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2009-06-17 第171回国会 参議院 国際・地球温暖化問題に関する調査会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十一年六月十七日(水曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  四月十五日     辞任         補欠選任      青木  愛君     増子 輝彦君      藤谷 光信君     木俣 佳丈君     ─────────────   出席者は左のとおり。     会 長         石井  一君     理 事                 島田智哉子君                 主濱  了君                 富岡由紀夫君                 川口 順子君                 小池 正勝君                 加藤 修一君     委 員                 木俣 佳丈君                 喜納 昌吉君                 郡司  彰君                 長浜 博行君                 広中和歌子君                 福山 哲郎君                 増子 輝彦君                 峰崎 直樹君                 神取  忍君                 佐藤 正久君                 島尻安伊子君                 西田 昌司君                 丸山 和也君                 山下 栄一君                 山本 香苗君                 山内 徳信君    事務局側        第一特別調査室        長        藤崎  昇君    参考人        株式会社三菱総        合研究所理事長  小宮山 宏君        環境ジャーナリ        スト       枝廣 淳子君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○国際問題及び地球温暖化問題に関する調査  (「日本国際社会における役割リーダーシ  ップの発揮」のうち、京都議定書目標達成に  向けた地球温暖化対策現状課題及び国際的  な取組日本役割課題―二〇一三年以降の  問題―(低炭素社会実現環境分野での日本  のリーダーシップに向けて)について)     ─────────────
  2. 石井一

    会長石井一君) ただいまから国際地球温暖化問題に関する調査会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る四月十五日、青木愛君及び藤谷光信君が委員を辞任され、その補欠として増子輝彦君及び木俣佳丈君が選任されました。     ─────────────
  3. 石井一

    会長石井一君) 国際問題及び地球温暖化問題に関する調査を議題といたします。  まず、「日本国際社会における役割リーダーシップ発揮」のうち、京都議定書目標達成に向けた地球温暖化対策現状課題及び国際的取組日本役割課題―二〇一三年以降の問題―に関して、低炭素社会実現環境分野での日本リーダーシップに向けてについて、参考人から御意見をお伺いした後に質疑を行います。  本日は、株式会社三菱総合研究所理事長小宮山宏参考人及び環境ジャーナリスト枝廣淳子参考人に御出席をいただいております。  この際、一言ごあいさつ申し上げます。  両参考人におかれましては、御多忙のところを調査会に御出席をいただき、誠にありがとうございます。  本日は、御両人から忌憚のない御意見を賜りまして今後の調査参考にいたしたいと存じますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。  本日の議事の進め方でございますが、まず小宮山参考人、次いで枝廣参考人の順でお一人二十分程度御意見をお述べいただいた後、午後三時ごろまで質疑を行いますので、よろしく御協力のほどをお願いいたします。  なお、御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、小宮山参考人からどうぞ御意見をよろしくお願い申し上げます。
  4. 小宮山宏

    参考人小宮山宏君) 御紹介いただきました小宮山でございます。  それでは、「低炭素社会実現日本リーダーシップ」、いただいた題目でございますが、これについて私の考えを述べたいと思います。  本日の発言の要旨は、第一に、ビジョン二〇五〇と。私は、二〇五〇年というのが重要な年であるということと、それから、その時点先進国が、一九九〇年ごろと比べてですが、八〇%ぐらい削減している、それから、途上国は現在の二倍ぐらいまで増えるというのをビジョンとして提案してございます。大体二〇五〇年に焦点を絞るということと、そのほかの中身に関しても大体私が申し上げているとおりの、大きな流れでいうと、推移になっているように考えております。  第二点目は、日本をどうとらえるか。私は、課題先進国というふうにとらえるべきであると思います。それは、二〇五〇年の地球の姿というのを日本がこれまでに既に、今まさに経験しているということでございます。したがって、自分の問題を解決するとそれが世界リーダーシップを取ることになるという意味課題先進国というふうに定義しております。  第三番目は、これはポスト京都に向けてのポイントでありますが、日本は日々の暮らしで大幅に削減すべきであると、物づくりは高効率製品の生産を目指すべきであるということであります。  四番目は、低炭素化具体内容というのが、ほとんどのものが初期投資、いずれ回収できる初期投資というものをどう負担していくかという問題になると思います。それで、国内的には自立国債というのを提案してございます。また、国際金融活発化、強化すべきであると思います。  それから第五点目は、現在の経済危機、この本質的な背景として、先進国需要不足というものが本質であると思います。  このために、新産業先進国における新産業というものを立ち上げていくこと、これがいろんな問題の答えになってくるというふうに考えております。ここでリーダーシップ発揮するんだと思います。  ビジョン二〇五〇というのは、十年少し前に岩波新書に書きました「地球持続技術」という形で発表しました。それまでにも一貫して、先ほど申し上げたような、二〇五〇年に焦点を絞れということを言ってございます。これは、実は、すぐ翌年に中国語に訳されて、真ん中の青い本がそうでございまして、昨年英語になりまして、そういう意味では、書いたものとしては出ていっておるんですが、なかなかもちろん簡単にはいかない。しかし、大きな流れはこうなると私は考えております。  これは、環境本としてはほとんど大変だ大変だという警告が主体なわけですが、私のは、そうではなくて、これが答えになり得るという答えの提案をしております。  その概要と申しますか、結論を申しますと、サービスは三倍になるであろうと。それは、途上国が伸びるからですね。これは止めようがございません。それから、しかしCO2を一九九〇年と比べて七五%にすると、四分の三にすると。半減というモデルではこの時点ではございません。それほど大きな差というわけではない。  これは具体的にどういうことかというと、現状というのが一九九〇年ごろなんですが、化石資源と非化石資源、これ、合わせて使っている量、このうちの八割が化石資源です。それで、残りが非化石資源。この非化石資源中身というのは、御案内のとおり、原子力が五%、それから水力発電が五%、それから、統計的にいま一つはっきりしない途上国で使っているバイオマス、まきですね、これが大体一〇%というふうに推定されていまして、二〇%が非化石残りの八割が化石で、これが有限であることと、これを燃やすとCO2が増えるということが問題になっているわけです。  それで、二〇五〇年まで成り行きでいきますと、成り行きというのは、人口が大体九十億人ぐらいに増えますので、その人たちが現在の先進国日本ヨーロッパ並みの物質的な、あるいはエネルギー的なサービスを享受するということになると三倍になります。そうすると、このまま成り行き石炭を掘ってどんどんやっていこうということをやりますと、CO2濃度は六〇〇ppmぐらいに二〇五〇年になって、これはもう破綻シナリオです。エネルギー資源的にももちません。二百五十年分あるという石炭も、もうはっきり底が見えてまいります。だから、これは破綻シナリオ。  何とかしなくちゃならないわけですが、ビジョン二〇五〇は、サービスは三倍にするんですが、ここがポイントなんですが、すべてのエネルギー効率を三倍にする、したがって、三倍のサービスを今と同じエネルギー量で供給することができます。これはざっと言うと、ここは例えば冷房しているとすれば、同じ冷房は享受するんだけれども、冷房に使うエネルギーが三分の一になるということです。これが可能であるということを言ってございます。  それから、このままだと今のままと同じなんですが、二〇%の非化石部分を四〇%にいたします。これは、いわゆる自然エネルギー原子力というもので倍にする。そうすると、現状、黒い部分CO2を出す部分が八分の六に減ると。これでも四五〇ppmぐらいまではCO2は増えていくんですけど、今三八〇、産業革命の前が二八〇ppmですので、相当増えますけれども、ここら辺が大体ぎりぎり人類がやっていけるところではなかろうかと国際的にも思われているわけです。  二〇五〇年にこれができますと、そのときまでの人類のコンセンサスとか技術の蓄積とかいったようなもので二十二世紀には明るい夢が描ける。それは、例えば一番いい例は太陽エネルギーでありまして、太陽エネルギーは今使っているエネルギーの一万倍が降り注いでいますから、一万分の一の太陽エネルギーを有効に使えば今と同じだけ使っていいわけですし、これ、一万分の三にすれば、三倍のエネルギー使って、電気自動車がばんばん走っても、それは資源問題にも、地球温暖化問題も大丈夫なわけでございます。ですから、二〇五〇年にこれぐらいのものをつくるということを人類が行えれば、その先はビジョンが開けると、そういったビジョンであります。  それじゃ、これを先進国途上国に当てはめるとどうなるかというと、先進国では既に物質的な需要は飽和しています。  例えば、日本自動車は軽まで合わせると七千万台ぐらいで、二人に一台以上持っているわけです。ですから、需要は基本的に買換えです。廃車した分だけ新しいのが売れる。個人で言えば買換えですね。そうしますと、七千万台が、一人十年間、スクラップになるまでに十年間乗るんだとすると、七千万割る十でもって七百万台が一年に売れるということになります。これ、実はすごいことで、もしも、不景気だから今年買うのをやめておいて来年に延ばそうかと全員が思うと一台も車は売れないわけです、壊れませんから。そういうのが実は先進国すべてに起こっていて、この先進国における需要の飽和というのがございます。  ということは、逆に言うと、自動車の燃費が三倍良くなれば、ガソリン消費量エネルギー消費量は三分の一になるということです。こういうものがすべてで平均してそれぐらいのことが起こる。先ほど言ったエアコンも鉄鋼も、いろんなことを平均してすべてのサービスに対して三倍ぐらいの効率向上が非常に合理的な目標であるということです、二〇五〇年。そうすると、量が飽和して効率が三倍になりますから、先進国エネルギー需要は三分の一になります、二〇五〇年。  そして、青い部分ですね、非化石部分が倍になると先進国CO2の発生は八割減るということで、これは極めて自然なモデルだと私は二十年間思っておりまして、ようやく最近、日本福田首相が洞爺で六〇から八〇減らすと言いましたし、ヨーロッパも八〇減らすと言っていますし、つい最近オバマが、ついにブッシュ・アドミニストレーションから替わって八〇%減らすと言ったと。いろんな背景はありますけれども、要はこういうモデルです、基本的には。  途上国が伸びるのは、消費量が伸びていくのは仕方ありません。持っていない人たち自動車を持つ。だけれども、後から申し上げますが、この途上国の上昇を成り行きに任せると地球破綻します。これを最先端技術、やはりエネルギー効率の高い形でやってもらう、それが成り行きでないモデルで、そうすると大体、途上国エネルギー消費は一九九〇年と比べて倍ぐらいまで伸びていくことで済むというモデルでございます。まあここら辺が、先進国が減らせ、途上国が減らせというぎりぎりの線なのではなかろうかということで、技術先進国途上国ということを総合してこういうモデルを提案してございます。  じゃ、日本はこれまで何をしてきたでしょうか。ここに日本の強さがかいま見えます。  これ、左側は一九六〇年、もうともかく高度成長を頑張った時代でありまして、海も空も汚れたわけです。大事なことは、日本は小さい国ですから、そこの汚れたところに人が住んでいるわけですね。それでひどい目に遭いました。しかし、それを、これは北九州の例ですけれども、ここまできれいに回復してきたわけであります。これはもう、これは北九州からいただいている写真ですけれども、日本中ですよ。  これは隅田川。昭和四十二年というのは私が実は大学を卒業した年なんですけれども、臭くてもう川開きだってできなくなったという時代がございました。今は、シラウオがもう十年以上前に戻って、世界でこれだけ汚しちゃった国も珍しいけれども、ここまで回復した力を示した国というのは僕はないと思います、大きな国で。これが日本環境における実力ですね。  じゃ、どうやってやったのか。これは、事例をぽんぽんとお出ししますけれども、要するに、一キロワットアワー単位火力発電を出力するのにどれだけ硫黄を発生しているかというやつです。それで、硫黄が硫酸の雨となって降りますから、酸性雨で困るわけですね。  これ、もう一目瞭然、一番下が日本です。私は一九九〇年代の前半に世界脱硫装置について調べたことがございますけれども、そのとき、世界で四千台の脱硫装置が動いていて、何とそのうちの八割が、三千二百台が日本で動いていた。要するに、五%しかエネルギー使っていない国でもって八〇%の脱硫装置を動かしていたんですよ。世界でまじめに脱硫やっていた国は、当時、日本しかなかったんです。これが、どうして汚しちゃった海や空をあれだけきれいに回復させていくことができたかということの訳です。これがいわゆる環境の話ですね。  エネルギーの話に参りましょう。  エネルギーは、これはセメント事例です。セメントは四つの大きなエネルギー消費をする物づくり一つの例ですね。一トンのセメントを作るのに使うエネルギー消費、これを日本は四世代セメントプロセスを、湿式、乾式、サスペンションヒーター、ニューサスペンションヒーターという四世代プロセスプロセス革新によってエネルギー効率を向上させてまいりました。日本で今動いているセメントプロセスというのは、全部最先端エネルギー効率を持っているものです。  これは鉄でも似たようなことが起こっているし、化学でも似たようなことが起こっているんですが、この図でよく是非見ていただきたいのは、日本世界で一番効率が高いということですよ。