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2009-06-30 第171回国会 参議院 経済産業委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十一年六月三十日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  六月二十九日     辞任         補欠選任      直嶋 正行君     藤谷 光信君      松 あきら君     加藤 修一君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         櫻井  充君     理 事                 藤原 正司君                 増子 輝彦君                 山根 隆治君                 荻原 健司君                北川イッセイ君     委 員                 木俣 佳丈君                 鈴木 陽悦君                 津田弥太郎君                 中谷 智司君                 藤谷 光信君                 前田 武志君                 塚田 一郎君                 松村 祥史君                 加藤 修一君                 谷合 正明君                 松下 新平君                 渡辺 秀央君                 田中 直紀君    国務大臣        経済産業大臣   二階 俊博君    副大臣        経済産業大臣  吉川 貴盛君    大臣政務官        経済産業大臣政        務官       谷合 正明君        経済産業大臣政        務官       松村 祥史君    事務局側        常任委員会専門        員        山田  宏君    政府参考人        文部科学大臣官        房文教施設企画        部技術参事官   岡  誠一君        林野庁林政部長  小山 信温君        林野庁森林整備        部長       沼田 正俊君        経済産業大臣官        房審議官     有馬  純君        経済産業大臣官        房審議官     上田 隆之君        経済産業省製造        産業局長     細野 哲弘君        資源エネルギー        庁長官      石田  徹君        資源エネルギー        庁省エネルギー        ・新エネルギー        部長       羽藤 秀雄君        資源エネルギー        庁資源燃料部        長        北川 慎介君        資源エネルギー        庁電力ガス事        業部長      西山 英彦君        資源エネルギー        庁原子力安全・        保安院長     薦田 康久君        国土交通大臣官        房審議官     小川 富由君    参考人        財団法人地球環        境産業技術研究        機構理事長・        研究所長     茅  陽一君        電気事業連合会        会長       森  詳介君        東京大学大学院        工学系研究科教        授        山地 憲治君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○エネルギー供給事業者による非化石エネルギー  源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用  の促進に関する法律案内閣提出衆議院送付  ) ○石油代替エネルギー開発及び導入促進に関  する法律等の一部を改正する法律案内閣提出  、衆議院送付) ○政府参考人出席要求に関する件 ○商品取引所法及び商品投資に係る事業規制に  関する法律の一部を改正する法律案内閣提出  、衆議院送付)     ─────────────
  2. 櫻井充

    委員長櫻井充君) ただいまから経済産業委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、直嶋正行君及び松あきら君が委員を辞任され、その補欠として藤谷光信君及び加藤修一君が選任されました。     ─────────────
  3. 櫻井充

    委員長櫻井充君) エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源利用及び化石エネルギー原料の有効な利用促進に関する法律案及び石油代替エネルギー開発及び導入促進に関する法律等の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。  本日は、両案の審査のため、三名の参考人から御意見を伺います。  本日御出席いただいております参考人方々を御紹介申し上げます。  まず、財団法人地球環境産業技術研究機構理事長研究所長茅陽一参考人でございます。  次に、電気事業連合会会長森詳介参考人でございます。  次に、東京大学大学院工学系研究科教授山地憲治参考人でございます。  この際、参考人方々委員会を代表して一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、御多忙のところ本委員会に御出席をいただき、誠にありがとうございます。  参考人皆様からの忌憚のない御意見を拝聴し、今後の審査参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。  次に、議事の進め方について申し上げます。  まず、お一人十五分程度茅参考人森参考人山地参考人の順に御意見を述べていただき、その後、委員からの質疑にお答えをいただきたいと存じます。また、御発言の際は、その都度委員長の許可を得ることになっておりますので、御承知おきください。  なお、参考人質疑者とも御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、まず茅参考人にお願いいたします。茅参考人、よろしくお願いします。
  4. 茅陽一

    参考人茅陽一君) 座ったままで失礼いたします。茅でございます。  お手元に私の名前のリーフレットがあろうかと思いますが、それを使って説明させていただきます。  今回審議されている法案エネルギーの今後に関するものでございますが、それに非常に大きな影響を持つ温暖化中期目標と、それに対応するエネルギー政策という面について、私の方から意見を申し上げたいと思います。  開いていただきまして、中期目標は、皆様承知のとおり、二〇〇五年比で温室効果ガスを二〇二〇年までに一五%減ということになっております。これについてまずどう考えるかということでございますが、これを考える場合には、私は、そこにございますような四つの必要条件を満たす必要があろうかと考えております。  一番は、二〇一〇年前後の京都議定書目標、一九九〇年比六%温室効果ガスを減らすというものでございますが、これと整合すること。それから、長期目標、これは福田ビジョンの二〇五〇年、六〇%から八〇%減でございますが、これと整合すること。それから三番目に、他の先進国と比べた場合に過剰な負担にならないという、衡平性を保つことというのが三番目で、四番目が何よりも大事なことですが、実際に達成可能なことということかと思います。この後で申し上げるのは、それぞれについての簡単な吟味がまず出てまいります。  次のページをお開きいただきまして、五と書いた図でございますが、これは一九九〇年比で関連する目標を並べたものでございます。縦軸温室効果ガス削減率でございます。  御承知のように、京都は六%減でございますが、政府京都議定書目標達成計画によりますと、温室効果ガスそのもの削減はマイナス〇・六%でございまして、五・四%は森林吸収京都メカニズムで埋めるということになっております。したがいまして、そこにあるように、色がちょっと違えて書いてございます。今回の中期目標は、そこにございますように、一九九〇年比でいいますと八%減ということでございまして、それからEUが提案しているもの、さらにはCOPで提案されているものが並べてございます。  これを御覧いただきましても、京都議定書目標に比べてかなり厳しい目標になっていて、整合性という点では問題がなかろうというふうに考えられます。  次の六ページにあるのは、二〇五〇年までのそれぞれの目標達成しようとしたときの、ここではGDP当たりコストを書いてございます。これ、私ども研究所のモデルで計算した結果でございますが、そこにございますように三つのケースが書いてございまして、今回の中期目標を二〇五〇年の福田ビジョンの対応する七〇%減に持っていった場合のコスト、それから比較的緩やかな目標の二〇二〇年、九〇年比四%増という場合、それからその逆に非常に厳しい一九九〇年比二五%減という場合、これを上下に並べて書いてございます。  御覧いただくと分かるように、中期目標と言われるものが比較的各年次でのコストが等しくて、これが様々な選択肢から見れば比較的バランスの取れた目標であるということがお分かりかと思います。これが長期との整合性でございます。  次をお開きいただきまして、七ページに書いてございますのは、これは各国目標達成するという場合の費用衡平性を眺めたものでございます。ここでは、一応前提条件といたしまして、GDP当たりコスト各国みんな同じにするという条件の下で、先進国全体で仮に一九九〇年に比べて二五%温室効果ガスを減らすとしたら、一体各国はどの程度減らさなければいけないかという数字が書いてございます。  そうしますと、日本は一三%に対して、EUは二五%でちょうど全体の平均、アメリカはやや少なくて一九%、逆にロシアは二五%以上という結果が出ております。つまり、我が国の場合は同じコストという前提条件で考えれば、他国に比べればコストが高いため比較的削減すべき量は少なくて済むということがここに表れております。その意味で、今回の中期目標は、EU目標などに比べると一見数字が小さく見えておりますが、衡平性という立場から見ればバランスの取れたものであると考えております。  さて、問題は実行可能性ということでございますが、これを考える場合には、その下の八ページをまず御覧いただければと思います。そこに書いてございます、左側は具体的な対応策右側経済的なインパクトでございます。左側を見ていただきますと、太陽光発電を現在より大きく広げるということがまず考えてございます。  次に車でございますが、ハイブリッドあるいはこれから出てまいりますプラグインハイブリッド、さらには電気自動車といったものを次世代自動車という名前で呼んでおりますが、これが例えば新車の五〇%を占めるという状況を想定しております。今年の五月の新車の一二%がハイブリッドカーということが出ておりますので、そういった意味では、この目標は大変ではあるけれども、最近の情勢から見ると必ずしも不可能ではないという気がいたします。  次は、住宅の断熱でございまして、これには一番新しい基準平成十一年の基準でございます。これはあくまで基準ですので守らなければならないということはないわけで、最近までの数字ですと、新築家屋の三割程度がこれを守っているということでございますが、これを八〇%まで引き上げようというのがここでのシナリオでございます。  さらに、高効率給湯器。これは数年前よりも最近に寄った方の新しい給湯器はともかく、古い給湯器はほとんど効率の低い給湯器でございまして、高効率給湯器というのはいろいろございますが、数年前よりも新しいものとお考えいただければ分かりやすいかと思います。それが二千八百万台導入する、つまり三分の一以上は取り替えるということを想定しております。  この結果として、エネルギー需要が五%程度減るということが想定されております。  ちょっと次の紙をおめくりいただきたいんですが、下の十と書いた図がございまして、ここに出ておりますのは、一次エネルギー需要世界の傾向が出ております。ここに出ておりますのは、八〇年から九〇年まで、九〇年から九五年まで、九五年から二〇〇五年までという三つの期間に分けまして先進諸国数字を見せておりますが、これを御覧いただくと分かるように、ドイツを除いては日本を含めていずれも増えております。ドイツだけが一時期下がったわけですが、これは御承知の東ドイツの併合ということによって効率の低い石炭火力が大幅に使われなくなったということが原因と考えられます。その意味で、一次エネルギー需要を減らすということはこれまで世界にも例を見ないことでございまして、それだけでもかなり大変な努力を要するということがお分かりかと思います。  一方、八ページの、もう一度見ていただいて、右側のところは経済インパクトでございます。ここでは、具体的にこのシナリオを実現するためにはどの程度経済への影響があるかということが書いてございます。詳細は略させていただきますが、可処分所得が大体一世帯当たり年四万円ぐらい減ると。それから、やはり大きいのは光熱費でございます。これはエネルギーコストがどうしても上がるという形でないと答えが出ませんので、それを考慮に入れますと、世帯当たり年三万円、月二千五百円ということになります。一世帯当たり光熱費平均でいうと一万三、四千円ということを考えますと、かなり大きな負担と考えざるを得ないかと思います。  なお、一番下に書いてありますのは、トン当たりCO2限界費用でございまして、一万五千円となっておりますが、これはかなり高い値段でございます。現在、ヨーロッパでCO2が取引されておりますが、その値段平均トン当たり十ユーロ、約千三百円ということを考えますと、それより一けた上ということになります。  まとめて申しますと、今回の中期目標を実現しようとすると、エネルギー的には需要面で相当厳しい努力が必要だということがお分かりいただけるかと思います。  次の紙をめくっていただきまして、九と書いた表がございます。そこでは、今申し上げましたように、中期目標を実現するとすれば、一次エネルギーが五%減る、さらに電力需要が一〇%程度減るということが前提になっております。これは過去にほとんど例を見ないものでございまして、相当な努力が要るということになります。  じゃ、供給面はどうかというと、これは原子力発電所拡大ということが前提になっております。次のページを御覧いただきまして、十一と書いた図がございますが、そこで原子力への期待が書いてございますが、これは今のシナリオを実現する場合に原子力をこの程度考えるという意味でございまして、電力のシェアの四四%程度設備量にして六千百五十万キロワット、現在に比べて約千二百万キロワット新設をするという前提になっております。過去十年程度の間に五百万キロワット程度原子力発電所が新しく運開されましたが、それの倍以上ということになりますので、これも相当な目標かと思われます。  まとめて申し上げますと、中期目標実行可能性という点については、需要にしても、さらに供給面にしても相当な努力が必要であると、それなりの思い切ったエネルギー政策を打っていただく必要があるということを御理解いただきたいと思います。  最後に、十二ページと十三ページ、十四ページ三つ絵がございますが、そういった意味では、こういった努力とともに、海外においてのCO2削減努力日本も協力するということが非常に重要かと思います。  その一例だけを書いてございますが、それは何かと申しますと、中国インドにおける石炭火力でございます。  最後ページの十三という図を御覧いただきますと、そこではいろいろな石炭火力平均発電効率、これは発電端でございますが、が書いてございます。日本平均でいいますと大体四〇%の効率なんですけれども中国は三〇%、インドもほとんど同じ程度でございます。さらに、そこを御覧いただきますと、いろいろなタイプの石炭火力効率が書いてございますが、それを御覧いただくと分かるように、今後、技術開発によって相当効率が高くできるということがお分かりいただけるかと思います。  その中で現在実現しておりますのは磯子火力と書いたものでございまして、これがUSCと書いてございますが、超超臨界火力と呼んでおるものでございます。これは効率が四三%、現在運転しているわけでございまして、これをもし中国インドに持ってくるということになるとどのぐらいCO2が減るかというのが最後の十四ページに書いてございます。御覧いただくと分かるように、日本排出量の八五%分が減少できるわけです。その意味で、中国インド石炭火力効率改善日本が技術的、資金的に協力することがいかに高い効果を持つかお分かりいただけるかと思います。  その意味で、我が国の中の努力もさることながら、是非、途上国技術開発に力を入れていただきたいというのが私のお願いでございます。  以上でございます。
  5. 櫻井充

    委員長櫻井充君) ありがとうございました。  次に、森参考人にお願いいたします。森参考人
  6. 森詳介

    参考人森詳介君) 電気事業連合会の森でございます。  本日は貴重な機会を賜り、誠にありがとうございます。また、先生方におかれましては、平素、私ども電力会社事業運営に関しまして多大な御理解、御協力を賜っておりますことに、この場をお借りいたしまして厚く御礼を申し上げます。  本日は、今回の法案につきまして、一般電気事業者を代表して発言させていただきたいと存じます。  今回の改正法並びに新法は、昨今のエネルギー情勢の変化や地球環境問題に対する議論の高まりを踏まえて、非化石エネルギー源利用促進化石エネルギー原料有効利用促進により、エネルギーを安定的かつ適切に供給することを目的とするものであり、その目的重要性と意義につきましては、私どもとしては異存ございません。  これまで、私ども電力会社は、安定供給確保環境の保全を両立するべく、世界最高水準火力発電効率達成を始め、化石エネルギー原料有効利用促進するとともに、原子力や水力、新エネルギーなど、非化石エネルギー導入に努めてまいりました。その結果、電気事業連合会十社全体が供給する電力量の非化石エネルギー比率は二〇〇七年度実績で三四%に達しており、電力量一キロワットアワー当たりCO2排出単位も二〇〇七年度実績で〇・四五キログラムと、世界的にも優れた水準を維持しております。さらに、二〇二〇年度に向けて非化石エネルギー比率五〇%、CO2排出単位〇・三三キログラムを目指して、原子力発電再生可能エネルギー利用拡大などに鋭意取り組んでおります。  今回の改正法並びに新法の下では、経済産業大臣が非化石エネルギー源利用等に係る基本方針を定め、エネルギー供給事業者に対して目標判断基準を設定し、事業者はそれに基づき非化石エネルギー源利用等に係る計画を提出することとされております。  私ども電力会社は、これまでも電気事業法に基づいて、毎年、十年後までの需要見通しと、非化石エネルギー源利用を含めた供給力確保方法等を明記した供給計画を策定し、国に届け出てまいりました。今回の法整備は、私どもがこれまで自主的に進めてきた取組を法的に裏打ちしていただくものであると考えております。  新法への基本的な見解は以上のとおりですが、新法を円滑に機能させるという観点から、以下、新たに導入される予定のエネルギー供給事業者に対する誘導的規制太陽光発電の新たな買取り制度について若干意見を申し上げたいと存じます。  まず、誘導的規制について三点申し上げます。  一点目は、基本方針事業者に指し示す目標判断基準の策定に当たっては、エネルギー政策基本法に基づき、環境適合のみならず、安定供給確保経済性との同時達成を重視していただきたいということでございます。例えば、日本エネルギーセキュリティーに欠かせない石炭火力につきましても、引き続きその重要性が位置付けられるようにお願いいたします。  二点目は、非化石エネルギー源導入等につきまして、私ども民間事業者の自主的な取組を最大限尊重していただきたいということでございます。  先ほど申し上げましたとおり、私ども電力会社は、国による環境整備や御支援も得ながら、安定供給の担い手としての使命感民間企業としての創意工夫により、立地用地問題を始め様々な困難を乗り越えながら非化石エネルギー源導入等に自主的に取り組み、成果を上げてまいりました。私どもは、供給計画に基づき、引き続き非化石エネルギー源導入等に積極的に取り組んでまいりますが、今回の誘導的規制の下、短期間で電源構成の更なる非化石化を求められましても、原子力を始め長期リードタイムを要する電源開発のスケジュールを変えることは現実的には極めて困難と言わざるを得ません。  新法による目標の設定や罰則等誘導的規制運用に当たりましては、こうした電源開発の実態、特に立地地域状況等を踏まえ、国により一層の御支援を賜りますとともに、事業者の自主的な取組を是非尊重していただきますようお願い申し上げます。特に、国による支援につきましては、先般、総合資源エネルギー調査会原子力部会が取りまとめた原子力発電推進強化策で、事業者努力とともに国が第一歩を踏み出す必要性が示されました。これにより、私ども取組をしっかりと下支えしていただけることを期待申し上げます。  三点目は、将来にわたる安定供給確保という私ども電力会社の最大の使命について、その達成に向けた努力を十分に支援していただきたいということでございます。長期間を要する電力設備の形成は、過去の経験や種々のリスクを織り込んだ現実的な需要見通しに基づいて進めていく必要があると考えております。  今月十日、麻生総理温暖化防止に向けた我が国中期目標について、二〇二〇年時点で二〇〇五年に比べて温室効果ガスを一五%削減すると決断されました。その実現のための取組の一つとして、今後十年余りでオイルショック当時を上回る三三%ものエネルギー効率改善が必要とされております。私どもエネルギー供給事業者の一員としてお客様とともにエネルギー電気の使い方をより高効率にするよう最大限努めてまいりますが、最終的な需要量はあくまでもお客様の御判断次第であり、私どもが一方的に需要を抑制できるものではございません。新法運用に当たりましても、こうした事情を十分織り込んでいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。  続きまして、太陽光発電の新たな買取り制度について申し上げたいと存じます。  私どもは、太陽光発電普及拡大に貢献するため、お客様太陽光で発電され、御自身でお使いにならなかった余剰電力について自主的に小売料金と同額で買い取る余剰電力購入メニュー平成四年に導入し、これまで十七年間にわたり実施してまいりました。言わば実質的な固定価格買取り制度とも言えるものでございます。加えて、太陽光を含む自然エネルギー発電設置者等助成金を出すグリーン電力基金電力会社自らによるメガソーラー発電所建設計画を進めるなど、普及拡大に最大限の努力を続けております。  今回、国の政策として、太陽光発電抜本的支援目的に、国が定める高額の価格での買取りを電力会社に義務付ける新たな制度導入されることとなりました。私どもといたしましては、制度の趣旨や費用負担必要性等を国から国民の皆様に丁寧に御説明していただくこと、またドイツの固定価格買取り制度で見られたような弊害、例えば発電した全量を高値で買い取るため一般お客様負担が著しく高まるといったようなことを避けること等を前提に、前向きに対応してまいりたいと考えております。  その上で、今後の具体的な制度設計制度の円滑な導入につきまして、以下の四点をお願いいたしたいと存じます。  一点目は、買取りの対象についてでございます。  今回の制度は、現時点では他の再生エネルギーに比べても割高であるが普及を促進することで量産効果によるコストダウンが期待できるという太陽光発電の将来性に基づくものであることから、買取りの対象は太陽光発電に限定すべきであると考えます。また、買取りコストをすべてのお客様に御負担いただくことを考慮しますと、事業用など収益目的のものは対象外とし、自家用目的導入した場合に発生する余剰電力に限定すべきであると考えております。余剰電力を適切に定義していただくことを含め、この点くれぐれもよろしくお願い申し上げる次第です。  二点目は、買取りコストの確実な回収についてでございます。  新たな制度は全員参加で太陽光の普及を促進する制度とされており、買取りに要する費用については電気料金に上乗せする形で確実に回収されることが前提です。こうした制度の趣旨について国から十分説明していただくとともに、家庭用から産業用まで、すべてのお客様が広く薄く御負担いただける方法としていただきますようお願いいたします。  三点目は、太陽光発電設備の価格低減努力についてでございます。  普及に従い価格が下がることを前提に国民全体の負担太陽光を抜本支援する以上、太陽光パネルのメーカーさんや販売、施工等の関係事業者さんがより一層価格低減の努力をしていただけるよう、買取り価格や期間の設定に当たり十分配慮いただくようお願いします。また、設置に際しての補助金を始め、他の政策手段を組み合わせるなど、産業政策としての適切な取組をお願いします。  四点目は、電化によるCO2排出削減効果を阻害しない仕組みについてでございます。  私どもは、地球温暖化防止対策を進めていくに当たっては、需給の両面から大幅な低炭素化が可能な電気利用拡大していくことがかぎとなると考えており、私どもの果たすべき役割も大きいと考えております。今回の制度では、太陽光の買取りに要するコストは専ら電気お客様が御負担されることになりますけれどもエネルギー間でお互いに競争しながら切磋琢磨している現状において価格面で電気が不利となれば、低炭素化のかぎである電化の推進をかえって阻害することにもなりかねないと危惧いたしております。  買取り対象を必要最小限とすることでお客様に転嫁される御負担ができる限り小さくなるようお願いいたしますとともに、新法の下ですべてのエネルギー事業者が公平に低炭素化のより一層の推進に取り組んでいける仕組みとなりますようお願い申し上げます。  以上、いろいろ申し上げましたが、新しい買取り制度導入に当たりましては、その意義と必要性について国民の皆様から十分御理解を賜り、お客様が混乱されないようにすることが重要であると考えております。この点、私ども努力してまいりますが、国が責任を持って広く国民の皆様に周知活動を行っていただくことが何よりも大事であると思っておりますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。  私ども電気事業連合会といたしましては、今後とも、エネルギー供給構造の高度化に事業者としてできる限り貢献してまいりますとともに、太陽光の新たな買取り制度につきましても、制度の詳細が決まり次第、円滑に実施できるよう準備を進めてまいりたいと存じます。  引き続き、御指導、御協力を賜りますようよろしくお願い申し上げまして、私の意見陳述とさせていただきます。  どうもありがとうございました。
  7. 櫻井充

