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2009-07-02 第171回国会 参議院 外交防衛委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十一年七月二日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  六月三十日     辞任         補欠選任         谷岡 郁子君     蓮   舫君      白  眞勲君     小川 敏夫君      佐藤 正久君     丸山 和也君  七月一日     辞任         補欠選任         小川 敏夫君     白  眞勲君      蓮   舫君     谷岡 郁子君      丸山 和也君     佐藤 正久君      山口那津男君     山本 香苗君  七月二日     辞任         補欠選任         谷岡 郁子君     米長 晴信君      鴻池 祥肇君     礒崎 陽輔君      山本 一太君     長谷川大紋君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         榛葉賀津也君     理 事                 浅尾慶一郎君                 一川 保夫君                 白  眞勲君                 木村  仁君                 小池 正勝君     委 員                 石井  一君                 犬塚 直史君                 風間 直樹君                 広中和歌子君                 藤田 幸久君                 米長 晴信君                 礒崎 陽輔君                 岸  信夫君                 佐藤 正久君                 長谷川大紋君                 橋本 聖子君                 浜田 昌良君                 山本 香苗君                 井上 哲士君                 山内 徳信君    国務大臣        外務大臣     中曽根弘文君        防衛大臣     浜田 靖一君    副大臣        外務大臣    橋本 聖子君        防衛大臣    北村 誠吾君    大臣政務官        防衛大臣政務官  岸  信夫君    事務局側        常任委員会専門        員        堀田 光明君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       野田  仁君        警察庁長官官房        審議官      西村 泰彦君        警察庁長官官房        審議官      石井 隆之君        警察庁刑事局組        織犯罪対策部長  宮本 和夫君        法務大臣官房審        議官       甲斐 行夫君        外務大臣官房審        議官       中島 明彦君        外務大臣官房審        議官       北野  充君        外務大臣官房参        事官       小原 雅博君        外務大臣官房参        事官       高岡 正人君        外務大臣官房参        事官       渡邉 正人君        外務省北米局長  梅本 和義君        財務省国際局次        長        中尾 武彦君        経済産業省貿易        経済協力局貿易        管理部長     上田 英志君        防衛省防衛政策        局長       高見澤將林君        防衛省運用企画        局長       徳地 秀士君        防衛省経理装備        局長       長岡 憲宗君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○刑事に関する共助に関する日本国中華人民共  和国香港特別行政区との間の協定締結につい  て承認を求めるの件(第百七十回国会内閣提出  、第百七十一回国会衆議院送付) ○領事関係に関する日本国中華人民共和国との  間の協定締結について承認を求めるの件(内  閣提出衆議院送付) ○国際通貨基金における投票権及び参加を強化す  るための国際通貨基金協定改正及び国際通貨  基金投資権限を拡大するための国際通貨基金  協定改正受諾について承認を求めるの件(  内閣提出衆議院送付) ○国際復興開発銀行協定改正受諾について承  認を求めるの件(内閣提出衆議院送付) ○投資自由化促進及び保護に関する日本国と  ウズベキスタン共和国との間の協定締結につ  いて承認を求めるの件(第百七十回国会内閣提  出、第百七十一回国会衆議院送付) ○投資促進保護及び自由化に関する日本国と  ペルー共和国との間の協定締結について承認  を求めるの件(内閣提出衆議院送付) ○社会保障に関する日本国とスペインとの間の協  定の締結について承認を求めるの件(内閣提出  、衆議院送付) ○社会保障に関する日本国イタリア共和国との  間の協定締結について承認を求めるの件(内  閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日までに、山口那津男君及び谷岡郁子君が委員辞任され、その補欠として山本香苗君及び米長晴信君が選任されました。     ─────────────
  3. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 異議ないと認めます。  それでは、理事白眞勲君を指名いたします。     ─────────────
  5. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  刑事に関する共助に関する日本国中華人民共和国香港特別行政区との間の協定締結について承認を求めるの件外三件の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣官房内閣審議官野田仁君外十五名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 刑事に関する共助に関する日本国中華人民共和国香港特別行政区との間の協定締結について承認を求めるの件、領事関係に関する日本国中華人民共和国との間の協定締結について承認を求めるの件、国際通貨基金における投票権及び参加を強化するための国際通貨基金協定改正及び国際通貨基金投資権限を拡大するための国際通貨基金協定改正受諾について承認を求めるの件及び国際復興開発銀行協定改正受諾について承認を求めるの件、以上四件を一括して議題といたします。  四件の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 犬塚直史

    犬塚直史君 おはようございます。民主党の犬塚です。  この協定四本は賛成であります。賛成ですが、中の今後の留意していただきたい点等をよく踏まえまして今日は質問させていただきたいと思いますが、まずその前に、先日地元の長崎に帰りましたらば、西日本新聞の一面トップにまた核兵器持込みということについての大変大きな記事が載っておりましたので、少しお時間をいただきまして、協定四本の前にこのことについての質疑をさせていただきたいと思います。  前回もこの件は質疑をしたんですが、まあはっきり言って建前しか返ってこないということだと思うんですけれども、もう一度、ここに何度も、前回は四名の名前なしの外務事務次官という形で密約があったという報道だったんですが、今度は実名が入って、村田良平外務事務次官と、この方の名前が出て、しかも、もし要請があれば国会で証言をするということに大変強い可能性と意欲を見せているということであるらしいです。  これ、こういう質問をして一体どこに話を持っていくのかということをまず申し上げたいんですが、私は、個人の立場としては非核原則はしっかりと堅持をすべしと、その上で、今北朝鮮あるいはその背後にあるロシアとか中国とか核大国がいるわけですから、この非核原則堅持をして、その上で北東アジア非核条約締結すべしと、そのためにはやっぱりここをはっきりさせなきゃいけないだろうと、そういう立場質問をさせていただきます。  そこで、これだけいろいろ出てきますので、いろいろ調べたところ、アメリカノーチラス研究所というところが出しました一九九九年七月の七十三ページの資料が出てまいりました。今日はこれに基づいて、そのある程度の部分はお手元に配付をさせていただきました。  これは何かといいますと、米国の情報公開法に基づいて合計で公文書二十四件、この公文書はそのうち二十件が米太平洋軍司令部、四件が米国務省、二件がミッドウェー司令部、一件がキティーホーク司令部等々、こういうものに基づいてこのレポートが書かれているわけなんですね。  そこで、まず防衛大臣に伺いますが、この核に係る日米共同訓練というのは今まであったんでしょうか。
  9. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 自衛隊自身訓練日米共同訓練におきまして、米軍による核兵器使用を想定した訓練は行っておりません。  また、米軍日本核兵器使用を想定した訓練を行っているかについては、防衛省としては承知をしておりません。
  10. 犬塚直史

    犬塚直史君 そこで、お手元に配りました資料のうち、皆様に見ていただきたいのは、このシンクパック・コマンド・ヒストリー、一九六二年というものを配っております。  これは、米太平洋軍司令部正式文書で、この表紙の一番下に書いてあるんですが、スペシャル・ハンドリング・リクワイア、まあ取扱注意と、ノット・リリーサブル・ツー・フォーリン・ナショナルと、要するに、外国人に対してはこれは出してはいけないというような機密文書であったんです。それが先ほどのノーチラス情報公開の一連の作業で出てきたということなんですけど。一ページめくっていただいて、US・ジャパン・エクササイズというところがあります。ここは米日合同演習と、まあそういうふうに訳していいと思うんですが、その中の、第三回防空演習つまり下から四行目の後半、ザ・サード・エア・ディフェンスというところから、防衛省、訳していただけますか。
  11. 徳地秀士

    政府参考人徳地秀士君) お答え申し上げます。  今御指摘資料につきまして、この内容そのものについては防衛省として責任を持ってこのとおりであるということは申し上げることはできませんし、内容の真偽について不明な部分もございますけれども、御質問でございますので、あえて私どもの方で仮訳をいたしますと、次のように訳すことができると考えられます。  第三の防空訓練の目的は、航空攻撃及び防空の能力の調整及び、またその次のニュークリア・ブロードキャスト・プロシージャーのところも、これも全くの仮訳でございますが、核放送手順検証である。太平洋空軍、第七艦隊、戦略空軍及び日本航空自衛隊に属する部隊が参加したと。  訳としてはこういうふうになると思いますけれども、この年に実施したとされるここに示されている四つの共同訓練につきまして、我が方には海上自衛隊米海軍掃海訓練を実施したとの記録はございますが、航空自衛隊が一九六二年に日米共同訓練参加したと、そういう記録確認をされておりませんので、念のために申し添えさせていただきます。
  12. 犬塚直史

    犬塚直史君 今のお答えで、内容については確認が取れないというか、内容については更に検証しなきゃいけないというようなまずは前振りがあったんですけれども防衛大臣、これは米太平洋軍司令部正式文書なんですね。防衛大臣米太平洋司令部正式文書は信頼置けないという文書であると考えますか。
  13. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 我々とすれば、これは米側の書いた資料でございまして、我々の方で今まで確認のしようがなかったわけでありますし、その意味では、もしもその先生のおっしゃることがこれは正式な文書であるということであれば、アメリカ側からすればそれは正式な文書だというふうに思いますし、ただ、我々とすれば、今後、今先生の御指摘のように、このアメリカの、我々の方のそのいろいろな訓練データ等も照らし合わせてもそういった事実がないということが出てくるわけでありますので、そこのところは、我々の方としては、今我々の方のサイド資料判断をするときにはそういったことがないと、今お答えをしたとおりだと思っておるわけでありますので、その意味では、先生がおっしゃるように、私どもが、アメリカ文書、今の文書を正しいか、間違っているかというふうな判断ということではなくて、厳然たる事実としてその文書があるということだと思います。
  14. 犬塚直史

    犬塚直史君 今、もしも正式なものであればと初めにおっしゃったんですが、だから私は、このオリジナルのこの汚いコピーですが、オリジナル事前防衛省の方にお渡しをして、その上で、仮訳もお渡しをして、これでいいでしょうかというふうに渡しているわけですよね。もし内容について疑問があるんであれば、これは文書自体はあるわけですから、今日こうやって質疑に出てこられる前に確認をするべきだったんじゃないですか。
  15. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) あくまでもこれは米側文書でありますし、それと、先生が御指摘があって我々も調べたわけでありますので、その意味ではこの文書というもの、我々のサイドの方と照らした結果、そういった記述がないという事実を我々としては御報告をしたわけでありますので、先生、そこでこれの文書に対しての認識を問われても、これが正式文書と今先生がおっしゃいましたので、我々とすれば、これはそれとのすり合わせをしただけでありますので、これが正しいとか正しくないとかという判断を下したわけではありません。
  16. 犬塚直史

    犬塚直史君 それでは、自衛隊が持っている資料記録との検証をしていただきたいと思います。  そこで、先ほどの仮訳質問なんですけれども、お配りした二ページの下から二行目のニュークリア・ブロードキャスト・プロシージャーズというところを、ちょっとよく聞こえなかったんですが、どういうふうに訳されたんですか。
  17. 徳地秀士

    政府参考人徳地秀士君) 御指摘ニュークリア・ブロードキャスト・プロシージャーズというものが具体的にどういうものかということについて確認が取れておりませんので、これをどういうふうに訳すかということについても、私たちといたしまして明確なものがあるわけではございませんが、先ほど私は核放送手順というふうに仮訳として申しました。
  18. 犬塚直史

    犬塚直史君 済みません、核コウソウ手順、もう一回、済みません。
  19. 徳地秀士

    政府参考人徳地秀士君) そこのブロードキャストのところをどう訳すかという御指摘であろうかと思いますが、中身が分かりませんので、取りあえず放送というふうに今申したところです。
  20. 犬塚直史

    犬塚直史君 放送というと、NHKか何かの放送と同じ放送という言葉とダブってしまうので、むしろ核攻撃警報対処手順という方が正しいのかなと思います、まあこれは向こうにも話を聞かないと分からないと思うんですが。もしそうだとすれば、核攻撃があったときのその対処日米合同訓練をしたんだよというふうに取れるんですが、そういう解釈も可能ですか。
  21. 徳地秀士

    政府参考人徳地秀士君) 先ほど申し上げましたとおり、一九六二年に航空自衛隊アメリカとの間で共同訓練を行ったということがそもそも確認をされておりませんので、その意味でもこの記述が一体どういうことを基にして書かれたかということが分かりませんので、何ともお答えのしかねるところでございます。
  22. 犬塚直史

    犬塚直史君 それでは、次の質問に移ります。  防衛大臣に伺いますが、核に係る在日米軍訓練、これはあるんでしょうか。
  23. 徳地秀士

    政府参考人徳地秀士君) 先ほど大臣からもお答えありましたとおり、日米共同訓練については、米軍による核の使用を想定した訓練を行ったことはございませんし、それから、じゃ米軍が単独で核兵器……
  24. 犬塚直史

    犬塚直史君 大臣認識を聞いているんです。
  25. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 基本的に、我々とすれば、今先生から御指摘のあったこの訓練に関しましては、先ほども答弁を申し上げさせていただきましたけれども、そういったことは想定しておりませんし、今後もそういったことをやるということは、我々の今の現段階での訓練の、そういった想定したものを今の時点では考えていないということであります。
  26. 犬塚直史

    犬塚直史君 いや、大臣、そういう質問ではなくて、私が聞いているのは、在日米軍、要するに自衛隊関係なくて、在日米軍が今まで核の訓練日本の領土、領空、領海でやったことがありますかと、そういう認識はありますかと聞いているんです。
  27. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) いや、これは我々とすれば承知しておりません。
  28. 犬塚直史

    犬塚直史君 それで、今お手元に配った、今度は一九六七と書いてある資料の千ページの下から六行目のところにGENIEジェニーというんでしょうか、このGENIEの用語の解説があるんですけれども、ここのところを防衛省、翻訳してください。
  29. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) お答えいたします。  これは多分、ジェニーといいますか、発音的にはジニーじゃないかと思いますけれども、訳しますと、核弾頭付き誘導方式ではない空対空ロケット弾という、あるいは誘導方式でない核弾頭付き空対空ロケット弾というような訳になろうかと思います。
  30. 犬塚直史

    犬塚直史君 そのジニーですね、失礼しました、GENIE核弾頭が付いているロケット弾であると。  一ページめくっていただくと、今度は上から三分の一ぐらいのところにGENIE Japan74と書いてあるんですね。もっと前に、ちょっと二ページ戻っていただくと、七十四ページというのはこれなんですね。まあ真っ黒なんですけどね。真っ黒なんですよ、真っ黒なんです。しかし、このGENIEというものが核弾頭が付いているミサイルであると、そして日本というところにこれ一ページを割いていると。  実は、先ほどのこの大部のレポートを見ますと、もうちょっとこれいろいろと分析をしてありまして、はっきり言えば、日本緊急配備のこのときは予定があったと、そういうことなんですけれども、当時、佐藤栄作元首相が非核原則を表明していたんですけれども、この一九六七年時点日本空対空核ミサイル配備計画があったというふうに考えられる資料なんですが、防衛大臣、そこのところは考えられますか。
  31. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) いや、私、今のこの時点で我々としてはそういった今先生の御指摘のあるところを、私自身も今承知をしておりませんので、そういったことがあったかなかったかとか聞かれても、今のところはお答えができないということであります。
  32. 犬塚直史

