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2009-04-21 第171回国会 参議院 経済産業委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十一年四月二十一日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  四月十六日     辞任         補欠選任      川合 孝典君     木俣 佳丈君  四月二十一日     辞任         補欠選任      木俣 佳丈君     徳永 久志君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         櫻井  充君     理 事                 藤原 正司君                 増子 輝彦君                 山根 隆治君                 荻原 健司君                北川イッセイ君     委 員                 鈴木 陽悦君                 津田弥太郎君                 徳永 久志君                 直嶋 正行君                 中谷 智司君                 前田 武志君                 塚田 一郎君                 松田 岩夫君                 松村 祥史君                 谷合 正明君                 松 あきら君                 松下 新平君                 渡辺 秀央君                 田中 直紀君    国務大臣        経済産業大臣   二階 俊博君    副大臣        経済産業大臣  高市 早苗君    大臣政務官        経済産業大臣政        務官       谷合 正明君        経済産業大臣政        務官       松村 祥史君    事務局側        常任委員会専門        員        山田  宏君    政府参考人        総務省総合通信        基盤局電気通信        事業部長     武内 信博君        文部科学大臣官        房審議官     徳久 治彦君        文部科学省科学        技術学術政策        局科学技術・学        術総括官     岩瀬 公一君        厚生労働大臣官        房政策評価審議        官        荒井 和夫君        経済産業大臣官        房審議官     石黒 憲彦君        経済産業省経済        産業政策局長   松永 和夫君        経済産業省産業        技術環境局長   鈴木 正徳君        経済産業省製造        産業局長     細野 哲弘君        資源エネルギー        庁長官      石田  徹君        中小企業庁長官  長谷川榮一君        中小企業庁事業        環境部長     横尾 英博君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○我が国における産業活動革新等を図るための  産業活力再生特別措置法等の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 櫻井充

    委員長櫻井充君) ただいまから経済産業委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十六日、川合孝典君が委員辞任され、その補欠として木俣佳丈君が選任されました。     ─────────────
  3. 櫻井充

    委員長櫻井充君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  我が国における産業活動革新等を図るための産業活力再生特別措置法等の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、総務省総合通信基盤局電気通信事業部長武内信博君外十名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 櫻井充

    委員長櫻井充君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 櫻井充

    委員長櫻井充君) 我が国における産業活動革新等を図るための産業活力再生特別措置法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 山根隆治

    山根隆治君 おはようございます。  本法案につきましては、もう既に各会派の議員さんから様々な角度から御質疑がなされているところであります。本法案は多岐にわたる施策が盛り込まれたものでございますけれども、本法案の成立によりまして、我が国経済、現下の景気回復にはどのような好影響が及ぼされるというふうにお考えになっていらっしゃるかどうか、まず大臣にその辺の見通し、本法案に対する期待ということについてお尋ねをいたしたいと思います。
  7. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 今回御審議をいただいております産活法改正におきまして、金融機関におきましていろんな対応を取っていただいておりますが、それでも今日の異常な、よく言われる百年に一度と言われるような緊急の事態を迎えているときに、我々の予測を上回ることが次々と発生しております。  したがいまして、中小企業はもとよりでありますが、中堅企業、大企業に及ぶまで金融面等においても十分対策を講じていかなくてはならないという基本的な考えに基づいて今御審議をいただき、そして各党からも御意見をちょうだいしておりますが、それらの意見を十分盛り込んだ上でこの事態における状況に活路を見出していきたいということで御審査をいただいておるわけでございますが、産活法改正において、一歩でもこうした問題に対しての道を切り開くことができますように努力をしてまいりたいと考えております。
  8. 山根隆治

    山根隆治君 私は、大企業中堅企業のための資金調達円滑化に関して若干お尋ねをさせていただきたいと思います。  今回の改正案では、指定金融機関から一定要件を満たす企業への出資危機対応業務とみなして、これらの出資に対する株式会社日本政策金融公庫による損失補てんを可能にする制度を創設すると、こういうことになっているわけでありますけれども、この創設を思い付いたといいましょうか、提案するに至った経過審議会等で当然いろいろな御議論もあったかと思うんですけれども、どんな議論が行われて、審議会で、そして省内ではどんな議論の中で今回の提案になってきたのか、その背景等についてお尋ねをいたしたいと思います。
  9. 松永和夫

    政府参考人松永和夫君) お答えを申し上げます。  昨年の秋以降、御承知のとおり世界的な金融危機影響によりまして、中小企業のみならず大企業中堅企業資金繰りも大変厳しいものとなってきたわけでございます。このため、政府におきましては、昨年十二月から、ただいま委員指摘日本政策金融公庫に基づきます危機対応業務の発動を実施することといたしまして、大企業中堅企業向け日本政策金融公庫を通じた危機対応融資、これの大幅な拡充、それに加えましてCPの買取り、これを決定をいたしました。  しかしながら、年明け後も急激な売上げの減少等によりまして業績が悪化をいたしまして、その結果、自己資本が減少し、いわゆる財務制限条項に抵触するなどの状況から、銀行からの融資が難しい状態となる企業が生じてくるおそれが出てまいりました。こうした事態を放置いたしました場合には国民経済に大きな影響を及ぼすことが懸念をされますことから、現在御審議をいただいております改正産活法案にただいま御指摘出資円滑化のための損失補てん制度を盛り込ませていただいたところでございます。  新年度に入った後も多くの企業赤字決算が予想される中、大企業中堅企業資金繰り環境には引き続き厳しいものがございまして、国民経済への影響が大きく及んでくることを回避するためにも本制度への期待は高い、このように認識をしているわけでございます。  本制度検討に当たりましては、審議会等の場で一般的な経済状況認識等についての御議論はいただいておりますけれども、現在申し上げましたような経過をたどったこともございまして、この制度に即した形での審議会議論ということは経ておりませんけれども、専門家あるいは関係金融機関から幅広く意見を聴取するなどいたしまして制度設計に当たっているところでございます。
  10. 山根隆治

    山根隆治君 幅広く専門家から意見等を聴取して今回の制度設計だということでございますけれども、やはり審議会等議論が余り、一般論としてではなく具体的な議論が行われずにこうした提案になってくるというのは非常にちょっと異常さを覚えるわけでありますけれども、その辺、なぜ審議会で本格的な議論が展開されなかったのか、ちょっと理解できないところがあるんですけど、もうちょっと細かく御説明いただけますか。
  11. 松永和夫

    政府参考人松永和夫君) お答え申し上げます。  企業のいわゆる資金繰り状況につきましては、経済状況のいわゆる悪化に即して、十二月、それから今年の一月、二月と、言わば月を経るごとに大変厳しくなっておりまして、こうした状況に機動的に対応して政策を展開をするということが必要でございました。そういう意味で、あらかじめこういう制度を念頭に置いて審議会を言わば設けまして、それで制度検討についてお諮りをすると、こういうような時間的な余裕が当時必ずしもなかったと。そういう意味で、機動的に政策検討いたしまして、当時検討中の産活法改正法案の中に必要な規定を盛り込みまして国会の方にお諮りをしたと、こういう経緯でございます。
  12. 山根隆治

    山根隆治君 せっかくの御答弁ですけど、やっぱりちょっと苦しそうですね、感じが。  それでは、少し質問を進めさせていただきますけれども、指定金融機関による買い付けやコマーシャルペーパー、今お話ございましたけれども、買取り等はこれまでも行われてきていまして、危機対応業務については株式会社日本政策金融公庫法によって定められているわけでありますけれども、今回の出資に関する業務は、政策公庫法改正ではなくて、産業再生法における支援措置の一環と、こういうことになったわけでありますけれども、なぜ通常危機対応業務ということであれば別途立法措置をとるということをしないで来たのか、その辺のところがちょっとよく理解できない不可思議なところでありますけど、この辺の事情はどんなところにあったんでございましょうか。
  13. 石黒憲彦

    政府参考人石黒憲彦君) お答えを申し上げます。  本制度趣旨でございますが、今局長の方からも答弁させていただきましたが、金融危機影響によって一時的に経営が悪化しているものの、一定期間後には企業価値回復、向上が見込まれる、言わばV字回復ができるという企業対象に講ずるものでございます。こういった趣旨そのものは、実は産業活力再生法がまさにそういう理念の下で支援措置を定めております。  今回の措置につきまして、委員指摘のとおり、公庫法の中で改正をするというのも確かに一案としてございますが、この法律自身が、この資金繰り対策としての出資以外にも、例えば増資の際に登録免許税を軽減をするとか、それから事業構築をいたします場合に不動産取得税とかそういったものを軽減するとか、こういったV字回復に必要な様々な事業再編、そういったようなものにつきましての様々な支援措置のパッケージを持っておるところでございます。そういう意味では、この法律の中で一つ制度として位置付けた方がより総合的に支援策が講じられるというのが今回の趣旨でございます。  それからもう一つは、今局長が申し上げましたが、別途産業活力再生特別措置法につきましては夏の段階から省エネ等につきましての支援策といったようなものを盛り込むべく改正作業をしておりましたさなかでございましたので、そういった趣旨観点から、機動的に改正をするという意味においてもこの法律の中に盛り込ませていただいたという事情がございます。
  14. 山根隆治

    山根隆治君 いろいろな緊急的な事情があったからということで、特別な措置だということの御答弁で一貫しているんですけれども、しかし、やはり一回つくり上げられた制度というものはそのままずっと動いていくわけでありますし、当然前例にもなるわけでありまして、やはり国民各界各層専門家の方々からの意見というものを十分に聴いて、そして省内でもじっくりと研究、検討した上で制度設計しないと、後から一体何だったんだろうかと、こういうことになってくるわけでございますので、様々な事情はあるという、あったというか、経済の激変ということはあったわけでありますけど、その辺のところがどうもいま一歩合点がちょっといかないところも私の感じとしてはございます。  また、本制度実施に当たって一番大事なところは、資金注入先の選定、これが一番大きな問題であろうというふうに思うんでありますけれども、通常危機対応業務であれば株式会社日本政策投資銀行判断によって行われるわけでありますけれども、今回のこうした制度設計ということになると産業再生法認定条件としているわけでありますので、これは実際にはいろいろな各省庁主務大臣といいましょうか、例えば建設業であれば国交大臣であるとかそのほかのいろいろな関係分野大臣、経産省の関係であれば当然、二階大臣主務大臣ということで実際のところは認定をすると、こういうふうなことになるわけでありますね。そうしますと、これはうがった見方かも分かりませんけれども、政治的な何らかの圧力によって恣意的な運用がなされるというふうなこともなきにしもあらずだろうと思うんですね。  私も、ここにいる各議員先生方政治経歴長いので、その辺の疑念というのは私もお持ちになられるんだろうと思うんですけれども、そうした運用というものは非常にちょっと疑問を私は感じざるを得ないわけでございますけれども、その辺のところの危惧についてお答えをいただけますか。
  15. 石黒憲彦

    政府参考人石黒憲彦君) お答えを申し上げます。  この産活法認定につきましては、一義的には、先ほど申しましたとおり、金融危機影響によって影響を受けているけれどもV字回復が見込める企業ということで、言わば企業の将来性といったようなものをチェックをさせていただくわけでございますが、当然、その際には、例えば過剰供給構造にならないのかどうかとか、そういった産業政策的な観点からの要件というものが入ってまいります。そういう意味で、事業所管大臣がこれを支援するに当たって一義的には判断をさせていただくことになります。  ただ、これは立法の最初のときから委員指摘のような議論がございまして、極力定量的な基準に基づいて、恣意性を排除して認定をするという仕組みを入れるというのがこの法律運用のまず附帯決議等で定められました理念でございました。そのため、この立法のときから、例えばROEが二%以上向上するとか、言わば透明な基準を作りながら運用していくということで努めておるところでございます。  今回お尋ね出資の件でございますが、これも産活法認定という要件に加えまして、実際には三つ要件がございます。  具体的に申しますと、世界的な金融危機影響により急激に売上高が減少したというところでございますけれども、これも四半期の売上高が例えば前年同期比で二〇%以上減少した場合、それから半期の売上高が前年同期比で一五%以上減少した場合といったような定量基準を定めさせていただきたいと思っております。  それからさらに、雇用規模が大きい企業、そういった国民経済の成長や発展に及ぼす影響が大きいということがもう一つ要件になっておりまして、これにつきましても、五万人以上の国内雇用影響を与えるような、連結ベース国内雇用五千人以上の企業を想定していると。また、これに準ずるものということで、これと異なる場合には、私どもがまさにそれに準ずるほどのマグニチュードの大きいものであるということをきちっと説明責任を果たさせていただくというようなことでやらせていただきたいと思っております。  それから、三つ目要件といたしましては、市中の金融機関が協調して出融資をするということをこれもまた計画の中できっちり確認をさせていただきながら運用させていただくことにいたしております。  そういう意味で、本制度におきましては、業所管大臣恣意性をなるべく排して、透明、定量的な基準運用するというのがまず一点目でございます。  それから、二つ目お答えといたしましては、危機管理大臣というのがございます。この制度の、政策金融公庫損失補てん制度等運用する大臣ということでございまして、これ、経産大臣それから財務大臣農水大臣の三省庁でございますが、その三省庁危機対応業務監督官庁としてこれにまた重層的に審査をさせていただきます。  それから最後に、三点目でございますが、本制度におきましては、繰り返しになりますが、民間指定金融機関一定リスクをしょう仕組みになっております。要するに、政策投資銀行の方も二〇から五〇%のリスクをしょうということでございまして、制度運用に当たっては、必ずしも業所管大臣だけの恣意的な判断でできるというものではなくて、民間金融機関が自らの目利き能力を使わないとこれには応じられないということになっております。そういう意味で、重畳的、重層的にこの運用をさせていただくということで、審査透明性厳格性といったようなものを担保してまいりたいというふうに思っております。
  16. 山根隆治

    山根隆治君 しかし、これは先ほど申しましたように、産業再生法認定条件としているわけでございますから、やはりその主務大臣が事実上はかぎを握ると、こういうことになるんだろうと思うんですよ。危機管理大臣ということで今経産大臣財務大臣農水大臣の名前を挙げられましたけれども、三省庁で情報を共有して議論をして決める、そんな時間が本当にあるんだろうかと。縦割り行政とよく言われますけれども、こんなときばっかり仲よくして、しっかりチェックするといったって、実際には現場ではそんな機能を発揮することは可能なんですか。
  17. 松永和夫

