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2008-11-13 第170回国会 参議院 経済産業委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年十一月十三日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         山根 隆治君     理 事                 鈴木 陽悦君                 藤末 健三君                 増子 輝彦君                 荻原 健司君                北川イッセイ君     委 員                 下田 敦子君                 直嶋 正行君                 中谷 智司君                 姫井由美子君                 藤原 正司君                 前田 武志君                 塚田 一郎君                 松田 岩夫君                 丸川 珠代君                 谷合 正明君                 松 あきら君                 松下 新平君                 渡辺 秀央君                 田中 直紀君    国務大臣        経済産業大臣   二階 俊博君    副大臣        内閣府副大臣   谷本 龍哉君        経済産業大臣  高市 早苗君    大臣政務官        経済産業大臣政        務官       谷合 正明君    政府特別補佐人        公正取引委員会        委員長      竹島 一彦君    事務局側        常任委員会専門        員        山田  宏君    政府参考人        内閣官房内閣参        事官       藤田 耕三君        金融庁総務企画        局審議官     三村  亨君        金融庁総務企画        局参事官     居戸 利明君        総務大臣官房総        括審議官     岡崎 浩巳君        総務大臣官房審        議官       望月 達史君        財務大臣官房審        議官       古谷 一之君        財務省主計局次        長        木下 康司君        国税庁課税部長  荒井 英夫君        文部科学大臣官        房文教施設企画        部技術参事官   岡  誠一君        農林水産省総合        食料局次長    平尾 豊徳君        経済産業大臣官        房地域経済産業        審議官      桑山 信也君        経済産業大臣官        房商務流通審議        官        寺坂 信昭君        経済産業大臣官        房審議官     吉崎 正弘君        経済産業省経済        産業政策局長   松永 和夫君        経済産業省通商        政策局長     岡田 秀一君        経済産業省産業        技術環境局長   鈴木 正徳君        経済産業省製造        産業局次長    立岡 恒良君        経済産業省商務        情報政策局長   近藤 賢二君        資源エネルギー        庁長官      石田  徹君        資源エネルギー        庁原子力安全・        保安院長     薦田 康久君        中小企業庁長官  長谷川榮一君        国土交通大臣官        房審議官     内田  要君        国土交通大臣官        房審議官     廣瀬  輝君        国土交通大臣官        房審議官     佐々木 基君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○経済産業貿易及び公正取引等に関する調査  (二兆円の定額給付金を実施した場合の経済効  果に関する件)  (金融・税制を含む総合的な中小企業対策の必  要性に関する件)  (二酸化炭素排出権取引制度問題点に関する  件)  (消費者安全行政への取組姿勢に関する件)  (東アジア経済統合に向けて東アジア・アセア  ン経済研究センターの果たす役割に関する件)     ─────────────
  2. 山根隆治

    委員長山根隆治君) ただいまから経済産業委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  経済産業貿易及び公正取引等に関する調査のため、本日の委員会内閣官房内閣参事官藤田耕三君、金融庁総務企画局審議官三村亨君、金融庁総務企画局参事官居戸利明君、総務大臣官房総括審議官岡崎浩巳君、総務大臣官房審議官望月達史君、財務大臣官房審議官古谷一之君、財務省主計局次長木下康司君、国税庁課税部長荒井英夫君、文部科学大臣官房文教施設企画部技術参事官岡誠一君、農林水産省総合食料局次長平尾豊徳君、経済産業大臣官房地域経済産業審議官桑山信也君、経済産業大臣官房商務流通審議官寺坂信昭君、経済産業大臣官房審議官吉崎正弘君、経済産業省経済産業政策局長松永和夫君、経済産業省通商政策局長岡田秀一君、経済産業省産業技術環境局長鈴木正徳君、経済産業省製造産業局次長立岡恒良君、経済産業省商務情報政策局長近藤賢二君、資源エネルギー庁長官石田徹君、資源エネルギー庁原子力安全・保安院長薦田康久君、中小企業庁長官長谷川榮一君、国土交通大臣官房審議官内田要君、国土交通大臣官房審議官廣瀬輝君及び国土交通大臣官房審議官佐々木基君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 山根隆治

    委員長山根隆治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 山根隆治

    委員長山根隆治君) 経済産業貿易及び公正取引等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 増子輝彦

    増子輝彦君 おはようございます。民主党増子輝彦でございます。二階大臣になられて初めての経済産業委員会での質疑でございますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。  大臣、大変申し訳ございません、事前に申し上げてなかった件を一つ冒頭にお聞きしたいと思います。  私ども同僚議員の方から、実は今朝、これを二階大臣是非聞いてほしいということがございました。それは、最近、妊婦さんがたらい回しになって死亡したとか、あるいは脳疾患でそのまま昏睡状態になっているとかという大変痛ましい事故が、事件がずっと続いているわけであります。そういう意味で、現下の医療体制、厳しい環境にある中で、皆さん一生懸命やっておられるんでしょうけれども、こういうことが大変全国的にも頻発をしていると。特に東京では、救急車を呼ぶと、平均、受入れをする病院を見付けるのに一時間半掛かると言われております。そういう状況の中で、先般、これらの問題について大臣舛添厚生大臣と協議をなされたというふうにお聞きをいたしております。  そこで、そのときに大臣コメントとして、政治立場で申し上げるならば、何よりも医者モラルの問題だと思います、忙しいだの人が足りないだのというのは言い訳にすぎないというコメントが実は出ておるということでございますが、この発言については、大臣、間違いございませんか。
  6. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 去る十一月の十日でありますが、私は、舛添厚生労働大臣と前々から話し合っておりましたこの救急医療対策について、両省お互い協力し合って、IT等を活用した情報システムの構築、導入を促進させていって、今医者不足、あるいはまた、こういう痛ましい事件が二度と起きることのないように対応していくようなことをお互い協力し合ってやっていこうということで、厚生省にお伺いをした次第であります。  その際も、私は、医師方々も大変忙しく立ち働いておられることは理解できますが、両省でこれから協力をし合って、なおその際、医師としても専門的なお立場から全面的に御協力を願いたいという気持ちを込めての発言であったわけであります。  今回、今、増子議員が御紹介になりましたようなことで、私の発言現場に携わる医療関係皆さんに不愉快な思いをさせたとすれば、おわびを申し上げたいと思います。  以上です。
  7. 増子輝彦

    増子輝彦君 私は、二階大臣の今日までの様々な政治行動やお考え等を含めて、私なりによく承知をし、理解をしているつもりでございます。大臣は大変苦労されながら今日の立場をお築きになったと。だれよりも人の心の痛みとか傷とか、そういうものをよく御理解される方だと信頼をいたしております。  共に自民党を離党して、それぞれ二大政党をつくろうと言って歯を食いしばって頑張ってきたという時期もあったわけでございますが、そういう大臣言葉が、ただ単にこれだけのコメントでもし誤解を受けるようなことであれば、私は大臣にとっては大変残念なことであるということに実は私も思っておりましたけれども、ただいまの大臣お話によると、大変この一部のことだけをとらえて大臣が云々だということには私はならないと思っております。  是非医療現場というもの、今経済産業大臣という立場ではございますが、やはり医療現場というもの、日本医療体制考えれば厳しい環境にあること、命の安全保障というこの医療をどうやってつくっていくかということは更に重要な日本の課題でございます。そういう意味では、医者モラルの問題もあるかと思いますが、この妊婦受入れ拒否の問題はもっともっと奥深い私は背景があるんだろうと思っております。医師だけではなくて、病院が原則的に患者を受け入れる体制を整えて、関係者一人一人が原点に立ち返って、医者患者病院が共有できるようなネットワークシステムを構築することが極めて大事ではないだろうかと。  これは私の地元でも、実はたらい回しをされて、県立病院に行く途中に亡くなったという事例も最近出ております。極めて深刻な状況でございますので、先ほどの大臣の御答弁をお聞きしながら、私どもも力を合わせてこの問題には取り組んでいきたいと思っておりますので、どうぞ大臣、もう一言だけこの問題についての大臣のお気持ちをお聞かせ願いたいと思います。
  8. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 先ほど御質問の中にもありましたように、増子議員から、全体を把握されて、現状を把握された上で、これからのこうした問題を二度と起こさないようにお互い協力し合ってというお言葉をいただいて、大変力強く思います。  まさにこれは、政党政派の問題とか医者政治家の問題だとか、あるいは病院の今の現状の問題だとかということだけではなくて、まさにオール日本で取り組んでいかなくてはならない重大な問題だと思っております。それゆえに、私も厚生省へ自ら出かけていって、そして御一緒対策をしようと。そして、医療の場合には専門的な分野が多いものですから、私はどこかモデルの病院等を指定してもらって、私たち経済産業省の方からは技術的な面で、IT活用の面を病院現状に合うような方策考えなくてはなりませんので、我々の方は簡単に現場に立ち入ることはできませんから、そういう意味でも厚生労働省と相協力して、お互い得意分野でこのような不幸な事態を招くことのないようにやっていこうということで対応しようとしているわけであります。  実は、私も母親が医者でありました。そして、おばにも助産婦がおりました。ですから、子供のころからこの救急医療、そして、髪の毛を振り乱して子供の病気に対して夜中一時であろうが二時であろうがその当時は医者を求める人たちが戸をたたいて、寒風の中でも飛び込んでこられるような実態を私は子供心にそれをじっと見ております。私は、そうしたことからしてこの医療問題は、本当に命という問題、今、命の安全を守らなきゃいけないというお言葉がありましたが、私は、命を守るという意味では二人の命が懸かっておるわけですね、この妊娠の問題については。御本人、母体の問題と新しく生命として誕生されるであろうと思うお子さんのそうした命が懸かっておるだけに、我々は今後一層努力をして、予算の問題ではどういう面があるか、技術的な問題ではどういう面があるかということでありますが、あわせて、関係者の一層の奮起が必要だという思いが私の発言の中にこもっておるわけであります。  しかし、それが誤解を与えたりプライドを傷付けたり、そういう意図は私には全くありませんが、そうしたことであったとすれば、私は率直におわびをして前に進んでいかなきゃいけない、このように考えておる次第であります。
  9. 増子輝彦

    増子輝彦君 是非大臣のそのお考えを前に進めて、一緒に頑張っていきたいと思います。  それでは、大臣日本経済について御質問させていただきたいと思っておりますが、実は昨日の毎日新聞のコラムにこのようなことが書いてございました。人間が一番いいかげんな金の使い方をするのは他人の金を他人のために使うときだ、そう指摘したのは先年亡くなったノーベル賞受賞学者のM・フリードマンである。昨今とかく評判の悪い市場競争万能経済思想の大御所だが、この指摘は鋭い。自分の金を自分のために使う人は節約効率の双方を心掛ける。自分の金を他人に使うときは効率に関心が薄くなる。他人の金を自分のために使う際は余り節約しない。他人の金を他人のために使う人は節約効率考えないというわけだと、大変何か示唆に富んだ今の政府状況を示しているかのような実はコラムでございまして、私もなるほどなと、さすがにノーベル賞受賞経済学者指摘が鋭いなということで感心をいたしたわけでございます。  現在の日本経済環境を含め金融情勢、百年に一度の国難、大津波だという状況であることは共有の認識だと思います。そこで、福田政権時代から麻生政権へと引き継がれて、経済対策が行われて、政府与党の方でもいろいろと出してきているようでございます。  私ども民主党としても、しっかりとした対案を出そうという形の中で、やはり二度にわたって経済対策を出させていただきました。私どもはとかく、与党から言われれば財源がないとか工程表がしっかりしてないとか、よく御批判をいただきますが、全くそんなことはございませんで、今日出席の直嶋政調会長を中心として、しっかりと私ども財源工程表も含めながらこれらの対策を講じているところでございます。  そういう状況の中で、どうもこの麻生内閣というものは本当に大丈夫なんだろうかということがあるんですね。私も、麻生総理大臣とは本当に自民党青年局局長中央常任委員で長くお付き合いをさせていただいておりました。JC感覚で今日本政治をやっていられるのかなとちょっと心配をいたしているところでございますが、今回の特に麻生追加経済対策、いわゆる生活対策、この内容を拝見いたしますと、本当に大丈夫なのかと。  先般も各省庁の皆さんにおいでをいただいて、私ども民主党でそのヒアリングを兼ねて意見の交換をさせていただきましたけれども、結局何の財源の裏付けもなく、工程表もなく、それぞれのお役所のお考えを全部寄せ集めたごった煮で、つなぎ合わせて取りあえずやってみようと、出してみようということにしかどうも感じられない。  その極め付けが昨日与党間で、自民党、公明党の両党でまとまった定額給付金ということに私は尽きるんだと思うんです。これは本当にこれ大丈夫なのかなと。我が鳩山幹事長から言わせれば、二転三転、四転、五転、六転、七転八倒とかいろいろおっしゃっていられました。まさにそのとおりでございまして、私から言わせれば憲政史上最悪の実はものではないかというような認識を持っているわけでございますが、大臣、率直に、今回のこの定額給付金についてどのような見解をお持ちでしょうか、お聞かせいただきたいと思います。
  10. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 定額給付金の問題については特に経済産業省立場から意見を述べるわけではありませんが、今回のアメリカの経済考え方によれば崩壊とも言えるような状況が端を発して我々の国民生活にも多大の影響を与えておる。この状況の中において、緊急避難的に少しでもその痛みを和らげるという政府気持ちといいますか、そういう方針国民皆さんに御理解をいただく、そして御一緒にこの今の状態を切り抜けていくためにみんなで頑張りましょうという、そういう意気込みが表れた結果であろうと思っております。  今御指摘のように、この配付の方法等について何回も何回も方針が変わっているやに受け取られる発言幾つかあったことは事実でありますが、我々これからこの給付金景気が弱まっている中に生活者の不安を少しでも和らげるといいますか、きめ細かく対応しようということでありまして、今御指摘の点については、これはもう見解を異にする場面もあるわけでございますから、私は特にこの場で説得を申し上げるというよりも率直に今の御意見を承っておきたいと思います。
  11. 増子輝彦

    増子輝彦君 これ、鳩山総務大臣は、昨日の夜ですか、テレビインタビューの中で大変否定的な話をされておりました。与謝野大臣もこの件についてはかなり苦渋の実は今判断をされている最中だと思うんです。言わば閣内の中でこの問題はどうもちぐはぐな形であるということで、本当にこれは大丈夫なのかなということで心配をいたしております。様々な問題があることを今大臣からもお話がありました。  率直に大臣、これが仮に、いつの時期になるか分かりませんが、実施されたときに、経済産業大臣としての立場で、経済効果がこれによって起きるのか、場合によっては、大家族ならば十数万円ももらえる方がいらっしゃるそうでございますけれども、計算上はですよ。どうなるか分かりませんけれども、やっぱり消費にちゃんと結び付くのか。  これ釈迦に説法でありますけれども日本の今のこの経済の厳しさというもの、深刻さというのは、やっぱり消費がどんどんどんどん落ち込んでいってしまっているということに尽きるわけですけれども消費が喚起できるのかどうかを含めて、経済効果が、大臣、この定額給付金というものによって果たしてあるのかどうか。例えば、あるとするならば、どのぐらいの経済効果が予測されるのか。そのところを率直に簡単にお答えいただきたいと思います。
  12. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 生活対策では、家計への緊急支援ということでこのような方策を取ったわけでありますが、我々は、総理の指示の下に、地方現場意見も聞いて、関係者が議論して取りまとめる制度が良かろうということで、特に我々としての発言は控えておりましたが、今もう御案内のように与党において昨日、方式が発表されたわけでありますし、予算そのものについては既に閣議で決定をしておることでありますから、閣内は一致をいたしております。  鳩山大臣がどうおっしゃったか、与謝野大臣がどうおっしゃったか、新聞やテレビ等では時々、我々はそれを承知しておりますが、特に閣議及び閣僚懇談会でこの御両者がこの問題について言及したということは私の記憶にはありません。
  13. 増子輝彦

    増子輝彦君 じゃ、経済効果の方は。
  14. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 経済効果はですね、これから……(発言する者あり)
  15. 山根隆治

    委員長山根隆治君) 御静粛に願います。
  16. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 経済効果につきましては、これから、この支給された額、それもどれだけ支給されるか、その支給を受けた方々の中で、これ政府に対して返還されることも道があるわけでありますから、一体どれだけの金額が国民皆さんの手元に届くかというのは、これから、やってみた結果であります。その結果に基づいてまた消費の問題についての新たな調査もできるでありましょうから、そうしたものを見極めて判断をしていきたいと思いますが。  今、民主党皆さんもそうでありますが、我々自民党の仲間も駅頭でビラを配ったり、あるいはまたいろんな意見発表等をマイクを持ってみんなやっておるわけですが、そのときに、わざわざ立ち寄って、あれは支給されるんですかと言って確かめていく人が随分増えておる、多いと。ですから、自民党政策に対しては意見があっても、この支給に対しては待っておられるというのが肌で感ずることがあるということを私は同僚たちからも聞くことがしばしばありますが、そうしたこともあり、全体を眺めて最終的な判断をしていかなきゃならぬと思いますが、今のところ、ある一定の効果はあるだろうというふうに見ております。
  17. 増子輝彦

    増子輝彦君 本音で語る二階大臣らしからぬ答弁幾つかございました。立場上致し方ないなと私なりに理解もいたしておりますが、でも大臣、やはり百年に一度の大津波だと、あるいは大変厳しい経済環境だと。特に地方にとっては、深刻な実体経済の中でどんどんどんどん倒産がもう日増しに増えているという状況考えると、やっぱり景気を良くして経済をもう一度立て直さなければいけないと。  いわゆる外需依存型から内需拡大というようなこともおっしゃっておりますけれども、この二兆円というお金は結果的にはこれ国民お金なんですよね。財源埋蔵金通称埋蔵金と言われるものを使うということをおっしゃっておりますけれども、言わばこれみんな国民税金なんですよ。だから、国民は、先ほどのコラムの中でもまたいいことを書いておるんですが、政府より上手に使ってやると支給を待つ方も多かろうが、巨額の給付費用国民払いだ、市場が失敗したからといってその分政府が賢くなるわけではないというような、まさに私は国民というのは非常に賢いんだというふうに思っておりますから、そういう意味では、今度の給付によって、やってみなければ分からないとか、少しは経済効果があるんだろうとかいう程度のもので二兆円というものをこういうところに果たして使うことが本当に、税金の正しい使い方経済を活性化するということと、この国難を乗り越えることに大変なことなのか。  ましてや、総理大臣が大上段に記者会見をして述べたことが、丸投げで市町村にやられる、市町村は困惑しているわけです。これ、どうなるか分かりません。この失敗のツケはだれが取るのか。国民が取るんでしょうか、政治が取るんでしょうか、麻生太郎さん個人が取るんでしょうか。ここのところがやっぱり私は、大変失礼な言い方をしますけれども、大変親しく、またある意味では私は好きな麻生太郎さんにしては一体何をしているんだろうと。  政府が、政治がこの体を成しているのかというような大変な危機感を今私は抱いているということを是非承知をいただきたいということと同時に、経済産業大臣として、この経済をどうして立て直すのか、この日本経済をどうやってもう一度再生させるのか、極めて私は大きな使命と責任が大臣はお持ちになっていると思うんです。ですから、そこのところはもう少し大臣らしく、二階大臣らしく本音で率直に苦言、諫言を私は麻生総理大臣にもすべきではないかと、そんな気持ちを持っておるところでございます。  時間が余りなくなってまいりましたので、聞きたいことがいっぱいございますので、次の質問に移らせていただきます。  これもやはり生活関連対策ということで、地方中央との格差の問題で極めてまたこれ大きな問題がこの生活対策には出てきているんだと思うんです。いわゆる道路族のドンと言われている二階経済産業大臣にまたお聞きしたいと思いますが、今回のこの経済対策の中にも出ておりますいわゆる道路特定財源を一兆円地方に配分をすると、これは自由に使っていいということのようでございますが、これについてのお考え。あわせて、これを配分することの見返りに臨時交付金道路臨時交付金七千億がカットされるというように私は国土交通省から直接聞いておりますが、このいわゆる一兆円の配分と臨時交付金の七千億のカット、これについて二階大臣、率直にどのようなお考えを持っているか、お聞かせ願いたいと思います。
  18. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) ただいま私ども与党の方で、政調会長等を中心にしまして両党の間でこの問題に対するプロジェクトチームが発足して、これからこの問題について詳細に議論をし、また国民皆さんの声に耳を傾けながら適切な判断がなされるものと思っておりますが、我々は、金子国土交通大臣を中心にして、この問題に対しての今後において禍根を残すことのないように適切な判断に努めてまいりたいと思っております。  今、道路族というお話がございましたが、私は、実際自らを道路族なんということを思ったことはありません。ただ、私は、その道路問題等に対して今日まで熱心に努力してきたことには間違いありませんが、族議員などと呼ばれるような、そんな種類のものではないということだけは申し上げておきたいと思います。
  19. 増子輝彦

    増子輝彦君 族という言葉は大変大臣に対しては通称ということで申し訳なかったと思っておりますが、いずれにしても、道路行政に大変なる御努力をされてお力を持っていたということは御自身も認められたとおりでございます。  大臣、率直にこれ、七千億の臨時交付金カットされたら必要な道路も造れなくなるんじゃないでしょうか、地方は。そのことについて率直にどう思われますか。
  20. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) これは、今おっしゃるように、これからの道路問題の一兆円問題をどのように決着をしていくかという過程において大変重要な問題であります。一番の柱と言ってもいいのではないかと思います。したがって、今これに対して私がこうすべきだとかああすべきだという意見を差し挟むことは適当でないと。政府の方とそして与党の方で今議論を、昨日始めたところでございますから、この議論の行く末を関心を持って、今議員御指摘のようなことも念頭に入れて十分注視していきたいと、このように思っております。
  21. 増子輝彦

    増子輝彦君 それでは、国土交通省からお見えになっていますよね、ちょっとお聞きしたいと思います。  新聞報道でもなされております。私どもの合同部会でも国土交通省の方がお見えになりました。そのとき明確に、七千億の臨時交付金はなくなりますということをおっしゃっておりました。間違いありませんね。
  22. 廣瀬輝

    政府参考人廣瀬輝君) お答えいたします。  臨時交付金、委員御承知のように、地方の生活に密着したバイパスであるとか歩道……(発言する者あり)前回会議に出席いたしましたときにカットされるということで申し上げたつもりはございませんけれども、今の臨時交付金制度、こういったものが道路特定財源制度を前提に制度が構築されております。  その他方で、したがいまして、この特定財源制度を前提とした現在の制度がそのまま残るということは考えておりませんけれども、委員御指摘のように、依然として高い地方道路整備へのニーズ、これにこたえるよう地域の生活に密着した道路整備を推進するために必要な規模と内容を備えた予算制度が必要と、このように考えております。
  23. 増子輝彦

    増子輝彦君 私はそういうことを聞いているのではなくて、七千億の臨時交付金はなくなるんですねと聞いている。イエスかノーかで答えてください。
  24. 廣瀬輝

    政府参考人廣瀬輝君) 今の臨時交付金制度が揮発油税の四分……
  25. 増子輝彦

    増子輝彦君 イエスかノーかでいいんです。
  26. 廣瀬輝

    政府参考人廣瀬輝君) 道路特定財源制度を前提とした現在の制度がそのまま残るものとは考えておりませんが、これに代わるような仕組みを考えていきたいというふうに考えております。
  27. 増子輝彦

