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2009-06-18 第171回国会 参議院 外交防衛委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十一年六月十八日(木曜日)    午前九時開会     ─────────────    委員異動  六月十六日     辞任         補欠選任         松浦 大悟君     藤田 幸久君      佐藤 正久君     鶴保 庸介君  六月十七日     辞任         補欠選任         鴻池 祥肇君     丸山 和也君      鶴保 庸介君     佐藤 正久君      西田 昌司君     岸  信夫君      山口那津男君     山本 香苗君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         榛葉賀津也君     理 事                 浅尾慶一郎君                 一川 保夫君                 白  眞勲君                 木村  仁君                 小池 正勝君     委 員                 石井  一君                 犬塚 直史君                 風間 直樹君                 谷岡 郁子君                 広中和歌子君                 藤田 幸久君                 岸  信夫君                 佐藤 正久君                 橋本 聖子君                 丸山 和也君                 山本 一太君                 浜田 昌良君                 山本 香苗君                 井上 哲士君                 山内 徳信君    国務大臣        内閣総理大臣   麻生 太郎君        外務大臣     中曽根弘文君        国土交通大臣        国務大臣     金子 一義君        防衛大臣     浜田 靖一君    内閣官房長官        内閣官房長官  浅野 勝人君    副大臣        外務大臣    橋本 聖子君        国土交通大臣  加納 時男君        防衛大臣    北村 誠吾君    大臣政務官        国土交通大臣政        務官       岡田 直樹君        防衛大臣政務官  岸  信夫君    政府特別補佐人        内閣法制局長官  宮崎 礼壹君    事務局側        常任委員会専門        員        堀田 光明君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官        兼内閣国際平        和協力本部事務        局長       高田 稔久君        内閣官房総合海        洋政策本部事務        局長       大庭 靖雄君        国土交通省海事        局長       伊藤  茂君        海上保安庁長官  岩崎 貞二君        防衛省運用企画        局長       徳地 秀士君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○海賊行為処罰及び海賊行為への対処に関する  法律案内閣提出衆議院送付) ○経済上の連携に関する日本国ベトナム社会主  義共和国との間の協定締結について承認を求  めるの件(内閣提出衆議院送付) ○日本国スイス連邦との間の自由な貿易及び経  済上の連携に関する協定締結について承認を  求めるの件(内閣提出衆議院送付) ○航空業務に関する日本国サウジアラビア王国  との間の協定締結について承認を求めるの件  (第百七十回国会内閣提出、第百七十一回国会  衆議院送付)     ─────────────
  2. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、松浦大悟君、山口那津男君、西田昌司君及び鴻池祥肇君が委員辞任され、その補欠として藤田幸久君、山本香苗君、岸信夫君及び丸山和也君が選任されました。     ─────────────
  3. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  海賊行為処罰及び海賊行為への対処に関する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣官房内閣審議官内閣国際平和協力本部事務局長高田稔久君外四名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 海賊行為処罰及び海賊行為への対処に関する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。谷岡郁子君。
  6. 谷岡郁子

    谷岡郁子君 おはようございます。民主党谷岡郁子でございます。今日は、総理をお迎えして質問させていただくことを大変に光栄に思っております。  あまたの閣法がこの国会にも提出される中で、この海賊法というのは大変重要な法案であると思います。したがいまして、今日は麻生総理をお迎えしての質疑をさせていただくということでございます。  そこで、この海賊法ポイントでございますけれども、こういう理解でよろしゅうございますでしょうか。これは、公海上の海賊、そして我が国を含めての商船を襲ったり人質にしたりするようなこの海賊行為というものが今特にソマリア近海で増えているというようなことにもかんがみ、また、その結果、安保理の決議も出るという状況の中で、我が国もそこへの対処を行おうということであり、目的としては、国際的な協力及び我が国財産、人命というものを守るというための措置であるということ。そして、基本的にこれは国土省管轄である海上保安庁仕事とするということ。三つ目に、海上保安庁では無理だということになりますと、海上自衛隊がこれに当たることもあるということを防衛大臣が御判断なさるということ。そして、四つ目には、警察行動、そこに伴う場合によっては武力行使があり得るということであって、それに対する規定を行うこと。  麻生総理、このように私は考えておるわけで、理解しておるわけですが、それでよろしいでしょうか。
  7. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) まず、これは谷岡先生、これは御存じのように、これは陸上でいえば強盗ですから、海賊というのは。海の上だから海賊というのであって、陸の上だったらあれは強盗というんだと、基本的にはそう思っております。  したがって、国連海洋法条約というものにおきましては、御存じのように、もうすべての国に最大限に可能な範囲で海賊行為の抑止に協力するという義務を課しておりますのはもう御存じのとおりです。そして、公海などにおいて行われるいわゆる強盗海賊行為については、これは海賊船舶の、その海賊の船がどこの国籍に属しているか、これは関係なく、いずれの国も管轄権自分の国の管轄権というものを行使することが認められておりますのがいわゆる国連海洋法条約ということになっております。  また、今ソマリアの例を出ておりますけれども、これはもう近年、この数年間、アフリカの角と言われておりますあのソマリアのところで、まあ内情が極めて混乱していることもありまして、あの辺り海賊というのがかなり多発しておりますので、そういった意味では、年間約二千隻からの船があそこを通過して日本物資を運んでおります、輸出、輸入含めまして。そういった意味では、この地域を通過いたします日本国籍の船はもちろん、日本人の乗っております他国の船もありますので、そういった意味ではこの保護の観点から極めて大事な問題であって、そういった意味では、この地域の安全というものはこれは基本的には極めて重要なんですが、海賊は何もここだけに限っておりませんので、いろんなところで海賊が出て、これまでもアジアで行われたこともありますので、これはいつでも発生し得るものだと思っております。  そういったような状況から、この法案というのは、特定の海域、このソマリアという海域だけを特定しているのではなくて海賊対処というもの全般に考えておりますし、処罰又は海賊行為への対応というものは効果的にこれはやらねばならぬというのが恒久法法案として提出することにした背景であります。それが今御質問に対する答弁なんだと思っておりますが。  今自衛隊のお話が出ましたけれども、これは第一義的にはこれは海上警備でありますので、これはもう海上保安庁海賊対処に当たることとした上で、今御質問のありましたように、特別な必要がある場合に限り自衛隊対処が必要だということになるとした場合には、そういったことをできるようにしておかねばならぬと思っております。
  8. 谷岡郁子

    谷岡郁子君 大変長い御答弁でございましたけれども、結局、私が言ったことで間違いなかったという理解でよろしいかと思います。  それで、私ども民主党はこの間、衆院での質疑、そしてまた参院での質疑を通じて一貫してこの海賊法案修正したいということを申し上げ、そしてまた努力をしてまいりました。それはなぜかといいますと、基本的に民主党海賊法案賛成したいということを考えておったからでございます。元々、この法案というものは、我が党の長島議員最初問題提議をした、そのところから始まっておると思います。ですから、私どもも、海賊対処すること、世界の海を安全にすること、これは海洋国我が国としての務めであるというふうに思っております。  しかるに、政府から出てきた法案というのは大変ねじ曲がったものだというふうに私どもは感じております。そして、これ、たまたまなんですけれども、漢字は不得意でも英語はお得意の麻生総理でございますから、麻生総理法律というのはルールの一種だと、多分賛成していただけると思います。そこで、ルール、これをルーラーという言葉にしましたときに、これどういう意味かということ、御存じですよね。
  9. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) この絵のことを意味しておられるんですか。
  10. 谷岡郁子

    谷岡郁子君 はい。
  11. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) それを、ねじ曲げるという意味でこの絵を使っておられるの。
  12. 谷岡郁子

  13. 麻生太郎

  14. 谷岡郁子

    谷岡郁子君 定規ですね。
  15. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) はい。
  16. 谷岡郁子

    谷岡郁子君 さすがでございます。英語はお得意だということがよく分かりました。  ルーラーというのは物差しでございます。ルーラー物差し定規、これがなぜルーラーと言われるか。これはルールというもの、これは何センチというその単位というものを決めていく、そして真っすぐに測っていく、その判断基準となるということだろうと思います。  私は、すべからくすべての法律というものは、その国で行われること、政策としてなされること、これに対するルールを設定する、その定規そのもの法律であろうかと思います。この法律が真っすぐであって、真っすぐ人々行動基準になるということでなければ必ずそれはおかしなことになってしまう、また、現場がそのしわ寄せを受けると、そういうことであろうというふうに思います。  そこで、私ども民主党がなぜ修正したかったか。これは、このねじ曲がった定規にも見える法案というものを真っすぐにしたいと思ったからであります。そのことにつきまして、我が党の修正ポイントを挙げながら、なぜそのように考えるのか、それについて今日は総理としての決断をしていただけないかということをお願い申し上げたいわけであります。  まず、この法案について、少し私ども理解として説明をさせていただきます。  この法案では、海上保安庁が出れないときには防衛大臣がその判断をするということになっております。海上保安庁の手に余るかどうかは、本来その所轄大臣である国土省大臣がお決めになることではないかと思うんですね。隣の課の人が、君の課ではできないんだからうちの課でやるよというようなことを決めるというのは、本来違う、曲がっていると私どもには見えるわけです。これを変えていただけないでしょうか、総理
  17. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) これは、防衛大臣は、特別の必要がある場合には、閣議決定を得た上で、内閣総理大臣承認を得て、自衛隊部隊海賊対処行動を取ることを命ずることができる旨定めております。また、防衛大臣は、この承認を受けようとするときに当たりましては、関係行政機関の長、いわゆる海上保安庁を含めまして、そういった関係行政機関の長と協議した上で、海賊対処行動必要性などを対処要項の中で明記するとしておるんだと思いますが。  したがって、自衛隊による海賊対処行動必要性というものにつきましては、国土交通省やその中にあります海上保安庁を含めた政府全体で適切に判断するものだと私ども考えております、政府全体で判断するんだと考えておりますが。
  18. 谷岡郁子

    谷岡郁子君 ここを読んでみますと、防衛大臣は、海賊行為対処するため特別の必要がある場合はと、内閣総理大臣承認を得てと確かに書いてあります。しかし、所轄官庁国土省なんです。国土省が本当にこの仕事が自らの手でできるのかできないか判断できるのは、国土大臣だと私は思うわけです。なぜ、よそのその内実をよく知らない人が、防衛大臣はという形でそれを申し出ることになるのか。ここはやはり普通の常識として理解できないわけであります。  その点についていかがお考えになりますでしょうか。これを、防衛大臣はを国土大臣はに、ここで決断をしていただきますと、私どもは今日の時点でこれを賛成に回ることの一つの可能性が出てくる。もちろんこれが一番重要な部分ではないんですけれども、いかがでしょうか。これは総理大臣決断だと思います。
  19. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) これは、今御答弁を申し上げましたとおりでして、これは国土交通省海上保安庁を含めました政府全体で適切に判断するものだと、私どもは基本的にそう思っておりますので、防衛庁がとか国土交通省がというより、基本的に政府全体で決めるものだと思っております。
  20. 谷岡郁子

    谷岡郁子君 民主党はほかにも修正ポイントを幾つか出しておりまして、例えばこの場合には、本部を設置して合同の部隊をつくって、そこでやるようにしてはどうかということを提案いたしました。しかし、それは屋上屋を重ねるようなものであって、かえって現場までの指令が長くなるということで柔軟性を持たないかもしれない、また時間が長く掛かるかもしれない、それは命にかかわるかもしれない、この御議論の中でなるほどそうかなというふうに思いました。  また、私どもは、ソマリア状況と、この内紛を原因として食べられなくなった人々海賊行為に走っている、その状況というもの、そして周辺諸国海上保安能力といったもの。例えばジブチイエメン。地図を出してください。(資料提示ジブチですとかイエメンでありますとか、またオマーンであるとか、そういう国々能力、これを高めるということの手だてというようなものも必要である、こういうことを法案に書き込んでほしいというふうに申し上げました。そうしましたら、いや、違う、これはその他の問題で、海賊対処直接ではないから今後考えていくということだったので、ああそうかなと思ったわけでございます。  ところで、このソマリアなんですけれども、本当に悲惨な状況でございます。ソマリアの現在の平均寿命は四十四歳、そして子供たち識字率、大人も含めてですが、三八%程度でございます。そして、一九九一年からずっと内乱状態政府がない状態自分たちを守ってくれる警察もない。ところが、外国の船がやってきて、放射能ですとか水俣病の原因になりました水銀ですとか、そういうものを諸外国、ヨーロッパの船が次々に彼らの海に落としていく。そのために健康問題も起こっている。また、日本や台湾の漁船がやってきて、トロール船で根こそぎ彼らの海の資源を奪っていく。その中で、食べられない人たちが怒りの中で実は海賊行為を始めたというような状況がございます。この根本問題というのをおいておいて、例えばこの海賊対処というものを、軍艦を出したといたしましても、これは単なるモグラたたきではないのかということでこの間私ども考えてまいりましたし、これに対する対応というものを包括的につくることが大事なのではないかということを申し上げてまいりました。  ところが、それに対して、なかなか確たる政府の方針というものが出てこないだけで、この海賊対処自衛隊を出すということだけが走っていってしまっている、現に法律を作る前から既に自衛隊が出てしまっている、こういう状況ですね。一体政府は何を考えておられるんだろうかと。本当に、ソマリア問題を始めとして、海賊を根本的になくすことにちゃんと力を注がれるおつもりがあるのかどうか、総理のお考えを聞かせていただきたいと思います。
  21. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 今言われましたように、国連報告書などを見れば明らかでありますように、この背景として、有害物資不当投棄とか、何ですかね、漁獲を収奪していくとか、いろいろな話があったということが、指摘がある面も確かですよ。しかし、同時にそれは、人質を、船舶を襲って誘拐して人質とする話がそれによって認められるという話にはなりませんよ、背景がそうであったとしても。だから、人を誘拐するのは認められるということにはならぬのは当然です。しかも、我々は、その誘拐される側の立場の国民がそこに、あそこに二千隻の船が通っておるという現実を考えたときに、そういった乗っ取りであるとかいったものから政府が船を守ろうとするのはこれは当然なんだと思っておりますので、周辺、襲われないように強化をするというのはこれまた当然なんだと思っております。  一方、御存じのように、ここは国が三つに今分かれておりまして、北西部のところが一番安定しておりますけれども、一番南のところが一番安定していない。そこで、モガディシュがそこにあるんですが、首都がそこにあるんですが、その首都のあります部分が真っ二つに分かれておって、首都が北と南とに分かれて、またそこだけが戦闘がすごい激しくなっておるというような状況であって、北西部のところはかなり安定してきたと思いますが、角の部分がその次、三つぐらいに段階分かれていると思いますが。  いずれにしても、昨年の夏でしたか、ジブチ合意というのができておると思いますが、このジブチ合意ができた以降の話につきましては、暫定連邦政府というようなものを中心に和平に向けての動きが出始めたところでありまして、ここらに対してどのような支援をしていくかということは、これは最初に、この法案を出す前に、外務省のODAやら何やらでどれくらいのことができるのか。また、これを資金を投入したからといって、政府としてそのお金が人道的に使われ得るような組織としてそれができ上がっているのかといえば、そのような状況にはないほど状況は極めてひどいことになっておると、私どもはそのように理解をしております。  そういった意味では、今積極的に支援をするべくいろいろ国連機関も出ていっておりますけれども人道支援部分ですらなかなか難しいという状況になっておるというのが今ソマリアの中における現状だと思いますので、その隣のエチオピアやらジブチやら対岸のイエメンやら、こういったところにおきましても同じような状況というようなことにならないように、あらかじめ我々としてはしかるべき支援をするということに関しましてはそれなりに対応しているのであって、当面、我々の財産、生命が襲われる確率が極めて高いという状況をまずは対応するというのが当然だと思っております。
  22. 谷岡郁子

    谷岡郁子君 私、冒頭に申し上げましたように、民主党海賊対処が必要ないだろうと言ったことは一度もありませんし、そういう議論はほとんどしておらないと思います。ですから、それに対して、海上保安庁なり海上自衛隊を出してはいけないなどと申し上げているのではありません。  ただ、それだけを重点的にやっていても、この問題はいつまでたっても収まらないだろうということをずっと指摘し続けているわけでありますし、また委員会審議の中でも、再々にわたって、これは一体いつごろ終わるのでしょうか、海上自衛隊をいったん出してしまったらこれは何年になるんでしょうか、同僚の米長議員が、十年で終わると思いますか、十年だったら帰ってこられると思いますかということを問いました。それに対しても、そうなったらいいなみたいなお答え金子大臣からなされました。あの太平洋戦争ですら四年強で終わっております。十年間にわたって日本から一万二千キロ離れたソマリアの海へ海上自衛隊がずっと行き続けることになるかもしれないような、そういう状況なんですよ、総理。  そして、今年度の補正予算によりますと百八十四億円の予算が掛けられております。それに対して、ソマリア周辺地域に対して、これは外務大臣が何度もお答えになりましたけれども、二年間で約六十七億円。つまり、一年間ベースにしますと、海上自衛隊を送る費用の六分の一しかこの問題の根本解決には日本政府は掛けていないということなんです。それでよろしいんでしょうか、総理
  23. 金子一義

    国務大臣金子一義君) 谷岡委員、私、これまでの答弁で、十年間掛かってそうなったら、そこで終了したらいいなという話を、お答えを申し上げたことはございません。どの程度時間が掛かるのかということについては、この行われている現象というのが終結したとき、国民経済に与える影響というものがなくなったときが終了する時期でありまして、年数というものについて言及したわけではありません。  ただ、長期間自衛隊を派遣するということにも当然なり得るわけでありますから、具体的な防衛大臣対処要項を作る上で適切な時期を区切って、そしてその都度国会報告をしてもらうという仕組みを入れて国会との関与を強めておるという答弁をしたところであります。  それから、ちなみに、さっきこの法案国際協力かという御発言がありますけれども、この法案は決して国際協力という分野ではありません。むしろ、国連海洋法条約によりまして、各国が最大限それぞれの持っている国の能力を発揮して海賊行為を抑止するということでありますから、むしろ国際協力というよりも、犯罪であります海賊行為を世界各国協力して抑制するという行為であります。
  24. 谷岡郁子

