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2009-04-21 第171回国会 参議院 外交防衛委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十一年四月二十一日(火曜日)    午前十時一分開会     ─────────────    委員の異動  四月十六日     辞任         補欠選任         岸  信夫君     島尻安伊子君  四月十七日     辞任         補欠選任         山口那津男君     木庭健太郎君  四月二十一日     辞任         補欠選任         藤田 幸久君     水戸 将史君      島尻安伊子君     岸  信夫君      木庭健太郎君     山口那津男君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         榛葉賀津也君     理 事                 浅尾慶一郎君                 一川 保夫君                 白  眞勲君                 浅野 勝人君                 木村  仁君     委 員                 石井  一君                 犬塚 直史君                 風間 直樹君                 谷岡 郁子君                 広中和歌子君                 藤田 幸久君                 水戸 将史君                 岸  信夫君                 小池 正勝君                 佐藤 正久君                 橋本 聖子君                 山本 一太君                 浜田 昌良君                 山口那津男君                 井上 哲士君                 山内 徳信君    国務大臣        外務大臣     中曽根弘文君        防衛大臣     浜田 靖一君    副大臣        外務大臣    橋本 聖子君        財務大臣    石田 真敏君        防衛大臣    北村 誠吾君    大臣政務官        法務大臣政務官  早川 忠孝君        農林水産大臣政        務官       野村 哲郎君        防衛大臣政務官  岸  信夫君    事務局側        常任委員会専門        員        堀田 光明君    政府参考人        内閣官房内閣参        事官       山本 条太君        内閣府政策統括        官        原田 正司君        警察庁警備局長  池田 克彦君        外務大臣官房長  河相 周夫君        外務大臣官房審        議官       北野  充君        外務大臣官房参        事官       石井 正文君        外務大臣官房参        事官       小原 雅博君        外務大臣官房参        事官       兼原 信克君        外務省北米局長  梅本 和義君        外務省国際法局        長        鶴岡 公二君        財務大臣官房審        議官       原  雅彦君        財務大臣官房審        議官       永長 正士君        水産庁増殖推進        部長       成子 隆英君        経済産業省貿易        経済協力局貿易        管理部長     上田 英志君        防衛省防衛参事        官        岩井 良行君        防衛省防衛政策        局長       高見澤將林君        防衛省運用企画        局長       徳地 秀士君        防衛省人事教育        局長       渡部  厚君        防衛省経理装備        局長       長岡 憲宗君        防衛省地方協力        局長       井上 源三君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○第三海兵機動展開部隊要員及びその家族の沖  縄からグアムへの移転実施に関する日本国政  府とアメリカ合衆国政府との間の協定締結に  ついて承認を求めるの件(内閣提出、衆議院送  付)     ─────────────
  2. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りをいたします。  第三海兵機動展開部隊要員及びその家族沖縄からグアムへの移転実施に関する日本国政府アメリカ合衆国政府との間の協定締結について承認を求めるの件の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣官房内閣参事官本条太君外十九名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 第三海兵機動展開部隊要員及びその家族沖縄からグアムへの移転実施に関する日本国政府アメリカ合衆国政府との間の協定締結について承認を求めるの件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  5. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 まず、このグアム協定の前に、北朝鮮が六者協議を離脱したことについてどういうふうに考えているか、外務省に伺いたいと思います。
  6. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 北朝鮮外務省は、国連の安保理におきまして議長声明が発出されましたことを受けまして、北朝鮮は六者会合に参加をしない、そしてまた使用済燃料棒を再処理するといった立場表明したと、そういうふうに承知をいたしておりますが、国際社会の声は安保理議長声明表明をされておりますとおり、明記されておりますとおりでありまして、北朝鮮がこの議長声明を重く受け止めて、そして六者会合に復帰をし、また安保理決議の一七一八号を完全履行することを求めたいと、そういうふうに考えます。  政府といたしましては、引き続いて米国を始めといたします関係国と緊密に連携を取りながら六者会合プロセスの前進のために取り組んでいく、そういう考えでございます。
  7. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 端的にお答えいただければ結構なんですが、北朝鮮との間には平成十四年九月十七日の日朝平壌宣言というものがございます。その中には、「双方は、国際法を遵守し、互いの安全を脅かす行動をとらないことを確認した。」ということとか、最後のところ、「朝鮮民主主義人民共和国側は、この宣言の精神に従い、ミサイル発射のモラトリアムを二〇〇三年以降も更に延長していく意向を表明した。」というのが日朝平壌宣言の中で定められている文言でありまして、これは明らかに日朝平壌宣言に今回のミサイル発射は反するということでありますが、何回か、度々北朝鮮日朝平壌宣言に反する行為を取っていると。安保理決議に反する行動も当然国際法を遵守するという観点からは日朝平壌宣言に反するわけでありますが、相手側、つまり北朝鮮日朝平壌宣言に反する行動を取っていることをかんがみますと、現在も日朝平壌宣言を有効だと我が国政府として考えているかどうか、端的にお答えいただきたいと思います。
  8. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 今委員がおっしゃいましたように、この平壌宣言につきましては、今回のミサイル発射は私どもとしてはもう違反すると、そういう考えでございますが、同時に、この宣言は、核とかそれから拉致とかミサイルとか、これをもう包括的に解決をして、そして、いつも申し上げておりますけど、不幸な過去を清算して、そして国交正常化を図ると、これが北東アジア地域の平和と安定にとって大事だと、そういう基本原則に立って署名をした非常に政治的に重みのある文書であると考えておりますので、私どもとしては、この日朝平壌宣言を全体として履行していくということが、北朝鮮との間のいろんな問題を解決をして、そしてこの関係を前進させる上で最も効果的なやり方であると考えておりますので、引き続いて北朝鮮がこの宣言を誠実に実施するように求めてまいるところでございます。
  9. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 今の中曽根外務大臣の御答弁ですと、日朝平壌宣言には違反しているけれども日本側から日朝平壌宣言を破棄することはしないというふうに聞こえますが、そういうことですか。
  10. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 政府としてこの日朝平壌宣言を破棄する考えはございませんし、また北朝鮮側も、これを破棄すると、そういうような立場我が国に対して表明したことはございません。
  11. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 二国間のこうした文書で交わされた宣言文というものが、相手側がその中に規定されている行動を守らない場合でもこれを、何というんですかね、大事にしていく意味合いというのはどういうところにあるのかと。確かにその考え方自体理解はできるんだろうというふうに思いますが、しかしながら、一方で、北朝鮮からすると、別に書いてあることを守らなくてもいいんだということになってくると、余りここにこだわる必要もないのかなというふうに思いますが、どういう状況になれば、政府としては、この日朝平壌宣言はもうもはや無効で、新たな外交交渉が必要だというふうに判断されるのか、伺いたいと思います。
  12. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) これは仮定のお話でありまして、仮定の御質問お答えするのは差し控えさせていただきたいと思います。
  13. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 いや、仮定ではなくて、さっき中曽根外務大臣が既に違反しているということはおっしゃっているわけですから。
  14. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 我々は、これを破棄するとかどうとかというよりも、いかにこの平壌宣言相手に守ってもらうかと、それの方が大事だと、そういうふうに思っているところでございます。
  15. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 ですから、守っていないものを守ってもらうようにすると言っても、守っていないわけですよね。そうだとすると、この有効性がもう既にないんではないかと。ないと宣言するということはかなり強いメッセージを送ることになりますが、それはいかなるタイミングでそういう状況になるのかという質問であります。
  16. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 我々としては、北朝鮮との間では八月の実務者協議、今委員お話しのこの合意というものを誠実にこれを履行してもらうということをかねてからずっと先方にこれを要請しているわけでありますけれども、今回、確かにおっしゃいますとおりこの宣言に違反しているところがあるわけでありますが、我々としては、包括的に諸課題解決して正常化を図るという大きな目的がありますので、引き続いてこれをまた守るようにという形で強く働きかけをしていきたいと、もうそれに尽きると思います。
  17. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 この日朝平壌宣言では、二のところで、「日本側は、過去の植民地支配によって、朝鮮の人々に多大の損害と苦痛を与えたという歴史の事実を謙虚に受け止め、痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明した。 双方は、日本側朝鮮民主主義人民共和国側に対して、国交正常化の後、」、ちょっと飛ばします、「無償資金協力、低金利長期借款供与及び国際機関を通じた人道主義的支援等経済協力実施し、また、民間経済活動を支援する見地から」というのが入っておるんですが、相手側がこの平壌宣言を履行しないんであれば、例えば無償資金協力、低金利長期借款供与のどちらかはこちらも履行しないというようなことも一つのカードとして言えるんではないか。そういうことも言わずに、この二項は今も生きているという立場に立っておられるということですか。
  18. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 今回のミサイル発射によりまして、我が国としても対北朝鮮措置というものをこれを行っているわけでありまして、今委員お話しになりましたこの第二項は、これは国交正常化の後ということにもなっているわけでありまして、繰り返しになりますけれども、この平壌宣言を守るようにということをまた働きかけていくということだと思います。
  19. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 いろいろ伺ってもお答えは変わらないということだと思います。  私の申し上げたい趣旨は、この北朝鮮側日朝平壌宣言の中で望むものも、場合によってはすべては満たされないよという姿勢を示した方が相手行動を制約する上でいいんではないかという趣旨で申し上げておりますが、そういう意識はないという理解でよろしいですか。
  20. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 合意したことでありますから、これはもうやはり守ってもらわなければこれはなりません。しかし、実際問題としては、守られない点、違反した点があったわけでありますけれども、しかし私たちとしては問題を解決するということが大きな目標でありまして、いろいろな考え方はあろうかと思いますけれども拉致の問題にいたしましても平壌宣言約束をしているわけですから、やはりこれの履行、実施というものを強く求めていくというのが政府立場でございます。
  21. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 この日朝平壌宣言が、私としてはこの宣言自体形式化、空文化しているんではないかというふうに思いますが、そこについてはこれ以上伺っても多分踏み込んだ御答弁をいただけないということだと思いますので、次の質問に移らさせていただきたいと思いますけれども。  今回、北朝鮮非難決議をずっと求めてこられましたけれども、結果として議長声明になったということについてどのように考えていらっしゃいますか。
  22. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 我が国といたしましては、今回の北朝鮮ミサイル発射後、直ちに安保理会合開催を要請をいたしまして、米国を始めとする関係国連携をしながら、とにかく国際社会が早く強い一致したメッセージを出すことが大事だということであらゆるレベルで外交努力を重ねてまいりました。  特に日米韓あるいは日韓日中韓あるいはそのほかの安保理各国とも連携を取ってこういう努力を重ねてきたわけでありまして、私たちとしては、やはり強い内容メッセージ、つまり決議を是非採択すべきだということで働きかけをしたわけでありますが、決議にならなかったのはこれは残念なことでございますが、しかし、我が国が主張をしてまいりましたそういうような内容がかなり盛り込まれているということでもあります。そういう意味国際社会一致したメッセージを発出することはできたと、そういうふうに思っております。
  23. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 国際社会一致したメッセージが発せられた後に、核開発を阻止するための六者協議から北朝鮮が離脱するということであれば、国際社会が意図している行動と違う行動北朝鮮が取っているということについてはどのように考えておられますか。
  24. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 私たちは、北朝鮮が六者協議を離脱をすると、そういうような立場表明したということは大変残念なことだと思っておりますけれども、この六者協議というものの重みをやはり北朝鮮にもしっかりと踏まえてもらって、これ一日も早くこの会合再開できるように、これは各国協力しながら努力するということが、これはやはり一番大事だと思います。
  25. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 なかなか、北朝鮮という国の行動をいろんな形で縛っていくというのは相当な外交努力も必要だと思いますし、特に今の国際情勢でいえば、日米韓だけではなくて中ロの協力も必要だという意味で、外務省立場というのも理解ができないわけではないんですが、中ロを日本側の陣営に、あるいは日米韓と同じ方向に動かすために我が国としてどういうカードを持っておられるかという、検討はされておられるかどうか、その点だけ伺いたい。中身は聞きません。
  26. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 当初から我々としては、中国ロシアに対しても、今回のミサイル発射をまず自制すると、地域の緊張を高めるようなそういうような行動は自制をさせるということで、一緒に行動を取って連絡を取りながら北朝鮮に対して働きかけをやってきたところでございます。  また、発射後も、中国ロシアとは、私も外相会談等を通じまして緊密な連絡を取って、やはり先ほど申し上げましたけれども、強いメッセージを出すということがこれは非常に必要だということで、そういうことに関しましては両国とも意見一致を見ていたところでございます。  今後、中国はこの六か国協議議長国でもありますので、中国を中心にこれの再開に向けて、関係国がまた意見のすり合わせをよくやりながらこの再開に向けての努力を行っていくということが大事だと、そういうふうに思っています。
  27. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 それでは、グアム協定の方に移らさせていただきたいと思いますが、まずこのグアム移転協定について、二年前に当時副大臣でありました浅野筆頭理事にも質問をさせていただいたことがあるんでございますが、そのときは、このいわゆるグアム移転について国際間の協定にするかどうか決まっていないという御返答でございました。  当時、浅野勝人理事は、「関係省庁と相談しながら、国際約束締結が要るかどうかを含めて整理してまいります。」という御答弁をいただいておりまして、また当時の外務大臣からも同趣旨答弁をいただいているわけでありますけれども、その後、昨年の九月初旬に国会承認条約とする判断をしたということでありますが、だれがどのような理由で、二年前の段階では決まっていなかったのが、去年の九月にどういう理由で急遽決められたか、お答えいただきたいと思います。
  28. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 二〇〇六年五月のこのロードマップ合意以降に、日米の両政府本件グアム移転、これの実施在り方の詳細について協議を行ってきたわけでございますが、そういう中で、二〇〇九年度からグアム移転事業が始まるということを受けまして、両政府交渉する中で、この多年度にわたる事業を安定的に実施していくということが必要との点で一致をしたわけでございます。  これを受けまして、去年の九月の初旬でしたか、我が方において、本件グアム移転事業実施在り方を規定するそういう国際約束米国政府締結する必要があるということ、そしてまた、この国際約束はいわゆる財政事項を含むものとしてその締結については国会の御承認が必要であると、そういう判断に至ったわけでありまして、この委員会におきましても、グアム移転事業に係る国際約束国会承認条約とすべきであるとの御意見委員から、浅尾委員からもいただいたと、そういうふうに承知をしております。これは当時、高村外務大臣の下で決定をされたものでございます。
  29. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 いや、私の質問趣旨は、確かに私、資金提供予算支出を伴います国際約束は、これはいわゆる大平三原則ですか、に伴いまして条約にすべきだということでそういう指摘をさせていただきましたが、そのときは、これは二〇〇七年の五月十日でありますから、二年前の五月十日の段階では、「関係省庁と相談しながら、国際約束締結が要るかどうかを含めて整理してまいります。」というのが浅野当時副大臣の御答弁でありまして、それから一年と少し、要するに去年の九月に決まったその間の経緯を聞いておりまして、なぜそういうふうに変わったかということを伺っているわけでございます。
  30. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 確かにこの、平成十九年五月とおっしゃいましたか、今。十九年五月。
  31. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 十九年です。
  32. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) これは麻生外務大臣であったと思いますが、参議院の外交防衛委員会におきまして、このグアム移転事業につきましては、委員からはこの国会承認条約とすべきではないかと、そういうふうにおっしゃったわけで、それを受けて麻生当時の大臣が、単年度ごと予算を計上するだけではこれは安定的に事業を進めることができない、そういうような、ある意味じゃ危険性のようなものを御指摘になられた上で、毎年度予算についてはきちんと国会にお諮りをして御審議いただくと、そういう趣旨を述べられたわけでございますけれども委員が御質問した当時は日米でこの協定交渉内容はまだ具体化をしておりませんでした。そういうことで、具体化しておりませんけれども麻生大臣が当時としては仮定の御質問お答えをしたということでありまして、御指摘のように、このグアム事業については国会承認条約としないと、そして毎年度予算について審議していただくことで対応するという、そういう考え表明をしたわけでありますけれども。  そして、その後、日米政府間の協定に係る交渉におきまして、この協定がいわゆる、さっきから申し上げておりますように、財政事項を含む国際約束と、そういうその後のこの交渉の中でなったことから、政府としては、この協定締結に当たりまして国会の御承認の必要があると、そういう判断を行ったわけでございまして、方針転換したということではないと、そういうふうに思います。
  33. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 時系列を追って申し上げますと、二年前の五月十日の段階では既にロードマップというものは固まっておりまして、したがって、そのロードマップに基づいて様々な財政支出がその段階で予想されていたと。したがって、私は、そうであるとするならば、国会承認を得る条約ないしは協定という形で、そうすべきだということを申し上げて、その段階では決まっていないという、まあそれが必要なのか、単年度予算でやるべきだという話でありました。  その二年前の五月の十日と去年の九月までの間に日米で新たにロードマップに匹敵するようなそういう取決めが行われたというふうには承知をしておりません。したがいまして、ロードマップが決まっている段階からその去年の九月までの間でどういう事情でこのような協定を結ぶという政策判断をされたかというのが私の質問であります。
  34. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 速記を止めてください。    〔速記中止
  35. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 速記を起こしてください。
  36. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) まず、二〇〇七年の五月の2プラス2でこのロードマップに記されている再編案に係る今までの進展というものを確認をしたわけでありますが、二〇〇七年から八年の間も審議官級協議開催をしておりまして、国際約束に関する協議をそこで始めたわけでございます。この協議におきまして米軍再編について議論して、その中でこの在沖縄海兵隊グアム移転についても交渉を行ってきたわけでございます。  その後、二〇〇八年の夏以降は、今度は在沖縄海兵隊グアム移転協定を含むいろいろな課題に関して精力的に交渉協議をまたずっと行ってまいりまして、そして昨年の九月の初旬に、我が方として国会承認条約とする必要があると、そういうふうに最終的に判断をしたという、そういう経緯でございます。
  37. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 今の御答弁ですと、2プラスロードマップは最終的にこれは大臣で、もちろんその当時の大臣が、それぞれ外務防衛庁長官になりますか、が署名したと。その後、審議官級協議が行った結果、大臣で結んだこと以上のことを審議官の間で決めた結果、国会承認が必要になるとなると、行政あるいは政治的にもこれはおかしな御答弁になりますが、その点についてそういう理解でいいのか。  私の質問は、既に2プラス2でまとまった段階でそれ以上のものが決まらないはずなんで、なぜそれを、その当時はまだ決まってなかったのを政治的に国会承認が必要だというふうに判断をしたかと。今の御答弁だと、その後、審議官協議したから更に付け加わったものがあるとなりますが、もしそういう答弁だとすると、審議官協議大臣同士で決めたことを超えるものを決めたということになりますから、そういう理解でよろしいんですか。
  38. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) これは、この協定ロードマップのあくまでも一つの事業でありまして、それを実施するためのものでありますから、そういう意味で、これは国際約束ということで国会承認条約をする必要があると、そういうことで判断したわけであります。
  39. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 速記を止めてください。    〔速記中止
  40. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 速記を起こしてください。
  41. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 先ほどから申し上げておるわけでありますが、このロードマップ実施するということでいろいろ協議が行われてきた中で、さっきの繰り返しになりますけど、この海兵隊のグアム移転、これについての具体的な実施のやり方等の協議を行ってきて、その中で、これについては日本側も資金を出し、また出資や融資をするという、そういうような話になってまいりまして、しかも、これが単年度でなくて多年度であると、そういうことになってきたわけです。  その間、大臣にも報告もあり、そういうようないろいろな協議が行われてきたわけでありまして、そういうことでこの協定になったということでありまして、審議官が勝手に国会承認条約をするということになったわけじゃなくて、そういう審議を、審議といいますか、協議をしてきたところから国会承認条約とする必要があると、そういうことになったわけでございます。
  42. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 それでは、その2プラス2のロードマップで定められたこと以外で本協定に盛り込まれている中身をお答えいただきたいと思います。
  43. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) ロードマップの中の、もうこれも繰り返しになりますが、沖縄の海兵隊のグアム移転に関する部分についての取決めということでございますから、これはグアム移転ロードマップの以外というか、ロードマップの中のグアム移転のことについての取決めということでございます。
  44. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 したがって、ロードマップ以降で、ロードマップ段階協定を結んだらどうですか、あるいは国会承認の必要な条約にしたらどうですかという私は提言をさせていただきました。  私の質問趣旨は、別に協定にしたのがけしからぬということではなくて、するべきだという思いなんですが、そのときは決まってなかった、もう既にロードマップそのものは決まっているけれども協定という形で結ぶかどうかは決まっていなかった。しかしながら、それから一年とちょっとたって協定という形として結ぶようになった政治判断はどういうところから出てきているのですかと。中身はもう決まっているわけです、その協定で結ぶ中身は。それをどうして、どういう理由でそういう政治判断をしたのかという趣旨質問をさせていただいています。
  45. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) ずっと議論してくる中でだんだん中身が決まってきたわけでありますけれども、やっぱり当時はこの協定交渉内容というものが具体化をしていなかったと。それで、当初は毎年度、さっき申し上げましたけれども予算について審議をしていただくということであったわけでございますけれども、これは財政事項を含むと、そういう国際約束になるということで、これは国会承認という形になったんであります。
  46. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 今のでは御答弁が矛盾していますので、ちょっと政府の方で答弁整理してください。
  47. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 速記を止めてください。    〔速記中止
  48. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 速記を起こしてください。
  49. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 先ほどの繰り返しにも多少なりますけれども日米政府交渉していく中で、多年度にわたる事業をやはり安定的に実施をしていくということが必要と、そういう点で米国側とは一致をしたわけでありますけれども、これを受けて、昨年の九月の初旬でしたか、我が方においては、この移転事業実施在り方を規定する、先ほどの繰り返しになりますけれども国際約束、これを米国政府締結する必要があるということ、そして、この国際約束はいわゆる財政事項を含むと、大平三原則に基づいてその締結について国会の御承認をいただく必要があると、そういう判断に至ったわけでありまして、当時の大臣は高村大臣でございましたけれども政府として総合的に考えて、こういう形にする判断になったわけであります。
  50. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 今のは私の質問に全くお答えになっていないんで、要は、多年度であるということと財政事項を含むということはロードマップ、2プラス2の段階でもう決まっているわけなんですね。それはロードマップに書いてあるわけです。したがって、多年度でないということはロードマップに書いていないわけですし、財政事項を含むということも書いてあるわけでありまして、だとすると、その段階でもう分かっていたわけですから、二年前の段階で多年度であるということと財政事項を含むということが分かっていたと。したがって、それ以外の理由で二年前から一年前にかけて検討した結果決めたということでありますから、どういう理由で決めたということを伺っているわけであります。
  51. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 米国との間ではこの二十八億ドルを上限とするということで決めたわけでありますが、それの支払の仕方とか、そういうようないろいろな詳細を決めなければならないと、そういうことで、しかも先ほどから申し上げておりますような財政事項を含むと、そういうことでありますから、これは国際約束ということで国会承認をいただく必要があると、そういうふうになったということでございます。
  52. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 お答えになっていないので別の角度から聞きますと、じゃ、ロードマップ段階で、2プラスロードマップの、多年度でない、あるいは財政事項を含まないということだったんですか。
  53. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) ロードマップ合意段階では、グアム移転に伴ういろいろな費用、これの詳細あるいは払い方、そういうものは、ロードマップ段階ではこういうものは決まっていなかったわけでありますから、その後、この実施のやり方等に協議していく中でこういうものは取り決められたということでございますから。
  54. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 いやいや、六十億ドルを上限にというのはロードマップ、2プラス2で決めたんじゃないですか。
  55. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 二〇〇六年の五月の日米ロードマップにおきまして、それは、移転のための整備に関する費用については、今委員がおっしゃいましたように、六十・九億ドルですか、を提供すると、そういうことはもちろん決まっておったわけでありますが、その具体的な、そのうちの二十八億ドルの日本側の直接的な財政支援、財政支出、これについての具体的な取り決め、これは後からこういうふうにこれを準備してきたわけでありますから、その間の事情はもちろん、時間の経過もありますし、その協議が進展するに従って変わってくるというのは、これはもう御理解いただけるんじゃないかと思います。
  56. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 ちょっと、非常に矛盾する答弁だと思うんですね。つまり、六十・九億ドルは決まっていたと。しかし、それより額としては、そのうちの内数である二十八億ドルについて、その支払い方のために、六十・九億ドルの段階では国会承認が必要な条約ないし協定は要らないかもしれないと言っていたけれども、二十八億ドルというもの、その六十・九億ドルの中の内数の数字、そしてその支払い方のために協定が必要になったと判断したということですか。
  57. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 協定が必要ないということは、一度もそういうことを政府として申し上げていたわけじゃありません。さっきからの繰り返しになりますけれども、具体的な海兵隊のグアムへの移転に関する内容を詰めていった結果、先ほど申し上げましたように、大平三原則に基づいてこれは国会承認にということになったということでございます。
  58. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 非常に、ですから、その一年間掛けて国会承認が必要になった経緯についてお答えをいただいていないわけなんで、これについてはまた別途しっかりと質問をさせていただきたいと思います。  もう一つ、当時、五月二十二日、久間防衛大臣は、このグアムへの移転の全体像が決まった段階で、何らかの格好で全体事業費はこう決まりましたということを国会に報告しながら、いろんな議論をそのときの政府として政府の責任でやるべきじゃないかと思っておりますというふうに答えておられまして、もう一つその答弁を引用させていただきますと、そのときに具体的に定まった段階で、あるいは今後のスケジュールが決まった段階で議論がされるべきであろうというふうに言っておりまして、もう既に全体像がこれはJBICを使うところも含めて決まっているということでありますが、その国会の報告はどのようになっているんでしょうか、国会への報告は。
  59. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 御指摘の久間大臣答弁につきましては、国民の皆様に対し説明責任を果たすとの観点から、グアム移転事業に関して米側との合意に至った内容について明らかにしていくことが重要であるとの趣旨のものと考えております。  一方、グアム移転事業に係る経費については、これまで国会で累次御説明しているとおり、日米政府間で協議を行って、日本政府としかるべく精査を行った上で、各年度ごとに最も効率的な形で予算を計上することとしております。  したがって、防衛省としては、具体的な事業及びその所要経費については各年度ごとに米側と合意をし決まっていくこととなると考えておりますので、今後とも国会などの場を通じてしかるべく御説明をしてまいりたいと考えているところであります。
  60. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 是非、国会への報告をしっかりとやっていただきたいというふうに思います。  その上で、この協定では、米国は二〇一四年までに海兵隊を沖縄からグアム移転するという義務を負うかどうか、これは外務大臣に伺いたいと思います。
  61. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 米国政府は、この協定の第二条に従いまして、第三海兵機動展開部隊ですか、これの要員を約八千人そしてその家族約九千人を沖縄からグアム移転する、そのために必要なすべての措置をとる、そういう義務を負うということになります。  具体的には、この措置には要員とその家族沖縄からグアムへの実際の移転も当然含まれるということでございます。
  62. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 したがって、義務を負うということでよろしいですね。
  63. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) はい、必要な措置をとる義務を負うということです。
  64. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 時間ですから最後の質問。  嘉手納以南の基地の返還の義務も負うということでよろしいですか。
  65. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) この二〇〇六年五月のロードマップに記載されておりますとおり、沖縄に関連する再編案は相互に関連しているわけでありますが、この協定は、それらのうちの先ほどから申し上げておりますグアム移転実施在り方について定めておりますが、この協定によりまして米国が嘉手納以南の施設それから区域の統合また土地の返還、これの実施について法的な義務を負うことにはなりませんけれども、しかし今申し上げましたとおり、このグアム移転とか、それから嘉手納以南の施設のあるいは区域の統合、それから土地の返還などを始めといたします沖縄に関連するこの再編というものは相互に関連しているわけでありますから、その重要性というものを再確認すると、そういう趣旨でその旨をこの協定の前文において両政府一致した認識として明記をしているわけでありまして、いずれにしましても、両政府の間では様々なレベルにおきまして、首脳を含む様々なレベルにおきましてロードマップの着実な実施を確保というものをしてきているところでございます。
  66. 藤田幸久

    藤田幸久君 民主党の藤田幸久でございます。  まず今日は、実は谷内政府代表をこの委員会にお呼びをしたわけですが、昨日、報道によりますと帰国の予定が何か延びたということでございますが、是非次回には、そういう際には出席をしていただきたいということを委員長に御配慮お願い申し上げ、参考人の皆さんは私の方でお願いをしたとき答弁をしていただくということで、委員長の方でも御配慮をお願い申し上げたいと思います。  少し順番を変えさせていただきました。まず、スリランカについて質問をさせていただきます。  昨日通告をした際には、この政府軍とタミールのトラとの交戦地帯のワンニに十万人の市民が閉じ込められている、大変悲惨な状況になっているので救出、保護をお願いをしたいと、そういう行動を取ってほしいということを申し上げて通告をしておりましたところ、昨日の夜スリランカからの情報が参りまして、これは国連等々の情報でございますが、昨日スリランカの政府軍はタミールのトラに対して二十四時間以内の降伏を求めたと。つまり、最終的な総攻撃の宣戦布告を行ったということでございます。つまり、この逃げられずにいる十万人の民間の人々が脱出できないまま、いよいよ総攻撃だという状況にありますけれども。  そして、資料として写真を二枚お配りをしておりますが、これは要するに一時攻撃を政府側がやめたと。したがって、一般の市民が逃げられるだろうと言われておりながら結局逃げられずにこういった悲惨な状況になっているという写真でございますけれども、こうした状況に対して、日本政府としてどういう行動を取られるかということについて、まず大臣にお伺いしたいと思います。
  67. 橋本聖子

    ○副大臣橋本聖子君) 我が国といたしましては、スリランカ北部の一般市民の安全を確保するためには、スリランカ政府が一時的な停戦を実施するということだけではなくて、LTTE側が一般市民の解放に応じることが不可欠というふうに考えております。この考え方に基づきまして、本年一月に北部のLTTE拠点が陥落後、我が国は四共同議長国、日本とアメリカ、EUそしてノルウェーですけれども、この中で唯一、明石康政府代表、スリランカの平和構築及び復旧・復興担当でありますけれども、明石政府代表をスリランカに派遣をいたしまして、同国政府首脳及びLTTEに対して一般市民の安全確保について強く働きかけをしてまいりました。  また、四共同議長による声明や我が国外務報道官談話、また我が方の大使館を通じまして、一般市民の安全確保について、スリランカ政府及びLTTEに働きかけをしてきております。
  68. 藤田幸久

    藤田幸久君 そうしたもう声明や談話だけでは間に合わない状況が昨日起こっていると。つまり、宣戦布告そして最終総攻撃ということを政府側が言っているわけでございますから、今対応しなければ、つまり声明、談話だけではなくて、具体的にスリランカ政府に、市民が残っている段階で最終攻撃をするのかしないのか、まだ残っているならば止めるというような具体的な対応を速やかに行っていただきたいと思いますが、大臣判断をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
  69. 橋本聖子

    ○副大臣橋本聖子君) 昨日、二十日午後の情報にもよりますとおり、依然として、この多数がLTTEにより人間の盾としてされているということでありますので、この議長声明そしてまた談話等だけではなくて、政府といたしまして早急に今何ができるかということを真剣に取り組んで働きかけていく考えでありますし、今現在も取組をやっております。
  70. 藤田幸久

    藤田幸久君 具体的には、例えば日本がそういう共同議長国でもあったということも踏まえまして、国連の安保理での審議を即に提案をされたらいかがでしょうか。
  71. 橋本聖子

    ○副大臣橋本聖子君) スリランカの民族問題の解決に向けて四議長国、これまで国連との間で密接に連携協力を行ってまいっておりますけれども、この北部における国内難民の問題につきましても、四共同議長国により、議長による働きかけを含め、現地での取組が行われてきております。  このような中、安保理といたしまして、我が国議長国を務めたこの二月でありますけれども、現地を訪問したホルムズ人道問題担当事務次長の訪問結果に基づくスリランカ人人道状況にかかわるブリーフィングを受けました。そして、三月にも同事務次長の出席を得て非公式な意見交換を行ってきております。我が国として、スリランカの状況を見守りつつ、国連安保理での審議も含め、国際社会において適切な対応を働きかけるようにやっていく所存であります。  また、四月の十四日にも四十八時間の戦闘行為自制の発表についてという談話も出させていただいておりまして、早期解決に向けて全力を尽くしていきたいというふうに思っております。
  72. 藤田幸久

