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2009-06-04 第171回国会 参議院 外交防衛委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十一年六月四日(木曜日)    午前十時四分開会     ─────────────    委員異動  六月三日     辞任         補欠選任         石井  一君     米長 晴信君      徳永 久志君     藤田 幸久君      鴻池 祥肇君     塚田 一郎君  六月四日     辞任         補欠選任         風間 直樹君     徳永 久志君      藤田 幸久君     舟山 康江君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         榛葉賀津也君     理 事                 浅尾慶一郎君                 一川 保夫君                 白  眞勲君                 木村  仁君                 小池 正勝君     委 員                 犬塚 直史君                 風間 直樹君                 谷岡 郁子君                 徳永 久志君                 広中和歌子君                 藤田 幸久君                 舟山 康江君                 米長 晴信君                 岸  信夫君                 佐藤 正久君                 塚田 一郎君                 橋本 聖子君                 山本 一太君                 浜田 昌良君                 山口那津男君                 井上 哲士君                 山内 徳信君    国務大臣        外務大臣     中曽根弘文君        国土交通大臣        国務大臣     金子 一義君        防衛大臣     浜田 靖一君    副大臣        外務大臣    橋本 聖子君        国土交通大臣  加納 時男君        防衛大臣    北村 誠吾君    大臣政務官        国土交通大臣政        務官       岡田 直樹君        防衛大臣政務官  岸  信夫君    事務局側        常任委員会専門        員        堀田 光明君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       野田  仁君        内閣官房総合海        洋政策本部事務        局長       大庭 靖雄君        内閣法制局第二        部長       横畠 裕介君        内閣国際平和        協力本部事務局        長        高田 稔久君        外務大臣官房地        球規模課題審議        官        杉山 晋輔君        外務大臣官房審        議官       中島 明彦君        外務大臣官房審        議官       廣木 重之君        外務大臣官房審        議官       石川 和秀君        外務省北米局長  梅本 和義君        外務省中東アフ        リカ局長     鈴木 敏郎君        外務省中東アフ        リカ局アフリカ        審議官      秋元 義孝君        外務省国際協力        局長       木寺 昌人君        外務省国際法局        長        鶴岡 公二君        文部科学省科学        技術・学術政策        局次長      中原  徹君        海上保安庁長官  岩崎 貞二君        海上保安庁総務        部参事官     佐藤 雄二君        防衛大臣官房技        術監       秋山 義孝君        防衛省防衛政策        局長       高見澤將林君        防衛省運用企画        局長       徳地 秀士君        防衛省人事教育        局長       渡部  厚君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○海賊行為処罰及び海賊行為への対処に関する  法律案内閣提出衆議院送付) ○クラスター弾に関する条約締結について承認  を求めるの件(内閣提出衆議院送付) ○国及びその財産裁判権からの免除に関する国  際連合条約締結について承認を求めるの件(  内閣提出衆議院送付) ○強制失踪からのすべての者の保護に関する国際  条約締結について承認を求めるの件(内閣提  出、衆議院送付)     ─────────────
  2. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、徳永久志君、鴻池祥肇君及び石井一君が委員辞任され、その補欠として藤田幸久君、塚田一郎君及び米長晴信君が選任されました。     ─────────────
  3. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  海賊行為処罰及び海賊行為への対処に関する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣官房内閣審議官野田仁君外十九名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 海賊行為処罰及び海賊行為への対処に関する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 米長晴信

    米長晴信君 おはようございます。民主党・新緑風会・国民新日本米長晴信です。  私、国土交通委員会所属なんですけれども、今日は金子大臣を追っかけて出向してまいりましたので、皆さん、機会いただいて本当に感謝をしております。  まず冒頭、三人、大臣並んでおられますけれども、この海賊対処主管大臣に手を挙げていただきまして、改めてこの海賊対処に対する決意をお願いいたします。
  7. 金子一義

    国務大臣金子一義君) 貿易の九割以上を海上に頼っております我が国、かつこのソマリア沖というのは年間二千隻以上の日本関係船舶が通過をしていると。これに対する海賊行為、これは重大な我が国経済社会への影響があると。これに対して国連海洋法条約海賊行為というのは犯罪行為である、世界各国がそれぞれ最大限の協力をし合ってこれを阻止するべしという国連海洋法条約協力要請というのがありまして、これに基づいて、大変、我々としては、昨年夏からこの海賊事案が急激に起こっているということに照らして考えれば、ややこの法案自身少し遅きを失したかもしれませんが、準備を進め、各関係省庁との調整を進めて、今般これに対する法案を提出し、断固海賊事案というものを抑制していきたいと、そういうつもりでこの法案を出さしていただいているところであります。
  8. 米長晴信

    米長晴信君 冒頭浜田大臣も手を挙げるんじゃないかと思って、ちょっとどきどきしていたんですけれども。  まず、じゃちょっと話を何となく現場に持っていって、今年四月十二日に、私も報道で読んだだけなんですけれども、アメリカ船籍の船の船長さんが最終的には人質に取られるというような事案があったんですけれども、その同様の事案が起きたときに、今の体制で行っていらっしゃる警備行動隊はどのように対処されますか。
  9. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 自衛隊による海賊対処としましては、護衛艦による民間船舶護衛等を実施することによって海賊行為を抑止し、また海賊を退散させることがまずは重要であると考えておりまして、基本的に当該船舶の奪回や人質救出を行うことは想定しておりません。  いずれにせよ、万が一民間船舶海賊に乗っ取られた場合の対応については、人質救出世界的に見ても非常に困難な任務でもありますし、乗っ取られた民間船舶乗員、乗客の生命財産への影響を考慮しつつ、慎重に対応することが必要であると考えているところであります。
  10. 米長晴信

    米長晴信君 それは、じゃ今の体制で特別の理由によりということで海保の代わりに海上自衛隊派遣して、警備行動を中心とする活動においての答弁はそうですけれども、例えば海上保安庁が実際に船ごと行って警察活動を含めた体制で行く場合は、海上保安庁はそれどういう対応になりますか。
  11. 岩崎貞二

    政府参考人岩崎貞二君) 海上保安庁においても、護衛することとそれから犯人を捕まえる、追いかけるということは、やはりその現場の中で優先順位を付けて判断しなきゃいけないと思っております。海上保安庁の仮に巡視船派遣されましても、人命財産保護、安全というのをやはり第一義に考えていくのかなと、このように思っております。
  12. 米長晴信

    米長晴信君 いや、人命財産を守ること優先だったら、まだ襲われていない船守って先に行くより、襲われている船への対処の方が優先なんじゃないですか。それ、もう一回お願いします。
  13. 岩崎貞二

    政府参考人岩崎貞二君) 海上保安庁といたしましても、やはり基本的な行動パターンは、今自衛隊の船が行っていて、それから海上保安官が上乗りしていますけれども、同じような行動になると思います。やはり、人質を奪還するとかそうしたことは大変危険性の伴う業務なので、そうしたことよりも、まずやっぱり護衛をして襲われないようにする、それで、どうしてもそれでも乗っ取られた場合、これについてはやっぱり人命保護を第一に考えていくと、こういう対処方針になろうかと思います。基本的に大きく変わることはなかろうと、このように思っております。
  14. 米長晴信

    米長晴信君 これ四月十二日の事案ということで、完全な仮定の話じゃなくて、実際にこれが日本人だったらということですけれども、じゃ、若干仮定が入りますけれども、人質救出とかそこまでの重い任務じゃなくて、襲われている、交戦状態的なものになる、そこまでの段階の場合はいかがですか。
  15. 岩崎貞二

    政府参考人岩崎貞二君) 商船と海賊が発砲していると、そういう現場海上保安庁巡視船が居合わせたと、こういうことで仮定をいたしますと、そのときに、それを防ぐために、この法律でもございますけれども、必要な武器の使用なんかをして、その一般の船が襲われないように、乗り込まれないようにするという措置は、それは同じようにとることになろうかと思います。  ただ、繰り返しになりますけれども、それにもかかわらず、武器を使用してでの抑止措置もうまくいかなくて、ついに海賊民間の船に乗り込んでしまった、人質を取ってしまったということについてはやはり慎重に対応しなけりゃいけないということだろうと思っております。
  16. 米長晴信

    米長晴信君 海賊対処警備行動というのは、主にゾーンディフェンス的な、安全に関係船舶を航行させるという、警察でいうと警備というか、機動隊がやっていらっしゃるような面と、あるいは何か有事発生時に現場へ行って現場で逮捕する、あるいはちょっと逃げていったやつは捕まえて、捜査して人定取って、で、司法手続によってというような警察手続のような、二面性というか二面的な部分があって、今はその海上警備行動部分海保ができないということで、特別の理由ということで自衛隊の船が出ているんですけれども。  じゃ、これ本当に、例えば、今A地点B地点を往復するという活動ですけれども、AからBに向かう途中に、ちょっと後ろ、Aに戻ったようなところでそういう事案発生した場合は、守る方を優先して先に進むのか、その船舶保護のために戻るのか、どちらを選択されるんですか、今の。
  17. 岩崎貞二

    政府参考人岩崎貞二君) 具体的なシチュエーションによってそれは変わっていくだろうと思いますけれども、例えば海上保安庁が仮に行った場合でも、今護衛している船の近くで襲われている船がいるとすれば、私どものその船がいったん護衛の隊列から離れるということになりますから、それをすることによって護衛している船の危険性が生じないかどうかということは考えなきゃいけないだろうと思います。しかし、近くで本当に襲われている船があって、救出を求めている船があって、助けられる状況であれば、やはりそちらの方へ行くということをかなり優先して考えなきゃいけないと思いますけれども、それは本当にその場、現場現場での判断になろうかと、このように思います。
  18. 米長晴信

    米長晴信君 この部分は余り細かいことを議論するつもりはないんですけれども、そういう大変な任務として行っていると。  ただ、言わせてもらえれば、国によって事情は違いますけれども、例えばマレーシアなんというのは、一隻出して、マレーシア、自国の船だけを守るということで、一隻でそれで事足りていると。我が国は二隻と哨戒機まで出してより確実に守るということですけれども、船を二隻出すという意味合いは、仮に有事発生したらそれは守る方と攻める方と両てんびんでやるというのが二隻出す意味だと僕は思うので、その辺はしっかり、今回法律作って日本船舶以外も守っていくということを国として決めるわけですから、その辺はきっちりと、オペレーション、もっと分かりやすくより効果的なものを提示をしていただきたいというふうに思います。  ちょっと話、政治的な部分に戻しまして、そもそもこのアデン湾海賊発生ソマリア内政というのはどんな感じの因果関係があるのか、ちょっとお答えいただけますか。
  19. 秋元義孝

    政府参考人秋元義孝君) このソマリア沖アデン湾海賊事案というのは、昨年は百十一件、世界の約四割の事案発生しているわけでございます。今年に入りましても六月二日現在で百三十一件発生しておりまして、現在十四隻が抑留されて、約二百十名の乗員人質となっていると、こういう状況でございます。  この海域での海賊事案が急増している原因、背景としましては、ソマリア情勢との関連で申し上げますと、まさに一九九一年以来、ソマリア内戦状態に入りまして、長期間にわたって武装勢力間の抗争が続いているわけでありまして、そういう中で、国土全体を実効的に統治する政府というのがそもそも存在しない。したがいまして、法執行司法機関も全く機能していないと、こういうことがございます。それから、そういう長期間の戦乱の中で多くの若年失業者発生していると、こういうこともございます。  また、最近の傾向としましては、犯罪集団組織化分業化というのが進みまして、身の代金を目当てに船舶を襲撃して乗っ取ると、こういう行為がビジネス化しているということがあると認識しております。
  20. 米長晴信

    米長晴信君 今因果関係というのは明確にはお答えにならなかったんですけれども、何らかの因果関係、すなわちソマリア内政が安定すればそういった事案も減るという認識でよろしいんでしょうか。
  21. 秋元義孝

    政府参考人秋元義孝君) 海賊問題の抜本的な解決のためには、ソマリア情勢の安定が不可欠であると認識しております。
  22. 米長晴信

    米長晴信君 参考までに、じゃ当面、ソマリアについての人道的あるいは経済的な支援実績を教えていただけますか。
  23. 秋元義孝

    政府参考人秋元義孝君) 今委員御指摘されましたように、ソマリア情勢の安定のためには、人道面における支援、それと治安向上のための支援、こういうものが必要であると考えておりまして、これまで国際機関を通じた支援としまして、過去二年間で約六千七百万ドル支援を行ってきております。  具体的に内容を申し上げますと、まず、人道支援としましては、食糧支援として世界食糧計画経由で約一千四百万ドル、それから難民国内避難民支援としまして、UNHCR、難民高等弁務官事務所でございますけれども、その他の機関を経由しまして約二千万ドル、それから保健、水、衛生、教育等の分野の支援としまして、ユニセフ等機関を通じまして一千八百万ドル、それから人身取引、不正規の移住対策としまして、国際移住機関、IOMでございますけれども、約三百万ドル、こういうようなものを支援してきております。  また、治安向上への支援としましては、国境管理強化のための支援としまして国際移住機関経由で約百万ドル、それから警察支援として国連開発計画経由で四百万ドルその他の支援をしております。
  24. 米長晴信

    米長晴信君 五千万ドルを超える支援をしているということですけれども、ソマリア支援というのは、我が国だけじゃなくて国際的にアメリカも含めた支援が行われていると思うんですけれども、その内紛が九一年から十八年間続いているわけですけれども、これは今日明日で解決するのか、今年解決するのか、この見通しについて教えていただきたいんですけれども。
  25. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) ソマリア安定化というのは、この海賊行為をなくすためにも一番の根本的なこれはところでありますけれども、国際社会としては今の九一年にあのような状況になってから今日までなかなか有効な手だてを講ずることができないという、大変非常に難しい問題でございます。  そういう中、昨年の八月には暫定連邦政府、これと、それからソマリア解放連盟穏健派、これとの間で武力行使の停止を含むいわゆるジブチ合意、これが成立をいたしました。今年になりましてまた暫定連邦政府におきましては、この一月ですけれども、新しい大統領が選出され、二月にはまた新しい内閣が誕生したところでございまして、また、新しい議会も今誕生しつつあるところでございます。  一方、この暫定連邦政府にはすべてのソマリアの中の勢力が参加しているという、そういう構成になっているわけではございません。この五月にもそういうところから、首都のモガディシュにおきましてはこの暫定連邦政府とそれからイスラム過激派との激しい戦闘が行われまして多くの人が、百三人が死亡、四百二十人が負傷と、そういうような報道がありますけれども、大変まだ不透明な状況が続いているところでございます。こうした戦闘外国からの勢力が参加していると、そういう情報もあるわけでありまして、このジブチ合意以降のソマリア全体の平和、和平にこれらがどういうふうにつながっていくか、非常に今後の動向を我々としても慎重に見ていく必要があろうかと思います。  今の段階で、いつごろこういう状態が解消されるのか、いつまでこういう状況が続くのか等はなかなか見通すことは困難でありますが、我が国といたしましては、ソマリアの安定のためには国際社会と連携をしながら支援をしていくと、そういう考えでございます。
  26. 米長晴信

    米長晴信君 つまり、全く見通しがないと。これは十年、二十年続いてもおかしくないというような意味なのか、本当にここ二、三年が勝負なのか、さじ加減はどうですか。これは、我が国ソマリア沖海賊対策のために船を出すということに当たってそのミッションの任期といいますか、そういうのを決める上でこれは非常に重要な部分だと思うんですけれども、やっぱり見通し、どのぐらいのスパンかということだけでもお答えいただけますか。
  27. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) これはできるだけ早く解消すると、そのソマリア自体安定化するというのが大事でありますが、先ほど参考人の方からも御説明いたしましたように、人道復興支援、それから治安対策等我が国だけでなくて各国協力をしながら行っておりますので、これらの効果が一日も早く出てくるようにと、そういうふうに願っているところでございますが、いつごろまでということはなかなか見通すことは難しいと思います。
  28. 米長晴信

    米長晴信君 じゃ、もう一回、しつこいようですけれども、じゃ、こういう質問にします。十年以内に解決すると思いますか、あるいは分からないか、それだけお答えください。
  29. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) できるだけ早くそういう安定した状況になるように我が国としてできるだけの努力をしていくということだと思います。
  30. 米長晴信

    米長晴信君 では、分からないという答弁だと解釈をさせていただきます。  つまり、ソマリア状態が、情勢がそうであるということは、仮に海上警備行動つまり船の方の活動をするだけではなかなか海賊発生件数自体は抑えることができないと。これはソマリア支援も両輪のような形で行っていくしかないというふうに思うんですけれども、じゃ、その海上警備行動の方の派遣、もう既に今の現行法内で派遣を既にしておられますけれども、その効果はいかがだったんですかね。実績を教えていただきたいんですけれども、改めて。
  31. 徳地秀士

    政府参考人徳地秀士君) お答え申し上げます。  海上警備行動によりまして派遣をした護衛艦については、これまでアデン湾において合計で二十三回、合計で七十五隻のいわゆる日本関係船舶護衛を実施してきております。まだ始めましてから余り期間もたっておりませんので、余り効果というものについてなかなか明確にお答えすることは困難な面もございますけれども、これによりまして日本にとって重要な海上交通路に当たるアデン湾において、国民生命財産保護というような政府の重要な責任を的確に果たしているというふうに考えているところであります。
  32. 米長晴信

    米長晴信君 じゃ、全体の発生件数、先ほどちょっと答弁いただきましたけれども、今年に入ってからの実績実績というか発生件数、改めて教えていただけますか。
  33. 秋元義孝

    政府参考人秋元義孝君) 先ほどの繰り返しになりますけれども、今年に入りまして、この海域での海賊事案は、六月二日現在で百三十一件、現在十四隻が抑留され、二百十名の乗組員人質となっております。
  34. 米長晴信

    米長晴信君 自衛隊が行って以降の数と分けれますか。私の資料だと、若干ずれはあろうかと思いますけれども、ちょっと六月まで更新されていない資料ですけれども、二〇〇九年の最初の四半期に六十一件で、それ以降、五月二十六日までの数字で六十四件と、計百二十五という五月二十六日までの数字があるんですけれども、これはそれでよろしいですか。そういう解釈でよろしいですか。一月から三月が六十一件。
  35. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 速記を止めてください。    〔速記中止
  36. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 速記を起こしてください。
  37. 秋元義孝

    政府参考人秋元義孝君) 統計によりますと、三月までの発生件数が六十一件でございますので、四月以降の発生件数は、したがいまして六月二日までで七十件ということになります。
  38. 米長晴信

    米長晴信君 ありがとうございます。  足し算をすれば大丈夫だと思って通告に厳密にしていなかったんですけれども、そういう数字だと。  何が言いたいかというと、自衛隊アデン湾に二隻派遣した以降、全体として数が減っているかというと、むしろ増えているということが言いたいわけです。つまり、この海上警備行動は、やっぱりソマリア内政と、あるいはちゃんとしたビジョンを持って、何をどう守るのかということをきちんとやらないと全く成果が見えないということを申し上げたいんですけれども。  今、日本関係船舶対象ということで、限られた対象の中での活動という理解をしておりますけれども、これが、この新法が成立した後、これは対象船舶、守れる船舶の数という、この数をどのような形で警備行動として実績を上げる見込みなのかということを教えていただきたいんですけれども。
  39. 徳地秀士

    政府参考人徳地秀士君) 海賊対処法成立をいたしますと、これに基づく自衛隊海賊対処を行うということになりますと、先ほど申し上げたような日本関係船舶だけではなくて、我が国関係がないと申しますか、外国船舶につきましても海賊行為から防護するということが可能になるところであるわけですけれども、具体的に、それでは本法案成立後の具体的な活動内容をどうするのかということにつきましては現在検討中でございますので、これまでの実績でありますとか各方面からの要請でありますとか、あるいはこの法案の趣旨その他にかんがみまして引き続き万全を期してまいりたいというふうに考えておるところであります。
  40. 米長晴信

    米長晴信君 私の隣で同僚議員がプチやじを飛ばしておられますけれども、私も同じことが言いたいんですけれども。  これ、きちんと日本船舶以外の、海賊行為を行い得る船の対処ということで、わざわざ我が国として、責任国家として法律を作って、それで対処するという話で、それが決まってから船出すというんだったらその答弁でも百歩譲っていいかもしれないんですけれども、もう三月に派遣していらっしゃるんですよ。それだとなかなか思ったように効果的に活動できないと。私、さっき、むしろ発生件数全体では増えているじゃないかという皮肉も申し上げましたけれども、そうならないように、きちんと活動できるように本法律を、もう既に審議に入っているわけですから、今の段階でこの計画まだ固まっていないなんというのはちょっとおかしいんじゃないですか。もう一度答弁お願いします。
  41. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 基本的に、我々法律ができてから、要するに我々の艦の編成等もこれからしていくわけであります。海上警備行動の際も準備期間というのがあって、海上警備行動における我々の範囲、それぞれの武器の使用の基準等も、それも併せて要するに今回の海上警備行動法律の中でやっているわけであります。  そして、今法律の仕上げをしているときに、我々法律に従って出していくわけですから、当然今この時点で一応の概要は頭には入っていますけれども、法律ができた段階で命令を下すわけですから、それまでに全部できて、想定してやるというのも確かにやっていますけれども、今この時点で、じゃこういうふうにやっていますということをなかなか言うまでの段階にはなっていないというのは、これ当然あります。ですから、そこのところの検討状況のことを決まったという形で我々としてもなかなか言えないところもあるということを御理解いただければと思います。
  42. 米長晴信

    米長晴信君 この法律ができたら、一回、じゃ今出しておられる体制、全部引き揚げてくるという解釈でよろしいですか。
  43. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 当然、我々とすれば、そういう効率的な、その時点で、今まで我々、日本船舶生命財産を守るためにやってきたものを途中で切るわけにはまいりませんので、当然、タイムラグはあるにしても、法律の制定後にしっかりしたものを作って準備をして、それから要するに形として出ていく形になりますので、このタイムラグのないような形でうまく交代できることを考えていきたいと思っております。
  44. 米長晴信

    米長晴信君 すなわち、一回引き揚げてこないということですか。
  45. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 引き揚げるというか、要するに法律が切り替わって我々の準備ができてから出ますので、要するに準備命令を出して、そしてまた命令を出して出していくような形になりますので、その間のタイムラグがあるということは、せっかく海上警備行動護衛艦艇がやってきたものをそこでいったん切って帰ってきて、そこを空白にするということは考えづらいということであります。
  46. 米長晴信

    米長晴信君 つまり、先ほど前段の答弁ではこの新法に基づいて体制づくりをしてそれで派遣しなきゃいけないという、そういう一方で、つなぎ目をくっつけておかなきゃいかぬということは、つまり今の現有体制にプラスアルファ、あるいはどういう形で変えるかというのは今の時点でもう既に計画があるという答弁でしょう。それ矛盾していると思うんですけれども、いかがですか。
  47. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 基本的に国民を守るためには最善の方法を考えるのが当たり前の話でありますので、そこのところを、じゃ法律だけで、タイムラグがあって、そこにもしも危険性が存在することを容認するということは考えられないのではないかなと私は思います。  そしてまた、我々はあくまでも警護で行くのであって、先生がもう御存じのように、要するに海賊に対して我々掃討作戦をやっているわけじゃないわけですよ。だから、数が増えるというのはそれだけ危険が増しているからこそ我々の警備をやらなきゃいけないということでありますので、そこは先生がもう御存じでおっしゃっていることだと思いますけれども、要するにそこのところは我々とすれば遺漏ないように、皆さん方から安心に、交通を確保するための法律を今御議論願っている最中でありますので、海上警備行動というのはあくまでもそのつなぎだということを前々から私自身は申し上げているわけですので、その切れ目のないようにやろうとしているわけですから、当然頭の中ではですよ、先生、やっぱりいろんなことを想定しながら、これは準備の、準備というか、準備命令、私まだ出していませんので、そこまでは部隊の編成等もまだできるといった段階にはないわけでありますから、当然頭の中に今後どういったことをやっていこうかということはありますけれども、まだそれをすべてここでコンクリートした形で御説明することが難しいと言っているだけのことであります。
  48. 米長晴信

    米長晴信君 私も、ちょっと若干大臣も語気荒くなりがちになっていますけれども、そういうことを言っているんじゃなくて、少なくとも今は法律ができていないから今の現行法の範囲内で細々とやらざるを得ない、すなわち対象日本船舶に限られてしまっていると。だから、事前に国土交通省を通じて関係船舶に通知して、この往復する警備行動に希望者は参加していただくという形だったんですが、これが新法ができてその間口が広がったときに、どういうことを呼びかけて、どういう感じで日本としてアデン湾全体の海賊対策を行うんですかと、そのビジョンといいますか、ここにこれ配置してとかそこまで細かいことを聞いているわけじゃなくて、新法になって日本船舶以外も対象になるわけですから、やり方とか若干変わってくると思うんですけれども、これ全く考えがないということはないと思うんです。それをどういう感じでイメージされているのかということです。
  49. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) そういうことであるならば、当然、基本的には日本船舶を守るのが我々とすれば一番一義的なことだと私は思っています。ですから、イメージとして、当然それをやりながらも、要するに我々の能力というのがあるわけですから、たまたま今回でも遭遇の際のいろんなこともいろんな議論がありました。そういったことを想定しつつ、要するに我々P3Cを派遣したというのは、それを全体的に見るところも含めてやりながら、そしてそういった情報を流すことによって他の国にもそういったことをやり、それに我々が近くにいたらそれを実際に駆け付け、駆け付けというかそのそばに行って警告射撃をしたり、そういった形の中で要するに海賊がそばに寄ってこないような形を取るというのは、これは今までの海上警備行動の中でも情報収集活動でそばまで行って見るようなことはしておりますけれども、そういったことをやっぱり考えていくことだと思います。  そしてまた、他国の艦船を要するに守るということになれば、当然これ、ほかの国との連携ももっと取れるような形になると思いますので、国際社会の中での議論というのはこれから出てくるものだと私は思っていますので、それに対応するための要するに想定というか、頭の体操は当然していること、今の状態では、それを想定しつつどういうことがあるのかなということを考えながら、計画も含めて今後どうやって考えていくのかというのはこれからの問題でありますので、今ここで全部が概要がこうだというのはできていないということであって、私のイメージとすれば、あくまでも主体的には日本船舶を守りながら活動しつつ、その際のほかのところの船がそういった状況に陥ったときにはどうするかということを具体的にこれから検討していくことになろうかと思います。
  50. 米長晴信

    米長晴信君 いずれの場合にしましても、必要十分な体制で、今の体制に補強するのか分からないんですけれども、その上で派遣するわけですけれども、法律によると期間も定めなきゃいけないということを明記されていると思うんですけれども、これも法律成立して施行までの一か月の間に考えるというようなことになると思うんですけれども、今の段階で任期どれぐらいというふうに考えておられますか。
  51. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 先生、大体今まで、我々艦艇で派遣する際にもそうなんですが、大体やっぱり、部隊の行動期間というのは四か月が大体の目安になっているのは事実であります。  ですから、期間がどのくらいというのはこれから決めさせていただいて、活動、計画のあれもあると思うんですが、ただ、要するに、一般論として、我々の自衛隊員の体力的な問題、それからやっぱり任務に対するかなり過酷な状況での、気象条件も厳しいところでありますので、そうすると大体四か月ぐらいが、今までの交代というのはそのぐらいの間隔でやっているというのは事実であります。
  52. 米長晴信

    米長晴信君 昨日事務方の方に話を伺ったところでは、交代の三か月、四か月というのと、このアデン湾海賊対処派遣するという部分の根っこの、この法に基づいて決める期間と違うということなんですけれども、私が聞いているのはそっちの方、つまり日本としてアデン湾派遣するという行動計画自体、その大きな方のこの期間はどれぐらいを想定されていますか。
  53. 徳地秀士

    政府参考人徳地秀士君) この新法ができました場合に、七条の二項にあります海賊対処行動を命ずる自衛隊の部隊の期間という件についてでございますけれども、先ほど来大臣から御答弁しておりますように、一つには、部隊のローテーションがどうなるかということもその考慮要素だろうと思っておりますし、それから、現場海域状況その他いろんなことを総合的に勘案しなければいけないというふうに考えておりますし、それからまた、テロ対策特措法なり補給支援特措法に基づきましてインド洋に部隊を派遣すると、このような場合には半年ごとの実施計画になっておりますので、そういうような例も参考にしながら今後詰めていくということになろうと考えております。
  54. 米長晴信

    米長晴信君 それじゃこれ、交代ごとに一回一回命令出すということですか。
  55. 徳地秀士

    政府参考人徳地秀士君) そこのところは、一つには、部隊といいますか、具体的に船をどのようなローテーションで回していくかという問題と、それから、そもそも大臣からのこの海賊対処行動に関する命令の期間というものをどうするかというのは、そこは別に考えるということも十分に可能だと考えております。
  56. 米長晴信

    米長晴信君 非常に歯切れ悪いので、ずばり、じゃ大臣にお伺いしたいんですけれども、先ほど前段の議論で、必ずしも船出して警備するだけでは海賊発生件数自体は減らない、むしろ増えている部分もあると、一方でソマリア情勢見通しが立たないと。我が国として、いつぐらいまでを目安にこの海上警備行動を行うのかというのが質問の趣旨であって、交代要員がどうのこうのとかそういう話をしているんじゃなくて、大臣、その辺は、大体このミッション、どれぐらいのスパンで向かわせるのか、つまり引き揚げてもいいというようなのはどういうものを判断基準にして引き揚げるのか、出口、これをお伺いしたいんですけれども。
  57. 金子一義

    国務大臣金子一義君) 個々の具体的なクルーの派遣期間それから部隊の構成というのは、ここに七条二項で言っておりますとおり、細目は決めますよね、そして、それを国会に報告をさせていただくということで国会の関与をさせていただくわけでありますが。  これは、その期間をどのくらいに定めるかというのは、防衛大臣がここは内閣あるいは関係機関とか協議して決めるということでございますが、全体として、じゃソマリアにいつまで出すんだということになりますと、これは我が国経済社会への危機がなくなるまで出すと。これは、今度の海賊対処法案というのは恒久法でありますので、これはその危機というものがやはりなくなる、つまり今のような状況の中で、危険な状況が続かなくなるという判断が、なくすためには必要だと思っております。そういう意味で、先ほど来、あるいは先般来御議論いただいておりますように、ソマリア独自あるいは周辺国における独自の言わば海賊コーストガード、治安というものが出ていけるように、我が国としても、先ほど外務大臣答弁されましたように、できる限り協力をしていきたいということでございます。  繰り返しますけれども、我が国経済社会に対する影響というものを考えながらこれを判断せざるを得ないと思います。
  58. 米長晴信