    谷岡郁子君 五月二十八日、私自身が期間に関して質問いたしましたときに、長期に及ぶことも当然予想されますと金子大臣お答えになっております。そして、これはテレビを見ていらっしゃる方々は、国会のホームページで議事録を見ていただければちゃんと検証できることですのでそうしていただきたいというふうに思うんですが、六月四日、米長議員は、十年以内に解決すると思いますか、それとも分からないですかとおっしゃったら、この答弁、長々となってもどうですかと思いますので、むにゃむにゃむにゃとおっしゃいまして、そしてはっきり答えられなかった。それに対して、米長議員は分からないということですねということに対して、何も答弁なさらなかった。我々はそのように了解しております。  私の今日の最大のポイントというのは、だからこそ、マラッカ海峡でも海上保安庁の助けを借りて海賊が激減するまでには五年間も掛かった。あのアジアマラッカ海峡辺りには、インドネシアですとかマレーシアですとか対応できるような国々が既にございます。でも、政府もないようなアフリカ国々だったらもっと時間が掛かるだろうと。ならば、マラッカ海峡が五年だったら十年掛かるかもしれないというのは、これは普通の判断ではないかと思われるわけです。  だからこそ、出すなと言っているわけではありません。そうではなくて、自衛隊が十年にもわたって出ていく可能性があるならば、私たちはそれは国会承認を必要とするということを申し上げております。これ、最大のポイントなんです。先ほどの、国土大臣がなのか、防衛大臣はなのか、よろしいです。でも、最後まで譲れない一点として、今日は、この審議をする、この法案審議の最後の日でございます。私どもは、事前承認国会承認を得て海上自衛隊を出したい。戦後初めてソマリアの海で銃撃戦に巻き込まれて、実際に海上自衛隊の方々が場合によっては命にかかわることをなさなければならないかもしれないと、そのときに国会承認を何とか持てないかということをこの間ずっと私たちはお願いし続けてきました。それに対して駄目だとおっしゃる。  これは法律問題ではありません。過去においても幾つもの法案について、内閣から出されてきたときには、事前承認はなし、国会承認なし、でも、国会審議を通じて最終的には承認が入りました。なぜか。より広範な国民の支持と理解を得るために必要であるという政治的な判断がなされて、その結果、国会承認というものが法律に入りました。  私は、総理にその政治決断を求めたいのであります。どうかこの場で国会承認付きの法律にするということを言っていただきますようにお願いいたします。そうすれば、民主党はこの法案に賛成できるということもあろうと思います。
  25. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) この海賊行為対処というのは基本的に警察活動というのがまず大前提ですから、海上警備行動と同様に、これは国会の事前承認に関する規定は設けなかったと、これはもう御存じのとおりです。  他方、本法案において、これは、内閣総理大臣海賊対処行動というものを承認したときに当たりましては、海賊対処行動必要性、またその区域、期間などを定めた対処要項の内容というものを、また海賊対処行動が終了したときには、その結果を当然のこととして国会報告することといたしております。これは、海賊対処行動が、その性格の問題から見ましても自衛隊の派遣期間というものが長くなることが想定をされておりますので、自衛隊をより的確に文民統制の下できちんと運用することを求められることからこれを設けたものだと、私はそのように理解をしております。  したがいまして、国会への説明責任というものは十分に果たすことができると考えておりますので、現在の法案というものはそれなりにきちんとしたものだと、私自身はそう理解をいたしております。
  26. 谷岡郁子

    谷岡郁子君 政府判断する、報告する、でも口出しはさせない、つまり、今総理がおっしゃっていることはそういうことなんですね。でも、国会承認というのは国民承認であります。私たちは国民の代表として来ております。そして、国会承認なしに自衛隊人々が向こうで大変危険な状況に遭遇する、命の問題に遭遇するということを送り出すということは、この国の形として私はふさわしくないのではないかというふうに思っております。  それは当然国会承認を得てやると。それならば、自衛隊人たちも安心して、国民理解と支持を得て自分たち行動をしているんだということを思うことができます。その士気、安心感と、堂々と行かせるということを総理はお認めにならないんでしょうか。政治家としてそうしていただけないんでしょうか。  浜田防衛大臣は、この間の質疑の中で何度も、一般的にはと断りながら、海賊問題に対してだろうと何であろうと、一般的にはということ付きですけれども、この法案についてはおっしゃらなかったけれども自衛隊が海外へ出るときには必ず事前の国会承認を持つということをもう決めてしまった方がいいということを発言なさっているんです。防衛大臣は、所轄の大臣として、自衛隊を送り出すに当たって、やはり国民に疑義があるままで送り出したくないとお考えになっていると思うんです。ですから、事前承認をお認めいただきたいということをお願い申し上げているわけであります。  どうか事前承認をお認めいただけないでしょうか。総理、もう一度お願いいたします。
  27. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) この法案最初から出ているとおり、これは基本的には、今回のいわゆる出動というものは海賊行為行動に対する対処ですから、これは基本的には警察行動、海の上の強盗と同じと最初に申し上げました。それで、対応海上保安庁で手に余るような状況になったときに、海上であろうと何であろうと、警察活動というものの対応としてそれを補完する意味で、海上自衛隊がそれを補完する意味でありますので、一義的には警察活動というのが大前提でこの法案ができ上がっておるという点が一番大事なところだと思っております。
  28. 谷岡郁子

    谷岡郁子君 必要であろうが警察行動であろうが何であろうが、海上自衛隊が海外へ行く、そしてたくさんの武器を積んでいく。海賊との銃撃戦に巻き込まれるかもしれない、救出活動へ行った先で銃撃戦になるかもしれない。そのときに、当然正当防衛として撃つでしょう。戦後初めて、この平和を続けてきた国民が軍事的組織によってひょっとすると命を奪うということをするかもしれないんですよ。これが警察行動だとか何だとかという、そういう法律的な仕分の問題じゃないでしょう。これは政治の問題でしょう。この国の行く末の問題であり、この国の信念の問題であろうと思います。憲法前文でうたわれた平和主義の問題なんです。だからこそ、やむを得ないという形の中では国会事前承認が必要だということを我が党は申し上げているわけであります。  飛行機に初めて乗って旅をする子供がいたとします。パイロットも飛行機会社も、お守りなんか必要ないと言うでありましょう、お守りなんかなくても飛行機はちゃんと飛ぶんだと。だけど、祖母の気持ちとして、母の気持ちとして、子供にお守りを持たせたい、そして彼らの無事を祈りたいと。国会の事前承認は、国民の意思として、あなた方の無事を祈りたい、そしてだれも傷つけないことを祈りたいという思いであります。そのお守りをなぜ自衛隊の若者たちに持たせていただけないのかが私にはどうしても分からないわけであります。どうかお願いでございます、事前承認を認めていただきたい。  総理、もう一度お願いできませんか。
  29. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 重ねて申し上げますけれども、これは戦争に行くわけでありません。戦闘に巻き込まれる可能性がなきにしもあらずだと思いますが、はなから戦争と定義されたかのごとき話をされるとこれはいかがなものかと、今のお話を伺っていてそう思いますが、少なくとも警察活動の補完という意味が基本的な立場でありますので、先ほど御答弁申し上げたとおりということになろうと存じます。
  30. 谷岡郁子

    谷岡郁子君 警察活動なら元々海上保安庁にやっていただければいいんですよ。そして、その能力があること、ほかの国々が出している、そういう船は何ら海上保安庁のものとも変わらないし、もっと能力のない船もいっぱいいるということも私どもは分かっております。そのことはずっとこの間、審議をしてまいりました。今日は時間がないのでしていないだけの話でございます。でも、海上自衛隊をお出しになるんです。出ているんです、現在。  総理、私は政治家としての決断総理に求めました。昨日、我が鳩山代表は、判断をしない、そしてぶれる、間違うという麻生総理だというふうにおっしゃいましたけれども、やはりここは判断をしていただく、そういう場所だと思います。そもそも前任者から選挙のためだけにおぜん立てされて総理になられた方が、ずっと解散しないでここまで来て、そして解散について判断できずにここまで来たわけじゃないですか。  そして、このような大きな問題、海上自衛隊ソマリアの海へ出すような問題は、本来、国民の信を問うてやるべき問題だと私は思います。それをなさらないで勝手に自衛隊を、今法律もできない前からソマリアへ送っていらっしゃる。そして、十年掛かるかもしれないような行動について、国民の支持である事前承認が要らないとおっしゃる。それ、やっぱり違うと思うんですよ。  この一点だけができれば民主党は賛成すると申し上げているんです。まるで民主党に賛成させないために事前承認しないように、私どもにはそれしか理解ができないわけです。どうかその点を明らかにしていただきたいと思います。
  31. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) これ、質問かね。  いろいろ私に対する御批判含めて質問というとお答えのしようがないんですが、基本的には、今我々としては、そこに襲われている船がある、人質になった国民もいる、人質になった他国の船に乗っていたとはいえ日本の人もその中にいた、そういったようなことを幾つか言われておりますけれども、そういう点を勘案したときに、基本的には我々としては、日本の生命、財産というものを守るというのは、これは海賊というものに対してそれに対応するのは当然なんだと、私はまず第一義的にそう思います。その点に関しては全く問題ないんだと思っておりますので、その点は一致しているんだと思います。  私どもは、その警察行動を補完する意味海上自衛隊警察活動の補完として出ていくんであって、これは戦争を目的としているわけでもありませんし、そういった意味では警察活動の補完として出ていっている場合において、事前に海上自衛隊が海外に行くということだけをもって今は戦争に行くかのごとき話に取られかねないような話には、私どもとしてはいかがなものかというのがずっと一貫して申し上げてきたところです。
  32. 谷岡郁子

    谷岡郁子君 戦争を始めようと思って始まるということは余りないんです。第一次世界大戦は皇太子の暗殺という一つの事件から始まりました。第二次世界大戦、日本が戦争に巻き込まれていったのも、いろいろな見方がありますけれども、それは決して戦争を始めようとしたのではなかったような、いさかい、そして戦闘行為、先ほど総理がおっしゃった戦闘行為のようなものの中から大きな戦争というものは常に始まってまいりました。  ですから、私どもはそのことを恐れているわけですし、国会がこの問題について関与し続けることができるように、国会が場合によっては兵を引くということの必要な決断ができるようにということを申し上げておるわけでございます。それをお分かりいただけないあなたは、私はやはり総理にふさわしくないと思います。そしてその判断は、次の選挙で必ず国民がしていただけるものと信じております。  質問を終わります。
  33. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 関連質疑を許します。風間直樹君。
  34. 風間直樹

    ○風間直樹君 民主党の風間直樹です。  総理質問をさせていただきますのは、先月、五月二十七日のこの海賊対処法案の参議院での審議入りの本会議以来でございますが、よろしくお願いいたします。総理とは余り私、御縁がこれまでございません。おととしの参議院選挙でただいま質問に立ちました谷岡議員とともに当選をさせていただきました。  私は、代表質問でも申しましたが、今回のこの海賊に何らかの対応をすべきだという政府の方針に対しては同意をしております。といいますのは、私事で恐縮ですが、かつて私は三井物産という商社に勤務をしておりました。その際に、いかにこの商社という組織が貿易上発生するコストの抑制に腐心するかということを身をもって感じた経験がございます。企業は当然営利を追求するのが責務でありますので、商社にとりましては予測外のコストを抑える、そのためにあらゆる努力を払う、このことが日常茶飯事だったわけであります。  今ほどこの海賊対処法に関しまして総理も何度も繰り返し御答弁されましたように、今回の海上自衛隊の派遣は警察活動であります。しかし、谷岡議員が繰り返し述べましたように、私ども民主党は、自衛隊という武器を持った実力組織を海外に送る上で、それを国民理解し、納得することが極めて重要だというふうに考えております。そのため、民主党としましては、この海上自衛隊の派遣が国会への報告なのか、それとも私どもが求めるように事前承認とすべきなのか、この点をめぐって政府の立場と対立をしているわけであります。  まず最初に私がお尋ねをしようと思っておりましたのは、これまで外交防衛委員会質疑でも、繰り返しなぜ国会承認ではなく国会報告としたのかという質問に対して政府から御答弁がありました。これは、金子大臣が手を挙げていらっしゃいますので、いま一度確認の意味で御答弁をお願いいたします。
  35. 金子一義

    国務大臣金子一義君) 今もう既に御指摘いただきましたように、本法案海賊という犯罪行為に対する警察活動であります。そういう意味で、警察活動でありますので、海上警備行動という既に法律体系というのができておりますけれども、この海上警備行動というのも警察活動であります。この場合に、国会承認に関する規定は今の法体系ではありません。ただ一方で、今度の海賊行為、これは内閣総理大臣承認したときに、どこへ行きます、どういう部隊で行きます、どの期間行きます、どういう陣容で行きますという内容でありますけれども対処要項というものを作って、これは政府全体として作ります、そして内閣総理大臣承認をもらう、遅滞なく国会報告をする。  ここの自衛隊が、先ほど谷岡委員の御質問にもありましたけれども自衛隊の海外派遣というのがソマリアという事象に対応したときに、少し長期にわたるかもしらぬ。したがって、そのまま長期に行きっ放しということではなくて、やっぱり文民統制に自衛隊の活動を置くために、ある一定の期間を、一回一回の期間というものを区切って、そしてその都度国会報告し、そして、今ソマリア海賊状況というのが、海賊の事案というのがどういうものかということを国会報告するということで説明責任を果たしていきたいと、あるいはそれでもって国民への説明を果たせるということで、我々、現行の海上警備行動と同じ警察行動という一環としてこれをとらまえておりますので、こういう仕組みとさせていただいたところであります。
  36. 風間直樹

    ○風間直樹君 今大臣の御答弁にありましたが、この海警行動、私当初、一九五四年制定の自衛隊法でこの海警行動が設置されたのかと思っていたんですが、そうではないんですね。一九五二年の海上警備隊の創設時にこの海警行動が設置をされています。つまり、今から五十七年前ということです。  ここで論点を二つ申し上げたいと思います。  まず一点、この海警行動、今申し上げたように、その由来からしましても、一九五二年当時、海上自衛隊の艦船が日本の近海を離れて遠洋に、しかも長期で行くということはおよそ想定していなかったはずであります。今回、この海警行動に準じて国会への報告のみでいいと、こういう政府の御答弁には、やはり私は適切さが欠けるのではないかというのが一点。そしてもう一つ、外交防衛委員会では、国会関与の規定が自衛隊の海外派遣時にそれぞれどのようにあるべきかということを様々な観点から議論をしてまいりました。  私なりにそれを整理いたしますと、二つの考え方があると思います。一つは、自衛隊派遣各法の国会関与規定は警察権のくくりでまずは判断すべきであるという考え。つまり、日本管轄権の下で警察権を行使する場合は国会への報告でいいのではないか。今回の海賊対処法案がそれに当たるんだろうと思います。そして、もう一つの考え方。武器を使用する可能性、同時にその自衛隊の活動が国民の権利を制約する可能性、この二つの可能性に照らして国会関与規定をどう設けるべきかというくくりであります。  私は、様々な議論を聞いていて、どうしても一つ腑に落ちないことがありました。それは、政府にも、そして我々国会での議論にも、実は一つ大切な本質的な視点が欠けているということであります。それは何かというと、すなわち、武装部隊を海外に出すこと自体、そのこと自体が軍隊を使うことだという認識であります。私は、この観点から、今回の海賊対処法案海上自衛隊ソマリア沖に派遣するに際して、我々が国会関与規定にどのような判断を設けるべきかということを考えなければならないと思います。  さて、先ほど総理からも、海警行動との関係でこの国会報告としたという御答弁がありました。そこで、一点、その総理の御答弁を百歩譲って認めるとしても、一点腑に落ちないことがありますので、お尋ねをさせていただきます。  海賊対処行動警察権に属します。ならば、その国会関与規定については、命令による治安出動、これは国会関与は事後承認となっておりますが、これに準ずるはずと私は思います。すなわち、治安出動では警察対応できない場合に陸上自衛隊が出て警察権を行使する。一方、海賊対処においては海上保安庁対応できない場合に、法案上そうなっています、海上自衛隊が出て警察権を行使する。ならば、海賊対処法も国会報告ではなく、少なくとも国会への事後承認を求めるべきと考えますが、政府の認識はいかがでしょうか。
  37. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) この法案によって自衛隊のいわゆる海賊対処ということになりますと、これは明らかに海賊ですから私的目的で私人が行動する犯罪行為でありますから、いわゆるこういった行為を海上において行うので海賊行為ということになるので、対処する対応としては海上警備行動というのになるんだと、私は同様の性質のものだと、まず最初にそう思っております。  他方、自衛隊法でいきますと、八十六条だったかな、七十八条か、だったと記憶しますが、命令による治安出動というのがあります。これは御存じのように、間接侵略とかその他のいわゆる緊急事態に対応して発令されるというのが、大体命令による治安出動というのはそれが基本だと思っております。また、日本の領土において自衛隊対処するということが想定されていると思いますが、今のいわゆる命令による治安出動という場合は。  ところが、海賊行為という、かなり日本の領域からずっと離れた地域ということになりますと、その前提が全く異なると、自衛隊の治安出動とは異なるということだと思っておりますので、そういった意味では、この法律の仕組みというものを、治安出動とは異なっているんですから、今回は海賊への対処法案としてきちんとしたものにさせていただいたというように理解をいたしております。
  38. 風間直樹

    ○風間直樹君 今の総理の御答弁ですと、国内における陸上自衛隊の出動か、あるいは海外における海上自衛隊の出動による警察権の行使かと、この部分に注目をしてそして区別をすべきだと、こういう御答弁だったと思いますが、これは政府におかれましてもいま一度整理をされるべきではないかということを申し上げておきたいと思います。  さて、ちょっと時間がありませんので、先に進ませていただきます。  一つ、この国会関与の関係でお尋ねをしておきたい。今後、政府から海賊対処法に基づく海上自衛隊行動について国会報告を受けた際、国会がこの行動に当たる部隊の撤退を決議した場合、政府部隊を撤退させるお考えでしょうか、御答弁をお願いします。
  39. 金子一義

    国務大臣金子一義君) そういう国会決議は尊重したいと思っております。
  40. 風間直樹

    ○風間直樹君 六月十一日の当委員会での金子大臣の御答弁も今と一字一句同様でありました。  総理の認識をお伺いします。
  41. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 今、想定の趣旨を踏まえると、御指摘のような事態が仮に国会において示された場合ということなんだと思いますが、その意思を重く受け止めるのは当然のことだと思いますが。
  42. 風間直樹

