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篠塚参考人 佐々木先生、ありがとうございました。
三点、御質問をいただきました。
まず最初に、
労働基本権に対する
代償機能を果たす
役割を
人事院としては持っている、そのことについてどのように理解しているかという御質問でございました。
確かに、
公務員というものは全体の
奉仕者であるというふうに
憲法に定められております。一部の省とかあるいは産業とか人々とか、一部の人ではなくて全体の奉仕をするということでありますので、そのためにはさまざまな制約が当然出てまいります。そして、その制約として、もちろん
労働基本権そのものは
公務員にも付与されておりますけれ
ども、全体のために、全部のためにやらなくてはならないということになりますと、
民間の企業のように利潤原理で動いているような形でさまざまな
人事の条件をクリアすることはできません。そういう形で、それらの制約がある
労働基本権に関する代償の
役割を果たすとして
人事院は設置されたというふうに理解しております。
ですから、
内閣の下に位置づけられますけれ
ども、独立して中立的な第三者
機関、ある意味では、準司法的な
機関というふうに言ってもいいかと
思います。そのように位置づけられておりますゆえに、ある省あるいはある
関係機関のところのために
公務員が働くことはないというふうな独立性だと思っております。中立的な形で機能を果たすという形では、やはり
人事院というものはどうしてもなくてはならない存在だろうと
思います。
そして、そのような
公務員の、国全体のサービスをするサーバントである
人材の
人事管理をしたような指標、目標、数値などは、
関係した組織についても利用されます。私
自身がおりました
日本銀行などにおきましても、やはり
人事院の勧告によればというふうでありましたし、国立大学法人お茶の水女子大学におきましても、さまざまな決定をする場合には、
人事院の決定によりますとこのようになっておりますということで、やはり
参考にいたします。
そのようにして、国をつかさどる
日本全体の大事な
仕事をする
公務員の
人事管理などを保障し、そしてそれを守る組織としての
人事院という組織は非常に大事なものであり、そこで
仕事をする
人たちも身を律して働かなければならないというふうに理解しております。
二番目の御質問であります、二〇〇二年六月に総人件費の抑制が閣議で決まり、そしてこれがすべてのスタートでありますけれ
ども、
公務員も長らくマイナスの給与の勧告がなされておりましたけれ
ども、それに対しては、
人事院は中立という
立場であるならば、必ずしも政府の言ったことどおりでなくてもいいのではないかというように承りましたけれ
ども、それについてどう思うかというふうな御質問でございました。
もとより、二〇〇二年というのは、小泉
内閣になって、そして
経済が一番厳しいときでした。
財政ももう目いっぱい出しておりましたし、金融政策も、ほとん
どもうゼロ金利から量的緩和に打ったときでございました。
民間は既に
リストラをし、そして職員の解雇までいっておりました。その過程で、
派遣、非
正規雇用がふえたというプロセスがあります。
公務員が何もしないわけにはまいりません。それは、先ほど
所信表明でも申しましたように、
人事院の
あり方、
人事院というのはどういうものかといったときに、組織としては、やはり外部の動きを見て、そしてそれらも
参考にしながら政策をとっていく組織であるというふうに申し上げましたけれ
ども、
世の中全体がそのような厳しい中で
対応しているとき、
民間が既にそのようにやっているときに、国が何もしないわけにはいかない。
公務員であったとしても当然でありましたし、この選択は私はやむを得なかったんではないかと思っています。
そうであるから、例えば
民間が本当に景気がよくなり、そして給与水準も上げられるような
状況になったならば、それらを反映して、速やかに
人事院はそれらのデータも集めて、そしてしかるべく中立的な、
民間と平衡感覚を持って勧告をするような動きになるのではないかというふうに私
自身は認識しております。