    委員長櫻井充君) ありがとうございました。  次に、山地参考人にお願いいたします。山地参考人
  8. 山地憲治

    参考人山地憲治君) 東京大学の山地でございます。  私は、経済産業省の総合資源エネルギー調査会という審議会がありますが、そこで今回審議されているエネルギー関連法案に関する議論に参加させていただいております。  今回提案のエネルギー供給新法といわゆる代エネ法改正につきましては、非化石エネルギー利用促進ということとともに、化石エネルギーの徹底した有効利用を図るということで、非常に重要な意義を持つというふうに考えております。ただ、これらの法案、大変多くの内容を含んでおりまして、また、既に国会でも数多くの議論が積み重ねていると認識しておりますので、私からは太陽光発電の新たな買取り制度、これについて二つの点に焦点を絞って意見を述べさせていただきたいと思います。  まず、二つの点の第一点目は、今回の買取り制度導入することによって実現が期待されているのは太陽電池の大量導入でありますが、その太陽電池を大量導入した場合の電力系統のいわゆる系統安定化コストについてでありまして、第二点目は、この新たな買取り制度と、現在導入しておりますRPSと言われる制度がありますが、その制度との関係でございます。  まず、一点目の太陽電池大量導入に伴う系統安定化コストですが、これについては既に経済産業省から説明が行われていると理解しておりますけれども、この系統安定化のコストの検討は、実は私が座長を務めております低炭素電力供給システム研究会というものがございますが、そこで行ったものです。実はあした、恐らくこれが最後になると思うんですが、この研究会が予定されていまして、そこで報告書を取りまとめることになっております。  系統安定化コストというのは大きく分けて三つの対策から成ります。電圧の安定化、それから周波数の安定化、及び電力需給の安定化であります。太陽光発電導入規模が大きくなるにつれまして、電圧安定化、周波数安定化、需給バランス、この順番で対応が、大ざっぱに言ってでありますが、必要になってくると。そして、対策のコストもこの順番でだんだん大きくなっていくわけです。基本的なことは既に説明されていると思いますので、ここでは最も対策コストが大きくなる可能性のある需給安定化のコストについて説明をさせていただきます。  実は周波数の安定化という二番目の対策も、電力需給はもう時々刻々取らなきゃいけませんから、微少なアンバランスから発生するんですけれども、需給バランスの安定化という場合にはもう少しマクロな視点から、太陽光発電が特に数千万キロワットというような大規模に導入された場合の問題でありまして、そこで電力需要と供給が過剰になったり不足したりという問題であります。  電力は時々刻々需給バランスを取る必要があると申し上げましたけれども原子力とかあるいは自流式の水力発電とか、そういうものは出力変動を行うことが、技術的に不可能とは言えませんが、少なくとも急速に行うことはできない。また、火力発電所というものは、需要自体が変動しますので、その需要に合わせて運転するという意味で、ある一定程度の出力レベルで常に稼働させておく必要がある。つまり、電力の中で原子力と水力とそれから火力の一定部分というのは必ず運転しなきゃいけない。  こういう供給側のある意味制約がある中で、電力需要というのは土日は低下する、お正月とかゴールデンウイークというのは特に低下するわけですが、このような中で数千万キロワットというオーダーで太陽光発電導入されますと、お天気が良い昼間の発電量が過大になるという場合が出てくるわけです。特に週末などで需要が低いときには大規模に過剰電力が発生します。つまり、太陽光発電の大量導入に伴う電力需給のバランスというのは電力需要が小さい場合に発生するわけですけれども、このような需給バランスの対策としては、需給のアンバランスを解消する対策ですが、太陽光発電の出力を抑制するか、あるいは過剰に発生した電力をどこかに貯蔵するかしかありません。  太陽光発電の出力が増大することに合わせて電力需要を増大させるという対策も考えられるのではありますけれども、それを実現しようとすると、昨今話題になっていますスマートグリッドというような概念でもって、太陽電池であるとかあるいは家電製品とか、需要家側に設置されている機器、これらを情報通信で供給側といわゆる情報的につないで複雑な制御をしなきゃいけない。コンセプトとしてはなかなか面白いものでありますが、当面これに頼るということは現実的ではないわけです。  そこで、低炭素電力研究会では、ゴールデンウイークとか特に需要が小さい期間については、一部の太陽電池は出力抑制を行う。だけど、それ以外、例えば晴れた週末に過剰になる太陽電池の発電電力量が出れば、それは揚水発電とか蓄電池で貯蔵して平日にそれを使用すると。そういう状況を想定しまして、電力需給のシミュレーションを行いました。  このような電力需給制御というのがたくさん設置された太陽電池から情報を取ってできるかどうかということについては今後の研究が必要なんですけれども、シミュレーションを行ったわけですが、それによってどれぐらい蓄電池が新たに必要になるか、それを計算して蓄電池の設置コスト、それから、そういう電力需給マネジメントシステムの費用を見積もって対策コストを出したわけです。  結果は、既に多分説明されていると思うんですけれども、二〇三〇年に目標とされている太陽光発電規模というのは二〇〇五年の約四十倍と言われているんですが、五千三百万キロワットですが、この場合でシミュレーションで計算しますと、蓄電池等の需給バランス上の対策だけで約四兆円近いコストが掛かります。そのほか、一部の太陽電池の出力抑制をするとか、あるいはさっきの周波数安定、電圧安定ということを考えると、五兆円近い系統側の安定化対策コストが掛かるということになりました。これ、五兆円近いものは、実は太陽電池そのものの設置コストと比較しても相当大きな値になる金額です。  太陽電池のコスト、今キロワット七十万とか、実勢六十万ぐらいに下がっていると言われているんですけれども、例えば二〇三〇年ごろに目標としているのは恐らくキロワット十万円ぐらいのレベルですね、太陽電池としては。一キロワット十万円の太陽電池の設備というのを二〇三〇年に目標としている五千三百万キロワット建てようとすると、これは単純な計算ですけど五兆三千億円になるわけです。つまり、太陽電池の設置コストとほぼ、安くなったときの設置コストとほぼ匹敵するぐらい系統の安定コストが掛かると。これは理解していただきたいところです。  しかも、余り知られていないと思うんですけれども、低炭素電力研究会というのは昨年の秋から今年の一月にかけて行ったもので、つまり、新たな買取り制度は二月に提案されて、実は先ほど茅先生から説明のあった温暖化対策の中期目標は六月に出されたばかりですけれども、それの前でありました。  したがって、二〇二〇年の太陽電池の導入量というのは現在の二十倍ではなくて十倍というのが想定されていて、ですから、需給バランス対策のコスト評価というのを行った先ほどの四兆円とか五兆円という値も、将来の電力需要の想定としては、実は長期エネルギー需給見通しというものがあるんですが、その中の努力継続ケースというものの電力需要を使っているわけです。  ところが、実は、御存じと思いますけれども、先ほど茅先生が説明された温暖化対策の中期目標の中では、需要努力継続ケースでなくて最大導入ケースというケースの需要が想定されていると。最大導入というのは、しかし、何か大きくなるみたいですが、実は対策をたくさん取りますから、電力需要は今より大幅に下がるという想定をされているんですね。さっき申し上げたように、電力需要が小さいと、そこに大量の太陽電池が入ったときの系統側の対策コストは上がるわけです。  したがって、努力継続ケースで想定したこの研究会の想定というのは、今度の最大導入ケースの需要で想定すると実はもっと高くなります。研究会でも試算しているんですけれども、十兆円をかなり超えるというような値になっていると。もちろん、これシミュレーションでありまして、しかも蓄電池というかなり高い電力貯蔵装置を考えているわけですけれども、系統側コストが非常に電池の設置コストと匹敵あるいはそれを上回る規模で発生するんだということは是非念頭に置いていただきたい、これが一点目でございます。  二点目は、今回の新たな買取り制度とRPSという制度との関係です。  RPSはリニューアブル・ポートフォリオ・スタンダードというものの頭文字を取ったものですけれども、この制度は二〇〇二年ごろの審議会で提案したわけですけれども、私もメンバーとして加わっておりまして、その後設置されましたRPS法小委員会委員長を務めておりますが。  まず、RPSについて説明しますと、RPSでは新エネルギー全体の導入目標の総量を決めます。新エネルギー導入の総量目標を決めておいて、その内訳である太陽電池とか風力とかバイオマス等については地域の条件に応じて適切に組み合わせると。組み合わせるというところがポートフォリオなわけですけれども、この組合せをそれぞれの電力会社が決めるというものであります。  総量の義務付けと、それからあとRPS相当量の実は取引というものを考えて、それを通して、新エネルギーの種別であるとかあるいは生産場所を特定せずに日本全体として総量としての新エネルギー導入目標効率的に実現すると、こういう仕組みが実はRPSであります。  これに対して、買取り制度というのがあります。これは、一定の価格で新エネルギーからの発電電力を買うと。今回ですと太陽光発電余剰電力の買取りを義務付けるという制度なわけです。実は、RPS制度導入を検討した際にも、このような固定価格での買取り制度との比較を行いました。結果としてRPS制度を選んだのでありますけれども太陽光については当時から一定の価格での買取りというものが自主的には導入されておりました。先ほど森会長がおっしゃった、電力会社の自主的な取組として、家庭に設置された太陽電池からの余剰電力については家庭用の電気料金である電灯料金で買い取るというものでありました。  私は、太陽電池というものは、一般個人が自分の意思で新エネルギーの生産に直接参加できるという意味で他の新エネルギーには見られない良い点があるというふうに考えております。したがって、電力会社の自主的取組というのは非常に高く評価しておりました。むしろ、この電力会社の自主的取組を国の制度として安定的に運用してはどうかと考えてもいたわけです。  現実に、実はRPS制度は三年後見直しというのがあったり、あるいは四年ごとに次の八年の目標を決めるというのがあるんですけれども、現在は、二〇一一年からは太陽電池からの余剰購入電力量については二倍カウントして優遇するということを決定したところでありました。このような中で、太陽電池の余剰電力について、家庭用電気料金の約二倍に相当する高額で買い取るというのが今回の新しい制度として提起されてきたわけです。  ここで問題になりますのは、今回の太陽光に対する更なる優遇制度によって太陽光導入が急速に進むと期待されているわけですが、そうしますと、新エネルギー導入の総量を義務付けているRPS法の制度の中で太陽電池の量が想定以上に増えると。そうすると、他の新エネルギー導入インセンティブがなくなってくるわけですね、総量の中で太陽電池が増えるわけですから。  実は、昨日、RPS法小委員会を開催しまして、この問題については既に検討を開始しております。最も重要な論点というのは、今申し上げた太陽電池以外の新エネルギー導入促進のインセンティブを失わないようにどのように目標設定をするかということであります。RPS法というのは規制法なものですから、導入目標量を達成できないと電気事業者に対して勧告とか罰金というような制裁が科されることになっておりますので、慎重な取扱いが必要。今回の新しい買取り制度によって導入される太陽光発電量というのは国が定める買取り価格によって左右されるというわけですので、それによって追加される導入量について電気事業者というのは責任を取ることができない状態に置かれていると私は理解をしています。  したがって、今回の買取り制度による追加導入量、追加的な太陽光導入量を含めた総量目標電気事業者に対する義務量とすれば、それが達成されなかったからといって直ちに電気事業者に制裁を科すというのは適切でないと考えています。具体的な対応はこれからの審議によって方向を定めていくことになりますけれども、新エネルギー導入総量目標の一部について、それが達成されなくとも制裁を科さないような工夫を考えてRPS制度と今回の買取り制度の調和を図りたいと考えているところであります。  前半の意見で申し上げましたように、太陽光発電は設置者側のコストだけじゃなくて、導入を受け入れる電力系統側にも多大なコストが掛かると。しかし、太陽電池というのは、個々人が直接新エネルギー生産に参加できる、いわゆるよく全員参加と言いますが、それ以外にも、我が国の産業競争力とかあるいは雇用につながるといういい点が多々ありますので、さらに技術進歩というのが太陽電池の側面では半導体に近くて非常に速いですから、ここしばらく太陽電池に対して特別な優遇をして育成するということは必要と考えております。しかしながら、特別な太陽電池に対する優遇はあくまで過渡的なものであるべきだと考えておりまして、長期的には太陽電池というものも太陽光発電も、環境も考慮したエネルギーの選択の中で経済的に競合可能な新エネルギーになる必要があるというふうに考えているわけであります。  そういう意味では、その暁には、他の新エネルギーとともにRPSの中で競合して競争して、環境的にも資源的にも持続可能なエネルギーの中で太陽電池が役立つということを期待しております。  以上でございます。
  9. 櫻井充

    委員長櫻井充君) ありがとうございました。  以上で参考人皆様意見陳述は終了いたしました。  これより参考人に対する質疑を行います。  なお、各委員質疑時間が十五分と限られておりますので、参考人皆様には御答弁はできるだけ簡潔にお願いしたいと思います。  また、一人の質疑者がすべての参考人皆様に質問できない可能性もありますが、御了承いただきたいと思います。  さらに、各委員の方に、本日は自由質疑の時間を設けておりませんので、その点、御了解いただきたいと思います。  それでは、質疑のある方は順次御発言願います。
  10. 増子輝彦

    ○増子輝彦君 民主党の増子輝彦でございます。  今日は、三人の参考人の皆さんには、大変お忙しい中ありがとうございました。改めて御礼を申し上げる次第でございます。  今、それぞれ三人の参考人の皆さんから貴重な御意見をちょうだいいたしました。重ねて御礼を申し上げたいと思います。  限られた時間ですので、私も端的にいろいろ質問をさせていただきたいと思います。  まず、森参考人にお尋ねをいたしたいと思います。  先ほど中期目標について若干触れられましたけれども、今回の政府の発表した中期目標、私どもも民主党としての中期目標というものを設定いたしておりまして、私ども民主党は一九九〇年比二五%削減ということでございます。また、二〇五〇年には六〇%から八〇%、ここは福田前総理が掲げたところと軌を一に、一緒にしているわけでありますけれども、今回の政府の打ち出しました中期目標について率直に電力業界としてどのような感想をお持ちになっているか、それと同時に、またこの目標達成するためにはどのような対策を行っていくつもりなのか、教えていただければ有り難いと思います。
  11. 森詳介

    参考人森詳介君) この中期目標につきましては、先ほど茅先生の方から詳細に御説明があったわけですけれども、我々の認識といたしましては、この一五%削減というのは、これは国にとりましても大変厳しい水準であるというふうに思っていまして、今後十数年間にわたりまして国民とか企業の活動に大きな影響を及ぼす重い決断であったと、総理の決断であったというふうに受け止めております。  ですから、これを実現していくためには、政府には国民負担に対する理解の促進、それからまた省エネを具体的にどういうふうにやっていくかということに関しても、政府としての十分な役割を果たしていっていただきたいというふうに思っております。  また、今後の国際交渉に当たりましては、これはこれまでも言われていることですけれども中国とかインドとかすべての主要排出国の参加やこれまでの省エネルギー努力、これも先ほど茅先生の方から御説明ありましたけれども、そういうことを加味した国際衡平性確保前提に、毅然たる態度で国際交渉に臨んでいただきたいというふうに思っております。  我々電気事業者といたしましても、引き続き、我々は3E、つまりエネルギー安定供給、それから環境保全、それから経済性、これを同時達成を図りながら二〇二〇年までに原子力を中心にしまして非化石エネルギー比率を五〇%まで上げたいというふうに思っていまして、いわゆる低炭素になった電気エネルギーを有効に活用してもらうことによって低炭素化社会の実現に向けて貢献していきたいというふうに思っております。  ただ、今二五%削減がどうかというふうな御質問ありましたけれども、これは、実現の可能性とか、それから国民負担、それから国際衡平性という観点を踏まえますと、二五%という削減を選択しなかったのは適切な判断であっただろうというふうに考えております。  以上です。
  12. 増子輝彦

    ○増子輝彦君 ありがとうございます。  山地先生にも、率直に、今回の政府中期目標をどのように感じておられるかお聞きしたいと思います。
  13. 山地憲治

    参考人山地憲治君) 私は、だから、実現可能な範囲のぎりぎりのところが二〇〇五年比マイナス一五%というところで出ていると理解しています。と申しますのは、昨年の長期エネルギー需給見通しの中で、先ほどちょっと私も申し上げた最大導入ケースというもので、マイナス一四%に近いところまでは積み上げである程度、もちろん最大限の努力の中で見えていたところ、そこに四月の麻生総理がJリカバリープランとかで太陽電池の二〇二〇年の導入量を十倍から更に二十倍に引き上げるということを言われたわけです。それを勘案すると更に一%程度削減できますので、そこをぎりぎりのところで出したというふうに考えております。  それ以外のことに関しては、今日は茅先生が十分に説明されましたので、私から特に付け加えることはございません。
  14. 増子輝彦

    ○増子輝彦君 ありがとうございます。  森参考人にお伺いしたいと思います。  電力会社は今までも余剰電力の買取りということは努力をして、現実にされてこられました。今回、新たに余剰電力の買取り制度という大きな政策転換を政府もいたしました。倍の価格で買い取るというような形になっておりますが、これについて率直に、今までのことを更に変更して非化石電源の導入拡大するということについてどのようなお考えをお持ちになって、それを実行可能なのかどうかをお聞きしたいと思います。
  15. 森詳介

    参考人森詳介君) 今お話ありましたように、電力業界としましてもこれまで余剰電力の買取りメニューを設けまして、それに加えてグリーン電力基金ですね、電力固有の取組としてはメガソーラーを建設するなど積極的に貢献してきたつもりです。  これまで我々、固定買取りの制度というのは基本的には反対の立場でした。これは、どちらかというとドイツの固定買取り制度ですね、これをイメージして基本的には反対してきたわけです。といいますのは、これは全量を非常に高価格で買い取るということですから、電気料金が恒常的に上昇する。それからまた、現在の建設コスト太陽光発電事業者が設置しても十分利益が出てくる。そうすると、建設コストの、太陽光そのもののコスト低減のインセンティブが働かない。そういうようないろんな問題がありまして、我々としては基本的には反対してまいりました。  ただ、今年の二月に経済産業大臣の方から、新たな成長戦略の目玉として国が太陽光発電の新たな買取り制度を創設するというお話ございまして、これにつきましては、我々としても先ほど申し上げましたようなドイツの固定買取り制度で抱えているいろんな問題、そういうことを極力排除できるような制度設計、そういうことをやっていただけるということを前提電力業界としても国の施策に積極的に協力していきたいというふうに思っております。  これは、先ほど山地先生からもお話もありましたように、国民の一人一人が太陽光発電はそれぞれの意思で参画できるという新エネの中でも将来非常に有望な分野だというふうに思っていますので、そういう、協力することによってコストが下がっていく、それで普及するというふうにつながっていければというふうに思っております。
  16. 増子輝彦

    ○増子輝彦君 今回のこの買取り制度導入によって、私も大きなエネルギーの転換だというふうに評価はいたしております。  ただ同時に、やはり大事なことは、先ほども山地先生の方からもありましたけれども、系統のやっぱり整備といいますか、ここのところが極めて重要だというふうに認識をいたしております。電力会社としては、この系統の整備、従来から極めて重要なものだと、低炭素社会の中においても最重要課題の一つだということをおっしゃっておられますけれども、今回の政策変換によって、更に系統の整備といいますか、この問題が重要になってくると思うんですが、この件について率直にどのぐらいの感じでやれると、やらなければいけないんでしょうけれども、それについての考え方を教えていただきたいと思います。
  17. 森詳介

