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2009-06-02 第171回国会 参議院 外交防衛委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十一年六月二日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  五月二十九日     辞任         補欠選任         中山 恭子君     小池 正勝君  六月二日     辞任         補欠選任         藤田 幸久君     徳永 久志君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         榛葉賀津也君     理 事                 浅尾慶一郎君                 一川 保夫君                 白  眞勲君                 木村  仁君                 小池 正勝君     委 員                 犬塚 直史君                 風間 直樹君                 谷岡 郁子君                 徳永 久志君                 広中和歌子君                 藤田 幸久君                 岸  信夫君                 佐藤 正久君                 橋本 聖子君                 山本 一太君                 浜田 昌良君                 山口那津男君                 井上 哲士君                 山内 徳信君    国務大臣        外務大臣     中曽根弘文君        国土交通大臣        国務大臣     金子 一義君        防衛大臣     浜田 靖一君    副大臣        外務大臣    橋本 聖子君        国土交通大臣  加納 時男君        防衛大臣    北村 誠吾君    大臣政務官        国土交通大臣政        務官       岡田 直樹君        防衛大臣政務官  岸  信夫君    事務局側        常任委員会専門        員        堀田 光明君    政府参考人        内閣官房内閣参        事官       山本 条太君        内閣官房内閣参        事官       浅利 秀樹君        内閣官房総合海        洋政策本部事務        局長       大庭 靖雄君        内閣法制局第二        部長       横畠 裕介君        内閣国際平和        協力本部事務局        長        高田 稔久君        外務大臣官房審        議官       石川 和秀君        外務大臣官房審        議官       知原 信良君        外務大臣官房審        議官       小田 克起君        外務大臣官房参        事官       石井 正文君        外務省北米局長  梅本 和義君        外務省中東アフ        リカ局アフリカ        審議官      秋元 義孝君        外務省国際法局        長        鶴岡 公二君        国土交通省海事        局長       伊藤  茂君        海上保安庁長官  岩崎 貞二君        防衛省防衛政策        局長       高見澤將林君        防衛省防衛政策        局次長      松本隆太郎君        防衛省運用企画        局長       徳地 秀士君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○海賊行為処罰及び海賊行為への対処に関する  法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る五月二十九日、中山恭子君が委員辞任され、その補欠として小池正勝君が選任されました。     ─────────────
  3. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 異議ないと認めます。  それでは、理事小池正勝君を指名いたします。     ─────────────
  5. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  海賊行為処罰及び海賊行為への対処に関する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣官房内閣参事官浅利秀樹君外十五名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 海賊行為処罰及び海賊行為への対処に関する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 犬塚直史

    犬塚直史君 民主党犬塚です。  今日は、本題に入る前に、昨日のこの共同通信核持込み密約についての報道がありましたので、この件について確認をさせていただきたいと思います。  この共同通信によると、外務事務次官経験者四人の証言要旨というのが載っているわけですが、例えば、核に関して日米間で非公開の了解があるということは前任者から聞いており、次の次官に引き継いでいたと、これは大秘密だった、当時の首相や外相に伝えたことはなかったと、政治家に話をすると漏えいをするから、そして、外務省日米安全保障条約を担当している者は密約のことはみんな知っていると、こういう報道がなされているんですけれども、このとおりという認識なんでしょうか。北米局長、どうですか。
  9. 梅本和義

    政府参考人梅本和義君) お答え申し上げます。  政府が従来から申し上げているとおり、その報道にありますような密約なるものは存在いたしません。この点につきましては、歴代総理大臣及び外務大臣密約存在を明確に否定しているところでございます。
  10. 犬塚直史

    犬塚直史君 おっしゃったとおり、河村官房長官が既に、米国核持込みをする場合、事前協議対象になっていると、事前協議がない以上は持込みはないということに全く疑いを持っていないというふうに官房長官も言っておられるわけですが、外務大臣、そのような理解でよろしいんですか。
  11. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 今参考人から御答弁いたしましたけれども、御指摘のような密約存在しないわけでありまして、この点につきましては歴代総理大臣及び外務大臣がこのような密約存在を明確に否定しているわけでありますし、また米軍による我が国への核の持込みについては事前協議対象になっているわけでありまして、そのような申入れがない以上、これは、核持込みがないということについては、官房長官がおっしゃったと同じ、全く疑いを有しておりません。
  12. 犬塚直史

    犬塚直史君 私、このような報道が出てきて、まあ出てくれば当然否定をするわけでありますが、このような報道が出てくるということ自体官僚外交、私は官僚という言葉は余り好きではないんですが、要するに官僚の大きな機構の中で政治が決めたことを官僚がしっかりやっていくという中で、大きな転換期に差しかかったときに本当に政治指導力を発揮できるのかなという非常に疑いを持つわけであります。  今お手元に配りました北東アジア非核兵器地帯条約案というのを、これを御覧になっていただきたいんですけれども、中曽根大臣に伺いますが、こういう非常に前向きな条約案北東アジア地帯非核地帯として、それを囲む米国ロシア中国がここに対しては先制核使用を行わないというような、この条約案というものが、これは民主党鳩山代表岡田幹事長もこれ民主党代表選のときから言っているわけでありますが、こういう、これは民主党だけではないんですが、すべての当事者も国際社会も巻き込んで、だれもが反対できないようなストーリーを日本政治提案をしていくべきときだと思うわけですね。  こういうことはやっぱり政治主導でないと、官僚機構の中からはこういうことは言い出せないわけでありますから、中曽根大臣、どうでしょうか、このまずは北東アジア非核兵器地帯条約については、認識はお持ちだったでしょうか。
  13. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 私も、委員承知かもしれませんが、四月末に核軍縮についての十一の指標ということで提案をさせていただきました。核兵器のない世界をつくるということは、我々政治が中心になって努力しなければなりませんし、各政党がそのようなことを検討して提案をされるということは、私はこれは非常に結構なことだと、そういうふうに思っております。  ただ、委員がお配りになりましたこの非核兵器地帯というこの構想につきましては、一般的に申し上げれば、これはもう当然のことながら世界とそれからこの地域の平和と安定に資するものでありますが、やはり大事なのは核兵器国を含むすべての関係国同意を得られるということが大切だと思っております。そういうような同意が得られると、そういう条件が満たされれば、私は核拡散防止等目的に資すると思っていますが、現実問題としては、この日本周辺地域という意味では、北東アジアにつきましては、依然として不透明な要素とかあるいは緊張関係がありますし、現実核戦力を有した、核戦力を含む大規模な軍事力というものが存在するわけですから、まだ私自身は、御提案なり考えというものは一つの考えだと思いますが、環境は整っていないんではないかなと、そういうふうに思います。
  14. 犬塚直史

    犬塚直史君 官僚の書いたものを読まれるとどうしてもそういう方向になるわけでありますが、やっぱり政府の公式の立場から半歩でも進んだ発言を、特にこのような危機が目の前にあるときは政治のイニシアチブを是非取っていただきたいと思うんですが。  この配付資料を見ていただくと、これが、南極を含めて今既に六か所の非核地帯条約例が、発効しているものもありますし、批准だけで発効していないものもありますが、こういう六か所の非核地帯がもう既にあると。そして、今この時点でこの話を改めて持ち出しましたのは、このスリー・プラス・スリーというのが六者協議の枠組みそのままだからであります。特に、六者協議において北朝鮮核施設無力化、解体が協議されているわけですけれども、まさにこの条約大前提がここにあるわけなんですね。ですから、まずこの大前提を六者会合対話という形でやっていくんであれば、今までとはちょっと違うような新しい提案政治主導でしていくべきではないか。  特に、この特徴のところを見ていただきたいんですが、地帯内国家国内にある他国の軍事施設、例えば在日米軍基地対象にするということまで踏み込んでここに書いてあるわけですね。もし政府の言うとおり非核原則は神話ではないということであるならば、今まさにこういうことを進めていくべきであるし、まさに大臣の、今度は大臣自身のお言葉で、あれだけいい十一の提案までされているわけですから、しかも、川口元大臣も、そしてオーストラリアの元外務大臣も、まずアメリカの大統領が核の先制使用の採用を検討するべきだという宣言まで今年になって出しているわけですから、もう半歩ぐらい踏み込んだ発言をお願いしたいんですけれども、外務大臣、いかがでしょうか。
  15. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 核をなくすということについてはいろいろな考え方もあると思いますし、今お話ありましたような地域的な条約もできているということですから、我々も前向きにこのようなことを日ごろから検討する必要があると、そういうふうに思っておりますが。  先ほど申し上げましたけれども、この地域は今北朝鮮の本当に喫緊の課題である事態がありますので、まずはこれを、国際社会が一致してこの北朝鮮非核化を進めていくと、それと並行しながら今委員がおっしゃったようなこのような取組についても議論をし検討していくということは、私はいいこと、大事なことだと思っています。
  16. 犬塚直史

    犬塚直史君 そこで、対話圧力ということでもう一度北朝鮮のことを確認させていただきたいんですが、防衛大臣に伺います。  我が国射程に収めるミサイル発射基地あるいはノドンの数、例えばこれ、ICG、国際危機グループ報告書によれば、ノドンは最大で三百二十基、核が六発から八発持っているだろうと、これ、韓国政府のレポートですね。そうしたところから同時にミサイルが飛んできた場合にこれを本当に防ぐことができるのか。あるいは、この北朝鮮ミサイル発射基地の位置を我が国は把握しているのかどうか。そして今、敵基地攻撃能力議論も出始めているようですが、日本がそのような能力を持ったと仮定をして、地下深くにあるこの三百二十と言われるミサイルノドンを、こちらに一発でも核が落とされたら困るという中で、敵基地攻撃能力、どの程度現実的なものか、防衛大臣見解を伺います。
  17. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 今先生の御質問の中にありました、まずその数と場所についてどの程度というお話でございました。  先生から御説明がありましたように、北朝鮮我が国のほぼ全域が射程内に入る可能性があるノドンの配備を進めておりますし、その射程は約千三百キロに達すると見られておりますし、また、テポドン1、テポドン2に加えて、北朝鮮は新たに我が国射程に収める可能性のある中距離弾道ミサイルの開発を行っていると見られるというのは我々も承知しておるところでございます。  北朝鮮弾道ミサイル発射基地の数、場所について、これ網羅的に断定的にお答えするのは大変難しいというふうに思っております。その上で、例示的に申し上げれば、テポドン1及びテポドン2の、又は派生型はテポドン地区から発射されました。ノドンについては、発射台付きの車両に搭載されて移動して運用されると考えておりますので、その数については、我々とすれば、今確実に先生がおっしゃった内容お話というのは我々も承知をしておりますけれども、今現在でどれだけの数があるというのを正確に把握しているわけではございません。  そしてまた、今新たに、じゃ、もしもそういった基地のある中で、これを攻撃してすべて、攻撃する能力を持つことは可能かというお話もあったわけでありますが、これに関しては従来どおり我々申し上げているとおりでございますが、敵基地攻撃として憲法との関係について、法律上の問題としては、他に手段がないと認められるものに限っては敵の基地をたたくことも憲法で認める自衛の範囲内に含まれるとの考えを示してきております。  その一方、現実の自衛隊の装備体系の在り方としては、我が国に対して誘導弾等によって攻撃が行われるような場合に対してほかに全く支援を受ける手だてがないというような事態現実の問題としては起こり難いこと、そしてまた、我が国日米安全保障体制下日米間の適切な役割分担によって我が国の平和と安全を期することとしておりますので、敵基地攻撃目的とした装備体系の保有は考えておりません。  また、お尋ねの点を含め、いわゆる敵基地攻撃目的とした装備体系を保有するか否かについては、政治的な判断が必要でありますし、国会等において幅広い議論が行われることが重要だと我々は認識をしております。
  18. 犬塚直史

    犬塚直史君 何でこんなことを申し上げるかといいますと、こういうときに感情的な対応は厳に慎まなければならない、圧力を加えるのであれば本当に圧力になるようなことをしなければいけないと思うわけであります。二国間で全面的な輸出入の停止ですとか、あるいは人の移動の禁止ですとかということをどんなにやったところで、中国ロシアを含む諸外国の協力を得ることができなければ本当の圧力にはなり得ないということはもう我々みんなよく理解しているわけでありまして、こういうときにやはり感情的にならずにしっかりとした対応をお願いしたいと思うわけであります。  中曽根大臣北朝鮮には約二千五百万人の国民がいるわけでありますが、もしこれ国家が崩壊するような事態になれば大体五百万人ぐらいの難民が流出すると言われております。そういう事態になればもう数十万単位の犠牲者が出るでしょうし、例えばアフガニスタンやパキスタンなどで、あるいはソマリア等々で起こっているようなことが実際に隣国で起こってしまうというこのような事態にあって、やっぱり対話圧力圧力はこれはもう絶対に国際社会が一致したものでなければいけない、感情的な対応はしてはいけない、そして出口をきちんと指し示すような創造的な提案をしていただきたい。もう一度お願いしますね。  コメントをお願いします。
  19. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) こういう北朝鮮に対しましては、対話圧力、この両方をバランス取れるようにやっていくということがこれはもう大変大事なわけでありますが、そういう中で、我が国としては、拉致とか核とかそれからミサイル、こういう諸懸案の包括的解決に向けました具体的な行動北朝鮮から引き出すべくやはり米国関係国協力をしていくということが大事だと思っておりますが、北朝鮮に対する圧力も様々なものがあろうかと思いますが、圧力というものは、委員もお考えだと思いますけれども、これはもう総合的なものであって、いろいろな要素が複合的に絡み合ってそして全体として効果を上げてくるものだと、そういうふうに思っております。  今、北朝鮮のもしもの事態難民お話がありましたけれども、まあ仮定の御質問にお答えすることは適当ではないと思いますが、まずはそのような事態にならないように対話圧力両方をバランスよく取りながら、粘り強く北朝鮮非核化の話を、実現を進めていくということが今一番大事なんじゃないかと思っています。
  20. 犬塚直史

    犬塚直史君 それでは、本題海賊行為法案に移りたいと思います。  まず、第一条の目的のところに私は非常に引っかかるわけでありますが、海賊行為というのは人類共通の敵でありますので、この人類共通の敵に対して、海洋法に関する国際連合条約においてすべての国が最大限に可能な範囲でこれに対処していくという法案だと理解しておりましたところ、この目的の第一条の前半のところに、海に囲まれ云々という我が国のこれ国益が書いてあるんですね。  私はここに非常に違和感を覚えるわけでありますが、中曽根大臣にまず伺います。国際法益というのは一体何なんでしょうか。
  21. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 国際法益について確立された定義があるわけではないと思いますが、その上で申し上げれば、法益というものは法律によって保護される利益をいうものとされております。  そういう文脈から国際法益をとらえれば、一般国際法益とは、国際社会全体の利益やまた関心事項でありまして、国際法によって保護されるものと、そういうふうに考えられます。
  22. 犬塚直史

    犬塚直史君 私は昭和十六年から今日までの国会審議を調べてみたところ、国際法益という言葉は四回しか使われていないんですね。逆に、国益という言葉は二百一回使われているわけですね。  この目的のところに書いてあるのは、同じ文章の中に国益とそれから国際法益というこの二つがごっちゃになって書かれているんですね。私は、これは非常に問題だというふうに思うわけです。  そこで、まずこれ外務省に伺いますが、現代国際法上の強行規範というのは何なんでしょうか。
  23. 鶴岡公二

    政府参考人鶴岡公二君) 現在の国際法の下に強行規範というものがどのように認識されているかという御質問かと思いますが、条約法に関するウィーン条約第五十三条において強行規範に対する言及がございます。この中では、「いかなる逸脱も許されない規範として、また、後に成立する同一の性質を有する一般国際法規範によつてのみ変更することのできる規範として、国により構成されている国際社会全体が受け入れ、かつ、認める規範をいう。」と定義されております。さらに、条約締結のときに、一般国際法強行規範に抵触する条約は無効である旨を規定しております。
  24. 犬塚直史

    犬塚直史君 簡単に言えば、強行規範というのは、この強行規範で禁じられているようなものを認めるような条約自体が認められないと。つまり、国際社会が全体でもってこれだけはいけないよというのを決めていると私は理解いたしますが、それでは、どのような法規が強行規範であるかについて、国連国際法委員会での草案では何が例示されているんでしょうか。
  25. 鶴岡公二

    政府参考人鶴岡公二君) ただいま御紹介を申し上げました条約法条約の規定に先立ちまして、強行規範に関する議論は長年にわたって国際法世界において課題とされてきたものでございます。このウィーン条約法条約によって規定されているものを含めまして、現時点におきましては、具体的に何が強行規範に該当するかについては必ずしも各国及び学説において一致した見解があるとは認められておりません。ただ、例えばで申し上げますと、国際連合憲章第二条四項に規定されている武力不行使の原則はこれに該当するということについてはほぼ一致した見解があると申し上げられると思います。  ただいまお尋ねの、先ほどの条約法条約に至る前段に行われました国連国際法委員会によるコメンタリーによりますと、同委員会におきましては、強行規範内容は今後の国家実行国際判例にゆだねられるべきものとしております。その一方で、このコメンタリーには同委員会議論の過程で言及された見解例示をされておりまして、海賊行為などの、すべての国がその抑止のために協力することが求められている行為を企てたり黙認するような内容条約強行規範違反に当たり得るという見解も含まれております。
  26. 犬塚直史

    犬塚直史君 つまり、それほど強い、国際社会で一致してこれをやってはいけないよという行為の類型の例示として海賊行為が入っている、あるいは侵略というものが入っている、あるいは奴隷売買というものが入っている、あるいはジェノサイドというものが入っていると認識をしているわけですけれども、そこで質問なんですが、今回のこの法案定義をされている海賊行為と、そして国連海洋法条約定義をされている海賊行為定義にはどんな違いがあるんでしょうか。
  27. 鶴岡公二

    政府参考人鶴岡公二君) 国連海洋法条約において定められております海賊定義と今回御審議いただいております法案の中での海賊定義は、基本的に一致しておると認識しております。  他方、国内法でございますので、この法案の中にございます海賊についての定義は、国際法が言及していない、更に具体的な行為の態様についても明確にしております。その点において、海洋法条約定義よりも詳しい定義になっているということも申し上げられるかと思います。
  28. 犬塚直史

    犬塚直史君 そのように大事な定義国連海洋法条約では意外と、意外とといいますか、割と抽象的なレベルであって、当該法案定義しているのは、例えば付きまとい、航行中の他の船舶に著しく接近し、若しくは付きまとい、又はその進行を妨げる行為というのが二条六号で定義をされております。そしてまた、海賊をする目的で凶器を準備して船舶を航行する行為、同七号も定義をされております。  この部分、国際法上の定義とそごはないんでしょうか。
  29. 鶴岡公二

    政府参考人鶴岡公二君) ただいま委員指摘法案の二条六号ないし二条七号に定義されている具体的な行動につきましては、先ほども申し上げたとおり、国連海洋法条約の中に具体的ないし明示的な言及はございません。  その海洋法条約の定める海賊行為我が国としての理解を明文化したものが二条六号及び二条七号でございまして、そういう理解の下におきましては、海洋法条約定義と本法案の中にございます海賊行為定義の間にそごがあるとは理解しておりません。
  30. 犬塚直史

    犬塚直史君 ここで、大変素朴な疑問なので分かりやすく答えていただきたいんですが、海賊行為というのは人類共通の敵であると。だから、この海賊法制を、国内法日本が整備をして、この国内法をもって地球の反対側で海賊行為をして公海にいるような海賊を言わば逮捕して連行して日本で裁くわけですね。  その際に、この国内法で言っている付きまといとか凶器を準備しているというような犯罪類型が国際法で定めている海賊行為じゃないじゃないかと、日本国内法をどうして私が、管轄権は日本が持って自分が逮捕されなきゃいけないんだと、これは違うぞということで訴訟をされたらどういう対応になりますか。
  31. 鶴岡公二

    政府参考人鶴岡公二君) まず、国際法上の海洋法条約などにも明示の規定のございます海賊行為に対する取締りにつきましては、委員よく御承知のとおり、国際社会が一致協力して対応すべきことが定められております。これが海賊行為の各国による取締りについての国際法上の根拠となります。  他方、各国がそれぞれの当局によって具体的な海賊行為を取り締まるためには、当然のことながら、当局にその権限が付与される必要がございまして、その過程におきまして具体的に当局が行う行為については、国内法の執行でございますから、明示、具体的な措置が必要となります。  仮に、今御指摘のような事態が生じた場合に、当然のことながら、我が国におきましては確立された法制度の下で裁判その他が行われることになりますけれども、その際、様々な抗弁を海賊側の弁護人が行うことはあり得るかと思いますけれども、それに対しましては、従来から確立されている国際法規及びこの法案内容に則して裁判が行われるものと考えております。
  32. 犬塚直史

    犬塚直史君 そこで、この法案を実際に書いた担当の方に伺いたいんですが、ちょっとどなたかよく分からないんですが、例えばハイジャックの場合、航空機の強取等の処罰に関する法律、このようなときには国外犯の規定が置いてあるわけですね。国外犯の規定というのは、要するに国内法で罪と定めたものを公海上でも管轄権を有するよということをここで鮮明にしているわけですね。つまり、文字で法律の中に国外犯という規定を設けているわけですね。そこで、テロリストなり海賊がこれに抗弁をしたときに日本はこの管轄権を有するんだということはここに書いてあるときちんと言えるようになっているわけなんですが、ほかの法案では国外犯の規定があるにもかかわらず、どうしてこの海賊法案ではこれがないのでしょうか。
  33. 大庭靖雄

    政府参考人(大庭靖雄君) 本法案におきましては、国連海洋法条約に則しまして、構成要件において、公海上等における海賊行為処罰対象とするということを明確に規定しております。これ、二条を見ていただければそのように規定しているわけでございます。このように、構成要件において明確に規定している、必要にして十分な規定を設けているということであると存じます。
  34. 犬塚直史

    犬塚直史君 それでは、その構成要件、公海上と書いてありますが、他国の領海の中でもこの海賊行為というものを取り締まることはできるんでしょうか。
  35. 大庭靖雄

    政府参考人(大庭靖雄君) 海賊行為定義に関しましては、法案の第二条の柱書きのところに、海賊行為とは、船舶に乗り組み又は乗船した者が、私的目的で、公海又は我が国の領海若しくは内水において行う次の行為というような規定をいたしておりまして、他国の領海内で発生した船舶の強取といったような行為につきましては、本法案で規定する海賊行為には該当しないという整理をいたしております。したがいまして、こういうものに対処することはないということでございます。
  36. 犬塚直史

    犬塚直史君 それでは、公海上で海賊の取締りをやろうとしていたと、そうしたらこの海賊行為をしていた人が他国の領海の中に逃げていったと、その際にはこの他国の政府に了解を求めて、この了解があればこれを更に追尾して逮捕することはできると理解しているんですけれども、それでよろしいですか。
  37. 大庭靖雄

    政府参考人(大庭靖雄君) 外国の領海におきましては、当該沿岸国がその領域主権に基づいて自ら取締りを行うということが通常でございますので、我が国の海上保安官などの機関が警察活動のために立ち入るということは基本的には想定をいたしておりません。したがいまして、追跡をしているような場合に、もし仮に外国の領海の境界付近まで来た場合には、当該沿岸国の警察機関に連絡を取るなりして、その後の手だてをうまくつなぐような連携を取るというようなことが基本であろうと存じます。  他方、先生がおっしゃったように、もし仮に沿岸国から要請があるとか、あるいはそういうようなものがあったような場合には本法案の規定においても領海内に立ち入るということは不可能ではないということでございます。
  38. 犬塚直史

    犬塚直史君 沿岸国の要請があればそういう行動を排除するものではないと。  それでは、そのようなときにこの当該船舶の旗国、ここの了解も取らなくてもいいんでしょうか。
  39. 大庭靖雄

    政府参考人(大庭靖雄君) 現在、今お話に出ておりますような海賊行為を行った船舶に関しましては、我が国がそういう一定の前提の下で管轄権を行使するということにつきましては、国際法上問題がなく、その旗国の了解を取るということは必要ではないということでございます。
  40. 犬塚直史

    犬塚直史君 もう一回聞きます。  公海上の話ではなくて、他国の領海の中に第三国の旗を持つ海賊行為をやった者が逃げ込んだ場合、その領海の政府の要請があったとしてもこれを取り締まるためには旗国の了解まで必要なんではないでしょうかというのが質問です。
  41. 鶴岡公二

    政府参考人鶴岡公二君) 先ほどから御答弁申し上げているとおり、海賊行為国際法上公海上において行われる行為というふうに定義をされております。この場合、旗国がいずれの国であるかといったことが要件の中に入っておりませんで、旗国の了解がなければその海賊行為を働いた船を取り締まることができないというのが国際法の規則ではございませんで、いかなる旗を揚げていたにせよ、海賊行為を働いた国に対しては国際社会が一致してこれを取り締まることが海洋法条約の求めているところでございます。  したがいまして、当該船舶が他国の領海に入った場合には沿岸国の領域主権に基づく了解を取る必要はありますけれども、旗国の了解を他国領海に入ったからといって改めて求める必要は国際法上求められておりません。
  42. 犬塚直史

    犬塚直史君 それでは、調査捕鯨船のシーシェパードに対する海賊行為の適用について、国交大臣外務大臣の御発言がちょっと違いますので、ここで確認をさせていただきます。  国交大臣は、「別途、SUA条約、海洋航行不法行為防止条約」というものがあり、捕鯨の場合には海賊対処海賊行為ということは世界的に位置付けられていないと発言をしているんですね。これに対して外務大臣は、ある意味では妨害行動ということになり、国連海洋法条約上の海賊行為に該当すると判断される可能性は直ちに排除されないという認識を示しているんですね。  これは政府として整理をしていただきたいんですが、御説明お願いします。
  43. 金子一義

    国務大臣(金子一義君) 私から答弁させていただきます。  私の方は、このシーシェパードの活動、このことが、シーシェパードの一般的な活動として、これが本法に定める海賊行為ということで該当するのであれば本法の対象になると、これが一つの前提であります。それから、本法で規定する海賊行為に該当しない場合であっても、国内の関連法案あるいは条約、これがSUA条約、航行不法行為というやつありましたですね、あれによりまして所要の措置を講じるところでありますので、既に一昨年の妨害行為被疑者についても国際手配を今されていると聞いております。  ただ、最後に委員お話ありましたシーシェパードの行動がすべからく海賊行為かということに対して、これに対しては世界の御理解はいただけていない、あのシーシェパードの行動自身海賊行為ということを我々考えておらないというのが私の立場であります。
  44. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 私も、問題はシーシェパードの行為海賊行為に当たるかどうか、これが一番のポイントだと思いますし、当たればこの法律対象になりますし、妨害行為でありましてもそういうような海賊行為でないと、そういうような判断といいますか、そういうことであればその他の法律によるということになろうかと思います。  そして、シーシェパードの場合は、今国交大臣からもお話ありましたけれども、まさに捕鯨、調査捕鯨に対する妨害行為とかその他の行為でありまして、私自身もこれは海賊行為であるとは考えておりません。
  45. 犬塚直史

    犬塚直史君 ということは、外務大臣は、このシーシェパードの行為海賊行為に該当すると判断される可能性は直ちに排除されないとおっしゃったのは、つまり直ちに排除されるものではないとおっしゃったのは今撤回されたわけですか。
  46. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 今までのシーシェパードの行為というものは、これは先ほど申し上げましたような調査捕鯨に対する妨害行為であって、海賊行為とは考えておりません。将来、このシーシェパードがどういうような形に移っていくか、まあシーシェパードというものはどういうものというようなところから始まるかもしれませんし、今のいろいろな妨害行為等がきちっと共通の認識であるかどうかもありますけれども、現在のところは、先ほど申し上げたような海賊行為ではないと、そういうふうに思っております。
  47. 犬塚直史