    米長晴信君 浜田大臣に伺う前に、今の金子大臣の御答弁の中で、我が国経済の脅威がなくなるまでというようなことをおっしゃいましたけれども、非常にあいまいなんですけれども。  例えば、じゃ海賊がワングループでもいれば、一隻でも被害に遭う可能性があれば出し続けるというものなのか、まあそれじゃちょっとやり過ぎなので、年間件数が何件以下ぐらいまでは派遣するのか、その辺の、ゼロと一の世界を言っているのか、発生件数が、さかのぼってまだ発生がそんなになかった何年ぐらいの程度に収まったら我が国としてはいったん引き揚げていいと思っているのか、その辺を、結構重要な部分だと思いますので。
  59. 金子一義

    国務大臣金子一義君) これはやっぱり私から御答弁だと思います。  この状況が、今の起こっている状況というのが改善しているかあるいは解消に向かっているか等々、総合的に判断せざるを得ません。一隻襲われたから、二隻だから、あるいはゼロ、まあゼロになればもうもちろん要りません。でも一隻、二隻、まあ年間の、あるいは起こってきている状況、これが改善しているか解消しているかという、やっぱり、これ委員、総合判断を内閣としてするということだと思います。
  60. 米長晴信

    米長晴信君 じゃ、その議論はなかなかかみ合わないのでおいておいて、今度は、方針としては担当大臣金子大臣の方からそういう方針だというあいまいな線引きがありましたけれども、今はでも海上保安庁が出せないので海上自衛隊派遣しているわけですけれども、その海上自衛隊の今回の命令は当面何年間というふうに見ておられるんですか。
  61. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 基本的に、先生、そういう何年というと、大変そういう意味では我々とすれば負担がかなり大きくなるのは、これは当然のことであります。  ただ、今回の法律の中でも、我々とすれば計画を立てて、要するに計画の更新をしていくわけですよね、当然。そのたびごとに、そのときの状況によって、今、金子大臣がおっしゃったように、我々とすればこの時点で、今先生がおっしゃったように、じゃもう大分落ち着いてきたねというところの判断というのは我々政策的な判断になるわけですから、今全体で何年と言われると大変これは答えづらいわけでありますが、しかしながら、今、先生が先ほどお話にありましたように、計画の、今までの補給支援法とかいろんな法案を見ていれば、当然その計画を出して御報告をしているわけですよね。だから、逆に言えば、今言ったように、もしも半年なら半年とすれば、半年ごとにその状況を見ながら要するにやっていくことになりますから、決してずるずるということには私はならないと思います。  ただ、常にそのたびごとに我々は御報告をしながらやっていくわけですから、そこでの防衛大臣の判断でそこは引くこともできるわけでありますので、今の先生のように何年と言われてしまうと難しいんですが、要するに計画で定めた数か月の間に状況の変化があればそれはやめていくという形になろうかと思いますので、総トータルで何年というふうに今言われると私とすれば今の時点ではお答えできないわけでありますが、ただ、その区切りの中でやっぱり判断をしていくことになりますので、そこは御理解をいただきたいなというふうに思います。
  62. 米長晴信

    米長晴信君 まず、アデン湾海賊事案が二〇〇六年辺りから急増していると、国際社会がそれに対応しなきゃいけない。その国際社会の一員として日本がそれに賛同して守るというのは、もう恐らく国民の皆さんに賛同されてもいいような気もするわけですけれども、我々が議論しなきゃいけないのは、じゃ日本としてその現場海域でどういう活動をするか、どういう装備を持ってどういう形をするのが憲法に触れずに、あるいは国際社会から見ても受け入れられるような形で活動できるのかという、今までなかった新たな政策なわけですね。今年三月から派遣して、今までそういう船、出していなかったわけですから。新たに出すと。  新たに出すというのはどういうことかというと、期間まだ定まっていないなんということをおっしゃいましたけれども、これ今、現有体制で船を出すわけですから、今の日本自衛隊なり海上保安庁の船は日本を守るためにあるわけで、それが半年、一年、二年程度だったらまあ今の現状の防衛に差し障りないということだろうと思いますけれども、それが、このソマリア情勢が安定しない、見通しが分からないなんという、先ほど事実上そういう答弁でしたけれども、これがやっぱり十年ぐらい下手すると続くと。  私これ、ずるずるというよりも、必要だったら日本我が国アデン湾を守るということを政策として決めて、その結果、安定的に日本関係船舶を中心に運航できればそれは立派なことだと思うんですけれども、それを、長くなったからといって、ずるずるという表現は私自身は使いたくないんですけれども、ただし、新たに二隻、二機、人数でいうと自衛隊七百五十人、海上保安庁八人というのを派遣しているわけですから、日本からずっと出っ放しなわけですから、その分、じゃ例えば、防衛庁の事務方にお伺いしたいんですけれども、今の体制ずっと、仮に十年間出ていった場合に、全く日本防衛に穴は空かないんですか。
  63. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) お答えいたします。  海上自衛隊のこれまでの例えば艦艇の派遣状況というのを御覧いただきますと、アフガニスタンの補給支援活動というのは、護衛艦三隻、それから補給艦二隻と、五隻出ていた時期もございます。現在は補給艦一隻に護衛艦一隻というようなことでございますので、いろいろな状況に応じて変化をさせているというのがまず基本にございます。  それから、十年間というようなことを、今仮定の話でされましたけれども、護衛艦のいろんな艦齢でございますとか整備のサイクルとかいろんな問題がございますし、それから我が国周辺のいろんな状況がどうなっているかと、そういうことを我々としてはいろいろ考えながら、現地のニーズも考えて、意味ある派遣の形としてどういった形がいいのかというようなことで考えているわけでございますので、今回その護衛艦二隻というのは、ある程度の期間、少なくとも現在のソマリア状況が続くであろうという前提の下でやっております。  ただ、その過程において、いろいろな整備のサイクルでございますとか来たときに、常に護衛艦二隻の体制がいいのか、あるいはP3Cがそこに既に例えば派遣されて運用が定常化して、非常にそれが効果的であるというようなことがあるとか、いろんなそういう状況を考えながら、その計画の中で常に我々の判断を明らかにし、その計画の更新の段階において国会の御議論などもいただきながらやっていくということでございますので、私は、ある程度の期間ということであればそれなりの体制はできるだろう。ただ、そのための整備費用とか必要な体制というのはきっちりしていかなければいけないと思いますけれども、ある程度サステーナブルな形で運用はできるのではないかというふうに思います。
  64. 米長晴信

    米長晴信君 そのある程度の期間という、その期間がどれぐらいかというのは非常に重要な問題で、そこをもう一回、もうちょっと細かく教えてください。ある程度というのはどのぐらいの。
  65. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) お答えいたします。  まず、艦艇の場合に、非常に長期間出ておりますといろんな整備のサイクルの時期に当たったりしますので、例えば今私どもで護衛艦が五十隻前後ございますけれども、このサイクルの中で一時的に稼働状態になる艦船の数というのは変動がございます。したがって、それは非常に多いときは稼働状態が高いですし、若干そのサイクルで、たまたまこの時期になると一隻、二隻整備に入らなきゃいけないということで稼働艦艇が減るというようなことはございますけれども、それはある一定の幅の中で対応できますので、例えばその派遣されている艦艇を、今の艦艇を少し長く使うとか、いろいろなやりくりによって吸収できる幅というものがあるんだろうと。これが例えば常に五隻出すとか六隻出すということになると話は別でございますけれども、現在のレベルの程度であればそれなりに、若干の変動はしながらやっていけるということではないかと。  それから、個々の艦艇の活動を考えた場合に、各国活動状況もございますので、常に私どもの船が二十四時間必ず二隻ずっと張り付いてなきゃいかぬというようなことでは必ずしもありませんし、それは護衛艦である必要が必ずしもあるかとか、そういうまさにいろんな状況を見ながらやっていけば、十分その変動の範囲の中に収まるのではないかというふうに考えております。
  66. 米長晴信

    米長晴信君 「さざなみ」、「さみだれ」クラスの、つまり今の行動活動に必要十分なクラスの船というのはどれぐらいお持ちですか。
  67. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) お答えいたします。  あの現場護衛能力を持った船としてどういったものがいいのかといったときに、ある特定のクラスというだけには限りませんけれども、言わば外洋的に活動できるものとしてあるものとしては、すべての五十隻が同じ能力かというとそういうことではございませんけれども、それはまさにそのミッションの内容とかいうことでやっていくことになろうかと思います。
  68. 米長晴信

    米長晴信君 いや、質問に答えてください。対象海賊なんですよ。戦争じゃないんですよ。大きい船出しても意味ないんですよ。小さ過ぎても海保さんのように足りないという。今、必要十分と思われる船を出されたわけですよね、「さざなみ」、「さみだれ」。そのクラスはどれぐらいあるかという質問に答えてください。
  69. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) お答えいたします。  護衛艦でございますと、いわゆるDDクラスというのがこの地域におけるミッションとしては比較的適しているかと思いますけれども、そういうもので申し上げれば、約五十隻おりますけれども、大体三十隻ぐらいが通常の護衛艦、つまり大型のイージス艦でありますとかヘリコプター搭載の護衛艦というものではなくて、普通の汎用型護衛艦ということでいえば三十隻程度でございます。
  70. 米長晴信

    米長晴信君 こういう答弁をされるから、シビリアンコントロール大丈夫なんだろうかと、国会の事前承認が必要だということになるんですよ。いかにも、今、分母が五十隻の中から二隻程度回すんだったら大丈夫かのような印象を与える答弁をされましたけれども、私が事前に聞いた限りでは、この同じクラス、やっぱり二十数隻、三十弱ということなんですよ。各区ごとに四隻ないし五隻いて、その中からやりくりして二隻出すというと、それがある程度の期間というのが本当に長期化すれば、この地球の裏側まで行くミッションですから、これは何らかの形で補てんしなきゃいけないんじゃないかというふうに思うんですけれども、もう一度お答えください。
  71. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) お答えいたします。  したがいまして、そういう状態が非常に長期化していくというようなことになりますれば、現在、防衛力の在り方の検討というものを行っているところでございまして、こうした場合に二つの要素を考えなければいけないというふうに思います。  一つは、これまでのその海外の運用経験というものを踏まえて、こういった体制をある程度維持していくためにはどういった装備が必要か、あるいはどういう体制が必要か、あるいはどういう人員の育て方が必要かとか、そういった総合的な観点からの検討というのが一つあろうかと思います。それから二つ目は、本来任務になって、これをどういうふうに在り方検討の中で、あるいは新しい防衛計画の大綱の中で優先度付けをするかということがございますので、そういう二つの要素を考えながら現在予定されております在り方検討の中で十分に検討をしていくと。今日先生からいただいたような御意見も含めて十分その体制に反映させていくということになろうかと思います。
  72. 米長晴信

    米長晴信君 今、防衛省の方とやり取りさせていただきましたけれども、本来は主管は海上保安庁のはずで、私がこの議論を通じて何が言いたかったかというと、ある程度の期間というのが、これが許容の範囲を超えて、本当にソマリア情勢の不透明さと相まってこれが長期間になったときには、やはりお金は掛かるかもしれない、人も掛かるかもしれないけれども、日本防衛に支障があるならば新たに体制を組んでいかなきゃいけないんだろうと。その場合は、今、海上保安庁の船を出せない特別な理由というのが幾つかあったと思うんですけれども、この際、この海賊対処あるいは同様の対処に必要十分な海上保安庁の船を改めて造って、それで対処してもいいぐらいだと思うんですけれども、金子大臣、いかがですか。
  73. 金子一義

    国務大臣金子一義君) 今回、自衛艦にこの海上警備行動を取っていただいている、あるいは海賊対処法ができ上がった後、自衛艦に出ていただくという特別な場合ということは、もう既に先生御存じのとおりであります。  ただ、こういう事案にかんがみまして、こういう遠方海域における重大事案対処するための海上保安庁の装備の充実というのは、当然でありますけれども、真剣に検討をしてまいりたいと思っております。
  74. 米長晴信

    米長晴信君 真剣に検討するということは、例えば、今後、予算の要求をされるとか、船造るための予算を計上するとか、そういうことでしょうか。
  75. 金子一義

    国務大臣金子一義君) 委員御存じのとおり、現在海上保安庁が持っている装備の四〇%が耐用年数が来ておりまして、船舶で耐用年数二十五年、航空機二十年でありますけれども、四割がそれを超えていると。これをやはり、ソマリアだけではありません、こういう日本海周辺、不審船といったようなこともありまして、やはりきちんと早くこれを整備する海上保安庁の装備の緊急整備計画というのがありまして、現在その渦中にあります。  我々は、ソマリアだけじゃなくて、やはりこういう我が国周辺の体制というのも今の哨戒体制で十分なのか、言うまでもありませんけれども、竹島にも尖閣諸島にも南大東島等々にも常時配置をしておりますけれども、今の哨戒体制というものをもう一遍検討しながら、具体的な予算としてどういうふうにしていくか、先ほど申し上げた来年度以降の予算要求をどうしていくかということは、こういう今の哨戒している計画、行動というものをもう一遍再検討した上で予算を要求すること、できればしたいということで検討をしておるところであります。
  76. 米長晴信

    米長晴信君 先ほどの防衛省さんとのやり取りで、とにかくある程度の期間なら二隻出しても大丈夫だけど、その先については非常にあいまいな答弁だったと思うんですけれども、ずばり本当、じゃ浜田大臣にお伺いしますけれども、二隻ずっと出っ放しということは、大臣としては、これは全く一点のすきもなく、日本防衛今までと同じで大丈夫と思われているのか。そうでないならば、今の体制がむしろ過剰だったんじゃないかという疑念もあるんですけれども、その辺、お答えいただけますか。
  77. 北村誠吾

    ○副大臣(北村誠吾君) 随時答弁をさせていただきましたけれども、確認の意味でお答えさせていただきますけれども、現在、海上自衛隊は約五十隻の護衛艦を保有しております。アデン湾における海賊対処のために二隻の護衛艦派遣しておる、申し上げてきたとおりであります。これは、現在の我が国周辺の国際情勢を踏まえ、自衛隊の主たる任務である我が国防衛体制を確保することを十分考慮した上で決定いたしておりまして、派遣部隊の交代の時期も含めまして、我が国周辺における各種事態への対応と即応態勢は維持できておると考えております。  一方、我が省におきましては、現在防衛力の在り方等について幅広い検討を行っておることは申し上げたとおりでありまして、この中で、海賊対処のための派遣を含む最近の自衛隊国際活動実績国際平和協力活動の本来任務化等も踏まえつつ、将来の自衛隊のあるべき体制を明らかにしてまいりたい、しっかりしたものをつくってまいりたいと考えておるところであります。
  78. 米長晴信

    米長晴信君 全然、作文読んでいただいたけど、答えになっていないんですよ。本当に、いつになるか分からない底なし沼みたいなところに七百五十人の隊員を派遣して、本当に日本防衛に穴が空かないのかということです。
  79. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 我々、自衛隊は、今までいろいろな中で、かなり限られた中でもしっかりとそれに対応するだけの能力を発揮してやってきておりますので、今後とも、そういった穴があってはいけないので、当然のごとくそうならないようにするために今努力しているところでございますので、その点についてはしっかりとやらせていただいております。  そして、今先生がおっしゃったように、そこに派遣しているのが、我々とすればただ単に派遣しているわけではなくて、そこに任務があるからそこに出ているわけでありますので、その点は当然、国民生命財産をしっかり守るために我々出ろと言われているわけでありますので、隊員に対してもそういった形で出していますので、その任務というものを遂行してそれを完結するまでしっかりやるということが、これが彼らの仕事でありますので、我々もそれを、今度は、じゃ日本の国内、守りは大丈夫なのかと言われたときには、それに対応してしっかりとやることを我々の任務でありますので、遺漏なきようやらせていただきたいと思っておるところであります。
  80. 米長晴信

    米長晴信君 今出しておられる自衛隊法八十二条を根拠にした場合は今の答弁で立派な答弁だと思うんですけれども、この新法ができたら、必ずしも日本人の生命財産を守るという形の派遣ではないわけですから、それはちょっと若干ずれができると思うんですけれども。
  81. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 我々、自衛隊の役目として、この本来任務の中に国際協力ということが出ているわけでありますので、それはもう当然同じことでありますので、まず、我々の第一義的には当然のごとく日本国民生命財産を守るということがありますけれども、しかしながら、今回出ているのも併せて当然これからは国際協力の面もかなり大きくなってくるということは事実でありますので、その点は、我々とすれば当然、今先生が御指摘にあったように、今度は広がるからといって何が変わるわけでもないということであります。
  82. 米長晴信

    米長晴信君 もう間もなく時間になりますので締めていきますけれども、今日の議論を通じて何となく分かったことは、まず、この新しい新法を基にどういった体制でその新法を根拠とした活動効果的にやろうかというビジョンが今日の段階ではまだはっきりは教えていただけなかったということと、もう一つは、取りあえず現有体制日本防衛に支障なくやっていくと。ここ、長引いたら本当のところはどうなんだというところは、本当はちょっと答弁いただきたかったんですけれども、それ答弁いただけませんでしたけれども。  要するに、この本法案の五条で海上保安庁がこれをやると、七条で特別な場合には自衛隊が出るというのは形だけであって、もう事実上、この任務は未来永劫やるとしたら自衛隊が船を出す、事実上そうであるということでよろしいんですか。それ以外、これ以外形ないということですね。
  83. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 当然これ、私どもはその法律に従ってやりますので、特別な場合において我々は活動するということでありますので、それは政府の判断だと私は思っております。
  84. 米長晴信

    米長晴信君 いずれにしましても、いつになるか分からないミッションに七百五十人出して日本防衛大丈夫なんだろうかというのは、今大丈夫ということは、何か緊急的な対処で余力を持つということも当然我が国防衛に必要であって、それはある程度許容範囲の任期と距離において言えることであって、やっぱり幾ら何でも地球の裏側まで行って、それをいつになるか分からない期間派遣するというのは、答弁では今日は、穴が空くとは口が裂けても言えないんでしょうけれども、それは、ただ、現実的には長期になればなるほどそれを補完するような体制を考えていかなきゃいけなくて、そのときには主管官庁である海上保安庁が、じゃ体制をどう組む、新しく船を造るように要求する、人員配置する、訓練する、そういうことをもっと歯切れよく今後答弁をしていただきたいと。  今日はそのお願いだけ申し上げまして、いったん質問を終わります。  ありがとうございました。
  85. 白眞勲

    ○白眞勲君 民主党の白眞勲でございます。  ちょっと、入れ替わるんでちょっと、答弁者を入れ替えるんで、速記止めてください。
  86. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 速記を止めてください。    〔速記中止
  87. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 速記を起こしてください。
  88. 白眞勲

    ○白眞勲君 まず、北朝鮮が行ったという核実験についてお聞きいたします。  まず、防衛省にお聞きいたします。  我が国は、この北朝鮮の核実験の発表以降、空中に拡散している可能性のある放射性物質の監視体制の強化のため、航空自衛隊機による大気の採取活動をしておりましたけれども、現在はどうなっているのか、お答えください。
  89. 秋山義孝

    政府参考人(秋山義孝君) お答えいたします。  防衛省は、五月二十五日の放射能対策連絡会議における放射能モニタリング強化の措置を受けまして、二十五日以降毎日、航空自衛隊機により日本上空において大気浮遊じんの採取を行い、分析を実施いたします日本分析センターに輸送しているところでございます。  これまで防衛省が採取した大気浮遊じんの分析結果につきましては、日本分析センターから逐次、人工放射性核種は検出されずという通知を受けております。  なお、防衛省が採取しました浮遊じんの分析結果につきましては、他の省庁で行っております地上におけるモニタリング結果と併せまして政府として内閣官房から公表されております。
  90. 白眞勲

    ○白眞勲君 今も飛んでいるんですか。
  91. 秋山義孝

    政府参考人(秋山義孝君) 失礼しました。  本日まで飛んでおります。本日午前中にも一回飛んでおります。
  92. 白眞勲

    ○白眞勲君 今、何も今のところは発見されていない、そういうものはないという御答弁だったと思うんですけれども。  文部科学省さんいらっしゃると思います。文部科学省さん、今の状況についてお知らせいただきたいと思います。
  93. 中原徹

    政府参考人(中原徹君) お答え申し上げます。  文部科学省といたしましても、五月二十五日の放射能対策連絡会議代表幹事会申合せに基づきまして、各都道府県等の協力を得て放射能の測定体制を強化して、日本国内への影響について調査を行っておるところでございます。  具体的には、空間放射線量の測定、それから地上の大気の浮遊じんの採取、測定、それから雨水などの降下物の採取、測定、それから地上におけますキセノンの採取、測定、こういったものを当省において実施しているところでございます。  これらの測定結果につきましては、五月二十六日以降、毎日でございますが、内閣官房に報告の上、公表されておるところでございますけれども、これまでのところ異常値の検出はないというふうに承知してございます。
  94. 白眞勲

    ○白眞勲君 これ、当然採取して分析に回して、分析結果が出るまで大体タイムラグというのはどれぐらい今あるんでしょうか、タイムラグはどのぐらいあるんでしょうか。
  95. 中原徹

    政府参考人(中原徹君) 空間線量率やそれから地上大気浮遊じん、それから降下物、キセノン等々の各場合につきましていろいろと差がございます。  具体的には、空間放射線量でございますと、これ比較的早く数時間で測定して結果を報告することができます。地上の大気浮遊じんの採取、測定等になりますと、採取する時間がそもそも二十四時間ぐらい掛かりまして、またその分析には六時間ほど掛かるというふうに承知してございます。それから、キセノンでございますともっと長い時間が掛かるというふうに聞いてございます。
  96. 白眞勲

    ○白眞勲君 核実験を行いまして、やはり浮遊している大気の物質というのはどうなんだというのは非常にやはり国民にとってみても関心のあることだと私は思っているんですね。  当然、飛んでいる最中に、といっても、何かよくSF映画みたいなのだと、ガイガーカウンターというんでしょうか、ピピピッと鳴っちゃったりとかいうのもあるわけでして、何かやっぱりその場でぱっぱかぱっぱか分からないと、これ本当に国民としても、何というんでしょう、ちょっと気になるところなんですね。例えば、今日飛んでいる、今朝飛んでいると、もう今日は大丈夫ですというぐらいのやっぱり、何というんでしょう、技術的な進歩というんでしょうか、そういうのをどんどんこれ研究しないといけないんじゃないですか。どうですか、これ。
  97. 秋山義孝

    政府参考人(秋山義孝君) お答えいたします。  今どのような状況になっていますかといいますと、大体飛行機で上空に上がりまして一時間程度飛行してちりを集めてまいります。それを地上に降りまして航空基地から千葉まで運びますのに更に数時間掛かります。それで、放射線の検出につきましては、主として放射能じんにつきましてはガンマ線の検出を行っておりますが、微量でございますので瞬時というわけにはまいりませんので、大体八時間程度一回の検出に掛かるというふうに聞いております。  そういうことで、大体長くて一日、状況によってはもっと短いと思いますが、飛行中に極めて微量の物質を直ちに検出するのは今の技術ではちょっと難しいんではないかというふうに考えております。
  98. 白眞勲

    ○白眞勲君 技術が難しいのはしようがないにしても、運ぶ時間というのは何とか短縮することができるんじゃないかなというふうに私は思うんですね。  これ、防衛大臣でいいのかどうか、これ、内閣の一員としての防衛大臣としてお聞きしたいんですけれども、やはりこれ、何とか早い方向で考えるようにちょっと内閣でも考えていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょう。
  99. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 私の方からすれば、今回のちりを集めるのを我々の方が委託されておるわけでありますので、我々の方で技術開発というのはなかなか大変かもしれません。  しかしながら、いろいろな意味で、これだけ技術の進歩あり、そしてまたそういった必要性があるということであるならば、当然これは予算面の措置ということから始まろうかと思いますので、これは政府全体でお考えをいただくことだと思いますので、私からはその程度にとどめさせていただきます。
  100. 白眞勲

    ○白眞勲君 北朝鮮は四月に使用済み核燃料棒の再処理作業を始めたことを明らかにしましたけれども、この再処理によって大気中に放出されるかもしれない核関連物質の集じん作業というのも併せてこれ文部省さん、行っているんでしょうか。
  101. 中原徹

    政府参考人(中原徹君) お答え申し上げます。  先ほど御説明申し上げましたとおり、日本の原子力のいろんな施設に対しますいろいろな環境のモニタリングを行うという観点からいろんな施設を整備してございまして、そういったものを利用いたしまして、先ほど申し上げました空間放射線量ですとか地上の大気浮遊じんですとか降下物ですとか、そういったものを測定しておるところでございます。
  102. 白眞勲

    ○白眞勲君 ということは、今のところ、そういったいわゆる今回の核実験ではない、核燃料棒関連についてもまだそういったデータというのは出てないということでよろしゅうございますね。
  103. 中原徹

    政府参考人(中原徹君) 今のところ、測定の結果、異常値の検出はないというふうに聞いてございます。
  104. 白眞勲

    ○白眞勲君 外務省にお聞きいたします。  イギリスからこの核実験に関連して航空機が飛来したとのことですけれども、どんな航空機なんでしょうか。それで、いつからいつまでいるんでしょうか。
  105. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) 英国空軍機VC10という飛行機がございますが、これが五月二十七日から昨六月三日まで、国連軍地位協定に基づきまして、国連軍としての朝鮮半島の平和と安全の保持のための活動に必要な補給等の任務のために嘉手納飛行場を一時的に使用していたということは承知をしております。  なお、同型の飛行機は二〇〇六年の十月にも来ておりますが、私ども、その同機の活動の詳細については、軍の運用に係ることでもございますし、また関係国、特に英国との関係でお答えは差し控えたいということで、恐縮ながら御了承いただきたいと思います。
  106. 白眞勲

    ○白眞勲君 VC10の何型ですか。K1とかK3とかあると思いますけれども、何型ですか。
  107. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) そこまでは承知しておりません。
  108. 白眞勲

    ○白眞勲君 日本に来たということになりますと、これ呼んだんですか、それとも来たんですか、向こうから自発的に。その辺はどうなんでしょうか。
  109. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) これは、国連軍としての活動を行いたいということで、国連軍地位協定に従いまして先方から通告があったということでございます。
  110. 白眞勲

    ○白眞勲君 イギリス軍の航空機の場合、これ日米安保条約とは全く関係ない、枠外ですけれども、そうしますと日本側からは要請してないんですね。
  111. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) 日本側からの要請ということではございません。
  112. 白眞勲

    ○白眞勲君 運用に関する費用はどちらが負担しているんでしょうか。
  113. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) これは、私どもは一切そういう意味でこの運用について費用を負担しているわけではございません。恐らくイギリスが自分で負担しているんだろうというふうに思います。
  114. 白眞勲

    ○白眞勲君 前回ですね、浅野副大臣が結果を御報告しているんですね、この国会で。この核の集じん作業については何も発見されませんでしたというふうにはっきりおっしゃっているのに、何で今回言わないんですか。
  115. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) 英国は英国自身、これは英国が聞かれても答えておりません。したがって、今回も英国政府としてどういう活動をしたか、活動の結果がどうであったかということをまだ公表しておりませんので、そういう段階で私どもの方からこれを公に御説明するわけにはいかないということでございます。
  116. 白眞勲

    ○白眞勲君 つまり、前回は公表したんですね。
  117. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) 前回も公表ということはしていないんではないかというふうに思います。
  118. 白眞勲

    ○白眞勲君 浅野副大臣、お答えになっていますよ。
  119. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) 浅野副大臣は御答弁になりました。そこは記録にもあるとおりでございます。
  120. 白眞勲

    ○白眞勲君 浅野副大臣答弁しましたけど、今回は言いませんということでしょうか。
  121. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) 浅野副大臣は、当時はお答えになりました。今回は、私どもイギリス側ともいろいろ連絡をしておりますけど、これは公表しないということで先方が言っておりますので、そうである以上私どもの方から御説明はできないということでございます。
  122. 白眞勲

    ○白眞勲君 つまり、前回は先方は公表してもいいというふうに言っていたわけですね。
  123. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) 前回について、これも、イギリス側とのやり取りの詳細は申し訳ございませんけれども明らかにするわけにはいかない。ただ、浅野副大臣が御答弁になったということは記録にもあるとおりでございます。
  124. 白眞勲

    ○白眞勲君 これ非常に重要な問題だと私思うんですね。VC10がここにわざわざやってくるんですよ。それで、核の実験の後にやってくるんですよ。前回もそうでしたよね。今、燃料補給のためにやってきたと何かのうてんきなことをおっしゃっていますけれども、そんなわけないでしょう。わざわざ何でイギリスの飛行機がここまで燃料補給にやってくるんですか。それは集じん飛行をするためにここに来て、燃料補給をするために来たということなんじゃないんですか。  ですから、そういった観点からすると、やはりそこはしっかりと、イギリスからそう言われたから言わないんだじゃなくて、やっぱり言えるところまでは言ってほしい、私はそういうふうに思いますけれども、これは外務大臣、どういうふうに思いますか。
  125. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 先ほど参考人から御答弁いたしましたように、国連活動の一環として我が国の嘉手納に立ち寄って給油をしたというふうに先ほど御答弁したと思いますので、給油のために来たというふうに委員がおっしゃいましたけれども、私の理解は国連活動のために来て給油に立ち寄ったということではないかと思います。
  126. 白眞勲

    ○白眞勲君 何日でしたっけ、二十七日から六月三日まで給油のために立ち寄ったんですか。言い方おかしいじゃないですか。
  127. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) もう一度繰り返して申し上げますけれども、国連軍としての朝鮮半島の平和と安全の保持のための活動に必要な補給等のため嘉手納飛行場を一時的に使用していたということでございます。
  128. 白眞勲

    ○白眞勲君 つまり、補給がメーンなんですか、それとも補給等の等がメーンなんでしょうか、どっちなんですか、それ。
  129. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) これは嘉手納の使用ということでございますので、嘉手納の使用は、あくまでもこの朝鮮半島の平和と安全の保持のための活動に必要な補給等を行うということで嘉手納を使用したということでございます。
  130. 白眞勲

    ○白眞勲君 これ以上やって、今日は大分時間もいただいているんですけれども、どんどん時間が過ぎていっちゃいますので、またこれやりますので、ちょっと先に進めたいと思いますが、防衛省にお聞きいたします。  北朝鮮は北西部の平安北道東倉里という場所で長距離弾道ミサイルテポドン2かその改良型と推定される物体を列車で運び込んだと複数の外国のメディアで報道されていますけれども、その点につきまして大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
  131. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 御指摘の報道につきましては承知をしておりますけれども、各種の報道に対してコメントすることは、これは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、しかしながら、なおこれまでの状況等を総合的に勘案すると、北朝鮮が弾道ミサイル発射に踏み切る可能性は否定できないものと考えておるところでございます。  いずれにせよ、我々防衛省としては、情報収集、分析に努めるとともに、万全を期してまいりたいというふうに思っているところであります。
  132. 白眞勲