    ○風間直樹君 この点については、私は当然、国会という国権の最高機関がそうした議決をした場合には撤退をさせるべきだと思います。政府にも当然その認識を持っていただくべきだと考えております。  さて、法案上、海賊対処法に基づく海賊対処行動発令後の国会報告についてお尋ねをいたします。  この国会報告につきましては二つが規定されています。すなわち、防衛大臣自衛隊の派遣を総理報告し、総理がその海賊対処行動承認されたとき、そしてもう一つはこの海賊対処行動の終了時であります。しかし、これはやはり明らかに国会への報告の頻度が少ないと思うわけでありますが、これ以外に何らかの期間ごとに報告がなされるのでしょうか。
  43. 加納時男

    ○副大臣(加納時男君) この問題は、委員の御指摘は、派遣が例えば長期に及んだ場合のその間の報告をどうするのかというのに関連していることだと思います。  二つ問題がありまして、一つは派遣期間の設定でありますけれども、これが、国会に対する適切な報告を確保することも頭に入れながら期間を設定するということが一つのポイントだろうと思っています。それから、派遣期間は設定して、それを国会報告しているわけでございますから、その期間が間もなく切れる、しかしまだ必要性がある、派遣の必要性、継続して必要性がある場合にはどうするのかということだと思います。  そのときの国会関与の御質問だと思いますけれども、これは、派遣期間を延ばす必要がある場合には改めて対処要項を定めまして、これを総理大臣承認を得た後国会報告するわけでありますが、この中に明確に期間が入っておりますので、どのぐらいの期間ということはここで明確に国会報告されるというふうに考えております。
  44. 風間直樹

    ○風間直樹君 政府案に基づく国会報告を前提とすれば、今、加納副大臣がおっしゃいましたように、適宜適切な期間を設けて国会報告を少なくともされるべきだと、私もそのように考えるわけであります。  さて、先ほど申し上げましたように、私ども民主党の参議院第一期生はおととし七月の参議院選挙で当選をさせていただきました。この選挙の直後に国会におきまして大きな課題、問題となりましたのが、御記憶のとおり、インド洋で活動している海上自衛隊部隊に対して補給活動を継続させるか否かの法案でありました。補給支援法であります。私は、このときの審議外交防衛委員会で何度かさせていただきましたが、そのとき非常に不思議に思ったことがあります。今、この法に基づいて海自の部隊がインド洋、より具体的に言えばアラビア湾に展開しています。今回、海賊対処法に基づいて派遣されるであろう部隊もその近く、ソマリア沖のアデン湾というところで展開をする予定になっているわけであります。  そこで、この補給支援法、さらに、それに先立つ、この補給支援法とほとんど中身は同じ旧テロ特措法、この二つの法律と今回の海賊対処法について、その比較をしながら質問をしたいと思います。  まず、政府にお尋ねをしますが、二〇〇一年十月に制定されました旧テロ特措法、これに基づきましてイージス護衛艦が一隻、そして補給艦一隻、計二隻の艦船がアラビア海に派遣されています。この旧テロ特措法を制定した理由はいわゆる海上阻止活動に当たる多国籍艦船への補給が目的だったと、こういう認識を私は国会での質疑を通して持っておりますが、この認識に間違いございませんでしょうか。
  45. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 旧テロ対策特措法におきましては、国際的なテロリズムの防止、根絶のための国際社会の取組に積極的かつ主体的に寄与し、我が国を含む国際社会の平和及び安全の確保に資することを目的としております。  同法に基づく自衛隊による対応措置として、協力支援活動、捜索救助活動及び被災民救援活動を規定しておりまして、活動内容を海上阻止活動に当たる諸外国への、艦船等への補給に限定はしておりません。
  46. 風間直樹

    ○風間直樹君 今、大臣から補給に限定はしていないという御答弁でありましたが、端的にお答えをいただきたい。  では、そのほかにどのような任務を付与しているんでしょうか。
  47. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 今申し上げたとおり、災害等に対するそういった活動にもこれは貢献をしておるところでございますので、被災者の救援活動にもこういった形で我々この補給に際してはやらせていただいているところでございますので、具体的な例ということでは、被災民救援活動として国連難民高等弁務官事務所の要請によるテント等の海上輸送を実施したところでもございます。  以上であります。
  48. 風間直樹

    ○風間直樹君 実は、この質問をしております理由は何かといいますと、自衛隊が海外に派遣される、アラビア海に派遣される、この自衛隊の活動目的あるいは活動の詳細が実は国会に十分報告されていないのではないかという疑念を私が持っているからであります。  政府にお尋ねをいたします。この旧テロ特措法の制定に際して、米国からイージス艦を派遣してほしいという打診はあったかなかったか、お願いします。
  49. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 旧テロ特措法の制定に際しましては、米国からイージス艦派遣についての具体的な要請はなかったと、あったとは承知をいたしておりません。  この旧テロ特措法に基づく協力支援活動を行う部隊の派遣につきましては、現地の情勢やそれから協力支援活動の実績などを勘案しながら、我が国自身の問題として国際テロ根絶のための取組にいかに寄与をしていくかと、そういう観点から我が国が主体的に判断したものでございますけれども、イージス艦につきましては、これは、高いレーダー探査能力それから情報処理能力が補給活動における安全性の確保の観点から有効であるということ、また、部隊の派遣ローテーション及び隊員の居住環境の快適性など、そういうものを総合的に勘案をいたしまして検討し、派遣を決定したものでございます。
  50. 風間直樹

    ○風間直樹君 今、外務大臣答弁いただきましたが、どうも今の大臣の御答弁、あるいはこの旧テロ特措法、補給支援法の制定当時の国会での議論見ておりまして、私は真実が国会報告されていないのではないかという気がいたします。そこで、その例証を一つお示ししたいと思います。(資料提示)  当時、この旧テロ特措法制定当時、二〇〇一年の十月ですが、この法案の作成を外務省で担当されました方がおられます。当時の条約局条約課長の大江博さんです。大江さんは今防衛省に参事官として御出向されているということで、今日のこの委員会には御出席いただくことができませんでした。実は、この大江さんの御著書、今パネルで出しておりますが、こちらに非常に赤裸々な事実が語られております。  テロ特措法に基づく自衛隊による支援の中で、特にイージス艦の派遣について言及しておきたい。イージス艦は、半径数百キロメートル以上の範囲を捜索することができる高性能なレーダーとコンピューターシステムを持ち、さらにミサイルシステムによる高度の防衛能力を備えた護衛艦である。当時、それを保有していたのは、日米のみであった。それまでの日本による後方支援が、政治的、象徴的な意味合いが大きいものであったのに対し、ここが重要ですが、イージス艦の派遣は、米軍にとって極めて実質的な意味を持つものであった。そして、その下の赤い文字、これまで米側からの希望表明が何度かありながら、その派遣はなかなか実現しなかった。二〇〇二年末、ついに政府はイージス艦の派遣に踏み切ったのである。これは、米側にとっても、実際に意味のある後方支援という観点から画期的なことであった。  これは、単なる一外務省の職員がその著書に記した内容ではありません。まさに旧テロ特措法のその草案を作った当事者中の当事者である外務省の官僚が記した文章であります。  私は、このアラビア海にイージス艦を派遣することの是非をここで問おうとしているのではありません。私が申し上げたいのは、今外務大臣の御答弁もありましたけれども、我々はずっと、補給のために送るんだ、避難民の救済のためにも送るんだ、こういう政府答弁を繰り返し聞いてまいりました。米側による要請に基づいてイージス艦を派遣する必要もあり、この旧テロ特措法を通さなければいけないという答弁、そうした理由は当時政府から国会に対して一切なされておりません。  私は、このことは、政府国会国民に、自衛隊を海外に派遣するに際し真実を伝えるという責務を言わば怠った、あるいは放棄した、その極めて象徴的な例証だと思います。外務大臣防衛大臣、いかがでしょうか、御所見を伺います。
  51. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) この大江氏の著書では希望の表明という、そういう表現になっておるわけでありますが、当時いろいろな議論があったとは思います。しかし、これは一般的な期待の表明であったんではないかと思っておりまして、具体的な要請はなかったと、そういうふうに承知をいたしております。
  52. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 先生、今の御指摘の点につきましては、今外務大臣のおっしゃったとおりだと思います。我々とすれば、具体的にこのイージス艦を出してほしいという要請ということではなくて、まさに我々の艦艇を守るためにも能力の高いものを出した方がより安全に自分たちの任務が実行できるということを念頭に置いてイージス艦の派遣を決めたところでありますので、アメリカ側との関係云々ということはその当時にはなかったというふうに思っているところであります。
  53. 風間直樹

    ○風間直樹君 両大臣、それぞれお立場もあり、なかなか苦しい答弁だと思います。しかし、やはり先ほど申し上げましたが、条約局の条約課長が、当時の、この旧テロ特措法を起案したその当事者がこう記しているということを、やはり政府は、両大臣はほおかむりはできないと、私はこう思います。  今、私の手元にこのときの詳細な経緯を記した記事があります。これは文芸春秋の二〇〇八年の一月号に載っております。「外交敗戦」という記事でありますが、この中に非常に詳細に今私が御紹介した経緯が記されておりますので、是非政府にはいま一度お目通しをいただければ有り難いと思います。  さて、今日はNHKの中継が入っています。私がなぜわざわざこの旧テロ特措法の事例を引き合いに出して質問させていただいたか。恐らく国民の皆さんは、国会議員であれば与党議員、野党議員を問わず国政調査権を基に政府に対して様々な情報提供を要請し、政府、官僚もそれに基づいていろんなデータを渡しているんだろうと、こう期待をされていると思うんです。しかし、事実は違うんです。我々野党には少なくとも、ほとんど自衛隊の海外派遣に際して本質的な重要なデータ、資料は政府から提供されていません。その中で、こうした極めて重要な自衛隊の海外派遣の審議に際して、政府案に基づきそれを承認してくれと言われましても、私どもはそれに対してイエスと言うことは困難であります。  もし、私どもがそれに同意をするのであれば、やはり政府には、今引き合いに出しましたように真に持っていらっしゃる情報、データをこの国民を代表する国会の場に出していただきたい。そして、情報公開されたものに基づいて真摯な議論を行い、自衛隊を派遣するのであれば国会報告が適当なのか、あるいは事前承認が必要なのか、そのことの審議を、率直に議論したいと思うのであります。  かねがね外交防衛委員会では、中曽根外務大臣浜田防衛大臣とも議論をさせていただいております。今日、私は珍しく少し声を上げて質問させていただいておりますが、ふだんの外交防衛委員会では極めて紳士的に、そしてお互いに国益を維持し守ろうという観点から実りのある議論をさせていただいておりますことをここに付言しておきたいと思います。  さて、この国会に必要な情報が必ずしも出されていないのではないかという今の私の議論の流れを受けまして、今回の海賊対処法に基づくP3Cの派遣について御質問をいたします。  今回、このP3C、ソマリア沖に派遣を既にされております。私が非常に気に掛かっておりますのは、この派遣に際してP3Cの整備あるいは警備のために、同時に陸上自衛隊部隊も投入されているという点であります。この部隊の名前は中央即応連隊といいまして、昨年三月創設をされました。現在、宇都宮駐屯地に七百名の隊員が駐屯していると聞いております。今回、その中からたしか五十名でしょうか、アフリカジブチに派遣をされました。  この根拠法、海上自衛隊を派遣する根拠法は海警行動であり、今後は海賊対処法案になると、これは分かるんですが、この陸上自衛隊の中央即応連隊を派遣した根拠法、これは一体何なのか、このことをまず一点、お尋ねしたいと思います。
  54. 北村誠吾

    ○副大臣(北村誠吾君) お答えいたします。  ソマリア沖・アデン湾の海賊対処のために派遣をいたしましたP3Cが円滑に任務を遂行するためには、陸上において待機中のP3Cの近傍で監視あるいは巡回等の業務を行う必要がございます。海上自衛隊だけでは派遣できる要員に限度がございますから、陸上自衛隊の有する知見が活用できると考え、今回その業務を行うために陸上自衛隊の隊員を派遣するとしたものでございます。  なお、これらの業務は、P3Cが海上において警戒監視、情報収集等の任務を遂行するために当然に必要となるものであり、自衛隊法第八十二条を根拠とし、海上警備行動命令により陸上自衛隊の隊員を派遣したものでございます。  以上です。
  55. 風間直樹

    ○風間直樹君 今、海警行動を基にこの陸自中央即応連隊を派遣したという御答弁でございました。  海警行動には、先ほど来麻生総理が御答弁されていますように、国会関与規定非常に薄いんであります。今回、この中央即応連隊を、陸自の部隊を派遣したことについては、国会に対して報告がこれまでのところございません。私はこれはいかがなものかと思います。もし陸自の部隊を送るのであれば、この自衛隊法八十二条、海警行動の条文にやはり何らかの国会関与規定を盛り込むべきではないかと、このように思うわけであります。これは指摘をさせていただきます。  私の持ち時間、今日は十時十分まであと三分でありますので、次の質問に移らせていただきます。  P3Cの派遣、ソマリア沖・アデン湾で海賊対処を行うに際して、どこにどのような海賊船と思わしき船がいるか、それを上空からこのP3Cという哨戒機を使って探知し、海上にいる自衛隊の艦船にその情報を伝達する、連絡する、こういう目的だろうと思います。  しかし、一つくぎを刺させてください。このP3Cの派遣にかかわる連絡官が、去る三月、そしてこの五月十九日、海自の大佐でありますが、二名、バーレーンのマナーマにありますCMF、ここに派遣をされています。  このCMFは、政府御承知のとおり、第五艦隊の司令部が置かれている場所と同じところにあります。かねがね国会でも議論になっていますが、この米軍の第五艦隊の様々な業務、連絡あるいは指揮、その系統、そこに海自から派遣された連絡官が入らないだろうかという懸念も実際にあるわけであります。  政府におかれましては、この点を十分留意、認識されまして、今後の連絡官の行動対処に当たっていただきたい、そのように要請をしております。  そして、私たちは、今日、このパネルにも示しておりますけれども、是非、国民の皆さんに御理解をしていただきたい。今、さきに制定された補給支援特措法、そして今回成立しようとしている海賊対処法案、この二つの法律法律案に基づき、合計約九百名の海上自衛隊、陸上自衛隊の隊員がアフリカ沖、アラビア海に送られている、あるいは送られようとしている、ここに我が国自衛隊のプレゼンスがこの規模としてあるということを国民の皆様には是非御承知おきいただきたい。同時に、我々国会議員も、この事実を念頭に、今後、政府報告、あるいは我々が求めるところの事前承認を確認していきたいと思っております。  さて、最後、一分を残す余りになりました。これは総理に端的にお伺いします。  総理日本は憲法九条に基づくいわゆる平和憲法を抱いております。そこには自衛隊に関する規定はございません。したがって、自衛隊を海外派遣する際に、私ども国会がそれにどうかかわるべきかという根拠は憲法にはございません。諸外国には、そもそも憲法で国軍の海外派遣の事前承認を定めている国が多数あります。私は、日本にとって、海外派遣の実績が着実に積み重ねられながらこうした状態が続くのは少々不健全ではないかと思っています。  そこで、最後の質問であります。  米軍は、司令官以上の軍人にすべてミリタリーヒストリアンという名前のいわゆる記録保持係を付けています。その人たちが米軍の活動、行動をフィルムに収め、記録に収め、それを後世に伝承を伝えている。我が自衛隊もそろそろそうした措置をとるべきではないかと思いますが、このミリタリーヒストリアンの養成、これについて総理の御所見を伺いまして、私の質問を終えたいと思います。
  56. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 浜田防衛大臣、時間が来ておりますので、簡潔に御答弁願います。
  57. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 前回にも参議院の外交防衛委員会お答えしましたが、先生の御意見をまた我々とすれば参考にしつつやっていきたいというふうに思いますが、今の時点でこれを取り入れるということは考えておりません。
  58. 風間直樹

    ○風間直樹君 終わります。
  59. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 小池正勝君。
  60. 小池正勝

    ○小池正勝君 自由民主党の小池正勝です。質問をさせていただきます。  まず、海賊法案質問に入る前に、今マスコミ等で報じられていますのは北朝鮮問題が非常に多いわけでございますし、国民の関心事もこの北朝鮮問題にありますので、まず、北朝鮮問題について冒頭御質問をさせていただきます。  北朝鮮は、国際世論を無視し、安保理決議に違反し、そして四月にはミサイルを発射する、五月には二度目の核実験を行うというまさに暴挙、許し難い暴挙を行っているわけであります。しかも、この二回目の核実験の規模はといいますと、いろいろ言われておりますが、広島、長崎に投下された原爆の三倍から四倍の威力があるんではないかと言われております。しかも、今の北朝鮮の持っているミサイルというのは、ノドンとかテポドンとか言われていますが、いずれも日本を射程距離の範囲内にしているし、アメリカの一部も掛かっているんだということが言われているわけです。こんなことを許してはならない。  そこで、国際社会が一致して外交努力をすることによってこれを押さえ込んでいかなければならない、もう二度とさせてはならないわけでありますが、素早くやっていかなければならないわけですが、そこで、まずこの安保理決議、今回、安保理決議がなされたわけでありますが、まず外務大臣にお伺いしたいんですが、この安保理決議の内容、どのように評価されておられますか。
  61. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 六月の十三日、現地時間では十二日になりますけれども国連の安保理決議一八七四号が安保理の全会一致でこれを採択されたわけでございます。  この決議は、二〇〇六年に行われました、これは前回の核実験を受けて採択されました決議一七一八、これで定められました北朝鮮に対する制裁措置の強化に加えまして、委員御承知のとおり、武器禁輸それから貨物検査、さらに金融面での措置などにおいて大変強い内容が盛り込まれておるものでございます。これによりまして、北朝鮮に対して、挑発行為は自らに不利益をもたらすだけであるということをしっかりと示す強い決議になったと、そういうふうに考えているところでございます。  私どもとしては、この決議を実効性あるものにするということが一番大事だと思っておりまして、各加盟国が着実にこれは実施するように、各国とも連携を取りながらこの実効あらしめるよう取り組んでいきたいと、そういうふうに思っているところであります。
  62. 小池正勝

