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2009-05-26 第171回国会 参議院 経済産業委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十一年五月二十六日(火曜日)    午前十時十五分開会     ─────────────    委員異動  五月十二日     辞任         補欠選任      石井 準一君     塚田 一郎君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         櫻井  充君     理 事                 藤原 正司君                 増子 輝彦君                 山根 隆治君                 荻原 健司君                北川イッセイ君     委 員                 木俣 佳丈君                 鈴木 陽悦君                 津田弥太郎君                 直嶋 正行君                 中谷 智司君                 前田 武志君                 塚田 一郎君                 松田 岩夫君                 松村 祥史君                 丸川 珠代君                 谷合 正明君                 松 あきら君                 松下 新平君                 渡辺 秀央君                 田中 直紀君    国務大臣        国務大臣        (内閣官房長官) 河村 建夫君    政府特別補佐人        公正取引委員会        委員長      竹島 一彦君    事務局側        常任委員会専門        員        山田  宏君    政府参考人        公正取引委員会        事務総局経済取        引局長      舟橋 和幸君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○私的独占禁止及び公正取引確保に関する法  律の一部を改正する法律案内閣提出衆議院  送付) ○参考人出席要求に関する件     ─────────────
  2. 櫻井充

    委員長櫻井充君) ただいまから経済産業委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十二日、石井準一君が委員を辞任され、その補欠として塚田一郎君が選任されました。     ─────────────
  3. 櫻井充

    委員長櫻井充君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、公正取引委員会事務総局経済取引局長舟橋和幸君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 櫻井充

    委員長櫻井充君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 櫻井充

    委員長櫻井充君) 私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。河村内閣官房長官
  6. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) おはようございます。  ただいま議題となりました私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律、いわゆる独占禁止法については、平成十七年の一部改正法の附則第十三条において、施行後二年以内に、新法の施行状況社会経済情勢変化等を勘案し、課徴金に係る制度在り方違反行為を排除するために必要な措置を命ずるための手続在り方審判手続在り方等について検討を加え、その結果に基づいて所要措置を講ずるものとするとされております。  施行後二年以内の見直しの結果、公正かつ自由な経済社会を実現するために競争政策積極的展開を図ることが必要であることにかんがみ、排除型私的独占一定の不公正な取引方法等に対する課徴金制度導入企業結合に係る届出制度見直し等所要改正を行うため、政府といたしましては、独占禁止法等の一部を改正する法律案を第百六十九回国会に提出いたしましたが、継続審査になった後、第百七十回国会において廃案となり、成立を見るに至りませんでした。しかしながら、一刻も早くその実現を図るために、所要の修正を加えた上で、ここにこの法律案を提案し、御審議願うこととした次第であります。  次に、この法律案について、その主な内容を御説明申し上げます。  第一に、課徴金適用対象について、排除型私的独占及び優越的地位濫用など一定の不公正な取引方法を新たに課徴金対象とすることとしております。  第二に、不当な取引制限において、主導的役割を果たした事業者に対する課徴金を割り増す制度導入することとしております。  第三に、課徴金減免制度について、減額対象事業者数の拡大、企業グループ内の事業者共同申請制度導入することとしております。  第四に、課徴金納付を命ずる手続について、会社分割等により事業を承継した会社に対して納付を命ずる制度導入等をすることとしております。  第五に、企業結合に係る届出制度等について、会社株式取得に係る事前届出制度導入株式取得会社届出基準変更、合併、分割及び事業等の譲受けの届出に係る規定見直し等をすることとしております。  第六に、不公正な取引方法による侵害の停止又は予防に関する訴訟上の救済を円滑化するため、文書提出命令特則導入することとしております。  第七に、不当な取引制限罪等に対する懲役刑を引き上げることとしております。  なお、これらの改正は、一部を除き、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。  以上が、この法律案提案理由及びその内容概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願いを申し上げます。
  7. 櫻井充

    委員長櫻井充君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 民主党の津田弥太郎です。  昭和二十二年の制定以来、経済の憲法というふうに位置付けられ、極めて重要な役割を果たしてまいりました独禁法改正に対しまして、トップバッター質問をさせていただきます。どうぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。  私は、機械・金属産業の中堅、中小の多くを占める労働組合出身ということでもありまして、従来からこの独禁法あるいはこれを補完する下請法、これらについて強い問題意識を持ってまいりました。本日は、主にそうした立場から、今官房長官が御説明をされました優越的地位濫用あるいは不当廉売、あるいは課徴金関連の問題を中心に質問をさせていただきたいというふうに思っております。  それから、今回、審判制度見直し、これも大変重要な点でございますが、これらにつきましては同僚の中谷議員を始め、お仲間に譲りたいというふうに考えております。  まず、この本法案について衆議院附帯決議がなされたわけでございます。その書き出しというのがこういうふうになっております。最近の急激な経済情勢変化に伴い、かつてなく中小企業下請事業者利益が不当に害されるおそれが高まっていることにかんがみ云々というふうに附帯決議で、衆議院で行われておるわけでございまして、私はこの現状認識、これ全面的に賛同しておるわけでございますが、これはあくまでも国会決議でございますので、政府におかれても同様の認識をお持ちでいらっしゃるかどうか、官房長官お答えをいただきたいと思います。
  9. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) ただいまの認識についてでございますが、御案内のように、昨日月例経済報告も出されております。我が国の景気はこのところ悪化のテンポが緩やかにはなった、しかし、引き続き厳しい状況にあるという認識でございます。  最終需要が大幅に減少するという厳しい経済情勢の下では、やはり価格交渉力に乏しい中小企業、特に下請事業者に不当なしわ寄せが行く、行きやすい、このことについては十分気を付けなきゃいけない問題であるというふうに認識をいたしております。
  10. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 極めて、官房長官もこの附帯決議については同様の認識を持たれているということでございます。  なお、私事ですが、私の出身組織のJAMという組織ですが、私ども、私の出身組織の究極の目的物づくり公正取引ということを運動方針の一番に掲げております。公正取引というのは一産業のエゴではない、我が国のこの多重構造とも言われる産業構造の中で、いわゆる下請的な問題というのは常にあるわけで、過去においても今日においても、恐らく将来においてもそういうことは常にあるだろう、そのことに対して常にこの公正取引を求めていく取組というのは、当事者はもちろんのこと、我々法律を作る立場、あるいはそれを実行される政府立場、それぞれにおいて常に意識をして取り組んでいかなければならないことではないか、そういうふうに考えておるわけでございます。  今回の改正で、優越的な地位濫用に対する対策が強化されるということであります。改正案は私もそういう面では賛同をしておりますし、大いに期待を申し上げたいというふうに考えております。しかし、小売業などとちょっと違うのかなというふうに思うんですが、製造業の場合、長年の間、いわゆる親子関係、親、子、孫、ひ孫、やしゃご、その先はちょっと分からないんですが、そういういわゆる産業構造にあるわけでございます。この優越的に取引状況変更を迫られた場合に、なかなか断ることができない、これ本当に多くの、本当は腹の中ではこのやろうと思っていてもなかなか、それはやっぱり言われたらそれに従わざるを得ないというのが現場の私は実態ではないのかな、そんなふうに思っているわけでございます。  したがいまして、どうしてもノーと言った場合に何らかの報復的な措置があるんではないかというおそれ、危惧、これを常に持たざるを得ない、したがって、優越的地位価格の引下げを求められて、それに対して、はいというふうに言ってしまう。その価格を引き下げる側も、丁寧に説明して納得してもらったんだと、こういう話になるわけですから、独禁法違反にはならない。こういう話はもう掃いて捨てるほどたくさんあるわけでございます。  しかし、この特定者同士取引においては、結局どこが通報したかということが比較的容易に明らかになってしまうわけです。つまり、通報するという行為というのは、これはまあここまで出ているわけですけれども、実際には今言いましたように結局分かっちゃう。だれが通報したかということが分かってしまうんです。なぜか。後で私、時間があれば具体的な事例を説明してもいいんですけれども、そのため、実際問題として下請の側からの通報というのは相当程度のリスクを伴うわけでありまして、非常に困難でございます。このことに、この現状、これについて官房長官は御理解をしていただけるかどうか、お答えをいただきたい。
  11. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 今、津田先生指摘ありましたとおり、下請事業者にありましては、親事業者違反行為公正取引委員会申告したと、そのことが親事業者に知られたような場合にその後の取引が困難になると、こういうことを危惧する状況があると私も理解をいたしております。このために、下請業者からの申告にすべてを掛けるようなやり方というのは、これは、これ以上の負荷を掛けるということについては期待をすべきではないだろうと。もちろんそういうことも場合によっては必要でありましょうが、このことはやっぱり十分認識した上で取り組まなきゃいかぬと思っております。  こうした状況がございますので、公正取引委員会の方も、下請法に基づくいわゆる書面調査を積極的に実施をいたしております。違反行為の発見に努めようということで、またあるいは下請事業者向け説明会を開催する等々、いわゆる申告しやすい環境の整備、これに今努めておるところでございます。
  12. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 多少蛇足ですけれども、一九八〇年代、まだ週四十時間労働が決まっていない中で、我々製造業労働組合というのは、年間の労働時間を二千時間を切ろうという取組を随分一生懸命やりました。ところが、メーカーは、労働時間を短縮すると生産がどうしても下がるということがあって、なかなか進まない。当然サプライヤー、部品を提供する側も、メーカーに対して常に提供する側ですから労働時間はなかなか短くならない。もちろん賃金水準は、メーカーと比べたらサプライヤーは当然その二割減とか三割減という賃金の安さであります。  労働組合としては、メーカー労働組合労働者賃金を目標に頑張っておりますけれども、賃金の部分ではなかなか迫ることは難しいと。せめて労働時間ぐらいはメーカーと同じぐらいにしたいなという形で実は取り組んだサプライヤーがあって、そのことをある会合の場で、うちは、あえて言いますけれども、自動車メーカーT社T社でいいんだよね、そこの、給料はもう全然かなわないけれども、せめて労働時間ぐらいは一緒にしたいと思って今一生懸命取り組んでいるんだと発表したら、後刻、そのT社下請担当のところからその労働組合会社の役員のところに連絡が入ってきて、おまえのところはおれのところと同じ労働時間にするのか、とんでもないやつだと、それだったらもっと単価を下げるぞと、こういう話を受けたわけであります。  これは今、優越的地位濫用とはまたちょっと違う話ですけれども、このくらい、言ってみれば親、子、孫の関係というのは非常にシビアな状況にある。長官も同じような認識を持っていただいているということで、私は、そういう中で非常に下請側から通報するというのは大変困難であるということ、その一例ということを申し上げたわけでございます。  そういう意味で、公正取引委員会による日常活動の中で、職権探知職権でこれらの優越的地位濫用が行われているかどうかということについて調べていただく、そして不定期抜き打ち監査、こういうことの実施が行われることを強く私は期待を申し上げたい。この点の現状がどうなっているかというのが一点、それから、もし今回この独禁法改正案成立をした後にどのような状況になるのかを二点、この二つの点と、この改正に当たっての決意を含めて竹島委員長から御答弁をいただきたいと思います。
  13. 竹島一彦