    犬塚直史君 ということは、現在までのところは海賊行為には当たらないと、しかし、将来についての可能性は直ちに排除されないということですか。
  48. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 先ほどの繰り返しになって恐縮ですが、現在はそういう捕鯨に対しての抗議行動のようなものであると、私はそういうふうに認識しております。この組織が将来どういうふうになるか分かりません。そして、そのときの名前がシーシェパードという形であるかどうかも分かりません。そういう意味では私の発言というのは非常にあいまいであったかもしれませんが、将来まで確定することはできないんではないかということを申し上げたわけです。
  49. 金子一義

    国務大臣(金子一義君) 補足でありますけれども、今の反捕鯨団体、この妨害活動についていろいろな形態が出てくる可能性もありますものですから、本法案とは別にしまして総合海洋政策法制チームに、これまで起きました具体的な事例、今手配しているのもあります、こういう効果的な対応策を、必要となってくる可能性もありますものですから、ここが事務局になりまして関係府省と連絡、協力して、これは検討していこうというテーマとして今位置付けさせていただいております。
  50. 犬塚直史

    犬塚直史君 ちょっと話が細かいところに入り込んでしまいましたが、この第一条の目的にもう一度戻させていただきます。  内閣法制局に伺いますけれども、この目的の中に、「海に囲まれ、かつ、主要な資源の大部分を輸入に依存するなど外国貿易の重要度が高い我が国の経済社会及び国民生活にとって、」この海賊対策が大変大事であると、こういうふうに言っているわけであります。  これが先ほど来言っている国益の言わずもがなの部分だと私は思うんでありますが、もしこれをこのまま残すとすれば、国益を表現したものが目的に入っている法案をもって国外に武装集団を出すという法律になるわけですね。つまり、国益を守るために我が国のシーレーンを防衛すると。その目的を持った法律を通して、自衛隊が司法警察権を持った国交省の方と一緒になって海外に行って、場合によっては武器の使用を行うということになるわけですけれども、これは我が国憲法九条に抵触する可能性はないんですか。
  51. 横畠裕介

    政府参考人横畠裕介君) まず、先生指摘のその国益という言葉でございますけれども、一般にはその国の利益という非常に抽象的な概念でございまして、その具体的な内容につきましては広狭様々にとらえることができるわけで、御指摘の本法案第一条の規定の部分が国益にかかわるかどうかというのも、これは国益についてどのように理解するかということの反映であろうかと思います。  それはさておき、本法案第一条におきましてお尋ねのように規定しているわけでございますけれども、これは何も大上段にその国益を標榜しているという趣旨ではございませんで、まさにこの法律目的規定でございまして、この法案全体がまずは海賊行為定義いたしまして、それを国内法上の犯罪として規定をすると。その上で、海上警察機関であります海上保安庁及びこれを補完する役割を担うものとしての自衛隊が海賊行為の取締り等に当たるということなどを定めているところであります。  これは、法的性質といたしましては、我が国の法執行としての警察活動として海賊行為対処するということを定めたものでありますことから、この法律をこのような仕組みとするその前提となる考え方といたしまして、我が国の経済社会の営みや国民生活を支えている海上における公共の安全と秩序の維持を図るということの重要性についての認識を明らかにする、そういう趣旨で規定しているものでございます。  その上で、憲法第九条との関係についてお尋ねがございましたけれども、本法案に基づきます海賊行為への対処は、今申し上げたように、この法律によって定義された、すなわち公海上における私的目的による言わば私人の行為として定義された海賊行為に対する抑止、取締りでございまして、その意味で武力の行使にはそもそも当たらないものと考えております。その意味で、そのような抑止、取締りのために武器使用を伴うということがございましても、それが武力の行使に当たることはありませんので、憲法第九条に抵触することはないものと理解しております。
  52. 犬塚直史

    犬塚直史君 中曽根大臣、昨日テレビでこのソマリアの陸上で随分詳しい取材をされた番組が放映されたようですけれども、御覧になりましたか。
  53. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 途中からですが、私もちょっと見ました。
  54. 犬塚直史

    犬塚直史君 過去、私の理解が正しければ十四回ですか、国連とかエチオピアですとかアメリカがソマリアのこの状況を何とかしようということで中央政府をつくろうとして、そのすべてが失敗をしているわけであります。  これだけ言わば国家が形を成していないところがあって、それが一つの原因として海賊行為まで及んでいると。この地域我が国がかかわっていくということは、大変な覚悟だと思うんですね。  ところが、私は非常に心配をするんですけれども、何か議論が、船主協会の方々の気持ちも分からぬではないのですが、我が国のシーレーンの防衛なんだと、つまり我が国の石油、天然資源はあそこから来ているんだと、だからこれを守らなきゃいけないんだという議論なわけですね。それを言い出すと、これはいつか来た道になってしまう。  今回の法律はあくまでも海賊対処ということであって、これ強行規範の例としても挙げられているぐらい大切な法案であるにもかかわらず、ここに国益という言わずもがなのものを入れてくるという、これは私は削除すべきだと思うんですが、大臣、どう思われますか。
  55. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 国益かどうかという判断もあろうかと思いますし、国益とは何ぞやということもあろうかと思いますが、この法律目的が、お話ありますように、海に囲まれ、かつ、主要な資源の大部分を輸入に依存するなど外国貿易の重要度が高い我が国の経済社会及び国民にとってと、これは、僕は、ある意味では事実を言っているんじゃないかと思うんですね。  日本というのは陸路で外国とつながっていません。したがいまして、日本への物資の出入りというものは船と、飛行機もありますけれども、ということで、そういう我が国にとっては海上輸送、そのために供する船舶、そういうものを安全が極めて大事だということは私はある意味じゃ事実を言っておりますし。  それから、シーレーン防衛ではないかということでありますが、現に日本のこの船員とか船長とかそういう人たちが、何というんですか、人質に取られたり、そういうような行為が行われているということですから、私はこの海賊行為から日本人あるいは日本の財産、人命、そういうものを保護すると、それが非常に急を要することであるということからこの第一条に明記をしているのであって、これは私は妥当なものではないかと、そういうふうに思っております。
  56. 犬塚直史

    犬塚直史君 防衛大臣、通告していないんですけれども、私は、例えば諸外国の北欧の国々やあるいはカナダ等のPKOですとかあるいは平和構築活動に非常に積極的な国々と我が国の取組、というか気持ちの持ち方かもしれませんが、大きなやっぱり違いを感じるわけでありまして、ここのところをやっぱりこの機会に徹底的に議論をするべきだと思うんですよ。  それは何かというと、何のために海賊対処のために自衛官の皆さんがロケットランチャーで撃たれるかもしれないようなところに派遣をされるのかと。それは日本のシーレーンを守るためなのか、あるいは国際社会が一致してこの海賊行為というものを、これからこれは恒久法ですので、全体として取り組んでいくのかということをやっぱり国会でも議論すべきだし、メッセージとしてももっと分かりやすく出すべきだと思うんですね。  こういう、一体それじゃ、じゃ石油を守るために行くのかと取られかねないような文言は私は書くべきではないと思うんですけれども、防衛大臣、いかがでしょうか。
  57. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 我々は、逆に言えば、御議論いただいて法律ができて、それに沿って我々活動するわけでありますので、その点につきましては確かにいろんな御意見があるかもしれません。ただ、スタート、結果的に我々の、国民の生命、財産を守るということがこれはもう当然の話でありますし、それを我々とすれば大義として出ているわけで、その結果、そこまで読み込むというか、シーレーン防衛という、今回の場合は全く、海洋法条約から引いてきた海賊という部分に焦点を当てて考えておるわけでありますので、そういう意味では、結果的に国益に資するということは、特に国民の生命、財産ということを我々とすればやっているわけで、結果的にそれにつながるだけのことであって、我々とすればそこは極めて分かりやすく説明しているのではないかなと思っております。  その点については、先生のおっしゃるように明快ではないではないかと言われると、そこのところはちょっと私はどうかなと思いますけれども、ただ、動いている自衛艦にすれば、その警護、護衛ということがこれは極めて重要な話でありますので、そのものだけに特化してやっているわけでありますので、それ以上でも以下でもないということだけは言えるのかなというふうに思っております。
  58. 加納時男

    ○副大臣(加納時男君) 私は海洋政策担当の副大臣でもございますので、今のことは非常に大事なところが議論されていますので、一言発言を補足させていただきたいと思っています。  委員の御質問、特に第一条の書き方のところが前段と後段と実は二つあるわけですね。  前段のところ、「海に囲まれ、」から始まっているところはどこまでが一つの文章かというと、第一条の三行目の安全が極めて重要であること、ここまでが一つの文でございます。つまり、これは、別の言葉で言えば、日本の経済社会及び国民生活にとって航行の安全が不可欠に、決定的に大事だということを言っている。その説明として、海に囲まれているとか主要な資源の大部分を輸入に依存するという言葉があって、そこでは航行の安全が我が国にとって決定的に重要だということをまず言っています。別の言葉で言えば、国益と言えるのかもしれません。  それから、そこで大事なのは「並びに」というところで、それと並んで大事なことは、海洋法に関する国際連合条約、いわゆる海洋法条約で、すべての国が可能な限り、可能な範囲で公海等における海賊行為の抑止に協力するんだと、これは大事な海洋法上の規定だと思います。これは言わば、言葉を換えれば公益、一つの国を超えた、あらゆる国に対して国籍に関係なく海賊行為の抑止をやるんだという。  その二つ、つまり国益を守ること、それから公益を守ること、この二つのことに、かんがみがどこに掛かるのかというと、この今私が申し上げた前段と後段、国益と公益、この両方にかんがみて次のことを、こういう法律を作るんだというふうに読んでいただくと、すっと問題点が明快に分かるんじゃないかというふうに私は担当者としてはこの法律を理解しているところでございます。
  59. 犬塚直史

    犬塚直史君 おっしゃっていることはよく分かります。よく分かるんですが、私がさっきから申し上げているのは、それは言わば当然のことであって、これを、今のマスコミ等で行われている議論等々を見ると、そこのところがいまいち、今までずっとそうなんですが、理解されていないんではないか。  特に、今日は同じ長崎の北村防衛大臣に伺いたいんですけれども、東シナ海、例えば対馬なんというところは釜山まで五十キロしかないんですね。そういう海域にあって、この海全体の海洋資源を周辺国がみんなで守っていくというのが言わば国際法益になるわけですよね。しかし、これは一歩間違えると、向こうが取るからこっちが全部取るとか、小魚も含めて全部取ってしまえというような現場としては議論になりがちなわけですね。  やっぱりこの法律という、国内法、特にこの強行規範に基づく法律を今作ろうとしているわけですから、もうちょっとこの目的のところは、言わずもがなのことではなくて、国際益の部分を強調すべしと、漁師の皆さんにも分かるぐらい分かりやすく強調すべしと思うんですが、副大臣、いかがですか。
  60. 北村誠吾

    ○副大臣(北村誠吾君) 突然の御指名でございますから、お答えをさせていただきますけれども、私の所管する防衛大臣としての立場から述べていい部分と、いろんなことはあると思いますけれども。  今委員がおっしゃられたのは、対馬と朝鮮半島、あと九州、あるいは東シナ海、そこら辺一体の海洋を構成するその地域のことでお尋ねかなというふうに思いますけれども。御承知のとおり、それぞれの各国の排他的経済水域の問題につきましても、日中韓それぞれの線引きもできておりませんし、御承知のとおり、暫定的に日中の間でも中間線というものを考えて、漁業であるとか水産業であるとかそういった立場の漁業の協定というふうなもの、あるいは韓国と日本の間もやはり中間線というふうなことを考えて、互いに利益を分け合いながら、譲り合いながら現実にそこでなりわいとして仕事をして、海の資源を、表層、中層、海底、その地下、そういったものについていろいろこれから建設的に協議をしながら、あるいは協定等を目指しながら、日中韓主に三国で、平和の海、友好の海というふうなことになるようにというふうなことを目指して、関係各国の政府あるいは民間がいろんな協議を今日的にも鋭意続けている、いろんな苦心惨たんしている状況があるというふうに認識しております。  非常に難しい問題ではあるけれども、少なくとも前の世代から引き継いで次の世代に問題を残したくないというふうな気持ちでいろんな難しい事柄に我が国政府も取り組んでいるという認識をいたしております。
  61. 犬塚直史

    犬塚直史君 終わります。
  62. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 民主党の谷岡郁子でございます。おはようございます。  本題に入ります前に、緊急の問題といたしまして、現在のビルマ問題について外務大臣にちょっとお尋ねしたいと思います。  アウン・サン・スー・チー女史がずっと軟禁をされていたのが、軟禁から監禁状態へという状況に現在移行している。しかも、それは近々行われると言われております総選挙と深くかかわっているということが言われております。野党として、先回行われました選挙の結果、その内閣を率いるべきであった方がこの長い間にわたって軟禁され、現在監禁をされていると。  これについて政府は、度々お立場を表明されてまいりましたけれども、現在状況はむしろ悪化し緊張しているのではないかというふうに思われるわけですが、今、これまで何をなさってきたのか、どういうスタンスに立たれているのか、また今後何が必要だと思われているかについてお聞かせいただければ幸いです。
  63. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) ミャンマーの問題につきましては、私たちも大変懸念をしております。日本のみならず国際社会全体が懸念していることだと思います。    〔委員長退席、理事浅尾慶一郎君着席〕  私自身もミャンマーの外務大臣に電話などを行いまして、このアウン・サン・スー・チー女史の問題については、これは懸念を表明いたしますとともに、選挙等のことも述べまして、この問題は国際社会が祝福するような形で解決をしてほしいというようなことを述べまして、我が国としてもそのような見解を述べているところでございます。また、これはハノイに先日参りましたときにもミャンマーの外相には直接お伝えしたところでございます。
  64. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 ありがとうございました。  では、本題の方の海賊法案に入らせていただきたいんですが、この法案の審議に関しましては参院でもまた衆院でもかなり様々な審議が行われておりまして、その中で我が党の議員から幾つかの質問といいますか回答を求めるということで、まだそれがはっきりしていない部分がございます。  例えて申し上げますと、先回、同僚の白議員の方から、米沿岸警備隊のソマリア沖における海賊対策について、米もまたコーストガードを出しているではないかということをホームページを挙げて質問がございました。これに対する回答というのはどうなっておるんでございましょうか。
  65. 石井正文

    政府参考人(石井正文君) お答え申し上げます。  米沿岸警備隊につきましては、先般の本委員会での御指摘を受けましてアメリカ側に照会いたしましたところ、現時点ではソマリア沖・アデン湾で海賊対処行動を行っている沿岸警備隊の艦船はないという回答を得ております。他方、アメリカ側からは、沿岸警備隊艦船が米軍の指揮下で当該海域の海賊対処活動に参加することはあり、四月上旬には沿岸警備隊艦艇バウトウェルが米中央軍の指揮下にあるCTF151で活動を行ってきたことがあるとの説明がございました。
  66. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 そういうことで、米沿岸の警備隊でありますコーストガードが実際に出動していたという事実があったということを確認してきたということで、現在までのお答えとは、今までとは違っているということの確認でよろしゅうございますね。    〔理事浅尾慶一郎君退席、委員長着席〕  米沿岸、コーストガード、これまで出ていないというふうに国会でおっしゃっていたということは撤回されるということでございましょうか。
  67. 石井正文

    政府参考人(石井正文君) 繰り返しで恐縮でございますが、簡単に申し上げますと、過去出ていたことはあるという説明を受けたということでございます。現時点では出ていないというのが事実でございます。
  68. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 それについてはまたほかの方々のいろいろ御意見があろうかと思いますが、私は次へ参りたいと思っております。  衆院で川内委員の方から、造船所が今詰まっていて、だから「しきしま」級の造船を新たにすることはできないんだというような回答に対して、本当にそうなのか、造船所側からの文書にての返答をいただきたいということがございました。  また、平岡委員の方からは、ロケットランチャーの使用実績ですね、海賊による、それはどの程度のものだったのかということを具体的に数として示してほしいということがございました。これについてはいかがでございましょうか。  また、同じく平岡議員の方から、海上保安庁の今後の海賊対応に対する中期的な計画そしてビジョンを示してほしいということがございました。  これについてはそれぞれお答えいただけますでしょうか。
  69. 岩崎貞二

    政府参考人(岩崎貞二君) 一点目、「しきしま」級の船を何隻か造るには数年掛かりますと、こういうことを答弁させていただきました。その理由として、今の「しきしま」を造ったのは二年強で造りましたけれども、それは二十年前でございますが、今回は造るとすれば四年強の時間が掛かりますと、こういう話を答弁させていただきました。  その件につきましてでございますが、今先生も御指摘のとおり、造船所、当時、二十年前、手持ちの工事量は非常に少なかったですけれども、現在、当時と比べて七倍前後の手持ち工事量を持っております。それから、いろいろ契約の手続等につきましても、当時と違いまして、契約の透明化ということで我々国際入札をしなきゃいかぬとかそうした部分もございます。こうしたことを含めて建造期間が長期間掛かるということにつきまして御説明をさせていただいているところでございます。  それから、二点目のロケットランチャーでございますけれども、海賊の……。
  70. 石井正文

    政府参考人(石井正文君) お答え申し上げます。  国際商事会議所の国際海事局海賊レポートというのが出ております。これによりますと、ソマリア沖・アデン湾海域における海賊事案では、今から申し上げますとおり、実際にロケットランチャーを所持、使用した例が確認されております。  まず二〇〇八年でございます。これは、この海域において発生した海賊事案計百十一件のうちロケットランチャーの使用も含めてその所持が確認されたものが計二十四件、うちロケットランチャーにより被害が発生したものが六件と報告されております。また、本年の一月から三月、第一・四半期につきましては、海賊事案計五十九件のうちロケットランチャーの使用も含めてその所持が確認されたものが計十六件、うち実際に被害が発生したものが三件というふうに報告されております。
  71. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 ちょっと待ってください。それについての所持、二〇〇八年の件は二十四件で確認され、六件それによって使用が行われ、被害はどうなんですか、被害は。
  72. 石井正文

    政府参考人(石井正文君) そのとおりでございます。被害が発生したものが六件。要は持っていたもの全体が二十四件で、実際被害が発生したものが六件。
  73. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 ちょっと待ってください。二〇〇九年については、所持していたもの、そして実際に使用されたケースと被害が発生したケースという形の三段階に分かれているのが、二〇〇八年については、所持していたケースとそして被害が発生したケースだけが出ているんですけど、これ二種類、これはどういう意味ですか。
  74. 石井正文

    政府参考人(石井正文君) 私の御説明がちょっと舌足らずで恐縮であります。両方とも二つのカテゴリーでございます。  二〇〇八年は、使用も含めて所持が確認されたもの、この全体が二十四件、そのうち実際に被害が発生したものが六件、この二つのカテゴリーでございます。本年一月から三月につきましても、まず使用も含めてその所持が確認されたものが計十六件、そのうち被害が発生したものが三件ということでございます。
  75. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 海上保安庁の中期計画並びにビジョンの部分についてはいかがでございましょうか、金子大臣
  76. 金子一義

    国務大臣(金子一義君) これは先般谷岡委員にも一部お答えさせていただいたかもしれませんが、現在、既に今持っている装備の改修計画を二〇一〇年、できるだけ早く、あと数年後をめどにしておりますけれども、終わらせたいと。  これはお話し申し上げたかもしれませんが、昭和五十二年、海洋法が一挙に広がりまして、水産の地域我が国の二百倍に広がっていったということに合わせて、昭和五十四年を中心にしまして船舶、航空機、大量に造りました。その装備が、耐用年数は飛行機が二十年、船舶については二十五年でありますけれども、今海上保安庁が持っている装備の四〇%がその耐用年数が来ております。それをやはり更新していきたいと。これは不審船もあり、北朝鮮もあり、救助もありという様々な、ソマリアだけでない任務もありますので、整備をしていきたいと。このために今度の補正で、先般おしかりいただきましたけれども、この緊急整備の、今行っています整備に付け加えて整備を進めていくと。  一方で、将来どうしていくかということについては、これは平岡委員にもお答えしたところでありますけれども、こういうような機会に遠洋対策といったようなことも海上保安庁として考えて、これから更にどう装備考えていく必要があるかを検討したいと。  ただ、これも繰り返しますけれども、今哨戒体制を日本周辺で行っておりますけれども、この哨戒体制、竹島もあれば尖閣諸島もあります。こういう常時配置しているところもありますけれども、EEZ、これも大陸棚開発が進んできまして、化学物質、いろいろなレアメタル等々の埋蔵も科学的な調査では出てまいりました。そういうものを考えたときの今の哨戒体制がいいのかどうかということをやはり進めていく上では、再整理しましてから「しきしま」級、更に増強をしていけるようにしていきたいということで、現在のところ、話長くなりましたけれども、具体的なテーマとしてこういうものを持っているということではありません、考え方を申し上げました。
  77. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 海上保安庁長官にお伺いしたいんですが、先ほどおっしゃったのは、「しきしま」の建造をそのままもう一度しようといった場合にはというお話だと思うんですね。  それで、造られたときから技術も進化しており、そして、今私たちが話をしているのは、「しきしま」一隻しかないことについて、「しきしま」がもう一つ、うり二つのものが必要だということではなくて、この海賊事案のロケットランチャー等への対応に言わば効果的である船、これが必要だということをずっとこの何十時間にわたって審議をしてきたと。だから、「しきしま」を造るには当時の造船所の仕様が分からないの云々と、これは明らかに話のすり替えだと思います。  そういうことを聞いているのではなくて、この海賊事案に資するだけの、「しきしま」級とあえて言ってしまってもよろしいし、そうでなくては、明らかに「さみだれ」もまた「さざなみ」も、「しきしま」級ではないわけです。むしろ、今多く海上保安庁が持っていらっしゃる船の中間、大きさでいえば中間地帯にあるような船であると。そういうもので十分オーケーであるということは我々の目にこの間の審議で明らかであるわけです。  あえてその「しきしま」級にこだわり、その過去の形、モデル、そして建造のその実施要綱であるなりあるいはその概要でありにこだわられ、それが分からないからすごく大変なんだみたいにおっしゃる理由は何なんですか。
  78. 岩崎貞二

    政府参考人(岩崎貞二君) 私ども勉強していますのは、まるっきり「しきしま」と同じ船を造るということを考えているわけではありません。「しきしま」の持っているような遠洋航海性能でありますとかダメージコントロールでありますとか、そうしたものが必要だと思っておりますけれども、もう二十年前の船ですから、最近の技術も進歩しておりますから、そうした「しきしま」級を今の時代に置き換えて、海上保安庁の仕事に合うような船を建造できないかというのが我々の研究課題だと思っております。
  79. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 そのまままた歩いていかれなくて、また戻っていただいて、往復の時間が節約できますので。  続いて、それでは教えていただきたいんですけれども、今、海自の「さざなみ」であれ「さみだれ」はこの問題に対応するのに適切であるというふうに思われているということであれば、前に三百五十億ぐらい掛かるとおっしゃっていましたけれども、もう少し安く適切な船が今の仕様でできるんではありませんか。
  80. 岩崎貞二

    政府参考人(岩崎貞二君) そうしたことを含めて勉強中ではございますけれども、まだ勉強の途中経過でございますが、やはり一定のダメージコントロール、それから遠洋航海性能、それから更に申し上げますと一定のやっぱりスピードも要ります。こうしたものの機能を備えるには、これは概算でございますが、やはり三百五十億程度の予算が掛かるものと今のところ、現段階では見込んでおります。
  81. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 続いてお尋ねいたしますが、これから将来のことについては、先ほど金子国土大臣はまだ今具体的な数値を含めたような計画は持っていないとおっしゃいましたけれども、現在更新中の計画はあるということで、それは年次的に行っているというお話がございました。これを是非当委員会に出していただきたい。  と申しますのは、この今造っている、これはまあ取りかかっているものもありましょうが、まだ次に、今年度ないしは来年度発注するものも恐らくあるのだろうと。そうすれば、今のこの新しい法案ができたという状況において、これまでとは、海保がやっていかなければいけない守備範囲、そして状況というものは明らかに変わったと。その前に作られた更新の計画というものはここで明らかに見直すべきであるということだろうと思うんですね。  そうしますと、今ある更新中の計画の見直しをすることによって、安上がりにもまた早くも、この問題について、例えばマラッカ海峡の海賊がロケットランチャーを持ち出すような事態になりましても対応ができるということが言えるのではないかと思います。それについての御議論というものを今後していただきたいと思いますので、是非今ある更新計画を出していただきたいと思います。
  82. 岩崎貞二

    政府参考人(岩崎貞二君) きっちりした年次計画になっているわけではございませんが、今、海上保安庁として、先ほど大臣も御説明いたしましたけれども、老朽化した船艇、航空機が多数あります。これを早急に更新をしたい、できるだけ早く更新したいという、全体、どれぐらいの隻数、どれぐらいの予算で更新をしようという考え方は持っております。そうしたものについてお出しすることは可能であります。
  83. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 はっきりした数だとか内容だとかをお持ちでないのであるならば、その中にこのソマリアへの対応をするようなものを新たに含めたり、その操作をすることは可能だと思いますし、また、はっきりした対応というものがあるから、今更変更ができなくて、新たな「しきしま」級の計画ができないというふうにこれまで伺ってまいりましたので、委員長、文書にて計画をきっちり出していただきますようにお願いを申し上げたいと思います、この当委員会に。
  84. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) ただいまの谷岡君からの御発言については、後刻理事会で協議いたします。
  85. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 それでは、少し方向を変えまして、アデン湾・ソマリア近海における密漁船や不法投棄船の取締りに関する国際協調というものについてお尋ねをしたいというふうに思います。  今回、こういう形で日本の船が出ていって護衛をすると。それが直接的な目的ではなかろうかと思いますが、例えばP3Cが出ていく、そしてその海上についてはかなりいろいろな形で探索であるとか調査、そういう情報収集が可能であると。そういう場合に、例えば密漁船でありましたりあるいは不法投棄船であったりするものを見付けた場合についての対応というのはどのようになさるおつもりなのかということ、これは多分防衛大臣にお聞きすればよろしいんでしょうか。いかがなものでございましょうか。
  86. 徳地秀士

    政府参考人(徳地秀士君) 今回派遣されましたP3Cにつきましては、保護対象船舶を防護するためにアデン湾の海域を上空から広域にわたりまして哨戒をして、情報を収集して、それを関係のところに提供したりするというようなこともあるわけでございますけれども、今言われましたような点につきましては、そもそもその海域の全体の状況がどのようになっているかということも海賊対応する上で必要な情報ということであれば、そういうことを収集するということも、それは否定はされないと思います。
  87. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 P3Cは、今、基本的には日本の護衛船に、護衛にかかわる必要な情報を収集するというお答えであったかと思いますが、哨戒ヘリコプター、それぞれ二機積んでおりますね、ではできない何をしなければならないんでしょうか。その具体的な活動の必要性について御説明いただけますでしょうか。
  88. 徳地秀士

    政府参考人(徳地秀士君) お答え申し上げます。  護衛艦に積んでおりますヘリコプターの場合には、その護衛艦から離発着をすると、そしてその航続距離もかなり限られますので、どうしてもその護衛艦の近傍の状況を把握するということにとどまるということだろうと思います。  これに対しまして、P3Cの場合には、当然のことながら航続距離も長いわけでございますし、またスピードもかなりのものがございますので、長時間広域にわたって幅広いエリアを哨戒することができると。したがって、護衛対象船舶につきましてもかなり遠くの状況についても情報を収集することができると、そういうようなものでございます。
  89. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 今、ヘリコプターは近傍に限られるというふうに、レーダーの範囲とおっしゃったと思うんですけれども、それはどの程度の範囲になるんでしょうか。また、P3Cですと、それは例えばレーダーの範囲、半径どのくらいに広がるんでしょうか。
  90. 徳地秀士