アメリカは、この例ですと八〇%ぐらい日本よりもエネルギー効率悪いわけですけれども、最近の一番新しいデータでも、六割、日本よりたくさん同じセメントを作るのに使っているというのが出てございますね。これだけのことをやったから日本エネルギー効率の非常に高い物づくり実現できたわけです。  それじゃ、この先、セメントエネルギー消費、減るのかというと減りません。これは、ここに理論値というのが書いてございますが、石灰石を焼いてCO2を追い出して砕くというのがセメントを作る基本的なあれで、どうやってもCO2を、石灰石を焼いてCaO、酸化カルシウムにする、これ、吸熱反応なんですね。熱を必要とする反応ですので、それだけの熱はセメントを作るという限り必要でございます。ですから、これは一・六倍だから少しは減るだろうという話もあるんですけれども、もう技術屋が見れば減りません。ですから、セメントに関して最先端技術ではもう減らない。ここまで日本エネルギー効率を良くしてきております。  その今の二つの話をまとめますと、日本というのは、資源のない、狭い国土にたくさんの人口を抱えた産業先進国です。日本は、したがって、環境配慮の行き届いたエネルギー効率の高い国というのをつくる必要があったわけですね。それに、それをつくるだけの実力があったわけでございます。  この環境配慮の行き届いたエネルギー効率の高い国、これこそが世界中で、地球が小さくなって、資源が足りなくなって、人口が増えて、すべてが産業先進国になってくるという二十一世紀地球の姿ですよね。つまり、環境配慮の行き届いたエネルギー効率の高い国という日本の姿は、二十一世紀人類が目指すモデルだと思います。ここに日本リーダーシップを取れる背景があるということであります。  それでは、低炭素化分野という具体的な分野で何をすべきなんでしょうか。それは、日本がどういうところでエネルギーを使っているかというのを見ていく必要がございます。  この図はよく御覧になる図だと思いますが、ここにこの三本の線を引くのが大事であります。これは、左側エネルギー変換、石油とかガスとかあるんですけれども、要は、量的にもう圧倒的に発電電気をつくるという部分が三分の一で、物づくり、これが化学、鉄、ガラスセメント、紙・パルプといったような物づくりですね。それで、こちらは、例えばオフィスなんというのは産業なんですが、オフィスで使っているエネルギー家庭で使っているエネルギーというのはそんなに違いません。冷暖房にたくさん使って、給湯にたくさん使って、照明に使ってということですので、オフィスでやろうと家庭でやろうと、これは日々の暮らしだろうと私は思うわけです。それから、旅客というのは八割が自家用車です。それから、貨物というのは、ヤマト運輸が運転していたりなんかするという意味で、これも、要するに自動車効率が良くなればエネルギー効率が上がってくる。輸送、これも日々の暮らしですね。  ですから、物づくりと日々の暮らしエネルギー変換に分けて考えるのが分かりやすいのではなかろうか。それで、原子力発電をどれだけ増やすかというのは、このエネルギー変換の中の議論でございます。  それから、電気というのは、結局、発電所消費しているわけじゃなくて、物づくりと日々の暮らし消費しているわけですから、最終で消費しているところにそれを付けますと、こうなります。  つまり、日本は、物づくりで四五%、それから日々の暮らし家庭オフィス運輸ですね、この三つで五五%のエネルギー消費をしております。そして、物づくりは、今日はセメントの例だけを申し上げましたけれども、エネルギー消費を減らすのはこの後とても大変です。限界に近いということです。  それからもう一つは、日本が一番進んでいるので、日本がこれ以上減らすというのはやっぱり負担を負うわけです。こういう意味で、セクトラルアプローチというのは、日本はやらないと物づくりがもちませんよ。これがまず一つですね。  しかし、じゃ、日本は減らせないかというと、そんなことはなくて、日々の暮らしの方には莫大なポテンシャルがあります。理論的にも膨大だし、現実的にもできるんです。ここが大事で、日本政策というのは、ここをやっていないから、日々の暮らしを徹底的に減らすんだという政策を取っていないから、これが駄目なんですよ。私は京都の直後からこう言っているんですが、残念ながら受け入れられてございません。少しずつは動きがあります。これを強烈にドライブ掛けること、日々の暮らし省エネを、これが何よりも大切だと思います。  それじゃ、何ができるでしょうか。家庭部門について見てみます、家庭オフィス輸送と三つ見ればいいんですから。  家庭で見ますと、給湯が三〇%で、冷暖房が三〇%です。要するに、暖めるということで六〇%のエネルギーを使っています。それから、オフィスは、半分が冷暖房で、一〇%以上給湯部分がありますので、やはり六割ぐらい。先ほど見た、これだけ膨大な家庭オフィスの六割というのは、お湯を作ったり冷暖房しているエネルギーなわけです。これをどうやって減らすのか。そして、冷暖房給湯というのは八〇%減らすことができます。  それは、細かい議論がございましたらば是非させていただきたいと思いますけれども、実践したことを申し上げたいと思います、これはもう言ってもどうせ信じてもらえないので。  私は、自宅を七年前に建て替えたときに省エネ型にしました。それほど高いことはやってございません。大学の悪いことをしていない教員ですので、そういうことはやってございません。  主にやったことというのは、給湯ヒートポンプ給湯というのを、市販のものです、これを入れたことで給湯エネルギーというのは二分の一以下に減ってございます。  それから、高断熱日本エネルギー効率の高い国です。物づくり効率は高いし、使っている家電製品自動車効率も高い。こういう意味では世界一だと思います。日本の最大の弱点は、断熱。家の断熱が、家は夏をもって旨とすべしというカルチャーもあるわけですね。しかし、その後、冷房して、暖房するという生活スタイルに変換しているにもかかわらず、断熱がでたらめです。  そして、今、世界で、ガラスが一枚──皆さんのお宅はいかがでしょうか。ここも多分一枚じゃないですか、ガラス。一枚ガラス標準という先進国というのは日本アメリカ主要部、この二つしか僕はないと思います。ドイツ辺りではそろそろ三枚ガラスというのが新築では標準です。  要するに、ここがいったん暖房して暖まったら、暖房が完璧なら、もう暖房を切ればいいんですよ。要するに、暖房というのは、寒いところを暖めているのではなくて、暖かいところから寒い外に熱が逃げていくのを補っているだけですから、断熱すれば良くなるんです。ですから、家を建て替えて、そのとき少し、要するに二重ガラスにしたのが一番大きいんですが、それで断熱が倍ぐらい良くなっています。  それから、エアコンを買い換えております、家を建て替える自体がエアコンを買い換えますから。そうすると、エネルギー効率が一・五倍ぐらいに上がっていますから、それだけで私の家の冷暖房というのは三分の一に減っているわけです。そういったことですね。  それと、やっぱりハイブリッド自動車。前の私の古い車がリッター七キロ、世田谷に住んでおりましてリッター七キロでしたけれども、昨日、私のハイブリッドのメーターを見ると、リッター二十二・六キロという表示でございました。ガソリン消費は三分の一以下になっているわけです。  それから、あとは太陽電池を載っけました。これでエネルギー消費は八割減っています、私の。  つまり、これが家庭運輸、先ほどの五五%の主要部ですね。家庭運輸の八割削減モデルがこれです。  左側が家を建て替える前、古い車でやっていた時代で、その右側が建て替えた直後で、このとき、エネルギー消費が半分に減っております。そして、残り消費の六割、青い部分太陽電池で供給することができています。したがって、二割のエネルギー消費が実質残ったということです。それから、ハイブリッドカーに換えて、冷蔵庫を、おととしになりますか、買い換えています。  これはアディショナルに使ったお金ですね。ガラス一枚分、一枚、ガラスは入れるんですから、どうせ、もう一枚のペアガラスとの価格差ですね。自動車は買いたかったわけです。だけれども、ハイブリッドと同じサイズの車の価格差、これをアディショナルなお金として、それを、もうかるエネルギー代、これでどれだけで取り返せるか。十二年で償還できます。決して不可能な初期投資ではないんですよ、これは。ここをどうやって加速していくかというのが日本の低炭素化政策ですよ。  そして、今、家庭輸送をやりましたので、あとオフィスですね。これは、東京大学の総長をしていた時代に、グリーンキャンパスということで、CO2を減らすという宣言をしまして、そこでいろんなことをやっております。  一つだけとても大事な例を申し上げますと、私の住んでいた階の、やはり一枚ガラスであります、そこの内側にブラインドを隔てて二枚目の窓ガラスを張りました。これがそこです。そのとき、電力が四三%減りました。それから、逃げていく熱の量は八三%減りました。何で逃げていく熱の量だけ減らないかというと、そのとき初めて分かったんですが、エアコンに何かベースロードみたいなものがあって、リニアでない部分があるんですね。それでもほとんど半減に近く減るわけです。  何よりいいのは、生活の質が向上しました。二月に実験しましたけど、朝来た人が寒くないと言います。それから、窓際の人が寒いから暖房温度を上げてくれと、それで、真ん中にいる人が暑いからもうやめてくれと言う、これがなくなります。それから、結露しなくなります。これを家庭でもやればいいんですよ。我が家は結露いたしません。だから、今お母さんたちは子供の、シックハウスみたいなこと、アレルギーみたいなことを物すごく気にしているわけですよ。低炭素化と言っているだけではなかなか進まないわけですよ。しかし、暮らしの質が上がるんですから、これはやはり日本で一番やるべきことだと思います。  そして、今、日本は、日本というか先進国は、新しい産業を必要としています。  ちょっと時間がなくなりますね。  自立国債の提案について申し上げます。  そうすると、今申し上げたように、平均しても十二年で回収できる初期投資ですから、この初期投資。しかし、やはり年間電気代、十万円だったり、うんと払っている人でも三十万円だったりするところが二百万円の太陽電池初期投資というのは、そんなことはやらなくてもいいやと思うわけですね。これを国がやったらどうですかということですよ。  つまり、国が国債を発行します。そして、太陽電池を購入します。そして、その太陽電池を屋根に載っけます、普通のお宅の。まあ、嫌と言う方には載っけないんですが、大概いいと言うでしょう。載っけます。それで、これは国の太陽電池ですから、電気代は国がいただきます。そうしますと、今でも十五年、技術が進めば六、七年で回収できるようになりますよ。今でも十五年で回収できますから、回収し終わったら屋根を貸したお宅に差し上げればいいわけです。つまり、国の財政は痛みません。ここ重要ですね、やっぱり四十二兆の税収で百兆の予算を組むというのはみんな心配になっていますから。やはりここは非常に大きなところで、国の財政は痛みません。個人はお金を払わなくて太陽電池が自分のものになるんです。何でそんなことができるかというと、これは回収可能な初期投資だからですよ。  同じようなものを並べました。高効率照明、これは一年で回収できます。ルームエアコンが五年ぐらい、給湯器が十年ぐらい、ハイブリッド自動車で五年ぐらい、家の断熱化でもって十年ぐらい。これぐらいのものを日本に普及させますと、家庭だけで一三%の削減になります。  さて、じゃ、国際的にはどうなんでしょうか。急ぎます。  国際的には、今、セメントは、現在、世界セメントの五〇%を中国が生産しています。半分を生産しているわけですよ。でも、これは仕方ありませんね、中国がインフラを造っているんですから。だけれども、中国の一トンのセメントを作るエネルギー消費日本より七〇%高い。これ、最新の情報によると七〇%高い。つまり、世界の半分のセメントを作っている国が七〇%も最新技術のよりも悪いエネルギー効率で造っているわけですよ。  じゃ、日本は何であんな効率を高くしてきたんですかと。セメント会社のモラルが高かったからなんてことは絶対にないわけです。それは、経済効率に基づいてやったわけですよ、フリーマーケットで。回収できる初期投資だから、日本の企業は投資してエネルギー効率、改善したわけですね。だから、中国にとっても得なんですよ、投資した方が。そして、日本だって、技術を輸出して、まあ少しはお金くれるでしょうから、技術料を、日本にとっても得する。地球にとってはもちろん得すると。  これ、途上国、あるいはアメリカも余り効率良くないですけれども、主として途上国物づくりエネルギー効率のために国際的なファイナンス、具体的にはアジア開発銀行とか、そういうところだろうと思いますけれども、そういうところを強力に強化するということが日本リーダーシップ発揮するという意味でもいいと思います。  さて、まとめます。  今、私は、経済危機の現在の基本構造、もちろん金融の問題など細かい問題はたくさんあるんですが、基本的には先進国需要が飽和している、家も自動車も持っていると。途上国は、物を欲しい人がいるから高度成長をいたします、潜在需要があって。しかし、途上国の潜在需要というのも遠からず飽和するわけです。地球が、人類が二十一世紀にサステーナブルなディベロップメントということを志向するならば、先進国における新産業の創出というのが不可欠なんだと思います。  現在の金融危機というのは、アメリカというのは、貧しい人も途上国からどんどん来るためにいるわけですね。ところが、まだ買っちゃいけない人たち、借金返せそうもない、土地が上がっていかない限り借金返せないとか、まだ要するにお金がたまっていなくて物を買ったりしちゃいけない人に無理やり金融で買わせちゃったというのが本質ですよ。だから、やはり先進国需要というのをつくっていく必要がある。  私は、この三つだと思います。つまり、二十一世紀の新しい状況が新しい産業を生む。それはそうですよね、古い産業はもちろん動くんですけれども、新しい産業というのは新しいパラダイムから生まれる。これは三つで、一つは有限の地球、それからもう一つは高齢化する社会だと思っています。それから爆発する知識。この三つに対して新しい産業が生まれる。今日お話ししたのは、有限の地球の中のエネルギーが有限である、二酸化炭素がたまってくるという、そこの話をさせていただいたわけであります。  じゃ、そういう新産業を立ち上げていく日本に力があるのか。これはあります。これは、日本には物づくり力があって、低炭素化についても高齢化社会に関しても最先端物づくり、もう二ミリの内視鏡とか、それで手術までできるような内視鏡だとか、そういった本当に高度な物づくりというのは日本がもう際立って強いわけです。新しい産業を立ち上げるときにはそういうものが必ず必要になって、それがドライビングフォースになります。  したがって、私が一番日本リーダーシップというときに必要なのは、一つビジョン。もう一つは、ビジョンに基づいて世界を自分がつくっていくという先頭に立つ勇気というものが必要で、ここがメンタリティーとしてまだ日本に欠けているということだと思います。これは、日本物づくり力のデータと申しますか、一社で世界の過半のシェアを占めている。こういうものを見てみるとよくお分かりになるように、ほとんどがもう高度な知識を詰め込んだ製品ですね。こういうものでビジョンと併せて世界を引っ張っていくんだろうと思います。  少し延びて申し訳ございませんでした。
  5. 石井一

