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2009-06-09 第171回国会 参議院 外交防衛委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十一年六月九日(火曜日)    午前十時二分開会     ─────────────    委員異動  六月四日     辞任         補欠選任         米長 晴信君     石井  一君      塚田 一郎君     鴻池 祥肇君  六月五日     辞任         補欠選任         徳永 久志君     風間 直樹君      舟山 康江君     藤田 幸久君  六月九日     辞任         補欠選任         佐藤 正久君     佐藤 信秋君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         榛葉賀津也君     理 事                 浅尾慶一郎君                 一川 保夫君                 白  眞勲君                 木村  仁君                 小池 正勝君     委 員                 石井  一君                 犬塚 直史君                 風間 直樹君                 谷岡 郁子君                 広中和歌子君                 藤田 幸久君                 岸  信夫君                 佐藤 信秋君                 佐藤 正久君                 橋本 聖子君                 山本 一太君                 浜田 昌良君                 山口那津男君                 井上 哲士君                 山内 徳信君    国務大臣        外務大臣     中曽根弘文君        防衛大臣     浜田 靖一君    副大臣        外務大臣    橋本 聖子君        防衛大臣    北村 誠吾君    大臣政務官        防衛大臣政務官  岸  信夫君    事務局側        常任委員会専門        員        堀田 光明君    政府参考人        外務大臣官房審        議官       廣木 重之君        外務大臣官房審        議官       石川 和秀君        外務大臣官房審        議官       北野  充君        外務省総合外交        政策局軍縮不拡        散・科学部長   佐野 利男君        外務省北米局長  梅本 和義君        外務省中東アフ        リカ局長     鈴木 敏郎君        防衛省防衛参事        官        岩井 良行君        防衛大臣官房技        術監       秋山 義孝君        防衛省防衛政策        局長       高見澤將林君        防衛省運用企画        局長       徳地 秀士君        防衛省地方協力        局長       井上 源三君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○クラスター弾に関する条約締結について承認  を求めるの件(内閣提出衆議院送付) ○国及びその財産裁判権からの免除に関する国  際連合条約締結について承認を求めるの件(  内閣提出衆議院送付) ○強制失踪からのすべての者の保護に関する国際  条約締結について承認を求めるの件(内閣提  出、衆議院送付)     ─────────────
  2. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、塚田一郎君、米長晴信君、徳永久志君及び舟山康江君が委員辞任され、その補欠として鴻池祥肇君、石井一君、風間直樹君及び藤田幸久君が選任されました。     ─────────────
  3. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  クラスター弾に関する条約締結について承認を求めるの件外二件の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として外務大臣官房審議官廣木重之君外十名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) クラスター弾に関する条約締結について承認を求めるの件、国及びその財産裁判権からの免除に関する国際連合条約締結について承認を求めるの件及び強制失踪からのすべての者の保護に関する国際条約締結について承認を求めるの件、以上三件を一括して議題といたします。  三件の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 犬塚直史

    犬塚直史君 おはようございます。民主党犬塚です。  この条約三本の質疑をさせていただきます。  まず、クラスター弾については大変御苦労さまでした。  このクラスター弾について、実は当委員会平成十九年に当時の久間防衛大臣質問をしたことがありまして、そのころ議論になっていましたのは、着上陸というものをある程度想定をする中で、とはいっても多様な事態に、あるいはゲリラ等着上陸とは全然関係のない事態の脅威が高まる中でこのバランスをどう取ろうかと、今のところやっぱりクラスター弾は必要だろうというようなそのときは答弁をいただいたんですね。  以来何年かたったわけなんですけれども、今現状の、まずこれは防衛大臣に、他国による我が国に対する着上陸に対する認識といいますか、その辺はこの間また大きく変わったんでしょうか。
  7. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 先生もう御存じのように、今現在において着上陸可能性というのは極めて低くなっているのは事実だと思いますし、ただ、それを否定するということはなかなかできないというのもございまして、ただ、先生の御質問のように、じゃどうなのかと言われたときには、その蓋然性は低くなっているというのは事実だと思います。
  8. 犬塚直史

    犬塚直史君 引き続き防衛省の方に、これは事務方で結構ですが、代替品は何を今想定をしているんですか。
  9. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) お答えいたします。  今回のクラスター条約で禁止されることになりますクラスター弾というのは、我が国が保有しておりますクラスター弾は四つございますけれども、いずれも禁止をされるということでございますので、そのうち、どういった形でやるかということを考えておりまして、それで、MLRSにつきましてはM31を考えておる、これは単弾頭の、射程の長くなって精密誘導能力が上がったものでございます。
  10. 犬塚直史

    犬塚直史君 久間大臣の御答弁のときには、代替品も含めて総合的に判断をしていくという答弁だったんですね。  今回、多目的りゅう弾廃棄、七十ミリロケット弾廃棄、M26ロケット弾に対してはM31の導入、CBU87Bは廃棄をしてレーザーJDAMを導入すると、こういうことになっているわけですけれども、この準備というのはいつごろから始めたんですか。
  11. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) お答えいたします。  クラスターの規制の動きというのはいろいろオスロプロセスの中であったわけでございますけれども防衛省といたしましては、外務省あるいは政府全体の議論の中で、こういった人道上の懸念に対処しながら我が国安全保障上の体制というのをどう維持していくかということが議論になってまいりましたので、高村外務大臣委員会お答えになりましたけれども安全保障上の必要性というものと人道上の懸念というものをどうやって考えていくのかということを前提に答弁をされ、私どもとしても、従来の考え方では、そこはやはり、着上陸侵攻というようなことを考えた場合にクラスター弾有効性というのは引き続きあるであろうと。ただ、同時に人道上の懸念ということもございますので、私どもとしてそういったものを総合的にどうしたら対応できるかということを検討しました。  具体的な時期は、この一年ぐらいの中でいろいろ条約が、議論が進むのと並行して検討を進めさせていただいてきたと。その中で、ネットワーク化を図りながらどうやってそういった能力の低下を補っていくかということをいろいろ真剣に検討した結果、今委員指摘になりましたような対応というのを、これで決してすべて十分だというふうには考えておりませんけれども、そういったものを、補正予算を含めて緊急的な措置をとるということで何とか最小限の体制は取れるんではないかというようなことを議論させていただいたという経緯がございます。
  12. 犬塚直史

    犬塚直史君 防衛大臣にもう一回伺いたいんですけど、要するに、代替品がある程度めどが付いてクラスターを使わなくても大丈夫だということであるから今回の条約批准に向けた動きになったのか、あるいは、例えば外務省主導でこういう非人道的な兵器は何しろ使わないということをまず決めて、それから、今でも現在進行中だがこういう手当てをしていっているのか、それはどちらなんでしょうね。
  13. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) このクラスターお話というのは以前から、先ほど、今局長から答弁がありましたように、我々も政府全体としてこのクラスター弾に対する懸念というのを各国からも聞いておりましたし、また政府部内での議論もあったわけでありますので、そういった意味においては、我々とすれば、最悪、着上陸侵攻に対しての対処法というのを考えなければならなかったわけでありますので、そういった意味においては、どちらが先ということも確かに先生の御質問の中にあったわけでありますが、ほとんど、前々から先生が御指摘になった平成十九年の議論も、そういったことも踏まえながら、我々とすれば頭の体操をしながら、そしてまたその検討も含めてやってきたところでありますので、これはどちらが先かと言われればなかなかこれは難しい話でありまして、世界的な議論も見ながらということでありましたので、そこに心を置きながら今まで対処してきたというふうに考えております。
  14. 犬塚直史

    犬塚直史君 外務大臣に伺いますが、こういう安全保障に対する備えと人道上の配慮というものが、必ずしもこうは言えないかもしれないけれども、トレードオフの関係になることがある、それでも人道上の配慮をしっかりとしていくんだというような、特にこのクラスター弾に関してはそういう決断をまず外務省としてされているんでしょうか。
  15. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 今防衛大臣からも御答弁ありましたけれども我が国としては、もちろん国土の防衛といいますか安全保障、これを最優先に考えなければなりませんけれども、同時に、やはり人道上の懸念、こういうものに対してもしっかりと我が国として対応していかなければならない。そういうところから、政府としては、人道上の要請と、さらに安全保障上の要請バランス配慮をしながら実効的な国際約束が、これが作成されるよう努力をしていくべきだと、そういうような考え方からこのような判断に至ったものと、そういうふうに思っておるところです。
  16. 犬塚直史

    犬塚直史君 そこで、この条約の第二十一条の責任、つまり我が国締約国になる、それと同時に、やっぱりできるだけ多くの国に締約国になってもらって実効性を高めていこうという話なんですが、今批准している国がアイルランドとバチカン、ノルウェー、シエラレオネと、非常に少ない国しか対応していないわけですね。  我が国は、この批准に向けて準備が整ったという非常に今進行中の経験をしているわけで、例えばほかの先進諸国が何でこれを批准しないのかなという気持ちがある程度分かると思うんですけれども、これからこの二十一条の義務というのをどういうふうに果たしていかれるつもりなんでしょうか。
  17. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 二十一条は、もう委員が御案内のとおり、締約国が、すべての国がこの条約へ参加するようにということで、締約国でない国に対して、この条約批准し、また受諾し、承認をし、これに加入するよう奨励すると、そういうような規定でありますが、政府としましては、この条約を可能な限り早期に締結をして、そして不発弾対策やまた被害者支援の分野において積極的な役割を果たすと、それと同時に、より多くの国がこの条約に参加をする、締結をするよう働きかけをしていくことによって、クラスター弾がもたらしている人道上の懸念への対応に向けた国際的な協力を主導していきたいと、そういうふうに考えているところでございますが、こういう観点から、非締約国に対しましてもこの条約締結働きかけて、そして非締約国に対しましてこの条約批准を奨励すると、そういう今申し上げた第二十一条1の規定義務を果たしていく考えでありまして、昨年の十二月三日に私がオスロ署名を行いました際にも、その後もアメリカやロシアや中国や韓国に対しましてこうした働きかけを行ってきているところでございます。
  18. 犬塚直史

    犬塚直史君 昨日、実は質問通告皆さんに来ていただいて、私の部屋でこの話をいろいろやったんですが、これだけ我が国が一生懸命やってここまで来たということをもっと広げていこうという意欲は、やっぱり政治主導でないとなかなか示すことはできないと思うんですね。  今、中曽根大臣がおっしゃったオスロプロセス、あのときはきっと政治主導の中でこれができ上がっていったと。まさにそこに立ち会ったわけですが、どんな雰囲気だったですか。
  19. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 御案内のとおり、CCW、そういう枠組みがある中で、オスロプロセスという形であのように集まって署名式が行われたわけでありますが、どんな感じという御質問でありますけれども、やはり各国とも人道的な配慮というもの、この懸念といいますか、それを大変重視していると。そういうことで、これ一か国でも多くが署名をして、また締約国が増えるようにと、そういうような大変な各国意欲というものを感じましたし、我が国としても、あの場に私自身が出させていただくことによって、我が国のそういう政府の方針というものが明確に国際社会に表明できたと。  そして、そのときに、我が国としては今後、五条にありますような支援についてやっていくんだということを表明させていただいたわけでありまして、私自身はあのような署名式に参加できて、また署名ができてよかったなと思っております。
  20. 犬塚直史

    犬塚直史君 この署名式外務大臣が参加して署名されたという私は歴史的な一瞬だったと思うんですが、その前のCCWで何とこれ三十年間やって全く進まなかったものが、オスロプロセス、結局これ二年ぐらいですよね、二年ぐらいで形を出していった。三十年掛けてできなかったものが二年でできたという、今のお話聞くと余り興奮したという雰囲気が伝わってこないんですが、NGOとか政府関係者含めて、このオスロプロセス雰囲気というのはどうなんですかね。
  21. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 私自身地雷除去現場ども、タイとかカンボジアの国境とかそういうところも行って、またその支援も個人的に、子供たちも含めて家族でも個人的に、大した力はありませんがやってきたということもありまして、そういうようなこの悲惨な状態が一刻でも早くなくなるようにという気持ちはずっと持っておりました。そして、これを署名することによって、先ほど防衛大臣からお話ありました安全保障上のいろいろなものはありますけれども、そういうような本当に、罪もないと言うとおかしいんですが、一般の国民の被害が減るということはこれは非常に大切なことだと、そういう気持ちで参加させていただきまして、そういう意味で、各国も同じような気持ちだと思いますけれども、この署名式がそこで行われて実現できたというのは本当に良かったと思っています。
  22. 犬塚直史

    犬塚直史君 私は野党の一員でありますが、外務大臣の個人的な地雷に対する取組には心から敬意を表したいと思います。  その上で、やっぱり政治主導でこういうものを進めていく大事さというのは私はあると思うんですね。何か議論をするときに全部官僚の皆さんのせいにして動かない動かないと言うのは非常に簡単なんですが、本当は政治が悪いわけでありまして、特にこういうプロセスなんかについては、NGOも含めて政治がどうやってみんなの意見を集約して新しい方向に進めていくのかと。たった二年でこれできたわけですから、やっぱり外務大臣の力というのは物すごいものがあると私は思うんであります。  そこで、この間もお願いをしましたが、六者会合ですね、安保理決議は今そんなに簡単にできることではありませんが、日本がこの六者会合の行方を大きく左右することができるような政治的な提案を私はするべきときだと思っているんです。それは、十年前から民主党が言っております北東アジア非核化地帯宣言という条約案を作っているわけでして、この間もお話しいたしましたが、今の六者会合枠組みの中で各国共通の利益を追求するという一つの私はきれいな形なんですよ。これを、外務省は何だと言うんではなくて、やっぱり政治家主導で、内容的にはもし必要だったらもう一度お話ししますが、外務大臣に主導していただいて、オスロプロセスの次は六者会合を成功させていただきたいんですが、決意のほどを伺います。
  23. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 非核化地帯にするということは、もうこれはだれもが望むことでありますし、これに向けて努力をしなければならないわけでありますが、現実の問題といたしましては、北朝鮮が御案内のような状況である中で、どういうふうにしてこの非核化という形に向けていくかということはいろいろな検討をしなければならないわけでありますし、また、まずはこの北朝鮮の現在の状況というものを、これを改善して、この北朝鮮非核化をまず進めていくということが最優先であろうと思いますし、そのためには六か国、これの六者会談を通じて努力をしていくということが最優先ではないかと思っておりますが、長期的には、これは世界全体そうですけれども、少なくともこの地域から非核化になるような、そういうような努力というものは検討し、また努力を進めていかなければならないと思います。
  24. 犬塚直史

