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2009-06-23 第171回国会 参議院 経済産業委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十一年六月二十三日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  六月十八日     辞任         補欠選任      藤末 健三君     直嶋 正行君      塚田 一郎君     丸川 珠代君      鰐淵 洋子君     谷合 正明君  六月十九日     辞任         補欠選任      丸川 珠代君     塚田 一郎君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         櫻井  充君     理 事                 藤原 正司君                 増子 輝彦君                 山根 隆治君                 荻原 健司君                北川イッセイ君     委 員                 木俣 佳丈君                 鈴木 陽悦君                 津田弥太郎君                 直嶋 正行君                 中谷 智司君                 前田 武志君                 塚田 一郎君                 松田 岩夫君                 松村 祥史君                 谷合 正明君                 松 あきら君                 松下 新平君                 渡辺 秀央君                 田中 直紀君    国務大臣        経済産業大臣   二階 俊博君    副大臣        経済産業大臣  吉川 貴盛君    大臣政務官        経済産業大臣政        務官       谷合 正明君        経済産業大臣政        務官       松村 祥史君    事務局側        常任委員会専門        員        山田  宏君    政府参考人        内閣官房内閣参        事官       小宮 義則君        経済産業大臣官        房審議官     西本 淳哉君        経済産業大臣官        房審議官     木村 雅昭君        経済産業大臣官        房審議官     上田 隆之君        経済産業省産業        技術環境局長   鈴木 正徳君        経済産業省製造        産業局次長    立岡 恒良君        資源エネルギー        庁長官      石田  徹君        資源エネルギー        庁省エネルギー        ・新エネルギー        部長       羽藤 秀雄君        資源エネルギー        庁電力ガス事        業部長      西山 英彦君        資源エネルギー        庁原子力安全・        保安院長     薦田 康久君        国土交通省住宅        局長       和泉 洋人君        環境省地球環境        局長       寺田 達志君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○エネルギー供給事業者による非化石エネルギー  源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用  の促進に関する法律案内閣提出衆議院送付  ) ○石油代替エネルギー開発及び導入促進に関  する法律等の一部を改正する法律案内閣提出  、衆議院送付) ○参考人出席要求に関する件     ─────────────
  2. 櫻井充

    委員長櫻井充君) ただいまから経済産業委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、藤末健三君及び鰐淵洋子君が委員辞任され、その補欠として直嶋正行君及び谷合正明君が選任されました。     ─────────────
  3. 櫻井充

    委員長櫻井充君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源利用及び化石エネルギー原料の有効な利用促進に関する法律案及び石油代替エネルギー開発及び導入促進に関する法律等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房内閣参事官小宮義則君外十一名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 櫻井充

    委員長櫻井充君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 櫻井充

    委員長櫻井充君) エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源利用及び化石エネルギー原料の有効な利用促進に関する法律案及び石油代替エネルギー開発及び導入促進に関する法律等の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。  両案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑に入る前に、委員長から政府答弁者に一言だけお願いを申し上げておきます。  先ほど理事会協議で与野党とも合意いたしましたことは、質問者質問の内容に関して的確に御答弁いただきたい、そのことをお願いしておきたいと思います。  それでは、質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 民主党木俣でございます。  今日はエネルギー二法の審議ということでありまして、大変重要な法案ということで、このうち参考人にも来ていただきながら審議を進めるということでありますので、まず冒頭、大きな観点からエネルギー戦略というものが我が国として少し欠いているのではないか、欠如しているのではないかというポイント、それからあと、新エネと申しますけれども、これは基幹電源たるものであるかということ、そしてまた、時間があれば、原子力の話をさせていただきたいというふうに思っております。  まず冒頭、この新エネ定義ということから入りたいと思っておりますけれども、今回、改正代エネ法では、石油代替エネルギーから非化石エネルギーへと変わるということになります。つまりは、この中で、大変埋蔵量が可採年数も高い石炭、さらには天然ガスというものが対象から外れるというような事態になるわけでありまして、やはり私ども、エネルギーがない我が国でありますから、石炭そしてまた天然ガス位置付けというのが、安定供給という面から、まさにエネルギー戦略から非常に大事であると思うわけでありまして、特に天然ガスについてフォーカスしてみますと、焦点を当ててみますと、これ、当然ながら単位量当たりの、例えば発電単位量当たりの二酸化炭素の排出量というのが他の化石燃料と比較にならないぐらい、これ低いのは御承知のとおりだと思いますけれども、まずは、この重要な天然ガスエネルギーについてどういう位置付けを考えていらっしゃるかということを大臣から御発言いただければと思いますが。
  7. 吉川貴盛

    ○副大臣吉川貴盛君) 恐れ入ります。私の方からお答えをさせていただきたいと存じます。  本法案におきまして、エネルギー供給事業者によります非化石エネルギー源利用化石エネルギー原料の有効な利用促進することを二本柱といたしております。エネルギー供給構造を抜本的に見直しまして中長期的な安定供給を図るものでございまして、化石燃料である天然ガスにつきましては、今後とも高度利用を図る対象でもございます。  木俣議員指摘のとおり、天然ガスは、他の化石燃料に比べましてCO2の排出量が少ないことから、環境面でも優れた資源だと存じております。また、大部分を海外からの輸入に依存する天然ガスにつきましては、引き続き安定的な確保や供給に向けまして取組を行ってまいりたいと存じております。  同時に、天然ガスを効率的かつ適切に利用をしていくためには、コージェネレーション設備普及など、天然ガスの更なる高度な利用促進を今後とも図ってまいりたいと思っております。
  8. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 天然ガスも非常に重要で、今後とも重点的に使用を考えるということで、これは衆議院の方でも答弁があったかと思いますけれども、よくよくお考えいただきますようにお願いしたいと思います。  続きまして、新エネのこの定義でありますけれど、これ急に変わったりするわけなんですね。例えば、新エネ定義の中に燃料電池や又はヒートポンプというものがこれは入っておりません。もっと言いますと、かつては新エネの中に燃料電池が入っていまして、これは二〇〇四年ぐらいでしょうか、この基準が変わって新エネから外れているというようなことでありまして、どう考えても、多分ここにお集まりの委員各位燃料電池が新エネではないというふうに思う方はほとんどないんではないかと。又は、その定義によっても、これはやはり補助がなければどだいその普及ができないと、到底普及ができないものであるというような定義からしても、燃料電池というのがどうして入らないのかなということがまず一点。  もう一点は、これ私も家で付けておって、ヒートポンプ、エコキュートという商品で出ておりますけれども、別に電力会社の回し者ではありませんので宣伝する必要はありませんけれども、大変なやっぱり熱効率でございます。  かつて、消費電力量でいうと、私の家は前の大体四〇%ぐらいになったと思いますね、電気料金から考えまして。もちろん、家を断熱を厳しくしたというのもあると思うんですけれども、非常に能力の高いこの機器でありますので、これがなぜ入らないかということをちょっと教えていただけますか。大臣
  9. 石田徹

    政府参考人石田徹君) ちょっとその定義といいますか言葉の関係でございますので、まず私の方から状況を御説明をいたしたいと思います。  御質問燃料電池でございますけれども、昨年、いわゆる新エネ法、これは新エネ利用等促進する特別措置法でございますが、ここの対象になります新エネルギー利用等につきまして、昨年四月の政令改正におきまして、これは国際的な整合性という観点から、その対象供給サイドエネルギーに限定をしたということでございます。この定義の見直しに伴いまして、需要サイドエネルギーでございます燃料電池につきましては新エネルギー利用等から除外をしたということでございます。  また、燃料電池がこの今回御審議いただいております新法再生可能エネルギー源に該当するかどうかということについては、燃料電池に用いる水素原料をどこから持ってくるかというようなこともございますので、今後、専門家も交えた調査会審議会での議論を踏まえて決定していきたいというふうに考えています。  また、ヒートポンプでございますが、これも同じようなことで、これまでは、これ需要サイドエネルギーであるということで、新エネルギー利用等には該当しないということになっておるわけでございます。  ただ、今後、消費サイドの当然この新エネルギーといったようなものについても積極的に導入促進を図るべきだということで、例えば未来開拓戦略におきましては、このヒートポンプを含む再生可能エネルギー最終エネルギー消費に対する比率を二〇二〇年ごろに二〇%にまで引き上げるというような目標を掲げて、その促進を図ろうというふうに考えております。
  10. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 これ需要サイド供給サイド意味はどういうものですか、定義は。
  11. 石田徹

    政府参考人石田徹君) まさにこれ、例えばエネルギー供給事業者サイド供給するそのエネルギー源というものと、需要家サイドでこのエネルギーを起こす、あるいはエネルギーを有効に活用するという意味でのものと、そういう差でございます。
  12. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 そうしますと、今の定義だと、家庭用太陽光というのはこれは需要サイドに入りませんか。
  13. 石田徹

    政府参考人石田徹君) 新エネルギー定義といった場合に、まさに今の燃料電池の問題につきましては、これは、さっきちょっと申し上げましたけれども、需要サイド電源であるということと、むしろ、それから水素原料になります水素をどこから持ってくるのかということによってこれは大分性格が変わってくるということと、この両面から新エネルギーの方に入れていないということでございます。
  14. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 もう一回、ちょっと質問に答えてください。
  15. 羽藤秀雄

    政府参考人羽藤秀雄君) お答えを申し上げます。  太陽光発電につきましては太陽熱を利用して発電利用することということでありまして、需要サイドの新エネルギーということの違いでございますけれども、需要サイドの新エネルギーの中には、例えばクリーンエネルギー自動車であるとかあるいは天然ガスコージェネレーション燃料電池、こういったものをかつては新エネルギー定義としておりました。つまり供給サイドの新エネルギー太陽光発電に象徴されますように、供給サイドに限定しておりますのは、そこから電気利用する、あるいは燃料を得る、熱を得る、こういったところを中心として供給サイドエネルギーと称しているものでございます。
  16. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 ですから、いや、だから要するに、簡単に言うと、事業者として要は発電を主にして配るから供給ということでしょう。だから、需要サイドというのは、例えば天然ガスを使って要は燃料電池で、天然ガス改質燃料電池を回すとか、又は石油改質して燃料電池で動く車とかいうようなことだから、それは石油需要するから需要サイドと、こういうふうに言っているわけだね、今の話は。  でも、そういうことではなくて、例えば需要家が、例えば供給目的としない、いいですか、余剰ということは余剰ですから、供給目的としないで、要は自家消費ということで今度太陽電池を入れるわけですから、これは需要サイドじゃないですか。
  17. 羽藤秀雄

    政府参考人羽藤秀雄君) お答えを申し上げます。  需要サイド電力利用するあるいは熱を使うという意味では、今委員指摘のとおりだと思います。そして、需要サイドの新エネルギーと言っている中には、先ほど申しましたように自動車であるとかあるいは天然ガスコージェネレーション燃料電池というものを入れておりました。それを、これは国際的な定義の調和を取るという観点でこれを直しました。  そういう観点から、この供給サイド需要サイドということでの整理が行われたものでございます。
  18. 石田徹

    政府参考人石田徹君) 恐縮でございます。ちょっと言葉が錯綜いたしていますが、新エネルギーという概念と再生可能エネルギー、今度の法律なんかでも再生可能エネルギーという形で定義をさせていただいているわけですけれども、新エネ法促進をするという対象にしておりますこの新エネルギーの方には、先ほど来申し上げておりますように、供給サイドの新エネルギーということと需要サイドの新エネルギーというものを一応分けて国際的にも観念をしていると。  今回の法律に基づきます再生可能エネルギーというのは、これはむしろ需要サイド供給サイドという区分ではなくて、新しい再生、持続可能な自然エネルギーという形で定義をさせていただいているというものでございます。
  19. 櫻井充

    委員長櫻井充君) 速記を止めてください。    〔速記中止
  20. 櫻井充

    委員長櫻井充君) 速記を起こしてください。  どなたが答弁されるんでしょうか。
  21. 羽藤秀雄

    政府参考人羽藤秀雄君) まず、かつての定義でございますが、これは長官からも私からも先ほど申し上げましたとおり、供給サイド需要サイドということで分けておりました。そして、その中には、太陽光発電というものは供給サイドであると、それから、需要サイドについては、自動車などと並んで天然ガス燃料電池を当時需要サイドというふうに位置付けておりました。  それを、国際的な再生可能エネルギーの振興という観点議論がありましたので、二十年の四月一日に新エネ法施行令を改正する際に、再生可能エネルギーという観点でこの従来からの新エネルギー供給サイド需要サイドのすべてのものを見直した結果、太陽光発電については再生可能エネルギーであると、しかし、燃料電池については、すべてこれを再生可能エネルギーと言えるかどうかという点での疑義があるということで、これを除外をしたということでございまして、新法、現在においては、新エネルギーという中には、太陽光発電は含まれておりますけれども、燃料電池については再生可能エネルギーという観点ではないので含まれていないというものであります。
  22. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 私が言いたいのは、需要サイド供給サイドということを言われるものですから私自身も混乱したわけでありまして、要は、言いたいことは、燃料電池、エコキュート、ヒートポンプというのは日本最先端技術だと私は自負するものなんです。  是非これは大臣お答えいただきたいんですけれども、つまりは、燃料電池にしても、今年からいよいよ発売になるんですけれども、これ実は二〇〇六年の発売というのを目標経済産業省はしておりました。結果、これは実は中小企業の、ある弁の、バルブですね、燃料電池バルブ逆さ独占、普通は独占というと大企業独占するんですが、これによって普及が遅れた。それによって、経済産業省がプラットホームをつくって急いでやったら二〇〇九年のこの夏、秋ですね、にようやく市場に出ると。ただ、一キロワットのものが価格としてもちょっとどうなのかなというような、ちょっと高いというような形であるということが一点。これ、世界に冠たる私はエネルギー技術だと思うんです。  それからもう一つは、このヒートポンプも、前回、藤原議員質問されたと思うんですけれども、今これ再生可能エネルギーとして考えてもいいんじゃないかと。これは欧州の方でも言われていることでありまして、私が申し上げたいのは、日本が最先端行っているものを更に進めるという意味でも、なぜこれが、要するに革新的なエネルギーということには入るんですけれども、新エネルギーという範囲の中になぜこういったものを入れたり、又はヒートポンプが例えば国際基準となってないとしても、日本がまさに大臣がイニシアチブを取って、いや、これは絶対入れようじゃないかということを考えていただきたいということを質問したかったわけであります。大臣からお答えいただけますか。
  23. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 先ほどから御質問にありますように、燃料電池、そしてヒートポンプ、これは我が国技術が優位であるということは一般に認められているところでありますが、エネルギーの安定的な供給のために、温暖化対策という観点からもこれは重要だというふうに考えております。  燃料電池については、国際整合性などの観点から、昨年の四月、新エネルギー対象から除かれたところでありますが、先ほどから答弁のとおりであります。経済産業省としては、革新的技術として引き続きこれを積極的に支援を続けていきたいというふうに考えております。具体的には、コストの低減や耐久性の向上に向けた技術開発などを行うとともに、本年度からは世界に先駆けて本格販売が開始された家庭用燃料電池導入を支援する補助制度を創設することにいたしました。  ヒートポンプについては、これは本年四月に策定されました未来開拓戦略において再生可能エネルギーとして導入目標が掲げられたところであり、導入促進のための補助等を実施しているところであります。  今後とも、燃料電池ヒートポンプ普及拡大、これは積極的に取り組んでいきたいというふうに思っております。  以上でございます。
  24. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 続きまして、エネルギー政策においての戦略性が少し欠いているのではないかという質問をさせていただきたいと思っております。  エネルギー関連の総合的な目標として、例えばエネルギー基本計画というものが、エネルギーの憲法と、こう言われておりますけれども、こういうものがある。これは閣議決定をされるわけであります。ただし、その数値目標はこの中にはございません。もう一つ、新・国家エネルギー戦略。これはアドホックな、つまりは恒常的なものではなくてこういう戦略も一応あると。ただ、閣議決定的なものではない。それからもう一つは、長期エネルギー需給見通しというものがございます。これはまさに名前、字のごとしでございまして、長期需給見通しというのを約三年ごとに更新をしていくもので、数値も入ってございます。そして今回、代エネ法供給目標ということで、これは数値を付けながら閣議決定もされるというような。さらには、低炭素社会づくり行動計画というのも別途あるわけであります。  いろいろあるわけでありますけれども、私どもも、民主党も賛成しながらこのエネルギー基本法というのを私も主査で作らせていただいたときに私が思ったのは、やはり大目標を、つまり日本国家目標の3Eを達成しながらどうやって資源のないこの日本戦略的に行動さしていくかということでありまして、これいろいろな目標はあるんですけれども、これ束ねて、なぜエネルギー基本計画の中に数値目標を入れて閣議決定をしないのかということを伺いたいと思うんですが。
  25. 石田徹