    ○白眞勲君 また、韓国の報道等によりますと、韓国の統合参謀本部、軍事指揮本部を訪問した韓国の国会の国防委員会委員に、北朝鮮が南東部の江原道旗対嶺、キテリョンと言いますが、先ほど申し上げたICBMですね、大陸間弾道ミサイルとは別に中距離弾道ミサイル、これは射程が千三百キロのノドンミサイルと推定されていますが、場合によっては二〇〇七年に実戦配備したんじゃないかと言われているこれよりも二・五倍ぐらい射程の長い三千キロの新型ミサイルの可能性もあるというふうに言われているんですが、少なくとも三発以上の発射可能性もある。この点については、大臣、どうでしょうか。
  133. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) そういった報道に対してのコメントは同じ答えでありますけれども、今お話にあったように、先ほど申し上げたように、弾道ミサイルの発射についてもその可能性は否定できないと申し上げましたが、この二〇〇六年の七月五日に北朝鮮がミサイルを発射した際には、テポドン2のほかに旗対嶺からノドン及びスカッドであったと見られる六発の弾道ミサイルが発射されたと。こういうことも、ミサイルも発射されたということも十分に踏まえ、今後も情報分析に、収集に努めてまいりたいというふうに思っているところであります。
  134. 白眞勲

    ○白眞勲君 これ、実は私報道を聞いて、韓国国防委員会に聞いてみたんですよ、電話で。そうしたら、事実だと言うんです。つまり、何が事実かというと、統合参謀本部が韓国の国会議員に説明をしたそうです。中には聞いていない国会議員がいたらしくて、国防委員会の方から参謀本部にもう一回問い合わせをしたら確認取れたと言っているので、これは本当に正式に、韓国軍は国民に対して、国会ということは国民に対してきちっと、ノドンミサイルかこの三千キロの射程か分かりませんけれども、ともかくこのミサイルを配備している、発射の可能性ありということを説明しているというふうになっているんですね。  御存じのように、まあ私が言うこともないですけれども、ノドンミサイルというのは、これは射程がそういったものである以上は、これは韓国だけではなくて日本にも極めて重大な脅威になり得る可能性があるということですから、もう少しこの辺は踏み込んで、これ防衛大臣、ちょっとお話しいただきたいと思いますね。これは本当にどうなんだと。当然韓国の国防部との連携はしていると思いますんで、その辺についてはどうなのか、もう一回お話しいただきたいと思います。
  135. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 我々とすれば、先生がおっしゃったように、情報の交換というのはこれは当然しているわけでありますが、それに対して我々の方が韓国のいろいろなインテリジェンスの関係をなかなか言うのは難しいところもございます。  ただ、我々とすればいろいろな判断材料として、今先生がおっしゃったように正式にどうこうするということは、またこれ政府全体として対応することになろうかと思いますので、今この時点で私からのコメントというのは避けさせていただきたいと思います。
  136. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、これは政府全体である以上、さっさとこれやるべきだと私は思っているんですよ。やはり政府としてどうするんだと、これについて。  だったら、例えば韓国の統合参謀本部はそう言っていますよということを言うだけだって私はいいと思うんですよ。そのインテリジェンスの問題があるから、自分たちから言わなくたっていいじゃないですか。そういうことを言っていますよということを公式に韓国国防部は認めていますという言い方だって私はいいと思うんですよね。それについてはいかがでしょうか。
  137. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) それも含めて検討させていただきます。
  138. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、検討ではなくて、それは当然情報として持っていらっしゃるんですから、そこはちょっと、しつこいようですけれども、やはりきちっと、重大な脅威なんで、この辺はもう少しお話しいただきたいと思いますね、検討じゃなくて。というのは、もうミサイルですからね。この前は何か、彼らは衛星だとかなんとかと、人工衛星だみたいなことを言っているんですが、ミサイルということになると、これは予告なしに発射する可能性があるわけですから、やはりそこはもう少し踏み込んでお話しいただきたいなというふうに思いますね。
  139. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) その点も含めて、要するに航行制限区域等々のまたそういった発表等もまだ我々とすれば把握をしていないところでありますんで、そういったことも勘案しながら、先生のおっしゃるように、遺漏なきように政府として対応していきたいというふうに思いますので、もうしばらくお時間いただければと思います。
  140. 白眞勲

    ○白眞勲君 じゃ、しっかりとそこは、韓国国防部が発表したんだということを踏まえて、これは日本政府としてもどういうふうに対応するかというのはやはりお考えいただきたいと思うんですが。  何か高見澤さん言いたそうですんで、どうぞ。
  141. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) ちょっと事実関係のことなんで念のためなんですが、私も今まで、いろんな韓国の報道機関で韓国の国防部が公式に発表したというような報道がされておりまして、いろいろ調べておりますと、かなり韓国の場合は、いわゆる国会の専門の委員会の場で外には言わないという前提で、そういったシステムがあって、その中で韓国の国防部がいろんな説明をしていると。その内容について国会の委員の方々がプレスに聞かれた場合にお話しになったりしているというような経緯があるようでございまして、私どもも、韓国の国防部の正式な発表というものについてはそれは当然我々も知る立場にありますし、報道であたかも公式に発表したというようなことで報道されているものについて我々も確認をすると、そうでもないと、あるいは必ずしも正確でないというようなこともございますので、その辺はいずれにしてもきちっと確認をさせていただきたいと思います。
  142. 白眞勲

    ○白眞勲君 じゃ、高見澤さん、今回の弁は、報道について確認したんですか。私は確認したんですよ。私は電話したんですよ。
  143. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) お答えします。  それはまさに白先生のお立場もあるのかもしれませんが、私どもとしては、報道機関に対して、国防部、正式な答えがいわゆるプレスガイダンスとして答えるような場合と公式な発表というのはそれは違うんじゃないかと思いますけれども、いずれにしてもその点はよく調べさせていただきたいと思います。  私が申し上げましたのは、調べさせていただく前提としてそういったこともあるのでということで申し上げさせていただきました。
  144. 白眞勲

    ○白眞勲君 混乱させないでくださいよ、この委員会を。いや、僕は一般論として聞いているわけじゃないんですよ。報道ベースのことは、私だってそれぐらいのことは分かっていますよ。  ですから、私が申し上げているのは、韓国国防部がちゃんと認めてちゃんと国会議員に話しして、それをもう一回韓国の国会が国防委員会の方でちゃんともう一回聞き直しているんですよ。そこまでやっているということは、しっかりとその辺は、今までの何かあやふやな情報かもしれませんよとか、それは何か、何ですか、秘密の情報なんだからそれは何とかだとかかんとかとか、報道ベースだとか、そういう話じゃないんで、次元が全然違いますから、そのお話、高見澤さん。それはちょっと別な意味で、私の今やっている何かシナリオを壊さないように是非お願いしたいと思いますね。  今回、ちょっと防衛大臣にもう一回お聞きしたいんですけれども、射程が三千キロの可能性もあるわけですね。これ、可能性としてですよ。今回のような新型ミサイルの場合、これを日本が迎撃する能力というのはあるんでしょうか。SM3、現在のSM3で大丈夫なんでしょうか。
  145. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) その点については、当然、いろんなミサイルの能力等々を勘案すれば当然対応できるものと思っております。
  146. 白眞勲

    ○白眞勲君 何か後ろでこそこそ言ってくれていますけれども、SM3、新しい形のSM3、私は必要なんじゃないかなと思うんですけれども、その辺の技術開発はどうなんでしょうか。
  147. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 一応ケース・バイ・ケースによって今先生のおっしゃった新しいものに対応できるというのは確かに出てくるかもしれませんし、その点は今我々もいろんな想定をしながら研究開発をしているところでありますので、先生の御指摘の点というのは当然あるべきことだと思いますが、いずれにしても、今後そういったものも頭に入れつつ研究対応していくことになろうかと思います。
  148. 白眞勲

    ○白眞勲君 今、先ほどですか、防衛大臣がまさに前回の二〇〇六年のミサイル発射と同じような現象が起きる可能性だって否定できないというふうにおっしゃいましたけれども、やはりこれも立て続けに旗対嶺で前回は発射しているわけですよね。今回も同時発射する可能性というのは否定できないと言う韓国の専門家もいる。ということは、北朝鮮が、ICBMの迎撃可能性について、ミサイルを一発ではなくて何発も発射の場合に日本のミサイル防衛システムというのは対処できるんでしょうか。
  149. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) お答えいたします。  ミサイルの発射のいろんなやり方ということを一般論として申し上げますと、一つは、単純な目標に対して単純に一発を発射するというようなこともあると思いますけれども、同時に多数の目標を一発ずつ同時にやるというような攻撃の方法もございますし、あるいは一つの目標に対して集中して同じ弾が落ちてくるようにするという、いわゆる同時着弾的な攻撃等々もあろうかと思います。  それから、発射の形態といたしましても、これもあくまで一般論ですけれども、かなり高くほうり上げて落としてくるような、いわゆるスピードを高めてやるような攻撃の仕方やいろんなのがあると思いますので、そういったいろんな私どもとしては状況も考えながら、それぞれのシステムというのがどういう能力を持つのかということについては常に研究をしていくと。  それから、目標がいろいろ識別しにくいというようなケースもございますので、そういう意味で、センサーからいわゆるこちら側の対処まであらゆるフェーズにおいて一番いい方法というものを常に検討をしていく、その際に日米の協力も考えながらやっていく、また我々自身の独自の能力というものもきちっと備えていくという、そういう前提でやっております。  したがって、こちらからまた撃つ場合も、SM3もあればPAC3もあるということで二層防御で考えておりますし、その目標に対する対応というのもいろんな効果的な方法を考えているということで御理解をいただきたいと思います。
  150. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、研究しているとか考えていると言われちゃうとちょっとこっちも困るんですね。私が聞いているのは、今現在対処できますかということを聞いているんですよ。  今後、それはいろんなやり方ありますよ、それは。また逆に、それをこっちがこうやったら、じゃ、こうやっちゃえ、ああやっちゃえということになるからなかなか言いにくい部分はあるかもしれませんが、少なくとも現状の今の体制で大丈夫だということについては国民は心配しているんですよ。これ、ちょっとお話しください。
  151. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) お答えいたします。  いわゆるノドン級のミサイルに対しては現行のシステムでも十分な対応ができるというふうに思っておりますし、そのシステムを最大限に発揮するためのいろんな訓練というものを常に重ねているということで御理解をいただきたいと思います。
  152. 白眞勲

    ○白眞勲君 海上保安庁にちょっとお聞きします。  今後、北朝鮮に関する国連安保理の制裁が強化される可能性というのも指摘されているわけですね。そういう中で最近PSIについて話題が大分出てきていると。当然日本としても、今後PSI、阻止活動については関係国と密接に連携して、例えば海上自衛隊の艦船や海上保安庁巡視船や航空機による警戒監視活動等も実施して、情報収集活動で得られた情報が関係国が共有できるようにする訓練などもしているんだと思うんですね。  質問は何かというと、例えばアメリカなどがPSI参加のために日本近海に来て、海軍の艦船と現在の法体系の中で連携をしていかなければならないということもあり得ると思うんです、私は。海上保安庁として、つまり各国の連携という観点からその辺り大丈夫なんでしょうか。
  153. 岩崎貞二

    政府参考人岩崎貞二君) 今のPSIでやるというのも、国内法の範囲内でやると、こういうことになっております。したがいまして、実際に検査をするといったことは、日本の国内法の範囲内で海上保安庁が私どもの巡視船を出して検査をしていくということになります。  ただ、先生御指摘のとおり、情報共有とかそういった面ではすることの必要性もあろうかと思っておりますし、また、そう頻度は多くありませんけれども、年に一回程度、PSIの訓練というのをアメリカ、オーストラリア等含めてやっております。
  154. 白眞勲

    ○白眞勲君 つまり、情報共有の訓練というのをアメリカとかオーストラリアと一緒にやっているんだということでよろしゅうございますね。
  155. 岩崎貞二

    政府参考人岩崎貞二君) 訓練でございますと一定のシナリオに基づいておりますけれども、そうしたものを含めてやったケースもあると承知しております。
  156. 白眞勲

    ○白眞勲君 これは、今はアメリカ、オーストラリアとおっしゃいましたけれども、国連軍地位協定で様々な各国の艦船が来た場合に対応はできるんでしょうか。
  157. 岩崎貞二

    政府参考人岩崎貞二君) その具体的なシチュエーションによりますけれども、いわゆるどういう船が虞犯船であるかもしれないとか、あるいはこういう形で大量破壊兵器関連の物資が船で運ばれている可能性があるとか、そういう情報共有、静的な情報共有という表現でいいのかもしれませんけれども、そういうことについてはそれはある程度できると思っております。
  158. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、私の聞いているのは、静的な情報共有はそれはもう外務省を通じても何でもやっていけると思うんですけれども、実際に船と船同士ですよね、船と船同士の情報の共有というのはどの程度できるのかというのを聞いているんですよ。
  159. 岩崎貞二

    政府参考人岩崎貞二君) 船と船とでの現場での情報共有という意味では、これは一般的な無線を通じてやるという形の情報共有しか現在の海上保安庁の能力ではありません。  したがいまして、そういう動的な、機微に触れるような情報を現場でやっていくというのは、それは不可能でございます。
  160. 白眞勲

    ○白眞勲君 つまり、それはアメリカとかオーストラリア、これについては、そうすると動的な情報については、いわゆるデータリンクとかそういったものについてはやっていないということなんですか。
  161. 岩崎貞二

    政府参考人岩崎貞二君) そういうシステムはございません。
  162. 白眞勲

    ○白眞勲君 それはやるべきなんじゃないですか。
  163. 岩崎貞二

    政府参考人岩崎貞二君) 少なくとも現在のところ、それがなくて支障が出ているということではございません。
  164. 白眞勲

    ○白眞勲君 なぜですか。
  165. 岩崎貞二

    政府参考人岩崎貞二君) 現在、それぞれ国内法に基づいた範囲内でやっておりますし、それについて、PSIについても我々なりの国内法での立入検査等をやっておりますけれども、主として日本国籍の船を対象にする、領海外では日本国籍の船を対象とするということが今のPSIの仕組みでございますので、その必要性は今のところございません。
  166. 白眞勲

    ○白眞勲君 だったら、何で各国と連携しているんですか。
  167. 岩崎貞二

    政府参考人岩崎貞二君) お互いどういうやり方をするのか、それから例えばやり方として、例えば日本の領海でやる場合も外国船籍の船をやる場合もあります。そういう場合について、外国船籍の船をやる場合、その外国船籍の旗国についてどういう情報が必要かといったことの情報を求めたりすることはございますので、そういう意味での連携といったことはやっております。
  168. 白眞勲

    ○白眞勲君 だから、情報共有やっているんじゃないですか。そういう情報共有やっているんじゃないですかということです、私が言いたいのは。  全然必要ないっておっしゃってみたり、いやいやアメリカとオーストラリアとはやっていますとかおっしゃったり、全然矛盾しているような感じが私は受けるんですけれども、どうでしょうか。
  169. 岩崎貞二

    政府参考人岩崎貞二君) 必要な範囲内での情報共有をやっておりますけれども、繰り返しになりますが、そうした動的、即時的な情報共有を必要とするほどのことは今までもございませんし、現にまたそういうシステムもございません。
  170. 白眞勲

    ○白眞勲君 全然答えが、外国船舶に限って言った場合にどうだこうだと言っていても、私はもっとしっかりと情報共有した方がよりそういう効果を高めることはできるんではないのかなというふうに思うんですけれども、その必要性というのは長官としては感じていないんですね。
  171. 岩崎貞二

    政府参考人岩崎貞二君) 繰り返しになりますけれども、今のPSI、船舶検査の枠組みは、日本でやっておる仕事でございますけれども、領海は、日本籍、外国船の船籍も含めて、これは港に立ち入った場合等立入検査をしております。それから公海につきましては、これは日本国籍の船が対象になります。外国籍の船については、こうした領海以外で権限が及ぼせるのは排他的経済水域の場合の漁業でありますとか等々でありますし、それから今回、今御議論いただいている海賊の場合とかが該当するわけであります。  したがって、公海上外国籍の船を対象にPSIのことをやるということはありませんので、そうしたものについての必要性は、必ずしもそんなに必要じゃないと、こういうことでございます。
  172. 白眞勲

    ○白眞勲君 この辺の議論をまたちょっと後でやりたいと思っているんですけれども、ちょっと話を変えます。  外務省の方にお聞きします。  薮中事務次官が記者会見で、今回の北朝鮮の核実験を踏まえて、スタインバーグ国務副長官との訪日に合わせた会見でこうおっしゃっているんですね。六か国協議についてはいろいろな形で分析しており、今後の在り方について考えなければならないことだと思います。今までのアプローチがどこまで成功してきたのか、あるいは今回のような状況になって実際にどこまで効果があったのかどうか、その辺の反省も含めて新しいアプローチを考えていく。  この反省という言葉、これ私ちょっと驚いちゃったんですけれども。つまり、今までのやり方は、反省という言葉を使ったということは失敗だったということじゃないですか。これ、何を反省しているんですか、何を失敗したというふうに思っているんですか、お答えください。
  173. 石川和秀

    政府参考人(石川和秀君) お答え申し上げます。  委員御指摘のとおり、一日にスタインバーグ米国務副長官を始めとする米国代表団との間で今後の六者会合の取り進め方等について意見交換を行っているところでございまして、その後の定例の記者会見におきまして、委員の御発言のあったとおりの次官からの発言があったところでございますが、この記者会見におきましては、薮中次官からも、六者会合の枠組みを否定するものではなく、北朝鮮の核問題を始めとする諸懸案の解決のため、現時点で日米共に最も現実的な枠組みであると認識している六者会合をいかにして従来よりも効果的なものとするかを考えていく必要があると、こういう趣旨で述べたものと考えております。  したがいまして、今委員の御指摘の反省につきましては、まさにこういう現在考え得る現実的な枠組みである六者会合を、これまでの取組を振り返った上で、いかに更に効果的なものにするかということを考えるべきだと、こういう趣旨を述べたものと考えております。
  174. 白眞勲

    ○白眞勲君 それじゃ、反省という言葉を使わなくていいじゃないですか、別に。効果的なやり方をすればいいというふうに言えばいいのであって、これ反省というふうに、その辺の反省を含めて新しいアプローチというふうにおっしゃっているんですね、を考えていくって。つまり、今までのやり方は間違っていたから新しいアプローチを考えていくというのがこの私は取り方だと思うんですよ。実際に核実験されちゃったんじゃないですか。ですから、それを反省するんじゃないんですか。それ反省していないんですか、それとも。それ、どうなんですか。
  175. 石川和秀

    政府参考人(石川和秀君) 六者会合のこれまでのその取組につきましては、もちろん当初の目標とした六者会合の結果が出ていないということについては委員も御承知のとおりでございまして、そういう意味ではこれまでの取組において、いわゆる反省といいますか振り返ってみて、もうちょっと効果的に、あるいは良くする方法がないかということを考えるということが重要であるという意味で次官も申し上げたというふうに理解をしております。
  176. 白眞勲

    ○白眞勲君 つまり、そういう面で反省という言葉を使ったということでいいですよね。
  177. 石川和秀

    政府参考人(石川和秀君) 重要なことは、六者会合というのは最も現実的な枠組みで引き続きあるという認識の下に、これをより効果的にするためにどうしたらいいかということを考えることが重要であって、そのために過去どうであったかということを改めて振り返ってみたということだと思います。
  178. 白眞勲

    ○白眞勲君 これ拉致問題も全く進展していませんよね、六者協議という枠組みの中でも含めてですよ。この間、これについての反省というのはいかがなんですか。
  179. 石川和秀

    政府参考人(石川和秀君) 今回のスタインバーグ国務副長官の訪日の目的は、核実験の後を受けた形の日米間の意思疎通の充実と更なる連携ということが専らでございますけれども、当然のことながら、その意見交換の中においては、拉致問題の我が国にとっての重要性ということも改めて日米間で確認をしたところでございます。
  180. 白眞勲

    ○白眞勲君 外務大臣にお聞きいたします。  今、拉致被害者の御家族の皆さんというのは、なかなか進展がしていないこの拉致問題について非常につらいお心を持っていらっしゃるというふうに思うんですけれども、その辺、政府は今、こういう北朝鮮の状況を見ながらどのように大臣としてはお考えでしょうか。
  181. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 長い間の我が国にとっての最重要課題の一つでありまして、私どもも一生懸命取り組んでいるところでありますが、現状は、今委員からもお話ありましたように、なかなかこの拉致被害者の帰国というものが実現をしていないのは大変に残念なことであります。  私どもは、昨年、北朝鮮との間では、日朝の間で拉致被害者の調査のやり直しを全面的に行うと、そういうことであれば、私どもも今行っている対北朝鮮措置、これについてはこれをまた解除する用意があるということで合意をしているわけでありまして、このことにつきましては我が国政府の方針も変わっておりませんし、変わっていないということは再三北朝鮮に対してもいろんなところの発言でこれは表明しているところでもあります。  また、北朝鮮側も、ミサイルの発射、核実験等がございましたけれども、この拉致の調査についてはこれをやめるとかそういうような今まで発言等はなかったと、そういうふうに認識しておりまして、私たちは、今参考人からもお話ししましたように、いろいろな機会を通じてこの問題を国際社会にも訴え、協力をお願いし、また六か国協議の中のまた一つのこれは重要課題として共同してこれに取り組んでいくということで働きかけをやっているわけでありまして、そういう意味では、成果がなかなか上がっていないということは大変に残念なことでありますが、引き続いて一生懸命やっていく、そういう決意でございます。
  182. 白眞勲

    ○白眞勲君 今大臣の方からも、いろいろな機会を通じてこれからも働きかけをしていかなければいけないというふうにおっしゃったんだと思うんですけれども、今、北朝鮮をめぐる動きなどの安保理決議について、これ日本のやはり意思というのはどうなんだと。やっぱり拉致の問題があるわけですね。総理もしっかり対応していきたいというふうに御答弁されていますし、安保理決議、もう間もなく、今やっている最中だと思いますけれども、その内容についてはどうであれ、我が国としてはこの拉致を入れたいのか入れたくないのか、これについて、外務大臣、どういうふうに思っていますでしょうか。
  183. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 今回、まさに幾日か続けて精力的にニューヨークの国連の安保理で決議について協議が行われているところでございます。  おっしゃいましたように、内容についてはここで触れることは控えさせていただきますけれども、我が国としては、追加制裁を含むできる限り強い決議を迅速に採択することが大事だということで当初から積極的に働きかけをやっているところでございますが、拉致の問題につきましても、これはこの決議の中で、前文で、前回の決議におきましても、正式な文言を私ちょっと今失念いたしましたけれども、人道的な、人道上の懸念という表現でたしか前文にもこれが載っておりますし、今回もそういう形で載せるべきだということは強く主張しておりまして、まだ最終的にこれが、決議案がまだ表に出たり、これが決まっているわけでありませんので何とも今の時点では申し上げられませんが、そういう形で採択されるように我が方としては主張しているところでございます。
  184. 白眞勲

    ○白眞勲君 日中外相電話会談、この前、外務大臣、行われたと思うんですけれども、安保理は適度な対応をしバランスの取れた決議を採択するということを先方の外務大臣がおっしゃったという報道があるんですけれども、やっぱり今ポイントになるのは中国の出方だというふうに思うんですね。  ちょっと、一番重要なことを、まずポイントを聞きたいんですけれども、中国は今回は決議を出すことについては合意しているんですか、内容はどうであれ。決議は出すということはいいと言っているんでしょうか。それだけちょっとお聞きしたいと思うんですが。
  185. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 私は、中国の楊潔チ外交部長とはASEMの会合のときあるいは電話会談等で意見交換をし、また我が国の立場を強く中国側にも表明しているところでありますけれども、中国側の立場は今回も非常にはっきりしておりまして、北朝鮮が再び核実験を行ったということについては断固として反対であると。そして、当面の情勢の下で、安保理が適度な反応をし、バランスの取れた決議を採択することに賛成すると。さらに、安保理決議と制裁だけでは問題は解決できない。圧力を加えるとともに、また交渉に北朝鮮を引き戻す必要がある旨、そういうふうに述べているわけでありまして、でございます。
  186. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、でございますではなくて、最後までちょっと言ってください。
  187. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) そういうことで、中国としても決議の採択が必要であると、そういう認識でございます。
  188. 白眞勲

    ○白眞勲君 これ、オバマ大統領も電話でどうも会談しているようですので、是非、これ麻生総理も中国の外務大臣とかあるいは胡錦濤さんとよく話をそろそろしていただいて、しっかりとした対応をしていただきたいというふうにお願い申し上げます。  では、海賊対処法案についてちょっとお聞きいたします。ちょっとじゃない、大分お聞きいたします。  アメリカ沿岸警備隊のソマリア沖における海賊対策についてこの前私お聞きしたんですけれども、外務省の梅本北米局長は、沿岸警備隊の艦船が出ているというふうには聞いたことがございませんとお答えになっていましたけれども、私が沿岸警備隊のホームページに艦船が出ていたということを申し上げた後に、六月一日に一枚のペーパーを当外交防衛委員会理事会に提出しました。このペーパーを見ますと、アメリカ沿岸警備隊は活動したということでよろしゅうございますね。
  189. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) 委員御指摘のとおり、六月一日に私どもから資料を提出させていただきました。それによりますと、アメリカの沿岸警備隊についてはソマリアアデン湾海賊対処活動を行っていたことがあると。ただ、現時点においては、五月二十八日現時点においては船はいないと、こういう回答があったということを御説明申し上げました。
  190. 白眞勲

    ○白眞勲君 つまり、今まで説明したのはうそだったということですね。
  191. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) 私どもの説明が、調査が必ずしも十分でないということで、結果的にホームページあるいはいろいろなところと違うことを申し上げていたということは申し訳なく思っております。
  192. 白眞勲

    ○白眞勲君 これ、申し訳ないと思っているじゃ私は済まない話じゃないのかなと思うんですね。  今まで、この法案の最初からですよ、私、ばっと見たら、ちょっとこれ、しおり見えますか、これ。(資料提示)これ全部皆さんがそれぞれ御答弁された内容ですよ。海軍が出ているんだと、こう言っているんですね。海軍が活動している。これ、金子国土交通大臣岩崎海上保安庁長官、中曽根外務大臣、別所外務省総合政策局長、そして梅本北米局長が同じことを説明されていますよ。これ、ずっと虚偽の答弁繰り返していたじゃないですか。この責任はどうお取りになるんでしょうか。  まず、金子大臣、ちょっとお答えください。
  193. 金子一義

    国務大臣金子一義君) 今回、特別な場合ということで、第一義的に海上保安庁でありますが自衛隊に出動していただくということ、これは決して、海軍が他国が出ているからということ以上に、私がこれまで説明してまいりましたことは、距離が遠いということ、それからロケットランチャーという重火器を海賊が使っているということ、それに対して海上保安庁が持っている現有の装備ではソマリア沖海賊対策海賊行為対処ができないがゆえに自衛隊に出ていただくということでありまして、決して意図を外れるものではありません。
  194. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、私が言っているのは意図とかではないんですよ。今までずっと皆さんが御答弁されていたのが違っていたんじゃないんですかということを私は申し上げているわけですね。  金子大臣は、ソマリア沖アデン湾海賊対策として海上保安庁の巡視艇を派遣することは、日本からの距離、今おっしゃいました、確かに、海賊の所持する武器、それもおっしゃいました。と同時に、各国海軍の軍艦等が対応していることなどというふうに言っているんですね。そうおっしゃっているんですよ。これ本会議でおっしゃっているんですよ、金子大臣が衆議院の本会議で。  これ、どうですか。虚偽答弁していたんじゃないですか。
  195. 金子一義

    国務大臣金子一義君) 当時の情報、我々がいただいている情報ではコーストガードが出ているという情報はありませんでしたので、そういう趣旨で発言をしたところであります。
  196. 白眞勲

    ○白眞勲君 当時の情報と言いますけれども、これはホームページ、これ海軍の研究所のホームページ、これ二月のホームページに出ているんですよ、もう。CTF151にボウトウェルという沿岸警備隊の船が出ますよということが二月の時点で出ているんです。これ三月ですね、これ、この法案が出たのは。もうその前に、もう二月のホームページでアメリカは公式に発表しているんですね。発表しているにもかかわらず、今その時点ではということですと、全くもってこれ調べていないということじゃないですか。  岩崎さん、ちょっとお願いしますよ。岩崎さん、これ、いつこれ調べているんですか。岩崎さんも答弁されていますよね。
  197. 岩崎貞二

    政府参考人岩崎貞二君) 私ども海上保安庁としても、米国のコーストガードの動きについて十二分に把握していなかった、必ずしも正しくない答弁をしたということについてはおわび申し上げたいと思います。  私どもも、米国のコーストガードについて、別に定期的なルールがあるわけじゃありませんけれども、情報収集したりホームページを随時調べたりしておりますけれども、その中から漏れたことでございます。  大変申し訳なく思っております。
  198. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、大変申し訳ないと思っていますでは、私はもうこれは済まないと思うんですね。一回言った、二回言っただったらいいですけれども、何度もおっしゃっているんですよ、これもう。  二〇〇八年の十二月の十二日のこれは衆議院長島昭久議員の質問主意書から、私が調べられただけでも、これ何個だろうな、数えられないぐらいと言っていいぐらいですよ。それで今になって、これ全部答弁間違っていました、申し訳ございませんでした、私、これ済まないと思いますよ。これはもう本当に、これじゃ何のために我々議会でこれやっているんですか。  私たちは、今、金子大臣も今になって、いや、これが前提なんじゃない、各国海軍が前提としているわけじゃないんだなんて、今そんなことをおっしゃっていますけれども、そんなことを言っていません。前提がそういうふうになっていますと言っていますよ、これ。それを今になってそういうふうに答弁を変えていくというのは、これはおかしいんじゃないんですか。
  199. 金子一義

    国務大臣金子一義君) 米軍のコーストガードの仕組みと我が国の保安庁の仕組みというのが基本的には違うと。  米軍のコーストガードの場合には、艦船自身が海軍同様のものを持っているということ。それから、組織として国軍の下に、指揮下に入るという仕組みがアメリカのコーストガードの場合にはできているということ。我が国は、そういう意味海上保安庁法二十五条で組織体として違うということは明確になっておりますので、したがいまして、コーストガード、アメリカが出たからといって、我が国海賊対処法案で自衛隊を出してはいけないんだということにはなりませんし、今審議していただく方向というのは何ら変わるものではありません。
  200. 白眞勲

    ○白眞勲君 大臣、それごまかさないでいただきたいと思うんですね。  今までコーストガードは出ていませんということが一つの理由になっていたのに、今になって、いや、コーストガードって、これはアメリカ日本は違うんですよと、そういうことでは私はおかしいと思うんですね。  これミリタリー・バランスという雑誌、御存じでいらっしゃいますか、大臣、この雑誌。雑誌というのか書籍。これは防衛省だったらよく分かると思うんですけれども、防衛省、だれでもいいですから、これ知っている人、手を挙げていただいてちょっとしゃべってください。
  201. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) ミリタリー・バランスというのは、ロンドンにあります国際戦略研究所、IISSが毎年の各国の軍事力あるいは準軍隊等の保有状況を示しているというふうに思います。
  202. 白眞勲