    参考人森詳介君) 系統の問題点は先ほど山地先生からも詳しく説明があったわけですけれども、我々は、現在の電力系統の中で、これは太陽光発電が部分的に集中すれば別ですけれども、大体平均的に、日本全国平均的に太陽光発電が設備が設置されたというふうに考えますと、大体一千万キロワット程度ぐらいは今の系統で十分吸収できるというふうに思っています。それ以上になりますと、先ほど山地先生からお話のありました、いわゆる電圧の問題、それから需給の問題ですね、これは基本的には太陽光が余ってくるという問題、それから周波数の問題と、こうあるわけですけれども、電圧の問題は、これは今の技術的に、コストの問題はもちろんありますけれども、今の技術的に十分対応できる技術は我々も持っているというふうに思っています。  それから、余剰の問題ですね。これはバッテリーを置くと、これは非常にコストは物すごい掛かるわけですけれども、本当は太陽光を設置された方が置いてもらうのがこれは原因者負担ということで一番いいんでしょうけれども山地先生のやっていただきました先ほどの低炭素研究会の中では、やはり集中設置した方がコストが安いだろう、たしかそういう結論だったというふうに私も認識しているわけですが、社会的に見てそれが一番最経済的であるならば我々も協力することは、十分そのつもりはありますけれども、しかしこのコストは非常に掛かってくる。しかし、技術的にはそれほど大きな問題はないのではないかなというふうに思っています。  問題は、周波数調整ですね。これは技術的にこれから非常に課題、研究していかなければならない課題だと思っていまして、というのは、太陽光を非常に大量に設置した場合に、個々の単体の太陽光の振る舞いというのは大体我々も理解しているわけですけれども、全体が、全国に設置された太陽光、これが同時に発電したときに全体がどういうふうな動きするかというのがまだよく分かっておりません。ですから、その辺りの研究を、これは国の支援も得ながらやっていきまして、それを踏まえて、現在、周波数調整しております貯水式の水力あるいは火力、それと太陽光のために設置した蓄電池ですね、これを一体的に周波数制御のためにどういうふうに活用していくかという研究を早急にやっていきたいというふうに思っております。
  18. 増子輝彦

    ○増子輝彦君 森参考人にもう一つお聞きしたいと思います。  今回の太陽光発電導入促進のためには、このコスト電気料金を、いわゆる使用者の方に負担が重くのしかかってくるということになります。太陽光を設置した方は余剰電力を買い取っていただけますけれども太陽光パネル、太陽光発電を持たない人にとっては大変な負担増ということになると思います。この辺のところについて、率直に供給事業者としてどのようなお考えをお持ちになっているか、お聞かせいただきたいと思います。
  19. 森詳介

    参考人森詳介君) 今回は、新エネ部会等での議論も踏まえまして、今回の制度では買取り費用電気をお使いいただくすべてのお客様に広く薄く御負担いただくということになっておりますが、先生御指摘のように、そういう太陽光を設置しないすべてのお客様負担するということになるわけですから、電気料金に上乗せする金額をできる限り低く抑えていくことが望ましいのではないかなというふうに思っております。  太陽光というのは、先ほどから申していますように、非常に将来が期待される新エネルギーというふうに思っているわけですけれども、ただ一つコストが高いというのが一番の問題でして、そのためには、今回の制度もその負担をできるだけ抑えるという意味で、買取り価格をやはり段階的に下げていくとか、それから買取り期間を限定するとかいうことが必要ではないかなというふうに思っています。  またさらに、コストを高く買取りすることによって売電ビジネスで太陽光発電を設置するというようなことになってきますと、その利益を一般お客様がすべて負担するということになるわけですから、そういうことにならないように、余剰電力ですね、余剰電力に限定して、それぞれの自家消費されるために設置した太陽光余剰電力に限って購入するということが重要ではないかなというふうに思っております。  以上です。
  20. 増子輝彦

    ○増子輝彦君 ありがとうございます。  時間が参りましたので、これで終わります。ありがとうございます。
  21. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 自由民主党の塚田一郎でございます。よろしくお願いいたします。  今日は三人の参考人の皆さんには大変貴重なお話を聞かせていただきましたことをまず感謝を申し上げます。限られた時間でありますので、それぞれに御質問をさせていただきますが、できるだけ簡潔にお答え、御協力をいただければと思います。  まず初めに、茅参考人にお伺いをしたいと思います。  茅先生は原子力重要性についても大変に御指摘をいただいたと理解をしておりますし、先生自体は原子力のみならず資源拡大の核燃料サイクルについても重要性を指摘されているというふうに私は理解をしています。そうした観点から、先ほど中期目標達成にはどういうことが必要か、原子力もやっぱり伸ばしていかなきゃいけないというようなお話をされていたわけですけれども、国内における今後のいわゆるベストミックス、原子力を中心としたエネルギーのですね、これをどのようにお考えになっているか、まず御説明いただきたいと思います。
  22. 茅陽一

    参考人茅陽一君) 今の御質問にございましたように、中期目標達成するためにはというより、温暖化問題に対して対応していくためには原子力は必須のツールであるというふうに私は考えております。  今回の中期目標の場合には、さっき申し上げましたように、新しく千二百万キロワットの新設をするということがシナリオに上がっておりますが、これを実現するとなると、電力会社努力だけではなくて、やはり政策的にこれをバックアップしていくことが非常に大事かと思っています。新しい発電所を新設する場合に、やはり住民とそこの首長の方の同意が必要なわけですが、それに対して今までのやり方では必ずしも十分な合意が得られるとは思いませんので、その意味政府が積極的にそれをバックアップすることを望んでおります。  それから、ベストミックスというお話ですが、おっしゃるように、将来の日本エネルギーを考えますと、原子力だけではなく、今まで話に出ていたような自然エネルギー、さらにはある範囲の火力というものがいかにうまく組み合わさっていくかということが大事かと思っております。将来ともCO2を減らしていかなければいけないので、いや応なしに火力を小さくするということが重要になりますが、一方において、系統の中に自然エネルギーのように変動の大きい電源が入ってまいりますと、調整電源というのがどうしても要ります。これは山地参考人が言われたとおりなんですが、今までその調整の役割をしておりましたのが主として火力なものですから、そういった意味でいいますと、ただ火力を小さくするということでは答えにならないので、どのような形でその辺のバランスを取っていくかというのが今後の技術的な大きな課題ではないかと考えております。  以上でございます。
  23. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 ありがとうございます。大変重要な御指摘をいただいたと思います。  次に、森参考人にお伺いをいたします。  先ほど来から御質問も出ておりますし、また山地先生からも太陽光の大量導入時の電力の系統安定化についての御指摘がありました。現在も新しい買取り制度に伴ってその負担が、コストがいわゆるユーザーの皆さんに今後負荷されていくだろう。将来的にもこうした系統安定化にコストが掛かってきた場合に、仮にそれを系統の側でこうしたコストを設備投資等で受けるという場合は、またそれが新しい電力コスト増につながっていくということになっていくおそれがあると思うんですが、この辺を、先ほどおっしゃった電力重要性等考えた場合に、どこまでやっぱり国民として許容できる部分なのかなというのは我々が非常に心配をしているところなんですが、その点について、例えば政府への取組期待も含めて、どのようにお考えになるかをお聞かせいただきたいと思います。
  24. 森詳介

    参考人森詳介君) これは、当分の間は、先ほど申し上げましたように当分の間は一千万キロワット程度までは今の系統で何とか、しかしそうはいいましてもローカル的には電圧問題などを既に生じております。これにつきましては、極力原因者が、これは電気料金をいただく基本的な考え方ですけれども、原因者が明らかな場合はそういう方に御負担いただく、分からない場合には全体のコスト負担するというようなことでやっているわけですけれども、今後、山地先生も御指摘あったように、非常に膨大なコストが掛かってくるのは非常に大きな問題に、コスト負担ということで問題になってくるというふうに思います。  ですから、これ大量に増えてきたときにだれが原因かというのは分からなくなるわけですね。非常にマージナルなところで、太陽光を設置される方に全部御負担いただくのもこれも過大な負担になると思いますし、太陽光全体で、設置される方全体あるいはそれの恩恵を受ける国民全体で負担するような制度をこれから考えていかなければならないというふうに思います。  そのときに、先ほどの意見陳述のときに私申し上げたんですが、やはり電力というのは低炭素化のために非常に大きな役割を果たさなければならないというふうに思っていまして、ほかのエネルギーとの、新エネというのは全部電力系統でしか使えないんですよね、これは単独ではなかなか使えない。そういうような意味で、それのコスト負担が全部電力に掛かるというのは、ほかのエネルギーとの競争という意味で非常に矛盾するといいますか、問題が生じると思いますので、その辺りの公平性、これは国民が負担せにゃいかぬことは事実なんですけれども、その辺の公平性をいかに維持するかという辺りを国の方にも是非御協力いただけたらというふうに強く思っております。
  25. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 ありがとうございました。  続きまして、山地参考人に同じ安定化コストについてお伺いをします。  先ほどのお話を伺っていると、これから太陽光パネル等が価格が低減をしてきても、系統コスト、安定化コストが掛かるから全体としては非常にコストがまた増えていくんではないかというお話だと理解をしました。その際に、系統の側がこうした負担を負うんじゃないかというような御説明だったように理解をしたんですが、一方でユーザーの側がこれをコスト負担するという考え方、例えば蓄電池にしても系統側でそれを対応するのか、個々のユーザーの皆さんがそういう蓄電池を持って対応するのかという考え方があると思うんですが、やはり一部に、太陽光は持てる人と持てない人というのが出てきますから、その持てる持てないコストを全体で負担をするということを、これからどんどん増えていくということはどうなのかという議論もあると思うんですね。  そうすると、ユーザー側がこうした安定化コストを払うべきじゃないかという意見も一つあるわけですが、その点について先生としてはどのように考えられるか、あるいはその安定化コスト全体のバランスをどこが、政府も含めてですけれども、国民も含めてどこが担っていくのが適切とお考えになっているか、お聞かせいただけますか。
  26. 山地憲治

    参考人山地憲治君) 実は、先ほどの意見を述べたときに、ちょっとスマートグリッドの話をしました。今はまだそれに期待するのは現実的でないということでバッテリー。バッテリーも実は森会長がおっしゃったように需要側設置と系統側設置と両方検討したんですけれども、系統側設置の方が安いということで系統側設置のコストを申し上げましたが、需要側にバッテリーを設置するという非常にシンプルなやり方もあるんですけれども、やはりそのスマートグリッドのコンセプトというのが一つのキーになろうかと思っています。ただ、研究課題なんですね。  電力系統は、日本電力系統というのは非常にスマートだと思うんですけれども、それはお客さんに電気を供給するメーターのところまでなんですね。配電の自動化というところまでは行っているわけですけれども、お客さんのメーターを越えた需要機器とはつながっていないわけですね。太陽電池はそっち側の方に設置されますし、それから、今後、電気自動車あるいはプラグインハイブリッド自動車の普及というのが想定されるわけです。そういう自動車はバッテリーを持っているわけですね、自動車としてバッテリーを持っている。だから、特殊な、アディショナルな負担にならないわけですね。それ、多分夜間充電とかするわけで、自動車何万台という計算しますと、それによって貯蔵容量というのはかなり稼げます。もちろん、実は需給バランスの計算すると、大量に入ってきたときのマクロな意味での需給バランスというのは難しいんですけれども、周波数安定とかそういうところには需要家機器のコントロールを需要家も含めたスマートグリッドというものを成立させれば効率的にやれる可能性はある。だから、電力系統運用の中に、今まで森会長が言われた需要は私たち電力事業者のコントロール外ですよというわけですけれども、多少需要家の参加も含めた対応をするというのが効率的で賢い対応じゃないかと思っております。一つ申し上げるとしたらこの点でございます。
  27. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 ありがとうございました。  もう少し時間がありますので、茅参考人にもう一問お伺いをしたいと思います。  先ほど、中国インド石炭火力効率化に我々も協力をするべきだと、それが全体の温暖化対策に有効だという御指摘があって、大変貴重な御意見だと伺いました。  一方、目先を変えると、せっかく日本世界に誇れる原子力技術があるわけですから、こうしたものの輸出を広めていくということも大変重要なんではないかと思います。今、原子力ルネッサンスと言われていますし、中国インドに限らず、世界的にまた原子力を見直す見方が増えているわけですが、特にこういう途上国のこれからのエネルギー対策上、もう一気に原子力の輸出のようなことを我が国が非常に進めていくことは有効なんではないかと考えるんですが、そうした点について、先生、いかがお考えでしょうか。
  28. 茅陽一

    参考人茅陽一君) おっしゃるように、原子力日本にとってもかなり有望なポイントであろうかと思っております。  御承知のように、過去の状況を見ますと、アメリカのメーカーが原子力からかなり手を引くといいますか落ちてまいりまして、残っているのはウエスティング程度になってきていると。一方におきまして、日本では主要なメーカーが三社ないし四社ですね。現在でも非常に高い技術水準を持っておりますので、この技術を使って原子力を海外に輸出するということは、私も、おっしゃるように、今後とも推進すべき問題だと思っております。  ただ、その場合に、御承知の核拡散問題というのが常に付いてまいりますので、海外のそういったものに対する批判というのをできるだけうまく対応しながら、原子力の海外への輸出ということに力を入れるのは私も日本の一つの政策ではないかと思っておりまして、御指摘のお考えに私も同意いたします。
  29. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 ありがとうございました。  大変に参考になる御意見を聞かせていただきました。  以上で質問を終わります。ありがとうございました。
  30. 加藤修一

    加藤修一君 公明党の加藤修一でございますが、今日は参考人の三人の皆さん、大変有益な話をいただきましてありがとうございます。  まず、茅参考人にお尋ねしたいんですけれども、御説明の中で、最終的な話として、一つは途上国技術開発に努めることは非常に大事であるという話がございました。  それで、実は昨日からエジプトで国際再生可能エネルギー機関の設置に向けての会合が開かれておりまして、当初、日本はこの機構に参加する予定ではなかったと。それは、再生可能エネルギーの技術規格などが欧州の都合で決められるのではないかと。あるいは、日本が事務局長を出しておりますIEA、国際エネルギー機関と機能が重複し、IEAの機能低下が進んでしまうんではないか。あるいは三点目は、高額の分担金を支払わなければいけない。こういうことが言われていて不参加という話だったんですけれども、アメリカが参加する見通しになったということも含めて、これは最終的に署名という話になったようでありまして、私は非常に喜ぶべきことだと思います。こういう機関の中に入って、日本が国際的なリーダーシップをこういった分野についてしっかりとやっていくことであろうと。それから、発展途上国においても、やはり再生可能エネルギーというのはどのように進めていくか、極めて重要であると思っております。  こういういろいろな議論があった機関に最終的に日本が入ったということについて茅参考人はどのように評価されているか、この辺についてお聞きしたいと思います。
  31. 茅陽一

    参考人茅陽一君) 今の御指摘の問題はなかなか難しい問題があると思いますが、と申しますのは、さっきお話にございましたような負担金がかなり大きいということとか、あるいはIEAとの競合問題をどうするかという点については、これは現実にどの程度負担増になるのか、あるいはIEAがそれに対してどういうふうにすみ分けを行うのかということで、その辺はちょっと私が今現在意見を言えるような段階にはないかと思っております。  ただ、おっしゃるように、こういった再生可能エネルギーを推進する国際機関が出て、それに対して日本が積極的に出るということは私も望ましいと思っております。再生可能エネルギーでも、今まで話題に出ましたような太陽光だけではなくて、バイオマスであるとか、あるいはそれ以外にもいろいろなタイプのものがございますので、今後とも再生可能エネルギー拡大するという努力世界的に協力してやっていくことが私は大変必要だと思っております。その意味で、こういった国際的なリンケージのある機関が再生可能エネルギーを旗印にして動いていくというものに日本が協力することは、私も基本的には大変望ましいと考えております。  以上でございます。
  32. 加藤修一

    加藤修一君 ありがとうございます。  それでは、次に森参考人にお尋ねいたしますけれども中期目標の関係で様々なモデルで計算しました。そのときにベースになる考え方としては、これは経済成長率は一・三%でいくとか、そういう話がありました。とりわけ私は、ゼロエミッション電源の関係になってくるわけでありますけれども、これは新設で九基というふうに伺っております。  つい先日、原子力発電推進強化策ということで、中期目標に対応して設備容量が六千百五十万キロワット、設備利用率が八一%、それから発電電力量が四千三百七十四億キロワットアワーということで、最終的にゼロエミッション電源の点については二〇二〇年までに五〇%以上と、原子力の発電の比率は約四〇%程度というふうになっておりまして、ただ、二〇一八年に、先ほどの九基の話でありますけれども、発電、配電を行うというふうに聞いておりますが、ただ、原発についてはリードタイムというのが非常に掛かる。平均的に十数年というふうに聞いておりますので、本当にこれ二〇一八年に大丈夫なのかということで、先ほどたしかエネルギー供給構造の高度化ということにも努めていく話がありましたが、これともつながってくることだと思うんですね。  この辺の点について様々な、本当にそんなことを、そのレベルをやっていけるのかどうなのかという疑問も投げかけられていることは事実だと思いますので、この辺についてどのような展望をお持ちであるかということについてお示しをいただきたいと思います。
  33. 森詳介

    参考人森詳介君) 今先生御指摘のとおり、我々が平成二十一年度の供給計画、これは十年間の先まで見た供給計画なんですが、その中に原子力発電所の運転開始、その間に運転開始する予定の原子力発電九基織り込んでおります。この内訳は、三基が現在建設中です。これは間違いなく入ると思いますし、六基につきましては着工準備中のものがございます。ですから、我々が考えている計画どおり、地域の御理解もいただいて何とかこの計画を実現するべく努力していきたいというふうに思っております。  これは、我々も二〇二〇年でいわゆる非化石エネルギー五〇%を達成するためには、この九基の実現と併せて、既設の発電所も含めた利用率、現在六〇%ぐらいにとどまっていますので、これを上げていく必要があるというふうに思っております。  これはやはり地域の皆さん方の御理解を得ないとなかなか計画どおりいきませんので、先日開催されました原子力部会におきましても、原子力推進強化策が示されました。この中でも大きな課題として取り上げられております立地地域との意思疎通、これを強固にして相互理解を深めていきたいというふうに思っておりまして、そのためにはやはり一番大事なことは、既設の発電所の安全安定運転、これを継続することがまず第一だというふうに思っております。そのことによって原子力を安心して地域に受け入れてもらえるという素地ができるというふうに思っていますし、また、いろんな情報公開ですね、情報公開をこれを的確にやることによって信頼を得る、そういう取組を継続してやることによってこの九基の計画を実現して、二〇二〇年、五〇%非化石エネルギーを実現していきたいというふうに考えております。  以上です。
  34. 加藤修一

    加藤修一君 先ほど茅参考人が、再生可能エネルギー、これはもう今後拡充していくべきだという話がありました。これ、原子力発電推進強化策中期目標として四〇%、つまり二〇二〇年までには五〇%以上ということを考えてまいりますと、原子力発電の残りというのは再生可能エネルギーになるわけでありますので、これは一〇%以上拡大していかなければいけないという帰結になるわけですけれども、この点については一般電気事業者としてはどのようなお考えを今後の展開としてお持ちですか。
  35. 森詳介

    参考人森詳介君) あと残りの一〇%は、これはやはり大半が水力になるというふうに思います。既存の水力で、正確な私も数字を今ちょっと、正確な数字は申し上げられないんですが、八%程度は水力で賄えるというふうに思っていまして、残りのものは太陽光とかそういう新エネルギーということになろうかというふうに思います。それは、今回の固定買取り価格制度、さらにはRPS法に基づく新エネの開発、そういうことを通じて達成していきたいというふうに考えております。
  36. 加藤修一

    加藤修一君 それでは、山地参考人にお伺いしたいんですけれども、スマートグリッドの話もありました。様々な再生可能エネルギーをそれにどうつなげるかということは極めて重要だと私は思っておりますが、とりわけ山地参考人はバイオマス関係について造詣が深いというふうに、その部分についても深いというふうに私理解しておりまして、日本は、森林資源を考えてまいりますと、六七%が森林ということになっておりますし、一年間に一億立米ぐらいずつ成長すると、そしてまた林地残材の関係については年間二千万トンぐらいは出てくるという話でございます。  熊崎先生、筑波大学の先生だと思いますけれども、あの先生の話によりますと、こういうバイオマスを使って、これ試算でありますけれども、そういう間伐材二千万立米の便益を考えると石油四百万トンに相当するとか、あるいは木質チップの価値を考えていきますと約四億ドルになると、おおむね地元に落ちると。あるいは、さらに、こういったチップの関係、様々な労働を考えていくと、直接雇用で一万人、間接雇用で一・二万人の創出が見込める、結果的にCO2削減として一千四百万トンの削減ができるという話になっているわけなんですけれども、まあこれ簡単な試算ですからいろいろ議論があるかもしれません。  ただ、この足下に眠っている資源、エネルギーをいかに使うかというのは極めて重要で、昨年一年間でも日本から、石油資源等を含めて考えていった場合、輸入に対して対価が出ていくわけですから、国富が二十一兆円出たという、そういう話もあります。そういった意味では、なるべく国富がとどまるような、地元に、足下に資源、エネルギーがあるものについては、まあエネルギーについて地産地消という考え方はどうかなとは思いますけれども、いずれにしても足下に眠っているエネルギーをいかに有効に使うかというのは極めて重要だと思いますし、これが地域の活性化にも当然つなげていくことができるということを考えますと、バイオマス、木質バイオマスの関係についてももっと私は今まで以上に力を入れていくべきではないかなと、このように考えておりますけれども山地参考人の御意見はどうでしょうか。お願いいたします。
  37. 山地憲治