    藤田幸久君 二月の話じゃなくて、四月十四日の話じゃなくて、昨日総攻撃のそういう宣言が出たということで、今安保理を開いてほしいと。今動かなければいけないという、四月二十一日に何を行動するかということを聞いておりますので、是非そうした判断をしていただきたいと思います。一言、それに対して、大臣お答えいただきたいと思います。意思があるのかどうか、過去の話じゃなくて、これから。
  73. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 先ほどから御答弁しておりますように、一般市民が大変な被害を受けているということで非常に緊急性もありますので、これは関係国とよく相談をしていきたいと、そういうふうに思います。
  74. 藤田幸久

    藤田幸久君 ありがとうございます。  それでは、ビルマ、ミャンマーについて移りたいと思いますが、四月十日のこの日経ネットで「日本政府、ミャンマー経済援助の凍結を解除へ 二〇一一年にも」という記事が配信をされました。それで、ネピドーという新しい首都とヤンゴンとの間の鉄道の電化事業などが載っておりますけれども、この報道の内容は事実でしょうか。
  75. 橋本聖子

    ○副大臣橋本聖子君) この報道についてですけれども我が国のミャンマーに対する支援というのは、二〇〇三年の五月スーチー女史の拘束事件以降、ミャンマー国民に直接裨益する人道的な支援などに絞って実施をしてきておりますので、この報道にあるような事実はありませんし、また現行の我が国の対ミャンマー経済協力方針というものを変更するつもりもありません。今までやってきておりますこと、緊急性が高く真に人道的な案件、そして民主化、経済構造改革に資する人材育成のための案件、そういったもの、またミャンマーの政治情勢を注意深く見守りつつ、案件内容を慎重に吟味した上でこれを順次実施することとして、今もやらせていただきたいと思っています。
  76. 藤田幸久

    藤田幸久君 先の質問に行きます。  もう一つ緊急を要する課題が、あと一か月未満となりました五月二十四日にアウン・サン・スー・チー女史の拘束期限が切れますけれども、日本政府はアウン・サン・スー・チーさんの解放に向けてどのような働きかけを行っているのか、お答えいただきたいと思います。
  77. 橋本聖子

    ○副大臣橋本聖子君) 政府といたしましては、アウン・サン・スー・チー女史を含む政治犯の解放など、同国の民主化及び人権状況の改善に関しまして、日・ミャンマー外相会談等の様々な機会を通じてミャンマー政府に対して働きかけを行ってきております。  政府として、国連を含む国際社会協力をしながら、引き続いてミャンマー政府に粘り強く働きかけをしていきたいという考えであります。
  78. 藤田幸久

    藤田幸久君 そのぼやっとしたことじゃなくて、具体的に五月二十四日ですから、対応していただきたいと思います。  それから、これに関連して、先週、岡田克也議員と私がお目に掛かったヒューマン・ライツ・ウォッチというNGOのケネス・ロスという方が、四月の九日に麻生総理に対して、日本の人権政策、拉致問題だけではなくてほかの人権政策もやらないと日本の信頼が上がらないでしょうというような内容ですけれども、こういった書簡を送っておられますけれども、これは所管する大臣外務大臣だろうと思いますので、この書簡に対する見解を伺いたいと思います。
  79. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 今の御指摘のこの書簡は、人権の保護を日本の外交の柱としております麻生総理あてに提言をして、そしてその対象国の一つとしてミャンマーを取り上げて、その国の、ミャンマーの人権状況の改善に応じて援助をする、あるいは制裁を科すと、そういう手法を提案していると、そういうふうに承知をいたしておりますが。  我が国は、従来から二国間そして多国間の様々なチャンネルを活用いたしまして、人権の保護の促進とか民主主義の促進、そのための外交をやってきているところでございますが、このミャンマーにつきましては、同国政府に対しまして我が国としても様々な機会をとらえて、民主化それから人権状況の改善というものを働きかけをしてきているわけでありまして、政府としては国連を含む国際社会協力をしながら、引き続いてこのミャンマーの政府に強く働きかけをしていくと、そういう考えでございます。
  80. 藤田幸久

    藤田幸久君 続きまして、北朝鮮に対する国連の議長声明のことについて移ってまいりたいと思います。  ロンドンの国際会議の場においてはアメリカのオバマ大統領が国連決議に賛同しておられましたが、翌日アメリカは方針を転換したという流れだったろうと思います。次の質問に移りますけれども中国はその結果、その数日後、元々のアメリカ案をほぼ丸のみして中国修正案として四月の九日に提示をして、安保理の常任理事国と日本との間の非公式会合で取り扱われたと思いますけれども、このつまり中国案というものがいつの間にかアメリカ案を丸のみした形で出てきたと、そういう案にすり替わっていたというのは、どの段階で日本政府は把握しておりましたでしょうか。
  81. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 今回の安保理でのこの議長声明を発出する、そこに至るまでの過程につきましては、アメリカや韓国両国と、またそのほかの関係国連携をしながら、国際社会が、再三申し上げておりますけれども、強い一致したメッセージを迅速に出すことが大事だということで外交努力を積み重ねてきたわけでございますが、九日の五つの常任理事国とそれから日本との協議の具体的な内容、まあ具体的な内容については明らかにすることは差し控えさせていただきたいと思いますけれども我が国は、安保理がやはり強固で明確なそういう強い対応を行うべきと、そういう立場に立って種々のやり取りをこれらの国々とやってきたところでございますが、いずれにいたしましても、日米間では、中国等への働きかけを含めまして、私も含めて外相電話会談とか、あるいはニューヨークでの安保理の場を通じて緊密な連携協力日米間で行って中国働きかけを行ってまいりました。  十一日には、タイのパタヤにおきまして、韓国とも更に緊密な連携を取りながら、私からも楊潔チ外交部長に……
  82. 藤田幸久

    藤田幸久君 その前の話です。
  83. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) はい。
  84. 藤田幸久

    藤田幸久君 九日の話です。
  85. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) また、麻生総理も直接協議を行うなどのぎりぎりの調整をやったわけでありますが、この最終局面に至るまで、安保理決議が望ましいと、そういう立場を主張していたわけですが、結果として決議という形にならなかったのは大変残念でありますけれども、我々としては、中国案というものにつきましては、私たちとしてはもう決議でということで中国に対しても働きかけをしておりましたし、米国、韓国ともそのような形で進めていたわけでございます。  そういうことで、具体的なやり取りというものは差し控えさせていただきたいと思います。
  86. 藤田幸久

    藤田幸久君 結果的に声明の中身がかなり良かったということ以上に、結局、米中間でプロセスが動いていったということの方が日本の外交上は今回非常に重要だったろうと思うんですけれども、普通であれば、中国というのはこういう決議とか声明の文案のやり取りは相当時間を掛けるものが、数日間で決まったと。これは両国間で、つまり米中ですね、日本抜きで相当の合意があったというふうに外交的には考えられると思いますが、いかがですか。
  87. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 今回の北朝鮮ミサイル発射に関する安保理のいろいろな対応をやる中で、米国とそれから中国との間でどのようなやり取りが行われたかということにつきましては、日本政府としてお答えする立場にはないわけでありますけれども、私たちとしては、日米がしっかりと連携をすると。委員のお話ありますけれども、我々としては日米が緊密な連絡を取ってやってきたと。あるいは、さらに韓国等との連携もありまして、当初は慎重でありました、確かに慎重でありましたけれども中国もやっぱり安保理一致して強いメッセージを出すということに理解を示すことになったと、私はそういうふうに思っております。
  88. 藤田幸久

    藤田幸久君 その日米ですけれども、オバマ政権が多国間外交とおっしゃっている、そのことの言い方はいいと思うんですけれども、今回見ておりますと、多国間外交と言いながら、つまり中国等々と連携をして、結果的に日米関係の相対的地位が下がったのが今回のプロセスではないかと思っておりますけれども、つまり、日米とおっしゃったけれども、相対的にはむしろ日米関係の相対的地位が下がってしまったというのが実態ではないかと思われますが、いかがでしょうか。
  89. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 米中のやり取りについては、先ほど申し上げましたように、私どもその詳細は分かりませんし、またその具体的な内容は仮に承知していても差し控えるべきだと思いますが、オバマ大統領はこれまでも様々な機会を通じて日米同盟の重要性というものを明確に発言されて表明されておられるわけでありますし、またクリントン国務長官も同様であります。そういう意味では、私は、日米同盟の相対的な地位が低下していると、そういうふうには考えておりません。
  90. 藤田幸久

    藤田幸久君 そのアメリカですけれども、お配りした資料、英文の資料を御覧いただきたいと思いますが、これはアメリカ議会の調査局、CRSの対北朝鮮援助報告書でございます。  これは、要するに、一九九五年から昨年までに米国から北朝鮮に渡った援助、約十三億ドルにも上ると。これ実は、一九九八年の右側、これはテポドン1が発射された年ですが、その翌年、二億八千万ドル、つまり九九年は二倍以上に増えています。それから、一番右の欄の下の方へ行きますと、二〇〇六年ですが、これテポドン2の年でゼロであります。ところがその翌年は、つまり二〇〇七年には、四千五百七十万ドルと、これまた非常に増えているんです。  こうした状況について、つまりアメリカは結局はこれだけ援助しているということに対して、日本側としてアメリカに対して抗議をされたことはあるんでしょうか。
  91. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 今御指摘のアメリカの議会の調査局の報告書の内容を含めまして、これまで米国北朝鮮に対しまして食糧支援、それからこの枠組み合意に基づくエネルギー支援、また六者会合における経済・エネルギー支援、そして無力化のための支援を行っているということは私ども承知をいたしております。また一方、米国が人道的な観点から行うそういう支援につきましては、我が国としてはコメントをする立場にはございません。  また、北朝鮮の非核化を前進させるための経済・エネルギー支援、これにつきましても我が国としては異を唱える立場にはないわけでありまして、いずれにいたしましても、我が国といたしましては、北朝鮮の非核化を含めましてこの諸懸案、これの包括的な解決に向けて、とにかく米国とはしっかりとした連携を取って、緊密な連携を取って働きかけをやっていくということでございます。
  92. 藤田幸久

    藤田幸久君 具体的には、二度あることが三度あるだとすると、今年は少ないけれども来年は非常にアメリカからの援助が増えてしまうという可能性があるんですけれども、そうさせないために、つまり今年ミサイル発射があった、来年増えるということがない、行わせないために日本は何か働きかけを行うつもりはありますでしょうか。
  93. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 今後も日米間ではよく連携を取って対北朝鮮の問題については取り組んでいきたいと、そういうふうに思っています。
  94. 藤田幸久

    藤田幸久君 時間がないので次に行きますけれども、朝鮮総連傘下に在日本朝鮮人科学技術協会というものがございまして、ミサイル関連の技術流出に関係していたのではないかということが今まで言われておりますが、この実態について、警察庁でしょうか、お答えいただきたいと思います。
  95. 池田克彦

    政府参考人(池田克彦君) 御指摘の在日本朝鮮人科学技術協会につきましては、朝鮮総連の傘下団体の一つとして、在日朝鮮人の科学者、技術者等で構成されている団体であると承知しております。  警察は、御指摘の団体を含めまして朝鮮総連及びその関連団体につきましては、公共の安全と秩序を維持するという責務を果たす観点から様々な情報収集活動を行っているところでございますけれども、その具体的内容につきましてはお答えを差し控えたいというふうに思います。  なお、御指摘の団体につきましては、過去、ミサイルの研究開発に使用されるおそれのあるジェットミル、超微粉砕装置等が平成六年三月に北朝鮮に不正輸出された事案において、その構成員が関与していたということは明らかになっております。  いずれにいたしましても、警察といたしましては、違法行為があればこれに厳正に対処してまいりたいと考えております。
  96. 藤田幸久

    藤田幸久君 捜査の関係があるので言えないことも多いんだろうと思いますが、例えばイメージとしてこの団体が、私が聞いたところでは、例えば東京大学卒で一流企業や研究機関に勤務をされた経験があって、今おっしゃったような最先端の技術を有するような人々も含まれているというふうに聞いておりますが、そういったことはありますでしょうか。
  97. 池田克彦

    政府参考人(池田克彦君) 御指摘の団体につきましては、一定の科学的知識を有する者がいるとは承知しておりますけれども、個々の人定につきましてはお答えを差し控えさせていただきたいと思います。
  98. 藤田幸久

    藤田幸久君 引き続きまた開示をしていただきたいと思います。  では次に、北方領土問題に関する谷内政府代表の発言について移っていきたいと思います。  中曽根大臣は昨日、電話で谷内政府代表に事情聴取をしたということでございますが、したがって正確に内容を把握されたと思いますけれども、基本的に谷内政府代表の毎日新聞に対する正確な発言内容はどんなことだったんでしょうか。
  99. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 御指摘の毎日新聞のこれはインタビュー記事ということでございますけれども、昨日は外務省の谷崎欧州局長から谷内政府代表に確認をいたしまして、私も昨日、電話をしたわけでありますけれども。  私が谷内政府代表と話したところでは、谷内代表からは、この三・五島返還でもいいのではないかと考えているというような発言はしていないと、しかし全体の発言の流れの中で誤解を与え得る発言があったかもしれないと、結果として関係者に誤解を与えてしまったことは大変遺憾なことであると、そういうような説明を私は谷内さんから受けたわけでございまして、私といたしましては、御承知かと思いますが、谷内代表の発言というものが結果として誤解を与えたということは大変遺憾なことでありますし、そういうことから厳重に注意を行ったということでございます。
  100. 藤田幸久

    藤田幸久君 今日の新聞によりますと、まずこれ、記者が書いた記事じゃなくてインタビュー記事ですね。かつ、谷内さんの同意によってテープで録音したと。この中川デスク及びもう一人の記者、それからカメラマン、それから学芸部の記者、つまり四人が本人同意の上で録音し、インタビューをしたということですけれども、それは間違いありませんか。
  101. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) そのことについて、私の方は承知をいたしておりません。そのことというのは、どういう人がインタビューのときにいたかということを私は聞いておりません。
  102. 藤田幸久

    藤田幸久君 テープで録音をし、かつ谷内さんがテープで録音することを認めていたということについても確認は取れてないんでしょうか。
  103. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 確認はしておりません。
  104. 藤田幸久

    藤田幸久君 この谷内政府代表は、少し先に行きますけれども、例えば産経新聞の十八日の報道では、谷内さんは記事は捏造されたものだと強調していると。かつ、今の大臣答弁ですと、基本的にこの三・五島でもいいのでもないかと考えていると、今日も資料でその記事そのものをお配りしておりますけど、一番下の段の最後から十行目ぐらいですけれども、仮に、こうは言っていないと、テープで取ったにもかかわらず。そして、捏造だとおっしゃっている場合には、これは非常に国益にかかわることですから、毎日新聞をこれは提訴しなければ済まないんじゃないですか。
  105. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) まず、谷内政府代表が捏造というふうに言っておられるのかどうか、私はそれはまず承知をしておりません。  既にお答えいたしましたとおり、昨日確認いたしましたところ、繰り返しになりますけれども、そういう、その三・五島返還でもいいのではないかと、そう考えているという発言はしていないということと、全体の発言の流れの中で誤解を与える発言があったかもしれないということで、結果としてこれは関係者に誤解を与えたということは遺憾であるということで、私も注意をいたしまして、谷内代表もこれはもう大いに反省をしていますと、そういう話でありました。  しかし、外務省からは毎日新聞社に対しまして、昨日でありますけれども、谷内代表の発言に関する本人の説明ぶり、これは局長が本人から聞いたものを説明をすると同時に、政府の従来からの基本方針というものをきちんと伝えているところでございます。  重要なのはやはり政府立場であると、そういうふうに考えておりますが、これはもう言うまでもありませんが、政府としては、もう北方四島の帰属の問題を解決して、そしてロシアとの間でこれは平和条約締結すると、そういう基本方針は変わらないわけでありまして、今後も北方四島の返還を実現していく考えであります。
  106. 藤田幸久

    藤田幸久君 イエス、ノーでお答えいただきたいと思います。谷内政府代表、これは閣議で決められた人事で総理官邸に事務所を擁している方が、私は三・五島でもいいのではないかと考えていると言われたと報道されていることは、これは間違いですか、それともこのとおりですか。でなければ、この厳重注意等もできないと思いますが、いかがですか。
  107. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 私からは、昨日、電話で谷内代表と話をしたところ、もう繰り返しになりますが、三・五島返還でもいいのではないかと考えているとの発言はしていないと、そういうふうに本人が言っていたということでございます。
  108. 藤田幸久

    藤田幸久君 言っていたことを認めて外務大臣として今答弁されているわけですから、であるならば、これは極めて重大なことで、しかも、今朝の報道によりますと、ロシアの有力紙コメルサントというんですか、「日本政府代表が「北方領土」の半分をロシアに残すことを提案」と題する長文の記事を掲載した。」とか、こういう、「分割する譲歩案はここ数年、日本の指導者層の間で活発に議論されてきた」というふうにロシアの有力紙まで載っていると。その基礎は三・五島でも構わないと言ったと言っていることですから、もしこれが間違っているならば、それこそ私はやっぱり、これは単に外務省だけではなくて日本の国益にかかわることですから、これは毎日新聞に対して提訴をするなり厳重抗議をするなりしなければ済まない話じゃないですか。
  109. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 海外のこの報道がどういう報道をされているかということを私、詳しくは知りませんけれども、日本政府立場は、昨日、官房長官、また私も、これは重ねて先ほど申し上げました、北方四島の帰属の問題を確定をして、そしてロシアとの間で平和条約を結ぶという、こういう政府の方針に変更はないということは、これは明確に昨日発言しているわけでありまして、そういう意味では、先ほどの誤解というものがそういうところにまで伝わって生じたということであればこれは遺憾なことでありまして、そういうことで私は厳重注意もいたしましたし、それから、政府立場は従来どおりであるということもまた明確にこれは表明しているところでございます。  新聞社に対しましては、これも繰り返しになりますけれども、そういう本人の発言に関する説明ぶり、聞いたものを、本人はこう言っているということを伝えるとともに、政府の方針というものも、これは新聞社に対してもきちんと伝えているということでございます。
  110. 藤田幸久

    藤田幸久君 大臣は何か誤解ということを軽くお考えのようですが、昨日、薮中外務事務次官は、誤解を与えたのは深刻な問題だ、国益の観点から領土交渉は慎重に正確にやらないといけないというふうに外務事務次官がおっしゃっています。つまり、誤解というのは深刻だということを外務省大臣の次のトップの方がおっしゃっていますけれども、つまり、これだけ誤解というのは深刻で、国益からも非常にまずいとおっしゃっているんですね。  政府代表というのは、外務公務員法を見てみますと、日本国政府を代表して外国政府交渉する権限を付与された者。で、権限を付与された者が公の場でこういうふうに言って誤解を与えたということは深刻だというふうに外務事務次官がおっしゃっている。権限を付与された政府代表、このままでは、これは何か対処しなければまずいんじゃないですか。
  111. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 私は、決してこれが軽いものとは思っておりません。やはり、これは次官も私も共通しておりますが、これはかなり重大な発言であると、そういうふうに思っておるわけでありまして、厳重注意もいたしましたし、また日本政府考え方を改めて表明をしたところでございます。  また、外務公務員法におきましては、委員承知のとおり、この政府代表というものは、これは外務大臣の所掌に属する任務を行う者であると。もちろん、これは政府を代表して特定の目的も持って外国政府交渉すると、そういう任務もありますけれども、基本的には外務大臣の指揮監督下で職務を行うことということでございますので、私から厳重な注意をしたということであります。誤解を与えたということは大変大きな問題であると私も考えております。
  112. 藤田幸久

    藤田幸久君 薮中さんと重みが違う今の発言でございましたが、ちょっとそれ、また戻りますけれども、先ほど来政府考え方とおっしゃっていますけれども、この二月に日ロ首脳会談で麻生総理は、ロシアは二島、一方は四島では片付かないと述べ、その中間で妥協を図るというような言い方をされましたけれども、これに対して丹波元ロシア大使が、歴代日本の首相でそんなことを言った首相はかつて一人もいなかったと言っておりますが、そうでしょうか。こういうことを言い出したのは麻生総理が初めてでしょうか。
  113. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 麻生総理の御発言の趣旨というものも、やはり四島の帰属を確定した後、その後の時期とかあるいは返還の進め方等については、これは柔軟にということだと、私はそういうふうに理解をしております。
  114. 藤田幸久

    藤田幸久君 谷内さんは全く違った見解で、この新聞の一番下の段を御覧いただきたいと思います。大体一番下の段の十数行目ですか、これ、サハリンでの日ロ首脳会談では、新たな、独創的で型にはまらないアプローチという考えを確認した、日本側が四島あるいは二島、ロシアがゼロというのでは両国民の納得できる結果は出てこないと思うと谷内さんがおっしゃっておられる。これ、麻生さんがおっしゃったこととほぼ同じことをおっしゃっている。そして、一番最後の数行でも、面積を折半すると三島プラス択捉の二〇―二五%ぐらいになると。これも、麻生総理がおっしゃったことと全く同じことをこの新聞で谷内さんがおっしゃっている。  これは、ですから麻生さんのお考えのことと谷内さんのお考えのことと一緒であり、かつ、今まで首相が言っていないことを首相がおっしゃり、それを政府代表が同じように公の場でおっしゃっているというふうに理解をできると思いますが、いかがでしょうか。
  115. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 今委員からお配りいただいたこの新聞記事にはそういうふうに書いてありますが、私は、本人からは、面積等についての解説をしたんだと、そういうふうに本人からは聞いているわけでありまして、ここにはそういうような新聞記事となっておりますが、また、これが麻生総理の御発言と今関連付けたお話がありましたけれども、これは、総理のお考えは先ほど申し上げたとおりと私は思っておりますし、政府代表の発言というものは私が本人から聞いたものであると、そういうふうに私の方は聞いているところでございます。
  116. 藤田幸久

    藤田幸久君 つまり、単に三・五島というだけではなく、ほかの部分も含めてこのインタビュー記事というものは間違っていると。つまり、大臣のお話ですと、谷内さんの一方的な説明をうのみにして判断答弁をされているわけですから。  そうすると、片や四人の人が谷内さんの了解の下でテープも取って、そのインタビュー記事が出ているけれども、かなりの部分が間違っているというふうに今の答弁を聞いておりますと認識せざるを得ませんが、それでよろしいんですね。
  117. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 繰り返しになりますが、私が本人から聞いておるのは、その三・五島返還でもいいのではないかと考えていると、そういう発言はしておりませんと、そういうふうに私に対しては報告があったわけでございます。
  118. 藤田幸久

    藤田幸久君 であるならば、これは公の新聞でこれだけ事が、これからプーチンさんがいらっしゃる直前にこれだけの影響をもたらしたということは、日本の国益にとって大変な損失にもう既になってしまっている、ある意味では取り返しの付かないことになってしまっている。  であるならば、毎日新聞を提訴をするか、あるいは、この谷内さんという方がそういう政府代表に私はふさわしくないという判断で、これは罷免をしていただかなければいけない。これはどちらかしかないと思いますが、いかがでしょうか。
  119. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 新聞社を外務省が提訴をしたらという、今のは御提案でございますか。
  120. 藤田幸久

    藤田幸久君 提訴をするか、谷内さんは、これはやっぱり政府代表としてふさわしくない、これは薮中さんの、この次官の発言を見ても、これは領土交渉は慎重に正確にやらなければいけないと、誤解を与えたにしても正確でないということは明らかなわけですから、これを罷免をするか、どちらしかないという答弁で今まで来ているんじゃないですか。
  121. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 繰り返しになりますけれども、私の方としては、この誤解というものは軽いものではないと思っておりますし、そういうところから厳重な注意をいたしました。そしてさらに、政府としての見解というものも改めて表明して、この誤解を与えたかもしれないということにつきましては、政府はこういう考えであるということをまた外務大臣としても表明をしているわけであります。  そういうところから、私どもは新聞社に対しましては、先ほど申し上げたように、この本人から聴取したことを伝えて政府考えも伝えたと、先ほど申し上げたとおりでございます。
  122. 藤田幸久

    藤田幸久君 事務次官はこれだけのことをおっしゃっている。ところが大臣は、この厳重注意というのは、今までの話ですと、根拠は誤解を与えたということしか厳重注意の対象になっていませんよね。つまり、こういう三・五島ということを言ってしまった、あるいはほかのこともいろいろおっしゃっている。米朝の直接交渉も必要だみたいなこともこの新聞の中でおっしゃっている。そんなことも含めて、仮にこの新聞記事が間違っているならばそれは新聞社に抗議をすべきで、そうでないならば、これは誤解を与えたということではなくて、この中身自体が私は厳重注意を超えた処分の対象であるべきではないかと。政府代表というのはそれだけ重い、法律に基づいて任命をされた存在であると思いますけれども、いかがでしょうか。
  123. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 確かに重いものでありますが、本人も反省をしておることでございますし、我々としても厳重な注意をいたしました。また、政府立場というものも改めて表明をしているわけでございます。
  124. 藤田幸久

    藤田幸久君 言っていないことを書かれたということであるならば反省する必要ないわけです。反省をしているということは、誤解というならば、録音もしているわけですから、紙面になっているわけですよね。そうすると、この紙面が間違っているならばこれはしかるべき対応を取っていただかないと、これは外務省の名誉だけではなくて、あるいはそれ以上にこれは国益に関することで、今ちょうちょうはっしとこれから交渉しなければいけないという重大な、これは交渉事というものはそういうものであるということを、これはたまたま、国の根幹の問題であると、北方領土問題は座標軸を崩してはいけないと、歴史的にも法的にも四島を返還する根拠があるんだという、例えば丹波元大使もおっしゃっていますけれども、そういう問題だろうと思うんですけれども、単に誤解で厳重注意で、重要だという程度では済まないと思いますけれども、いかがですか。
  125. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 単に誤解とおっしゃいましたけれども、これは大きな問題であると、私も先ほどから申し上げておりますように認識をしております。かつ、政府としての考え方もこれもきちっと表明をしておりまして、今後、ロシアとの間で領土問題の交渉等がまた行われるように努力するわけでありますけれども、私たち考えは、政府考えは一貫して変わらないということはまた先方にもこれは伝えてまいりますし、表明もしているところでございます。
  126. 藤田幸久

