○北神圭朗君
民主党の北神圭朗でございます。
私は、ただいま
議題となりました、
内閣提出のいわゆるエネルギー供給構造高度化
法案について、
民主党・
無所属クラブを代表して、関係諸大臣に質問をいたします。(
拍手)
本
法案で注目されるのは、どうも、風の便りによりますと、太陽光パネルの普及を
目的とする固定価格買い取り
制度の導入のようであります。
これは、太陽光パネルが高い、二百五十万円もするのでなかなか手が届かない、そこで、太陽光電力のうち、使い切れない分を電力会社に買わせることによって、買い手の負担を事後的に軽くしてあげる、そのかわり、電力会社は買い取り費用を電気料金に転嫁して、
国民に負担をしていただく、こういう仕掛けであります。
これは、すべて風の便りで知りました。というのも、
法案に何も書いていないからであります。条文であるはずの第五条を見ても、固定価格買い取り
制度のコの字もありません。ましてや、この
制度によって、電力会社が幾らで余剰電力を買い取って、
国民の負担がどのくらいふえるのかも全く書いておりません。
しかし、電気料金というのは、生活を営む上で避けることのできない公共料金であり、税金に準ずるものでございます。税金の場合は、
国民の財産を強制的に徴収することから、当然、租税
法律主義という
原則があります。公共料金についても、実際にこれを負担する身になれば、基本的には、こうした考え方に準じて取り扱うべきだと考えます。
ところが、本
法案は、買い取り価格を初め、何とすべてが大臣告示に白紙委任。これは、本
制度が電力会社の経営に介入をし、
国民に負担を強いるものであることを踏まえると、透明性並びに予測可能性の視点からして、ゆゆしき問題ではないでしょうか。
役所の内々の
説明では、電気料金が月百円ほどふえるにすぎないということでございます。しかし、大臣告示というのは、
国会の
審議を経ずに、幾らでも変更できます。会社の仕入れに国家が介入し、
国民負担をふやすことにつながることを、ここまで、丸々行政の裁量にゆだねる仕組みで、本当に
国会の納得を得られると思っているのでしょうか。大臣、御見解を伺いたいと思います。あわせて、法制的見解を官房長官に伺います。
やっぱり、一般的な白紙委任はあり得ないのではないでしょうか。少なくとも、委任の範囲、基準、
内容が
法律に
規定されなければ、歯どめがかからないじゃないですか。このままでは、電気料金を払う
国民の立場からして、自分たちの負担がどこまでふえていくのか、甚だ不安であります。大臣と官房長官の御見解をお聞きします。
逆に言えば、何にももったいぶらずに、具体的に固定価格買い取り
制度を
法律に
規定すればいいじゃないか。それをあえてしない
理由は一体何なのか。私にはさっぱりわからないので、大臣に御教示願いたいと思います。
なお、大臣、御参考までに、この買い取り
制度の本家であるドイツの例を少し調べたら、買い取り価格を初め、具体的な要件がきめ細かく
法律に
規定してありました。
また、そもそも、電力行政については、
平成十一年に、事前介入的・裁量型行政から事後監視的・ルール遵守型行政に大きくかじを切ったはずであります。にもかかわらず、大臣は、ことしの初めに、石油高騰への
対応として、これまでの燃料費調整
制度のルールを恣意的に破った、そして、不透明なる行政指導によって、突然、電気料金の上げ幅を圧縮しました。今回の白紙委任についても、告示による裁量型行政への逆戻りではないのか。大臣はどうお考えなのか、教えていただきたいと思います。
他方、本
法案では、ほかの風力、バイオマス等のエネルギーの
利用についても、電力会社等に義務づけることができるようになっています。そこでお聞きしたいのは、太陽光の買い取り
制度以外で、公共料金引き上げによって
国民負担をふやすことは考えておられるのか。このような漠然とした条文では全く見当がつきません。大臣の御
説明を求めます。
もちろん、太陽光エネルギーの
促進自体、私自身、環境面、何よりも国家のエネルギー戦略、また産業振興の
観点からも、大いに
賛成でございます。要は、どの政策手段、あるいは、それらの政策手段のどのような組み合わせが最も適当なのか、分析
検討をしているのかが問題でございます。
その点、私は、一つの判断基準として、できるだけ市場の機能をゆがめないものが適当と考えますが、大臣の見解を聞きたいと思います。
これまでの政策手法としては、
