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2009-07-07 第171回国会 参議院 外交防衛委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十一年七月七日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  七月二日     辞任         補欠選任         佐藤 正久君     山田 俊男君      山本 香苗君     山口那津男君  七月三日     辞任         補欠選任         米長 晴信君     谷岡 郁子君      礒崎 陽輔君     鴻池 祥肇君      長谷川大紋君     山本 一太君      山田 俊男君     佐藤 正久君  七月七日     辞任         補欠選任         山本 一太君     山田 俊男君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         榛葉賀津也君     理 事                 浅尾慶一郎君                 一川 保夫君                 白  眞勲君                 木村  仁君                 小池 正勝君     委 員                 石井  一君                 風間 直樹君                 谷岡 郁子君                 広中和歌子君                 藤田 幸久君                 岸  信夫君                 佐藤 正久君                 橋本 聖子君                 山田 俊男君                 山本 一太君                 浜田 昌良君                 山口那津男君                 井上 哲士君                 山内 徳信君    国務大臣        外務大臣     中曽根弘文君        防衛大臣     浜田 靖一君    副大臣        外務大臣    橋本 聖子君        防衛大臣    北村 誠吾君    大臣政務官        厚生労働大臣政        務官       金子善次郎君        経済産業大臣政        務官       谷合 正明君        防衛大臣政務官  岸  信夫君    事務局側        常任委員会専門        員        堀田 光明君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       櫻井 修一君        内閣官房内閣審        議官       高田 稔久君        内閣官房内閣審        議官        兼内閣国際平        和協力本部事務        局次長      宮崎 信敏君        内閣法制局第二        部長       横畠 裕介君        外務大臣官房審        議官       廣木 重之君        外務大臣官房審        議官       石川 和秀君        外務大臣官房審        議官       羽田 浩二君        外務大臣官房審        議官       北野  充君        外務大臣官房参        事官       兼原 信克君        外務大臣官房参        事官       高岡 正人君        外務大臣官房参        事官       渡邉 正人君        外務省中南米局        長        佐藤  悟君        厚生労働大臣官        房審議官     二川 一男君        経済産業大臣官        房審議官     大下 政司君        資源エネルギー        庁資源燃料部        長        北川 慎介君        海上保安庁警備        救難監      城野  功君        防衛省防衛政策        局長       高見澤將林君        防衛省運用企画        局長       徳地 秀士君        防衛省経理装備        局長       長岡 憲宗君        防衛省地方協力        局長       井上 源三君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○投資自由化促進及び保護に関する日本国と  ウズベキスタン共和国との間の協定締結につ  いて承認を求めるの件(第百七十回国会内閣提  出、第百七十一回国会衆議院送付) ○投資促進保護及び自由化に関する日本国と  ペルー共和国との間の協定締結について承認  を求めるの件(内閣提出衆議院送付) ○社会保障に関する日本国スペインとの間の協  定の締結について承認を求めるの件(内閣提出  、衆議院送付) ○社会保障に関する日本国イタリア共和国との  間の協定締結について承認を求めるの件(内  閣提出、衆議院送付) ○所得に対する租税に関する二重課税回避及び  脱税防止のための日本国とブルネイ・ダルサ  ラーム国との間の協定締結について承認を求  めるの件(内閣提出衆議院送付) ○所得に対する租税に関する二重課税回避及び  脱税防止のための日本国カザフスタン共和  国との間の条約の締結について承認を求めるの  件(内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、山本香苗君、米長晴信君、長谷川大紋君及び礒崎陽輔君委員辞任され、その補欠として山口那津男君、谷岡郁子君、山本一太君及び鴻池祥肇君が選任されました。     ─────────────
  3. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  投資自由化促進及び保護に関する日本国ウズベキスタン共和国との間の協定締結について承認を求めるの件外三件の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣官房内閣審議官櫻井修一君外十九名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 投資自由化促進及び保護に関する日本国ウズベキスタン共和国との間の協定締結について承認を求めるの件、投資促進保護及び自由化に関する日本国ペルー共和国との間の協定締結について承認を求めるの件、社会保障に関する日本国スペインとの間の協定締結について承認を求めるの件及び社会保障に関する日本国イタリア共和国との間の協定締結について承認を求めるの件、以上四件を一括して議題といたします。  四件の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 白眞勲

    白眞勲君 おはようございます。民主党の白眞勲でございます。  まず、昨日までの事前通告質問事前通告をしていない件につきまして一つちょっと外務省にお聞きしたいということがありますので、よろしくお願い申し上げます。  今朝、新聞各紙一面に、中国・新疆ウイグル自治ウルムチでの多数の市民武装警察との衝突した騒乱で、新華社通信が六日には、もう百四十人が死亡している、八百二十八人が負傷したということが伝えられていると。これ、死傷者数も更に増えるという見通しもあるということですから、一九四九年の建国以来、当局が認めた少数民族騒乱では最大級の規模であるということが今朝の報道でもされているわけです。  それにつきまして、大変恐縮でございますが、まず一、二点、ちょっと聞きたいなと思っております。  まず、在留邦人の安全という観点からお聞きしたいと思うんですけれども、この辺、外務省としてはどのように把握されていますでしょうか。
  7. 石川和秀

    政府参考人石川和秀君) お答え申し上げます。  新疆ウイグル地区ウルムチ滞在日本人、邦人でございますけれども、これ七日現在の数字でございますけれども日系企業、それからJICA関係者で約十六名、それから短期滞在者、これ旅行者でございますけれども、二十七名、合わせて四十三名ほどでございますけれども、いずれも無事の確認をしたところでございます。
  8. 白眞勲

    白眞勲君 外務大臣にちょっとお聞きしたいんですけれども、この騒乱ですね、これ、どのように大臣は見ていらっしゃいますでしょうか。大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  9. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 現在のその新疆ウイグル自治区あるいはウルムチ市における情勢について、詳細は不明なところが多いわけでありますが、市民当局の衝突によりまして多数の死傷者が出たということについては我が国といたしましても懸念をいたしておりまして、死傷者報道によりますと百五十六名というような報道もあるわけで、大変事態懸念をいたしております。  今後の事態の推移を注視しているところであります。
  10. 白眞勲

    白眞勲君 それでは、防衛大臣にちょっとお聞きしたいと思います。  先日の北朝鮮ミサイルについて、発射されたミサイルにつきましてお聞きしたいと思います。これは防衛大臣じゃなくてもいいですね。  今回、合計七発の弾道ミサイル発射されたとのことですけれども韓国からの報道によりますと、今年に入って北朝鮮発射した短中距離ミサイル長距離ミサイルに転用可能な、彼らロケットと言っている数、これ全部合わせると十八発になったんじゃないかというふうに言われているわけなんですが、今年四月に発射したテポドン2号を始めとしまして、地対艦ミサイル九発、中長距離地対地弾道ミサイル七発、地対空ミサイルの一発で最低十八発ミサイル発射したのではないかということですが、この辺について今防衛省はどういうふうに把握していますでしょうか。
  11. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) お答えいたします。  確かに、多分、朝鮮日報の報道かと思いますけれども、今、白委員指摘のような報道があることは承知をいたしております。  防衛省として確認をしておりますのは、七月の四日に発射されましたものが七発ございまして、それから四月五日には長射程のものが発射されておりますので、その八発については確認をしておりますけれども、そのほかのものにつきましては、私どももいろいろ情報を収集しておりますけれども、具体的に何発というのをここで申し上げるのは差し控えさせていただきたいというふうに思います。
  12. 白眞勲

    白眞勲君 防衛大臣にお聞きしたいと思いますが、私はちょうど一か月前、このミサイル発射の一か月前の六月四日に当外交防衛委員会で、旗対嶺、今回発射された旗対嶺からノドンミサイル発射する可能性について指摘したんですけれども防衛大臣、覚えていますでしょうか。
  13. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 先生からは常にこのミサイル問題については御質問いただいておりますので、その点については承知をしております。
  14. 白眞勲

    白眞勲君 高見澤さんにお聞きしたいんですけれども、そのときに、六月四日の時点で高見澤さん確認するとおっしゃったんですけれども、これ確認していたんですか。
  15. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) お答えいたします。  過去の経緯を振り返りますと、四月二十九日に北朝鮮外務省報道官の声明がございまして、共和国最高利益を守るために追加的な自衛措置をとらざるを得なくなるであろうと。これには核実験大陸間弾道ミサイル発射実験が含まれることになるであろうとか、その後も、六月以前に、五月二十九日には外務省報道官の談話というのがございましたので、全般として北朝鮮が更にいろいろな形でのミサイル発射なりいろんな実験というのを行うというようなことを明らかにしておりましたので、私どもとしてもそういった言動を前提としていろんな情報収集活動というのをしっかりやっていたところでございます。
  16. 白眞勲

    白眞勲君 ここで、今回七発のミサイル発射について防衛大臣にお聞きしたいんですけれども、昨日の記者会見スカッドノドンの可能性があるという御指摘をされたんですけれども韓国報道では、今回発射したミサイルは既に配備が明らかになった射程距離が五百キロのスカッドC射程が千三百キロのノドンがそれぞれ二発、で、残りの三発なんですけれども、これまで明らかでなかった射程距離既存スカッドよりも長い約千キロのスカッドER三発、これ含まれているという報道があるんですけれども、この件に関しまして防衛大臣としての見解をお聞きしたいと思います。
  17. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 発射したものに関しては、我々とすれば、今現在としてそれを全部すべて区分けするだけの分析をまだ終わっておるわけではございませんので、今この時点でどれがどれという形で御説明するのは大変難しいということでございます。
  18. 白眞勲

    白眞勲君 スカッドミサイルならば射程五百キロですから、今までの既存スカッドでしたらばそれほど日本には大きな脅威ではないだろうとは思うんですけれども、いわゆるこのスカッドノドンというそういう区分けで、ノドンは日本射程距離内だというのが今回、まあ報道ベースですけれども、外れている可能性があるということですね、つまりスカッドの中でもERという長射程型のスカッドが出てきたということになりますと。  これ、高見澤さんが前に私への答弁で、長射程型のスカッドについても開発しているという情報があるということをお認めになっているわけですね、これ、当外交防衛委員会でそういう御答弁、高見澤さんされたわけですから。  そういったことを考えますと、今回はその可能性、普通大体開発した後は実験するのが当たり前ですから、そういう面でいうと、その可能性について私お聞きしているので、この辺、非常に日本にとっては脅威となり得るミサイルになるわけですから、この辺はもう少しちょっと国民に対して説明する必要性があるんではないかなというふうに思いますが、防衛大臣どうでしょうか。
  19. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 当然、今先生指摘のように、ミサイル発射というのは、これは当然何らかの技術的な開発等々というのを追求していることもあろうかと思いますし、我々も、高見澤局長の方から答弁したように、その可能性は否定できないということは、これは我々もそう思っております。  ただ、いずれにせよ、我々とすれば、その長射程のものというものに対しての備えというものを今までも考えてきているところでありますので、そういった意味では、いずれにしても今回のものに関しては我々としてもまだすべての情報分析し終わったわけでございませんので、その点についてはもう少し我々とすれば分析をしっかりしていきたいというふうに思っておるところであります。
  20. 白眞勲

    白眞勲君 今、防衛大臣、長射程に対する防御ということも考えているということをおっしゃっていましたけれども、具体的にはどういう長射程に対する防御を考えているんですか。
  21. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) ちょっとそこは今言葉遣い間違えたかもしれませんが、いずれにしても、そういった長めに、先生指摘のように、我々、中距離そしてまた長距離、いわゆる弾道は、この間のテポドンのようなものに対する備えを今しておるわけでございますけれども、これはもうアメリカの方のことで、後ろを飛び越えていくものに関してはこれはできないわけでありますが、しかし、今先生の、もしもスカッドの新型みたいなものがあるとするならば、それに対する備えはしていかなきゃいけないと思っているという意味で申し上げたわけで、そしてまた、そのものに関しては我々も実際にまだ見たわけではございませんので、これも含めて情報収集に努めたいと思います。
  22. 白眞勲

    白眞勲君 つまり、今回の情報収集の中には長射程スカッドも含まれているということでよろしゅうございますね。
  23. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 我々とすると、それが新しいものなのかどうなのかということを今我々で判断しているわけではございませんので、当然そういったことも含めてやっているのか、意図は全く分かりませんが、北朝鮮が何のためにやっているのか分かりませんけれども、ただその可能性は否定できないということだと思います。
  24. 白眞勲

    白眞勲君 命中精度については、着弾点、ほとんど同じところに落ちているんではないんだろうかということですけど、過去に比べて向上したとも言われているわけなんですが、この辺りはいかがでしょうか。
  25. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 基本的にそういった情報があるのは我々も承知はしておりますけれども、しかしながら、まだ、そのすべてが、我々の持っている情報の中で、あの枠の中に撃ってきているというのだけは承知をしておるところでありますので、なお一層もう少し分析をさせていただきたいと思います。
  26. 白眞勲

    白眞勲君 つまり、あの枠というのはいわゆる危険水域ということのあの枠ということでしょうか。
  27. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 航行禁止枠の中ということですね。
  28. 白眞勲

    白眞勲君 大体いつごろ発表できますか、この分析結果は。
  29. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 今この時点でいつというのはなかなか申し上げられないわけでありますけれども、我々とすれば興味を持ってしっかりと検討していきたいと思います。
  30. 白眞勲

    白眞勲君 ミサイル発射された四日に海上自衛隊イージス艦は出航していたんでしょうか。
  31. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) お答えいたします。  今回のいわゆる北朝鮮のいろんな弾道ミサイル発射に関連いたしまして具体的にどういった行動を取っていたのかということにつきましては、いろいろ今後の情報収集にもかかわることでもございますので、その点は差し控えさせていただきたいというふうに思います。
  32. 白眞勲

    白眞勲君 別に出航しているかどうかまで差し控える必要ないんじゃないかと私は思うんですよね。これつまり、ミサイル航跡、当然追跡するのは当たり前だと私は思うんですよ。出航させるのが当たり前ですよ。それについて何でそういうお答えするんですか。  もう一回ちょっとお答えください。
  33. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) お答えいたします。  確かに、個々のいろんな艦艇動向について一々この場で、要するに具体的に今先生イージス艦がどうであったかということでございますけれども、私どもとしては、いろんな情報収集手段を使いまして北朝鮮動向の把握ということは、ほかの国もそうですけれども、常に全力を挙げてやっているということで御理解をいただきたいと思います。
  34. 白眞勲

    白眞勲君 いや、別にどこに何隻配置していましたかなんていう具体的なことは聞いていないんですね。出航したかどうかを聞いているんですよ。当然、情報収集しているならば出航しているはずですよね。
  35. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) お答えいたします。  いずれにいたしましても、それぞれの艦艇、航空機なりそれなりの活動をしていると思いますので、まさに、実際に出ていたかどうかというのは単なる事実関係かもしれませんけれども情報収集活動関係でどういう行動を取っていたのかということについては差し控えさせていただきたいと思っております。
  36. 白眞勲

    白眞勲君 PAC3を配備しなかった理由は何ですか。
  37. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) お答えいたします。  今回の活動につきましては、北朝鮮の方が具体的な航行警報を出しまして、しかもその発射目的についても具体的なことを言っていたということはございますし、その他全体の状況を判断をしてそういった体制を取ったということでございます。つまり、必要な情報収集体制を取っていたということでございます。
  38. 白眞勲

    白眞勲君 今回、どのような飛ばし方かというのも気になるところなんですけれども韓国側報道によりますと、これ長距離ですね、当然ノドンミサイルだからもっと飛んでもいいものを短くしているわけですけど、当然航跡が気になるなという、つまり高く飛ばして落としたのか、短くですね、それとも燃焼力を緩めて落としたのか。その辺についてはどういう分析をされているんでしょうか。
  39. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) お答えいたします。  非常に個々の話になりますので、先ほど防衛大臣からもお答えしたとおり更に分析が必要かというふうに思っておりますけれども一般論で申し上げれば、いろんな飛ばし方というのはあるかと思いますけれども、言われておりますように、現在出されております航行警報航行制限区域というのは、実際のところ四百キロから五百キロぐらいのところになっておりますので、全体の長さがですね、そうしますと、その中に落とすということになりますと、いろんな飛ばし方があるというふうに思いますので、そういうことを我々としてもこれまで得られた情報分析をしているということでございます。
  40. 白眞勲

    白眞勲君 いや、私の話していることをまた繰り返してカーボンみたいにおっしゃらなくてもいいわけで、ですから、そこでただ分析しているということを言っていただければいいだけだと私は思うんですけれども。  ちょっと外務大臣にお聞きしたいと思います。  まあいろいろ今回の発射については憶測を呼んでいるところではあるとは思うんですけれども、まずミサイル命中精度の向上という、今までずっとこの委員会で、今話し合われたことももう軍事目的としては当然あったかとは思うんですが、この発射の時期について、アメリカ独立記念日に合わせて発射されたというところを見ると、これはアメリカに対するメッセージ性というのもあったというふうに、否定はできないんではないかなというふうに思うんですが、この辺り外務大臣はどのようにお考えでしょうか。
  41. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) そのような報道といいますか、があったということは私も承知しておりますが、北朝鮮の七月四日に発射したことの意図について私どもは知る立場にございません。
  42. 白眞勲

