○大串
委員 ありがとうございます。
今、幾つかの
規定の内容を議論させていただきました。実はもっともっと細かく議論したいんです。かつ、要望も述べておきますと、
農業会議所の皆さんからも議論がありましたけれ
ども、これをきちんと文章の形で示すことが大切であって、これまでとは違った、常時従事者とかあるいは
農業生産法人とか、外形
基準ではない
基準が今後入ってくるのが提案されている法文ですから、それをきちんとできるだけ客観的外形
基準に置き直す、文章に置き直すという作業が今後極めて重要になってくると思うんです。
それは要望として述べておきながら、今議論した中でもやや心配な点があるので、またそれは引き続き議論させていただくとして。
なぜこういうふうなことを一条と三条の間でぎりぎり述べているかというと、先ほど申し上げたように、今回の一条の変更が極めて大きな
意味を持つというふうに思うから。
ちょっときょう資料を、済みません、私の手書きの資料で大変恐縮でございますけれ
ども、これもどのぐらい正確に書けているかというところはまだ御指導いただきながら
考えなきゃならぬと思うんですけれ
ども、私が、今回の一条の変更そして三条の変更を図式であらわすとこういうことかなということでまとめた資料です。
上段と下段で、上段が所有の世界、下段が貸借も含めた
利用の世界ですね。波線が目的
規定の境界線、つまりバウンダリーですね。実線で縦に仕切られているところが、いわゆる二条以下の実際の
規定で定められている
基準といいますか、そういうものです。そういうふうに私は
考えて書きました。
現行法のもとでは、目的
規定は、ここにありますように、所有の世界では「耕作者みずからが所有」というふうに書かれており、かつ、
利用のところでは、一条にもありますように、「並びに
土地の
農業上の効率的な
利用」ということがあわせ書かれておるがゆえに、
利用に関しては、所有で定められているよりも、実体
規定も含めてちょっと左側に行っていますね。すなわち、少し例外的に認められている
部分があり得るというのが
現状で、これに対して、今回、
農地法改正が加えられているのはこの
利用の
部分だということですね。
利用の
部分に関して
農地法改正が加えられていて、適正に
利用というのが出口
基準としてあれば、これは、もっと正確に言うと、適正に
利用だけじゃなくて、先ほどの三条の第二項第一号みたいな
規定ももちろんあるんですけれ
ども、それだけじゃなくて三条の第二項第七号みたいな
規定もあるんですが、いずれにしても、適正な
利用という出口
基準をきちんと確保していれば、貸借において
参入することができるという形の
改正になっている。
では、目的
規定はどうなっているかというと、一番左側の波線ですけれ
ども、
農地を効率的に
利用する者の
権利取得ということになっている。こういうふうな図式になろうかというふうに
思います。
先ほどの答弁で、適正に
利用というのは、実は
農地を効率的に
利用しているというよりも緩い概念であるということがわかったので、適正に
利用という
言葉だけだとより左側に来るんですが、先ほど申しましたように、適正に
利用プラス三条の第二項第一号や第二項第七号などで、適正に
利用というのは「効率的に
利用する者」という中身に入っているんだというふうに私は理解しています。
こういうふうな仕組みになっていることをきのうも原田
参考人は
指摘されていたんだと思うんですね。それで、幾つか事例を挙げて、こういうふうな仕組みになっていると問題が生じるんじゃないかというのがきのうの
指摘だったと
思います。
一つは、ある
農業生産法人A。
土地を所有しています。二ヘクタール
土地を所有している、そして八ヘクタール
土地を借りている。そういうような
農業生産法人があったとして、よっしゃ、これからもっともっと広げていこうというふうに思った。プラス三ヘクタール、貸借でこの三ヘクタールを広げようと思う場合には、
農業生産法人たる資格は必要ございません。ですから、そういう中で、貸借で広がるということになる。
農業生産法人B。ここは、今までも貸借で
土地の権利を得て、十ヘクタールの
農業生産法人としての活動を行っていた。これから、よっしゃ、また全部貸借で三ヘクタール広げて十三ヘクタールでやっていこうというふうに思った。この三ヘクタール広げる場合には、実は
農業生産法人たる資格は要しないということになるわけであります。それどころか、
農業生産法人たる資格を欠いたとしても、この法のたてつけからすると、これまでの十ヘクタールも含めて、
利用が認められなくなるということはないということになります。
そうすると、先ほどの二ヘクタールの
所有権を持っている
土地を持っている
農業生産法人Aと
農業生産法人Bとの間には、大きな競争上の条件の違いが生じてきますね。私ここに、はてなという斜線部のエリアを書きましたが、ここが空白になっているものですから、ここがつまり目的
規定と実体
規定とのずれがあるところになっているものですから、生じてくるんじゃないかと。
これは、現行法においては、目的
規定と各個
規定が大体沿った形になっている。ところが、今回新しく提案されている
法律においては、目的
規定といわゆる個別
規定とのバウンダリー、境界線がずれている。特に所有のところにおいてずれている。この斜線部のところでぽっかり穴が生じている。
私が今申し上げた
農業生産法人Aと
農業生産法人Bの問題が起こるのはなぜかというと、所有している側から見ると、新しく借りる場合でも何でも、常時従事、
農業生産法人というスタンダード、
基準がかかるわけです。だから、これを超えられない。だから、不公平じゃないかという声が出てくる。これはどういうふうに
考えられますでしょうか。