    政府参考人石田徹君) お答え申し上げます。  エネルギー政策基本法、これは議員立法でございますけれども、当時、立法時の議論におきまして、このエネルギー基本計画は原則としてエネルギー政策についての基本的な方向性をお示しするものであるという整理がなされているというふうに承知をいたしております。したがいまして、現時点ではこの基本法、あるいは基本計画を踏まえて個別の法規等で個別具体的な計画をまた改めて定め、あるいはその具体的な定量的な目標を定めるという形で全体のエネルギー政策の体系ができているということでございます。  今回御審議いただいております改正法案におきましても、非化石エネルギー源供給源ごと目標等についてはエネルギー需要及び化石燃料供給長期見通し等を勘案して定めるというようなことで指定されておりますのもその一つだというふうに考えております。
  26. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 今お話がありましたので申しますと、非化石電源五〇%というのを今回の新法目標を設けるということでありますけれども、本来、やはりかなり大きなこれは目標になるわけでありまして、もちろん個別の法律目標設定するということも悪いということではありませんけれども、その上位法という位置付けである基本計画の中で当然にこれは義務付けを行うように閣議で決定するような計画をすべきだと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
  27. 石田徹

    政府参考人石田徹君) 恐縮でございますが、私の方からお答えさせていただきます。  エネルギー基本計画は、このエネルギー政策基本法に基づいて、大体三年ごとに基本的な方向性を示していくということでございます。  御指摘のゼロエミッション電源五〇%以上というこの目標でございますけれども、これは、昨年七月に閣議決定をされました低炭素社会づくり行動計画の中で示したものでございます。これは、平成十九年三月に策定されましたエネルギー基本計画において、原子力の推進あるいは新エネの積極的な導入という基本的な政策方向性に沿ったものというふうに承知をいたしております。  ただ、今先生の御指摘にもございましたけれども、いずれにしても、本年度中を目途にエネルギー基本計画は改定をする予定にいたしております。これまでの各種の政策との整合性を図りながら、包括的な政策目標を新たに位置付けることも含めて総合エネルギー資源調査会等の場で議論をしていきたいというふうに考えております。
  28. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 今のお答えは、もちろん行政の長、大臣ももちろん行政の長でありますが、やっぱりリーダーシップを持ってエネルギー全体を基本計画で縛っていくということを是非大臣お考えいただきたいと思うんですが。
  29. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) エネルギーの問題というのは、我々、特に我が国にとっては極めて重要な課題でありますだけに、私は、本年度中にエネルギー基本計画を改定するということでありますが、この際、重要課題を十分そこで整理して、整合性の取れたものにしていきたいと思っております。  なお、私はその際、エネルギーの問題での特に原子力等の問題については、一般の皆さんというか、我々も含めて国民の原子力に対する、何といいますか、知識のレベルというものは、まだまだ現場との間に差は極めて大き過ぎるというふうに思っておるわけです。ですから、そこを縮めていくためにはどうするかというと、私は小学校、中学校、高等学校の教育からやっぱりやっていかなきゃいけないと。  そういう点も十分勘案して、本年度中のエネルギー基本計画の改定に当たっては十分広く周囲を見渡して総合資源エネルギーと言われるものを確立していきたいと。エネルギー調査会にも御議論をいただくことになっておりますが、ただ調査会に任せておくだけではなくて、国会等での御議論をいただいたことを整理してきちっと反映させていきたいというふうに考えております。
  30. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 ありがとうございます。  是非、整合性は取れてないということではないんですが、より上位の法律であると我々認識しているものに数値も入れた閣議決定をやはりしていただければなと思うんです。  さらに、今原子力のお話がございました。確かにおっしゃるとおりでありまして、国民の原子力に対する認識は日に日に上がってはきていると私は信じておりますけれども、まだその基幹電源である原子力に対して、かつての自衛隊に対する考え方のような思いがはびこっているかと私思いますので、安全なエネルギーというと非常に私、そうではないと思うんです。やっぱり原子力エネルギーというのは極めて扱いが難しいエネルギーであるけれども、それを極めて安全に日本は使っているということは国民が知るべきであると私も思っております。  ただ、重ねて申しますけれども、閣議決定の、何ていうんでしょうか、重さがだんだん低下しておりまして、例えば経済計画でも、当時は五か年計画、七か年計画、鳩山一郎さん、昭和三十一年のころから、こういった経済計画の中には数値目標も入れながら経済計画をしていたと記憶しております。小渕内閣総理大臣のときにこれがなくなりまして、以来、政府の経済対策等々に数値を入れた閣議決定はございません、経済成長等々ですね。是非、このエネルギーぐらいは基本計画で縛るときに数値も入れた基本計画というものを閣議で了承いただくように、再度お願いをしてまいりたいと思います。  続きまして、あと十五分程度でございますが、新エネ基幹電源たり得るかというところであります。結論から申しますと、私は基幹電源たり得ないというのが結論でありますが、ただ、世界的な潮流ということで、新エネ導入の理由としては、例えば温暖化対策であったり、経済波及効果ということがございます。  では、その経済波及の効果というのがどの程度あるかといういろいろ調査をされている方があるようでございまして、例えばスタンフォード大学のハンティントン教授の論文を読ませていただきました。これは、例えば百万ドル、約一億円の投資に対しての雇用の創出効果というものを使って経済波及が他の産業と比べてどの程度あるかという分析であります。太陽光が四・五三人、風力が六・四三人、全産業の平均というのは九・七八人。つまりは、太陽光に対して一億円投資するのに対して、全産業の半分しか太陽光というのは雇用創出効果というのがないということが彼が出している結果であります。  大臣も御案内のとおり、公共投資に対しての乗数効果というのは、日本以上に実はアメリカというのは高い国でございます。そういった意味で、完全な公共投資というふうに太陽光の投資を言うのはちょっとおかしいかもしれませんけれども、半公共投資的な太陽光が全産業の約半分の雇用創出効果、経済効果しかないということを言っているわけでありまして、この辺の分析というのは経済産業省としてはされているかどうか、そしてまた、この結果についてはどういうふうに思うか、お答えください。
  31. 石田徹

    政府参考人石田徹君) まさに先生御指摘のとおり、再生可能エネルギーの雇用創出効果を測る指標というのはいろいろなものがあるというふうに考えています。御指摘のように、他産業との比較の視点というのも重要であるというふうに考えてございます。  ただ、私どもも太陽光発電の雇用創出効果いろいろ検討をいたしましたけれども、太陽光発電につきましては、原材料の調達、加工あるいはその製造、販売、施工と、かなりすそ野の広い分野にその波及が及ぶということが見込まれることに加えまして、その大半が地域の中小企業だというようなことも想定をされてございます。  今回の補正予算に基づきます太陽光発電関連の雇用創出効果が約二万一千人ということで私ども試算をいたしておりますが、こういった面ではその太陽光発電導入拡大が特に中小企業の雇用対策の観点からも有効であるというように考えてございます。
  32. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 太陽光単体で考えるとそういうことかもしれませんけれども、要は投資効果ということでありますので、ほかの産業と比べてはこうだというのを是非調査、大臣、いただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  33. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 太陽光発電の問題につきましては、いよいよ国民の多くの皆さんといいますか、希望といいますか、理想はすべての国民の皆さんの御協力を得なければならないと、そういう時点でございますから、今、木俣議員からの御指摘の問題等については十分検討してみたいと思います。
  34. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 続きます前に、御答弁の中で、これは衆議院答弁でございますけれども、二〇二〇年までに十兆円の投資をしながら十一万人の雇用を創出するという、経済波及効果も含めて十兆円ということでしょうか、十一万人の雇用を創出するというお答えをいただいたわけでありますが、これ、アメリカの例というと余り私は好ましくないんですけれども、オバマ大統領が二〇二〇年までに数字でいうとグリーンニューディールで十五兆円で五百万人雇用を創出すると、こういうことを言っておりまして、やはり規模等々も含めて少し見劣りがするのかなというような私は感じがしております。  次の質問は、温暖化対策として有効かどうかということでございます。つまりは費用対効果ということでありますけれども、実はいろいろな専門家の本を読んだり、お話を伺ってまいりました。この太陽光のみならず、いわゆる自然条件に大きく左右をされる電源、風力発電もそうでありますけれども、太陽光等々においては供給需要が一致すると。これ、電力というのは供給需要というようなものでございます。一致しないと、これも周波数が非常に乱れて、電力供給に悪影響を及ぼすという電源になります。さらに、例えば太陽光だけ考えても、総合エネ調の会長でいらっしゃる茅先生のこの文章を読ませていただきましても、これが全電源電力量の五%を超えた場合には極めてゆゆしい問題が発生するであろうと、このように結論付けられているわけであります。  実は、炭素量を、福田ビジョンでありますように、二〇五〇年、その下限である六〇%削減ケースで、これで大体四十倍、現在の四十倍の五千五百万キロワットの出力になるということであります。今回の経済産業省では更にそれを二十年前倒しにして、この四十倍の五千三百二十一万キロワットにこれを増やしていくと、こういう意見というか計画になっているわけであります。  これは実は、先ほどから申しますように、周波数が乱れたり、いろいろ自然条件に大きく左右されますので、稼働率は平均で一二%と私記憶しております。ですから、こういったものを調整するために、例えば二十分以下のその変動を調整する、いわゆるLFC調整というそうでありますが、このLFC調整に掛かるコスト、これは、つまりは追加のバッテリーコストがこのLFC調整、二十分以下の変動。それから、EDC調整というのは二十分以上の変動で、これは当然その出力が天候が曇ったりすると弱まるものですから、バックアップ電源として火力というものを急速に立ち上げるコストというもの。そしてまた、余剰電力で、特異日と申しますけれども、ゴールデンウイーク等々、需要がぐんと落ちる、又は春、又は秋、日差しは強いけれども実は需要が相当落ちる特異日にこの余剰をバッテリーで蓄電しなければいけない、こういったコスト。  これに、いわゆる今想定される発電コストの四十九円を足しますと、LFC調整に約キロワットアワー当たり八円、それからEDC調整にキロワットアワー当たり十から十五円、そして余剰電力のバッテリーコストが十五円ということになりますと、大体九十円近いというコストがこの電力の料金のコストになるわけであります。  これ比較しますと、現在、これ原価でありますが、水力が十一・九円キロワットアワー、石油火力が十・七円、LNG火力六・二、そして原子力が五・三、そして風力も約十円というようなことでいうと、八倍から九倍高い電力を国民は負担をしなければならないということになるわけでありますけれども、こういったものに対して政府の方からどういう思いをお持ちになるか、お答えいただければと思います。
  35. 西山英彦

    政府参考人(西山英彦君) お答え申し上げます。  私どもの方でも、今、木俣先生がおっしゃったような外延を視野に入れまして、新エネルギーの大量導入に伴って必要となる系統安定化対策のあるべき姿、費用負担につきましては、総合資源エネルギー調査会で検討してまいりました。その中では、原因者の特定とか料金負担論のみならず、エネルギー間の競争環境に与える影響とか、公的支援の在り方も含めた検討が今後必要であるという指摘をいただいております。これらについては、実際の運用状況のデータなどの客観的な材料に基づきまして、十分な検証や議論を行うことが必要だと考えております。  経済産業省といたしましても、今年度から全国で三百か所程度での実測データを基にした太陽光発電による出力の変動などを測定、分析する事業でありますとか、蓄電池を活用した系統安定化の実証事業などを行うこととしております。まずは、こういった実証も踏まえまして、極力費用を抑制した上で、こうした費用をどういう負担をしていったらいいかということについて結論を得るべく検討を進めてまいりたいと考えております。
  36. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 導入をこれだけ、四十倍にするという目標を掲げながら、今から考えますというようなものが今の答えだったと思うんです。これは、当然ながら、大臣が思われているその思いとは僕は違うというふうに思いますね。不退転の決意でとにかくこれ四十倍にするんだということでこれ導入をしようというふうに政治的決断で決めたということだと思いますが、今のお答えは今からまた考えましょうというようなことでありますから、これは大変な私問題が今後生じるんではないかということを危惧いたします。  先般、実はNHKが緊急にアンケートをしたテレビを私拝見しまして、各家庭での負担がどのぐらいなら許容量になるかという調査をされました。月当たり千円ならいい、四七%、五千円ならいい、三三%、一万円ならいい、二〇%という結果でありました。これ、月当たりでございます。つまりは、千円ということは一万二千円、五千円ということは六万円、一万円ということは十二万円の負担はいいよというようなことでありますが、なお、ほぼ多くは、やはりせめて千円ぐらいにしてくれよと、一万二千円ぐらいにしてくれよというようなところが国民の総意ではないかと思うわけであります。  ただ、今の政府は、太陽光だけでも、私ちょっとそろばんはじいて計算しました。茅先生の五千五百万キロワット掛ける稼働率〇・一二、一二%、掛ける二十四時間、掛ける三百六十五日で、この電力の差額の、例えば七十円と低く見ますと、四兆二千億円の負荷が掛かります。これを総電力量の一兆一千億キロワットアワーで割りますと大体四円。ということは、各家庭の月の電力量が三百キロワットアワーになりますので約千二百円と、月にですね、ということでございます。  つまりは、太陽光だけを導入しても実は一万四千四百円になるということでありまして、つまりは、かなり各家庭の思っている負担とは相当違うものになる可能性があるということが一つ懸念があります。  さらには、例えば電力が余ってしまった場合に、今欧州で起きている事象としては、さっきの特異日ではございませんけれども、大量の電力が流れていくのをこれは止めないと大停電になりますので、これを遮断するという事案がかなり出ておりますので、今の答弁のようなちょっとスローな対応では大変なことになるのではないかと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
  37. 櫻井充