    白眞勲君 知る立場にないだけでいいんだろうかなと思います。つまり、そのノドンミサイル発射されているということは、これ日本向けミサイルなわけですよね。それについての意図について、知る立場になくても、せめて少しは考えなきゃいけないんではないんだろうかなというふうに私は思うんですけれども。  もちろん、アメリカに届くような長距離ミサイル発射はしていないわけですよね。前回のは七月、前回もやはり七月に撃っているわけですよ、同じ時期にですね。そういったことがあると、やはりこのアメリカに対するメッセージ性、当然私はあって当たり前なんではないんだろうかというふうに思うんですけれども金正日氏の健康問題もあって、併せて内部的な問題というのはどういうふうに考えているんだろうかなというふうにも思えなくはないんですね。  その辺の総合的な部分について、外務大臣、どのような御見解をお持ちでしょうか。
  43. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 今、最初の御質問で、知る立場にないと御答弁申し上げましたけど、委員の御質問が、アメリカのいわゆる七月四日の、ジュライ・フォースですか、これに合わせてということでどうかというようなお尋ねだったと思いましたので、その北朝鮮側の考えているものは私は存じませんという意味で申し上げたところでございます。  四月の五日にミサイル発射いたしまして、更に五月の二十五日、核実験やったわけでありまして、七月四日には弾道ミサイル発射を行うということで、これはもう非常に緊張を高める行動を、言動を繰り返しているわけでありますが、いかなる意図を持ってこういう言動を取っているか、そういうことにまずかかわらず、こういうミサイル発射とかあるいは核実験、こういうものは累次の国連の安保理決議に明らかに違反するものでありまして、これはもう断じて容認することができません。  我が国といたしましては、こういう弾道ミサイル計画に関連するすべての活動の停止、また核関連の活動の停止というものを従来から求めておるわけでありますし、この安保理の決議を即時にまた完全に履行することを求めていきたいと、そういうふうに思っております。さらに、この決議を遵守するとともに、六者会合に早く復帰をして共同声明を完全に実施することが、これが北朝鮮自身のためでもあると、利益であることを理解すべきと、そういうふうに考えております。  引き続きまして、北朝鮮動向を注視をしながら、米国や韓国を始めとする関係国とも密接に連携を取りながら北朝鮮をめぐる諸問題の解決に向けて努力をしていきたいと、そういうふうに思っております。  なお、北朝鮮内の動向といいますか、政府の首脳の動向につきましては、このことにつきましてのいろいろ情報はありますが、ここで私の考えを申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
  44. 白眞勲

    白眞勲君 全部しゃべってくれちゃって、安保理決議の話から六者協議についてもちょっと私も聞きたいなというところなんですけど、今ちょっと安保理決議についてお話がされましたからちょっと聞きたいんですけれども、これは当然何らかの何か働きかけをするような話も出ていますよね。どのような働きかけされるんですか。これ、議長声明を出してもらおうと思っていらっしゃるのか、それとも決議まで行くつもりでいるのか、その辺についてどういうふうに考えていらっしゃるんでしょうか。
  45. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 我々といたしましては、これは今回、発射後速やかに米国や韓国とも協議を行いまして、先ほどから申し上げておりますが、決議違反であり断じて容認できないということから、しっかりと決議を実施していくということが必要であるということは米国や韓国とも一致したところでございまして、今朝、日本時間今日七日の朝、国連安保理におきまして非公式協議が行われ、この会合の終了後、安保理の議長、現在はウガンダでありますけれども、議長から、安保理の理事国は、一つは、概略申し上げますと、北朝鮮弾道ミサイル発射安保理決議違反並びに地域及び国際の安全に対する脅威として非難と深刻な懸念を表明をし、さらに二番目といたしまして、北朝鮮に対し関連安保理決議を完全に遵守しなければならない旨改めて述べ、そして三番目でございますが、安保理は引き続き状況を注視し、国連憲章にかんがみ適切に行動すると、そういう、などの内容を含むプレス向け発言を行ったところでございます。
  46. 白眞勲

    白眞勲君 そうしますと、今回のミサイル発射においては、安保理はこれで一応終わったということですか。
  47. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 終わったといいますか、先ほど申し上げましたように、各国に引き続いてこの決議に基づく行動を取るように要請もしておりますし、北朝鮮に対しましても引き続いて北朝鮮動向は注意深くこれを見ていくということであろうかと思います。
  48. 白眞勲

    白眞勲君 いや、私の質問の趣旨は、一応開催されました、会議を開きました、そういうプレス向けのものは出しましたと。それで、一応また会議するのかどうか、そしてまた、もっともっと、そのプレス向けではない議長声明とか、あるいはそれプラスアルファ、何かする予定があるのかどうかをお聞きしているんですが。
  49. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 今朝ほど、日本時間でありますが、今朝ほどこのようなプレス向け発言が行われたわけでありまして、引き続いて次の段階の協議が行われるというふうには承知しておりませんが、いずれにいたしましても、これは地域や国際社会に対する脅威でありますので、安保理としてもしっかり北朝鮮動向をこれを見ながら、必要あればこれは会合を開くというのがあるべき姿ではないかと思います。
  50. 白眞勲

    白眞勲君 防衛大臣にお聞きします。  これは、今ノドンのミサイル発射されたということはお認めになっているわけですけれども、以前のようにいきなり発射したんではなくて、一応北朝鮮側は海上保安庁に連絡した軍事射撃訓練区域内であることで、そこに落としたということを考えますと、日本射程に収めるにしても、北朝鮮側としては極めて今回、極めてかどうか分かりませんが、若干抑制的に発射したとも言えなくはないんでしょうけれども防衛大臣としての見解はどうでしょうか。
  51. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 先生のおっしゃるように、その区域を設定してそれを通報してきて撃ってきたということでありますので、これは意図はなかなか我々とすれば測りかねるところあるわけでありますが、しかしながら、その意味では我々の方にそういった抑制的にいろんな情報を流してきてそこへ撃ったということでありますので、その点をどう取るかというのは非常に難しいわけでありますが、一般論で言えば、技術的にそういったところへ、ミサイルの技術を向上させるためにやったということも考えられるでしょうし、いろいろなことが考えられると思いますが、今回の場合は、そういった枠の設定の中でやってきたということに関しては、我々とすれば、そこを冷静に受け止めて対処していく必要があるのかなというふうに思っております。
  52. 白眞勲

    白眞勲君 先ほど外務大臣は六者協議についても言及されたんですけれども、麻生総理は、先月の二十八日に来日した韓国の李明博大統領との会談で、六者協議の再開に向け北朝鮮を除く日、米、韓、中、ロの五か国協議を行う方向で検討すると確認したというふうに言っているわけですね。それと六者協議との関係、これ、薮中次官は新たなアプローチということもおっしゃっているんですけれども、この辺りについてちょっとお話聞きたいんですけれども
  53. 石川和秀

    政府参考人石川和秀君) お答え申し上げます。  まず、先生指摘の日韓首脳会談でございますけれども……
  54. 白眞勲

    白眞勲君 短く言ってくださいね、短く、短く。
  55. 石川和秀

    政府参考人石川和秀君) はい、承知しました。  六者会合の前進に資するのであれば、いずれかの時点でその五者が集まって対応を協議することは有意義であろうというところで一致したというのがポイントであろうかと思います。  それからまた、御指摘の薮中次官の新しいアプローチのお話がございました。これについては、この六者会合の枠組み自体を否定するものではなくて、北朝鮮の核問題を始めとする諸懸案の解決のために今最も現実的な枠組みである六者会合、これをいかにして従来よりも効果的なものとするかを考えていく必要があると、こういう趣旨を述べたものでございます。では、どのように効果的なものとするかを考えていくかということのために、検討のために今いろいろ様々なレベルで各国と意見交換、情報交換を行っているところでございます。  項目だけ申し上げますと、例えば六月九日には韓国の魏聖洛外交通商部朝鮮半島平和交渉本部長が訪中をして、中国の武大偉外交副部長と協議をしております。ここでは六者会合を再び軌道に乗せるために共に努力していくということが確認されたと承知しておりますし、また、日本、我が国の関係でいいますと、六月の二十四日に薮中次官と中国の王光亜外交部常務副部長、この間で日中戦略対話が行われております。この中でも、当然のことながら北朝鮮問題について話し合われ、六者会合の枠組みの中で問題の解決に向けた努力を行っていくことで意見が一致したところでございます。  さらに、先ほどの日韓首脳会談がございましたし、また昨日でございますけれども、齋木アジア大洋州局長が訪韓をいたしまして、魏聖洛本部長と意見交換を行いまして、六者会合の早期の活性化について議論を行ったところでございます。
  56. 白眞勲

    白眞勲君 石川さん、一生懸命説明してくださるのは分かるんですけれども、五か国で何をやるのかというのはさっぱり分からないんですね。  中国は賛成なんですか。これ、賛成かどうかだけちょっと聞きたいんですけれども
  57. 石川和秀

    政府参考人石川和秀君) 中国の対応についての御質問がございました。  これまでの中国の発表ぶりを御紹介しますと、これまでと同様に、六者会合のプロセスを推進し、その他の関係各国との間で意思疎通と協議を維持していくと、こういう発言ぶりを公にしております。  したがいまして、五者協議そのものについてまだコメントは直接にはしていないという状況でございますが、いずれにせよ、中国も含めまして、これから六者会合の活性化に向けて意見交換を行っていきたいと考えております。
  58. 白眞勲

    白眞勲君 いや、六者会合の活性化に向けて意見交換をしていきたい、それで五者会合については中国は何のコメントもしていない。この辺り、一体どうなっているんですかということを私聞いているんですよ。  何を五か国でやるんですか、じゃ。
  59. 石川和秀

    政府参考人石川和秀君) 五者会合のアイデアにつきましては、先ほど御紹介をいたしました日韓の首脳会談において更に検討しようということが一致をしたわけでございますけれども、これはまだまだ関係各国といろいろ意見交換をしながら詰めていかなければいけないと思います。  まだ議題等々、詳細について確定的に申し上げるには時期尚早かと思いますが、いずれにせよ目的は六者会合というのを基本として、その中でいろいろな枠組みが六者会合を再開するのに効果的に活用されるかどうかという意味で、その中で五者会合もそういうアイデアの一つとして提起されているという状況でございます。
  60. 白眞勲

    白眞勲君 六者会合へのアプローチの一つのやり方としての五者会合だという言い方なんですね、今のお話ですと。  ところが、四月十四日に北朝鮮外務省声明で、六者協議はこれ以上必要がなくなった、協議には二度と絶対に参加しないとしているんですね。これと五者協議との関連性についてどうなんでしょうか。
  61. 石川和秀

    政府参考人石川和秀君) 御指摘のとおり、北朝鮮は六者会合には今後復帰しないといった言い方を累次にわたりしておるところでございます。  私どもとしては、北朝鮮のいろいろな声明、発言について一々反応するべきではなくて、むしろ五者の側で六者会合を今後どう活性化していくかということについて更に意見を深めたいと思っております。といいますのは、各国とも六者会合がこの北朝鮮の問題を手当てするに当たって現在ある最も現実的な枠組みだという認識は五者全員が持っているというところでございますので、六者会合を基本として今後とも考えるというところでございます。
  62. 白眞勲

    白眞勲君 いや、北朝鮮の声明に一々反応する必要はないと言っても、これ、六者協議は二度と参加しないということを北朝鮮外務省が言っていて、それについても一々反応しないんだというのはちょっとどうなのかなというふうには思うんですが、これ以上石川さんに話を聞いても何だかよく理解ができない部分がありますから、またこの辺りにしたいと思うんです。  ただ、一つちょっと聞きたいんですけれども、拉致問題、これ五者協議についてどのような位置付けなのか、それだけお聞きしたいと思います。
  63. 石川和秀

    政府参考人石川和秀君) 当然のことながら、拉致問題は我が国にとっての最重要課題の一つでございますので、これについてきちんと対応していくのは当然でございます。  六者会合の中においても日朝国交正常化という文脈の中で当然拉致問題も含まれているわけでございますので、早く六者会合を再開することによって日朝交渉の方にもいい影響が与えられればと思っておりますが、いずれにせよ、従来のこれまで日朝間で行ってきました交渉、昨年の八月の合意、こういったものはまだ生きているというのが我々の認識でございますので、北朝鮮に対してもこのいわゆる再調査の実施について引き続き働きかけをしていきたいと考えております。
  64. 白眞勲

    白眞勲君 私が聞きたかったのは五者協議の中での拉致問題の位置付けというのを聞きたかったんですけれども、これ以上聞いても何かぴんとこないので、ちょっと先に進めたいと思うんですが。  安保理決議一八七四について、船舶検査の項目があるわけですけれども、これ外務省にお聞きいたします。旗国の同意があっても船長が聞き入れない場合についての規定はこの安保理決議一八七四にはあるんでしょうか。
  65. 廣木重之

    政府参考人廣木重之君) お答え申し上げます。  ただいま御指摘のございました船舶検査の場合でございますけれども、これ、旗国の同意につきましては、安保理決議第一八七四号の主文十二において、すべての加盟国に対し、北朝鮮との輸出入禁止物品を含むと信じる合理的根拠があることを示す情報を有する場合に、旗国の同意を得て公海上で貨物検査を実施することを要請しておるわけでございます。  この決議には、御指摘のございましたように、船長の同意やこういう同意が得られない場合に何らかの規定があるということではございません。
  66. 白眞勲

    白眞勲君 じゃ、その場合どうするんですか。
  67. 廣木重之

    政府参考人廣木重之君) この決議に基づいて我が国が実施する北朝鮮関連貨物の検査等について定める法律案については、早急に閣議決定を行い国会提出できるよう準備しているところではございますので、したがって現時点で具体的な事例に関して確たることを申し上げる段階ではございません。
  68. 白眞勲

    白眞勲君 いや、私が申し上げているのは、この国連決議にそういう規定はないということは、それぞれの国が勝手に決められるかどうかということを聞いているんですよ。
  69. 廣木重之

    政府参考人廣木重之君) 国連決議にございますことを実効あらしめるように我が国として何をすべきかということを今検討し、できるだけ早く閣議にかけたいと、かように考えておる次第でございます。
  70. 白眞勲

    白眞勲君 では、この場合、海上保安庁が旗国の同意があっても船長の同意がない場合、回航措置、つまり回航を強制することはできるんでしょうか。
  71. 廣木重之

    政府参考人廣木重之君) ただいま申し上げましたように、回航も含めまして、閣議にできるだけ早く法案を出すべくただいま部内で作業を進めているところでございます。
  72. 白眞勲

    白眞勲君 いや、私が聞いているのは、海上保安庁としては、つまり、この法律がないとできないということですか、今、廣木さんおっしゃっているのは。
  73. 高田稔久

    政府参考人(高田稔久君) まさに今先生質問の点でございますけれども、現在最終調整中でございますが、この安保理決議第一八七四号の実効性を確保する、そういう目的を持ちまして立法作業をしております。  それで、立法作業の基本は、この安保理決議一八七四、それから、そこに書いてございますけれども、自国の法的権限及び国内法令に従い、かつ、国際法に適合する範囲内でということでございますので、そういうことを総合して今作業をしてございます。
  74. 白眞勲

    白眞勲君 ちょっと国際法の適用の範囲内という今御回答があったわけですけれども、つまり、国連憲章四十一条の文言が入っていない場合、国際法上、公海上において警告射撃はできるんでしょうか。
  75. 北野充

    政府参考人(北野充君) お答え申し上げます。  国際法上、公海におきましては、今先生も御指摘がありました旗国主義の原則がありまして、船舶は一般にその旗国以外の国の執行管轄を受けることはないということが原則となっております。  一方、執行管轄を旗国以外が行う場合といたしましては、旗国の同意がある場合、それから安保理決議の決定による授権がある場合、それから国連海洋法条約が認める場合というふうなことがございます。このような場合には、例外的に旗国以外の国が執行管轄権を行使することが可能となるということでございます。  このような場合に、旗国以外の国が船舶検査の実施を通じて公海上において執行管轄権を行使するというときに必要かつ合理的な範囲で警告射撃を行うということは国際法上必ずしも排除されているということではございません。
  76. 白眞勲

    白眞勲君 つまり、旗国の同意があっても船長の同意がない場合、国際法上、国連憲章四十一条の文言が入っていない場合、警告射撃は公海上においてできるんでしょうか。
  77. 北野充

    政府参考人(北野充君) 国際法上の整理を申し上げますと、先ほどの繰り返しになりますけれども、旗国の同意、それから安保理決議の決定による授権がある場合、それから国連海洋法条約が認める場合ということでございます。  今回の安保理決議の一八七四号の具体化ということについて申し上げるならば、国連憲章の四十一条に基づく、いわゆる経済制裁の実効性を確保するために船舶を検査をするということについて要請をする安保理決議に基づいて行われるということでございまして、また、公海上について行うことについては、国連決議におきまして旗国の同意を得て行うということでございますので、そのようなことを前提に行われるということでございます。
  78. 白眞勲

    白眞勲君 つまり、旗国の同意さえ得れば船長の了解関係なく警告射撃はできるということですか。
  79. 北野充

    政府参考人(北野充君) 先ほど申し上げましたように、今回の場合、そもそも船舶検査というふうなものを実施をするということは安保理決議に基づいて行う、それから旗国の同意を得る前提として行うということでございますので、警告射撃というふうな事態に至るというふうなことが想定をされるかというふうな問題はございますけれども、基本的に、今回の、今想定された事態につきましては、安保理決議に基づき、かつ旗国の同意に基づいて行われるということでございます。
  80. 白眞勲

    白眞勲君 いや、ですから、私聞いているのは、船長の同意あるなしにかかわらず警告射撃はできるかどうかをお聞きしているんですよ。
  81. 北野充

    政府参考人(北野充君) 実際上どのような対応とするかということにつきましては、先ほど内閣官房の方からも御説明がありましたように、国内法制上を現在検討しているところということでございますけれども、国際法上の整理だけを申し上げるならば、船長の同意ということは要件となっているということはございません。
  82. 白眞勲

    白眞勲君 そうしますと、ちょっとこれは反対に聞きたいんで、国際法上、公海上において警告射撃ができる場合はどのような場合ですか。
  83. 北野充

    政府参考人(北野充君) この問題は、警告射撃を行うかどうかというよりは、旗国以外の国が執行管轄を行うということがどういうふうなときに認められるかということでございます。  その点につきましては、先ほどの繰り返しになりますけれども、旗国の同意がある場合、それから安保理決議の決定による授権がある場合、それから国連海洋法条約が明示的に認める場合ということが想定されるところでございます。
  84. 白眞勲