    政府参考人松永和夫君) 先ほど経緯について若干御説明をさせていただきましたが、この現在の大企業中堅企業も含む企業資金繰り状況につきましては昨年来以来、関係省庁との間で密接な連携協議を常時続けておりまして、言わば今回の出資円滑化制度というものも言わばそういう連携の中で立案をされているものでございます。  本制度が発足をいたしました暁には、そういう意味で、関係省庁の間のこの密接な連携というものを更に強化をいたしまして、委員指摘のとおり、やはり機動的に事態に対処する必要がございますので、そういう意味で、関係省庁連携、機動的な対応ができる体制というものをきちっと構築をしていきたいというふうに考えております。
  18. 山根隆治

    山根隆治君 先ほど答弁の中では、三つ要件という基準物差しを持ってやるんだと、こういうふうなことでございますけれども、しかし役所がそんな三つ要件物差しを持ってジャッジするというのは余りにちょっと、少し単純過ぎるというか危険過ぎるというか。その三つ条件要件以外のいろいろな融資を行うに当たっては状況というものをしっかり把握しておかなくちゃいけない。それは、お役所にそういう能力がある、今まで蓄積があるとはどうも思えないんですよね。やはり金融機関が第一にまずはそこをチェックしてジャッジを事実上するということがあって私はしかるべきだと思うんですね。役所が何で前に出ちゃってジャッジをしていくのかというのは余りにちょっと不自然な気がするんですね。そこのところ、もう一回ちょっと御説明を分かるようにいただけますか。
  19. 松永和夫

    政府参考人松永和夫君) お答え申し上げます。  先ほど石黒審議官の方からお答え申し上げましたように、最終的な言わば出資判断というのは、日本政策投資銀行からの出資でございますので、一金融機関として自らのリスクというものについてもきちんと判断をした上で決定をされるということでございます。  ただ同時に、今回のスキームの言わば制度背景といいますのは産活法の中に位置付けられているわけでございまして、対象となっている企業産活法認定を受けて、計画期間内にきちっとした言わば計画が実行されるということが前提でございますので、そういう意味で、その企業所管大臣、それから、最終的にこれは損失補てん日本政策金融公庫から行いますので、その担当大臣たるところの危機業務担当大臣、この両者の側面からの所管大臣も言わば非常に大きな関与しているわけでございますので、具体的にはこの関係省庁と、それから具体的な最終的なその出資決定を行います日本政策投資銀行との間で、この間でも緊密な言わば協議を重ねて最終的には結論を得ると、こういうことになろうと思います。
  20. 山根隆治

    山根隆治君 こうした制度を使って活用していくと、資金注入先企業にもし損失が生じた場合、それは公的なお金です、公金でありますから、やはり慎重な上にも慎重にしなくてはいけませんし、その透明性というのもしっかり担保されていなくてはいけないというふうに思うんですね。先ほど透明性の言葉も少し答弁の中で使われておりましたけれども、透明性はどのように担保されていくことになるんでしょうか。
  21. 松永和夫

    政府参考人松永和夫君) お答え申し上げます。  先ほども御答弁申し上げましたけれども、今回の出資円滑化制度対象となる企業を言わば認定をするための要件産活法認定を含めて大きく言いますと四つの要件でございます。これにつきましては、先ほど石黒審議官からお答え申し上げましたように、詳細な定量的な基準というものも含めておりますけれども、これにつきましては告示で具体的に明記をするという形にしたいと思っております。  それから、過去の産活法対象になっております計画認定につきましては、認定された段階で、それぞれ担当省庁、多くは経済産業省所管が多かったわけでございますけれども、認定をされたということについて、詳細な内容を公表をし、記者会見をする、こういうことを実施をしております。今回の出資円滑化制度につきましても、そうした形で可能な限り透明性というものについては最大限配慮をしていきたいというふうに考えております。
  22. 山根隆治

    山根隆治君 是非、今の御答弁にしっかりとしたやはり裏付けを持ってこの問題については当たっていただきたいというふうに思うんですね。どうなることか先々のことは分かりませんけれども、もし我が党が政権に着いて経済産業大臣増子大臣誕生ということになっても、多分増子さんも困るんだろうと思うんですね。それだけジャッジするのに、大臣がするのに非常にきついので、金融機関に任せちゃいたいというような思いを多分うちの大臣は持つと思うんですけれども、そんな感想を持ちました。ひとつ透明性を特に高めて、疑念のないような運営を是非していただきたいということをこの際要望させていただきたいと思います。  次に、本法案にかかわります雇用の問題についてお尋ねをさせていただきたいと思います。  既に我が党の津田弥太郎議員の方から雇用の問題については御質問させていただいておりますけれども、私は、さきに行われました参考人意見陳述参考にしながら幾つかの問題点について、疑念についてお尋ねをさせていただきたいというふうに思います。  この法律は、会社分割事業譲渡事業部門単位での統廃合を積極的に推進する、こういうものでありますから、非常に多量の雇用問題の発生というものが大いに危惧をされるところでございます。法案にも、雇用安定等に配慮しつつという文言が随所にあるわけでございますけれども、この文言努力義務というふうなことになろうかと思うんですね。  本会議質問で我が党の、ここにもおられますが、津田議員の質問に対しまして二階大臣はこう答えておられます。厳しい経済情勢を踏まえれば、雇用の安定が極めて重要である。このため、新設の計画、既存の計画共に事業者が労働組合等との協議により十分な話合いを行うことを認定要件としております。また、計画実施段階においても労働組合等との協議により十分に話合いを行うことを努力義務として課すなど、労働者の雇用の安定に努めてまいりますと、こうされておられるわけであります。  これも抽象論としては分かるんですけれども、具体的な踏み込みが少しまだないというふうに思うわけでありますけれども、これを実効あらしめるためにはどのような措置を経産省として取ろうとされているのか、改めてお尋ねをしておきたいと思います。
  23. 松永和夫

    政府参考人松永和夫君) お答え申し上げます。  委員指摘のとおり、産活法の中には、法律の目的規定、それから計画認定に当たりましての基準あるいは運用のための施行規則の中でも、例えば第二十条において、従業員の地位、あるいは施行規則の第四条で、計画認定の際の申請の言わば内容として、事業構築計画が従業員の地位を不当に害するものではないことを証する書面というような形で書いておりまして、法律の中で雇用への配慮ということについてきちんと明記をされているというふうに承知をしております。  御指摘のとおり、現下の厳しい経済雇用情勢を踏まえますと、雇用の安定の確保ということが極めて重要な政策課題でございまして、産活法運用あるいは今回改正をされた新しい産活法運用に当たりましても、言わばこれらの規定というものを完全に実施をするという形で雇用の安定確保ということに十全の努力を図っていきたいというふうに考えております。
  24. 櫻井充

    委員長櫻井充君) ちょっとお待ちください。  二階大臣、御発言されますか。先ほど手が挙がりましたが、御発言なさいますか。では、二階大臣、お願いします。
  25. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 先ほど山根先生からもお話があったとおり、津田議員からも先般来しばしばこの問題について御指摘をいただいてまいりました。  特に労働組合との関係、これを協議により十分話合いを行うことを認定要件としておるところに是非御注目をいただきたいと思います。事業者に計画実施状況を報告を義務付けしております。これは毎年度であります。これによって必要な対応が十分行われておるかということを点検してまいりたいと思っております。  今後、産活法措置につきましての適切な運用を行う際に、労働者の雇用の安定ということはもうこれは当然のことであって、我々、十分な対応をしてまいりたいと思っております。  先般来、私ども今、補正予算をもしお願いするとすればこういうことが大事だということで対応している中で、自動車産業等についてもいろいろな提案を行っているところでありますが、その際、自動車産業側からはね返ってきたこととしては、雇用の確保にはしっかり努力をしますということを文書でもって我々の方に報告がありました。今までにはめったにこういうことはなかったことでありますが、これからも雇用の問題について追加経済対策の政府の方針にこたえていきたい、こういう意思表明がなされたことは、各党の皆さんからいろいろ御議論をいただいたこと、このことによって私は雇用問題、労働問題、一歩前進したというふうに受け止めておるわけでありますが、今後十分配慮をしてまいりたいと思っております。
  26. 山根隆治

    山根隆治君 厚生労働省、おいでいただいているかと思いますけれども、舛添大臣お答えになっておられまして、いわゆる第二会社方式の活用における雇用の安定についてでありますけれども、事業者にありましては、元の会社及び第二会社における雇用の維持に最大限の努力をしてほしいと考えておりまして、厚労省としても、企業雇用の維持を支援するため、必要な雇用対策を講じることにより雇用の安定を図ってまいりますという答弁でありますけど、この際の必要な雇用対策というのは具体的に何でしょうか。
  27. 荒井和夫

    政府参考人(荒井和夫君) お答え申し上げます。  先ほども御答弁ありましたように、改正法に基づきまして中小企業承継事業再生計画認定要件には当該計画が従業員の地位を不当に害するものではないこと等の要件が課されております。  私ども厚生労働省としても、この計画が従業員の雇用安定等に十分に配慮されたものとなり、また、十分にその間に労使で話合いが行われまして、事業再生を図ろうとする事業者において第二会社に承継される労働者の数や選定の基準だとか、あとは元の会社に残留する労働者の雇用の安定などにも配慮したことも含めて労働組合等と協議が行われ、十分に話合いを行っていただき、従業員の雇用の維持に配慮が行われた計画を策定することが重要だと考えています。また、私ども、労使の話合いを踏まえながら雇用の維持に配慮しながら事業再生に取り組む事業主に対しまして、その雇用する労働者に対して一時的に休業、教育訓練、又は出向させる場合には雇用調整助成金などを活用して支援したいと思います。  私ども厚生労働省といたしましては、経済産業省等と連携をして、改正法が雇用の安定に配慮して施行されるように取り組んでいきたいと考えております。  以上でございます。
  28. 山根隆治

    山根隆治君 次に、事業の再生計画について、法律の第七十三条にその計画実施状況では報告を求めることができると、こうされているわけでございます。しかし、これはやはり不当な解雇問題の発生などを厳重にチェックする体制を私は構築をするためには、この報告を義務付ける制度設計とすべきだったのでないかというふうに思うわけであります。確かに、省令ではそこのところはフォローしているというふうにも承知をいたしておりますけれども、なぜ法律本文に今回明記できなかったのか、お尋ねいたします。
  29. 松永和夫

    政府参考人松永和夫君) お答え申し上げます。  御指摘のとおり、産活法の第七十三条では、主務大臣認定事業者に対して計画実施状況について報告を求めることができると、こう規定をされております。その趣旨を踏まえまして、施行規則におきましては、認定事業者に対しまして計画期間中、事業年度ごとに計画実施状況を報告しなければならないという形で御指摘のとおり義務付けをしております。  事業年度ごとでございますけれども、計画の内容いかんによっては、これは個々の計画の中身によって異なりますけれども、必要な場合にはこの毎事業年度ごとというのを半期ごとあるいはまた毎月という形で認定事業者に対して報告を求めるという形の運用を行っておりまして、御指摘のとおり、雇用状況等についてもきめ細かく報告を受けてフォローアップができると、こういう形の体制、言わば制度の枠組みになっております。
  30. 山根隆治

    山根隆治君 その報告によって当然、法律も書いてございます、認定の取消しというものも行うことができると、行うわけでございますけれども、実際に今日までで取り消した事例というのはどれぐらいあるのか、その辺のところはどんなふうになっていますか。
  31. 松永和夫

    政府参考人松永和夫君) お答え申し上げます。  取消しになったケースというのは現在まで五件ございます。一例を申し上げますと、当初の認定で具体的な活動を行っていたわけでございますけれども、事業者の報告によりまして当初の計画とは異なる組織再編手法を選択をするということが明らかになったために、当初の計画というものを取り消して他の計画類型にまた申請のし直しが行われまして再度認定を行ったと、こういうケースも含まれております。五件と申し上げましたのは、経済産業省計画認定したもののうち五件が取消し対象になっております。  以上でございます。
  32. 山根隆治

    山根隆治君 そうしたチェックをされて、五件というのが多いか少ないかということは別といたしまして、その報告の内容を吟味していろいろな措置をとると、取り消していくことも含めて。  その際に、その役割は再生支援協議会の範囲を超えているということだろうと思うんですけれども、そしてまた、現在の労働基準監督署、厚労省ですが、にもその役割を託すというのは現実にやっぱり困難が多いかと思うんですね。ですから、より客観的にそうしたジャッジをする機関、第三者機関といいましょうか、そういったものの設置というものを検討するということはされたんでしょうか。
  33. 松永和夫

    政府参考人松永和夫君) お答え申し上げます。  産活法では、組織再編でございますとかあるいは事業革新といった企業経営における重要課題というものを計画対象としておりますので、言わば状況の変化に対応して迅速な認定を行う必要がございます。こうした観点から、御指摘のようないわゆる第三者機関ではなく、所管の業種の実情について十分把握をしております事業所管大臣が一か月という標準処理期間、これは施行規則で定めておりますけれども、それで審査をし迅速な認定実務を行うと、こういう枠組みになっております。  ただ一方で、こうした認定が、先ほど来御指摘いただいておりますように、恣意的にならないようにするために、一つ計画認定基準というものを客観的な数値要件として、かつまた基本指針という形であらかじめ公開をしているということ。それから、先ほどお答え申し上げましたけれども、認定計画の公表というものを義務付けるという形で最大限透明性を確保しながら運用をしているということでございます。  また、先ほどお答え申し上げましたように、計画実施段階でも、認定を行いました事業所管大臣認定事業者に対しまして少なくとも毎事業年度ごとの事業報告書の提出を義務付けておりまして、計画の期間の最後まで厳格なフォローを行うという形になっているわけでございます。  以上申し上げましたとおり、迅速な審査認定ということを行うために現在のスキームという形にしておりまして、これまでも適切に運用されているというふうに承知をしております。
  34. 山根隆治

    山根隆治君 事業の営業譲渡でございますけれども、これは会社分割と同様に労働契約を承継する法的な整備が必要だろうというふうに思っているところでありますけれども、会社分割では労働契約承継法がもう既に制定をされているところであります。営業譲渡においても、民法の規定ということはございますけれども、やはり一般法という形でこの承継について労働者の権利を守るということから制定をすべきではなかったのかという思いがするわけでありますけれども、これらについては厚生労働省でしょうか、の方でどのような検討がなされたのか、見解をお尋ねいたします。
  35. 荒井和夫