    ○小池正勝君 この安保理決議の内容については、貨物検査にしましても、要求、要請という表現にとどまっておって、決定という表現ではなかった、したがって弱いんではないかと、そこを非難する方がいらっしゃいます。確かに、そういう意味では弱いのは事実でしょうけれども、しかし従来の安保理決議に比べれば、今もお話があったように格段に強い、これはもう事実だろうと、これは恐らくどなたもお認めになるんだろうと思うんです。  ですから、私は、その要求、要請にとどまったということを非難するというよりは、まさにそれを具体的に実効あらしめるために外交努力を積み重ねると。具体的に言えば、世界各国、諸外国に、とりわけ北朝鮮に一番力のある中国、働きかけて、まさに要求、要請ベースよりも一歩進めて実施してもらうと、させるという、その外交努力こそが今の日本政府、とりわけ外務省に求められている仕事なんだろうと、そう思っているわけです。  そんな中で、北朝鮮は、今回この安保理決議に反発をして、ウラン濃縮作業に着手するであるとか、貨物検査が実施されれば戦争行為とみなして軍事的に対応するとか、ますます挑発的なことを言っている。まさに許し難いわけでありますけれども。さらには、核実験、また準備を進めている、あるいはミサイルを撃つ準備をまた進めている、こういう挑発的な行為をエスカレートさせていると、これはまさに許されないわけでありまして、もう二度とさせてはならない。もう二度というか、もう二度しているわけですから三度とさせてはならないという話になるわけですが、こんなことを絶対許してはならない。  そのために、この外交努力、とりわけ中国との外交努力、まあ中国に限りませんが、素早く諸外国みんなで北朝鮮にそんなことをさせない、そのために日本外交がイニシアチブを取るんだと、そういった外務大臣の決意をお聞かせ願いたいと思います。
  63. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 北朝鮮によりますさきの長距離弾道ミサイルの発射あるいは今回の核実験、これらの過程におきましても、日中間では大変緊密な連絡を取り、意見交換を行ってやってまいりました。国連での安保理の場ではもちろんでありますけれども、私と中国の楊潔チ外交部長との間でも三度にわたりまして、今回のことについて申し上げれば意見交換やったりしております。  中国は、今般のこの北朝鮮の核実験は非常に強く非難をいたしておりまして、我が国とこの懸念につきましては共有をしているところでございます。  この決議は、もう言うまでもありませんが、中国も含めた安保理の全会一致で採択されたものでございますので、中国側も安保理の関連決議を今回真摯にこれを実行していくと、そういうような表明もあるところでございますが、中国に限らず関連国と密接な連携を取りながら外交努力を努めていきたいと思っております。
  64. 小池正勝

    ○小池正勝君 それと、もう一つお伺いしたいんですが、アメリカのクリントン長官が北朝鮮をテロ支援国家に再指定すると、その検討をするということをおっしゃっておられるわけですが、それについてのお考え、いかがでしょうか。
  65. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) クリントン長官がそのような御発言をされておりますが、このテロ支援国家指定というのは、これはとにかくアメリカの国内の法律でございまして、これは、これを指定したりするにはいろいろな条件が必要でございます。あるいは証拠とか手続とかいろいろあるわけでありまして、そういう意味で、今後、米国がどのような形でこのテロ支援国家指定について対応してくるか分かりませんけれども、私どもとしては、とにかく米国やロシアや関係国とともに、北朝鮮に対してこの決議を基にこれを実行するように、また再度実験等を行わないように強く対応していきたいと、そういうふうに思っています。
  66. 小池正勝

    ○小池正勝君 そこで、この安保理決議との関係でもう一つお伺いさせていただきたいのでありますが、この中で貨物検査というのは入りました。これは全会一致で採択されたわけでありますし、日本もその提案の一人になっているわけでありますが、その貨物検査が全会一致で採択された。そして、いざ実行に移そうとすると、日本の国内法ではどうも、まさか周辺事態ということにもならないでありましょうから、法の不備があるという指摘があるわけであります。これについて、新法の制定あるいは法改正ということにつきまして、これは総理大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
  67. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 今外務大臣から御答弁がありましたように、一八七四は前回の国連決議に比べてはるかに強いものになってきております。これはいいメッセージだと、我々の方から見ればいいメッセージだと、基本的にそう思っております。その内容を実効あらしめるようにするためには、近隣諸国として最も影響を受ける、まあ地理的条件がそういうところにあります日本としては、これに対応できるべく、今貨物検査の話がありましたけれども、こういったものは対応ができるように法の整備をせねばならぬ、それが早急にすべきものと私もそう思っております。  昨日でしたか、鳩山代表もほぼ同様のことを言っておられたと思いますので、これは民主党、また、ちょっとほかの野党を伺っておりませんけれども、少なくともこの問題につきましては早急に対応して、これを効果あらしめるようにするというのが大事な観点だと思っております。
  68. 小池正勝

    ○小池正勝君 私も、一日も早くこの法制定ということをお願いしたいと思っております。  そこで、今回北朝鮮の核とかミサイルのお話ばかりが報じられておりますが、日本にとっては、北朝鮮許し難いもう一つの大きな問題は拉致というのがあるわけであります。これはもう絶対許してはならないわけであります。人権を踏みにじる、こんなものはないわけでありますから。  これが、昨年八月の齋木・宋日昊会談で再調査委員会立ち上げるということが決まったにもかかわらず、その後ほとんど報じられていない。全く動いていないのではないかと思っているんでありますが、これ、どうされるんでしょうか。一日も早く救出してあげなければならない、そう思っているんですが、外務大臣、いかがですか。
  69. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 拉致の問題は、我が国の北朝鮮との関係におきましては、核やミサイルと同様に我が国の解決すべき最重要課題であることは言うまでもございません。  委員も御承知かと思いますが、昨年の夏に日本と北朝鮮の間の会談が行われまして、そこで拉致被害者に関する調査のやり直しを北朝鮮が行う、しっかりとした調査委員会を立ち上げて調査のやり直しを行う、やり直しが開始されれば我が国としては我が国独自で行っております北朝鮮への制裁の一部を解除しますと、そういう約束をしているわけでありまして、このことにつきまして北朝鮮側の実行を私どもは何回もこれは要請を、迫っているところであります。  今回、核実験やミサイルの発射等がこのところ行われておるわけでありますが、こういうような事態がありますけれども、北朝鮮からはこの調査のやり直しについてこれをやめるとかそういうような表明はありませんし、私どもはこれを誠実に実行するように引き続いて粘り強く取り組んでいきたいと、そういうふうに思っています。
  70. 小池正勝

    ○小池正勝君 この問題は、核、ミサイルももちろん大事ですけれども、拉致、決して許してはならない大問題ですから、今は核、ミサイルばかりが報じられておりますけれども、これもそれ以上に、それも大事ですが、同じように大事な問題ですから、是非御尽力をお願いしたいと思っております。  そこで、本題の海賊対処法案についての御質問に入らせていただきます。  従来のこの外交防衛委員会審議を通じまして、このソマリア沖というものが日本経済上、貿易上、貿易立国である日本にとって極めて重要な航路なんだということが出てまいりました。二千隻もの日本船が毎年通っていると、三百六十五日で割れば一日六隻も毎日毎日通っているというふうな極めて重要な航路であるということが明らかになりました。  一方で、ここでの海賊の発生件数が、去年は一年間で百十一件であった、しかし今年は、まだ六月の九日ですか、現在でたしか前回の委員会で百三十三件という御報告がなされたと記憶しておりますが、半年足らずでそれ以上の海賊件数がもう発生していると。極めて危険な海域で、しかし日本にとっては重要な航路なんだということが出てきたわけであります。まさにそのとおりだろうと思うんでありますが。  そこで、人によっては、そんなに危険な航路だったら喜望峰を回ればいいではないかと言う人がおりますが、とんでもない発言であって、そんなことをしたら六日から十日も余計に掛かると、大変なことでありますし、まさに一般の民間の商船にそんなことを強いるなんというのはとんでもない発言だろうと思っていますし、まさにその商船の安全を守るというのが日本政府仕事でなければならないと、これはまさにそのとおりだろうと。しかも、日々危険にさらされている、海賊は一日も待ってくれない、まさにそういう状況にあろうかと思うんですが、そんな中でこの海賊法案というのが出てきているわけですけれども、所管の金子大臣海賊法案の意義、必要性、まずそこから御質問させていただきます。
  71. 金子一義

    国務大臣金子一義君) もう小池委員、今御指摘いただきましたとおり、スエズ運河経由の日本船、関連船舶、年間二千隻、我が国物資の輸入、九〇%以上がこの船舶による輸入という意味で、この海賊問題というのは我が国経済社会にとって非常に大きな、死活問題と言ってもいい大事な問題、大きな問題であります。  御指摘のとおり、今年、もう六月十五日で昨年を上回る百四十件を超える海賊事案が出てきておりまして、いまだに捕まっておられる、拿捕されておられる方が、人質ですね、二百十余人を超えるという、国際社会全体にとっての大変な脅威になっております。  御指摘のように、喜望峰を回ればいいではないかという御意見があるのも承知しておりますけれども、やはり日数、燃費という意味で大変な経済コストが掛かる。ただ、それ以上に、海賊がいるから迂回すればいいではないかではなくて、やっぱり海賊行為という、言わば犯罪行為でありますから、国連海洋法条約に基づいて、世界各国が自分たちのそれぞれ持つ能力最大限生かして、この犯罪行為としての海賊に対してきちんと対応していこうということをこの国連海洋法条約で各国協力を求められているわけでありまして、そういう意味で、関係諸国、機関とも対応しながら、しかも国籍関係なく我が国船舶の安全を守ってあげるということは、海運国としての我が国、多くのものを船舶で輸入している我が国にとっても経済的な、あるいは世界的な意味での協力をするという意味で大変大きなことだと思っておりまして、それが今度のこの海賊法案を御提出させていただいている目的であります。
  72. 小池正勝

    ○小池正勝君 今具体的に、金子大臣から分かりやすい御説明をちょうだいいたしました。  そこで、今度は次の論点ですが、必要性は恐らく皆さん多くの方には御理解いただけると、今の御説明でよく分かる話だと思うんですが、問題は、そこで海上保安庁ではなぜいけないのかと、この議論につながっていくわけであります。  この議論も再三なされました。その説明のときには、遠い、海賊が重武装だ、あるいは各国が軍を出しているんだ、それと連携しなければならないんだという議論、それが理由だということが再三なされてまいりました。そして、さらにそれを具体的に伺うと、今このソマリア沖で展開できる海上保安庁が持っている船というのは「しきしま」一隻しかない。「しきしま」を出すということになるとすると、これは二隻で一つのチームを組むわけですから、しかも大体チームが三つぐらい要るんだと、交代しなければなりませんのでね。そうすると、二掛ける三で六隻要ると。六隻要って、そのうち一隻しか持っていないからあと五隻造らなければならない。あと五隻造ろうと思うと、「しきしま」クラスというのは一隻三百五十億円するんだと、そうすると五隻で千七百五十億円という話になる。海上保安庁予算というのは一年間全部足しても千八百億しかない。全部つぎ込んでようやっとというんで、これは非現実的だというお話、これは何回も出てまいりました。これもよく分かる話であります。  そこで、そもそもこの法律、これも再三言われておりますが、こういった問題は海上保安庁が行う、海賊対処海上保安庁が行うというのが一義的だと、これも恐らく皆さん合意するんだろうと思うんですが、事ソマリアについて極めて現実的でない、無理だということを、これは海上保安庁長官の方から具体的に御説明を願いたいと思います。
  73. 岩崎貞二

    政府参考人(岩崎貞二君) 今先生がおっしゃっていただいたように、我々、この問題については、日本からの距離でありますとか、海賊が持っている武器、ロケットランチャー等を持っている、それから諸外国が基本的に軍隊を派遣している、海軍、軍艦等との連携が難しいということで申し上げたところでございます。  ただ、海上保安庁といたしましては、こうした海賊対処というのは海上保安庁が第一義的とこの法律にも考え方がうたわれているとおりでございますので、できることは積極的に、今海上保安官同乗させておりますけれども、そうしたことも含めてできることはきっちり対応していきたいと、このように思っているところであります。
  74. 小池正勝

    ○小池正勝君 海上保安庁一義的だということは保安庁長官もお認めになっているわけですが、それであれば、海上保安庁、このソマリア沖についてどのようなことを海上保安庁としてはなさるんですか。
  75. 岩崎貞二

    政府参考人(岩崎貞二君) 今申し上げましたように、司法警察権の行使、具体的には、犯人がもし、海賊を捕まえた場合、これについての対応は私ども仕事だと思っております。したがいまして、現在自衛艦に海上保安官を同乗させております。  それから、この委員会でも度々出てまいりましたけれども周辺諸国海上保安能力の向上というのは、これは中長期的に大変重要な仕事だと思っております。私ども、東南アジア周辺諸国の海上保安機関の能力の向上についてやってきた実績もございます。そうした実績を生かして、今具体的に特にやろうと思っておりますのはイエメンでございますけれどもイエメンを中心に、関係諸国あるいはIMO等と、国際機関とも連携しながら、こうした国の海上保安能力の向上について、外務省、JICA等と協力しながら積極的に対応してまいりたいと思っております。
  76. 小池正勝

    ○小池正勝君 そしてもう一つ、これもよく出ている議論でありますが、海賊問題の抜本策というのはソマリアの安定なんだと、まさにこれはそうだろうと思うんですね。ただしかし、だからといって、海賊は待ってくれない。日々危険にさらされているんですから、もちろん対症療法という意味では確かに対症療法ではあるけれども、命を危険から守るというのは政府仕事であるわけですから、これはきっちりやっていかなければならない。  しかし、車の両輪として、まさにこのソマリアの安定、そもそもソマリアが安定すれば海賊も減っていくというのは、それはそうなんでありますから、このソマリアの安定に向けてまさに外交努力をする、これはまさに日本外交の得意分野であろうと思うんですけれども外務大臣日本外交として、ソマリアの安定に向けてこの海賊を根治するためにどのようなことをされようとしておられますか。
  77. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) このソマリア海賊問題を根本的に解決するには、やはりソマリア情勢を安定化させるということが大事でありまして、そのためには、政府といたしましては人道面における支援、例えば食糧の支援とか難民対策とか、あるいは教育や水や衛生、こういうもの、それから治安向上のための支援ということで、国境の管理の強化とかあるいは警察支援、こういうものを国際機関を通じて行っているわけでありまして、先ほども質問ありましたけれども、この支援総額は最近二年間で六千七百万ドルとなっているところでございます。  また、今般の補正予算によりまして、私どもとしては海賊対策として次のような支援を実施をすることになっております。補正予算では三十六億円、これを支援することになっておりますが、治安維持に重要な役割を果たしますアフリカ連合ソマリア・ミッション、これはAMISOMといいますけれども、これに九百万ドルの支援を行います。また、国連開発計画、あるいは国連児童基金、これらを通じまして、中南部ソマリアの社会経済インフラ整備によります雇用創出、それから北部ソマリアへの若年層への生活能力向上教育支援、また教育機会、これの提供、そういうもの、さらに海賊予備軍など、そういう人たち海賊への従事、こういうものを防ぐために合計七百五十万ドルの支援を行うことになっております。さらに、世界食糧計画を通じまして、海上保安船や、物流の拠点でありますモガディシュ港、これの港湾施設の改修に四百五十万ドルの支援を行うということになっております。  今年の三月、ボツワナにおきまして、私はソマリア暫定連邦政府のワルサム計画・国際協力大臣と会談をいたしまして、ソマリア情勢の安定のために支援をしていくという我が国のそういう立場を表明いたしましたけれども我が国といたしましては、この暫定連邦政府との関係強化に努めながら、また国際機関とも協力をしながら、ソマリア情勢の安定化のために今後とも支援を行っていきたいと、そういうふうに思っております。
  78. 小池正勝

    ○小池正勝君 以上で私の質問を終わります。
  79. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 関連質疑を許します。佐藤正久君。
  80. 佐藤正久

    佐藤正久君 自由民主党佐藤正久です。小池委員質問を少し深掘りさせていただきます。  まず最初に、北朝鮮に対する経済制裁について総理にお伺いいたします。  日本のリーダーシップの下、安保理決議が採択されました。しかし、安保理決議は一つの手段でしかないと思います。今後は、決議内容を努めて早く、しかも多くの国がその制裁を実行に移すということが、北朝鮮に対する金と物の流れを止めることにつながると思います。  北朝鮮が核弾頭ミサイルを持つということは絶対に阻止しないといけないと思います。これは日本自身の問題であり、覚悟が問われているというふうに思います。北朝鮮から直接脅威を受ける日本と韓国が本気にならなければ、やはりアメリカも本気にならないと思いますし、アメリカが本気にならなければ、中国が本気になるということはないかもしれません。  一番目に見える圧力というものが、私は船舶検査だと思います。北朝鮮に対する船舶検査でインド洋のような有志連合の形ができ上がれば、明快なメッセージと圧力になります。アメリカやほかの国の動きを見てから日本の立ち位置を決めるのではなく、今回の北朝鮮の動きを日本自身の危機と、そういうふうにとらえて、日本がリーダーシップを発揮して、絵を描いて国際社会に働きかけ、連携した制裁を行うべきだと思います。  国内の法整備を行うことは当然ですけれども日本は拉致問題を抱え、核、ミサイルという脅威もあるわけですから、やっぱり外交的に日本がリーダーシップを取って、国際社会みんなを巻き込むようなそういうリーダーシップを取るべきだと私は考えますが、総理の御決意、お考えをお聞かせ願いたいと思います。
  81. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 基本的に、佐藤先生、北朝鮮という隣国が搬送技術を備えて核弾頭というものを持つことによって、一番脅威、被害を受ける確率が高いのは日本と、これが一番肝心なところだと思っております。したがって、その被害を受ける確率が最も高いと思われる国の対応というものが大事、当然だと思います。  今回の国連安保理一八七四ができるまでの間、少なくとも前回の核実験のときと今回の核実験、一回目、二回目、これはいずれも国連安保理の非常任理事国として中におりましたこともこれあり、日本としては、事今回の決議案についてはリーダーシップはかなり取ったと、P5はもちろん、他国もその点は認めているところだと思っております。ここを余りよく分かっておられない方は大勢世の中にはおられますけれども、ここははっきりしておるんで、各国ともこれはいずれも認めているところだと思います。具体案につきましても、かなりのものが日本の提案に沿っておると思っております。  また、この中で決まった話の中で今船舶の話が出ておりましたけれども船舶検査の話、これはいわゆる旗国の同意を得てその船を回航するとか、その中にあるミサイル関係の品を押収、没収するというようなことに関しましては、これは今の日本法律では不備があるということだと存じます。したがいまして、そういう状況日本はありませんので日本はできませんということは、これはなかなか言えない立場だと思いますので、この点に関しましては早急に法案をきちんと整備すべきではないかと、私は基本的にそう思っております。  幸い、昨日の党首討論においても、鳩山民主党党首も、細目詰めたわけではありませんけど、ほぼ同様の趣旨をあの場では述べておられましたので、私どもとしては、そういった話であるならば、これが早急にまとまっていくというんであれば、これは北朝鮮に対するメッセージとしては極めてはっきりしたものが出せる、そのように理解をいたしております。
  82. 佐藤正久