    政府参考人(徳地秀士君) お答え申し上げます。  ちょっとその場の状況にもよりますので必ずしも一般的に申し上げることは難しいかと思いますが、大体ヘリコプターの場合でありますと一時間程度の飛行ということになるのではないかというふうに考えております。  これに対しまして、P3Cの場合には、飛行場を飛び立って帰ってくるまで大体八時間から十時間程度の飛行をするということが一般的だというふうに大体見積もっておりますので、その範囲内で情報収集をするということになると考えております。
  91. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 距離的なものはいかがでございましょうか。
  92. 徳地秀士

    政府参考人(徳地秀士君) P3Cの場合に一般的な航続距離で申しますと、大体四千キロメートル程度ということになりますが、ただそれは単に飛んで帰ってくるというだけでございますので、実際に一定の海域を哨戒するということになるともう少し短くなるのかなというふうに考えております。
  93. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 レーダーの範囲がどの程度なのかということは今お聞かせいただけなかったんですが、船にも当然レーダーというものは付いていて、何か怪しげな船なりなんなりがいるということについてはレーダーで監視ができると、そして、それに加えて実際に視認する必要があればヘリコプターが出ることができると。ずっとヘリコプターが飛び続けていなければ護衛ができないというわけではないと思うんですね。  そうしますと、それに加えてなぜP3Cというような大掛かりなもので護衛をしなければならないかということを私はいまだに理解ができないんですが、分かるように説明していただけますでしょうか。
  94. 徳地秀士

    政府参考人(徳地秀士君) まず、ヘリコプターについて申し上げますと、護衛艦に今二機積んで行っておりますけれども、基本的には一機飛ばすということでやっておるところであります。ただ、先ほど申し上げましたように、大体一時間程度の飛行ということに限られてしまいます。  これに対しまして、例えば今護衛をアデン湾において約五百海里のところを往復してやっておるわけでございますが、一回の護衛に大体船で一日半から二日程度というふうに掛かっておりますので、その間ずっとヘリコプターを飛ばし続けるということもまたできないわけでございます。  それから、かなり遠くの方の、護衛対象船舶から距離の離れたところの情報もできるだけ早い段階で察知をしておくということは、できるだけ当該船舶の安全を確保する上でも重要だというふうに考えておりますので、やはり上空の高いところから監視のできる固定翼の哨戒機の派遣ということは非常に役に立つものと考えております。
  95. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 分かりません。怪しいです。P3Cというのは、本当に言わば戦時状態にある地域というようなものについてのカバーができるようなものだと思います。  そもそも、ずっと審議を読んでおりますと、海賊たちは灰色の船が近づけば逃げ出すんだというふうに、つまり軍艦が近寄ればもうそれだけで逃げ出すんだというふうに言われております。これは議事録を読んで確かめました。そして、どれほど速く、高速船であろうとも、一時間当たり何百キロも高速でやるような海賊船ではスピードとしてないと思います。そうすると、船のレーダーの範囲の中で、そして怪しければヘリコプターがいつでも飛び立てるようにして飛び立って行けば、少なくとも視認も可能性があり、確実であるという。  P3Cを派遣するのに今現在百五十人派遣しておられるわけですね。違いますか。
  96. 徳地秀士

    政府参考人(徳地秀士君) 今、海上自衛隊の要員それから陸上自衛隊の要員を合わせまして、この派遣海賊対処航空隊につきましては合計約百五十名でございます。
  97. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 その方たちは今どこにおられますか。
  98. 徳地秀士

    政府参考人(徳地秀士君) ジブチにおります。
  99. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 そのジブチでは野宿していらっしゃるんですか。
  100. 徳地秀士

    政府参考人(徳地秀士君) さすがに野宿しているということはございませんで、飛行機そのものはジブチの民間空港地区に駐機をいたしております。それから、要員につきましては今は米軍基地内におるところでございます。
  101. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 先ほど来、またこの法案国会審議を通じて、私たちは、この問題は何年掛かるか分からないような問題であるということです。  その護衛のためにP3Cが必要であるということであるならば、この百五十人はずっとその数年間ジブチに駐留しなければならないと。今はアメリカの施設を借りているとしても、何らかの形でこれだけの人数というものがジブチの陸上において、そして飛行機を駐機させるということを含めて、それに必要な車両云々等、言わば自衛隊の基地が海外に一定期間できてしまうということも言えると思うんですね。船であるならば必要な補給に関して時々港に入ればいいということが言えると思いますけれども、飛行機の場合は飛んでいる時間よりも止まっている時間の方が長い、その補修も必要であると。また、そのために対応しなければいけない人々というものが、飛行機を乗るといえばクルーもシフトを組むわけでしょうから、そういう形で常に常駐しなければならないと。  私は、護衛艦が出るということとP3Cがそれに加えて出るということ、これは一つ次元が違う問題ではないかというふうに思うのですけれども、最初からこのP3Cの派遣というものは決まっていたんでしょうか、それとも後で付け加わったんでしょうか。
  102. 徳地秀士

    政府参考人(徳地秀士君) これにつきましては、護衛艦を派遣をするということを決定いたしました時点でP3Cにつきましても準備は進めるということとしておりました。その後、具体的に二機派遣ということを前提として、四月以降具体的な準備をして先月派遣に至ったものでございます。
  103. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 先ほど来何度もお聞きしておりますが、もう一度確認したいと思います。  P3Cがどうしてもこの海賊対処に必要なのはなぜですか。
  104. 徳地秀士

    政府参考人(徳地秀士君) やはり、広い海域においてどの方向から来るかも分からないような海賊というものに対して、できるだけ早い段階で対応すると、特にそれを未然に防ぐということが重要であるというふうに考えておりますので、高い空の上からできるだけ広い海域を見渡して早めに情報を察知するということのできる航空機というものは、大変役に立つものと考えております。
  105. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 私は、広い海域からやればできるだけ安全度が高まるといったことに関して否定するつもりはございません。しかし、シーレーンを守る云々という話がありましても、民間の船であって、幾ら海賊で最新鋭のものを持っているといえども、たかだかロケットランチャーであって、母船は漁船を改修した程度のものであると。相手は軍艦でも何でもないというものについて、それはやはり大変大きな費用が掛かることでもあり、非常に長期間にわたって海外に自衛隊員、そして不便な生活を強いることでもあるということにおいて、これはいかにも過剰に見えます。  それほどのことが必要な理由は何なのですかということを先ほど来お聞きしているわけであります。
  106. 徳地秀士

    政府参考人(徳地秀士君) 私たちとしては、やはり護衛対象船舶、いわゆる日本関係船舶というものに対する安全というものをできるだけ確保するということが重要だと考えておりますので、このような広大な海域において二隻の護衛艦を派遣するだけではなくて、空から監視のできる足の長いP3Cというものの活動というものは重要だと考えております。
  107. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 物事には対応するにふさわしい予算であるとか範囲というものが通常あるというふうに私は考えます。例えば警察におきまして、必要な地域において必要な人数の配備はどの程度であるかということにつきまして、場合によってはこれは十分ではないということもあり得るかもしれません。ストーカーなどの事案を見てみますと、何度もストーカーについて訴えた、しかし、事件が起きるまでは人員の関係でそういう形で護衛するわけにもいかないし、割くわけにもいかないというようなことで何も聞いてもらえずに、そして警察として対応してもらえずに、それがゆえに殺された女性たちというものも何件もこの日本国内においても起こっております。つまり、完璧というものを期するということということは、通常予算の範囲を超えているということで、私たちはある程度でとどめるということでその妥当な線ということを考えるわけです。  このP3C、先ほども申し上げましたように、単に補給のために寄港するというような形では済まない、陸上に、海外に自衛隊の言わば基地を置かなければならない、言わば駐留軍になるというような形、これを戦後初めてなさっていると。これは、費用的にも大きなものでありますけれども、戦後の我が国の平和主義の歴史において、そして海外に自衛隊を出すことに対しては大変慎重であったことに対して、それを大きく変えるこの道を踏み出すために広い海域をというようなことは余りに薄弱な根拠ではないかと思うのですが、これに対しては、浜田防衛大臣、いかがお答えになるでしょうか。
  108. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 我々とすれば、そこに日本の国の船籍をいろんな形で侵してくるという海賊がおるという中で、万全を期してこの警護をしなければならないという任務となれば、当然のごとくあらゆる可能性を追求するのはこれは当然なことでもございますし、今回基地をというお話がございましたけれども、クウェートにも基地をつくってそこに出したことも航空自衛隊もございますし、そういった意味では、我々はあくまでも我が国の警護、そしてまた、かの地においても我々の活動の内容についても相手国に対してしっかりと説明をしながらその基地を借りておるわけでございますので。  そういった意味合いにおいては、今先生が御指摘のように無駄な経費を掛けて自衛隊を出しているというようなお話をされましたけれども、我々とすれば決してそうではなくて、よりこの警護というものを確実に実行し、そして我々とすれば、その海賊に対しての我々の態度を示すという意味では、当然のごとく今回の公海の広い範囲での、一千キロもの長さを警護してまいるわけでありますので、事前に見ておいて、もしも、逆に言えば、早めに分かれば、その船から近寄ってくるものを遠い地域から見ておけば当然これを回避する活動もしやすくなるわけでありますので。  そういった意味合いに関すれば、我々とすれば必要なものをしっかりと対応して、今回P3Cを出したということは、これは当然の話であり、そしてまた、我が国だけではなくてVHF上の無線では他の国にもこの情報が流せるというような利点もあって、大変そういう意味では我が国だけにとどまらずこの地域における危険というものを回避ができるというふうに私自身は思っておりますので、先生の見方からすればそうかもしれませんが、我々とすればこれをしっかりと我々の任務を果たす意味ではこのP3Cというのも必要であるというふうに私の方から言わせていただきたいと思います。
  109. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 今でも私はその十キロ、二十隻、船の速度から考えますと、その先ぐらいまで見ておけば回避行動等が可能じゃないかと思われるようなものに対して、あえてそのP3Cが必要であるということについて、これは無駄だとは言いません。先ほど大臣は私が無駄だというふうに言ったというふうにおっしゃいましたけど、私は無駄だとは申し上げておりません。そうではなくて、費用対効果の面また必要性においていささか過剰ではないかということを指摘申し上げているにすぎません。  また、クウェートということを先ほどおっしゃいましたけれども、クウェートとソマリアというものにおいては、片っ方は政府があり片っ方は政府がないような状態であるということで、明らかにその状況というのは少し違うんじゃないか。  また、特措法と恒久法ということにおいて、恒久法ということであれば、これからそういうことが随時起きてくる可能性もあることを考えれば、これは全く次元の違う話だというふうに私は思いますが、いかがでしょうか。
  110. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 済みません、空港はジブチにございまして、そういう意味ではソマリアにあるわけではございませんで、我々とすればそこのお話をしているのであって、そういった意味で、先生おっしゃいますけれども、我々が、海の上の行動というのは普通の陸上での行動とは違いますので、そういった意味では、船が大きく迂回する際にもできるだけ遠くの方がいいというのは、これは当然の話でありますし、我々がこれでできるだけ、先生がおっしゃるように、海上自衛隊員の御心配もされていただいているわけでありますから、当然そうなれば我々とすれば過剰であるということはあり得なくて、もしも可能性が薄くなるものであるならばそれを追求するのが我々の当然の責務でありますし、海上自衛隊員のことを思えば、P3Cで遠くから船の近づいてくるのが見えれば、それを早く情報として流せる。ましてや、その船が遠くから見ていて何か分からない船だけれども近づいているというものを、確実に今度はそうでないということを確認するためにヘリコプターを出し、二度目の確認をし、それを積み重ねることによって海上の警護というのが、任務を遂行するためにはこれが一番確実であるということをできるだけ近づけていくことが我々とすれば当然の任務だと思いますので、そういった意味においては、過剰とか費用対効果というのは確かに考えるのは当然のことでありますけれども、最低限その中で我々の選んだ方法というのはこういうことだと思っておりますので、その点は御理解いただければと思います。
  111. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 そうしますと、これは、今海上警備行動ということでP3C等が出ておりますが、これが恒久法、この法案が通って改めて対応するということになれば、基本的には今の護衛艦二艦に対してP3Cという、このセットというものがこれからも使われていくセットであるというふうに考えてよろしいのでしょうか。
  112. 徳地秀士

    政府参考人(徳地秀士君) 海賊対処法が成立いたしますと、これに基づく自衛隊の海賊対処につきましては、日本関係船舶だけではなくて、日本と直接関係のない外国船舶についても海賊行為から防護するということが可能になります。したがって、自衛隊がより効果的に海賊対処というものを行うということが可能になるというふうに考えておるところであります。  でありますけれども、この法案成立後、具体的に護衛艦なりあるいはP3C、先ほど申し上げましたように、P3Cの場合に大体一般的な航続距離といたしまして三千五百ノーチカルマイル程度の航続距離があるわけでございますが、こういうものをどういうふうに使っていくかということにつきましては現在検討中でございます。
  113. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 この法案に行きますと、そういう場合に、海自が出ていくような場合に事前承認が要らないということになっておりますけれども、実際に概要というようなものが決まった場合、それはどういう形で国会にいつの時点で御説明いただけるのでありましょうか。
  114. 大庭靖雄

    政府参考人(大庭靖雄君) 法案の第七条でございます。  海賊対処行動が必要な場合の手続でございますけれども、防衛大臣は、海賊行為対処するために特別の必要がある場合には、内閣総理大臣の承認を得て、自衛隊の部隊に海賊対処のための行動を命ずることができるという規定になっておるわけでございますけれども、その内閣総理大臣の承認を得る手続として、防衛大臣は、関係行政機関の長と協議をして、海賊対処行動の必要性、対処行動を行う海上の区域、対処行動を命ずる自衛隊の部隊の規模、構成並びに装備並びに期間その他重要事項といったようなことに関する対処要項を定めまして、これを内閣総理大臣に通知をして承認を得るという一連の手続がございます。内閣総理大臣は、海賊対処行動に関する承認をしたとき、遅滞なく、今申し上げたような事項を含めて、国会に報告をするということになっております。
  115. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 遅滞なくというのはどの程度なんですか。時間ですか、日ですか、週ですか、月ですか。どの程度が通常、法律では遅滞なくと考えられるんですか。
  116. 大庭靖雄

    政府参考人(大庭靖雄君) 遅滞なくでございますから、準備ができたところで可及的速やかにという趣旨でございます。もちろん、その時期に国会が開いておるかというようなこともあろうかと思います。その辺りも含めて、できるだけ早い機会にという趣旨でございます。
  117. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 少し視点を変えまして、そもそも論で、現在なぜ海自が出ていかなければいけない状況にソマリアがなっているかということに関して、海保では対応ができないというような相手であるということがこれまで言われてきておりますが、このソマリアの海賊というのはこれまでどのくらいの被害を与えてきたのか。実際に死者は、海賊による死者は何名いるんでしょうか。
  118. 秋元義孝

    政府参考人(秋元義孝君) ソマリア沖の海賊行為による犠牲者につきまして、被害者の死者数、それから海賊の死者数につきまして正確な統計がありませんので、我々としましてもその全体像は把握しておりません。  他方で、この四月以降の海賊事件に関連して公表されている事例に則して言いますと、例えば米国船籍貨物船のマースク・アラバマが乗っ取られた事件では、米海軍が米船長を救助した際、海賊ら三人が射殺されました。またそれから、フランス海軍がフランス船籍の五人乗りヨットの救出作戦を実施した際、人質四名を救出した一方、一人が死亡し、また五人の海賊のうち二人が死亡いたしました。それから、イエメン船籍のタンカーが乗っ取られてイエメン沿岸警備隊と海賊との銃撃戦となった事件では海賊二名が死亡したと、こういう事例はございます。
  119. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 海賊の被害というのは、経済的な問題でもありますけれども、危険性ということであれば、これまで武器の使用においてけがをしたあるいは死者が出たということ、それはその海賊の質というものを判断する上で大変重要なことではないかと私は考えます。  その意味におきまして、今のお答え、私は大変不思議でございます。なぜならば、これだけ大変だ、防衛しなきゃいけない、護衛しなければいけない、危険があるということをおっしゃっているのであるならば、当然被害者数、例えばこれまで出た死者、そのような統計はあって当たり前ではないでしょうか。それも把握していらっしゃらないということであるならば、まず出動ありきというふうに法律を作られたのかなと思わざるを得ないんですよ。私はそこまで疑い深くありませんので、今そういうことを疑っているとは申し上げません。しかしながら、この今のお話を聞いておりましたら、銃撃戦等が起きて、その結果死んだ海賊の数の方が海賊によって殺された人よりも明らかに多い。海賊によって殺された人は、今お聞きしたその三件の中だけで言いますと一名なんですよ。  そして、かつ、こういう形で海賊が銃撃戦等が起きることによってなぜ殺されているかといえば、様々な国の軍隊がそこへ出動してそういう状況になってきたからであり、それを私は全否定するものではありません。なぜならば、人質になった船などの救出等も必要であろうかと思いますし、海賊行為というのは基本的に犯罪であるからと思うわけです。しかしながら、現在の状況というものが、考えようによってはそういう出動によって言わば深刻化し、そして海賊等も声明を出しておりますけど、復讐心を言わばあおっているという側面も否むことはできないという状況ではないだろうかと思います。  そして、この海賊というものは、なぜ海賊ビジネスというようなことがこれまで言われてきたかといえば、驚くほど素直に身の代金を払うとすべて返してくれると、人を傷つけることあるいは殺すことは基本的にはどうも目的ではないらしいということで海賊ビジネスというふうに言われてきたわけですね。  だといたしましたら、本当にこういう形で出動する、護衛するということについてどこまでの重装備が必要であるのかといった場合に、先ほどのP3Cというものが出ていくということ、やはり私にとってはそこはそこまでしなければならないんだろうかという不安を、疑念を感じさせるということでございます。  また、本当に「しきしま」級でなければ海保は対応できないんだろうかという疑念を覚えるわけなんですけれども、その点については金子大臣、いかがお考えでしょうか。
  120. 金子一義

    国務大臣(金子一義君) やっぱりロケットランチャーを現実に持っている、日本籍タンカー「高山」もロケットランチャーと思われる銃痕の跡からの判断でありますけれども、撃ち込まれて油が流出しているといったような事例にかんがみまして、ダメージコントロールを持っている「しきしま」でなければ、海上保安庁が持っている他の船舶では対応ができない。「しきしま」一そうでなくて、やはりこういうものを制圧していくために複数の船舶によって対応していくということも必要でありますので、そういう意味で「しきしま」級が要求されているというところであります。
  121. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 先ほども議論いたしましたけれども、必ずしも「しきしま」ほどの規模でなくても、もう少し小ぶりであっても対応は私はできると思います。また、現在更新していらっしゃる船というものに対してそういう防御の可能性というものを付加するということによっては、まだ今発注していないものについては間に合うと思いますし、発注しているものについてもその部署に掛かっていないものについては対応の見直しができると思うんですけれども、そういうことをなさるお考えはありますでしょうか。
  122. 岩崎貞二

    政府参考人(岩崎貞二君) 大臣申し上げましたように、ロケットランチャー等に対応するには船体の構造を変えなきゃダメージコントロールというのはできません。現在ある私どもの「しきしま」以外の船、これはダメージコントロールを備えていない船体構造になっておりますから、今の船を変えてということについては相当大規模な改良工事が必要になります。そうしたことをするよりも、また、今そうしたことの対象となる船も相当古い船になっております。  そうしたことを総合的に勘案しますと、やるならば新しい船を造った方が建造期間、建造費用を含めて合理的だと、このように現在のところでは思っているところでございますが、いずれにしても、そういうことを勉強しているところでございます。
  123. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 ですから、今、更新中の計画、その中にそういうものを新たに付加して対応できるようにするのが一番真っ当であり、効率的であり、自然であるというふうに私は考えると申し上げておきます。  まだまだ質問したいことございますけれども、今日はこれで終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  124. 風間直樹

    ○風間直樹君 風間直樹です。よろしくお願いします。  今日、私の質問時間はちょっと異例でございまして、十二時までまずやらせていただいて、その後、休憩後、一時から一時四十分ごろになるんでしょうか、その辺までやらせていただきます。午前中の質問は答弁の切りのいいところでいったんとどめさせていただきますので、よろしくお願いいたします。  今日は、衆議院でもこれまで審議がされてきておりますが、この衆議院段階の審議であいまいなまま残されている論点について主として取り上げたいと考えております。  最初に、いわゆる遭遇型海賊対処に関する総理への通知の具体的方法についてお尋ねをします。  この遭遇型海賊対処というのは、一般に余り聞き慣れない言葉ですが、要は、海保の船艇なりあるいは海自の艦船なりが何らかの任務で公海を航行中たまたま海賊行為に出くわしたと、このときにどう対処するかというのが遭遇型海賊対処であります。  本法案においては、七条二項にこの規定をしたただし書があります。そこには、現に行われている海賊行為対処するため、急を要するときは、必要となる行動の概要を防衛大臣内閣総理大臣に通知すれば足りると、こう書かれているんですが、この対処前に行われる報告の方法そしてプロセスについて具体的にお尋ねをいたします。
  125. 金子一義

    国務大臣(金子一義君) もう既に委員が詳しく御指摘いただきました。七条一項の規定に基づいて閣議を経て海賊対処行動に係る内閣総理大臣の承認を得ることが必要でありまして、発生している事案の緊急性等にかんがみまして、行政機関の長の協力を得て速やかに手続を進めさせていただく。  多分一番の関心は国会報告との関係はどうなんだということだと思いますが、非常に急いでおるということで、事後的に対処要項を作るということは今のところありませんけれども、七条三項の規定、七条三項でございますけれども、ここでも内閣総理大臣海賊対処行動を承認した後遅滞なく国会に報告をすることという手続を定めております。その報告は内閣総理大臣が国会に報告するものでありますので、対処要項に定める事項と同様の内容を閣議で取りまとめた上で国会に報告すると定めております。
  126. 風間直樹

    ○風間直樹君 大臣、実は国会への報告も大事な私の関心事なんですが、それもさることながら、私のより一層の関心事は、総理に事前に通知をすることによって海賊への対処が間に合うかという点なんですよ、実は。  つまり、これ具体的に想定しますと、ソマリア沖のように既に国会に対して報告がある事案、ケースではないわけですね。たまたま船艇なり艦船なりが航行中に遭遇するケースですから、そもそも想定が困難か、想定されてないわけであります。そこで、例えば海自の艦船が海賊船とおぼしき船を発見したと、どうもこの船が一般の商船を猛スピードで追いかけていると、これはどうも海賊船じゃないかと。そのときに対処をする必要があると現場で判断をして、それを防衛大臣に何らかの手段によって連絡をし、防衛大臣から総理に通知をすると。こういうプロセスになると思うんですが、そこに一定の恐らく時間が掛かるんだろうと思うんですね、五分十分では済まない一定の時間が。そのタイミングの中でどういう報告の方法とプロセスを取るんですかというお尋ねをさせていただいているんです。
  127. 金子一義

    国務大臣(金子一義君) 私がお答えできる部分というのは今申し上げた点でありますが、発生している事案によって随分違ってくるんだろうと思います。発生している事案の緊急性にかんがみまして、関係行政庁の協力を得て速やかな手続が進められるように工夫を重ねていってもらいたいと思っております。
  128. 風間直樹

    ○風間直樹君 これ防衛大臣から総理に通知されるわけですので、防衛大臣、この点いかがでございますか、具体的に。
  129. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 我々とすれば、今先生から御指摘の点というのは、その時間的な部分が掛かり過ぎるんではないかという御指摘なのかもしれませんが、ただ、これは常に我々も今出ている艦艇ともいろいろな形で連絡を取り合って事あるごとにチェックをしているわけでありますので、そこのところのその長さというのがどのくらいなのかと言われますと、私の方は、また運用局長の方からお答えさせますけれども、これで、法律で書かれているということはそれをやれということでありますので、その努力をしていくということになろうかと思います。
  130. 風間直樹

    ○風間直樹君 実は、私この質問を今日しますのは、二十七日に代表質問をさせていただいたときに、この総理への事前通知を海賊行為への対処前にするんですか、それとも対処後にするんですかとお尋ねしたわけです。そうしましたら、防衛大臣からでしたでしょうか、対処前に通知をいたしますと、こういう御答弁いただきました。ということは、総理にこの通知が行って、そこで初めて自衛隊の艦船としては海賊行為への対処が可能になると、こういう認識になるわけですね。  ですから、タイミングが重要になるのではないかなと、こう思いまして今御質問したんですが、防衛大臣、この点明確に御答弁いただけますでしょうか。
  131. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 私とすれば、今御答弁したことでありますので、事前にさせていただくことになろうかと思います。
  132. 風間直樹

    ○風間直樹君 事前に要する時間というのはどれぐらい掛かりますか、見込みは。
  133. 徳地秀士

    政府参考人(徳地秀士君) お答え申し上げます。  現場に行っております部隊、これは自衛艦隊司令官の直轄部隊でございますので、現場からその自衛艦隊司令部に直接情報が入ってまいります。これが防衛省の統合幕僚監部に入ってくるところでございます。そして、今はここから大臣に対して速報するという制度もでき上がっておりますので、その場その場のその状況にもよるとは思いますけれども、できるだけ早く、これは大至急でそういう情報を上げてくるということにしております。
  134. 風間直樹

    ○風間直樹君 午前中時間がありませんので、この点、引き続き午後お尋ねをします。  今の御答弁ですとちょっとまだ具体性に欠けるかなと私は理解いたしますので、午後、より具体的な御答弁を求めて、午前中終わらせていただきます。
  135. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十五分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  136. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) ただいまから外交防衛委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、藤田幸久君が委員辞任され、その補欠として徳永久志君が選任されました。     ─────────────
  137. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 休憩前に引き続き、海賊行為処罰及び海賊行為への対処に関する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  138. 風間直樹

    ○風間直樹君 それでは、午前中の続きをさせていただきます。  徳地局長、先ほど御答弁をお願いしました内容ですが、より具体的にお願いできますでしょうか。
  139. 徳地秀士

    政府参考人(徳地秀士君) お答えを申し上げます。  今回の法案の第七条の第二項のただし書におきまして、「現に行われている海賊行為対処するために急を要するときは、必要となる行動の概要を内閣総理大臣に通知すれば足りる。」と、こう書いてあるわけでございますけれども、ここにおきまして、現場から上がってくる情報につきましてどういうプロセスを踏むかということでございますけれども、海上自衛隊の護衛艦が公海上で海賊行為を確認した場合について申し上げますと、この護衛艦は、事案の発生につきまして、衛星回線によりまして自衛艦隊司令部を経由しまして統合幕僚監部の総合オペレーションルームに通報するということになります。そして、この統合幕僚監部の総合オペレーションルームの担当官から秘書官経由で防衛大臣あるいは総理官邸等の関係省庁に電話などで連絡をするということになります。  この際、防衛大臣は、現に行われている海賊行為対処するために急を要すると認められる場合には、必要となる海賊対処行動の概要につきまして総理に電話等により通知するということになると考えられます。その後は、総理によります承認のための必要な手続というものがこの第七条の規定において取られるということになると考えております。
  140. 風間直樹