    藤田幸久君 この政府代表、そのままであるならば私は罷免に値すると思いますし、それに対して大臣がそうした答弁を続けるならば、私は外務大臣自身の責任にもかかわる問題ではないかということを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
  127. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 民主党の犬塚直史です。  このグアム移転協定の三条にこのように書いてあります。「移転は、ロードマップに記載された普天間飛行場の代替施設の完成に向けての日本国政府による具体的な進展にかかっている。」、つまり、我が国支出をする費用及び協力協定は普天間の移転に懸かっていると、こう書いてあるわけですが、もしこれが実現しなかった場合、どのような形になるんでしょうか。
  128. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 日米の両政府は、二〇〇六年の五月のロードマップにおきまして、これはもう委員が御承知のとおりでありますが、二〇一四年までに在沖縄海兵隊グアム移転を実現するということに合意しているわけでございまして、その後、首脳を含む様々なレベルでロードマップの着実な実施を確認をしてきております。また私も、クリントン国務長官が訪日した際にもグアム協定に署名いたしましたけど、これは本件グアム移転事業実施に対する米国の明確なコミットメントの表れであると、そういうふうに思っております。したがいまして、今委員が御指摘のように、この協定の九条二の(1)から(3)までに言うこの条件が満たされない、そういうような事態が発生するということはそもそも私どもは想定をしておりません。また、この協定の第九条は、あくまでも予期し得ない事態に備えた万が一の場合のための規定でございます。  しかし、仮に御指摘のようなそういう事態が発生する場合には、日米共同で本件グアム移転事業を円滑にこれを着実に進めていくという観点から、この協定の第十条で事態を打開するために両国で協議をするということになっているところでございます。
  129. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 こういう巨額の費用を使う協定において、大前提である移転が実現しなかったと仮に仮定をすると、もう既に設計費等々巨額の費用が掛かっているわけですね。私の聞きたいのは、移転しなければいいと言っているんではないんです、万が一移転しなかった場合、この既に掛かってしまった費用はどこが負担することになるんでしょうか。
  130. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) お答え申し上げます。  先ほども大臣から御答弁申し上げたとおり、これを日米政府としては是非とも実施をするという決意で進めているわけでございますが、仮に万一何らかの事態でこの事業がうまく進まないというような事態が起きたということになれば、これはアメリカの方も既に相当の資金を出しております。また、私どももいろいろな防衛省の方で資金を使って作業をしておりますけれども、そういうものについてはもう既に使ってしまっておりますけれども、仮に、日本側が提供してしまった、しかし事業がうまくいかなくなったというようなことがあれば、先ほど大臣からも御答弁ございましたけれども、まずは事態を打開するために十条に従って協議を行いますが、それでもなおかつうまくいかないということになれば、さらにこの協定第十条に従いまして適切な対応というものを協議をして決めるということになろうかと思います。
  131. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 その適切な対応というのは、返還請求、要するに使ってしまったお金の返還請求までも含まれると考えてよろしいですか。
  132. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) もちろん、あらかじめどういう状況でどういう事態になったのかということでございますので、仮定の御質問に対して確定的に御答弁申し上げることは差し控えたいと思いますけれども、しかし、場合によっては返還を請求するというようなことの可能性というのは排除されておらないということでございます。
  133. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 今日の質問趣旨は、どうも2プラス2以来、当委員会でいろいろな疑問点というか、こう議論すべきではないかというような論点を随分たくさん提示をさせていただいたんですが、それがそのままこの交渉に反映されていないんではないかという、要するに交渉を本気でしているのかなというような疑念を抱かざるを得ない点がたくさんあるんですね。  例えば、今、北米局長答弁になったのでそのままお願いしたいんですが、北米局長が、先般でも指摘ありましたが、このような発言をしています。米議会は、できるだけ米政府の負担を下げ、同盟国の負担を求める姿勢が強いと。これはどういう趣旨で発言をされたんですか。
  134. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) 私が申し上げましたのは、政策の目的を達成するためのコストについてはできるだけ効率的かつ小さいものにしたいという米国議会の一般的な傾向というものを御説明したということでございます。
  135. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 当委員会でもそのような姿勢があるとはお感じになりませんか。
  136. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) これも、当委員会でも私も御答弁申し上げましたけれども、これはまさに日本側においても、それは委員会においてもそうでございますし、もちろん政府においても、できるだけ効率的でコストを小さいもので同じ目的を達成したいということで努力をしているところでございます。
  137. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 当たり前のことですね。議員は国民の厳粛な信託を受けてここで議論をするわけですから、血税を少しでも少なくしようというのは日米両国当たり前の話なんですけど、その当たり前の話をどうしてこの北米局長がここで改めて言わなければいけなかったのか、その辺をちょっともう少し御説明ください。
  138. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) 確かに、御質問は、まずアメリカの行政府と立法府との関係というようなコンテクストで御質問があったと思います。それについては、これは政府から度々申し上げているとおり、例えばこの協定をアメリカ側で議会の承認にするかどうかというのは、これはアメリカの行政府と立法府との関係、したがって、これはアメリカ政府判断すべきことであるということを答弁申し上げているわけでございます。そういう中で、アメリカの議会の一般的傾向について、いささか蛇足であったかもしれませんけれども、非常にそういう傾向があるということを御参考までに御説明を申し上げたということでございます。
  139. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 蛇足ですので、そういう発言はこれから控えていただきたいと思います。  この資料を御覧になっていただきたいんですが、グアムの民活事業のイメージです。このカラーの配付資料です。米軍人からSPE、これはスペシャル・パーパス・エンティティーですか、この法人に家賃が支払われると。そして、このSPEから国際協力銀行への償還がされるという説明を累次受けておりまして、もしこのような形で家賃をベースに考えて償還計画を立てるのであれば、この家賃が一体幾らぐらい収入として上がってくるのか、そしてまた稼働率はどのぐらいになるのかということを、もう重ねて同僚の浅尾理事からもこの質問はしているんですけれども、もう一度お答えいただきたいと思います。
  140. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 家族住宅事業につきましては、その具体的な事業在り方等について現時点で結論が出ておるわけではございません。引き続き日米間で協議を行っているところであります。したがって、御指摘の家賃収入や償還計画については、現時点で確たることを申し上げられないことについて御理解をいただきたくお願いいたします。  いずれにせよ、家族住宅事業については、今後米国が支払う住宅手当により、家賃収入によって日本の分担に係る出融資等が償還されるよう、日米間で協議をしてしかるべく精査してまいりたいと考えております。
  141. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 ということは、融資の返済計画はないということでよろしいんですか。
  142. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) いえ、我々とすれば計画がないのではなくて、それも含めて今後、家賃収入等についても、償還計画についても今の時点で確たるものが言えないわけでありますので、そういったことも含めて協議をしていきたいというふうに思っているところであります。
  143. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 今の時点で確たるものがない段階で出資が十五億ドル、融資が六・三億ドルと、こう決められたということでよろしいですか。
  144. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 当然、基本的にこの内容につきましては、今先生御指摘のように、我々とすればおおよその数字は出しておりますけれども、現時点でまだそういった確たるものを決めていないということでございます。
  145. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 おおよその計画があるわけですか。
  146. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) お答えいたします。  家族住宅の具体的な在り方につきましては現在日米間でいろいろ協議をしているところでございますので、その中でいろいろ、例えば償還期間をどうするかでありますとか、金利がどうなるのであるのかとか、あるいはグアムにおいて海兵隊員に支払われる住宅手当というのがそれぞれ階級によって異なるわけですけれども、どういったやり方がいいのかというようなことにつきましては、きちっと詰めて、まさに家賃収入や償還計画というものを具体的に詰める中でしっかりした事業の枠組みというのを作るべく、今一生懸命作業をしているところでございます。  それで、どの程度の今後時期かということでございますけれども、これまでの中での議論というのを考えていきますと、施設整備に必要な期間というものがございますので、その施設整備に必要な期間というのを差っ引いて考えますと、できるだけ早くその体制を整えていくと。先生がお示しになりましたSPEにつきましても、選定ができるだけ公平に開始できるように早く作業を進めていきたいということで今努力をしているところでございます。
  147. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 今防衛大臣が大ざっぱな計画はあると言ったんですけれども、その大ざっぱな融資してそれを返済させる計画の中には、償還期間も決まっていなければ、金利も決まっていなければ、それから確たる家賃収入も決まっていないと。これは何も決まっていないということじゃないんですか。
  148. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) 大臣が先ほど申し上げましたのは、基本的にロードマップ合意したときに、どの程度の家族住宅が大体必要になるのかとか、それに対してはやはり融資という枠組みでやっていくということが適切ではないかというふうな、そういった前提がございます。  ただ実際に、例えば実手当が今どの程度のものになるのかとか、現実にグアムでそれぞれの、例えば海軍、空軍ございますけれども、そういったところでどの程度の住宅手当が払われているのかとか、そういったことはこれからまさに詰めて一番いいスキームというものを作るという検討をしているというふうにお考えをいただければというふうに思います。
  149. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 融資の返済計画なしに2プラス2でこれぐらいは融資をするということで決まったという理解をいたしますが、もしそうであるならば、この返済が滞った場合、どういう手順でこの債権を回収していくんでしょうか。
  150. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) お答えいたします。  この点については、当委員会あるいはほかの委員会でもいろいろ御議論いただいているというふうに思います。その中で、出資や融資の回収期間とか不良債権化するリスクというような御指摘もあったところでございます。  これまで政府として答弁させていただいていますのは、まず一つは、出資や融資が回収不能となることのないよう、まさに具体的な事業スキームを検討するということであります。それから二点目は、基本的には返済してもらうというのが当然の前提であるということも国会で申し上げているところでございます。それから、家族住宅の事業期間というのについては、相当な長期間を前提として想定してやっていくと。しかも、回収されるための米軍の家賃でありますとかその使用料というのは、それなりの手当が出ているものでございますので、そういったことを使いながらしかるべく回収されるように制度設計をしていくというふうな、そういった議論をさせていただいておりまして、まさにそういう前提の下で金利の問題も含めましてやっていくと。例えば金利の場合ですと、元利均等でやるのか元金均等でやるのかとか、いろんなシミュレーションも必要でございますし、そういったことも含めてこれまでも検討しておりますし、今、日米間で相当本格的な議論に入っておりますので、もうしばらく時間をいただきたいということでございます。
  151. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 長々とお答えいただきましたが、内容はほとんどおっしゃっていない。  大臣に伺いますけど、これだけ景気が悪くてこの巨額な資金を血税から出すに当たって、出すなと言っているんじゃないんですよ。しかし、これだけあいまいな融資の計画を、これはもう絶対に民間では考えられないですね。みんな四苦八苦していろいろな事業をやる中で、こういうスキームで金を貸してくれる銀行はどこにもありませんよ。そのような、言わば常識を超えたような中で融資ということを決める。しかも、債権になってしまった、回収できないようになった場合の取決めもこれには書いていない。これ、どうやって有権者に説明するんですか、大臣
  152. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 当然これ、先生の御指摘のように一般企業ではないかもしれませんが、我々とすれば、沖縄移転等を含め、負担軽減も含め、我々がやろうとする中で、お互い国と国との中でその取決めをして上限を決めて、その中でやっていくという話でございます。  我々とすれば、今先生の御指摘のあったこの空白の部分は一体どうしていくのかというお話がありましたが、先ほどから申し上げておるように、我々とすればしっかりとそこは協議しながら詰めていく、そしてまた数字に関しても、毎年毎年そういった形で予算も含めてしっかりと提示をしながらやっていくということを担保しながらやっていくことが重要かと思っておりますので、確かに一般的な企業に対する融資とは違うかもしれませんけれども、我々とすればそういうことを説明するしか、するということが重要だというふうに思っておるところであります。
  153. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 冒頭申し上げたように、日本には日本の立場があり、日本の議会は日本の議会で頑張ろうとする、アメリカ議会はアメリカ議会で頑張ろうとするのは当たり前のことですね。そういう日本側の経費を少しでも少なくしてやろうという意欲がみじんも感じられない議論がずっと続いているわけであります。  例えば、今回のこのグアム移転経費の日本負担は、他国の軍事施設を他国の領土の上に我が国が資金を支払って建設をするわけですが、その際にグアムの、米側の消費税も支払うことになるんでしょうか。
  154. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) いわゆる真水事業、これは米国内において、米国内というのはグアムにおいて米国政府実施する事業でありますが、この事業実施に当たりましては、グアムにおいて我が国の消費税に相当する、これは収入税というんでしょうか、これが課税されるということになると思います。  いずれにいたしましても、真水事業に対する課税分も、このグアム移転協定に基づいて我が国が提供する上限二十八億ドル、これの貢献に含まれる、つまり内数となるということでございます。
  155. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 他国の施設を他国の領土の上に我が国が建設をして、払うんであるから、消費税ぐらいは交渉したらどうですかということを額賀大臣に申し上げたんです、何度か。そのときは、それはいい考えですと、ちょっと細かい表現は忘れましたが、それは考えられるラインだから交渉してみようという前向きな答弁をいただいたんですが、これは交渉の材料にはなったんでしょうか。
  156. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) 御答弁申し上げます。  まさに、国会におきまして在沖縄海兵隊グアム移転事業との関連で米国内税の取扱いが議論されたということも踏まえまして、政府としては米国との交渉におきまして真水事業に対する米国内税の免除を働きかけたということでございます。  これに関しまして、日米政府は、本件グアム移転事業沖縄県の負担の軽減と抑止力の維持という日米双方の利益を実現するためのものである点を踏まえつつ、次の諸点等を検討した結果、真水事業に対する免税措置の規定は最終的には本規定に盛り込むことができなかったわけでございます。  その際、ただいま大臣から御説明ありました、真水事業米国内において米国政府が執行する事業であること、また真水事業に関する課税分もこの上限二十八億ドルの貢献に含まれるというようなことで、最終的には盛り込まれないというふうになったということでございます。
  157. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 この消費税のことも言ってみれば細かい話かもしれません。しかし、交渉するに当たって、一番初めに向こうが出してくる条件に基づいて交渉するのと、こちらが出す条件に基づいて交渉するのではやっぱり全く結果が違ってくるんだろうなというふうに思うわけです。  配付した沖縄タイムス四月十日付けの新聞記事を御覧になってください。これは、ここに張り付けてあります記事はすべて四月十日付けの沖縄タイムスの記事であります。まあこれだけの、米軍が駐留しているとなると一日にこれだけの記事が出るんだなと、改めて基地負担というものは我々がいかに身近に感じていないのかなと私は感じたわけですけれども、この中で実は一面トップだった記事が真ん中のYナンバーひき逃げ事件です。  外務大臣、これは重大な事件であり、明らかに原因がはっきりとしているものであればそのような対応を取りたい、つまり起訴前の身柄引渡しを米側に求める可能性について大臣がここでコメントをされているんですが、これは通告してないんで済みません、その後の進展ありましたら教えてください。
  158. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) 本件事件につきましては、現在もなお、沖縄県警察において米側の協力を得ながら全容解明に向けた捜査が進められているというふうに承知をしております。  今後、捜査を通じて明らかになった事実に即して適切に対応することとなるわけでございますが、現時点では引き続き捜査中ということでございますので、見通し等についてお答えすることは差し控えたいと思います。
  159. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 外務大臣、北米局長はああいう答弁になると思うんですよ、やっぱり。しかし、たった一日のこの新聞記事を読むだけで、例えばこの自動車のナンバープレートに銃弾が突き刺さっていた、これが県警発表が十日、米軍の発表が十一日。これはもう新聞読む限りでは地元は怒り狂っているわけですね。そしてまた、廃棄物にアスベストがあるとか、あるいはこの起訴前の身柄拘束についても、二人の処遇については、一人はキャンプ・ハンセンの拘禁室に監禁されている、もう一人は部隊内で監督下に置かれているという、どこにいるかはっきり分かっているわけですね。ひき逃げをして、その後ずっと車を運転していった。  私はやっぱり、政治家として、しっかりとこういうことに対してはもっと怒りを表明して、沖縄のためというか日本の立場に立ってしっかりと交渉すべきだと思うんですけど、大臣、一言コメントをお願いします。
  160. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 沖縄の皆さんには、県民の皆さんには本当に長い間いろいろな面で御負担をお掛けしているということは、本当にこれは、政府としては一日も早くそういう負担を軽減するということが大事だと、そういう基本的な考え方でずっと来ているわけでありますが、今委員からお示しいただきました新聞記事にありますように、いろいろな事件、事故が発生しているということは大変遺憾なことでございます。  流弾事件につきましてはまだ最終的な結論には至っていないと私承知しておりますが、いずれにいたしましても、この米軍再編、その中のこのグアム移転等、これらの事業をきちっと早く実施するということによって負担の軽減が図れればと、そういうふうに考えておりますので、もちろんこういうような事故がないように私も米軍の方の関係者あるいは米国大使館にもこういうことは要請しておりますけれども、この再編が進みますように、また委員国会での御審議をよろしくお願いしたいと思います。
  161. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 外務大臣防衛大臣も、是非、私も何度か沖縄に行きましたが、一言で言うと気に入らないんですよね。要するに、対等に交渉するような雰囲気が感じられないんですね。地元の案内をしていただく場合もそうですし、米軍の基地の中に入った場合もそうですし、お互いに国と国同士が協力をして、平和と地域の安定のために協力してやろうということですので、何も一方的に全部相手の言うことを聞くとか、まあまあまあでやっていくという態度ではなくて、言うべきことはきちっと言っていただきたいと、こういうふうに思います。  二〇〇四年の八月十三日、米軍のヘリが沖縄国際大学に墜落をした後、七日間にわたって大学キャンパスが海兵隊に占拠され、学長は自らの大学に入れなかったという事件がありました。このような米軍の権限は、日米安全保障条約及び在日米軍の地位に関する日米協定条文中どこに規定されているんでしょうか。
  162. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) 二〇〇四年八月に起きました沖縄国際大学における米軍ヘリ事故の際の現場の統制につきましては、事故発生直後から、大学敷地内のうち、墜落現場の直近については米側が立入り制限を行い、それに隣接する外周部分については日本側が立入り制限をするということで調整が行われたものというふうに承知をしております。  沖縄国際大学学長さんにつきましては、米側との調整の上、防衛施設庁当時でございますが、関係者とともに事故翌日の八月十四日午前、日本側による立入り制限範囲内への立入りを行われたほか、同日午後、米側による立入り制限内である一号館、これは本館への立入りも行われたものというふうに承知をしております。したがって、翌日には立入りをされたということでございます。  事故現場周辺への立入り制限につきましては、日米地位協定第十七条に関する日米合同委員会合意というものがございまして、許可のない者を事故現場の至近に近寄らせないようにするため、日米両国の当局が共同して必要な統制を行うことができるというふうに規定をされております。そして、それに基づきまして米軍の要員が現場で日本側当局と調整の下そのような立入り制限を行うということでございまして、これは日米地位協定及び関連諸合意との関係で問題とはならないわけでございます。  他方、この本件事故を受けまして、事故の直後にもいろいろな関係者が国会の議員さんも含め行かれました。その際に、いろいろ御批判もありました。そういうことで、この事故を受けて日米合同委員会の下に事故現場における協力に関する特別分科委員会というものを設置をいたしまして、五回に及ぶ会合を通じ、約数か月間議論をいたしました。そして、事故現場における日米双方の対応について、事故現場への立入り制限の問題も含め種々いろいろな指摘を検討し、その結果、万一このような事故が将来起こった場合には日米両当局が迅速かつ適切な対応を確実に取ることができるよう、新たなガイドラインを取りまとめております。  そして、このガイドラインに基づきまして、現地沖縄におきましては、日米双方関係者が実際に訓練というようなことも現在は行っているということでございます。
  163. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 この件については、事件から四日たった八月十七日の午前八時に米海兵隊本部から県警に対して合同捜査拒否回答というのがあったと。多分、これも反省点の一つなんだろうと思いますが、私が申し上げたいのは、二時十五分に激突、墜落、炎上して、その五分から十分後には米軍により本館周辺は立入禁止になったと。これに対して夕方の四時半に立入りを求めたが立入りを拒否されたというような細かい経緯を見ていますと、やっぱりここに一つは政治的なリーダーシップといいますか、日本の立場を代表する発言が絶対必要だろうなということを感じた次第であります。  時間がありませんので全部を飛ばしまして、辺野古移転に関する一千七百万立方メートルの海砂採取について環境アセス法に基づく環境影響評価を行わなくてよいとしている理由を教えてください。
  164. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 御指摘の海砂等の埋立土砂につきましては、土砂等の供給業者より購入することとしておるということから、当省としては環境影響評価の対象としていないものであります。  なお、一般論で申し上げれば、土砂等の供給業者が行う採取等にかかわる環境への影響については、当該業者が各種関連法令に基づき必要に応じ適切に措置すべきものと認識しております。  当省としては、埋立土砂の購入に当たっては、供給元における土砂の採取が各種法令に適合していること、また環境への影響に配慮されていることなどを確認するなど、埋立土砂の調達により環境への著しい影響がないよう適切に実施してまいりたいというふうに考えているところであります。
  165. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 お手元の資料、これ壱岐日々新聞と書いてある、私の地元の長崎県の壱岐市の地元のローカルの新聞であります。  この海砂の採取が地元では十年前から大問題になっております。海砂を採取することによって、もう時間がないので後で読んでいただきたいんですが、まさにいろいろな環境あるいは水産被害が生じてきているということなんですね。これが毎年どのぐらい取っているかというと、三百万立米なんですよ。沖縄近辺で今取ろうとしているのは一千七百万立米、けた違いです。  この海砂の採取が水産環境に与える影響、水産庁、どのように見ておられますか。
  166. 成子隆英

    政府参考人(成子隆英君) お答え申し上げます。  海砂を大量に採取しました場合には、魚介類の産卵場や生息環境に影響が及ぶ可能性があると考えております。  海砂を採取せざるを得ない場合には、砂利採取法の規定に基づきまして各都道府県知事が採取計画の認可を行うこととなりますが、その場合においても漁業者等関係者や水産資源への影響に配慮して行われることが適当と考えております。
  167. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 最後に、大臣政務官に来ていただいておりますが、この沖縄を含む九州における海砂採取の総量規制というのは各県で御案内のとおり行っているんです。福岡県が四百万立米、佐賀県百三十万立米、長崎県がさっき申し上げた三百万立米、熊本県が二十万立米ということで、沖縄県は総量規制は実施をしていないということになっているんですね。  この実施をしていない沖縄県で一千七百万立米というまさにけた違いの海砂等を採取することについて、それは民間が法律に基づいてやることだからいいだろうというような話ではない。まさに壱岐では十年前からいろいろな問題が出ているんです。これについて、政治家として水産庁のお立場からコメントをいただきたいと思います。
  168. 野村哲郎

    大臣政務官(野村哲郎君) ただいま私どもの成子部長より御答弁申し上げましたが、一般論としましては、やはり海砂を大量に採取した場合には魚介類の産卵だとかあるいはまた生息環境、こういう水産資源の保存に影響が生ずる可能性がございます。  海砂の採取については、繰り返すようでございますけれども、法律に基づきまして都道府県知事が採取計画の認可を行うこととされておりますので、環境アセスメントの必要性も含めまして、発注者でございます防衛省、また採取業者、そして漁業者など関係者の意見も踏まえまして都道府県知事が判断されると、こういうふうに考えているところでございます。
  169. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 防衛大臣、この配付資料の二枚目を見ていただきたいんですが、これは浜がけといって、砂浜がすとんと落ちてがけのようになってしまう現象なんですね。これは別に海砂採取だからというものではないんですが、自然に戻ってくるということらしいんですけれども、地元の方たちいわく、やっぱりこの十年間、海砂やり始めて以降この浜砂が元に戻るのに時間が掛かるようになったというようなことがあるんですね。  それから、いそ焼け。いそ焼けをした海岸、大臣、歩いたことありますか。恐ろしいほど、不気味なほど命を感じられないのがいそ焼けなんですね。このいそ焼けも、地元の漁師さんや長年住んでおられる方は、どうもこの海砂採取と直接関係があるだろうということなんですね。  私はこの一千七百万立米をやめろと言っているんではないんです。しかし、環境アセスですね、やっぱりやるべきではないかと。今、水産庁の方から余り前向きな発言いただけなかったんですけど、海の男としてもう少し踏み込んだ発言をいただきたいんです。大臣、いかがでしょうか。
  170. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 水産関係、私もずっとやらしていただいていて、海の今の現状というのは大変資源的にも厳しいというのを承知しておりますし、また先生のおっしゃる砂の問題等々、今後どうするのかという議論もしてまいりましたし、いそ焼けというのは、これはもう本当にそういう意味ではその地域においてはまさに死活問題ということもよく認識しておりますので、当然環境アセスよりも何よりも、この今回の埋立ての土砂ということになりますと、これはまた担当が違ってくるわけでございまして、そういった意味からすると、このアセスかけるべきかかけないかというよりも、もう既にそういった現象が出ているわけでありますから、当然、今後これが果たして許可になるかどうかも含めて我々としては見ていかにゃいかぬ。そしてまた、それがすべて今回のどういったところで取ってどうなるのかというのは、これからも我々としては注目しながら、先生の御指摘したことの懸念がないような形を取れるかどうかも含めて今後検討してまいりたいと思っています。  いずれにしても、海に対する意識というのは、我々としてもしっかりと持っているつもりでありますので、今後とも対応してまいりたいと思います。
  171. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 この件については引き続きやらせていただきます。  次の質問に移ります。  北朝鮮が保有する我が国を射程に収めることができるミサイルの数、これは何基あると把握されていますか。
  172. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) お答えいたします。  この点につきましては、先生からの御質問もございましたので資料を提出させていただいているところでございますけれども北朝鮮が極めて閉鎖的な体制を取っているというようなこともございまして、現実に我が国を射程に収めている弾道ミサイルというものを具体的に何発保有、配備しているかということについては、なかなか断定的なことは申し上げられる状況にはございません。  例えば、一つのミサイルとしてはノドンがあるわけでございますけれども、これは射程が千三百キロでございますので、我が国のほぼ全域が射程内にあるわけでございまして、これは相当な数があるというふうに考えておりますし、いろんな配備数について、例えば九十発以上持っているとか、二百発も保有しているとか、いろんな見積りがございますけれども、そういう状況でございます。  それから、ノドンに限らず、ノドンより射程の長いミサイルの開発というのは進めておりますので、そういったものも含めますと大変な重大なミサイルの脅威というものは存在しているということは申し上げられるかと思いますが、具体的に何発ということについては申し上げられる状況にはございません。
  173. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 今お話があった九十発がミリタリー・バランス、二百発がこれが在韓米軍司令官、これはいただいた資料ですけれども、そして一番多いのは三百二十発のノドンを持っているというのがICGですね。こういう、仮に九十でもいいですけれども、三百二十と九十の間、この射程のミサイルが日本に飛んできた場合、MDの有効性というのはどのぐらいあるんでしょうか。
  174. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) お答えいたします。  我が国のBMDシステムにつきましては、特定の国・地域を対象としたものではないということを前提にお答えさせていただきたいと思いますけれども、これまでの試験結果等にかんがみますれば、我が国の領域に飛んでくる千キロ級以上の弾道ミサイルの対処についての技術的信頼性は高いというふうに申し上げられるかと思います。また、多目標対処を念頭に置いた多層防衛システムというものを採用しておりますので、複数の弾道ミサイル我が国に向けて連射された場合においても対処は可能であると思います。  ただ、実際にそのミサイルが集中的に発射されたり、あるいは同時に多方面に対して発射されるとかいろんなケースがあろうかと思いますので、そういった問題に対して有効に対処するためのいろいろな研究開発なり、ふだんからの訓練、そしてまた日米間の協力と、こういったいろんなことを含め、さらには情報収集能力を充実させると、いろんな方面での努力によって対応が更にしっかりしたものになるというふうに考えております。
  175. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 時間がないので終わりますが、このMDにこれだけの資金を費やして、そして米軍再編にこれだけの資金を費やして、しかし、沖縄の海兵隊がどれだけこの北朝鮮の脅威の抑止になっているのかということも検証がされていない。  引き続き質問を続けていくことを申し上げて、私の時間が来ましたので、終わります。
  176. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 外務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。
  177. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) お許しをいただきまして、先ほどの浅尾委員の御質問に対するお答えをちょっと述べさせていただきたいと思いますが、ロードマップ合意されて以降、なぜこの協定が作成されたのかと、またなぜ最終的に国会承認になったのかと、そういう御質問であったと思いますが、日米の両国の政府間で政治的に合意をされましたこのロードマップ、これを実施するために日米政府間で協議を行いましたところ、先ほどの御答弁とこれは繰り返しにもなるところございますが、在沖縄海兵隊グアム移転に伴って必要となる日本政府から米国政府に対して支出されます公的資金につきましては、この資金の提供について明確な権利義務関係を、これを法的拘束力のある国際約束とすることがこのグアム移転の安定的な実施を確保する上でこれは適切であると両国の政府間で見解が一致したものでございます。  この場合、国際約束の中で、我が国から米国政府に対しまして上限二十八億ドルを二〇一四年までに支出する約束を含めることが適切であると、そういうふうに判断をされましたので、多年度にわたる財政支出を含む国際約束となることから、この二国間の協定として国会にお諮りをし、国会の御承認をいただくことが適切と判断したところでございます。  なお、この日米政府間の協議につきましては、ロードマップ実施という非常に重要な外交の課題でもありまして、これはもう、事務方が随時外務大臣の指示を仰いでいたということはもう言うまでもないことでございます。  以上でございます。
  178. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午後零時六分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  179. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) ただいまから外交防衛委員会再開いたします。  委員の異動について御報告いたします。  本日、藤田幸久君が委員辞任され、その補欠として水戸将史君が選任されました。     ─────────────
  180. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 休憩前に引き続き、第三海兵機動展開部隊要員及びその家族沖縄からグアムへの移転実施に関する日本国政府アメリカ合衆国政府との間の協定締結について承認を求めるの件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  181. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 民主党の谷岡郁子でございます。よろしくお願いいたします。  初めに、午前中の質疑を聞いておりまして本当に気になりましたのは、特に外務省の御答弁に繰り返しが多い。私どもも注意をして聞いておりますし、過去の議事録も読んでおりますので、時間の制約ございます中で、できるだけ簡潔に繰り返しなく答弁をお願いしたいと思います。主権者の知る権利というものを時間を使って阻むというようなことはなさらないでいただきたいということを切にお願い申し上げます。  ところで、中曽根外務大臣におかれましては、パキスタン・フレンズ東京閣僚会合等、そして大変活発な外交、大変御苦労さまでございました。大変重要な会議だと思いますが、この間、国際的な外交の風景が大きく変わってきたのではないかというふうに私は感じております。これ質問通告はしておりませんが、もしお答えいただけたらしていただきたいんですが、オバマ大統領のプラハにおける核廃絶に向かっての演説、同時に、今回、米州首脳会議がポートオブスペインで行われました。それに対するこれまでの、例えばチャベス・ベネズエラ大統領に対する対応の関係あるいはイランがアメリカを評価し始めたりということで、国際的な景色が大きく動いていて、オバマ大統領は今、アメリカ外交の大きなかじを切ろうとしているのではないかというふうに状況として見られると思います。  これについて中曽根外務大臣は、この大きな転換というのをどのように見ておられるか、また、それに釣られて日本の外交というものも動いていくというふうにお考えになっているのかどうかをまずお聞かせいただきたいと思います。
  182. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 委員がおっしゃいますように、新しい、米国はオバマ大統領が就任をされました。まだ完全に政府のいわゆる主要なポストも固まっていないところもございますけれども、オバマ大統領になられましてから、ちょうどお話ありましたようなプラハにおける核兵器のない世界というようなスピーチとか、あるいは気候変動問題に対する対応とか、今お話ありました対イランに対する米国の対応とか、いろんな面においてブッシュ時代とはまた違ったような、違ったと言うとちょっと語弊があるかもしれませんが、新しい大統領としてのカラーが出てきているのではないかと、私もそういうふうに思っているところでございます。  これはやはり、時代の変化というものも受けまして同大統領並びに政府が新しい政策というものを打ち出そうとしている一つの表れではないかと思っておりまして、もちろん歓迎すべきところも多いわけでございますが、我が国といたしましても、米国とは日米関係を基軸とするのが日本外交のこれが基本でございますから、そういう意味では、米国の政策というものを注視をいたしまして、そして国際社会の平和とか安定に一緒に取り組んでいけるものは是非やっていきたいと、そういうふうに思っておりますし、同時に、我が国考え方が違うようなものがもしあれば、そういうところにつきましても、我が国としての立場なり考え方はこれは表明をしていきたいと、そういうふうに思っているところでございます。
  183. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 明快にお答えいただきまして、大臣、大変ありがとうございました。  次に、北鮮への安保理議長声明についてでございますけれども、これは明らかに当初目標とした決議とは違っておるというのは午前中に説明いただいたとおりであると思います。つまり、法的な拘束力がないと。これを北鮮は守るべきだというふうにお考えなんでしょうか。
  184. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 北朝鮮は、あのように各国の自制を求めるそういうような要請に反してミサイルを発したわけでありまして、それに対しましては、もう既に一七一八で北朝鮮に対してのいろいろな要請というものが盛り込まれているわけでありますので、それの違反ということでもありますので、国際社会、特に安保理での今回の議長声明というものは、これを是非、北朝鮮にとりましては遵守をするようにと、一七一八を遵守するようにと、そういうような議長声明になっておりますので、私たちとしてもこれを北朝鮮に求めていきたいと、そういうふうに思っておりますし、同時に、我が国固有の、固有ではないですね、従来からの諸懸案、核、それからミサイル拉致、これらは、六か国協議開催をしながらこれらの解決にも努力していきたいと思っております。
  185. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 これは、では一般論として、北鮮に限ったことではなくという意味でお聞きするわけでございますが、議長声明ということで、どちらかといえば警告ないしは勧告といったものに近いかなというように私どもは受け止めますが、そういうものは国際的に守るべきというふうに考えられているものなんでしょうか、いかがでしょうか。
  186. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 今申し上げましたように、この議長声明というのは、安保理決議一七一八号によって法的拘束力のある決定として既に課された義務というものがあるわけでありまして、これに違反をしたということになっているわけでありますから、さらにこの議長声明は、この一七一八号決議の完全履行を求めているものでありますし、また更なる発射を行わないということも要求をしているわけでありまして、そういう意味では、これは決議ではございませんけれども、これは一七一八号の下での法的拘束力、これのある決定というものを確認するものでございまして、これは、安保理によります公式でまたかつ法的な見解を表明するものだと、そういうふうに思っています。
  187. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 そうしますと、つまり一般に申し上げて、条約協定等、国際約束というふうに思われるものを含めて、何らかの形で拘束力があるものというものの素地に立った勧告、あるいは及び勧告等というふうに考えられるようなものに関しては、尊敬すべき言わば文明国家としてはそれは遵守すべきものであるというふうにおっしゃっているというふうに取ってよろしゅうございますか。
  188. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 北朝鮮も国連のメンバー国であります。その国連が安保理決議として一七一八号というものを既に過去決議しているわけであります。  今回、安保理が、これを遵守しなければならないと、北朝鮮に対してですね、あるいは更なる発射を行わないということ、こういうものを要求しているわけでありまして、先ほど委員が繰り返しはいかぬとおっしゃいましたけれども、これはそういう北朝鮮に対しまして前回の決議の完全履行を求めているものですから、法的なこれはある意味での見解と、公式な見解ということになると思っております。
  189. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 私は、外交等を含めて国際関係というのは常に相対的なものであろうと思います。ある決議ないしはその決議条約等の下にある勧告等、そういうものは日本も守ってこそ、あるいはほかの国に守るということを要求するだけの資格を得るものであろうというふうに感じておりますので、日本の国家としても、様々、日本に対して付けられた勧告等については真摯に誠実に今後対応していただきたいということをお願い申し上げまして、本題でありますグアム移転の方へ入りたいというふうに思っております。  まず、最初にお聞きしたいんですけれども沖縄の現状といたしまして、三十三基地あって、全国の七五%ほどの米軍基地が沖縄に集約されているということはよく言われておるんですけれども、水域はいかがなんでしょう、米軍の専用水域。
  190. 井上源三

    政府参考人井上源三君) お答えを申し上げます。  沖縄周辺におきまして米軍が使用している水域でございますけれども平成二十一年一月一日現在、二十八水域ございまして、合計面積は約五万五千平方キロメートルというふうになっております。
  191. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 ありがとうございました。  そして、そのうち、今回、ロードマップからこの協定という形になっていく中で水域の返還はどのくらいなされるのでしょうか。
  192. 井上源三

    政府参考人井上源三君) 今回の米軍再編によりまして、沖縄周辺海域におきまして返還が予定されている水域でございますけれども、施設といたしましては那覇港湾施設にかかわります水域でございまして、当該水域の面積は約十四ヘクタールとなっているものでございます。
  193. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 それ以外に、SACOの最終報告で返還されるべきというふうに指定されたもののうち、現在までに返ってきておるものはどのくらいでありましょうか。
  194. 井上源三