    佐藤正久君 国内法の整備は非常に当然だと思います。さらに、各国に働きかけをして、多くの国がその制裁に移す、実行するということが非常に大事ですので、外交努力、これから非常に大事だと思いますので、ひとつよろしくお願いいたします。  次に、海賊対処についてお伺いいたします。  先ほど小池委員の方からも、アデン湾ではなく喜望峰を回ったときの日本に対する影響というものがございましたけれども、まず、お配りした資料を見ていただきたいと思います。(資料提示)やはり、アデン湾を通るのとあるいは喜望峰を通る、かなり違うと。この絵を見ていただくと非常に分かりやすいと思うんですけれども、もう少し国民の方に分かりやすく、例えば、コンテナ船が日本からオランダのロッテルダム港に行った場合、どのぐらいの日数が余分に掛かり、また燃料費がどのぐらい掛かるのかと。また、多くの商船が喜望峰を回った場合、どういう形で日本国民生活とかあるいは日本経済に影響が出るのか、分かりやすく説明していただきたいと思います。お願いします。
  83. 岡田直樹

    大臣政務官(岡田直樹君) 佐藤先生がお示しをいただいたパネルのうち、スエズ運河ございますが、スエズ運河が開通したのは一八六九年のことであります。今から百四十年前のことでありまして、そのときから喜望峰を大回りしなくてもよくなったのは、これは海運史上革命的な進歩であったと思います。したがって、今、海賊に脅かされてアデン湾、スエズ運河を通ることができない、喜望峰を大回りしなければいけない、これは人類の歴史において百四十年後戻りをすることではないかと私は考えております。  お尋ねのコンテナ船でありますが、東京からオランダのロッテルダムに行く場合、喜望峰回りでは約六千五百キロ迂回するため、時間にして六日間長く掛かり、燃料を含む費用は一隻当たり二千万円から三千万円、最大で三千四百万円も多く掛かるというのが船主協会の試算であります。これが油タンカーでは十日も日数が長く掛かります。それに、例えば、日本の船が紅海や地中海の港に行こうとしたら、喜望峰、ジブラルタルを回って地中海を逆戻りするということはおよそ考えにくいことであります。  先ほどから申し上げておりますとおり、アデン湾を通る日本関係船舶は年間約二千隻、その貿易総額は約十四兆円、自動車だけで百五十万台運んでおりまして、海賊によってこのアデン湾の海上交通が途絶えることになれば、国際競争力の低下あるいは物価の上昇、国民生活や国民経済の受ける被害は甚大なものになると思っております。
  84. 佐藤正久

    佐藤正久君 ありがとうございます。  ヨーロッパからはいろんな家具とか、あるいは服とか靴のブランド品もこのアデン湾を通過して参ります。これがなかなか入ってこなくなると、やっぱり品不足とかあるいは買占めという問題も発生するかと思います。そういう意味でも、この海上交通路の確保、非常に大事だと思います。また、そういう経済的な面だけではなく、日本国民の命とかあるいは商船の危機というものもあります。実際に、日本人船長や船舶が襲撃され、拉致、拘束された事案もございます。  今回、日本船主協会や全日本海員組合からも政府海上自衛隊派遣の要望がなされたと承知しております。どのような要請がなされたのか、内容のポイントを簡潔に国土交通大臣にお伺いいたします。
  85. 金子一義

    国務大臣金子一義君) 船主協会あるいは海員組合の役員の皆様、私のところにも、大臣室においでになられまして御要請がありました。  ポイントだけ申し上げます。国連においても各国に艦船や軍用機の派遣などにより海賊対策への参加を要請するなどの決議を採択する中で、アデン湾においては今この瞬間も海賊の脅威にさらされており、船舶と船員の生命の安全確保のため、国連決議に基づき、まずは応急措置として現行法の枠組みの中で海上自衛隊艦船の派遣を早急に実現するよう強くお願いする、これが組合あるいは船主協会の皆様方の共同要請でありました。
  86. 佐藤正久

    佐藤正久君 やっぱり本当に現場海域で危険にさらされているということを考えると、非常に現実的で切実な内容だと思います。  私も、三月十四日に呉基地から出航した護衛艦、あるいは五月二十八日に厚木基地から出発した哨戒機の見送り行事に参加させていただきました。その際、日本船主協会の皆さんが、ありがとう海上自衛隊という青い横断幕を掲げて派遣隊員を激励し、そして花束を贈られていたと、感動的な場面がございました。多くの思いがあったと思います。船舶と船員の命の重さと、ほかの国の軍隊に警護を依頼しなければいけないというその肩身の狭さ、そういうものも少なくなかったというふうに聞いています。やっぱり海賊対策は日本自身の問題という部分もあると思います。  また、私、昨年十二月にジブチを訪問し、政府関係者や米軍、フランス軍関係者と意見交換をして、海賊対策の実態などをお伺いしてまいりました。護衛すべき民間船舶の数が多い、アデン湾がまたかなり広いということから、軍艦とか航空機の数がまだまだ足らないと、日本からの派遣を要望し、また歓迎する旨のお話を聞きました。  現在の海上自衛隊の派遣部隊海上警備行動の法的枠組みで派遣されております。護衛対象は日本関連船舶に限定されておりますが、これまで数度にわたり、現行法では護衛対象外の外国船舶から不審船に関する情報を得て、船員法十四条の規定に基づいて、サーチライトの照射や大音響を発する装置を使うなどして対処してきたというふうに伺っています。これまでは不審船から銃撃されるという事案は発生しませんでしたが、その際の隊員の身上や生命の危険、また外国船舶の護衛の必要性といった観点からは、現在の海上警備行動では十分とは言えず、現在審議されています海賊対処法の成立が是非とも必要だというふうなことの証左だと思います。  これまでの外国船舶への対処実態等を踏まえて、本海賊対処法案の成立の必要性について防衛大臣の認識をお伺いいたします。
  87. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 先生からお話がありましたように、これまで過去六回、海上警備行動の保護対象外の船舶からの通報などを受けまして、人道上の観点から、強制力の行使を伴わない行為として、LRADによる呼びかけや艦載ヘリによる状況確認などでできる限りの措置を講じておるところでございます。  海賊対処法案に基づく自衛隊による海賊対処については、日本関係船舶のみならず、我が国関係のない外国籍船についても海賊行為から防護することが可能となりますので、本法案に基づいて自衛隊がより適切に対処することが可能となることから、本法案が一日も早く成立をしていただきたいと考えているところであります。
  88. 佐藤正久

    佐藤正久君 ありがとうございます。  やっぱり、現場の隊員が実際的に効果的に対応するという観点からこの今回の法案というのは物すごく私は大事だと思いますので、そういう意味で、我々国会議員全員が、やはり日本の国益を守り、そしてほかの国々人々の命を守って、一緒に海賊対処するんだという思いをやっぱり現場の隊員に伝えるためにも、この法案、努めて早く成立させるということが本当に大事だと思います。今日の日は非常に私は大事な日だと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  また、民主党からこの法案に対する修正案が提出されております。その中には、内閣府に海賊対策本部をつくり、海賊対処員として自衛官や海上保安官などを派遣する、もう海賊対処隊員という形で身分を変えて派遣するというようになっています。これは余り実態に適さないのではないかと私の経験を踏まえても思わざるを得ません。  ソマリア沖などの海外の部隊行動においては、派遣準備間だけではなく派遣間においても、防衛大臣の指揮下の各自衛隊部隊が情報提供などの支援日本からやっているだけではなく、留守家族に対する支援も行っていると、これが実態です。派遣前の訓練も当然防衛大臣の下で行っており、帰国後の各種整備や国防任務に復帰するための各種訓練も防衛大臣の下で行っている。すなわち、派遣前から派遣間、そして派遣後まで防衛大臣の下で切れ目なく各種準備、対応を行っているというのが実態です。このような指揮、支援防衛大臣ではなく内閣府の海賊対処本部が行うということは実際的ではなく、指揮、運用の観点からも難しいと私は思います。また、屋上屋を重ねて指揮の結節が増えてしまうという可能性もあろうかと思います。  これまでの活動実績や指揮、運用上の観点から、その必要性、有用性あるいは有害性について防衛大臣の見解をお伺いしたいと思います。
  89. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 先生の御指摘、これはごもっともでございまして、今まで我々もしっかりとアデン湾において我々の任務を着実に実施してきたところでもございますので、その実績も踏まえて、自衛隊について、あえて海賊対処本部を設置した上で自衛隊海賊対処隊員として任務に従事させるという合理的な理由は私は見出せないと考えております。  また、今先生から御指摘があったように、指揮命令系統を複雑にして、かつ責任の所在を不明確にするといった問題があるというふうにも考えられますので、我々とすれば、今回の場合には我々の方に、私自身の中の指揮系統の中でやらせていただければというふうに思っているところであります。
  90. 佐藤正久

    佐藤正久君 ありがとうございます。  また、身分をわざわざ自衛官や海上保安官ではなく海賊対処隊員に変えるというのもどうかなと思います。やはり身分というのは非常に大事で重く、隊員あるいは海上保安官の誇りという観点でも私は望ましくないと思います。自衛官あるいは海上保安官という身分で活動して支障がないのであれば、そのままで問題はないと思います。あえて変える必要はないと私は強く思います。  次に、総理にお伺いいたします。  これまで議論してきましたように、四面海に囲まれ、資源を含む輸出入の九九・七%を海上輸送に依存する我が国にとって、海上輸送路の安全確保は極めて重要な政策であると考えます。その経路に重武装の海賊が出没する、さらに、その輸送、外航海運のほとんどが外国船、外国人船員に頼っているという現状があります。被害に遭った乗組員の中には、精神的後遺症となり、もう船には乗りたくない、もう海に出たくないという人たちが多いという事実があります。しかし、辞めたら稼ぎがなくなってしまい家族を養えないという、そういった事情から再び船に戻らざるを得ないというケースが大半だという情報もございます。  こうした事情を持つ外国人船員に我が国の海上輸送を依存しているということは、極めて不安定であり、脆弱あるいは安全保障上も憂慮すべき点があるというふうにも思われます。そうした外国人船員やその家族に今後日本のために危険な海に出るということをどのぐらいこれから許容してもらえるのか、その保証はどこにもないと私は思います。  日本の営みを支える船員の確保あるいは日本人船員の育成は、現在の海上交通の安全確保と同時に、国家として絶対に取り組まないといけない命題であり、国民の課題というふうにも思います。そういった問題意識を我々政治あるいは政府国民が共有しないといけないと思います。  総理海洋国日本としてのビジョン、これをお伺いしたいと思います。
  91. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) これは、御指摘のありましたとおり、間違いなく日本という国は周りを全く海で囲まれております。そういう意味では、もう有史この方、特殊な時代を除きましても、ほとんど他国と貿易を、海を通じて交易をやってきたところでもあります。その海の状況が平和ではないと、安定したものではないという状況は、これは、それに関与をいたします船員、船舶言うに及ばず、そこの物資によって輸入、輸出を賄っております我々国民にとりましても、これが安全に航行できるか否かはこれは死活問題と思っております。  したがいまして、こういうような、世界中がみんなでソマリア沖に対してしかるべき対応をということをみんなでやろうと、そういうときに、日本はそれに参加をしてきちんとした役割を果たすのは、これは他国のためであると同時に日本のためにもなると、日本の国益に照らしてみても一番大事なところではないかと思っております。いずれにしても、この海上輸送の確保ということにつきましては今後ともこれは真剣に考えていかねばならぬ。  また、今、人の話もしておられましたけれども、この人の話も、置籍船、置籍船て御存じのとおりですけれども、置籍船やら何やらいろいろな便宜的なものを今やっていることも事実ではありますけれども、これは今後いろんなことを考えていかねばなりませんし、また海底の資源というものも、二百海里含めまして、今この問題も、いわゆる海底地下資源、大陸棚の問題を含めて、日本の周りには、この二百海里の経済水域ということになりますと、日本の国土というか、海を含めました国土は世界で六番とか七番とかそういった大きなものになり得る。しかも、その地下にはいろいろな資源が眠っている確率が高い。  そういったことを考えましたときに、日本として新たな海洋国家としてのビジョンというものをきちんと確立した上で、そういった資源を守っていく努力、またそういった安全航行というものに対して我々はもっと努力をしていかなければならない。今まではしなくてもそこそこ平和だったのが、なかなかそういうようなことにならなくなったというのが現状だと存じます。
  92. 佐藤正久

    佐藤正久君 終わります。
  93. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 浜田昌良君。
  94. 浜田昌良

    浜田昌良君 公明党の浜田昌良でございます。  本日は、海賊対処法案の締めくくり総括質疑でございますので、ここに配りました一枚目のパネルを見ながら、(資料提示)四点について、この法案必要性、また武器の使用、そして三番目に民主党のいわゆる修正案について、そして中長期対策について、麻生総理を始め関係大臣の所見をお伺いしたいと思っております。  まず最初に、この法案必要性でございます。  これは船主協会の皆様から非常に強い要望が寄せられておりました。このアデン湾には年間約二万隻の船が通るわけでございますけれども日本関係する船が約二千隻、一割ですね、あるわけであります。昨年、二〇〇八年一年間を取りますと、日本関係船で十二隻が実際に襲撃に遭っているんですね、余り知られていないんですが。しかも、そのうちの五隻が実際にハイジャックを受けたと。しかも、そのうちの二隻は二〇〇八年中には解放されずに二〇〇九年になってから解放されたと。こういう非常に厳しい現状があったわけです。そういう意味では、船主協会から非常に強い要望が寄せられております。  さらに、全日本海員組合の皆さんも非常に強い要望を寄せられております。この方々は、日本の船員の方が約二万六百人、四十四か国で四万九千名ですね、合わせて七万人の方々が傘下におられるわけでございますけれども、実はこの全日本海員組合というのは、実は自衛隊は反対の人たちなんですね、本当は。自衛隊は反対だと、我が党のPTに来ていただきました。そして、自衛隊は反対なんだけれども、今回は自衛隊に来てほしいと言われたんですよ。やはり海保じゃ無理だというのを我が党のプロジェクトチームに言われました。  この新法につきましても、衆議院での参考人質疑で藤澤洋二組合長がこう言われたんですね。新法の目的をよく精査しましたと、そして、早くこの新法を制定して、安全に、いろいろな日本商船隊の運航の警備に入っていただきたい、そういう思いですと、こういう思いを吐露されているわけでございます。  さらには、国民の世論調査、今年の三月に行われました。これによりますと、海賊対策は自衛隊が取り組むべきという答えが六三・一%なんです。  あと、その他とあるんですが、面白い記事が産経新聞、五月の十四日に載ったんですね。これは配っていませんけれども、「反対、でも守って」という、こういう記事なんですが。これ、海自の護衛艦二隻が五月十一日から十三日にかけましてソマリア沖・アデン湾を航行する日本関係船舶七隻を護衛したと。うち一隻がピースボートの旅客船だったと。ピースボートって、御存じのように、社民党の辻元清美さんが、衆院議員が早稲田大学在学中の昭和五十八年に設立したものなんですね。実は、このピースボートは市民団体による海自派遣反対の共同声明に名を連ねておられる。でも反対、しかし守ってほしいと言われたと。  そういう意味では、産業界、そして労働組合、そして世論調査、NGO、いろんな団体、本音においてはこれは守ってほしいというのが偽りなき声だと思っておりますが、麻生総理に、こういう国民各層からの声、この海賊対策新法の必要性についてもう一度答弁いただきたいと思います。
  95. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) これは、もう近年、特に去年、今年と急増しておりますこの海賊行為というものは、これは公共の安全というものか海上の安全というもの、若しくは秩序の維持にこれは重大な脅威となっておりますのは、もうはっきりしておる現象だと思っております。  日本船主協会のお話がありましたけれども、全日本海員組合という、これはいわゆる労使双方から要望が出されているということも、昨年でしたか、そういう要望が出されておりましたので、これは極めて重い、大変なことだと思いましたので、当面の応急処置として海上警備行動の措置を講じてきてこれまでになったところであります。  この法案が成立することになりますと、これは、日本人というか、生命若しくは日本財産というものをこれは最も大事な保護という問題からいきましても、重要な責務を果たすということだけではなくて、これは関係船舶というのはその国はどこの国に属しているという船籍を問わず、少なくとも海賊行為という強盗の話ですから、そういった話に対応して効果的な対処をするということは可能になってくるんだと思っておりますので、海上におけます公共の秩序の維持という点をかんがみましても、少なくとも日本が国際社会に対して一層の貢献ができるということが可能になるということだと思っておりますので、この法案というものは早急に成立させる必要があると、私自身は強くそう思っております。
  96. 浜田昌良

    浜田昌良君 まさに今総理がおっしゃいましたように、国民の意見は、この海賊対処法、早く成立させてほしいというのが本音だと思っております。  じゃ、どういうふうに対応するのかと、次の議論ですね、この武器使用からの次の議論で多分野党の皆さんと少し意見が分かれてくるんじゃないかと。先ほど谷岡委員が、政府案というのはねじれているとおっしゃいました。ねじれているのはどっちなんだろうという私感じがするんですね。真っすぐのものも目が悪いとねじれて見えてしまうのかなと。そういう意味では、もうちゃんと見てほしいなと、どっちの修正案が真っすぐで、ねじれているのかと。これをこれから議論したいと思うんですが。  次に、この武器使用と武力の行使をちゃんと分けて議論しなきゃいけないという議論をしたいと思うんですね。  先ほども谷岡委員は、まさに何か自衛隊が行くともう戦争に行くようなイメージ。そうではないんだと。これ、重要なキーワードは管轄権という言葉なんですね。これは何かというと、海賊というのは人類共通のこれは敵なんだと、よってこれはどの国も取り締まる必要があると、これは国連海洋法条約の精神なんですよ。よって、我が国はその普遍的管轄権に対して日本管轄権をつくるというのがこの法律なんですね。よって、この法律によって日本の犯罪として取締りに行くと。ですからこれは、全くこれは武力の行使ではないんですよ。  武力の行使というのは、例えばこの管轄権がない場合、これは例えばPKO等、そういう場合で国又は国に準ずる組織に対して武器を使えば武力の行使になると、これは立て分けなんですよ。ただ、それは別に、自衛隊がやるのか海保がやるのか警察官とか、主体では実は関係ないんですね。実は管轄権があればだれがやってもこれは武力の行使ではない。逆に、管轄権がなくて国又は国準に対してやってしまった場合には、たとえ海保でも警察官でもこれは武力の行使に当たると、こう考えておりますが、これについて法制局長官の明快な答弁をお願いしたいと思います。
  97. 宮崎礼壹

