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2008-12-11 第170回国会 参議院 経済産業委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年十二月十一日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  十二月九日     辞任         補欠選任      平山 幸司君     下田 敦子君  十二月十日     辞任         補欠選任      藤原 正司君     轟木 利治君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         山根 隆治君     理 事                 鈴木 陽悦君                 藤末 健三君                 増子 輝彦君                 荻原 健司君                北川イッセイ君     委 員                 下田 敦子君                 轟木 利治君                 直嶋 正行君                 中谷 智司君                 姫井由美子君                 前田 武志君                 塚田 一郎君                 松村 祥史君                 丸川 珠代君                 谷合 正明君                 松 あきら君                 松下 新平君                 渡辺 秀央君                 田中 直紀君    国務大臣        経済産業大臣   二階 俊博君    大臣政務官        財務大臣政務官  三ッ矢憲生君        経済産業大臣政        務官       谷合 正明君        経済産業大臣政        務官       松村 祥史君    事務局側        常任委員会専門        員        山田  宏君    政府参考人        内閣官房内閣参        事官       藤田 耕三君        内閣大臣官房        審議官      堀田  繁君        警察庁長官官房        審議官      井上 美昭君        金融庁総務企画        局審議官     岳野万里夫君        金融庁総務企画        局参事官     居戸 利明君        厚生労働省職業        安定局次長    大槻 勝啓君        経済産業大臣官        房地域経済産業        審議官      桑山 信也君        経済産業大臣官        房商務流通審議        官        寺坂 信昭君        経済産業省経済        産業政策局長   松永 和夫君        経済産業省通商        政策局長     岡田 秀一君        経済産業省製造        産業局長     細野 哲弘君        資源エネルギー        庁長官      石田  徹君        中小企業庁長官  長谷川榮一君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○経済産業貿易及び公正取引等に関する調査  (WTO閣僚会合に臨む基本姿勢に関する件)  (再生可能エネルギー市場拡大等による雇用  創出に関する件)  (農商工連携の推進に関する件)  (いわゆるマルチ商法による被害の防止対策に  関する件)  (中小企業向け緊急保証制度活用状況に関す  る件)  (日本とモンゴルの経済交流拡大に関する件  )     ─────────────
  2. 山根隆治

    委員長山根隆治君) ただいまから経済産業委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、平山幸司君及び藤原正司君が委員辞任され、その補欠として下田敦子君及び轟木利治君が選任されました。     ─────────────
  3. 山根隆治

  4. 山根隆治

    委員長山根隆治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 山根隆治

    委員長山根隆治君) 経済産業貿易及び公正取引等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 増子輝彦

    増子輝彦君 おはようございます。民主党増子輝彦でございます。  大臣WTO閣僚会議に御出席予定で、実は当委員会が本来であれば開かれない予定でございましたけれどもWTO交渉がなかなか大変な状況にあるということで御出張が延びられたということで、大変貴重な時間をちょうだいしたこと、結果的には私ども良かったと思っております。  そういう意味で、我が党としても、できるだけ大臣の御出張というのは大いにやるべしと。やはりこれから日本立場考えますと、様々な国際会議の中で日本立場も明確にしていかなければなりませんし、様々な貿易、様々な外交交渉を含めて、この国のあるべき姿ということをしっかりと国際社会の中で位置付けながら、私どもの国の方向性をつくっていくためにも、私は積極的に大臣出張というのは認めていきたいという姿勢であります。  私ども政権を取った暁には、立場が逆になったときに、余りそういうことに今から拒絶反応をいたしておりますとまた逆のことがありますので、大臣始め関係の方の出張を大いに認めたいと思いますので、これからもどんどんと出張しながら、国益を守るために頑張っていただきたいと思います。  そういう中で、WTOについて若干お聞きいたしたいと思います。  大臣、今回のWTO金融危機も踏まえて大変重要なWTOということになっているわけでありますけれども、今回、残念ながら延期になったと。当然、内容がまとまらないということもあるわけでありますが、このWTO交渉に臨んで、大臣はどういう立場でこの国の非農業農業を含めて、しっかりと対応していくのか、大臣決意をお伺いをいたしたいと思います。
  7. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) ただいま民主党の特に経済産業問題を担当される責任者としての増子先生からの御質問でございまして、今お話しのとおり、WTO会議出席する予定国会出張許可もちょうだいしておったんですが、御承知のような事情延期となっております。  そこで、今回のWTO会議をもって八年目を迎えるわけでございます。それだけに、ドーハ・ラウンドの妥結に向けて我々は精いっぱいの努力をしなきゃならぬという決意を持っておりますが、それ以上に、先般来、御承知のような二十一か国の首脳会議において年内合意を目指すべきだという、そういう支持がなされておるわけでございまして、そうした流れからして、何としても今度のこのWTOで決着を見たいという考え各国共に底流には持っておることは事実であります。  しかしながら、まだまだそれぞれの国の主張において離れている分、まだまだ交渉の余地のあるものが存在していることは事実でございまして、一応今回は延期ということになってしまいましたが、それには我が方のWTOにおけるジュネーブにおる大使、そして私どもの役所からのWTO担当責任者等ジュネーブへ派遣して、グリーンルーム会合等にもしょっちゅう出て、意見交換あるいはまた情報の入手等に努めてきておりますが、この段階で私は、ラミー事務局長その人の本当の声といいますか、胸のうちを聞いておかにゃいかぬと思って、日本時間で一昨日の夜、ラミー事務局長とも電話で話し合いましたが、ラミー事務局長いわく、ここで会合を持てば、それぞれの閣僚同士隔たりがまだまだ大きいために、このまま会議にいきなりぶつかるとこれが決裂する可能性があると、それならばもう少し問題のある国同士の話合いを詰めてもらって、できるだけ閣僚会議の成功に向けて、積極的な意味会議延期をさせてもらったと、こういうことでございますので、私はその限りにおいてはラミー事務局長の判断を支持すると。  ただし、我々日本においても農業問題を始め難しい問題は依然としてまだ難しい状況にある。ですから、お互いにこの問題意識を分かち合いながら対応をしようと、日本日本で、中国あるいはアメリカ、インド等ともこれから電話連絡を取って、お互い意見隔たりを少しでも縮める努力をしなきゃならぬということを申し上げたところでありますが。  ラミー事務局長、懸命の努力をいたしておりますが、先般の首脳会議で決定をいただいているように、各国首脳はそれぞれの閣僚に命ずるということになっておりますが、それはあの席で二十一か国の首脳がそういう決意をされた。その背景には、今日の世界経済状況、特に金融問題で大変なショックを受けておる国々が多いわけでありますから、そうしたことが背景になってWTO早期妥結ということの背中を押したことには違いはないと思うんですが、それぞれの国へ帰ってみると、それぞれの国の旧来からの事情がありますから簡単に進まないというのが現状でありますが、我々は、石破農林水産大臣ともよく意見交換をしながら、日本国益ということを考え、ここで何をなさねばならぬかということを考え対応をしたいと思います。  今朝もある問題で経済界皆さんに御協力を呼びかけるための会議がありましたが、その場でもほとんどの意見は、WTOについて早期妥結をすべしと、そしてこの経済状況の中でこれを救うことができるのはWTOだと、このWTO妥結なくして今日の経済状況を乗り越えていくことはできないだろうと、これが経済界皆さん意見であったことも事実でありますが。  一方、農業には、今ここで私から詳しく申し述べる必要もないことですが、農業問題の抱えている従来からの問題についてはいまだに結論を見出すというところまで至っていない。したがって、特に民主党を始めそれぞれ政党の幹部の皆様の御協力も是非ちょうだいして、オール日本としてこの問題をどう解決するかということに真剣に取り組んでまいりたいと思っております。
  8. 増子輝彦

    増子輝彦君 大臣決意のほどをよく理解させていただきました。  このWTO交渉は非常にやはり難しいんだと思うんです。敵になったり味方になったり、それぞれの国がそれぞれの国の事情の中で立場を変えて主張をしていくというものを取りまとめるということ、極めて難しい部分があると思いますが、そこは今大臣がおっしゃったとおり、我が国においても守り抜くものは守り抜く、そして開放すべきは開放する、様々な形の中でこの国のあるべき姿というものをしっかりと打ち出していかなければならないと思います。  特に、今もお話があったとおり農業問題、やっぱり私は、農業問題は断固として守り抜いていかなければこの国というものの存在はあり得ないというような状況が今、特に農のこの問題で深刻な状況になっている我が国の中において、石破大臣ともよく連携を取りながら、とにかくいい成果を上げるまではもしWTO交渉に臨んだらもう帰ってこないという覚悟ぐらいでしっかりとやっていただきたいというふうに思っておりますので、その辺はよろしくお願いを申し上げたいと思います。  次に、実は来年度予算編成の時期にもう入っているわけであります。残念ながら二次補正予算がいまだ出されず、来年の通常国会早期に召集してそこで出していくということでありますけれども中小企業の問題を含めて今の日本のこの金融経済危機から見れば、やはり予算編成というのは極めて私は重要な、来年度、特にものになってくるだろうと。二次補正そして二〇〇九年度の本予算とこれ連続的に、ばらばらではなくてしっかりと連続性の中で予算編成をしていかなければいけない、それは当然のことであります。そういう中で、二次補正を早く出してほしいということは当然のことでありますが、それ以上に、この厳しい日本の今の現状を見れば、来年度の予算編成というのはまたそれに勝るとも劣らない非常に重要な予算編成になってくると思うんです。  その中で、実は自由民主党としても、あるいは与党政府一体となった中で政府予算編成の基本的な方針というものがここに来て大きく転換されたのかなと。新聞報道等によれば、いわゆる骨太の二〇〇六年のあの小泉改革の一番の原点であったものがここに来て大きく否定をされる。あるいは転換、修正というんでしょうか、極めて大きな私は転換期が来たのかなというふうに見ておるわけであります。  特に、財政再建問題、これについては政府与党、大きくこの件については私はかじを切ったんだろうなというふうに見ているわけであります。この財政再建、これについて、その重要閣僚の一人としての二階大臣、この問題について、政府は別枠を設けてやるということと同時に、堅持から維持とかいう、こう何か非常に言葉の使い方によって目くらましのような感じを私はいたすんですけれども財政再建というものを放棄したのかどうか、端的にお答えを願いたいと思います。
  9. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 議員が言わんとするところ、いわゆる財政規律維持ということに対して極めて重要であるというお考えであろうと思いますが、私どももその考えには変わってはおりません。経済財政運営構造改革に関する基本方針二〇〇六では、二〇一一年度までに国、地方基礎的財政収支、いわゆるプライマリーバランスを黒字化するという目標が掲げられております。我々はその旗を降ろすことなく、財政規律維持を図りながら歳出改革に取り組むことを継続し、あわせて、持続可能な社会保障制度とともに安定財源確保することが必要であると、その工夫が必要だと。  その中には、歳出削減ということも思い切ってやらなくてはならない、公務員の改革もやらなくてはならない、たくさんの課題がありますが、そうしたことを乗り越えながら、現下のこの難しい情勢日本だけではございませんが、確かにピンチに追い込まれていることは事実であります。これをどう打開していくかということに対して懸命な対応をしてまいりたいと思っておりますが、今議員が御指摘になりましたように、私は、二次補正予算と同時に来年度の本予算、同時に税制改革、さらに、今行っております中小企業に対する金融並びに中堅企業、大企業に対する金融ということも念頭に入れて、これらのことを連立方程式のように解いていくことが今政治に与えられた重大な責任だと思っております。  維持ないし堅持ということでございますが、これはいかようにお取りいただいても結構でございますが、維持しながら堅持すると、こういうことでございますから、そう神経質になる必要はないのではないか、このように思っております。
  10. 増子輝彦

    増子輝彦君 大臣、しかし現実的に来年度の予算編成方針の中でいくと、本当にこれでプライマリーバランス黒字化になるんでしょうか。いや、ならなかったからそれはそれだという結果も当然あるんでしょうけれども、しかしどんな言葉のレトリックを使っても、私はこれだけ財政規律が外されていけばちょっと難しいんではないかと。  今、財源確保の問題もということに言及されましたけれども、本当に大丈夫かなと。もしそれが堅持から維持へとか維持から堅持とか、いろいろな言葉は使いながらも、もしこれで結果責任としてどういうふうになるのかといっても、そのときまで麻生政権が続くとは到底思えませんし、場合によっては私ども政権になったときに当然その後始末、負の遺産もしなければならないんだろうなというふうに今から私ども心構えをしておかなければいけないんだろうなというふうに思っているわけであります。  いずれにしても、私はまさに今回のこのシーリングについての堅持から維持へ変えたということについて、極めて自民党としては財政再建よりもばらまきによって今の経済を立て直すんだということにかじを切ったことは間違いないと思うんです。そういう中で、しからば、とかく私ども政策については財源財源財源ということを今日まで言われてこられましたけれども、今のずっと政府与党の動きを見ますと、やはりこの財源問題については明確なものがないというふうに私ども判断せざるを得ません。  大臣先ほどお話をされたとおり、財源確保、これはどういう形の中で財源確保をされていくんでしょうか。例えば、定額給付金緊急雇用対策、あるいは麻生総理がさきの金融緊急サミットの中で出されたIMF融資、そして基礎年金国庫負担金すら大きくこれ今何か変わろうとしているわけでありますが、あるいは地方交付税とか交付税とか、麻生総理も分かっているの、分かっていないの分かりませんけれども首相枠のような一兆円的なものもあります。これらのものの財源確保はどこでされるおつもりなのか。これ財務省の問題ではなくて、大臣としてこの件について麻生内閣重要閣僚のお一人として、財源確保ということについてはやっぱり責任があるし、今後の予算編成の中で経済産業省予算確保もしなければいけませんね。  そういうものを含めて、一体財源確保というのはどういう形でおやりになるのか、率直にお聞かせいただきたい。
  11. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 財源確保ということは十分念頭に入れながら対応していかなくてはならないわけでありますが、一方、財政規律ということを唱えておるだけで政治になるかというと、今のこの現状において、どなたも、例えば選挙区にお帰りになっていろんな皆さん要望等を聞いた場合、今は財政規律を守らなきゃ駄目だからそういう要請には一切こたえられないと、これでは政治家としてのお答えにはならぬのではないかと。  それからすると、我々もやはり、ここで財政規律堅持というその旗は降ろさない。同時に、この状況の中、このピンチをどう打開していくかということに対して、全力を尽くして努力していくこと。  そのためには、財政当局にもいろいろと厳しいことをお願いし、今対応を図っていただいておりますが、国際競争力の強化とか、この際、私どもは、こういうピンチのときであってさえも国富の増大、日本国がどうこれから発展していくかという点に思いを致さなくてはなりませんし、とりわけ、経済産業省というところの最も大事な仕事は、日本経済を立て直して発展する方向皆さんに奮起をいただくというレールづくり、これがやっぱり一番大事だと思っておりますので、我々は、そういう難しい障害の前にただ立ち止まっておる、立ちはだかって、そこに何というか、思案しているだけではなくて、ここを中央突破していくあらゆる方策を考え、チャレンジをしていきたいと、このように考えておりますので、一層の御協力をお願いするものであります。
  12. 増子輝彦