    政府特別補佐人竹島一彦君) 製造業の場合は、優越的地位濫用の話になりますと、これは具体的には下請法執行で対応させていただいているというのが現状でございます。それでニーズは十分に把握できているんじゃないかと思います。  その下請法違反事件はどのように発掘しているかと申しますと、先ほど官房長官との間で御質疑がございましたように、下請事業者から具体的な情報公正取引委員会に上がってくるということは期待できないと。全くないわけじゃございませんが、期待できないので、我々の方で中小企業庁と手分けをいたしまして毎年約十数万社の下請事業者アンケート調査というか、調査を掛けておりまして、それで問題のあるところを我々が目星を付けまして、それで調べているというのが現状でございまして、多くの勧告も出させていただいていますし、だから、事後的な減額については元に戻しなさいということで、これは二十億、三十億円という金額のものを勧告によって戻させていると。それから、支払遅延についてもちゃんと利息を払いなさいと。一四%を上回る遅延利息を払っていただくというようなことで一生懸命執行に努めているわけでございます。  一方、優越的地位濫用で私どもが見て問題があるという分野は、これは物流の世界とそれから大規模小売業者納入業者いじめということだと思っております。これらにつきましては、特別の特殊指定を発しまして、こういうことをやれば違反になりますよということを周知しておりまして、特に件数が多いのは大規模小売業者による納入業者いじめ、これについても積極的に取り上げているわけでございまして、これからのことは、この改正法案に盛り込まれております優越的地位濫用については新しく課徴金対象になるということでございます。したがいまして、そのことというのは、そのことだけでまずかなり抑止力になると思いますし、我々としても積極的にその課徴金対象になるという規定を発動すべく努力してまいりたいと思っております。
  14. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 済みません、決意は非常によく分かりました。  私が提案しているのは、この不定期抜き打ち監査実施、これについて、幾つかの特定の業種についてというお話でありますけれども、そうではなくて製造業も含めて対応ができないか。下請法で対応するというお話がございました。下請法の問題は、資本金の問題で限定をされております。これは、衆議院でもこのことが議論になっておりますけれども、したがって、やはり私は、公取として職権探知というのを、不定期抜き打ち監査をするということはどうしても今後必要になってくるんではないかというふうに私は認識しておるんですが、もう一声いかがですか。
  15. 竹島一彦

    政府特別補佐人竹島一彦君) 抜き打ち検査をするにはやぶさかじゃないんですが、そのためには情報がなければいけないわけでございまして、それで、下請法に見られるように黙っていたら情報は上がってこないので、こちらから積極的に書面を送って調査をしている。これは一種の職権調査みたいなことなんですが、これを下請ではないそれ以外の一般的な製造業取引において優越的地位濫用規定をもっと積極的に発動すべしという御趣旨かと思いますが、これは情報にもう極めて依存せざるを得ない。したがって、これからは優越的地位濫用もその課徴金対象になるということになりますと、そういう情報が入ってくるということを我々は期待しているわけで、やみくもに立入りをしたり抜き打ち検査をするわけにまいりませんので、やはりそういうことをすればこれはこういうペナルティーがあるんだなというやっぱり意識が親事業者なり優越的地位立場にある事業者認識してもらうと、そのことについては、それがまず一番大事だと思っていますので、一生懸命PRさせていただきたいと思います。
  16. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 公取実情もそれなりに理解できるわけであります。公正取引委員会のスタッフが、本局が三十七名を含めて全国で六十四名。これ、多いと見るか少ないと見るか、私は大変少ないというふうに見るのが順当な見方ではないかなというふうに思うわけですが、そういう体制の中で非常に御努力をいただいているということは私も十分理解ができるわけでありまして、その点、頑張っていただきたい。  同様に委員長にお聞きをしたいわけでありますけれども、労働基準監督署との連携スキームというものをお持ちだというふうに聞いております。特に法律に明確に書いてあるわけではないけれども、これはやはり関連が非常に深いということで労基署との連携スキームがあると。しからば、私は税務当局との連携スキームもあっていいんではないか。特に委員長におかれましては、元々平塚の税務署長とか国税庁長官もされておりまして、非常に税務の実務にも明るいというふうに聞いておるわけでありまして、そういう点では税務当局との連携というのも大変重要ではないか。とりわけ、親企業からの指示による協力金、これらの経済上の利益の提供というのは、受注側からの申告調査するんではなくて、税務当局調査の過程で実態を把握し、公取として違反行為に対する厳正な対策を講じていくことができるんではないか、私はそんなふうに思うんですが、いかがですか。
  17. 竹島一彦

    政府特別補佐人竹島一彦君) おっしゃるとおり、関係行政機関との連携というのが今よりももっとできればこれは結構なことだと思っておりますが、現状は、そう思いつつも限定されているというのが現状でございます。  国税庁との関係は、酒の不当廉売、これに関して協力をしております。人も派遣してもらったり情報も共有するという形で協力してもらっていますが、そうじゃなくて、今御指摘協賛金だとかそれから談合金法人税調査談合金やり取りなんということが税務当局では分かるわけですが、そういう情報は実は公正取引委員会がもらえば我々としてそれを取っかかりにして調査ができる。しかし、それは現状できておりません。  これというのは、それぞれ、御存じのとおり法人税法にも所得税法にも、一般国家公務員法に書いてある守秘義務とは別にそれぞれ職務で知り得たことはその目的以外に使っちゃいけないと、それをやっちゃうと罰則が掛かるということになっておるわけでございまして、それが基本的に壁になっておるわけでございますが、我々として欲しい情報ももらえないというのが実情でございます。  これは基本的な仕組みの問題でございますので、私は個人的には、公益のためとか、一般情報を漏えいするのはこれは論外でありますが、行政機関同士でお互い有用な情報を交換できるようなスキームができればこれは非常に望ましいと思っていますが、現状はなかなか、今申し上げた守秘義務の壁がございまして、できておりません。
  18. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 これ、守秘義務というふうにおっしゃって片付けてしまうには、ちょっと余りにも問題は私は大きいことではないのかなというふうに思うんです。  官房長官、これはやっぱり何とかしなきゃいけないんじゃないでしょうか。これ、この守秘義務からこの協力金だとかそういう問題については外すという方向を是非検討していただきたいと思うんですが、いかがですか。
  19. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 御指摘の点踏まえて、どういう形で外せるのか、あるいは今までにそういう形を取ったことがあるのか、検討してみたいというふうに思います。
  20. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 是非お願いを申し上げたいと思います。  さて、この優越的地位の問題で再三やり取りをさせていただいておるわけでございますが、今回の法案でこの優越的地位濫用などの不公正な取引方法に対して新たに課徴金が適用される、これが今回の改正案趣旨でございます。四年前の法改正においては構成要件明確化が大変難しいということで法案に盛り込めなかった経緯を考えますと、私は、今回の改正は率直に評価を申し上げたいなというふうに思うわけでございます。  しかし、今後の課題ということは、適法か違法かの線引き、これを分かりやすく示していかなければならない、これは大変重要な点であります。その意味で、ガイドラインの果たすべき役割というものは私は大変極めて大きい、今まで以上に今回の改正によって大変大きくなったのではないかというふうに思うんです。  このガイドラインについて、私は強い要望をしたいというふうに思っております。  今回、課徴金導入される不公正な取引方法の中でも、例えば不当廉売、これについては昭和五十九年に横断的なガイドラインが作成され、三年前にも改定も行われておるわけであります。これ、出されております、ガイドライン。一方で、この優越的地位濫用、これについては部分的な言及はなされております、部分的に。しかし、横断的、体系的なガイドライン、これは作成をされておりません。これ、不当廉売優越的地位濫用と扱いが全然違うという状況が今あるわけでございます。したがって、中小製造業実情を踏まえると、この優越的地位濫用ガイドライン必要性というのは大変極めて高いんではないか、その制定を私は強く政府に求めたいというふうに考えているわけであります。  竹島委員長、この優越的地位濫用に関するガイドラインを是非作成していただきたいと思うんですが、いかがでしょう。
  21. 竹島一彦