    ○風間直樹君 ここで想定されている見込みの時間をお尋ねしても、多分明確な御答弁はないんじゃないかと私は思うんですが、恐らく、今までの例からいきますと、十分や十五分で終わる事例ではないんだろうと、恐らく一時間程度いずれにしても掛かるんじゃないかなと私は考えております。  もし御異論があれば御答弁いただけば結構ですが、防衛大臣、この事前通知の規定、確かにこれは必要なものでございまして、衆議院における審議でもこの点議論されていますが、そこでの御答弁は、やはりシビリアンコントロールの観点から事前通知が必要だと、こういうお答えだったわけで、私もそれには当然同意するところであります。  ただ、代表質問でも申し上げたんですが、やはり海賊対処行動というのは迅速性というのも一つの重要な要素でありますので、私はこの法案におけるこの七条の二項というのはやはりいま一度再検討を要するべきポイントなのかなというふうに考えております。是非、この点、防衛大臣にもいま一度御検討、御考慮いただきまして、どのような形で迅速に総理に対して事前通知をすればいいのか、そこをよく御検討いただきたいと、このように思います。  それでは、次の質問に移ります。  海賊対処行動における武器使用の可能について具体的な答弁をちょっといただきたいと思っているんですが、代表質問におきましてこの点をお尋ねいたしました。今回の海賊対処行動においては、海自にいわゆる停船射撃の実施を許すこともあり、武器使用可能性は極めて高くなると考えるが、政府認識はいかがですかと、こうお尋ねしたわけであります。  これに対する総理の答弁がこういうものでありました。「海賊対処における武器使用につきましては、個別具体の状況に応じて、武器使用の基準に照らして適切に判断されるものと考えております。」。一方、防衛大臣の御答弁はこうでした。「防衛省としては、万が一武器使用が必要となった場合に備え、現場が困らないよう本法案に基づく武器使用の基準を部隊にしっかりと示したいと考えております。」。  いずれの御答弁でも、私の問いに対して直接の答えにはなっていないと私は思うんですね。  そこで、いま一度お尋ねしますが、この海賊対処行動における武器使用可能性、高いのか、あるいは低いのか。防衛大臣、いかがでしょうか。
  141. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 自衛隊による海賊対処としては、海上自衛隊の護衛艦によって民間船舶の護衛等を実施することによって海賊行為を抑止し、また、その海賊を退散させることが基本であるというふうに考えております。  民間船舶に著しく接近する等の海賊行為を確認した場合について申し上げれば、海賊への呼びかけ等を行うほか、必要に応じて、海賊対処法案第八条第二項において準用する警察官職務執行法第七条の規定によって、警告射撃を実施することによって海賊行為を制止する。また、海賊がこのような制止に従わないでなお海賊行為を継続をしようとしている場合において、他に手段がないときには、海賊対処法案第八条第二項において準用する同法案第六条の規定によって、停船射撃を実施することによって海賊行為を制止することが可能となっております。  いずれにせよ、防衛省としては、万が一武器使用が必要になった場合に備えて、この間もお答えしましたように、現場が困らない、本法案に基づく武器使用の基準を部隊にしっかりと示したいと考えているところであります。
  142. 風間直樹

    ○風間直樹君 この可能性についてはなかなか直接言及をされないんですが、ちょっと別の観点からお尋ねをしたいと思います。  それでは防衛大臣、この自衛隊の部隊の武器使用の基準、これをしっかり示さなければいけないと、こういうふうに御答弁されていますが、この武器使用の基準というのはどんなものでございましたでしょうか。既に成案を得ていらっしゃるのか、あるいは今検討中でいらっしゃるのか。
  143. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 基本的に、今回この法案が通った後に我々としてもこれは検討しなきゃいけないことだと思っておりますので、今こういう基準でというのは、我々とすれば、今まだ決定をしていないということであります。
  144. 風間直樹

    ○風間直樹君 それではちょっと具体論に入って、イメージをより明確にしていきたいと思います。  法制局にお尋ねをいたしますが、一般商船を猛スピードで追いかけている船を発見した場合、それを海賊船とおぼしき船、疑わしき船と、こう現場では判断することになると思うんですが、この疑わしき船が海賊船であるということの認定はどのように行うんでしょうか。
  145. 横畠裕介

    政府参考人横畠裕介君) 海賊行為につきましては、本法案において定義しております。この定義された海賊行為である、まず疑いがあるという段階でございますと、準用しております海上保安庁法第十七条第一項によりまして立入検査等を行うことが可能でございます。  立入検査というのは、そもそもその疑いがある場合にその事実を確認するための制度でございますので、立入検査して確認した結果、やはりその武器等を準備して海賊行為を行うために例えば航行しているというような事実が判明する、あるいは単なる漁船であって海賊とは関係がない船であったということが分かるという、そのような場合もあろうかと思います。
  146. 風間直樹

    ○風間直樹君 そうしますと、今御答弁ではっきりしたのは、立入検査が一つのポイントになると、こういうことでありますね。つまり、疑わしい船がいた場合、警告、何らかの形で警告をする、そこには当然警告射撃という手段も入ってくるんだろうと思います。その結果、船が止まった場合にそこに乗り込んでいって、そして立入検査をして海賊船かそうでないかを認定すると、こういう手順であります。  そうすると、まず認定する前に、いずれにしてもなかなか、実際海賊船であった場合、仮に、これが容易にその立入りに応じるとも思われませんし、そこには当然警告射撃といったことも可能性としては相当高くなるんだろうと。あるいは、警告をしそれでも一般商船を猛スピードで追いかけながらなかなか停船に応じない場合にはいわゆる船体射撃も必要になってくることがあるんだろうと。  そうすると、防衛大臣、これやはり武器使用可能性は極めて高いケースが出てくると判断するのが妥当なんじゃないでしょうか、いかがですか。
  147. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 今先生の御指摘のように、いろいろなケース、ケースを考えれば、必然的に、もう止まらないとか、要するに停船に応じないなどというような状況になれば当然そういったことも想定できますが、しかし、我々とすれば、基本はいかにこの船を警護するかということになるわけでありますので、事前に、先ほどもお答えしたように、できるだけその条件を、そういった不審を持たれるような船を近づけない、要するにそこからそれを早く見付けることによってできるだけその遭遇というものを避ける努力もするわけでありますので、多分、そこまで近づいてくるものに対して、近づけさせるかどうかというのは別ですけれども、警告射撃で要するにどれだけ離せるか分かりませんが、間に船を入れるとかその前の行動というのがあろうかと思いますので、そういう意味ではできるだけの、それ以前の、射撃をするまでの間のことも我々とすれば考えてやっているところもありますので、今先生が御懸念するように、高い、そういう、もしも本当に近づいてきて、ような状況をつくらないということも頭にあるものですから、先生のおっしゃられるように、そこまで近づいちゃったら使う可能性が高いと言われれば、当然、その状況に陥ればそういうこともあり得るかもしれないというのは我々の想定の中にありますので、ですから、そうさせないための前の努力というのをできるだけしたいというふうには思っております。
  148. 風間直樹

    ○風間直樹君 ここで念のため申し上げておきたいんですが、代表質問でも明らかにしましたように、私の立場は海賊対処法案は必要だと、こういう立場であります。なぜ今日こういう質問をさせていただいているかといいますと、やはり隊員が対処されるに当たって、その活動の合法的な基盤をしっかり整備することが我々国会の役割だろうと思いますので、そういう観点から質問させていただいております。  もう一点は、後ほど触れますが、やはり国会の関与規定をどのようなものにすべきかと、その観点から今るる質問させていただいております。  そこで、国会の関与の話に入っていきたいと思うんですけれども、お手元に今日、資料を配付しております。これは衆議院の審議で使われたものと同じ配付資料なんですが、自衛隊運用にかかわる国会の関与というふうに題してありまして、防衛出動、治安出動、国連PKO、周辺事態対処、旧テロ特措法、PKF活動、武力攻撃事態、イラク特措法、新テロ特措法、海賊対処法案と、これらを二つの基準で見た場合に国会の関与をどう規定しているかというものを一覧にしたものです。二つの基準というのが、武力行使の可能性、そして国民の権利義務を制約する可能性、この二つであります。  これに明らかなように、赤いものほど武力行使の可能性あるいは国民の権利義務を制約する可能性が高い、ピンクはそれが可能性が低いと、こういうことなんですが、一覧してお分かりのように、赤いものはやはり国会関与が厳格に規定をされているわけであります。事前承認ということですね、厳格な規定ということの意味は。  今回の海賊対処法なんですが、私の判断では、この表の中のPKF活動に非常に近い形態だというふうに考えております。つまり、海外における武力行使の可能性は極めて高い、今も質疑のやり取りさせていただきましたが。一方で、国民の権利義務を制約する可能性というのはほとんどないと。そうしますと、やはりPKF活動がそうであるように、国会の事前承認が妥当なのではないかと、こういう判断をいたしまして、代表質問でもその旨指摘をさせていただきました。  それに対する御答弁が、これは総理の答弁だったんですが、「海賊行為への対処は警察活動であるため、海上警備行動と同様に国会の事前承認に関する規定を設けなかったものであります。」と。つまり、警察活動だから海上警備行動と同様、国会の事前承認は必要ないと判断しましたよと、こういうことなんです。  私は、代表質問が終わりましてから、寝ずにいろいろ考えました。まじめに考えました。そこで、どうもちょっと腑に落ちないなと思う点が浮上いたしましたので、これからお尋ねをしたいと思うんですが、海上警備行動における警察権の行使というものの実態と今回の海賊対処法における警察権の行使の実態というのは、これ中身が同じかというと、私はどうもそこに違いがあるように思うんですね。防衛大臣、笑みを浮かべて聞いていらっしゃいますけれども、私の指摘に共感をしていただけているのかどうか分かりませんが。  それで、一言で言いますと、今回の海賊対処法で許されることになる武器使用基準、これは従来の海警行動等におけるいわゆる消極的な自己防衛、例えば正当防衛ですとか、そういった枠を超えて、言ってみれば任務遂行型というふうに言えるのかなと私は考えているんです。これらを警察権の範囲としてとらえることはどうなんだろうかと思うんですけれども、警察官職務執行法、今手元に法律があります。ちょっとそれに基づいてお尋ねをしたいと思うんですが、警職法の第七条にこうあるんですね。  警察官は、犯人の逮捕若しくは逃走の防止、自己若しくは他人に対する防衛又は公務執行に対する抵抗の抑止のため必要であると認める相当な理由のある場合においては、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度において、武器を使用することができると。ただしとして、制約が課せられるわけなんですが、刑法第三十六条、これは正当防衛です、若しくは刑法第三十七条、これは緊急避難ですね、これに該当する場合又は左の各号の一つに該当する場合を除いては人に危害を与えてはならないと、こういうふうに続いております。  この左の各号の一つというのが、死刑又は無期若しくは長期三年以上の懲役若しくは禁錮に当たる凶悪な罪を現に犯し、若しくは既に犯したと疑うに足りる十分な理由にある者がその者に対する警察官の職務の執行に対して抵抗し、若しくは逃亡しようとするときと、こういうふうに書いてあります。  つまり、これを読みますと、まず一つは正当防衛ですから、もう今まさに撃ってこようとしていると、このときに警察官が何らかの反応、対応をすることが許される。あるいはもう一つの緊急避難ですね、緊急避難の条文を読んでみますと、自己又は他人の生命、身体、自由又は財産に対する現在の危難を避けるため、やむを得ずにした行為は、これによって生じた害が避けようとした罪の程度を超えなかった場合に限り罰しないと、こういう、抜粋ですが、ことになっております。もう一つ、最後ですが、要するに現に相当の重罪を犯している者が向かってこようとする場合と、この三つの条件を課した上で警職法では武器の使用を許していると、こういうことなんです。  それでは、今回の海賊対処行動ではこれらの基準がどのようになっているのかなと。準用するということですので、当然当てはめなければならないんですけれども、先ほどの法制局の御答弁を踏まえますと、まず海賊船ではないかと、これは立入検査をする必要があるなと考えた場合には停船をさせる必要がある。そこで、こちらから警告射撃をするわけですね、向こうからまだ撃ってこない段階で。同時に、停船に応じない場合には立入検査をして認定する必要があるわけですから、船体射撃をする必要も生じてくると、これは防衛大臣のお言葉を借りれば、その可能性ができるだけ低くなるように様々な対応を事前にしますよということですけれども、可能性としてゼロではないわけです。  そうしますと、やはり警職法と明らかに相違する点は、やはりあくまで受け身で対応するのか、海自の艦船が、あるいは逃走する一般商船を猛スピードで追いかける、この海賊船とおぼしき船を止めて、そして立入検査を実施して認定するためにこちらから能動的な行為を行うのか、ここが明確な違いだと私は考えています。  そうしますと、やはり警察権というこれまで我々が考えてきたものの範囲を多少なりとも超えると考えるのが妥当だと思うんですが、まあ後ろの方で政府委員の皆さんが首を横に振っていらっしゃいますので、この点につきまして、警察権の範囲ととらえる根拠を明確にお示しいただけますでしょうか。
  149. 金子一義

    国務大臣(金子一義君) 大変よく、寝ずに勉強されたとおっしゃいましたけれども、本当に整理されていると思います。  幾つかあったんで、私からは二つなんでありますが、一つは警察行動、何でこれ国会に承認出さないんだよという点を冒頭にちょっとおっしゃられたんでありますけれども、これは自衛隊法八十二条の海警行動、これがベースになっているんです。自衛隊法八十二条の海警行動は、認可も承認も何も要らない、防衛大臣だけで発動できると。ただし、今回の法律では、海賊対処法案としては、同じ海上警備行動の次の条を設けさせていただいて、これを根拠にして、八十二の二の海賊行為への対処という新たな項目を法律上立てさせていただいております。八十二条も八十二条の二も、いずれも警察行動です、自衛隊が行う警察行動。  そういう意味で、なぜ承認を要らないのかというのは、海警行動というのがそもそも、元々ある法律では届出も承認も何も要らない、防衛大臣の発動だけでできるという、ここのところ。しかし、そうはいっても海賊対処ですから、あるいは長期間出るということもあり得るわけですから、この七条に書いてありますとおり、細目を書いて、そして総理、あるいは関係行政機関の長と協議して、遅滞なく国会に報告をするということを義務化しているというのが一点であります。  それからもう一点は、警察官の職務執行を超えているではないかという点でございますけれども、これはまさに六条の三項かな、六条で付きまといをやったときに停船をしない場合に射撃できるという、武器の使用を新たな項目、従来の、今おっしゃられた、職務執行法七条、これの刑法三十六条、三十七条に決めていない、決まっていなかった新たな武器使用権限を認めております。  これはしかし、海賊対処法案にのみ通用する武器使用権限でありまして、元々の八十二条の、職務執行法には、警察官職務執行法では適用になりません、自衛隊がほかの行動、PKF等々ほかの行動を取ってもこれは対応にならないという整理をしておりますので、そういう意味で、警察官の職務を超えているんではないかというお話、ぎりぎりのお話だと思います。これは海賊行為という海の上で行われる非常に特徴的な行動対応、特徴的な犯罪であるという意味で、この武器使用を本法六条で、停船射撃ということで職務執行法七条を補完させていただくという趣旨で設けたものであります。
  150. 風間直樹

    ○風間直樹君 大臣、済みません、ちょっと今の御答弁確認させていただきたいんですが、前段の条文、ちょっと該当箇所どことおっしゃいましたでしょうか、わざわざもう一段立てたというのは。
  151. 金子一義

    国務大臣(金子一義君) 海警行動は総理の承認は必要であります。ちょっと私、すっ飛ばしたかもしれません。その上で……
  152. 風間直樹

    ○風間直樹君 そこは結構なんですが、その後で、今回、海賊対処行動を行う自衛隊のために警職法の規定をもう一段別個で立てたとおっしゃった条文、ちょっともう一回、どこか該当箇所を教えていただけますか。
  153. 金子一義

    国務大臣(金子一義君) 第六条でございます。三行目、「海賊行為(第二条第六号に係るものに限る。)の制止に当たり、当該海賊行為を行っている者が、他の制止の措置に従わず、なお船舶を航行させて当該海賊行為を継続しようとする場合において、当該船舶の進行を停止させるために他に手段がないと信ずるに足りる相当な理由のあるときには、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度において、武器を使用することができる。」と、この条項であります。
  154. 風間直樹

    ○風間直樹君 御指摘、分かりました。  それで、大臣がおっしゃる論理、これまあ一理あるなというふうに理解をいたしましたが、今回、まず海上警備行動で海自を出したと。  そこで、ちょっと確認をしたいんですけれども、この海上警備行動というのは当然自衛隊法に規定されているわけですが、自衛隊法の制定当時、海上警備行動を行う上で想定された活動範囲と期間というのはどういったものだったのでしょうか。
  155. 徳地秀士

    政府参考人(徳地秀士君) お答え申し上げます。  海上警備行動の地理的範囲につきましては、その任務を達成するために必要な限度で公海に及ぶと解されております。それから、海上警備行動を実施する期間、時の長さでございますが、海上における人命、財産の保護又は治安の維持のため特別な必要がある場合として、活動がある程度長期間に及ぶという場合も該当し得るというふうに解釈をされておりまして、これらの点について政府見解は従来から一貫をしております。
  156. 風間直樹

    ○風間直樹君 局長、念のためお尋ねをしたいんですが、この自衛隊法が制定されたのは昭和何年でしょうか。
  157. 徳地秀士

    政府参考人(徳地秀士君) 昭和二十九年でございます。
  158. 風間直樹

    ○風間直樹君 ありがとうございます。  そうしますと、昭和二十九年当時の我が国の状況を、私はまだ生まれていませんので振り返ってみることはできないんですが、恐らく戦後九年ですか、自衛隊が最初、警察予備隊として発足したのが、その二十九年の少し前ですから、当時の我が国あるいは政府、国会における認識としては、この海上警備行動に当たる海自の艦船が出て行くに際しても、やはり日本の近海、公海とはいえ日本の近海が当然想定されていたんだろうと思うんですね。  今回、千二百キロ離れた遠洋であるソマリア沖まで行っているわけですが、伝え聞くところでは、浜田防衛大臣もこの海警行動で海自を送るということにはいろんな思いがおありになったように伝え聞いておりますけれども、やはりそこには当初の海警行動で想定された活動とは異なるものが今回あった、そういうぎりぎりのところで海自の艦船をまずは海警行動で出したということなんだろうと思います。  総理の御答弁、それから今国交大臣からも御答弁いただきましたが、伺っていますと、海警行動でまず派遣をしていると、これは警職法に準じて自衛隊員は行動するんであるから国会の事前承認は必要はないんだと、こういう論理を組み立てられているわけであります。  私は、この警職法に準じて、本法案の第六条ですね、武器を使用することができるという先ほどの金子大臣の御答弁、それはそれで慎重にも慎重な上にやっていただきたい、同時に海賊対処の迅速性も十分保っていただきたいと、こういう思いを持っているんですが、私のねらいは何かといいますと、やはり今日これだけ議論させていただいて、なかなか法理論として一〇〇%どうもお互いに詰め切れていないなというファジーな部分、多少のもどかしい部分を実は私は感じているんです。  そこをじゃどうクリアするかというと、やはりこれは議論だと思うんですね。政府と国会での議論だと思うんです。この議論が今回の海賊対処法案を通す上で私は国会の場において必要だと思いますし、代表質問であのような提案をさせていただいたわけですが、やはりこういう法理論上一〇〇%なかなか詰め切れてない部分を残す法案を通すんであれば、そこはやはり国会の事前承認を求めるという規定をしっかり掛けるべきではないかなと、こういうふうに私は考えます。  それで、実は、ちょっと皆さんにはお気付きいただけなかったかもしれないんですけれども、私、代表質問の中であるフレーズを挿入させていただきました。それは何かといいますと、多分、これは政府はなかなかこういう公の場ではおっしゃらないんでしょうけれども、今回国会の事前承認を外して報告にとどめた法案を出されたということの理由の一つにねじれ国会という現象がある、そのことをいろいろ御懸念されたんだろうと、私はそう考えているんです。もし、逆に私が政府の立場に今いれば、やはり海賊対処行動がどうしても必要だと、そのときの国会の事前承認が果たして取れるかどうかということは、当然自分は懸念として抱くと思うんですね。  私が代表質問で触れたフレーズというのは、ちょっと今読ませていただきますが、「海賊対処においては、商船保護の目的に照らし、海自、海保の艦船行動の効率性も重視しなければなりません。私は、国会事前承認の必要性を訴えると同時に、議員として迅速な海賊対処を可能にすることにも十分留意し、法の制定と運用を行わなければならないと確信いたします。」と、こういうふうに述べました。  実は、原稿の草案段階ではもう少し踏み込んだ文書を私は用意していたんです。そうしましたところ、いろいろ秘書を始めアドバイスがございましてこうした表現にしたというのが実は実態なんです、正直に言いますと。  ただ、私の思いはそういうことでございまして、やはり国会もこの海賊対処行動の迅速性そして効率性を図るという視点をしっかり持たなきゃいかぬと。つまり、政局を意図してそこに影響を与えてはいけないというのが私の信念であります。  そこで、防衛大臣、ちょっとお尋ねをしたいんですが、防衛大臣はお生まれが昭和三十年の十月でいらっしゃると伺っております。私は昭和四十一年でございまして、一回り違いますが、お互いに戦後生まれでございまして、戦前の軍の暴走というのは見聞した経験がございません。浜田大臣、今防衛大臣の職におありですが、大臣にとってこの軍に対するシビリアンコントロールの重要性を認識された何かきっかけとか契機とか、そういう御経験というのはございましたでしょうか、これまでに。
  159. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 私も大臣をさせていただいてちょうど八か月が過ぎたわけでありますが、基本的にシビリアンコントロールというのをどのように解するかというのは大変難しいと思うんです。  ただ、私自身がその組織というものを見させてもらっている以上、よく、何か軍だけが特別に時代が過ぎてきているような感じがして、そのままつながっているというような感覚を持たれる方もいらっしゃるかもしれませんが、しかし、同じ日本の社会のこの環境の中でやはり幼年期を過ごし、そして来ているわけで、その中で平和に対する思いというのは、これはもうこの日本の社会において、これだけ情報が多々流れ、その中で日本の国のありよう、そして憲法、そして不戦というような、平和というものは、このキーワードはみんな教わっているわけですね。  それがやっぱり下地になって自衛隊に入ってきているわけですから、逆に言えば、そこから旧軍の気風が出てきても、教育してもそれはなかなかうまくいかないというか、これは学校の中でも同じようなことが言えると思うんですが、なかなかこちらの思いどおりにはならない。社会の流れの中で生きてきているというところもあって、やっぱり今の若い人で同じような感覚を自衛隊員の皆さんも持っているわけです。  だから、その中で果たして、旧軍ではその組織というものを維持するに当たって、じゃ、いざ何のために我々は存在をするのかといったときには、当然国を守る、国民の安心、安全を守るというのを考えるわけでありまして、シビリアンコントロール、そこのところをどれだけ信用して、どれだけ暴走しないと、戦いを、その戦争するとかというようなところまで、私はもう少し、国民の皆さん方の期待にこたえる自衛隊というのを我々が説明していないんじゃないかなという気がするんですね。国民の期待があれば彼らは頑張るわけですけれども、しかしそうじゃなくなったときの方が逆におかしくて、そういったことの方が怖いような気がするんです。  だから、各地の自衛隊の駐屯地へ先生方も行かれて思われるように、やっぱり地域の皆さん方の理解を深めるためにも、我々の存在というのはこういうものなんですよというのを自衛隊員がやっぱり言っているわけですよね、正直言って。だから、そこのところを信じてあげるというのが重要だし、国民との信頼関係がそこにあれば暴走はないなと私は思います。  ですから、そういった意味でいろんな、いや、そうは言ったって、おまえ軍事組織なんだからという話をされると、確かにその可能性がないわけではない。だけれども、今の本当に日本の世の中でそういったことを考える自衛隊員がいるとは僕には思えないんですよね。  だから、そこが甘いと言われれば甘いのかもしれませんが、しかし私としては、組織というのはそういうふうにやるべきだし、そして規律というもので、今まで軍隊でないにもかかわらず、要するに、海外へ出ていって問題も起こさずに地域の人たちと一緒になって同じ目線で仕事ができるというのを今まで自衛隊員は示してきたわけですから、そういったことをやはり信用して、我々とすれば、その規律を守る日本人の特性としての教育というのが自衛隊員にもしっかりとつながっているんではないかなと僕は思っております。ですから、それが一つのシビリアンコントロールかなと私自身は思っています。
  160. 風間直樹

    ○風間直樹君 大臣おっしゃることは私も同感でありまして、私も地元に陸上自衛隊の駐屯地がありますが、よくお邪魔しますけれども、シビリアンコントロールも十分徹底されていると、そういうふうに思っております。  ただ、私は、自分自身政治家として、これ分かりませんけれども、将来、自衛隊の何らかの指揮に当たる職務に就く可能性もあるかもしれませんし、その上で心得なければいけないと思っているのは、軍が暴走したときの怖さというものをやはり自分の中にしっかり認識しておくべきだろうと思っているんです。  実は、ちょっと余談になりますが、昭和四十一年生まれの私にとりまして、軍がシビリアンコントロールも国会の制約からも、関与の制約からも外れて暴走した事例、現代史における事例としては、一九七九年十二月の韓国におけるいわゆる粛軍クーデター、これが私にとっての大きな事例であり、教訓になっています。  大臣も御承知かと思いますが、韓国の元大統領の全斗煥さん、この方が当時、韓国の保安司令部の司令官でいらっしゃいました。この十二月に、当時の朴正煕大統領が部下に暗殺されるという事件が起きまして、その過程で保安司令官、韓国の当時の国内におきましては三大情報機関の一つなんですが、そのトップだった全斗煥氏が権力を掌握していく。  その過程で、十二月の十二日に韓国陸軍内部で壮絶なクーデターを起こしまして、いわゆる同士討ちをやるわけです。これによって最終的に国軍内部の権力を固めるわけですね。翌年の八月には当時の崔圭夏大統領を事実上強制的に退陣させて、全斗煥氏自らが大統領に就任すると。  それを当然政府も、そして国会も、私、当時の国会議事堂での全斗煥氏の大統領選出の映像を見たんですが、全国会議員がもう総出で全員拍手を送って全斗煥氏の大統領就任を祝福しています。私はそれを見て鳥肌が立ちました。  この様子は、もし大臣よろしければ、御多忙と思いますが、DVDになっています。最近、「第五共和国」という、これはほぼドキュメンタリータッチのドラマですが、この朴正煕大統領死後、全斗煥さんが権力を掌握して、その政権が終わるまでを描いたドラマになっていますので、是非この軍の暴走がどれだけ恐ろしいものかという実態を認識する一つのよすがとして、機会があれば御覧いただければ有り難いと思います。  るる述べましたが、私の中ではやはり軍の暴走という可能性を、それは現在の日本ではほとんど考えられないものですが、やはりどこか心の片隅に置いて、そして法案の制定に当たり、法案の中にその制約を課していくというのが私は政治家の一つの務めだろうと、こういうふうに思っているわけであります。  そんな観点から、国会の事前承認が是非とも必要ではないかということを今日は議論させていただいたわけでありますが、最後に大臣、何か御所見ありましたら。
  161. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 今回の法案は別にしまして、基本的に今私ども、一般法、よく恒久法と言われますけれども、その中に自衛隊の海外へ出て行くときというのはこれは当然、事前承認というのは当たり前というか、考えております。それが、自衛艦が海外へ出て行く際にやはり国会の責任としてこれを認めるというのは極めて重要なことだと思っておりますので、それをやはりしっかりと受け止めて自衛艦が海外へ出て行くというのがこれは当然のことだというふうに思っていますので、そういう意味では、今回の法案の立て方という面からすると事前承認がどうかというのはありますけれども、しかし一般的な、今先生お話しになったことを考えれば、当然のごとく事前承認をしていただくのが本来筋だというふうに思っております。
  162. 風間直樹

    ○風間直樹君 終わります。     ─────────────
  163. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) この際、政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  海賊行為処罰及び海賊行為への対処に関する法律案の審査のため、本日の委員会内閣官房内閣参事官山本条太君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  164. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  165. 小池正勝