    会長石井一君) どうもありがとうございました。  次に、枝廣参考人から御意見をお述べいただきます。どうぞ。
  6. 枝廣淳子

    参考人枝廣淳子君) ありがとうございます。  今回お招きいただき、とても光栄に存じております。  今日私が呼ばれたのは、一つは、国民に近い立場として呼んでいただいたのだと思っています。  十年ほど前から環境メールニュースというのを関心のある人々に送り始めて、今、一万人以上、関心のある企業、一般の方、そういった方々が情報を取ってくださっています。また、年間百回ほど、市民向け、企業向けの講演をしておりますので、企業の経営者やそれから一般の社員の方々とよくお話しする機会も多くございます。それから、「不都合な真実」というアル・ゴアさんの本の翻訳もしておりますので、そういった意味で一般の方々とのやり取りがとても多い。  それからもう一つ、今日こちらに参りましたのは、国際的な視点という、その点でもお役に立てばと思っています。  国際的なネットワークに自分でも参加しているほか、七年前に日本の優れた取組世界に発信するというNGOを立ち上げて、今、百九十一か国に日本の優れた環境取組を発信しております。世界のいろいろな人たちからのやり取り、メールなど来ますので、そういった立場からお話しできればと思っています。  実際に、世界もそれから温暖化を憂慮する一般の国民も、早く日本にがんがん進んでほしい、どんどん減らしてほしい、そして世界を引っ張っていってほしいと思っています。非常に日本を待っている。その期待にこたえるために、私がいつも思っていることをお話ししていきたいと思います。  まず一つ、しっかり進めていくためにベースが必要ではないかと思っています。  やはり、欧米の政治家のスピーチを聞いていると、必ずと言ってよいほど、IPCCではとか、科学によるとと、そういった前置きがあって、だからうちの国はこうするという話がございますが、例えば先日の麻生総理の中期目標の発表を見ましても、IPCCという言葉は言及されておりませんでしたし、科学に関しても、科学の要請にこたえていないと言われるかもしれませんということはおっしゃっていますが、じゃ、科学が何を要請しているのか、それをどのように認識されているのか、それにはお触れになっていませんでした。そのような、科学を一つのベースとしてやっていかないと難しいのではないかと。  日本の今の政治、外から見ていると、どうしても距離感に基づいて、アメリカがこう出るんだったら日本はここまで行こうというような、相対的な立ち位置を決めようとするやり方がとても前面に出ているようで、それだと、周りが変わってしまうとぶれていってしまうと思うんですね。ですから、何をベースにするかということが一つ大事ではないかと思っています。  それから、今、小宮山先生からもお話がありました物づくりもそうですし、それに限らず、国づくりとしてのビジョン、これがやはり大きく大事ではないかと思っています。  ビジョンをつくる上で、バックキャスティングといって、今、何ができるできないではなくて、どうあるべきかという、あるべき姿をつくってから考えていくというスタンスがとても大事ではないかと思いますが、日本の場合は、フォアキャスティング、つまり、今できることを積み上げて、それを目標にしようという、そのやり方が多いような気がします。  幾つかほかの国の例ですが、例えばノルウェーでは、最終的には温室効果ガスはゼロにする、若しくは、スウェーデンは石油を使わない国になると。じゃ、どうやってできるのとか、それが可能なのという話はもちろんあると思いますが、最終的には、そうあるべきだよね、そのためにはじゃ、どうしたらいいか、進めていこうというバックキャスティングで進んでいるのだと思います。  この点、日本は食料自給率四〇%、エネルギー自給率四%の国ですから、この今挙げた二つの国よりも、もっと日本の国として、エネルギー資源制約の時代にどういう国にしていくべきなのか、その中での温暖化若しくは中期目標という位置付けをして、国づくりとしてこういう国にしていくというのをもっと出していくべきではないかと思っています。ビジョンだけではなくて、それを実現するための政策パッケージがもちろん必要なわけですが、日本はここも弱いのではないかと思っています。これまでは意識啓発にかなり頼ってきたように思っております。  スウェーデンの例を一つお話をしますが、実際に、スウェーデンは温室効果ガスは減らしつつGDPは増やしている。経済を成長させながら温暖化対策を、実効性のある対策を取ることが可能だということを示している一つの国ではないかと思います。このスウェーデンが、まさにそのバックキャスティングのやり方で二〇五〇年までに一〇〇%削減する。そのための中間点として、二〇二〇年には四〇%削減、そのために何をすべきかという、この政策のパッケージを非常にたくさん持っております。  日本が同じように力を入れているのは、この啓発はやっておりますが、ほかの、税制であるとか仕組みづくりという点でまだまだこの政策のパッケージが日本には欠けているのではないかと思っています。  それからもう一つ。一番大事なことは、燃料転換をいかに進めるかということだと思います。  今回の私の資料の後ろに参考資料として、実際に附属書Ⅰ、先進国で温室効果ガスを減らしている国、その国々が何をもって減らすことができたのかという分析、これはインベントリオフィスにいただいた情報ですが、それを載せております。  例えば、ドイツ、英国、スウェーデン、こういった国々では実際に京都議定書の基準年よりも大きく減らしているわけですが、その成功している国を見ると、やはりかぎを握るのは燃料転換だということが一目瞭然だと思います。  日本は先ほどエネルギー自給率四%と言いましたが、まだまだ化石燃料に一次エネルギーも電源としても頼っている。そうしたときに、これからピークオイルがもう数年のうちには来るということが言われていますので、化石燃料の値段が上がっていく中でますます、CO2ということもそうですが、エネルギーのコストという点でも、早くこれを転換していかないと日本にとって苦しいことになるのではないかと。ですから、燃料転換は、CO2削減だけではなくて、日本の国づくりとしても非常に大事な位置にあると思っています。  ところが、太陽光はこれから力を入れると思うのですが、これまでは余りそれを進めるための仕組みがありませんでしたので、ドイツやスペインに大きく差を付けられてしまっていると。やはり、大きく伸びているスペインなどを見ても、人々の意識が急に高くなってみんなで頑張ってやっているかというと、そうではなくて、やはりそれは、国の政策があって、みんながやりたいような、投資したいような政策があってのことですので、この点、早く日本エネルギー転換を進めていく必要があります。  一つは、目標が非常に日本は小さいと。御案内のように、発電における再生可能エネルギー目標というのは一・六三%です。これ、目標達成されたとしても二%以下しか自然エネルギーでの発電がない。私は、世界の会議に出てこれを話すたびに、一けた違うんじゃないんですかとよく質問を受けて、いや、一・六三なんですということを言わざるを得ないわけですが、途上国等に比べても、やはり先ほどのビジョンともかかわりますが、どのように目標設定するかということが大事かと思います。  スウェーデンのまた話になりますが、やはりエネルギー転換を大きく進めることによって、先ほど小宮山先生のお話にもありました熱ですね、熱のところをやはり大きく変えてきています。もちろん、家庭では電気も使いますが、熱としての必要性がかなり大きい。例えば、給湯それから暖房。スウェーデンも、最初から環境に優れた国だったわけではなく、今から三十年ほど前はほとんど石油に頼っていた。それを税制その他変えていくことで、今では石油に頼らないで熱の供給ができるようになっています。この過程で木質バイオマスを非常に大きく増やして、例えば、化石燃料には税金をたくさん掛けるけれども、バイオマスには掛けないという形で誘導していったわけです。  これの大きなうれしい副産物としては、スウェーデンの山に活気が戻ったということを聞いています。スウェーデンは、かつて日本と同じように、山が荒れて過疎化が進み、高齢化が進んで、本当に今の日本と同じような状況だったそうです。しかし、エネルギー転換を図ってバイオマスを主力にして、価格設定、税金を変えることでそちらに人々が求めるように需要が行くようにして、山にどんどん職が、雇用が戻り、活気が戻り、今では山に住むことが一つのステータスになっているとスウェーデンの人に聞きました。  このように、どういう国にしたいのかということを含めて、その一つの大きなかぎがエネルギー転換ではないかと思っています。  もう一つは、実際に行動を変えていくための仕組みということであります。  日本はこれまで環境省中心に国民大運動と意識啓発をずっと進めてきましたが、今どういう状況になっているかというと、ちょっとこれ、見にくいかもしれませんが、意識があって行動する人を私たちは理想としています。ほとんどの最初のスタートは、意識もなければ行動もしていない。なので、意識を高くすれば行動するだろうと意識啓発に力を入れてきたわけです。  しかし、実際にはどうなっているかというと、意識は高いけれど行動していないという人が今どんどん増えています。意識が上がれば自動的に行動につながるわけではないんですね。あるパーセントはつながりますが、全部がそうなるわけではない。としたら、恐らく意識があってもなくても行動するような仕組みをつくっていくしかない。それは、一つは経済的なインセンティブになると思いますが、行動した方が得をする、そのような仕組みであります。これが極めて大きな効果を上げた一つ日本の自治体の例を御説明しようと思います。  今、自治体でも企業でも、CO2を減らすためにマイカー通勤をやめて自転車通勤に変えましょうという呼びかけをしております。ところが、多くの場合、ほとんど行動は変わっていません。なぜかというと、通勤手当を調べてみると、マイカーには出るけれど自転車には出ないからです。言っていることとお金を出している先が違うんですね。そうすると、ほとんどの場合、お金の方で動きますから、幾らスローガン作って、キャッチフレーズ作って、ポスター作ってもマイカー通勤が減りません。これを変えたのが名古屋市役所です。  名古屋市役所も、幾ら呼びかけても行動が変わらないので、通勤手当の仕組みを変えました。元々は同じ値段をマイカーでも自転車でも払っていたんですが、自動車であれば半額に減らし、そして自転車であれば倍額にした。これ、ちょっと消えてしまっています。五キロまでだと自動車は千円に減らし、自転車だと四千円に増やしたんですね。三千円違うと結構人の行動は変わります。ここに書いてあるように、二年ぐらいした後の数字ですが、自動車通勤は二五%減り、自転車通勤は五〇%増えた。これだけの人々の行動変容は、やはり呼びかけだけでは無理だったと思います。  今のもその例ですが、CO2に値段を付けるという、これがもう世界のルールになり始めています。出してほしくないわけですから、出したら払いなさいと、減らしたら得しますよと、その仕組みをしっかり日本でもつくっていくこと。恐らく、人々の行動を変えていくには炭素税を早く入れていく必要があると思います。排出量取引は家庭には効きませんので、CO2をたくさん出すエネルギーを使うんだったらその分払いなさいと。それによって人々の行動を実際に変えていくことができると思います。  今行われつつあるエコポイントも人々の行動を変える一つの仕組みだとは思いますが、ただ、あれは経済の活性化にどうも主力があるようで、例えば、冷蔵庫でもテレビでも大きいのを買った人の方がたくさんエコポイントもらえるというのは非常にアンビバレントなメッセージを発してしまっていると思います。本当は小さいのに換えた人の方がたくさんエコポイントもらった方がいいんじゃないかと思うんですが、大きいのを買った方がたくさんもらえるというのは、本当にCO2を減らすというメッセージとしてはどうなのだろうかというふうに思っています。  それはそれとして、世界はもっと先へ進んでおりまして、たとえもうかったとしてもCO2を出すような石炭火力には投融資をしないという原則でありますとか、CO2はもう負債であると、コストであると、そのような形で企業を見る目が大きくなってきております。ROCというのはリターン・オン・カーボンで、炭素収益率、これで今、企業の競争力を見る、そのような動きになってきているわけです。早く日本も、二酸化炭素を出さない、つまり、化石エネルギーに頼らない国にしないと、どんどんと日本からエネルギーコストとして、若しくは遵守のためにお金が出ていってしまうのではないかということを危惧しております。  もう一つ日本取組を進めていくために必要なのがコストリテラシーです。コストリテラシーという言葉は私が勝手に作ったので余りお聞きになったことはないと思いますが、コストや負担をどのように考えていくかということです。これが今非常に日本では未熟ではないかと思っています。  政府の説明でもそうです。麻生総理が、なぜ二五%選ばないのかといったときに、家庭の負担が三十万以上だからという話をしておりましたが、それはコストの一面しかとらえずに伝えているというふうに私は思っています。  幾ら掛かるかだけではなくて、それによってどれだけメリットがあるか、若しくはそれをやらなかったらどれだけコストが掛かるか、そのすべてを出した上で、ではどうしますかということを国民に考えさせるような、そういう議論若しくは説明をしていかないと、三十三万円捨てますかと言われたら、だれも嫌だと言うと思うんですね。今それに近い説明になっているんではないかと。三十三万円捨てますかと言われて、いいですと言う人、ほとんどいないわけですが、でも三十三万円出したらこれだけメリットがありますとか、今それをやらなかったら後でこんなデメリットがありますと、その全体像を説明するようなやり方が必要ではないかと。  これは、国民の側もまだまだ足りないところがあって、あれも欲しい、これも欲しい、でも負担は嫌という、そういった向きが非常に強いです。ただ、それはきちんとそういう教育を受けていなかったので、これからトレーニングする必要があると思います。温暖化は嫌、でも負担はしたくない、それはあり得ないでしょうと。何か変えたいんだったらコストが発生するんですと。それをやはりどうやって負担するかということを考えないと望んでいるものは手に入らないというごくごく当たり前のことをもっともっと国民にも伝えていく必要があるし、そういった思考を促すような政治家若しくは政治からの説明をしていただきたいなと思っています。  温暖化対策の家庭負担額に対しても、年額一万超えたら嫌だとか、いろんな調査が出ています。それをもって国民は負担したがらないと言っていますが、今言ったように、それをやらなかったらどうなるかを説明せずに聞いている調査ではちょっと足りないのではないかと。若しくは、余剰電力の買取制度についてもいろんな国民の不満の声があって、アパートに住んでいる貧しい自分が何で一戸建てに住んでいる豊かな人を応援しなきゃいけないんだと。でも、それはやはり社会のCO2を減らしていかないと、自分にも、そして未来の世代にもマイナスになるというもっと大きなところでのきちんと説明がなされていないので、若しくはそれが伝わっていないので、こういった貧しい人対豊かな人みたいな対立の構造ができてしまうのではないかと。  しかし、一方で私たちはもう負担をしています。燃料費調整額というのは、よくこのメーターを見ると気が付かれるんですが、普通の人はほとんど見ていません。これは、化石燃料が上がっていけば自動的にこの負担額が上がるように今、調整がされるわけですね。つまり、早く日本を低炭素社会にしないとこの化石燃料の負担額がどんどん上がっていく。なので、これで払うのがいいのか、それとも自然エネルギーのサポートで払うのがいいのかという聞き方をしないといけないのではないかと思っています。  私は、三月に、三百人のごく一般の主婦を対象にアンケートをしてみました。これは環境に関心のある主婦ではなく、ごく一般の主婦です。  このときはまだ経産省の発表がなかったので環境省の研究会のデータを使って、この固定価格買取制度で太陽光発電を伸ばしていくと、四十八兆円のGDPが増え、七十万人の雇用が出る。つまり、これがメリットですね。エネルギー自給率も上がっていく。そして、温暖化の害悪を少しでも減らすことができると。ただ、それをやるとしたら、家庭、世帯当たり二百六十円の負担が必要になると。そのメリットとデメリットと出した上で、それでもあなたは賛成しますかということを聞いたときに、半分以上が賛成すると答えています。負担はしたくないから嫌だと言ったのは全体の五%だけでした。ですから、きちんと説明すれば日本の国民は分かると私は思っております。  もう一つ。今の流れから、今、経産省で発表なさっている段階での固定価格買取制度は、やはり全体としてどういった形で何を目指しているかというのが分かりにくい。発電コストよりも高く買い取ることで、それを薄くみんなで負担することで応援していこうという原理原則は正しいと思いますが、その固定価格買取制度をどのように制度設計して、どのように運用するかというのは別物であります。  ですから、原理原則はもちろん正しいんですが、今の形ですと、経産省は全量ではなくて余剰分という形です。余剰分だと一戸建てしか基本的に対象になりません。全量でしたら、うちのようなマンションとか工場とか、自分のところで使わない人もこれは対象になるんですが、余剰分だと基本的に一戸建ての人しか対象にならなくなる。さっきの貧しい人と豊かな人という対立を作り出してしまいますし、それから回収期間、それからもう一つ大きいのが、太陽光だけを今対象にしているということです。  自然エネルギーの一番の特徴は、地産地消、それぞれの地域にある資源を使うということです。もちろん太陽光が豊かなところはいいでしょうけれども、地熱とか小水力とかバイオマスとか、そういった地域のエネルギーは応援しないのかということになってしまいます。ですから、こういったところを価格の決め方等も含めてもっと分かりやすく、本当に日本をこういう国にしていきたいんだと、地域の活性化、地方の分権も含めて、そういった形で是非制度設計をしていただきたいなと思っています。  最後に、国際的な観点ですが、私のNGOで国際世論調査を行いました。こちらの資料の方の八十四ページにそれが載っておりますが、百九十一か国のネットワークを使いまして、日本の中期目標についてどう思うかということを調査したわけであります。五十九か国から二百人以上の回答が寄せられました。半数以上が、マイナス二五%を是非日本としては、九〇年比ですね、やってほしいということでした。  やはり日本に対する期待は非常に大きくて、京都の名が付いている京都議定書、これがまだ守れるかどうか分からない、その責任も含めてしっかりした目標設定すべきだという責任論からの声と、もう一つは、日本がやはり大きく削減目標を立ててどんどん進んで世界を引っ張っていってほしいと、特にアメリカの方々からそういう声がたくさん寄せられました。アメリカを引っ張っていってくれと、そういった期待は非常に大きいのですが、なかなか今のままだと難しいのではないかと思っております。  スウェーデンの友人からの情報ですが、スウェーデンの主な新聞に、日本の中期目標の発表後、様々な記事が載っていましたが、やはりショックだと、がっかりしたと、これで途上国が逃げてしまうのではないかと、日本が余り乗り気でないとは思っていたけれども、ここまでひどいとは思わなかったというような感想をスウェーデンの人たちは寄せているというふうに聞いております。  技術的なリーダーシップは先ほど小宮山先生からお話がありましたが、私の方から一つ申し上げたいのは、技術力がある、つまり開発できるということと、それが実際に世界日本で使われるということは別物だということです。  日本は確かに技術力、開発力はあるかもしれない。でも、その日本技術がどれだけ世界で売れているのかというと、それはなかなか難しいところでありますし、国内ですらそれが使われていない。例えば、二〇〇八年のソーラー発電、国内のメーカーの国内で製造したものの六割はヨーロッパに行っているんですね。国内では使われていない。自国内も減らせていないのに本当に日本環境技術、高いんですかというような声も最近は聞かれるようになってしまっております。  今お話をしたことを全部まとめてありますが、こういったことを含めてもっともっと議論する場をつくっていただきたいと思っています。  五月八日に、私は三つの研究所、中期目標を作るときの研究をしてくださった研究所、それから環境省さん、経産省にお願いをして、六十人の市民、企業の方もマスコミの方もNGOの方もいらっしゃいましたが、その方々と中期目標について議論するというセッションを行いました。そこで初めていろいろな立場の人たちがお互いに意見を聞き合ってお互いのことが分かったという感想がたくさん寄せられたんですね。  そのような、国民対話集会もあったとは思いますが、一方的に伝える、若しくはある立場の人たちが一方的な意見を、場を牛耳るためではなくて、本当の議論をするような、そのためのきっかけとして、中期目標やこの低炭素社会に向けての日本の国づくりを一つの教材としてきっと使っていけると。そのような中で、本当に私たち国民の考える力や、だれかに頼るんではなくて自分の足で立つ力、これを鍛えながら、日本日本CO2も減らしながら世界にも貢献できるのではないかと思っております。  以上です。  ありがとうございました。
  7. 石井一