    政府参考人井上源三君) 平成八年十二月にSACOの最終報告がございましたけれども、その中に盛り込まれました十一の施設・区域のうち水域にかかわりますものにつきましては、安波訓練所にかかわる水域約七千八百九十五ヘクタールでございますけれども、これにつきましては平成十年の十二月に共同使用が解除をされまして返還されているところでございます。
  195. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 ただいま、今幾つかの数字が出てまいりました。この数字でお聞かせいただいたと思うんですけど、単位が違うんですね。五万五千平方キロメートルというものとヘクタールというのは、基本的にそれだけでゼロが二つ違ってきてしまっていると。そういう形の中で、返っているように見えますけれども、実は五万五千平方キロメートルというのは、日本の陸地の面積は三十七万平方キロメートルでございますから、随分多くの専用水域というものが実は使用不可能な形で米国の専用面積になっている。その他、訓練用、保安用という形で使用が制限されているようなもの、専用ではなくてですね、そういうものもたくさんある。ですから、私どもが聞いている中で、沖縄の負担というものは陸地以外のところでも大変大きいということを皆様にまず御理解をいただきたいと思います。  そして、今回八千人帰る。この数値というものが常に問題になってきておるわけですけれども、これが沖縄の主な軽減負担だというふうに言われております。もう一度説明、分かるようにしていただけませんか。そして、なぜこの一万八千人から一万人、定員ベースですけれども、帰ってきているところのものがこの協定には書き込まれなかったのかということについてお聞きいたします。
  196. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) まず、この定員数で約一万八千人から一万人と削減されるわけでございますが、これは今後の実数の削減においても、やはり定員というものが実数の基盤になっておりますので、極めて大きな意味を持つものというふうに考えております。  そうして、そこから人間が出ていくということになりますと、沖縄にございます施設についても不用なものが出てくるであろう、そして施設・区域を統合し、また土地が返還されるということで、具体的には人口密集地に多く存在する嘉手納飛行場以南の多くの施設の全面返還あるいは部分返還というものが可能になるということでございます。  それから、人数については、これは前にも御説明をしておりますけれども、在沖縄海兵隊を含む在日米軍につきましては、その定員数を何人とするという合意というものはそもそも日米間に存在しておりません。したがって、この協定におきましても、一万八千人の海兵隊を一万人の定員に移すということで、そのためにグアムでいろいろな施設を整備する、そこの真水の事業についての具体的な権利義務を設定しておるということでございます。
  197. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 ロードマップ若しくはこの協定におきまして、そうしますと、一万八千人から一万への定員ベースの減少、言わば移転というものと、その協定の中に書かれております八千人減るということとはどういう関係でつながっているんでしょうか。そこを分かるように御説明いただけますでしょうか。
  198. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) あくまでも米軍のプレゼンスの基本というのは定員をベースにしているわけでございます。ただ、これは累次御説明をしておりますように、ここ数年間はイラクそれからアフガニスタンというようなことで米軍が相当伸び切ってしまっているということから定員が充足されていない。したがって、実数と定員の乖離が生じているというのが現状でございます。  しかし、これはいずれまた状況が平準化すればまた元に戻り得るわけでございまして、そういう意味で一万八千人の定員を一万人に定員をする、その八千をグアムに移すということで、それによりまして、その必要な施設、この施設・区域の面積であるとか、あるいはそこにあります施設が要らなくなってくるものが出てくる、そういうものを返還することが可能になるだろうということでございます。
  199. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 そうしますと、平成八年のSACOの時点ですね、嘉手納以南等が返還されるべきという点におきましてはこういう人数的な議論というものはあったんでしょうか。
  200. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) SACOにおきましては、むしろ部隊を動かす、人数を動かすということはむしろ議論の前提にはございませんで、あくまでも現状の部隊、部隊の現状というものを前提として、その中で効率的に整理、統合して縮小していくということで、それにより基地を返還するという考え方でいろいろな協議が行われたというふうに承知をしております。
  201. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 そうしますと、人数を減らすということではない、前提でない統合、効率化というようなことで考えますと、本当に実際に八千人という人数が減れば、今合意されているロードマップ以外にも沖縄の基地の使用についてはすき間が出てくるということが考えられるかと思うんですが、そうしますと、これは、今返ってくることに予定している基地というものは、沖縄の基地的な意味における負担軽減という意味で、最終的なものではなく今後も減り得るものというふうに理解してよろしいでしょうか。
  202. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) お答え申し上げます。  あくまでも、一万八千人の定員を八千人減らして一万人にするということで、それが二〇一四年にそういう姿になるわけでございます。その姿は、特段大きな状況の変化、予測し得ないような状況の変化がなければその姿がそのまま継続をするというふうに予測をしているわけでございます。  その場合、そこで減った部分をまさに嘉手納以南の施設・区域を整理、縮小、統合していくということでございますので、このロードマップではその状態までを考えているということで、それ以降どうなるかということについては、あくまでもロードマップはその二〇一四年の姿というものを描いた上で、それに基づいて嘉手納以南の施設・区域も整理、統合、縮小し、返還をしていくということに考え方がなっているわけでございます。
  203. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 そうしますと、おかしいんですよ、議論として。人数が減らなくても整理、統合、効率化することによって、平成八年の時点で嘉手納以南、今返すというふうに言われているところが返せるということになったと。沖縄の負担軽減をするということで八千人、平成八年から定員ベースが減るのであるならば、更に基地には余裕ができるはずであって、今後、沖縄の負担という形で沖縄の方々が地域や水域として使えるというものが増えて当然だと思われるわけですし、それを日本の国家としては、沖縄の負担軽減のためにも、例えば観光産業等、沖縄自身を振興していくためにできるだけそこへ向かって努力していくという話にならないとおかしいと思うんですが、いかがですか。
  204. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) 確かに、嘉手納以南の整理、統合、縮小におきましては、SACOでの合意も一部含まれているわけでございますが、SACOでの合意というのは、あくまでも九六年に、そのときの米軍のプレゼンスを前提として、効率化によって整理、統合、縮小するということでございました。  今回は、この米軍再編におきましては、まさに部隊を大きく、八千人規模で定員ベースで沖縄からグアムに動かす、より大きな規模のものを考えているわけでございまして、それによって出てくるすき間というか、そういうものを集約をして、さらにSACOのときに比べましてもより大きな基地の返還というものができるという考え方に立っているわけでございます。
  205. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 そうしますと、今言われているもの以外にも、今後そういう形での返還に向かって努力をしていくんだというふうに受け止めてよろしいですか。確認させてください。
  206. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) もちろん、米軍再編の一環として、大規模なものとして嘉手納以南の整理、統合、縮小、まあ返還はいたしますが、もちろんそれ以降におきましても、運用の実態の変化とかいろいろな状況を見まして整理、統合、縮小できるものがあれば、それは私どもとしても是非アメリカとよく協議をして、もちろん再編の中に入ってくる案件に加えまして、もしできるものがあればそういうものは進めていきたいというふうに考えております。
  207. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 嘉手納以南というふうに言いますと大変たくさんのものが返ってくるように見えるかもしれませんが、実は多くのものはもう返っておりまして、一番残っている大きな懸案は瑞慶覧一つです。そして瑞慶覧は、今ですらも一部返還という形で、そのヘクタール数等は明示されておりません。  その大きな負担軽減、負担軽減、普天間のクオリティー、質的な、ああいう場所柄にあるという意味でのものは認めますけれども、それ以外についてはそれほど大げさな話じゃないと思うんですね。先ほど来お話ししているような五万五千ヘクタールの水域でありますとか、それから中部そして北部における圧倒的な大きな面積等、もうよく御存じのことでございます。これで私は十分返ったというふうには当然思っておりませんので、それを努力していただけるんだという範囲の中で、私は今好意的に、外務省交渉のこれまでの在り方や今後の在り方というものを受け止めようというふうに努力をしているということを御理解いただきたいと思います。  さて、それに関しまして防衛省に今度お聞きしたいんですけれども、じゃせっかくすき間ができて、今後沖縄の基地が更に返還される等の負担軽減がなされる可能性があるといたしましても、そのすき間に自衛隊がいっぱいいっぱい入り込んでしまうようなことがあれば当然それは不可能になるわけでございます。  それに関しまして、米軍の負担は出ていくという形で減るけれども沖縄に自衛隊がたくさん入ってくるという形で結局は負担が大して変わらなかったというようなことにはなりませんか。そのことについて防衛大臣にお尋ねいたします。
  208. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 我々とすれば、今回のこの返還とそしてまた八千人の移動ということに関しましては、これは当然ロードマップにおいて、グアムへの海兵隊の移転が続いて、沖縄に残る施設・区域が統合されて相当規模の土地が返還が可能とされております。  沖縄の負担軽減を図るため、嘉手納飛行場以南の土地の返還は、実現は極めて重要だと考えておるところでございますし、これらの土地に自衛隊の部隊を配置することは現時点では全く考えておりません。
  209. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 嘉手納以南というふうに今言われましたけれども、嘉手納以北はいかがでしょうか。新たに増員されるという予定はありますか。
  210. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) ございません。
  211. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 そうしますと、今、平成二十二年度に陸軍の第十五ですか、隊が再編成されるというような形の予定が出ているということで、二千百人というような数値が私、どこかで見た覚えがございます。  これに対しては、現在いる千五百人から二千百人への増員なのか、それとも二千百人新たに来るのか、それはどちらと考えればよろしいんでしょうか。
  212. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) 第十五旅団の改編でございますけれども、これは二千百人という定員の枠になるということでございます。
  213. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 現在は何人ですか。
  214. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) 旅団の、今の混成団の数でございますけれども、現在は第一混成団として千八百人という定員の枠でやっております。
  215. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 そうしますと、三百人は増えるという理解でよろしゅうございますか。
  216. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) お答えいたします。  定員と実員ということでございますけれども、ここで申し上げておりますのは、現在の編成というのが千八百人という編成を前提とした枠組みになっております。それを、部隊の内容としていろんな改編を行うことによって二千百人という形で、それも旅団という形のものにするということでございます。
  217. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 先ほど防衛大臣の方は、基本的に米軍が出ていった後のすき間に自衛隊が入るというふうな方針ではないんだということを明快にお答えになりました。その一方では、数として大したことはないと思いますし、また私もそれに反発だけしているんじゃないんですよ、もちろん。抑止力の維持ということもございましょうから、自衛隊というものを一応再編成する中で一定の幅の範囲の中で増えたり減ったりはあり得ることだと思いますから理解しておりますけれども、その辺につきまして、それがどんどんいつの間にかなし崩しになっていくようなことがないように、ここではっきりお願いをしておきたいと思います。  さて、次の問題に行かせていただきたいんですけれども、今回、朝同僚たち指摘したグアムへの移転の問題、特に真水ではなくて融資等というふうに言われている問題に関しまして調査が既に行われております。どこが調査を会社としてしたかということをお教えいただけますか。
  218. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 谷岡先生、どちらに質問ですか。
  219. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 どなたでも結構です。
  220. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) 済みません。今ちょっと御質問があれですけれども、いわゆる沖縄海兵隊グアム移転に関しまして真水以外の事業でございますですね。隊舎とか家族住宅の関係についての御質問というふうに理解をしておりますけれども、現在のところ、具体的な形で発注をしたものを申し上げますと、まず平成十九年度でございますけれども、在沖米海兵隊グアム移転支援整備事業基本構想策定業務というようなものがございまして、これについては平成二十年にそういった調査を実施をしております。それで、これは当初平成二十年三月三十一日であったものでございましたけれども、九月三十日に履行をしたということでございます。  それから、あと、ほかの事業として申し上げますと、平成二十年度に在沖米海兵隊グアム移転整備事業に係る基本検討支援業務というのがございまして、これは履行期限が平成二十一年の七月三十一日ということでございます。これは当初二十一年の三月三十一日、つまり二十年度末ということであったわけでございますけれども、これまでの米側の検討状況あるいは日米間の協議がいろいろ激しく進んでいるということも踏まえまして延期をさせていただいたということでございます。
  221. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 私は、どこの会社がその調査をしたかということをお聞きしております。時間ありませんので明快にお答えいただきたいと思います。
  222. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) 企業としましては、平成十九年度事業につきましては株式会社久米設計、それから平成二十年度、現在実施中のものでございますけれども、これにおきましては久米・パシフィックコンサルタンツ共同体ということでございます。
  223. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 これは公募型プロポーザルということで、平成十九年ですか二十年ですか、六月十八日に公告をして募集を掛けたというふうに聞いておりますが、それで間違いございませんか。
  224. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) おっしゃるとおり、平成二十年度に契約したものにつきましては、六月に官報において公募型プロポーザル方式に係る手続開始の公示を行っておりまして、その公示の中で参加資格を示しております。そして、本業務の参加表明者を募ったところ、久米設計及びパシフィックコンサルタンツの共同体が参加を表明したと、そういう経緯でございます。
  225. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 この両社におかれましては、外務省並びに防衛省からいわゆる出入り禁止といいますか、取引停止というようなことが決められていたと思いますが、その事実について教えていただけますか。
  226. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) 久米設計につきましては、外務省の方だと思いますけれども平成二十年七月から一か月間の指名停止、それからパシフィックコンサルタンツにつきましては、中国四国防衛局、これは中国四国防衛局に限りませんけれども、二十年三月から四か月の指名停止を受けていたという状況でございました。
  227. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 では、そのようなどうも怪しさぷんぷんの会社がなぜこの大きな事業についての大変重要な調査の仕事を引き受けるということになったんでしょうか。
  228. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) 防衛省におきましては、この二つの企業から成る共同体としての参加表明書なり参加資格を審査し、公示に明記するとおり、北関東防衛局から指名停止を受けている期間中でないこと、あるいは防衛省から取引停止等を受けている期間中でないことを確認した上で、提案内容を審査いたしまして、その上で当該共同体と契約を締結したというところでございまして、手続上の問題はないというふうに認識をしております。
  229. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 例えば、これは別の事例でありましょうが、私が大学の理事長として何か校舎を建てるというようなことをそのコンサルに出すとするならば、つい最近、隣の岐阜県や三重県で何か問題を起こして出入り禁止になっているようなところがありましたら、私は、そこは多分、かなり注意して見るわけですし、避けるだろうと思うんですけれども、にもかかわらず、なぜここが選ばれたんでしょうか。
  230. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) お答えいたします。  この公募型プロポーザル方式というのは、官報に公示することにより広く参加者を募ることができるため、公正性、それから透明性を担保した事業者選択を行うことができるものであるというふうに理解をしております。  したがいまして、参加を表明した企業が参加資格を満たしている限り、当該企業を排除する必要性はないと、そういう仕組みのものであるというふうに考えております。
  231. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 私は、違法性がないということとふさわしいということは全く別の概念であるというふうに考えております。  だから、先ほど、違法性がないということの説明については理解ができましたが、なぜここがふさわしいと思われたかについては私は理解できておりませんので、御説明いただけますか。
  232. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) まず、制度として、こうしたものについては、まさに公正性、透明性を担保するということで官報に公示することによりまして、そこで参加者を募るわけでございます。その要件に合っているものについて、あらかじめこれを排除するというのはかえって不公正になる部分がございますので、私どもとしては、あらかじめ定められた委託業務の受注の在り方というものを適正に手続を執行したということであるというふうに考えております。
  233. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 何度も申し上げますが、ふさわしいということを考えれば、当然、そういう問題を起こしたことが余りないような会社を選ぶことの方がふさわしいんではないかと私は思うわけですけれども、なぜほかの会社が選ばれなかったんでしょうか。
  234. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) お答えいたします。  公募型プロポーザル方式でございますので、まさに官報に公示して広く参加者を募るという方式をやった結果、当該企業が応募してきたということでございますので、あらかじめその企業を排除してほかの企業を選ぶというような、そういう指名的なやり方ではなくて、公平なやり方をやっていたというふうに御理解をいただきたいと思います。
  235. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 では、一体幾つの会社ないしは共同体が応募してきたんでしょうか。
  236. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) お答えいたします。  平成二十年度事業につきましては、二十年の六月十八日に公募型プロポーザル方式に係る手続の開始を公示いたしまして、その結果、一社ございまして、それが、二十年六月十八日から六月三十日までの間が参加表明書提出期間でございましたけれども、この期間に出たものは一社であったということでございます。
  237. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 今、六月十八日を公示として六月三十日までのというふうに言われましたけれども、大体その最初のプロポーザルというのは何ページぐらいの文書であったんでしょうか。
  238. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) ちょっと突然の質問なので、何ページかということは今お答えすることはできませんけれども、六月十八日に公示をいたしまして、普通の提出期間ということで、通常の手続に従ってこの期間を定めて、参加表明書を出していただいているというふうに理解をしております。
  239. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 御案内のように、これは額ベースといたしまして、何千億円というようなことが最終的になされる事業であります。それに対しまして、二週間で、粗ではありましても、それ自身の調査についてはそれほど大きなものではないにしても、それなりの周到な、現地を見ることを含めての準備が必要でございます。  六月十八日に公示がされて、それは違法ではなかったんでしょうが、六月三十日までにそれを準備できる会社というのは、あらかじめそういうことが行われるということをかなり内部的に知っている会社以外には無理だというふうに私には思われますし、そういうような条件が付けられて、また、私、中身は知りませんけれども、どういう会社であるかということについての応募資格についても様々な条件が付けられていれば、場合によっては、その一社しか出すことができない、応募することができないような条件設定であったということも考えられるわけですけれども、これについては公明正大に、また広くいろいろな会社が応募できるような体制になったというふうにお考えになっているでしょうか。
  240. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) お答えいたします。  一般的にその公募型プロポーザル方式における手続というのは、私どもの部内の規則できちっとした手続が決まっているわけでございまして、それに従って体制をやっているということでございます。  それから、参加表明書の提出期間というのは約二週間でございますけれども、これをいったん提出した上で技術提案書というものを提出していただくということになってございます。この技術提案書の期間というのは一か月以上ございますので、つまり意思のある会社は先に手を挙げた上で技術提案書について提出をすることができるというようなシステムになっているということで御理解をいただきたいと思います。
  241. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 よく今の御説明分からなかったんですけれども、早い者勝ちということですか。
  242. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) ですから、先ほど先生の御指摘の中に、そういった期間で具体的な中身の検討ができるのかというお話がございましたけれども、この参加表明書というのをまず二週間の間に提出していただいた上で具体的な技術提案をいただくと、その技術提案の期間というのが一か月以上余裕があるということで申し上げたところでございます。
  243. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 前に御案内のように、守屋元次官が逮捕されるというような事件が起こりました。それでお聞きしたいんですけれども、このロードマップが策定されたときの次官はどなたであったでしょうか。
  244. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) 守屋次官だと思います。
  245. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 それにつれてこのPCIですとか久米設計というような名前がいろいろな形で様々なところで取りざたされたということを、私もおぼろげでございますけれども記憶があります。そのような会社がこの大きな事業実施に当たってやはりここで顔を出してくるということは、ただでさえ国民にとっては非常に分かりにくく、これだけの巨額、この経済状況の中で行われるということに関して、やはり疑念を抱かさせるような状況になってしまっていると思うんですね。そうではない方法というのは取り得なかったんですか、その点についてお聞きしたいと思います。
  246. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) お答えいたします。  この時点におきますグアム移転整備事業に係る基本検討支援業務というのは、前の事業も公募型プロポーザル方式でやっているというようなこともございますし、それにおいていろいろな契約事業を進めていたということでございますので、私どもとしては基本的にそういった通常のルールに従ってやっているということでございます。
  247. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 その通常のやり方、ルールなるものが問題であるからこそ、この間、防衛省と、そしてその発注の仕方ということがさんざん国会でも議論してきたということだと思われますけれども、それに対してやはりもっと進化させた、もっと透明度の高い、もっと国民の納得がいく形が必要だと思われませんでしたか。
  248. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) お答えいたします。  私の記憶が間違っていなければ、この公募型プロポーザル方式というのは、いろんなこれまでの議論を踏まえて、そういう中で平成二十年度のいろいろな改革の中でも採用されているものだというふうに理解をしております。
  249. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 その結果がさっきの久米設計でありPCIであったということは、私は大変残念な結果だなと思わざるを得ません。  そして、時間が参りましたので今日はこれだけにさせていただきますけれども、この協定についてはまだ幾つも大きな問題があろうかと思いますので、今後の議論としたいと思います。  ありがとうございました。
  250. 小池正勝

    ○小池正勝君 自由民主党の小池正勝です。それでは質問をさせていただきます。  まず初めに、北朝鮮の問題について質問をさせていただきます。  これは先ほど来御質問がありますように、国際世論の猛反対を押し切って北朝鮮が四月の五日でしたか、ミサイルを打ち上げるという言わば暴挙に出たわけでありまして、これは国際世論を無視して行ったというのはもちろんでありますけれども、何といっても、まさに日本は北朝鮮とは一衣帯水の地にあるわけでありますから、極めて近いところにあるわけですから、日本の安全保障上にとっても極めて大きな問題であるということは恐らく皆さんの御理解が得られる話なんだろうと思うんですね。  そこで、様々な形で日本独自にも制裁措置を行い、あるいは国連という場においても積極的な外交を展開してこられたということなんだろうと思うんです。  そこで、まず日本独自の追加的制裁措置というのが、この四月五日のミサイル発射の後、追加的な制裁措置というのが政府行ったわけでありますが、その内容はどういうものなんでしょうか。
  251. 山本条太

    政府参考人(山本条太君) お答えをいたします。  去る四月の十日、金曜日でございますけれども、今般、拉致、核、ミサイルにつきまして北朝鮮側の具体的な行動が見られない、その中で先生御指摘のとおり各国働きかけにもかかわらず北朝鮮ミサイル発射を強行した、これを契機といたしまして、またさきに採択をされました国会決議の御趣旨も踏まえまして、我が国といたしましては、北朝鮮向けの金の流れの実態をよりきめ細かく把握をすると、そのための特別の手続ということの導入、これを政府として表明をし、今、五月中旬の実施に向けまして所要の準備を急いでいるところでございます。  以上でございます。
  252. 小池正勝

    ○小池正勝君 具体的な中身をおっしゃってください。
  253. 山本条太

    政府参考人(山本条太君) お答え申し上げます。  現在、海外向けの送金等一律に、まず銀行等を通じます送金につきましては三千万円を超える場合には報告をせよ、また携帯輸出と言っておりますけれども、いわゆる渡航者等が身に付けてお金を持ち出すということにつきましては百万円を超える場合には届出をせよと、現在、海外向け一律にこのような制度になっております。  先ほど御説明をいたしました北朝鮮向けに限りました措置といいますのは、これを、通常の送金につきましては一千万円超え、つまり通常の三千万円超えではなく一千万円超えの送金を行う場合には報告をせよ、また携帯輸出の届出につきましては、百万円超えという通常の限度ということ、これを三十万円超えの場合には必ず届けをせよと、北朝鮮向けに限りましてこのような制度の導入を図っておるところでございます。
  254. 小池正勝

    ○小池正勝君 今回の北朝鮮ミサイル発射というのはまさに暴挙なわけでして、再三お話が出ておりますように国際世論を無視した、国連決議に反した、日本の安全保障上も重要な問題である暴挙であるわけですが、したがって、厳しく追加的な制裁措置は行っていかなければならないと私は思うんであります。  そんな中で、今の御説明では、携帯輸出が百万円超から三十万円超だと、それから送金等は現行三千万円超から一千万円超だと、こういう御説明であったわけですけれども、そこで、その送金の件ですね、送金の件について御質問したいんですけれども、現行の三千万円超から一千万円超とおっしゃられましたが、これは一回について一千万円超と、こういう意味でしょうか。
  255. 永長正士

    政府参考人(永長正士君) 今委員おっしゃいましたとおり、一回当たり一千万円を超えるかどうかということで判断をいたします。
  256. 小池正勝

    ○小池正勝君 そうすると、一日に三千万円を、三回やって一千万ずつにしたと、これは構わないと、こういうことなんですか。
  257. 永長正士

    政府参考人(永長正士君) ただいまお答え申し上げましたとおり一回当たりということでございますので、今、三回一日、一回三日続けてということでございますが、いずれにいたしましても、一回当たり一千万円を超えるかどうかということで判断をいたします。
  258. 小池正勝

    ○小池正勝君 そうすると、余り実効性がないんじゃないんですか。いかがですか。
  259. 山本条太

    政府参考人(山本条太君) 個別の措置につきましての説明は今申し上げたとおりでございます。  先生御案内のとおり、平成十八年以来、我が国は、対北朝鮮措置という名の下に、物、人、船、航空機と広範な分野にわたりまして一連の措置を講じてまいりました。また、御案内のとおり、現在、安保理におきまして、一定の分野、大量破壊兵器の関連、ミサイルの関連という一定の分野ではございますけれども、貿易とあるいは資金というものにつきまして、国際社会が結束をして制裁を確保していくということの手だてについて真剣な議論が行われているところでございます。  そういう状況の中で、今般、私ども、新たに金の流れにつきまして、海外向けの通常の制度とは別に、特に北朝鮮向けに限りまして、その金の流れの実態を解明をしていくというための手だてを取り、これを一連の北朝鮮措置の全体の中に組み込んだと、こういうことでございます。  さきに決定をいたしました入港禁止措置、輸入禁止措置、こちらにつきましては、これも四月の十日でございますけれども、向こう一年間更に延長をすると。こういった一連の対北朝鮮措置の全体の中で、金の流れの実態把握ということにつきましても適正を期してまいりたいと、こういう位置付けでございます。
  260. 小池正勝

    ○小池正勝君 それはもうよく分かるんです。その総論のお話はよく分かるんですが、三千万円を三回に分けて一千万でできるのかと、こうお伺いしたらできますと、こういうお話なんですから、効果ないんじゃないんですかとお伺いしているんですが、いかがですか。
  261. 山本条太

    政府参考人(山本条太君) 繰り返しで恐縮でございますけれども、まず、物、人の流れといったもの、これらにかかわる対北朝鮮措置の全体の中で、今般、新たに金の流れにつきましてもその実態を解明する特別の監視体制といったものをしくということでございます。  このような位置付けにつきましては、北朝鮮側我が国の措置の在り方につきましては相当子細な注意を払っているということがうかがわれるところでございますので、今申し上げた意味でのメッセージ性も含めて、その辺りは的確に先方にも伝わっていくというふうに考えております。
  262. 小池正勝

    ○小池正勝君 それでは、参事官さん御本人として、三回に分ければいけるということで、何か変わったというふうにお考えになりますか、効果が出るとお考えになりますか。
  263. 山本条太

    政府参考人(山本条太君) 報告義務につきましては、この報告を仮に怠った場合には罰則の適用があるわけでございます。したがいまして、どこかでその線引きをする必要があるという観点から、私ども、与党からいただきました様々な御提言も踏まえつつ一千万円と、それを超えた場合の報告を怠った場合には罰則を適用すると、こういうところで線を引いたわけでございます。  全く一般論で、かつ私からで恐縮でございますけれども、およそ貿易あるいは禁輸の規制にかかわる制度といいますのは、その罰則の適用における線引きというのは一つございますけれども、今回の趣旨というのは、北朝鮮向けの資金の流れに限りまして特別に行政といたしましてその流れをつかんでいこうと、こういう趣旨でございますので、その辺り、メッセージ性ということを超えまして実効性ということ、こちらは関係省庁共々遺漏なきを期してまいりたいというふうに考えております。
  264. 小池正勝

    ○小池正勝君 三回に分けて一千万ずつやっても実効性があると、こうおっしゃられるんですから、もうこれ以上幾ら言っても平行線ですから、もうこれ以上は御質問いたしませんが、私はどうかなというのが正直なところであります。  そこで、次に、追加的な制裁措置ということについては今のようなお話であったわけですけれども、日本独自の制裁措置はもちろんだけれども、やはり国際世論を喚起して、もちろん国連という場を通じてという話、あるいはたちまちの、日本よりももっと近くにある韓国と連携して、日米韓連携して、そんな中で対応していくということも極めて大切な日本にとっての仕事だろうと思うわけでありますが、そこで、まず大臣にお伺いしたいのは、先週十六日でしたか、日韓の外相会談が行われて、この北朝鮮問題が議題に上がったと聞くんですけれども、どのような内容だったんでしょうか。
  265. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 四月の十六日でございましたけれども、韓国の柳明桓外交通商部長官と会談をいたしました。  今、シャトル首脳外交と申しまして、昨年から特に日韓の首脳の会談、交流が深まっているところでありますけれども、今回の外相会談におきましても、日韓の経済を含むいろいろな問題、またさらには開発分野における日韓協力在り方等について意見交換を行いました。特に、両国の共通の課題でありますこの北朝鮮の問題についても重点的に意見交換を行ったところでございます。  この北朝鮮ミサイル発射への、これへの対応ということにつきましては、私から、今回は非常に日本と韓国とアメリカの連携、緊密な連携があって非常に強い内容を含む議長声明が採択をされたと、北朝鮮にはこういう国際社会の強いメッセージというものが十分に明確に伝わったと考えていますと、また、北朝鮮はこの議長声明に強く反発をしておりますけれども、我々としては落ち着いて対応する必要があると。そういうようなことを韓国の外務部長官に私は述べまして、柳明桓外交通商部長官からも、私のそういうような発言に完全に同意をしますと、今回は議長声明としては余り前例のないような強いものが採択をされたと、その中で日本の果たした役割にも感謝をする旨の先方からのまた表明もあったわけでございます。  今後、六者会合が非常に重要になってくるわけでありますけれども、私と柳長官との間におきましては、六者会合をとにかく再開をして、核の問題、またミサイルの問題、拉致の問題を早く解決しなければならないということでこれはもう当然一致しているわけでありますが、それにはやはり中国の役割、六者会合議長国である中国の役割が非常に大事であるという、そういう共通の認識の下に、今後議長国である中国とともに、非核化の検証の具体的な枠組みにこれに早く合意するということが重要であるということで、今後も引き続いて日本と韓国とまた特にアメリカとも連携をしていくということで一致をしたところでございます。  また、拉致問題につきましては、私から日本としては拉致問題も前進をさせたいと、韓国の今までの協力に感謝を申し上げて、そして同時にまた引き続いてよろしくお願いをしたいということをお話をいたしました。柳長官からは、拉致問題の日本の立場は十分に理解をしておりますと、過日も金賢姫氏と飯塚家との会談を韓国政府のまた御尽力にもよりまして実現したわけでありますけれども、韓国にできるすべての協力を今後もしていきたいと、拉致問題は六者会合の枠組みの中で解決すべき問題であると、その旨の発言があったわけでございます。  日韓間では、今後ともそういう北朝鮮の問題を始めといたします様々な課題についても緊密に連携を取って、また意思疎通を図って、いわゆる成熟したパートナーシップ関係、これを発展させていきたいと、そういうふうに考えています。
  266. 小池正勝

    ○小池正勝君 今、中曽根大臣から大変御丁寧なお話をちょうだいいたしまして、韓国と日本とアメリカと連携してこの北朝鮮の問題にも対応していくんだというお話をいただきまして、是非お願いしたいと思っておりますが、一方で国連という場においても、これは再三議論になっておりますけれども、当然活発な外交を展開していかなければならないと、こういうお話になるんだろうと思うんですが。  そこでまず、これも再三議論出ていますけれども決議でなくて議長声明になった、マスコミ等では格下げになったと、こういうことを皮肉る人もいるわけでありますけれども、この議長声明になったということについての評価自身はいかがにされているんでしょうか。
  267. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 北朝鮮ミサイル発射をいたしました後、直ちに我が国としては国連の安保理会合開催を要請をいたしました。そして、アメリカ、韓国、これらの国を始めとする関係国連携をしながら、国際社会一致して強いメッセージを早く出す、迅速に出すということが大事だということで、それを目指していろいろなレベルで外交努力を重ねてきたところでございます。  最終局面の十一日には、もう委員も御承知と思いますが、タイのパタヤにおきまして、麻生総理、また私も中韓両国の首脳、外相と協議をするなど行いまして、ぎりぎりの調整といいますか、それを行ったところでございますが、これを受けまして、ニューヨークにおきましては、主要関係国間で調整が行われました結果、決議とはなりませんでした。形式においては決議となりませんでしたけれども内容としてはかなり私たちの要請の盛り込まれた強い内容を含む議長声明案がまとまったところでございます。  こうして十四日に最終的に発出をされました安保理議長声明には、我が国が主張してきたようなものが十分に反映されておると私は考えておりまして、北朝鮮に対して強いメッセージを出すことができたと、そういうふうに思っています。
  268. 小池正勝

    ○小池正勝君 今おっしゃったように、スピードといいますか、一日も早く国際世論が一致して北朝鮮に対応するということが必要だと、もうまさにそのとおりだろうと思うんですね。  その文書を読んでみても、この北朝鮮の行為が決議一七一八号に違反、そして発射を非難する、北朝鮮には決議の完全履行を求めるというかなりきつい表現になっているわけですから、まさに議長声明という形になって、決議よりも一段下だといえば確かに一段下で、それは確かに残念なんですけれども、しかし、今おっしゃったスピード感、国際世論が一致して決議したということは極めて大切な話なんだろうと思うんです。  そこで、先ほどもお話がありましたが、まさにその点は極めて大切だと思うのでありますが、議長声明となってその決議より格下だというふうに言われる大きな理由の一つとして、これでは拘束力がないんだということを言われるわけですね。拘束力がない、先ほど谷岡先生のお話の質問に対するお答えでは、確かにこの部分だけとらえれば拘束力がないけれども、全体から見るといや拘束力があるんだというような御説明もされたと思うんですが、まさにその拘束力という点についてはどのようにお考えになっているんでしょうか。
  269. 石井正文

    政府参考人石井正文君) お答え申し上げます。  今委員御説明になりましたように、この議長声明は、安保理決議一七一八号により法的拘束力のある決定として課された義務に北朝鮮が違反したということを明確に認定しているわけでございます。その上で、この議長声明は、北朝鮮に対しましてこの決議の完全履行を求め、更なる発射を行わないことを要求し、この決議の履行を徹底するための具体的手続を盛り込んでいるわけでございます。  委員お話しになりましたように、一般に安保理議長声明は国連の公式記録に残る安保理の正式な意思表示でございますけれども、それ自体が法的拘束力を有する安保理の決定を含むものではないと、それは事実でございます。他方、そもそもこの議長声明を云々する前に、北朝鮮及びすべての加盟国は安保理決議第一七一八号の法的拘束力のある決定に従うことが義務付けられているわけでございます。本件議長声明は、安保理が公式かつ法的な見解としてこの決定を確認しその履行を改めて求めるものでございます。その意味で、この議長声明は、安保理決議一七一八号と相まって、安保理決議一七一八号の法的義務の履行を改めて公式に迫るものであると考えております。  そういう意味におきまして、率直に申し上げれば、この議長声明の法的位置付けを云々する以前の問題として、これは一七一八の正式な履行を迫るものとして、北朝鮮に対しては非常に明確なメッセージとして伝わっているのではないかというふうに考えております。
  270. 小池正勝