    増子輝彦君 あなたはあの合同会議にはおいでになっていませんでしたよね。違う方、今ここで名前を言うと申し訳ないから言いませんけれども、しかるべき方がお見えになって私に直接、なくなりますとはっきりおっしゃっていますからね。責任ある方ですからね。だから、それは私はなくなるならなくなるではっきりとおっしゃった方が、これ地方は混乱しないんです。だから、なくなる代わりに、国土交通省としても道路整備は必要だから、代わりのものを何かきちっと手当てをしたいというようなことを私はおっしゃったらそれでいいと思うんですよ。それをはっきり言えない。それは、先ほど二階大臣からこれからいろいろ協議をした上でということもあるんでしょうけれども。  ですから、一番大事なことは、あれだけ皆さん暫定税率廃止の中で、各地方自治体にある意味ではいろんな働きかけをして、ほとんどの知事さんや市町村長さんが暫定税率廃止に対し、我々がやったことに対して署名をされて、皆さん立場で頑張ってきましたよね。今度、それが一兆円配分になるから、それはなくなるんだ、あと何かできるか、それはこれからだといったら、来年度予算の編成の中でどうやって道路をやっていくのか。裏負担もないんですよ、もうどんどんどんどん、御案内のとおり。福島県なんか来年また七百五十億円も予算がなくなるんですよ、財政が厳しくて。公共事業も三〇%ぐらいカットされるんですよ、来年度はまた。これ、地方中央の格差という典型的なことにつながっていくんでしょう。やっぱりこれ、地方経済は良くとも悪くとも公共事業依存ということはかなり大きなウエートを占めているんです。  私たちは道路がすべて悪とは言っていないんです。無駄な道路はやめましょうと、必要な道路は造りましょうと、そういうことを申し上げているんであって、そういう中でばっさりと一兆円配分するから七千億円はカットだという形の中だけでは、本当にこれからの地域経済地方が良くなっていくかということを考えたとき、もっと優しいやっぱり配分というものに対しての手当てを何か考えないと私は大変だと思っています。今、なくなるということだけ確認できたので、この問題についてはそれで終わりたいと思います。  それから、文科省来ていますね。学校のいわゆる建て替えの際に、先般の例のIs値が〇・三以下のものの危険性の高いものについて速やかにやるようにということで、先ごろの通常国会終盤でこれが与野党一致して補助率のアップが決まりました。地方の負担は約一〇%ちょっとだと思いますけれども、ところがこれ現実にはなかなか使い勝手が悪いんですよ。〇・三以下の本当に厳しいものについては余り該当しないんですよ、審査が厳しくて。ところが、〇・三から〇・六の間のIs値が、ここの問題についてはかなりの実は学校の棟があるんですね。  これらについて、今回の緊急経済対策の中で、これは経済産業省とも大臣関係あるんですが、太陽光発電の設置の補助の問題にも絡んでくるんですが、ここの実は耐震構造のかさ上げの部分について、もう少し基準を緩めてしっかりと耐震を見直していかないと、実際のところ子供たちの命が危ないような気がするんですが、想定される地震等の問題を含めて、これを少し改善する気持ちは文科省にはありませんか。
  28. 岡誠一

    政府参考人(岡誠一君) お答えいたします。  先生御指摘のように、先ほどの通常国会におきまして地震防災対策特別措置法が改正されまして、Is値が〇・三未満の倒壊の危険性が高い建物、地震のときにです、については補助率のかさ上げが行われております。それから、〇・三以上のものにつきましても、従前から地震防災対策特別措置法により三分の一の補助率が二分の一にかさ上げされているところでございまして、引き続きそういった措置が適用されているところでございます。  それから、耐震化と併せてエコ改修的な太陽光発電の導入ということでございますけれども、従前から耐震化の実施と併せまして太陽光発電を含むエコ改修などを進めるということを指導してきているところでございまして、先般成立しました補正予算におきましても、耐震化と併せてエコ改修を推進するため所要の予算を計上しているところでございます。  引き続き、文科省としましては、学校施設において太陽光発電等の導入が拡大されるよう、関係省庁と連携しつつ地方公共団体の取組を支援してまいりたいと考えているところでございます。
  29. 増子輝彦

    増子輝彦君 Is値が〇・三以下だけが対象ということになると、実際にこの対象になるということは極めて幅が小さくなりますから、もっと対象の幅を広げていただきたいと私は思っているんです。これは市町村の首長さんなんかみんな困っているんですよ、実際に合致する部分が少ないということで。是非これは今後の緊急課題として私ども取り組んでいきたいと思っています。  時間が余りなくなってしまいました。大臣、今回の経済対策の中で二度にわたって、セーフティーネット融資と緊急融資と、いいものをつくっていただいたと私は評価しています。我々が当初十兆円で第一次で出しましたら、政府側は慌ててその後九兆円ということになってきたということ、結果的にはいいと思うんです、私は。その後、我々が二十兆円というものを出したら、また政府が加えて二十一兆円ということで総額三十兆円。  中小企業、これはみんなで守って育てていかなければなりません。使い勝手がいいように、十年前のあの平沼通産大臣のときの信用保証制度、約二・七兆円ほどの代位弁済があって、その中でまだ回収を進めておられるようで、一二%ほどの回収しかなかなかできないということもありますが、中小企業にとっては大変いいことだと私は思っていますので、使い勝手のいいように、できるだけそこのところはしっかりと対応していただきたいと思うんです。  そこで一つ、細かいことは多分藤末議員がやると思うので、中小企業、細かいこと後でお譲りしますが、一つだけ、大臣、お聞きしたいのは、まず、大臣の所信の中にも金利を引き下げる場合があるということのお話がございました。この金利を引き下げる用意があるとおっしゃいますが、どの程度の金利をどういう形でお下げになるのか、そのお考えを示していただきたいと思います。
  30. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) ただいまの御質問でありますが、まず、明日の内閣といいますか、経済産業……
  31. 増子輝彦

    増子輝彦君 次の内閣、次の内閣
  32. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 次の内閣経済産業大臣を御担当の増子先生とは、いろんな場所でお目にかかるたびにいろいろアドバイスをちょうだいしてまいりましたが、我々、まさにこういう問題に対しては与党も野党もない、御一緒になって対応していくということが大事だと思いますが、現下の状況の中で中小企業の皆さんが本当に羅針盤を失いかけるような状況に追い込まれている今日、せめて中小企業対策予算だけは十分な対応をしていきたい。こういうことで、一次、二次、三次と順番にやっていくのも一つの方法だと思いましたが、思い切って三十兆円ということでお願いしたわけでありますが、今度の、今の御質問に対しては、補正予算が成立の後に〇・三%を目指してやっていきたいと思っております。
  33. 増子輝彦

    増子輝彦君 補正予算が成立したなら〇・三%ということですね。
  34. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) はい。
  35. 増子輝彦

    増子輝彦君 補正予算はいつごろ成立する予定でございますか。
  36. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) これはむしろ、委員長を始め委員会の皆様の御示唆をいただきながら判断していきたいと思いますが、一日も早くそうしたことが実行できるような体制をつくっていきたいと思っておりますが、これは国会でお決めになることですから、私どもは、じっと期待を込めて見守っておるところであります。
  37. 増子輝彦

    増子輝彦君 補正予算を提出するかどうかは政府が決めることでございまして、それに基づいて私ども国会の立場でいろいろ決めていくということでございます。  今度の臨時国会で、これだけ厳しい経済環境、中小企業の状況を見ればやっぱり速やかな対応が必要だと思うんですよ。そうすると、補正予算はできるだけ早くお出しになることの方がよろしいんではないかというふうに思いますが、今国会中に補正予算大臣としては出したいというお気持ち、出すようにすべきだということを麻生総理にもお話をされますか。
  38. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) これは国会対策上の問題もありますから、十分その衝に当たる責任者と協議をして最終判断したいと思いますが、私の願望としては、一日も早く国会において御審議をいただき、これが成立し、次の手を打っていくことができるようにしたいという、この大変強い願望を持っておる、こういうことだけをお伝えし、総理も、今日の国会での御質問、御意見等も十分伝えておきたいというふうに思っております。
  39. 増子輝彦

    増子輝彦君 ありがとうございます。  時間が参りましたけれども、最後に一つだけ、いろいろ御通告をさせていただきましたが、全部できなくて残念でございましたが、薦田保安院長、最後に一つだけちょっとお聞きしたいと思います。  大間の発電所が延期になるという報道がされておりますが、大丈夫なんでしょうか。大間がなぜ遅れるのか、これ前の国会でも私申し上げさせていただきました。大間はすごく重要なんですね。世界初のフルMOXのこれは実はものなんです。これが成功するかどうかというのは日本の原子力政策にも極めて大きな影響があるんですよね。あれだけ実は大間に対して、保安院もあるいはエネルギー庁もある意味では経済産業省も、みんなでこれを早くやろうやろうということで頑張ってこられた。そして事前相談等の質問もさせていただきましたけれども、そういったものもすべてクリアしながらゴーサインが出たということで、私は期待をいたしておりました。  なぜ大間の着工といいますかこれが遅れてしまったのか、その原因と、それからこれが本当に大丈夫なのかどうか。実は先般、「もんじゅ」の視察にも当委員会で行ってまいりましたが、「もんじゅ」も何かやっぱりちょっとおかしいなということで、これも大分今回遅れるようであります。柏崎刈羽はようやく進んでいくということでの報告をいただいております。これも大変実は、これ長い間これだけ停止しておりますと深刻な状況が出てまいりますが。いずれにしても、大間についてなぜ着工が遅れてしまったのか、今後の見通しについてお伺いをいたしたいと思います。
  40. 薦田康久

    政府参考人薦田康久君) お答えいたします。  まず、大間の着工から運転開始でありますけれども、着工は今年の五月に着工されております。当初二十四年の三月に運開すると、運転開始予定でありましたけれども、つい先日、電源開発株式会社の方から二十六年の十一月に延期をするという報告がなされております。  この理由につきましては、着工いたしまして電源開発の方でその工程を精査した結果、適正な工期としては二十四年三月では不十分だということで二十六年十一月に設定をされたというふうに承知をしております。  私どもといたしましては、この大間につきましてはこれまで特に耐震問題等でいろいろ議論がございましたけれども、十分に確認をしてきたところでございまして、私どもといたしまして、この大間の問題につきまして十分な安全性を有しているというふうに考えております。今後着実な建設がなされると予想しておりますけれども、私どもとしてはしっかりとその安全性を確保していきたいと、かように考えているところでございます。
  41. 増子輝彦

    増子輝彦君 よく中身が分からないんですが、一番遅れた理由は何ですか、遅れている理由は。
  42. 薦田康久

    政府参考人薦田康久君) まず、今回特に当初予定をしておりました二十四年三月が二十六年十一月に延期されたというのは、これは建設計画を精査をしたということに尽きているというふうに考えております。
  43. 増子輝彦

    増子輝彦君 建設計画がそんなでたらめだったんですかね、大変重要な大間が。そんな程度のことでこれ遅れるというのは、ちょっと私は合点がいきません。  時間がありませんので今日はこれでやめますが、やっぱりそうではないんじゃないのかなという、何か心配しているんです、実際のところ。今日はこれで終わりますけれども。いずれにしても、大臣、とにかく今大変な状況ですから、ひとつしっかり頑張っていただきたいと思いますし、私ども協力できることはしっかり協力してまいりますから、とにかく中小企業を始め日本経済、瀕死の重傷ですので、一日も早く力を合わせて回復していくように共に頑張っていきたいと思います。御健闘をお祈り申し上げます。  ありがとうございました。
  44. 藤末健三

    ○藤末健三君 民主党の藤末でございます。  先ほどに、増子理事からの質問につきまして、中小企業の話を中心にやらさせていただきたいと思います。  私もこの中小企業の対策、本当に喫緊の課題だと思っています。私は、迅速にかつそして超党派で私はやるべき仕事だと思っておりまして、本日は、我々民主党経済産業部門会議を中心に様々な中小企業対策を議論してまいりました、その中身も中心に是非議論させていただきますので、是非とも我々、この政治の場で中小企業の方々を支える、そして、もっと希望を持っていただくような政策を打ち出すべきだという考えで今日は質問をさせていただきたいと思います。  現在の中小企業の経営のデータを見ますと、東京商工リサーチという会社が発表したデータを見ますと、先月、十月の倒産件数が一四%増えているということ、そしてまた、内閣府が発表しました景観状況、DIが五・四ポイント下がって二二・六となって、過去最悪というデータでございます。そして、私が非常に驚きましたのは、今年一月から十月までの倒産の負債総額は十一兆円を超えていると。これは何と昨年の二倍でございます。  この中小企業の問題、まだ私は始まったばかりだと思う。始まったばかりの状況でも、昨年に比べて二倍程度の被害が出ている状況で、私が今までこの内部でいろいろ検討チームをつくり、いろんな中小企業の方々お話をさせていただきました。その方々がもう本当に皆さんおっしゃるのは、年内に、年越せないよという話、年度越せないよという話、それが多くの中小企業の方々のお言葉です。  私は、大臣是非お願いしたいのは、年内に補正予算を僕は通していただきたいんですよ、政府から出していただきたい。我々民主党も同じことを言っています、基本的に。信用保証をされるというんであれば、我々は多分止める理由はないはずなんですよ。(発言する者あり)ないです、ない、理由は。是非やっていただきたいということを申し上げます。  今日私がお話し申し上げたいのは、私たちもいろいろな中小企業対策を検討しました。予算的な手当てのみならず、いろんな制度的な手当てがあるんではないかということで、大きく二つのことをまずお話ししたいと思います。  一つは、やはりこの中小企業を支えるのは金融、その金融お金の流れをどうやってつくっていくかという話。そして、二つ目にございますのは、やはり大企業と中小企業との関係、下請、元請の関係をどれだけスムーズにするかという、ポイントが二つあると思います。その二つについてまずお話しさせていただきます。  まず、金融につきましては、今現在、金融機能強化法という法案が議論され、これ、私は四月のこの経産委員会金融庁の方々に必要性を説いて、そのときは必要ないとおっしゃったものが、やっと動き出して非常にうれしく思っております。かつまた、前の国会におきまして金融庁の方々に、実際に金融庁の職員の方々が中小企業の現場の話を聞いてくださいとお願いをしましたら、実際にそれは動き出しているということで、中小企業庁と金融庁の連携が動き出したというのは非常に喜ばしいとは思っておりますが、ただ、今の中小企業を取り巻く環境を見ますと、私は足りないと思います。実際に百五十か所でヒアリングをやっていただき、そして実際に検査マニュアルを変更していただき、そしてパンフレットも作っていただいた。しかし、その手当ての実情を見ますと、まだ十分ではないんではないかというふうに考えておりまして、この中小企業の問題、資金の問題に関しまして、金融庁と中企庁の連携を御質問させていただきます。  まず、一つございますのは、今中小企業庁のこのパンフレットを拝見させていただきまして、中小企業金融貸し渋り一一〇番というのをつくっていただいている。これは非常に有り難い話だと思います。もう一週間で百件ぐらいの相談が来ているというふうに伺っています。一方で、金融庁も金融検査マニュアルの「知ってナットク!」というのを出されているんですね。このパンフレットに何があるかといいますと、金融サービス利用者相談室というのをつくっておられます。実際に件数聞きますと、そこそこの件数は来ているという状況でございますが。  何を申し上げたいかと申しますと、二つ窓口があるんですよね、同じように貸し渋り、貸しはがし対策についての窓口が。これはまず一本化していただきたいというふうに思います。実際に貸しはがし、貸し渋りの話を聞いていますと、私が知っている範囲でも、もう数件あるわけですよ。それが一週間で百件来ましたと。百件取っていただいたのは有り難いと思いますが、実際に取っていただいた情報をどうするんですかということをお聞きすると、金融庁に御報告しますということなんですが、金融庁に報告した後どうなったかというのはトレースされていないという状況でございます。  私がちょっと申し上げたいのは、大臣に、是非金融庁との連携を強化していただきたいし、パンフレットも二つあっちゃまずいと思うんですよ。やっぱり一緒に出してください。中小企業の方々が一冊見れば分かるというふうにしていただきたいし、またホームページもやっぱりばらばらなんですよ。一か所見たら中小企業の方々の悩みが解決するホームページとかを作っていただきたい、金融庁と連携して。金融庁はこっちで作りますよ、中小企業庁ではこっちで作りますということをやめていただきたいと思うんですが、その点いかがですか。緊急にやっていただきたいと思います。
  45. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 当初からこの中小企業対策に臨むに当たって金融庁との連携が何よりも重要であると考えて、中川金融担当大臣ともお話ししまして、先般私は、全国の信用保証協会の理事長にお集まりをいただいて、金融に対する私たちの考え方を徹底してもらいたい、窓口まで徹底してもらいたいということを申し上げました。その際、金融庁の監督局長に御出席を願って、そして、オブザーバーのような形での御出席であったと思いますが、私はこの場で金融庁の考え方を監督局長からお話を願った方がよかろうということで発言を促しまして、そこで、経済産業省の言われるとおり、我々も相協力してやろうということを現場に徹底を図ったところであります。    〔委員長退席、理事増子輝彦君着席〕  そこで、今後でありますが、今御指摘のようなことは、藤末先生も経済産業行政にはお詳しいわけでありますから、そうした観点からの御指摘でありますので、我々、金融庁とも相談をして、相協力できるものは一緒にやると。そうすればパンフレットでも倍出せることになるわけですから。そうしたことに対しては、できることは迅速にやっていきたいと思いますが、あちらの事情もおありでしょうから、一遍話し合っていきたいと思います。  中川大臣とは、こう言われるんですね、私のところの方の目安箱にも保証協会の方の御意見金融庁の方へどんどん来ると、こう言うから、そこに集まった御意見はこちらの方へちょうだいしたいと。そして、我々の側にも金融機関の貸し渋りについていろいろと意見が寄せられておると。これらについては即刻お互い意見を交換して、これらに対して対応するようにしようと。今朝もそういうことの実態を私どもの省内でも確かめたわけでありますが、今後そういうことをスムースに、まさに定期便のような形で、国民皆さん意見を言ってくる人は、これが中小企業庁だか、これが金融庁だか、そういうことを十分御判断がしにくい場合が当然あるわけでありますから、何でも一遍言っていけということで意見が来るわけですから、これを我々の方で仕分けて、その所管別に対応をきちっとやっていきたいというふうに考えております。    〔理事増子輝彦君退席、委員長着席〕  今、中小企業に対する大変思いやりのある御意見をちょうだいして、我々も勇気付けられるところでありますが、本当に今中小企業は、議員が御指摘のとおり、大変な思いを持っておられます。ですから、この年を越せるかどうか、そういう御心配をなさっておられた方々に対して、先般我々のとった措置は一応浸透しつつあるというふうに伺っております。今、大体保証協会で一日百億円に及ぶ場合があります。しかし、これを皆様の御協力をいただいて、我々はそれがもう少し大きな規模になっても対応できるだけの準備をしていきたいというふうに思っております。
  46. 藤末健三

    ○藤末健三君 大臣是非、中川大臣、経産大臣も経験された方ですのでやっていただきたい、進めていただきたいと思います。  そのときに是非お願いしたいのは、実際に資金繰りに困っている経営者の方々はもう余裕がないです。実際に私のところに相談に来るぐらいに余裕がない。ですから、実際にいろんな話をお聞きするじゃないですか、私たちも。そうすると、ある程度経営に余裕がある方だけはお越しになるんですよ。経営に余裕のない方はもう走り回っておられます。ですから、例えば金融庁の方と一緒にヒアリングするときも、来てもらうんじゃなくて行っていただきたいんですよね、困っているところに。来られる方はまだ余裕があるんですよ。それをまずお願いしたいと思いますし、また、中小企業基盤整備機構の方ではいろんな努力されていまして、ホームページを一つにしようという努力もされていますので、そういうところをもっと使っていただきたいと思います。  例えば、細かいことを言うと、これ電話番号がいっぱい書いてあるんですね、中小企業庁のパンフレットには。金融庁は一個です、実は、窓口が。そういうところがありますので、もうどこかにコールセンターか何か作って窓口を一元化して、ここに掛けたら全部分かりますよというところを金融庁と連携して作っていただきたいと思います。それはそんなに労力が掛からないと思います。両大臣が、お二人の大臣がきちんと意思を決めてやっていただければ、僕は年内にできる。特に年末は大変だと思うんですよ。ですから、これを是非至急に対応していただくことをお願いしまして、この質問を終わらさせていただきます。  続きまして、金融庁の方にちょっとお聞きしたいことがございます。  実際に中小企業検査マニュアルを見直すべきじゃないかという提案をさせていただきまして、見事金融庁の方に対応いただいたことを非常にうれしく思います。かつ、マニュアルを変えて、かつそれをパンフレットにして知らしめるべきじゃないかという提言をさせていただきましたら、それも対応いただいたということは、本当に有り難いと思います。しかし、ここの対応につきましてもっと対応を深めていただきたいということをこの場でちょっとお願いしたいと思います。  それは何かと申しますと、実際に金融庁の方が発表されました検査マニュアルの見直し、金融機関を金融庁の方が検査するときにどういう貸出しが不良債権に当たるか、要注意に当たるか、破綻に当たるかとか、いろんな検査をされるときのマニュアルがこう変わりましたよということでこう発表はされていますけれど、これを読みますと、今まで計画期間が、中小企業の経営計画が三年だったものが五年若しくは十年とか、おおむね十年の計画があればこれは大丈夫ですよというふうに変えましょうということを書いてあるわけでございますけれど、これだと恐らく運用がよく分からないと思うんですよ。恐らくこれを示された金融機関の方々は裁量で対応することになってしまう、自分たちの判断で。  具体的な中身を明確にケース別に示していただくことをお願いしていましたら、ある程度もう作っていただいて活動をされているという状況でございますが、それでも実際に中身を見ますと、例えば何があるかと申しますと、一番大きいのは、やはり中小企業の経営者がお金を借りに行ったときに、銀行員の方じゃないですよ、中小企業の経営者がお金を借りに行ったときに、自分のこの融資の依頼はどういうケースに当たるのかということが分かるように明確にしていただきたいということを思っております。  特に私が提言させていただきたいのは、この緊急時でございますので、もう金利を払っていたらそれは融資できると、危険先になりませんよというぐらいの緊急的なマニュアルまで僕は作っていただいた方がいいと思っておるんですが。お金を返している限りはこれは不良債権になりませんと明言してあげる。そしたら、もう中小企業の方は分かりやすいですよ。金利をひたすら返しておけば大丈夫なんだなと分かれば。  私はあえて申し上げますと、信用枠をどんどん拡大しても僕は無意味だと思っています。今借金をしている方にまた借りていいですよという話になっているんですよね、今の仕組みは、借換えは対象になりませんから。そうするとまた、このお金を借りているところにまた借りていいですよと。借りると何が起きるかというと、金利負担がまた増えちゃうんですよ。私は、それよりも、やはり今借りているお金の信用不安を払拭するような方策を取るのが一番重要だと思いますから、金融庁と、また経済産業省、いかがですか、この考えについて。御意見下さい。
  47. 三村亨

    政府参考人三村亨君) お答えいたします。  中小企業を取り巻く厳しい状況が続く中、借り手企業の資金繰りや経営の改善を図るために、金融機関が借り手に対する返済条件の緩和、先生がおっしゃられた金利の、金利だけを支払って元本の弁済を猶予するというものも含みますけれども、それに柔軟に応じることを可能とするような環境整備が必要であるというふうに考えております。  このため、十一月七日に監督指針及び検査マニュアルを改定をいたしまして、中小企業向け融資に関して貸出条件を変更しても、貸出条件緩和債権、いわゆる不良債権に該当しない場合の取扱いを拡充したところでございます。  具体的には、先ほど先生の方からも御指摘ございましたけれども、これまで、貸出条件の緩和を行っても貸出条件緩和債権に該当しないためには三年後に経営改善が完了するような経営改善計画が必要でございましたけれども、今般の改定で、経営改善に時間が掛かるという中小企業の特性も踏まえまして、中小企業についてはこれを五年に緩和するとともに、経営改善がおおむね計画どおりに進捗しているといったような場合には十年まで緩和をするということにいたしました。  先ほど議員より御指摘のありました、当面利息だけを返済をして元本の返済を猶予するというような条件変更が行われた場合であっても、金融機関との話合いによって今回緩和することになった経営改善計画を、具体的には計画期間五年以内で計画終了後に正常先となるような要件を満たした計画が策定されていますれば、貸出条件緩和債権には該当しない取扱いを行うことが可能となっております。これによりまして、中小企業向け融資の貸出条件の変更について民間金融機関による柔軟な対応を期待しているところでございます。
  48. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非お願いしたいのは、経営計画を作ればいい、作れば借換えできますよという話をおっしゃっているわけですけれども、恐らくお金に困っている中小企業の現状金融庁の方は余り把握されていないんではないかという気がいたします。  実際に二つの問題がありまして、既に借りているものの経営改善計画を達成することさえ難しいんですよ、今、中小企業は。それが現状です。かつ、今お金に不足している企業は新たな経営改善計画を作れるほどの力がないんですよ。そういう企業をどうされるんですか。そういう企業こそこの検査マニュアルの改定の対象であるべきなんですよ。  理屈はそうかもしれない、金融庁さんがおっしゃるように。ただ、経営改善計画をきちんと作りなさい、今まで満たしなさいという話をしちゃったら、本当に困っているところはまた貸しはがしになります、これは。私でさえ分かる、これは。どうですか、その点。はっきりさせてくださいよ。明確な条件をなくして金利さえ払っておけばいいんですというぐらいにしなければ、中小企業の方々の安心は絶対できない。お願いします。
  49. 三村亨