    増子輝彦君 大臣のおっしゃっていることはよく分かるんです。私も同感なんです。  しからば、もっと正直に、旗は降ろさないけれどもということではなくて、降ろすべき旗は降ろして新たな旗を掲げて、国民皆さんに正直に、我が国の今の経済金融を、雇用考えたらやっぱりこれでは駄目だからこういうふうに転換をしなければいけないと言うことが、私はこれが政治責任だと思うんです。  ですから、今大臣がおっしゃっていることを私も十分理解はできます。しかし、それならば、それらの財源を、先ほど申し上げたんです、今の大臣のおっしゃっていることはもう従来からよく理解をして承知をいたしております。  問題は、今私がお聞きしたことは、一兆円のことでございますけれども、この財源大臣、率直に、財源埋蔵金というものでやるということが今マスコミの活字の中で、報道の中で言葉が躍っておりますよね。  例えば、先ほど申し上げました定額給付金二兆円、これは埋蔵金と言われていますよね。それから基礎年金国庫負担、四月からやることの二・三兆円、これも埋蔵金活用ということで舛添厚生労働大臣は申し入れましたよね。IMFへの融資資金、これも埋蔵金というふうに言われておりますよね。緊急雇用対策十兆円、これもそのように聞いております。合わせただけでも、これはもう二十五兆円を超えるんですね。  つい最近まで、政府与党は、埋蔵金なんかありはしない、そんなものは存在しないと言ってきたんだと思うんです。ところが、ここに来て、背に腹は代えられない、今この国の危機的状況を救うためにはもうなりふり構わず何でもやることが大事だと、しかし一方では、旗だけは降ろさないと。そうではなくて、私は、正直に国民に国の現状を訴えながら、協力していただくことはしていただく、耐えていただくことは耐えていただく、その上で明るい展望と夢と希望とを持てる生活や様々な社会がつくれるんだと言うことが私は必要なんだと思うんです。  ですから、もう大臣のおっしゃっていることはよく理解して承知をいたしております。是非大臣、端的にお答え願いたいんです、時間もありませんので。埋蔵金という存在がこれ認められて、それを財源の一部として活用していくんだということの理解でよろしいんですね。
  13. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 私どもは、現下のこの情勢は、よく百年に一回の大豪雨だというふうな表現をされる方もおりますが、いずれにしましても、かつて経験したことのないような重大な局面に立っておると思います。  ですから、我々はここで財政規律を守るというその旗だけ立てて、雨が降ろうが国民がずぶぬれになろうが、みんなが失業しようが何ら対策を打つことができないというふうなことは政治としてその道は取らないと。できることはあらゆる政策を総動員して対応する、こういうことでございますから、今埋蔵金の議論をしておるだけではなくて、もっと我々は前に物事を進めて、与野党一体となってこの国民皆さんピンチを救うと、こういうことに政治全力を傾けるべきだというふうに思っております。
  14. 増子輝彦

    増子輝彦君 大臣、よく分かっているんです。何度も申し上げるとおり、よく大臣のおっしゃっていることも理解できるし、承知もしているんです。  先ほど大臣お話の中で財源確保ということを強調されました。ですから、財源がなければ、旗印を掲げて、しかしこの現下の厳しい状況を乗り越えなければいけない、あらゆる手段、手だてをつくってやるんだと、まさにそのとおりなんです。ですから、何度もお聞きします。財源をどこに確保していくのか。その財源の一部として埋蔵金というものを今までは否定はしていたけれどもお認めになって、それを活用するということになったということでよろしいんですね。端的に是非お答えください。
  15. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) あらゆる政策内閣責任においてこれを実行して今の国民の窮状を救う、その前面に立つ、こういうことでございますから、御理解をいただきたいと思います。
  16. 増子輝彦

    増子輝彦君 大臣、申し訳ありません。私、頭が悪いのかどうか分かりませんが、私がお尋ねしていることに対してのお答えにはなっていないんです。大臣のおっしゃること、よく分かるんです。大臣の苦しい胸のうちもよく分かるんです。そこの財源確保というところを、やっぱり大事なところなんだと思うんですよ。お互い埋蔵金というものを認めたら、胸のつかえが取れて、それであらゆる手だてを使って国が一体となって、与野党なく個々に邁進をしていくということが必要なんだと思うんです。  何度も大臣にお聞きしているんですが、そこのとこだけはどうしても外されてお答えになっているので、大変しつこいようでございますが、昔からお世話になっている大臣にもう一度だけ甘えさせていただいてお尋ねいたしますので。財源についての確保、それは埋蔵金も認めになられて、それを一部活用するということでよろしいですか。
  17. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 埋蔵金存在についてよく新聞とか雑誌で拝見をするんですが、我々は埋蔵金などというものを見たことはありません。したがって、今埋蔵金を認めろと、こういうことでありますが、私は見たこともないようなものをすぐ認めるわけにもまいりません。  いつか、増子先生民主党のキャビネットを担当されるということをお聞きしたときに、一度じっくりといろいろな問題について広範に話し合いたいと思っておりましたが、先ほどからいろんな御意見を伺いながら、埋蔵金の問題も含めて大変ウイングを広げて民主党対応してくれようとしているということだけは分かりましたから、これを基にしてまた話合いの場を持ち続けていきたいと、このように思っております。
  18. 増子輝彦

    増子輝彦君 大臣の苦しい胸のうちと同時にエールをありがとうございます。  時間がありませんので、実は一番大事な中小企業の問題、お聞きしたかったんですが、これは藤末、鈴木両委員にお譲りをしたいと思います。  ただ、大臣、やっぱり本当に厳しいんですよ。今日のニュース、やっぱりトヨタも車の生産をもう大幅に減らし、工場も閉めていく。あるいは、あのソニーでもパナソニックでも、そういうみんな大きいところもそうなんです。非正規社員だけではなくて正規社員まで首を切らなければならない。それ以上に中小企業は大変なんですよ。私のところにもいっぱいいろんな中小企業皆さんからどんどんどんどん様々な問題が寄せられております。  私どもも今日、実は大田区の方に中小企業の視察に行ってまいります。来週は福島あるいは愛知県、積極的に民主党として経済産業の部門の責任者として議員皆さんと一緒に生の声を聴いて、その現状をしっかりと受け止めて、その上で、ここの委員会は、いつも申し上げるんですが、与野党の垣根を乗り越えて一緒に経済産業政策、とりわけ中小企業の問題について取り組んでいかなければいけないという立場に立っております。  是非そういう点を含めて、やはりこの国の大きなビジョン、基本方針あるいは制度設計をつくりながら、いかに中小企業を守り、雇用を守り、地方を守り、いくということが極めて大事な視点だと思っておりますので、是非それはもう一緒にやれることはやっていくと。  場合によっては、今与党も大分いろいろ揺れ動いているようでございますから、またいつかの機会に一緒になれるかなと。共に自民党を出て一緒になり、また分かれてしまったということも含めながら、この国のためにはもう党派を乗り越えて様々なことを含めてやっていかなければならないと思っておりますので、是非大臣、実力者大臣として、本当に苦労されてだれよりも国民の心をよく御存じの二階大臣にはこの経済産業責任者として大いに頑張っていただきたいと思いますので、私の御要望を申し上げて、時間が参りましたので質問を終わらさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
  19. 藤末健三

    ○藤末健三君 本日は、二階大臣におかれましては、このような機会を与えていただきまして、ありがとうございます。  私は、今の景気の問題につきまして、短期的な観点、そして長期的な観点、二つの観点からお話をさせていただきたいと思います。  まず、私が今感じますのは、先ほども増子次の経済産業大臣からお話がございましたが、先週実は名古屋に行ってきましていろんな方にお会いしたんですが、もう本当に壊滅という言葉がふさわしいような状況でございまして、単純な計算だけで派遣の方々の削減、もう五社だけで一万人を超す。実際に、正社員の方もワークシェアリングで週休三日制という方がおられました、もう既に、仕事がないと。実際に、自動車業界の方にお話をお聞きしますと、先月の自動車国内販売は約三割落ち、恐らくそれがもう完全に続くであろうということをおっしゃっていました、上がることはないだろうと。そういう状況の中で、やはり雇用も悪化していまして、私、インターネットカフェというところに伺いましたけれども、そこには職業がなくて泊まるところもない方があふれていて、もう完全に喫茶店ではなくて宿泊施設になっている、そういう状況でございます。  この中で私は、本当に大臣にお願いしたいのは、長期的な視野からまず考えていただきたいということをお願いしたいと思います。どういうことかと申しますと、今、百年に一度と言われているこの不景気、恐らく今までの政策では僕は対応はできないというふうに考えています。実際に私は、日本はアメリカの経済を追いかけながら動いているなという感じがしていまして、例えばアメリカはもう完全に経済システムが変わってしまったなと思うデータが幾つかありますが、一つに、例えば十二月五日に発表されましたアメリカの雇用統計を見ますと、十一月の非農業部門の雇用は前月比で五十三万人減っていると。この三か月だけで全部合わせると百三十万人雇用が失われているという状況。そして、消費も、十月には二・八%減ということで消費が落ちていると、完全に。この状況はどういうことかというと、前の一九七四年の石油ショックを超えているというんですね、完全に、データ的に。そして、住宅着工件数もずっとマイナスでございまして、七十九万戸になってしまったということ、これもまた最低、一九五九年以来最低という。  そして、もう一つ大事なことは、十月の消費者物価指数が一%減になったんですね、デフレに入っちゃったんですよ。ですから、本当に景気が悪くなる中でデフレが起きますと、スタグフレーションです、これは。それが本当にただのスタグフレーション不景気というふうに言っていいかどうかということが、やっぱり考えなきゃいけないんではないかと思っています。  ここにバルチック海運指数というのがありまして、これは国際金融市場でコンテナの輸送をするときに信用供給がどうなっているか、あれはコンテナ輸送するときに決済やりますんで、そのときに信用供給します。それがどうなっているかというデータを見ますと、何とゼロに近い。信用供給が止まり始めているという。ですから、例えば中国とか、インドはまだ景気はいいんだという話はありますけれども、実際の話は、港にコンテナが積み重なっているという状況になっているということでございます。  そういう中で、新しく私は今までのようにこの信用保証も必要であろうし様々なものが必要だと思うんですけれども、根本的に違う発想で政策を検討しなきゃいけないんではないかと思います。先ほど埋蔵金という話がございましたが、私はもう埋蔵金であろうと使うべきであろうし、そしてまた、これは大事な話なんですが、日本銀行以外に貨幣を造る機能を持っている組織がありまして、日本政府なんですよ。ですから、法的には日銀券だけじゃなくて日本政府券はできます、今。今、コインは財務省が造り、そして紙幣は日銀が造るという役割分担をしているだけであって、法改正なくして政府は紙幣を刷ることができる。ですから、政府が本当に紙幣を刷って資金供給量を増やすという、一般的な経済学の教科書でいうともう狂っているかもしれませんけれども、そこまで考えた検討をやる時期に来ているんではないかと思っています。  なぜならば、先ほど財政健全化を維持するというふうに大臣はおっしゃっていましたけれども、はっきり言って今でも財政健全化は維持されていません。小泉総理がやったこの五年ちょっとの期間に財政赤字は五百兆円から八百兆円に増えているんですね。そして、この財政赤字が増えたために何が起きたか。金利が上げれなくなったんですよ。金利を上げちゃいますと、政府の利息支払が急激に増える。金利も上げれません。一方で、赤字があるから財政出動もできません。金融政策である金利いじれなくなり、そして財政政策いじれなくなりましたと。その中で我々が何をできるかという。ということを根本的に、前提として、もう百年に一度というのは本当だと思いますんで、少なくとも経済学の教科書に載っていることじゃもう間に合わない、当然ながら今までの政策じゃ間に合わないと思います。かつ、我々は両手両足縛られています。金融政策はできません、低金利で。そして、財政赤字が大きくて財政出動もできません。じゃ何をするんですかということを私は是非とも経済産業省考えていただきたい。  ちょうど経済産業省には経済産業研究所というのがございます。私が今調べてみますと、相当、十数億ぐらいの予算をもってなされていますんで、もうつまらない研究は一切やめて、新しい経済のテキストを書くぐらいの研究を僕はやっていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。もうやると一言だけ答えていただくとうれしいです。
  20. 松永和夫

    政府参考人松永和夫君) お答え申し上げます。  藤末先生から御指摘ございました独立行政法人経済産業研究所、通称RIETIと申しておりますけれども国際競争力維持するためのイノベーション開発の研究等、基礎的、学術的な調査研究を行っております。最近の例を申し上げますと、新経済成長戦略の中でも非常に重要なウエートを占めておりますけれども、サービス産業を始めといたしました産業の生産性向上に向けてそれに必要となる理論的な裏付けとしての研究を行っておりまして、それを適宜経済産業省では政策に生かすと、こういう形を行っております。  御指摘のとおり、今後とも現在の経済有事に当たりまして、経済産業研究所の活用を是非当省といたしましても積極的に喚起をいたしまして、その成果をどんどん政策に取り込んでいきたいというふうに考えております。
  21. 藤末健三