    会長石井一君) これより質疑を行います。  本日の質疑は、あらかじめ指名を待って御発言くださいますようお願い申し上げます。  なお、通例どおり、三分程度の質疑をお願い申し上げます。  それでは、質疑のある方は挙手を願います。  福山哲郎君。
  8. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 民主党の福山でございます。  お二人の参考人の先生方におかれましては、大変貴重な、元気になる意見をありがとうございました。  小宮山先生におかれましては、いつも希望が持てるお話をいただきましてありがとうございました。日本の専門家と言われる学者さんに聞くと、できない話ばっかりよく聞かされるもので元気がしぼむんですが、先生のお話を聞くと元気になります。  若干、先生に今後のことも含めてお伺いしたいのは、私自身は、先生が言われたように、日々の暮らし省エネは、先生のやられたことを国が補助やインセンティブを与えれば、家庭運輸に関しては非常に削減可能だと。  もう一点。先生の円グラフでいえば、物づくり部分は、私は、やはり排出の寄与度の高い工場に対してきっちりと排出量取引制度を導入していけば日本の削減幅というのは相当画期的に改善するというふうに思っておりまして、それが枝廣さんが言われました世界モデルになり得る可能性というのは十分秘めていると思います。  そこで問題なのは、いつも僕は、この場でも環境委員会でもどこでも申し上げているんですけど、日本エネルギー効率に対する共通認識の情報のプラットホームみたいなものがないんですね。経産省が言う情報と環境省が言う情報と、国際的に共通で議論されているエネルギー効率議論がいつもばらばらの基準で、ばらばらの指標で議論されているから、指標の取り方によっては、日本エネルギー効率は圧倒的世界一だという議論と、いや、実は二〇〇〇年代に入って世界中は相当省エネ技術が進んでいて、日本の優位性というのは大分落ちてきているんじゃないかという議論とが両立していまして、ここはやっぱり共通の国内の情報のプラットホームが必要だと私自身は思っていまして、そのことについて小宮山先生はどうお考えなのか、お聞かせいただきたいと思います。  例えば、中国のセメントが、これ、効率化せよというのは、先生の提示はそのとおりだと思いますが、恐らく中国のセメントというのは、一番中国でいうと今まだエネルギー効率が悪い部分であって、ここは日本との差が一番大きい部分ですが、鉄鋼も含めていろんな分野に関していうと、中国は相当私は改善しているというふうに思っていまして、去年も中国へ行きましたが、まあかなり自信満々な部分があって、そこも含めて、先生にちょっとその情報の開示とか数値の問題について御見識を賜れれば有り難いなと思います。  枝廣さんのお話は、もうまさに我が意を得たりの部分がたくさんありまして、私は今回の中期目標の発表について三つのチャンスを失うとあちこちで言っているんですが、一つは、小宮山先生の言われた日本の新たな市場や産業技術の発展等についてのチャンスを失うこと。  二点目は、あの二〇〇五年、一五%マイナスという数字で本当に中国、インドが新たなポスト京都の枠組みに乗ってくるのかどうか。逆に言うと、国際交渉上、中国とアメリカは今バイで相当密にやっていますし、EUはそれを横目で見ながら様子を見ていますので、中国とアメリカがある程度の交渉が、前提ができ上がり、EUと議論をしますと、日本は本当に国際交渉上取り残される可能性があって、まさに十二月に向けて、日本リーダーシップどころか、ひょっとすると外されるのではないかという私は危惧を持っていまして、このチャンスも失うと。  三つ目は、実は今日たまたま小宮山先生も枝廣先生も出なかった視点なんですが、いわゆる損害、自然災害や生態系の破壊によるマイナスの影響ですね。  実は、さっき枝廣先生が言われたすごく重要な点は、意識が高まっても行動に移らないと。九七年のCOP3、京都議定書のときは、やはり危ないという議論の中でNPOや市民がわあっとあの京都議定書に注目をしていただいた経緯があります。ところが、ある程度ステージが上がってきて、そのことはある程度所与のものとしながら、次の具体的なシステムや国際協力はどういう制度設計でこの問題に対処するかという議論になってきたときに、どんどんどんどん物事が複雑化してきて市民にはダイレクトにそのことが伝わらないんですね。  そこに僕は実は若干のギャップがあったと思っておりまして、過度に私は危険を誇張することはいいとは思いません。それは負担を過度に誇張している今の日本と同じことだと思いますから、そうは思わないんですが、ただ、要は、何も温暖化対策をしなかった方が何か経済も成長するんだとか、雇用も確保できるんだというあの中期検討委員会の数字みたいなのは全くもって今の世界流れとは違うもので、そこでやっぱり対策を取らなかったときの生態系の破壊や食物の問題や農作物の問題みたいなものをちゃんと説明する必要があるのではないかと思っておりまして、そこも含めて、市民を巻き込む方法みたいなものに枝廣先生、先ほど若干言及をいただきましたが、何かコメントがあればいただければと思います。  若干長くなりましたが、座長、ありがとうございます。済みません。
  9. 小宮山宏

    参考人小宮山宏君) データの話というのはいつも問題があって、そのデータをどういう基準でやったかという議論というのはとても大事な問題だと思います。  日本エネルギー効率が接近されてきているのではないかというのは、部分的にはそうです。おっしゃるとおりで、それは先ほど示したように、かなり理論的な限界に近づいてきておりますので、そこにいろんなところが接近してくるというのは当然のことで、私が先ほどセメントで示したのは一九九九年のデータです。二〇〇七年になってくると少し接近しています。それでもまだ、先ほど言ったような、中国で六〇ないし七〇%日本より多い、アメリカで五〇%ぐらい多いというような実態がそれほど変わるわけではない。鉄はもう少し、全体が熟しているために、一番悪いところと日本とでも一〇〇対一二〇ぐらいの差しかないと。そこら辺はとても重要な話で、データをきちんとそろえるというのはやらなくちゃいけないことだと思います。  ただ、一番国の全体として言われる中で危ない議論というのは、アメリカのGDPやヨーロッパのGDPというのは非常に伸びたんですよ、金融危機の前ですね。これは実は金融で物すごく伸びているんです。それで、そのGDP当たりにすると、金融で伸びた分エネルギー消費の比率がGDP当たり下がりますので、これは相当大きいんですね。そのために、日本エネルギー効率はそんなに良くないんではないかといったような間違った議論がされていた部分というのはあるんですね。それが今度解消されますね、ヨーロッパのGDPがごろっと減りますので。  私があともう一つ申し上げたいことは、日本物づくりももっと減らすべきではないかという議論というのは、してもいいんですけれども、そういったように、余り日本にとって得な議論ではないんですよ、日本全体にとって。やはり、日本の実情を考えて、どこがやれるのかということを考えるのが日本人にとって僕はとても大事だと思います。私はそういう意味答えを申し上げたつもりです。どこで日本はやるべきなのか。そうすると、先ほど言ったように、五五%のデイリーライフでやるべきである。これは世界をリードすることになりますよ。  断熱に関しては日本は良くありませんけれども、そのほかの、中のエアコンとかヒートポンプ給湯と申し上げましたね。例えば、今アメリカにガス湯沸器が物すごく売れているんですよ、日本の。これは、アメリカ電気でもってお湯を作ったりして、あるいはガスで燃やして、あとためておくんですね、貯湯式といって。その貯湯の断熱が悪いものだからすぐ冷めちゃうんですよ。今、日本の瞬間ガス湯沸器を入れると大体ガスの使用量が半分ぐらいになるんですね。ですから売れている。だけれども、私の家で使っているヒートポンプ給湯器というのはそれより二・五倍更にエネルギー効率が高いですから、アメリカヒートポンプ給湯器を、要するに、ゴアだの、オバマさんも入れているかもしれないけれども、多分入れていないでしょう、アメリカの方がみんなこれを入れてくれれば、アメリカのお湯を沸かすガスのエネルギーが五分の一になるということですよ。これは日本にとっていいこと。というのは、今申し上げたようなヒートポンプ給湯器というのは今、日本でしか作れませんから、これは日本にとって有利になることなんですね。  だから、我々は、もちろん反省したり、もう反省はし尽くしているじゃないですか、いろんなところで。僕は、反省しているばかりじゃなくて、日本の強みというのを発揮するためにどういう政策を取るべきかという意味で申し上げました。
  10. 枝廣淳子

    参考人枝廣淳子君) 市民をどうやって巻き込んでいくかというのはとても大切なことで、日々いろいろ考えつつあるんですが、四つ今考えていることをお話ししたいと思います。  一つは、ある意味、機は熟しつつあるという実感を持っています。それは、はっきり説明できなくても、何かおかしい、このままでいいのかなと思う人がもうほとんどになっているんではないかと。そこで大事なのは、きちんとそれを、例えば温暖化だったら温暖化に関連付けて説明をするということですね。この点ではマスコミの役割が大きいと思います。  一つ参考までにお話をすると、私のメンターでもあるレスター・ブラウンが教えてくれた話ですが、ワシントンでは毎月一回、科学者と政治家とマスコミの勉強会をしているんだと。そこに次々科学者を呼んで最新の情報を聞いたり、それを政治家も勉強するし、議員も勉強するし、そしてマスコミもそこで勉強してそれをちゃんと書いていくんだと。そういった意味でいうと、そういった場をつくっていくことは大事ではないかと思っています。  もう一つは、巻き込むといったときに、意識を上げてもらわないで行動だけ巻き込む、これは先ほどお話をしたことですが、得する仕組みをつくると。エコポイントも、それ自体どうかというお話、先ほどしましたが、でも、あれをやった途端にたくさん売れたのは間違いないですから、あと、レジ袋も有料化した途端にマイバッグの持参率上がるのも証明済みですので、そういったことが一つ。  三番目は、トロイの木馬作戦と私が呼んでいるのですが、多くの人々は、環境が第一の関心事項ではありません。ですから、環境を前面に行くのがいつもいい方法ではないんですね。私は、それを実感して自分でちょっと試してみたことがあるんです。  私、本を何冊か出しているんですが、最初、環境の本を出したんですね。環境をやっている人には読んでもらうんですが、環境の本だという、タイトル見れば分かるので、環境をやっていない人は手にも取らないわけです。三冊目に作戦を変えて出したのが「朝二時起きで、なんでもできる」という本で、私、朝二時に起きるという変な生活をしていますので、そのライフスタイルと、どうやって二年間で同時通訳になったかという話を書いて、その中にちらっと私が楽しげにやっている活動として環境の話を書きました。これは、環境のコーナーではなくて、自己啓発とかビジネス書のコーナーに置かれますので、十万部ぐらい売れたんですね。それで、私の先ほど申し上げたメールニュースに登録した人が何千人も増えたという例があります。  ですので、例えばファッションとかアートとか、若しくは同じ関心事でも、それこそアトピーとかぜんそくとか、いろいろな人々が関心あるところから行くというのが一つ環境の正面に来てもらわなくてもいいというふうに思っています。  四番目は、特に最近思うのですが、どういう切り口が人々に響くかというと、幸せというキーワードなんですね。  私、企業の経営者でも企業の社内講演でも必ず最後その話をするんですが、GDPを追い求めてきたけれど、それが本当に幸せにつながっているんですかと。ブータンのGNHの話などをよくそういったときにします。かつては企業の人はそういった話にぴんとこなかったんですが、この一、二年、非常に響くみたいで、経営者から一般の方々まで非常にそれは響くみたいです。  ですから、例えばCO2の話をするときも、CO2を減らさないとこうなりますという言い方ではなくて、身の回りを見たときに、幸せにつながっているCO2と、つながっていないCO2があります、それを見分ける力を付けましょうという言い方を私はします。  例えば、一家団らんでみんなでテレビを見ているとしたら、そのテレビの電力やCO2は幸せにつながっている。だから、それは気にせず出したらいいと思う。でも、だれもいない部屋についているテレビはだれの幸せにもつながっていない。だれの幸せにもつながっていないCO2は減らしたらいい。そういう目をみんなで持つようになると、例えば、明るくなっても街灯がついているとか、昼間なのにJRの駅ではもう蛍光灯がついているとか、二十四時間コンビニの目の前で同じジュースを自販機で売っているとか、幸せにつながっていないCO2、たくさん見付かるんですね。そういうのを減らすだけでもかなり日本は減らせる。  今言いましたように、みんなの意識、関心は高まっているということ、それをきちんと説明する仕組みをつくる必要があるということ、それから、意識を経ないで行動を変えるやり方もあるし、それからトロイの木馬作戦、そして恐らくキーワードは幸せかなと、今はそんなふうに思っています。
  11. 石井一

    会長石井一君) それでは、加藤修一理事。
  12. 加藤修一

    ○加藤修一君 公明党の加藤修一でございます。  小宮山参考人、そして枝廣参考人、大変ありがとうございます。非常に有益かつ魅力的な意見をいただいたと思っております。先ほど福山委員からも話がありましたように、極めて勇気付けられる、そういう内容であったように思います。  それで、小宮山参考人にお願いなんですけれども、自立国債というのは、非常に私も読ませていただいて関心を持っております。それで、まずこの点から行きたいわけですけど、この点といいますのは、中期目標でいわゆる様々なモデル計算をしたと。その前提条件がありまして、ゼロエミッション電源、これを二〇二〇年までに五〇%以上にしようというのが政府の考え方でありますけれども、その中期目標の前提条件の中に、たしか原発は九基ほど造ると、そういう話があります。  私は、特別、脱原発の姿勢を持っているわけじゃございませんが、このリードタイムを考えると、二〇一八年に造って配電をするというのはなかなか厳しい。恐らく、リードタイムは十数年掛かるというふうに考えていいと思うんですね。そういうことを考えていきますと、ゼロエミッション電源の中身というのが原発と再生可能エネルギーでありますので、まさに先生がおっしゃったように、いわゆる自立国債を使いつつ再生可能エネルギー、太陽光の話が主だったわけでありますけれども、再生可能エネルギーを幅広にやっていく上では非常に大事な視点でないかなと思っております。  そういった意味で、原発の方はリードタイムの関係があってかなり遅れてくるということを考えますと、再生可能エネルギーを幅広にやっていく上では極めて有効な内容でないかなと思っておりますので、この点についてもう少し御説明をいただきたい。  それから、枝廣参考人からは、きちんと説明すれば分かるという話がありまして、それはそれとして今後参考にさせていただきたいと思っておりますが、我が国で低炭素社会に向けた取組が進まない理由として、五番目に、組織や個人が行動を変えたくなる仕組みがないと、こういう説明がありました。小宮山参考人からは自立国債の話等ございまして、私は非常に有益な武器だと思っておりますが、この点についてはどのように考えておられるか。この辺についてお願いいたします。
  13. 小宮山宏

    参考人小宮山宏君) 自立国債事例としてあそこに挙げたのは、大きいものを挙げたつもりではございますけれども、今あの時点、あの時点というのは、有識者会議で首相の前で御提案したのが最初だったんですが、そのときの段階で、かなり私自身で自信持って、何年ぐらいで償還できるかという数字の入っているものを出しました。そういう意味では、今先生のおっしゃるように、再生可能エネルギーに関しては太陽電池に限る必要は全くないのであって、日本ですと、大きいもの、風力発電バイオマス、そこら辺までは当然視野に入れて構わないものであろうと考えております。  それから、自立国債の対象として、対象としてだけということでなく、再生可能エネルギーが分かりやすくて、一番受けて、実は研究者の数も再生可能エネルギーのが多いんですが、もう一つエネルギー効率を上げるということが、実はこの方が効果が大きいんです。先ほど先進国が八割減らせるというふうに申し上げたときに使った図をお配りしてあるので、三分の一になるというところはエネルギー効率の向上なんですね。三分の一になるということは三〇%まで減ってくるということで、あと一〇%ぐらいが八割削減と言っているときの二〇%に減るということで、これは日本でも世界でも私は同じだと思っています。  今の火力発電、五十数%を占めております。原子力と水力を合わせて四〇%ぐらいの発電量になっておりますけれども、火力発電全体を太陽電池で賄うということは、屋根の面積からいってできません、日本では。日本では、先ほど枝廣さんがスウェーデンと比較されたけど、スウェーデンは日本の一・二倍の国土があって、九百万人しか人口のいない国で、何やっても自然エネルギーでいけますけれども、日本はそれは無理なんですね。やはり、日本もそうだし、世界でも、一番大きいのはエネルギー効率を上げることなんですね。そのために、今、事例として家の例を申し上げているわけです。  家の断熱を良くするというのを象徴的に申し上げていますが、家というものをベースに太陽電池も載っけよう、ヒートポンプ給湯も入れよう、あるいは燃料電池によるコジェネでもよろしいわけですけれども、そういったような最先端のものを自立国債でやっていくというふうに是非お考えいただきたい。  それで、私は、ちょっと口走った言い方で恐縮なんですけれども、一番国民に納得させるいい方法は、やっぱりここにおられる先生方がおやりになることだと思いますよ、もう既におやりになっているのかもしれませんけれども。それから、今、恐らく事務所なんかお帰りになるとガラス一枚ですから、ほとんどは、いいところに住んでおられる新しいのは分かりませんけれども、一枚ガラスですから、あれに、東京大学の総長室でやったように、内側にもう一枚窓を張っていただきたいんですよ、そうすると、それだけでもって冷暖房エネルギーが半分になりますから。そういうのを今、地方を何か所か始めましょうよと一生懸命言っているところでございまして、まずリーダーの先生方が御自分でおやりになる。私もリーダーの一人としてやったつもりでおります。それとマスコミ通じてのいろんな宣伝とか。  みんなが、確かに、うちは電気代五分の一になりましたから、電気代も安くなったし、そもそも家の中の温度が均一で、おふろも寒くないし、これだったら老人にとっても住みやすい家だねという、そういう生活のクオリティーが上がるという実感とエネルギー消費が減るという実効と両方がやれるところが私は家だと思うんですね。それで、ここら辺を自立国債の対象としてやっていったらいいのではないかという意味で項目を挙げさせていただいたんで、最後に御質問の風力等、他のリニューアブルエネルギーというのも当然対象に入ると思います。
  14. 枝廣淳子