    犬塚直史君 それでは、防衛大臣防衛省の方々はこれで結構ですので、御退席をしていただいて結構です。  それで、今度は梅本北米局長に伺いますが、六月二日の当委員会で同じ質問をしたときに、「報道にありますような密約なるものは存在いたしません。」と、実にきっぱりと答えていただいたんですが、そのとおりでよろしいんですか。
  33. 梅本和義

    政府参考人梅本和義君) まさに先般の本委員会でも御答弁申し上げましたけれども政府が従来から申し上げているとおり、御指摘のような密約存在をいたしません。この点については、歴代の総理大臣及び外務大臣がそのような密約存在を明確に否定をしてきていると、こういうことでございます。
  34. 犬塚直史

    犬塚直史君 密約があると実名入りで言っているのが村田良平外務事務次官なんですけれども、この村田事務次官は一九八七年から八九年に外務省事務次官を務められた方ですけれども北米局長はこの村田事務次官を御存じですか。
  35. 梅本和義

    政府参考人梅本和義君) 私が役所に入ったときは既に村田元次官は役所におられましたから、そういう意味では存じ上げているということでございます。
  36. 犬塚直史

    犬塚直史君 外務省トップである事務次官、大先輩が四名ですね、そういう密約があったと、しかし、言えないことであったと。そういう時期もあったんでしょう。  しかし、今のように船舶検査がどこまで行くか分からないと。しかも、北朝鮮核対策はどうしたらいいかという模索状態の中で、その裏には、北朝鮮どころではない、中国ロシアという核大国までいると。こういうときに、いつまでたっても同じ表面的な議論しかしないというのは、私は大変問題だと思います。  そこで、委員長に、この村田事務次官参考人招致を要望いたします。
  37. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) ただいまの件につきましては、後刻理事会で協議いたします。
  38. 犬塚直史

    犬塚直史君 そこで、外務大臣に伺いますが、核の持込み持込み意味というのはどういう意味なんでしょうか。
  39. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) ちょっとお待ちください。  米軍によります我が国へのいわゆる核兵器持込み、これは御案内のとおりすべて事前協議対象となっているわけでありますが、この持込みにつきましては、その中に寄港とそれから通過が含まれているということでありまして、これは日米安保条約第六条の中で、合衆国軍隊の六条の実施に関する交換公文の規定ですね、それとさらに藤山・マッカーサー口頭了解、これは昭和四十三年の四月二十五日のもので、国会にも文書で提出してありますものですが、それからいたしまして、合衆国軍隊装備における重要な変更を事前協議対象とすると、そういう交換公文、こういうものから明らかになっているところでございます。
  40. 犬塚直史

    犬塚直史君 いや、そういうことを伺っているんではなくて、今、非常に簡単な話なんですが、非核原則で核は持たない、作らない、持ち込ませないと、その持ち込ませないの持込みというのはどういう意味ですかとお伺いしているんです。
  41. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 持込みは、まさに我が国の領域に核を何らかの形でこれを、何というんですか、いわゆる持込みというか、持ってくるということですが、そこには寄港通過も含まれるということであります。
  42. 犬塚直史

    犬塚直史君 つまり、寄港通過持込みに入るということでよろしいんだと思うんですが。  そこで、ここにちょっと違うことが書いてありまして、先ほどのノーチラス研究所の論文の中に、当時のライシャワー大使が書かれた文章があります。これは外務省の方に翻訳をお願いしていたんで、読んでいただけますか。
  43. 梅本和義

    政府参考人梅本和義君) 今ここでお配りになったものでしょうか。
  44. 犬塚直史

    犬塚直史君 いや、配ったものではなくて、ノーチラス研究所の。
  45. 梅本和義

    政府参考人梅本和義君) ノーチラス研究所、ハンス・クリステンセン著、第四章、「秘密の合意」、「核の傘の下の日本」四十七ページというところでございますね。これは、その中にさらにライシャワー日大使の一九八六年の回想録が引用されておるわけでございまして、その部分ということで、これは「ライシャワー自伝」というのは文芸春秋社から徳岡孝夫さんの訳で出ておりますので、それを読ましていただきます。  アメリカ日本政府との事前協議なしには日本核兵器配備、貯蔵ないしは持ち込まないことで合意していた。しかし、標準装備として核兵器を持っているアメリカ艦艇をどう扱うかについては何も決められていなかった。私の理解するところでは、一九六〇年の日米安保条約改定時に口頭による合意があり、それによると、米艦艇に搭載して日本に持ち込み、持ち出す核兵器は、日本の領海に入る前の取り外しが事実上不可能なところから持込みとはしないとなっていた。最近になって当時の日米安保協議出席者の中から、問題は余りにデリケートだから討議すること自体を避けたが、核が艦艇上にある限り持込みは問題なしと日米双方が了解したという回想が明らかにされた。いずれにせよ、アメリカ側核兵器標準装備の一部として搭載されている限り、持込みは安保条約に定めた権利の範囲内と解釈したが、日本国民の大部分はそれを条約違反と見ていた。  だと思います。
  46. 犬塚直史

    犬塚直史君 今日は、済みません、たくさん翻訳していただいて。ありがとうございます。  これはライシャワーの論文ですので、これがこの委員会での議論に堪えるかどうかということがあると思いますので、もう一部今日はここに、お手元に一枚物の資料をお配りをいたしました。これは、一九六九年四月二十九日、NSC、米国家安全保障委員会から副大統領事務所あての書簡であります。この(4)のところを読んでいただけますか。これですね。
  47. 梅本和義

    政府参考人梅本和義君) 前後がありませんので、ちょうだいしたページ、これは二十五ページと書いてあるんでしょうか、それの(4)、「オンリー トランジット ライツ フォー ニュークリア アームド プレーンズ アンド シップス」と、ここでございますね。そこに書いてありますのは、日本は今、核兵器装備した艦船の通航をアクイエスしている、黙認している、この権利は自動的に沖縄にも及ぶこととなる、それで、括弧、この件は機微な話であり、厳重に取り扱われる情報である、括弧閉じというふうになっております。
  48. 犬塚直史

    犬塚直史君 外務大臣、この核持込みの、要するに米艦船に核が載っていて寄港するときに外していないというのは、もう機微な話でも何でもないと思うんです。  これはもう新聞報道にも過去何度も出ておりますので、ここで認めろとは言いませんが、もうそろそろ思考停止状態はやめて、我が国として非核原則を本当につくっていくのか、あるいは幻の非核原則で終わらせていくのかという議論を始めるべきだと思うんですけど、外務大臣、どうでしょうか。
  49. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 私どもは、再三申し上げておりますように、従来から政府としてはこのような、かかるそういう御指摘のような密約はないと、そういうふうに判断をしておりますし、また、先ほどから御答弁申し上げておりますように、歴代の総理大臣また外務大臣がこういう密約存在を明確に否定しているわけであります。  御案内かと思いますけれども、これは昭和三十八年の参議院の外務委員会における大平当時の外務大臣の御答弁におきましても、核兵器につきましては、政府が数年前から国会で御答弁申し上げているように理解しておりまして、持込みは認めないという不動の方針でおりますので、御理解いただきたいと。  それから、昭和五十六年、衆議院の内閣委員会における鈴木総理の御答弁でも、ライシャワーさんが当時の大平外務大臣に会ってこの問題で申入れをし、解釈を米側としてはこう考えている、それに対してはいと言った、オーケーと言ったというようなことを言っておりますが、大平さんはそういうことを言っておられない、後の外務大臣にもこのことを引き継いでおられない、外務事務当局も一切承知しない、記録もない、こういうことでございますから、私どもは、先ほど来御答弁申し上げておりますよう、岸・ハーター交換公文、そしてこれに伴うところの藤山・マッカーサー口頭了解、これを日米の確認された見解として今でも堅持しておるところでございますというように、総理大臣国会でも御答弁されておりますし、また、これも以前に御答弁申し上げたかもしれませんが、そのようなことを私自身外務省の職員から報告も受けておりませんし、外務省の幹部自身もそのような文書を見たこともないということでありますし、この密約はないということでございます。
  50. 犬塚直史

    犬塚直史君 今までのがちょっと周辺の資料だったんですが、最後のこの資料は、ライシャワー元大使が当時のラスク国務長官へ打った打電であります。これが、お配りしているのがその大本の原本であります。その中の当該部分、二ページ目のところに、今先回りして外務大臣言っていただきましたが、それと全く違うことが書いてありますので、外務省、済みません、これが最後ですから、翻訳して読んでいただけますか。
  51. 梅本和義

    政府参考人梅本和義君) このライシャワー駐日アメリカ大使からラスク米国務長官への公電、六三年四月四日付けというふうに書いております。  それで、これは実は二〇〇〇年に党首討論で共産党の不破党首から森総理にも質問がございまして、当時の森総理からもいろいろ御答弁、今外務大臣が御答弁されたような趣旨の答弁がなされているわけでございますが、ちょっと大変長いので、どこをちょっと翻訳するのかというのはなかなか難しいんですが、どこの部分をというふうに……
  52. 犬塚直史

    犬塚直史君 委員長、いいですか。  昨日、マーカーで一部分だけマークをした十行です。
  53. 梅本和義

    政府参考人梅本和義君) 昨日いただいたあれですか。これは、ライシャワー大使が大平外務大臣に発言をされている部分のちょっと途中からになっているんだと思いますが……
  54. 犬塚直史

    犬塚直史君 二ページ目の真ん中辺りですね。
  55. 梅本和義

    政府参考人梅本和義君) 二ページの真ん中のBというところでございますね。  私、これはライシャワー大使だと思いますが、私はアメリカ核兵器について、それを肯定も否定もしないと、その場所について、という政策を説明し云々というところに続いておりまして、そして、日本はある意味で特殊なケースであるというようなことを言われて、そして、そこから昨日のかぎ括弧としていただいた部分でございますが、そこは、ゆえに我々は事前協議なしに日本核兵器が持ち込まれたこともなく、持ち込まれることもないと言える程度に我々の基本的な立場を修正した。それから、イントロデュースの意味について、この持込みとは、日本の領域への配置や配備を行うことを意味する。そして、我々がこれまで日本語で持ち込むと言うときに、日本側は同じことを意味すると、我々、アメリカ側はそう想定をしていたということについても説明をしたというようなことがありまして、そして、大平外務大臣は次のように述べたというようなところに続いておりますが、そのとき大平大臣は、この解釈の下では持込み核兵器を搭載した艦船が日本の領海や港に入るとの仮定の場合には適用しないことになるだろうと述べ、そして、私はそれに同意をしたというふうな記述になっているということだと思います。
  56. 犬塚直史

    犬塚直史君 昨日、きちんとこれ通告しているんですから、もう少し誠意持ってやっていただきたいんですが。今の話では何が何だか分からないんですよね。
  57. 梅本和義

    政府参考人梅本和義君) 線を引いているところだけ読むとそういうことになりますので、ですから、今のような背景でもう一度読まさせていただきます。  まず、ライシャワーさんの発言として……
  58. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 梅本北米局長、結構でございます。
  59. 犬塚直史

    犬塚直史君 要は、そんな難しい話ではないんです。言葉をどういうふうに使おうかという、ただそれだけのことなんですね。  米側が言っているのは、イントロデュースと言っている。日本側が言っているのは、持込みと言っているんです。イントロデュースという言葉に米側がどういう意味を込めているかということがここに書いてあるわけですね。米側がイントロデュースという言葉に込めているのは、日本の要するに国土の上に核兵器を設置をしたり持ち込んだりしないということがイントロデュースだと言っている。しかし、これには米艦船が核兵器を積んで日本の港に寄港するということは入っていない。つまり、イントロデュースという意味は、つまり核兵器を持っている米艦船が日本の港に来ることは許容しているという、そういう意味なんですね。  その後に出てくるのは持込みという意味なんですけれども、大平当時の外務大臣がここで言っておりますのは、持込みという意味にもそういう内容を込めましょうと。米側はこれに賛同をしたと。つまり、我々が今ここで使っている持込みという意味は、当時の大平外務大臣アメリカ側が同意をしたイントロデュースという意味なんですよ。つまり、米艦船は持込み対象になっていないということなんです。それがここまではっきりここに書いてあるにもかかわらず、これを日本国内で聞くと全くこれを認めようとしない。つまり、議論にならないわけですね。  外務大臣、この打電文、これはもう正式な打電文ですよ。ここにきちんと原文が付いておりますけれども、これは外務大臣、信用できないとおっしゃるんですか。
  60. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 私自身がこの電報のコピー、又はこれはテレグラムですから電報なんですか、そういう文書の性格など、これが正確なものかどうか、信用できるかできないか、そういうことは私自身お答えする立場にないと思います。
  61. 犬塚直史

    犬塚直史君 私は、信用するしないというよりも、信用するしないという文書じゃないんです、これ。信用するもしないも、これ打電の公文のそのままの原本ですから、信用するもしないもないんです。  私が聞いているのは、ここで言っている核搭載米艦船が日本寄港することは核持込みと言わないんですかと聞いているんです。──外務大臣に聞いています。
  62. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 先ほど申し上げましたけれども、この核持込みの解釈でありますけれども、私どもとしては、この藤山・マッカーサー口頭了解、この中にあります、装備における重要な変更の中の核弾頭及び中長距離ミサイルの持込み並びにそれらの基地の建設というこの持込み、これの中には寄港通過が含まれているというふうに理解をしております。
  63. 犬塚直史

    犬塚直史君 ということは、米艦船が核を持ってきたものも核の持込みだと、こうおっしゃっているんですか。
  64. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 持ってきたものというのはどこまで、我が国の……
  65. 犬塚直史

    犬塚直史君 寄港した場合。
  66. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 寄港した場合、それは持込みになると、そういうことでございます。
  67. 犬塚直史

    犬塚直史君 ということは、核搭載の米艦船が日本寄港したら持込みになると今おっしゃいましたので、ここに書いている大平当時の外務大臣と全く違う御意見なんですけれども、そういうことでよろしいんですか。
  68. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 先ほども申し上げましたけれども、この文書につきまして、確かに今訳していただいたようなことが書いてあるのだと思いますけれども、これについて、これが正確なものかどうか等を含めて、私自身お答えする立場にはないと、そういうふうに思っております。
  69. 犬塚直史

    犬塚直史君 もう一度伺いますが、これは検証を必要とするような文書ではありません。ここでもうはっきりと、持込みという言葉は英語で言うとイントロデュースであって、イントロデュースというのは米艦船の寄港を除外していると、こう書いてあるわけなんですが、外務大臣はそれと今違うことをおっしゃっているんですけれども、もう一度聞きますが、米艦船の日本寄港持込みになるんですか。
  70. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 先ほどから申し上げておりますように、米艦船による核兵器などの寄港持込みに当たると、そういうことでございます。
  71. 犬塚直史