    ○小池正勝君 石井事官には御病気であるにもかかわらず御答弁いただきまして、ありがとうございました。  それから次に、今度はこの議長声明、今お話をいただいたこの議長声明ですけれども、それに対して北朝鮮、大変強硬な反応を示していると。やれ六か国協議拒否するだとか、それからIAEAの査察官を退去させるとか様々なことを行っているようですが、その後の北朝鮮の対応、いかがでしたでしょうか。
  271. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 北朝鮮外務省は、国連の安保理において議長声明が発出されたことを受けまして、もう御承知のとおり、六者会合に参加をしないとか、あるいは使用済燃料棒を再処理すると、そういうような立場表明したと、そういうふうに承知をしているところでございます。  また、さらに北朝鮮は、寧辺の核施設に駐在をしております国際原子力機関、IAEAの監視・検証要員とそれから米国の核の無能力化作業チーム、これに対して退去するようにと、そういうふうに通告をしたと承知しておりますし、報道によりますとこれらの人たちは国外に退去したと、そういうふうに報道されているところでございます。  しかし、まさにこの議長声明には、安保理の総意として六者会合の早期再開、それを要請すること、そして六者会合共同声明、またその他の成果文書の完全実施のための努力強化を求めることなどが含まれているわけでございます。そういうところからも、我が国としては、北朝鮮がこの議長声明を重く受け止めて、そして六者会合に一日も早く復帰をし、またこの安保理決議の一七一八号を完全履行するということを求めていく考えでございます。  引き続き、特に米国、韓国と、また議長国であります中国、さらにロシア等と緊密に連絡を取りながら六者会合再開に向けて取り組んでいく考えでございます。
  272. 小池正勝

    ○小池正勝君 そこで日本は、今大臣がおっしゃられましたこの六者協議というのを極めて重視してきて、拉致、核、ミサイルというのの包括的解決にはこの六者協議の場が大切なんだというのを日本政府は一貫して取ってきたわけですね。ところが、その肝心の北朝鮮がもうこの六か国協議には出ないと、拒否するというむちゃなことを言い出してしまっているわけです。  そんなことをさせるわけにはいかないので、何としてもこの六者協議の場に出席させなければいけないわけですけれども、そのためにどのようなお考えを持っておられますか。
  273. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 今、発射直後であり、また国連の安保理のこの議長声明を発出した後でございますので、北朝鮮も、先ほどからお話のあるような対応といいますか、表明をしているところでございまして、この六者会合の早期再開というのはなかなか簡単にはいかないと個人的に私は思いますけれども、しかし、この議長声明にあります六者会合、これの早期再開、これはこの議長声明で要請しているわけですから、北朝鮮がこうした国際社会の声に耳を傾けて、そしてあの共同声明を始めとします六者会合のこの成果文書、これの完全実施に向けた行動を取ることを私たちとしては強く求めていかなければならないと思っております。  ただ、このどういうふうにしてというのは非常に難しいわけでありまして、まず、やはりこの残りの五か国が結束をして、そして十分な連携意見調整等を行って、また議長国であります中国を中心にして北朝鮮に対して働きかけをしていくということではないかと思っております。
  274. 小池正勝

    ○小池正勝君 そこで、マスコミ等の報道では、北朝鮮の意図はアメリカとの直接対話なんだということが言われているわけですね。しかし、これ直接対話、すぐ直接対話ということにしてしまって日本政府はいいんでしょうか。この点についてどのようにお考えになっていますか。
  275. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 先ほども申し上げましたような、発射後まだ日にちもたっておりませんので、なかなか、この対応については私は慎重でなければならないと思いますし、また難しい点もあるわけでありますが、ただ、米朝対話ということに関しましては、アメリカのオバマ政権も、北朝鮮に対してはこの六者会合を通じてそして諸懸案を解決することが重要であると、そういう立場であるわけでございますから、今後も、米朝対話に限らず、例えば中国北朝鮮もあるかもしれません、ロシア北朝鮮もあるかもしれませんが、この残りの五か国は、先ほど申し上げましたけど、緊密な連携を取って、仮にそのような接触とかそういうものが行われる場合も、できることならば綿密な事前の意見調整をして行うということが大事であるとは思いますし、また、拙速はやはりいけない、会合再開を急ぐ余りに拙速というようなことになってはいけないと、そういうふうには思っているところでございます。
  276. 小池正勝

    ○小池正勝君 過去の例を見ますと、こういう六者協議が拒否された、そうすると、しばらく時間を置いて米と北朝鮮が接触して、そしてまた元へ戻るということが過去に多かったわけですので、そういうことのないように、日本政府の頭越しでやるんではなくて、常に日本も参加するような形で主体的に是非行っていただきたいということをお願いしておきたいと思います。  続きまして、この安保理議長声明を受けて制裁委員会というのができて、アメリカがそこに北朝鮮の企業の資産凍結リストを提出したとかというような報道があったわけでありますけれども、この制裁委員会というのはどのような形でこれから動いていくのか、日本政府はこの制裁委員会なるものにどのような資産凍結リストというのを出すのか、その辺の御質問をさせていただきたいと思います。
  277. 小原雅博

    政府参考人(小原雅博君) お答え申し上げます。  北朝鮮ミサイル発射に関しましては、十四日にこれまでも御議論ございました国連安保理議長声明が発出されておりまして、現在、北朝鮮制裁委員会におきまして大量破壊兵器関連品目あるいは資産凍結対象団体についての議論が行われているところでございます。  関係国でそうした議論が行われている中でございますので、日本の政府の対応を含めまして詳細につきまして述べることは差し控えたいと思いますが、資産凍結対象団体につきましては、我が国は既に十五団体を指定しております。そうしたことも踏まえまして、制裁委員会における議論に積極的に参画しているところでございます。  日本といたしましては、安保理決議の第一七一八号の厳格な実施につながるような結論が早期に得られるように引き続き努力を傾注していきたいと考えております。
  278. 小池正勝

    ○小池正勝君 今の小原参事官のお話は、新たな資産凍結リストというのは日本政府は出さないということなんですか。
  279. 小原雅博

    政府参考人(小原雅博君) ただいま申し上げましたように、日本といたしましては、安保理決議の一六九五、これに基づきまして日本として指定した十五団体がございます。これは、安保理決議一六九五では各国政府が行うということになっておるわけですが、一七一八号においては、そうした各国が独自にやるということではなくて、安保理がリストを作って、それに従って国際社会がやっていくということでございまして、まさにそのリスト作りということでございますので、日本政府といたしましては、これまで安保理決議の一六九五に基づきまして指定をいたしました十五団体、これを踏まえまして制裁委員会で今議論をしているというところでございます。
  280. 小池正勝

    ○小池正勝君 今のお話は、アメリカ政府は新たに今回リストを出したけれども、日本政府は過去に出した十五リストのままで新たには出さないと、こういうことでよろしいんですね。
  281. 小原雅博

    政府参考人(小原雅博君) 十五団体というのは、これは安保理決議の一六九五に基づきまして日本政府として指定したものでございまして、実は今議論されておりますのは、安保理決議の一七一八号に従いまして、各国が独自にやるものではなくて、これは国際社会全体として要するに取りまとめようということでやっておるわけでございます。  そういう意味で、我々が出しておる、まさに国際社会の全体で取り上げてリストを作ろうという意味では、十五団体、これ、そういう意味で、日本としても新たに出すものだというふうに考えていただいていいと思います。
  282. 小池正勝

    ○小池正勝君 今のお話は、ですから、十五団体やっていますね、日本は。それをそのまま出すだけで、新たなものはもう追加指定しないと、こういうことなんですね。そのリストに載せないということなんですね。
  283. 小原雅博

    政府参考人(小原雅博君) これは、まさに今、現時点で日本として持っておるいろいろな情報あるいはアメリカ等との間でシェアした情報等に基づいて、これまで十五団体ということで指定をして日本政府としてやってきたわけでございますので、現時点での日本政府として持っておる情報の範囲内でこの十五団体ということをこの制裁委員会で議論をしていっているということで御理解をいただければと思います。
  284. 小池正勝

    ○小池正勝君 そこで、この制裁リストが仮に決まったとしたときに、そのリストを履行するというのは各国の自由意思なんだと聞くんですが、そうなのかどうか、そうとしたら、どのように担保していくのか、これをお伺いしたいんですが。
  285. 小原雅博

    政府参考人(小原雅博君) これは、安保理決議一七一八号の中で、そのパラの八項でございますが、この中で、すべての加盟国がそれぞれの法的手続に従って、ただいま申し上げましたような委員会あるいは安保理によって指定されれば、それをきちっとその措置をとるということになっておりますので、そういう意味で、まさに先ほどからも議論ございましたが、安保理決議というのは拘束力のあるものでございます。そうした拘束力のある決議の中でもって決められたということであれば、これは、安保理加盟国はこれに従わないといけないというふうに理解をしております。
  286. 小池正勝

    ○小池正勝君 そうすると、今のお話は、各国を拘束するものだと、このリストは。資産凍結はするんだ、安保理加盟国は全部するんだ、こういう理解でいいんですね。
  287. 小原雅博

    政府参考人(小原雅博君) これはまさに、これまでも安保理決議の一七一八号、これに基づく措置、これにつきましては加盟国すべて従う義務がございます。これにつきましては、安保理決議の第十一のパラにおきましても、すべての加盟国に対して、同決議を効果的に実施するために各国がとった措置について安保理に報告することを求めております。そういう意味で言えば、決議として決まれば、その決議に従ってすべての加盟国が必要な措置をとってそれを実施をしていく、それでかつ報告もしていくというふうなことで御理解をいただければと思います。
  288. 小池正勝

    ○小池正勝君 次に、北朝鮮の問題はこれで終わりまして、このグアム移転のお話について質問をさせていただこうと思います。  今回のグアム移転協定のお話をするときに、まさに大きな二つの点が出てまいります。一つは抑止力の維持と、地元負担の軽減と。どちらも極めて大切な中身だろうと思うんですけれども、そこでまず、その抑止力の維持という問題について御質問をさせていただきたいんですが。  先ほどのお話にもありましたように、日本の周り、北朝鮮はノドンだのテポドンだのミサイルを持っている、中国は軍備を拡張しているということだろうと思うんですが、極めて日本の周りというのは不安定要因がたくさんあるということなんだろうと思うんですが、そこで、安全保障上厳しい問題があるということはよく言われるし、一般的には恐らく皆さんよく分かっているんですが、具体的なところを教えていただきたいんですが、まず、中国の軍備の状況、よく近代化した云々言われるわけですが、予算がどんどん増えていると言われるわけですが、具体的に今中国の、分かる範囲で結構ですが、この中国の軍備の状況、これを御説明をお願いします。
  289. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) お答えいたします。  中国は、核・ミサイル戦力や海空軍を中心とした軍事力の近代化を推進をしております。御案内のとおり、国防費は二十一年連続一〇%以上の伸び率を示しておるというところでございます。今後も軍事力の近代化を推進していくという方針を明らかにしているところでございます。  それで、具体的に申し上げますと、例えば、陸上戦力につきましては、非常に指揮の合理化というような形の兵力削減が進んでおりまして、兵力は削減をされておりますけれども、機動力、それから指揮能力等が高まっているということでございます。  それから、海上戦力につきましては、近代的なキロ級潜水艦をロシアから十二隻導入しておりますし、それから新型潜水艦の積極的な建造を行っております。また、艦隊防空能力や対艦ミサイル能力の高い水上艦艇の導入を進めているというふうに理解をしておりまして、より遠方の海域における作戦を遂行する能力の構築を目指しているというふうに考えております。  それから、航空戦力につきましては、第四世代戦闘機が急激に増加しておるというようなことで、国産のJ10戦闘機を量産している等々の状況がございます。それから、ロシアからスホーイ27の戦闘機の導入、ライセンス生産を行っている等々の状況がございます。それから、ミサイル戦力につきましても、我が国を含むアジア諸国を射程に収める中距離弾道ミサイル米国を射程に収める大陸間弾道ミサイルなどを引き続き保有をしていて、その性能向上に努めているというようなところがございまして、全般的にそういった軍事力の近代化は進んでいるというふうに思います。  ただ、同時に、中国自身は二年ごとに国防白書を発表したり、二〇〇七年には国連軍備登録制度への復帰、あるいは国連軍事支出報告制度への参加というようなことを表明をしておりまして、透明性向上に関する動きというのも見られるかと思います。  我々としては、更にこういった国防政策に関し、あるいは軍事力に関する具体的な情報開示等を求めていきまして、中国が一層高めていくことが望まれるというふうに考えております。
  290. 小池正勝

    ○小池正勝君 北朝鮮の軍備の状況はどうですか。
  291. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) お答えいたします。  北朝鮮の特徴は、軍事面に資源の重点的な配分を行っているということだと思います。それで、核を始めとする大量破壊兵器や弾道ミサイルの開発、配備に努めているというところでございます。  この北朝鮮の軍事力については、いろいろ不透明なところがあるわけでございますけれども、特徴的なことは、いわゆる弾道ミサイルの開発に非常に力点を置いているということでございまして、ノドンに加えまして、テポドンはテポドン2というような開発が進んでおりますし、新たに中距離弾道ミサイルの開発を行っているというようなことも伝えられておりまして、そういう状況でございます。  それから、あと、陸上兵力、海上兵力、航空兵力ございますけれども、特殊部隊が十万人以上の規模を保有しておりますし、また核だけではなくて化学剤あるいは生物兵器の生産基盤を保有しているというようなことがございますので、総じてそういう非対称的な戦力に力点を置いた軍事力の建設というのをやっているというふうに理解をしております。
  292. 小池正勝

    ○小池正勝君 防衛白書を読ませてもらいますと、この中国にしても北朝鮮にしてもそうですが、不安定要因という表現になっているわけですが、これは脅威ということなんですか。日本にとって大変な脅威だという認識でよろしいんですか。
  293. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) お答えいたします。  脅威というのは、従来から伝統的に能力と意思というような問題で言われておりますけれども、私どもとしては、中国及び北朝鮮の軍事力というものを脅威と認識するかという以前に、我が国周辺地域においていろんな軍事力の増強が進んでいるという認識を踏まえて適切な対応をしていくと。それも、防衛力の整備ということもあれば、防衛交流を進めるなり、全般的なこの地域における安全保障環境の改善を図るという両面があろうかというふうに思っております。
  294. 小池正勝

    ○小池正勝君 脅威という言葉を避けられましたから、これ以上はもう申しませんけれども。  いずれにしても、不安定要因ということであって、それへ対応していかなければならないんだと、こういう御認識なわけですが、それにはもちろん、自国のというのもあるんでしょうし、日米同盟ということもあるんでしょうが。  そこで、このグアムのお話に戻るんですが、このグアム移転してしまうということになったときに、逆に中国なり北朝鮮への対応というのは手薄になるということはあり得ないんですか。
  295. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 在沖縄海兵隊グアムへの移転というのは、再三申し上げておりますように、沖縄の負担軽減、これを実現する措置でもあるわけですが、これを行う場合にも、沖縄には、現在よりも縮小はされますけれども、一定規模の海兵隊を配置をして、そして即応態勢は維持をしていく、そういうことによりまして抑止力を維持できるという、そういう認識を日米で共有をしているところでございます。  海兵隊の要員グアム移転した後でも、これはまた在日米軍とともに、我が国、またこの極東地域の平和と安全の維持に重要な役割を果たしていくと、そういうことになるわけでございまして、政府といたしましては、引き続きまして日米安保体制に基づいて、我が国のこの安全、国民の安全、これの確保に万全を期していきたいと思っています。
  296. 小池正勝

    ○小池正勝君 もう一つの、この抑止力の維持と並んで地元負担の軽減ということが必要であると、私もまさにそう思うんでありますけれども沖縄には基地がたくさんあって大変な負担になっているというのは事実でありますし、刑事事件も起こった、不幸な出来事もあった、不祥事もあった、事故もあった。これを考えれば、沖縄の皆さんに大変なお苦しみを与えているということはもう間違いない、否めない事実だろうと思うんですね。また、それらに抗議する大集会も開かれたというのも我々知っているわけでありますけれども。  そこで、今回のグアム移転というやつで具体的に一体どの程度の負担軽減になるのかということをお伺いしていきたいと思うんですが、まずその八千人云々、八千人、九千人という議論が再三出ておりますが、この兵員、これの減は、一体何人が何人になるということなんでしょうか。
  297. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) これも累次お答えしているところでございますが、あくまでも私ども、海兵隊のプレゼンスの基礎となっております定員数というところで押さえているわけでございます。これが約一万八千から一万と削減されるということでございますので、今後の実数の削減においても極めて大きな意味を持つものというふうに考えております。    〔委員長退席、理事浅尾慶一郎君着席〕  じゃ、その実数がどういうふうになるのかということは、これからのその部隊の運用状況等によってそこの変動はあり得るということでございます。
  298. 小池正勝

    ○小池正勝君 今のお話は、先ほど来これも議論があるんですが、定数と実員の違いというようなことをおっしゃっておられて、これは確かに、常に定数どおり実員がいるわけではないということになりますから、それは分からぬことはないんですが、今のお話は、これから一万八千という、定数というのは上限と考えていいんだと思うんですが、一万八千が一万という上限になると、こういう理解でいいんですか。
  299. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) 沖縄におります海兵隊のプレゼンスというものの基礎が定員であるわけでございます。  もちろん臨時に在日米軍基地には出入りというのがございますから、ある時点でとらえたときに定員の数を一名たりとも超えるということは絶対ないんだということは申し上げられないわけでございますけれども、やはりそこにほぼ恒常的にプレゼンスとして存在している部隊というのは定員を持っている部隊でございますので、そういう意味で一万八千のプレゼンスが一万のプレゼンスになる、具体的な実数は時々によって変動しているというふうに御理解いただければと思います。
  300. 小池正勝

    ○小池正勝君 そうすると、それは、臨時に緊急的な場合は云々というお話もありましたが、一般的な言い方からすれば上限一万八千が一万人に減るんだと、こういう理解でよろしいということですね。
  301. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) 基本的な理解としてはそのような理解で結構だと思います。
  302. 小池正勝

    ○小池正勝君 そうすると約半数の隊員がいなくなると、こういう理解をできると、こういうお話をされているわけですね。
  303. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) 基本的にはそういうことでございます。  ただ、これも累次申し上げているように、ここ数年というのはイラクそれからまたアフガニスタンというところで現に相当の兵力を投入をして米軍は運用しているという、そういう言わば緊急時のような、グローバルに見たときに状況になっておりますので、定足数と実数の乖離が生じておりますけれども、これがいずれ平準化してくれば、まさにおっしゃるように一万八千が一万になるというものにそう大きな乖離はないような実数ということになるであろうというふうに考えております。
  304. 小池正勝

    ○小池正勝君 それともう一つ、この負担軽減のお話として言われるのは、普天間基地が返ってくる。普天間基地は町中にあって事故も起こって危なくて危なくて、そういう基地なわけですから、一刻も早く普天間基地というのを、あんな町中にあるのは具合が悪いというのは恐らくみんなそう思っている。これ返ってくると、これは大きなお話だろうと思うんですね。  もう一つ、嘉手納以南についてなんですが、先ほど谷岡先生もおっしゃっておりましたが、嘉手納以南というのは一体どういうふうになっていきますか。
  305. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) これも、海兵隊要員及びその家族移転に伴いまして、現在沖縄にある施設についても不用なものが出てくることになるであろうということでございます。この結果、施設・区域の統合、返還の実施が見込まれるということでございまして、具体的には、人口密集地に多く存在する嘉手納飛行場以南に存在する五つの施設・区域八百九十五ヘクタールの全面返還及びキャンプ瑞慶覧の部分返還が実現することになるわけでございます。  この中にはSACO最終報告と重なる施設・区域もございまして、例えばSACOでは部分返還となっていたキャンプ桑江はロードマップでは全面返還というふうになっておりますし、また牧港補給地区のように非常に市街地に近い、非常に利用価値の高いようなものについても全面返還になるということでございまして、先ほど谷岡委員からも御質問がございましたけれども、確かに中部、北部、面積は大きゅうございますけれども、嘉手納以南は非常に使いやすい土地で経済的な価値が高いであろうと。こうしたものを含む嘉手納以南の返還の実現が順調に進めば七二年の沖縄返還以降最大の規模のものとなると。これは沖縄の経済振興にとって大きな機会を提供するものであろうというふうに考えております。
  306. 小池正勝

    ○小池正勝君 私の質問を終わります。
  307. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 自民党の佐藤正久です。  最初に、在沖海兵隊のグアム移転関連から御質問したいと思います。  今回のグアム移転は大きな在日米軍再編の一環で、一つとして行われると。その目的は、先ほど出ていますように沖縄の負担軽減というもののほかに、やはり抑止、対処という部分があろうかと思います。その抑止、対処には、米軍による部分とやはり我が国独自の努力の部分と両方あると思います。なかなか議論されていないのは責任分担で、沖縄から米軍がいなくなる部分をどうやって、我が国としてもその部分を責任をしっかり分担しながら安全を確保していくんだという部分もしっかり議論されなきゃいけないというふうに思っています。そういう観点でいろんな部分を確認していきたいと思います。  とりわけ今回、抑止力、対処については、我が国防衛という切り口と、それと日米安保条約に基づく我が国プラス極東の分野あるいは日米同盟と、そういう観点でいうと今度世界までといろんな形で広がっていきますので、そういう観点もしっかり踏まえて今回の米軍再編あるいはグアム移転というものを見ていく必要があると思います。    〔理事浅尾慶一郎君退席、委員長着席〕  それで、何点か確認させていただきます。沖縄からグアムの方に行く海兵隊の部隊の種類、これをお聞かせください。
  308. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) これは、沖縄からグアムに移る海兵隊につきましては、ロードマップにおいても移転する部隊として、第三海兵機動展開部隊の指揮部隊、第三海兵師団司令部、第三海兵後方群、これは戦務支援群から改称されたものでございますが、司令部、第一海兵航空団司令部及び第一二海兵連隊司令部を含むということでございます。  なお、この中の更に個別具体的な、どのユニットが移っていくのかということについては、現在もなお米側で検討されているということでございまして、そこは私ども米側と協議の上、できるだけ早くどの部隊、どのユニットがというところを詰めていきたいというふうに考えております。
  309. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 要は、大きなⅢMEFと言われる部分の司令部、その下の師団の司令部、その下の連隊の司令部、後方支援連隊の司令部、そして航空兵団の司令部と、司令部機能の部分が移動するというロードマップにおける理解だと思いますけれども、ということはやっぱり、昨日の実は委員会での視察においても向こうから説明があったのは、今度は残る部隊はMEFという機動展開部隊のレベルから二つ下のMEBレベルに下がるんです、二つ下のMEBに下がるんですという説明がございました。それで、トータルで定員ですけれども一万八千が一万ということになると思いますけれども、そのMEBレベルになるという説明がありました。  じゃ今度、残る部隊の主要なもの、これについてお聞かせください。
  310. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) 残る部隊の主要なものは、まさにMEB規模に再編されるわけでございますけれども、その中にキャンプ・ハンセン、キャンプ・シュワブにおりますこれは砲兵連隊それから歩兵大隊等、それから普天間におります海兵隊の航空部隊、そういうようなもの、それからもちろんMEBに規模は縮小されますけれども、そのための司令部機能等を持ったもの、それから、やはりまだ縮小されたものとして後方支援、兵たんを担当するユニットというものも残るというふうに承知をしております。
  311. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 この部分はやっぱりしっかり国民に説明しないといけないと私は思います。先ほど小池委員からの質問にあったように、中国の軍備の増強というのは、二十一年連続、前年度比、国防費が発表ベースでも二けたが二十一年、北朝鮮も伸びているという中で沖縄の米軍が小さくなる、司令部機能がほとんどグアムに行くというふうなことが合意をされていると。他方、米軍再編においては、陸海空はそれぞれ日米の司令部的な機能は同じところにいようという動きが本州であります。  海兵隊だけ司令部機能が離れてしまうという、ぱっとこの絵だけ見ると、当然負担の軽減というのは当たり前ですけれども、やっぱり抑止力、対処、日本の防衛あるいは極東という部分について、本当に最初の対処という部分が本当にできるのかという懸念もあろうかと思います。この部分は今後ともしっかり、大丈夫なんですよということをやっぱり言わないといけないと思います。  続いて、今度は我が方の努力ですけれども沖縄にいる自衛隊の今の陸海空の主要な部隊あるいは装備、これについてお聞かせください。
  312. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) お答えいたします。  沖縄に配備されている部隊でございますけれども沖縄の重要性にかんがみまして、陸海空各自衛隊の部隊が配備されているところでございます。  陸上自衛隊の主要な部隊としては第一混成団を配置しておりまして、現在定員は約千八百人。それから、主要な装備品といたしまして、輸送ヘリコプターCH47等を保有をしております。海上自衛隊でございますけれども、主要な部隊として第五航空群などが所在しておりまして、主要な装備品としてP3C等を有しているところでございます。また、航空自衛隊につきましては、南西航空混成団等を配置しておりまして、主要な装備品としては、最近F15になりましたF15、それからペトリオット等がございます。
  313. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 それで、今予定されております沖縄における自衛隊の改編、これの予定についてお聞かせください。
  314. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) お答えいたします。  沖縄関係でございますけれども、主要な改編として、平成二十一年度末に予定されております陸上自衛隊の、現在第一混成団でございますけれども、これを旅団化するという改編がございます。この改編は、平成十六年十二月に策定されました防衛計画の大綱、それから中期防衛力整備計画に従って実施されているものでございまして、南西地域の特性を踏まえつつ、ゲリラや特殊部隊による攻撃、それからNBC攻撃、あるいは大規模特殊災害など新たな脅威や多様な事態への対応というものをしっかり確保するということを目標としております。  具体的内容でございますけれども、まず一つは、新たな脅威や多様な事態への対応の中心的役割を期待されている普通科連隊を新設をすると。それから二点目でございますけれども、軽装甲機動車や高機動車の導入により機動性の向上を図ると。三点目といたしまして、化学防護部隊を新編することによりましてNBC対処能力の向上を図るというふうなことで、必要な機能の充実と防衛力の質的な向上を図るということとしております。
  315. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 今後の改編について特に今説明があったのは、陸上部隊を三百名程度人員的には増強し、装備的には軽装甲機動車とかそういうものを増強すると、それで対応するということなんですけれども中国とかあるいは北朝鮮の軍備増強、あるいは沖縄の米軍の司令部機能の移転あるいは八千人の削減というものに対して、自助努力の部分が三百名増強とあと主要な車等の整備というもので、本当に抑止力とか対処というものがいいのかという部分は、やっぱり多くの国民は疑問に思うかもしれないと、私は静的なものを見ただけでは、という懸念があるんではないかなと思います。  とりわけ、沖縄県の南西諸島に住まわれている方々は、今回の改編でどんどん米軍が少なくなっていく、一番最初に展開能力がある海兵隊が小さくなってしまうという部分の懸念というのはあろうかと思います。  一番西側の与那国島、これは沖縄本島から何キロぐらい離れているか分かりますか。防衛省、お願いします。
  316. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) 具体的に距離数についてちょっと正確には申し上げられませんけれども、あの地域というのは、例えば中国大陸あるいは台湾から非常に近い、数十キロのところにあるのに対して、私どもの方からすぐに戦闘機で対応するにしても、ファントムでは非常に在空期間が限られるとかそういうことで、非常に距離的には離れた地域に置かれているというふうに理解をしております。
  317. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 沖縄本島から約五百キロです。東京から千九百キロもあります。空挺部隊が習志野から仮に与那国を守るために行こうと思っても、千九百キロ強、これを飛ばないといけない。沖縄本島からも五百キロあると。沖縄本島より西の方には、今部隊の配置は、陸上部隊等はありません。  やっぱりそういうことを考えると、いろんなことを考えると、今後の防衛計画の大綱の見直しや、あるいは中期防衛力整備計画の策定等ありますので、いろんな状況考えながら、やはり責任分担という部分も今回の米軍再編の一つの要素だと思いますので、そういう部分も考えながらやるべきではないかなと思いますけれども、御所見をお伺いしたいと思います。
  318. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) お答えいたします。  防衛計画の大綱及び中期防衛力整備計画に基づきます防衛力整備というのは着実に進めているところでございますけれども、同時に、この間様々な内外の情勢の変化というのも生じているところでございますし、現に平成十六年に大綱が策定された時点では、米軍の再編の具体的な内容というのはまだ必ずしも明確でなかったというようなところもございます。  それから、平成十六年の大綱策定以降にこの地域での軍事的な情勢の変化というのもいろいろあろうかと思います。いろいろな装備が入ってきたり、例えば、北朝鮮の核実験の問題でありますとかミサイル発射とか、いろいろなことがございましたし、中国のいろんな海洋活動というのも活発になっているというようなことについては白書等で明らかにしているところでございますので、そういった内外の様々な情勢の変化あるいは国内の状況あるいは日米関係の動向等、様々な状況を踏まえて、今後、大綱なり中期防の在り方というものを検討していくところでございますので、今先生が御指摘になりましたような南西諸島における在り方、あるいはその地域における海上交通なりの問題、あるいは防空機能の問題、様々な問題についてしっかりと検討をしてまいりたいというふうに考えております。
  319. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 南西諸島に住まわれている方々のやっぱり不安というものを除去して、いざというときでもしっかりと守るという体制を日米体制で取るということがやっぱり基本だと思います。とりわけ与那国島の場合は、台湾から百十キロしか離れておりませんので非常に近いと。中国の軍備増強も意識されています。さらには、与那国島の真上を防空識別圏が通っているという関係、あるいはFIR、情報区がその東側にある等々あって、与那国から台湾の方へ行く直行便もわざわざ石垣島の方まで、逆に東の方に行ってからまたUターンをして台湾に行くという現状等々を考えると、かなり不安に思っている方もいらっしゃいますので、しっかりと全般状況を見ながら守りというものを固めていただきたいということを要望したいと思います。  次に、グアムの米軍の再編についてお伺いしたいと思います。  この米軍再編グアムの方に新たに増強される部隊の種類をお聞かせください。
  320. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) 現在、グアムには海軍の部隊としてマリアナ海軍等が配置をされております。また、空軍の部隊として第三六航空団があるというふうに承知をしております。陸軍及び海兵隊については、現在は配置をされていない状況であるということでございます。  グアムにつきましては、冷戦直後はかなり海軍、空軍、プレゼンスは減っていたわけでございますが、その後の状況は、米軍はむしろ海軍、空軍共に増強をするという方向にあるんだろうと、趨勢にあるというふうに承知をしております。  グアムに所在をする海軍の主要装備については、ロサンゼルス級攻撃型原子力潜水艦を三隻、それからMH60というヘリコプターが十四機配備をされております。また、空軍につきましては、B1、B2、B52といった爆撃機がローテーションでグアムに展開されているものと承知をしております。  それで、これからそれではグアムはどういうふうになっていくのかということにつきましては、いろいろな構想というものが米政府の中で検討、議論されているわけでございますが、米国政府は、現在、在沖縄海兵隊グアム移転を含むグアムにおける米軍の施設整備計画であるマスタープランを策定中であると。このマスタープランを踏まえて、再編後のグアムにおける米軍の体制を決定するということになっているというふうに承知をしております。
  321. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 私、今年の一月にグアムの方に行かせていただきまして、いろいろ説明を聞いてきました。やはり、今回のグアムの再編を日本側予算だけではなく米側の予算もかなり投入して一つの改編を行うということですから、これはできるだけ早く国民にこういう形になるんですよということをしっかりと説明すべきだと私は思います。あやふやなまま税金の投入というのはなかなか理解し難いわけで、実際、グアムの価値というのは私は日米同盟上もかなり大きいものがあると思っています。  今回実際に、海兵隊だけではなく空軍の違う情報部隊等も来るようですし、無人偵察機も何か来るようです。いろんなものが来る、陸軍の防空部隊も来ると。いろんなことを考えているようですけれども、今回、日米同盟にとってもグアムの再編というのはこういう価値があるんですよということをやっぱりしっかりと説明すべきだと思いますけれども、在グアム米軍の役割とその在グアム米軍の日米同盟における意義とか価値というものについてお聞かせ願いたいと思います。
  322. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 在グアム米軍の役割、これは再編後ということでよろしいんでしょうかね。これは、在沖縄海兵隊グアムへの移転というのは、もう再三申し上げておりますように、沖縄の負担軽減、これを実現する、そういう措置でありますけれども、この海兵隊の要員グアム移転した後も、在日米軍とともに、我が国そして極東の平和と安全の維持に重要な役割を果たすことになるわけでございます。これは、日米の安保体制を基盤といたします日米同盟を新たな安全保障環境に適応させて、そして我が国の平和と安全を確保するために取り組んでいる在日米軍のこの兵力の体制の再編の具体的なこれは施策の一つでありまして、大変大きな意義を有するものと、そういうふうに考えています。  また、在日米軍再編に係るこの施策と同時に、日米同盟を新たな安全保障環境に適応させると、そういう観点から、我が国はこれまで日米安全保障協議委員会の過程におきまして、例えば二〇〇五年の2プラス2、これにおきましては、未来のための変革と再編に合意をいたしまして、この下で、弾道ミサイル防衛、また情報、監視、偵察、そういう活動の分野におきまして日米間の役割とか任務とかまた能力を検討し、そして日米安保体制の強化、日米間の防衛協力、こういうものを着実に進めてきたところでございまして、引き続いて政府としてはこのような分野でも取り組んでいく考えでございます。
  323. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 今グアム協定のことで審議をやっているわけですけれども、この根本はやっぱり米軍再編だというふうに思います。議論の中でやや薄れてしまうのが何のためと、大きな絵を正々堂々とやっぱり訴えるというのが筋で、そのうちの一つがグアム移転ですから、そういう面で、沖縄における今度は抑止力はどうするんですよという説明も、グアムにおける今度米軍は、再編後はこういう形になって、非常に日本の防衛だけではなくアジア太平洋における災害対処についてもこういうふうなメリットがあるんですよと、やっぱりプラスの面、意義というものをどんどんどんどん前向きに訴えていっていただきたいというふうに思います。  そこで一つ注文なんですが、よく政府側が作る地図があります。大体見ると、左上の方に日本とか北朝鮮があって、逆に右下の方にグアムがある。その距離が二千五百キロとか、三時間とか四時間とか、そういう絵はあるんですけれどもグアムのことを説明する場合には、グアムは真ん中に置いて、当然日本あるいは北朝鮮、朝鮮半島も含めた部分、そういう関係の意義と、当然アラスカ、ハワイ、あるいはこの前災害が起きましたインドネシアの関係、ディエゴガルシアの関係等あるわけですから、大きな絵で今回グアムの再編はこういう価値があるんですよということを今後広報等で説明していただいて、こういう形で皆さんの税金というのが有効に使われるんですよという、大きな絵で説明をしていただきたいなということを要望したいと思います。  海兵隊のグアム移転はここまでにしまして、次に海賊対策について御質問をさせていただきたいと思います。  今、海賊対策の関連で護衛艦二隻がアデン湾の方に行っているわけですけれども、と同時に、補給支援特措法で、ほぼ同じ海域のインド洋の方にも補給艦と護衛艦がそれぞれ一隻ずつ派遣されていると。  そこで質問なんですが、補給支援特措法で派遣されている補給艦から海賊対処の海上自衛隊の船への給油の実績と今後の予定というものがあれば教えてください。
  324. 徳地秀士

