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川端委員長 平成十九年度決算についての議決案は、
理事会の協議に基づき、
委員長において作成し、
委員各位のお手元に配付いたしております。
これより議決案を朗読いたします。
平成十九年度の
一般会計歳入歳出決算、
特別会計歳入歳出決算、
国税収納金整理資金受払計算書及び
政府関係機関決算書に関する議決案
本院は、
平成十九年度決算について、
予算執行の実績とその
効果、会計検査院の検査報告などに重点を置いて審議を行ってきたが、さらに
改善を要するものが認められるのは遺憾である。
一
予算の執行
状況などからみて、所期の目的が十分達成されるよう、なお一層の努力を要する事項などが見受けられる。
次の事項がその主なものであるが、
政府は、これらについて特に留意して適切な
措置を執り、その結果を次の常会に本院に報告すべきである。
1 世界的な金融・
経済危機から脱却するために、
景気回復を最
優先としつつ、
年金・
医療・
介護・
子育てをはじめ、
社会保障制度の抜本
改革を早急に実行する一方、不要不急の経費の見直しや無駄の削減による歳出
改革を継続し、中長期的には財政の健全化に努めるものとする。
2 地域経済を立て直すためにその実情に応じた地域の再生を推進すべきである。
また、国直轄事業の費用
負担の在り方については、積算等の透明性を確保すべきであり、
改善に向けた見直しを早急に行うべきである。
補助金等の使用
状況について、
地方自治体において不適正経理が行われていた事案が多数報告されたことを踏まえ、
地方自治体に
改善を求めるべきである。
補助金等に係る国の画一的な基準設定が地域の実情に応じた柔軟な対応を妨げている側面もあることも踏まえ、
補助金等の基準の弾力化等の見直しを早急に行うべきである。同時に、直轄事業や補助事業の在り方そのものについて、国と
地方の役割分担を明確化し、国から
地方に事務事業、権限及び
財源を移譲する等、抜本的な
地方分権
改革を行う中で、見直すべきである。
さらに、道路特定
財源の一般
財源化の趣旨を踏まえ、道路に係る歳出の
改革を図り、適正に使用すべきである。
3
年金記録問題への対応に当たっては、発生原因の徹底究明と再発防止に
全力で取り組むとともに、標準報酬等の遡及訂正事案への対応等を可及的速やかに進め、正しい
年金記録に基づく
年金の支払いに万全を期すべきである。
4 医師不足等の地域
医療の
課題に対応するため、医師、看護師、
医療事務者等地域
医療の人的
基盤を構築するとともに、地域の
医療体制が損なわれることのないよう公的病院等に対する手厚い
支援に努めるべきである。
現在の
介護現場においては
労働条件の悪化により
人材不足が深刻化するなど危機的な
状況にある。
高齢者等が
安心して暮らすことのできる
社会を
実現するため、
介護労働者の賃金向上を含めた処遇
改善策を積極的に推進すること等により、
介護を担う優れた人材を確保するとともに大
規模な
雇用創出を図るべきである。
また、保育の充実、幼児教育の推進、
乳幼児医療の充実など
子育て支援・
少子化対策を強力に
実施すべきである。
5
高齢化が進む原子爆弾被爆者の早期救済を図るため、原爆症認定集団訴訟の解決に向けて適切に対応するとともに、原爆症認定を迅速化し、認定対象疾病の拡大の検討を可及的速やかに進めるべきである。
6 世界に先駆けた低炭素・循環型
社会を構築するため、
太陽光発電及び次
世代自動車の普及を促進するとともに、マルチモーダルシフトを強力に推進し、これらの環境
対策を通じた
景気回復・
雇用創出を積極的に後押しすべきである。
また、情報通信技術を
活用したテレワークは、ワーク・ライフ・バランスの
実現、人口減少・少子
高齢化時代における労働力確保、低炭素
社会の
実現の観点から有効なものであり、より一層の推進を図るべきである。
7 宇宙
政策の推進に当たっては、政治主導を貫き、
政府全体が一丸となって、総合的な施策を強力かつ計画的に推進できるよう、
予算配分及び組織・人的体制を充実させるべきである。その際、省益を排し、国家戦略としての宇宙
政策を推進するにふさわしい人材を積極的に登用すべきであり、その趣旨を体した能力・実績主義に基づく人事
政策により徹底すべきである。また、科学技術の
大型プロジェクトについては、経費の効率性及び成果の
活用を検証し、
国民に対する説明責任を果たしていくべきである。
8 在日米軍関係施設の設置・移転等に関する日米間の協議及びその実行並びに各種の経費
負担関係については、米国に対して
国民・地域住民の視点を踏まえた主張を行うなどとともに、
国民に対する説明や情報公開を十分に行い、地域住民の理解を得られるよう努めるべきである。
9
消費者行政については、
消費者被害の予防や被害の救済の視点から、関係行政機関は民間事業者に対する指導・監督を適切に行うとともに、これらの関係行政機関に対する監視が適切に行われるべきである。
二 会計検査院が検査報告で
指摘した不当事項については、本院もこれを不当と認める。
政府は、これらの
指摘事項について、それぞれ是正の
措置を講じるとともに、綱紀を粛正して、今後再びこのような不当事項が発生することのないよう万全を期すべきである。
三 決算のうち、前記以外の事項については
異議がない。
政府は、今後
予算の作成及び執行に当たっては、本院の決算審議の経過と結果を十分考慮して、行財政
改革を強力に推進し、財政運営の健全化、行政の
活性化・
効率化を図るとともに、
政策評価等の
実施を通じた
効果的かつ効率的な行政を推進し、もって
国民の信託にこたえるべきである。
以上が、議決案の内容であります。
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