    犬塚直史君 この文書のタイトルがありまして、タイトルに何と書いてあるかというと、「ジャパニーズ フォーリン ミニスター アグリース ツー ライ アバウト ニュークリア ウエポンズ イン ジャパン」、つまり、日本外務大臣日本核兵器についてうそをつくことを同意したと、こういうタイトルの電文になっているんですね。  外務大臣、これもう古い話なんですよ、こういうことを今でも続けているから日本の外交力は先に行かないんです。つまり、北東アジア云々と言っても、日本が胸を張って非核原則がありますよと言っても、全く説得力がない。  つまり、アメリカで出ている、少なくとも何十年もたって公文書としてだれしもが取れるような文書にははっきり書いてあることさえも、日本でこの委員会では認めようとなさらない。つまり、思考停止になっているんですよ。そういうことで、外務大臣、政治のリーダーシップ取れるとお思いになりますか。
  72. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 文書を挙げて先ほどから御質問をいただいておりますが、我が国自身が、この政府が作成した文書ならまだしも、これについて、私どもが正確なものかどうかを含めて内容等についてもコメントする、お答えする立場にないと、そういうふうに思っております。  そして、大平外相のということでございますが、先ほども申し上げましたように、御本人が国会持込みは認めないと、それが不動の方針であるということを国会で御答弁されておられるということもありますし、私どもはそのように、密約はないと、そういうことでございます。
  73. 犬塚直史

    犬塚直史君 今おっしゃっているのは、自国で作った文書あるいは自国の国会の中での会議録は信に値をするが、他国のものは信に値しないと、こうおっしゃっているに等しいんですね。  それはなぜかというと、私は別に新聞の記事とかあるいはどこかの研究書を基にして言っているわけではなくて、米国国務省と在外公館の間の正式な公電をここにお持ちをして、それが今おっしゃっている正式な立場と違うから、そろそろ議論を前に進めましょうよということを申し上げているんですよ。にもかかわらず、これは全く信に値しないとおっしゃるんであれば、そもそも外交なんということはできないじゃないですか。
  74. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 私の言い回しがちょっと不正確だったかもしれません。外国の文書を一切信用しないとか認めないとか、そういう意味ではございません。  いずれにいたしましても、この文書につきまして内容も含めてコメントするということは、そういう立場にはないということになります。
  75. 犬塚直史

    犬塚直史君 それでは、次回までにしっかりと確認をしていただいて、この内容に基づいて更に審議を深めたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。
  76. 梅本和義

    政府参考人梅本和義君) 繰り返しになりますけれども、ただいま御提示いただきました文書は、二〇〇〇年に党首討論でこれは共産党の不破党首からも提出をされました。  それに対して森総理からは、この問題についてはもう数十年前から議論され、既に結論を得ている問題であると考えておりますと、貴党首からいただいた文書につきましても、これまで報じられているものも多いが、政府といたしましては、このような文書についてはコメントできないことについて、既に小渕前総理や私たちより申し上げているとおりでございますというふうにお答えになっているわけでございまして、それに付け加えることはございません。
  77. 犬塚直史

    犬塚直史君 梅本北米局長、議論を元に戻さないでくださいよ。今まで私は話をずっと詰めてきたにもかかわらず、しかも外務大臣質問をしているのに、横から入ってきて議論を元に戻すみたいなことはやめてもらいたい。大変大事な話をしていると思います。この話が以前どこの党が持ち出そうが、内容とは何のかかわりもないじゃないですか。  私が申し上げているのは、アメリカで信頼に足る文書の中で、しかもだれしもがアクセス可能なような文書の中で、今政府が持っている正式な立場と全く違うことが書かれていて、むしろこちらの方が私は信憑性があると。非核原則についてはもう既に幻の非核原則になりつつある、今ここで何とかしないといけないんじゃないですかと言っているんですよ。  それについて、この内容について更に精査が必要であれば外務省でしていただければいいんですよ。この次にはこれに基づいて議論をしたいということを外務大臣に申し上げているんですよ。いかがですか。
  78. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 次回までに確認をしてというお言葉、御意見でございましたけれども、このことにつきましては、これも前に御答弁申し上げておりますけれども、米国政府は日米安保上の対日義務は誠実に履行することと、そして事前の協議につきましても日本政府の意思に反して行動することないと。これ繰り返して明言しているわけでありまして、事前協議がない以上、核の持込みがないということについては私どもとしては疑いを持っていないということでございます。
  79. 犬塚直史

    犬塚直史君 議論がまた元に戻ってしまいます。もう一度また頭からやり直さなければいけないような答えをされたんですが、委員長、これ審議にならないんですけれども。  もう一度伺います。  今、米国の正式文書について内容を精査しなければ議論に値しないかのごとくの答弁をされましたので、それであるならば、次回までに内容を精査していただいて次回の議論をしていただきたいということをお願いしております。いかがですか、大臣
  80. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 先ほど、この文書につきましては、再三御答弁申し上げているとおりでございます。  ただ、私が、これも重ねて申し上げることになりますけれども、現在、米国政府との間では米軍からの事前協議、これがない以上は、もう私どもとしては核の持込みがないということについて全く疑いを有しておりませんので、米側に照会すると、そういうような考えはございません。
  81. 犬塚直史

    犬塚直史君 委員長、これでは審議になりません。
  82. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  83. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 速記を起こしてください。
  84. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 御指摘のこの文書、これは電文ですか電報でございますか、これが米国の公文書館で公表されているかどうかということは大使館を通じれば確認できると思いますが、この中身について、書かれている文書の中身について、これ、よその国のそういう文書について私どもがこの中身を確認する、昔の文書について確認するということではないと思っております。
  85. 犬塚直史

    犬塚直史君 答弁が不十分ですので、先ほど、村田良平外務事務次官参考人招致と申し上げましたが、証人喚問を要求いたします。
  86. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) この件につきましては、後刻理事会で協議いたします。
  87. 犬塚直史

    犬塚直史君 それでは、日・香港刑事共助協定について質問をいたします。  この協定について、ギョーザ毒物混入事件において日中捜査当局間協力がこれは必ず必要だと思われますけれども、今のところ、まだこの刑事共助協定を使って捜査を行うということにはなっていないと。昨日、お話を聞きましたら、中国側の捜査で必要があればこの条約を利用するというお話だったんですが、余りにも消極的ではないでしょうか。
  88. 西村泰彦

    政府参考人(西村泰彦君) 一般的に日本から相手国へ捜査共助を要請する場合と申しますのは、日本国内における捜査に必要な証拠を集めるために相手国に必要な証拠品の提供等を求める場合であります。  中国製冷凍ギョーザ毒物混入事件につきましては、日本において事件の発覚以来毒物の鑑定や販売ルートの特定などの捜査を進め、現時点において国内において行うべき捜査はほぼ尽くしているものと認識しています。こうした状況であり、また、中国国内におきましていまだ事案の解明に至っていないという状況にもかんがみますと、現時点では、日本国内で更に捜査を行うために中国側に証拠品の提供等の共助を要請する状況にはないものと考えております。  もちろん、今後、中国国内における捜査の状況に応じまして日本国内において新たに捜査の必要が生じた場合には、共助の要請を行い、証拠品の提供などを求めていくこともあり得ると考えております。また、中国側から共助の要請があった場合においても、日本側がこれに応じて必要な証拠品の提供等を行うことも当然あり得ます。  いずれにいたしましても、本事案の真相解明のためには日中捜査当局間の協力が必要不可欠であることから、引き続き外務省とも連携しつつ、様々な形で中国側と情報交換を行い、早期の真相解明に努めてまいりたいと考えております。
  89. 犬塚直史

    犬塚直史君 私はちょっと不思議なんですが、一方では多国間の協力であるICPOというのがあって、今回の刑事共助協定という二国間のものがあるということなんですけれども、どうしてこのICPOルートをもっと改善をしていって、現場の側から不備な部分ですとかあるいは改良点というものをもっとどんどんやって、これをマルチでやっていこうという動きにならないんでしょうか。
  90. 西村泰彦

    政府参考人(西村泰彦君) 中国との関係では、実は両国間で様々なレベルで情報交換、協議を行ってきております。したがいまして、その情報交換については私どもとしては様々な協力が進んでいるというふうに認識をしております。  今御指摘のICPOルートによる協力につきましては、捜査上有益な情報や資料を提供するというものでございます。他方、刑事共助条約に定める共助は、公判において必要とされる証拠を収集、提供することを主な内容とするものでございます。したがいまして、今後もそれぞれの特性に応じてこの両者のルートを活用していく必要があるというふうに考えております。
  91. 犬塚直史

    犬塚直史君 そこで、ちょっとこれは作っていただいて今朝いただいた資料なんですけれども、今現在、ブラジル、タイ、フィリピン、オーストラリア、ロシア、EU、スイスと、こういった国々で二国間の刑事共助条約に対して研究をしていたり、あるいは署名に至ったりということになっているんですけれども、例えばこのいただいた今年の五月に署名をしたロシアですと、二〇〇六年の十二月に第一回の交渉、翌年の三月に第二回、七月に第三回、十一月に第四回、去年の四月に第五回と。つまり、年に三、四回ペースで非常に早い詰めを行っているんですね。  ところが、ブラジルの方なんか大変日本に多いんですが、ブラジルとは二〇〇七年の十月に一回、そして翌年の同じ十月に一回、年一回ペースなんですね。これは必要性がないということでこういうことなんでしょうか。
  92. 北野充

    政府参考人(北野充君) お答え申し上げます。  我が国といたしましては、犯罪の国際化という傾向の中にありまして、今御審議いただいておりますような刑事共助協定というものを各国との間で締結をしていくということは非常に重要であるというふうに考えておりまして、今御指摘ありましたように各国との間で協議を進めているというところでございます。  各国との締結交渉についてのペースにつきましては、各国それぞれの事情がございまして、ブラジルとの間では司法分野作業部会ということで少し広い構えで議論をしているということでございますけれども、作業部会の中で出てきた様々な課題ということについてお互いにそれぞれ精査をした上で、次の部会につなげていくというふうな形の流れになっております。  ロシアにつきましては、今回御審議いただいているのと同様の刑事共助条約についての締結交渉ということで非常に的を絞った締結交渉に入りまして、今御指摘ありましたような形で署名に至ったところでございます。
  93. 犬塚直史

    犬塚直史君 外務大臣に伺いますが、こういう二国間の刑事共助を詰めていって更に増やしていくという過程の中で、ICPOをもっと有効なものにするという線も出てくると思いますので、これは積極的にやるべきだと思うんですが。例えばEU、いただいた資料ですと、今年に入ってからだけでも二回やっておると。やりたいところは多分たくさんあると思うんですが、人数とかあるいは予算とかいう制約があってこういう形になっているんでしょうか。
  94. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 御質問についてですが、こういう形というのは、そのペースが遅いというそういう御質問でございますか。  これは今も政府参考人から御答弁申し上げましたけれども、相手の国の事情、またその交渉をどういうような内容にするかと、そういうようなことによりまして、お話ありましたように、ブラジルについては刑事共助だけじゃなくて刑事司法分野における協力とか幅広く検討されておられるわけで、そういうことから相手地域あるいは相手国との交渉に差が出てくるんだと思いますが、いずれにせよ、そういうものの必要性からは早くこういうものが署名に至ることが好ましいと、そういうふうに思っています。
  95. 犬塚直史

    犬塚直史君 締結交渉の出席省庁を見ると、外務省、法務省、警察庁という形になっていまして、多分これは少人数で各省庁から一人ずつ出てきてもらって交渉に行くという形だと思うんですけれども、もう少し大きく、刑事共助条約自体をICPOとの関連で今後日本がどういうふうに位置付けて、いつごろまでにどういう国と締結をしていくのか、将来の見通しを外務大臣に伺います。
  96. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 基本的には、政府といたしましては、こういう近年の国際犯罪が増加をしていると、そういうことに伴いまして、捜査、それから訴追その他、刑事手続に関する国際的な協力の重要性が高まっておりますので、刑事共助条約の締結を積極的に検討していくと、これが基本的な考えでございます。  今お話ありましたように、ロシアとの間の刑事共助条約については五月に署名を行っておりますが、その他の国、地域との間で我が国が実施しております協議、それから締結交渉に関しましては、私先ほど申し上げましたけれども、それぞれの進捗状況、見通しなど、これを具体的に述べることは、交渉中の場合、相手国・地域との関係もありますので困難なところもありますが、我が国からの共助要請の件数が多い国との間で刑事共助条約が締結されれば、これは我が国の犯罪捜査がより円滑に行われることになりますので、これらの協議、締結交渉を積極的に進めていきたいと、そういうふうに思っています。
  97. 犬塚直史

    犬塚直史君 そこで、日中領事協定なんですけれども、先般、議事録を読みましたところ、橋本大臣が、この再発防止策として危機意識の徹底ですとか緊急時の指揮命令系統の徹底ということをおっしゃっておられたんですけれども、非常に抽象的で精神論に終始していて、実効性に乏しいというような印象を受けたんですが、その辺りはどうでしょうか。
  98. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 確かにそういうことも御答弁申し上げたと思いますが、今の瀋陽の総領事館事件、これは平成十四年の五月に発生したものでありますが、この事件を踏まえまして、外務省といたしましては、省員の今お話ありました危機意識の徹底といったような意識の改革、それから、在外公館における緊急時の指揮命令系統の徹底といったような、危機管理体制をしっかり整備するということが大切であるということ、それから、現地警備体制の点検を行って、また強化をやっていくということ、こういう具体的な措置をとってきておるところでございます。さらに、本件も背景の一つといたしまして中国との間で領事協定を行うと、そういうこととなりまして、累次交渉を重ねてきたところでございます。  今回お諮りしております日中領事協定では、本件との関係では、問題となりました領事機関の公館の不可侵について、接受国の当局が領事機関の公館に立ち入るためには、すべからく領事機関の長等の同意が必要であることを明確化するとともに、領事官の住居を含めた領事関係施設の保護を強化しておりまして、本件事案の再発防止について実効性の確保が図られるものと、そういうふうに思っております。
  99. 犬塚直史

    犬塚直史君 そこで、配付資料を御覧になってください。これは、左の欄がウィーン条約、そして真ん中の欄が、赤字で書いてあるのがウィーン条約でカバーされていない今回の日中領事協定で追加された部分、一番右が論点ということになっております。  まず、この赤い部分の赤文字のところなんですけれども、接受国、つまりこの瀋陽の場合でいえば中国側ですね、が派遣国、つまり、日本の「国民が領事官と接触すること及び領事機関の公館に入ることを妨げてはならない。」と、これが追加されている。そしてこの(b)の赤文字のところ、「(別段の証明がなされる場合を除くほか、自らが派遣国の国民であると主張する者を含む。)」と、こう書いてあるんですね。  つまり、何かというと、例えばこの瀋陽のときのように、脱北者の方が来られて、実は自分はパスポートなんか全部なくしてしまったんだ、私は日本人だと言ってこの領事館に入ろうとすると、それは、この協定に基づくと中国側は止められないというふうに解釈ができると思うんですけれども、いかがでしょうか。
  100. 小原雅博

    政府参考人(小原雅博君) お答え申し上げます。  領事関係ウィーン条約の三十六条の1(a)を補足、拡充するということで、今回の日中領事協定の第八条1(a)第三文のような規定を設けた趣旨でございますが、この趣旨は、我が国国民と我が国事官との接触が接受国当局に不当に阻害されるような事案の発生を防止するということにございます。まさに自国民保護ということを念頭に置いた規定でございますが、これによりまして、派遣国の国民に関する領事任務の遂行がより容易となって、領事業務に万全を期すことができると考えております。  外部の者が我が国領事機関の公館へ入る際には、通常、公館の安全確保の観点から警備担当官の必要な手続を経ることになっております。その結果、その者が我が国国民と確認された場合には、上述の規定に照らしまして、接受国当局は当該国民と領事官との接触を妨げることは許されないということでございます。
  101. 犬塚直史