    小池正勝君 自由民主党小池正勝です。質問をさせていただきます。  まず冒頭、北朝鮮お話を二、三質問させていただいて、海賊お話をさせていただこうと思うのでありますが、北朝鮮が国際世論を無視してミサイル、核実験ととんでもない無謀な行為をしておると、これに対して厳しく対応していかなければならない、これはもうどなたも異論がないだろうと思います。  そんな中で、まずお伺いしたいのは、五月の三十日の日にシンガポールで日米防衛大臣会談というのが行われたと。新聞の報道では、北朝鮮を核保有国と認めず、北朝鮮日本や韓国を武力攻撃した場合には米国が報復するということを改めて確認したという報道がなされておりますが、この三国の防衛大臣会談の内容をまずお教え願いたいと思います。
  166. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 五月の三十日にシンガポールに参りまして、シャングリラ会合に参加をさせていただいて、日米韓の三か国の防衛相会談を行ったところであります。  私自身、この日米韓そしてまた日米防衛相会談におきまして、ゲーツ国防長官より今後の北朝鮮への対応には外交努力と拡大抑止の強化が必要との発言がございました。なお、米国は、日本への武力攻撃があった場合には日本防衛する旨、かねてから明言をしておるところでもございますし、先般の麻生総理、オバマ大統領の電話会談においても、オバマ大統領から核の傘を含む米国の拡大抑止に関するコミットメントの表明が改めてあったものと承知をしております。  いずれにせよ、北朝鮮核兵器や弾道ミサイルの問題は我が国の安全保障上の重大な問題であり、事態に適切に対応できる自衛隊の体制の構築に努めるとともに、日米安全保障条約の実効性を更に高めることによって抑止力を最大限に発揮し得る体制を実現し、我が国の平和と独立を守るべく努力を尽くしてまいりたいと考えておるところでございます。  いずれにせよ、今のお話にあった報道にあったことということは、今お話ししたとおりの言をゲーツ長官からいただいたということでございます。
  167. 小池正勝

    小池正勝君 この北朝鮮の問題に対応するには日米韓が連携していくというのが極めて大切だと、これはもう当然のお話でございまして、そこで防衛大臣の三大臣会談が開かれたというわけですが。  一方で、もう一つ、これは外務省関係になると思うんですが、昨日、六月一日に外務省日米ハイレベル協議が行われたと、その中でも、薮中次官とスタインバーグ副長官との会談の中で北の核は容認せずということを確認すると同時に、六か国協議を見直すというふうなお話も出たと、こういうことになっていますが、どうなんでしょうか。
  168. 石井正文

    政府参考人(石井正文君) 委員指摘のとおり、昨日、スタインバーグ国務副長官を始めアメリカ政府関係省庁の高官と薮中事務次官を始めとする我が方政府関係者が協議を行いました。また、中曽根大臣も一行の表敬を受け、意見交換を行われております。  これらの協議では、北朝鮮の状況につきまして全般的な角度から意見交換をしております。また、現状分析を行いまして、今後とも日米で緊密に協力していくということを確認いたしました。今後の取り進め方全体についていろんな議論があったということでございます。
  169. 小池正勝

    小池正勝君 その中で、報道ででありますけれども、六か国協議を見直すということが出たと、こういう話になっておりますが、今まで日本政府はこの六か国協議というのを極めて重視してきたと思うんでありますが、見直すというのはどういうことなんでしょうか。
  170. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 具体的な会談の内容、詳細については申し上げることできませんけれども、六か国協議は従来どおりこの対北朝鮮問題においては中心となる私は協議機関でありまして、今後もこれを中心に対北朝鮮への対応をやっていくということは変わりありません。また、米国との間におきましても、その他の国との間におきましても、これを見直すというのはどういう意味かちょっと委員のその御質問の趣旨というものを正確に存じ上げませんけれども、これを中心としてやっていくということには変わらないということをはっきり申し上げたいと思います。
  171. 小池正勝

    小池正勝君 今のお話は、引き続き六か国協議を重視するという確認をさせていただきたいと思うんであります。  そして、さらにもう一つ、これは協議中のお話でありますが、安保理で今北朝鮮の制裁決議の案を議論しておるということになっておるわけでありますが、そんな中で、今回はロシア中国も決議ということについては賛成しておると、要は中身の問題なんでありますけれども、いう状況にあるわけでありますが、その中身、これはもちろんまだ協議中ですから言えないということになろうかと思いますが。  そこで、従来から言われておりますように、北朝鮮の制裁ということで、過去の経験にかんがみれば、資産凍結、資金の流れを押さえるということが一番有効だった。マカオのバンコ・デルタ・アジアを凍結したというのが非常に効果があったということがかつて言われておったわけでありますけれども、今回、この資産凍結といいますか、資金凍結といいますか、これは大きな議題になっているんでしょうか。
  172. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) この核実験は、とにかくこの北東アジアのみならず国際社会全体に対する大きな脅威的なものでありますので、これの北朝鮮行為に対しては国際社会が一致協力して強いメッセージを出すということで今、国連で、安保理でいろいろ決議案の協議が行われているところでありますけれども、我が国といたしましては、積極的に主体的にこの問題に取り組んでいるところでございます。できるだけ早く、そして追加的制裁を含む内容のものをということで今協議中でありますけれども、この具体的な内容については、今ちょうど進行中でございますので、お答えは差し控えさせていただきたいと思いますが。  国連の安保理決議の一七一八号、これによる北朝鮮に対する資産凍結措置といたしましては、四月の北朝鮮によるミサイル発射に関する議長声明を受けまして、これも委員承知のとおりでありますが、北朝鮮制裁委員会が検討を行いました結果、四月の二十四日に、北朝鮮に所在する三団体がこの北朝鮮の大量破壊兵器計画などに関与していると、そういうことで資産凍結対象として指定をされているわけでありますが、現在、この決議案の内容については、まさに協議中でございますので、それ以上の状況についてはお答えを控えさせていただきたいと思います。
  173. 小池正勝

    小池正勝君 私は、もう北朝鮮には厳しく対応すべきだと思いますし、それには資産凍結が有効だと、こう思っていますので、そのことを申し上げさせていただきたいと思います。  それでは、この海賊関係の御質問をさせていただこうかと思います。  先ほどもお話、午前中も御議論がありましたが、この一条の目的との関係国益云々という議論がありました。私は、日本政府国益を重視する、これはもう当然のお話だし、国益を重視するために一条の目的にそれを強く書くということは当然のお話だろうと私は思っております。  そんな中で、その国益って何かということをもう少し具体的にお伺いしたいんであります。  まさに基本的事項をお伺いしたいと思うのでありますが、どうしても我々にとりましては、アデン湾・ソマリアというと、遠い存在、遠い国というイメージがあります。そんな中で、日本とどんな関係にあるのか、日本国益にどれほど大事なのかというのを具体的に御説明願いたいんでありますが、このアデン湾・ソマリア、二千隻の日本船が通っているということはよく言われます。まさに日本の海運といいますか貿易といいますかの中で、どれだけの船が通り、それがどれだけのものを、どんな中身のものを運び、どんな貿易上重要なのかというのを、具体的な御説明をお願いしたいと思うのであります。
  174. 大庭靖雄

    政府参考人(大庭靖雄君) 国連海洋法条約におきましては、第百条で、すべての国が最大限に可能な範囲海賊行為の抑止に協力するということにされております。また、第百五条におきまして、公海における旗国主義の原則の例外として、公海その他いずれの国の管轄権にも服さない場所において行われる海賊行為について、海賊船舶等の国籍を問わず、いずれの国も管轄権を行使することが認められているわけでございます。  また、他方、我が国の事情にかんがみますと、海に囲まれ、かつ主要な資源の大部分を輸入に依存するという我が国にとりまして、海上輸送を中心に行われております外国貿易というのは大変に重要なものでございます。その重要な海上輸送の航路と申しますのは、例えばアデン湾を経由してヨーロッパと我が国とを結んでいるというほか、中近東、アジア、アメリカ、オーストラリアなど広く世界の国々と我が国とを結んでいるわけでございます。このような船舶航行の安全を確保するということは、我が国にとって大変に重要なものでございます。  また、その担い手であります我が国の商船隊、二千三百隻でございますけれども、この中に占める日本籍船は現在九十隻余りとなっておりまして、その他は外国籍船でございます。我が国の貿易量の大部分を外国籍船が輸送しているという状況にあります。  海賊対処法案におきましては、このような状況及び国連海洋法条約の趣旨にかんがみまして、海賊行為処罰海賊行為への適切かつ効果的な対処について規定するものでございまして、政府といたしましては、海上輸送に携わっております船主協会などの関係団体からの強い御要望及び与党プロジェクトチームにおきます御意見などを踏まえてこの法案を取りまとめて国会に提出をさせていただいたものでございます。  現在こうして国会において審議をいただいておりますが、可及的速やかにこの法案が成立するように是非お願いをいたしたいと存じているところでございます。
  175. 小池正勝

    小池正勝君 今の大庭さんのお話はよく分かるんですが、それを具体的に言ってほしいんです、今の総論的なお話というのはもうおっしゃるとおりなので。  では具体的に、そのアデン湾・ソマリアを経由する船が貿易に占める割合は一体どれぐらいあって、どんな中身を運んでおって、どれだけ日本に重要なのかというのを具体的におっしゃっていただきたいんです。
  176. 秋元義孝

    政府参考人(秋元義孝君) 平成十九年、我が国の貿易総額が百五十七兆円でございますけれども、日本と欧州間の海上貿易額が十四兆円、約、全体の九・二%となっております。これらの貿易のほとんどはソマリア沖・アデン湾を航行する船舶が担っていると考えられますので、そういう意味で非常に我が国の貿易にとって重要な海域であると。  さらに、もう少し具体的な数字申し上げますと、日本から欧州等への自動車輸出が年間百五十万台ございます。これは日本からの総輸出台数の約二割、これがそのソマリア沖・アデン湾を経由して輸出されていると。それから、原油について言いますと、日本向けの原油のうち、ソマリア・アデン湾を通航する原油量が約九百万キロリットル、これは我が国の原油総輸入量の約四%に当たります。  以上です。
  177. 小池正勝

    小池正勝君 今のお話からしますと、まず自動車の方は二割だと、ここを経由するのが輸出の二割だというお話でした。それから、ヨーロッパとの貿易の一割、九・二%ですか、というのがこのアデン湾・ソマリアというお話でしたが、それを高いと見るか低いと見るか。これは見方によっていろいろあると思いますけれども、自動車というのは日本の輸出産業の中では一番であるわけですから、これの二割というのは非常に大きいと、これは確かにおっしゃることはよく理解できるところであります。だからこそ、船主協会が直接総理のところにこのアデン湾・ソマリアというのを陳情したというのもまさにそういうことなんだろうと思うんですが。  そこで、その重要なところの、船の海賊に襲われている具体的な件数、よく言われますが、これも、マラッカ海峡の海賊はどんどんどんどん減っているがソマリアはどんどんどんどん増えているという抽象的な議論は分かるんですが、具体的に、何隻の船のうち何隻が襲われたかという具体的な数字を教えてください。
  178. 橋本聖子

    ○副大臣橋本聖子君) ソマリア沖・アデン湾の海賊事案は特に昨年夏以降大変増加をしておりまして、昨年は百十一件で世界の約四割、二〇〇七年の約二・五倍の事案が発生をしております。本年に入っても海賊事案は、五月三十一日現在ですが、百三十件の発生がありまして、その中で、既に昨年の件数の約一一七%、ハイジャックされた船舶は二十九隻となっております。十四隻が抑留されており、約二百十名の乗員が人質となっております。昨年は日本人が人質になった事件も発生しておりまして、日本関係船舶への襲撃事件が三件、今年に入ってからも一件が発生しております。  現状は、いつ海賊の襲撃を受けてもおかしくない状況下にありまして、大変懸念すべき状況だというふうに思っております。
  179. 小池正勝

    小池正勝君 今のように、海賊の被害が一一七%ですか、ですから、増えているということの具体の数字を教えていただいたわけですが、そこで、この海賊の問題を考えるときには、よく外務省さんは多層的な取組、多層的な取組ということを盛んにおっしゃるわけでして、まさに多層的な取組というのが必要だと、まさにこれはそのとおりだろうと思うんですが、そして、そのときによく言われるお話として、抜本的に海賊をなくすにはソマリアの安定をしなければなくならないんだと、ソマリアの安定が必要なんだと、まさにこれもそのとおりだろうと思うんです。  ソマリアの安定のために一生懸命やらなければいけないと、それはそのとおりだろうと思うんですが、よくそのソマリアの現状を破綻国家、破綻国家なんて言うわけですが、その破綻国家という抽象的な表現はいいんですけれども、具体的に、その経済的な貧困がどんな状態で、どんな治安の状態なのかというのを具体的にこれは御説明願いたいと思うんです。  というのは、その経済的な貧困、もちろん無政府状態だから失業率なんというのはなかなか分からないんでしょうけれども、ただ経済的な貧困、貧困と言うけれども、断片的なニュースは出てくるけれども、具体的にどんな貧困状態なのか。それから、治安が悪い、無政府ですから治安が悪いというのも分かりますが、具体的にどの程度悪いのか。そういうのを具体的に、つかんでおられる範囲で結構ですから御説明願います。
  180. 橋本聖子

    ○副大臣橋本聖子君) 失業率ですとか犯罪数、貧困の度合い、いろいろありますけれども、今把握している段階でお話をさせていただきたいと思いますが、一九九一年以来、武装勢力間の抗争が続く中で、二〇〇五年に樹立された暫定連邦政府はいまだソマリアの国土全土を実効支配するには至っておりません。また、暫定連邦政府にはすべての勢力が参加をしているわけではありませんので、最近も首都モガディシュにおいて暫定連邦政府とイスラム過激派との激しい戦闘が発生をいたしまして多数の死傷者が出るなど、依然として大きな混乱の中にあります。このような状況にあるソマリアは、法執行機関、司法機関等が全く機能していないのが実情でありまして、そのため、国内統計等ほとんど存在をしておりません。  一方では、国連人道問題調整事務所、UNOCHAですが、このソマリアの人道状況に関する今年三月現在の資料によりますと、治安と食料危機により三百二十万人、ソマリアの人口のこれは四三%に値するんですが、人道支援を必要とする状況にあります。三百二十万人が人道支援を必要とする状況にありまして、五歳以下の幼児の二十万人、これは六人に一人の数ですが、二十万人が厳しい栄養失調に冒されており、そのうちの六万人が専門家による適切な処置が受けられなければ栄養失調による死の危機に至ってしまうというふうな状況に今なっております。
  181. 小池正勝

    小池正勝君 この海賊問題、ソマリアの海賊問題を考えるときに、もちろん警備活動が大事だと、現に船主協会からは総理に直接お話まで行っているわけですから、先ほどのお話のように、日本の貿易にとっても非常に重要な航路だということですから当然警備が必要であると。これはもちろんなんですけれども、やはりもう一つ大事なことは、海賊対処するためにソマリアへの支援というのをきっちりやっていく、これがもう何よりも大事だということは、これも恐らくどなたも異論がない話だろう、この法律があるなしにかかわらず、このソマリアをきちんと安定させるということが一番だと、これもまた事実なんだろうと思うんです。  そこで、今、日本政府は、この面、つまりソマリアへの支援というのを具体的に、もうやっていると思いますが、具体的にどの程度、どんな内容のものをやっているんでしょうか。
  182. 橋本聖子

    ○副大臣橋本聖子君) 我が国による対ソマリア支援は、同国の情勢にかんがみまして二国間援助の実施は困難でありますので、国際機関経由の支援に限定をされておりますけれども、食料支援、難民国内難民の支援、保健、水、衛生、教育などの人道支援、また国境管理強化や治安改善等のための支援等を実施しており、その総額は近年の二年間で約六千七百万ドルとなっております。  国連人道問題調整事務所によりますと、現在少なくとも三百二十万人が人道支援を必要としておりまして、二〇〇九年のソマリアにおける人道支援ニーズは九億八千三百万ドルに上ります。WFP等の人道国際機関は、支援を必要とする住民に可能な限り広く支援が行き渡るよう最大限の努力をしていると承知をしておりますが、先生指摘のとおり、予算ですとか治安面での制約で必ずしも十分な支援が行き渡ってないというような地域もあるようであります。例えば、今年の四月にWFPが食料を配給できたのは二百十万人にとどまっていると承知をしております。  ちなみに、我が国のソマリア関連のWFP経由支援は過去二年間で千四百万ドルですが、昨年拠出した九百万ドルは約七十万人に対する食料配給として速やかに執行を済ませることができました。今年三月に拠出をいたしました五百万ドルについても可及的速やかに執行中と承知をしている段階であります。  先般、ベルギーのブリュッセルにおきまして開催をされたソマリアの治安改善のための支援を議論する国際会議に私自身出席をさせていただきましたけれども、そこでも表明したとおり、我が国は引き続きソマリアの安定に向けて関係諸国と強い連携しつつ支援を行っていく考えであります。
  183. 小池正勝

    小池正勝君 この海賊問題、何度も繰り返しになりますが、経済的な貧困あるいは安定ということをきっちりするということが極めて、これは外務省にとっては極めて大事な、外務省というか日本政府にとって極めて大切な仕事なんだろうと思うんですね。是非これに力こぶを入れてもらいたいと思うんです。  そこで、大臣の、今ODA予算、非常に厳しいのは事実ですけれども、外務省予算、非常に厳しいのは事実ですけれども、このソマリアへの支援というものを積極的にもう倍増していくぐらいな強い意気込みをお聞かせ願いたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  184. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 今副大臣の方から御説明いたしましたように、ソマリアへの支援というのは過去二年間で総額六千七百万ドルと大変多額な支援を行っているわけで、人道支援、それから治安向上への支援、それからAMISOM支援としてそれぞれ拠出をしております。繰り返しになりますから私から細かいことを申し上げませんけれども、先ほど副大臣が申し上げました食料支援のほかに、難民国内難民に対する支援、保健、水・衛生、教育分野の支援、人身取引・不正規移住対策、あるいは国境管理強化による治安改善支援、警察支援等々、大変行っております。  この海賊問題の解決にはソマリア自体の治安の改善が最も大切だということ、今朝ほどからの議論でもありました。犬塚委員からテレビの番組見たかというお話ありまして、私も見まして、ソマリアにおけるこの大変な状況というものも改めて認識したところでありまして、これらの海賊問題の解決のためには更なる支援をしっかりとやっていくということが大事だと思っておりまして、国際社会協力をしながらこれらに取り組んでいきたいと思っております。
  185. 小池正勝

    小池正勝君 積極的な支援、ソマリアへの支援というのがやはり海賊問題にとっては極めて大事だということを是非お願いしたいと思っております。  次に、今度はその警備の関係、出動の関係でありますけれども、これは海上保安庁がやるべきだと、これも午前中から議論が出ておりましたが、そういう議論がずっとあるわけでありますが、そこで、これももう一回確認になりますが、海上保安庁で現在、このソマリア・アデン湾まで行ける船、装備状況等々、今の状況で現状はどうなんでしょうか。
  186. 岩崎貞二

    政府参考人(岩崎貞二君) ソマリアへの海上保安庁の巡視船の派遣でございますけれども、これまで私ども、日本からの距離でありますとか海賊が所持する武器、ロケットランチャーでございますけれども、それの対応でありますとか、各国が主として軍艦等が対応していること、こういうことを総合的に勘案して現状では難しいと、こう説明させていただきました。  具体的に申し上げますと、私ども、午前中にも話が出ておりました「しきしま」という船を一隻持っております。これはある程度の武装にも対応でき、それから航続距離ももちろんソマリアに行ける距離を持っております。ただ、そうした航続距離、それからロケットランチャー等にも対応できる船というのはこの「しきしま」一隻だけでございますので、継続的、安定的にやっていくのは難しいと、このように思っておるところでございます。  特に、武装の関係でございますけれども、ロケットランチャー等の重火器で武装していますから、攻撃を受けることは当然想定をしなきゃいけないと思っております。攻撃を受けたときに、ダメージコントロールと申しておりますけれども、被害を受ける、被害を受けてもやっぱりそれで業務ができなくなるということではいけないと思っておりまして、被害を受けて、被害をある程度に食い止めながら業務ができるという性能が必要でございますが、これが繰り返し申し上げておりますダメージコントロールのある船でございまして、海上保安庁は残念ながら現在持っておる船は「しきしま」一隻でございます。
  187. 小池正勝

    小池正勝君 今のお話は、「しきしま」一隻しかないから現実的に無理だと、こういうお話でした。であれば、もし仮に海上保安庁がやるとなって行けるようにするために装備とか充実していかなきゃならぬ、船とか充実していかなきゃいかぬわけですが、一体行けるようにするためにはどれぐらいの予算が要るんですか。それが海上保安庁の予算から見て一体どういう位置付けになるんですか。
  188. 岩崎貞二

    政府参考人(岩崎貞二君) 年間、今自衛隊がやっておられる二隻常時派遣をするということになりますと、船を変えなきゃいけませんから、三セット要ります。二隻掛ける三セット、六隻の船が必要となると考えております。「しきしま」一隻ございますので、海上保安庁としてはあと五隻こうした船があればそうしたことは対応可能となると思っております。  一隻当たりの建造費、これはヘリコプター二機搭載というヘリコプター代も含めてでございますけれども、今の試算では約一隻当たり三百五十億でございますので、それ掛ける五でありますと千七百五十億掛かると、こういうことでございます。  海上保安庁の予算でございますが、全体、これは人件費も含めて約千八百億でございます。それで、巡視船艇とか航空機の整備、これは当初予算の額でございますが、二十二年度の当初ですと三百五十八億でございます。先ほど申しました千七百五十億の船を造ろうと思いますと、これは一年ではできませんので、五年掛かると仮に計算いたしますと一年当たり約三百五十億の金がちょうど要るわけでございますけれども、海上保安庁の今持っております巡視船艇、航空機の予算額、ちょうど三百五十八億でございますので、それを全部つぎ込んで、五年間つぎ込んでほかの船とかほかの飛行機の建造をストップすれば、今の予算額での話でございますけれども、しなきゃいかぬと、こういうような状況になります。
  189. 小池正勝

    小池正勝君 今のお話は、千七百五十億掛かると、海上保安庁の予算は千八百億だと、一年間で。そうすると、全部つぎ込んでようやっととんとんと、こういう話になるわけですから、極めて非現実的なお話なんだろうと思うんであります。  次に、先ほど来、これも午前中お話が出ましたが、そもそもこのアデン湾・ソマリアに出ている諸外国の状況、軍なのかどうかという点でありますが、これは外務省さん、もう一回御答弁をお願いいたします。
  190. 石井正文

    政府参考人(石井正文君) 今、ソマリア沖・アデン湾におきましては、日本、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツほか二十四か国の船が出まして対応しております。その中で、午前中に答弁申し上げましたように、沿岸警備隊と申しましょうか、コーストガードが出ているのはイエメン、それから、アメリカは過去出たことはあるが今はいないというのが状況でございます。
  191. 小池正勝

    小池正勝君 現在ではイエメンだけだと、こういうことですね。それを確認させていただきたいと思っております。  それから、もう一つお伺いしたいのは、このソマリアの海賊の問題でIMOという国際海事機関というものが非常に積極的な役割を果たしていると。これが諸外国、各国との連携をして、ソマリアに対して積極的な対応をしていると、こういう話をよく聞きます。このIMOというのはどのような機関で、このソマリア沖の対処についてどのような役割を果たしているんでしょうか。
  192. 伊藤茂

    政府参考人(伊藤茂君) 御質問の国際海事機関、IMOでございますが、これはロンドンにございまして、海上の安全であるとか海洋環境の保護のための政府間の協力を促進して条約の策定などを行う国連の専門機関でございます。  これまでに、今申し上げました海上の安全であるとか海洋環境の保護のための条約、最近で申しますと、今年に入りましてからですが、船舶の適正なリサイクルを推進するための枠組みを定めるシップリサイクル条約の締結など、これまでに約三十もの条約を策定してきております。  海賊関係船舶の安全な航行の一つでございまして、IMOは、今年の一月に、ソマリア周辺海賊対策地域会合をジブチで、いわゆるジブチ会合でございますけれども、これを主催をして、海賊対策のための訓練センターの設置などを盛り込んだ地域協定の枠組みでもございますジブチ行動指針、これが関係国、周辺国で採択されております。  こういったことのほかにも、海賊あるいは船舶に対する武装強盗防止のための指針等を策定するなど大変重要な役割を果たしてございます。
  193. 小池正勝

    小池正勝君 そして、このIMOの海賊問題の責任者が日本人の方だというお話を聞くのでありますが、まず事実かどうか、その方がどんな役割を果たしておられるのか、お伺いします。
  194. 伊藤茂

    政府参考人(伊藤茂君) IMOの中で海賊問題を所掌しております部局がございます。海上安全部と呼んでおりますけれども、ここの部長が日本の元の運輸省の職員が転籍をいたしまして、彼が部長を務めておりまして、先ほど申し上げましたジブチ会合もこの方が現地に出席をして会議を差配したということでございます。
  195. 小池正勝

    小池正勝君 このIMOというのが今のお話で各国政府が参加しておられて、極めてそのソマリア沖の海賊お話で重要な会を持って引っ張っていってもらっているということですから、ますます日本政府はこういうところと連携をしていかなければならないんだろうと思うのであります。  そして、最後にお伺いしたいんでありますが、外務大臣にこのソマリア沖の海賊対策での決意というものをお伺いしたいんでありますが、その決意というのは何かと申しますと、先ほども出ていますが、この経済的な支援、お金だけではありませんけれども、まずはソマリアの安定ということを図るためには外務省さんの役割というのは非常に大きいだろうと思うんですね。こういった支援というものをどのようにお考えになるか。  それから、国際連携、さっきのIMOのお話もそうでありますし、こういった国際的な連携、それからさらに日本政府独自のソマリアの安定に向けた措置、これについての外務大臣さんの御決意をお伺いして、私の質問を終わらせていただきます。
  196. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 先ほどからいろいろ議論されておりますけれども、この海賊問題を解決するには大きく分けて三つのポイントがあろうかと思います。一つは、これは各国がこのソマリア沖・アデン湾において実際海賊行為に対して現場で対処していくということ。また、これも先ほどから御答弁申し上げましたけれども、やはり根本的解決が必要だということで、ソマリアのこの情勢を安定化させるということで六千七百万ドル我が国から出しまして、御説明いたしましたようないろいろな活動もやっておりますし、もう一つは、これも今お話ありましたように国際的な協力というもの、IMOを始めとしてそういう周辺諸国等の取締り能力を向上させたり、あるいはマラッカ海峡での例を参考にしたりしながら、国際的協力をしながらこの中長期的な解決を図っていくということが大事だと思っております。  外務省はどういうことをするかということでありますが、我が国として、また外務省といたしましては、これらの今の三つの基本的なポイントについて、我が国のできる範囲協力をしていくということが大切だと、そういうふうに思っております。今、自衛官が出て活動しておりますけれども、それらの外交的な支援、あるいは先ほど私も委員の御質問にお答えしましたけれども、この根本的解決のための経済的な支援、こういうものも、これは今後いつごろまでこのような海賊事態が続くかどうか分かりませんが、一日も早くこれらがなくなるように努力をしていきたいと、そういうふうに思っております。  なお、二十一年度、今年度の補正予算、これにおきまして三十六億円ほど海賊対策ということで計上しておりまして、ソマリアへはそのうちの二十二億円拠出するということになっております。
  197. 小池正勝