    政府参考人(荒井和夫君) お答え申し上げます。  今の事業譲渡に伴う問題につきましては、一連の国会決議等でその検討について御指摘がございました。  これに基づきまして、企業組織変更に係る労働関係法制等研究会報告が出されまして、これは十二年の二月十日でございますが、この中で、営業譲渡については、立法措置は様々な観点から議論をして不要ではないかという結論をいただくと同時に、またそれに関する指針を策定するという話をいただいてございます。それに基づきまして、平成十五年の四月に各都道府県の労働局に対しまして通知を出し、その問題点について明確に指示をしているところでございます。  そういうことを踏まえまして、また、私ども現在までにおいて、営業・事業譲渡に係る問題点が若干生じていることは承知しておりますけれども、大きな問題になっていないということも踏まえまして、現在に至るまで、法制化することについての必要性については今のところないのではないかというふうに考えてございます。  以上でございます。
  36. 山根隆治

    山根隆治君 聞き取れなかった。法制化についてはその必要を感じないというふうなお話ですか。今ちょっと聞き取りにくかったんですが。
  37. 荒井和夫

    政府参考人(荒井和夫君) 現時点において、法制化をする点についてはまだその必要性はないのではないかというふうに判断してございます。
  38. 山根隆治

    山根隆治君 現時点というのはすごく意味があると思うんですね。これだけ激変した経済環境、それで雇用環境が変わってきているという中で、やはりこの半年でもどんなことが起きてくるか分からないと。現実を直視する中で、やはりしっかりと労働者の権利を守るということで法制化すべしというような視点もあってしかるべきなので、これはもう前向きに目を少し凝らして事態を見ておいていただきたいというように、これはもう御要望にとどめさせていただきます。  それで、時間の関係もありますのでまとめて三点ほどお伺いをさせていただきます。  第二会社方式について、第二会社に移った者の労働条件というのはどのように確保されていくのかということが第一点、お尋ねであります。  第二点は、第二会社に移行できなかった方の、不幸にして、雇用の問題、措置というのはどういうふうに対応されるのか、どういうふうに留意して対応されてきているのか、これからされようとするのか、お尋ねいたします。  第三点は、第二会社に移った方あるいは移ることなく措置された方、非正規労働者の方々がたくさんおられるわけでありますし、これからもいろいろな危惧が、雇用不安ありますけれども、これらの方々に対する対応策がどのように取られるのか、お尋ねをいたします。
  39. 横尾英博

    政府参考人(横尾英博君) お答え申し上げます。  今般の改正産活法に基づきます中小企業承継事業再生計画におきまして、法律上、承継する事業の経営資源が著しく損なわれ、又は失われるものでないこと、それから再生計画が従業員の地位を不当に害するものでないことといった点を認定基準としてございます。具体的には、第二会社に移行する労働者の労働契約、労働条件が不当に切り下げられることのないように、労働組合等と協議により十分な話合いを行うことを要件として認定をしていきたいというふうに考えてございます。  それから、元の会社の従業員の雇用の安定でございますが、この点につきましても改正産活法の施行によって十分配慮していかなければならないというふうに認識をしております。このため、第二会社に移行しない労働者の方についても雇用の安定に努めるよう、労働組合等と協議により十分な話合いを行うことというのを要件として認定していきたいと考えてございます。  第三点目でございますが、今回の改正産活法中小企業承継事業再生計画は、正規従業員のみならず非正規従業員も含めて地域の雇用を守るということが大変重要であるというふうに考えております。このため、認定に当たりまして事業者が労働組合等との協議により労使間で十分な話合いを行うこと、さらに、計画実施に際して雇用安定等に十分に配慮を行うことというのを要件としたいというふうに考えております。  こうした今回の計画の内容につきましては、申請内容について認定前に厚生労働大臣とも協議をして、雇用の確保については万全を期してまいりたいというふうに考えてございます。
  40. 山根隆治

    山根隆治君 しっかりやっていただきたいと思います。厚生労働省の方もしっかりと対応していただきたいと思います。  それでは最後に、文科省、おいでいただいていると思うんですけれども、日本の産業は技術がやっぱり命であります。最近、子供がOECDの国々と比べても非常に理科離れが進んでいて、将来、非常に技術系の分野に将来に不安を覚える識者も多いわけでありますけれども、子供の教育における理科離れをどう食い止めて、そして将来の有能な技術者をどう育てていくのか、教育の視点からまとめてお尋ねをさせていただきたいと思います。
  41. 徳久治彦

    政府参考人(徳久治彦君) まず、委員指摘の子供たちの理科に対する学習状況等でございますけれども、委員指摘のように国際比較の調査がございまして、そちらを見ますと、得点の方は国際的に見て上位なんでございますけれども、やはりまず小学校四年生でいうと、理科をもっと勉強したいという意欲が高いというふうなことはあるんですけれども、中学生になると、逆に理科をもっと勉強したいという意欲が国際平均に比べてかなり低くなってきます。それから、高校生につきましても同じように、科学への興味、関心、科学の楽しさを感じている生徒の割合が低いという、そういう課題が見られるわけでございます。  私ども、昨年三月に新しい学習指導要領、それから今年も改訂をいたしましたけれども、このような状況を踏まえまして、理科に対する関心や学習意欲を高めることができますように、観察、実験や自然体験などに必要な時間を確保するために理科、数学についての授業時間数を増やすというような対応を取っているところでございます。この内容は、本年四月から授業時間数増も含めてその一部が先行実施されてきているという状況でございます。  文部科学省といたしましては、この新しい学習指導要領が適切に実施されるよう努めてまいりたいと考えております。
  42. 山根隆治

    山根隆治君 今の御答弁、頑張ってくださいということを申し上げたいと思うんですけれども、しかし、実際には今年度の予算にでもその裏付けが出てきていない、非常に不十分なものだと。例えば理科の実験等もどんどん進めて実際にいく、そういう時間を増やすということでありますけれども、学校の先生は、やはり理科の内容については非常に興味あるというか、評価をして、自分も好きだということを言っているんですけれども、実際の能力どうかということになるとちょっと自信がないという方が多かったり、教員の立場からも何かいろいろな問題点があるように思います。それにはやはりどうしてもいろいろな施策に伴う予算措置が必要と、こういうことになってまいりますので、将来のやっぱり日本の技術力、技術を担う子供たちの理科教育等については是非格段の予算措置も今後とっていただきたいということをお願いして、私からの御質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。     ─────────────
  43. 櫻井充

    委員長櫻井充君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、木俣佳丈君が委員辞任され、その補欠として徳永久志君が選任されました。     ─────────────
  44. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 自由民主党、塚田一郎でございます。よろしくお願いをいたします。  今日は、産活法法案の質問に入る前に、なぜ今回の金融危機が世界的な経済危機に至ったかということを少し検証をしてみたいというふうに思います。  サブプライムローンの原型は、一九八〇年代にアメリカの投資銀行ソロモン・ブラザーズが生み出したモーゲージ債だと言われております。この投資銀行業務がモーゲージ債を新たな商品で自己勘定で売買するようになってから非常に大きな収益を積み上げていったんですね。一九九九年ごろからと言われていますが、リーマン・ブラザーズがサブプライムローン会社を買収して、このモーゲージ債をサブプライムローンという新しい商品に組み替えていってこれがすごく普及をしたということです。そして、それが低金利下のアメリカの住宅バブルと相まってサブプライムローンがもう大きく膨れ上がって世界中にリスクをまき散らしたというのが今回の金融危機のいきさつだと言われています。  実はサブプライムショックというのは、今よりも少し前、二〇〇七年に既にそういう予兆があったんですね。二〇〇七年の八月九日、フランス系のBNPパリバが、サブプライム関連市場の混乱で三つのファンドの解約を凍結したことがきっかけで資金調達ができなくなった。これがサブプライムショックの発端というふうに言われます。  しかし、当初は、サブプライムローン問題はそれほど大きな広がりは見せないんじゃないかと言われていました。日本でも、金融的には非常にリスクは限定されているものだというのが当初の見方だったと思います。当時、私も金融系のエコノミストの方と何人かお話をしましたけれども、二〇〇七年の当時は、それほど大きな経済への影響はないんじゃないか、収束するんじゃないかというような見方をされている方が多かったわけです。しかし、実際は、昨年九月のいわゆるリーマン・ブラザーズの破綻でサブプライムローンはついに金融危機から無限の信用収縮と世界経済危機へと進展したというのは皆さんが今御承知のとおりであります。  実はこの時点で、世界のマネー市場規模というのは世界GDP総額の約三・七倍ぐらいに達していたと。いかに多くの、GDPの三・七倍もの金融が、大きくバブルが膨れ上がっていたかということなんですが、それがついに実体経済にまで波及をしてしまったということであります。  昨年の十—十二月期の日本のGDP、マイナス年率で一二・一%、これはもう非常にショッキングな数字でありました。アメリカの震源地よりも日本のGDPマイナスの方が大きいということです。特に、アメリカの過剰消費に依存をしていた輸出依存型の経済の国が大きな影響を受けているということが分かってまいりました。金融面の問題だけではなくて、そうしたアジアの、特に輸出依存型経済の余っている貯蓄がアメリカの過剰消費を支えるというグローバルインバランスの構造が、私はこの金融危機を世界経済危機に大きく広げていった一つの大きな要因だったんではないかというふうに思っているんですが、まずこれをちょっと経産省としてどういうふうに見ていられるかお伺いしたいんですが、アメリカ発の金融危機が震源地のアメリカよりも日本や韓国などの輸出依存型経済に大きな影響を与えて今日に至っているこの状況をどのように分析をされているのか、まずちょっと御説明いただきたいと思います。
  45. 松永和夫

    政府参考人松永和夫君) お答え申し上げます。  委員指摘のとおり、近年、世界各国の経常収支の不均衡が拡大をしておりまして、米国への資金流入が増大をしておりました。いわゆるグローバルインバランスは二〇〇七年までかなり急激に拡大をしておりまして、ドイツ、日本、中国がかなり大幅な経常収支の黒字を積み重ね、アメリカを代表とするその他の国が赤字を積み重ねていると、こういう状況でございました。こうした中で、昨年の九月、リーマンショックを契機といたしまして世界的な金融危機が生じたわけでございますけれども、こうした金融市場の混乱が信用収縮を通じまして実体経済悪化を招いて、世界経済がすべて大きく減速をすることになったわけでございます。  こうした中で、主要国の経済動向を見ますと、最新の八年の十—十二月期でございますけれども、御指摘のとおり、日本は年率でマイナス一二・一%という大幅な減になったわけでございますけれども、その背景を見ますと、輸出から輸入を差し引いた純輸出と、こういう概念がございますけれども、どうもこの純輸出がGDPに占める割合の大きい国では相対的に実質GDP成長率のマイナス幅が大きくなっております。日本もこの中に入っております。純輸出が日本の場合は四・九ということでプラスでございます。韓国も一二・八ということでプラスでございます。ヨーロッパの中では、ドイツが六・九ということで純輸出がプラスでございます。こうした国々ではマイナス幅が相対的に大きいと、こういう状況でございます。実際の影響は各国の置かれる状況によって異なりますけれども、日本の場合で見ますと、輸出が大幅に減少して生産が急速に低下をする、これまで景気を牽引してまいりました企業部門の悪化が著しくなっておりまして、結果として年率換算マイナス一二・一%という実質GDPの成長率というふうになったわけでございます。  したがいまして、これは、世界不況に加えまして、当時、急激な円高も同時進行しておりましたので、輸出が非常に減少するという一方で、日本の場合は輸入が相対的に余り減らないといいますか、増加をしたということもその背景にあるというふうに分析をしております。
  46. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 まさに、これが今日の我々の一つの大きな教訓なのかなと思っています。そもそも、悪いのは金融危機だと言われます。投資銀行がこんなバブルをつくったということで、バブルを生み出した投資銀行は既にもういなくなってしまいました。ソロモンもリーマンもそうでありますけれども、しかし残された我々経済はそういうわけにいかないわけですね。  要するに、金融危機経済危機になったということで、私はやっぱり今回考えなきゃいけないのは、こういうバブルを生まないで世界経済が成長できるメカニズムをやっぱりつくっていかないと、いずれまた同じようなことに陥ってしまうのではないかなという危惧があります。それをやっぱりこれから我々考えながら経済成長というものを考えていくべきではないかなという、その非常に大きな教訓だと思っています。  グローバルインバランスを解消しつつ何とか世界経済を立て直すためには、各国が内需拡大をするということであります。これはもう実は日本でも何十年も内需拡大というのは言われてきたことで、なかなか難しい部分がありますけれども、しかし、まさに今回もう一度それを考えていく時期に来ているんだと思うんですね。  現下の厳しい環境の中で、民間需要がそういっても経済を牽引するのはなかなか簡単ではないわけで、各国共に政府が主導的に財政出動を行うということが今合意をされて、そういうことで動いているわけです。日本の場合も、先ほど申し上げた十—十二月期のGDPギャップはマイナス四・三です。つまり、約二十兆円規模のGDPギャップがあるということで、これに対して政府は二十一年度の補正を打ち出して、真水、つまり国費で十五兆円、事業費で五十六・八兆円の経済危機対策を今の国会に提出をするという方針であります。  政府の財政出動も当然やっていただかなければいけないんですが、一方で、GDPの半分を占める個人消費の拡大を図る必要があるというふうに考えます。高度成長期には、白黒テレビ、洗濯機、冷蔵庫の家電三品目が三種の神器と言われて、努力をすれば手が届く夢の商品として新しい生活の象徴になったというふうに言われています。  先日、麻生総理が記者会見で新しい三種の神器を念頭に景気刺激を行うというふうに述べられていたんですが、経済危機対策においては具体的にどのような施策が盛り込まれているのか、その辺について御説明をいただきたいと思います。
  47. 松村祥史

