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2008-12-15 第170回国会 参議院 決算委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年十二月十五日(月曜日)    午前九時開会     ─────────────    委員異動  十一月二十六日     辞任         補欠選任         吉川 沙織君     舟山 康江君  十二月十日     辞任         補欠選任         梅村  聡君     森田  高君      外山  斎君     平野 達男君  十二月十一日     辞任         補欠選任         平野 達男君     外山  斎君      森田  高君     梅村  聡君  十二月十二日     辞任         補欠選任         加藤 敏幸君     足立 信也君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         小川 敏夫君     理 事                 神本美恵子君                 藤本 祐司君                 柳澤 光美君                 岸  宏一君                 西島 英利君                 浜田 昌良君     委 員                 足立 信也君                 梅村  聡君                 大久保 勉君                 風間 直樹君                 金子 恵美君                 川崎  稔君                 行田 邦子君                 外山  斎君                 舟山 康江君                 牧山ひろえ君                 石井みどり君                 衛藤 晟一君                 荻原 健司君                 塚田 一郎君                 牧野たかお君                 松村 龍二君                 松山 政司君                 丸山 和也君                 山本 順三君                 弘友 和夫君                 松 あきら君                 仁比 聡平君                 又市 征治君    国務大臣        内閣総理大臣   麻生 太郎君        総務大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣地方分        権改革))    鳩山 邦夫君        法務大臣     森  英介君        外務大臣     中曽根弘文君        財務大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣(金融)        )        中川 昭一君        文部科学大臣   塩谷  立君        厚生労働大臣   舛添 要一君        農林水産大臣   石破  茂君        経済産業大臣   二階 俊博君        国土交通大臣   金子 一義君        環境大臣     斉藤 鉄夫君        防衛大臣     浜田 靖一君        国務大臣        (内閣官房長官) 河村 建夫君        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)        (内閣特命担        当大臣沖縄及        び北方対策、防        災))      佐藤  勉君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣経済財        政政策))    与謝野 馨君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣規制改        革))      甘利  明君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣科学技        術政策食品安        全))      野田 聖子君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣少子化        対策男女共同        参画))     小渕 優子君    内閣官房長官        内閣官房長官  鴻池 祥肇君    副大臣        財務大臣    平田 耕一君        防衛大臣    北村 誠吾君         ─────        会計検査院長   伏屋 和彦君         ─────    政府特別補佐人        内閣法制局長官  宮崎 礼壹君    事務局側        常任委員会専門        員        桐山 正敏君    政府参考人        内閣府政策統括        官        松田 敏明君        総務省自治行政        局長       久元 喜造君        総務省自治行政        局公務員部長   松永 邦男君        総務省総合通信        基盤局長     桜井  俊君        法務大臣官房長  稲田 伸夫君        法務省刑事局長  大野恒太郎君        財務省主計局次        長        真砂  靖君        財務省主計局次        長        香川 俊介君        厚生労働省健康        局長       上田 博三君        厚生労働省職業        安定局高齢・障        害者雇用対策部        長        岡崎 淳一君        厚生労働省職業        能力開発局長   草野 隆彦君        社会保険庁総務        部長       薄井 康紀君        社会保険庁運営        部長       石井 博史君        農林水産大臣官        房長       岡島 正明君        経済産業大臣官        房商務流通審議        官        寺坂 信昭君        経済産業省製造        産業局長     細野 哲弘君        経済産業省商務        情報政策局長   近藤 賢二君        中小企業庁長官  長谷川榮一君    説明員        会計検査院事務        総局次長     増田 峯明君        会計検査院事務        総局第一局長   諸澤 治郎君        会計検査院事務        総局第二局長   小武山智安君        会計検査院事務        総局第三局長   河戸 光彦君        会計検査院事務        総局第四局長   鵜飼  誠君        会計検査院事務        総局第五局長   真島 審一君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○平成十九年度一般会計歳入歳出決算平成十九  年度特別会計歳入歳出決算平成十九年度国税  収納金整理資金受払計算書平成十九年度政府  関係機関決算書内閣提出) ○平成十九年度国有財産増減及び現在額総計算書  (内閣提出) ○平成十九年度国有財産無償貸付状況計算書(  内閣提出)     ─────────────
  2. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十二日までに、吉川沙織君及び加藤敏幸君が委員辞任され、その補欠として舟山康江君及び足立信也君が選任されました。     ─────────────
  3. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  平成十九年度決算外二件の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣府政策統括官松田敏明君外十七名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) 平成十九年度決算外二件を議題とし、本日は全般質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 神本美恵子

    神本美恵子君 おはようございます。民主党・新緑風会・国民新・日本の神本美恵子でございます。  本日から参議院におけるこの決算審査が実質的にスタートするわけでございます。そのトップバッターとして質疑をさせていただきますので、まず最初に、冒頭改めて総理に理解をしていただきたい。  麻生総理は、この参議院における決算審査というのは、委員会におけるものは初めてではないかと思います。参議院では、この間ずっと決算重視ということで、これは与野党超えて決算重視改革を進めてまいりました。その結果を予算編成に反映させるというためにこの時期に、予算編成政府原案作りが行われているこの時期に決算審査スタートさせよう、しかも総理以下全閣僚御出席の下で、国民皆さんにも見ていただくテレビ入りでやろうということでスタートをしているわけでございますので、この間の決算改革の中で、参議院は特に警告決議措置要求決議というものを院を挙げて出しまして、それを次の年の予算編成に生かしてほしいということでやってきておりますので、そのことを踏まえた上での御答弁を是非お願いしたいということを冒頭申し上げておきたいと思います。  さて、十九年度の一般会計決算は、数字だけ見ますと財政状況が改善したかに見えます。税収の増加、これは十九年度決算ですけれども、定率減税廃止等税収が増加しております。また、歳出削減によって、一時は二十兆円に上ろうとしておりましたプライマリーバランスの赤字が約六・一兆円にまで改善しました。  ただ、その実態を見ますと、税収は今申し上げましたように所得税定率減税という、国民負担を増やしたということと、歳出削減についても、小泉改革骨太方針二〇〇六で打ち出された社会保障関係費の抑制を始めとする、歳出においても国民負担を強いるというような予算削減によるものであります。このような国民生活犠牲にする、ある意味では、ことによって財政健全化を進めた結果がこの十九年度決算に表れているのではないかと思います。  しかしながら、現在の二十年度の状況に目を向ければ、更に景気情勢が悪化して、税収が当初見込みを六兆円も下回ると言われております。政府はこの穴埋めのために赤字国債を追加発行する方針のようでありますけれども、国民生活犠牲にして改善を見せたこの十九年度決算の結果と現在の財政状況について、まず総理にお伺いしたいと思います。
  7. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 最初決算委員会のことについてお話がありましたけれども、一年ほど前まで総務大臣やら外務大臣やらいたしておりましたときにも決算委員会というものに出席をさせていただいた機会が度々ありますので、決算に関しましては、当時から参議院決算をという話を言っておられました。私どものように会社経営からこの世界に入ってきた者から見ますと、予算より決算が大事にされないのはいかがなものかなと思っておりましたので、決算というものは会社の中で一番大事、予算より決算の方がよほど大事だと、私はそう思っておりましたので、決算を大事にされるという姿勢は基本的に正しいと、私自身はそう思っております。  平成十九年度の決算につきまして今いろいろ良くなったような形をされておりますが、それは、フローで見れば確かにそうなりますが、ストックで見ればいかがなものかと、私は基本的にそう思っております。  今、財政というものは巨額の公債残高というのがございますので、その公債残高、約五百四十一兆円と言われる公債残高を考えてみた場合に、やはり公債の発行というのに今後とも依存せざるを得ない状況が暫時続くという厳しい状況にあることには変わりはないんだと思っております。  したがって、十九年度だけ見ればここだけ良くなったという話は、それはフローでは確かにそういうところに出ますけれども、ストック全体で見ますと、固定資産流動資産、いろいろな表現がありますが、固定負債で見ますとなかなかさようなわけにはいっていないのではないかというようなのが、基本として我々は常に頭の中に入れておかねばいかぬ大事なことだと思っております。  財政健全化というのに今着実に取り組んでいく必要があると思っておりますが、当面は、これはどう考えても景気対策というのが当面の最も大事にしなければならぬ課題。したがいまして、この景気対策に全力を挙げるということが必要なんだと思いまして、景気対策によって税収減、いわゆる景気が後退することによって法人税収等々、所得税消費税、いずれも税収減というものが予想をされますので、そういった状況においては財政状況として全体で見た場合は決して、フローとは違ってストックの面で見ますと厳しい状況になるという認識を先生と同様にいたしております。
  8. 神本美恵子

    神本美恵子君 大変厳しい財政状況には変わりないというお話でございました。  そこで、ちょっとお手元に資料を用意しておりますので御覧ください。国民皆さんにはパネルを用意いたしました。(資料提示)このパネルは、一般会計特別会計の仕組みということで、国の全体の、国民皆さんからお預かりしている税金の財布の中身ということで、私なりに分かりやすくということで作らせていただきました。  この厳しい財政状況をもう少し具体的に見てみますと、一般会計では税収、いわゆる財布ということでいいますと、家計収入、お給料ですね、は五十一兆円しかないんですが、家計費支出支出額は八十一・八兆円もあり、足りない分を借金公債金収入で補っているということになります。収入全体が税収借金、ほか税外収入も入れまして八十四・六兆円、そして支出が八十一・八兆円ということになっております。要するに、かつかつの一般会計状況がこれで分かると思います。  この厳しい財政状況のところに加えて、麻生総理は十月三十日の生活対策発表記者会見の折に、三年後には消費税率を引き上げるという発言、まあ前提として景気が回復すればというようなこともおっしゃっておりましたけれども、更に国民負担を強いることを求めようとされているというふうにも聞こえます。  しかし、消費税率を上げる前にまだ活用できるお金がないのかということで、私も私なりにいろいろ調べました。それは、塩川元財務大臣、余りにも有名になりました、母屋一般会計おかゆを食べているのに離れではすき焼きを食べている。その離れというのはこの特別会計のことを指しているんですけれども、この離れ特別会計にある剰余金あるいは積立金資金というようなものをすき焼きというふうに表現されたのではないかと思います。  十九年度には二十八の特別会計がありまして、その後、特別会計に関する法律の改正によって会計、お財布そのもの、小さなお財布をいっぱいかいておりますが、お財布そのものの数は二十一ですか、に減っております、統合されておりますが、当時二十八ありました。これらの中には、年金国債整理基金道路整備エネルギー対策などいろんな目的のものがあって、それの剰余金を全部合わせると、合計が四十二・六兆円というふうにこの十九年度決算ではなっております。  この剰余金あるいはその横の積立金、この中には年金財源など使ってしまってはいけないものがあるのはもちろん分かっておりますけれども、ほかの財源に充てる余地のあるものがほかにはあるんじゃないかということで調べてみますと、この剰余金の使い方が、分かりますかね、一般会計に繰り入れられているのが一・八兆円、そして下に書いております翌年度歳入への繰入れ、これは事業が途中であるとかいうことも含めて、次の年の歳入として元のお財布に、特別会計のあの財布にそれぞれ入れたものの合計が三十四・二兆円になっております。そして、その残りといいますか積立金資金、右側、積立金と書いております、言わば金庫ですね、ここにストックしておくものとして六・七兆円が金庫の中にしまわれているというような剰余金の内訳になっております。  昨年末から埋蔵金というお話があちこちで聞かれますし、与党の皆さんの中にも埋蔵金があるだのないだのという議論がずっとこの間なされてきておりましたけれども、この剰余金積立金のことではないかと私は思っております。  この特別会計剰余金の具体的な例として、今回の会計検査院報告、先般提出されましたけれども、その中でエネルギー対策特別会計、このお財布の中の一つエネルギー対策特別会計というのがあるんですが、そこについて、会計検査院がそこの剰余金について指摘をされておりますので、会計検査院長、今日おいでいただいております。簡潔に何が問題なのかということを御説明お願いしたいと思います。
  9. 伏屋和彦

    会計検査院長伏屋和彦君) お答え申し上げます。  今委員が言われましたエネルギー対策特別会計エネルギー需給勘定でございますが、十四年度にも一度、会計検査院として検査して報告いたしました。その後、五年経過いたしましたんですが、その間減少傾向にはあるとは思われますが、なお多額剰余金があります。また、平成十七年度の決算審査措置要求決議参議院でしていただきましたんですが、特別会計剰余金及び積立金財政健全化のための更なる活用についての対応として検査も行ってまいりました。  その結果、剰余金が生じている要因を分析いたしましたところ、過年度の実績を十分考慮しないまま予算額を見積もられていることなどにより予算額実績額との間で乖離が生じて不用額が継続して発生しているなどしておりまして、一般会計から繰り入れるなどした財源が有効に活用されずに、その結果多額剰余金が生じているものと認められました。  これはいずれも国民皆様納税者皆様から納めていただいている税等によるものでございますので、したがって、エネルギー需給勘定剰余金を極力減少させるよう、不用額発生要因を見極めて、この要因予算額執行実績との継続的な乖離等に起因する場合は、歳出の見積りに当たりましてそれらを十分考慮した適切なものにしていただく必要があると考えまして、今先生言われました会計検査院法第三十六条の規定によりまして、経済産業大臣及び環境大臣に対して意見を表示させていただいたところでございます。
  10. 神本美恵子

    神本美恵子君 今会計検査院からの指摘、概要をおっしゃっていただきましたが、この財布の中の一つエネルギー特別会計、ここに多額剰余金がずっと積み重なっていると。これは有効に活用すべきだという、本委員会のこれまでの措置要求決議の中でもありましたけれども、そういう今の会計検査院からの指摘でありましたが、先ほども言いましたように、母屋おかゆを食べている、ここに繰り入れるか、あるいはこのエネルギー特別会計の原資となっております石炭石油税などは一般会計から特別会計のお財布の中に入れられていますから、入りを減らすとか、この剰余金を有効活用する、消費税引き上げる前にやるべきことではないかと思いますけれども、総理の御見解をお伺いします。総理
  11. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) この制度をよく御存じの上で聞いておられるんだと存じますが、この特別会計において剰余金ができましたときにおいては、少なくとも一般会計から特別会計への繰入れが減少する制度になっておりましょう。分かります、制度でそうなっております。  したがって、平成二十年度一般会計からこの特別会計への繰入額につきましては、剰余額を活用して既に七百四十二億円のものを減少させております。したがって、一般会計から特別会計へそれだけ減っているということでありまして、こういうこの種の剰余金というものが出ました場合は一般会計歳出が圧縮される若しくは縮小するということで貢献しているという、制度でそのようにしておりますんで、一般会計からの支出がそれだけ減少させるという制度になっておると存じますが。
  12. 神本美恵子

    神本美恵子君 それでも余っているから何とかしろと会計検査院指摘をしているんですよ。ですから有効活用できないのかということを聞いているんですが、もし制度があるから、もう制度に従ってやっているんでこれ以上出さないというんだったら、制度を変えるべきじゃないですか。総理、もう一度。
  13. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) それは石油で上がったり下がったりいたしますので、この点に関しましてはいろいろその場に応じて考えねばならぬと思いますが、かといって、今回のようにいきなりどおんとまた四十ドルまで下がってまいりますと、この分はある程度のものを持っておきませんと今度は足らないということになりかねないということでありますんで、予算執行の時点におきまして、予算編成時と状況が変化したことによって支出額予算を変えたり何かするということは十分あると考えられます。
  14. 神本美恵子

    神本美恵子君 原油価格がどおんと上がるために取っておくと、そういうことも含めて、それを私、経済産業省の方にお伺いしました。なるほどと思いそうですけれども、それでも専門会計検査院がきちっとチェックをして、これだけ余っていると、これは有効に活用してもいいんではないかということを言っているわけですので、私は、これだけ必要ということと、しかしこれぐらいは一般会計に入れて有効活用できるということを、これ間違っていただきたくないのは、国民皆さんに、お預かりしたお金、このお預かりしたお金のこれだけは将来のためにどうしても必要ですよと、しかしこれだけは会計検査院専門家指摘も受けてよく見てみると使ってもいい、しかし今の制度ではできないから、制度を変えなきゃできないんであれば制度を変えて有効活用すべきだということを申し上げておきたいと思います。  時間がありませんので次に行きますが、特別会計にたまっているお金は、エネルギー会計を今回取り上げましたのは会計検査院指摘があったから例として取り上げたんですけれども、この十九年度決算剰余金から六・七兆円が積立金の方に組み入れられております。その残高は、組入れ後の残高で二百四兆円ということになっております。これがいわゆる離れでの埋蔵金の一番大きいところではないかと思いますが、このうちの百五十兆円程度は年金などの積立金でほかに使うべきでないということは、国民皆さんもすぐにそう言えば分かっていただけるんではないかと思います。それから、国債償還に充てるべきお金が約十兆円ぐらいというふうに考えられますが、残りの、単純に考えて、もうざっとですが、四十兆円ぐらいは一般会計なりほかの緊急性の高いものに使えるんではないかというふうに思っております。  今回、麻生総理生活防衛のための緊急対策ということで計二十三兆円を出すというふうに記者会見で発表なさっておりました。私、この二十三兆円っていきなりどこから出てくるんだろう、その財源はどこからなのだろうというふうに思ったんですけれども、それはここから出されるんですかね。総理総理
  15. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) 質問者総理大臣答弁を求めておりますが、いかがでしょうか。
  16. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) まず財務大臣に……
  17. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) 総理大臣経済政策に関して総理に質問しておるようですが。
  18. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 財投の制度についてのことなんで、まず私から……
  19. 神本美恵子

    神本美恵子君 いえいえ、制度ではなくて。  この積立金剰余金からも繰り入れられて二百四兆円ある。その中の、私なりに概算しますと四十兆円ぐらい使えるんじゃないかと思うんですが、総理生活防衛のための政策ということでこの前発表されたこの二十三兆円ですね、これはここから出すのですかということを聞いているんです。総理に。
  20. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 今御質問のところは財務大臣の方が適切だと思いますが、アメリカ発の金融危機ということで、実体経済に尋常ならざる速さで経済に影響を与えているのはもう御存じのとおりだと思っておりますので、そうした中で、この生活対策というものを新たに考える必要があるのではないか。特に雇用などなど、いろいろあろうと思いますので、暮らしの安全が脅かされている、いわゆる安心という観点が非常に大きいんだと思いますので、資金繰りに苦しんでおります小規模・中小企業などに対してセーフティーネットを強化して、緊急の備えを万全にするために策定いたしたものでありまして、生活対策に盛り込まれたものはいずれも緊急性の高いものということでありますので、我々としては、今これらのものに対する対策というものを、いわゆる緊急の中から出てくるものなのであれば、我々としては、いわゆる公債の中で出てくるものの中で、財投資金やら外為特会などなど、いろんなものがあろうかと思いますが、そういったもので、生活対策の中はその中のものから充てたいというように考えております。  これは法律によって定められた目的というもののために積み立てられておりますので、これはなかなか他の政策経費への財源として自由に使ってよいというものでないことはよく御存じのとおりだと思っておりますので、こういった中で一般会計に繰り入れられることが可能なもの、先ほどのエネルギーもそうですけれども、これまでも一般会計法に基づいて、会計法に基づいてですよ、会計に繰り入れて活用してきたところでありますので、今度の特別会計積立金の活用といったような措置はあくまでも一時的なものにすぎないとは思っておりますけれども、いろいろな意味で、財源の在り方も含めて検討していかなければならないものと思っております。
  21. 神本美恵子

    神本美恵子君 要約すれば、ほかに出どころないわけですから、この特別会計積立金なり剰余金、あそこからしか出せないということですよね。  ただ、出し方はいろいろそれぞれの会計法に基づいて、特別会計のそれぞれの法律があるので出せないとおっしゃいましたが、一昨年ですか、十九年か二十年に特別会計に関する法律ができまして、一般会計に繰り入れることができるというふうになっております、すべての特別会計からですね。それまでは一部の特別会計しかできなかったものができるようになっているから、多分それを使ってここから今回出されるんだというふうに思いますが、ここから出すにしても、まあ思い付きと言っちゃ言い過ぎかもしれませんが、今のこの金融危機に対応してここから出そうというのであれば、どれぐらい出せるものなのか。  今回、これだけ必要だからと、私は四十兆と申し上げましたが、その四十兆、本当にあるのか、使えるのか。制度ではありませんよ、その今の積立金として取っておかなければいけないものを除いてどのぐらい使えるものなのかということを示した上で、その中で二十三兆、これだけかつかつで引き出して皆さんのために今使いますという御説明がちゃんとあれば納得できるんですけれども、そういう二次補正も出さないでこういう形でぽんぽんと記者会見で発表して、そして三年後は消費税ですよというのでは、もう本当に国民皆さんいらいらしております。  そこで民主党は、そういう使い方ではなくて、当然、この剰余金なり積立金は活用すべきだと、今こそ国民のために活用すべきだというふうに思っております。それで原則、いろんな法律に基づいて使い方が制限されている特別会計の在り方を抜本的に見直し、将来的にはこれを原則廃止して無駄をなくすということで、必要以上にため込まれているお金もここに、埋蔵金にならないようにするということを考えております。  具体的に、今回民主党から提案しておりますのが、今日にも法案として提出しようと思っておりますが、十九年度末に一兆六百七十九億円が積み上がっている労働保険特別会計、お財布の中の一つです、この労働保険特別会計の中の雇用安定資金というものを使って派遣労働者等の就労支援のための住まいと生活の支援に使うということを法案の形で今日にも提出する予定にしております。  現在、本当に、報道されておりますように、製造業を中心とした派遣労働者や期間従業員の非正規労働者の皆さんの解雇や雇い止めが広がっている、派遣切りというものが広がっていることはもう皆さん御承知だと思います。この非正規労働者の皆さんは、失業しても雇用保険の失業給付を受けられないというケースが多くて、解雇と同時に会社の寮を出されてしまう。そうすると、住まいもない、この冬どうやって越そうかという方がたくさんいらっしゃるということですので、そうした皆さんに住まいと生活を支援しようということで、この労働保険特別会計のお財布の中の雇用安定資金一兆円を使うというのが民主党の提案でございます。これは一時しのぎではなくて、きちんと制度として、雇用安定事業のメニューとして実施する法案でございます。  ですから、与党においても雇用対策を考えられておりますけれども、それが一時的なその場しのぎの対策になっては今後の将来につながらないわけですので、民主党のこの提案に対して、労働保険特別会計の雇用安定資金一兆円を活用するということに対しての麻生総理の所見をお伺いしたいと思います。
  22. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) この雇い止め若しくは解雇に伴いまして、これまで入居していた社員寮、これは借り上げもあろうかと思いますが、退去を余儀なくされて住居を失う離職者が発生していることに関しては、これは深刻に受け止めているところです。  このために、今、緊急住宅確保対策を講じることにして、本日から雇用促進住宅への入居相談のあっせん、住宅、生活支援の資金貸付けの相談などをハローワークにおいて実施をいたしておるところでもあります。あわせて、社員寮への入居継続を可能とするよう事業主と話をさせる。こういったことは、後日これによって、これに対する助成処置というものも講じたいと考えております。  こうした処置も含めまして、必要に応じて処置を講ずるに当たりましては、今御指摘のありました、雇用のいわゆる安定資金の活用というものも併せて検討していく必要があると、前から検討させているところであります。
  23. 神本美恵子

    神本美恵子君 総理記者会見で、定額給付金二兆円、雇用対策一兆円、年金の三分の一から二分の一への引上げについて、何兆円はここから出すというようなことを次々とおっしゃっておりますけれども、定額給付金のあの所得制限をどうするかというぶれに見られますように、総理の発言がぶれるということについて、国民皆さんは、その財源はどこから出てきて本当にどうしたいのか、どうするつもりなのかということに、次々と埋蔵金からどうも出るらしい、何兆円、何兆円ということに対して、うさんくささと言っては言い過ぎでしょうか、そういう、このことが政治不信を招いているというふうに私自身も肌で感じております。いろんな方にお聞きしますと、大体どれだけストックがあって、どれだけ、どこから出せるの、次々と言っているけれどもというふうなことを申し上げておきたいと思います。  それで、麻生首相が十二月六日に長崎の諫早で演説をされた中で、この定額給付金について、貧しい人には全世帯に渡すが、私はそんな金をもらいたくないと言う人はもらわなきゃいいと、年収が一億円あってもさもしく一万二千円が欲しいと言う人もいるかもしれない、私この発言の真意は何だろうかというふうに本当に耳を疑いました。この給付金として、政府国民皆さんからお預かりした税金の一部を今回の緊急対策で定額給付金として配ろうという、そのお金をもらう、給付を受けることをさもしいという言い方は何ですか。これは私は、たらたら飲んで食べて寝ているだけの人の分という発言とぴっときたんですけれども、受け取ることはさもしいことなんですか、総理
  24. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) この話は最初から、定額減税という話で最初出たように記憶しますけれども、定額減税でやった場合は、いわゆる定額の、税金も納めていないところには金が届かないことになるのではないか、したがって全家庭に行くようにすべきではないか、これが最初に私が申し上げたことだと思います。全くそれからぶれていないと思うんですが、それが最初から申し上げた言葉ですよ。それが最初に申し上げた言葉です。是非ここだけは御記憶ください。  その上で、我々としては、多くのフロー、キャッシュフローが入ってくる方々で、一億円もある方でもらう方、五百万だけれどもおれは要らぬと言う方と、これは人間いろいろではないかと。したがって、多額の金を今もらっている方でも一万二千円をちょうだいと言う方を私はさもしいと申し上げたんであって、これはみんなで困っているときにみんなで困っている人にせめて一万二千円なりなんなりということから発想した話ですから、一億も収入のある方はもらわないのが普通だと、私はそう思っております。したがって、そこのところの、これは人間の矜持の問題なのかもしれませんけれども。
  25. 神本美恵子

    神本美恵子君 一億円だったらさもしくて、じゃ、幾らだったらさもしくないのか。本当に、こういう表現というのは考え方ですから、価値観、給付を受け取ったり生活保護や就学援助という支援を受けることは本当に恥ずかしいことだというふうな考え方を広げるわけですよね。ですから、私はこういう言い方はそういうことにもつながるということで、私はこういう表現はやっぱり適切ではないというふうに申し上げたいと思います。  今まで特別会計一般会計母屋は大変厳しいというお話をしてきましたけれども、この厳しい母屋の中で、それでもかつかつの生活を強いられている子供、家族政策、子供のことについて御質問をしたいと思います。  これまで政府少子化対策ということで、九四年のエンゼルプラン策定以降、二〇〇三年からは内閣少子化担当特命大臣を置いて、二〇〇七年には「子どもと家族を応援する日本」重点戦略検討会議、これは総理を議長とするわけですけれども、が設置されて、昨年末にはこの報告もまとめられております。こう見てくると、政府を挙げて取り組んでいるかに見えます。確かに取り組んでいらっしゃるんでしょう。  しかし、実際は、各自治体でこのことに携わっている、少子化対策に携わっている人や実際に子育てをしている人、支援をしている人たちのお話を聞きますと、共通に聞こえてくるのはお金がない、お金が足りないということであります。社会保障費の抑制や地方交付税の減額など、国、地方とも財政難ということは分かっておりますけれども、この財政難ということが壁になって子供のことが後回しにされ続けている。したがって、その結果として合計特殊出生率になかなかその成果が表れない。子供の問題、次々といろんな課題が出てきているということは言うまでもないと思います。  それで、今日お手元資料にお配りしておりますけれども、少子化対策関連予算決算についてお伺いしたいと思いますけれども、これ文科大臣にお伺いしたいと思います。  少子化対策関連ということで、予算決算が一覧にされてこの少子化白書に示されております。この中の若者の自立とたくましい育ちの中で、「子どもの学びを支援する」という重点項目がございます。この十九年度の予算額はこの項目でいいますと百十四億五千四百万、決算額は十二億九千百万というふうになっております。つまり、けたが違うわけです。百十四億、決算額は十二億。それなのに、二十年度予算では、翌年度予算には百十八億また組まれているということなんですが、これは予算決算決算を生かして次の年の予算が組まれるのは当然だと思いますけれども、これはどういうことなんですかね。放課後対策の中の放課後子どもプランというのも、予算は六十八億二千万、決算は二十五億、けたが違います。使用実績が不十分なのに、また七十七億と次の年は組まれております。  詳しく中身については省庁別でやりたいと思うんですが、この予算決算乖離と、それから決算を受けて翌年の予算はまた同じようにたくさん組まれている、これはどういうことなんですか。  通告ですね、質問レクでお聞きしたんですが、後で資料を届けますと言われて、説明で私納得できればもう今日時間ないので聞くつもりなかったんですけれども、お願いします。
  26. 塩谷立

    国務大臣(塩谷立君) ただいまの予算額決算額について、ちょっと私の方も具体的な数字を今持っておりませんので、それ後でもう一度お答えしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  27. 神本美恵子

    神本美恵子君 そこで、少子化担当大臣にお伺いしますが、今のは文科省が所管している若者の自立支援というところの項目ですが、少子化担当大臣ですので、十九年度の少子化対策全体の予算ですね、関係予算全体の予算決算額はどうなっていますか。
  28. 小渕優子

    国務大臣(小渕優子君) お答えをいたします。  予算額決算額の中で執行残があるということではないかと思いますけれども、その理由は様々あります。例えば、児童手当につきましては少し多めに予算をお願いしているということもありますので、当初見込んでいた予算額よりも少ない金額で当初の目的を達成したということも多いようであります。  ですから、一概に執行残が良くないということではないかと承知をしておりますけれども、しかしながら、例えば予算を執行する側の事情で予算上予定していた事業が十分に実施されなくて、その上で結果としてその執行残が生じているようなケースがあるとすれば、これは必ずしも十分とは言えない、少子化予算の中で大変もったいない事態が生じているのだというふうに思っています。  そうしたもったいないことが生じないように、委員の問題意識というものもしっかり踏まえまして、その予算決算についてしっかり見てまいりたいと考えております。
  29. 神本美恵子

    神本美恵子君 執行残があるのはその事業が十分にされていないのではないかということも含めてしっかりと見てまいりたいというふうにおっしゃいましたけれども、私、この白書の中のずっとそれぞれどうなっているかということを見たんですが、予算決算を掲記できないものということで、その項目に横棒が引いてあるだけで金額が記入されていない、予算額決算額も記入されていないところがいわゆる虫食いですね、何にも記入されていないものがいっぱいあるんですね。ですから合計額にこんなに乖離が出ているということも考えられるのではないかと思いますが。  要するに、こういうことで予算を立てました、執行しました、そして決算額が出ましたということがないと、次の年、この事業が果たして本当に適切だったのか、あるいはどこが不十分だったのか、何が足りないのかというふうなことが政策評価ができないわけですよね。次の年にこれについてはもっと増やさなきゃいけないとか、そういうことをするのが私は少子化担当特命大臣ではないかと思いますが、これまでお聞きしたところ、大体各省庁が事業をいろいろやって、予算決算を出して、それを集めてホッチキスで留めたというのがこの一覧表ではないかというふうに私は思っております。  この決算委員会で、私はもう今年で七年目になりますが、ずっとこの少子化対策関連予算男女共同参画関連予算というものが一覧にすらなっていなかった。だからこれ一覧にすべきだということで措置要求決議を出しまして、その措置要求に基づいて、政府としては努力して一覧にされました。まず予算だけ一覧にされた。翌年から決算まで入ってきたと。そこまではいいんですけれども、相変わらずのホッチキス留めでは、少子化担当特命大臣男女共同参画特命大臣でもありますけれども、その役割を本当に果たせているとは到底思えないんですね。これは、仕組みに問題があるのか、個人の資質というよりも、私は、特命担大臣とこう飾っておいて、それだけでやっていますというような態度では子供の問題というのは本当に解決しないし、深刻な問題になっているということを申し上げておきたいと思います。  時間がもう限られてきておりますので、もう一言小渕大臣には申し上げたいと思います。  自民党の幹部におられます総務会長ですが、小渕大臣を起用したのは子供を産んだからだという御発言がございました。これについては御本人も撤回されているようですけれども、小渕大臣、こういう誤解を招くような発言は良いことだとは思わないというふうにおっしゃっておりますが、自分への応援だというふうに受け止めますというふうに、かばっているように私には聞こえるんですね。私は、こういう女性を蔑視するような発言に対しては、男女共同参画担当大臣でもございますので、やっぱりこれをきちっと、絶対にこんな発言は許せないんだという強いメッセージを発すべきだと思います。一言だけ。
  30. 小渕優子

    国務大臣(小渕優子君) 少子化担当大臣に子供がいるかいないかということ、あるいはまた男性であるか女性であるかということ以上に今の日本が抱えるこの少子化問題というのは最重要課題であると承知しておりますし、これはだれもが考えていかなければならない課題ではないかと思っております。私に子供がいるいないにかかわらず、私が少子化担当大臣としてどういう仕事をしていくかということが重要だと考えております。
  31. 神本美恵子

    神本美恵子君 やっぱり男女共同参画担当大臣でもあるという自覚がまだ足りないというふうに私は指摘をさせていただきたいと思います。  そこで、次に、総理に伺います。  家族に対する公的支出の対GDP比国際比較調査でございますが、お手元の資料の二ページ目になります。これはOECDの調査で、対GDP比で家族に対してどれだけ公的支出が行われているかということを国別に幾つか比較をしたものですけれども、一九八〇年から二〇〇一年と書いてありますが、二〇〇〇年まで日本はこのGDP比一%に満たないという状況です。ずっと真っすぐに低空飛行を続けております。少子化対策に取り組み始めた九〇年ごろもやはりほとんど変わっておりません。いかに少子化対策と言いながら子供にお金を掛けていないかということが、これ一目で分かると思います。  これは二〇〇〇年までの資料ですけれども、次の三ページを見ていただきますと、二〇〇三年度分が一覧になってございます。これを見ても、日本はやはり〇・七五%、一%に満たない状況が続いているということが分かると思います。近年、少子化対策で成果を上げていると言われておりますフランスやスウェーデンなどと比べてみますと、フランスでは三・〇二%、スウェーデンは三・五四%というふうに日本と非常に大きな違いがございます。  昨今、家族崩壊という言葉さえも聞こえてくるような状況ですけれども、政府も子供を応援するだけではなくて、子供と家族を応援するというふうな重点戦略会議をスタートさせておりますけれども、というのならば、子供後回し政策を大転換して優先的に子供と家族に予算配分する、あるいは教育に予算配分するということを考えるべきではないかと思いますが、これは総理、決意を是非お願いしたいと思います。
  32. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 少子化対策というものに関しましては、これは今言われましたように待ったなしの課題になりつつある。特に、将来の担い手であります子供というのはこれは未来への投資として重要と考えるべき、いろいろ御意見があるところであります。  生活対策におきましても、安心こども基金を創設、待機児童解消のための保育所等の緊急整備を行うなどなど、学校の耐震化を含めましてこれ加速化をさせたいと思っております。
  33. 神本美恵子

    神本美恵子君 細かいことはもういいです。
  34. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 少子化対策の安定財源の確保を図りつつ、保育サービスの充実、また仕事と生活の調和の推進など、いわゆる子供対策というものは非常に幅広いものだと思いますけれども、こういったものを総合的に推進してまいりたいと考えております。
  35. 神本美恵子

    神本美恵子君 細かい施策はいっぱいある、並んでいるんですよ。しかし、どれもお金が足りない、十分な財源が手当てされていないためにそれが進んでいないということを今お示ししたんです、諸外国と比べて。ですから、これはもう大胆な政策転換といいますか、優先順位を付けてやらないとこの問題は解決しないということを申し上げておきます。  その後回し政策、子供後回し政策によって日本の現状がどうなっているのか、総理には是非御認識をいただきたいということで次の資料を用意しました。これは、いわゆる子供の数が減っているのでこれから大変になる、労働力不足、年金、介護を支え切れなくなるという、それだけの問題ではなくて、一方で子供たちに格差や貧困が広がっているという、このことを私は最近本当に書店やいろんな人の話、講演などを聞いています。最近、こういう「子どもの最貧困・日本」というブックレットが出ましたり、東洋経済という雑誌でも特集が組まれていまして衝撃的な内容が書かれております。  これも資料四ページを御覧いただきたいのですが、OECD加盟の二十五か国の子供の貧困率というグラフでございます。日本はワーストテン、一四・三%になっております。OECDの平均は一二・一%、それを上回って一四・三%子供の貧困率。要するに、七人に一人が貧困という状況にあるということです。貧困の定義などをちょっと詳しく申し上げる時間がありません。しかも、表は挙げておりませんが、この中で一人親世帯の子供の貧困率となるともっと上がって、トルコに次ぐ二位の五七・三%、豊かな国日本と言われるこの国の子供たちの一人親家庭に育っている子供たちは、五七・三%ですから約六割近い子供が貧困状況に置かれているということをまず申し上げたいと思います。  しかも、もっと驚くべきことは、その次のページ、資料五ページになりますが、この子供の貧困率に対して各国いろんな取組をしていますが、この貧困の減少に対する税や所得移転によってこの子供の貧困率を押し下げるという取組を各国行っております。政府の介入によって貧困状況にさらされる危険から子供を救うという取組がされているわけですけれども、日本のところを見ていただきたいのですが、これ薄いところが政府が税や所得移転によって子供の貧困率が押し下げられたという状況なんですけれども、棒グラフの二本並んでいる左が子供のいる世帯、日本のところは子供のいる世帯で押し下げている状況が全く見えない。薄い線ぐらいあるのかもしれませんけれども、政府が税制や所得保障など様々な所得移転をすることによって子供の貧困率を下げることに何にも役に立っていないということがこれを見るともうはっきりと分かります。子育て世帯への所得再分配が皆無だということなんですね。  先ほどから、少子化に金掛けてない、後回しにしていると私は申し上げてきましたけれども、この子供の貧困問題ということについて総理はどのような認識を持っていらっしゃるのか。政府がいろいろ取り組んでいるはずなのにそのことが表れていないということについてどのような認識をお持ちですか、簡単で結構ですのでお答えください。
  36. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) これは、教育におきまして、基本的に家庭環境にかかわらず、家庭の経済状況にかかわらずと言うべきですか、修学の機会というものはきちんと確保されて、教育の機会均等が保障されるというための支援というものは基本的に必要であろうと考えております。  そのため、本年七月に教育振興基本計画でお示しをしましたように、OECDなどにおける諸外国におけます財政支出などなど教育投資の状況というものを参考にさせていただきつつ、例えば奨学金というものはかなり今いろいろ問題になっているところでもありますが、是非、こういった奨学資金を充実させるなど必要な予算について、これは財源の措置というものが必要で、教育投資というものは更に確保しておかねばならぬと私自身もそう思っております。
  37. 神本美恵子