    ○藤末健三君 いや、二階大臣に是非お願いしたいんですよ。本当に今までの教科書を書き換えるぐらいの経済産業政策を打たなきゃ駄目な時期です、絶対これは、間違いなく。ですから、せっかく研究機関がありますので、既存の政策の何かいろんな論理立てするんではなくて、もう経済学の教科書を書き換えるぐらいのことを考えなければ何もできないですよ、これ。それだけは是非お願いしたいと思います。  何が問題かと申しますと、やっぱり一番大きな僕は問題は、デフレという傾向に入ったことと、もう一つあるのは、実際に修正すると二〇〇八年八月から、この八月から我が国貿易赤字国になったというデータがあるんですね。  どういうことかというと、車と電機にずっと支えられて経済成長してきましたと。経済成長の六割が輸出だったというデータもございますけれど、それがもう陰りが見えまして、自動車と電機がどんどんどんどん失速する。自動車、電機が失速すれば当然下請も失速する、そして雇用はどんどんどんどん失われる。  私は今、まだ統計が出ていません、見付からなかったんですけど、直感的な感じでいくと、雇用が失われている大きなウエートは、自動車と電機が私は弱っているからだと思います。この状態がずっと失速が続けば、本当にこれは我が国産業、というか、産業どころか食っていけなくなるんじゃないかという。食料とエネルギーを外国から仕入れ、そして暮らしている我が国じゃないですか。貿易立国です、今でも、私が思うに。その貿易立国たる日本の基盤さえも大きく揺らいでいるのが今の現状じゃないかと思います。  今朝の新聞を見ますと、自動車減税で総額二千億円、三年間でハイブリッド車、電気自動車などを導入するということを決めておられますけれど、恐らくそれでは規模が全く足りないと思うんですね、はっきり申し上げて。  どういうことかと申しますと、今オバマという次の大統領が言っている話にグリーン・ニューディールという、緑の公共事業というのがございます。これは民主党から、次、日本版グリーン・ニューディールを出しますのでお互いに競い合えばいいと思うんですけれど、それは何をやるかといいますと、十年間でたしか十五兆円使いましょう、そして雇用は五百万人生み出すという計画なんですね。ですから、まさしくそのような抜本的に雇用を生み出すようなことをやらなきゃいけないんじゃないかということを考えます。  私が思っているのは、自動車と電機がやっぱり非常に重要だと思っていますので、例えば自動車でしたら、ハイブリッドそして電気自動車ということを新聞に書いていますが、ほかにガス自動車とかいろいろございます、環境に優しいものは。ハイブリッドカーは電池が量産まだできないので余り造れないらしいんですよ。工場が増設できないとおっしゃっていました。ですから、今あるガス自動車とかもっと低燃費のディーゼルエンジンとか、いろんなものを組み合わせて自動車のグリーン化、省エネ化を進めるべきだと思います。  実際に計算しますと、自動車を一台多く売ると雇用が〇・五人増えるんですよ、単純計算でいきますと。ですから、車が百万台販売台数が上積みされますと五十万人の雇用が生まれる。ですから、この自動車重量税の減税のみならず、例えば一台当たり五十万円ぐらいの補助金を出す、政府から。百万台出すとすると、単純計算で百万台で、五十万円補助金出しますよといったら五千億円ですよ。五千億円で、単純計算すると五十万人の雇用が生まれるということになりますので、私は、余りほかの政策を批判したくはないですけれど、二兆円のお金を一般の方々にもらっていただくよりも、明確に雇用を生む、産業を支えるという観点からお金を使っていただければと思います。  そういうことでございまして、是非とも大臣にお聞きしたいんですが、省エネとか再生可能エネルギーを導入することにより環境に対応するとともに、新たな雇用を生み出すということを是非分析していただきたいんですけど、いかがでございますか。お願いします。
  22. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 経済産業行政に大変お詳しい藤末議員からのるる御説明がございましたが、基本的には全くそのとおりだと思っております。  そこで、今仰せのように、再生可能エネルギー、そして環境問題、雇用問題を一緒に合わせて合わせ技で考えていく、私はこれは大賛成であります。  今、第二次補正予算、それから来年度予算、それから税制改革、さらに私ども今取り組んでおります緊急の金融対策、これらの四つの大きなテーマの一つ一つを分析しながら、我々は雇用対策ということに対しての条件を付けるように一々交渉をいたしておるところであります。  先ほどの自動車の減税でも、一台十万円ぐらいの減税を実行するとすれば、ある程度の自動車の販売が期待できる。では、販売が期待できるなら何人の雇用確保できるかと、これがこれを採択するかどうかの一番の決め手だということを私は業界にも、あるいは党の方にも、またあらゆるこの決定に携わっている人たちにもお願いをしておりますが、ほぼ、今度のこの税制の中で生み出してくる新しい雇用というのは約一万人ぐらいです。一万人ぐらいというのは、今から雇用の場を離れなければならないような人たちの数を考えますと、対策としては弱いなという感じは、もう議員が御指摘になるまでもなく、我々もそう考えております。  そこで、中小企業を始めいろんな企業で、資金さえ提供されれば新たに業務を拡大することができるそういう業種というものもあるわけでありますから、そういうところにも積極的に対応していきたい。  例えば、物つくりで立派な成績を上げておる現在の会社を年に三百ずつ選んで、ようやく今九百社並んでおりますが、いずれも足腰のしっかりした、国際的にも活躍をしておられるような企業がたくさんあります。この間も委員長にもお出ましをいただいたようでございますが、私ども経済産業省の中でも、それらの企業に対して順番に一階のフロアを活用して展示をいたしております。先生方にも是非あの周辺をお通りのときにはちょっと足を止めていただければ有り難いと思っておりますが。  これらの企業の中で、つまり低利の長期の融資をしてくれるならばこういうことをやりたいと思っておられる企業もたくさんあるはずでありますから、我々は、地方の出先の経済産業局等も活用しまして、総動員でこれらに対して何ができるかということを対応したいと思いますし、融資の面でも今中小企業皆さん融資の便宜を図るべく一生懸命取り組んでおるところでありますが、融資決定の際は雇用の面も十分配慮してもらいたい、融資をもらって首切ったということのないようにしてもらいたい、そういう御協力を、これは政府の金で融資をするわけですから、我々はそれぐらいのことをお願いすることは当然の義務だと思っておりますが、そういうことも思い付くものはどんどんやっておりますから、どうぞ藤末議員からも新しいいろんな御提案どうぞお寄せをいただければ有り難いと思います。民主党のみならず、各党からも御意見をちょうだいできれば有り難いと思っております。
  23. 藤末健三

    ○藤末健三君 本当に多くの御努力をありがとうございます。  私は、やはり特に環境というもの、エネルギーということを申し上げていますのは、データを見ますと、この不況期でもエネルギー・環境分野は伸びているんです、実は。一番成長している分野になっていますんで、この分野においてやはり雇用産業をつくるということも一つありますし、もう一つございますのは、今は石油価格などはもう落ちていますけれど、必ずこれは上昇に転じると思います。IEAという国際エネルギー機関のデータを見ると、枯渇する、枯渇というかまた再び上昇するだろうと書いてあるんですよ。ですから、エネルギー安全保障という観点からも、是非この新しい環境・エネルギー分野の産業を、雇用の面、産業の面、そしてエネルギー環境、安全の面、そして環境という面から組み込んでいくということを分析していただければと思いますので、また、我々もやりますが、お互いにやるべきじゃないかというふうに考えます。  続きまして、私が金融庁にちょっと一つお話ししたいことがございまして、今、新興市場、株式市場がほとんどもう死に体になっていて、今企業は株式市場からは資金を導入できないし、また、社債、コマーシャルペーパーももう出せない。お金がどこから調達するかというと、銀行から借りて、大企業でさえも銀行から借りるしかないという状況になっています。  特に、一番私が心配しているのは、マザーズとかジャスダックとか新興市場は鳴り物入りで生まれたわけでございますけれども、今ほとんど信用供給機能を失い、逆に信用供給機能を失うだけではなく、J—SOXと言われます不要な、僕からすると不要な情報開示義務を負わされて、情報開示はやらなきゃいけない、資金は来ない、じゃ何なんだという話になっているのが今の現状でございます。  ですから、金融庁、ちょっとお聞きしたいのは、まず一つがよく聞くのが金融の情報開示ルールがどんどんどんどん変わると。会計の前に突然変わって、会計基準が変わって、当初予定とは全然違う決算になりましたと、それで株価が急落するとか、実際に聞いております。  そして、株価が今落ちている中で一つ是非検討いただきたいのは、なぜ株価が落ちているかというのをちょっと細かく見ますと、ここ三か月は外国人の株式の売り、売りの超過が大体月当たり一兆円を超えるぐらいで動いています。どんどんどんどん外国の資本が日本の株式市場から逃げていると。ただ、一方で何が起きているかというと、九月以降を見ると、日本人の個人の株の売買、実はプラスです。九月は二千億円、十月は一兆円、十一月はまだ統計閉じていませんけれども、もう五千億円ぐらいになっているという状況でございまして、今こそ日本人の持っている資産を株式市場に入れる誘導策を取って株価を上げ、株価が上がれば信用はできますから、そのできた信用でまた企業に資金を提供する。政府の資金提供だけじゃもたないです。株価を上げることによって信用をつくり、企業企業の生きる血である資金を提供できることになると思いますが、その点、金融庁はいかがでしょうか。お願いいたします。短くお願いします。
  24. 岳野万里夫

    政府参考人岳野万里夫君) ただいま藤末先生から大変多岐にわたる、論点にわたる御質問をいただきまして、短くということでございますので、大変恐縮でございますが、十分お答えできないかもしれませんけれども、申し上げます。    〔委員長退席、理事増子輝彦君着席〕  新興市場が現在不振に陥っているという認識は私どもも同様でございます。また、九月、特にリーマン・ブラザーズの破綻以降の国際的な金融資本市場の混乱の中で、これまで新興市場だけではなくて、東証の一部も含めて我が国の株式市場の主要な買手でございました外国人投資家が完全に売手側に回っておりまして、そうした中で国内の投資家が、先生がおっしゃいましたように個人投資家あるいは年金資金といったところが買手になっておりますけれども、全体として外国人投資家の売却圧力が強く、株価が低迷しているというのも先生の御指摘のとおりでございます。  私どもといたしましては、先生のおっしゃられましたように、株式市場は新興市場に限らず企業の資金調達にとって極めて重要なところでございますし、我が国経済の発展のためにも我が国の市場の競争力を強化して日本企業が株式市場を通じたファイナンスができるようにしていく必要があるということでございます。  そのためには、昨年末に金融庁として取りまとめ、政府一体として推進するとしております金融・資本市場競争力強化プラン、こういったものを着実に推進するということ、あわせまして、この九月以降の市場の大混乱に対しましては、例えば自社株買いに関する規制の緩和、あるいは自社株買いをするに当たってインサイダー規制が障害になっているといったような御指摘に対してどのようなやり方で自社株買いを円滑にしていくか、あるいは短期的な株価の急落に対しましては空売り規制を導入して市場の安定を保つといったような取組をいたしまして、短期それから中期、長期、あらゆる手段を講じて市場の活性化に努力していきたいと思っております。  短いですけれども、以上でございます。
  25. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非、私のお願いは、もう規制はやめてほしいです、はっきり言って。逆に、個人の投資家がお金を注入しやすくしてください、一点です。促進だけお願いさせていただきたいと思います。  続きまして、ちょっと短期的な話に移らさせていただきます。  今、先ほど長期的に大きく経済の構造は変わったんじゃないかという話を申し上げましたが、短期的に見て、その波で、今年の例えば上場倒産件数を見ますと、十一月時点で累計三十件に達したと。これは、年ベースでいきますと戦後で最多ということが東京商工リサーチの統計で出ております。この傾向はどんどんどんどん続くんではないかと思っておりまして、まず一つお聞きしたいのは、今の追加景気対策の話でございますけれども、緊急保証枠六兆円がございますが、これが今の調子で保証枠を提供した場合、いつぐらいに枠がゼロになるかということをちょっと簡単に教えていただけませんでしょうか。お願いいたします。
  26. 長谷川榮一

    政府参考人長谷川榮一君) お答え申し上げます。  緊急保証制度でございますけれども、十月三十一日に開始をいたしまして、昨日まで約六万七千件、一兆六千億円の承諾実績となっております。第一次補正予算ということで六兆円の枠ということを許されております。年末に向けましてこの六兆円をフルに活用して十分対応できると考えております。  ただ、年が明けまして、年度末に向けましてはやはり中小企業皆さんの資金需要が高まっていくというふうに思われますので、年明け以降、保証枠を二十兆円に拡大することを決めました生活対策というものを速やかに実施して、年度末以降も含めまして資金需要にしっかり対応していきたいというふうに思っております。
  27. 藤末健三

    ○藤末健三君 余り明確には答えていただいていませんが、早くやっていただくようにお願いさせていただきたいと思います。  私、先ほど、この間のこの委員会でも申し上げましたけれども、保証枠とともに税制のやっぱり措置が必要じゃないかというふうに考えております。一つは、私これは個人の持論でございますけれども中小企業基本法の中小企業とそして税法上の中小企業の定義が違うという状況でございまして、私は一つ、製造業については税法上の中小企業の定義を資本金一億円未満から三億円未満にすべきじゃないかと思いますし、また中小企業の交際費の損金算入が今九割ということがございますので、そして上限がたしか四百万円でございますが、そういう上限をなくすべきじゃないかという話。そして、我々民主党からも法案を出していますが、オーナー課税、個人の所得と法人の税金が一緒になって計算されているというようなもの、そういう、ある意味、私から言わせるとゆがんだような制度を直すべきではないかと思っております。  そして、もう一つ御提案申し上げたいのは、倒産の問題でございます。  実際に私がお会いした方で、会社を閉めたいけれども閉めることができないという人が実際におられます。どういう状況かと申しますと、先日、参考人質疑で蜘蛛の糸という、経営者の方々が本当に倒産をしたときに自殺とかなされないように防ぐNPOの方のお話をお聞きしましたが、やはりこの倒産の話をお聞きしますと、例えば破産するにしても弁護士費用とかを入れると二百万円、あと民事再生にしても、例えば税務署に納める予納金が二百万円という形でございまして、全部で四百万円以上は掛かるという状況でございます。ですから、このような、会社を閉めるときの手続について政府がある程度支援をするということも考えられると思うんですが、その点いかがでございましょうか。よろしくお願いします。
  28. 谷合正明

    大臣政務官谷合正明君) 藤末委員の方から、まずは法人税法の定義についての質問と、また中小企業の交際費の損金算入についての御指摘がございましたので、その点について簡潔にお答えさせていただきます。  中小企業基本法におきましては、業種ごと、資本金の額、従業員の数により、その中小企業の範囲を決めておるところでございます。他方、法人税法における中小企業の定義は資本金一億円以下と、御案内のとおりでございますが、これは課税の公平性、また執行の簡便性といった税法独自の観点から定めているものと理解しております。  さらに、中小企業の交際費の損金算入についてでございますが、現在、中小・小規模企業につきましては四百万円までの交際費支出の九割分の損金算入が認められているところでありますが、これを拡大せよというお話でございますが、この点につきましては、無駄な支出の抑制という損金算入制限措置の趣旨と交際費の販売促進手段としての位置付けのバランスを踏まえて検討を行う必要があると思っております。
  29. 三ッ矢憲生