    大臣政務官松村祥史君) 塚田委員指摘のとおり、四月の十日でございましたか、経済危機対策を取りまとめたところでございます。  この対策の中におきまして、中長期的な成長を図るために、「成長戦略—未来への投資」と称しまして重要プロジェクトを組んでおるところでございます。また、その中に低炭素革命という目的を作りまして、太陽光、それから環境対応車、省エネ機器など、我が国が持つ世界トップ水準にある環境・エネルギー技術の開発、導入を促進することとしております。  お尋ねがございましたいわゆる新三種の神器につきましては、新たな買取り制度等によりまして、三年から五年後に太陽光発電システムの価格を現在の半額程度にすることを目指すなど、普及の拡大をまず支援してまいります。  次に、環境対応車でございますが、これは車歴十三年以上、最初の登録から十三年に達した古い車を廃車をして新車を購入する場合や、また廃車を伴わなくとも環境性能に優れた新車を購入する場合におきまして補助を行いまして、環境対応車への買換えや購入を促進してまいります。  また、省エネ機器につきましては、省エネ型のエアコン、冷蔵庫、テレビの購入に対しましてエコポイントを付与することを通じてグリーン家電の普及を加速してまいりたいと思っております。  経済産業省といたしましても、補正予算成立後、経済対策を速やかに実施をし、先生御指摘のとおり、個人消費など内需の拡大を通じまして我が国経済が早期に不況を脱し、回復軌道に乗るよう全力で取り組んでまいる所存でございます。
  48. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 ありがとうございます。  政務官、是非頑張っていただきたいというふうに思います。  特に、環境対応車の普及に私は期待をしております、もちろん太陽光もそうでありますけれども。三月九日の読売新聞にこんな記事が載っておりました。ドイツで新車販売が好調、二月のドイツの乗用車の新車登録台数が前年同月より二一%以上増えたという記事なんですね。これは実は奨励金をドイツで行ったということで、九年以上経た中古車を環境対応の新車に買い換えると一台当たり二千五百ユーロ、約三十一万円が支給される景気対策、これが効果を奏しているという記事でありまして、今の御説明のあった日本の場合は十三年でありますけれども、同じようなスキームになっていくのかなというふうに理解しているんですが、多分こういったものが効果が出てくるというふうに私は、多分というか絶対に出てくると期待をしておりますし、既に環境対応車、いわゆるハイブリッドカーはかなり売行きで、あるメーカーの商品に関しては相当な期間待たないと購入できないぐらい今人気があるというような話も聞いておりますので、是非、こういうやっぱり個人消費が最後に盛り上がってこないと景気は回復しませんので、政府の財政出動の中でもこうしたことにまた目を向けていっていただければ有り難いなというふうに思います。  次に、法案のお話に入っていくわけですが、そうはいっても、産業の競争力をやっぱりここできちっと次の時代に向けて確保していくということは大事であります。大臣もよくおっしゃっていますが、ピンチはチャンス、つまり、こういう状況下で世界中が今厳しいけれども、ここで頑張った国がこの次の時代の経済産業の覇権をやっぱり取っていけるんだと思うんですね。その意味で、産業活力再生特別措置法産活法改正は非常に大事だと思うんですが、まず、我が国におけるオープンイノベーションを推進すべく、産活法改正に織り込まれた株式会社産業革新機構についてお伺いをしたいと思います。  やはり産業再編をこの際進めていく必要があると思うんですが、日本経済の本格的回復考えると、産業機構においてどういう産業再編を考えていられるのか、その点についてまず御質問いたしたいと思います。
  49. 高市早苗

    ○副大臣(高市早苗君) 塚田委員がおっしゃるとおり、産業再編、非常に必要な時代だと思います。非常に今、各産業、業況厳しいですけれども、企業で業績が悪化しているようなところでも、その中で将来有望な技術ですとか、またビジネスというもの、ビジネスプランというものがあったら、それを切り出していって、場合によってはほかの企業事業と統合していくというようなこと、これによって産業再編も進んでいくことになるかと思いますし、また、新商品の開発などにもつながっていくんじゃないかと期待いたしております。  産業革新機構では、こういった新たな事業展開に対しまして資金供給等の支援を行っていくということで、委員がおっしゃるような国際競争力の確保、再生、それからまたイノベーションの進展、結果的には産業再編の姿というものが見えてくると考えております。
  50. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 是非積極的に、どういう分野というのはなかなかお話ししにくいのかもしれませんけれども、やはり戦略分野を私は日本として見定めていくということは今大変重要な時期だと思いますので、考えていただきたいと思うのでありますね。  今回の経済危機対策の中で、公共投資などでミッシングリンクという言葉が出ています。これは要するに、つながらないと本当の経済効果を持たないのでつなげていこうという概念だと思うんですが、イノベーションもやっぱりそうだと思うんですね。いろんな仕掛かりのものが、途中のものがいろいろあっても、もう一歩というところで、それが商品化できる、要するに技術として成立するというところに行かないと、途中の段階ではなかなか本当の意味での経済波及効果がないので、それをつなげていく、財政出動でいうと、このミッシングリンク、その仕掛品のイノベーションを積み上げて、組み重ねていって、そういったものにこの法律改正で新しい機構が一役買っていただけるということを私は期待をしているわけであります。  政府は、新たな経済戦略として、例えば低炭素革命とか健康長寿・子育て、二十一世紀型インフラなどを掲げているわけです。やはり投資ですから、選択と集中、今申し上げたように、将来の戦略産業への投資を重点的に行うという視点も大事だと思うんですが、産業革新機構においては、限られた現状のところ資金でありますけれども、どういう分野に重点的に投資をしていくというふうに考えられているのか、この点について御説明をいただきたいと思います。
  51. 松永和夫

    政府参考人松永和夫君) お答え申し上げます。  御指摘のとおり、我が国におきましては、大企業のみならず中小企業におきましても、大変その将来の発展にとりましてかぎとなる優れた技術がありながら、なかなか、これが企業ごとにあるいは組織ごとに分散をされていて、その潜在力を十分発揮できていない、事業化についてなかなか結び付いていない、こういう現状にあろうかと思います。これらを有機的に組み合わせて新たな製品、サービスを生み出す、きちっと事業化に向けて踏み出させていくと、これが今回の産業革新機構の大きな役割であるというふうに考えております。  こうした分野といたしましては、今委員指摘のとおり、環境・エネルギーあるいはライフサイエンスといったような分野がございます。先般、経済財政諮問会議で二階経済産業大臣が御報告申し上げました未来開拓戦略、この中で低炭素革命、それから健康長寿社会、それから日本の魅力発揮と、この三分野を今後の言わば日本の成長力を高めていくための大きな分野というふうに定めておりますけれども、こういった分野が一つの大きな可能性としてあるのではないかというふうに考えております。
  52. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 是非選択と集中でめり張りを付けてやっていただくことがいいかなと思うので、その点についても引き続きよろしくお願いをしたいと思うんですが。  しかし、それにしても、このファンドが金額的に十分なのかなということがずっと私は気になっておりまして、ちなみに我が国のベンチャーキャピタルの投資額はどれぐらいなのかということでちょっと調べてみました。経産省から二〇〇六年の各国比較が出ているんですが、日本のベンチャーキャピタルの投資額が二千三百億円ですね。アメリカは三兆六百億、同時期の欧州は十一兆一千七百億なんですね。非常に差がある。これはベンチャーキャピタルそのものですから政府の部分だけではないんですけれども、そもそもそういう状況であります。  そんなことを考えていたら、ちょうど日曜日の読売新聞に「iPS、日本抜かれた」という特集記事を目にいたしまして、これをちょっと読んでみたんですけれども、iPS細胞の研究では京都大学の山中教授が有名ですが、日本はこの分野でもアメリカに遅れぎみであるという非常に貴重な指摘でありました。アメリカは再生医療研究に国立衛生研究所だけで年間九百四十億円の予算を組むと。オバマ大統領は科学技術予算の上積みを決めており、研究費は更に増える見通しと。日本政府も今年度五十億円の研究費を支出する、補正でも更に上積みを目指しているんだけれども、でも日米の研究費には十倍以上の差があるとこの記事は報じております。山中教授もコメントをされているわけですが、日本オリジナルだったはずのiPS細胞研究は既に一勝十敗と苦戦を強いられているというようなコメントであります。  もちろん今回のこれだけではないいろいろな政府全体としてのこうしたiPS細胞なんかの研究の投資があるんだと思うんですが、そもそもまだまだ日本はそうした分野についての投資が政府としてのバックアップが十分でないのかなと私は思うわけです。  それで、今回、産業革新機構は政府としては四百億円の出資でスタートをするということなんですが、これで本当に十分なイノベーションを引き出せるのかということでありまして、その点についてちょっと御説明をいただきたい、どういうふうにお考えになっているのか、お願いいたします。
  53. 松永和夫

    政府参考人松永和夫君) お答え申し上げます。  産業革新機構の出資規模でございますけれども、今委員指摘のとおり、平成二十一年度予算におきまして四百億円を計上しているところでございます。  しかし一方で、ただいま御指摘民間のファンド等からの資金供給でございますけれども、世界的な金融危機に伴います信用収縮におきまして、国内だけでもなく世界的にもそうしたリスクマネーが得られなくなっている、こういう状況でございます。  こうした経済金融情勢が激変をしております中で、先般の経済危機対策におきましてこの産業革新機構につきましても出資枠の拡充の措置を講ずることとしているわけでございまして、現在、その具体的な内容につきまして、財務当局と調整を行っているところでございます。
  54. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 もちろんこれをスタートしていただくことは大変大きな意義があると思うんです。ただ、今回、やっぱり民間が十分にベンチャーキャピタルが今出てこれない時期だからこうした機構ができるわけでありまして、それにはやっぱりある程度大きな財源を確保していくということも重要だと思うんで、これからの進捗によってそういった点も是非今後もきちっと政府として検討していっていただきたい。いわゆるファンドの積み増しも考えていっていただきたいなということを御要望させていただきます。  もう一つ、この機構についてお伺いをしたいのは、そうはいってもリスクマネーを公的に支出する以上これは成果を上げてもらわなければ困るわけで、無駄な出資、投資にならないようにしていただきたいわけですが、成功した場合には、公的なお金が入っていくということになれば、国民に対してもこういった投資のリターンが還元をされるべきだというふうに考えますけれども、具体的にどのようにそういったものが還元をされていくのか、その点について御説明をいただきたいと思います。
  55. 石黒憲彦

    政府参考人石黒憲彦君) お答え申し上げます。  この成果といいますか、還元の仕方は二つあるというふうに思っております。  一つは間接的、政策的な効果でございまして、産業革新機構の支援によりまして、委員指摘のとおり、業種や企業組織の垣根を超えるようなオープンイノベーションがどんどん成功事例として創出をしていくと、これによって我が国産業の次世代の国富を担うような新しい新産業といったようなものができ上がって我が国経済の持続的発展につながるというのが間接的、政策的な成果だと思います。  それに加えまして、直接的な成果ということになりますが、個々の投資案件について、事業が成功した場合には、新規株式公開あるいは大企業への売却などを通じて利益を上げられることになります。その際には、当然この機構が株式会社でございますので法人税等の納税をいたしますのと、また、この機構は使命を終えましたときに解散をいたします。その際に残余財産の国の分配などを通じて投資の成果を国民に還元することができればというふうに思っております。
  56. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 是非よろしくお願いします。  今まさにお話があったとおりで、その新産業が育っていくということがまさに日本経済全般に対しての大きなメリットになるわけですから、そのことは国民にとっても大変に有り難いことでありますし、また、利益が実際に上がったときはそうしたものも還元をされていくということが望ましいというふうに思います。  次に、資金供給スキームについて御質問させていただきたいと思います。  昨年十月以降の金融市場の極端な信用収縮で、企業のキャッシュフローの低下、そして社債、コマーシャルペーパーの発行市場も機能不全に陥って、大企業中小企業においても銀行から融資が十分に得られないような状況になっております。  一方で、銀行は株価の低迷や手元流動性の確保が難しく、高額の貸出しにはちょっと消極的な状況にあって、大企業中堅企業資金繰りに大きな影響が出ていると。こうした状況を受けて、既に政策投資銀行や商工中金による低利融資及び政投銀を活用したCPの買取りが行われています。  今回の改正で新たに指定金融機関による出資についても政策公庫が公的信用を付与することとなっているわけでありますが、まずお伺いしたいのは、既に実施されている指定金融機関による長期資金の低利融資とCPの買取りについて、どのような実績、成果が上がっているのか、まず御説明いただきたいと思います。
  57. 石黒憲彦

    政府参考人石黒憲彦君) お答えを申し上げます。  融資、CPの買取りでございますが、昨年度、長期資金の低利融資につきましては三月末時点で一兆千三百三億円、五百七十七件の実績となっております。内訳といたしまして、政策投資銀行については一兆六百三億円、三百一件、商工中金につきましては七百億円、二百七十六件の実績となっております。  また、政策投資銀行によるCPの買取りにつきましては、三月末時点で二千百五十億円、三十六件の実績となっております。
  58. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 そうすると、かなり予定をしていたところでこうした仕組みが十分に活用されているんだなということだと思います。  そうした状況で、今回は更にまた出資についても追加をしていくということであります。  今般の金融危機影響を受けて、アメリカでも同じような産業救済スキームをやっています。アメリカの場合は、オバマ政権になってから、自動車産業のように特定の企業金融措置を講じているというスキームですね。  それに対して産活法出資円滑化制度は、産業的にはある程度そういう、アメリカのように、もう自動車産業が大変だからこれはもう絶対に救済するんだというような特定の考え方を持っているのか、その点についてお伺いしたいと思います。
  59. 高市早苗

    ○副大臣(高市早苗君) アメリカは、昨年十月に成立した金融安定化法で自動車産業に対する緊急融資策というものを設けて、自動車産業ということで応援をしているようでございますけれども、この改正産活法にございます損失補てん制度は、今の産活法のほかの支援策と同じように業種横断的で、特定の産業を支援するというものではございません。
  60. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 特定の産業ではなくて、広く経済全般に影響があればこの制度は活用されるということで理解をしてよろしいのかなと思います。  過去の委員会等の質疑でも、雇用規模が大きい企業ですとか代替困難な基幹部品の供給企業とかいった具体的なケースが幾つか明示をされているわけでありまして、五万人ぐらいの雇用の規模ですとか波及等、そんなお話が出ていたと思うんですが。  たしか衆議院の方でもお話が出ていたと思うんですけれども、私、新潟なんですけれども、中越沖地震で被害を受けたリケンさんの具体例が少し明示をされていたかと思うんですが、リケン自体はそれほど大きな雇用を一社で持っているわけではないのかなと思うんですけれども、そういう場合でも、やはり経済全般への波及効果が大きいようなケースであればこうしたものは当然採用されるというふうな理解でいいのか、その点についてひとつ御説明いただきたいと思います。
  61. 高市早苗