    神本美恵子君 教育投資は更に確保しなければいけないという御答弁でございましたが、この子供の貧困というものが教育格差につながってきていると、これはもうずっと指摘をされていることですが、一つある例を申し上げたいと思います。  これは東京都内のある定時制高校の先生からいただいたんですけれども、ある定時制高校の一クラスです。クラスの生徒の三分の二がいわゆる一人親家庭、三分の二です。ほとんどが生活保護を受けている。授業料免除という各都道府県が実施しているものがありますが、授業料免除は受けているけれども、給食費や生徒会・PTA会費、修学旅行等の積立金は別に払わなければいけない。それが払えなくなって、給食を止められたり遠足や修学旅行に行けない生徒が最近増えている。そういう諸費用を払ってくれということで督促に行くけれども、家庭訪問しても親は常時働いているので会えない場合が多いと。生徒本人も定時制ですので働いている場合が多いわけですけれども、時給の高い深夜のバイトなどもやっている生徒さんもおられるようで、結局、給食も取れない、遠足などにも参加できない、進級、卒業の見通しが立たない、積立金を滞納してそれを後で払う見込みがないということで、そういう経済的な直接的な理由で退学する生徒もいるというような、あるクラスの実態を先生からお聞きをしました。  こういう経済的理由によって教育機会が奪われていく現状について、総理としては、教育への投資をするというふうにおっしゃいましたけれども、こういう定時制高校の実態をどのようにお考えでしょうか。
  38. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 先ほどの答弁でも申し上げましたように、いわゆる家庭の貧困によって教育に格差が付くということは、これは是非避けねばならぬと思っております。  私らが育った時代は、学校にランドセルをしょっていない人が半分以上でした。そういった時代と今は違っておりますので、今の言われたような状況というものに関しましては、いわゆる給食も、あの当時は自宅で弁当を作ってやれる手間が掛けられないという方のために給食というのはスタートしたと記憶しますけれども、そういった状況の中にあって、今はその給食費が払えないからというような状況になってきておるという御指摘がありましたけれども、これはなかなか、そういったような状況というのはあってはならぬ状況だと私どもも考えております。
  39. 神本美恵子

    神本美恵子君 最後に、もう一つ資料を用意しておりますが、OECD加盟国の大学授業料と給付奨学金の有無ということで、これは、日本の奨学金制度は貸与方式、給付ではなくて貸付けです、貸してあげるんですね。そして後で返してもらう。返すのも有利子と無利子がありますので、今は無利子よりも有利子の方が多いという状況になっています。  今のような就職氷河期の再来のような状況の中で卒業した学生さんたちがこれを返すのは本当に大変で、滞納も増えていると聞きますが、諸外国を見てみますと、授業料が無償になっている国がOECD三十か国中十五か国、約半分ですね。それから、給付奨学金、日本のような貸与方式ではなくて給付奨学金を取っているのが二十五か国。恥ずかしいことに、日本はその両方、授業料も有償で給付奨学金制度もない。両方ともないのは日本と韓国とメキシコだけというお寒い状況になっているということを申し上げたいと思います。  子供は、生まれてくる家庭も、総理のようなおうちに生まれる子供もいれば、総理が望んで選んで来られたのではなくて、そういうところに生まれる、生まれる家庭も地域も国ももちろん選べません。生まれた地域、家庭によって子供たちの将来、立つスタートラインが違うということは何としても避けなければいけない。日本は戦後そういうことで政策を取ってきたと思いますけれども、子供の現状はこうなっているということを是非認識して、政策の最優先課題、民主党は子供第一、チルドレンファーストということを政策の優先課題として掲げて、法案も子ども手当法案、高校の無償化法案というようなことも準備をしつつ、もう提出をしておりますけれども、優先の政策を取っていくつもりでございます。  もし麻生政権にその気がないのなら、今日その気があるというふうにはなかなか受け止められませんでした。ないのなら、是非とも私どもにお任せいただいて、子供たちのこの貧困状況から教育格差につながらないようにやっていかなければいけないという決意を申し上げまして、最後に一分だけ、官房長官の事務所費の問題ですが、これはほかの委員会でもいろいろ取り上げられまして、委員会との調整の結果、この決算委員会で取り上げるということを先ほどの理事会で確認をいたしました。  官房長官、この委員会で取り上げるということは先ほどの理事会で決まりました。いつどのようにということまでは委員会終了後に理事懇をまた開きますけれども、官房長官御自身、もう既にこれについては準備をしていると、いつでも公開できるということをこの間繰り返し御答弁なさっておりますので、是非自ら公表されたらどうでしょうか。
  40. 河村建夫

    国務大臣(河村建夫君) お答え申し上げます。  お時間もないようでございますけれども、これは御指摘のように、これまで何度かこの点について御下問をいただきました。貴重な時間をいただきますが、今日はテレビも入っていることでありますし、若干ちょっとこの経緯を説明申し上げないと事実関係お分かりいかないと思うんです。  これは、私は出すことはやぶさかでございません。ただ、これは、私は一閣僚としてだけではなくて一議員でもあり、また皆様方全議員に関係することでございます。したがって、これはどういう形で出せばいいのか、このルールを御協議をいただいて、決算委員会で御協議なさるそうでありますが、あるいは与野党で協議していただいて、まあ神本先生がどのような形で事務所費を計上されてどうされているか私は知りませんけれども、それは全議員に及ぶことでありますから、どうぞそういうふうにしていただきたいということを私は申し上げておるわけでございます。  また、私は、御案内のように毎日二回記者会見もやっておりますから、記者の皆さんにもそういうことも表明をし、私の事務所へお見えになって確認される方もあるやに聞いておりますし、何も私はそれを妨げておるものではありません。  ただ、これは全議員に及ぶことでありますから、この辺をどのような形で公開するか、そういうことを私は、この際でありますからお決めいただきたい、そのようにお願いを申し上げておるわけであります。
  41. 神本美恵子

    神本美恵子君 終わります。
  42. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) 関連質疑を許します。足立信也君。
  43. 足立信也

    足立信也君 おはようございます。民主党の足立信也でございます。麻生総理に対しては初めて質問させていただきます。  特に私は、社会保障、それから先ほど初等中等教育の話がありましたが、高等教育、それから科学技術について、これは麻生総理、議院内閣制の下、政府、与党一体となってこれまで取り組んできた、どういうふうに対処してきたかと。今日、決算委員会ですから、まあ自民党政権あるいは自公政権の総決算のつもりで質問させていただきます。よろしくお願いします。  まず、資料の一番。これ、社会保障国民会議、内閣より提出された社会保障制度に関する国民意識調査報告書でございます。年金、医療、介護、少子化対策、雇用支援策の中で医療制度が最も満足度が高い。そして、年金制度が最も満足度が低い、特に若い人に低い。しかしながら、緊急に対処すべき分野として年金と医療が上位に続いていると、こういう事態です。今だったら多分雇用対策なんでしょう、これは八月の末、九月にかけてですから。ということは、年金は満足度が低くて緊急にやるべきだ。これ、まさに崩壊している。医療は満足度は高いけれども緊急にやるべきだ。だから、私は今崖っ縁であると、そのように表現しているわけです。  そこで、麻生総理は予防医学が非常に大切だということをおっしゃいました。先ほどペンのキャップを口にくわえていましたが、予防医学の観点からは余りいいことじゃないと、そういうふうに感じました。それを言うがために、たらたら飲んで食べて何もしない人の分の金を何で私が払うんだという言葉は、これは何も病気になりたくてなったわけではない患者さんの心を逆なでしました。  そこで、予防医学、これをやりたいと総理がおっしゃるわけですから、予防医学について総理の見解を伺いたい。まず、どのようなことをしたいのかということについてお答え願いたい。
  44. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 予防医学につきましては、基本的には国民ができるだけ健やかに、そして長寿が全うできるようにという病気のいわゆる発症の予防から、だんだんだんだん、人によって違うんですけれども、いろんな重要な課題というもの、人によって違いますんで、これを予防できるようにしておくところが重要なんだと思っております。やっぱり一人一人の主体的な取組が一番大事なんじゃないんですかね、基本的には個人の意識がありますんで。したがって、食生活、しかるべき運動、こういったようなものは生活習慣としてきちんとして、改善に向けた取組というのがいわゆる一次予防と言われるところなんだと思っております。  次に、やっぱり健康診断を受けるとか診査による病気の早期発見、伴いまして早期治療というのがこれが二次予防ということになるんだと思いますが、もう一つはやっぱり治療後のリハビリというのも結構大きくて、何回となく禁煙を心掛けてからすぐまた禁煙から喫煙に戻られる、医者の人がよく言うせりふではありますけれども、そういった治療後のリハビリというものに関しましてもいわゆる国民に対して啓発する、また支援をする、指導、そういったものは総合的にこれはみんなでやっていかないといかぬのではないかというように基本的にはそう思っております。
  45. 足立信也

    足立信也君 今の総理答弁の中で、概念的には一次予防、二次予防、三次予防の概念が入っていたと思います。病気にならないこと、それから早期発見、治療、それから三次予防は転移、再発を防ぐ、そういう概念が入っていたと思います。  であるならば、総理は、予防医療に変えていくというのはこれ医療改革の大根幹にかかわることなんですが、どうしてされようとしないんですか、そのことを、麻生政権下で。
  46. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 具体的にこれは、私は一次的には、今の段階の中で少なくとも啓発やら何やら基本的に今随分なされていると思っておりますし、また健診などなどは随分と普及し始めているように思います。  しかし、一番最初のところの個人の意識というところが、これは政府としてこれをと言われても、なかなか基本的にどういうようなものが一次対策として必要なのかというのに関しましては、正直私の頭で今考えているわけではありませんので、私自身でやっていることは確かですけれども、その他の方々みんなと言われても、これは人によって大分違い、差があるんだと思っておりますので、直ちにこういうのをやればいい、一次としてはこういうアイデアがあるというのが足立先生の方でおありでしたら是非教えていただくと助かります。
  47. 足立信也

    足立信也君 そのことだと思うんですね。大事だ大事だと言っておりながら、政策的にはこういう方向性でやるんだと、恐らくこれは舛添大臣の方にも指示がされていないんじゃないかという気がいたします。ですから、政権与党、これは政権を持っているわけですから、本当に大事だというのであれば、やっぱり具体的にその政策を出すべきだと私は思っております。  そこで、資料の二それから三を御覧ください。まずは二次予防、早期発見、早期治療、それから三次予防について私の考えをお示しいたします。  これは保健活動ということなんですが、これは都道府県別一人当たり医療費と平均年齢の関係というものをグラフにしてみました。そうすると、相関関係にあります。平均年齢と医療費を見ていくと、この直線を平行移動させると長野がやっぱり一番優れているんですね。これは総理が、今までの発言で長野モデルという話を何度かされました。やっぱり長野が一番優れているんですね。  じゃ、なぜこうなっているんだろうということで、三番目の資料でございます。これは都道府県別七十歳以上一人当たりの医療費と人口十万人当たりの保健師の数を見ました。こういう統計は今までなかったと思いますが、そうするときれいに逆相関するんですね。これを見ると、長野県を大きく書いておりますが、これが──余りくわえない方がいいと思います、キャップを。長野県はこういう取組で、やっぱり保健師が非常に活動が活発であるということが結果的には一人当たり医療費を下げていると。  加えて言いますと、長野県は、これに加えて保健補導員という方が、これは持ち回り制でやっておられて、保健師と一緒になって知識の普及や健康診断の受診勧奨あるいは健康教室というものをやっている、こういう私は非常に重要な役割を持っていると、そのように思います。  そこで、昨今、コメディカル、コメディカルという言葉がよく使われます。私は余り好きな言葉じゃありません。それは、広辞苑だと医師以外はコメディカル、大辞林だと医師、看護師以外はコメディカルと、そういうふうに区別した表現なんですね。英語にはありませんね。  じゃ、舛添厚生労働大臣、保健師はコメディカルでしょうか。
  48. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 医療提供者で医師以外をコメディカルという形でいろいろな報告書にも使いました。したがって、看護師であるとか助産師であるというのは入ります。  ただ、そのときの議論で、治療より予防ということで今保健師の重要性を御指摘なさいましたけれども、これはまさにどう定義するかということになるので、医療提供のサービス者という形で限定すればあるいは保健師は入らないかもしれません。しかし、その医療提供を予防医学の担い手という形にまで広げますとこれは入ると思いますので、ですから、委員がおっしゃるように、コメディカルという言葉が適当かどうなのか、人口に膾炙してやっているもので我々も使っていますけれども、あるいは保健師も確実に入れるような形の言葉を考えた方がいいかはちょっと検討させていただきますが、これは定義によりけりだと思います。
  49. 足立信也

    足立信也君 保健師の役割が非常に重要だと、長野県をモデルに考えるとそうだと。これは、治療中あるいは介護中の患者さんと向き合って話をする、あるいは健康な方にもそうなんですが、ところが現場では保健師さんで医療や介護の現場を経験されてない方が増えているんです。実際に病気の方あるいは介護中の方が相談しても、具体的な指示がなかなか難しいという事態がある。  これの一つは、今潜在看護師が五十五万人ということが言われておりますが、保健師さんというのは、地方行政ですね、採用年齢が私いろいろ調べてみましたけれども二十代で限定されているところがかなり多いんですよ。看護師さんがこれから結婚、妊娠、出産、育児とあっていったん離れた場合も、もう保健師のところにはなかなか復帰が難しい、年齢制限があってですね。  そこで、昨年、雇用対策法というものが改正されました。そこで、民間企業については年齢の差別と、採用のですね、これは取り除くことになった。その附帯決議で、その五に相当するんですが、国家公務員それから地方公務員についてはこれは除外されているわけですけれども、この雇用対策法の理念にのっとって年齢制限については改める方向性で検討するべきだという附帯決議付けたんですよ。  総務大臣として、そこの進捗状況といいますか、どのように検討されているかということをお聞きしたい。
  50. 鳩山邦夫

    国務大臣(鳩山邦夫君) 先生御承知のとおり、雇用対策法では民間の企業が募集、採用するときに原則として年齢制限は付けてはいけないと、こういうことになっておりますが、同時に、国家公務員、地方公務員については適用除外になっていますよね。しかし、適用除外というのは、実は、そうしなくていいと、年齢制限をばんばん設けていいという趣旨ではなくて、そもそもが地方公務員法第十三条に平等取扱いの原則というのがありますから、これは大体地方公務員法において平等にみんな扱うと、こういうことになっています。  したがって、先生のおっしゃる附帯決議はこれを重く受け止めなければならないと、こう考えているところでございまして、保健師の方々が非常にこの予防について重要な役割を果たしておられるのは間違いがない。若い人を保健師さんとして雇おうとするという意思は、多分長く勤めてもらってベテランを、キャリアを積み上げてもらってと、こういう感覚なんでしょうけれども、それぞれの自治体の判断に任せざるを得ませんが、しかしながら、今先生がおっしゃった附帯決議の趣旨がきちんと地方公共団体に行き渡るように、これはいつでしょうか、平成十九年九月二十六日でしょうか、そうした問題について、年齢制限はなるべく設けないようにと、雇用対策法やその政令の趣旨を生かして年齢制限をできるだけ設けないようにという通知をいたしておるものですから、これは改善されていくと思うわけでございます。  先ほど先生、総理が、いいことをおっしゃっていただいた。これはメーカーによると思いますが、私はこの問題非常によく考えておりまして、このプラスチックをなめる、子供のおもちゃも一緒だ。これなめると、わずかではあるがいわゆる環境ホルモンである疑似女性ホルモン、エストラジオールというのが体内に入る。すると、男の子だったら精子減少、女の子であれば将来の子宮内膜症の原因になると。  私は、この環境ホルモンの問題というのは予防医学の点でまだまだ取組が甘いと思っておりますので、総理も私もこれからこれはなめないようにしようと思っております。
  51. 足立信也

    足立信也君 年齢制限の撤廃、よろしくお願いします。  そこで、政府も取り組んでないわけじゃない、これは特定健診、生活習慣病予防に対して特定健診始めました。でも、これはやっぱり夫婦で保険が違う場合、同じように一体的に保健活動の指導になれないんですね、保険者が違う。だからこそ、私たちは地域医療保険というものがやっぱり大事なんだろうという提唱をしているわけです。このことを申し上げたい。  次に、今、二次予防、三次予防の話しましたが、一次予防の話をします。つまり、病気にならないこと。これは、今日は例として子宮頸がんのヒトパピローマウイルスのことと、後で詳しく言います、たばこ税のことを申し上げたかったんですね。これ、今鳩山大臣がかなり私が言うべきことを言ってくださったので、ちょっと時間がですね。  たばこ税については、これは私どもの見解は、喫煙率を少なくさせるためにどうしたらいいのかと。男四〇%、女性が一三%ですね、平均で二六%あると。経済損失が七兆三千億円だと、この国は。これをどうしたらいいかと。欧米の取組、特にカナダではやっぱり価格が一番大きかった、特に若年者の喫煙率を下げるのに一番有効であったと。そういう観点から、それはもうたばこ税だけではないですよ、税以外の価格の部分もやっぱりあるわけですから。それは減少した場合の所得補償あるいは転作支援、そういった形での考え方も私はあると思います。これちょっと質問しようと思ったんですが、次に行きたいと思います。  そこで、後で答えいただければまたいいですけれども、ワクチンのことです。  子宮頸がん、これ最近は女性のがんでは子宮がんと乳がんが増えております。頸がんは特に二十代後半から三十代、かなり増えています。その原因は、子宮がんの場合は七割が子宮頸がん、三割が子宮体がん、足に近い方ですね、子宮頸がん。ほぼ一〇〇%、HPVというヒトパピローマウイルスが原因であると言われているわけです。それに対して、超党派の議連とかあるいは各党の議連で、このワクチンを早く承認して日本でもやれるようにしようという議連があるわけですけれども。ところが、今あるメルク社あるいはGSK社のワクチンは、日本の患者さんの約五割しか有効ではないんですね。タイプが百タイプぐらいありまして、二タイプにしか有効ではないんです。  それに対して、この十月に行われました癌学会に、国立感染症研究所から、センター長の神田先生のところから、日本人のほぼ一〇〇%に有効だというワクチンのまあシーズになるような研究が発表されたんです。そのことについて、これ第二世代HPVワクチン、私あるいは神田先生もそういうふうに呼んでおりますが、結局、アジアあるいはモンゴロイドにはかなり私は有効だと、これは戦略を持ってやるべきだと思います。そのことについてお聞きします。  まず厚労大臣に、この第二世代、今までは五割ぐらいしか効かない、ところが一〇〇%日本人に有効だと思われるワクチンが開発今しつつある、このことについて評価をお聞かせください。
  52. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 昨年度から、委員おっしゃったように、国立感染症研究所で我が労働省の研究班がこのHPVの第二世代の研究を行っております。今までのメルク、グラクソ・スミスクラインでは、今おっしゃったように、HPVの6とか11、16、18ぐらいの型なんで、日本人に多いと言われている31、35、33、39、まあ詳細は避けますけれども、そういうことについてやっておりますので、今後ともこれ全力を挙げて子宮頸がんのウイルス開発に努力したいと思っております。
  53. 足立信也

    足立信也君 このワクチン抗原の特許は厚労省が持っているんですね、持っているんです。この開発、先ほど人種の面も言いましたし、相当世界的な、まあマーケットと言うと言い過ぎかもしれないけれども、価値のあることなんですね。  そこで、経済産業大臣にお聞きしたいんですが、これNEDOを所管しているということでお聞きしたいんです、新エネルギー・産業技術総合開発機構ですね。これは私は、安倍総理の当時、イノベーションということがありましたけれども、要は、シーズは、その種は日本にいっぱいある、これを戦略性を持って世界にどうアピールしてそれを販路に乗せていくかと、そういう話なんですね。ですから、経済産業大臣に、このワクチン、かなりの私は可能性を秘めたものだと思っていますが、その点についていかがでしょうか、検討は。
  54. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) お答えいたします。  子宮頸がんワクチンやインフルエンザワクチンなど効果的なワクチンを開発普及することは、国民の健康の増進に加え、経済的な損失の軽減にもつながる極めて重要な政策であります。各方面からもこうしたことに対して要請が経済産業省にも寄せられており、先般の補正予算の審議の際にもこれを経済産業省からも強く要請をしておるところであります。  医療分野のイノベーションを促進するという観点から、様々な研究開発への支援を行ってまいりました。ワクチンに関しても、遺伝子組換え植物を用いたワクチン製造技術の開発に対し支援を行っております。また、内閣府、文部科学省、厚生労働省と連携して推進をいたしております先端医療開発特区、いわゆるスーパー特区においても、今年十一月に感染症ワクチンの開発プロジェクトを採択をいたしております。  経済産業省としては、関係府省と連携し、ワクチン開発を含め医療分野のイノベーション促進に向け、引き続き努力をしてまいりたいと考えております。
  55. 足立信也

    足立信也君 是非とも取り組んでもらいたいということ。  それから、これは平成十八年の科学技術白書で、日本は科学技術費というのは十五兆使っているんですが、民間の資金が八割なんですね。公財政支出というものが二割しかなくて、私も研究者の端くれですから言わせていただきたいんですが、トレンドに流れてしまうことが多いんです。今iPS細胞が注目されています。一気にみんながそちらの方にばっかり向いてしまう。これは基本的な、そこへ国の戦略というものが安定的な資金援助という形でないとできないという、これもその一つだと思うので、一方向だけに流れることのないように是非とも支援していただきたい。  今、ドラッグラグ、先進国に比べて日本は四年遅れている。ところが、ワクチンギャップというのは二十年遅れていると、そのように言われております。厚労省には是非ともワクチン開発に勇気持ってもらいたいと、そのように思います。  そこで、これ資料の四枚目、五枚目になると思いますが、今、一人当たりの総医療費、これは購買力平価、米ドル換算です。これ日本が赤で示していますが、先進国、G7中最下位です。OECDの中では十七位。高等教育費は、OECDの中で二十二位、G7中最下位、こういう事態です。  二〇〇六年のOECDの対日経済審査報告で、日本は働き方によって、労働の仕方によってフルタイムとパートタイムで二極化している、教育費にお金が掛かるからその格差が次の世代へそのまま継続されている、これはやっぱり断ち切らなきゃいけない、格差を助長しているという報告がございます。  そこで、私も勤めておりましたが、国立大学附属病院の運営費の件、これも資料にも用意しておりますが、これは二〇〇四年、五百八十四億円から、二〇〇八年、決算予算が、両方公表資料からですから三百九億円、何とこれだけ毎年毎年減っているんですね、毎年毎年減っている。  その理由はどういう理由かといいますと、これも資料に用意してあるんです。この国立大学附属病院というのは病院収入を毎年二%経営改善しなきゃいけない、毎年二%増やさなきゃいけない。その分、運営費交付金を二%減らしていくんだと、そういう仕組みになっているわけですね。この足りない部分は病院以外の大学への研究教育経費に対する運営費交付金から補てんしているところが多いわけです。それでも、この分野も毎年一%減らされているわけです。こういう事態なんですね。  次の資料は、これ結局どのようになっているか。これは国立大学の決算報告の中から病院部分を抜き出して、それを見ると、赤字の大学が六大学病院十九億円と、こう出ていますね。ところが、これ文科省のデータなんですが、そこに減価償却等、修正を加えた場合は何と十六大学の病院四十五億円の赤字になる。先ほど総理、キャッシュフローが大事だという話をしましたが、これはキャッシュフロー別に業務、投資、財務のところを全部見ると、何と二十八大学病院百三十五億円の赤字ということになっているわけです。  これが今現状で、このことが教育研究開発機能の低下がもう現場では起きてきている。高度医療人の養成や不採算部門の難病対策等、国立大学病院の使命を果たすことが非常に難しくなっているんです。そこで、さきの通常国会の終盤に研究開発力強化法というものが成立しまして、十月二十一日に施行されました。これは大学や研究開発法人の研究開発力を強化するため、財政上、金融上の措置を講じなければならないということになっているわけです。  そこで、塩谷文科大臣にお聞きしたいんですが、国立大学法人あるいは研究開発法人の運営費交付金は先ほど言いましたように一%削減、大学病院は二%削減というふうになっているんですが、その研究開発力強化法施行を受けて来年度予算はどのようにしなければならない、あるいは、する予定でしょうか。
  56. 塩谷立

    国務大臣(塩谷立君) お答えいたします。  委員指摘の国立大学法人の運営費交付金については、効率化ということで二〇〇六年の骨太方針の下で効率化係数が掛けられ一%減、さらには、国立病院についてはおっしゃったとおりの二%の経営努力が必要だということで、大変厳しい状況だということもお伺いしているところでございますが、一方で、研究開発力強化法については今年の六月五日に可決されて成立して十一日に公布されておりますので、それに基づいて来年度予算の概算要求をしているところでございます。  そういう面では、特に若手、女性の研究者に対する支援の強化、あるいはそれを担う若者への理数教育の強化、科学研究費等の補助金の充実ということで、その分にまだ足りないと私どもも感じておりますが、できるだけこの強化法に基づいて概算要求をして、最終的に予算を獲得したいように努力しているところでございます。(発言する者あり)
  57. 足立信也

    足立信也君 後ろから声がありました。しっかりやってもらいたい。  結局は、学問研究の自由な発展を、先ほど政府一体となっている、議院内閣制だからと申し上げましたが、これをずっと奪ってきたんですよ。これが日本の今の活力の低下に私はつながっているんだと思います。この事態が今何を呼んでいるか。ブレーンドレーンですよね。優秀な頭脳が海外へ流出していっていると、こういう事態なんですよ。  先ほど総理も、今いらっしゃいませんけれども、総理原油価格のことをおっしゃいましたけれども、要はマネーゲームの時代は終わったということです。これからは物づくり、産業技術力、そういうものをしっかり育てていかなければいけない、そういう時代だと。私は、医療、介護は、この少子高齢社会、世界のトップを行く日本では成長産業にすべきだと、そう思っています。  イギリスの医療崩壊それから教育の崩壊を受けたブレア首相が就任の前に、他のすべての政策がうまく進まなくても、医療と教育は改革しなければならないと、これを国民にメッセージとして発したわけですね。そういう強いやっぱり気持ちを持って、今こそ私は将来世代のことを考えて教育に投資すべきだと。それから、医療、介護の分野は産業としてしっかりとらえるべきだと、そのように私は思います。  次は年金についてです。  まず、年金の部分ということで確認なんです、これ。厚労大臣に確認なんですが、厚生年金病院そして社会保険病院、これが九月に年金・健康保険福祉施設整理機構、RFOですね、これに出資されました。  しかし、これは独立行政法人ですから、大臣の中期計画、整理合理化計画が提出されなければ売却はされない。もう一つ、二十二年九月にそのRFOはなくなるわけですけれども、なくなった場合は国が承継するというふうになっている。この二点はそれで間違いないですね。
  58. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 第一点につきましては、これRFOに譲渡されても、出資をしましたけれども、最終的には、いつも申し上げていますように地域の医療体制を損なわないように、これはきちんと厚生労働大臣がやっていくということでございます。  それから、この二十二年九月、それまでに受皿を探す努力は全力を挙げてやります。その上でどうするかということは、これはきちんと考えたいと思っております。
  59. 足立信也

    足立信也君 自治体病院の現在の状況は非常に厳しいもの、もう皆さん御存じのとおりです。この一年間で七百十四人常勤医が辞めた。二〇〇五年から三年間で二千百四十六人の常勤医が辞めていっている、こういう事態ですね。  社会保障制度、特に医療保険を考えると、私は、皆保険に近いこと、社会保険であること、それから、財源構成から日本はフランスやドイツに近い、そういうふうに考えています。特にフランスだと思うんですけれどもね。  その中で何が一番違うかというのが、公的医療機関の占める割合なんですよ。日本は施設数が二〇%、二割です。ベッド数が三割、医師も三割。ところが、フランスは施設数が三四%、ベッド数は六五%、医師数は六五%。ドイツは施設数が七五%、ベッド数は九〇%を公的が持っている。  国民皆保険で公的医療保険を守るという観点からいくと、公的ベッドの数が余りに比率が日本は低いと、私はそのようにとらえておりますので、これは公的医療機関として私は残すべきだと思っていますが、病院は残すとしても、それらの経営を委託されている天下り団体があるんです。そのことをこれから触れさせていただきます。これは年金にかかわることです。  まず、厚生労働大臣直属の調査委員会、野村委員会ですね。野村委員長は私どもの部門会議にお見えになって、厚労省は実務について当事者意識がなく、現場に責任を負わせてトカゲのしっぽ切りをしてきたと、そういう発言もありましたし、この報告書では社会保険庁本庁あるいは厚生労働省の関与についてはほとんど記述されていない、そういう事態です。現場の問題だということになっているんですが、私は、これは一か月半という検討期間で不十分だとは思いますけれども、検討の対象が限定されているということがまず問題、それから関与はもっと大きい、そのことを今から説明したいと思います。  まず、今、厚生年金記録の改ざんは六万九千件、そのうち受給者が二万二千人という情報が独り歩きしているように私は思います。それは、厚生年金保険の適用事業所ではなくなった、つまり全喪よりも後で三つの条件がそろった記録訂正を行ったもの、ここですね、ここに話が集中している。  しかし、これは全体で見ますと、全喪後に不合理な遡及訂正とされた第三者委員会のあっせん事案九十八件を見ると、厚生年金記録の改ざんには標準報酬月額の記録訂正と加入期間の記録訂正があるわけです。加入期間の記録訂正の方がはるかに大きいんですね。しかも、加入期間の改ざんということは、会社が厚生年金の適用事業所ではなくなった後で実はそれ以前に退職していたということですよ。こんなことあるわけないですよね。会社が適用事業所じゃなくなった時点でそこに在職していたかどうかなんて分かるはずですよ、後々それを訂正していたと。それがこの右側の円の部分、つまり今の情報が流れている部分はこの部分を調べているにすぎないんです。四倍あるんですよ、まだ、訂正事案というのは。  そこで、なぜこんなことをやったのか。これは当然のことながら納付率を上げるためですね、納付率を上げるため。それは国民年金給付を下げたってことです、結局は、期間を縮めるあるいは報酬月額を下げたってことは。その手段は、遡及して訂正した。しかも、全喪、会社が適用事業所でなくなった後にそれをやっている。それはもう社会保険庁あるいは社会保険事務所に勤める人しかできないことですよ。  それでも保険料が足りなくなった場合どうするか。これは十一月三十日に毎日新聞の一面トップに出ていたことですが、社会保険事務所職員の、まあ保険料が足りなくなるわけですね、減額していても、そこで全喪されていて適用事業所でなくなればだれかが払わなきゃいけないんです、保険料を。社会保険事務所の職員のポケットマネーかあるいは裏金を使っていたと、これが一面トップの記事でございます。これ、委員会の報告でもすべてあるわけではないですから、私、断定的なことを言いませんが、記者の方にもお会いして複数の方から、元社会保険庁職員の方から証言を得ているということは確認いたしました。その裏金の出所はどこか。社会保険協会ということになっているわけです。  社会保険協会の財源は、会員となっている企業から徴収している会費それから診療報酬ですね、経営している病院等の、経営委託されているところの診療報酬それから社会保険庁からの委託事業費なんです。でも、これがすべて裏金として使われていたら、どこを取ってもこれは不当ですよ。どこを取っても不当ですよ。ある証言では、この社会保険協会の通帳を社会保険事務所の庶務課長が管理していたと、そういう証言もあります。つまり、こちら側は出向や天下りや異動を表しています。厚生労働省、社保庁、それから事務局、事務所。その関係が、社会保険協会の通帳を庶務課長が管理していたと。これはやめた方がいいというふうに会計検査院から言われたという証言があるんです。  これは、会計検査院呼んでいますから、それ確認したいんですが、そういうことはありませんと答えられると思うので、ここは言わせていただきますが、会計検査院の実地検査は、一件当たり一、二時間掛けてヒアリングして、その中から場合によっては視察をする。このうち、一部の指摘事項につながる案件に関しては会計検査報告として発表されるが、残りはそのままやみに消えてしまうわけですね。やみに消えてしまう。だから、担当官が替わるたびに同じ検査が繰り返される、同じところに入る、これを繰り返しているわけです。  その報告書に記載されない部分というのは、上司にも報告しないし記録も残さないですよね。イエスかノーかで会計検査院、お答えください。
  60. 小武山智安

    説明員(小武山智安君) ただいまの社会保険協会に関する御質問でございますけれども、この団体、国から補助金等が交付されていないということなので、会計検査院の検査権限は及ばないところでございます。そういうことなので、現在までのところ先ほどのお話に関するその指摘はございません。  また、実務的に検査に行った際にいろんな形で議論、やり取りをすることはあると思います。特に、社会保険事務所として適切な事務処理かどうかということは常に私ども関心を持って見ておりまして、また、これにつきましては、現在、参議院の方から検査要請を受けております年金記録問題の中でも、引き続き留意して検査を実施してまいりたいと思っております。
  61. 足立信也

    足立信也君 答えがないのでうなずいてください。イエスかノー、イエスですね、先ほどの私の質問は。  そういう答弁をされると、十七年の行政評価報告で補助金から社会保険協会の職員の給与を払っていたという指摘も以前あるんですよ。全く関与はありませんという今の答弁されるから、では、こういう事実がありますということを今申し上げたんですけど。  じゃ、ここで、私が関与のことを今申し上げているわけですけど、これ民主党の予備的調査によりますと、ここの社会保険協会から全国組織の全社連ですね、ここに天下りが九十四人、社会保険協会に二百五人です。先ほど言ったようなはてなを付けていますが、こういうことが指摘されたという中で、これは先ほど言いましたように、事業所が資格を失った後に遡及して期間の訂正あるいは標準報酬を下げるということは、関与がないはずがないわけですよね。しかも、こういう天下りのところから裏金が行っている、知らないはずがないわけですよ。これで社会保険庁本庁あるいは厚労省の関与がないとどうして言えるんですか。やっていることは虚偽公文書記載ですよ。犯罪ですよ。それを、先ほど申し上げました九十四人あるいは二百五人の天下り団体のところで金の補てんまでやっていると、裏金からという報道。  これ、先ほど野村委員会の報告が私は極めて限定的だと言いましたが、どうしてこれで社会保険庁本庁あるいは厚労省の関与がないと言えるんでしょうか、あるいはその部分はまだ残してあってこれからの検討なんでしょうか、そのどちらかお答えください。
  62. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 私の直属の野村委員会、これは極めて限定された時間で大急ぎでやりましたので、当然その調査対象は限定されております。しかし、この後のフォローアップをきちんとやるということで拡大作業委員会を設置いたしましたので、そういう問題についても報道されていること、このことについてきちんと検証してまいりたいと思っております。  したがって、野村委員会では、現場レベルの組織性は認められたというところで止まっておりますが、今後、全体の解明ということはきちんとやりたいと思っております。
  63. 足立信也

    足立信也君 先ほど出しましたけど、六万九千件あるいは受給者二万二千人というのが独り歩きしている。でも、先ほど示しましたのによると、四倍はあるんですよ。ですから、しっかりそれはやってもらいたい。  そこで、総理総理は所信表明で、この記録の問題については手間と暇を惜しまず確かめ続けていくと、そのようにおっしゃいました。そこで、本年度予算を見ますと、オンラインデータとそれから紙台帳の照合、これ三千三百万件で五十九億円なんですよ、五十九億円。八億五千万件全部やっても千五百億円ですよ。今、将来の不安を取り除くために、満足度の一番低い年金の問題、記録の問題を回復させるために、二兆円の定額給付金よりもこれを今集中的に取り組むべきだと私は思いますよ。この回復なくて、資産あるいは預貯金、一千三百兆円あるかもしれないけれども、なかなかそれは財布のひもが緩みませんよ。  将来不安を取ることがまず大事、ここ二、三年の勝負ですよ。ここをしっかりお金つぎ込んでやるべきだということを申し上げたい。総理、いかがでしょう。
  64. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 大変大事な御指摘だと思います。基本的には、現場レベルでの組織性が存在していると見ることができると、私ここがこの間のレポート等々で一番気になっておりまして、情況証拠はそうなっているんじゃないのと前々からちょっと言っておったという関係もありましたので、そういったことであろうと思っております。  したがいまして、あってはならないことでありますので、これしっかりした調査をした上で事実を明らかにしていかにゃいかぬと、それはそんなものじゃないぞという御指摘もそうなんだと思いますので、舛添大臣のところで、約今二万件でしたか、の戸別訪問等によって、職員の関与が疑われている事案につきましてきちんと調査をさせるということで今進めております。  いずれにしても、人が足りないということでありますので、このことに関しまして調査するのはなかなか、いきなり全然これに、仕事をしたことのない人をいきなりそれに充てるというのはなかなか難しいということもあろうということで、少しずつ今、何百人増えたと言ったかな、三百何十人ぐらい増やしているということでもありますので、そういったものを含めて厳しく対処をしていく、善処をしてまいりたいと思っております。
  65. 足立信也

