等につきましては削減するということが決められておりまして、この数字、今年の一月一日時点で申し上げますと、この五十三名に当たる数字が三十五名ということで、役員数の削減も進めてきているところでございます。
  142. 植松恵美子

    植松恵美子君 それは失礼いたしました。しかしながら、まだ三十数名もいると国民は恐らく思うと思いますよ、私は。  最後に、進捗状況大臣の方から御答弁を賜りたいと思いますけれども、これ最初は、大臣、大変お疲れのお顔でいらっしゃいますけれども、ここの決意文を見ますと、私もこれ見ますと、非常にやる気があるなと、頑張ってくださるなという、国民もこれを見たら大変期待感を持っていらっしゃると思いますので、是非とも進捗状況、途中を公開して国民皆さんに、これだけ国交省頑張っているんだよと、無駄遣い省いているんだよというメッセージを出していただきたいのと、是非とも見せかけだけでなくて中身の伴った改革をされるように目を光らせていただきたいと思いますが、よろしく御答弁、お願いいたします。
  143. 金子一義

    ○国務大臣金子一義君) 国民からの信頼回復を図っていくことが急務であると思っておりまして、昨年四月に決定をしました改革本部最終報告書を踏まえて、道路関係公益法人の改革につきましてはきちっと進めていると思っております。  ただ、先ほど来御指摘ありましたように、目に見えないではないかと、国民にもっと分かりやすく、どういうふうに進んでいるかということを報告しろというお話もいただきました。これを、改革を着実に実施すると同時に、さっき官房長から答弁させていただきましたように、中途経過を何らかの形で明らかにできるようにしていきたいと思っています。
  144. 植松恵美子

    植松恵美子君 是非ともよろしくお願いいたします。  私がこの質問をするに当たりまして、様々なデータを国交省の係の方に要求いたしましたところ、そういったものは把握できておりませんというのがほとんどでございましたので、大変膨大な数になりますのでというお返事もたくさんいただきました。もちろん大変なことは分かっておりますけれども是非とも大臣、よろしくお願いいたします。  終わります。
  145. 田村耕太郎

    委員長田村耕太郎君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  146. 田村耕太郎

    委員長田村耕太郎君) 速記を起こしてください。
  147. 田中康夫

    ○田中康夫君 参議院における統一会派、民主党・新緑風会・国民新・日本の一員であります、新党日本代表田中康夫でございます。  本日は、社会的公正と経済的自由を同時に達成し、混迷する日本にダイナミズム、躍動感を取り戻すと、このためにまさにかなめとなる国土交通省、この国土交通省施策に関して御質問をいたしたいと思います。  お手元にお配りいたしましたレジュメ、後ほど少しお話をする内容でございます。冒頭に、脱・神学論争、パラダイム・チェンジとしての「脱ダム宣言」と書かせていただきました。天動説から地動説へと、また、正しいハイエク・新しいケインズと書いてございます。  後ほどお話をいたしますが、その下に書きましたのがエドワード・サイードという、大臣金子さんも御存じであろうと思いますが、パレスチナのDNAを持つアメリカの学者で、五年ほど前に白血病でお亡くなりになった大変な碩学であります。彼が述べているのは、大切なのは、ただありのままに物事を見詰めるのではなく、それがいかにしてそうなったかを見抜く力だと。すなわち、形というものに拘泥するのではなく、中身というアウトカムを求めていこうということであります。  この話を昨日質問取りにお越しになられた国土交通省の方々にお話をいたしましたら、そもそも論をなさるのですかというお話でございましたが、そうしたことではございません。これは形而上の話ではなく、恐らくフランスやドイツあるいは中南米を始めとする議会ではこのような議論が行われているのではないかと私は思います。まさに、日本が今まで失敗は成功のもとという形で母と言ってきたことが、実はことごとく成功が失敗の父になりかけていると。こうした中で、物づくり産業の輸出産業もパラダイムチェンジ、今まで常識だと思われていたことを、根底から発想と認識と選択と仕組みを変えなくてはいけなくなっております。  こうした中で、実は国土交通省の行政というものは、すべての道はローマに通ずという言葉がございますように、国土というものが道でございます。そしてまた、ローマは御存じのように、ローマ水道橋という橋をこれをローマの帝国の中に敷設をいたしました。しかし、これは供給側の都合ではなく、そこに暮らしている方々の経世済民として、消費者の視点に立って、水というものがなければ人類が、生き物が生存し切れないという観点に立っていたことであろうかと思います。  そういった視点では、国土と交通、まさに交通というのは通商でもございますし文化でもございます。そして、通商という観点でいえば、交通ということはこれはITであったり電波でもあるわけでして、すなわちこの点が日本の省庁の中において、財政を預かる財務省、あるいは法律、法治国家であるならば法務省と並んで、国土交通省というものが三つの基軸として本来きちんと機能しなくてはいけないと、このように考えております。  ところが、最近は逆風が吹いておりまして、治水ということに関しても、これは皆様御存じのように、前回も、十一月十三日の日に申し上げたと思います。黄河治水の祖は中国の最古の王朝である夏の創始者である禹でございました。まさに治水は政治の要諦であろうかと思います。同時に、この治水の問題は後ほど扱いますが、先ほど山本順三さんの方からもお話があったように、直轄負担金というものが大変な耳目を集めております。  昨日、全国知事会は直轄負担金の廃止を要求するということを方針を決めたというふうにも報じられております。また、過日、金子一義さんが面会をされた大阪府知事の橋下徹さんは、今まで地方奴隷のような状態で、奴隷解放せよという大変に物騒な言葉までおっしゃっております。こうした中で、まさに本来、日本を良い意味国民のために経世済民でつかさどるべき国土交通省が矢面に立って防戦一方のような形になっておりまして、この点、私は大変に好ましからざる状況であろうかと思います。  まず、このような防戦一方の形でよろしいのか、金子一義さんに、また、大臣房長でいらっしゃる増田優一さんにも冒頭お話をお聞かせいただきたいと思います。
  148. 増田優一