    ○白眞勲君 さすがやはり、さすがと言っちゃ申し訳ないぐらい、これは当たり前の状況ですよね。  そのミリタリー・バランスを見ると、これはアメリカ日本もコーストガード、載っているんですよ、これ。ミリタリー・バランスにちゃんとアメリカ日本のコーストガードが載っていて、日本の方にも準軍事組織である、書いてあるんですよ、これ、海上保安庁は。種類が違いますということは私は、これはもちろん当たり前でしょう、それは。船が違えば種類違いますよ。組織が違えば当然中身が違うに決まっていますよ。大きな枠組みの中でのコーストガードというのは一緒なんじゃないんですかということを私は申し上げているわけですね。  そういう中で、今までの御答弁について、これどう責任取るんですか。これ、岩崎長官、今、申し訳ないと思っているだけじゃ私済まないと思う。これ、国会ばかにしていますよ。与党の皆さんもそうですよ。与党も野党もこれ今までずっとそういう議論をしていて、今になってそういうこと言われたって、これ、何のために我々議論していたんですか。お答えください。
  203. 岩崎貞二

    政府参考人岩崎貞二君) 繰り返しになりますけど、私どもの情報収集も十分でなかったこと、それからそうした答弁をしていたことについてはおわび申し上げます。  それから、もう一点お話しさしていただきますけれども、その雑誌には、海上保安庁もそうした準軍隊であるというようなことで諸外国で取り上げられたことは承知をしておりますけれども、先ほど大臣答弁しましたように、アメリカのコーストガードと日本のコーストガード、確かにそれは準軍事的なところでは共通しておりますけど、本質的に違っていると私は思っております。アメリカのコーストガードは第五軍と言われております。それから、日本海上保安庁海上保安庁法の二十五条で軍隊としての機能は有しない、してはいけないと、こういうふうに書いておりますので、性格は大きく異なるものと承知をしております。
  204. 白眞勲

    ○白眞勲君 今、ホームページをチェックしていなかった、申し訳ございませんでしたって、私、これ発見するのに何日も掛かっていないんです。十分ぐらいで出てきちゃったんですよ。  ですから、これ、梅本北米局長、先日、私への答弁でこうおっしゃっているんですよ。私ども、その時々の情報を収集して、公表資料等に当たりながら事実関係をその時々把握して、それを御説明しておりますと答弁しているんですよ。  そうしたら、これだけ何度も何度も、これ多分質問する前に通告もしているでしょう。ということは、チェックしていないということじゃないですか。全然チェックしていないまま、この国会で委員会やっているということじゃないですか。私もだんだん、お昼ぐらいになって、おなかもすいてきちゃって、本当に頭くるんですよ、こういうの。本当にこれ、ちょっとばかにされていますよ、私たち。  梅本北米局長、どうなんですか、これ。
  205. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) 私ども、公表資料といっても、これは全部のホームページを毎日隅から隅までしらみつぶしに見ているわけではございません。ですから、見落とした部分があったことについては申し訳ないというふうに申し上げているわけでございます。  ただ、私ども、その時々、これも毎日アメリカ政府と、その時点の船の状況をこれは聞くわけにまいりませんので、節目節目に聞いておる。そういうところで聞いたときに、現在出ている船はこうこうだよということに基づいてお答えを申し上げた。したがって、先日も、だから海軍の船がこの船とこの船というふうに申し上げたわけでございます。  そして、もう一度確認をしたところ、やはり五月二十八日の時点では、アメリカの海軍の艦船は二隻出ておって、沿岸警備隊の船はその時点ではいなかったわけでございますので、そうお答えを申し上げた、こういうことでございますので、私ども、最善の努力をしてできるだけいろいろな資料をその都度作っておりますけれども、どうしても完璧ではない部分はあったということでございます。
  206. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、これ完璧ではないと困るんですよ。大きな問題ですよ、これは。その都度その都度、それは毎日、四六時中リアルタイムで監視しろなんて私は申し上げていませんよ。二月の時点で発表されているデータをチェックも何もしていないということに問題があるんじゃないんですか。  外務大臣、その責任、どういうふうに取られますか。
  207. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 情報収集が十分でなかったという点は事実でありまして、今後改善していきたいと、そういうふうに思っています。
  208. 白眞勲

    ○白眞勲君 情報収集、これ重要なんですね。実際今自衛艦が二隻向こうへ出かけているわけですよ。ソマリア沖活動している自衛艦、隊員たちの生命、安全、こんなので守れるんですか、これ。私そう思うんですよね。絶えずチェックすること、これ、国会にもでたらめ報告して、そういうことをきちっと私は申し上げたいんですね。  この件については、ちょっと理事会で一度また御検討願いたいと思います、この問題についてですね。委員長、お願いします。
  209. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) ただいまの白委員の御提言については、後刻理事会で協議をいたします。  白眞勲君、質問続けてください。
  210. 白眞勲

    ○白眞勲君 ここで、ボウトウェルという今回ソマリア沖に行った船についてお聞きしたいと思うんですけれども、資料を回してください。    〔資料配付〕
  211. 白眞勲

    ○白眞勲君 この船の大きさはどれぐらいですか。
  212. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 岩崎長官。──答弁者が代わります。梅本北米局長
  213. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) 米沿岸警備隊所属の長距離監視船バウトウェルでございますが、全長が三百七十八フィート、排水量が三千二百五十トン、それから、装備は七十六ミリ砲、高性能二十ミリ機関砲というふうに承知をしております。
  214. 白眞勲

    ○白眞勲君 これは、今お手元に資料を見ていただきたいと思うんですね。これ、私の部屋に五月の二十八日に来た資料ですよ。それを見ると、ボウトウェルというところに、三百七十八フィートで排水量三百二十五トンとなっているんですよ。何ですか、これ。これ三百二十五トンですか。三千二百五十トンと今言っていたけど、私、黙っていたけれども、今まで全然これ、訂正にも来ないですよ。これ、ばかにしていませんか。三百二十五トンといったら漁船でしょう。三百七十八フィートって、百メートルの長さで三百二十五トンといったら、これ、ウナギみたいな船ですよ。そうでしょう。  こういうことを、これ、外務省、チェックしているんでしょう。外務省、チェックしていて、こういうことを平気で、私のような国会議員はどうでもいいと思っているのかもしれませんよ。でも、一応私も国民の代表としてこうやって御質問を差し上げているのに、こういうことを平気でやっている外務省って、どういうチェック機能があるんですか、これ。
  215. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) 誠に申し訳ございませんが、資料を印刷したりいろいろしているうちにここが取れてしまったものが結果として先生のところに行ってしまったということでございますので、この正式の委員会の場でございますので、今私が御答弁を申し上げました。印刷で間違った資料が行ってしまったことについては大変申し訳なく思っております。
  216. 白眞勲

    ○白眞勲君 印刷しているうちに取れるわけないですよ、これ。また虚偽答弁しているんじゃないですか。これ、駄目ですよ、もう。ちょっと止めてください。駄目ですよ、こんなの。
  217. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 速記を止めてください。    〔速記中止
  218. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 速記を起こしてください。
  219. 白眞勲

    ○白眞勲君 これ、外務大臣、どうですか。これ、本当は今日、薮中さんを呼ぶ予定だったんですよ、事務次官。なぜかといったら、私、これもあったんだよ。これ、事務方でしょう。まあ外務大臣がここまでチェックはしていないと思いますよ、私は。しかし、外務省として出しているということになれば、当然これ、局長以上の人間が、私は、国会議員には報告する前には見せていますよね。それは、事務方の中には間違っている……。  私は別に、まるで鬼の首取ったように何かやられるのも嫌なんだ。ただ、例えば、化学式とか猛烈に専門的な用語が入っていて、その中で間違えて、これ写し間違えたということはあり得ると思うんです、私は。しかし、これだけの行数で、何が書いてあるんだろうってぱっと見たときに、普通、常識的に、外務省だって分かるでしょう、これ。三百二十五トン、あれ、ちょっとちっちゃ過ぎないかって。そういうチェックが来てない、その緊張感が全くない。だから、今申し上げましたホームページもそうですよ。ホームページにしても全く緊張感がない。そして、こういった資料を平気で出す、国会議員に。一体、これ、国会をばかにしているんじゃないのかというふうに私は思っているんですね。  だから、薮中さんに出てきて、ちゃんと事務方のトップとしてこれ謝罪してもらいたい、そう思ったんです、私は。いないんだったら、外務大臣、これどうですか。
  220. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 最終的な責任は私にあるわけでありまして、このようなミスはあってはならないわけですし、チェック機能をもっとしっかりしたものにしていこうと、そういうふうに反省しております。
  221. 白眞勲

    ○白眞勲君 海上保安庁が様々な理由で出ない、出れないという理由ありましたけれども、少なくとも幾つかのポイントがあった。その中の一つが、通信機能の問題があるということを金子大臣岩崎長官も御指摘しましたけれども、それは、海上保安庁岩崎長官、それでよろしいですね。
  222. 岩崎貞二

    政府参考人岩崎貞二君) 総合的理由の中の一つに、秘匿通信の機能を備えておりませんという話は申し上げました。
  223. 白眞勲

    ○白眞勲君 これ、具体的に聞きたいんですけれども、アメリカは、たとえ一時的だったとしても、巡視船派遣したということは、通信システムがほかの軍艦とは交信あるいはデータリンクができるということだと思いますが、それについては、岩崎長官、いかがでしょうか。
  224. 岩崎貞二

    政府参考人岩崎貞二君) それぞれの組織がどういう秘匿通信機能をどういう形で持っているかというのは、非常にそれぞれの組織、情報の公開には慎重でございます。したがいまして、アメリカのコーストガードとアメリカの海軍がどんなやり方をしてやっているかということについて、正確なことについて私は承知しているわけではございませんが、これまでのいろんな向こうとの付き合い、話なんかでは、一定の秘匿通信機能をアメリカのコーストガードとアメリカの海軍では持っているというようなことの話を受けたことがございます。そういうふうに承知をしております。
  225. 白眞勲

    ○白眞勲君 海上保安庁にまたちょっとお聞きしますけれども、各国はどんな通信システムを使っているのか。これ、岩崎長官じゃなくてもいいです。もう一人いらっしゃいましたよね、今日、参考人の方。ちょっと、どうぞ。
  226. 佐藤雄二

    政府参考人佐藤雄二君) お答えします。  海上保安庁が保有します通信能力でございますが、海上保安庁巡視船は、法令の海上における励行、海難救助、海上におきます船舶交通の安全の確保を図るといった任務を遂行するために、一般船舶との間におきまして必要な通信を実施しておりまして、この通信は主に無線で実施しております。  また、海上保安庁内で指揮命令、報告などの部隊運用などを円滑に行うため、巡視船艇と陸上間及び巡視船艇間におきまして必要な通信を実施しておりまして、この通信は無線や衛星船舶電話で実施しております。さらに、必要に応じまして海上保安庁独自の秘匿装置を用いた通信も実施しております。  無線通信は、近距離ですと超短波帯の周波数、遠距離ですと中短波帯又は短波帯の周波数を用いまして、距離に応じた通信が可能となっております。しかしながら、海上保安庁巡視船は、一般船舶と同様に電波法の適用を受けまして、許可された周波数しか使用できないこととなっております。
  227. 白眞勲

    ○白眞勲君 そのまま座っていていただいて。  海上保安庁は、アメリカの沿岸警備隊とは通信とかデータリンクというのはできないんでしょうか。
  228. 佐藤雄二

    政府参考人佐藤雄二君) お答えします。  海上保安庁がコーストガードと通信する場合は、今述べましたように、一般船舶、一般の商船などが使用しております共通の国際周波数を使って交信することとなっております。
  229. 白眞勲

    ○白眞勲君 私が聞きたいなというふうに思っているのは、今、国連安保理で、先ほども北朝鮮の制裁等があったわけですけれども、予断的には、今後、船舶検査、臨検などということになると、アメリカ、韓国海軍との連携も視野に入れて行動しなければならない。そうすると、当然、データリンク、これ異なる通信システムでいいんでしょうか。これ大丈夫ですか、海上保安庁は。
  230. 佐藤雄二

    政府参考人佐藤雄二君) このようなミッションを行う場合には秘匿の通信というのが多分原則になると思いますが、現在においてはそのような通信のシステムが各国間で共有されておりません。
  231. 白眞勲

    ○白眞勲君 じゃ、ちょっと金子大臣にこれお聞きした方がいいかと思うんですけれども、そういうふうに今現在、各国海軍との間でのそういうシステムというのが、法的な整備も含めてということですけれども、今後、データリンクやっぱりちゃんとやっておいた方がいいんじゃないのかなというふうに思うんですね。使わなきゃ使わないでいいわけだから、一応持っているというのがこれ重要なことなんじゃないのかなというふうにも思うんですね。  やっぱり各国海軍との連携、今非常に多国籍のそういったいろいろな犯罪とかなんかも増えてきているという中で、これはしっかりと考えていく必要があるんではないかというふうに思いますが、金子大臣、どうでしょうか。
  232. 金子一義

    国務大臣金子一義君) 一つの検討課題として取り上げてみたいと思っております。  ただ、現実に共通の秘匿通信を持っている意味というのは、ちょっと専門家が今日来ていますので聞いていただきたいんですけれども、やはりいざ事に対処するときに秘匿通信の意味というのが一般あるわけですから、共通のものであれば本当に役に立たないという状況に、つまり本来対処すべきところに全部聞かれてしまうわけですから、本当にそれで意味があるのかということもありますので、それぞれ各国とどういうネットワークとして、データリンクと先生おっしゃいましたけれども、そういうものができるのかというのは、私も今、私の知識ではありませんが、検討してみる課題としては取り上げてみたいと思います。
  233. 白眞勲

    ○白眞勲君 是非、それはちょっと検討していただきたいなというふうに思うんですね。  そういう中で、以前私は、久間防衛大臣防衛庁長官だったかな、の時代ですけれども、海上保安庁海上自衛隊は仲がいいんですかということを聞いたことがあるんですね。それに対しまして海上保安庁さんの方から、現場は仲がいいですという答えをしていただいたんですね。それで、久間さんは、いや、もちろんみんな仲いいですというふうに後で一生懸命あれしたんですけれども。  仲がいいというのはどういうことかというと、私はやっぱりこの通信システムとか何かで海上自衛隊、保安庁というのはきちっとやっぱり連携を取っていく必要があると思うんですけれども、その辺について、じゃ、防衛大臣、どうですか。
  234. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) その意味では大変改善が進みまして、大変仲よく交信ができるようになりましたので、その点は御心配は要らないと思います。
  235. 白眞勲

    ○白眞勲君 つまり、私は何を言いたいかというと、今海賊関係で、通信関係、さっき岩崎長官おっしゃいましたよね、通信関係はほかと違うんだと言っている。これはどんどん変えていかなきゃいけないということですよね。そうすりゃ行けるということでしょう。  ですから、私は、一つの大きな問題点、つまり今まで相互連携が必要な場合に支障を来すおそれがあるというふうにこれ岩崎さんおっしゃっているんですね。それをもうデータリンクとか何かの相互連携をやっぱりやっていくということは、これは日本有事の際にも必要であるということからしたらやはりこれはやっていくべきであって、これ今やっていないから海上保安庁ソマリア沖には行けないんですという理由にはこれなっていかないと思うんですね。そこはやっぱり重要な視点だというふうに思うんですよ。  ですから、金子大臣、どうですか、その辺は。
  236. 金子一義

    国務大臣金子一義君) ソマリア沖に出られないというのは、先ほど御答弁させていただきましたけれども、秘匿通信を持っていないからということよりは、海上保安庁が持っている装備、あるいは距離、海賊が持っている武器、ロケットランチャー等々、これが理由であります。  もう一つは、今の秘匿通信、すぐにそれでは構築できるのかということになれば、各国アメリカだけじゃありません、各国お互いにそういう秘匿通信網を持っていると聞いておりますので、海上保安庁が仮に各国軍隊と話して、じゃ、秘匿通信網をお互いにやりますよという話になれるかどうかとなれば、それは難しい、今の段階では非常に難しいというふうに聞いております。
  237. 白眞勲

    ○白眞勲君 今、金子大臣は、いや、通信機能ではないんだと。そうしますと、今まで金子大臣が衆議院本会議で言った中で、日本からの距離は今おっしゃいました。海賊が所持する武器も今おっしゃった。でも、各国海軍が軍艦等が対応していることを総合的に勘案するということが、もう今いろいろと言ったところを見るとなかなか難しい部分だという前提条件でいうと、この日本からの距離と武器対応すればいいということにもなるわけですから、この辺については、何かみんなもうそろそろやめろという顔をしていますので、午前中はこの辺りにして、午後についてまたこの件についてちょっと話し合っていきたいなというふうに思っております。  午前中はこれでおしまいにします。
  238. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時十五分まで休憩いたします。    午後零時十八分休憩      ─────・─────    午後一時十七分開会
  239. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) ただいまから外交防衛委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、風間直樹君及び藤田幸久君が委員辞任され、その補欠として徳永久志君及び舟山康江君が選任されました。     ─────────────
  240. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 休憩前に引き続き、海賊行為処罰及び海賊行為への対処に関する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  241. 白眞勲

    ○白眞勲君 休憩前に引き続きまして。  ちょっと一点。  先ほどの梅本北米局長の御答弁の中に、ボウトウェルの排水量について、何と言ったんでしたっけ、この単位が間違えたのは資料を印刷したりいろいろしているうちにここが取れてしまったと。印刷で間違えましたと。これ、外務省の印刷機どうなっているんですか。これ、とんでもない話ですよ。  ここ、委員会なんですよ。委員会で、元々ソマリア沖海賊対策のこの文章自体が間違っていて、それで謝罪するなら分かるけれども、それでまた虚偽の答弁をしていく。これ、北米局長、今までずっと、あなた、ずっとここで御答弁されているのがみんなこれ信用なくなりますよ、こんなことやられたら。  これ、何かちょっと、あれもそうなんですよ、ホームページの件もそうなんですよ。たまたまあんたが見ていたらあっただけだろうみたいな感じですよ、今までの御答弁見ていると。いや、悪かったなと。そういう問題じゃないですよ、これ。  これ、どういうことなんですか。もう一回北米局長、お願いします。
  242. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) バウトウェルの排水量につきましては、公表資料から資料を作成する最後の段階までのどこかで間違えたということを申し上げたので、いずれにしても、大変間違えたことについては申し訳なく思っている次第でございます。
  243. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、これは単に単位を間違えただけですよ。それだけだったら、そういう単純なミスでございましてどうも申し訳ございませんで済む話じゃないですか。それを、資料を印刷したりいろいろしているうちにここが取れてしまったって。どこが取れたんですか、これ。ここが取れたって、どこが取れたんですか。それを聞いているんです、私は。
  244. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) まさに公表資料から、三千二百五十というところから最終的な資料を提出したときに三百二十五になってしまったということでございまして、私ども、どこでどう間違えたのかというのをちょっと今直ちに分かりませんので、そう申し上げたということでございます。  いずれにせよ、結果的にミスでございますので、大変申し訳なかったと思っております。
  245. 白眞勲

    ○白眞勲君 どこが間違ったか分からないからこういうふうに言いましたというのも問題ですよ、それも。今、今御答弁しながら問題の御答弁されているじゃないですか。委員会をばかにしていますよ。こういう御答弁ばっかりしているようだと、何のために我々こうやって一生懸命海賊の対策について、我々は我々なりに真剣にやっているんですよ。委員会をばかにしているじゃないですか、これ、外務省は。  これは理事会でちょっと協議をお願いしたい。委員長、後で結構ですからお願いします。
  246. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) ただいまの白委員からの御提言については、後刻理事会で協議をします。
  247. 白眞勲

    ○白眞勲君 それでは、海賊対処のことについてちょっとお聞きしたいと思うんですけれども、午前中、金子大臣は、午前中といいますか今までずっと、海上保安庁が行かない理由は足の長い船がないんだということだったわけですけれども、一つの理由として。じゃ、海上保安庁じゃなくて、海上自衛隊の掃海艇は以前、木造で、クウェートまで何回か給油をしながら、途中寄港しながら行っているわけですから、海上保安庁の船もそうすれば、足の長い船がなくたってアデン湾までは行けるということになりませんか。  ですから、ここで聞きたいのは、二千キロ以上航続距離のある船は、海上保安庁さん、何隻ぐらいあるんですか。二、三十隻で結構ですから、大体何隻ぐらいありますか。
  248. 岩崎貞二

    政府参考人岩崎貞二君) 海上保安庁の船、ちょっと私、今正確な数を持っておりませんけれども、一定の寄港しながら、アデン湾まで行って帰る船は、それは「しきしま」以外にもございます。
  249. 白眞勲

    ○白眞勲君 ですから、今回は、ソマリアから東京、あるいはソマリアから日本までずっと守っていくんだったら足の長い船は必要かもしれないけれども、あそこの千キロ、往復二千キロを行ったり来たりするんだったらば、大部分、相当な数の船が海上保安庁にはあるということであるじゃないですか。それをどういうふうに金子大臣は思われますか。
  250. 金子一義

    国務大臣金子一義君) 距離の問題と同時に、先ほど申し上げましたのも、海賊が持っている武器のことを申し上げました。  ロケットランチャーを撃ち込まれたときに、被弾したときに被害を一定に食い止めて業務を継続すると、言わば船が持っている、ダメージコントロールを有している船舶海上保安庁には「しきしま」一隻しかないというところが、今回大きな、今度エスコートするにしても、今自衛隊が二隻、前と後ろにやっていただいていますけれども、警備の方法というのが複数隻で、しかもそれをローテーションをしながらやっていくということを考えますと、やっぱり相当数の艦船が、「しきしま」級が必要になってくると。今の海上保安庁にはその機能を有する船舶がないということであります。
  251. 白眞勲

    ○白眞勲君 議論をごっちゃにしないでいただきたいと思うんですね。  私が聞いているのは、日本からの距離だったらそれは解決するんじゃないんですかということを、それだけを聞いているんですね。その武器等についてはこの後やりますから。まず、その日本からの距離という観点からすれば、これはあるということで認められているんじゃないですか。  ですから、この部分においては、総合的に判断するとというならそうかもしらぬけれども、日本からの距離という部分においては言う必要はなかったんじゃないんですか。
  252. 金子一義

    国務大臣金子一義君) 「しきしま」はプルトニウムの護衛にフランスから当たっておりますから、その一隻の距離の限りではもとより対応できることは、もう既に実績を積んでおることは言うまでもありません。
  253. 白眞勲

    ○白眞勲君 全然、だから、私の聞いていることと違いますよ、それは。  向こうまで、アデン湾まで行ける船がないような言い方をしているじゃないですか、日本からの距離を勘案しますとと。日本からの距離を勘案したって、今申し上げたように、防衛省は一生懸命クウェートまで出かけていっているんですよ、航続距離がない船でも。それを、なぜ海上保安庁はそういう言い方をするのかということを、その理由を聞いているんですよ。
  254. 岩崎貞二

    政府参考人岩崎貞二君) 個々の答弁で必ず一〇〇%どうかということまでチェックしているわけではございませんけれども、私ども、私も大臣答弁する際には、日本からの距離、それから相手の持っている武器、それから諸外国が軍艦等を派遣していること、こうしたことを総合的に勘案すると、海上保安庁巡視船派遣は困難でありますというのを基本的に答弁させていただいております。
  255. 白眞勲

    ○白眞勲君 日本からの距離というのは重要な要素であるということですよ。今までの、足の長さの、足の長い船がないという言い方をされていたじゃないですか。それなのにかかわらず、そういうことを。  じゃ、言いましょう。この武器の件について、ちょっと聞きましょう。  ロケットランチャー。ロケットランチャーでちょっと聞きたいんですけど、これ海上保安庁は北朝鮮の不審船対策で、船の装甲を強化した船が造ったということじゃなかったんでしょうか。新しい船を造っていますよね。海上保安庁、どうぞ、お答えください。
  256. 岩崎貞二

    政府参考人岩崎貞二君) 御指摘のとおり、北朝鮮の不審船の事案を踏まえて、海上保安庁、装備を強化させていただいております。  北朝鮮の不審船はロケットランチャー以上の武器を持っておりましたので、それにも対応できるような機能を持つ船を数隻そろえるということをやっております。おおむねできつつあります。  それについて申し上げますと、北朝鮮の不審船が現れるのは日本の近海でございます。それと、相手は北朝鮮の不審船の一対一という想定でやっております。  したがいまして、どういうことを想定してやるかといいますと、不審船を発見した、その周辺に彼らの持っている武器の射程距離の外から数隻の船で性能のいい武器を積んでそれで攻撃すると、それで防ぐというやり方の戦法を取ります。今回の北朝鮮の不審船にはロケットランチャー、更にそれ以上の武器を積んでおりますけれども、それに対応できるような何隻かの船で一定の距離を置きながら任務を行うということで不審船には対応しようと、こういうことでそれなりの装備をそろえております。  今回のソマリアについては、そうした戦法は取れませんので、北朝鮮の不審船に対応できるから、ロケットランチャーに対応できるからということでアデン湾ソマリア海賊対応できるということには直ちにはならないということです。
  257. 白眞勲

    ○白眞勲君 今、岩崎海上保安庁長官はそうした戦法は取れないんだというふうにおっしゃっていますけれども、これ、徳地さんが海上自衛隊の件について、ロケットランチャーなどの重火器を所有した海賊対処する必要が生じた場合については、重火器の射程とかあるいは威力などを考慮いたしまして、その射程外に適切な距離を取りながら対処していく、これ同じやり方を取っているんですよ、今、北朝鮮の不審船のやり方と。全然、戦法は一緒ですよ。それは、何隻か何か必要だということはあるかもしれませんよ、それは、数隻必要だと。でも、基本的な観点は一緒じゃないですか、これ。  じゃ、ちょっとお聞きしましょう。北朝鮮のロケットランチャーと海賊船の持っているロケットランチャーに性能が、今、北朝鮮の方がよっぽどすごいものを持っているというふうにおっしゃいましたよね。だったら、これ、海賊退治、できるじゃないですか、これ。
  258. 岩崎貞二

    政府参考人岩崎貞二君) 北朝鮮の持っているロケットランチャーと、アデン湾の持っているロケットランチャーに別に性能の差はありません。北朝鮮の不審船はロケットランチャー以外のいろんな重火器も持っていると、こういうことでございます。  それから、戦法でございますけれども、もちろん相手のロケットランチャーの射程距離に入って行動するということはできるだけ避けるというのは我々も基本であります。今回、自衛隊におかれてもそれが基本であろうかと思います。ただし、繰り返しになりますけど、一隻の不審船を……
  259. 白眞勲

    ○白眞勲君 繰り返しはいいですよ。
  260. 岩崎貞二

    政府参考人岩崎貞二君) 周りの何隻かの船で、巡視船でやることと、民間の商船がいて、海賊船がいて、それからそれを守らなきゃいけないという任務は、戦法のやり方が違ってくると思っております。
  261. 白眞勲

    ○白眞勲君 戦法のやり方が違うのは、戦法のやり方を考えればいい話ですよ、それは。今まで金子大臣がおっしゃっていたのは、ロケットランチャーに対応するような船がないんですというふうにおっしゃっていた。  ところが、今の話ですと、ロケットランチャーに対応する船、海賊よりもよっぽど北朝鮮の不審船についての方がその対応できるように、今、例えば「ひだ」型という、「ひだ」ね、「ひだ」とか「あそ」という船、平仮名で書いて、そういう巡視船では対応できるようになっていると、そういう予算も申請してそういうものを造っているというにもかかわらず、何でこれが海賊退治になると途端になくなっちゃうんですか、この船が。全くそれは論理的におかしいですよ。
  262. 岩崎貞二

    政府参考人岩崎貞二君) 今先生御指摘あった「ひだ」等の船は整備をしておりますけれども、これもダメージコントロールという意味では非常に弱い船でございます。撃たれることを想定して造っている船では、ロケットランチャーに撃たれてそれが防げるということを考慮して造っている船ではありません。したがいまして、ロケットランチャーなどの北朝鮮の不審船の持っている武器から、射程距離から離れて攻撃できる性能を主として有させているということは、我々の今整備している船の、北朝鮮不審船向けの船であります。  それで、ソマリアについては、そうした一定の距離以上でやるということは、いつもいつもそれができるわけではありませんから、「しきしま」のような、あるいは今行っておられる自衛隊護衛艦のように、当たることは決してそれは避けるべきではあると思いますけれども、当たっても、被弾しても一定の業務が継続できるような能力のある船ではないと十分な仕事ができないということで、相手の持っている武器等考えると、海上保安庁の今の巡視船では「しきしま」以外は難しいと再三申し上げているところであります。
  263. 白眞勲

    ○白眞勲君 論理的に、岩崎長官、お話ししていて自分で変だなと思いませんか。いつもやっているわけではないんですと。それは、海上自衛隊でも、やはりこの護衛艦でも、ダメージコントロールというものについてやっぱり考えて射程外から撃っているわけじゃないですか、射程外から処理しようとしているわけじゃないですか。これ同じなんですよ。じゃ、射程の中に入る可能性だってあるじゃないか、それは不審船だって一緒じゃないですか。  それを、海賊はそうじゃないんだと言う方では、これは、その戦法については今後、今までやっていますよね、法案ができたらいろいろ戦法についても考えりゃいい話ですよ。海上保安庁の船がそんなに、まるで本当に何か弱い船みたいなイメージを与えますけれども、ちゃんとロケットランチャーにも対応するような船を造っているわけじゃないですか。  もう一つは、足の長い船じゃなくたって十分に対応できるにもかかわらず、そういったことをやっていないとなりますと、金子大臣がおっしゃっているような、そういう海賊対策について、海賊の所有する武器、これを総合的に勘案するとと言うけど、海賊が所有している武器よりも北朝鮮の不審船の方がよっぽどすごい武器持っているならば、これを総合的に勘案したって、これソマリアでもできるという論理展開になるということを私は言っているんですよ。
  264. 岩崎貞二

    政府参考人岩崎貞二君) 北朝鮮の不審船の対処につきましては、先ほど申しましたようにできるだけ射程外でやろうと思っておりますけれども、それは、万が一射程内に入る、撃たれるということも、それはあり得ると思っております。そのときには、海上保安庁は、日本の近海でございますので、一隻で対応することは予定をしておりません。数隻の船で一緒になって取り囲みながら北朝鮮の不審船に対応するという基本的な戦術でやろうと思っております。  したがいまして、一隻やられてもほかの船で対応できるということで業務の継続ができると、このように思っておりますが、ソマリアとかそういう遠方の海域派遣できるそうした船は数が少ないものですから、それはなかなか難しいと、こう申し上げているところであります。
  265. 白眞勲