    政府参考人三村亨君) 先生御指摘のように、中小企業につきまして大企業のような大部な精緻な計画を策定するということは困難であり、現状も非常に厳しい状況におられるということも踏まえて、中小企業につきましては、計画が策定されていない場合であっても、今後の資産売却予定とか役員報酬や諸経費の削除予定、あるいは収支改善計画等、債務者の実態に即した金融機関が作成、分析した資料によりまして具体的に経営改善の見込みが確認できれば、これを経営改善計画と同じように取り扱う旨、金融マニュアル別冊に明確に記載をしたところでございます。  したがいまして、五年後に正常先になる等の要件を満たすような経営改善が見込まれますれば、具体的な経営改善計画がなくても、金融機関との話合いをしていただくことにより、貸出条件緩和債権に該当しないことが可能となってございます。
  50. 藤末健三

    ○藤末健三君 二階大臣、今聞いていただいて分かるじゃないですか。ですから、本当にお願いしたいのは、金融庁と中小企業庁が一緒になって本当に困っている方々の声を拾っていただきたいのがまず一つございます。  そして、もう一つあるのは、中小企業の方々にメッセージを伝えていただきたいんですよ。こういうばらばらに伝えちゃまずいですよ、絶対。そして、それも分かりやすくしていただきたい。実際にこの金融検査マニュアルを変えていただいて、私、これを読まさせていただいて、金融庁の方々も頑張っておられると思います。本当に限界までなされているなとは思うんですよ。  しかし、もっとこれ踏み込んでいただくためには、中小企業庁の方、多分中小企業庁の方で検査マニュアルを深く読んだ方はいないんじゃないかと僕は思っているんですけれども、やっぱりこの検査マニュアルを作るときさえも中小企業庁とそして金融庁が連携していただく。そして、作ったものをきちんとまた中小企業の方に伝えていただく。それも困っている会社にです。困っているところに本当にもう郵送で送るぐらいのことをやらなければ多分声は届かないと思いますので、是非大臣にやっていただきたいと思います。  私は、金融庁の方にまたちょっと御質問申し上げたいのは、やはり今回、金融機能強化法というお話、私はこれは必要だと思っています。ただ、この金融機能強化法だけを作りますと、金融機関は安定すると。今までの議論は、金融機関が安定すればあとはお金は流れますという議論で来たわけですね、今まで。ですから、金融機能強化法を作り、そして金融機関が安定化すればお金は流れるだろうということになっておりますが、私は金融機能強化法だけでは不足していると思います。そして、検査マニュアルの改定だけでも不足していると思う。  それはなぜかと申しますと、検査というのはあくまでも悪いところを見付けるもの、不良債権はないか、変な貸出しはないかをチェックするものであって、例えば地方の銀行が地元の中小企業に融資しました、銀行が担保なく融資しました、そういう社会的にプラスになることを評価し、それを公表し、そして社会的に評価されるというプラスの評価も私は金融庁さんがなさってはどうかと思っているんですが、その点いかがでございますか。
  51. 谷本龍哉

    ○副大臣(谷本龍哉君) 金融担当の副大臣の谷本でございます。  今委員御指摘の点でございますが、今般、監督指針及び検査マニュアルの内容については、その趣旨が徹底されるよう、まず大臣の方から通達を出したわけですけれども、その中で、今委員が指摘されましたように、プラスの評価をどういうふうにしていくのかという話でございますが、現在、特に地域金融機関に関しましては、地域密着型金融の枠組みの中で、取引先企業に対する経営改善等の支援強化あるいは目利き機能の向上を始めとした事業価値を見極める融資手法の徹底など、取組を求めているところでございます。  その中で、広く実践されることが望ましい取組に関する事例集、これを作成をいたしまして、本年三月に公表をいたしました。また、地域金融機関の地域密着型金融に関する取組を地域の関係者が議論、評価するための会議、これを十九年十一月から二十年二月にかけて開催をしております。また、地域利用者の評価を通じた地域金融機関に対する動機付け、これをこういった施策を通して図ってきたところでございますが、今後ともこうした取組などを通じて、貸出条件変更への対応も含めて、金融機関における中小企業への円滑な資金供給を促してまいりたいと考えております。
  52. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非、谷本副大臣にこれ進めていただきたいと思います。  今、我々民主党におきましては、経済産業部門会議と財政金融部門会議が力を合わせまして、先ほど申し上げました金融機関が社会的にプラスなことをしたときに評価してそれを公表するということ、そしてもう一つは、金融機関が貸しはがし、貸し渋り等を行ったときに一元的に苦情を集めることをできるようにするという法案を準備しています。この点は、我々もやりますので、是非政府与党もやっていただき、本当に中小企業の方々が安心して経営できるような環境をつくっていただきたいと思います。これは、私はもう至急やるべきだと思って、我々仲間で今鋭意作業していますので、また国会で議論させていただければと思います。  続きまして、私、金融の話はこれで終わらさせていただきまして、もう一つございますのは、大企業と中小企業、特に下請企業との関係をどう見るかということについてお話をさせていただきたいと思います。  今、大企業と下請企業の関係につきましては、独占禁止法及び下請法などの法律で様々な監視を公正取引委員会を中心に中小企業庁も参加していただいているわけでございますが、私が今実際に中小企業の方にお話をお聞きしますと、大分原油そして原材料の値段が落ち着いてきましたので話は少しずつ緩くなっていますけれど、一時期、原油がバレル当たり百四十ドルを超し、そして鉄鉱石、いろんな鋼材、原材料の値段が上がったときに何があったかと申しますと、どんどんどんどん原材料は上がるけれど、大企業に卸すお金は、値段は上がらないと、買いたたかれると、作れば作るほど赤字であるという話を幾つもお聞きしました。私が知っているだけでも幾つもお聞きした。  彼らに私が話をしたのは何かと申しますと、そういうことがあったら公取さんに行ったらいいんじゃないですかと、法制度がありますよという話をしても、いや、そんな政府なんか頼れないよと。もし私たちが親会社、納入先を告発すれば何が起きるかと。それは、もう契約が閉じられ、もう二度と取引ができなくなってしまうというお話をほとんどお聞きしています。  実際に下請法の勧告の実績を見ると、たしか昨年十三件だったと思います。多くの企業に調査票を送っていただき、そしていろんな検査をやっていただいているわけでございますけれど、その実際の成果と申しますか、結果としてどれだけの抑止力があるかというと、私は非常に少ない結果になっているのではないかと。下請業者に十七万社、平成十九年度調査票を送っていただき、そして勧告まで至ったものが十三件という話でございますが、竹島委員長にお聞きしたいんですけれど、この下請の企業を守るという観点からすると現状制度が十分かどうかということについてどうお考えですか、お願いいたします。
  53. 竹島一彦

    政府特別補佐人(竹島一彦君) 制度のお答えの前にちょっとデータを申し上げますが、確かに十九年度は勧告が十三件でございます。これはまさに法的措置、例えば減額のケースの場合に金額が大きいと、したがって下請事業者に大きな不当な不利益を与えたという、そういうふうに認定されたものを勧告しているわけでございまして、実はそれ以外に、我々の調査に応じて親事業者が原状回復をすると、分かりましたということで、いわゆる平たく申し上げれば下請いじめについて、それをやめて、減額分を返すなり、遅れた場合には遅延利息を払うなりということをいたす場合も多々ございまして、これらは警告ということで、同じ十九年度で二千七百四十件やっております。したがって、そんな、もう氷山の一角ということかもしれませんが、十三件という数字が意味するような小さなものではないということを是非理解いただきたいと思います。  それから、下請法が十分かどうかという制度のお尋ねでございましたけれども、これ平成十五年度の改正で、従来は製造業と修理業だけが対象だったわけですね。ところが、世の中がサービス産業化されてきて、サービス業が世界でも下請関係でたくさんあるではないかと、確かにそうだということで、十五年の改正でもって対象範囲をサービス業まで広げました。その結果、大体のものは全部カバーされているということでございます。  私どもは、この下請法の良さというのは、本来は独占禁止法の優越的地位の濫用という条文を適用するケースなんですが、それを迅速かつある程度定型的に、類型的に処理するということで、わざわざ独占禁止法の子法として下請法を設けてきているということでございますので、そういったやっぱりものに該当するようなケースというものをカバーするということが大事かなと。  そういう意味では、今の委託取引、それで製造業、修理業のみならずサービス業も含めたということで、私は十分機能するようになっているというふうに思っております。
  54. 藤末健三

    ○藤末健三君 二つの私は問題点があると思っていまして、まず下請法の話ですが、委員長がおっしゃったように、対象範囲を拡大いただいているというのはおっしゃるとおりだと思います。ただ、全然まだ足りないんじゃないかと。例えば、取引関係で言えば、例えば委託という限定があると、契約形態に。そしてまた、元請、下請の条件も資本金で一億円とかいう区切りがありますということで、幾つかの条件が、契約形態もあるし、資本金の形態、まあ業種の範囲は拡大されましたけど、あると。そういう形で様々な限定が付いているというのが下請法の世界だと私は認識しています。  そしてもう一つ問題点、何かと申しますと、やはり体制が弱いんじゃないかと。今、下請法の世界でいきますと、公正取引委員会と中小企業庁が連携して様々な調査や監督を行うことができるようになっていますが、併任の方も含めて、全部合わせて百人ぐらいしかおられないですよね、二つ合わせて。百三十人。  実効的に動くのはどうかという話がありますけれど、全国の中小企業二百三十万社という中、そして三十万社に調査票を送っていただいているという中で、その体制の強化なども必要じゃないかと思うんですけれど、いかがでございますか。
  55. 竹島一彦

    政府特別補佐人(竹島一彦君) 御指摘のとおり、もっと拡充できればそれにこしたことないというふうに私どもも思っておりまして、政府全体、公務員の定員純減の中で例外の一つとして扱われておりまして、それでも下請関係、これ実際に検査をするその職員というのは平成十五年度で二十九名しか実はおりませんでしたが、二十年度で六十四名にはしていただいていますが、まあ六十四名であるということで、これからも毎年増員は、二十一年度についてもお願いをしております。  ただ、この下請法は、今先生がおっしゃったとおり、中小企業庁、それから各地の商工会議所、その他下請についていろいろお助けいただいている方々もおられまして、そういう方々と総動員でやっておりますので、検査は私どもがしておりますけれども、いろいろな御相談とか、それから法律の内容とかいうようなことを、まさに今月が下請取引の適正化の推進月間でございまして、全国各地、五十を超えるところで講習会、これも、親だけじゃなくて下請事業者の方々に集まっていただいて、こういうことをすればどうぞ言ってきてくださいと、言ってきてもばれないように、親事業者にばれないようにちゃんとやりますからということをまさに今やっている最中でございまして、そういうことで、各方面の御協力をいただいてこれからも頑張っていきたいと思っております。
  56. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非やっていただきたいと思うんですが、僕はこれはちょっと二階大臣にまたお願いがございまして、この下請企業の問題って何かと申しますと、金融庁と中小企業庁は金融で二つやっていますよという話で、これは公取と中企庁があるわけですよ。似ているんですよね。何が似ているかというと、二つに分断されているんです、やっているのが。金融庁との関係に比べたらもっと僕から見るとうまくやっておられると思うんですが、やはりこれまた、これもお願いでございまして、やはり中小企業庁が金融であろうと独禁法の運用であろうと一か所できちんと主体的にやった方が私はいいと思います、中小企業の方々にとって。いや、本当に。これは是非検討いただきたいんですよ。  そして、もう一つございますのは、先ほど委員長からもお話ありましたけど、下請法のカバーは非常に狭いです。契約の限定があります。そして資本金の構造の限定がある。そして、あえて言えば、三十万調査票を送っているとおっしゃいますけど、僕は足りないと思っています、これも。  ですから、これもやはり、調査票を送って調べるだけではなく、何かあったときに、問題が分かった方は、中小企業の方々はあそこに行けば我々の苦しみ分かってくれるよというところをやっぱり一か所でつくるべきだと思うんですよ。これは公正取引委員会ですよと、お金に困ったら金融庁ですよということではなく、やはり中小企業の経営者の方々に本当に安心してやっていただけるように、そして、何かあったらここに、一か所相談に行けばすべて処理できるというところを、これ多分、ある程度動きがありますから、できると思います、一か月ぐらいで、頑張れば。是非大臣にお願いさせていただきたいと思います。  ちなみに、私たちの方も下請いじめ防止法という法律を作っておりまして、考え方は、本当にここに一つの窓口で下請いじめなども分かるし、もう一つの金融アセス法というのも作っていますんで、一か所ですべて中小企業の方々が安心して相談に行っていただけるということを目指していろいろ制度設計していますので、是非また国会で議論させていただきたいと思います。  金融庁と独占禁止法、公正取引委員会との関係、まず終わらさせていただきまして、続きまして、税制の話をさせていただきたいと思います。  今回の緊急景気対策政府の方から中小企業の特別減税、これをまた削減しますよという話が出ております。実際に私、計算してみますと、正直申し上げて、減税効果はそれほど大きくないんではないかと、数百億円じゃないかと思います、これは。額が多ければいいということではないとは思うんですが、私がここで提案したいのは、税法上の中小企業と中小企業基本法などの中小企業関連法の中小企業の定義が違うということを御指摘申し上げたいと思います。例えば中小企業、中小企業基本法上は製造業は資本金三億円まで含まれる。一方で、税法上は一億円に切られているという状況。  私は、実際にこれ、川崎のとある企業の方とお話ししたときに言われたことなんですが、その会社はもう一億円超していますと。ただ、基本的にいろんなところから下請をしている中小企業だと。何をおっしゃっていたかと申しますと、私たちのところはそれほどキャッシュフローは困っていません、お金は困っていませんと。ですから、信用保証枠を幾らいただいてもこれは関係ないと。一方、税制の優遇措置があるかというと、優遇措置はないと。私たちは何もないんですよねということをおっしゃっているわけなんですよ。  そういう中規模企業が何をやっているかというと、また下に下請、小規模の企業があられて、孫請企業があられて、それを全部まとめておられるわけですよね。  私が中小企業の政策上必要だと思うことは、信用を与えて融資を行うことはやはりこの小規模の会社の方々には僕は非常に重要だと思います。じゃ、一方で、ある程度経営が安定している中規模の企業、その孫請企業など小規模な企業を使っておられる中規模の企業、ここに対する私は措置が必要じゃないかと考えておりまして、その手段の一つとして、今税法上、中小企業の定義が資本金が一億円未満となっているものを三億円未満に変えることも検討すべきじゃないかと思うんですが、いかがですか、大臣。財務省がいいですか、大臣いかがですか、まず。谷合務官、お願いします。
  57. 谷合正明

    大臣政務官谷合正明君) 今、藤末委員の方から中小企業基本法に合わせて三億円未満とするべきでないかというお話がございました。  委員御案内のとおり、中小企業基本法において業種ごとにまず資本金の額と従業員の数で中小企業の範囲を決めております。その中で製造業については資本金三億円以下と、また従業員三百人以下としております。この基本法の定義を基にそれぞれの施策の対象とする中小企業の具体的な範囲について定めております。今の御指摘にもあるとおり、法人税法におきましては資本金一億円以下とされております。ここは税制の公平性あるいは執行の簡便性といった税制独自の観点から定めているものと理解をしております。  いずれにしましても、この中小企業基本法をまたどのようにこの基準を考えていくかということも併せて考えていく必要もあろうかとも思っております。
  58. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非この税制、もっと打ち出していただきたいと思います。  それはなぜかと申しますと、この政府の緊急経済対策にも書かれているように、百年に一度の危機ということで書かれているわけですよ。実際に出てきた中小企業の税的な措置は何かというと、既存のやつをパッチワークで本当に少し動かしたぐらいの話。実際に計算しましたら、資本金を製造業で三億円未満まで減税できますよと、二二%にしますよという話をすると、大体一兆円ぐらい掛かるんですね、これ、計算しましたら一兆円ちょっと掛かります。ただ、私はこういう税制こそ必要だと思うんですよ。本当に国民にばらまくという話、それも必要かもしれません。しかし、今本当に中小企業の方々が耐えておられるときに、私はばらまくよりも、やっぱり頑張っている中小企業の方にもっと頑張ってくださいと、安心してくださいというようなメッセージを送るような税制をつくるべきだと思います。  その一番分かりやすい例が何かというと、例えば僕は製造業だけでいいと思っているんですが、製造業だけでも税法上の中小企業の定義を資本金三億円未満に変えるということです、これは。本当に投資をしているのは製造業なんですよ、大臣分かっておられるとおり。サービス業はそんなに要らないです。製造業は機械を買って工場を買っていろんなものが必要。それをサービス業と一緒くたに切られてしまったのでは製造業の中小企業は頑張れないですよ。  いかがですか大臣、この点につきまして。
  59. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 先ほど来ずっと御質問を伺いながら、誠に傾聴に値する御意見をたくさんちょうだいしました。  我々は現下の状況を見て、今我々が対応してまいりました緊急融資の対応だけで事足れりということは思ってはおりません。したがって、税制の問題を含め、今後何が必要かということで、私たちは、副大臣、政務官及び私自身も含めて、御案内のように、私どもの役所の出先は全国に十か所ありますから、その十か所へ今度の土曜日から後に国会の合間を見て全員出張して、現場で改めて御意見を伺ってくると、こういうことをやっております。そうした場でも、今御指摘のようなことにつきましても十分テーマとして取り上げて、地元の御意見も十分伺う、そして地方局の意見も伺った上で、今後の課題として取り組んでいきたいと思います。
  60. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非大臣におかれましては、本当にお願いします。中小企業の方々が安心して経営、私はもう正直申し上げて、中小企業担当大臣が私は必要だと思っています。その下にすべてを一元的に見ていくぐらいのことをしなければ、全体雇用の四分の三、会社数でいくと九九%以上が中小企業じゃないですか。その方、そういう経営者の方々、働く方々が安心して政府を頼れるようにやっぱり変えていただきたいと思います。  そして、もう一つお願いがございますのは、今回政府が緊急経済対策を発表していただきましたけれども、中小企業とは話はそれますけど、何が足りないかなという、足りないなというものが一つございまして、それは何かというと、この対策をやったらどれだけ効果があるかというのがほとんど出ていないんですよね、実は。私はやはり、内閣府にもいろんな研究所がありますけれども経済産業省にも経済産業研究所というのがありますので、政策をつくるときにやはり学術的に裏付けされたものをつくるというものを、もっとインフラがありますから、活用していただきたいと思います。  最後に、私自身の提案ばかりという形になりましたけれども、本当に今中小企業の方々、年末を越せるかどうかという状況でございますので、是非二階大臣、本当に今そのトップとして仕事をしていただいているわけでございますので、年末越せるかどうかという中小企業の方々に、それは、そこで働いておられる方々も含めてやはり明確なメッセージを送っていただくことが今必要だと私は思います。  それだけを申し上げまして、質問を終わらさせていただきます。どうもありがとうございました。
  61. 藤原正司

    ○藤原正司君 民主党の藤原でございます。二階大臣、高市副大臣、お帰りなさい。  久しぶりに質問させていただきますが、その前にちょっと冒頭、先ほど私ども増子委員の質問に対しまして経済産業省答弁が、私が承知しているのと大分違うので、もし誤解を持ったまま委員の方に帰られると、これは誠に不幸な話なので、申し上げたいと思います。  答弁は、大間発電所の建設計画が相当竣工が後ろへずれますよ、それは計算し直すとずれていましたみたいで、何をやっとんのやという怒りだったと私は思う。私が承知しているのは、一昨年の九月に原子力施設の新しい耐震指針が設定されました。そして、去年の七月には新潟の中越沖地震もございました。そういうものを踏まえて、改めて設計をチェックし直して、それで申請をしておると。国の安全当局としては、こういう新しい指針だとか地震を受けて、第一号の建設のチェックですから、慎重にもかつ慎重を期して検討されたために少し時間が掛かったということが一つ。  時間が掛かりますと、青森県というのは冬の仕事は大幅な制約を受けます。一年間同じような仕事ができないわけでして、そういう関係で相当ずれてしまったというのが私の承知しているところでございまして、これはむしろ前向きの話だと思いますし、さっきの答弁なら何かめちゃめちゃ後ろ向きの話になってしまうので、そこのところだけ、もし私の認識が間違っておれば訂正していただければ有り難いというふうに思います。  そこで、元へ戻って質問。後から連絡しておいてください。  今回のアメリカあるいはイギリスに端を発した世界的な金融危機、これがもたらす世界同時不況ということが今一番懸念されるわけでございます。  内閣の中には、ハチか蚊かどっちやったかな、どっちに刺されたぐらいのものだとか、三年で全治するというふうに言われているようでありますが、私は元々技術屋ですから国際金融のことはよく知りませんが、ある程度本を読んだ中ではそんな簡単な話じゃないよと。底の見えない相当深刻な問題だというふうに承知をいたしております。  そういう中で、経済産業省として、今回の一連の問題についてどのように認識をされておるのか、何でこんなことが起きたのかということについて大臣見解をお聞きしたいと思います。
  62. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 今回の金融危機については、ただいま先生からも御指摘のように、米国におけるサブプライム問題に代表されるように、新しい金融ビジネスモデルが急速に拡大していった、金融機関がそのリスクを適切に管理することができずに金融市場が機能不全に陥ったことから発生したのではないかというふうに私どもは見ております。  アメリカで発生し、世界に波及したこの金融危機は、欧米における消費の冷え込みや株式・為替市場の不安定な変動などを通じて我が国の実体経済にも影響を及ぼしております。これに伴い中小企業の景況も厳しい状況であることは、先ほどから御質問の中でも度々御指摘をいただいておるところであります。  こうした状況への対策として、八月に取りまとめました経済対策に加えて、十月末には新しい経済対策生活対策を取りまとめたものであります。これらの対策を着実にまず実施をし、中小企業金融に万全を期すること、これが取りあえず我が国の経済にこれによって活力を与えるようにという思いを込めて全力で取り組んでいきたいと思っております。
  63. 藤原正司

