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2008-12-09 第170回国会 参議院 農林水産委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年十二月九日(火曜日)    午前十時三分開会     ─────────────    委員異動  十一月十三日     辞任         補欠選任         相原久美子君     高橋 千秋君  十一月十九日     辞任         補欠選任         青木  愛君     川上 義博君  十一月二十日     辞任         補欠選任         高橋 千秋君     青木  愛君  十一月二十一日     辞任         補欠選任         川上 義博君     高橋 千秋君  十一月二十五日     辞任         補欠選任         牧野たかお君     坂本由紀子君  十一月二十六日     辞任         補欠選任         亀井亜紀子君     自見庄三郎君      坂本由紀子君     牧野たかお君  十一月二十七日     辞任         補欠選任         自見庄三郎君     亀井亜紀子君  十二月八日     辞任         補欠選任         一川 保夫君     松浦 大悟君  十二月九日     辞任         補欠選任         青木  愛君     大久保 勉君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         郡司  彰君     理 事                                主濱  了君                 平野 達男君                 加治屋義人君                 佐藤 昭郎君     委 員                                青木  愛君                 大久保 勉君                 金子 恵美君                 亀井亜紀子君                 高橋 千秋君                 藤原 良信君                 舟山 康江君                 松浦 大悟君                 米長 晴信君                 岩永 浩美君                 野村 哲郎君                 牧野たかお君                 山田 俊男君                 風間  昶君                 草川 昭三君                 紙  智子君    国務大臣        農林水産大臣   石破  茂君    副大臣        農林水産大臣  近藤 基彦君    大臣政務官        農林水産大臣政        務官       野村 哲郎君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木 朝雄君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       福富 光彦君        内閣大臣官房        審議官      岡田 太造君        警察庁長官官房        審議官      井上 美昭君        金融庁総務企画        局総括審議官   大藤 俊行君        金融庁総務企画        局審議官     細溝 清史君        金融庁総務企画        局審議官     三村  亨君        金融庁総務企画        局参事官     居戸 利明君        外務大臣官房参        事官       高岡 正人君        厚生労働省医薬        食品局食品安全        部長       石塚 正敏君        農林水産大臣官        房総括審議官   本川 一善君        農林水産大臣官        房総括審議官   吉村  馨君        農林水産大臣官        房協同組合検査        部長       江口洋一郎君        農林水産省総合        食料局長     町田 勝弘君        農林水産省消費        ・安全局長    佐藤 正典君        農林水産省経営        局長       高橋  博君        林野庁長官    内藤 邦男君        経済産業省通商        政策局通商機構        部長       鈴木 英夫君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○農林水産に関する調査  (事故米穀不正規流通に関する件)  (事故米穀不正規流通問題に関する件)  (農林中央金庫に関する件)  (WTO農業交渉に関する件)  (消費者庁設置に関する件)  (地球温暖化防止森林整備に関する件)     ─────────────
  2. 郡司彰

    委員長郡司彰君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、相原久美子君及び一川保夫君が委員辞任され、その補欠として高橋千秋君及び松浦大悟君が選任されました。     ─────────────
  3. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  農林水産に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房内閣審議官福富光彦君外十六名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 農林水産に関する調査を議題といたします。  事故米穀不正規流通に関する件について政府から報告を聴取いたします。石破農林水産大臣
  6. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 事故米穀不正規流通問題について報告を申し上げます。  この問題に対する取組の経過については十一月十一日に本委員会報告申し上げたところですが、その後、十一月二十五日に、内閣府に設置された事故米穀不正規流通問題に関する有識者会議調査結果報告書取りまとめられました。  報告書では、事故米穀問題に関する農林水産省責任所在指摘されますとともに、食の安全の確保重要性に関する認識欠如消費者の目線の欠如業務縦割り意識組織硬直性危機意識や感性の欠如など、農林水産省体質及び農林水産行政に対する大変厳しい指摘がなされました。  農林水産省としては、これらを組織全体の問題として厳粛に受け止め、十一月二十八日に、今回の問題に責任のある関係職員に対して厳正な処分を行いました。  また、十一月二十七日には、省内の課長クラス中心に構成される農林水産省改革チームにおいて、政策決定プロセス改革リスク管理及び危機管理改革人事改革を含む国民視点での組織運営実現や、それらを実現するために必要となる農林水産省機構改革内容とする緊急提言取りまとめられ、報告を受けたところです。  報告は、根深い農林水産省の問題を明らかにした上で、農林水産省の再構築を提言しております。私は、人間の生命と健康の基盤である食を扱う農林水産行政を再生するためにも、自ら痛みを伴う改革を進めていかなければ、国民皆様方の信頼を回復できないと考えております。  このため、従来の農林水産省業務在り方根本的に改めていくとともに、その前提として、組織について、国民視点に立った行政を円滑に遂行するための機構改革全力で取り組みます。国民ニーズのないところに行政の仕事は存在いたしません。国民本意農林水産行政実現するため、緊急提言方向に沿って、次に述べる基本的な方針の下、平成二十二年度における農林水産省の抜本的な機構改革に取り組むこととしております。  第一に、主要食糧業務を担う地方農政事務所食糧部地方農政局食糧部本省食糧部抜本改革を行います。事故米問題の発生にかんがみれば、地方農政事務所は、主要食糧業務を担当する組織としては廃止を前提に検討せざるを得ません。他方で、主要食糧安定供給という責務は十全に果たしていかなければなりません。また、食品表示適正化経営所得安定対策など、国として実施している業務も存在します。したがって、これらの業務を担う組織在り方については、主要食糧政策を始めとする今後の政策展開方向を踏まえつつ、地方分権改革など政府全体の議論との整合性も図りながら、十分検討して成案を得ることとしております。  第二に、国民の期待にこたえられる組織構築に取り組みます。国民皆様農林水産省に最も求めるのは、食の安全の視点を最優先とする組織実現であります。従来の農林水産省は、消費者が何を求めているか、そのニーズの把握に欠ける面がありました。今回の問題を契機に、農林水産行政に求められるものをいま一度根本から見直し機構面で不十分な面があれば、既存の行政機構見直しを大胆に行いながら体制整備を図ります。  第三に、農林水産省改革の実効を期し、その永続を担保する体制整備します。緊急提言では、政策決定プロセスチェックや第三者を長とする内部監査構築など全く新しい提案がなされたところであり、これらの機能を相互に関連付けながら、国民視点に立った業務運営を担保する強力な内部監査チェック体制実現に取り組みます。  これと併せて、緊急提言にあるように、農林水産省政策運営についても見直しを進めてまいります。政策を決定するに当たっては、国民各層が広く参加できるよう工夫をいたします。国民皆様方行政サービスを提供する際には、親切、丁寧、正直を厳に旨といたします。今回の事故米問題のような事件発生しないようにするため、リスク管理危機管理を徹底いたします。そして、このような政策業務を効率的に実現できるよう、業務の再点検や組織運営改善実現します。  さらに、今回の事故米問題を受けて、米のトレーサビリティー、米関連商品原料米原産地情報伝達を含めた米流通システム見直しを図るため、米流通システム検討会を立ち上げ検討を進めてきたところでありますが、十一月二十七日に中間取りまとめという形で制度の骨格が取りまとめられました。これを踏まえて、次期通常国会関連法案等を提出できるよう準備を進めてまいります。  事故米穀不正規流通問題に関する有識者会議調査結果報告書も、農林水産省改革チーム緊急提言も、農林水産省職員意識組織体質根本から改革することの必要性を強く指摘しております。  私は、こうした指摘農林水産省がBSE問題の経験を生かせなかったことを重く受け止めております。そして、その反省の上に立って、農林水産省職員一人一人が消費者のことを真剣に考え、食の安全を守るという強い意識を持って、政策業務改善充実に邁進し、平成二十二年度が改革の成果が結実する農林水産省新生元年となりますよう、全力を尽くしてまいります。  以上であります。
  7. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 以上で報告の聴取は終わりました。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 舟山康江

    舟山康江君 民主党の舟山康江でございます。  本日は、ただいま大臣から御報告いただきました事故米穀不正規流通に関する点に関しまして幾つか質問をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。  まず、この事故米穀に関する質問に入ります前に、あしたから大臣WTO閣僚会議の方に出発されると思いますけれども、是非ここでこのWTO閣僚会合に臨む大臣の御決意をお伺いしたいと思います。  今、いろいろな様々な報道を見ておりますと、年内合意に向けまして一気に動くんじゃないかと、そんなような状況にもありますし、今月六日にはラミー事務局長からモダリティー案の第四次改訂版も提示されました。こういったものを見ておりますと、非常に、ちょっとかなり日本提案、今までずっと、特に日本主張重要品目の数や取扱いについて鋭意今までも主張されてきたと思いますし、今後この会合におきましても、最後まで日本立場を精いっぱい主張していただく、こういったことを願うばかりでありますけれども、これにおけます大臣の御決意をまずお伺いしたいと思います。
  9. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 日程はまだ不明確な部分が残っております。今先生指摘のように、日程も取りざたをされておるところでありますが、今後なお確定に向けていろんな努力がなされるというふうに承知をいたしております。  議長の改訂版テキスト、今先生から御指摘のとおりでありますが、その中で重要品目の数、関税割当ての新設については今後の交渉の足掛かりが記載をされております。今後の議論として残されておると承知をいたしております。  また、上限関税につきましては、その適用を主張する国が依然多数存在をしており、交渉は厳しい状況にございますが、将来の我が国農業のため何が必要かを十分に踏まえながら、輸入国立場をできる限り反映してまいりたいということでありますが。  要は、自由貿易すべて正しいのかといえばそうではない部分があるだろうということですね。それは、農業とほかの分野と違うんだということはよく認識をしていかなければいかぬだろうということ。そして、我が国はよく農業が過保護であるとかいうことを言われますが、農業保護の水準というのは我が国は相当に低いということ、これもきちんと訴えていかねばならぬだろう。そして、同じような立場を取る輸入国輸入国になった状況、理由はそれぞれ違うのですが、例えば先生御案内のとおり、我が国とアフリカ、同じ輸入国でも何で輸入国になったかというのは事情が違うのですけれども、輸入国立場というものはきちんと反映をされるように、それは連携も取っていかなければならないだろうというふうに考えております。  ですから、農業の持つ特性というもの、そして輸入国立場、そして我が国農業持続可能性というものは担保されなければいかぬわけですから、その点はきちんと明確に主張していきたいというのが私の考えであります。
  10. 舟山康江

    舟山康江君 ただいまの大臣の御決意、非常に心強く思いました。  まさにおっしゃるとおり、本当に自由貿易がすべて正しいのか、特に農業の持つ特殊性、これは以前から言われていますけれども、そういったものに配慮してしっかりと日本立場主張いただきたいと思いますし、私はそれに加えまして、やはりWTO、その前のガット・ウルグアイ・ラウンド、この交渉が始まったときと現在とは客観状況がまるで違うと思うわけです。ウルグアイ・ラウンド交渉開始時というのは、御承知のとおり農産物過剰傾向にありまして、この過剰農産物をどう処理していくのかといった、こういったことから始まったわけでありまして、現在は逆に世界的に、若干最近少し緩和されてはいますけれども、傾向的には農産物不足傾向にあるという状況にあると思います。  こういったことの中で、昨年から今年にかけて多くの国が農産物輸出規制を行っていると、こういう状況もありまして、ある意味やはり自国食料が不足しているときに、その国が自国国民食料を犠牲にして外に出すということではなく、やはり囲い込むというのはある種、ある意味当然だというふうに思うんですね。  私は、ですから、こういった状況について、前の若林大臣などは輸出規制というのはやめるべきじゃないのかという主張もされていましたけれども、逆にこの輸出規制を行っているということを逆手に取って、むしろ輸入国として、だからこそ一定国内保護が必要なんだ、一定輸入障壁は必要だ、それから国内生産力強化のための政策は必要なんだということを主張するいいチャンスではないかと、そんなふうにも思うわけです。安易な自由化市場開放というのはリスクが大きいわけでありますし、輸出国が不測の事態においても輸入国へ安定的な供給責任を負うということはまずあり得ないと思うんですね。  そういったことを踏まえて、是非まさに今大臣がおっしゃられたスタンスでしっかりと主張をしていただきたいと。交渉をもう壊すということがいいのかどうか分かりませんけれども、そういった心意気で是非交渉に臨んでいただきたいということをお願いしたいと思います。  それでは、事故米穀のこの不正規流通に関する質問に入らせていただきたいと思います。  今も御報告いただきましたけれども、十一月二十八日に事故米穀不正規流通問題に関する有識者会議調査報告書、これ第一次取りまとめでありますけれども、報告、第一次取りまとめが出されました。この中では、メタミドホスアフラトキシン、アセタミプリドと毒性が非常に強く非食用として利用されるべき汚染米不正規流通実態については詳細に言及され詳細に解明されていると、その点については評価をしたいと思っています。ただ、それ以前から行われていたその他の事故米穀流通実態についてはほとんど言及がないんじゃないかというふうに思います。  私は、今回の不正規流通の問題は、毒性の強いこの三つですね、いわゆる食品衛生法十一条違反に該当するものだけではなく、主食以外に供されなければならないとされていた事故米穀一般事故米穀が本当に主食以外に供されていたのか、主食用への横流し等実態はなかったのか、あったとすればその原因はどこにあったのか、そういった今回の事件発生、今回大きな問題になった三つ基準違反の問題以前にあった一般不正規流通横流し実態についての原因究明解明検証、そういったところ、そこの部分が原点じゃないかと思いますので、ここの検証は欠かせないと思っております。この点、この報告書取りまとめました内閣府の御見解、今後どうしていくつもりなのか、そういったほかの流通実態解明についてどう考えているのかをお聞かせいただきたいと思います。
  11. 岡田太造

    政府参考人岡田太造君) 内閣府に設けられました事故米穀不正規流通問題に関する有識者会議におきましては、先生指摘のように、平成十六年度以降、MA米として政府が輸入し、その後売却した事故米穀について、政府から購入業者に売却された経緯、その後購入業者に対して行われた検査内容などを中心検証が行われたというところでございます。  なお、御指摘事故米穀一般の問題につきましては、こうしたメタミドホスとかアフラトキシンの問題を調査する中で、事故米穀についての取扱いがどうなったのかということについても事実関係調査いただきまして、その結果として事故米穀一般の問題につきましても、その検証に際しましては、例えば事故米穀の中にはみそ、しょうちゅう、米菓などの原料とする主食用以外の食用の米と、それから工業用のりなどの原料用など、食用と非食用の米というのが一体に含まれていたというようなことであるとか、それから事故米穀かどうかという判断は農政事務所長の裁量にゆだねられていたというようなこと、それからカドミウム米などについては着色とか変形加工といった横流れ防止措置が講じられていましたが、今回の事故米穀については同様の措置が講じられていないというようなこと、それから売却後の取扱いに関する検査につきましては、食糧法に基づく立入検査などではなくて、売買契約に基づく直接の買受け業者への調査に終始したほか、調査マニュアルがなかったというような問題点を検討して、報告書におきましてもその点を御指摘されているというようなことでございます。  今後につきましては、この有識者会議につきましては大きな検討項目二つ設定しておりまして、一つは、今の不正規流通問題の原因究明それから責任所在明確化というのが第一点でございまして、これにつきましては、十一月の二十五日に第一次の報告をまとめましたので、その中でまとめたところでございます。それからもう一点は、米穀流通実態などの問題点への対応を含めた消費者の安全、安心確保のための抜本的改善策について検討することにしておりまして、これにつきましては今後検討する予定となっているところでございます。
  12. 舟山康江

    舟山康江君 やはり今申し上げましたとおり、今回の事件ベースには、それ以前からあった一般事故品事故米穀不正規流通横流しという、その仕組みというんでしょうか、システムというのがベースにあったんではないかと思っているわけです。そういった意味で、そこも含めて検証しなければ私は本質的な解明にはつながらないと思っておりますので、是非、引き続き、これは第一次取りまとめということですので、引き続き早急にこの有識者会議でそういった今入っていない部分も詰めていただきたいと思います。  私は、この事故品事故米穀については、国産米については相当以前から、少なくとも要領が出ているということを考えると、昭和四十年ぐらいからは少なくとも事故米穀というのは一定量もうこれは発生していたと思うわけです。MA米につきましても、これは、前回平野委員から出された資料を見てみましても、平成十年以降はコンスタントに発生しているわけです。これらは用途を限定して販売されていたわけですけれども、少なくとも三笠フーズなど数社は、平成十五年以降の確認できている範囲だけでもこのいわゆる十一条違反ではない一般カビ米などについても指定用途購入目的に反した販売を行っていたことが確認できているわけですよね。このことからすると、以前から指定用途以外の横流し実態はあったのではないかと推測されますし、前回のこの委員会でも、石破大臣もその可能性は極めて高いと言わざるを得ないと御答弁されています。  そういうことで、加えまして、これ、事故米穀だけではなく、もっと広く米流通全般についてしっかりと検証しなければいけないと思うんです。すなわち、今回大きな問題になっているのは、人の健康を害するおそれの極めて高い事故米穀横流しされていたという大きな問題がありますけれども、もう一つ、健康には問題はないけれども、やはり用途指定が行われていた以上、その用途に使われなければいけないわけですよね。その用途指定をされていたにもかかわらず、その用途以外に横流しされていたものがあったんではないか。それは一般事故品に限らず、いわゆる、今お配りいたしましたけれども、事故品正品と分けている中で、正品と言われているものについても、例えば加工米援助米飼料米ということで用途をこう区分して利用されるわけです。この用途に反した横流しがされていたのではないかというような問題があるはずなんですね。そういう意味で、例えば加工米として販売されていた正規MA米流通ルートについての解明、そして流通業者が複雑に絡んだ流通構造実態解明、また再発防止策を私はやっぱり講じるべきだと思うんです。  前回の御答弁で、米流通システム検討会で新しい流通システム在り方を提示しますと言われまして、二十五日でしたっけ、そういった報告も出ておりますけれども、この報告を見ると今後の新たな流通システム在り方などは提示されていますけれども、やはりその前に全体像の解明、今までの、どういうものが横流しされていて、その横流し原因が何だったのか、なぜこれだけ複雑な流通構造があるのかというところの解明が不可欠だと思うんですけれども、その点の御認識をお聞かせください。
  13. 町田勝弘

    政府参考人町田勝弘君) まず、いわゆる従来型の一般カビ、これにつきましても、食品衛生上問題がある以上、食用として流通することのないように、色を付けたり適正流通を確認するための立入検査、そういった横流し防止措置を的確に講ずるべきであったということを反省しております。申し訳ございませんでした。  また、それ以外の加工用として販売された正規MA米などの用途制限、これについて再発防止、どのように図っていくかということにつきましては、今回の先ほど申し上げました事故米問題を反省いたしまして、MA米加工用販売を含めまして、政府用途を制限して販売をいたしました米穀適正流通確保いたしますため、その検査体制につきまして、契約に基づく任意調査ではなく食糧法に基づく強制力のある立入検査を行うということ、また当然のことながら立入検査は通告をせず抜き打ちで行う、さらに検査相手の販売先まで追跡するといったことを内容とする厳格な検査マニュアル、これを去る十月十日に策定したところでございます。  現在、各農政局、農政事務所におきまして、この検査マニュアルに即して検査を開始しているところでございます。職員検査能力の向上を図りながら、ミニマムアクセス米などの適正流通確保してまいりたいということでございます。  また、複雑な流通構造にも問題があるというふうに考えておりまして、こうした適正流通確保するための検査の実施に加えまして、現在検討しております米のトレーサビリティーシステムの実行、こういったことを通じて流通構造改善も進めてまいりたいというふうに考えております。
  14. 舟山康江

    舟山康江君 今後、これを防止するために新たな手だてを打つというのはもう当然のことなんですけれども、もう私はやはり、今まで、前回の御答弁でも可能性が極めて高かったんじゃないかというような御答弁でしたけれども、なかなか古い話になると書類が残っていない、その実態が分からない、だれがだれに売ったか分からないというような状況だとは思いますが、ただ、やはりシステムとして恐らくもう大分以前からそういった横流し、何というんでしょうか、もうシステムとしてでき上がっていた可能性は非常に高いと思うんですよ。そこの実態解明というか、そこの部分是非、今後検査を強化します、トレーサビリティーを導入しますではなく、そのシステム自体の存在をどう考えているのか、どう総括するのか、そこはやはり不可欠じゃないかと思っていますので、是非併せてその全体像の解明是非行っていただきたいと思います。  もう一つ、ちょっと私、この報告書の中で非常に弱いなというか不満に思う部分が、まさに前回委員会平野委員指摘されました、ポジティブリスト導入前に輸入されて十八年六月にメタミドホスが検出された米のうち、既に市場流通に回ってしまっていた千五百五十トンの汚染米について何ら調査も対応もせず、結果として放置してしまったことに対して、いや、もっと必要な方策について協議することが求められていたと言えようと。非常に軽い書き方なんですけれども、私はもっとここ、原点ともいうべき重大な問題ではないかと思います。  もちろん今更、今更元に戻ってということにはならないと思いますけれども、やはりここで、報告書でこのことを総括する以上、協議することが求められていたと言えようどころか、非常にここの対応は問題だったと思うわけです。もっとここはきちんと重要な問題として認識いただいて、もっと反省を踏まえ強い書き方をしていただきたいんですけれども、いかがでしょうか。
  15. 岡田太造

    政府参考人岡田太造君) この件につきましては、この有識者会議の最後の方で一度、農林水産省から御報告をいただきまして、そこの場の議論を踏まえて先生今御指摘されたような形の、食品安全委員会や厚生労働省に対して必要な方策について協議することが求められていたであろうということで、委員の間でそういう協議がなされてこういう形になったということでございます。
  16. 舟山康江

    舟山康江君 ですから、これは本来、協議するべきだったというよりも、それをしなかったその問題の大きさについてもっとしっかりと認識いただいて、報告書にもう一度盛り込んでいただきたいということです。
  17. 岡田太造

    政府参考人岡田太造君) この報告書は、有識者の方が第三者の立場から今回の事案を検証するという趣旨で行っているものでございますので、基本的には先生方がこの有識者会議の中で御議論されて、どういう形で報告書をまとめるかという形で御検討された結果こういうことになったというふうに承知しておりますので、そういうことで申し上げているということでございます。
  18. 舟山康江

    舟山康江君 じゃ、農水省にお聞きしますけれども、農水省の認識もこの程度なんでしょうか。私は本当にここ大きな問題だったと思います。協議すべきだったとかではなくて、やはり非常に大きな問題だと思っています。
  19. 町田勝弘

    政府参考人町田勝弘君) この件につきましては、前回も御答弁をさせていただきましたが、食品衛生法の規制が強化されたことで、それまで食品衛生上問題がなかった、合法であったものが法律違反となったということでございます。  この規制の強化に当たりまして、規制強化がありました施行日、十八年五月二十九日でございますが、その前日までに製造加工が終了した製品につきましては従前の制度によりまして規制を適用するという経過措置が設けられたところでございます。厚生省の告示でございます。こういったことから、十七年度までに販売されたお米につきましては規制強化の施行前、この前日までに製品化されるというふうに考えていたわけでございますが、食品安全委員会、また厚生労働省にこの点について協議をしておけばより適切だったというふうに考えております。
  20. 舟山康江

    舟山康江君 いや、より適切だったというよりも、やっぱりしなきゃいけなかったわけですよね。そこの御認識をしっかりと持っていただかないと、やはり私は、こういった問題は、結局BSEの反省が生かされなかったのと同じように、幾らここでしっかりと反省しますと言っても直らない、繰り返しになってしまうと思います。是非そこは、もうすべきだったということを御認識いただきたい、そう繰り返させていただきます。  ちょっと時間が押してきましたので、ちょっと少し飛ばして、再発防止策についてお聞きします。  今回、こういった一連の事件を受けまして、再発防止のために、基本的には廃棄という選択をすることになりました。MA米については廃棄若しくはシップバックということなんですけれども、恐らくほとんどは焼却等の廃棄になると思うんですけれども、なぜ廃棄という選択をしたんでしょうか。
  21. 町田勝弘

    政府参考人町田勝弘君) この点につきましては、大変消費者の方々に不安を感じさせてしまったということでございます、今回の問題につきまして。こういった不安を感じることがないようにするためには、食品衛生法上問題のある事故米穀が国内流通する可能性を断つということが基本であるというふうに考えまして、事故米につきましては廃棄処分すると、食品衛生上問題のある事故米については廃棄処分するということとしたところでございます。
  22. 舟山康江