    参考人枝廣淳子君) 自立国債というのは極めて効果的な仕組みだと私は読ませていただいて思っております。官僚の方々はどうも政策というとイコール補助金というふうにお考えになることが多くて、エコポイントも一種の補助金ですが、その補助金が止まったらもう止まってしまうと。かつての太陽光発電も全く同じだったわけです。政策というのは、補助金ではなくて、補助金を最初使ったとしても、その市場をつくる制度であり、仕組みであると思っておりますので、この自立国債の仕組みは有効ではないかと思っています。  二つ、近い取組をしている例がありますので、御参考までにお話をいたします。  一つは、市民共同発電所という動きです。  もう日本で何か所も実際に動いていますが、これは、市民がお金を出し合って、最初に例えば保育園の屋根にソーラーパネルを載せると。その売電したお金を集めておいて、たまったら次のソーラーパネルを載せると。こうすると、最初のシードマネーがあればあとは自律的にフィードバックループで増えていくような、そのデザインができるんですね。これ、今一番熱心にやって進めているのは飯田市ですが、飯田市では実際にこの仕組みをいろいろと広げています。  もう一つはNGOがやっている例で、江戸川区の足温ネットという、足元から温暖化を考えるネットワークという、ここがやっている例ですが、ここが省エネの冷蔵庫をみんなに買換えを勧めたいと。  ただし、やっぱり十何万というと普通の庶民にはぽんとお金が出せる額ではないんですね。でも、実際にその前の、七年、八年前のと最新型の省エネ型を比べると、一年間に電気代が一万五千円から二万円安くなります。それだけ二酸化炭素は少ないんですね。それを分かっていてもやっぱり十数万をぽんと出せる人はそうそういないので、ここのNGOが何をやったかというと、今の冷蔵庫を最新型に換えた場合どれだけ電気代が安くなるかを計算して、その五年分を無利子で融資するということをやっています。そうすると、七万かそれぐらい貸してもらえるんですね。そうしたら、三万か四万か足せば買えますので、それで、買うときの敷居を下げて、五年間は前の冷蔵庫のつもりで電気代を払ってくださいと。五年たったらもうがくっと冷蔵庫の電気代が下がるという仕組みで、これ、何十人も利用して、私、インタビューに行きましたが、とても好評です。  ただ、小さなNGOがやっていますので、その融資とかシードマネーの関係もあって、それほど大きくは広げられない。この同じような仕組みを国がしっかりと進めていくことができればもう日本中に広がるのではないかなと思っています。
  15. 加藤修一

    ○加藤修一君 小宮山参考人に、皆さんがやってくださいという話でありますので。  私自身は、小規模ながら、太陽光と太陽熱と、それから風力発電です。私、群馬県で、群馬県に来たときは、風が強いところだという話だったんで、風力発電もそれは意味があるだろうと思って付けたんですけれども、春先だけしか回らないと、こういうことで残念な思いでいるんですけれども、ただ、今回の投資減税、太陽光を入れて三百万まで、その場合には減税されると。あるいは、太陽光については一キロワット、国から七万円の助成が出るということで、小規模で今までありましたけれども、今度はもう少し大規模にやろうと。それから、エネルギーの節約ということで、断熱等々含めて、是非こういう制度を利用してこの際にやってみたいなと、こんなふうに考えております。  ありがとうございます。
  16. 石井一

    会長石井一君) 喜納昌吉君。
  17. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 小宮山宏さんに三つほど聞きたいと思っています。  まず一つは、経済危機克服のための有識者会議で……
  18. 小宮山宏

    参考人小宮山宏君) ちょっと済みません、よく聞こえないんですが。
  19. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 ごめんなさい。  三つ聞きたいんですね。  まず一つ目が、経済危機克服のための有識者会議で自立国債の提案をされて大きな反響があったと聞いておりますが、されなかった理由ですね、一つは。  二つ目が、CO2を出さない等の理由で原子力発電への注目が集まっていますが、原子力には新たなリスクが発生すると思いますが、その点について。  三つ目に、人類にとって地球が小さくなっているということで、増え続ける人口問題について。私としては国境に問題があると思っているんですけどね。あらゆる生命は国境を持たないんですけど、あらゆる生命、命は国境がないんですけど、魚も国境を持たずに泳いでいる。
  20. 小宮山宏

    参考人小宮山宏君) 国境というのは、国の。
  21. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 そうそう。国境を持たずに動いているんですけどね、鳥も風も雲も。生命には本質的に国境はないんですけど、食物連鎖の頂点に立っているこの人類だけが国境を持っているんですね。私、そう思っているんです。そのことに関して、人口暴発に対してどういうことを考えていらっしゃるのか伺いたいんですね。  この三つです。  それから、枝廣淳子さんには、ライフスタイルの価値観の転換が必要との意見には賛同します。産業革命は利権を軸とした人間の豊かさに傾いて発展し、人類の膨張をもたらし、地球を破壊してきたんですね。利権に縛られた国益というのは、最も地球を破壊する戦争文明をつくっておるわけですね。地球益と整合性を持った国益は、循環をもたらして平和文明をもたらすと私は思っているんですね。  ところが、その求められるライフスタイルには、私は、地球復活というんですか、地球が最初であるという、だから、その意味では、一つの概念革命が必要ではないかと思っているんですね。それは、やはりあらゆる経済、政治、文化、芸術、芸能、科学技術がすべて地球を復活させる、地球に対して輝きを与えていくという新しい僕はルネサンス、地球ルネサンスが起こらなくちゃ人類の未来を越えていけないような感じがするんですね。そのためにも、国益と人類益、地球益を整合性を持っていくという流れをもしつくっていけたらいいなと思っているんですけど、この辺の質問をしたいです。  よろしくお願いします。
  22. 石井一

    会長石井一君) 小宮山参考人、御理解いただけましたか。
  23. 小宮山宏

    参考人小宮山宏君) はい。
  24. 石井一

    会長石井一君) どうぞお願いします。
  25. 小宮山宏

    参考人小宮山宏君) 第一点の、有識者会議で自立国債を提案したものが採用されなかった理由は、私は分かりません。項目別に太陽電池に対する補助ですとかいうことを取り上げられたんだと思いますが、残念ながら採用はされなかった、そこを知っているだけでございます。  枝廣さんがさっきNGOで小規模にやっておられるとおっしゃったように、実はこれは、自立国債の考え方というのはいろんな形で恐らくやり得るんだと思うんですね。民間の少し大きなファンドがやるという考え方というのは多分あって、もしも国が動かないんだったら、動くのにいろんなバリアがあるんだったら民間でできないのかなというふうにも今、友人たちと話しているところです。今、NGOで枝廣さんがおっしゃったとおりのことですよね。それを本当に大規模にやればいいんですね。多分もう一兆円も要らないんじゃないかと思うんですね。国民みんなが、なるほどこれは面白い、こういう方向があるんだということを納得するところまで行けば、後は恐らく国民が自分でやっていけるわけだから、そういう意味で、何とか早くスタートしたいなと考えてございます。    〔会長退席、理事主濱了君着席〕  第二点の原子力に関しましては、よくある議論以上のことは私は存じませんが、今、原子力を止める状況には全くないと思います。これ抜きでやっていけないと思います。いずれ近いうちに、近いうちというのは、二〇五〇年以前に、原子力は当然安全な、安全なという方向に技術の開発、行くと思いますし、自然エネルギーの方はコストの低下、コストの低下というふうに向かっていくと思うんですね。そのときに、最終的にどちらを人類が選ぶことになるか。私はどちらかというと自然エネルギー派なんですけれども、現状から二〇五〇年ということを考えれば、原子力抜きでは考えられないというふうに思っております。  国境に関しては、素人以上の見識がございませんので、控えさせていただきたいと思います。
  26. 枝廣淳子

    参考人枝廣淳子君) かつては人間は地球に比べると非常に小さい存在で、人間が何をやっても地球に大きな影響を与えることがなかったので、そういったライフスタイルなり価値観なり地球との認識を人間はずっと持っていたと思います。ただ、産業革命以降、科学技術の力を持って今、人間は地球を変えるほどの大きな影響力を持ってしまった。しかし、まだメンタリティーとしては、地球は大きいから私たちが何をやってもきっと大丈夫だと。そのメンタリティーを持ったまま大きな科学技術の力を発揮してしまっている。そこのギャップが今出ているんだと思います。  私も、おっしゃったようなパラダイムシフトが非常に大事だと思っていて、これまでは好きなだけ使っていい、何をやってもいい、でも、やはりこれからは地球の限界の範囲内で折り合いを付けながら生きていく、若しくは経済を運営していく、そういった知恵を私たちは持つ必要があると思います。  温暖化でいえば、皆さん御案内のように、地球は年間三十一億トンの炭素しか吸収できないのに人間は七十二億トン出している。ですから、温暖化が起こっている。人間がみんなで三十一億トン以下で暮らすような社会や経済を築かない限り温暖化は止まらないわけですね。なので、そこのところのパラダイムシフト、地球の限界の範囲内で折り合いを付けながら生きていくということが大事だと思っています。  それを新たなルネサンスと考えるかという点は、いろいろな考え方があると思います。私は、元々日本にはそういった考え方や生き方はあったと思うんですね。  私、小さいとき宮城県の田舎に住んでおりまして、山菜を春になると取るのが好きだったんですが、タラノメが、私たちの地方ではタランボと呼んでいたんですが、とげとげの木の上の方に付くわけです。とげとげで痛いし、上の方で届かないしといってタラノキを折ってしまおうかなと小さいとき思ったことがあるんですが、折っちゃったら来年からここにタラノメは出ないと、だから折るんじゃなくて、毎年出るそこだけを取ればいいって小さいとき思ったんですね。それ、まさに持続可能な生き方だと思います。  日本は、もったいないという言葉もそうだし、もう一つ海外でよく話をするのは、背負い水という言葉が日本には昔あったそうで、人は生まれた時にその人が一生使える水を背負って生まれてくる、だから無駄遣いすると後で自分が困るよという、そういった持続可能な生き方の一つの知恵というのですか、そういうものがあったと思います。  ですから、私たちが忘れてしまったものをもう一度取り戻すことを含めて、そういった意味で、ルネサンスというか、大事なポイントだと思いますし、それは、多くの方が抱いているような後ろ向きで窮屈でというのではなくて、本当に大事なものを大事にするという、見かけのGDPの成長とか数字に踊らされるんじゃなくて、本当に大事なものを大事にすることができる、本当の意味で幸せな社会へつながっていくと私は思っております。
  27. 主濱了

    ○理事(主濱了君) それでは、西田委員、お願いします。
  28. 西田昌司

    ○西田昌司君 自民党の西田でございます。今日はありがとうございました。  まず小宮山参考人なんですが、非常に、日本のこれから進むべき方向、明確に示していただいて参考になりました。  それで、日本は分かるんですけれども、今、枝廣参考人もあったんですけれども、結局、後進国の方、ここで人口がどんどん拡大して同じような文明、こういうエネルギーを使っていくとどうしても限界があるんじゃないかという話になってくると思うんです。  それで、先進国はそういう形でいいんでしょうけれども、結局、こういう温暖化とかいうのがもし本当にその文明のCO2排出になっているんでしたら、かなり、非常にこれはもう難しい問題ですよね。特に、エネルギーCO2だけではなくて、食料も含めましてかなりの限界があるのかなという気もするんですが、それを何とかバランス取るためには、何というんでしょうか、やっぱりそれぞれの地域、地域に暮らし向きがあると。いつもこの調査会で私、申し上げるんですけれども、何かそういうものをどっか認めて共有する価値観がないと、それはいわゆる炭素の取引とかそういう形ではできないと思うんですよ。それ、やってしまいますと、結局は金融取引と同じようになりまして、方向違いの方向に行ってしまうと思うんですけれども、そういう価値観の話で、要するに、後進国の地域が後進国なりに過ごしていけると。実は、それがかなり、枝廣参考人もおっしゃいましたけれども、幸せなことでありまして、我々が、実は理想の世界は通じなかったのかもしれないという、そういう感じもありますよね。  ですから、技術革新の話もそうなんですけれども、もう少し価値観の転換の話も、これが出せないと、結局は、先進国ではできるんですけれども、後進国もまとめた話というのはなかなかどうなのかなというのが漠然と感じているんですけれども、その辺のところを小宮山参考人、どのようにお考えかということと、同じ質問なんですけれども、枝廣参考人も是非お聞かせをいただきたいと思います。
  29. 小宮山宏

    参考人小宮山宏君) 今の御質問を伺っていて思い出しますのは、五年ぐらい前にアマーティア・センというインド系でノーベル賞をもらった経済学者がおられて、うちの大学で名誉博士を差し上げたんですが、そのときの受諾の講演で、ハンチンソンっておられますね、あの文明の衝突、それで、彼が講演の中で、ハンチンソン・イズ・ロング、ハンチンソン・イズ・ロングって二十回ぐらい言ったのが物すごく僕、印象に残っているんですね。  それで、彼の言っているのは一つです。なぜハンチンソンが間違っているかというと、宗教という一番融和しにくい対立軸、世の中には対立軸ってたくさんあるんだと、男と女とか、国とか、いろんな対立軸がある中で一番答えの出にくい対立軸を選んでいる、だからハンチンソン・イズ・ロングなんだというふうに彼はおっしゃった。  それは一つの考え方で、ハンチンソンの文明の衝突は一つの見識なんですが、私は逆に今考えてみまして、どういうことができるんだろうかと。確かに、価値観、貧しくても幸せであるというのは、私の小さいころのことなんか考えれば、日本だってよく分かりますけれども、それじゃ、貧しくても幸せなんだよって貧しい人に言って本当にどれだけ説得力があるのか。むしろ、やっぱりGDPが一人当たり四千ドルになるといろいろ変わるということが経験的には分かっているわけですね。私はそちらの方を政治的には求めていって、結果として、もちろんNGOの活動とか文学の活動とか、村上春樹の本が売れたり、別の活動でそうした価値観の問題というのが語られる、それが相乗作用みたいな形になってくれば理想的だと思っておりますんですが、やはり政治の世界は、僕は物質、エネルギー、食料と、衣食住と申しますか、そっちの方、やりやすいところからやった方が実効が上がるんではないかなというふうに考えるんですね。    〔理事主濱了君退席、会長着席〕  それで、私は日本だけで考えているわけでは全くございません。ビジョン二〇五〇というのは世界ビジョンです。世界ビジョンと整合ないようなビジョン日本が言ってみても通るわけもございませんで、これは途上国の問題を含めて考えた結果が、むしろ申し上げている先進国は八割減らすんだ、途上国は二倍に増えてもいいんだというモデルで、今のままだと六倍に増えるんですから、それをどうやっていくかということで、できやすい方から考えていくというのが私の御提案です。
  30. 石井一