    ○藤原正司君 何か本を読みますと、世界中が過剰流動性の中でまるで金融ばくちをずっとやっていて、その恨みが出たんではないかというような説もあるようでございます。  私は古い人間ですので、金融というのは産業を支えるわき役であって、主役ではないというふうに思っておりましたが、どうやら最近は金融が主役になってしまって、その金融の失敗がこれから考えられぬほど大きな影響を与えていくんではないかというふうに今言われているわけであります。  そういう中で、一つそれを反映したものとして、何か手っ取り早うもうける道はないんかいなみたいなものがあって、物をつくって稼ぐより、金で金をもうけた方が早いんじゃないかみたいな感じが、どうもそういう風潮が出ている。私は労働組合の出身ですが、企業って何のためにあるんだという話すときには、従業員と株主とお客さんのためにあるというふうに我々は頭の中で、これを三位一体としてどう考えていけばいいのかということを考えておりますが、最近は何か株主利益といいますか、それの最大化と。とにかく短期的に株価を上げればいいんだみたいな風潮が起きているということが一つあります。  それから、インターネット取引が簡単になりまして、こんなことを言うと誤解を招きますが、学校を出てどこも就職しない人が自分の家でインターネットで株価のトレンドだけ見て売り買いをする。それでも、株が上がっているうちは結構もうかる。これ、もし今のような状況なら今度は全然逆ですから、その人たちは離れて社会人としてどうなっていくんだろうという私は懸念がある。  それから、かつて日本もバブル経済がありました。のみ屋は、もう正業をやるよりも副業の株や土地に金出してもうけている方が手っ取り早いみたいな動きがあって、こういう一連の、きちっと実業に根差す経済というよりも、手っ取り早く銭でやった方がいいというふうなこの風潮について、大臣としてどのようにお考えでしょうか。
  64. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) ただいま御指摘のように、わき役と主役が転倒しておるのではないかと、こういう御主張であろうと思いますが、私もその御意見に対してなるほどという思いで先ほどから伺っております。  金融には、企業の成長段階に応じた設備資金、運転資金の供給が重要な使命であります。そして、リスクマネー供給を通じたイノベーションや事業再生・再編の促進、これなども重要な機能であります。金融産業の競争力を強化し、なお産業の成長を支える重要な役割を担っているものと認識しております。  しかし、そうした点と、今先生が御指摘になりましたように、やや道を外れておるのではないかと思われかねないような状況が国内外に生じておることは事実であります。  そうした点から、今日、この破綻が実体経済に大きな影響を与えておる現状でありますから、我々は、この金融を物づくりやサービス産業といった実体を伴った産業の発展に有効に活用をし、力強い経済の成長を実現していくということに重点を置いていかなくてはならないというふうに認識をしておるものであります。  今後において、ベンチャーファンドとか事業再生ファンドとかというふうな面にも十分力を注ぎながら、今の状態をどう回復させていくかということが我々の課題であろうと思っております。
  65. 藤原正司

    ○藤原正司君 我が国は、明治維新以降といいますか、とりわけさきの大戦以降、いい物を安く作るということで国内外のお客様の支持を得て、そして発展してきた国だというふうに思っております。そして、その物づくりを中心とする実業国家といいますか、それをやっぱり所管し、リードしてきたのが経済産業省だと私は思っております。ここで経済産業省の出番やないかと私は特に思っておるわけでして、その意味で今回の一連のことを受けて、経済産業省としてこれからのひとつ決意を是非聞かせていただきたいと思います。
  66. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 今御指摘のように、私どもとしては、前々から日本経済全体を概観するときに必ず言われることは、人口減少下で高齢化社会が到来しておると、したがって日本経済がこれ以上発展するということは難しかろうというふうな御意見が随分あちこちから寄せられておるわけでありますが、私はそれでも、今御指摘のように、経済産業省の役割というのはあくまでも日本経済を成長、発展させる方向に牽引する努力をする責務を担っておると。したがって、前に、これは小泉内閣の当時でございましたが、新経済成長戦略なるものを発表し、大方の皆さんの御理解、御協力を得ながら、日本経済を回復基調に乗せていくということが大事だということで、経済財政諮問会議やいろんな会議におきましても皆さんの御同意を得ながら取り組んでおりました。  しかし、ここへ来て、もう御説明の必要もないほどの状況になり、環境が随分変わったわけでありますから、私ども経済産業省としては、弁解これ努めておるよりも、思い切って現状のこの事態を把握し、これに対して新しい経済成長の方向を見出すべきだと、こう考えて、私は、前の福田内閣の当時でございましたが、大臣就任の翌日から、新経済成長戦略改訂版二〇〇八というものを作ろうということで役所や関係者皆さんには御苦労を掛けました。つまり、八月の二日からでございますから、みんなが夏休みでもと思っておるときに、私があんな分厚い本の一行一行を検討して改訂しようと。そして、これが、前に述べた経済成長戦略がどの程度の効果を上げておるか、これは道半ばだ、これは方向を誤った、これは少し小さ過ぎる、そういうことを一々検討して、百五十人ぐらいの関係者の昼夜兼行の努力をいただいて、約五十日間ぐらいでこの改訂をやりました。  せっかくこれをやってくれた諸君の努力等を思うと、この話を内閣の改造だとかいろんなことでどこかへ雲散霧消するようなことがあってはならないと思って、福田内閣の終わりの一週間前に、私は、少し強引であったかと思いますが、閣議決定に持ち込んだ次第でありまして、今の経済成長戦略改訂版の二〇〇八は、現内閣においてもお互いに遵守していくことは当然のことでありますが、遵守するだけではなくて、これを発展させていくという方向へ持っていきたいと思っております。  なお、国際的な金融危機に覆われておるわけでありますから、私はもし国会の御了解が得られれば、来週APECがリマで開かれるわけでございますが、これに参加し、日本の中小企業を預かる立場、そして日本の今日の状況等について、APECがお互い協力し合うということについても申し上げたいと思いますし、また日中韓の担当閣僚とも出会うわけでありますから、それぞれバイ会談、あるいは場合によっては三国で会議ができるかどうか、短い日程でありますが、それらについてもチャレンジをしてみたいというふうに思っておる次第でございますが。  今御指摘のようなことにつきまして、本当に経済産業省としてはまさに百年に一回のこういうことに遭遇した、しかし、これはまたある意味においては経済産業省が一生懸命頑張るためのチャンスを与えていただいたと、こう思って、ここから逃げることなく、ひるまず我々は真正面から取り組んでいきたいと思います。  どうぞ与野党を通じて、この件につきましてはどうぞ忌憚のない御指摘をいただいて、私どもは、率直に認めるといいますか、そのとおりですというところはそのとおりということでありますし、御理解をちょうだいしたい点については一生懸命御理解をいただけるように努力をいたしますから、どうか国会がみんなで協力してこの難局を乗り越えていく、また、大きく言えば、将来、第一次オイルショックも第二次オイルショックも我々の先人たちは乗り越えてこられたわけでありますから、我々は今のこのピンチをどう乗り越えていくかについて、後で、後々みんなが振り返ることができるように努力をしていきたいと思っておりますので、よろしくお願いをいたします。
  67. 藤原正司

    ○藤原正司君 是非頑張っていただきたいというふうに思います。  何といいますか、レーガン大統領が登場したころから、グローバリズムだとか、結局、国境なき経済というふうな感じになってくる。しかし、片側で、国は国民の生命と財産、そして将来の希望というものをつくっていかにゃならぬ、そういう義務がある。そのことと国境なき巨大な資本の揺れ動きというものをどう調整していくか。かつてアジア通貨危機というものも起きた。こういう中で、国際社会も発展しながら、それぞれの国もきちっとした尊厳を守りながら発展していくという道をこれから考えなければならないというふうに思います。国がなくなれば別ですけれども、国という主体といいますか単位がある、これも大事にせないかぬ。  そういう中で、先ほど大臣がG20の話もされましたし、APECに先立って来週早々にも大臣会合があるようでございますが、こういう中で我が国はどういう役割を果たすのか。幸い、相対的比較で言えば、我が国はいろんな貢献のできるチャンスとも言えるわけでして、こういう中でどういう提案をし、一緒にやっていこうではないかということになるのか、お聞かせ願いたいと思います。
  68. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 私どもは、まさにこの金融の危機を受けて、先ほど来御議論がありますように、中小企業におきましても大変重要な局面に立たされておるわけでありますが、しかし、国際的に全体を見ますと、まだまだ日本は他の国に対して一言物が言える立場にあると思うわけであります。そういう意味で、私たちは国際社会においても日本の主張というものを堂々と主張してまいらなくてはならないと思っております。  ここで我々は、金融の安定化に向けた取組ということはもちろん第一義的に重要でありますが、実体経済の面でも活性化を図っていくということにお互い協力が重要であると思います。  殊に、この保守主義の台頭というものを防いで、自由で開かれた、我々がかねてより念願してきた貿易投資体制を維持発展すべきであるというこの強いメッセージを発することが、我が国として、また経済産業省に与えられた責任だというふうに思っております。
  69. 藤原正司

    ○藤原正司君 次に、今回の金融危機あるいは世界同時不況という問題とこれから世界が取り組もうとする地球温暖化問題との関係について、少しお尋ねをしたいというふうに思います。  その前に、正直恥ずかしい話ですが、ここ最近まで地球温暖化問題そのものを疑問視するような考え方が真っ向から否定されるような時代が続きました。水戸黄門の印籠みたいに、ばっとこう出されると、もう何でも温暖化。この間も何か、サケの遡上が減ったよ、地球温暖化やというようなことを言うていましたけれども、何でも温暖化付けたら温暖化になるんですが、ただ、こういう中においても、最近、温暖化って本当に起きるの、温暖化が悪いの、あるいは炭酸ガスが増えて地球の温度が上がるのは分かるけどそれだけなの、その比率はどの程度のものなのみたいな、いろんな疑問が提示されておりますし、そして、今や何かEUETSがもうすべてのような中で、本当にそれいいのみたいな、様々な本が出るようになったわけでございます。  そこで、ちょっとさかのぼってみて、今年の七月にサミットで福田ビジョン、サミットの前に発表された、今世紀中ごろまでに地球全体は温暖化排出ガスを半減しなければならない、少なくとも我が国は六〇から八〇減らさないかぬ、これは何に基づくものですか。
  70. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 我が国は二〇五〇年までに世界全体の排出量を半減させると、我が国においても、今議員御指摘のとおり、六〇ないし八〇%の削減を目指すということを、長期目標としてこれを掲げておるわけであります。これは大気中の温室効果ガスの濃度を一定レベルで安定させることを目的に設定したものであります。この目標を実現するためには、既存の技術の普及のみならず、これまでの延長線上にはない、新たな、いわゆる革新的な技術の開発を進めることが重要であります。  経済産業省としては、革新的な太陽光発電、先進的原子力発電などの有望な技術についてクールアース・エネルギー革新技術計画を取りまとめたところでありますが、これらの技術開発に今後も力を尽くしてまいらなくてはならないと思っております。  そこで、我々は、常にこの温暖化の問題、環境問題、また公害問題、いずれも日本が率先してこれをやらなきゃいけないということに対していろんな御意見があることは私も承知をいたしております。しかし同時に、我々は、この環境問題を一つのテーマに、国際的に今、さきのサミットにおいても存在感を出しておるところでありますが、私はそうした立場だけではなくて、技術開発を積極的にやることによって日本の持てる中小企業を含めて製造業がこの環境問題において新しい分野を切り開いていくことができると、そうも考えておるところでありまして、これから環境問題については今議員の御指摘のようなことも十分念頭に入れて対応していきたい。そこのけそこのけ環境が通るというか、温暖化が通るというふうなやり方ではなくて、やはり国民皆さんの声に十分耳を傾けながら、なるほどということでみんなに納得していただく。  ですから、私は、一人の百歩よりも一万人の一歩が大事だというこのことで環境問題を対応していかなきゃならぬということを度々省内でも申しておるところでありますが、皆さんの御協力をいただきながら、多くの国民皆さんの御理解をいただき、なるほどという納得をいただいた上で推進するということが一番大事だと思っております。
  71. 藤原正司

    ○藤原正司君 いや、私の質問以外にもお答えいただいたわけでありますが、私は、この二〇五〇年までに半減しなければならないというものがどんな根拠に基づくものか。IPCCは二〇五〇年までに半減しなければならないとも書いていません、あのノーベル賞をもらった、も書いているわけではないんです。かなり不確実性の非常に広いものを前提の話なんです。そのことが科学的根拠がなくてもいいんだと、政治的にやらなければ日本は孤立するというんだったら、それでもいいんです。  問題は、どういうことを我々はわきまえた上で二〇五〇年の今世紀中ごろの半減なのかということを承知しておかないと、これ半減というのはそんな簡単な話じゃないんです。まして、我が国が六割から八割減らすんですよ。そういうことをやろうと思えば、そんな簡単な話じゃない中で、何となく五割やでみたいな話になってしまうと、これちょっとおかしいかなというふうに申し上げたわけです。
  72. 鈴木正徳

    政府参考人鈴木正徳君) ただいまの委員御指摘ございました二〇五〇年までに半減というその科学的根拠でございますけれども、昨年でございますが、委員御案内のとおり、IPCCの第四次レポートが出まして、今人類が出しておりますCO2が自然界が吸収できるCO2の約倍出しているということで、どの時点かで自然界が吸収できる量まで下げなければいけないというようなことが書かれているところでございます。  その際に、一体、その安定化するレベルにつきましては、今委員がおっしゃいましたとおり、IPCCも幾つかのストーリーを書いております。一番きついストーリーですと四五〇ppmにするというストーリーでございます。これですと、地球の温度は二度上がるというレポートが非常に多いというものでございます。  ただ、いろいろなストーリーが書かれておりまして、いずれにいたしましても、今人類が出しておりますCO2が自然界が吸収できる量、その倍を出しておりますので、それを何とか自然界が吸収できる量まで下げたいということで、二〇五〇年までに半減という目標を掲げさせていただいたところでございます。
  73. 藤原正司

    ○藤原正司君 そういうのはあります。ただ、それがどこまでかということになると、非常に不確実性の高いものであるということと、かつてはそういうものに疑問を差し挟むような論議が一切されなかった中で、今いろんな問題が出てきておる。あれ、今氷河期が終わって温度が上がっているんじゃないかとか、かつて何億年か前は炭酸ガス濃度は今の五倍ぐらいあって気温も高かったと、おかげで恐竜が発達したんやとかですね。いろんなのがあって、詰めていけば、もう一つは、いや、シベリアでスイカが取れて何が悪いというふうな話まで実はあるわけでして、そういう中で我々はどういうものを根拠に、よりどころにして温暖化問題を進めていくかということをはっきりしておかないと、これは国民協力、あるいは巨大な財政負担みたいなことと無縁でないから私は申し上げているわけでございます。  その上で、今EUETSと言われるように、排出権取引というのがEUを中心に第二クールに入ったというのかな、今そういう状況にあります。ただ、今回の金融危機の一つの問題として、価値のないものに値段を付けて取引する、いわゆるマネーゲームというのはえらいことになるでということを勉強したわけであります。今回の排出権取引も、炭酸ガスという全く価値のない、純粋な炭酸ガスはアイスキャンデーを作るのに要るんですが、そうじゃなくて、炭酸ガス排出という全く価値のないものに値段を付けて取引をするということになりますと、どうしてもこれはマネーゲームになってしまう。現にEUの市場でも九九%は当事者じゃないんです。CO2を出している当事者はわずか一%しかかんでいない。  こういう中で、一つは本当にこのキャップ・アンド・トレードと言われる排出権取引がCO2削減に大きく寄与しているのかどうかということが一つと、もう一つは、いや、すごく寄与しているから、金融商品としての危険性はあったとしても、いやいや十分考える必要があるというふうにおっしゃるのか。いや、もう単なる金融商品だけやと、喜ぶのは金融業界だけやというふうに思っておられるのか。特に、これは次の話になりますが、ここら辺りについて、今EUETSの評価をどう持っておられるのか、お聞きしたい。
  74. 鈴木正徳

    政府参考人鈴木正徳君) ただいま委員から御指摘ございましたEUのETSでございますけれども、二〇〇五年の一月から三段階に分けましてこの取引が開始されたところでございます。  まず第一段階の二〇〇五年から二〇〇七年まで、これは一万一千五百事業所を対象に導入されたものでございますが、実体経済の影響を考慮いたしまして、削減目標そのものが非常に緩やかなものになっております。具体的には、三年間の平均で二〇〇五年比で八・三%の増加を認めるという目標を掲げておるところでございます。実際、対象業種の排出実績を見ますと、二〇〇五年比で一・〇%でございましたので、緩い目標だったと思います。ただ、二〇〇八年からは第二期といたしまして二〇〇五年比で五・六%の削減という目標で現在行われているところでございます。  これまでの取引の実態でございますが、委員今おっしゃいましたとおり、対象事業所一万一千五百事業所ございますけれども、その事業所間の取引は極めて限定的でございます。大部分は金融機関やまたブローカーの方々により行われているというふうにヒアリングから聞いております。また、その排出枠の価格につきましても、第一期の価格がCO2一トン当たり〇・〇三ユーロから三十二ユーロと、また第二期の排出枠の価格につきましても十二ユーロから三十二ユーロと、大変大きく変動しているというのが実績でございます。  実際に本格的導入となりますのは二〇一三年以降でございますけれども、欧州委員会もその制度案を提案しておりますけれども経済や雇用への影響を含めまして、また本当にこのような排出権取引が様々な技術開発、また排出量の削減につながっているのかという観点からも様々な検討が行われておりまして、結論はまだ出ていないと。したがいまして、現段階の評価といたしましては、EUにおいても実体経済への影響、また排出削減に実際にどれだけつながっているかということを考慮しながら試行錯誤を重ねているというふうに評価しているところでございます。
  75. 藤原正司

    ○藤原正司君 私は、実際にCO2を減らすのは技術であって、それの技術の開発にこの経済的措置の刺激が機能しているかどうかと。いや、単に金融商品を取引するマネーゲームのネタを提供したということだけに終わってはいないかということが懸念されるわけでございます。  そんな中で、今、大不況の門口に立っているというふうに言われているわけでございまして、これから世界経済はもう底が知れないような、長期間で、かつ深い深い不況に入っていくんではないか、経済規模の収縮が起きてくるんではないかという中で、我が国としても経済戦争に勝っていかなければならない、国民を養っていかなければならない。世界中がそうであります。  そういう中で、一つは、そういう経済的措置がコストアップ要因につながりはしないか。あるいは、そういうコストアップ要因やら様々な規制が、カーボンリーケージといいますか、要は、もうそんなところ嫌だからといって逃げ出してしまう。EUでも起きているというふうに聞いておりますし、どこかの国でも鉄鋼会社が製鉄所をブラジルに造ろうかみたいな話が出ているようであります。私は環境問題というのは、本当に科学的根拠があるならば温暖化対策はきちっとやっていかないかぬけれども、こういうときにどう対応するんだと。食っていくことも生きていくことも極めて大事な、このときにどう対応するのかということも極めて大事だと思います。  ですから、これまでの方針がこれだからこの延長線上で物を変えなければならない、京都議定書にサインしたから次もサインしなければならないというふうな物の考え方だけでいいんだろうか。今置かれた状況、大きな大きな環境変化を踏まえて温暖化対策もどうあるべきだ、それは我が国だけの政策じゃなくて、世界に対してもこうしようじゃないかみたいなものが要るんだと思うんですが、この点についてお考えがあれば聞かせていただければと思います。
  76. 高市早苗

    ○副大臣(高市早苗君) 先ほど来先生が御指摘になったような費用対効果、それから様々なメリット、デメリット、こういったものを考えながら対応していかなきゃいけないということには賛成でございます。  中期目標をこれから定めていくということになっていくんだと思うんですけれども、このための中期目標の検討委員会、これは御承知のとおり先月設置しまして、これからその科学的、技術的な議論を進めてまいります。  その際、先ほど来先生が指摘されていたようなこと、例えばセクターごとの削減ポテンシャルの検証、それから対策ごとの削減ポテンシャルと限界費用分析ですとか、それからまた仮置きされた複数の目標値ごとに、目標達成に伴う経済成長とコストですとか、こういったものをあくまでも科学的、技術的に分析していくと、こういった試みも行っていきたい、対応も行っていきたいと思います。同時に、やはり省エネ、新エネ技術、これで成長していく産業もございますので、精いっぱい支援を行っていきたいと思っております。
  77. 藤原正司

    ○藤原正司君 時間も来ましたので最後の質問にさせていただきたいというふうに思いますが、私は、この温暖化対策というのは、その対策の合理性、公平性、そしてみんなでやれる一体性が大事であろうと思います。  一貫性というのは、スタートを間違うとえらい終わりの方でベクトルがずれてしまうんです、幅がある。だから、余り一貫性みたいなものは環境変化の中では僕は違うものだろうと。だから、これまでずっと温暖化対策を中心にCOPを積み上げてきたけれども、こういう環境、大きな変化の中で、世界中がどういうふうに取り組めば合理的なんだろうという話をしていかないと、今までこうやったからこうだみたいな話は絶対私は通用しない。やっぱり国は国民を飢えさせない責任がある。そこをやっぱり考えていく必要があるんではないかなというふうに思っているわけでございます。  その上で、もう時間がないのであれですが、一つは、福田ビジョンの中で来年のしかるべき時期に我が国の国別総量目標を発表したいというのもありました。私は、これも余り焦っていただきたくない。というのは、国別の総量目標は一体何のために要るのかといったら、キャップ・アンド・トレードのために要るんでして、これがインドや中国も全部入ってくれるならともかく、何かCOP3で、京都議定書で一回結んだから次やりましょうみたいなことは是非やめていただきたい。これは、前大臣もこの京都議定書の不備について指摘されているところですので、これは二階大臣もきっと同じだろうというふうに思いますので、是非お願いしたいというふうに思います。  その上で、一個だけ質問させていただきたいんですが、国内排出権取引の試行をやりますね。この試行というのは、あらゆる可能性を秘めたための試行になっているんですが、まさかEUETSみたいなこともその範疇に入っているっていうようなことはないでしょうね。
  78. 鈴木正徳

    政府参考人鈴木正徳君) 今委員から御指摘がございました排出量取引の試行的実施でございますけれども、本年十月二十一日から参加企業等の募集を開始したところでございます。その際、先ほど大臣からお話ございましたように、一人の百歩よりも一万人の一歩が大事ということで、多数の企業の参加を働きかけているところでございます。  この試行的実施、これにつきましては、排出量取引の本格導入を前提にしたものではございませんけれども、実際に削減努力や技術開発につながる実効性あるルール、またマネーゲームを排した健全な市場をつくっていくことが、これが大変重要であるということで、様々の課題を抽出し検証をしていくということでこの試行を始めたところでございます。  これによりまして、仮にでございますけれども、本格導入するということに仮になった場合でございますけれども、その際の条件、課題、また本当にそれが技術開発やそれから削減努力につながるのか等、様々の課題について検証をしていく場と、そういうふうに位置付けているところでございます。
  79. 藤原正司