    委員長櫻井充君) 済みません。時間がもうほとんどありませんので、二階大臣、御答弁いただけないでしょうか。
  38. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) この太陽光発電の問題を含め、我々は今期の中期目標を策定するに際して、企業の負担だけではなくてそれぞれの御家庭の負担というものを考えると、そう日本も安易に志高くという目標を実現するということは極めて難しいという状況でありました。ですから、我々はそのことを強く主張してまいりましたが、結果はマイナス一五%ということに相なったわけでありますが。  こうしますと、一%上に引き上げるだけでも十兆円の負担が必要なわけでありまして、それはやがて、企業にももちろん御負担を願うことにはなりますが、それぞれの御家庭での御負担というものが増えてくることには間違いないわけですから、そこのところを私たちは、これから技術革新の思い切った対策を講ずることによって、少しでも家庭の御負担を少なくするということに大いに力を尽くしてまいりたいと思っておりますが、今計算をされれば議員が御指摘のようなことになろうと思いますが、我々はそれが最終目標ではなくて、これをできるだけ低く抑えて、広く国民の皆さんにこの政策に安心して御協力いただけるように努力をしてまいりたいと、このように思っております。
  39. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 もう時間が来てまいりますが、私は、欧州とは全然もう電源の立地のネットワークも違うと。ドイツが幾ら半分を再生可能エネルギーでやるといっても、困ればフランスから買えばいいとフランスは思っておりますね。イギリスも、結局九〇年比にすれば、古い石炭火力をどんどんリニューアルすれば十分にできるという計算の中で九〇年比というのがあるということ。  さらには、地理的な条件ということも考えたら、やはり単純に、太陽光が一番だったのが今四番か五番になっちゃったから、もう一回一番になろうというのは私はいかがな目標かなというふうに思えてなりません、正直言って。  例えば百三十五万キロワットの最大出力の原子力を、じゃ電源太陽光で埋めるとしたら、この出力だけでありますけれども、稼働率を除いて考えれば、山手線の内側を全部埋めてようやくそれが達成できるというような壮大なことでございまして、太陽光を別に目の敵にするわけではありませんけれども、しかし、違うやり方がやっぱり私はあると思います。  つまりは、負担を増やすと、再生可能エネルギー導入して負担を国民にも強いるというやり方もあるかもしれませんけれども、例えばオイルショックのときに、私もまだ小学校でございましたけれども、あの一年でエネルギー量が四割削減されたというふうに私、記憶しています。もし数字間違っていたら、また教えていただきたいんですけれども。半袖のそれこそスーツを着て、大平首相ですか、いうことがあったわけでありまして、今大事なのはやっぱり家庭部門と運輸部門、これだけなんですね。産業部門はやっぱりかなりやっているというところがある。ですから、ここをどう半値八掛けぐらいのところに持っていくかというのが私は温暖化対策としても非常に大事であるので、やはりこの太陽光の大量導入というのには私は個人的には非常に危惧を思うということを申し上げまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  40. 前田武志

    ○前田武志君 民主党の前田武志でございます。  昨日の質問取りのときには予告をしていなかったんですが、今朝の報道を見ていますと、OECDの会議が今日から始まるんでしょうか。もちろん二階大臣も慌ただしい日程の中でお立ちになるというふうに承知をしておりますが、今回のOECDの閣僚会議というのは例年になく非常に大きな意味を持っているのではないかと思うんですね。世界のこの危機的な経済状況、そこに何とか先進国とG20も含めて協力し合って対応してきた、そういった成果の確認、検証みたいなのもあるでしょうし、そして、これからの非常に厳しい状況の中でどういう方向を打ち出すのか、それがローマのサミットにも通じていくんだろうと思うんです。  そんな意味で、お立ちになる前の二階大臣日本を代表してどういうような今スタンスで臨もうとされておられるのか、さらには、OECD閣僚会議の見通し、こういう方向に持っていきたいというようなところをお聞かせをいただきたいと思います。
  41. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 前田議員仰せのとおり、明日から、本会議といいますか、開催をされますOECDの閣僚理事会でありますが、これに出席をさせていただきます。  世界的な経済の回復に向けてそれぞれの国がいろいろと対策を講じてきておりますが、その成功事例等をお互いに十分議論し合って、経済とそして今国際的に注目を浴びている環境との両立、このことが一番大事ではないかと思っております。幸いにして今回は世界各国の反響といいますか関心も大変大きなものがあり、参加閣僚も四十か国を超えるのではないかと、こういうように言われております。  ここで積極的な議論を行わなくてはなりませんが、今議員が御指摘のように、危機的なこの経済情勢の中で、私たちはここでの会議の結論を土台にして来月のイタリア・サミットにつなげていきたいというふうに考えております。今、経済と環境の両立については、低炭素革命の推進に向けて参加国で一致した力強いメッセージ、しかもそれは実現可能なメッセージを発表できるように積極的な働きかけをしてまいりたいと思います。もしここで共同声明を発することができれば、七年ぶりのことでございます。ですから、大変意義のあることだというふうに思っております。  今日御審議をいただいております太陽光発電に係る新たな買取り制度の導入という点や、省エネ家電の普及のためのエコポイント制度の開始、さらに自動車、エコカーの導入促進のための補助金あるいは減税の措置などにつきまして、我が国が取ってきております対策について、閣僚理事会におきましても是非関係国にこの考え方を説明して御一緒に地球規模で対応できるようなことができれば、この会議の意義があるというふうに考えております。
  42. 前田武志

    ○前田武志君 今なかなか力強い見解を述べられました。七年ぶりに共同の宣言を出せるのではないかというようなお話でございました。特にこの経済危機を踏まえて、これを突破していくのに、今までになかったような世界、特に先進国のみならず発展途上国も含めて世界が何とか一つになって協力し合って、この人類文明の言わば危機と言ってもいいような状況を突破していこうという、そういう意気込みも感じられたわけでありますが、まさしく今この委員会で議題にしておりますエネルギー供給構造の合理化法案でしょうか、それと代エネ法、既に相当の議論が闘わされているものですから、今大臣のお話を聞いていて、まさしく全体の俯瞰図みたいなものをお述べいただいたような感じがするんですね。  したがって、これからはなるべく今までの議論との重複を避けて、日本としてどういうような対応をこれからやっていこうとしているのか、その中で特に私が指摘していきたいのは、やはり日本の持続する社会であり、持続する経済であり、そして更に言えば、日本のこの国土の在り方というものがこういうエネルギーの高度化であったり自然エネルギー導入も含めて低炭素社会を実現していく、そういったものが途上国等を特に含めてモデルを提供していくぐらいのことになれば非常に大きな意味があるのではないかと思うんですね。  確かに日本の国は、たしか一人頭でいうと年間十トンぐらいのCO2を排出しておるようですね、十・五トンかそのぐらい。例えば、二〇五〇年でどのくらいになるのか知りませんが、二百億トンぐらいのCO2というふうに仮に考えれば、推定すれば、百億人の人口だと一人頭二億トンぐらいということになりますから、それを半減せにゃいかぬということになってくると、日本の国は一人頭でいうともうとてつもない削減をやらにゃいかぬということになりますね、十分の一。しかし、全体の量でいくと、多分、二一〇〇年にもなれば日本の人口は八千万人ぐらいにもなるということですから、五十年、百年先のことを考えたら、パーセントでいうと、日本の排出する炭酸ガスというのは、温暖化ガスというのは、そんなに多いものではない。  したがって、余り対応しなくてもいいということでは全くなくて、まさしく違う新しい文明社会を構築していく、その先兵になるんだという意気込みなんだと思うんですね。今の大臣のお述べになったのもそういう趣旨なんだろうと思うんです。それだけに、今まさにいろんな困難な問題があるにしても、これを乗り越えていくという決意が必要なんだろうと思います。  そこで、幾つか確認しながら大臣と討議をしたいんですが、私が考えておりますのは、持続する社会ということより持続する国土、日本の国の面積の大半が森林といいますか農山村であるわけですから、しかもそういったところの人口というのは、今はもう既に、多分、過疎法適用地域の人口だけ取っても一千せいぜい二百万前後といいますかね、多分十分の一ぐらいなんですね、日本の人口の。しかし、国土面積からいうと半分以上を占めているわけです。そういったところの社会というよりも、基本になる経済そのものが今はもう壊滅的な状況にあります。そして、先に希望が見えない。しかし、この地域というものが日本の文化であり、日本の歴史であり、そういったものをつくってきた一番の源流であるわけですから、これは、二階大臣と私は実はかつて奈良全県一区と和歌山県とで選挙区を隣り合わせにして互いに切磋琢磨した関係でありまして、まさしく日本文化の源流の地みたいなところでやってまいりましたのでお互い共有するところがあるわけでございますけれども、そういったところを一つのモデル地区として考えていけば、自然エネルギーで自立をしていく、そういう崇高な使命をそういった地域に持たせてやることが、地域経済が持続もいたしますし、新しいモデルをつくっていく、提供していくということも可能になるだろうと、こういうふうに思うんですね。そんなことをイメージしながらこれから質疑をしてまいりたいと思います。  そこで、大臣官房が来ていると思いますが、六月十日に麻生総理が中期目標を発表されました。その概要について簡単に御説明を願います。
  43. 小宮義則

    政府参考人小宮義則君) お答えを申し上げます。  先般、六月十日に総理が中期目標について決定、発表をいたしました。  中期目標につきましては、地球全体で必要となる温暖化対策との整合性、諸外国が発表した中期目標との公平性、実現可能性、国民生活、経済への影響などを踏まえながら、昨年十一月から中期目標検討委員会におきましてオープンな場で科学的、理論的な検討を進めてきたわけでございまして、三月に六つの選択肢を提示をしたところでございます。  中期目標は家計や雇用といった経済活動、国民生活全般に大きな影響を与えるものでございますけれども、そのため、この六つの選択肢につきましてパブリックコメント、全国意見交換会、世論調査、各界の代表者からのヒアリングなど、皆様から幅広く意見を聞いてまいったわけでございます。  この中で、パブリックコメントにおきましては、ヨーロッパや米国と同じ限界費用の対策を行った場合の選択肢である二〇〇五年比四%削減を支持する意見が七割を超えたわけでございますけれども、総理自ら、日本として一歩前に出て低炭素革命で世界をリードするために、二〇〇五年比一四%削減の選択肢から、太陽光発電などの大胆な上乗せによって更に削減幅を大きくする二〇〇五年比一五%削減を我が国の中期目標とすることを決断をして発表をいたしたわけでございます。
  44. 前田武志

    ○前田武志君 一五%ということが内閣、政府としては大変な決断であったというふうに今御説明がありました。  ところで、イタリア・サミットがもうすぐあるわけでございますが、既にIPCCなんかが最近の知見で言っていますのは、二〇二〇年中期目標、これ九〇年比で二五%から四〇%ぐらいまで先進国は削減しなければもたないというようなことを指摘しているように聞いております。  このことを踏まえて、いよいよサミットに行かれる内閣の立場としてどういうふうに見通しを持っておられるのか。今のは、一五%、大変な決意のようではありますが、九〇年比でいうとたしか八%だったと思うんですね。本当にリーダーシップを発揮できるのかどうか、ひとつお考えを。
  45. 小宮義則

    政府参考人小宮義則君) イタリア・サミットを見据えたリーダーシップについてのお尋ねでございますけれども、麻生総理は、主要排出国の全員参加、環境と経済の両立、長期目標の実現という三つの基本原則に立ちまして、低炭素革命で世界をリードすべく、二〇〇五年比一五%削減という極めて野心的な中期目標を発表した次第でございます。  この中期目標でございますけれども、国際的に見ても、今回の中期目標というのは真水ベースでございますが、ヨーロッパでも二〇〇五年比で直しますと一三%減でございますし、米国オバマ政権の一四%減といった、欧米の中期目標を上回るものでございます。  また、総理は、新たな枠組みに責任を共有して参加する途上国に対しては、我が国の省エネ、環境技術を惜しみなく支援をするということも表明をしております。  我が国といたしましては、この総理の決定の趣旨を踏まえながら、七月のイタリア・サミットや本年末のCOP15におきまして途上国も含めた全員参加型の枠組みの合意を目指していくことが重要であると考えておりまして、国際交渉で引き続きリーダーシップを発揮してまいりたいと思います。  以上でございます。
  46. 前田武志

    ○前田武志君 ということのようでございますが、環境省来ていますですかな。環境省として、この中期目標というのは環境省がかかわるところが非常に多かったんだろうと思うんですが、どういうふうに受け止めておられるか、お聞かせをください。
  47. 寺田達志

    政府参考人(寺田達志君) 本年四月に総理が新たな成長戦略を発表され、太陽光発電の規模を二〇二〇年までに今より二十倍にするなどとして、再生可能なエネルギー導入量を世界最高水準である二〇%まで引き上げるというようなこの中で、麻生総理から我が国の温室効果ガスの削減のための二〇二〇年の中期目標、ただいま御説明がありましたように、関係方面からの意見を聞き、熟慮の上で決定をされたというふうに承っております。  この中期目標の考え方について麻生総理がスピーチされましたように、エネルギー効率が世界一の水準にある我が国が低炭素革命で世界をリードするため、一歩前に出て倍の努力を払う覚悟ということで決断されたものでございます。また、この目標は、国際的に見ましてもヨーロッパ、アメリカ等の中期目標を上回るものであり、かつ真水の目標であるというふうに承知をしております。また、二〇五〇年に六〇%から八〇%削減をするという我が国長期目標の実現に道筋を付けるものというふうに理解しております。  環境省といたしましては、総理が総合的に御判断なさった目標でございますので、今後は、この目標が国内外に理解され、評価されるよう全力を尽くしてまいりたいと考えておるところでございます。
  48. 前田武志

    ○前田武志君 同じような質問を経産省、どういうふうに受け止めていますか。
  49. 鈴木正徳

    政府参考人鈴木正徳君) お答え申し上げます。  私ども、この中期目標検討委員会におきます議論におきまして、様々な観点から御検討いただくデータやまた対策を提供させていただきまして議論させていただいたところでございます。今回、総理が二〇〇五年比で一五%ということで御決断をされたわけでございますけれども、この目標の実現に向けましては国民各層の理解と協力がこれは不可欠でございます。  私どもといたしましても、まず原子力発電を推進する、それから未来開拓戦略に基づく太陽光発電、またエコカー、エコ家電の導入を加速する、さらには、先ほど委員指摘ございました技術開発が重要でございまして、このような技術開発促進いたしますし、また中小企業の方々への御支援、それから地域や農業におけます再生エネルギーの活用など、この目標を実現すべく全力を尽くしてまいりたいと考えているところでございます。
  50. 前田武志

    ○前田武志君 二階大臣にちょっとここで、どういうふうにお感じになっているかお聞きをしたいわけなんですが、環境省、本当はもう少し頑張るつもりだったんではないかと思うんですが、閣内不一致というわけにもいかぬでしょうから、こういうことなんでしょう。  そして、その真水の話が再三出てきています。排出権取引であったり、特に私が多少可能性として期待をしているのは、森林関係はこの中に入っていないはずなんですよね。
  51. 小宮義則

    政府参考人小宮義則君) 今回の総理の決定、発表でございますけれども、真水ベースということで、森林のいわゆる吸収源とか、それから海外から排出枠を買ってくるというものは除外をして目標を立ててございます。
  52. 前田武志