    足立信也君 要は最優先課題の一つであるということです。一つだけに向かないと先ほど科学の分野で私は言いました。雇用対策、今なるほど大変です。しかし、そのほかの部分、将来のことを考えると、この部分は優先してやらなければ将来不安はぬぐえない、是非その気持ちを持っていただきたいと思います。  ここから先はちょっと医療の、九月そして十月、杏林大学、墨東病院と続いた妊産婦の非常に残念なことに関連して、これは、二階経済産業大臣は厚生労働委員会のところで文書で謝罪、撤回というのをされたんですが、私としてはやっぱり大臣の言葉で聞きたいんです。  そこで、政治の立場で申し上げるなら、何よりも医者のモラルの問題だというふうにおっしゃいました。忙しいだの人が足りないだのというのは言い訳にすぎないということをおっしゃいました。これは撤回されましたけれども、現状認識をまずしていただきたいということで、資料あると思います。少子化にもかかわらず低出生体重児は増えていると。この資料です。(資料提示)  これ、平成九年ですから、今から十一年前に比べると明らかに出生数はもう減っていますね。ところが、一キログラム未満の低出生体重児は二六%も増えているんですよ。それから、一・五キロ未満は二〇%増えているんですよ。そして、二・五キロ未満、まあこれがいわゆる未熟児ですけれども、一一・七%増えていると、こういう事態です。  私は今五十一歳ですけれども、五十年前に比べますと、超早産が二倍ですよ。高齢出産が二倍ですよ。だから、超低出生体重児が三十倍になっているわけですよ。母体死亡は、日本は非常に頑張っていて、五十年前の八十分の一です。妊産婦死亡は世界で最も低い。それから、新生児死亡は四十分の一になりました。これも世界で最も低いですね。  働き方がどうなっているかというのは、次のこの円なんですけれどもね。これ、新生児科の医師の勤務実態ですよ。睡眠時間、平均三・九時間。当直明け勤務、八割以上が連続通常勤務を行っている。最長連続勤務時間は四十一時間、こういう事態なんです。ここに対して医者のモラルの問題だという発言があったわけですよ。  これによって、ちょっと追加させていただくと、もう一つ、じゃNICU、小児の集中治療室ですけれども、なぜ空かないんだと、退院できないんだと。これ、長期入院児の実態調査報告という、今年の厚生労働省の科研費の、梶原先生の報告ですけれども、退院できない原因疾患は、先天異常と低酸素脳症と未熟性、児そのものの未熟性。それから、退院できない主な理由、病状が不安定である、療育施設の空きがない、家族が希望しない、これが八割です、全部合わせて、こういう事態なんですよ。それについて、五一%の子供が退院の見通しが立っていないわけですよ、この事態。  そういう事態を認識されて、大臣の言葉で発言を聞かせていただきたいと、そのように思います。
  66. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 先般の私が厚生労働省を訪問したときの発言のことでお尋ねを度々いただいておるわけでございますが、私はあの際の前後の新聞等を拝見しましても、七病院拒否、出産後死亡、七病院が拒否、妊婦死亡と、こういう記事がたくさん新聞に出ておるわけでございまして、そういう実態からして、我々は一日もこういう状況を放置しておくわけにはいかないという考えから、舛添厚生労働大臣とも相談しまして、厚生労働省は医療の見地からその専門性を生かし、私ども経済産業省としてはIT等を駆使して、お互いに協力し合うことによってこのような悲惨な、残念なことが一件でも少なくなるように我々は努力をしようと、こういうことが事の出発であります。  そこで、ただいま御指摘のようなことについては、特別、この医者の方々に対して、医者の方々全体のことに言及したわけではありませんが、ああした実態、そういう患者が飛び込んでくる、患者から連絡が入ったという場合に、そのまま放置しておけばどういう状態になるかというのはお互いに分かるわけですから、そういうことに対して、我々は二度とこういうことがないようにしていくためにお互いに努力をしようということで、情報システムを新たに構築しようということに相なったわけであります。しかし、そのときの経過で、残念ながらその意図が十分に伝わらずに誤解を与えたとすれば、私は既に発言を撤回したところであります。  救急患者の医療機関への受入れの効率化また円滑化に関する情報システムの開発については、今月、いよいよこの十七日に第一回の研究会を開催する予定であります。議員からの御指摘がありましたような点も十分念頭に入れて対応していきたいと思います。そして、何が原因でこのような事態が起きたのか、慎重に検討して問題の解決に努力をしてまいりたいと思います。
  67. 足立信也

    足立信也君 言葉は恐らく端的であった方がよかったんではないかと私は思います。やっぱり謝罪の意味とこれから頑張るんだと、認識をしっかりするんだということの方がよかったんではないかと私は今思いました。  そこで、それに加えて総理が、医師は社会的常識がかなり欠落している人が多いという発言があって、続いて一週間で、これが医療現場で必死に頑張る医師の心を折ったんですよ。これが、支持率はいろいろあると思いますけれども、私は心を折ったということが非常に大きい、そのように思っています。  総理はこのとき、唐澤日本医師会長がお伺いされて、謝罪された、それから撤回された、これはもう承知しております。総理は、これはだれに対して謝罪したんですか、対象。そのことをちょっとお聞きしたいと思うんです。
  68. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) これは唐澤会長にも申し上げたと思いますが、私どものところには病院の医者もおりますし、唐澤先生とよく知っておられるお医者さんもおられますので、その例を挙げて、勤務医やら、特に、小児外科の方やら何やらの努力の話やら何やらされて、そういうきちんとやっておるようなお医者さんも大勢おられますので、そういった方々に対して非常に心を傷つけるようなことを申し上げたという点に関して謝罪を申し上げたという感じでおります。
  69. 足立信也

    足立信也君 分かりました。医師会長が行かれたから医師会に対してのみ謝罪されたのかと思ってそこをちょっと聞こうと思ったら、すべての医師ということですね。分かりました。  次は、ちょっとこれが、総理も福岡ですし、先ほどの神本議員も福岡ですし、私は大分です。(資料提示)これはごく当たり前の地図なんですが、九州国道協会のパネルからちょっと取ったんですけれども、パンフレットからですね。会長は我々の先輩である釘宮磐大分市長が会長の九州国道協会なんですけれどもね。  これで、これを道路の時間距離ですね、どれだけ時間が掛かるのかということで表すと、九州がこんな形になっちゃうんですね、東西に長く。これはだれが見ても西側、それでも長崎、熊本、島原、天草は時間が掛かるな、でも西側は速いな、東を見ると物すごく時間が掛かるんだなと、これだれが見ても分かると思うんですね。そもそも国土の均衡ある発展と言われて道路特定財源が始まったわけですけれども、実際は九州の中でも東と西がこういう事態になっているということです。  これ、実は黒く書いたのは、この六月二十八日に津久見市から佐伯市というわずか十三キロが開通しただけで、一日の利用する車、平日で四百台、休日で三千台も増えたんですよ、ここにいろんなルートで行かれる方の合計がですね。それだけ待ち望んでいたということだと思います。  我々民主党は、道路特定財源を一般財源化するんだと、一般財源化であるならば暫定税率というのはおかしい、これを廃止するんだと。道路整備臨時交付金は維持する、地方の財源は維持するんだと。そして、国の直轄事業の地方負担分は廃止するんだと、こういう方針でこの一年臨んできたわけですね。  人口減少社会ですから、すべての地域が人口が増える、定住人口が増えるということはあり得ないわけです。ですから、交流人口を増やすしかない。交流人口を増やす。それから、先ほどの小児救急、妊産婦の救急の件でも、ネットワークでいかにスピードを持って対処できるかということが非常に大事です。これ、災害においても大事ですね。  ところが、このような時間の距離になっているということで、同じ地元、これは福岡、大分、宮崎、鹿児島、かかわってきているわけですが、この東九州自動車道、必要な道路は造ると、それで財源については、我々の考えは先ほど申し上げました。総理はこの東九州自動車道をどのように考えておられますか。
  70. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 個々の道路の必要性につきまして、これは足立先生、なかなか総理大臣として言及するということはちょっと控えておかぬといかぬと、また後でいいような話にされますので。ちょっとここのところはうかつに答えられないところでしょう。こういった話はなかなか危ないなと思いながら今伺っていたんですけれども。  この違いは、もう前々からそこに住んでおりますからよう分かっておりますよ。日豊線っていうんです、使われませんでしたけどね、日豊線という言葉を我々は使う言葉なんですが。この話は、やっぱり豊前から日向へ向かう道路で日豊線というんですけど、この国道、旧国鉄もこれ単線でしたし、道路はもうつなぎ、つなぎというか、ぶつぶつになっているという状況ですから、ここはちょっと行かれた方でそういった高速道路のつながっておられる地域は、この地域に行かれると、ああ、ひどいなという感じはこれ行かれるとすぐ分かると思いますが。  そういった意味では、これは極めて、別府、大分のところまでの道路もかなり切れておるという実態ですので、今ほとんどの方は北九州から一回福岡に出て、福岡から回っていかれるという方の方が多いという形になっておりますので、時間距離からいきましたら明らかに遠回りをした方がはるかに近いというのが実態という、そういったことは全部知っておるところであります。
  71. 足立信也

    足立信也君 今日初めて認識は一致したかなという気がします。  そこで、先ほどの社会保障に対する国民の意識調査なんですけれども、これはある程度の負担の増加はやむを得ないって国民の多くがもう思っているんです。今四三%ですね。大幅な負担の増加もやむを得ないを入れると四六%ですか、そう思っているんです。しかし、社会保障制度の問題点として一番大きな、深刻度を増しているのが、制度の内容に非効率や無駄があるということです。これをやらなければいけないということです。  次の資料を。(資料提示)これは財務省提出の資料です。今までは、予算一般会計特別会計合わせて二百十二兆、総額ですね。事業別に、何とか事業、何とか事業という形で事業別に計算されておりました。そのうち八〇%が聖域であると、これはいじれないんだということだったわけです。  それを我々民主党の要求で、これを目別ですね、目別に組み替えてもらったら、合計は二百十二兆ですよ、組み替えてもらったら、今まで聖域と言われて削ることはできないと言われていた部分が実は全体の六八・四%で、ここですね、六八・四%で、一二%考え方によっては効率化を図ることによってまだ無駄を捻出できる部分があると。一二%、一二%というと二十五兆ですよ。この二十五兆の部分は検討の余地があるんだということです。その中でも特に多いのが補助金四十五兆です。この四十五兆、補助金については、私の後、藤本議員が詳細に検討していただけるということになっておりますから、総論で止めさせていただきます。ここなんですね、一二%今まで言われてきた聖域が縮むということです。二十五兆、工夫次第によっては改善の余地があるというのが我々の考え方でございます。  そういうふうに発想を変える、そして何に優先的に財源を投入するかということを明確にする必要がある。我々は将来世代のことを考えて、やっぱり今は長期的に教育だろうと私は思っています。それから、高齢社会を考える、そして世界で最も早く少子高齢化が進んでいる日本においては、やっぱり医療や介護の部分、そして安心のために年金だと、年金改革だと、そういうことが大事だと思うんですね。  これまでずっと政府、与党一体となって行われてきた社会保障、それから高等教育、科学技術のことについて指摘をしました。発想を変えて、何を選ぶかをみんなで決めてそこに集中的に取り組む、そのためにはやっぱり仕組みを変えないといけないんですよね。国民皆さんは、仕組みを変えなきゃ駄目だなというだんだん意識が強くなっていると私は思います。  あとは、総理も私も九州ですから、九州男児というのはいいか悪いか分かりませんけれども、総理は天命だと言ってなられたわけですよね。総理も決断する勇気が必要だということを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
  72. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) 関連質疑を許します。藤本祐司君。
  73. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 民主党・新緑風会・国民新・日本の藤本でございます。  本日は決算の入口ということでございますので、総括的に質問させていただきたいと思いますが、入口というと出口があるわけなんですが、まず本日からスタートいたしまして、決算委員会参議院の場合は、通常国会ずっとほぼ毎週のようにやりまして、六月の通常国会の終盤で出口を迎えると、そういうのが決算委員会でございます。  決算というとなかなかぴんとこない方々もいらっしゃるだろうと思いますので、大ざっぱに御説明いたしますと、大きく分けると二つに分かれます。財務省主計局がお作りになるいわゆる一般会計特別会計の出入りの部分ですね、歳入歳出に関する、こういう諸表を出されるというのと、もう一つは、会計検査院のいわゆる検査報告というのがあります。この会計検査院の検査報告というのは、予算の使い方、これがどう適正に処理されているのかと、あるいは、もっとうまく効率よく使われなかったか、正しく使われたかどうなのかということを報告をされるのが会計検査院の検査報告でございます。  今日、時間限りがありますので、会計検査院の検査報告、こちらをベースに質問をさせていただきたいと思います。  麻生総理におかれましては、実は、私が当選をしました二〇〇四年のときに総務委員会に所属をさせていただいて、一年間、総務大臣のときに六回ほど質問をさせていただいておりますので、今日七回目になるわけなんですが、今日は財務大臣を中心に総理にも幾つか質問させていただきたいと思います。  平成十九年度の検査報告なんですが、これ昨年も、十八年度もお見せしたんですが、昨年はこれ千二百四十五ページだったんです。今年はこれ千五百七ページになっているんですね。この千五百七ページという、聞くところによると、一冊にするにはこれが限界で、これ以上増えると二冊になるというような話も聞いておるんですが。  今回、平成十九年度の決算検査報告で不正であると、いわゆる不当事項とか処置要求事項であるとかあるいは改善処置事項ということで指摘されたのが九百八十一件、一千二百五十三億六千万円ぐらいが指摘をされております。これも過去最高です。昨年は三百十億円、その前の年が四百五十億円、この十年間で一番多いときでも九百億円ですか、平成十六年であったんですが、今回最高の額なんですね。  この指摘金額、毎年努力して減らしますという、このようなことがないようにいたしますというふうに財務大臣もおっしゃっているし、会計検査院もそのように努力させるというふうに言っておるんですが、全く減らない。今年こんなに大幅に増加したことに対して、総理、どういう御見解をお持ちになりますでしょうか。総理に。その後、財務大臣にお聞きしますので。
  74. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) この一千二百五十三億六千万円の額というのは、これは明らかに、今、藤本先生御指摘ありましたように、このところ三百とか四百億のところに比べて約四倍、三倍の額でもありますんで、そういった意味では甚だ、この内容を詳しく聞いているわけではありませんけれども、今までに比べて極めて多いなという感じは率直なところです。これは毎年決算が出てまいりますんで、大体何となく三百、四百という概念が頭にあったもんですから、千三百と聞いたときは千が一個多いんじゃないかなと、そのとき率直にそう思いました、これが私のところですけれども。  いずれにしても、こういったものが、これは明らかに通常に比べても甚だしく多いということは、これは各省庁において対応をきちんとしないと、明らかにこれ減らすということをしないといかぬので、各大臣に対しては、この決算を基にして来年予算を編成するに当たっては、こういった点を重々勘案した上できちんとしないと、決算でまたおかしなことに指摘されるというのは恥なんだから、これはどう考えても政府一丸となって取り組むということを各大臣に厳命をしたところでもあります。
  75. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 中川財務大臣が先ほど答弁をしたいというような状況だったと思いますので、そこでお聞きしますが、毎年、決算の概要説明というのがこれは財務省から出るわけなんですが、そこで必ず決まって最後に、今回は、平成十九年度の予算の執行につきましては、予算の効率的な使用や経理の適正な処理に努めてきたところではありますが、なお会計検査院から九百八十一件の不当事項等について指摘を受けましたことは誠に遺憾であります。今後とも、予算の執行に当たっては一層配慮をいたし、その適正な処理に努めてまいる所存でありますと。これ、毎年同じことを言っているんですね。  大臣、むなしくありませんかね、こういうことを毎年言って。
  76. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 藤本委員指摘のとおり、今年の十一月二十六日の参議院、二十七日の衆議院でこの決算概要説明をいたしたときに、今御指摘のような説明をさせていただいております。  我々としても、財政状況非常に厳しい折、あるいはまた国民の信頼回復のために、国民の税金を中心とする予算というものはきちっと執行され、また会計検査院からの御指摘をできるだけ受けないようにする努力というものが必要だろうと思っております。  そういう意味で、この報告を受けまして、予算の厳正かつ効率的な執行と経理の適正な処理に努めるよう、改めまして各省庁、地方に、総務省を通じても地方にも要請したところであります。これからも一層努力していかなければいけないというふうに考えております。
  77. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 私の質問は、むなしくございませんかという質問だったんですけれども。  ちょっと一つ確認なんですが、ここで最後の二行で今読み上げましたが、今後とも、予算の執行に当たっては一層配慮をいたし、その適正な処理に努めてまいる所存でありますと。これ、主語は何なんでしょうか。財務省なんでしょうか、それとも別の主語があるんですか。これ、主語がなくてちょっと分からないので、教えてください。
  78. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 予算の執行というのは、編成された予算、国会で御承認をいただいた予算、これを執行するのは、国の仕事であれば政府全体ということになるかと思います。具体的には、各省に振り分けられました予算は各省が執行していくというふうに理解しております。
  79. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 恐らく、会計法十条のお話をされているんだろうと思いますが、ということは、責任も各省庁がそれぞれ持つということで、財務省は財務省の責任だけを持てばいいという、そういう解釈でよろしいんでしょうか。
  80. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) いや、これは憲法九十条ですか、に基づいてきちっと決算会計検査院のチェックを受けて国会に提出しなければならないというふうに決められており、これは政府全体でございますので、実際に執行するのは各省であり、またその後のいろいろな指摘事項等の調査等についても、各省庁ではありますけれども、これはやはり政府全体として、総理に対して出されるもの、内閣全体に対して出されるものでございますので、政府全体としてやっていく。その中で、財務省が予算を各省と相談をして作成をしたということでございますので、執行は各省庁でございますけれども、我々もそれをチェックしていくということは必要だと思っております。
  81. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 それでは、少し具体的な質問に入っていきたいと思いますが、この千五百七ページの決算報告書、これは今年初めて記載された項目があるんですね。これ何かというと、過去のいわゆる是正指摘事項というんでしょうか、返還を請求しているそういう事項がありまして、これが今までは記載されてこなかった。しかし、今回のこの厚い検査報告書の中では初めて、いわゆる過去の是正措置がどのように変わっていったのか、返済をしているのかどうかというのが初めて今回報告書の中に入ってきています。  ちょっと会計検査院に確認をさせていただきたいんですが、この事項は今までは入ってなくて初めてだというふうに認識をしておるんですが、これは会計検査院の意思というか任意でこれを記載されたものなんでしょうか。
  82. 伏屋和彦

    会計検査院長伏屋和彦君) お答え申し上げます。  今言われました全体としての掲記でございますが、まず一つは、検査報告に掲記しました不当事項につきましては、これまでもフォローアップの一環として、個々のテーマは、その後の事態がどのように改善され是正されたかとか、毎年各省庁等から報告を受けるとともに債権管理が適切に行われているだろうかとか、そういう点に着目して検査してきておりますし、個別には掲記しております。しかしながら、今委員が言われましたように、全体として掲記したのはこれは初めてでございます。  これは、これも経緯がございまして、省庁等で速やかに不当な事態の是正が図られるべきであるわけですが、特に金銭を返還させる是正措置を必要とするものの一部の事案において国庫への返還が滞っている状況が見受けられますし、またそういう指摘もありました。加えまして、本年に入りまして、財務大臣の方から、不当事項として指摘した事案に関する国庫への返還状況について検査報告に掲記することを検討するよう依頼もされました。  私どもは、会計検査院として独自の立場から所要の検討を慎重に行いまして、やはり全体として状況を明らかにする、言わば過去にずっとさかのぼって棚卸しをするということが大事ではないかと考えまして、まさに先生言われましたように、初めて掲記いたしました。
  83. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 今の御報告でお分かりのとおり、これ特に規則で決まっているわけではなくて、今回任意でやられたんだということなんですが。  今回、昭和二十一年度、昭和ですよ、昭和二十一年度から平成十八年度までの約六十年間の不当事項のうちまだ是正されていないで残っている金額というのが出されています。百三十億七千八百七十九万、約百三十一億円、四百六十二件、これ出ておりますね。これ昭和二十一年度というから六十年前ですから相当昔の話なんですが、このうちのいわゆる省庁分、今の省庁です、今の枠組みの省庁に当てはまる分が約三十八億円あります。それ以外は何かというと、現時点では独立行政法人になっているもの、あるいは国立大学、あるいはゆうちょ銀行とかかんぽ生命保険とかそちらの方に付け替わっているものというのが残りであるわけなんですが、この百三十一億というと、これは実は現在価値ではなくて当時の部分、ですから、昭和二十一年度に百万円あればそれが百万円としてカウントされてきて、それが百三十一億ですから、現在価値に直すと当然もっと大きい数字になっているんだろうというふうに思います。  昭和二十一年度の国家公務員の今のⅠ種に当たるいわゆる初任給五百四十円の時代ですから、今十八万前後、それだけ考えると三千三百倍ぐらいになります。ただ、これでカウントするにはさすがにどうかなというふうに思いますので、消費者物価、これをベースにすると、昭和二十一年度と平成十八年度を比べると、昭和二十一年、六十年前、三十五分の一ぐらいです、およそですが。それで考えますと、今の、先ほど申し上げました省庁分というのが、三十八億円が今は約六十億ぐらい残っている計算になります。  ちょっと図を見ていただきたいと思うんですが、(資料提示)この図の一ですね、お手元には表もお配りしていますが、同時に見ていただければと思いますが、この図一で一億円以上、現時点で、これ現在価値ではなくて当時の価額の貨幣価値で一億円以上残っているのが厚生労働省と農林水産省と法務省と財務省、この四省庁なんですね。ここに数字が載っていますが、これは昭和二十一年度分として厚生労働省三千八百五十五万残っておりまして、これ現在価値に直すと十三億ぐらい、そのまま残ったままということになっております。  続いて、図の二を見せていただきたいと思うんですが、これ最近十年間の未是正金額がどうなっているのかというと、やはりこれ厚生労働省が断トツに多く、十億円なんです。  これ、厚生労働大臣にお聞きしたいんですが、こういうだけの金額も大きいということも併せて、その中身とか是正状況、あるいはこの昭和二十一年度の三千八百万、これについての回収の可能性というのはどのように見ていらっしゃるでしょうか。
  84. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 今委員がその図でお示しになった中身でございますけれども、これは健康保険及び厚生年金保険の保険料、これが相手に資力がないというようなことで徴収できなかった、それから雇用保険の失業給付金などがまた取れなかったということで、そういうものが、例えば保険料徴収だと三億六千五百万、保険給付三億三千四百万等々、できるだけ分割納付を認めるような形で徴収する努力はしていますけれども、倒産したとか、とてもじゃないけど生活するのに困ってもう保険料払えないと、そういうことが積もり積もってこういうことになったので、今後とも回収の努力はいたしていきたいと思いますが、中身はそういうことでございます。  それから、もう一点目の昭和二十一年のこの三千八百五十五万円の未済金でございますけど、これ実は戦後処理がまだ終わっていないということで、さきの大戦中に陸・海軍省が臨時軍事費特別会計の中で民間企業に兵器製造契約に伴うということで前金を渡しちゃった。ところが、戦争が終わって、もう混乱してその債権がまだ残ったままであるということでありまして、戦後の混乱期で債権の回収はほとんど不可能に近い。さらに、こういう国策機関であったわけですけれども、占領下において閉鎖機関ということで閉鎖命令が出るというようなことで、債権の時効は完成していないんですね。したがって、これをずっと現在未済という形で残していかないといけない。  これ、何年か前に財務省との協議もやっておりますけど、やはりこれは財務省と協議して、こういう戦後処理、これなぜできないかというと、我が省だけじゃなくてあらゆる省に固まっているんで、二百億円近く当時のお金でありますから、これは何らかの段階できちんとせぬといかぬというふうに思っていますが、現状はそういうことでございます。
  85. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 多分なかなか難しい、昭和二十一年のものは難しいんだろうと思うんですが、これそのままやっていくとずっと延々残り続けるんですね。だから、これは何か会計処理も含めて検討する必要があるんではないかなと思います。  もう一度、済みません、図の一に戻っていただきたいと思うんですが、これちょっと見にくくて申し訳ないんですが、この折れ線グラフの点が付いているところがまだ残っているというところでございまして、この例えば赤い丸ありますが、赤い丸についていうと、これは法務省がまだ要するに指摘された金額を返していないか、もっとも全く指摘されなかったかと、どちらかなんだと思います。ただ、最近十年間、法務省少ないんですけど、このグラフで見ていただくと、割と満遍なくというか、残ったまま法務省いるんですね。だから、法の番人でありますので、法務省、この辺りはきちっと是正するべきだと思いますが、その辺りの状況について把握されているのか、どのような状況になっているか、お答えいただきたいと思います。
  86. 森英介

    国務大臣(森英介君) この藤本委員のお作りになった資料が一番分かりやすいものですから、これに基づいて御説明いたしますと、確かに昭和二十一年以降、八件の未済金の事例がございます。  大体、その内容については、みんな不届きな職員のなせる業でございまして、証拠品として押収された現金を盗んだり、ただ、ほとんどのものはというか、金額の大きいものは収入印紙の購入代金を横領したものが多うございます。  特にこの点々を見ていただくと、五十五年以降が割と大口でございまして、全体として二億六千万円になっているのはこの三件が利いております。いずれもやっぱり収入印紙の購入代金を横領したものでございまして、その八件のうち七件は職員が関与しておりまして、いずれも懲戒免職になっております。  その回収についてでございますけれども、今厚労大臣からも御答弁あったように、やっぱり本人の資力もございますので、幾ら返せと言っても返せない人もいるんで、それは裁判所の関与の下でその支払の分割返済の仕組みを決めましてずっと返済してもらっているものでございますけれども、金利しか返せない人もあるものですからこういうことになっておりまして、いずれにしても、これは相続者がいる限りずっと督促して返済してもらうということになっているものですから、なかなかこれを帳簿上どうこうということはすぐにはもちろんできかねるわけでございます。
  87. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 どうなんでしょうかね、今のお話を、御答弁を聞いていて、みんなそのとおりだ、納得だというふうに多分思われないんだろうと思います。  この間、これ質問通告させていただいたときの説明では、月々一万円ずつぐらい返してもらっているとか、そんなような話をされています。これ最後の三件ぐらいが残っている、大口だということなんですが、これ多分まだ是正されていないのが七千六百万とか七千九百万とか七千三百万とか残っているんですね。これを毎月一万円ずつやったら五百年ぐらい掛かっちゃって、これどうしたもんだろうと。これ和解されたということでございますが、そうはいっても、じゃ、これをその方々が終わった段階で残債残ったら、そのままでいいのかというと、やはりそうではないんだろうというふうに思います。  ちょっと総理、お聞きしたいんですが、こういうような、この人たちは不正行為ですね、きちっと書いてあります法務省の資料に、不正行為によってこのような状況があったけれども、その方々の資産とか収入とかを見ながら、その方々が生活できるようにすることを前提でこういうことをやっている。これ、一般的に考えると、なるほどそうかなと思うんですが、一方で、不正していないのにもかかわらず収入がなくなって生活ができなくなっちゃったとか、ローンを払っていたんだけど、そのローンが組めなくなった、ローンの支払ができなくなって資産を押さえられているといういわゆる一般の国民の方々がいらっしゃるんです。その中で、どうして不正行為をした人たちがそのように保護されて、不正行為もしていないのに、自分は悪くもなかったのに住宅ローンも払えずに資産を差し押さえられているというようなことになる、これはとても理不尽だと私は思うんですけれども、どのようにお考えになります。
  88. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) これは多分、藤本先生、今までの会計法のルールでいろいろあるんだと思いますね。しかし、いずれにしても、御指摘の点は言われたとおりなんで、これ財務省のところでも関係すると思いますが、これ財務大臣会計検査院と詰めさせます。
  89. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 ここはしっかり見ていただければと思うんですが。  ちょっと財務大臣にお聞きしたいんですが、財務省も、厚労、農水と比較すると少ないんですけれども、いわゆる金庫番ですので、財務省がこういう対応をしているというのはやっぱり問題があるんだろうと思うんですが、それは別として、別としまして、財務省としてこういう状況を、各省庁がこういう状況であったということを、それぞれの是正がまずされていないとか、されているとか、残っているとか、そういうことについて財務省としてはトータルでこれは認識されているんでしょうか。
  90. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) これはまあ各省庁が返還をきちっとやるべきであるということでございますけれども、財務省において取りまとめて決算書として会計検査院にこの決算結果全体を報告しているわけでございますので、この返納金としてどのぐらい返納されたかということは全体としては把握をしております。
  91. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 多分、財務諸表を見ればどれだけ残っているかというのが分かっているという意味で、トータルではきっと分かっていらっしゃるんでしょうが、それぞれの省庁がいつの部分を返済しているとかって、そこまでは把握されていないんですよね。
  92. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 個別には把握しておりません。
  93. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 今回の資料は、各省庁に問い合わせをしまして、債権管理台帳をめくっていただければすぐ分かると思いますよと言ったら本当に一日で全省庁がそろっていますので、多分各省庁では把握されているんだろうと思いますが。  先ほど財務大臣もおっしゃっていたように、予算の執行は各省庁だということでありますけど、この辺りはもう少し念入り財務省としてもやはりチェックをしておくべきだろうというふうに思いますし、会計検査院にお聞きしたときに、やはり具体的なフォローまでは、各省庁の部分については資料を持ち合わせていないという多分お話だったというふうに思いますので、この辺りやはりこれからフォローをしていくのであれば、会計検査院の方もきちっとフォローをして、経過、計画なりを各省庁別にでも分かるようにしておくべきだということを申し上げておきたいと思います。  それでは、次の質問に移りますが、次の質問は、都道府県における国庫補助事業における事務所費の不正経理の問題でございます。  これは多分、新聞等、報道、テレビでも話題になりましたのでおおよその概要はお分かりだと思いますが、今回指摘されたのは、いわゆる預けとか差し替えというふうに呼ばれて、補助金というのを自治体がプールをしておいて、後からほかのものを買うとか後からお金支出するというものでございます。  これが、お手元にもお配りしていますが、代表的な例でございまして、預けというのがあります。これは、架空取引を各府県から業者に言って、それを、買わないのに架空のいわゆる納品書を置いておきまして、後から、ここでいうと、一番上でいうとファイルに十五万、テープに二十万、トナーに四十万、それでもう一度ファイルに二十五万円で、後から百万円を払ったというもの、これが預け金でありまして、差し替えというのは、買ったことにしておいたものと契約したものと違うものを後々納めると、同じ金額で納めると。ここの例でいくと、コピー用紙が三万円と言ったんだけれどもデジタルカメラを三万円で買ったと。これいろんな要項がありますので、それに合っていないものを事務費の中で買ったものというふうに思います。  今回、会計検査院が入ったのが十二なんです、十二の道府県に入っています。四十七都道府県のうちの十二の道府県に入っている。そして、その中で国土交通省と農林水産省の関連の事業にだけに入っています。ところが、結果を見ると、その十二のすべての道府県でこれだけの不適正な会計処理があって、合計金額が十一億円を超える、こういう状況であったというふうに認識をしておるわけなんですが。  今回、この問題で総務大臣財務大臣にお聞きしたいのは、それぞれこういうことが起きる原因は何だろうかということをちょっとお聞きしたいというふうに思っています。  これ何かとても分かりやすい例だと思うんですが、もう一つ事例がございまして、実は私の同僚であります高知の広田一議員が調べたものをちょっとお借りしたんですが、この差し替え、違ったものが来るわけですね。ここでいうと、コピー用紙がデジタルカメラに化けたというものなんですが、その差し替え品目が押すだけポットとかコーヒースプーンとかそういうものに替わっている、あるいはコピー用紙代として支出されたものがビーチサンダル二十足に化けている、あるいは会計検査院からの御報告をいただいたんですが、ある県では、官僚お好きなんでしょう、ゴルフボールが納品されると、こういうようなひどい例もあるわけなんですね。  これは確かに自治体がそういうまずいことをやった、それはいいことではない。しかし、いわゆる補助金、先ほど足立先生からもお話がありましたその補助金の問題なんですが、その補助金が、予算を使い切れ、一円たりとも残して返すなというような指導があったとか、年度末ぎりぎり、二月、三月になって執行をしているというようなことで、使い道がなかったというような補助金自体の問題、制度の問題、執行時期の問題、あるいは官僚、中央からの、国庫の補助金ですから、国の指導の問題、こういった問題がいろいろあってこういう問題が生まれているんだろうというふうにも指摘をされております。  そこで、総務大臣財務大臣にお聞きしたいんですが、このような預けだとか差し替えだとかが起きるその原因は何だと思います。まず、総務大臣からお願いします。
  94. 鳩山邦夫