    ○藤原正司君 終わります。
  80. 姫井由美子

    姫井由美子君 姫井由美子と申します。当会派最後の質問、午前の部最後の質問となるかと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。  まず、二階大臣におかれましては、経験を生かされて混迷する社会に的確かつスピーディーに対応をしていかれることを願ってやみませんし、期待をしてやみません。  今回の所信の中では、喫緊する経済の諸問題について大きく三つの柱、内容を申されました。その内容をお聞きする前に、私は喫緊の生命の安心、安全である消費者問題についてまずお伺いしたいと思います。  経済産業省が取り組んできた重要政策の一つである消費者行政、私も今までの質問消費生活用製品安全法やいわゆる割販法、特商法といった改正について、消費者関連のこの問題について質問してまいりました。  皆様も御記憶に新しいパロマ工業製のガス湯沸器は、過去二十一年間で二十八件の事故を起こしています。その二十一番目の犠牲者は十八歳の大学生でした。二十八件の事故、事件を起こすまで、経済産業省は元来産業界の保護や育成をする役所だから消費者保護に腰が引けているのではないかと思われがちでした。今年六月二十五日に、甘利前大臣のときに再度危害防止命令も発令されたほどです。  そしてもう一つ、シンドラー社製のエレベーター事故では十六歳の高校生球児が犠牲になりました。こちらは国土交通省の問題になるようですけれども、事故解明調査機関の設置を求める署名が同級生の協力の下、何と十六万人分集まっております。しかし、まだ調査機関は設置されておりません。  二階大臣には最初に、消費者の安全のためにどう取り組まれるのか、御決意を聞かせていただければと思います。よろしくお願いいたします。
  81. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) ただいま御指摘のように、国民皆さんの安全、安心を確保するということは、私ども経済産業省のみならず、政府としても最重要な責任であろうというふうに思っております。とりわけ経済産業省としては、この問題に対して重大な関心を持って今後対応してまいりたいと思っております。  私は、最初の小泉内閣のときに、このパロマの問題というのに対して、大変残念な事故であるということで、これに対して積極的な対応を図るために製品の総点検をやろうと、大変難しいことではあるが、思い切ってやろうと。しかし、これをやっておる間にこの会社がもつのかという思いは一面ありましたが、それでもやっぱりやるべきだということで対応いたしました。  今ようやく、私が改めてこの経済産業省へ帰ってまいりまして一番先に尋ねたことは、パロマはどうなったと、こういうことであったわけでありますが、そのパロマは一万九千の得意先に設置しております自社製品があるわけでありますが、それを総点検いたしまして、今残り九十七というところまで来ております。九十七ならばもっと早く何でできないのかという御指摘が当然あろうと思いますが、これは、私もそう甘い方ではないんですが、いろいろな事情があります。つまり、御家庭においてその検査とか点検に他人がどやどや入ってくるということは困るということで、容易にそういうことに御理解いただくことの難しい方々もおられるわけであります。そういうところへは、経済産業省も出先が現地に赴いて、書面等をお見せして、御協力をいただけないかと、かくかくしかじかのことで、人の安全にかかわることですから是非協力をと言ってお願いしておりますし、会社の方ももうトップが現場に出て協力の要請をしておるところであります。残り九十七件に対しても徹底的な対応をしていきたいと思いますし、こういうチラシなども用意して、これを各戸にお配りして協力を呼びかけておるところであります。  我々は、パロマのみならず、こういう製品を作っております企業に対しましては再発防止ということを考えなくてはなりませんので、重大製品事故報告制度というものを新たにつくって、これを実施してきておりますが、さらに、経年劣化事故の未然防止対策の創設等製品安全行政の強化に取り組んでおるところでありますが、今後とも製品安全対策の厳正な実施を図るとともに、今御指摘のありました消費者の安全政策、このことに対して経済産業省は積極的に取り組んでおるんだという評価をいただけるまで努力をする決意であります。
  82. 姫井由美子

    姫井由美子君 力強いお言葉、ありがとうございました。私どもも、消費者をどうしたら真に守れるか、その思いは同じであります。力を合わせて消費者の立場に立った行政を目指していけるよう、力を合わせられるよう、大臣にも御尽力をお願いしたいというふうに思っております。  続いて、大臣の三つの柱の一つ、私は特に、地方の元気が日本を元気にする、そのためには農業と中小企業の活性化が必要というふうに訴えてまいりましたが、特に、今年の農商工等連携促進法、これ非常に強い思いを持っておりまして、これが五月に成立し、七月に施行された後、早速岡山全県下の役場や商工会議所を回ってまいりました。しかし、なかなかまだ浸透していません。  是非、私はこれこそが日本を救う新しい産業になるのではという強い思いもありますので、大臣には更なる抱負、そして特に、この生活対策の中にありました地場農産物の販路拡大、これはまさに中小企業が力を発揮するところであると思っておりますので、新しい、付け加える方針等ありましたらお聞かせいただきたいと思います。
  83. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 農商工連携というこの言葉だけはだんだんと、まさに人口に膾炙されるようなところまで進んできたと私は思っておりますが、実態が、今議員御指摘のように、農商工連携といっても、このネーミングからして農業と商業と工業と、こういう理解の方が多くて、この農という中には林業も水産業も入っておるんだということも、ああ、そうですかと、こういうふうな今の状況でありますから、これをもっともっと御理解いただくように努力をしていきたいと思いますが、私ども政策的な位置付けとしては、先ほども申し上げましたような新経済成長戦略に地域の活性化のかぎとして重要な位置付けをいたしておりますので、これから予算の面におきましても、また現場経済産業省の出先との農林水産業を担当しておられる農林省との間でも十分な対応を取って地域の皆さんの期待にこたえていきたいというふうに思っております。  そして、農業と商業との連携ということは、互いの強みといいますか特徴を生かせば、やっぱり農業は農業だけでやっておったときと、あるいは中小企業は中小企業だけでやっておったときに比べて、両方の連携がうまくいけば非常にいい成果を収められるということを我々はだんだんと肌身で知るようになってまいりました。例えば水産の問題一つ取っても、水産で、捕れたてのいろんな魚にしても、これに対して急速冷凍によって長期保存が可能だというような例がたくさん出てまいりまして、それが農商工連携八十八の中にも選ばれております。  ですから、そういう面で、私どもは、この政策は、ねらいは誠に皆さんの期待をいただいておるとおり進んでいくだろうと思うんですが、とにもかくにも技術開発、そしてIT等を活用した新しい時代に対応したものとしてやっていかなきゃなりませんが、今度の生活対策におきましても、農商工の連携におけるいわゆる地場産業、地域産業の国内外への市場の開拓ということに今後力を入れていきたいと思っております。海外へ中小企業の皆さんや農業関係の皆さん、水産関係の皆さんを誘導することができるような、この役割を経済産業省としても大いに担っていきたいと思っております。
  84. 姫井由美子

    姫井由美子君 ありがとうございます。  連携がうまくいけばとおっしゃいましたけれども現場では多少、経産省と農林水産省の温度差を感じております。  そこで、農林水産省の方に、是非国産原料を安定的に活用するためにも農商工連携の支援を確実に進めていただきたいという思いも込めて、簡単にお答えいただければと思います。よろしくお願いいたします。
  85. 平尾豊徳

    政府参考人平尾豊徳君) お答え申し上げます。  この農商工連携、私ども、先ほど大臣からお話がありましたように、地域の基幹産業でございます農林水産業者とそれから中小企業者が連携することによって、地域の活性化あるいは双方の収益の増大につながると思っております。  そういう観点から、委員からも御指摘がございましたように、今後更に地域でのそういう取組の輪を広げなきゃいけないと思っております。ただいま、農協系統それから漁協系統、さらには森林組合等でも積極的に取組をしておるわけでございます。そういうことを支援するという観点から、先ほど御指摘ありました生活対策の中でも、私ども、できる限りのことをさせていただこうと思っております。
  86. 姫井由美子

    姫井由美子君 ありがとうございました。  それでは次に、三つの柱の二つ目、グローバル戦略につきまして、大臣自らが力を入れたという東アジア・アセアン経済研究センターが設立されました。それを活用されるということではありましたけれども、この十月に行われた日中首脳会談で麻生総理は、中国に対しまして農薬混入など食の安全に対する取組を求めました。大臣は、このいろいろと問題の出てきている中国との経済関係について、基本的にどのような考え方を持っておられるのでしょうか、お伺いしたいと思います。
  87. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 食品の問題ですか。
  88. 姫井由美子

    姫井由美子君 中国との経済関係です。
  89. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 日中の経済関係というのを一口でお答えするのは大変難しい問題でありますが、私は、日中両国はお互いに隣り合わせでありますし、相手国の存在を意識せざるを得ない、そういう間柄にあると思いますが、ここで私たちが考えなきゃならぬことは、向かい合ってただ突っ立っておるだけではなくて、お互い協力、協調して、日中のために、あるいはアジアのために、もっと大きく言えば、世界のためにどういう役割を果たすか。とりわけ今回の金融問題等においては、日中間において、韓国の今の状況に対して日中がどう協力するかということがもう既に俎上に上がっておるわけでありますが、こうした面についても日本はしっかりした対応をしていかなきゃならぬと思っております。  同時に、私は、前々から環境問題等において中国を私たちと同じ土俵に乗ってもらうために話合いをしていかなきゃいけない、そして、そうしたことがまたエネルギー問題でも同じような意見交換ができるそういう場をつくっていかなきゃならぬと、こう思って日中省エネ・環境フォーラムというものを三年前に立ち上げて、最初は東京で、次は北京で、今度は年末に日本で第三回目を開くことになっております。  それは、できるだけ多くの人たちに御参加をいただいて、御参加いただいた方々には日本国中ずっとお互いに関心のあるテーマによって見学にもずっと回っていただく。そうしたことで、お互いに日中間で交流、交際が始まる場合もありまして、先般、成功例として、中国電力と中国の一番大きい電力会社との間で石炭火力発電所の問題についてお互い協力できるということで調印するところまで進んだということを先般中国電力から伺ったところでありますが、こうした事例は数多く出てくると思います。ほとんど千人規模でのシンポジウムがなされておりますから、今度第三回目ですから少し進んだ結果が出てくるんではないか、このように思っておりますが、そうしたことなどを併せて対応していく。  そこで、我々は食の安全という問題にも重大な関心を持っておりますが、このことなどに対しても、環境問題と同じく我々は共通の基盤に立って話合いができる、そういう場をつくっていくということが大事ではないかというふうに思っております。  この十二月の末にも中国の上海で物産の展覧会のようなものがあるようでありますが、そうした場合に日本の農産物なんかが出品できないかと、そしてお互いにそれを技術を競い合う、成果を競い合うというふうなことも考えていってはどうかということを私は考えております。  同時に、これは先般、日中首脳会談において合意に達したことでありますが、日中中堅幹部交流と、これはかなりレベルの高い層で交流していく。観光交流で大量の人たちが両国を行ったり来たり往来すること、これも理解を深めるということでは大事なことでありますが、これから更に一段とお互いの企業にとっても、あるいはまた地域にとっても成果を収めていくためには、中堅幹部での交流が大事だろうということになり、先般、両国首脳によってこの問題についての合意がなされたわけでありますが、私自身も今年の一月からこの問題について何回か中国の閣僚たちと話合いを進めてまいりましたが、これはこれで立派な成果を収めるようにしていきたいと思いますが。  今この第一ページとして、地震の復興について、是非日本の知見、日本の経験を教えてもらいたい、こういうふうに中国の方から申出がありまして、先般、四川省周辺の四十四名の幹部が日本を訪問しました。今度は第二陣として、市長さんのようなレベルの人たちが何人かそろって日本を訪問して、地震復興の面において、それは建物の復興も大事ですが、同時に、地震で被害を受けた人々の心のケアの問題等、詳細にわたって日本の経験を学びたい、こういうことでおいでになりますから、そうした面でもお互い協力し合って、やがて経済分野において、また文化の面においても成果が現れてくることを期待しながら、こうした問題に取り組んでいきたいと思っております。
  90. 姫井由美子

    姫井由美子君 大臣が、隣接する大国、中国を意識せざるを得ない認識という意味で取り組まれることがよく理解できました。  時間がなくなりましたので、あと質問二つぐらい残しましたけれども、要望に代えたいと思います。  低炭素革命のことを三つの柱の一つに言われましたけれども、前甘利大臣、余り乗り気ではなかったんですけれども、バイオエタノールの開発、これは岡山でも非常にセルロース系で頑張っておりますので、資源の安定供給の必要性大臣は力強く訴えられましたが、日本で土地があればエネルギーが調達できる。このバイオエタノール、これ世界のエタノールの開発に乗り遅れることのないような政策是非打ち出していただきたいと思っております。  そして最後に、景気対策景気対策と言われますけれども是非、数字の上での景気回復ではなくて、私たち国民や中小企業が実感できる景気対策を行っていただき、景気回復していただくことを強く望みまして、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  91. 山根隆治

    委員長山根隆治君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時三十二分休憩      ─────・─────    午後一時三十分開会
  92. 山根隆治

    委員長山根隆治君) ただいまから経済産業委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、経済産業貿易及び公正取引等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  93. 北川イッセイ

    北川イッセイ君 二階大臣、高市副大臣、また谷合務官、本当に御苦労さんでございます。  二階大臣、高市副大臣には、再登板、本当に御苦労さまでございます。今経済的に大変な危機の状態の中で決断力と実行力のある二階大臣が再登板していただいた、本当にすばらしいことだというふうに思います。また、高市副大臣は、非常に明るいキャラクターでいらっしゃいますので、その明るさで日本経済も明るく持ち上げていただきたいなと、こういうように思います。  私は、今日は最初に、直近の経済の問題、そういうことについて二階大臣にいろいろと御質問をしたいと、こういうふうに思います。  米国発のこの金融不況が世界に広がりました。一時は世界的な恐慌になるんかなというような、そういうようなことも言われました。十月の二十六日の日経新聞ですけれども、世界の主要市場の株価が最高でロシアで七五・三%下落した、日本では五四・三%下落だと、世界の時価総額が一年で半減してしまった、こういうようなことを報じております。  以前日本が経験したバブル崩壊そのものだと、こういうように思うんですが、ドル、ユーロ、そのほか各国通貨が円に対して軒並み下落しておると。グラフを見ましても、日本の独り勝ちというような、そんな感じもするわけです。日本が非常に低金利であったと。世界の金融機関ですとか金融業者、そういうものが日本お金を借入れをして、そしてそのサブプライムローンですとか、そういう債権を買って、その利ざやで非常に利益を上げておると、こういうようなことがあったわけですね。それが一挙にこのサブプライムローンの崩壊と、こういうようなことで、世界のお金がそれの返済を、金融機関皆が返済させまして、それを一挙に、この世界のお金日本に集まってきたと、そのために大変なこの円高が起こっておると、こういうようなことを聞くわけです。  また、もう一つは、バブル崩壊のときに大変な日本金融危機と、こういうように言われましたけれども、それを克服した、そういう実績、そういうものが日本の信用になっておるんだと、こういう話も聞きます。  この為替相場が、円が実に一ドル九十円ぐらいまで下がってしまった。これによって、大体この貿易をする場合に、その損益分岐点が百円から百二円ぐらいと、こういうことが言われますけれども、この九十円台が長く続きますと、輸出に支えられてきた日本の企業には大変大きな打撃になるわけです。それによって、今度この円高によって、今度株安がまたやってきたと、こういうことで、いっとき日経平均が七千円割れというような時期もあったと、こういうようなことでございました。これもその株安によって企業の財務内容が非常に悪化したと、こういうことだろうと思います。それによって、特に自動車あるいは家電、そのほか非常に有力な輸出関連企業が生産調整をしていく、また収益の見込みの修正をしていく、こういうようなことが続出しておるわけでありまして、これもひいては中小企業に大変大きな打撃を与えるのじゃないかということで懸念されております。  このように、円が非常に急騰し株価が急落するというのは、これ特に日本の一番の得意芸であります製造業、ここへ一番よく如実に来ておるんじゃないかと、こういうように思います。  ここ数年、内需が非常に減少していって、そして外需の方にどんどんどんどんシフトされておると、こういうような現象があるわけですけれども、今日のような為替相場の急激な変動に対応できる強い経済をつくるためには、内需の拡大、これで活路を開いていく、そういうことが一番いい方策だと、こういうようなことがしきりに今言われております。これも新聞記事ですけれども、製造業が、特に機械ですとか設備投資というような製造業が国内総生産、GDPですね、それの占める比率がもう二割しかない、これは日経新聞ですね、これの加藤寛さんが記事で書いておられます。そういうふうな状況だということで、要するに内需を拡大していくということが一番の根本的な対策ではないのかと、こう言われます。  二階大臣も、先般の所信表明の中で内需の拡大ということを言っておられます。これについて、二階大臣、どういうような対策を打たれ、そしてそれがどういうふうに成果に結び付いていくのかということについて御答弁いただけますか。
  94. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) ただいま北川先生から御指摘のありましたように、今日の経済情勢に対しての認識は全く同じものであります。  昨今、急激な円高が生じたことによって、我が国経済は輸出関連産業を中心に極めて厳しい状況に置かれていることは事実であります。このため、国際競争力の強化だけではなくて、今委員御指摘のとおり、内需を拡大することで原材料価格等の下落という円高のメリットを生かしながら持続的な成長を図る方向を求めることが重要だと思っております。また、その際には、中長期的な展望に立って二十一世紀にふさわしい産業構造の構築を目指すことが重要であります。  こうしたことから、経済産業省としては、新経済成長戦略に基づいて、特にこれから大いに発展の余地を持っておりますサービス産業等、内需中心の産業の高付加価値化を図っていくことが大事であります。また、省エネ、新エネ関連の設備投資を促進することで内需を拡大するとともに、低炭素社会実現ということを大きなテーマとして、このことも我が国の内需拡大経済の発展につなげていくという努力が必要だと思っております。
  95. 北川イッセイ

    北川イッセイ君 ありがとうございます。  日本の製造業の構造というのは、まだまだ大企業、また中心の企業ですね、核になる企業、そういうところの下請を受けておるというような下請構造的なことがまだまだ非常に多いわけですね。その上下関係というのは非常にいい面もあれば悪い面もあると、こういうことだと思います。  下請の中小企業の親方と大企業の関係というのは、極めて今までから人間的な関係が多いと、非常に温かい関係なんですね。それが、過去においては大変すばらしい技術革新に結び付いたと、こういうような面もあるとは思います。しかし、この大企業の苦境といいますと、バブル以後、非常にそれぞれ苦境があったわけですけれども、その苦境というのは、まずやっぱり下請の業者のところにしわ寄せがやってくると、こういうことだと思うんです。  ちょっと過去を見てみますと、バブルが崩壊した、そしてその後、失われた十年と言われました。それから、それ以後、大企業というか核になるそういう企業が、外需が非常に好調になって、そして利益も上がってきた、こういうことだと思うんです。  下請的なそういう中小零細企業の方々はなかなかそれの恩恵が出てこなかった。親会社に対して材料費が非常に上がっているから何とかもうちょっと製品の値を上げてくださいと言っても、いやいや、また必ずいいときが来るからもうちょっと辛抱してくださいと、うちもしんどいんだと、こういうことでずうっと辛抱させられてきたんですよね。最近ようやくそれが中小企業、零細企業にもちょっと回ってくるかなという気配が見えたときに、この世界的なこういう大変な不況にまた見舞われたと、こういうことで、日本の中小企業というのは、もうバブル崩壊以後ですから随分長い間苦しい目に遭っているわけですね。  この中小企業に対する今回のサブプライムローンの大変な不況、こういうものが中小企業に対してどういうように、どういう影響が出ておるのかというようなその認識大臣、ひとつ聞かせていただきたいと思うんですが。
  96. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 世界経済の減速が急激に進んでいる中で、円高が極めて速いテンポで進んでおって我が国の輸出の減少を招いておることは御承知のとおりであります。下請事業者の皆様に対し、特に中小・小規模企業の売上げの減少が心配であります。業況の悪化をもたらしているというふうに考えております。  中小企業景況調査におきましても、これまで比較的好調だった機械関連製造業の業況感が足下でも急速に悪化しております。また、地域別に見ましても、これまでは好調を誇っておった関東あるいは中部、近畿の業況感が他の地域並みに悪化をしてきておるというのが現状であります。  こうした厳しい環境に直面する中小・小企業を支援するために、今回の生活対策におきましては、貸付保証枠を御承知のとおり三十兆円に拡大するなど、思い切った措置をとらせていただきました。また、原材料価格高騰や売上げ減少のしわ寄せを受ける下請事業者の対策として、先ほども公取の委員長もお見えになっておりましたが、下請代金法の厳格な運用を図ってまいりたいと考えております。これに加え、全国の下請かけこみ寺において約二百名の有能な弁護士を活用して無料相談を行うとともに、企業の経営者等を対象としたセミナーを全国約百か所で開催してまいります。  私は、先般、経団連の皆様にお会いする機会がありましたから、下請に対する支払遅延については経団連としても対策を講じていただきたい、同時に、先ほど北川先生もおっしゃいましたが、元来、日本の大企業と下請の関係というのは本当に温かい関係でもって、下請代金の支払が遅れたからといって親方をどこかへ訴えるというふうなことは今までほとんど例がなかったような時代が続いております。下請代金支払遅延等防止法というのはもう四十年も前にできた法律でありますが、この法律によって何か処罰を受けたという人はほとんど聞かないわけであります。  そういう状況でありますが、ここへ来て中小企業が連鎖倒産を起こすようなことのないようにするためには、大企業の皆さんにおかれては、下請に対する代金の支払については、いろんなやりくりは必要でありましょうが、下請をしっかり守ってもらいたいということを我々は常に強く訴えてまいりたいと思っております。  また、省エネ対策等を私ども呼びかけておりますが、この省エネの体質の強化等も図って、下請の皆さん、中小、小規模の皆さんの経営環境を少しでも良くすることができるようにということを努力してみたいと思っております。  また、新商品の開発や内外市場の販路開拓、そして度々言われております農商工連携の促進等、新たな事業展開に対する経済産業省としての支援を行い、未来志向、将来を展望して明るいものになるように我々も全力を尽くして努力をしたいと思っておりますので、先生方も一層の御協力をお願いを申し上げたいと思っております。
  97. 北川イッセイ

    北川イッセイ君 中小企業が非常に苦境に陥ったと、今までにも何回もあるわけですけれども。そのときに中小企業対策と、こういいますと、今回も融資枠、保証枠、これをしっかり増やしていこうと、こういうことなんですが、常にやっぱり金融対策なんですよね。日本の中小企業に対する金融対策というか金融制度というか、そういうものはそれほど非常に脆弱であると、非常に弱いものだということがむしろ逆に言えると思うんですね。常にもう金融対策金融対策と、こういうことで言っています。  私は、かつて今まで、昔のことですけれども考えますと、決してそんな状態じゃなかったと思うんですよ。地域の民間金融機関、地方銀行あるいは相互銀行あるいは信用金庫、信用組合、それぞれがもう必死になって中小零細企業と一体になって金融というものをやっておったんじゃないかなというふうに思ってならないんですね。それがなぜ今のような状態になったのか。今、保証協会通らなかったら金貸さないと。あるいはまた、地域のそういう金融機関が地域の中小零細企業との結び付きというのは非常に弱いものになってしまっています。  なぜこんなことになったのかなということをいろいろ考えるわけですけれども、どうもやっぱり一九八〇年、バブルに入った直後ぐらいですかな、それぐらいのときに金融の大改革があったと、我々ビッグバン、ビッグバン言うてたんですけれども、そういうことがありました。そのときに、もうメガバンク、大きな銀行と地方の中小の零細金融機関と全く同じ基準で、会計基準も一緒にし、検査体制一緒にし、自己資本比率四%というようなことでくくって、みんな一緒にしてしまったんですよね。  そうしたら、これ延滞率とかそういうのを考えますと、一緒にやっていけるわけがないんですよ。メガバンクはやっぱり大きな企業、大企業、そういうものを対象にします。中小零細企業を対象にする地方銀行が同じようにそういう会計基準を、あるいはそういう検査体制を守っていくと、なかなかそれは非常にできない。私は、やっぱりそのときに中小零細企業のための金融と大きな企業に対する金融と、役割分担をきっちりして、その体制を、中小企業に対する金融というのはどう守っていくのかということをその時点でやっぱり考えるべきじゃなかったのかなと、そんな思いがしてならないわけです。  そういうようなことを反省して、それ以後ですよ、保証協会をどんどんどんどん増やしていったと、こういうことなんですね。それに対する中小企業対策は保証協会、それでいいのかということです。  私は、この保証協会の在り方も非常に疑問があると思うんですね。これ保証協会で保証付きで借りたら、利息と保証料と、これ両方払わぬといかぬ、二重金利なんですよ、要するにね。ですから、これも余り保証協会、保証協会を付けなかったら融資しませんよと、ここのところがもうどうも私には納得いかぬと、そういうふうに思ってならないんです。  この保証協会をどんどん使うことによって中小金融機関の調査能力、洞察力、そういうものが本当になくなってしまった、そういうような気がします。それはそれとして反省して、やっぱり今の時点、この保証協会に頼って、保証協会をしっかり枠を増やして、使おうとすればだれでも使えるという状態にしなければもう仕方がないなというように思うんですけれども、私はやっぱりこの基本をしっかりわきまえた上で今後の長期の金融政策というものは立てられるべきだというふうに思うんですね。  融資する場合に、例えば百億円融資するという場合と、例えば三千万融資するという場合は金額はもうすごい違います。違うけれども、この調査するその何というか手間とか、書類を作る手間とか、これどっちも一緒なんですよ。だから、それを同じように基準で大きい金融機関も小さい金融機関も見るというようなことは、これはそれ自体が私はおかしいなというように思うんですけれども大臣、これは大臣考え方として中小企業に対する金融というものについてお考えあれば、ひとつ披瀝していただきたいと思います。
  98. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 今回の生活対策の中でも中小・小規模企業への金融支援ということに最重点を置いて考えてまいりました。今議員の御指摘からいたしますと、それだけでは足りないではないかと、こういう御指摘であろうと思いますが、我々も理想はいろいろ持っています。しかし、今日の時点、今日の財政状況の中でこの問題に対して私どもはこの融資とそして信用保証をここまで引っ張ってくるのにはまあ並大抵のものではなかったということは是非理解をいただきたいと思います。  しかし、そうした中であっても、今言われるように中小企業に対してもっと温かく中小企業がどんどんと独り立ちできるような状況をやはりつくっていく努力を工夫していかなきゃならぬということは御指摘のとおりであります。  今後、政府金融機関等による貸付枠についても、安心実現のための緊急総合対策において、三兆円の規模に加えて日本政策金融公庫等によるセーフティーネット貸付けの金利や貸付条件の見直しを含めた拡充によって新たに七兆円規模の追加を行い、合計十兆円に拡大し、また二十兆円の信用保証協会による保証枠の確保ということに相努めたわけでありますが、今後、長期金融の問題については私ども是非これからしっかりした対応を考えていきたい、そして中小企業者の皆さんにも安心して自らの企業にいそしむことのできるような状況をつくっていかなくてはならない。  そこで、今私どもが呼びかけておりますこの融資の問題、保証枠の問題について、これを徹底さす努力をしなきゃならぬと思っております。私どもは、今これがスタートしたばかりでございますが、本当に軌道に乗るまで馬力を掛けなきゃいけない。しかし、その直前には、直前といいますか、目の前には年末を控えております。それだけに年末に中小企業の皆さんがお困りになることのないように、これはこれでしっかりしたPR及び各地においての説明会をやっていきたいと思っております。  今私、このお昼の時間に山口の知事に出会ったわけですが、昨日、中小企業の金融の説明会が私たちの地元で行われましたと、こういうお話をいただきましたが、全国で百五十か所この説明を今行っておるところでありますが、また委員の皆様におかれては中小企業の皆さんからいろんな御意見、御相談があろうと思いますから、そうした具体的な事案につきましても、我々、しっかりした対応をしていきたいと思っておりますので、よろしくお願いを申し上げます。
  99. 北川イッセイ