    ○前田武志君 そこで二階大臣、森林を真水に入れないというのも、真水中の真水なんですよね、森林というのは。炭酸ガスの吸収源といいますか、今度のサミットでというよりもCOP15でしょうか、暮れのコペンハーゲンであるんでしょうか。そこで森林の問題が一つの大きな課題になるというふうに聞いておりますけれど、産業界を預かる大臣としては余り元気なことは言えないんでしょうけれど、本来もっと積極的にやらにゃいかぬものを真水でないとして落としたりしているわけですから、もう少し大きな目で見れば、日本の、先ほど大臣が述べられたあるべき姿ということに照らすと、大臣がどういうふうにお考えになっておられるのかと。
  53. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 森林の問題も当然念頭に入れておることは間違いありません。しかし、今後の交渉過程で、国内での関係者の皆さんの御理解を得るということがまず第一でありますが、次に国際社会、国際会議等において日本のリーダーシップに対していろんな国々が賛同して付いてきてくれるような、そういう状況をつくっていかなきゃいけない。そのために、我々はまだまだ手持ちでいろんな対策に対応できることを考えていかなきゃいけない。私は、森林というものは、我々の国民生活を守っていくという意味での、治水を含めて森林というものを十分活用していかなくてはならないということが一つあるわけでありまして、同時に、森林を活用して国民の皆さんにも分かりやすい、この森林が吸収する炭素という問題に対して多くの皆さんに御理解をいただくようにやっていこうと。  私はこの間、前田議員も御承知のとおり、IPEECという、いわゆる国際社会での省エネ問題に対して共に努力をしようという各国の合意を取り付け、このことは昨年の青森でのエネルギー閣僚会議等から出発して、世界各国の理解を得るべく努力をしておったわけでありますが、先般、ローマでの会議で、G8閣僚会議で了承を得ると同時に、G8に参加していない国々でも協力をしてくださるところがあって、十三か国で調印をしてこのIPEECをスタートして、省エネこそ世界エネルギーの安全保障、あるいはまた気候変動問題に対してこれを進めていくための大きなかぎとなるだろうということで、我々は青森から発したことに対して世界各国の大きな国の理解を得るところまでこぎ着けたわけでありますが、私は、ごくささやかなことでありますが、IPEECというと先進八か国が一緒に同意してスタートしたことでありますし、もうちょっと広げれば、十三か国が調印をしたわけでありますから、IPEECの森というのを私は世界各地に造っていくことがいいのではないかということで、今発祥の地の青森とこの交渉をいたしております。  当然、前田議員のお地元も私の地元も同じような地形でございますから、この間も、先生も御承知の和歌山県の北山村の村長にこのことを話したら、我が方は木のことであれば、木材のことであれば何でもおこたえできますから、すぐ私たちの地域、人口わずか千人足らずの村でありますが、私のところがそのIPEECの森を造りますよと、こう言って元気のいいお答えをいただいたんですが、私はこれを全国各地に広めていくと同時に、調印をいただいた世界各国にも御理解をいただいて、森林資源という問題を、改めてエネルギー問題、気候変動問題に活用していくということに力を注いでいきたいと私は考えております。
  54. 前田武志

    ○前田武志君 森、緑、木の文化が出てまいりました。  そこで、四月九日に総理が記者発表された「新たな成長に向けて」というのがありますね。先ほど来、もう既にいろんなところで議題になっているわけですが、指摘をされているわけですが、その中で、たしか低炭素革命を日本がやるんだと、世界のリーダーとして低炭素革命を進めるんだというような趣旨の記者発表であったと思うんですね。二〇二〇年で市場創出五十兆円だとか、あるいは新築公共建物のゼロエミッション化だとか、そんなことも指摘をしているようであります。ちょっとここのところを官房に聞こうと思っていたんですが、ちょっと後の質問等で時間がなさそうなので、関係のところだけ今こうやって申し上げました。  そこで、国交省が来ていると思うんですが、先ほど来同僚議員の質疑を聞いておりましても、省エネの中で民生部門というのが非常に大きいわけですね。民生部門ということになってくると、住宅であり、それから建築物ですね。その建築物、住宅関係の省エネについては、よほどドラスティックな対応策を打たないと、今までのような延長線上の省エネではなかなか言っているようなことは実現しないのではないかと思うんですが、住宅局長さん来られていますか。ひとつお考えを。
  55. 和泉洋人

    政府参考人(和泉洋人君) 御指摘のとおり、民生部門、なかんずく住宅、建築物の省エネ対策が急務でございます。  まず、昨年の通常国会で省エネ法の改正をさせていただきまして、従来届出を義務付けておりました二千平米以上の建物につきまして、規制の強化、具体的には、命令、罰則まで持ち込んだと。もう一点は、更に加えて、一定の中小規模、これ三百平米以上と、こう予定しておりますが、そういったものにまで届出義務を課すと。加えて、住宅のいわゆる建て売り分譲業者、年間百五十戸程度以上を供給する者については、いわゆる住宅版トップランナーというような仕組みで、現行の省エネ基準を上回る基準の達成を義務付けると、こういった改正をさせていただきました。  また、加えまして、今委員指摘のように、もっとドラスティックにモデル的な事業もしていくべきだと、こういったこともございまして、昨年から住宅・建築物省CO2推進事業、民間のプロジェクトに対しまして直接国が支援をする、こういった事業もスタートして、去年は五十億でございましたが、今年は七十億の予算で今進めております。  さらに加えて、ストック対策というようなことで、既存住宅の省エネ改修、こういったことにつきましてもなかなか進まないものですから、これも直接国が支援をしようというようなことで、これも平成二十年度は五十億円の予算、今年は百億円の予算で、民間のそういった省エネ改修の事業に対して直接支援をすると、こういったことも進めてまいりました。  さらに、加えまして、個別の住宅につきまして誘導するために、いわゆる住宅金融支援機構の証券化支援の融資におきまして、そういった省エネ措置の高い住宅については〇・三%、十年間金利を下げる、あるいは更に高いものについては二十一年度から二十年間引き下げる。こういったことをすると同時に、今年度から住宅の省エネ改修税制。従来はローン型でございましたが、今回は手金であっても二百万円を限度に一〇%、二十万円の税を減額する、こういった様々な措置を講じてまいりました。  こういった措置を全面的に講じてしっかりと住宅、建築物の省エネ対策を推進してまいりたいと思っていますし、加えて、二〇二〇年という目標が出てまいりましたので、今申し上げましたような措置を更に深掘りするためにどういったことが可能なのか、こういった観点から現在社会資本整備審議会で更なる検討をしていただいていると、こんな状況でございます。
  56. 前田武志

    ○前田武志君 ありがとうございました。  実は私ども民主党におきましても、住宅問題、住宅政策というのを特別の委員会をつくってずっと検討してまいりまして、今、中間まとめもやり、ほぼ方向性が出てきたところなんですね。  今のお話を聞いておりまして、日本の、ここは経済産業委員会なんで余り住宅問題はこれ以上申し上げませんが、御指摘のことは努力としては分かるんですけれど、世界の相場からいうと本当の住宅、建物の断熱というようなものにはなってないんですね。  一つは、問題は、どうしても新築住宅というものが対象になっている。やっぱり、五千万戸あるわけですよね。もうほとんどの御家庭がマイホームを持っているわけであります。充足しているんですよね、家族数からいいますと。その住宅が、マイホームというものが、実は二十年か三十年たつと産業廃棄物になるという、こういう住宅政策が間違っているわけなんですよ。ここに、実はバリアフリーであったり省エネであったり耐震であったり、そういった改修を加えて資産価値を高める。そして、その省エネたるものも、トップランナー方式というその個別のパーツの一番いいやつをということじゃなしに、住宅なら住宅、建物なら建物全体の省エネを図る。  ドイツなんかは、というよりも、EUがたしか二〇〇三年に京都議定書を受けてEU指令、住宅、建物に対する省エネ指令というのを出しております。それを受けて、EU諸国は非常に厳しい省エネ政策を取ってきたんですね。その一番進んでいるのがドイツとどこだといいましたかな、スウェーデンと聞きましたかな、そういったところが、それぞれの住宅にエネルギーの省エネ基準というものの、何といいますかね、証明書を発行する。その証明書がファイブスタークラスになると非常に価値が高くて、高い値段で売り買いもできるし、また家賃ももらえるというような制度までになってきているんですね。そのくらいのことを考えてほしいなと、我が民主党は考えますから、ということを申し上げておきます。  そこで、環境省さんに聞きますが、GLOBEインターナショナルというのがこの間ローマでありました。その結果について簡単に御報告ください。
  57. 寺田達志

    政府参考人(寺田達志君) 去る六月十二日から十三日にかけまして、ローマにおいてGLOBEインターナショナル議員フォーラムが開催されました。前田委員にも御出席をお願いしたというふうに聞いております。  このフォーラムでは、G8、ラクイラ・サミット及び主要経済国フォーラム、MEFと申しておりますけれども、ここに提言をするための宣言が取りまとめられております。宣言の中では、G8等先進各国首脳に対して再生可能エネルギー、省エネルギーの推進のほか、中期目標の約束、世界規模の炭素市場の設立等を要請しているものと承知しております。
  58. 前田武志

    ○前田武志君 そこで、今お聞きしたのは、このGLOBEというのは、御承知のように、地球環境国際議員連盟というんでしょうか、日本もGLOBEジャパン、谷津先生が会長をされておられますね。今回、私も小杉先生と一緒に出席してまいったんですが、今お聞きしたのは、そのGLOBEが宣言という形でまとめて、それをG8にぶつけると。結構、これ毎年G8の前にGLOBEのインターナショナルをやって、これは世界の各国の議員の代表が集まっての宣言でございますから、相当の政治的なある種の意味合いを持っているんですね。そこで再生可能エネルギーというものが一つのテーマになっているということを大臣にも聞いておいていただきたかったわけでございます。私自身は、土地利用変化と生物多様性という難しいテーマでプレゼンテーションをやってまいったわけでございますが。  さてそこで、自然エネルギー再生可能エネルギーということについては、見方を変えれば言わばそれこそ低炭素社会といいますか、炭酸ガスをニュートラルに排出しないで済むようなエネルギーであるわけですから、どこまでこれを本当に開発利用できるようにするのか、その議論がずっと続いていて、現実の今の状況から敷衍して考えると難しいところだらけ、なかなか進まないんだろうと思うんですね。しかし、冒頭申し上げたように、あるいはまた大臣の御決意、OECDに行く御決意の中にもあったように、やはりこれを相当の重きを置いて日本が先導的にやっていくという政治意思がなければ、これはもうなかなか進まないんだろうと思います。  そこで、経産省にお聞きをするわけでございますが、今こうやって課題になっている再生可能エネルギー、いわゆる自然エネルギーですね、太陽、風力、バイオマス、小水力、そういったことについて今回の法案では対象になっていないようでございますが、次に考えておられるのか。この太陽以外の自然エネルギーについてどういうような取扱いになっているのか、お聞きをしたい。
  59. 羽藤秀雄

    政府参考人羽藤秀雄君) お答えを申し上げます。  太陽光以外の風力やバイオマスといった自然エネルギー導入促進につきましても、経済産業省といたしましては従来から、これらの新エネルギー導入する事業者に対しましてその導入を支援するための補助制度を設けておりますし、また、これらの新エネルギーについて、電力会社導入義務を課しておりますRPS法といった規制的措置を講じておりまして、こういったものを組み合わせていくことによりまして自然エネルギー導入の拡大ということに取り組んでいるところでございます。  これに加えまして、今般、太陽光以外の風力、バイオマスなどの自然エネルギー導入につきましても、これらが後退をしないように、RPS法上の手当てを行うべく、現在、総合資源エネルギー調査会議論をいただいているところでございます。  今後とも、この議論を踏まえまして、規制と導入の支援、そして自主的な取組を適切に組み合わせて、自然エネルギー導入について取り組んでまいりたいと考えております。
  60. 前田武志

    ○前田武志君 そうですね。まあまあそういうことなんでしょうが、問題を過疎地域の話にちょっと持っていきましょう。  先ほど冒頭申し上げたように、大体、日本の国土の五四%が過疎法適用地域なんですね。そして、人口でいうと約、日本の人口の十分の一ぐらいでしょうか。しかし面積は五四%。自治体の数でいいますと、これは合併後でありますが、四割ぐらいなんでしょう。こういったところが日本の国土だとか歴史だとか文化の源流となってずっと伝えているわけですから、ここが自立できるようにしていく。しかも、この自然エネルギー利用する技術というものは、その土地土地、あるいはちょっと技術の高度なものであっても近傍の地方の中核都市にはあるわけですよ。だから、これは中小企業庁を始め経済産業省にとっては一番大きな経済政策になってくるのではないかと思うんですね。  実は一年半ほど前の経産委員会で私はこの問題を取り上げて甘利大臣とやったことがあるんで、もう余り深くは申しませんが、少なくともこの過疎法適用地域と申しますのは、平成二十一年度、来年の三月の末で過疎法が切れるんですね。もうその先は、今までのような過疎法的なそういうものはやらない。多分、総務省で起債のいろんな手当てなんかはやるんでしょうけれど、むしろこの地域に、まさしく地球環境時代には、我々の地域こそこの日本の国土をもう一度再生させる基地なんだと、そして歴史、文化を伝えていくそういう地域で、我々は自然エネルギー利用という崇高な使命を実現していくんだという目標を与えてやるべきだと思うんですね。  ということは、大臣、いかがでしょう。まあ十分の一ぐらいのところですから、こういうところは全部買い取ればいいんですよ。小水力も、それから太陽はもちろんのこと、森林バイオマスも風力も買い取るという制度を入れれば、持続的にあらゆる地域で、北海道から沖縄まで、いろんな職種のビジネスが継続的に起こってまいりますよ。いかがでしょうか。
  61. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 過疎対策につきまして大変心温かい御質問をちょうだいして、私も大変意を強くしております。  かねて過疎対策の法律というのは、今先生もお示しになりましたとおり、時限立法で議員提案でやってきたわけでありますが、それがいよいよ切れるということでありますから、新しい過疎法ということを今それぞれの党でもお考えになっておられるときだと思っておりますが、私は、単なる延長というんではなくて、具体的にこのことによってこの国が救われた、この過疎地域が本当によみがえったというふうなことでなければならぬ。  私が中心になってやっておりましたときには、通信格差の是正というのを入れさせていただきました。道路が遅れている、あるいは鉄道が遅れているということは目に見えるものですから、これはこれでまた解決の方法もあるんですが、通信格差というのはこれはちょっと厄介で、なかなか目に見えない。しかし、携帯電話が聞こえないとかというだけで観光のお客さんもやってこないと、こういう問題も抱えておったわけでありますが、今度は、今議員が御指摘になりましたように、地球温暖化の問題を中心に、過疎地域が国土の半分を担っておるわけでありますから、この優位性というか、この特徴を生かしてどう過疎対策と地球温暖化の問題をマッチさせていくかということも、これは十分考えられる問題であろうと思います。  そして、今議員もおっしゃいましたが、歴史や文化の宝庫でもあるわけです。このことをもっと重要視して考えていく、そこに予算を投入していくことにおいて、大方の議員の皆様、つまり都市選出の議員の皆さんにもこのことに御理解いただけることになるのではないかと思うわけでありますが、今度の過疎対策は、法律が期限を迎えるということは改めて一つのチャンスだと私は思っております。これについて我々は、経済産業省の分野からもやれることは積極的に対応させていただきたいと思っております。  先般から私は、土地改良なんかのときに余った水をどう活用するかというふうな観点ももちろんあるんですが、我々、今太陽光発電等でいろいろ国民の皆さんにお願いをしているわけでありますから、小水路を活用して電気を起こすと。それは小さい電気であるかもしれませんが、これも集めれば相当なものになるわけでありますし、鳥獣の被害等で困っておられる地域に対して、この微量な電気を活用して鳥獣に対してのチャレンジをすることができるわけでありますから、今このことを経済産業省と農林水産省で一緒に取り組んでみたいということを考えておりましたが、今農林水産省の方も大変積極的に検討いただいて、昨日も農林水産省の局長がわざわざ私を訪ねてくれました。そして、国土交通省にも河川という面からも一緒に参加していただこうということで、三省が合意してこういう問題にこれから取り組んでいきたいと思いますが。  今議員が大変大事なことを御指摘をいただいたと思っております。というのは、この過疎対策、今おっしゃるように、人口にしてわずか、この国土の割合にしてもう極めてそこにお住まいの人数が少なく、年々減っていく、しかも年々高齢の度合いを重ねていくということからしますと、人口だけの問題で進めていくということは大変難しい問題でありますが、我々は、避けて通れない、そのまま放置することのできない重大な政治課題だというふうに考えております。
  62. 櫻井充