    政府特別補佐人竹島一彦君) 我々、ガイドラインを示すときには、具体的に問題があって、それも少しではないと、かなりあるというふうな場合に、その具体的かつ特別なニーズに対応してガイドラインを出すということをさせてきていただいておるわけで、一般的なガイドラインとなりますと、これはややもすれば法律説明みたいなことになりますので、具体的に違反事例がこういうふうにあるんだというものが我々として蓄積としてありまして、それに対してはやっぱり効率的、迅速にその事件処理をするためにガイドラインを示すというのが我々の基本的な考え方なわけでございます。  そういう意味から申しますと、先ほど来申し上げていますように、製造業においては下請法というものがどんと、その優越的地位濫用の言わば迅速、効率的な処理のために法律がまずあるということでございまして、それにはみ出るものというのはそんなに実は多くない、製造業の場合には。ただし、流通業の場合、大規模小売業者がその典型でございますが、それから運輸業における荷主とトラック事業者関係、こういったところにそういうことが見られますので、これらについてはもう既に特別な指定をして、ガイドラインのみじゃなくてもう指定までして実行しているということでございますので、それからはみ出ているところというのは確かにございますけれども、どれだけ具体的な事件がありニーズがあるのかということについては、一般的なガイドラインを示すまでに至っているのかなということについては若干、私、そこまでまだ行っていないというのが正直なところでございますが。  これからその課徴金対象にもなって、具体的な事例が積み上がってきて、やっぱり優越的地位濫用については一般的なガイドラインも必要だというようなことになりましたら、これは時宜を逸せずに検討させていただきたいと思います。
  22. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 先ほどもちょっとやり取りをさせていただいたんですが、この下請法の問題というのは、親事業者資本金三億円超という設定があって下請事業者資本金三億円以下という関係、あるいは親事業者資本金一千万円超三億円以下という位置付けで下請事業者資本金一千万円以下と。これに当てはまらない、逆に言えば、事例というのはこれ適用にならないわけですね。ですから、そういう面ではこの下請法には限界があるわけです。これは衆議院でも随分やり取りをしているわけでありまして、私はこの法案改正には賛成するんだけれども、やっぱり下請法で対応できる限界があるものですから、是非ガイドラインを作っていただきたい。  竹島委員長は作らないとはおっしゃらなかった。この法案が実行されていく中で必要性がある場合には作っていくというお話をされました。私は、この優越的地位濫用という問題については、濫用する側、濫用される側、それからこの濫用によって様々な影響を受ける一般ユーザー、国民の側、どの側にとってもこれはいいことではない。したがって、こういう場合は濫用になるから良くないんだよということを明確にしていくというのは大変重要。言葉は分かります。言葉は分かりますけれども、いざ具体的な事例に当てはめてこれは駄目よと、ここまではある程度自由経済の下における交渉としてはあるでしょうと、しかし、ここを超えたらこれは問題なんですよということを明示をしていくということは、この今回の改正を実行するに当たって大変重要ではないかというふうに思うものですから、ちょっとこだわらせていただきました。是非今後ガイドラインを作成するという方向性で進めていただきたいということを要望を申し上げておきたいというふうに思います。  さて、かねてより強く問題が指摘をされているものに採算度外視の低価格入札、もう最近多いんですね。櫻井委員長はタクシーの問題でもやられておりますけれども、この低価格入札、これがございます。これは公正取引の観点のみならず、低価格労働条件の悪化あるいは安全性の低下、こういうものにもつながることから極めて看過できない問題だというふうに私は考えております。  そこで、竹島委員長お答えをいただきたいというふうに思うんですが、この採算度外視の低価格入札、これも一定の条件に合致すれば不当廉売に当たる、この法案成立後には課徴金対象にもなる、このことで間違いございませんか。
  23. 竹島一彦

    政府特別補佐人竹島一彦君) おっしゃるとおり、要件に合致すれば公共事業における不当廉売も当然課徴金対象になります。
  24. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 分かりました。  その場合、ネックとなってくるのは、この法案の第二十条の四に書かれております継続あるいは当該行為を繰り返すという文言だというふうに思うわけでございます。これに加えて、周辺の商圏に大きな影響が出ているかどうか、こういった兼ね合いで実際の処分の是非が決まるんだというふうに考えるんですが、この入札については、通常の商品販売とは明らかに形態が異なるわけであります。周辺の商圏云々とかという、そういうこととはもう全然違う世界なわけでございます。  仮に、A市の入札と隣にあるB市の入札とで実施主体が異なるから継続性が遮断されるというふうに解釈をされるということになりますと、独禁法はある面ではざる法になってしまう、こういうおそれを感じるわけでございます。採算度外視の低価格入札ということについて、課徴金も用いて悪質な事業者を厳正に処分していく、その決意を是非、竹島委員長からお示しをいただきたいというふうに思います。
  25. 竹島一彦

    政府特別補佐人竹島一彦君) あくまでもこの法律が定める要件に合致しなければ課徴金対象になりませんが、合致する場合には当然適用するわけでございまして、今A市、B市のお話をされましたが、同じ公共事業の世界において不当廉売を繰り返したという場合は、これは当然その繰り返し、同じA市でなきゃならないということではないわけでございまして、公共工事の場合も、確かに一般の商品と違いますけれども、私どもは工事原価というものをちゃんと計算をいたしまして、それを下回っているかどうかというのが簡単に申し上げますと大きなファクターでございますので、あとは他にどれだけの悪影響を及ぼしたかという影響要件もございますけれども、そういう判断基準はもう既にガイドラインで示しておりますから、これに基づいてきちっと調査をし、要件に該当する場合は課徴金対象とすると、こういうことで臨ませていただきたいと思います。
  26. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 ありがとうございます。  かなり詰めた話をしてまいりましたが、ちょっとここで昨今話題のポイント制度という問題について。  ここにいらっしゃる皆さんは余りそうじゃないかもしれませんが、最近、財布の中にお札よりもポイントカードの方がたくさん入っている。もう五枚、十枚、下手するともっとたくさんのポイントカードを、何というか、今どこのお店を利用しても何かポイントカード云々という話がたくさんあって、今度の補正予算で新たにまた新たなポイントがスタートするやに聞いておりますけれども。通常、今あるポイントカード、この問題、家電量販店などで、これも量販店だけではないんですが、行われているわけです。  これ、委員の皆さん、クイズを出したいと思うんですが、このポイントというのは値引きですか、それともおまけですか、どう思います。あえて答えは求めません。値引きのようでもあり、おまけのようでもある。  しかし、消費者の側に立ったときにこのポイントというのはどういうふうに映るかということになると、決してそういう言い方だけでは済まないわけであります。このポイントの法的な性格というものをどう見たらいいか、これは大変重要だというふうに思います。消費者が対価によって獲得した権利、対価によって獲得した権利というふうに見ることができるんではないかという見方。それから、今度、ポイントカードを発行する側からすると、どちらかというとそれは単なる恩恵です、権利ではありません、だから当社の取組が変わればそのポイントは無効になる場合もあるんですと、多分、トラブルがあったときにはそんなふうになりそうな気がしてならないわけであります。  こういう点について公取としてはどんなふうにお考えになるか、ちょっとお聞きをしたいと思います。
  27. 竹島一彦

    政府特別補佐人竹島一彦君) そもそも法律的にどうかということになりますと、ちょっと荷が重いのでございますが、私どもの理解では、これは経産省の研究会が検討したものがございまして、それによりますと、ポイントプログラムは事業者と消費者との間の民法上の契約と評価される、したがって、ポイントの権利性や法的性質は当事者間の合意によって決定されるというのが法律論としての整理のようでございますが。  具体的に私どもが扱っていますのは、特に家電量販店等が出しているポイントは、我々はこれは値引きであるというふうに取り扱っております。というのは、特に条件もなくそれで物が買える、要するにお金と同じような機能を与えられている、よって値引きであると。しかしながら、それが圧倒的に多いものですから値引きというふうに具体的に扱っておりますが、そうじゃなくて、ポイントをもらっても、そのポイントで今度は抽せんをいたしますよと、それで当たる人、外れる人が出てきます。こうなってまいりますとこれは景品だということですが、現実に我々が心配といいますか、よく見ているのは値引きとしてのポイントでございます。
  28. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 非常に答えにくい回答をしていただきましてありがとうございます。  値引きという位置付けになりますと、これはやはり一つの権利的なものとして、次回あるいは次々回買物をするときに、そのポイントを使って更に値段を引いていただくということになるわけであります。特にヤマダ電機という量販店、公取でも前回、納入業者に対する従業員の不当使用ということで排除措置命令を出されておったわけでありますが、こういうヤマダ電機のような、ちょっと私、具体的な名前を挙げて申し訳ないんですが、あるライバル社との間でかなり厳しい値引き競争をやっていて、私の出身のところでは、ヤマダ電機に製品を納めている側なんだけれども、本当苦しいんですね。  市場価格がどんどん下がっていくものですから、それで製品を納めろ、その価格で納めなければおまえのところは要らないという話になるわけで、日本の国内でいい物づくりをしようと思っても、そういう値段で納めなければならないとすればもう海外に行かざるを得ないという、行き過ぎた安売りが日本の国内の製造業を非常に破壊をしている、そんなような問題意識を私は持っているわけでございます。是非、これらについては後ほど経済産業委員会の中でまた議論をさせていただきたいなというふうに思うわけであります。  さて、課徴金に関してでありますが、本法案では、不当な取引制限において違反行為を主導することの抑制という観点から、主導的役割を果たした事業者に対しては、課徴金の算定率が通常の場合より五割増しの一五%というふうになることが盛り込まれているわけであります。  この課徴金算定率の割増しの五割というこの数値の根拠、これについて御説明をいただきたいというふうに思います。特に、五割加算が抑止効果にどのくらい貢献するのか、その辺についても御説明をいただきたい。
  29. 竹島一彦