    ○副大臣(高市早苗君) 塚田先生がおっしゃった企業の場合は、ピストンリングを製造しているのが日本で三社のみであって、なおかつ複数の自動車メーカーがこの企業から二割から七割程度の部品供給を受けていたということでございますので、ここからの部品供給が止まったために雇用規模の非常に大きな自動車メーカーの生産ラインも三週間にわたって停止したということで、非常に大きな影響を与えたものでございます。  この対象となる企業要件でございますけれども、まずは、先ほどおっしゃいましたように、五万人以上の国内雇用影響を与えるような、連結ベース国内雇用五千人以上の企業を想定しているということ。それからまた、代替困難な基幹部品等の相当割合を供給している企業という要件を設けていくと。これはやはり同じそのケースのように、部品供給が止まることでその供給を受けている雇用規模が大きな企業の経営も悪化して、結果としては国民経済全体の成長というものに悪い影響が出てくるということでございます。
  62. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 ありがとうございます。  その供給を受ける企業影響が大きければそういったところも手を差し伸べていくということで、大変有り難い制度だなというふうに思います。  あと、もう一点お伺いしたいのは、政策公庫の損失補てん割合が五から八割というふうになっているんですね。五から八割ということで、個別の事案に適用する損失補てん割合が違うのかなということなんですけれども、これはどのように決定をされるのか。逆に、これが指定金融機関の側からすると二割から五割は負担をしなければいけないということになると、審査そのものにリスク考えられる場合に影響が出てきて厳しくなってしまう。  そうすると、今おっしゃっていただいているような、本来の助けていかなければいけない企業に対する資金供給が実際には受けられないようなケースが出てきてはいけないなというふうに思うんですが、この辺りの割合がどういうふうに決められるのか、あるいはそのための審査影響についてどのように評価をされているのか、御説明いただきたいと思います。
  63. 石黒憲彦

    政府参考人石黒憲彦君) お尋ねの件でございますが、今現在は財政当局と調整中でございます。  考え方でございますけれども、これが委員指摘のとおり、余り恣意的に定まることのないように、ある意味で定量的、透明性のある基準考えなければならないというふうに思っております。  そういう意味では二つのポイントがございまして、実際どの程度の規模を出資をするのかという規模の基準、それからもう一つは、相手方の企業の信用格付がどの程度であるかといったようなところがもう一つのポイントでございます。現在、財政当局とどこで仕切るかというところにつきまして、この辺の基準を調整中でございます。そういう意味では、一律に定まった基準の範囲内で実際に危機対応業務における主務大臣が承認をするということになるかと思います。  御指摘のとおり、もう一つの懸念は二〇から五〇、指定金融機関の方がリスクをしょいますので、なかなかその審査が厳しくなるのではないかというのは、ある面御指摘のとおりかと思います。この辺につきましては、モラルハザードを防ぐという観点から、一定リスク民間金融機関にも持っていただくというのが趣旨でございまして、両方の兼ね合いの中で厳正に執行してまいりたいというふうに思っております。
  64. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 これから具体的に詰めていくということだと思うんですけど、信用リスクによって割合を決めるということになると、それは決まった段階でその企業の信用リスクがある程度明らかになってしまうということにもなるわけでありまして、いろんな協調融資を受けていくとか、そんなところにも影響が出てくるのかなと。本当であれば、一律にやった方が、そうした要するに企業によって差が出てこないのでいいのかなと私はちょっと個人的に思ったりもするんですけれども、かなりちょっと、五〇%と八〇%では幅があるので、その辺りのところを十分に注意をして細部を詰めていっていただきたいなということを御要望させていただきます。  こうした形で、出資が行われた企業の責任を、じゃ今度どう考えていくかということなんですが、アメリカの政府の場合は、支援したGMとかクライスラーに再建計画を厳しくチェックをしているわけです。今回、指定金融機関による出資についても、政策公庫が公的信用を付与するということを考えると、これが導入されたときはいいんですけれども、それ以降、指定金融機関から出資を受けた後に企業の収益が向上できるかどうかというのは大変重要だと思うんですね。それができない場合がもし出てきたときに、経営者、つまりその出資をした経営者の責任を問うていくべきではないかなと思うんですが、この点についてはいかがでしょうか。
  65. 石黒憲彦

    政府参考人石黒憲彦君) 委員指摘の経営者の責任の問題といいますのは、入口と出口両方であろうかと思います。入口につきましては、実はかねて局長等からも御答弁をさせていただきましたが、言わば一時的に金融危機影響を受けて調子が悪くなっている、簡単に言えば災難、津波に遭ったような状態で情勢が悪くなっているということでございますので、私どもとしては、一義的に経営者責任を必ずしも問う必要はないというふうに考えております。  ただ、出口の方で、委員指摘のとおり、なかなか計画どおりに実行しなかった、いかなかったという場合に、当然経営者の責めに帰すべき点がある場合がございます。そういう場合には、当然のことながら、今後、先ほど質疑にもございましたけれども、私どもも実は計画が円滑かつ確実に実施されているかどうかということはモニターをさせていただきますので、そういうプロセスの中で経営者の責任についてきっちりモニタリングをしてまいりたいというふうに思っております。
  66. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 おっしゃるとおりだと思うんですね。今回のこの制度導入は、もう世界的な金融経済危機ですから、そこの責任を最初から求めていたのでは、これはなかなか制度が活用できないということになるんですけれども、それ以降、やっぱり三年間なり経営努力をしてきちっと再建をしていくということについては、当然経営者の責任というものがあると私は思います。やはりそれは公的な意味合いからもそういうことを我々としてはきちっと考えていかなければいけないと思いますので、少し具体的に、企業経営状況をどのように監視をするのか、具体的にお話しいただける部分があればちょっと御説明いただきたいんですが。
  67. 石黒憲彦

    政府参考人石黒憲彦君) 先ほど質疑の中で一部ございましたんですが、私どもとしては、元々法律上、通常の例えば産活法認定企業におきましては少なくとも一年に一回、それから債務免除等を受けながら企業再生に臨んでいるような企業の場合には四半期ごとに一回、それからまた、場合によって、企業状況によりましては私どもが計画認定の際に毎月報告を求めるといったようなケースもございます。  したがいまして、今回の場合にも、出資等を行う場合には少なくとも四半期に一回ごとの報告を求めるといったようなことをやらせていただきたいというふうに思っております。
  68. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 よろしくお願いします。是非それはきちっとやっていっていただきたいというふうに思います。  時間もだんだん迫ってまいりますが、出資円滑化制度について、指定金融機関、本来は民間金融機関も含まれているわけですが、実際に手を挙げているのは政投銀と商工中金だけだということであります。今更政府金融機関の民営化について議論をすることでもないとは思うんですが、これらの今言った政投銀とか商工中金が完全民営化をしてしまった場合に、もし同じような状況が生じてきたときに危機対応業務を担っていただける機関があるのか、機能できるのかなと、今回のようなスキームがですね、という点を少し私自身は疑問に思うんですが、この点についてはどのようにお考えになっているんでしょうか。
  69. 松村祥史

    大臣政務官松村祥史君) 塚田委員の御質問にお答え申し上げます。  まず、現在、指定金融機関といたしまして政投銀それから商工中金、この二つの銀行がその業務を担っていただいているわけでございますけれども、御指摘のとおり、民間金融機関による危機対応業務への参画は可能であるものの、現時点では参画を得るに至っておりません。このため当面の経済危機対策といたしまして、政投銀、商工中金、両機関の活用を中心に考えざるを得ず、そのために必要な措置について政府・与党で検討を行っておるところでございます。  また、塚田委員から御指摘がございました政策金融改革の見直しにつきましては、私どもも大変重要な課題だと受け止めておりますが、まずは現下の危機対応業務に万全を尽くすことに全力を挙げることが最優先課題であると考えております。
  70. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 おっしゃるとおり現下の対応を優先していただかなければいけないわけですが、問題提起をしたいのは、こういう公的な局面で財政出動を行ったり金融支援を行ったりしていくということは今後も起こり得るんではないかなということでありまして、余りこの議論をここで深く入るつもりはないんですが、そうしたときにやはり有効に機能する金融仕組みというものを確保していくことも議論はしてもいいのではないかということで、あえて余り民営化について細かいことまでお話をしませんけれども、そんなことを問題提起としてお話を今日はさせていただきたいというふうに思います。  もう時間も迫ってまいりましたので、いろいろ今質疑をしてまいりましたけれども、こうした話も、今の政府金融機関等の話も含めて、大臣に、この改正産活法実施をしていくことについての改めて決意を最後にお聞かせいただければ有り難いと思います。よろしくお願いします。
  71. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 私は、さきの御質問でございますが、政府金融機関の民営化につきまして、いざというときには国民の皆さん、またその金融機関を頼っていただいている企業の皆さん方にお役に立てるような機関でなくてはならないと。したがって、そうしたときの対応だけはきっちりしておかなきゃいけない、それが危機対応業務として皆様に御理解をいただき、これを残すことができたわけでありますが、私は、これらの点について、今日の経済情勢、今日の金融状況等を見渡すときに、更にこれをどう強化していくか、どう補強していくかということなども考えてみる必要はあるというふうに思っておる次第であります。塚田議員の御指摘等も踏まえて、我々はこれから更に研究をしてみたいと。  あの当時は何でも民営化という勢いに乗せられて、我々は、これを中小企業の立場から断固守らなきゃいけないというのは守旧派と呼ばれたところでありますが、守旧派と言われようが何と評価されようが、これは守るべきものは守らなきゃいけないと、我々はそういうことを貫いてまいりましたが、そのときいろいろ言われた人たちはこのごろは口を閉ざして何もおっしゃらない。こういう状況ですが、当委員会等におきましてもいろいろ今後御議論をいただき、中小企業や一般の事業を営んでいる皆さんが、いざというときはあそこに頼れるというところをつくっておく必要があると、これは信念として申し上げておきたいと思います。  最後の御質問でございますが、まさに国際的なといいますか、世界的な資源価格の不安定ということが今大きく言われておるわけでありますが、金融危機がこれに加わり、国際経済の急速でまた構造的な変化、これに対応するためにこの産活法改正案を提出させていただいた次第であります。  本改正案は、今回の危機を乗り越えるに当たって、民間企業が行う設備投資などの前向きな取組をしっかりと支援できる内容となっていると考えております。国会審議を通じまして、参議院の委員会におきましても、与野党の先生方からちょうだいした様々な御指摘につきまして私たちは謙虚にこれを受け止めて、この施策を進めていくに際して立派なものに仕上げていきたい、産活法の機能が十分発揮できるように今後一層の努力をしてまいりますことをお約束しておきたいと思います。
  72. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 ありがとうございます。大臣の思いが伝わってまいりまして、ありがとうございました。  日本はアメリカのような市場経済を目指していったわけですね。ところが、そのアメリカがパンクをしてしまったわけでして、マネー資本主義というのはいかにもろいものかということが今回のこの危機で明らかになったわけでありますから、日本はやはり物づくり、きちっとこの物づくりの経済をこれからも守っていくということは大変重要な要素だと思いますので、そういった点からも、金融機能も含めてまた今後とも我々は議論をしていくべきだということを申し上げて、質問を終わらせていただきたいと思います。  どうもありがとうございました。
  73. 渡辺秀央