    委員長櫻井充君) 時間が過ぎておりますので。
  63. 前田武志

    ○前田武志君 終わります。
  64. 荻原健司

    ○荻原健司君 自由民主党の荻原健司です。  早速、エネルギー法案について御質問をしたいと思っておりますが、今朝は随分曇りがちだったんですが、日中には真夏日になるのではないかということで、大変暑くなることが予想されております。いずれにしても、これから日本も夏に近づいていく中で、電力需要量が更に増していく時期に入ってきたかなということをつくづく思う中で、また、特に低炭素社会の実現であるとか地球温暖化防止に向けてこのような法律が今まさに審議をされているということは大変時宜を得たものではないかなということをつくづく思っております。  さて、この度の法改正、いろいろありますけれども、目玉の一つは、私はやはり太陽光発電の固定価格買取り制度ではないかなというふうに考えております。この制度を実効あるものによりまして、国内の二酸化炭素排出量の削減、また先ほど申し上げました低炭素社会の実現、地球温暖化防止、こういったことが実現されるよう大変期待をするものであります。  さて、太陽光発電の固定価格買取り制度といいますと、これは私だけではないと思いますが、特にドイツという国を思い起こします。ドイツは、二〇〇四年以降だったと思いますけれども、それまで太陽光発電の累積導入世界一位でありました我が国日本、これを抜いて現在世界一位、住宅の設置率だと思いますけれども、現在世界一位の座にあります。まだしかし日本は第二位ということでこの二位を堅持をしている状況であります。  ドイツが太陽光発電の累積導入世界一位を獲得した背景には、もちろんこのドイツ版の買取り制度が始まったからであるということを考えますと、政府太陽光発電の設置に補助金を出すようにもなりましたし、また今般の買取り制度、こういうものが始まれば世界一位の座の奪還ということは可能かもしれません。  しかし、仮にそうなれば、私としては、環境先進国としての日本の評価というのは高まるんだろうなということを考えますが、ただ単に世界第一位の座を奪還しようということだけの目標というのはもちろんないと思いますし、それだけを目指すということだけではもちろんいけないわけでありまして、やはりこの補助事業であるとか買取り制度が実施されることによって国内の太陽光発電導入量が更に拡大をして製造コストが下がる、よって設置者の負担が軽減をしていくと、こういういい循環につなげていくということが大変重要だろうというふうに思っております。また同時に、やはり製造メーカーさんにはこのことを通じて更なる技術革新に取り組んでいただき、他のエネルギーに比べていまだ高い発電コスト、これを下げる努力をしていただきたいなというふうに思います。  いずれにいたしましても、この太陽光発電を全体的なコストダウンにつなげていくためには、ただ単に数を出せばいい、出荷すればいいということだけではいけないというふうに思います。繰り返しですけれども、やはり更なる研究を深めて技術革新に取り組む必要があるだろう。  そうしますと、産業界だけではなかなか十分ではないのかな、やはり産学官、こういうものが連携をして更なる取組の強化を主導していくことが重要だというふうに私は考えておりますが、まずは経済産業省としてはどのようにお考えか、お伺いしたいと思います。
  65. 石田徹

    政府参考人石田徹君) お答え申し上げます。  太陽光発電導入拡大でございますけれども、今先生も御指摘されましたように、短期的には三年から五年の間に太陽光発電システムの価格を現在の半額程度に低減するということを目指して、現在、買取り制度を始め大規模な導入支援策を講じようとしているわけでございます。  ただ、それだけではなくて、まさに御指摘のとおり、より中長期的には更なる、ある意味では革新的なコストの低減を、その実現を目指していくという努力も必要だろうというふうに考えておりまして、このために中長期的な視点で研究開発を産学官挙げて推進していくことにしております。  具体的には、昨年度から革新型太陽電池国際拠点整備事業というものを産学官連携事業として開始をいたしております。新たな材料あるいは構造を活用して発電効率を現在の三倍から四倍程度の四〇%程度にする、あるいは発電コストを火力発電並みである現在の約七分の一の水準、これキロワットアワー当たり約七円程度ということを想定していますが、まで低下させるような革新的な太陽電池開発に取り組んでいるところでございます。  こうした取組等を産学官で進めることで、更なる低コストで高効率なシステムの開発あるいは導入につなげていきたいというふうに考えております。
  66. 荻原健司

    ○荻原健司君 ありがとうございました。  三年から五年で今のおよそ半額にしていこうという大変大きな目標に向けて是非、先ほどの御答弁のとおり、産学官の連携を深めて、それが実現するように取り組んでいただきたいと思っております。  この分野というのは、太陽光発電あるいは太陽光電池というのは非常に日本の得意分野で、現在世界シェアの四分の一程度を獲得している分野、得意分野でありますので、先ほども各委員から御質問ありましたけれども、やはりこれは日本の経済の底上げにつながっていくものですし、また雇用の創出にも直結をしていくものだと思いますので、是非とも力強い推進を期待をしたいと思っております。  さて、次は原子力エネルギーについて御質問をいたしたいと思いますが、今申し上げましたように、太陽光発電、それから風力も含めてですが、再生可能エネルギー、また新エネの推進、これ大変いいことだと思いますけれども、この度の法改正をもってすぐさま非化石エネルギーですべて賄えるというのはもうこれは非現実的であります。例えば太陽光発電については、原発一基のエネルギーというのは、太陽光発電だと山手線内の面積すべて太陽光パネルで埋めて同等というようなことですから、なかなかこの法改正をもって、じゃすぐにというのはこれは非現実的なんだろうなと。  そうしますと、やはり化石燃料の有効利用原子力利用、これを適切に組み合わせる、こういうことが重要かというふうに思います。中でも、特に原子力エネルギーにつきましては、低炭素社会の実現とエネルギー安定供給の両方の要請にこたえることができますので、今後も引き続き推進していくべきものと考えております。  そこで、原子力エネルギー政策について御質問をいたしますが、今世界各国が低炭素社会の実現、温暖化防止、こういう観点から原子力政策を見直していると、また力を入れ始めたということを伺っておりますが、今諸外国、世界の情勢はどのようになっているのか、お伺いしたいと思います。
  67. 石田徹

    政府参考人石田徹君) ただいま御指摘のとおり、エネルギー安定供給あるいは地球環境対策の観点から、世界的に見まして原子力発電を評価する流れが急速に拡大をしております。言わば原子力ルネサンスと言われる状態でございます。  具体的には、米国は三十年ぶりに新規原子力発電所の建設に動き出しておりますし、また、中国、ロシア、インドにおきましては、今後二十年以内にそれぞれ二十基以上の新規建設計画があるという状況でございます。また、欧州におきましても、原子力発電に消極的でありましたフィンランド、イギリス、イタリアを始めとする欧州各国が原子力発電の新規建設に方針を転換した状況でございます。さらに、今後新規に原子力発電所の建設を検討あるいは予定をしている国は、東南アジア、中東を中心に二十か国以上に上ると、こういう状況になってございます。
  68. 荻原健司

    ○荻原健司君 ありがとうございます。  もうお話を伺っているだけで、本当にこれから各地域・国で原子力発電所が建設をされていくんだなということが予想されます。  そうしますと、今の御答弁からすると、原子力ルネサンスというような言葉がありました。とにかく、原子力発電所の建設ラッシュというのがこれから予想されます。そうしますと、日本原子力発電技術というのは極めて高いと伺っているわけなんですが、我が国の高い技術世界に売り込む大変なビジネスチャンスが到来しているのではないかというふうに私は思っております。もちろん、核不拡散とか原子力安全あるいは核セキュリティー、こういうものはしっかりと確保しなければならないことはもちろんそうですが、この原子力産業の国際展開に我が国もどんどんどんどん積極的に推進していくべきではないかと私は考えておりますが、いかがお考えか、お伺いしたいと思います。
  69. 松村祥史

    大臣政務官松村祥史君) まさしく荻原委員指摘のとおりであろうと考えております。  原子力先進国たる我が国が積極的に国際協力を進めまして、世界エネルギー安全保障や地球温暖化対策に貢献を果たしていくことは極めて大きな役割であると考えております。また、御指摘原子力産業が積極的な国際展開によりまして海外での受注を獲得していくことも、我が国が持つ高い技術力や優秀な人材の将来にわたっての育成、維持、またエネルギー安定供給を確保していく上でも重要なことであると考えております。  具体的な方策といたしましては、まず、新たに原子力発電導入する国におきましては、人材や制度を整備していく必要がございます。このため、これまで我が国の経験を生かしまして、まず政府間の協力の枠組みを構築いたします。また、研修を始めとする人材育成や安全規制、核不拡散体制などの制度整備への協力を進めてまいります。また、一基数千億と言われておりますプラント建設に向けましても、公的金融の活用も進めてまいります。  政府といたしましても、我が国原子力産業の国際展開を積極的に支援してまいる所存でございます。
  70. 荻原健司

    ○荻原健司君 松村務官、ありがとうございました。大変力強い御答弁をいただきました。  まさに、単に我が国技術を売り込んで稼げばいいということだけではもちろんないと思います。平和利用、また人材育成、いろんな諸外国に対してやはり貢献をするんだと、こういう気持ちをきちんと持って取り組んでいただくことによって更なる国際展開に取り組んでいただければなというふうに思っております。  ただ、もちろん一つ懸念をしていることがありまして、これは何かというのは、日本原子力発電所の設備利用率ですね、設備利用率というのが大変低下をしているというふうに伺っております。これはいろいろ理由があると思います。かつて、電力会社の自主点検記録の不正問題だったり、もちろん設備のトラブルがあったり、最近では地震の影響と、いろんな影響があるのではないかなというふうに思っております。  ここでちょっと御質問したいんですが、日本の原発の設備利用率は一九九八年度に八四・二%を記録したのが過去最高だったと伺っておりますが、その後、そしてまた現在今設備利用率というのはどのように推移をしているか、お伺いしたいと思います。
  71. 西山英彦

    政府参考人(西山英彦君) 一九九八年度以降の原子力発電の設備利用率でございますけれども、九九年度から二〇〇一年度にかけましては八〇%程度でございました。しかし、二〇〇三年度、二〇〇七年度及び二〇〇八年度を取り上げますと六〇%程度というふうになっております。  具体的な理由といたしましては、まさに荻原委員指摘のとおり、二〇〇三年度は東京電力の自主点検記録の不正問題に起因する点検など、また二〇〇七年度及び二〇〇八年度は、二〇〇七年七月に起きました新潟県中越沖地震によります東京電力柏崎刈羽原子力発電所の運転停止が大きく影響しております。  このように、近年の日本原子力発電の設備利用率は、不正問題でありますとか地震などの影響によって低くなっております。
  72. 荻原健司

    ○荻原健司君 ありがとうございました。  ここ数年は六〇%程度、〇八年が五八だったですかね、ですから六〇%も割っているような状況にあるということなんです。ちょっと時間がないので簡単で結構なんですが、米国とか諸外国はどうなっているか、二、三例挙げていただければと思います。
  73. 西山英彦

    政府参考人(西山英彦君) IAEA、国際原子力機関のデータによりますと、二〇〇七年におきまして、米国は九二・〇%、フランスは七五・八%、ドイツは七四・四%でございます。
  74. 荻原健司

    ○荻原健司君 そうしますと、原子力発電原子力エネルギー先進国と自負をしながら、ただ設備利用率というのは現状は六〇%あるいはそれを切っている。米国については九二%、極めて高い数字です。  そうしますと、先ほど松村大臣政務官から積極的な国際展開をという御答弁をいただきましたが、これが一つネックになって、とはいえ日本の設備利用率が低いじゃないかというようなことになりかねないかなと私なりには心配をしております。是非とも設備利用率、もちろん安全の確保というのは一番重要です。また、地域住民への理解、一番重要なことではございますけれども、是非ともこの設備利用率の向上に向けて、また産業団体と、様々な課題があろうかと思いますが、こういうものを、課題を共有していただいて利用率の向上に取り組んでいただきたいと思いますが、いかがお考えか、御答弁をお願いしたいと思います。
  75. 石田徹

    政府参考人石田徹君) 御指摘のとおり、我が国原子力発電に対する国内外の信頼を確保する観点からも、設備利用率の向上というのは非常に重要だというふうに考えております。  そのために、先般、六月十八日になりますけれども、原子力発電推進強化策というものを取りまとめて公表させていただきましたが、この中で設備利用率につきましても主要利用国並みに向上させることを目指すべきであるという認識を明確にいたしまして、具体的には八〇%程度にまで回復させることを目指すということでございます。  まさに今先生御指摘のとおり、設備利用率の向上に当たりましては、事業者の不断の努力による安全あるいは安定運転の実現というのが基本にはなりますけれども、いろいろな規制との関連等、信頼性、安全性を地元との関係でも確保していくということの中で取組を強化をしていく必要があるというふうに考えております。御指摘のような産業団体との課題の共有というようなことも含め、今後積極的に取り組んでいきたいというふうに考えております。
  76. 荻原健司

    ○荻原健司君 ありがとうございました。是非今の御答弁のとおり取り組んでいただきたいと思います。  時間ですので、最後一言だけ申し上げたいのは、今日は原子力エネルギー政策について御質問させていただきましたが、推進と同時に、やはりこれは電力を使えば、また原子力発電所を設置すればするほどもちろんごみがたくさん出てくるわけで、要は高レベル放射性廃棄物処分事業のことなんですが、かつて四国のある町が公募によって名を上げたら、そのまた出直し選挙なんということがあったりしました。それを受けて、国としても直接申込み方式を併用するというようなことにもなりましたけれども、是非ともこういったことについても、原子力エネルギー政策の推進と同時に、あるいはまた別の問題としても、こういった問題について積極的な取組をお願いしたいと思います。  ついては、先ほど大臣の御答弁にもありましたけれども、特にやはり国民の理解あるいは教育レベルからしっかりやっていくということも必要ではないかということを思っております。是非とも一体的な推進をお願いをいたしまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  77. 塚田一郎

    塚田一郎君 自由民主党塚田一郎でございます。よろしくお願いを申し上げます。  法案質問に入る前に、ちょっと昨日の新聞に気になる記事が出ておりましたので、これをちょっと聞かせていただきたいんですが、韓国、リチウム電池規制という内容でありまして、昨日の読売新聞にこの記事が出ていました。韓国政府がパソコンやデジタルカメラなどに使われるリチウムイオン電池について七月一日から新たな規制を実施することが明らかになったということで、この時期に七月からということでちょっとびっくりしたわけでありますが、以前からこういう状況があったのかもしれませんけれども、日本製品への影響も含めてちょっと懸念がされるわけでありまして、まずこの点について、どのような状況で、今政府として、経産省としてどのように対応されているのか、御説明いただければと思います。
  78. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 御指摘の韓国の新たな規制でありますが、今議員もおっしゃったように、我々にとっても突然のことでございます。  しかし、これは大変重要な問題であり、事実上の貿易障壁となるおそれがある、こう判断いたしましたので、私は目下、記者会見やいろんな場を通じて韓国側に伝わるように、我々の、我が国の懸念を伝えておるところでありますが、今週ジュネーブで開催されるWTOのTBT委員会、いわゆる貿易の技術的障害に関する委員会におきましても、我が国として抗議を申し込むと同時に、新たな規制について韓国政府と十分意見の交換、真意のほどを確かめたいと、このように考えております。  私自身も、先ほど質問にありましたようなことで、今度のフランスに出張するに際しまして、何とか韓国側と意見交換ができる場をつくりたいという努力をいたしておりますが、それがもし時間的に可能でなければ、韓国の日本大使館との間でも話合いをしたいと思っておりますし、今度の日曜日、たまたま李明博大統領が首脳会談で日本にお越しになりますので、そういう機会も活用したいと思っております。  首脳会談にこの問題を持ち出すことが適当かどうかということに関しては、先ほど申し上げましたように、韓国の真意というもの、あるいはそのことの影響がどんなものであるかということを十分調査の上、慎重に対応していきたいと、このように考えておるものであります。
  79. 塚田一郎