    国務大臣(鳩山邦夫君) それは、基本はやっぱり意識の問題というのか、規範意識の問題というのか、厳正な服務規律の確保とか、適正に予算執行しなければならぬという強い意識が欠けているとか、そういうところにあると思うんですよ。  今先生が示された例だとそれほど大したことないように見えますよね、何か必要があったのかと。しかし、補助金とか負担金というのはこういう目的だというので、こういう事業のために使ってくれといって国が渡した金が、それがゴルフボールに化けているとすれば、私は刑事事件に近いものではないかという気がしますよね。それは横領、着服に近いもののような気がします。  結局、その辺がだらしなくなってくると、例えば補助金を使って、その補助金もらった目的と全然関係ないところの旅費に使うとか、別のところの臨時職員の賃金払っちゃったという例もなきにしもあらずと、こういうことでございますから、やっぱり意識が大事だと思うんですが、規範。  しかし、先生が御指摘のとおり、使い勝手が悪いという面があるんだと思うんですよ。つまり、その年の補助金なんだけど、あげるのは翌年の四月になってあげると。つまり、四月から新しい年度が始まる、翌年の三月になって初めてこれだけあげるという査定がされて、実際くれるのは翌年であるなどというようなそういう補助金があるとか、そういった意味では交付決定をできるだけ早くするというような改善も必要だろうと思っておりますし、そもそもが国庫補助負担金というものは基本的には縮減していくべきものであって、それは民主党さんもいつも言っておられて、市長さんとか県知事さんができる限り地域の真の経営者たるべきであると、いつも総理もおっしゃっていますが、そういう方向に持っていかなくちゃならぬと思いますが、実際使い勝手の悪さというものについては我々が大いに研究して改善していかなければならないことだと思っております。
  95. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今委員指摘の預けとか差し替えというものは、これはあってはならないことであると思います。  まず、予算の審議を衆議院、参議院でじっくりやっていただいた上で国民の税金を使わせていただくわけでございますけれども、それが地方に行ったときにそういう形で本来の目的の支出が行われなかった、あるいはまた予算が余りそうだけれども使い切らなければいけないというようなこと、これは本来の目的を逸脱しているというふうに財政当局としては言わざるを得ません。  いずれにしても、公務員として、法の規範はもとよりでございますけれども、使命感、責任感というものを持っていただいて、こういうことがないようにしていただきたいと思います。
  96. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 今回、補助金の問題は、使わなかったら普通は返還をする、補助金等適正化法という法律の中で返還をするということになるわけなんですが、この不正経理、補助金を出した省庁が、今回の場合は農水省と国土交通省、こちらが補助金の返還を求めるということになるんだろうというふうに思いますが、財務省として、過去の返還実績であるとか、それぞれ返還を請求したものがどのようになっているかということ、それは財務省としては総括的には把握をされているものなんでしょうか。
  97. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 補助金の不正使用の返還でございますね、補助金の不正使用の返還。これについては各省単位でやっていただいているわけでございますけれども、その状況については、先ほども申し上げましたように、各省ごとの全体額として把握をしているということで、地方であれば総務省として全体として把握をさせていただいているということでございます。
  98. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 そうなんですよ。財務省というのは全体は見るんだけど、それぞれのところは余り把握をしていない。本当にそれでいいのかという議論というのは多分これからあるんだろうというふうに思いますが。  私としては、それぞれの各省庁が責任を持てばそれでいいのかというと、会社なんかでいいますと、よく総理がおっしゃいますが、民間経営という話をされますが、各会社の中で経理だとか財務だとかは全体を見るけれども、それぞれの部署で何があってもそれはもう独立採算でやるというならいいんですけれども、そうじゃないという場合は、やっぱりそこのところは把握されているんだろうということを考えると、財務省の、そこで余り権限を持たせると財務省ばっかり権限を持つことになるのでそれはいかがなものかという話はあるとしても、全体像の把握ぐらいはやっぱりしておくべきであろうというふうには私は思っております。  今回、その補助金等適正化法にのっとってこの補助金等適正化連絡会議というのが設置をされているわけです。実際にその連絡会議が機能しているのかどうかということが一つ問題があるわけですね。  この中央連絡会議というのは、いわゆる適正化法の円滑な運営を図るための会議であって、その目的達成に向けて必要な補助金等に関する調査研究を行うと。一度も調査研究を行ったことが過去、昭和三十年からないというふうに聞いておりますけれども、これ毎年三月に一回だけ中央連絡会議が開催をされております。これ会議録を読みますと、毎回、財務事務次官が多分座長になられて、各省庁の官房あるいは局長クラスの方々が出られているんですが、毎回、年に一回、四十五分とか五十分で終わっているんです、これ、わずか。あっという間に実は終わっておりまして、ほとんど、適正化会議といいながらも、何にも会議をしていないんじゃないかという状況であります。  実際問題として、これ会議録が各年度のあるんですが、最後にこれはずらっと説明をしまして、説明文章だけで一千八百文字ありますので、一千八百文字というと大体そこだけで五十分ぐらい掛かっちゃう。だから、ずっと説明だけして、最後に、これまでの説明に関しまして何か質問がございましたら御発言をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。質問がないようでございますので、これをもちましてと、これずっと毎回やっているんです。これ、こんな無駄な時間と無駄な会議なんというのをやる意味があるかどうかというと、甚だ疑問だというふうに私は思うんですが、総理、今の話を聞いていていかがだと思いますか。これ、時間と金の無駄じゃないかというふうに思いますが。
  99. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) ほかにも幾つかあるような気がしますけど、そういう何となく形式としてやらねばならぬというところがあるんですよね。形式としてやっておかないといかぬというところなんだと思いますが。そこに至るまでの間、各省庁、会計検査院財務省、いろいろ詰めておられるんだと思いますが、最後のまとめとして、藤本先生、それはちゃんとやっておかないと、形式としてきちんと全体をまとめたことをやっておかにゃいかぬのだと思いますので、それなりの役割は果たしているんだと思っておりますが。今の話ですが、きちんと、そこに行くまでの段階で、各省庁が会計検査院などといろいろ詰めた上というところが、そこが一番中身なんだと思っております。  いずれにいたしましても、予算の適正な執行を図るということは大事なところなんで、今言われましたように、こういったものは形式としてもっと簡略化されるべきではないかという御指摘は十分に検討に値すると存じます。
  100. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 補助金の問題は、何か不適正な事項があったら、じゃ、返せばそれで済むのかと、そういう問題では多分なくて、先ほど鳩山総務大臣は刑事事件だというような話もあるわけですので、そこのところをやはりきちっとやっていかないといけないんですね。ただ、刑事事件にするためには、本当にそれがそうかどうかという特定することが大変難しいということの中で、やはり会計担当の各自治体の方々も、国家公務員もそうなんですが、そこのところがなかなか刑事事件でまだ告発されることはほとんどないという状況だというふうに認識をしております。  これは、ですから、制度の問題であり、法律の問題であり、意識の問題であり、こういったところを総合的にやはり考えていかなきゃならないという、そういう思いがあるのと同時に、先ほど総務大臣がおっしゃっておりましたが、一人の臨時職員がいて補助事業をやったと。補助事業のために臨時職員を雇ったんだけれども、その同じ部署で物すごい忙しいところがあって、こっちの補助事業のところは手が空いていたのでこちらに使ってしまったと。ほかのことをやってもらったということで、賃金が要するに補助事業以外のところに使われたということで不適正だというふうに言っていますが、これはやはりがんじがらめのひも付き補助金の制度の問題なんだというふうに我々は思っております。  これはやはりもう少し緩やかに、会社であったら分かると思いますが、一人の人間がいて、隣がてんてこ舞いしているのを手伝わないで知らぬ顔というわけにいかないですよね。それをうまく効率化してやっていくことによって、やはりいわゆる生産力をアップするというのが普通の民間企業だと思いますので、それと同じことを考えれば、余りがんじがらめではなくて、むしろそこの長にお任せをして、一括交付金ということで少し緩やかにしながら工夫もし、責任を持ってやってもらって効率良くやるという、これを我々、やはり補助金は基本的には廃止をして一括交付金にしようということを申し上げているわけでございますが、その点について総理、もしお考えがあれば教えてください。
  101. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 基本的に地域主権型の地方分権型にしていくという流れの中において、地方が自由裁量でものができるというところを増やしていくのが肝心な流れだと思います。  ただ同時に、今言われたように、任された方において、地方において不正が起きる、不正経理が行われているというのは、こういった地方分権化を阻害する一つ要因になるのであって、これは重々気を締めて掛かっていただかないと、やっぱり地方に任せたらこういうことになるんではないかということを言われないようにする努力は、これは地方公務員もきっちりしてもらわにゃいかぬところなんだと存じます。
  102. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 いや、それは前提として当然のことだと思いますけれども、やはりそれは一括交付金ということでむしろやっていくことによってだんだんだんだん改善されていくことであるということもあるんだろうというふうに思います。  補助金についてがちがちになっていると、要綱でがちがちになっているのは実は都道府県、自治体だけではなくて国のいわゆる出先機関ですね、道路工事事務所とか河川事務所とか、あっちの方がもっとがちがちになっているんですね。  ところが、この会計検査院の報告を見ますと、どうしても地方の出先機関にまでは余り踏み込んでないと、これはむしろお金も掛かるし時間も掛かるしということだというふうに認識をしておるんですけれども、これは会計検査院に是非お願いをしたいことでありますが、国の出先機関あるいは都道府県単位で入っているようないろんな事務所、こういったところにももっと入り込んでそこをチェックしていっていただきたいと、そこのところの立入検査の割合が非常に低いものですから、是非そこのところはお願い申し上げたいと思いますが、もしコメントあればお願いします。
  103. 伏屋和彦

    会計検査院長伏屋和彦君) 会計検査院は、会計検査院法第二十条に基づきまして、常時会計検査を行い、会計経理を監督し、その適正を期し、かつ、是正を図るという使命をいただいているわけです。  今御質問にありました補助金等の経理につきまして、また地方支分部局も含めまして、少なくともこの十二道府県のすべてにおいて会計実地検査をしましたところ不適正な会計経理が発見されたという、こういう事実を踏まえますと、今後、その他の地方公共団体、さらには各府省の出先機関も、また独立行政法人等も、厳正に引き続き検査してまいりたいと考えております。
  104. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 この関連でもう一問だけなんですが、総務大臣にお聞きしたいんですが、これは平成十八年度に実は会計検査院が各自治体に入っていて内部監査をやっていたと。内部監査をやって不適当な事項はなかったと言われているところが、今回会計検査院が入ったところ不適正な会計処理をやっていた。内部監査をやっていたにもかかわらずということなんですが、この二点お聞きしたいんですが、現時点、この調査が出た後、今各都道府県、政令市で内部監査をやっているところ、やっていないところがあるだろうと思いますので、そこについて教えていただきたいということと、もう一点、内部監査をやったにもかかわらず今回のような指摘があった。その理由、その原因というか、そのやり方というんでしょうか、そこについてはどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  105. 鳩山邦夫

    国務大臣(鳩山邦夫君) 先生の御質問にぴたっと合うかどうか分かりませんが、今回十二団体の問題がいろいろ出ておるわけですが、残りの三十五都府県については、いろいろ尋ねましたところ、自主的な内部調査をやったと、あるいは調査中だといったところが二十六団体ある。調査を行うかどうか今検討中であるといったところが五団体あって、調査を行う予定がないといった団体が四団体あるんですね。その四団体のうち一つは、これ広島県ですが、会計検査院の検査が今行われているから自分ではやらないと。宮城、福岡、長崎は、過去に発生した不適正経理の問題を契機として既に再発予防策等をきちんとやったから今は調査を行う予定がないと、こういう内訳になっておるわけでございます。  ただ、問題は、先ほど総理がお答えになりましたように、これから地方分権をやって国の権限、もちろんそれは人もお金も付くわけですが、これを地方に権限を移していこうというときに地方が信頼できないようなことをやると、これは世の中が地方分権はやって大丈夫かという問題になりますので、とにかくきちんとしなければならないと思っております。  それで、今先生の御指摘平成十八年度のとき、内部調査やりましたかと、きちんとやって何もなかった、大丈夫だった、うちはもう何も問題ありませんといって、翌年会計検査院がやってみたらおかしいところが出てきたという、これは愛知県と京都府と、こういうことになっておるわけで、こういうことがあると非常に良くない。言語道断という気がしまして、結局、うちは大丈夫だといった内部調査がずさんで甘かったと、こういうことになるわけですから、こういうことが二度と起こらないように注意していきたいと思いますし、都道府県ですから外部監査の義務付けはあるんですが、監査機能がまだ弱いというような面もありましょうから、これは地方制度調査会で、監査を厳しくするにはどうしたらいいかということで今研究していただいているところでもございます。
  106. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 地方分権の中でやはり各自治体がきちっとやっていかなければいけないということは当然でございますが、そこについても、こういう監査をやったけれどもまた新たに出てしまったということについては、やはり指導はしていっていただかないといけないかなというふうに思っております。  最後に、ちょっとごめんなさい、自動車保有関係手続のワンストップサービスについてお聞きしようと思ったんですが、野田国務大臣にわざわざ出てきていただきました。ちょっとこれ、時間の関係で割愛をさせていただきますので、大変申し訳ないのですが。  ここ、何を言いたかったかというと、実は住基カードがほとんど発行されていなくて、進展していなくて無駄になっているシステムがいっぱいあるよということをちょっと申し上げたかったんですが、これはまた別な機会に申し上げたいと思います。  先ほど来から話を聞いていますと、財務省は、結局、トータルは分かっているけれども、それぞれについては分かっていないということが結構多いんだろうと思いますので、ここのところはやはり指導をしていく。予算お金の問題ですので、きちっと把握ぐらいはしておいてもらえるような仕組みをつくってもらわないといけないかなというふうに私は思っております。  総理、最後にちょっと、時間あと六分ほどなんですが、現状を見ますと、国民は疲弊をしている、これはもう御存じだと思います。もう明日の生活もままならないという、そういう状況になっているんだろう。中小企業も仕事がなくてもう倒産寸前で、銀行も信用力の、安全性の高い比較的規模の大きな企業にしか融資をしない。非正規雇用は雇い止めに遭う、住宅から追い出される、年を越せないという悲痛な叫びが聞こえてくる。内定は取り消されると。新卒者も希望と不安で年を迎えるはずだったものが不安だけをしょって年を迎えるという、こういう非常に大変な状況になっているんですね。  その中で、十月三十日と先週、総理は経済対策、雇用対策ということを発表はされました。されましたが、一部の若干勘違いされた国民もいらっしゃると思うんですが、結局、何にもやってくれないということが分かったんですよ、口だけで。口だけ総理で、第二次補正予算も出さない。もう第二次補正を先送りをして、今度、本予算でもやると。結局、そういう状況に今非常に不安を持っている。  先ほど足立議員が、将来不安が、それを取り除かないと希望は見えないんだというふうな話がありました。麻生総理は、漢字一文字で今年を例えると「気」だと言いました。気、やる気、元気、活気の気だと、そのようにのんきに答えたんだと思いますが、記者さんも、漢字が読めないと言われる総理に漢字の質問をするのは相当嫌みだなというふうに思ったんですが、この気と答えるというのもちょっと問題であると。  というのは、気というのは、御承知のとおり、やはり多少でも十月三十日に発表された経済対策を聞いて、少しでも、ああ、これは光が見えたかなと思った方もいらっしゃると思うんです。でも、よく見ると、何も具体的には財源も示さないし、法案も出さないし、予算は先送りになる。ということは、要するに、気持ちが、未来があればやる気も出るんですよ。未来があって見えてくれば、やる気もあって努力もしようと思うんです。ところが、それが打ち砕かれると、どん底に落ち込んじゃうんです。  ですから、気というのは、いわゆる景気マインドの景気も気ですが、その気をそいでしまったのはほかでもない、この十月三十日からの麻生総理の言葉だったというふうに私は思っています。  確かに、定額給付金に代表されるように、この緊急経済対策は筋は余り良くないということは国民皆さんがよく分かっている。それを先延ばしたんです。多少なりともやったら、多少は効果があるかなと思うことすらやらなかったんですね。ということは、もうどんどんどんどん落ち込む以外に方法はなくなってしまっている、これが今の現状だというふうに思います。  ですから、この日本が壊れてしまう前に、壊れることを阻止するために、我々は、先週そして今日、もう既に法案を提出、具体的な法案として既に提出をしていると思いますが、経済対策、雇用対策……(発言する者あり)
  107. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) 静粛にお願いします。質疑の妨げになります。静粛にお願いします。
  108. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 ちょっとうるさいですね。  そういう具体的に出しているわけですね。  今日も十一時に雇用対策として、そして中小企業支援対策の法案を都合五本出したと思います。採用の内定取消しを規制する法案であるとか、非正規労働者、これは雇用調整助成金を対象とするこの法案、それと派遣労働者の就労支援、そして住まいと生活の支援、住宅を引き続き提供することを雇主が助成すること、そして雇用される人全員が雇用保険に加入できるようにする、あるいは期間の定めがある労働契約のルールを明確にする、あるいは中小企業の法人税を半減する、八百万以下のですね、については……(発言する者あり)口だけならだれでもいいって自民党から今やじが飛びましたけれども、我々は法案として出しているんです、法案として。法案として出しているんですが、麻生総理は、それは要するに口だけでして、法案と補正予算は来年にすると言ったんです。そこは大きな違いがあるというふうに私は思っておるんですが、どうでしょうか。
  109. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 予算編成権は政府・自民党が持っておりますので、いろいろ御提案をいただいて、これをという御提案があるんであれば、その内容がいいんであれば十分に検討させていただく。政党間協議をしましょうと申し上げてもこれまで全然お答えいただけませんでしたけれども、初めてそういったものを出していただけるというんであれば誠に喜ばしいことだと正直思っておりますよ。  加えて、申し上げさせていただきますが、私どもとしては、今の段階においては少なくともきちんとしたものを、小出しにするのではなくてまとめて一月の五日に補正予算案を出す。それまでの間のつなぎにつきましては、雇用の問題また住宅の問題、年内に片付けるべきところは片付けられるようにすべきということでその対案も既に示しておるのはもう御存じのとおりでありまして、我々として今回の話は、今言われたように、何となく十二月にちょろ、こっちにまたちょろというんではなくて、十二月五日、私どもとしては国会を始めさせていただきたいと思っておりますが、(発言する者あり)早々にも始めさせていただいた上で是非やらせていただきたい。  その上で、補正予算に続きまして本予算もございますが、過日の党首討論において、審議に協力して、審議に参加して、そして結論も早く出すと小沢党首の御答弁もいただいておりますので、それは当然のこととして、国民に直結いたします予算編成に大いに関係するものだと思って、あの言葉、期待をしております。
  110. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 一言だけ。
  111. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) もう時間が来ています。一言で終わってください。
  112. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 緊急ということでございますので、緊急の意味をよく理解をして出していただきたいと思います。  終わります。ありがとうございました。
  113. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十七分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  114. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成十九年度決算外二件を議題とし、全般質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  115. 西島英利

    ○西島英利君 自由民主党の西島でございます。幾つかの質問を麻生総理を中心にして質問させていただきたいと思います。  まず最初に、十二月の十三日に福岡で行われました日中韓の首脳会議のことについてお伺いをさせていただきたいと思います。  私も麻生総理も福岡でございますし、今回、福岡県の太宰府市の九州国立博物館でこの日中韓の首脳会議が行われたということは、非常にうれしい限りでございます。  また、この九州国立博物館というのは、日本とアジアとの交流文化史を、展示テーマを中心としてつくられたものでもございますし、また、中国、韓国の博物館、博物院との文化の交流協定を締結したという、様々な実はつながりのあるところでこの会議が行われたということでございまして、特に、今回の会議のテーマが国際の金融の危機、経済的な金融の危機ということも一つのテーマであったというふうに聞いております。  麻生総理はよく言われますけれども、百年に一度の金融危機だということをよく言われておるわけでございますが、そもそもこの九州国立博物館は、明治三十二年に美術界の指導者としての岡倉天心がこういう博物館を九州につくるべきだというふうに言いまして、ようやく百年過ぎて平成十七年に実はオープンになったという、そういう歴史的な背景もございまして、ここで百年に一度の金融危機の議論が行われたというのも、これは何かの因縁だろうというふうに思っておりますけれども、是非、このときの成果につきまして麻生総理からお話をお伺いできればと思います。よろしくお願いいたします。
  116. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 西島先生御存じのように、日中韓の首脳会議というのを単独でやったことはこれまでありません。今までは、ASEANとかAPECとかのときに一緒にというのは何回かありますし、会場を別の部屋に移して一時間とか、そういうのは何回か私も記憶があるところですけれども、単独でやったことはこれまでに例がありません。  私は、外務大臣のときに日中韓単独で外務大臣会合というのを済州島で開くというのをやらせて、そのときに中韓そろって一緒だったことがありましたので、この日中韓首脳会議というのは必要なのではないかということで、今年総理になってから向こうにこの案を提案して今度の十三日になったということだと。いずれにいたしましても、単独でやったのはこれが初めてという意味においては意義が大きかったと、私自身はそう思っております。  これはもう御存じのように、韓国が今約一兆ドル弱ですから、世界のGDPで今十三位か四位か、そんなところにいると思います。それから、中国が御存じのように、下がっていますから、二・七、八兆行っていると思いますから、それで黙ってGDPの四位。日本が約、ドル計算で四・三兆ぐらいだと思いましたので、もうちょっと上かもしれません、上がりましたので、それで九%で約二位というのがずっと続いておりますので、足しますと一六・幾つ、一七%前後。世界の主要国で一七%の主要国を三国で持っておりますというのはそうざらにある数字ではありません。そういった意味では、三国間という、隣国皆つながっております国が会わないのが今までおかしかったんだと、私自身はそう思っているんですけれども、いずれにいたしましても、こういったものが定期的に会えるようになったということは画期的なことだったと、私自身はそう思っております。  成果と言われますけれども、そこが一番の成果なんだと思いますが、具体的な成果としては、やっぱり国際金融というのは今回の中で大きかったんだと思います。少なくとも、G20の緊急金融サミットというのを十月、ワシントンDCでやらせていただきましたけれども、このときの合意内容というのをまず着実に実施しようと。一九二九年のあの話の二の舞だけは絶対避けようというので、御存じのように例の三つの話があるわけですけど、それに陥らないようにしようと。少なくともみんな通貨とか自国の平価切下げやっている、おれのところは上がっているんだからねと。ほかのところとは違う、うちは上がっているんだから、そういった意味では確実にうちは言える資格があるというので、是非、そういった話が一つ。  それから、流動性資金が極端に不足しておりまして、銀行間取引というのが、いわゆるマネーマーケットというものが成り立たないほど金融収縮を起こしておりますので、そういった意味では、日本と韓国の間にいわゆる短期の金の出し入れができるようなスワップというものをやろうというので、これで正式にこれがスタートすることになりました。従来百三十億がこれで三百億ドルできることになりますので、結構なものです。同じように中国、韓国も三百と。おたくもされたらということで、中国、韓国でも三百ということになりましたので、こういった通貨を融通し合うという信頼関係ができるというのは非常に大きかったと思っております。  いわゆるチェンマイ・イニシアチブとかいろんなものがありますけれども、こういったものに関しましても、今アジア開発銀行というのがございますが、このアジア開発銀行の資本力が不足していますので、これの増資というのを、うちだけがやるわけにはいかないんだ、おたくもみんな増資しないと、バランスやら何やらありますので、是非この増資に応じたらどうですかとかいう話もさせていただいております。  それから、この地域は、この間の四川の地震等々幾つか例がありますけれども、災害が極めて、地震災害というのがこのところ非常に、頻繁とは言いませんけどかなり起きて、我々、宮城県とか岩手県とかいろいろありましたので、そういう意味では、双方で、防災という意味に関してはかなり技術が双方得意とする分野がありますので、我々としてはこういった三か国の閣僚級の会議を年一回開こうと。第一回は日本がやってもいいということで、防災担当の閣僚会議を開くようなことを定期的にやろうという話をし、そしてもう一つは、北朝鮮という問題は三か国共通のいわゆる問題なんだから、この朝鮮半島の核の安定というものをきちんとしたものにしておかないと、これは我々三国直接響くことになるので、三国はこの北朝鮮の問題に関しては常に連絡を密にして、この間にすき間風が入らないようにしておくのが一番肝心なんだということで、こういった問題も三国でやる。  だから、環境とか気候温暖化とかほかにもいろいろありますけれども、事前に連絡を密にしてやっていく関係をきちんとつくり上げないと、何となくちょっとというのがこれまでだったではないかという話をして、少なくとも今後、日中韓サミットというのを年一回定期的に、しょっちゅうしょっちゅう、日中とか日韓とかバイでやるのは別にして、日中韓三国一緒に会うという機会を定期的にやるということを決めて、次回は中国、その次は韓国ということで決めさせていただいた。極めて物すごく忙しい日程が詰まった日程でしたけれども、国立博物館、太宰府を使わせていただいて、非常に成果が上がったのではないかと思っております。
  117. 西島英利

    ○西島英利君 本当にお疲れさまでございました。  昔から、中国、韓国と日本の関係というのは、近くて遠い国と言われた時代もございましたし、ぎくしゃくした時期もございました。やはり話し合うということがこの信頼につながるんだろうというふうに思いますので、これが定期的に毎年その三国でやるということは、これは本当に大きな成果であろうというふうに思っております。今後ともどうぞよろしくお願いをいたします。  次に、どうしてもこれは触れておかなきゃいけない問題でございますが、実は、消費者庁との関係で御質問をさせていただきたいというふうに思います。  マルチ商法の問題でございます。この件に関しましては、十日の日に予算委員会で我が党の議員と、それから十一日には経済産業委員会でやはり同僚議員が質問をさせていただきました。  最近、月刊誌、週刊誌で大きく取り上げられておりまして、マルチ商法と政治家の関係ということで、お金の問題もかなり大きく書かれていたわけでございます。詳細は、私は今日は大きくは触れませんけれども、民主党の国会議員の方々が実名で出ておられると、ゆゆしき問題だなというふうに思っているわけでございますけれども、そのマルチ商法というのがよく分からないんですね。  ですから、これは二階経済産業大臣に是非お伺いしたいんですが、マルチ商法とは一体何なのかと、それから、これだけ大きな問題になるということは、何かいろんな問題があるから問題になるんだろうというふうに思いますので、どんな問題があるのか、具体的な例があればというふうに思います。そして三番目に、それについての経済産業省としてと申しますか、政府としてどんな対策を今しようとされているのかをお話しいただければと思います。
  118. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) お尋ねの連鎖販売取引は、議員も御承知のとおり、個人を販売員として勧誘し、その個人が更に他の個人を次々と勧誘することにより多段階に組織を拡大する取引形態であるために、無理な販売勧誘や販売員の過剰在庫等によるトラブルが発生しやすくなっております。このため、特定商取引法による規制対象と位置付け、悪質な連鎖販売取引については業務停止命令などの行政処分を行ってきておりますが、今後とも特定商取引法に基づき、悪質なものに対しては厳正に対処してまいりたいと思っております。  また、消費者においても、必ずもうかるというふうな都合のいい話に乗って失敗をする方々もおられるわけですが、取引を行うかどうかについては自らも消費者自身が慎重な対応をしていただくことが重要だと思っております。このため、政府としましては、悪質な取引等については、情報提供や特定商取引法等の制度の周知、広報に引き続き徹底をしてまいりたいと思っております。
  119. 西島英利

    ○西島英利君 ちょっと私は今の御答弁ではよく分からなかったんですけれども、要は今これに対して非常に関心を持っておられるのが学生とか主婦の方々だとよく言われております。そして、この方々から大変な被害に遭ったということで、たしか年間に二万件ぐらいの苦情が出ているんだろうというふうに思っております。  結果的にはだれかが被害者になりますけれども、被害者がまた加害者になってしまうというのがこのマルチ商法の特徴だというふうに私は聞いた記憶がございますし、となりますと、学生とか主婦というのは非常に弱者、ある意味では弱者ですね。この方々がもうかるというこの一言でそれに手を出してしまう。でも、このピラミッド型の一番下の会員は、結果的に商品だけを買って、商品だけを抱え込んで結果的にはそれが全くお金にならないというようなところで被害が生じているんだろうと。ましてや、その会員として勧誘する人たちは友人知人とか身内の方等々でございますので、被害届もなかなか出にくいという状況があるというふうにはお聞きをいたしております。  しかし、今回問題になったのは、そのような問題があるにもかかわらず、民主党の一部の議員の方々がそういう形でこれを推奨しようという、そういう動きをされたというところで恐らくマスコミが騒いでいるんだろうというふうに思っております。  そこで、こういう被害をやはり最小限に食い止めるというために消費者庁の設置ということが提案をされたんだろうというふうに思っております。たしか九月の二十九日に国会に提出をされたんだろうというふうに思いますが、まだ一度も実は審議をされておりません。  私も国会対策の副委員長をしておりまして、毎朝国会の報告を聞く立場にございます。本会議等々が行われる前の議院運営委員会では、毎回自民党の筆頭理事がこの消費者庁の設置に関して特別委員会を是非やってほしい、そして審議をしてほしいということを毎回毎回言うんですけれども、どうしても野党の方々がそれに応じていただけないというような話も毎回毎回実は聞くわけでございます。  このようなやっぱりその被害者をいかに最小限に食い止めるかと。今振り込め詐欺とかいろんなものがありますけれども、このマルチ商法の被害者というのも非常に大きな被害者だろうというふうに思いますので、やはりそういう意味でこの消費者庁の設置のための特別委員会、早くこれは設置しなきゃいけないだろうと私自身思っているわけでございますが、どうも先ほど申し上げた中に、国対の重鎮、民主党の重鎮がいらっしゃいまして、何か意図的に避けておられるのかなと疑わざるを得ないような部分も実はあるわけでございます。  そこで、総理にお伺いをいたします。  このようなこの消費者庁設置法に関して、積極的にやろうとされているのか、まだ先でもいいと思っておられるのか、是非総理の決意というものをここでお聞かせいただきたいというふうに思います。でないと、この被害者は広がる一方だというふうに考えております。
  120. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 最近のこの消費者をめぐりますいろいろな問題というのは、これは我々として真剣に考えにゃいかぬところなんですが、すべからく消費者側の立場に立って、そして、その利益を守る消費者庁というものを立ち上げるということは、これは内閣の非常に大きな責任であろうと、私自身はそう思っております。  したがって、九月初めに早々にこの法案を提出したんだと記憶いたしますが、したがいまして、この法案が一刻も早く成立する、もって消費者のいわゆる権利を保護する、安全、安心を確保するというようなことを実行していくという意味において、この消費者庁というのは極めて有効に働くものだと、私自身はそう思っておりますので、是非とも必要、実行させていただければと思っております。
  121. 西島英利

    ○西島英利君 麻生総理の強い決意だというふうにお伺いをいたしました。是非、通常国会で速やかにこの審議を行って、早急にこの消費者庁設置法案を成立させていただきたい、そのための御尽力を是非お願い申し上げたいというふうに思います。  それでは、次の質問に移らせていただきます。  これは総理も非常に強い御関心をお持ちでございますけれども、社会保障費の自然増から毎年二千二百億円を抑制するというこの問題でございます。これが今医療の崩壊とか介護サービスがなかなか不足しているというようなところにも波及しているのではないかというふうに思いますが、この件について少し御質問させていただきたいと思いますけれども、皆様方には資料をお出しいたしております。(資料提示)  社会保障費の給付費のこれは推移でございます。年がたつごとに大変な金額として伸びてきております。これは二〇〇六年でございますけれども、社会保障全体でいきますと八十九兆一千億、一人当たりが六十九万七千四百円という形になっております。これが二〇二五年になりますと実に百四十一兆円になるということでございます。  年金に関しましては、これは受給者が増えるわけでございますから、これを抑制することはできないですね。これは増える一方でございます。私も団塊の世代で今年還暦を迎えたばかりでございますが、あと十年前後で年金をいただくような立場になるのかなというふうに思いますから、これはもう伸びていく一方でございます。  また、医療に関しましても、この高齢者社会の中で今七十五歳以上の方がたしか千二百万かちょっといらっしゃるわけでございますけれども、これが二〇二五年になりますと二千万人を超える方が七十五歳以上になられると。そうしますと、どうしても病気になりがちなわけですね。ですから、この医療費も抑制をするというのは非常に不可能な問題だろうというふうに思っております。ましてや、この下の福祉その他というところは、これは介護保険の問題でございまして、これもやはり高齢者が増えれば増えるほどその利用者は増えていく一方でございますので、当然この給付費というのはこれも伸びていく一方であろうと。  そこで、麻生総理が十月の三十日に消費税のことに触れられました。経済状況が良くなれば、三年後辺りに消費税の引上げを是非お願いをしたいと。その目的は、やはりこの社会保障を持続可能なものにするために消費税の引上げが必要だという恐らく決断だろうというふうに思っているわけでございますが。  もう少しこの辺りの話を進めていきますと、これだけ医療費が伸びるんだから、介護費が伸びるんだから、だから抑制をしなければいけないというところから二千二百億が始まったんだろうというふうに思いますけれども、平成十四年に医療費が千八百三十億円の抑制が掛けられております。平成十六年に七百十七億円、平成十八年に二百三十九億円ですか、二十年が六百六十億円の抑制が実は掛けられているんですね。介護保険に関しましては、平成十五年に三百億円、平成十七年は介護保険の制度が改正になりまして、ここで四百二十億円の抑制が掛けられております。また、平成十八年は九十二億円という形でございますが。  ところが、こういう資料がございます。実は、医療と介護というのは労働集約型産業、つまり人が人にサービスをするという産業でございます。そうしますと、一番大きいのは、これは人件費です。医療に関しての人件費を見ますと、医療全体で見ますと、収入の五五・一%が実は人件費なんですね。大体四九%を過ぎると、もうこれは経営として成り立たないと言われているんですが、五五・一%。医療法人といいますか、民間が若干少なくて五三・一%。なぜかといいますと、民間は赤字を出したらこれは倒産でございますから、当然人件費を一生懸命抑制をするわけですね。ところが一方、公的病院は五九・ちょっと行っているわけです。ですから、大変な赤字を抱えながら公立病院が経営をしていると、それが今や大きな問題になっているんだろうというふうに思います。  二年前の看護師の給与を医療経済実態調査で見ますと、民間病院は四百万円台です、年俸で。公立病院は七百万円台です。それほどの違いがあるんですね。民間はもう人件費を抑えざるを得ない、そういう状況の中で、なかなかいい人材も確保できませんし、ですから人材不足の中で今医療の崩壊も起きようとしているんだろうと思います。  また、介護を見てみますと、介護に関しましては、これは特別養護老人ホームといいますか、今は介護老人福祉施設というふうに言いますけれども、ここの人件費率は六〇・八%ぐらいでございます。ホームヘルパーの事業所に関しましては八一・五%、それから訪問看護ですね、訪問看護にしましても七九・四%、これが人件費率でございます。  そうしますと、もうこれは経営として成り立たない状況の中で、いかに抑えながら実は経営をやっているかと。今何が起きているかといいますと、介護福祉士の学校の受験生が激減しております。たしか麻生総理会社も介護福祉士の学校をされていると思うんですが、ここの受験生が激減している。もう学校として成り立たないような状態になっている。また、老人福祉施設に働いている男性の職員なんか、とてもとても結婚できないと、こういう給料では結婚生活が送れないし子供も育てられないというような、今そういう状況が起きているわけでございます。  そこで、麻生総理が、十月の三十日には、このままではもう抑制は無理だと、だから消費税の引上げをしなきゃいけないと。それから二千二百億、来年の予算に関しましても、新しい財源を確保した上でこれは何とかしなければいけないということをおっしゃいました。そして、記者会見の、ぶら下がりでも同様のことを言っておられまして、自民党の税調にそういう形の指示がなされたわけでございますけれども、そういう財源の中で一番の候補としてはたばこ税だったと。これは総理は、私はたばこ税指示したことないと言われるんですが、財源の中で一番議論されたのは実はたばこ税だったわけでございます。  残念ながらこのたばこ税が断念せざるを得ないような状況になったんですけれども、その中での議論は、社会保障の財源として増収になるのかどうかというのも一つの議論でございました。ところが、我々は、このたばこ税の増税に関しましてはもう一つの実は理由がございました。それは健康被害をいかに少なくするか、今日の午前中のお話でも生活習慣病のお話をなさいましたけれども、いかにやはり健康被害を少なくするかと。  これは、健康被害というのは例えば肺がんとの関係とかいろいろ言われているわけでございますけれども、それが一番の大きな我々が主張したところでございますが、実はこれは意外と皆さん方御存じないんですけれども、最近妊産婦のたらい回し、俗に言うたらい回しということが大きな問題になっているんですが、どうして病院が受けないのかと。今朝の足立議員の資料にも低出生体重児が増えているということがございました。あれは未熟児のことなんですね。そして、どうして受けないのかというのは、実は未熟児が生まれた場合にやっぱりどうしても保育器が必要になると、だからそういう準備がないまま受けるということはなかなか厳しいというようなこと等々も実は理由の一つとしてあるわけでございます。  そこで、実はたばことの関係なんですが、たばこを喫煙する女性、特に十五本以上も喫煙する女性の未熟児を出生する確率というのが非常に高いということは、これは医学的にも実は証明されています。それから、流産もこの喫煙との関係が実は証明をされております。これはどうしてかといいますと、たばこを吸いますと血管が収縮しますので、血管が収縮するということは血流が悪くなりますから、当然胎児に対しても栄養が行かない、また子宮も実は収縮するんですね。そういうことは実はもうこれは証明されているわけでございます。  そういうようなことで、この問題も含めた形の中でたばこ税が議論されたわけですが、残念ながらそれができなかったということで、さあ、じゃ来年をどうするのかという問題が大きくのしかかっているわけでございますけれども、マスコミ情報によりますと、総理が自民党の保利政調会長に新しい財源の確保を指示をされたということをお聞きをいたしました。まずは来年の財源について、社会保障費のこの二千二百億の抑制に関しての財源をどうお考えになっているのか、総理にお伺いしたいと思います。
  122. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) たばこというのは財政に資するという第一条、たばこは何のため、嗜好品なんて書いてありませんから、財政に資するというのが第一条に書いてありますので、そこのところをきちんと押さえておかないと、何となく健康だけではなかなか言いにくい法律になっておるということで、これは法体系含めてちょっと考えないかぬところが皆議論ですぐ忘れられているところだと思います。  今の御指摘の社会保障費の関係につきましては、私ども最初に二千二百億の話は先ほど申し上げたとおりなんですが、少なくとも今回の予算編成方針の線に沿ってやっていただかなきゃいかぬところなんですが、この安定財源の確保というのをきちんとやっておきませんと、その場その場だけではなかなかこういったものはきちんとした対応ができない、長期安定的なものはできないんだと、私はそう思っております。  したがって、将来、間違いなく少子高齢化というのは進んでいくということが予想されますので、これは社会保障費が更に伸びていく、予防医学が、みんな始めてどれぐらい落ちるかは別にしても、少なくともこれから伸びていくということは想像に難くありません。したがって、安定的な財源確保というのはこれは今後とも不可欠なんだと、私はそう思っております。  したがって、今、中期プログラムというのをいろいろ考えているところではありますけれども、この中において中期的な経済財政運営というものを考えないと、社会保障負担というものがどれが中福祉か、どの程度が低福祉かとか、また定義のいろいろ分かれるところですが、北欧並みの高福祉高負担にするのか、また、よく言われるようにアメリカのような低負担だけれども低福祉にするのかといえば、今、日本の場合は少なくとも国民皆保険等々、中福祉というんであれば、我々としては、このレベルを維持するんであればしかるべき負担というものを覚悟しなければならぬのではないか。少なくとも、つくったころと違って、いわゆる高齢者と勤労者との比率が格段に、一対八が一対四とか猛烈に下がって、変わってきておりますので、そういった意味では、それを考えていくとなると、いわゆる消費税と言われるようなものを考えておかないと、こういった中福祉をやっていくには耐えられないのではないかというのが私の基本的な考え方の根底であります。
  123. 西島英利