    白眞勲君 ちょっと質問の雰囲気を変えまして、海上保安庁が船舶検査を遂行する際には警察官職務執行法第七条が適用されることになると思いますが、その根拠は日本の領海上ということですね。
  85. 城野功

    政府参考人(城野功君) 海上保安庁が警察官職務執行法に基づき行いますのは、国際法上あるいは国内法上によって法執行できるというふうになった場合でございまして、公海上においても国際法上、国内法上法執行できるという状況になれば、警察官職務執行法の適用によって武器を執行できるというものと考えております。
  86. 白眞勲

    白眞勲君 ちょっとまだはっきりしないんですけど、最後に一点だけちょっと聞きたいんですね。  これ、日本の法律の中で、その根拠を安保理決議を前提とした管轄権の行使としての法執行活動をした例というのは過去にあったんでしょうか。法制局さん。
  87. 横畠裕介

    政府参考人横畠裕介君) 法執行の例というお尋ねでございますけれども、なかなかその具体の事例というのは立場承知しているわけではございませんが、その法制度としてどうなっているかという点でございますけれども、今回の関連で申し上げますと、北朝鮮との間での核関連物質等の輸出入を禁ずる措置は既に安保理決議第一七一八号において決定されております。  その点につきましては、これまでも我が国としては外国為替及び外国貿易法等の関係法律によって当該禁止措置を担保してきております。今般、安保理決議第一八七四号は、当該禁止の措置を強化するとともに、各国に対してその厳格な履行を確保するための措置を求めているところであります。  そのうち、我が国の現行法では実施できない新たな措置としては、当該禁止措置に係る貨物の押収及び処分のほか、当該処分のために必要な領域内及び公海上における検査の措置がございます。現在、これらの措置をとるための法案を準備しているところであります。
  88. 白眞勲

    白眞勲君 いや、私聞いているのは、日本の今までの過去の法律の中で、その根拠は安保理決議を前提とした管轄権の行使として法執行活動をした例があるのかどうかということを聞いているんです。今作っている法案について聞いていません。ちゃんと答えてください。
  89. 横畠裕介

    政府参考人横畠裕介君) 安保理決議を前提とした管轄権の行使としての法執行活動の例ということでございますけれども、先ほどお答えいたしました現行の外国為替及び外国貿易法等による措置そのものでございますけれども、これは、北朝鮮との間の一定の物資の輸出入を許可等の行政処分に係らしめ、その違反行為を処罰するというものであり、今御指摘の例に当たるものと思われます。新法案もこれを更に、足らざるところを補うという趣旨でございます。
  90. 白眞勲

    白眞勲君 この件はまた後日やりたいと思っていますが、防衛大臣に別の観点からお聞きします。F22についてお聞きしたいと思います。  今、アメリカの議会と政府、アメリカ政府との間で極めて微妙な段階なのでなかなかコメントできにくい部分はあるかとは思いますが、ちょっとお聞きしたいんですけれども、ステルス性能が秀でた戦闘機を日本で開発する技術力はあると思いますか。
  91. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 無論、いろいろな技術、日本の技術というものもかなりの発展をしてきておるわけでありますので、突き詰めて、予算面等そういったものを度外視してやれと言われれば、その可能性はかなりあろうかと思います。
  92. 白眞勲

    白眞勲君 いわゆる予算との関係だということだと思いますが、あの戦闘機、猛烈に高そうなF22ですから、その辺は日本でも少し考えてみたらどうだろうかと。その方が日本の技術の向上にもなるし、予算、これはもちろん予算との関係ありますが、その辺り、ちょっと同時並行的に検討する必要性というのはあるんじゃないんでしょうか。その辺はどうでしょうか、防衛大臣
  93. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 我々とすると、そういう意味では、先生がおっしゃるように独自開発というのは、これは当然昔からの夢があるわけでございますし、それを、今現在それをやるということになると、またいろいろな問題、そしてまた、逆に言えば、数の問題もあって、なかなか金額の問題、逆に開発する方が掛かってしまう場合もあるでしょうし、そういったいろんなことを勘案しつつ今この機種選定というものをしているところでございますので、先生のお気持ちとしては私どもも同じような気持ちを持っておりますけれども、今の現状での選択ということになるとまたちょっと違ってくるのかなというふうに思います。
  94. 白眞勲

    白眞勲君 いや、現状での選択というのが違うというのはどういう意味なんでしょうか。
  95. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) それは要するに、そういった今現在、F22でもそうでありますけれども、実際に世界にある中から選んで、それを選んでいくことの方が合理的である場合もあるわけでありますので、そういう意味で今申し上げたわけで、当然それはもう自己開発、自分たちで製造というのは、これはもう当然追い求めたいと思いますけれども、現状ではなかなかそういう状況でないということだけを今申し上げたところです。
  96. 白眞勲

    白眞勲君 外務大臣にお聞きしたいと思います。  昨今、歴代の事務次官の、核持込み、アメリカの核持込み発言といいますかね、それについての関連についてちょっとお聞きしたいんですけれども前回、七月二日の当委員会で犬塚委員質問した例のアメリカの正式文書について、そのとき外務大臣は、アメリカ側に大使館を通じて公文書館で公表されているかどうか確認するとの御答弁でしたけれども確認されましたでしょうか。
  97. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 私どもといたしましては、一九八一年でしたか、いわゆるライシャワー発言が国会で取り上げられた際に、当時の鈴木総理から、大平さんの御発言に関して、大平さんはそういうこと、そういうことというのはライシャワー大使が大平外相に対して申入れを行って大平外相がそれに対してオーケーと言ったということを指すわけでありますが、そういうことは言っておらない、後の外務大臣にもこのことを引き継いでおらない、一切外務事務当局承知しない、記録もないと答弁しておりまして、政府としても結論を出しているわけでありまして、そういう点は、再三申し上げておりますが、歴代の総理、外務大臣からも繰り返し説明をしているところでございます。  いずれにいたしましても、米側は、事前協議に係るものも含めまして安保条約それから関連の取決めに基づく日本に対する義務を忠実に履行すること、そして事前協議については日本政府の意思に反して行動することはない旨繰り返し述べておりますので、政府といたしましては本件について米政府に照会とか確認をする必要はないと、そういうふうに考えているところでございます。
  98. 白眞勲

    白眞勲君 いや、大臣がおっしゃっているんですよ。「御指摘のこの文書、これは電文ですか電報でございますか、」、これは七月二日の外交防衛委員会で、「これが米国の公文書館で公表されているかどうかということは大使館を通じれば確認できると思います」と書いているんですよ。なぜ確認する必要ないんですか。  止めてください、委員長
  99. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  100. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 速記を起こしてください。
  101. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 先ほど申し上げましたけれども、この関連文書についての確認ということでございますけれども、先ほど申し上げましたとおり、米側は事前協議を行うと、それで、事前協議については日本政府の意思に反して行動することはないと、そういうふうに繰り返し述べておりますので、政府としてこの文書を米側から入手をし提出する必要はないと、そういうふうに思っているところです。
  102. 白眞勲

    白眞勲君 質問にちゃんと答えてください。  これ、前回、速記を中止して、そして大臣が整理した中でお話をされたんですよ。「公文書館で公表されているかどうかということは大使館を通じれば確認できる」とおっしゃったんですよ。それについてちゃんとお答えください。
  103. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  104. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 速記を起こしてください。
  105. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 失礼いたしました。  七月二日の外交防衛委員会ですか、ここでの私の答弁に関しての御質問でございますけれども、これは、公文書館で、を通じれば確認をできるかという可能性について私は答弁をしたわけでありまして、これについて確認をするというようなことは御答弁は申し上げていなかったと思います。
  106. 白眞勲

    白眞勲君 じゃ、確認はする必要ないということですね。
  107. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) これにつきましては、先ほどからこの件につきましては米側も日本の政府の意思に反して行動することはないと、そういう旨も繰り返しておりますので、政府としては米側からこのような文書を入手して提出をする必要はないと、そういうふうに考えているところでございます。
  108. 白眞勲

    白眞勲君 今、過去ずっと答弁でこういった事実はないということをるる説明しているからということを何度も大臣おっしゃっていますので、今回、過去の事務次官の方が核の持込み発言について別の証言をされていることについては、外務省としては訂正するつもりはないということですね。
  109. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) ございません。
  110. 白眞勲

    白眞勲君 そうしますと、今までは過去の答弁についてずっとそういう答弁だったから我々はその答弁なんですということですが、その過去の答弁について今回うそをついたと当時の外務事務次官が認めているんですよ。これ矛盾していませんか。
  111. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 再三申し上げておりますけれども、そういう御指摘のような密約は存在しないと、そういうことでございます。
  112. 白眞勲

    白眞勲君 ですから、私が申し上げているのは、過去の事務次官が、つまり、そういうことを言っていたというふうに言っている事務次官が今回あれはうそでしたというふうに言っているわけですよ。今までの答弁はうそだったということを言っているわけですね。ということは、矛盾していませんかということを聞いているんですよ。矛盾しているかどうかですよ。
  113. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) これはもう再三委員会で申し上げておりますが、政府が従来から申し上げておりますとおり、そういう御指摘のような密約は存在しないということでありますので、改めて村田氏に対しても、村田氏というか過去の事務次官に対しても、そういう事実関係確認することは考えておりません。
  114. 白眞勲

    白眞勲君 いや、それは確認する必要があるんじゃないんですか。過去の答弁についてうそでしたと言っているんですよ。確認する必要あるんじゃないでしょうか、外務大臣
  115. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 私どもとしては、現在私に関しましてもそのような報告も説明も受けておりませんし、現在の幹部も、外務省の幹部もそのような文書は見たこともないと、捜した結果そういうものも発見されていないということでありますし、歴代の総理大臣また外務大臣もそのような密約の存在、明確にしておりますので、私どもとしても密約はないと、そういうことに尽きているわけでありまして、過去の事務次官にこのようなことを確認するという、そういう考えはございません。
  116. 白眞勲

    白眞勲君 つまり、過去の答弁に変更がない、だったら村田元事務次官がうそをついているということになりますよね。元外務事務次官がうそを言っているということですね。これ、確認確認です。
  117. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 元事務次官の発言がうそということになるかどうか、私からこれについてはコメントいたしませんけれども、私どもは事務次官の発言について確認をするということはないということに尽きるわけでございます。
  118. 白眞勲

    白眞勲君 いや、大臣、それコメントする立場ですよ。これ、重要ですよ。かつての当事者の答弁はうそだったと言っているわけですから、コメントする立場ではないでは私は済まされないと思いますよ。これについてどういうふうにお考えですか。
  119. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) ちょっと表現が適切でなかったかもしれませんが、コメントする立場にないというよりか、そのような考えはございませんということであります。
  120. 白眞勲

    白眞勲君 そのような考えってどういう意味ですか。
  121. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 元次官に確認をするという考えでございます。
  122. 白眞勲

    白眞勲君 私が聞いているのは、かつての答弁者の答弁がうそだったか、うそだったということですねということに対して外務大臣がコメントする立場にないというふうにおっしゃったわけですよ。ですから、今そういうことは考えてないというのは全然違うんですよ。私が言っているのは、うそだったんですよねということに対してコメントする立場ではないというのはおかしいじゃないですかと言っているんですよ、私は。
  123. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 今委員からは、過去の答弁者の御発言ということをおっしゃいました。過去の、元次官の御発言ということですか。
  124. 白眞勲

    白眞勲君 過去の事務次官がそうおっしゃっているわけですよ、元の事務次官が。元の事務次官が言っているということは、その過去の答弁についてうそだったということを元事務次官が認めたということじゃないですかということなんですよ。つまり、かつての答弁がうそだったということを、そのときの元事務次官がうそだったということを言っているわけじゃないですかということですよ。それに対して、コメントする立場にないということは済まされないんじゃないんですかということを私は聞いているんです。
  125. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) コメントする立場でないというよりか、先ほど申し上げましたように、そのような御発言、報道によってあるいは著作によって承知をしておりますけれども、そのことについて私の方から現在確認することは考えておりませんということでございます。
  126. 白眞勲

    白眞勲君 ちょっと大臣に御認識を聞きたいんですけれども、この核持込み発言についてですね、核持込みということについては外務省としてはどのような位置付けですか。これ重要ですか、重要じゃないんですか、それをお聞きしたいと思います。
  127. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 大変重要なことだと思っております。
  128. 白眞勲

    白眞勲君 でしたら、これを当然、これは何らかの形で処理をしなければいけない問題ではないのかなというふうに思うんですけれども、それについて外務大臣はどうでしょうか。
  129. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 私どもとしては、もう再三申し上げておりますけれども、日米安保条約の下での核兵器の持込みに関する事前協議制度ですね、これについての日米間の合意というものは、これは安保条約の第六条の実施に関する交換公文及びいわゆる藤山・マッカーサー口頭了解がすべてでありまして、そのほかに何らの取決めがあるというそういう事実はないわけでございます。  政府は、そういうことからも、従来から申し上げておりますとおり御指摘のような密約は存在しない、そしてこのことについては歴代の総理、外務大臣もそのような密約の存在を明確にしているということでございます。
  130. 白眞勲

    白眞勲君 ですから、それだけ重要な問題だって外務大臣が御認識されていて、過去の、今言ったように外務大臣はもうこれはそういうことはないんだということをおっしゃっているんだったらば、当然これは抗議とか何らかの形の外務省としてのスタンスを明らかにするべきなんではないんですかということを私聞いているんですね。それについてお答えください。
  131. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 元次官が報道等を通じて発言されておりますけれども、再三申し上げておりますとおりでありますし、さらに米国政府が日米安保条約上の対日義務を誠実に履行すると、そして事前協議について日本政府の意思に反して行動する意図のないことを繰り返し明言もしておるわけでありまして、そのような過去の次官の発言も承知しておりますけれども、私どもとしてはこの交換公文とそれから藤山・マッカーサー口頭了解がすべてであると、そのほかに何らの取決めはないと、そういう認識でございます。
  132. 白眞勲

    白眞勲君 ですから、認識は何度も聞いております。ただ、私が申し上げているのは、過去の事務次官がそういうことを言ったと、これは大変重要な問題なんだということを外務大臣はおっしゃっているわけですから、ですからこれは何らかの訂正措置なりなんなりをするべきなんではないんですかということを私は申し上げたわけですね。  防衛大臣、大変恐縮ですけど、もう一時間。いいです。いいですというか、どうもありがとうございました。
  133. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) どうもありがとうございました。
  134. 白眞勲

    白眞勲君 ですから、これは、いいですか、報道だとか何とかだと言うけど、週刊誌とか新聞で、最近では藤田委員アメリカの捕虜に関する報道とか、以前、これは私も取り上げていましたインドネシアの津波の件での週刊誌の報道でも、逐一外務省はホームページで抗議しているわけですよ。今回はそれほどの内容でないというふうに外務大臣は認識しているんですか。
  135. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) いろいろな報道に対する外務省の対応というのはその案件によって違うわけでありまして、本件につきましてはもう従来から申し上げているとおりでございます。
  136. 白眞勲

    白眞勲君 いや、案件によってですから、これは重要な案件だって言っているのに、何でこれやらないんですか。私はそれを言っているんですよ。外務省のホームページはこう言っているんですよ。  各種メディアで我が国の外交政策等に関し、自由な報道立場から様々な報道が行われます、一方、それらの報道の中には事実誤認と思われるものや、説明が十分でないものが見受けられます、外務省としては、外交に対する理解をより一層深めていただくために、必要に応じ外務省見解を掲載しておりますと。  つまり、今回の件はこういういわゆる事実誤認とか説明の十分ではないものではないと。これ、矛盾しているけれども、そうなんですかということなんです。おかしくないですか、これ。
  137. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 私ども立場はもう従来から申し上げておりますとおり密約はないという、そういうようなことでございまして、立場は明らかでございますので、先ほどからの繰り返しになりまして恐縮でございますが、この件につきまして元次官等に確認するという考えはございません。
  138. 白眞勲

    白眞勲君 いやいや、私が聞いているのは、ホームページとか何かにそういった反論文載せているんですよ、外務省は一生懸命。私、それはいいと思うんですよ、事実誤認とかになったら、じゃ、これ違うんですということを国民にしっかりと。  この件は大変重要だということを外務大臣がおっしゃっているにもかかわらず、何でホームページとか何かできちっとした反論を載せないんですかということを聞いているんですよ。
  139. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) この件に関する私ども見解は、もう国会で御答弁申し上げておるとおりでございます。
  140. 白眞勲

    白眞勲君 この件、またやりたいと思っています。  それでは、社会保障に関する日本国スペインとの協定について、そしてイタリアとの協定についてもお聞きしたいと思うんですけれども。  イタリアについてお聞きします。今回、通算制度が外されている理由は何ですか。
  141. 兼原信克

    政府参考人(兼原信克君) お答え申し上げます。  イタリアにおきましては、一九九〇年代以降にイタリアが署名した通算規定を含む社会保障協定が、イタリア年金財政上の理由からイタリア国会において全く承認を得られていないという状況がございますので、そのため、イタリア側の方から我が国の協定に対しまして、通算規定を含めた場合には早期の発効が見込めないので通算規定を含めないことにしたいということを強く主張したという経緯がございます。
  142. 白眞勲

    白眞勲君 今までの過去の社会保障協定、これは委員会、国会でも大分議論あったわけですけれども、大体駐在員を中心とした厚生年金ということが中心だったような気がするんですが、これ、基本的には国民年金も含まれるわけですけれども。  これは厚生労働省に聞いた方がいいのか、これは外務省でしょうかね。年金受給加入期間、二十五年ですね、日本の場合は。これはほかの先進国というのは大体ゼロから十年ぐらいまで。チェコが二十五年となっている以外は、これ余りこんな長い国ってないんですけれども、これより長い先進国って存在するんですか。
  143. 北野充