    大臣政務官三ッ矢憲生君) 税法上の中小企業の定義等についての御質問がありましたので、お答え申し上げたいと思います。  なかなか悩ましい問題でございまして、中小企業基本法に合わせるということになりますと、これ、御承知のとおり、今は税法上は一億円で切っておりますが、五千万円で切られている部分もありまして、基本法の方では、ここのところの調整が必要になってくると。それから、三億円ということになりますと、逆に中小企業基本法の枠を超えて対象になる中小企業を増やしてしまうと、こういうことになるものですから、非常に難しい、悩ましい問題だというふうに思っております。  税法上の観点からは、先ほど谷合務官の方からもお答えをいただきましたけれども、やっぱり分かりやすさですとか簡便性ですとかあるいは公平性と、こういった点を考慮する必要がございますし、どこかで線引きしないといけないわけでございまして一億円ということになっておるわけですが、今はこの一億円が実は九八・八%カバーされておりまして、そういった点も踏まえますと、なかなかこの問題は慎重な検討が必要じゃないかなというふうに考えておるところでございます。  それから、交際費のお話につきましては、これは税制上、経費として全部容認しろと、こういう話になりますと、実は交際費課税というのは、これは不要不急の支出を助長する面もあるということで、それを抑えたいということもありますので、現下の厳しい財政事情も踏まえますと、これは更なる見直しということについては慎重に検討せざるを得ないのかなというふうに思っておる次第でございます。
  30. 藤末健三

    ○藤末健三君 オーナー課税の廃止と、そして交際費の件は、昔はこれはもう完全にクリアに、別に変な調整はやっていない、これは法人税の別表四というやつに書いてあるんですよ。ですから、どんどん過去の経緯で、もういろんな細かい調整をしてちょっとゆがんでいます、はっきり言って。理屈が通らないです、法人税と個人の所得をごちゃ混ぜにして課税しているというのは。そういうおかしいものは直していただきたいということを是非ちょっと三ッ矢政務官には検討いただきたいと思います。  最後に、これはもうお願いでございますが、緊急保証制度につきましてもちょっとお願いがございまして、今段階的に例えば対象業種を拡大されていますけれども、あれを早くもうすべてにしてください、九百業種ぐらいに、というのがまず一つございます。  それと、もう一つございますのは、緊急保証制度の中に、責任共有制度の適用がない保証というのが一部できていないところがあるんですよ、ちょっと調べていただきたいんですけれども。それを、責任共有制度の一時凍結を明確にやっていただきたいということ。  そして、もう一つあるのが、新規の審査。聞いてみますと、大体二か月掛かるというんですよ。ですから、十一月に申請して、そして結果が来るのが年を越してしまう。それじゃ間に合いませんよという声が来ていますので、是非とも審査の短縮、今もうえらい込んでいて大変らしいですけれども、それでも何とか短縮して、中小企業の方々の資金需要に速急にこたえるように対応をお願いしたいと思います。よろしいでしょうか。  以上をもちまして質問を終わらせていただきます。
  31. 増子輝彦

    ○理事(増子輝彦君) 答弁いいですか。
  32. 藤末健三

    ○藤末健三君 結構です。是非、二階大臣、お願いします。  以上でございます。
  33. 鈴木陽悦

    ○鈴木陽悦君 会派の締めくくりの質問をさせていただきます。私、いつも地方を中心にお話しさせていただきまして、二階大臣とは無所属時代以来久々の質問ということで、どうぞよろしくお願いいたしたいと思います。  さて、金融危機によります景気悪化で、大企業を始め下請企業、特に中小の倒産が増えておりまして非常に先が懸念されるわけでありますが、そして地方の中小零細、まさに明日をも知れない非常に厳しい状況に置かれております。今も藤末議員からお話出ましたが、おとといも参考人から意見を伺いました。私の地元、秋田から自殺予防に成果を上げているNPO法人の理事長にお越しいただきまして生々しい現状の貴重な意見を伺ったんでございますが、ちょっとその中で、金融危機地方への影響がこれから強く出てくることが心配である、国には当面のセーフティーネットはもちろん、将来不安を取り除く対策を確実に示してほしい、これがひいては自殺予防につながる、このようにおっしゃっております。  私は、企業活動とともに経済成長を図って雇用の安定に結び付ける経済産業省の役割、殊更これをアピールしていかなきゃいけないんじゃないかと思っております。金融危機対応するためには、中小そして地方企業を守っていかに雇用確保するか、ここに汗を流していく必要があると思っております。今の情勢を踏まえた大臣地方活性化、地域活性化に向けたお気持ちをお聞かせいただきたい。  とりわけ、大臣地方に対する思いというのは、私もいろいろな委員会の中でお話しさせていただいて、強いというのはよく分かっております。さりとて、百年に一度と言われますこの大恐慌、今般のこの金融危機、厳しさが予測できない状況から、正直、企業活動、相当守りに入っていくんではないかなと思っておりました。しかし、先ほど藤末議員もちょっと一部紹介しましたけれども企業努力もありまして、先月の二十日付けの電気新聞、次のような記事が載っておりまして、太陽電池事業は携帯電話や電子部品といった主力事業が不振な中で好調を継続している、二〇〇八年度も増収増益を維持する見通しで、金融危機に際しても堅調に増産してきた、稼働スケジュールに問題はないといった経営陣の声が多く聞かれているということなんですね。  新エネルギーについてはまた別の機会で質問させていただきたいと思いますが、二階大臣は、かつて経済産業大臣時代に、元気なモノ作り企業三百社、さっきもお話しされていました。それから、まちづくり商店街七十七選、様々な形で、政策の実践で、形でお示しになりました。現在も省の中で元気な企業を展示されているということでございますが、そうした意味で非常に地域の元気についてはよく理解されております。そうした経験を基に、今、電気新聞の事例を出しましたが、最悪の景気悪化の中にあっても好調さを維持している、あるいは逆手に取ってチャンスに結び付けている事例なんかを是非地方皆さんにその活力のために提供していく、こんな部分も是非大臣のかつての経験を踏まえてやってみてはいかがか。それも地方活性化のお気持ちと併せて伺いたいと思いますが、御所見、聞かせてください。
  34. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 今委員御指摘のとおり、やっぱり中小企業であっても大企業であっても、経営者及びそのスタッフの皆さん、また従業員の皆さんが団結してしっかり頑張ろうというやる気が一番大事だと思います。そういう意味で、私も今度の日曜日に三百社の中の二、三社を訪問して、そうした企業が将来飛躍し、今の従業員の数等を少しでも増やすことができるようなことをするために何が大事か、そして経済産業省が何かお手伝いをさせていただくことはないのかどうかということを直接見てみたいと思っております。  私が今一つ考えているのは、冷凍食品、つまり急速冷凍する機械を作っている中小企業であります。三百選の中にも入っておりますし、また、中小企業と一般の水産業その他との連携事業の中にも推奨されておる企業でありますが、こうしたものをもっと思い切って推進することによって、ある意味では、これ私どもの直接の管轄ではありませんが、水産の大革命にもなるわけでございますし、一方これは農業にも使えるわけです。今までは農業とか中小企業といいますと、何かみんなで支えて応援をしなきゃいけない、そういう企業であるかのごとくみんながそういうふうな認識を持っておられたことが多いわけでありますが、私はこれからはこの中小企業農業日本の成長産業だと思っております。このいずれも、置き換えれば、今、鈴木先生が御指摘のように地方という言葉と同意義語でもあるわけですね、ある意味で。    〔理事増子輝彦君退席、委員長着席〕  ですから、私はこの地方活性化のためには是非とも中小企業農業の振興を図っていくということが大事だと思いますが、今御指摘のようなことで、成功事例、元気で頑張っている模範的な事例がたくさんあるわけでありますから、これらを御指摘のようなことでパンフレットにでもまとめて皆さんに御覧をいただく。私は、例の元気な中小企業モノ作りの三百選は、パンフレットにまとめたところに良かったと思うんです。一つの企業だけでこれだといっても、興味のない人はそれは余り興味を示さない。そして、これをだんだんと要請によって英語版、中国語版などを作ってみましたが、これらはもう大変関心を持って相手国が見ておるわけであります。  そこらとも新しい、中小企業が国を越えて海外との、進出していくチャンスもそこでつくれるわけですから、私は、今諸外国がいろんなことでお見えになる場合に、みんなだれに来てもらいたいかというと、中小企業に来てもらいたいとおっしゃるんですね。日本の大企業に来てもらってもそれをすぐまねるわけにはいかない、しかし中小企業なら我々もまねることができる、そして私たちの国の企業といろいろ協力し合えることもあるではないかというふうな御提案もあるくらいで、私はそういう面で、先ほど藤末議員の御質問の中にもありましたが、今までの感覚だけで物事を処理するんではなくて、この大変な危機を契機に、これをチャンスととらえて積極的に打って出る経済産業行政、幅広くとらえていきたい、そしてチャレンジをしていきたいと、このように思っております。
  35. 鈴木陽悦

    ○鈴木陽悦君 力強いお言葉をありがとうございました。  ということで、大臣の口から農業と商工業の話出ましたので、私は今日は、地方のチャンスということで農商工連携、この進展状況を踏まえて質問をさせていただきたいと思います。  法案審議は今年の五月でございまして、七月の法施行後これまで事業計画で八十六件、連携支援事業計画で四件、合わせて九十件が今日までに認定されているということなんですね。この法律というのは疲弊した地方再生の一つの起爆剤でありまして、二十一世紀に日本を代表する産業に位置付けられる、こういう姿ではないかと大いに期待を寄せております。かつてなかった経産省と農水省、この連携は大きな目玉でもあります。それだけに、その連携言葉に含まれた意味合い、非常に大きなものがありまして、連携に結び付ける難しさ、これもいろいろ指摘させていただきました。要するに、農と商工の両方の目線が必要で、この部分のマッチングこそが成功のかぎにぎっているわけなんですね。  法案審議に先立って、成功事例八十八選、これも公表されまして、いろんな取組と可能性が紹介されました。それで、八十八選見ますと、例えば三重県の紀北町の場合ですが、昭和六十二年から水産品を活用した地域ブランドづくり、ギョルメ、これをつくってきた。ですから、スタート時点見ると昭和六十二年。ほかにも平成の八年とか平成十五年。桃栗三年柿八年じゃありませんが、短いスパンのものもありますが、やっぱり八年以上とかかなり長期にわたっているものもありました。  ですから、いろんな意味で農商工、皆さん努力しているんだなということは分かるんですが、ところが、そんな中で、この方針を見ますと、法律の基本方針というのが実は原則五年とされているんですね。五年で五百件の事業を見込んでいるとしているんですが、五年で区切るよりももっと長い期間、この目標年次をもっと事例によっていろんな形で、短期もあるし、五年もあるし、八年、十年、こういった目線で持っていく必要もあるんではないかと。私、いろんな事例を見ましてそういう疑問を持ったんですが、この辺の考え現状を踏まえた形で是非お聞きしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  36. 桑山信也

    政府参考人桑山信也君) お答え申し上げます。  今、鈴木委員御指摘のとおりでございます。農商工連携、地域にとりまして、特に農業、林業あるいは漁業を主要な産業といたしますような地域にとりまして新しい事業や付加価値を起こしていく大変重要な事業だと、それについては大変な御苦労もあるし、いろんな新しいアイデア、新しい販路の開拓、様々な努力が必要、あるいはそれに対する支援も必要だというのはもう御指摘のとおりでございます。  今も御指摘いただきましたように、さきの通常国会で農商工等連携促進法お認めいただきまして、今施行に入っているわけでございますけれども、その基本方針の中に三年から五年という言葉が入っているのは事実でございます。  これは、特に法律に基づきます事業計画になりますと、低利融資ですとか保証、それから投資減税の対象にするというような財政的な支援を伴うものにつきましては、ある程度最初の時期に集中的に、五年ぐらいで投下をしてより効果を高めようという考え方でできておるわけでございます。  ただ、一方、それ以外の、例えば技術開発の支援ですとか、あるいはITを活用した取組への御支援、あるいは人材育成、あるいは輸出促進といったような様々なソフト面の支援も含めた支援策につきましては、この計画の期間とは直接連動しておりませんで、幅広く支援をしてまいりたいというふうに考えております。  いずれにしましても、法律自身にも、五年を経過した後、施行状況を見て必要な検討をしなさいという附則もいただいておりますので、今後の施行状況をよく見まして必要な効果的な支援ができますように、不断の検討をしてまいりたいと思っております。
  37. 鈴木陽悦

    ○鈴木陽悦君 まさにこの農商工連携は地域の資源を最大限生かした新たな技術的な価値を付け加えていくという、地域イノベーションとも言えるものだと思いますので、そうした柔軟な対応は是非ともしていただきたい。新連携それから地域資源活用法、こちらは五年で一千件という目標、この農商工連携は五年で五百件、数が半分でございますから、それだけ非常に内容の濃いものを是非とも成功事例として仕上げていかなきゃいけない、そんな思いを抱いておりますので、是非ともお願いしたいと思います。  それから、この連携には二つのスキームがありまして、一つは中小企業者と農林漁業者の連携でそれぞれの経営資源を活用して事業計画とする、二つ目は公益法人又はNPO法人が連携事業者に対して指導、助言などの支援を行う、こうした計画を立てるというもので、先ほども申しましたが、認定が九十件。このうち、中小企業者と農林漁業者が共同作成した事業計画が八十六件、公益法人、NPO法人が作成した支援事業計画の方が四件、かなりの差があるんですね。初年度の予算は合わせて二百三億円、両者を合わせて二百三億円、決して多い予算ではありませんけれども、アイデアと工夫を凝らして効果を上げるのは公益法人、NPO法人のこの支援事業計画、ここの部分だと思うんですが、これがふた開けたら意外と伸びていない。この結果どう分析されているのか。いろんな支援が用意されているわけですが、私は公益法人、NPO法人に対しての支援策、つまり中小企業信用保険法の特例のみでは足りないような、ほかの支援策等を講ずるべきではないかと思うんですが、何か検討されているんであれば、現状を踏まえたデータと一緒にお示しいただきたいと思います。
  38. 長谷川榮一

    政府参考人長谷川榮一君) お答え申し上げます。  今御指摘ございましたように、農商工連携促進法の中で位置付けられておりますその支援を行います公益法人とNPO法人、こういった方々がより広い視野で農業の方、あるいは林業の方、水産業の方、それから商工業の方、こういうことをお手伝いするのは大変重要だと思っております。  お話がございましたように、現在まで認定というところまで至った件数は四件でございます。これは一つには、先ほどお話がございましたように、農商工連携という産業間の連携の実態というのは実は以前からいろいろと各地で工夫をされていたものがあって、それを今般この法律案をまさに与野党で一致で決めていただきまして、大きく国策としてそこにプライオリティーといいますか重要性を増すということがあったと思います。  それに対しまして、今お話がございました支援NPO、公益法人、こういったような方々は、掘り起こしといいますか、そういうことが重要なんだということの位置付けを、国としてのメッセージを出したというのが比較的歴史がまだ新しいというようなことも実は背景にあるというふうに思っております。その意味では、逆に伸びる余地が非常に大きい分野だと思っておりますので、支援の事業者の掘り起こしにつきましても私ども、農水省あるいは本省、地方局、連携をいたしまして、懸命に取り組んでまいるつもりでございます。  その支援につきましては、今信用保険のお話がございましたけれども、同時に認定支援事業を行う場合の例えば市場調査費用あるいは専門家の派遣費用、こういったものにつきましても、補助率三分の二ということで、もちろん上限値はございますけれども、補助金をお使いいただけるということで予算も用意してございますので、こういったことを使って、この支援事業者の成功例も広く普及していきたいというふうに思っております。
  39. 鈴木陽悦