    政府参考人増田優一君) 御指摘直轄事業負担金について、私の方から御説明をさせていただきたいと思います。  私ども直轄事業負担金につきましては、これは法律制度ででき上がっている制度でございますし、それからあえて申し上げれば、地方負担につきましても一定の地方財政措置がなされているもの、制度的に確立されたものというまず理解をしております。ただ、そうはいいましても、昨今の厳しい経済情勢を受けまして、地方財政状況は極めて厳しいものですから、そういった中から様々な御意見が出ているものだと承知をいたしております。  ただ、今先生からも御指摘がありましたように、この直轄事業負担金制度は単に地方財政を面倒見てやればいいというものではなくて、まさに直轄事業の在り方でございますとか、あるいは国と地方の役割の問題でありますとか、様々な問題に絡む問題でございますので、かつ問題点も多岐にわたりまして国交省でできるものとできないものございます。今後、大臣の指導を得ながら知事会とも意見調整をしてまいりたいというふうに考えております。
  149. 金子一義

    ○国務大臣金子一義君) 大阪の橋下知事がおいでになられて、今委員指摘のように奴隷制度解放と言っておいでになられたので私もびっくりしましたけれども。私は、宮崎県東国原知事、もう地元負担少しでもするから早く高速道路を地元に造ってくれと、宮崎県はね、という御意見、一方でありますよと。鳥取、島根も同じように、財政力が本当に弱いところでもやっぱり地元利便ということ、あるいは地域住民のことを考えれば一刻も早く責任を持って知事としてやりたいと、こういう御発言もあるわけですから、橋下大阪府知事奴隷制度廃止だけで済む話ではないんで、それはやっぱり全体としてそういう御意見は知事会で議論をしてむしろいただきたいと申し上げて、納得して逆にお帰りになられて、負担をしていただくということで大阪府議会では直ちに決めていただいたようであります。  ただ、確かに最近は、分かっていても、分かっていても地方財政が非常に厳しい、払いたくても非常に厳しいという状況が出てきていることも事実であります。特に、福岡県でありますが、二十二年度に新幹線が開業すると。急速に二十二年の開業に合わせて新幹線の負担金が増えていくといったような状況、つまり一時的に負担がピークに上がると、こういう状況もある。これを何か考えてほしいという御意見。あるいは、本来ちゃんと約束をして、この事業に伴って地方はこれだけ御負担願います、お願いしますということでやってきていても、地方整備局ベースではやってきても、知事に上がったときにはツケだけ回ってくると、つまり十分に説明が知事に上がっていない。知事としては、何だよ、こんなもので県民に説明ができるのかというような話がやっぱり受け止められてしまう。こういうものについては、もう少し国と地方との間で協議の場というのをもっとはっきりさせるというんでしょうか、何かきちんと県民に対して説明ができるようなものに今の方法を改めるべきだという御意見もある。様々なそういう意味で御意見があります。  知事会だけでなくて、政令指定都市も多分同じような問題を抱えていると思っておりまして、知事会で取りあえずいろいろな御意見が出てくると思いますけれども、御意見を承って、そして課題を整理して進めていきたいと思っております。
  150. 田中康夫