    政府参考人(北野充君) お答え申し上げます。  年金受給の最低加入期間についてのお尋ねでございますけれども、これにつきましては、各国におきまして、それぞれの事情を踏まえて制度を構築をしているというふうに承知をしております。その際、各国どの程度の支給水準を確保するかなど、様々な事情を考慮しながら各国それぞれで制度をつくっているというふうに理解をしております。  各国、個別についてのお尋ねでございますけれども、チェコが原則二十五年以上ということで、今先生から御指摘があったとおりでございます。そのほか、我が国がこれまでに協定締結した国、現時点締結に向けて政府間交渉、それから当局間協議を行っている国の中では二十五年以上の最低加入期間を設けている国というのはございません。
  144. 白眞勲

    白眞勲君 厚生労働省にお聞きします。何でこんなに日本長いんですか。
  145. 二川一男

    政府参考人(二川一男君) 我が国の年金制度におきまして、二十五年という長い受給資格期間を設けている理由というお尋ねでございますけれども、まずこれは、我が国の年金制度におきまして、できるだけきちっとした年金につなげていこうというようなことで二十五年という期間を設けたというふうなことでございます。  それともう一点でございますけれども、外国と日本の年金制度の違いがございまして、外国におきましては所得がある期間を加入期間とするということが原則でございますけれども日本におきましては、所得がある期間もない期間も、すべての二十歳から六十歳までの期間を加入期間とし、所得のない期間につきましては保険料を免除する、その免除する期間も含めて二十五年を満たしていただければ結構ですと、こういった仕組みになっていると、そういった違いがあるものと、こういうふうに考えているところでございます。
  146. 白眞勲

    白眞勲君 全然説得力がないんですけれども。そのきちっとという話にされちゃうと、ちょっと困るんですけれども。  ちょっと外務省にお聞きします。これ、交渉段階において向こうから、何でこんなに長いんだと、二十五年って長過ぎないかと言ったときに、説明困るんじゃないですか、これ。きちっとやっているんですと言えるんですか、これ。
  147. 兼原信克

    政府参考人(兼原信克君) お答えいたします。  社会保障協定の交渉におきましては、双方の国のお互いの複雑な既存の制度について十分に情報交換をいたすのが通例でございます。お互いの制度を理解した上で、これを尊重して双方に最大限の利益が得られるようにするということで協定の交渉に臨んでまいりました。  委員お尋ねの点に関しましては、この点について、特にイタリア、スペインからそのような長いという指摘があったということはないということでございます。
  148. 白眞勲

    白眞勲君 いや、まあ、それは正式の交渉でおたく長いよなんと言うわけないじゃないですか。そういう答え方しないでほしいと思うんですけれども。  先に進みたいと思いますが、これ、韓国との協定についても通算制度はないですね。今非公式な会談が行われているということですけれども、イタリアともこれ、早く結んだ方がいいんじゃないですか、これ、どうなんですか。外務省、お答えください。結ぶつもりありますか、イタリアと、この件について、今後。
  149. 北野充

    政府参考人(北野充君) 今お尋ねの件は、イタリアとの関係でも通算の制度を設けた方がよいのではないかという趣旨の御指摘でございましょうか。
  150. 白眞勲

    白眞勲君 はい。
  151. 北野充

    政府参考人(北野充君) それでは、今の点、御説明をさせていただきますけれども、イタリアについて通算の制度が設けられなかった点につきましては先ほど答弁をさせていただいたところでございますけれども、イタリアにつきましては、これは、日本を含むEU域外の国民について、イタリアの年金の最低加入期間を満たしていない場合でもそれまでに納付した年金保険料に応じた年金を支給をするという制度がございますので、その意味で、保険料の掛け捨ての問題というのは我が国の国民については生じないという事情がございます。
  152. 白眞勲

    白眞勲君 これ、シミュレーションでちょっと聞きたいんですけれども、例えばですよ──ちゃんと聞いてくださいよ。ちょっと、後ろの人と話さないでくださいよ。今こっちまじめにやっているんですから、その後ろ、こっちしゃべっているときに向こうでぺらぺらしゃべられたら、委員会できないんですよ。  ちょっと聞きますよ。日本で働いていた例えばOLの方が、イタリアが大好きで何度も行っていたと。そのうちイタリアの男性と恋に落ちて向こうで結婚した場合を考えてみる。大体今はやりのアラフォー、知ってます、アラフォーって。日本人が大体四十歳、向こうの男性と結婚して、イタリアで住んだ場合、四十歳で結婚したとしますよね、イタリアで。そうすると、二十歳から国民年金、厚生年金支払って、二十年たって向こうの男性と結婚すると。その後二十年ぐらいして、彼女が六十歳ぐらいになったら、何らかの事情ですよ、例えば親の介護かあるいは離婚か知らないけれども日本に帰国した場合に、日本では二十年ですね、これ、本人年金もらえないということになりませんか。
  153. 兼原信克

    政府参考人(兼原信克君) お答え申し上げます。  個々の国民の方の事情はいろいろございます。一般的な例でお答え申し上げたいと思います。  日本の年金を受給するためには二十五年間の最低加入期間が必要なのでございますが、御指摘の女性のケースにつきまして、厚生年金ないし国民年金が、加入義務が、結婚されるまでの二十年間例えば払っておられたといたしまして、その後結婚と同時にイタリアに移られたといたしますと、日本を出た後にどうなるかなのでございますけれども日本を出た後につきましては、日本国外に居住している期間は日本の法令上はこれは合算対象期間、日本の国内法令上なりますので、日本に二十年いてイタリアに二十年いて帰ってきましても四十年になるわけでございます。そうしますと二十五年を超えておりますので、日本の年金の受給の資格が出てくるわけでございます。  ただ、そのときにもらう金額は、掛けた二十年間分の金額だけが返ってくると、こういう仕組みでございます。
  154. 白眞勲

    白眞勲君 ちょっとこの辺り、またちょっと聞きたいなと思って、これ非常に重要な問題なんですね。イタリアに行っちゃってどうなるんだというところあるんで。ちょっとよく分からないなというのあるんですけれども
  155. 二川一男

    政府参考人(二川一男君) 日本の年金の取扱いでございますので、私の方からお答えさせていただきます。  二十五年という受給資格期間でございますけれども、この二十五年というのは保険料を実際に納付した期間だけではなくて、先ほど申し上げました免除期間、これも含めてもよい。それからもう一つ、日本人の海外居住期間とか、あるいはそういった期間、それで任意加入なさってもいいんですけれども、任意加入なさればもちろん保険料を納めた期間になるわけですけれども、任意加入できるんだけれどもしなかった期間、こういった期間も合算対象期間というふうに法律上位置付けられてございまして、この期間も含めて二十五年あれば受給資格を満たすと、こういう仕組みでございます。  ただ年金額は、先ほど外務省からも答弁いたしましたように、実際に納めた期間の部分だけが年金額になると、こういった仕組みでございます。
  156. 白眞勲

    白眞勲君 ちょっとこれ、さっぱり私分からないんで、きっとこの委員の中にも、何かみんな私の顔を見ているんですけれども、もう一回ちょっとこれ、ちゃんと教えてくださいよ。  ペルーとウズベキスタンの投資協定についても、ちょっと聞きたいんですね。  日本は今結んでいる箇国、十三か国なんですけれども、これ北朝鮮やタンザニアも十二か国なんです、大した変わりないんですよね。日本がこんなに少ない理由は何ですか。
  157. 高岡正人

    政府参考人(高岡正人君) お答え申し上げます。  これまで我が国は、今回御審議いただいておりますペルー、ウズベキスタンを含め、主な直接投資先であります重要な経済関係を有する東アジア諸国を中心に十五の投資協定、それから九の投資章を有する経済連携協定締結し、又は署名しているところでございます。  また、現在、中韓両国、あるいはサウジアラビア、カタール、カザフスタン、コロンビアとも投資協定の交渉を行っているか、又は交渉の開始について一致しているところでございます。  外務省といたしましては、今後とも日本企業による海外直接投資を後押しして日本と各国との経済交流を拡大していくべく投資協定を積極的に締結し、戦略的に活用していくために、二国間投資協定の戦略的活用についてという方針を発表いたしますとともに、昨年十二月から経済産業省とともに、関係省庁それから関連民間企業等々の参加を得まして、対外投資戦略会議を立ち上げたところでございます。  政府といたしましては、今後とも、対外投資戦略会議の議論も踏まえまして、実際のニーズにこたえることを主眼といたしまして、投資実績・見通し、投資環境整備の必要性と我が国の産業界の要望、エネルギー・鉱物資源の供給元としての重要性、相手国政府の統治能力、政情の安定性、政治的、外交的意義等を勘案しながら、戦略的な観点から優先順位をもって今後投資協定締結に取り組んでいきたいと、そう思っているところでございます。
  158. 白眞勲

    白眞勲君 全然答えていないじゃないですか。  長くしゃべるのもいいんですけれども、こっちも質問を忘れちゃうんですよ、そんなに長くしゃべられると。  私は、日本がこんなに少ない理由は、要するに、だからEPAも結んでいるんじゃないかということと実際のニーズだということを言っているんですけれども、ではこれほど少なかったら、実際のニーズはそれほど多くなかったんですかということにもなりかねないんですよ、これね。ニーズはいっぱいありますよ。  今、EPAについては、今ちょっとそういう話が出ましたから言いますけれども、おおむね何か締結済みだみたいなことをおっしゃっているけれども韓国はEPAについては日本以上に積極的ですよ。これ、皆さん御存じのとおりですよ。アメリカとは議会の批准待ち、そしてEUとも三月には交渉終了。そういう中で、これ、韓国がEUやアメリカとEPA交渉を結んでしまうと、関税の問題で日本は非常に不利になるんですね。  経団連、二〇〇七年の対外経済戦略の構築と推進を求める、これ二〇〇七年にそういうことを言っている、実際のニーズあるじゃないですか。という意見書には、日本のFTA締結速度が遅い、言っているんですね、これね。第三国間のFTAにより、日本の企業にとって競争条件の格差が発生している。もう指摘しているんですね。なおかつ、これ韓国について、こう書いてあるんですよ。韓国はEUとFTA交渉を進めているが、EUは家電、自動車の関税が高く、韓国とのFTAが実現すれば日本企業の競争力に大きく影響するため、特にEUとの締結を急ぐべきである。これちょっとのんびりし過ぎているということを私は思うんですよ、日本政府は。これ、日本政府、どのように、深刻なこれだけの事態をどの程度認識しているのか。  つまり、シミュレーションですね。つまり、EUと韓国がFTAを結んだりした場合に日本側の損害はどの程度だということ、これシミュレーションしていますか。端的に答えてください。もう長々、時間ないんで、ちょっと、端的に答えてください。シミュレートしているかどうか。
  159. 高岡正人

    政府参考人(高岡正人君) 韓国とEU、それから韓国と米国のFTAが発効いたしますと、締約国間の貿易額が増加することが予想されるところでございます。その結果、我が国と韓国、EU、米国との貿易が特に競合する産品の貿易においてこれらFTA締結国間の貿易に一定程度転換される可能性が考えられるところでもございます。いわゆるダイバージョン効果ということでございます。  他方におきまして、具体的な影響がどうかといいますと、FTA協定の中で書かれるであろう関税の削減、撤廃といった要素に加えまして、産業構造というんでしょうか、あるいはビジネスモデルと申しましょうか、そうした為替レート、マーケットの動向など様々な要因を考慮に入れる必要がございます。そうしたことから、EPA、FTAの影響を定量的に示すことはなかなか容易ではないと考えているところでございます。  一方におきまして、こうした現状も踏まえまして、政府といたしましては、EPA、FTAの影響について研究を進めていらっしゃる学会の方々がいらっしゃいますので、そういう方々とも連携しながら、我が国に与える影響の把握に努めていきたいと、そう考えているところでございます。
  160. 白眞勲

    白眞勲君 もう時間がないのでこれで終わりますけれども、二千億円というシミュレーションも出ているんですよ、これもう、日本側の損害は。  そういったことも考えますと、韓国と日韓のFTAももうどんどん速めた方がいいですよ、これ。そのときに、もう向こうとはなかなか、でもともかくできるところから早く始めていただきたい、それを最後に申し上げまして、私の質問とします。  ありがとうございました。
  161. 佐藤正久

    佐藤正久君 自由民主党の佐藤正久です。  今回の四つの協定については賛成の立場です。その協定に関する質疑に入る前に、北朝鮮ミサイル発射問題と、PKOの国連待機制度についてまずお伺いをしたいと思います。  先ほど、白委員の方からもミサイル発射問題いろいろございました。四日に発射されました七発の中距離弾道ミサイルに対しまして、外務省のホームページ等によりますと、日本を含む近隣国への安全保障上の重大な挑発だと、国連安全保障理事会決議、安保理決議に違反する行為だというふうに声明を出しておられます。これを受けて、やっぱり外交交渉を今本当に加速すべき大事な時期だと、これは日本自身の問題だというふうに私は考えます。  先ほどありましたように、国連安保理の場でいろいろ協議なされる、あるいはG8サミットの中でもいろいろ議題となるということは当然大事だと思いますけれども、やはり今回のミサイル発射をもうこれ以上させないとか、技術開発をこれ以上させないという観点では、中国の役割というのは物すごく大きいと思います。日米間の連携あるいは国連というものも非常に大事ですけれども、中国に対して日本外交がやはり二国間あるいは多国間の場でどんどん働きかけを行っていくということが非常に大事だと思いますけれども外務省の御見解をお伺いしたいと思います。
  162. 石川和秀

    政府参考人石川和秀君) 委員指摘のとおり、北朝鮮問題に対応するに当たっていろいろな、いわゆるマルチの会議をいろいろ活用したいと思いますし、それから御指摘のとおり中国に対する働きかけが極めて重要だというふうに思っております。それは、六者会合の議長国という地位もございますし、それから何といっても北朝鮮との関係が非常に深いということもございます。したがいまして、いろいろあらゆるレベルで働きかけを強めていきたいと思いますが、先ほどもちょっと御紹介しました武大偉外務次官が今週来られるということでございますので、こういう機会も十分に活用しながら中国への働きかけを強めていきたいと思っております。
  163. 佐藤正久

    佐藤正久君 是非とも、今外交交渉が非常に大事な場面だと思いますので、特に中国ということを見据えた上でやっていただきたいなと思います。と同時に、やはり国防という部分の備え、あるいは国民保護という観点も非常に大事だというふうに思っております。  二〇〇六年の七月五日にも七発ミサイル発射され、そのうちの六発がスカッドノドンというふうに言われております。その際の防衛省の発表によりますと一定の範囲内に着弾したと、ある程度精度についても評価を防衛省はされていると。今回の四日の七発の発射についても、何発か非常に近い地域に落ちているという報道もございます。日本ということを考えますと、スカッド以上にやっぱりノドンというのは非常に脅威だと、射程も当然日本の方にも届きますし、精度的にもだんだん向上しているというふうに言われております。  そのノドンミサイルというものについて、その射程、精度あるいは基数、移動式、固定式というものを含めてどのように政府として把握、評価しているのか、お伺いしたいと思います。
  164. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) お答えいたします。  今回の発射でございますけれども、確かにいろいろ実戦的な特徴があるというふうに評価しました二〇〇六年と比べまして更に精度が向上しているのかどうか等につきましては、きちっとした分析を重ねていきたいというふうに思います。  それで、先生指摘のように、二〇〇六年の七月五日の発射というのは、射程の異なる弾道ミサイルを一定の範囲に着弾させたという意味で、私どもは運用能力を向上させているというふうに評価したところでございます。  御質問ノドンでございますけれども、まず射程につきましては千三百キロということでございますので、大体これですと日本全体が射程の範囲内に入るというような状況でございます。  それから、発数につきましては、なかなか実態が解明しにくいところはございますけれども、今までのいろんな議会証言等で、例えばアメリカの在韓米軍司令官は二百発ぐらい持っているというような証言もございましたり、最近ではインターナショナル・クライシス・グループというところが三百二十発あるというような分析をしておりまして、私どもとしてもそういったものについては十分分析を重ねていきたいというふうに思っております。  それから、命中精度でございますけれども、いわゆるピンポイントにある建物を正確にねらうというようなものではないだろうと、スカッドをベースにして開発されたものでございますのでそこまでの精度はないと思いますけれども、そういった精度の向上についても十分注目をしていきたいというふうに考えております。
  165. 佐藤正久

    佐藤正久君 ありがとうございます。  日本のほとんどの地域を射程に収めることができるノドンミサイル弾道ミサイルが二百ないし三百発以上あると。これは非常に、日本防衛にとっても国民の安全という観点でも非常に大きな脅威というふうに認識すべきだと私は思います。しかも精度も、二〇〇六年の発射事案あるいは今回の評価、まだこれは分かりませんけれども、向上しているということを踏まえると、やっぱりこれに対しても日本、あるいは周辺国あるいはアメリカと連携しながら対応して日本国民を守り切ると、守り切るということが非常に政治においても政府においても大事だと私は強く思います。  特にノドンの場合は移動式というものも主力というふうに伺っていますので、そうするとなかなかその位置を、発射位置を特定しにくいし、向こうもやっぱり自由度がある、そういうものに対して対応しないといけないということを考えますと、この移動式のノドンミサイル、この脅威からどのように日本防衛するのか、この基本的なコンセプトについてお考えをお聞きしたいと思います。
  166. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) お答えいたします。  弾道ミサイル脅威というものに対しては、具体的な防衛構想ということを考える場合には、抑止的な機能も含めまして全体的な能力の向上というものが非常に重要になってくると思いますし、そういった意味で、日米安保体制を基調としていろいろ対応するというような、そういった総合的な力、日本自身の力、そして日米共同の力、そしてまた米国自身の力と、そういったものが非常に重要になってくるというふうに思っております。  それから、発射されるものが移動式ということでございますので、なかなか通常の情報収集だけでは分からないところもあると思いますので、我々としては、できるだけ平素から能力を高めていくと、そしてまた、ふだんからそういった状況を把握して、少しでも変化があればそれを把握するというような努力を重ねていく必要があるのではないかというふうに思っております。そういう意味で、様々なセンサー、できるだけ多くのセンサーというものを有効に活用して、できるだけそういった実態を解明していくということが重要ではないかというふうに思っております。  それと同時に、やはり対応の体制ということにつきましても、平素からできるだけ幅広い範囲に対応できるようなシステムというものを効率的に展開するという方策を考えていかなければいけないんではないかというふうに考えております。
  167. 佐藤正久