    小池正勝君 以上で私の質問を終わらせていただきます。
  198. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 自由民主党の佐藤正久です。  まず最初に、北朝鮮関連について御質問をさせていただきます。  まず最初に、情勢認識、評価について外務大臣にお伺いしたいと思います。  韓国政府北朝鮮の一連の動きに合わせまして、警戒レベルを五段階のうち三から二、上から二番目に引き上げたという報道がございます。やはり、国の平和と独立、あるいは国民の安全というものを守らなきゃいけない政府としては、一番大事なのはどういう情勢認識、評価をするかということがすべての出発点だと思います。  今回の北朝鮮の一連のミサイル発射、あるいは五月二十五日の核実験、六か国協議からの離脱表明、核燃料棒の再処理の開始、あるいは更なるミサイルの発射予告、あるいはその準備とも取れる動き等がございます。これらの動きというのは、これまでの国際社会の譲歩を引き出そうというような恫喝的なものと同じ流れと考えるのか、あるいは全く別の流れ、例えば核あるいはミサイルをしっかりと持つんだというふうな一連の流れと認識すべきか、その情勢認識、評価について大臣の所見をお伺いしたいと思います。
  199. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 北朝鮮は、六者会合がバンコ・デルタ・アジア、この問題をめぐりまして膠着状態に陥っていました二〇〇六年の七月に七発の弾道ミサイルを発射をいたしまして、そしてまた同じ年の十月に核実験の実施を発表したわけであります。その後、六者会合を通じました対話が進められてまいりましたけれども、昨年の十二月、委員も御案内のように、六者会合首席代表者会合で検証の問題をめぐりまして合意ができずに、その後六者会合が開かれず事態が膠着したままになっているわけでありますが、この四月にはミサイルを発射いたしましたし、またこの五月には核実験を行ったと、そういう今までの経緯がございます。  このように、北朝鮮は緊張を高める言動というものを繰り返してきておりますけれども、なかなかその意図というものを我々が理解するというのは非常に難しいわけであります。我が国といたしましては、今回と二〇〇六年のケースとの比較を含めまして、北朝鮮の意図を推し量って云々することは適当ではないと思いますが、いずれにいたしましても、北朝鮮の言動というのは国際社会にとりまして到底容認できるものではございません。  北朝鮮は、核保有国になることを意図していると、そういう指摘もありますけれども、北朝鮮の核保有は断じてこれは容認できないと、そういうことで国際社会は一致をしているところでございます。二〇〇六年の十月の核実験の実施発表後に国連の安保理で採択をされました安保理決議、この一七一八ですね、これにおきましては、北朝鮮がすべての核兵器及び既存の核計画を、完全な、また検証可能な、かつ、不可逆的な方法で放棄をすることと、これが一七一八で義務付けられているわけでありますが、北朝鮮によります完全な核放棄を求める各国の立場というのは全く変わっておりません。  北朝鮮は、この国際社会の声に真剣に耳を傾けて、更なる挑発行為を控えて、そして六者会合に復帰をして共同声明を完全に実施することが北朝鮮自身利益であると、そういうことを理解をすべきと思っております。  我が国といたしましては、引き続いて、米国や韓国を始めとする関係国と緊密に連携を取りまして、核、ミサイル、拉致と、これらの諸懸案の解決に向けまして我が国として最大限の努力をしていきたいと、そういうふうに思っています。
  200. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 二〇〇六年当時と今回のミサイル核実験とを比較して、日本の平和と独立とか国民の安全という観点から脅威認識は高まっているというふうに思われますか。
  201. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) これは、先般の長距離弾道ミサイルでありますか、これの射程距離等を見ましても、これは性能が向上していると、そういうふうにも言われておりますし、二〇〇六年に比べれば、これは私も専門家でありませんから詳しいことは分かりませんが、そのような技術的なものも向上しているということであれば、我が国に対する脅威は深まっている、高まっているのではないかと、そういうふうに思います。
  202. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 その脅威の評って一番私は大事だと思っています。それが日米で共同でいろいろな対処をする、あるいは国連決議における日本の動きというものにも、多分一番の根本認識は脅威をどういうふうに認識するかということだと思っています。そういう脅威認識の下、日本政府の、外務省の方も含めて、今回の核実験あるいは前回のミサイル発射というのは、断じて日本の安全保障を看過することはできないというような発言もございます。私はそれは当然だと思います。  他方、やはりアメリカあるいは韓国と共同歩調を取るという上においては、その情勢認識、評価をやっぱり合わせるということも非常に大事だと思います。  ある新聞報道によりますと、アメリカのゲーツ国防長官がシンガポールに向かう機中の中で同行記者に語った話として、北朝鮮の核、ミサイルの脅威に対抗するため、日本や韓国に核抑止力を提供すると。一方、現在の北朝鮮の状況というものはオバマ政権として危機だという認識ではないという発言もされていると。これの真偽は分かりませんけれども、この断片情報だけだとすると、ちょっと我々の脅威認識とずれているようなふうにやっぱり一般国民は思うと思います。  大事なのは、北朝鮮の一連の動向に関する日米認識をやっぱり一致させるということは、これは外務省にとって非常に大事な出発点だと思います。これが今後の安保理決議採択に向けた動きとか、あるいはその後の具体的な対処行動で極めて重要だと思っています。  その意味で、昨日、米国政府代表団と日本の代表の次官級協議というものは非常に大きな私は位置付けを占めていると思います。そういう意味で、昨日の協議で、情勢認識あるいは評価という面で、脅威の評価という面で認識は一致したのかしなかったのか、したとすればそれはどういうものか、お教え願いたいと思います。
  203. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 昨日、スタインバーグ米国の国務副長官を始め米政府関係省庁の高官と、外務省の薮中外務事務次官を始めとする我が方政府関係者が協議を行いました。また、私自身もこれら米政府の一行の表敬を受けまして意見交換を行ったところでございます。これらの協議では、北朝鮮の状況につきまして全般的な角度から意見交換を行いました。また、現状分析も行いまして、今後も日米で緊密に協力をしていこうということを確認したところでございます。  具体的な内容に関しましては、まずは、北朝鮮による核保有は我が国の安全保障上の脅威である、同時に、これは地域及び国際社会の平和と安定を、これを著しく害するものであり断じて容認できないということ、そして完全な非核化が必要であるという点を確認をいたしました。また、国連安保理での対応につきまして、国際社会が一致して効果的な対応が取れるよう、これも日米協力をしていくということが確認をされたわけでありますし、また同時に、日米、日韓、日米韓で協力していくということも確認をしたところでございます。  加えまして、米国日本に対する防衛のコミットメントは揺るぎないものであるという点も、これも確認をいたしました。また、我々といたしましては、拉致問題が非常に重要な問題であるということも重ねて伝達をいたしまして、米側からも改めて理解が示されたところでございます。  今日、本日、スタインバーグ副長官一行は麻生総理への表敬も行いまして、一連のこの昨日からの協議を通じまして、私は、日米間において北朝鮮に関する現状認識が共有できた、ある程度共有できた、そして今後の協力体制の確認も十分行われたと、そういうふうに考えておりますが、引き続いて緊密な連携を取ってやっていきたいと、そういうふうに思っています。
  204. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 ありがとうございます。  非常に今大事な点について合意ができた、認識が共有できたと。是非ともこのいろんな点を国民に分かりやすくポイントを絞って説明していただければというふうに思います。  そういう認識の一致の下、今後、安保理決議とかその後の対処行動ということに移るわけですけれども、やっぱりその対処の一つに私は船舶検査というものがあろうかと思います。船舶検査について何点かお伺いしたいと思います。  二〇〇六年の十月の北朝鮮の核実験後になされました安保理決議一七一八で、各国に対しまして、核兵器などに関する不正な取引を阻止する目的北朝鮮に出入りする貨物を検査するよう要請しました。他方、今までの明らかになった事象としまして、平成十五年、北朝鮮の元高官がアメリカ上院の公聴会で行った証言によりますと、北のミサイル部品の九〇%が日本からの輸入で、朝鮮総連を通じて万景峰号で三か月ごとに運ばれていたという証言とか、あるいは、二〇〇七年、北朝鮮の核関連施設に対してIAEAが行った査察でウラン濃縮に転用された日本製の真空ポンプが見付かったというようなことも指摘されております。そういう面で、やはり安保理決議で各国に要請した、こういう核あるいはミサイルに対するいろんな不正な取引を阻止するという決議というのは非常に大事だと思っています。    〔委員長退席、理事一川保夫君着席〕  それでは、この一七一八に基づく船舶検査、各国に要請したものについて、日本政府はこれまでどのような処置を講じてきたか、内閣官房の方にお伺いしたいと思います。
  205. 山本条太

    政府参考人山本条太君) 御指名でございますので、内閣官房の方から御説明申し上げます。  先生指摘の一七一八号でございますが、大量破壊兵器関連物資等の不正な取引を阻止するために、必要に応じて、各国の権限そして国内法令に従って、また国際法に適合する範囲内で協力行動を取るよう要請をすると、こういう決議でございます。この協力行動の中には、御指摘北朝鮮への貨物、また北朝鮮からの貨物、この検査という手段を通じるものを含むというふうに明記をされているわけでございます。  我が国でございますが、自来、現行法の範囲の中でしかるべく対応ということを尽くしているところでございます。具体的には、空港そして港湾におけるところの法令に従いました検査、また、洋上におきましては、御案内のとおり、海上保安当局によりますところの法令の執行、あるいは法令違反の予防そして取締りと、こういう観点で、これは領海あるいは接続水域といった区域に応じてでございますけれども、その執行の一環として対応に努めているという状況でございます。
  206. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 日本政府としては、一七一八に基づいてやっているということだと思います。  それでは、今後の話としてまた質問させていただきます。  韓国政府は、今回の核実験を受けてPSIの参加を決定いたしました。また、米国政府も核、ミサイル拡散防止の観点から、北朝鮮の貨物検査に積極的との情報もございます。また、新聞報道ですけれども、今安保理の議論の中で、北朝鮮の核、ミサイル関連物資の拡散防止実施のために船舶検査を強制力を持ってやるんだと、検査を義務化するという検討もなされているという報道がございます。こういう動きに対応して、五月二十八日の記者会見で河村官房長官は、安保理決議でそのような強制力を持ったり、あるいは検査義務が決まれば、当然日本としても対応を取るというふうに述べられておられます。  仮にこのような強制力を持った検査義務がされた船舶検査を安保理決議なされた場合、なおかつ周辺事態認定前という状態において、現行法制下でどんなことができるのか、今の一七一八に基づいて行っている船舶検査等々を超えるものは何があるのか、これについて外務省の方からの御答弁をいただきたいと思います。
  207. 石井正文

    政府参考人(石井正文君) 今委員が御指摘になりました報道などにつきましては承知しておりますけれども、先ほど大臣からも御答弁いたしましたように、決議につきましては今関係国の間で具体的な協議を行っておるところでございまして、その内容について具体的に申し上げられないことは御理解いただければと思います。  日本としてどのような措置をとるかということは、決議の内容次第という面もございますので、内容について申し上げられない状況で、仮定質問でちょっとお答えをしにくいということを御理解いただければと思います。
  208. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 確かに安保理決議の今調整をしていますから非常に難しいと思いますけれども、やはり今後の対応をいろいろシミュレーションする上では、現在と今後と何が違うのかという非常に大事な分野ですので、今後とも、私の方もいろんな勉強を通じて深めていきたいなと思います。  ただ、今までもPSIというものにつきましては、海上保安庁もこれまでいろんな訓練に参加しているというふうに承知しております。じゃ、これまでのPSI訓練、その場合における事態認定、どういうような事態認定に基づいて訓練をやっているのか、あるいは領海、公海のその区分、その際の検査対象船舶の実態というものについてお聞かせください。    〔理事一川保夫君退席、委員長着席〕
  209. 岩崎貞二

    政府参考人(岩崎貞二君) 海上保安庁はこれまでも、巡視船を派遣した訓練、PSIの訓練という意味では、二〇〇三年でオーストラリア、二〇〇四年と二〇〇七年に我が国、二〇〇五年にシンガポール、これらの訓練に巡視船を派遣して参加をしております。  そのときの訓練の想定でございますけれども、基本的に国内法の及ぶ範囲でやっていく、こういうことでございますので、公海上の対象としては日本船舶対象として、公海上を航行中の日本船舶が大量破壊兵器関連物資を輸送しているかどうかといったことの検査をするという想定でやっております。  それから、外国船につきましては、公海は基本的に及びませんから、我が国の領海に入っていると、こういう想定の下、立入検査等をやるという想定でやっております。  その検査の対象のときの、対象船舶の実績というのは、これはあくまで想定ですので、ほんの数隻やっていると、こういうことでございます。
  210. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 今後、仮に船舶検査を強化するという場合のプレーヤーとしては、やっぱり海上保安庁と海上自衛隊というものが考えられると思いますけれども、海上保安庁もこれまでPSI訓練もいろいろ参加されておられるということからすると、いろんな面でこれから活躍が期待されるのかなという感じもいたします。  ただ、PSIの場合は、強制力を持ったというよりも、旗国の同意を得て立入検査というものをやっておりますので、今後、仮に安保理決議で強制力を持った船舶検査あるいは検査の義務化といった場合においては、ちょっと枠組みが違うのかなという感じもいたします。今後とも、安保理が決定した後速やかに対応が取れるように、また、政府部内の方でこれまでの経験というものを踏まえて検討を深化していただきたいなというふうに思います。  次に、防衛省の方にお伺いいたします。  現在の法制下の話ですけれども、日本が海上自衛隊等の航空機で哨戒を行い、その情報を船舶検査を行っている他国の艦船に伝えることは可能でしょうか。
  211. 徳地秀士

    政府参考人(徳地秀士君) お答えをいたします。  北朝鮮の核実験公表を受けての対応ということにつきましては現在国連安保理で協議中でございますので、大変恐縮でございますけれども、仮定の前提に立ちまして、今後の我が国の具体的な対応でありますとかあるいは自衛隊の活動といったものについて予断を持ってお答えすることは差し控えさせていただきたいと考えております。
  212. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 今、私は北朝鮮と言ったわけではなくて、一般的な話として、現行法制下で、海上自衛隊等の航空機が哨戒を行ってその情報を、船舶検査を行っている、例えば安保理決議一七一八でやっているような船舶検査を行っているほかの艦船に伝えることは可能でしょうかという質問です。
  213. 徳地秀士

    政府参考人(徳地秀士君) 自衛隊といたしまして情報収集を任務遂行に必要な限りにおいて行うと、そして、その一環といたしまして情報の提供を行うということは、これは一般論としては可能でございますけれども、船舶検査との関係ということについてどういう対応になるかということにつきましては、仮定の問題でございますのでお答えを差し控えさせていただきたいと考えております。
  214. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 今後とも、しっかりと検討を深化していただきたいなと思います。  それでは、海賊対処関連について質問をさせていただきます。  まず、国土交通省の方にお伺いいたします。  海上自衛隊の護衛が開始されて以降、アデン湾を航行する日本関連船舶の約何割が日本の海上自衛隊の護衛ではなくほかの国の護衛又は単独で航行しているのでしょうか。
  215. 伊藤茂

    政府参考人(伊藤茂君) お答え申し上げます。  海上自衛隊による護衛が開始されて以降、三月三十日以降でございますが、直近の五月末までの間で自衛艦による護衛を受けた船舶が七十二隻ございます。護衛活動は二十二回ございました。これに対しまして、先生が御質問の護衛を受けずにアデン湾を航行した日本関係船舶につきまして、私ども日本船主協会などに聞き取りをいたしまして、二百十隻ございました。計算をいたしますと、約三割弱、二六%でございますが、の日本関係船舶が護衛を受けて、七割強、七四%でございますが、の日本関係船舶が護衛を受けずに、すなわち他国による護衛又は単独でアデン湾を通航したということでございます。
  216. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 約四分の一が日本の海上自衛隊の護衛を受けているということだと思います。これはやっぱり、一般には商船というのは目的地への到着が遅れれば当然費用もかさみますし、そういう観点から、護衛艦の航行日程に合わない場合はやはりほかの国の護衛に入ったりあるいは単独ということになるのかと思います。  そういう観点からしますと、アデン湾を日本関連の船舶が海上自衛隊の護衛を受けているというのが四分の一で、四分の三がそれを受けていなくて実際一千キロ航行しているということを考えると、私はP3Cの派遣というのは日本関連船舶を護衛するという観点から極めて有効だと思います。今回派遣することによって、日本関連船舶を海上自衛隊の船と航空機両方で守れる体制というのは更に強化されるというふうに思います。これが、P3Cの派遣というのは、やっぱり護衛艦による日本船舶の護衛を更に補完する、あるいは強化するという観点からも私は有効だと思います。先ほど谷岡委員から質問ありましたけれども、船で守っている範囲だけのことを考えるのではなく、アデン湾一千キロという中での日本船舶の護衛と考えた場合は、やはり船とP3C両方あって実際的なものだというふうに私は思います。  それでは、これまで中国の軍艦に日本の商船が護衛された実績というのはどれほどあるんでしょうか。これも国土交通省にお伺いします。
  217. 伊藤茂

    政府参考人(伊藤茂君) 御質問の、中国の艦船に日本関係船舶が護衛された実績でございますが、これも我が方が日本船主協会等に聞き取りをいたしました。  海上自衛隊の護衛開始以前の一月から三月まででございますが、その間に三隻ございました。それから、護衛開始、三月三十日以降でございますが、から五月までの間で一隻の合計四隻が中国の艦船に護衛をされたという実績でございます。
  218. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 ありがとうございます。  浜田防衛大臣は、中国を訪問された際に、中国の軍艦と海上自衛隊との連携というものについての協議がなされたという報道がございました。そういう観点からしますと、これまでどのような連携を行ったのか、あるいはこれからであればどのような連携を今考えておられるのか、防衛省の方にお伺いいたします。
  219. 徳地秀士

    政府参考人(徳地秀士君) お答えいたします。  ソマリア沖・アデン湾におきまして我が国関係船舶の護衛を効果的に実施するためには、関係国あるいは関係機関との情報交換などの協力を行っていくということが大変重要であると考えております。  先生指摘のとおり、中国との間におきましては、先般三月二十日に開催をされました日中の防衛相会談におきまして、情報交換などの分野における可能な協力を推進するということで合意がなされておるわけでございます。これを踏まえまして、現場の日中の双方の派遣艦艇の間におきまして、通信によりまして情報交換ができる体制というものを整えておるところでございまして、今後とも中国との間で情報交換などの協力を進めてまいりたいと考えておるところであります。
  220. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 一千キロもアデン湾というのはあるわけですから、その大きさということをやっぱり考えた場合、いろんな国との情報交換というのは日本船舶を護衛するという観点で非常に私は大事だと思います。今後とも、そういう面で連携というものを中国のみならずほかの国とも行っていただきたいなと思います。  次に、海賊対処法、これが成立した場合はほかの国の艦船の護衛も可能となります。その場合、日本関連の商船とほかの国の船舶、この護衛の優先順位というのはどうなるんでしょうか。私も、ヨーロッパのEUのそういう艦艇派遣部隊というものを訪れたときに聞いたところ、やっぱり優先順位が全部もう決めてありまして、それに基づいていろんな形で運用を行うと。今後、日本関連船舶だけではなく、ほかの国あるいは国際機関の船というものも対象になろうかと思います。その場合の優先順位というものは今どのようにお考えになっているのか、国土交通省の方にお伺いしたいと思います。
  221. 伊藤茂

    政府参考人(伊藤茂君) 先生指摘のとおり、この新法、御議論いただいております新法が施行をされますと、我が国関係のない外国船舶についても海賊行為から防護することが可能となるわけでございます。  新法施行後の具体的な活動内容でございますけれども、本会議でも総理からのお話もございましたが、まず外国船舶への対応と、それから大変大事でございます日本関係船舶の防護のこの両立が図れるような方策として、政府としてこれから具体的な内容を検討をしていくべきだというふうに考えております。
  222. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 じゃ、まだ優先順位は、日本船舶とほかの国の船舶の優先順位についてはまだ決めていないということでいいんですか、もう一度。
  223. 伊藤茂

    政府参考人(伊藤茂君) 先ほど申し上げましたとおり、両立を図るべく政府内で検討を進めるというふうに考えております。
  224. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 私は、個人的にはやはり日本関連船舶というのが第一優先だと思います。私も、いろんな国の人と話したときも、当然、自分の国がやっぱり優先だと、私は国際的にもこれは通じるものだと思いますけれども、今後ともいろんな観点からその優先順位というものを決めていただきたいなと思います。  次の質問として、じゃ、ほかの国の艦船の護衛を行う場合、その場合の要請受け、調整要領というものも非常にこれから大事になってくると思います。今、国土交通省の方が一義的に受けて護衛要領、あるいは要請をやっているんでしょうけれども、今後、他国、船を守るという場合についても、どんなふうな形で調整をやるのか、やはり国土交通省が第一義的なコンタクトポイントになってやるのかどうか、これについてお伺いしたいと思います。
  225. 伊藤茂

    政府参考人(伊藤茂君) 新たに護衛となります日本関係船舶以外、すなわち外国の船舶でございますけれども、こういったものの船舶からの護衛の要請の受付であるとか調整であるとか、こういったものは新法の施行後の護衛のオペレーション、これ、いわゆるエスコート方式であるかどうかも含めまして、政府の中で決定をすることになると考えております。  今現在は、私ども国土交通省が日本関係船舶、所管をしている関係もございまして、日本関係船舶からの護衛の要請を行っているのが事実でございます。今後は、新法施行後、関係省庁の連携の下に、私どもも政府の一員として一定の責任を果たしてまいりたいと思っております。
  226. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 今後のことについてはもう今後だと、これからだということですので、もうこれ以上質問はいたしませんが、やはり新法施行後できるだけ速やかに、いい形で日本国益を守りながらほかの国への貢献というものをやっていただくように検討を進めていただきたいと思います。  以上で私の質問を終わります。
  227. 山口那津男

    山口那津男君 公明党の山口那津男でございます。  この度、ソマリア沖・アデン湾で我が国海賊対策を実施する理由として主なものは三点あると思います。  まず、我が国関係船舶を始め海賊被害が多発していること、また増加傾向にあるということ。それと、国連安保理決議で加盟国に海賊対策への協力要請がなされていること。そして三点目は、日本船主協会及び全日本海員組合から海上自衛隊の派遣要請がなされたことなどであります。  現地で現行法に基づいて海賊対策が始まったのは三月の末でありますが、その実施が始まる少し前の三月十九日に起きましたバルカー船タイタンという船の海賊事件がありました。報道はされておりませんが、この事件について政府は何か報告を受けていらっしゃいますか。
  228. 伊藤茂

    政府参考人(伊藤茂君) 御指摘のタイタン号、ばら積み運搬船でございますが、この事件は、今年の三月十九日にソマリア沖を航行中であったものでございまして、このギリシャ船社の運航する貨物船が海賊の襲撃を受けて乗っ取られた事件でございます。  この襲撃を受けた際にタイタン号から、海賊に襲撃されている、救助を請うという旨の要請がVHF通信で有志連合軍船舶になされて、一方、有志連合軍の艦船から十分以内に現場に急行するという旨の回答通信がなされました。その際に、日本の、日本郵船でございますけれども、日本の船会社、日本郵船が運航しておりますコンテナ船がその近傍に居合わせまして、その船長がこの通信を傍受いたしました。その後、事件の推移の一部を目撃したというものであるというふうに承知しております。  私ども国土交通省は、この事例につきまして、後日、四月に入ってからでございますけれども、いわゆるアデン湾の現状についての生の現場報告ということを受けまして、その中での一例として私ども報告を受けている次第でございます。
  229. 山口那津男

    山口那津男君 実は、今御指摘のありました日本郵船のコンテナ船、この船長をやっていた方に、日本に戻られてから私は直接お会いしてお話を伺いました。  このアデン湾、航海を二往復した経験を持っているそうでありますが、この船長さんがおっしゃっておりましたのは、ちょうどタイタン号が被害に遭ったときに現場を通りかかって目撃したそうであります。そして、小型のボートがタイタン号に接舷をしているところを、その横五マイル付近をかすめて無事通過をしたと。この日本のコンテナ船は、舷高が高いということとスピードが速いということで被害を免れたと、こうおっしゃっておりました。  そして、その際、実は日本のある報道機関がこの船に乗り込んで海賊被害の模様を取材する予定があったそうでありますが、何かの都合でそれがキャンセルになったそうであります。もしこの取材がなされ、目の前で海賊被害、タイタン号の被害というものが取材をされて、それが日本の国民に伝わればかなりインパクトはあったであろうと、こうおっしゃっておりました。  そして、その船長さんの実感として、この海域を通る日本の船の乗組員、これは外国人の乗組員ももちろん、その船員や家族の不安というのは相当なものがあると。そして、現に目の前でこういう被害が起きたことを目撃したと。そういう点からすると、日本国内で行われている様々な論議というものがこういった船員やその家族の不安に対してこたえるものにはなっていないと。実に疎い感じがしてならない、憤りさえ感じます、早く政府として責任ある対応を取っていただきたいと、こういう率直な御意見をいただきました。  そんなことから、船主協会あるいは全日本海員組合の要請というものは、まさに現場の声に基づいたものと私どもは受け止めているわけでございます。  それと、もう一点伺いますが、民間の国際交流団体であるピースボートという団体がありますが、この団体は市民団体による海上自衛隊派遣反対の共同声明に名前を連ねているわけであります。そして、この団体が企画を主催した船旅がありまして、その旅客船の護衛、海賊からの護衛を依頼してきたという報道があるわけでありますが、そうした事実があるのでしょうか。また、依頼に基づいて護衛を実施したという事実はあるのでしょうか。
  230. 伊藤茂

    政府参考人(伊藤茂君) これまで二十二回の護衛がございましたが、その中の十七回目の五月の十一日から十三日にかけて実施されました護衛の中に、我が国の旅行事業者でございます株式会社ジャパングレイスというところからの護衛活動の申請がなされまして、その会社の企画、実施をした船旅の旅客船一隻が含まれております。  先生の御指摘のピースボートという名前でございますが、直接的にピースボートから依頼があったわけではございませんが、この船旅のパンフレットでは、表紙に第六十六回ピースボート世界一周の船旅と記述されておりますので、関連があるのではないかというふうに考えております。
  231. 山口那津男

    山口那津男君 主催者の主張に反するとしても、実際にこの船旅のお客さんの財産や生命に対して安全を確保する、そのために護衛を依頼したということは極めて妥当な判断だろうと私は思います。  そしてこの度、船による海賊対処ばかりではなくて、P3Cという哨戒機を現地に派遣して、航空部隊を派遣して情報収集及びその提供に当たるということになったわけでありますが、そのP3Cの航空部隊の任務、目的がいかなるものか、そして法的根拠、これは現行法に基づくものと、この度の本法に基づくものと、それぞれあると思いますが、その点についてまずお伺いしたいと思います。
  232. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 先ほどから議論がございますように、アデン湾の非常な広大さ、そしてまた、本海域を通航する我が国関係船舶の安全確保をより効果的に実施するために、護衛艦による護衛任務に加えてP3Cをアデン湾内の警戒監視、情報の収集及び提供等に必要と判断をしたところでございます。このため、五月十五日、自衛隊法第八十二条の海上警備行動を発令し、P3C二機を派遣し、我が国関係船舶海賊行為から防護するために必要な行動を取ることにしたところであります。  具体的な活動内容については、保護対象船舶の航行情報や海賊の発生情報等を基にアデン湾内警戒監視、情報収集及び提供等を行うことが基本であると考えておりますので、海賊対処目的以外の活動を行うことはないということでございます。
  233. 山口那津男