    ○西島英利君 最近よく言われているのが、さっき、午前中にも出ました特別会計の話とかその余剰金、剰余金の話とか、それから無駄をなくせばという話がありますが、先ほどのグラフでお示しをしたように、そんなものでは賄えないぐらいの大変な財源が必要になってくるということでございまして、やはり速やかに消費税議論をして、そして国民の理解を得る、そういう活動をスタートさせなければ、大変なときになってそしてそれをやるということになっても、やはり本格的に導入する、増税をするということになっても、二、三年また更にそこから掛かるわけでございますから、是非、そういう意味で総理のリーダーシップで速やかな議論の開始、今既にしているわけでございますけれども、早急にこの議論を進めていただければというふうに思っております。  国民の意識調査を平成六年に内閣府がやっていますけれども、一番大きいのはやっぱり国民生活に悩みや不安を感じているということで、特に高齢期になって職を辞した場合の健康がどうなるのか、それから介護状態になったときにどうなるのかという不安が一番大きいんだと。これは内閣府のこのアンケート調査でもそういうことが明確になっているわけでございますので、是非その辺り、リーダーシップを発揮していただいて、速やかな御議論を展開をしていただきたいというふうに思います。  それでは三番目ですが、実は、私は道路とかそういうものに深い関心を持っているわけでもございません。しかし、今回、私は全国区でございますから、全国をずっと行くわけでございますけれども、本当に地方は疲弊をいたしております。そういう中で、今日この図でお示しをいたしておりますけれども、公共事業費の関係費の推移でございますが、ピーク時からどのくらい公共事業費が抑制を受けてきたのか。これは大変な数字ですね。しかも、しっかりとした地場産業のあるところはいいんですが、地場産業のない地域は公共事業というのは一番の実は雇用対策でございます。そういう流れの中でこれだけ抑制されるということになりますと、その地域の実は建設業者の方々はもう倒産をしていかざるを得ないと。さらには、赤字覚悟で受注をするということもいろんなところでお聞きをいたします。赤字覚悟というのは、これは経営として成り立たない話でございます。  そういう意味で、今回、雇用対策とかいろんな形で取られたわけでございますけれども、やはりこの公共事業というのは本当に地方に行きますと雇用に対しての影響というのは非常に大きいんだろうというふうに思います。そういう意味で、この公共事業に対する一時期的な、ずっと先までということではございませんが、この不況の中での一時期的な対策として是非この血液を地方に入れていただく。そのためのまず公共事業費の枠を一時期的には増やしていただくということも私は必要なのではないかなというふうに思います。  つい先日、東九州自動車道の推進の中央大会がこちらでございました。先ほどのお話にもちらっと出ましたけれども、たしかおいでになっていたと思うんですが、東九州は本当に高速道路がぶつぶつぶつぶつ切れたままでございまして、ほとんど整備がされておりません。これはちょっと下世話な話でございますけれども、もし高速道路がきちんとつながったら水産物の輸送コストというのは物すごく少なくなるだろうと。今、関アジ、関サバが非常に高いわけでございますけれども、あれは飛行機で東京に運んでくるから高いんですね。これがやっぱりトラック輸送となりますとかなりコストは低くなるだろうというふうに思っています。  そういう意味で、やっぱり都会の方々もいろんな形での恩恵を受けるというふうに私自身は思うんですが、そのときのたしか大分県知事のお話だったと思うんですが、とにかくインフラ整備、こういう状況だから前倒しにしてやってくれというお話でございましたけれども、是非、そういう意味での公共事業に対する一時的な、このインフラ整備へ振り向けるという形でのお考えが総理にないかどうか、ちょっとお聞かせいただきたい。  それと同時に、後ほど国土交通大臣にお聞きしますが、公共事業費がこれだけ抑制された結果、地域にどういう影響があったのか、後でお教えいただきたいと思います。
  124. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 公共事業は小渕内閣のころから比べて半分ぐらいになっていると思いますね、補正突っ込みで十四兆五千億が今は七兆ちょっとになっていると思いますので。その数字で、その白いところまで入れますとそういう数字になると記憶をします。大体この十年間で半分になったんだと思っております。  公共事業はやっぱり悪というイメージに一時期つくり上げられたと思いますね。私は、都会の方はそれでいいかもしらぬが、地方は本当にそうかということは、私のように大都市圏というか、政令都市と過疎地と両方同じ選挙区に持っておると、話す内容は全く違ったことを言わないかぬというのをしばらく中選挙区の時代にやったことがありますので、非常に地域間格差というものに関して理解がないなと、東京に来たり大阪に行ったり名古屋に行ったりしたときにはそう思っておりました。  したがって、私は公共事業というものを考えたときに、やっぱり今後ともインフラというものの不足によって地域によって格差ができるというのは、これはいかがなものかというような、生まれた場所によってはなから違っているというのはちょっとこれはどうかねというのが、これは多分政治家なら皆お持ちの気持ちだと思います。したがって、ここのところを是正するためにどういうのがいいのかというのがいろいろ考えられるところだと思います。  公共事業というと何となく道路ばっかりになりますけれども、道路特定財源も一般財源化するなど、いろんな形で今その流れができつつあるというのが現状だと思っております。できっこないと言われたのができただけでもこれはすごいことだと思いますが、歳入を少なくとも一般財源化するというのは、これは今までどなたもおできにならなかったことが形としてこの五月の閣議決定に基づいて今回できることになったというのは非常に大きな一歩だったと、私自身はそう思っております。  その上で、公共事業というものを今、例えば、よく言われますように、地震の耐震構造は〇・三、〇・六、いろいろ御存じの数字がありますので、ああいうものというものは基本的には地方に、いわゆる大規模な公共工事、大土木工事と違って、地方の工務店さん、何々建設というところが確実に仕事が出る。仕事が出るということは雇用が確保されることを意味しますので、私は、今回のいろいろなものの中で、雇用確保につながっていくという点においては公共事業というのは非常に大きな要素を持っていると、そう思っております。  したがって、今回の中で公共事業というものの位置付けというのは、今の雇用というものを考えたり当面の景気ということを考えたときには、将来につながっていくというところが一番大事であって、目先のばらまきと違って将来につながっていく公共工事。ぶつぶつになっている道路が、先ほど大分選出の民主党の方が言っておられましたように、あれは本当に行かれたら分かりますけれども、本当にひどいことになって、ぶつぶつつながっておる。どうしてああいうことになったのかの方が私は興味があるぐらい、あれだけぶつぶつにするのはちょっと普通は余りあり得ないんだと正直思いますね。行かれたことない方はあれ分からぬですよ、あそこで言っている意味が。  だから、先ほどのお気持ちは僕はあれよく分かるところなんで、是非、そういった意味ではこういったものは大変重要な役割を持っておると思いますので、この点につきましては特に景気対策、雇用対策含めて検討していかねばならぬところだと思っております。
  125. 西島英利

    ○西島英利君 それでは、国土交通大臣、いかがでございますか。何かございましたら。
  126. 金子一義

    国務大臣金子一義君) もう既に総理が今お話ありました。特に北海道、東北、北陸あるいは四国、公共事業に依存をされている建設会社、これは依存度が高いところがやはり雇用も含めて非常に公共事業半減の影響を受けてきている。依存度が高いだけになかなか他の産業、他の分野に置き換われてまだない地域が多いだけに影響が非常に多いと思っております。  ただ、公共事業、国でやるだけではなくて地方財政も非常に底をついておりますので、国とそれから地方の付いていける財源と合わせてこれから進めていくということが大事だと思っております。  もう一つ、先ほど赤字覚悟でというお話ありましたけれども、これも発注形態が一般競争、全国の競争と、このこと自身はいいんでありますけれども、過度な行き過ぎというものが発注によっては起こってしまって異常な低入札の状況が起きてきている。その結果、地方によっては一番のみんなが最低入札価格に札を入れるものですから、後は抽せんで決めると。経営を自分の意思ではなくて抽せんによって決められるというのが本当に経営なのかよということをこぼす地方の建設会社の方々もおられますけれども、やっぱりその結果として、それぞれの地域を支える優良な技術を持った建設会社自身が次々と残念でありますけれども倒産をしている。この三、四年、急速に建設会社の、特に地方の建設会社の倒産状況は増えておりますけれども、あわせて、こういう発注形態を適正化していくということも併せながら進めていき、そして雇用対策に、今後の雇用に、総理からお話ありましたような趣旨で結び付けていけるようにしてまいりたいと思っております。
  127. 西島英利

    ○西島英利君 どうぞよろしくお願いいたします。  実は私、以前は災害対策特別委員会の理事をいたしておりまして、災害が起きますと必ずその災害地に視察に行くわけでございますが、台風の後、それから地震の後等々でございますけれども、参議院が行くときはある程度落ち着いてから行こうという約束事で落ち着いたら行くんですが、大体もう自衛隊が引き揚げた後ですね。自衛隊は最初の復旧には全力を挙げますけれども、それ以降はやっぱり地場の建設会社の方々が最終的な復興工事をされるわけですね。ところが、その地場の建設会社がなくなってしまうということになりますと、そういう災害が起きたときにどうするのかという問題も大きな問題だろうというふうに思いますので、そういうことも勘案していただいた上で、是非よろしくお願いしたいと思います。  それから、もう一つ最後に、十二日の日に総理記者会見をなさいまして、今まさに契約社員が突然解雇される、そして解雇されたらば自分たちの住むところもないというようなそういう不安がありまして、今朝もそれを朝のニュース等で非常に大きく取り上げておりました。そういう人たちに対してどういう対策をするのかというのを十二日の日にたしか記者会見されたというふうに思いますが、総理の口からもう一度その辺りの対策についてお聞かせいただければと思います。
  128. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 今回のいわゆる金融危機というものは間違いなく実体経済にもアメリカのGM始めいろいろな形で出てきているのは御存じのとおりでして、当然のこととして日本にもその影響は出てきて、トヨタの下期の売上げは営業損益で赤というような事態になりつつあるというのは、明らかにこれは雇用においては急激な下降局面ということになる、はっきりしていると思っております。そうした観点から、これは生活防衛のためには主に雇用というものを重点を置いてこの間一部発言をさせていただいておるところです。  少なくとも、これまでの対策に比べて、いわゆる雇用の維持、倒産しないということは雇用の維持につながる可能性が大きいんですが、少なくとも資金繰りというのに非常にこだわりましたのは、中小企業は倒産イコール解雇ということになりますので、雇用の維持というのが一番ですけれども、それをするためには中小企業金融というものをきちんとするというのが一番の対策になります。それが一つです。  二つ目が、現実問題として、再就職というものをきちんとやっていかなきゃいかぬ。また、内定取消し問題という話もありましたので、こういったものに更なる対策を講じることが必要なんじゃないのかという話を申し上げて、中でも、離職者が急に言われたときの住居の問題というのが非常に大きいというように感じますので、雇用促進住宅というものが一万三千戸ほど空きがあるという話でもありましたので、これは私、今日からだと思いますが、ハローワークを通じてきちんとして入れるような話をしろというのはすぐできることではないのかというのが一つ。  それから、いわゆる社員というものを解雇するという場合は、次、社員を入れる予定はないんじゃないのかと、解雇するんだから。だから、急に入れるあれがないんだったら、少なくともその住居はしばらくの間住まわせるようにしてもらいたい。社員寮だったらばそれぐらいのことはできるでしょうが、借り上げ社宅という例がありますので、借り上げ社宅の場合については、その点については後でこちらの方から、事業主に対してしかるべき経費がそれは当然要るわけでしょうから、その経費についてはこちらから一部補てんをするということも考えてもいいと。  また、派遣先、これはいわゆる派遣先の話と、これは派遣をする側の会社の雇用とまたちょっと少し違うんですけれども、いずれにいたしましても、派遣先の労働者に対して是非そういった形できちんと対策をしてくれるのであれば事業主に対しては少なくとも何らかの形ができるかもしらぬし、また新たに雇い入れた場合、くれた場合の助成とか、また事業主に対してちゃんとそれしてという指導の強化というのはこれ大切だと。ちゃんと指導を強化して、ほかにない、本当にという話をするというのがその次に申し上げたこと。  もう一つ最後に、内定取消しという話がありましたけれども、現実問題、この内定取消しというのが正式に出てくる部分というよりは、うちの会社は今厳しいから、早い話が来ない方がいいんじゃないかなという話をするんですよ。これは企業というのはみんなそういうことをしてきたことがありますから、みんな企業経営者なら分かっておられると思いますので、そういったものを入れますと、実質内定取消しになっているのとほぼ等しき例というのは多分あります。  私どもはそういう具合に、過去の経験からそういうことになるであろうと思っておりますので、そういったことに対しまして対策を講じていくということは、これは雇用のセーフティーネットというものを考えたときに物すごく大事なんだということで、これは今すぐできることなんだから、こういったようなことを是非という話でスタートさせていただいた、それが十三日に発表させていただいた話の一部であります。
  129. 西島英利

    ○西島英利君 本当に今大変な時期でございます。この大変な時期を乗り切って初めて総理としての立派な成果ができるんだろうというふうに思います。どうぞよろしくお願いしておきます。  ありがとうございました。
  130. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) 関連質疑を許します。荻原健司君。
  131. 荻原健司

    ○荻原健司君 自由民主党の荻原健司でございます。本日は、質問の機会を与えてくださいましたことに関係各位に心から感謝を申し上げたいと思います。  決算委員会では初めて質問に立たせていただくわけですが、麻生総理大臣始め閣僚の皆様、よろしくお願いいたします。また、総理とはオリンピックに出場した選手として、出場した経験のある者同士ということで、どうぞよろしくお願いしたいと思います。  さて、改めまして、私は平成十六年の参議院選挙におきまして当選をさせていただいた者でございますけれども、当選来、議員活動も四年以上が過ぎたところでございます。議員になる以前はスキー選手として活動してまいりましたけれども、冬季オリンピックに四回連続して出場させていただくなど、大変恵まれた環境の中で競技スポーツを取り組んでくることができました。今、子供のころから取り組んでまいりました競技スポーツ、またスポーツやスポーツの持つ力に大変感謝をしているところでございます。  そのようなこともありまして、スポーツ振興であるとかまた生涯スポーツ社会の実現は私のライフワークとして取り組んでいるわけでございますけれども、議員活動を更に広げて、あらゆる分野で活動できるように努力をしているところでございます。  さて、本年も残すところあとわずかとなりました。十二月は師走ということで、総理も先日の日中韓首脳会議、また今後の税制改正、第二次補正予算、また来年度予算と大変お忙しくされていると思いますけれども、どうかお体には十分留意をされ、御活躍をお祈りしたいと思います。  ところで、今年一年を振り返りますと、やはり様々なことがあったなというふうに思います。特に、事件や事故に関する暗いニュースが多かったのではないかと思っております。例えば、秋葉原の無差別殺傷事件であるとか、記憶に新しいところでは元厚生次官の殺害事件など殺人事件に関すること、また防衛省を舞台にした官僚の不祥事であるとかまた警察官による不祥事に見られるような公務員の問題、さらには我々国民生活の安心、安全が脅かされました食品偽装など、挙げれば切りがないというような状況であったなと、暗い出来事ばかりであったなというふうに思っております。もちろんあわせて、現下の経済状況、この不景気拡大も同様であります。  私は、このような日本の今の状況を大変心配をしておりますし、また改善に向けて何とかしなければならないというふうに思っております。また、麻生総理がよくおっしゃる、日本を明るく元気な国にする、そのためにはどのようにしたらよいのか大変悩むところでございます。まさに今日本はスランプ状態に陥っているというのが私が日本全体を見渡したときの感想であります。  私は、このスランプ状態から抜け出すためにはまずどうしたらいいかということを考えたとき、まずは日本全体が、それは経済、金融、福祉であるとか教育、さらにはもちろん政治や行政においても、様々なあらゆる分野が基本に立ち返るということに取り組む必要があるのではないかというふうに考えております。  そこで、基本に立ち返るというのはどういうことか。それは、私が長年取り組んでまいりましたスポーツを例にして、参考にして御説明をしてみたいと思いますが、私はよく指導者からスランプに陥ったときには基本に立ち返るようにという指導を受けてまいりました。スポーツの技術には基本的な動作があるわけなんですが、その基本動作があって初めてその上に応用が利くんだということをよく指導されてまいりましたし、このことは麻生総理も御納得いただけるものと思います。特に、一九七六年のカナダ・モントリオール・オリンピックでクレー射撃選手として、日本代表として御活躍をされました総理であればなおさらではないかなと思います。  その基本に立ち返るということが今日本社会には必要ではないかということが私の意見であります。例えば、公務員は公僕として国民生活を憂い奉仕することに生きがいを感じ、公務員のトップである官僚こそがその先頭に立つというのが基本であるというふうに思っております。  しかし、一部の官僚や警察官による不祥事、また自治体の公金不正経理など、まさに公務員としての基本から逸脱しているという大変お粗末な状態が一部にあると認識せざるを得ません。特に、自治体の公金不正経理では、国民皆様の大切な税が正しく使われていないということが明らかになりました。大切な税を、獲得した予算はその年度にしっかり使い切るんだというのが役所や公務員の基本的な常識であるならば、なおさらその考え方を、年度内に使い切らなくてもいいんだと、税の無駄遣いはやめるんだという方向へ徹底して変えていかなければならないというふうに思っております。  また、昨今の金融危機をめぐる問題を考えたとき、金融業の基本的な役割とは何かということを考えざるを得ません。私は、金融業に対して深い見識があるわけではありませんけれども、金融業の基本的な役割というのは経済や産業の下支えという認識を持っております。言い方を換えれば、経済や産業が主役で、それを支えるのが金融であるという認識を持っております。しかし、現在は金融が何か主役を通り越してしまって独り歩きした、そうしたら大きくつまずいてしまったというのが現状ではないかと。特に、サブプライムの問題やリーマン・ブラザーズの破綻などを見ながら思うわけでございますけれども、是非金融業界にも基本に立ち返った取組をお願いしたいと思っております。  ただし、基本に立ち返ろうにも、現下の日本の経済状況では金融機関も大変な不安があるというのは事実だと思いますが、そのためにも金融強化法を早く実行に移していただくことが大変重要であるというふうに思っております。  そのような観点から、今まさにあらゆる分野が基本に立ち返るという取組をしなければならない、求められておると思っておりますが、もちろん行政や政治において求められている中で、どうか麻生総理大臣にはそのような思いを共有をしていただいて、行政府の長として先頭に立って取り組んでいただきたいと思っておりますが、まずここで、麻生総理に今後の政権運営の基本姿勢についてお伺いしたいと思っております。
  132. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 今回のいわゆる金融危機に端を発しました世界的な不況というものは、これは一国でどうのこうのできるようなレベルの話ではないという状況になっております。したがいまして、これが世界的に広がる以上は、これは世界と手を組んできちんと対応しないと、これは日本一国でやってもできない。なぜなら、今回の問題の元々の端を発したもとは、少なくとも金融派生商品なる新しい金融商品が、証券化商品、いろいろ言い方あります、この商品をもとにして端を発した仕事、商品を、しかるべきリスク管理ができなかったというのが最大の問題です。  少なくとも金融というものはきちんとした管理監督が公正に行われないと大いに危険を伴っている、だれでも考える当たり前のことです。しかし、これが一時期、つい数年前までは、やれビッグバンだやれ何とかだと言って、これの市場経済原理主義者みたいな話がえらくもてはやされた時代がありました。それに対していろいろな反対意見は、在野の分野に限らず、党内、政府内にもいろいろありました。しかし、結果として、今そういった危機管理というものに対応できなかったというのは事実。  したがって、こういったことが二度と起きないようにするために、まずは国際社会の中においてこういうような大惨事と言うべきか、ことが起きないようにするために世界できちんとした監視機能を果たす役割を持ってもらうもの、これは一国じゃできないことははっきりしていますから、したがって各国共闘でこれをやるという体制をつくろう。また、この会社の内容がいいか悪いかというのを、格付機関と称するものがあって、その格付機関がいいと言えばいいということになっていたんですが、その格付機関がいいと言ったものが一番悪かったりなんかしたわけですから、そういった信用というものが極端になくなっている。いわゆる金融の社会の中において信用がなくなる、信用が収縮するというのは経済以外に物すごく大きな影響を与えている、これが現状です。したがって、ここの部分をまずどうにかしない限りは、日本だけ、独りだけ良くなるということはできません。  したがって、過日IMF、いろんな形で、日本としてはやるべきことはこれ、そして日本はそのためだけに対応するだけの資金の融資もしましょう、そういった形を出して、きちんと国際金融機関でこの問題に関して今後検討して二度とこういうものが起こらないようにしてもらいたいというのが、国際的な対応をまず最初にしないと、こちらが一つだけ幾らやったって全然効果がありませんので、これをさせていただいたのが過日のところです。  そして、今また日本において改めて景気対策、雇用対策というのをやらなければなりません。私どもとしては、まずは、中小・小規模企業に働いておられる方々が全勤労者の約七五%と言われておりますので、そういった方々の企業というものが倒産しないようにする。そのためには資金繰り、借り手側の資金繰り、またそれにお金を貸している貸し手側の資金繰り、この両方をきちんとするということが雇用対策の一番と、私は基本的にそう思っておりますので、いわゆる金融というものを優先順位の一番に挙げさせていただいてこれまでやらせていただいたところです。  そして、雇用というものに関しては、いろいろ、既に雇用を切られた方々の対策として、まずは住居の確保ということで、先ほど西島先生の御質問に答えたあの内容で我々としてはきちんとしたものをやらせていただきたいと思っております。  いずれにしても、こういった時代においては、次にやっぱりきちんとしたものをやっていくときには、これまでアメリカに対する輸出、中国に対する輸出、この二大輸出で基本的に日本のGDPのかなりの部分を賄ってきたというのはこの八年間ぐらい見た歴史です。したがって、ここにおいてそれらの国々がいずれも景気が悪くなっていきますので、我々としては、それを補う意味からにおいても、日本の内需というものを喚起していかなければならない。  その内需喚起の手口として、方法として何があるかというので、我々は今いろんなことを提案を申し上げておりますので、そういったことを今回の予算編成までにきちっとつくり上げ、いわゆる投資減税、また住宅減税、いろんなことを考えるというものが、前に進んでいこうとする気にさせるものを後押ししてやる必要があろうと存じますので、そういったものをやる。  また、雇用というものを、先ほど申し上げたとおりですが、企業がそういったものをやるために海外で稼いでいた金を日本に持って帰ってくる。持って帰ってくると、従来はそこで税金が掛かることになっているんですが、その金使って雇用に、その金使って設備投資に、その金使って研究開発にというのを、使ってくれさえすれば、外で何も使わずじっと寝ているんだったら、日本に持って帰ってきて使ってもらえさえすればその段階で景気対策になりますので、そういったようなことも含めまして今いろいろなことを考えて、少なくともこの不況の中にあって、日本は、過日、中国、韓国にも言ったんですけれども、おれたち三国だけは、今回の不況の中に最初に先頭を切ってこの不況を脱出を宣言できる国に我々はなる、そういった気持ちで是非取り組もうではないかという気持ちで今取り組ませていただいております。
  133. 荻原健司

    ○荻原健司君 ありがとうございました。  今幅広い観点からいろいろと御意見をいただきまして、ありがとうございました。  金融でも、あるいは現下の状況を見ると、企業というか会社でもやはり信頼、信用というのが一番だ、それを取り戻すことがやはりいろいろな意味でも基本に立ち返るということではないかというような御意見をいただきました。  どうか、この困難に陥っている日本ですけれども、どうぞ麻生総理の指揮の下、号令の下、先ほどの基本姿勢を曲げることなく、しっかりとした取組をお願いしたいと思っております。  さて、先ほどは今年一年を振り返ったときには暗いニュースばかりであったというようなお話を申し上げましたけれども、もちろん明るい話題もあったわけであります。このことは様々あったわけですが、私は何といっても、お隣、中国北京で行われましたオリンピック、パラリンピックでの日本選手の活躍ではなかったかなというふうに思います。例えば、水泳の北島康介選手のオリンピック二連覇、またソフトボールの日本代表の御活躍など、挙げれば枚挙にいとまがないほどの多くの選手が活躍をされました。大変印象に残っているところでございます。総理も同様ではないかと思っておりますが、麻生総理は、この度の北京での日本選手の活躍、どのように評価をされておられますでしょうか。
  134. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) ちょっと正確な数字が、荻原さん、ちょっと正確な数字は少しずれているかもしらぬけれども、アテネのときにたしか金銀銅で三十六か七だったんだと記憶するんだね、僕の記憶だけど。ちょっと今までじゃ異例なぐらいやれた。あの背景は何だったかといえば、僕はナショナルトレセンだと思っていますよ、知らない人いっぱいいるけど。ナショナルトレセンの効果というのは僕は物すごく大きかったんだと思っています。なぜなら、その三十七、八のうちナショナルトレーニングセンターで訓練できた四種目は、そのうちの約七十何%は、そのメダルはその四種目で出していますからね。そういった意味では、僕はナショナルトレセンのやつは大きかったんだと思っております。  したがって、今回の北京において、二十五か六だったと思いますが、こういったような数字になったからどうのこうのと言うんではなくて、僕は、ああいうようなきちんとしたスポーツ選手が、少なくともいい条件で訓練をできる場所というのを提供するというのはすごく大きなことなんであって、やっぱりみんなに感動を与えるという意味においては、あの上野が投げたあのソフトボールの試合で感動しない日本人というのはいますかね。僕はあれは、今年のスポーツの中で一番感動したスポーツの場面はあれだったんじゃないかと、僕の見ている範囲で。そんなにしょっちゅうテレビでスポーツを見ているわけではありませんけれども、あれが最も感激した。  ノーベル賞四人も、私は少なくとも今までとは全然違った意味で良かったと思いましたよ。これすごく感激したな、僕は。感激しない人もいるみたいだけど、僕はすごく感激しました、四人というものは一挙に出たことはありませんから。その意味では、やっぱり日本のいわゆる科学、そういったものに対する取組をして、何十年ずっとこつこつこつこつやってきた人たちは花が開いた。僕はあの人たちの思いというのは随分あったと思いますけど、証明ができたのはもう何十年も前なんだけど、現実問題としてきちんと技術が進歩して証明ができたということなんだと思いますが、理論としてはでき上がっていたものがきちんと証明できた。  私は、こういった意味であのものも今年のニュースの中ではすごく明るかったニュース、我々の気持ちを前向きにさせてくれた大きなニュースだったと思いますので、暗いニュースが好きな国民であるのかもしれませんけれども、ああいった明るいニュースはやっぱりきっちりもっと大々的に出した方がいいですよ。  会社だったら、今年はいつも悪い悪いという話しか会社の社長さんはしないことになっているんですし、私自身もそれは言っていましたのでよく記憶がありますが、この会社というものの将来は明るいという話はきちんとすべきなんだと思いますので、明るいニュースは明るいニュースとして、みんながきちんと語り継いでみんなに広めていくという姿勢はすごく大事なんだと、私はそう思います。
  135. 荻原健司

    ○荻原健司君 ありがとうございました。図らずもノーベル賞の件にも触れていただきまして、ありがとうございました。  いずれにいたしましても、総理がそのようにスポーツについても大変注目をしていただいているということは、日本スポーツ界も大変心強いことでございますので、引き続きの御声援をお願いしたいと思います。  さて、そこでスポーツ振興について少し御質問をしてまいりたいと思いますが、独立行政法人日本スポーツ振興センターの件について、決算を通じて見えてまいりました問題点について御質問をしたいと思っております。  現在、我が国はスポーツ振興のための財源確保のためにスポーツ振興くじ、いわゆるサッカーくじ、totoを実施をしております。これは独立行政法人日本スポーツ振興センターが実施をしておりまして、このことにつきましてはさきに会計検査院からも会計検査の結果について報告を受けているところでございます。  さて、そのスポーツ振興くじですが、平成十年にスポーツ振興投票の実施に関する法律の成立を受けて開始をされたというのは御承知のとおりであります。くじの売上げの半分、これが払戻金で、運営費を差し引いた残りが収益というふうになります。そして、その収益は、三分の一に相当する額を国庫納付をして、残りの三分の二に相当する額を助成準備金として、地方公共団体そしてスポーツ団体が行う活動や施設整備に充てられているというわけであります。  これまでのスポーツ振興くじの実績を見てまいりますと、平成十三年から事業が開始をされまして、その売上金額は当初、十三事業年度では六百四十二億円を最高に、それ以降十八事業年度までずっと減少し続けてまいりました。ここ数年は、およそ百四十億円程度しかなかったという状況でございます。ですから、助成準備金も平成十三年には七十一億円あったものが、例えば平成十六年や十七年、十八年には、この三年間は助成準備金、これ一億円を割って九千万円という、そういうような状況であったわけであります。  しかし、このスポーツ振興くじの事業自体は赤字だったものですから、九千万円というのは、くじに当たったけれども取りに来なかったという、そういう時効金を使って何とか確保できたというのがこれまでの状況であったわけです。ですから、これ単純計算をいたしますと、およそ九千万円、全国四十七都道府県で分ければおよそ百万円程度しかない。また、スポーツ団体も百万円にも満たないような助成額だったということであります。  しかし、一方では、くじはもう欠損金がどんどんどんどん大きく膨らんでいったということですから、全くスポーツ振興どころの話ではなくなってしまったというのがこれまでの状況ではなかったかなと思いますし、また、特にこの法律に賛成をした国会議員の方からも、もうこれ以上くじの事業はやめるべきではないかというような意見も出てきたわけでございます。  ただし、スポーツ議員連盟の方々を中心に改善への提言などがありまして、その後スポーツ振興くじに係る制度や運営の見直し、政令の改正などによって、また、特に現在は、最高払戻し金額が六億円というBIGの発売などによって何とか持ち直したというのが今の状況であります。  ここで、一つ文部科学省に質問をいたしますけれども、これまでやればやるほど赤字が続いたスポーツ振興くじの現在の状況、どうなっているのか、また、特に平成十八年には、みずほ銀行を中心に十八もの機関から借りました百九十億円の借入金、この状況というのはどうなっているのかお答えいただきたいと思います。
  136. 塩谷立

    国務大臣(塩谷立君) お答え申し上げます。  委員においては、スポーツのこと、そして振興くじのことについても大変今までも御尽力いただいて感謝をしているところでございます。  今お話ございましたように、大変寂しい状況が続いてきたスポーツ振興くじでございますが、本年においては、十二月六日現在で七百九十八億円の過去最高の売上げを記録をしております。三月末までには更に売上げが伸びると見込まれておりまして、したがって、金融機関からの借入れ百九十億円については本年九月までにすべて償還をしております。  そして、繰越欠損金につきましても今年度末にはほぼ解消するという見通しでございまして、この状況でいきますと、今年度の売上げに基づき行われる二十一年度の助成につきましては約八十億円を超えるという見通しでございまして、また、将来この返済がもう完済されて、今年並み八百億、九百億の売上げが成った場合には約百三十から百四十億円の助成が行われるということでございまして、いろいろと御心配いただき、御尽力いただいた先生方のおかげと感謝を申し上げる次第でございます。
  137. 荻原健司

    ○荻原健司君 ありがとうございました。  何とかお寒い状況からは脱したと、そして明るい兆しも見えてきているというお話をいただきまして、何とか今後期待をしてまいりたいなというふうに思っております。  そこで、麻生総理にこれまでのくじ事業についてどのような評価をされているかお伺いをしようと思っていたわけなんですが、是非総理も、この事業を通じましてスポーツ振興にきちんとした財源が確保できるような御努力をお願いしたいと思っておりますが、総理、では一言お願いいたします。
  138. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) ナショナルトレセンの例を見ても分かるように、きちんとしたいわゆる科学的なセンターをつくって、みんなで経費を掛け、選手を育て、コーチを要請、いわゆる雇い、いろんな形でやっていくと選手が予定よりどおんと伸びたりする、もうこれは例を挙げると切りなくあるでしょうけれども、そういったような形ができるためには資金が要るということなんだと思っております。  そういった意味で、今回のこのスポーツ振興くじは、これはやめろやめろの大合唱も一時ございまして、随分やめろと言われた方もいらしたんですが、きちんとしたルール改正をさせていただきましたおかげで今までと全く打って変わったことになりつつあるのが現状だと思いますので、売上げが百三十から八百ぐらいまで今十二月段階まで伸びてきていると今大臣から答弁があっておりましたけれども、こういった形が更に伸びてくる、その金が更に選手養成にといった形に回っていくのが私どもとして夢と思っておりますが、同時に、これは国としてもいろんな形でスポーツというものをもっと育てていくという姿勢が大切なのではないかと、基本的にはそう思っております。
  139. 荻原健司

    ○荻原健司君 御答弁をいただきまして、ありがとうございました。  私は、このスポーツ振興くじ、確かにしっかり見ながら改善すべきは改善をしていくということは重要だと思いますが、今ここまで来たときに、やはり思い切った見直しをしっかり実行するということが重要ではないかなというふうに思います。  くじの種類を少し多くするとか何かするということではなくて、私が申し上げたいのは、やはり財源確保、このためにしっかりと見直しをしなければならないというふうに思っているわけなんですが、ではどういう見直しをということで少し私の思いをお話しさせていただきますと、今収益というのが三分の一は必ず国庫に納付しなければならない。しかし、今回は三十億か四十億ぐらい国庫に納めたんだと思いますが、それ以前までは四千五百万円とか五千万程度。ですから、国といいますか財務省にとっても、こんなに不安定な財源を処理する方が手間暇掛かるのではないかなというふうに思います。  そこで、私は今三分の一というこの割合を大幅に改善したらどうかという思いを持っております。例えば十分の一にする。国庫に納めるのは十分の一、そして十分の九はスポーツ振興にしっかり充てるんだというくらいの思い切った法律の見直しというのはどうかということで、麻生総理ないし塩谷文部科学大臣に御答弁をいただければと思います。
  140. 塩谷立

    国務大臣(塩谷立君) ただいまの御意見に私としても気持ちとしては賛成をしたいところでございますが、平成十年に議員立法でこの法律はでき上がり、十三年から実施されているわけでして、その当時いろんな議論があって、これはある程度国民の御理解を得るためにも国庫納付金というものを定めて、国会で議論の末認めていただいたという経緯がありますので、この点については、また議員立法で成立した経緯からすると、そういった御意見を反映していただいて、また検討いただくのが有り難いと思っておりますので、是非、今後スポーツ議員連盟、総理も含めて多くの皆さん方がそういう意向があれば私どもとしては大いに歓迎をしたいと思っております。
  141. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) これはでき上がったときの経緯が皆ちょっとありますので、なかなかいわく言い難いところがあるんですが。  ここの場合は宝くじと同じになっていまして、売上げの半分が配当と。競馬は幾らかと、七五なんです。競馬は七五の配当金。ただし、あれは配当をもらった人は税金を納めにゃいかぬというルールになっておる。競馬で勝って税金を納めた人がどれぐらいいるか僕は是非聞いてみたいと思うんですけれども、なかなか僕は申告している方が少ないんじゃないかなと思っております。しかし、これは文部省がやるんだから、少なくともきちんとしたもので、税金は払わなくていい、ただし配当は半分だという、いわゆる宝くじと同じにしようじゃないかという当時いろいろけんけんがくがくがあって、その線で当時社会党の方々と話がそこでできた。たしかあれは輿石東先生だったかな、いろんな方と交渉をずっとしていましたので、それが当時の経緯です。  その後、その取ったものがどういった形で配当されるかといったら、開催する地域において地方交付税として地方に行くようにすべきだというまた御意見がいろいろあって、いろいろになって今になった経緯がありますので、ちょっとそこのところのスポーツについてはどうするかというのは、これは故事来歴、いわく因縁がいろいろありますので、もう一回ちょっと整理し直してやらせていただかねばならないかなというのが多分、塩谷文部大臣の何となく歯にちょっといま一つ挟まったような言い方しかしにくいところで、ちょっと検討させていただきます。
  142. 荻原健司

    ○荻原健司君 ありがとうございました。  当時の経緯というのを私も少しお伺いしたことがありまして、相当な議論の末、ようやく今の形に落ち着いたということでございまして、まだくじの事業も始まったばかりでございますからすぐに大幅な見直しというわけにはいきませんけれども、安定財源にしていただくような配分の在り方、制度の見直し、是非お願いしてまいりたいと思っております。  さて、引き続いて、少し質問項目は幾つか飛ばせていただくことになろうと思いますけれども、先日、政府・与党は平成二十一年度予算編成の基本方針を決めたところでございます。現下の経済状況の中ではぎりぎりの線でまとめられたというふうに思っております。私はもっともだなというふうに思っております。やはり国はいろんな意味で税の無駄遣いをしてはならない。いわゆるダイエットをしなければならない。しかし、ダイエットをするためにも、やはりその体が健康でなかったら私はできないというふうに思っております。しかし、今やはり現下の経済状況はこういう状況です。不景気が拡大している中で、ダイエットしようにもその体自身が今いろんなところで弱っている、壊れ始めている。ここはやっぱりまずは健康を取り戻すということが一番基本的なところではないかなというふうに思っております。  また、先ほど来、社会保障費のお話もいろいろとありました。その中で、私として、社会保障費、これからどういうふうに抑えていくべきかということで少し提案をしてみたいと思っております。今日は財源というお話ではありませんし、また特に医療とか介護のそういう環境をどうしていったらいいのかということではなくて、もう少し大きなビジョンといいましょうか、国の大きな将来を見据えた中での提案を少ししてまいりたいなというふうに思っております。  私は、これからの少子高齢社会の中で政策を打ち出していくときに必要不可欠で重要な点というのは、やはり国民がいかに元気で健康に暮らしていけるか、医療や介護のお世話にならずに暮らしていけるかということが重要であるというふうに思っております。総理は日ごろ、朝、御自宅の周辺をウオーキングをされておられるということをよく新聞で拝見をさせていただいておりますし、当然国民皆さんもそのことは十分よく知っているところだと思います。よく福祉の中で使われる言葉といたしましての自助、共助、公助という言葉がありますが、まさにその自助のところに当たるところではないかなというふうに思っております。  先ほど、午前中の質疑でも総理から、食事の管理であるとか、やはり自ら運動をする、これが一次予防に当たるというようなことでお話をいただきました。また、それについて何か具体的な提案があれば是非教えてくれというような御答弁もあったわけなんですが、私は是非そういうことでここで一つ提案をしてみたいのは、やはり先ほども申し上げましたように、生涯健康社会実現に向けて、いつでもだれでも運動できる環境をつくる、結果として地域の健康を創出していくという取組に力を入れる、こういうことはどうかなというふうに思っております。同時に、今各自治体にあります社会体育施設、運動場などを全国的にリニューアルをするということはどうかなというふうに思っております。  それは、私も仕事柄、全国様々なところで社会体育施設、スポーツ施設を見てまいりましたけれども、今自治体も大変財政難ということもありまして、なかなか一番そういうものが後回しになっている、いわゆる老朽化したものを建て直したり、リフォームするということが後回しになっている、そういう状況を見てまいりました。また、せっかくの施設がなかなかメンテナンスがしっかり行き届いていないという状況も見てまいりました。また、さらには、今あるせっかくの施設が現代のユーザーにマッチしていないと。言い換えれば、私は本来スポーツ施設というのは社交場だというふうに思っておりますが、そういう要素がなかなか今の施設にはなっていないと、不十分であるというふうに思っております。  私は、これらを一体的に改善するために、これを新しい公共事業と位置付ける、そして、例えば地域健康創出拠点づくり事業などと銘打って取り組むということはどうかなというふうに思っております。わずかながらその地域に仕事をつくって、雇用の安定であるとか景気の回復にもつなげていくというものができないかというふうに思います。町のスポーツ施設が新しくなる、そこに皆さんが集う、そしてスポーツだけではなくて様々な教室の開催などによって有効に使ってもらう、そして地域の方々が元気で健康になる、そこに生きがいが生まれるというようなことはできないかなというふうに思っております。  もちろん、太陽光発電の装置を設置するなど、環境対策に貢献するような施設でなくてはならないというふうに思います。ですから、私の頭の中では、これらを一体的に取り組めば、やはり一石二鳥、三鳥のようなことが実現できるのではないか、そしてこの高齢社会に対応できるのではないかと思っております。  そこで、総理にここで何か御感想をいただければと思いますが、このハードとソフトの融合で健康であるとか生きがいを生み出す事業、私はこういったことは新しい公共事業ととらえておりますが、こういったことに力を入れるというのはいかがか、お伺いしたいと思っております。
  143. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 荻原さん、学校というのは夕方六時から朝の六時まで空いているんですよね。それで、ほとんどの学校というのは、大分変わって、鹿児島なんかは一部変わってきたんですが、ほとんどのグラウンドというのはベアグラウンドでしょう。芝はないんですよ。  そういう意味では、いろんな芝というのは、日本の芝というのは高麗とかえらい上等な芝なんですが、芝というのは実にいろいろ芝がありますので、あれはイネ科でもありますので、この芝を使って、仮に芝がずっと張られる。そうすると、そこで会社が終わって近くにそこにサッカーができる場所ができる。体育館は少なくともヒーター付けて、照明付けて、それは区分勘定して、そのスポーツ管理をやるクラブが経営する。とすると、少なくともクラブに掛かる経費はごとっと下がる。したがって、クラブの運営費等々会費も随分大幅に下げ得るというようなものをシステムとして考えるのが最も経費としては安いと思うんですね。  問題は、それを運営する人ですよ。これは、地域のコミュニティーの活性化でも、頑張る農業、農村とかいう話を見ても、成功しているところは全部そこにいいリーダーがいるところです。このリーダーの方が一番問題なんであって、そういうようなことは決してできないことはないんだと。事実、やっているところも幾つかあるので、これは随分前から進めたこともあるんですけれども、こういったようなことを現実問題としてやれるのには、そこでうまく、何となくいきなり歩くというのは、なかなかいい年こいて朝早く歩いているなんて、徘回老人と間違えられたりする時代が私ありまして、呼び止められたこと何回もありますからね。そういったようなことにならないようにするためには、きちんとした対応で、あれは速く歩いているから今言われなくなったんで、普通に歩いていたら、朝の五時からやったらいろいろ言われるんですよ。  だから、そういった意味で、あれは速く歩くようにしたおかげで言われなくなったと今でも思って、おかげで足は早足に大分なりましたけれども、そういうようなものは一つ一つ自分でやるというのは結構、最初にスタートするというのは何となく、だれもしないところでちょっと恥ずかしいところもあるんですが、こういうのはみんなで同じような人が始めると、会話が、対話が成り立ちますので、そうすると、何となく楽しいからそこに行きたいとか、あの人に会いたいからそこに行きたい、イコールそれが健康増進にもつながっていくというときには場所が要るんですよね。プラス人。そこのところをうまくミックスさせていくということは、これは現実問題として政府でできる範疇というのはかなり限られているとは思いますけれども、いずれもそういったコンセプトというのを今後スポーツを中心に考えるというのは大事なことではないかなと思います。
  144. 荻原健司