    犬塚直史君 検証可能な形で北朝鮮非核化をしていく、後戻りできないようにする、それと同時に、幻想であった、神話であった日本非核原則というものに実体を与える、こうすることによってこの地域の安定が増していくという、だれもが反対できない一つ提案ですので、引き続きこの件に関しては政治的なリーダーシップを取っていただくようにお願いをしたいと思います。  クラスターに戻ります。  このクラスター弾廃棄をこれから何年掛けてやるつもりなんでしょうか。
  25. 北村誠吾

    ○副大臣北村誠吾君) お答えいたします。  クラスター弾に関する条約におきましては、各締約国が、条約自国に対して効力を発生した後に、原則として八年以内に廃棄することが規定をされております。条約我が国に対して発効した場合には、八年以内に自衛隊が保有するクラスター弾廃棄を安全かつ着実に実施するものと考えております。  一方、クラスター弾廃棄方法につきましては、検討いたすべき課題が多くございます。今年度より実施するクラスター弾の処分に係る調査等において検討をすることといたしておりまして、ただいまの時点において具体的な廃棄完了時期について申し上げることは困難でございますので、御理解を賜りたいというふうに思います。
  26. 犬塚直史

    犬塚直史君 そこで、施行法案第十八条の「自衛隊が行う条約で認められた目的のためのクラスター弾等の所持」とは何を指すんでしょうか。
  27. 岩井良行

    政府参考人岩井良行君) お答え申し上げます。  条約では、クラスター弾及び子弾の探知、除去又は廃棄技術開発及び訓練、クラスター弾への対抗措置開発のための保有、取得は認められておりますし、また、廃棄するまでの間所持することも認められております。国内法におきましては、このことを念頭に置いて規定がされているものと承知をしております。
  28. 犬塚直史

    犬塚直史君 次に、二十一条の四番なんですけれども、これは、二十一条というのは、この条約締約国でない国との関係日本の場合でいえば米国との関係規定しているところであります。この第四項で、「締約国に対し、次のことを行うことを認めるものではない。」と、認めないという条文がございまして、その中の(d)、「使用される弾薬の選択権が専ら自国管理の下にある場合において、クラスター弾使用を明示的に要請すること。」、これはできないことになっているわけですね。  それでは、米軍クラスターは持っているわけですが、専ら自国管理の下にない場合はクラスター弾使用を明示的に要請できるんでしょうか。
  29. 佐野利男

    政府参考人佐野利男君) お答えいたします。  今御指摘の二十一条4は、そういう形で、自国管理の下にある場合においてクラスター弾使用を明示的に要請することを認めないということでございますけれども、他方、自国管理下にない場合、これは二十一条の2というのがございまして、締約国に対して、非締約国によるクラスター弾使用を抑制するよう最善努力を払うという規定がございます。  したがいまして、専ら自国管理下にない場合につきましても、締約国が非締約国クラスター弾使用要請することは、これは問題が生じ得るというふうに考えられます。
  30. 犬塚直史

    犬塚直史君 管理下になくても要請はできないというお答えだったんですが、防衛大臣、今、国がクラスター弾使用を抑制するように最善努力を払う、つまりアメリカ軍クラスター弾を持っているわけですけれども、それを使わないように最善努力日本が払うという条約なんですが、今、日本クラスター弾を持たないで代替装備で行こうと決めたわけですから、米軍に対してもそのような働きかけをしたらどうでしょうか。
  31. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) これは、我々とすれば、今外務省からもお話がありましたように、外交上の部分で米国等にも働きかけをいろいろな形でしているというお話を聞きました。当然、我々も、今現在米国とそういった中で、必要とあれば外務省さんと調整しながらその働きかけをしていきたいと思います。
  32. 犬塚直史

    犬塚直史君 今、外交上という話になりましたので外務大臣に聞きますが、人道上に大変問題がある兵器についてはこれを抑制的に行っていくということをこの条約で、直接ではないですが、アメリカ軍が使わないように、使用を抑制するよう最善努力を払うと二十一条の二項に書いているわけですから、外交上もこうした働きかけをしたらどうでしょうか。
  33. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 今参考人からも答弁し、また委員からも御発言がありました二十一条の二項、これは私も大変重要な項目だと思っておりまして、我が国のそういう義務について、日本の場合は、例えば米軍に対して、このことについて通報して、この条約が定めるそういう規範というものを奨励していく、これは大変重要なことだと思っております。
  34. 犬塚直史

    犬塚直史君 防衛大臣米軍日本防衛以外の目的クラスター弾日本国内に保有しているということは考えられますか。
  35. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 米国装備についてまでは、私、今現時点で詳しくは存じ上げておりませんので明確なことが言えないので、その辺は確認をしておりませんので今ちょっとお答えできません。
  36. 犬塚直史

    犬塚直史君 もし防衛のためであれば、日本がそういう判断をしたわけですから、アメリカにも是非類似代替品を使うなり、あるいはここは日本に任せろと言うなり、着上陸に関してはそういう働きかけ外務省とやっていただきたいと思います。  続いて、今回の条約締結に関してはNGOが大きな役割を果たしたと聞いておりますが、どなたでも結構ですが、この条約締結に際しての、この周辺の環境整備も含めてNGOの果たした役割はどんなものだったんでしょうか。
  37. 橋本聖子

    ○副大臣橋本聖子君) 軍縮・不拡散問題におきましてはNGOの果たす役割というのは大変重要で、そして近年大変大きくなってきているというふうに思っております。  クラスター弾にかかわる問題に関しましても、NGOとの種々の意見交換を行ってまいりました。政府としては、これからも積極的にNGOとの連携を進めていきたいというふうに考えております。  また、今後は、この条約上の規定に従いまして、各国におけるクラスター弾の不発弾除去活動や被害者に対する支援を進めてきておりますが、この実施段階においてもNGOは実施主体として大変重要な存在となってきております。  具体的には、政府としては、NGO連携無償を通じて不発弾処理分野で活躍する日本NGO支援しますとともに、草の根・人間の安全保障資金協力による現場での活動をする国際NGOへの支援等も実施しながら、不発弾の除去活動や、また被害者に対する支援への貢献を積極的に行っていく所存であります。  この貢献においては、本件分野に知見のあるNGOとも協力をしながら、被害者のニーズに即した事業支援を積極的に検討していく考えです。実際、犠牲者支援分野で実績のある日本NGOの難民を助ける会が今年の五月から実施中のラオスにおける案件発掘・形成調査を、政府NGO事業補助金を通じて今支援を行っているところであります。
  38. 犬塚直史

    犬塚直史君 この件も質問レクのときに皆さんにいろいろと話を聞いたんですが、具体的にこれから、こういう経験を踏まえてこれからNGO皆さんとどういう連携をしていくという方針なんですかと、何か変わるんですかという話をして、具体的にNGOから何を期待しますかということを聞きましたところ、余り具体的な話は返ってきませんで、一つ出てきたのが現場の情報収集という話が出てきました、それはそうかもしれないんですが。  副大臣、どういう具体的にNGOからの役割を外務省は期待をされますか。
  39. 橋本聖子

    ○副大臣橋本聖子君) 今まで具体的な支援事業としては、コンゴ及びチャドにおける地雷・不発弾の分布調査及び除去活動の支援ですとか、カンボジアにおける地雷・不発弾除去関連の機材整備支援ですとか、イラク南部における地雷・不発弾除去要員の教育等々をやらせていただいておりますけれども、やはりNGOは、政府とはまた別な観点から、現地に行って、その現地の状況をしっかりと把握しながら、その人たちの立場に立った視点からしっかりと支援をしていただいているというふうに思います。  私自身NGOの一人として一生懸命に活動している団体を応援してきました。例えば、カンボジアの地雷撤去に関しては、元マラソン選手の有森裕子さんですとか、ハート・オブ・ゴールドという団体をつくりまして、世界的に呼びかけて全力でああいう頑張っている方たち、そういう方たちに対して、私自身も友人の一人として、また政治家として、長年支援をさせていただきました。  やはり、一番大切なことは、そういった方たちとともに、政府がどのようにして連携を取ることによって更にそのNGOの潜在力といいますか能力を引き出していくか、それができるかということに懸かってくるんではないかというふうに思っておりまして、何よりもやはり連携というものが大切だというふうに思っております。
  40. 犬塚直史

    犬塚直史君 特に、NGOの人たちですね、海外で活躍されている人は女性が多いんですよね。すごい女性が多くて、テレビでもやっていましたけれども、危ないところにも女性が入っていくケースが大変多い。  地雷除去の話も、今おっしゃったすばらしい活動あるいは自衛隊のOBの方々が一生懸命やっておられるという中で、一つ私は非常に良くないなと思うことは、中途採用が少な過ぎるんですよね。要するに、この地域やあるいは地雷等々に関して知見を持っている民間の方がNGOで一生懸命働いておられる。これはいいんですけれども、それプラス、やっぱりそういう方々が現地採用なり本省での採用なり、中途採用という形で外務省の中にどんどん新しい血が入ってくるということが余りにも少ないと思うんですよ。  その辺はどうでしょうか。もったいないと思うんですけれども
  41. 橋本聖子

    ○副大臣橋本聖子君) 外務省としては、中途採用は多い方だというふうに承知をしておりますけれども、やはり経験と実績のある方、知見のある方を積極的に活用をさせていただく、そして活躍をしていただくということはとても大切なことだというふうに思って、これからもしっかりやっていきたいと思います。
  42. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 今副大臣から答弁いたしましたけれども、他省庁と具体的な比較をしているわけではありませんが、中途採用は多い方ではないかと思っておりますが、経験を生かすということは大変大事でありますので、今後もそういう点は心掛けていきたいと思いますし、アフガニスタンのPRTへこの度派遣いたしました人たち、女性二人はたしか中途採用の方たちだと思っておりますが、そういう形でどんどん能力のある方、経験のある方には活躍をしていただこうと思っております。
  43. 犬塚直史

    犬塚直史君 大臣、私も狭い経験ですが、あちこちに行ったときに現地の日本大使館の皆さんに大変お世話になっているんですが、中にはすごい方がたくさんおられて、この地域のことについては物すごい詳しいとか、特殊な言葉はもうべらべらであるとか、あるいは一つの分野に関しては非常に深い知見を持っておられるとかいう方がたくさんいるわけですよね。やっぱり、こういう人たちをもっと増やしていくというやり方を取らないと、余りにももったいない。    〔委員長退席、理事浅尾慶一郎君着席〕  つまり、総合的にあちこちの部署を回って全体を見ることができる人は必要ですが、その人たちに加えて、やっぱり現場の中途採用の人たちを増やすことによって、いつも東京ばっかり見ているんではなくて、現場に根を下ろしてやるような人事のやり方を是非検討していただきたいんですけれども大臣お願いします。
  44. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 先ほども申し上げましたけれども、今委員がおっしゃるとおりでありますので、そういう有能な人材が活躍できるように私たちとしても心掛けていきたいと思っております。
  45. 犬塚直史

    犬塚直史君 そこで、例えばリトアニアのPRTに出ていかれる女性二人なんですが、この人たちは、この経験の後、外務省のキャリアとして昇進していくという可能性はありますか。
  46. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 今派遣をいたしましたお二人は任期付採用で行っていると思います。その任期後のことについて、私ちょっと人事の採用の基準、正確なものは今承知しておりませんけれども、そのような経験ある方々、キャリアとかなんとかということではなくても、また外務省なりで、あるいは在外なりで、あるいはいろいろな支援を行っている場所などで活躍していただけるという、先ほどの話にも戻ってしまいますけれども、そういう道はできるだけ開いていけるようにしたいとは思っております。  もし、詳細、人事的なことがあれば、参考人からお答えさせたいと思いますが。
  47. 廣木重之

    政府参考人廣木重之君) お答え申し上げます。  今回、アフガニスタンのチャクチャランの方に大使館の方からPRT要員ということで四名行っております。元々外務省の職員だった人間が二人と、それから公募いたしまして、今大臣の方から御説明しましたように、任期付採用ということで二人行っております。皆さんそれぞれ経済協力の経験もございますし、また地域の情勢についても熟知しておるということで、是非大きな戦力になってくれるものというふうに期待して行っておるわけでございます。  もちろん、今後、こういった方々がどういう形でまたそれぞれの仕事を生かしていくかというのは御本人の意向もございましょうし、あるいはそのときそのときの国際情勢というのもあるかと思いますが、できるだけこういった方々の力を取り入れながら日本外交力を高めていきたいと、かように考えております。
  48. 犬塚直史

    犬塚直史君 先般の答弁で伊藤外務大臣も似たような答弁をされているわけですよね。  やっぱり中心的には男性が多くて、大学を出てすぐに外務省に入って、長年外務省の中でいろいろな経験を積んで上に行くんだと。この人たちは絶対必要でありますが、余りにもそこばかりではなくて、外務大臣の個人的な見解で結構ですから、もう後ろの人いろいろ言わなくていいですけど、要は、やっぱり外務省ぐらいは、そういう巨大なピラミッドではなくて、地域の専門家や個々の専門家が、会社でいえば係長とか課長クラスで終わるのではなくて、やっぱり重役になる、場合によっては責任者になるというような道を開いておくということが私は国益にかなうと思うんですけれども、その辺の大臣の御見解をお願いします。
  49. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) これは、外務省に限らず、ほかの省庁でもまた共通した点ではないかとも思いますけれども一つ外務省について申し上げれば、もう委員も御承知だと思いますが、非常に他省庁に比べますと女性の多い役所だと、本省に限って私が見ている分にはそういうふうにも感じております。  それから、中途採用の試験ももちろんやっておりますので、そういうようなものにも応募をしてもらうと、あるいは応募をするように勧めるというような形もこれから更に力を入れていきたいと思っておるところでございます。
  50. 犬塚直史

    犬塚直史君 よろしくお願いします。  それでは、強制失踪からのすべての者の保護に関する国際条約についての質疑をいたします。  まず、この条約批准をすればG8では二か国目という非常に早い時期の条約締結動きなんですけれども、この動きの後ろには、拉致問題を含む、要するに北朝鮮の拉致問題を含む強制失踪問題への国際的な関心を高めるというねらいがあるというふうに理解をしておるんですが、それでよろしいでしょうか。
  51. 橋本聖子

    ○副大臣橋本聖子君) 我が国は、本条約について、拉致を含む強制失踪が犯罪として処罰されるべきものであることを国際社会において確認するとともに、将来にわたって同様の犯罪が繰り返されることを抑止する上で意義があるものと考えております。  このような考えの下で、我が国は、二〇〇八年十二月の六十三回国連総会及び今年三月の第十回目の人権理事会におきまして、本条約の未署名国及び未批准国に対して署名及び批准を呼びかける決議案について共同提案国としてその採択に向けて積極的に働きかけるなど、各国による本条約締結を促進するべく努力を今してきているところであります。  我が国としては、今国会で承認を得て本条約を速やかに締結した上で、引き続き様々な機会をとらえ各国にこの条約の早期締結を呼びかけていく所存であります。
  52. 犬塚直史