    山口那津男君 今のお答えのように、海上警備行動の一環としてなされるということでありますが、そうだとすればその目的、つまり海賊対処のための情報収集、情報提供に限られると、その他の目的の活動はしないという今のお答えのとおりであります。  そして実際には、これを、情報を提供するということになれば、これは現行法の下で行ったとしても、我が国関係船舶のみならず外国の船にもこの情報は提供されることになるわけでありますから、この面を見れば、結果として国際貢献の役目も果たしているということになります。P3Cを多数保有する我が国として、その保有が限られた他国と比べてこの我が国の持つ能力をこういった国際貢献、結果としての国際貢献に生かすということは非常に重要な視点だろうと思います。本法が成立しました後も、これは堂々と外国船舶にも情報提供ができる法的根拠が整うわけでありますが、引き続き各国との国際連携の下に海域の安全確保に努めていただきたいと思います。  さてそこで、このP3Cの活動範囲考えるに当たって、ソマリアの領空を通過する必要が出た場合に、現在のソマリアの暫定政府、TFGと言われておりますが、このTFGの同意を得ることとなるのでしょうか。  まず、外務大臣にお伺いしたいと思います。
  234. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) このP3Cがその活動の中におきましてソマリアの領空を通過する必要がある場合には、これはソマリア暫定連邦政府、TFG、これの同意を得ることになります。  なお、このように同意を得る場合でも、このことが直ちにソマリア暫定連邦政府政府承認したと、そういうことを意味するものではございません。
  235. 山口那津男

    山口那津男君 政府承認をしていなくても、やはりこういった主体の同意を得る必要があるということでありましたが、それでは実際に、今アデン湾での被害に対する対処を行うわけでありますが、ここで各国の連携が強まったことからソマリアの東部海域での海賊事案が増えているという実態もあります。この東部海域にP3Cを飛ばして、場合によってはソマリアの領空を通過して、同意を得た上で通過をして、その東部海域の情報収集あるいは情報提供を行うようなこともお考えでしょうか、防衛大臣
  236. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 先ほども申し上げたように、我々、海域を基本としてこの警戒監視、情報収集を行うということでございますので、現時点においてアデン湾以外の海域で海賊対処のための活動を行う予定はなく、またソマリアの上空を通過するという予定もございません。  いずれにしろ、自衛隊による海賊対処の活動区域については、今後とも、海賊の発生状況等を考慮しつつ適切に判断してまいりたいというふうに思っております。
  237. 山口那津男

    山口那津男君 このP3Cの活動拠点としてジブチに、陸上で活動する隊員も含めた航空部隊の派遣というふうになるわけでありますが、これは統合運用、統合型の部隊と言われております。こうした統合運用型の部隊を海外に派遣するというのは初めてのケースになるだろうと思います。  これまで陸海空それぞれの出身の隊員を事実上混合して行っているという活動はあったとは思いますが、今回の統合運用というものは従来の派遣と比べてどのような特徴があり、どういう内容となるのでしょうか。
  238. 徳地秀士

    政府参考人(徳地秀士君) お答え申し上げます。  防衛省といたしましては、陸海空の自衛隊を一体的に運用いたしまして、自衛隊の任務を迅速かつ効果的に遂行するため統合運用を基本として、運用そのものにつきまして統合幕僚監部が大臣を補佐して、統合運用のための体制を強化しておるところであります。  従来の海外派遣の場合につきましては、先生指摘のとおり、部隊の管理業務等を含めまして、基本的には単一の自衛隊で部隊を編成をしておったところでありますけれども、今回、ジブチに派遣をいたしました航空部隊、これは部隊の管理業務などに海上自衛官のみならず陸上自衛官も充てることによりまして、それぞれの自衛隊が有する人的な資源を有効に利用をして部隊を編成をしておるところでありますし、それから、整備機材や人員の輸送につきまして、航空自衛隊の空輸隊が輸送を行うというようなことにもなっておるわけでございます。  今後とも、迅速、効果的な任務の遂行のために、今回の派遣の成果も踏まえまして、より効果的な統合運用の体制を目指してまいりたいと考えておるところであります。
  239. 山口那津男

    山口那津男君 いずれ、この統合部隊の運用結果については是非詳細な検証、評価を経た上で御報告いただきたいと思います。  さて、今後、この法律によって海賊対処を行おうとする場合に、今回のように沿岸国の統治能力がない、そのようなソマリアのような類型というのがあると思いますが、それ以外に海上自衛隊を派遣するような類型というものが想定されるのでしょうか。
  240. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) ソマリア沖・アデン湾の事例やマラッカ・シンガポール海峡の事例が示すように、一般的には沿岸国の海上保安能力が十分ではないことが海賊事案の多発につながるものと考えております。このような場合には、沿岸国のみならず、各種の国際的な連携や協力によって海賊行為を抑止し、公海における航行の安全を確保することが必要であると考えます。  根本的な問題解決には沿岸国自らの海上保安能力の向上が必要不可欠でありますが、短期的、応急的な対策として沿岸国以外の国が海賊対処のために艦船や航空機を派遣することが必要になることがあると考えます。  いずれにせよ、本案が施行された場合において具体的にどのような場合に自衛隊に海賊対処行動を命ずることとなるかについては、海賊の発生状況、その時々の具体的状況に応じて判断をさせていただきたいというふうに思っております。
  241. 山口那津男

    山口那津男君 金子大臣に伺いますが、今後、遠方海域で海賊対処が必要となる場合、これまでもいろいろ議論がなされましたが、海上保安庁の巡視船の能力を向上させるという方向性というのが一つ考えられると思います。また、今回のように自衛隊の能力を生かすという道も考えられると思います。  自衛隊の能力というのは現在保有するものを活用してなされると。新たにその海賊対処のために新しい装備を整えるということはしないでいるわけであります。ところが、今の海上保安庁の現状からすれば、海外、遠方海域での海賊対処を行おうとすれば新たな整備、お金と時間と人を投入した新たな整備というものが必要になっていくわけであります。こうした場合は、政府として、国として、今後いずれの方向性を選択するのが妥当なのかどうか、大臣として今どのような御認識をお持ちでしょうか。
  242. 金子一義

    国務大臣(金子一義君) この海賊対処法案に基づきまして、どの海域で、それから相手、海賊がどういう武器を持って行動しているかといったような現象、行動を見ながら判断していくということになると思います。  ただ一方で、マラッカ海峡といったようなところ、これは海上保安庁が既にコーストガード、沿岸警備隊と提携して、又は我が国が技術を提供してこういう沿岸警備との連携というのを能力を増加する、同時に連携を深めて共同作業をしている、こういうような地域についてはもとよりでありますけれども、周辺海域ではなくても海上保安庁が文字どおり第一義的に対応していきたいと思っております。  また、それに必要な装備というものも、午前中からずっと議論出てきておりますけれども、そういうことを考えたときに、今の装備で十分なのかということになれば必ずしも十分でないと思いますので、改めて中期計画全体の哨戒計画というものを整備の上、増強をしてまいりたいと思っております。  ただ、ジブチのような、やはり相手がロケットランチャーといったような武器を持っているということ、それから航続距離が非常に我が国が長いといったようなこと、我が国経済社会にとって非常に大事な地域でありますけれども、船舶でありますけれども、そこは今回のように海上保安庁で対応するのは難しいという判断をさせていただいたところであります。その考え方は基本的にも将来ともそういう考え方で、私は今そう思っております。
  243. 山口那津男

    山口那津男君 この政府、国としてどう判断すべきかということは様々な観点から今後議論が必要であり、またそこに国民の税金を投入して新たな体制を取ろうということであれば、やはり国民に対する説明と合意が必要であろうと私は考えております。  次に伺いますが、自衛隊を海外に派遣する場合、これまで特別措置法を作って行ったり、あるいはPKO協力法を作って行ったりしてまいりましたが、その場合に、他国の領域で活動をすることになるわけでありますから、その武器使用の相手方として国又は国に準ずる者が登場しない仕組みをつくることによって武力行使にわたらない、そういう歯止めをこれまで掛けてきたわけであります。  今回、ソマリアの海賊対処に当たってはもちろん、現状において国又は国に準ずる海賊がソマリアの領域内には存在しないという認識の下に行っているわけでありますが、この今回の法律が制度としてどのようにこの武力行使にわたらない、そういう制度的な仕組みをつくったか、この点について御説明をいただきたいと思いますし、これまでの工夫した制度とどこが違うのか、この点についても明快に御説明をいただきたいと思います。
  244. 大庭靖雄

    政府参考人(大庭靖雄君) 本法案は、公海等において国際法上認められた管轄権を行使して、私的目的によります法案二条に列挙いたしました各行為海賊行為という犯罪行為というふうに定めまして、これを処罰し、海賊行為への対処に必要な権限等を規定するというものでございまして、自衛隊による対処は海上警備行動と同様、警察活動であると、こういう性格のものとして整理されているという点をまず申し上げたいと思います。  また、この海賊対処法案におきましては、他国の領海内において行われる行為海賊行為定義からは除外しておりまして、したがいまして、自衛隊等による対処対象からは除外されております。  他方、先生指摘のこれまでの特別措置法やPKO協力法は我が国の管轄権が及ばない他国の領域における活動であるなど、様々な面で海賊行為への対処とはその前提を異にしているという点を申し上げたいと思います。
  245. 山口那津男

    山口那津男君 現行法の海上警備行動については国会報告など国会の関与を規定していないわけであります。  この自衛隊法の体系を考えたときに、三条の一項には「公共の秩序の維持に当たるものとする。」と、こういう規定がありまして、今回の考え方も言わば警察権の発動というこの公共の秩序、公海における海洋公共秩序の維持と、そういう体系的な認識に立っていると思われます。その自衛隊法で自衛隊が様々なこの公共の秩序の維持の範疇に当たる活動が規定されているわけでありますが、これは治安出動などの例外を除いてはほとんど国会の関与、国会報告でさえもほとんど規定がありません。これはやっぱり公共の秩序の維持の本質からくる考え方があるだろうと思うわけでありますが、この国会の関与の在り方を考えるに当たっては、そのシビリアンコントロールの本旨と、そしてまたこの法体系の整合性と、いずれをも様々な観点から考慮した上で考えるべきだろうと思っております。  そこで、金子大臣に、本法ではそういう警察権の行使という大前提がありながらも国会報告をあえて要するとしたわけでありますが、この全体観に立ってこの趣旨を御説明いただきたいと思います。
  246. 金子一義

    国務大臣(金子一義君) 山口委員指摘のとおり、自衛隊法三条の後段、公共の秩序の維持に当たるという行動として、言わば警察行動海賊行為は犯罪行為でありますから、これに対する警察行動という観点から海上警備行動と同様に事前承認、国会の事前承認に関する規定は設けませんでした。  ただ一方で、自衛隊がそれなりの長期に海外、外に出ていくということであります。ありますので、内閣総理大臣がその海賊対処行動を承認したときは、あるいは終了したときもそうでありますけれども、細目を、承認したときはどこにどういう部隊でどの期間というのを定めて総理大臣が承認し、閣議決定し、そして遅滞なく国会に報告をするということで国会への説明責任は十分に果たしていきたいという趣旨で構成されているところであります。
  247. 山口那津男

    山口那津男君 これは法体系が公海、つまり他国の領域ではないところでの活動であると、しかもそれは警察権という国内法秩序の延長という側面もあると。しかしながら、遠方海域で自衛隊が武装を持ったまま活動すると。そういうそれぞれの点を勘案しながら、特に、その武装した海上自衛隊が遠隔の地で活動するというところを配慮して国会報告というところを入れたものと私は理解をいたしております。その上で、この体系的な整合性ということをきちんと踏まえながら理解をしていくべきだろうと思っております。  さて、このソマリアは国内の秩序というものが安定的に確立されていないわけであります。これからアフリカ連合と言われるアフリカ諸国のPKO類似の活動というものが期待をされるわけでありますが、ここに上級幹部養成のための講師を派遣するということを最近我が国政府が行ったと言われております。この事実関係についてまず御説明いただきたいと思います。
  248. 知原信良

    政府参考人知原信良君) 我が国政府は、アフリカ連合、AUが国連とともにカイロのPKO訓練センターにおいて現在実施中のAUミッション上級幹部養成コースを支援しております。このコースは、将来のAU平和維持ミッションの幹部となるアフリカ諸国の軍人、文民を養成するものでございます。  我が国は、国連開発計画、UNDPを通じまして今回の研修の開催経費の一部を支援しております。また、AU、国連の要請にこたえまして、今回のコースの講師といたしまして、榊枝宗男陸将補それから長谷川祐弘法政大学教授の二名を派遣することといたしております。この両名は現在、カイロで本コースに参加して、講義及び机上演習を通じて、これまでの平和協力活動における知見を踏まえまして、受講生に対する指導、助言等を行っているところであります。
  249. 山口那津男

    山口那津男君 今後、PKOなど国際平和協力活動へ自衛隊の部隊を直接参加させるという実績をつくるということも必要でありますが、今回のように経験や知識、技術を持った指導者を派遣をして人材育成に貢献するという道もこれからもっともっと充実をさせていくべきではないかと思うわけでありますが、内閣官房として、この人材育成への貢献の在り方についてどのようにお考えでしょうか。
  250. 浅利秀樹

    政府参考人浅利秀樹君) お答えいたします。  ただいま御指摘のとおり、平和構築分野の現場で活躍できる要員や指導者の育成については、我が国世界の平和と発展のために責任ある役割を果たすために重要であると認識しております。  このため、政府としては、外務省の平和構築人材育成事業の拡充や内閣府の国際平和協力研究員制度を通じて、平和構築の幅広い分野において現場で活躍でき、また将来指導者となり得る人材の育成に努めているところでございます。また、防衛省においても、幹部自衛官の養成を中心としつつ、文民関係者も対象とする国際平和協力センター、これは仮称でございますが、このセンターの平成二十二年度の開館に向け、施設、体制を整備しているところでございます。さらに、このような各府省の事業を含め、政府一体としての取組を強化するため、内閣官房が主催する平和構築分野の人材育成に関する関係省庁連絡会議において、府省間の連携強化の方途を検討してきております。  政府といたしましては、今後とも取組に、強化していきたいと考えております。  以上です。
  251. 山口那津男

    山口那津男君 関係当局の連携の下に、政府全体としてこれを推進をしていっていただきたいと思うわけでありますが、内閣府のPKO事務局としてこの人材育成に関する事業を行っているかと思いますが、これについて具体的に御説明いただきたいと思います。
  252. 高田稔久

    政府参考人(高田稔久君) 内閣府におきましても、以前、官房長官主催の国際平和協力懇談会、これは明石元国連事務次長が座長を務められましたが、そこでの提言も踏まえまして、平成十七年度から国際平和協力研究員制度を発足をさせております。  これは、国際平和協力分野で一定の実務経験を有し、将来においても海外の国際平和協力分野の現場での活動を志す、そういう者を対象といたしまして最長二年の任期で採用をしているものでございます。具体的な活動といたしましては、調査研究に従事をしつつ、また国際平和協力本部事務局がPKO法に基づきます活動をする際に、例えば選挙監視活動ですとかそういうところへ参加するなどいたしまして、国際平和協力分野における人材育成を図っておるところでございます。  これまで、今五年目でございまして、延べ二十五名、八名在籍中でございますが、任期を終えた十七名のうち少なからぬ者が実際に国連あるいは国際機関の分野で活躍をしております。例えばアフリカでございますと、国連スーダン・ミッションの選挙担当官あるいは国連ソマリア政治ミッションでのDDRの担当官といったところで活躍をしております。  今後、更にそういう研究員、国内外での調査研究機関との交流を増やすとか、あるいは、先ほど内閣官房からお話のありました、他省庁、政府全体としての事業との連携を図るということで制度の充実に努めて効果的な活用を図ってまいりたいと思っております。
  253. 山口那津男

    山口那津男君 地雷除去活動をカンボジアで行っているCMACという政府機関があります。この機関を日本は長年支援をしてきたわけでありまして、相当な経験、実績、そして技術の蓄積を持つようになりました。こういった組織の能力を国際協力に生かす、例えばこのCMACが中東あるいはアフリカ等で地雷除去支援活動を行おうとする場合に日本の様々な角度からの支援をやるというような間接的な国際協力の在り方というものも模索されていいのではないかと思いますが、外務大臣、どのようにお考えでしょうか。
  254. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 地雷除去支援それから犠牲者支援などの地雷対策活動支援、これはカンボジアだけではなくてアフガニスタンとかスーダン等でも積極的に行っておりますけれども、今お話ありましたCMAC、これはカンボジア地雷対策センターでございますが、これの地雷対策活動に対しましては、我が国は一九九八年以降、約六十五億円の機材供与やそれから人材育成などの支援を実施をしてきております。私自身も五、六年前にCMACの地雷除去現場を訪問してまいりました。また、CMACの人たちとも意見交換をしてきているところでございます。  我が国は、こういうODAを実施するに当たりましては開発途上国の自助努力支援を重視をしておりまして、こういうような観点から、CMACが九二年に設立されて以降、その能力強化を支援してまいりましたけれども、その成果もありまして、現在ではカンボジアでの地雷除去活動の中心的な役割を果たすようになっております。  政府といたしましては、CMACが今後、今委員お話しされましたような他の紛争終結後の地域においてそういう経験とか能力を生かして地雷除去活動あるいは不発弾処理活動を行う場合には、現地のニーズ等も踏まえ、積極的に支援を検討していきたいと考えておりますが、私もカンボジア、タイの地雷原等行きましたけど、カンボジアだけでもまだ相当数あるので、他国、他地域まで果たして手が回るのか。実際、カンボジアにおいては、CMACはカンボジア国外での除去活動の実績はないわけでありまして、カンボジア王国軍が現在まで国連スーダン・ミッションに地雷除去分野、こういうところで要員を派遣をしております。しかし、そのようなニーズがあってCMACなどが出ていく場合にはまた支援等も検討することもしていきたいと考えております。  CMACに代表されるような、そういう機関の知見というものを他の紛争終結後の活動に生かすということはいいことだと思っておりますので、積極的に行っていきたいと思っています。
  255. 山口那津男

    山口那津男君 このCMACにおいても、日本製の対人地雷除去機を活用している現場の一つというふうになっているわけでありますが、日本製の対人地雷除去機は国内外での実証試験などを経て今国際機関の認証を順次得てきておりますが、現状ではどれぐらいの機種が国際機関の認証を受けるに至っているでしょうか、またその途上にあるでしょうか、現状を教えていただきたいと思います。
  256. 小田克起

    政府参考人(小田克起君) 我が国は、これまでアフガニスタン及びカンボジアにおきまして日本製の対人地雷除去機の実地支援のための支援を行ってきております。  アフガニスタンにおきましては、四機種の日本製対人地雷除去機が国連地雷対策サービス部UNMASの認証を得て活用をされております。また、カンボジアにおきましては、三機種の日本製対人地雷除去機がカンボジア政府のカンボジア地雷対策センターの認証を得て同センターの地雷除去活動に活用をされております。
  257. 山口那津男

    山口那津男君 これまで研究開発という段階であったわけでありますが、今そうやって複数の機種が認証されるに至っております。いよいよこれらを活用して、現場で活用して除去の実績を上げていくということが必要だろうと、そしてまた、その後の復興のプロセスにつなげていくということが重要だろうと思います。  このほどスリランカで反政府勢力が崩壊をして新たな復興段階に入ったとされておりますが、こういうところこそこの日本製の対人地雷除去機などの支援によって復興支援、安定化支援を行うべきではないかと思います。  かつてもここで地雷除去支援を政府として行ったことがありました。しかし、それは人力で除去をする、あるいは外国の日本製の除去機とは性能がはるかに劣るような機械を提供してやってきたと、そういう実績でありますが、今ようやく日本製の除去機が国際認証を得るに至っておりますので、これを生かしたこれからの除去支援、安定化支援を行うべきではないかと思いますが、いかがお考えでしょうか。
  258. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) スリランカは二十五年以上にわたる内戦が終結したわけでありますが、我が国は、これまでも草の根・人間の安全保障無償資金協力、それから日本のNGO連携無償資金協力などを通じましてスリランカの紛争影響地域の地雷除去支援を行ってきております。今年度も五月に地雷除去を実施する二つのNGOに対しまして総額一億四千万円の支援を行ったところでございます。  先ほど政府参考人が答弁いたしましたように、日本製の地雷除去機は、これはアフガニスタン、カンボジアにおいて非常に高い評価を得ております。カンボジアにおきましては、今年の一月に私も訪問いたしました際に日本製の地雷除去機三機の引渡式に私自身出席をしてまいりました。  スリランカにおきましても、現地のニーズなどを踏まえて、日本製の地雷除去機の検討も積極的に進めて、平和の定着の促進やあるいは社会経済開発を支援していきたいと、そういうふうに思っております。
  259. 山口那津男

    山口那津男君 この日本製地雷除去機の支援実績というものは、中米のニカラグアでありますとか大臣指摘のアフガニスタンやカンボジア等アジア地域、そしてまた、これは政府レベルではありませんけれども、アフリカのアンゴラ等でも活躍しているわけであります。  今後、例えば南米のコロンビアなどこれまでの対人地雷除去の実績の乏しかった地域日本製の対人地雷除去機などを使った支援も検討すべきであると思いますけれども、大臣はいかが御認識でしょうか。
  260. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 南米におきましては、対人地雷被害者が世界でも有数のコロンビアなどにおきまして対人地雷による被害が発生をしております。  このような状況を踏まえまして、我が国は、この南米最大の地雷被害国でありますコロンビアに対しまして、これまで対人地雷除去活動、それから対人地雷被害者の社会復帰支援などの分野において草の根・人間の安全保障無償資金協力などにより支援を行ってまいりました。  南米におきましても、現地のニーズなどを踏まえまして、日本製の地雷除去機の活用の検討も積極的に進めまして、この地域における対人地雷対策やそれから社会経済開発を支援していきたいと、そういうふうに考えているところでございます。
  261. 山口那津男

    山口那津男君 防衛大臣に伺います。  先ほど来も質問も出ておりますけれども、さきのシンガポールにおける国際会議で、主要な参加国が北朝鮮の核実験など北朝鮮の最近の動向について様々な認識を示していたと思いますが、大臣の実感を交えて、率直にお答えいただきたいと思います。
  262. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) スピーチにおいて、オーストラリア、米国そしてまた韓国及び英国から、地域の平和と安定に対する脅威であり、国際社会が一致して対応すべき旨の言及がありました。中国からも、今回の核実験について断固として反対する旨の発言もございました。  また、日米防衛相会談、そしてまた米国、オーストラリア、モンゴル及びシンガポールとの会談においても、私から、北朝鮮による核実験は北東アジアのみならず国際社会全体の平和と安定を著しく害するものとして断じて容認できない旨の我が国の立場を説明し、各国とともに連携協力を行っていくことで一致をしたということもございます。  その意味では大変理解をいただいているというふうに思いました。
  263. 山口那津男

    山口那津男君 そのような各国の理解の下に、これがこれからの国際合意そして現実行動に生かされるように、大臣としてリーダーシップを発揮していただきたいと思います。  さて、近日再び弾道ミサイル発射実験を行うのではないかという報道等があるわけでありますが、この北朝鮮のその弾道ミサイルの再発射に対する現時点での御認識について可能な限りお述べいただきたいと思います。
  264. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) いろいろと御指摘報道についても承知をしておりますけれども、各種の報道に対してコメントすることは事柄の性格上差し控えたいと思いますけれども、なお、これまでの状況等を総合的に勘案すると、北朝鮮が弾道ミサイルの発射などを行う可能性は否定できないものと考えております。  いずれにせよ、防衛省としては、北朝鮮に関する情報の収集、分析に努めるとともに、国民生活の安全、安心を確保する観点から、その対応に万全を期してまいりたいというふうに思っておるところであります。
  265. 山口那津男

    山口那津男君 最後に伺いますが、外務大臣に伺いますが、今国連安保理で新たな決議へ向けて日本がいろいろと対応しているわけでありますが、さきの北朝鮮の核実験の後にも短距離ミサイルを何度も発射をしたり、あるいは今防衛大臣指摘のような弾道ミサイル発射準備等に関する情報もあるわけでありまして、そういったその前回の核実験後の動向が今行われている国連決議へ向けての我が国対応に影響を与えるものなのかどうか、そして、その国連決議の見通しはどうなるのか、この点の御認識を伺いたいと思います。
  266. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 国連の安保理では現在この決議の要素案について関係国が非公式にずっと協議を行っているところでありますけれども、今ちょうど協議中でございますので具体的なその内容については触れることは控えさせていただきますけれども、我が国としては、できるだけ迅速に強い決議を出すことが必要だということで、米国や韓国などの関係国と緊密な連携を取って今主体的に協議に参画をしているところでございます。  国際社会が一致団結してこの追加制裁を含む決議を迅速に出すということが非常に北朝鮮に対する極めて重要なメッセージとなると考えておりますが、仮に再び北朝鮮が弾道ミサイルを発射した場合は、これはもう明確な安保理決議違反でございまして、国際社会として、当然のことでありますが、しっかりとした対応を取る必要があると、そういうふうに考えております。
  267. 山口那津男

    山口那津男君 終わります。  ありがとうございました。
  268. 井上哲士

    ○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。  昨日、共同通信が報じた核兵器持込みに関する密約の問題は極めて重大であります。まず、これについてお聞きいたします。  この報道は、核兵器を積んだ艦船や航空機が日本に立ち寄りをする場合は事前協議対象としないということを合意をした日米政府間の密約存在を四人の元外務事務次官経験者が認めたということであります。つまり、国是である非核原則が全く虚構であったということを、半世紀にわたって国会も国民も世界も欺いてきたということになるわけであります。  特に国会にとって言うならば、歴代の総理そして外務大臣は、こういう密約はないということを繰り返し公式に国会で答弁をしてきました。ところが、その答弁を当事者である事務次官の経験者四人が覆すと、そういう証言をしたわけでありますから、極めて重大であります。つまり、ずっと国会に虚偽答弁をさせてきたということなわけですね。  まず、中曽根大臣にお聞きいたしますけれども、この核持込みに対する密約については大臣には伝達をされているのかどうか、お聞きしたいと思います。
  269. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 政府は従来から申し上げておりますように、今御指摘のような密約存在しないということでございます。  この点につきましては、委員からも御発言ありましたように、歴代総理大臣そして外務大臣がこのような密約存在を明確に否定をしておるところでございます。  私自身に対しましても、ない、存在しないということでありますし、私自身にそのような報告はもちろんございません。
  270. 井上哲士

    ○井上哲士君 大臣には報告がないというお話でありますが、この問題で極めて私重大なことは、核兵器持込みという日本外交の根本問題でありながら、その秘密の存在歴代外務次官を中心とした外務官僚が管理をして、時の首相や総理にもこれを選別して知らせていたということであります。  証言をしております元事務次官の一人は、大きな問題なので役人サイドが密約内容を話していい首相とそうでない首相を選別をしていたと、こういうふうに言っているわけですね。これはもう日本の民主政治、とりわけ議院内閣制の私は根本を揺るがす問題だと思います。官僚が重大なこの問題を政治家には選別して伝えずにおいて、そしてずっと一貫してうその答弁書を作って歴代総理大臣外務大臣にうその答弁をさせてきたと、こういうことになるわけですね。  国際法局長にお聞きいたしますが、この密約の問題は中曽根大臣には伝達をされていないんですか。
  271. 鶴岡公二

    政府参考人鶴岡公二君) 先ほど大臣からも御答弁申し上げましたとおり、政府は従来から申し上げているとおり、御指摘のような密約存在しておりません。したがって、密約について中曽根外務大臣に御報告申し上げることもありませんし、できません。
  272. 井上哲士

