○直嶋
参議院議員 私は、発議者を代表いたしまして、ただいま
議題となりました
租税特別措置の
整理及び
合理化を推進するための
適用実態調査及び
正当性の
検証等に関する
法律案につきまして、提案の
理由及びその概要を御
説明申し上げます。
そもそも
租税特別措置とは、基本的に特定の対象者の負担を
軽減することで、特定の
政策目的の実現に向けて
経済社会を誘導するものです。また、税金として納付されるはずの資金が納付されなくなるという点で、財政資金を使用していることと同様であります。つまり、
租税特別措置は、実質的には補助金と同様のものであると言えます。よって、
租税特別措置の新設、継続に当たっては、対象者が明確であること、
効果や必要性が明白であることなど、透明性の確保を通じて
国民の納得が得られることが大前提であります。
このため、
民主党は、その実態を明らかにすべく、一昨年から、
租税特別措置の延長、新設を要求している
関係各省庁から具体的な資料の
提出を求め、ヒアリングを行ってきたところであります。その結果、
関係各省庁は、
租税特別措置の減税額
試算を適正に行っていない、利用実態を把握していない、
政策評価を適正に行っていない、補助金等の
予算措置との
関係が
整理できていないなどの問題点が明白となりました。しかも、だれがどの
程度利用しているのか、どの
企業がどのような恩典を受けているのか、所管する
財務省ですら全くわかっていない現状にあります。にもかかわらず、
租税特別措置の中には、長期にわたって存続しているものが数多くあり、また、適用実績や金額が極端に少ないにもかかわらず、延長要望が出ているものが多数見受けられます。
この結果を受け、
民主党は、
租税特別措置について、その適用実態を明らかにする仕組みを整備し、各
措置について、既に役割が終わったものか、引き続き継続すべきものかなどを
国会で具体的に検証し、その
整理合理化を推進し、もって納税者が納得できる公平で透明性の高い税制を確立するため、本
法律案を
提出した次第であります。
以下、
法律案の概要につきまして御
説明申し上げます。
第一に、
租税特別措置に関し、基本理念、国の責務等、
適用実態調査及び
正当性の
検証等について定め、
整理合理化を推進し、もって公平、透明、納得の税制の確立に寄与することを目的としております。なお、
正当性の検証とは、
租税特別措置の適用実態を基礎として、
租税特別措置について、相当性、有効性、公平性といった
正当性に関する事項を確認することをいうものとしております。
第二に、
租税特別措置は、絶えず見直しが行われるものとし、かつ、その見直しは、その適用実態が明らかにされ、
正当性の検証が実施をされることにより行われるものとしております。また、
租税特別措置の新設、変更についても、できる限り合理的な推計が行われ、
正当性について十分に
検討された上で行われるものとしております。
第三に、国は、
租税特別措置の
整理合理化を推進する責務を有するとともに、納税者は、
適用実態調査に協力しなければならないものとしております。
第四に、
財務大臣は、
租税特別措置ごとに、納税者に増減額明細書の添付を求める等の方法により、
適用実態調査を行い、毎会計年度終了後七月以内に、
正当性に関する事項について
財務大臣の
意見をつけて、報告書を
国会に
提出しなければならないものとしております。
第五に、
財務大臣は、
適用実態調査の結果を踏まえ、
租税特別措置ごとに、行政機関の長から
正当性に関する事項についての
意見を聞き、
租税特別措置の
整理合理化について
検討を行い、必要な
措置を講ずるものとしております。
第六に、会計検査院は、毎年、
租税特別措置の実施状況に関する検査を行い、その検査方針、検査結果、所見等を
国会に
提出される検査報告書に掲記するものとしております。
第七に、行政機関は、
租税特別措置に係る
政策について事後評価を継続的に行い、その際には、
租税特別措置の
正当性の検証が行われなければならないものとしております。この
正当性の検証の結果は、
国会に
提出される報告書に記載しなければならないものとしております。
以上が、本
法律案の提案
理由及びその概要であります。
何とぞ、御
審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
以上でございます。