    舟山康江君 これは、ほかの方法についてはコスト面も含めて検討したんでしょうか。
  23. 石破茂

    国務大臣石破茂君) それは、ありとあらゆる可能性は検討しました、もちろん。ですから、まず廃棄ありきということで議論したわけではありません。  ただ、今の局長から答弁申し上げましたとおり、消費者の方々の御不安を払拭するためには廃棄が一番いいわけですが、ちょっと待てと。そういうことではなくて、例えばバイオエタノールとかそういう方法があるんじゃないのと、国民の負担をもっと軽減できるんじゃないのと、いろんな可能性は検討をいたしました。じゃ、その燃料に使ったらどうかということも省内で、あるいは関係の機関ともいろんな協議をしたのですが、その場合に、ではそれが、メタミドホスとかアフラトキシンとかそういうものが入っておったときに、燃料でやった場合にそういう有害物質がどれほど大気中に拡散というのか、正確な言葉ちょっと分かりません、されるのか、そういう安全性もやはりきちんと確認をしなきゃいかぬのだろうというふうに思っております。  これから先のを全部廃棄だということで今おりますが、ほかに可能性あるのかと。安全であり、そしてまた国民の負担が少なく、そしてまた不正規に流通するようなことが絶対にないという方法があるかどうか、その点はこれから先も不断に検討をするのは当然のことだというふうに認識をいたしております。
  24. 舟山康江

    舟山康江君 結局、不正横流しが行われないようにするためにどうすればいいのかということだと思うんです。  私は、この食品衛生法十一条違反につきましては、やはり万が一のときに人体に対する影響がかなり懸念されるという意味で、ここについては廃棄ということも致し方ないのかなと思います。ただ、例えば食品衛生法六条違反ですとか、そういったものに関しても廃棄というのが本当に適切なのか、私は、ある意味廃棄すれば確かに不正横流しというのはもう完全になくなると思います。ただ、廃棄ということになると、監視の責任というのもまたなくなってしまうわけですよね。ある意味、一番安全だけど一番安易、一番責任逃れの方策だということも言えると思うんです。  結局、検査体制の不備が問題であって、ここさえクリアできれば他用途に利用できた。しかも、先日出されました商社ルートについての報告書を見ますと、ほとんどは購入目的どおりに飼料用として使用されているわけですよね。ですから、ここを、まあここについても流通実態を把握していなかったわけですけれども、例えばここについてきちんと流通実態を把握して検査体制整備するなどすれば問題なくきちんと有効利用がされるわけですよ。そのバイオだ何だということも、例えばその一般カビなどは、そういった有害物質が空気中に拡散してしまうという問題もさほど起きないと思いますし、私は、ですから、一番確実だけど安易とも取れるこの廃棄ということを、すべての事故米穀に当てはめるべきなのかどうかということを、是非大臣のリーダーシップでもう一度検討いただきたいと思いますけれども、大臣の見解、お聞かせください。
  25. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 最も安全だが最も安易だと、こう言われると、確かにそうだねという気はするわけですね。だから、どっちを取るかといえばやっぱり、先ほど払拭という言葉を使いましたが、絶対安全だよということになればそれはもう廃棄が一番よろしいんです。先生おっしゃるように、もうちょっとそういう検査体制を厳格にするとか、そういうことを検討した上で全部廃棄という方向が修正できるかどうか、それは当然検討したいと思っております。  ただ、悪いやつはたくさんいるんでありまして、とにかく我々も安全をお預かりする以上は、もう徹底的に性悪説に立ってやんなきゃしようがないねと、そういうこと、安全保障というのは私はそういうものだと思っていましてね。ですから、お役人も性悪説に立って、悪いやつは一体何を考えるんだというのをもうぎりぎりまで考えてやらないとその上へは行けない。ただ、余り悪いことを考えるのは益にならないことになっておりまして、この辺が難しいところではあるんですが、やっぱりそういうことをよく考えた上で、安全と、それから安易に流れない厳格性というものを両方満たしてまいりたいと考えております。
  26. 舟山康江

    舟山康江君 悪い法の抜け道とか制度の抜け道を考えて何かしようとするところをやはりきちんと監視する、管理するというのもまた役所の仕事なわけですから、私はやはり、この使えるものをただ廃棄するというのは、まさにもったいない、本当にもったいないと思いますので、是非、本当に再考をいただきたいと思います。  時間ですので終わります。
  27. 米長晴信

    ○米長晴信君 民主党の米長晴信です。前回に引き続き、汚染米の不正流通について質問をさせていただきます。  まずは、前回、私がこの委員会の中で指摘させていただいた工程表についてですけれども、これについては、すぐに次の日に私が御指摘させていただいた部分の訂正案を持ってきていただきまして、本当にもう早い対応をしていただきまして、ここで取り上げたかいがあったといいますか、非常に早い対応をしていただいて、まずもって感謝を申し上げたいというふうに思います。  引き続き、本日は、前回委員会から出された、本日、大臣の方からも報告がございましたけれども、十一月二十五日に出された有識者会議調査報告書、第一次取りまとめ、これの中身についてちょっと触れさせていただきたいというふうに思います。  こことこことここというような資料配付はかえってちょっと大変ですので、今日はその冊子自体を皆さんに資料としてお手元に配付をさせていただいております。  同様の質問、先ほど舟山議員の方からありましたので、簡潔にもう一度確認をさせていただきたいんですけれども、この第三者委員会による今回の調査というもののカバーエリアといいますか、どういう範囲で、どういう事象についての調査だったのかということを端的にお答えをお願いします。
  28. 岡田太造

    政府参考人岡田太造君) 事故米穀不正規流通問題に関する有識者会議の第一次の調査報告書でございますが、平成十六年以降について、政府から購入業者に売却された経緯、その後の購入業者に対して行われた検査内容などを中心検証が行われたというふうに承知をしています。その旨、この報告書にも書かれているところでございます。  ただし、先ほど御説明いたしましたように、その検証に際しましては、事故米穀一般取扱いにつきまして、そこまで事実関係調査した上で先ほど申しましたような問題点指摘があると、それについても報告書に書かれているというようなことでございます。  以上でございます。
  29. 米長晴信

    ○米長晴信君 ありがとうございます。  改めて、この報告書取りまとめるに当たっては、平成十五年以降のいわゆる汚染された米に集中、いわゆる政府ルートに絞って報告されたということでございます。引き続き、舟山議員が指摘されたような、もっと根の深い事故米全体の流通というものは今後調査是非続けていただきたいと思うわけでございますけれども。  では、この報告書に入っていきますけれども、この報告書を元に、これもやはりかなり速いスピードで、三日後に、この調査報告書指摘されたいろんな形の責任問題がありまして、それに対して処分が発表されたかというふうに思います。この報告書に対しての責任所在、それに基づいた処分というのはこの二十八日のもので大体すべて網羅されているということでよろしいでしょうか。
  30. 本川一善

    政府参考人(本川一善君) 御指摘のとおり、この報告書責任所在というのが指摘をされております。この報告書でいきますと、二十二ページ、二十三ページにわたりまして農林水産本省あるいは地方農政事務所責任所在について指摘を受けておるわけでございます。これらを踏まえまして今回行いましたのが先ほど御指摘いただいた処分でございます。
  31. 米長晴信

    ○米長晴信君 この中には、処分内容という枠の外に自主返納ということで、石破大臣も火中のクリを拾う形で、給与の二か月分を返納するというような形で責任を取られましたけれども、ただ、これ、やっぱり非常にまだ、この処分でよしと今答弁されるなら、これはまだまだもっともっと検証しなきゃいけない部分がたくさんあると思いまして、それをいろいろ指摘をさせていただきますけれども。  例えば、じたばたしていないなんという発言をされて辞められた太田大臣、あるいは、九月十一日の記者会見におきまして農水省に責任がなかったかのような発言をされて、その後やはり責任を取って辞められた白須前次官、このお二人はいかがですか。
  32. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これも先生御案内のとおりであって、現在当省に在籍をしておらない者に対して責任の問いようはないわけです。それは、いいとか悪いとかいう議論はあるんだと思いますよ。ただ、今その根拠となる規定、法律がない以上は、法治国家でございますので、その責任を問うということはできない。  私どもとして、今、先生から、じたばたのお話あるいは責任が云々のお話がありました。この報告書有識者会議報告書、当然のことでございますが、関係する方々には当然お送りをいたしております。その中には今先生が御指摘になったようなことも書いてあるわけでございます。そうしますと、それぞれの方々がそれを読んでどういう御判断になるだろうか、それを世間はどう見るであろうかということは申し上げることができます。  当省として、責任がないのにあなた方責任を取りなさいというようなことを申し上げる立場にはおりませんもので、今先生の御指摘のことにつきましては、この有識者会議内容をきちんとお送りをするということにおいて、当省としてはそういうインフォメーションの提供をさせていただいておるということでございます。
  33. 米長晴信

    ○米長晴信君 在職していない人を、処分ということは仮にできないとしても、責任所在ぐらいはもっときちんと明らかに私はすべきだと思っているんですけれども。  まさに、例えば二十三ページ、二十三ページがその責任所在という部分の該当部分なんですけれども、二十三ページのこの第三者委員会の総括の中で、組織上の統括者である歴代の農水大臣、事務次官を始めとする本省幹部職員に対しても強く反省を求めたいという総括で、これを大臣、現職の石破さんが自主返納で、あと歴代の大臣何もおとがめなし、いわゆる責任を取って辞められた次官が何もやっぱりこの処分の中身に言及されていないというのは、非常に私は問題があるし、この第三者委員会の言うことを何も聞いてなかったんじゃないかというふうに思うんですけれども、これについて所感をお願いします。いかがですか。
  34. 本川一善

    政府参考人(本川一善君) この第三者委員会報告につきましては、例えばこの農薬が、汚染されていることを発見して、それを処分したときの関係者でありますとか、あるいは投書があったときの関係者でありますとか、そういう方々につきましては非常に重い責任がある、特に幹部職員責任は重いといったような書き方がなされております。それから、地方農政事務所につきましても、特に農政事務所長責任は重いといったような書き方がされております。  一方で、事務次官を始めとする本省幹部職員あるいは歴代の農林水産大臣については強く反省を求めたいというような書き方がされているわけでございまして、そういうことも踏まえまして、私どもといたしましては、非常に重い責任のある者に対しては懲戒処分、あるいはそういう強制措置、そのような処分をいたしましたし、それから、歴代の反省を求めたいとされている方々に対しては、また先ほど、今大臣が申し上げましたとおり、情報提供をして、そういう反省を求めているというようなことでございます。
  35. 米長晴信

    ○米長晴信君 ちょっと厳しい答弁だったと思いますけれども、農水省が出された処分の内容を経歴別に表にしたのが添付しているもう一つの資料でございます。該当する平成十五年から現在に至るまでの大臣以下課長さんまでの、この表の範囲内、表が重たくなるとちょっと見るのが大変だと思って、地方の分は入れておりません。あくまでも本省の部分での処分の一覧でございますけれども、これを見ると、重い処分の方もいれば軽い処分の方もいると。  先ほど、在任中でない方は処分することができないと言いながらも、自主返納であるとはいえ、この表に載っている人はやっぱり、どういう形で自主返納をさせたか分からないんですけれども、きっちり課長さん、次長さんは、退職された人もある程度、ある意味処分をされているわけですけれども、この一連の第三者委員会取りまとめ取りまとめの中身そのものもそうなんですけれども、そこからこの処分の中身に至るまでのその間が分からないと。つまり、この報告書のこの部分はだれが責任があって、これはどういう影響を招いて、これはどういうふうに、どういう理由をもって処分されたかということが個別具体的に何も分からない。  これは、第三者委員会の人にも私お話を聞くことができましたけれども、第三者委員会の方もそういう印象を持っておられるようです、一連の会議の中で。  つまり、いろんなことを指摘したとしても、これについては個別のこの人がこういうことを言ったのが原因でこうだとか、何か組織的、事実関係を認めて謝るとか、そういうことはあったんだけれども、この点についてこの人が悪くて、この人がこういう結果を招いたという具体的なこと何も明らかになっていないと。そういうことを明らかにしないままずるずるとこの肩書に該当する人だけ処分するなんという、そういうふうに国民の目には見えてしまいますので。  そこをもうちょっと細かく見ていきますと、例えばこの五ページ、五ページの部分汚染米が有毒ということを認識していながら、工業用ということで売ってしまえということで早く小口で売ることを優先させたというようなことが指摘されていて、その①、②、③、④、それにはこんな影響があったという総括ですけれども、例えば、この早期処分を優先させたのを判断した、あるいは指揮をした、これどなたが、どなたの責任ですか、この部分は。
  36. 本川一善

    政府参考人(本川一善君) この報告書指摘いただいていますのは、アフラトキシン米を処分したとき、それからメタミドホスに汚染された米を処分したときと、この二点になろうかと思います。前者につきましては、平成十六年の四月七日から平成十六年の四月二十七日、あるいは十八年の九月十四日から十八年の十一月十日、あるいは十八年の十月十六日から十八年の十二月二十一日の間にアフラトキシン米の処分についての判断がなされたというふうに私ども調査で把握しております。それから、メタミドホス米につきましては平成十八年の五月二十九日から平成十八年の十月十九日、この間にその判断がなされたということでございます。  その間に適切な判断が行えなかったというふうに私ども判断をいたしておりまして、そういうことを踏まえまして、その当時の総合食料局の幹部職員に対しまして減給という重い処分を行ったということでございます。
  37. 米長晴信

    ○米長晴信君 つまり、表でいうと岡島さん、岡島前局長がその該当者ということですか。
  38. 本川一善

    政府参考人(本川一善君) 今の事由での処分該当者につきましては、岡島、それからたしか内藤林野庁長官、それから佐藤当時の次長、それから武本当時の部長、それから現在の構造改善局の次長であります皆川次長などなどでございます。
  39. 米長晴信

    ○米長晴信君 済みません、ちょっとやっぱりこの答弁だと大分ぶれますので、さっき言った汚染米を早く処分しろという指示を出したのはだれですか。どなたが、個人名で答えてください。
  40. 本川一善

    政府参考人(本川一善君) 繰り返しになりますが、今申し上げた期間においてこの処分をするということが判断されたわけであります。そのときに、この報告書でも指摘されておりますような横流れ防止措置だとかそういうような判断がなされなかったと。そういう判断をしなかった当時の総合食料局の幹部職員を処分の対象にしたということでございます。
  41. 米長晴信

    ○米長晴信君 だから、私は在任期間の話をしているんじゃなくて、だれが指示出したという質問なんです。だれですか。個人名言ってくださいよ。
  42. 本川一善

    政府参考人(本川一善君) 当時の組織としての判断でございます。今申し上げたような幹部職員がその判断にかかわったということで、私どもは処分したということでございます。
  43. 米長晴信

    ○米長晴信君 幹部職員というのもいろいろポストがありますけれども、じゃどのポストですか。責任者は。
  44. 本川一善

    政府参考人(本川一善君) 先ほど申し上げておりますように、当時の総合食料局長、それから総合食料局の次長、食糧部長と消費流通課長でございます。
  45. 米長晴信

    ○米長晴信君 でも、そんな総括だと、それぞれ役割が違いますから何も総括になっていないんですよ。指示をまず出したのはだれですか。だれかが売れという指示を出したんでしょう。
  46. 本川一善

    政府参考人(本川一善君) その担当課長は消費流通課長でございますので、消費流通課長が判断をし、上司と相談をして組織としての決定をしたというふうに考えております。
  47. 米長晴信

    ○米長晴信君 責任所在の追及というのはそういうところから始まるんですよ。  まず、この表でいうと、退職された島田さん、この方が指示出しをされたということですね。その指示についてはどこまで容認されたんですか。どのポストまで報告があって、どういうそれについて判断があったんですか。
  48. 本川一善

    政府参考人(本川一善君) 処分につきましては、そういう汚染があったということが上司まで、局長まで報告をされ、組織全体として、そういう課長の判断を支持をするという形で、組織全体として処分をするということが決定されたというふうに承知しております。
  49. 米長晴信

    ○米長晴信君 どんどんとほかにも指摘しますが、例えば先ほど、じゃ、舟山議員が指摘されたもの、これ八ページですけれども、八ページの厚生労働省等に対して協議すべき人は立場でいうとどなたですか。  八ページの下から五行目ぐらいですね。
  50. 本川一善

    政府参考人(本川一善君) これもやはり、こういう処分に関して一義的には課で所管し、判断をするということでございますので、担当の消費流通課長のところで判断をし、協議するということであれば、その担当はそこであろうというふうに考えております。
  51. 米長晴信

    ○米長晴信君 だから、あればという仮定じゃなくて、これについてはだれだということを、そういうことを検証して、その結果、この人がこういうことを誤って判断したことによって処分するというのが処分じゃないんですか。そんな答弁をしているんだったら、この処分、もう一回見直したらどうなんですか。  全然今の、仮定の話をされても困るんですよ。この人がどういう判断したか。この人の判断のミス、個人の、つまり課長というポストにいながらそういう判断をしたという課長の個人の問題なのか、あるいはこれはこれまでの慣例からすると、どの人が就いてもこれは協議しないというその制度上の問題なのかとか、こういうのをきっちり一つ一つ詰めないと何ら解決にならないということを指摘させていただきたいんですよ。いかがですか。
  52. 本川一善

    政府参考人(本川一善君) 有識者会議報告は、前段でいろいろな御指摘をいただいております。私どもとしては、その総括がこの二十一ページ以下の責任所在という文章に表れていると考えております。ここには、二十二ページの(1)農林水産本省のアのところで、総合食料局の局部長等の幹部職員責任は次のとおり最も重いと考えられるというところで、(ア)、(イ)にそれぞれ御例示をいただいているわけでございます。私どもとしては、有識者会議で御指摘をいただいたこういう総括、これを踏まえてこういうものも参考にしながら処分を行ったということでございます。御理解をいただきたいというふうに思っております。
  53. 米長晴信

    ○米長晴信君 本当に私に理解求めても国民に対して、私質問させていただいているので、今後本当こういうことが国民の理解を得られるかどうかということなんですけれども。  さらに、もう一つだけ指摘させていただくと、十二ページの例の一月二十九日に匿名の情報があったにもかかわらず、それを事実上放置するような形でその後汚染米が流通してしまったという、ここのこの部分も非常に罪としては重いと思うんですけれども、例えばそれを受けた当時の担当者、責任者はどなたですか。
  54. 本川一善

    政府参考人(本川一善君) 通知を受けたのは関東農政局の東京農政事務所で受けたわけでございますが、その報告を受けている農林水産本省の担当は消費流通課長でございます。
  55. 米長晴信

    ○米長晴信君 これも時期と照らし合わすとやはり島田さんということになりますか。こうして見ると、島田さんの比較的登場回数が多くて、しかもやった中身は非常に私は重たいというふうに思うんですけれども、この島田課長はじゃ例えばどういう判断をされて、それでどこが悪いというふうに今判断をされておられますか。
  56. 本川一善

    政府参考人(本川一善君) 島田課長につきましては、先ほども有識者会議報告書二十二ページにあります農林水産本省の責任の中で最も重いとされている(ア)、(イ)でございますけれども、この両方にかかわっているということでございます。  そういうことも踏まえまして、この有識者会議報告書も踏まえて私どもとしては当時お話を申し上げて、既に退職をしておりますために国家公務員法に基づく懲戒処分の対象にすることはできませんけれども、同元課長から自主返納したいという申出がございましたので、減給という重い処分に相当する額について返納の手続を進めているというような状況でございます。
  57. 米長晴信

    ○米長晴信君 この島田さんにはどういうお話をされたんですか。確認をされたんですか、この島田さん、当時どういうことを話してどういう指示を出してどういう。調査をされたんですか。
  58. 本川一善

    政府参考人(本川一善君) 当然、調査をいたしております。
  59. 米長晴信

    ○米長晴信君 であれば、この報告書を受けてこの処分があるのだったら、島田前課長は、これについてはこういうことをした、これについてはこういうことをした、まあこの方は退職されているから処分の中身はこちらからは決められないとしても、そういうことを一つ一つ詰めていかないと、この処分というのが本当に薄っぺらいといいますか、本当に肩書で区分けして、どういう、だれが何をやった罪、罪といいますか処罰でこういう位置付けをされたのかが全く分からない。  では、逆の質問をさせていただくと、この表で例えば食糧部長のところ、これ、丸、三角、丸、三角と、非常に処罰が、処分が違うんですけれども、例えば一番最初の武本元部長、この方は何で高橋さんより重い処分になっているんですか。
  60. 本川一善

    政府参考人(本川一善君) 武本部長は、先ほど私申し上げました日付については繰り返すことはいたしませんが、アフラトキシン米とメタミドホス米を処分をするときの判断をしたその判断をする期間がございまして、その処分期間に食糧部長をしておったということで処分対象になっているところでございます。
  61. 米長晴信

    ○米長晴信君 もう余り時間もないので、この一連の質疑を受けて、何が言いたいのか本当に大臣はお分かりになったと思いますけれども、しっかりとこの報告書指摘されている責任部分のやっぱり責任所在というのを、個人なのか組織なのか。今は、どちらかというとこれは組織の問題だった、組織の問題だったということでむしろ全体像が逆に見えなくなってきているという部分がありますので、もう一度これを検証していただいて、この部分はこの人がこういう発言をしている、やっぱり個人の責任だったとか、もうちょっと個別に、どういう部分が悪かったのか、あるいはそれが法令あるいは何か内部規約に、どういうものに抵触していたのかとか、それぞれの人がどういう問題があったのかということをセットで発表していただいて、それで処分ということを公表していただかないと、この報告書と、公開で行われてまとめられた報告書とインターネットでも公開されている農水省の処分と、この点と点の線が見えないんです。それをしっかり改めてまとめていただきたいというふうに思うんですけれども、一連のこのお話、所感をちょっとお願いします。
  62. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 処分は既に行ったものでございます。また、いかなる理由でこういう処分をするかということは、私から処分を言い渡したものもたくさんございますので、かくかくしかじかこういうわけでという文書を今から変えるというのは、遡及することができませんので、それは難しいと思っております。  ただ、先生がおっしゃるような問題意識を私は実は持っていまして、結局、だれかが責任取るということで実は事の本質が見えなくなっちゃうということはあるのだと私は思うのですよ。  ですから、どういう理由でこういう処分が行われるのかということは、これから先、組織改革を行います、私ども。先ほど申し上げた中に、総合食料局あるいは本省の食糧部、出先の食糧部を含めてもう一度組織改革を行います。そのときに、一体だれがどのような責任があるのか、どうしてこのようなものに違背したのかということをよく考えなければいけません。そうでなければ組織改革になりませんので。  先生の今の御指摘のようなことは、これから組織改革の中で、だれがどのような責任を負うべきなのか、そしてそれが立場上なのか、それともその人が注意が足りなかったのか、通常の注意をもってすればそういうことは避けられたとすればその個人の職責、個人に帰するべきものなのですね。そこは議論の過程で今先生がおっしゃったようなことを生かしていきたいと思いますし、生かさなければ組織改革って実はできない、いわゆる組織いじりというものに堕してしまうというふうに思っております。  ですから、繰り返しになりますが、かくかくしかじかこういう理由でというのは今からひっくり返すことはできません。そこは御認識をいただきたいと思います。ただ、先生の御指摘のようなことをちゃんと踏まえなければ組織改革ができませんので、今後またこういう議論の過程でだれがどのような責任を負っておったということを明らかにして、組織改革に臨みたいと思っております。
  63. 米長晴信

    ○米長晴信君 この第三者委員会取りまとめはあくまでも十五年以降に政府が汚染された米を流したルートに絞ったものであって、これ今後も続きますので、今後はそういう位置付けで是非やっていただきたいというふうに思います。  今日は警察庁の方にも来ていただいていまして、改めて今度は風評被害の部分について、もう時間短いんですけれども、改めて警察庁の方には、今、三笠フーズ、もう告発されていますけれども、これの捜査状況、恐らくお話しになれないと思いますけれども、今大体どんな事件として捜査しているのかというのをちょっとお教えいただけますか。
  64. 井上美昭

    政府参考人(井上美昭君) お尋ねの件につきましては、三笠フーズ株式会社がベトナム産ウルチ精米の事故米をあたかも日本国内で生産された精米であるかのように表記をし、商品の原産地について誤認させるような表示をして販売、譲渡した不正競争防止法違反事件につきまして、九月十一日に熊本県警察において九州農政局長から告発を受理をいたしまして、大阪府警、福岡県警及び熊本県警による合同捜査本部において関係先を捜索する等、現在鋭意捜査を進めているところでございます。
  65. 米長晴信