    犬塚直史君 ちょっとよく分からなかったんですが、北朝鮮の問題に対して各国のサポートを得たいという我が国の意図があるわけですか。
  53. 廣木重之

    政府参考人廣木重之君) お答え申し上げます。  この条約自体、強制失踪というものが犯罪として国際的に処罰されるべきものというふうに改めて確認されるということが大事だと考えております。それによって将来同様の犯罪が繰り返されることを抑止するということに意義があると考えております。それゆえ、今御指摘のございました拉致問題も含めまして、強制失踪の問題が、これが国際的な関心を高めるということをもって、当然解決に資することも私どもとしては非常に期待しているところでございます。
  54. 犬塚直史

    犬塚直史君 「拉致を含む強制失踪が犯罪として処罰されるべきものであることを国際社会において確認するとともに、将来にわたって同様の犯罪が繰り返されることを抑止する意義を有している。」と言っているわけですから、当然のことを聞いたわけなんですが、もしそうであるならば、実際に世界で起きている、日本だけではなくて世界中で起きている拉致や強制失踪、そういうことに対するリーダーシップを日本が取るべきであると思うんですが、外務大臣、いかがでしょうか。
  55. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 今委員お話しになりましたけれども、この条約は拉致を含む強制失踪が犯罪として処罰されるべきものであると、それが国際社会において確認されるということで、将来にわたってそういうような拉致などの犯罪が、これが繰り返されることを抑止する意義があるということでございますし、私どもとしては、この条約、これを締結することによって国際社会の拉致問題を含むこのような問題についての関心を高め、また北朝鮮の問題についても理解を深めて協力をしていただけるようなそういう方向になればと、そういうふうに思っているところでございます。
  56. 犬塚直史

    犬塚直史君 北朝鮮による拉致問題はまさに大問題であります。しかし、世界の拉致問題には無関心なのに日本人だけは世界に関心を持ってほしいという話は絶対に通らない話だと思うんですね。  そこで、一つお伺いしますが、スリランカですね、国連の強制的・非自発的失踪に関する作業部会、この報告によりますと、二〇〇六年から二〇〇七年にかけての統計で、スリランカは世界一の失踪事件発生件数を記録した、登録件数は二年で約千五百件ということなんですけど、このように認識はされておりますか。
  57. 橋本聖子

    ○副大臣橋本聖子君) スリランカにおきまして、二十五年以上に及ぶ政府軍と反政府武装組織、LTTEですけれども、この戦闘が終結をして、その過程で発生した大量の国内避難民IDPについては、政府が避難民キャンプに収容するとともに、治安維持の観点から避難民の中に紛れ込んだLTTE要員のスクリーニングプロセスを進めているというふうに承知をしております。  我が国としては、スリランカにおいて人権と法の支配が尊重されるべきと考えておりまして、武器を置き投降したLTTE要員に対して法の手続にのっとり適正な取扱いを行うように中曽根外務大臣からも働きかけをし、また、現在ですけれども、明石政府代表がスリランカを訪問しておりまして、そのような様々な機会を通じてスリランカ政府働きかけをしているところです。  いずれにしましても、我が国としては、スリランカにおける人権の尊重に関心を有しており、LTTE要員の扱いも含めまして、今後ともスリランカ政府のしかるべき取組を働きかけていきたいというふうに思っております。
  58. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 御質問のありました件数については、ちょっと今数字を持ち合わせておりませんので、もしよろしければ、後ほど御報告させていただきたいと思います。
  59. 犬塚直史

    犬塚直史君 これは国連の強制的・非自発的失踪に関する作業部会の二〇〇六年から二〇〇七年の統計ですので多分間違いないと思うんですけれども、最近の話ですと、五月十八日に政府が勝利宣言を行った、それによってLTTEがいた地域を中心に三十万人の国内避難民が出た、これがほぼすべて軍が運営しているキャンプに入っているということなんですね。  この中で問題なのは、九千人が身柄を拘束され、これは政府によってと報告されているんですが、家族にも居場所が知らされていない、弁護士も会うことができないということなんですが、このような認識はされておりますか。
  60. 石川和秀

    政府参考人(石川和秀君) お答え申し上げます。  私ども国際的なNGOでございますヒューマン・ライツ・ウオッチが約九千人以上のLTTEと関係があった疑いを掛けられた者を収容したということを公表しているということについては承知をしておりますが、政府としまして、本件を数字として裏付ける情報は承知をしておりません。
  61. 犬塚直史

    犬塚直史君 最近では、九千人が身柄拘束して、行方が分からないということですので強制失踪と言っていいと思うんですけれども、それがはっきり何人かというのは確かに難しいでしょう。しかし、看過し難い強制失踪が行われているんではないかという疑いがあるわけですね。その前の二年間にわたっても千五百件と、これは国連の統計ですので。  こういう言わば強制失踪に対しては余り政府が注意を払っていないという伝統がある、伝統というか、そういう風土があるわけでありまして、一人の人間の強制失踪が大問題であるという意味では、日本人であろうがスリランカ人であろうがそれは変わらないわけでありますから、これに対してはしっかりした取組が必要だと思うんですけれども。    〔理事浅尾慶一郎君退席、委員長着席〕  そこで伺いますが、五月二十八日の国連人権理事会、ジュネーブで行われた会合において、こうした、九千人かどうかは分かりませんが、ことに対して何らかの決議をするということについて、後進国と言ったらおかしいですが、スリランカ政府を擁護する側の国々がスリランカ政府を擁護する決議を行った。これに対して、ドイツが人権侵害を懸念しているという修正案を提出をしたというんですね。これに対して、キューバが上審議拒否動議を出してこれを可決をした。日本は、これに対して否決をした、つまり反対をしたと理解しておるんですが、これでよろしいですか。
  62. 廣木重之

    政府参考人廣木重之君) ただいまのお話でございますけれども、国連の人権理事会におきまして、いわゆる途上国の多くの国々が決議を作ったということでございます。これにドイツが、今委員指摘のように、修正案を出しましたけれども、結局この修正案自体は受け入れられることのないという形になりました。それを受けまして、私どもとしてもこの決議には賛成できないという立場を取ったわけでございます。
  63. 犬塚直史

    犬塚直史君 最終的にこの途上国側の決議が議決をされたんですが、日本は棄権をしたというふうに伝えられているんですが、そのとおりでよろしいんですか。
  64. 廣木重之

    政府参考人廣木重之君) 今申し上げましたように、賛成できないということで、たしか私の記憶でも棄権をしたというふうに理解しております。
  65. 犬塚直史

    犬塚直史君 賛成をできないといったら反対だと思うんですが、反対をしないで棄権をしたというのはどういう理由からだったんですか。
  66. 廣木重之

    政府参考人廣木重之君) ただいまこの擁護の国連人権理事会で出された決議自体、相当多くの国々がこれを支持しておるわけでございます。いろいろな要素が入っているわけでございますけれども、私どもとして全体を見まして、これは人権の観点からも、修正案が通っていたのであればこれは賛成できるような中身だろうと思っておったわけでございますけれども、必ずしもその修正の中身が反映されなかったということで、全体像としてこれをどうすべきかということを総合的に判断いたしまして、結局棄権をしたということでございます。
  67. 犬塚直史

    犬塚直史君 外務大臣に伺いたいんですが、北朝鮮の拉致問題を解決するに当たっては、いろんな国に北朝鮮に対して圧力を加えてもらいたいという気持ちがやっぱり我が国にもあるわけですよね。そういうことを諸外国に向かって我が国協力要請していくのであれば、同じ文脈で、このスリランカという国は拉致、強制失踪大国とまで言われている国でありますので、やっぱりこういうスリランカに対して最も大きな影響力を持っている国の一つ日本ですから、例えばODAの使い方も含めて圧力を掛けるべきだと思うんですけれども大臣、いかがでしょうか。
  68. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 済みません、ちょっと質問の最後のところが聞き取れませんでしたので、恐れ入ります。
  69. 犬塚直史

    犬塚直史君 後ろの方、余り質疑の邪魔にならないような形、お願いできますかね、大臣に話しているんで。  ODAの供与という意味では、日本はスリランカに対してODAで大変大きな供与をしておりまして、経済的にはこの二国間というのは大変緊密な協力関係を持っていると、つまり日本は大きな影響力を行使できるわけですよね。ですから、このODA大綱にきちんと基づくような人権状況配慮してもらいたいというような、ODAとのバランスを取りながら圧力を掛けていくということが必要なんじゃないでしょうか。
  70. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) ODAを実施するに当たりましては、いろいろな点を配慮し、そういう総合的に判断していくわけでありますけれども、スリランカに対する経済協力について申し上げますと、同国の貧困の状況、そういうものを削減させていかなければならない、あるいは中長期的な経済開発とかそういうのも判断してやっているわけでありますけれども、ODA大綱にのっとって、やはり今委員がおっしゃいましたような、スリランカのこういう基本的人権とかあるいは自由のこれの保障状況、それなどもやっぱり十分配慮をしながら慎重にやることが大事だと、そういうふうに思っているところでございます。  スリランカにつきましては、先ほどからいろいろ御答弁しておりますけれども我が国といたしましても、スリランカが民主的な形で、国際社会からも円満に祝福されるような形で民主化プロセスが進むようにということで、これについては強く働きかけをやっておりますので、ODAの件も含めまして、今後も十分注意しながら、そういう点に最大の配慮をしながら支援ども行っていきたいと思っております。
  71. 犬塚直史

    犬塚直史君 類似の問題が今度はミャンマーにもあるわけですが、例えば今年の二月二十五日に、アメリカの国務省民主主義・人権・労働局が行ったビルマ人権状況に関する国別報告書というものによると、やっぱり看過し難い失踪事件が起こっているわけですね。このミャンマーでの強制失踪の多発について、今後我が国としてはどのような対応をしていくつもりなんでしょうか。
  72. 橋本聖子

    ○副大臣橋本聖子君) 御指摘のように、スリランカ同様にミャンマーにおきましても人権NGOから出されているということは承知をいたしております。  政府としては、ミャンマーの民主化そして人権状況を強く懸念しておりまして、同国の民主化及び人権状況の改善に関し、日・ミャンマー外相会談などの様々な機会を通じてミャンマー政府に対して働きかけを行ってきているところであります。政府としては、国連を含む国際社会協力をしながら、引き続いてミャンマー政府に粘り強く働きかけていく所存であります。
  73. 犬塚直史

    犬塚直史君 そこで、今度は個人通報制度について伺いたいんですけれども、本条約の三十一条、自国の管轄の下にある個人であっても自国によるこの条約規定に対する違反の被害者であると主張するものにより直接委員会に通報することができるという三十一条があるんですが、我が国政府は、これに対しては慎重に検討すべきであるとされて、この宣言を行わないという方針だというふうにここに書いてありますが、そのとおりでよろしいんですか。
  74. 廣木重之

    政府参考人廣木重之君) 今御指摘のございました個人通報制度でございますけれども、この個人通報制度、この条約もそうでございますが、それ以外にも自由権規約の関係規定した幾つかの条約で取り入れられている制度でございます。これ自身は、個人からの通報事例を私ども収集してございまして、各種研究会を立ち上げて関係省庁とも検討を続けてきているところでございます。  まだ政府としてこれにどのように対応していくべきかということは検討の段階でございますので、今回のこの拉致、強制失踪条約に関しては、この検討の結果を見た上でまた考えていきたいと、かように考えております。
  75. 犬塚直史

    犬塚直史君 理由のところをもう時間がないので読みますけど、委員会の見解と、これは我が国の見解ですね、要するに、通報を受ける委員会の見解と我が国の裁判所の確定判決の内容が異なる場合など、司法権の独立を含め、我が国の司法制度との関連で問題が生じるおそれがあり、慎重に検討すべきであるとしているわけですよね。  この慎重に検討というのは、何をそんなに慎重に検討しているんですか。
  76. 廣木重之

    政府参考人廣木重之君) お答えを申し上げます。  今そちらで、先生の方から御指摘いただいた、御引用いただいた、確定的な、国内手続をきちんと尽くさないといけないということになっているわけですけれども、その結果、例えば最高裁で確定判決が出たと。これに対して、国際的な専門家である委員の方、個人通報がなされた場合に、その国際的な委員会の方で全くこれと違うような意見が出されたとした場合に、最高裁の考え方とこの意見が違ったときにどういうふうに処理をすべきかということなどを含めまして今検討しております。  そういうこともあるものでございますから、慎重に検討しているというふうな表現になっておるかと存じております。
  77. 犬塚直史

    犬塚直史君 今のお答えが、拉致問題が数千件単位で発生しているようなお国柄であれば何となく分かるような気がするんですね。それは、キャンプに九千だか何千だか知りませんけれども、そういう人たちが連絡取れなくなっていなくなってしまったと。その個人が、政府にそのような目に遭っているんであれば、政府に言ってもしようがないからこの国連の下にある委員会に直接通報しようと。それをやらせたくないという趣旨で国内法との整合性というような話だったらまだ分かるんですが、日本はそういう状況ではないわけでありますので、何をそんなに検討するのかなというのが分からないんですね。  しかも、この条約の三十三条の5を見ますと、受けた側の委員会は、その見解及び勧告を締約国に送付すると書いてあるだけですから、要は、違う見方を、あるいはこうした方がいいんじゃないかということを言うだけの話であって、我が国にとっては別に検討する素材はここにはないというふうに感じるんですけど、もう一度説明してください。
  78. 廣木重之

    政府参考人廣木重之君) この個人通報制度でございますけれども、これはこれまでも相当長い期間にわたって研究会をやって各省の意見を聞いてきております。その過程で、やはり日本の司法制度と、それから今お話のございました国際的な委員会考え方が違うということも当然あり得るわけでございまして、そういった場合の対応等々をどうするかということはなかなか国内的には難しい問題を生じ得るので、私どもとしてはまだもう少しいろいろな事例を研究させていただきたいと、こういうふうに思っているわけでございます。
  79. 犬塚直史