    犬塚直史君 いや、伺っているのは非常に簡単なことでして、要するに脱北者の方が、私はパスポートなくしてしまった、私は日本の国民ですと言って領事館に入ろうとしたら入れるんですか。
  102. 小原雅博

    政府参考人(小原雅博君) 個別の具体的な状況に応じて判断する必要があると思いますが、自らが派遣国の国民と主張する者が派遣国の領事機関の公館に来訪する場合には、派遣国の国民であることと断定できないことのみをもって、接受国は当該者が領事機関の公館に入ることを妨げてはならないというふうに考えます。  いずれにしましても、外部の者が我が方領事機関の公館に入る際には、警備担当官による必要な手続を経る必要がありまして、結果として派遣国の国民でないと判明した者については本協定に規定する派遣国の国民には該当しないということになります。
  103. 犬塚直史

    犬塚直史君 それを判定するのは日本側であるという理解でよろしいんですね。
  104. 小原雅博

    政府参考人(小原雅博君) 御指摘のとおりでございます。
  105. 犬塚直史

    犬塚直史君 次に、IMF協定、世銀協定に移ります。  財務省に伺いますが、そもそもIMFは、本来の役割は世界の金融そして通貨の安定ということだったと思うんですけれども、私の見聞しているところでは、今回の金融危機については全くこの責任を感じていないような発言をしているようですけれども、この件について財務省の見解を伺います。
  106. 中尾武彦

    政府参考人(中尾武彦君) お答え申し上げます。  委員おっしゃるように、IMFの本来の目的が、役割が、金融経済危機の下で国際金融システムと通貨の安定などにあることは御指摘のとおりでございまして、今委員おっしゃったように責任を認めていないということではむしろなくて、いろいろな反省に立って、これまで十分な機能を必ずしも果たしてこなかったんじゃないかということで、融資制度の拡充であるとか、そのための、あるいは融資制度をより適切なものに改めていく、それからそれに伴うアドバイスも適切なものに改めていく、それから必要な資金を十分備えるために資金基盤の強化を図る、それから早期警戒機能というものを充実させて、このような危機がある場合には事前に警戒をしていくことができるようにするというようなことも合意されておりまして、責任がないというようなことを言っておることはないというふうに承知しております。
  107. 犬塚直史

    犬塚直史君 座っていていただいて結構です。  私が申し上げているのは、こういう火事場になって、議論が本来の金融の安定というところではなくて、あたかも途上国の支援がIMFの主たる任務であるかのような議論がまかり通って、そこにいきなり融資をしてしまうということは本末転倒ではないかと、こう言っているんですけれども、いかがですか。
  108. 中尾武彦

    政府参考人(中尾武彦君) お答えいたします。  委員おっしゃられるように、確かに今のIMFをめぐる議論の中で、途上国に十分な資金を供給して、割と正しい政策を取っていたにもかかわらずこの危機の中で十分な資金を得られずに問題になってしまうようなことを未然に防ごうと、そういうことによって世界経済、貿易の維持に努めて世界の金融危機を軽減しようということを言っておるわけですけれども、同時に、こういう問題は先進国を中心に発生してまいったわけでして、途上国自身がそういうことを言っておりますけれども、先進国に向けての言わば審査というか、早期警戒的なものももっときちっとしていかなきゃいけないというのは同時に議論しておるというふうに理解しております。
  109. 犬塚直史

    犬塚直史君 多分大変お詳しいと思うので伺いますけれども、例えばタックスヘイブンの対策ですよね。どんなに援助をしたところで、結局そのお金が、アフリカ諸国も含めて、還流して、個人的な資産としてタックスヘイブンに流れてしまうと。あるいは、実体経済のまさに何十倍という、これははっきりした数字分かりませんが、何倍、何十倍という巨大な金額が金融為替商品等々を使われて、それがまたタックスヘイブンに蓄積されていくという、この非常に余りにも野方図な今の在り方というものを、IMFはやっぱりこれを機会にOECDと一緒になってやるべきではないですか。
  110. 中尾武彦

    政府参考人(中尾武彦君) お答えします。  まさしく、IMFや世銀、あるいは二国間の援助が、支援が各国に、途上国に行ったときに、それがどういうふうに使われるのか、きちっとガバナンスを見ていかないと、どこに使われているか分からない、役に立っているかどうかも分からないし、場合によっては汚職でどこかに、委員おっしゃったようにタックスヘイブンに隠れてしまうようなこともあるんじゃないかということは、我々も注意深く見ていかなきゃいけないと考えておりまして、IMF、世銀含めて、その使い道をまずきちっと見ていこうということでやっている。  それから、今まさしく委員指摘のとおり、タックスヘイブンとかマネロンとか、そういうことをやっている地域がある。こういうことをきちっと見ていかなきゃいけないというのは、四月二日の金融サミットの中でも相当大きなウエートを持って、税を逃れている、それからマネロンの検査を逃れている、それから金融規制を逃れている、そういういわゆるタックスヘイブン的な地域に関しては、これを名前をリスト化して、そこにいろんな対抗手段を使って、そういうところが使われないようにしていこうということも同時に議論されておりました。必ずしもIMFだけの問題じゃなく、先生おっしゃいましたように、IMF、OECD、あるいはその金融規制を担当しております金融安定化理事会というのが今度できましたけれども、そういうところで一致して、そういうことに対して対応していこうということを同時に議論しておるわけでございます。
  111. 犬塚直史

    犬塚直史君 ブレトンウッズ体制といいますか、IMF、世銀等を含むこの大きな、冷戦のときは機能したときもあったんでしょうけれども、今非常に大きな見直しが迫られているのかなという気がいたします。  そういった中にあって、一番の問題はやっぱり南北の格差、しかも南の人たちがこのブレトンウッズ体制に対して余り信頼感を持てないような形になりつつあると。しかも、その援助が回り回ってまたそのタックスヘイブンに行ったりしているということがある。やっぱりこの辺は、当事者ではなくて、日本がリーダーシップを取ってこの改革はしっかりしていくべきだと思うんですよ。例えば、今回一千億ドル相当のIMF融資というものが行われる、これを表明をしたわけですよね。一千億ドルといったら十兆円ですよね。十兆円のお金を出して今までと同じでいいよという話には、これは全くならないと思います。  そこで伺いますけれども、この十兆円をこれから使っていくに当たって、IMF改革については日本はどのような要求をしていくんでしょうか。
  112. 中尾武彦

    政府参考人(中尾武彦君) それでは、私の方からお答えいたします。  一千億ドルは去年の秋にIMFへの貸付けとして表明をいたしまして、今年の二月には貸付取決めを行いまして、まだお金は、実際この貸出しの実行は行われておりませんけれども、いつでも貸し出せる状況になっております。  これは、IMFの資金が今不足して途上国への支援が十分行えない可能性があるということで、率先して日本から貸付契約を結んだわけですけれども、ほかの二国間の取決めでIMFへの貸付けをする国も出てきて国際的なイニシアチブとなっているわけですけれども、これに伴ってお金を外貨準備から貸し付けるわけで、一般会計そのものから拠出するわけではありませんけれども、それにしても、そういう貢献をするに当たっては、IMFの改革をきちっと言っていかなきゃいけないというふうに私ども考えておりまして、まず使い道が適切な効果を上げるようにする。そのためには、IMFの融資条件に関しても、本当に効果的なその国の実情に合ったものに絞ってやっていくというようなことを言っておる。それから貸付制度に関しても、非常にこれまでのトラックレコードというか、しぶりがいいところに関しては機敏に対応できるようにする。  そういう改革を率先して言っておりまして、それは相当改革に反映されてきておると理解しております。
  113. 犬塚直史

    犬塚直史君 これは協力してやっていくべきだと思うんですが、我々も議連をつくりまして、国際連帯税の創設を求める議員連盟というものをつくって、今、今年になってフランスのリーディンググループに我が国が加盟したということになっております。加盟が目的ではなくて、これからこれをどうやって動かしていくかと。今まで善かれと思ってきたことが、ここに来て大変な事態になりつつある。やっぱりタックスヘイブン対策、あるいは為替課税等々、こういうことを視野に入れてやっていかなければいけない。しかも、一千億ドル、十兆円出すのであれば、例えば日本人の職員の増員などを要求をしながら、こういう日本の足腰を強くしながら、言わば日本は西洋の一部ではないわけですから、西洋と、あるいは北と南の両方の言い分を聞いてうまくつくっていけるような、そういう方向性をつくっていくべきだと思うんですけれども橋本大臣、最後に御感想を伺います。
  114. 橋本聖子

    ○副大臣橋本聖子君) 今先生指摘いただきましたこの一千億ドルについてですけれども、IMFがその役割をより効果的に果たしていくために、IMF自体の改革を進めることが大変重要だというふうに思っております。この点、ロンドン・サミットなどにおきましても、各国の出資比率の更なる見直しを行う必要性が提言されております。こうした議論を踏まえ、IMFの更なる改革を進めていかなきゃならないというふうにも思っております。  まずは、やはり今回の協定改正による一連の改革を着実に進めることが重要でありまして、それとともに、現下の経済危機の下で、IMFの融資については必要に応じてこれからも適切に実施をしていく必要があるというふうに考えております。
  115. 犬塚直史

    犬塚直史君 せっかく時間がちょっとありますので外務大臣に伺いますけれども、例えば私の地元でAIGの大きなビルがありまして、ここで物すごい金融、為替、あるいは派生商品の、多分本社では物すごいことやっているんでしょうけれども、雇用といえば、地元の人たちのテレホンアポインターといいますか、ああいうものしかないわけですね。その時給と、あるいはこの為替を売買している方たちの年俸を比べてみても、これはとんでもない格差があるわけですよね。これは南北問題も同じだと思うんですけれども、これに革新的な資金メカニズムのリーディンググループに日本が入りましたので、大臣も是非、こういうものについて積極的な決意をお伺いをして、私の質問を終わります。
  116. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) ただいま橋本大臣から御答弁申し上げましたけれども、こういうふうに国際的な経済危機、金融危機、そういう中でIMFなどの果たす役割は非常に重要なわけで、そういうところから、お話ありましたようにロンドン・サミットにおきましても、首脳声明の中でこういう国際金融機関の権限、あるいは業務範囲、ガバナンス、そういうものの見直し、そういうものも議論されて、これが声明にも載っているわけであります。  今、先生のお地元のAIGのお話がありましたけれども、そういう現場でのいろいろな勤務状況とかそういうものも含めまして、やはりその在り方というものは常時検討していかなければならないと思っておりまして、この全体の話からすると部分的な話かもしれませんけれども、各国が出資しているわけでありますから、その機能が十分効率的に果たせるように、政府としてもそういう点は注意を持ってこの議論に参画していくべきだと、そういうふうに思っています。
  117. 犬塚直史

    犬塚直史君 終わります。
  118. 佐藤正久

    佐藤正久君 自由民主党の佐藤正久です。  四条約については賛成立場であります。条約に入る前に、北朝鮮、ミャンマー関連、あるいはイラク関連について質問した後、条約の方に移らせていただきます。  最近、報道ベースですけれども北朝鮮とミャンマー関係報道が多くなされていると。一つには、北朝鮮船籍の貨物船カンナム号が安保理決議一八七四号に抵触するような禁輸物資を運んでいるんではないかと、その行き先がミャンマーではないかといった報道。あるいは北朝鮮の技術者がミャンマーに入り多くのトンネルを掘っていると、中には軍事施設もあるというふうな報道。六月二十九日に神奈川県警が発表したものによりますと、日本の会社がミャンマーに対しましてミサイル開発に必要な磁気測定装置の不正な輸出もやっているという疑いで三人を検挙したというふうな報道もございます。  最初に、警察庁にお伺いします。  六月二十九日に神奈川県警が発表されました大協産業の不正輸出事案、これについて概要を説明してください。
  119. 石井隆之

    政府参考人石井隆之君) ミャンマー向け磁気測定装置不正輸出事案の概要についてお答えを申し上げます。  本件事案は、本年六月の二十九日、神奈川県警察が、大量破壊兵器等の開発等に使用されるおそれのある磁気測定装置をマレーシアを経由してミャンマー向けに不正輸出しようとした容疑で都内の貿易会社東興貿易社長ら三名を逮捕したものでございます。  現在捜査中であり、事案の詳細についてはお答えすることは差し控えますが、この種事案の取締りは、国際社会のみならず我が国の安全保障上も極めて重要であると認識しており、引き続き事案の全容解明に向け全力を尽くしてまいる所存でございます。
  120. 佐藤正久

    佐藤正久君 今回の逮捕された容疑者の一人に、朝鮮籍の李さんという方が社長を務める東興貿易というものがございます。また、報道ベースですけれども、今回、その東興貿易というものは、香港に本社がある東新国際貿易公司というところからの指示で今回の不正輸出をやったという報道もございます。この東新国際貿易公司というのは、朝鮮労働党で軍需部門を統括する第二経済委員会の傘下にあるというふうにも言われています。  同社は、大量破壊兵器の開発に関与しているということで、経産省が公表している要注意企業リスト、外国ユーザーリストにも掲載されておりますが、他方、政府が平成十八年九月十九日に発表しました北朝鮮のミサイル又は大量破壊兵器計画に関連する資金移転防止というもので対象としております十五団体、一個人には入っておりません。なぜこの東新国際貿易公司がこの十五団体に入っていないのか、外務省にお伺いいたします。
  121. 小原雅博

    政府参考人(小原雅博君) お答え申し上げます。  御指摘の東新国際貿易有限公司でございますが、ただいま御紹介もございましたが、御紹介のあった事案との絡みで、ミャンマー向け不正輸出事件、これにおきまして六月二十九日に逮捕された東興貿易社長と何らかのかかわりがあったものと承知しております。  我が国は、二〇〇六年七月五日の北朝鮮によりますミサイル発射を受けまして採択された国連安保理決議第一六九五号を踏まえまして、資金移転の防止措置の対象者につきまして関係省庁間で鋭意検討をし、外国政府より得られた情報及び我が国がこれまで入手した情報を総合的に勘案して、北朝鮮のミサイル又は大量破壊兵器計画に関連すると認められた十五団体、一個人を同措置の対象者として指定しているところでございます。  ちなみに、外国ユーザーリストでは、大量破壊兵器及びミサイルの開発等に関与しているとの懸念が払拭できないと判断された企業等というふうに承知しております。  いずれにいたしましても、そうした検討の結果、御指摘の東新国際貿易有限公司につきましては、我が国として現時点で資金移転の防止措置の対象には指定しておりませんが、今後、関係部局とも相談しながら指定の可能性についても検討していきたいと考えております。
  122. 佐藤正久

    佐藤正久君 ありがとうございます。  その十五団体、個人というのは、そういうものを政府が指定してからもう二年九か月も経過しております。アメリカ政府も六月三十日に、北朝鮮の核、ミサイル開発等拡散活動に関与したとして、新たにイランに拠点を置くホンコン・エレクトロニクス、あるいは北朝鮮の会社の南川江貿易の資産凍結と米企業との取引停止をすると、いろんな動きをやっぱり見せております。  であれば、やはりもう、捜査当局の調整も必要でしょうけれども、どんどんどんどん情報が確度が高まっていけば、新たな会社というのをしっかりと指定をしていただいて取り締まるということが我が国の置かれた状況では非常に大事だと思います。今後、引き続きこの十五団体というものについては更にアップデートをしていただいて、しっかりと実効性があるものというふうにしていただきたいなというふうに思います。  また、今回のミャンマーへの磁気測定装置の輸出というのは北朝鮮への迂回だという報道もございます。日本から直接北朝鮮へ装置とかあるいは技術が移転、輸出できないという状況から、やっぱり迂回というのも一つの考えられる方策であり、対処していかないといけないというふうに思います。今国会で成立しました外為法の改正では、技術の移転とかあるいは罰則強化がなされました。今後、製品の第三国を経由した北朝鮮への迂回輸出というものについて更にやっぱり取り締まるということも大事かと思います。  この迂回輸出につきまして、政府はどのように認識し、またその対策をどのようにこれから講じようとしているのか、経済産業省の方にお伺いいたします。
  123. 上田英志