    ○米長晴信君 関係先の捜索ということですけれども、これ複数の者に対してと。三笠フーズ以外の者はいかがですか。
  66. 井上美昭

    政府参考人(井上美昭君) 個々具体の事案の内容につきましてはちょっと御答弁を差し控えさしていただきたいと、かように思います。
  67. 米長晴信

    ○米長晴信君 事件自体は捜査中ということもあって公にできないということですけれども、これ要は、前回委員会でも指摘させていただいたけれども、これ善意の被害者とあるいは悪意があった被疑者という位置付けがやっぱりあいまいなまま今に至ったという点は申し上げたと思うんですけれども、時間がないので本当一点に絞って、これ風評被害を招いて、それに百五十億円の予算を取って経営支援に当たるという動きになっておりますけれども、そもそもこの公表をしたこと自体が、先ほど汚染米の処分について、安全だけど安易だなんていうことがありましたけれども、ここも同じようなことが言えて、一見公表して国民に安心というふうに見えるけども、一方でそれによって全然関係ない人が風評被害に遭ったということですけれども、前回、九月十六日に発表したときの公表する業者、これはどういう業者を公表したのかという定義をお願いします。
  68. 町田勝弘

    政府参考人町田勝弘君) 公表のときの主たる目的といたしまして、食品の危害発生の防止によります消費者の健康保護にあるということから、食品衛生法の考え方に即して判断するのが適当でないかというふうに考えたわけでございます。  具体的に申し上げますと、アフラトキシンや基準値を超える残留農薬が含まれている米及びこれを原料とする製品の販売につきましては食品衛生法違反しておりますことから、それを仕入れて販売している事業者、それにつきまして事業者名をすべて公表するとしたところでございます。
  69. 米長晴信

    ○米長晴信君 時間がないので、もう質疑の形でなくて最後意見を申し上げて終わりますけれども、これ公表をやはりする基準というのが、一回扱った業者かどうかというだけじゃなくて、公表する理念として、これは一刻も早く公表するからには国民が安心、安全かどうか、そう思えるかどうかというのが、そういう情報であるか否かという部分なんで、つまり本来は公表すべきは末端の一般消費者が出入りするような小売店ですとかレストランだとか、そういうところは公表対象としてあり得る。  つまり、そういう情報を提供することが今回の公表のするしないという判断理由であって、例えば中間の流通業者で全量が行き先が分かっているようなところとか、そういうところは必ずしも僕は公表する必要はなかったんじゃないかと。公表する基準といいますか、こういう情報を国民に今の段階で公表することが今の国民の利益にかなうというような形でしっかりやらないと、無用なところを公表して、その結果、百五十億の補てんをしなきゃいけないということになると思いますので、そこら辺をきっちり今後対応していただきたいというふうにお願いを申し上げまして、質問を終わります。
  70. 亀井亜紀子

    亀井亜紀子君 民主党・新緑風会・国民新・日本亀井亜紀子でございます。  事故米穀について今回初めて質問をさせていただきます。ただ、今までに多くの委員がこの事故米穀に関してはいろいろな角度から質問をされておられますので、私は、今日は主に今後のことについて、いかにしてこのような事件を起こさないようにするかという視点に立って質問をさせていただきます。  今までこの委員会での質疑応答を聞いておりまして、この事故米について、これは消費者の口に最も入ってはいけないものが出回ってしまったわけですけれども、そうではない偽装もきっとあるだろうという、そういう疑いの念を強く持っております。例えば飼料米として引き渡されたものが食用に回っていたり、例えばミニマムアクセス米の米粉が最後国産の米粉として販売をされていたり、このような偽装も十分にあり得るのではないかと、そういう感想を持ったのですけれども、農水省として、そのような疑問、今後追跡調査をしていこうという、そういった取組は考えておられるのでしょうか。まず質問いたします。
  71. 町田勝弘

    政府参考人町田勝弘君) お答え申し上げます。  米につきましては、用途別の価格差や外国産米国産米との価格差などがございます。御指摘のような不正規流通もあり得るというふうに考えております。  過去に用途を制限して販売した事例を今出していただきましたが、そういったことについて追跡調査を行わないのかということにつきましては、いわゆる事故米穀もそうでございましたが、数年前にもう販売してしまって既に消費されているということについては書類等も残っていないということで、追跡を行うというのはなかなか難しいんじゃないかというふうに考えております。  したがいまして、今後、今回の事案を反省いたしまして、こういうことが二度と起こらないように、先ほど言っていただきましたが、再発防止に向けました検査体制の強化ということで厳格なマニュアルを作り、これに基づき検査を行っていくということを徹底してまいりたいというふうに思っております。
  72. 亀井亜紀子

    亀井亜紀子君 その追跡調査の厳格なマニュアルの中身についてですけれども、どのような内容で検討されているのでしょうか。  私もこれどのように防止したらいいのか、自分の頭で考えてみましたけれども、やはり政府が米を引き渡した後、何社を、幾つの会社を経由して消費者の口に届くのか、ある程度やはり把握をしていく必要があるんじゃないかと思ったんですね。  三笠フーズ事件のときに、これはもう大きな事件になりましたから、警察の捜査も入り、ある程度その概要は分かってきています。そして、この委員会の答弁において、三笠フーズに引き渡された米が次の業者に対してどの程度の価格で販売されたか、何倍の値につり上がっていたかということは、たしか米長議員の質問で明らかになったと記憶しております。ただ、その先についてはやはり分からない、また捜査中であるのでということで、その先については分かりませんでした。  この三笠フーズの件はもう事件になってしまった、不正があった場合ですけれども、やはり隠れているものがあると、やはり性悪説に立ってですね、あり得ますし、そもそも今後追跡調査をしていくときに、A社からB社、B社からC社、その間にどのぐらい値がつり上がっているか、どの程度マージンを取っているかというような商売のこともあるので、なかなか政府が聞いたからといって公開はされないだろうと思うんですね。ただ、それでも、幾つの会社が介在をしているのか、その数が分かれば少しはこれは怪しいぞというヒントにはなるのかもしれないと思ったんですが、その追跡調査の方法として、今政府で、農水省でどのようなことが検討されているのか、教えていただけますか。
  73. 町田勝弘

    政府参考人町田勝弘君) お答え申し上げます。  今回の事案の反省の上に立ちまして、大変流通ルートの特定に時間が掛かってしまいました。そういったことを踏まえまして、いわゆるトレーサビリティーのシステム整備したいということで今検討をいただいておりますし、専門家の皆様に検討をいただいておるところでございます。  具体的に申しますと、お米ですとかその加工品あるいは調製品につきまして、それぞれ取扱い業者さんがおられます。入荷時、出荷時にどういったものを取り扱ったか、品名なり数量なり年月日、そういったことを書いていただいて記録をしていただく、それを保存していただくということで、何か問題がありましたらばすぐそのトレースをできるようなそういった体制構築をして事態の迅速な解明を行っていきたいというふうに考えております。
  74. 亀井亜紀子

    亀井亜紀子君 何か問題があってからでは遅いんだろうと思うんですね。ですから、BSEもそうですけれども、サンプル調査をしたりしていますよね。ですので、米に関してもやはり抜き打ち検査をする、疑わしきをまず見付けるという、それが追跡調査の大事な部分ではないかと思いますけれども、そういう視点での方法というのは今議論されているんでしょうか。
  75. 町田勝弘

    政府参考人町田勝弘君) お答え申し上げます。  今回のこれも、事故米問題反省いたしまして見直し検査体制見直しということを行っているところでございます。  具体的には、これまで契約に基づく任意調査であったということにつきましては、食糧法五十二条に基づき強制力のある立入検査を行うということ、また、検査の際には通告をしないで抜き打ちでやるということ、検査の相手の販売先まで追跡をする。先ほどお話がありましたような飼料用のお米でしたら、解袋所、袋をほどくところでございますが、そこに行きまして終日立会いを行うといったマニュアルを作りまして、まずこれに基づきまして厳格なチェック、監視体制をしくということでございます。それに併せまして、先ほどのトレーサビリティーシステム、そういったものを併せましてそういうきちっとした適正流通確保を図ってまいりたいというふうに考えております。
  76. 亀井亜紀子

    亀井亜紀子君 今回の事故米の事件が起きたその原因ですけれども、やはり私は二〇〇四年の規制緩和が一つのきっかけになったのではないかと思っております。このときに登録制が届出制になったわけですけれども。  あのときはどういう背景で、なぜ規制緩和をしたんでしょうか。そして、今あれはやはり間違いだったと、そういう認識がおありでしょうか。また今後、規制を強化していく、そういうことは検討されているのでしょうか、これは大臣にお伺いしたいと思います。
  77. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 私は、規制緩和をやったのでこんなことが起こったという直接の因果関係にはないんだろうと思っています。きちんとチェックをすればこれは防げたものでございますので、規制緩和を行ったからこんなことになったのだ、だから規制を強化すればいいのだ、極端な話、元の食管制度に戻ればいいのだというお話にはならないんだろうと。それは逆に私どものエクスキューズになっちゃうと思っておりましてね。  だから、そこはもうお米の多様なニーズというものが出てきた、私ども食管法の時代を知っておりますから、あのときの流通の在り方消費者ニーズにいかにこたえないかということがやっぱり改善されなければならない。ですから、昔は米穀通帳なんぞというものがあって非常に規制をされておったのが、今はいろんなお米がいろんな値段でいろんなところで売られるようになった。私は、この規制緩和の意味というのは大きなものがあるというふうに思っております。ですから、これを変えるということは今考えておりません。届出制というものも維持をしたいと思っております。  ただし、さはさりながら、これから先、トレーサビリティーというものを厳格にする、それぞれの責任というものを明らかにする、先ほど来局長が答弁をしておりますとおりでございますが、あるいは私どもの検査体制も厳格にする、そういうことをやっていくのが必要なんだろうと思っております。もう一つは、答弁の中で申し上げましたが、やはり外米と国産米、あるいは食用米とそれ以外のもの、そういうようなのを、ある意味自由であるとはいいながら、よろしからざる利ざやビジネスみたいなものが起こる可能性はございますので、その辺りを私どもよく実態を把握をしてやっていきたいというふうに考えております。  いずれにいたしましても、私どもとして、検査体制をきちんとすること、これは確保していかねばならないというふうに考えておりますし、それから出荷・販売業者が遵守すべき事項、これも定め、そしてまた、定めただけでは駄目で、これを守らせるための担保措置、そういうものも徹底してまいりたいと考えております。
  78. 亀井亜紀子

    亀井亜紀子君 大臣の御見解として、二〇〇四年の規制緩和は、そのこと自体は間違いではなかったと、そのこと自体が今回の事件に結び付いたことではないという御認識だと理解をしておりますが、それであるならば、逆に規制緩和をして良かった点、今振り返ってどういうことがあるのでしょうか、もう一度。    〔委員長退席、理事平野達男君着席〕
  79. 町田勝弘

    政府参考人町田勝弘君) 大臣からも御答弁がございましたように、非常に消費者ニーズが多様化しております。そういった中で、規制緩和によりまして多種多様なお米が流通するようになり、それで消費者ニーズにこたえられるというようなこと、これが一番大きなメリットだというふうに考えております。
  80. 亀井亜紀子

    亀井亜紀子君 この委員会のやり取りの中で、なぜ三笠フーズという、そのフーズという名前が付いたいかにも食品を扱いそうな会社に対してなぜ米の取扱いを許可したのかと、疑わなかったのかというような趣旨の質問がありまして、その答弁を聞いておりましたら、私の理解ですけれども、基本的に米粉を取り扱っている会社は工業用のりに加工するであろうと、そのように推測をして届出を疑わなかったと。  ですから、私は米粉を扱っている会社は簡単に米を扱えるようになったのだという理解をしたのですけれども、それは正しいでしょうか。そして、その基準というのは見直す予定はありませんか。
  81. 町田勝弘

    政府参考人町田勝弘君) 委員指摘のとおりでございます。米を工業用のり、これは合板接着剤の増量剤でございますが、これとして使用するためには米穀粉に変形加工する必要があるということから、この事故米穀工業用のりとして販売するに当たりましては、のり用の米穀粉の製造業者にも買受け資格を与えてきたところでございます。  しかしながら、今御指摘いただきましたように、今回の三笠フーズのように米の販売を行っている者もおりまして、こうした食品を扱う、事業を兼ねている者に買受け資格を与えないといった横流し防止措置を講ずべきだったと深く反省をしているところでございます。  また、この事故米穀につきましては、今後、工業用に販売するということは考えておりません。
  82. 亀井亜紀子

    亀井亜紀子君 事故米穀について今後の取組ですけれども、本国に送り返すか、あるいはほとんど廃棄になるであろうということですが、日本に到着時点で事故米ではなくても、倉庫に眠っている間に事故米になっていくものがあるわけですよね、カビが生えたり。そのように一度倉庫に入れた後に発生していく事故米について、これは今後どのように処理をされるのでしょうか。また、事故米を事故米として適正に処理している業者というのも恐らくあるのではないかと思いますけれども、そういった業者が大体幾つぐらいあって、現在どのようになっているのか教えていただけますか。
  83. 町田勝弘

    政府参考人町田勝弘君) 事故米穀につきましては、食用への横流しが生じたことを反省いたしまして、今後、事故米穀を流通させないということでございます。    〔理事平野達男君退席、委員長着席〕  御指摘いただきましたように、輸入検疫で食品衛生上問題があるとされたものにつきましては、積み戻しで輸出国等へ返送する、また廃棄物としての処理と、いずれかの方法により処理するということをきちっと契約に明記したところでございます。  また、お尋ねの輸入した後に国の在庫保管中に食品衛生法上の問題が生じた場合でございます。これにつきましても廃棄処分にすることといたしまして、事故米穀を流通させないとしたところでございます。  また、事故米穀工業用のりとして買い受けた社につきまして、使用目的どおり使用されていたかどうかと、これにつきましては、三笠フーズ発生を踏まえまして一斉点検を行ったところでございます。十六社ございまして、ちょっと今、済みません、すぐ手元に資料が出てこないんでございますが、目的どおり使用されていたというふうに確認されたものが十社程度はあったというふうに思っております。また後ほど補足させていただくかもしれませんが、ということで、使用目的どおり使用されていたものもあったということでございます。
  84. 亀井亜紀子

    亀井亜紀子君 それは、例えば倉庫内で事故米に今後なってしまったもの、それの取扱いですけれども、今まで適正に事故米穀を処理してきた、工業用のりに加工してきた十社ですか、その十社に対しては今後発生する事故米を販売していくのか、それとも廃棄して事故米が一切もう市場に出回らなくなるのか、そのどちらなんでしょうか。
  85. 町田勝弘

    政府参考人町田勝弘君) 今回の事故米の発生を反省いたしまして、消費者の方が不安を感じることのないようにするというには、まずは食品衛生法上問題がある事故米穀につきまして国内流通する可能性を断つということが基本だということで、事故米につきましては廃棄処分とすることとしたところでございまして、したがって現時点で事故米穀を工業用に販売することはいたしておりません。  ただ、先ほども御答弁させていただきましたが、この事故米穀が完全に国内流通が断てた場合に、事故米穀の利用といったことについての検討ということは、そういったことができ、またコスト的、あるいは技術的、安全上問題がないというようなことがどうなのかといったことについては、まず断つことが基本でございますが、今後の検討課題といいましょうか、そういうふうに考えております。
  86. 亀井亜紀子

    亀井亜紀子君 この問題の根本は、そもそも事故米穀の需要がどの程度あったのか、その需要の予測を政府が間違っていたわけですけれども、工業用のりの需要が少ないけれどもあって、今後もあり続けるのか。この適正に処理していた十社というのは、今後もある程度の量を必要とするのか。つまり、需要予測の計算の仕方を見直すべきであって、すべての今後国内で事故米と化す米を廃棄すべきなのかどうか。それは、先ほどの舟山委員質問とダブるわけですけれども、どのようにお考えですか。
  87. 町田勝弘

    政府参考人町田勝弘君) この工業用のりの需要につきましては、去る十一月十三日の米長議員の御答弁でもおわびしたわけでございますが、私が九月時点で申し上げました需要の見方というのは大変甘かったということでございます。これは改めておわびをしたいというふうに思っております。  その五年間で、調査の結果、販売いたしましたのが六千五百四十六トンでございました。その中で千九百七十二トン、これが確認されて工業用として使われたものでございます。  現在、事故米穀につきましては、工業用のりとしての販売はいたしておりません。したがいまして、これらを使っていた方というのは、他の代替となるべき工業用のりの増量剤、例えば小麦ですとかでん粉ですとか、そういったものを今お使いになっているというふうに承知をしているところでございます。  今後の有効活用の方策ということにつきましては、繰り返しになりますが、今後検討してまいりたいというふうに考えております。
  88. 亀井亜紀子

    亀井亜紀子君 時間がなくなってきたので、次の質問に進みたいと思います。  今後のいわゆる追跡調査についてのまた質問なんですけれども、私はこれを消費者庁の創設と関連付けて質問をしたいと思います。  今、消費者庁の設置法案が衆議院の方に出ておりますし、今の内閣は基本的に消費者庁を設置すべきであると、それに前向きだというふうに、担当大臣もおられますし、私は理解をしております。そして、この消費者庁の設置に向けて活動している市民団体もたくさんあります。私も集会に行ったことありますし、意見は聞いております。ただ、私もまた国民新党も、この消費者庁を設置すべきかということについて結論を出しておりませんで、やはり大事なのは中身なんだろうと思います。  今、食の安全、例えばウナギの産地偽装の事件があったり、事故米穀のこともあったり、中国産の農薬入りギョーザの事件もあったり、この食の安全への信頼が揺らぐ中で、消費者庁への期待感というのはある程度国民の中にはあるのかもしれません。ただ、それは農水省に代わって消費者視点からしっかりと追跡調査をして、安全なものが確実に市場に出回るようにしてほしいと、そういった機能を持つものでなければやはり設置する意味がないんだと思うんですね。  先ほど私は、米なら米を引き渡した後、何社を経由して消費者の口に行くのか、どこに行ってしまうのかという追跡をすべきではないかと、そのように申し上げましたが、その部分を農水省が、今は手いっぱいであると、新たにそれは発生する仕事であって、そこまでの余裕はありませんということであるならば、消費者庁の方がそこの部分を受け持って追跡を専門にやるということもあり得るんだろうと思います。  また、農政事務所の廃止について、基本的に廃止の方向だという報告書もありましたけれども、これも発想としては、何回も事故米に関して立入調査をしたのに見付けることができなかったと、そんなものはあっては意味がないからこの際廃止してしまえというような、そういう乱暴な議論なのかもしれないと思っております。  ただ、まあそれだけではないのかもしれませんが、消費者庁が本気で追跡調査をもしするつもりがあるのであれば、もしかしたら出先機関は必要かもしれません。従来の農政事務所を消費者庁が使って、例えば告発があった場合にすぐにその対応をするというようなそういう役所になる可能性もあるわけで、私は、これは農水省と内閣官房審議官、両方にお伺いをしたいのですが、農水省側としてどのような役割を消費者庁に期待をされているのか、どういうものを、仕事を引き渡すことができるか、また消費者庁側としてはどこまで追跡調査なり取り組む姿勢があるのか、どういったイメージの庁をつくろうとされているのか、教えていただけますか。
  89. 佐藤正典

    政府参考人佐藤正典君) 御説明を申し上げます。  農水省と消費者庁の関係でございますけれども、消費者行政につきましては、消費者あるいは生活者の視点に立ちまして、便利で分かりやすく消費者からの相談に迅速に対応するなど一元的な消費者行政実現することが重要であると考えておりまして、消費者庁を設置することが必要とまた考えているところでございます。  食品表示につきましてでございますが、JAS法あるいは食品衛生法、健康増進法といった関係法律を横断的に消費者庁が所管することになります。したがって、一元的に制度の企画立案を行うことができるようになりまして、より効果的な行政対応が可能になるのではないかというふうに考えております。  それからまた、実際の事業者に対しますJAS法の品質表示に関する取締りにつきましては、立入検査とか報告徴収とか改善の指示などございますけれども、消費者庁と農水省両方がそれぞれ行うことができることになりますけれども、農林水産省は、食品の生産、流通を所管する立場から、専門的知識を活用するとともに、地方組織に配置されております食品表示Gメンによりまして適切かつ機動的な取締りへの貢献を行うことができるというふうに考えているところでございます。  また、こうした際にも、消費者庁が司令塔機能ということで省庁間で適切な分担が図られますよう効率的、効果的な行政対応が図られるような対応をしていただける、また私どももしっかりとした連携を取っていかなければならないというふうに考えているところでございます。
  90. 福富光彦

    政府参考人福富光彦君) 消費者庁が創設されますと、ただいま農林水産省の方から御説明ございましたように、消費者の安心、安全を確保するために、消費者庁が司令塔となりまして政府一体となった迅速な対応が図られることになるというふうに思っております。また、再発防止の観点からも消費者庁が中核となった役割を果たすという二つの点があると思います。  具体的には、まず個別の対応の問題でございますが、消費者庁は地方の消費生活センターあるいは関係行政機関から情報を集約いたします。さらには、公益通報制度あるいはJAS法によります申出制度、こういったものを活用いたしまして問題の早期発見に取り組むこととなります。  次に、消費者庁は、この集約された情報を迅速に公表いたします。消費者行政の司令塔として政府全体の調整を速やかに行い、迅速な実態把握あるいは対応方針の決定を行うこととなります。  また、個別の事案に対しまして、自ら所管する法律に基づき対応することはもとよりでございますが、他の省庁が所管する法律につきましても、必要があると判断する場合につきましては、新しい法律でございます消費者安全法に基づきまして、当該省庁に対しまして行政処分等の措置要求、あるいは当該省庁に対しまして立入調査の要請といったものを行えるようにいたしております。  さらに、既存の法律によって対応ができない、今回の事故米はこの対象ではないかもしれませんが、いわゆるすき間事案と判断される事案につきましては、消費者庁自らが事業者に対しまして必要な立入調査あるいは重大事故に関します行政処分、こういったものを行えるということで、消費者庁が司令塔となって個別の事案発生に対応して速やかに政府を挙げて対応ができるという体制が講じられるようになるというふうに考えております。  また、再発防止策の策定に関しましては、例えば御指摘の食の安全分野につきましては、食品安全基本法といったものを消費者庁自ら所管しております。リスク管理体制見直しなどを消費者庁が中核となって取り組んでいくということになるかと思います。  以上です。
  91. 亀井亜紀子

    亀井亜紀子君 それでは、消費者庁が自ら追跡調査にかかわったりということではなくて、いわゆる内閣の調整係として司令塔の役割をして、いろいろな役所に、あれをしなさい、これをしなさいと、その調整機能だけというイメージでよろしいわけですね。私はそういうふうに理解をいたしました。  時間がなくなってきましたので、最後、質問WTOに関して一言大臣に御質問をしたいと思います。  前回会合のときに、インド、中国がかなり反発をして、そして会合が決裂したという状況がございます。そして、先日、アメリカでG20ですか、ありまして、その後、やはり保護主義に走らないようにと、今回の金融危機をきっかけに保護主義に走らないようにというような各国の合意があって、そして急にWTO交渉も何とか年内に妥結、合意しましょうというような、そういう動きが生まれてきたように私は取っているんですが、その中でインドは参加をしないというふうに、今、先日そのように報道されておりまして、世界の国に非難されようともやはり自国の農民を守らなければいけないと、国益を守るために参加はしないというふうに、そういう表明をして、今後、この先、まさにこの数日間でしょうけれども、どうなるか分かりませんが、このインドの姿勢について大臣はどのようにお考えでしょうか。  つまり、今まで、若林大臣にもお伺いしたんですが、このWTO交渉が始まったときと今では世界の食料事情が変わっていて、そして今まで食料輸出国の論理一辺倒で行われてきたこのWTOにおいて輸入国の論理をもう少し入れたらいいのではないか。輸出規制を一方的にする国があるわけですから、その中で、その輸入国の論理というのを今こそ強く主張して方向転換をすべきではないでしょうかということを申し上げましたら、若林大臣は、国際交渉というのは積み上げていくものだから、前回終わったここから始めなければいけないので、そう戻るということはできないんだという、そういう御答弁だったんですね。  そういった環境の中で、インドはもうかなり強硬に、ならば参加しないぞというぐらいの姿勢を見せているわけで、そこから学ぶべきものというんでしょうか、インドを孤立させない、中国も頑張っていますけれども、そういったお考えというのはないのか、そのWTO交渉に臨む大臣の姿勢についてもう一度お伺いしたいと思います。
  92. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 私、先ほどの舟山委員の御指摘、答弁要らないというお話でしたのでお話だけ承ったのですが、随分と共感するところが多かったのですよね。つまり、輸出国は自分の国も食べられないのに何で外国へ出すんだというのは、実に当たり前のお話なのですよ。ですから、輸出国輸出規制をさせないようにといっても、それはそれぞれの国の、食料主権という言葉を仮に置くとすれば、まあこれも議論のあるところですけれども、そこまで、自分の国も食べられなくても出せというような話にはならないわけですね。  そうすると、輸入国としてどうやって自給体制というものをきちんとつくるかという話と、関税をどんどん下げてもいいというお話はなりませんぜということをやはりWTOの場でちゃんと言うというのは私は大事なことなんだろうと思っています。  若林元大臣がおっしゃいますように、これは私も痛感をしているんですけれども、ここまで積み上げたんだ、ここまであなた方いいと言ったよねということがありまして、我が国は何しろ、結局WTOごとに出る大臣がみんな違うという有様でありまして、ここどうするんだ、おまえの前の大臣こう言ったじゃないかという話であって、いえいえ、私は考え方は違いますというようなことにもなかなかならぬわけでありますよ。  ただ、私が冒頭申し上げたように、やっぱり輸入国、理由はみんな違うんです。日本が自給率が低い理由とアフリカ諸国が低い理由は全然違いまして、ここで共闘しようよと言っても難しいところはあるんですけれども、輸入国同士で、G10とかいろんなものがありますが、やはり共に手を携えて議論をしていくということは必要なんだと思っております。  インドに学ぶべき点というのはあるんですが、私は安全保障の仕事を長くやってきて、もうインドの安全保障政策というのと日本の安全保障政策、全然違うわけですよ。向こうはもう核兵器持つんだと、こう来るわけですね。ですから、それは国々によってそれは違います。  ただ、私どもとして言えることは、本当に輸入国の論理というものをきちんと伝える、そしてそれを国内においても理解をいただくということが大事だと思っておりまして、国際交渉というのは、とにもかくにも国内の支持、世論の支持というものがなければこれはもう闘うことができません。ここの点において与党、野党の違いなんて余りあるとは思っておりませんので、どうか更に深い御議論をいただき、委員会としても御支援を賜りたいと、このように思っておるところでございます。
  93. 亀井亜紀子