    犬塚直史君 違う意見があれば、それも素人の意見ではありませんので、違う意見があればそれを真摯に受け止めて検討すればいい話だと私は思いますので、個人通報制度の前向きな検討お願いをしたいと思います。  そこで、今度は、本条約締約国として、これは仮定の質問ですが、我が国北朝鮮強制失踪犯罪ということで提訴できるんでしょうか。
  80. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) この条約は、締約国に対しまして、強制失踪犯罪の容疑者を捜査する義務とか、また他の国へ引き渡さない限り訴追のために自国の権限ある当局に事件を付託するか、そういう義務などを課しているわけでありますが、この条約の非締約国に対しましてはこれらの今申し上げたような義務は課されないわけであります。  したがいまして、北朝鮮が本条約締結しない限り、北朝鮮による個別のこの拉致問題の解決にこの条約が直接資すると、そういうふうに期待するには限界があるのが実態でございます。  いずれにいたしましても、この条約は拉致を含む強制失踪が犯罪として処罰されるべきものであるということを国際社会において確認することになるわけでありますし、将来にわたりましてこのような犯罪が繰り返されることを抑止する、そういう意義も大きいと、そういうふうに考えております。  また、我が国がこの条約締結するということは、拉致を含むこの強制失踪を許さないと、そういう我が国の強い意思とまた姿勢を国際社会に示す、そしてさらに、拉致問題を含む強制失踪に関するこの国際社会の関心というものも高めることになると考えておりまして、私はこの拉致事案との関係でも非常に意義があるものだとは考えているところでございます。
  81. 犬塚直史

    犬塚直史君 要は、この条約締結をしても、そもそも北朝鮮締約国ではないし、遡及的に拉致の問題を追及するわけにもいかないし、シンボリックな意味はあるが、これを使って拉致問題を、北朝鮮を司法の場に連れてくることはできないと、そういうことで理解をしておるんですけれども。  それならば、ICC、国際刑事裁判所において、これは五年前、イラク特の委員会質疑をしたんですけれども質問主意書も出して、この北朝鮮による我が国に対する拉致問題を国際刑事裁判所に付託をする、提訴をするということはできないかということを質問いたしました。そうしたところが、その答えが、当時の川口順子外務大臣が答えて、今北朝鮮側で再調査をする、これは拉致問題についてですね、再調査をするということを言っているわけでして、真相の解明を今鋭意やっているところ、事実関係についてまだ明確になっているという状況ではないというわけですと、こう言って、今は時期でないというような答弁をされているんですね。  もう五年はたちましたが、これもっと前向きに検討する時期ではないでしょうか。
  82. 廣木重之

    政府参考人廣木重之君) ただいま御質問のございました国際刑事裁判所、ICCへの付託の可能性でございますけれども、これICCが管轄権を行使するためには一定の条件を満たす必要がございまして、例えば、ICCはICCローマ規程が発効したこの二〇〇二年の七月一日以降に行われた犯罪についてのみ管轄権を有するというふうにされております。また、仮にICCによる捜査が開始された場合であっても、現実的に北朝鮮による被疑者の逮捕や引渡しへの協力というものが期待できるかどうかと、こういった問題もあるわけでございます。  北朝鮮の拉致問題の解決という観点に立ちますと、これは問題解決のためにいかなる方法が効果的かという観点をまず第一に対処していくべきと考えてございまして、こうしたことも含めて考えますと、政府としては、現時点で安保理を通じた付託を含めこの問題をICCに付託するという考えはございません。
  83. 犬塚直史

    犬塚直史君 五年前と同じ答弁なんですね。五年間掛けて、結局進展が見られないわけですね。北朝鮮が調査をすると言っているけれども、これも進展がないわけですね。こういう二か国間でやっていてもらちが明かないことを国際司法の手にゆだねるということは、やっぱりしっかり検討してしかるべきだと思います。  今いろいろとできない理由はおっしゃいましたが、例えば、二〇〇二年七月一日以降も継続してこれ拉致問題というのは、拉致事件というのは継続して行われているんではないでしょうか。そしてもう一つは、この対象犯罪が数名の個人によるものではなくて大規模かつ体系的に行われた組織的犯罪なんではないでしょうか。  こういうことを仮に北朝鮮が、仮にというか、間違いなく北朝鮮はICCを近い将来批准するということはないと思いますが、我が国働きかけてこの問題を安保理に付託をするということをやれば、スーダンの事例と同じようにこの拉致問題を国際司法の手にゆだねることができると考えますが、いかがでしょうか。
  84. 廣木重之

    政府参考人廣木重之君) 今委員指摘ございましたように、この管轄権の行使に関する一定の条件というのはいろいろとございますけれども、それに加えまして、現実的にこれが北朝鮮による被疑者の逮捕や引渡しへの協力につながるかどうかといったことも大事なポイントではないかというふうに考えております。  そうした観点から、この北朝鮮による拉致問題について国際的な場でどう取り組んでいくかというのは、この問題解決のためにいかなる方法が効果的かという観点から対処していくということを考えてございまして、その結果、今、現時点でこのICCに付託する考えはございませんということを申し上げたわけでございますが、拉致問題自体は昨年の八月の日朝実務者協議において北朝鮮が約束した拉致問題に関する全面的な調査のやり直し、これがなされていないわけでございます。これを早期に開始させて拉致被害者の一刻も早い帰国につながるよう、これは引き続き北朝鮮側に強く求めていきたいと考えております。
  85. 犬塚直史

    犬塚直史君 総合的に見て、これが解決に向けて実際に役に立つかどうかという判断は、私は政治判断だと思うんです。ですから、これはやっぱり外務大臣のどういう判断をされるかという話になると思います。  私は、この問題、非常に危ないと思うんです。これだけ事態が進展しない、御家族の苦しみも目の当たりにしているという中にあって、えてして北朝鮮一つの人格のように見てしまう。あれは拉致を行う国家だと、二千五百万人いる北朝鮮を一人の人格にして見てしまって、あいつらは許せないというふうに議論がどんどん進んでいってきてしまうのは、私は非常に危ないことだと思うんですね。今やらなければいけないのは、拉致問題を計画をして組織的にやって、七〇年代、八〇年代にこれをやった人間のグループをしっかりとした国際司法の手にゆだねることであって、それとは一切関知していない大変貧しい一般の人たちと同一視することではないはずなんですね。  こういう政策判断を早くやらないと、大臣、私は手遅れになると思うんですけれども、もう一度ICCの付託について御見解を伺います。
  86. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 拉致問題の解決のためには、あらゆる手段といいますか、そういうものを検討して、効果的なもの、これは実行していくべきだと思っておりますが、ただ、先ほどから話がありますように、一つは管轄権、二〇〇二年七月以降の犯罪のみという一つの制約があります。そして、委員がそれ以降も拉致があるだろうと、そこについてまたこれは付託すればいいではないかというような御意見だったと思いますけれども──そうじゃない。
  87. 犬塚直史

    犬塚直史君 そうじゃないんです。継続していると。
  88. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) じゃ、私のちょっと、失礼いたしました、それは訂正いたしますが、その付託するに当たっての要件とかそういうものもいろいろあるんじゃないかと思います。  これは、今までも検討した上で、先ほど申し上げました、あるいは被疑者の逮捕とかそういうものができるのかとか、現実的な面も総合的に判断した上で現在付託するというようなことを考えていないということでございますが、さっき申し上げましたように、昨年夏の日朝の合意というものを着実に実行するように現在働きかけているという形でこの問題の解決を図ろうとしているところでございますが、将来的には、更にいい方法があればそういうものもこれはもう当然のことながら私は取っていくべきだとは思っております。
  89. 犬塚直史

    犬塚直史君 技術的な話であれば、これは一つ一つつぶしていけばいい話でありまして、私の手元にも乗り越えなければいけないのが九ポイントぐらいあるんですが、その犯罪が継続しているかどうかということも含めてこれは絶対駄目だというのはないわけでありまして、そういう意味では、二国間でどんどん緊張が高まって圧力ばかりに目が行くというときに、やっぱりこういうものを政治主導でやっていただきたいということをお願いして、時間なくなりましたが、国及び財産裁判権の話に移りたいと思います。  まず、外務省に伺いますが、制限免除主義、つまり国とか国の財産に関しては他国の裁判、裁判所の管轄権は受けないよというものに、やっぱり絶対そうではないだろうと。例えば、在日の各国大使館が例えば家賃を滞納しちゃった場合これどうするんだというふうなところを明確に決めるこれは条約であると理解しておるんですが、そのとおりでよろしいんでしょうか。
  90. 北野充

    政府参考人(北野充君) お答え申し上げます。  今委員からも御紹介ありましたように、主権の問題、すなわち国が別の国において裁判権の対象とどの程度なるかという問題につきましては、これまでいろんな議論がございます。  かつては、国及びその財産につきましてはすべて無条件に他の国の裁判権からの免除を認めるという、いわゆる絶対免除主義が一般的に取られていた国際ルールであったということでございます。一方、十九世紀末以降になりますけれども、国による経済活動が活発に行われるようになり、現在、国の商業的な行為に関しては免除を認めないという制限免除主義の立場というものが我が国を含む多くの国において採用されているということでございます。  そのような中で、具体的にいかなる範囲まで免除が認められるかということについての国際ルールを確立しようということで議論をされてきましたのが今お諮りをしております国連国家免除条約でございまして、この条約、基本的に制限免除主義の考え方に立って作られていることでございますけれども、今後、この条約締結国が増えることによって、このような考え方に従った国際ルールの確立というものが更に進んでいくというふうに理解をしております。
  91. 犬塚直史

    犬塚直史君 この条約は刑事手続と軍事的な活動は対象から外しているわけなんですけれども、この部分について質問をしたいんですが、例えばイラクにおいて、PMCという民間の軍事会社、有名なところでは、最近名前変えたようですけれども、ブラックウォーターという会社があって、一時期こういうPMCだけで十万人以上の言わば傭兵が駐留をしていたと。この人たちが、米軍と同じ地位協定でイラクの刑法からは免責をされて守られていたと。にもかかわらず、米軍の軍法には縛られなかったということなので、法律の網の目といいますか、全くの無法地帯で活動をしていた。そのおかげで、今うろ覚えですが、二〇〇三年から二〇〇七年の多分四年間だと思いますが、民間警備会社で起訴された、訴追をされたという人は一人もいなかったという事態があったと聞き及んでおりますが、私人が地位協定の対象になるということも想定をしてこうした条約の刑事手続、軍事的な活動を対象外にしているんですか。
  92. 北野充

    政府参考人(北野充君) 今のお尋ねの点は、国連国家免除条約についての点と、それからイラクにおける実態がどのように取り扱われるかということの二つの点があろうかと思います。私の方からは、まず前者の方についてお答えをさせていただきます。  この国連国家免除条約につきましては、御指摘のとおり、刑事手続及び軍事的な活動については適用対象外というふうにしているところでございます。  軍事的な活動についてお尋ねがありましたので、その点について若干御説明をいたしますと、この条約の作成過程において議論もございまして、二〇〇四年の国連の第六委員会、アドホック委員会の議長の発言において、この条約というのは軍事的な活動には適用されないということが確認をされておりまして、これがこの条約作成に携わった各国の共通の理解ということでございます。  どうしてそのような考え方を取っているかということでございますけれども、これは、駐留外国軍隊の活動については、外国軍隊の裁判権免除の問題というのが今委員の御指摘にあるように出てくるわけですけれども、このような問題については、基本的に派遣国と受入れ国との二国間で処理されるべき問題、例えば地位協定、当該二国間の間の地位協定といったものによって処理される問題であるということで、この条約につきましては、国連国家免除条約につきましては軍事的な活動を適用対象としないというふうな整理がなされたというところでございます。
  93. 犬塚直史

    犬塚直史君 終わります。
  94. 佐藤正久

    佐藤正久君 自由民主党佐藤正久です。  最初に、クラスター弾関連の条約について質問をさせていただきます。  クラスター弾の今回の条約につきましては、人道上の配慮と、それと安全保障の観点と、二つの観点からのいろいろな議論がなされた結果として今回の条約署名締結ということになったと考えています。今日は、そういう意味で、いかに代替手段を持ちながら人道的な配慮でやっていくかという辺りを議論をしていきたいなと、特に代替兵器という部分について議論をしていきたいと思います。  まず最初に、日本の周辺諸国、とりわけ東アジアで今回のオスロプロセスに参加している国はあるのかないのか、これについてまず最初に外務省の方にお伺いしたいと思います。
  95. 佐野利男

    政府参考人佐野利男君) お答え申し上げます。  東アジアにおいて極めて限定的な国しか参加していないということでございまして、一番典型的なのは日本でございますが、アフガニスタン、これは東アジアではございませんが、インドネシア……
  96. 佐藤正久

    佐藤正久君 東アジアのみで。
  97. 佐野利男

    政府参考人佐野利男君) インドネシア、ラオス、フィリピン、それから我が国と、こういう国が署名しております。  以上です。
  98. 佐藤正久

    佐藤正久君 東南アジアまで入れると今言った数になるのかもしれませんけれども、東アジアと言われる分野だとやっぱり日本しかなくて、とりわけ日本の隣国である北朝鮮や韓国、ロシア、中国はオスロプロセスに参加していないというふうに承知しています。そういう中で、安全保障上の担保を取りながら人道的な観点からこれを規制していくということが国民の生命、財産を預かる政府としては大事な観点かと思います。  それでは、クラスター弾の主要な保有国であるアメリカとかロシア、中国、イスラエルというものがオスロプロセスではないもう一つ条約の交渉のCCW、特定通常兵器使用禁止制限条約というものには参加はしているんですけれどもオスロプロセスの方に参加していないと、この理由についてどのように分析されていますか。
  99. 佐野利男

    政府参考人佐野利男君) お答え申し上げます。  従来から、このクラスター弾の問題につきましては、先生指摘のように、CCW枠組みにおいて議論が進んでまいったわけでございますけれども、この枠組みにおける取組が非常に不十分であるとする一部の有志国の主導によりましてオスロ条約の作成プロセス、いわゆるオスロプロセスが開始されたわけです。こういった経緯あるいは各国の置かれた安全保障環境等の違い、自国安全保障上の理由等から、御指摘のような国々につきましてはオスロプロセスには参加しなかったというふうに考えております。  ただ、いずれにせよCCW枠組みにおきましては御指摘の国々も参加しておりまして、クラスター弾の規制に関する新たな国際約束の作成のための交渉が継続されております。
  100. 佐藤正久

    佐藤正久君 ありがとうございます。  多くの国々がクラスター弾の規制の必要性は感じながらも、今御答弁にありましたように、安全保障上の観点から、今、CCWの方に参加しながらも、交渉途上だということだと思います。オスロプロセスに参加している国々の状況を見ても、やはり欧州正面とアジア正面ではかなり参加国にばらつきがあり、数も全然違う。これ、まさに今答弁の中にありました安全保障環境というのがやっぱり一つの大きなネックかなと思います。  今、自衛隊の方もクラスター弾を保有しています。なぜ保有しているかというと、これ防衛上必要だという観点から保有しているわけで、そういう中で日本人道的な観点から周辺諸国をリードするんだという意味合いもあって、周辺諸国がオスロプロセスに参加していないにもかかわらず日本がリードしていくというのが今回の一つ条約の大きな意義だと思います。だから、そういう意味からすると、やはり周辺諸国に対しても安全保障上の担保を取り、でもどんどん規制していきましょうという外交的な働きかけというのが非常に大事だと思います。  と同時に、外交的な配慮とともにやっぱり代替手段というものはこれは非常に重要なわけで、今回のオスロプロセス議論の結果としても、ある程度の条件を満たしたクラスター弾というのは保有が認められているというふうに承知しています。例えば、子弾が十個未満、あるいは子弾の重量が四キログラムを超えるもの、子弾が単一の目標を探知、攻撃するもの、電気式の自己破壊機能などを持つもの、これについては今回のオスロプロセスの中でも保有を認めましょうというふうな結果になっています。  このようなある程度賢い弾というか、今までとは違う新しい種類のクラスター弾については保有が認められたと。その理由はどのように分析しておられますか。外務省の方にお伺いします。
  101. 佐野利男