    ○鈴木陽悦君 まだこれから伸びる余地があると、要素があるという話でございましたけれども、やっぱりこの公益法人とNPOのところが多分大きなみそになると思いますので、このみそ部分をどんどん育てていきたいなという気持ちを持っております。やはりいろんな形で是非PRも、まだまだ細部にまで浸透していない部分もあると思いますので、これは是非ともいろんな形で浸透させていってほしい。  中小企業基盤整備機構の地方支部に設置された地域活性化事務局、これ全国十か所ですよね、三百十六か所の地域連携拠点、四十九か所の食料産業クラスター協議会、さらにはハンズオン支援事務局、様々な窓口が設置されておりますが、今PRの話をしましたが、この利用状況というのはどうなのかなというところをちょっと聞きたい。  それから、各機関の専門家は十分確保されているのか。心臓部はやっぱりコーディネートをする連携拠点等に配置された専門家の目線だと思います。オーバーな言い方をすると、この専門家の皆さんの目線、それから情熱なければなかなか成功にはおぼつかないと思うんですよね。成功事例の幾つかを取材しても、要因に必ず情熱を持ったキーマンの存在というのが挙げられると思いますね。  かつて甘利大臣経済産業大臣時代の御答弁では、きめ細かなサポートができるようにコーディネーターの増員を図る、こんな計画もあるとおっしゃっておりました。また、専門家の育成も視野に入れた制度設計、これも必要だというふうにいろいろとありましたけれども、スタートからもうすぐ半年になりますけれども、その点の展開というのは今後どうしていくのか、その辺を併せてお聞かせください。
  40. 長谷川榮一

    政府参考人長谷川榮一君) お答え申し上げます。  お話にございましたように、今地域力連携拠点、これは農商工連携のみならず、中小企業皆さんのいろいろな事業をサポートするという広い目的を持っておりますけれども、三百十六か所全国にございまして、そこに特に目利きに優れたというふうに私ども申し上げられるような方を応援コーディネーターということで八百三十名現在活動をしていただいております。  この三百十六か所の地域力連携拠点でございますけれども、これまで約四千件の経営相談、全体の中でまず七万件等々ございますけれども、特にその中で地域資源あるいは農商工連携、それぞれ四千件、両方合わせますと八千件超えるんですけれども、こういったような経営相談をいただいて、一緒に悩み、汗をかかせていただいております。  先ほどお話がございました農商工連携の認定事業計画、この支援を引きました八十六件のうち約四割は地域力連携拠点が発掘をしたと。私ども決してこの水準に満足したわけではございませんけれども、重点を置いてやらせていただいております。  さらに、この事業の大変緊要性、重要性、こういったことを踏まえまして、この度、補正予算、これは与党のみならず広く御支持いただきましたこの補正予算活用させていただきまして、専門家約二十名を追加を配置いたしまして、その結果、約百七十名の専門家、専門家の中には様々なバックグラウンドがございまして、例えば流通部門、小売に近い食品スーパー、百貨店での食品部門のこの道一筋の方、さらには食品メーカーの段階の方、また農林漁業金融公庫、今はもう組織の名前は変わっておりますけれども、そこの食品関係の金融の御担当の方、さらには旅行代理店の商品開発のOBの方、こういった幅広い方々に入っていただきました。  また、先ほどの御答弁で申し上げるべきであったかもしれませんけれども、実物、地域の魅力があるものがやはり購買層に直に見えるということ大変重要だと思っておりまして、この意味で、自治体のいろいろ御協力をいただきました。例えば、現在企画しているものといたしましては、新年になりますけれども、東京都庁の御協力をいただきまして、あの新宿の都庁のスペースの近くで、全国から幅広く各地の、これは必ずしも認定を得たものだけじゃないのですけれども、地域の魅力を購買層に知ってもらい、そしてまたそこに作った方、売っている方もお越しいただいて、購買者がどういうような反応をするかということも含めて、実際のそういったキャンペーンというものを幅広く始めるつもりでおります。
  41. 鈴木陽悦

    ○鈴木陽悦君 今のお話で、相談件数が数千件というので、やや安心したというと変ですけれども、ああ結構多いんだなと。最初のころなんてたしか相談件数三百五十件ぐらい、当初それしかないというので、随分増えたなという形で、今それを、データを聞いてちょっとほっとしましたが。  それから、もう一つ気になるのが地域性なんですね。これまでの認定というのは、取りあえずうまくばらけていると言うと変ですが、最初の認定ですのでバランスも考慮されているのかなと私勘ぐっておりますけれども、今後、元気のある地域がどんどん認定されて、反面、力を失っている地域というのはなかなか手が上がってこない、そういったケースも非常に懸念されるんじゃないかと思うんですが、いろんな審査をする中で、こうした地域性、特徴、傾向、どんなことを見られるのか、ちょっと教えていただければ。簡単で結構です。
  42. 桑山信也

    政府参考人桑山信也君) お答え申し上げます。  今先生からの御指摘のとおりでございまして、この九十件は比較的、例えば北海道は八件頑張っておられますとか、あるいは九州全体、特に南の方の熊本、宮崎、鹿児島辺りが大変元気でございますが、それでも十七件、東北全体で十一件と、若干のばらつきはございますが、九十件というのはまだ都道府県の数の二倍にすぎませんので、これで県別の数を余り云々してもまだ意味がないかと思いますが、地域バランスを考えて何かバランスを取ったということは決してございませんで、我々は五年間で五百件以上ということでございまして、先ほどの話にもございましたように、決して五百件で甘んじるつもりもございませんから、できるだけたくさんのいい事例を掘り起こしたいと思って一生懸命やっておりますので、そういう結果が今、比較的、九十件は各県ばらけた状態で出ております。  ただ、それぞれの支援機関の取組ですとか、実際の県の取組も含めましてなかなか一様というわけにはまいりません。我々まだまだ努力が足りないかと思いますけれども、引き続きそういう支援の取組につきまして支援機関と共々、あるいは農水省とも一緒になりまして、やや取組の遅れているようなところがございましたら、一生懸命やってまいりたいと思っております。
  43. 鈴木陽悦

    ○鈴木陽悦君 なぜ地域の偏りを聞いたかといいますと、中小企業応援ファンドありますね、この動きからなんですね。ちょっと御紹介しますと、岐阜、徳島、高知、岩手、富山、鳥取、長崎、宮崎、これが第一号と第二号案件として挙がっているんですが、これだけ見ても北は岩手だけ。要するに、完全に西高東低というか、もうほとんど西が多いということなんですね。スタート・アップ応援型、チャレンジ企業応援型、それぞれファンドのスキーム違うんですけれども、やはり力のある地域にスピード感が備わっていること、このファンド、まあ一概に言えませんけれども、ちょっとこれ見ると出てきているんじゃないかなと思います。  そこで、地域バランスといいますか、今一部お答えいただきましたけれども、地域に対しての対応というのは今後これからどうしていかなきゃいけないのか。去年十二月、去年の今月がちょうど地方再生モデルプロジェクト、これは有効求人倍率の低い八道県を対象に後押しした例がございますよね。こうしたなかなか元気が生み出せない地域の後押しにこの連携の力、それこそ農商工連携の力の見せどころではないかと思うんですが、この後押しの対策というのはどうなのか、この辺をちょっと聞かせてください。
  44. 桑山信也

    政府参考人桑山信也君) お答え申し上げます。  今御指摘いただきました地域の中小企業応援ファンドにつきましては、第一次のスタートの、第一陣が今もおっしゃっていただいた八県でございますけれども、今次々と北の方の県も含めましていろんな御相談が参っておりますので、来年度早々から活動していただけるようにバランスを取りながら考えていきたいと思っております。  そういうことも含めまして、やはり農林関係の、農協を含めました支援機関、それから商工会、商工会議所、自治体といった関係の機関が一堂に会しまして、我々地域ブロックごとに農商工連携ブロック協議会というものをつくっております。こういうところでよく関係機関の連携を取りまして支援をしていきたいと思っておりますし、今長官の御答弁にもありましたような地域力連携拠点あるいは中小企業基盤機構の地域活性化事務局といったようなところ等も活用いたしまして、この農商工連携はある意味では全国津々浦々、特に農林漁業を主力産業としているようなところのある意味では共通の課題だと思っておりますので、そういうところ、ばらつきがなるべく出ませんように力を入れてまいりたいと思っております。
  45. 鈴木陽悦

    ○鈴木陽悦君 さっきも言いましたが、これは地域イノベーション、地域おこし、それから地域貢献、様々な形で地域と結び付いた長期的なこの展望、それからキーマンを育てていく、強いリーダーを育てたり、それから地域内の協力、いろんな大きな要素が絡んでくると思いますので、是非ともこの後押しが一番大事だと思います。  最後になりましたけれども大臣に伺いたいと思います。  地方の元気を生み出すためには、短期も大事ですが、中期、長期、こうした展望も必要である、海外展開にまで広げていくためには改めてそのプラン・ドゥー・チェック・アクション、いろんな形でチェックをしながら次の展開へ持っていくことも必要だと思いますが、スタートしたばかり、間もなく半年迎えますが、大変今が重要なタイミングだと思うんですよ。最後に大臣のこの農商工連携に懸ける意気込み、是非ともお聞かせいただければと思います。
  46. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 先生方の御議論を伺っておりますと、農商工連携という言葉が大変多く出てまいるわけでございますが、まさに国民皆さんの間にもだんだんこれが浸透しつつある。  そこで、成功事例をもっともっとピックアップして皆さんに御覧をいただく。それから、地方によっても、力がある地方においても攻めの農政とか、そういう感覚といいますか意識の中で農商工連携をずっと語っておられる方々が多いんですが、これはもう実践をしなきゃ何にも意味がないわけでありますから、私ども経済産業省の中においても、先般からも、中国の上海でのそういう大きな催しがある、それじゃそこのブースを借りてジェトロと一緒になって、日本の農林省にも加わってもらって、中国にも加わってもらってまさに農商工連携の国際版をひとつやってみようということで先般やらせていただいたんですが、これは関係者の声を聞いておりますと大成功に終わったと、あんなことならばもっともっと広げてもらいたいと。それは何も別に上海でやるだけではなくて、今御指摘にあったような県とかそれぞれ熱意のある地域へ持っていって、今度はオリンピックと言わなくても国体でもいいんですよね、国民体育大会、そういうものを持ち回りでずっとやっておるわけですから、私たちももっと積極的に呼びかけて、今がチャンスだということを皆さんにも呼びかけながらやっていきたい。何でもやっぱりやってみることが大事なんです。  ロボット産業なんかも、我々はこれを支援したいと思っておりますが、地方の地域でもロボットコンテストなんかをやり始めますと全国から集まってくるんですね。夜遅くテレビなんかぱっとひねったらロボットコンテストをよくやっていますよね。ああいうことによって今だんだんと大きな広がりを見せておるわけです。あれとまた農業と一緒に何か考えることがあっても不思議ではないんです。  先般、東京で東京発日本ファッション・ウイークというのをやらせていただいて、ファッションショーを中心にして繊維産業の発展等を考えてやっているわけですが、私は、それだけではなくて何か別のこととくっつけたらどうだと言ったら、早くやれるものということで、その当時はハイブリッドのそれぞれの自動車を各社一台ずつ出してもらって玄関に展示をいたしました。そして、それに布を掛けるとかいろいろやることによって、玄関の、全く、ホテルの表でございますが、無償で当然貸してくれますし、人はそこに集まってきてくれるわけですから両方がいいわけです。  私は同じことを来年やっちゃ駄目よと。なぜか。役所というのは、ほうっておくと同じことを三年でも五年でもやる可能性はありますからね。ですから私は、この次は農業をやったらどうだ、農産物を展示したらどうだ、それとファッションショーと一緒にやったって何にもおかしくないんだと、そんなことを話しているんですが、どうぞ先生方からもいろんな御提案をいただければ我々は忠実にそれを実行していきたいと、こんなように思っております。よろしくお願いします。
  47. 鈴木陽悦

    ○鈴木陽悦君 ありがとうございました。終わります。
  48. 丸川珠代

    ○丸川珠代君 参議院東京選出の丸川珠代でございます。  今日は、こちらにいらっしゃる皆様方と是非認識を新たにしたいという思いでマルチ商法についてお話を伺いたいと思っております。というのも、このところ、政治家マルチ商法とのかかわりに注目が集まっております。十月の十六日に、民主党の元所属議員マルチ商法の業者から一千三百万円を超える献金などを受け取って業界を擁護する国会質問を繰り返していたという問題で民主党を離党したというのは記憶に新しいところでございますけれども、それ以降も数々の政治家マルチ商法業者のかかわりというものが報じられております。  十二月十日発売のこちらの月刊誌にも、マルチ商法業界からの民主党の所属議員民主党そのものへの不透明な金の流れというものが取り上げられております。この中の記事にもありますとおり、我が自由民主党のマルチ疑惑追及プロジェクトチームでは、民主党マルチ商法を応援する健全なネットワークビジネスを育てる議員連盟に所属していた党幹部ら六人が講演料やパーティー券購入、また個人献金などの形でマルチ商法業者から総額四千万円を超える金額を受け取っていたというところまで調査が進んでおります。  これらの献金を受け取った議員の中にはあちこちでマルチ商法を礼賛するような発言を繰り返しておられる方がいらっしゃいます。民主党の山岡国会対策委員長マルチ商法の勧誘セミナーで、マルチ商法日本経済を救う奇跡であるかのようなことをおっしゃっておられます。けれども、そんなすばらしい奇跡のようなビジネスで、しかも国会対策委員長や党の副代表まで一緒になって議連をおつくりになっていますけれども、今のところ、当の民主党経済対策の中でマルチ商法の推進という項目は見たことがありません。私は、マルチ商法の被害者の方のお話を伺うにつけ、政治家がもろ手を挙げて礼賛するようなものだろうかという疑問を持たずにはおられません。  自民党が立ち上げたマルチ商法の被害者を救う議連というものには、政治家がそういう勧誘セミナーであるとかあるいは講演会に参加していたことによって、話を信用し、多額の投資をして被害を拡大してしまったという被害者からの声も寄せられております。一体政治家マルチ商法とどのように付き合うのが望ましいのかということを伺いたいと思います。  まず、マルチ商法の被害というのがどういうものかという点からその姿を見ていきたいと思うんですが、マルチ商法についての全国の消費生活センターと国民生活センターに寄せられる相談、苦情というのは毎年二万件を超えております。ちなみに、御参考までに、昨年度の振り込め詐欺の認知件数が一万七千九百三十件ということですから、大体その広がりというのがどういうものか御想像いただけるかと思います。  では、世に言うマルチ商法というのは一体どういうものなんでしょうか。  御承知のとおり、マルチ商法という言葉は今ある法律のどこを探しても書いてはありません。マルチ商法を規制するために規定されているのが特定商取引法の連鎖販売取引ですが、この連鎖販売取引は禁止されているわけではありません。これについては後ほどお伺いいたしますけれども、どうもマルチ商法という言葉そのものは連鎖販売取引よりももっと広い意味でとらえられているような節があります。  そこで、一般的に消費者がマルチ商法によるものというふうにとらえているような犯罪事案にはどういうものがあるかを教えていただけますでしょうか。
  49. 井上美昭