    ○田中康夫君 この直轄負担金は、実は私が山国で知事をしておりましたときに、恐らく戸草ダムという実は南アルプスから流れる三峰川という、美和ダムという大変に大きなダム、その上流にダムを造るという計画がございました。これを私が知事を務めておりました県も直轄負担金を払って利水事業で参加をすると。しかしながら、私が脱ダム宣言、これはでき得る限りダムに代わる方法も考えようという内容でございまして、これは原理主義なのではございません、後ほどお話をいたしますが。それを発した後に、私どもの当時企業局長だった者が、売電事業そして工業用水ということで利水に参加するが、これは残念ながら電力会社への売電料金も考えると採算が取れないということで、この直轄に関しての参加を取りやめようという意見が出まして、余談でございますが、この人物は私の就任の日に実は名刺をこんな名刺は仰々しいのでと折り曲げた人物ですが、しかし選ばれた知事の下で一緒に変えていこうというふうに意識を変えてくれた人間でございましたが、そこで直轄負担金負担を私どもお断りをして、自来七年ですが、昨年の六月十六日に中部地方整備局が計画であった中でのダムの中止ということをされました。  しかし、大変手前みそに聞こえるかもしれませんが、今回の、直轄負担金は払いたくないなどとおっしゃっているのは、私からすると大変にレベルの低い愉快犯のような気がするわけでございます。すなわち、個別の事業においてこれが住民あるいは公共のためになるかならないか、あるいは財政が厳しい中でこの事業に関しては当面の間見送りをしたいというようなお話であるならばいざ知らず、まさにシーリングのような話で、パーセンテージで払えないとか、二割は払えないとか、あるいは一切払えないというのは、逆にこれは私は信義則を欠く話ではないかと思っております。地方分権を声高に述べていた私が何を言うのかと戸惑われている方もあるいはいらっしゃるかもしれませんが、今日お配りした書類の二枚目をちょっと御覧いただきたいと思います。  実は、これは国土交通省と直接関係ないように見えるかもしれませんが、学校図書館費をどのように各都道府県が使っているかという内容でございます。学校図書館費というのは今までクラス数、生徒数、学校数に応じて文部科学省と財務省がきちんと算定をして各自治体に配付をしておりました。しかしながら、こうした補助金はやめようということで一般財源化をいたしました。一般財源化をした後どのような状況になったかと。これが、国際基督教大学の藤田英典先生とまた櫻井よしこさんと私が当時調べた内容でございます。驚くなかれ、全国の七五%の自治体で学校図書購入費は減少しているわけでございます。  すなわち、今まで補助金であったときには本を買わざるを得ません。無論、立派な感覚のある司書であったり良い父母がいなければ、本の買う中身には差が出ます。しかし、本以外は買えなかったわけでございます。それは何ゆえかといえば、中山間地の子供にもやはり読み書きそろばんの読書をするということが立派な日本の一員になるということだったと思います。  ところが、これが交付税化されました。交付税化されますと住民からは、今でも財務省と文部科学省は算定基準を設けて配付をしているにもかかわらず、外側から見えないので、結果として恐らくは、語弊があるかもしれませんが、国土交通省も首をかしげる箱物であったり、あるいは地方公務員の方の人件費であったりに転用されているかもしれないということです。すなわち、これは置き換えますと、親がおまえはちょっと歴史が弱いので山川出版社の参考書を買って勉強せいといってお金をくれたのに対して、おやじ、今の時代は総合的学習の時代だから、おれの人間形成のために使うと言って、補助金ではなく交付税だと言われてしまったら、それが、あろうことか、ガールフレンドとのデート代やラブホ代に化けちゃったというような話なんでございます。  つまり何を申し上げたいかというと、国土交通省は、私先ほど申し上げたように、財務省や法務省と並んで国のかなめ、日本国土と交通、人的交流も交通でございます、これを設けていくところが具体的に、地方の自主性や判断に任せるというような形で押される形ではなく、自分たちはここに関してはきちんと権限を持ってやるんだと、その代わりにここはあなた方なんだと、それを論点整理とか問題整理というような言葉じりを超えた形でお示しになるべきだということが私の考えなんでございます。  これは実は、公明党の弘友和夫参議院議員も先日、私が座長の一人であります水循環基本法研究会、これは国土交通省の技術系の方はどなたでも御存じな京都大学名誉教授の松井三郎さんを委員長にしまして、そしてまた自由民主党の中川秀直さんが共同座長の代表でございますが、ここで弘友さんが下水道のお話をなさいました。  皆さん御存じのように、現在まだ下水道、あるいは農業集落排水、あるいは合併処理浄化槽がない方が七百五十万世帯くらい、一七・六%くらいあると。ところが、これを全部下水道という規格で整備していく場合には四十七・二兆円くらい掛かると。しかし、山あり谷ありの、集落が離れたところを合併処理浄化槽にすれば、これは必ず水洗トイレになって、洋式便座になって、そして商業用語であると思いますがウォシュレットのような形が取れるわけでして、つまり、形なのではなくて中身のアウトカムで考えれば、今こそ、私たちが言っていることは、環境省、厚生労働省あるいは農林水産省、国土交通省に分かれている水洗化というところの縦割りをよい意味国土交通省が統合的にインテグレートして、なぜならば国土交通省国土と交通のすべてを預かっているからです。そして、国土交通省がよい意味で無駄を排して、そうした合併処理浄化槽も入れたネットワークとしての水洗化率、下水化率ではなく水洗化率をやっていくのだと、このようなきちんとビジョンを立てるべきではなかろうかと思っております。  同時に、実は、日本には地下水法がございません。あるいは水源地法というものも大変にあいまいもことしております。皆さん御存じのように、現在、コングロマリットのテムズウォーターというイギリスの会社、あるいはスエズというフランスの会社、あるいはヴェオリア・ウォーターというような会社、こうした会社が水源地を全世界で、水供給をするだけでなく水源地を確保するというような形が起きてきております。  これは現実に、日本においてはネスレ・ウォーターという、これはスイス系のコングロマリットであろうかと思いますが、利益率八%を超えるところが、既に二〇〇六年に、当時、山梨県の西桂町というところの「こんこん湧水」というわき水でございます。ところが、これは国立公園内の、自然公園法の規定の範囲に本来入るところの中の私有地がたまさかあって、そしてそこで水源から水を取っていたと。しかし、これは、皆さん御存じのように、クウェートとイラクのときの話と同じように、地下水系の話でございますから、一体その私有地のところだけの水源なのかということです。  そして、まさに森林組合等の意識改革がままならない方々のそうした水源地の土地をこうしたコングロマリットの企業が買い占めていけば、まさに日本は山紫水明であり、また日本の水は良い意味でソフトパワーとして、ハードパワーとして国際競争力を持ち得るはずであるにもかかわらず、地下水法であったりあるいは水源地法というものが、地下水法自体がないという中において、このときに、私はやはり単に治水ということだけでなく、国土交通省というまさに供給側の都合でなく消費者側の希望に根差した行政機関として良い意味で規制を強化する部分、それは供給側の都合での強化ではなく消費側の希望のための、こうした観点を行わねば日本は早晩、草刈り場ならぬ水刈り場に世界中からなっていってしまうという大きな問題でございます。  先ほど、そもそも論を今日申し上げるのではないと申し上げましたが、日本はとかく、アメリカが政権が替わるとアメリカは何を考えているのだろうと言いますが、私どもは独立国家でございます。すなわち、日本はこういうことを考えているんだ、これをしたいんだ、これは我々はできないと。しかし、そのときに先方の国と話をして、合意、納得したことはとことん約束を守るということが、一方が一方に従属する形ではない、まさに日本の顔の見える政治になり、またそのことを消費者の視点で行えるのは私は国土交通省であると、このように考えているわけでございます。  したがいまして、先ほどの直轄負担金の話も、もっと申し上げれば、例えば淀川水系流域委員会というものがございました。ここの宮本博司さんという方は、皆さんの同僚であられて国土交通省の河川局の課長も務められた方だったと思います。今は京都で、町家で商いをなさっていらっしゃいますが。  ここが四つのダムをやめようと、前回の国土交通委員会でも申し上げました。そのときに、その中の一個だけ、大戸川ダムだけやめるというふうに三重県、滋賀県、京都府、大阪府の知事は言ったわけです。逆に言えば、残りの三つは直轄負担金も払いますとそのとき言ったんですね。  ところが、多くの日本のメディアは、四つの中の一個、皆さんにはいろんな御意見あるかもしれません、しかし国土交通省が設置をした委員会が四つやめましょうという内容を出た中の、極論すれば一個だけはやめますと言ったわけでございまして、ではそのときに、まさにマスメディアは地方の反乱だというふうに書きましたけれども、私はそうではないんじゃないかと。  むしろ皆さんの側から水利権というものを共有物という観点でもう一回デューデリジェンスをしていこう、あるいはそうした中で川上ダムの規模はどうするのか、水利権が眠っている青蓮寺ダムの水利権はどうするのかというようなことを打ち出してこそ、やはり防戦一方ではない国土交通省になるのではないかというふうに思っております。  実は、こうした中でダム事業プロセス検証タスクフォースというものが発足をしたというふうに伺っております。この点に関しまして、これは具体的に国土交通省の中でどういうことを検証するのか、河川局長であられる甲村謙友さんにお伺いをいたしたいと思います。
  151. 甲村謙友