    佐藤正久君 テポドンのように発射台から撃たれるという場合については非常に情報という観点では兆候を見付けやすいと思いますけれども、どうしても移動式になるとそれ以上のやっぱり情報収集能力を持たないとなかなかそれが見付けにくいと。しかも、その移動式なものが二百発、三百発あるというふうになると、専守防衛という観点から非常にいろんな対応が必要になってくるんではないかなというふうに思います。  お隣の韓国は、いろんな今回の事案を受けまして、ミサイル防衛の観点から、早期警戒レーダーとか、あるいは在空時間の長い無人偵察機グローバルホークのようなものを配備するというような計画を決めたという情報もございます。  専守防衛というものを国防の基本とする日本としても、やっぱり北朝鮮ミサイル情報を早めに入手するということは、日米協力体制で対処するという場合、あるいは、六分ないし七分で日本に着弾するわけですから、国民保護という観点で国民に情報を早期に流すと、対応を取っていただくという観点からも、早期の情報入手というものは非常に大事だと思います。アメリカだけにやっぱり頼るというものではなく、アメリカに頼るというのも当然大事ですけれども、それを補完する意味でも、日本独自でそういうミサイル発射情報、準備兆候というものを入手するという手段も非常に大事だと思います。  今年十二月に防衛計画の大綱あるいは中期防衛力整備計画が策定するという予定になっておりますけれども、敵ミサイル基地あるいはその発射手段の情報収集能力も日本としても強化すべきということについて検討すべきだと私は思いますけれども、政府の現在の御認識をお伺いしたいと思います。
  168. 櫻井修一

    政府参考人櫻井修一君) お答えいたします。  各種の事態におきまして防衛力を効果的に運用するなど、我が国の安全を確保するためには、弾道ミサイル情報を含めまして各種事態の兆候を早期に察知するとともに、その情報を迅速かつ的確に情報収集、そして分析をし、共有などをすることが大切であり、不可欠だというふうに考えております。  現在、有識者によりまして安全保障と防衛力に関する懇談会、これを開催いたしまして、防衛計画の大綱の見直しについて幅広く御議論をいただいているところであります。今後、政府内におきまして大綱の見直しなどに向けて具体的に調整が行われることになりますけれども、まずは現在行われております有識者による懇談会の議論を見守っているところでございます。
  169. 佐藤正久

    佐藤正久君 現実の問題として、六分ないし七分ぐらいで日本に届くミサイルを持つ国が近くにある、しかも日本に対してもいろんな厳しいメッセージを出している国がある、それも二百発、三百発というものを持っているということを考えると、やはり今回の有識者懇の中でもその実態というものをしっかり踏まえた上で議論を深化させていただいて、国民を守り切るという観点で対応をしっかりしていただきたいなということを要望したいと思います。  次に、国連待機制度についてお伺いします。  七月一日に国連の潘基文事務総長が来られまして、麻生総理と会談をされました。その際に、麻生総理から、日本も国連待機制度の方に参加するという表明をなされたというふうに承知しておりますけれども、なぜこの時期に参加表明をなされたのか、外務省の方にお伺いしたいと思います。
  170. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 国連待機制度、これへの早期登録ということにつきましては、かねてから種々の提言等もいただいておりまして、政府内でもずっと不断の検討を行ってきたものでございますけれども、また、防衛省・自衛隊におきましてもこれまで様々な国連PKOに参加して実績を積み重ねてまいりました。  国連PKO局への要員派遣などを通じまして、国連PKOに係る情報を早期に入手することの重要性がまた認識されてきているところでもございます。  こういう状況の中で、平和構築の取組にやはり非常に積極的な麻生総理からの御指示もありまして、今委員からお話ありましたように、今般、政府内の検討、調整も整いましたことも受けまして、去る七月一日に登録を行ったものでございます。
  171. 佐藤正久

    佐藤正久君 そういう利点というのは当然あると思います。だから、今まで、ここまで政府の方の検討がやっぱりいろいろ時間が掛かったということは、登録することによる利点と不利点というものもあるんだろうなと。だから、その不利点をこういう形で克服しますということの協議が調ったというふうなことかなと思います。  今回、一般論でいいんですけれども、国連待機制度に登録することによる利点と不利点、これはどういうものがあるか、外務省の方からお答えを聞きたいと思います。
  172. 廣木重之

    政府参考人廣木重之君) お答え申し上げます。  利点と不利点ということでございますが、まず利点につきましてですけれども、国連待機制度への登録により、一般的に申し上げれば、まず国連PKOに係る早期の情報入手が可能となり、我が国として参加すべきPKOの活動を早期に検討し、能動的に対応できる可能性が高まると思われます。また、国際平和協力活動の自衛隊の本来任務化を受けまして、国連PKOへの主体的、積極的関与の姿勢を明らかにできることも利点かと思われます。最後に、国連に対する協力重視の姿勢及び安保理非常任理事国としての姿勢を明らかにできること、こういったことも効果としては利点として期待できるのではないかと思っております。  他方、不利点でございますけれども、これは登録に基づき国連から派遣要請がある場合には、実際の派遣の可否については各国が個別に判断するということでございますので、特段の不利点は生じませんけれども、先ほど大臣の方からも申し上げましたように、平和構築の取組に積極的な麻生総理からの御指示もございまして、今般、政府内の検討、調整が調ったということで一日に登録を行ったものでございます。
  173. 佐藤正久

    佐藤正久君 今回の日本の登録の中身を見ますと、参加自衛隊員の上限を二千名、また主な参加分野を後方支援分野というふうになっております。今回、文民警察官を登録しなかった理由はどういうものでしょうか。
  174. 廣木重之

    政府参考人廣木重之君) ただいま御指摘ございましたように、今回の日本の登録では参加自衛隊員の上限を二千名としております。また、その主な参加分野というのは後方支援としておるわけでございますけれども、今般のこの登録の内容は、これまでの派遣の実績、PKO法、その他の国内制度等を踏まえて行った検討の結果を反映したものでございます。  ただ、国連に確認いたしましたところ、現在警察要員の登録制度というのは存在しておりませんので、今回このような形として発表させていただきました。
  175. 佐藤正久

    佐藤正久君 じゃ、現在、国連PKOに参加している国の数と国連待機制度に加入している国の数を教えてください。  もう座っていてもらっていいですよ。
  176. 廣木重之

    政府参考人廣木重之君) 恐縮でございます。  現在、PKOに要員を派遣している国の数でございますが、百十七か国でございます。また、国連待機制度に登録している国の数は八十八か国でございます。
  177. 佐藤正久

    佐藤正久君 日本のPKO参加隊員数と百十七か国における数的な順番、これはどうなっているでしょうか。
  178. 廣木重之

    政府参考人廣木重之君) お答え申し上げます。  我が国のPKO参加隊員数でございますが、現在、我が国はUNDOF、ゴラン高原でございますが、こちらに四十六名、それからUNMIN、ネパールでございますが、こちらに六名、それからUNMIS、スーダンでございますけれども、こちらに二名ということで、四十六名、六名、二名で、合計五十四名の要員を派遣しております。これは五月末現在で派遣国百十七か国中八十一位となっております。  現在、最も多くの要員を国連ミッションに派遣しているのはパキスタンでございます。その数は一万六百十八名でございます。そのほか派遣数の多い国としましては、バングラデシュ、インド、ナイジェリア等が挙げられます。
  179. 佐藤正久

    佐藤正久君 じゃ、今回の登録制度についてもそうなんですけれども、PKO協力法においてPKOに提供する自衛隊の総数の上限が二千名となっております。今回の登録でも二千名を超えることがないとしています。この二千名、上限の理由は何なんでしょうか。
  180. 宮崎信敏

    政府参考人(宮崎信敏君) お答え申し上げます。  国際平和協力法第十八条において、国際平和協力業務に従事する者の総数は二千名を超えないものの規定としております。国際平和協力法では、国際平和協力業務に従事する者は関係省庁からの派遣によることを中心に考えられております。国として他の種々の事務遂行に支障が生じないよう配慮する必要があることなどから、国際平和協力業務に従事する者の上限を定めることとしたものでございます。  なお、国際平和協力業務に従事する者の総数の具体的な上限数については、過去のPKOの例、他のPKOの参加国の派遣規模等を勘案しつつ、国連等のニーズに十分こたえ得るようにとの観点から二千名とされたものでございます。
  181. 佐藤正久

    佐藤正久君 二千名というのは、国の防衛という観点である程度の枠をはめたわけではなくて、各国の今までの実績というものを踏まえて二千名としたというふうな理解でよろしいんですか。
  182. 宮崎信敏

    政府参考人(宮崎信敏君) はい。例えばそのときに参考になった例といたしましては、各国の例でございますけれども、一つの参考の例ですが、当時、北欧待機軍制度というものがございまして、これはスウェーデン等が待機軍を取っておりましたが、これらがちなみにやはり二千名程度の待機の制度を持っていたというようなことも要するに踏まえて決めたということでございます。
  183. 佐藤正久

    佐藤正久君 仮に二千名としても、現在参加している隊員数が五十四名と。かなり数的には、八十一位ということもあり、少ないという評価をする方もおられます。上限二千名に対して現在五十四名となっている主な理由は何でしょうか。
  184. 宮崎信敏

    政府参考人(宮崎信敏君) 我が国が国連等の要請を受けまして国連平和維持活動等に実際に参加するに当たっては、いわゆるPKO五原則、これに該当しているかどうかという点がございますが、これに加えまして、憲法、国際平和協力法の範囲内で行われるべきこと、国内の支持を受けるものであって、また国際社会からも評価されるものであること、他の事情に合わせて要員の派遣が効果的かつ安全に行われるため万全の支援体制を整えること、我が国が適切に対応することが可能な分野であることなどの観点や、現地調査の結果を踏まえて総合的に判断して派遣を行ってきたところでございます。  その結果、これまでカンボジアで六百名の自衛隊部隊、それから東チモールでは六百八十名の自衛隊部隊を派遣するなどしてきておりますが、今、現状においては、UNDOF、UNMIN、UNMISで先ほど御指摘の数字という形になっていると、結果的としてなっているというものでございます。
  185. 佐藤正久

    佐藤正久君 今、五原則の話が出ました。最近のPKOの主体はもう七章型のPKOというのが非常に増えているということを考えると、やっぱり五原則という観点でも非常に慎重な検討が必要だというふうに一般に言われています。  文民の専門家とか、あるいは人道復興支援というものに参加したり、あるいは選挙監視というものに参加する場合、やっぱり参加五原則の適用を緩やかにすべきではないかという提言も諸所なされております。これは今後の検討課題ではないかと考えます。先ほど話がありました有識者懇談会の方でもこれを含めて今後検討すべき課題ではないかなというふうに思いますけれども、政府の御見解をお伺いしたいと思います。
  186. 宮崎信敏

    政府参考人(宮崎信敏君) 御指摘の文民専門家についてPKO参加五原則を緩和してはどうかという点については、委員も述べられましたように、平成十四年の国際平和協力懇談会の提言というものもございます。また、昨年改正された国際平和協力の一般法に関する与党PTにおいても御議論があったものと承知しております。    〔委員長退席、理事一川保夫君着席〕  これらを参考としつつ、国際社会の状況や国会における御議論を踏まえて検討を進めているというものでございます。
  187. 佐藤正久

    佐藤正久君 あともう一つ、よく検討課題で言われるのが武器の使用問題です。武器の使用を、例えば任務遂行の武器使用とかあるいは警護などの武器使用など、今よりも国際標準により近い形にすべきだと、そうすると参加の数も増えるのではないかという指摘もございます。これも一つの今後の検討課題だと思います。  これについての検討状況をお伺いしたいと思います。
  188. 宮崎信敏

    政府参考人(宮崎信敏君) 御指摘のように、国際社会における国際平和のための取組は多様化をしてまいっております。現在、我が国として行うことが適当な業務の範囲を検討しておりますけれども、当該業務を的確に遂行するためにはいかなる権限が必要か、これは武器使用権限も含めて関連懇談会の御提言の趣旨をも踏まえつつ、国際社会の動向や国会における御議論等を踏まえて慎重に検討しているところでございます。
  189. 佐藤正久

    佐藤正久君 今回の防衛力整備あるいは防衛計画の大綱等をやっぱり考える際に、この国際協力任務をどういうふうに位置付けるかというのは非常に大きなテーマであり、恐らく有識者懇談会の方でも議論されているというふうには思います。ただその際に、国連PKOと、それとそれ以外の国際協力というもののバランスというものもやっぱり考えないといけませんし、日本としてどういう目的、国益に照らして参加するんだという議論も必要だと思います。  イラクへの自衛隊の人道復興支援とかインド洋での補給支援、これは特別措置法で、国連PKOではございません。あるいは海賊対処のための海上自衛隊の派遣あるいは国際緊急援助隊というものも、これも国連PKOではございません。こういう特措法とかいうものについては、先ほど言った参加の上限の二千名というものは今適用されておりません。  ただ、自衛隊の一番の任務は、やっぱり国の守りということだと思います。今後、この防衛計画の大綱とかあるいは防衛力整備の中期計画を作る際において、国際協力というものと国防というものをどういうふうにバランスを取っていくのかと。そこはある程度やっぱり上限というものも検討しないと、なかなか自衛隊の全体の数とか、あるいは国際協力に対する基本的な方針って出てこないような気がするんです。  そういう意味で、今回のいろんな防衛力の在り方検討とかあるいは大綱の検討の中において、国内任務と国外勤務をどういうふうに位置付けるんだ、基準はどうするんだと、これは数的なものあるいは目的含めて、今非常に検討すべきいい時期ではないかと思いますけれども、これについての政府のお考えをお伺いしたいと思います。
  190. 徳地秀士

    政府参考人(徳地秀士君) お答え申し上げます。  御指摘のとおり、自衛隊の主たる任務というものはまさに我が国の防衛でございます。これはまさに自衛隊法の第三条の第一項に書いてあるところでございまして、侵略の排除というものはまさに防衛力でなければできないものでございます。したがって、平時自衛隊が与えられた種々の任務を遂行するに際しましても、その主たる任務である我が国の防衛というものに必要な体制を確保しながらその他の任務にも当たるということが必要であると考えております。  他方で、今現在の防衛計画の大綱にも示されておりますとおり、例えば大量破壊兵器の問題でありますとかあるいは国際テロというような問題がございます。これらは我が国の平和と安全に密接にかかわるという問題であるわけでございます。したがいまして、自衛隊が海外において国際社会の平和と安定のための取組に協力するということは、国際的な安全保障環境を改善して、日本に対して脅威ができるだけ及ばないようにすると、そういうことにつながるというふうに考えております。  したがって、自衛隊が海外で任務を行うに当たりまして、当然その時々の国際情勢でありますとかあるいは国際社会の取組の状況、あるいはそれぞれの任務、先生指摘のとおりPKOだけではございませんので、そういうことを考慮するということ、これは当然でございますけれども、それぞれの任務の我が国の安全にとっての意味、あるいは自衛隊にとっての意味、それから具体的な任務の内容、それからそれにマッチする自衛隊の能力があるかないかというようなことを総合的に勘案して、どのようなものにどの程度のものを派遣するのか、あるいはしないのかということを総合的に勘案していくということが必要であるというふうに考えておるところでございまして、その派遣についての考え方というものを今後ともよく整理しておくということは必要であると考えております。    〔理事一川保夫君退席、委員長着席〕
  191. 佐藤正久

    佐藤正久君 今後、そういう考え方を整理しておくことが必要であるという答弁でしたけれども、やっぱり必要だと思いますよ。これだけ国連PKOとか特措法とか、あるいは海上警備行動、あるいは海賊対処と、いろんなものがいろんな法的な根拠に基づいて自衛隊が派遣されると。非常にやっぱり分かりにくいという感じもしますし、オペレーション自体も複雑になってくると。それぞれが連携しながら同時並行的に動いていると。  私は、国連待機制度の実効性を向上させ、また自衛隊の海外派遣の目的の明確化、こういうときに自衛隊を、海外で国際協力のために使うんですよ、あるいは国の防衛のために使うんですよ、あるいは派遣の数的な上限というものも入れて、国際協力に関する一般法というものをやはりもう整備すべきときではないかなという気がいたします。  これについての政府のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  192. 宮崎信敏

    政府参考人(宮崎信敏君) お答えいたします。  いわゆる一般法の整備は、我が国が迅速かつ的確に国際平和協力活動を実施していくために望ましいものであり、また国際平和協力に関する我が国の基本的方針を内外に示す上で重要だと、有意義だと考えております。  一般法については、与党における議論を始め、国民的な議論の深まりを十分踏まえて検討を進めることが重要と考えております。
  193. 佐藤正久