    政府特別補佐人竹島一彦君) なぜ五割にしたのかということでございますが、これは前回の法律改正のときに、繰り返し違反をした者については五割増しにすると。そのときは、やっぱり繰り返しやるというのはそうじゃない場合に比べると不当利得の程度が高いんだということを根拠に五割増しにさせていただきました。  今回、主導的役割、具体的にはカルテルや談合をやるときに幹事社みたいなことで割り振りをしたり連絡の窓口になったりするような機能を果たす会社がいるわけでございますが、こういった者がより重い課徴金を課せられるということになれば幹事社を引き受けるのを思いとどまるだろうと。そこがねらい目で、加算した方がいいだろうというふうに考えまして、じゃ幾らにするのかと。繰り返しの場合の五割というものがやはり、これを横に引っ張って、主導的な役割の場合も加算は五割がいいだろうと。それから、加えまして、ヨーロッパにおきましても、ECは主導的なものについてはより厳しい制裁金を課すわけですが、我々の得ている情報では、EUの場合は四割弱ぐらいが加算されていると、これは平均でございますけれども。  そういったことも考えますと、五割が妥当ではないかと、こういうことで五割にさせていただいています。
  30. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 主導的な役割ということについては適切な認定をしていただく、抑止の効果が果たされていくんだということを是非私はこの法律成立期待をしたいというふうに思います。  さて、今回の法案で、ほかにも課徴金に関する幾つかの工夫が盛り込まれているわけでございます。その一つが課徴金の減免制度、いわゆるリニエンシーに関して、同一企業グループ内の複数事業者に同一順位による共同申請を認めるということになっているわけでございます。  お尋ねしたいのは、今回のこの法案成立後において、要件に該当する同一企業グループ内の複数事業者は、共同申請を行ってもいいし、これまで同様に単独申請を行ってもいいということになるのか、この事実関係のみ端的にお答えをいただきたいと思います。
  31. 竹島一彦

    政府特別補佐人竹島一彦君) それは、どちらを選択するのもその企業ないし企業グループの判断でございます。
  32. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 そうしますと、単純に、自分たちの支払う課徴金、これを少なくするために共同申請を行うこともできます。一方で、余り指摘したくない話ですが、自分たちの支払う課徴金を増やしてでもライバル企業に損害を与えるために単独申請をしてリニエンシーの枠を埋めてしまう、そうすると、あとはもう一〇〇%支払わなきゃいけなくなるということ、こういうこともあり得るんではないか。ある意味で、違反企業が戦略的に損得を考えて共同申請をするか単独申請をするかを選択できるということになるのかなと、そういうケースもあり得るのかなというふうに思うわけであります。これは本来のリニエンシーの趣旨から外れているんじゃないのかな。法律そのものでこの問題を解決しようとすると、共同申請のメリットそのものも失われることになりかねない。  竹島委員長におかれましては、私の指摘を受け止めていただいて、仮に実際の問題が生じた場合にはこれはまさに運用面の問題になるんだというふうに思うんですが、これ対策をしっかり講じていただく必要があるんではないかというふうに思うんですが、いかがでございますか。
  33. 竹島一彦

    政府特別補佐人竹島一彦君) 共同申請を認めることにいたしましたのは、今までは先着三名ということでございまして、同じグループ内で三名いたらもうあとは手を挙げても認められないということで、それでは十分な情報が集まらないではないかということで共同申請も認める、外国も共同申請は認めているということでお願いを申し上げているわけなんですが、今、津田委員指摘のように、自分が損してでもほかの企業がもう手を挙げても間に合わないように、三社なら三社のそのいすを自分たちで先にばらばらで申請して埋めてしまおうと。これは正直、そういうふうに損得勘定をすると損なことをやる企業がいるとは私どもは想定をしていないんですが、あり得る話だと思います。あり得る話ですが、余り一般的には想定されない。これはもうあくまでも、早くあれすればただになったり五割引きになったり三割引きになったりするということなので、あえてそれを、ただになるものを、イの一番であれば、それを犠牲にしてまで埋めちゃうということはちょっと想像しにくいんですが、そういったことが仮に多発するといいますか、そういうことになれば、おっしゃるようにどこかおかしいねということになりますので、その場合は考えさせていただきたいと思います。
  34. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 私も余り考えたくないんですけれども、世の中というのは、事実は小説よりも奇なりということわざがありますように何が起きるか分からないということでもありますので、是非そういうことも今後の検討の中に入れておいていただければなというふうに思うわけでございます。  さて、このリニエンシーについて、今回、減免申請者数について、従来の三社から、今委員長がおっしゃいましたように五社というふうに拡大が行われたわけであります。つまり、五社までは言ってみればメリットがありますよと、六社目からはアウトということになるわけでございます。  これ、衆議院での審議におきましてもこの理由について竹島委員長あるいは河村官房長官が答弁を行われております。ちょっと抽象的な物言いに終始をされているように私は見受けました。実際に、三社からの情報では対応が難しい、これに二社の情報が加わることで対応が可能になるんだという、こういう事例が果たしてどの程度あるんだろうか。私は、ちょっとそこら辺について私自身はよく分からないんです。  これ、委員長、適用事業者数を五社にしたということの理由について、是非、衆議院段階での答弁以上の詳しい説明をしていただきたいと思います。
  35. 竹島一彦

    政府特別補佐人竹島一彦君) これは、三年前になりましょうか、前回の改正を踏まえまして、その附則十三条を踏まえまして、審判制度見直しという大きな問題があったわけですが、これらも含めて、内閣府に独禁法基本問題懇談会というものを設けさせていただいて、二年間議論していただいたわけでございます。  その中で、これは増やした方がいいんではないかと。その趣旨は、より良い情報が集まるということで、そういう提言をいただいているわけです。これは、確かにより多い人に認めた方がいい情報が集まりやすい、しかし、だんだんとその付加価値は減ってくると、こういうものだと思いますし、たくさんの事業者にリニエンシーの道を開いちゃうと、何も急ぐことはないということになりますので、すべて一長一短がある。当初は先着三名ということにさせていただいて導入したわけですが、そのときも二社でいいかどうか、いや、もっと増やせという、いろんな御議論があった中で三社にさせていただいたということでございまして、私どもとしては事前の、我々が具体的な端緒情報を持っていない段階で、すなわち立入調査をする前に情報が欲しいというのが本音でございます。立入調査をした後の情報意味がなくはないんですが、これよりも前の方が有り難い。  それに対するインセンティブとして、やっぱり三社よりも増やした方が、何でその五社と、四社じゃなくて五社というふうになりますと、これはかくかくしかじかでということをもう本当にクリアカットに御説明申し上げるのは難しいんですが、今るる申し上げていますような背景で、増やした方が、プラス、マイナスはあるにしてもリニエンシーの活用というものが促されて、それによって公正取引委員会により役に立つ情報が入って、それで法律執行がより厳正化されると、こういうことにつながるという考えの下に三社を五社にさせていただくと。  ただ、事後は、五社に増やすと、これ付加価値の低い情報を何で三割引きのものに更に増やすんだということになりますので、それはもうやめます、それは。事後はもう三社までですと。事前についてインセンティブを与えると、こういうことでございまして、なかなかクリアカットなお答えでなくて申し訳ございませんが、そういう次第でございます。
  36. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 余り衆議院段階から進んでないんでちょっと不満なんですが。  私は、今、竹島委員長がおっしゃいましたように、この適用事業者数の拡大ということを別に反対というわけではないんです。おっしゃるようにいろんなケースがあるだろうというふうに思います。今回この適用事業者数が拡大することによって、カルテルや入札談合の違反をしている企業側にとって、今委員長がまさにおっしゃったように、様子見をしようと、まだ枠が残っていると、こういう話ですよね。ちょっとこれは余りいいことではないのではないかなと。  過去三年間のカルテル、あるいは入札談合事件、事案における違反事業者数を見てみますと、総数が四十件中の二十三件について、違反事業者数が五社以下になっているんです、五社以下に。これ、五社まで対象を拡大すると、これ六割近い事案において違反企業のすべてが課徴金減免の対象となりかねない。これはまさに俗に言う何だこりゃという話になるわけでありまして、ここはやっぱりちょっと、委員長もある面ではこのことについての危惧をお持ちだということでありますので、ここはしっかり見ていかなきゃいけないことではないかなと。  私のかかわっている出身組織の中で鋳鉄管を造っている会社が三社ありまして、クボタとクリモトと日本鋳鉄管という三社、この三社でいわゆる鋳鉄管のシェア一〇〇%を占めております。何回か公取のお世話にもなっておるわけでございますけれども、これ鋳鉄管という形、鋼管とかパイプとかということになれば別ですが、鋳鉄管という形に絞れば三社しかなく、ほかにはもうないわけでありまして、そうなるとこの五社にする意味というのは何もないわけであります。  その辺は、私は今後、このリーニエンシーの三社から五社への拡大ということを含めて、多くの規定が数字自体に絶対的な合理性というものは存在しないんだと、こういうことをしっかり認識をしていただいて、この法案見直し規定を空文化することなく、施行後に問題が生じた場合には柔軟に法律の再改正を行っていくということを河村官房長官から決意を伺いたいと思いますが、いかがでしょう。
  37. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 今、竹島委員長からリーニエンシーの三社から五社への拡大の説明があったわけでございます。独禁法懇談会の意見も踏まえながら、政府としては現時点ではこの方法が最適ということで提案をさせていただいておるところでございます。しかし、今、津田委員指摘のような視点も持たなきゃいかぬと思います。したがいまして、見直しを行う可能性は、これは否定できないと、こう考えます。  この法律には五年後の見直しという条項も付いておりますが、今後、独禁法を実際にこの改正をやって、施行状況を勘案して必要に応じて検討をやっていくと、こういうふうに考えます。
  38. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 ありがとうございます。  さて、今回の法案懲役刑の引上げが盛り込まれ、これまでの上限三年が五年ということになっておるわけでございます。自由で公正な競争を確保するという、このためには違反者に対して厳しく罰則を科していくことは不可欠であるというふうに私も考えます。違反行為を抑止することにも、この懲役刑を引き上げることによってつながる可能性は高い。  今回の改正理由ともなっております他の経済関係法令などとの比較で言えば、五年ではなくて七年とか十年ぐらい考えてもいいんじゃないか。あるいは罰金についても、上限の五百万円が据え置かれたままであります。これも私は引き上げた方がよかったのではないか、そのように思うわけでございますが、この改正案によって今後は実刑判決も出てくること、これは大変前進であるというふうに思います。  そこでお聞きしたいんですが、独禁法違反によって従業員等の個人が刑事罰を受けた例というのは何件、何人でしょうか。
  39. 竹島一彦