    政府参考人(甲村謙友君) お答え申し上げます。  ダム事業プロセス検証チームでございますけれども金子大臣の御指示によりまして、どうしてもダム事業というのは長い期間掛かります。かつ、ダム事業を始めた当初は関係知事さん方の合意を得て進めてきたものでございますけれども、昨今の状況を見ますと、川辺川ダムあるいは大戸川ダム等で当初とは違った知事さんの意見が出てくるような状況になったわけでございます。  そこで、個別の問題としてではなくて、ダム事業全般として、ダム事業の進め方あるいは合意形成の在り方等についてプロセスとしてどこに問題があるのか、タスクフォースをつくって検証せよという大臣の御指示でございまして、今それを実施しているところでございます。
  152. 田中康夫

    ○田中康夫君 今のお話は、ダムの計画あるいは建設は進めるという、ダムを造るというあるいは計画があるということありきの上で、その手続のプロセスを見ていこうという、手続上の話を検証しようというお話であろうかと思いますが、いかがでございますか。
  153. 金子一義

    ○国務大臣金子一義君) 手続にとどまらず、今、田中委員が御指摘いただいたとおり、水というのは物すごく大事な我が国にとってのテーマ、これからもますます水というのが大きな課題になってくると思っております。ただ、大戸川にしても川辺川にしても、やはり長期にわたるということになりますといろいろな判断がそこに入ってくる。  そういう中で、基本的には、どうしてこういうことが起こるんだろうか、それからどうすれば本当に我々こういう水需要というものに対応できるんだろうか。同時に、治水もあります。熊本、今、川辺川について、川辺川を造らないという決断をされましたけれども、治水だけは、じゃ、どうするというのは空白のままに残されました。沿川の皆さん方の心配は残されたままやらないということになれば、さて治水ということを考えるのは国であれ県であれ同じでありますから、どうこういうものに対応していくのか。様々な角度からこういうダムの在り方あるいは水需要の考え方というものを検討してもらいたいという趣旨で副大臣をヘッドにこのタスクフォースをつくってもらったところであります。決してダムを造る手続を強化しようという話ではありません。
  154. 田中康夫