    政府参考人(徳地秀士君) お答えを申し上げます。  補給支援特措法に基づいて派遣されている海上自衛隊の補給艦から海賊対処のために派遣をされております海上自衛隊の護衛艦に対しては、先月、三月二十八日に燃料補給を実施をしております。  この海上自衛隊の補給艦は、テロ対策海上阻止活動に従事をする諸外国の艦船に対しまして補給をすることを目的として派遣をされております。それから、海賊対処に当たる海上自衛隊の護衛艦の方は、基本的にはジブチを根拠地として定期的に補給を行っておりますので、現時点で、海上自衛隊の補給艦がこの海賊対処に当たる海上自衛隊の護衛艦に対して給油を行うということがあらかじめ予定をされているわけではございません。  今回の海上警備行動の発令におきまして、補給支援活動を行う部隊に対しては、必要に応じ補給支援活動に支障を生じない範囲において海賊対処に当たる護衛艦に対して燃料等を補給するよう命じられておりますので、今後もこの趣旨を逸脱しない範囲で現地の部隊同士の協力を行うと、こういう考えであります。
  325. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 給油量をお聞かせください。
  326. 徳地秀士

    政府参考人(徳地秀士君) 先月二十八日の給油でございますけれども、約千百キロリットルでございます。
  327. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 千百キロリットルと。三月にCTF150の方に給油したのが九百二十という状況のように聞いています。補給艦の能力からするとまだ余裕はあるのかなという何か印象を持ちますけれども、ほかの国の海賊対処をやっている艦船から給油の要請、要望というものはこれまであったでしょうか。
  328. 徳地秀士

    政府参考人(徳地秀士君) お答えを申し上げます。  ソマリア沖・アデン湾で活動をしている各国の艦船につきましては、広大な海域の中でかつ限られた規模の船によりまして哨戒活動あるいは護衛などの各々の任務を遂行しているものというふうに承知をしております。  艦船が活動するに当たっては、洋上で補給を受けますとその補給の都度沿岸に立ち寄らずに済むということになりますので、作戦効率が大きく向上するということが考えられます。したがいまして、一般的には洋上補給に対する要望というものは高いのではないかというふうに認識をしています。  それから、ソマリア沖・アデン湾に船を派遣している各国あるいは各国による枠組みの中には独自に補給艦を随伴していないところもございますので、潜在的には洋上給油に対するニーズはあるというふうに認識をしているところであります。
  329. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 今言われたように、補給艦が随伴していた方が多分いいには決まっていますけれども、それはいろんな、隻数とかいろんな関係で制約があって随伴していない国も多々あるというのが現状で、新聞報道等でもそういう給油の要請が海賊対処の艦船からもあったということも記憶はしておりますが、恐らくアメリカの補給艦であれば、テロ対応のCTF150あるいは海賊対処のCTF151、これ両方に分け隔てなく給油をやっているという実態もあるのではないかなと、これは推測ですけれども、あります。  要は、作戦効率からいって、同じ海域にいるわけで、海賊対処もテロ対応もある意味マリタイム・セキュリティー・オペレーションという中に全部入ってしまいますので、法体系の違いもありますけれども、一般論からいうと、そういう要望はあり、そういうふうに対応している国もやっぱりあるのではないかなというふうに思います。  実際に北アラビア海からソマリア沖のアデン湾まで来ると約四日掛かると言われています。そこも、ソマリア沖も当然インド洋の補給支援特措法の範疇でありますけれども、ジブチにおける給油を基本としながらも、状況に応じては、当然自分の船だから給油しても問題ないわけで、それは当たり前の話ですけれども、やっぱりいろんな面で今一隻しか海上自衛隊の補給艦があの海域に浮いていないということが、今後私は一つ検討すべき課題ではないかなというふうに思っております。  今、その観点で若干質問をさせていただきたいんですが、海上自衛隊が持っている現在の補給艦の隻数とその隻数整備の考え方、これについてお聞かせください。
  330. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) お答えいたします。  補給艦部隊につきましては、現在五隻を保有しておりまして、この五隻を保有することによりまして二隻を常時即応の態勢で維持することが可能であるというふうに考えております。具体的には、例えば常時即応態勢にある二個護衛隊群に対する補給支援、あるいは常時即応態勢にある一個護衛隊群と常時稼働態勢にある掃海隊群の一個掃海隊に随伴いたします掃海母艦一隻に対する補給支援、こういった、例えばでございますけれども、対応ができるのではないかというふうに考えております。  補給艦五隻を保有しておりますと、即応二隻を含めて常時稼働三隻を維持することができます。したがいまして、今申し上げました所要とは別に、大規模災害等に際しての災害救援でありますとか、国際平和協力活動というふうなことに必要な場合にこの一隻を充てることが可能ではないかというふうに考えております。
  331. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 仮に、海賊対処を今やっている艦船の編成に補給艦を入れることができたという場合、それでほかの国の海賊対処をやっている船に給油をやる。有料、無料、いろんな場合があると思いますけれども、こういう場合はどのような法的枠組みが必要になるのか。まあ検討はしていないでしょうけれども、白紙的にどういうような枠組みがあればそれができるのか、教えていただきたいと思います。
  332. 徳地秀士

    政府参考人(徳地秀士君) お答え申し上げます。  海賊対処のために活動している部隊が補給艦を含んだ形で編成されたと仮定した場合の一般論ということではございますけれども、当該補給艦から海賊対処に従事する他国の船に対して給油を行うための法的な枠組みということにつきましては、相手国の艦船の活動内容などについて個々に精査する必要がありますので、一概にちょっと申し上げることは困難ではありますが、全くの一般論として申し上げますと、財政法上、国の財産は、法律に基づく場合を除くほか、適正な対価なくしてこれを譲渡し若しくは貸し付けてはならないとされております。したがいまして、我が国に属する物品を他国に無償で貸し付けたりあるいは譲与するという場合には法律の根拠が必要となるわけであります。  それから、物品管理法上、物品については売払いを目的とするもの又は不用を決定したものでなければ売り払うことができないとされております。それから、貸付けを目的とするもの又は貸し付けても国の事務又は事業に支障を及ぼさないと認められるものでなければ貸し付けることができないとされております。このため、他国に我が国に属する物品を売り払ったり貸付けを行う場合には、原則として法律の根拠が必要となると考えられるわけであります。
  333. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 御説明ありがとうございます。ということは、今、海上警備行動の枠組みで今派遣をしていますけれども、海上警備行動という中では他国に給油を行うことはできないという理解でよろしいですか。
  334. 徳地秀士

    政府参考人(徳地秀士君) 御指摘のとおり、現在、海上警備行動の枠内で派遣をされている船につきましては、この部隊には他国の艦船に対して給油を行うという法的根拠が付与されておりませんので、現時点においてはそのようなことはできないと考えております。
  335. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 現時点にはということはどういうことですか。これ、将来、海上警備行動の中でもできる可能性はあるということですか。
  336. 徳地秀士

    政府参考人(徳地秀士君) 海上警備行動そのものは、我が国の基本的には人命、財産の保護ということでございますので、これは他国の艦船に対する補給の法的な根拠ということではございません。
  337. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 海上警備行動の枠内では他国の艦船には給油できないということだと思います。  それでは、今衆議院の方で審議されています海賊対処法というものが仮に成立した場合、この枠組みでは他国の艦船に補給、給油ということは可能でしょうか。
  338. 徳地秀士

    政府参考人(徳地秀士君) ただいま審議をされておりますいわゆる海賊対処法案につきましては、国連海洋法条約趣旨にかんがみて海賊行為への処罰あるいは海賊行為への適切かつ効果的な対処という側面に着目をして法整備をするものでありますので、いわゆる国際協力として他国の艦船に補給を行うという規定は盛り込まれておりません。
  339. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 今回の海賊対処法で、じゃ規定を盛り込めば可能だという今の答弁でしょうか。
  340. 徳地秀士

    政府参考人(徳地秀士君) いずれにいたしましても、今の法案におきましてはそのような規定は盛り込まれておりませんので、今回の法案を根拠にいたしまして他国に対して補給を行うということはできないということでございます。
  341. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 今の枠組みではできないと、法案のままではできないと。法の中を仮に修正すればできるという認識でよろしいですか。
  342. 徳地秀士

    政府参考人(徳地秀士君) 私たちといたしましては、今は、今御審議いただいている法案について早期に成立をさせていただきたいという立場でございます。
  343. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 はい、分かりました。  ただ、やっぱりほかの国に対する給油というのが国際協力の面でもニーズが高いということがあれば、これは将来の検討課題の一つではないかなというふうに私は考えます。また、独自の活動という面においても、やはり補給艦が随伴した方が活動の幅、融通性が広がるわけですから、そういう面では、たとえ自国への補給であっても可能であればそれは補給艦があった方がいいというふうに思います。  ただ、先ほど説明がありましたように、今の五隻体制では、常時即応は二隻ということで非常に難しいということは理解をいたします。今、防衛計画の大綱とか中期防衛力整備計画の見直し等々、今されているというふうに認識しておりますが、その中でやはり補給艦というものの隻数、これはどういう形が一番いいのかというものは是非議論をしていただきたいというふうに思います。  当然、船がどこかに動くというときは補給艦が一緒に動いた方が融通性がいいわけで、今インド洋の方に補給艦が行っていると、一つのインド洋でのオペレーションのために要は三隻が拘束されると。実際活動している部分、交代のことを考えれば三隻はどうしても必要になってしまう。となると、どんなに頑張ってもソマリアの方には行かないということがやっぱり言えると私は思いますし、その間にまたどちらかで災害が起きた場合、また海上自衛隊の船が行く、やっぱり補給艦が必要になると。兵たんというのは非常に大きな作戦におけるネックになりかねませんので、今後の計画の見直し等でそういう部分というものを議論していただきたいということを要望としておきたいと思います。  次に、P3Cの派遣というものについてお伺いいたします。  四月十七日に、防衛大臣の指示及び命令でP3C派遣のための準備というものがなされたと聞いています。その関係で何点か質問をさせていただきます。  今回の海賊対処命令におけるソマリア沖・アデン湾とはどの範囲でしょうか。
  344. 徳地秀士

    政府参考人(徳地秀士君) ソマリア沖・アデン湾、どの範囲かという御質問でございますけれども、現在のところは護衛艦二隻によって護衛活動を行っております。これにつきましては、アデン湾におきまして約九百キロメートルの航路を中心に、ここにおいていわゆる日本関係船舶の護衛をやっておるところでございますので、基本的には今のところはその辺りでオペレーションをしていると、ここをしばらく続けるという考え方であります。
  345. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 私が聞いたのは、今やっている範囲を聞いたのではなくて、今回の命令におけるソマリア沖・アデン湾の範囲というのはどこですかと聞いているんです。
  346. 徳地秀士

    政府参考人(徳地秀士君) お答え申し上げます。  具体的にここからここまでという形で明確にそれを定めているわけでは必ずしもありませんけれども、現在の護衛艦による護衛活動、それからジブチの港を基本的な補給地点にしているというところで、おのずとその範囲というものは限られてくる、先ほど申し上げたようなところに限られてくると考えております。
  347. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 今は能力あるいは活動の実態としてアデン湾ということの答弁だと思いますけれども、最近、海賊の発生場所がアデン湾からソマリアの東の方にも移っているという報道があります。P3Cの派遣ということを考えた場合、当然船よりは行動範囲が広いわけで、日本関連の商船のためのいろいろ哨戒とかいう観点ではソマリアの東も私は検討の対象にすべきではないかなと個人的には思っているんですけれども、ソマリア沖・アデン湾という今の定義からいうと、ソマリアの東はこれはできないというふうに理解してよろしいんですか。
  348. 徳地秀士

    政府参考人(徳地秀士君) P3の派遣に関連しての御質問でございますけれども、ジブチ空港を活動拠点といたしまして、護衛艦が現在護衛活動を行っている約九百キロメートルの海域を中心としたアデン湾の海域を広域哨戒するということを基本に考えているわけであります。  ソマリア東方海域の哨戒活動ということにつきましては、これが否定をされるわけではありませんけれども、P3Cの航続距離でありますとか、あるいはジブチ空港を活動拠点とするということで、おのずと限界があるのではないかということを申し上げたわけでございますが、いずれにいたしましても、P3Cの具体的な運用要領というものにつきましては、哨戒エリアの問題も含めまして引き続き検討を進めてまいりたいと考えております。
  349. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 整理しますと、海上警備行動でP3Cを派遣する場合、ソマリア・アデン湾の定義が変わると、広がる可能性もゼロではないというふうに理解してよろしいですか。
  350. 徳地秀士

    政府参考人(徳地秀士君) エリアにつきましては元々ソマリア沖・アデン湾ということでありますので、そのエリアが広がるということではありませんけれども、この海域、この辺りの海域において日本関係船舶をどのように効果的に防護していくかという観点から、具体的な運用要領というものを今後も引き続きいろいろと検討していく必要があるのではないかというふうには考えておるところでありますが、ただ、今はまだ活動を始めたばかりでありますので、当面は今やっておるところを中心にやっていくと、これが続くものと考えております。
  351. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 単純に質問します。じゃ、今その辺りという表現されましたけれども、その辺りには将来はソマリアの東方沖が含まれる可能性はゼロではないということでよろしいですか。端的に答えてください。
  352. 徳地秀士

    政府参考人(徳地秀士君) 今護衛をしておるところは、これは船主協会の要請でありますとかあるいは関係省庁、とりわけ国土交通省との調整を踏まえてやっておるところではありますけれども、今後とも具体的なその運用要領等につきましては検討をしていきたいというふうに考えております。  ただ、繰り返しになりますけれども、実際に日本関係船舶の防護、護衛というものをまだ始めたばかりでございますので、当面は今のところにならざるを得ないのではないかと考えております。
  353. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 じゃ次に、質問に移ります。  今回の今政府の方が検討している補正予算で海賊対策もその中に入っていると、検討中というふうに聞いておりますけれども、航空自衛隊のイラクへの支援のように、クウェートで航空機のための整備あるいはその関連の要員含めて、プレハブというものを造ったと思いますけれども、今回もP3Cの派遣に当たって、その整備やあるいはその勤務する隊員のためにプレハブというものも、そういうふうな関連の予算も計上すべきだと思いますけれども、それについてのお考えをお聞かせください。
  354. 徳地秀士

    政府参考人(徳地秀士君) お答え申し上げます。  ソマリア沖・アデン湾における海賊対処に係るP3Cの派遣につきましては、ジブチ空港においてP3Cを整備するための体制ということにつきましても現在検討をしておるところでございます。当然、人を派遣することになるわけでございますので、その居住場所等についても併せて検討しております。  いずれにしましても、P3Cの派遣を含めまして、ソマリア沖・アデン湾の海賊対処のために必要となる経費全体を確保するためには、既定経費による対応に加えまして新たな財源措置が必要であると考えておりますので、現在政府において作業が進められている補正予算に必要な経費を計上する方向で財政当局と調整を行っておるところであります。
  355. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 是非ともお願いいたします。もう日本とは違いかなり暑いところでの勤務あるいは整備になりますので、やはりプレハブ等の整備を含めてしっかりした体制を取っていただきたいというふうに思います。  その関連ですけれども、今度P3Cの派遣に当たって、パイロットとか、あるいは整備員、あるいは地上の管理要員等も派遣されると思いますけれども、その派遣根拠が海上警備行動ということであっても、今回の船の隊員と同様、何らかの特別の手当というものを今検討されているのかどうか、これについてお伺いしたいと思います。
  356. 渡部厚

    政府参考人(渡部厚君) お答えいたします。  今御指摘の隊員につきましても、先月、海上警備等手当というものを新設したわけでありますけれども、この海上警備等手当を支給することができるように関係省庁と検討を進めているところでございます。
  357. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 是非ともお願いいたします。ここも、手当の額というよりも、やっぱりこれは派遣される隊員にとっての士気の高揚とかやっぱり誇りというものにも直結する分野ですので、派遣されている船の隊員と同様、P3Cの派遣関連の隊員にも是非ともよろしくお願いいたします。  それでは、P3C等を今度派遣するに当たって、地上に駐機ということをするわけですけれども、その駐機場等を警備するための要員というものは検討されているんでしょうか。
  358. 徳地秀士

    政府参考人(徳地秀士君) お答え申し上げます。  P3Cの派遣に係る具体的な部隊編成につきましては現在なお検討中ではございますけれども、P3Cをジブチ空港を活動拠点として派遣するためには、派遣部隊の管理業務を行う必要がございます。この管理業務、維持管理業務の一環といたしまして、P3Cがそこに待機をしている場合に周囲を監視するあるいは巡回をするということが必要でございますので、そのための要員の派遣ということについても現在検討を行っているところであります。
  359. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 実際にそのジブチ空港には、ジブチ空軍だけではなく、米軍やあるいはフランス軍、一部EUの軍隊というものもいると思います。その所在している米軍とかフランス軍も当然武装した警備要員というものを配置しております。今回駐機したP3Cとか、あるいはその地域を警備するという場合、今検討中でしょうけれども、その管理地域全般を警備するという通常の基地警備の概念なのか、あるいはP3Cなどのそういう単体を警備するような武器等防護の概念で警備する概念なのか、今の検討状況、言える範囲でお願いいたします。
  360. 徳地秀士

    政府参考人(徳地秀士君) お答え申し上げます。  P3Cの派遣についての具体的な任務でありますとか、あるいは管理・運用要領につきましては検討中の段階ではございますけれども、先ほど御答弁申し上げたとおり、そのP3Cの周囲を監視するあるいは巡回を行うと、こういったことのための要員が航空機等を職務上警護するという点につきましては、自衛隊法第九十五条、武器等防護の考え方に基づいていわゆる警備を行うという考え方であります。
  361. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 武器等防護の概念で警備するという今答弁でしたけれども、ほかのフランス軍とかあるいは米軍はそれとは違う可能性もあるんではないかなと、通常の基地警備の概念で武器を同じような地区にて使用するという可能性もあるんではないかなと思います。これについては、今後とも新しい法律の下での検討ということになる部分もあるかもしれませんけれども、引き続きまた委員会の方で質問を継続していきたいなというふうに思います。  最後の質問の分野として、北朝鮮ミサイル発射関連、これについて質問をしたいと思います。  先ほど小池委員からも制裁関連の質問がありました。小池委員質問は、十七日に閣議決定された追加の経済制裁の内容でしたけれども、あわせて、この前、参議院の方を通過して衆議院の方で今審議されております外国為替及び外国貿易法の一部を改正する法律というものも、今回の北朝鮮への制裁というものに関与しているというふうに認識しております。  今回の法改正の背景と実際の技術取引の規制の内容、これについて簡潔に御答弁をお願いします。
  362. 上田英志

    政府参考人(上田英志君) お答え申し上げます。  今般の改正法の背景といたしましては、北朝鮮によるミサイル発射や核実験やテロとの戦いなどを踏まえ、国際的な安全保障貿易管理の厳格化の要請が高まる中、国境を越えた人の移動の活発化や情報化の進展によりまして、安全保障関連の貨物や技術の海外流出の懸念が増大し、また我が国企業による不正輸出事案が発生していることがございます。  技術取引規制につきましては、従来、居住者と非居住者の間の機微技術を提供することを目的とする取引を規制対象としてまいりましたが、これに加えまして、だれからだれに対するものであっても外国で機微な技術を提供する取引を許可の対象とします。また、この規制の実効性を確保するため、技術を記録したUSBメモリー等の国境を越えた持ち出し等を規制対象といたします。
  363. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 要は、北朝鮮によるミサイル発射とか核実験、テロとの戦い等々の背景を踏まえて、今までよりも技術的な側面から規制を掛けましょうというのが今回の法の改正の趣旨だというように思います。さらに、今度は第三国経由における技術の流出というものも阻止しましょうというのが今回の趣旨だと思います。  実際に、この前の四月五日の北朝鮮によるミサイル発射、前回よりも技術が結果的にアップしてしまったと。ミサイル本体も大きくなり、距離も飛び、また、弾道の安定のやり方も、羽根ではなく噴射口のノズルの方向を変えると、スペースシャトルにも使われたような、あのような高度な技術をもってやっていくと。要は、結果的に、国連の制裁あるいは今までやっていたこの法律における制裁という部分は結果として抑止にはならなかったと。撃たれてしまい、なおかつ技術力は上がってしまったという現実があります。  そういう上においては、今回、この規制というのは、ミサイル発射の前から検討して法律案を作っていたものですけれども、今回のこの事案を考えますと、今まで以上に実効性を、法律せっかく作っても実効性が担保取れなければ意味がないわけですから。今回どのような形でこの実効性を今まで以上に担保しようというふうに今お考えなのか、具体的やり方をお聞かせください。
  364. 上田英志

    政府参考人(上田英志君) お答え申し上げます。  技術の移転を規制することは容易でございませんが、これまでも企業等に対しまして輸出管理の徹底を求めるとともに、関係機関とも連携して安全保障上機微な技術の違法な対外取引の防止に努めてきたところでございます。しかし、その現行法の規制体系では技術が国外において実際に提供されたことが立証されない限り違反を問うことは困難でありますため、今般の法改正により、主要先進国と同様の水際における規制を追加し、実効性の向上を図ることとしたところでございます。  具体的には、機微な技術が持ち出される懸念についての具体的な情報を得ているような悪質な事案につきましては、税関等の関係機関とよく連携を取りまして国外への持ち出しの段階での取締りに努めてまいります。
  365. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 非常にこれは意志が強くなければ実効性を担保するのは難しいと思います。仮に私が第三国経由でUSBにあるいはフロッピーにデータを持ち込んで出るというときに、申告しなければもう分からないわけですから。企業に対してはいろんな形で規制を掛けることはできても、今回の法律は個人も対象ですから、個人が持ち出そうと思うと申告しなければ分からないと。であれば、結果的に法律は作ったものの実効性が効かないということも考えられると思います。  例えば、北朝鮮の方に渡航する場合には再入国許可書というものが必要なわけで、結果的に北朝鮮に渡る人は分かるわけですから。いろんな形で、その人だけ全部チェックするというわけにはいかないかもしれませんけれども、ある程度の確率あるいは率で抽出して実際に持っていないかどうか荷物を点検するなり何かの工夫をしないと、今までと同じで、せっかく法律上は規制を強化しても実効性が担保取れないと。先ほどの送金と全く同じ結果になってしまうんではないかなと。もう一つ踏み込んで、いろんな、税関含めて連動しながら、あるいは出国管理の方と連携しながら担保を取るという方策はないんでしょうか。
  366. 上田英志

    政府参考人(上田英志君) 今先生がおっしゃられましたように、これは実効ある取締りをしていくというのは非常に大事であり、かつなかなか難しい問題でございます。  私どもとしましては、税関、それから出入国管理当局、それから警察等ともよく連携を取りまして、特に懸念のある企業であるとか人物であるとか、そういう人間の出入り含めましてよく連携を取って、今申し上げました懸念のあるような貨物であるとか技術であるとかが出ていかないように、そこを厳格にやっていきたいというふうに思っております。
  367. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 是非よろしくお願いします。  結果的に技術が向上してしまったということは、深刻にやっぱり政府としても受け止めるべきだと私は思います。  さらに、この法律の施行の時期なんですが、先ほど内閣府の方から説明があった送金等の経済制裁、追加制裁は五月の中旬ごろという開始の予定なんですけれども、今のこの法律というのは、法律が成立してから一年以内に施行するという状況になっております。一年以内というと、もしかしたら来年の四月以降ということも考えられますから、片や追加経済制裁は五月で、こちらの技術の方は一年以降と、非常にマッチングしていないという感じもしますので、いろんな方策を使いながら、できるだけ前倒しでこの法を施行するという部分をお願いしたいと思います。  次に、このミサイル発射関係で、今度はミサイルディフェンスの方について防衛省の方に何点か確認いたします。  イージス艦のSM3とPAC3の実際の射撃の今までの実績と今後の予定、これについてお伺いしたいと思います。
  368. 岩井良行

    政府参考人(岩井良行君) お答え申し上げます。  SM3の発射実験につきましては、弾道ミサイル対処のため護衛艦に搭載したBMDシステムが所要の機能を発揮し得る状態にあるか、乗員が当該武器システムを安全かつ適切に整備、運用できるかなど、任務に対する技術的、人的な適合性を判定するために行う試験といたしまして、平成十九年十二月のイージス艦「こんごう」、平成二十年十一月のイージス艦「ちょうかい」の発射試験において、当該適合性を有するとの結果を得たところでございます。  なお、イージス艦「こんごう」については標的に命中いたしましたが、「ちょうかい」については標的に命中しなかったところでございます。  SM3ミサイルにかかわる今後の発射試験の予定といたしましては、平成二十一年度にイージス艦「みょうこう」、平成二十二年度にイージス艦「きりしま」のSM3ミサイル発射試験を米国ハワイ州カウアイ島沖で行うこととしております。  一方、PAC3でございますけれども、これは平成二十年九月に実施をいたしまして、ペトリオットPAC3の我が国への配備後、初めて実弾を用いて弾道ミサイル模擬標的に対する捜索、追尾から迎撃に至るプロセスを確認することにより、システムとして総合的な機能検証を目的として実施され、成功したものでございます。  今後の発射実験の予定といたしましては、平成二十一年度中に米国ニューメキシコ州ホワイトサンズ射場で行うこととしております。
  369. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 ありがとうございます。  じゃ、PAC3についてはなぜ二十二年度実施しないんでしょうか。
  370. 岩井良行

    政府参考人(岩井良行君) お答えいたします。  イージス艦の方は、「みょうこう」、「きりしま」と順次四隻に計画的に配備をしておるということでございまして、二十一年度、二十二年度の予定が立っているところでございます。  一方、PAC3ミサイル発射実験につきましては、昨年度は射撃管制装置から数百メートルの場所に位置する発射機を遠隔操作する形態で実施をし、模擬標的の命中に成功したところでございますけれども、今年度は、昨年度に比べより長距離からも遠隔操作を可能とするために、射撃管制装置と発射機との間に無線中継装置を使用する形態で実施をするということで予算措置をしているところでございます。  二十二年度以降につきましては、この二十一年度の実験等も踏まえて、どのような形で運用していくかということを検討していくことになろうかと考えております。
  371. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 二十二年度予算要求はこれからだと思いますけれども、やはり継続していかないと、しっかりと自信を持って国民を守るということはできないと思います。一回撃ったらもうそれでいいというものではなくて、隊員はどんどん替わるわけで、実際に「ちょうかい」の場合は、いろんな不具合があったにせよ、結果として命中しなかったというわけですから、確かにお金も掛かるし射場の問題はあろうかと思いますけれども、やはり継続して射撃をやっていくというのは非常に大事だと私は思います。  実際に、今回、首都圏の方に展開したPAC3の部隊はまだ一度も射撃をしたことがないわけで、去年やったのは浜松の部隊ですから、そういう面でいうと、やっぱり撃つと撃たないでは全然違います。実際に航空基地を守っているVADSと言われる対空機関砲も、実際には二年に一回しか射撃が、これは射場の制約の関係もあってできないと。防空とか対空火器というものについては、システム兵器だからそれでいいという問題ではなくて、やはりいろんな形でシステムであるがゆえに連携をしますから、いろんな具合でうまくシステムが機能しないということもありますので、継続的に実際に射撃をしていくということが非常に重要だと思います。  今後とも、そういう形で自信を持って隊員が射撃をして命中するんだという体制をしっかりと予算とあるいは射場の確保の両面からお願いしたいと思います。  以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。
  372. 浜田昌良

    浜田昌良君 公明党の浜田昌良でございます。  本日はグアム移転協定質疑でございますが、それに入ります前に、核廃絶問題について再度御質問させていただきたいと思います。  これ、しつこくやっていますけれども、本年、来年は核廃絶の非常に重要な年でありますので、再度やらせていただきたいと思っております。  先般、三月の二十六、二十七日にIAEAの事務局長選挙がありました。日本から元オーストリア大使の天野さんが出られていたわけですが、一票差で当選できなかった、再選挙になったと聞いておりますけれども、この評価なんですが、日経新聞の社説では、日本は先進国の票はまとめられたんだけれども、途上国の票はまとめ切れなかったという表現もありましたが、これについて、この評価、反省、また今後の対応、どのように考えておられるのかについて外務大臣の見解をお聞きしたいと思います。
  373. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 三月の二十六日と二十七日の、このIAEA理事会が開催されたわけでございますが、この理事会におきます投票におきましては、我が方の天野候補、それから南アのミンティ候補、この二人が立候補したわけでありますが、いずれも任命に必要となる、この全理事国、三十五か国でございますが、この有効票の三分の二を上回る得票には至りませんでした。  今回の選挙におきましては、麻生総理や、また私も、また我が国政府関係者、様々なレベルで各国働きかけを行ってきたわけでございますけれども、いずれの候補も軍縮それから不拡散及び原子力の平和的利用の分野において大変長い経験を有しておりますし、また深い知見も有する優れた人物であったということからこのような結果になったものと、そういうふうに考えております。  IAEAにおきましては、原子力の平和的利用や核不拡散の問題などをめぐりまして、核不拡散をより強調する国と、原子力の平和利用の権利に重きを置く国などの間で意見の相違が見られるのは事実でございます。新聞の記事にもございました。他方、本件選挙に関しましては、我が国として、先進国のみならず途上国からも幅広く支持を得るべく取り組んできておりまして、天野候補は当選にわずか一票及びませんでしたけれども、先進国を超える支持を得たと、そういうふうに考えております。  再び我が国といたしましては天野候補を擁立をしたところでございますが、ミンティ候補が再度立候補するかどうかを含めまして候補者の全容というものは明らかにまだなっておりませんが、天野候補の当選に向けまして引き続いて全力を尽くしていきたいと、そういうふうに考えております。
  374. 浜田昌良