    北川イッセイ君 午前中、藤末議員の質問にもありましたけれども、中小零細企業、非常に厳しい、苦しいということがよく言われますが、これは本当に苦しいんです。そこのところが実際に経済産業省皆さん方に理解していただけておるのかなと。そこのところが、ちょっと何か違うというような感じがして仕方がないんですね。  これ、こういう例があるんです。ある事業者が私に言っていました。本当に苦しいからといって仕事を辞めてしまえるというのは幸せだと言うんですね。従業員を失業させる、あるいはその家族を路頭に迷わせる、保証人に大変迷惑を掛ける、そういうことを思うと辞めるに辞められない。先行き不安なまま仕事を続けるしかない。これはもうまるで生き地獄ですよということを言っておられましてね。  二階大臣がこうして経済産業大臣に就任された。二階大臣、非常に地方、地域の事情とかそういうようなものに関心を持っておられる大臣でありますから非常に期待をしているんですけれども、もう一歩突っ込んで本当の、国民、本当の中小零細企業で働くそういう人たち、あるいは経営する人たち、そういう人たちがどんな感覚でおるのか、今どうなっているのかということをやっぱり本当に知る必要があると思うんですね。  二階大臣大臣に就任されて経済産業局長からそれぞれ細かい情報をいろいろ聞いておられるという話も聞いていますから、本当にうれしいことだというふうに思うんですけれども、地域の商工会議所、あるいは商工会、そういうようなものもありますし、また、保証協会を利用する、全国の保証協会を利用するという手もあると思うんです。もう一つは、やはり地方自治体、そういうところとの綿密な関係を持って。  経済産業省経済分析というのは、計数で上に上がっているからちょっと上向きだとか、そういうようなことなんですよ。ここにもありますけれども、ちょっと回復基調であるとか、足踏みしているとか、弱含みであるとか、改善されてきておるとか、こういうことで言われるわけですけれども、これは総合的な計数で言われたものであって、個々の中小企業、零細企業の人たちの事情というか、そういうもの、個々の事情というのはここにほとんど入っていないと、こういうふうに思うんですね。  そこのところを、本当にそういう情報というか、そういうものを集めていただく、そのことの気構えというか、そういうようなものもひとつ大臣に御披露いただきたいと思います。
  100. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 中小企業のことにつきまして、大変温かみのある御意見をちょうだいして、私どもも同じ思いで取り組んでまいりたいと思っておるものであります。  したがいまして、先般も全国の信用保証協会の理事長を集めまして、しっかりした対応をお願いすると同時に、我々のこのお願いが窓口に来られる中小企業を始め、これを必要とする関係者の皆様にきちんと伝わるようにしてもらいたいと。そして、よく貸し渋りとか貸しはがしという極めて嫌な言葉を聞くわけでありますが、この場合にはやはり金融庁がしっかりした対応をしてもらいたい、私は中川大臣ともこの問題で十分意見交換をしてあると。そして、そのときでありますが、今日は金融庁の監督局長にも来てもらっておると、ですから一緒になって我々は対応するんだということを申し上げて、もし現場金融機関が理不尽なことを言ったり、そういう態度に出る場合は直ちに申し出ていただきたいということをお願いをしておるわけでありますが。  私ども、こういう事態は、何も中小企業の皆さんだけではありませんが、中小企業や日本の事業を営んでいる人たちが好んでこの事態を招いたんではなくて、こういう持って行き場のないような原因、理由によってこういう状況が醸し出されておるわけでありますから、これには政府を挙げて真剣な取組が必要だということを痛感をしております。  ですから、先生の地元の方の大阪、関西地域は近く高市副大臣現場へ行っていただくことにしております。みんなそれぞれ手分けをして、政務官、副大臣、私自身も現場に赴く予定でございまして、現地の責任者を東京へ集めるだけではなくて、また我々も出向いていく。そして、お互い意見交換しながら十分な対応をして、金融というのはもう言うまでもなく体内を流れる血液の循環と同じわけですから、これが滞ったのでは仕事にならぬわけです。  私のところへも三日ほど前にある業界団体が参りまして、今度中小企業のいわゆる信用保証の対象に初めて入れてもらった、これがもう三日遅かったら私らここにおる者がみんなまくらを並べて討ち死にというふうな状況になっておったかもしれないと思ったら本当にうれしかった、有り難かった、だからこれからも我々の存在をどうぞ見捨てないでくださいと、こういう真摯なといいますか真剣な御意見を聞いたわけですが、我々は、今いろんな場所を通じて、いわゆる公的部門、民間の金融機関、それぞれ協力をし合って、責任を十分果たしていただくことをお願いしながら、この中小・小規模企業の発展のためにいささかでもお役に立つようにということで取り組んでいきたいと思っております。
  101. 北川イッセイ

    北川イッセイ君 大臣、ひとつよろしくお願いします。  今、金融制度強化法ですね、これが審議されています。この法律は、要するに金融機関に資本注入をするということなんですが、これは当初計画されたときに、中小企業のための貸し渋り、貸しはがし、そういうものをなくしていくため、こういう話がありました。なるほど、金融機関をつぶしたらこれは支援も何もできないわけですから、つぶれないように資本注入するというこの趣旨は非常によく分かるんですけれども、しかし、一般から見ると、やっぱり金融機関の救済法じゃないのかと、どうしてそれが中小零細企業の貸しはがし、貸し渋りというものをなくしていくのか、こういう疑問がやっぱりあるんですよね。  私は、もしそれが中小零細企業のためであるというのであれば、そういうシステムをやはりはっきりつくる必要があると思うんです。そういうように資本注入をした、だから中小零細企業の方々にちゃんと金融をしてくださいよ、貸しはがしをしないでくださいよと、こんなこと何ぼお願いしたってなかなか、それは自分のところの金融機関が一番大事ですから、金融機関のためにどうしたらいいのかという判断をされるわけで、これが確実に貸し渋り、貸しはがしをなくす手段になるとは私はなかなか思えないんです、本当のところ。  これ、金融機関をつぶさないという最低条件を満たすために、これはやはり、今回の計画はそれでいいのかなと思うんですけれども、もう一歩進んで、これそういうシステム化して、どうしても中小企業、零細企業のために金融しなければならないという、そういうものにしてしまわないといけないというような思いがしてならないですね。  一つの方法として、これは私が一つのアイデアみたいな形で考えたんですけれども、この資本注入を受ける金融機関の一つの権利として確保する。例えば、その貸付けのシェアの中で中小零細企業に何%融資をしておるか、そのパーセントによって、その資本注入をいざもらいたいときに、希望があれば資本注入何ぼできますよと、こういうシステムをつくったらどうなのかなということを、一つ考え方としてそういうふうに思うわけですね。  ですから、どうしても経営がしんどいから資本注入してほしいと、こう言っても、いや、あんた、そんなこと言ったって、中小企業、零細企業に融資してないやないかと、シェアがこれだけしかないやないか、そんなところへ資本注入できないよと、こういうことが言える、そういうシステムをどうなのかなというふうに思ってならないですね。  これは、金融庁の方は金融機関を守るための機関ですから、なかなかそこまでは言わないと思います。しかし、経済産業省は中小零細企業を守るための役所ですから、これは大臣、そういうような、私はこうせいということじゃなしに、これも一つのアイデアとして大臣ひとつ頭の中に入れていただきたいなと思いますが、いかがでしょうか。
  102. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 金融機能強化法は、御承知のとおり、今日の国際金融不安や株価の下落によって生じたもろもろの問題に対して、金融機関が自己資本を低下し、特に地域の中小企業への資金供給が弱まってしまうというようなことのないように、国の資本参加を通じて金融仲介機能を強化して地域経済、中小企業を支援するということが目的であることはもう御承知のとおりであります。  ただいま参議院の財政金融委員会において御審議をいただいているものと承知をいたしておりますが、これらの問題につきまして、今議員が御指摘のように、本来の金融機能強化法の効果的な運用ということについて我々は大いに関心を持って取り組んでいきたいと思っております。  今後の資本注入の目的が地域の中小企業金融の円滑化という点について、特にこの修正をしておるわけでございますから、我々はこの点、法律の趣旨に沿って各金融機関が対応されるように、金融庁ともよく連携を取って対応していきたいと思っております。
  103. 北川イッセイ

    北川イッセイ君 これは中小企業庁だけでもいけませんし、金融庁だけでもなかなか進まないと思いますので、是非とも大臣の意欲的な力をもって進めていただきたいなと。当面、やはり年末に向かって中小零細企業の方々の生活を守る当面の手段としては、それは今の生活救済法、そういう形でやっていただいたら結構かと思いますが、ひとつよろしくお願いしたいと思います。  時間が大分なくなってきました。  先般、麻生総理は、地方分権の一環として、国の出先機関である地方農政局あるいは地方整備局、これを廃止も含めて検討するように指示したと、こういうことなんです。それぞれにもう地方に移管してはどうかという話は随分以前からありました。でも、まあそれはそれなりに役割があるやろ、第一、これらの機関というのはやっぱり財政が伴っての話ですから、なかなか一長一短にいかない面もあるのかなというふうに思っていました。  でも、総理から特別にそういう指示があったということでありますから、そしたら経済産業局はどうなんだと、こういうことも考えなければいけないと思うんです。特に、これは地方分権という観点に立った話でありますから、経済産業局が果たしてその地方分権という観点に立って、地方に本当に移管できる、これ調査したら以前はもうほとんどそういう移管できるものはないという答弁やったようですけれども、もっと前向きに考えて、その中に、例えば中小企業の経営力の向上とか新たな事業の創出に関する事業とか、あるいは新事業を起こせる環境整備に関することとか、あるいは消費生活の問題、いろいろな問題ですとか、こういうものも経済産業局の仕事の中にあるわけですね。これらはそしたら地方抜きでいいのかといったら、決してそうじゃないと思う。やっぱり、地方も一体になってやっていくとか、あるいはもう全部地方に任せた方がいいとかいうものがあると思うんです。  そういう観点に立って、地方分権という観点から見てどういうようにお考えなのか、これ、高市副大臣、もしお考えあれば聞かせていただきたいと思います。
  104. 高市早苗

    ○副大臣(高市早苗君) 地方分権改革推進委員会の第一次勧告で示された内容でございますけれども、この国と地方の役割分担についてでございます。これは、全国的な規模若しくは全国的な視点に立って行わなければならない施策等は国が行い、住民に身近な行政はできる限り地方が担うことが原則と、私どももこのとおりだと思います。  この勧告の中で、例えば国の中小・ベンチャー企業育成施策のうちで、個別企業に対して行う直接支援についても、何か先端的なモデル事業といった全国的な視点に立った事業に限定すること、また、商工会議所の定款変更などに係る国の許認可権限、こういったものを都道府県に移譲するといったことが求められました。地方の局におきましても、この勧告の方向性に従って必要な事務の見直しといったこと、既にそういった取組に着手をいたしております。  これから経済産業局はどうなんだということですが、率直に申し上げて、非常にこの経済産業局、今フル稼働で、各地域に自ら足も運んでくれているし、何せ中小企業金融、拡充したものが動き出した直後ですから、今問い合わせも殺到しております。そんな中で、かなりきめ細かい情報収集をしてくれております。  年に四回、これはもう定例的に全国約千二百の事業者から景況感なども聞いているんですけれども、そこで吸い上げた声、そしてまた私たち、大臣、副大臣、政務官、それぞれ政治家でございますので、選挙区で聞いてきた声、また、たくさんの国会議員の先生方から私たちに寄せられる声、こういったものを総合的にやはり判断をしながら、それでもやっぱり現場で各地域ごとに直結した場所にある経済産業局で吸い上げた声というものをかなり施策の改善に生かせていると思います。  例えば生活対策、原油高騰でどれだけ大変な状態なんだ、原材料高騰でどれだけ大変な状態なんだと、これを基本に見直しいたしまして策定に生かせましたし、それから、先週の金曜日に決定をいたしました例えば緊急保証制度の業種の更なる追加とか、それからまた、緊急保証制度、つくってくれたのはいいんだけれども、その手続にすごい時間掛かる。つまり、市町村の窓口、もういっぱい、いっぱいだというような声も地方から、経済産業局から切実な声として伝えられたものでございまして、それで予約保証制度というのもちゃんとやらなきゃいけないねというようなことで、今はやはり政策の広報、周知、それから声を集める。そしてまた、細かな施策の運用といったところで頑張ってもらっていると思っております。  前の事務次官の杉山さんが近畿局の局長だったときに、とにかく机の上で物を考えずに飛び出せと、町に飛び出せと指示をされていたのを思い出しますけれども、その姿勢でこれからもしっかりやってもらうように私ども指導をしてまいります。
  105. 北川イッセイ

    北川イッセイ君 経済産業局がやるべきことをどういうものかしっかり考えて、そして地方がやるべきものはこれだということで、役割分担きっちりしていただいて進めていただきたいと思います。また、総理から経済産業局廃止も含めて考えろなんて言われたら困りますので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。  一つ高市副大臣に提案をしたいんですけれども、広域行政ということになりますと、私は一番効果があるのは観光事業じゃないかなと思うんですよ。観光するのに、日本はこれ、ビジット・ジャパン一〇〇〇ですね、これで非常に効果があったということなんですが、次、ビジット・ジャパン二〇〇〇というようなことで言われています。しかし、今円高でこれが大変だと思うんですよね。うまくいくのかなと思って大変心配しています。  これやはり、これのうまくいく一つのポイントとしては、国と地方が一体になって観光事業を進めていくということ、それからもう一つは、やっぱり広域で進めなければいけない。仮に海外から観光に来られる場合に、大阪だけに来られる人はほとんどおりません。また、京都なら京都だけに来られる人もおりません。ですから、これは広域で観光というものをしっかり考えていく必要があると思うんです。  ところが、大阪府、京都府あるいは和歌山県、それぞれみんなばらばらに観光課みたいなものを持って進めている。この観光なんというのは、むしろ近畿圏が一つになって、それぞれの府県が職員を出し合い、お金を出し合い、それで一つの大きなそういう観光事業というか、そういうようなものをやっていく、そこに非常に効果があるんじゃないかと思うんですね。  例えば、テーマとしては水がテーマになります。琵琶湖ですとか瀬戸内海ですとか、そういうような水をテーマにした観光とか、あるいは文化もあります。ですから、文化をテーマにしてそういう観光事業を進めていこうと。今、高市副大臣の地元では平城遷都千三百年、大キャンペーンをやっておられますけれども、あれなんかも奈良だけじゃもったいないと思うんです。やっぱり、せめて近畿圏、それらが一体になってそういう観光事業を進めていく、こういうことが大事やと思うんですね。  ところが、道州制になったらそういうことできるんでしょうけれども、なかなかそれ実現しません。ですから、せめてこの経済産業局が、ひとつそれが推進力になって、広域の観光事業というか、そういうようなものを経済産業局の方でひとつプロジェクトしてもらえないかなというふうな思いがするんですけれども、いかがでしょうか。
  106. 高市早苗

    ○副大臣(高市早苗君) 御配慮ありがとうございます。  私の地元の平城遷都千三百年祭、二〇一〇年開催ですけれども、もうこれも既に近畿圏だけではなくて、全国各地から選出されております国会議員の先生方に御支援もいただき、それから国土交通省の方も本格的に乗り出してくだすって、国と地方が一体となって、なおかつ広域的な取組の事業として動き出しました。非常にそういう意味では活力が出てきたと思います。  経済産業省でも今、やっぱり観光を国際競争力のある産業にしたい、円高という状況の中で逆風ではあるけれども、それでも付加価値を付けて国際競争力のある産業にしたいということで、やはり広域的なネットワークを活用した取組、ここをしっかり支援していくということで制度設計をいたしていっております。  これからもよろしく御支援をお願いいたします。
  107. 北川イッセイ

    北川イッセイ君 是非とも、経済産業局がそれぞれ管轄の府県の観光課あるいは観光部、そういうふうなところに働きかけていただいて、協調をして、是非とも大きな広域の観光事業というものを実現していただきたいと、こういうふうに思います。  以上です。終わります。
  108. 荻原健司

    ○荻原健司君 自由民主党の荻原健司でございます。  まず、大臣所信に対する質疑を始めさせていただく前に、この場をお借りいたしまして経済産業委員会の委員の皆様に一言御礼を申し上げたいと思います。  私は、さきの福田内閣におきまして経済産業大臣政務官を拝命いたしました。この職を全うできるよう全力で取り組んだつもりではございますが、至らぬ点も多々あったかと思います。特に、山根委員長始め、各委員の先生方には大変御指導を賜りまして、この場をお借りいたしまして感謝を申し上げたいと思います。  引き続き、経済産業委員会の一員として全力を挙げて取り組んでまいりたいと思いますので、御指導をよろしくお願い申し上げます。ありがとうございます。  それでは、所信に対する質疑を始めさせていただきます。二階大臣、高市副大臣、また谷合務官には大変お疲れのことだと思いますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。  大臣はさきの所信におきまして、現在の厳しい経済状況の下、最も力を入れて対応すべきは中小・小規模企業対策であるとおっしゃいました。全くそのとおりであると思っております。また、売上げの減少や厳しい資金繰りの中、懸命に頑張っておられる方々を少しでも力付けることができるよう全力を挙げたいとの決意も申し上げられました。  大臣はその決意を持って、またその対応として八月には安心実現のための緊急総合対策を、そして先日には生活対策を取りまとめられました。私は、これらの対策を迅速に、また着実に実施をしていただき、一刻も早い、厳しい状況にある方々に支援の手を差し伸べていただきたいと思います。  また、今後予想も付かないような事態も起こり得るということもお忘れなく、適宜的確な対応をお願いしたいと思っております。  さて、本日は中小・小規模企業者対策や地域経済対策、あるいは金融などの具体的な質問はいたしませんが、ただいまから思いのたけを申し上げさせていただくことにつきまして、御感想だけ後ほどいただければというふうに思っております。  本日私が申し上げたいのは、地域経済と青少年スポーツについてであります。最近、地方方々、特にスポーツ関係者から、最近は子供のスポーツの面倒を見てくれるリーダーや指導者がいなくなって困っているという話を伺います。その地方の青少年スポーツの指導者はほとんどが地域の小売店の若者など、その仕事をボランティアとして担っております。  私はかつてスキー選手だったのですが、思い起こせば子供のころに熱心に指導していただいたのは、地元群馬、草津温泉の電器店の御主人だったり、お布団屋さんの方であったり、酒屋さんの若だんな、焼き鳥屋さんの御主人、そういった、皆さんいわゆる小規模企業の方々ばかりでした。しかし、今は廃業してしまった、あるいは商売が立ち行かなくなってしまっているとも伺っております。皆さん、小さな温泉街、小さな町に軒を連ねておりましたので、いわゆるシャッター街というような状況にもなっております。また、あるところでは、伝統文化が絶えようとしているというお話も伺います。地方に行きますといろいろな歴史的文化財があるわけですが、これらも商店主さんや農業を営む方々、また特に町や村の青年部の皆さんが担ってきたのだと思います。  このように、地域のスポーツや伝統文化が小さな商売をしている多くの方々に支えられ、続いてきたということが分かります。しかし、現在の状況の中では、これまで連綿と続いてきた地域のスポーツや伝統文化が廃れようとしておりますし、実際廃れ、なくなってしまったというような話も伺っております。私は、このことが何を意味するのか、また今後どのような影響が出るのか、大変心配でなりません。  皆さん御存じのように、スポーツは単に体を鍛えるものだけではありません。その活動を通じて、監督、コーチ、先輩、後輩という、かかわる人々の中で人間関係を学ぶことができます。あいさつ一つから始まり、スポーツを通じて連帯を学ぶこともできます。また、初めはできなかったことが練習の積み重ねの中でできるようになれば、自信が芽生え、それが糧となり、さらには社会に出たときには世間の荒波に負けない強い人間へと成長していくのではないでしょうか。  さらには、スポーツを通じて育ってきた地域や地域の人たちに対する愛情が芽生え、今度は自分が仕事を通じて地域に貢献し、地域のスポーツ指導者として活躍してくれるというすばらしい循環がありました。それが今、日本のあらゆる地域で消滅しようとしているのではないでしょうか。私は、このことが日本の地域を崩壊させ、ひいては日本の国そのものが崩壊してしまうのではないかという大変な危惧をしております。  地方や地域を見渡しますと、今や量販店が山間地域の奥にまで進出しておりますし、コンビニエンスストアは全国どこに行っても見られるようになりました。しかも、それらが、同業者の競い合いによって静かな田舎町が商業戦地と化しているような状況でもあります。そのような中、従来は青少年スポーツなどを担ってきた地域の若者たちも、地元地域では働く場所もなく、生活をするために仕事を求め、出ていくという状況にもあります。  こういったことは、例えば青少年スポーツを担う教育界では全く担うことのできない問題でございます。私は、どのようにすれば、今申し上げさせていただきましたような、かつてのように落ち着いた地域のすばらしい環境を再びつくれるのか、今すぐには答えを出せるものではありませんが、経済産業省を始め、各省庁が協力をして、政府一丸となってこういった問題も念頭に置きつつ対応をしていただければというふうに思っております。  そこで、大臣にお伺いいたしますが、先ほど申し上げさせていただいたような地域のスポーツ、あるいは伝統文化を守るというような側面からもどうか地域経済の振興に力を入れていただきたいと思っておりますが、一つ御感想をいただければと思っております。
  109. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) オリンピックの金メダリストの荻原先生から大変説得力のあるお話をちょうだいいたしました。  私もスポーツの振興については同じような思いを持っておりますが、今直ちに経済産業省としてはこういう項目で対応しましょうというものを持ち合わせているわけではありませんが、この思いは同じであるということを是非理解をいただきたいと思います。  地域経済の振興のためにはあらゆる対応をしていかなくてはなりませんが、各地域に存在しております有能な人材、これをやっぱり思い切り活用するということを考えなくてはならない。そして、技術面、文化面等においても大変魅力的な資源がたくさん地方に存在しているわけでありますが、これを生かし切れていないというのが現状であります。  スポーツや伝統芸能の振興につきましても、地域の人的交流や固有文化の伝承に資する大切な取組が大事であります。そして、先ほどもお述べになりましたが、やはり人間の健康という問題、これは何物にも代え難いわけでありますから、こうした面からスポーツの振興についてもありとあらゆる努力が必要ではないかと思っております。  私は、先般、プロ野球で大活躍をされた王監督から電話がありまして、毎年、世界青少年野球というものをずっと続けてきましたが、これからもこれは是非自分のライフワークとしてやっていきたい、こういう力強いお話を聞きまして、私もまさにもろ手を挙げて賛成すると、是非王さんの力で、名声で、世界の青少年を日本に集めて野球を教えるということを、今年で二十年目になるそうでありますが、私は、そうしたことを本当に真剣に取り組まれておる、しかも自らも健康を害しながらその道に本当に励んでおるといいますか、指導的役割を果たしておられることに対して、我々もいささかでも協力をしなければならないという気持ちになっているところであります。  王さんの例だけではなくて、そういうケースはたくさんあるし、特に荻原議員におかれてはそういうお仲間もたくさんおられると思います。私は、これはそれぞれの地域だけではなくて、もっと広い範囲ででも交流を続けながら対応していく。  私の田舎のことでありますが、私の地方に旭化成の工場があります。もう随分古い、前の話でございますが、工場長さんが私に、この地域はお祭りもみんな勇壮で元気だと、しかしこう何かもう一つ活気が足りない、お祭りのときだけはみんな元気だけれども、常平生はちょっとおとなし過ぎるんじゃないか。じゃどうすればいいですかねと私は伺いました。そうしたところ、この地域の人たちに一流のものに接する機会をつくってあげたらどうでしょうか、私もやります、あなたもやってくださいと。こういうことで、その工場長さんは、マラソンの宗兄弟を呼んでくることは、自分のところの社員ですからこれは会社の出張で来れるんです、そして、来ますからどうでしょうかと言うから、私は大変有り難いことだと。  そうしましたら、高等学校のグランドに大勢の人が宗兄弟を見るために集まってきました。宗兄弟は、御一緒に走りましょうと。走っても、幾ら走っても宗さんより速く走れるわけはないんですが、トラックでございますからくるくる回っている間にどこかで宗さんに会うわけですね。そうすると、走っている子供たちは自分が世界的なマラソン選手と一緒に走っているという気持ちになって、大変胸が大きくなったような気持ちでみんながおるのを私は見まして、なるほど、一流のものに接するチャンスを与えろというのはこういうことかということが私も教えてもらったような気がしたんですが。  とにかくこれからお互い協力し合って、それぞれの地域で、どんな小さいことでもやっぱり続けてやるということも大事ですから、そんなことにもひとつみんなで頑張っていきたいと思っております。  我々は、新経済成長戦略の改訂版におきましても、農商工の連携とともに、観光分野での地域の振興を織り込んでおりますが、まさに未来志向、未来を展望しながら地域戦略を成し遂げていくということが大事であろうと思いますが、我々は、余り今までの役所の枠にとらわれないで、いろんな省庁とも連携を取りながら対応したいと思っておりますが、今御提案のようなことにつきましても私どももよく勉強して今後取り組んでいきたいと思っておりますので、御協力をお願い申し上げます。
  110. 荻原健司