    政府参考人井上美昭君) お答えをいたします。  狭義では、マルチ商法とは特定商取引に関する法律において定義されている連鎖販売取引を意味するものと理解をしております。連鎖販売取引自体は禁止されているものではなく、同法に規定されております行為規制に対する違反が認められる場合に取締りの対象となるというところでございます。警察では、平成十五年から平成十九年までの過去五年間に三事件十名を検挙をしまして、被害者約千三百人、被害総額約五億八千万となっております。本年においても、連鎖販売取引業者による特定商取引法違反及び詐欺事件で一事件七名を検挙し、被害者約五千六百人、被害総額約三十二億四千万となっておるところでございます。  そのほかに、これに類似したものとして二つの形態があると思います。いわゆるマルチ方式による資産形成事犯というのがございまして、これは商品の販売、再販売や投資の提供を伴わず架空の事業投資名下に金銭を募るいわゆる利殖商法において、出資会員の募集方法として、会員が会員を勧誘することで紹介を受けることができるマルチ商法に酷似をした方法でございます。平成十七年から十九年までの過去三年間でマルチ方式の資産形成事犯は七事件七十名を検挙しておりまして、被害者総数は約二万六千五百人、総被害額約八百五億九千万となっておるところでございます。  最後に、会員が会員を増やすシステムを用いる無限連鎖講、いわゆるネズミ講というのがございます。これは金銭配当だけを目的とした組織でありまして、組織を開設、運営するだけでなく、加入すること自体が無限連鎖講の防止に関する法律で禁止をされておるところでございます。平成十七年から十九年までの過去三年間で無限連鎖講事件は四事件二十八人を検挙をしておりまして、参加人員は約九千人、出捐金約二十八億九千万となっておるところでございます。  以上でございます。
  50. 丸川珠代

    ○丸川珠代君 今ちょっと数字を聞いて驚いたんですが、昨年度の消費生活センターなどへの苦情や相談というのが、これはマルチ、マルチまがい商法を合わせて二万四千二百七十一件なんですね。今、一方で伺った昨年度の連鎖販売取引、マルチ方式の資産形成、それから無限連鎖講、つまりネズミ講の事案、それぞれ合わせても検挙人員が五十八人ということになりますでしょうか。  相談件数から考えると、もっと多くの事件でもっと多くの人数が検挙されていてもおかしくはないのかなというふうに想像するのですが、この数字の乖離というのは一体どういうことなんでしょうか。
  51. 井上美昭

    政府参考人井上美昭君) この種事犯では、一つには、被害者に対してやみ金融事犯のような強迫、威迫的行為は少ないということ。二つ目として、親族や知人、友人等、既存の人間関係を通じて勧誘されることが多く、被害を訴えにくいこと。三つ目として、被害者は契約解除や金銭的被害の回復という民事的側面に主眼を置いていることが多いこと等から、警察への被害申告が少ない要因ではないかと考えておるところでございます。  いずれにしても、警察としては、消費生活の安全を脅かします悪質商法は重要な課題と認識しておるところでございまして、今後とも悪質業者の取締りを推進してまいりたいと、かように考えておるところでございます。
  52. 丸川珠代

    ○丸川珠代君 今のお話から想像しますと、つまり自分の身近な人間関係の中でそういう被害が起きてしまってなかなか言えないと。そういうことを考えると、一般的にマルチ商法と言われているものによる犯罪事案というのは、被害が明らかになりにくい、また、犯罪の広がりを認知するのに時間が掛かると、こういうことではないんでしょうか。
  53. 井上美昭

    政府参考人井上美昭君) お答えをいたします。  一般的に、違法な連鎖販売取引及びマルチ方式による資産形成事件等にありましては、一つには、既存の人間関係を軸に広がっていることから警察に訴えるのをためらう傾向にあるということ、二つ目としまして、投資に対する配当がある間はだまされるという認識がなく、業者が行き詰まり、配当が止まるまで被害が顕在化しないことなどによりまして、警察が事案を認知するまでに相当の期間を要してしまうことが多いものと考えておるところでございます。
  54. 丸川珠代

    ○丸川珠代君 今のお話からすると、身近な人間を巻き込んでしまった、あるいは身近な人間に巻き込まれてしまったがために、被害に気付いたところでやっぱり泣き寝入りをするか、あるいは人間関係を壊してでも告発するかというのは、非常に一人の人間としては難しい選択を迫られてしまうという、そういうマルチ商法の被害の特徴というものが見えてくるような気がいたします。  そういう一般的に言われているマルチ商法というものの被害というのは、大体どういうような被害者であるとか金額の傾向というものがあるんでしょうか。
  55. 井上美昭

    政府参考人井上美昭君) お答えをいたします。  マルチ方式による資産形成事犯及び違法な連鎖販売取引事案におきまして、一つとしまして、主に経済取引に不慣れな人々を対象に元本保証、高配当という非常に有利な利殖話によって巧みに誘引するので、被害者は投資事業の実態を確認する機会もないまま出資をしてしまうのが通常であること。また、二つ目に、既存の人間関係を利用した勧誘もあり、投資話を信用しやすく、あるいは勧誘を断り切れない場合があるということ。三つ目としまして、経済取引に不慣れな人々に対し、新たな参加者を勧誘することで短時間かつ容易に多額の利益が得られるとの不実の内容のセールストークにより会員を増やすことが多いということであります。  要約すれば、勧誘時の元本保証、高配当、新たな会員勧誘による多額の紹介料等、勧誘員の巧妙な話術に乗せられてしまうことが原因というふうに考えられるのではないかと思っております。
  56. 丸川珠代

    ○丸川珠代君 今おっしゃっていただいたのは、いわゆるマルチ商法による事件の主な被害の原因ということになりますでしょうか。
  57. 井上美昭

    政府参考人井上美昭君) お答えします。  確たる統計を取っておるわけではございませんので、そういう事案の報告を受けて若干の分析をしたらそういう傾向があるのではないかと、かように考えておるところでございます。
  58. 丸川珠代

    ○丸川珠代君 今のお話を大体私の理解お話ししますと、つまり、自分の人間関係の中で断り切れないであるとか、あるいはとてつもないもうけ話を信じ込まされてしまうような、何かそういうような文脈の中で被害に追い込まれてしまうというような姿が見えてくるわけですが、もうけ話を信じさせる、あるいは断り切れないように追い込むというような文脈の中でどうも政治家が登場してきているのではないかというふうに理解をしております。  といいますのも、自民党のマルチ商法の被害者を救済する会の議員連盟に寄せられた被害者の声の中には、政治家や元政治家が業者の開催する講演会やホームページなどに登場し、関係者からそれらの人たちが会社を応援しているから大丈夫と言われて、それまでうさんくさいと感じていたんだけれども、その気持ちが変わってしまった、あるいは信じてしまって多額のお金をつぎ込んでしまったというものが幾つもあるんです。  ところが、いろいろとマルチ商法を礼賛している政治家言葉の中に、例えば民主党の山岡国会対策委員長は、あるマルチ商法企業の勧誘セミナーで、全力を挙げて政治の面からバックアップしますということをおっしゃった上で、マルチレベルは褒め言葉、ネットワークビジネス、この後省略しますけれども、いい制度ですよと、ですから、この制度を一人でも多くの人に広めていって皆さんが潤うことが日本が立ち直ることなんですというふうにおっしゃっているんですね。しかも、マルチ商法企業のパーティーでは、これまで日本ではネットワークビジネスが正しく伝えられてきていない、世間の常識を覆してもらいたい、あるいは日本ではマルチが悪いことのように伝わってきた、その誤った意識を打ち破っていかなくてはいけないというふうにおっしゃっています。  少なくとも私の理解では、マルチ商法というものについては罪刑法定主義の下で全面禁止の網を掛けるのが技術的に難しいと。であるから、実質禁止となるように特定商取引法の行為規制で網をかぶせたという制定の経緯があると理解しております。こういう山岡議員の一連の発言は、この経緯に見られる法制定の趣旨、またそれらを執行している政府考え方を打ち破っていかなければいけないと言っているのに等しいのではないでしょうか。  こうして、信じさせることが被害を生んでしまうということ、またマルチ商法の被害の実態とその被害の回復の難しさ、こういうことを踏まえて、これらの発言を大臣はどう受け止められるかをお伺いしたいと思います。
  59. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 昨日の予算委員会等でも同種の質問をちょうだいしましたが、私もそれ以後もそれぞれ御指摘になられたような議員の発言をつぶさに調査しているわけではありませんので、ここでその発言に対しての私のコメントは差し控えておきたいと思いますが、政治家は自ら常に厳しく律することが大事である、これは言うまでもないことであります。  なお、経済産業省としては、特定商取引法の規制に違反する悪質な連鎖販売取引に対して、これまでも業務停止命令などの行政処分を行ってきておりますが、今後ともそうした事案に対しては厳正に対処していく方針であります。
  60. 丸川珠代

    ○丸川珠代君 政治家としては、是非襟をしっかりと正していただきたいという大臣のお言葉がございました。  ところが、残念なことに、この経済産業委員会の中にも果たしてちゃんと襟を正しておられるのだろうかと思われる方がおいででございます。連鎖販売取引の違法行為で行政処分を受けた会社の監査役を処分中もお務めになられていた、現職の国会議員でありながらお務めになられていた。しかも、その議員がこの間、民主党のネクスト経済産業大臣もお務めになられていたということなんですね。この議員は、この会社が、社長が三十年来の友人であったので監査役を引き受けたとおっしゃっていらっしゃいます。そして、この時期に前後して、この会社はメガバンクから関係会社と合わせて九億の融資を受けて、その半分が焦げ付いているということが報じられております。この議員は、監査役会には出席していたけれどもあくまで資産の部分のチェックだったとおっしゃっているんですが、この方はバランスシートの左側だけしか御覧にならなかったのでしょうか。まさか右側を御覧にならなかったのでこの巨額の融資の問題性に気付かなかったとおっしゃるわけではないと思うのですが、長年の友人である社長にこの会社の財務の状況をどのようにアドバイスをされていたのかということは甚だ疑問を抱く点でございます。  しかし、私が申し上げたいのは、過去マルチ商法にかかわった議員の皆様には、是非被害者の救済に手を貸していただきたいということなんです。野田国務大臣マルチ商法にかかわったことが報道されまして、御自身もその点について述べられましたが、今消費者担当大臣として積極的にこのマルチ商法の被害根絶に取り組んでおられるんです。この議員とは、皆さんもう御承知のとおり増子輝彦議員でございますけれども増子議員におかれましては、是非そのマルチ商法に深くかかわった御自身の経験を被害者の救済に生かしていただきたいんです。今、民主党の次の内閣経済産業大臣を続けていらっしゃる、そのお立場で果たせる最大の役割というのは、被害者を救済する、そしてマルチ商法の問題のある部分を根絶していくということに取り組むことではないでしょうか。あわせて、私はすべての、自分の党もほかの党も、すべての国会議員の皆様に、是非マルチ商法に対する認識を深めていただいて、被害者の思いに耳を傾けていただきたいと思います。  このマルチ商法の被害というのが、今具体的に個別の行為規制で規制をされているというふうに大臣からも御説明がございました。しかし、実質的にすべての取引を監視することはとてもできるものではございません。これはもう物理的に不可能なことはよく分かります。  それでは、今被害を防ぐために、これはちょっと二階大臣御自身のお考えを伺いたいんですけれども一体この被害を防ぐために何が重要だとお考えになられますか。
  61. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 経済産業省としては、消費者からの相談内容について日ごろから十分な分析を行っておりますが、これらに対して的確な、しかもスピーディーな対応が必要だと思っております。そして、悪質な連鎖販売取引が明らかとなった場合は、特定商取引法に基づいて厳正に対処していくということは当然のことだと思っております。  こうした取引の実態を把握し、消費者においても、必ずもうかるような都合のいい話はないということをやっぱり御認識をいただくことが大事であって、取引を行うかどうかについては自らも慎重に対応していただくことが重要だと思っております。  政府としては、悪質な取引等についての情報提供や商取引法等の制度の周知広報に引き続き積極的に努めてまいりたいと考えております。
  62. 丸川珠代

    ○丸川珠代君 ありがとうございます。  今もおっしゃっていただきましたけれどもマルチ商法というものに最初に触れたときに、自分が被害者になるかもしれないという意識を消費者がきっちり持った上でその相手の話を聞くことができるかどうか、これがもしかしたらひどい被害に遭うのを防ぐ一番大切な方法だということをおっしゃっていただいたんだと思うんですが、まさにその消費者教育というものが入口で被害を防ぐためには非常に大切なことだと私は考えております。  今、設置法案が提出されている消費者庁の法案が通りますと消費者庁ができるということになるんですが、この中でも消費者教育というものを是非しっかりとやっていただきたいと。あわせて、これは文部科学省の範囲になるわけですけれども、学校の教育の中でも早い段階から消費者教育をしっかりとカリキュラムの中に取り入れていただきたい、これについての後押しを、是非経済産業大臣経済産業省の方からもお願い申し上げたいと思うわけでございます。  さて、今、先ほどのお話の中にもございましたけれども、消費者、マルチ商法の被害に遭う傾向の中に、余り社会的な経験を積んでいないという若者や、あるいは家庭の主婦の中でも余り外に出られていない方の中で被害に遭う傾向があるようなお話もございましたけれども、こうした方々に対してもできる限りアウトリーチを伸ばしていただきたいという思いがございます。  今、野田消費者問題担当大臣の下でチームを組まれているマルチ商法対策チームでは、被害の検討の中で、マルチ商法に対して喚起を促すリーフレットをお作りになっているというような話も伺っておりますが、これについて御説明をお願いできますでしょうか。
  63. 堀田繁