    亀井亜紀子君 以上です。
  94. 平野達男

    平野達男君 平野達男でございます。  今日、汚染米中心議論をしておりますけれども、もう一つ大きなテーマとして農林中金の問題がございます。私は、質問通告とはちょっと順番を変えまして、先にこの農林中金の話、テーマから入らせていただきたいと思います。  農林中金につきましては、もう御承知のように、農協が行っている信用事業、農協が集まってきた資金で運用できないものについては信連、信連でも運用できないものについては農林中金というところに預け金という形でお金を預けまして運用する。そして、その運用益の一部を信連若しくは農協に還元する形で系統全体の信用事業が成り立っているという、簡単に言えばこういう構図になっているわけであります。  そこで、大臣にお伺いしますけれども、私はこの農林中金というのは、普通の銀行、銀行法で言う銀行などと比べますと、かなり特殊な形態の金融機関ではないかという認識を持っておりますが、大臣はどのような認識をお持ちでしょうか。
  95. 石破茂

    国務大臣石破茂君) JAバンクと申しておりますが、最近は。まあ愛称ですが、普通の金融機関とはかなり異なると思っております。それはやはりそれぞれの根拠法令に何と書いてあるかということにさかのぼって考えてみるべきなのだろうと思っておりまして、すなわち、「農業協同組合、森林組合、漁業協同組合その他の農林水産業者の協同組織を基盤とする金融機関としてこれらの協同組織のために金融の円滑を図ることにより、農林水産業の発展に寄与し、もって国民経済の発展に資することを目的とする。」と、これが農林中央金庫法第一条に書いてあるわけですね。つまり、この第一条に沿って運営がされておるのが農林中金なのであって、それは民間の金融機関とおのずから異なるところがなければおかしいのだというふうに考えるべきだと私は認識をいたしております。
  96. 平野達男

    平野達男君 そういう法律の目的が違うというのはこれは当たり前ですよ、農林中金法という法律があるんですから。片方では銀行法という業法があるんですから。実際の金融機関としての形態として見たときに、私はもう農林中金はかなり投資銀行的な性格が強いというふうに思っています。  投資銀行的な性格が強いといっても、アメリカで騒がせたような、例えば高い、ハイレバレッジを利かせて資金運用するというようなことはやっていません。きちんとした自己資本比率を保って、一二・五%でしたか、つい最近の自己資本比率。今多分下がっていると思いますけれども、その範囲内で運用するという意味においては銀行法で言う銀行の業に近い、それから国際的な自己資本規律もきちっと守っている金融機関だと思うんです。  しかし、先ほど言ったように、貸出しではなくて投資銀行的性格が強いということが一つの大きな特徴なんだろうと思います。しかも、その投資的性格が強いということが、国内の証券を買って運用するということではなくて、ここに来てかなり海外のかなりリスクの高い証券にも手を出して資金運用しているということだと思います。  かつては農林中金は機関投資家として、今でも機関投資家なんですけれども、例えばインターバンク市場で資金運用をしてかなり利益を上げていたという時期もありました。ところが、もう今は御承知のようにインターバンク市場は政策金利が〇・二五%ということで〇%近くに張り付いていますから、もうほとんど利益が出ないという状況だろうと思います。  そういう中で、投資銀行的性格も持った中金は、より高いリターンを求めて証券でありますとか、繰り返しになりますが、証券、特にCDOなんというのは随分議論になりましたけれども、そういったものに資金の運用先を求めていっているという、こういう特徴があるんだろうと思いますが、大臣、こういった見解についてどう思われますか。
  97. 石破茂

    国務大臣石破茂君) そういう特徴はあると思っております。ですからそれが、私はさっき長々と金庫法を読みましたが、要は協同組織のために金融の円滑を図るのだと、そのためにはどういうような運営をしたらいいのだということなのだろうと思っております。  ですから、安全確実、ローリスク・ローリターンみたいなお話で本当にいけるかということはあるんでありまして、これは他の協同組織中央金融機関、すなわち農林中金以外の信金中金あるいは全信組連あるいは労金連、こういうものにおきましても同じような運営がなされているというふうに承知をいたしております。  ただ、じゃハイリスク・ハイリターンでいいのかというとそういう話には全然なりませんので、どうやってリスクを極小化しながら、ローリスク・ハイリターンという世界があるとは私は思いませんが、どうやってリスクを極小化しながら高い利益を得て、そしてそれを組織のために使っていくかという観点は、私は当然農林中金というような組織においてはあり得る形態であるし、あるいはそこの安全というものをどのように確保するかということによく細心の配意をしていかねばならないものだと思っております。
  98. 平野達男

    平野達男君 私、今の見解にも若干ちょっと違った見解を持っていまして、元々協同組合組織ですから、互助組織です。金融も、だれかが預かったお金をだれかが借りて運用するというのは基本なんです。ところが、今農協は、八十一兆の金集めて、六十兆ぐらいを今農林中金で運用しています。だから、その互助組織という観点からすれば、まず私は範囲をかなり逸脱していると思います。  それから、ちょっと話はそれますけれども、農林中金につきましては、もう組合員だけじゃなくて準組合員というのがいまして、そういう人たちのお金も入ってきているということで、当初のもし目的という規定を言われるんであれば、その目的規定で想定した中身と今の運用実態の中身にはかなりの差があるというふうに思っています。  その上で申し上げなくちゃならないのは、農林中金はある意味においては、何というんでしょうか、日本の金融の持つ矛盾と言ったらなんですけれども、それをしょっているところもあるんだろうと思うんです。  何を言いたいかといいますと、田舎には郵便局と農協しか金融機関ないんです。だから、黙っていてもと言ったら怒られますけれども、一生懸命になって集めますけれども、お金が入ってきます。だけど、入ってきても、そこでお金を運用しろと言ったって、貸出先なんかないですよ。ないから信連に預けて最後は農林中金に行く。じゃ、農林中金は貸出しができるといったら、そんな組織構造になっていないから、それで結局、貸出し以外の証券等の運用に行くという、そういう構図になっていると思うんです。  問題は、ここに来て今回アメリカ発の金融危機ということで、住宅のバブルが破綻したことによって今様々な問題が出てきます。それに関連する証券も中金が買っていて、この間、新聞情報によりますと、どうも資産が毀損したということで、私らが把握している状況では、二兆円ぐらい毀損したんではないかというふうに言われています。だから、大変だということで資本増強して、その規模も一兆円。農林中金の六十兆円規模の資産を持っている銀行が一兆円の資本増強というのは、これ異常なことですよ。そういうことが起こっているということなんだろうと思います。  そこで、その背景にあるのは、ここに来て、農林中金が資産運用をハイリスク・ハイリターンのものをやっているという実態を各単体の農協の組合長さん若しくは組合員がどれだけ知っているかということなんです。大臣、そこに対してはどのように認識されていますか。
  99. 石破茂

    国務大臣石破茂君) それはディスクロージャーの制度の問題であり、理事会等々の透明性の問題であり、それから参加の可能性がどの程度確保されているかということだと思います。  それは、ディスクロージャーのペーパーといいますか書類といいますか、それはもうきちんと法律によって義務付けられており、いいかげんなことを書くわけにもいかぬ。必要記載事項というのもすべて決まっておるわけでございます。  ですから、そこにおいて、今委員が御指摘のように、各農協の経営者たち、そういう人たちが知っているかと。実際はそれ読んでないだろうというような御指摘なのかもしれない。ですけれども、それは、お金を預けて運用する以上は、それはプロとしてきちんとした認識を持つことは私は必要なのだと思っております。農林中金のディスクローズというものが、私はそれなりにきちんと確保されているというふうに考えておるものでございます。  あるいは、資産運用をどういうふうにするかということでございますが、これは農林中金の経営戦略の下で行われているわけであって、農林中金の経営戦略というのは理事会で決められていると。その理事会は一体どういうふうになっておるかというのは今さら私から説明申し上げるまでもございません。農協、農家の組合員はもちろんでございますが、一般の貯金者等の利用者もいつでも経営戦略等を把握ができるということになっておるというふうに承知をいたしております。  ですから、それは、私も元銀行員ですから、それは自分たちの銀行の経営というものもディスクローズしております。しておりますが、じゃ、それを読んでいるかといえば、それは読んでない人もいるでしょう。ですけれども、そこはやはり資産を運用する、そしてそれを任せるというものの間にはやはりそういうような緊張関係と情報の公開の担保というものは必要になるだろうと私は考えます。
  100. 平野達男

    平野達男君 大筋で大臣の見解に同意いたします。基本的にはディスクロージャーの問題だろうと思いますが、実際にはなかなか読む機会もないし、それから、こう言ったらなんですけれども、現場の農家の組合員さんが例えば投資銀行って何ですかと言ったって分からない。だからこそ、私は何を言いたいかといいますと、農林中金の資産査定、それから農林中金の資産運用、これはだれがチェックしているか、どういう体制でやっているかということについては万全の措置をとらなくちゃならないということなんだろうと思います。  そこで、今お話の中にありました経営管理委員会というのがありますが、経営管理委員会の参考資料として配ってございますけれども、農林中央金庫経営管理委員会という名簿をここに出させていただきました。  御承知のように、農林中金の経営体制、まあコーポレートガバナンスと言いますけれども、まず経営管理委員会というのがありまして、この経営管理委員会の決定事項を除く業務執行の決定や理事の職務の執行に係る相互監督については理事会でやるというような、そういうある意味では二頭立ての体制になっているんですが、私はこの経営管理委員会のこの名簿を見たときに、大変申し訳ないんですけれども、投資銀行的で、しかも高いリスクを抱えるような資産運用を行っている金融機関の経営管理委員会としては身内で固め過ぎてないかという感じがいたしましたが、大臣はどのように思われますか。
  101. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 経営管理委員会は前からあったものではございません。委員御案内のとおり、平成十三年であったと思いますが、平成十三年の法律改正によって経営管理委員会というものができたと。この経営管理委員会というのは何をするかといえば、会員の意思を反映する機関として主に会員の代表者で構成をされる、そういう性格を持っております。  経営管理委員会はさすればいかなる権限を擁するかといえば、業務の基本方針や資本の増減、JAバンク基本方針など、農林中金の業務執行のうち農林水産業者の協同組織に係る重要事項を決定すると、これが経営委員会だと承知をいたしております。  一方で、理事会というものがございまして、この理事会とは何ぞやといえば、金融業務等を的確、公正かつ効率的に遂行できる知識及び経験を有する者から経営管理委員会が選任をした者で構成をされていると、こういうことになっております。  この理事会なるものは、業務執行を決し、理事の職務執行を監督する機関として経営管理委員会の決定した業務の基本方針に基づいて業務を行っていると、こういうことになっております。  そうすると、この経営管理委員会と理事会の関係をどのように考えていくべきなのかということになろうかと思います。  なお、経営管理委員のうち、金融に識見を有する者を何名とするかを含めまして、経営管理委員の選任は農林中金の最高意思決定機関である総代会において決定されるということになっておるわけでございます。  最近では、経営管理委員会に金融に識見を有する者というのを増員もしておるわけでございますが、私は、総代会そして経営管理委員会、理事会、この三つ関係を考えてみましたときに、経営管理委員会に金融の見識がある者をもっと増やすべきだという議論議論としてそれは当然承ります、そうあるべきだという議論があることも承知をいたしております。ただ、それをもっと増やすべきだということについての見解を求められますと、この三者の関係をどう理解するか。私は、今のままで必ずしも適正が害されておるというふうには認識をいたしておらないところでございます。
  102. 平野達男

    平野達男君 私はその点に関しては、経営管理委員会というのは、今までの大臣の答弁のところにもございましたけれども、いろんな方針を決めるところだという位置付けで理解したいと思います。  そういう中で、繰り返しになりますけれども、この農林中金というのは極めて、極めてというかかなり特殊な資産運用をやっていると、資金運用をやっているという中で、経営管理委員会の中に金融の本当に分かった人を入れておくというのは、これは筋だと思います。  全農の経営管理体制も前はこんな感じだったんです、身内で固めていました。ところが、あそこで、秋田県のパールライスの粉飾決算問題がございまして、私は決算委員会でこれを取り上げて、この経営管理委員会が問題じゃないかと、余りにも身内で固め過ぎていると、外部の目をどんどん入れるべきだと言ったら、大変申し訳ありませんが、当時の島村大臣は一発で、そのとおりだというふうに答弁していただきまして変わりました。  私は、農林中金の、これから後でいろいろ申し上げますけれども、系統資金全体の資金運用の在り方のみならず、今の信用事業でいいかどうか、それから将来、これから郵政事業との民営化の関係、それから人口減少との関係、様々な問題が出てきます。こういうときに金融全体の姿が分かる人、これをがっちり入れておいて、ここでいろいろな方針を出すというのは決して無駄なことではない、むしろこれは積極的に進めるべきだというふうに思います。こういうことを最終的に決めるのは、これはルール上は総代会ということになりますから、ここでこうやるべきだ、どうのこうのというのは大臣が言うべき話じゃないということも理解します。しかし、こういう状況を見て、やっぱりこうあるべきではないだろうかというようなことは、大臣からも、あるいは農林水産省からも、どんどん意見を言っていくということはこれは大事ではないかというふうに思います。  大臣、簡潔で結構ですから、御答弁をお願いしたいと思います。
  103. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 事実関係につきましては局長から答弁をいたさせますが、今委員がおっしゃることは、それはそれなりに私は理解をいたします。ですから、経営管理委員会というものにそういう者が入るべきであるということ、それは理屈としては分かります。委員おっしゃるように、私どもからそれをとやかく言うことはできませんが、それはそれなりに議論はさせていただきたい。  事実関係につきましてちょっとだけ説明をいたさせますので、委員長、お許しをいただきたいと存じます。
  104. 高橋博

    政府参考人高橋博君) 事実関係でございますが、全農を始めといたしますいわゆる農業協同組合におけます経営管理委員の選任と、それから農林中央金庫におけます経営管理委員の選任については若干異なっております。  農協の場合には組織代表を中心とするということで、そこに定数の制限というのもございますけれども、農林中央金庫については委員指摘のとおり、専門的な知見を有する者ということをきちんと最初から入れるという形で、あとはその中で、総代会の中でお決めいただくという形になっておりますので、ちょっと根拠の条文が違いますので、それだけ一点申し上げます。
  105. 平野達男

    平野達男君 そこはそのとおりだと思います。  ただ、先ほど言ったように、私の趣旨は農林中央金庫の経営管理委員会の、どうあるべきかということを考えたときに、もう少しここは金融という、お金を扱っている金融機関ですから、それ専門の人の配置を増やしてばんばん意見を言ってもらうというようなことが大事じゃないかと思います。  差し支えなかったら、うちには大久保勉とかね、大塚耕平とかね、大変なプロがいますから、政治家を出すというのはなかなか難しいかもしれませんが、彼らを置いたら、多少耳うるさく聞こえるかもしれませんが、農林中金にとってはかなりプラスになるんじゃないかなということも併せて、残念ながらちょっと大塚、大久保はちょっと今来ていませんけれども、申し上げておきたいと思います。  その上で、もう一つ提案があるのは金融検査です。金融検査は、農林中金の金融検査は今金融庁と農林水産省が共同でやっています。ところがこの共同というのはくせ者でして、どっちがどっちか分かんなくなっちゃうんですね。  それで、先ほどの話に戻りますけれども、農林中金の資産運用というのはやっぱりある程度特殊だと。デリバティブといったものにも手を出してと言ったらおかしいですけれども、そちらの方の運用もやっているというふうに聞いています。こういったものの金融検査をどうやるかということについては、これは大変申し訳ないんですけれども、農林水産省ではやっぱり限界があるんだろうと思います。といって、農林水産省職員が駄目だとかなんとかと言うつもりもありません。  この金融の世界というのは、私もまだまだ素人ですが、若干、六年間財政金融委員会に属した感覚からいくとかなり特殊な世界です。このことを専門に見ている連中でないと分からないことがいっぱいあるんです。農林水産省はそういう金融業務業務一つとしてはいますけれども、それを専ら業務に、専らというか専門的な業務にしていません。専門的なというか、専門的業務のワン・オブ・ゼムにしているんですが、それだけが業務にはなっていない。だから、私は、先ほど言った農林中金の資産運用の実態、またそのリスクの高い運用をしなくちゃならないという状況、今政府が考えなくちゃならないのは、最も信頼の置けるスタッフを送って金融検査に臨ませることではないかというふうに思いますが、大臣、その点に関してはどのように思われますか。
  106. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 検査を行う者が高度の専門的な知識を有さなければいけないというのは当然のことです。  農林中金もプロですから、それがいろんなことを行った場合に見抜く目というものを持たなければならない。当然のことであります。ですから、普通の業務をやっている者以上に精通している者が必要だということはそのとおりでございます。  では、それを農林水産省が今、中心となって行っている。もちろん、農林水産省と金融庁、別々にやってもいいんでありますが、これが別々にやりますとなかなか業務に支障も生ずるということで、農林水産省中心となって金融庁とともに検査を行っているというのが今の体制でございます。これが厳正性とか高度な専門性というものを損なっているかといえば、私はそうは考えておりませんし、あわせまして、農政の観点から農林中金の業務というものが適正になされているということをチェックをするということは、これは農林水産省のみが行い得るものでございます。  ですから、冒頭で農林中金の法律を申し上げましたが、その法律のとおりに運営されているかどうかというときに、農林水産省視点というものは、それは欠くべからざるものであると私は承知をいたしております。
  107. 平野達男

    平野達男君 ですから、私も若干舌足らずのところがあったと思いますが、農林省の検査は必要なんです。だから、その部分と金融庁がやるべき検査、お願いすべき検査を私は分けた方がいいと思っているんです。  農林省を中心に金融検査をやる。中心というのは、本当これ、くせ者ですよ。私が聞いている限りは、金融庁の検査は遠慮しながらやっていると言っているんです。それは、責任ないものを、金融検査というのはかなり厳しくやりますからね、けんか腰で。権限を預けられたようなものを金融庁が、金融庁の職員が本気でやるわけがないですよ。それは農林省なんだから、あんた方がやってくださいよと言って済んでしまうんです。こう言ったら語弊があるかもしれませんけれども、農林中金も農林省の方が多分いいと思っているかもしれません。  そうじゃなくて、本当にここは、国の持っている今の金融検査のスタッフ、どこが一番いいかというのを大臣も考えていただいて、その上で、農林中金は本当に大丈夫かというような検査体制を仕組むということを是非これは検討をいただきたいと思います。これは要望として強くお願いをしておきたいと思います。  それから、話は変わりますけれども、先ほど系統全体の信用事業、あるいは共済事業も含めてなんですけれども、金融事業をめぐる環境というのは大きく変わっています。その中の一つの大きなファクターは私は郵政民営化だと思っています。この郵政民営化につきましては、郵政特別委員会なんかで私も随分いろんなことを申し上げて、いろいろくどくど繰り返しません。  率直に、大臣、この郵政民営化の影響が今の系統金融にどのような影響をもたらすか、簡潔でいいですから、大臣認識をお聞かせいただけますか。
  108. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これは、適正な競争は必要なんだというふうに思っておりますが、郵政民営化のときに、民業圧迫は相ならぬということが一つの共通認識としてあったと思っております。  そうすると、やはり中山過疎地域において残る金融機関というのは、多分、農協と郵政なんですね。そこで、少ないお客様をこの二つの金融機関が張り合ってやっていくということによって何が得られるかということを考えたときに、得られるものはそうは多くないんだろうというふうに思っております。そうすると、商品をどのように設計を今後していくか。ゆうちょ銀行がそういうような貸出しを行うようになった場合に、商品の設計をどのように行い、非常に疲弊した地域において過当な競争が起こらない、国民経済の全体の最適を考えるために商品設計等々にいろんな配慮がなされるべきだろうというふうに考えておりまして、その点は、ゆうちょ銀行が貸出しに参入してくる場合に私どもよくよく考えていかねばならないことだと認識をいたしております。
  109. 平野達男

    平野達男君 まあ、基本的には認識を共有するところが多いと思います。  私が気になるのは最後の部分でありまして、郵政の民営化、これは株式の売却をどうするかとか今いろんな問題がございますけれども、民営化自体を、これをストップするわけにはいかないということでありまして、いずれ貸出しに参入してくるはずです。そうしますと、ゆうちょ銀行というのは、もう御承知のように不良債権ゼロです。自己資本比率が六〇%を超えているというふうにも言われています。何が言いたいかといいますと、貸出しに参入してきますと、リスクが物すごい取れるんです。極端な話しますと、三千億、四千億ぐらい貸倒れしたって痛くもかゆくもない、不良債権ゼロですから。そういうところがどおんと入って、農村から住宅ローンですよ、個人融資ですよと始めたら農協はめちゃくちゃな影響受けますよ。それで、プラス、先ほど言った人口減少社会です。だから、共済事業なんかは今非常に本当に大変だと思います。  だからこそ、また話戻りますけれども、経営委員会を含めて、農協の系統全体の在り方というのを本当にいろんな人の目を入れてぎっちり検証するやっぱり時期に来ていると思います。結論はそこに行き着くのでありますけれども、特にこういったいろんな状況を見ながら系統資金の在り方というのをやっぱり考えていくということが非常に重要ではないかと思います。  この問題については時間があればまだまだいろいろ申し上げたいんですが、テーマがちょっとまだあるものですから次の質問に移りますけれども。  余り次の質問は私としては、農林省の出身としては聞きたくない質問なんですが、歴代の理事長が農水省の事務次官というのを大臣、どう思いますか。
  110. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これはもう当然、昔は、昭和二十一年十一月五日に就任をした農商次官なるもの、これは主務大臣の任命であったと。在任十年。昭和三十一年の楠見さんの場合には主務大臣の任命。昭和三十七年からは出資者総会の選任ということになっている。それ以降は出資者総会が選任をしておるわけで、主務大臣が任命をしておるわけではございません。ですから、ここの出資者総会におきまして農林次官出身者が一番ふさわしいのだということで決まっているのだと思います。  それは農林次官出身者以外が就任することを妨げるものでも何でもございませんので、これはほかの者が就いた方がより良いという判断になればそれ以外の者が就くということは当然あり得るのであって、それが指定席のように決まっているというのは、それは誤解ではないかと。だけど、それじゃずっと何でこんなことになってきたのかいと言われると、なかなか難しいところがございます。  私は、ほかの者がなれるようなことが当然あってしかるべきだというふうに思っておりますし、農林水産事務次官出身者が常に農林中金のトップに最もふさわしいというようなことはだれも立証できないわけでありますから、ほかの者が就くことは当然あり得べしだと考えております。
  111. 平野達男