    参考人山地憲治君) バイオマスは、再生可能エネルギーの中でもちょっと変わっているんですね。再生可能エネルギーというと、太陽光とか太陽熱、風力、そういうものは見えないといいますか、結局電気にして使うんですけれども、バイオマスというのは物になっている太陽エネルギーでありますので、いろんな使い方ができる、だから燃料になるとかあるわけですけれども。その中には、しかし実はバイオマスはバイオマスとして紙や木としての材料として使えるとか、それから食料として使えるとか、いろんな用途があるというところがバイオマスの特徴でして、その中でエネルギー利用を有効に位置付けるということが私は非常に大切だと思っています。その点で、先生御指摘の林地の木質バイオマスと言われるものですけれども、これは賦存量としては、確かに我が国の中のバイオマス賦存量の中では非常に大きいもので貴重なものだと私も思っています。  ところが、問題は、バイオマスは一般にそうなんですけれども、重量当たりあるいは体積当たりの発熱量が小さくて、輸送と収集にコストが掛かってしまう。だから、元の材料、燃料としてはただなんだけれども、それを集めて持ってくるところだけでもう石炭にカロリーベースで負けてしまうということになってしまっているわけです。  したがって、バイオマス・ニッポンでもそうなんですけれども、バイオマスの利用の資源を廃棄物系と未利用系と資源作物系と三段階に分けているんですけれども、廃棄物系というのはマイナスのコストがあるんですね。処理することによってメリットが生まれるというわけですから、いわゆる逆有償のもの。未利用系にその林地残材が位置付けられまして、そこのなかなか輸送、収集コストが合わないと。地域振興という意味でそれらを利用するということをやれば地域にお金が落ちる、しかしお金の落ちた分だけ集められたプロダクトは費用として高いものになる、そこで需要が付かないという状態かと思います。そこのだから社会システムをつくっていくということが大事ではないかと思います。  あるいは、今まで木を、間伐の切るところまではある程度補助的な意味で出ているわけですけれども、それを運び出して持っていくというところまでの手当てができていないというところもまだ、地域社会の活性化という意味では公共的にある程度支援ができるんじゃないかと思うんですけど、そこが十分ではない。それで、おっしゃる我が国に存在する資源が有効に利用できていないということかと理解しております。
  38. 加藤修一

    加藤修一君 ありがとうございました。
  39. 松下新平

    ○松下新平君 改革クラブの松下新平と申します。  本日は、三名の参考人皆様、それぞれのお立場から貴重な御意見を賜りまして、ありがとうございます。  本日は、電気事業連合会、森会長お越しですけれども、独自の様々な取組、そして安定供給に御尽力をいただいておりますこと、改めて敬意を表したいと思っております。エネルギーは何といいましても国の基ですから、私は国策としてこのエネルギー問題を考えてみたいと思っております。  そこで、私からは原子力の推進につきまして、お三方のそれぞれのお立場からの御意見を賜りたいと思っております。  お話がありましたけれども温室効果ガス削減中期目標達成、このための原子力の推進の必要性、そして非化石エネルギー利用促進のかぎ、これは、もう申し上げましたけれどもやはり原子力の推進だろうと。そんな中で、既存の発電所の設備利用率六〇%にとどまっているという現状があります。また、新設、新増設の必要性。先ほど森参考人からもそのお話がありましたけれども、今までも取り組んでいただいておりますけれども、そこがなかなかもう一歩進まなかったという現状も御披瀝いただきました。是非、この法案の制定を契機に、さらに国策としての原子力の推進を図られるべきだというふうに改革クラブとしても考えております。  お話がありましたけれども原子力ルネッサンス、途上国先進国も海外を見渡せば建設ラッシュだと、その中で日本の高い技術力も生かしながらしっかりとらえていかなければならないと思っております。その中で、国と地方公共団体、この取組が課題になるわけですけれども、この法案の中では、国の役割の位置付けとしては、財政上の措置を講じるという、雑則に書いてあるだけなんですけれども、国としても、さらにもう一歩この法案を契機として踏み込んで、この必要性、国の基として将来ビジョンを示すべきだと考えておりますが、それぞれの三人の参考人の皆さんの原子力推進に対しましての考え方をお願いいたします。
  40. 茅陽一

    参考人茅陽一君) 原子力の今後につきましては、いろいろなポイントがあろうかと思います。  一つは、まず稼働率でございますが、御指摘のように、現在稼働率が六〇%程度と低くとどまっていることが問題なわけですが、一九九〇年代の後半を見ますと、日本原子力発電所平均稼働率は八〇%を超しておりまして、その状況が戻れば八〇%は実現できることが可能なわけです。  それはどういう状況かと考えてみますと、二〇〇〇年代になりまして、御承知のように、東電の偽装報告であるとか関西電力の事故であるとか、あるいは新潟の地震といった、言うなれば不慮の事件が幾つか起きまして、それが続いたために六〇%という低い稼働率になったと了解しております。その意味で、今後また、地震だけは予想が付きませんけれども、ほかの人災的な問題について我々が十分な配慮をすれば、九〇年代後半と同じように八〇%の稼働率は実現できるんだというふうに考えております。  もう一つ、私強調したいのは、核燃料サイクルを一刻も早く確立すべきだという点でございます。温暖化に対して原子力が大きな武器になるという話になっておりますが、もしこれを、ウランをそのまま使って一回で捨ててしまうというワンススルーと言われるもので終わってしまうと、必ずしもウラン資源の寿命というのはそんなに長いものではございません。その意味でいいますと、やはりウラン238を利用して、これをプルトニウムに変えて使うという高速増殖炉を利用できるようにすることが、温暖化問題に対して原子力意味を持つ本当の方法だろうと思います。  日本の場合、まだ再処理、さらにはこの高速炉、さらに最終処分場といった三つのポイントがいずれも解決しておりません。これに対して解決の努力を今まで以上にすることが、本当の意味温暖化対策の中で原子力が生きる方法であろうと考えております。
  41. 森詳介

    参考人森詳介君) 先生御指摘のように、我が国ではエネルギーはほとんど大半を輸入に依存していまして、安定供給を担保しながら非化石エネルギー比率を五〇%に上げていくためにはやはりもう原子力しかないというふうに私も思っていまして、既設の原子力発電所利用率向上、これは茅先生から今御指摘のあったとおりで、利用率下がっているわけですけれども、それに加えていいますと、今いろんなリスクを評価しまして、予防保全工事を懸命に各社取り組んでおります。このことによって定期検査の期間がかなり長くなっていると。これも一つの利用率の低下につながっていまして、先ほど茅先生から御指摘のあった点に加えて、それが一つの要因としてあるというふうに思っていまして、それも間もなく、大体そういう工事もめどが立ってきていますので、これまでの実績のあります八〇%台目指して頑張っていきたいというふうに思っていますし、また、先ほど申し上げました九基の供給計画に掲げておる新設ですね、これについても懸命に取り組んでいきたいというふうに思っております。  これらに関しましては、先ほどからも話出ておりますように、先日開催されました原子力部会で原子力発電推進強化策というのが了承されたわけですが、この冒頭には、まずは国が第一歩を踏み出すという姿勢で取り組むということが記載、指摘されておりまして、我々としても大変心強く思っているわけですけれども、我々としても、そういう国の強いリーダーシップの下で我々の果たすべき役割をきちっと果たしていきたいというふうに思います。  具体的には、やはり安全最優先で、安全安定運転を続けることを前提にして、高経年発電所を含む既設炉の高度利用ですね、これは利用率を上げていく、また出力を増やしていくと、そういう取組をやっていきたいと思っていますし、それから新増設、これは供給計画に挙がっているものをしっかりとやっていきたいというふうに、これは地元の御理解をいただきながら、いただけるようにしっかりやっていきたいというふうに思っています。  それからまた、原子燃料サイクル、これも茅先生から御指摘ありましたけれども、これも非常に重要でして、現在取り組んでおります六ケ所の再処理工場の竣工、それからプルサーマル計画の推進、それから高レベルの放射性廃棄物処分場の実現に向けて全力で取り組んでいきたいと思っていますし、それらのベースになるのが国民との相互理解だというふうに思っていますので、これも先ほど申し上げましたが、情報公開を徹底することによって、それに加えて地域とも対応をしっかりやることによって信頼関係を構築していきたいというふうに思っております。  私からは以上です。
  42. 山地憲治

    参考人山地憲治君) 私も他のお二人と同じように、原子力は地球温暖化対策に限らず我が国エネルギー供給の安定化、それからコストの安定化という点からも不可欠なもの、非常に重要なものと考えております。  その中で、じゃ原子力の今の課題というと、これも皆さん御指摘の設備利用率の低迷というところに典型的にあると思います。設備利用率は我が国、暦年でいうと二〇〇八年は本当に五八%、年度でいって多分六〇%ちょうどぐらいでありまして、これはもう途上国も含めた世界全体を見渡しても非常に見劣りのする数値であります。  実際、九〇年代の半ばには八〇%台半ばまで行っていたわけでありまして、現有の五千万キロワット弱の原子力発電所の設備利用率が今の六〇%ぐらいから八十数%で、二十数%向上すれば、それだけで二酸化炭素の年間排出量は多分七千万トンぐらい下がると思います。我が国の総排出量が十三億とかというところですから、五%行くわけでございまして、ある意味隠し球みたいなものかもしれませんけれども、本来これは達成されるべきものということでありますから、まずそこへ持っていくということが大事なところ。  それに関しては、昔できていたんだからということもあるんでしょうけれども、もう一つは、例えば、韓国、米国、フィンランドもそうですけれども、まあドイツもそれに近いですが、九〇%ぐらいで設備利用率、実績を上げているわけですね。それをむしろ目指していくべきであろうと思っています。  そのためには運転期間を、従来十三か月と言われていたものが、今度、法制上は十八か月あるいは二十四か月も可能になっているんですけれども、それを現実のものにするためには検査のやり方を見直していく。つまり、運転中にできる検査は検査もうそこでやってしまうとか、それから燃料的には高燃焼度化という、少し濃縮度を上げて長い間の連続運転に耐えるということはこれは技術的にできることですから、高燃焼度化と運転期間の長期化で九〇%を目指すべきだと思っております。  それともう一つは、出力増強ですね。既存設備の定格出力を増大させているというのは、過去、アメリカ、スウェーデンでいっぱいあるわけです。大体五%ぐらいの出力、同じ設備ですよね。実は、原子炉自体には熱出力で相当余力がありますので、電気出力を五%ぐらい上げることは実例がいっぱいあるわけでございまして、今回、東海二号炉でやっていると思いますけれども。五%といいますと、五千万キロワットの五%、二百五十万キロワットですので、大きな発電所二基分ぐらいに当たるわけでありますから、それにもうちょっと取組、今までむしろ遅かったんではないかと思っております。  そういう既存の原子力有効利用していくというところがまず行うべきことであろう、それによる成果が相当もう計算できる状態だというふうに考えております。  以上でございます。
  43. 松下新平

    ○松下新平君 ありがとうございました。  原子力の推進に関しまして共有できたと思います。森参考人から安全最優先で事業を行うという決意もいただきました。  相互理解が必要で、情報公開ということで最後にお願いしたいんですけれども、やはり徹底した情報公開によって、供給側は見られているという緊張感、受ける側は安心感、これを、成功のかぎを握ると言われておりますけれども、徹底した情報公開をお願いしたいと思います。  以上で質問を終わります。
  44. 田中直紀

    ○田中直紀君 無所属の田中直紀でございます。  茅参考人森参考人山地参考人、大変ありがとうございます。  まず、山地参考人にお伺いをいたしたいと思います。  今回の二法案でございますが、非化石エネルギー源利用あるいは代エネ法の改正という内容でありますが、先ほどの話のように、平成十四年にいわゆるRPS法が施行されまして、七年間の実績を踏まえているわけでございます。  今回の法案とこのRPS制度については、目標達成義務化制度等も入っておりますし、それから余剰電力の買取り等の考え方もあるわけでありますが、今までやってきたRPS法での考え方と今回の二法案との整合性といいますか、その法案を、考え方が若干違うから従来の法案は残して新しい法案を今回成立を果たしてやっていくということなんでありますが、それがうまく法案法案がマッチングして、特に義務化の中で、新エネルギーの中でも太陽光発電を重点的に今回はやっていくんだと、しかし今までは新エネルギーの中でもほかのエネルギーについても努力をしてきたと、こういうことでありますから、この法案が成立して何か矛盾が生じてほかの新エネルギーは必要ないんだと、こういうような位置付けにもなりかねないんで、若干、法案としての内容がもう少し充実した方がよかったんではないかなという、私個人の印象でございますが、山地参考人、いかがでしょうか。
  45. 山地憲治

    参考人山地憲治君) 先ほどの意見を申し上げたときにも触れたことだと思います。RPS法と今回の太陽電池の余剰買取り制度の問題というのはなかなか悩ましいところがあります。規制のやり方という点から見ますと、RPS法というのは量の規制ですね、クオンティティーです。目標量を決めて義務付けて達成しなさい、その新エネルギー発電の中身については効率的に選んでください、特定の太陽電池を幾らとは言わない、新エネ発電総量で幾らと、量を目標値として掲げている。それに対して今回の太陽電池の買取りは価格の規制でありまして、具体的な価格はまだこれから決まると思いますが、一定の価格で余剰を必ず買い取りなさいという義務付けをするわけであります。これは、政策のやり方として量と価格というのは両面からあると思います。ただし、両者を整合性を取るというのは非常に難しいことになろうと思っております。  私は、RPS法の中でしかし、実はRPS法というのは基本的な考え方は総量の目標を与えて、そこを実現する様々な新エネルギーは競争的に効率的に組み合わせなさいというのが原則ではありますけれども、それぞれ新エネルギー開発レベルが違うわけですね。太陽電池はやっぱり相対的に高いものだったわけで、ある程度、そういうものは更地で競争しなさいというのも大変ですから、少し優遇しましょうと。これをバンディングとかというわけですけれども、それぞれの新エネルギー種類ごとに少しずつ支援のレベルを変えていくということはできるわけです、RPS法の中でも。だから、その中に今回のを位置付けられれば一番整合性が取れるというふうに考えております。  今までやってきたことは、先ほども申し上げたように、電力会社が自主的にやっていた電灯料金の買上げと、それから実は前回のRPS法小委員会で決めて、施行は二〇一一年からになってまだ施行していないんですけれども、太陽電池に関しては電力量を二倍にカウントしましょうと、それも勧告を発動する発動基準のところで勘案しましょうということで、従来から太陽電池に関するある程度の、どう言ったらいいか、言葉は悪いが優遇をしていたわけですね。今回それがより大きくなってきているということかと思いますけれども、何とか整合性を持たす調整ができればというふうに考えております。
  46. 田中直紀

    ○田中直紀君 ちょっと追加で。  新エネルギー利用義務量の実績を見ますと、平成二十年までは利用目標量に対して、義務量に対して利用が大きかったと、こういうことですから、これから先を見通しても、RPS法というのはほぼ達成されたと、これはもうなくしてもいいというようなことも考えられないでしょうか。
  47. 山地憲治

    参考人山地憲治君) 先ほど森会長の最初の御意見の中にもあったように、電源開発というのは、新エネルギーは比較的リードタイムが短い方ですけれども、それでもやっぱり時間が掛かります、発電所として成り立って電力を生産するまでには。そういうことで、既にある程度取りかかっているもので、見えるものと、それから、今ですと二〇一四年の目標値があるんですけれども、それまでのものと、今できるもののところで少しだから貯金をするという、バンキングという制度がありますから、それでバンキングで今できるところを、今やった方がより安いと判断すれば早めにやっているわけですね。  だけれども資源として、風力資源、バイオマス資源あるいは太陽光資源、そういうものを見て、将来的に見ると二〇一四年の目標というのはなかなか難しいと、RPS法小委員会の中で目標を決めるときの議論の中では積み上げの中でチェックをしたわけであります。今足下で余っているのは、やりやすいところを早めにやっておきましょうということで、そのバンキングを生かしていると。将来的にはなかなか厳しい目標になっている、この太陽光発電の高額買取りという、今回の制度の前の段階ではですね。今回のことで太陽電池が想定したものよりたくさん入りそうですから、そこで目標量を調整しましょうという段階に入っているという理解をしています。
  48. 田中直紀

    ○田中直紀君 ありがとうございました。  茅参考人にお伺いいたします。  御説明いただきました資料の中の後半でありますけれども石炭火力効率発電端というんでしょうか、十三ページと十四ページで、USCが四三%ということでございます。日本の四〇%よりは高い水準なわけでありますが、原子力と比較してこのいわゆる石炭火力効率化というのをどこまで求めるか、どこまでCO2削減のために基準にすべきかと。我が国も当然石炭火力をやっておるわけでありますし、新しい石炭火力を目指しておる小名浜火力なんかもございますが、最近は大変もっともっとCO2減らせと、二〇一二年に運行するという目標の中で厳しい指摘もあるようでありますけれども、どの辺を目指すべきなのか。  そして、なかなか原子力というのは目標は私は今のような形では達成は難しいと判断しておりますが、そういう中で、従来の火力をどの程度まで技術的に高めることによって原子力と対等といいますか、見合うようなものになるかどうかと、その辺は技術的にいかがなものでしょう。
  49. 茅陽一

    参考人茅陽一君) そこに書いてございますように、石炭火力、現在は最新鋭の磯子火力一号機、これが四三%なんですが、現実には更に温度を上げる、蒸気圧力を上げるということでもう少し上がるだろうと。そして、特にIGCCと言われるようなガス化コンバインドサイクルになると理論的には五〇%を超すだろうということがここに書いてあるわけです。  正直言いますと、工学技術すべてに通用することですが、大体こういった工学技術というのは効率を上げるということを一つの至上命令としてやってきたものですから、上げれば上げるほど良くて、どこまでで止めるという考え方があるわけではございません。ですから、私どもとしては、やはりエネルギー技術者という立場からいえば、こういった石炭火力効率は今後もできるだけ高い方へ向けるという努力はするだろうと思います。  ただ、そう申しましても、時間的なことを考えますと、CO2削減という面からいえば、それだけで答えが出てくるわけではございません。それはおっしゃるとおりでございまして、それに対して世界的な傾向として今出ておりますのは、二酸化炭素を排出源から回収して貯留するという、俗にCCSと呼んでおりますが、これをある程度設置することによってCO2の大気中への排出を減らすというのが対策の一つの方法だろうと思います。  既にもうドイツではそういった形の火力発電所が一基出てきておりまして、これが世界的にも広がっていくことになるかと思います。もちろん、その場合、貯留のための場所をどうするかということとコストをどうするかという問題はございますが、世界的にはこういったCCSの併設ということによって、石炭火力を使いながら抜本的にCO2の排出を減らすという流れがかなり中心の流れになるかと考えております。  以上でございます。
  50. 田中直紀

    ○田中直紀君 どうもありがとうございました。  では、森参考人にお伺いをいたします。  電力の買取りの問題でございますが、家庭用のパーソナルな太陽光の発電につきましては制度を浸透して対応していくと、こういうことでございますが、今大規模な太陽光発電所というのが建設計画が報道されております。大阪の堺市ではメガソーラー発電計画で合計二万八千キロワットのいわゆる世界最大級の発電能力を持つ発電所を建設すると、こういうことも報道されておりまして、これから各地域で自治体も努力をしてソーラー発電所を建設していこうという試みが出てくると思いますが、買取り電力の問題で対象外になってきておるのでしょうか、そういう大規模な発電所の電力というのは、電力の会社としてはどう取り扱われていかれるんでしょうか。
  51. 森詳介

    参考人森詳介君) 今お話のありましたメガソーラーですね、堺の方の二万八千キロ、これすべて私ども、私の関西電力もかかわっていまして、一万キロワットは自社独自で、残りの一万八千キロワットはシャープさんと共同で建設する予定で現在準備を進めております。  現在、電気事業者は二〇二〇年度までに三十か所で合計十四万キロワット程度のメガソーラーを建設する長期計画を持っていまして、その線に沿った形で地点の選定を含め現在やっておるところです。そういう中で、これ非常に広い用地も必要になってきますので、各自治体と話し合いながら共同事業というような形のものも多分出てくるんじゃないかなというふうに思っております。  私どもが現在計画して進めております一万キロワットのメガソーラーは、これは国の方にも建設費を大きく御支援いただいて、これはほかの電源と比べればまだまだいわゆる経済性というものでは見劣りはしますけれども、そういうことをやることによって太陽光発電所に対する普及を、皆さんにそういうことを理解してもらえるきっかけ、あるいは大規模のものを造ることによってコスト低減にもつながるというようなこと、それからさらには、これから大量に入ってきたときの太陽光の振る舞いですね、そういうようなものを大規模なもので我々は検証して、将来大量に増えてくる太陽光発電を安定して系統に受け入れるための技術の蓄積、こういうことをやっていきたいというふうに思っています。  他の一般の企業は、恐らく現在置いておりますメガソーラーも、メガソーラーとはいうものの、各工場等に設置したものは自社内ですべて消費される程度の規模だというふうに私理解しておりまして、今後とも現在の建設コストを考えますと、建設して、我々の電源との等価な価格で買い取ってほしいというのはなかなか出てきにくいのではないかなというふうに思っています。また、高価に買い取るということは、先ほどから申し上げていますように国民全体に大きな負担になりますので、これはやはり避けるべきだろうというふうに思っております。  以上です。
  52. 田中直紀