    ○荻原健司君 ありがとうございました。要は人だという御意見ですが、もっともだというふうに思っております。  これまで、例えば社会体育施設、スポーツ施設を造りますと、やはり箱物行政という批判が大いに出ました。これはなぜ出たかといえば、やっぱり箱にしかすぎなかったからだと思うんですね。これからはその箱の中に何を詰め込むかということが大変重要で、私はそれはその仕掛けをやはりつくるべきだというふうに思っております。行きたい場所、総理がおっしゃったように、行ったらだれかがいる、行くと会話が始まるとか、それでプラス体も動かす、生きがいが生まれると。そこにどういう仕掛けをこれから組み入れていけるか、これにはその施設や地域の人たちを一体的に見られるマネジメントのできる人材というのがやはり重要であるというふうに思っておりますし、これは文部科学省でも、例えば総合型地域スポーツクラブにおきましてマネージャーの育成もやっておりますけれども、そういった方々を有効に使うことによりまして一体的にやはり地域の健康を創出していくということに是非取り組んでいただきたい、また頭のちょっと片隅に留めておいていただければ有り難いなというふうに思っております。  どうぞ、総理も朝のウオーキングを継続されて、御健康に留意をされて御活躍をいただきますようにお願い申し上げまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  145. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) 関連質疑を許します。山本順三君。
  146. 山本順三

    ○山本順三君 自由民主党、山本順三でございます。  今年の八月、たしかお盆前でありましたけれども、総理とは奈良で開かれましたアジア・太平洋議員連合、APPUでありますけれども、この総会で三日間お供をさせていただきました。そのときに、アジア太平洋諸国の議員の皆さんから、ネクストプライムミニスターということで大変大きい期待の声が上がりました。それから一か月余りして、こんなに早くに総理になられたのか、私も実は驚きながらその場面に遭遇したわけでありますけれども、これから大いに活躍をいただきたい、国内のリーダーとしての活躍と同時に諸外国の大いなる期待にこたえていただきますように、まずは心から御期待を申し上げたいと思います。  さて、質問に入ります前に一言申し上げたいと思います。  先ほど、議院運営委員会が開催されました。そして、民主党から十一本の議員立法の法律案が出てまいりました。十二月の二十五日が国会の閉会日であります。民主党は、従来から定例日以外に法案の審査はしないということをおっしゃってまいりました。となりますと、閉会日除きましたら参議院では二日間の審議時間しかないということであります。巷間伝わるところ、もう採決まで強行するんだという、そんな議論も聞こえてはまいりますけれども、なぜいかにこの時期に十一本の法案を出したのか、私どもは理解ができません。そしてまた、この参議院でよしんば審議が完了したとしても、これは衆議院に送らないと法案は成立しないわけであります。衆議院での審議の時間は全くない状態、このような状態の中でなぜ今十一本の法案が出てくるのか。そのことについて大変な疑義を持っておる者の一人であります。  また、先ほど同僚の西島議員からお話がありました。衆議院においては、今消費者庁の設置法案、我が党から、是非審議をしてもらいたい、一生懸命にお願いをしておりますけれども、先ほど総理から、九月にこれは提出をした、その法案が今現在まだ審議が始まっていないということであります。この消費者庁は、例えば食の安心、安全、いろんな大きな問題、消費者の不安を解消していかなければならない。  それから、この間、文芸春秋で先ほどのマルチの商法の話が出てまいりました。「民主党「マルチ疑惑」焦点の男」なんという、そういうふうな題名での記事でありましたけれども、マルチ商法で本当に苦労されている方、もうたくさんいらっしゃる。それを一日も早く解決するというのは我々政治家の役割なんです。そのこともせずにおいて、そして一方では、審議時間がないにもかかわらず、参議院で十一本の法案を出してくる。これは一体いかがなものかと、私は大いに憤りを感じる者の一人であります。  なおかつでありますけれども、従来の議員立法というのは、実は出す側が他の党に対してしっかりと説明するんです。そして、説明した後に、我々説明受けましたら、それをじっくりと精査をする。そして、出す法案として適正かどうか、我々としてもよく考えて対応していかなければならない。ところが、十一本のうちの六本は今日の十一時半です。そしてなおかつ、この議院運営委員会で強行な状態で採決されて、そして委員会付託をした。  我々は、これは一体どうなんだということをあえて私は申し上げたいと思う。しっかりとこのことを頭に入れて、そして、あの神聖な議院運営委員会であります。まさに参議院の議長も副議長も出席するんです。その場で、いわゆるこの時期に、そしてまた他党に説明もしない状況の中で十一本の法案が出てくる。このことについて強く抗議をしながら、質問に入りたいと思います。  さて、その質問に、(発言する者あり)これから質問をするわけでありますけれども、質問に入るわけでございますけれども、実は会計検査院の報告の中で、都道府県等における国庫補助事業に係る事務費の不適正経理ということがありました。実は、検査対象の十二道府県すべてにおいて不正な経理処理があったというような指摘がありました。これはあってはならないことでございまして、何としても、今後、各地方自治体に対してはこのようなことがないように求めるものであります。  ただ、一方では、地方の自治体の財政状況が非常に厳しい状況になっているということも、これも事実であります。総理は、総裁選のときから、そしてまた総理になられてから、地方を大事にしていかなければならない、地方重視の政策を次々と出されました。三位一体の改革の中で地方交付税が一挙に減額された、そのことによって地方が疲弊しているということは私どもももう目の当たりにしておりました。そのことについて細かく申し上げるまでもないと思います。  ただ、そのことに対して、総理が、自由に使える、地方に自由に使えるような、そういう地方交付税を一兆円、道路特定財源の一般財源化に向けてという提案があったときに、実は地方の首長なり議員は本当にもろ手を挙げて賛同したということがありました。もちろん、一方では道路も造らなければならないということもありますけれども、結果的には地域活力基盤創造交付金ということで一兆円、道路やあるいはその他のインフラ整備等々に幅広く使える交付金として地方に配分する、大変喜んでおります。  それから、二次補正におきましても、地域活性化・生活対策臨時交付金、これも六千億を地方に配分する、地方を大切にしていこうという総理の思いというものが地方にも伝わっているんだろうと思いますし、また総理の政策にぶれがない、地方を大事にするんだ、その手段はいろいろありますけれども、その目的たるや全くぶれなく地方を大事にしていただける。  そういう観点から、今後の地方の再生に向けてどのようにお考えか。特に重要なのは、地方交付税の増額というのが地方が求めている一番の大きなポイントでありますけれども、その点も踏まえて総理の御所信をお伺いしたいと思います。
  147. 鳩山邦夫

    国務大臣(鳩山邦夫君) おっしゃるとおりで、麻生総理総務大臣を二年以上なさって、地方というものがいかに重要であるかということを理解をされておられると。また、無役であられた約一年の間に百六十一か所全国を回って、そのほとんどが地方であって、今先生御指摘のように、地方が大都会に比べてはるかに疲れている、経済的にもあるいは財政的にも厳しいということを理解をされて、そして、そうしたことを主張された総裁選挙を経て総理に就任をされて、そういった意味では、地方重視という姿勢は一回もぶれておられないわけでございます。  私は、総務大臣というのは誠に守備範囲が広い仕事でございますが、総理から直接任命のときに言われたのは、地方を元気にするのがあなたの仕事であると、こういうことで、その点では総理は全くぶれることなくやってこられた。  六千億のことは二次補正で是非有効打として放っていきたいと、こう思っておりますが、総理からの追加指示として与えられた道路特定財源の一般財源化に伴っての際でしょうか、一兆円をという話がありました。結論からいえば、特定財源がなくなるわけですから、ガソリン税の四分の一が一般会計通らないで直入されて地方へ行っておった約七千億という数字、これは六千八百五十五億というのが今年の数字でありますが、これと他の道路関係的なものを幾つか組み合わせて基盤創造交付金という一兆円のものができ上がったと。これは道路特定財源的なものではありませんが、道路にも随分使われるでしょうけれども、例えば光ファイバーとか様々な公共事業あるいは生活関連の事業に使われるという、地方にとってははるかに使い勝手のいい一兆円というのが予定をされているわけでございます。  それと同時に、先生のおっしゃった地方にとって最も使い勝手のいいのはそれは本当は地方税でございますが、その次は一般財源としての地方交付税一兆円ということを最初からおっしゃられて、今一兆円という形で少なくとも政府・与党の間では確定をしてきている。これは大変有り難いことで、これは釈迦に説法ですけれども、景気が悪い、地方税の収入も減る、地方交付税も、いわゆる国税五税から計算した地方交付税は減るということで、その穴埋めに総理が一兆円とおっしゃったんではないわけです。  穴埋めではなくて、地方の事業を積み上げて、つまり基準財政需要というか地方の歳出を積み上げて、それがとりわけ雇用対策、より雇用を生むような形でその地方交付税一兆円を使うということが総理の御意思であろうと私は解釈をいたしておるわけでございまして、二次補正、そして続く本予算でそうしたものが決められて実際に支出されていけば雇用にも大きな効果があると、こう考えております。
  148. 山本順三

    ○山本順三君 後ほどちょっと触れたいと思うんでありますけれども、二十三兆円の緊急経済対策、この中にも地方交付税の話が出ておりました。是非、来年度本予算においても、地方の実態を十二分に考慮した上で、地方交付税等々、地方に向けての優しい施策というものを展開していただきますように心からお願いを申し上げます。  さて、地方地方ということでありますから、二点だけ総理の基本的な見解を確認をしておきたいと思います。  一つは道州制であります。  今、市町村合併、全部で三千二百ぐらいあった市町村が千八百弱になりました。そして、例えば、行政の効率化であるとか、財政力の強化、そしてまた合併後の将来構想を明確に打ち立てて、そして新しい時代に対応できるような地方自治体をつくっていこうと、これが地方分権の基本的な考え方だったというふうに思います。ところが、財政状況も厳しき折柄ということでありましょう、その効果が余り出ていない。  私ども実は、愛媛県では七十の市町村を二十にしました。そして、私の地元の今治市は、十二の市町村が合併して今新しい今治市をつくっています。あちらこちらで話を聞くわけでありますけれども、その合併効果がなかなか出ていない、その状況の中で次の段階、道州制ということに対して、一部の知事からは賛同しかねる、あるいはまたこの間の町村会のときにもいろいろ声が上がったようでありますけれども、各市町村においても、積極的に取り組みたいというそういう市町村がだんだん減ってきておる。もちろん市町村合併と道州制というのはこれは似て非なるものでありまして、道州制としての理念はまた別に立てていかなければならない、このように思うわけでございますけれども、なかなかそれがスムーズにいっていない。  そういった中で、政府では道州制のビジョン懇談会、我が党においては道州制推進本部というところでいろいろ議論しておりまして、我が党の場合には五つの委員会に分けて細かく議論が積み上がっています。また、経団連等々でもそういった提言がなされました。  そういう流れの中で、三点私はちょっと心配しています。  一つは、明確な道州制の理念というものがどこまで議論された中でそれぞれがそれぞれの道州制に対しての言わば議論をしておるのか、少し整合性に欠けるような状況にあるのではないだろうかということが一点。  それからもう一点は、例えば、国の基本的な形を変えていくということでありますから、そうなってくると、もちろん我々議員の定数ということも考えなければならない。そしてまた、霞が関の体制というものもある意味ではいったん壊してしまって、それから再構築をしていくという作業をしていかなければならない。そのときに、一人一人の議員あるいはまた一人一人の官僚にそこまでの覚悟を秘めた上でこの道州制が語られているんだろうかどうだろうか、その心配もあります。  もう一つの心配。実は、道州制というのは主人公は地方なんですね。地方で地方分権に向けてのこれからの流れをつくり上げていく。そのときに、全国知事会等々での議論が進んでいることは存じ上げておりますけれども、本当にそれぞれの地域で知事なりあるいは都道府県議会議員なり各首長、地方議員が自分のこととして議論する体制に今なっているんだろうか。地方議員にとっても身分にかかわる問題に当然なってくるわけでありまして、そういった意味では地方においての覚悟を持った議論を国が今現在誘導しているかどうか、ちょっと違和感があります。  ところが、そう遠くない将来には道州制基本法を作ろうというのが今の我々の政府の考え方だろう、こういうふうに思っておるわけであります。そうなってくると、道州制基本法を作っていくその環境が高まっている、熟度が高まっているんだろうか、それを心配をするところであります。  総理は道州制の推進論者というふうに伺っておりますし、私も道州制推進論者の一人でありますけれども、これからそういう環境の中で基本法の策定に向けてどういうふうな推進をされていくのか、その基本的な考え方をお示しいただければと思います。
  149. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) これは、山本先生、地域によってすごく差がある現状だと思います、今は。九州は意外と進んでいる方だと思います。これは、御存じのように、やっぱり道と州と、九州は九つの州から始まって九州、今七県ですけれども九州ということになっておりますので、ここは元々島でもありますので、それなりの一体感もあります。そういう意味では、今の話の中で出てくると、これは行政効率の話からすると、何となく余り関心のわきにくいところだと思います。  しかし、経済効率から考えますと、先生のおられます四国ですと大体ニュージーランドと人口がほぼ同じぐらいだと思います。私どもの九州で大体一千四百万ということは、ベルギーより多い、オランダより少ないぐらいのところが我々の経済、いわゆる人口規模。GDPでいけば大体スイスぐらい。ヨーロッパでは大国です。それだけのものが九州だけで七県である。したがって、ここがきちんとした形で、経済効率的に考えますと、どう考えても九州とスイスといえばスイスの方が生活水準は高いというように思われる方の方が多いと思います。したがって、それは経営という面から見たらきちんとできるのではないか。北海道でいえば大体デンマークとほぼ同じ。あちらも観光と農業でデンマークのあの水準を維持しているわけですから、僕は経営効率から考えていくのが一つのアプローチなのではないか、基本的に私自身はそう思っております。そのときに、これは市町村の問題と県の問題と二つありますので、そういうところは分けて考えないと何となく意見が違う、一つです。  もう一つは、これは推進される方々とそうじゃない方というのは、これはなかなか説明を丁寧にしていく必要があろうと存じます。効率の点で行政効率が良くなるという話よりは、こうやればもっと生活水準が、もっと経済効率が、もっと企業規模が、もっと商売をする上でもっと便利とか、いろんな表現があると思いますので、そういった意味では、国がやることは防衛とか通貨とか司法とか教育とか幾つも分けることがあるんだけれども、どうしてもやらなきゃいかぬものはこれ、その他のものは基本的に地方でできる、地域でできるものはというような形で、地域に主権プラス財政もくっつけないとそういう意味ではなかなかうまくいきませんので、この地方税、国税の分け方の話から、これは物すごく大きな話だと思っております。  したがって、まずは地方分権から始めないと、いきなり道州制、地域主権型道州制というものにいきなり飛んでも、感性として頭の方も、なかなか体の方も付いていきにくいところがあるんだと思いますので、まずは地方分権が取っかかりとしては正しいのではないかと思っております。
  150. 山本順三

    ○山本順三君 まさにその地方分権を進めていく中で道州制を語っていくという、その流れというのは正しいことだと思います。  ただし、さはさりながら、道州制、先ほど言った基本法をもう作ろうかという時期でありますから、是非、国の方で地方とともに道州制に向けての議論を高めていく、そしてまた制度設計を一緒にやっていくというような、そういう誘導策を是非とも考えていただきたい、そのことをお願いしておきたいと思います。  それともう一点、決算委員会では関係ないと言われるかも分かりませんが、もう一つだけ地方についての総理の基本的な認識をお伺いしたいんですけれども、今ほどおっしゃった地方分権ということであります。  地方分権改革推進委員会がこの度、第二次の勧告を出されました。中身としては、自治事務の義務付けとか枠付けというものを見直していく、一万条項あるというふうに聞いておりますけれども、その見直し、それと八府省十五系統の国の出先機関の見直し、これが今回の二次勧告のメーンであります。  自民党におきましても、地方分権改革推進特命委員会というのがありまして、先般開催をいたしました。そして、そこに丹羽委員長もお越しいただいて、そしてちょうちょうはっしいろんな議論がありました。議論の内容については事細かく説明できませんけれども、非常に厳しい意見がたくさん出された。大勢の議員が集まって、ほとんど全員の人が手を挙げて、私も挙げたんですが当たりませんでしたから発言する機会ございませんでしたけれども、それほどに、族議員と言われる立場の人とかあるいは地方分権論者という立場の人、その枠を超えて、将来の地方の在り方がどうあるべきかと、その流れの中で今回の勧告がどういう位置付けなのかということについての非常に貴重な議論をすることができたと思います。  それで、私も今回の一次及び二次勧告に対しては言いたいことがたくさんあります。でも、それはまた改めて議論する場があると思いますのでそのことには触れませんけれども、一つだけ物すごく気になった文言がありました。今回の見直しの前提条件ということで、そこに、いわゆる自治行政権、自治立法権、そして自治財政権、それをすべて備えた完全な自治体としての地方政府を目指すという文言があったんです。これが大前提として載っかっていました。  地方政府となってくると、これはもう道州制以上に大きな大きな問題でありまして、それを議論する上においては、まさに将来的にこの国の形をどういうふうにしていくか、そのための行政機構をどう改めていくか、こういったこと、これを長期的展望に立って議論していくという、そういうことだろうと思うんですね。  そういう地方政府をという大上段の構えがある一方で、今回の見直しについては、自治事務の見直しあるいはまた出先の見直し、こういうふうなことが前面に出ているということに私は非常に違和感を感じました。もちろん、人によってそれぞれの受け止め方あると思いますけれども、少なくとも今回の勧告内容とそれから地方分権改革推進委員会が目指す地方政府なりあるいは将来の地方分権の理想というものの間にどうしても乖離したものを感じざるを得ない。こんな言葉出したら悪いんでしょうけれども、まさに木を見て森を見ないというような感じを受けましたし、また自分自身にこの委員会の勧告が何と心に響かないんですね。そういう受け止め方を私はしました。  そこで、総理におかれては、先般勧告を受けられたわけでありますけれども、山本、おまえの言うのは正しいよというふうにおっしゃるのか、おまえ、ちょっと違っているぜというふうなことなのか、総理の率直なこの勧告への受け止め方というものを是非ともお示しいただきたいと思います。
  151. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 地方政府という言葉は既にこれは閣議決定されて使われている言葉でありまして、たしか裁判権を外す等々幾つか制約はあったと思いますが、たしかそうなったと記憶しています。ちょっと正確なあれではありませんけど、地方政府という言葉を使われましたので。  今回出された勧告案というのは基本的に書いてあることは二つでして、一つが、いわゆる抜本的な統廃合というのが一つ、もう一つは枠組み、組のいわゆる枠付けの話と二つあったんだと思いますが、基本的には、いただきました翌日の十二月九日の閣議において是非勧告の内容に沿って改革を進めることという話をいたしておりますし、出先機関におきますものにつきましては工程表というかいわゆる計画を年度内に策定するということを申しております。  いずれにしても、これは先生、実にこれまでもいろいろ意見が分かれたところでもありますので、是非こういった地方分権の流れというものは、私は今の流れとしても間違っていませんし、国としてやっぱり明治この方若しくは昭和十六年のいわゆる国民学校令、あれが多分分かれ目かな、昭和十六、七年だったと、十五、六年か、あの国民学校令、あそこらぐらいからかなと思いますけど、ずうっと中央集権というのが非常に顕著になっていった流れだったと思います。  そういった意味において、今改めてこれだけ地方ということを言われて、それぞれみんな自治意識も高まり、いろんな意味で一律何でも金太郎あめみたいなわけにはいかないという御意見などなど多くの意見が最近出されるようになっているのはもう御存じのとおりですので、そういった流れの中にあって地方というものを、道州制がいいのか、割り方はいろいろ意見の分かれるところでもあります。これは各地方によって、同じ県内においても随分いろいろ意見がありますのは御存じのとおりですから、そういった意味含めましてなかなか意見の分かれる、これはもうやむを得ぬところだと思いますが、しかし、流れとしては今申し上げたような地域のことは地域でやるという基本は間違っておりませんので、その方向で進めたいと考えております。
  152. 山本順三

    ○山本順三君 私もまさに地方分権論者の一人として国会に出てまいりました。その流れの中で本当に感じたことは、地方分権という言葉だけが躍ったり、道州制という言葉だけが躍るんではなくて、地に足付けた議論をしていかなければならない。そのときには、実は地方分権たるや何だという本質論というものをしっかり議論して、その中で今やれることはこれとこれとこれだということならば、我々としてもそれはよく理解できるんであります。  ただ、逆に、取りあえずこれとこれとこれやっておこうと、そして将来的には大体こうなっていくんだろうというような、帰納法、演繹法という手法でいくならば私は演繹法という立場で、明確な理想を持って、そして細かいことを一つずつ積み上げていく、そういうふうな作業にしていかなければならないと思っておりますので、是非またその点についてはいろいろと議論を闘わせながら最終的に地方分権に向けての御尽力を賜れば有り難いと、このように思っております。  さて、道路整備特別会計支出、これに対して会計検査院から本当にたくさんの指摘をいただいております。また、前の国会におきましても、野党の様々な道路特定財源、暫定税率の議論の中で指摘がありました。その中には傾聴に値するような意見もたくさん私は出されたように思います。  当時、国土交通大臣政務官という立場でありまして、当時の冬柴大臣を先頭にいたしまして、官僚主導ではなくて、政治主導で無駄の排除、コストの縮減等々、国民皆さん方に理解されるような改革案を作っていこうではないかと。道路関係業務の執行のあり方改革本部というところで、道路特定財源に絡む公益法人の在り方あるいは支出の仕方、特に福利厚生費であったり、あるいはまた広報広聴費であったり、だれが見てもこれはおかしいよというところから始まって、根本的に改革を進めていこうということでこの改革本部を立ち上げたわけであります。  今現在、これ四月に最終報告書が出されて、これから、重ねて申し上げますけれども、改革なくしてまさに信頼回復ないんだという前提の下で、この改革続行に向けての金子大臣の決意をまずは聞かせていただきたいと思います。
  153. 金子一義

    国務大臣金子一義君) 山本委員が政務官として道路関係業務の執行のあり方改革本部、大変精力的におまとめ、あるいは指針を出されまして以降、ここで決められましたことがかなり厳しく、あるいは対応を迅速に今進んでいるなというふうに私もじっと監視をさせていただいておりますし、更に進めていこうと思っておりますが、進んでおります。  特に、大きな点で支出、公益法人に対する支出、これを二十二年度までに半減にすると今進めておられます。それから、公益法人五十法人、これは廃止三法人含めて十六法人にまでしていくと。これは、具体的に法人にもう既に役員会開いてもらいまして、二十二年度までに完了をすると、統合も含めてでありますけれども。その他、地方整備局、今お話ありました広報、これも予算、調査費みたいなぼやっとしたものではなくて、具体的な広報活動費等々、費目を作るといったようなことで、まだまだありますけれども、かなり着実に進めさせていただいております。  これは、これからも私、無駄の排除ということを少しでも前進させられるように引き続きやってまいりたいと思っております。
  154. 山本順三

    ○山本順三君 その関係で、今後の道路整備の在り方がどうなんだろうかなということを私どもも心配しておる者の一人でありますけれども、一般財源化に対応して先ほど申し上げた地域活力基盤創造交付金というものが創設されるということになりました。その中で、今回新たな五か年計画を作って、そして、これ五年間の計画でありますけれども、今後の道路整備についての考え方をまとめていこうということでありますけれども、これを作る上においては、国会の指摘、例えば五十九兆円、前回の中期計画でありますけれども、数字が大き過ぎるではないかと、あるいは将来交通需要の予測というものが甘いんではないかと、いろいろ指摘を受けました。是非、そういったことを踏まえた上でしっかりとした中期計画を作っていただきたい、このように思っておりますが。  特に、前回の、さきの国会での議論の中で気になったのがBバイCという言葉でありました。ベネフィットとコストということでありまして、そのBバイCという数字が、例えば一・二やったら早速造ろうとか、〇・九ならちょっとこれは真に必要な道路とか言えないぞとか、そういう議論がたくさんなされたことを思い出します。そして、よく調べてみると、そのBバイCの評価基準の中心になるのは、時間短縮がどれだけできるか、そこに重点が置かれておったというふうに思うわけでありますけれども、それだけではない道路整備の効用というのはたくさんある。  例えば、医師不足の流れの中で急患ができる、そのときにどこか病院へ早く連れていかなければならないけれども道がないからとか、隣の市町村に連れていかなければならないが高速道路が十分整備されてないから、だから命を守れないというような議論がたくさんなされました。  そしてまた、道路を整備することによっていろんな効果が生まれる。これはもう皆さん方もお分かりのとおりで、産業振興であるとか観光振興であるとか、いろんな効能がある。そのことをBバイCの言わば評価基準を作るときにしっかり盛り込んでいこうという流れになっていることは、私は大変評価をするものであります。  ただ、そこでも心配なのは、例えば地方にとっては本当に重要な道路ではあるけれども、残念ながらBバイCが〇・八だと、これでは残念ながら今造れないというもし答えが出るとするならば、それはまさに地方切捨てという論理にすらつながりかねない。もちろん、BバイCだけで議論するわけではないと思いますけれども、それを総合的に判断して対応できるような中期計画を是非、金子大臣には作っていただきたいと思います。  ただ、そこで、この中期計画というのは前段の中期計画、前の中期計画とは意味が違うんですね。前は道路特定財源に裏付けされた中期計画でありますから、それを積み上げて五十九兆という数字も出てくるわけであります。今回は、道路特定財源は一般財源化になりますから、その中期計画がどういう位置付けなのか、どれだけの力を持って道路行政引っ張っていける、そういう計画なのか、その点について私ども大変不安に思っております。  最終的に社会資本整備重点計画に一本化されるというようなことでありますから、この中期計画を作るならば、明確にその位置付けをして、そして道路整備方針というものを我々にお示しいただかなければならない、このように思うわけでありますけれども、その点についての大臣の見解をお聞かせいただきたいと思います。
  155. 金子一義

    国務大臣金子一義君) 去年までありました、今御指摘いただきましたように、五十九兆円と、十か年という計画ございましたけれども、道路財源一般化に伴いまして、数字のありきと、事業費ありきという計画、これは今度そういうものではなくて道路の、必要な道路の事業費から達成されるべき目標というものを表示して、それを目掛けて、それぞれの地域でそれぞれの課題を抱えておりますので、目標に、複数の目標になりますけれども作っていこうと。  例えば、基幹ネットワークの点もあります。それから、慢性的な渋滞の緩和、開かずの踏切と。これも、例えば百三十二万人時の渋滞、開かずの踏切、これを二十四年までに百十八万に減らそうといったような点ですとか、あるいは道路交通における死傷事故率を一割、二十四年までに削減できるように、これ交通安全が中心になりますけれども、そういったような目標とすべき事項、これを中期計画に位置付けていきたいと。  それから、今お話ありましたBバイC、コスト・アンド・ベネフィットの件は先生の御意見しっかり受け止めさせていきたいと思っております。しかし、交通需要予測が、これが新しく低い数字が出てきております。これに基づいてやはり新規事業あるいは事業実施中のものについてもBバイCで、コスト・アンド・ベネフィットで再評価させていただく必要があるんだろうと思います。  そういう中で、大変厳しい状況の中でありますけれども、やっぱりお話ありました、それぞれの地域の実情というのがあるよね、それをどういうふうに実現できるか。BバイCが一を割っていれば、それじゃ国道、並行して走っている国道等を利用しようとか、あるいは規格を少し下げようとか、とかとか、いろいろやはり地域で工夫していただく必要もあると思います。  先ほど西島委員足立委員からございました東九州自動車道路、何でぶっつんぶっつんあるんだかよく分からぬがと総理から言われましたけど、あれはBバイCもコスト計算をさせていただいた上で、可及的に速やかにぶっつんぶっつんをなるべく早くつるつるにしていきたいと思っております。
  156. 山本順三

    ○山本順三君 時間が迫ってまいりましたので、端的にお伺いしたいと思います。  先ほど、西島議員との話の中で公共事業、これが余りに悪者になり過ぎているんではないだろうか。地方はいろんな意味で公共事業に期待しているところもあります。ただし、コスト縮減、無駄を排除する、この前提条件が付かないと国民皆さんに理解されにくいんだろうと思うんですが、比較的国民皆さんに理解されやすいものがあります。それは学校の耐震化であります。  子供の安心、安全、命を守るんだ、あの四川省の地震ではありませんけれども、我々大人の責任としてそれを守っていかなければならない。そして、いざという場合にはまさにそこが避難所になる、避難所になるところが耐震化されていない、こういうふうな話では全くもって議論が進まない、こういうふうに思っております。現在、耐震化率が六二%、その中で文科省頑張って五か年計画をこれ四か年計画、一年前倒しにしてIs値が〇・三未満、この一万棟を約一兆円掛けてやっていこうという努力をされておるところでありますけれども、予算どう取るか、あるいは地方の財政負担をどう軽減していくか、あるいは建築士の確保をどうしていくか、また実際の増改築に当たっての補助単価が低過ぎるではないか、私立の学校をどうするんだ、いろんな問題点を抱えておるわけでございますけれども、それを乗り越えて早くにやっていかなければならない。  そして、そういった効果と同時に、この波及効果が物すごく広いんです。全国各地に小中学校がある、そしてまた建設業、幅の広い発展を、あるいはまた仕事量を望むことができる。現在、一次補正で千百三十九億、二次補正で五百億、これを要求しておるところでありますけれども、緊急経済総合対策の目玉としては、まさにこの学校、公立学校の耐震化、子供の安心、安全に加えて避難場所、それに加えてこの公共事業的な発想も込めて更に地方の景気をどんどん振興していく、このためには極めて重要だと思いますが、このことについて建設国債も発行していいじゃないかと、そういうふうにも思っておりますが、もうあと最後に一項目要求がありますので、総理と文科大臣、一言ずつ決意だけお聞かせいただければ有り難い。
  157. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) 総理、後からにしますか。いいですか。麻生内閣総理大臣
  158. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) これ細目、塩谷大臣の方からだと思いますが、この六月に地震防災対策特別措置法というのが改正されましたのはもう御存じのとおりでありまして、これによって従来の二分の一が三分の二ということになっております。いわゆる補助率の引上げをやらせていただいたところです。  これは地域によって大分差があるんですが、例えば塩谷先生のところは、ほぼ学校は耐震率一〇〇%になっているところは多分、静岡県が一番だと思いますが、いずれでも本年度の補正予算の一次におきまして学校耐震化に必要な予算計上を既にしておりまして、地方負担分について今地方債を一〇〇%充てられるようにしたところでもあります。  いずれにいたしましても、例のIsの〇・三という数字がございますので、これ未満の公立小学校施設についてはこれはできるだけ早く前倒ししてやらにゃいかぬという方が、先ほどの公共工事に限らず、これはいわゆる安心、安全というところが一番肝心であろうと思いますので、この安心の面からもこの点については率先して前倒ししてやるという方向で決めておりますので、細目、塩谷大臣の方に答弁させます。
  159. 山本順三

    ○山本順三君 大臣答弁を聞きたいところでございますが、若干時間がせってまいりました。  大臣はこの耐震化に対しては非常に熱心に取り組まれてこられましたし、我々も一緒に学校を応援していこうという仲間の一人でありますから、是非耐震化、これは本当に重要でありますし、文科省だけの予算を積み上げようとしてもなかなかそれ倍や三倍や五倍や十倍にならないわけであります。是非ここで総理と十分な協議をされる中で、この厳しい景気というものにどう耐えていくか、それをどう克服していくかという観点も含めて、耐震化、大いに活躍をいただきますように心から御期待を申し上げたいと思います。  最後になりました。二十三兆円の緊急経済対策総理、発表されました。私どもも大いに期待しておりますし、果断な対応をしていく、それも機動的かつ弾力的にというのが今回の予算編成の基本的な考え方でございますので、是非、そういった意味合いでこの具体化を早くにしていただきたい。  それから、総理消費税のことについて、今、西島議員もお話ありました。そのことについて初めて総理として触れられたと。私は、政治家の矜持を示されたと、このように思っております。是非、今後の対応についての期待を申し上げたいと思います。  最後に、先ほど民主党の方から官房長官の事務所費の話についてのお話がございました。この事務所費につきましては、ほかにもいろんな問題を抱えた人がいるやに思います。小沢さんにしても山岡さんにしても。これ、小沢さんも出すという話をされておりますから、私は、是非、理事会でこの官房長官の話をするならば同じように対応してもらいたい。でも、それよりももっと大事なことは、ルールもなく、無原則でそれぞれ一人一人の事務所費を公開させるというのではなくて、ちゃんとしたルールをつくる、そこが一番の基本だろうと思いますから、そのことを要望しながら私の質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  160. 浜田昌良