    平野達男君 大臣はその今ポジションにありますからなかなか言いづらいところがあると思いますけれども、まず、ずっと事務次官出身者が続いているということについては、少なくとも十年前とか十五年ぐらい前はまあしゃあないかということはあったかもしれませんけれども、今、最近もういろんな組織在り方、天下りの在り方等々いろんな見直しがされていますね。そういう中でどのように考えるかということの大臣の率直な印象をお聞きしたかったのであります。  ちなみに、一つの機関で、農林中金という機関の中で自分たちの組織の中からトップを出したいと思うのは当然ですよ。そんなことを思わない機関なんかあり得ないですよ。それができないほど農林中金はだらしないのかといったら、私はそう思わない。  だから、そういったこともありますから、今回、今、理事長さんがいつ交代の時期になるか分かりませんけれども、そういったことも含めてよく御検討してくださることを、これ大臣にお願いするのは筋違いなんですが、大臣の発言は大きいですから、そういったことの大臣の考え方をぼそっと言われてもいいと思いますよ。そろそろ事務次官経験者はやめた方がいいんじゃないかとか、農林中金にもいい人がいるんじゃないかとか、あるいは参議院、どこかにいい人がいるんじゃないかとか、まあだれでもいいですよ、そういうことをやるということも私は大事じゃないかと思うし、それが農林中金全体の体質を変えていく、体質を変えていくというか、新たな時代にふさわしい体質をつくっていくということの一つの大きな条件、条件というか後押しをすることにもなるんではないかというふうに思います。  それから、最後にもう一つ、今まで農協の三事業の中では経済事業が赤字で、その赤字を信用事業、共済事業が埋めてきたんだということが一般的な事実のように言われてきましたけれども、ここに来て随分変わってきまして、農協によっては経済事業、黒字、共済事業が若干怪しいとかいう状況になってきました。しかし、大勢としてはまだやっぱり金融事業で経済事業の赤字を埋めるという構図は変わらないんだろうと思います。  しかし、金融事業がこれから非常に厳しい、経営環境が厳しくなってくる、そういう中で経済事業の黒字化というのは必須だと思いますけれども、そのことに対しての、大臣、簡単なお答えでいいですから、御認識をちょっと、それからどのようにこれから農協のそういった在り方について指導していくおつもりなのか、御所見をお伺いしたいと思います。
  112. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 今後、経済事業の合理化というものは必要なんだというふうに私自身思っております。経済事業を改革するという余地はもう相当にございますので、やはりそれをやっていかなければいけない。おっしゃいますように、信用、共済の黒字が減少する中で経済事業が足を引っ張るということがあってはならないことでございますから、合理化というものはもっと進めていただかねばならないし、それは全農改革ということになるのだろうというふうに思っております。  他方、先生の地元も私の地元もそうなんですけれども、Aコープというのは余りもうからないようなところにあるわけですよね。やっぱり組合員さんとして、もういろんなお店がなくなっちゃった中で、Aコープだけが最後の頼みの綱ですよみたいなところもありまして、じゃ、本当に経済合理性だけでばんばんもうかるところに出して、もうからないところはつぶせるかというと、そういうわけでもない。  そういうような事情もしんしゃくをしながら、さはさりながら、合理化の努力を徹底的に進めていただくということなんだと私は思います。
  113. 平野達男

    平野達男君 金融機能強化法の審議が財政金融委員会で進められておりまして、衆参においても私ども民主党の同僚議員が農林中金について様々な質問をしております。その背景にあるのは別に農協いじめでもなければ農林中金いじめでもないと私は思っています。  率直に申し上げまして、金融の、銀行法とか生保業の業という、基づく金融機関のずっと見た目から見ますと、やっぱり系統の資金運用とか系統全体の金融というのはちょっと異質なんですよね。もうこれを挙げますと実は切りがないです。  例えば、要するに、そもそもの協同組合組織からかなり離れたところにいますね。それでいながら、やっぱりうちは協同組合組織ですからちょっと特殊な、というのは、ほかの銀行法とは違いますよとかというような説明が返ってくるとか、様々な問題があるんです。  そういったことをきちっと整理していくためにも、本当に金融の世界にいた連中の目というものを本当に大事にしていただきたいと思います。そういう目で農林中金なり系統全体の金融の在り方というものを是非考えるというか、意見を率直に聞いて反映させるという姿勢を是非持っていただきたいと思います。  それじゃ、残った時間で汚染米の話を若干させていただきたいと思います。  汚染米については三人から、同僚議員からいろいろ質問がございましたけれども、まず大臣、これで全貌が解明されたというふうに御認識されておりますか、今回の汚染米事件は。
  114. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 可能な限り、つまりそれはいいかげんなということを言っているわけじゃなくて、ここから先は行けないというものがあるわけですね、もう書類がなくなっちゃったとかそういうようなことで。だけれども、本当に私どもとして努力して、可能な限りの全容解明というものは、それを全容と言わないじゃないかという御指摘を受ければそのとおりですが、可能な限りのことはしたという自負は持っております。
  115. 平野達男

    平野達男君 私は、今回の中でやっぱり一番不足しているのは、午前中の舟山議員始めとした議論の中にもございましたけれども、汚染米の流通というのはアフラトキシンとかメタミドホスとかアセタミプリドの中で起こった事件じゃないんですね。これは汚染米という、一般カビ米も含めて、六条違反、十一条の汚染米というのは前からずっと売却する方針でやってきたんです。ところが、その売却したものが多分、かなり高い確率で横流しされていたものがあるということだと思うんです。その流通システムがあるところにアフラトキシンメタミドホス汚染と、有害物質の、汚染された汚染米の売却を、工業用ののりの原料として売った。  だけれども、前から横流しが行われていたシステムですから、ましてや工業用ののりの原料価格の、MA米の価格というのは物すごい低いです。キログラム当たり五円とかというふうに言われていました。そういう中で、横流しをできやすい構造が最初からあったんだろうと思います。  だけれども、問題は、まずそういった流通システムがあったということについてのきっちりとした総括が私は必要だと思います。私はこれを一段階というふうに言いたいと思います。二段階目が、特に大きな議論となったメタミドホスアフラトキシン、アセタミプリドというようなものだろうと思うんです。そういう認識をきっちりするのと、最初からメタミドホスアフラトキシン、アセタミプリドという有害物質に特化して議論するのとでは全然私は違うと思います。  残念ながら、有識者会議は、担当が今日はもういませんけれども、文書を読む限りにおいてはこの有害物質に汚染された汚染米にほとんど特化した議論をしております。その上で、それを踏まえた上での処分もされている。その前に私は、本当に農林省の多分米全体の流通システムの根幹にかかわる問題なんです、これは、大げさに言えば。そういった実態をまずしっかり総括してしかるべきではなかったかと思うんです。  大臣、ここまでで何か御意見ございますれば。
  116. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 私、民主党のほかの先生方にもお答えをしたところでありますが、私は、そこの認識をきちんと持った上で、じゃ流通改革をどう執り行うのかということとは、本省も含めて組織をどう見直すのかということだと思っております。ですから、そこについて、委員おっしゃるように、アセタミプリドだメタミドホスだというものに特化をしてこの話は取り上げられていますけれども、その背景には米の流通システム、そしてまたそこを監督、対応する当省の体制というもの、そこにおいて正確な理解がなければならないのだということはそのとおりだと思っております。
  117. 平野達男

    平野達男君 繰り返しませんけれども、例えば九十六回の検査がクローズアップされています、あの有識者会議のレポートでは。でも、あれは冷静に考えてみますと、あの方式は九十六回じゃなくて、長年ずっとやってきたんです、九十六回という検査は。どういうやり方でやってきたかといいますと、汚染米でありながら食用加工米検査要領を適用してやってきたということだと思います。それは、繰り返しになりますけれども、今回の汚染物質によって汚染された汚染米だけじゃなくて、ずっとその体系を取ってきたということだと思います。  だから、九十六回だけが、私は、この委員会でもまずメタミドホス議論がなりましたから、九十六回の議論をされましたけれども、冷静に一歩下がって考えてみますと、要するに、それは九十六回じゃなくて、農林省全体の検査体制がそうだったという認識がやっぱり必要だと思うんです。  ところが、有識者会議ではそういう見解じゃなくて、どうもメタミドホスのところに絞った議論になっちゃっているから、どうも議論のフィールドが、あえて言わせれば、ちょっと意図的にと言ったら言葉、語弊がございますけれども、狭められているんではないかということが疑念として出てくるということだと思います。まず一番最初に、その基盤として何があったんだということが、対策を講じるも何もまずもういいですから、それをきっちり総括していただきたいと思いますね。報告書でも何でもいいですし、総括するということが私は大事だと思います。  それで、繰り返しになりますけれども、二段階ということであえて言わせていただきますけれども、こういった、一段目は前からこういう流通システムがあったと。なぜこうなったのか、長年放置してきた。これに対して相当のやっぱり反省が必要ですね。その上に、特にも有害物質のものが乗ってきてこれだけの大騒ぎになったというような全体図、そういうような観点で是非総括することが私は必要だと思います。  それからもう一つ、今回の総括の中には商社ルートがすっぽり抜け落ちているんです。商社ルートの実態が出てきたのは最近です。商社ルートに至っては監視体制すら取られていなかったんだから。それから、厚生労働省も検疫をやった後に報告書を求めるという体制もずさんだったということも出てきています。そういったことも総括の中に入っていないんですよ。  だから、本当に、対策をどうするかというのは大事です、これは当たり前ですよ、これだけの事件が起こったんですから。その前に、整理すべきものについては、有識者会議に丸投げをするとか、言葉は悪いですね、任せていくということだけじゃなくて、農林省全体の中でこういう問題ってあったよねということをやっぱりしっかりやるべきだと思いますよ。  農水省の改革チームの報告書も読みました。今回の事件、今回の事件と何回も言っています。今回の事件って何ですかと定義も何にもないですよ。多分あの改革チームの一人一人のメンバーは違ったイメージで持っていたかもしれません。今回の事件というのは農政事務所の問題だと思っていたかもしれません。メタミドホス汚染米だと思っているかもしれません。そういう全体像の定義もしっかりできていない中で改革チームの検討をやられたというのも、私は残念なことだと思います。ただ、報告書については、あれだけの踏み込んだことをやっていますから、私は一定の評価をすべきだと思っていますが。  何を言いたいかというと、繰り返しになりますが、そういう全体像の把握ができないまま各論のところに入り過ぎて、結局は今回の事件の本質の大事なところを見失うおそれがあるんではないかということを言いたいということです。  そこで、大臣質問というよりも、もうこれは時間も間近になってきましたので、あとは私の意見として言わせていただきますが、まだまだ、例えば農政事務所の廃止が、汚染米事件を踏まえれば廃止だというような結論が本当にいいのかとか、まあ私は、農政事務所は別に汚染米の監視のためにある組織じゃないですから、原因と結果がちょっと離れ過ぎているんじゃないかというような感じがしますし、あとは、今回舟山さんも言いましたけれども、あるいは亀井さんも質問しましたけれども、汚染米を一くくりにして全部廃棄処分にしてしまうのがいいのかとか、そういった様々な問題意識を我々としては持っています。  こういった問題につきましては、あした民主党から、私どもの方で汚染米実態解明委員会というのがございまして、それで十二回の議論をやってきました。農林省、大変だったと思います。有識者会議もやらなくちゃならない、こっちも対応せないかぬ、自民党もやらないかぬ。もう膨大な量のやつはぎっちり出してもらいました、まあ若干足りないところもありましたけれども。  そういうことを踏まえて、私らなりの報告書を出しますので、是非大臣読んでいただきまして、省内でも皆さん読んでいただきまして、いいところは是非酌んでいただきまして実態解明に役立てていっていただきたいということを申し上げまして、時間若干ございますけれども、私の質問を終わらせていただきます。
  118. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 午後一時二十分まで休憩いたします。    午後零時二十七分休憩      ─────・─────    午後一時二十分開会
  119. 郡司彰

    委員長郡司彰君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、青木愛君が委員辞任され、その補欠として大久保勉君が選任されました。     ─────────────
  120. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 休憩前に引き続き、農林水産に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  121. 大久保勉

    大久保勉君 民主党の大久保勉でございます。  まずは、理事の皆様そして委員皆様に、こういった質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。  それでは、最初に配付資料の一ページに関して御説明をしたいと思います。    〔資料配付〕
  122. 大久保勉

    大久保勉君 こちらは、いわゆる日本の銀行及び農林中金、いわゆるJAグループに対しまして公的資本増強の法律が対象になっております。手元に行き渡りましたでしょうか、この一ページでございます。  こちら、まず質問といいますのは、現在、預金保険法と、JAグループに対しましては農水産業協同組合貯金保険法というのがございまして、いわゆる金融システム不安の場合には、預金保険法の百二条一項一号という項目があります。また、JAグループに関しましては、九十七条一項一号、この法律でもって予防的注入が可能となります。  そこで、まず農林水産省参考人に質問したいんですが、この貯金保険法九十七条一項一号で金融システムを守るためにJAグループに予防的公的資金投入が可能でありますが、現在幾らまで投入可能か、このことに関して質問したいと思います。
  123. 高橋博

    政府参考人高橋博君) 委員指摘の農協漁協系統金融機関に対します危機対応措置としての貯金保険機構による資本注入措置でございますけれども、これにつきましては、貯金保険機構によります危機対応措置に必要な日銀等からの借入金の限度額として、農水産業協同組合貯金保険法施行令第三十七条において一千億円という限度額が定められております。  ただし、この貯金保険機構によります日銀等からの借入れにつきましては、現時点では政府保証枠の設定に必要な予算総則における措置ということはなされておりません。
  124. 大久保勉

    大久保勉君 一千億という数字を聞いたんですが、これは一兆円の間違いじゃないんでしょうか。
  125. 高橋博

    政府参考人高橋博君) 現段階におきましては、この措置必要性ということが現時点ではまだ判断できないということで、一千億円という形でなっているところでございます。
  126. 大久保勉

    大久保勉君 これは一千億円というのは非常に少ない金額であるということが私は実感しております。  農林中金は今一兆円の増資を考えているということでありますし、中間決算の発表では一兆五千億円の含み損があるということですから、一千億というのはいささか少ないですね。さらに、ここは政府保証がないということでありますから、制度的な欠陥じゃないかと思います。  是非資料を御覧ください。預金保険法には、政府保証枠が十七兆円あります。ところが、貯金保険法には予算措置なし。日銀から借りても一千億ですから、いささか、こういった世界的な金融危機の折には問題があるんじゃないかと思います。  じゃ、そこで質問したいのは、まず、どうしてJAグループのみ預金保険法に入っていないのかなんです。一説によりますと、私が聞いたレクによりますと、いわゆるJAグループ、特に傘下の農協は、いわゆる銀行であります信用事業、保険であります共済事業、さらには、いわゆるガソリンスタンド等を経営しています経済事業、農薬等の販売もあります。この三つの部門があります。いわゆる銀行、保険、商社、これが一体となって農協を営んでいますから、もし預金保険法で預金者が預金保険に対して保険料を納めたとしましたら、その資金が回り回ってガソリンスタンドを経営しております経済事業に回っちゃいけないと。  ですから、預金保険法と貯金保険法を分離すべきだと、こういうふうに聞いておりますが、このことは正しいか、イエスかノーかでお答えください。
  127. 高橋博

    政府参考人高橋博君) 昭和四十六年の預金保険制度の創設時におきまして、いわゆるペイオフにどのような金融機関が参加をするかという御議論が国会でございました。その際に、農協等につきましては、信用事業のほかに経済事業等も営む事業体であること、あるいは組合員の貯金が中心であることということから、この預金保険制度の対象外とされたという経緯がございます。
  128. 大久保勉

    大久保勉君 大臣にちょっと確認したいのは、是非石破大臣質問したいんですが、預金保険法でしたら十七兆円の枠があります。ところが、JAグループは一千億しか資本注入枠がありません。何か起こったら大変ですよね。  ですから、私は、農水省がこれまでやるべきことをやっていない、不作為の罪があったと認識しておりますが、大臣、今の状況に対してどうやったら解決することができるか、こういったことに関して是非大臣の政治家としての答弁をお願いします。
  129. 石破茂

    国務大臣石破茂君) いろんな委員会におきます委員の御指摘、私も報告を受けておるところでございます。一兆円の間違いではないかという御指摘もありました。一千億は少ないのではないか、かつまた、政府保証の予算措置が行われていないことも問題ではないかという御指摘をなさっている旨、承知をいたしております。  では、これを予算措置を講じて体制を強化したらどうかということでございますが、信用秩序の維持に極めて重要な支障が生ずるおそれがある場合のいわゆるシステミックリスク、危機対応措置として、農協・漁協系統金融機関につきましては貯金保険機構による資本注入の措置が設けられている。この貯金保険機構による危機対応措置に必要な日銀等からの借入限度額が一千億ということでございます。これが今までのお話。  これとは別に、農協・漁協系統金融機関につきましては、組合の経営内容が悪化し、危機対応以前の段階で信用収縮が起こりそうな場合等に対応するため、独自の制度が措置されている、これは法律に決まっておるわけでございます。すなわち、農林中央金庫及び特定農水産業協同組合等による信用事業の再編及び強化に関する法律、再編強化法でございますが、この法律に基づきまして、ジェイエイバンク支援協会及びジェイエフマリンバンク支援協会による相互支援制度が設けられているわけでございます。それぞれ十九年度末におきまして、JAバンク千五百九十八億円、マリンバンク二百三十四億円の支援基金を保有し、信用事業の強化に取り組んでいるところでございます。  このような中にありまして、農林中金を含みます農協・漁協系統金融機関におきまして、現時点において貯金保険機構による危機対応措置が必要な状況にはないということでございます。  したがいまして、一千億円の借入金の限度額についても政府保証の予算措置が講じられていないというのはそういうことでございまして、現状の認識として、いろいろな組合せによりまして体制というものは整えられている、対応は十分可能であるというふうに私は認識をしておるところでございます。
  130. 大久保勉

    大久保勉君 JAグループが支援基金を持っておりますが、合計で二千億ですね。先ほどの日本銀行からの借入額は一千億、合計でも三千億なんですね。ですから、一兆五千億円の含み損がある機関に対しましては、いささか心もとないなと思うのは私だけじゃないと思いますけれどもね。  是非、指導力のある石破大臣、次の第二次補正に政府保証枠の措置を付ける、このことをお願いしたいんですが、どうでしょう。
  131. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 今まで答弁申し上げてきたとおりのことだと思います。委員の御指摘は、本当にこれで大きな危機というものに対応できるのかと、そしてまた、政府保証を付けるべきではないかというお話でございますが、現時点において、現時点においてという限りでございますが、私自身今そのような対応措置が必要だというふうには考えておりません。ただ、今後どのように考えるか、更に一段の措置を検討する必要があるかということは当然私どもとしても認識をしておるところでございます。  したがいまして、いろいろな場合において委員の御指摘も踏まえながらあらゆる可能性は検討いたしてまいります。やはり、信用というものをいかにして維持をしていくかということでございますから、あらゆる可能性は排除いたしませんが、現時点において先生指摘のようなことを二次補正に盛り込むということは考えておりません。
  132. 大久保勉

    大久保勉君 分かりました。是非確認したい言がありますが、いわゆる信用システム不安はJAグループは起こっていないと、私もそう思います。でしたら、その前提質問しますが、今、国会で議論されております金融機能強化法に関して、これは中小企業融資のための予防的な公的資金の注入です。ですから、三千億円でJAグループは公的資金枠は足りておりますから、当然ながら、今回もし金融機能強化法が可決、成立しましてもJAグループは三千億円以上取ることは一切あり得ないですね。そのことだけ確認したいと思います。大臣、答弁をお願いします。
  133. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 現状においてあり得ないと考えております。
  134. 大久保勉

    大久保勉君 分かりました。上野理事長も委員会に来られまして、農林中金グループは公的資金を借りることはないということですし、大臣の答弁もございましたので、非常にクリアになったと思います。  続きまして、資料の五ページから幾つか御説明しようと思います。  農林中金グループ、JAグループはどういうふうな関係になっているか。役所との関係でありますが、ページ、五ページは、現在農林中金へ農林水産省等から天下った方のリストになっております。上野理事長が農林水産事務次官を始めとしまして、財務省等から多く天下っている状況が分かると思います。  ちなみに、過去のデータを見ますと、農林水産省の事務次官は一回天下りましたら十年間職務を全うされまして、現在五代目だと聞いておりまして、上野理事長のお話によりますと年収は四千万ということですから、十年間で四億円プラス退職金をもらえる非常に有り難い職かなと、こういった現状も見えてきます。  ページ、六ページは、これは農林中金は銀行ということでございますから、やはり資産査定をして非常にすばらしい経営をしていくことが必要であります。そのために金融検査というのは非常に重要でありますが、過去五年間におきましては三回行われておりまして、注目すべきなのは、金融庁は農水省と共同検査ということになっております。本来でしたら、いわゆる金融庁の専門性を発揮するためには単独でもよろしいんじゃないかと思いますが、法律上は単独でもできるんですが、過去は共同検査になっているという事実がございます。  ページ、七ページを御覧ください。これは私もこの資料を見て内心びっくりしました。いわゆる金融庁に確認して出てきた資料なんですが、いわゆる農林中金の担当者、窓口はだれなんでしょうかという質問に対しまして、個人名を伏せるためにアルファベットで書いてもらっています。平成十二年という数字がありますが、それ以降はすべて課長補佐、いわゆる担当者、一番の担当者は農水省の出身、いわゆる農水省の担当者が金融庁に出向して担当していたと。Sさん、Tさん、Uさん、Vさん、Wさんということです。ですから、継続的に農林水産省が金融庁に行ってまで農中の面倒を見ていたという事実であります。  ページ、九ページを御覧ください。石破大臣は防衛大臣もされていたから、業者といわゆる防衛調達の癒着というのは厳に慎むべきだということで、いわゆる利益相反の観点から是非見てください。  農林中金から農林水産省への出向者リストになっていますが、AからNさんまでございまして、農林水産省の金融課、現在は経営局金融調整課、いわゆる農林中金の管理窓口に出向しているという事実があります。非常に農水省は農林中金に特別な計らいをしていて、本当に監視すべき当局が監視できているのか、こういった疑念がありますが、まず、こういったことを御覧になりまして石破大臣のまず感想を聞きたいと思います。
  135. 石破茂

    国務大臣石破茂君) まず、農林中金理事長についてでございます。  これは農林大臣が任命をするわけでもございません。経営管理委員会において理事を選任をし、この中から経営管理委員会の決議をもって理事長が決められるというふうに承知をいたしております。この経営管理委員会はだれが決めるのというと、農林中金の会員が互選した総代で構成される総代会において選任をされるということになっております。  農林中金の理事長が事務次官経験者でなければいけないというわけではありません。ただ、ずっと事務次官経験者で占められていることは厳然たる事実でございます。ですから、ほかの人では本当に駄目なのか、あるいは午前中平野委員からも御指摘がありましたが、もう結局生え抜きの人間が理事長になれないということであれば、それは士気にもかかわるのではないかという御指摘もありました。  私は、有能な方であれば当然理事長になってしかるべきだというふうに考えております。また、そういうふうに事務次官がなることがあってもいいでしょう。しかし、もっと有能な方が世の中にいないかといえば、そんなことはないのであって、いろんな方がなられるということが私は望ましいのではないかと個人的には思っておりますが、民間金融機関たる農林中金のトップの人事について、大臣があれこれ感想めいたことを申し上げるということはすべきではないということも当然のことだというふうに承知をいたしておるところでございます。  その次に、委員指摘の農林中金からの出向者についてでございます。これは平成十三年までは恒常的に当時の農林中金の指導監督部局である経済局金融課に非常勤の調査員として在籍をしておりました。その後、平成十八年までは出向はございませんでしたが、十八年の四月から今年の三月まで、金融工学などの知見を生かした調査研究に従事させるため、非常勤の調査員として一名が在籍をしておったわけでございます。現在はこのような出向者はおりません。当然のことでございますが、農林中金の監督、検査業務には携わらせておりませんし、政策決定にかかわる会議への出席を厳に禁止をしておったというふうに承知をいたしております。  また、検査について、農林省の出向の者が大蔵省あるいは財務省等へ行ってやっておるではないかということでございます。これは、特に農林中金というものの性格にかんがみまして、そのことをよく知悉をした者が望ましかろうと、そういう配慮に基づくものだというふうに私自身は承知をいたしておるところでございます。  ただし、これも、それでなければならないかといえば、そのようなことはないのでありまして、委員指摘のように、身内で全部固めて甘くなっておるではないかという批判を受けないようなことは、やはり配慮していくべきものだというふうに考えております。それが農林中金に対する検査・監督体制というものの厳正を損なわない、そしてまた専門性をきちんと有するということを兼ね備えた上で、誤解あるいは御懸念、これをいただかないような努力はしていかねばならないと考えております。
  136. 大久保勉