    ○荻原健司君 御答弁いただきましてありがとうございました。思い一緒であるという大変心強いお言葉をいただきまして、本当に感謝を申し上げたいと思います。  宗御兄弟のお話が出ました。双子の御兄弟。ちなみに私も双子でございますけれども、いつかは一流になれるように私も努力をしていきたいなということも申し付け加えさせていただきたいと思います。ありがとうございます。  いずれにいたしましても、今御答弁いただいたような様々な施策、政策を打っていただいて、是非地域振興に御尽力をいただきたいと思います。  若干付け加えさせていただきますと、先ほど地域スポーツということでお話をさせていただいたわけですが、広げて申し上げさせていただければ、やはりオリンピックスポーツも全く今同じような状況にあります。バブル経済崩壊後、また、昨今の不景気によりまして、企業スポーツ、実業団スポーツは減少するばかりでございまして、バブル経済崩壊後はおよそ三百以上のスポーツチームが休廃部をしたというような状況にもなっておりまして、そのような中、現在はオリンピックに出場できるような選手でさえ所属先を確保するのが難しいという時代になっております。私のところにも、何とか所属先を探してほしい、紹介してほしいという相談が連日舞い込んできております。  繰り返しですけれども、やはりこういうことにつきましては、景気経済力に左右されないスポーツ環境をまずはつくる、そういうことが重要だと思いますけれども、現在のところではこういった問題はやはり文部科学行政ではなかなか対応し切れるものではありません。  先ほど藤原委員のお言葉ありましたけれども、今まさに経済産業省の出番やないかというような気持ちも私は持っております。経済のパイを広げる、大きくする、今のところそういう方法しかないのだろうと思いますので、是非御尽力をいただきたい。経済産業振興イコールスポーツ振興だという思いで今後の日本経済力強化のために私も努力をしてまいりたいと思っておりますので、御指導よろしくお願いしたいと思います。ありがとうございます。  それでは、次の質問をさせていただきますが、まず太陽光発電についてであります。  所信では、補助金の拡充などによって家庭や産業分野への導入を加速することに加え、学校や道路などの公的設備における導入を促進するとあります。  家庭への太陽光発電につきましては、かつて平成六年度から平成十七年度まで補助事業がありました。それが現在はありません。私は政務官のときに、この分野の補助金復活は大変要望の強いところであると実感をしておりましたし、補助金を復活させ、更なる家庭への導入量を上げ、環境対策を推し進めるべきであるというふうに考えておりました。今後、この補助金が復活するということだと思いますが、補助額はともかく、このことが各家庭へのインセンティブになることは間違いない事実だというふうに思っております。これを契機に、更なる設置世帯の導入拡大を図っていただきたいと思います。  ただ、その際に、どうか注意をしていただきたいわけですが、家庭への太陽光発電の導入量を、単に世界ナンバーワン奪還を目指そうというような導入競争だけにはしないでいただきたいというふうに思っております。現在、家庭への導入量はドイツが世界第一位で日本は第二位ということですが、そもそも日本とドイツでは制度そのものが違いますので、端的な導入競争にはならないように御配慮をいただきたいと思います。  重要なことは、更なる普及拡大を通じて太陽光発電の製造コストが下がり、設置希望者が設置しやすくすることだと思います。また、メーカーにはこのことを通じて技術革新に取り組んでいただき、他のエネルギー分野に比べ、いまだ高い発電コストを下げる努力の後押しとなることだと思います。特に太陽光発電、太陽電池については、現在のところ日本は世界シェアで四分の一を獲得しております得意分野であります。この分野を伸ばすということは日本経済の更なる発展にも大きく寄与するものだと思いますので、官民挙げた取組をお願いしたいと思います。  また、学校や道路などの公的設備にも導入を進めるとありましたが、私は、これは率直にいい事業だなと、いい事業にしていただきたいなというふうに思っております。特に、学校への太陽光発電の導入により、子供たちの環境教育に大いに貢献し、環境に対する意識を高めることになると期待をしております。また、企業などに比べれば公共施設は温暖化対策が遅れておりますので、この事業を通じて国全体の温暖化対策につなげていただきたいと思います。  そこで、学校への設置ということですが、ここでお願いをしておきたいことがあります。私は自民党の公立学校施設等耐震化議員連盟の事務局を仰せ付かっているのですが、さきの補正予算では学校施設の耐震化工事に係る費用を計上していただきました。今後は更に学校の耐震化が進むものと思いますけれども、その際に、学校への太陽光発電の設置も併せて行えるのが望ましいというふうに考えております。別々に工事をすれば費用もかさむことですので、経済産業省また文部科学省、各自治体がしっかり連携をし合って取り組んでいただくことを希望したいと思います。  確かに、学校の耐震化も太陽光発電も補助事業ですから、幾らかは各自治体が持たなければなりませんので、財政厳しい折、これがとんとん拍子に進むということではないかもしれませんけれども、しかし、耐震化は防災対策というのが主眼ですが、もちろん太陽光発電も防災対策という側面が大きいわけです。災害のとき、外からの電気が止まってしまっても、自家発電で必要なエネルギーが賄えるということになると思います。そのような観点も含め、推進していただきたいと思います。  また、その際には、こういった制度があるということをしっかりとPRしていただきたいと思います。耐震工事が終わったら、何だこんな制度もあったのかということにならないようにどうかお願いしたいと思います。  さらには、太陽光発電の導入拡大については国内クレジット制度を活用すると伺っておりますが、このことも積極的に取り組んでいただきたいと思います。このことによりまして、各自治体の少しでも負担が軽くなるように、軽減されるように、そしてまた皆さんがウイン・ウインの関係が築ければよいのではないでしょうか。いま一度各省の連携を密接に図ることをお願いし、着実に実行していただき、国全体の二酸化炭素排出量の削減、温暖化対策、そして産業振興を進めていただき、そしてさらには、子供たちの環境教育、地域防災に大いに貢献していただけるよう期待をしております。  そこで、二階大臣にお伺いをいたしますが、太陽光発電の導入拡大に対する御決意をお願いしたいと思います。
  111. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 太陽光発電、いわゆる太陽光社会を実現するという広い視野に立って、ただいま様々な御指摘がございましたが、我々はそうした御指摘を踏まえて今後にしっかりした対応をしてまいりたいと思っております。  住宅への導入の促進におきましては、さきに成立しました補正予算に盛り込んでおります補助事業により更なる普及拡大を行い、太陽光発電の設置コストが低下していくことを期待をしております。  また、学校や道路等の公的な施設における導入の加速化について、私はただいま国土交通大臣、文部科学大臣あるいは環境大臣等とも連携をして、去る十一日に太陽光発電導入拡大のためのアクションプランというものをまとめた次第でありますが、もう既に他の省庁からも我々も参加したいと、こういう声が起こっておりますこと、そして各省協力し合って徹底的にこの少ない予算で多くの効果が上がるように配慮をしてまいりたいと思っております。  現在耐震工事を行っております小中学校における太陽光発電の導入について御指摘がありましたが、私は、おっしゃるとおりでありまして、耐震と防災、そして環境保護、さらには環境教育と、そして学校にそういうものをつくれば子供たちも自然に太陽光ということに対して学ぶわけですから、そこからまた新しい発想や新しい発見につながってくるわけですから、私はこれは是非とも各学校でも対応できるようなことを考えていきたいと思っております。それについて、先ほど申し上げましたような、各省庁がそれぞれの省庁の垣根を取っ払って共に協力し合うという姿勢がお互いに確認できたことを喜んでおります。  さらに、国内クレジットについてもお話がありましたが、そのCO2削減量も、大企業などのCO2削減量として自主行動計画に反映することも考えております。  このように、関係省庁がお互い協力し、まさに国民皆さん政府が一体になって太陽光発電の導入拡大に取り組んでいくことによって、我が国の経済に活力を与えるものであり、太陽光発電の新しい時代を切り開いていくことになろうという期待を込めております。  御協力をこれまたお願いしておきたいと思います。
  112. 荻原健司

    ○荻原健司君 どうもありがとうございました。  公共施設ということで、私が見聞きした事例というか、ことを少し御紹介をさせていただきたいんですが、昨年、スイスの首都ベルンというところに出かけました。その際に、その市内にあります大型のサッカースタジアムを視察をいたしました。なぜなら、この施設は温暖化対策に大変貢献しているスタジアムだということで行ってまいったわけですが、要は、観客席上にあるルーフ、屋根に、全面に太陽光パネルが設置をしてありまして、太陽光発電の設備があるスタジアムということでございます。設置者は地元の電力会社で、スタジアムで使うエネルギーのほか、周辺の住宅にもエネルギーを供給しております。  私は、このスタジアムを見まして感心したのは、単にパネルが設置をしてあるということではありません。このルーフに、突き出るように展望台が設置してありました。これは高いところから競技を見るということではなくて、この展望台で、環境教育というんでしょうか、太陽光発電のシステムを学ぶことができると、そういう展望台が設置をしておりまして、伺ったところによりますと、子供たちであるとか学生の団体さんなど、様々な人たちが訪れて環境教育の場になっているということです。原子力発電であるとか火力発電であるとか水力発電との比較や、太陽光発電のメリット、デメリットなどの紹介により、エネルギーのベストミックスについての提案などもなされておりました。そういうところで様々な知識を体験的に得ることができる、本当によくできた施設だなという実感を持ってまいりました。  そういった私の経験からも、今後、公共施設に太陽光発電を導入する際には、多くの人たちの、環境であるとか新エネの学びとなるような場所となるように、是非お願いしたいと思いますし、先ほどの大臣のお言葉をお借りすれば、やはり一人の百歩ではなくて大勢の皆さんの一歩につながるような御配慮で取り組んでいただきたいということをお願いをしておきたいと思います。  それでは、続きまして別の質問に入りたいと思いますが、先ほど、太陽光発電、環境分野ということでお伺いをいたしました。この環境分野というところでは、所信にもありましたが、今後、日本、中国の二国間の協力関係を強化するというふうにありました。私は、これはこれで協力関係を築いていただきたいというふうに思っておりますが、ただ一点、別の課題では懸念をしているところがありまして、そのことについて御質問をさせていただきます。  それは、中国政府が本年一月に、IT製品を安全に使うための技術を搭載した製品について、中国の基準に適合せず認証を取得していない製品の生産、販売、輸入を禁止するという制度を導入すると公表いたしました。このITを安全に使うための技術を搭載した製品には、例えば、情報家電、デジタル事務機器で用いられるICカードなどがあります。ほかにももっと多数ありますけれども、これらの製品に網を掛けようというものです。しかも、もう来年の五月には実施をしたいということも公表されております。  私は、このことについて大変な懸念、心配を持っております。先ほど例示いたしました各製品は日本得意分野でありますし、また強みでもあります。それに網を掛け、あるいは締め出そうというのはいかがかなというふうに思いますし、私の知る限り、このような制度というのは世界的に例がないのではないかというふうに思います。  そこで、まず簡単に一点お伺いいたしますが、こういった制度を取り入れている国というのはほかにあるのでしょうか。
  113. 近藤賢二

    政府参考人近藤賢二君) お答えを申し上げます。  まず、我が国では、ITセキュリティー製品に関しまして評価・認証制度がございます。これは、製品の製造業者などが希望する場合に製品に関する技術情報を評価機関に提出をいたしまして、国際標準に基づいて技術の評価を受け、国際標準に合致しているという認証を取得することができる任意の制度でございます。  こういう制度は各国共通の枠組みの下で実施をされておりまして、イギリス、フランス、ドイツなどの欧州諸国、アメリカ、カナダ、韓国など、共通の標準でつくっている認証制度でございます。また、自国では認証を行っていないけれども、イタリアとかインドとかシンガポールなどのように、他国の認証結果を受け入れているという国もございます。  一方、中国が今般導入を公表しているITセキュリティー製品の強制認証制度というのは、今先生御指摘のように、中国国内にITセキュリティー製品を輸入、販売などを行うに当たって、中国の独自基準に適合することを義務付け、その適合性を審査する中国の機関に対して当該製品の技術情報の提出などを義務付けるものでございます。  これは、やや細かくなって恐縮でございますが、我が国を始め各国で実施されている任意の制度でありますと、技術情報を出すかどうか、またどの範囲の技術情報を出すかということについて製品の製造者が選択をできるのでございますけれども、中国の強制認証制度では、該当する製品については全部すべからく技術情報の提出が義務付けられると、しかも提供する技術範囲を中国側が決めると、こういうことでございまして、我が国を含めた米欧、アメリカ、ヨーロッパなどの制度とは全く違う制度でございます。  今御指摘の点をお答えをいたしますと、私どもが把握している限り、ITセキュリティー製品について中国が導入しようとしているものと同様の形で強制認証制度を実施している機関、国はほかにないと、このように承知をしております。
  114. 荻原健司

    ○荻原健司君 局長、ありがとうございました。  今局長お答えいただいたように、任意でというような制度はあっても、強制的にというのは本当に世界的に例がないと、これはいかがかなということなんですね。とても異例なことだというふうに思います。  さらには、本制度の対象製品の範囲がこれひどくあいまいです。ですから、非常に多くの製品が対象となり得る場合もあると思います。伺ったところでは、今後多数の品目に拡大されるのではないかということなんですが、これは本当に大変なことだと思うんですが。  そこで、質問をいたしたいと思いますが、このことは日本の業界関係者、大変危惧されているところですけれども、仮にこの制度が実施をされてしまうと、この我が国日本にはどの程度の影響があると予測されておられますか。
  115. 近藤賢二

    政府参考人近藤賢二君) お答えを申し上げます。  今先生御指摘のように、現在のITセキュリティー製品の中国が導入しようとしております対象品目は十三品目でございます。ただ、この十三品目の製品の定義があいまいでございまして、今後拡大をする懸念がございます。これは、外国の産業界からの情報の中にはこれが恐らく百ぐらいになるのではないかといった情報もございます。  御指摘経済への影響でございますけれども、なかなかこの制度の詳細が明らかではございませんので、ある程度一定の前提をおいて試算をさせていただきますが、デジタル家電でございますとかデジタル事務機器などを含む幅広い製品が対象になるということが予想されますので、そういう前提で試算を行いますと、そして日本企業の中国国内における販売実績を踏まえますと、影響は約一兆円規模に上ると、このように懸念をしておるところでございます。
  116. 荻原健司

    ○荻原健司君 一兆円ですね。これはすごいことになりそうだと本当に心配をしております。  その金額もさることながら、やはり機微にわたる技術情報の開示というのがもう強制的に要求をされてしまえば、知的財産の保護の観点からもこれは大きな懸念があるというふうに思いますし、日本経済にとっては本当に大きな打撃となります。是非ともこのことは、日本だけではなくて、アメリカやEU諸国とも連携をして、やはりこれまでの日中両国の経済協力関係に影響の及ぶことのないように注意をしていただきながら、中国政府とよく話し合っていただきたいと思います。  そこで、簡単にで構わないのですが、これまでの政府の対応と今後の対応を是非お伺いしたいと思います。
  117. 近藤賢二

    政府参考人近藤賢二君) お答えを申し上げます。  今御指摘のこの中国との関係につきまして、私ども産業界とともに大変重要な問題だと考えておりまして、私自身も中国政府と話合いを行いました。また、我が国産業界の専門家の協議もいたしました。加えて、私の局の審議官あるいは担当の管理職を中国に派遣をいたしまして、中国関係機関との間で繰り返し今話合いを実施しているところでございます。  アメリカ、ヨーロッパも同じような問題意識を持っておりまして、例えばアメリカの通商代表部、USTRは中国の関係機関に幹部を派遣をいたしまして意見交換を行っているという状況でございます。  それから、多国間での取組といたしまして、我が国は、WTOの関連会合におきましてアメリカ、ヨーロッパなどとともに懸念を表明しておりますし、米国政府とともに中国関係機関と話し合うなどの密接な連携を取って協議を行っているところでございます。  この制度を導入いたしますと、日本側として、中国独自の基準に適合することが義務付けられることで日本から中国に輸出するものに影響があるわけでございますが、さらに加えて、中国側にとりましても、こういう独自規格を作りますと中国で作った製品が中国から外国に出せないということになってまいりますし、また中国国内では、日本であるとかアメリカである、その最先端の製品は手に入れられなくなる、あるいは日本からアウトソーシングして何か依頼をしてやってもらう、ソフトを作ってもらうというときに、最先端の機械がないと中国には委託できないといったような問題も出てくるわけでございます。  これは決して中国にとってもためにならないと、こう思っておりまして、中国のためにも日本のためにも、一緒にこういう制度はやめて、もうちょっと世界的に同じ土俵でやろうではないですかということを今繰り返し説明をし、説得をしているところでございます。
  118. 荻原健司

    ○荻原健司君 最後に、この問題はやはり大臣の強力なリーダーシップというのが私は必要であるし、今求められているのではないかと思いますので、一言、大臣の方からお気持ちをお伺いしたいと思います。
  119. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) ただいまの中国ITセキュリティー強制認証制度については、近藤局長から御説明を申し上げたとおりでありますが、中国産業の発展への影響を及ぼす可能性があるということは先ほど議員が御指摘のとおりでありますから、これを粘り強く説得をして、日中両国が共に発展できるような土台を、土俵を築いていくということに努力をしたいと思っております。  これまでも中国と協議を重ねてきたことでありますが、引き続き、米欧などともお互いに連携を取りながら、私自身も中国政府としっかり話合いを行ってまいりたい。近く、海外出張に際して、その出先で中国側の代表とも会うことができるであろうと思っておりますから、そういう場も使って対応したいと思っております。  また、今日の委員会でのやり取り、御質問について、我々の考え方等も中国側へ正確に伝えるようにしたいと思っております。
  120. 荻原健司

    ○荻原健司君 今のこのままでは中国のためには絶対にならないと私も思っております。先ほど大臣がおっしゃいましたように、日中両国のためになるような是非お取り組みをお願いを申し上げまして、本日の質問を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  121. 松あきら

    ○松あきら君 公明党の松あきらでございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。  厳しい経済状況の下で、各議員の先生方から、午前中から種々様々な御質問が出たわけでございます。国を思う、あるいは国民を思う気持ちというのは与党も野党もないと、私はまさに、こうした厳しい中であるときは、党派の垣根を超えて結束をして難局を乗り切ることも必要ではないかというふうに考える次第でございます。  午前中に、しかし、定額給付金の話も出ました。  私自身は、今、諸物価が上がり、また所得が下がっている現状の中では景気の導火線になるのではないかと、こう信じております。さはさりながら、各党でいろいろな御主張があるというのも事実であります。私は、小沢党首は是非、この参議院においては民主党は第一党なんですから、四の五の言わないできちんと党首討論をすべきであると思っております。もう絶対にそうじゃないと。国民見ているんですよ。(発言する者あり)うれしいですね、民主党の方からもそのとおりという声をいただいて。  だって、両方がしっかりとやり合って、そして国民が見て、ああ民主党のおっしゃること、野党のおっしゃることも本当だと思えば、与党だってちゃんとそれを取り入れたらいいんですよ。より良い日本のあしたをつくるということは絶対大事なんです。(発言する者あり)うれしいです。ありがとうございます。しっかり書いておいていただきたい。これはもう全員がそうだということをおっしゃってくださったというふうに。ありがとうございます。
  122. 山根隆治