    ○田中直紀君 御努力をお願いいたします。  どうもありがとうございました。終わります。
  53. 櫻井充

    委員長櫻井充君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人方々には、長時間にわたり有益な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表して御礼申し上げます。ありがとうございました。(拍手)  午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十八分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  54. 櫻井充

    委員長櫻井充君) ただいまから経済産業委員会を再開いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源利用及び化石エネルギー原料の有効な利用促進に関する法律案及び石油代替エネルギー開発及び導入促進に関する法律等の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、文部科学大臣官房文教施設企画部技術参事官岡誠一君外十一名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  55. 櫻井充

    委員長櫻井充君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  56. 櫻井充

    委員長櫻井充君) エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源利用及び化石エネルギー原料の有効な利用促進に関する法律案及び石油代替エネルギー開発及び導入促進に関する法律等の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  57. 藤原正司

    ○藤原正司君 藤原でございます。  では質問させていただきますが、今回のエネルギー関連二法、これについて、太陽光余剰電力の買取り制の根拠法、ここの部分が非常に強調されて関心持たれているわけですが、元々この法というのは、昭和四十八年そして五十年の初めにかけて起きた第一次、第二次石油ショック、これを踏まえて、日本エネルギー構造を変えなければならない、石油依存体質を変えなければならないと、こういうことから代替エネルギー法ができた。そのことの目的はほぼ達成したんだけれども、今度は温暖化という問題が大きな政治的課題として浮上したときに、ではこれを具体的に対策を進める上での法律がどうなのかと、ここに大きな意味があると思うんですね。  代替法のときも、石油依存体質を変えるために、石油だけではなくて原子力、石炭、天然ガスというふうにずっとエネルギー源を多様化していった、いわゆるベストミックスという選択を取ってきたと。ところが今回、温暖化という、エネルギーの三要素のうちの一つに非常にウエートを掛けて物を考えなければならないと、こういう状況になったときに、今度はエネルギーのこのベストミックスというのは一体どういうことになるんだろうと、こういうことがポイントになってくるわけでして、この点についてまずお伺いをしたいと思います。
  58. 石田徹

    政府参考人(石田徹君) お答え申し上げます。  今まさに先生御指摘のように、エネルギー政策を推進していくに当たりましては、温暖化環境への適合という側面だけじゃなく、エネルギー安定供給確保、さらには市場原理の活用と、いわゆるエネルギー政策基本法における基本原則に基づいて総合的に進めていくことが必要であるというふうに考えております。  そういう意味で、エネルギー源ごとにそれぞれいろいろな特性がございます。例えば化石燃料につきましては、エネルギー密度が高く運搬も容易だ、あるいは利用しやすいといったようなメリットもございますし、コストも相対的に低いという一方で、地球温暖化対策の観点からの課題もありますし、中長期的なエネルギー需給のタイト化といったような問題もあるというようなことでございます。また、原子力につきましては、これは供給安定性に優れるとともに、発電時に二酸化炭素を排出しないクリーンなエネルギー源だということで、まさに安全確保を大前提に推進していくべき基幹電源だというふうに考えております。また、太陽光を含む再生可能エネルギー、これは二酸化炭素を排出しないクリーンな国産エネルギーとして、今後、コストあるいは供給安定性等の面で課題はございますけれども、着実に導入拡大をしていくべきエネルギー源だというふうに考えております。  この法案新法におきましても、こうした各エネルギー源の特性をそれぞれ最大限に生かしながら、エネルギー供給事業者に対して、非化石エネルギー源導入拡大と化石燃料の有効利用、この二本立てで政策を推進していくという考え方に立っております。
  59. 藤原正司

    ○藤原正司君 このベストミックス問題は、午前中の参考人質疑で茅さんに対する御質問もあったわけでありますけれども、今のお話ですと、それぞれの固有のエネルギーの持っている特質を述べられたにすぎないと。  では、どちら、もう定数じゃなく定性的にどういうふうにウエートが変わってくるんだろうというようなことを含めて、もしおっしゃられればおっしゃっていただきたい。
  60. 石田徹

    政府参考人(石田徹君) 今申し上げましたようなそれぞれエネルギー源ごとに特性がある中で、今後、エネルギー安定供給確保、それから地球温暖化問題への対応、それからまた経済的な効率性という、この三つの柱の中で今後のエネルギー源の組合せをやはり考えていく必要があろうと思っております。  その中で、一つの大きなやはり政策の今後の柱になってまいりますのが非化石エネルギー源、あるいは非化石電源の割合を増やしていくということで、特に原子力につきましては、これは中期目標との関連でも議論されておりますけれども、新増設九基プラス稼働率を当面四〇%程度を目指すということで、電源の中でのウエートを四〇%程度には引き上げていくということを考えておりますし、それを核としながらその他の再生可能エネルギーによって全体の五〇%ぐらいを占めるというようなことが、現在、これは電力事業者においてもその方向で努力をしておりますし、今回の新法の下でもそうしたことを誘導していきたいというふうに考えているところでございます。
  61. 藤原正司

    ○藤原正司君 この質問はこれぐらいにしますが、やっぱり大きなエネルギー政策の節目なんですよね。残念ながら、代替エネルギーをめぐる対応は良かったんですが、その後、温暖化対策という面で経済産業省が所管される法体系の整備というのが若干遅れた気がある。それは意気込みというか自負というものが少し弱いんじゃないかという気が正直言ってして、是非、そこのところはもう一度決意新たにやっていただきたいということを申し上げたいと思います。  その中で原子力の問題について少し触れますが、今日も原子力重要性は言われました。よく太陽光原子力を比較するときに、原子力一基と山手線の内側に全部太陽パネルを乗せたのが同じだという表現をされます。これは実は正しくないんです。というのは、原子力は夜も関係ないんです。曇っても関係ないんです。山手線の内側は、雨が降ったり曇ったり夜になったら発電、支障を来す場合。だから、大体太陽光平均的な発電効率は一〇%強と言われています。だから、原子力とはキロワットは同じであったとしてもキロワットアワーが全然違うということをきちっと認識して、そういう理解を国民にしていただくことも大事なことではないかなというふうに思うんですが。  いずれにしましても、原子力が、一つはCO2を出さないということ、一つは安定的エネルギーを供給するという基幹エネルギーとしての役割、これは非常に大きなものがあると思うんです。ただ、午前中もありましたように、軽水炉だけで原子力エネルギーを取り出すということになりますと、資源にもエネルギーは限りがあります。今現在、原子力ルネサンスと言われるように、どこの国も原子力を再評価してきた。あるいはかつては軍縮のときの核弾頭を解体して燃料に変えるというやり方もあった。あるいはかつてはウラン燃料の備蓄が相当あった。そういうものがどんどんどんどん消えていく中で、単に軽水炉で原子力を運転するということがエネルギーの安定確保という面で一体どうなんだろうかということもある。  そういう中で、今日、茅さんも言われたように、やっぱりFBRサイクル、これを確立することによって一挙に数百倍のエネルギー我が国は自国のエネルギーとして持つことができる。しかも、このエネルギー開発していくことが世界に対する大きな貢献になる。あるいは、我が国が日米の原子力協定の中で、原爆を持っていないにもかかわらず再処理から濃縮からあらゆることが許される、IAEAの中でも許されているというのは一体どういうことなのかと。やっぱり日本原子力の平和利用に対して世界中に貢献する、もってこれが温暖化対策になるということは物すごい大事なポイントでありまして、こういう点を考えて国としてこの原子力政策をどのように進めていかれるのか、お聞きしたいと思います。
  62. 石田徹

    政府参考人(石田徹君) ただいま先生御指摘のように、私ども原子力発電の活用なくしては、我が国エネルギー安定供給確保はもちろんのこと、地球温暖化問題への対応もおよそ不可能であろうというふうに考えております。そういう意味で、原子力我が国の基幹電源としてこれまで以上に大きな役割を担う必要があるというふうに認識をいたしております。その中には、まさに今先生言われたような核燃料サイクルの確立、特に高速増殖炉路線の確立というものも含めて今後推進していく必要があろうというふうに考えております。  こうした認識に立って、六月十八日でございますが、経済産業省として原子力発電推進強化策を取りまとめたところでございます。これは、まさに中期目標の実現というようなことも念頭に置きながら、低炭素の電源の中核となります原子力につきまして更なる推進に向けた国としての決意と具体策をお示しをしたつもりでございます。二〇二〇年時点で原子力の発電比率を四〇%程度実現をするということ、そのために九基の二〇一八年度までの新増設、あるいは設備利用率の主要利用国並みへの向上というようなことについて、それぞれ具体的な取組について表明をさせていただいております。さらに、より中長期的あるいは基本的な取組といたしましては、例えば立地地域との共生というようなことはもちろんでございますけれども、小中校生への原子力教育の充実といったようなことにも更に力を入れてまいりたいというふうに考えております。
  63. 藤原正司

    ○藤原正司君 大臣にお尋ねしたいと思います。  我が国エネルギーの三大原則といえば、経済との整合性であり安定供給であり、そして環境との整合、この三つだと思います。この三つの原則はきちっとしながらも、時々に応じてそのウエートの掛け方というのは少し変わってくる。例えば、石油ショックのときはいかにこれを安定的に確保するかということにウエートが掛かったし、今は温暖化をどうしようかと。しかし、それはあくまでも真ん中にびしっとエネルギーというものがあって、これを確保するためにどう考えるべきかということではなかったかと私は思っております。  そういう意味では、エネルギー政策を所管されるのは経済産業省であります。いかなる状況にあろうとも、エネルギー政策、国民に対して、国民経済にとって安心できるエネルギーを提供する、その責務を担い、それを所管するのは経済産業省であります。  その意味大臣の決意をお伺いしたいと思います。
  64. 二階俊博

    ○国務大臣(二階俊博君) ただいま先生からるる原子力及びエネルギー問題について御意見をちょうだいいたしましたが、私ども全く考えを同じくするものでございます。  新興国の経済発展等を背景とするエネルギー需要の増大、化石燃料の価格の乱高下、エネルギー資源の獲得競争の激化など、エネルギーをめぐる世界情勢というものは規模においても大きく変化をしておることは御承知のとおりであります。地球温暖化問題への対応も、これまた喫緊の課題となっております。化石燃料の大半を海外から輸入に依存する我が国が、これらの世界的な規模の課題にどう的確に対応していくか、これがこれからの課題でありますが、太陽光のみならず、原子力やまた小水力、風力などの非化石エネルギー導入拡大する努力をしなくてはなりません。また、石油、ガス、石炭といった化石燃料の有効利用どもエネルギー全般にわたる取組が重要であります。  このような観点から、経済産業省としては、エネルギー政策基本法の考え方に基づいて、地球温暖化対策のみならず、エネルギー安定供給や持続的な経済成長などを一体的に実現するために幅広くエネルギーを考え、本法案を活用したエネルギー政策を強力に推進してまいりたいと考えております。
  65. 藤原正司

    ○藤原正司君 次に、六月十日に発表されました地球温暖化ガス削減中期目標に関して何点かお尋ねしたいと思います。  まず、真水で二〇〇五年比一五%カットと、この数字について様々な御意見があることは事実でありますけれども政府としてこの真水で一五%カットというものを自己評価される場合、一体どういうふうにお思いかということ。それからもう一つは、既に様々な形でポスト京都に向けて国際会議等が行われておるわけでありますけれども、この中で、この真水で一五%カットというものがどういう評価を受けているのか。正直な話、一般的な、マスコミなんかで聞くともう全部駄目みたいなことになるんですが、本当にそういうことなのかどうなのか、正直なところを是非聞かせていただきたい。
  66. 有馬純

    政府参考人(有馬純君) まず、今回の中期目標についての私どもの認識でございます。  今回の我が国中期目標につきましては、オイルショック時を上回る三三%の効率改善を目指すものでありまして、国際的に見ましても、欧州の二〇〇五年比一三%減でありますとかあるいは米国の一四%減といった、欧米の目標をも上回るものであるというふうに考えております。今回、総理の御決断は、世界のトップを行く省エネ国家として、率先して低炭素革命を実現していくという強い決意を表明されたものというふうに私ども理解しております。  もちろん、その実現は容易なことではありませんし、年間約七万六千円に上る国民負担を少しでも下げるため、技術革新と需要の創出によりましてコストを大幅に低減すべく、政府としても全力で取り組んでまいりたいというふうに思っております。  それで、国際的な評価でございます。当然、各国から様々な反応がございました。  まず、専門家による科学的かつ総合的な見地からの分析でありますとか、あるいは広く国民の皆様からの意見聴取を行ったことへの評価というものがございました。また、クレジットなどを含みます欧米の目標とは異なりまして、省エネなどの努力を積み上げて算定した真水の国内削減努力に基づいて目標を設定するという、そのアプローチを理解するという意見もございました。
  67. 藤原正司

    ○藤原正司君 何か、よう分からぬよ。それでどうやねんという感じなんですね。  要は、その真水一五%、この真水という意味を外国がどう評価しているかということもあろうかと思います。例えば、日本がきっとクレジットを買ってくれるだろうと思ってがっぽり先物買いしていたのに、買ってくれそうにないで、えらいこっちゃとひょっとして思っているところがあるかもしれない。かもしれない。要は、その外国の評価というのは、プラスもあればマイナスもあるとおっしゃるけれども、これからポスト京都に向けてずっと交渉をしていく極めて影響の強い国々はどんなふうに受け止めているんでしょうかと。大したない、軽いこと言うてきよったなと思っているのか、どう思っているのか、そこを聞きたいわけです。
  68. 有馬純

    政府参考人(有馬純君) お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、日本が今後、こういった中期目標に加えてクレジットの購入でありますとか、そういった期待感を表明するという国も確かにございました。ただ他方で、先ほど申し上げましたように、こういった真水による国内の削減ポテンシャルを最大限まで積み上げるというアプローチは極めて正直であるという評価もございました。これは、一部の途上国からもそういった評価がございました。  したがいまして、いろいろな評価があるというふうに申し上げた次第でございます。
  69. 藤原正司

    ○藤原正司君 質問は予定しておりませんけれども、要は、この真水で一五%カットというのは、これから国際交渉をしていくに当たっての十分スタート台になり得ると、こういうふうにお考えかどうか、こういう質問はどうでしょう。
  70. 有馬純

    政府参考人(有馬純君) クレジットの取扱い、それからシンクの取扱い、これはまさに今後の国際交渉次第ということでございますけれども、私どもといたしましては、今回真水に基づいて積み上げた非常に正直な数字でございます。これに基づきまして国際交渉に最大限邁進していきたいというふうに考えてございます。
  71. 藤原正司

    ○藤原正司君 真水と、あとはそのほかに森林吸収とかあるいは京都メカニズムをどれだけ積み上げるかということによって、数字は違うにしても、少なくとも二〇%以上の、従来の物の言い方でいえば二〇%以上の削減を六月十日の日に政府として方針に盛ったわけです。だから、このことが十分胸を張って国際交渉に臨めるものなんだという、そういうことなのかというだけをイエスかノーで聞きたかったんですが、どうも、まだこれからずるずる下がらんならぬのですか、どうなんですか、正直。
  72. 有馬純

    政府参考人(有馬純君) 交渉の話でございますので、今後どういった形で交渉が展開するかということはもちろん予断を許さないところでございますけれども、私どもといたしましては、今回、官民合わせて、国民の皆様意見も十分に聞いて設定をした中期目標というものを、まさしく先生がおっしゃるとおり胸を張って主張し、かつそれに基づいて国際交渉が進めるよう最大限努力したいというふうに考えてございます。
  73. 藤原正司

    ○藤原正司君 大臣、そういうことでよろしいでしょうか。
  74. 二階俊博

    ○国務大臣(二階俊博君) 私は先週、国会のお許しを得てOECDあるいはまたWTOそれぞれの閣僚会議に出席してまいりまして、OECDの方は四十か国以上の閣僚が列席しておりました。  我々は環境問題等についても発言をいたしましたし、いろんな場面で日本の主張をしてまいりましたが、日本の志が低いではないかとか、日本が予想、予想といいますか、期待を外れているではないかというような御発言はどこの国からもございませんでした。胸を張って闘い抜けるというふうに思っております。  それと、七万六千円に至るやっぱり個人負担というのは、これは容易なことではありません。幾ら国民の皆さんの御意見を聞いたといっても、それは一軒一軒聞いて回ったわけではないわけですから、この七万六千円の御負担を御理解いただいて御協力を得られるかどうかというのは、これは大変な問題なんです。ですから、私はいつも、こういうことを熱心に主張された方々は、方々というのは経済界もありますし、政党にもありますし政治家にもありますから、そういう人たちはどうか逃げないでくださいよということを申し上げておるのは、そういう趣旨でございます。一緒に闘いましょうと、こういうことでございます。
  75. 藤原正司

    ○藤原正司君 いや、その決意が聞きたかったわけであります。  次に、二〇二〇年、真水一五%カットと、長期目標である二〇五〇年までに六〇ないし八〇%カット、この長期目標との関連性というのはあるのかどうか、あるとすればどういう部分で関連していくのか、お尋ねしたいと思います。
  76. 有馬純

    政府参考人(有馬純君) お答え申し上げます。  長期的な温室効果ガスの大幅削減を実現するためには、しっかりした具体的な施策の裏付けのある中期目標に基づきます努力に加えまして、既存の技術の延長線上にない革新的な技術の活用というのは不可欠であるというふうに考えております。  私ども経済産業省といたしましては、昨年三月に策定をいたしましたクールアース・エネルギー革新技術計画におきまして重点的に取り組む二十一の革新的技術というものを選定いたしまして、実用化に向けた技術開発のロードマップを提示してございます。今後とも、その着実な実施に向けて引き続き積極的に技術開発支援してまいる所存でございます。  なお、中期目標検討委員会における分析におきましても、こういった取組を通じまして、今般の中期目標とそれから二〇五〇年に六〇%から八〇%削減という我が国長期目標というのは整合的であるということが示されているところでございます。
  77. 藤原正司

    ○藤原正司君 整合的である、関連性を持つと、こういうことですね。  では、次に、この真水一五%カットということ、これをもって交渉のスタート台とするというのは、前回、二十三日のこの委員会における答弁でございました。交渉結果は分かりません。場合によっては京都議定書離脱するかも分からないし、どうするか分かりませんけど、うまく削減についての合意が得られたとした場合に交渉の合意はすべてに優先すると、こういうことで理解しておいてよろしいね。というのは、いや、その前にはもうちょっと大きな数字言うてたやないかみたいな話にはならないんですねとお尋ねしているわけです。
  78. 有馬純

    政府参考人(有馬純君) まさしく先生がおっしゃいましたように、今般、総理が発表された中期目標といいますのは、本格的な国際交渉に向けた第一歩として我が国の考え方を示したものでございます。この中期目標を踏まえまして、我が国は、今年の十二月の気候変動枠組条約第十五回締約国会議、COP15に向けまして、すべての主要経済国の参加とそれから国際衡平性というものを確保するために全力で国際交渉に取り組んでまいりたいというふうに思っております。それで、今後の国際交渉の進展を踏まえた上で、我が国は国際約束としての中期目標を最終的に判断をすることになるというふうに考えております。  今後の国際交渉の進展を踏まえた上で、最終的な国際約束としての中期目標を最終的に判断をするというふうに考えてございます。この際、国際的な衡平性確保、それからすべての主要経済国の参加といったものが当然に大前提となるということでございます。
  79. 藤原正司

    ○藤原正司君 そういうことかな。  例えば、京都議定書なんかは政府が調印して議会が批准したんですよね。そういうことですよね。議会が批准すると、それは国際約束として効力を持つわけですね。それは間違いないですね。答弁をお願いします。
  80. 有馬純

    政府参考人(有馬純君) お答え申し上げます。  政府がそれに合意をいたしまして、それが国会で批准をされれば、当然にそれが法的拘束力を持ち、日本を縛るということになります。
  81. 藤原正司

    ○藤原正司君 私は、国際約束ということと交渉までのステップの問題というのが往々にして履き違えられる場合がある。やっぱり調印して批准したものが国際約束であり、これをきちっと遵守していくのが国としての務めであるというふうに思っておりますし、そう申し上げておきたいと思います。  その上で、我が国としてこの議定書、ポスト京都の交渉に臨むに当たって絶対に外せないポイントは一体何なのかということだと思います。この前の委嘱審査の場でも申し上げたんですが、我が国世界温暖化ガス総排出量のうち四%です。ということは、あえて言わせていただければ、我が国が地球上から消滅しても四%しか温暖化ガスは減らないということ。もちろん、この四%をどう減らすかという姿勢、意気込みは、これは国際的に大きな意味を持つでしょう。でも、減らしたものが四%のうち一五%がどうだとか二〇%がどうだ、そのことよりも、むしろ我が国が持つ省エネルギー技術だとかエネルギー転換技術だとか、温暖化に向けたトータル的な技術やとか、あるいは資本、そういうものを国際貢献してこそ大きな意味があるというふうに私は思うんですが、これからこのポスト京都に向けて交渉を進めていかれる場合にこれだけは絶対に外せないというもの、そしてそれに向けての我が国の果たすべき役割について大臣の御決意をいただきたいと思います。
  82. 二階俊博