    ○白眞勲君 ですから、一隻なんて私言っていませんよ、全然。対応できるような海上保安庁としてはやり方を取るべきなんですよ。何隻、だったら必要だと、ソマリア沖だから日本から大分遠いんだと。だったらば、その分、海上保安庁としてどういう対応を取る、しかし船が足りない、だったらどうしよう、そういう論理展開なら私は分かるんですよ。金子大臣は、所有する武器があるから嫌だ、日本からの距離もあるから嫌なんだというふうに印象としてはあるんですね、私は。  金子大臣、どうですか、これ。つまり、日本からの距離も、海賊が所有する武器も、各国海軍の軍艦等が対応している、先ほどもう大分やりましたよね、これ。つまり、衆議院本会議で金子大臣が、この巡視艇を派遣できない理由について言っていたこの三つのポイント、日本からの距離、海賊が所持する武器各国海軍の軍艦等が対応している、すべてこれは対応できるということじゃないですか。どうですか、これ。この論理展開は崩れていると私は思いますが、いかがでしょうか。
  266. 金子一義

    国務大臣金子一義君) いずれも、岩崎長官から戦術の話はしてもらいましたけれども、やはり長距離の場所に出かけていって、そしてロケットランチャーを撃ち込まれたときに被害を最小限にとどめて業務を継続できるという、そういう意味では「しきしま」一そうきりないということであります。そういう意味で、距離も武器も我が方が持っている装備も総合的に勘案してやっていると。  一方で、論理展開ということで今お話ありましたけれども、じゃ、今ないねと、将来どうするんだということについては、午前中の米長委員の御質問にも答弁させていただきましたけれども、遠洋のこういう我が国の事態に対応してどういうふうに海上保安庁の装備を充実していくかということについては、今ある海域における哨戒、これは竹島も尖閣も南大東島まで一円やっております。それと併せて、EEZ、経済海域、これも広がっております。そういう中で必要な哨戒体制というのを見直し、その後、海上保安庁としてあるべき船舶の増強ということは真剣に検討してまいりたいと思っております。
  267. 白眞勲

    ○白眞勲君 金子大臣、今まで出ないんだと、今までの話というのは全然、これからも出る気ないですみたいな形だったんですね。でも、今のおっしゃり方だと、米長委員にもおっしゃっておりましたけれども、もうやっぱりこれから考えていくんだというふうに取っていいわけですよね、つまり。そういうことでよろしいですね。
  268. 金子一義

    国務大臣金子一義君) もう衆議院から一貫して、将来これを検討していく、将来、こういう遠洋海域における対応というものについてもあるべき姿というのを考えていくというのは一貫して言い続けておりまして、今日申し上げたところだけではありません。
  269. 白眞勲

    ○白眞勲君 今私が申し上げましたように、まず各国海軍の軍艦等が対応しているんだといった部分についてももう論理展開はおかしくなってきているわけですし、それから日本からの距離については、それは寄り道すりゃいい話ですし、海賊が所持する武器は、北朝鮮の方がよっぽどすごいもの持っているんだと言えるならば、別に対応は今だって可能なわけですよ。あと、船の数が問題だというのは、それは分かりますよ。船の数が問題だというのは分かりますけどね。ですから、そういった観点からすれば、それはそんなに難しい話というのは私はないということであるということだと思います。  最後に、防衛省にちょっとお聞きします。  P3Cについてちょっとお聞きしたいんですけれども、海賊の情報収集というのは分かるんですけど、これ爆弾積むんですか。
  270. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 徳地運用企画局長、時間が来ておりますので、端的にお答え願います。
  271. 徳地秀士

    政府参考人徳地秀士君) 今、P3C派遣しておりますけれども、これにどのような武装をしておるかということにつきましては、我が方の手のうちにかかわる問題でもございますので、なかなかここでお答えすることは難しいと考えております。
  272. 白眞勲

    ○白眞勲君 いやいや、ちょっと、ちゃんと答えてくださいよ。もう一回答えてください。
  273. 徳地秀士

    政府参考人徳地秀士君) P3Cにつきましては、当然のことながら、上空から広域の監視を行うという目的で派遣をしておるところでございます。  武装ということにつきましては、通常、もちろん哨戒任務におきまして武器を搭載するということはそれはあり得るわけでございますけれども、今回どうしているかということにつきましては、今のところではお答えを差し控えさせていただきたいと考えております。
  274. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、これ重要な問題ですよ、武器を持っているか持っていないか。これちょっと、お答え控えさせられないんですよ、これ。ちゃんと答えてください。(発言する者あり)
  275. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) まだ時間ございます。
  276. 徳地秀士

    政府参考人徳地秀士君) 大変恐縮ではございますけれども、海賊に対してどのように対応するかということにかかわる件でございますので、お答えは差し控えさせていただきたいというふうに考えております。
  277. 白眞勲

    ○白眞勲君 これ、納得いかないですね。これちょっとまた、理事会で協議してくださいよ、これ。
  278. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) ただいまの問題につきましても、後刻理事会で協議いたします。
  279. 白眞勲

    ○白眞勲君 終わります。
  280. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 済みません、先ほど白先生から御指摘のいただいた件でちょっと一つ。  私の方で答弁のちょっとはっきりとお答えしてなかった点がありまして、それは、三千キロメートル級のミサイルの迎撃の能力について、我々、言葉足らずの点がありまして、これ当然できると、対応できると思うというふうにお答えをしてしまったんですが、そうではなくて、我々とすれば、我々の領空、領域内に飛んできたものは撃ち落とせますけれども、こちらを三千キロメートル級でオーバーしていくやつは千キロメートルしか我々は対応できないということをはっきりと申し上げなかったので、その点がちょっと言葉足らずだったので、その点だけ付け加えさせていただきます。申し訳ございません。  それで、今の武器の件についても検討いただくということでありますので、我々もその点についてはまた対応させていただきます。
  281. 塚田一郎

    塚田一郎君 ありがとうございます。自由民主党の塚田一郎でございます。  今日はまず、外交防衛委員会で質問の機会をいただきましたことに感謝を申し上げる次第であります。私は、外防では初めての質問の機会でありますので、若干的外れなところもあるかもしれませんが、御容赦をいただきたいと思います。  午前中から権威ある外交防衛委員会質疑を聞いておりまして、大変迫力があるなと思っております。白先生のような迫力はありませんが、私も頑張らせていただきたいなというふうに思います。  まず最初に、海賊対処法案の関連の御質問をさせていただいて、後に安全保障、北朝鮮関連の問題をお聞きしたいと思うんです。  月曜日のテレビ朝日の報道ステーションだったと思いますが、ソマリア海賊村のドキュメントをやっておりました。たまたまテレビをつけたらそれが放映をされておりまして、おお、これはタイムリーだなと思って見させていただいたわけですが。あるソマリアの漁村でしょうか、その取材の方が潜入をされて、海賊が拠点にしている村から、どういう形でこの海賊行為が行われているのか、あるいは村の人がどんなふうにそれを受け止めているのかと。あるいはソマリアの子供たちが、実は海賊行為そのものも非常に英雄的な行為だというふうに思っている子供さんがいるような、そんな取材も出ていました。この今のソマリア状況では子供たちの将来も、こういう海賊になることを夢見ている子供のインタビューも出ていましたから、ちょっと厳しい状況にあるんだなということを改めて認識をしたところであります。  その番組の最後のところでコメンテーターの方が、このソマリア海賊とテロ組織アルカイダの関連性について言及をされておりました。明確にそれを認めるところまでの証拠はないけれどもということでしたけれども、かなりそうしたアルカイダのような組織とこの海賊との連携が濃厚ではないかと思われるような節が多々あるということなんですね。  そういう状況にもしなっているとすればこれはゆゆしき事態でありまして、午前中参考人からもお話がありましたが、一九九一年からの無政府状態が続く中でなかなか各国が有効な手だてを持てない状況にある。そうした中で、このアルカイダのようなテロ組織ともしかするとこの海賊組織が何らかのつながりを持っているんではないか。考えてみれば、どこから武器が来るのだろうかとか、あるいはこの海賊行為で得た身の代金がどういう形に使われているだろうかとか、分からない部分がたくさんあるわけですね。そうすると、こうした関連性が私も否定できないんではないかなというふうに考えております。そうすると、将来的にはまさにアフガニスタンのような大変に難しい状況ソマリアがなっていく可能性も否定できない、こうしたことが推測をされるわけです。  この状況を踏まえて、政府としては、こうした海賊とアルカイダのようなテロ組織の関連性についてどの程度認識を持たれているのか、あるいは把握をされているのか、その点について、まず外務大臣、御答弁いただけますでしょうか。
  282. 橋本聖子

    ○副大臣橋本聖子君) ソマリア沖海賊の実態というものはそれぞれいろいろな形がありますけれども、今先生御指摘のアルカイーダとの実態ということについては、政府としては詳細を承知をしているわけではありません。  ですが、ソマリア本土では一九九一年以来実効的に統治をする政治が存在をしていないという事情からして、こういう状況の中で、南部地域を中心に活動している武装勢力の中にはアルカイーダと関係があるとされる組織もあるのではないかという情報、先ほどのテレビ番組等もありますけれども、そういった情報には接しておりますけれども、政府としてはこれまでのところ、海賊とアルカイーダ等のテロリストが特別なそういう協力関係にあるという情報には接してはおりません。
  283. 塚田一郎

    塚田一郎君 今の御答弁だと、明確にそういうことが認識されているわけではないけれども、可能性は、何らかの、否定できないというような御答弁なのかなというふうに思うわけでありますけれども、これは非常に今後、まさにこのソマリア状況というのは、今海賊対処法でありますから、根本的なソマリア政府の無政府状態をどうしていくのか、これは外交上も大変重要な課題になってくると思いますので、引き続き是非その辺りの状況把握を含めて、外務省にはしっかりとした御対応をいただかなければいけないんだというふうに思います。  午前中も参考人の方から、こうしたアルカイダのような組織との関連性は別としても、犯罪集団、つまり海賊行為を行っている集団が組織化がどんどん進んでいるというような御指摘もありました。そうすると、ほかのアルカイダのような組織との連携があれば、これもまさにテロの行為の一環ということになってくるわけですが、そうじゃなくても、ソマリア海賊そのものがもっと組織化をされてテロ組織のような形になってきて、そういう形で海賊行為あるいは海賊類似行為が行われていく可能性も、これは否定できないんではないかなと思います。  その場合に、今回の法律では海賊行為は私的目的という前提で考えられているわけですが、例えば、そのようなテロ組織による海賊行為あるいは海賊類似行為に対して、今回の海賊対処法武器の使用、これは武力行使の問題とのかかわりでは問題がないというふうな理解でよろしいのでしょうか。法制局、お願いします。
  284. 横畠裕介

    政府参考人横畠裕介君) 海賊とテロ組織との関連でのお尋ねでございますけれども、本法案における海賊行為への対処につきましては、国連海洋法条約により、公海における海賊行為については我が国の管轄権を及ぼすことができるとされていることを前提として、一つ目として、私有の船舶によるものであること。二つ目として、私的目的に出たものであること、すなわち私人の行為であるということ。三つ目として、公海上において行われるものであること。四つ目として、船舶の強取、財物の強取、乗組員等の略取など、今日言わば人類共通の敵、いずれの国等も許すことができないものと評価される犯罪行為としての定型を備えたものであること。これらのすべてを満たすものとして海賊行為を定義し、その上で処罰することとしております。  すなわち、国や国に準ずる者と申しますか、国等が国等の行為として行われるものは、その定義上海賊行為からは除外されております。したがいまして、御懸念のような、憲法第九条によって禁じられた武力の行使に及ぶということはないものと考えております。  なお、公海上のある行為が、私的目的による私人の行為として今申し上げたように定義された海賊行為に当たるかどうかは、これまでの審議の中でも他から答弁もありましたように、個別具体の状況に応じまして、船舶の外観でありますとか航行の態様、乗組員等の異常な挙動、その他諸般の事情から合理的に認定することが可能であるものと考えております。
  285. 塚田一郎

    塚田一郎君 ちょっともう少しお伺いしたいんですが、テロリストは、今のお話だと国に準ずる組織ではないということをおっしゃっているのでしょうか。それとも、テロリストの行為そのものの犯罪点に着眼をして、その犯罪行為においてこの法律が構成をされているから問題がないと言っていらっしゃるのか、ちょっとその辺がよく分からないので、もう一度、テロリストだとした場合にはどうなのかという辺りを御説明いただけると有り難いんですが。
  286. 横畠裕介

    政府参考人横畠裕介君) テロリズムと申しましても様々な形態のものが考えられるわけでございまして、テロ組織であるからといって直ちに国に準ずる組織になるものでもございません。その実態に応じまして、いわゆるテロ組織、単なるテロ組織、犯罪集団であるというようなものでありますれば、まさに私的目的によるこの定義された海賊行為に該当する場合もございます。
  287. 塚田一郎

    塚田一郎君 これ以上掘り下げるとちょっとなかなか難しいのかもしれませんが、とにかく仮にそういうことがあっても今回の法律はきちっと対応できるというふうに私なりに理解をさせていただいて、先に進ませていただきたいというふうに思います。  この法案成立後、現在、海上警備行動が行われているわけですけれども、この海上警備行動による対処海賊対処法での新しい対処のオペレーションというのはどのように仕分を行われるんでしょうか。つまり、今後、海賊対処行為についてはすべて海賊対処法という新しい法律でやるのか、そうした行為の抑止に関しても今までの海上警備行動で行われる場合等もあるのか、その辺について御説明願います。
  288. 北村誠吾

    ○副大臣(北村誠吾君) お答えさせていただきます。  海賊対処法が施行された場合、この法律第七条第一項の規定によりまして、防衛大臣は、海賊行為対処するための特別の必要がある場合には、内閣総理大臣承認を得て、自衛隊の部隊に海賊行為対処するための必要な行動を取ることを命ずることができます。この場合におきまして、自衛隊法八十二条の規定は適用しない旨が同条に規定をされております。したがいまして、海賊対処法の施行後は、自衛隊海賊対処は、現に海上警備行動により活動を行っている部隊を除きまして、すべて新法の第七条の規定による海賊対処行動により行うこととなります。  以上でございます。
  289. 塚田一郎

    塚田一郎君 ありがとうございます。  今後は基本的には海賊対処法によってオペレーションを行うということだと思うんですが、そうすると、現在のオペレーション部隊は、今ソマリアに、アデン湾に行っている部隊については、この本法案成立をした、効果を発揮した時点で、そのオペレーションの位置付けというのは、継続をしている海上警備行動のオペレーションがつながっているのか、それとも、そのときに海賊対処法によるオペレーションに切り替わるのですか。そのどちらなのか、その点。あと、そういうことが仮に切り替わるとするのであればどういう時期になるのか、その点について御説明いただきたいと思います。
  290. 北村誠吾

    ○副大臣(北村誠吾君) できるだけ簡潔にお答えさせていただきたいと思いますけれども、海上警備行動によって派遣しておりますただいまの部隊は、海上警備行動の権限によりまして海賊行為対処するということに習熟をさせた上で派遣をしております。新法が施行された場合には、保護対象船舶の範囲や武器使用の権限が変更されることになりますから、的確な対処を行うためには、新しい法律に基づく権限による対処に十分な習熟をさせる必要がございます。現在、海上警備行動によって任務に従事している部隊が同時に新法に基づく権限に習熟するための教育訓練を実施することは困難でございますから、新法が施行される際には、当初から新法に基づく権限について教育訓練を実施した部隊と交代させるということが適当であると考えております。  部隊の交代の時期等につきましては、これまでインド洋における補給支援活動において三から四か月程度現地で活動を行った後交代をしてきたという例を参考にいたしつつ、交代することを考えておるというようなところでございます。  以上です。
  291. 塚田一郎

    塚田一郎君 ありがとうございます。  そうすると、新法が施行されて以降は、新しいオペレーション部隊を出して今の部隊と入替えをするということですね。それまでの間は今の海上警備行動でオペレーションを行っていくという理解でよろしいんでしょうか。  そうすると、法律を早く何としても可決をして、一日も早くこういう今のような状況を変えていきたいということですから、できるだけ早くその切替えを行うべきじゃないかなと思うんですが、具体的には今後時期を、できるだけ早く詳細を詰めていただいて、新しい法律対応できるような体制も整備をしてやっていっていただくことになると思うんですが、時期のことは、明確にいつということはおっしゃられないのかもしれませんけれども、それはできるだけ早く御対応願いたいと思いますし、その場合に護衛艦等の入替えも伴うわけでありますし、部隊の入替えも伴うわけですね。  現在、海賊対処だけではなくてインド洋の補給活動等も含めて、護衛艦、補給艦等がオペレーションを行っているわけでありまして、そうした時期が場合によっては重なってくるような状況もあるかもしれない。そうしたことについてはきちっと対応できるような体制を整えられているんでしょうか。
  292. 北村誠吾

    ○副大臣(北村誠吾君) 委員御心配のとおり、こういった活動派遣するための部隊の規模は、現在、我が国周辺の国際情勢を踏まえまして、国の防衛体制を確保することを十分考慮した上で決定をいたしております。派遣部隊の交代のときを含めまして、我が国周辺における各種事態への即応態勢は維持されておると認識しておりますし、これらの活動のために艦艇を派遣することによって我が国防衛任務に支障が生じることはないと。  以上でございます。
  293. 塚田一郎

    塚田一郎君 ちゃんと準備万端に整って、支障のないようにやられるというようなことで理解をいたしました。  次に、逮捕、拘束した海賊の取扱いをどのように行うかという点について御質問をしたいと思います。  考えられることとしては、周辺国あるいは被害船舶、被害者の国籍国、そしてまた、日本国籍を有する場合であれば我が国というような基準で引渡し、移送等が行われるというふうに考えているわけですが、実際にどのようにこの辺を、類型を考えていらっしゃるのか、詳細について御説明いただきたいと思います。
  294. 岩崎貞二

    政府参考人岩崎貞二君) 先生御指摘のとおり、日本に連れて帰る、あるいは被害船舶、被害者の国籍国に渡す、あるいはソマリアの周辺諸国に渡す選択があるわけでございますけれども、被害の程度でありますとか、それが我が国に及ぼす影響でありますとか、そうしたことを勘案しながら、関係省庁とも相談して、ケース・バイ・ケースで判断したいと思っております。  一例を申し上げれば、日本船舶に乗船している日本人が、こういうことがあってはいけないと思っておりますけれども、死亡するあるいは重傷を負うといったような場合は原則として日本に連れて帰ると、このようになろうかと思っております。
  295. 塚田一郎

    塚田一郎君 日本人であれば当然我が国においてきちっと対応するということになると思うんですが、例えばそれ以外の被害者の国ということになると、それがオペレーションをやっている周辺国というふうに限ったわけではないわけであります。オペレーションをしている場所から遠いところの船舶で起きた場合などは、そこの国に引き渡すといってもそれはなかなか現実的には難しい問題が生じると思うんですが、こうした場合は周辺国というようなケースになるのか、もう少しその辺の辺り御説明願いたいと思います。
  296. 廣木重之

    政府参考人廣木重之君) お答え申し上げます。  ただいま先生の御指摘ございましたソマリア沖アデン湾における日本海賊対処活動において拘束した海賊の引渡しの件でございますけれども、先生御承知のように、一般的には、海賊の身柄を他国に引き渡すためにはあらかじめ当該国との間に国際約束を締結しておかなければならないと、こういうことはございませんで、必要に応じて当該国政府の同意を得れば身柄を引き渡すことが可能となっております。  外務省といたしましては、自衛隊及び海上保安庁海賊対策を行うに当たり、関係国との調整などに遺漏なきを期してまいりたいというふうに考えております。海賊の身柄を第三国に引き渡すという必要が生じる可能性も十分視野に入れまして関係国との間で協議や意見交換を行っていきたいと、またそのようにしてきていると、こういうことでございます。
  297. 塚田一郎

    塚田一郎君 今のお話だと関係国と協議をしてということですが、実際には、やはり周辺国に引き渡すようなケースというのは十分起きてくる可能性が高いと思うんですね。  その辺について、じゃ、引渡対象と考えられるような周辺国の法律の制度ですとか、あるいはその国と、被害に遭われた国ないし者の国籍がいろいろあると思うんですが、そういう国との関係とかいろんな複雑な状況が絡んでくると思うんですが、具体的に、想定し得る周辺国とこうした交渉、外交交渉ですね、いろんなことというのは、詳細の詰める作業というのは進んでいるのでしょうか。
  298. 廣木重之

    政府参考人廣木重之君) お答え申し上げます。  ソマリア沖で、各国これまで様々な海賊行為対処する方策を行ってきているわけですけれども、各国が拘束した海賊を他国に引き渡した例、これは私どもも網羅的に承知しているわけではございませんけれども、実際に、米国、フランス、イギリス、ロシア、ドイツ、スペインといった国々が、拘束した海賊をケニアやイエメンなどに引き渡した例があるということは承知しております。  ただ、関係国との間で現在鋭意協議や意見交換を行っておりますけれども、具体的にどの国とどのような交渉を行っているかについては、相手国との関係もあることでございますので、この場で具体的に申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
  299. 塚田一郎

    塚田一郎君 しっかりと協議を進めていただいているというふうに理解をいたしました。  もう既にオンゴーイングであり、かつ今後もこうした状況が多々起きてくる可能性が高いわけですから、きちっと外務省で引き続きフォローしていただきたいということをお願いをさせていただきたいと思います。  次に、海洋法条約との違いについて何点か御質問をさせていただきたいというふうに思います。  本法律は海洋法に関する国際連合条約等を基本に考えられているというふうに理解をしているわけでありますけれども、海洋法条約と幾つかの点で異なっている部分があります。それを一つずつ御質問したいと思うんですが、まず、これは自民党内でも議論があったのかなというふうに理解していますが、航空機による海賊行為、航空機に対する海賊行為、これは本法案の中には含まれていないと理解しておりますが、それでよろしいのか、その理由について御説明いただきたいと思います。
  300. 岡田直樹

    大臣政務官(岡田直樹君) 塚田先生御指摘のとおり、国連海洋法条約百一条に航空機を使用した海賊行為というものが規定されておりまして、また海賊航空機という用語も用いられているわけでありますが、これまで、現実に海賊航空機というようなものが出現をした実例はございませんし、また、現段階において、私人が私的目的で航空機単独による海賊行為を行うと、このようなことはなかなか想定しにくいことであろうと考えまして、この海賊対処法案には入れなかったというふうに理解をしております。  それでも、例えばヘリコプターなどからロープを伝って船に降りるというようなことも考えられるではないかと、こういう御指摘もあったかと存じますけれども、その場合でも、船が止まっていればともかく、高速で逃げ回ると、そうすると、そこに降りるということはなかなか容易なことではない、技術的に極めて困難なことであって、我が国でもごく一部の特殊な訓練を受けた自衛官あるいは海上保安官にしかできないと、私人が私的な目的でできることではなかろうという判断であります。  この海賊対処法案は刑罰も定められておりまして、場合によっては武器を使用することもあり得るわけでございますから、現に想定しにくい航空機によるものまで海賊行為に含めるということについては慎重に判断をしたということであると、このように考えております。
  301. 塚田一郎

    塚田一郎君 現状では、そういう航空機による海賊行為というのは余り考えられないという想定なんだと思います。  それは実際にどういうことかといえば、今おっしゃったように、かなりの訓練を要するような、軍隊のような組織でなければそういうことはできないだろうというお話だったわけですが、先ほど来からお話をしているとおり、組織立った行為、テロ的な犯罪行為がかなり組織化してきていると。しかも、それなりの資金を持って、当然、飛行機のようなものも買うぐらいの資金を持っている可能性も高いという状況があるわけですから、非常に、軍隊的な行為ではなくても、飛行機を使ったような形というのも今後はあり得るかもしれないと思うんで、その辺は引き続き一つの検討課題かなと私自身は思います。  次に、地理的範囲についてなんですけれども、海洋法条約は公海というふうになっています。本法案においては公海、日本の領海、内水というふうに書いてあるわけでありますけれども、公海は当然理解しますし、日本の領海も分からないわけではないんですが、あえて本法案上は日本の領海と内水、内水というと私ちょっと一瞬、湖かなと勘違いをしたんですが、湖に海賊が出てくるというのはちょっと想定しにくいんで、恐らく湾などのことを言っているんだろうと思いますが、この辺り、なぜこうした形で日本の領海、内水というものを含めたのか、その辺について御説明いただきたいと思います。
  302. 岡田直樹

    大臣政務官(岡田直樹君) これも、御指摘のとおり、国連海洋法条約の第百一条で海賊行為は公海で行われるものと定義しておりまして、領海や内水は書いていないわけであります。  ただ、この条約の成り立ちを考えてみますと、元々昔から、各国は自らの領海の中では管轄権を持って取締り、処罰を行うということは、自明の理と申しますか、大原則としてあったわけであります。それを、海賊というものは国際社会にとって共通の脅威でありますから、いずれの国の管轄権にも属さない公海においてもすべての国が管轄権を行使して海賊対処できるようにしようと、こういう取決めが国連海洋法条約意味であると思うわけであります。  したがいまして、今の海賊対処法案で、我が国の領海及び内水で行われる行為についても、公海上海賊行為と同様の扱いでこれに対処し、処罰することにしたと。そのことは国連海洋法条約に決して矛盾しないと思いますし、むしろその精神に合致しておるのではないかというふうに考えるわけであります。
  303. 塚田一郎

    塚田一郎君 おっしゃることは分かります。  ただ、国内法上でも、日本の領海とか内水であればそういう海賊類似行為があった場合は処罰できるわけですね、今までも多分、刑法上で。その辺の法律的な関係上で、ここにあえて海賊という新しい類型ができたので、これをその刑法の規定との関連も含めて含めたのか。  あえて海賊対処法の中に入れたということの詳細について、もう少し具体的に御説明いただけないでしょうか。
  304. 岡田直樹

    大臣政務官(岡田直樹君) 今、重ねて御指摘をいただきましたように、もしこの法律に領海とか内水を含めない場合に起こるであろう問題点ということを考えてみますと、例えば海賊対処法案では、この法案では同じような不法行為を行った一般の刑法犯に対するよりも一段重い刑罰を定めているところがございまして、これが、領海や内水での刑罰というものが公海での刑罰より軽いということになりますとこれはアンバランスが生じてしまう。ですから、領海や内水も公海上と同じように取り扱うという必要があろうかと思います。  また、この法案の六条には海賊対処のために武器使用の権限というものが一部与えられているわけでありますけれども、これが、公海上で行使をできて、そして領海や内水、つまり我が国にもっと近いところでは行使ができないと、こうなりますと、いささかあべこべのおかしな現象が生じると、こういうこともありまして、これは領海や内水も含めて公海上と同じく海賊行為ときっちり定義をした方がよかろうと、こういう趣旨であるというふうに考えております。
  305. 塚田一郎

    塚田一郎君 分かりました。つまり、今までと、海賊行為ということを特段今回この法律で決めた以上は、同じような形で、当然、国内の、日本の領海においても、内水においても同じようなことが起きれば対応するという意味もあってこういう法律の中に書き込んだということで理解してよろしいわけですね。分かりました。ありがとうございます。  もう一点、共犯に関する規定なんですが、これも海洋法条約ではあると、本法案では明示されていないように私は理解したんですけれども、ただ、さっき申し上げたとおり、海賊行為がもし組織化して行われてきた場合に、それはどこかで共謀しているようなケースというのもあり得るというふうに考えるわけでして、共謀、共犯が成り立たないということになるとちょっとおかしいんじゃないかなと思うんですが、これは解釈上は刑法等で対応できるという認識でいいのか、その点について御説明願います。
  306. 岡田直樹

    大臣政務官(岡田直樹君) これは、これまで出てこなかった論点について御指摘をいただいたと思います。結論から申せば、日本の刑法典に書かれた共犯の規定によると、同じということだと思います。  日本の刑法第一編の総則というところに共犯に関する規定が置かれてありまして、これに加えて刑法第八条の条文に、これらの規定はほかの法令の罪についても適用する、ただし、その法令に特別の規定があるときはこの限りでないと、こういうふうに書いてあるわけなんです。  そして、この海賊対処法案、今御審議いただいている法案には刑法総則を適用しないといったような特別の規定というのはございませんので、したがって、海賊行為の共犯については刑法総則の共犯に関する規定、すなわち第六十条の共同正犯、第六十一条の教唆、第六十二条の幇助など皆適用されると、これははっきりとしたことであると思います。  したがって、例えば海賊船舶と知って運航に自発的に参加をすると、こういうことが国連海洋法条約に書いてありますけれども、これは共同正犯なり従犯という場合もあり得るかと思いますし、また扇動とか故意に助長すると、こういったことは教唆に当たるのではないかと考えております。
  307. 塚田一郎

    塚田一郎君 よく分かりました。  したがって、刑法が適用されるんで、組織立ってこういうことが行われた場合もきちっと対応できると。実際にそれで逮捕できるかどうかという問題はまたあるでしょうが、法律的にはその点はきちっとカバーされているというふうに理解をした次第であります。  次に、自衛隊員の方あるいは海上保安官の方の処遇等についての御質問をさせていただきます。  これは海上保安庁とそれぞれ御答弁をいただきたいんですが、今回のオペレーション上では通常と違う特別な手当が支給をされることになるのか、これはこの新しい海賊対処法を含めてということで、今も実際にはそういうふうになっているのかもしれませんが、どうなのか、これが一点。  もう一点は、これは起きてはならないことでありますが、万が一の不幸な状況ですね、オペレーションに当たっていらっしゃる方が負傷されるあるいは命を落とされるというような状況も全く否定することはできないわけで、そのような場合に国はどういうふうにしっかりとした対応を取っていただくことができるのか。その二点について、それぞれから御答弁をいただきたいと思います。
  308. 渡部厚

    政府参考人(渡部厚君) お答えいたします。  まず、特別の手当ということでございますけれども、今回の派遣に当たりまして、護衛艦日本関係船舶護衛を行う場合あるいはP3Cが警戒監視等を行う場合には、一日当たり二千円支給するといった内容海上警備等手当といったものを新たに設けたところでございます。  それから次に、万が一不幸にして任務中に隊員が死亡したような場合でございますが、これにつきましては、公務災害補償というものを実施することになりますけれども、今回のように高度の危険が予測される状況下において災害を受けた場合には、通常の補償額に五割加算した補償を行うということといたしております。  また、隊員が一身の危険を顧みることなく職務を遂行しまして死亡した場合には、その功労に報いるために防衛大臣から賞じゅつ金というものが出ることにしておりますが、この賞じゅつ金の最高額につきましては、従来、イラク特措法における活動、これは九千万円でございましたが、それ以外につきましては六千万円となっておりました。今回の派遣に当たりまして、派遣先の状況を踏まえまして最高額を九千万円に増額したところでございます。  さらに、これに加えまして、先般三月閣議決定していただきましたソマリア沖アデン湾における海賊対処のための業務に従事する者に対する特別ほう賞実施要領というものを設けていただきまして、これに基づきまして特別ほう賞金というものを内閣総理大臣から一千万円を限度に授与されるということになっております。
  309. 岩崎貞二