    政府参考人(上田英志君) 御指摘のありました第三国経由の北朝鮮輸出を防止するということは重要な課題だと認識しております。  経済産業省としましては、第三国経由を含めまして北朝鮮への違法輸出を防止する観点から、厳格な許可審査や法令遵守のための輸出企業等に対する立入検査などを実施しております。また、警察、税関を含む関係機関と連携しつつ、必要に応じまして経済産業大臣が輸出者に対して輸出許可の申請を求める通知を行うことや報告を求めることなどにより、仕向地を偽装した違法輸出等を未然に防止するため、政府一体となって厳格な対応を講じてまいります。  さらに、海外の輸出管理当局を含む関係機関と協力して北朝鮮への迂回輸出の防止を図ります。具体的には、平成十五年に、香港の当局との連携の下、北朝鮮への違法な迂回輸出を防止いたしましたが、このような取組を今後とも積極的に進めてまいります。  その上で、御指摘ありました外為法につきまして今国会で成立させていただいた改正法に基づきまして、技術流出防止強化とともに、違法輸出に係る罰則を強化しまして、抑止力を向上させるなどの措置を講じたところであります。これらの措置を総合的に講じていくことにより、北朝鮮への違法輸出を防止するため万全を期してまいります。
  124. 佐藤正久

    佐藤正久君 是非とも、迂回輸出、非常に大事な問題だとやっぱり私も認識していますので、今後とも、取締りの方、よろしくお願いしたいと思います。  先ほど触れました東新貿易公司、この本社が香港にあるというふうに言われております。香港というのは、やはりどうしても金融拠点という関係もあって、やっぱりいろんな国際犯罪とか金融犯罪の一つの場所になりやすいという感じがあります。ここが、北朝鮮ということを考えた場合、香港というのは非常にいろんな面で重要な場所だと考えています。その意味で、今回、日本と香港の刑事共助協定というものが成立したら、今後は、そういうマネーロンダリング等の防止とか、あるいは金融犯罪というものについて日本と香港双方の捜査共助によっていろんな防止あるいは摘発というものが更にうまく回るのではないかなというふうに思います。  仮にこの日・香港刑事共助協定が成立した場合、どのような効果が期待されるのか、北朝鮮対応を含めて御答弁をいただきたいと思います。
  125. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 香港はアジアの地域の金融の拠点でございます。そういうところから我が国からの不正資金の流入も多く、また、マネーロンダリングなどの国際組織の犯罪、金融犯罪、そういうものに対しまして日本と香港の双方が協力をして対処していくということが非常に重要である、また必要性も高いと言えます。    〔委員長退席、理事浅尾慶一郎君着席〕  こういう背景の下、我が国と香港との間の刑事共助は、これまでも数多くそういう案件がございまして行われてきているわけでありますが、特に近年、我が国から香港に対する共助の要請件数というのは、米国、韓国、中国、タイ、フィリピンに次いで多い件数となっているところであります。  この協定締結することによりまして、我が国と香港との間では共助の実施が協定上の義務となりまして、一方の締約者から請求する共助が他方の締約者において一層確実に実施されることが確保されるわけであります。特に近年、例えば平成十一年から平成二十年、この間の実績を見ますと、我が国から香港に対して要請いたしました共助の件数、これ十三件でございますが、これは、香港が我が国に対して要請しました共助の件数、これ三件でございまして、大きく我が国が要請した方が上回っているわけであります。そうした観点からは、請求いたしました共助、これがより確実に実施されることの意義は我が国にとって特に大きいと、そういうふうに考えております。  また、この協定締結することによりまして、日本と香港の双方で中央当局を指定をしまして、そして共助の実施のための連絡を中央当局間で直接行うことが可能になるということで、共助の実施の効率化と迅速化、こういうものが期待をされるということであります。
  126. 佐藤正久

    佐藤正久君 日本側の方にやっぱりメリットが多いという答弁であったと思いますし、ということは、やっぱり我が国北朝鮮対応をこれから行うという場合においても、この香港、位置付けを考えれば非常に有意義だというふうに理解いたしました。  次に、イラク人道復興支援について御質問いたします。  日本政府は、近々イラク人道復興支援特措法に基づく対応措置の結果について国会報告を行うというふうに伺っております。航空自衛隊は昨年十二月にイラク支援から撤収しましたけれども、それから半年を過ぎたこの時期に国会報告ということを、なぜ今の時期かということについて、まず最初に内閣官房の方にお伺いいたします。
  127. 野田仁

    政府参考人野田仁君) 法律の担当官庁であります内閣官房からお答え申し上げます。また、先生おっしゃいましたようにまだ最終決定未了でございますので、現時点での方向としてお答え申し上げます。ごく簡潔に申し上げます。  報告をこの時期に行いますのは、いわゆるイラク特措法の下で現在まで継続してきております対応措置の中で、おっしゃいました航空自衛隊の輸送活動の終了の後も、これまで同法の規定いたします復興支援職員の派遣の必要性、可能性の検討をこれまで継続してきたためであります。  今般、それにつきましても終了との判断に至りましたため、近々報告させていただく方向となりました。本判断をもちまして、イラク特措法の下の対応措置はすべて終了との判断でございます。  以上でございます。
  128. 佐藤正久

    佐藤正久君 今回のイラク人道復興支援というのは、やっぱり日本人も含めて多くの尊い犠牲の上に成り立っているというふうに思います。特に最初のころに、外務省の奥大使あるいは井ノ上一等書記官も、本当にあのような形で志半ばで命を奪われてしまったと。そのほかにも、私の派遣中にもいろんな方が亡くなられました。橋田さんや小川さん、あるいは斎藤さんや香田さんと多くの日本人もやっぱり亡くなっていると。米兵も四千三百人をもう超えていると。また、日本の多くの予算も今回のイラク支援というものについては使われております。多くのやっぱり思いというものとあるいは犠牲というものが今回のイラク人道復興支援の対応措置の中には入っているというふうに思います。  現在は、その思いが外務省のODAとか日本の民間企業の方々に受け継がれながらまだ支援は続いているというふうに認識しておりますけれども、今回一つの区切りを行うという上では、やはり成果というものをしっかりとまとめて評価をし、次につなげるということが本当に私は大事だと思います。  今回もいろんな役所、かかわっていると思います。ここは今回の法律の所掌であります内閣官房がやっぱりリーダーシップを発揮していただいて、関係する役所と連携をして、必要であれば各役所から人を集めていただいて、成果をしっかりと評価、分析をして、今後に備えたりあるいは次の施策に反映するというふうに私は考えますけれども政府側のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  129. 野田仁

    政府参考人野田仁君) お答えいたします。  繰り返しになりますが、未提出でございますので、現時点でその後の検討などについてお答えするのはちょっと早いかもしれませんですけれども、同法、いわゆるイラク特措法の下の活動につきましては、御指摘の五年間にわたります活動の成果、これについての評価、分析、そういうものを含めた報告になる予定と思っています。    〔理事浅尾慶一郎君退席、委員長着席〕  述べましたとおり、同法の所管官庁であります私ども内閣官房が中心となって、かつ外務防衛両省と連携しながら行っています。近々報告を国会にお出ししたいと思っています。  そして、その後のことでございますけれども政府は、今申しましたように同報告の中にイラク特措法の下での対応措置の結果やそれについての評価は含めているつもりですけれども、さらに、おっしゃいましたような、恐らく同法以外の幅の広い人道復興支援の手法や実施例なども勘案しつつ、今後の人道復興支援活動や国際平和協力活動にその成果を反映させていくことは重要だと考えています。  ですので、このような政府部内での検討におきましては、今回報告できると思われますイラク特措法の担当官庁たる内閣官房でもしかるべく協力していきたいと考えています。  以上です。
  130. 佐藤正久

    佐藤正久君 是非とも、恐らく国会に報告される部分というのは要約部分、まとめた部分だけだと思いますので、その下にはいろんな多分汗と血が入っておりますので、しっかりとそこは分析をして次に備えていただきたいなと思います。  やはり、どうしても日本というのは、アメリカと比べて言われるのは、教訓の収集とか評価、分析、蓄積あるいは発信が弱いとよく言われます。終わってしまえばそれで終わりということではやっぱりいけないわけで、特に今回のイラク支援というものについては、この特措法に基づく支援だけではなく、国際平和協力法に基づく物資協力を行ったり、あるいは初めて外務省が所管します在外邦人等の輸送というものも行ったりしました。また、自衛隊の行う現地での人道復興支援と併せて外務省のODAというものも連携しながら行っていると。非常にいろんな法律が合わさり、また実際いろんなプレーヤーが現地の方で行っているということから考えると、やっぱり望ましいのは、どこかにそういう教訓を収集、分析、蓄積をして、散逸しないように蓄積をして更に政策に反映するというものが私はあってもいいのかなと思います。  こういう特措法になると内閣官房が所掌をしていると。インド洋もそうです。また、国連関係のPKO協力法になると今度は内閣府の方が所掌になると。今、定員で二十一名の国際平和協力事務局がありますけれども、そういうものを所掌すると。また、国際緊急援助隊とかあるいは在外邦人等の輸送になると今度は外務省となってしまうと。また、実施部隊としては防衛省なり、あるいは各役所の技術者が実際現場に行くということもございます。  やはり、国際協力という観点でどこかがしっかりとそういう組織をつくっていただいて教訓を収集したり分析する部署がないと、どうしても各役所ごとでそれで終わってしまう。いろんな役所の連携をした中の横ぐしで成果をまとめる、評価をする、次に反映するというのがやっぱり今後大事だと思います。今、海賊対策でソマリアへ行っているのも、防衛省とあるいは外務省、国土交通省が関係しながらやっている。将来にはソマリアへのODA支援も多分関係していくこともあるかもしれません。そういう面でいうと、やっぱりどこかにそういう部署をつくるということが今後必要だと思いますけれども政府のお考えをお伺いしたいと思います。
  131. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 委員が御指摘のとおりに、いろいろな国際的な活動、国際協力活動につきましての成果と評価、分析、収集、蓄積、またそれを反映させていくというのは、これはもう当然のことですが、非常に重要なことだと思っております。  ODAにつきましては、御案内のとおり、政府開発援助関係省庁連絡会議、これがあります。それから技術協力連絡会議ありまして、省庁間の連絡会議を開催しておりますし、また政府全体を通ずる調整なども行っているところでございます。  それから、国連平和維持活動やそれからいわゆる多国籍軍などの国際的な平和活動への自衛隊参加などにつきましては、今までの活動の教訓やそれから国会を始めとする国民的な議論、これを踏まえて、やはり関係省庁間の緊密な連携を確保して政府全体として判断をしてきているわけであります。  また、国連平和維持活動などへの要員の派遣について申し上げれば、もう委員が一番よく御存じのことでありますが、これは国際平和協力法に基づいて内閣府の国際平和協力本部を中心に、実施をいたしました国際平和協力業務の効果の測定や分析を行い、その成果や評価を国会に報告するなど、そういうような形で要員の派遣にも生かしているところでございますが、今お話ありましたように、省庁間の連携を今後も図るとともに、やはり委員がおっしゃっているように、政府全体としてのそういうようなことを検討する、あるいは評価をする、そういうようなところが必要ではないかという御意見でありました。そういう御意見も参考にして、今後、より効果の上がる活動ができるよう、どうしたらいいかということなどを考えていきたいと思います。
  132. 佐藤正久

    佐藤正久君 ありがとうございます。是非ともよろしくお願いいたします。  本当、多くの犠牲の上に成り立っての今回のイラク人道復興支援活動ですので、そういう御霊に報いるためにも是非とも検討をよろしくお願いしたいと思います。  最後に、日中領事協定について一問だけ質問をさせていただきます。  協定第八条の1の(b)で逮捕、勾留された場合の通報が全件義務化されました。これは、日本で仮に中国の方が逮捕、勾留されたという場合、その方が政治的背景を持つという場合もあろうかと思います。そういう方々の不利益につながる結果というふうにこの協定がならないのか、そういう懸念はないのか、これをお伺いしたいと思います。
  133. 小原雅博

    政府参考人(小原雅博君) お答え申し上げます。  八条1の(a)には、これは、派遣国の国民が自由に通信し面接をすることができる、これ、領事官がそういうことができるということで、それから国民も同様に通信及び面接することができるということで、領事官と国民の権利、これ、裏表の関係になりますが、これを規定しているわけでございます。  まさにこれは自国民保護ということで、対象が国民だということを概念的に整理した規定でございますが、同時に八条の1の(b)においては、これは、派遣国の国民が、あるいは自らが派遣国の国民であると主張する者を含むそうした派遣国の国民が勾留あるいは拘禁された場合には、これはもうとにかく領事機関に通報するという規定でございまして、これはまさに自国民保護の観点から、これもよりその規定をウィーン条約よりも強化をしまして、とにかく要請があるか否かにかかわらず四日以内に通報しなさいという規定でございます。こうした規定を設けまして、我々からすれば、自国民保護をこの協定によってより一層明確にし、しっかりとしたものにしたいということでこういう規定にしたわけでございます。  これにつきましては、結果として派遣国の国民でない者につきましても、当該者が自ら国民であると主張する場合には領事通報が行われることになります。なりますが、結果的にその通報した者が派遣国の国民に該当しないということになった場合には当該者に対して本協定は適用されないということでございますので、あくまでも我々からすれば、そうした手続をしっかりとして自国民保護をきっちりしたものにしたいという観点からこういうふうな規定にしたわけでございます。
  134. 佐藤正久

    佐藤正久君 日本保護は非常に有り難いんですけれども、やはり中国の方が日本でそういう勾留された場合に、場合によっては政治的な関係、人権の関係もありますので、その辺についてもうまく対応しながらやっていただきたいなというふうに要望し、私の質問を終わります。
  135. 浜田昌良