    ○国務大臣(二階俊博君) 今、藤原先生がおっしゃいましたように、日本が幾らしゃかりきになって頑張ってもこの地球上から、四%しかシェアを持っていないという御指摘でありますが、私も、かねてより京都議定書のために御努力をいただいた諸先輩のことを思うと軽々に批判を加えることはできませんが、しかし、アメリカだとかインドだとか、あるいはブラジルもそうでありますが、中国等の超大国の存在を忘れて日本だけが京都議定書京都議定書といって旗を振りまくっても、これはもう極めて微々たる存在ではないかと、何か肝心のことを忘れていやしないのかという気持ちがありました。  ありましたが、今回、こうした立場で環境問題に取り組むに際しまして、私は絶対に外してはならないことは、今申し上げました超大国、これが逃げてしまうことのないようにしなきゃいけない。これに逃げられたのでは幾ら国際会議で立派なことを演説してきてもこれは何にもならぬわけですから、私は、アメリカや中国インドやブラジルの各閣僚や首脳とお出会いをする際には必ずそういうことを率直に申し上げておるわけでありますが、先般、インドのシン首相は、日本の技術を学んで、日本環境に取り組む姿勢を学んで我々もやるということをはっきり言明されました。私は、これは大変大きな進歩であったと思います。そのシン首相が今度の選挙で再選をされましたので、私は、環境問題一点に絞っても大変良かったと、こう思っておるわけですが、中国、アメリカにも機会あるたびにそういうことを申し上げておるわけであります。  したがいまして、こうした主要経済国が責任ある形で参加していただく、このことが第一点、絶対外せないところだというふうに思います。  そして、我が国が強みを持っております、今先生も御指摘の技術力を生かしていかに貢献をするかということがポイントだと思います。日米間のエネルギー環境技術協力や日中省エネ・環境総合フォーラム等の具体的な取組を今日まで進めてまいりましたのも、こうしたことを考えての上のことであります。  ちょうど三年前になりますか、私は、中国との間で省エネ・環境フォーラムを御一緒にやりましょうと、そして、一部の学者や一握りの経済人だけが集まって協議するというんではなくて、もっと見える形でやりましょうということで、一回の参加者の規模を千人とするということで、千人規模のフォーラムを過去三回やってまいりました。今だんだんとその成果は広がりつつありまして、日本環境技術を大いに取り入れようということで中国が一生懸命取り組もうとしておりますし、アメリカも大いに共同研究をしようというふうな状況になっておりますので、この主要経済国の責任ある行動を更に促すといいますか、推進するように我々はあらゆる方策を講じてリーダーシップを発揮していかなくてはならないと、このように思っておる次第であります。
  83. 藤原正司

    ○藤原正司君 ありがとうございました。  次に、再生可能エネルギー利用推進についてお尋ねしたいんですが、太陽光については余剰電力買取り制というものを通じて推進していこうと。そのほかの、RPS法に言う新エネルギー等について、いわゆる再生可能エネルギーについてどのように推進されていくのかということでございます。  私は、太陽光以外をもうRPSでやるという今の線引きの場合なら、また線引き、それを前提としたまた理屈があるわけですけれども、少なくとも太陽光以外の再生可能エネルギーについて今後どのようにして推進していくお考えか、まずお聞きしたいと思います。
  84. 吉川貴盛

    ○副大臣(吉川貴盛君) 私の方からお答えをさせていただきたいと存じますが、御指摘をいただきました再生可能エネルギーの推進でありますけれども、これはもう先生御承知のとおり、地球の温暖化対策のみならず、エネルギー源の多様化によるエネルギーの安定的な供給の確保にも私どもは資するものと考えておりまして、さらにまた、地域の特性を生かしたエネルギーであるために、地域経済の活性化も期待をされるのではないかと思っております。  未来開拓戦略におきましても、小水力発電、バイオマス発電などの地産地消型の再生可能エネルギー利用必要性が示されたところでございまして、このために経済産業省におきましては、補助金やあるいは税制による再生可能エネルギー導入促進するための支援やRPS法といった規制的手法など、それぞれのエネルギーに適した手法を用いることによって、引き続き再生可能エネルギー導入拡大を図ってまいりたいと考えております。  また、特に小水力発電につきましては、私ども、二階大臣のリーダーシップの下に、農林水産省や国土交通省とともに連絡会議を設置をいたしました。こうした場を活用しながら、各省の連携によりましてその導入拡大に更に取り組んでまいりたいと思っております。
  85. 藤原正司

    ○藤原正司君 再生可能エネルギーといいますか、自然エネルギーというのは基本的には太陽エネルギーからスタートしているわけでして、幸いなことに太陽エネルギーは無料でございます。太陽から請求書をもらった人もなければ、太陽にお金を払った人もいない。その意味で、太陽光、風力、小水力というのは、非常にランニングコストといいますか、発電するためのコストは比較的抑えられる。ただ、発電するための設備をどう造るかということになると、これはまた別問題になってくるから、この設備をどのような形で支援するかということが極めて大事なことではないかなというふうに私は思っております。  ただ、RPS法にしても、やっぱりこれは入札制ですから安い方から順番に入っていくわけで、エネルギー種別を限定するわけではないということになってまいりますと、当然、安い風力を中心にずっと入ってくると。そうなると、それ以外の高いコスト再生可能エネルギーといいますか、自然エネルギーの場合はどうしても難しい問題になってくる、ここをどう見るかと。安易にお客さんに見てもらうということになってしまいますと、需要家がそれを見なければならない。  これは、例えば、今日も午前中出てきておりました木質バイオの問題でも、木質バイオというのは最終的に再生可能エネルギーではあります。再生可能エネルギーではありますが、エネルギー密度が非常に小さい。で、分散しているための輸送コストが非常に高いということで、自然エネルギーにしてはちょっと異例にランニングコストが高い。これを何らかのエネルギー全体の政策の中で見るのか、エネルギー政策で見るべきものと国土保全、森林保全という面で見る部分と分担しながら見ていくのか、あるいはそれを総合的に見ていくのかというようなこと、これから大変重要なポイントになってくると思うんですね。簡単なのは、すぐそれをエネルギー政策の中で見てしまって転嫁すれば一番簡単なんですが、それだけではうまくいかない問題も出てくる。ここら辺りについて、エネルギー政策を単独でとらえるのではなくて、国の国土保全、森林政策なんかを総合的にどう見ていくかということが大変大事なことではないかと。  大臣がおっしゃっている小水力の問題も、そういう全体の中で過疎地域をどう活性化していくか、これも単に小水力が安定した電源だからということだけではなかなか難しい。そうすると、そこに電力を例えば消費するような小さな産業でも興して、そこで消費していけば非常に効率的だと。その小さな小さな小水力で発電したものを延々と何百キロも引っ張るようでは、これは全然合わないわけでして、そういうトータル的な政策というものを、是非これは省庁を超えて検討していただきたいというふうに思うわけでございます。  その上で、太陽光の普及に伴います送配電設備の系統安定化費用の扱いについてお尋ねしたいと思います。  余剰電力の買取り費用については、これは料金の別で、何か負担金という形で乗ると聞いておりますが、それ以外に系統安定化のためのトランスの増設あるいは配電線の大容量化、あるいは将来に向けてのバッテリー、あるいは賢いグリッドさん、スマートグリッドの費用とか、様々な問題については一体どこが負担することになるんでしょうか。
  86. 西山英彦

    政府参考人(西山英彦君) お答え申し上げます。  先生御質問の太陽光発電の普及に伴いまして必要となる系統安定化対策の費用負担でございますけれども、これについては、総合資源エネルギー調査会におきまして、まず最初の段階の審議をしていただいております。  対策の直接の原因者がパネル設置者であると明確に特定される場合におきましては、原因者負担とすべきものではないかと考えております。一方で、原因者が明確に特定できない対策につきましては、電気の使用者が広く受益いたしますので電気料金によって回収されることが適当ではないかと思っております。その際に、例えば蓄電池を見てみますと、蓄電池は電気を吸収するという需給バランスを取る面と、それからそこから電気を取り出すという発電設備という二つの機能がございますので、そういったことを考えますと、この費用は送配電部門及び発電部門のそれぞれに分けて費用回収することが想定されるのではないかと思います。  こういったことを考えながら、経済産業省では、データを蓄積し、実証事業ども行いまして、まず全体として何が必要なのか、それからその必要量をやっぱり最小限にするという努力をまずいたしまして、その上で公的な支援も含めて負担の在り方の結論を得るべく検討してまいりたいと考えております。
  87. 藤原正司

    ○藤原正司君 最終的には検討委員会で検討されるということなんでしょう。  ということなんでしょうが、ちょっとお尋ねしたいのは、余剰電力の買取り費用負担金ということで明確に何か外部化するというのか、何か書きましょうと。それ以外は総括原価の中で見てもらうと。だから、電気事業法でいえば第十九条の総括原価の中に織り込んで、必要があれば料金を改定しましょうと、こういうことだと思うんですね。  ただ、私はよく言うんですが、百十円と百プラス十円とどっちが高いというと、一緒なんですね。一緒なんです。外部化した、あるいは負担金としておいたものは百プラス十円なんです。いやいや、それは負担金じゃなくて、百円側がどんどんどんどん膨らんで百十円になった場合、これどっちが高いんですかといったって百十円で一緒なんです。  今後、再生可能エネルギーをどんどん増やしていかなければならない。光以外もRPS制度でやっていかなければならない。RPS制度でやっていって義務量をどんどん増やせば、当然需給関係で新エネルギー等の購入価格は上昇してまいります。それは十九条に入ってまいります。それで、結果として温暖化対策費用というのは全部それに乗っかってくるわけです。百円の方に乗っかるのか十円の方に乗っかるのかは別にして、少なくともトータル的にお客さんが払うべき金額は同じなんですから、増えてくるわけです。ここのところは分かっていただけますね。  増えたときに、片一方は再生可能エネルギーをどんどん増やすために料金が高くなると、お客さんは。片一方は何もしなければ増えないんです。化石燃料だけを使っておけば増えないんです。この問題は、今後化石燃料をできるだけ抑えて再生可能エネルギーを増やす、非化石エネルギーを増やすという政策とマッチするんでしょうかどうかということが私は出てくると思うんです。この辺りについてどういうふうにお考えでしょう。  すなわち、負担金で外へ出そうと、内部の中で、総括原価の中で料金を上げて回収しようと、結果としてお客さんが払うものは変わらない。それを特定のエネルギーを買うお客さんだけに負担させていいものだろうかと、それは税の世界じゃないでしょうかということを含めて問題提起させていただいているわけですが、いかがでしょう。
  88. 西山英彦

    政府参考人(西山英彦君) 先生のおっしゃった問題意識は私どもも持っておりまして、今先生が前提としておっしゃった百円か十円かという方の、ほかは全部百円に入るという前提であったようにもお聞きしましたけれども、必ずしも、そこも含めてこれから議論をしていく必要があると思っていまして、総括原価の在り方、これらの、今回の負担金は別としても、新エネの導入に伴って増えていく負担をどこに分類すべきかということも全体として我々としては考えてまいりたいと思っております。
  89. 藤原正司

    ○藤原正司君 是非よくよく検討していただきたいというふうに思います。  次に、これも午前中に参考人との質疑でございましたが、今後、再生可能エネルギーを飛躍的に増やしていこうとすると、どうしても太陽光ではそんなに増えない。この間の緊急対策で一挙に二〇二〇年のやつを十倍から二十倍に広げたとしても、わずか一%ですからね。ですから、今後増やしていくためにはやっぱり風力、今一番大きな再生可能エネルギーは風力だというふうに思うんですが、この風力発電機を設置していくためにいろんな制約があります。一番大きなのは実は森林法なんです。  この森林法の中で、今農林水産省の場合は、地球温暖化対策、森林吸収ということを含めてできるだけ保安林を増やそうということで、官地も民有林も含めて保安林を増やす政策が取られております。一方、風力発電所というのは、今平地やとかもう造るところは大変制限されております。この間もどこかの新聞で低周波騒音とか公害とかいう話がありましたように、もう人が住んでいるところではなかなか造れない。海にしても、デンマークやオランダのように遠浅ではないということになると、山でいい風が吹いて取付け道路が短くてできるだけ変電所の近いところ、これが風力に向いているわけですけれども、そういうところに風力発電機を設置しようとすると、ほとんどは保安林に指定されているわけです。ところが、この保安林の解除については最終的に農水大臣の判が要るんです。  ここの問題について、保安林の指定というのは、実は十一理由がありますから、米の飯と何とかはどこへでもひっつくというぐらいで、十一あれば何でも保安林に指定できる。全部を保安林に指定されている中で、今度は保安林の解除。農水省は保安林を増やそうというベクトル、一部とはいえ解除する逆のベクトルというのはなかなか同意が得られない。  今後、国の政策として温暖化対策を進めていくために再生可能エネルギーを増やさないかぬ、そのために風力を増やさないかぬというときに、保安林の解除の中に公益目的という中でこういうものも考えられないのかどうか、まず農水省にお聞きしたいと思います。
  90. 沼田正俊

    政府参考人(沼田正俊君) お答え申し上げます。  今先生がおっしゃいました保安林でございますけれども、保安林は、森林法に基づきまして、水源の涵養でありますとか災害の防備、こういった公共目的のために特に重要な森林を農林水産大臣又は都道府県知事が指定してその保全を図ってきているところでございます。こういったことで、保安林の解除に当たりましては、これら保安林の指定目的達成に支障を生じないなどの要件を満たす必要があるというふうに考えているところでございます。  具体的に申し上げますと、例えば、公的な各種土地利用計画に即したものであって、ほかに適地を求めることができないこと、それから、事業の実施が確実であること、排水施設や土止め施設など保安林の機能を代替する施設が設置される予定であると、こういったことなどの要件を満たせば農林水産大臣又は都道府県知事が保安林を解除することとしております。  風力発電施設を新規に設置する場合につきましても、ほかのケースと同様でございますけれども、個別の事案ごとに要件に照らして判断するということにさせていただいております。これまでにも、風力発電施設の設置のために保安林を解除して既に稼働しているものもございます。  私ども林野庁としても、こういった保安林の指定目的達成に留意しながら、風力発電施設の設置の要請に対し適切に対応してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  91. 藤原正司

    ○藤原正司君 今までも例がないわけではありません。ただ、極めて少ないことも事実でございまして、今後、大幅に再生可能エネルギーを増やしていこうとすると、この保安林解除の問題というのは避けて通れない。決して無意味に保安林指定がされているとは思いません。ただ、片側で森林吸収というものの増加を通じて温暖化対策をやろう、片側、再生可能エネルギーを増やすことによって温暖化対策をやろう、最終的な目標はそんなに変わらないと思うんです。  ですから、経済産業省と林野庁といいますか農水省で話し合って、何かガイドラインのような、例えば公益目的という中にそういう風力の立地だとかいうようなことが入れられるような、そういう何か仕組みといいますか、話合いができないのか、この点について経済産業省にお尋ねしたいと思います。努力を是非いただきたいんですが、大臣、お願いします。
  92. 二階俊博

    ○国務大臣(二階俊博君) 各地域で風力発電所の導入についての御意見、また御要望等が発生した場合、今議員からも御指摘になりましたように、一つは林野庁、もう一つは環境省、大変頑固に守っていただいておる関係で、容易に風力発電を設置するということが困難な状況にあります。加えて、県が加わっておりますから、知事の判断が加わってきます。この三者が大体見張っておりますと、風力発電はほとんど不可能に近いような状況の中を風力発電が何とかかんとかして、一年も二年も掛かって許認可を得てやっておるというのが現状のようでございまして、経済産業省から勝手なことを言うようでありますが、私はここは風力発電を設置した方がいいというふうなところは、今議員がおっしゃったように、それぞれの省で意見を述べ合って、最終的にはその立地できる状況が危険を伴うことがなければ、あるいはその周辺の環境を大いに破壊するというようなことがなければ前向きに対処していくというくらいのことがあってしかるべきだと思うんです。  環境問題、環境問題とみんな口では言うんですけれども、いざ何かやるといったら難しいことばかり並べて進まないというのが現状であるということを私は率直に思っております。ですから、それらに対して対応するように努力をしたいと思います。
  93. 藤原正司

    ○藤原正司君 力強い発言、ありがとうございます。是非よろしくお願いします。  ちょっと時間の関係で飛ばしますが、RPS制度についてもこれまで論議がございました。太陽光発電以外はRPS制度でやっていくというふうなお考えが示されておりますが、では、太陽光発電の余剰買取り制度がスタートして以降のRPS制度というのは一体どういうふうになっていくんでしょうか。お願いします。
  94. 羽藤秀雄

    政府参考人(羽藤秀雄君) お答えを申し上げます。  太陽光発電の新たな買取り制度導入によりまして、太陽光発電以外のRPS制度の対象となっている新エネルギー導入が遅れることのないように手当てをすると、これが基本的な方針であるということでありまして、そのためには、現在、総合資源エネルギー調査会の新エネルギー部会RPS法小委員会において御議論をいただいておりますけれども、その中では、買取り対象の太陽光発電について勧告の対象から外す、あるいは太陽光以外の導入についての目標量も設定するといったような議論が行われているところであります。こうした議論を踏まえまして、太陽光発電を除く目標量を設定するなどの適切な制度の見直しについて検討を行ってまいりたいと考えております。
  95. 藤原正司

    ○藤原正司君 委員会で答えを出されるということでありますから、それを待ちたいというふうに思いますが、もう少し具体的に、太陽光を外した場合にそれは品目別に目標量設定になるのか、太陽光を外した新エネ等を一括して目標設定することになるのか、ここら辺あたりはどういうふうにお考えなんでしょうか。
  96. 羽藤秀雄

    政府参考人(羽藤秀雄君) 現在のRPS法制度における利用目標量の設定に当たりましては、具体的に個別の新エネルギー等の電源について目標量を設定しておらないわけでございますので、基本としては、まずその発想の中で、そういう視点の中で太陽光とそれから太陽光以外の新エネルギーということを総称する形で議論を進めていくと、こういうふうなことで基本的には考えております。
  97. 藤原正司

    ○藤原正司君 じゃ、最後の質問に入ります。  これも委嘱審査の中でお尋ねしたわけでありますが、ヒートポンプの扱いについて、大臣の方から、再生可能エネルギーの中に入れていくということについて検討していきたいという答弁がございまして、先般の二十三日の委員会において、ヒートポンプが発する利用エネルギーについては未来開拓戦略の中で再生可能エネルギーにカウントするという御答弁をいただいて、大変良かったというふうに思っているわけでございます。  ヒートポンプで発する利用エネルギーというのは、効率世界ではありません。全く新しいエネルギーを、利用エネルギーを生み出す。例えばEUなんかでも、地熱利用とか大気熱利用というような形でヒートポンプの利用エネルギーをカウントしているわけでございます。とすれば、温暖化ガスを一切出さないこのヒートポンプによる利用エネルギーについて、何らかの環境利用価値に着目をした設備設置者に何らかの恩恵が返ってくるような制度づくりというものについて検討できないのか、これ一問省略しておりますが、お答えいただきたいというふうに思います。
  98. 羽藤秀雄

    政府参考人(羽藤秀雄君) お答えを申し上げます。  ヒートポンプにつきましては、今御指摘のとおり、いろいろな効率性ということだけではなく、環境価値を有する、あるいは環境価値を金銭価値に変えていくといったような視点が重要であるというふうにも考えておりますけれども、現在の具体的な例といたしましては、例えば病院や温泉施設にヒートポンプを導入するといったことによって、国内のクレジット制度においてヒートポンプの導入による排出削減事業計画の申請ということが既に十件受け付けられております。これは委員御指摘の価値として活用するという方向性に沿ったものの実例ではないかというふうに考えます。  今後とも、補助金あるいは国内クレジット制度などを組み合わせながら、ヒートポンプの普及拡大に向けて積極的に取り組んでまいります。
  99. 藤原正司

    ○藤原正司君 ヒートポンプのこの効率は、家庭用の水を温めるものだけでも、今最新のものであると四倍から五倍の効率で温めると。ビルなんかのターボエンジンを使いますと、もっと高い利用エネルギーを生み出すことができる。その意味では、このヒートポンプというのは、省エネルギー、これから我が国温暖化対策をやっていく上で一つの柱である省エネルギーの最も大きく貢献する方法ではないかなというふうに思っておりまして、今後ともそういう開拓、利用が当事者にとって物すごい力を生み出すようなそういう政策を是非やっていただきますことをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
  100. 加藤修一