    浜田昌良君 公明党の浜田昌良でございます。  本日は、決算委員会でございますので、まずは十九年度の会計検査の結果から御質問させていただきたいと思います。  お手元に資料、またパネルが出ておりますが、(資料提示)今回の会計検査、特色は三点であります。  一点目は、いわゆる不当事項という、法律、予算に違反する重大な案件というのが増大しています。件数でいうと八百五十九件、前年比二・四倍、金額でも三百七十七億円、同三・七倍、共に過去最高であります。一体これは止まらないのかという話が一点ですね。  二点目は、蔓延する不正経理、裏金づくりであります。これにつきましては、平成十七年度の決算で、厚生労働省の四十七労働局で七十九億円の裏金づくりが発覚したわけでございます。これを受けて、なかなか中央省庁から見にくい都道府県に出ている補助金を今回調べてもらったわけですね。国土交通省と農林水産省の補助金でありますが、そうしますと、検査した十二道府県ですべて裏金があったという結果でございます。平成十四年から十八年度の補助金だけで十一・四億円ですね。特に問題なのは、先ほども、午前中答弁ありました愛知県と京都府の場合で、既に内部監査をしているのにあったという話です。  そういうことで、あと残りの道府県も全部あると仮定いたしますと、四十七都道府県で四十四億七千万という金額になるわけです。さらに、青森県では、この会計検査で指摘された不正経理について、その後更にフォローアップされたと。フォローアップしたら、また更に同じぐらいの額、四千五百万円出てきたという話がございました。二倍になったわけでございます。  そういうふうに、どんどんこれ全容解明すれば、全国で百億円程度になるんじゃないかということも言われているわけでございます。これが二点目です。  三点目は、初めての過去の不当事項のフォローアップ検査をやったんですね。  これ背景申し上げますと、我が党で無駄遣い対策プロジェクトチームがございます。ここで今までの指摘事項どうなっているんだろうということで、過去二十年間調べてもらったんです。そうすると、百億円以上返されていないと分かりまして、これは問題ということで、昨年十二月に、我が党の太田代表を先頭に当時の町村官房長官に申入れを行いまして、是非、十九年度はこのフォローアップをしていただきたい、ということで実ったものでございます。  これを見ますと、平成十八年度の不当事項のうち、一年間で返済されたものは大体九割あるんですね、件数も、金額も。じゃ、この残った一割というものがどうなっていくんだろうということで、先ほどもございましたように、昭和二十一年からさかのぼっていただいて、そして見ますと、何と四百六十二件、百三十・八億円がまだ返されていないという状況なわけです。  これを見て国民がどう感じるのかと。一点目には、なぜ不正経理が減らないんだろうと、それどころか増えるんだろうという点ですね。もう一点は、過去の不正経理の返済追及が果たして十分されているんだろうかと。この個人への責任又は組織への責任が十分取られていないんじゃないかと。つまり、不正経理がやり得になっていないかという点でございます。そういう意味では、このあきれるほどの公務員の不正経理の実態は誠に憂慮すべき状況であると私は考えますが、総理の御見解をまずお聞きしたいと思います。
  161. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) よくまとめてあると思いますが、今般のこの決算報告では実に多くの問題提起がなされていると、私もそう思っております。  これは真摯に受け止めて徹底的に無駄を取り戻す必要があるんですが、各閣僚に対しまして、これが出された後、これは平成二十一年度の予算編成をするに当たっては、きちんとしたこれが反映されているという実績、そういったものがきちんと出るようなものにするべきだということを申したところでもあります。  また、この地方公共団体における補助金の不適正な経理というのは、これは先ほど御質問があっておりましたけれども、地方分権というものを進めていく上で何とも言えず、これは大丈夫かという話が、地方分権にした方がもっと危なくないかとか、いろいろな話が出てきやすいことになって、これが地方分権化を著しく引っ張る意味において問題なんだと、私はそう思っております。  いずれにしても、今般の指摘を受けまして、これは総務省より各地方公共団体に対していわゆる経理処理の点検というものを、自分でやったけれどもまた指摘されたということになっておりますので、監視機能の強化などなど、いろんなことをきちんと適正かつ公正にやるようにという、確保というのをするようにということを求めたところであります。
  162. 浜田昌良

    浜田昌良君 まさに総理、リーダーになっていただいて、リーダーシップでこの問題に取り組んでいただきたいと思いますが、これを見まして、パネルの二枚目に移りますけれども、不正経理を処罰する刑罰というのがちゃんと実施されているんだろうかと。これが不十分だからこれは再発しているんじゃないかという疑問なんですね。  先ほどの裏金づくりの手口というのは、午前中も明らかになりましたように、事務用品等について領収書を偽造すると、こういうものが大半ですね。十七年の労働局もそうでした。今回もそうでした。これは、言わばこの一番にあります補助金適正化法の第三十条、補助金等の他の用途への使用、目的外使用に当たるわけです。これにちゃんと当たるわけですから、今回、農林水産省と国土交通省の補助金が対象になったわけですが、是非これ両大臣、ただそのお金を返還するだけじゃなくて、この条項に基づいて刑事告発をしていただきたいと思うんですが、まず農水大臣、御答弁いただきたいと思います。
  163. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 現在、会計検査院から不適正と指摘をされました経理処理の中に、職員による犯罪行為があるかどうかの事実関係につきまして都道府県が調査中であります。  刑事告発につきましては、第一義的には実態を最も知り得る立場にある関係道府県において十分に確認した上で行うということであります。ただ、この三十条というのが余り今まで使われた例がないということを考えますと、意外と使いにくい法律なのではないだろうかと、構成要件には該当しているが違法性がどうかというような議論になってまいります。そうすると、これが使いにくいとすれば、一体どのような違法性を類型化してどのような構成要件にしていくかという議論は、これはこれとしてやっていかなければ不正はなくならないということ、抑止効果が十分発現し得ないということは議論としてはあろうかと私自身考えております。
  164. 金子一義

    国務大臣金子一義君) 大変残念な事例が生じました。  中身、回答は農林大臣答弁していただいたと同じ、やはり今現在調査しておりますけれども、刑事告訴という話、三十条ということになれば、やはり身近な都道府県において一番分かっているところでありますから構成要件というのをチェックしていただく必要がある。その在り方についてはお話しさせていただいたとおりであります。  しかし、加算金含めて速やかに補助金の返還等の措置を講じさせていただきますけれども、その上で事実関係精査した上で刑事告発の必要性については検討してまいりたいと思っております。
  165. 浜田昌良

    浜田昌良君 今、両大臣から御答弁いただきましたが、簡潔に言いますと、この補助金適正化法の三十条で告発するには使いにくい法律だということであります。ここでできれば三年以下、五十万円以下の罰金になるわけですが、これは使えないと。  ほかの条項を見ますと、会計検査院法の犯罪の通告というような条文があるんですね、第三十三条。国の会計処理する職員の職務上の犯罪があると認めるときは、その事件を検察庁に通告しなければならないという条項なんです。ただ、これについて、使われているのは過去九件だけで、すべて昭和二十年代だけなんですね。また、予算執行職員等の責任に関する法律ってあるんですが、これに、懲戒処分の要求ができるんです、会計検査院は。第六条ですね。予算執行職員が故意又は過失により国に損害を与えたと認めるときなど、当該職員の任命権者に対し、当該職員の懲戒処分を要求することができるという、この二つの規定があるんですが、共に昭和二十年代に使われただけなんです。その後は使われていない。  なぜこれは使えないんでしょうか。会計検査院長に御答弁いただきたいと思います。
  166. 伏屋和彦

    会計検査院長伏屋和彦君) お答え申し上げます。  今委員が言われました、まず検察庁に対する通告についてでございますが、会計検査院法第三十三条の規定は、会計検査院が検査の過程において国の会計事務職員による職務上の犯罪の事実があると認めた場合に、その事実を検察庁に通告し、捜査の端緒を提供することを目的としているものでございます。  本条に該当するような犯罪の容疑が明白な事態につきましては、大体検査を受ける側の各府省等において既に告発しているなどの例が通常でございます。そういう意味で、先ほど委員が言われましたように、近年、本条の規定によって検察庁に通告した例はないわけでございます。  しかしながら、この会計検査院法第三十三条に基づく検察庁に対する通告の制度が機能していないとは考えてはいないんですが、やはり実際に犯罪通告の必要があると判断されるような事態があれば、これは大事な規定でございますので、法に基づいて厳正に対処してまいりたいと考えております。  いま一つ委員が言われました懲戒処分の要求、これはまさに予算執行職員等の責任に関する法律第六条の規定に基づいて、先ほど言われましたとおり、会計検査院は懲戒処分の要求をすることができるとなっております。これは、違法、不当な会計経理の関係者に対する厳正な処分は、同じような事態の再発を防止する効果を上げるためにもこれは大事なことであるわけです。  この場合も、近年では懲戒処分の要求した実績がないのは、これは私どもの会計検査院からの要求を待つ前に受検庁の当局において早期に適切な処分を行っておられるということにもよるものでございます。  これは、会計検査院としては、やはりそうはいっても大事な規定でございますから、懲戒処分を要求する必要があると判断するような事態があれば、これは厳正にきちんと対処してまいりたいと考えております。
  167. 浜田昌良

    浜田昌良君 その組織において懲戒処分がなされているからされないというような話もありましたが、その身内の処分で甘いか辛いかという点も問題になるわけですね。そういう意味で、それがあるから検査院として処分要求をしないという理由にはならないと思います。  それで、パネルの三枚目に移りますが、このように現行の法律なりが予定しているそういう内部均衡、お互いチェックし合うということが働いていない現状においては議員立法を考えるべきじゃないかというのが我が党の主張でございます。  まず、不正経理防止法というのを作ったらどうだろうかと。先ほど石破大臣の方から、補助金適正化法の目的外使用というのは使いにくいと。何が目的外かというのは非常に判断しにくい問題もあります。よって、外形で非常に判断できること、かつ不正経理に共通すること、それは何かというと、いわゆる虚偽の請求書又は領収書の提出要求又は受取なんですね。これが大体絡んでいる、裏金づくりには。これについて、この外形的に判断しやすいこれについて一定の罰金、懲役を作ってはどうかと、これが一点なんですね。  二点目には、予算執行職員等の責任に関する法律を、先ほどはできる規定でした、できる規定じゃなくて、懲戒処分要求を一定のものについてはしなければならないと義務化してはどうだということなんですね。これによって、私は、省内、局内の内部統制関係ができると思うんですよ。会計担当の方がおられるんですが、今は担当の課長が書類を持ってくればそのまま判こを押していると。これじゃいけないと。もしこれを、間違ったことをすれば自分自身が懲戒処分を受けるんだと思えば、必死にそれはその担当課長とやり合いますよね。そういう関係に今なっていない。そういう内部統制関係をつくるためにこれはやるべきだ。  さらに、会計検査院法についても今回改正していただいて、今回初めてやりました過去のフォローアップというものを、今後、任意じゃなくて毎年ちゃんとやっていただく、組織がちゃんと債権管理をして返していくことをちゃんとフォローすると。  この三点についてやらないと、私は、今百三十億円ある従来の不当事項の返還金も返ってこないと、こう考えますが、まず麻生総理に、こういう議員立法について、今与党では検討中であります、そして、ほぼ自民、公明の間で合意しつつありますので、これから民主始め野党の皆様に呼びかけてこういう立法をしていきたいと思っておりますが、御見解をお聞きしたいと思います。
  168. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) これは今、与党会計検査院に関するプロジェクトチームというので今、地方を含めた公務員の責任体制の在り方というのを検討されているという、法整備に向けての準備が整いつつあるというようなところは承知をしております。  少なくとも、政府といたしましては、いわゆる公務員の不正経理を防止する等は、これは重要なことでありますので、与党の御議論、できるだけ協力するということで積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
  169. 浜田昌良

    浜田昌良君 ありがとうございます。  このようなことを通じて不正経理が減っていく、確実に減っていくと、これが今の政府に求められていることだと思っております。  じゃ、次に四枚目のパネルに行きますが、次に十九年度の決算、特に特別会計剰余金また積立金について質問したいと思いますが、ここにございますように、左のグラフでありますが、特別会計剰余金は四十二・六兆円。これは、歳入に対して一〇・八%、一割も余っている状況にあるんですね。比較しますと、下にピンクの欄がありますが、一般会計の場合は二・七兆円で三・二%、それほど大きなパーセントではありません。  この特別会計の四十二・六兆円は、じゃ何に使われたのかと。午前中も神本委員からも御質問ありました。三つですね。一つは、翌年度の一般会計に繰り入れたというのはたった一・九兆円、四・四%しかないんです。それ以外で大きいのは、その特別会計の翌年度の歳入に繰り入れた。これは三十四兆円なんですが、内を見ますと、国債整理基金が二十八・三兆、年金が一・七兆ですから、それはやむを得ないのかなという気はします。  よく分からないのはこの二番目、積立金資金への繰入れというのが六・七兆円、一五・七%あるんです。  そこで、右の表に行きますけれども、積立金残高が一兆円以上ある特会、これ①から⑥まであります。これが合計二百四兆円というこの特会の積立金合計になっているんですが、大きいのはこの三番目、年金が百三十八・一兆円で、これは将来の負担増、支給減を回避するために必要だなという気はします。また、地震再保険については一・一兆円ありますけれども、将来の再保険のために必要だなと。労働保険についても将来の労災年金等のために必要だなと分かりますが、よく分からないのはこの④、⑤なんですね。  財政資金特別会計で十九・七兆円の積立てがありまして、この十九年度一年間だけで二・五兆円が積み上がっています。また、外国為替資金特別会計も十九・六兆円あって、この一年間で二・一兆円が積み上がっているんですよ。理由は何かというと、決算上の不足の補足というよく分からない言葉になっているんですね。  このうち、その後、この財政資金特別会計十九・七兆のうち二十年度に約十兆円は取り崩しておりまして、いわゆる借金返済ですね、国債整理基金への繰入れが約七兆円されていますから、残り三兆円残っていたわけです。この残った三兆円で定額給付金二兆円、また高速道路の五千億円というのを出していただこうという話になっているわけですが、それを使ったとしても三十兆円、今年の剰余金含めば三十四兆円という金がこの特別会計積立金にはある。これをどう使うのかという話なんですよ。  そこで総理にお聞きしたいんですが、総理は日本経済が全治三年と言っておられますね。全治三年の処方せんとしてこの予算、半分は十分使えると思うんですよ。例えば、先ほどの財政投資の特別会計積立金は、金利変動準備金ということで、二百兆円ある貸出残に対して金利が変動するかもしれない、よって持っているわけですが、この二百兆円という貸出金自体をこれから十年以内で半分に減らすことになっているわけですね。そういうことも決まっている。毎年九兆円の貸出しに何で十兆円くらいの準備金が要るんだろうという、だれも疑問に思うところでございます。よって、これを使っていただくのに非常時の経済対策に使ってほしい。今はもう平時じゃありません。こういう百年に一度の経済恐慌でありますので、そのときにはどこに痛みが一番来るかというと、一番弱いところに来るわけですね。生活者です。生活者のところに重点を置いていただいてこの全治三年の処方せんを是非書いていただきたいと思っているんです。  先週、総理生活防衛のための緊急対策、発表されました。まさに生活防衛が今重要と思っています。  具体的に言えば、雇用政策。今、雇用保険特別会計に一兆円の積立金がありますが、これだけで本当に十分でしょうか。一般会計を入れないと、雇用保険の対象外の方が多いわけですね。非正規の方は一千七百万人おられますけれども、最大で一千万人ぐらいはこの雇用保険の対象になっていない。また、内定取消しの方も当然として対象になっていない。そういう場合については一般会計から入れて対象にする。  また、さらに年金について言えば、三分の二から二分の一、引上げはしなければならない。これについて、別に需要増ではありませんけれども、年金というものを安心なものにしていくためには、将来の高齢者の方の消費増につながるものだと思っております。なかなか三年間で恒久財源も見付けにくいんであれば、この三年間に使うという話もあると思います。  そのほか、介護政策については、介護従事者の給料が上がらない。これを今回、介護報酬を三%上げていただきますが、そして月二万円ぐらいの介護従事者の給料を上げるけれども、介護保険のアップにはつなげない。さらに、社会保障政策では二千二百億円の抑制を凍結していただく。  さらには、地方政策では、地方というのは車をたくさん持っているんですね、各世帯平均で見ますと。これは人口当たりで見ると、一番車を持っていないのは東京なんですね。その次が大阪、そして神奈川。逆に、持っているのは群馬、長野、山梨なんです。こういうところについては保有にかかわる減税をしていただきたい。またあわせて、地方が使いやすい交付税を考えていく、こういうもの。  そして、生活対策では定額給付、減税という中・低所得者に手厚い対策。また、これからはいわゆる給付金付減税というものも重要な議題となってくると思います。そのためにはこれを議論していただきたいし、住宅減税、そして生活インフラです。いわゆる学校の耐震化もそうですし、また開かずの踏切、そういう渋滞対策の立体交差等々、さらには中小企業という、そういう弱いところにこういう、突っ込んでいただきたい。内政としては生活者に重点。  そして、外政としては、先ほど総理は日本一国だけでこの世界恐慌は防げないとおっしゃいました。そうだと思います。しかし、そのポテンシャルを持っているのは、私は中国を始めアジアだと思っています。アジアの需要を拡大していく、アジア版ニューディールを提案していただいて、一昨日も福岡で会談されましたが、そういう場を通じて、内政は生活者中心、外政はアジアで新しいインフラづくり、こういうものを提案していただきたいと思いますが、まず麻生総理の御見解をお聞きしたいと思います。
  170. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 浜田委員もう既に御承知のように、この表を前提に御説明をさせていただきますと、特会の性格というのは幾つかに分けられるわけでございます。国債整理基金というのは、言うまでもなく膨大な国債をできるだけ返済をしていく、そのために設けられている基金でございます。それから、今、浜田委員が御指摘になりました外為特会、これは約一兆円ほどございますけれども、この積立金というのは、金利変動というものあるいは為替変動、現時点では九十二円でこの評価損が出てしまうという状況にあるわけでございます。  この一番と二番と三番は、特に二番と三番は、公明党も御主張になっておられます百年安心という前提での必要な基金でございます。また、財投特会も余ったお金国債整理基金の方にやらなければいけない。こういう前提の下でありますけれども、現在の緊急事態でありますから、何としてもこの二分の一にするために、我々は二〇一一年から二分の一にしたいというふうに思っておりますが、その前提のために一時緊急的に法律改正も含めて、この緊急的な財源をどこから集めるかという中で財投資金というものを活用したいというふうに考えているところでございます。  いずれにいたしましても、埋蔵金とか金庫とかいう御議論がございましたけれども、決してこれは自由にほかのところに使えるものではございません。あくまでも一時緊急的な問題として議論をした上で、最終的に決定をさせていただきたいと思っております。
  171. 浜田昌良

    浜田昌良君 まさに何にでも使えるものではないと思います。でも、庶民の方は給付金とか剰余金とか、また積立金と、よく分からないらしいんですよ。で、どう理解しているかというと、へそくりだと、これは。いざというときに使えるものだと。いざというときって今なんだと思いますね。  そういう意味では、是非、財務省の方はこれは九十九円になったらバランス上赤字になるんですよとおっしゃいますが、それはあくまでもいわゆるアセットベースで帳簿上の話です。フローから考えればそうはなっていないということを是非この場で再度御理解いただいて、積極的な全治三年の経済対策、お願いさせていただきまして、後は、関連質問は松議員に譲りたいと思います。
  172. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) 関連質疑を許します。松あきら君。
  173. 松あきら

    ○松あきら君 引き続きまして、公明党の松あきらでございます。どうぞよろしくお願いいたします。  ただいま浜田議員から不正経理について質問がございました。私も今般の検査報告による雇用行政における不正について触れさせていただきたいと思います。  厚生労働省が所管する独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構、これ、実は雇用・能力開発機構、これが廃止をされるんですけれども、その統合先なんですね。この統合先が傘下の二十九県の雇用協会に支払った業務委託費について、十九年度までの八年間に総額一億一千万円が不正に使われたとされております。架空の費用、空出張、裏金を捻出して飲食費に流用するなど、不正経理は昨年の検査報告でも指摘をされておりまして、今般の検査と合わせますと四十七都道府県すべての雇用協会で総額二億円を超える公金が流用されたことになるんです。これ以外にも、都道府県の労働局における委託費につきましても一億七千万円の裏金、捻出して不正流用しているわけであります。  このような公金の使途に係る不正は、毎年度同じような指摘が数多くされております。しかし、反省の色は全くない。私は、今雇用問題で国民皆様が苦しんでいるんです。その国民皆様の信頼を著しく損なうものであり、この雇用行政に従事する職員の公金意識の欠如には目も当てられないと思います。  本当にこの一連の不祥事、厚労大臣もいろいろ関連でも不祥事がおありでお苦しみだと思いますけれど、絶対にこういう不正は許してはならない。このような不正を二度と起こさない、決意をまずお伺いしたいと思います。
  174. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 委員指摘の件は、この委託先の都道府県協会、さらにこの委託元の今御指摘のありました高障、高齢・障害者雇用支援機構、この双方に問題がございました。それで再発防止策を講じまして、平成十九年度以降においてはこの適正化が図られておりますので、今後二度とこういうことが起こらないように指導を徹底したいと思います。
  175. 松あきら

    ○松あきら君 またかともう言わせないでいただきたい。  何でこれを個別に取り上げたかというと、廃止をされるところがあって、統合される相手もこういう不正を行っているということをきちんとやはりこれは正しておかなければいけないという思いで申し上げたわけでございます。  現在、我が国の労働者全体の三七・八%、約四割は非正規労働者が占めております。これは午前中から種々出ておりますけれども、世界同時不況あるいは急激な円高による業績の悪化等々で派遣労働者、請負労働者、こうした非正規労働の解雇、急増しているわけであります。これまで景気の拡大を背景にもうどんどんと非正規労働者が増加の一途をたどっておりましたが、景気が悪化した途端に、中途解約あるいは雇い止め、派遣切り、職も住居もなくなる、先ほどもお話が出ておりました。こういう状況であります。まさに非正規労働者は使い捨てにされているも同然だと、私は本当に憂慮をいたします。  それとともに新卒者の内定取消しも横行しております。企業にも企業の苦しい言い分もあると思います。しかし、企業側の都合によって安易に内定が取り消されるようなことはあっては決してならない、これは厳しく取り締まるべきであると思っております。  報道によりますと、大学生だけでなく高校生も内定取消し、求人取消しがあると言われております。総理は、先週の十二日、総額二十三兆円の緊急対策実施を指示をされたわけでございます。先ほどからこれについてのお話をされておりますけれども、大事な雇用であります。浜田議員からは一般会計も入れなければ駄目だという話も種々出ましたけれど、私は、この雇用に対する、雇用問題で苦しむ国民は期待をしている、この対策で。是非、もう国民皆様に必ずおこたえするという雇用問題、決意を総理、お伺いしたいと思います。
  176. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) この雇用の問題というのは、このいわゆる不況に突入したときに、最初に、いわゆる金融です、資金繰りです、いわゆる中小企業、小規模企業に対する資金繰りですという、最初に申し上げたのは、私これから入ったと思うんですが、基本的にそういうところが倒れると確実に、雇用というか、解雇につながっていく。だから、中小・小規模企業は必ず黒字なのに資金繰りが付かないから倒産すると。黒字ででもですよ。黒字でも資金繰りが付かないから倒産するというのはなかなか理解してもらえない方多いんですが、赤字で倒産するんじゃありません、黒字で倒産する、資金繰りが付かないから。したがって、そこのところが一番問題になると思って、最初にこの問題から入らせていただきました。  今、現実問題として十月以降ぐらいから顕著になってきたのが今言われた点でありますので、この点は今既に雇われている人がという話ですから、これは倒産とまた別の形になっております。そういうところに関しては、一番問題になるのは何といったって住居ということになると思いますので、その住居の問題についていろいろな対策をということを過日御報告を申し上げたとおりです。  また、内定取消しというのは、もうこれ基本的には、これは入るという約束でほかのところには行っていないわけですから、そういう意味ではこれは明らかにその本人の将来というのに大きな影響を与えたことは間違いありませんので、内定取消しというのはとにかく絶対に認められないという話をいろいろさせていただいたり、場合によっては、その内定取消しをしたというのが分かるのであれば企業名は公表させるという等々、指導は徹底したいというようなことを考えております。  いずれにしても、雇用確保のためにおいて都道府県でもいろいろ、目先、目に見えるところでやっていただかないかぬと思っておりまして、四千億円の基金を確保するなどなど、いろいろこのセーフティーネットの強化というものを考えて、失業給付の見直しなど、これやらなければならないこと幾つもあろうと思いますが、種々の雇用対策というのを講じてまいりたいと考えております。
  177. 松あきら

    ○松あきら君 ありがとうございます。  内定取消しをしまして一人百万円を支払うという企業も出てまいりましたが、まさに、きちんとこうしたところは企業名を公表するということでございましたし、住居の問題も手当てするということでございますので、よろしくお願いを申し上げます。  そこで、総理がおっしゃいました金融問題、資金繰りであります。政府は、中小企業の資金繰り、年末の資金繰りに万全を期すために、今国会に本年度予算の一次補正に加えまして金融機能強化法、これを提出して成立をさせたわけであります。この金融機能強化法が成立すると、本当に貸し渋りがなくなって円滑な、特に中小企業に資金繰り、ちゃんと行くのでしょうか、融資が行くのでしょうか。私はこれが心配であります。  日銀が八日に発表しました十一月の貸出・資金吸収動向によりますと、銀行の貸出残高は四百兆千二百七十九億円と十六年半ぶりの高水準。しかし、中身を見ますと、融資は大企業に集中して中小企業には資金が十分回っていないという、こういう数字が表れておりますし、指摘もされております。  私は、金融機関、銀行は重い社会的責任と公的使命がある、いつもそう申し上げておりますが。しかし、実は銀行はノルマが行員に課されているそうでありまして、実績主義だそうであります。そうすると、ノルマが課されているとどうなるかというと、それを果たさないと給与やあるいはボーナスにプラスにならない。ですから、優良先ばかりに、金持ちや大企業、優良先に借りてくれ借りてくれと、こう言うんですね。実際、本当に困っている中小企業には目もくれない、貸さない、あるいは今まで取引があったところにぱたっと貸さなくなる。だから黒字倒産なんかも増えるわけでございます。私は、政府の経済対策に沿った運営、取組を金融機関がしているのかどうか、その姿勢が本当に疑わしい。  今回、金融機能強化法の成立を受けて政府の資本参加枠は十二兆に拡大をされました。これで中小企業金融にしっかりと取り組みます、厳しく金融機関に対処しますという御決意を私は大臣からいただきたいと思います。
  178. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今、松委員が御指摘になりましたように、この秋以降、銀行の貸出しは増えております。ただし、それは主に、どちらかといえば中堅・大企業向けの貸出しが増えているわけであります。  これ、一つには、中堅・大企業は本来貸出しに頼らずに短期的な資金を直接マーケットから調達できていたわけですけれども、そこが非常に難しくなってしまった、そこが金詰まりになってしまったと。だから銀行の貸出しに頼らざるを得ないと。そうすると、そこに貸してしまうと玉突き的に中小あるいはまた地方の方にお金が行かなくなってしまうという、非常にこれは金融行政としては、我々としては問題だというふうに認識をして、金曜日の総理生活防衛のための緊急対策でも年末に向けての大企業、中堅企業も含めた資金繰り対策というものを発表したわけでございます。他方、借り手の方は信用緊急保証という制度がございますが、これも周知徹底を更にしていかなければならないと思っております。  そういう中で、健全な中小企業向けあるいは地方向けの金融機関、これについても、貸し出したいんだけれども自己資本比率の問題があって、健全ではあるけど貸せないというところには資本参加を国がいたしまして、そして資本を増強して、そして地域の目利きを生かして、必要な中小企業あるいは個人零細企業に対してきちっとしたお金を供給していただきたい、そういう意味で先週金曜日に成立をさせていただき、公布から二か月という法律の規定でございますけれども、あした公布をいたしましてあさって施行という超スピードでこの実施をして、そして用意するお金は十二兆円という形でやっていって、是非、これは全国の中小企業、地域経済のお役に立つのが最終目的でございますから、我々も周知徹底しながらこの目的が達成できるように努力していきたいと思っております。
  179. 松あきら

    ○松あきら君 ありがとうございます。  迅速な対応をしていただけるということであります。ともかく、資本注入がされたのにきちんと貸さないというような不届きなところが決して起こらないように、私は、もしそういうところがあったらもう罰するというぐらいの思いで、金融庁しっかり対応していただきたいというふうに思っております。  それでは、お手元に資料を配付をさせていただきます。    〔資料配付〕
  180. 松あきら

    ○松あきら君 実は、私は二枚の資料を今日は用意したんですが、一枚だけになりました。なぜならば、もう一枚は過激過ぎるので配付ができないということであります。もちろん、普通でありますと、資料を配付しますと、こういうパネルなどを出しましてテレビで皆様にお見せするんですけれど、それも残念ながらできません。  私は、我が国における児童ポルノという用語について、相当程度、私は思い違いやあるいは誤解があると考えております。  総理、児童ポルノという用語から連想される思いあるいは定義、どのようにお考えでしょうか、お聞かせをいただきたいと思います。簡単にで結構でございます。
  181. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 何となく、いたいけな子供を大人がだます、何となく、後に子供の心のトラウマやら考えるとかなりふざけた話かなという、怒りを覚えるというのかな、そういった感じじゃないでしょうか。
  182. 松あきら

    ○松あきら君 先ほどお昼のニュースで、児童ポルノ処罰法違反で現行犯七人が逮捕されたわけであります。これが流れておりました。一年間で三十万枚販売して一億一千万円を売り上げた、そのほかDVD五万四千枚を押収したということでありますが、私は、児童ポルノというのはまさに児童虐待であり、児童レイプであると考えております。しかし、児童ポルノというその用語からは、例えば援助交際であるとか、何となくそういうイメージで、思い違いをなさっている、誤解をなさっている人が少なくないんです。  しかし、実態は、オンラインに流布している推計百万件以上の児童ポルノのうち、虐待画像の実に二割は三歳以下の幼児なのであります。児童ポルノは子供の性的搾取そのものであり、極めてその悪質な犯罪行為が、児童ポルノという用語によって違法性が中和されることで我が国における問題の理解を妨げて対応が遅れた原因となっているとすれば、誠に誠に遺憾であると思っております。  特に、常日ごろから弱者の権利保護に熱心である有識者からは、児童ポルノの規制によって表現の自由が侵害されるといった発言が声高になされるのは非常に残念でなりません。児童ポルノの実態は児童虐待であり、性的搾取の犠牲になった子供の人権や尊厳を傷つける、これは既に国際社会の共通認識であります。中にはPTSDや自殺に追い込まれる、こういう被害者もたくさんおります。そして、その傷は一生心に残るんです。児童ポルノは表現の自由などが認められる芸術性の範疇にあるとは決して認められない、認めてはならない、れっきとした犯罪行為なのであります。まずは児童ポルノについて早急に規制した上で、表現の自由への侵害や権力濫用等の問題については別途対策を講ずるべきであると思います。  森法務大臣、簡単でございますから、我が国のちょっと対応状況、短くお願いいたします。
  183. 森英介

    国務大臣(森英介君) 今委員からお尋ねのあった点でございますけれども、児童ポルノ事犯の検察庁における受理件数は、平成十二年には百八十八人でございました。それが平成十九年には六百三十七人となっておりまして、事案が増大していることにかんがみましても、我が国における児童ポルノの問題はいよいよ重大になってきているという認識を持っております。  また、映画やなんかと違いまして、いったんインターネットに載ってしまいますと、これもう半永久的にその画像が残ります。したがいまして、その被写体となった大変幼い子供たちというのは一生その傷を負っていくわけでございますので、やっぱりこれは、先ほど総理からも答弁ありましたように、ほっておけない問題であるというふうに思っております。  児童ポルノの問題は国際的にも重大な関心事でありまして、この問題についてはしっかりと対応すべきであるというふうに考えております。
  184. 松あきら

    ○松あきら君 法務大臣、ありがとうございます。しっかりと御認識をいただいているのだと思います。  去る十一月二十八日、世界百二十五か国が参加してブラジルで開催されました第三回の児童の性的搾取に反対する世界会議、この児童ポルノ等の製造や提供、所持だけなく、入手や閲覧も犯罪と位置付けて、過激な漫画やアニメ等の仮想の性的表現も規制対象とするリオ協定が採択されたんです。百二十五か国がこれを採択したんです。私は、日本ではまだまだそこまで行かない。現在、児童ポルノの単純所持を規制していない主要国は、皆様御存じのように、日本とロシアだけなんです。  私は、漫画やアニメというのは大事な日本の文化であり、コンテンツ産業、大事な分野だと思っています。でも、これと児童ポルノは一緒にして決してほしくないと思っております。  単純所持の処罰化に足踏みをする中で、リオ協定は閲覧や単純所持も犯罪にすべきと踏み込んでおりまして、我が国は更に後れを取ることとなりました。先ほど法務大臣がおっしゃったように、インターネットには国境がないんです。各国が協調して規制を実施しなければ、児童ポルノ画像の流布を防げずに規制の実効性が確保されません。子供たちが人身売買で売られたり、あるいはいろんなことで被害に遭って、もうこういう虐待を受けて、それがまさに自分が大人になってもインターネット上で流し続けられるとしたら、もう本当に生きていけないという悲痛な私はその被害者からのお訴えも聞かせていただいたことがあります。まずは、単純所持について法的規制の早急な導入が求められます。そうでなければ、国際的な信頼を確保できないと私は考えている次第でございます。  私は、この児童ポルノ、もうずっと十年来かかわっておりまして、もう何とか子供たちを守りたい、その思いで、今現在、与党PTでもこれを作らせていただきまして、先般出させていただいたところでございます。どうか総理、その法案成立に向けて政府にも全面的な協力をお願いしたい。御決意をお伺いしたいと思います。
  185. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) これは既に自民党と公明党とでたしか法案を提出をして、今衆議院で継続審議中になっていると思いますが、いずれにいたしましてもこれは重要な課題でありまして、政府としても、これは積極的な取締りなど必要な措置というのは速やかに行っていかねばならぬ対象の問題だと考えております。児童ポルノ禁止法改正案の審議にも積極的に協力をいたしてまいりたいと考えております。
  186. 松あきら

    ○松あきら君 今、これは与党として提出をしておりまして、野党の皆様にも是非御協力いただいて、与野党を超えてこの法案を成立させなければいけないと思っている次第でございます。  本年の六月にG8の司法・内務相会合で、当時の鳩山法務大臣は、児童ポルノ禁止法改正案成立に向けて積極的に取り組むという御発言もなさいました。私は、多分いろんな思い、法務大臣としておありと、前法務大臣として、今はもちろん総務大臣でインターネット等のブロッキング等の問題もございますけれど、是非、私は鳩山大臣に御発言いただきたいと思います。
  187. 鳩山邦夫

    国務大臣(鳩山邦夫君) 先生御指摘のとおりで、今年六月だったでしょうか、G8の内務大臣・司法大臣会議、これは日本が主催をいたしましたから、東京で行って、私と泉国家公安委員長とで議長を務めたわけですが、そのときの重要課題の一つとして、重要問題の一つとしてこの児童ポルノがあったわけです。  先生御指摘のように、単純所持を罰することをしていないのは日本とロシアだけだと、これはアメリカの大使からそれまで何度も言われておった。そういう意味で、この問題に私も、思い入れというのは妙な言い方かもしれませんが、何とかしたいという気持ちがありまして、先ほど森法務大臣がおっしゃったように、一回インターネットに載ったらもう世界中回っちゃってどこかには保存されちゃうわけですから、こんな恐ろしいことは認めるわけにいかないと。  こういうことで、インターネット関連の業者とか会社とは非常に通信ということで付き合いの深い総務省として全力を挙げていきたいと、こう思っておりますし、前法務大臣として申し上げれば、こういう単純所持を禁止するような法改正はもう重罰化、重罰化、厳罰化でいったらいいと思いますよ。
  188. 松あきら

    ○松あきら君 ありがとうございます。本当に力強いお言葉をいただいたと思います。  今、ブロッキングのお話もちょっと出ました、インターネットの。これ、諸外国では非常に進んでおりまして、スウェーデンではシルビア王妃がもうずっとこの子供のポルノの撲滅のために、禁止のためにずっと動いていらっしゃいます。そして何度も、このリオの会議にも出席されたそうでございますけれども、例えばスウェーデンなどはソフトウエアが開発されておりまして、例えばこのソフトを入れると子供のポルノの画像をダウンロードすれば警察に即通報されるんですね。こういうソフトまであるんです。  ですから、私は、もちろん日本はそこまでいきませんけれども、この即警察に通報ではないまでも、特にヨーロッパなどではこれが、ブロッキングというのが非常に進んでおります。是非、私は、何度も申し上げておりますように、これは与党、野党、関係ないんです。本当に子供たちのために、もう私はこれ話すと涙が出てきそうになります。あのアメリカのシェーファー大使にも言われました。この画像をずっと見続けている捜査官がPTSDになると、捜査官がですよ。それぐらいひどい状況である。この実態を是非お分かりいただいて、この児童ポルノ禁止法、法案成立、一日も早くさせていただきたいということをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  189. 仁比聡平

    仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。  年の瀬を迎えて大失業と中小企業の倒産が相次ぐ中で、私ども日本共産党は雇用と中小企業を守るための緊急対策政府に強く求めてまいりました。まず、中小零細業の苦境について麻生総理の認識をお伺いしたいと思います。  大分県の別府では温泉とともに竹細工産業が有名ですけれども、総理も御存じかと思います。以前から中国産に押されまして、そこにこの消費の深刻な冷え込みで売上げが激減しております。ある竹の材料加工業者さんに伺いますと、以前は年三か月分は出していたボーナスが全く払えなくなって、給料を払うのに社長さんと御家族の預金をみんな解約して必死でやりくりをしていると、そうした状況にあるわけですね。それでも竹細工関連の業種は十月末から始められた緊急保証制度の対象外でございます。  政府は厳しい声と要求を受けて対象業種を拡大してこられましたけれども、なお二割以上の業種、数で二百二の業種は対象外になっているんですね。ですが、リーマン・ショック以降の深刻な危機、消費の深刻な冷え込み、貸し渋り、貸しはがし、そうした影響は業種を問わずに広がっていることはどう見ても明らかだと思います。  私は、この金融経済危機の影響を受けていない業種はないと言っていいと思いますけれども、総理は同じ御認識でしょうか。総理
  190. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 業種を今増やす話は、これは担当の二階先生の方から聞いていただいた方がいいと思います。  今の話で影響を受けていない業種があるかと言われれば、私の想像する範囲で、これは輸入業者は間違いなくドル高等々でいいものもあろうかと思いますが、売り先が同じようなことになっておりますので、今度は逆にそちらで売れなくなっておるということになろうと思いますので、全体としてほとんどすべての業者が影響を受ける可能性は極めて高いと思っております。
  191. 仁比聡平