    塚田一郎君 よろしくお願いいたします。  韓国は現地メーカーのシェアが高いということで、どの程度日本メーカーに影響があるのかということはまだはっきりしないと思うんですけれども、いずれにしても、どうも昨年の秋以降のこの経済状況の中で、世界的な保護主義の風潮が、アメリカのバイ・アメリカン条項ですとか中国政府の調達に関する規制ですとか、いろいろ出てきている。これは、やっぱり世界的に保護主義の動きが出るというのは危険なことですので、引き続ききちんとした対応をお願いしたいというふうに思います。  次に、法案の内容に入ってまいりますが、先ほど来からずっと地球温暖化対策の中期目標、マイナス一五%という数字についてのいろんな御意見、出ております。これについてどの程度の世論の反応があるのかというのを少し調べてみました。  そうすると、ちょっと面白いというか理解できない結果が出ておりまして、どういうことかというと、調査によってこの削減値に対する評価が分かれているんですね。ある新聞の調査によると、妥当だという数字が四九%、別の世論調査によると削減幅が大き過ぎるという答えが五七・六%と、全然違う答えが出てきているということで、少し聞いてみたんですが、どうも削減幅が大き過ぎる、厳し過ぎるという、これは共同通信の調査のようですけれども、こちらの方は具体的な、どれぐらいのコストが負荷されるかというようなことも少し盛り込んだ質問になっていたようで、その辺で少し違いが出てきたのかなと。  いずれにしても、やはりこの地球温暖化という大きな全体の世界目標についての国民の理解はあるけれども、実際の細かいところまで行くとなかなか理解が進んでいないということが一つ言えるんじゃないかというふうに考えます。特にコストがどれぐらい掛かってくるかということはやっぱり国民各層が非常に注視をしているということでありますし、その意味経済産業省として今後どのようにこの政府目標達成に向けた国民の理解を高めていくのか、これについて御説明いただきたいと思います。
  80. 吉川貴盛

    ○副大臣吉川貴盛君) 今回の総理の御決断でありますけれども、これはもう世界のトップを行く省エネ国家としての率先して低炭素革命を実現していくという強い決意を表明されたものと私どもは理解をいたしております。  ただ、その実現はこれは容易なことではないことも確かでもございまして、広く国民の皆様の御理解を得ることが最も重要だと考えておりまして、試算によりますと年約七万六千円にも上る国民負担を少しでも下げるためにも、経済産業省といたしましては、技術開発促進需要の創造によりますコスト低減の実現をしていかねばならないと考えております。  具体的には、安心、安全を大前提といたしました原子力発電の推進であります。さらに、未来開拓戦略に基づきます太陽光発電などの開発導入加速などに関係省庁の御協力もいただきながら強い決意で取り組んでまいりたいと思っております。  その上で、国民の皆様に対しまして地球温暖化対策に対する御理解、御協力をお願いをしていかなければならないと思っております。
  81. 塚田一郎

    塚田一郎君 まさに、その負担が七万六千円という今お話がありましたが、これがやはり国民として許容できる部分なのかという、この辺が少し今回の世論調査では分かれてきたところの理由なのかなというふうに理解をしております。その意味で、今お話があったとおり、できるだけその負担軽減ということを併せて行っていかないとなかなか本当の意味での世論の理解というのは得られないのかなというふうに思いますので、引き続きお願いを申し上げます。  それに関連をしてですが、先ほどから再生可能エネルギーの、これはもう拡大を図っていくということは我が国にとっても世界的にも重要なことであるけれども、エネルギー全体の中でのベストミックスというのをやっぱり考えていかなければいけないというような御指摘があったかと思います。特に日本の場合、原子力エネルギーを含めたエネルギー供給のベストミックス、これはどのように図られるのかというのが重要な視点だと思いますが、その点についてそれぞれのエネルギー導入比率のバランス、特に原子力を中心にして今後どのように考えられているのか、御説明いただきたいと思います。
  82. 石田徹

    政府参考人石田徹君) 議員御指摘のとおり、太陽光を含むこの再生可能エネルギーでございますが、これは二酸化炭素の削減に寄与する一方で、そのコストが高いとかあるいはその供給量に限りがあるといったような課題も当然ございます。そのため、原子力の新増設や利用率の拡大あるいは化石燃料の有効利用等も含めまして、他のエネルギー源と適切に組み合わせることによって地球環境問題の解決とエネルギー安定供給のそのバランスを図っていくということが重要であるというふうに考えております。  今お尋ねの数字でございますけれども、長期エネルギー需給見通しの最大導入ケースにおきましては、一次エネルギー供給の構成比でございますが、原子力が二〇〇五年の一二%から二〇二〇年には一八%、新エネルギーや水力等を含む再生可能エネルギーなどが同じく六%から八%に増加をする一方で、石油等が四七%から四〇%、石炭が二一から二〇%、天然ガスが一五%から一四%に減少するというような見通しを立ててございます。
  83. 塚田一郎

    塚田一郎君 ありがとうございます。是非これがきちっとそうした目標に沿って進んでいくということが重要だと思いますので、よろしくお願いをしたいと思う次第であります。  先ほど原子力の稼働率についてお話がありました。六〇%ぐらいだという平均値でありますけれども、申し訳ないことは、新潟の柏崎刈羽原発も長くお休みをさせていただいておりまして、ようやく七号機が試運転中ということであるんですけれども、この辺は地震という状況ではありましたが、我々としては早くこのエネルギー供給ができるようにということで、渡辺先生もここにいらっしゃいますけれども、地元として取り組んできたわけでありますが、ようやっと動き出したということでありまして、この辺、ほかの号機も含めて運転再開に向けた状況と今後の見通しを教えていただきたいと思います。よろしくお願いします。
  84. 薦田康久

    政府参考人薦田康久君) お答え申し上げます。  柏崎刈羽原子力発電所七号機につきましては、今先生から御指摘ございましたように、現在一〇〇%の出力で試運転運転を継続しておるところでございます。また、六号機につきましては、起動前に行います試験の結果について現在評価を取りまとめていると、こういう状況にあるわけでございます。今後、この七号機の試運転結果の最終的な評価及びこの六号機の起動に関する安全性の評価を速やかに取りまとめまして、地元を始めとします関係者に説明をしていきたいと、このように考えているところでございます。また、他の号機につきましても安全性の厳格な確認を鋭意続けていると、こういうところでございます。
  85. 塚田一郎

    塚田一郎君 ありがとうございます。  そういう状況下で、事、夏のエネルギー電力供給の見通しは大丈夫なのかなということなんですが、この点についてはいかがでしょうか。
  86. 石田徹

    政府参考人石田徹君) この夏の電力の需給状況でございますが、一般電気事業者十社のこの夏の電力需給につきましては、約一億七千九百万キロワットの最大需要電力に対しまして約二億キロワットの供給力を予備的に確保するということで、適正予備率の八%を上回る約一一・七%の供給予備率がございます。そういう意味では、安定した供給が全国的には見込まれているということでございます。  また、一都八県、関東圏に電力供給しております東京電力について見ますと、約六千百万キロワットの最大需要電力に対しまして現時点では約六千四百万キロワットの供給力ということで、供給予備率が約五・二%ということで、その適正と言われる八%を若干下回っているという状況です。このため、東京電力におきましては、柏崎刈羽七号機を含めた試運転電力の活用でありますとか、あるいは自家発余剰の購入等により約三百万キロワットの追加的な供給力を見込んでおります。これによりまして約一〇・一%の供給予備率が確保できる見通しということになってございます。  当省といたしましても、この夏の電力需給について引き続き注視をして、万全を期してまいりたいというふうに考えております。
  87. 塚田一郎

    塚田一郎君 今日も外は大分暑いようでありますし、今年の夏も暑くなるのかなというふうなことが考えられますので、是非しっかりとその辺を把握していっていただきたいというふうに思います。  少し飛ばしまして、太陽光の買取り制度とRPSの関係について御質問をさせていただきます。  今回、太陽光発電の買取り制度が導入されるわけですが、従来からのRPS制度との相入れない部分が出てくるんではないかという懸念があるわけですけれども、今後もこの制度、RPSはそのまま行くんでしょうが、その辺についてどういうふうに割合を考えていらっしゃるのか、お願いします。
  88. 石田徹

    政府参考人石田徹君) お答え申し上げます。  まさに我が国、これまでRPS制度でありますとか導入補助金で新エネ導入を進めてきたわけでございます。今回、太陽光については新たに買取り制度の導入を決めたということでございますが、基本的には、今後とも我が国におきましては、RPS制度を導入の中核と据えながら新エネルギー導入を進めていきたいというふうに考えてございます。  ただ、この買取り制度との関係については、確かに買取り制度の下におきましては、対象となります太陽光発電導入量は買取り価格に応じてむしろ決まってくるという性格がございます。RPS法の場合は、その義務対象者である電気事業者が買取りの調達の努力をするということが期待をされているわけでございますけれども、今回の買取り制度は、むしろ義務的に一定の価格での買取りが義務付けられるというものでございますので、ややそこに性格の差が当然出てまいります。  したがいまして、今回の買取り制度の導入を受けて、RPS法において太陽光発電をどのように位置付けるか、対象から外すということは考えておりませんけれども、どのような位置付けをしていくかについては、今後、新エネルギー部会のRPS法の小委員会というのを立ち上げまして、そこで専門家を交えてしっかり検討したいというふうに考えております。
  89. 塚田一郎

    塚田一郎君 RPSについてはこれからも存続をしていくと、ただし太陽光は外すわけではなくて、それも含むということで理解をしてよろしいわけですよね。  そうすると、政府平成二十六年度にRPSの買取り目標を百六十億キロワットアワーというふうな目標を設定しているわけでありますけれども、太陽光の買取りがこれから大幅に拡大をすると、太陽光だけで目標の大方が達成されるという可能性が出てきた場合に、そのほかの再生可能エネルギー、風力、地熱、バイオマス、小型水力とか、こういうところの普及が進まなくなるんじゃないかという懸念を考えざるを得ないわけでありますが、この点についてどのようにうまくコントロールされるつもりなんでしょうか。
  90. 石田徹

    政府参考人石田徹君) まさに今先生御指摘のように、この太陽光の買取り制度の導入によってそれ以外の新エネルギー導入がRPS法の下でかえって進まなくなるというようなことになってはこれはいけないというふうに考えております。  具体的な詳細は、今申し上げましたように新エネルギー部会の下で速やかに議論をしてまいりたいと考えておりますけれども、例えば太陽光を除く新エネルギー分についての目標量を別途定めるというようなことも含めて、適切な制度見直しについて検討を早急に行ってまいりたいというふうに考えております。
  91. 塚田一郎

    塚田一郎君 是非、それは大変重要なことだと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。太陽光だけが特出しになっていくということだと、ほかのやっぱり再生可能エネルギーの推進がどうしても消極的になっていくということは否めないわけでありまして、その点をやはりうまく経産省の方で制度をつくっていただいてやっていただかないとうまくないと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。  先ほど地球温暖化対策の中期目標に対する国民理解というお話をさせていただいたわけでありますが、今回の太陽光発電の買取り制度導入もこれはやはり国民の理解が前提だというふうに思います。つまり、すべての人が太陽光パネルを手に入れられるわけではないわけでありますし、一方で、買取り価格というのは電気料金に上乗せをされることになるという前提でありますから、そうすると、持てる人と持てない人の中でのアンバランスが生じると、それを一律に電気料金として賦課をされるということになると国民の中での不公平感というものが出てこないとは限らないと思います。  今、全国の戸建て住宅が約二千六百万戸というふうに言われています。そのうち日照時間が五時間以上の住宅が約六五%とすると千七百万戸ぐらいなんですが、少なくとも、まず前提条件としては、六五%以外の人は導入しないのかもしれないですし、残りの六五%の中でもいろんな理由で太陽光パネルを導入されない方は当然いるわけでありますから、その中での限られた割合がこの制度の恩恵あるんですけれども、一方で、そうじゃない方にとっては負担が増えてくるということでありまして、この辺についての国民理解、これを政府としてきちっと組織的、全国的に対応していただくことが重要だと思うんですが、まずこの点について大臣いかがでしょうか。
  92. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 大変重要な御指摘であるわけでありますが、太陽光発電の新たな買取り制度は、太陽光発電導入拡大に向けて、国民の皆さんに、広く多くの皆さんに御参加いただくとの考え方で、買取りに要する費用をこれまた国民の皆さんにできるだけ広く薄く御負担をお願いすると、こういうことを想定しているわけであります。  このため、新たな制度の内容や必要性、負担の水準などについて国が先頭に立って御説明をしていく必要があると考えております。そこで、制度開始前の本年五月に北海道から沖縄まで全国十か所でソーラータウンミーティングというのを開催をさせていただき、意見交換会を催したわけでございます。延べ二千名程度の国民の皆さんに御参加をいただいたわけでありますが、私はこの数が多いのか少ないのか、考えればもっともっと対応しなきゃいけないということも考えておる次第であります。  今後とも、買取り費用の負担の程度などについて積極的に情報提供を行うとともに、電力会社の皆さんとも協力し、また工事費用等についても、できるだけ地元の中小の大工さんとか工務店、いろいろな関係者の皆さんが手際よく対応していただけるようにして費用負担の軽減等を考えておりますが、制度開始後も積極的に広報をしっかり行って、多くの皆さんに御理解を得つつこの理想に向かって推進をしていくということが大事だと考えております。
  93. 塚田一郎

    塚田一郎君 是非よろしくお願いいたします。  この太陽光発電の買取り制度そのものも十分にまだ認知されていない部分もあると思いますし、ましてや、それに伴って電気料金が上乗せになるということは知らない方がほとんどではないかと思いますので、これからまさに、今広く薄くとおっしゃっていただきましたけれども、そうした視点でやっていただきたいと思いますが、さはさりながら、料金は上乗せをされるということでありまして、この買取り制度導入に係る料金の上乗せの幅ですね、どの程度の見通しというふうに考えていらっしゃるのか、それは国民理解の得られる水準だというふうに、でなければ困るわけですけれども、考えておられるのか、この点について御説明いただきたいと思います。
  94. 谷合正明

    大臣政務官谷合正明君) 今般の買取り制度につきましては、標準家庭、大体月七千円の電気料金を負担する家庭ということでありますけれども、一か月当たりの負担を数十円から最大でも百円程度と見込んでおります。  これを国民の理解が得られる水準かということでありますけれども、先ほど大臣答弁がありましたが、今回の太陽光発電普及拡大というのは、将来の経済の活性化、雇用創出又は中長期的なエネルギーの安定的な供給の確保の実現といったメリットがありますので、そうしたメリットを国民全体が広く享受するということでありますので、今後とも、経産省としても国民の皆様の御理解と御協力を得ていきたいと考えております。
  95. 塚田一郎