    浜田昌良君 公明党の浜田昌良でございます。  本日は、日本・香港刑事共助協定等四条約の質疑でございますが、その前に幾つか、中曽根外務大臣に核廃絶についてまた質問させていただきたいと思っております。  もうお帰りになったかもしれませんが、潘基文事務総長が来日されておりました。我が党も昨日、太田代表と会談をさせていただきまして、私も同席させていただきました。  興味深い話がございました。それは何かというと、今回の北の核実験という問題はこのアジアの、この地域の問題ではないという御発言だったんですね。これは、せっかくオバマの演説から始まったこの核廃絶という大きな流れの中で、それの流れをさお差す国際社会に対する重大な挑戦だと、よって世界はこの日本の対応を非常に注目しているという御発言がございました。  これに対しまして、我が党の代表の太田は、この核廃絶という問題については、国と国が話し合う、特に、従来はどうしても核兵器国が話し合うということが多かったわけですが、そうではなくて、むしろいわゆる世界の市民の連帯、非核兵器国を含む市民レベルの議論の連帯というのが重要じゃないかと、その結節点として国連の役割を期待するということを話をさせていただきました。  そういう意味では、いわゆる市民の連帯という意味では、この軍縮の分野ではオタワ・プロセスということで対人地雷が実現したわけですね。オスロ・プロセスではクラスター弾もこれは実現したわけです。この前、審議でこの場でありましたように、クラスター弾の場合は、クラスターの今の条約に加盟している国のクラスター弾の比率というのは一割もないのかもしれないと、しかし、それが一つの規範を作っていくという上で非常に重要じゃないかということで始まったわけですね。  そういう意味では、核廃絶の分野について、資料も配らせていただきましたが、ヒロシマ・ナガサキ・プロセスというものが言われ始めているんですが、まず、これについて外務大臣、今までお聞きになったことがあるでしょうか。
  136. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 核軍縮に関しましてはいろいろな議論が行われているわけでありますけれども、その中でヒロシマ・ナガサキ・プロセスのこういう名の下に核兵器の廃絶を目指した幅広い議論が行われていると、そういうことは承知をいたしております。
  137. 浜田昌良

    浜田昌良君 このヒロシマ・ナガサキ・プロセスというのは、被爆二世であります三重大の児玉克哉教授が昨年ベルギーでありました国際平和学会で提言をされたんですが、この方は二〇〇〇年から二〇〇四年、国際平和学会の事務局長までされた方なんですけれども。かつ国会の場では、昨年の十月の参議院の本会議で我が党の浜四津代表代行が代表質問もさせていただきました。  これについて少しお手元資料を配らせていただいたんですが、今までの核軍縮の考えからかなり発展的に考えられる部分があるんじゃないかというので、五つの特色を挙げさせていただきました。  一つは、どうしても核廃絶、核軍縮というと、CTBTがアメリカは批准するかしないか、FMCTも重要ですけれども、今できることからという発想があるんです。そうじゃなくて、核廃絶というゴールから何をしていかなきゃいけないのかと。今回、オバマのプラハでの演説が注目されたのは、核廃絶ということをも宣言をして、確かにそれは我々の世代では実現できないかもしれないけれども、踏み出そうという、ゴールからの発想をしたからですね。そういう一連かつ一貫したプロセスという、核廃絶の前には核の使用禁止条約があるかもしれませんし、その前には私は先制不使用の条約があると思っていますけれども、そういうものである、これが一点ですね。  二点目には、従来の核軍縮というと、外交当局の検証重視の核軍縮と、検証の詳しいことを、ドキュメントを作らないと核軍縮はできないという発想があったんですが、そうではなくて、核は悪であるという国際的な規範、これグローバルスタンダードを作っていくという、こういう重視の核軍縮であると。  三番目には、これは児玉先生も言われたんですが、これを言われた一つのきっかけは、今までの核軍縮はどうしても核兵器国五か国の交渉にゆだねられがちであったと、そうでない国々が主体的にかかわれるようなプロセスを考えたいということで、非核兵器国のみならず、世界市民の連帯ということの核軍縮ということですね。  さらに四番目は、今までこういう核軍縮の運動というと日本の安全保障と対立するものだという発想が、核軍縮やっちゃうと日本が安全保障を保てないんじゃないかと、こういう発想が多かったんですが、そうじゃないと。むしろ日本の安全保障をより強めるために北朝鮮中国の核の脅威を低減させるという、我が国の安全保障の向上とちゃんと矛盾がない、共存できる、調和できる核軍縮であるというのが四点ですね。  最後には、どうしても核軍縮と、核ばっかりの話に行ってしまうんですが、本来、この核廃絶という話も、テロへの核関連技術、またそういう装置、物質が手に渡ることを防ごうという発想ですから、いわゆる非拡散というのが一番重要なわけですね。そう考えると、我が国は非核兵器国の中で最大の原子力平和利用国なわけですから、この核の平和利用拡大と不拡散との両立というこの我が国の貢献をちゃんとスコープに入れるという、こういう包括プロセスを私はヒロシマ・ナガサキ・プロセスと言えるんじゃないかと思っているんですが、こういう五つの特色のあるプロセスについて外務大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
  138. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 今委員から、このヒロシマ・ナガサキ・プロセスの五つの特色ということで御説明をいただきましたけれども我が国は、もうこれは核兵器のない平和で安全な世界、これの一日も早い実現、これを目指しているわけでありまして、そういう意味からも今御指摘の議論とも目標は共有をしているものであると、そういうふうに思っております。  もちろん、この核軍縮とか核不拡散、これを進めて行く際には、現在の我が国を取り巻く厳しい環境、北朝鮮の問題もございますが、そういう現実のやはり安全保障環境を踏まえる必要があるわけでございまして、そういう状況にかんがみますと、やはりこの地域の平和と安全を確保する上では、私たちは、日米安全保障体制下、これにおける拡大抑止、これが必要である、そういうことは言うまでもない、そういうふうに考えています。  こういう現実を踏まえまして、今後とも核兵器のない世界の実現に向けて引き続き現実的で具体的な取組をやっていきたいと思っておりますが、委員が平成十九年の三月に外務大臣政務官のときに演説をされたジュネーブ軍縮会議で、この五月に実に十一年ぶりに作業計画が合意をされまして、兵器用核分裂性物質生産禁止条約、いわゆるカットオフ条約ですね、これの交渉開始に向けて道が開かれたところでありまして、核兵器のない世界の実現のためにはこういうような具体的な一歩一歩を積み重ねていく、そういうことが必要であると、そういうふうに考えておりまして、我が国としてもこれを促進するような外交を行っていく、そういう考えでございます。
  139. 浜田昌良

    浜田昌良君 政務官時代の成果を挙げていただいてありがとうございます。  FMCTを政府として初めて提案さしていただいて、やっとそれが始まったと。でも、十二年ぶりですよね。そういう意味では核についてはもう十二年も待っておられないということですから、新たなプロセスも必要だと思っておりますし、今外務大臣がおっしゃいました厳しい安全保障の現実を踏まえる必要がある。確かに厳しい状況だと思っています。中国の脅威もある、北朝鮮の脅威もある。しかし、どうしても安全保障というものと核軍縮、核廃絶が対立するという発想をそろそろ抜け出さなきゃいけないなと。むしろ、核は使うのは悪であるという核ドクトリンを作ること自体が日本の安全保障、高まるんだという発想を是非踏み出してほしいなと思います。  次に、じゃ具体的には日本は何ができるのかというので五つぐらい右に書いてみたんですが、政府は来年早々、国際軍縮会議を提案されています。これはいいことだと思っています。是非そのときに、いわゆる国だけが集まるんじゃなくて市民が集まるという市民会議もつくってほしいな、併設してほしいなと、そういうのが一つの提案なんですね。  二番目には、そのときに、いわゆるNPTを脱退して新規に核兵器国となろうとする国はもう人類全体の敵であるということをちゃんとこの会議で、国際会議又は市民会議で採択していただきたい。つまり、北朝鮮という国というのは、それはもう人類全体としてそういうのは認められないんだということをしっかり日本が主導すべきじゃないかと。  あわせて、重要なのは、実は、今回も北朝鮮の核実験があって、与党の調査団がアメリカに行って感じたんですが、アメリカではまだ日本は核軍備をするんじゃないかと思っている人は少なからずおられます。そういうことに対して、そういうことはないということを宣言する上でもこれは非常に重要だと思っておりますので、こういうことがあるんじゃないかと。  三番目には、核廃絶といっても、先ほどのオバマさんの話じゃありませんが、長期のプロセスになりまして、じゃ我々の世代で何ができるのかという、中間目標をどうするのかということなんですが、実はある外務省の幹部の方からこういう御提案をいただきました。  まず、NPTの国の間において先制不使用宣言をしてはどうかということなんですね。これは単なる、消極的安全保障というのは核兵器国が持っていない国に使わないというだけなんですが、それだけじゃなくて、いわゆるP5の国の間でも先制は使わないということを言うという、含んでいるんですね。これによってNPTに入っていることのメリット、今それを抜け出そうとしている北朝鮮がいるわけですけれども、それにとどまっていれば先制使用はないんだという一種のメリットがあることを伝える。また、NPTに入っていない三つの国があるわけですね。インド、パキスタン、イスラエルというものに対してもNPTのメリットが発揮させられますし、そういうことを明確にするためにこういうことを宣言を働きかけてはどうかという提言。  四番目には、世界最大の原子力平和利用国として、核関連物質、濃縮、再処理等の核関連技術の拡散防止のために、NPTの追加的保障措置の全面義務化及び昨年三年間延長されました不拡散に関する国連安保理決議一五四〇、これは輸出管理をやっているんですけどね、そういうものの完全実施、なかなか難しいと思いますけど、これに向けて日本はアウトリーチ会合もたくさんやっていますけど、こういう技術支援をどんどんやりましょうという話。  そして、最後には、これ非常に重要なのは、いわゆる核の傘を含むアメリカの拡大抑止ですね、これと矛盾しない先制不使用というものの、この議論をいわゆるアメリカの同盟国である韓国やオーストラリア、EU各国との共通認識を議論してはどうかという話なんですね。  これは、いわゆる拡大抑止、エンラージド・デターランスというのはベーシック・デターランスとの対置語ですから、日本じゃなくて日本の同盟国に対しても抑止を広げるという話であって、決して別に核以外のものに核を使うという意味ではないんですね。そういう意味では、ノー・ファースト・ユースとエンラージド・デターランスは全く矛盾はしないんですよ。核で来た場合には核で対応する、通常兵器の場合は通常兵器で対応するとすれば、これは二つは共存、全く矛盾しないと。  で、これ注目される発言が、核不拡散・核軍縮に関する国際委員会というのがあるんですが、これエバンスさんが川口さんとともに共同議長をやっているんですけど、五月二十八日の地方紙に、「「核の傘」再考を」という記事が長崎新聞や中国新聞で載っているんですね。この中で、日本などが安全保障をゆだねるアメリカの核の傘は核廃絶、軍縮に向けて障害になっている。今国際の場では、日本がこの核の傘、通常兵器に対しても核なんだと言っていること自体が世界の核の軍縮にとってもはや障害であるという発言が出始めています。  そういう意味では、そろそろこういう議論もしなきゃいけないというのが、まあ五項目あるんですが、大臣にはこの中でも特に二番、三番ですね、北朝鮮に対するこういう危機がある中で、是非来年早々開かれる会議において、新規核兵器国になろうとする国はもう人類の敵であるということを高々と宣言していただきたいと。あわせて、そのときにNPT国間における先制不使用というものも、これは単なるアイデアでなくて、外交的にも私は意味があると思っておりますので、この二点について、お考えについて御答弁いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  140. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 委員が当面のアクションとして考えられることということで、五項目にわたり今御説明いただきました。  御指摘のとおり、NPTを脱退をして新しい核兵器保有国になるようなそういう動きは断固として阻止をしていかなければならないと思っておりますし、この点につきましては、二〇一〇年NPT運用検討会議、これ来年行われるわけですけれども、この会議でも重要な事項として議論されることになっておりまして、我が国としては積極的にこういう議論に参加をしていくと、まずそういう考えでございます。  四月に私自身が行いました核兵器のない世界に向けた我が国の考え方、いわゆるこれ十一の指標として提案をさせていただいたスピーチにおきましても、来年早々に世界的な軍縮のための会議を東京で開くと、そういうことを発表したところでございますが、この会議が、世界的な核軍縮を、これを推進する国際社会のこの会議で一致した行動を生み出すということが大事だということと、また、NPTの運用検討会議、これの成功にも貢献をすることが大事であるし、さらに将来の核のない世界に向けた大きな一歩につながるものにしたいと、そういうような考えで開催をしようと思っております。具体的なこの会議の様態につきましてはまだ検討中ですし、これからも検討を進めてまいりますけど、そういう今申し上げましたような成果を生むように、関係国とも連携しながらしっかりと準備をしていきたいと思っております。  なお、この三番目の項目にありますNPT国間における先制不使用宣言、これにつきましては、核の先制不使用核兵器国間の信頼醸成それからそのことを通じた核兵器の削減、これにつながる可能性があるということ、これは積極的に評価をすべきだと、そういう考えがあるということも承知をいたしておりますが、ただ、先ほどからお話ありますように、現実の国際社会のいろいろな状況、核などの大量破壊兵器、こういうものを含む非常に多大な軍事力が存在している。そういう中で、当事国の意図に関して検証する方途がないこの先制不使用ですね、そういうものを宣言しても、検証する方途がないような核の先制不使用のみに依存するということはいかがかと、我が国の安全保障に十全を期すことは難しいんではないか、そういうふうにも考えております。  ただ、今おっしゃいましたように、NPT国間におけるというのは、これは非常に重要なことでございまして、こういうようなお考えというものも我々としても今後いろいろ議論していきたいと思っておりますが、いずれにしましても国際的な信頼醸成が大事ですので、来年のそういう会議などを通じてそういうものが醸成されるように、また一歩踏み出せるように、我々としても一生懸命取り組んでいきたいと思っています。
  141. 浜田昌良

    浜田昌良君 ありがとうございます。  是非前向きに御検討いただきたいんですが、今一点、中曽根大臣が先制不使用について検証が非常に難しいという話をされました。検証は難しくありません。核を使ったか使っていないかというのはすぐ分かるんです。難しいのは、核の開発がやっているかどうかとか、この検証は難しいです。核をちゃんと廃棄したかどうかという検証も難しいです。ただ、核を使用したか使用していないかはもう一目瞭然ですから、そういう意味ではこれは検証の議論じゃありません。  さっきこのプロセスを説明しましたように、まだまだ日本の外交当局は検証検証検証と、分厚い検証の規定がない限り軍縮はできないという発想のままです。そこから是非抜け出していただいて、まず国際的な規範を作る、それを、規範を作ってから、あとのそういう廃棄とか開発の禁止に対しては検証措置を作っていくというステップを是非、そろそろ考え方を変えていただきたいということをお願いさせていただきまして、今日の本題であります日・香港の方に、済みません、遅くなりましたが、入らせていただきたいと思います。  刑事共助条約は、アメリカは二〇〇六年七月に発効しているんですね。これはその前の九九年から〇五年を見ますと、七年間で平均八件の日本からの刑事共助の要請をしているんです。その後を見ると、〇六年は警察庁五件、法務省四件、合計九件、〇七年も七件と二件で九件、八年はゼロ件と二件で二件と、余りこれ増えていないんですね。効果はあったんだろうかと。  一方、韓国の方は〇七年一月に発効していまして、それまでの九九年から〇六年までの八年間の平均は五件だったんですね、この刑事共助条約がない状況では。その後、〇七年では法務省五件、警察庁六件、十一件、〇八年は法務省十八件、警察庁二件、二十件と、これまた非常にすごく、二倍とか四倍に増えているんですね。  中国は〇八年の十一月か、発効して、これは今までの平均は、年平均三件が五件ぐらいになったと、こういう状況なんですが、今まで振り返っていただいて、この刑事共助条約の協定の効果をどのように感じておられるのか、所期の目的は達していると言えるのか、それぞれ警察庁、法務省から御答弁いただきたいと思います。
  142. 甲斐行夫

