○平
委員 ありがとうございました。
事故率八から九を見るということは民間の金融機関ではあり得ない話でありますので、かなりの高いリスクを国がとってやるということだと思いますし、そういう説明を我々もさせていただきたいと思います。
これからセーフティーネット貸し付けがどんどんふえていくんだろうと思いますけれ
ども、引き続きよく
注意深く見ていきたいと思っております。
それでは、本題の
独占禁止法改正法案につきまして
質問をさせていただきたいと思います。
牧原議員と事前の打ち合わせをしていなかったので、ほとんどダブっておりますので、きょうはせっかく
竹島委員長がおいででございますから、私
自身も中小企業の経営をしておりましたので、中小企業の心の叫びをちょっと聞いていただきたいなというふうに思います。
本当に、我々ビジネスをやっていて、中小企業というのはこんなものなのかなと愕然としましたけれ
ども、私は、大田市場というところで青果の仲卸をしていました。野菜と果物の問屋ですね。それで、
五つぐらいの市場にその仲卸があって、
大手の量販店というところとは大体お
取引をしていました。たまたま、うちのおやじがそういう会社をやっていたので、やらざるを得ないということでやっておりましたけれ
ども、幾つかいろいろな
事例がありますが、ちょっとそういうのをお話しさせていただいてから
質問に入りたいと思います。
例えば、具体的な話で恐縮ですが、野菜の相場というのは毎日変わるんですね。しかしながら、特売のチラシというのは、何週間も前に刷って家庭に入れておくんですね。そうすると、よくあるのは、ホウレンソウ九十八円で特売をしますと。しかし、その日の相場は幾らかというと、その日の朝の競りが終わるまでだれもわからないわけです。しかも、野菜の相場というのは非常に大きく変動しますから、大変リスクが大きいんですが、そういったリスクを量販店はとらないんですね。それは、全部仕入れ先になっている中小企業が負う。それが
一つある。
そういった中で、例えば、その日は若干相場が高くて、ホウレンソウが二百円しましたと。二百円しても、これは九十八円の特売だから九十八円で売るわけですね。これは信義として当然ですね。そうすると、そこで問屋と
小売店の
関係がどうなるのか。
良心的な量販店は、では、これで百円の差額がありますから、問屋さんと我々スーパーで半分ずつ持ちましょうというのが良心的なスーパーです。ちょっとえぐいところになると、九十八円で売るんだから、九十八円で二百円のものをくれ、よこせというのが、でも、まあ、こういうところが多いんじゃないかなと思います。一番ひどいところはどうなるかというと、九十八円で売るんだから、七十円ぐらいでもらわないとうちの利益が出ないんだから、七十円でよこせという話になるんですね。これはもう日常茶飯事であります。
結局、私は思いましたけれ
ども、よく一時、があっと伸びていた量販店がありました。エブリデー・ロープライスというスローガンを掲げていたんだけれ
ども、体質の悪いところは、さっき言ったような、原価を割ってさらに利益を出す要求をしてくる。そうすると、実は、エブリデー・ロープライスの仕組みをつくるということに一生懸命やっているんじゃなくて、ただただ、問屋を殺して値引きをさせて、エブリデー・ロープライスを維持していただけだ。
そうすると、どういうことが起きているかというと、その量販店がどんどんどんどん伸びているときは問屋もつき合うんですけれ
ども、売り上げが落ちた瞬間、もうだれも相手にしなくなって凋落をしてくる、そういうことがあります。ですから、こういうことを放置しておくと、実際にふたをあけてみたらその量販店は何のノウハウもなかったということになるんだと思います。
あと、私が経験したことは、私の
取引先は
大手量販店ですから、一時期、パ・リーグのプロ野球のチームなんかいっぱい持っているんですね。これがまた強かったりして優勝とかするとえらい目に遭うということで、優勝セールという名のもとに、何百万の
協賛金、大幅な仕入れの値引きというのを要求されるわけです。ですから、私なんかは、パ・リーグの優勝決定戦なんか、負けろ負けろと祈りながら本当に真剣に観戦をしていた覚えがあります。こういうのも日常茶飯事であります。
あともう
一つ、こういう
事例があります。
バックマージンという仕組みがあって、例えば、売上高から何%バックマージンを下さい、そのバックマージンは販売の促進費であったりセンターフィーであったりします。しかしながら、これがある日突然、例えば今三%のバックマージンだったのが、来月から八%にしてくださいというのが来るんですね。