    政府参考人堀田繁君) 今先生の方から消費者教育の重要性とかいろいろ御指摘がございましたけれども、今内閣府の方でもこのマルチの問題についてより実態を把握したいということでチームをつくって勉強させていただいております。  マルチの被害に関しまして、今までの分析の結果によりますと、被害額としては大体十万円から五十万円ぐらいの、既支払額ということでとらえますとそういった金額の被害があるとか、契約の当事者としてはやはり二十歳代の若い人が多いといった傾向が見られるところです。あるいは、男女別に見ますと女性の割合が多いといったことで、傾向が出ておりますので、消費者教育あるいは消費者啓発をやる場合にはこういった人々にターゲットを絞って行っていく必要があるんではないかと思っております。
  64. 丸川珠代

    ○丸川珠代君 こちら、今私の手元にそのチームでお作りになったマルチ商法への注意を促すパンフレットがございます。これはまだできたばかりで、これから学生さんなどに配布をしていくということなんですけれども、こうした啓発というものが本当に被害を未然に防ぐ一番大切なことだと思いますので、是非もう全力で取り組んでいただきたいと、このように考えております。  また、被害の解決に当たっている関係者の方にお話を伺いますと、このマルチ商法の被害というのは一件一件裏付けをして事件として認めていくのに非常に手間暇が掛かると。ところが、手間暇が掛かっても、その一件一件ということで見ていきますと、なかなか、罰則もそれほど重くないし、手間ばっかり掛かって捜査の実績にもなかなかつながらないというようなお話も伺っておりますので、是非その罰則を十分に重くしていくということについても御検討をいただければというふうに考えております。  また、これはマルチ商法の被害者の方から直接聞いたことなんですけれども、実は自分以外にこういう被害に遭っている人がいるなんて知らなかったと、被害者同士の横の連携というのもなかなか取りづらい。先ほど被害が表に出づらいということを申し上げましたけれども、被害者同士が連絡を取り合って、じゃこれでその企業に対して何か言っていこうということを力を合わせるのも非常に難しいということを伺っております。そのためにも、その被害者を束ねて被害の回復に当たるという、そういう機関もどこかに必要ではないのかなというふうに考えております。  こうした点も消費者庁ができましたらお手伝いをしていけるのではないかと思っているんですけれども、消費者行政を一元化する消費者庁の設置法案というのが今審議に入れない状態になっております。昨日も消費者の方たちの集会でも、一刻も早くとにかく審議を始めてほしい、今日、刻一刻被害者というものが生まれているかもしれないのだ、これは国会の不作為になるんじゃないかというようなことまで言われてしまいました。是非、一刻も早く議論に入らせていただきたい、審議時間がないから審議に入らないというのは非常に理解に苦しむことでございますので、一日も早い消費者庁設置法案の審議入りを与野党の皆様に御協力をお願いしたいと思います。  最後に、二階大臣に改めて、このマルチ商法の被害というものを根絶していくんだと、このマルチ商法の被害というのは身近な人間の中で広がっていく、つまりいったん被害が出れば最も身近な大切な人の信頼から失ってしまう可能性があるのだ、つまりはマルチ商法の被害というのは、人間関係を壊し、また、信頼あるいは生きる場所というものを失ってその人自身の崩壊にもつながりかねない、そういう性質のものであるということを改めて御認識いただいた上で、解決、根絶に向けての御決意というものを伺わせてください。
  65. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) こうした被害によって不幸なことに出くわさないように、そうした皆さんを一人でも少なくするために我々は日ごろからこうした問題に対するPR活動等もしっかり行って、こうした問題が社会から根絶できるようにしていかなきゃいけないというふうに思っております。今後とも、新しく誕生する消費者庁ともよく連携を取って我々は対応してまいりたいと思っております。
  66. 丸川珠代

    ○丸川珠代君 ありがとうございました。  改めて、これまでマルチ商法にかかわった国会議員の方、そしてそうでない、被害者に触れた可能性のある方、いろいろな場面で耳にしたことがあるすべての方々にこのマルチ商法の被害撲滅に一緒に取り組んでいただきたい、そういうお願いを申し上げまして、ちょっと早いですけれども、私の質問終えさせていただきます。  ありがとうございました。
  67. 松あきら

    ○松あきら君 公明党の松あきらでございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。  一昨日、九日の火曜日に当委員会におきまして、四人の参考人の皆様にお出ましをいただきまして本当に深刻な中小企業の実態、そして様々種々お話を伺ったところでございます。それを踏まえまして本日は質問をさせていただきたいと思います。  中小企業の資金繰り支援として緊急保証制度、これは一〇〇%保証であります。これに取り組んでおりますが、現在までの利用実績はどうなっているのか。また、今後の見込み、資金の過不足という問題はないのか、まずそれをお伺いしたいと思います。
  68. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) ただいまの緊急保証制度につきましては、公明党の皆さんからも大変熱心な御要請が、毎日のように伺っておりまして、十月三十一日の開始以来、昨日まででおかげさまをもって緊急保証制度六万七千件、一兆六千億以上の承諾実績となっております。多くの中小、小規模企業の方々にこれを御活用いただいておるわけでありますが、年末に向けて更に承諾実績は伸びるものと予想されますが、六兆円の保証枠により十分対応できると考えております。さらに、生活対策により拡大した二十兆円の保証枠で、年度末以降の資金需要にもしっかり対応していく考えであります。  一方、緊急保証制度の審査に際して、財政資金を投入している以上は全くの無審査というわけにもまいりませんが、事業を継続し債務を返済できるかどうかということについて基本的な金融審査は行わなければならないことは当然のことだと思っておりますが、中小企業や小規模企業皆さんのために制度を創設していることを考えれば、事業や経営の実態等をよく見極めて保証判断を行ってまいりたいと思っております。その際は、あくまでも借り手の立場に立って物事を考えるようにしてもらいたい。  国会の審議等でも、金融機関はすぐ雨が降れば傘を取りに来ると、こういう嫌な言葉ですが、こういうことがしばしばこういう委員会の席でも私もお聞かせをいただいたことがございますが、この間、中川金融担当大臣とともに金融機関の代表の皆さんにお集まりをいただいたときに、私の仕事はと、これは金融機関の代表者です、雨が降ったときには傘を貸す仕事でなければならないと、こう言われたんで、大変新鮮な響きをもってこの言葉を私はお聞かせ願ったわけですが、私はやはりこうした問題に対して、社会の要請にこたえていく各金融機関であってもらいたいということを考えております。  そして、度々、我々の方としては少しやり過ぎかなと思うほど、金融機関の代表の皆さんにも東京に集まってもらって、そして報告を受ける。それから、保証協会の対応は毎日、日報のように取っております。三時過ぎにはその日の貸出しが入ってくるようになっております。集計するのに多少時間掛かりますから夕刻まで掛かってしまいますが、毎日の日報が寄せられております。我々はこれを官邸にも届けて、その日その日の状況等をみんなが共有できるようにいたしております。  中小企業金融の貸し渋り一一〇番、あるいは金融相談窓口、全国百五十か所で意見交換会などを行っております。各地の声をお伺いするとともに、金融庁にも寄せられたいろいろな御意見の中で、我々の、経済産業省が受け持たなくてはならないような苦情、御相談もありますから、その分は我々の方に回していただく。我々の受け取った苦情の中にも、金融庁にも考えていただかなきゃいかぬ問題については金融庁に直ちにその日のうちに届けるというふうなことをやりながら、万全の体制を講じているわけでありますが、それのみならず、私ども、政務官の御両者を始め副大臣が二名おりますし、私を含めて五名で全国十か所の出先に直接出向いて、関係者の皆さんにお集まりをいただいて、一緒になって中小企業経営者の目線に立って対応をいたしておるところでございます。  まだ皆さんの方からもいろんな御意見があろうと思いますが、こうした問題については、商工会、商工会議所、こういう皆さんにも御協力を願い、応援要請をしておりますし、市町村、窓口が足りないところはやっぱりシフトをしてもらうということを考えなければ、こんなときに急に人を雇ってこれが終わったからといっておしまいというわけにもまいりませんから、私はその役所の中での窓口の動員についてシフトをしてもらいたい。  そして、私どもの、これは自然発生的に起こってきたことでありますが、今年は十二月の暮れまで、十二月三十日まで、信用保証協会も経済産業省も出先金融機関との窓口になるセクションは全員残ってやろうと、こういう意気込みでございますから、私も、担当者には申し訳ないなという気もないではありませんが、一応十二月の三十日まで安全ネットを張っておるということが、中小企業者の皆さんに心に多少とも安らぎを覚えてもらって、一緒になって新しい年を迎えることができるようにしようと、こういうことでございます。  先ほど、自殺予防などというふうな御意見もありました。我々もそんなことは全く考えないわけではありません。ありませんが、そういうことのないようにするために今全力を尽くしておると、こういう最中でございます。
  69. 松あきら

    ○松あきら君 大変心に感じるほどの、本当に大臣のまさに陣頭指揮を執られているその御答弁、本当にありがとうございます。  私も信用保証協会に、窓口が混雑していると、ですから迅速な審査をお願いしたいというふうに直接申し上げましたら、人員を増やしている等の話はございましたけれども、その中で実は、例えばある経営者が緊急保証制度ができたから申し込んだら、あなたは今までの取引で保証枠を使ってしまったので駄目ですと。保証制度で、ノーマルな債務なんですね、ですから別枠で借りられるというふうに思っていたら、あなたはもうこの保証枠は使えないんですよと、こう言われてしまったとか、あるいは融資が決まった、そして、ああよかったなと思っていたら、今までの借入金がありますのでそれを引いてお渡ししますと、こう言われたとか、えっ、それじゃ金額が半分になっちゃうと。こういうようなことがあったりして、中には合理的な理由があるかもしれないけれど、いろいろ聞いていると理不尽なこともあるんじゃないかなという私は気がいたしておりまして、様々なこういう状況も出てきております。  しかし、中小企業を守るという大臣の力強いお言葉もいただきましたし、実は雨の日に傘を貸さないというのは、私は安倍内閣のときに予算委員会で安倍総理に新聞記事を読んだんです、この傘の話を。雨の日に金融機関は傘を貸さない、とんでもないというメガバンクの話とかいろいろしましたが、そのときに安倍総理が、いや、貸さないどころか貸している傘を取り上げる、こんなとんでもないということで、いまだにこの傘の話が出ていて皆様に取り上げていただいておりますけれども、まさに本当に困っているときにこれがないということは、あるいは前に貸したのをこれの保証制度を使って返してもらうよなんというのは、私はちょっと私どもの思いと違うんではないかなと思いますので、是非これは丁寧な説明やその対応をお願いしたいと思います。御答弁はもう──よろしいですか、お願いします。
  70. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 窓口で我々の意向に十分理解されていないような、そういう対応も全国で一、二あったやに聞いておるわけでございます。しかし、これは日本国中でやっている膨大な数を扱っておられる中で、中にはそういう不心得者もおるかもしれませんが、今現在、私は少なくともこの商工中金の皆さんを含めて、中小企業金融に携わっている方々は今回の趣旨は十分理解しておりますし、先ほど松議員からも御指摘のありましたとおり、一〇〇%保証をやっておるわけです。ですから、私はこの間、金融機関の代表の皆さんに、今度の貸付けは一〇〇%保証をやっているんですからこれは金利にも反映させていただきたいということを、中川大臣もそばに置いてそういう発言をいたしております。十分これから見守っていきたいと思います。  時々いろんな方々の中に、そんなことはなかろうと我々は心の中で叫びたいような話をいっぱい言ってくれる人もおりますが、どうぞ与野党、先生方から具体的にお示しをください。我々はそれに対して直ちに対応できる。少なくとも半日以内に対応できる体制は取ってございますから。  窓口へ行ったって親切でなかったとか、十分貸してもらえなかったとかと言いますが、これは国の財政の資金で活用している、それを活用してやっておるこのシステムでございますから、だれにでも来られた人にみんなはいはいと判こを押すわけにはいきませんよね。これは我々の責任上そういうことはできません。できませんが、今回、先ほども申し上げたように、これは中小企業皆さんのお役に立ちたい、お役に立ってもらいたいと、こういう気持ちでやっておることですから、差引きでせっかく貸してもらったけれどもほとんど手元に残らなかったというふうなことのないように、具体的にいい成果が出るように努力したいと思いますから。  どうぞ先生方も、いろんなところで耳にされると思いますから、何々銀行へ行ったとか、あるいは何々信用保証協会へ出向いた、どうだったというようなことを具体的に資料で、ファクスで送っていただいたら直ちに対応できるような体制をいたしておりますし、我々現にもう全国回ってそういうのを点検してきておるわけですから、一緒になって対応させていただきたい、御協力をお願いしておきたいと思います。
  71. 松あきら

    ○松あきら君 ありがとうございます。  これは本当に重要なことであると思います。何か個別の話を聞いて議員が何か言うといけないようなあれが、風潮がありますけれど、そうじゃなくて、緊急の場合ですし、それぞれ私どもはそういうおかしいという話を聞いたらすぐに役所の方に申し上げて対処してくださるということなんで、やっていただきたいというふうに思います。  ちょっと時間がないので、金融庁に伺おうと思ったんですが、ちょっとこれは御意見だけにさせていただきます。  要するに、日銀が発表した十一月の貸出・資金吸収動向、これによりますと、大企業には集中しているけれども中小企業には資金が回らないという結果が出ているんですね。ですから、私はやっぱりこれは中小企業の方たちにきちんと貸せるように、やっぱり金融機関は公的使命というものを自覚してもらわなきゃいけない。今日は金融機能強化法も今審議をしていて、あしたにはこれきちんと成立するんですから、しっかりとこれをやっていただいて、お金を貸していただきたいと、これだけを申し上げておきます。ごめんなさい、ちょっと時間がなくて。  次に行きたいと思います。雇用の問題であります。  これも、お出ましいただいた参考人の方に、その雇用の問題で切実なお話をいただきました。ちょっと、でも、いい話を一つ。  私、昨日、テレビを見ておりましたら、これは東北のある企業です。今まではプリンターを作っていたと、今現在は多品種少量にして医療機器あるいは電子顕微鏡を作って、何とこの時期であるのに非常に伸びているそうなんです。何で伸びたかというと、こうした多品種少量にして、しかも今までは一社だけに頼っていたけれども、一社だけに頼らないで、縦の関係から、つまり同業他社とのネットワークを広げて横の関係に広げた、そうしましたら非常に業績が伸びていっているそうなんですね。  ですから、こういうすばらしい報告をしていただける企業もあるんだな、中小企業もあるなという私はちょっとうれしい思いでいたんですけれども、そこでもおっしゃっていたことは、人的資源、つまり人は宝でありますと。ですから、人の技術、日本の持っているすばらしい技術を生かす、人を大事にするということを自分たちの会社もやっていますと、こういう話もありました。  そこで、まさに中小企業雇用をしたいけれども、今私どもは、政府与党は新たに雇用を行った企業には助成金の支給を行う支援策も出しておりますけれども企業にとっては雇用を新たにするというよりも、そんなところまで行かない、いかにリストラを減らすか、リストラをしないで済むか、これにもう非常に苦心をしているということなんですね。でも、やっぱりリストラを断行しなきゃならない。今、中小企業は人数少なくて非常に優秀な中小企業が多いわけです。ここなどが非常に苦しんでいる。ですから、本音を言えば、こうした雇用維持して苦しい経営を支えるところには支援をしてほしい、これが本音なんですね。  雇用維持した企業への支援策として雇用調整助成金などがありますけれども、けれども、もっとやっぱり私はここにきちんと対処をしていかなきゃいけないのではないか。これは今後どのような対処をするのか、あるいは考えているのか、厚生労働省にお伺いをしたいと思います。
  72. 大槻勝啓