    ○田中康夫君 しかし、名は体を表すで、ダム事業プロセス検証タスクフォースでございますから、治水事業の在り方の検証タスクフォースという表現にはなっていないわけでございます。  先ほど来申し上げておりますように、私は、やはり現存の、現在のダムというものをどのように維持修繕をしていくかということもこれは現下の厳しい財政の中で大きな問題でございます。かつてイタリアの北部で起きましたようなバイオントダムのような、ダムが倒壊することによって二千人を超える方々がお亡くなりになるというようなことは、これは治水の上において国民との信頼関係を著しく損ねることでございます。  すなわち、現存のダムというものをどのように修繕をしていくのか。あるいはもっと言えば、もう一度壊して新しく改造して造り直すのか。もっと言えば、そのほかの遊水地であったりあるいは放水路であったり他の代替案というものを考えるのか。もっと言えば、一回造ってしまったものが現下の財政状況でいかんともし難い、直轄負担金払いたくないなどという自治体があるのならば、もう放置し続けるのかと、これはあり得ないとは思いますが。大きくこうした四つの類型に分けて物事を考えるということをしないと、残念ながら川辺川ダムあるいは八ツ場ダム、そのほかのダムも数限りなく多くの少なからぬ住民の方々が疑問を抱いているということは、これは説明責任が結果として、やはり一人一票の民主主義でございますから、届いていないということかと思うんですね。  こうした中で、例えば四国においても、山鳥坂ダム、これは御存じのように二〇〇〇年の八月に、自由民主党と公明党と自由党の政権のときに不要、無用であるという二百三十三の公共事業の中で休止をしたと。また、その年に当時建設省が百三十六の具体的にやめるという中に入れられた内容であります。しかしながら、いつの間にか復活をしてきていると。そして、その肱川と呼ばれる、大洲市と呼ばれるところの幾度もはんらんをしている場所の堤防はいまだに無堤防であると。  無論、河川工学という中においては、無堤防の場所を直すよりもダムを造ることだという論理体系もあるのかもしれません。しかし、大臣もお医者さんにかかられるとき、例えば、もう外科手術を四日後にしなきゃいけない、すぐするべきなんだけれども、実は手術室が三日間埋まっていると。であるからしてというときに、じゃあ手術までの間何もしなくていいのかといえば、そんなことはございません。マッサージをする場合もありましょう。単に検査漬け、薬漬けということではなく様々な治癒を医師は施した上で、そして最終的な手術もしていくわけでございます。すなわち、これがトリアージュでありますし、優先順位ではなかろうかと思います。  同様に、四国でも、あるいは小豆島というところで多くのしょうゆ業者がおりますが、内海ダムという既にあるダムを更に大きくすると言っておりますが、しかし、この川は、また皆さんには御意見があるかもしれませんが、この川の別当川ではなく、実質的にこの地域においてはんらんに至っているのは片城川あるいは西城川という、もう一つ別の川の方の問題であると。  すると、やはり、多くの方々に、皆さんに御理解いただく方法、私が知事のときに、実は諏訪湖に流れ込む下諏訪ダムというのが計画されていた砥川という川、そして上川と呼ばれる蓼科ダムというダムが計画されていた場所に関して、この二つのダム計画を当面棚上げをして、そして二十年という中で流域の整備計画を御一緒に作ろうということで、これ有り難くも関東地方整備局からこうした中での流域整備の計画を認めていただいて、現在行っているわけでございます。すなわち、先ほどのトリアージュの話でいえば、今行っていくこと、河川改修であったり、あるいは河床整理であったり、あるいは森林整備かもしれません。  実は、こちらの多少大きなフリップを御用意いたしました。皆様のお手元、三枚目にございます。(資料提示)  これは、私は一地域の話をするということなのではございません。やはり治水をつかさどる国土交通省の仕事が多くの住民から理解をされ、期待をされていくということが大事だと私は思っているんでございます。公共事業の在り方をより良くするということです。  これは長野市というところが作りましたハザードマップでございます。御覧いただきますと分かりますように、千曲川というものが下の方に流れております。残念ながら、千曲川の河川改修というものは余り進捗をしておりませんで、と申しますのは、信濃川の河川改修費用が年間五十億円でございますから、これを聞いたときに私は、ほとんどこれはなきに等しいという話なわけでございます。一級河川というか、超特級河川でございます。  ここにずっと青いところと紫色のものがございます。つまり、大きく雨が降るとここが洪水になってしまうというハザードマップなんでございます。そして、この上の方の、黄色いところの上の方の線、こちらが浅川という川でございます。  実は、この問題に関しまして、先ほどの水循環基本法研究会で私二月の二十日の日にお話をさせていただきまして、今本博健さんという、皆さん国土交通省の河川畑の方は御存じの京都大学の名誉教授の方と一緒にこのお話をいたしました。つまり、この黄色い線の一番上のところに浅川ダムというのを造るというふうに申しております。  実は、余談になるかもしれませんが、一昨日の産経新聞の一面には、右肩に首長ら複数政治家にと。ダム受注目的、長野、大分でもというような嘆かわしい記事が載っておりまして、西松関係者などによると、献金の目的とされるダム工事は長野県の浅川ダムが含まれていたと見られると。現在の知事である村井仁氏の議員秘書であった方が特捜部の事情聴取を受けた後自殺をしたと。検察関係者によると、村井氏が当選した十八年の知事選前、西松から村井氏側にやみ献金が渡った疑いがあることから聴取が行われたということ、大変残念なことでございますが、国家公安委員長を経験された方でございます、第一次小泉純一郎内閣において。捜査関係者によると、やみ献金は前任の、こんなところで私の名前が出てくるんですが、田中康夫知事の脱ダム宣言で中止になった浅川ダムの工事計画の復活を見込んだものだったという。  何でこの話をするかというと、実は、これは私が就任したときに国土交通省からいらっしゃっていた土木部長は、浅川のダムを造っても、地滑り地帯にある、ダムを造っても下流域の水害は防げないというふうに議会答弁をなさったんです。私は大変に驚きまして、なぜですかと言ったら、この千曲川との合流点は、浅川よりも千曲川の方が七メートル高い場所にございます。そして、水門がございます。大雨が降ってくると水門を閉めるんでございますが、つまり、千曲川の側から内水はんらんで逆流をしてくるので水門を閉めざるを得ないと。ところが、水門を閉めると下流域にあるリンゴ畑が結局水浸しになってしまうと。  すなわち、浅川のダムを造っても、これも不思議な計画でございまして、私が就任したときに、全体の三百八十億円の予算のうち、ダムの本体工事など一個も始まっていないのに、逆に既に二百億円が使われていたと。これは、摩訶不思議なことに、長野オリンピックが開かれるときに、ボブスレーの会場に行く橋を造らなければならないということで、眠っていたダム計画が、先ほどの愛媛県の山鳥坂ダム同様に復活をいたしまして、橋だけが先に二百億円でできてしまったという計画でございます。  実は、この黄色い真ん中の辺りのところにいわゆる流量調査点の富竹という地点がございます。これは、前任の方からのころでございましたけれども、引き続き河川改修を九割にわたって行い、三キロの天井川部分も、全面的に天井川を改修をいたしました。しかし、それを行っても、千曲川の側のポンプを止めてしまって水門を閉めてしまう限りは内水はんらんになると。そこで考えたのが、国土交通省も行っていらっしゃる遊水地という形で、ふだんはリンゴ農家の方々が使っているリンゴ農家の土地に地代をお支払いをして、いったん緩急あるときはそこだけ水をつかさせていただくと。その二十一ヘクタールという形を遊水地で行おうということも計画をいたしました。ただ、私の力が及ばなかったのか、現在ダムを造るという話になっているんですが。  今日お話をしたいのは、実は、河川工学というものがどれだけ現実味を帯びているのかということでございます。実は、この浅川の場合には、百年確率と呼ばれる場所で、日雨量が百三十ミリの場合に、高水流量が二百六十立方メートル毎秒だという予定でございました。ところが、気象台ができてから百十七年目で最大の大雨が降った、百二十四・五ミリですから、ニアリーイコール百年確率の雨が降ったときに、河川改修等を国土交通省の力も借りて行った中で、実測流量は四十三・八という、六分の一だったわけでございます。そして、皆様が逆に百年確率であるというふうにおっしゃっていた新潟の刈谷田ダムであったりあるいは大谷ダムというものは、二〇〇四年の七月の新潟・福島豪雨のときには、逆に百年確率がダムによって確立していたにもかかわらず、多くの人命等が損傷をいたしました。  すると、この最初の方の、皆様にお渡しした資料のところに少し書きましたが、今まで私たちは、金融工学というのはどうもうそじゃないかと思っていました。金融工学は、確率論という中で、必ずこういう具合で金融はもうかると言っていたわけでございます。しかし、経済は歴史現象でございますから、二度と同じことは起きようがございません。逆に言うと、河川工学も、科学も自然現象でございますから、全く同じ条件ということが二度と起きるということはないわけでございます。すなわち、確率というのは、同じさいころを同じ状況で同じように振り続けるという、本来極めてユートピアのような話の中ででき上がっているということです。  そういたしますと、先ほど私が申し上げたような、もう一度ダムの手続のタスクフォースをするということ以前において、科学を信じて技術を疑わないのではなく、科学を用いて技術を超えるということの中で、四類型に分けてどのように行うのか、また、最終的に仮にダムということがあるにしても、住民の方々に安心をしていただく上で、トリアージュの精神で、今すぐ行っていくことは何なのか、一年やることは、五年やることは、十年やることは、そしてその先に二十年後の段階でもう一度考えるというような方法を私はお示しになるということがとても大事なことなんじゃないかと思っております。  時間がちょっと近づいてしまいましたが、私たちは、今までは演繹法、すなわち知識や経験というものがあれば普遍的なものが出せると言っておりました。しかし、知識や経験は往々にして、前例がないからできない、法律の規定がこうだからという袋小路の石頭になります。それに対して、環境が大事だ、緑のダムだと言っていた人は、ある意味では目指す社会はあったかもしれませんが、結果として、そこにもたらすまでの非現実でございましたので、夢頭のような話でございます。  ここに暗黙知という御存じのマイケル・ポランニーの言葉を書きました。すなわち、皆さんも御存じのように、例えばコロンブスがアメリカ大陸に行ったときに地球が丸いなんて知らなかったわけでございます。メンデルが遺伝子法則の知識を獲得するためにエンドウマメを掛け合わせたわけでもございませんし、アインシュタインが特殊相対性理論の後に重力理論としての一般相対性理論の可能性がやってくるなんて分かってもいなかったわけですが、智頭として今のパラダイムをチェンジする。今までの成功体験が逆に失敗体験になっていってしまうときにどう変えるのか。  そして、住民の方々に、最後まで本来残るべき国土交通行政のかなめである国土交通省が何をしていくのか。私は、この治水ということは極めて大事であればこそ、まさに近代合理主義の必ず現象は統計学的に説明し切れると言っているのに、実は先ほど言ったように河川改修等をして百年確率の雨が降っても六分の一である、しかしそのときに残念ながら言われた言葉は、二十四時間単位の一時間ごとの雨の降り方が想定とは違ったのでそうなったのかもしれないというお話です。しかし、それは多くの方々には、日雨量という数字で示してきた基本高水という中において結果として一時間ごとに違ったというのでは、これは私はなかなか理解がされないのではないかと思います。  ですから、是非大臣も、単にダム事業のプロセスを検証するタスクフォースではないとおっしゃいました。このチームというものをより発展的に、解消なのではなく発展的に充実していただける御決意があるのか、また私が申し上げたような今ある川の治水をどういう順番でやるのか、また四類型に分けてきちんと考えていくのか、その点に関してちょっと御意見をお聞かせ、最後にいただきたいと思います。
  155. 金子一義