    政府特別補佐人竹島一彦君) これまでに十四件でございます。
  40. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 人数を。ちゃんと事前にレクしたんだから。
  41. 竹島一彦

    政府特別補佐人竹島一彦君) 恐れ入ります。ちょっと人数、今調べて、分かり次第お答え申し上げます。
  42. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 百数十人いるはずです。私が聞きたいのは、件数はさることながら、その百数十人の人数の中に社長が入っているかどうかお聞きしたいんです。いかがですか。
  43. 竹島一彦

    政府特別補佐人竹島一彦君) 社長が入っているケースはないと記憶しております。
  44. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 これ、末端の従業員が例えば業務上の横領を行うというようなことは、これはあると思います。しかし、カルテルとか入札談合、これを末端の従業員が単独でやるか。どう考えたってこれは考えられないわけでありまして、一般の従業員が自分の利益のためにカルテルとか入札談合、こんなのやるわけがない。業務上横領はやるかもしれない。  したがって、これ、どう考えてもこの業界の秩序維持を含めた会社利益のためにそうした違反行為を、直接命令若しくは暗黙の指示、そういうことの下に行われているケースが私は一番多いんではないかなと、常識的に。河村長官はどう思われますか。
  45. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 社員が動く場合は会社の経営方針というのがやっぱりあるわけです。一方、しかし社員はいかに利益を上げるかということで第一線は頑張るわけでありますから、この点でこういう問題が起きる可能性がある。しかし、最終決断はやっぱりトップが責任を負う課題であろうなと、私もそのような感じはいたします。
  46. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 そうなんです。ここが大変重要なんです。  これ、直接談合に参加をした、カルテルを計画をしてその相談に応じた人物というのは、ここに独禁法違反により刑事罰を受けた従業員等の役職についてというのを事前に公取から出してもらって見ているんですが、課長代理、係長、あるいは部長代理、課長、この辺が非常に人数多いんです。これ、かわいそうですよね。  私、通告をしていないので是非後ほど調べて教えていただきたいんですが、この方々は懲役刑を受けた後どうなっているんだろうな。おまえはとんでもないことをしたんだと、我々とは違う裏の世界がありますけれども、お勤めに行ってこいという話になりかねない。言ってみればトカゲのしっぽ切り。しかし、しっぽが余りいろんなことを言ってもらっちゃ困るから、お勤めが終わった後はそれなりの対応をするから。多分これ、刑事罰を受けた人のその後のどうなったかは調べてもらえれば分かると思うんだ。そういう裏の世界の話と同じになっていたんじゃ、これは非常に良くないわけでありまして、私は、やっぱりそういう点、ここはきちんと見ていかなきゃいけない。  つまり、経営者というのは、御自分が直接非常に分かりやすく指示をしたかどうかということを言われればいろいろ問題が出るだろうと思います。しかし、先ほど官房長官がおっしゃいましたように、これはどう考えたって会社利益のためにやっている、そのことについて最高責任者が全く罪に問われない、末端の係長だとか課長代理とか課長や部長代理が結局はお勤めをするというのはいかがなものかなというふうに思うわけでございます。そこのところはやはりしっかり今後見ていかなきゃいけない。  これ、カルテルあるいは入札談合というのは、高度な企業意思によって行われるということ。法人罰や社会的な制裁にとどまらず、経営の最高責任者にこそ私は刑事罰を適用すべきであるというふうに思います。そうしたカルテルや入札談合を根絶できる立場の人間に刑事罰を科さないから、いつまでたっても繰り返し独禁法違反が行われる。トカゲのしっぽ切りと申し上げたのはまさにそういうことでありまして、現行法においても社長に刑事罰を科することは私は可能だというふうに思います。しかし、今後、実際にそうした対応も辞さない、公正取引委員会としてそういう決意を持って臨んでいただきたいというふうに思うんですが、竹島委員長からその決意を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
  47. 竹島一彦

    政府特別補佐人竹島一彦君) 今の御質問お答えする前に、先ほどお答えできなかった人数ですが、平成の時代に独禁法違反により刑事罰を受けた従業員等の数は百二十七名、そのうち、役員、部長クラスが七十三名、次長、課長クラスが四十名、係長以下が十四名と、こういうふうになっております。  それから、御質問でございますが、御指摘のとおり、既に独禁法の第九十五条の二というのがございまして、いわゆる三罰規定、実行した営業部の社員、それからその法人、加えて代表者が、その違反の計画を知り、その防止に必要な措置を講ぜず、又はその違反行為を知り、その是正に必要な措置を講じなかった当該法人の代表者に対しても各本条の罰金刑を科するという、いわゆる三罰規定があります。  したがって、私どもは、刑事告発する場合に、代表者でも役員でも関与しているという事実に接すれば当然それは、それを含めて、もう既に名古屋の地下鉄談合等々ではそういうことをやっておりますが、現状を申し上げますと、日本の刑事というのはやはり供述というのを非常に重んずる、そうすると、中間のその営業部の人間が自分のところで収めようと、一切しゃべらない、後は、ということになりますとそこに大きな壁ができているわけでございまして、私は日本の刑事司法、ちょっとそういう意味では難しい問題点を抱えているなと思っていますが。そういうことで我々としては、本来責任を取るべき者を告発するというのが筋でございますので、会社のために確かに私腹を肥やしているわけでもない従業員が刑事罰を受けている、そういうこともあって実際は執行猶予が付いてしまうということになっていると思いますが、これからはより厳正に刑事罰を科せるように刑事告発においては十分に努力してまいりたいと思っております。
  48. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 終わります。
  49. 櫻井充

    委員長櫻井充君) 河村官房長官、御退席いただいて結構でございます。
  50. 荻原健司

    ○荻原健司君 おはようございます。自民党の荻原健司です。  本日は、独禁法改正案について御質問をさせていただくことになりました。どうぞよろしくお願いいたします。  まず、御質問に入る前なんですが、私も大変この独禁法につきましては興味を持っております。もちろん、先ほど来お話ありますように、経済憲法というようなこともあるわけなんですが、これ例えばスポーツ的に言えば、やはり公正な競争を行う上でのルールということですから、私なりにも大変興味を持っているわけなんですが、ちょっとその背景を簡単に御説明をさせていただくと、これは度々委員会でもいろいろと、かつて標準化、標準についてのときにもちょっとお話をさせていただいたんですが、私、議員になる前はかつてスキーの選手をやっておりました。やはりそういう中で目の当たりにしてまいりましたのが、スポーツのルールというのが都合の良いように変えられてきたという事実なんですね。  歴史的に見ましても、日本人が国際大会、国際試合で活躍をいたしますと、その種目の中で日本人が勝てなくなるようなルール変更、ルール改正というのが度々なされてきた。多分、竹島委員長も御存じのことと思いますけれども、本来スポーツというのはやはり能力、才能ということよりもやはり技術や能力ですよね、そういう能力と能力がぶつかり合う、これは独禁法的に見ましても本当は理想的な世界のはずなのが、実際には恣意的なルール変更やルール改正によりまして新しい能力の持ち主が参入するのを拒んでいるという事実もあるんだろうというふうに私は思っております。  ところで、つい先日、櫻井委員長のお招きによりまして先生方との懇親会を開いていただきました。その際、竹島委員長も御出席をいただいた中で少し歓談をさせていただいたときにスポーツのお話もさせていただいたのを思い起こしまして、ちょっとこれどうしてもやはり公正取引委員会委員長として何か御感想があればなと思って伺いたいなと、いつか、思っていたので、今日そういうチャンスが巡ってきましたのでちょっとお答えいただければと思っておりますが、委員長は常日ごろから、いわゆる新規参入や競争の重要性、これをもう本当に語っておられるわけなんですが、これまで今お話しさせていただきましたこういうスポーツの世界での新規参入障壁というんでしょうかね、ルール改正とかルール変更、こういうものについて何か御感想ございますでしょうか。
  51. 竹島一彦