    政府参考人岩崎貞二君) 海上保安官も八名乗っておりますけれども、今防衛省の方からお答えになったと同レベルの手当、あるいは本当に不幸にして亡くなった場合にいろんな賞じゅつ金、ほう賞金を払うと、こういうことで対応させていただいております。
  310. 塚田一郎

    塚田一郎君 そうしますと、イラク特措法同等の対応を取っていただいているということでありますので、是非、大変危険な任務に就いていただく自衛官の方、海上保安官の方でありますので、十分な対応を取っていただきたいということを重ねて御要望をさせていただきたいと思います。  海賊対処法案関連はこれぐらいにしまして、その他の質問に移らせていただきたいと思います。  北朝鮮関連での安全保障問題、大変に今重要な局面を迎えているわけであります。国連での安全保障理事会の決議はまだはっきりした方向は見えていないようでありますけれども、これもできるだけ早く各国がきちっとした効果のある決議、そしてそれを実行していくということが大変に重要になってきていると思います。午前中から通して、新たなミサイル発射の懸念についても白議員からも御指摘もあったとおりでありまして、もう本当にエスカレートして止まるところを知らないような北朝鮮の行動が続いている四月、五月という状況でありますから、本当に我々も気を引き締めていかなければいけないと思います。  そんな中、五月三十日の日に浜田防衛大臣とゲーツ米国防長官が会談をされたと伺っております。その中で、これは産経新聞の記事ですが、ゲーツ長官は、浜田防衛相との個別会談で、日本への米国のメッセージとしてきちんと持ち帰ってほしいと前置きをした上で、「(米国が日本や韓国を守る)「拡大抑止」を強化しなければならない。また北朝鮮に影響力がある中国とは、よく歩調を合わせていく必要がある」というようなことを述べられたというふうにこの記事に書いてあります。  わざわざゲーツ長官が日本へのアメリカのメッセージとしてきちんと持ち帰ってほしいとおっしゃられたということは、非常に重要な意味合いがあると思います。浜田防衛大臣はそれを持ち帰っていらっしゃったんだと私は理解をするわけでありますが、それに対して防衛大臣は、我々の思いにこたえるものだというふうにお答えになったというふうにはここの記事には書かれているわけですが、ここで言われている拡大抑止というのは、具体的にどのような内容のことが言及をされていたのか、お話しいただける範囲ということになるかもしれませんが、抑止力というと核というのが非常に一般的に考えられるわけですが、現実にはミサイルの脅威等の明らかな脅威があるわけでありますから、こうしたミサイル攻撃、核攻撃、すべての攻撃に対する抑止についての拡大抑止というふうに理解をしていいのか、この点についてまず大臣から御説明いただきたいと思います。
  311. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 今般、日米防衛相会談におきまして、ゲーツ米国防長官からは、米国としては北朝鮮の核保有国として受け入れることはできず、拡大抑止、二国あるいは三国の協力を強化したいと考えている旨の発言がございました。  この拡大抑止とは、御指摘のとおり、ミサイル攻撃など我が国への様々な攻撃形態での武力攻撃を防止するために提供されるものであります。二〇〇七年の五月に2プラス2の会合の共同発表においても、米国は、あらゆる種類の米国の軍事力が拡大抑止の中核を形成し、日本防衛に対する米国のコミットメントを裏付けることを再確認するとされております。  そしてまた、日本防衛に対する米国のコミットメントについては、北朝鮮の核実験実施発表後、日米首脳会談の際にも、オバマ大統領から核の傘を含む米国の拡大抑止に関するコミットメントの表明があったことを始めとして、米国は累次にわたって表明をしておるところでございます。
  312. 塚田一郎

    塚田一郎君 ありがとうございます。  フルレンジの抑止力をきちっとアメリカが日米安全保障の中で提供していくということを改めてこの状況の中でメッセージとして大臣は受け取られているということだというふうに理解します。  今、日米のオバマ大統領と麻生総理の会談の中でもというようなお話がありましたが、外務大臣もクリントン長官とこの間電話会談等を行われているわけですが、この中でもアメリカの拡大抑止というような話についての改めての言及等があったのか、その点について教えていただけますか。
  313. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 二月の十七日でしたか、クリントン国務長官が日本に来日いたしたときに会談をいたしました。そのときにもクリントン長官からは、日米安保体制に基づく核抑止を含む対日防衛に係るコミットメントの表明があったわけでありますが、さらに、先日、五月二十五日、やはりクリントン国務長官との間におきましても再度そのような表明がありました。また、今防衛大臣からも御説明ありましたけれども、五月二十六日には、オバマ大統領との間での電話会談におきまして米国の拡大抑止に関するコミットメントの表明があったところでございます。
  314. 塚田一郎

    塚田一郎君 ありがとうございます。  そうすると、首脳レベル、外相レベル、そしてまた防衛大臣も、きちっとそれぞれのレベルでこうしたことの確認が行われたということで大変力強いメッセージになるというふうに思います。  ゲーツ国防長官は、さきのミサイル発射のときに少し誤解を招くようなステートメントがテレビ等で取り上げられたりして、国内でも少しその辺についてコメントをされている向きもありましたので、今回改めてこういうことをきちんとおっしゃっていただいたということは、私は日米安全保障上非常に頼りになる発言だというふうに思っていますし、これはまたきちっと我々も受け止めてやっていきたいなというふうに思っております。  それに関連もするんですけれども、オバマ大統領が四月五日にプラハで、有名になりましたが、今、核兵器のない世界の実現に向けた表明ということをされました。アメリカの核抑止力に我が国は依存しているという現状がある中で、アメリカは長期的には核軍縮を今唱えてそれを実現しようとしていると。  この核軍縮と核抑止力の維持というのは、必ずしも反するものではありませんけれども、やはりその辺は少し、核軍縮が行われる中での核抑止力ということがどのようにきちっと確保されていくのかということを我々はきちっと理解をして日米で協議をしていく必要があるのではないかなというふうに思います。  五月に米連邦議会の超党派がまとめたアメリカの戦略態勢、アメリカズ・ストラテジック・ポスチャーという、これ報告書が出ています。  この中で、ちょっと読ませていただいたんですが、いろんなことについての議論が行われているわけですが、核抑止力についての点で、日本に関しての部分なんですけれども、特に日本とは核問題でより幅広い協議の場を設けるときが来たと、ただしそれは日本政府が求めた場合に限るがという言及がなされています。実際はどういう表現かというと、リミテッド・オンリー・バイ・ザ・デザイア・オブ・ザ・ジャパニーズ・ガバメントと、日本政府がそういうことを望んでいるんであれば、よりきちっとした核問題についての協議の場を設けるのは重要なことだというような指摘であるんですが、私は、まさに今このときというのはそういうときでありますし、今後もそういう状況が続いていくと思うんですが、こうしたことを踏まえて、日本政府としては今どのように日米の核抑止等の議論、あるいはそれ以外の抑止も含めてでしょうが、が行われているんでしょうか。  防衛大臣、その辺について少しお話聞かせていただけないでしょうか。
  315. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) お答えいたします。  拡大抑止の議論でございますけれども、先ほどちょっと大臣からシンガポールの日米防衛相会談の話、御紹介がありましたけれども、これに先立ちまして五月一日にワシントンで行われました日米防衛相会談においては、ゲーツ長官から、四年ごとの国防見直しでありますQDRの策定過程において日米間で行われている対話を継続していきたいという発言がございまして、これは、これまでこういった分野で対話を継続していることはいいことだと、それを更に強化していきたいというような趣旨の発言がございまして、大臣の方から、個別分野における議論が円滑に進むようにしたいというような答えをさせていただいたところでございまして、日本側からも防衛大綱についての検討状況を説明したり、米側からもQDRその他のいろんな状況についての説明があったところでございまして、私どもとしては、同盟国である米国との間で防衛大臣レベルあるいはこういった事務レベルで常に様々な課題について緊密に協議をしていくということでございまして、ミサイル防衛というのも抑止力の強化の一環でございますけれども、そういったミサイル防衛を含む自衛隊と米軍との協力を向上させることによりまして、抑止力の更なる維持向上を図っていくということが重要であるというような考え方に立っているところでございます。
  316. 塚田一郎

    塚田一郎君 いろんな協議を行われていると。QDRのタイミングもあるでしょうし、これ、実は今回のそのアメリカズ・ストラテジック・ポスチャーも、多分そういうことも踏まえた形での議論も含まれているんだと思いますし、今防衛大綱についてもいろんな議論、自民党内でも行われていますから、そうしたことをきちっと踏まえた上で日米両国が具体的な抑止についての議論を行っているし、今後もきちっと行っていくということで、大臣もうなずいていただいているので、私も理解をさせていただきたいというふうに思います。  少し突っ込んだ質問になるのでどういうふうにお答えいただけるか分かりませんが、例えば核の抑止の場合、一つの例として北大西洋条約機構、NATO型の有事核共有戦略、ニュークリアシェアリングですけれども、これは核の限定的、もう最小限の限定的な持込みとかアメリカによる拡大抑止についての議論かというふうに理解しますが、こうしたことを日本にも適用していくようなそんな考え方もあるのかなと思うんですが、この点について、大臣、いかがですか。
  317. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) お答えいたします。  先生おっしゃっていますニュークリアシェアリングの議論というのは、外交防衛委員会参考人質疑の中でも拓大の川上参考人の方からお話があったというふうに思いますし、NATO等ではいろんな様々な形での抑止力の強化ということでいろんな努力がされているというふうに思いますけれども、我々といたしましては、日本状況あるいはこの周辺の状況、あるいはアメリカのいろんな戦略の状況ということに適切に対応していろんなレベルで協議を行っていくと、その中で一番お互いが抑止力の強化につながるような方策を追求していくということが重要ではないかというふうに考えているところでございます。
  318. 塚田一郎

    塚田一郎君 ありがとうございます。大臣に御答弁いただけると有り難いなと思うんですが、それはいろいろ状況もあるでしょうから。  とにかく具体的な議論を、より現実の脅威が、北朝鮮の核保有、そして核弾頭の小型化ということが視野に入っている状況の中で、今までと違う局面においての日米の協議という段階に入ってきたわけですから、それをしっかりやっていただきたいということを重ねて申し上げさせていただきます。  現状では、そういいながらも、日本防衛というのは専守防衛ですから限られておりますし、いわゆる策源地攻撃能力、自民党でも今議論されています。私はそうした考え方に賛成をしておりますけれども、これも今は概念上のことでありまして、具体的な対応ができるわけではないわけでして、そういう状況においては、例えばミサイル防衛については日本の方で独自に行うと、しかし、敵地攻撃能力のようなものはアメリカに期待するというような今すみ分けが多分取られているんだろうなと私は理解するんですが、そういうような認識でよろしいんでしょうか。
  319. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) お答えいたします。  日米防衛協力のための指針の中では、ミサイル攻撃を含めまして、我が国に対する武力攻撃がなされた場合には、自衛隊がそれに即応して対応するということが規定されておりまして、どうしても盾とやりといいますか矛という関係の議論がございますけれども、ガイドラインに書いておりますのは、攻撃に対応して日本ができるだけ即座に対応するということでございまして、そのような意味におきまして、弾道ミサイル防衛というのは我が国自身の主体的な判断に基づいて運用し、米国とも協力しながら、密接に連携しながら運用すると、そういった考え方に立っているところでございまして、委員御指摘のとおりでございます。
  320. 塚田一郎

    塚田一郎君 高見澤さんから毎回御答弁をいただいておりますが、次はちょっと大臣にお答えいただけると有り難いなと思うんですが。  そうはいいながら、最近は先ほど申し上げたような策源地攻撃能力の議論も日本国内でも出ております。これに関連をして、これは朝日新聞の五月三十一日付けの記事でありますけれども、ウォレス・グレグソン米国防次官補が朝日新聞のインタビューに答えて、「北朝鮮情勢を受けて日本国内で議論が出ている敵基地攻撃能力の獲得について「日本が決めれば、米国は当然できる限りの方法で支持する」との考えを明らかにした。」というふうに書いてあります。  これはつまり、今は現状そういうすみ分けが考えられているだろうけれども、これまでの盾と矛の役割分担を見直していくような動きについてもアメリカとしては理解をするんだというふうに私には読めるわけでありまして、それはやはり、我が国がより主体的な防衛力を担うことを議論として今行っていることをアメリカも分かっていますよと、場合によってはそういうことについてサポートをしていきますというふうに理解をしているんですが、このことはアメリカの一つのメッセージではないかと。まあ朝日新聞ですから、小さい記事なんですが、実はこれ物すごく大きなことをアメリカが今言っているんだろうと僕は理解をしました。  その意味で、防衛大臣、どうなんでしょうか。その辺の議論というのはもう少し日米で詳細に行われているのか、少しお話しいただければ有り難いんですが。
  321. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 先ほども局長の方から話をさせましたが、我が国防衛に関しては、日米の役割については、日米防衛協力のための指針の中で、自衛隊は主として日本の領域及びその周辺海域において防勢作戦を行い、米軍は自衛隊の行う作戦を支援するとともに、打撃力の使用も含めて、自衛隊の能力を補完するための作戦を実施するとしております。このような役割分担の中で、我が国の基本方針に合致したものであるというふうに考えております。  防衛省としては、指針における日米の役割分担を前提として、米側と、自衛隊と米軍の役割、任務、能力などを含めて、各種の案件について様々なレベルで緊密な協議を実施しておるところでございます。  いずれにいたしましても、我々とすれば、この議論というのは我々も当然いろいろな形でしていくわけでありますけれども、現在今、本来、一般論で言えば、こういったことはもう事前に想定できる話であったわけでありますので、事案が起きて議論をすることではなくて、大変そういう意味では、落ち着いたときに並行してこの議論が行われていき、その中でまた予算的な配慮もされながらやっていくべきところがあろうと私自身は思っているところでございますので、余り、こういった時期を何となく選ばないと、大変国民に対して間違ったメッセージを送ることになって逆にバイアスの掛かる可能性もありますので、そこは冷静に議論をしていくことが重要かと思いますし、また、逆に言えば、政治の場において議論されることは大変良いことだと私自身は思っております。  我々政府としては、その点は誤解を与えないように冷静に議論を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  322. 塚田一郎

    塚田一郎君 ありがとうございます。  大変にいいコメントをいただいたと思います。決してこういう状況だからというんではなくて、日ごろからそうしたことはきちっと考えていかなければいけない。しかし、政治的にはこういう状況だからといって物事がエスカレートすることも、これは注意しなければいけないということであります。おっしゃるとおりだと思いますんで、何か起きたから急に熱くなるんではなくて、日ごろから是非そういった議論、私も必要だと思いますので、引き続きよろしくお願いをしたいというふうに思います。  続きまして、北朝鮮の二度目の核実験を受けての安全保障理事会の決議の見通しなんですが、多分今具体的な大きな進展がまだないということだと思うんですが、拉致問題について白先生からも御指摘がありましたけれども、これは家族会からも、救う会からもこうした御要望はずっといただいておりますが、今回の決議に是非拉致問題ということを、この国連の決議の中に明確にメッセージとして言葉を入れてもらいたい。人道上の懸念、つまり拉致問題を含む人道上の懸念というような直接的な言及を是非お願いをしたいということで、日本政府からもそれを強く訴えていただいていると思うんですが、その辺の内容が決議に盛り込まれるかどうかも踏まえて、現状で何か進展があれば御説明いただきたいと思います。
  323. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 北朝鮮の核実験は、今お話ありましたように二度目でありまして、これはもう明らかな安保理決議違反ということで、今関係国が協議を行っているところでございますが、その内容は強い決議を迅速に出すということでございますが、今お話ありました拉致問題に関する点につきましては、今朝ほどの御審議でも申し上げましたけれども、安保理決議の一七一八号が採択された際には、北朝鮮が国際社会の人道上の懸念に対応することの重要性、これが前文において明記をされたという経緯もありまして、今回も我が国といたしましてはこのような観点も踏まえつつ交渉に臨んでいるところでありまして、前文にこのようなまた記述が明記されるよう今努力を行っているところでございます。
  324. 塚田一郎

    塚田一郎君 引き続きよろしくお願いします。これは本当に強く皆さん求められていることでありますし、この拉致問題というのは日本にとって、まあ三つの懸案事項あるんですけれども、特に日本が強く打ち出さないとなかなか国際社会ではきちっとした形でメッセージが伝わらないので、お願いをしたいというふうに思います。  次に、安全保障理事会の決議によってですが、北朝鮮等の船舶検査が盛り込まれる可能性もあります。可能性があると言うと、それが決まらないと答えられないということになってしまうのかもしれませんが、いずれにしても、我が国の安全保障にかかわる重要な局面でありますので、北朝鮮の船舶検査ということは実施できるのかどうかということが議論をしておく必要があると思います。  我が国現行法制下で、周辺事態等の認定があれば別なんでしょうけれども、こうした対応は難しいと思うんですが、この点についてはいかがでしょうか。
  325. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) お答えいたします。  お尋ねの点というのは、どうしても、新たな安保理決議がどうなるかというような具体的なことを踏まえて我が国がさらにどう対応するかということだというふうに思いますけれども、そういう意味で予断を持ってなかなかお答えすることは差し控えたいというのが答弁でございますけれども、その上で、一般論として申し上げれば、周辺事態に際して船舶検査活動に関する基本計画が閣議決定され、同活動の実施について国会の承認を得た場合、周辺事態安全確保法及び船舶検査活動法に基づきまして自衛隊の部隊等は船舶検査活動を実施することが可能であるということでございます。要するに、周辺事態ということと国会の承認という条件に合致するということが前提になるというふうに理解をしております。
  326. 塚田一郎

    塚田一郎君 周辺事態と国会の承認が前提であるということですが、今回のケースについて、官房長官だったと思いますが、周辺事態というふうには考えないというようなコメントをされていたように記憶しておりますが、この点、内閣官房、どうですか。
  327. 野田仁

    政府参考人野田仁君) お答えいたします。  結論から申しますと、何ら政府として現時点の状況が周辺事態に該当するとは今は考えておりません。北朝鮮の核実験は、大量破壊兵器の運搬手段となり得る弾道ミサイル能力の増強をしていることなんかと併せて考えますれば、我が国の安全に対する重大な脅威であって、北東アジアや国際社会の平和と安全を著しく害するものとして断じて容認はできません。  しかし、他方、核実験のみから、法律上の定義であります、そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態等我が国周辺の地域における我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態という、周辺事態の定義に該当するような事態が起こっているとは考えておりません。  以上です。
  328. 塚田一郎

    塚田一郎君 そうだとすると周辺事態としての対応はできないとなるわけでありまして、新しい方法論をもってその船舶検査を考えなければいけないということで、実は自民党内でも、山本一太先生と私も含めて、いろいろ有志で今議員立法をどういうふうに考えられるのかというようなことを議論をさせていただいています。  そうしたことは、実は民主党の浅尾理事も朝日新聞にそのようなコメントをされているということでちょっと拝見をさせていただいたんですが、公海上で貨物の検査ができるようにする効果は大きいと思う、こういう話は与野党関係なく、圧倒的多数の議員の賛成が望ましいし、政局として扱うべきではない、大変にすばらしいコメントだと私は拝察をいたしまして、是非そういうことも含めて、国会状況下は関係なく、こういう議論は日本の国益、安全保障にかなうかどうかというのが大事なポイントなので、積極的な議論ができればなと私自身は思いますが。  それを踏まえて、じゃ、政府はどうなのかということなんですが、こうしたことの検討を、まあ先ほどの話ではないですが、国連決議が、安保理決議がないから仮定の話はということにまたなってしまうのかもしれませんけれども、政府として具体的な検討はされているんだと推測しますけれども、いかがですか、御答弁いただけますでしょうか。
  329. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) この件に関しましては、先生方が精力的にいろいろな意見を交換されているのは存じ上げておりますけれども、政府の立場からすれば、総理大臣が五月二十七日の参議院の本会議でも答弁されておりましたとおり、安保理で協議中ということでありますので、これは明快に予断を持ってお答えすることはできませんので差し控えますが、しかしながら、総理大臣の声明が五月二十五日に同じく出ておりまして、同盟国である米国を始めとする関係国と連携しつつ、国と国民の安全の確保を引き続き万全を期することが重要であるというふうに考えておるところでございます。  いずれにいたしましても、先生方の議論というものをまた見守りながら、また我々とすればいろいろな形で対応していくことになろうかと思いますので、今この時点でのコメント、大変申し訳ありませんが控えさせていただきたいと思います。
  330. 塚田一郎

    塚田一郎君 浜田大臣の気持ちは私は伝わりましたので、ありがとうございます、御答弁をいただきまして。それは党内でもそうですし、議会としてもきちっと必要な議論をしていきたいなと思います。  次に、先ほど白議員からも同じような趣旨の質問がありましたが、スタインバーグ国務副長官を始めとしたデリゲーションが日本政府と議論を行っています。    〔委員長退席、理事浅尾慶一郎君着席〕  この中で、例えば具体的な金融制裁を連携をしていくというような、アメリカでやって最も効果のあったBDAの金融制裁のような議論は行われたのでしょうかということが一点。もう一つは、テロ支援国家の再指定。これは日本の拉致被害者家族も、前回の訪米、私も御一緒しましたが、このときも、テロ支援国家の再指定と金融制裁、この二つは是非やってほしいということを行くところどころで、飯塚会長が先々で全部同じようなことをメッセージを言われていて、まさにこの二つはどうしてもアメリカにやってもらいたいということなんですが、この二つの点について、このミッションとの会談の中でこうしたことがあったのかどうか、お答えいただけますでしょうか。
  331. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 六月の一日から二日にかけましてスタインバーグ米国務副長官ほか米国の代表団が来日をいたしました。私も表敬を受けたわけでありますが、麻生総理への表敬とそれから日本側のカウンターパートとの協議が行われたところでございます。  これらの意見交換におきましては、北朝鮮の状況について全般的な角度から意見交換を行ったところでございますが、さらに現状の分析なども行いまして、今後とも日米で緊密に協力をしていくということが確認をされたところでございます。  協議の内容は非常に多岐にわたっておりますし、詳細は申し上げられませんが、その中で金融面の議論も行われました。先方との申合せもありまして、やり取りの詳細についてはお答えを差し控えさせていただきたいと思いますが、テロ支援国家指定も含めまして米国によります対北朝鮮措置、これにつきましては、これはもう委員も御案内のとおり、すぐれて米国内のこれは国内法の解釈、運用の側面がありまして、最終的には米国政府が判断する事柄でございます。  いずれにいたしましても、拉致とか核、ミサイルといいました北朝鮮の諸懸案、これの解決に向けた具体的な行動を北朝鮮から引き出すために、対話と圧力のバランスに意を用いながら日米間で緊密に連絡をしていくと、連携していくということに変わりはないわけでございます。  テロ支援国家の再指定のことにつきましては、五月二十八日の参議院の予算委員会におきまして麻生総理が御答弁されておられますけれども、それは、五月二十六日の日米首脳電話会談、これにおいて麻生総理からオバマ大統領に対しましてそのような我が国の考え方を伝えまして、北朝鮮に対する圧力の重要性について働きかけをしているということを踏まえて行われたものでございます。
  332. 塚田一郎

    塚田一郎君 ありがとうございます。  テロ支援国家指定については、もちろんこれはアメリカが決める、オバマ大統領が決めることなんだというふうに私も理解はしておりますし、アメリカの法制上の指定ですから日本からとやかく言ってもなかなか難しい部分があるのかもしれませんが、しかし、これは非常に大きな意味があるからこそ、北朝鮮はこの指定解除をずっと交渉の中でも言ってきたというふうに私は理解していますので、それをやはり日本側が再指定をしてもらいたいということを常に局面局面でアメリカ政府にお願いをしていただきたいと私は思います。それがアメリカと日米の同盟関係においてきちっとしたメッセージで伝わっていくことだと思います。  もう一点の金融制裁については、これ御質問はしませんけれども、私の理解ではリービー財務次官が今回のミッションに一緒にいたはずです。リービーさんはいわゆるBDAの金融制裁オペレーションについて携わった方だと理解をしておりまして、まさにライトパーソンなわけであります。したがって、そういった詳しい状況を踏まえて日米が連携をして、これ金融の問題というのは国際社会を巻き込んでいくことも大事ですけれども、やっぱりアメリカのドルが中心とした金融の世界ですから、アメリカの大きな影響力というのはすごく金融制裁においては不可欠なんですね。これはアメリカを中心とした連携をしていくことがこの金融制裁においては不可欠でありますので、是非、この点についても日米できちっとした対応を行っていっていただきたいということを重ねて要望をさせていただきます。  これも先ほど少し言及はされましたが、外務事務次官が、六者協議はこれからもこういう形は取っていくんだけれども、新たなアプローチということを言及されているんですね。で、新たなアプローチというのはどういうことなのかなと私はちょっと疑問に思うんですけれども。今までやってきたこと等、六者協議に関してはこの手だては有効であるけれども、しかし新しいアプローチを考えていくと。これ、具体的に新しいアプローチというのはどういうことをイメージしているんでしょうか、あるいは意図しているんでしょうか、外務省、御説明いただけますか。
  333. 石川和秀

    政府参考人(石川和秀君) お答え申し上げます。  今朝ほども白委員からの御質問にお答えしましたけれども、薮中次官の記者会見における発言の意図は、この六者会合というものが現実の北朝鮮の問題を対処するに当たっての現実的な枠組みであるということを基本としつつ、そのことを認識している日米が共に協力をして、これまでの六者会合の在り方でどういう点が不十分だったか、改善すべきことは何かということを日米で協力して議論をしていこうと、その結果として、従来よりもより効果的なものとしようということを議論をし合ったということでございます。
  334. 塚田一郎

    塚田一郎君 今までの検証を踏まえた新しいアプローチということなんでしょうか。私からすると、何が違っていたかというと、圧力の掛け方が間違っていたと私は個人的には思います。  オバマ政権も最初、ずっと対話重視ということで、ボズワース氏も、私も聞いている限りでは、まずダイアログでいくんだというふうに今年の年初からずっと言っていました。しかし、ダイアログでいくといった中で起きてきているのが今の事態でありまして、やはり北朝鮮に対してはきちっとした圧力をもって交渉に臨むというスタンスを取らないと、もうこれ過去の歴史の中で我々も理解をしていることでありますけれども、駄目だなんだということでありまして、その意味では圧力をきちっと掛けながら交渉するという、そういうアプローチに切り替えていっていただくことが私は大事だと思うので、一言申し上げさせていただきます。  最後の質問にさせていただきます。  昨日辺りから、北朝鮮の金総書記の後継者問題の報道日本のマスコミにも大変に多く取り上げられております。数日前からは韓国の情報機関からの情報ということでニュースに上っていたわけですが、読売新聞は夕刊と今日の朝刊で両方大きく、何でしょうか、これ少年時代の金正雲さんですか、本当に子供の写真なんで今どんな顔をしているのか推測は付きませんが、だれかにおまえ似ているじゃないかとさっき言われたんですけれども、私は全く関係はないんですけれども、子供時代の顔ですからみんな似たような顔なんで、いや、私は体型的にはどちらかというと長男の正男に近いのかもしれませんけれども。  ちょっと話がそれましたが、いずれにしても、この後継者問題が非常にいろんな形で今メディア等にも上ってきていると。これについて、日本政府としてはどんなような認識を今持っていられるのか。メディアの情報が出たからということではありませんが、これだけかなり大きく取り上げられているということは今までの憶測の域を超えて具体的な動きがあるんではないかと思うんですが、そうした情報をどの程度持っているかも含めて、政府の今の分析状況について御説明いただきたいと思います。
  335. 石川和秀

    政府参考人(石川和秀君) お答え申し上げます。  御指摘の後継者問題については各国とも当然のことながら強い関心を持っているところだと思います。それからまた、御指摘のように、種々の報道が特に近年、最近なされているわけでございます。  政府としても、北朝鮮の内部情勢を含めいろいろな情報に接しておりますけれども、日本政府として現時点において後継者問題についてコメントをするという状況には現在のところないと思っておりますが、いずれにせよ、後継者の問題というのは今後の北朝鮮の問題について大きな影響を及ぼすというふうに考えますので、引き続き強い関心を持って情報収集、分析を行っていきたいと考えております。    〔理事浅尾慶一郎君退席、委員長着席〕
  336. 塚田一郎

    塚田一郎君 いろいろなマスコミの論評によると、この後継者問題、つまり金体制の継承というんですかね、この金王朝の継承というのが実は今回のミサイル発射とか核実験とか、こうした動きに何らかの深い関連性を持っているんじゃないかという指摘が多く出ています。ということは今、非常に北朝鮮自身も大きく変わる局面を迎えているという可能性があります。それは取りも直さず金正日総書記の健康状態に直結してくるわけでありまして、そういう事態がかなり差し迫っているんではないかという認識を我々は持たなければいけない。  じゃ、問題は、そうなったときに本当に北朝鮮の体制が安定的、まあ安定していればいいといっても、今安定していて問題なんですから不安定になった方がいいと言う方もいますが、いずれにしても、非常にコンティンジェンシープランを持たなきゃいけないような事態が、いわゆる非常事態のようなことが起きてくる可能性も十分にあるわけですから、是非、日本政府としてもこの辺の情報収集と、その際また必要になってくるコンティンジェンシープランのようなものも御検討されているんだと思いますが、引き続き注視をしていっていただきたい。核問題、ミサイル問題だけではなくて、北朝鮮の政権そのものの非常事態、あるいは朝鮮半島そのものの大きな変化が近々に起こらないとは限らないということを御指摘をさせていただいて、私の今日の質問を終わりたいと思います。  本当にありがとうございました。
  337. 浜田昌良

    浜田昌良君 公明党の浜田昌良でございます。  海賊対処法質疑に入ります前に、少し私も北朝鮮の核実験関係について質問をさせていただきたいと思います。  今、同僚の塚田議員から、米国国防次官補の御発言を引用されまして、我が国のいわゆる敵基地攻撃論についての話がございました。私が得ている情報と若干これ違っておりまして、ちょっとこの件について、通告はしていないんですが、もし可能でしたら外務大臣の御答弁をいただきたいと思っているんですが。  私が得ている情報というのは、この核実験があって、与党として山崎前副総裁をヘッドとして与党調査団を派遣しました。自民党から中谷衆議院議員、我が党から佐藤議員が参加をしまして、各地で大使、またアメリカのバーンズ国務次官、またフロノイ国防次官と会ってこられたと聞いております。その両次官が最初に一番言ったことは何かというと、いわゆる日米安全保障のコミットメントはしっかり守るからということを最初に言われたと。その背景は何かというと、この日本の国内でのいわゆる核武装論、また敵基地攻撃論に対してのやっぱり懸念を持っておられるという感じがしたということなんですね。  私は、これ余り良くないことだなと、ミスリーディングな外交メッセージが伝わることは良くないんじゃないかなと。特に核武装というのは、非核三原則を言っている我が国にとってはあり得ない話であるわけですから、まずこの点について、我が国としては核武装なんてあり得ないということを、中曽根大臣の信念として一言御答弁いただければと思います。通告なくて申し訳ございませんが。
  338. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) これはもう再三政府として答弁していることでありますけれども、いわゆる非核三原則が我が国にはあるわけでありまして、政策上の方針として一切の核兵器をこれを保有しないという、そういう原則を堅持をしているところでありますし、またさらに、原子力基本法そしてNPTによりまして一切の核兵器を保有しないと、そういうことになっているわけでございます。
  339. 浜田昌良