    ○国務大臣金子一義君) 大変参考になる御意見をちょうだいいたしました。名刺を二つに折られながら悪戦苦闘されておられただけに、お地元のダムの状況お話承らせていただきました。  四類型というお話であります。今日御指摘いただいた点、参考にさせていただきながらこのタスクフォースも幅広に、繰り返しますけれども、決してダムを造るためではありませんで、造らない場合にはどういうふうに考えるのかというのも含めて検討してもらうチームであります。特に今、我が国が、洪水はんらん区域というのが我が国国土の一〇%でありますが、全人口の五〇%がそこに住んでいるという、大変ある意味水害、災害に対して脆弱な国土の構造になっているということも念頭に置きながら、大事な国の責務として治水を進めてまいりたいと思っております。  大変、御意見参考になりました。
  156. 田中康夫

    ○田中康夫君 ありがとうございます。  先ほど長浜さんの方から様々な国土交通省の検査に関しての責任問題というような形も出ました。しかし、残念ながら日本の場合には、例えば治水行政を行って、そのことによってはんらんが起きて住民の方の訴訟が起きても、その治水管理者側の責任が問われたことは「岸辺のアルバム」の狛江市、あるいは極めて部分的に大東市、あるいは先日の富山地方裁判所で関西電力のダムに関して、漁業者の方々のワカメが影響を受けたというような極めて限定的でございます。  金融工学も同様でございました。まさにこの金融工学で皆さんもうかりますと言ったのに、はじけてしまえば役員だけは大量の退職金をもらって自己責任でしたという形が今の金融工学への皆さんの不信になっているわけでございます。河川工学がより良い、不信ではなく期待や希望や信頼になるためには、やはり皆さんがここで大きなパラダイムチェンジをしていただくことが私は肝要である、このように申し上げて、国土交通省こそが日本未来をつくるのだという気概を改めて確認をする質疑とさせていただきたいと思います。  どうもありがとうございました。
  157. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 社民党の渕上でございます。    〔委員長退席、理事伊達忠一君着席〕  まだあるのかなという思いの方もおられましょうが、もうちょっとの御辛抱でございますので、よろしくお願いを申し上げます。  本年の一月二十八日に本院において麻生総理大臣から施政方針がありました。その中で、安心と活力ある社会、生活防衛予算の言葉が躍るばかりで、生活や仕事、将来への不安をなくすような国民に対するメッセージといいましょうか、心に響くような言葉というのはなかったように私は思います。それと同じように、国土交通省所管に対する施政方針につきましても、政策につきましても何もなかったのではないかというぐらいに少なかったのではないかというふうに実は施政方針を聞きながら思ったところでございまして、このようなことは今までなかったのではないかというのが私の記憶でございます。やはり総理の施政方針というのは私どもにとって、国土交通委員の一人としては非常に関心のある問題であるところでございますので、ひとつ明確にやはり何を、どういうメッセージを国民に送るのかなというふうに期待をしておりましたけれども、結局それはありませんでした。  したがって、なぜ麻生総理の施政方針演説で国土交通所管の政策は触れなかったのか、また触れなかったことに対する、国土交通省としてはどのように思っておられるのか、お伺いいたします。
  158. 金子一義

