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塩谷国務大臣 このたび
政府から提出いたしました
著作権法の一部を改正する
法律案について、その提案
理由及び
内容の概要を御
説明申し上げます。
我が国の著作権
制度については、これまでも逐次整備を進めてまいりましたが、文化芸術立国、知的財産立国の実現に向け、一層の
充実が必要となっております。
この
法律案は、昨今の情報通信技術の一層の進展などの時代の変化に
対応し、インターネット等を活用した著作物等の流通の促進や、障害者の情報利用の
機会の
確保などを図るため、必要な改正を行うものであります。
次に、この
法律案の
内容の概要について御
説明申し上げます。
第一に、インターネット等を活用した著作物等の利用の円滑化を図るための
措置を講ずるものであります。
昨今の情報通信技術の一層の進展を背景に、インターネット等を活用したさまざまな著作物等の利用形態が可能になるとともに、これに関連する
事業が発達してきております。これらの中には、
社会にとって有意義であり、かつ、権利者の不利益にならないと
考えられるものもあり、
著作権法上の位置づけを明らかにすべきとの
要請が寄せられております。このため、インターネット情報の検索サービスの
実施のための複製、美術の著作物等の譲渡の申し出のための複製、国立国会図書館における所蔵資料の電子化のための複製等について、権利者の許諾なく行えるようにする
措置を講ずるものであります。
また、過去の放送番組等をインターネット等で二次利用する際に、出演者等の所在不明が原因でこれらの二次利用が進まないとの問題が指摘されております。このため、権利者が所在不明の場合における著作物等の利用を容易にするため、現行の
文化庁長官の裁定
制度を著作隣接権にも適用できるようにするとともに、より迅速に著作物等の利用が開始できるように
措置を講ずるものであります。
第二に、違法な著作物等の流通を抑止するための
措置を講ずるものであります。
インターネット等における著作物等の流通を促進するためには、権利者が安心して著作物等を提供できる環境を整えることが重要であります。
このため、著作権等を侵害する行為によって作成された物と承知の上で、その物の頒布の申し出を行う行為を権利侵害とみなすとともに、著作権等を侵害して自動公衆送信されている音楽や映像を録音し、または録画することについて、
著作権法第三十条の適用範囲から除外し、権利者の許諾を要することとするものであります。なお、この第三十条の改正については、違法なものと知りながら行った場合に限るとともに、罰則を科さないこととしております。
第三に、障害者の情報利用の
機会の
確保を図るための
措置を講ずるものであります。
技術の進展に伴う障害者による著作物等の利用方法の多様化や障害者の権利に関する条約をめぐる
状況を踏まえ、障害者の情報格差を解消していくことが求められております。
このため、障害者のために権利者の許諾を得ずに著作物等を利用できる範囲を抜本的に見直し、障害の種類を限定しないこととするとともに、デジタル録音図書の作成、映画や放送番組の字幕付与、手話翻訳など、障害者が必要とする幅広い方式での複製等を可能とし、あわせて、障害者福祉を目的とする施設以外でもそれらの作成を可能とするなどの
措置を講ずるものであります。
なお、この
法律は、一部を除いて
平成二十二年一月一日から施行することとし、所要の経過
措置を講ずることとしております。
以上が、この
法律案の提案
理由及びその
内容の概要であります。
何とぞ、十分御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。