    政府参考人佐野利男君) お答え申し上げます。  この条約の交渉過程でございますけれどもクラスター弾について、その攻撃範囲が極めて広いと、それから不発弾となる子弾が多いという、その文民にもたらす被害が極めて甚大であるという点が問題視されてきたわけです。特に、クラスター弾に内蔵される子弾の数、それから二番目にクラスター弾の正確性、特定の目標のみを正確に攻撃できるかどうか、それから三番目にクラスター弾の信頼性、つまり不発弾となる子弾の数を減らすこと、こういった点について議論が行われてきたわけです。  交渉の結果でございますけれども、最終的には、二条2にございますが、二十キロ未満の爆発性の子弾を内蔵する爆弾、これをクラスター弾というふうに定義しておりまして、無差別な効果を及ぼすこと、それから不発弾、不発の子弾がもたらす危険を避けるために、先生指摘の二条2の(c)に列挙されておりますすべての特性、これを有する極めて厳しい条件をクリアした爆弾、爆薬についてのみ、これしか認めないということになったわけでございます。  その条件といいますのは、先ほど先生おっしゃいましたように二条2の(c)に列挙されている五つでございまして、子弾の数が十未満であるとか、各子弾の重量が四キロを超えていることとか、各子弾が単一の目標を探知して攻撃するように設計されていること、さらには各子弾が電子式の自己破壊装置を備えていること、また自己不活性化機能を備えていることと、こういう加重条件をクリアしたもののみが認められたと、これしか許されないと、こういうことでございます。
  102. 佐藤正久

    佐藤正久君 私の質問は、そういうものが認められた理由は何かと。状況は私も承知しています。なぜそういう特定の条件を持ったクラスター弾については認められたのかと、その理由をお伺いしています。
  103. 佐野利男

    政府参考人佐野利男君) お答え申し上げます。  これをどうして認めたかということよりも、これしか認めないと、これをクリアしたものしか認めませんということでございます。
  104. 佐藤正久

    佐藤正久君 じゃ、聞きます。  では、どうしてそのクリアしたものを認めたのかと。その条件を付けて、条件を満たせばそれはオーケーですよというふうに認めた理由をお聞かせください。
  105. 佐野利男

    政府参考人佐野利男君) お答えいたします。  交渉の結果、百か国を超える国々がございまして、様々な立場から物事を決めていく交渉の結果が出たわけでございますけれども、いろいろな立場の妥協の最終的な結果として、これらを超える、これらの一から五までの条件をクリアしたものしか認めないという結果になったわけでございます。
  106. 佐藤正久

    佐藤正久君 なかなかはっきり答弁されないんですけれども、これは前から言っているように、人道上と安全保障上の観点から議論されたわけで、安全保障上の観点からこの程度の規制を付けたものはやはり必要だという意見の結果としてこれはまとまったと。これは安全保障上の観点からの理由じゃないんですよ、これ。
  107. 佐野利男

    政府参考人佐野利男君) お答えいたします。  もちろん、安全保障上の観点とそれから人道上の観点、この二つを両立させようという背景の下で議論が行われてきたわけでございますけれども先生指摘のこの一から五までをクリアするというのはかなり厳しいものなんですね。したがって、どうしてこれを認めたのかというよりも、これをクリアしたものしか認めませんという形で交渉がなされて決着が付いたということでございます。
  108. 佐藤正久

    佐藤正久君 今、安全保障上の観点で、私は多分、そういう議論の中で、こういう規制を受けて、人道的な観点も考慮しながら、規制を掛けながら、こういう種類のクラスター弾については必要だということの意思表示ではないかなと思うんですけれども。  じゃ、実際にオスロプロセスで認められているクラスター弾開発、保有している国はどこで、どのような種類があるのか、また日本の場合はこれに類した研究開発を行っているか、これは防衛省の方にお伺いしたいと思います。
  109. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) お答えいたします。  他国が開発ないし保有している装備につきまして、クラスター弾関係のこの条約との関係でどういったものがあるかというのを網羅的にお答えするのはちょっと難しいかと思いますけれども、私どもが承知している範囲で申し上げますと、ドイツ製のスマート155、あるいはスウェーデン、フランス製のボーナスというものは、そのセンサーによって目標をピンポイントに識別できると、そして攻撃できるということで、かつ子弾の数も少ないということでございますので、これについては現在の規制の対象外になるというふうに理解をしております。
  110. 秋山義孝

    政府参考人(秋山義孝君) お答えいたします。  御指摘オスロプロセスで認められるクラスター弾に類した研究開発につきましては、防衛省は現在行っておりません。
  111. 佐藤正久

    佐藤正久君 あと、今、防衛省の方からお答えがありましたように、オスロプロセスで認められている範囲のクラスター弾というのはフランスやドイツは持っているということを私も承知しております。要は、そういう安全保障上の観点から規制はあるものの、そういう配慮をした上でこういう形のものは必要だと、これが俗に言う代替手段の一つだというふうに認識しています。  日本の場合、現在は、対着上陸戦等、あるいは敵の空挺攻撃、パラシュート部隊の攻撃等、あるいは離島防衛との関係からクラスター弾は必要だという形で防衛力を整備していると。一番大事なことは、いかに敵の攻撃から日本国民を守るかということが一番大事であって、悪いのは侵攻する敵であって、それをいかに有効な手段を使って排除するかということが非常に大事だと思います。  実際に第一線の方で敵の攻撃からいろいろ対処をする自衛隊員とか警察官の方々あるいは消防隊員の方々、自治体の方々等々も第一線で国民を守るために頑張っているというときに、今の状況のままだと、周辺諸国はクラスター弾を持っていると、我々はそれは持っていないと、向こうは散弾銃でこちらはピストルみたいな、例えがいいかどうか分かりませんけれども、そういう状態にあるという中で代替手段を今、去年からの補正予算あるいは今年度の予算等でいろいろ整備をしているという状況だと思います。一番困るのは、安全保障体制能力的に穴が空くというのが一番まずいわけで、それをないような形で外交努力やあるいは防衛力という形で埋めていくということが非常に私は大事だと思います。  特に、日本の場合は海岸線が非常に長くて、防衛大臣の地元の長崎なんかはまさに海岸線が入り組んでいて非常に複雑で、なおかつ離島も多いと。非常に、どちらかというと、西側でいうと第一線的な場所にあります。専守防衛という範囲内で、攻めてくる敵から日本国民を守るという観点では、当然拠点破壊という分野とある程度の面の制圧機能というものはやっぱり必要だと私は思います。  実際に、ミリタリー・バランスによりますと、中国等の上陸用の舟艇、これはこの五年間で結構増えていると。静的な事実としてもこれも認めないわけにはいかないと。例えば、戦車が一度に二十両載ったり兵員が八百名ほど乗るLPDというものを二〇〇八年に装備をしたり、あるいは戦車が十両載ったり兵員が二百五十名乗るLSTというものについてもこの五年間で八隻増加をして二十七隻持っているとか、あるいは戦車が五両、兵員が百名乗るLSMというものについてはこの五年間で二十五隻増加をして今五十六隻持っている。あるいは兵員百名を輸送するLCMというものについてはこの五年間で二十隻増えている。また、LCU、兵員百五十名程度のものについてはこの五年間で八十五隻増えて百三十隻持っているという静的なミリタリー・バランス上のデータもありますので、そういうことも踏まえながら、いかに抑止力という観点からも我が国も適切な防衛力、外交力を持っていくかということが大事だと思います。  今お手元の方に資料をお配りしました。クラスター弾代替のイメージとその影響というものですけれども、上の方で書いてあるのは、今までであれば、全部クラスター弾を用いて敵を撃破するというもののパターンとして、敵部隊の後続部隊の輸送艦なり、あるいは海岸線に上陸する部隊であり離島に侵攻する部隊、あるいは飛行場等を占領する敵の空挺部隊等々に対してのいろんなことを考え、阻止する観点からクラスター弾というものも通常弾と併せて使いましょうという発想だったと思います。  下の方の資料二というものを見ていただきたいんですけれども着上陸侵攻を考えた場合、もう遠間から考えますと、対海上あるいは水際、陸上という形でクラスター弾というものを用いて、緑の分野で能力を持っていた、あるいは離島とか重要施設、空港等の重要施設を守るという観点から制圧戦力としてクラスター弾を持っていたと。  クラスター弾がなくなった場合、一番大きく影響を受けるものとして、水際の対処能力あるいは離島とか空港等の制圧能力という部分が不足するというふうに言われると思います。今、代替手段であるM31、これは単弾頭のものですけれども、これを入れることによって水際対処能力あるいは拠点制圧能力という部分を今補正予算等を使いながらどんどん今補てんをしている。しかしながら、クラスター弾全部というものに対する代替能力という点ではまだまだだと思います。  よって、フランスとかドイツ、あるいは日本の方でそういうものが開発すれば別ですけれども、そういう認められた範囲内でそれを導入して、安全保障上の体制上穴を空けないという発想も大事かなと思います。当然、その新弾については、今回のクラスター弾条約で規制され、又は認められた範囲の新弾という意味ですけれども、そういうものを使ってやはり離島とかあるいは飛行場に対する対応というものも必要ではないかなというふうに考えます。  今後、防衛計画の大綱とか中期防衛力整備計画の中で冷静な議論を行っていく必要があるというふうに考えますが、防衛大臣の所見をお伺いしたいと思います。
  112. 北村誠吾

    ○副大臣北村誠吾君) お答えいたします。  もう既に、佐藤委員質問の中に御指摘のとおりでありますけれどもお答えをさせていただきます。  クラスター弾に関するこの条約が発効いたしますと、自衛隊が保有するすべてのクラスター弾使用が直ちに禁止されることから、我が省としては、このクラスター弾の機能を喫緊に一部補完するため、先ほど来お話もございますとおり、レーザーJDAM及びM31ロケット弾の二種類を精密誘導型装備品として導入します。また、現有装備体系への適合性や機能の補完の効果、こういった観点から、これら二つの装備品の組合せによりましてクラスター弾の機能を一部補完することが可能とは考えております。  しかしながら、欧州、ヨーロッパで導入されているようなセンサー付き子弾を内蔵するタイプの弾薬につきましては、先ほど来お説にございますとおり、本条約の対象外とされておることは承知いたしておりますが、そのような弾薬を導入する具体的な計画はございません。  他方、我が省としては、我が国防衛に遺漏がないように期していくため、近年の戦闘様相の変化、また進展の著しい軍事科学技術の動向等を真剣に見守りつつ、中長期的な観点からも必要な装備体系などについて、先ほど御質問の中にもありましたとおり、防衛大綱の修正や次期中期防、この中期防衛力整備計画に係る議論を踏まえて引き続き真剣に検討していくと、そういう方向でございます。
  113. 佐藤正久

    佐藤正久君 ありがとうございます。  大事なのは、いかに敵の武力事態から国民の安全を守るかという部分が一番ポイントだと思いますので、そういう安全保障上の観点、それとあと人道上の観点、これをうまく配慮をしながら御検討をいただければというふうに思います。  次に、米国のコンウェー海兵隊総司令官の上院の軍事委員会公聴会での発言について御質問をさせていただきたいと思います。  今月四日のアメリカ上院の軍事委員会の公聴会におきまして、海兵隊の総司令官のコンウェー大将の方が在沖海兵隊のグアム移転、あるいは普天間の代替飛行場等について修正をすべきではないかという旨の発言があったというふうに報道がされていますけれども、この発言の骨子について外務省の方にお伺いしたいと思います。
  114. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) ただいま御質問ございましたように、米上院軍事委員会の公聴会におきまして、海兵隊のコンウェー総司令官がグアム移転、それから普天間等について発言をされております。  これは、私ども一応記録というものを見ておるわけでございますが、結構、口語的な表現もありまして、また、コンウェーさんがアメリカ政府全体を代表してしゃべっておられるのか、海兵隊の総司令官としてしゃべっておられるのか、その辺もよく分かりませんが、記録を見る限り、まず議員が、コスト面でも当初よりもよりお金が掛かるという見方もあるし、また最近の北朝鮮の挑発行動もあるけれども、八千人の海兵隊移転を見直したらどうかという質問に対して答えられているということでございます。  そこで、一つは、海兵隊の移転についても、四年ごとの国防政策の見直しの中で、ほかの海外におけるインフラの調整あるいは費用といった問題とともに検討がなされると見る方が安全であろうというようなことを言っておられまして、その中でまた、訓練や普天間代替施設の質といった、我々、これは海兵隊だと思いますが、が本移転に結び付けているその他の問題についてもしかるべき検討がなされるであろうということを言っておられます。  また、考慮に値すると考えられる修正点があり、幾つかのかなめとなる分野があると。普天間代替施設が、自分らが放棄するもの、恐らく普天間飛行場を返還するということだと思いますが、その能力を完全に代替する能力を持つ必要があるというようなこと。また、グアム、その周辺の島々、そしてアジア太平洋のその他地域における訓練の機会についても懸念があるんだと、こういうことを御発言になっているというふうに承知をしております。
  115. 佐藤正久