    大久保勉君 非常に分かりやすい言葉なんですが、もう少しクリアにするために質問します。  石破大臣とは山田洋行の水増しに関していろいろ議論さしてもらいました。この例を取りますと、山田洋行の元社員が防衛省の調達課の方に出向していると、毎年毎年出向していたということであれば、これは適切なんでしょうか。イエスかノーかでお願いします。
  137. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 全然適切だとは思いません。
  138. 大久保勉

    大久保勉君 もちろん極端な比喩かもしれませんが、いわゆる管理すべき当局に管理されるべき人が出向してくる、同じ机のところで仕事をしていましたら、いろんな情報が漏れますですよね。ですから、私は是非やめさせてほしいなと思います。  具体的に申し上げますと、実はAからNまで名前を公表したいと思いましていろいろ考えましたが、思いとどまりました。ただ、名字だけにしますが、一人一人私の手元には名前が付いています。  これでデータベースで調べましたところ、いろんな事実が分かりました。例えば、この方たちは非常にいわゆる農中のエリートです。いわゆる経営の中枢にあります総合企画部長を歴任されたり、若しくは理事、例えばJAバンク統括部部長代理をされたり、若しくは総合企画部、JAバンク再編強化部、いろんな役職でいわゆる役所との窓口になっております。  ですから、こういった関係がございますから、本当に農林中金が普通の金融機関として活動できるのか、公的資金を入れても大丈夫なのか、いささか疑念が生じるわけでございます。大臣是非大臣の決断ですが、むしろ、極端に言いましたら、出向経験者は農水省との窓口であることを禁ずるぐらいの措置をされたらどうでしょうか。御所見を願いたいと思います。
  139. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 今申し上げましたように、非常勤の調査員として在籍をしておったと、そしてまた、今はそのような出向者はおらないということでございます。ですから、今後こういうような出向者というものは、やはり委員指摘のような御懸念を招きかねないということでございますので、それはやはり抑制的に考えていくべきものかというふうに私自身思っております。なお、逆に、出向した者はそういうような任に就けないということにつきましては、これは民間金融機関の人事のことでございますので、私どもとして余りはしの上げ下ろしのようなことまで申し上げるべきではなかろうというふうに思っております。  私どもとしてそういうような御懸念を受けることのないようにということでよく考えてまいりますが、今までそういうようなことを行ったことによって、農林中金と農林水産省がそういうような不明朗、あるいはあるべからざる関係にあったとは認識はいたしておらないところでございます。逆に、私は、農林中金に農水省のOBがどれぐらい行っているのかしらというふうに問うたことがあるのですが、それはほとんどいないと。いわゆる天下り先として農林中金のいろんなところに農水省のOBが、天下りという言葉を仮にかぎ括弧付きで使うとすれば、それは実に少ないのだということも私としては強く認識をし、思いを新たにしたところではございます。
  140. 大久保勉

    大久保勉君 次の質問に参りますが、こちら農林中金のディスクロージャー誌を読みますと、農林中金といいますのはいわゆる農協の中央機関ということで様々な役割がございます。今回の例えば金融機能法でしたら、農林中金がいったん資本を受けましてその後傘下のJAに投入すると、こういったこともございます。その関連もあるかと思いますが、傘下のJAに対して農林中金は管理監督をすることになっております。  一方で、最近のニュースによりますと、農林中金は資本が足りないので増資をすると。どこからお金を借りてくるのか、これは傘下のJAです。ですから、私はちょっとよく分からなくて、あるところは足りないから資本が欲しい、でもそこから資本をもらうと、くるくる回っていて、何かタコ足配当とかタコ足出資みたいでどうなっているのかということで、もっと整理する必要があると思います。  そこで、まず質問したいと思いますのは、農林中金はいわゆる大口株主であります傘下の農協に対して厳しい検査ができると思いますか。農林水産大臣の御所見を聞きたいと思います。
  141. 石破茂

    国務大臣石破茂君) できなければいけませんし、そうでなければ今の体制意味がないというふうに考えております。  実際に、農林中金は農協等に対しましてその有する不良債権について債権管理を徹底させるとともに、必要に応じて債権の売却など一層強力な処理を進めさせる。農林中金は、特に重大な問題が生じておる農協等に対しては合併や信用事業譲渡による組織再編を指導するということによりまして農協等の財務や経営の一層の健全化に向けての指導を行っておるところでございます。結果としてどうであったかということを考えましたときに、千百八十二組合ありました農協が十九年度末には八百七まで大きく減ったと、そして十三年度以降は自己資本比率が四%未満の農協は一切発生をしておらないということでございまして、私は大きな指導力、十分な指導力を発揮をしてきたというふうに認識をいたしております。  また、このような体制は、農林中金のみならず、ほかの信金中金あるいは全信組連、このようなものにおきましても同じような仕組みに相なっておるわけでございます。したがいまして、身内でやっておるから非常に甘いのではないかということは、ほかの同様の機関との整合性あるいは今までの実績等から考えまして必ずしもその御指摘は当たらないというふうに私自身は認識をしておるところでございます。
  142. 大久保勉

    大久保勉君 まず、私が質問したことに関して直接的な答弁をされていませんで、いわゆる指導ができるかということと合併したということは別物であります。  さらに、来週、恐らく十六日に農林中金は傘下のJA県信連に対しまして資本を下さいということでお願いすると思います。こういう状況がありましたら、一方で農協に対して、おたくはここがおかしいんじゃないかという厳しい指導ができるんでしょうか。もし指導しようと思ったら、いや出資はできませんということでがたがたするんじゃないかと思います。この辺りは是非整理していく必要があると思います。  もう一つ、いわゆる協同組合組織に関しましては信金中金とか全信組連とかいろんなところがあるんじゃないかとおっしゃいますが、実は金融庁がきっちりこういったところには検査をしています。さらには、いわゆる天下りとかそういった事象も私は知りません。ですから、一番最初に申し上げました出向者リストとか、若しくは金融庁に農水省の担当者が行っているとか、共同検査をするとか、多くの事柄と一緒に考えてほしいんです。ですから、是非実態を確認されて、そして改善してもらいたいと思います。  私はJAグループは必要だと思います。強いJAグループが必要です。そのためにうみを出さないと大変なことになると思います。その観点から次に質問したいのは、JAグループにおきます、つまり傘下の農協におきます信用事業と経済事業のいわゆる業務遮断、情報遮断、あるいは勘定分離をきっちり行った方がいいんじゃないかと思いますが、現在どのようになっているのか、またこれからどうするのか、このことに関して高橋局長質問します。
  143. 高橋博

    政府参考人高橋博君) JAにおきます信用事業とその他事業との関係でございますけれども、信用事業を行います農協に対しましては、まず、農業協同組合法におきまして、銀行法等の銀行に対する規制と同様の規制でございます優越的地位の濫用等の禁止、あるいは貯金等と有価証券売買等との誤認防止のための窓口区分等の規制を課しているところでございます。また、本年六月に金融商品取引法等が改正されたわけでございますけれども、金融商品取引業者あるいは銀行などと同様に農協におきましても、法律に基づきまして、利用者の利益が不当に害されないよう信用事業の業務に関する情報の適切な管理、業務の実施状況を適切に監視するための体制整備等を求めることを現在作業しているところでございます。  さらに、勘定の分離でございますけれども、農協法に基づきまして、信用事業に係ります会計を他の事業に係る会計と区分して経理をする、各事業の実態をきちんと把握しなければならないという規定が農協法に定められているところでございます。  今回、先ほど金融機能強化法の話もございましたけれども、このような信用事業の他事業との区分経理に基づきまして、きちんとした他事業と信用事業との間の分離ということの徹底を図ってまいるということにしているところでございます。
  144. 大久保勉

    大久保勉君 特に区分経理に関してはきっちり実行してもらいたいと思います。  よく振り込め詐欺というのがありますが、いったん金融機能強化法で資金を入れまして、それが農中に入りまして、それからJAに行きますから、どこに行ったか分からなくなってしまいますから、農水省さんは後できっちり報告しますと言っていますが、実は、事前に勘定分離した連結財務書類とかを、正式なやつをくださいと言いましても、見込みとか、非常に時間が掛かっておりまして、そもそも農協自身が勘定分離されているかどうか非常に疑問があります。こういう機会にきっちり農協の中で銀行業務、保険業務、信用業務、そういったことを、いわゆる経済業務を分けた方がJAの近代化のために資すると思いますから、是非検討をお願いします。  関連しまして、金融庁の方に質問したいんですが、当然ながらJAの信用事業といいますのは金融機関ですから、金融商品取引法等の関連の法規、きっちり守ってもらう必要があると思います。  そこで、担当窓口研修などの体制はきっちり行うべきであると考えますし、経済事業と政治運動等の役職の兼務、若しくは机が一緒であったり、こういったことがあってはいけないはずなんですが、この辺りに関して金融庁はどのように考えるか、一般論でも構いませんから答弁をお願いします。
  145. 細溝清史

    政府参考人細溝清史君) 金融商品取引法の御質問について、答えられる範囲でお答えしたいと思っております。  委員御案内のとおり、農協が国債とか投信を窓口で販売するといった場合には、当然これは金融商品取引法上の登録金融機関ということになります。この登録金融機関というステータスは銀行と同じ、同様のステータスでございます。したがいまして、銀行と同様の規制が適用され、監督も金融庁、これは直接的には財務局になりますが、財務局が監督をするというシステムになっております。
  146. 大久保勉

    大久保勉君 特に金融機能強化法等で公的資金が入った場合には、やはり政治的な中立性とか若しくは信用業務と経済業務の分離とか、そういったことはきっちりやった方がいいんじゃないかと思います。是非この辺りは石破大臣の指導力に期待したいと思います。ここは意見だけです。  続きまして、JAグループの問題若しくは収益構造に関して質問をしたいと思います。これは通告の十一番でありますが。  こちらいろいろ調べてみましたら、JAグループの連結ベースの経常利益は平成十八年で七千三百三十一億円、非常に大きい金額になっています。そのうち農林中金の経常利益が三千六百五十八億円でありまして、農林中金のさらにJAグループに対する還元金というのがありまして、これが三千億です。ですから、合計しまして六千六百五十八億、実に九割は農林中金が稼ぎ出しているという状況であります。  もちろん、細かいことは言いませんが、農林中金の系統預金が三十三兆円ありますから、先ほどの数字で計算しますと約〇・八%の上乗せになっているわけです。つまり、系統預金でもらった預金に対して〇・八%利益を付けてあげて傘下のJAに返してあげると、こういう構造です。逆に言いましたら、農林中金はいわゆる預金コストから〇・八%高いところで預金を引き受けないといけませんから、国債だけだったらなかなか利益が出ない、逆ざやになってしまう。ですから、非常に無理な経営をしないといけないと思います。  私は、農林中金はその点ではよく頑張っていると思います。日本の金融機関の中でもいわゆる金融のプロがそろっておりますから、非常に模範すべき金融機関の一つでありますが、しかしながら、管理部門とか若しくはガバナンスで本当にそれに応じたくらい優良かといったら、優秀かといったら疑問があります。株式会社でしたら株主の厳しいチェックがありますし、また普通の金融機関でしたら金融庁等の厳しいチェックがありますが、農林中金は、運用に関してはプロ中のプロなんですが、いわゆるガバナンスの面とかそういったものに関してはそれほどうまくいっていないと、こういった現状が見えると思います。  そこで質問したいのは、現在、農林中金のハイリスク・ハイリターンの海外投資がなければJAグループの経営が成り立たないと言われております。残念ながら、しかし証券化市場は崩壊し、海外の投資に関して多額の損失が出る、またこれから出る可能性がありますから、こういう状況でJAグループをどうやって再編していくのか、非常に大きい経営課題だと思います。この点に関しまして石破大臣はどういうことを認識されているのか、又はどういうリーダーシップを発揮されるのか、お尋ねしたいと思います。
  147. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 委員指摘のような実態、これをハイリスク・ハイリターンと言うかどうかは別として、その海外証券投資がなければ実際にこのような配当もなせないし、あるいは法に定められた役割も果たせない、それは確かにそのとおりでございます。  今までも、農林中金としては、有価証券の運用に当たりましては商品の有するリスクを分析をし、その最小化を図ってやってきたところでございまして、平成十九年度では三千億円強を還元しているということでございます。二十年度につきましては確たることを私が申し上げる立場におりませんが、十九年度におきましては三千億円強を還元しているということでございます。  今回、農林中金の収益の減少は見込まれておるわけでございますが、これにより会員還元が減少し、結果として個々の農協の信用事業の収益が減少したといたしましても、農協が実施しています各種の事業はそれぞれ一定の事業規模を有しております。また、農協の資本は内部留保に一定の厚みがあることから、農協経営に重大な影響を与えるわけではないと認識をしております。  しかし、短期的にはそういうことが言えるのですが、証券市場が崩壊したかどうか、それも委員の御認識は承りました。もうはるかに金融については私よりも詳しいんでいらっしゃいますから、そんな認識をお持ちのことは承りましたが、将来にわたりまして農協経営の健全性というものは確保されなければいけません。  総合農協という余り世界に類例を見ない農協の形態を我が国は有しておるわけでございますけれども、将来にわたりましてこの経営全体の健全性を確保しなければいかぬので、午前中の議論にもございましたが、生産資材の購買、農産物の販売等々の経済事業、ここが相当の赤字を出しておりますので、この経済事業が改善をされるということは極めて重要だというふうに考えております。  総合農協、そしてまたそのシステムの中にあります農林中金ということを考えますときに農協の経営というものをどうやって改善をしていくか、これは全農改革にも通じることでございますが、そういうことも併せてJA全体の在り方というものを論じていきたいと私は考えておるところでございます。
  148. 大久保勉

    大久保勉君 是非、遅くなる前に実行をお願いします。そのことが日本農業を守ることであると私も思います。  続きまして、農林中金の一兆円増資に関して質問したいと思います。いわゆる増資、資本を取るということは、どうして取るか。それは、資産項目の中でもしかしたら将来焦げ付いてしまうと、そのためには出資したものを減資して対処すると。ですから、出資金、株式というのは本来元本保証はされていません。ですから、一兆円増資をします傘下の農協若しくは県信連にとりましては、一兆円出したものがもしかしたら農中の資産が劣化することによって返ってこない可能性があります。  そこで、質問したいのは、単位農協にとりまして出資金が返ってこなかったら何が起こるのか。もちろん単位農協で剰余金がありましたら、それ以上に出資したものが焦げ付いた場合にはだれかに頭を下げないといけないと、これは組合員だと思います。ですから、今回の一兆円増資に対しまして、いわゆる単位農協が農家の方々に対しましてこういったリスクがありますよと、もし失敗したらもしかしたら増資をお願いするとか、こういったちゃんとした説明をする必要があると思いますが、このことを石破大臣はどう考えているか。ちゃんとこういった指導をされているのか、このことを確認したいと思います。
  149. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これは御指摘のようなことが本当に起こるかどうか、これはあくまで仮定のお話でございますので、そうなったらどうなっちゃうのかという議論は余り私の立場で申し上げるべきではないと思っておりますが、委員御案内のように、農協の内部留保というのは相当厚いものでございまして、毀損部分は十分に吸収可能だと思っております。  それはそれといたしまして、ちゃんと説明をするのかということでございますが、個々の信連、農協が今回出資をするというふうに聞いております。最終的にはそれぞれの実情に応じて決定される、どのように幾らを出すのかということはそれぞれの実情に応じて決定をされるということが一点。それから、当省としては、今回の増資に関します今後の決定プロセスあるいは増資の目的なども踏まえまして、農林中金が会員に対し増資を要請するに当たりましては、まず増資を求める会員の財務状況、これを十分に考慮しなければならない。同時に、農林中金自らもビジネスモデルを刷新する、つまり委員が先ほどから御指摘になっておられますような財務運営戦略というものを刷新する。そして管理コストを更に圧縮する、そういうような自助努力に努めていかねばならぬだろうと。  だから、困ったから増資に応じてねという話ではなくて、ビジネスモデルがどう変わるのか、自らどれだけのコストの圧縮をやるのかということをきちんとした上で、それぞれの財務状況を十分に考慮をしながら要請がなされるように私どもとしては注意を払っていきたいというふうに考えておるところでございます。
  150. 大久保勉

    大久保勉君 是非、実行願いたいと思います。  参考のための資料として農水省の高橋局長に確認したいんですが、もし農林中金、傘下のJAグループからの出資がなかったら、いわゆる外部からの資本調達プラス内部留保だけだったら自己資本比率は何%なんでしょうか。
  151. 高橋博

    政府参考人高橋博君) 御指摘の数字でございますけれども、私ども、農林中金が公表しております十九年度のリスクアセット及び自己資本から農林中金に直接資本拠出しております信用事業を行う百三十の農協及び三十六の信連からの出資金及び劣後ローンの額をそれぞれ控除するという一定前提を置いた上で試算をしたところ、自己資本比率は大体四・一%程度というふうになるところでございます。  また、この自己資本比率に係るリスクアセット及び自己資本に農林中金に直接資本拠出しております今の百三十農協、三十六信連の十九事業年度の剰余金相当額、これを加算するという前提を置いた上での試算をいたしますと、一度資本の部分を引いた上で今度は剰余金を乗せるという形になるわけでございますが、自己資本比率については九・一%程度ということになります。
  152. 大久保勉

    大久保勉君 そろそろ時間が参りましたので最後の質問なんですが、農林中金はいわゆる証券化商品とか若しくは有価証券投資の比率が非常に高く、かなり含み損も出ていると思います。また、中小企業融資に関しては、七千億ちょっとですから、一%ちょっとであると承知しております。  そこで、質問したいことは、これは石破大臣質問したいんですが、こういったことにかんがみまして、農林中金に公的資金を入れる場合には過去の有価証券の投資による損失金額を明らかにして経営責任を問うことが適切と考えますが、石破大臣の見解を聞きたいと思います。公的資金の注入は、申し上げましたように、金融機能強化法における公的資金の注入です。
  153. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 個別、この場合は農林中金でございますが、個別の金融機関を念頭に置きました議論をするということは制度設計を検討する段階におきまして必ずしも適当ではないかもしれないと私自身考えておりますが、それを前提に置いて申し上げれば、あくまで一般論で恐縮でございますが、公的資金を注入する金融機関につきまして衆議院におきまして法案の一部が修正をされました。つまり、必要に応じ経営責任明確化が求められる、ここが大きな修正点だと私は認識をしておりますが、この点が法律上明確化されたというふうに承知をいたしております。すなわち、責任ある経営体制の確立を求めていくとの観点から、経営強化計画や協同組織金融機能強化方針において、従前の経営体制見直しその他の責任ある経営体制の確立に関する事項を記載するということになっておるわけでございます。経営責任というものは、この言葉におきまして相当に明確になるというふうに承知をいたしておるところでございます。  なお、従前の経営体制を見直すなど具体的に経営責任をどのような形で問うかなどにつきましては、資本参加に係る審査過程、この段階で判断されるということになりますが、この条文が修正されたということの意味をよく認識をしながら経営責任というものをきちんと果たすべきというふうに私どもは認識をしておるところでございます。
  154. 大久保勉

    大久保勉君 終わります。
  155. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。  WTOのドーハ・ラウンドについてお聞きします。  閣僚会議そのものは何となく雲行きとしては少しずれ込みそうな雰囲気がありますけれども、十二月六日にファルコナー議長のテキストが示されて、重要品目の数や取扱いについて原則四%、上乗せしても六%とするなど、八%を主張してきた日本主張とは懸け離れているわけです。それで、当然我が党としてもこれは反対なわけですけれども、仮にこのままもし受け入れるということになった場合に、日本農業に与える影響というのはもう計り知れないものがあるだろうというふうに思うわけですが、まず、このことについての大臣の御認識を伺いたいと思います。
  156. 石破茂

    国務大臣石破茂君) そうならないように努力をするということでございます。現在、これから政府として世論の支持あるいは議会の支持というものを得ながら交渉してまいりますときに、こういうような、仮に六ならばこんな影響があるよと申し上げることは必ずしも適切ではないと私は思います。
  157. 紙智子

    ○紙智子君 重要品目の低関税輸入枠の拡大幅ということで示されている中身は、国内消費量の原則として三%から四%ということです。  米にこれを当てはめますと、ミニマムアクセス米でいうと最低でも毎年、今約七十七万トンですけれども、さらに五十万トン増やす可能性指摘されているわけです。そうなると、ミニマムアクセス米でいうと百万トンを超えるような事態になるわけですけれども、これを今まで日本政府が言ってきたような義務輸入というふうにすれば日本の米生産に非常に深刻な影響を与えることは必至だと、これについてどのように思われるのかということです。もう一度、大臣、お願いします。
  158. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 現在、一般的なルールについて議論をしておるわけでございます。ですから、米がどうなるとかそういうような個別のことは、委員よく御案内のとおりで譲許表交渉の段階で検討をするというものでございまして、今どうなるこうなるということを申し上げる段階にはございません。  ただし、米の重要性というのはみんな認識をしておるわけでございますので、当然のことでございますが、上限関税の不適用、重要品目の十分な数とその柔軟な取扱い確保、それが我が国としては最重要だというふうに認識をしております。その認識の下に今後交渉を進めていくことになります。そこでモダリティーができ、その後、個々の品目をどうするかということは譲許表の段階と、こういうような時系列になろうかと存じます。
  159. 紙智子

    ○紙智子君 仮定の問題だからということを言われるんですけれども、実際にどういう影響があるのかということは数字だけじゃないわけですよね。  やっぱり全国の農家の皆さんは大変心配されていて、もしそういう形で受け入れたときにどれだけダメージを受けるのかということを具体的な実感でもって持っているわけですよ。私、出身北海道ですけど、北海道の農業者なんかはやっぱりもし受け入れることになったらもう壊滅状態だというふうに感じているわけですし、だから何としてもこれは妥協なくやってほしいんだと、断固として日本主張を貫いてほしいというのは、そういう具体的な、どういう影響を受けるかというリアルな判断からそういうことになっているわけで、やっぱりそういう意味では、大臣自身ももしそうなった場合どうなるかということはよく深めた上でやっていただきたいというふうに思うんです。  今日の日本農業新聞なんかも、例えば百六十九ですか、高関税の品目が百六十九あって、お米だけでも十七とかいろいろラインがあるわけですけれども、もし六%だったら半分以下の八十品目しか指定できないし、もし四%だったら三分の一以下の五十三品目しかその対象にできないということですから、そうなったときに、コンニャク農家から含めて本当に心配をしているということでは、そこを是非踏まえていただきたいというふうに思うわけです。  それで、日本食料自給率は、もう言うまでもありませんけれども、先進国の中でも最低の四〇%という事態の中で、世界的な今食料危機が進行している中でこの自給率をいかに引き上げるかというのは、もう待ったなしの課題になっていると思うんですね。それで大臣も先日、食料自給率五〇%の工程表を発表されているわけです。しかし、この重要品目について高い率の関税を課すことができない品目が、今回のこのもし受入れということになったときに二十品目も出てくるということになりますと、この重要品目の輸入が急増して国内生産に打撃を与えると。そうすると、幾ら食料自給率でここまで上げようというふうに言っていたとしても、逆にこれは低下することになりかねないというふうになるわけですから、そうすると、やっぱりこういう合意案には到底受け入れられないと、それ以外に選択肢ないというふうに思うわけですけれども、拒否するということで、そういう決意は、大臣、おありなんでしょうか。
  160. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 重要品目の十分な数というのは確保しなければならないと。柔軟な取扱いということを申し上げましたが、そこにはいろいろな意味合いがございます。重要品目はきちんと確保すべしと。そしてまた、我が国の本当に競争力が弱いもの、あるいはその地域においてその地域を維持するのに必要不可欠なもの、これは守っていかなければならないのだということ、これは果たしていかねばなりません。  そうすると、ではその代償というものをどう考えるかということについて、これは様々複雑な議論がございます。委員がおっしゃいますように、自給率は高めていかねばならぬということと、このWTOにおいて、あるいはその後の譲許表の段階において、その二つが連関を持つということはよく承知をいたしております。自給率を上げていかねばならないという、私、自給率もそうですが、自給力というものを上げていかねばならないと思っておりますので、ここで農業の持続性ということをよく念頭に置きながらやっていきたいと思っております。  こうなったらば必ずこうする、こうなったらば必ずこうだということを申し上げるのは交渉の前に余り適当なことではございませんので、余り十分なお答えで御納得いただけないかもしれませんが、私自身そのような思いを持っておるところでございます。
  161. 紙智子