    政府特別補佐人(宮崎礼壹君) お答え申し上げます。  この法案によります海賊対処は、PKO等の活動とも少し違いまして、国連海洋法条約考え方に沿いまして、公海上において私有船舶により私的目的で行われる略奪的な行為海賊行為として定義し、国内法上の犯罪として規定しました上で、我が国の法執行として、すなわち我が国管轄権の行使としてその取締りや抑止を行おうとするものであります。したがいまして、本法に基づいて行われる武器使用につきましては、憲法九条の禁ずる武力の行使に当たるものではないと整理することができると考えておりまして、なお、このことは、武器の使用主体が海上保安庁自衛隊かによって異なるということはないものと考えております。
  98. 浜田昌良

    浜田昌良君 今答弁いただきましたように、問題なのは、いわゆる管轄権があるかないかなんですね。いわゆる国内法として犯罪として構成できるかできないかであって、一般、多分国民の方は、自衛隊が武器を使うと武力の行使と、警察とか海保が使うと武器の使用と、こういうちょっと違った理解をされているんじゃないかと。これは違うんだと思うんですね。法律上言えば、あくまで管轄権がある範囲で犯罪行為を取り締まる武器の使用は全くの武力の行使ではないということを、しっかりこれをわきまえて今後の議論をしたいと思います。  それでは、次、じゃ武器の使用であったとしても、今回の法律が新たな武器使用の基準を付け加えるのじゃないかと、拡大しているじゃないかと、こういう批判もあるわけですが、私はこれも間違っていると思うんですね。  それは、今回、この法案の六条に停船射撃というものが加わりました。どういう条文かといいますと、これは、海上保安官又は自衛官は、警察官職務執行法第七条の規定により武器を使用する場合のほかと、現に行われている海賊行為、例えば、航行中のほかの船に著しく接近したり、若しくは付きまといしたり、又はその進行を妨げる行為ですね、これは大体懲役五年以下の凶悪罪に当たるんですが、この制止に当たり、当該行為を行っている者が、他の制止の措置に従わず、なお航行させて当該海賊を継続しようとする場合は武器を使用することができると、こういうのが新たに付け加わったんですが、これは今までの武器使用基準を拡大するものじゃないんですね。  類似の条文は、警察官職務執行法の七条一号にあるんですよ。これは何かというと、凶悪な罪の現行犯人、現行犯を行う人が警察官又は自衛官の職務に抵抗するときには、これは武器を使ってもいいよということを、海賊への適用を分かりやすくするために、凶悪な罪の現行犯人が抵抗するときということに換えまして、「海賊行為を行っている者が、他の制止の措置に従わず、なお船舶を航行させて当該海賊行為を継続しようとする」ときと、赤で書いていますが、ここと書き換えただけなんですよ。よって、言わば警察官職務執行法七条一号の武器使用権限の範囲内又はそれを補完するものと、こういう理解で私しておりますが、海洋担当大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
  99. 金子一義

    国務大臣金子一義君) 御指摘いただきましたように、海賊への対処、本法において準用します警察官職務執行法の七条の規定を基本にしていること、これはもう、まず言うまでもありません。  一方で、今行われている海賊事案、実態踏まえますと、海賊船舶で民間の被害船舶に接近する、もう取り付いてしまうあるいは入ってしまうということになればこれをもう阻止する方法はありませんので、今おっしゃられました、接近するという行動についても、その後の重大な危機の発生を回避するということで、このような行動を行っている段階で阻止するという、海の、海賊行為の一つの特徴だと思いますが、このことを考えながら検討させていただいたところであります。  もう委員御指摘のとおり、警察官職務執行法第七条一号の規定の要件、この一号の要件の判断をちゅうちょすることなく、ちゅうちょが生じないようにしていくという意味で、これを、七条の規定を補完するという意味で停船をさせることを目的とした武器使用に関する規定を整備したところであります。
  100. 浜田昌良

    浜田昌良君 今、金子大臣に御答弁いただきましたように、警察官職務執行法七条一号の海賊への適用をよりちゅうちょしないようにこの一号を補完するものであって、新たに拡大するものではないという御答弁があったわけですが、さらに、その運用については非常に抑制的になっているんですね。  青色で書いてございますが、この青色の二行というのは実は海上保安庁法二十条二項にもあるんですね。この不審船対処にもあるんですが、当該部分を読みますと、当該船舶の進行を停止させるために他の手段がないと信ずるに足りる相当な理由があるときは、その事態に応じ合理的に必要と判断する限度において武器を使用することができると。  だから、すぐ武器を使用できるわけじゃないわけですよ。例えば、最初に警告射撃を行うと。それでも従わない、そういう場合には、なるべく身体から遠いところで、例えばエンジンとかかじとか、船の。そういうところをねらって止めるということが趣旨だと、こう理解しておりますが、このような海上保安庁法二十条二項との類似点について、もう一度、海洋担当大臣から御答弁いただきたいと思います。
  101. 金子一義

    国務大臣金子一義君) 二十条の二項及び今のこの法案の第六条の停船射撃の関係でありますが、要件に合致する状況であれば、直ちに人の生命、身体に危害を与えるような武器使用をするとの趣旨ではないという点で、今御指摘のとおり、考え方は同様であります。
  102. 浜田昌良

    浜田昌良君 そういう意味で、いわゆる自衛官が派遣されて武器を持っていると何かするんじゃないかということではなくて、あくまでこの法律で抑制的に書いてあるということであります。  じゃ、その次に、民主党修正案について議論を移したいと思っているんですが、修正案にかぎ括弧を付けさせていただきました。なぜかというと、先ほど佐藤委員民主党から修正案が提出されましたと言われましたが、参議院では提出されておりません、正式に言いますと。衆議院では提出されました。そういう意味では、先ほど谷岡委員から我々の案にと言われていますと、案にと言うんだったら提出しないといけないですよね、ここで本当に審議をするんであれば。提出されていません。逆に、もう多分自分たちの案は論拠を持たないと思ってやめられたのかなと思っておりますけれども、その点について確認をしたいと思っています。  まず、民主党の「修正案」の一つの内容は、海賊対処本部というのが本当に必要かどうかという問題なんですね。これについては、四月の二十四日の毎日新聞の社説でこういう一節がありました。PKOへの自衛隊派遣で設置した国際平協力本部がモデルだ。社民党への配慮で自衛隊色を薄めるねらいもあったのだろう。しかし、十七年間にわたるPKOなどで自衛隊の海外活動は内外で認知されるようになった。海賊対処本部を兼務しても実態は自衛隊員に変わりはない。海賊対策が一義的には海上保安庁の任務であることを明確にすれば、屋上屋を架す新組織は必要ないだろうと、こうあるんですね。  このように、PKOという組織と今回の海賊対処によって、関係行政機関の多分広がりが違うんだと思うんですね。この違いを受けて、内閣府に本部を置くメリット、デメリットについて、総理答弁をお願いしたいと思います。
  103. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) この国際平協力業務というものは、これはいわゆる停戦監視とか選挙の監視とかいろいろ多様だと思っておりますが、そのため、国際平協力法というものによりましては、自衛隊だけではなくて、広く関係しております省庁、行政機関が協力して、政府が一体となって取り組むべきものとしております。例えば、選挙関係でとかなんとか、外務省とか総務省とか警察庁などといろいろ協力した実績も過去にあるのは御存じのとおりです。  他方で、海賊行為対処というのは、これはかかって基本的には警察行動ということだと思っておりますので、第一義的にはこれは海上保安庁が現実に実施をして、そして特別な必要がある場合というときには自衛隊対処するということで、これは効果的な対処ができると、私どもはそう思っております。  したがって、自衛隊警察活動として海賊行為への対処を行うに当たりまして、わざわざ別組織を設置する合理的な理由は見出せないと、私自身としてはそのように考えております。
  104. 浜田昌良

    浜田昌良君 今、麻生総理から明快な答弁がございましたように、一義的に海保であるということをはっきりすれば、あとはそういう別に組織を設ける必要はないと、私もそのように信ずるわけでございます。  次に、国会の関与ですね。民主党さんの主張は、この現行の政府案は海賊対処要項を承認したときは遅滞なく国会報告となって、現状の条文はなっておりますけれども、衆議院で提出された案では国会の事前承認と、先ほどもおっしゃいました、谷岡委員国会の事前承認すべきじゃないかという主張をされました。  それについて議論を移したいと思っているんですが、これを判断するためには、一つは、まず管轄権がどうかという議論をもう一遍議論しなきゃいけないと。やはり、国会の関与がなぜ必要なのか、なぜ文民統制が必要なのか。それは、武力の行使につながる可能性があるからだと思うんですね。そうではないものであれば、より国会の関与は緩めてもいいはずです。管轄権の問題が第一と思いますね。  もう一つは、軍事的業務か否かという問題なんですが、これにつきまして内閣府に答弁いただきたいんですが、実は一九九二年のPKO法制定時には、議院修正で本体業務だけが国会事前承認としました。これについて、これは議院修正ですからなかなか答弁政府からしにくいかと思いますが、当時の提案者はどのように答弁したのか、内閣府から御答弁いただきたいと思います。
  105. 高田稔久

    政府参考人高田稔久君) 先生御指摘のとおり、自衛隊部隊等によります停戦監視あるいは武器の搬入搬出の検査という、いわゆる平和維持隊、PKFの本体業務の実施につきましては、平成四年の国際平協力法案審議過程におきます自民党、公明党及び民社党による合意に基づきまして法律案修正をされ、原則として国会の事前承認を必要とするという旨が盛り込まれたものでございます。政府といたしましては、これは、この国会承認自衛隊の海外派遣に係る国会のシビリアンコントロールを確保する趣旨で入ったものと理解をしております。  それで、その理由でございますけれども、当時の御審議の中で修正案の提案者を代表いたしまして田渕哲也参議院議員・民社党が答弁をされておられます。部分的に引用させていただきますと、本体業務というものは、「もちろん戦闘のための武力行使は行いませんけれども仕事そのものは軍事的業務に属するものである、そういう観点からこのように分けて、本体の部分のみを国会承認の対象にしたわけであります。」と、以上のように答弁をされておられます。
  106. 浜田昌良

    浜田昌良君 今の平成四年の田渕哲也議員、民社党ですから民主党の御先祖様かもしれませんけれども、この方の答弁が明確でありまして、軍事的業務、例えば停戦監視とか武器の搬入搬出、駐留、巡回と、こういうものは国会の事前承認にしたわけですよ。ところが、本体以外の避難民の救出、帰還、輸送等々の業務は、これはPKO法の修正があったとしてもこれは報告のままだったんですよ。  そういう意味で、今回行う業務は何なんだと。これは別に停戦をするわけでないし、武器は搬入するわけではないんですよ。あくまで護衛だけの問題であると。そういう意味では避難民の救出に近いのかもしれない。そういう意味では、なぜこの軍事的業務か否かという議論をしないのかと。これが二点目ですね。  二枚目のパネルをお願いします。  三点目は、非常にこれ重要な点だと思いますが、実は我々公明党は、今までこういう関連の法案に、いろいろ議院修正に賛成してきたんですよ。  これ、グラフを見ていただくと、自衛隊の海外派遣の要員数の累計なんですが、自衛隊法以外で海外派遣が始まるのは一九九二年の国際平協力法の議院修正。これは公明党は当時は野党でした。これについては、今言いましたように、本体業務について事前承認にしました。これが始まりまして、このときは自衛隊派遣は別法ではゼロだったんですね。  ところが、九九年、周辺事態法の議院修正がありますが、この時点では前年度までに自衛隊の海外派遣された延べ人数は約二千人だったんですよ。この時点では我々公明党はまだ野党でしたですけれども、そのときは、後方支援であったとしてもやはり事前承認をすべきであるということを主張させていただきました。  そして、〇一年、これ与党なんですよ、残念ながら。与党で〇一年は、これは与党でも、今回は三千名自衛隊が派遣されておりまして、その三千名が派遣という前提において旧テロ特措法の議院修正に公明党は参加いたしまして、国会、今度は事後承認ということにさせていただいた。これ、なぜかというと、まだ自衛隊法以外での海外派遣というのはそれほどの人数じゃなかった。国民に受け入れられている、まだ十分じゃなかった。そのために不安がある、よって国会の関与を強めるべきだというのが我が党の見解だったんですよ。  ところが、その後、ここにありますようにいわゆる旧テロ特措法、また補給支援法、またイラク特別措置法等々によって何と二〇〇八年時点では既に三万一千人。旧テロ特措法の議院修正をしたときに比べて約十倍の方々が海外で立派にこの任務を遂行されている。  その中で、国民のじゃ不安が高まったのかと。また、海外の諸外国から自衛隊は不安だと、そういう国が出たのかと。出ていないと思います。逆に言えば、むしろ自衛隊のこういう海外任務に対しての認識は定着してきていると。そういう意味では、時代認識によって文民統制の在り方というのは、これは立法裁量の問題ですから、法制局の見解もいただきましたので、信頼感があれば国会のかかわり方も変わってもいいんだという、こういう答弁もありました。  この点につきまして、麻生総理から、こういう自衛隊の海外の派遣の積み重ね、これについての国民の信頼、また海外の信頼についてどのように感じておられるか、御答弁いただきたいと思います。(発言する者あり)
  107. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 自衛隊というものが、今御説明にありましたように、カンボジアへ最初に派遣されたとき以来、これは随分いろいろなところに、東の方では東ティモール、いろいろなところに各種の国際平協力活動に取り組んできたところだと思っておりますので、累計数で、今お話がありましたように、平成十三年以降大きく増加をしてきたということも確かだと思っております。  この派遣の内容というものは、我々は、サマーワの、いわゆる派遣をされておりました、イラクに派遣されておりました陸上自衛隊のときに、当時外務大臣をしておりまして、そこに現地に閣僚として初めて、バグダッドのこれ引揚げ交渉というのをやらされた経験でありますけれども、極めて評価は高かった。非常に異常なほど高かったと私は正直思いました。  我々は、こういう若い隊員という人たちの極めて厳しい環境下におけるたゆまない努力の成果が結果として日本全体の信用を高め、日本全体のいわゆる国威というものを発揚させていってくれているのは、かかってその若い隊員に負うところが大きいんだと思って、極めて評価の高いことに私自身が驚くほどだったというのが正直な実感でもあります。  こういった活動実績の積み重ねというものがあって、これは国民の信頼というものも、理解も、また海外における評価も極めて高くなってきたというのがこの十数年間における大きな世論の変化の背景にあると、私自身もそのように思っております。
  108. 浜田昌良

    浜田昌良君 まさに麻生総理がおっしゃったように、この期間の中で自衛隊の海外派遣というのは信頼性が増してきたと。  先ほど一部の民主党の議員が、公明党は軍事大国化かと。そんなことはありませんと。民主党のいわゆる安保政策の一貫性が全然ないんじゃないかなと私は非常に心配しているんですね。なぜこの海賊対処法案に反対をされる、反対をされるだけじゃなくて修正案も出さない。こういう、実際やるなら出しゃいいじゃないかと、それをしない。さらに、この海賊対処法案だけじゃないんですよ。これはこの前の……(発言する者あり)おかしくない。  次の質問で、グアム移転、グアム移転ありましたね、あの関係でも民主党の皆さんは反対をされました。反対をなぜされるんだろうと。あれは、日本は核の傘は抑制的に使うべきであると、通常の兵力である海兵隊に動いてもらう必要があると。そうすると、普天間の飛行場は県内移転が当たり前なんですよ。それを県外移転だと言われる。県外移転したら、これ、即応力ないわけですよ。即応力一番あるのは海兵隊なんですから。  そういう意味では、こういう非常に安保政策がちぐはぐな点に対して、本来、政権与党としてはこの安保政策の一貫性についてはどうあるべきかについて最後に麻生総理の見解を聞いて、私の質問を終わりたいと思います。
  109. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 麻生総理答弁の前に委員に申し上げます。  民主党からは、理事会において民主党の案を提出をし、今、修正協議に筆頭間でしようというような協議をしている最中でございますので、発言には御留意をいただきたいと思います。
  110. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 今のお話で、政府・与党と異なる立場を取っておられるものは幾つかあろうと思いますが、少なくともインド洋の補給支援活動の継続には反対だったと記憶します。また、今、ソマリア沖の海賊対策の必要性は認めると、ただし、海賊対処本部の設置というものなどが要求をされておられて、この法案にも反対、今修正のお話がなっているそうですが、こういったものには反対のようであります。また、米軍の極東における存在は、たしか第七艦隊だけで十分だというお話もあっておりました。グアムの移転協定にも反対ということを言っておられる。  日本の安全保障というものは最終的には国連の平和維持活動によって担保されるかのごときお話でしたけれども、私どもは、現実を見ますと、朝鮮半島の情勢を含めまして、少なくとも依然として不安定で不確実な問題があると思っております。また、日本の石油輸入の約九割というものが中東に依存をいたしております。したがって、中東地域の安定と海上輸送路の確保というものは、これは国益に直結をいたしてもおります。  また、最近の国連というものを見ましても、これはかなり少数国の意見というものがいろいろな方針を左右され得るということで、日本の国運というものをそのままゆだね得る状況にはないと、私どもはそう思っておりますので、このような現実を踏まえますと、外交安全保障政策というもの、民主党の安全保障政策というものと、これは日本の安全、繁栄というものを確保していく上で適切なものかどうかというものに関しましては、私どもは疑問を抱かざるを得ないと思っております。
  111. 浜田昌良

    浜田昌良君 終わります。
  112. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 井上哲士君。
  113. 井上哲士