    塚田一郎君 数十円から一般家庭で百円程度ということですから、最大でも年間千二百円ぐらいということなのかなというふうに理解をしました。  これが妥当な水準かどうかというのはなかなか、私個人の見解だけではない、皆さんのいろんな御意見があると思いますけれども、最近ハイブリッド車が非常に売れているということは、初期の導入コストが掛かってもランニングでお金が掛からない方がいいという国民の意識があるのかななんと私は思っているんですが、つまり、いろんな設備を投資して、その結果安くなれば、電気料金が、いいんでしょうけれども、むしろそうじゃない部分が出てくるとなると、やっぱり消費者感覚からいうと少しの値上がりでもこたえる部分がある。特に現下の経済状況下では大きいのかなというふうな意識もありますので、引き続き、是非理解、普及に御尽力をいただきたいというふうに思います。  次に、太陽光発電普及をしてきた場合の電力系統との問題が生じないのかといった視点から御質問をさせていただきます。  我が国電力系統は東と西で周波数が異なります。系統規模は東日本で八千万キロワット、西日本で一億キロワットというふうに言われているそうであります。これに対して、先ほどからお話が出ています欧州の系統規模は四・一億キロワットということで、単純に言えば、それぞれの、東西の地域の四倍規模であります。そうすると、これらのエネルギー、いわゆる太陽光エネルギーが新たに導入をされた場合の周波数変動の許容量は、単純に見れば欧州の方が日本の各エリアよりも四倍ぐらい耐えられるようなイメージなのかなと思うんですが、こうした前提を考えつつ、ドイツなどの今再生可能エネルギー普及に比べて、今私どもの日本は、もし今後そういう太陽光が非常に増えてきたときに、そうしたエネルギー普及する場合に電力系統に問題が生じないのか、電力安定供給がそれによってできなくなるようなリスクは生じないのかという懸念があります。これについてどのように考えられているか、それと、またそうした顕在化が起きないようにどのような対策を検討されているかについて教えていただきたいと思います。
  96. 西山英彦

    政府参考人(西山英彦君) まさに先生御指摘のとおり、出力が不安定な太陽光発電などが大量に導入されますと、電力供給が不安定になる問題がございます。それから、その場合にはその系統安定化対策が必要不可欠であるというふうに考えております。  具体的な問題といたしましては、一つには、配電網の方で電圧が上がってしまって太陽光発電機が逆潮流、潮流を逆に、電気を動かすことができなくなってしまうとか、あるいは余剰電力が発生してしまって需給がバランスしないとか、あるいは瞬時瞬時に需給をバランスするという意味で周波数の調整力が不足してしまう可能性があるとか、こういった課題がございます。  最初の電圧の上昇対策といたしましては、柱の上の柱上変圧器を増設すれば、あるいは余剰電力対策としては、蓄電池などを設置いたしますと技術的には対応が可能と考えられております。  残る課題としましては、周波数の調整力不足、瞬時瞬時の需給を調整するというところにつきましては、系統全体を適切に制御するための先進的なシステムの構築などに取り組んでいくことが必要と考えております。これからしっかりデータを蓄積いたしまして、実証事業なども進めてまいりたいと考えております。
  97. 塚田一郎

    塚田一郎君 電圧と周波数の問題の御指摘がありました。それで、その周波数の調整についても、系統にコストがやはり掛かってくるとまたそれが電気料金に跳ね返ってくるということになるのかなという感じもします。  また、電圧については、配電網とあと蓄電池というお話があったんですが、これ蓄電池も、いわゆる供給側で蓄電池を持つのか、ユーザー側で蓄電池を持つのかでコストが全然違ってくるわけですね。そうすると、太陽光パネルも買うと、将来的には蓄電池も買わなきゃいけないということがもしユーザーの側に負担になってくるとすると、それもまた一つの大きな問題点だと思うんですが、この辺り、その蓄電池、例えば系統とユーザー、どちらが置くかというのは難しい議論なのかもしれませんが、この辺についてどのように考えていられるか、少し御説明いただければと思います。
  98. 西山英彦

    政府参考人(西山英彦君) 今おっしゃったように、再生可能エネルギーを大量導入することによって必要となります系統安定化対策につきましては、その費用の負担とともに、私ども審議会の場で検討をしていただいております。  今先生が御指摘の蓄電池につきましては、実はその場では、需要家側に設置する場合と、それから系統側に設置する場合と両ケースを想定いたしまして、どんな対策が必要か、それから幾らぐらい掛かるかといったことを考えております。  その上で、これからその原因者というものを、原因者の人に負担してもらうという原則がありますけれども、これをどう特定していくかとか、それから現行の料金体系のところに単純に当てはめればいいのかどうか、あるいはエネルギーの間の競争をどう考えるのか、あるいは国が公的に支援する必要があるんじゃないかと、そういった側面をいろいろ考えながら結論を出していきたいと思っております。
  99. 塚田一郎

    塚田一郎君 まさに、これからいろいろな課題があって、またいろいろコストが掛かってくるんではないかなという感じがいたします。その辺は今ここですべて明らかにならない部分があると思いますけれども、やはりこれは新たな、再生可能エネルギー普及に伴う新たな問題が生じてくるということでありますので、今までの原子力のケースとちょっとまた違いまして、いろんな可能性が出てくるわけですから、引き続きよく経産省としてもその辺を把握していっていただきたいというふうにお願いをさせていただきます。  時間も大分迫ってまいりましたので次の質問に入らせていただきますが、太陽光発電普及のためのソーラーパネルを含む発電システムの全体価格の低下が本当にこれからきちっとなされるかということなんですが、三年から五年以内に価格の半減程度という目標を掲げて、本制度と補助金で今達成をするということになっているわけですが、これ本当にパネルの価格はうまく下がっていっているのか、下がっていく見込みなのか、その点いかがでしょうか。
  100. 羽藤秀雄

    政府参考人羽藤秀雄君) お答えを申し上げます。  住宅用太陽光補助金制度に実はおきまして、補助対象となるシステムの単価に上限を設定をいたしまして、かつこの上限値を今後下げていくということを通じまして、価格が下がるような制度設計を行っております。このことを反映いたしまして、既に平成二十年度の補正予算の執行によって、本年一月から三月までの実績を見てみますと、従来のキロワット当たりのシステム価格が七十万円であったところ、六十万円程度に既に下がっておるという兆候が出てきております。  また、今後、この太陽光パネルの価格とともに施工費用の低減を図るといった観点も重要であると考えておりまして、このためには、住宅メーカーと太陽光パネルメーカーの双方で部材などの規格を統一したり標準化をしていくといったこともまた必要であろうと考えておりまして、現在これの、私ども経済産業省といたしましては、仲立ちをいたしましてそれぞれの取組を促しておるところでございます。  これらに加えまして、今般の新たな買取り制度によって更なる需要拡大が期待される、それによってもシステムの価格が低下をしていくということを考えていきますと、現在、今後三から五年間で太陽光発電システムの価格を半額程度に低減させていくという目標については、その実現を図ることも可能であろうというふうに考えております。
  101. 塚田一郎

    塚田一郎君 七十万円が六十万円に下がってきているということで、半額ぐらいには十分なるだろうという見通しだということなのかなというふうに理解をいたしました。そうなっていけば更に普及もするわけでありますから、それは結構なことであります。今回の制度というのは期間限定の買取り制度でありますので、そういう前提も踏まえて引き続き推進をしていっていただきたいと思います。  もうお昼過ぎておりますので、最後の質問にさせていただきます。  バイオ燃料、バイオガスの利用義務付けの対象についてお伺いをいたしますが、石油、ガスの事業者、これは自らが製造する燃料等に限られるのか、それともほかの業者等からの購入するものも含めているのか、この点について御質問いたします。
  102. 石田徹

    政府参考人石田徹君) お答え申し上げます。  この法案でございますけれども、二酸化炭素の削減や燃料多様化に寄与するバイオ燃料やバイオガスの導入の拡大を図るために、その利用石油事業者あるいはガス事業者に義務付けることをねらいといたしております。このため、バイオ燃料やあるいはバイオガスをどのように調達するかという点につきましては、自ら製造する場合や他の事業者から購入する場合など、多様な取組があり得るというふうに考えております。  なお、実際にバイオ燃料について見ますと、現在の導入状況は、調達したバイオエタノールを原料として自らバイオ燃料を製造販売をしている石油事業者もいれば、他の事業者が製造したバイオ燃料を購入して販売している石油事業者もいるといった多様な取組が見られております。また、バイオガスにつきましては、現在の導入状況は、下水処理場において発生いたしましたバイオガスをガス事業者が都市ガスの原料として使用するなどの取組が見られるわけでございます。  いずれにいたしましても、それぞれバイオ燃料、バイオガスの導入目標につきまして、そうした導入の実態、状況を十分に踏まえて今後検討してまいりたいというふうに考えております。
  103. 塚田一郎

    塚田一郎君 ありがとうございます。  下水処理場ということになると自治体が関係してくるのかなと思いますし、またビール工場とか食品工場というところでバイオガスは供給があるということなんで、他産業の分野とのまさに連携を強めていける分野でもあるのかなという理解をしておりますので、引き続きその辺りをきちっと取り組んでいただきたいと思います。  最後になりますけれども、今御質問をさせていただきました太陽光の買取り制度というのは、非常に画期的な制度であると同時に、いろいろな将来的な、その系統との、電力安定供給の問題とか課題も抱えているわけでありますので、引き続き経産省の方でその辺をきちっと把握をしながら取組を進めていっていただきたいということをお願いをして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  104. 松下新平

    ○松下新平君 改革クラブの松下新平です。  最後の質疑者となります。お付き合いをよろしくお願いいたします。  本日の議題でありますエネルギー法案についてでありますけれども、冒頭に、先週十八日に経済産業省原子力発電所の新増設の円滑化などに向けた原子力発電推進強化策をおまとめになられました。ちょっと順番変えますけれども、まず冒頭にこの概要について御説明をお願いしたいと思います。
  105. 石田徹

    政府参考人石田徹君) お答え申し上げます。  これは、今まさに原子力発電の推進が地球温暖化の観点あるいはエネルギー安全保障向上の観点から極めて重要であるということで、この原子力発電を推進するための強化策を、これは審議会にも御意見を聴く形で経済産業省として公表をしたものでございます。  具体的な柱といたしましては、既設炉の高度利用ということで、先ほど来御議論のございました設備利用率の向上に向けて様々な取組を強化をするということ。あるいは、二番目の柱として新増設、リプレースの円滑化ということで、これは特に中期目標との関係では、二〇一八年度までに運転開始が予定されている九基の新増設を着実に進めるといったような内容を中心にいたしてございます。また、三番目の柱といたしましては核燃料サイクルの推進ということで、六ケ所村の再処理工場の円滑な操業に向けた取組でありますとか、使用済燃料の貯蔵施設の整備の問題、あるいはプルサーマルの推進、高レベルの処分事業の推進といったようなことを具体的に取組について書かせていただいております。  また、国民との相互理解の促進観点からの取組についてもその中で記させていただいているところでございます。
  106. 松下新平

    ○松下新平君 私からも申し上げますけれども、内容は多岐にわたりますが、エネルギー安定供給と地球温暖化問題への対応を両立するためには原発が不可欠と位置付けられていらっしゃいます。総発電量に占める原発比率を二〇二〇年時点で四〇%程度と目標を掲げられていらっしゃいます。  私たち改革クラブも、原子力発電は、安全性の確保、国民の理解の前提の上で、供給安定性と経済性に優れた準国産エネルギーとして高く評価しております。また、発電過程におきまして二酸化炭素を排出しない低炭素電源の中核として、我が国基幹電源としてこれまで以上に大きな役割を担わなければならないと、担ってほしいというふうに考えております。原子力発電の活用なくしては、エネルギー安定供給はもちろん、地球温暖化問題への対応はおよそ不可能であるというスタンスで今後とも原子力発電を推進してまいりたいというふうに思っております。  本日の審議の中でも、国際環境も原子力ルネサンスと言われるぐらい大きく変わろうとしているというお話もありました。設備利用率、六〇%で推移しておりますけれども、これもしっかり利用を高めていく。また、大臣からは、教育が大事だと、小学校から正確な情報、教育を徹底するというお話がありました。  いずれにしましても、この原子力に関しましてはいろいろ反省すべき点もございました。いろんな事故に対しての隠ぺい体質もございました。私は、総括的には情報公開、徹底した情報公開が急がば回れだというふうに申し上げておりますけれども、情報公開をすることによって供給側は緊張感が生まれますし受給側は安心感が生まれると、この相互の関係の整備ですね、そういったものを進めていただきたいというふうに冒頭にお願いをしたいと思います。  それでは、エネルギー法案につきまして随時質問いたしますので、よろしくお願いいたします。  太陽光原子力等の非化石電源を二〇二〇年までに五〇%以上とするなど、非化石電源利用を拡大することを義務付けに関しまして、四問質問いたします。  まず、非化石電源とは、原子力再生可能エネルギー、水力、新エネルギーなどを指すと思われますが、義務付けの対象として想定している電源は具体的に何か、またそれぞれの構成としてどの程度の数値に設定するのか、お伺いいたします。
  107. 石田徹

    政府参考人石田徹君) 今お尋ねの点でございますが、非化石電源という意味では非化石エネルギー源利用した電源ということになろうと思いますが、具体的には、原子力発電のほか、再生可能エネルギー源でございます太陽光、風力、水力、地熱、バイオマス等を想定をいたしてございます。  それぞれの構成についてどの程度の数値に設定をするのかという御質問でございますけれども、むしろ今回御審議いただいております改正法、石油代替エネルギー法の改正法案におきまして、この非化石エネルギー源の種類ごとにその供給数量に係る目標、いわゆる非化石エネルギー供給目標というものを定めることにしてございます。こうしたものも踏まえながら、非化石エネルギー導入割合の目標値を定めてその推進を図っていくことにしてございます。  ちなみに、具体的な数字でございますが、これ先ほど申し上げましたが、長期エネルギー需給見通しの最大導入ケースでございますと、例えば原子力では二〇〇五年の一二%から二〇二〇年には一八%、新エネや水力等を含む再生可能エネルギー等につきましては六%から八%といったようなことになってございます。
  108. 松下新平

    ○松下新平君 ありがとうございました。  次に、RPS法により現に電力会社に課せられている新エネルギー導入の義務は二〇一四年に百六十億キロワットアワーであり、構成比は一・六%でございます。五〇%の目標を達成するためには、原子力、大規模水力の拡大に加えて、RPS法による新エネルギー導入の義務量を増やす必要があるのではないでしょうか、お伺いいたします。
  109. 石田徹

    政府参考人石田徹君) 議員御指摘のとおり、まさに非化石エネルギー導入拡大に向けましては、基幹電源である原子力発電導入拡大はもとよりでございますが、太陽光、風力、バイオマスあるいは小水力といったようないわゆる新エネルギー導入促進、これを図る必要があろうというふうに考えております。その意味で、RPS法につきましても、これを最大限やはり活用していくということが重要であろうというふうに考えております。RPS法の利用目標量の見直しにつきましても、そういう意味でも今後検討してまいりたいというふうに考えてございます。  ただ、また一方、RPS法だけでもまたこれ十分ではございませんので、それ以外の補助制度、税制、あるいは先ほど大臣からも答弁申し上げましたが、小水力などについて言えば、関係省庁との連携もしながら、例えば規制面でのいろんな制度改正等も含めて取組を強化していきたいというふうに考えております。
  110. 松下新平

    ○松下新平君 ありがとうございます。  次に、五〇%以上という目標を達成するために、電気事業者にどのような方法で義務を課すのか、事業者ごと目標値は異なるのか、お伺いいたします。
  111. 石田徹

    政府参考人石田徹君) 今お尋ねの点でございますけれども、この新しい法案におきましては、この義務を達成する方法といたしまして、まず基本方針で非化石エネルギー源利用の拡大に向けた理念あるいは政策方向性を定めまして、判断基準において個別の事業者、例えば電気事業者が取り組むべき具体的な事項を明確にすると。それを受けて個々の事業者、ここでは、お尋ねの点では、電力会社がこれらの達成に向けた計画を作成、提出をしてきまして、これが著しく判断基準に照らして不十分であるというようなことになりますと、最終的には勧告、命令という形でその義務の履行を担保するということにしてございます。  また、内容的には、この電気事業者に対する判断の基準の策定に当たりまして、非化石エネルギー源による電気の比率を機械的に一律に達成するよう求めるというのは非現実的でございますので、我が国全体として非化石エネルギーによる電源の比率が五〇%以上になるよう、電源の立地状況あるいは事業者技術的能力等の実態的な側面も踏まえた目標の設定をしていくことを想定をしております。
  112. 松下新平