    加藤修一君 公明党の加藤修一でございます。  まず最初に二階大臣にお願いしたいわけでございますが、以前から私は予算委員会でも取り上げてまいりましたが、これは国際再生可能エネルギー機関、これは日本が是非加盟すべきであると。この機関において様々な規格が日本を外して作られたりなんかしますと、極めて日本にとっては不利な状況になってしまうと。  そういう点も含めて是非加盟すべきだというふうに言ってきたわけでございますが、昨日から今日にかけてエジプトでこの関係の会議がやられておりまして、日本もこういった機関については加盟するというふうに決断をしたようでありまして、非常に私は高く評価をしたいと思っております。  問題は、これからこの機関をどういうふうに使うかということが極めて重要になってくると思います。日本環境あるいは省エネ技術、これが世界の中に確固たる地位をより一層強めていかなければいけない、あるいは国際競争力を維持確保しなければいけないという点も踏まえて、大臣、この機関についてどういう方向性を持たせるということについて考えていらっしゃるか、よろしくお願いいたします。
  101. 二階俊博

    ○国務大臣(二階俊博君) 加藤先生からは、この協議会の立ち上げ等について、日本がもっと積極的な役割を果たすべきではないかというふうな御意見をちょうだいしておりましたので、我々も機会あるごとにこの機関に対してどのような態度を取っていくかということを検討いたしておりましたが、ちょうど昨日エジプトで開催されております設立準備会合におきまして、日本が今先生からお述べになりましたように加盟のための署名を行いました。  今日は、加藤先生の御質問をちょうだいするに当たって誠に記念すべきことだというふうに思っておるところでありますが、途上国を含めて世界的に再生可能エネルギー利用促進拡大を図ることをその目的としておることは御承知のとおりであります。政府としては、我が国再生可能エネルギー産業の強みが生かされるように、この機関の活動に積極的に貢献してまいりたいと思っております。  日本は、やや最初は出遅れておるような感じがしておりましたが、幸いにして加藤先生を始め、いろいろな方々からのアドバイスもちょうだいして、これにオブザーバーとして参加しておりましたが、これからは正式メンバーとしてこの機関においてしっかりとした貢献をしてまいりたいと、このように考えておる次第であります。
  102. 加藤修一

    加藤修一君 日本は確かに物づくりの点については極めて力があると思っておりますが、ただ、世界に通用するルールをいかに作るかという点についてはまだまだ薄い感じがいたします。物づくりプラスルールということで、両輪をもって力強く進めていかなければいけないなと、こんなふうに思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。  それでは、経済危機ということでやはり経済の底割れをいかに防ぐか、あるいは雇用の下支えをどうするかと、あるいはさらに三番目として、未来投資、グリーングロースということについてもしっかり考えて、今は種をまいておいて将来刈り取るということも当然しなければいけないと、それが将来の内需拡大に大きく貢献するということになるわけでありますけれども、エコポイント事業の関係では様々な効果、例えば年間CO2削減の関係については四百万トンとかあるいは四兆円の生産誘発効果がある、あるいは雇用創出としては約十二万人というふうに試算がされているわけでありますけれども、今般、自動車の買換え補助金とかあるいは自動車税の減税等を含めて、この関係で経済効果、あるいは雇用創出、あるいはCO2削減等を含めて、どのように試算をされているか、御提示願います。
  103. 細野哲弘

    政府参考人(細野哲弘君) お答えを申し上げます。    〔委員長退席、理事増子輝彦君着席〕  エコカー、いわゆる環境対応車についての買換えあるいは購入のための補助及び税の減税措置を講じておりまして、これは、御指摘のとおり、景気対策と環境対策両面から極めて効果が大きいものとして取り組んでおるところでございます。  まず、経済波及効果でございますけれども、税の効果、それから補助の効果を両方合わせまして、自動車メーカーで約一・六兆円、関連産業を含めますと約五・一兆円というような効果があると試算をしてございます。  それから、雇用面でございますけれども、自動車メーカー及び関連の部品業界において約二・六万人の雇用を下支えする効果があると試算しております。また、鉄鋼、化学など素材も含めました全産業への雇用波及効果につきましては約十二万人というような計算をしてございます。  さらに、燃費の良い自動車の購入によって二酸化炭素の削減効果も期待できるところでございまして、これ二種類ございまして、車齢が十三年超となるものの古いものをストックとして入れ替えていくというものと、それから新しいものと二つございますが、前者の古い自動車を廃車して一定の環境性能のある新車に取り替えていくということによります効果につきましては、平均して燃費が三割ぐらい改善するということになります。また、廃車を伴わなくても、環境性能に優れた新しい車を購入するという場合にしましても、従前のものに比べて約二割の燃費の向上が期待されます。  したがいまして、こういった効果を合わせ計算しますと、年間のCO2、二酸化炭素の削減効果は合計で約百万トンというふうに試算してございます。  以上です。
  104. 加藤修一

    加藤修一君 評価できる数字だと思いますが、さらに太陽光を学校の屋根に乗せる、そういうことを含めて、耐震、あるいは情報化、それから環境教育に資する太陽光発電を乗せるという、そういう事業を展開するわけでありますけれども、ひっくるめてスクール・ニューディールというふうに言っているわけでありますけれども、これも同じようにして、今の関連の数値について是非提示してください。
  105. 岡誠一

    政府参考人(岡誠一君) お答えいたします。  先生お話にありましたように、二十一年度補正予算に盛り込みましたスクール・ニューディール構想でございますけれども、学校耐震化の早期推進、学校への太陽光発電の設置を始めとしたエコ改修、ICT環境の整備等を一体的に推進していくことによりまして、二十一世紀の学校にふさわしい教育環境の抜本的充実を図ろうとするものでございます。  本構想を経済危機対策の重要施策として実施する趣旨は、約一兆一千億円にも及ぶ国の公共投資を、次代を担う子供たちの教育環境向上のため、学校施設等の整備に投じることにより、併せて経済波及効果、地域活性化、雇用創出効果、さらには新エネルギーや省エネルギーの技術の普及向上につながる効果を期待するものでございます。  また、学校への太陽光発電導入につきましては、学校や地域における環境エネルギー教育への積極的活用を期待するとともに、再生可能エネルギーの有効活用や二酸化炭素削減といった社会全体への取組に大いに貢献するものと考えております。  公立小中学校へは早期に現在の十倍となる約一万二千校への設置を目指しているところでございますけれども、各学校に二十キロワットの太陽光パネルを設置した場合、合計の年間発電量は約二億五千万キロワットアワーと見込まれております。また、学校向けの電気料金は一般家庭の約半分程度であるため数字が小さく見えるかもしれませんが、この年間発電量の合計は約二十九億円程度となります。さらに、二酸化炭素削減効果は学校一校当たり年間十から十三トン程度削減とされ、東京ドーム約一個分の面積の森林による二酸化炭素吸収効果に相当し、約一万二千校を合計すると、年間十三万トン程度削減となります。  文部科学省としましては、今後とも、スクール・ニューディール構想の経済波及効果、雇用創出効果、二酸化炭素削減効果などについても的確に把握し、公共投資としての意義、必要性を踏まえた上で必要な予算の確保、施策の推進に努めてまいりたいと考えているところでございます。
  106. 加藤修一

    加藤修一君 確認ですけれども効果について把握するという話でありますけれども、それは、これ一兆円を超える事業費の関係について経済効果、雇用創出効果CO2削減効果等を、総枠、総合計ですね、それを出すという意味でよろしいですね。今そういう話はなかったんです、数字は提示されなかったんですけれども、そういうことでよろしいですか。
  107. 岡誠一

    政府参考人(岡誠一君) お答えいたします。  先生おっしゃいました経済波及効果でありますとか雇用創出効果につきましては様々な分析方法があるというふうに考えられますので、できる限り私ども分かりやすい方法で効果が明らかになるように努めてまいりたいと考えております。
  108. 加藤修一

    加藤修一君 私は、自動車分野でやったような形で、例えば産業連関表を基にして、それで効果を出すべきだと。それは非常に分かりやすい話ですから、それは今は用意されていないかもしれませんけれども、やっていないならばやるべしだと、そう思っていますけれども
  109. 岡誠一

    政府参考人(岡誠一君) お答えいたします。  今先生の御発言の趣旨を踏まえて検討してまいりたいと考えております。
  110. 加藤修一

    加藤修一君 よろしくお願いしたいと思います。  先ほど来からの藤原委員の方からも再生可能エネルギーの関係について話が出ておりました。再生可能エネルギーエネルギーをつくり上げる、あるいは省エネをするということで、極めてこれは低炭素社会に移行する上では大きな力としてつくり上げていかなければいけないなと、そんなふうに思っています。  そういったことで、どういうふうに大規模に、しかも機敏にやっていくかということでは、これは麻生総理にも話したというふうに言われておりますが、前東京大学の小宮山学長の話でありますけれども、自立国債と、いわゆるこれは政府が国債発行によって調達した資金で低炭素化の設備、それを購入し、個人住宅に設置し、創エネルギー、つまりエネルギーをつくる、それから省エネルギーによって得られる収益を国債の償還と利払いに充てて、償還完了後に設備を個人に寄贈するという、簡単に言いますとこういうふうに小宮山先生は言っているわけであります。  これは様々な議論が当然あるわけでありますけれども、第一に、初期投資の国による立替えがあると。ですから、先ほども話が出てきましたように、太陽光を乗せていない家庭も電力料金の反映によって納めなければいけないという、そういうことをなるべく避ける上では、ある意味では非常に意味があるんではないか。つまり、乗せれる屋根には乗せてほしいと、そういうふうなことに対応できる話だと思いますし。第二に、償還の確実性があると。また、第三に、市場枠の保証、市場規模ですね、現在、まだ低炭素社会にかかわる市場というのはこれからの段階でありますので、それを十年の間に急速にどう拡大させていくか、そういったことを考えますと、新しい産業をやはり急速に立ち上げて、その製品をいかに消費、使うかという点では非常に意味のあることではないかなと思います。  もちろん、これは国債の関係でありますから経済産業省に質問するのはちょっとお門違いかもしれませんが、それ以外の工夫も含めてこういう形でやっていけることは、例えば、ちょっと違うかもしれませんが、ESCO事業の関係を含めてあるように私は思っております。リースの関係、あるいは別の金融枠を使ってやる等々を含めて検討に値するんではないかなと、このように考えておりますけれども、二階大臣、この辺のことについてどのようにお考えでしょうか。
  111. 谷合正明

    大臣政務官谷合正明君) 再生可能エネルギー導入拡大につきましては、加藤議員御指摘のように導入の際の初期費用を抑えること、非常に重要でございます。小宮山前東京大学総長が自立国債という提案をされましたけれども、まさに機器あるいは設備の初期費用を抑えるという仕組みを提案されているものでありまして、こうした点に着目したものと承知をしております。  初期費用の軽減のためにということでありますけれども、一つは機器、設備の導入拡大することによる販売価格の低下、また技術開発による製造コストの低減が必要でありまして、このため、今経済産業省としては補助金や税制といった支援措置などにより初期費用を低減させる取組を行っているところであります。また、例えば太陽光発電におきましては、パネルメーカーが独自のローン、例えばソーラーローンといった制度もあるようですけれども、そうしたローン制度を活用することによって設置者の初期費用を抑えるといった動きも現在出ております。  当省としましては、引き続き補助金や税制といった支援措置を講じることに加えて、さらに、本法案によります太陽光発電の新たな買取り制度等によりまして総合的な取組を推進し、議員御指摘の初期費用を抑えていくということをしっかり図ってまいりたいと思っております。
  112. 加藤修一

    加藤修一君 直接的な御答弁じゃなかったんですけれども、まあいいとします。  それで、二階大臣がイニシアチブを取りました未来開拓戦略、これがございますが、中期目標で当然低炭素型の都市づくりをやっていかなきゃいけないということで、その中には当然住宅等の関係も入ってくると。住宅の関係ではやはりエネルギー生産重視へ転換、住宅等の関係ですね、そういうふうに未来開拓戦略の中ではなっている。もちろん、その中には地域に賦存する熱エネルギー利用と。廃木材等のバイオマス、あるいは温泉の排熱等の未利用エネルギーというのをどう使っていくか、あるいは太陽熱、地中熱等の地球賦存エネルギーの地産地消型の活用のいわゆる複合的導入モデル、そういった事業展開を考えているようでありますし。  この住宅の関係、建築物分野の関係でありますけれども、これは省エネのみならず太陽光発電を含むエネルギー生産、その重視をしていくという、そういう方向性、方針を打ち出したというわけでありますけれども、特に四月の一日からこれは改正省エネルギー法という話が施行されておりますので、その制度の中でいわゆる住宅トップランナー制度、これが推進されていくわけでありますけれども、この制度において住宅事業建築主の判断基準、こういうところがございます。要は、断熱性とかあるいは空調、給湯などの機器、太陽光発電によるエネルギー生産も考慮した基準というふうに伺っているわけでありますけれども、これに対応した形で、エネルギー業界やあるいはハウスメーカーの分野においては、太陽光発電プラスオール電化、あるいはさらに、太陽光発電、燃料電池、これを組み込んだ住宅販売を強化してきているように受け取ることができるわけでありますけれども、要は、従来の住宅建築物の本来の性能に、さらに年間一次エネルギー消費量、これはどのぐらい使われるかどうか、それが一つの基準として考えていこうという話になっておりますけれども、こういうことは非常に私は大事な視点だと思っております。  是非こういう方向性を更に強めていくべきであると、このように考えておりますけれども、この具体的な展開をどのように考えていらっしゃるか、国交省の方にお願いいたします。
  113. 小川富由

    政府参考人(小川富由君) お答えをいたします。  低炭素社会の実現ということにつきましては、住宅建築物における省エネ対策、これを強化するというのは非常に重要だということで、御指摘のとおりでございます。  このため、昨年、エネルギーの使用の合理化に関する法律、いわゆる省エネ法でございますけれども、これを改正をいたしまして、新たに住宅をいわゆる建て売りというような形で建築し販売をする住宅供給事業者に対しまして、新築で造ります戸建て住宅について省エネ性能の向上を促す措置、いわゆる住宅版のトップランナー制度導入したところでございます。    〔理事増子輝彦君退席、委員長着席〕  この制度でございますけれども、住宅を建築し販売する事業者に対しまして、目標となる建て売り戸建て住宅の省エネ性能の水準を定めまして、その事業者が逐次供給するものをその水準に合わせて確保していくと。したがって、目標を立てることで住宅における一層の省エネ性能の向上を誘導するというものでございます。  具体的な水準の設定に当たりましては、委員御案内のとおり、まず建物の外壁だとか窓から逃げていくそういう熱をどれぐらい遮断できるかという断熱性の問題と、それから、給湯あるいは冷暖房、あるいは換気、照明、そういった家の中で使われる設備の、これをいかに省エネルギーの性能を効率良くするかということが水準基準となりますが、それに加えまして、太陽光発電等の効果についても考慮しております。  具体的に申し上げますと、それぞれの設備などで使われるエネルギー、これを足し込みまして、そこからその家で発生をいたします取った太陽光発電などのエネルギーを差っ引いて、したがって、全体として効率が良くなるような形になった場合にその水準に到達しているというような計算をしていくという考えでございます。  この考えで今年の四月一日から施行をしておりまして、当面のチェック目標というのは二〇一三年ということで置いておりますので、その業界の方々にいろいろな創意工夫を凝らしていただいて、供給する住宅の省エネ性能のアップに努めてまいりたいと、そういうふうに考えております。
  114. 加藤修一

    加藤修一君 住宅がエネルギーをつくり出すというそういう意味では、太陽光発電などといった、そのなどの中身も極めて重要でありますので、是非鋭角的に進めていっていただきたいと思います。  それでは次に、本案にも関係する話でありますけれども、ゼロエミッション電源の話でございます。  原子力発電プラス再生可能エネルギー、これを二〇二〇年までに五〇%以上にしようという話であるわけでありますけれども、ただ、懸念しているのは、二〇一八年に九基の原発含めて造り上げて配電するという話でありますけれども、言うまでもなく、午前中もこれは質問させていただいたわけでありますけれどもリードタイムが非常に長いと、十年以上であるということを考えますと、二〇一八年に本当に九基がしっかり造られるかどうかということも含めて疑問、懸念があると。あるいは、八一%の稼働率ということについても、現在は六〇%台でしょうが、なかなか厳しいという議論もあるやに聞いておりますので、こういった様々な課題を踏まえながら、かつまた当初の予定どおりやっていけるかどうかを含めて、決意を含めて二階大臣によろしくお願いいたします。
  115. 谷合正明

    大臣政務官谷合正明君) 私の方から先に御答弁させていただきたいと思います。  まず、ゼロエミッション電源につきましては、議員今おっしゃっていただいたとおり、電力供給計画におきまして、二〇一八年までの今後十年間に運転開始する発電所として九基の原子力発電所の新増設が位置付けられております。このうち、建設中のものが三基、既に地元了解を経て建設を準備しているものが四基と着実に取組が進んでいるものと認識をしております。  一方、原子力発電所の設備利用率についてであります。昨今は約六〇%と低迷しております。しかし、過去、一九九〇年代におきまして約八〇%を超える設備利用率を維持した実績もあります。さらに今後、科学的、合理的な運転管理等によりまして設備利用率の向上は十分可能と考えております。  経済産業省としては、原子力発電推進強化策にのっとりまして設備利用率の向上を目指す、また広聴広報活動を通じた国民との相互理解、さらに電源三法交付金等を活用した電源地域の振興を通じて、安全の確保を大前提として原子力発電の着実な推進を図ってまいりたいと思っております。
  116. 二階俊博

    ○国務大臣(二階俊博君) ただいま谷合務官から御答弁を申し上げたとおりでございますが、私どもも、この原子力の問題をどう解決できるか。それは、今御答弁にもありましたとおり、約八〇%ということは過去に記録をしたことがあるわけでありますから、それをもっとクリアしていけるような対応をしなければなりませんが、いずれにしても、技術者の皆さんやあるいは大学の先生方あるいは役所の皆さんも含めて、世界最高水準の技術を日本は持っておるんだということをどこの場所でもみんなとうとうとお述べになるわけです。私は、現在は世界最高水準だというくらいのことを言っておかないと、今、日本に追い付き追い越せと言っているところがたくさんあるわけでありますから、私どもはもっともっとしっかりした対応が必要だと思っております。  そして、それぞれ政治的な条件、あるいはまたそれぞれの地域の条件等がありますから、私はいつまでもいつまでも世界最高水準を保っていけるとは思っておりません。相当の努力と多くの国民の皆さんの御協力、決意が必要だということを申し上げておきたいと思います。
  117. 加藤修一

    加藤修一君 世界最高の水準であるということについては私も認識しておりますが、谷合大臣政務官からは、建設中が三基、準備中が四基、残り二基の件についてはまだ決まっていないということだと思うんですけれどもリードタイムが長い、十数年にわたるということを考えていくと、残りの二基が果たしてどうなのかというそういう懸念は原子力部会でも相当議論があったように聞いております。そういったことについてはどうするかという、一定のその辺の見解というのはあるんでしょうか。
  118. 石田徹

    政府参考人(石田徹君) お答え申し上げます。  今先生御指摘のこの点でございますが、これは、今電気事業者の最新の供給計画の中にこの一八年度までに運開する予定のその電源として九基が予定をされているところでございます。  今政務官の方からお答え申し上げましたように、七基はそういう意味で建設中あるいは建設準備中ということでございますが、その残りの二基につきましてはまだ、今地元了解をこれから取る段階ということでございます。  ただ、今想定されておりますのは、増設の地点でございますので、比較的、地元了解が得られればその後の建設期間等は短めで済むという地点でございますので、一八年度までに何とか実現すべく事業者努力をしているというふうに承知をいたしておりますし、それを国としても支援をしてまいりたいというふうに考えております。
  119. 加藤修一

    加藤修一君 太陽光発電の関係に行きますけれども、これは再生可能エネルギーの中の当然一つでありますけれども、二〇二〇年に十倍から二十倍にすると、以前は十倍という話でありましたが、二十倍にするということになっております。あるいは二〇三〇年には四十倍という話で、これ、ゼロエミッション電源の中の再生可能エネルギー、しかも太陽光発電がそういう形で倍率が変わって、当然、それによる設備能力も当然の話でありますけれども変わると。  今まで経産省がやった中には新エネルギー産業ビジョン、これは二〇三〇年を目指しての内容でありますけれども、市場規模もそこではじいている、あるいは雇用創出効果についてもはじいている。再生可能エネルギー太陽光発電とバイオマスと風力だと、この三つを主な再生可能エネルギーということで二〇三〇年の数字をはじいているわけで、二〇三〇年が四十倍という話になってくれば、当然ほかの二つについても影響を及ぼし得るという話になってくる。  ここは、優先順位の問題と、それからそこで整合性が若干崩れてきているところについては、私は見直しをすべきであると、こんなふうに考えておりますけれども、この辺の見解についてお示しをいただきたいと思います。
  120. 石田徹