    ○国務大臣金子一義君) 渕上委員国土交通委員の一人として、麻生総理物足りないぞという御意見を言っていただいたというのは本当に力強い限りであります。ただ、一方で、今度の総理の演説、あのめり張りというんですか、かなり付けられたところがあったと思います。  そういう中で、国土交通関係につきましては、住宅ローンの減税、控除、過去最大となる引上げということに言及してもらっておりますし、道路特定財源、これはもう一般財源化ということ、環境対応自動車の開発普及といったようなこと、それからソマリア周辺の海域における海賊事件の対策といったようなことも触れておられます。  いずれにしましても、量の問題よりはやっぱりそれぞれ大変重大な、重大といいますか、大変重要な課題を我々今抱えておりますので、きちっとその役割を果たせるように諸課題に全力で取り組んでまいりたいと思っております。
  159. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 そこで、国土交通省の設置法第三条では、国土交通省は、国土の総合的かつ体系的な利用、開発及び保全、そのための社会資本の総合的な整備交通政策の推進、気象業務の健全な発展並びに海上の安全及び治安の確保を図ることを任務とすると、このことが明記をされておりますが、これらは二〇〇一年に運輸省、それから建設省及び北海道開発庁が中央省庁等の改革の一環として設置をされたわけでありまして、国土の総合的、体系的な利用、開発、保全、そのための社会資本の整合的な整備、それから交通政策推進等を担う責任官庁としてスタートをしたわけでございますけれども政策的にはこれらの所期の目的はどれぐらい達成されているというふうにお考えなのか、お伺いいたします。
  160. 増田優一

    政府参考人増田優一君) お答え申し上げます。  御指摘のように、平成十三年一月に旧四省庁が統合して国土交通省が発足したわけでございまして、今委員指摘の設置法三条のごとく、当時、国土政策、それから社会資本整備、それから陸海空にわたる交通政策、これを一元的に担当する役所をつくる、そういうことで内政の最重要課題の調整の円滑化を図ろうということが統合の目的であったわけでございまして、ちょうど今年で丸八年たちまして九年目を迎えているわけでありますが、統合のメリットは出てきているものというふうに私ども考えております。    〔理事伊達忠一君退席、委員長着席〕  具体的に何点か申し上げますと、まずは交通関係でございますが、空港港湾へのアクセス道路整備ということが大変進んできているというふうに思っております。それから、長年の懸案でありました羽田空港の再拡張事業につきまして、これ河川行政と大変調整が難しかったわけでございますが、こういった調整が済んで現在事業が進んでいるということもございます。それから、新しい国土形成計画の策定もできたということ。それから、観光立国ということでございますが、観光まちづくり等々、観光地域づくりをまちづくり、地域づくりと一体的に推進できる。また、総合的なバリアフリーということでございまして、元々ありましたハートビル法と交通バリアフリー法を一体として、そういった公共交通機関と公共施設をつなぐ動線全体のバリアフリー化ができる等々、統合のメリットが発揮できているというふうに理解をしてきております。
  161. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 十年近くなりましたので、ある程度そういうメリットはあったでしょう。しかし、そうはいっても、じゃ本当に国土交通省としての行政サービスというのが十分であったかどうかというところは甚だ疑問でありまして、例えば地方整備局など旧態依然の組織形態が地方では見られるわけでございまして、一部ではやはり依然として昔の組織形態というものが残っておるというようなことになれば、今言ったような光の部分だけではないというふうに私は思っておるのでございます。  したがいまして、これらの十年近くなってきたところでもう一度やはりきめ細かな行政サービスを考えていく上で、統合した組織の在り方、それから現在までの問題点等について、改めて行政、政策、それから組織の在り方について検討するべきではないかと思うのでありますが、でき得れば、分けるものはきちっと分けた方がいいのではないか、分割した方がいいのではないかと私自身は思っているところですが、その点いかがでございましょうか。
  162. 金子一義

    ○国務大臣金子一義君) 地方分権推進委員会でその問題が御指摘あるいは議論をされております。そういう意味で、地方整備局の在り方含めて第二次勧告というのが出されましたが、秋までに、秋には、具体的にどうあるべきか。総理がおっしゃっていますのは、やはり効率的な組織、それから目の届く組織というのを麻生総理言ってくれております。そういうものを含めて、つまり組織の統廃合を含めて議論をしようと。三月、年度内に工程表というのを作って秋までに具体化しようという方向を今、分権委員会の方で、あるいは政府として進めようとしていると伺っております。
  163. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 省庁の統一後、省内省外を始めとして建設、交通運輸について事件、事故が相次いでおりまして、国土交通省に対する国民からの信頼は大きく私は失墜している、その信頼回復というのはいまだまだ十分なされていないと、このように思っております。引き続き、信頼回復に向けた取組をやはり強めていかなければならないと考えているところです。  また、安全の確保というのは国土交通行政にとって最も重要視されるものと考えますし、とりわけ交通運輸における安全運行の確保というのは、運輸の使命であり絶対の要件であると私は思っております。信頼回復と安全運行の確保につきまして、大臣のお考えをまずはお伺いしたいと思います。
  164. 金子一義

    ○国務大臣金子一義君) この点に関しての国土交通省の役割はもとより大変重いと認識しております。  運輸安全マネジメント制度、これ一層の充実、保安監査の強化、これは、こういう交通機関、私も、集まってもらいまして、それぞれの関係各社におきまして運輸安全マネジメント制度、ちゃんとやってくださいということを要請をさせていただきまして、聞くところによりますと、かなり横の連携も取りながら、こういう運輸に携わる業界の皆様方、関係業者の皆様方、取り組んでいただいていると伺っておりますけれども、いずれにしても、こういう一層の充実、それから保安監査の強化を進めてもらえるようにしたいと思っておりますし、また、昨年十月には、運輸安全委員会による事故原因究明及び再発防止機能など、事故防止と交通運輸分野の安全の一層の向上を、こういう再発防止機能強化して取り組んでまいりたいと思っております。
  165. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 公共交通の危機が叫ばれて久しいわけでありますけれども、この間、国土交通省としてはいろんな御支援、支援策を施していただきましたし、各種の支援措置をとっていただきましたが、まだ公共交通の危機が回避されたとは言い難いと思います。  大臣も、所信におかれまして地域公共交通の活性化、それから再生を表明をされていますが、具体的にはどのような方法をもって地域公共交通の活性化、それから再生を図られようとしているのでございましょうか。  中でも地方鉄道地方バスの衰退は激しく、それぞれの地域において関係者の並々ならぬ努力はあるわけでございますけれども、そういう努力があって初めて運行が維持されているという実態があります。しかし、もう経営努力だけでは限界に来ていると私は思っておりますので、ここらでやはり抜本的な解決をしなければならないというふうに思うのでありますが、大臣は、地方鉄道やバスの在り方についてどのように考えられておられるのか、今後どのようにすべきだと思っておられるのか、御意見を併せお伺いしたいと思います。
  166. 金子一義