    ○渡辺秀央君 大臣、御苦労さまでございます。  この国会の重要法案一つである産活法、いよいよ採決の目前でありますし、基本的にまず私はこの法案に対して賛意を表したいというふうに思います。  格段今までの御議論あるいは参考人意見もずっとお聞きしてまいりまして、法律というのはそのときにおける対応をどうするかということであって、時代が変わればまた法律を見直すのはこれは当然のことであって、むしろその方が健全なわけでありまして、初めからどんな時代にも対応できる法律なんというのはあり得るわけがない。特に、後ほど申し上げますけれども、自由主義経済社会というのが我が国の国是であるということを考えていけば当然なことであります。各同僚議員からもすばらしい質疑がなされてきておりますから、私は同じ角度から、この法案の中身というよりも少し切り口を変えて今日は後で大臣のお考えを、私の意見を述べた後、お聞きいたします。事務当局と少し意見交換をしておきたい。  これは、こういう時代というのは百年に一回というけれども、百年に一回あってはならない経験なわけです。こういう時代における共有する価値観あるいはまた認識、あるいは使命感というようなものを与野党問わず、あるいはまた国権の最高機関である国政のこの構成員である我々と、あるいは官僚としての、業務執行をやっていく事務当局とのそういう共通のベースの中で特に自由主義経済が守られていかなきゃいかぬと。中で、更なるこの国民生活を発展させていく、あるいはまた経済力を培養していくということがなされていくべきが本当だろうというふうに思いますので、少し基本的なまず私の意思を、この法案に賛成であるということを表明しておきながら、少し切り口を変えて御質問をさせていただき、意見を述べたいというふうに思います。ちょっと時間が、四十分もちょうだいしているようでありますが、なかなか、考えてみると、あれも言いたいこれも言いたいということであります。  冒頭に、まず、私どもが先日、九日に内閣総理大臣に、官房長官に改革クラブとして追加経済対策の要望事項を申し上げてまいりました。当然経済産業大臣にもお知らせが行っていると思いますが、私どもはこういうことを申し上げました。世界的な景気低迷の中、各国の間で芽生え始めた保護主義への回帰を防ぐとともに、国内においては、小泉・竹中路線による市場原理主義によって疲弊した今日の日本経済を、政府の積極的な財政出動で責任を持って景気回復を図るべきである。雇用を始めとするセーフティーネットの充実はもとより、景気の下支えや需要創出、環境対策、地域振興への取組が求められているとともに、将来の成長分野を見据えた成長戦略の構築は喫緊の課題であると。したがって、新成長戦略ということでそれぞれ個別に実は要望申し上げてきたところであります。  すなわち、今までの議論の中にもございました、この経済情勢についてのお互い認識を共通にしたいということと、もう一つは、いわゆる今まで官は悪だと、そして規制は悪いと、これまでの行き過ぎたこういう自由主義経済の推進の結果が、そういう認識の中で行われてきたことが今日のような経済危機を招いたことの一つではないかなと。すべてとは言いません。そういうことを反省しながら、官の役割を私は再評価すべきだと考えながら、したがって事務当局との意見交換をしておきたいと思います。  三点目は、原子力発電に取り組む経済産業省の姿勢について意見をお聞きいたしたいと。私の考えを申し上げます。  四点目は、今回の経済危機対策において光ファイバー網の整備の対策をどの程度盛り込んだのかと。これはもう本当に国の資産として、我が国の資源のない、人材が資源であると言ってきた我が国においては、まさに物づくりという声が先日以来、声を大にしてあります。  誠に同感の極みでありますが、同時に、それをどう生かすのかということは、やっぱり国民がそれだけの能力を持ち、技術を持っているとすれば、大資本だ大企業だということに頼らずしてもやっていける、そういう背景というものは何かと。中間による流通を一々通さずに農商一体ということもやってきたわけですが、それらを考えると、農家のこれからの若い人たちはパソコン一つで自分の生産物を販売できるというような体制、あるいは世界に対しても市場に対しても挑戦できるというような体制は、やっぱりそういう光ファイバー網あるいはまた高度情報基盤整備ということが必要であろう。そういうことについてちょっと述べてみたい。  五番目は、今回の法改正について今ほども質問がありましたが、大臣の並々ならぬ意欲に敬意を表しながらその位置付けをしっかり確保しておきたい。  そして、さらに、エネルギー外交、資源外交について若干意見をお聞きしたい。  最後に時間がありましたらというか、これ大事なことなんですけれども、今回の景気後退の影響により、再び政策金融、今話がありましたが、塚田君から話がありましたが、この政策金融の役割ということが非常に見直されていかなきゃならない。私も若干あの当時、商工中金の民営化というのは反対はしませんでしたが、実は若干疑問を呈して当時民主党の中で議論をした一人でありますが、しかし、すべて民営がいいという風潮の中でも、また当時の民主党の党内の空気も民営化ということが推進の大きな力であったので、私どもは反対をせずにこれはいわゆる賛成としてあの法律は通したというようなことをそれぞれ踏まえて、ちょっとこれから、三十五分ぐらい時間ありますか、その間にちょっと私の意見を申し上げながら、是非大臣考えや事務当局の考え方を率直に、それは渡辺さん間違っているよということは遠慮なく言ってもらいたいというふうに思います。  私は、まず基本として、国政の乱れということは、これは非常に国権の最高機関を構成している我々としては、やっぱり一人一人責任と使命をもう一回こういうときこそ考えなきゃならぬときではないかというふうに思うんです。すなわち、原点に立つべきだと。国家とは何だと、それで、国民を代表する我々というのはどういう原点でやるのかと。政党が大事か、国家が大事か、国民が大事かということまで突き詰めて考えながら議論をしていくということが、これだけの、大恐慌とは言いませんけれども、世界的な、日本国内だけが独り悪いんじゃないんで、そういうときに我々は、この民主主義、あるいは議会制民主主義、そして自由経済というのを標榜しながらやっている構成員の一員として、その原点というのをしっかりお互い共有しておかなきゃならぬことではないかなというふうに思いますし、その中でさらにその対処、処理を的確にやっていくべきである、冷静に判断していくべきであるというふうに思うんです。  国は続くけれども、しかし国家というのは何をやっても大丈夫だということの考え方だけではなくて、うまくやっていけばいいんでありますけれども、しかし、その当時の世の中の風潮と国民の考え方に政治は妥協して、そしてそのままその政治の場でそれを無為無策にとらえて執行していくということは、これは政治家ではなくて事務屋であり、ある意味ではサラリーマンということ、悪いことではないが、言うならお上、あるいは上の人の目くばせを気にしながらやっていくことであって、国民の代表する構成員の一員としての考え方ではないだろう、こういうときは議論をそれぞれの場でしっかりやっておくことが大切ではないかなと。その原点をもう一回お互いに、そういうその道義、倫理観というものを考えながら私は政治をやっていく今非常に大事なときだと、歴史的に。私自身も、約三十年、いや、むしろいろんなこの世界に入ってから五十年近く、とにかくそんな思いで今この時期に対して対処していきたいなと思っているわけであります。  どうぞひとつ、我々は基本的に自由主義、自由経済主義を標榜している。自由経済主義なんであって、計画主義でもなければいわゆる規制社会をつくっていくことでもない。自由経済主義の中で、より良い国民生活とより良い国家社会、より良い将来に向けた繁栄していく国家の基盤というのをつくっていく、まずこういう考え方で取り組んでいかなければならないのではないか。規制や制約を経済活動に、余り、今世界はこういうことが起こってくるとすぐそれを考えている。まさに自由放任でやっていけばうまくいくという考え方で、これまで規制緩和が一番大事であると、構造改革が全く金科玉条である、こういうことで言っていた政治が、それは今、小泉・竹中路線を私は批判しましたが、しかし、あるとき、まさにそれは構造改革のやり過ぎである、あるいは規制緩和のやり過ぎであると、こんな無責任な議論はこれまたないんですね。もう一々名前は言わないし、こういう話をすれば、だれがどう言っているかはお分かりのとおりだ。  だから、是非、規制緩和、金融の自由化、経済のグローバル化が推し進められてきているけれども、我が国でも改革なくして成長なしという構造改革路線の下で、とにかく規制緩和して政府の関与をなくして市場に任せればすべてがいい、これがグローバル化だと、こんなような政策が進められた結果、今日のいわゆる拝金主義、あるいは為替、株価、あるいは資源の価格などの変動幅を拡大させた、そして不況を世界中に一斉に広げた、勝ち組、負け組といったような言葉に代表されるようないわゆる格差というのが、日本の国内では地域格差が起こる、世界中で格差が起こってくる、こんなものを招いた結果ではないかなというふうに思って、今の経済危機に対して私は非常に憂えている一人でもあります。  恐らく、そういうことの危機感あるいはまた現状に対して考えながら、それぞれ皆さんもこういったことに対応して日常の御努力をしておられるとは思いながらも、あえて一言私はその件について申し上げながら、言わばこの今日的な状況について、この法律改正する、五度目ですか、五回目になりますかな、こういう改正について、新しい法律ということよりも、その時代に適応できる法律があるならばどんどん改正して、改良して、そしてむしろ、法律をいっぱい作ることがいいのではないのであって、私はかつて閣僚のときに、法律を整理しようということを閣議で言ったことがあります。  そういう意味においては、法律は作ることが大事ではあるけれども、これは立法府ではあるが、我々は、しかし法律を見直して充実させる、適応させていく、時代に、そのことがより使命としてあるのではないかなということを考えながら、この法律について、是非、現在の経済情勢との絡みの中で、大体価値観は同じだろうと思うんですが、大臣、何か所感があったら、一言で結構ですけれども、お考えをお示しいただければと思います。
  74. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 渡辺先輩から大変幅広い、しかも現代社会、現代の政治の上において大変重要視しなければならない問題点をたくさん御指摘をいただいたと思っております。  我々はそうした御指摘を踏まえて、格差是正の問題一つとらえても、これは重大な問題だと思っております。このことが、結局は労働問題におきましても、雇用の問題のああした厳しい冷たい風が吹き当てられたときに問題点が大きくクローズアップされてくるわけでありますが、これは常日ごろから格差の是正ということにもっと我々は配慮すべきであるという教訓を与えていただいたと思っております。  渡辺先生は前々から独特の政治哲学を持ってずっとこの世界を歩んでこられた、先ほども申し上げたとおりの先輩でございますが、それだけに、今回のこの産活法改正に対してまずは賛成であるという大変力強いお言葉をいただきましたが、我々はそれだけに、賛成していただいて法案を通せばいいと、そんなことではなくて、この際私は、先ほども申し上げましたが、与野党通じてちょうだいした御意見に対して真剣に、真摯に見直して、我々は新しいルールを作っていく上において少しでも国民の皆さんのお役に立つように立派なものに仕上げていきたい、その努力をまずお約束して、最初のお答えにしておきたいと思います。
  75. 渡辺秀央

    ○渡辺秀央君 ありがとうございました。過分なお話をいただきましたが、恐縮でした。  ちょっと時間に迫られておりますから、端的に、簡略に質問をさせていただきますが、あるいは意見を申し上げますが、私は、本来改革とかいうことは今までもさんざんやってきているわけですが、建築の確認とかいろいろあります、JISの規格の民営化とかいろいろありますが、改革に伴う負の影響をやっぱり最小限に考えてやっていかなきゃいかぬというふうに思うんです。いわゆる、俗に言うソフトランディングでありますけれども。  変革のために一時的に犠牲が生まれても仕方がないと、この感覚は革命に通じると私は思う。民主主義というのはいっときたりとも、あるいは議会制度というのはそのために監視機能としてあるんであって、かつてヒットラーとかムッソリーニが出てきたのは、議会を活用して、そして権力を握って、そしてあの独裁政治に入っていったんでしょう。だから、そういう意味においては、一時的な犠牲ということはとにかく最小限度にしなきゃいかぬということが我々政治家、民主主義下における政治家として大事な、基本的な考え方でなきゃならぬのではないかなと。したがって、私はこの経済環境の変化による影響を最小限度にすることを考えるべく努力をお互いにしたいものだ。  そこには、今までそれがなぜうまく来れたかというと、いわゆる政官民、これまあよく政官業の癒着なんということを言うが、政官民の三者がそれぞれ連携協力して様々な課題に対応して、そのバランスを取りながら制度をつくり上げてきたからであるわけですね。政官民、いわゆる業でもいいですよ。そして、一億二千今や七百万になった人口の、高度な、全く世界に冠たる文化、技術経済社会をつくってきたというふうに思うんです。これはやっぱり三位一体だからできたと思う。官が悪いから、官がたるんでいるから、いや官がちょっとしたことをやったら、すべて官僚が悪い、官は悪、規制は悪、すべて民がいいと、先ほど来の話もありましたとおりです。  これは、やっぱり我々は政治家として、大衆は愚にして賢なりであって、我々としては是非皆さんとこういうことをもう一度、先ほど、だから原点に戻って我々の責任と使命を考えなきゃいかぬということを申し上げたんで、自由主義経済の推進をそういう行き過ぎたことにしてはいけないというふうに思うわけであります。  世界に今大波乱が起こっているこの時期に、反省として私はむしろ逆に、麻生総理は官僚を使いこなすというような、あの人はどうも表現が余り上手じゃないんですけれども、官僚を使いこなすんではなくて、官僚と一緒に、あるいはまた執行をしていただいている国民、官僚は国民の代表なんですから、国家公務員なんだから、そういう意味では官の役割というのを再評価しながら、大臣、是非この難局を対応していくべきだろうということを申し上げておきたいというふうに思います。当然、大臣もそのお考え努力しておられることはよくよく承知をいたしております。  さて、時間がだんだんなくなってまいりましたが、どうも米国の金融危機先ほどのお話もありましたけれども、世界経済影響我が国経済が大幅に悪化しております。まさに日本とアメリカとはピッチャーとキャッチャーと、アメリカがくしゃみしたら日本は風邪引いたというような時代もありますし、またそういうことを今でもまだ若干の感がございます。私は、今こそ経済産業政策、日本としての経済産業政策の役割はまさに戦後、戦後という言葉も古いですが、六十年たって、六十五年になり、まさに正念場だというふうに思うんです。  かつては日本のMETIから、経済産業省から国際会議に行かなかったら国際会議は開かれないという時代がありました。それに行くのに、今よりももっと財政状況が悪い、私ども一員であった中曽根内閣時代は公共事業五%、一般経費一〇%削減のとき、役所の諸君たちが官邸へ私が副長官のときに来られて、出張する金がないんですということでしたね。だから、大衆旅行の中に入って安い料金で行かなきゃならない、ところが帰るときに今度帰れない、こんな話まで聞いたのを私は今でも覚えております。  しかし、経済はこういう混乱期であるとしても、まだ日本の経済は、それから二十年たってまあまあここまで来ているなという感じはいたします。しかし、今日のこの状態の中で、この経済産業政策の役割そしてこの遂行によっては、大きく日本の経済は変わってくるんだろうというふうに思いますし、世界の経済もまた変わってくる、日本のリードによって。FTAとかそういうことがそれぞれ各国で話し合われているときに、各国は保護主義に陥っていくようなことがあってはならぬということで、先般来からの総理の外交における大変な活躍が具体的に実ってきているように私は評価もいたしているわけであります。  今回の経済危機対策で、まだ発表になっておりませんけれども、新聞やマスコミの発表をかいま見ると十五兆円、そしていまだかつてない大規模な財政出動ということ。これはばらまきだという批判もしていますけれども、じゃ、それがなかったらどうなるのと、日本の経済は。その反論が、反問がなくて、ただ批判だけしている。そういうようなことであっては、やっぱりこの日本の、資源のない、そしてまたこれだけもう生活レベルが上がってきた国民の生活を維持していく、それは私は到底不可能だろうというふうに思うんですね。そういう意味では、この財政出動というのは非常に的確であったというふうに思います。是非大型の対策を、十分効果を極めて、目標をしっかり定めて提案をし、かつまた実行に移していかなければならないのではないかなということを期待をしながら、申し上げておきたいと思います。  次は、もう一点申し上げたいのは二酸化炭素排出量の削減に対する問題でありますが、これはもう大変それぞれ議論のあるところです。しかし、これも間違ったら、日本の産業、せっかくこれだけの大型の補正をやるのに、これをまさに二五%から五〇%だなんというとんでもないことを言っている人がいるようでありますが、これは日本のまさに財政出動をやったことがマイナスに働いていることは間違いありません。何にもならなくなったということになっている。  昨日もマスコミで、稼働率が、六〇%に原子力発電稼働率が低下してきている。これは低炭素社会で目標の二五%を推進すべきか、いや、それを考えてやっていったら大変なことになるんじゃないかというのに、原発が六〇%しか稼働率をやっていないという現状。特に、この原因はどうも私の地元である刈羽柏崎原発、今日はここには新潟県出身の国会議員はほかにも二人おられますが、私は全国区ですけど、私の全国区の票の半分以上が実は新潟からもらっているんです。新潟からもらっているんです。だから、あえて申し上げる。そういう意味では、刈羽柏崎の原発が停止していることについては誠に責任を痛感しております。  また、これは、安全であるということはもちろん言うまでもなく絶対的な要件として考えていかなければなりませんが、この原子力発電に取り組む経済産業省というのは、国策で進めてきた。私は前にも、民主党の時代にも言った、自由党の時代にも言ってきた、自民党の時代にも言ってきたんです。どういうことかというと、国策であって、やることは事業者である、責任は事業者だと、やらせることは国がやらせると、これはちょっとおかしいんじゃないか。だから、私は電力の自由化ということは本当は問題だと。私が落選している最中に決められちゃったので申し訳ない、残念だったんですけれども。いずれにしても、何でも民営化がいいということではない一つの標本であるというふうに思います。是非ひとつ、この原子力発電に取り組む経済産業省の姿勢、一口だけで答弁を。エネルギー庁長官、どうぞ。大臣考えは分かっていますから。どうぞ。
  76. 石田徹