    政府特別補佐人竹島一彦君) 荻原委員が複合で大活躍されて、そのせいか存じませんが、その後ルールが変わって、ジャンプよりも距離の方の比重が増えたという話は聞いていますし、それから、ジャンプの選手の場合にはスキーの長さが身長との間で一定の比率以上は駄目だということにされて日本人にとって不利になったというような話も聞いたことがありまして、スポーツファンとしては非常にけしからぬ話だと思った記憶がございます。ルールは当然フェアでなきゃいけないし、そのルールの執行もフェアでなければいけないと思っております。
  52. 荻原健司

    ○荻原健司君 ありがとうございました。  これは、もちろん事務方の皆さんにはこれ答弁書けなかったと思います。本当に個人的な御感想をいただいて、ありがとうございました。  是非ともそういうスポーツの世界にも関心を持っていただいて取り組んでいただければなというふうに思っているんですが、今そういうルールについていろいろとお話をさせていただきましたが、実はスポーツと独禁法というのは意外と関係があるんですね。これはちょっと一つ興味深いお話を御紹介をしたいと思っております。  多分御記憶のある方も多いと思いますが、かつてプロ野球で近鉄とオリックスが合併をする際に、プロ野球の新規加盟問題について議論がありました。その際に、日本野球機構が六十億円の新規加盟料を定めていたことが問題となったわけであります。それが問題になった中で、かつて衆議院の文部科学委員会におきまして質問が出たところ、当時の公正取引委員会取引部長さんがその高額の新規加盟料につきまして、一般論として新規参入を不当に排除するということについて関心を持たざるを得ない事柄だという答弁をされております。それを受けまして、やはり日本野球機構さんは考えたんでしょうね、六十億円の加盟料を廃止をしたということになりました。  ですから、このようにスポーツの世界から見ましても、独禁法という法律は非常に身近な法律なんだというふうに思っております。もちろん、これからまた、スポーツビジネスというものが拡大をしてきております。スポーツ関連市場も拡大していくというふうに思っておりますが、多くのスポーツの場面でも独禁法にかかわる問題というのがクローズアップされていくことになるのではないかなというふうに思っております。  さて、それではいよいよ本題の方に入っていきたいなというふうに思っておりますが、今日は私、全体のテーマとしては、独禁法の国際比較というようなところでとらえて御質問していきたいというふうに思っております。  まず最初なんですけれども、これもまた皆さん御承知のことだと思いますが、先日、これ随分大きな報道をされたわけなんですが、アメリカのインテル社の独禁法違反の事件についてであります。日本の新聞でも大きく報道されましたのでもちろん御存じの方も多いと思いますが、これは欧州の独禁当局に当たります欧州委員会がアメリカのインテル社に対しまして独禁法違反として過去最大のおよそ一千四百億円の制裁金の支払を命じました。ただ、これはインテル社は裁判で争う構えを見せておりますので、あくまで係争中という事件でありますが、ただただやはり一千四百億という制裁金の金額の大きさには正直私も驚いております。すごいなというふうに思っておりますが。  そこで、公正取引委員会にお聞きをしたいんですが、インテル社で問題となったような競合企業を不当に排除をする市場支配的地位濫用というのが仮にこの我が国で起こった場合、現在の現行法では、これは排除型私的独占に当たると思いますが、現行法ではどのような処分が科されることになるんでしょうか。
  53. 竹島一彦

    政府特別補佐人竹島一彦君) 今回、ECがインテルに対して排除命令と千四百億円、日本円相当の制裁金を科すと、こういうことがあったわけですが、全くと言っていいその事件を既に公正取引委員会は三年か四年前にやっておりまして、これはインテルがアドバンスト・マイクロ・デバイスという、AMDという企業、これがライバルといいますか、インテルはもう八割、九割のシェアを持っていますからライバルと言えるほどのライバルじゃないんでございますが、これを締め出すために日本で同じようなことをやったわけですね。相手は日本のパソコン製造メーカーでございまして、これはインテルのものを買ってこないとパソコンを作れないという事実上の問題があって、そのときにAMDのものを使おうとして、AMDも一生懸命営業したものですからシェアが上がったんです。いっとき二割近くに上がってきて、それに危機感を覚えたインテルがリベートを使って、自分のところから全部買ってくれるならリベートをあげます、九割買ってくれればという会社もありましたが、相手によってやっぱりそれは交渉事でございますでしょうが、全く同じような構図のことが起きまして、これは公正取引委員会が、やっていることはまさに排除型私的独占だということで命令を下しております。  ところが、この排除型私的独占は日本では課徴金対象になっておりませんので、やめなさいという命令だけで済まさざるを得ませんでした。同じことが、三年ぐらいたって今ECがやって、向こうは制裁金でございますので、十億六千万ユーロ、日本円にして千四百億円という大変大きな額の制裁金を科している。したがって、明らかにペナルティーは日本とECで違っているわけでございます。  そういうこともありまして、私どもは今回、排除型私的独占についても課徴金対象にしてくださいということにさせていただいているわけでございまして、これからは同じような事件が起きた場合には課徴金対象になるということでございます。ただ、水準は相当違うということは認めざるを得ませんが、新たに課徴金対象になるということでございます。
  54. 荻原健司

    ○荻原健司君 ありがとうございました。  委員長の方から、かつてインテル社が日本でも同じようなことがあった、ただそのときにはやめなさいよとしか言えなかったと。しかし、先日の報道にもありましたように、欧州委員会の方ではおよそ一千四百億円の制裁金を科したということですから、やはり日本の現行の独禁法と欧州が下した決定には随分開きがあるんだなというふうに思っております。  加えて、その改正案、これは成立した後の場合についても少し、既に御紹介をいただきましたが、この改正案成立した場合、今、先ほどお話しいたしました排除型の私的独占のケースでありますとどういう処分になるか、もう少し詳しく教えていただければと思います。
  55. 竹島一彦

    政府特別補佐人竹島一彦君) たまたまインテルを例に申し上げますと、今回の改正排除型私的独占については、違反対象商品の売上高の製造業の場合は六%、小売業の場合は二%、卸売業の場合は一%を新たに課徴金を課しますと、こういうことをお願い申し上げているわけですが、先ほど申し上げたインテルの例で申しますと、日本インテルという会社がありまして、日本インテルという会社がアメリカから持ってきて、それで日本のパソコンメーカーに売っているわけでございまして、この日本インテルの一体業態は何ぞやということになりますと、恐らく卸売業なんだろうと思うんです、製造業ではない。卸売業だと仮にしますと、これは一%ということになりまして、それで日本インテルは、じゃ、しからばどれだけの売上高が日本国内であるのかと。年間約二千億円というふうに我々把握しておりますので、そうすると、これは最大三年間、課徴金が取れますので、二千億掛ける一%掛ける三ということになりますと六十億円ということになると思いますが、二十億掛ける三ですから六十億円ということになります。これはあくまでもアバウトな例として、御参考までに申し上げます。仮に製造業だとその六倍ということで、六%でございますので六倍の課徴金があるということでございます。
  56. 荻原健司

    ○荻原健司君 ありがとうございました。  排除型私的独占製造業で六%、小売業で二%、卸で一%で、インテルさんの場合に、仮にですけれども、インテルさんの場合がもしこういう事案があった場合には一%というようなことになるという御答弁をいただきました。ありがとうございます。  ちょっと今日のテーマに沿ってなんですが、これアメリカ、例えばアメリカの場合にはこういう排除型私的独占を起こした場合にはどのような処分が科されることになっているんでしょうか。
  57. 竹島一彦

    政府特別補佐人竹島一彦君) アメリカの場合はシャーマン法二条で私的独占的なことはやってはいけないという規定がありまして、この違反に対しては刑事罰もあるということになっているんですが、具体的にアメリカの政府がやっておりますことは、刑事訴追はやっておりません、この種のものについては。そもそもこういうものに対しては非常に消極的でございます。今度共和党から民主党に替わって、反トラスト局長も替わりましたので、どうなるかはそれは分かりません。かなり積極的に運用するのではないかということも言われておりますが、アメリカではこういうことが起きた場合には、罰金とか懲役刑とかという刑事罰じゃなくて、裁判所に反トラスト局からこういう行為はやめさせてくださいという差止めの請求をいたしまして、裁判所の判断でなるほどということになれば差止め命令が出ると、こういう民事的といいますか、そういう扱いになっております。  ただ、この点は、本来シャーマン法二条で罰則まであるにもかかわらず運用上そうなっていないということでございまして、一方で、今世界的に、日本、EU、アメリカ、この大きな市場支配的地位にある企業が、大きいこと自体は問題じゃないんでございますが、その地位を利用して相手を排除したり新規参入を阻害したりする行為というものについては、これは大変今大きな論争点といいますか議論になっていまして、これをきちんとやるべきだという議論でございまして、EUはそういう意味じゃもう元々やっている、日本も今度課徴金対象にする。  さてアメリカが、単独企業行動規制というんですけれども、カルテルや談合ではなくて、独りの企業が、マイクロソフトとかインテルとか、そういう特に知的財産権をバックに非常に強い力を持った者が今申し上げたような排除行為を働いた場合には規制をきちんとすべきだという議論が今行われていまして、世の中はだんだんそちらの方に収れんしていくんじゃないか。そういう意味じゃ、アメリカは道具は持っていても使わないという方針で今まで来ていました。その考え方がこれからもそうなのかどうかというのは非常に注目して我々も見ているところでございます。
  58. 荻原健司