    仁比聡平君 深刻な消費不況がこういう形で急速に広がる中で、麻生総理もすべての業種がという御発言なんですね。けれども、緊急保証にまだ穴が空いたままと。網に穴が空いたままでどうしてセーフティーネットになるのかということなんですけれども。  総理の御地元の筑豊で園芸資材の製造卸をやっていらっしゃる社長さんに伺いますと、配送トラックの軽油代だけで昨年から一割も経費が高騰しているわけです。けれども、この園芸も業種指定されておりません。バラの卸売業者さんも園芸は駄目だというふうに、受け付けてさえもらえずに途方に暮れておられるといいます。スナックも同じですよね。町でも観光地でも泣く泣く店を閉めるママさんたちが激増しているのに、居酒屋は対象になるがスナックは駄目と。総理、御存じだったでしょうか。そんなことをするから、現場の市町村の窓口で業種指定されているかどうか分からないと大混乱になって、資金繰りに間に合わなくなってしまっているんじゃないでしょうか。  総理が百年に一度の金融危機とおっしゃいます。ならば、業種指定はやめて、すべての業種をこの緊急保証の対象にすべきだと思いますけれども、いかがですか。
  192. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 業種指定の問題につきましては、今議員御指摘のようなお考えもありますが、私どもとしては、緊急保証制度は売上げ減少などによって特に業況が悪化している業種の方に重点的に実施するという観点から、業種指定を行ってきたところであります。また、対象業種に該当しなくてもセーフティーネット貸付けや一般保証については御利用が可能なわけであります。引き続き中小・小規模企業の資金繰り対策には私どもは万全を期してまいりたいと思っております。  念のために、対象業種は経済状況の悪化に対応して追加決定など、総理からの御指示もあって行ってまいりました。当初は五百四十五種で開始をいたしました。その後の景況悪化などを踏まえて先月十四日に七十三業種を追加し、更に年末の資金繰りに備えて、先週の十日から八十業種を追加して六百九十八業種、三百十八万社の中小企業がこれの対象になります。これをもって約、企業の八割がカバーできることになっております。  今後も、今議員御指摘のようなことの業種の状況等を調査をした上で、検討していきたいと思っています。
  193. 仁比聡平

    仁比聡平君 そうした検討をしていただいて、速やかに私は業種をこの指定をもう外す、すべての業種を対象にするということが今本当に緊急に求められていると思うんですね。  大体、中小零細業者にとってこの保証協会の保証付き融資というのが命綱なんだということを政府はどのようにお考えになっておられるのかと改めて思います。資金供給に最大の責任を負うべき大銀行は率先して貸し渋り、貸しはがしをやって、中小企業向け貸出しは銀行全体でこの十年で八十四兆円、みずほ、三菱UFJ、三井住友、この三大メガバンクがこの一年半だけで五兆円、中小向けを貸しはがしているわけですよね。減らしているわけです。  一方で、金融危機に何らの責任もない中小零細業者の皆さんは売上げで昨年から三割も四割も、中には七割も減って、この年末、年度末、この二つの資金繰りの山を前に従業員とその家族の生活、仕事を守るために必死に今駆けずり回っていらっしゃるわけです。その中でこの緊急保証が使えればと、そういう思いにこたえて、少しでも活用をしていただいて何としても商売を続けてほしいと、私は心からそう思います。  地域経済と地域社会を支えているこの中小零細業者を今守り抜くと、それが政治の責任なのではないでしょうか。真剣な検討を求めたいと思いますが、総理、いかがですか。
  194. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 真剣に検討をしなければならないと思っているから、今回の保証枠というものを増やし、そしてさらに三十兆までというようなことをしようとしております。  いずれにしても、この年末の資金繰り、その資金繰りは何が大切かといえば、黒字で倒産する可能性が高くなっているからです。黒字倒産というのだけは避けたい。赤字で、それは本人の経営がっていうんだったらまだしも、黒字で倒産というのだけは、これは経営者として最もしんどいところでありますので、その意味では、黒字倒産をするイコールそこに解雇、またいろんな形での失業というのがそこに生まれますので、したがって、この中小零細企業でいわゆる企業の従業員の約七十何%をカバーしておりますんで、そこのところが一番肝心なんだということをずっと終始一貫申し上げている背景もそれでありまして、今回のこの雇用というものは極めて大きい問題を提起しているんだと、私自身もそう思っております。
  195. 仁比聡平

    仁比聡平君 黒字倒産もそうですけれども、日本の事業所数で九九%、雇用労働者数では七割をこの中小企業は担っているわけで、この皆さんのところに本当に必要な資金が行き渡るという形にしていくことが、政治の今本当に緊急に求められている責任だと思うんですね。このことを指摘を申し上げて、この関係で一点、中川大臣にお尋ねをしておきたいと思うんですけれど。  保証協会がこの緊急保証を承諾をしたのに金融機関が融資しないと、こういうひどい話が全国あっちこっちに今ございます。広島県のある信用金庫では、業績だとか返済計画はそっちのけで、信用情報でノンバンクからの借入れがあるというだけで貸し渋って大問題になっているんですね。あるいは、メガバンクを始めとした金融機関が自分だけ貸倒れリスクから逃れようというので、緊急保証を悪用して、保証なしのこれまでの融資を振り替えるだけで肝心の中小企業者には新たな資金を回さないと、こんなひどい話もございます。  こうした金融機関あるいは銀行の行動をどう思われますか。厳しく是正すべきだと思いますが、いかがですか。
  196. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今の御指摘は、先週の金融機能強化法の御審議の中でもいろんな形でいろんな委員から御指摘がございました。信用保証協会が承諾をしたにもかかわらず銀行の方では貸出しをしないとか、あるいはまた銀行の方が信用保証協会につながないとか、あるいはまた、信用保証協会の保証を得て貸出しをさせたんですけれども、それを旧債務との振替でそっちの方に振り替えてしまったとかいった問題は、私の目安箱を含めて、私の地元も含めて本当にいろいろと聞いているわけでございます。  こういうことは本来の趣旨に反するわけでございますから、我々も二階中小企業庁担当大臣と一緒に何回も関係者にこのことは周知徹底したところでございますし、またこれからも引き続きやっていかなければいけないことでございまして、これは、繰り返しますけれども、今回の緊急保証の趣旨に明らかに反するわけでございますから、状況をきちっとウオッチをして、余りにもひどければ何らかの対応も我々は考えていかなければいけないと、金融行政を担当する大臣としては、今そんな気持ちでこの年末に向かってこの状況を見ているところでございます。
  197. 仁比聡平

    仁比聡平君 よろしくお願いしたいと思います。  緊急保証の条件があるのに審査が間に合わずに倒産に至るとか、あるいは実際に保証が受けられないとかいう形で倒産に至るような事業者を一人も出してはならないと私は改めて思います。我が党は、こうした方々が皆、年を越していくことができるように、引き続き全力を尽くしていきたいと思います。  続けて、派遣先大企業によるいわゆる派遣切りについて、マツダ株式会社における実態を例にお尋ねしたいと思います。  マツダの広島県の本社工場と山口県の防府工場、ここでは既に千人を超える労働者が職を失って、その多くが寮から追い出されました。さらに、この年末までに合わせて千四百人の派遣労働者が順次雇い止めされようとしているわけです。増産、過去最高益を支えてきた非正規労働者を調整弁として真っ先に切る、こんな理不尽な事態をもたらした政治の責任は私は重大だと思っております。  この労働者たちがどのように働かされてきたのか、お手元に資料をお配りをいたしましたけれども、(資料提示)このパネルは労働者たちの証言とマツダ株式会社の派遣就労ガイドブックという徹底されている書類に基づいて作ったものなんですが、御覧いただけますように、ランク制度という驚くべき労務管理の実態がございます。  派遣就労が始まって、当初はCから始まって、次いでB、A、そしてSというふうに派遣労働者をランク分けするわけですね。ここに昇格をさせていくかどうかは職長というマツダの社員の評価で決まる。最高ランクのSは、これは課のマネジャーという人が個別に任命するというふうになってございます。そのランク付けが上がるに従いまして、時給はCの千円からBの千百円、Aは千百五十円、そしてSは千二百五十円、こういうふうに昇給し、C、B、Aの間は一か月ごとに派遣契約を切られるんですけれども、Sに任命されればそれが一年間になる。加えて、S又はAランクで優秀であるということが正社員として登用するための前提条件になる、こういう仕組みなんですね。つまり、作業上の指揮命令だけではなくて、派遣された労働者の昇給昇格、雇用期間、正社員登用の前提条件、こういう根幹の労働条件を派遣先の大企業が決めるというとんでもない話です。  舛添大臣にお尋ねをしたいと思うんですけれども、派遣労働は一時的、臨時的なものだというこの建前は、この制度においては全くの建前にすぎないで、派遣労働者を正社員と同じように働かせ、半分以下の低賃金で大もうけをすると、私は常用代替にほかならないと思います。いかがですか。
  198. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 個別の企業についてのお答えは避けたいと思いますが、一般論でこの法律の解釈を申し上げたいと思います。  まず、派遣元、労働者派遣においては派遣元が、その自分のところが抱えている労働者について賃金を決定しないということは、これはおかしな話でありますから、元々そういうことをきちんとやらないことは、これは労働者派遣に当たらないということがまず第一点です。  第二点は、そういうときに派遣先の方が賃金その他を決めるということは、これは職業安定法第四十四条で禁じられている労働者供給事業に該当して同法の違反となります。ただ、正社員採用のためにランク付けを派遣先が行うということは、これは違法ではありません。  以上が法律の整理でございます。
  199. 仁比聡平

    仁比聡平君 それは、正社員の採用そのものは派遣先といいますか大企業の方かもしれませんが、そこに至る労働、労務管理というのは現実に派遣労働者を縛り上げていくわけですよ。正社員にどうしたってなりたい、安定した働き方を求めて、非正規であっても、今は悔しくても、半分以下の賃金でも、早出もする、残業もする、休日出勤もする。そうやって必死に増産、増産だというその体制を支えてきたのがこの非正規労働者たちですよ。それを、今の舛添大臣の最後の点は私、少しそういう意味で御意見ありますが、一般論として違法であり得るということをお認めになったわけです。  派遣元というのは雇用主とは名ばかりだという、そういう実態なんですよね。このランク付けの下で三年以上、四年以上働かされ続けてきた大勢の派遣労働者が今数千人、数万人、十数万人かという規模でほうり出されようとしているわけです。  マツダにおいても、先ほど申し上げたように、千四百人の切捨てが想定をされているわけですが、法律上、派遣労働には上限期間があって、〇四年に製造派遣が解禁された当初は一年、〇七年の三月からは三年、この期間を超えれば本来、直接雇用になっていたはずなのに、どうして派遣のままなのかと、この人たちが。  このパネルの下段の方を御覧いただきたいと思うんですね。派遣と直接雇用である期間工を行ったり来たりさせる、雇用形態換えとでもいうべきやり方だと私は思います。いわゆるクーリング期間、これは同一場所の同一業務であっても三か月を超えて派遣を受け入れないという期間があれば継続した派遣とはみなさない、そういった厚労省の指針があるわけですけれども、これをいいことにして、派遣社員をラインごと、グループごとに順次三か月プラス一日だけサポート社員という名前の期間工にしてクーリングの外形だけつくって、その相当期間が過ぎたらもう元の派遣会社に戻すというわけです。  私どもの設置をしております一一〇番には、三か月たったら派遣元に当然戻ると言われた、ライン丸ごとで選択の余地はなくて、仕事も場所も全く変わらない、あるいは一度ならず二度もサポート社員になったことがある、こういった声が続々と寄せられ続けています。派遣先と派遣元が語らって、その支配下で派遣労働者を出し入れし、派遣上限期間を超えていつまでも非正規雇用で働かせると、そういう手口じゃありませんか。  舛添大臣にもう一点確認をしたいと思うんですが、派遣労働者が派遣先にいったん直接雇用されるが、クーリング相当期間を経た後は派遣元の派遣労働者として再度派遣されるということが派遣元と派遣先の間で予定されている場合について職業安定法四十四条違反になると、このことを九月の二十六日付け通達の当該部分に沿って御説明いただきたい。そして、その考え方は製造業への派遣解禁当初から特に変わりませんね。
  200. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 重ねて個々の企業についての言及は避けますが、一般論で職業安定法の御説明を申し上げますと、今おっしゃったように、クーリング期間中に派遣先がこの派遣労働者を直接雇用したとしても、その先に更に派遣労働者として派遣就業させるということを予定している場合には職業安定法四十四条が禁止している労働者供給に該当する、この考えはずっと変わっておりません。したがって、これは違法となります。
  201. 仁比聡平

    仁比聡平君 大臣にもう一点、この九月二十六日付け通達にかかわって確認ですが、そうした考え方で直接雇用への切替えが違法な労働者供給事業と判断されるという場合は、そのクーリング相当期間が三か月を超えているとしても、これは適正なものとは言えませんね。そのときに、この通達では派遣は継続しているものとみなして、四十条の二、つまり派遣上限期間との関係では、これは違反をしているというふうに見るべきだとありますが、どうですか。
  202. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 委員がおっしゃったように、最初の派遣開始から直接雇用の期間を通算し、最大三年の派遣可能期間が経過した時点以降、派遣ということはできないと、つまり違法な派遣、労働者派遣になるということは委員が御指摘のとおりでございます。
  203. 仁比聡平

    仁比聡平君 総理に改めてお尋ねしたいんですけれども、このような働かせ方で四年も五年も働いてきた労働者が今路頭に迷わされようとしているわけです。  我が党に訴えが相次いでいますが、この十二月五日で派遣切りをされて、来月、一月の五日には寮から追い出されようとしている四十八歳の男性は、九月からは手取り十万円もなくなって、米とミカンだけで、三か月で二十キロもやせてしまったと言われるんです。この方は出身は佐賀ですね。職も住まいも失おうとする全く先の見えない状況の中で、帰れる当てのないふるさとのミカンの皮をむくこの労働者の気持ちは、総理、お分かりになりますか。  大企業は、自動車でも電機でもキヤノンでも減収減益だといいますけれども、なぜこれほどの人員削減が必要やむを得ないというのか。その説明は一切行っていません。解雇通告のときにマツダの職制が派遣労働者からなぜですかと聞かれて何と言ったか。トヨタでもやっているので勘弁してほしいと。そんな一言で首切りを許していいのかと。  早くに正社員にすべきだった労働者、これを違法な手口で半分以下の賃金で働かせ続けて、マツダも今年上半期まではバブル期を超える過去最高の利益を上げ続けてきました。内部留保、ため込み利益は四千三百億円、減益とはいえバブル期を上回る五百億円の利益を今年度通期で見込んでいるんですね。このほんの一部を回せば派遣労働者の人件費は十分賄えるはずです。  こんな理不尽を許さないと。明白な法違反に対しては、単なるお願いや要請ではなくて、個別大企業に対しても雇用に対する社会的責任を厳しく問い、派遣切りの中止、撤回を強く指導すべきだと思いますが、総理、いかがでしょう。
  204. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) どの大臣も答えて……
  205. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) なお、質問時間が過ぎていますので簡単にお願いします。
  206. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) だから、もう少し早く質問をやめていただくとよろしいのですが。よろしくお願いします、今後もありますので。  個別の案件につきましては、これはなかなか、仁比先生、お答えすることはできません。  ただし、今言われましたように、そういった事態というのは、多分ここはこの会社に限らずほかの会社にもいろいろあるであろうということが想像できますので、いわゆる我々としては極めて憂慮しておると申し上げております。  したがって、これは派遣切りの話ですけれども、内定が決まっていた人たちを解雇するに当たっては、その企業名を公表するなどという強い態度でやっていかにゃとてもじゃないけどという話を申し上げている背景がこれであります。  同時に、今、この話を当面、今すぐの話として住居という問題が目先一番になりますので、そういった点につきましては、先ほど申し上げましたように幾つもの例を、さっき三点申し上げましたけれども、時間がないと言われるのでそれはあえて説明しませんけど、そういった態度で目先きちんとしてやって、同時に、今言ったような点についてはきちんといろいろな場で対応をしていかねばならぬと思っております。
  207. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) 仁比聡平君、時間が来ております。
  208. 仁比聡平

    仁比聡平君 実態を厳しく調査をして正していただきたいということを申し上げて、質問を終わります。  ありがとうございました。
  209. 又市征治

    ○又市征治君 社民党の又市です。  今日は総理にしっかりお伺いしたいと思いますが、今朝ほどもありましたように、参議院では、巨大な行政府財政支出を厳しくチェックをしてその審査結果を次の予算、施策に生かす、そのためにここ数年、全党派を挙げて決算審査というものを重視をしてまいりました。歴代内閣も、この審査過程と結果については大変尊重する、重視をするということで来ましたけれども、まず、この点の麻生総理の認識をお伺いしたいと思います。
  210. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) これは、基本として決算委員会の決議を重視する、当然のことだと存じます。
  211. 又市征治

    ○又市征治君 今日はその観点から総理に幾つか質問を行います。  決算委員会では、この六年余り、今日も随分出ましたけれども、特に特別会計の無駄遣いや余剰資金のチェックに力を入れてまいりました。そういう意味では、神本さんやあるいは浜田さんからも今日出ましたけれども、今日でも特別会計の本体百八十兆円、約、ありますけれども、それとは全く別に積立金であるとか資金などの約二百兆円がそういう意味であるわけですけれども、そのうち活用可能な余剰資金はなお四十二兆円もあって、なおかつこれが毎年二兆から、場合によれば四兆円程度も増えている、これが最近いわゆる霞が関埋蔵金と言われる主な部分だろうと思うんです。  ですから、私は、格差が進行している今日、この余剰資金を医療や介護や年金などの社会保障あるいは定率減税の維持などに有効活用すべきだということをこれまでもずっと申し上げてまいりました。結果、小泉内閣と福田内閣の下で約二十八兆三千億円の活用方針が示されたというのは、これはまあ一歩前進だろうと思いますけれども、その大部分が、二十一兆八千億円、これが国債償還、つまり借金返しだというのはちょっとやっぱり首をかしげざるを得ない、こう思います。  そうではなくて、とりわけ今景気後退、大幅な減収が見込まれるという今日、この資金を雇用対策国民生活の支援であるとか、あるいは毎年二千二百億円削ってきているこの社会保障費の抑制、さらには削減をされた地方交付税の復元など、セーフティーネットや格差是正に有効にやっぱり活用していくべきだろう。ここは余りそんなに認識は違わぬだろうと思うけれども、総理のこの活用方針なり決意というのを是非お伺いしておきたい。
  212. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 今御指摘がありましたように、確かにグリーンスパンをして百年に一度と言わしめたいわゆる金融危機が経済不況につながってきているんだと思っておりますが、こういう世界中巻き込んだ状況になって、日本もその例外ではないという状況になっては、これは当然のこととして対策を盛り込まねばならぬ。今までのとは違って異常な事態でありますので、異例な対策を盛り込まねばならぬという点に関しましては私も基本的に同じ考えを持っております。加えて、その財源については一時的、特例的な例として、いわゆる財政投融資特別会計とか金利変動準備金などなど、そういったものの活用を行うというようにしたところであります。  ただし、これはもうよく先生御存じのとおり、特別会計積立金というのは、これは金利や為替のリスクの対応など一応法律にきちんと定められた目的のために積み立てられておりますので、財政経費の財源として勝手に使っていいというわけにはいかぬという種類のものだというのも先生よく御存じのとおりであります。  したがいまして、今後の財政運営というのに当たりましては、この積立金の活用といった処置は、これはあくまでも一時的、特例的、そういったようなものだということに留意しつつ、今後、財源の在り方を含めて検討していかねばならないと思っております。
  213. 又市征治

    ○又市征治君 是非、この中身は具体的にお聞きしてまいりますけれども。  ただ、法律でみんな使える道は決まっていますと、こうおっしゃるけれども、例えば、これは大臣もよく御存じだろうと思うけれども、そもそも先進国の中でこんな多額の外為資金を持っている、そういう国はまず余りないし、あったとしても日本の十分の一ぐらいですよ。そもそも多額資金を使って為替に介入しようなんという発想が今世界の先進国どこにもない、こういう状況にあることは実は御存じのとおりなんです。余り財務省の言われるとおりの答弁をなさらないように。  この論争はさておいて、総理は、今もおっしゃったが、百年に一度の危機だ、こういうふうにおっしゃる。その対策一つとして、今お話しになったように、国債償還に回すと決めた九兆八千億円のうちから国民生活支援に定額給付金ということで二兆円ぐらいは回そうと、こういうお話でしょう。これ自身も本当は問題なんですよ。国民に九兆八千億円借金返ししますと、こう言って決めたんだ。それを今度は別のところへ流用しますという話なわけだから、これはちょっと問題なんだが、そのことは問いませんけれども、今。しかし、この定額給付というやり方が今世論的に見ると約七割から八割が批判的だという、こういう状況が出ています。  しかも、せっかくおっしゃったが、じゃ、この年末まで配れるかといったら、そうじゃない。いや、年度末までどうかといったら、これもどうも怪しい。大変地方でも混乱している。ならば、ここでむしろ、今ここで間に合わない、三月まで間に合わぬというんなら、これは思い切って撤回をなさって、この二兆円を、むしろさっき申し上げたような二千二百億円削っている社会保障費関係、あるいは医師不足対策、あるいは介護報酬の引上げや従事者の賃上げや報酬の引上げ、こういった向こう数年間の制度改善にむしろ切り替える、そういう財源にすることが国民はむしろ喜ぶ。もう一つ突っ込んで言わしてもらうならば、いや消費税一%下げてもらった方がよっぽどいいよという、実はそういう声さえも今日あるわけですよ。ここのところ思い切って切り替えたらどうですか、大臣総理大臣
  214. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 今、まず最初に、後ろの方の消費税一%の方から答弁をさせていただきます。  これは、ゴードン・ブラウンがイギリスで二・五%というのはえらくそこだけ見ると受けがいいところなんですが、あちらは元々が一七・五%のいわゆるVAT、VATというのは付加価値税だったものですから、それが元々一七・五、こちらは五%ですから、ちょっとそこの元のあれが大分違いますので、その点は勘案をして聞いていただければと思っております。  それから、定額給付金の話で、これ是非年度末までには間に合わせたいものだと思って、いろいろ頑張りたいと思っておるんですが、少なくともこれを広く家計に行き、給付されるということで最初、定額減税などなどお話がありましたけれども、定額減税ですと、定額減税に達するところまで行っていない所得の方にはその問題が行き渡らないことになりますので、すべからくすべての家庭にということを申し上げたら、話がどんどんどんどん上の方に行くような話に切り替わって、途中からぶれるとかなんとか、話がまたすり替わっていろいろしておりますけれども、元の元は一番貧しいところに行くようにするためにはこれみんなでやる以外に方法がないじゃありませんかと申し上げたのがそもそもの最初だったんで、そういった意味では、いろいろ御意見はあろうと思いますが、少なくとも今これは多くの方々に伺って意見が違うという御意見もありますが、傍ら、来たら受け取るという方も九割いらっしゃるという、そこらがやっぱり人間の心理としてはなかなか難しいところなんだと思っております。  いずれにしても、今後ともこれは持続的な経済成長をやっていくことがどうしても必要ですので、ばらまきではなくて、今やっておけば先になったら芽が吹くという、種まきみたいなことをやっていかにゃいかぬものなんだと、それは基本的に私もそう思っております。
  215. 又市征治

    ○又市征治君 いや、このままやるんですというお話でありますから。ただ、総理、秋葉原へよく行かれるようですけれども、しかしやっぱり庶民の声をもう少し率直に聞いたらいいと思いますよ。つまり、二兆円配るけれども、一方で三年後に消費税は引き上げたいとおっしゃるのは、いや一万二千円ずつ、おまえ、押し貸ししてやる、しかし三年後から高利で何十倍も取り返すサラ金みたいなものだという声だってありますよ、これ。やっぱりこういう反発が私、せっかく麻生大臣一生懸命、総理大臣頑張っておいでだろうけれども、しかしこれがやっぱり急速に内閣支持率が落ちている私は大きな原因の一つだと思う。  そういう点でいえば、じゃ経済効果的に言うと、消費や内需拡大につながるか、いや、三年後上げますと言うんならためておくしかないじゃないか、こういう格好になっているんじゃないか。そうすると、やっぱり私は、経済政策上も、三年後上げるとか、自民党がおっしゃる二〇一〇年代の消費税の引上げという、こういう表明は今やめるべきじゃないか。公明党の政調会長も、おとついですか、そんなこと、先のこと勝手なことを言ってくれるなと、こういってテレビでおっしゃっているけれども、与党の中でも合意されていないわけだ。是非これはむしろ撤回なさった方が、麻生さんの支持率の問題、私が余分なことを言うことはないけれども、是非そうされた方がいいと思うけれども、御見解を伺いたい。
  216. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 支持率まで御心配いただきまして、ありがとうございました。  又市先生、基本的には私どもは、私どもと言うべきか、私と言うべきかもしれませんが、私は、基本的には先行きというものをきちんとしたものが見えてこない段階に目先だけに景気対策やって、その金はあちらこちらのものを借りてきて、きちんとした安定的な財源なしにいわゆる社会保障関係のものをやる、いろいろ例がありますけれども、そういったものはきちんと先はこういったもので賄うというものがない限り、今目先、大胆な経済対策は極めてしにくいものだと私自身はそう思っておりますので、こういった意味でのいわゆる消費税というものは、少なくとも社会保障関係というものが安心して、これが崩壊する、壊れちゃうということではないということを確信しない限りは逆にもっと使わなくなる可能性の方が大きいと、私はそう思っております。
  217. 又市征治

    ○又市征治君 だから、私は、今四十兆円もたまっておる、そのために、いざというときのためにと財務省が長い間言い続けてきたこの埋蔵金というのをもっとしっかりとこういうときこそ使うべきだ。むしろ、財政規律は守って一般会計の方は厳しく枠をはめていかにゃいかぬのじゃないか、こういうことで、後ほどこれもまた申し上げますが。  そこで、次に、今年の決算審査でもこの道路特定財源の問題が随分と問題になりました。相変わらず無駄遣いが多い、ありようが問題だと、さんざん問題になった。会計検査院報告もこれは指摘をされています。  そこで、福田内閣は、この無駄な道路整備を減らして税金をもっと必要性の高い分野に使うと、こういうことで一般財源化を閣議決定をなさった。麻生総理も、これを踏まえられて、まず地方へ一兆円自由に使える地方交付税に回そうと、こう打ち上げられたんだと思う。それは現行の道路整備臨時交付金やあるいは補助金とは別枠だということだったと思います。ところが、だんだんだんだん党へ戻っていったら話がひっくり返っていったと。こういうことなんだが、これが従来の臨時交付金七千億円プラス三千億円の新型交付金に化けてしまって、その使途も道路整備へ八割方を中心とした公共事業に逆戻りということだということですね。  そこで伺いますが、第一に、総理は削られた地方交付税の復元に、この財源確保策は別として、今後一兆円を確保していくという考え、この考え方、これはお変わりにならないですなということがまず一つ。二つ目に、閣議決定であるこの一般財源化を通じての、いわゆる福田さん流でいえば生活財源化というふうにおっしゃったけれども、これはしっかりおやりになっていくのかどうか、この点。この二点をお伺いします。
  218. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 基本的に、この度、いわゆる道路特定財源というものになっておりましたものを一般財源化しますと今年の四月に福田前総理が言われ、五月に閣議決定と。その当時、これが一般財源化されると思っておられた方は与党内含めてほとんどおられなかったのが世の中だと思います。  しかし、それが確実にこれ一般財源化されることになった。歳入で一般財源化されることがはっきりしたということが今回のこの予算の中における、私は、ほとんどの人が言われませんけど、これがいわゆる、これまでの経緯、長い間の経緯を知っておられる又市先生から見ると、これが一番の私は大きな前進だったと思っております。一般財源化というのは歳入の上で決まりましたから、正式に。そこのところが一番大きかったんだと、私自身はそう思っております。それが一つ。  二つ目は、今言われました中で、地方交付税というものが一番地方にとっても、先生御存じのように、一番自由に使いやすいという、まあほかにもあるのかもしれません、これが一番使いやすいという形になっておると存じます。  したがって、今、公共工事とか道路工事とか皆いろいろ言いますが、基本的には、道路工事を仮にもらっても地元負担分の金というものを持っている市町村の絶対量がどんどん減っておりますから、三%マイナスのものが払えないから、現実四%、四・五%になっておるという昨今のこの地方の懐状態というのを、富山に限らずもうみんなよく御存じのとおりですよ。したがって、そういったことがきちんと分かっておられる方々は、それはどうするんだという話は、これは確実に言われるのを、この数年間間違いなく言っておられると思いますね。  私はそれを知らないわけではありませんでしたので、是非このものが使えるようにする、より自由に使えるようにする金が一兆円だと言って、少なくともあそこから新しく地域活力基盤創造、こう何かえらい長たらしい名前になっていますけど、これで一兆円。確かに、従来のきちんと道路しか使っちゃ駄目よと、ああいったものとは違った形になったものができました。  ただ、これが決まっても、私は、使いやすさにおいてはこれはなかなか使いにくいと思いますね、私の感じでは。したがって、私は、こういったものは地方の分の裏負担の金はここから出せるのかと聞いたら出せないと言うから、ちょっと待てと。それだったら使いにくいものにならせぬかということを思いましたので、これとは別に一兆円の交付税ということで、最初にこの一兆を申し上げたとおりなんで、この点に関しても何となくまた変わったまた変わったじゃ、これはずっと同じことしか言っておりませんで、そのとおりにさせていただきます。
  219. 又市征治

    ○又市征治君 今おっしゃったとおり、もう一つ聞きたかったのは、それは単に単年度じゃ駄目なわけですよね、これは、今総理大臣がおっしゃった意味からいえば。地方を是非続けていただくということをしっかりやっていただきたいと。  さて、観点変えて、小泉構造改革、七年半余りやられてきて、その結果どういうことになっているか。  大企業は過去最高益を六年連続で更新をし続ける、株主配当は約四・五倍、いや、もっとなっているかもしれない、伸びたと。ところが、勤労者の所得は九年連続、いや、むしろ今年含めたら十年連続むしろ低下をする。中でも、年収二百万円以下の所得しかない人々が一千二百万人にも拡大をしてきた。これは経営者側の賃金抑制策と、加えてリストラで正規労働者を非正規に置き換えて、先ほどからずっと出ているような、こういうひどい状態の非正規労働者が今や勤労者全体の三分の一を超えている、一千七百五十万、こういうことが大きな原因なんですね。そして今、今度は景気後退側面に入ったら企業は内定取消しやら非正規労働者の首切りを乱発、こんな状態ですよ。そのためにまた政府は何兆円も金を出してその救済に乗り出さざるを得ない、こんな事態に陥っているんでしょう。つまり、政府・与党は大企業の国際競争力強化のために派遣労働法などを改悪をして低賃金で劣悪な労働条件の勤労者群をつくり出しておいて、今度は企業の大変景気が悪くなったからってしりぬぐいを税金でやると、こういうわけです。  そこで、総理、ちょっとやっぱりこの企業のモラルハザード、ひど過ぎるんじゃないのかと。今日も幾つも出ましたよ。ここのところを、やはり政治がもう少し企業に対して厳しく企業の社会的責任というのを問うべきじゃないですか。これがまず一つ。  それからもう一つは、政府でやってもらいたいと思うのは、少なくとも大企業に、十年前、景気が悪かったから、これは減税しましたよ、法人税、三七・五%を三〇%に下げた。そして高額納税者、つまり三千万円以上の高額納税者などは、これ五〇%だったやつを三七%に所得税の最高税率を落としたわけですよ。ずっとやられ続けていると、今も。これ二つ合わせると二兆八千億円、毎年、金額に直すとそうなる。片や一方では、一般庶民には三兆三千億円だった定率減税は廃止をする。内需や消費は低迷をする。まさに税制においても格差拡大政策をやられてきた、こう言わざるを得ぬわけです。  これ、二兆円一回ぐらい配ったって、それは困っている人は助かりますよ、確かにそれは。だけど、こういう全体像をもう一遍振り返ってみるべきじゃないのか。そのときに、私は本当に、今度、来年度の予算だとかあるいは今度の補正だとかで赤字国債を増発をするとか、あるいは将来の、三年後以降の消費税を更に上げて国民負担増を強いるというんではなくて、財政規律はやっぱりしっかり守りながら、高額所得者などの減税であるとか、ましてこんなにもうけている人々の証券優遇税制を延長するなんてとんでもない話だ、そういうふうに思うが、そんなものはやめて、この税収増をやはり格差是正に回す、あるいはさっきから申し上げているように、四十兆円の埋蔵金を、法律変えりゃいいんですから、変えてあれを使うことにしたんですから、そういう点で私はこの四分の一、つまり十兆円ぐらいは今そういう意味でフルに活用すべきだ、こんなふうに思う。  そういう意味で、このセーフティーネットをしっかりと張るべきだろうと思うんですが、この点、二点お伺いしましたから、よろしく御答弁願いたい。
  220. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) この法人税、所得税等々の話は、これは又市先生、これは御存じのように、この数年間、世界中これ法人税をずっと下げてきておりますんで、これは国際競争という点が我々としては今考えねばならない、これはグローバル化しているということもあろうと思いますが、各社が日本に本社を置かずに海外に本社を置き始めるというようなほど給料が差が出てくるというのは、いや法人税の差が出るというのは、これは断固避けねばならぬところだというのが我々として一つ考えているところ、所得税に関しましても同じところであります。  もう一点は何でしたっけ。法人税の格差ともう一点。
  221. 又市征治

    ○又市征治君 企業のモラル。社会的責任、雇用問題の。
  222. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) 企業のモラルね。  企業のモラルということに関しましては、これは一番私は今回のところでそれを強く感じたのは、やっぱり金融でしたね。これは、あのころはビッグバンとかいってえらいもてはやしておりましたときに、ちょっとその当時はいかがなものかといった方の立場だったんで記憶はあるんですが、少なくともこの金融という最もモラルが求められるべきところ、逆に言えば、最も規制がきちんとしていないとおかしなことになり得るという、そういう種類の職業、業界の場において、こういったような形で金融派生商品なる、金融証券化というものが広大に行われた、それが世界中に広まって、結果として訳の分からぬものになってという話が出ました。  傍ら、もう一個。ゼネラル・モーターズ、よく出ますが、アメリカ・トヨタの社長の給料が一億何千万だが、ゼネラル・モーターズは二十何億円。給料は一緒にしろと、それしない限りは認められないと今度はアメリカの議会で発言した人がいますけれども、そういった形できちんとしてモラルを保っておられる方というのは、僕はアメリカの中にでもおられるんだと思うんです、企業の中でも。  ですから、私は、今回のアメリカにおけますこの金融というものは、モラルばっかり期待できないという前提に立つのであれば、きちんとそういったものは監視できるような国際的な組織をつくるのが一つ。もう一つは、きちんとその企業の内容については、いいか悪いかを、その企業の格付をやってくれるものをきちんと、今回、全然その格付機関というものは作動しませんでしたんで、そういったものをやる。この二つは国際機関としてつくらなければならないなどなど、対応策は今後とも国際社会で検討していかねばならぬ大事な課題だと思います。
  223. 又市征治

    ○又市征治君 私は、この間、総理が経団連に雇用を是非守ってくださいよとおっしゃったその翌日にその責任者が、その関連会社で首切りが出るような、こういう問題をもっとしっかりと、日本国内でしっかり政治の場面から声を発するべきじゃないかということを申し上げた。国際社会の話をしているんじゃないんですよ。  まあ、小泉改革の負の部分を今一生懸命麻生さんに、それは何とか、そういうものがばっと露呈してきたから大変な思いをなさっておるんだろうけれども、ただ、一番大事なことは、本当にもうけ中心の市場経済万能論に立った新自由主義的な政策というのを転換をして、もっと格差是正であるとか、所得再分配機能の強化というのは政治がやらなきゃならぬ。ここのところはやっぱりしっかりと踏まえてもらわにゃいかぬのじゃないかということを申し上げたいんです。  時間がなくなりましたから、最後に。  今朝もちょっと出ましたけれども、この間、総理が失言問題で日本医師会に謝罪されたと、こういうことだったが、それは先段出ましたから言いませんが、その謝罪なさった当日に、今度は経済財政諮問会議で、たらたら飲んで食べて何もしない人の分の金を何でおれが払うんだと、こう言われたと。こうおっしゃって、またこれの謝罪なさっておいでだけれども、一体だれに何、謝罪なさったんですか、これ。
  224. 麻生太郎

    内閣総理大臣麻生太郎君) これは先ほどもどなたかの質問に、いや、同じような質問が、あなたでしたっけね、足立さんからの質問だったかに出ておられたので、そのころおられなかったんだと思いますが、同じように申し上げたんだと思いますが、そういった、何も自分の意図に反してそういったことになった人たちに対して、著しく本人たちの気持ちを傷つけた点に関して謝罪を申し上げたと、先ほどそうお答えしたんだと存じます。
  225. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) 又市征治君、時間が来ていますので、簡略にお願いします。
  226. 又市征治

    ○又市征治君 その人々にではないんです、これ。お医者さんたちの話はさっきので合っていますよ。  問題は、病気や事故に遭わない人も負担することで遭った人の負担を軽減するというのが国民皆保険制度の意味でしょう。現下の最大の問題は、非正規労働者だからと結局は雇用保険にも入れてもらえない人たちが大量に失業されている、そして無保険で路頭に追い出されている。そのときに、お金持ちで健康な麻生総理が何でおれが払うんだなんというのは保険制度をぶっ壊すということになるわけで、これ、単なる失言じゃ済まない。その意味では、この発言はむしろ国民全体に保険制度の問題として問われているんだろうと思う。
  227. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) 時間が来ていますので、簡略にお願いします。
  228. 又市征治

    ○又市征治君 そのことだけ御指摘して、終わりたいと思います。
  229. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) 他に御発言もないようですから、本日の審査はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十九分散会