    佐藤正久君 コスト面という部分も結構我々にとっては大きなインパクトがあるのかなと思います。確かに、今回のグアムの再編は、日本側だけではなくアメリカ政府の方もやっぱりお金を、予算の手当てをして、それで再編を行うということだと思いますけれども、今国会においても在沖海兵隊のグアム移転協定で真水の上限二十八億ドルのことを議決したばかりでありますし、一昨年は融資の分野の特措法についても決めたわけですから、今までと見積りが変わりますと、高くなりますよと言われても、はい分かりましたというわけにはなかなかそれはいかないと思います。  そういう面からいうと、今後とも、実際どうなのかという部分はやっぱりウオッチしていただきたいなと。今までは構想段階ですけれども、これから実際に工事が始まる実施段階になりますから、そうなると、やはり構想段階とは違ったいろんな問題が多分出てくると思います。そういうときに、いかに政府レベル、現場レベルで対応して、いいものをつくっていくかと。  訓練面もそうだと思います。普通に考えてみれば、沖縄とグアムを比べたら島の面積が全然違うわけですから。沖縄にある北部訓練場、あるいは沖縄周辺のようないろんな訓練区域というものをそのままグアムに当てはめられるかと。それは無理な話でありますから、そうなると、例えばよく言われるテニアン島を含めたいろんな形での訓練の環境を考えないといけないという話もありますし、また、自衛隊の方も、今航空自衛隊はグアムの方で共同訓練やっておりますけれども、海兵隊の司令部等がグアムに移転するとなれば、陸上自衛隊と海兵隊とのグアムでの共同訓練も将来的にあるかもしれないと。いろんなことがこれから実施段階として出てくると思いますので、今後とも、そういう面では政府レベル、現場レベルで知恵を出し合って、いい形にしていただいて、しっかりと日米安保体制、抑止力を維持してほしいなと思います。  ただ、やはり議会での海兵隊の司令官の発言ですから、これは、状況によっては自後の米軍再編とか、とりわけ在沖海兵隊の問題、あるいは自後のアメリカがつくるQDRへの影響というものも懸念されますけれども、これに対する外務大臣の、今回の発言がこういうものに影響を与えるか否か、御見解をお伺いしたいと思います。
  116. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 政府といたしましては、このコンウェー海兵隊総司令官の発言、これの意図するところ、これは私どもが正確に知るところではありませんし、また、それを私たちが説明する立場にもないわけでありますけれども米軍再編に関しましては、もうこれはロードマップ、これに基づいて着実に実施していくということで、日米両政府は、これは再三閣僚レベルでも首脳レベルでも確認をしていることでございます。今お話あったQDRでこの移転事業を見直すと、そういうような予定であるということも承知はしておりません。  また、御案内のように、米国は二〇一〇年の会計年度国防予算におきましても、たしか、これは資料によりますと、在沖縄海兵隊のグアム移転に関する措置の開始として三・七八億ドルの予算も計上する旨、明記をされているところでございまして、私たちとしては、今後もロードマップにのっとって、このグアム移転、それからさらに普天間飛行場の移設・返還を始めとするこういう米軍再編、これを米国政府とともに着実に実施していくと、そういう考えでございます。
  117. 佐藤正久

    佐藤正久君 よろしくお願いしたいと思います。  中曽根外務大臣も今年の二月にクリントン国務長官とロードマップについては着実に進めると合意もされておりますし、麻生総理とオバマ大統領の間でも確認取られているという認識しておりますので、基本路線というものをしっかり維持した上で前に進めていただき、国民の方にもしっかりと説明していただきたいというふうに思います。  次に、北朝鮮の制裁決議関連についてお伺いいたします。現在の決議案の交渉状況について、外務省の方にお伺いします。
  118. 廣木重之

    政府参考人廣木重之君) お答えを申し上げます。  北朝鮮の核実験でございますが、これは国連安保理決議第一七一八号に明確に違反するということで、かつ、核不拡散体制に対する重大な挑戦でもあるというふうに認識しております。  そこで、できるだけ強い安保理決議を迅速に採決して国際社会の意思を明確にしたいということで、鋭意交渉を行っております。現在、関係国間で協議を行っているところでありますが、まだ決着を見るには至っておりません。我が国としては、アメリカ、韓国などの関係国と緊密に連携しつつ、できる限り強い決議を迅速に採択することを目指して引き続き努力していきたいと考えております。
  119. 佐藤正久

    佐藤正久君 新聞報道によりますと、金融制裁の分野とか、あるいは貨物検査の義務化あるいは武器の輸出の規制等、いろいろ論点があろうかと思いますけれども、是非とも国際社会全体として強いメッセージを出していただきたいなと思います。  とりわけ、最近の報道でも、貨物検査を公海上でどうやるんだと、特に船舶検査についていろいろ議論がなされていると思いますけれども、やはり国際社会が、とりわけアメリカや韓国を始めとする国際社会が公海上で船舶検査をするという場合、やっぱり日本政府としてもそれなりの対応をしないと、それは余りにも無責任だという感じもしますので、あえて今日は質問をしませんけれども質問しても恐らくまだ何も答えられないという段階だと思いますけれども、やはり、船舶検査についてはどういうふうに国際社会と一体としてやるかと。もしも決議がそうなった場合においては、しっかりとしたメッセージを出し実行するということが私は大事だと思います。それが、一番北朝鮮の核やミサイルからの脅威を感ずる日本にとっても大事だと。  大事なことは、日本国民を北朝鮮のいろんな脅威から守るということが一番根本だと思いますので、引き続き精力的に国連決議、それに基づく対応というものをやっていただきたいということを要望して、私の質問を終わります。  どうもありがとうございます。
  120. 浜田昌良

    浜田昌良君 公明党の浜田昌良でございます。  三条約に入ります前に、今、佐藤議員からもございました北朝鮮の核実験関係についてお聞きしたいと思いますが、今、国連での交渉状況についてお話がございました。あわせて、一昨日、中曽根外務大臣は中国の楊外相と会談をされました。この会談でどのような共同歩調が確認できたと御評価されているんでしょうか、大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
  121. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 一昨日ですか、中国の楊潔チ外交部長と外相会談を行いました。今までも度々この北朝鮮の問題は話し合っているところでございますけれども、今回ちょうど協議が行われている最中でありまして、私どもとしては、今回の決議が大変力強い、強いものでなければならないということなどをまた重ねて中国側にも話をしたところでございます。  外相会談では、今申し上げましたように、この核実験は到底容認できないものでありますし、またしっかりと北朝鮮側に決議違反であるということを理解させると、そういう強い内容のものであるということが必要であるということを私から申し上げましたけど、楊外交部長からは、やはり北朝鮮によるこの核実験は断固としてこれを容認することはできないと、そういう中国側の立場を改めて述べられた上で、やはりできるだけ早期に適度にバランスの取れた決議を採択することに賛同すると、そういうような表明がございました。そして、引き続きニューヨークの国連代表部で緊密に協議をしていこうと、意思疎通を行っていこうということで一致したわけでございます。
  122. 浜田昌良

    浜田昌良君 今御答弁いただきましたように、まず北朝鮮を核保有国としては絶対認められないと、このことにつきましては中国としっかりと共同歩調を取っていただくと。あと、国連決議とあと外交という、この圧力と対話につきましては、やはり中国の貿易面でも資金面でもその影響力がかなり大きいですから、しっかりと連携をしていただいて、共同歩調を取っていただきたいと思っております。  続きまして、強制失踪条約について質問したいと思いますが、これにつきましては同僚の犬塚議員の方から北朝鮮の拉致問題との関連もお話ございました。この理解を深めるために、この条約については、是非日本が、いわゆる当初の締約国ですね、二十か国で発効しまして、今十か国になっています、これは是非早くやってほしいと思っているんですね。  実は私、個人的にもこれは非常に要望しておりまして、これ二〇〇七年の二月二日でパリで署名をされたんですが、当時、私、外務政務官で、大臣の名代でサインしてまいりました。そのときに、本当は名前以外書いちゃいけないんでしょうけれども、一言書いてしまいました。ツー・ファイト・アゲインスト・アブダクションということで、是非この拉致の問題、これを通じて取り組んでいただきたいと。  これをただ国際的な理解というだけじゃなくて、具体的な一歩をこの条約で進めることが重要だと思っているんですね。その一つとして、この条約の二十六条に強制失踪に関する委員会というのが規定されているんですよ。これは、徳望が高く、人権分野において能力を認められた者十名が専門家として選ばれまして、個人通報なり等々のいろんな条項について、緊急行動、国家報告というものについて審議をする委員会なんですが、私は是非、今まで北朝鮮の拉致問題に取り組んでこられた方々の、専門家の方もおられますし、場合によっては御家族なり被害者の方もおられるかもしれません、是非この委員会日本から委員を出すべきと思いますが、これについて御見解をお聞きしたいと思います。大臣
  123. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) まず、二〇〇七年の二月、パリで行われましたこの条約署名式には、今委員からお話ありましたけれども、当時、外務大臣政務官として御出席をいただき、また署名をされたわけでございます。また、昨年十二月の第六十三回の国連総会、そして今年三月の第十回人権理事会におきましてこの条約の未署名国、そして未批准国に対しまして署名及び批准を呼びかける決議案につきまして、これは共同提案国としてその採決に向けて我が国も積極的に働きかけるなど、この締結を促進する努力は行ってまいりました。今国会で御承認をいただいてこの条約をまずは速やかに締結をさせていただきたい、そういうふうに思っております。  そして、今お話ありました強制失踪条約第二十六条に規定する委員会日本人の委員も出すべきではないかということでございますが、国際人権法の議論に積極的に貢献すると、そういう観点から、我が国は既に自由権規約委員会、それから女子差別撤廃委員会には委員を輩出しているところでございますが、今御指摘強制失踪に関する委員会についてもそのような観点から検討してまいりたいと、そういうふうには思っておりますが、この委員会条約発効後に選出されるということになっておりますので、我が国といたしましては、まずはこの条約の発効に向けて働きかけをしていきたいと、そういうふうに思っています。
  124. 浜田昌良

    浜田昌良君 まず発効に各国の理解を得られるように努力していただきまして、発効がされましたら是非そういうことも御検討いただきたいと思っております。  これちょっと通告しておりませんので事務局で結構なんですが、一つ追加でお聞きしたいんですが、二十四条に被害者の救済というのがあるんですね。これは、被害者は失踪者本人だけじゃなくて家族も含んでおるんですけれども強制失踪状況に関する真実や調査の進展、結果並びに失踪者の消息を知る権利があると書いてありまして、さらに被害回復を受ける権利、賠償を受ける権利ということが確保すべきだと書いてあるわけですね。我が国においては、国家賠償法とか民法上の損害賠償規定によってこういうことが実施されているんですが、こういう国内法の根拠にこの条約がなっていくと、そういうふうに考えているんですが、そういう理解でいいのか、事務局の御見解をお聞きしたいんですが。
  125. 廣木重之

    政府参考人廣木重之君) お答えを申し上げます。  今、御指摘ございました第二十四条でございますが、これは強制失踪の直接の結果として被害を受けた個人という者を対象として今のような補償の考え方が列記されているわけでございます。  このそもそもの被害を受けた個人という者の定義でございますけれども、失踪者の両親、配偶者、子等の近親者を指すものと一般的には考えられていますけれども、ここら辺は今後の解釈にゆだねられていると思います。  今御指摘ございました、この被害回復を受ける権利でございますが、これには賠償を受ける権利あるいは原状回復等、いろいろなものがこの第二十四条に書かれているわけでございます。この第二十四条の4に強制失踪被害者が被害回復を受ける権利及び賠償を受ける権利を自国の法制において確保することを締約国義務として定めているということでございますので、日本日本国内法の範囲でこういった賠償を受ける権利を確保していくというふうに考えております。
  126. 浜田昌良

    浜田昌良君 今御答弁いただきましたように、この条約国内法をしっかり連携していただいて、被害者の方のいろんな救済に取り組んでいただきたいと思います。  続きまして、クラスター条約に入りたいと思いますが、この条約におきましては、先ほどの御質問にもありましたように、二十一条の三項で非締約国との間での一定の軍事協力を認める条項というのが入れられたんですね。これで、この関連で、いわゆる在日米軍関係はどう適用になるのかという問題なんですけれども、併せて、二十一条の二項にはいわゆるこの条約締約国でない国の政府に対してこれらの国がクラスター弾使用を抑制するよう最善努力を払うというのも併せて規定されているわけです。  そういう意味では、在日米軍に対しても我が国国内でのクラスター弾使用の抑制に関して、今までどのような確認また働きかけを行ってこられたのか、外務大臣についてお聞きしたいと思います。
  127. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 政府といたしましては、この条約締結検討するに当たりましては、この我が国を取り巻く安全保障環境、これを踏まえながら、米国との間でも種々のレベルとか機会を通じまして緊密に協議を行ってまいりました。そのような協議におきまして、日本国内における米軍クラスター弾使用の扱い、これも含めまして、この条約締結する我が国の立場につきましては米側に対して説明を行ってきたところでございます。
  128. 浜田昌良

    浜田昌良君 その中で、これは事務局にお聞きしたいんですが、具体的な確認された内容として、三点あるという話も聞いているんですが、この点につきまして補足の答弁お願いします。
  129. 佐野利男

    政府参考人佐野利男君) お答えいたします。  米国との協議におきまして、我が国の事情等々説明が、また米国側の事情も説明しておりまして、結局何点かの点について米国側がその立場を表明してきております。  その一点目は、二〇一八年末までにアメリカは不発弾率一%を超えるクラスター弾使用を禁止するという政策に基づきまして、人道上の懸念配慮した不発弾率一%未満のクラスター弾への換装を早期に行っていくという点でございます。  それから二点目に、米軍による我が国領域内でのクラスター弾使用につきましては、日米安全保障条約目的を達成する上で必要なものであるということでございまして、例外的な場合を除いては想定されない。また、そのような極めて例外的な場合であっても、文民に対する被害を可能な限り回避すべく最大限の自制及び人道的な考慮を払うという点でございます。  それから、三点目には、クラスター弾の主要な生産国及び保有国も参加するCCW枠組みにおけます新たな国際約束の作成に積極的に貢献していくということでございました。
  130. 浜田昌良

    浜田昌良君 今御答弁いただきました四点については、確認できたというのは一つの大きな進歩であると私は評価をしております。  類似の条約で対人地雷条約、オタワ条約というのがあったわけですね。これについてはオスロ条約のような軍事協力を認める条項はありませんでした。しかし、かつアメリカはオタワ条約に加入する見込みもないという状況の中で、我が国はオタワ条約に加入を決断を行ったんですね。  それで、お聞きしたいんですが、日本がそのオタワ条約に加入するという決断をした時点では、在日米軍の対人地雷の国内運搬に我が国企業が協力できないことについて既に米国の了解を得ていたのか、それとも、条約署名後、米国と交渉してやっとこの国内運搬非協力についての了解を得たのか、どっちだったんでしょうか。
  131. 佐野利男

    政府参考人佐野利男君) お答えいたします。  対人地雷条約、オタワ条約でございますが、これにつきましては、我が国は、米国との間で在日米軍の対人地雷の取扱いにつきまして署名前より種々のレベルで累次の協議を行った結果、九七年十二月に署名を行いました。また、オタワ条約署名後も米国との間で協議を継続いたしまして、民間事業者による対人地雷の輸送が認められないということを含め、我が国の立場を米側に説明したのに対して、米側はこれを十分理解する旨を明らかにいたしました。その後、九八年九月に我が国はオタワ条約締結に至りました。
  132. 浜田昌良