    佐藤正久君 是非ともこれについては、野党の方々の方にも整備すべきだという方もいらっしゃいますから、やっぱりこの議論というのはどんどん政治も政府の方も活性化して、しっかりとしたものを作るということが非常に大事だというふうに思います。  続いて、社会保障協定についてお伺いいたします。  スペインとの協定締結交渉において、労働災害保険については日本スペイン、いずれの国の労災保険にも加入しないという状況が起きるかもしれないということを問題視したスペインの方が国内法を改正して協定の条文も何か調整したと、空白を埋めるという措置をとったというふうに聞いています。今後、社会保障協定締結するという場合に当たっては、保険料の二重負担という問題の解消というものに加えて空白を生み出さずに国民が適切に社会保障を受けられる状況を確保するということが必要だと思いますけれども外務省の認識をお伺いしたいと思います。
  194. 北野充

    政府参考人(北野充君) お答え申し上げます。  社会保障協定締結につきましては、年金の制度を中心といたしまして、保険料の二重負担の問題や年金の掛け捨ての問題の解消を図るということを主たる目的としているところでございます。  一方、社会保障制度というのは、御指摘のように大変広うございまして、年金の問題以外にどこまでこれを広げてやっていくかというふうなことが当然検討されるべきところでございます。対象とする範囲を広くすればその分調整をすることが難しくなりますけれども、今委員からも御指摘がありましたように、より広い範囲について調整をすることのメリットというのもございますし、またスペインのケースについて御指摘がありましたけれどもスペインのケースのように、年金の制度について適用調整を行ったことの帰結として、それとリンクをしてほかの制度について適用調整を行うべきというふうな事情というのも生じるということがございます。このようなことは、外国において活動する我が国の国民が社会保障の適用を適切に受けるという観点から非常に重要であるというふうに考えております。  政府といたしましては、二重負担の解消の問題に加えまして、外国において活動する我が国の国民が社会保障を適切に受けることができるということの重要性を認識をして、今後ともそのような立場に立って社会保障協定締結努力を進めていきたいというふうに考えております。
  195. 佐藤正久

    佐藤正久君 社会保障というのは年金だけじゃありませんから、今言われたようにやっぱり保険というものもございますので、海外で働く日本人が不利益にならないように、しっかりとまた協定の交渉というものを進めていただきたいと思います。  あと、東南アジアの方を見ますと、フィリピン、タイ、マレーシア、ブルネイ、インドネシア、シンガポール、ベトナムとは、経済連携協定というものを締結しただけではなくて、ASEAN全体ともEPA締結に合意をして、昨年の十二月一日に発効しております。  一方で、社会保障制度というものについては、東南アジアの諸国が十分に発達していないということが理由だと思うんですけれども、我が国はASEAN諸国と社会保障協定締結交渉をまだ行っていないというふうに認識しています。東南アジアの諸国で働く日本人は非常に多いわけで、やっぱり必要性はあるんだろうというふうに思います。  ただ、当該対象国が社会保障制度がまだ十分整備なされていない、そういうことのために協定締結が遅れているというのであれば、やっぱりその東南アジア諸国の社会保障制度を整備するための支援というものをまず一丁目一番地としてやらないといけないのかなというふうに思います。そういう環境整備にやっぱり日本も積極的に参加するということが必要だと私は思いますけれども外務省の御見解をお伺いしたいと思います。
  196. 北野充

    政府参考人(北野充君) お答え申し上げます。  社会保障協定につきましては、二国間の公的年金制度に関する適用調整ということを通じまして相手国との人的交流あるいは経済交流というふうなものを促進する効果があるというふうに考えております。  ASEANの諸国との関係につきましては、外国人には年金の加入の義務が課されておらず、また二重負担の問題が生じていないということによりまして我が国にとって社会保障協定締結必要性が高くないという国もあるわけでございますけれども、同時に、今委員からも御指摘ありましたように、社会保障の制度が十分に発達をしていないということが社会保障協定締結可能性を検討するに当たってのネックとなっているという国があるということも事実であるというふうに考えております。  我が国といたしましては、途上国におきまして、社会保障分野の途上国への支援というふうなことを行うというのは途上国においての基礎社会サービスの提供ということになるわけでございますので、ODA大綱においても掲げております最重要課題の一つである貧困削減の達成に資するということであるというふうに考えております。  したがいまして、これまでも、社会保障を担当する行政官を対象としました研修の実施であるだとか、あるいは医療、社会保険のシステムを開発するといった取組を通じまして社会保障制度の整備に対する支援というのを行ってきているところでございます。ASEANについて社会保障制度が必ずしも十分でないという国があろうかと思いますので、今後も積極的に社会保障制度の整備のための支援を行っていきたいと考えております。  なお、一言付け加えさせていただきますと、ASEANの諸国の中ではフィリピンにつきまして、先般の首脳会談の一つの成果でございますけれども社会保障協定についての作業部会を開始をするということが合意をされたところでございます。
  197. 佐藤正久

    佐藤正久君 是非とも、多くの日本人が東南アジアで働いているわけですので、その整備の方をよろしくお願いしたいと思います。  次に、ウズベキスタンとの投資協定についてお伺いしたいと思います。  これまでも日本企業とウズベキスタン政府の間で交わした契約がうまく履行されていないというふうなこともあったというふうに聞いています。今回の協定においては、国家が日本投資家と結んだ契約についてはウズベキスタン政府が契約内容を遵守するというふうに義務付ける規定、アンブレラ条項第三条が設けられておりますけれども、この規定によってウズベキスタンにおける投資環境がどの程度改善されるというふうに認識されているんでしょうか。
  198. 兼原信克

    政府参考人(兼原信克君) お答え申し上げます。  現在、ウズベキスタンには十数社、我が国の企業が進出をしております。車両製造、通信等の分野で事業を行っております。過去には日本企業が事業撤退等を余儀なくされたという事例があったと承知しておりますけれども、最近ではウズベキスタン側において投資環境改善に向けた種々の努力が行われておりまして、今現在、外務省として、過去にあったような事例について報告には特段接しておりません。  御指摘の義務でございますけれども、本協定には御指摘のとおり、締約国が投資家との間で結んだ契約内容を遵守する義務、アンブレラ条項が明記されております。この結果、各締約国は、締約相手国との協定上の義務として、当該相手国の投資家と結んだ契約の内容を遵守、履行する義務があります。また、この協定には締約国と投資家との間で紛争解決手続について規定が設けられております。投資家は、契約の相手方である投資受入れ国による契約内容の不履行について協定上の紛争解決手続を活用することができるようになったわけでございます。  かかる規定を含む本投資協定に基づく仕組みを通して、我が国の投資家にとって事業を行う際に予見可能性と法的安定性が高まったということが言えると思います。また、ウズベキスタン政府による投資家との契約の遵守意識を一層高めたことになるのだろうと思っております。
  199. 佐藤正久

    佐藤正久君 最後に、ペルーとの投資協定についてお伺いします。  今回、日本とペルーの間ではEPAではなくて投資協定を優先させた、先行させた理由は何なんでしょうか。また、今後ほかの中南米諸国との投資協定締結を今考えておられるのかどうか、これも外務省の方にお伺いしたいと思います。
  200. 佐藤悟

    政府参考人佐藤悟君) お答え申し上げます。  EPA締結に先行して投資協定締結するか、あるいは投資章を含むEPAを締結するかについては、当該国との間のニーズ等を踏まえながらケース・バイ・ケースで検討しております。  ペルーとの間では、ペルーが豊富な鉱物資源を有し、我が国投資家の一層の進出が見込まれることから、ペルーにおける安定的な投資環境を確立することが喫緊の課題であったために、まずは投資協定を速やかに締結するということにいたしました。その後、南米、太平洋岸の成長市場であるペルーとの間でより幅広い形の経済連携を強化することが有益だと判断されましたので、本年四月、EPAの締結に向けて交渉の開始を決定し、現在交渉を進めているところでございます。  他の中南米諸国との投資協定につきましては、資源が豊富で、近年持続的な経済成長を通じて市場としても有望になっている中南米諸国との経済関係の強化が我が国としても重要であるということから、これまでにメキシコとチリとの間で投資章を含むEPAを締結しております。さらに、現在コロンビアとも投資協定締結に向けて交渉中でございます。  今後の投資協定につきましては、我が国は様々な要素、例えば我が国からの投資動向投資環境整備の必要性と我が国産業界の要望、エネルギー・鉱物資源の供給元としての重要性、政治統治能力、政情の安定性、政治的、外交的意義などなど、様々な要因を総合的に勘案しながら投資協定の相手国・地域について優先順位を付けて検討しているところでございます。中南米についても、このような視点から今後検討していきたいと考えております。  以上です。
  201. 佐藤正久

    佐藤正久君 終わります。
  202. 浜田昌良

    浜田昌良君 公明党の浜田昌良でございます。  先ほど白委員の方から、本日の朝刊でいわゆる中国のウイグル地区の治安当局との大規模な衝突の問題が取り上げられましたが、もう一つ本日の朝刊で大きく取り上げられている事項がございました。それはいわゆる核軍縮の問題でございまして、オバマ大統領がモスクワに訪問されておりまして、メドベージェフ大統領と会談をされ、STARTⅠの後継条約の大枠が合意されたわけですね。いわゆる核弾頭千五百以下、またミサイルという輸送手段まで五百から一千以下とする大きな進歩だと思っております。  こういうことが合意できた背景には、やはり米ロ間の信頼関係というのができてきたということだと思っているんですが、それでは日本を取り巻く東アジア諸国との信頼関係はどうなっているんだろうかということで、実は七月三日の神奈川新聞にこういう記事が載ったんですね。日本の核武装論懸念と、外相会談で中国側関心を持って注視という記事なんですね。  これ何かというと、六月七日の日中外相会談で、楊外相が北朝鮮核実験や核保有に強く反対する立場を表明すると同時に、北東アジアの平和と安定の維持の重要性を強調した、その流れで日本国内の核武装論と敵地攻撃論の台頭に言及したと。中国の閣僚レベルが日本に対して直接懸念を示したのは初めてではないかと書いてあるんですけれども、これに対しまして中曽根外相は、日本の姿勢は変わっていないと説明して理解を求めた上で、北朝鮮に対する一層の影響力行使を中国側に求めたということで、同じような内容については、中国側は六月の二十四日の北京で開かれた外務次官級の戦略対話でも懸念を表明したということであります。日本の核武装の可能性をめぐっては、アジアの軍拡競争を誘発するとしてアメリカでも懸念を共有しているということで、この記事自身はワシントン発になっているんですね。  まず、こういう外相会談でこういう話があったのかについて、なかなか二国間の詳細についてはつまびらかにすることは難しいと思いますけれども、答えられる範囲でお答えいただければと思います。
  203. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 六月の七日に行われました日中の外相会談では、御指摘のようなやり取りはございませんでした。今委員が御説明されました報道は、これは米中関係筋が明らかにしたということでワシントン発となっておりますが、中国政府との間でのやり取りについては、今おっしゃいましたように、詳細を申し上げることは、また相手国との関係もございますので差し控えさせていただきますけれども、中国に対しましては種々の機会をとらえまして非核三原則を含む平和国家としての我が国の取組とか、また方針などについては累次説明をしてきているところでございます。
  204. 浜田昌良

    浜田昌良君 こういう中国側の懸念がその場ではなかったかもしれませんが、アメリカを通じてそういう情報が流れてきたと。  一方、我が国の国内では中国の核に対する脅威論も根強いわけですね。それがこの北朝鮮問題に加えて我が国のアメリカによる核の傘依存の論拠となっているわけでありますけれども、これはある意味ではいわゆる安全保障のジレンマという問題じゃないかと思うんですね。つまり、A国とB国が対立して、A国がB国に対する明確な安全保障を定め強化しようとすると、B国もA国に対して安全保障を強化すると。これが悪循環をして、平和のために安全保障が逆説的にかえって軍拡や軍事的緊張を呼ぶと、こういう現象のことを言うらしいんですが、そういうことがなるべく起きないように、是非この安全保障に対する日中間の相互不信の改善、これを取り組んでいただきたいと思うんですが、外務大臣に御見解をお聞きしたいと思います。
  205. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 現在、日中の両国におきましては、これはもう戦略的互恵関係ということで、これの包括的な推進に向けまして様々な分野において互恵的な協力を進めてきておるわけでありますが、安全保障の分野におきましては、防衛当局間のハイレベル交流とか、また艦艇の相互訪問とか、あるいは日中の安保対話、そういうものの開催などを通じまして今までも相互理解とか相互信頼、そういう関係の強化に努めてきたところでございます。  他方、中国は御案内のとおり、核とかミサイル戦略、それから海空戦力を中心に軍事力の近代化を進めておりますけれども、国防費は二十一年連続前年比二けたの伸び率を示しておりまして、近代化の内容とかまた国防費の内訳などの細部を含めて、その国防政策には不透明な部分もあるわけでございます。こういう国防政策とか軍事力の不透明性というのは、我が国を含む地域とか国際社会にとりましての懸念材料でありますが、また懸念事項でありますが、この点につきましては様々な機会を通じまして中国側には率直に伝えてきているところであります。私も中国の外相等にもこういうことは伝えてまいりました。  我が国といたしましては、引き続いて様々な対話とか交流とか、そういう機会に中国側に対しまして国防政策の透明性の向上を積極的に働きかけてまいりますとともに、我が国の安全保障政策についても十分理解をしてもらうということが大事でございますので、そういうことについてもこちらからも説明をし、相互理解、相互信頼を深めていきたいと思っています。
  206. 浜田昌良

    浜田昌良君 日米安保対話であれ日中外相会談であれ、いろんな場を通じて是非相互理解を深めていただきたいと思うんですね。まだまだ日本のいわゆるBMDの配備に対して中国側の理解が十分に得られた状況でもないと思います。  また一方で、日本は非核三原則と宣言をしておりますけれども、また中国は中国で無条件の核の先制不使用という宣言もしていますが、そういう核という面含めても、もう少し一段高めた相互信頼の議論を是非進めていただきたいと思います。  それでは、投資協定の話に入る前に、ミクロの投資じゃなくて世界の投資がどうなっているのかと、お手元に資料を配らせていただきました。世界的な投資マネーの拡大と問題点というのを経済産業省の通商白書やエネルギー白書のデータからちょっと調べさせてもらったんですが、いわゆる昨年のリーマン・ショック等の背景にやっぱりこういう大きな問題があるんじゃないかと私は理解をしております。  図の一を見ていただくと、二〇〇二年に世界の投資資金というのは約五十八・五兆ドルだったものが二〇〇七年に約倍増して百十一兆ドルになっているんですね。何が増えているかというと、この深い緑のところの年金、保険及び投資信託というのが当時の三十六兆ドルから倍増して七十四兆ドルになっていると。これどこの国が持っているんだというんで、右の表を見ていただくと、約半分、これ七十四・三のうちの約半分の三十五・五兆ドルがアメリカが持っているんですね。それ以外の国が半分持っていると。アメリカが何を持っているかというと、年金が圧倒的に多いわけですよ。十七兆ドルあるわけですよね。日本もその次にありますけど、年金が結構増えてきていると。  こう見てみると、今後、先進国で高齢化が進めば進むほど世界の投資資金というのは膨れ上がってくるんだなと。これをどう有効な投資に向けていくのかと。これだけ金が、アメリカの金があるんだから、アメリカの金が世界に流れているんだと思うとそうじゃなくて、右側、アメリカ国内の国債、機関債、社債の外国人の投資保有比率を見ると、二〇〇六年時点では、ブルーの線がこれは国債ですけど、二〇〇二年ころは四〇%あったものが二〇〇六年ごろには四七・七と上がっていますし、社債についても二〇ぐらいから二四・六、機関債についても一〇ぐらいから倍増の二一・三と。むしろ、これだけアメリカで金が余っているものが逆に、世界からも金が逆にアメリカに集中しちゃったと。それがいわゆるサブプライムローンというものに引き付けられていってしまったのが要因なわけですね。  一方、それが一部、そういうサブプライムローンだけじゃなくて商品相場にも行ってしまったというのが図の四でありまして、これはニューヨークの原油先物市場の出来高の推移を見ますと、今言った二〇〇二年のころぐらいまではいわゆる年間の出来高は四百億バレルぐらいだったものが、二〇〇八年には約一千四百億バレル、一千億バレルぐらい増えているんですよ。単純計算すると、一千億バレルに百ドル掛けると十兆ドルと、約一千兆円がどっと膨れ上がったということなんですね、これ。さっき言った百十兆ドルという金の一割ぐらいがここに流れ込んじゃったということなんですよ。  じゃ、だれがこういうところへ投資をしたのかと見てみると、図の五になるんですが、これが、当業者というところでずっとブルーで伸びているのがいわゆるスワップディーラーという人たちなんですよ。スワップディーラーって何かというと、小さい字で申し訳ありませんが、左の下にありますけれども、スワップディーラーと呼ばれる金融機関、投資銀行で油槽所とか備蓄設備を持っていると、いわゆるゴールドマン・サックスとかそういうところが石油タンクを持っているから当業者という、その業をやっている者として当業者になると建て玉という毎日の投資の枠を制限を受けないんですよ。そういうことでどんどんこれが増やした。一部ヘッジファンドなんかも下で、深い緑で増えていますけれども、これはヘッジファンドの方は非当業者ですから建て玉の規制はあると。こういうもので膨れ上がったわけですよ。  さらに、この右端に、図の六にありますが、株価とWTIの表を書きましたですけれども、株価の方はブルーの方、ダウのデータを書いているんですが、これは二〇〇七年の八月にパリバ・ショックってあったんですね。これ、フランスの大手銀行が傘下の投資銀行を三つ凍結しちゃったというので、金融的に株価が、ブルーが二〇〇七年の七月ぐらいから下がり始めるんですよ。そこの下がった金がどこに行ったかというと、その金がこの赤いところのWTIの方へ上がって、商品相場がばっと上がったという。  こういう金の動きがもう世界で起きちゃっていて、しかもその背景に高齢化を背景とした年金資金があるとすると、こういう金をいかに途上国の発展に向けていくのか、中進国の発展に向けていくのかということが非常に重要だと思うんですね。前回、これ実はIMFとIBRDの関係質問しようと思ったんですが、そういう国際的な機関がいろいろやるときに、こういう世界で約百兆ドルもあるこの資金をいかにこういう、単なるマネーゲームじゃなくて、また相場じゃなくて、世界の発展のために投資を向けていく、こういう努力を是非日本がサミット等の場を通じて提言していただきたいと思いますが、外務大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
  207. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 委員から資料に基づいて大変丁寧な御説明いただきまして、ありがとうございました。  昨年の十一月にワシントンでG20が開催されたわけですが、そこで第一回の金融・世界経済に関する首脳会合が開かれましたが、この十年弱の世界経済成長の中で、市場参加者が適正なリスク管理を怠ってより高い利回りを求めていったということなどが現下の世界経済危機の根本要因の一つであると、そういうふうな認識がそこで共有されたところでございますが、また、四月に開催されましたロンドンでのG20、ここにおきまして、各国は、今般の危機を克服をして、将来の危機を防止するために、国際金融機関に資金を与えてこれを改革、強化することで一致をしたところで、委員も御承知のとおりのことでございます。  このロンドン・サミットの合意に基づく国際金融機関の改革は、金融監督及び規制の強化などといいましたほかの措置とも相まって、金融市場の安定やそれから世界経済の発展に貢献していくものと期待をしているところでございます。我が国といたしましては、これらの措置の着実な履行に取り組んでいきたいと、そういうふうに考えています。
  208. 浜田昌良