    ○紙智子君 先日、日本農業新聞に発表された大臣がお出しになった十年後に五〇%にするっていうのを見ますと、米消費、米粉とか飼料あるいは小麦、大豆、野菜、乳製品、それぞれでプラス何%にするってことも示されているわけですよね。こういう具体的なことを示されているということは、そのことを実現するためにどうするかってことを考えたときに、今回提案されている中身でこれ本当に妥協することになれば到底これ実現不可能というふうになるわけで、そのときにやっぱり無理な合意はできないと。あくまでも日本として、それを見た上でできないとなれば、これはもう貫くということをやれば、それが日本の考え方なんだっていうことになるんだと思うんですよ、交渉なわけですから、各国の。  そもそもFAO自体が、今事務局長も、貧困の国々、飢餓で苦しむ人たちも含めて、そういう農業を救えっていうことを呼びかけている真っただ中なわけです。深刻な食料をめぐっての国際情勢の中で、やはり実際の交渉ということで見ると、WTOはそういう大きく変化してきているにもかかわらず今までの延長線で話を進めていこうとしているんじゃないかっていうふうに思うわけです。  こういう大きな食料不足や国際的な米市場あるいは穀物市場、非常に乱高下ということになってきているわけですけれども、そういう中で、例えばフランスなども国内における減反政策見直しをしたりということも出てきているわけですから、そういう中で本当に日本が今の状況にかみ合ってやっていくということが大事だし、実際、国内の農業団体からも、国内の農業生産を基本に据えた安全保障を確立するためにWTOの枠組みを転換をし、多様な農業の共存を基本理念に上限関税の阻止や重要品目確保など十分な確保への要請をしたいと、そういう要請が上がってきているわけです。交渉の枠組みそのものも、そういった意味では転換することが必要なんじゃないかという声が上がっているわけで、その点について大臣、どのように思われますか。
  162. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 状況が変わったのはそのとおりだと私は思います。それは、穀物市場が高騰したということ、あるいはバイオ燃料というものの位置付け、これが変わってきたということで、そういうことを踏まえた上で、さてもう一回WTOのやり方、そのもの全体を考え直しましょうよということが言えればそれはそれでいいのですが、かなり時計の針を昔に戻すことになろうかと思います。  私は午前中の答弁でも申し上げたのですが、食料において自由貿易必ずしも最善ならずということだと思っております。そして、今アフリカで飢餓が何で起こっているんだということ、やはりそこは多くの国が認識すべきなんじゃないだろうか。アフリカの飢餓を救えとかいう言葉では幾らでも言えますけれども、何でこんなことが起こったのということは、よく先進国も含めて認識をしなければいけないことだと思っているのですね。やはり状況が変わったことも踏まえて、輸入国立場が十分反映されるようにと申し上げたのは、それは常套句として申し上げているわけではなくて、そういう国々とよく連携を図ってやっていかねばならないと思っております。  ただ、気を付けなければならないのは、自給率が低い低いと言いますが、その理由は各国異なるということでございます。アフリカの自給率が低い理由と我が国が低い理由は全く違っておるわけでございまして、そこをよく踏まえた上で輸入国同士の連携がどのように図れるかということには十分配意をしてまいります。
  163. 紙智子

    ○紙智子君 変化を踏まえてということでは同じだと思うんですけれども。  それで、その流れでいいますと、ミニマムアクセス米の取扱いということでももう少しお聞きしたいんですけれども、これまで義務的輸入ということで政府の統一見解としてきたわけですけれども、WTO農業協定との関係でこれを検証して、やはり取扱いについても抜本的に見直してほしいという要請が農業団体からも上がっているわけです。  最初に触れましたように、ファルコナー改訂のテキストをそのまま受け入れれば、ミニマムアクセス米でいうと百万トンを超えるということになるわけで、これをどう防ぐかということをめぐっては、この間の議論の中でも、石破大臣は、入らなければそれにこしたことはないけれども、しかしそのためにはどうあらねばならないかという議論が必要なんだということをおっしゃいましたし、衆議院の予算委員会の際に麻生総理が、いい案があるのであれば提案してほしいということもおっしゃられていたと。  そこで、私提案したいと思うんですけれども、セクター方式の導入という問題なんです。  それで、これはEUによって実際に今採用されているわけです。EUでは、野菜、食肉、果実、こういう品目区分を大くくりにして個別品目のミニマムアクセスを防いでいると。日本でいえば米という品目区分ですね、こういう区分ではなくて穀物というくくりにすれば米のミニマムアクセスの数量の設定は防げるんじゃないのかと。アクセス数量は穀物区分で設定をされて、その輸入アクセスについては穀物内の品目で自由に設定できるということになるわけです。穀物のアクセス数量を、例えば飼料用トウモロコシとか麦とか大豆とかこういうことでこなすことができるわけで、問題は、この問題について言えば、実は以前、今から六年前ですが、二〇〇二年の段階で、当時の我が党の松本善明議員が衆議院の農水委員会質問をして、農林水産省としても、当時、理論的には可能だと答弁をしているわけですよね。  このセクター方式の採用を今真剣に検討すべきではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  164. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 理論的には確かにいろんなことが可能だと思います。EUは、穀物についてはウルグアイ・ラウンドにおいて小麦及びトウモロコシにそれぞれミニマムアクセス枠を設定しておる。我が国のやり方は御存じのとおりです。  そうなってきますと、委員のお話で、穀物というくくりにしますと、麦、大豆をわあっと輸入して米に対する影響を極小化すると、こういうふうなお話になるのかもしれません、理解が浅薄だったら申し訳ないのですが。なかなか、今の自給率がすごく下がっている理由は、確かに米の消費量もマックス百二十キロあったものが今一人当たり六十キロぐらいに下がっていますから、それもありますが、畜産物に多く消費が行くようになったということがありまして、そこでえさなぞというものを多く入れるということが本当にいいのか。  先般の工程表の中でもお示しをいたしましたが、私どもとしては、水田フル活用ということもまた同時に国土の保全という観点から考えていかねばならぬであろうと。そうすると、水田のフル活用と申しましたときに、みんなが主食用の米をもっと食べてくれればいいのでありますが、私、最近米のセールスマンとなっておりまして、頼むから一日一口でも余計に食べてもらえれば自給率一%上がるとかと言っておるんでありますが、しかし、そんなに急にみんなが食べるようにも相ならぬであろうと。そうなったときに、やはり飼料用米というもの、そして水田のフル活用というもの、併せて考えていかねばなりませんので、委員の御指摘のようなセクター別関税割当方式、この導入が必ずしもすべてを解決する妙案とはなり得ないのではないかと私自身考えております。  どうも、どちらにもこちらにもいい方法というのがなかなか見当たらないので呻吟しておるところでございますが、とにかく国内の生産者に影響を与えないということは常に考える。あわせて、またいつかの機会に議論をさせていただきたいのですが、水田フル活用という考え方は今までの考え方を抜本的に変えるものでございますので、国土保全の観点からもやはりそちらも重視をしていかねばならないのではないかと私は思います。
  165. 紙智子

    ○紙智子君 私が言ったのは、国内における米の生産あるいは水田を活用してこの後、例えば飼料を作っていくこと、飼料用米なんかも含めて作っていくことはむしろもっと推進すべきだという考えですから、そのことと相反しないと思うんですよ。セクター方式ってことでやれば、EUなんかは結局このやり方を取ったために、その基準期間の輸入量の五%を超え、大きなくくりにしたものですから、野菜とあと食肉ですかね、ということでやって、それでどういうコメントを出しているかというと、ミニマムアクセスの約束は変更することなく満たされたんだと、類似の状況は食肉についても当てはまると言っていて、品目ごとにミニマムアクセスの約束をするアプローチが取られていたら、こういう状況実現するのは困難だっただろうというふうにコメントしているんですよ。  セクター方式ということになると、例えば入札してやっていくわけですよね。それで、じゃ、今みたいに七十七万トンだったら七十七万トン入らなかったからといって、その入らなかった部分、また更にということは必要ないわけですよね。そういうやり方で調整することはできるし、要するに穀物でくくった場合は、今みたいに米の、主食である米自身が非常に危険な状況になっているときに、やっぱりいかにしてそこを守るかということが前提になってくると思うんですけれども、その上で穀物全体の中で国内でどういうふうにするのかということを調整することできるわけですから、それは我が国の裁量の範囲でやればいいわけで、そういうことが許されるということができるだけでも当面する対策としては非常に大事なんじゃないのかというふうに思うわけですよ。  それで、やる前から難しいという話じゃなくて、是非ちょっと試みていただきたいというふうに思うんですよね。そのことを申し上げておきたいというふうに思うんです。  それから、ちょっと時間があと、迫ってきたんで、次の質問に移ります。  それで、ちょっと資料を配ってもらえますか。    〔資料配付〕
  166. 紙智子

    ○紙智子君 事故米の問題で明らかになった非食用の輸入の問題についてなんですけれども、私ども、食品衛生法違反となった事故米、事故小麦が非食用輸入されていた問題について、果たして米、麦だけなんだろうかということで調査をしました。  そうしますと、今お配りしましたように、驚くべきことに、この食品衛生法違反の輸入食品の非食用輸入というのは、米麦だけではなくて広範囲な輸入食品に及んでいると。二〇〇七年度の非食用輸入数量は三万八千二百五十七トン。同年の輸入食品の食品衛生法違反数量、これ一覧表になっていますけれども、四万九千二百八十四トン、この七七・六%、約八割に及ぶことが分かったんですね。それで、食用転用を防止する監視体制というのはあるかというと、これがないと。非食用に輸入された食品衛生法違反の輸入食品が食用に転用されても全く分からないというのが実態だと思うんですよ。  それから、資料の非食用として取り扱った事例の方ですけれども、これは食品衛生法違反内容を見てほしいんですけれども、内容でも最も多いのが天然界の史上最強の発がん性物質と言われているアフラトキシンB1、この汚染のトウモロコシが一番多いわけですよね。それらのトウモロコシが廃棄されないで飼料用に転用されていることも大問題で、それらの汚染トウモロコシは牛の体内で代謝をされて、これも発がん性であるアフラトキシンのM1になるわけですよね。そして、牛乳などに含有されることになるというのはWHOも警告をしているわけです。  そこで、内閣府来ていただいているので、内閣府にお聞きしますが、事故米穀の不正流通問題に関する有識者会議報告書で、ここで厚生労働省に対して、法律上の権限の外であっても食の安全を守らなければならないという立場を十分に自覚し、関係府省に対して注意喚起するといった責任ある態度が必要であったと問題を指摘しているわけですけれども、この食品衛生法違反の八割にも及ぶような輸入食品が非食用に輸入されて、監視体制もないということについてどう受け止め、どう対応するおつもりなのかを明らかにしていただきたいと思います。
  167. 岡田太造

    政府参考人岡田太造君) 御指摘のとおり、有識者会議報告書におきましては、輸入米穀ということでその例示であったわけですけれども、厚生労働省において提出された加工処理計画書の写しを農政事務所に送付するなどの連携を図るべきであったというようなことで指摘がされておるところでございます。この指摘は、報告書は厚生労働省も読んでいるところでございますので、そういうものを踏まえて適切な対応が図られるものだというふうに考えております。  なお、内閣府といたしましては、本年初めの中国製冷凍ギョーザの事案を契機として、消費者安全に係る重要事案に関して関係省庁間で情報を共有し、必要に応じて政府一体となって緊急対策を講ずるとするための体制を整えているというところでございますが、本件に関しましては、現時点で消費者安全の観点から重要事案に該当する事実が確認されているとは認識していないということでございますので、内閣府としては引き続き関係省庁との連携を密にして消費者安全の確保に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  168. 紙智子

    ○紙智子君 これから消費者庁を指向しているわけですから、そういう意味ではしっかりと踏み込んで言うべきことを言うというふうにしていただきたいというふうに思うんです。  ちょっと最後になりますけれども、厚生労働省にお聞きします。  厚生労働省として、この非食用輸入問題についてどのようにとらえて、どう改善するのかと。それともう一つ、ちょっと時間がないので併せてお聞きしますけれども、前回、私質問いたしました、麦の計画輸入制度の食品衛生法違反問題について調査を約束されたわけですけど、その結果についてどうなっているのかということを明らかにしていただきたいと思います。
  169. 石塚正敏

    政府参考人(石塚正敏君) まず、非食用への転用問題についてお答えいたします。  ただいまのトウモロコシ、非食用の中でも、この表にもございますように、圧倒的にトウモロコシの飼料転用が多いわけでございますけれども、厚労省といたしましては、先生指摘ございましたように、食品衛生法の対象外となってしまいますから、その対応には限界があるということでございます。  ただ、トウモロコシの件につきましては、まずこれは関税の違いがございます。そのため、税関のホームページでも明らかになっておりますとおり、飼料用トウモロコシは税関の厳しい監督の下で使用されているというように認識しておりますし、また、搬入先のほとんどが飼料工場であるということも確認されております。また、加工製造過程を経ない場合には農林水産省の認定機関が農家への搬入及び使用というものを確認しているというところでございます。あと、それ以外の食品につきましても、数は少ないということで確認しておりますけれども、これは輸入業者の方からは適切に処理されているということが検疫所長の方にも提出されているというところでございます。  これからの在り方につきましても、内閣府の方からお答えがございましたように、関係府省とも十分に連携を取って対応していきたいというふうに考えております。  次に、小麦の問題でございます。  輸入食品監視統計に違反品として掲上されていなかった十二件につきまして、関係輸入者に対しまして食品衛生法二十八条の規定に基づく報告を求めたところでは、以下のようになっております。まず、検疫所あてに事故の発生の通報等があったと確認されたものが六件でございます。それから、検疫所あてに事故の発生の通報等がなかったということが確認されたものが一件、それから通報が確認できなかったものが二件であります。そして、事故の発生の通報等の有無を現在確認中であるものが三件というようになっております。  この結果を踏まえまして、厚生労働省といたしましては、輸入後における事故の発生に際しての届出等の対応につきましては、改めて輸入者及び検疫所に対する周知徹底というものを図りますとともに、関係府省とも十分な連携を取って対応してまいりたいと考えております。
  170. 紙智子

    ○紙智子君 時間になりましたからあれですけれども、とにかく全然甘過ぎるんですよ。大体、何でこんなに時間が掛かったのかという問題もありますし、それから、やっぱりその認識が全然きちっとなっていないと思うんですね。  最後のお話のところでも、計画輸入制度というのが、前回も言いましたけれども、これは、まず最初に報告さえすれば後は中間で度々報告しなくてもいいというふうに究極の規制緩和なわけですよ。だからこそ最低限の規定として、それについてちゃんとそのおそれがある場合も報告するとなっているのにこれがされていないということですからね……
  171. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 時間ですのでまとめてください。
  172. 紙智子

    ○紙智子君 制度そのものが理解されていないということであって、このことを厳しく厳正にやっていただきたいということを改めて申し上げまして、要求しまして、質問を終わります。
  173. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  174. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 速記を起こしてください。
  175. 山田俊男

    ○山田俊男君 山田俊男です。  本日は大臣が不在になりますが、近藤副大臣がおいででありますので、大臣のつもりでしっかり御答弁をいただきたいと、こういう思いであります。  私は、本日も農業団体が日比谷の野外音楽堂で大きな集会と、それと国会周辺をデモ行進したわけであります。さらにまた、各地方におきましてもそれぞれ要請集会を開催して、現下のWTO交渉について農業者の意思をしっかり反映してほしいという切実な要求を行った取組の最中であります。大変緊迫した状況の中で、私としまして、WTO交渉の動向につきまして率直に質疑したいと、こんなふうに思います。  WTO交渉は、農業交渉については農水大臣が、さらにはNAMA交渉については経済産業大臣が、さらには関税の引下げその他ありますから財務大臣、さらには外務大臣、そしてこれはもう国の在り方にかかわる大変重要なことでありますので、官房長官、総理が担当することになっております。まさに、関係閣僚がきちっと一致して、意思を統一して臨むということが必要になります。  ところで、麻生大臣が就任されまして、九月の二十四日であります。それから昨日といいますかね、十二月の八日までのこの間に、それぞれ首相の動静が新聞で把握できるわけであります。私、一日、毎日のやつをずっと繰って点検してみましたが、石破大臣が総理大臣とお会いになったのは十一月の二十八日、閣議終了後のおよそ十分間というふうに見て取れるかというふうに思いますが、この間、首相の動静に載っている日程だけで言うと、ただの一回だけであります。もちろん閣議の場で御相談されることもおありでしょうし、それから、さらにまた、多分、新聞の動静に掲載されない形での非公式なことがあるかもしれないというふうに思います。  それにしましても、財務大臣、中川昭一財務大臣はしょっちゅう載っています。与謝野経済政策大臣もしょっちゅう載っておられるわけであります。そのほかの各大臣も動静に載っております。どう考えましても、石破大臣は、御案内のとおり、この汚染米のことも含めまして大変な仕事を抱えておられましたので、忙しかったんだろうというふうには思いますが、それでは、WTOの緊迫したこの大事な課題について石破大臣は総理とどこでどんなふうに御相談されたのかということを私は大臣にしっかり聞きたかったわけでありますが。  そこで、何としても国の基本方針をしっかり統一して掛かる担当閣僚会議関係閣僚会議を開いてもらいたいというのが私の思いでありましたので、その旨あちこちで申し上げておりましたが、本日の朝、関係閣僚会議がようやくここへ来て開催されたというふうに聞いておるわけでありまして、副大臣の方から関係閣僚会議内容をお聞かせいただいたら有り難いというふうに思います。
  176. 近藤基彦

    ○副大臣(近藤基彦君) 今ほど山田議員のおっしゃったとおり、本日九時から関係閣僚会議、総理御出席の下、官房長官、外務大臣、財務大臣、経済産業大臣農林水産大臣と、これは関係閣僚ということでありますが、出席をして、WTOのドーハ・ラウンドに関する打合せを行いました。  この打合せでは、内容的には、積極的かつバランスの取れた成果を得てドーハ・ラウンドが早期に妥結するよう引き続き精力的に取り組むことを関係閣僚間で確認をしたということであります。  また、関係閣僚でありますので、常日ごろから十分連携を取っているところでございます。農業交渉についても、我が国食料輸入国でありますので、その立場が反映された貿易ルールの確立を図ることの重要性について、しっかり意思疎通を行っているものと認識しております。  WTO交渉政府全体としての判断を迫られるものでありますので、今後とも関係省庁間で密接に連携を取ってまいりたいと思っております。
  177. 山田俊男

    ○山田俊男君 今、近藤副大臣からお聞きした統一見解といいますか、まとめの中で、バランスのいい成果というお言葉をお聞きしたわけでありますが、どうも、これは正確にちょっともう少し見ていかなきゃいかぬわけでありますが、バランスという言葉であったり、それからさらに国益という言葉であったり、さらには我が国は貿易立国であるからという貿易立国と、私はこの三つはどうも怪しいような気がしてしようがない。  貿易立国といいますと、そうすると、いや、あとは、それじゃ農業の問題がどこかへ行っちゃうんじゃないかと。国益といったら、国益はいろいろあって、今回の、緊急にWTOの閣僚会合をやらざるを得なくなった背景にありますこの金融危機の中で、その責任をこの交渉におっかぶせて貿易と投資の拡大をやらなきゃいかぬという形での国益であったり、それからバランスということになりますと、我が国はまさに鉱工業製品の貿易投資の拡大が必要ですから、そうすると、農業は一方で、これは犠牲になってもいいということはないんでしょうが、バランスを取られた日には、これはもうちゃんと今の切実な要求を実現するものになるのかという大変な心配をするわけであります。  関連して若干申し上げますと、七月の末の交渉におきまして、ああいう経緯の中で決裂いたしました。その際、七月三十日に総理コメント、これは当時は福田総理のコメントでありますが、まさか福田総理が自分でお書きになったものじゃないというふうには思いますけれども、三点ありまして、一つは、今回合意に至らなかったことは極めて残念である、二つ目は、今後我が国としてはこれまでの交渉の積み重ねを土台として交渉を取り進める、三つは、今回の交渉で様々な議論が行われた農業分野については一層の体質強化を進めていくというものであったわけであります。  諸外国向けに我が国がしっかりこのWTO交渉に合意に向けて取り組んだぞということを説明するには、私は、なかなかいいコメントだったかもしれません。しかし、国内の農業関係者に向けて説明するには、極めて残念だったという極めては、私は絶対要らなかったんじゃないかというふうに思うわけでありますが。  吉村審議官、お聞きしたいんですけれども、といいますのは、近藤副大臣はまだ就任されておられませんでしたですかね。吉村総括審議官は、このコメント、総理コメントについて農水省として意見を申し上げるチャンスがあったのかなかったのか、お聞きしたいと思います。
  178. 吉村馨

    政府参考人(吉村馨君) 山田委員指摘のありました七月三十日付けの総理コメントは、これは農林水産省を含む関係省庁で協議した上で総理の御決裁を受けて発出したものであります。そういう意味では、農林水産省も当然作成過程では関与をしております。  三点、山田委員から御指摘がございましたが、総理コメントで極めて残念という部分は、これは委員も御案内のとおり、若林農林水産大臣、甘利経済産業大臣が九日間にわたって懸命の交渉を行ったわけでありますが、それにもかかわらずモダリティー合意に至らなかったということを指して極めて残念と、こういうふうにしたものというふうに理解しております。  また、交渉の積み重ねというところですけれども、これは、これまでの交渉の積み重ねを土台としてどのように今後の交渉を取り進めるか検討すると、こういうふうに述べたものでありまして、もちろんWTO農業交渉あるいはWTO交渉については、これまで枠組み合意でありますとか香港閣僚宣言等の合意が積み重ねられてきているわけでございますので、そういった合意に根差してやっていくということであります。  また、農業分野についての一層の体質強化という部分は、これは、この時点でモダリティー合意が得られなかったということを踏まえてその間に一層の体質の強化を進めていこうと、こういう趣旨だったというふうに私は理解しております。
  179. 山田俊男

    ○山田俊男君 私も、この今求められています貿易の拡大、投資の促進、これを否定するものでは決してありません。我が国がまた貿易立国として存在しているということも否定するものではありません。しかし、我が国農業が置かれているこの現状を一体どう改善していくのか。その際に、今行われているWTO農業交渉中心にして本当に各国の農業が、それぞれ多様な各国の農業が共存するような形でのルール作り、これは我が国のずっと本来の要求であったわけでありますから、それを踏まえた交渉になっているのかどうかということを何としてでも申し上げたかったわけであります。  ところで、今、吉村さんおっしゃいましたが、これまでの交渉の積み重ねを土台としてというふうに言う。もちろん土台の中には長い経緯があるというふうに思います。それに基づいて今後の交渉を進めるというふうに言っちゃったら、七月の時点でほぼ交渉の枠組みは決まって、その中での交渉の決着ということに論理的にならざるを得ないんじゃないですか。ここは本当に、今後交渉をしっかり進めていくということであれば七月のこの枠組みからもう一歩前へ出た具体的な取組がなきゃいけなかったわけでありますが、もう一度吉村総括審議官に聞きますけれども、これの七月末のこの状況を変えるために、わずか五か月足らずしかないわけですが、この状況を変えるために何か農水省として具体的な、かつ戦略的な取組を行われた経緯ありますか。あったらお聞かせ願いたいと思います。
  180. 吉村馨

    政府参考人(吉村馨君) 山田委員指摘のとおり、私ども、あるいはもうこれ政府全体の方針でありますけれども、WTO農業交渉につきましては、多様な農業の共存を基本理念として、輸出国輸入国のバランスの取れた貿易ルールの確立を目指して取り組んできているところであります。  七月の閣僚会合決裂後も、九月以降、G7の事務レベルの会合が非常に精力的に行われ、またファルコナー農業交渉議長の下での議論も行われたわけでありますけれども、これに積極的に参加したのはもちろんであります。  それに加えまして、米国、インド、中国、豪州、EU、ブラジル、これはそれぞれ、もちろん味方にする、あるいは仲間にするという関係のものもありますし、また敵に回さないというものもあるわけでありますけれども、こういった国と密接にバイの会談を行ってきたところであります。また、G10とももちろん定期的に会合を行ってきたところであります。  さらに、十一月の二十三日から二十五日には石破農林水産大臣がジュネーブを訪問をして、ラミー事務局長やファルコナー農業交渉議長に対して我が国立場を強く申し入れたところでございます。
  181. 山田俊男

    ○山田俊男君 閣僚会議を前に、先ほど来も質疑がありましたが、農業議長の取りまとめ提案改訂版として出されているわけであります。この内容で、もちろんこれを受け入れているわけでは決してなくて、これから交渉の対象になるわけでありますけれども、この改訂版内容でやりますと、米を重要品目として選択した場合、一体幾らぐらいの関税割当て数量が代償として求められることになるんですか。百万トンであったり百二十万トンという数字で正しいんでしょうか。お聞きします。
  182. 町田勝弘