    会長石井一君) それでは、枝廣参考人。時間がちょっと押してまいりましたので、御配慮の上、お願いします。
  31. 枝廣淳子

    参考人枝廣淳子君) 幾つかの観点からお答えを試みようと思います。  一つ途上国といったときに、本当に貧しくてまずは食べられるかどうかというレベルの人たちと、中国の富裕層のように、豊かなエリートも含めて、そういった層とやはり分けて考える必要があると思うんですね。  豊かな方でいうと、中国から選抜した高校生を日本に集めて環境教育をするというプログラムがあって、そこで私は日本の話をすることがあるんですが、その日本の進んだ技術だけではなくて、例えばスローのムーブメントであるとか、それから、ブータンのGNHに刺激を受けて、会社の成長を利益ではなくて社員の幸せを中心に考えようと、そのためにマイナス成長を掲げている極めてユニークな企業が日本にはあるんですが、そういった話をすると、高校生が終わった後、来て、早く中国の大人にもそれを伝えてくれと。うちの大人たちは行け行けどんどんでやっていて、このままだと駄目になると、なので、そうじゃなくて、行き過ぎてから日本のように気付くんじゃなくて、今のうちにそういった経済成長だけではない幸せの価値観を早く伝えてほしいということを切々と言われます。  そういった意味でいうと、ある程度豊かになった途上国人たちには、どうやってその価値観とか本当の幸せを一緒に考えていくかというのが大事だと思います。  ただ、やはりまだまだそうではない本当に貧しい人たちがたくさんいると思うんですね。そこに対してどう考えているかというと、一つは、小宮山先生もおっしゃった、セクトラルアプローチのような形で進んだ技術を早く途上国に伝えることで、リープフロッグ、カエルがぴょんと跳んでいくように、例えば大型の発電所を造るんじゃなくて、もう最初から太陽光でそれぞれ分散型で電源を入れていくとか、そういった形で、豊かさと環境負荷を下げることを同時にできる技術がもう先進国にたくさんあるので、それをいかに広げていくかということ。  もう一つ、これは私は五年ぐらい前に提案して、最近はドイツのメルケル首相も同じようなことをおっしゃっていて心強いんですが、最終的には、例えば二〇五〇年のそのときの世界人口でそのとき世界が吸収できるCO2を割ると、つまり、先進国途上国も関係なく一人どれぐらい出せるかが計算できますよね、そこに収れんしていくべきだと。途上国はまだ増やしていい、でも先進国は減らしていかないといけない。最終的に豊か、貧しいというのは関係ないはずなので、人の価値としては、なので、その一人当たり出せる量にする。そのときに、例えば先進国はまだまだたくさん出しちゃうとすると、先ほど、疑問はお持ちかもしれませんが、何らかそれを貧しい、それだけ出さなくてもいい途上国の人から買うような仕組みができればその富の再配分もできる、そんな形が考えられるのではないかと思っています。  もう一つ途上国の問題は、やはり人口をいかに抑えるかということだと思うんですね。人口どんどん増えつついろんな話をしていても、やはり根本的なところが押さえられていないと思うので、これはもう何をやれば途上国人口を抑えられるか分かっている。女子の教育ですよね。それに必要なお金を計算したあるグループの発表によると、世界途上国の女子に教育をして人口を抑制するために必要な費用は、戦闘機を二機造る費用で済むと言われています。でも、それを先進国は出さない。拠出金を出さないのでそのプログラムが進まず、途上国人口はどんどん増えている。ですので、エネルギー効率を進めたり、価値観を一緒に変えつつ、やはり人口問題も先進国がどうやってかかわって増えないようにしていくかということも大事かと思っております。
  32. 石井一

    会長石井一君) それでは、富岡由紀夫理事。
  33. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 参考人の皆さん、今日はありがとうございます。  まず小宮山参考人にお伺いしたいと思いますけれども、先ほど、いろいろ解決方法としてエコハウスの導入とかエコカーの導入ということで御説明いただいたんですけれども、確かに、電気料金は何年かで回収できるというお話、書いてあったり、御説明いただきましたけれども、そのエコハウスを造るときの断熱材若しくは二重ガラス、三重ガラス、あと太陽光パネル、これを作るときのコストだけじゃなくて、実際にそれを作るために新たなCO2の排出を生んでいるんじゃないかといった議論もあります。そういったことを含めて、トータルで、本当にこれが何年でそのCO2の削減が、燃料費の電気代の削減じゃなくて、CO2のトータルの削減がどのぐらいで見込めるのかということを、ちょっともしそういうのがあれば教えていただきたいなというふうに思っています。  あと、高気密、高断熱の家というのは、今いろいろなハウスメーカー、売っていますけれども、私も一応住んでいるんですけれども、どちらかというと、やや息苦しくなるところがあるんですね。それで、結局、それを改善するにはどうしたらいいかというと、二十四時間機械換気をしないといけませんよということが言われるんです。そうすると、何てことはない、せっかく気密しているけれども空気を循環させないといけませんよとか、私なんかは、結局、ドアを開けちゃって外の風をぼんぼんぼんぼん入れるような形で今対応をしているんですけれども、そうすると、高気密、高断熱の家を造った意味は何だったのかなというようなことにもなりかねないので、まあ我慢すればいいんでしょうけれども、ややそういう気になる人はどうなのかなという思いがまず一つ。  あと、エコカーも、さっきもそうですけれども、エコカーを買ったときにどれだけCO2のそれが、値段じゃなくて、CO2の削減で、トータルで何年でその削減になるのかということもちょっと教えていただきたいなというふうに思います。  あと、枝廣参考人には、先ほど小宮山参考人が、スウェーデンの例は、人口が九百万で国土が一・二倍なので、ある意味特別な何か事情があるからできたんですよというお話だったんですけれども、本当にそうなのかどうかということをちょっと教えていただきたいなというふうに思っています。  今、先ほどありましたけれども、やっぱり日本は林業を何とかしないといけないと思っていまして、スウェーデンのその成功例がうまく日本に導入できれば、これはこしたことないというか、すごいことに私はつながるんじゃないかなと思っていまして、導入したときのやり方、多分すごくやっぱり単純で、どうやったら使う人が得になるのか、若しくはペナルティーを与えて、これをやったらあなたには負担を与えますよ、ペナルティーを与えますよと、得か損かでやるのが一番簡単だというふうに思っているんですけれども、スウェーデンの場合は、それをどこで得で、どこで損をするようなめり張りを付けたやり方であれだけ急速なエネルギーの転換を図られたのかということを是非、今後の参考にしたいので、教えていただければというふうに思います。  以上です。
  34. 小宮山宏

    参考人小宮山宏君) 今の最初の方のお金の回収の話とエネルギーの回収の話ですね。これは、答えから申し上げますと、もう大分前に結論は出ています。それで、もう明確にお金の回収期間よりはエネルギーの回収期間というのはずっと短いというのが結論です。  事例で申し上げますと、例えば冷蔵庫のさっき話、出ましたね。冷蔵庫を回しています。家電リサイクル法があれしていて大体回しているんですが、その回すためのエネルギーと新しい冷蔵庫を造るためのエネルギー、このエネルギーを取り返すのは、例えば十五年前ぐらいの冷蔵庫だと四か月ぐらいです。四か月ぐらいで得した電気、得したエネルギーで新しい冷蔵庫を作ることができるという意味で、それに対してお金はやはり六年とか七年掛かるんですね。  それから、エアコンなんかだともっとあれで、十五年前ぐらいのエアコンを付け替えるとしますと、付け替えるのに掛かる全部のエネルギー、新しいエアコンを作るという意味です、それも含めたものというのは三か月ぐらいで取り返すことができます。それに対して、やはりお金からいうと七、八年掛かるんですね。  そういう意味で、太陽電池だったらば二年です。東京に太陽電池を屋根に置くというときに、それを作る、その全部です。シリコンの原料からすべて考えて、その作るエネルギー太陽電池発電量で取り戻すのに二年掛かります。それから、お金からいうと、やっぱり十数年掛かるわけですね。  ですから、エネルギーに関しては、これも日本が一番早くからやった計算で、最近MITなんかも遅まきながら計算していますけれども、ボストンで三年と言っています、太陽電池で、それはボストンと東京の日射が違いますから。それで、東京と宮崎、九州の方がおられるかもしれませんが、東京と九州ですと更に三、四割違いますよ。だから、九州なんかだと、東京で例えばエネルギー二年だったらば、一年と四か月とかでエネルギー的には回収できます。だから、高効率なものに買い換える、あるいは風力発電でも同じですが、太陽電池でも新しいエネルギーのものを買うというときに、お金で間に合うんだったらば、もうエネルギーは絶対に間に合うというのがまず例外なく結論であります。  それから、高気密型で私の家も開けます。でも、真夏に本当に暑いときに開けませんよね。それから、真冬で本当に寒いときに開けるというのは、すき焼きをやった後とか、そういう後には開けますが、普通は冷房暖房をがんがんやっているときには開けないと思うんですよ。ただし、気持ちのいいときには、うちもいつも開けております。それで、私も全く同じように高気密、高断熱って何となく気が詰まるような感じがするような気がしたんですが、結果的には全く私は感じておりません。  それから、私はこう思うんですよ。日本で、北海道で、あるいは新潟で、東京で、四国でどんどんやっていって、いろんなタイプの心地よい家を造ればいいと思うんです。ただし、それは、エネルギー消費ということはマストとして、エネルギー消費が高効率でないといけないというのはやはり付加をした上でいろんな家を造る。それで、やっぱり夏をもって旨とすべしだで冬我慢する方がおられるんなら、寒くてもそれはそれで自由ですから、いいと思うんですね。それで、いろいろなタイプの家を造っていろんなものを選択していけばよろしいんじゃないでしょうか。
  35. 枝廣淳子

    参考人枝廣淳子君) 今の御質問、とても大切なポイントだと思います。  森林は、単に森林だけではなくて水をつくってもいるんですね。今、皆さん御存じか分かりませんが、中国が今大変な水不足になってきていて、日本の森林に手を出し始めているという情報を私は聞いております。日本の森林を買ってしまって、そこでつくられる水を水ビジネスの対象として中国に持っていくという動きもある。つまり、日本の水を、水の豊かな国だと言っておりますが、森林をしっかり守っていかないといけないと思っております。  私がスウェーデンの例をよく出すのは、これがすばらしい、日本もまねしましょうというよりも、三十年前からスウェーデン、できていたわけではないということなんですね。三十年前はそうではなかった。でも、しっかりしたビジョン政策のパッケージでやればこれだけ変われると、そこは是非まねしたいなというふうに思っています。  人口規模、国土の規模、人口密度が違うわけですが、日本全体ではなくても、例えば地域、地域で、スウェーデンぐらいの人口密度の地域は日本にはたくさんありますので、そういったところでは十分スウェーデンのようなやり方で進めていけるし、既に日本の中の市町村八十六が、そこの民生用、つまり家庭用の電力はすべて域内の自然エネルギーで賄っております。そういった市町村が日本ではもう八十六あります。それだけ自然エネルギー日本にはあるんですね。なので、そういったところがもっと増えるような仕組みをつくっていく必要がある。  それから、もう一つ。よくこういう議論になると、いや、スウェーデンはこれだからできたとか、ノルウェーはこういう条件だからできたと、日本はそうではないからできないという話が出るんですが、オール・オア・ナッシングではないと思うんですね。全くノルウェーとかスウェーデンと同じレベルまで達しないとバツかというと、そうではなくて、同じようなやり方でもし少しでも日本が進むことができれば、これは十分にやる価値があるんではないかといつも思っております。  導入時のやり方は、先ほどお話をしたように、基本的にはエネルギー税を変えることで、化石燃料には重税を掛けて、そしてバイオマスには税金を基本的に掛けないということで値段差を付けて、得だからそちらをみんな使うということをやりましたが、そのときに一つとっても大事なことをスウェーデンはやっていました。それは、バイオマス資源エネルギー源として使うときに、地元の周囲何キロ以内の山から持ってきた木材を使うという一項を入れているんですね。つまり、それによって地元の木材が使えるようになっている。  これがなぜ大事かというと、少し前ですけど、中部電力が火力発電所で木材を燃料の一部として使うという話が新聞に出て、私、すごくうれしく思ったことがあって、これで日本の木材を、間伐材とか使ってくれたら、山も守れるし、CO2も減ると思ったんですが、その記事を最後まで読んでびっくりしたのは、その木材を海外から輸入すると書いてあったんです。  ですから、木材を使えばいいというのではなくて、やっぱり日本の山を守ろうということであれば、税金の体系を変えるだけではなくて、どこから供給をしてもらうかという、そういう地域的なこともきちんと入れた上で日本の山の木を使えるような、使わざるを得ないような、そういう仕組みを入れた上で奨励策を入れる必要があると思っています。
  36. 石井一

    会長石井一君) どうもありがとうございました。  それでは、まだまだ御関心も高いようですが、理事会の申合せどおり、取りあえず第一セッションはここで終えたいと思います。  両参考人におかれましては、貴重な時間、大変どうもありがとうございました。調査会を代表して、厚く御礼を申し上げます。  午後四時まで休憩いたします。    午後二時五十六分休憩      ─────・─────    午後四時三分開会
  37. 石井一

    会長石井一君) ただいまから国際地球温暖化問題に関する調査会を再開いたします。  休憩前に引き続き、国際問題及び地球温暖化問題に関する調査を議題といたします。  これより、京都議定書目標達成に向けた地球温暖化対策現状課題及び国際的取組日本役割課題―二〇一三年以降の問題―について委員間の自由な意見交換を行います。  議事の進め方でございますが、去る二月十八日及び四月八日に行った調査の概要と論点整理について調査室長から説明を聴取した後、これと本日一時からのセッションの調査を踏まえ、委員間で自由に意見交換を行っていただきたいと存じます。  なお、発言は着席のままで結構でございますので、自由闊達に御発言をお願いいたします。  五時をめどに本日は閉会をさせていただきたいと存じます。  それでは、調査室長からの説明を聴取します。藤崎第一特別調査室長。
  38. 藤崎昇

    ○第一特別調査室長(藤崎昇君) それでは、報告申し上げます。  地球温暖化問題に関して今期行われた過去二回の調査の概要について報告いたします。  去る二月十八日は、洞爺湖サミット以降の我が国の温暖化対策の概要などについて政府から報告を、四月八日は、国民運動としてのCO2削減努力と題して有識者から意見を、それぞれ聴取した後、質疑を行いました。  その際、示された主な論点について整理したものを御参考までに紹介いたします。  お手元に資料配付をしております。その中で、御覧になっていただけると分かりますように、大きく二つに分けております。一つは温暖化対策の現状及びその在り方、他の一つは中期目標に関するものでございます。順次紹介いたします。  まず、一つ目の対策の現状、在り方についてですが、これは総論的なもの、それと、さらに低炭素社会に向けて取るべき個別施策といった各論的なものに分けております。  総論的なものについて申し上げますと、温暖化防止に向けた国内議論国際的に共有された認識の下で進んでいない上、縦割り行政のため、エネルギー政策と温暖化政策の整合性が取れていない。また、政策が補助金依存であるとともに、科学や経験によらず、業界や省庁間の駆け引きで決まり、有効に機能していない。温暖化防止のための施策について、CO2削減効果の検証を行い、効果のある施策に重点化する必要がある。温暖化対策を進めるに当たっては、単なる補助政策ではなく、長期的な成長構造をつくるとの視点に立って施策を打ち出すことが必要である。  次に、各論、個別施策に関して申し上げますと、まず、国民運動に関しましては、温暖化防止に関する国民運動は重要だが、エネルギー転換部門の低炭素化、再生可能エネルギーの促進、石炭の抑制など、より本質的な政策があって初めて成立する。本来の国民運動は、自然に国民が選択すれば低炭素社会になるような制度の導入が前提であり、その導入に伴う国民の痛みについて合意形成を実現する努力が必要である。国民の行動をCO2削減に結び付けるには、CO2の排出についての科学的知見の周知や見える化を進めるとともに、目指すべき低炭素社会の姿やそれへの道筋を実感できるようにする必要がある。地球温暖化について、気候面における不確実性のリスクの増加、感染症の発生地域の拡大など、問題点を国民にきちんと認識してもらうことが必要である。  次に、地域における取組に関しましては、コンパクトシティーづくりについては、時間が掛かる上、規制緩和、権限移譲、財源不足など様々な課題があり、また、地方自治体が疲弊している中でこれを進めるには、自治体の努力とともに中央政府の支援が必要である。  排出権取引に関しましては、企業が不安を持たないよう整合性の取れた分かりやすい制度にする必要があり、きちんとデザインし直す必要がある。排出権取引は投機の対象となるおそれもあり、これに頼るのではなく、本質的なCO2削減対策を進める必要がある。  再生可能エネルギーに関しては、固定価格買取り制度導入には法整備が必要である。その際、温暖化防止戦略と統合した再生可能エネルギー政策を進めるとともに、野心的な導入目標を掲げ、再生可能エネルギーを政府が積極的に支援するという意思を明確にする必要がある。また、国民に対し、負担と便益を明示することも必要である。  森林吸収源対策に関しては、CO2の排出削減にとって重要な施策であり、森林の保全や農地が対象となる可能性もあることから、炭素固定が大きい有機農法の促進なども必要である。森林吸収源対策は、対処療法的でなく、根本的な林業振興につなげるとの視点で取り組むことが重要である。  そして、大きなくくりの二つ目である中期目標に関してですが、これについては具体的な数字も挙がっておりましたけれども、結局のところ、以下の二つに集約できるように思います。  一つは、残された時間が少ない中では高い数字を示しても実現性に乏しく、困難な目標を国民に強いることになる。自らの軸足がどこにあるかを見極めて議論すべきである。いま一つは、エネルギーと経済の在り方は政策によって変えていくべきで、極めて高い目標を示す必要がある。速やかに実効的な施策を示し、これに裏付けられた高い目標を示すべきである。  以上でございます。
  39. 石井一