    浜田昌良君 今御答弁いただきましたが、一般的に先進国は核不拡散に熱心なんですね。途上国はむしろ先進国が、五大国が核軍縮をしろと、こういうことに熱心なわけです。確かに、先進国だけの票ではなかったと思いますけれども、途上国の票をまとめていく上では、日本自身がやはり核軍縮に熱心だという姿勢を取ることは重要だと思っています。そういう意味では、次の選挙がこの五月か六月かに行われると思いますけれども、非常に重要な時期に来ているなと思っているんですね。  特に、オバマ米国大統領が四月五日にプラハで演説されました。核のない世界に向けて行動すると、特に唯一の核使用国としての道義的責任があると、こう言われたわけですけれども、これを受けまして、日本というのも唯一のいわゆる被爆国として行動する道義的責任が多分あるんだと思うんですね。  このオバマ演説を受けまして、麻生総理は親書を出されたと聞いております。それを中曽根外務大臣がどのように御理解されているのか。また、外務大臣自身が、お聞きしますと、四月二十七日に核兵器のない世界に向けて、世界的軍縮の指標というのを演説されるとお聞きしました。これにおいて世界にどういうメッセージを発しようとされているのか、これについてお聞きしたいと思います。
  375. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 麻生総理は、オバマ大統領に対しまして、同大統領がプラハで行いましたこの演説において、平和で安全な核兵器のない世界を追求することを明確に宣言したということを強く支持をいたしまして、核軍縮・核不拡散の問題への取組において米国連携をしていきたいと、そういう内容の親書を発出したところでございます。  この親書は、訪米をいたしました安倍元総理から、この四月の十五日にバイデン副大統領に対して手渡されたところでございます。親書のこの内容につきましては、一般的に対外的には発表しないこととなっておるところでございますが、オバマ大統領のプラハでの演説、我が国としては、この現実的な、また具体的な方途を追求する、そういうことを明確に宣言した演説でもございますので、強く支持をしているところでございます。
  376. 浜田昌良

    浜田昌良君 今、麻生総理の親書の内容があったんですが、中曽根外務大臣の今度の演説の、核兵器のない世界に向けて、世界的軍縮の指標というこの演説を通じて世界に発しようとされるメッセージについてお話しいただきたいと思います。
  377. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 今委員からも御紹介いただきましたけれども米国のオバマ大統領のプラハ演説、これは唯一の核使用国としての道義的責任、こういうものを、演説の中で大統領がそういう言葉を使われたわけですが、我が国は今度は唯一の被爆国ということでございますので、オバマ演説に呼応して、こういうときにさらに核兵器のない世界の実現に向けて我が国も共に努力をしていこうと、そういう考えでございますが、そういう中で、今月末に私自身が我が国の核軍縮等に対する考え方をまとめましたメッセージを発出しようと思っているところでございまして、二〇一〇年のNPT運用検討会議に向けまして、世界的な核軍縮を推進するための演説、演説といいますか、そういうものをこの二十七日に行う考えでございます。詳細につきましてはちょっとここでは控えさせていただきますが、近いうちに発表させていただきます。
  378. 浜田昌良

    浜田昌良君 詳細は控えさせていただくというお話ですが、是非、やっぱりインプレッシブなメッセージを出していただきたいなと。それが多分、天野候補に対する最大のエールになるんじゃないかなと。日本という国がこういうメッセージを出していると、そういう国の候補というふうに受け取られるように頑張っていただきたいと思っておりますが。  今度は違う質問ですけれども、核不拡散・核軍縮に関する国際委員会というのがございまして、これはエバンス元オーストラリア外務大臣と日本の川口順子元外務大臣が共同議長をされている委員会なんですが、これにつきまして、先日我が党の外交部会に川口元外相に来ていただきまして、いろいろお話をお伺いしました。  その中で、非常に興味深い話がありましたのは、CTBTとかFMCT、いろんなことを言い出すのは重要なことだと。しかし、一番重要なのは核ドクトリン、核をどうとらえるのか。つまり、核を持っていること自体がもう余り意味がないんだということを、そういう文化をつくっていくと、それが重要という話がありまして、世界の主要国は核兵器の先制不使用というものに関心が高いと。ところが日本の外務省は、外務大臣であった方なんですけれども、検証のような手続には非常に関心が高いんだけれども、検証手続を伴わないこういう核兵器の先制不使用に対しては関心が薄いと、こういうことを言っておられたんですね。  私は非常にこれは、そういう見方なのかなと。そういう意味では、こういうことに評されたことにつきまして、外務大臣はどのように思われるのか、御見解をお聞きしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  379. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 現実の国際社会の中には、これはいまだに核などの大量破壊兵器が存在しているわけで、そういう多大な軍事力があるわけですけれども、そういう中で、当事国の意図に関して検証する方法のない核の先制不使用のみに依存して我が国の安全保障に十全を期すということは非常に難しいことであると、そういうふうに考えております。  他方、この核の先制不使用が核兵器国間の信頼醸成及びそのことを通じた核兵器削減につながる可能性があること、これは積極的に評価をすべきとの考えがあると。そういうことにつきましては私ども承知をしておりますが、核の先制不使用を供与するのはこれは核兵器国でございまして、本件に関する議論を進めるに当たりましては、核兵器国間の共通理解の醸成が何よりも不可欠であると、そういうふうに思っています。  我が国といたしましては、現在高まりつつあります核軍縮に向けた機運を世界的また持続的なものとするために、核を保有するすべての国による核軍縮の措置、それから包括的核実験禁止条約の早期発効や、それから核分裂性の物質生産禁止条約などの交渉開始など、軍縮・不拡散のための多国間の措置などを進めていくということが重要であると考えているところでございます。こうした取組は核兵器国間の共通理解の醸成にも資すると考えておりまして、このような考えの下で、来年のNPTの運用検討会議に向けて世界的な軍縮、核軍縮を推進していく考えでございます。
  380. 浜田昌良

    浜田昌良君 大臣がおっしゃいましたように、核兵器の先制不使用というのは核兵器国間の共通理解の醸成がかぎなんですが、それは別に核兵器国しかそれに寄与できないわけじゃありませんので、被爆国としてその議論をリードするということはあり得ると思いますので、是非、今月末に予定されておられます演説においてそういう呼びかけをしていただきたいなと、これはお願いでございます。  ただ、問題なのは、核兵器の先制不使用と日本が言ったときに、日本の、いわゆる日米安全保障体制の中でそれはどう位置付けられるのかというのは難しい問題なんですね。つまり、日本はアメリカの核の傘の中にいるわけです。そのときに、具体論で考えますと、先方から我が国に対してどのような兵器で攻撃された場合、例えば一番目には核兵器、二番目には化学兵器、三番目には生物兵器、四番目には通常兵器と、こういう、どの兵器で攻撃された場合にはアメリカからの核反撃を期待するのかということについてはどのようにお考えでしょうか。
  381. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 今日もいろいろ御議論ありますけれども我が国を取り巻くアジア太平洋地域には、北朝鮮のこういうミサイル実験、核実験の発表、さらに、この間のミサイル発射、こういうものが示すとおり、依然として不安定で非常に不確実な状況が存在をしているわけでございます。またさらに、これも御議論ありますけれども、急速でかつまた不透明な中国の軍事力の増強、さらには大量破壊兵器やミサイルの拡散なども、これも懸念材料となっているところでございますが、このような安全保障の環境の下、核抑止力を含めた米国の抑止力というのは我が国の安全を確保する上で極めて重要な役割を果たしておるところでございますが、この点につきましては、二月の日米首脳会談、それから日米外相会談でも、オバマ大統領それからクリントン国務長官から、双方から核抑止を含む対日防衛にかかわるコミットメント、これの表明がございました。  我が国に対しましてどのような兵器で攻撃が行われた場合に米国の核攻撃を期待するかという点につきましては、抑止の目的というのは、まさに相手国に対して侵略を行えば今度は耐え難い損害を被ることになりますよと、そういう明白に認識をさせるということによって侵略を思いとどまらせると、そういうところにあるわけでございますので、米国の抑止力がいかなる状況において核兵器を使用するのか、あるいは使用しないのかと、そういうことを明らかにするということはかえってこの抑止力を損なう、そういうゆえんともなりかねません。  したがいまして、政府として今のお尋ねの点に、どのような兵器でという御質問でありますけれどもお答えすることは差し控えたいと思っております。
  382. 浜田昌良

    浜田昌良君 確かに、抑止力という観点からすれば手のうちは明かせられない、これはおっしゃるとおりだと思います。問題は、抑止力、日米安保ということを考えながらも、一方では核軍縮というものに旗を振らなきゃいけない、二つのことがあるわけですね。この二つが若干矛盾することがあるわけですよ。特に、核軍縮というのはどうしても感情として日本としてやらなきゃいけないという分野があるし、一方、理性として抑止力を持っていかなきゃいけない。  だから、そういう意味では、日本が旗を振らなければ多分それでいいんだと思うんですよ。いずれ日本が本当に核軍縮、核廃絶、また先制不使用等の旗を振る場合には、こちらの理性との調和というのがいずれ求められてくると思っていまして、そういう意味では、確かに現時点ではほとんどの兵器に対して抑止力を期待していると。それを徐々に絞っていきながら、最終的には核兵器に対する核兵器の抑止ということが言えるようになるような、そういう環境を是非つくっていただきたいなと思っている次第でございます。  同じような、いわゆる感情的にこうしなきゃいけないという話と理性的にこうしなきゃいけないという話は今回のグアム協定も同じなわけですね、グアム移転協定も。いわゆる負担の軽減というものは、どうしても感情的に理解して、しなきゃいけない、おっしゃるとおりだと思います。達成しなきゃいけない。しかし、一方では、負担の軽減とともにいわゆる抑止力の維持という、この両方の命題に解決しなきゃいけないがゆえにバランスが難しいわけですね。  そういう意味では、ちょっと今日はこのグアム移転協定については、後半の抑止力の維持という観点の質問をさせていただこうと思っているんですが、このグアム協定の背景となりました二〇〇五年十月の日米同盟、未来のための変革と再編という、これにおいては、二国間の安全保障、防衛協力の体制を強化するための不可欠な措置として、情報共有、また情報協力の向上、さらに二番目には相互運用性、インターオペラビリティーの向上というのが挙げられていまして、また、再編に関する勧告として、陸海空いろいろある。陸に関して言いますと、キャンプ座間の在日陸軍司令部の能力を作戦司令部組織まで近代化すると。あわせて、陸上自衛隊の中央即応集団司令部もまたキャンプ座間に設置すると。これによって、例えば化学兵器、生物化学兵器、核を含む国内テロ対策の対応向上を図ろうとしているわけですね。  これについて、防衛大臣の、どのような対応能力の向上を期待されるのか、防衛大臣からお聞きしたいと思います。
  383. 北村誠吾

    ○副大臣(北村誠吾君) お答えします。  キャンプ座間にございます在日米陸軍司令部は、日本国の防衛及び極東の平和と安全の維持を主たる任務として、高い機動性、即応性、そして統合任務に対処可能な作戦司令部組織を有しております。  陸上自衛隊中央即応集団は、テロ、ゲリラ、NBC兵器による攻撃に対処する各種の専門部隊を一元的に管理する任務を持っておりますし、各種事態におきましては迅速に部隊を派遣する部隊であります。  平素から、集団司令部と在日米陸軍司令部との間の密接な連携を確保することを通じまして、我が国への武力攻撃事態等が発生した場合、陸上自衛隊と米陸軍との有効な共同対処を期することが可能となると存じております。また、平素から在日米陸軍司令部との交流を通じ、同集団司令部が得ました米陸軍の運用等に関する知見を陸上自衛隊の運用等に活用することも可能となるわけでございます。具体的には、同一の駐屯地に所在することによりまして、定期、不定期の情報交換、研究会などの交流がより緊密かつ頻繁に実施することが可能となり、それぞれの運用等に関する知見の交換、共有、活用が可能となるものでございます。  したがいまして、キャンプ座間における司令部の併置は、御指摘の各種テロ対処などを含め、国内における各種の事態への対応能力の強化に資すると、そういうふうに考えております。
  384. 浜田昌良

    浜田昌良君 陸に関しては、そういう司令部を自衛隊とまた在日米軍とを非常に近接することによって、非常に平時から情報交流をして、いざというときの対応能力を上げると。  次は、空に関してですけれども、空に関して言いますと、同じように、府中にあった日本の航空自衛隊司令部及び関連部隊を横田飛行場に移して米第五空軍司令部と併設するということがこの勧告に書いてあるわけですね。このような再編による防空及びミサイル防衛対策の対応能力向上、これはどのように期待できるんでしょうか。
  385. 北村誠吾

    ○副大臣(北村誠吾君) 米軍再編に伴い、府中に所在します航空自衛隊航空総隊司令部及び関連部隊は二〇一〇年度に横田飛行場へ移転することとされ、現在、そのための庁舎等の施設整備工事を実施いたしておるところでございます。  併設する日米共同統合運用調整所も総隊司令部と同じ建物の中で機能することになっておりますから、航空総隊司令部は、我が国の防空を任務とするほか、今後弾道ミサイル防衛における司令部機能も保持するということになっておりますので、我が国の防空及び弾道ミサイル防衛において、横田飛行場に日米の司令部が併置されることで日米間で必要な情報をより迅速に共有をいたし、司令部組織間の連携を強化することが可能となると存じております。  特に、極めて迅速な対応を要する弾道ミサイル防衛につきましては、日米の司令部間でより緊密な調整が迅速に行えるようになり、我が国防衛上の意義は大きい、そのように考えておるところでございます。
  386. 浜田昌良

    浜田昌良君 今、空についての御説明があったわけですけれども、同様に、平時の連携によっていざというときの対応ができると。  次は、海の問題なんですけれども防衛大臣の御考慮によりまして、先般横須賀に行かせていただいて、「ひゅうが」にも乗せていただきました。また、横須賀を母港とする米空母ジョージ・ワシントンにも乗船させていただきまして、その艦長からこういう発言があったんですね。  昨年度完成した海上自衛隊「ひゅうが」との相互運用性の向上、具体的に言うと、実際の作戦をやるときに同じ画面を見て作戦をすると、こういうことがやっぱり最低条件だと、なかなかこれは課題なんだと、こういう話があったんですが、この課題解決をどのようにされているか。
  387. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 本年三月十八日に就役した護衛艦「ひゅうが」には、探知した目標等の情報を米海軍と共有するためのデータリンクシステム等が据え付けられております。米海軍との相互運用性の基盤は確保されているというふうに考えているところであります。  「ひゅうが」は、今後、就役訓練等によって順を追って練度を確実に向上させていくことになりますけれども日米共同訓練等を通じて米海軍艦艇との相互運用性の向上も図っていきたいというふうに考えているところであります。
  388. 浜田昌良

    浜田昌良君 今、陸海空とできて、いわゆる司令部機能を近接することによって相互運用性を高めていく、こういうのが実はグアム協定の背景となった日米同盟に見合うための変革と再編の考え方ですね。  一方、沖縄の場合は、むしろ海兵隊の司令部をグアムに持っていっちゃうわけですよね、先ほど佐藤議員からも、同僚議員からも質問がありましたように。そうすると、何となくそれが陸海空の動きと逆なんじゃないかなという見方もあるわけなんです。これによって、日本における本来持っていた在日海兵隊の抑止力というのが若干これはやっぱり低下するのかと。  低下しても米沖縄基地返還のためにやむを得ないという考えなのか、そうじゃなくて、そもそもこれは低下しないという判断なのか、これについて防衛大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  389. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 米国は、太平洋における兵力構成を強化するために、米海兵隊の緊急事態への対応能力の強化や、それら能力のハワイ、グアム及び沖縄の間での再分配を実施しているところであります。これによって、個別の事態の性質や場所に応じ、より適切かつ柔軟な対応が可能となって、総体としての米軍再編を勘案した際、全体としてのアジア太平洋地域における米軍の抑止力の強化になると考えております。  在沖海兵隊のグアム移転沖縄の負担軽減という側面が強い一方で、沖縄には一定の初動対処能力を有する海兵隊が維持されることや、航空輸送や海上輸送の能力向上等が見込まれることなどの要素が考慮されておりまして、基本的には海兵隊が果たしている抑止力は維持されるものと考えているところであります。
  390. 浜田昌良

    浜田昌良君 今海兵隊の持っている抑止力は維持されるという話ししたんですが、陸海空と海兵隊の役割の違いかもしれないんですけど、陸海空、日本の自衛隊自身が専守防衛ですよね、防衛をいかに協力して、自衛隊が主でありながら従として在日米軍がその自衛を助けてくれると。  海兵隊の場合、基本的に前方に展開するということが多いからこういうことなのか、それとも、かなり自衛ということを考えても、防衛ということを考えてもこの抑止力は低下しないという考えなのか、この点についてはいかがでしょうかね。
  391. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) お答えいたします。  在日米海兵隊の能力といったことにつきまして抑止力ということを論じる場合には、いろんな要素を考えなければいけないというふうに思いますので、司令部がどこにあるかということだけではなくて、全体のその初動対処能力というものがどの程度維持されているのかということがあるかと思います。その点で申し上げれば、今回の改編の中では、一定の初動対処能力は沖縄に維持されるというところが一つポイントだというふうに思います。  それから二点目は、海兵隊というのは非常に機動展開をするわけでございますので、単に前方に展開しているというだけではなくて、高い機動力、即応性を持って対応できるかということでございます。また、できるだけ幅広いミッションに対処するという、そういうことが求められておりますので、まさに先ほど大臣からも御答弁ありましたけれども平成十七年十月のいわゆる2プラス2の共同文書の中にもありますように、その航空輸送能力を強化する、あるいは海上輸送能力を強化すると。海上輸送能力についてはハイスピードベッセルですね、いわゆる高速輸送船の能力を活用するというようなことで機動力を向上されるというふうなことがございますので、そういう様々な要素を考えますれば、基本的には海兵隊が果たしている抑止力というものは維持されるんではないかというふうに考えているところであります。
  392. 浜田昌良

    浜田昌良君 先ほど横須賀を母港とする米空母ジョージ・ワシントンの話をいたしましたが、この艦載機の訓練空域の確保の観点から、岩国飛行場に移駐されることが勧告されました艦載機のNLPですね、ナイト・ランディング・プラクティス、これについて、私も知らなかったんですが、ジョージ・ワシントンに乗ってみて、あれ、飛行機が止まるのはワイヤーに引っかかって止まるわけですね。夜これ、本当に海に降りてくるというのは海に落ちるような気持ちがすると、非常に、電気のそこに、ここにちゃんと降りれるのかと。  そういう意味では、この訓練が非常に大変だという話を聞いておりまして、この訓練施設については、ロードマップでは、検討するための二国間枠組みの設置及び二〇〇九年七月又はその後のできるだけ早い時期に選定を目標となっているわけですが、その枠組みの実施状況。また、この候補地としては馬毛島とか三宅島とか江田島等、幾つも名前が挙がっているんですが、これらが二〇〇九年七月ってもうすぐなんですけれども、この間までに選定される見通し。また、何か遅れているという話もするんですが、この遅れている理由。さらには、米軍は訓練の日帰りを求めているという話も聞くんですね。今硫黄島でやっているわけですが、なかなか横須賀でぎりぎりのところであって、さらにそれが岩国に行って硫黄島だとかなり日帰りは難しいという話も聞くんですが、そういう訓練施設が満たすべき具体的条件について、防衛省はどのように考えておられるでしょうか。
  393. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) まず、日米協議状況、選定までの見通しなどについて御答弁申し上げたいと思います。  恒常的な空母艦載機着陸訓練施設については、平成十八年五月のロードマップにあるとおり、二〇〇九年の七月又はその後のできるだけ早い時期に選定することを目標とすることとされております。これを受けて、現在、米軍の運用上の所要などについて日米間の様々なレベルで協議を行っているところであります。  これまでFCLP施設の候補地にかかわる報道がなされたことは承知しておりますけれども、恒常的なFCLP施設については、米軍の運用上の所要と騒音等の環境に及ぼす影響等を考慮しつつ作業を進めているところでありまして、現時点でその候補地を選定しているわけではございません。また、FCLP施設にかかわる具体的条件については、現在、御指摘の訓練の日帰りを始め、米軍の運用上の所要について日米間で鋭意協議中であり、その詳細を明らかにすることは現在困難でございます。  いずれにせよ、FCLP施設の選定に当たりましては、米軍の運用上の所要と騒音等の環境に及ぼす影響等に考慮しつつ作業を進めてまいる所存であります。
  394. 浜田昌良

    浜田昌良君 地元の関係等の要請も十分耳を傾けていただきながら作業を進めていただきたいと思っておりますが。  次に、このグアム移転関係で、嘉手納以南の返還のメリットについて質問したいと思っておりますが、地元沖縄県が推計いたしました嘉手納以南の返還、これ普天間ほか五か所だけで八百九十五ヘクタールですね、あとキャンプ瑞慶覧がどれぐらいか、部分返還になっていますから分かりませんが、による直接経済効果、また誘発効果も加味した年間税収の増、どれぐらい税が増えるのかと、この見込みはどのように見ているのかと。また、これらの数字は、日本が今般負担するとなる真水二十八億ドルというものに比べてどのような比較となるかについて、内閣府から答弁いただきたいと思います。
  395. 原田正司

    政府参考人(原田正司君) お答えをいたします。  嘉手納以南五地区の跡地返還による経済効果につきまして、沖縄県が平成十八年度に調査を行っております。その調査結果でございますが、跡地利用が言わば熟成した段階での数値でございますけれども、直接経済効果が年間で約八千七百億円、それから税収、これ国税、地方税合わせた税収でございますが、年間約千二百五十億円と推計されております。  この数値は、既に跡地利用が相当程度進んでおります那覇新都心の跡地利用などの実例を参考にしながらも一定の仮定の下で推計したものでございますが、嘉手納以南の大規模な返還に伴う跡地利用によりまして沖縄の社会経済が大きなインパクトを受け得るということを示しているものと受け止めております。
  396. 浜田昌良

    浜田昌良君 今、直接経済効果が八千七百億円と、年間ですね、ありました。そうすると、真水は二十八億ドルですから約三千億円ですよね。それの約三倍ぐらいと。年間税収増見込みは千二百五十億円とすると、三年間で元が取れるということなんですかね。
  397. 原田正司

    政府参考人(原田正司君) 先ほどお答えいたしましたとおり、あくまで嘉手納以南の跡地が熟成いたした段階での年間の経済効果及び税収見込みでございますが、この数字は、当然すべてが純増額というふうにとらえることは困難かと思います。他地域から嘉手納以南の跡地に転入してきた経済活動あるいは住宅、そういったものも含めた、言わば嘉手納以南の基地跡地内で発生するであろう経済効果を一定の仮定の下で推計したものというふうに受け止めていただきたいと存じます。
  398. 浜田昌良

    浜田昌良君 推計ですからいろんな前提があるんだと思いますが、非常に私は大きな効果じゃないかなと。そういう意味では、確かにこの三千億円、二十八億ドルは大変だという話がありますが、うまくそれを誘導していけば、それは沖縄にとってプラスだなという気がします。  今度、違う観点からお聞きしますが、今度は嘉手納以南返還用地が、普天間、瑞慶覧も含めて六か所で、合計すると八百九十五ヘクタールから、部分返還、全部返還で面積違いますけれども、九百七十ヘクタールの間になると思うんですけれども、これに係る政府が今まで負担している地代、これは最大総計幾らでしょうか。防衛省からお聞きしたいと思います。
  399. 井上源三

    政府参考人井上源三君) お答えを申し上げます。  お尋ねの嘉手納以南の返還用地の地代ということでございますけれども、御案内のとおり、平成十八年五月のロードマップにおきまして返還の検討の対象となっておりますのは六施設、キャンプ桑江、キャンプ瑞慶覧、普天間飛行場、牧港補給地区、那覇港湾施設、陸軍貯油施設第一桑江タンク・ファームでございます。  これら六施設のうち、キャンプ瑞慶覧を除く五施設につきましては全面返還の検討の対象とされておるわけでございますけれども、これらの平成十九年度の借料の実績、地代の実績は約百四十四億円でございます。また、キャンプ瑞慶覧は部分返還の検討の対象とされているわけでございますけれども、キャンプ瑞慶覧全体の平成十九年度の借料の実績は約八十七億円であるわけでございますけれども、返還部分が確定をしておりませんので、それに該当する借料をお示しすることができないわけでございますけれども、いずれにいたしましても、今般の米軍再編が着実に実施されまして返還が実現すれば、最終的には、今申し上げたような五施設、そしてキャンプ瑞慶覧の返還部分の借料が必要なくなるということになるものと考えております。
  400. 浜田昌良

    浜田昌良君 キャンプ瑞慶覧がどれぐらいになるか分かりませんけれども、それを除いても地代百四十四億、全部返還はないと思いますけれども、両方足しちゃうと二百三十一億という地代が最終的にはなくなると。そうすると、この三千億と比べて、誘発効果はなくても地代だけで二十年間分ぐらいだということですね。そういう意味では、確かに真水二十八億ドルというのは大きいと思いますけれども、経済効果、また地代が払わなくて済むという観点からしても、それは決して無駄遣いで私はないんじゃないかなと思っております。  次に、この嘉手納以南の返還に対しては、普通は普天間代替飛行場が辺野古に造られて、海兵隊のグアム移転がされて、終わってからこの嘉手納以南の普天間ほか六か所が返還されると、こういう考え方をされるんですが、沖縄県民にとってのそれは大分先なわけですね。そういう意味では、先に辺野古の工事が始まる中で、少しはそのメリットといいますか、返還のメリットが身近に感じてほしい。だから、ずっと待った先に返ってくるんじゃなくて、少しでも恩恵が感じられるように、嘉手納以南の返還のうち、可能なものは本協定以降、海兵隊のグアム移転を待たずに返還されるよう、県民の目線に立ってアメリカとの引き続き交渉をお願いしたいと思いますが、外務大臣の決意をお聞きしたいと思います。
  401. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 嘉手納以南の施設とか区域のこれの統合とか、それから土地の返還というものは、普天間飛行場の移設及びその在沖縄海兵隊グアム移転によって利用可能となります米軍の施設とか区域とかそういうものの一部を集めることによりまして、施設・区域を集約をして、そして人口が密集しております嘉手納以南の施設・区域の統合又は土地の返還を実現しようと、そういうものでございます。  すなわち、このグアム移転実施することを通じまして、どこにどのような利用可能な施設・区域が生じるかが判明してくるわけでありまして、そういうことによって初めて返還対象となっている施設とか区域の集約先を決定するということが可能となって、そして返還に向けた具体的な道筋ができてくると、そういうものでございます。  沖縄からグアム移転する第三海兵機動展開部隊の中の部隊の規模とか具体的な内容については、移転に関する計画、これを作成する過程において米側において検討されていることでございまして、今の時点ではまだ決定されていないと、そういうふうに承知をしております。  したがいまして、現時点において海兵隊のグアム移転を待たずに返還できる施設・区域があるかどうか、どこかとか、そういうことについて申し上げることは困難でありますが、今委員が御指摘になられましたように、政府としても、可能な限り目に見える形で負担の軽減と申しますか、そういう進展というものが県民の皆さんにも理解していただいて、そして一日でも早く実現させるということは大変重要なことだと、そういうふうに思っております。  そういうような観点から、政府といたしましては、普天間飛行場の移設・返還、それから海兵隊のグアム移転に向けました努力というものを一層強化をするとともに、現在も継続をしております嘉手納以南の施設・区域の統合及び土地の返還に関する日米交渉、これにしっかりと対応していこうと、そういうふうに思っております。
  402. 浜田昌良

    浜田昌良君 ありがとうございます。  どうしても、沖縄の映る画面として、辺野古でどんどん海が埋まっていくという画面だけではなくて、少しこういうところが返ってきて、先ほど経済効果、大きな効果も説明ありましたが、前向きに進んでいると、その両方の画面がなるべく映っていくということが非常に重要だと思っておりますので、確かに交渉のステップからすると難しい判断ではございますが、是非外務大臣の強いリーダーシップでお願いしたいと思います。  次に、グアム移転のメリットについてもう一点考えられますのは、この調達、今回の真水事業、また融資なり出資の事業を、参加するときに日本の企業も公平に扱うということで、今回の協定五条において調達過程における公平な取扱いというのが規定されているわけですね。  ただ、単に公平という、競争条件が公平というだけではなくて、特に大きなゼネコン等はこういう、ミリコンといいますか、アメリカの軍関係の公共事業の仕方は少しやっぱり違うんですね。いわゆるスタンダードをミルシートと言いましてちょっと違うんですね、普通のやつとは。そういうものについて慣れているところは、大きなゼネコンはあるかもしれませんが、中堅、中小は知らないかもしれないし、まして、できれば沖縄の企業がこういうところに参画できれば一番いいなと思っているんですが、そういう意味では、単に公平に扱うというだけじゃなくて、なるべくそういう企業に参加できやすいように支援をしていくということについて是非防衛省の方でも考えていただきたいんですが、この点、いかがでしょうか。
  403. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 在沖米海兵隊のグアム移転に係る真水事業につきましては、我が国事業者を含むすべての事業者が平等で差別されることなく取り扱われることとなっており、このことは協定の第五条に明記をされておるわけであります。民活事業については、その事業主体の選定のための具体的な手続等につき現在も日米間で協議を行っているところであります。  かかる事業者選定については、事業の効率的かつ効果的な実施のために競争的な手続によって事業主体が選定されることが重要と考えております。その上で申し上げれば、可能な限り多くの日本企業が本事業に係る競争へより円滑な形で参画することが望ましいとの観点から、防衛省としては、日米協議や情報提供を通じて日本企業の参加を促すことができるよう努力してまいりたいと考えておるところでございます。
  404. 浜田昌良

    浜田昌良君 今大臣から、より円滑な形での参加という言葉をいただきました。これを是非防衛省の方で具体的な支援策として実施していただきたいんですが、何かアイデア、いかがでしょうか。
  405. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) お答えいたします。  防衛省としましては、今年度以降、真水事業の米側の執行が始まりまして事業が本格化するという状況でございますので、できるだけ多くの日本企業が本事業に係る競争へ参画することが望ましいということでございます。  具体的には、一つの方策としまして、当面は、真水事業に係る米側の入札に関する情報、なかなか慣れていないとよく分からないというようなこともございますので、こういった入札に関する情報等につきまして防衛省のホームページにできるだけ詳しく載せるとか、あるいは企業説明会といったような形で様々な機会を活用させていただきたいと。いずれにいたしましても、情報提供ということには最大限努力をしていきたいというふうに考えております。
  406. 浜田昌良

    浜田昌良君 まさに辺野古の工事が始まりますが、一方では、普天間を含め幾つかの嘉手納以南の返還も始まると。また、沖縄の企業もいわゆる真水事業又は融資・出資事業に参加をできて、そういう画面が一緒に映るということが、非常に沖縄の方々のこの移転に、この事業理解が進むかぎだと思っておりますので、どうか両省連携していただいて、御協力をお願いしまして、私の質問を終わります。
  407. 井上哲士

    井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。  海兵隊のグアム移転によって大幅に沖縄の負担軽減になると強調されてきました。しかし、減るのは実数ではなくて、定員が八千人減って一万人になるだけだと。沖縄には一万三千人前後しか海兵隊いませんから、移転する実数は二、三千にとどまるという可能性があります。  そこで、まず外務大臣にお聞きしますが、米兵による犯罪などの沖縄県民の負担と苦しみというものは実数が減らないと解消できないんじゃないでしょうか。定数が減っただけで解消できるとお考えでしょうか。
  408. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 海兵隊のグアム移転によりまして、これが実現することによりまして定員数が一万八千人から一万人へと削減されるわけでありますけど、この定員数は、海兵隊の部隊の配置とかあるいは活動の基礎となる数字でありまして、今後の実数の削減においても極めて大きな意味を持つものと考えております。  また、人口の密集地に多く存在をしております嘉手納飛行場以南にあります五つの施設それから区域、先ほどからお話ありますけど、八百九十五ヘクタールのこれの全面返還及びキャンプ瑞慶覧の部分返還が実現することにこれでなるわけでございますが、このような返還の実現は、これはもう一九七二年の沖縄返還以降最大規模のものでございまして、これは沖縄の経済振興にとって大きな機会を提供することだと考えておるところでございます。  私、一月の三十一日から二月の一日まで沖縄県を訪問しまして、米軍関係者による事件とか事故とかあるいは騒音、こういう問題を含めまして沖縄県民の皆さんの負担というものを私自身改めて実感をしたわけでありますが、そのときに、ジルマー米四軍調整官に、事件、事故の再発防止を含めて、沖縄県民の皆さんが安心して暮らせるように申入れを行いました。  その上で、沖縄全体の負担を大きく軽減するためには、普天間飛行場の移設・返還、それから在沖縄海兵隊グアム移転や、さらには嘉手納飛行場以南の施設・区域の土地の返還などの米軍再編を是非とも実現しなければならないと、そういう思いを強くしたところでございます。
  409. 井上哲士