    ○井上哲士君 ある次官の方は、この共同通信に答えて、国会で事実と違う答弁を続け、何か恥ずかしいなという思いがあったと言われております。今日はどんな思いで答弁をされているのか私分かりませんが、これは本当に重大な問題であります。  この問題は、日本政府は否定をしておりますけれども、アメリカ側は公文書公開法に基づいて秘密指定を九〇年代後半に解除しております。そして、私どもアメリカの国立公文書館でこの秘密文書を入手をしまして、二〇〇〇年の通常国会の党首討論のときに、当時の不破委員長が当時の小渕総理にこの問題をただしております。当時、小渕総理は否定をされました。そこで、私たちは、アメリカが公開をしたこの文書と同じものが日本外務省にあるはずだと、だから調査するべきだということを言いましたけれども、それも拒否をされました。  しかし、今回、この証言をした四人の元事務次官のうち三人の方が、密約文書が外務省に現に存在しているということをはっきり言われております。そのうち一人は、アメリカが公開した、すなわち私たちがかつて国会で示した秘密議事録と全く一言一句変わらないことが書かれていると、それがあるんだということを述べられているわけですね。ここまで言っているわけですから、私はこれをきちっと調査をして国会に明らかにしていただきたいと思います。  外務大臣、私はまさにこれは議院内閣制をも揺るがす問題だと思いますから、真相を明らかにしていただきたい。もし実際には伝達されているのであれば政治家の良心として明らかにしていただきたいし、伝達されていないというのであれば、こういうような情報操作がされてきたということでありますから、政治家としての威信を懸けて調査をして、この文書を国会に出していただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  273. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) もう委員が十分御承知のとおり、この米軍によります我が国への核の持込みというのは事前協議対象になっているわけでありまして、我が国政府に対しまして米国政府から事前協議の申入れというものがないわけですから、そういう意味からも、核持込みのそういう事前協議がない以上、核持込みについては我々としては全く疑いを有しておりません。  従来から申し上げておりますとおり、繰り返しになりますけれども、御指摘のような密約存在しないわけでありまして、この点につきましては、先ほど小渕総理のお名前を挙げられましたけれども、歴代総理大臣及び外務大臣がこのような密約存在を明確に否定しているわけでありますし、私といたしましても、これは改めてそのような事実関係を確認するということは考えておりません。
  274. 井上哲士

    ○井上哲士君 核兵器の配備ではなくて、つまり持込み、いわゆる立ち寄りとか寄港とか、こういうものについては事前協議対象にしないという密約なんですよ。ですから、これまで事前協議がないから持ち込まれていないというのは全く言い訳にならないことなんですね。逆に言いますと、これだけいろんな核艦船が、核兵器搭載可能艦船が日本に寄港しながら、一回一回外していたんだろうかという国民の疑問にむしろこの密約は答える中身になっているわけであります。  だからこそ、もう一回聞きますけれども、現にこれを、この文書を歴代事務次官が管理していると、ここまで言っているんです。四人の方が言っているんですから、私はその事実を是非確かめて、調査をして出していただきたいと思いますけれども、改めていかがでしょうか。
  275. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 報道を基にお話しされているのかよく分かりませんが、どなたがどういう根拠でお話しされているか分かりませんが、政府はもう従来から申し上げているとおりであります。  そういうことで、私といたしましてはこの事実関係を確認することは現在考えておりません。
  276. 井上哲士

    ○井上哲士君 まさに非核原則という日本の国是にかかわる問題でありまして、この問題での真相究明というのは、私は国会に課せられた重大な責務だと思います。半世紀にわたってこういう密約はないと国民にうそを言い続けてきたということでありますから、極めて重大であります。外務大臣から文書を出すというお話がない以上、国会、委員会として真相究明をする必要があると思います。  二つ提案をしたいんですけれども、一つは、この歴代事務次官が管理をしている、保管をしてきたとされる秘密文書の提出を国政調査権の発動として本委員会に出すように御協議いただきたいというのが一点。  それからもう一点は、この四人の元次官を始め歴代外務次官を国会に来ていただいて真相究明することが必要だと思います。これまで国会でずっと虚偽答弁を続けてきたわけでありますから、うそをつけない、議院証言法が、虚偽の証言が問題になる証人喚問として行うことが必要だと思います。  委員長、以上、この機密文書を委員会に提出すること、それから歴代事務次官の証人喚問について理事会で協議いただきたいと思います。
  277. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) ただいまの委員からの御提言につきましては、後刻理事会で協議をさせていただきます。
  278. 井上哲士

    ○井上哲士君 それでは、法案質問に入ります。  今回、この海賊対処行動というものが法案にあるわけでありますが、憲法九条を持つ国としてどういう在り方がふさわしいのかと、こういうことが私は真剣に議論をされるべきだと思います。  で、海賊対策に関する与党のプロジェクトチームの座長である中谷衆議院議員が衆議院の特別委員会質問でこういうふうに言っております。自国民や自国船を守ることの必要性を強調した上で、政府には限界、足かせがあると、それは憲法でございますと、こういうふうに言われておりますが、まず政府にお聞きしますが、国民を守る上で憲法は足かせだと、こういう認識でしょうか。  国土交通大臣、お願いします。
  279. 金子一義

    国務大臣(金子一義君) 中谷議員がどういう発言をされたのか、ちょっと私記憶ないんでありますけれども。そもそも、今海賊対処法案、我々担当しておりますが、これは国内法上の犯罪行為と規定されました海賊行為を行った者に対しまして、我が国の管轄権に基づいて、所定の法令の範囲内で武器を使用を海上保安庁あるいは自衛隊に認めるということでありますので、憲法九条が定めます武力の行使には全く当たりません。足かせという議論というのは、余り今度のこの海賊対処法案では議論はされてないんではないかと思います。
  280. 井上哲士

    ○井上哲士君 これは一議員が言われたんじゃなくて、与党のまさにプロジェクトチームの座長が、しかも衆議院での質疑の一番冒頭でこのことを言われております。私は、本当に九条を持つ国としてふさわしいこのソマリアの海賊対処の在り方がどのようなものなのかということが、本当に真剣に検討されたんだろうかと疑わざるを得ないんですね。  さらに、中谷氏はこういうふうに言われております。軍を出す、最高のレベルにあるものを出すということは非常に大きなことであり、抑止力やプレゼンスという言葉もあるけれども、国家としてこれだけの対応をするということは各国にも伝わり、海賊も重く受け止めると。やはり、軍隊を出すということは非常に意味があると述べた上で、自衛隊の派遣は私が申し上げた大変大きな大きな意味があると、こういうふうに言われております。  ここには、その海賊対策というのは警察活動であって、第一義的には海上保安庁だけれども、それが困難だから自衛隊を出すという政府説明とは全く違う発想があるわけですね。つまり、軍を出すこと自身が大きなことであって、自衛隊を出すこと自体が意味があるんだと、こういうお話であります。私は与党のプロジェクトチームの責任者の発言として大変重いと思いますけれども、まさに、実際は最初に自衛隊の派遣ありきということではないんでしょうか、いかがでしょうか。
  281. 金子一義

    国務大臣(金子一義君) 第一義的に海上保安庁が海上の安全航行、船の、船舶の安全に携わるのは第一義的にはもう海上保安庁であると、そのことは中谷議員もよく承知のことだと思っております。現実に、今回の海賊対処行動に当たりましても、第一義的には海上保安庁であるけれども、このソマリアという遠方であること、それから海賊がロケットランチャーという重火器を使っているということ、海上保安庁が今の現有船舶では対応できる能力がないということ、これを考えて海警行動を取っていただくということを今回進めさせていただいているところでありまして、決して自衛隊派遣ありきということを我々としては考えておりません。
  282. 井上哲士

    ○井上哲士君 繰り返し言いますが、今回のやっぱり法案作りの中で、与党のプロジェクトチームの議論というのは大変大きな意味があったと思うんですね。その座長の発言として私は大変重いと思うんですが、浜田防衛大臣にも同じことをお聞きをしたいと思います。  この中谷氏は、国家のメッセージとして、やっぱり自衛隊を出すことをこういう言い方もしているわけですね。やはり、ここにはまず自衛隊先にありきという考えが私はあると思いますけれども、大臣はいかがでしょうか。
  283. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 質問の中で中谷先生がそういうふうに御質問になったという発言ということでありますので、我々とすると、そのことよりも我々がどういった形で法案を出したかというのが問題でありますので、我々とすると、あくまでも海保が対応できないものを我々がそれを担保して出ていくということでありますので、おのずと、最初から我々が出ていくということではなくて、必ずその議論で、与党のPTの中の議論でも同じようにいろいろな意見があって、その中で集約されてきた法案がこの法案だということでありますので、座長の発言が、座長自身の思い入れもあろうかと思いますので、我々とすれば、できた法案を見ればきちっとした形ででき上がっているものと思っておるところでございます。
  284. 井上哲士

    ○井上哲士君 じゃ、法案がどうなのかということをお聞きしたいと思うんですが、この中谷氏の発言の中で、抑止力、プレゼンスという言い方で軍の派遣、自衛隊の派遣ということを述べられていることも私は非常に重大だと思うんですね。こういう考え方とこの海賊対処活動が結び付いたら、例えばソマリア沖での海賊活動が鎮静化をしても自衛隊を引き揚げたらまた発生するかもしれないと、こういうことを言って、今後の抑止力だということで引き続き言わば居座るということにもつながっていくわけですね。  どういう事態になればソマリア沖での海賊対処活動は終了するということになるんでしょうか。
  285. 金子一義

    国務大臣(金子一義君) 具体的に起こっている海賊の活動、これが鎮静化すれば終了すると。それが少し長期間にわたるとしても、防衛大臣のところで要項、細目を作ります。その期間を定めた範囲内においてまた国会で報告し御議論をいただくということでありますので、今おっしゃったような御懸念は当たらないと思っております。  結論は、どの段階で終了するのか、我が国、国民経済にとって大変大事な重要な危機が収まったと、これが終了の時期であります。
  286. 井上哲士

    ○井上哲士君 現在、安保理決議が出ているわけでありますが、例えば終息宣言のようなものが発出されるのかどうか、こういう新たな安保理決議というものはこの終息にはどういう関係をしてくるんでしょうか。
  287. 金子一義

    国務大臣(金子一義君) 今度の海賊対処法案というのは国連海洋法条約に我々基づいて作り上げております。国連安保理決議というのは参考にさせていただいておりますけれども、安保理決議でそういうものが出てくれば、それはそれなりに参考にさせていただくことになると思います。
  288. 井上哲士

    ○井上哲士君 じゃ、確認しますけれども、いわゆる抑止力というような考え方でこの地域での活動が鎮静化をしても居残ることはないと、こういうことだと思うんですが、御答弁は。そのことがどう法案の中に担保されているんでしょうか。    〔委員長退席、理事浅尾慶一郎君着席〕
  289. 加納時男

    ○副大臣(加納時男君) この海賊対処行動はいつ終わるかということに関連する御質問だと思っておりますけれども、国会関与との関係で申し上げますと、この法案におきましては、海賊対処行動について内閣総理大臣が承認したときは、必要性だとか期間などを含めた対処要項ということを国会に決めたときは報告するわけでありますけれども、同じようにして海賊対処行動が終了したときはその結果を報告することにしております。このことによって国会関与ということを法制上、法律上、条文上担保したということでございます。
  290. 井上哲士

    ○井上哲士君 それは終了をしたということになれば報告になるんでしょうが、まだ必要だと、抑止力のためにプレゼンスを確保することが必要だという判断をすれば報告もされないわけでありますから、それは担保にならないんじゃないでしょうか。
  291. 大庭靖雄

    政府参考人(大庭靖雄君) 本件に関しましては法案第七条の規定しているところでございますが、まず海賊対処行動を命ずる際には、防衛大臣は、あらかじめ関係行政機関の長と協議をして、海賊対処行動の期間などを含む対処要項を定めて、これを内閣総理大臣に通知をし、その承認を得なければならないということにされております。また、内閣総理大臣海賊対処行動の承認を行ったときは遅滞なく国会に報告すべきこととされております。  このように海賊対処行動は期間を定めて命じるということになりますので、その期間が経過するとき又はそのときまでに終結をするというのが第一点。また、期間が経過してもなお引き続き海賊対処行動を継続する必要がある場合には、防衛大臣は、必要な期間などを定めた対処要項を改めて作成した上で、総理の承認を得て海賊対処行動を命じることになるわけでございまして、その場合に、総理は、また改めて国会に対して承認をした旨、また、その期間などの内容を国会に遅滞なく報告することになるわけでございます。  このように、海賊対処行動の終期に関しましては国会に対して適切に報告されるものでございますし、また、副大臣の御答弁ございましたように、海賊対処行動が終了したときには総理は遅滞なくその結果を国会に報告するということにされているものでございます。
  292. 井上哲士

    ○井上哲士君 どうも私の問いには答えていただいていないと思うんですが。つまり、抑止力とか自衛隊が行くこと自身のプレゼンスが必要なんだと。こういうことがいろんな議論と結び付くと、大変私は危険だと思うんですね。  先ほどの中谷氏の質問を更に使いますと、自国の船舶の安全を期するのは国の当然の責務だと、こういうふうに言われます。これが限りなくつながりますと、つまり、世界中どこだって海賊活動の抑止のためだと、あそこで起こるかもしれないということで出してプレゼンスを確保するということすら可能になるんではないかと。  ですから、法案に、例えば現実海賊被害が出ていなければ出すことができないとか、こういう状況になったらもう引き揚げなくちゃいけないとか、こういうことが具体的担保としてあるのですかということを聞いているんです。
  293. 加納時男

    ○副大臣(加納時男君) これは非常に明確に書いてありまして、法案の第七条でございますけれども、「防衛大臣は、」、勝手に出せるんじゃありません、「海賊行為対処するため特別の必要がある場合には、」、という、特別の必要がなければ出せません。これが一つ。それから、「内閣総理大臣の承認を得て、」、総理大臣が勝手に承認、勝手といいますか、内閣総理大臣のところへ行って出しましょうねというわけにはいかない。これ、必ず関係行政機関の長と協議して対処要項を出さなきゃいけませんので。  ともかく、内閣総理大臣に提出しなければ、承認を得なければいけないということ、特別な必要があるということ、それが客観的な担保、こういったもので担保しておりますので、勝手に防衛大臣がどこでも出せるというものではないということで、歯止めをしっかり掛けたつもりでございます。
  294. 井上哲士

    ○井上哲士君 国会の多数である与党のプロジェクトチームの座長が、抑止力、プレゼンスと、こういう言い方、そして自衛隊部門を出すこと自身が必要なんだということを私は言われておりますからこのことを言っておるわけでありますけれども、今のお話では、結局政府の判断ということになるわけでありまして、法律上の担保については私は納得ができませんが、時間ですので終わります。
  295. 山内徳信

    ○山内徳信君 私も、核持込み密約について最初に質問をして、時間が残っておればP3Cの質問に入りたいと思います。  沖縄返還のときの密約、そして佐藤総理は沖縄県民に対して、沖縄の返還は核抜き本土並み返還とおっしゃって沖縄県民を喜ばせておりました。  そして、今日は、ここで私も井上議員と質問はほぼ一致いたしますが、これから順次進めてまいります。北米局長にあらかじめお伺いいたします。  中曽根現外務大臣を尊敬し、信頼しておりますか、お伺いいたします。(発言する者あり)笑い事じゃないですよ、これは。
  296. 梅本和義

    政府参考人梅本和義君) 私、中曽根大臣の下で仕事をさせていただいていることを大変光栄に思っております。私の尊敬する大臣でございます。
  297. 山内徳信

    ○山内徳信君 次に、国際法局長に同じ質問をいたします。
  298. 鶴岡公二

    政府参考人鶴岡公二君) 私も同様でございます。
  299. 山内徳信

    ○山内徳信君 分かりました。  そこで、お二人にお伺いいたしますが、我が身を滅ぼして浮かぶ瀬もあるという言葉もあります。お二人とも日本の外交の中枢に座っていて、上司に当たる外務大臣に泥をかぶせる考えなのか。こんな腐れ切った官僚だと日本の真実は表に出てこないんです。そのことを最初に私は指摘をしておきたいと思います。    〔理事浅尾慶一郎君退席、委員長着席〕  そこで、次にお二人に質問いたします。  お手元にも資料の配付したこのペーパーは、新聞資料は届いておると思います。これは共同通信の配信に基づいて、一か所は沖縄タイムス、一か所、裏の方は琉球新報の記事でございます。  この資料によりますと、一九六二年九月の、当時の外務大臣の大平正芳外務大臣とライシャワー駐日大使の会見の写真が出ております。こういうふうな写真も出て、そして、ライシャワー大使がその後、一九六三年の四月に外務大臣と会談をしております。この会談のときに、核を積んだ艦船とか航空機の立ち寄りについては核持込みではないという解釈の確認をライシャワー大使がやって、大平外務大臣はそのとき密約存在を知りまして、了承をしたというのが歴史の真実でございます。  そこで、お二人に質問いたしますが、これから申し上げる外務次官経験者四名の証言がこの資料に出ております。目を通していらっしゃると思いますが、この外務省の事務次官経験者は、この証言はうそであるのかまことなのか、答弁お願いします。
  300. 梅本和義

    政府参考人梅本和義君) これは、先ほど来大臣からも御答弁がございましたように、政府が従来から申し上げているとおり、いわゆる密約というものはございません。この点につきましては、歴代総理大臣及び外務大臣がそのような密約存在を明確に否定しているということでございます。
  301. 鶴岡公二

    政府参考人鶴岡公二君) 北米局長の答弁に同じでございます。
  302. 山内徳信

    ○山内徳信君 現在の北米局長と国際局長は、密約存在しないということを外交防衛委員会を通して国民に発表いたしました。このことは歴史の真実ではありませんから、これは国家犯罪であります、こういう発言は。真実を表に出すというのがやはり当たり前であって、真実があって初めて相手の国も動かせる、外交はやはり駆け引きだけじゃいかぬと思いますよ。日本の真実を国民にも外国にも訴えていく、そうでなければいけません。  私は、少しこの資料から重要な部分だけ書き抜いてありますが、今のお二人の答弁からすると、あなた方の先輩に当たる外務事務次官経験者はうそをついておるということになります。ところが、この四名の方の証言が真実とすると、あなた方はこの公の場でうそをついたと、うそつきは泥棒の始まりという言葉もあるんです。こういう最高の議決機関、国家の最高のこの場で平然と何年間もうそをつくと、こういうことがあってはいけない。  謝って、事実はありましたと言うのが当たり前であって、現職退いたこのあなた方の先輩は、一人はこう言っておるんです。米軍艦船や米軍機に積まれた核は事前協議対象にならないということは六〇年、一九六〇年から日米間で了解されている、こう言っているんです。だから、次の人は、日本政府は国民にうそをついてきたと、ここら辺で、もううそでしたと言ってくれないと、中曽根外務大臣にこれ以上泥をかぶせるようなことをやるな、国民のためにやるなと僕は言っているんです。もう一人の方は、日本側文書が外務省にある、断言していますよ。米側の秘密議事録と全く一言一句変わらないことが書かれている。もう一人の方は、外務省日米安全保障条約を担当している者は皆知っていると。だからお二人に最初に答弁してもらったんです。そして、小渕恵三外務大臣橋本龍太郎氏にも外務省から伝えていると。そして、最後の方は、国会で事実と違う答弁を続けて何か恥ずかしい思いがあったと。恥ずかしい思いは今の皆さん方にもあると思うんです。  それをひた隠しに、そしてアメリカではちゃんとその保存期限が切れてもう表に出ておるわけですよ。アメリカではそれがあったということが事実として国民にも知らされて、沖縄からも国立公文書館に調べに行った人もおるんですよ。そういう事実があるのに、日本政府外務省はひた隠しに、ありません、ありません。ここにおるのは、この外交防衛委員会のこの場、ここに座っておるのはどういう人が座っているのか。国民に代わって選ばれた人が審議をしておるんです。今の海賊対処法を真剣に審議しておるその場での質疑のやり取りなんです。主権在民でしょう。国民主権でしょう。官僚主権か、日本政治は。違うでしょう。そういうふうに私は怒りを今感じておるんです。  したがいまして、時間がなくなったら困りますから、私も国政調査権を発動して、その存在をここに明らかにすること、それを外務大臣に要求いたします。
  303. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 先ほどから御答弁申し上げておりますけれども、政府は従来から申し上げておりますとおり、委員が御指摘のような密約存在しておりません。この点につきましては歴代総理大臣及び外務大臣がこのような密約存在を明確に否定をしておりますし、したがいまして、このようなことにつきまして改めて関係者に事実関係を確認するということは考えておりません。
  304. 山内徳信

    ○山内徳信君 委員長、私も国政調査権を発動して、委員会の名においてそのことを要求する。それがかなわないというならば、四名の外務事務次官経験者をこの場に、証人でも、あるいは、まあ証人ですね、発言にやはり責任を負ってもらう証人としてこの場においでいただく、そしてこの場でやはり国民のために真実を語ってもらう以外にないと思っております。  よろしゅうございますか。
  305. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 御提言ですか。
  306. 山内徳信

    ○山内徳信君 はい、要求。
  307. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) ただいまの山内委員からの御発言については、後刻理事会で協議をいたします。
  308. 山内徳信

    ○山内徳信君 ありがとうございます。  この文書は、事務次官、政権が替わったり、あるいは内閣が替わったり、あるいは外務大臣が替わったりしますと、この秘密確認書たるものは次官の引継ぎ事項になったというふうに言われておるんです。  くどいようですが、北米局長国際法局長に、そういうことになっていたかどうかをお伺いいたします。
  309. 梅本和義

    政府参考人梅本和義君) 繰り返しで恐縮でございますけれども、御指摘のような密約存在しないわけでございます。このことについては歴代の総理、外務大臣も御答弁をされて明確に否定をされているわけでございますので、ない密約についての引継ぎというようなものも私ども承知しておりません。
  310. 鶴岡公二

    政府参考人鶴岡公二君) 私も同様でございます。
  311. 山内徳信

    ○山内徳信君 これは外交防衛委員会を侮辱しておるような発言じゃないですか、答弁じゃないですか。  これを調べようと思ったら、アメリカに渡れば、外務省が行ってないというならば、アメリカへ行ってその原文か横文字をもらってきたらいいじゃないですか。そして、ありましたという報告をするかね。あるいは、あなた方の金庫の中にもう深く隠してしまって、カビが生えておるんじゃないですか。そういう、日本の外交史上で、外交史上でこれほど国民に何十年にわたって、あるのにありません、ありませんと。  そして、あなた方が言ってきたのは、沖縄返還の密約だって、ちゃんとアメリカ政府がお金を出した形にしておいて、そのお金は日本政府がアメリカに密約で回したじゃない。そんなの平気でやるじゃない。冗談じゃない。  橋本元総理と小渕元総理には、やはり外務省が信用していたと、こう言うんですね。外務省は、自分たちが信用していた政治家には密約内容を知らせていたと。だから、私は、今の中曽根外務大臣にはそのことを知らせたのかと言ったら、あなた方は尊敬して信頼しておりますと。尊敬して信頼しておるならば、どうして小渕外務大臣と同じように今の中曽根外務大臣になぜ報告しないんだ。それは、あなた方は報告したが外務大臣が伏せておるの、どっちなの。答弁してください。
  312. 梅本和義

    政府参考人梅本和義君) まず、そのような密約存在するという前提でそれについて報告をしているかどうかということが信頼しているかどうかという御質問でございますが、そもそもそのような密約存在しておりません。  したがって、私ども、大臣を大変尊敬し信頼申し上げておりますけれども、そのようなものを大臣に報告するというようなことはないわけでございます。
  313. 鶴岡公二

    政府参考人鶴岡公二君) 私も同様でございます。
  314. 山内徳信

    ○山内徳信君 ならば、アメリカにある秘密議事録というのはアメリカが勝手に作ったものでしょうかね。北米局長、答えてください。
  315. 梅本和義

    政府参考人梅本和義君) これも以前に何回か国会でも御審議をいただいておりますけれども、その際に、政府としては、アメリカの文書については特段コメントする立場にはないということでございます。
  316. 山内徳信

    ○山内徳信君 私はやはり、もう外務省は、今日のこの審議に向けても、委員会に向けても、あしたはこういう対応をしようと、絶対口は割らぬでおこうと、そういう話合いをやったんですか、中曽根外務大臣
  317. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) あしたはこういう答弁をしようということでこの件に関して打合せを、打合せといいますか、そういうようなことはやっておりません。委員の御質問に対して私たちの見解を淡々と述べさせていただいているところです。
  318. 山内徳信

    ○山内徳信君 私は、この国の政治の最終決定をするのはやはり国会議員であり、あるいは政治家だと思っているんです。そういうやはり民主的な政治日本にあって、アメリカとのこの関係、核問題をめぐって、やはりずっと伏せ続けておると。そして、岸信介総理大臣から政権が池田勇人に移っていったでしょう。私は印象深く池田内閣のあの政策を見ていましたよ、まだ若い、二十代でしたがね。所得倍増とか。そして、池田勇人内閣の国会答弁が出て、やはり航空機とか船舶が入ってくる、それに積まれておるのは事前協議対象になるという、そういう立場に池田勇人総理は立ったわけですよ。  したがいまして、そういう動きをアメリカ側は大変気にしまして、一九六三年の四月に、この写真は六二年の写真です。六三年の四月にライシャワー大使が大平外務大臣を訪ねて会談をして、そして密約存在を大平外務大臣は知って、そして了承したと、事前協議対象にしないという了承をしたという話なんですよ。  外務大臣、本当に外務省の金庫を捜して、なければ、本当に国家のどこかに、官邸かどこかになければ、私は声を大にして今質問をしてきましたから、謙虚に素直に謝ります。謝ります。もし外務省にあったと、そして四名の先輩が証言しておるような事実が存在していたというときには、外務大臣はどういう責任を取られますか。
  319. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 仮定の御質問にはお答えいたしかねます。文書はないということでございますし、それを、ないものはないということでありますから、責任も何も、先ほどから申し上げておるとおりで、歴代の総理も外務大臣もそういうように明確にその存在を否定しているわけでございます。
  320. 山内徳信

    ○山内徳信君 私は、これほど大きな問題を、平和憲法があって、そして日本非核原則があって、今日まで六十四年間も他国と戦争もしないで平和のうちに暮らしてこれたわけですよ。そういう意味で、この核問題の密約存在についてはやはり明らかにしておく必要がありますよ。そういう意味で、私は、私が間違っていたならば、謙虚に国民に対しても外務省政府に対しても間違っていましたと謝ります。  そして、最後にいたしますが、北米局長国際法局長は、もしあんた方の金庫にあった場合にはどうなさいますか。仮定の話とおっしゃったらいけませんよ、仮定の話と言ったら。あんた方のこの先輩の四名はうそつきなのか。事務次官もやった経験者、うそつきなのか、これは。違うだろうが。この人々もあんた方尊敬していた先輩でしょう、あんた方を鍛えた先輩でしょう。人間らしい答弁やれよ。
  321. 梅本和義

    政府参考人梅本和義君) 私、北米局長になりまして、私の部屋の書類は隅から隅まで全部見たわけではございませんけれども、そういう書類は見たことがないということでございますので、私の部屋には存在しているというふうには考えておりません。したがって、そういう意味で、先ほど来御答弁申し上げておりますけれども、そもそもそのような密約はないということでございます。
  322. 鶴岡公二

    政府参考人鶴岡公二君) 私の執務室にもかぎの掛かる書類棚がいろいろございます。多々文書が入っておりますが、ただいままでいろいろ御指摘になられましたような密約に相当するものを私は見たことがございませんし、そのような引継ぎを受けたこともございません。
  323. 山内徳信

    ○山内徳信君 これで最後にいたしますが、政府は、例えば厚労省の年金問題だって資料がないないと言って開き直っていたが、改めて調べたら続々出てきたじゃない、五千万件とか。これは厚労省の話なんです。したがって、外務省にもそれだけ多くの資料とか文書ありますから、改めて金庫とか重要書類入れるところ、それはちゃんとありますよ、ありますよ。そして、大平外務大臣の時代のこの六二年とか六三年の会見の記録だって出てくるじゃないよ。そういうところを捜して、あったならば改めてこの場で報告をしてほしいと思います。  以上で終わります。
  324. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時二十三分散会