    政府参考人(石田徹君) 先生御指摘の新エネルギービジョンでございますが、これは平成十六年に中長期的な新エネルギー関係の将来ビジョン、産業ビジョンとして出したものでございます。具体的に中期、二〇年あるいは三〇年の数字につきましては、その後、これも先生よく御案内のように、昨年の五月に総合エネルギー調査会の方で長期エネルギー需給見通しというのを改定をいたしてございます。この中で二〇二〇年と二〇三〇年のそれぞれの再生可能エネルギー導入見通しを示しております。  そこで、太陽光発電については、その後の施策の更に追加効果などを織り込んで、今御指摘のような二〇二〇年二十倍、あるいは二〇三〇年四十倍という数字が示されているわけでございますが、ほかのもの、風力等につきましても、二〇〇五年比で二〇二〇年には約五倍、二〇三〇年には約六倍、それからバイオマスにつきましても同じ断面で一・八倍、二・三倍といったような導入見通しを示しているところでございます。  いずれにいたしましても、今後とも、産業ビジョンのようなものにつきましては、必要に応じてまた検討してまいりたいというふうに考えております。
  121. 加藤修一

    加藤修一君 再度ちょっと確認しますけれども、二〇二〇年までに五〇%以上と、ゼロエミッション電源は。それで、先日、会合で示された原子力の発電の関係については四〇%、二〇一〇年。だから、一〇%以上がある意味再生可能エネルギーの関係になってくる。それで、二〇二〇年に太陽光が二十倍になるということで二千数百万キロワットの話になってくる。二〇三〇年は四十倍ということですから、少なくともそのほかの二つについてはどうするかということについても数値的に明確にすべきである。  長官、今見直しをそのたびにしなければいけないという話がありました。それを踏まえて言いますと、二〇二〇年についても二〇三〇年についても更に見直しをしっかりとやっていくべきではないかと、このように考えておりますけれども、改めてその辺についてお願いいたします。
  122. 石田徹

    政府参考人(石田徹君) 今御指摘の点につきましては、今回御審議いただいておりますこの石油代替エネルギー法の改正法案、これに基づきまして今後非化石エネルギーの供給目標というものをこれ定めていくことになります。この中で、原子力、水力、地熱、太陽光、その他の再生可能エネルギーといった種類ごとにその供給数量に係る目標というようなものを定めてまいりたいというふうに考えております。その詳細は、いずれにいたしましても、法律成立しました後、審議会等において検討してまいりたいというふうに考えております。
  123. 加藤修一

    加藤修一君 時間が来ましたので。今の答弁の関係についてはよろしくお願いいたします。  以上です。
  124. 田中直紀

    ○田中直紀君 無所属の田中直紀でございます。  エネルギー関連の二法案についてお伺いをいたしますが、先ほどの原子力エネルギーの供給につきましては大変重要な位置付けをこの法案ではしておるところであると思います。新エネルギー開発についても大変力を入れていく時期ではないかと思っています。  ちょっと身近な話から、大変恐縮でありますが、柏崎刈羽原発につきましては七号機の運行再開をすることができて、大変関係者の皆さん方の御努力に敬意を表したいと思っています。引き続きまして六号機の改修に入っておるというふうに聞いておりますが、今日は薦田原子力安全・保安院長がお出かけだと思います。その辺の状況をお知らせいただければと思っております。
  125. 薦田康久

    政府参考人薦田康久君) 御説明申し上げます。  七号機につきましては、今議員の方から御紹介がございましたように、既にもう起動試験に入っておりまして、一〇〇%の出力で今動かしているところでございまして、そして、これまでのパラメーターを全部見た結果、今後普通の商業運転に入って差し支えないという、こういう結論を昨日得たところでございます。  また、六号機につきましては、さきの地震におきまして設備が壊れていないのかどうか、そういう確認と、そして、この耐震安全性につきましてこれまでチェックを行ってまいりまして、昨日の委員会におきまして、六号機につきましては、今後、制御棒を引き抜いたいわゆる起動試験に入ることについて差し支えないと、このような結論を得たところでございます。  以上でございます。
  126. 田中直紀

    ○田中直紀君 一号機から七号機まで地震によって大変な被害を受けたわけでありますが、七号機と六号機は改良型沸騰水型ということで大変この中では新しい原子炉でありましたので、修理が大変進んだということも伺っております。ただ、今後のことを考えますと、やはり今五十五基、全体であるんでしょうか、そのうちに入っているわけでありますし、稼働率が六〇%と、こういう状況でありますので、何とかこの柏崎刈羽原発の全面的な運行再開というのが大きな目標になるわけでありますけれども、沸騰水型というのもございまして、一号機から五号機ですね、そういう意味では技術的な問題も非常にあるんだと思います。もう一言、全体の改修をどういうふうに国として後押しをしていただけるか、そしてまた国として、財政上の問題もあると思いますが、どういうお考えか、引き続き伺いたいと思います。
  127. 薦田康久

    政府参考人薦田康久君) 御説明申し上げます。  柏崎の残り一号から五号でございますけれども、実は、やっぱり最初に被災した際に、まず全体的にどういうような大きな問題があるのかどうか、この辺りについては基本的にもう既に調査を終えているところでございまして、これまで大きな被害はないということ、そして、たしか三千数百であったと思いますけれども、幾つかの小さなトラブルがございました。この辺りについては既に把握をしたところでございます。  そして、ほかの一号から五号につきましても、東京電力の方からは既にどういう計画でどのようにチェックをしていくかというものについて当方の方に提出をされておりまして、我々の方でもこれにつきましてはこういう方法でいいのではないかというところについてはもう議論を終えたところでございます。  現在、東京電力では、やはり一つのチェックを行うに対しては非常にたくさんの人が要るものですから、その中で優先順位を付けまして、実際にはこれは一号であるとか五号であるとか、この辺りにつきましてチェックを掛けているところでございまして、そういうものから、我々の方として、東京電力の結果が出ましたら我々としてもしっかりと安全をチェックし、今後の対応について万全を期していきたい、かように考えているところでございます。
  128. 田中直紀

    ○田中直紀君 先ほどの参考人質疑の中にもありましたけれども、茅先生の御発言でありますが、今回の温暖化対策の達成のためには原子力エネルギー供給目標を何とか達成することが大事ではないかと、しかし大変な努力が必要だと、こういうお話も伺ったところでございます。  新しい原子力の新築につきましては先ほどお話がございましたが、我が国もいよいよ、相当前から原子力発電が稼働してきておるわけでありますから、今ある原子力発電をどう維持していくかということがこれから大きなテーマになってくるというふうに思われます。  したがいまして、先ほどの稼働率の八〇%を目標にしてという目標値も、今ある原子力をいかに再生していくかと、こういうことが大きなテーマではないかと思いますので、地震で被害を受けたという状況の中で、これは当然地元も我々も負担していかなきゃいけないわけでありますが、是非、最高水準の技術を誇っておる我が国でありますけれども、こういう不幸中の幸いといいますか、再稼働できるというような状況になっておるわけでありますから、技術も人材もこの復興に投入していただいて、二階大臣原子力技術の蓄積のために柏崎刈羽に研究所の一つでも地元は誘致をしたいと、こう言っておりますが、ひとつ御努力をいただけないものでしょうか。
  129. 二階俊博

    ○国務大臣(二階俊博君) 御答弁の前に、柏崎刈羽原発の再稼働に際しまして、お地元の先生方がちょうど当委員会にお三方いらっしゃいますが、御質問いただいております田中議員を初め、渡辺先輩やあるいは塚田議員等、皆さんが大変な御努力をいただき、後押しをしていただいておるということに対しまして、経済産業省を代表して、まず感謝を申し上げたいと思います。ありがとうございました。  先般、泉田知事も上京してまいりまして、いろいろな意見交換をいたしました。知事の御心配、また御意見等も十分承りましたので、今後、お地元と十分意思の疎通を図り、そして経済産業省と新潟県との間も十分な連携を取りながら、しっかりした対応をしてまいりたいと思います。  今、田中議員の御主張につきまして、我々も、新潟県に大変お世話になっておる状況からして、何か対応していかなきゃいけないと考えておるわけでありますが、今後の検討課題にさせていただきたいと、このように思っております。
  130. 田中直紀

    ○田中直紀君 よろしくお願いしたいと思います。  では、太陽光発電について伺いたいと思います。  太陽光発電は新エネルギーの切り札と、こういうことを言われておりますし、大いに期待のできる発電ではないかと思っておりますし、身近では既にソーラー電卓だとか、あるいはソーラー携帯電話も出てくるんでしょうか、あるいは家庭用の、住宅用には四十万戸の採用がなされておるというふうに伺っております。  また、電力会社メガソーラー発電所ということで、大阪辺りに二万八千キロワットの世界最大の発電能力を持つ発電所を建設しようということも報道されておるところでありますので、そういう面では今後の期待が大変大きいものであると思いますし、当エネルギー法案が成立をすれば更に促進ができるというふうに期待をするところでございます。  法案の中で、第一条と、それから第十三条に財政上の措置ということでうたわれておりまして、いわゆるエネルギー供給事業者、そしてまた義務供給事業者というようなことで義務化が付けられてきておるわけでありますが、一方で、やはり協力をしていく民間企業であったとしても、全体として、あるいは個々に、財政上の措置というものもうたわれているわけでありますから、同時に財政上の支援を具体的に国が後押しをしていくということが大事ではないかというふうに思っております。  したがいまして、このエネルギー供給事業者という対象がどうなるか、あるいは義務化される供給者にはどの程度の財政支援が見込まれるか、あるいは二十一年度の予算あるいは補正予算も組まれましたけれども、どういう具体的な支援策が盛り込まれたか、その辺を伺いたいと思います。
  131. 石田徹

    政府参考人(石田徹君) お答え申し上げます。  今先生御質問の太陽光の買取り制度につきましては、その対象となる義務者というのはいわゆる電気事業者ということになろうというふうに考えております。  その法律にございます財政上の措置につきましては、まさにこれ、私ども太陽光のパネルを住宅、一般家庭等で導入する方々に対する補助制度につきましても、これも予算で充実をしてきておりますし、税制上の措置なども併せて今講じているところでございます。今後につきましても、必要に応じて様々な支援措置を検討してまいりたいというふうに考えております。  そうした国の支援、それとこの新しい買取り制度等々相まって、特に太陽光につきましては、この三年から五年ぐらいの間に市場規模が拡大をしてシステム価格が半減をするというような形で自立的な普及段階に進んでいくということを期待をいたしているところでございます。
  132. 田中直紀

    ○田中直紀君 第五条から第八条の関係で、この促進を図るために、経済産業大臣は、判断基準となるべき事項について公表をする、そしてまたエネルギー需給の長期見通しに従って対策をしていくと、こういうことになるわけでありますので、この法案の主役は、やはり新しいエネルギーを提供していく事業者がしっかりとやってもらうということに対して、この法律に従って国が支援をしていくところであると思いますので、もう少しいろいろと、何年までに五〇%以上拡大をするというようなものも今後出てくるんだと思いますけれども事業者に対してどう国が個々に支援をしていくかという内容について具体的にお聞かせをいただければと思います。
  133. 上田隆之

    政府参考人(上田隆之君) この法律に基づきまして、個別の事業者は、政令で定める一定規模以上の方に限るわけでございますが、具体的なこの非化石エネルギー導入促進並びに化石エネルギー有効利用、その計画というのを出していただくことになります。その計画判断基準に合致しているかどうかという観点からチェックしながら推進していくわけでございますが、その中におきましては、当然私どもも、例えば今の太陽光であれば、住宅用太陽光の補助金であるとか税制措置であるとか、さらには系統に対する様々な影響のための実証実験であるとか、そういった支援措置を用意しております。  また、新エネルギーであればバイオマス、バイオガス、そういったものにつきましても、その導入促進のための様々な支援措置を用意しておりまして、そういった支援規制といったものを組み合わせてこの法律をしっかり施行してまいりたいと考えております。
  134. 田中直紀

    ○田中直紀君 これから政令等で具体的な内容が出てくるんだと思いますが、大体こんな内容ではないかというようなことを伺っておりますが、事業者に対して具体的な義務内容は、経済産業大臣が定める太陽光原子力等の非化石電源を二〇二〇年までに五〇%以上とする等、あるいは非化石電源の利用拡大の義務付け、あるいは太陽光発電による電気利用に係る適正な対価での買取りの義務付け、そしてまた、バイオ燃料、バイオガスの利用の義務付けが想定されておるという内容は伺っているわけでありますので、やはり需要者が当然それは便利なものだと、あるいは価格に見合っておると、そしてまた、そういう住宅を造れば今後そういう面では活用できると。これは需要の立場からの、そしてまた、購入するために若干のインセンティブがあると、こういうことはあると思いますが。この十三条で財政上の措置を講ずるというふうにうたっているわけでありますから、今やはりどう事業者にメリットがあるのかということも、義務を付けるわけでありますから、一方で、やはりインセンティブといいますか、国が具体的にこれだけ支援するぞと、将来五年にわたって、十年にわたってこれだけの財政支援をするんだと、こういう数字も持ちながら、あるいは今の予算についてもこれだけの予算化をしているんだと、こういうことを一つ話をしていただくことによって、今後のPRといいますか、国民の皆さん方に理解をしてもらう大きな大前提ではないかと思いますので、もう少し具体的にお話をいただければと思います。
  135. 羽藤秀雄

    政府参考人(羽藤秀雄君) お答えを申し上げます。  本法案に基づきまして、エネルギー供給事業者が非化石エネルギー源導入、それからその拡大ということに努めていただくわけでありますけれども、その中でも例えば再生可能エネルギー、新エネルギーということを例に取り上げますと、新エネルギー導入につきましては、事業者がその導入に当たりまして、国が二分の一あるいは三分の一といった補助金の制度を持っております。今後、こういうふうな補助制度などでの財政的な支援ということもこの包括的な取組の中で活用していただくということを私どもとしても大いに期待をしております。
  136. 田中直紀

    ○田中直紀君 以上で終わります。
  137. 櫻井充

    委員長櫻井充君) 他に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。  これより両案について討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  まず、エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源利用及び化石エネルギー原料の有効な利用促進に関する法律案について採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  138. 櫻井充

    委員長櫻井充君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、中谷智司君から発言を求められておりますので、これを許します。中谷智司君。
  139. 中谷智司

    ○中谷智司君 私は、ただいま可決されましたエネルギー供給事業者による非化石エネルギー源利用及び化石エネルギー原料の有効な利用促進に関する法律案に対し、民主党・新緑風会・国民新・日本、自由民主党、公明党及び改革クラブの各派並びに各派に属しない議員田中直紀君の共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源利用及び化石エネルギー原料の有効な利用促進に関する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講じるべきである。  一 非化石エネルギー源利用目標化石エネルギー原料の有効な利用目標等及びそれらに関する「判断基準」の検討に当たっては、他の戦略目標と十分に整合性をもたせ、各エネルギー源の特性や導入状況技術開発動向などの実態及び経済に与える影響を踏まえ、実現可能性を重視しつつ策定を進めること。また、その際には、関係審議会において慎重に審議を行うとともに、パブリックコメントを実施するなど決定プロセスの透明性を確保すること。  二 非化石エネルギー源利用促進に当たっては、基幹エネルギーである原子力等と再生可能エネルギー源との特性の違いに留意し、適切な機能分担が図られるよう条件整備等を行うとともに、化石エネルギー原料の有効な利用促進に当たっては、石油・石炭・天然ガスのそれぞれの特性に応じた有効利用が図られるよう努め、本法の目的である「非化石エネルギー源利用」と「化石エネルギー原料の有効な利用」双方の促進施策のバランスに留意しつつ、総合的な政策立案に努めること。  三 再生可能エネルギー源の利用に係る費用エネルギー使用者に転嫁する場合など、本法に基づく施策が新たな国民負担を生じさせることにかんがみ、制度設計及び施策の実施に当たっては、過重な国民負担が生じないよう、あらかじめ十分な検討を行うとともに、負担程度必要性等について国民の幅広い理解を得つつ進めること。    また、附則第二条第二項の検討に当たっては、国民負担の軽減及び健全なエネルギー市場の形成等の観点から、太陽光発電設備等の価格動向やエネルギー間の競争条件等を踏まえつつ、十分な実態把握と将来予測に基づき必要な見直しを行うこと。  四 再生可能エネルギー源の利用拡大によって、国民が利用するエネルギーの品質や供給安定性に影響を与える可能性にかんがみ、再生可能エネルギー源の利用実態の把握や利用量の調整等の必要な対応策の検討など、安定供給確保に資する取組を継続的に行うこと。また、送配電設備などエネルギー供給に係るインフラを整備・改修する場合の費用について、透明性の確保や公的負担の在り方など、公平なルールづくりを引き続き検討すること。  五 再生可能エネルギー源の利用拡大に対する支援措置の実施に当たっては、経済対策の観点も踏まえつつ、地域経済の活性化に実効が上がるよう、関係自治体の取組を促し、これと連携して、支援対象の条件や手続などについてきめ細やかな配慮を行うこと。  六 本法施行には、革新的技術の普及が欠かせないことにかんがみ、次世代の太陽光発電、蓄電池、送電線網制御、その他エネルギー関連技術の開発導入について、加速的に取り組むこと。    また、我が国が有するヒートポンプ、燃料電池など優れたエネルギー関連技術が国内外における地球温暖化対策の推進等に貢献出来るよう、利用側も含め、適切な支援措置を講ずること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  140. 櫻井充

    委員長櫻井充君) ありがとうございました。  ただいま中谷智司君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  141. 櫻井充

    委員長櫻井充君) 全会一致と認めます。よって、中谷智司君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、二階経済産業大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。二階経済産業大臣
  142. 二階俊博

    ○国務大臣(二階俊博君) ただいま御決議をいただきました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、本法律案の実施に努めてまいりたいと考えております。
  143. 櫻井充

    委員長櫻井充君) ありがとうございました。  次に、石油代替エネルギー開発及び導入促進に関する法律等の一部を改正する法律案について採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  144. 櫻井充

    委員長櫻井充君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  145. 櫻井充

    委員長櫻井充君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  146. 櫻井充

    委員長櫻井充君) 引き続き、商品取引所法及び商品投資に係る事業規制に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。二階経済産業大臣
  147. 二階俊博

    ○国務大臣(二階俊博君) 商品取引所法及び商品投資に係る事業規制に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  昨今、原油や穀物などの商品の価格が不安定化し、事業環境の先行きが一段と不透明感を強めております。このような中、原材料となる商品の価格をあらかじめ確定させ、商品価格の乱高下が事業に及ぼす影響を回避する手段を提供する商品先物市場は、産業インフラとしての重要性が高まっております。  しかしながら、我が国の商品取引所は過去五年間で出来高が三分の一になるなど十分に活用されておらず、事業者にとっての使い勝手を改善することが求められております。また、国境を越えた取引が活発に行われるようになるなど商品先物市場の構造が大きく変化する中、商品の価格が実体経済の需給を踏まえた公正なものとなるよう、商品先物市場の透明性を向上させることが国際的に求められています。加えて、個人の利用者が行う商品先物取引については、仲介業者に対する規制が整備されていない取引所外の取引や海外取引所での取引において、利用者トラブルが急増しています。  こうした課題の解決を図り、商品取引所の産業インフラとしての価値を高めるとともに、利用者の取引の安全を確保するため、本法律案を提出した次第であります。  次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。  第一に、使いやすい商品先物市場を実現します。  取引所が、その創意工夫により、事業者等のニーズを踏まえた品ぞろえや関連サービスを行うことができる必要があります。また、そのための方法として、国内外の取引所との資本連携や金融商品取引所との相互乗り入れを可能とする必要があります。このため、商品取引所の専業義務を緩和し、業務範囲を拡大するとともに、商品取引所の議決権の保有制限を見直します。  また、商品取引所法と海外先物法を一本化し、商品先物取引を行う場が国内外であっても、また、商品取引所の内外であっても、統一した規制体系にすることにより、事業者等が多様な商品先物取引を安全に行い得る環境を構築します。なお、これに伴い、商品取引所法の名称を商品先物取引法に改めます。  第二に、透明性の高い商品先物市場を実現します。  市場が複雑化し、相場を人為的に上下させる相場操縦行為の手法が複雑化していることに対応し、相場操縦行為の処罰範囲を拡大するとともに、海外当局との情報交換手続を整備することにより、国際的に協力して市場を監視できる仕組みとします。また、商品取引所の相場が実体経済の需給と離れて異常な過熱を示すような場合には、主務大臣が証拠金の引上げ等の多様な是正措置を命ずることをできるようにすることにより、相場の不安定化を防止します。  第三に、トラブルのない商品先物市場を実現します。  利用者トラブルが急増している取引所外の取引や海外先物取引について、新たに参入規制導入するとともに、行為規制を強化します。一方で、商品先物取引を行う利用者の能力に合わせて、仲介業者に対する規制程度に強弱を設ける、いわゆるプロ・アマ規制導入することによって、利用者の保護とともに商品先物市場の活性化を実現します。さらに、特にトラブルが多い取引分野については、顧客から要請されない勧誘行為そのものを禁止します。  以上が本法律案の提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。
  148. 櫻井充

    委員長櫻井充君) ありがとうございました。  以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時六分散会