    浜田昌良君 そういうマクロの場を通じて是非有望なところに金が流れるように、またこういう投機的な動きが早期に警戒してウオッチできるようにお願いしたいと思いますが、今度は具体的な話として、商品相場の乱高下というのは物づくりをしている者にとっては本当にこれはこたえてしまうわけですね。  それで、経済産業政務官に今日御出席いただいたんですが、この原油相場を最近見ますと、昨日のニューヨーク先物市場のWTIの価格を見ると、一バレル六十四ドルになっているんですね。一時期四十ドル以下だったのがまた上がり始めてきて、街角のガソリンスタンドで百二十円ぐらい超え出してきていると。また一息ついたら、この金がまた商品相場に入ってくるんじゃないかという、懸念されているわけですよ。  じゃ、どれぐらいこれが今まで国際の場で日本が主張してきたのかというのは、いろいろ商品相場に対する忠告とかやってきたんだと思うんですけれども、実際はリーマン・ショックがあった以降、結果的にはこの商品相場の値段が原油を始め穀物を始め下がったものですから、構造的な問題がまだ解決されずに温存されているんじゃないかと私は思っているんですよ。  経済産業省が中心となった新経済成長戦略フォローアップの中で、原油等の商品価格の高騰や、北海道洞爺湖サミットにおける商品先物市場の透明性の向上に関する合意を踏まえ、価格操縦等の不公正取引に対する監視や国際的連携体制の整備、商品投資状況のモニターの実施など、市場の透明性を図るということがこのフォローアップの中で書かれているんですが、具体的にはどんな対策を実施しているのか、経産政務官から御答弁いただきたいと思います。
  209. 谷合正明

    大臣政務官(谷合正明君) 新経済成長戦略フォローアップの中に明記された点でございますが、具体的な対策としましては、国際的な連携ということで大きく二つ、また二国間の連携ということで一つ紹介させていただきたいと思います。  一つは、昨年十月に設置されましたけれども、証券監督者国際機構、IOSCOの商品市場タスクフォースにおきまして、我が国としまして、現物の需給を踏まえた価格決定の重要性を主張しました。現物市場の情報の適切な把握の必要性等がそこで合意をされました。  また、二点目としまして、本年四月、これは我が国で開催されましたが、アジア・エネルギー産消国閣僚会合におきまして、商品先物市場の監視の強化や透明性の向上に関しまして、規制当局に更なる協調行動を要請することにつきまして参加国から賛同を得られました。続けて、五月に開かれました、ローマで開催されましたけれども、G8のエネルギー大臣会合でも、そうした産消国閣僚会合の結果に参加国の賛同が得られまして、繰り返しになりますが、商品市場の透明性の向上、店頭市場の監視の強化に向けた関係当局による努力を支持し、更なる協調行動を検討する旨が共同声明に反映されました。  一方、二国間の連携協力ということでありますけれども、昨年十月にはアメリカ、また本年五月にはイギリスとそれぞれ市場監視に関する協力の枠組み合意を行いました。  今後とも、こうした取組を通じまして、商品先物市場の透明性の向上に向けて国際的な働きかけを行ってまいりたいと思います。
  210. 浜田昌良

    浜田昌良君 今、谷合政務官の方から、いわゆる国際的な取組、二国間の取組を御紹介いただきました。IOSCOにおいては現物重視の価格設定、まさに重要だと思っています。それをしていただかないと物づくりの国はやっていけないと。産消国対話の中で規制当局の協調、これが重要なんですね。  その中で、さっきの、もう一度この表を見ていただきたいと思うんですが、図の五にあります、この一番多く伸びているスワップディーラーということなんですね。スワップディーラーってどうやっているかというと、実際はこれはもう店頭取引で、いわゆる相手が年金資金であったりとかソブリンファンドみたいな人たちに対してやり取りをして、当業者として振る舞っていると。これ当業者ではあり得ないわけですよ、実際は、相対でやっているわけじゃないし。  そういうものについては、問題点もこの注に、スワップディーラーが当業者と扱われていることから、アメリカ商品先物委員会でも区分を見直すことも検討していますというのが、これはエネルギー白書で注がちゃんと書いてあるんですが、これについては早々に、早急な改善を、こういうスワップディーラーを当業者から、定義から外せと、非当業者として毎日毎日の扱い量を制限すべきだと、こういうことを日本として強く主張すべきだと思いますが、もう一度御答弁お願いしたいと思います。
  211. 谷合正明

    大臣政務官(谷合正明君) この点につきましては、昨年の十一月の当委員会でも浜田委員から御指摘をいただきまして、大変ありがとうございます。  スワップディーラーにつきましては、日本におきましては、商品取引所法においてはこれを非当業者として扱っていると。しかしながら、日本において非当業者に分類されるスワップディーラーについて、アメリカでは自らの抱えるリスクのヘッジを行う場合、先ほど石油タンクを保有している場合とか事例も紹介していただきましたが、そういった場合には当業者に分類されるということであります。  これは、昨年の当委員会でも答弁させていただきましたが、アメリカの商品先物取引委員会、CFTCが昨年九月十一日に公表した報告では、まずスワップディーラーをすべて当業者の分類から外す、定期報告を求めるとともに必要なレポートを定期公表する、スワップディーラーに当業者とは異なる建て玉制限を課す、などの提言がされているということでありまして、それを受けまして、本年三月から広く一般から意見を聴取するパブコメを開始しておりまして、具体的な見直し作業が進んでいるものと承知をしております。  経済産業省としましても、このようなCFTCにおける検討の結果を注視しまして、踏まえつつ、商品市場の透明性向上策について、アメリカともしっかりと議論していくことが必要であると考えております。
  212. 浜田昌良

    浜田昌良君 今、アメリカでの検討状況も御報告いただきました。三月からパブコメも始まっているということでありますので、是非そういうものを注視していただいて、二国間の場を通じて日本の関心をしっかり伝えていただいて、二度とああいう、一バレル百四十ドルを超えたのかな、一時期、ああいうことが起きないようにお願いしたいと思います。  それでは、個別の投資協定の方に話移ります。  今回の投資協定では、先ほど同僚の佐藤委員も御指摘いただきましたが、資料、裏を見ていただくと資料二という、ちょっと小さい字で申し訳ございませんが、いろんな投資協定を比べた表を作らせていただきました。  この中で、特に、四ポツというやつですね、投資家との契約遵守義務、これが先ほど佐藤委員が御指摘されたアンブレラ条項というやつなんですよ。まずこのアンブレラ条項をウズベキスタンと設けなきゃいけなくなったような背景、これちょっと質問通告しておりませんので、役所からで結構ですので、どういうことが過去にあったのか、これについて御説明いただきたいと思います。
  213. 兼原信克

    政府参考人(兼原信克君) お答え申し上げます。  現在ではなくて過去の事例でございますけれども、過去にウズベキスタン側から契約不履行のような事例がございました。具体的には、カネボウと丸紅がウズベキスタン軽工業省、現在では軽工業公団になっておりますが、これと合弁で設立をした絹紡績製糸製造企業、シルクロード社というのがございます。一九九八年に設立をしまして、資本金二百万ドルでございました。従業員約四百名でございます。これが設立当初にウズベキスタン側が約束をした原料、これはくず繭でございますが、これの供給が実現をせず、二〇〇六年、丸紅が保有株式を売却して合弁から撤退したということでございました。
  214. 浜田昌良

    浜田昌良君 日本は現地に投資する場合はやっぱり物づくりで行く場合が多いわけですね。物づくりの場合は、そういう長期的に原料の供給であったり、そういうことが確保されないと困ってしまうわけでありまして、そういう意味では、そういう国にこういうことを守ってもらうというこのアンブレラ条項が非常に重要だと思っております。  ほかにも、今回の協定で重要な条項としては、この資料にありますようなパブリックコメント努力義務、いろんな法規制というものがどうなっていくのか十分ウオッチできる、また汚職防止努力義務、いわゆる腐敗がどうしても多ければなかなか現地企業の効率性も悪くなってしまうわけですから、そういうものを入れてもらう。また、投資自由化の中では、投資許可段階の内国民待遇、これは非常に重要だと思っています。これが、自由化をするためにはこれが一番重要な条項ですね。  そのほか、特定措置の履行要求の禁止、パフォーマンス要求というやつで、例えば原材料の調達規制とかよくありましたが、そういうものであったりとか、また自国民の雇用要求であったりとか、こういうものに対してなるべく制約を設けないようにしていくということを見ますと、いろいろマル・バツがいっぱい付いているんですが、ウズベキスタンというのがピンクのところの一番上にあるんですけれども、全部マルが付いているんですよ。そういう意味では非常に模範的な投資協定になっているんですね。  この前、日本とスイスのEPAが承認されましたが、それを含めて今二十二のいわゆるEPA又は投資協定があるわけですけれども、その中で全部がマルが付いているのはウズベキスタン、今回が初めてなんですが、そういう意味で、今言いました合計の六つの項目ですか、こういうものについてはなるべく今後の投資協定、又はEPAのスタンダードとして考えていくべきだと、こういう考えをすべきと思いますが、外務省からその見解をお聞きしたいと思います。
  215. 高岡正人

    政府参考人(高岡正人君) お答え申し上げます。  今先生から御指摘あった点はいずれも非常に重要なことだと思っております。  まずアンブレラ条項でございますけれども、これは御案内のとおりだと思いますが、締約国が相手国の投資家との間で締約した契約上の義務を遵守することについて、これを協定に基づく義務として改めて国と国との間で包括的に約束するものでございます。この条項に基づきまして、投資家は契約の相手方である投資受入れ国による契約内容の不履行について国際的な救済への付託を含む協定に基づく紛争解決手続に訴えることができることになります。こうしたことによりまして、締約国が投資家との約束を一方的に破棄又は変更することを抑止するとともに、法的な救済手段が提供されることとなりまして……
  216. 浜田昌良

    浜田昌良君 簡単な答弁をお願いします。
  217. 高岡正人

    政府参考人(高岡正人君) 投資家にとって大変重要な環境が与えられるということでございます。  そういうことでございまして、私どもといたしましては、これまで我が国が締結又は署名しておりますBITあるいはEPAの中でそうした、特に五つの協定の中で投資家との契約遵守義務というものを規定しております。  一般的に申し上げまして、国によってはこうした規定の受入れに難色を示す場合もございまして、常に投資家との契約遵守義務を規定することは必ずしも容易ではございませんが、外務省といたしましては、今後の投資協定、EPAの締結交渉においても、可能な限り投資家との契約遵守を協定上の義務となし得るような協定の挿入を目指していくことを基本としていく考えでございます。  同様に、パブリックコメントの努力義務、汚職防止努力義務、投資許可段階での内国民待遇、それから特定措置の履行要求の禁止、こうした事項も非常に重要でございます。これらが我が国、こうしたこれまでに締結された投資協定、EPAの中でも、そうした事項が含まれるよう努力しているところがございます。  国によってはこうした協定を盛り込むことに難色を示す場合もやはりございますけれども、しかしながら、我が国といたしましては、我が国企業による対外投資促進する上で投資先の国における自由かつ保護の厚い投資環境を整備することが必要と考えておりますことから、今後の投資協定、EPAの締結交渉においても、可能な限りこうした規定の挿入を目指すことを基本にしていく考えでございます。
  218. 浜田昌良

    浜田昌良君 答弁を短くしていただかないと質問できないんですが。  今の実はアンブレラ条項というのは、実はペルー協定では実現していません。これは前文にしか書いていない。そういう意味では、是非これを前文に書いたものがちゃんと実施できるように実施体制を考えてほしいと言っておきます。  また、ペルー協定では残念なこともあるんです。何かというと、FTA条項というのがあるんですね。これは、いわゆる二国間又は多国間の協定で第三国にある権限を与えちゃうといわゆる最恵国待遇の例外にしてしまうということなんですね。これをどんどん認めていくと、いわゆる最恵国待遇というガット・WTOの精神がどんどん損なわれていくわけですよ。  確かに、先ほど白眞勲委員から、日本はEPA遅れているじゃないかという御指摘もありました。それは私は、ある面ではしようがないといいますか、WTOという本来であればラウンドでやるべきものであると。それを、なかなかラウンドが進まないがゆえにEPAに行かざるを得なくなっているという状況があるんだと思うんです。  とはいっても、じゃ、EPA、EPAという、こういう投資協定の二国間で全部やっていけばいいかというと、それに相手にされない国も出てくるわけでありますので、そういう意味では、こういう二国間をやりながらも、やはりWTOというラウンドをしっかり努力していただくということを最後に外務大臣にお願いさせていただきまして、私の質問を終えさせていただきます。
  219. 井上哲士

    井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。  議題となっております四つの条約は賛成です。  前回に続いて、核兵器の持込みの日米間密約の問題について質問をいたします。  まず、外務大臣にお聞きいたしますが、実は昨日発売のサンデー毎日という雑誌で、大臣のお父上である中曽根康弘元総理と日本共産党の不破哲三元委員長が異色の対談をしております。その中でこの核密約のことも話題となりまして、中曽根元総理はこう言われているんですね。安保条約の下、領海通過や一時寄港もあり得ると考えるのが常識でしょう、米軍の艦船が日本に入るときだけ核を外すなど考えられないと、こう言われております。  核兵器の持込みを認める発言をされているわけでありますが、大臣はどうお考えでしょうか。
  220. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) まず、週刊誌のこの記事ですが、私も今初めて実は見たところですが、最後に不破氏から、密約文書は見ていないんですかと、それは見たことないねと、そういうようなふうに答えてあることを申し上げておきますが。  私どもとしては、もうかねてから申し上げておりますように、従来から申し上げておりますように、そのような密約はないということでありますし、また、歴代の総理、外務大臣もかかる密約の存在についてはもう明確に否定しているわけでありまして、このことは、総理あるいは官房長官の御答弁でもこれは明確になっているところでございます。
  221. 井上哲士

    井上哲士君 また過去の答弁を持ち出されるわけでありますが、同じ発言の中で中曽根元総理は、政府の非核三原則についてはその実態と形式的な表現や国会における答弁がある時代において乖離しているのは意識していましたと、こういうふうに言われているんですね。  今の言われたような答弁と実態が乖離をしていたということではないんですか。
  222. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) これ、今初めて記事見ますし、この発言の本意といいますか、それがどういうものか、私自身、ちょっと今見たばかりでよく分かりませんし、これは本人にお聞きいただくしかないんじゃないかと思います。
  223. 井上哲士

    井上哲士君 元総理がこの問題で国会答弁と実態が乖離をしていたということを言われているということは、私は大変重大だと思います。  その上で話を進めますが、政府は日本に核兵器が持ち込まれていないという論拠として、一九六〇年の藤山・マッカーサー口頭了解、それから岸・ハーター交換公文というのを挙げるわけであります。持込みの場合は事前協議が必要だけれども、事前協議がされていないので持ち込まれていないと、こういう理屈なわけでありますが。  そうしますと、一九六〇年以前は、この核兵器を搭載した米軍艦の日本の港湾での持込みというのはどういう扱いになったんでしょうか。
  224. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 政府といたしましては、今委員が御指摘の時期におきましても米軍による核持込みが行われていたとは承知いたしておりませんけれども、例えば昭和三十二年、一九五七年ですが、三月二十七日の予算委員会におきまして、当時の岸総理は、「この日本に駐留する部隊や兵器というようなものにつきまして、実際上日本の意思を無視して入ってくるということは現在までもアメリカはやっておりませんし、また日本としては、そういう場合において私は原子兵器等についての持ち込みについては、これに応ずる意思なしと断わる」旨答弁をされておられます。  ただし、現行の日米安保条約の発効以前は我が国への米国による核持込みに関しまして法的拘束力を有する約束は存在しませんでしたので、昭和三十五年に発効いたしました現行の日米安保条約及び関連取決めにおきまして事前協議制度という明確な法的枠組みを定めて核兵器の持込みを事前協議の対象としたことは、もう従来から累次御説明してきているところでございます。
  225. 井上哲士