    会長石井一君) これで調査室長の報告は終わりました。  どれを取っても問題山積であるんですが、少しでもここで合意を得るために、どうかひとつ自由に御発言をいただきたいと思います。  調査室の方は意見を聴取しておりますので、次回にこの温暖化の問題に関しましては調査会の報告としてのドラフトを提示しますので、どうかよろしくお願い申し上げます。  どなたかいかがでしょうか。
  40. 主濱了

    ○主濱了君 私の方からは、中期目標について、追加といいますか、この中に付け加えていただきたいと、こういうことは提案したいと思います。  中期目標の第一番、自らの軸足がどこにあるか見極めて議論するべきであると。消極的な意見だと私は思いますが、このちょうど逆の意見をお話を申し上げたいと思います。  今の京都議定書に基づく六%減、この六%減は、実は中身をよく考えますと、森林吸収源が三・八%です。そして、京都メカニズムという、お金を出して、外国のCO2を削減する、それを日本CO2削減にカウントをするというのが一・六%、これを合わせますと五・四%の削減になります。そうすると、産業界とかそれから私ども一般国民が汗をかく分は〇・六%しかないと、こういうことになります。この〇・六%すら今の日本では守られていない、削減できていないと、こういう状況だというふうに思っております。  ですから、この六%をまずベースにして物を考えたとしても中身はひどいと。そして、中期目標は実質八%です。同じ六%基準で見ますと、八%減でしかならないと、こういう状況であるというふうに思います。六%、少ないなというふうに思ったんですが、今回の中期目標も八%ということになります。  それで、今日、小宮山参考人それから枝廣参考人のお話を聞いたわけですが、小宮山参考人のこの中期目標に対する評価、ちょっと聞き損ねたわけですけれども、小宮山参考人は、実践として八〇%削減してきたと、こういう自負をしておりますので、やはり私は、評価とすればこの中期目標については非常に失望感を感じているというふうに思います。  それから、枝廣参考人につきましても、持続可能な社会とは、地球の限界、地球CO2を吸収できる限界、その地球の限界の範囲内で本当の幸せをつくり出す社会であると、こういうふうに言っております。日本世界リーダーシップを取れるか、こういうところでやはり否定的にかなり失望した私は発言をしているというふうに感じました。  そこで、私はこの中期目標について、これは再考というのはなかなか難しいと思います、一回もう出してしまいましたので。この中期目標、マイナス八%と、こういうふうな目標を出されましたけれども、この目標を超えてどんどんどんどん、例えばIPCCの言う二五%、最低の二五%に近づけるようなことをすると、こういうことを私どもは提言するべきではないだろうか、このように考えておりまして、この点を付け加えていただければいいなというふうに思います。
  41. 川口順子

    ○川口順子君 ここに書いてあることの一つは、まとめ方といいますか、この紙の取扱いと非常に関係してくる話なんですけれども、いろいろな、私、一々メモを取っていないので、確かにここに書いてあるような御意見はあったのかもしれません。  ただ、全部がはだしで歩いているときに、これからこの人たちに靴を履かすことができると思うのか、はだしだから靴が売れないと思うのか、そういう見方が全然違ってあるわけで、そういう見方の違いというところも随分あると思いますし、ここで出た質問とか議論を中心に書くと、むしろ、これは非常にいいんじゃないの、よくやれているという意見はここに余り出てこなくて、これはどうなんですか、これはおかしいんじゃないですかというふうに議論の性格からいって出てくるということだと私は思いますので、これを例えば紙にして、この議論の結果であるということで出す紙であるとしたら、私は正直、全面的に書き直しが必要だというふうに思っています。要するに、バランスを取って、何ができていて何が問題かというふうに書くということでいえばですね。  ですから、そこの性格を、例えばこういう提言がありますとか、いい提言は今日もいただいたのありますし、例えばそういうことをここの場としてもエンドースをするということであれば、そういう書き方もあるし、やはり書く方の紙も、ある程度整合的に論理的にまとまって書かないと報告書にはならないので、こういう議論がありましたというよりは、むしろ、こういう質問がありましたということを参考までにというんでしたらこれでも結構ですけれども、そうでないんであれば、やっぱりちょっと初めから書き直すということが必要かと思います。  温暖化については、昨年の段階で、こういうことをやったらどうかと、そういう意味ではかなり整合的にまとめて論点を整理しているという紙がありますので、それを踏まえてやっぱり書くべきではないだろうかと。  個別、個別の問題点、私が何を問題だと感じているかということは時間がないので申しませんけれども、全体の印象はそういうことでございます。
  42. 西田昌司

    ○西田昌司君 私も今の川口先生の意見に賛成なんですけれども、取りまとめの方法として、取りあえず、温暖化というものは、まず非常にこの防止というのは道が長いですから、それぞれ指摘されていることはそれぞれ真実だろうと思うんです。しかし、もう片一方で全体のバランス考えましたときに、事実、日本環境、いろんな技術とか、そういうことも含めて最先進国であることも現実でありますし、そういうことも踏まえたバランスの取れた表現の仕方に是非していただきたいなと。  その上で、今日、二人の参考人のお話を受けて非常に私も意を強くしたのは、小宮山参考人からのお話ですと、実際、自分で実践で八割軽減されたということもそうですし、要するに、今まで産業界の話が中心だったんですが、今日お話しになっていたのは家庭とかオフィスとか運輸とか、それも産業界といえばある種できますが、むしろかなり身近な部分のところの方が実はこれから削減する大きな幅があるところだと、産業界とか物づくりのところよりもそちらの方が大きいんだという指摘がありましたのでね。  そう考えますと、先ほどからありましたように、事実、日本としてはその分野ではかなりやってきておって、実は遅れているのは、我々の身近な生活に関するところをどうしていくかということだったろうと思うんですね、御指摘が。ですから、やっぱりそういうような書きぶりを、バランスの取れた形で提言というか、まとめていただく方が、より国民に分かるんじゃないかなと思います。  それから、もう片一方で、いわゆるこの環境先進国という形で北欧とかよく出されるんですよね。今日も枝廣参考人ですか、お話ありましたけれども、やっぱり思いますのは、日本の置かれている環境と全く違うんですよね、国土の大きさ、それから人口密度。それはもう全然取組が、元々のその大きさ、スケールメリットも含めて違うわけで、どうなんでしょうか、本当の意味日本のこの温暖化を抑制していくのは、それぞれのもちろん取組は否定するものじゃないんですけれども、数字に表れてくるのはほとんど多分出てこないだろうなと。むしろ、今日のお話にありましたように、産業界、かなりやってきている部分もある、それから技術的にはかなり革新的なものがあると。それを今度は身近な生活の中で我々がやっていく方が効果としてはかなり大きいんではないのかなという印象を受けましたので、そういうことも是非この中でまとめていただきたいなと思います。
  43. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 この紙のまとめ方については、私も川口先生に同意したいと思います。  ぱっと見て、これが本当に温暖化対策の現状であって、それがその方向性なのかなというと、ちょっと違うような気がします。であれば、温暖化対策の現状というものを言うんであれば、総論と個別に分けるときに、個別の切り口が、現状評価の切り口が、果たしてこの書いてある国民運動と地域における取組、排出権取引、再生可能エネルギー、森林吸収源対策というだけなのかなという疑問は当然多くの人が持つでしょうし、今までのこの調査会議論した切り口が本当にこの五つの切り口かなと、現状評価としてね。現状評価の切り口がこれなのかなと。それぞれの、じゃそれを、この五つが切り口とした場合、これからの方向性、在り方と書いていますけれども、方向性が本当にこれなのかなという面についてはかなり多くの議論が多分必要なのかなという感じがします。  表題が、温暖化対策の現状と在り方って非常に大きなまとめ方なので、そういうふうな切り口だとかなり違和感を持つ方が多いんじゃないかなという感じがします。そういう意味では、川口先生が言われたように、もう少し、質問の中身議論中身を書くだけではなく、提言された内容というのもありますから、そういうものを入れながらおまとめになった方がいいような感じがします。  以上です。
  44. 石井一

    会長石井一君) どうです。ほかにもどうぞ御意見がありましたら御自由に御発言ください。
  45. 加藤修一

    ○加藤修一君 「今期の調査会で示された主な論点」ということで、今委員からも話がありましたように、もう少し論議したかどうかということが本当は書かれるべきだと思いますけれども、一つは、やはり中期目標の関係ですよね。これ、発表されて以降、議論は余りしていないかもしれません。ただ、極めて重要な部分でありますので、こういった面についてどういうふうに記述するかということについては、あることが望ましいんではないかなと思います。  それから、今日、負担の問題が議論されましたけれども、負担については二種類、私はあると思っていまして、国民の皆さんが負担をどうするかという、そういった直接的な負担の観点と、もう一つは、地球温暖化が進むことによって被害が当然想定されるわけで、その被害によって負担を受けるということにも当然なるわけでありますので、そういう負担の観点についてしっかりと認識を深めるという点が私は大事じゃないかなと思います。  それから、今日、林業の関係が出てまいりましたけれども、まさにここの部分日本の生命線の一つだと私は考えておりますので、林業の問題、森林の問題、まさにグリーン・ニューディールの柱の一つとして考えていくべきじゃないかなと思います。  補助金等でどうするかという話は議論としてあるかもしれませんが、今日お話が参考人からありましたように、スウェーデンはグリーン税制、いわゆる環境税、そういった面で、従来の化石燃料とバイオマスの関係で、経営上といいますか、イコールフッティングになるように競争力が再生可能エネルギーの関係について出るように考えているということになるわけでありますので、やはりグリーン化をどういうふうにしていくかというのは非常にこれからの低炭素社会をつくっていく上では極めて重要でないかなと思います。  あと、排出量取引の点についても若干話が出てきたように思っておりますので、そういう点と国内クレジット制度、これは多様なクレジットが考えられますので、その点と排出量取引がどういう形でつながってくるかという点も含めて排出量取引制度については触れる必要があるんではないかなと、そんなように思いますので、よろしくお願いいたします。
  46. 広中和歌子

    広中和歌子君 特に悪いとは思わないんですけど、もうちょっと経済的手法ということを強調した方がいいんではないかと思います。そのための税制とか補助金とか、いわゆるもっと政策的なことでインセンティブを与えながら社会を変えていくということ。  今日のお話、非常に良かったと思うんですけれども、やはりある程度環境に関する知識のある方、そしてある程度の経済力のある方がああいうことをなされるわけですけれども、一般の人はそういう情報も少ないし、それからゆとりがないわけですから、そうした例えばエコ住宅などを造る場合には、その場合、補助金だけじゃなくて、ローンができるとか、そしてそのローンが適切な非常に低利なものであるとか、そういったやっぱり補助政策をつくらない限りなかなか進まないんではないかなと。そういうことで、経済的手法ということを是非この中に入れていただければと思います。
  47. 郡司彰

    ○郡司彰君 題名が「主な論点」ということで、整理をするということでもありませんし、調査会としての提言にまとめるという形でもないということでありますから非常に難しいのかもしれませんけれども、そもそも地球温暖化という名前を冠した調査会をつくった目的からすると、このままでよいのではないかとかということではないんだろうというふうに思うんですね。ですから、そこに向けてどれだけ建設的な意見が多々出され、どのような形でみんなの思いが幾らかでも一つになっていくかというような過程が調査会としては求められたはずでありますんで、そういうような形で整理をするということがやっぱり当たり前なのかなというちょっと感じがいたします。  それから、例えばほかの調査会、憲法調査会等のときには、同じ意見があったけれども、ここには例えば中期目標という既に出されたものに対しても出ておりますが、この意見があった、この意見があった、言わばよりプラスの問題と、より現実的な問題というものがあった場合に、じゃ、この委員の中のボリュームとしてはどうだったろうということになると、この書き方だと分からないということになるんですね。  例えば、調査会の場合には、同じような意見であっても、こういうものがこれだけ何人かから出された、何委員から出されたというような形でもって、結果としてボリュームが分かるような形も取ってきた。だから、こういうような主な論点ということであれば、同じような意見であってもボリュームが分かるような形にするということが若干入っていないと、参加をしていないでこの整理だけされたものを読むと、ちょっと戸惑う、まごつくというような読まれ方をしてしまうんではないかなと。それは、調査会をつくった本旨とはちょっと外れてしまうということにもしなるとすれば、若干その辺のところを加味をして、このところを少し書き直しをするなりした方がよろしいんではないかなというふうにちょっと思います。
  48. 山内徳信

    ○山内徳信君 あらかじめ会長にお伺いしたいんですが、この調査会の、今回は中間報告みたいになりますか、中間まとめ、そして最終的にはこの調査会のまとめは政府当局に提案していくということもありますか。
  49. 石井一

    会長石井一君) それは当然ですね。
  50. 山内徳信

    ○山内徳信君 分かりました。  そういうのを踏まえた上で、私の意見でございますが、やはり今日まで、もう何回も調査会の中で参考人の御意見もいっぱい聞きまして勉強になりました。あるいは、委員質疑を通しても勉強になりました。したがいまして、私としては、「今期の調査会で示された主な論点」と、こう書かれておりますこれを割とコンパクトにまとめるということはすごく難しいんじゃないかと思うんです。こういう意見もあった、こういう意見もあった、こういうこともありましたという形のまとめ方になっておるんだろうと私は考えておるんです。  そこで、最後に政府に対して、やはりこの地球温暖化問題に対する取組の基本的な姿勢とか、あるべき姿を参議院の調査会として提起をしていくということでなければ、こういうまとめたものがやはり資料としては残るわけです。  例えば、なぜ私がそういうことを申し上げるかといいますと、今日の参考人の説明あるいは資料を読んでみて、この問題に対する経産省と環境省の指針にも違いがあると、こういう指摘がありました。ところが、別の国は、ドイツ辺りは一本であると、政府の指針ですか、指標といいますか。したがいまして、国民としても、経済産業省のものを聞くとこういう違いがあると、環境省のものはまたこうなっておると、したがって、日本政府としてやはりこの問題を今後も引き続き重点課題として取り組んでいくに当たって参議院の調査会からはこういうことを提起をしていきたい、したがって政策の上で反映をしてほしいとか、こういうまとめ方をしていただくと。こういういろんな意見が今、網羅的にまとめられておるといえば、そういうまとめ方になっておるのかもしれません。  私たち調査会としても、こういう今期の主な論点等を踏まえて、やはり政府に対する提言を十項目ぐらいに絞って提起をしていくという手法を取られると参議院の調査会と行政府とが結び合っていくじゃないですか。そういうことが大事じゃなかろうかというふうにこれを読んで感じました。  以上です。
  51. 小池正勝