    政府参考人(甲斐行夫君) まず、件数の推移について申しますと、法務省からの共助嘱託件数につきましては、先ほども御紹介ありましたけれども、最初に、アメリカへの嘱託については、条約発効前の平成十六年、十七年がいずれも一件でございました。それが平成十八年の途中で条約が発効し、その年はその条約発効の前後合わせて四件、その後十九年、二十年がそれぞれ二件となっています。また、韓国への嘱託については、条約発効前の平成十七年が一件、十八年が二件でありましたけれども、発効後の十九年が六件、二十年が二件となっております。また、中国への嘱託については、条約発効前の平成十八年が二件、十九年が一件でありましたけれども、発効後の平成二十年はゼロ件となっております。  御案内のように、共助の件数は、相手国に関係する事件の発生の数がどういうものであるのか、そのほか様々な要因によって変わり得るものと承知しておりまして、今ありましたように、若干増えているところもあるという状況でありますけれども、まだ期間もそうたっていないということで、何とも申し上げられる段階にはないのかなというふうに思っております。  他方で、所要期間、共助を実施していただく期間の方を見ますと、これも事案の内容、所要の捜査のまあ多いか少ないかということによっても異なるわけでございますが、例えばアメリカ、韓国への嘱託事案における所要期間を見てみますと、ある程度短縮されてきているという印象を持っておりまして、迅速かつ確実な共助の実施を受けるという刑事共助条約締結の目的に照らしますと、一定の効果を上げているものというふうに考えております。
  143. 浜田昌良

    浜田昌良君 答弁短く、短く。
  144. 宮本和夫

    政府参考人(宮本和夫君) それでは、警察庁分の請求分、共助の要請ですけれども、平成二十年末まででは対米国が十一件、韓国十七件、中国はゼロ件でございますが、中国につきましては平成二十一年上半期、二件になっております。  いずれにしましても、こうした条約の締結によりまして、我が国から請求する共助、相手国において条約上の義務となったということで、一層確実に実施されることが確保されたところでございますし、また、条約の締結に伴いまして、従来の外交ルートではなく、両国の指定する中央当局間でこの共助の実施のための連絡、行われることとなりまして、警察から直接相手国の中央当局に連絡することができることとなり、関連する事務処理の迅速化が図られているところでございます。  警察といたしましては、引き続きこうした刑事共助条約を効果的に活用して、各相手国治安機関との捜査協力における連携強化に努めてまいりたいと考えております。
  145. 浜田昌良

    浜田昌良君 今回の協定で、この共助を断れる場合ってあるんですね。  協定の三条1(6)で、いわゆる双罰性の要件がない場合、つまり向こうでは犯罪になっても日本では犯罪にならない場合は共助を断ることができるとなっているんですね。できるなんですよ、だから断らなくてもいいんです、これ。これが今までと全然違うんです。今までの国際捜査共助に関する法律の場合は、日本国の法令によれば罪に当たるものでないときはできないと書いてあるんですよ。  これは大きな違いでありまして、例を挙げますと、いわゆる国際的組織犯罪防止条約という、これが締結されていないんですよね、国内法がまだ止まっていますから、今、審議で。これで、我が国において犯罪収益の不正な起源を隠匿する目的で一部の資金洗浄を行う行為、いわゆるマネーロンダリングですよ、これを刑罰化できていませんから、犯罪捜査はできないんです、日本は。  しかし、本協定によって、香港の捜査当局から請求があれば、捜査、訴追その他の刑事手続の共助が実施できると、こういう理解でいいんでしょうか、外務省、答弁お願いします。簡単に。
  146. 北野充

    政府参考人(北野充君) 今委員指摘のとおりでございまして、従来の場合には相互性が保障されないとこれができない。一方、この条約におきましては、今委員の御指摘にありましたように、双罰性が成立をしなくても我が国として共助に応じることがあり得るということでございます。
  147. 浜田昌良

    浜田昌良君 これは重要なことでありますので法務省にお聞きしたいんですが、よって、国際組織犯罪防止条約及びサイバー犯罪条約というのは、国内担保法が制定されていませんのでこれちょっと残念ですけれども、既に当該条約を締結しているアメリカは両方入っています。中国、香港は前者の組織犯罪防止条約に入っています。この当局から、二国間の刑事共助条約に基づいて、日本で犯罪化されていない一部のマネーロンダリングとかウイルスの製造などのサイバー犯罪に対して刑事共助の請求があった場合には、条約の中央当局として、双罰の要件がないといってその請求を拒否するんじゃなくて、基本的には協力していくべきだと考えますが、法務省の見解をお聞きしたいと思います。
  148. 甲斐行夫

    政府参考人(甲斐行夫君) 双罰性が裁量的拒否事由となっている場合には、我が国としては双罰性が欠けるときに法務大臣共助を行うか否かを判断するということになっております。その判断の基準につきましては、共助の請求がなされる事案、事態が多種多様なものでございますので一概に申し上げることはできませんけれども、仮に双罰性がない場合であっても、一律にこれを拒否するということではなくて、事案の内容でありますとか、我が国の法秩序との整合性でありますとか、共助を実施する場合の関係者に対する負担といったような要素を総合的に考慮して判断することになるというふうに考えております。  したがいまして、双罰性を欠く場合であっても、共助を実施することが相当な事案については積極的に対応してまいりたいというふうに考えております。
  149. 浜田昌良

    浜田昌良君 是非、この国際組織犯罪がある場合には、双罰性だといって一律に拒否するんじゃなくて、必要性に応じて対応していただきたいと思います。  これ、質問はできませんでしたけれども、本協定と関連が深い犯罪人引渡条約、また受刑者移送条約、特にこれは米韓とは締結済みです。また、中国とも交渉を開始しました。じゃ、香港については今後どうしていくのかという問題もありますので、この辺についても外務大臣に今後御検討いただきたいと思いますし、残念ながら、この資料の裏側、今日使えませんでしたけれども、本当はIMFやIBRDは本来やるべきことを私はやっていないと思っています。  今回のような協定改正だけじゃなくて、世界的な投資マネーが行き先を失ってしまったがゆえに今回のようなリーマンショックの話になりましたし、またその一部がそういう商品市場になだれ込んで穀物や原油の高騰を招いたと。こういうものを本当に途上国の発展なり中進国の有望な投資に集中させていくと。そのためにIMF、IBRDで日本がどう発言していくのかと、このことを最後にお願いさせていただきまして、私の質問は終えさせていただきます。
  150. 井上哲士

    ○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。    〔委員長退席、理事浅尾慶一郎君着席〕  条約四本のうち、日中領事協定及び日本・香港刑事共助協定は、いずれも相手国との関係上必要な措置を定めるものと認められますから賛成です。  IMF協定及びIBRD協定改正は、これまで課題となっていた新興市場国及び途上国の発言権がわずかに高まることになります。しかしながら、引き続き先進国が半数以上の票を占めて、先進国主導の意思決定や人事運営が変わりません。特に協定改定などの重要事項については、いずれの機関においても米国一国が事実上の拒否権とも言うべき一五%以上の投票権を引き続き確保することになります。その結果、新自由主義的な構造調整を途上国に押し付けてきたり、それからまた、金融危機を起こしたアメリカの金融通貨政策を容認をしてきたという性格に変わりがないということでありますから、この点を踏まえて、この二つの協定には賛成をできません。  その上で、IMF及びIBRDについて具体的に伺いたいと思います。  まず、外務大臣にお伺いしますが、IMFや世銀の改革の議論の中で、新興国や途上国からは民主的な運営にするための発言力の拡大を強く要求をしております。今回の基本票数の増加は、IMFは現状の三倍の七百五十票、世銀の場合は二倍の五百票にするものですが、それでも総投票数の約五・五%にとどまっているわけですね。  日本政府としては、この発言力の拡大を求める途上国の主張をどのように評価をして、そして今後、改革の必要性ということをどのように認識をされているでしょうか。
  151. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) IMFやそれから世銀を始めといたします国際金融機関におきましては、経済力が大きい加盟国により多い出資を求めておりまして、またそれに応じた地位と責任を与えると、そういう観点から加盟国の出資額に応じた投票権を基本とするとともに、各国また一律の基本票、これを設けることで経済力が小さい国にも一定の発言権を確保しているものでございます。    〔理事浅尾慶一郎君退席、委員長着席〕  今回の協定改正によりまして、各国の基本票は、票数ではなく総投票権数に占める基本票の割合で規定されることになるわけでございますが、これによりまして、これまで増資が行われるたびに低下をしていた総投票権数に占める基本票の割合が、今後は増資が行われましてもこの基本票の割合は一定の五・五%に保たれることになりますので、国際金融機関において途上国に一定の発言権を確保すると、そういう観点からは意義があると、そういうふうに思っております。  ロンドン・サミットでは、最貧国を含む途上国、新興国がより大きな発言権と代表権を持たねばならないとされまして、特にIMFに関しましては、今次協定改正による改革パッケージの早期の実施とともに、更なる出資比率の見直しを二〇一一年の一月までに完了させることについて合意がなされているところであります。  我が国としても、このロンドン・サミットにおける合意を踏まえまして、国際金融機関における各国の発言権は加盟国の世界経済における相対的地位をより正確に反映したものとなるべきであると考えておりまして、今後の国際金融機関の発言権をめぐる議論にこうした我が国の考え方を反映させるべく努めていきたいと、そういうふうに考えています。
  152. 井上哲士

    ○井上哲士君 今回の改革案が出た後も、インドの財務大臣は、承認された提案は約束にこたえるものにならないと、途上国及び新興国の発言力の大幅かつ効果的な強化を要求をしておりますし、中国の財政省の次官は、発展途上国などが先進国と平等な投票権を持つという目標の実現を期待していると、こういうふうに表明をしているなど、これでは不十分だという指摘があるということを述べておきます。  その上で、今回の協定の改定の背景の一つに、近年のIMFの財政悪化の問題があるとされておりますが、この財政悪化の要因について政府はどのように分析をされているでしょうか。
  153. 橋本聖子

    ○副大臣橋本聖子君) 今御指摘のIMFの財政悪化の要因ということですけれども、IMFは創設以来、加盟国に対する融資から得られる利子収入を主な歳入源として運営をされてきております。しかし、近年、大口借入国からの返済が進みまして新規の借入れも大幅に減少した結果、利子収入が激減し、IMFの財政は極めて厳しい状況になってきております。  IMFの財政を健全化するためには、IMFの投資権限を拡大することにより歳入構造をより多様化をいたしまして、歳入基盤を強化することを目的とする今回の協定改正というのは、大変重要であるというふうに認識をしております。なお、金融危機の深刻化によりまして危機的状況に陥った加盟国から融資要請が相次いでいるため、今後しばらくの間は、利子収入が再び増加をいたしましてIMFの財政に余裕が生じることが見込まれますが、中長期的に見ますと、本協定改正による歳入構造の多様化はIMFの歳入基盤強化にとって不可欠と考えております。
  154. 井上哲士

    ○井上哲士君 財務省から提出していただいたこのIMFから加盟国への貸出残高の資料によりますと、〇三年末には六百五十億SDRだったのが、〇七年末には六十億SDRまで激減をしております。金融危機の発生で残高が今若干増えているようでありますが、この間に利子収入の減少で二十二年ぶりの赤字を記録をしたわけですね。ここにはやはりIMF離れという問題があります。  特に注目されるのは繰上げ返済でありまして、これを行った主な国を見ますと、九七年にアジア通貨危機に見舞われたタイ、インドネシア、韓国、それから九九年に通貨危機に見舞われたブラジル、それから同様に〇二年に危機に見舞われたアルゼンチンなどが繰上げ返済を行っております。その理由として、IMFが融資の条件として途上国に押し付けてきたいわゆる構造調整政策、公共サービスへの支出削減、国有企業、公共サービスの民営化、金融の自由化などへの反発があるとされているわけですが、こういう構造調整政策を押し付けてきたことと途上国のIMF離れと言われていることの関係について、どのような認識でしょうか。
  155. 中尾武彦

    政府参考人(中尾武彦君) お答えを申し上げます。  確かに九七年、九八年のアジア通貨危機の際にIMFが支援国に貸付けの条件といたしましたいわゆるコンディショナリティーが、非常に過度に広範にわたり、特に構造政策面でいろいろなことを言ってきた、それが支援対象国の国ごとの実情を必ずしも十分反映してこなかったんじゃないかという反省がございまして、アジア諸国などには反発が生まれた。そういうこともありまして、二〇〇二年には、IMFはコンディショナリティーに関するガイドラインというのを策定いたしまして、支援対象国の主体性を重視していこうということを示しました。我が国はこの際、非常にその点については声を大にしてまいったわけです。  最近のIMFの支援の中身を見ますと、そういうのを反映して、特に構造政策については必要不可欠なものに絞っていくとか、財政再建目標についても支援対象国の主体性を尊重するといった弾力的なものになってきているということで、もちろんアジアの中にはまだそういう声もございますけれども、実際、今も必要性に応じてパキスタンとかモンゴルは支援を受けておりますし、いわゆるASEANプラス5でチェンマイ・イニシアチブというお互いに外貨準備を融通するスワップの取決め、これは日本ども主導してASEANプラス3、日中韓のアジアの国だけでやっておるわけですけれども、この融通をする際にも、原則としてIMFの融資とリンクしていくというふうなことを言っておりまして、IMFができるだけアジア諸国にとっても重要な機能を果たし続けることができるように取り計らってきておるところでございます。
  156. 井上哲士

    ○井上哲士君 繰上げ返済をした例えばブラジルの大統領は、この完済によって植民地化の時代は終わったというふうに述べました。それからアルゼンチンも、このIMFの政策が経済危機の重大な要因になったということを振り返って、嫌悪すべき過去を葬り去ると、こういう強調をしたわけですね。やっぱりこういうようなやり方が抜本的に改められるということが必要だということを申し上げておきます。  その上で、核兵器持込みの日米密約の問題について大臣にお聞きいたしますが、先日、四人の元次官が密約存在を認めたという報道を受けて質問いたしました。大臣存在を否定をされたわけでありますが、この答弁をするに当たってどういう調査を大臣自身がされたんでしょうか。
  157. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) まず、御指摘の核の密約問題につきましては、政府は従来から申し上げておりますとおり、そのような御指摘のような密約存在しないわけで、この点については、繰り返し申し上げておりますが、歴代の総理大臣及び外務大臣がこのような密約存在を明確に否定をしております。  先ほども質問お答えさせていただきましたけれども、大平外務大臣は昭和三十八年、参議院の外務委員会におきまして、「核兵器につきましては、政府が数年前から国会で御答弁申し上げているように理解しておりまして、持ち込みは認めないという不動の方針でおりますので、それから御理解いただきたいと思います。」と御答弁されておられますし、また、一九八一年当時、いわゆるライシャワー発言が国会で取り上げられました際にも、これはライシャワー発言というものは、ライシャワー大使が大平外相に対して、大平外相は本件の申入れ、つまり持込みですね、大平外相はそれに対してオーケーと言ったというようなことを指すことでございますが、これについて鈴木当時の総理から、大平さんはそういうことを言っておられないと、後の外務大臣にもこのことを引き継いでおられないと、外務事務当局も一切承知しない、記録もないと答弁されておりまして、政府として結論を出しているわけであります。  そういうことから、私どもとしては、今回の村田氏の発言を受けまして改めて調査を行う必要はないと思っております。
  158. 井上哲士