    政府参考人町田勝弘君) これは機械的な試算ということでございます、交渉はまさに今やっているところでございますが、現在七十六万七千トンでございます。前回のUR交渉におけます消費量算出方法を二〇〇三年から二〇〇五年に当てはめて試算した場合でございますが、国内消費量四%拡大分が三十七万五千トンということでございます。七十六万七千トンと足しまして百十四万二千トンとなる試算でございます。
  183. 山田俊男

    ○山田俊男君 そうしますと、ただですら、町田局長汚染米のことも含めて、貯蔵中のカビの問題もあったり、さらにまた予定どおり入札ができないような事態があったり、さらには、今度は何と積み戻しといいますか、これをやろうと、やらざるを得ないというふうなこの事態の中で、一体それだけの数字、七十七万トンですらこんなに苦労したのに、これを超える数字について、一体これを処理する何か考えをお持ちで、というよりも、その考えを検討した経緯ありますか。副大臣、お願いします。
  184. 近藤基彦

    ○副大臣(近藤基彦君) まさに交渉の最中で、我が方の主張とすれば柔軟なということにはなっておりますが、これ以上MA米を増やしたくないというのは我々も国内も同じ立場だろうと。先生方もそうだろうと思いますが、そういう立場に立ってできる限り国益を取っていくというのが我々の今の交渉立場でありますので、増えたらどうするのかということはこの場ではちょっと勘弁をしていただきたいと。今、これから交渉に、もしかすると閣僚会合が設定をされて交渉に臨まなければいけないという、まあ前回のガットでは、一粒たりとも日本には入れないという決議までしたわけでありますので、我々はそのつもりでこれから頑張って交渉したいと思っております。  ただ、個別品目、米というのは大変我が国にとって重要な品目でありますけれども、個別品目の取扱いについては、万が一モダリティーが合意されれば、その後の譲許表の交渉の中で検討されるものだと思っておりますので、いずれにしても、我が国にとっては米が大変重要だということは十分認識をした上で、我が国主張が十分反映されるように今後とも全力を挙げて交渉に取り組んでいきたいと思っております。
  185. 山田俊男

    ○山田俊男君 ありがとうございます。  三年前の香港の閣僚会議で、当時の中川農水大臣が、途上国等に対します開発ラウンドとしての戦略として、百億ドルの支援、小泉イニシアチブと当時は呼んでおりましたが、それを打ち出して、大変関係国から評判が良かったわけでありますが、一体こういう戦略を果たして今講じてきていたんだろうかということは疑問があるわけでありますが、この小泉イニシアチブは今どんな状況になっているんですか、外務省にお聞きしたいと思います。
  186. 高岡正人

    政府参考人(高岡正人君) お答えいたします。  現在行われておりますWTOドーハ・ラウンド交渉におきましては、貿易拡大を通じた途上国の発展が重要な柱の一つになっております。  ただいま議員御指摘いただきました開発イニシアチブにつきましては、二〇〇五年に我が国として発表いたしまして、二〇〇六年から二〇〇八年の三年間で百億ドルの資金協力を表明した次第でございます。  その実績につきましては、こうした統計を国際的に取りまとめておりますOECDによりますと、我が国が二〇〇六年で約四十九億ドルの支援を行ったということになっております。二〇〇七年、二〇〇八年の統計につきましてはまだ集計中ではございますが、これまでの援助額の趨勢を踏まえれば目標としていた三年間で百億ドルの達成は十分可能であると、そういうふうに考えておるところでございます。  これからということでございますけれども、我が国といたしましては、こうした開発イニシアチブを通じまして今後とも途上国の経済協力に積極的に取り組む考えでございまして、今年六月に横浜において開催いたしました第四回アフリカ開発会議におきましても、こうした我が国立場を改めて表明したところでございますし、またそうした機会も含めて、様々な機会に我が国への感謝の表明がなされているところでございます。
  187. 山田俊男

    ○山田俊男君 APECの首脳会議の後の麻生総理が記者会見で申し上げられた、攻めるべきは攻めると、守るべきは守るというふうにおっしゃったときに、私は、ああ守るべきものは守るという農産物農業交渉についての力強い言葉だということで、これは大賛成したわけでありますが、ところが、御案内のとおり、NAMAは、我が国ではこれは途上国を攻める、まさにNAMAで攻めるということになって、一方、農業では我々は攻められて、そうして農業は守り一辺倒になっているというのが現状だというふうに思うんです。  要は、本日の閣僚会議でバランスという言葉を使われたということであれば、攻めるものは攻めるけれども守るのは守るというバランスでこの交渉がなされるのかという、これはまたこれで心配事がまた増えたわけでありますが、二階経済産業大臣は、自分はNAMAの担当であります、しかしNAMAの担当でありながらも、しかしそれは同時に農業にどう配慮するかという交渉でなければこの交渉は合意に至らないだろうとおっしゃっていて、強い決意の下での農業に対する配慮ということがあったんだと思います。経済産業省からお見えになってもらっておりますが、今農業者の意見を聞いてみますと、我が国がNAMAに対して関税の、それこそ本当にゼロに近い引下げを徹底して要求している、その裏返しとして農業に対して厳しい要求が来て、これが農業交渉を難しくしているという意見があります。もちろん、御案内のとおり、シングルアンダーテーキングで、一括合意ということでありますが、大事なことは、いかに農業に配慮するかという姿勢が私は必要だというふうに考えますが、その点についてどんなふうにお考えか、お願いします。
  188. 鈴木英夫

    政府参考人鈴木英夫君) 委員指摘の点につきましては、農業に対する配慮でございますけれども、二階大臣からも農林水産省を始めとして関係省庁と十分相談をしながら交渉を進めるように指示を受けております。十一月二十六日の衆議院経済産業委員会におきましても、大臣の方から、国内での難しい問題を抱えており、国内での御相談が大変重要であり、各省庁等との調整の上対応していかなくてはならない、関係者と慎重に粘り強く御相談を重ねていきたいと答弁をしております。  したがいまして、私どもといたしましても、今後の交渉におきましては、この大臣答弁を踏まえて、引き続き農林水産省関係省庁としっかり連携をして、政府一体として取り組んでまいりたいと考えております。
  189. 山田俊男

    ○山田俊男君 近藤副大臣にお聞きしたいわけですが、農水省だけではありません、今の経済産業省も外務省もそれぞれかかわるわけでありますけれども、今回の交渉において、これでは対応できないと、対応できないから交渉から降りざるを得ないという選択肢はあるんでしょうか。悪い内容だったら合意しないという腹をくくった臨み方が必要だというふうに考えますが、いかがお考えか、大臣に成り代わってそれこそ本当にお答え願いたいと思います。
  190. 近藤基彦

    ○副大臣(近藤基彦君) 私、大臣じゃありませんのでここで断定的なことを言うわけにもいきませんし、ただ私自身の考えとすれば、あらゆる可能性交渉の中には依然として含まれていると私は考えておりますので、そこも含めてとだけお答えをしておきます。
  191. 山田俊男

    ○山田俊男君 ジュネーブでの交渉が本当に始まるのか始まらないのか、場合によったら今の状況からすると半々だということなのかもしれないというふうに思います。しかし、政府関係閣僚会議で統一して臨まれるということでありますし、それから党、与党も出席される、さらに農業団体も同時に出席するということやに聞いているところであります。  農業団体は、自らが連携を取っているインドとの間でのやり取り、さらにはアメリカの民主党の農業団体との間で日ごろから強い連携がありますからその連携を取ったり、さらにまたカナダとの間で重要品目の追加について我が国はカナダと同様の課題を抱えているわけでありまして、そういう形でカナダとの農業団体もこれまで長い蓄え、蓄積があります。  どうぞ、私は大事なのは、是非この三者によります情報の交換であったり戦略会議であったり、これをより有効なものとして、関係閣僚も出席する形でしっかり持っていただきたいと、これをお願いするところでありますが、近藤副大臣決意をお願いします。
  192. 近藤基彦

    ○副大臣(近藤基彦君) 当然のことだろうと思っておりますし、私どもとすれば、与野党問わず、これは国益に資する問題でありますので是非御協力をこの場でお願いをしておきますし、いわゆる国会、それから政府、そして関係団体というこの三者、これが総力を挙げない限りなかなか厳しいと私は思っておりますので、是非国会の先生方の御協力をよろしくお願いを申し上げます。
  193. 山田俊男

    ○山田俊男君 あと、汚染米不正規流通米との関係なり、それからさらには、国が食糧の管理を独法化するというような情報が地方分権改革の一環として出ていました。さらにまた、米流通システムの検討会においては、米の食糧法におきます届出制はそのまま維持すると、登録制は採用しないという方向が出されていました。本当に今後MA米が場合によったら大きく拡大しかねないということもあります。国内では水田のフル活用の観点で、米粉だったり飼料米、これの生産の拡大が進もうとしている。こうした中できちっとこの汚染米の問題を反省した上での国の取組にそれでなるのかどうか、十分検討した上で進めていただきたい、こんなふうに思います。  終わります。ありがとうございました。
  194. 風間昶

    ○風間昶君 公明党の風間です。  もう少々で終わりますので。  事故米の不正規流通のこの問題を受けて先ほど大臣から報告がありました。米のトレーサビリティー、米関連商品原料米原産地情報伝達を含めた米流通システム見直しを図るため、米流通システム検討会ということでありましたけれども、具体的にその十一月二十七日に取りまとめた中間報告での骨格って何なんでしょうか。それが、また、骨格が、来国会に関連法案を提出できるよう準備を進めてまいりますというふうに大臣はおっしゃっているわけですから、骨格が恐らくそのまま法案の言わば中心になると思いますけれども、それをまず伺いたいと思います。
  195. 町田勝弘

    政府参考人町田勝弘君) 骨格、三点でございます。  まず一点目がトレーサビリティーでございます。今回の事故米事案におきましてはその流通状況を把握するのに時間を要したということを反省いたしまして、米穀及びその加工品、調製品につきまして、それぞれの取扱業者の方に入荷・出荷時におけます品名、数量、年月日、相手方の氏名、名称、産地、こういった取引に係ります情報を記録していただき、また保存するということを義務付けて、必要なときにはその流通経路を迅速に解明できるようにしたいということでございます。  また、二点目が原料米原産地情報伝達でございます。今回、消費者の皆さんが国産米を使ったと思っていたものにまで幅広く輸入米が使われていたと、消費者の方が認識をされないまま輸入米を口にしていたということが明らかになったわけでございます。こうしたことを踏まえまして、米穀や弁当、外食を含めました御飯など米を原料といたしました商品につきまして、消費者への販売提供時などに原料米原産地の情報の伝達を義務付けて消費者の不安の払拭を図りたいということでございます。  三点目は、米の適正流通確保でございます。用途を限定された米穀が今回のように横流しをするということがないよう、そういったことを禁止するといったことを内容といたします米穀の出荷・販売事業者が遵守すべき事項、こういったものを法律で定めまして、これに違反した場合には罰則等、ペナルティーといった担保措置を講ずるということといたしているところでございます。
  196. 風間昶

    ○風間昶君 ということは、これは三本の骨格ですが、中身的には違うので、それぞれ三本法案として考えているということでしょうか。
  197. 町田勝弘

    政府参考人町田勝弘君) トレーサビリティーにつきましては、食品事故への対応、また表示の適正化、適正な流通の確保、こういった措置を図るための言わば実施の基礎となるものだというふうに考えております。  このトレーサビリティーと原料米原産地情報伝達、これは一つの法律として出したいと思っています。
  198. 風間昶

    ○風間昶君 三本の別法案になるのでしょうかと聞いているんです。説明を聞いているわけじゃないんです。
  199. 町田勝弘

    政府参考人町田勝弘君) 現在、二本ということを考えております。
  200. 風間昶

    ○風間昶君 分かりました。初めからそう言ってください。  それで、この米流通検討会で、実際に問題は、私は業者の方のコンプライアンスを高めることが非常に大事だというふうに思います。今ペナルティーの話が出ましたけれども、ペナルティーよりも先に、やっぱり法令遵守をどう意識を持って高めていけるのかということが非常に大事だというふうに私は思うんですが、このことは議論になったんでしょうか。
  201. 町田勝弘

    政府参考人町田勝弘君) この点につきましては、検討会の中でも議論になりました。  まず、こういったことにつきましては、トレーサビリティー、原料米原産地情報伝達につきましては食品関連事業者の自主的な取組でやっていくということが望ましいということでございます。したがいまして、食品企業、そういったことが法令遵守なり、きちっと消費者の方に情報伝達するなり、記録を取るといった、広い意味でのコンプライアンスといいましょうか、そういったことを推進していくことが重要だというのは委員指摘のとおりだと思います。
  202. 風間昶

    ○風間昶君 繰り返しになりますけれども、したがって、国の側からの規制というのを私は最小限にとどめるべきではないかというふうに思います。それが、事故を起こしたのはまさにあんたたちが悪いんだというような責任転嫁をするような形で規制をするような農水省だと、その体質そのものが問われているわけですから、それをもう一度確認をしたいと思いますが、どうでしょうか。
  203. 町田勝弘

    政府参考人町田勝弘君) 過度な規制を避けるといったことの重要性は十分認識としています。  大臣も御答弁をかつてされていましたが、今回の件で当省が焼け太るとか、そういったことは決してないようにしなくてはいけないというふうに思っております。
  204. 風間昶

    ○風間昶君 それからもう一つは、改革チームの中でのいろいろな御議論があったというふうに聞いておりますが、議事録はちょっと私見ていませんが、いろいろな、農政事務所の廃止から、極端な例は農林水産省は解体すべきといったようなセンセーショナルな意見もあったやに聞いていますけれども、この省内における農水省改革のための緊急提言をどのように生かして実効性あるものにするかということ、どのように今とらえていらっしゃるでしょうか。
  205. 近藤基彦

    ○副大臣(近藤基彦君) 本委員会の最初に石破大臣から御報告をさせていただきました中にも書いてありますけれども、この農林水産省改革チーム緊急提言というのは、農林水産省職員意識組織体質根本から改革することの必要性を強く指摘をしております。我が省としましては、こうした指摘を重く受け止め、平成二十二年度が改革の成果が結実する農林水産省新生元年となるように全力を尽くしてまいりたいと。  これも今朝の大臣の御報告の中に入っておりましたけれども、具体的には、この緊急提言を受けて、本年中に業務組織改革の工程表を作成をし、それを実行していく、そしてその工程表に基づく改革を推進、管理していく組織として農林水産省改革推進本部、そしてその事務局となる農林水産省改革推進室を年明け早々に立ち上げて推進をしていきたいと思っております。  大臣の御報告のとおりでありますが、真に国民の信頼が得られる農林水産省として再生できるように省を挙げて取り組んでいきたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。
  206. 風間昶

    ○風間昶君 その際も、有識者会議への御指摘にありますように、問題は、組織、機構を幾らいじくっても、そこにいらっしゃる方々の消費者に対する意識、ここが確立されないと、どのように制度をいじくってもこれは実を結ばないということはこれまでの歴史が示しているわけでありまして、そこの部分については公務員倫理を含めてどのように考えて今の段階ではいらっしゃるんでしょうか。
  207. 近藤基彦

    ○副大臣(近藤基彦君) 有識者会議の御提言も取りまとめられたところであります。中身についても真摯に受け止めたいと思いますが、この農林水産省改革チームが緊急提言を出した、これは有識者会議ではありません。役所の若手のグループが自発的にとは言いませんけれども、平野先生舟山先生ならよく御存じでしょうけれども、結構いい若手がいますので、そういう人たちが手を挙げていただいてこのチームに参加をしていただいて、役所の中から沸き上がった声でございます。  有識者会議がどうのこうのというわけではありませんが、しかしこの役所の人たちが本当に思いを込めてこの緊急提言を出していただきました。公務員倫理もその中で相当言われておりますし、あるいは思い切った農政事務所の食糧部門の廃止ということも、これは私は政治家ですから簡単にそういうことは言えますけれども、役所の中から自分たちの組織の手足をもぐというような話まで出てくるとは我々も予想だにしていなかったところでありますので、これは本当に重く受け止め、有識者会議の提言と併せてこれからしっかり頑張っていきたいと思っております。
  208. 風間昶

    ○風間昶君 分かりました。  話を変えますが、地球温暖化対策における森林吸収源の対策の一環で、いずれにしましても二〇一二年まであと四年間でマイナス三・八%という目標が課せられて、今年の五月には間伐措置法をわざわざ作った上で施行して、今現在も間伐を中心とした目標達成、取組されていて、今年は年間目標を達成したというふうにこの間レクで伺いましたけれども、これから市街地からどんどんどんどんある意味では奥地に奥地に行くような作業が残ってくるんではないかというふうに思いますので、そうなるとその部分に対する費用も相当掛かるだろうなというふうに思います。  したがいまして、この予算獲得に向けてどんな取組をまず概算要求も含めてスタートしようとしているのか、教えてください。
  209. 内藤邦男

    政府参考人(内藤邦男君) 委員指摘のとおり、平成十九年度から六年間にわたり三百三十万ヘクタールの間伐を実施しなければならないわけでございます。今後は、奥地にあるなど間伐を進めるに当たりまして条件が不利な森林においても間伐が進むような、そういう取組を強化する必要があるというのは御指摘のとおりでございます。  このため、平成二十一年度の概算要求におきましては、まず奥地にあって路網が整備されていないなど条件が不利な森林を対象としまして、公的主体への定額助成によりまして効率的に間伐を実施するモデル事業などを非公共事業で新規要求するということ、それから公共事業におきましても間伐の実施に不可欠な作業道を先行、一括で整備すると、そういうことができるような拡充要求を行っているところでございます。  これらの要求の実現に向けて努力してまいりたいと考えております。
  210. 風間昶

    ○風間昶君 いずれにしても、この森林整備事業はある意味では当初予算よりもそれ以上に補正で確保してきたということでございますから、私はむしろ補正ではなくて、温暖化対策の一環として国としてこれ取り組んでいかなきゃならない事業であるならば、本予算できちっと獲得して安定的な予算の獲得を図る、そういう私は林野庁の意気込みが大事じゃないかというふうに思うんです。  ただ、レクを受けた段階では、いや、なかなか壁が厚くて云々かんぬんと、課長さんなのか課長補佐さんなのか分からないけれども、そんなのはあなたの言葉じゃないと私は思いながらも、むしろトップに立っている長官若しくは副大臣が胸張って本予算獲得に向けていく意気込みを示してもらいたいというふうに思うんですが、いかがですか。
  211. 内藤邦男

    政府参考人(内藤邦男君) 委員指摘のとおり、十九年度も二十年度も補正と併せまして追加的な森林整備に必要な予算を措置するということになったわけでございます。来年度についても、二十年度補正予算におきまして同額の補正を確保し、そして事業量を確保していきたいと思っているわけです。  ただ、やっぱり森林吸収目標の達成のためには、少なくとも第一約束期間であります平成二十四年までの間、追加的な森林整備のための財源を継続的に確保するということが不可欠でございます。  今後とも、当初予算に必要な安定的財源確保のための税制要望、これが、我々今やっておるところでございますが、こういった税制要望も含めまして間伐等の森林整備に必要な財源の確保全力で取り組んでまいりたいと考えております。
  212. 風間昶

    ○風間昶君 応援しますから、是非頑張ってもらいたいというふうに思います。  そして、この森林に関して研修制度があるというふうに伺いました。平成十五年から始まっている緑の雇用担い手対策という研修を受けていらっしゃる方が相当今、この二、三年の間に三千人以上の方々が研修を受けて、今そのうちの八割に当たる二千五百人ぐらいの方々が継続就労しているんですが、私は、その中には独身者もいれば、もちろん高齢の方もいらっしゃるんですけれども、これで本格的にやっていきたいという思いを持っていらっしゃる方のことを考えるならば、むしろそこに住んでいくための言わば住居とかあるいは子育てしていくための支援とかということの、そういう言わば長期就労に向けた支援を欠かせないなというふうに思っているものですから、その部分についてどういう取組をしていかなきゃならないのか、認識はあると思うんですが、お考えを聞かせていただきたいと思います。
  213. 内藤邦男

    政府参考人(内藤邦男君) この緑の雇用担い手対策につきましては、その研修後の動向を見ますと、例えば平成十七年度に受けて、そして現在、二十年の当初でどうしているかというのを確認しましたところ、七割程度が林業に就業しているということでございますので、定着率としてはかなりのものではないかと思います。  ただ、やっぱり長期就労するというためには、まず林業事業体がしっかりするということと併せまして様々な、技術だけではない様々な環境の整備が必要だと思っております。  そのため、この緑の雇用事業と連携しまして、定住、定着支援に向けた取組ということで地方公共団体と一緒になって取り組んでいるものがございます。例えば、林業就業者が入居する市町村営住宅の建設費補助を行う地方公共団体に対しまして地方財政措置をしていただく、あるいは地方財政措置を通じて造成されました森林整備担い手対策基金、これを通じまして社会保険、林対協ですとかそういったものに対する加入促進の助成、加入掛金の助成のようなことも行っているところでございます。  こういった各地の取組も私ども調べまして、そして地方公共団体と手を組んでこういった定住、定着支援に向けた効果が発揮できるようにこれからも頑張っていきたいと考えております。
  214. 風間昶

    ○風間昶君 そこまで考えていらっしゃるんでしたら、少なくとも林業団体からはこの事業が一過性で終わらないでずっと二十二年度以降も続けてほしいという要望をいただきました。  なかなか予算上の問題とかあるんでしょうけれども、そういう声をきちっと受け止めて、二十二年度以降も継続すべきであるというふうに私は思いますが、数少ないそういう本当にやろうとしている人の意欲をやっぱり受け止めていくことが大事じゃないかと思いますが、いかがですか。
  215. 内藤邦男

    政府参考人(内藤邦男君) 私どもも林業団体からそういう声を聞いているわけでございます。  ただ、委員御案内のとおり、予算は単年度主義ということがございますので、なかなか将来のことは言いにくいわけでございますけれども、この事業はやっぱり二十二年度までの五年間ということでやっておりますけれども、終了後どうするかについては、取組の成果、それから残された課題について十分検証を行いまして、さらに、林業担い手を確保するためにどのような施策が必要かと、こういう全体の検討の中で私どももいろいろ考えていきたいと思っております。
  216. 風間昶

    ○風間昶君 もう一点、ちょっとこれ林業じゃないんですが、農地の有効活用に関して。  小規模の集落営農で、営農者の方々が高齢化してきて、とにかく人手がもういらっしゃらないということで、よりこれから考えるならば一層深刻化するんだなと思いますから、担い手の確保ということに関しては、例えばNPO法人などが耕作請負なんかで参加できるような仕組みをつくるといったようなことも私は、相当ハードル高いことかもしれませんけれども、多様な担い手を今後育成していくような取組が必要だと思います。そうしないと、どんどんどんどんこの小規模のところは放棄地になっていくということを是非防がなきゃならないかなと思っていますが、このことに関してはどうでしょうか。
  217. 高橋博

    政府参考人高橋博君) 御指摘の小規模の集落を含めまして、将来にわたり地域の農業を維持するためには、いわゆる担い手、認定農業者とか集落営農のほかにNPO法人を含みます多様な担い手の育成確保が極めて重要であると考えております。このうち、NPO法人の農業参入でございますけれども、現時点におきましても、市町村などから農地を借り受けますリース方式による参入が可能となっております。  現在、リース方式によります農業参入の法人数は、本年九月時点で三百二十ございますけれども、この中でもNPO法人、実は三十八ほどございます。例えば、耕作放棄地を活用いたしまして、ソバなどの地域農産物を生産しながら、それを学校給食などに提供するとともに、このような生産を通じて農業体験などの都市との交流に取り組んでいる事例。あるいは、高齢化などによりまして自ら農作業が行うことが困難になった農家の農地を保全するために、集落全体でNPO法人を立ち上げまして、このような農地を引き受けているというような地域密着型のNPO法人もございます。  私どもといたしましては、このようなNPO法人を含めまして、農業に意欲と能力のある法人参入ということについて、平成二十三年三月までに五百という目標を設定しておりまして、この積極的な取組を行っているところでございますが、さらに、このようなNPO法人を含みます多様な担い手が、農地の貸借を通じまして地域ときちんと連携をした取組を行うことにより、地域農業の発展に一層資するという、このような観点から、先般、農地の貸借等に係ります規制を見直すこと等を内容といたします農地改革プランというものを大臣から発表させていただいたところでございます。  今後は、これに基づきまして、次期通常国会に向けまして、農地制度にかかわります所要の法案の提出を予定しておりますので、引き続き積極的に取り組んでまいりたいというふうに思っております。
  218. 風間昶

    ○風間昶君 終わります。
  219. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 本日の調査はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時二十四分散会