    ○小池正勝君 今日のこの「主な論点」というのは、まさに総括という趣旨だから総花的に書いた方がいいんだということなのか、より焦点を絞って具体的にこれをこうすべきだという論点を絞った方がいいのか。  私は、むしろ、せっかくこれだけの議論をしてきたんだから、総花的なことはだれも異論が恐らくないんだろうと思うんですよね。ですから、網羅的、総花的な書き方というのは具合が悪いんではないだろうか。先ほども小宮山先生が自立国債のお話をされましたが、ああいう具体的なものを、一つでも二つでも三つでもいいんですが、絞って報告するということの方が、今まで大体これまでの報告書というのは総花的になっているのは事実ですけれども、そうすると結局はただ報告したというだけで終わってしまうんであって、具体的なものを提言すべきだ。  例えば、コンパクトシティーがいいというんなら、コンパクトシティーがなぜ進まないんだ、都市計画法のここに問題があるから進まないんだという具体的なことを言っていくべきではないかと思うんですね。余りにも総花的に、コンパクトシティーもあれば排出権取引もあれば吸収源対策もあればという総花的な書き方というのはいかがなものなんだろうか。むしろ僕は、皆さんが合意できる範囲で絞って書く方がいいんではないか、そう思っております。  以上です。
  52. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 このまとめ方については、皆さんもうほとんどそういう形で、議論したものがこれを見ただけじゃよく分からないというのが、私も同じ感想を持っております。  この書き方については、もっと具体的にという話で、もうそのとおりだと思っているんですけれども、あと、その具体的な中身についての意見として一つ言わせていただきたいと思うんですが、例えば、この中に書いてあるんですけれども、読めばそういうことを言っているのかなというような中身もあるんですけれども、省庁の縦割りの問題とか、そういう問題とか、あと産業界、経産省と環境省のお互い違う立場で言っているところを調整しなくちゃいけないという問題があるわけですけれども、そういう具体的な中身一つとして、例えば固定価格買取り制度を、各国みんなそれで成功してきたという意見が、我々も何回も説明を受けているわけですけれども、それを導入するときに何が具体的に阻害要因になっているのかといったところをもう明確に分かりやすく議論してきたつもりで、ある程度我々は理解を共有しているんだと思うんですけれども、そういうところを書く必要があるのかなというふうに思っております。  例えば、固定価格買取り制度でやると、結局は太陽光パネルの場合は設置できない人に負担が行っちゃいますよとか、あと電力会社が、各自が自分たちで自家発電しちゃえば電力会社の仕事が減ってきちゃって、将来的にはそういう心配があるから余り積極的にはなれないんだよとか、そういう問題をやっぱり個別具体的に中身議論してきたつもりなんで、そういったところをやっぱり明示しておかないと、せっかくやった調査会のあれがもったいないなという感じがしております。  要するに、具体的な、これには効果がある、そういういっぱい提言をいただきました。やっぱり最終的には得か損かでみんな国民は判断するんだから、そこが一番の誘因となって温暖化には一番効果的だよとか、非常に単純明快なお話もいただいたりしていますので、そういったものがこれだけだと読み取ることはできないのでもったいないなという感じがしております。  是非、そういったところが、具体的にこういう突っ込んだ議論をして、ある程度そういう提言が、意見がみんなから出ましたよといったところが分かるような内容にしていただきたいなというのが私の要望であり、意見であります。
  53. 広中和歌子

    広中和歌子君 もう一度いいですか。  まず第一に、私はこの調査会で、未来の地球に対して、そして私たちの子供や孫の時代にこのままでは大変なことになるという危機感を共有するということ、もうそれはうそでも何でもいいですから、がんと打ち出して、それをまず言うことが必要だと思います。  それから、何をするべきかと。いろいろな手法が出てきまして、それは、ああだこうだという視点もあるけれども、危機をまず強調した後で、しなくちゃならないというふうな、そういうマインドセットにして、しかしながら、そうした犠牲を払ってでもちゃんとすれば環境面で我が国はリーダーとなれる誇るべき国になるんだと、そういうところで結論付けていただければ有り難いと思います。
  54. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 私は、本職は今、政治家なんですけれども、天職としては音楽家なんですね。ですから、本職は辞める時期が来るんですけれども、天職を辞めることはできないですね。  この前、今年の、代々木で若い連中が、特に前衛と言われる若い人たちが二十万人集まったアースデイをやったんですね。そこで僕はトリでコンサートをしたんですけれども、しっかり若い人たちというのはもう目覚めているんでね。  僕はずっと世界中、旅をしてきて、音楽をしてきて、たまたまどういうきっかけで政治家になったかは知らないんですけれどもね。ただ一つ、一番この地球を破壊しているのは戦争だと。だから、戦争というものを止めるためには、この日本役割が大きいと思っているんですけれどもね。  その意味では、非常に日本というのは勤勉な民族であるし、優秀な技術を持つ民族でもあるんですね。だから、日本の方がイニシアチブを取って、私は中国やアメリカやEU、あらゆるグローバルな動きに対して先頭に立つべきだと思っているんです、日本こそが。日本が本当に先頭に立つためには、全く資本主義でもなく共産主義でもないという、資本主義と共産主義に共通している点を、軍産複合体によって成り立っているんですね、これは。アメリカも戦争しないともたない国になっているんですね、これは。近い将来、中国もロシアもみんな同じことになる。だから、日本から、まさに地球主義というんですかね、地球と循環していくような流れをつくっていく、新しいルネサンスというんですかね、そういう流れを打ち出すような僕は非常に位置にあると見ているんですね、日本がね。  だから、言い方は変ですが、日本民族というのは、ある意味では世界をリードできる民族だと思っているんですね。今日のお二人の参考人意見を聞いてもそう思いますし、私はね。今日のお二人の参考人意見も聞いて、ああ、なるほど、もうそこまで来たんだなという感じがするんですね。  その意味でも、なぜそうとくとくとそういうことを私、しゃべるかといいますと、僕は本来の仕事はミュージシャンなんですね。だから、もうちょっと日本のこの精神力、文化力を表に出すような文化運動、訳の分からない省を割るような運動ではなくして、もっともっと若い人たちに解放を与えていくような文化運動の方向にもっと資金を調達していく必要もあるんではないかと。  だから、ひとつやっぱり、言い方は変ですけれども、非常に日本の伝統文化というのは東洋と西洋を結び付ける可能性を持っていると。だから、政権を取ったときには、芸能省でも、芸術省でも、文化省でもつくるべきではないかと。もっともっと、そういう繁栄させるというんですかね、利権とは結び付けないというのかね、もう一度地球に還元していくような文化運動もあっていいんではないかと思っているんですね。そう思っております。だから、国防費を削減して、しっかりその辺に向けるような流れをつくれば、すてきな日本の盟主としての役割が出てくるのではないかと思っています。  よろしくお願いします。
  55. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 るる先生方からいろいろな御意見があって、私ももっと具体的な問題点というのを出した方がより調査会らしくていいんじゃないかというふうに思っています。その中で、特に中期目標については、実際に総理が提示なさったものがあって、その後にその議論がされていないんじゃないかなというふうなことが一つあるんですけれども。  それから、多分、地球温暖化問題というテーマだったかと思うんですけれども、この問題、とっても進化して、すごく日々動いていくような問題だというふうなちょっと印象を受けていまして、その中でこの地球温暖化問題というのと、低炭素社会づくりというもう一つの大きなテーマが何となく波として出てきたのかなというふうに思っています。  それで、低炭素社会の社会というそのワードが入ってきているので、最近特に、じゃ、この社会づくりのために何をしたらいいのかという、いろんなあちこちからそういった意見が出されているかなというふうに思いますので、この低炭素社会というワードと社会づくり、その社会に向かって我々が何をすべきかということについても是非ちょっと今後の国民運動等の切り口の一つとして取り上げていただければというふうに思いますので、よろしくお願いします。
  56. 郡司彰

    ○郡司彰君 ちょっと水を差すような話になって恐縮なんでありますけれども、ここに参加をしようとする人は、おおむね温暖化や低炭素社会ということに対しては理解がある人が多いんだろうというふうに思うんですね。しかし、参考人として来た方の中にはいろんな意見の方もいらっしゃるし、国として決めた目標がどうだったかという評価もそれぞれ違うんだろうと思うんです。  問題は、今日お見えになった参考人の方でも、聞いていて、なるほどなというようなことがたくさんあったにしても、それが社会全体の意思になっていないからこういう調査会が国会の中でまだ必要だというような現実があるわけで、ここで調査会が、そういうような形の中で、いろんな意見があって、しかしながら、そうしなければいけないというところで、しかし踏み出せないというようなこの現実をどうするかということをやっぱり調査をしているんだろうというふうに思うんですね。  ですから、ここの中で具体的なものを、これをやるべきだというような形や、議論を少し飛び越えても目標のようなものを鋭く高く出すんだというようなことが本当に調査会そのものの目的や何かになってしまうのかということは、私はちょっと疑問を感じておりまして、なぜこの調査会がつくられて、国全体がそのような形に動き出さない中でこの調査会がやらざるを得ないのかというところがやはり軸足だとすると、余り全体でこのような、具体的にこういうことを進むべきだというようなところまではいかないというところが一番悩ましい問題であるのかなというふうにちょっと思ってしまいます。
  57. 広中和歌子

    広中和歌子君 ちょっと仲間うちであれみたいですけれども、だからこそ我々としては理想を掲げてこういう方向でいくんだというふうに、むしろ国会をリードするというんでしょうか、そういうことをしなければ調査会意味がないんじゃないかと私は思います。
  58. 山内徳信

    ○山内徳信君 最終的なまとめについては、先生からありましたね。やはり環境についての、あるいは二十一世紀環境世紀だと、こういうふうに打ち出していった方がいいとおっしゃっておられたんです。  それで、私は沖縄出身なんです。ですから、海を埋めて基地を造るということに私はずっと反対の意思表示をしておるんです。それは、単なる狭い次元での反対をやっておるんじゃないんです。二十一世紀環境世紀ですと。そして、これはブッシュにも長い手紙を書いて送ってあります。オバマ大統領についても既に手紙を書いて出してあります。返事、間もなく来るかもしれませんが。  私たちは、今日の参考人のお話を聞いていても、日本人は内向きだと、こういうふうな指摘がありました。日本は、この環境問題でも外国に追い越されて、今、六位ぐらいにおるというふうにおっしゃっていましたね。  そして、少し、オバマ大統領の、選挙のときから、一月二十日の当選のあの演説もずっと私は関心があって、夜を徹して聞いていたんです。彼らにはやはり一つの理念があって、やはりアメリカとしては生命と自由と幸福追求を大事にしていきたいと。そして、一七七六年の七月の四日に発表した独立宣言のその宣言の精神を、ずっと十八世紀のあの宣言が今も理念として、精神として生きておるんです。だから、聞いておる人々も、あるいはアメリカも、黒人差別という、そういう人権の壁を乗り越えてオバマがついに大統領に当選をしていった。  それに比べて、この日本にもあれだけの演説をできる宰相はいないのかと。これ、ずっと願っていましたが、まだ出てきません。少なくとも国民が聞いたときに、環境の問題についても、広島、長崎という体験をしてきたこの日本の宰相の中には、やはり世界に向かって発信をしていく責任と義務があるのに、そういう理念がやはり十分できていないから内向きの討論に終わってしまうんですね。国会に集っておる私たちにも、国民にも、身震いするぐらいの理念を訴えて、こういう国をつくろうじゃないかと、こういうやはり政治家がいていいんじゃないかと私は思っておるんです。  そういう意味で、この調査会役割は非常に大きい役割がありますから、後世の批判にも耐えるような、そういう前書きを、前文を書いて、そして調査会の事務局の書いたのもまた入れて、そして私たち委員としてやはり何本かにまとめて、政府はこういうことを具体的に政策化していくことによって地球温暖化の問題、低炭素の問題等々に耐えていくと。やはり、政府間でばらばらの政策づくりがあったら、省庁によってばらばらではいかぬと思います、少なくともこの問題は。これは人類地球上のみんなに共通しておる環境問題ですからね。  そういうことを申し上げて、長くなりまして、会長、済みません。
  59. 郡司彰

    ○郡司彰君 済みません、反論をするつもりではないんですが。  私、冒頭言いましたように、「主な論点」というこの文書をどうするかということで先ほどから意見を申し上げているんで、だから、調査会として、先ほど言いましたように、提言を出すんだとかということならば、今のようなお話でそれとしての議論が成り立つと思うんですが、この出された文書がこの調査会で出されたものを体現しているのかどうかということになると、先ほど言ったように、ボリュームやその他のものでちょっと誤解を招くかもしれないし、それから、調査会として議論をした中身を表すとするとどうなんだということの議論をしていたつもりでございますので、例えば今、山内さんおっしゃったように、そういうものを踏まえて調査会として一つの提言をしたらどうだというようなことであれば、それはそれでまたちょっと私としても違う議論としてしたいと思いますけれども、この紙をどうするんだということで先ほどからちょっと議論をさせていただいております。
  60. 石井一

    会長石井一君) だから、今日は格調高い議論も出ましたし、この程度で全体会議を終えたいと思うんですが、来年、三年目があるんですよね。  それで、二年目の三分の二の終わったところで余り格調の高いことというよりも、やはり全体の締めくくりで、この国を世界の冠たる環境立国にするために、アクションプログラム、国民の意識革命、そしてステップ・バイ・ステップのアクション、現時点においてどことどことどことに欠陥があり、例えば省庁の縦割りであれば、もうその二つの省はやめなさいと、環境、生活は一つにしなさいとか、例えばの話ですよ、税制はこういうふうに導入せよとか。結局は、主婦を中心にした日常生活の意識革命というものに対してのやはり具体的な提言というふうなものをやるべきじゃないかと。それは、役所はそれぞれの縄張りで言わないし、国際会議へ行っても別々のことを言っているというような指摘もありましたから、そこは立法府において超党派でそういうものをまとめたい。  しかし、そのためには、まだここでそこまで大上段に振りかぶるのはちょっと早いんじゃないか。これで終わりならそれ、やりますけれども、来年一年、たまたま任期が三年であるという場合には、来年のことについては十分協議をしなきゃいかぬと思いますが、だとすると、何か後ろ向きなことを言うようで恐縮ですけれども、本年一年、学んで議論してやったことについての総括的なまとめと、やっぱりそれに対する具体的な提言、その提言が第三の最後のリポートに残るようなものを残しつつ、一応、第二リポートというのはまとめざるを得ないんじゃないかなというふうに思うんですが。  今日、皆さんのそれぞれのバラエティーに富んだ意見調査室も皆、拝受しましたので、もう一度これを書き直させてみて、それで、まず理事間で十分検討いただいた後に皆さんのところへ二年目のリポートを提示しますと、そういうことにします。  喜納さんの言われたような全地球的な高邁な芸術論とか、それから山内先生の言われた平和論というのは、それは重要ですが、それは三年目の締めくくりにひとつしていただいて、しかし、そのときには、そういう高く理想を掲げるが、現実的なアクションというものをやっぱり立法府として国民に呼びかけると。これをやらなきゃ将来駄目になりますよと、しかし、我が国が世界の冠たる環境立国になるのにはこうするべきなんですよというものに絞っていきたいなというふうに漠然と思っておるんですが、なかなかそうはいかぬでしょうか。
  61. 川口順子

    ○川口順子君 三年目の議論として、ここに出ているような話で幾つか大きなテーマが隠れていると思うんですが、例えば温暖化問題に対応するための政府の組織の在り方とか、あるいはその財源をどこに求めるかとか、今日の小宮山先生の御提案も含めですね、あるいは国民の行動をどういう仕組みで変えていくのかとか、そういう大きな切り口でとことん議論をするというのは三年目の課題としては私はあるんだろうと思います。  それで、ただ、二年目の紙をどうまとめるかということとの関係で、お書き直しいただけるということなので拝見させていただきたいと思いますが、この紙をこういう感じで書くということでしたら、私は、今期の調査会で示された主な論点を落として、今期の調査会で示された意見の例としていただきたいと思うんですね。それで、一の温暖化対策の現状及びその在り方に関することということで、あくまで出た意見として書く。  例えば、幾つか例を挙げますと、国際的に共有された認識の下で進んでいない、国際的に共有された認識というのは何なのか全然よく分からないですね。それから、縦割り行政でエネルギー政策と温暖化政策の整合性が取れていない、これは、温暖化政策の大きな柱がエネルギー政策ですから、むしろ見る人が見ればかなり整合性が取れてやられているじゃないかということですね。それから、政策が補助金依存である、本当にそうかどうか。規制もたくさんやっているわけですね。それから、技術開発もたくさんやっている。補助金依存であるということではないと思います。というようなことで、例を挙げていきますとね。  ですから、これを幾つかの意見という形の例示ということで出さないと、国の最高立法府が議論をして、こんなことしか議論、ちょっと言葉が悪いんですが、見る人が見れば、このレベル、一体何だと実は逆に思われてしまうというおそれが私はあるということを危惧して先ほど全面的に書き直すと言ったんですが。  書く意見を、これ、いいじゃないかという意見もあるわけで、ですから、幾つかの意見を拾い上げて書くということであれば、あくまで、議論された主な論点でも何でもなくて、出された幾つかの意見の例ということでまとめるということではないかと私は思います。
  62. 石井一

    会長石井一君) それじゃ、取りあえず意見を十分拝聴しましたので、今後の進め方については、特に両理事の調整をしてやってください。  それじゃ、どうもありがとうございました。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十九分散会