そうすると、我々の
業界でいうと、平均的な粗利益率は一〇%ですから、一〇%から八%のバックマージンというのは
経済的にあり得ない。そんなことじゃとてもじゃないけれ
ども商売になりませんと言うと、それじゃ売価に乗せていただければ結構ですからという話をスーパー側はするんですが、それが売価に乗ることはないんですね。乗っけて
値段を出すと、いやいや、こんな
値段じゃ買えないよ、では、よそからとるからいいよということで、実際に転嫁ができないわけであります。こういうことは、もう本当に日常茶飯事であります。
スーツも全部
取引先の
関係で買わされる、クリスマスケーキも
一つあれば足りるのに私は二十個ぐらい買わされる、そういうようなのが日常茶飯事あるわけです。基本的には、商売は自助自立ですし、契約は自由でなければいけないし、やはりそういう
競争はしっかりやらなければいけないと思いますが、しかしながら、助けてくれとは言わないけれ
ども、せめて公正な商売をさせてほしいというのが本音だと思います。
こういう
一つ一つのことを、私も実際に中小企業の社長をやっているときは、
公取に駆け込もうとまでは思わなかったんです。やはり
公取というのは、普通の人から見るとすごくハードルが高いし、
国会議員の知り合いもいませんでしたので、ほとんど泣き寝入りをするか、どこかで見切りをつけて、ただただやめていくというのが実態だと思います。
こういうことを放置していると、先ほ
ども言いましたけれ
ども、流通業自体が値引きを簡単にさせられる、だめなら次の業者に乗りかえるということを
繰り返した結果、恒常的に安く売る仕組みというものが実はできていなかったということも起きますし、例えば今商店街の活性化という話がありますけれ
ども、商店街の八百屋さんがどんなに頑張ったって、先ほど言った、二百円のホウレンソウを、こちらの流通が九十八円で特売するからといって七十円で買ったら、この八百屋さんとスーパーはどう考えてもフェアな
競争はできないわけであります。そこにも本質的な問題があると思います。
もう
一つは、
消費者の立場に立つと、こういう
事例がありました。
毎年、何日の日は何とかの日と
大手流通店がやっていますね。そういうときには非常に強烈なチラシを入れます。そうすると、先ほ
ども言ったように、野菜の相場は非常に波を打ちますから、品薄になると
価格がばんとふえます。しかしながら、そういう何とかの日というのをスーパーが決めると、そのスーパーは、やはり確実にその
値段で必要な数量を
消費者に提供しなければいけない。業者の方は、欠品をすると大変なペナルティーを受ける。しかも、仕入れ
価格よりも安い
値段で仕入れさせる。そうすると、例えばホウレンソウならホウレンソウを、大田市場にあるホウレンソウをかき集めるわけですね、大変なペナルティーをとられるから。しかも、大損をしながら売っているんです。
そうすると、どういうことが起きるかというと、大田市場の中のホウレンソウが、ある量販店の何とかの市とか何とかの日で全部なくなるから、残ったホウレンソウで競売しますから、みんな高いものを買わされる。そうすると、その業者の
優越的地位を
濫用して、そのスーパーは何にも腹が痛まないんだけれ
ども、実はその周辺、大田市場なんかは関東全域ですから、その他大勢のところは、そのせいで高いものを買わされる羽目になるということだと思います。
それで、
質問に入ってまいりたいと思いますが、そういうような
観点からいくと、今回の
課徴金制度の見直しで
優越的地位の
濫用というのが入ったことは本当に
意味のあることだと私は思います。そういった
意味では、
日本経済全体や
消費者保護の
観点からも、やはり全体的に体質を変えていかなければいけない。ただただ、仕入れ
価格を無理くり力
関係によってディスカウントさせればいいんだという発想から切りかわってもらわなければいけない。そのためには、強い動機づけが必要だと思います。
そういった中で、
課徴金を新たに
優越的地位の
濫用などに入れるということは、私はやはり必要なことだろうというふうに思いますが、そんな中で、先ほ
ども牧原議員からも
質問がありましたけれ
ども、では、この
課徴金の率で本当にいいのかどうか。もともとある現行法の
課徴金の比率と、
改正法で新たに入った
課徴金には差があるわけですけれ
ども、その差の
理由、また算定についてお伺いをしたいと思います。