    ○国務大臣金子一義君) 平成二十年度から、地域の公共交通の新たな支援制度、これを今年度から創設をいたしまして、具体的には市町村を中心とした地域関係者が行う地方鉄道、バス、乗り合いタクシー、旅客船等についての利便性向上、あるいは地域の足の確保などの取組を支援するものでありまして、現在、この制度によりまして二百四十九の地域での事業を推進しております。これは、地域公共交通活性化再生法が施行されたのを受けて進めております。このほかに、地方鉄道、バス等の維持、活性化、おっしゃるとおり、やっぱり予算化、支援というものも大事でありまして、活性化のための関連予算によりまして支援もしております。  引き続き、地域の公共交通の活性化、再生に創意工夫をもって頑張っている地域、こういう地域に対して適切に支援をしてまいりたいと思っております。
  167. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 次に、タクシーについてお伺いをいたします。  現在、国土交通省において、供給過剰状態に陥って運転手の労働条件の悪化など問題のある地域を特定特別監視地域と指定をされております。この特定特別監視地域においては、新規参入と増車について抑制措置がとられているとともに、事業者の自主減車を促していることと理解をしておりますが、このような理解でいいかどうかというのをお伺いをします。  その上で、大阪府下では、大阪市域交通圏を始めほとんどの地域が特定特別監視地域に指定されていますが、このところ新規参入や増車が行われていると聞きますが、このような状態では地域指定の意味がなくなるのではないかと思うのでありますが、新規参入申請に対してどのような審査を行ったのか、増車についてもどのような対応を行っているのか、明らかにしていただきたいと思います。
  168. 加納時男

    ○副大臣加納時男君) 今先生指摘のとおり、タクシー事業につきましては、規制緩和の後、サービスの多様化ですとか待ち時間の短縮など一定の効果も確かに現れているんですけれども、一方では、地域によっては需要の減少といった地域事情もありまして、また社会事情もありまして、その結果、供給過剰が、タクシーの問題というのはもう需給バランスだと思いますが、供給過剰が進行して運転者の労働条件の悪化などの問題が生じてきていることも事実でございます。  そういった中で、先生が御指摘になられたような法令遵守の意識に欠けた運転者が存在したということも事実でございます。逆に言うと、こういうことが重なっていくと、公共交通機関としてのタクシーの機能の低下、社会の信頼を損なう等、悪循環が起こっているというのも事実でございます。  そこで、今まさに問題になりましたような特定地域、特に需給バランスの異常なところについてはこれの改善策を講じていこうということをやっているところでありまして、今国会に提出させていただいた法案を含めまして、昨年末の交通政策審議会の答申で示された対策を適宜実行していくということが現在の方針でございます。
  169. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 減車の措置の問題についてお伺いをいたしますけれども、現在、国土交通省ではタクシー規制緩和がもたらした供給過剰状態の深刻化や過度な運転競争、その是正に乗り出して、今国会に供給過剰対策の特別措置法が提出されていることは承知をしておりますが、私はこの点、立法化の措置については非常によかったというふうに評価をしているところです。  そこで、一番の課題は、多過ぎる課題をいかにして減らすかというのが問題であろうと。実効性ある減車措置が不可欠であると思いますが、国土交通省としてはその対策をどのように講じようとしているのか、考え方を聞きたいと思います。
  170. 本田勝

    政府参考人本田勝君) お答えを申し上げます。  まず、昨年七月から全国で実施させていただいております特定特別監視地域について簡潔に御報告を申し上げますが、これは現在の道路運送法の法制の下での行政運用あるいは行政指導として行わせていただいております。具体的には、新規参入につきまして、許可に際しての最低車両数の基準を引き上げる、あるいは申請の際にドライバー、運転者の労働条件に関しての計画を出していただいて、実際それとそごが生じた場合には改善指導を行うということでございます。また、増車に関しては、増車の実施前に監査を行わせていただきまして、法令違反等があります場合には、行政指導でございますが、増車の見合わせの勧告、そういったものを行わせていただくという制度でございます。  制度を入れた最初に、経過措置として、従来の基準どおりに新規参入あるいは増車、いわゆる駆け込み新規参入、駆け込み増車がありましたものですからいったん車が増えた地域もございますが、概略、新規参入あるいは増車の抑制にはそれなりの効果があったと思います。ただし、これはあくまでも現在の道路運送法を前提とした行政指導ベースのものでございますので、きちっとした供給過剰対策としてはおのずから限界があろうかと存じます。  次に、既に過剰になっております車両をどうやって減らしていくかということで、これは最大の問題でございますが、まず交通政策審議会答申の中で言われておりますとおり、国がそういった過剰なタクシーに対して直接的に介入して強制的に減車を命ずるといった制度は、やはり現在の我が国の憲法下では問題があるだろうと。こうしたことから、現在提案させていただいております法案におきましては、地域で複数の事業者の方が協調して減車を行います場合に国土交通大臣として公正取引委員会とも調整をさせていただく、そういったスキームを導入させていただいて、より減車が円滑に進むようなそんな仕組みを導入させていただいておるところでございます。
  171. 田村耕太郎

    委員長田村耕太郎君) 渕上君、時間が来ておりますので質疑をおまとめください。
  172. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 あと昇降機事故問題等について質問する予定でしたが、時間でございますので終わります。  どうもありがとうございました。
  173. 田村耕太郎

    委員長田村耕太郎君) 本日はこれにて散会いたします。    午後六時五十一分散会