    政府参考人大槻勝啓君) お答え申し上げます。  現在の景気、雇用情勢の下では、やはり企業で事業活動の縮小を余儀なくされる場合におきましても、できるだけ雇用維持していただくということが望ましいわけですし、そういった取組が重要だと思っております。これに対する政府の支援として、御指摘の雇用調整助成金制度があるわけでございます。これにつきましては、現行制度についてできるだけ使い勝手を良くしまして、特に中小企業の方でこれを積極的に使っていただきたいという気持ちがございます。  この制度につきましては、内容を申し上げますと、経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主の方が、仕事をやらないで休業させる、また、場合によっては教育訓練をすると、そういったことで解雇等を行わずに雇用維持していただく場合に休業手当あるいは賃金の一部を助成するという制度でございます。  これにつきましては、最近における雇用あるいは経済情勢を踏まえまして、先般の安心実現のための緊急総合対策におきまして、従来の雇用調整助成金について、敷居の高いといいますか要件の高いハードルがございました。これにつきましては改めまして、要件を緩和をすると。また、助成率についても大幅に引上げをすると。中小企業の場合は従来三分の二の助成でございましたが、これを五分の四に引き上げるといった内容を含んで、五分の四ですね、という内容を含む制度の改善をいたしまして、これは中小企業向けの雇用調整助成金、名前は中小企業緊急雇用安定助成金というふうに付けておりますけれども、既に十二月一日にこれを実施いたしまして、現在相談等々を受けているところでございます。  また、補足でございますけど、生活対策におきましても、この助成金の支給限度日数を更に引き上げる、また大企業に対する助成につきましても助成率の引上げ要件の緩和を盛り込んでおりますし、また、九日に取りまとめられました「新たな雇用対策について」におきましては、この雇用維持の対象労働者に被保険者期間が六か月未満の労働者も加えることによりまして、雇用期間の短い派遣労働者等々の方もこの対象から漏れることのないように措置をしようということで盛り込んでおるところでございます。  現在、当面この既に実施しております中小企業緊急雇用安定助成金制度等をしっかりと運用をしてまいりたいと考えております。
  73. 松あきら

    ○松あきら君 ありがとうございます。  多分まだ御存じない方がいらっしゃると思いますけれども、しっかりとこうしたことを皆様知っていただいて制度を活用していただきたいというふうに思います。  参考人の皆様は、地域、地方が良くならなければ日本の再生はないとおっしゃっておりました。それと同時に、私は、日本の九九・七%、雇用の七割強の中小企業が良くならなければ日本の再生はないと思っております。そのことを肝に銘じてしっかり決意をして取り組んでいただきたいということを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  74. 松下新平

    ○松下新平君 お疲れさまでございます。改革クラブの松下新平です。最後の質疑者になりますけれども、どうぞお付き合いをよろしくお願いいたします。  百年に一度の金融危機経済不況の中で、本日も各派から質問があり、大臣を含む執行部側からの答弁がありました。改革クラブといたしましても、百年に一度の政策をもってしっかり取り組んでいただきたく要望をいたします。まさに政治の出番、経済産業省の役割でありますので、よろしくお願いいたしたいと思います。  おとといの参考人質疑、私も質疑させていただきましたけれども、特に印象に残っているのが黒字倒産、ついこの間まで順調に推移していた会社が急におかしくなっていくと。これには関連の会社も戸惑うわけでありますけれども、連鎖倒産の割合も多いわけですから、こういった対策も必要でありますし、一人の方は、地域の商店街で地域の祭りとかいろいろ頑張ってこられたと。お店を休んで地域の祭りに参加しているけれども、そういった地域の町内会に加わらない業種のお店がどんどんその間にもうけているという本末転倒の話もございました。  この緊急保証制度、実際のところ複合的にいろいろ御苦労されておりますので、しっかりまたサポートをお願いしたいと思います。今ほどは、大臣も含めて、今年はぎりぎりまで対策を取られるということですので、一緒に頑張っていただきたいと思っております。  さて、残りの時間、私は大変関心を持っておりまして、八月と十二月にモンゴルを訪問をいたしました。十二月は開会中でありましたけれども、お許しをいただきましてモンゴルを訪問したんですけれども日本とモンゴル、そして経済分野においての質問を幾つかさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  この訪問に当たっては、エンフバヤル大統領、そしてバヤル首相ほか主要閣僚皆さんとの会談も持ってまいりました。  モンゴルは、御案内のとおり十三世紀のジンギスハンによるモンゴル帝国建国から八百年、それを経て新生モンゴルは潜在力と未知の可能性を秘めていると、私もこの目で見、そして肌で感じてまいりました。人口は日本の五十分の一、二百六十四万人ほどです。面積はそれに対して日本の四倍ということであります。地政学的にも大変重要な位置を占めておりまして、中国とロシアの二大国に挟まれて長らく両国の支配下にあったいにしえの大帝国でありますけれども社会主義の放棄から十五年余りを経て、今や人口の半分が十八歳以下という若い国に生まれ変わりまして、国際社会での存在感も徐々に表れてきております。  最近では、大相撲、日本も、朝青龍そして白鵬、今モンゴル出身の力士は三十二名にも上るそうなんですけれども、大変身近に感じられまして、八月下旬にはモンゴル巡業も初めて開催されたということでありました。  まず、二階経済産業大臣にお伺いいたします。日本とモンゴルの経済関係の重要性についてどのようにお考えか、よろしくお願いいたします。
  75. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 私は、久々、懐かしい名前といいますか、エンフバヤル・モンゴル大統領のお話を松下議員からお伺いしました。  実は、安倍内閣のころであったと思いますが、大統領閣下が日本を訪問された場合に国会で演説をしていただくというふうなことに相なったわけでございますが、正直に申し上げて、今、松下議員からも御説明のあったとおり、モンゴルの人口、お相撲さんはなるほど多くおられるわけですが、モンゴルの人口からして、日本国会で大統領が演説されるといった場合にいかほどの議員皆さんの御参加をいただけるかどうか、当時、国対委員長として頭の痛いところでございましたが、各党を回りまして御協力をお願いしました結果、何にも案ずることはなくて、超満員の議員皆さんがおいでになって、日本とモンゴルとの間の経済交流等はまだまだ盛んというところまでは行ってはおりませんが、そういう、これからやり方によってはみんなが協力していただけそうだというふうなことを実感で思いました。  当時、このモンゴルの大統領の演説の中で印象深いことは、近くて遠い国だということをやはり率直に印象を語っておられましたが、これは私どもも同じような思いを今持っておると思います。これを近くて近い国にしなければ経済交流も文化交流も進まない。ですから、ここをどうするかというのが大きなポイントであろうと思います。  しかし、大統領が演説をされた中で非常に今でも印象に残るのは、三Kが大事だと。三Kというのは悪い方の三Kではなくて、これは全くすばらしい三Kを主張されました。それは、一つは感謝だと、一つは日本に対する期待も含めた関心だと、この関心を持っておるということ、第三番目は期待だと、その期待を持っておると。我々の国の国民の哲学のようなものを申し上げれば、苦しみは短くそして幸せは長くというのがモンゴルの国民考えですと、こういうことを率直に述べられて、大変な拍手の中に大統領の演説が終わったということがいまだに印象に深いわけでありますが。  モンゴルは資源国として大きな可能性を持っておる国であります。しかし、その可能性が、どれほどの数量が埋蔵されておるのかというようなことに対してはまだ調査は十分ではありません。ですから、これからは、まずは調査を両国協力の下にしっかり取り組んで、そして、我々は日本のためになるということだけではなくて、これがやっぱりモンゴルの国の発展のためになるということをまず第一に考え対応すべきだと思っておりますが、私は、できるだけ早い機会に官民が一緒になったようなミッションを送って、そして調査研究の窓口を開いていくこと、今でも多くの関係者はそうしたことに御尽力をいただいておりますが、これを更に具体的に取り組んでいく。  経済産業省はこれに対して、まさに資源外交を展開していかなきゃいけない今幾つかの重要な国がありますが、その一つにモンゴルを数えていきたい、このように思っております。
  76. 松下新平

    ○松下新平君 ありがとうございました。  今大臣から資源外交の話が出ました。そこで、資源エネルギー庁長官にお伺いいたします。  モンゴルの埋蔵資源の重要性についての認識をお尋ねいたします。
  77. 石田徹

    政府参考人石田徹君) お答えを申し上げます。  モンゴルの資源開発でございますが、課題としては輸送インフラが未整備であるとか、あるいはモンゴル国内の鉱業法などの課題というのはあるわけでございますが、我が国への距離的な近さでありますとか、それから石炭、ウランなどにつきましてはかなり豊富な埋蔵量があるというふうに言われております。それから、今大臣からも申し上げましたけれども、レアメタル等につきましても、まだ十分調査が進んでいないけれども可能性としてはかなりあり得るのではないかというようなことも言われております。そういった意味で、親日的でありますこと等を考えますと、モンゴルは中長期的には我が国への安定的な資源供給国になり得る重要な国であるというふうに考えております。  これまでも、モンゴルの資源開発の支援でありますとか我が国企業からの投資促進のために、例えばモンゴル政府との間で石炭の共同探査事業等を実施をしたり、あるいは日本・モンゴル鉱物資源官民合同協議会というようなものを開催したりしておりますけれども、今後とも、こういった取組に加えまして、いろいろな取組強化をいたしましてモンゴルの資源開発促進に努力をしてまいりたいというふうに考えています。
  78. 松下新平

    ○松下新平君 続きまして、日本とモンゴルにおける人材育成について、通商政策岡田局長にお伺いしたいと思います。
  79. 岡田秀一

    政府参考人岡田秀一君) 日本とモンゴル、経済交流をこれから進めていかなきゃいけないということでございまして、先ほど大臣からもお答えございましたように、安倍総理がエンフバヤル・モンゴル大統領の来日のときに署名した今後十年間の基本行動計画においても、貿易と投資などの経済関係を拡充して互恵関係の構築を目指すということがうたわれております。  この計画に基づいていろいろな活動が行われておりますけれども、中でもモンゴルとの協力した人材育成ということが大変重要ではないかというふうに経済産業省考えているところでございます。  これまで経済産業省は、モンゴル側の要請にこたえまして、カシミア産業の技術力の向上、カシミア産業というのはモンゴルの最大の輸出産業の一つでございます。この技術力向上のための専門家の派遣などを実施してまいりました。また、今のは日本からモンゴルへの専門家の派遣でございますけれども、モンゴル人側の研修生ということも受け入れようということで、モンゴル人の研修生を対象にいたしました中小企業振興に関する人材育成のプログラム、あるいは、エネルギーの環境の関係ではクリーンコールテクノロジーの普及あるいは定着を目指す人材育成などのプログラムを支援してまいったところでございます。  これからは、鉱物資源の分野、あるいは最近特にモンゴル側がITの分野に大変関心を示しておりますので、この分野の人材育成などをどのように進めていったらいいのかということについて検討してまいりたいと考えております。
  80. 松下新平

    ○松下新平君 ありがとうございました。  私どもとバヤル首相との会談で、日本の相撲道から日本の発展を学ぶ趣旨の話があったんですね。計画経済から市場経済に移行して、権利ばかり主張するのではなくて義務をしっかり遂行するという重要性を、この相撲道、厳しい規律、ルールを大事に継承している、このことを民主主義の手本にしたいという話もございました。  最後になりますけれども大臣に再びお願いしたいんですけれども、今後の両国の経済交流方向性についてお願いいたします。
  81. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) ただいま長官及び局長から御答弁申し上げたとおりでありますが、私どもは、松下議員の御提案を込めた御質問をちょうだいしながら考えておりましたことは、これから官民合同の調査のミッション、そしてその中で文化交流、観光交流等も含めたことを考える。あるいはまた、日本に留学したいというそういう青年たちを我が国に迎え入れるために、最初は人数は少なくてもいいと思うんです。それを段階的に進めていく。また、日本からもいろんな専門家を派遣するということなどをやって、ただ、言葉のやり取りだけで終わるのではなくて具体的に、そして日本は本気になって我々のモンゴルの発展に協力してくれる国だという印象をやっぱり大統領以下に持ってもらうことが大事でありますから、松下議員始めいろんな有力な皆さんが今日までモンゴルとの関係を築いていただいた。私の関係では、海部元総理がたしかモンゴル議員連盟の会長をなさっておられて、しょっちゅうモンゴルのことを我々に言って聞かせてくれております。それだけに、我々はモンゴルに対して新しい対応をしていきたい。  そして、もう一昔前のようにお金を持ってさえ行けば資源が買えるという時代は終わって、相手の国の心に通ずるような外交政策を、資源外交政策をやっぱり日ごろから展開していくことが大事であって、いきなりウランが欲しい、何が欲しいということで出かけていくというふうなやり方ではなくて、日ごろから何がモンゴルの発展のためになるかということをやっぱり考えながら、先ほども申し上げましたように苦しみは短くして幸せを長くしよう、これは日本とて同じことでありますから、同じ哲学を共有しながら頑張っていこうと、経済産業省はそういう決意であるということを、是非松下議員からもお目にかかったいろんな要路の人たちにお伝えをいただければ幸いであります。
  82. 松下新平

    ○松下新平君 ありがとうございました。  お話にありましたウラン、ギリシャ語で天の恵みという意味だそうであります。モンゴルの皆さん日本の技術力に大変期待をされておりますので、大臣の御答弁、大変心強く思われていることと思います。  私事ですけれども、宮崎県の第二の都市に都城というのがあるんですけれども、そことモンゴルの首都であるウランバートル市、これは友好交流都市になっております。ちょうど風力発電の協力をしたということがきっかけになりまして、来年ちょうど十周年になるんですけれども、そういった地方との交流も含めてまたしっかり両国の関係構築に努めてまいりたいと思っております。  最後になりましたけれどもWTO、いろいろ難しい課題もたくさんございますけれども、是非国益のためにしっかり役割を果たしていただきますことをお願い申し上げまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  83. 山根隆治

    委員長山根隆治君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後零時三十八分散会