    ○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。  海賊問題の解決には、自衛隊の派遣ではなくて、ソマリアの再建への支援、そして周辺諸国海上警備行動への技術的、財政的支援が必要だということを申し上げてまいりました。このソマリアの安定が必要だということは、今日の質疑でも政府も認められております。  そこで、少し歴史的、社会的に振り返ってみたいわけでありますが、ソマリアは今、破綻国家と呼ばれておりますけれども、これはソマリア人が望んだことでも、ソマリア人に統治の能力がないわけでもありません。この破綻問題というのを考えるときに、歴史的な国際社会の、とりわけ先進諸国の関与を抜きに語ることはできないと思いますが、こういう先進諸国の歴史的な責任について総理はどうお考えでしょうか。
  114. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 九一年でしたかね、たしか九一年だったと記憶するんですが、この武装勢力間の抗争というのが始まったのがたしか九一年だと記憶しますが、このころから本格的な内戦ということになって、治安が極めて不安定ということになりました。しかも、干ばつによる極端な人道危機というようなことになってきて、いわゆる破綻国家と呼ばれるようになってきたのはそれ以降だったと、たしか九一年以降だったと記憶をいたします。  他方、ソマリアが現状になってしまった理由というのは、これは歴史的責任という話もございますけれども、これは各国の歴史的責任について日本政府として認識を述べるということは、ちょっとこれ簡単な話ではありませんので、慎重に言わなきゃいかぬところだと思っております。  いずれにしても、日本としては、今ソマリアの情勢の安定化というのは、このソマリア自身にとっても当然のことですが、海賊問題の解決というものも相まって、これは国際社会にとっても重要な課題であることははっきりしております、直接被害が及びますので。したがって、国内の安定はもちろんのことですけれども、その他今直接被害が出ておるこの問題に関しましては、我々は積極的に他国とともに協力をし合ってやっていかなければならないと考えております。
  115. 井上哲士

    ○井上哲士君 ソマリ民族の居住地というのは、二十世紀の初めに五つの植民地に分割をされて、一九六〇年にソマリアが独立をいたします。その後誕生した軍事独裁政権に当時のソ連とアメリカが援助競争をして、そのときに大量の武器が流れ込んで、これが武器のやみ市場もつくるわけですね。  ソマリアの軍事政権が崩壊をした後に今のような状態になって、そしてアメリカも国連も介入しましたけれどもこれが失敗をすると。二〇〇六年にアメリカの後押しでエチオピアが介入をし、そして、アメリカもアルカイーダ討伐という名目で空爆をしました。これ、いずれもソマリア情勢の悪化ということにしかなっていないわけですね。  ですから、私は、今日の事態における先進諸国のこういう介入の責任は重いということ、それから、こういう経過から見ても、ソマリア人たちというのは外国勢力の介入に非常に歴史的な不信感を持っていると、このことを踏まえた対策というのが今必要だということだから、私はお聞きしたんです。  さらに、じゃ、今の問題聞きます。しかも今、外務大臣にお聞きしますが、中央政府がないということをいいことにして、ヨーロッパやアジアの様々な船の違法操業による漁業資源の略奪ということが行われました。これ、国連機関報告でも、ソマリア周辺のロブスターの八〇%が失われたと、こういうふうに言われております。  それから、不法投棄も同じように行われてまいりました。これは、スマトラ沖地震による津波で、あの海底にあったドラム缶が津波によってソマリアの海岸に打ち上げられたと、こういう写真なんです。実に巨大なドラム缶が打ち上げられています。そして、放射性廃棄物、それからカドミウム、水銀と、こういうものが不法投棄をされていて、これが沿岸住民に大変な健康被害を起こしているわけですね。  ところが、国際社会はこれを放置してきました。これがソマリアの貧困に拍車を掛けてきたわけですね。最初はこういうことに対する自衛措置として始まり、それが貧困によって生きる糧がないということでこういうことに動員されていったと、やはりこういう経過を見る必要があると思いますけれども外務大臣の御所見、いかがでしょうか。
  116. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 今御指摘の点につきましての実情については、必ずしも私ども詳細は明らかに把握いたしておりませんけれども、今委員がおっしゃいましたように、国連報告書によりますと、有害廃棄物をアフリカに投棄することをビジネスにしている会社もあると。また、二〇〇四年十二月のインドネシア・スマトラ沖地震、これによる津波の影響などで沿岸地域におきまして、健康上それから環境上の問題を発生させる有害廃棄物の、今御指摘になられましたようなドラム缶、こういうものがソマリアの海岸に漂着をしたと、そういう指摘を国連報告書がしているわけであります。  また、ソマリア海賊の起源を、これ確定的に述べることは困難でありますが、同様に国連報告書によりますと、海賊問題の背景といたしましては、ソマリア領海内における外国船の有害物質の不法投棄、これを受けて経済状況が悪化する中で地元の漁民によって行われるようになったと、そういうような側面もあるということも承知をいたしております。  他方、最近の海賊事案の多くは、このような性格のものから人質の身の代金目当てにした襲撃、乗っ取りへと変化をしてきたと、そういうふうに認識をしているわけでありまして、その背景には、やはりソマリアのこの貧困問題やそれから法執行機関などの能力不足等、こういうものがあると承知をいたしております。  政府といたしましては、今回の自衛隊派遣によります海賊対策とともに、先ほどからお話ありますソマリア情勢の安定化、そして沿岸国の海上取締り能力の向上という両方の面での支援を行ってきておりますけれども、今後とも積極的にやっていきたいと思っております。
  117. 井上哲士

    ○井上哲士君 政府は、今回の海賊対処法は国際海洋法条約に基づくものだと言われております。この条約は、沿岸国の主権の確保、海洋資源の保全、それから海洋環境汚染の防止というものを大きな目的としているわけですね。  だとすれば、こういうソマリア沖での違法な乱獲、そして不法投棄、これこそ真っ先に私は取り締まるべきだと思いますが、この間のソマリア問題での一連の国際会議でどう議論をされ、どういう取組がされているんでしょうか。
  118. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 昨年の十二月にケニアで国連ソマリア海域海賊対策会議、これが開催をされました。また、今年の六月の九日、つい先日ですが、九日と十日、この両日にわたりまして、韓国におきましてソマリア海賊対策ソウルハイレベル会合が開かれました。ここには我が外務省から西村大臣政務官出席してもらいましたけれども、こういう会合などにおきまして、ソマリア暫定連邦政府やまた周辺国から、この違法操業やそれから有害物質の不法投棄などについて問題提起がなされたと、そういうふうに承知をいたしております。  他方、ソマリアにおきましては、実効的に統治を行う政府がない、現在ないと、そういう状況でありますし、また、ソマリア沖で海賊が頻発しているそういう状況下におきましては、このような問題の実態の把握自体が非常に困難でありまして、国際社会の取組が十分に進展しているとは言い難いと、そういうふうに認識をいたしております。  いずれにいたしましても、最近のこの海賊の事案は、外国船によります違法操業や、それから先ほどからお話あります有害物質の不法投棄を背景とするものから、最近は、人質の身の代金目当てにしたそういう襲撃、乗っ取りへと変化をしてきたと、そういうふうに私どもは認識をいたしております。
  119. 井上哲士

    ○井上哲士君 一年前の国連事務総長ソマリア特別代表の報告でも、欧州及びアジア諸国からの違法操業と有害廃棄物、厳しく批判をしているんです。  今もそうなんですね。今ありましたけれどもソマリアの暫定政府から問題提起はあったけれども、国際社会は取組をしていないわけです。結局どうなっているかといいますと、貧困を生み出した原因となっているそういう外国船舶による乱獲とか不法投棄については取り締まらないけれどもソマリア人については外国軍隊が取り締まると、こういうことになっているわけですね。  おととい、当委員会で参考人質疑がありました。その際に、国連PKOの上級幹部を務めたアイルランド人のマロイ参考人来られましたけれども、こう言われているんです。国際対策部隊の活動は海賊行為への直接的取組ではなくて、これらの不法な漁業の事業活動を守るためのものと地元ソマリア人はとらえていると、こういうふうに言っているんですよ。  自分たちを守るんじゃなくて、まさに不法投棄を守っているじゃないかと地元の人たちが見ているということは、これは本当に私は重大だと思うんですね。ですから、こういったやり方ではやっぱり海賊問題は解決しないと。  実際、この間、各国が出し、日本も出しておりますけれども、むしろ海域は広がって、海賊事件は広がっているわけですね。なぜかといえば、先ほどありましたように、ソマリア平均寿命が四十四歳、四人に一人が五歳未満で死亡すると。こういう貧困があれば、まあ捕まる危険を冒したってやろうと、こうやって動員されているという実態があるわけですね。ここを解決しなければ、私は、一時的に鎮圧をしても、例えば麻薬とか武器の密輸など別の違法行為に走ることもあるし、そしてイスラム急進派に動員されるということもあると、こうなると思うんですね。そうなれば、ますますソマリア情勢は困難になると思います。  総理にお聞きしますけれども、やはりこういうソマリアの紛争と貧困の解決にこそ全力で取り組むべきではないでしょうか。いかがでしょうか。
  120. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) これは前々からこの話はよく出てきておりまして、我々としてはこれまでも幾つもやってきております。先ほど、どなたかからたった六十七億円というお話が出ておりましたけれどもソマリアで六十七億というのは巨額な金です、正直申し上げて。  そういったようなものをいろいろやらせてきていただいておりますが、今、井上先生、現実問題としてそれが人道上必要なところに到着するすべが我々にはありません。国連もその点に関してはきちっとした対応ができるような治安の状況にはない、そういったものの積み重ねで極めて混乱というような状況にあると我々は理解しておりますので、周辺の国やら、また、今一番あの地域で安定しているのはジブチかと思いますが、そういったような国々から間接的にとかいろいろな努力を我々はしておりますので、これは今、目先、我々の船が襲われておるわけですから、日本人の生命が脅かされているという部分はほっておいてこちらだけというのは、それはちょっと優先順位としてはおかしいのではないか、きちんとそれもやってそちらもやるということに、両方やらないとおかしいんだと思います。
  121. 井上哲士

    ○井上哲士君 我々は、これは海賊は反対であるのでなくさなくちゃいけないと。しかし、漁民を海賊に動員している歴史的、社会的背景を抜きにやっても結局長期化するだけだと。現実に、さっきも言いましたけれども、この間、軍艦を各国が出したけれども増えているわけですね。ですから、やはりここに今日本が集中をするということが結果としては解決も早くなる、有効なやり方だということを申し上げているんです。  そして今、暫定政府のことを言われましたけれども、だからこそ、私はあの地域の、アフリカ地域周辺の努力というものを支援をすることが必要だと思います。  今ソマリアでは、非常に幅広い勢力を結集した暫定連邦政府できていますけれども、どうもアメリカなどの外部からの介入の反発とも結び付いたイスラム急進派の勢いに押されているという状況もあるわけですね。やっぱり国民ソマリアの人が、今自分たちじゃなくて不法な漁船などを守っているというふうに思われるような状況をつくっていたら、幾ら支援をしてもこれは有効に生かされることはできないと。  私は、こういう外部介入とみなされるような軍事優先のやり方はやめて、アフリカ連合などの地域の和平努力の側面援助こそやるべきだと思いますけれども外務大臣、いかがでしょうか。
  122. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 先ほどからいろいろ御議論いただいておりますように、ソマリアの情勢を安定化させる上ではまず治安の確保というのが不可欠であるわけでございまして、そのためには、アフリカ連合ソマリア・ミッション、これAMISOMとも言いますけれども、これへの支援が重要であると私どもは認識をいたしております。  このAMISOMは二〇〇七年の一月にアフリカ連合の平和安全保障理事会によりまして設立が決定されたものでございまして、決議第一七四四号を始めといたしました累次のこの安保理決議によりまして、ソマリアでの展開が承認をされているものでございます。  また、国連安保理は今年の一月に、AMISOMに対しまして国連として種々の支援を行うことなどを内容といたします決議、これは一八六三でありますけれども、これを採択いたしました。政府といたしましても、このAMISOMの重要性にかんがみまして、補正予算においてAMISOM支援を行うことといたしております。  また、ジブチ合意以降の肯定的な動きに対しましては、国連安保理やまたソマリア情勢に関心を有するグループが今後の和平推進への支援につきまして検討を行っておるところでございまして、我が国もこのようなこういう国際社会の動きと連携をしながら支援をやっていきたいと、そういうふうに思っております。
  123. 井上哲士

    ○井上哲士君 そういう和平の努力の足を引っ張るような軍事対応はやめて、そして和平と貧困対策にこそ全力を挙げるべきだ、このことを申し上げて、質問を終わります。
  124. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 山内徳信君。
  125. 山内徳信

    ○山内徳信君 私は、憲法の視点から幾つか質問を申し上げたいと思います。  過去の大戦の反省から制定された平和憲法を有する日本は、自衛隊海外派遣は慎重でなければいけません。しかし、政府は、一義対応責任のある海上保安庁ではなく、陸海空の自衛隊の大部隊を拙速に派遣いたしました。武器使用も大幅に緩和されようとしています。  これは、海外で武力行使をしない、国益の名において軍隊を出さないという憲法の核心をねじ曲げる行為であり、憲法九条の「武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」に抵触するおそれがあります。  今回のソマリア派遣は、規模といい実態といい、憲法違反の疑いがあると思いますが、総理大臣には憲法九十九条の憲法擁護義務があります。総理自身が憲法を侵してはなりません。そういう指摘を申し上げ、総理の見解をお伺いいたします。
  126. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) これは山内先生、ソマリア沖の海賊というものは、これは海上輸送の安全確保という日本の国益というものに照らしました場合に、これは国益を脅かす死活的な問題と、私どもはそう思っております。  また、海賊への対処というのは一義的には海上保安庁の責務と、これは度々申し上げてきております。しかし、海上保安庁のみでは、一万二千キロ離れたところでもありますし、なかなか対応できない特別な理由というものもありますので、自衛隊部隊を派遣し、海上保安庁と一緒に日本国民の人命やらまた財産の保護という政府の責務を果たしてもらっているということだと、基本的にそう思っております。  また、海賊行為というものは、これは私的目的とした私人の犯罪行為であります。したがって、海賊行為への対処のためには、これは海賊行為であって、日本の刑罰法令が適用される犯罪行為に当たる行為を行った者に対して法令の範囲内で武器を使用するということは、憲法が禁ずる武力の行使とは全く違うものだと思っております。
  127. 山内徳信

    ○山内徳信君 戦前も、そして次第次第に戦前の状態考え方が戻りつつあります。国益論、国益論という名の下に憲法論議が政府の中でおろそかになっておることを私は指摘せざるを得ません。  次に移りますが、審議中の海賊対処法案における警護対象は、日本の商船だけではなく外国のすべての船舶を対象としております。また、ソマリア沖だけではなく全世界の海を対象にしています。世界中の海の海賊対策を永久にやるようなことを本当にしていくのか、首相の考え方をお伺いいたします。
  128. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) これは、この法案というのは、公海又は日本の領海などにおいて発生する海賊行為というものを基本的に対象といたしております。しかしながら、実際の海賊行為への対処に当たりましては、日本の領海などのほかにおよそ公海上で発生する海賊行為にすべて対処するということは、これは現実的ではありません。日本経済社会に与える影響の度合い又は国民生活にとっての重要度、そういったものなどを踏まえて対処の要否というものを判断することになるのではないか、そのように考えております。
  129. 山内徳信

    ○山内徳信君 現在、ソマリアには自衛隊法八十二条による海上警備行動で派遣されているわけでありますが、海賊対処法が成立すればこの法律による派遣に切り替えていくと思われます。現地では、海賊たちも各国の艦船がいる場所を避け、インド洋全域に拡散していると言われております。言わばイタチごっこのような状態になろうとしているわけであります。  自衛隊は専守防衛が基本であります。いつまで自衛隊を派遣し続けるのでしょうか。お答えお願いします。
  130. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 海賊行為というものは、これは日本国民生活やまた経済活動にとりましてこれは重大な脅威であることは、もう御理解をいただいているところだと思っております。これにどういうように対処するか。適切に対処することは、これは政府にとりましてはこれは重要な課題であります。  海賊対処行動の終了というのは、これはもう対象となります海賊行為の実態というものがなくなればそれで終わりましょうし、また、海賊行為日本経済やら社会やら国民生活に与えます影響、そういったものを勘案をいたしまして、様々な要素を考えて総合的に判断をするということになるんだと思いますので、解消しているか、また状況は改善しているかなどなど、いろいろ判断の要点はあろうと思いますけれども、なるべくそういった状況に近づけるように、先ほどお話があっておりましたソマリアの中の情勢などもいろいろ我々としては大いに関心のあるところであって、支援をやっていかねばならぬところだと思ってもおります。
  131. 山内徳信

    ○山内徳信君 一連の論議を見ておりますと、やはり政府が新しい法律を作るときに現在の日本の憲法の論議が非常に少ないと、こういう印象を受けております。とりわけ今回のこの海賊対処法においてもそういうことを強くしております。  私は、対潜哨戒機P3Cが派遣されました。このP3Cのことにつきまして、そこまで派遣しなければいかぬのか、哨戒ヘリでは足らぬのかと、こういうふうに思いました。私は、復帰直後、沖縄における米軍のP3Cとの交信用のアンテナ基地の建設がございまして、かなりアメリカ軍からP3Cの性能とか機能を教えていただいておりました。したがって、日本の、この平和憲法を有する、しかも新法も何もないときからP3Cを堂々と出していくのはこれは行き過ぎておると、こういうふうな思いでおりました。  P3Cは海賊に関する情報をキャッチし他国とも情報を共有しようということだと思いますが、この海域では米軍を中心に対テロ戦争の海上警備作戦をやっている海域でもあります。不審船が海賊なのかどうか分からない状況もあるわけであります。情報の共有化が対テロ戦争への後方支援にならないという担保は何か、御説明をいただきたいと思います。
  132. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 今P3Cのお話があっておりましたけれども、少なくとも先生、これは効率的に、極めて広い海域でもありますので、P3Cという広域な面をカバーできるいわゆる飛行機というものを出すということに関しましては、これは航行の安全というものとか人命尊重とかいうことを考えても、私は少なくとも安全という点を一番に考えた場合においては極めて効率的なものなんだと、私は基本的にそう思っております。  少なくとも、海賊行為から防護されるのは民間、いわゆる我々でいえば日本人であってみたり、そういった点が一番大事ですから、その点を最初考えておいていただかないといかぬのであって、それは情報の交換はいろいろあろうとは思いますけど、それが直ちにテロの何とかというような話は、話が少々飛躍しているような感じがいたしますが。
  133. 山内徳信