    ○荻原健司君 ありがとうございました。アメリカの事例も大変詳しくお答えをいただきました。  いずれにしましても、この独禁法についてはやはり国際的に随分いろいろと差があるのかなという感想を持っております。とはいえ、今、竹島委員長お話しのように、やはり悪はしっかり取り締まると、厳罰化の方向であるというお話をいただきました。  続いて御質問をいたしますが、先ほど来お話をさせていただいておりますこの度の欧州委員会の決定をいたしましたインテル社に対しての一千四百億の制裁金支払命令ということなんですが、この一千四百億円、これは随分やっぱり高額だなというふうに思うんですが、この算出方法というのは御存じでしょうか、お答えいただければ有り難いと思います。
  59. 竹島一彦

    政府特別補佐人竹島一彦君) そのインテルの件に関してまだ欧州委員会は決定文というものを公表しておりません。決定文が公表されますと、どういう考え方で一千四百億円だということがあらかた分かるようなことに従来なっておるわけですが、そういう意味では決定文が公表されていませんので具体的なことは分かりませんが、ただ欧州委員会は、説明責任というんでしょうか、予測可能性を企業側に与えるという意味で制裁金についての算定のガイドラインを示しているわけです。  それによりますと、そもそもその欧州委員会の制裁金というのは、全世界向けの売上高の一〇%を上限にして制裁金が科すことができると、こういうふうになっているわけですね。天井が非常に、一兆円の売上げが世界に対してあれば、それがまず、それの一〇%というものまで制裁金科し得るというのが向こうの制度でございますので。  ただ、具体的に、じゃそれをどうやっているのかというと、まず全世界というのはこれは上限の設定でございまして、具体的な制裁金は、欧州域内、欧州共同市場における売上高というものを調べまして、それの三〇%をまず掛ける、これがまず基準のへそになるような制裁金なわけでございます。これに対してプラス、マイナスするわけです。  プラスするのは、影響が非常に大きいとか、大企業だとか、そのマーケットは大変重要だとかというようなことがカウントされるわけですが、それから、長い期間カルテルにしてもやっていたというようなことは全部マイナス要因ですから、これは増額になります。それから、調査に対して協力していない、非常に非協力だというふうなものも全部増額の要因になるわけです。それから逆に、そうでもないと、協力もしたというような人は減額になりまして、先ほど申しました欧州統一市場における売上げ掛ける三〇%を標準にしてプラスとマイナスにそれぞれなって、どの場合は三〇%増しにするとか、そういうのが決められたわけです。  ここにそういったものが当てはめられた結果、千四百億円になったと。ただ、ちなみに、だけれども、その千四百億円というのはインテルの全世界の売上高の四%でしかないといえば、でしかないわけで、絶対額は非常に大きいんですが、そういうことです。
  60. 荻原健司

    ○荻原健司君 ありがとうございました。  ヨーロッパでは、EUでは当該企業の全世界の売上高の一〇%、一割までを上限にということだそうです。加えて、もちろんその基準というんでしょうかね、なるのが欧州域内での売上高に三〇%と、そしていろんな事案を勘案してプラス、マイナスするという御答弁をいただきました。ただ、やっぱり全世界の売上高というところまで見られるというのは随分すごいなというふうに思います。  もう少しちょっと制度的な中身詳しくお伺いをしていきたいというふうに思いますが、そうしますと、日本の独禁法とEUの独禁法、これ正確には競争法だと思いますが、今回のインテル社のような排除型私的独占に該当する行為が行われた場合に、今おっしゃったEU当局が科す制裁金の額と日本の公正取引委員会が科す課徴金の額、先ほどちょっと御説明もいただきましたけれども、この算出方法についてもう少し具体的に教えていただければ有り難いと思います。
  61. 竹島一彦

    政府特別補佐人竹島一彦君) EUというか、欧州委員会ですが、具体的には、欧州委員会が制裁金を計算するのは先ほど申し上げたようなことでございまして、上限は全世界の一割ということでございますが、これはあくまで上限でございまして、具体的にはその欧州市場の売上高の三〇%が基準になって、そのプラス、マイナスされています。したがって、欧州の制裁金というのはかなり裁量的なわけです。日本における懲役刑や罰金刑と同じように、上限として裁判官がそれぞれ個別具体的に判断して決まるというのと似ているわけでございます。  一方、日本の課徴金制度というのは、一定の要件にはまればもうそれで一定率、排除型の場合に、これが製造業であれば六%、売上げの六%いただきますと、こういうことになっていまして、以上でも以下でもない、六%なわけです。カルテル、談合の場合は一〇%というのをいただくということになっていまして、基本的にそこが違うわけでございます。  性格的にはどちらも行政制裁金、EUの場合はもう典型的な行政制裁金なわけですね。したがって、協力したかとかしないとかということも含めて加減算するわけでございまして、かなり、懲罰的と言うと言い過ぎですが、裁量型の制裁金。一方、日本の課徴金も最近こうやって算定率を上げてきたり、首謀者になったら五割増しだとか、繰り返したら五割増しだとかとなると、何か制裁性が強まっているじゃないかと。確かに、我々もそれを考えてお願いをしているわけでございまして、制裁性は強めているつもりでございます。  そういう意味じゃ同じような制裁金ではないかということなんですが、しかし日本の場合は非常に画一的にしていると、そんな裁量を持ってやらずに、もう画一的にやっているという意味で違いがあります。そのこともあったり、日本全体におけるほかの経済犯罪に対する場合に課徴金なり罰金というものはどうなっているかというようなこととのやっぱりバランスも現実問題考えなきゃいけないということで、EUとの間には非常に大きな差があると。  EUもこれ昔からそうじゃなくて、この数年、大変アグレッシブにやっているわけでございまして、アメリカを今や追い越すぐらいに大変厳しい執行をしているということでございます。  したがって、絶対水準を日米欧で合わせなきゃならぬかということについては、私はそうじゃない、日本できちっと独禁法が守られればいいんで、甘く見られて、そのぐらいだったらもう大したことない、捕まったときの話だということではこれいけませんけれども、やっぱりこれはちゃんと守らないとまずいなというふうに事業家が思っていただけるようなものにするということが、これは抽象的でございますが、それが一体幾らなのか、現行の基本一〇%がそれで十分なのか、いや違うのか。それは、これからの執行を積み重ねていくことによって、全然引き上げても違反行為は減らないというようなことになりますとやっぱり算定率が低過ぎるということになりましょうから、またそのときはお願いをする、国会にその改正案お願いするというようなことになろうかと思いますが。  現状は今申し上げたようなことで、制度的な違いもありますし、アメリカはアメリカでまた違うんですけれども、そういった現状にございます。
  62. 荻原健司

    ○荻原健司君 ありがとうございました。  ちょっと整理をいたしますと、要するに排除型私的独占に該当する行為企業が起こした場合には、EUの場合には、当該企業の全世界の売上高の一〇%までを上限にした制裁金が課されると、また、その算出方法については捜査に協力したか否かで上下限があるというふうな御答弁をいただきました。また、日本の場合には、当該企業の問題となっている商品やサービスの国内売上高の製造業で六%、小売で二%、卸で一%という、それがもう上下限なしで、決まった割合で課徴金が課されるという御答弁をいただきました。    〔委員長退席、理事増子輝彦君着席〕  いずれにしても、EU、欧州委員会、また日本、公取さんが今改正案をお出しになっていただいていますけれども、やはり処分の違いも随分あるのかなというふうな感想を持っております。ただ、もちろん今、竹島委員長おっしゃったように、処分の重いか軽いかということを単純に国際比較をして、だからこうなんだということを私は言うつもりはありません。是非、公正取引委員会におかれましては、カルテル、入札談合だけではなくて、先ほどお話もありましたけれども、ガイドラインの整備、こういったものを通じまして私的独占や不公正な取引方法につきましても積極的な取組を、取締りをお願いしておきたいというふうに思っております。  続きまして、次の質問は、カルテルまた談合に関する刑事罰の罰則強化について御質問をしたいというふうに思います。  先ほどこの質問も幾つかあったところでございますが、改めてお伺いしておきたいと思いますが、今回の独禁法改正案におきましては、カルテルや入札談合といった不当な取引制限の罪につきまして懲役刑の上限が三年から五年に引き上げられることになっておりますが、まず過去のカルテル関連の刑事事件におきましては実際にどのような刑事処分を科されているのか、御紹介いただければ有り難いと思います。
  63. 竹島一彦

    政府特別補佐人竹島一彦君) 過去、刑事処分された人数は、人数ではございませんで、刑事処分された事件数は十四件。それで、平成のみでございますが、それに関係した人数は百二十七名ということを御答弁申し上げましたんですが、少し最近の例を申し上げますと、平成十九年の二月でございますが、名古屋市の市営地下鉄の土木工事の入札談合事件というのがございまして、これは刑事告発したわけですが、そのときに五名に対して有罪判決、そのうち最高は懲役三年、執行猶予五年ということで、現行の懲役三年以内の最高刑が出たということが一つあります。  それから、その一年前といいますか、平成十八年十一月、これは東京高裁におきまして、旧日本道路公団発注の鋼橋の入札談合事件、これの受注業務に従事した者七名に対して有罪判決が下されて、そのときの最高は懲役二年六か月、執行猶予四年ということになっております。
  64. 荻原健司