    浜田昌良君 そういう意味では、この署名の後も引き続き米国とも協議を行って、いわゆる国内での対人地雷の運搬等についての協力を得るという努力をしたわけですね。そういう意味では、この署名が終わったら米国との関係が終わりではなくて、引き続き在日米軍との協議といいますか、よりそれをなるべく国内では使用しないようにと、また日本企業の協力については最小にしていただくという協議をお願いしたいと思っているんですが。  その関連でもう一度外務大臣にお聞きしたいと思っているんですけれども、この米国クラスター条約の加入が見込めないという状況が既に昨年五月のアイルランド・ダブリン会合の時点ではあったわけですね。このときには二つの選択肢があったわけです。一つは、在日米軍が履行しないがゆえに日本も加入しないと、日本だって完全にできないんだからという選択肢もありました。しかし、もう一つの選択肢は、在日米軍は履行しないけれども米軍に引き続き本条約又はCCWで交渉中の条約への加入をなるべく慫慂して、日本は先にクラスター条約に加入すると。二つの選択肢がある中で、我が国は後者を選択したわけですね。  そういう意味では、これはあくまで米国が将来このクラスター関連条約に加入してくるという理想に向けての移行過程による一つのマイルストーンであると、私はそういうように理解しておりますが、大臣の御見解はいかがでしょうか。
  133. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) このクラスター弾オスロ条約、これにつきましては、主要生産国とかあるいは保有国でオスロ条約署名していないそういう米国のような国があるわけでありますけれどもCCW枠組みにおきましては、現在もこれらの国々が参加をしてまた新たな国際約束のための交渉を行っているわけでありまして、政府としては、この条約を、オスロ条約締結する一方で、CCW枠組みにおいても引き続いて積極的に交渉に貢献をしていくと、そういう基本的な考えを持っております。  米国も、今委員がおっしゃいましたように、オスロ条約署名しておりませんけれども、このクラスター弾がもたらす人道上の懸念への対応必要性につきましては十分に認識をしておりまして、CCWの交渉に積極的に関与をするとともに、二〇一八年末までに不発弾率一%を超えるクラスター弾使用を禁止するとの政策を表明しているところでございます。  いずれにいたしましても、我が国政府といたしましては、この人道上の懸念、これに対応するために、現実の安全保障環境、これを踏まえながら、できるだけ米国等にも働きかけを行い、できるところから進めていくという方針でございます。  この条約規定の精神に従って、またこの規定に従って条約締結を奨励する一方、また米国の立場なども踏まえながら、CCWの方の交渉においても緊密に協力をしていくと、これが現実的な対応であると考えているところでございます。
  134. 浜田昌良

    浜田昌良君 ありがとうございました。より理想的な形態に向けて外交努力を続けていただきたいと思いますが。  じゃこれは役所の方にお聞きしたいと思いますけれども、それじゃ、このクラスター条約の方ですね、オスロ条約署名国は九十六か国あるんですが、この九十六か国が持っているクラスター弾と、これに署名していない国、アメリカ、ロシア、中国、インド等々あるんですが、大体このクラスター弾の保有比率はどれぐらいと見込まれるのか、これについて外務省からお聞きしたいと思います。
  135. 佐野利男

    政府参考人佐野利男君) お答えいたします。  各国が保有いたしますクラスター弾の数量などにつきましては、安全保障上の理由から明らかにされてはおりません。  したがいまして、お尋ねのその比率につきましてはお答えすることが難しいんですけれども国際NGOが作成している資料によりますと、クラスター弾保有国七十五か国のうちオスロ条約の非署名国は四十二か国に上るとされておりまして、また、世界に存在するクラスター弾のうちオスロ条約の作成プロセスに参加していない国が保有している割合は九〇%以上になるという見方を示す報道があることは承知しております。  いずれにしましても、政府としましては、このような事情も踏まえながら、クラスター弾の主要な生産国及び保有国が参加いたしますCCW、この枠組みにおいても実効的な国際約束が作成されるよう引き続き積極的に交渉して貢献していく考えでございます。
  136. 浜田昌良

    浜田昌良君 今正確な数字がありませんが、CCW、つまりクラスター条約署名している国だけだと一割程度かもしれないと。そういう意味では、本当にCCWをいかに早期に発効させるかというのが大きな課題だと思うんですが、残念ながら、この四月にまとまるかなという感じもあったんですけど、まとまりませんでした。  どのような点でこのCCWの専門家会合が合意に至らなかったのか、この点についてもう一度御答弁お願いします。
  137. 佐野利男

    政府参考人佐野利男君) お答えいたします。  おっしゃいますとおり、四月にジュネーブで開催されましたCCWの専門家会合におきましては、クラスター弾の定義とか禁止事項、それから使用禁止に関する移行期間の設定、廃止、終了期限、それからクラスター弾被害者の定義等々につきまして争点が残っておりまして、これについての議論が行われました。各国の立場は近づきつつありますけれども、合意には至らず、この八月の非公式会合で合意を目指して交渉を継続するということになっております。  四月の会合におきましては、主要なクラスター弾の生産国及び保有国を含む各国国際約束の作成に向けて真剣かつ前向きな議論を行いました。八月の会合において合意に至るか否かについては予断はできませんけれども我が国としましては、このCCW枠組みにおいても実効的な国際約束が作成されることを重視しておりまして、これに引き続き積極的に貢献していきたいという考えでございます。
  138. 浜田昌良

    浜田昌良君 是非この八月の専門家会合に向けて合意になるように、外務大臣にしっかり外交のリーダーシップを取っていただきたいなと。特に七月にはサミットもありますので、そういう機会を活用されながらお願いしたいと思っておりますけれども。  先ほども話もありましたが、なかなかCCW議論ができないものをこういうオスロプロセス又はオタワ・プロセスというものが使われているんですね。  それはなぜかというと、いわゆるCCWまたCDですね、軍縮会議というのがコンセンサス主義、すべての国が合意しないと進めないという原則になっているわけですね。これは非常にやっぱりいわゆる条約実効性を考えればやむを得ない面があるかもしれません。例えば、今回のクラスターオスロ条約は大きな一歩ですけれども、まあ保有するクラスター弾を見れば一割だという実態があるわけです。よって、なかなかこのコンセンサス主義というのは緩められないんだという意見もあるんですが、私はこれを少し考え方を変える時期に来ているんじゃないかなと。やはり、クラスター条約オスロ条約があったがゆえにクラスター弾は良くないんだという一つのいわゆる道義的な基準を示せたわけですね。そういう意味ではすべてコンセンサスで軍縮を進めるというわけじゃなくて、合意形成の在り方というのを日本提案すべきじゃないかなと。  例えば、CTBTは、これについてはコアカントリーというのがあって、コアカントリーが十か国ぐらい残っていてなかなか発効しないと。確かに、あれも実際の条約の効果を考えればこの国が入っていなければ意味がないということだったのかもしれないけれども、今振り返ってみれば、あれを決めなかった方が発効が早かったかもしれないという見方もあります。  あわせて、いよいよカットオフ条約が今秋始まるんですね。これは非常に重要でありまして、いわゆるNPTという体制に入っていない人たち、インドであれ、パキスタンであれ、またイスラエルであれ、こういう国々のNPTの外側の国をいかに核の枠組みを広げていくか、その手段としては非常に重要な条約なわけですね。そういう意味では、こういう軍縮条約の合意形成の在り方について新たな提案を是非していただいて、併せてCTBTの早期発効のイニシアチブを我が国として取っていただきたいと思いますが、最後に外務大臣の御決意を聞いて、私の質問を終わりたいと思います。
  139. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) ジュネーブの軍縮会議、CDですね、これにおきましては、先般、カットオフ条約の交渉開始を含む作業計画がこれがコンセンサス採択されたわけでございますが、我が国といたしましては、今次採択をこれを歓迎いたしますとともに、今後開始されるこの条約の交渉も含めましたジュネーブ軍縮会議、これらの作業に積極的に貢献していく考えでございます。  このジュネーブ軍縮会議やそれからお話ありましたCCW、特定通常兵器使用禁止制限条約でございますが、これにおきましては、化学兵器禁止条約やそれから各種議定書などコンセンサスによる合意はなかなか容易ではないわけですが、また時間も掛かるということもありますけれども、これまですべての主要国が参加する形での有意義で実効性のある合意形成が行われてきていると、そういうふうに思っております。  また、CTBTにつきましては、我が国はこれまでもこの条約の発効促進に向けた国際的な取組を主導してきておりますが、先般、委員も御承知かと思いますが、私が発表いたしました世界的軍縮のための十一の指標、この中でもその重要性を強調しております。  我が国といたしましても、オバマ大統領も四月の五日にスピーチを行って、米国政府が軍縮に向けてまた更なるこの取組を行うということでありますが、この大統領の下で米国の行政府がこの条約の、CTBTの批准に前向きになったということなども踏まえまして、発効促進のための努力を強化していく考えでありまして、まずは九月に予定されております発効促進会議、これにおいて早期発効の強い呼びかけが行われるように関係国と連携をして努力をしていきたいと思っています。
  140. 浜田昌良

    浜田昌良君 終わりますが、まさにいろんな場を通じて核軍縮条約の早期発効、また締結に向けて御努力お願いしたいとともに、やはりコンセンサスというだけではなくて、やはりそういうある兵器を使ってはいけないというモラルを国際的に確立するということによって結局は大量にそれを保有する国が使いにくくなるという、そういうスタイルが今後の軍縮の中で重要だというのがオタワ・プロセスオスロプロセスが示した一つの方法だと思っております。  そういう意味では、それをすべてNGOに任せるだけではなくて、政府としてもその知見をうまく使った、政府間交渉においてもそういうものを生かしていただきたい、これをお願いいたしまして、私の質問を終えさせていただきます。     ─────────────
  141. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、佐藤正久君が委員辞任され、その補欠として佐藤信秋君が選任されました。     ─────────────
  142. 井上哲士

    井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。  三条約についてはいずれも賛成です。今日は、クラスター弾に関する条約に関してお聞きいたします。  中曽根大臣がノルウェーで行われた署名式で行われたスピーチを読まさせていただきました。カンボジアやタイでの地雷除去のために活躍する日本NGOに対する支援を行い、そして現場に行ったその実感としてこう言われております。紛争終結後も人々の憎しみをよみがえらせるような兵器使用を許してはならないと痛切に感じましたと言われていることに、私も大変共感を覚えました。そういう点でいいますと、その典型であるこのクラスター爆弾をなくすという点で今後の日本対応が問われております。    〔委員長退席、理事浅尾慶一郎君着席〕  まず、防衛省にお聞きするんですが、この米、ロ、中国、イスラエルなど署名していない国への働きかけが非常に重要になってまいります。その一つとして、日本の領土、領空、領海におけるクラスター弾使用や保管を行わないように米軍に求めるべきだと思います。特に、日本の決断でできることとして、クラスター弾使用する米軍自衛隊の共同訓練については今後は行わないとすべきだと思いますけれども防衛大臣、いかがでしょうか。
  143. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 我が国への武力攻撃に際して、自衛隊クラスター弾使用することも排除されない米軍との共同対処行動を取ることや、かかる状況想定した米軍との共同訓練を実施することに対して、条約第二十一条によって許容されると考えておりますけれども、現時点でクラスター弾使用する米軍との共同訓練を実施する計画はございません。
  144. 井上哲士

    井上哲士君 計画はないけれども条約上は許容されるんだというお話でありました。  ただ、この二十一条の2で、先ほど来議論になっていますけれども、非締約国クラスター弾使用を抑制するよう最善努力を払うことが求められているとされているわけですね。一般的努力じゃなくて最善努力だと言っているわけです。ですから、このクラスター弾使用する訓練に日本が一緒に参加するということは、これはやっぱり使用の抑制には結び付かないわけで、これがどうして最善努力ということになるんだろうかと私は疑問なんですけれども、いかがでしょうか。
  145. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 基本的に申し上げたのは、条約に沿って、そしてまた今の現時点での状況お話をしたわけであります。  基本的に、今先生方の御議論を聞いていれば、我々とすれば当然、今後そういった計画を立てるかどうか今の現時点では分からないので、これからの対処とすれば、今の御議論を踏まえた中で我々としては考えていくということであります。
  146. 井上哲士

    井上哲士君 議論を踏まえて、共同訓練についてはやらないということを決断をしていただきたいし、やはり在日米軍に対する使用や保管を行わないということも含めて求めるということを強く求めておきたいと思います。  それで、人道上問題な兵器だということで、劣化ウラン弾の問題についてお聞きいたします。    〔理事浅尾慶一郎君退席、委員長着席〕  コソボ紛争やボスニア・ヘルツェゴビナの紛争でNATO軍が軍事介入したときに劣化ウラン弾が使用され、地域住民のみならず、PKOとして駐留した欧州諸国の兵士の間に白血病やがんが、増加というものが報告をされ、バルカン症候群として当時問題になりました。その後、同じく使用された湾岸戦争に参加した兵士でも湾岸戦争症候群ということが問題になり、イラクでも住民や兵士に同様の被害が報告をされております。  そこで、この劣化ウラン弾というものも、先ほど大臣署名式でスピーチをされた、紛争終了後も人々の憎しみをよみがえらせるような兵器に当たるのではないかと思いますけれども外務大臣、いかがでしょうか。
  147. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 劣化ウラン弾につきましては、その健康とか環境に対する影響につきましては国際機関などによる調査が累次にわたって行われているわけでありますが、今までのところは国際的に確定的な結論が出されているとは承知をいたしておりません。  劣化ウランに関しましては、クラスター弾とはまたちょっと違うような問題点といいますか、人体に有害な影響を与えるのではないかと、そういうところからこの使用についてはいろいろ議論があるところでありますが、今まで確定的な結論が出ているとは私は承知をいたしておりませんが、国際機関などがこういう調査を進めるということは非常に重要だと、そういうふうにも考えておりまして、そういう観点から我が国としては、二〇〇七年それから二〇〇八年、この両方の国連総会におきまして劣化ウラン決議にも賛成をし、そして同決議に基づいて、国連事務局へ提出いたしました我が国の見解において、関連国際機関に対し現地調査の継続及び更なる情報収集を要請する旨の意見を述べたところでもございます。  我が国といたしましては、このようなまず調査の継続、そしてさらに、動向とか結果をまず把握するということが先決ではないかと、そういうふうに思っているところでございます。
  148. 井上哲士

    井上哲士君 国際機関の確定した結論が出ていないということを言われるわけでありますが、現に住民や参加した兵士に様々な声が出ているわけですね。  一九九六年以降、国連の人権小委員会においてはこの劣化ウラン弾について、兵士、市民のいずれに対しても大量無差別被害をもたらす、現存の国際人道法や国際人権法とは両立し難いと、こういう決議が三度にわたり採択されているわけですけれども、このことはどう受け止めていらっしゃるでしょうか。
  149. 廣木重之