    浜田昌良君 ありがとうございました。  そういう意味で、もう一つ得ている情報では、やはり中国、ロシアとアメリカと、制裁と外交的努力、この若干重心が違うという話があるわけですね。中国、ロシアの方は、制裁も重要、しかし併せて外交努力も非常に重要と。外交努力をやる場合、考えていく場合重要なのは、相手の本意がどこにあるのかということを見極めるのが重要だと思っているんですね。  今ほど塚田議員からも北朝鮮の政権移譲の話もあったんですが、今回、今年に入って核実験、ミサイル実験を繰り返しているという、こういう暴挙の背景には、よくマスコミでは二つの背景があるんじゃないかと。一つは、三男の正雲氏という名前が最近出てきましたが、政権移譲のために国内世論を引き締めるという、そういう意思。もう一つは、次期政権の平和的存続のための米国からの保障ですね、いわゆる停戦協定あるいは平和条約締結するための有利な交渉条件を引き出そうというような、そういう見方もあるんですが。  外務大臣として、今回の北朝鮮のこういう暴挙の背景、つまり北朝鮮の本意は一体どこにあるんだろうと思っておられるのか、御見解をお聞きしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  340. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 北朝鮮の核実験の実施を始めとする暴挙の背景ということでありますが、そういう言動につきまして我が国として、我々その意図を理解するというのは、非常に、相手のことでもありまして、困難なことではありまして、また、北朝鮮の意図を推し量って云々言うということも適当でないかもしれません。  安保理におきましても、現在、一七一八違反ということで非難がなされて、そして決議の協議が行われているところでありますけれども、私たちとしては、いかような意図があろうとしても、これは国際社会に対する挑戦でもありますし、この地域に対する大変な安定を損なうものでありますから、しっかりとした決議を作るということが大事だと思って今努力をしている最中でございます。  北朝鮮は国際社会のそういう声にもやはり真剣に耳を傾けて、そして更なる挑発行為は控えて、そして六者会合に復帰をして共同声明を完全に実施すると、そういうことが北朝鮮自身の利益なんですよということを私たちも北朝鮮に、まあ分からせると言うとなんですが、理解をさせるということが大事だと思っておるわけであります。  引き続いて、この北朝鮮をめぐる諸懸案の解決について各国と連携しながらやっていきたいと思っております。
  341. 浜田昌良

    浜田昌良君 なかなか北朝鮮の本意はどこかというのは言いにくい問題だと思いますけれども、外交努力をされるベースとして一応内々、どういう北朝鮮の思惑なのかというのは省内でしっかりと御議論いただきたいと思っております。  もう一つ、北朝鮮が核保有国を目指すと、そういう状況に追いやった要因として、いわゆる核保有のダブルスタンダードという問題があるわけですね。いわゆるP5という国はNPT上核を持っていると。一方、インド、パキスタンという国はNPTの外でこれを持っていて、当初は幾つかの制裁を受けたわけでありますが、ちょうど十年ぐらい前ですかね、いろいろと核実験があって、十数年前ですか、ところが最近ではいろいろと、我が国を始め国際社会からも受け入れられてきていると。この核保有のダブルスタンダードが北朝鮮の核保有を助長しているんじゃないかと、こういう見方に対して、大臣の御評価はいかがでしょうか。
  342. 橋本聖子

    ○副大臣橋本聖子君) 今お話ありましたインド、パキスタンはそもそもが核兵器不拡散条約、NPTに加盟していないということからして、我が国は両国に対してあらゆる機会をとらえまして、まずはNPTに非核兵器国として加入し、そして包括的核実験禁止条約のCTBTを早期に署名、批准することを求めてきております。先般、中曽根大臣世界に提案をいたしました世界的核軍縮を進めるための十一の指標においても、今申し上げたことを求めてきております。  北朝鮮の核問題は、我が国を含む北東アジア地域の平和と安定に対する直接的な脅威であるとともに、国際的な核不拡散体制に対する深刻な挑戦でありますので、北朝鮮については、すべての核兵器及び既存の核兵器の放棄が規定された国連安保理決議一七一八号が存在をしております。  いずれにしても、北朝鮮によるすべての核兵器及び既存の核計画の放棄の実現に向けて、米国を始めとする関係国と連携をしながら最大限の努力を行っていきたいというふうに思っております。
  343. 浜田昌良

    浜田昌良君 この核保有のダブルスタンダードについて日本もある意味では関与しているんですね。  六月一日の読売新聞に核の脅威インタビューというのがありまして、これでオーストリアの国際問題研究所のハインツ・ゲートナー教授の発言、こういうのがあったんですね。アメリカとインドの原子力協定がイランの核計画を助長するだけでなく、北朝鮮の核実験を踏み切らせたのかもしれないという記事があったんですね。このいわゆる米印原子力協定は単に二国間の問題ではなくて、これが発効するためにはNSGという核保有国グループ、これ全体で四十五か国あるんですが、このコンセンサス、全加盟国の合意がないとこれは発効しなかったんですよ。これ、結構もめたんですね。  昨年の夏なんですけれども、実は広島、長崎市長からも、日本、このNSGのメンバーでありますから、これに慎重に対応してほしいと、そういう要請もありました。結果的には、昨年の八月二十一日か二十二日のときは、一回目ではこのNSGまとまらなくて、いわゆるアイルランド、オーストリア、オランダ、スイス、ニュージーランド、ノルウェー等がかなり強硬に反対をして、ただ、急転直下、九月六日にはまとまってしまうという結果を迎えるんですが。  私はこの中で、外務省としてちょっとそういうものに対してもう少し慎重にいろいろやっていれば、こういうダブルスタンダード論についてもこういう形にならなかったんでないかと思うんですが、その点についての責任というのはどういうように思っておられるか、外務大臣の見解をお聞きしたいんですが。
  344. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 多少経緯も含めてお答えしたいと思うんですが、昨年九月のNSG、原子力供給国グループですが、これの臨時総会におきまして、我が国は、NPTに加入していないインドへの原子力協力国際的な核不拡散体制に与え得る影響、それからアジア最大の民主主義国家であるインド、新興市場経済国でもあるインド、これの重要性、そしてさらに、インドによる原子力の平和的利用が地球温暖化対策に貢献し得るそういう意義、そういう観点を踏まえまして、特に唯一の被爆国としてインドによる核実験モラトリアムの継続を重視をしながら議論に参加をしたところでございます。  この総会における参加各国によります非常に厳しい議論、交渉が行われたわけでありますが、その結果、インド例外化の決定につきましては、インドの核実験モラトリアムの継続を始めといたしまして、民生用の原子力施設へのIAEA保障措置の適用、それからNSGガイドラインの遵守を含む、厳格な輸出管理の実施を含むインドの約束と行動に基づくものであることが明確にされまして、またさらに、これらの約束と行動を通じまして、インドに対する不拡散措置が現在より強化をされ、そしてインドの原子力活動の透明性が高まるとともに、国際的な核不拡散体制の外にいるインドによる更なる不拡散への取組を促す、そういう契機になると考えられたところでございます。  このような点を踏まえまして、我が国といたしましては、大局的な観点から、ぎりぎりの判断といたしまして、インド例外化に関するコンセンサスによる採決に加わったところでございます。その際、我が国は、仮にインドによる核実験モラトリアムが維持されない場合には、NSGとしては例外化措置を失効又は停止すべきであること、また、NSG参加各国各国が行っている原子力協力を停止すべきであることを明確に我が国として表明をしたところでございます。  以上のように、この決定は国際社会がインドの約束と行動を重視をした結果でありまして、我が国としては、インドがこの決定の趣旨を重く受け止めて、そして国際的な核不拡散体制の維持強化のためにインドが責任ある行動を取るよう引き続き強く求めていく考えでございます。また、インドに対しましても、非核兵器国としてのNPTへの早期加入、先ほど申し上げましたけれども、そしてCTBTの早期署名、批准、こういうものを求めるとの従来からの立場に変わりはないところでございます。  なお、この決定はインドによる核不拡散への約束と行動を前提としてインドに特定された措置でありまして、これが北朝鮮の核問題に対する今までの国際社会の取組に影響を与えるべきではないことについてはもう共通の認識があるということを考えているところでございます。
  345. 浜田昌良

    浜田昌良君 とても詳しい答弁、ありがとうございました。ただ、その詳しい答弁が実は私は外務省の限界だと思うんですよね。  これ、交渉されたのは今の佐野利男軍縮部長なんですよ。実はこれ、やり取りがありました。そういう市民グループからの要請もあるという中で、どう交渉するかとほとんど説明を外務省はしない、与党に対しても。再三呼んで、一回目流れて、二回目のときは、無理をしなくても、無理をしなければ、アメリカはもう政権が替わるのが分かっていましたから、ということもあった。という中で、いや、多分流れるといいながらまとめていく方向に走ったとあるんですね。  軍縮の方々って外務省の中でも一つのスクールになっていまして、佐野さんなんかは軍縮課長もされていて、軍縮の講師もされていると。一つの考えになっているんですね。今の軍縮課長森野さんも十年前に軍縮課の首席事務官されていますから。そういう考えの中の延長線上にはこれからの核軍縮は私はないんだと思うんですよ。それは私が言っているわけじゃなくて、外務省の中でもそういう意見があって、いわゆる、そういう今までの軍縮の方々はアメリカの言いなりに近いと、むしろ軍縮の素人の人がこれからは核軍縮をやるべきだと、そういう意見も実はあるんです。  これ、是非外務大臣も念頭に置いていただきたいと思っていまして、そういう人たちは、逆に言うと、今回、今日多分立たれると思いますが、ジュネーブに須田大使が行かれたんですね、軍縮大使として。彼は軍縮の専門家じゃないんです。そういう意味では、ああいう人にやってもらいたいという声もある中で、今までの外務省がやってきた核軍縮の考え方の延長線ですべてを発想するんじゃなくて、これからの核軍縮というのは大きく不連続な面がありますから、そういう人たちだけの意見に寄らない、立派な大臣のリーダーシップを期待したいということを付けさせていただいて、この海賊法案の方に入りたいと思います。  済みません、お待たせしました。金子大臣にお聞きしたいと思いますが、今回は武器使用権限のところについて集中的にお聞きしようと思っているんですが、今回の法案第六条でいわゆる停船射撃という武器使用権限を新たに設けた背景、またその基本的考え方について、まず大臣から御答弁いただきたいと思います。
  346. 金子一義

    国務大臣金子一義君) ソマリア沖海賊事案の実態を踏まえますと、海賊船舶民間の被害船舶に接近するなどの行為については、その後の重大な危機の発生を回避するために、これらの行為を行っている段階で阻止するという必要性が非常に強いという点から追加をしたものでありまして、背景はそういうことでありますけれども、ベースになっておりますのは警察官職務執行法第七条に基づいております。
  347. 浜田昌良

    浜田昌良君 そういう意味で、もう少しそれを違う角度からお聞きしますけれども、そうしますと、この停船射撃と現行海上保安庁法の二十条二項に規定するいわゆる不審船に対する武器使用権限との考え方の類似点、相違点について、こういう観点から少し御答弁いただけますか。
  348. 大庭靖雄

    政府参考人(大庭靖雄君) 類似点、相違点についてというお尋ねでございます。  まず、類似点と申しますか、共通する点から申し上げたいと思います。  海賊行為への対処と不審船への対処は共に警察活動でございまして、武器使用に当たっては警察官職務執行法第七条の規定を基本として行うものでございまして、お尋ねの海上保安庁法第二十条第二項も本法第六条も、警察官職務執行法第七条を補完して船舶を停止させるために必要な武器の使用を許容するものでございまして、また、その結果、人に危害を与えたとしても、法律に基づく正当行為として違法性を阻却するという効果があるものでございます。  次に異なる点、申し上げますけれども、例えば海上保安庁法第二十条第二項は、不審船が拉致などの重大凶悪犯罪に関与している疑いがあるというようなことで、将来における我が国領海内における重大凶悪犯罪の発生を未然に防止するためには、立入検査の実効性を担保する必要があるということから武器使用権限を規定したものでございますが、他方、本法案第六条は、海賊船舶民間の被害船舶に著しく接近することなどを国内法上の重大な凶悪な犯罪であるとして、現に行われているそのような重大な凶悪な犯罪を制止するための武器使用権限を規定したものでございます。この点が異なっているということでございます。
  349. 浜田昌良

    浜田昌良君 今の御答弁聞いていただくと分かるんですが、共にこれ警察活動としての武器使用権限であると。ただ一方、海上保安庁法の場合はこれは未遂犯なんですね、未遂犯に対しても武器を使うという。一方、今回の本案はもう犯罪を既遂しているというものに使うという意味ですから、そういう意味では、罪との関係からすればより安全側になっているということを指摘しておきたいと思います。  次に、法制局にお聞きしますが、国際法において普遍的管轄権が設定されている海賊行為我が国個別法で我が国の管轄権を設定して行う自衛隊武器使用、まあ今回の場合ですね、それと、国際法において管轄権が設定されていない紛争地帯において行う、例えばPKOなどですけれども、この自衛隊武器使用とで、同じ例えばエスコートの武器使用であったとしても憲法九条の観点からどのように差があるのか、御答弁いただきたいと思います。
  350. 横畠裕介

    政府参考人横畠裕介君) お答えいたします。  まず、本法案による海賊対処は、国連海洋法条約によって許される範囲内で我が国の管轄権、具体的に申し上げれば我が国の統治権能の一部であります警察権であり、これには厳格な比例原則の下での強制力が伴うものでございますが、これを公海上にまで及ぼし、我が国法執行としてこれに服すべき海賊を取り締まるものでございます。そのために、本法案では海賊行為を定義し、これを国内法上の犯罪として規定した上で、海上警察機関である海上保安庁及びこれを補完する役割を担うものとしての自衛隊海賊行為の取締り等に当たることを規定し、武器使用を含む所要の権限を付与しております。  本法案による自衛隊による海賊対処行動では、自衛官が私的目的による私人の行為として定義された海賊行為の抑止、取締りという職務を行うに当たって、武器の使用を含む強制力を用いることを認めております。法案の第六条の停船射撃はまさにその現行犯の海賊行為を制止するためのものでございます。これについては、当該自衛官の職務が我が国法執行であるということに強制を及ぼす法的根拠があり、また、あくまでも私人を相手とするものであるということから、そもそも武力の行使に当たるものではないものと整理しております。  他方、御指摘のPKO活動等は我が国の統治の及ばない国外の領域において行われるもので、その法的性質も我が国法執行ではないことから、我が国の統治に服するものでもない他国民に対して自衛隊武器を使用して強制力を発揮することについては、その法的根拠についての議論が必要であることを始め、その相手方が国又は国に準ずる者である場合には憲法第九条が禁ずる武力の行使に当たるおそれがあるという問題があることから、現行法上、これらの活動においてはいわゆる任務遂行のための武器使用は認められておらず、これらの点に疑義がない、いわゆる自己保存のための武器使用及び自衛隊法第九十五条による武器等防護のための武器使用に限って認められているものと承知しております。
  351. 浜田昌良

    浜田昌良君 今明確に御答弁いただきましたように、今回の海賊法の、(発言する者あり)しっかり後で議事録を読んでいただくと分かると思いますから、あくまで管轄権があるかないかというのは非常に大きな差なんですね。管轄権があるがゆえに、私人に対するもので武器使用をしても、それはいわゆる憲法九条で規制されている武力の行使には全く当たらないという前提であるということをしっかりと踏まえた上でここは御理解賜りたいと思っています。  もう少し違う角度から質問いたしますけれども、これも法制局にお聞きしますが、この本法案第六条のいわゆる停船射撃は、ある方はいわゆる任務遂行のための武器使用権限になるんじゃないかと、こういう議論があるんですけれども、私はそうじゃないんじゃないかなと。私自身、与党PTの中でこれを議論していって、なぜこれに至ったのかということを少し背景を話をしたいんですが。  刑法三十六条で正当防衛ってあるわけですね、急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するためにやむを得ず行うという場合。また、刑法三十七条のいわゆる緊急避難ですね、他人の生命、身体、自由又は財産に対する現在の危難を避けるため、やむを得ずした行為としての武器使用と。これを適用しようと思うと、ロケットランチャーを持った海賊が被害船に縄ばしごを上がっているという状況であると、この刑法の三十六条、三十七条に基づいて危害要件が外れて使えると。しかし、そこに至る前の、船が向こうから近づいてくる、警告を無視して著しく接近する、又は付きまといというだけでは刑法三十六条、三十七条が適用できないと。その中で、その間を埋める必要があるというのが今回の考え方なんですね。  よって、そういう意味では、ある意味では、現在の警察官職務執行法七条のただし書の一号に、凶悪な犯罪を現に犯す者が警察官の職務に抵抗したときと、これがあるんで危害要件を外しているんですよ。これの一類型として規定されていると私は理解しておりますが、法制局の見解をお聞きしたいと思います。
  352. 横畠裕介

    政府参考人横畠裕介君) 法案第六条の停船射撃に関する規定を新たに設けようとしている趣旨は、先ほど金子大臣から御答弁がありましたとおりでございまして、まさに海賊特有の事情、すなわち実際に被害船に乗り込まれてしまった場合には、それを制圧して被害船を奪還するということが極めて難しくなるという事情があることから、接近、付きまといなどの法案第二条第六号に規定します海賊行為が行われている段階で確実にその船舶を停止させて、当該、現行犯でありますけれども、その犯行を制止することが極めて重要であるということに基づくものでございます。  実は、今御指摘がありましたように、基本となります、準用されます警察官職務執行法第七条、これは現行の自衛隊法におきましても海上警備行動等の場合に準用されているわけでございますけれども、この第七条第一号は、死刑又は無期若しくは長期三年以上の懲役若しくは禁錮に当たる凶悪な罪の現行犯人が、準用ですので自衛官と読ませていただきますけれども、自衛官の職務の執行に対して抵抗するときに、これを防ぐために他に手段がないと自衛官において信ずるに足りる相当な理由がある場合には、正当防衛、緊急避難に該当する場合でなくとも、事態に応じ合理的に必要と判断される限度において、その武器を使用することができるものとされているところでございます。  その上でさらに、この法案第六条を設ける趣旨でございますけれども、海賊が警告の措置を無視して被害船に接近、付きまとい等を行う六号海賊行為をやめないという場合において、それが警察官職務執行法第七条第一号に規定された「職務の執行に対して抵抗し、」という要件に当たるか否かについては積極、消極の解釈があり得るということから、法案第六条は、接近、付きまとい等の六号海賊行為を制止する場面において、この点についての自衛官等の判断についてちゅうちょを生ずることがないよう、警察官職務執行法第七条第一号の「抵抗し、」という要件に代えて、「他の制止の措置に従わず、なお船舶を航行させて当該海賊行為を継続しようとする場合」という要件とすることによって、言わば同号の規定を補完する趣旨でございます。  ちょっと長くなって済みません。
  353. 浜田昌良

    浜田昌良君 どうしても法制局の答弁は正確を期するがゆえに長過ぎて分かりにくくなったかもしれませんけれども、簡単にまとめて言いますと、これは何かというと、警察官職務執行法七条のただし書の一号に規定された類型があると、それを具体的に当てはめて書いただけであって、新たに武器使用権限を設けたものじゃないんですね。既に警察官職務執行法で規定された武器使用権限の範囲内であると、それを詳しく具体例に当てはめやすくしたというのが私の理解ですが、そういうことでよろしいでしょうか。  もう一度、法制局、答弁お願いします。
  354. 横畠裕介

    政府参考人横畠裕介君) 現に行われている凶悪重大事犯を直ちに制止するという趣旨で、全く同じでございます。
  355. 浜田昌良

    浜田昌良君 分かりやすかったと思いますが。  次に、この六条の、じゃ武器使用権限というのも自由に使えるわけじゃないんですよ。二つの条件が付いているんですね。何かというと、「他に手段がないと信ずるに足りる相当な理由のあるとき」という条件が付いている。もう一つは、「その事態に応じ合理的に必要と判断される限度において、」と。この二条件が付いているんですが、この二条件は、実は同様の条文がありまして、これは今の海上保安庁法の二十条の二項なんですね。これもいわゆる不審船の武器使用権限を書いたところ、危害要件が解除されているんですが、これにも同じ、今あった二条件が付いているんですが。  よって、この条文からしますと、あくまでこの六条後段の武器使用を行う場合であっても、人命になるべく影響がないようにエンジン等の駆動部分をねらって射撃すると、こういう理解でよいかと。その事態に応じ合理的に判断される限度の具体的運用について、国土交通省及び防衛省からお聞きしたいと思います。
  356. 岩崎貞二

    政府参考人岩崎貞二君) 先生御指摘のとおり、事態に応じ合理的に判断される限度においてやるわけでございますので、直ちに海賊行為を行っている者の生命、身体に危害を加える射撃が許される旨を規定しているわけではないと理解をしております。  具体的な運用でございますけれども、いろんなシチュエーションがございますので明確にお答えするのは困難ですけれども、例えば緊急度が非常にある場合とか、時間的余裕があるかないかとか、そうしたことで左右されると思いますけれども、一般的に申し上げれば、まずは警告を行う、射撃を行っても警告の射撃を行う、それから接近等の継続を止めるために海賊の進路の海面に射撃を行うと、こうした順序を踏んで、さらに、船を撃つ場合でありましても、船舶のエンジン部でありますとかかじ部でありますとか、そうしたところをねらって射撃をするというのが基本だと理解しております。
  357. 浜田昌良

    浜田昌良君 そういう意味では、今後、この法律ができた段階武器使用権限についても運用マニュアルが多分作られると思うんですが、それはこの今二要件がちゃんと掛かっている海上保安庁法二十条二項に規定する武器使用権限の運用マニュアルとほぼ同じになっていくと、こういう理解でよろしいんでしょうか。
  358. 岩崎貞二

    政府参考人岩崎貞二君) 基本的に大きな考えは変わらないと思っております。警察官の職務、警察行動を行う範囲での武器使用でございますので、そういう意味では大きく変わらないと思います。対象がただ不審船と海賊では違いますので、それに応じたものにはしなきゃいけないと、このように思っております。
  359. 浜田昌良

    浜田昌良君 今の二つの質問につきまして、防衛省について、考えが同じかどうか。
  360. 徳地秀士

    政府参考人徳地秀士君) お答え申し上げます。  事態に応じ合理的に必要と判断される限度ということにつきましては、個別具体的な状況に応じて判断されるものでありますので、一概にお答えするということはなかなか難しい面がございますけれども、法案の趣旨に照らした場合に、実際の武器使用は、例えば警告を行った上で、状況に応じて接近等を継続する意欲を減退させるために警告射撃を行ったり、あるいは物理的に航行機能を失わせるというために機関部などを目標としまして船体に向けて射撃を行うというようなことが考えられるわけであります。  それから、不審船対処の場合との比較ということでございますが、いずれの規定による武器使用も先ほど来御答弁ありますとおり警察権の行使に伴うものであると、そういう意味で同じでありまして、かつ警察比例の原則が適用されると、その点においても変わらないわけでありますので、以上のようなことを勘案いたしまして、現場が判断に困らないように、法の規定に基づく武器使用の基準を今後部隊にしっかりと示したいと考えております。
  361. 浜田昌良

    浜田昌良君 ちょっと答弁が長くて分からなかったんですが、いわゆる海上保安庁の考え方と同じということでよろしいんですね。一言で。
  362. 徳地秀士

    政府参考人徳地秀士君) 当然のことながら、同じ規定に基づいて行うわけでございますので、同じような考え方になるものと考えております。
  363. 浜田昌良

    浜田昌良君 ということで、武器使用につきましては、そもそも管轄権の問題から、いわゆる憲法九条で規定する武力の行使とは全く違う問題である、また、新たな武器使用権限を生み出すというのではなくて、既に現行である警察官職務執行法七条のただし書一号のその類型化であると、しかも、その運用については抑制的なマニュアルを作っていただくということを確認させていただいたと。  これで私の質問を終わりたいと思います。
  364. 井上哲士

    ○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。  私も、まず武器使用の問題について質問をいたします。  今もいろんな議論があったわけですが、これまで海外に派遣をされている自衛隊活動ということに着目をした場合に、これまでのあらゆる活動と比べて武器の使用の権限が拡大をされているのは、これは紛れのない事実であります。  その上で装備についてお聞きするんですが、この法案では海賊対処行動に使用できる武器の範囲というものはどのように規定をされているんでしょうか。
  365. 加納時男

    ○副大臣(加納時男君) 使用する武器の範囲ということでございます。  この海賊行為への対処に当たる保安官や自衛官でございますけれども、本法案においてはどういう規定になっているかといいますと、警察官職務執行法第七条の規定を準用することになっております。それからまた、本法案第六条の規定に基づきまして、具体的には現場状況を踏まえ、事態に応じて合理的に必要とされる限度において武器を使用することができるということでございます。
  366. 井上哲士

    ○井上哲士君 現在、既に自衛艦の護衛艦派遣をされているわけですが、これはどういうような装備を持っているんでしょうか。
  367. 徳地秀士

    政府参考人徳地秀士君) 現在アデン湾派遣されております護衛艦「さざなみ」、「さみだれ」には、速射砲、それから高性能二十ミリ機関砲、CIWSと言っておりますが、それから十二・七ミリの機関銃、それから対艦ミサイル、魚雷などを装備をしております。
  368. 井上哲士

    ○井上哲士君 この法案では、自衛隊海賊対処行動に出る場合に、対処要項を作成をし総理に提出をすることになっておりますが、この対処要項の中で定める事項の一つに自衛隊の部隊の規模及び構成並びに装備並びに期間というものがありますが、今朝からの議論でも、今出ている護衛艦がそのまま新法の下での活動に移っていくというようなことでありますが、そうなりますと、この新しい法律成立後の対処要項にはこの装備というのはどのように書き込まれていくんでしょうか。
  369. 加納時男

    ○副大臣(加納時男君) 今先生がおっしゃったとおり、海賊対処要項の中に部隊の規模、構成と並んで装備ということが明記してございますので、当然その装備というのは対処要項の中に入るということでございます。  具体的にどのように規定するのかということでございますけれども、今現状についてもお話がありましたように、装備の種類ですとか性能だとか様式などについて、航空機を持っていくかどうかとかそういうことも含めまして、これは当然装備ということで書かれることというふうに理解をしております。
  370. 井上哲士

    ○井上哲士君 それはつまり、例えば護衛艦二艦とかP3C哨戒機とかそういう書き方なのか、この護衛艦が、先ほど答弁ありましたようなこういう具体的な武器を持っている、装備するんだと、そこまで書き込むんですか。
  371. 加納時男

    ○副大臣(加納時男君) 具体的な装備につきましては、防衛大臣対処要項を作成する際に、現実に起きております事案の性質、それから、先ほども警察比例の原則というのがありましたけれども、相手の持っている武器、相手の持っている武器の性能、こういったものに対応できるようなものを書いていくということでございますので、個別具体の状況に応じて適切に書き込むということを考えております。
  372. 井上哲士

    ○井上哲士君 そうしますと、もう一回ですが、先ほど、今の「さざなみ」などが百二十七ミリ速射砲とかを装備していると、これは現在必要だという判断でされているんだとすれば、それがそのまま対処要項に書き込まれるということでよろしいんですか。
  373. 大庭靖雄

    政府参考人(大庭靖雄君) お尋ねの点に関しましては、この法の具体的な運用ということになりますので、この対処要項を作成いたします防衛大臣が、現実に生起している事案がどうであるのかというようなことを具体的、総合的に考慮いたしまして、その上でこの適切な装備というものをどのように書き込むか判断をして書き込むということになるものでございます。
  374. 井上哲士

    ○井上哲士君 いや、お答えになっていないんですが、つまり護衛艦というだけしか書かないのか、もう少しその護衛艦がこういう具体的装備を持っているというところまで書き込むのかどうかと、このことを聞いているんです。大臣、いかがですか。
  375. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 速記を止めてください。    〔速記中止
  376. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 速記を起こしてください。
  377. 徳地秀士

    政府参考人徳地秀士君) 先ほど来、大庭事務局長からも御答弁ありましたとおり、まさにここにあります対処要項における、第二項の第三号のところの装備という問題につきましては、まさにその必要が生じた場合にその都度適切に判断して書き込まれるということにはなるわけですけれども、例えば護衛艦の場合、先ほど私が申し上げましたようなものは基本的に護衛艦に元々装備されているというようなものがほとんどでございますので、そうしたものについては、護衛艦と書き込めばそこに当然に付随するというようなものが基本的にはほとんどであろうと考えております。
  378. 井上哲士

    ○井上哲士君 つまり、個々の装備、武器などについては書き込まれないということでありますが、そうしますと歯止めがあるんだろうかという心配が出てくるわけでありますが、今既に派遣をされている護衛艦にしましても、海賊船への対処兵器としては大変に威力が大きいと。相手を一気に撃沈できるような中身なわけで、これがなぜ合理的に必要とされる範囲になるのかということでありますが、この点はいかがでしょうか。
  379. 徳地秀士

    政府参考人徳地秀士君) お答え申し上げます。  当然、護衛艦派遣するということになりますれば、そこに付いております、例えば速射砲でありますとか対艦ミサイルでありますとか魚雷でありますとか、こういうものもその護衛艦固有の兵装としまして付いておるわけでございますので、したがいまして、護衛艦派遣するということになれば今申しましたような武器も当然現場海域にそのまま行くわけではございますけれども、ただ、そのことと、実際に海賊への対処に当たりましてどのような武器をどのように使うかということは別の問題でございまして、持っていったからといって、それでは、じゃ速射砲のようなものも直ちに使うかというと、決してそのようなことにはならないわけであります。
  380. 井上哲士

    ○井上哲士君 これまでの海外活動では、そもそも持っていける武器自身に一定の制限が掛かってきたわけでありますけれども、それが今のお話では、護衛艦が行けば一緒に付いてくるということで、ないということになるわけですね。事態に応じて合理的に必要とされる限度においてというふうになっているわけでありますが、持ってなければ使えないわけでありまして、非常にやっぱり大きなものを持っていくということが、これはやっぱり自衛艦を送っているということ自体に、今のこと自体が起こしている矛盾だと私は思います。  その上で、そういうものが既に行っているわけでありますが、現実にどういう活動が今後展開されていくのか。  五月の十八日に「さみだれ」が、関係国又は関係機関からマルタ船籍のタンカーが小型船舶から攻撃、追跡を受けているという連絡を受けて搭載ヘリコプターを発進させておりますけれども、まず事実関係についてお願いします。
  381. 徳地秀士