    ○荻原健司君 ありがとうございました。  平成十九年の名古屋の事案につきましては、現行法で言う三年、このマックスが出たということなんですが、また十八年の東京での事件については二年六か月ということで、現行法での上限三年に、もちろん三年も出たということですが、この三年に随分近い例が出ているというふうにお伺いをいたしました。  今度、これで改正をいたしますと、この上限が三年から五年に引き上げられるということなんですが、ちょっとその理由や背景もお伺いしたいと思います。もちろん、今御答弁いただきました、やはり三年というのが出たからという現実的な問題もあろうかと思いますし、もちろん国際的ないろんな厳罰化というようなこともあるのかと思いますが、その理由また背景について御説明いただければと思います。
  65. 竹島一彦

    政府特別補佐人竹島一彦君) 御指摘のとおりでございまして、そもそも日本は、口幅ったいんですが、経済犯罪に対するペナルティーが弱いと私はかねてから思っております。独禁法違反行為に対するペナルティーもしかりであるというふうに思っておりますが、これは罰則のレベルというのはやっぱり横並びということを、バランスというのがどうしてもあるわけです。そういう中で、よく見てみますと、金融商品取引法とか特許法の場合には十年以下というふうに既になっているわけでございまして、独禁法の三年以下というのはちょっと余りにも弱過ぎるではないかということでございます。  それで、廃案になった後、いろいろ関係方面と再度折衝いたしまして五年と、先ほど申し上げた三年という上限も出たことでもあるし、五年に引き上げようということでございます。  かてて加えて、アメリカは数年前に十年に、十年以下に懲役刑の上限を上げております。それから、イギリスでは五年というふうになっているということで、少なくとも五年に延ばさなきゃいけないだろうということで、今回お願いを申し上げております。  ちなみに、五年ということになって、それなりの判決が、懲役刑が出てまいりますと、従来は民間人について実刑は一回も、一件もないわけでございますが、実刑ということになってくる可能性が増える、執行猶予付けられないということに、そういう世界に入ってまいりますので、そのことも抑止力になるんではないかというふうに思っております。
  66. 荻原健司

    ○荻原健司君 御答弁いただき、ありがとうございました。  かねてから委員長経済犯罪についての取締りが弱いんじゃないかというふうに見られていたというお話もいただきました。  今、ちょっとアメリカでの取組というんでしょうか、アメリカでの場合についても御説明をいただいたわけなんですが、実はこの次の質問にしようとしていたことなんですけれども、例えばアメリカ、今十年という、十年以下というお話がありましたが、ほかの海外の国の事例なんというのがもしあれば御紹介いただければ、例えばアメリカの隣のカナダとか、何かもしあれば御紹介いただければと思います。
  67. 竹島一彦

    政府特別補佐人竹島一彦君) カルテルに関与した個人に対する罰則ですが、アメリカは今申し上げましたように上限が十年でございます。イギリスは五年、ドイツは入札談合については五年、フランスは四年。カナダは十四年、これも二〇〇九年、今年の改正によって五年だったものを十四年間に引き上げると、施行は来年三月からということになっていますが。それからオーストラリア、現在、改正法案国会で審議中のようでございますが、これは、現在は刑事罰の対象になっていないものを新たに十年以下ということでカルテルに関与した個人に対する禁錮刑が設けられるということになっております。それから、お隣の韓国は三年ということになっております。
  68. 荻原健司

    ○荻原健司君 ありがとうございました。  そういたしますと、カルテルや談合に関する刑事罰につきましては、アメリカの場合にはカルテル、談合行為を行った個人に対して十年以下、これは十年以下の禁錮刑だったと思いますけれども、禁錮刑が科されるというお話でした。また、カナダは五年から大幅に十四年まで引き上げたというお話もいただきました。  日本の場合には、現行法では三年以下、先ほど事例として三年というのが出たということなんですが、現行法では三年以下の懲役刑で、かつ実際上は執行猶予がほとんど付いていたというふうに思います。そういう意味でも、やはり国際的に見ますと違いがあるのかなというふうに思います。    〔理事増子輝彦君退席、委員長着席〕  ちょっとアメリカの今十年というお話があったところで申し上げたいんですが、アメリカはこれ禁錮刑ですから、十年以下の禁錮刑ですから執行猶予も何も付かないということなんですよね。ですから、これはカルテルを起こした個人がもう本当に牢獄に入れられてしまうという大変厳しいものがあるのかなというふうに思いますし、繰り返しですけれども、日本の場合には、現行法では三年以下、かつ実際は執行猶予が付くケースがほとんどであるというふうに理解をしております。  先ほどの制裁金、課徴金についてもお話をさせていただいたわけなんですが、もちろん諸外国との制度の違いというのはあると思います。また、私もここで、だからこうすべきだ、ああすべきだということを申し上げるつもりもありません。いずれにしても、この今回の独禁法でカルテル、談合を行った個人に対する懲役刑の上限を三年から五年に引き上げるという、こういう厳罰化の流れは評価をしたいというふうに思います。やはりカルテル、談合という重大な犯罪を起こした人にはしっかり責任を取ってもらうと。  先ほど御質問の中で、実際に、じゃ懲役刑を受けている方々が課長さん代理とか部長さん代理、係長さんというようなお話があって、本来であればやはり経営責任者こそ刑事罰を与えるべきだなんというお話もありました。もちろん私もそういうふうに感じておりますけれども、是非とも、こういう厳罰化の流れの中で、やはり罪を犯した人にはしっかりと責任を持っていただく体制を整えることは必要だと思いますので、今後とも厳格な対応をよろしくお願いしたいと思っております。  ちょっと時間が早いんですが、用意をさせていただいた質問はもう最後になってしまいました。  最後になりますけれども、グローバル化の流れの中で、今まで議論してきましたような制度の国際的な調和という点だけではなくて、実際の取締りの場面におきましても公正取引委員会が各国の独禁当局としっかりと連携をしていくことも大変重要であると考えております。  企業がもう今や国境を越えて活動をしている中で、独禁当局だけが国内にしか目を向けていないというのは良いわけはありません。国際的なカルテル事件もしっかりと取り締まるためには、各国の独禁当局と緊密な連携ができるように今回の独禁法改正案では海外当局との情報交換に関する規定導入されております。  竹島委員長におかれましては、ふだんから海外の独禁当局の方とも精力的にお会いになって御議論をされておりますけれども、今回の情報交換に関する規定を整備した趣旨と各国の独禁当局との連携についての意気込みをお伺いしたいなというふうに思っております。お願いいたします。
  69. 竹島一彦

    政府特別補佐人竹島一彦君) 御指摘のとおり、カルテル事件にしても企業結合案件にしましても、国境をまたがる件数が非常に大きくなって、特に大企業が関与するものがおのずとそうなるというような時代になっているわけでございまして、私どもは、アメリカ、EU、韓国等々と緊密な情報交換をしているわけです。特にアメリカやEUとの間はその程度が高いわけでございまして、今回、情報交換の根拠規定を設けさせていただくというのは、もう既にやってきているわけですが、やはりそれは日本がこういうことをやれば向こうもやってくれるという、いわゆる相互主義みたいなことを踏まえて情報交換をする。  それから、使用目的は、先ほど守秘義務の話が出ましたけれども、それ以外には、競争法の審査以外には使わないとかそういう縛りを掛けて、お互いちゃんとしたルールの下で情報交換しましょうということを従来から事実上やっておりましたのですが、これをきちっと明確化するという趣旨でございまして、かくなる上は、更に二国間の独占禁止協力協定に基づく情報交換もありますけれども、一方では経済連携協定というのを今、日本はいろんな国と結んでいるわけですが、ASEANの国のみならずもういろんな国とやっていまして、その中に一章、競争に関する章というのがありまして、同じように二国間の独占禁止協力協定と同じような規定が設けられておりますので、これからは国際カルテル事件、それから国際的な合併ということについてどんどん増えてくる可能性もありますので、きちんと今回の規定の整備を踏まえて各国との連携も密にしてまいりたいと思っております。
  70. 荻原健司

    ○荻原健司君 ありがとうございました。力強い御答弁をいただきましたので、是非その意気込みで取り組んでいただきたいと思います。  最後に一、二分失礼をさせていただきますが、まさに今回の改正案というのはグローバル化の中での制度の国際的な調和であるとか、先ほど、今御答弁をいただきました海外当局との連携という意味におきましても、まさに時宜を得た改正内容だということは非常によく理解をできました。  初めにスポーツのお話をさせていただきまして、また締めくくりもちょっとスポーツのお話をさせていただきますが、やはりスポーツの世界では何よりもフェアプレーというものが一番重要であります。冒頭にルール変更お話もさせていただいたわけなんですが、ルールも含めまして、いかにフェアネスさというものを確保するかが今後ともスポーツの世界で大変重要な課題でありますし、もちろん経済においても同様であるというふうに思っております。  そして、その大事な競技のフェアネスを担保する人こそが、やはりスポーツ競技における審判、レフェリーではないかというふうに思っております。レフェリーが公正で厳格であるときにスポーツ競技のフェアネスは確保されると。公正取引委員会はスポーツの世界で言うところのレフェリーさんですから、是非ともこのグローバル経済という競技場の中で、フェアネスを確保するために公正取引委員会が公正かつ厳格なレフェリーとして経済産業省としっかりと連携をしていただいて、引き続き御活躍をいただきますように、委員長を始め公取の皆さんにお願いをいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  71. 櫻井充

    委員長櫻井充君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。     ─────────────
  72. 櫻井充

    委員長櫻井充君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律案審査のため、来る二十八日午前十時に参考人出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 櫻井充

    委員長櫻井充君) 御異議ないと認めます。  なお、その人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  74. 櫻井充

    委員長櫻井充君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時四分散会