    政府参考人廣木重之君) 今御指摘がございました国際連合人権委員会、この下に設けられていた差別防止・少数者保護委員会というのがございまして、ここで一九九六年八月に、劣化ウランを含む核兵器等、大量破壊兵器又は無差別に影響を与える兵器の製造及び拡散を制限するよう各国に求めることなどを内容とした決議が採択されております。この小委員会は個人資格の専門家で構成されたものでございまして、この小委員会によって採択された決議は各国に法的な義務を課するものではないと、かように考えております。
  150. 井上哲士

    井上哲士君 そういうものだと言われますが、私は紛争終了後も人々の憎しみをよみがえらせるような兵器を許してはならないという立場であれば、やっぱりこういう決議というものは深く受け止めるべきだと思うんです。  劣化ウランの環境や健康被害について国際機関の調査で確定していないということを繰り返し政府答弁をされるんですね。この健康被害に関して言いますと、この内部被曝の影響をどう評価するかということが大変ポイントになります。爆発の際にウランの微粒子が噴出をし、それを吸い込むとこれが肺に吸着をし、体内に吸収された劣化ウランが引き起こすこの内部被曝のメカニズムが従来の被曝についての理論的枠組みでは適切にとらえられないという指摘がされておりますし、金属としてのウラニウムの化学的毒性と放射能との相乗効果というこれは未知の部分もあるということも指摘をされているわけですね。  ですから、WHOがまとめた報告に対して内部被曝の危険性を正しく評価していないんじゃないかという指摘が研究者からもされていると思いますけれども、このことはどういうふうに考えていらっしゃるでしょうか。
  151. 佐野利男

    政府参考人佐野利男君) お答えいたします。  今先生指摘された点も含めまして、劣化ウラン弾による健康に対する影響というものについては、国際機関、WHOであるとかIAEAであるとかあるいはUNEP、国連環境計画などによる調査が累次にわたって行われてきておりますが、繰り返しになりますけれども、これまでのところ、国際的に確定的な結論が出されているとは承知しておりません。  ただ、調査を継続するということは重要でございまして、二〇〇七年、二〇〇八年の国連総会におきまして決議が通っておりまして、これは賛成多数で通っておりますけれども、これによって引き続き各国及び国際機関に対して調査を継続する、見解を求めるということがなされております。  我が国としましては、こういった関連する国際機関が調査を進めることがまず重要であると考えておりまして、このような調査の動向などを引き続き注視していきたいというふうに考えております。
  152. 井上哲士

    井上哲士君 調査研究を注視するだけでいいのかということを私は日本には問われていると思うんですね。唯一の被爆国であると同時に、放射能兵器での被害を、現に今大きな問題になっているのが我が国なわけです。  内部被曝の影響をどう見るかというのは今の原爆症の認定訴訟でも大きな問題になっているわけで、被爆から六十年以上たって被爆者の方にがんとか白血病のいろんな病気が現れていると。その多くの皆さんが遠距離被爆とか入市被爆で、残留放射線によって外部被曝と内部被曝をされているわけですね。  政府は、内部被曝への健康への影響を軽視をして、原爆症認定を却下してきたと。それに対して訴訟が行われましたけれども政府はこれ十八連敗をしました。五月二十八日に政府も重視してきた東京高裁の判決が下って、政府の認定基準について、内部被曝などの被曝線量の評価の不十分さなど問題があって、原爆症認定の判断基準としては適格性を欠くと、こういう判決が下り、そして今朝の報道によりますと、政府は上告を断念したということであります。  なぜ被爆から六十年たってこういうことが問題になっているかといいますと、アメリカがこういう内部被曝の影響というのを隠ぺいする政策を続けてきて、そのことがいろんな行政や研究にも影響を及ぼしてきたわけですね。その結果、高齢の被爆者たちが病と闘いながら裁判を起こさざるを得なくなって、裁判の間に三百六人の原告のうち六十八人の方が亡くなっているんです。  この裁判が起きるまでは、日本の国内でもこういう内部被曝等についての全体像の研究は不十分だったと。ましてや、国際的に言いますと、こういう長崎や広島でのいろんなことの知見というのはほとんど知られていないという実態があるわけですね。  そうであるならば、私は、劣化ウラン弾の健康被害についても注意深く見守るという態度ではなくて、こういうやっぱり内部被曝というのは問題を起こしているんだと、日本でこういう大きな問題になっているということを、民間の方とも協力もしながら、もっと国際機関に積極的に日本が持ち込んでいくというのが被爆国政府としての役割だと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  153. 佐野利男

    政府参考人佐野利男君) お答えいたします。  唯一の被爆国といたしまして、我が国は核兵器廃絶に向けた外交努力を強化して、この分野におきまして引き続きリーダーシップを発揮していくという考えでございますが、先般、中曽根外務大臣から十一の指標に関する提案を行ったわけですけれども、この被爆の破壊力あるいはその人体等への影響に関する我が国の体験、これを世界で広く共有していかねばならないという考えもそのスピーチの中で述べられております。  他方、これまで申し上げましたように、劣化ウラン弾が健康に及ぼすあるいは環境に及ぼす影響ということにつきましては、繰り返しで恐縮でございますけれども国際機関等による調査においてもいまだに確定的な結論は出ていないということでございまして、ただ、先ほど申し上げましたように、我が国としましては、劣化ウラン弾に関する国連総会決議、これに賛成しまして、また、同決議に基づきまして国連事務局へ提出した我が国の見解におきまして、関連国際機関に対して現地調査の継続及び更なる情報収集を要請するという旨の意見を述べたところでございます。  我が国としましては、このような調査の動向あるいはその結果をまずは把握する必要があるというふうに考えております。
  154. 井上哲士

    井上哲士君 六十年たって、こういうことに苦しんでいる被爆者に直面している政府日本しかないんです。外務大臣から、そういう被爆国の外務大臣としての決意、端的にいただきたいと思います。
  155. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 健康、また人体に大きな影響があるような、そういうような兵器というものは、これは、兵器そのものもそうなんですが、なくさなければならないと、そういうふうに思っておりますが、今再三御答弁申し上げておりますように、今国際機関において調査が行われておるところでございますので、やはりそのような調査結果を踏まえた上でこの厳正な判断をしていくということが大切であろうと、そういうふうに思っております。  ただ、調査がいつまでも掛かっていればいいということでもありませんし、そういう意味では調査の促進なども働きかける必要があるのではないかと思っております。
  156. 井上哲士

    井上哲士君 終わります。
  157. 山内徳信

    ○山内徳信君 クラスター弾に関する条約につきましては、平和を求める多くのNGO皆さん、また何よりもその被害に遭った世界中の子供たちあるいは被害者の皆さんの声、そして私もその一員でありますが、クラスター爆弾禁止推進議員連盟を始めとする国会議員の皆さん、そして外務省を始めとする政府機関の皆さん努力によりまして日本条約締結署名をしました。こうして一歩一歩平和の方向に進むことを私も率直に喜び、そしてこの条約に賛成をいたすものであります。そういうことを踏まえて、以下質問をしてまいります。  最初、外務大臣にお伺いしたいと思います。  使用禁止をしなければならないのはクラスター爆弾だけではありません。イラクにおいては劣化ウラン弾によって多くの障害を持った子供たちが生まれております。帰国した米兵にも放射能汚染の被害が広がっていると言われております。政府は、劣化ウラン弾についても禁止条約を作る、そういう努力をしていきたいという意思はございませんでしょうか。外務大臣にお伺いいたします。
  158. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 先ほどからも申し上げておりますけれども、現在、劣化ウラン弾による健康やまた環境に対する影響について国際機関による調査が行われているところでございます。  これまでのところは国際的に確定的な結論が出ていない、そういう状況でありますけれども我が国といたしましては、そういう国際機関がまず調査を進めるということが重要であると、そういうふうに考えておりまして、そういう観点から、二〇〇七年の国連総会におきましても劣化ウラン決議に賛成をいたし、またこの決議に基づいて国連事務局へ提出いたしました我が国の見解におきましても、関連国際機関に対して現地調査の継続、それから更なる情報収集を要請する旨の意見を述べたところでございます。このような継続調査の結果、そして動向を把握するということがまず第一に重要だと考えておるところでございます。
  159. 山内徳信

    ○山内徳信君 二〇〇一年当時、嘉手納飛行場の北の方に広大な嘉手納弾薬庫というのがあります、その弾薬庫は嘉手納町、読谷村、恩納村、旧具志川市、沖縄市等々にまたがっておる大変大きな弾薬庫でございますが、その弾薬庫内に四十万発の劣化ウラン弾が貯蔵されていることが米軍の公開した資料で明らかになりました。  この大量の劣化ウラン弾が嘉手納基地内にこういうふうな四十万発とも言われておるのが貯蔵されていたということが明らかになりましたときに、沖縄県民、それは大きなショックでございました。  そして、その四十万発というのはその後どうなったのか、今、日本国内に劣化ウラン弾はあるのかないのかということをお伺いしておきたいと思います。
  160. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) ただいま委員がおっしゃった二〇〇一年でございますか、そのときに嘉手納飛行場における劣化ウラン弾があるというようなことが報じられたということで、その際にも米側に確認をしたわけでございますが、米側は、在日米軍が有する戦闘能力の詳細や特定の弾薬の保管場所については公表しないという方針だという、当時もそういう回答を得ておりますけれども、現在もそういう方針には変わりはないということでございます。  在日米軍は平素より、即応態勢を維持するため緊急事態に備えて種々の装備、物資を保有しておりまして、劣化ウラン弾につきましても、このような観点から、必要に応じ、我が国における一部の施設・区域に保管をされることもあるというふうに承知をしております。
  161. 山内徳信

    ○山内徳信君 アメリカ軍がそう言っているから外務省としては分からないと、簡単に言えばね。  嘉手納弾薬庫には五百八十か所の倉庫があります。その倉庫の一か所に劣化ウラン弾が貯蔵されておると、こういうことでございます。したがいまして、外務省としてはもっと積極的にアメリカに問い合わせをするか、あるいは外務省として調査をするとか、そういうふうに積極的にやってもらわないと、何でもアメリカの言うとおり、そうですかと言って引き下がったのではやはり日本外務省とは言えぬのじゃないかと、こういうふうに言われるわけであります。  それじゃ、改めてお伺いしますが、沖縄だけじゃなくして日本全体として、この劣化ウラン弾について貯蔵されておるとかそういうことはございませんですか、北海道からずっと九州まで。
  162. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) 繰り返しになるわけでございますが、在日米軍は戦闘能力の詳細や特定の弾薬の保管場所について公表しないという方針を有しております。本土にも弾薬庫はございますが、そういう意味では、まさにこのようなことで、特定の弾薬がどこにどういうふうに保管されているのかいないのかということについては公表されてないということでございます。
  163. 山内徳信

    ○山内徳信君 沖縄の方に、復帰前、復帰後、基地をちゃんとチェックをする、そういう専門家がおるんです。外務省にもそういうのがいていいんじゃないですか。そういう指摘をして、次に進めていきたいと思います。  次は、防衛大臣になろうかと思います。  六月三日、沖縄県知事が沖縄県久米島の鳥島射爆場を視察しております。この射爆場は米軍が劣化ウラン弾を使った訓練場でもあるわけであります。そのことが漁業関係者を始め島の人々、沖縄県民に大きな不安と怒りを与えたことはもちろんでございます。  地元からは、沖縄県知事、県議会、それから県漁連、あるいは地元の首長等々からも鳥島、久米島の射爆場の返還要求が再三にわたって行われてまいりました。私のところにも漁連の会長が直接地図を持って説明をしながら参りましたが、そういう県知事その他関係者の要請を受けて、いまだ日本政府動きが全く見えないんですが、その要請にどのように防衛大臣はおこたえをしていらっしゃるんですか。
  164. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 鳥島及び久米島の射爆場の返還につきましては、ホテル・ホテルの訓練区域の一部解除と併せまして、昨年十一月、仲井眞沖縄県知事から私に対し要請がございました。また、本年一月には沖縄県議会から、五月には九州市議会議長会からそれぞれの同様の要請がございました。  当省としては、知事等の要請を受けまして、在日米軍司令部に対して米側の対応を照会したところ、米側からは、当該射爆撃場等については、日米安全保障条約目的達成のために引き続き米軍施設・区域として維持する必要があると認識しており、返還することは考えていないが、沖縄県知事等の要請を踏まえ、何らかの改善が可能かどうか検討することとしたいとの回答を得ているところでございます。  いずれにいたしましても、当省としては、当該射爆撃場の返還については、現在のところ米軍の訓練の運用上の理由により非常に厳しいものと考えておりますけれども、他方で、訓練地域や射爆撃場の在り方については、知事等の要請米軍必要性を踏まえ、引き続き米側と調整し適切に対応していきたいと思っているところでございます。
  165. 山内徳信

    ○山内徳信君 防衛大臣、知事その他関係者から要請を受けられるときに対応されたお言葉を具体的に実践していただかないと困るんです。  申し上げますと、昨年の十一月、県知事や久米島の町長が要請に参りました。そのとき防衛大臣は、お気持ちはよく分かる、要望を念頭にしっかり対応したいと、こういうふうにその要請に来た人には申し上げておいて、今のような答弁だと、これは大変なことですよ。  そして、六月三日、現地視察をした沖縄県知事、ここに新聞の資料もございますが、知事はこういうふうにおっしゃっているんです。想像以上に無残な光景だ、もうこれは限界だと、こういうふうに語っていらっしゃいます。  そこで提案いたします。防衛省として、沖縄局も含めて、現地調査を是非やってほしいと思います。現地調査。県議会も沖縄県関係者、漁連の皆さん方も現地をちゃんと見ております。是非現地調査をしていただきたいと思います。御返事をお願いいたします。
  166. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 我々とすれば、当然、米軍側とのいろいろな交渉、そしてまた今年の三月十九日に、及び四月二十四日に沖縄防衛局が、まずは現状を見るために、実際にはその島には降りておりませんけれども、海上及び上空からの視察を実施してきているところでございます。  先生、言った言葉は守れということでございますので、我々としてはこれを今後できるように頑張ってやっていきたいというふうに思っているところでございます。私とすれば、当然、皆さん方の御心配は分かるという思いの上で述べた言葉でございますので、先生からそういうふうに御指摘があるとするならば、できる限りの努力をしてまいりたいというふうに思っております。
  167. 山内徳信

    ○山内徳信君 是非努力をしていただきたいと思います。無残な光景を見ることは、今後の仕事をしていく上でも有益だと思います。  以上で終わります。
  168. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  まず、クラスター弾に関する条約締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  169. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  次に、国及びその財産裁判権からの免除に関する国際連合条約締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  170. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  次に、強制失踪からのすべての者の保護に関する国際条約締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  171. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  なお、三件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  172. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十六分散会