    政府参考人徳地秀士君) お答え申し上げます。  五月十八日の日本時間で申しますと十七時四十五分ごろでございますけれども、アデン湾において護衛活動を実施中の護衛艦が「さみだれ」の西南西約九十キロメートルに位置する不審な船舶に関する情報というものを入手をいたしました。これを受けまして、十八時一分ごろ、これも日本時間でございますが、状況の確認のために「さみだれ」に搭載されておりますヘリが発艦をいたしまして、ヘリによる状況の確認をいたしました。その結果、付近に不審な船舶というものは確認をされず、このマルタ船籍のタンカーの安全が確保されているということが確認をされましたので、ヘリは十八時三十九分に護衛任務に復帰をしているものであります。
  382. 井上哲士

    ○井上哲士君 不審船がいたという話しかされませんでしたけれども、現に攻撃を受けていると、こういう連絡があったんじゃないですか。
  383. 徳地秀士

    政府参考人徳地秀士君) 今御指摘の点について申しますと、「さみだれ」の艦載のヘリが不審な船舶が位置するというその情報があった地点に向かう最中に、「さみだれ」の方が、先ほど申し上げましたマルタ船籍のタンカーから、三十分にわたって小型船舶から攻撃と追跡を受けていると、そういう情報を入手をしておるわけでありまして、先生がおっしゃったのはこのことかと考えております。
  384. 井上哲士

    ○井上哲士君 これまでも四回にわたって、不審船が接近しているなどの連絡を受けて護衛対象以外の外国船舶の救護も行ってきたわけですが、この場合は単に不審船がいるだけではなくて現に攻撃を受けていると、こういう連絡をもって、そしてヘリがそこに行っているわけですね。ですから、これまでの一線を踏み越えて、現に攻撃を受けている相手を救助するための活動ということであります。  実際にはいなかったようでありますけれども、このタンカーがもし攻撃を受けている場面に遭遇をしたということであれば、そのヘリコプターはどういう対応をしたのでしょうか。
  385. 徳地秀士

    政府参考人徳地秀士君) 今先生がおっしゃられたように、実際行ってみましたところ当該マルタ船籍のタンカーの安全は確保されておりましたので、我々の方といたしましても、現実にその攻撃を受けていると、そういう場に遭遇をしたわけではございませんけれども、仮に、哨戒ヘリが状況を確認をして、それでこの船舶が現にその攻撃を受けているという場合であれば、これが保護対象外の船舶ということになりますと非常にやることは我々としては限られておりますので、あくまで人道的な観点から、強制力の行使を伴わないような行為ということで、他国の船に通報するでありますとか、あるいは引き続き状況の監視をするといったようなことに限られるわけであります。
  386. 井上哲士

    ○井上哲士君 それは今の海上警備行動で出ているからそういうことになるわけですね。  では、この法案成立した以降、同じようなケースになった場合は、ヘリはどういう対応が可能になるのでしょうか。
  387. 徳地秀士

    政府参考人徳地秀士君) 今回の法案によりますと、この七条に基づく海賊対処行動というものが現実に発令をされているという場合でありますと、保護対象日本関係船舶に限られませんので、日本関係船舶でなくても、外国船、純然たる外国籍船であっても、それに対する海賊行為につきましてこの法案に基づく対処行動というものを行うということは、それは確かに可能になるわけであります。  実際にどういうことになるかということでありますけれども、この船舶が現に攻撃を受けている場面に遭遇した場合であって、自己又は他人に対する防護のために必要であると認める相当の理由があるという場合には、この法案の八条第二項において準用する警察官職務執行法の第七条の規定によりましてその範囲での武器を使用するということは、法制上の問題としてはそれは可能になるわけであります。
  388. 井上哲士

    ○井上哲士君 つまり、実際の銃撃戦にもなっていくという可能性があるわけですね。  総理の答弁などを見ておりますと、灰色の船を見たら海賊は逃げ出すということなどを言いまして、武器使用というのは常識的には余り考えられないというような趣旨のことも言われております。しかし、現に、既に攻撃を受けているという通報を受けて現場にも行っているという事態があり、これからもこのことは大いに考えられるわけですね。現に銃撃戦が行われるところにも割って入るということになりますと、やはり自衛隊が戦後初めて海外で人を殺傷するという事態に踏み込むということになる可能性が高いわけですね。  戦後六十年以上やっぱり憲法九条の下で日本自衛隊が殺傷してこなかったということは、私は大変大きな意味があるし、それ自体が非常に外交的な力にもなっていると思います。こういう可能性がますます高まるんじゃないかと。この点、いかがお考えでしょうか。
  389. 加納時男

    ○副大臣(加納時男君) この法案を担当している立場から申し上げますと、我々は自衛隊の海外派遣をやろうと言っているんじゃございません。海賊に対してどう対処するか、海賊は一番、やっぱり今の体制ではまずい、というか、海賊行為を続けてはまずいと思わせること、そしてそれを抑止し、それをやめてもらうということが我々の目的でありまして、海賊軍と何か一戦を交えてこれをせん滅すると、地球の果てまで追い詰めてせん滅するということは考えておりませんので、派兵ということとは全然違うんですね。あくまでもこれは警察行為のために、本来、第一義的に行くべき海上保安庁に代わって自衛隊派遣するんだと、こういうことでございます。
  390. 井上哲士

    ○井上哲士君 じゃ、実際に責任を持つ防衛大臣にお聞きしたいわけでありますが、私は別に地球の果てまで追っていけとか一言も言っておりません。問題は、海賊対処警察活動とかいろんなことを言いながら、現にやはり自衛隊が海外に行って、戦後初めて人を殺傷するという、そのことのおそれが極めて高いということについてどうお考えかということを聞いているんです。
  391. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 基本的に、先生、前の委員会でもお話をしましたけれども、殺傷する可能性が高いと言えば、この可能性の話をしていけばそれはそういうふうになるかもしれませんが、我々はその事前に行動の規範を決めておりますので、そういった意味では、その前に阻止をする、そしてまたその行動をするといったいろんな形の、警告射撃等も含めて、我々は手段を持っているわけでありますので、そうならないようにするのが我々の務めでもありますし、逆に言えば、いかに有効的に我々が警備をしている船を安全な場所に移し、そしてまたこれを警護しつつ移動していくかということを念頭にしているわけでありますので、その意味では、追い払い等のこともあるわけでありますので。  可能性を言ったら、先生、それはもう切りがないという部分もありますけれども、我々とすれば、それ以前にやることがあるということを、そうしないようにするためにいろんな行動規範を決めているところでもあるわけでありますので、先生のようにそういうふうに言われると、我々としてもその前の段階があるということを御説明せざるを得ませんので、そういった説明をさせていただきました。
  392. 井上哲士

    ○井上哲士君 いや、現に攻撃を受けているという通報を受けて現場に行っているという事態が起きているから、それはもう今おっしゃったような前の段階じゃなくて、そこに踏み込んだ段階のところにも行っているから、これはこういうことになるんじゃないですかということを私は聞いているんです。
  393. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 今先生が、我々はそういったことに対して、そういった通報があって行った、そこで見たというのは、今の海上警備行動ではそこまでしかできません。今度法案ができて、それが行った場合にどうするのかということは、果たしてその距離がどのくらいのことにあるのか、警告射撃をして入らない、その時間稼いでいる間に我々の船がそこへ行って、間に入って割り込んでやるような形もあるかもしれません。  だから、その辺のところは、先生、仮定の論理をされても、我々としてなかなか難しい。ただ、想定はしつつ、いかに対処するかというのを今後考えていくということでありますので、これから新法を通していただいた後にどうするかということも併せて考えていきたいと思います。
  394. 井上哲士

    ○井上哲士君 仮定ではなくて、現実性が高いということで申し上げているんです。  その上で、先ほど来のもう一つの議論で、テロリストと海賊行為との関係についてお聞きしますが、この間の答弁では、テロリストか否かという判断基準ではなくて私的目的に当たるかどうかで決めると、こういうお話がありました。  では、いわゆるテロリスト集団が、組織の例えば資金確保のために海賊と同様の行為を行った場合というのは海賊行為に当たるということでしょうか。
  395. 加納時男

    ○副大臣(加納時男君) この問題は、テロリストであるかどうかではなくて、また何を目的としているかではなくて、我々がこの法律で言っておりますのは、海賊行為というものの構成要件を明確に定義しておきまして、構成要件該当性でチェックすればいいという、ある意味では、先生、専門家でいらっしゃると思いますが、非常にリーガルマインドで考えると分かりいい、構成要件該当性の一点に絞ってこの問題は考えると全部解けちゃうと思います。  つまり、テロリストかどうかが問題ではない、資金集めかどうかでは問題ではない、やっている行為が我々が定義した海賊行為の構成要件、つまり第二条に書いております私的目的、財産強取、あともう細かく言いませんけれども、付きまとい、人質、航行妨害、いろいろこれ構成要件ありますけど、私的目的とか国の機関ではないこととか、いろいろございます、準国でもないということでございます。  ということで、構成要件を明確にしてあるので、それに当たっているかどうかを当たっていけば、もう非常に明快に分かるということで、テロリストであろうがなかろうが、ともかくこの海賊行為であれば対処する、海賊行為に当たらなければ、動機が、何か不純な動機があっても、それはともかく関係ないということで割り切っているつもりでございます。
  396. 井上哲士

    ○井上哲士君 ですから、その構成要件に当てはめて、いわゆるテロリスト集団が組織の軍資金の確保のために海賊と同様の行為を行った場合はどうなるんですかと聞いているんですけど。
  397. 加納時男

    ○副大臣(加納時男君) 同じ答えになって申し訳ございません。海賊行為かどうかが問題だと。  それから、今ちょっとお話伺っていると、何かテロリスト国家みたいなことをおっしゃっているんですが、国とか何かの艦船であるとか、こういうのは頭から、私的な船によるということが冒頭になっていますから、私的というところで外れるんじゃないかと思います。
  398. 井上哲士

    ○井上哲士君 つまり、テロリスト集団は国家ではないので、私的集団であるから基本的に海賊活動に当たるだろうということでよろしいんでしょうか。
  399. 加納時男

    ○副大臣(加納時男君) いや、全然、私そう言ったつもりは全くありません。  要するに、大事なのは、テロリストかどうかじゃなくて海賊行為かどうかが問題であると。それから、国とか、準国と我々言っているんですけれども、国に準ずるような組織であるとすると、これはのっけから構成要件から外れます。私的な団体が私的な目的で私の船を使ってやる。外国の、何というか、軍艦が来たと、それにテロリストがいっぱい乗ってきたというのは対象になりません。こういうことでございます。非常に単純な話でございます。
  400. 井上哲士

    ○井上哲士君 それでは、逆の方向から聞きますけれども、国ないし国に準ずる組織と認められるような国際的テロリスト集団というのは何かあるんでしょうか。
  401. 加納時男

    ○副大臣(加納時男君) ちょっと、私は今それについては想像はちょっとできないですけれども、国とか国に準ずるようなものというのは何となく想像ができます。テロリストというのも想像ができます。それから、今我々は、それが私のものであるかどうか、つまり国とか準国であるかどうかということが一つポイントであって、テロリストかファシストかというようなことで何かこれを議論しているつもりはないわけでございます。  ですから、海賊行為をやったらそれは駄目と、ただし、それが国あるいは準国であったらば別と、こういった非常に分かりいいといいますか、迷わないような構成にしたつもりでございます。
  402. 井上哲士

    ○井上哲士君 国に準ずる組織と認められるテロリスト集団というのは、今具体的には挙げられなかったわけですね。そうしますと、いわゆるテロリスト集団がやるような行為も、いわゆる海賊行為に当たるものがそうなんだというお話になるわけですが。  この間、政府は、インド洋での給油活動自衛隊派遣してきましたけれども、海上阻止行動については、これは武力行使を伴う可能性があるなどとしてこれには参加してこなかった、要するに給油だけに限定をしてきたわけですね。あの海域での麻薬の取締りとかそういうものはできないと、やってこなかったわけですね。  ところが、今回は、同じテロリスト集団がやっている行為であっても今回は自衛隊対処できるという仕組みになるわけでありますが、これは一体どういうことなんでしょうか。じゃ、防衛大臣お願いします。
  403. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) それは先生、そもそも、我々は要するに日本の商船とか船舶を守るために行っているわけでありますからして、テロリストかどうかということを今先生盛んにおっしゃっておりますが、我々の船団を、船を守るために行っているわけですから、あらゆる手段、一番有効な手段をもってこれを守るというのは当たり前の話でありますから、そもそも武器の使用とかそういうことよりも、まずそれをいかに安全に航行させるかということが我々の任務でありますから、テロリストであろうと何であろうと、我々の任務というのはこの船団を守れということで命令を出しているわけでありますから、そこのところは明快だと私は思いますけれども。
  404. 井上哲士

    ○井上哲士君 では、インド洋でのいわゆる海上阻止行動には日本は参加をしてこなかった理由は何だったんでしょうか。インド洋でのいわゆるテロ特措法に基づく対テロ戦争と言われてきた海上阻止行動には日本は参加してこなかったわけですね。その理由
  405. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) それは先生、政策判断というのがあるわけでありますので、今回の場合には、我々は警察権を使って我々の、日本の船の生命財産を守るために我々は出して、それは守らなくていいということにはならないわけじゃないですか。  それは先生、共産党としてもそうだとは思うんですが、日本の船を安全に、日本国民の主権を守るために、我々、警察権をもってこの財産部分を、大変重要なものを運んでいるわけですから、それを守るということに対して政策判断をもって、我々とすれば警察権というものをもって、かなりの縛りを掛けて今回も警備活動、警護活動をやっているわけですから、まさにこれは分かりやすい説明なのではないかなと思いますが。
  406. 井上哲士

    ○井上哲士君 今、警察活動という縛りを掛けたと言われましたけれども、しかし現実には、初めての海外任務を持ったP3Cが行き、そして武器使用の基準といっても、装備からいっても、私は今までできなかったことに相当踏み込んだものだと思っておりまして、これは重大だということは指摘をして、質問を終わります。
  407. 山内徳信

    ○山内徳信君 私は、通告はしてございませんが、簡単にお答えできるものでございますから、最初に、外務大臣防衛大臣のそれぞれの平和外交への決意をお伺いしておきたいと思います。  田母神俊雄前航空幕僚長は、彼の書いた論文や発言が憲法や自衛隊法、政府の方針に反するということで退職の責任を取らされました。シビリアンコントロールの立場から、参議院の外交防衛委員会参考人としておいでいただきまして、各委員からいっぱい質問をいたしました。  日本には、平和憲法を基盤に、戦後六十四年間、平和外交の実績を積み上げてまいりました。ところが最近、北朝鮮の動きもあって、目には目、歯には歯という発想なのか、核抑止論だとか、あるいは策源地攻撃論とか、いろんなのが出てまいりました。しかし、ここは慎重でなければいかぬだろうと思います。日本が本当に核を持ったときに、一体アジアの平和はどうなるのかということが問われるわけであります。被爆国日本はこれからも世界に誇る平和外交に徹すべきと思います。  最初に、外務大臣の平和外交への決意のほどをお伺いしておきたいと思います。
  408. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 我が国は、世界で唯一の被爆国でありますし、二度とあのような惨事が起きないように積極的にこのような核軍縮あるいは不拡散の活動を行っておりますし、また、非核三原則というものによりまして、長い間、これは政府の基本的な方針としてこれを維持しているわけでありまして、そういうところから、そういう体験を基に、この国際社会、核のない世界が実現できるようにと、そういう意味で先頭に立ってこのような活動をやっていくという、これが大変大事なことだと思っております。
  409. 山内徳信

    ○山内徳信君 ありがとうございました。  防衛大臣の決意のほどをお願いいたします。
  410. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 先生御指摘のとおり、我々、当然平和を望むのは当たり前のお話でございますし、今外務大臣からお話があったとおりだと思います。そして、平和外交というのは、これは絶対やらなければいけないことであります。  しかし、我々の所管は、この国の独立、そしてこの国民財産、これを守るというのがこれはもう我々の使命でございますので、いざというときのために我々もしっかりと対応していくための努力をしてまいりたいと思います。
  411. 山内徳信

    ○山内徳信君 私の部屋には、憲法九条と九十九条を掛け軸にして掲げてあります。一度、浜田大臣、私の部屋においでいただけませんか。  憲法九十九条はこう書いてあるんですよ。天皇及び摂政、国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負うとあるんです。私はもうこれをずっと覚えておるんです、戦後。覚えなければいけない。沖縄のあの戦争の中を生きてきました。そして、憲法九条も掲げてありますよ。  恐らく国会議員、何百名といらっしゃいますが、こういう憲法をひたすら遵守していこうということで掛け軸にして張ってあるのは、別にいらっしゃるかどうか分かりませんが、私はこの憲法を守ることが最終的には日本の人々の幸せにつながると思っているんです。日本なんかが核兵器でも持ったらえらい目に遭いますよ。世界からひんしゅく買いますよ。被爆国として物が言えなくなるんですよ。したがって、この憲法は私は大事にしていきたい。  そこで申し上げますが、私はもう今日は細かいことには触れる時間ありませんが、総論的なことを申し上げたいんですが、私は今回の、もう既に行っております自衛艦、自衛隊の諸君は自衛隊法八十二条で行っているわけですね。海上警備という名の下で行っているわけです。したがいまして、これ以上新たな法律を作る必要はないと思います。いわゆる今の海賊対処法、作ることによって、ずっと論議が深められておりますように、武器使用の問題とか、こうなったらどうなるか、ああなったらああなるのかという、非常にきめ細かいところまで武器使用の話が飛び交っておるんです。そして、憲法九条を背景にした論議がほとんど少ない。したがいまして、次第次第に、戦後自衛隊ができて今日まで、いろんな名目の下に外に出ていったわけです。今回は、海賊理由にして、ついに陸海空の三軍が、三部隊の拠点地も向こうに置いて海賊対処すると。これは、戦後六十四年間の日本の歴史の上でこれが大きな転換点になっていったら困るという危機感を私は持っておるんです。  そこで申し上げますが、日本国民は正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求しようと。やはり海賊行為がありますから、これはいかぬだろうと、こういうふうに私も思っておりますよ。そして、国権の発動たる戦争と。今回のものは戦争とは私も位置付けません。しかし、国権の発動の一部になるわけです。武力による威嚇。相手が攻めてきたら、相手がこっちの言うこと聞かなければ、最後は日本の国内法に基づいて、やはり自己防衛とかいう立場でここも対応すると。私は、これは武力による威嚇になるんだろうと思います。そして、武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては永久にこれを放棄すると、こういう。そして、犯罪だから撃ち殺していいということにはならぬと思いますよ、犯罪だから。犯罪者は全部撃ち殺していいんですか。違うでしょうが。そこら辺はお互いは冷静に対応せぬといかぬと思いますよ。  そういう意味で、やはりそういう基本的なのを踏まえて、これも通告してございませんが、この法案の所管は金子大臣でございますから、大臣に一つも質問せぬでは前回から申し訳ないなと思いましたから大臣にお伺いいたしますが、調査なくしてという言葉がありますね、調査なくして。私たちが政策を立案する、法律を作るときはきちっとした調査が必要と思いますよ。そういう意味では、外国の情報とか間接的な情報とか、そういう情報や資料に基づいて今回の海賊対処法案は作られたと思います。  しかし、それでは十分とは思いません。やはり、少なくとも日本という政府があの近くまで行って、国交省の職員が、所管の職員がやはり向こう近くまで行って現地の状態を肌で感じてくる、そういうふうな現地の調査は行われた上でこの法案はできたんでしょうかということを質問しておきたいと思います。
  412. 金子一義

    国務大臣金子一義君) まず、前者の、国権の発動としての武力行使というお言葉がありましたが、本件については、まず国連海洋法条約、これで世界各国がこういう海賊行為、これは犯罪であると、犯罪を世界各国がそれぞれ協力し合ってこの抑止を図るというのが今回最大の眼目でありまして、決して、国権の発動としての武力の行使というのは全く当たりません。  それから、昨年二月にこの点について、国連海洋法条約我が国批准を既にしておりましたが、法案が、海賊行為というものを国内法と同一視する、同一化するというところについて法整備ができていなかったということもありまして、これを作ろうということで決定をいたしました。その段階で、外務省、防衛省、現地に行っていただきまして状況を把握してもらっておりました。  そういう中で、昨年、夏にかけて急速にこういう海賊事案というのが増えてまいりました。そういう中で、更に与党プロジェクトチームの皆様方にも行っていただきまして、調査をそれなりにさせていただいたところであります。
  413. 山内徳信

    ○山内徳信君 私は、次に進めていきますが、今回の海賊問題の抜本的な解決策は、現在進められている自衛隊法による海賊対処の方法で今現地では進んでおるわけですね。そして、今審議されている対処法で更にその強化をしていこうと、こういうふうなことでございますが、やはりもう既に言われて、昨日も外務大臣答弁がございましたが、やはり政治が不安定になったりしますと、統治能力が失われますと日本人だって海賊になりますよ。だから、海賊行為が犯罪だからといって撃ち殺していいということにはならぬのですよ。昔から海賊もあれば山賊もいたじゃないですか。日本本土だと、これだけの面積ですから多かったと思いますよ。そういう人々はやはり生活との関係があったと思いますよ。  そういう意味で、今、国を挙げて、国会挙げて全エネルギーを新しい法律制定に向けて注ぎ込んでおりますが、少なくとも、今法律はこういう法律を作っていきたい、ところが、車の両輪として、ソマリアの民生安定とかその他やはり国家再建のために日本としてはこういう努力をしたいと、こういう国際社会にも呼びかけていきたいというそういう想像力、そういう新しい発想というのがなぜ政府から出てこないんですか。  外務大臣、是非、中曽根大臣の見解をお伺いいたします。
  414. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 再三この委員会でも議論になっておりますが、海賊対策には抜本的な解決が大事だということで、ソマリア自体の安定というもの、治安の回復というものが大事で、言うまでもありません。  こういうことが大事だということで、既に我が国としては、もう委員も御承知だと思いますけれども、いろいろな支援策等を行っておるわけでありますが、この周辺沿岸国、特にソマリア海上取締り能力の向上とか、あるいは治安の回復、あるいは人道支援等々が大事ということで、例えば人道支援としては食糧支援難民、国内避難民への支援、保健、水・衛生、教育分野等々、国際機関を通じまして六千七百万ドルですね、約六千七百万ドル、二年間で、これらを支援をして、そして国境管理強化警察支援なども行っているところでございます。  さらに、今年度の補正予算におきまして、沿岸国の海賊対処能力の強化を図るための経費といたしまして、国際海事機関、IMOに対しまして十四億円を拠出するなどやっているところでございますし、特に大事なのは、それらの支出とともに、イエメンやオマーンの海上保安機関の職員を招聘、研修など、そういう取締り能力の向上、あるいはJICA等による調査団を派遣しまして今後どういうことを支援したらいいかというようなことも研究しながら、今そういうような総合的な対策を行っているところでございます。
  415. 山内徳信

    ○山内徳信君 予算の付いておること、それは皆さんの資料を通しても私も承知しておるんですが、やはりこれだけ大きな問題になるわけですから、武器使用の話から憲法の話。そして、日本船籍が一年に何千と行って往来しておると、そしてやはり外国からのいろんな物資を輸入せぬといかない日本として等おっしゃっていらっしゃるわけですが、こういうことを、今のような国家再建の努力をもっとやはり文書にして、なぜ私がそんなことを申し上げるかというと、火曜日でしたか、民主党の方から質問がありましたね。テレビ朝日の件がありまして、私はそれに全く気付いていませんでしたから、私は昨日改めて見たんです。そして、海賊村の子供たちが少し出てきたんですね。ああ、これは敗戦後の私たち沖縄によく似ておるなと、こういう重ね合わせて見ていたんです。  したがいまして、そういう意味で、やはり統治能力を失った、民生安定がゼロになった、そういうところを幾ら海賊海賊、そこに力点を置いてもいかぬのじゃないかと、本来のあるべきところにやはりもっと力を入れてほしいということを私は強調したいためにこういう質問を繰り返しておるわけであります。ひとつ、平和国家日本の真価を発揮する意味でその面の御努力をお願い申し上げたいと思います。  そして、私は、ああ、一理あるなと思ったんです、あのテレビ朝日の報道ステーションを見ておりまして。こういうんですね。ソマリア海賊たちは、ソマリアの海に廃棄物を不法投棄したり、あるいは漁師にとってはそこは生活の場であるわけですね、そういう生活の場であるソマリアの海を汚染させるなど、外国の船や海賊退治にやってくる者がむしろ海賊ではないのかという、そんな趣旨の話をやっておるというんですね。  ですから、そういう話を私たち日本自衛隊に当てはめると、日本自衛隊の艦船も海賊船と、彼らは半分は冗談かもしれませんが、半分本気かもしれませんよ。ですから、喜ばれていないわけです。そういう意味で、彼らが本当に立ち上がる、再建のために、そういう方向に重ねて御努力をお願い申し上げたいと思います。  そういう意味で、ここで改めて外務大臣の、ソマリアの国家と国民生活再建の先頭に立って国際社会にも日本が呼びかけをしていく、そういうリーダーシップを発揮をしていく政府の決意を伺っておきたいと思います。
  416. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) ソマリア情勢安定化させるということの重要性は先ほどから申し上げておりますけれども、国際社会としても、今まで非常に難しい地域でありますが、なかなか有効な手だてを講ずることができなかった、これが実態ではないかと思います。  しかし、九一年以来、こういう武装勢力間の抗争が続いておりますけれども、そういう中にありましても、昨年には暫定連邦政府、これができまして、ジブチ合意というものも成立をしたわけでありまして、和平に向けた動きというものが見られるわけであります。  この暫定連邦政府には残念ながらすべての勢力が参加しているわけではないわけでありますし、また、五月以降も過激派との戦い等もありまして依然不透明な状態が続いているわけでありますけれども、私どもといたしましては、治安の維持とかあるいは人道復興支援等を通じまして、一日も早くそういうソマリアが安定した、また平和が戻るような努力を続けているところでございます。  今年の三月にアフリカのボツワナで会議が行われまして、そのときに私は、ソマリア暫定連邦政府のワルサム計画・国際協力大臣とも会談をいたしました。その際、我が国としての引き続いて支援を行っていくということを、そういう立場を表明をしたところでありますが、引き続いて自衛艦、今は自衛艦でございますが、海賊対策とともに、ソマリア自体の平和の回復のために努力をしていきたいと思っております。
  417. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) すばらしい平和外交が、これを成就することを心からお祈りをするわけでありますが、一言だけ。  海上自衛隊、今一生懸命になって日本船舶を守っているわけでございます。それを海賊呼ばわりされるのは極めて心外でございまして、その意味では、国民の代表として我々は海自の皆さん方に行っていただいていると私は思っておりますので、その点におきましては、先生の言われることは大変よく分かりますが、しかしながら、我々の船を守りに行っておるわけでありますので、もしも海賊が来なければ我々は行かなくて済むわけでございますので、今現状として、海賊が起きてしまっているこの現状のために我々海上自衛隊派遣しているわけでありますので、それは、向こうの方からすれば海賊かもしれませんが、それを言葉にして我々の海上自衛隊海賊だということが残るということは極めて、今回の議事録についてもそうですけれども、それに残るのは、大変我々としては、私自身としては心外でありますので、尊敬する山内先生のお言葉とはいいながらも、私はその点だけは、はい、そうですかと言っておくわけにはまいりませんので、一言抗弁をさせていただきました。  以上であります。
  418. 山内徳信

    ○山内徳信君 一言。  私は山内徳信の言葉として海賊というふうに申し上げておるんじゃないんです。そこは誤解しないようにしていただきたい。あの報道ステーションを見たら、その映像の中にそういうのがあったということなんです。  したがいまして、私たちは余裕を持って、浜田大臣、ああ、現地の子供たちや人から見るとそういう見方もあるのかというぐらいの太っ腹で対応しなければいかぬと思います。  以上です。
  419. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) いや、先生もいつも我々の言葉を大きな心でとらえていただくともっと分かっていただけるものと思いますので、それはお互いさまでございますので、できるだけそういうお言葉をお互い使わないようにしたいと思いますので、海賊という言葉だけはちょっと、言われるのは大変私としては心外であるということだけは申し上げておきます。
  420. 山内徳信

    ○山内徳信君 終わります。
  421. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。     ─────────────
  422. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 次に、クラスター弾に関する条約締結について承認を求めるの件、国及びその財産裁判権からの免除に関する国際連合条約締結について承認を求めるの件及び強制失踪からのすべての者の保護に関する国際条約締結について承認を求めるの件、以上三件を一括して議題といたします。  政府から順次趣旨説明を聴取いたします。中曽根外務大臣
  423. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) ただいま議題となりましたクラスター弾に関する条約締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  この条約は、平成二十年五月に採択されたものであります。  この条約は、クラスター弾の使用、生産、保有、移譲等の禁止及びその廃棄等を義務付けるとともに、国際的な協力の枠組みの構築等について定めるものであります。  我が国がこの条約締結することは、クラスター弾がもたらす人道上の懸念への対応に向けた国際協力を促進するとの見地から有意義であると認められます。  よって、ここに、この条約締結について御承認を求める次第であります。  次に、国及びその財産裁判権からの免除に関する国際連合条約締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  この条約は、平成十六年十二月に採択されたものであります。  この条約は、国及びその財産に関して他の国の裁判所の裁判権からの免除が認められる具体的範囲等について定めるものであります。  我が国がこの条約締結することは、この分野における国際的な規則の確立を促進し、及び私人がこの条約の締約国である外国との間で行う取引等の法的安定性を高めること等に資するとの見地から有意義であると認められます。  よって、ここに、この条約締結について御承認を求める次第であります。  最後に、強制失踪からのすべての者の保護に関する国際条約締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  この条約は、平成十八年十二月に採択されたものであります。  この条約は、拉致を含む強制失踪を犯罪として定め、その処罰の枠組みの確保及び予防に向け締約国がとるべき措置等について規定するものであり、拉致を含む強制失踪が犯罪として処罰されるべきものであることを国際社会において確認するとともに、将来にわたって同様の犯罪が繰り返されることを抑止する意義を有するものであります。  我が国がこの条約締結することは、拉致を含む強制失踪に立ち向かう我が国の強い意思を国際社会に示すとの見地から有意義であると認められます。  よって、ここに、この条約締結について御承認を求める次第であります。  以上三件につき、何とぞ御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願いいたします。
  424. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  三件に対する質疑は後日に譲るとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十二分散会