    ○井上哲士君 要するに、過去、政府が否定する答弁をしてきたということだけでありまして、何ら調査もしてないわけですね。しかし、その答弁を作ってきた事務方のトップが当時の答弁はうそだったという証言をしているわけですから、過去の答弁を持ち出して否定しても私は何の論拠にもならないと思います。  そして、この村田氏が実名を出して証言をされているわけでありますが、引継ぎの紙が一枚で封筒に入っていたとか歴代次官がどういうふうに引き継いだとか、それから宇野外務大臣にどのように伝えたか、実に具体的であります。  大臣はこの証言はうそだと、こういうふうに言われるわけでしょうか。
  159. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) そのような報道があることはもちろん承知をしているわけでありますが、その中でのやり取りについて私どもがコメントする立場にはないと思います。
  160. 井上哲士

    ○井上哲士君 コメントする立場にない、否定はできないということでありますが、これ複数の報道機関がインタビューをしておりますし、村田自身が昨年の秋に出版された回想録でも同様のことを言われているわけでありますね。  先日の質疑では、証言した四人の次官が匿名だったということを挙げて、どなたがどういう根拠でお話しされているか分かりませんということで、事実関係確認することは考えておられませんというふうに述べておられますが、しかし、元次官がこれだけの証言をしている以上、事実関係の、名前を公表しているわけですから、拒否する根拠はなくなったと思います。  次官を辞める際には後任の栗山氏に引き継いだと、そして前任の柳谷氏から申し送りを受けたと、ここまで言っているわけでありますから、私、三人の次官にまず大臣確認をするべきだと思いますけれども、改めていかがでしょうか。
  161. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 再三申し上げておりますけれども、まず密約がないと、そういう政府のこれは見解であります。そういうところから、私どもとしては、この報道内容あるいはこの本の出版の記述、これについて逐一云々することは適当ではないと、そういうふうに思っています。
  162. 井上哲士

    ○井上哲士君 この密約については、一方の当事者であるアメリカは既に機密を解除して明らかにしておりますし、そしてもう一方の当事者である次官が存在を認めたと。もうだれの目にも明らかなのに、現在の外務省幹部だけが否定をし続けている。国民から見れば、平気でうそをつくのかということで、私は、まさに信頼が失墜をするという事態だと思います。これは是非明らかにしていただきたい。  大臣が調査をする意思がないと引き続き言われる以上、先日も関係者の証人喚問を求めましたけれども、今回、実名を明らかにされた村田氏、その前後の次官である柳谷氏、栗山氏、三人の証人喚問を当委員会で求めたいと思います。  委員長に取り計らいをお願いをして、質問を終わります。
  163. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) この件につきましては、後刻理事会で協議をいたします。
  164. 山内徳信

    ○山内徳信君 今回審議に付されております四件につきましては、特に国際通貨基金協定には若干問題が残っておると思います、今さっきも御指摘がございましたが。この点については、今後、外務省の努力を求めて、基本的には四件に賛成する立場を表明をして、以下、質問に入ります。  先ほどもまた、民主党の方からもあるいは共産党の方からも、あるいは前回委員会でもこの密約の件につきましては指摘がありましたし、是非証人としてこの場においでいただこうと、こういう話が進んできております。  今のやり取りを聞いておりますと、これは国民から、政治家とか行政はうそつきだと、こう言われるのもこれはもう無理はないと。私は、やはり真実は政治の場でも行政の場でも明らかにしていくのが行政であり政治だろうと思っておるわけです。  したがいまして、今までのやり取りを通して、私は、深入りはいたしません、結論だけ申し上げたいと思います。まあ、一つだけは伺っておきましょう。外務大臣に、村田外務次官の証言は真実をおっしゃっていらっしゃるのか、あるいはうそを言っていらっしゃるのか、いずれなんですか。
  165. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 元外務次官の発言あるいは著述について、私からはコメントはいたしません。
  166. 山内徳信

    ○山内徳信君 少なくとも日本外務大臣として、コメントできないというのは、やはりこの参議院の外交防衛委員会を何とお考えですか。私は、この場に至ってもなお政府存在しないとか隠ぺいし続けるということは、これは問題です。  したがいまして、委員長にお願い申し上げたいのは、この場に元外務次官の村田さんを是非お呼びいただきたいと、こういうお願いをいたします。
  167. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) この件につきましても、後刻理事会で協議いたします。
  168. 山内徳信

    ○山内徳信君 はい、分かりました。  次は、私は、防衛省のアセスの方法書と準備書をめぐる改ざん。最近、改ざんという言葉が文科省でも使われてきました、教科書の改ざんとか。こういうことが環境アセスをめぐってもあるわけであります。既に大臣の耳にも達しておると思いますが、少し読ませていただきます。  二〇〇五年、平成十七年三月七日、環境省が辺野古海域で発見したナンバー十六—九ジュゴンが、準備書第六章の表六・十六・一・七、「沖縄島におけるその他の既往調査によるジュゴンの最小発見個体数」には記載されていません。また、図六・十六・一・二十七、「沖縄島におけるその他の既往調査によるジュゴン確認位置及び調査時期別の最小発見個体数」でも記載されていません。  分かりやすく申し上げますと、お手元資料を配ってあります。防衛大臣、この資料です。こういう大きく報道されておるこの資料が何ゆえに準備書から消えてなくなったのか。これは非常に不可思議であります。その理由を簡単にお伺いしたいと思います。なぜ六章に記載されていないのか。長い説明は要りませんよ。
  169. 長岡憲宗

    政府参考人(長岡憲宗君) 御指摘の環境省が実施したジュゴンと藻場の広域的調査、平成十三年から十七年度結果概要におきまして、二〇〇五年の三月七日に確認された個体につきましては、その結果概要におきまして、発見海域は、その観察行動から宜野座沖から辺野古沖と記載をされております。そして、その発見位置については、宜野座沖ということで図の中に図示をされております。  今回の準備書におきましては、御指摘の第六章の図表でございますけれども、そのジュゴンの確認位置を記載する際に、辺野古沖とそれから宜野座沖から金武湾にエリア分けをして分類をさせていただいておりますことから、当該環境省の結果概要にありますジュゴンの発見位置につきましては、その位置情報から、宜野座沖から金武湾の分類で整理をして記載をいたしております。  他方、私どもといたしましても、環境省の結果概要の発見海域が宜野座沖から辺野古沖と記載されていること等についても承知をいたしております。準備書の第三章のジュゴンの分布及び行動調査結果概要におきましては、発見海域について、このジュゴンにつきまして宜野座沖から辺野古沖と記載をいたしております。このように、御指摘のジュゴンにつきましては準備書の中に書かせていただいております。  先生指摘のような御懸念は、私どもは……
  170. 山内徳信

    ○山内徳信君 余りね、私の時間を奪うなよ。
  171. 長岡憲宗

    政府参考人(長岡憲宗君) はい。そういうことではございませんので、御理解を賜りたいと思います。
  172. 山内徳信

    ○山内徳信君 その説明は通らない。  時間ないから、問題点を読み上げます。  〇九年六月十五日に沖縄県に提出した「住民等意見の概要と」、事業者、これは防衛省です、「事業者の見解」。沖縄防衛局作成の「(16)ジュゴン」でも、「ジュゴンの生息は辺野古沖では平成十一年度まで、」「確認されましたが、その後は確認されていません。」と書いていますよ。辺野古沖で発見されたナンバー十六—九ジュゴンの存在が記載されていないのはなぜかということをずっとさっきから申し上げているんです。  続けて読みます。  二〇〇七年、平成十九年八月、那覇防衛施設局、これ当時、が提出した方法書の表三・一・五・四、「ジュゴンの確認状況」(三—六三)には、ナンバー十六—九ジュゴンは宜野座沖から辺野古沖で十四時二十九分発見されたと明記されている。また、表三・一・五・十、「ジュゴンの分布及び行動調査結果概要」にも、ナンバー十六—九ジュゴンが宜野座沖から辺野古沖、成獣、七時間十一分回遊したことが詳しく書かれております。さらに、表ではナンバー十六—九ジュゴンが「辺野古沖をゆっくりと北上し、長島・平島辺りでUターンして南下。」と環境省の報告にあります。お手元に配付した今さっきのこの資料ですね、その資料のことなんです。  これ、御覧になっていますか。七時間もその海域を回遊しながら南下していったと、こういう事実があるのにそれを書かなかった、準備書に書かなかったということは、防衛省は、基地を造るためには事実を隠ぺい、改ざんし、沖縄県民をだまし、沖縄県の環境審査会にごまかしの準備書を審査させているということになります。  防衛大臣関係者の責任を看過することはできません。したがいまして、準備書の撤回を防衛大臣に求めます。そして、防衛大臣の監督責任を問うものであります。お答えください、簡単に。──これ、あんたではできぬでしょう、大臣の責任とか監督責任を私は聞いておるんだから。
  173. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) このジュゴンの個体につきましては、普天間飛行場代替施設建設事業に係る環境影響評価準備書の第三章及び六章に記載しておりまして、先生が言うようなごまかしですとか、そういったことは、我々とすれば御指摘に当たらないというふうに思っております。  防衛省としては、今後ともこの手続を進める中で地元の方にしっかりと説明をしながら、今後述べられる知事意見を勘案しながら、我々とすればこれに対処していきたいというふうに思っておるところでございますので、今先生の御指摘のように、すぐさまこれに対しての責任論というのを私が今考えているところではございません。
  174. 山内徳信

    ○山内徳信君 ここら辺はミスがありましたねとか、こういう答弁が出てくるかと思ったら、準備書にこれだけの事実があって、環境省がこんなに七時間と十一分回遊したと詳しく書いてあるのに、なぜこの分だけが欠落するんですか。そして、平成十一年までしかいなかった、確認できなかったなんて、これは大臣の責任というよりも、事務方が、担当がこういう重要な事実があるのを意識的にやはり削ったと、こういうふうに指摘せざるを得ないと思います。  したがって、これは、今日はもう時間だと思いますから終わりますが、引き続きやりますから。沖縄県の環境影響審査会を何と心得ておるんですか。まじめに事実を提示して審査してもらわぬと、できるのもできなくなりますよ。そうでしょう。一言、この指摘に対して大臣はどういうお気持ちですか。
  175. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 当然、我々とすれば、今先生の御指摘になった事実というものを我々も受け止めながら、今後御説明をしっかりとしていきたいというふうに思っておりますし、先生がそれをミスだというふうにお話しになるというのも、我々とすれば、客観的な情勢、書きぶり、そしてまた、今現存するものというものをもう一度把握しながら考えてまいりたいというふうに思っておるところであります。
  176. 山内徳信

    ○山内徳信君 終わります。     ─────────────
  177. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、山本一太君及び鴻池祥肇君が委員辞任され、その補欠として長谷川大紋君及び礒崎陽輔君選任されました。     ─────────────
  178. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  まず、刑事に関する共助に関する日本国中華人民共和国香港特別行政区との間の協定締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  179. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  次に、領事関係に関する日本国中華人民共和国との間の協定締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  180. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  次に、国際通貨基金における投票権及び参加を強化するための国際通貨基金協定改正及び国際通貨基金投資権限を拡大するための国際通貨基金協定改正受諾について承認を求めるの件を採決いたします。  本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  181. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって承認すべきものと決定いたしました。  次に、国際復興開発銀行協定改正受諾について承認を求めるの件の採決を行います。  本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  182. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって承認すべきものと決定いたしました。  なお、四件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  183. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  184. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 次に、投資自由化促進及び保護に関する日本国ウズベキスタン共和国との間の協定締結について承認を求めるの件、投資促進保護及び自由化に関する日本国ペルー共和国との間の協定締結について承認を求めるの件、社会保障に関する日本国とスペインとの間の協定締結について承認を求めるの件及び社会保障に関する日本国イタリア共和国との間の協定締結について承認を求めるの件、以上四件を一括して議題といたします。  政府から順次趣旨説明を聴取いたします。中曽根外務大臣
  185. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) ただいま議題となりました投資自由化促進及び保護に関する日本国ウズベキスタン共和国との間の協定締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  政府は、平成二十年二月に、ウズベキスタンとの間でこの協定の交渉を開始いたしました。鋭意交渉を行った結果、平成二十年八月十五日にタシケントにおいて、我が方平岡駐ウズベキスタン大使と先方ノロフ外務大臣との間でこの協定の署名が行われた次第であります。  この協定は、投資の許可段階における内国民待遇及び最恵国待遇の原則供与、並びに技術移転要求を始めとする投資を阻害する効果を有する特定措置の履行要求の原則禁止を規定するとともに、収用等の措置がとられた場合の補償措置、支払等の自由な移転、投資紛争の解決のための手続等について定めております。  この協定締結は、我が国ウズベキスタン共和国との間の投資の増大及び経済関係の更なる緊密化に大いに資するものと期待されます。  よって、ここに、この協定締結について御承認を求める次第であります。  次に、投資促進保護及び自由化に関する日本国ペルー共和国との間の協定締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  政府は、平成二十年五月に、ペルーとの間でこの協定の交渉を開始いたしました。鋭意交渉を行った結果、平成二十年十一月二十一日にリマにおいて、我が方麻生内閣総理大臣と先方ガルシア大統領との間でこの協定の署名が行われた次第であります。  この協定は、投資の許可段階における内国民待遇及び最恵国待遇の原則供与、並びに現地調達要求を始めとする投資を阻害する効果を有する特定措置の履行要求の原則禁止を規定するとともに、収用等の措置がとられた場合の補償措置、支払等の自由な移転、投資紛争の解決のための手続等を定めております。  この協定締結は、我が国とペルーとの間の投資の増大及び経済関係の更なる緊密化に大いに資するものと期待されます。  よって、ここに、この協定締結について御承認を求める次第であります。  次に、社会保障に関する日本国とスペインとの間の協定締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  政府は、平成二十年一月に、スペインとの間でこの協定の交渉を開始いたしました。鋭意交渉を行いました結果、平成二十年十一月十二日に東京において、私とロサーダ外交長官との間でこの協定の署名が行われた次第であります。  この協定は、日・スペイン間で、年金制度について、一方の締約国のみの制度に加入するように適用調整を行うこと及び保険期間の通算による年金の受給権を確立すること等を定めております。  この協定締結により、年金制度への二重加入等の問題の解決が図られ、保険料負担が軽減されること等により、両国間の人的交流が円滑化され、ひいては経済交流を含む両国間の関係がより一層緊密化されることが期待されます。  よって、ここに、この協定締結について御承認を求める次第であります。  最後に、社会保障に関する日本国イタリア共和国との間の協定締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  政府は、平成二十年五月に、イタリアとの間でこの協定の交渉を開始いたしました。鋭意交渉を行いました結果、平成二十一年二月六日にローマにおいて、我が方安藤駐イタリア大使と先方クラクシ外務政務次官との間でこの協定の署名が行われた次第であります。  この協定は、日・イタリア間で、年金制度及び雇用保険制度について、一方の締約国のみの制度に加入するように適用調整を行うこと等を定めております。  この協定締結により、年金制度及び雇用保険制度への二重加入の問題の解決が図られ、保険料負担が軽減されること等により、両国間の人的交流が円滑化され、ひいては経済交流を含む両国間の関係がより一層緊密化されることが期待されます。  よって、ここに、この協定締結について御承認を求める次第であります。  以上四件につき、何とぞ御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願いいたします。
  186. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  四件に対する質疑は後日に譲るとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十五分散会