○田島(一)
委員 考えていくのは、もう将来的というような先送りでは済まされない
状況に今あるんですね。先ほどのブラジル人
学校、もう今の
段階ですと多分百校を切っているんじゃないかというふうに思うんですけれ
ども、現に、今御答弁いただいたように、
日本の公
教育がしっかりとブラジル人を初め外国の
子供さんを受け入れられるだけの体制が整えられていたらば、このブラジル人
学校はこんなにふえる必要はなかったんだろうというふうに思います。
実は、私の
地元滋賀県の愛荘町にも、同じように自動車
関連の工場がたくさんありますから、コレジオ・サンタナという
学校がございます。
日本全国の中でブラジル人
学校の一番西端にあるのが滋賀県内にあるブラジル人
学校でありまして、遠くは大阪からも通っている
子供さんがいらっしゃいます。
このコレジオ・サンタナ、私も昨年の夏に行って、また、つい先日もいろいろと意見を聞かせてもらってきたんですけれ
ども、
大臣がいらっしゃった浜松と同様に、昨年十月には七十人いらっしゃったのが、もう今では半分近い四十八人になっていらっしゃって、退学した二十二人のうち三分の一はブラジル本国へ帰られた。残りはみんな
日本にいるんだけれ
ども、では
公立学校へ行ったのかといったら、だれも行っていない。みんな自宅待機しているんですよ。では、小学生や中学生、
高校生の
子供たちがおとなしく自宅でじっとしていられるだろうか。あり得ないですよね。ひょっとして、その子たちが町へ出てさまざまな
犯罪だとか非行に染まることはないだろうか、そういう心配すら私はわいてきます。将来には検討しましょうではもはや待ったなしの
状況が、
大臣の御
地元浜松市も、私の
地元でも起こっているわけであります。
こうした
状況を
考えると、今、
日本の公
教育にきちっとした受け皿をつくってほしい、これは願うところでありますが、実際に退学をした二十二人の三分の二の
子供たちが公
教育へ入ろうとしない、自宅に待機をしているという現実は、まだこの公
教育が受けられるような
状況にないという問題が残っていることをぜひ認識しなければならないと思います。
ここで問題に
一つ取り上げたいのが、ブラジルにおける価値観と
日本の価値観の違いであります。ブラジルでは個人のアイデンティティーを認めようという思想が随分根強くあるやに、私はいろいろな書物から学びました。ですから、私が訪問したコレジオ・サンタナの小
学校二年生や一年生の幼い
子供でも、多分
日本だったら
考えられないでしょうが、耳にピアスの穴をあけたり、また、お化粧をしたり、自己主張をするために大変おしゃれをしています。
しかし、そういう
子供たちが
日本の
学校へ飛び込んだらどうなるでしょう。先ほど冒頭におっしゃった校訓ではありませんけれ
ども、
学校の校訓にのっとった形での校則というものにぶち当たり、校則違反だからあなたはだめです、まずレッテルを張られます。これは私のアイデンティティーだと主張しても、集団生活を重んじるこの
日本の
学校生活の中では受け入れられないでしょう。自己否定をされたブラジル人の
子供たちは、それでも我慢して、ピアスを外し、化粧を落とし、髪を真っすぐに校則どおりにカットして
学校へ果たして来るんでしょうか。
こうしたことも私は、校則を重んじよう、徹底しようと
大臣はおっしゃるけれ
ども、彼女たち、彼らたちを
日本の
学校へ行かせないひょっとしたらきっかけにでもなっているんじゃないかな、そんなふうに心配をするわけであります。
いえ、校則、校訓がだめだとすべて否定しているわけではありません。しかし、校訓をしっかりと守り徹底させていくために校則というものがあります。その校則を守らせるために、今もそうやっていらっしゃるかわかりませんが、女子高生たちのセーラー服のスカートのひざ上何センチかを必ず
先生方がはかって、校則違反だ何だといまだに正門でやったりしていらっしゃるんじゃないんでしょうか。
私たちは、そういった校則を守ることも大事だと思いますが、そういうことが
理由でブラジル人たちのアイデンティティーすら否定してしまっているそんな公
教育も問題点としてまだまだあるんじゃないかなということを、私はぜひ
大臣にも理解をしていただきたいのであります。
話がちょっとあっちこっち行ってしまって大変申しわけないんですけれ
ども、このブラジル人
学校の現状、先ほど、池坊
先生がいらっしゃったムンド・デ・アレグリア、ここは、浜松の中でも唯一各種
学校として認可をされた
学校であります。他のブラジル人
学校とはちょっとタイプが違って、かつてスズキで通訳をされていた女性が校長
先生としてついていらっしゃる。
日本人の方が校長
先生でいらっしゃいますから、スズキの
支援も受けられたり、また、各種
学校として
地域からも応援をしてもらったりと、部品工場だか何かの跡を
利用されて、卸問屋か何かを使われての
学校だというふうに聞いたんですけれ
ども、それでも先ほど池坊
先生は、劣悪な
環境だというようなニュアンスの
お話をされていました。
ところが、それ以外の認可を受けていないブラジル人
学校の
状況というのは、とてもとても目が当てられたものではありません。プレハブ校舎ならまだしも、本当にバラックと言ってもおかしくないような、耐震補強はおろか、台風が来てもいつ倒壊するかわからないようなところを学びやにしているケースもあります。
私が
地元のコレジオ・サンタナへ行ったときは昨年の夏でありました。大変熱いさなかでありましたが、クーラーがあるわけでもない。
子供たちは、日陰に入って、それでも元気よく
生徒の一人の誕生パーティーをみんなで祝っている、そんなさなかでありました。
子供たちが学ぶ
環境に今ない。しかしながら、
学校の校舎等に
支援をしようと思うと、今の
法律や仕組みではできない。というようなことから、結局自治体も、
支援をするとおっしゃいましたけれ
ども、その
支援をする根拠法が見当たらないというようなこともあって、非常に手をこまぬいているところがあります。
地域の
方々が大変見るに見かねて、昨今のこの不景気に対応すべく、このコレジオ・サンタナには
地元の町内会の皆さんが、米百八十キロと、そして、畑でとれた野菜だとかいろいろなものを持って応援しにいらっしゃったという
ニュースが
地元で流れていました。こうした、
地域住民などが何とかして頑張ってよねというような思いで温かい手を差し伸べているんだけれ
ども、肝心の国は何
一つ手を差し伸べようとしてこなかった。
私は、そこに大きな問題があり、将来的にではなく、急いで手を差し伸べてやっていただきたいというふうに思うわけでありますが、その点についてのお
考え、ぜひ聞かせていただきたいと思います。