    井上哲士君 当時は約束事はなかったと、取決めはなかったということでありますが、お手元に配付している資料は、これは実は二〇〇〇年にも国会に出したものでありますが、アメリカの公文書館で公開をされているアメリカの国務省と国防総省の安全保障担当が共同して作成をした公文書でありまして、「日本と琉球諸島における合衆国の基地権の比較」というものをお配りをしております。  原文と訳があるんですが、その八ページを見ていただきますと、その真ん中辺りに、核兵器搭載の米艦船が日本の港湾に寄港する慣行は一九六〇年以前に確立されたものであったと明確に書いております。  そこで、六〇年の安保条約の改定交渉の中でこの慣行をどうするかというのが問題になったわけですね。配付資料の一ページが、日米政府の協議の結果、五九年の六月二十日に合意をされ、六〇年の一月六日に藤山外相とマッカーサー氏が署名をした討論記録というものであります。  一項は藤山・マッカーサー口頭了解の内容の説明ですが、問題はこの口頭了解の作成に当たって考慮し了解をされた内容として挙げられている第二項なんですが、この第二項のCについてちょっと訳していただけますか。
  226. 羽田浩二

    政府参考人(羽田浩二君) 今委員の方からお配りになったこの文書というものについては、政府として内容についてコメントする立場にはありません。  その上で、この文書の今委員の方から御指摘になったC項という箇所の英文の日本語での意味ということについてだけお答えすれば、おおむね次のような意味になると考えております。  事前の協議は、合衆国軍隊の日本への配置に関する重要な変更の場合を除き、日本への合衆国軍隊及びその装備の配置、米軍機の立入り、米艦船の日本の水域及び港への立入りに関する現行の手続に影響を与えるとは解釈されない。  以上でございます。
  227. 井上哲士

    井上哲士君 実は訳文は六ページに付いておるんでありますが、きちっと向き合っていただきたいと思って、あえて訳していただきました。  これ、立入りについてはこれまでの手続に影響を与えないということで五〇年代には確立していた核の持込みを認めるという内容でありまして、これがまさに密約文書なんですね。署名の当日にマッカーサー氏がハーター国務長官に送った公電によりますと、原本は秘密指定、日本が保持する複写は後で厳秘指定されることになっているという取扱いまで報告をされております。  この存在がさっきの四人の元次官の証言で裏付けられたわけですね。元次官のC氏はあの共同通信の報道で、この日本側文書が外務省にあると、全く一言一句変わらないことが書かれていると述べているわけですね。つまり、この英文の討論記録と一言一句変わらないものを日本が保持しているということを日本側の当事者が裏付けたわけであります。  さらに、村田氏の実名証言でそういう存在を一枚紙で事務次官が引き継いできたということも言われてきたわけで、是非、外務省、しっかり調査をして、この討論記録を提出をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  228. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 政府といたしまして、核搭載艦船の寄港それから領海通過はもう事前協議の対象としないということを大平外相が確認したとの事実を承知していないということにつきましては、もう従来から説明を申し上げているとおりでありまして、またそのような趣旨を目的とした大平・ライシャワー会談というものは当時の記録にございません。  また、一九八一年当時の国会におきましても、既に当時の鈴木総理から、先ほども答弁申し上げましたけれども、「大平さんはそういうことを言っておらない、後の外務大臣にもこのことを引き継いでおらない、外務事務当局も一切承知しない、記録もない、」と答弁をしておりまして、政府として結論を出しております。この点は、その後も歴代の総理、外務大臣からも繰り返し説明をしているとおりでございます。
  229. 井上哲士

    井上哲士君 大平・ライシャワー会談というのは一九六三年のことなんです。私が言っていますのは、これは一九六〇年に藤山外務大臣と当時のマッカーサー氏が署名をした討論記録があるはずだと、そういう証言も外務次官がしていると、これを出していただきたいと言っているんですが、いかがですか。
  230. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 政府といたしましては、先ほど申し上げましたけれども、核搭載艦船の寄港それから領海通過は事前協議の対象としていないということを大平外相が確認したとの事実を承知していないということにつきましては、今申し上げましたとおり、従来から説明をしているとおりでありますが、いずれにいたしましても、米側は、事前協議に係るものも含めまして、安保条約及び関連取決めに基づく日本に対する義務を忠実に履行すること及び事前協議については日本政府の意思に反して行動することはない旨を繰り返し述べておりまして、政府として本件の文書を米側から入手し、また提出する必要はないと、そういうふうに考えております。
  231. 井上哲士

    井上哲士君 先ほど大平・ライシャワー会談のことを言われましたが、今示したこの討論記録があったにもかかわらず、次の池田総理が寄港なども持込みに当たるという国会答弁をしたと。そこで、アメリカ側でそれが大問題になったわけですね。  提出資料の英文の五ページ、訳では八から九ページにこういう経過を明らかにしておりますが、ケネディ大統領の下で会議を行って、当時のライシャワー駐日大使が大平外務大臣と会って確認しろということになって行われたのが一九六三年のこの秘密会談であるわけです。そのやり取りは先日の質疑で犬塚議員が示しました。  そのライシャワー氏が本国に送っている公電では、先ほど示したこの討論記録、その二のA項と二のC項を持ち出して、核持込みというのは事前協議の対象だけれどもいわゆるエントリーについては対象にならないという中身を大平さんに言ったら、自分は知らなかったけれども了解したと、こういうことを言っているわけですね。  重要なのは、この大平・ライシャワー会談の記録文書が存在しているということを先日の共同通信のあの四人の証言のうち三人が同じように認めているということです。例えばA氏は、大平氏が外相だったときに確認したということも秘密の文書に書いてあり、それも読んだことがあるというふうに言っています。B氏、C氏も同じように言っているわけですね。  そこで、こういう同じようなケースは沖縄返還に伴う密約でも起きております。アメリカに公文書があるのに日本が否定していると。これは今、作家の澤地久枝さんらが情報公開を求めている訴訟を行っておりますが、六月十六日の公判で裁判官が異例の発言をしているんですね。アメリカに密約文書があるんだから日本側にも同様の文書があるはずとの原告の主張は十分理解できる点があるというふうに述べて、国側に対して、ないと言うのだったらアメリカの公文書をどう理解すべきなのか説明しろ、ない理由を出せと、こういうことまで裁判所ですら言われているわけでありますね。  こういう指摘については、司法からの異例の指摘でありますけれども、どう受け止めていらっしゃるんでしょうか。
  232. 羽田浩二

    政府参考人(羽田浩二君) 六月十六日に、今委員指摘のとおり、本年三月に国を被告として提起された情報公開に関する行政事件訴訟の第一回口頭弁論が東京地裁で行われました。本件情報公開請求に関する不存在による不開示という決定は、情報公開法に基づき適切に判断して行ったものであります。  本件は訴訟係属中であり、詳細についてはコメントを差し控えますけれども、裁判所からの指摘も踏まえ、裁判の場においても政府側の立場をしっかりと説明して、適切に対応していきたいと考えております。
  233. 井上哲士

    井上哲士君 核兵器廃絶への重要な流れがある中で、その先頭に立つべき被爆国日本が、国是である非核三原則にかかわる問題で国民を欺く態度を取っているということでは、その役割を果たせないと思います。世界に核兵器廃絶でしっかり物が言えるように、真実を明らかにし、秘密合意を破棄をするという点で大臣の決断をお願いをしたいし、あわせて、国会に対して虚偽答弁が続けられてきたわけですから、これはやっぱり国会として真実を明らかにする必要があると思います。  是非、国会の責務を果たすためにも、与党の皆さんにも村田次官らの証人喚問を是非賛同していただきたいと強く求めまして、質問を終わります。     ─────────────
  234. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、山本一太君が委員辞任され、その補欠として山田俊男君が選任されました。     ─────────────
  235. 山内徳信

    ○山内徳信君 議題となっております案件につきましては、私は賛成の立場を表明しておきます。  それでは、防衛大臣が今着席でございますから、まだ落ち着いていらっしゃいませんから、二番目の外務大臣の方にお伺いしたいと思います。  先週の二日、三日、金武町議会の議長外八名、合計九名の皆さん方が怒りの抗議、要請を展開をしております。アメリカ大使館を始め、政府関係機関に要請をしておりますことは、御承知のとおり、昨年の十二月十日、キャンプ・ハンセンの米軍実弾射撃訓練場から民間地域、伊芸区の自家用車の後部ナンバープレートを直撃した事件が起こりましたが、一発のこの弾をめぐって、いまだ米軍は事実を明らかにしておりません。したがいまして、この抗議、要請の趣旨は、今まで数限りなく事故、事件が起こってきたと、これはもうこれ以上我慢できないから、要請の趣旨は二点、キャンプ・ハンセン内レンジ7を含む伊芸地域の基地を全面撤去せよと、こういうことです。二番目は、日米地位協定の全面的見直しを求めるということであります。  したがいまして、このことについては終始一貫、もう何度も外務大臣にも防衛大臣にも申し上げてきました。沖縄におる海兵隊の訓練場から弾が民間地域に飛んでくる、沖縄をいつまで戦場のまま放置しておくんですか、このことについて答弁を求めたいんですが、求めても、結局、昨日職員が書いたものを読み上げるぐらいならば、答弁はここでは求めません。  したがいまして、両大臣に是非、その部隊長なり政府に呼んで、事実を明らかにせよと。どうして、このようなきつい、皆さんから、政府から抗議をして明らかにしないんですか。沖縄県の警察本部の言うこととアメリカ軍の言うこと、違うじゃないですか。弾が飛んで被害者になっておる地域の人々は、今回初めての事件じゃないんですよ。したがいまして、是非、外務大臣防衛大臣も真剣に自分の問題として受け止めてこのことに対応していただきたい。  そして、今のような政府ならば、私がなぜ回答を求めないとあえて申し上げたかというと、もう今の政府にこういうことを、地位協定とか被弾事件のことを申し上げても馬耳東風、全く具体的な対応策は過去においても講じてこなかった。したがいまして、日本の政治を、日本の政府の在り方、国民主体の政府にならなければ、このような難しい問題の解決はできないからであります。そういうことをきつく両大臣に申し上げて、次の質問に移りたいと思います。  さて、今日の質問の最初に、私は、防衛省が今年の六月十五日、沖縄県に提出をいたしました辺野古新基地建設計画に向けた環境アセスメントの準備書についてでございます。今日はこのことを時間の許す限り、じっくり事実を是非明らかにしていきたいと思います。  さて、環境省が発表しておりますこの図、担当職員いらっしゃいますか。表紙はこれです。そして、この中に、全部じゃなくして、十二ページの表二、それから十三ページの図五について質疑を交わしていきます。  まず、十三ページのこの図を御覧になっていただきたいと思います。私よりももう皆さんがこのことは十分承知をしていらっしゃることでございますが、ここに出ておりますジュゴンの追跡調査をしたこの図を見ますと、一番緑の濃ゆい部分は、これは何沖と言いますか、宜野座沖ですか、辺野古沖ですか、おっしゃってください。
  236. 長岡憲宗

    政府参考人(長岡憲宗君) お答え申し上げます。  環境省でございますけれども、御指摘の個体につきましては、宜野座沖で発見された後、辺野古沖をゆっくり北上し、長島、平島辺りでUターンをして南下したところでございます。
  237. 山内徳信

    ○山内徳信君 それは確認しておきます。  さて、ナンバー十六―九が宜野座沖から辺野古沖に回遊してまいりますね。それは短時間でもなくて七時間と十一分、そういう環境省の報告がありますが、そのことについて防衛省確認できますか。
  238. 長岡憲宗

    政府参考人(長岡憲宗君) 環境省の報告によりますれば、先ほど申し上げましたように、宜野座沖で発見された後、辺野古沖をゆっくり北上し、長島、平島辺りでUターンして南下したことが確認をされております。  当該個体につきましては、環境省によりますと、十時七分に宜野座村松田沖三キロメートルで発見された後、北東方向に遊よくし、辺野古崎に向かい、長島、平島の南東沖約四から五キロのところで反時計回りに南西方向へUターンし、七時間十一分追跡後、十七時十八分に宜野座沖に戻ったと承知いたしております。
  239. 山内徳信

    ○山内徳信君 辺野古新基地建設をめぐっては、その予定されておる場所は辺野古の海域ですね。そこに影響のある、すなわち今回のアセスメントの対象地域は辺野古と宜野座、特に宜野座の松田の陸域、海域が対象になっておると私は考えておりますが、そういう理解の仕方でよろしゅうございますか。
  240. 長岡憲宗

    政府参考人(長岡憲宗君) 環境省の報告書によりますと、先ほど申し上げましたように、その付近で確認されたということが書いてございます。
  241. 山内徳信

    ○山内徳信君 私は局長の考え方を伺っておるんです。
  242. 長岡憲宗

    政府参考人(長岡憲宗君) 環境省の調査でそういうことでございます。私どももそのように認識をいたしております。
  243. 山内徳信

    ○山内徳信君 今の質疑を通して明らかになったのは、やはり今回のこれで見ても、ジュゴンの回遊した海域は辺野古海域が中心になっていたということでございます。これは、環境省のこの資料で明らかになっております。  次に進めていきたいと思いますが、環境省のこの表二ですね、これはヘリコプターによるジュゴンのフォロー調査結果でありますが、緑の点々で示されておりますが、そのナンバー十六―九、ジュゴンの移動をこれは十五分ごとに示した環境省の記録でございます。  改めてここで質問いたしますが、このジュゴンのナンバー十六―九のジュゴンの右の欄では、辺野古沖をゆっくりと北上し、長島、平島辺りをUターンして南下していったと。このことを確認できるかできないかだけの話です、私の質問は。どうですか。
  244. 長岡憲宗

    政府参考人(長岡憲宗君) 過去のことでありますし、私どもの調査でありませんで、環境省の調査ですので、確認と言われてもなかなかあれでございますが、環境省の報告書でそういうふうに報告されておりますので、事実であろうと思っております。
  245. 山内徳信

    ○山内徳信君 余り自分たちの調査ではないからとかおっしゃらぬで、あなた方のアセスメントの基礎資料はほとんどジュゴン等々については環境省のものでしょう。ですから、それは持って回らぬで、そうですと、確認できますとおっしゃったらいいと思います。  あと三分ありますから、あと一つ進めていきたいと思います。  皆さんのアセスメントの資料を見ますと、金武湾から宜野座村沖のジュゴンの頭数は二頭と、二頭と記載されております。ところが、環境省のこの表、表の二では、ナンバー十六―一、ナンバー十六―二、ナンバー十六―六、ナンバー十六―九が宜野座沖で発見されたとしているが、なぜ頭数を二頭しか防衛省のものには記載していないんですかということと、辺野古沖を回遊していたナンバー十六―九をなぜ皆さんはちゃんと準備書に記載しなかったのか、このことについてお答えください。
  246. 長岡憲宗

    政府参考人(長岡憲宗君) 御指摘の環境省の調査でございますけれども、それによりますと十六年度に延べの四頭が確認をされております。ただ、この四頭とも個体識別ができていないことから、私どもの準備書の第六章の表におきましては、これはジュゴンの最小発見個体数でございますので、その記載に当たりましては、環境省の調査で二頭同時に発見されまして、明らかに別の個体であるということが分かる二頭を最小発見個体数として記述をさせていただいております。  それから、先回もお答えしましたけれども、私どもの準備書の六章におきましては、エリア分けをして整理をさせていただいておりますので、御指摘の十六―九のジュゴンにつきましては、宜野座沖―金武湾の分類で整理をして記述させていただいたところでございます。
  247. 山内徳信

    ○山内徳信君 もう時間だと思いますから、私はここで、引き続きこれは次回に回しますが、あなたが、局長がそんなことをおっしゃるんだろうと思ったから、私はこの図五を持ってきてあります。したがいまして、今の答弁が虚偽答弁になることを皆さんはお気付きでないんですか。これがどうして、辺野古沖であって、あなたもこれをさっき認めたじゃない、これは。  ですから、今、中途半端でありますが、これで終わります。
  248. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  まず、投資自由化促進及び保護に関する日本国ウズベキスタン共和国との間の協定締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  249. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  次に、投資促進保護及び自由化に関する日本国ペルー共和国との間の協定締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  250. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  次に、社会保障に関する日本国スペインとの間の協定締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  251. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  次に、社会保障に関する日本国イタリア共和国との間の協定締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  252. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  なお、四件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  253. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  254. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 次に、所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国とブルネイ・ダルサラーム国との間の協定締結について承認を求めるの件及び所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国カザフスタン共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件の両件を一括して議題といたします。  政府から順次趣旨説明を聴取いたします。中曽根外務大臣
  255. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) ただいま議題となりました所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国とブルネイ・ダルサラーム国との間の協定締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  政府は、平成十九年十一月に、ブルネイとの間でこの協定の交渉を開始いたしました。鋭意交渉を行った結果、平成二十一年一月二十日に東京において、私とボルキア外務貿易大臣との間でこの協定の署名が行われた次第であります。  この協定は、日・ブルネイ両国における所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止について定めるとともに、配当、利子及び使用料に対する源泉地国課税の限度税率等を規定しております。  この協定締結により、我が国とブルネイとの間での課税権の調整が図られることになり、両国間の経済的交流、人的交流等が一層促進されることが期待されます。  よって、ここに、この協定締結について御承認を求める次第であります。  次に、所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国カザフスタン共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  政府は、平成十九年十二月に、カザフスタンとの間でこの条約の交渉を開始いたしました。鋭意交渉を行った結果、平成二十年十二月十九日に東京において、私とカマルディノフ駐日大使との間でこの条約の署名が行われた次第であります。  この条約は、日・カザフスタン両国における所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止について定めるとともに、配当、利子及び使用料に対する源泉地国課税の限度税率等を規定しております。  この条約の締結により、我が国とカザフスタンとの間での課税権の調整が図られることになり、両国間の経済的交流、人的交流等が一層促進されることが期待されます。  よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。  以上二件につき、何とぞ御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願いいたします。
  256. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  両件に対する質疑は後日に譲るとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時一分散会