    井上哲士君 定数は実数が減る基礎になるということでありますから、まさに実数が減ってこそ負担軽減につながるわけですね。  ところが、実数は八千人も減らないじゃないかということは我々はしばしば指摘してきましたけれども政府答弁では認めるようになりました。しかし、今なお国民には実数が八千人減ると思わせるような言い方、宣伝がされております。  昨日、沖縄に調査行きましたけれども、一番このことで関心を持っている宜野湾の市長さんですら、今回の国会審議を通じて明らかになったように、実際には何名がグアムに移るのか分からないということでは沖縄の基地負担軽減に結び付くとは思えなくなりましたと、こういうことを言っていらっしゃるわけですね。なぜ、減るのは定員なんだと正確にかつ正直に言われないんでしょうか。
  410. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) 政府は、二〇〇六年五月に合意したロードマップに至る協議の中において米側からは、沖縄に駐留する海兵隊の要員については常に変動する実員ではなく機構上の定員であると説明を受けております。この点は、累次の国会答弁においても政府として明確にしてきております。
  411. 井上哲士

    井上哲士君 国会では言っても、国民向けには実数が減るような言い方をしてきているから、多くの沖縄県民もそう思っているんですよ。ですから、やっぱり巨額の負担を納得させるためにあえて誤解を招く言い方を意図的にしてきたんではないかということを言われても仕方がないと思います。  じゃ、定数の意味についてお聞きします。  今日も若干議論がありましたが、この新たな定員一万人というのは今後沖縄に駐留する海兵隊員の上限だと、これより一人でも多くならないということで確認できますか。
  412. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) これも先ほど来御答弁を申し上げておりますけれども、海兵隊の定員というのは、このグアムにほぼ恒常的に駐留するであろうプレゼンスの言わば基礎となるものでございます。したがって、全体の状況が平準化すれば定員が充足され、ほぼこの数と近い実数になるであろうということが予想されるわけでございます。  それでは、在日米軍あるいは在沖海兵隊につきまして、安保条約の目的達成との関係で部隊の運用等日々変動しているわけでございます。こういう変動の中で一万人を一人たりとも瞬間的に超えることがないのかといえば、それはそういうことは十分あり得るのではないかと思います。
  413. 井上哲士

    井上哲士君 つまり、定数があってもそれを上回る駐留もあるということでありますが、じゃ、定数は変わらないのかと。そもそも駐留米軍の定数について日本はアメリカ側から日常的に報告を受けているんでしょうか。
  414. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) 在沖縄海兵隊を含む在日米軍は、安保条約及び地位協定に基づきまして我が国及び極東の平和と安全の維持という目的を達成するために日本に駐留しているわけでございます。実員につきましては、我が国を含む全世界に展開する米軍の軍種別人数という形で一定期間ごとに対外的に公表されているわけでございます。日本における定員について、合同委員会等の場を通じて日本政府が恒常的に報告を受ける仕組みというのがあるのかといえば、それはございません。  しかしながら、このロードマップに係る協議の過程で、沖縄に駐留する米海兵隊の定員数につきましては米側から約一万八千であるという説明があり、本件グアム移転が実現した後の在沖縄海兵隊の定員数は約一万人になるということを確認をしているところでございます。
  415. 井上哲士

    井上哲士君 恒常的に報告を受ける仕組みはないけれども、今回のロードマップの議論の中では数が出されたということでありますが、じゃ今後、アメリカ側が駐留米軍の定数を増やすという場合に日本に対しての合意というものが必要なんでしょうか。
  416. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) 在沖縄海兵隊を含む在日米軍は、安保条約及び地位協定に基づきまして我が国及び極東の平和と安全の維持のために日本に駐留をしておりますけれども、その在日米軍の定員数を何人とするというようなことについては、そもそも日米間で合意をするということにはなっておりません。したがって、在日米軍の定員を変更するに当たっても、これは基本的に我が国の同意は必要とされないわけであります。  しかし、現実には、在日米軍の運用については日常からいろんな意見交換が行われております。したがって、そこにおいて、大きな部隊が変更する、そういうようなことについてはいろいろ連絡を受けるということになっております。
  417. 井上哲士

    井上哲士君 同意は必要ないということであります。  そして、今、日米間で様々、騒音防止協定などを結んでいても守っていないという実態があるわけですね。今後、そういうことで相談があると言われても、これは、はいそうですかと言うわけにいかないわけであります。つまり、安保条約、地位協定において、これについて日本が合意したり協議をするという仕組みはないと。  じゃ、今回のこの協定の条文の中に八千人定数を削減して一万人にするというふうに書き込んだらいいんじゃないですか。なぜそれができないんでしょうか。
  418. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) これも累次御説明しておりますとおりに、今次協定は、ロードマップ実施ということをこれから日米政府は進めていくわけでございます。そのロードマップ実施の中の一つの案件でありますグアム移転事業がある。そのグアム移転事業につきまして、そのまた真水事業について、主としてその資金の移転に係る部分について権利義務を定めたというのが今次協定でございます。
  419. 井上哲士

    井上哲士君 つまり、条約上の削減の縛りを掛けたということには全くならないわけですね。ですから、実数も定数を上回る場合がある、今後定数を増やす場合にも日本の合意条約上必要ない、そして今回の協定でも削減をして一万人にするという縛りは何もないと、これが実態なわけですね。  元々アメリカは自分の戦略的判断で軍の配置を決めてきたわけで、日本が定数を変えるとかいうことを拒否する仕組みもないわけです。結局、だから沖縄の海兵隊員の実数にしろ定数にしろアメリカの自由なわけでありまして、その下で日本は八千人の移転分の財政負担をさせられるということだけなんじゃないですか。いかがですか。
  420. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) 一万八千人の定員を一万人にする、八千人の定員の海兵隊を沖縄からグアム移転するということは、ロードマップの中で明確に合意をされているわけでございます。  このロードマップについては、2プラス2の外務大臣防衛大臣、国務長官、国防長官で合意をされ、さらに、その後の累次の首脳会談においても、これは日米両首脳がこのロードマップに従って米軍再編を進めるということを確認しているわけでございますので、両国政府としてこれを、一万八千人を一万人の定員にしていくということについては明確にこれを進めていくという意思が両方で確認をされているということでございます。
  421. 井上哲士

    井上哲士君 ですから、条約上も、そして今回の協定からいっても、はっきりしているのは日本が八千人分の移転の財政負担をさせられるということだけなんですよ。  さらに、じゃ聞きますが、衆議院の答弁で、家族住宅も最大で三百戸として日米間で協議中だと、米側の見積もった戸数を前提に交渉しているわけではないというふうにされました。そうしますと、沖縄の負担軽減ということでやっているわけですが、日本側が負担する隊舎や家族宿舎の建設戸数は沖縄から移動した海兵隊員の実数の範囲内になるんでしょうか。
  422. 北村誠吾

    ○副大臣(北村誠吾君) お答えします。  日本の分担で整備することになっている隊舎及び家族住宅の棟数や戸数といった所要数につきましては、現時点では結論が出ているわけではございません。引き続き日米間で協議を行っておるところでございます。  その所要数の算定に当たりましては、日本の分担する事業は在沖米海兵隊の沖縄からグアムへの移転に伴う所要の増大に対応するものとの考え方に基づきまして、基本的には、定員数としての八千名の海兵隊員の移転を前提としつつ、今後日米間の協議等を通じ具体化をしていくというものでございます。  いずれにいたしましても、これらの所要数や整備に必要な経費につきましては、引き続き日米間で協議を行い、日本政府としてしかるべく精査をいたしました上で予算を計上し、国会での御審議を賜るということと考えておるところであります。
  423. 井上哲士

    井上哲士君 実数は二、三千しか減らなくても八千人の定員が減るという前提でその所要を考えるということでありますが、そうしますと、現在は例えばイラクやアフガニスタンに展開しているけれども定数としては沖縄の枠内だと、こういう部隊がグアム移転する際の隊舎や宿舎まで日本が負担をすると、そういうことでいいんですか。
  424. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) お答えいたします。  これは衆議院でも議論があったところだというふうに思いますけれども、今回の隊舎、家族住宅の検討の前提というのは、基本的には定員の枠組みというものの変更に伴ってグアムへの所要が増大すると、それに対応するものを整備するという、そういう考え方でやっているところでございます。
  425. 井上哲士

    井上哲士君 ちゃんと質問に答えていただきたいんですが、要するに、現在イラクやアフガニスタンにいるけれども、定数としては沖縄の部隊というものがグアム移転した場合も隊舎、宿舎を整備するということでいいんですか。
  426. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) ですから、基本的にグアムへの移転というのは定員の枠組みで考えておりますので、実際に現在、沖縄のまさに定員の中でどういったところにいるかというときに、すべての沖縄の海兵隊の定員の枠組みで常に沖縄に所在しているわけではございませんので、そういうことを前提にして今回の議論も行われているということでございます。
  427. 井上哲士

    井上哲士君 沖縄の定数が充足していないのはアフガニスタンやイラクに展開しているからという答弁をさんざんされているわけですね。これはとんでもない話だと思うんですね。  イラクやアフガニスタンにいる部隊、定数だけは沖縄にあるかもしれませんけれども、アメリカの都合で戦争をしに出ていっているわけですよ。言わば日本の国外に出ていった部隊なんですね。なぜこういう部隊が、アメリカの部隊が任務を終えてアメリカの自分の国の基地に帰るというその際の隊舎や宿舎まで日本がどうして負担しなくちゃならないのかと。海外に出ている部隊は現に沖縄の県民の負担になっているわけじゃないんですよ。なぜその分の負担をしなくちゃいけないんですか。
  428. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) お答えいたします。  米軍の運用にかかわることになりますけれども、基本的には、もしこういった定員の枠組みの変更というものがなければそれは沖縄に帰ってくるということになるかと思いますので、まさにそういう定員の変更というものがあって具体的な部隊なり装備の運用というものが変わっていくと。それを、グアム移転をするということで沖縄の負担の軽減を図ろうというのがそもそもの考え方でございます。
  429. 井上哲士

    井上哲士君 そんないいかげんな答弁しちゃ駄目ですよ。  梅本局長は衆議院での答弁で、仮に定員が充足されていないものがあっても、それは根っこが沖縄からグアムに移りますので、将来、定員が充足されるような事態になってもそれは沖縄には来ないと、それはグアムに行くんだということでございますとはっきり言っているわけですよ。沖縄には来ないんですよ、帰ってこないんですよ。なぜその分の負担までしなくちゃいけないのかということです。
  430. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) 今の定員が一万八千人ということでございます。それについては定員が必ずしも充足されていないということで、実数がそれより大分乖離をしているというのが現状でございます。  しかし、その一万八千人の定員がいるということで沖縄にはそれに必要な施設というものがあるわけでございまして、これはその定員がいずれ平準化して充足されるようになればまたその施設を本来は使用するということで、一万八千の定員の部隊がそこにいることになるわけでございます。この一万八千のうちの八千の定員の部分をグアムに移すということでございますので、今度そういう状態であれば、仮に定員がまた充足されるようなことになれば、それは沖縄において充足されるのではなくてグアムの方において充足をされることになりますので、グアムにそれだけの設備というものが必要になってくるということで、ただいま防衛省の方から御答弁をしているように、そちらの方の施設整備が必要になるということでございます。
  431. 井上哲士

    井上哲士君 それはアメリカの国土でアメリカ軍によって必要になるわけですから、アメリカが造ったらいいんですよ。なぜ日本が負担しなくちゃいけないということを問題にしているんです。  そもそも外国の領土にある外国の基地に日本政府が負担をすること自身が前代未聞ですけれども政府はどういう説明したかといえば、これは負担軽減のために日本側が要望したものだということが一つですね。  それから、これ、防衛省が平成十九年二月に出した在沖米海兵隊のグアム移転についてという説明文書ですと、在日米軍が日本国内で部隊を移転する場合、施設整備の費用は基本的に日本が負担しますと、今回は海外に移転しますが、海兵隊の任務には依然として我が国防衛が入っています、したがって、移転先が日本国内でないから負担はしなくていいということにはならないと考えますと、こういうふうに言っているんですね。つまり、日本防衛の任務を持っているから払うんだというのが大きな理由の一つなわけですね。  しかし、中東で戦争をしている部隊に日本防衛の実態などないんですよ。ですから、政府が説明をしてきたことからいっても、このイラクやアフガンの作戦に従事しているアメリカの部隊がアメリカの基地に移転をするための費用を日本も負担などは、必要は私はないと思いますが、これ大臣、答えてください。外務大臣、いかがですか。
  432. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 各地で活動をしているこの米軍の部隊がそこで固定されているわけじゃなくて、またいろいろな状況の変化によって、この日本を中心として、あるいはこのアジアを中心としてこの米軍が活動をしているわけですから、行ったり来たりしたり戻ったりするわけでありまして、そういう意味では、イラクに行ってきたから、この部隊はもうイラク専門だから、この沖縄なりあるいはグアムなり、我が国が造った施設に入っちゃいけないと、そういうことには私はならないと思うんですね。やっぱりその状況によって出動する場所とか人数が違いますし、これは地域全体の安全保障のための米軍でございますから、そういう意味で私は支障ないと、そういうふうに思います。
  433. 井上哲士

    井上哲士君 ですから、地域全体の安全保障の米軍が自分の国に戻るときの基地の負担を日本がする必要がないんじゃないかということを言っているんです。  政府の説明は、沖縄県民の負担になっているということ、そして日本の防衛の実態があるということなわけですね。じゃ、現に今、イラクやアフガン作戦に従事をしているアメリカの海兵隊が日本の防衛の任務持っているんですか。
  434. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 今はイラクやあるいはあの周辺地域で活動しているということかもしれませんが、任務によってはまた違う地域、あるいは日本の近くで活動するということもあり得るわけでありますから、先ほど御答弁もそういう意味で、私は沖縄なりあるいはグアムなり、そういうところへ行ってきた部隊がまたそういうところへ入っても問題はないんではないかということを申し上げているんです。
  435. 井上哲士

    井上哲士君 先ほど申し上げましたように、そういう部隊は将来定員が充足されるようになっても沖縄には来ないんだ、グアムに行くんだということを梅本局長も言われているわけです。政府沖縄の海兵隊が日本防衛の任務を持っていると言いますけれども、イラク戦争を見ても明らかですが、敵地の制圧に真っ先に乗り込むのが海兵隊の役割なわけですね。沖縄は、アメリカが世界のあちこちで戦争をするための出入り自由の出撃基地として使われて、これを政府許してきたというのが実際のところでありまして、それを日本の防衛などと口実を付けてイラクやアフガンの戦争に行った部隊がアメリカ本国の基地に戻るための経費を日本が負担するいわれはないと、これは許されないということを改めて強調したいと思います。  最後、防衛大臣にお聞きしますが、ロードマップ承認した直後に当時の額賀長官は日本の負担額について、これからきちっと積算していくと、我々もコストダウンを図る、合理化を図る、効率化を図る中で、更に予算をできるだけ少なめにしなくてはならないと述べて、詳細については今後更に積み上げて、きっちりと精査をした上で説明をするというふうに述べておりましたが、それから三年たったわけですが、金額は変わっておりません。  今年度予算で真水負担の一部が初めて計上されたわけですが、この部分について、当初計画より、かつて額賀長官が言われたように、どういう合理化、効率化による経費の削減ができたんでしょうか。
  436. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 我々としましては、我が国が二十八億ドルを上限に真水による負担行為を行うこととしておりますけれども政府としては国民の皆様の御理解を得るべく、我が国の真水による負担額について各年度ごとに精査の上、最も効率的な形で所要額を計上し、国会の審議を賜りたいと考えておるところでございます。  この考えに立って、政府としては平成二十一年度予算に計上された真水経費については、米側の提示した経費見積りを基に日米間でより効率的なものとすべく協議を行い、我が国として精査することにより、例えばグアム島などでの過去の米軍建設事業におけるより安価な実績単価を使用するなどの工夫によって効率化を図ることができたと考えております。  なお、協定においては、我が国が提供した真水資金について事業の執行過程で生ずる未使用残高、すなわち効率化分は原則として日本政府に返還される旨規定されており、政府としては事業の執行過程においてもより一層の効率化が図られるよう、適切に対処してまいりたいと思っているところであります。
  437. 井上哲士

    井上哲士君 今回の真水負担の中にあるアンダーセン基地やアプラ港の基盤整備事業というのは当初の計画からは読めないんですね。日本が仮に節減をしても、その分、上限二十八億ドルの中で新たな事業が加わっているんではないかというようなことも思うわけですね。  どういう積算が最初に行われていたのかということが示されないと、どういう経費節減がされたのかも、そして、もしかしたら新たな事業が加わったのかということすら国会としては判断できないわけですから、これは何も分からない、審議できないと。やはり全体の積算の根拠をまず示していただいて、その上で年ごとにどういう合理化努力が行われたのか、こういうことが当然議論をされるべきだと思います。全体の積算を示していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  438. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) お答えいたします。  我が国が負担する真水事業の対象ということにつきましては、司令部庁舎、教場、隊舎及び学校等生活関連施設を前提とするという考え方に立ってこれをやっております。具体的には、精査をしながら各年度ごと事業を見積もって国会予算の形で御承認をいただくということでやっておりますので、そういう全体の考え方に立って年度年度で十分に御説明をしていきたいというふうに考えております。
  439. 井上哲士

    井上哲士君 年度ごとの説明では十分でないので、二十八億ドル全体についてしっかりした積算を示していただきたいと改めて求めまして、質問を終わります。
  440. 山内徳信

    ○山内徳信君 私は、社民党・護憲連合の山内徳信でございます。  最初に、私の気持ちから申し上げます。私は、複雑な気持ちで質疑を聞いて、この場に座っております。踏んでいる者には踏まれておる者の痛みを知らないという言葉があります。まないたの上に沖縄というマダイを乗せて、グアム協定という包丁であっちがおいしい、こっちがおいしいと切り裂いて、新基地建設で自然環境の破壊をもたらすようなこの辺野古の新基地建設は、自然を大事にしようという日本国民としては許すはずがありません。  さて、私は、今日の質問は、アメリカにおける辺野古海域のジュゴン裁判、ジュゴン訴訟というのがございます。その裁判におけるアメリカ政府、ペンタゴンが提出をした資料を基にして質問いたします。  私は、今日は防衛省に質問いたします。  一九九六年十一月から十二月ごろ、高見澤將林さんは、防衛庁に勤務されていてどのような役職に就いておられましたか。当時の防衛政策局長はどなたでありましたか。これ、簡単でございますから、どんどん答えてください。
  441. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) お答えいたします。  一九九六年ということでありますと、私はいわゆるSACOの関係の仕事をしていたというふうに思います。それで、九六年の途中で、当時の防衛局でございますけれども防衛局の運用課長という仕事をしていたというふうに記憶をしております。
  442. 山内徳信

    ○山内徳信君 その当時のあなたの上司は何という方でしたか。
  443. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) たしか、SACO、普天間のプロセスの中では、私の上司は秋山防衛局長ではなかったかというふうに記憶をしております。
  444. 山内徳信

    ○山内徳信君 SACO合意から日米再編の作業の中で、普天間飛行場の代替施設と言われている辺野古新基地建設計画にも深くかかわりを持つセクションにあったと認識しておりますが、それでよろしゅうございますか。
  445. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) 辺野古の話というのは、その後いろいろ新しいところで出てきた概念だというふうに思いますので、当時としては普天間の代替飛行場というのは、橋本・クリントンで返還が出た後、その代替飛行場というのをどこに建設するかということについていろいろ幅広い議論をしていたというふうに記憶しておりますので、いわゆる現在の普天間代替飛行場施設、FRFというものとは違った状況であったというふうに理解をしております。
  446. 山内徳信

    ○山内徳信君 余り逃げない方がいいですよ。橋本・クリントンじゃないでしょう。橋本・モンデールでしょう。それに答える必要はない。  やはり、橋本総理から始まって、そして記者会見で普天間を五年ないし七年以内に即時返還をすると、全面返還するという言葉使っておるんです。ところが、あれから十三年、そしてそれはSACO合意という、特別行動委員会という、そういう組織をつくって作業して、ところがSACO合意でも進まぬから、日米再編で今に至っておるわけです。それは違うとかなんとかおっしゃっても、実態を目の前にしておる私たちにとっては、それは一貫した日米の動きであります。  いや、SACO合意ということを高見澤さん、おっしゃったから、それでよろしゅうございます。次に進めてまいります。  一九九六年十一月二十二日、SACO最終報告草案には、SBF、これは海上施設のことであります。SBFは、ヘリコプター及びMV22オスプレー部隊の基地として使用できるよう支援する設計となると明記されておりますが、現在の防衛政策局長高見澤さんはその事実を認識しておりますね。
  447. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) 全く手元に資料がないのであれですけれども、今、山内先生がお話しになりましたSBFというのはたしかシー・ベースド・ファシリティーズのことだというふうに思いますけれども、その最終的な合意の中ではいろんな議論がございましたので、私の記憶では、まさにSACOの最終報告の直前の時点までいろんな議論があって、個別のどの時点でどういう議論があったかというのはなかなか、その過程の中で全部いろいろ消化されていったというふうな記憶がございまして、今のSBFという言葉にははっきりしたことは分かりますけれども、何月何日の時点でどういう状況であったかということについては、いろいろここで、急な、手元に何の確認資料もないまま申し上げるのはいかがかというふうに思います。
  448. 山内徳信

    ○山内徳信君 お手元に、私は、今日理事会の承認を得て資料を、別紙一、別紙二という資料を配付してございます。  別紙一の真ん中辺にこういうふうにあります。これはその最終報告書でございます。沖縄に関する特別行動委員会、普天間空軍基地に関する特別作業グループ、日本国・東京、九六年十二月二日、こういうふうに表題書かれて、その概要というところの真ん中辺に、SBFは、ヘリコプター及びMV22オスプレー部隊の基地として使用できるよう支援する設計となると、これは作業グループの皆さん方の総意としてこういう表現になっておるわけでございます。  したがいまして、これだけ申し上げると、ああ、そういう話合いやったなと思い起こされておると思います。  そういうことで、確かに時間の経過ありますが、高見澤さんがやはり知らないとか、そんなのは違うよとおっしゃりそうでしたから、私はこのペンタゴンから出た資料を取り寄せて、今日の質問の準備をしておるわけでございます。したがいまして、はっきりしたことをおっしゃった方がいいと思いますよ。  そこで、四番目に入っていきますが、九六年十一月二十七日、オスプレー配備を隠すように日本政府が求めたものであるとアメリカ側は言っておるんです。少し読ませていただきます。  十一月二十七日付け、R・Y・ジェレシェフ海軍大尉から米海兵隊のキーミー中佐などにあてた書簡があります。書簡は、普天間飛行場移転に対する日本政府の情報提供と表題に書かれております。これは日本国防衛庁の高見澤氏より以下の情報提供が在日米軍J3に対して行われたと書かれております。これは、あなたがこう提供したと書かれております。アメリカ側がそういうふうに記録に残しておるわけです。  その中に、沖縄に次期主力輸送機、MV22オスプレー、垂直離着陸機の配備に対するQアンドA、想定問答集があるわけであります。私はそれも手元に持っております。  したがいまして、その想定問答集は高見澤さん一人で書き上げたのか、あるいは当時の防衛政策局長など上司の指示に基づいて行った行為なのか、それをここでお伺いしておきたいと思います。
  449. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) お答えいたします。  まず、先生の御質問は、この米側の資料というものがそのジュゴン訴訟で出されたものだということで、それを前提とした御質問だというふうに思います。それで、前回も、この委員会だったと思いますけれども御議論がございまして、そういった米側の文書について一々コメントをするというのはいかがかという話があったかと思います。  それを前提とした上で当時の状況について私の記憶で申し上げますと、まず、このオスプレーの話というのは決して秘密でも何でもなくて、当時の沖縄の新聞でありますとかあるいはいろんなところでオスプレーがやがて普天間に来るんではないかと、そういうような報道がたくさんあったわけでございます。一方、米側の方でいろいろな議論があったということも確かにあろうかと思いますけれども、私の当時の記憶ではそれは非常に不確かな話であるということでございますので、言わばそういった不確かな話を前提として日米間で交渉をしていくというのは、まさに日本の国益あるいは沖縄立場ということを考えても非常にそこは適切ではないだろうというような記憶がございまして、それは何もオスプレーの問題だけではございませんけれども日米間でこの普天間の返還というのは大変な事業でありまして、いろいろな議論がございましたし、それぞれ不確定な情報もございました。それから、各軍ごとにいろんな違った動きをしていたというようなこともあろうかと思いますし、また沖縄県の自治体の中でもそれぞれ違った動きがあって、そういう中でいろんな交渉が同時並行的に進んでいたということではないかというふうに思います。
  450. 山内徳信

    ○山内徳信君 確実でない情報という意味ですね、今あなたが言っておるのは。  そうしますと、二〇〇六年の六月一日の新聞報道によると、ジョセフ・ウエーバー四軍調整官はオスプレーの沖縄への配備を明言しております。それから、もっとありますよ。高村外務大臣は、去年の四月二十二日のこの委員会で、やはりオスプレーの配備については、将来オスプレーが沖縄に配備される可能性がないことはないことだと思いますと、その前にはいっぱい説明ありますが。じゃ、高村外務大臣もこういう答弁をしていらっしゃいますが、これもいいかげんなものだということになりますよ。  それからもう一つ指摘だけしておきます。二〇〇九年会計年度海兵隊航空機計画という報告書があります。それによりますと、やはりオスプレーは、現在普天間にあるCH46E中型ヘリと、一四年六月までに配備を完了させる計画を決めておるというふうにございます。  それから、高見澤さんの、どこ行かれましたかね、そばに座っていらっしゃいました北村誠吾防衛大臣は、今年の三月二十四日、次のように答弁していらっしゃいます。オスプレーが沖縄に配備される可能性も否定できないというふうに認識はいたしておりますけれどもと。  こういうふうに、一連の大臣、副大臣、四軍調整官等々そのことを、やはりオスプレーの配備をこれからの問題、課題だというふうに答弁をしていらっしゃいます。そういう意味で、この事実関係はここら辺で明らかにしておきませんと、皆さんは今環境影響評価の方法書を出して、今準備書を出しておるところでしょう。なぜひた隠しに隠していくんですか。
  451. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) お答えいたします。  ですから、本委員会で何回も繰り返し外務大臣あるいは防衛大臣からお答えしているラインというのは、基本的に全く一貫をしているというふうに思っております。  それはまさに、現在、米海兵隊が全世界に保有しているCH46及びCH53ヘリコプターというのはオスプレーに代替更新されていくという一般的な予定があると承知していると。この点についてはだれも否定をしているわけではなくて、同じ答弁をさせていただいているというふうに思います。さらに、それに加えまして、このような文脈において将来オスプレーが沖縄に配備される可能性も否定できないと認識をしておりますということも同じように言っておられると。  ただ、最後が大事でありまして、オスプレーの沖縄への配備については、これまで外交ルートにより累次にわたり米側に確認しているところ、従来より具体的に決まっていないとの回答を得ていますと。このラインにつきましては、北村副大臣答弁も、今先生御指摘になりました高村外務大臣答弁あるいは石破防衛大臣もそうですし、それから最近では浜田大臣も同じような答弁をしているというふうに理解をしております。
  452. 山内徳信

    ○山内徳信君 あなた方は隠せる分は隠そうと思っていたのよ。  次の質問をいたします。  防衛省は現在、辺野古新基地建設に向けての環境影響評価、アセスの作業中であります。最初に出てきた方法書にはヘリパッドの位置付けはありませんでした。それは認めますか。認めるか認めぬかぐらいでいいです。説明は要りませんよ、説明は。いや、抜けていたことは……
  453. 井上源三

    政府参考人井上源三君) 今お尋ねのヘリパッドでございますけれども、今回の準備書におきましてヘリパッド四か所を整備するという旨の記述をしておりますけれども、方法書におきましてはその記述はございませんでした。
  454. 山内徳信

    ○山内徳信君 それだけでいいんです。  アセスの最初は、方法書から提示してからでしょう。それに、普天間の基地はヘリコプターの基地でしょう。そして、あなた方、作業班が作ったものを見ると、普天間飛行場はヘリコプターと将来オスプレーが配備されるから、それに向けて設計するとあなた方自身で言っておりながら、環境アセスにヘリパッド四つ忘れていたと。これが防衛省の職員のやることか。そして今回、準備書にやっと出てきて、大臣、こういう状態ですよ。  そして、そこで私は申し上げますが、ヘリパッドが四個、いわゆる離発着するヘリポートが四か所、あのV字形の先としっぽの方に位置付けされております。これも、沖縄県民から批判が出て、やっと準備書に初めてヘリパッド四か所をあなた方は書き加えたんです。そういう事実は今認められたわけでございます。それなのに、なぜオスプレーについては書き加えなかったのか。そこは依然として伏せておきたいと、こういう日本政府の県民だまし、国民だまし、あるいはアメリカとの秘密を作って、何が何でも新しい基地を造るんだというそのやり方は、国民から信頼されていない限りできません。自然破壊をしながらできません。  次に進めていきます。  ヘリコプター及びMV22オスプレー部隊の基地として使用できるよう支援する設計となるとあるのに、MV22オスプレーの配備のことは、もう既に申し上げておるとおり、県民にひた隠しにしておるのは、これは県民の人権を否定する悪質なやり方であります。悪質でないというならばないと言えますか。そして、今は情報公開の時代でしょう。そういう時代にあって、何が何でも基地を造るためにといってこういうオスプレーを全く隠し続けておるということは、これは絶対に許せない。  私は、もう今までの質問で問題点は明らかになっておりますから、大臣に、時間も残り少なくなっておりますから短く、私はこのような防衛行政のやり方は浜田大臣の責任問題にも発展しかねない、そういうふうに思っております。どうですか、大臣
  455. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 先生、先ほどからオスプレーのお話をされておるわけでありますが、先ほど高見澤局長からお話がありましたように、これはオスプレーのお話というのは隠すものでも何でもないし、今まで議論をしてきたということも話をさせていただきました。  私とすると、政府として……
  456. 山内徳信

    ○山内徳信君 短く、短く。
  457. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) いや、短くできないところもあるので、済みません、先生。  基本的に、国同士の関係の中において正式にオスプレーを入れるとか入れないとかという話を直接私のところには来ておりませんので、逆に言えば、今それを認めろと言われても、私としては聞いていないので答えようがないというのが今の現状でありまして、その意味では、先生がおっしゃるように、決め付けであんたら隠しているんじゃないかと言われても、私としては今のところ隠しようがないということだけは申し上げておきたいと思います。
  458. 山内徳信

    ○山内徳信君 私は、最後はそういうふうに部下をかばっていくだろうと思っていました。したがいまして、私は、今日は委員長のお許しを受けて、外国から人が来ますから少し遅れて戻ってまいりますというふうにおいとまを得て昼食時間戻っていったんです。私は、このことについてここまでは今日は言わぬでおこうと思ったんですが、言っておきますが、ペンタゴンとかアメリカ政府へ行かれて、この事実について、こういうアメリカの計画の在り方について、それを今日は直接口頭報告を受けております。  したがいまして、このことを適当に、高見澤さん、高見澤さん、このことを適当にその場その場で逃げようとしても、あんた方が作ったこの最終報告書の草案にちゃんと載っておりますからね、日本政府はもっと、であることはであるとおっしゃってくださいよ。これは県民の生活とも関係あります。  最後に、私の質問は最後にしたいと思いますが、環境影響評価はアセス法の精神に基づいて正直な方法書、正直な準備書でなければいけません。それは、その地域の住民生活に大きな影響を与える、それほど大きな計画だからであります。生活環境の破壊、爆音被害をもたらすオスプレーの配備をひた隠しに隠し、国民をだましつつ米軍へ提供する辺野古新基地建設を進めようとする環境アセスのやり直しをする以外にありません。これは方法書とか、このアセス法によりますと、重要なものを抜かしたとか、意識的に、何といいますか入れなかったとか、これは意図的でございますからね。したがって、方法書から環境アセスをやり直す、そしてそれに基づいて次の準備書を出していく、そういうふうなことを、私は沖縄出身の、そして基地問題で悩んでおる多くの人々に代わって要求をいたします。  昨日は、私も外防の一員として普天間基地の中も、そしてこの現場も見てまいりました。知事さん始め県議会議長、名護市長、宜野座村長、そして宜野湾の市長さん含めて、どなたも一人も、喜んでお引き受けしましょうという言葉はありませんでした。どれほど首長とか行政関係者は苦しい思いで、押し付けられたそのことに何とも言えない、そういう気持ちで昨日、私たちの方に要請がございました。  以上で終わります。
  459. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後五時散会