    ○松下新平君 次に、義務を課す対象事業者は一般電気事業者電力会社に限られるのでしょうか、それとも、特定電気事業者、特定規模電気事業者、自家発電等も対象とするのでしょうか。対象を限定するとすればその理由は何か、お伺いいたします。
  113. 上田隆之

    政府参考人(上田隆之君) 本法における義務対象者に関するお尋ねでございますが、本法におきましては、電気供給する電気事業者のうち経済的、技術的な観点から非化石エネルギー源利用することが特に必要であるものとして、一般電気事業者、特定電気事業者、特定規模電気事業者を、これを義務対象とすることとしております。  本法はエネルギー供給事業を行う者に対する規制という観点から、自家発、自分でエネルギー発電して利用する者というのは本法の義務対象者からは除かれているというふうに考えております。
  114. 松下新平

    ○松下新平君 ありがとうございました。  次に、太陽光発電による電気利用に係る適正な対価での買取りの義務付けにつきまして七点お伺いしたいと思います。先ほど荻原理事からも質問がありまして、一部重複しますが、よろしくお願いいたします。  まず、ドイツやスペインで導入されています固定価格買取り制度は再生可能エネルギーの拡大に大きな効果があったとされております。今回導入されます太陽光発電の買取り制度は、買取りの対象を一般家庭の余剰電力に限っており、発電事業者からも買い取るドイツやスペインの固定価格買取り制度とは異なりますけれども、再生可能エネルギー普及策として十分なのでしょうか、お伺いいたします。
  115. 谷合正明

    大臣政務官谷合正明君) 今回の買取り制度でありますけれども、太陽光発電普及を加速するために二点大きく考えております。一つは、初期投資を早急に回収できるようにするということ、また二つ目に、買取り費用の転嫁による国民負担が大きくなり過ぎないようにするということを最大限両立させようということであります。  そこで、買取りの対象余剰電力に限ることで、余剰電力を増やすために省エネを行う努力、これが促される、そして国民が負担する買取り費用を抑えることができるものと考えています。一方、ドイツのように発電事業目的のものまで買取りの対象とする場合、国民負担が過度に大きくなるおそれが、試算が出ております。  なお、今回の新たな買取り制度におきましては、一般家庭だけでなくて学校、公共施設、民間の事業所なども買取りの対象とすることを検討しておりまして、普及策として十分なものになるよう設計をしております。
  116. 松下新平

    ○松下新平君 次に、買取り費用は国民全体が電気料金という形で負担するということになりますけれども、もちろん、家庭の発電、自分でまず消費するというのが前提でありますけれども、各家庭当たりの負担額はどの程度を見込んでいるのか、買取り価格を決定する基準となる要素も併せてお伺いしたいと思います。大臣からは技術革新もこの際進めていくんだというお話もありましたが、よろしくお願いいたします。
  117. 石田徹

    政府参考人石田徹君) お答え申し上げます。  今般の買取り制度でございますけれども、この負担につきましては、標準家庭における一か月当たりの負担を数十円から最大でも百円程度ということで見込んでございます。  この買取り価格を決定する基準となる要素でございますが、国民負担に配慮しつつ、太陽光発電の設置に係る初期投資を補助金等を考慮した上で十年から十五年程度で回収できるような水準にするということが一つの基本でございます。例えば新築住宅におきましては、今年一月から開始をいたしました住宅用太陽光補助金等の支援措置と組み合わせることによりまして、初期投資を十年程度で回収することを想定いたしております。
  118. 松下新平

    ○松下新平君 次に、太陽光発電を含む非化石電源による電力は既存の電力系統を不安定化するため、その系統対策への取組が従来よりなされてきました。  本法案により太陽光発電が急速に普及するとすれば、今後、系統対策への取組をどのように加速させていくのか、その際必要な費用を電気事業者余剰電力を販売する者がどのように負担していくのか、電力消費者に新たな負担は生じないのか、本法案により国には財政措置を講じる努力義務が課せられておりますけれども、系統対策に対する国の支援措置はあるのか、お伺いいたします。
  119. 西山英彦

    政府参考人(西山英彦君) 系統対策は必要でございまして、その対策の内容といたしましては、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、配電網の電圧上昇をどうするか、それから余剰電力が発生したときにこれをいかに処理するか、それから周波数調整力が不足する可能性があって、この対応をする必要があると、こういう三つの課題を考えております。  経済産業省といたしましては、これからの急激な太陽光導入に向けまして、課題の解決を急ぐ必要があると思っております。そういう意味で、今年から全国の三百か所での実測データを取りましてこの分析をするとか、あるいは補正予算も含めて蓄電池を活用した系統安定化の実証事業をやるとか、こういったことによって対策の内容を精査し、その規模をなるべく縮小して費用を節減するということもしたいと思っております。  しかし、それにしても生じる負担というものをどうしたらいいかという御質問につきましては、これについては今審議会議論をしていただいております。問題点といたしましては、普通であれば原因をつくった人に負担していただくところでありますけれども、それをしますと太陽光導入が少し妨げられてしまうとか、あるいはこれまでの料金負担のルールにそのまま従っていいのかどうか、あるいはエネルギー間の競争をどう考えるかとかそういったこと、加えて、国が何か支援する必要があるんじゃないかと、こういったことも含めて検討していく必要があると思っておりまして、全体の費用をなるべく縮小した上でこういった負担の適正を図る検討を急いでまいりたいと思っております。
  120. 松下新平

    ○松下新平君 よろしくお願いいたしたいと思います。  次に、本制度により太陽光発電普及が飛躍的に進んだ場合に、RPS法による義務量を見直すことになるのでしょうか。また、二〇一一年度から太陽光発電に係るRPS相当量を二倍にカウントされる措置が予定されていらっしゃいますが、買取り制度導入に伴いこれを見直すのか、お伺いいたします。
  121. 羽藤秀雄

    政府参考人羽藤秀雄君) お答えを申し上げます。  今般の買取り制度の導入を踏まえまして、RPS法に基づく利用目標量については考え方を整理する必要があるというふうにまず考えております。このため、現在、総合資源エネルギー調査会エネルギー部会RPS法小委員会において、この考え方についての整理をお願いをしておるところでございます。  また、太陽光発電の二倍カウントについてのお尋ねがございましたけれども、この点につきましては、太陽光発電が風力発電などの新エネルギーと比べましてコストが高いということにかんがみまして、二〇一一年度から太陽光発電に係るRPS相当量を二倍にカウントするということを措置として打ち出しておるところではございますけれども、この点につきましても、今般の買取り制度の導入を踏まえまして、どのような扱いとしていくことが適切であるかについて、併せてこの新エネルギー部会RPS法小委員会において御議論をお願いをし、そして速やかに結論をいただきたいというふうに考えております。
  122. 松下新平

    ○松下新平君 分かりました。  次に、電気料金はいわゆる原価主義に基づいて定められています。一方、導入が予定されている制度では家庭用電力販売価格の二倍での買取りが想定されていますけれども、この点につきまして国民全体や事業者の理解をどう得るのか、お伺いいたします。
  123. 石田徹

    政府参考人石田徹君) 今回新たに導入されますこの太陽光発電の買取り制度でございますけれども、国民の全員参加を基本に、この太陽光発電導入が、これは地球温暖化の観点あるいはエネルギー安全保障の改善につながるという観点で、電力システム全体にメリットがあるということから、このために必要となります買取り費用の負担は需要家すべてに広く薄く御負担いただくということでございます。この買取り費用の転嫁が適切に行われますように、新たな制度の内容、必要性、あるいは負担の水準といったようなことにつきまして、国として説明責任を負っているというふうに認識をいたしてございます。  先ほど大臣からも御答弁申し上げましたけれども、様々な広報手段を積極的に活用しながら、国民の皆様の御理解、御協力が得られるように最大限努めてまいりたいというふうに考えております。
  124. 松下新平

    ○松下新平君 次に、買取りの対象再生可能エネルギーの中で太陽光発電に限定する理由についてお伺いいたします。
  125. 谷合正明

    大臣政務官谷合正明君) 太陽光発電の新たな買取り制度につきまして、その対象太陽光発電に限定した主な理由としましては、一つ需要家の方々のコスト負担の低減を図る、また今後の発電原価のコストの低下の見込みがある、さらには産業競争力の強化につながっていく、そして、すそ野の広い分野でございますので、地域経済の活性化等の観点から対象太陽光発電に限定いたしました。  一方で、風力発電やバイオマス発電につきましては、既に収支が見合う形で利用されているものが多いということ、そして実質的に営利目的事業者発電を行っているという場合が多い、そういう理由から今回の買取り制度の対象とはせず、従来のように補助金とRPS制度によって導入拡大を引き続き推進していくという考えとなっております。
  126. 松下新平

    ○松下新平君 次に、価格に関しまして再度質問させていただきます。  太陽光発電普及のためにはソーラーパネルを含む太陽光発電システム全体の価格の低下が必要と考えられます。三年から五年以内に価格を半額程度にすることを目指すということですけれども、本制度と購入時の補助金だけでその達成が可能と考えていらっしゃるのでしょうか、お伺いいたします。
  127. 羽藤秀雄

    政府参考人羽藤秀雄君) お答えを申し上げます。  住宅用太陽光補助金制度において補助対象となりますシステムの単価に上限を設けるということと、そしてこの上限値を今後下げていくということによりまして価格が下がるような制度設計に努めるという点がまず一点ございます。  また、今回の買取り制度によって更なる需要拡大を期待することによってシステムの価格が低下するということを期待をしておりますけれども、あわせまして、先ほども申しましたけれども、システムの価格を下げていくためには施工費用の低減を図るといった観点も重要であると考えております。住宅メーカーと太陽光パネルメーカー双方で連携をして、例えば部材などの規格の統一化や標準化を図るといったことも重要な課題であると思っております。このためには研究開発などのことを促していく、そのために経済産業省として仲介をさせていただくといったこともまた重要な課題であると思っております。  このようなことを総動員もいたしまして、今後三から五年間で太陽光発電システムの価格を半額程度に低減させていくという目標の実現を図ってまいりたいと考えております。
  128. 松下新平

    ○松下新平君 分かりました。  通告してないんですけれども、この制度が減税の対象であるかをお伺いしたいんですけれども。ただいま補助金についてのいろいろメリットを教えていただきましたけれども、減税に対して、これもかなり普及の効果があると思いますけれども、それについてはどのようになっているでしょうか。
  129. 羽藤秀雄

    政府参考人羽藤秀雄君) お答えを申し上げます。  住宅用の太陽光パネルでございますけれども、これは税制としましては、まず新築住宅について、ローンを組んで取得をする場合のローンの年末残高については、一般住宅、長期優良住宅の中での大きな枠の中でこれが対象とし得るというものでございますし、また既築の住宅におきましては、省エネの改修工事を行う場合にこの工事費用の一〇%を所得税額から控除するなどの措置が講じられているところでございます。  また、住宅以外でございますけれども、これは太陽光発電システムを設置する場合に所得税あるいは法人税の額から取得額の七%を税額控除する、あるいは初年度の即時償却というふうなことがエネルギー需給構造改革投資促進税制といった観点で認められておりますし、また固定資産税につきましても所要の措置が講じられているところでございます。  こうした税制措置と併せまして、補助金あるいは新たな買取り制度ということで価格の低減が図られていくということもまた期待できるというふうに考えております。
  130. 松下新平

    ○松下新平君 よく分かりました。そういうPRも、周知徹底もお願いしたいというふうに思います。  次に、国が策定しますエネルギー導入目標間の関係につきまして、これも重複いたしますけれども、質問させていただきます。  まず、エネルギー利用等に関する数値目標は、長期エネルギー需給見通し石油代替エネルギー供給目標、新エネルギー電気利用目標量など法律に基づくもののほか、新・国家エネルギー戦略や低炭素社会づくり行動計画などの個々の戦略や行動計画に基づいて異なった周期で決められ、ばらばらに公表されてきた感があり、体系性に欠けるのではないでしょうか。  自由主義経済の中ではこの困難性というのも一定の理解はいたしますけれども、数値目標の決定は国として統合された場で行われるべきであり、その公表についても現在以上に統合された形で明快に行うべきではないか、お伺いいたします。
  131. 石田徹

    政府参考人石田徹君) ただいま御指摘のございました個別の様々なエネルギー政策につきましては、基本的にはエネルギー政策基本法の法目的にのっとりまして、エネルギー基本計画に示された基本的な政策方向性に基づいて実施をしてきてございます。また、挙げられました幾つかの個別の数値目標等につきましても、これは総合資源エネルギー調査会などにおける専門家を交えた公開の議論でありますとか、あるいはパブリックコメントを経た上で策定、公表をいたしてきておりまして、透明性の確保にもそういう意味では努めてきているところではございます。  ただ、ただいまの御指摘も踏まえて、今後、いずれにいたしましても、そのエネルギー政策基本法に掲げられた大きな要素、エネルギー安定供給、環境への適合、あるいは市場原理の活用といったこの基本原則にのっとって、国民に分かりやすく、さらに一体的に政策が遂行していくためによく見える、透明性をより高めるような形で更に努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  132. 松下新平

    ○松下新平君 時間も押し迫ってまいりましたので、最後の質問にしたいと思います。  自治体の役割についてなんですけれども、非化石エネルギー源にはバイオマスのように地域特有のものもございます。その利用促進には地方自治体の関係、関与は欠かせません。両法案の施策の遂行に当たっては、地方自治体にはどのような役割を期待されているのか、お伺いいたします。
  133. 吉川貴盛

    ○副大臣吉川貴盛君) ただいまバイオマスのことにつきましての御引用をいただきまして、地方自治体の役割というものを御質問をいただいたところでありますが、まさに御指摘のとおり、地方自治体におきましては、地域の創意や工夫を生かした取組を推進するために重要な役割を私どもは担っていると思っておりまして、国としてもこれまでは各地方自治体への支援を行ってまいりました。例えば、地域新エネルギー導入促進事業等々でもございます。  本法案の成立後におきましては、このバイオマス等の非化石エネルギー源導入拡大のために各地方自治体が積極的に取り組むべきことを基本方針の中にしっかりと位置付けてまいります。これによりまして、バイオマス等の非化石エネルギー源利用につきましては、各地方自治体が地域の実情に応じた施策の策定、実施や地域の企業や住民と連携した先進的な取組を積極的に行うことが期待をされるのではないかと思っております。また、国といたしましても、引き続きこうした取組を更に促進をしてまいりたいと思っております。
  134. 松下新平

    ○松下新平君 ありがとうございました。  最後に、二階大臣、明日からタイトなスケジュールですけれども、海外に、フランスの方に、OECD閣僚理事会及びWTO非公式閣僚会合に出席されます。今日の議論も踏まえて、答弁は結構ですので、エネルギー外交、しっかり国益のために御尽力をいただきますことをお願い申し上げまして、質問を終わります。
  135. 櫻井充

    委員長櫻井充君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。     ─────────────
  136. 櫻井充

    委員長櫻井充君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源利用及び化石エネルギー原料の有効な利用促進に関する法律案及び石油代替エネルギー開発及び導入促進に関する法律等の一部を改正する法律案の審査のため、来る三十日午前十時に参考人出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  137. 櫻井充

    委員長櫻井充君) 御異議ないと認めます。  なお、その人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  138. 櫻井充

    委員長櫻井充君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時散会