政府は、電力会社等に対し、太陽光を含む
再生可能エネルギー
利用の大枠を義務づけてきました。しかし、個別のエネルギーをどの程度
利用するかについては、会社の自主性に任せてきたところであります。また、太陽光パネルを自宅に
設置する個人に対して、国から一定の補助もしてきました。さらには、本年度から、太陽光パネルの
設置について、住宅ローン減税の対象ともしております。四つ目の政策手法としては、NEDOのサンシャイン計画にも象徴されるように、技術革新への研究開発
支援も着実に推進してきたところでございます。
こうした既存の有効な手法がさまざまありながら、今回、あえて固定価格買い取り
制度に踏み切った
理由は何なのか。特に、大臣の所管省庁である経済産業省の総合資源エネルギー調査会でさえも、昨年九月、緊急提言において、ドイツ型買い取り
制度については、電気料金の恒常的な値上げにつながるなどといった問題点を指摘し、消極的な
姿勢を示しているのであります。
いずれにせよ、これらの政策の利点や欠点を分析した上で、なぜ、既存の政策を拡充するのではなくて、新たに買い取り
制度をそんなにも導入したいのか、大臣の考え方を教えていただきたいと思います。
というのも、太陽光パネルの普及が
目的であるならば、素直に考えれば、パネルの買い手に直接補助してあげるのが一番わかりやすいんです。何にもややこしいことをする必要はありません。政策というものは、政策
目的に直結する手段が最も効果的かつ効率的であります。
また、パネルを買えるのは、どちらかというと裕福な方々であります。買い取り
制度では、パネルを買う一部の人たちのために、パネルを購入しない、あるいは購入することができない多くの方々が負担をする仕組みでございます。ここに、自然、逆進性の問題が発生するのであります。
一方で、現行の補助金については、その財源は電力会社等企業に課せられている税金であります。逆進性の
観点から、どちらがよりすぐれているかは火を見るよりも明らかでございます。
大臣、今回、買い取り
制度を導入するに当たって、こうした逆進性の分析をしているのでしょうか。また、未知数である買い取り
制度を導入するかわりに、既に効果を発揮している補助金方式の拡充について
検討したのでしょうか。
大体、この補助金については、
平成六年に導入してから大変な成果を上げているのにもかかわらず、
平成十七年にはなぜか廃止をしている。廃止をした
理由は一体何なのか。また、その後、これもまた今年度から急に補助金
制度を復活させたけれども、その
理由もあわせて教えていただきたいと思います。
もっと言えば、エネルギー戦略は、中長期的な視点に立って、一貫性、継続性のある
対策が求められるはずではないでしょうか。廃止しては復活、と思えば、今度は中途半端にドイツのまねごとをしてみる。こんなにころころ変わっていていいのか。大臣の見解はいかがでしょうか。
以上、本
法案は、固定価格買い取り
制度を中心に、
法律にしっかりと明記すべきことが明記されていないことや、既存の政策手段との利害得失について
検討しているのかどうか、たくさんの疑問が残ります。
全体の印象としては、
政府の太陽光発電に対する政策、また電力行政の基本的な
あり方が今回の
法案で大きく変わったように見受けられます。
もちろん、変わること自体悪いことではないですよ。与謝野大臣がたびたび発言しているように、小泉・竹中流小さな
政府をしっかりと反省していただくことは、これは大いにやっていただいて結構であります。確かに、エネルギー自給率が極めて低い
我が国において、太陽光発電も含めた総合的なエネルギー戦略は、
政府主導で強力に推進していくべきであります。
しかし、それにしても、
我が国は、政権が変わらないまま、米国流市場原理から米国流グリーン・ニューディール、ドイツ流固定価格へと、心もとなく移ろい行く中で、具体的な政策や行政手法が、極端から極端、愚策から愚策、昔の革命言葉でいえば、右翼日和見主義から左翼冒険主義にまで大幅にぶれてしまうようでは、これはいささか困った次第でございます。
結びに当たりまして、
政府のエネルギー・産業・環境政策が、諸
外国の流行に翻弄されるのではなくて、むしろ、
国益という不易なる北極星をしっかりと見据えて推進していただくことを強く求めつつ、私の代表質問を終了させていただきます。
ありがとうございました。(
拍手)
〔国務大臣二階俊博君
登壇〕