    政府参考人(石田徹君) お答え申し上げます。  まさに先生も言われましたように、今原子力発電、これはCO2を発電過程で排出しないという特性もありますし、それからエネルギー安全保障上も非常に有用であるということで、私どもとして基幹エネルギーとしてこれは推進してまいりたいというふうに考えております。  足下、昨年度の稼働率が六〇%ということで非常に残念でございますけれども、これにつきましても、国ができるだけ取組を強化することでこの稼働率も上げられるように努力をしてまいりたいというふうに考えています。
  77. 渡辺秀央

    ○渡辺秀央君 原子力発電について臆病になっちゃいかぬ、臆病になっては。世界一に安全な技術で、高度な技術でこの原子力発電というのは日本は行っているわけでありますから、その行政の機関として自信を持ってこの国策を進めていかなければならないというふうに思います。大臣、どうぞひとつその点もよろしくお願いを申し上げたいと思うのであります。  次いで、先ほど申し上げた高度情報社会に対することでありますが、私はこの来補正予算の中で当然見ていただいているとは思うんですけれども、これは是非、聞くところによると、森内閣のときから始めて、これはもう森さんいいことやったなと私は当時総理にも言ったんですが、今や八五%ぐらいですか、何かもっと九〇%近く行っているという、基盤整備が。だけれども、実は都市部が中心なんですね、都市部が。  私が申し上げたいのは、この機会に是非、地方に毛細血管をしっかりつくってほしいということなんですわ。でなかったら、これ仏作って魂が入らないことにもなる。私なんか田舎の出身ですから、やっぱり村落にまで、衛星から入るのもありますよね、あります。しかしながら、これだって、これだけ頼っていったら途中で、非常に大事なときに、何というか、活用できなくなってしまったり、光ファイバーでももちろん地震やなんかあったらおかしくなったりということもありますよ。しかし、双方でやっていくことによって高度情報社会、あるいは基盤整備ができ上がるんではないかと。これが世界に冠たる日本の私は高度社会だというふうに思うんですがね。だから、今度も考えていただいているようで、若干聞くと十倍ぐらい、ふだんの予算の十倍ぐらいの予算を取って整備していくという話も漏れ承っておりますが、これ是非農村地域を考えてほしい。  それともう一つ大臣、目を配ってもらいたいのは、まさに私がさっき言った、何で原子力の話をしたかというと、原子力発電立地市町村、あるいは水力発電立地市町村、火力発電立地市町村、こういうところに先にいわゆる光ファイバー、あるいはまた今の高度情報の毛細血管を先にやってあげるということが、安全面においても情報においても、あるいはまた、何といいますかな、こういう政策の理解度においても、それから若い人が地方に定住し定着していくと、田舎に帰る、地方に帰るということの大きな原動力にもなる。そういう意味で、是非このことをお考えをいただきたいなと。  これの執行に当たって、補正予算が通って執行に当たって、これ執行は行政の仕事ですから、執行は。これ、大臣の胸三寸でできますよ。是非これは考えておいていただきたいというふうに思うわけであります。  同時に、せっかく今、私は総務省から一人呼んでいるんですけれども、大臣経験者がどうもここで聞かなきゃならないというのも情けない話ですけれども。しかしあえて、あえてこういう公の場で、私は総務省、電気事業に関してのこの情報網に関して質問をいたしておきたい。来ているね。いわゆる、これは事前通告はしていない分野かも分からぬが、二〇一一年七月のアナログ波停止、そのときに向けてデジタル受信可能世帯の割合というのは現在どこまで行っているか。それと、目標達成が本当にできるのか、その進捗状況はどうかということを、これ具体的にどういう現状になっているかと。今言ったことについて、ちょっと分からないかな。──分からない。だから、その程度だから駄目だと言うんだ。それじゃ、いずれ回答してください。これは一一年にもう決まっている、二〇一一年にね。これは通達はしなかったかも分からぬけれども、まあそれじゃ仕方がない。  しかし、光ファイバー網整備の対策について一言決意を、せっかく来たんだから発言をして。
  78. 武内信博

    政府参考人武内信博君) お答え申し上げます。  先生が御指摘のとおり、光ファイバーを始めといたしましてブロードバンドインフラは、ただいま住民生活の利便性の向上あるいは産業活動の活性化など社会経済の発展に不可欠なものとして急速に発展しているところでございます。  昨年の、二十年九月の段階で、カバーエリアといたしましては九八・六%まで行ってございます。一方で、過疎地域を始めといたしましていわゆる条件不利地域で、設備投資ですとか運用コストの回収が困難なことから民間事業者だけではなかなか整備が困難であるということも事実でございます。  総務省といたしましては、地方公共団体とともに、二〇一〇年度までに整備を目標といたしまして光ファイバー等の整備を鋭意推進しているところでございます。
  79. 渡辺秀央

    ○渡辺秀央君 僕はそれ調べているんだよ。中津川市とかこういうところは非常に良くやっている、財源のないのにね。時間がなくなったからよしますけれども、地方自治体で各戸別まで全部この情報網敷いているんです。すばらしいですよ。どうぞ、中津川市ですから、同僚の議員の皆さん、勉強されてみたらいかがですかね。そういうことが私は実は理想だと思うんです。そのうちに視察にでも行ったらいいのではないかなと思います。市長さん、それから議会、大変な努力をしている。それから、国の金をうまく運用しているということであります。  さて、時間がなくなってきましたが、最後に、せっかくですからさっきの金融の問題について。  大臣、これはいい機会ですから。新聞によると、この新聞、これは十七日の新聞だな、政投銀の、政策投資銀行ね、民営化三年半延期了承。これ、自民党、与党はいいことをやっていると思う。いや、本当に。私は麻生内閣の与党のつもりですけど、自民党と公明党と一緒に与党になっているわけでもない。しかし、これは是非、この期間を延長するということは、三年半先送りするということは、これは是非考えたらどうかと思うんです。  というのは、中小企業庁長官、あえて今日はここに来てもらいました。やっぱり貸し渋りあるんです。それから、この三月末は越えたけど、今度五月はもっとひどい。それには、いわゆる保証協会では足りないとは言いません。よく頑張っている。頑張ってはいますが、やっぱり商工中金あるいはかつての中小公庫、国民金融公庫等々がなくなったことで、かなり国民は、中小企業企業者は戸惑っているんですね、戸惑っている。だから、是非、私はこの機会に、どうせ法律が出るとしたらもう大賛成、延長は大賛成しますから、場合によったら堂々と出してもらいたい。どこが出すのか分からぬが、あるいは議員立法なら、是非どうぞ民主党もよく研究してこれは考えたらいいというふうに思いますね。だけど、すべてが金融に頼るということもいかがかと思うが、それが今回のこの法律の大事なところだろうというふうにも思いますね。  現状、せっかく長谷川長官が来ているんだから、今、中小企業金融状況の、一口でどんな状況か、それから五月の状況に向けてどういう対策が考えられるか、それが終わったら最後に大臣の総括の御意見を承って、終わりたいと思います。
  80. 長谷川榮一

    政府参考人長谷川榮一君) お答え申し上げます。  まず、何よりも今回の国際経済危機でございますけれども、政府といたしまして一番胸を痛めましたといいますか重要なことは、まずは倒産をなくす、そして職を守るということが原点だというふうに承知しております。そういう意味では、中小企業の皆さんに対する金融、特に中小企業の方は御自分の経営の責めではないことからこういう事態に至っているわけでございますので、やはりこれは政府として大変重点を置いた政策、これはもう与野党なくこの場でも御支持いただいたというふうに思っております。  そして、残念ながらでございますけれども、やはりマクロの経済情勢が大変重いものがございまして、かつて想像しなかったような重さがございます。その過程で倒産という大変避けなければいけない事態も、実はまだ予断を許さない状況でございます。あらゆる手段を尽くそうということで、特に金融でございますけれども、予算につきましても格段の御支持をいただきまして、保証と政府系の金融機関の貸付け、それぞれでございますけれども、保証の方では四十六万三千件御利用いただきまして、十兆円弱というのが最近の実績でございます。貸付けの方は、中小企業、小規模企業合わせまして約二兆円に達しつつございます。この中で、商工中金は大変重要な役割を持っております。  金融は、改めて申し上げるまでもございませんけれども、やはり単にお金を貸すとかいうことではなくて、その御利用いただく方の事情、経営、そして経営者のお顔、こういったような言わばそこに対する、コーパイロットという言葉がいいかどうか分かりませんけれども、一緒に、経営はもちろん主人公ではございませんが、そういう意味で相性もございます。  そういった中で、商工組合中央金庫につきまして今お話がございましたので、特に触れますと、全国に九十九支店を持ちまして、大変長い伝統を持ち、戦前からある、中小企業の実態をよく知悉した機関でございます。これにつきまして、お話がございましたように、さきの政府系の金融機関の改革におきまして民営化という道が一応決められたわけでございますけれども、恐らく当時決めたときにはこういう事態がここまで非常に緊迫するということは必ずしも十分に想定されていなかったんじゃないかと思っております。  そういう点で、現在政府で取りまとめました対策の中でもこの商工組合中央金庫の役割強化というものを入れさせていただいておりまして、予算につきましてはいずれ御審議いただきますが、いずれにいたしましてもその過程でこの商工中金の法律も変えるということも十分視野に入れて検討をしております。
  81. 渡辺秀央

    ○渡辺秀央君 もう時間がなくなりましたが、大臣、やっぱりこれだけいろんなことをやっていく、与党も野党もいろんなことを役所に、政府に要求する。まさに、ありとあらゆることを言うんですよね。これは、政治家はみんなお互いそうなんです。しかし、それが、今のように中小企業庁しっかりやっていますが、やっぱり一番大事なことは、モラルハザード起こしてはいかぬと思います。  かつてありましたよ。私は自由党時代に例の保証協会の枠を小沢君と話をして、とにかくもうめちゃくちゃ広げて、そしてめちゃくちゃ貸し出した。そうしたら、今度はそのことに対してそこにいろんな政治家が介入したりして、そのあっせん業務みたいにしてですよ。とにかく、口出したらもう全部金を貸しますみたいな。そういうことになってはいけませんね。  それから、こういうものを政策を遂行していくときには、こういうときには、やっぱり各地方で商工会議所、商工会とか、あるいは中小企業団体連合会とか、そういうところがボス化しているところがやっぱりいけません。要するに、だんだんだんだん長くやっているとボス化するんです。それはそれとして、是非そういうことも頭に置いて執行していただきたい。  同時に、日本のこの経済状況を基本的に立て直すのには、何としてもやっぱり自由経済では金融は血液なんですよね。だから、そういう意味でも、まあ今更言っても始まらぬが、いわゆる郵便貯金、保険というものがなくなって、実際には政府から取り上げられて、財投の資金がなくなったと。これが、日本のこういうときに経済産業省が、よし任せとけ、どんどんやってやるぞと、開発銀行を始めとして融資をやって、そして民間に二十年融資、二十五年融資でもって低利でやっていくと、そういうことができたから日本の経済はここまで来れた。しかし、それが、十年昔比べますと、私、資料これお願いして出してもらった、四分の一ですよ。なかなかこれ、しかも経済規模はこれだけ大きくなっているんですよ。で、金額は四分の一なんですよ。ということは、当時から比べたらどういうことかと、ほとんどあるもないも同じだということですわ。  だから、郵政民営化が今更いいとか悪いとか言うつもりはありません。しかし、そういう産投会計というのが経済産業省の予算の大きな大きな背景であり、大きなまた自由主義経済を執行していく、ヨーロッパ、欧米諸国に追い付き追い越したこの背景だったと。ならば、あとはどういうことをやるかという、その中で今度の産活法がどうぞひとつ実を結ぶようにしっかりと執行していただきたいということをお願いをしながら、大臣の一言をいただいて、質問を終わりたいと思います。
  82. 櫻井充

    委員長櫻井充君) 済みません。大臣の御予定があって、質疑時間過ぎております。申し訳ございませんが。
  83. 渡辺秀央

    ○渡辺秀央君 一言って言っています。
  84. 櫻井充

    委員長櫻井充君) 分かりました。
  85. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) これだけの御質問を一言というのは難しいんですが、ルールは承知をしておりますから。  まず、商工中金の問題について、何か工夫はないかというお尋ね趣旨であろうと思います。今日承った御意見を十分念頭に入れて、今後に対応してまいりたいと思っております。  そして、私は、やはりこの不況を打開していくためには、日本の中小企業、そして農商工連携等によっての農業含めての対応、このことが大事かと思っております。我々経済産業省としては、なし得る範囲において、こうした問題に対して全力を尽くして結果を出していきたいということを考えております。  一つだけお許しいただければ、例えば、商店街振興策でどうだというお話がいろんな議員からありましたから、空き店舗を活用して二つのことを提案しようと。一つは、空き店舗で植物工場をそこへつくってはどうか。みんなが見に来ます。それが商店街の振興に幾らかでも役立つだろうと。あるいは、場所によっては託児所、いわゆる育児のための場所に提供する。そうすると、表を通る人たちから見れば、みんな子供が安心でそこに預けられることができるわけです、大勢の皆さんが見張っているようなものですから。そこで、帰りは商店街で幾らかのお買物をしていただく、そんなことをやってみたらどうか。今関係者が一生懸命取り組んでおりますが、経済産業省はこのことに対してまともに正面から受けて立つ、こういう気持ちでおります。  時間がございませんので、お許しください。
  86. 田中直紀