    ○山内徳信君 日本だけがあの海域をパトロールしておるんではないと思います。したがって、アメリカやヨーロッパ諸国も軍艦を出したりそういう航空機を出しておると聞いております。  私は、一連の政府答弁を聞いておりますと、アメリカが世界の警察と言われたりしてきましたが、そういうように次第次第に日本自衛隊、目の前に存在しているこの実力集団をやはり使わないと損だという発想も皆さんにありますし、効率的とか、こういうふうにおっしゃるわけです。兵は、進めるのは簡単ですが、それを引くということがいかに困難で大変かということを、特に防衛大臣は、浜田さんはしっかり押さえておいていただきたいと思います。  最後の質問になりますが、P3Cと同時に陸上自衛隊即応連隊も派遣され、実に六百名に及ぶ陸海空三自衛隊部隊が常駐するという事態が生じています。海賊対処というには余りにも規模が大きく大げさ過ぎると、私の実感であります。大げさ過ぎる。費用対効果という点でも税金の無駄遣いであるとの国民の指摘もあります。  一国の宰相として、海賊を含めソマリアの民衆の立場からの安全保障、国家再建の問題、民生安定の問題のプロセスが絶対に必要であります。自衛隊だけ出していては車の両輪にはなりません。そういうふうな観点から、海賊問題の抜本的な解決策は何なのかということを総理大臣にお伺いいたします。
  134. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 基本的にこの種の犯意が起きますときは、まずは貧困、続いて将来に対する希望、この二つがなくなりますと人間は自暴自棄になる、よく言われるところであります。そういった意味では、この問題の解決にソマリアという国自体の安定、政治的安定というものが求められるのは間違いなく絶対条件の一つだと思っております。  しかし、現実問題は、モガディシュにおいて、モガディシュは首都ですけれども、ここにおきましてはこれは真っ二つに分かれておりまして、その首都を守ろうとしている側と入っていこうとしているのと、真っ正面から今はぶつかっている最中でありまして、現実問題として警察機能もなかなかやっていない。これはもうCNNなりBBCやらでよくやっておるニュースで流れているところでもあろうと存じます。  国連としてもなかなか入っていくに入っていけない、アフリカユニオンとしてもなかなか手が出せないという状態が現状ということを考えますと、日本としてそういった意識は十分に持っておりますし、いろんな形で国連を通じ、隣国を通じていろいろ対応をいたしておりますけれども、直ちにそれが効果が出てくるには時間が掛かる。傍ら日本船舶が襲われる確率は高いという状況をどうやって対応するかというのが選択だと思っております。
  135. 山内徳信

    ○山内徳信君 私は最後に希望を申し上げて終わるわけでございますが、やはり敗戦後のこの日本本土も沖縄も、あるいはサイパン、テニアン、グアム辺りも、そして満州だとかあるいは中国大陸含めて、今のソマリア状況に近いようなそういう状況があったと思います。  警備体制はどうするのか、あるいは食料はどうするのか、教育はどうするのかということを改めて、こういうふうな公式の場で、じっくり話合いのできない場所ではなくして、もっと事務方を動かして、日本が貢献していくのにどうすればいいのかという、そういう話合いの場も持つ必要があると思っております。  以上で終わります。
  136. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  麻生総理大臣は御退席をいただいて結構でございます。ありがとうございました。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  137. 白眞勲

    ○白眞勲君 民主党・新緑風会・国民新・日本を代表しまして、海賊行為処罰及び海賊行為への対処に関する法律案につきまして、反対の討論を行います。  民主党は、海賊行為は人類共通の敵であり、国連海洋法条約においても旗国主義の例外としてすべての国に取締りの権限が与えられており、各国は連携して対策を講じる必要があると強く認識しております。  民主党は、我が国における海賊対策は一義的に海上保安庁の責務と考えております。他方で、海上保安庁のみで対応困難な場合には、シビリアンコントロールを徹底する見地から、国会の事前承認等の条件など一定の仕組みの下で自衛隊を派遣することも認めるものであります。  しかし、政府提出の海賊対処法案は、海賊対処海上保安庁一義的に実施するとされながら、防衛大臣が特別の必要がある場合を判断し、自衛隊を出すことが可能であり、判断の主体が海上保安庁ではない点が問題であります。また、まず自衛隊の派遣ありきで、海上保安庁による対応の検討を十分に行わず、海上警備行動規定を拡大解釈して海上自衛隊を泥縄式に派遣したことは極めて問題であります。  特に、ソマリア沖・アデン湾へ海上保安庁を派遣できない理由として、日本からの距離、海賊が重武装、各国が軍艦を派遣していることを挙げましたが、委員会の審査を通じて、それらが不適切であったことが判明いたしました。  まず、他国は軍艦を派遣しておりコーストガードはいないとの理由については、アメリカの沿岸警備隊の巡視船が派遣されていたことが明らかになりました。また、この巡視船の概要について外務省は、同船の排水量を三百二十五トンと一けた小さく記載して提出しましたが、私の指摘に対し梅本北米局長は、資料を印刷したりいろいろしているうちにここが取れてしまったと、その場しのぎの答弁を行いました。このような政府の態度は到底納得できるものではありません。  さらに、他国の艦艇と秘匿通信ができないとしておりましたが、現在派遣されている護衛艦は一般の通信を行っていることも分かりました。  さらに、日本からの距離にしても、自衛隊の掃海艇がペルシャ湾に赴いたように、アデン湾までは途中給油をすることで問題なく到着できます。現地においても護衛艦がほとんどジブチの港で給油を受けていることからも、海上保安庁の巡視船で十分実施することが可能であります。  また、政府海賊が重武装であることも主張しておりますが、質疑の中で海上保安庁は、日本海で対処をしている北朝鮮の工作船の方がより強力で、重武装であることを認めており、これも説得ある理由とは言えません。  このように政府海上保安庁を派遣できないという理由は、初めに海上自衛隊の護衛艦の派遣ありきの発想で考えられたもので、全く説得力はなく、その理論構成が破綻しているものでもあるということが委員会審議を通じて明らかになったのであります。  また、護衛対象船舶について、政府は当初、年間二千隻、一日当たり四、五隻と盛んに示していましたが、実際には一日当たり一、二隻という、実に全体の二五%程度しか護衛されていなかったという事実も判明しております。  民主党は、我が国周辺を超える海域での海賊対処に当たっては、海賊対処のための本部を設置し、我が国海賊対策のノウハウを一元的に集約し、オールジャパンで機動的に活動を行うことを必要と考えております。また、対応困難な場合の判断海上保安庁が行い、国土交通大臣海賊対処本部設置を内閣総理大臣に要請する仕組みを整備することで海上保安庁説明責任を果たさせ、自衛隊という実力部隊を派遣する重大性にかんがみ、国会の事前承認を必須とするものであります。  以上の認識に立ち、衆議院及び本院においても真摯に与党との修正協議に臨んでまいりました。残念ながら、与党からは、海賊対処本部の設置や国会承認は必要ないとの、まるで木で鼻をくくったような対応しかありませんでした。民主党が求めた海賊対処本部の設置にせよ、国会承認にせよ、たとえ法的な活動の性質が警察活動である、武力行使ではないとしても、国会によるシビリアンコントロールを徹底する見地から提案しているものであり、与党の対応は、民主党承認行為を必要とした趣旨を全く理解していないと言わざるを得ません。  以上、民主党は、海洋国日本の姿勢として、政府のなし崩し的な、とにかく自衛隊を派遣すればよいという対応にしっかりとした歯止めを掛けて、本法案が真に海賊対処に役立つように最高最良の修正を提案したにもかかわらず、与党はその本質を全く理解しないままにゼロ回答であったということに抗議の意を表するとともに、修正協議の決裂を受けて、本法案には反対せざるを得ないということを申し上げ、私の反対の討論といたします。
  138. 佐藤正久

    佐藤正久君 自由民主党佐藤正久です。  私は、自由民主党及び公明党を代表いたしまして、海賊行為処罰及び海賊行為への対処に関する法律案に賛成の立場から討論を行います。  貿易の約九九%を海上輸送に依存する我が国にとり重要な海上輸送路を阻まれることは、貿易が止まり、エネルギーが滞り、国民生活や経済に大きな影響を与えることになります。また、本年一月には日本船主協会及び全日本海員組合から海上自衛隊艦船の即時派遣の要望や声明が政府になされるなど、船舶関係者から切実な声が上がり、三月十三日、本法案国会に提出され、同日、海上警備行動が発令され、十四日、海上自衛隊ソマリア沖に派遣されました。  エスコートを受けたある船長から寄せられた手紙の一節を紹介したいと思います。非常に寒い三月に呉基地を出発され、五月、アデン湾という酷暑と緊張の中、毎日のように日本商船隊の護衛の任務に就かれていることを考えますと、同じ船乗りとして感謝に堪えません。本船乗船客の皆様も、遠く中東にて海賊船から一般商船を守っているお姿を見て頼もしく思われ、感激しておられます。引き続き過酷な任務は続くと思いますが、どうか立派に任務を遂行され、無事に故国日本へ戻られることを願っております。  現場では、エスコートを受けたすべての船舶から感謝の意が寄せられております。しかし、現在の海上警備行動下では、その護衛対象船舶日本関連船舶に限定されております。これまで数度にわたり外国籍の船から不審船情報を得て、船員法の規定に基づいてサーチライトの照射や大音響を発する装置を使うなどして対処してまいりました。これらは本法案成立の必要性を改めて認識させられる出来事であると言えます。  また、本法案の成立により、海賊対処は第一義的には海上保安庁、それが困難な場合など特別な理由がある場合に自衛隊海賊対処行動を命ずることとし、海賊対処の在り方が明確になります。  また、武器使用に関しても、本法案では、海賊船が民間船に接近し、制止に従わない場合、停船射撃が認められております。重武装する海賊に対する適正な手段と考えますが、現場において派遣隊員が判断に迷うことなく対応できるよう、行動基準が適正かつ明確に示されることと確信しております。  そして、自衛隊の派遣については、海賊対処行動の発令後と終了後に遅滞なく国会報告する旨が定められており、国会及び国民に対する説明責任を十分果たせるものと考えます。  海賊から国民の生命、財産を守り、海上における公共の安全と秩序を維持するためにも、政府案が現実的かつ国民の十分な理解と支持を得られる内容と判断し、あわせて、太陽が真上から照り付ける炎天下において、常に長そで、ヘルメット、救命胴衣を着用し、当該海域を平和の海とするために任務に従事されておられる自衛隊員そして海上保安官の皆さん、彼らを送り出した御家族の方々に心より感謝と敬意を表し、賛成の討論といたします。  終わります。
  139. 井上哲士

    ○井上哲士君 私は、日本共産党を代表して、海賊対処法案に反対の討論を行います。  本法案は、自衛隊海賊対処という新たな海外任務を与え、武器使用権限を拡大するものであり、断じて容認できません。  第一に、自衛隊の派遣では海賊問題は解決できません。そもそも、ソマリア周辺海域における海賊の多発の背景には、長期間の紛争による国の荒廃と、同国政府が十分に機能しない状況下での人々の貧困の問題があります。ソマリアは、欧米列強及びエチオピアに植民地分割され、その後、米ソによる介入を受けるなど、外国勢力の干渉、介入により国が分断され、紛争が絶えず、人々は貧困に追いやられてきました。近年は、外国船がソマリア当局による取締りがないことをいいことに違法操業や有害廃棄物投棄などの不法行為を行い、これが放置され、追い詰められた人々海賊に動員される状況を生んでいます。  日本を始め各国がソマリア沖に軍隊を派遣していますが、軍隊の派遣はソマリア人々外国への不信を広げるだけです。実際、海賊は減るどころか逆に増え、広域化しています。ソマリア紛争を解決し、人々が安心して生活できる状況をつくらなければ海賊問題は解決できません。  今、ソマリアではかつてない広範な勢力が参加した暫定政府がつくられ、アフリカ連合が紛争解決に向けた取組を強めつつあります。自衛隊の派遣ではなく、こうしたソマリア再建に向けた現地の地域的努力への支援を行うことこそ憲法九条を持つ日本が果たすべき役割です。同時に、ソマリア周辺国の海上警備能力の向上への財政的、技術的支援を強めるべきです。  第二に、海賊対処を名目とした自衛隊の活動は、米軍が行う軍事作戦全体を支援するものにほかなりません。元々、米国は、ソマリア沖・アデン湾で海賊対処だけを行っているわけではありません。対テロ戦争やソマリア本土への空爆など、様々な軍事作戦を混然一体となって進めています。政府海上自衛隊のP3C哨戒機や護衛艦から米軍に情報提供を行うとしており、米軍の軍事作戦全体を支援することになるのは明らかです。  また、自衛隊の活動は憲法九条が禁じる海外での武力行使につながりかねません。政府自衛隊の活動は警察活動だと言いますが、本法案には、自衛隊に対し、抵抗、逃亡する海賊への危害射撃、海賊行為を制止するための船体射撃の権限を与えています。日本から遠く離れたソマリア沖で実力組織である自衛隊が戦後初めて人を殺傷しかねないものであり、到底容認できるものではありません。  最後に、これまでの対政府質疑及び参考人質疑を通じて本法案政府海賊対処について数々の問題点が指摘された以上、本委員会法案を否決することは当然であります。与党は当委員会の議決を重く受け止め、これを尊重することを強く要求し、討論を終わります。
  140. 山内徳信

    ○山内徳信君 私は、社民党・護憲連合を代表して、海賊対処法案に反対の討論を行います。  我が国の参議院は、良識の府と言われてまいりました。日本国憲法は、さきの大戦の尊い犠牲とその反省と教訓の上に制定されました。憲法九条には、「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」とうたわれております。これを踏まえて、以下、反対の理由を申し上げます。  第一に、海賊行為処罰及び海賊行為への対処に関する法律案は、自衛隊が警備行動を行う海域を領海に限らず公海に拡大し、海賊対処行動の名の下に世界のあらゆる海域自衛隊を派遣できると規定し、その対象を外国船舶を含むあらゆる船舶に及ぼすものである。これは自衛隊の専守防衛という基本方針と憲法九条の枠を超えるものであり、日本の将来を誤らすものであると指摘せざるを得ない。  第二に、この法案海賊からの攻撃がなくとも海賊行為制止のため武器を使用することができるとするものである。緩和された武器使用要件の下に海賊対処行動を行うことになれば、武力による威嚇、武力の行使につながるものであり、憲法九条の平和主義の原則に反するものである。  第三に、この法案国会の事前承認の手続もなく、防衛大臣内閣総理大臣承認を得て自衛隊海賊対処行動の実施を決定し、国会には事後報告のみで足りるとすることは、軍事的ファシズムへの危険性を感ずるものであり、国権の最高機関の意見を確認することもなく、極めて重大な国家行為を時の内閣のみで決定することは、憲法の主権在民と議会制民主主義を無視するものであると言わざるを得ません。  第四に、今回の海賊対処法案は時限立法ではなく恒久法となるものであります。国会のコントロールも及ばない形で自衛隊の海外派遣が政府判断のみによって世界のどこにでも派遣できるという内容の法律となります。自衛隊の歯止めなき海外派遣と他国軍との情報の共有及び共同行動の積み重ねがやがて集団的自衛権の行使へと発展し、憲法九条が禁ずる武力による威嚇、武力の行使へとつながる内容の法律となります。  第五に、ソマリア海賊問題の解決は、力のある国々が軍艦を出し、威嚇すれば解決できるというものではありません。海賊を真になくしていくためには、ソマリアの国家再建と人々の生活基盤の確立など、民生の安定を築くため、国際社会の連帯と取組が必要であります。世界に誇る平和憲法のある日本政府は、そのために努力すべきであります。それが日本の真の国際貢献につながるものであると思います。  最後に、改めて申し上げたいのは、昭和二十九年六月、参議院は、第十九回国会本会議で自衛隊の海外出動を為さざることに関する決議を行っております。それによると、「本院は、自衛隊の創設に際し、現行憲法の条章と、わが国民の熾烈なる平和愛好精神に照し、海外出動はこれを行わないことを、茲に更めて確認する。 右決議する。」とあります。  先人のこの決議に真摯に耳を傾け、海賊対処法案に反対をし、討論を終わります。  以上です。
  141. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  海賊行為処罰及び海賊行為への対処に関する法律案に賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  142. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 少数と認めます。よって、本案は賛成少数により否決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  143. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  144. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 次に、経済上の連携に関する日本国ベトナム社会主義共和国との間の協定締結について承認を求めるの件、日本国スイス連邦との間の自由な貿易及び経済上の連携に関する協定締結について承認を求めるの件及び航空業務に関する日本国サウジアラビア王国との間の協定締結について承認を求めるの件、以上三件を一括して議題とします。  政府から順次趣旨説明を聴取いたします。中曽根外務大臣
  145. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) ただいま議題となりました経済上の連携に関する日本国ベトナム社会主義共和国との間の協定締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  政府は、平成十九年一月に、ベトナムとの間でこの協定の交渉を開始いたしました。鋭意交渉を行いました結果、平成二十年十二月二十五日に東京において、私とホアン商工大臣との間でこの協定の署名が行われた次第であります。  この協定は、日・ベトナム間で、物品、サービス及び資本の自由な移動を促進するものであります。また、自然人の移動を円滑化し、知的財産の保護等の幅広い分野での協力を強化するものであります。  この協定締結により、幅広い分野において両国間における経済上の連携が強化され、これを通じ、両国経済が一段と活性化され、また、両国関係がより一層緊密化されることが期待されます。  よって、ここに、この協定締結について御承認を求める次第であります。  次に、日本国スイス連邦との間の自由な貿易及び経済上の連携に関する協定締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  政府は、平成十九年五月に、スイスとの間でこの協定の交渉を開始いたしました。鋭意交渉を行いました結果、平成二十一年二月十九日に東京において、私とロイタード副大統領兼経済大臣との間でこの協定の署名が行われた次第であります。  この協定は、両国間において、物品及びサービスの貿易の自由化及び円滑化並びに資本の自由な移動を促進するものであります。また、自然人の移動、競争、知的財産等の幅広い分野での協力を強化するものであります。  この協定締結により、幅広い分野において両国間における経済上の連携が強化され、そのことを通じ、両国経済が一段と活性化され、また、両国関係がより一層緊密化されることが期待されます。  よって、ここに、この協定締結について御承認を求める次第であります。  最後に、航空業務に関する日本国サウジアラビア王国との間の協定締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  政府は、平成十八年十一月に、サウジアラビアとの間でこの協定の交渉を開始いたしました。鋭意交渉を行った結果、平成二十年八月十八日にサウジアラビアのジッダにおいて、中村駐サウジアラビア大使とラヒミ民間航空機構総裁との間でこの協定の署名が行われた次第であります。  この協定は、両国の指定航空企業が特定路線上において航空業務を運営する権利を相互に許与し、業務の開始及び運営についての手続及び条件等を取り決めるとともに、両国の指定航空企業がそれぞれの業務を行うことができる路線を定めるものであります。  この協定締結により、我が国とサウジアラビアとの間の人的交流及び経済的交流が増進され、両国間の友好関係の一層の強化に資することが期待されます。  よって、ここに、この協定締結について御承認を求める次第であります。  以上三件につき、何とぞ御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願いいたします。
  146. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  三件に対する質疑は後日に譲るとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十二分散会