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石井(郁)
委員 ここで私は
予算をふやせふやせという話ばかりしていますけれども、
現状はどうなのかということで、ある地方国立
大学の生物学
研究者にちょっと伺うことができたんですね。いろいろな
方々からいろいろな実態をお聞きするわけですけれども、この例というのは、ここまで来ているのかということを本当に
考えさせられますので、ちょっと御
紹介いたします。
この方によれば、二十五年ほど前、自由に使える
研究費は百万円以上あったと。それでも少ないと思うんですけれども、生物学で。それがずるずる下がって、
法人化の前は八十万円ほどになった、
法人化後さらに下がって、昨年は六十万円になったと。それで、学科共通の専門雑誌、いろいろなものを購入しなきゃいけないんですけれども、もうやめてしまったという話です。
年間六十万円ですから、学生の実験、卒論指導、院生の
研究指導、最低限の消耗品がこれで出せるかどうかだというところなんだ、十ミリグラムで五万円もする試薬を買ってやりたいけれども、それさえ困難だ、遺伝子の塩基配列を決める装置、電子顕微鏡も古くなっている、それが故障したらアウトという状態だと。大体、こういう話は多いですよね。実験設備も十分でなくて、世界の一流雑誌に投稿するような
研究をやりたくてもできないと。よく
文科省は
研究成果を出せ出せと言いますけれども、やはり、器材がなくて、設備がなくて、
成果も出せない、今流行の共焦点レーザー顕微鏡、私もよくわかりませんけれども、一千五百万円以上もするんだ、だから、基礎系の学科や学部でこれを買えるような
状況にはないんだということなんですね。
私は、こういうのを伺うと、本当にこういうことをいつまでも放置しておいていいのかということで、本当に胸が痛くなるわけですけれども、こんな
状況がございます。
他方、COEなどの大型
プロジェクト研究、ここにはかなり、あり余るとは言いませんけれども、一定額の
予算がつぎ込まれているわけですね。しかし、その
研究というのは、期間が区切られる、短期で
成果を上げる
研究となる。そこでは、必ずしも自由な発想による
研究、地道な
研究ができないという問題だとか、
研究費雇用のポスドクという人たちが増大をするだとか、若手
研究者の使い捨てが広がるとか、こういう問題が生じているわけです。それから、
プロジェクトが終わると、高価な設備が使われないで今度はほこりをかぶってしまうとか、こういう話までもあるんですね。こういうことはいかがかということはありますけれども。
だから、
お金を使って
成果を出せということが、かえってこんなことを生んでいるんだという実態を私たちはよく見る必要があるのではないのかというふうに思うんですね。いろいろな
お金の使い方は苦労してやっているようですけれども、大事なことは、やはり
研究者がもっと
基礎研究に自由に使える
研究費が欲しい、そして伸び伸びと
研究ができる環境をつくるべきだということだと思うんです。
これで最初に戻りますけれども、私は、今回、
ノーベル賞受賞の
方々からのいろいろな、
研究のときの環境、そしてどうやってこういう発見ができたかという話を伺ったときに、当時のそういう自由なというか一定
研究環境の中で生まれたんだということを本当にいろいろ感じさせられることがございました。多くの方はそうだと思うんです。ですから、時間なんですけれども、そういう
研究環境をつくるように
文科省が今一層力を入れていかれるべきではないかということを重ねて強調したいと思うわけです。
それで、もう時間ですけれども、最後にもう一点なんですが、今申し上げたように、
研究のための装置が購入できない。これはもう最低条件ですよね。この
研究を支えるインフラストラクチャーの整備という問題がもう一点あります。
これも、実は、
平成四年から十五年までで見ると年平均三百九十五億円がありましたけれども、
法人化以降で、
平成十六年から二十年で平均百五十五億円、これは大幅に減少しているんですよ。昔はよく
大学設備費と言ったものでしたけれども、こんなに減っているという傾向ですね。だから、ここら辺も、きちんとやはり整備充実を図るべきだということで、最後、
大臣の御答弁をいただきます。