    ○田中直紀君 無所属の田中直紀でございます。  私からは、中小企業に対する事業再生支援の強化についてまずお伺いをいたしたいと思います。その窓口になります中小企業再生支援協議会についてでございます。  中小企業の再生の更なる円滑化については、急転直下の景気の悪化ということで、中小企業対策が必要なわけでありますが、優良な事業を存続させるため、中小企業の第二会社方式による再生計画中小企業承継事業再生計画認定制度を創設をするという内容になっております。  窓口でございます中小企業再生支援協議会について、新潟県の実情をちょっと聞いてみましたところ、当然、一か所であるということでありますが、新潟県では新潟市にございまして、事務局スタッフは第四銀行、新潟県信用保証協会の出向者と専門家等で対応しておると、こういうことであります。  二、三報告を受けて御質問いたしたいと思いますが、制度の使い勝手がどうかと、こういうことでありますが、総じてなかなか使い勝手が悪いと、使用が少ないと、こういう印象を受けております。本制度中小企業の再生を支援する目的であるが、案件は金融機関との交渉力と支援が得られるかがポイントだと、専門家として中小企業診断士や弁護士、税理士が登録されているが、専門家が再生に向けての支援、再生計画ができるかと、こういうことが専門家から言われておるということであります。  案件は、相談者からの直接の申込みよりは、商工団体の相談内容による協議会へのつなぐ事例が大半でありますということで、守秘義務の視点から成功事例が一般に見えにくいと、こんな現状でございます。制度上どう今後改善をされていくのかというのが一点でございます。  それからもう一点は、利用状況を聞きますと、長岡以外の中堅市でありますが、相談案件が極めて少ないと、そして、うまく再生できるという事例、成功事例が全然伝わってこないということでありまして、近年再生に向けた相談内容が高度化、複雑化しており、企業の再生に向けた専門家が不足をしておるという実情であると、これをどう乗り越えていかれるかということであります。  案件が何で少ないのかということでありますが、再生協議会の相談案件は、一定の規模の事業所の再生案件のみ相談を受け付けていると、大半が資金調達融資返済にかかわる案件が大部分であるということで、なかなか再生計画が立てにくい、立てられないというのが大半であるということであります。そのほかに、再生協議会と支援内容が類似している経営安定相談室というのがあると、そういうこともございまして、どちらに行けばいいかと。そしてまた、PR不足ということで、なかなか積極的に御相談に来られるということも少ないと。  全体として、ワンストップのサービスには体制に限界がある、あるいは最終的には金融機関との調整が困難の場合がある、再生計画を立てられない事業所が多い、個人資産の処分には時間が掛かり複雑化しておると、こういう状況が現在の状況であります。  したがいまして、制度を充実をすることは大事だと思いますが、今の現状を基にこの制度がいかに円滑に行われるかということを考えた場合には、この協議会の強化をうたっているわけでありますが、具体的に三点ほど担当の方からお伺いをいたしたいと思います。
  87. 長谷川榮一

    政府参考人長谷川榮一君) お答え申し上げます。  今御指摘がございました新潟の事例で申し上げますと、新潟県の場合は財団法人にいがた産業創造機構に再生支援協議会を置いていただきまして、これまでのところ御相談を二百九十七件、それから再生計画の策定支援完了件数が三十六件というようなことでございます。  それで、常駐の専門家の数は、確かに今委員お話がございましたように、余りほかの県と比べますと多い方では確かにございません。そこで、いずれにしましても、ますますこういう経済状況の中でこの再生ということの意義、持っている意味というのが高まっていることは間違いないわけでございますので、御利用される方々から何とか利用しやすい、気軽にそういう相談をしやすいというようなことについて、そういった御指摘がある以上、それはきちんと改善をするということをしなければいけないというふうにまず考えます。  そういうふうに申し上げました上で、じゃどうするかということなんでございますけれども、先ほど申し上げました人員体制でございます。これにつきましては予算の方で措置しておりますので、平成二十年度には各協議会の窓口の専門家を、全国ではございますけれども、五十六名増員いたしまして、本年度におきましても二十名程度増員をしたいというふうに考えております。  それから第二は、やはり案件が持ち込まれましたときに、どの部分が本当にどの程度再生の可能性があるかどうかという、いわゆるデューデリジェンスという事業価値の評価が必要でございまして、これにつきましてはやはりしかるべき額の補助金を出さなければいけないと、そういうようなことでございまして、そういった助成の費用を二十一年度には十億円から十六億円へ増額するということで、さきに予算の御承認をいただきました。  それから、この個別の体制でございますけれども、ここがうまく機能するために、お話がございました金融機関との調整能力の向上、あるいは専門家の皆さんが中小企業の方からお悩みをお聞きし、これはむしろ再生にせずに金融面でその融資条件を変えるとかということで対応したらいいじゃないかと、これは誠に忍びないけれども、本格的な再生ということで経営責任も場合によっては取らなければいけないと、どうだということを率直にお話を申し上げて、どの程度その御相談に見えた方が実際覚悟があるのかないのか、その辺をうまく気持ちも通じてお伺いすると、そしていいところを引き出すと。もちろん、この法律で、御審議がございましたように、雇用というのは大変重要なことでございますので、できればその雇用も維持すると、こういったような、そういう意味でのスタッフの能力というものにつきまして何とか向上するような改善というものを、いろいろいい例も紹介しながら講じていきたいと思っております。  そして、今御審議いただいておりますこの改正法案の中でも、第四十三条の第二項でございますけれども、今回は全国の各地でいろいろ持ち込まれますそういった模範になるべき事例あるいは知見を中小企業基盤整備機構にいったん集約をして、各地で使えるように守秘義務の解除の拡大、こういったようなことも御審議をいただいておりますので、何とぞ御理解を賜れればというふうに思っております。
  88. 田中直紀

    ○田中直紀君 倒産した企業もございます。それには手を差し伸べていただいているようでありますが、優良な事業を存続させるという意味で力を発揮していただきたいと思います。  株式会社産業革新機構を通じた資金の供給についてお伺いをいたしたいと思います。  政府の予算と機構の出資金の運用についてでありますが、大企業中小企業、ベンチャー、大学等に分散している結果、十分な実力が発揮できない技術あるいは事業を集約化、組み合わせて株式会社産業革新機構を通じて投資をしていくと、こういう制度になっておると理解をいたしております。平成二十一年度の政府予算では四百億円が用意をされておるということでありますが、一般会計かなと思いましたら財政投融資と、こういう四百億の、規模は非常に大きいので期待ができそうだなという印象だったんでありますが、残念ながら一般会計から出ていないということなので、十五年の時限組織と、こういうことであります。  中長期的な計画がどの程度でき上がっているかというのが一つと、産業革新機構でこれ使い切りなんですか、この四百億のうちから。組織をつくるということでありますが、組織は再生産がどの程度見込めるかと、こういうことでありますから、四百億のうちどの程度費用を使うか。そして、最終的に投資に、出資に回るということになれば、明らかにやはり一つの法人体系を取るわけでありますから、収支をチェックしてこのスタートをしなければいけないわけでありますので、大まかな状況ということと、将来補充するようなことを考えなきゃいけないか、あるいは最終的にどの程度の財政投融資を投入してこの機構を成果が上がるものにしていくか、その辺の具体的な内容が分かっておりましたら、よろしくお伺いをいたしたいと思います。
  89. 松永和夫

    政府参考人松永和夫君) お答え申し上げます。  産業革新機構でございますけれども、御指摘のとおり二十一年度予算で産投会計から四百億円が出資をされることになっております。  二番目の御質問でございますけれども、こうしたオープンイノベーションを促進するための投資事業ということでございますが、民間の投資ファンドの例を見ますと、投資家から得た資金を使って最適な人員構成を整えまして、それに伴います人件費等を除いた金額を投資に回すと、こういう形になっておりますので、今回の産業革新機構につきましても同様に対応していきたいと思っておりますが、いずれにしましても、機構、組織そのものはコンパクトな形にし、効率的な経営を図ることによりまして、最大限投資資金の確保を図ってまいりたいと思っております。  昨今の経済金融環境でございますので、言わばこうしたリスクマネーに対する資金需要というのは世界的に格段に増大をしております。私ども、この産業革新機構につきましても、中長期的にこうした需要に見合った形で拡充をしていきたいというふうに考えておりますが、現在も具体的な相談を財政当局と行っているところでございます。
  90. 田中直紀

    ○田中直紀君 民間の人材を結集するということもございますし、資金の要請も出てくるということでありますから、できるだけ早く中長期の計画を出していただくということを要請をいたしたいと思いますし、その計画によっては将来の国の支援ということも具体的に決まってくると思いますし、民間の支援もそれによって相当弾みが付くということでしょうから、しっかりとした計画を提示をしていただきたいと思います。  それから、先ほどオープンイノベーションのお話が出ておりましたので、産業技術強化法について質問をさせていただきます。  オープンイノベーション時代の産学官連携の現状についてということと、日本の産業技術への投資額と各国との比較及び日本の進路についてまとめてお伺いをいたしたいと思います。  一時期、アメリカ型の株主重視の経済体制ということで、それぞれの企業が四半期ごとにやはり実績を上げていかなきゃいかぬ、こういうことになりますと、長期的な投資がなかなか企業ではできにくくなったと、こういうことでありますが、時代は相当変わりまして、恐らく企業も、世界の企業技術を大事にしていく、あるいは長期的な投資を大事にしていく企業というものがまた求められるという時代にもなっておりますから、やみくもに今までの考え方だけで私はベンチャーを大事にしていこうというような流れから若干、各企業なり、そしてまた大学なりという重要性が出てきておるということでありますから、産学官の我が国連携というものは相当強化をしてきたわけでありますから、これを大いに伸ばしてもらうということが大事ではないかというふうに思っておりますし、先ほど言いましたような中にあって、環境・エネルギー分野やライフサイエンスあるいはその他の分野を、我が国はどの分野を重要視してしっかりと投資をしていくか、こういうことが求められる時代になっておると思いますので、その辺の現状、産学官の現状とそしてまた今後の取組について御質問をさせていただきたいと思います。
  91. 鈴木正徳

    政府参考人鈴木正徳君) ただいま先生御指摘のとおり、今日、技術はますます高度化するとともに複雑化をしております。このため、先生今産学官の協力ということで御指摘ございましたけれども、複数の企業が協力して研究開発を行うという重要性はますます高まっておるところでございます。  例えば、個別の名前を挙げて恐縮でございますけれども、公共交通機関で使われておりますSuicaカード、これは通信会社、また鉄道会社、電機メーカー、この異業種の民間企業が集まりまして共同開発したものでございます。また、先日の委員会で御紹介のございました女性型ロボット、これは産業技術総合研究所と民間企業の共同研究でございます。今後、このような共同研究といいますか、オープンイノベーションはますます重要性が高まっていくものと考えているところでございます。  それから、先生から今御指摘ございました研究開発費でございますけれども、日本の研究開発費、二〇〇六年度が十八兆五千億、二〇〇七年度が十八兆九千億ということで増加してきておりましたけれども、昨今の経済情勢で、二〇〇八年度につきましては若干の減少が見込まれるところでございます。  世界的に見ますと、アメリカが一位、日本が二位、三位が中国でございますけれども、最近の動向といたしましては、中国が急激に研究開発費を増加させているというところでございます。また、研究分野を限定すべきだ、集中すべきだという御指摘ごもっともでございまして、私どもも、今回まとめさせていただきました未来開拓プランにおきましても、研究開発の分野につきまして低炭素等に積極的に集中投下をしていきたいということを考えているところでございます。
  92. 田中直紀

    ○田中直紀君 日本の産業技術に対する、大臣、投資について、今後、日本の進路についてお述べいただきたいと思います。
  93. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) ただいま鈴木局長から国際比較を申し上げたところでありますが、私は、日本は今、アメリカに次いで世界で第二位にあるというんですが、中国がどんどんどんどん追いかけてきておるわけでありますから、我々は相当の決意を込めて研究開発という面について努力をしていかなくてはならない。その点については特に議員各位の御理解、そして御協力をお願いしなきゃならぬと思っておりますが。  産業技術への投資というのは、御指摘のとおり、総花的にやるものではなくて、やはり集中して投資をしていかなきゃいけない。そういう意味で、我々は今、策定をしております未来開拓戦略というもので低炭素革命、健康長寿、魅力発揮、この三本柱を中心にして重点的に投資を行うということでありますが、今後におきましても、効率的な研究開発のために協調できるところはしっかり協調してやっていく。今、アメリカとも技術的な面で協力をする、具体的な研究所同士の協力というふうなことも進めておりますが、ある一定の成果が得られるものと期待をしているところであります。  ただいまの御意見等、今日たまたま夕刻から総合科学技術会議が開かれますので、そこでいろんな専門家がお見えになりますので、こうした御意見を御紹介して一層の各方面の御協力を得たいと、このように思っております。
  94. 田中直紀

    ○田中直紀君 終わります。
  95. 櫻井充

    委員長櫻井充君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  我が国における産業活動革新等を図るための産業活力再生特別措置法等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  96. 櫻井充

    委員長櫻井充君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、中谷智司君から発言を求められておりますので、これを許します。中谷智司君。
  97. 中谷智司

    ○中谷智司君 私は、ただいま可決されました我が国における産業活動革新等を図るための産業活力再生特別措置法等の一部を改正する法律案に対し、民主党・新緑風会・国民新・日本、自由民主党、公明党及び改革クラブの各派並びに各派に属しない議員田中直紀君の共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     我が国における産業活動革新等を図るための産業活力再生特別措置法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、国際経済の急激かつ構造的な変化に対し、経営資源の一層の効果的、効率的な活用を促進し、我が国における産業活動の革新を図ることが必要であることにかんがみ、本法施行に当たっては、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。  一 株式会社日本政策金融公庫損失補てん制度に基づく指定金融機関による企業への出資に関しては、当該制度が公的資金を活用する異例の措置であることにかんがみ、出資の前提となる事業計画認定の具体的な基準及び手続を早急に定めること。なお、その運用に当たっては、公正性及び透明性を確保しつつ、安易な企業救済とならないよう配意すること。  二 事業者による認定事業計画実施がその雇用する労働者に多大な影響を与えるおそれがあることにかんがみ、主務大臣事業計画認定するに当たっては、計画が労働組合等との十分な協議を経て作成される等、事業者が従業者の理解及び協力を得るために必要な十分な話し合いを行ったかについて、確認するよう努めること。  三 中小企業承継事業再生計画については、認定対象となる中小企業者の債務等の基準を基本指針等において明確にするとともに、運用においては要件だけでなく、業態の特性や企業固有の事情等を勘案すること。  四 中小企業承継事業再生計画においては、不採算部門が恣意的に選定され、労働者の切捨てが行われることがないようにすること。また、第二会社に移行する従業者の労働条件が不当に切り下げられることのないよう、計画の作成に当たっては、特定中小企業者が労働組合等と協議により十分な話し合いを行うとともに、中小企業再生支援協議会の助言を受けること等を要件とすること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  98. 櫻井充

    委員長櫻井充君) ただいま中谷智司君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  99. 櫻井充

    委員長櫻井充君) 全会一致と認めます。よって、中谷智司君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、二階経済産業大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。二階経済産業大臣
  100. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) ただいま御決議をいただきました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、本法律案実施に努めてまいりたいと考えております。
  101. 櫻井充

    委員長櫻井充君) ありがとうございました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  102. 櫻井充

    委員長櫻井充君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十八分散会