    委員長山根隆治君) 静粛に願います。
  123. 松あきら

    ○松あきら君 それでは、御質問に移らせていただきたいと思います。  まず、我が国経済とアジア外交の重要性についてお伺いをしたいと思います。  大臣がおっしゃいますように、三十一億人、十一兆ドルの経済圏アジア、このアジアがどう伸びるかで世界が変わってくると思います。東アジア圏を発展させるかなめとして我が国の果たす役割は大きいのではないかと思う次第でございます。  アジア経済圏の推進役となりますのが、二階イニシアチブと言われた構想の一つでありますERIA、東アジア・アセアン経済研究センターでございますけれども、本年六月にスタートいたしました。これは東アジア版OECDとして期待をされておりますが、これ実は、これを提唱されたのは三年前、前経済産業大臣のときであります。不肖私も副大臣としてお仕えをさせていただいたときでございますけれども、しかし当時は外務省は少しあっちの方を向いていたんじゃないかと思います。えっ、そんなことをやるの、十六か国、うん、なんという感じだったと思います。けれども、今こうした世界のまさに同時金融不安というような状況になって、もう外務省もよくぞこれをつくってくれたと言っているそうでございますけれども、まさに私はこれは大臣の歴史的な偉業であるというふうに思っております。(発言する者あり)ありがとうございます。大臣思いと、そして今後の取組についてお伺いしたいと思います。
  124. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) ただいま松先生から御質問いただきました東アジア・アセアン経済研究センターのことでありますが、今御指摘のように、東アジア版のOECDをつくろうということで、松先生始め委員各位に大変お力添えをいただいて、難しい問題でありましたが、今年の六月三日に誕生にこぎ着けたところでございます。  今御質問のように、この十六か国、アジアの十六か国が一体となってこれからのOECDと同じように、それ以上のことに対応していこうということでありまして、ASEANの事務総長が全面的に協力する、また日本から事務総長、西村さんという方が選ばれておりまして、日本のこの代表理事としてはトヨタの奥田さんが代表理事として出ておりますので、大変強力なメンバーで取り組んでいただいております。  本年八月に開催されましたASEANプラス6の経済大臣会合で、このERIAの設立について各国から大変設立を歓迎された。スタートの時点とは様変わりの状況でありますが、御一緒に取り組んでいこうということでインドネシアのジャカルタにこれが設立されたわけであります。聞くところによると、ごく最近は福田前総理もこのジャカルタ訪問の節にお立ち寄りいただいたということで、現地から大変興奮して喜びの電話がありましたが、そうしたことで多くの皆さんのバックアップをいただいていることを感謝するものであります。  東アジア産業大動脈構想というものも打ち出したわけでありますが、これらにつきましても、また東アジアの中長期的なエネルギーの需給の見通しの策定や、IT化によるアジアの知識経済化の推進等に向けた取組もここで行っていけるわけであります。特に、OECDの事務総長との間では、OECDがやっておられることを、同じことをここでやるというふうなことではなくて、OECDでのいろんな調査研究結果はすべてこのERIAの方へ提供をする、ERIAの方も独自で研究開発したことをOECDへ提供してください、共に無駄をなくして、いい結果をもたらされるようにいたしましょうと。  この十二月の五日でございますが、エネルギー・食料価格高騰への対応策を検討するために、東京におきましてERIAのシンポジウムを開催することになっております。先ほど申し上げましたASEANのスリン事務総長やERIAの西村事務総長とともに出席されることになっております。  今後、ERIAが東アジア経済統合につながる政策提言を行い、政策の実施を促進する中核的な機関となるように経済産業省として引き続き全面的にバックアップをしてまいる所存でありますが、委員各位の格別の御指導を特にお願いを申し上げておきたいと思います。
  125. 松あきら

    ○松あきら君 ありがとうございます。いいお話を伺ったと思います。  今、G20などもやりましたけれど、まさに新興国は一段とそうした金融危機等に悩んでいるわけで、金融のみならず、そうしたエネルギーあるいは食料、すべての面でやはり日本の知恵を、あるいは経験を必要としている、それがアジアの国ではないかというふうに思っております。大臣もおっしゃったように、経済的合理性を追求するだけではなくて、環境問題、エネルギー、食料、この安全保障、さらに人間の安全保障まで視野に入れた共通基盤づくりをお願いしたいと思います。OECDとも良い協力関係ということで大いに期待するところでございます。  アメリカではオバマ次期大統領が選出をされました。そこで、私は、今まではちょっとこのERIAに対してアメリカは、自分はちょっと外されているなというか、アジアではないので当たり前といえば当たり前なんですけれど、少しそういった、ブッシュ政権は引いているというか、見方があったそうでございますけれど、今度オバマ次期大統領になって変わるのかなと。そういう意味で、この東アジア構想とアメリカというのはどういう関係を構築することができるとお考えでしょうか。その辺お聞かせいただきたいと思います。
  126. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) アメリカとこのERIAとの関係でありますが、そもそもERIAを構築するに当たってやはり難しい政治問題が横たわっておったことは事実であります。日本と中国の関係、日本と韓国の関係、必ずしも良好で春のようなぽかぽかしたような状態では、必ずしもそういう状況ではなかったという時代にこのERIAの提案をいたしまして、この東アジア十六か国をまとめるのにこっちが努力をしておる最中にアメリカから、これは特に御意見を我々の方へ直接言ってこられたわけではないんですが、報道等に、シーファー大使が御心配をなさっておると。つまり、アメリカはなぜこの十六か国の中に入れてくれないんだと、これは面白くはないと、こういうことでございます。  しかし、私は、何でもかんでもアメリカが入ってアメリカが中心になって何かを決めるというのは少しおかしいんではないかと。それよりも、日本がアメリカとの同盟国であるということにはもう違いはないんですから、アメリカとは緊密な同盟国の日本がこの中に入って努力をし、しかも日本は十年間に百億円の資金を提供してやるわけでありますから、何か特別の資金の提供でもなさるという希望を持って御意見を述べておられるのかどうか。私は当時の局長にちょっとシーファー大使のところへ行って、文句があるならば、まあそういう言い方はしなかったかも分かりませんが、御意見があるならばどうぞお越しくださいと、いつでもお話を伺いますということで呼びかけましたら、シーファー大使がお見えになりました。そして、すっかりいろんな事情をお調べになってこられて、約一時間ばかりいろんなお話し合いをしたわけでありますが、すっかり事情を御理解いただいて、よく分かりましたと、日本がしっかり頑張ってこの十六か国のこれを成功できるようにやってくださいと。  しかし、私はある意味ではシーファー大使もアメリカも大したものだと思います。いったん分かったということになれば、それ以後この問題に対して一言の御意見やこの進行に意見を差し挟むということは全くありませんでした。  私は先般、アメリカの国務省の日本部長、ラッセルさんという日本部長がやってきましたから、今シーファーさんは、当時ですよ、アメリカへ帰っておられるようだけど、是非連絡が付いたらお互いに、まあ選挙の事情やいろいろあるが、一度お会いしてこの話をしましょうということを言っております。大変喜んでということになっておりますが、まだ実現しておりませんが、できるだけ早い機会に、このERIAというものが出発からようやくここに至ったと、その間、アメリカとの間もこれから十分連携を取って取り組んでいきたい。十六の中にアメリカに入っていただくとかってそういう問題ではなくて、この十六か国のこのグループとアメリカとの連携というのは日本が責任を持って対応することが私は順当だろうと、こんなふうに思っておりますので、十分留意してまいります。
  127. 松あきら

    ○松あきら君 ありがとうございます。まさにそのとおりである、すべてアメリカ中心ではないということがまさに今回証明されているところであると思います。是非頑張っていただきたい、私ども協力してまいりたいというふうに思っております。  それでは、次の質問に入らせていただきます。  我が国の産業が世界へ向けて展開されていく中で近年着実に成長を遂げているのは、私は将来の発展も見込まれるものはコンテンツの産業ではないかというふうに思います。近年は、欧米のみならず、アジア地域におきましても、各国の経済発展やあるいは中産階級の拡大とともに日本の優れたコンテンツを受け入れて消費が拡大する傾向にあるわけです。  日本のコンテンツ産業は、国内市場総額十四兆円と言われておりますけれども、もっともっと伸びると言われております。二十兆にすぐになっていくのではないかと言われているんですけれど。また、映像作品やゲーム、漫画、音楽などは余り好不況に左右されない、つまり実はコンテンツ産業というのは不況に強いんですね。今自動車がなかなか苦戦をしておりますけれど、こういう大きな自動車などはちょっと買い控えようか、乗り換えるのもちょっと辛抱しようかな、こう思うけれど、まあゲームぐらい買おうかなとか、漫画一冊読むと世界が変わる、ちょっと気分が変わるな、ちょっとこれは麻生総理に伺いたいななんて思うところでありますけれど、こういうことでコンテンツ産業というのは不況に強いと言われている産業なんですね。  日本製のアニメ、漫画は特に人気に支えられまして、海外市場への展開も拡大する方向にある。漫画というのは文化の国フランスで若者を夢中にしているんですけど、何とフランスの漫画市場の四〇%を日本の漫画が占めているわけであります。すごいです。  このような文化の輸出は、コンテンツ産業が収益を上げるだけではない広範な効果があると思います。他業界への経済的波及効果日本文化の発信による日本への理解、外交的意義など、日本が見直され信頼されるきっかけにつながると思うからです。今後、日本のコンテンツ産業を発展させるためにどのような戦略、支援策を講じていかれるおつもりか、お聞かせをいただきたいと思います。
  128. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) コンテンツ産業が我が国の重要な将来リーディング産業の一つになるというのは、議員御指摘のとおりであります。  経済産業省では、関係府省の協力もお願いしながら、映画、アニメ、ゲーム等の日本のコンテンツを海外に発信するためにJAPAN国際コンテンツフェスティバルというのを開催を続けております。愛称をコンテンツのコとフェスティバルを略してコ・フェスタということを言っておりますが、昨年これは創設をいたしました。本年は、フランス映画庁の長官、ケイラさんをお招きしまして、内外の要人等も集めまして、各種のコンテンツの行事を行いましたが、動員しました人数は八十万人に及びます。これは昨年もそうでございました。よく八十万人って本当ですかと、こう言われるんですが、これはまさに入場券等をみんな確保しておりますから、八十万人はしっかり証明できる数でございます。  そして、今後の拡充に向けて各国から大変な期待が寄せられております。私は、前の小泉政権のころでありましたが、WTO等で出張の際に、パリでフランスの映画庁長官と出会ったことがあります。そうしたときにいろいろ話合いの中で、日本が映画のような産業政府が力を尽くしてくれるということは大変有り難い、有力な日本がこれに乗り出してくれることを大いに歓迎する、フランスがもしお役に立つことがあれば何でも協力をしたい、こういうことでございました。  私たちも本年から、高校生まで対象にしまして映画甲子園というものを創設して、高校生の皆さんが、このごろは映像技術等も進んでおりますので、早い段階からこれを積極的にこの世界へ招き入れるようなことを考えたいと思ってやっておるわけですが、先般ケイラ長官とお話をしておったら、フランスは小学生からやっておりますと、こう聞きまして、ああそうですか、それじゃ高校生まで拡大したと思っておりましたら小学生まで拡大しなきゃいけませんねと言っておったんですが、そうしたこともやっぱり考慮に入れていく必要があります。  そこで、コンテンツ産業、今現在は十三兆五千億ぐらいの売上げでございますが、やがて二〇一五年までにこれを二十兆円産業にしようと。計算の積み上げでは大体十九兆五千億ぐらいまでは計算ができるわけでありますが、私は、そこまで来るならば二十兆円、これは不可能ではないと考えておるわけです。  それじゃ、二十兆円といえば、おまえ、大体どういう数字を考えておるんだということでありますが、二十兆円の倍の四十兆円が自動車産業の売上げでありますから、これでコンテンツ産業がどれほどのものであるかということを御理解いただけると思いますが、どうか、これは日本の新しい分野における経済効果あるわけでございますし、これは文化そのものでありますから、これを通じて対外的な、日本文化を売り出していくチャンスだと思っています。  例えば漫画なんかがどんどんと海外に出ておりますから、アニメ、漫画を通じてフランスの子供たちは日本語をどんどん学んでおるわけですね。ですから、フランスは大人よりも子供の方が日本語をしゃべると、こう言われるんですが、私も本当かなと思って向こうのビデオなんかを見てみますと、漫画なんかは翻訳してフランス語でしゃべるようになっておるんですが、地名なんかはもうそのまま画面に出てくるわけですから、その地名も何回も何回も聞いたり読んだりしておる間にフランスの子供たちもすっかりそれを覚えるんです。  フランスの子供たちもやっぱり日本と同じようにかぎっ子が多いんですよ。そのかぎっ子たちは日本の漫画、日本のアニメで育っておるんですと、こういう話をフランスで聞いて、そうかなと思ったんですが、我々、コンテンツ産業についても今後熱心に取り組んでいきたいと思っております。
  129. 松あきら

    ○松あきら君 本当に力強い御答弁、ありがとうございました。自動車が四十兆で、二十兆ということは、本当それだけでもすごいことだということを皆様もお分かりいただけると思います。  今、フランスで映画庁というのがあるんだというふうに改めて分かりましたけれども、実は韓国でもゲーム産業振興院というのが存在して、ゲーム産業の成長を目的とした法律を整備して、優秀なゲームクリエーターは兵役を免除するという徹底したシフトをしいて、官民でゲーム産業振興に力を入れているそうなんですね。これは日本に対抗しようということもあるそうでございますけれども、こうやって考えてやっているということで、今大臣のお言葉で力強い思いがいたしましたけれども、しかし日本もその人材育成には大きな課題があると。資金調達、企画、制作、宣伝、販売、著作権管理、訴訟対策、そうしたコンテンツ業の特性を理解してマネジメントができる高度な人材が必要とされているわけでございます。そもそも、放送番組やアニメ業界などの制作現場では、これは、低賃金、長時間労働などの問題が横たわっております。質の高い人材は、韓国などはかなり質の高い人材を引っこ抜いて高賃金で雇うわけでございまして、海外へ流出する傾向があるわけであります。  人材確保、育成のために労働環境をまたどのように高めていくのか、この辺もお聞かせいただきたいと思います。
  130. 谷合正明

    大臣政務官谷合正明君) 今、松委員から御指摘のあった点は大変に重要な問題だととらえております。  人材育成の強化がコンテンツ産業の国際競争力を強化するためにも必要不可欠であると考えております。今アニメのお話がございましたが、実際に国際的な分業が進んでおります。そうした中で、我が国の人材流出というお話もありましたが、国内で安定収入を得て生活するためには、やはり付加価値の高い高度な技術を有した人材を集中的に育成していきたいということを考えております。  経済産業省では、具体的には中核的な人材の育成を強化するために経済産業省としてカリキュラムを策定しまして、そのカリキュラムに基づく民間レベルでの研修事業を積極的に現在支援をしております。アニメ産業コア人材発掘・育成事業というものをやっております。こうした高度な技術を有した人材に今度国際的な市場においても切磋琢磨する場を提供していきたいと。優秀な海外のコンテンツ人材の招聘あるいは内外の人材の交流を促すセミナー、国際会議の開催など、人的ネットワークの国際化にも積極的な支援を行っております。  いずれにしましても、人材の育成、数もそうですし、また技術の向上が二十兆円産業の目標を達成する上で必要不可欠でございますので、委員御指摘の点を踏まえましてしっかりと取り組んでまいります。
  131. 松あきら

    ○松あきら君 どうぞよろしくお願い申し上げます。  時間が残り少なくなってまいりました。中小企業のお話をさせていただきたいと思います。  これはもう朝から各党皆様、御意見、御質問出されたわけでございますけれども、やはり厳しい環境の中で一番厳しいところはというと、日本の九九・七%を占める中小・小規模企業にこのしわ寄せが来るのかなというふうに思っております。  日本の企業は総じて、例えば法人税などを見ましても諸外国から見るとやっぱり高いわけですね。これは税率では、日本では四〇・六九%、先進国平均二七・三%。格差ありますね。何か世界的には法人税の引下げ競争にある。オランダでは三〇から二六、イギリスでは三〇から二八、ドイツは三九から三〇、中国は三三から二五、カナダでは、これは来年ですけど、三五から二五に引き下げるというような、こういうことを聞きますと、ああ、国際競争の中でまた更に日本は厳しい状況になっていくのかなというふうに思うわけでございます。これは税制改革の抜本的な議論の中で取り組んでいかなければならない。  今回の経済対策、これはもちろん一定の評価が経済界からもされておりますけれども、今後も実体経済の悪化というものが残念ながら見込まれる。そういう中で、今お話ししました全国四百二十万社の中小企業支援に本当に効果を上げる具体的な取組が是非必要であると思っております。内需主導型の経済へのシフトや企業関連税制の改革など、どのようにしっかりと取り組んでいただけるのか、お伺いをしたいと思います。
  132. 高市早苗

    ○副大臣(高市早苗君) 今、松先生御指摘のとおりだと思います。  まず、今どんな手を使ってでも本当にやらなきゃいけないのは、今ある事業主体をつぶさない、つまり失業者を出さないための取組で、これも中小企業金融のほかに税制面でも対応しなければならないと思っております。  それが、一つは中小・小規模企業に対する軽減税率、これを時限的に引き下げることと、それから欠損金の繰戻し還付、これを実現するということですね。それからもう一つは、中小企業の事業承継税制、これ抜本的な拡充、これを確実に実現するということでございます。  それから、先ほど御指摘のありました内需主導の経済成長を実現するということの中で、例えば住宅ローン減税の延長、拡充、それから省エネ設備投資の即時全額償却ですね、これを可能とする、こういったこともあると思います。  先ほど法人税についての御指摘がありました。やはり日本企業のこれは国際的な競争力を確保する、成長力を確保するという上では、中長期的な税制の見直しの中で更なる引下げということを考えていかなければならないと思います。
  133. 松あきら

    ○松あきら君 ありがとうございます。  是非しっかりと対策を取っていただきたい。もう四百二十万社、中小・小規模企業の願いがこもっているというふうに思っております。  最後にございます。金融庁に伺いたいと思います。もう時間ですのでさっさと申し上げますけれども。  中小・小規模企業への貸し渋り、貸し止めが起こらないように責任共有制度を凍結したんです。これは私は、一〇〇%というものは、もちろんずっといいとは思っていない、金融機関にはきちんとそれを評価する目も養っていただかなきゃいけないし、責任も持っていただかなきゃいけないけれど、けれど今のこの厳しい状況でそれはマイナスであります。ですから、大臣も率先してこの一〇〇%、責任共有制度を凍結したと思っております。  金融庁にお願いしたいんです。今、窓口で金融機関、種々お話出ましたように、この対策を、例えば緊急保証制度を出してもなかなか本当に貸してもらえないという実態がある。金融庁は自分たちの名前利用されているとおっしゃるけれど、実際には、もう二十数年来きちんとした取引をして一回も返済滞ったことがないところが今回この制度ができたから、造園業です、いい仕事が来ました、八千万円貸してくださいと言っても、ノーと言われたと、こういう現実があるんです。これしっかりとお分かりいただきたい。  そして、もちろん貸していただく融資ということとともに、今中小企業が悩んでいることは既往債務の返還の緩和です、リスケジュールです。これはやっぱりきちんとこれを取り組んでいただきたい。例えば、特別支援で繰延べ返済可能にする等々、金融情勢の悪化などを考慮に入れて、特に中小企業の業況をしっかり把握して、経産省との連携も強化して、打つべき手は全部打つ、これで対策をしていただきたいということを申し上げまして、最後の質問にさせていただきます。
  134. 居戸利明

    政府参考人居戸利明君) お答え申し上げます。  中小企業への円滑な資金供給は、民間金融機関にとって最も重要な使命の一つだというふうに考えております。金融機関は、借り手企業の経営実態や特性に応じたリスクテークとリスク管理をきめ細かく行い、中小企業に対する円滑な資金供給に努めることが重要であると考えております。このような観点から、先生方の御指導もいただきつつ、中小企業庁とよく連携をして中小企業金融の円滑化のため種々の施策を講じているところでございます。  そのうちの一つが今、松先生御指摘の、金融機関が企業が既存債務について条件変更をする際にスムーズにいくような環境整備をこの度整えたところでございます。  具体的には、十一月七日に監督指針及び検査マニュアルを改定しまして、貸出条件の変更を行った中小企業向け融資が貸出条件緩和債権、いわゆる不良債権に該当しないための必要とされる経営改善計画について、計画完了までの期間を三年から五年に緩和したところでございます。この措置を職員に徹底するため、大臣から文書で指示を行うとともに、金融機関がきちっと徹底するように各金融団体に要請文を発出したところでございます。  今後とも中小企業庁と連携をして、しっかりやってまいりたいと思います。
  135. 松あきら

    ○松あきら君 よろしくお願いいたします。  ありがとうございました。
  136. 松下新平

    ○松下新平君 どうもお疲れさまです。改革クラブの松下新平です。  私は、一年間、無所属、無会派でこの委員会にお世話になりました。この度、九月ですけれども、改革クラブを結党いたしました。改革クラブの渡辺秀央代表も在席しておりますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。  結党いたしまして最初の予算委員会におきまして、改革クラブ荒井広幸幹事長から、我々は、国民との橋渡しをしっかりやっていくと、さらには、拉致問題の解決に国民運動を広げていくと、日本の閉塞打破をしていきたいと、このように発言してスタートしたわけであります。政党としては最小のスタートではありますけれども、その役割をしっかり果たしてまいりたいと考えております。  それでは、早速ですけれども、二階大臣の所信演説に対する質問をさせていただきます。  今日午前中から各党から質問がありまして、いろいろな問題について議論をさせていただきましたが、私としては地方経済認識について、再度になりますけれども、二階大臣考えをお示しいただきたいと思っております。  私も、九州の宮崎の選出の議員でありますけれども、週末ごとに帰ります。そのときに、この地元の経済を担当する皆さん、そして実際御商売をされている皆さんから切実な訴えをお伺いします。それぞれ皆さん一緒だと思いますが、地元の商工会議所の幹部の方からは、四十年この地方経済に携わったけれども、本当にこんなことは今までなかったという声。そして、好景気はなかなか地方には、二年、三年後に来ますけれども、この不景気は一気に押し寄せているという現状、そして、何よりこの年末の資金繰り、この心配もいただいております。この委員会でもついこの間までは、日本経済は堅調に推移しているという議論もあったんですけれども、一気に厳しい、そして地方経済は更にそのしわ寄せをもろに受けているという状況がございます。  二階大臣は和歌山県の御出身で、我々改革クラブの大江康弘国対委員長と同郷でありまして、大江康弘議員からも二階大臣の話をよくお伺いしております。県議出身で、そして党の役職にいらっしゃる間も小まめに地元に帰られて、中小企業の問題に精通されているとお伺いしております。その二階大臣が新たに再度この経済大臣として就任されたということで、地方の期待も大変高いわけでございますが、地方経済の御認識について改めてお伺いしたいと思います。
  137. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 私は、中小企業イコール地方地方イコール中小企業というふうな観点からこの問題の対策を練り上げていかなくてはならないと基本的に考えております。農業もまたしかりであろうと思います。農業もすべてほとんど地方であります。そこからこの問題の解決策を考えていかなくてはならない。極めて重要な問題でありますが、日本として、我が国として、この問題は絶対に避けて通れない問題でありまして、この解決なくして私はいかなる政策もすべて絵にかいたもちにすぎないとさえ思っております。そういう意味で、松下議員とこの思いを同じくする立場で、これからもしっかりした経済対策に取り組んでいきたいと思っております。  御承知のとおり、経済産業局では年に四回、全国の中小企業の事業者を対象に地域経済のいわゆる産業調査を行っておりますが、原油・原材料価格の高騰の影響が見られた直近の八月の調査を含め、全国的にこの景況判断が、誠に残念なことでありますが、四期連続して下方修正ということになっております。  世界的な金融危機を背景に、状況ますます厳しいものになっていると認識しております。緊急に講じる政策は、御承知のとおり、緊急経済対策生活対策に盛り込んだところであります。  一方、経済環境の急激な変化をチャンスに変えて発展させていくということをやはり考えるべきだと。つまり、いかなる状況、いかなるピンチに陥ったとしても、我々経済産業省としては、常に日本経済を成長の方向へ引っ張っていく努力をやはり放棄してはならないというか、そういうことに対して逡巡してはならないと考えております。そういう意味で、このいわゆるピンチをチャンスにというありふれた言葉でありますが、まさにこのときこそ踏ん張って努力をすべきだということを私たち省内でも常に話し合っておる次第であります。  各地域が潜在的に持っております資源、宮崎の場合には大変な勢いで地方の資源が活況を呈しておることはもう松下議員等の御努力の成果であろうと思いますが、私は、やっぱり何か事あるたびに女性の皆さんなんかが数人組んで東京へ出てこられて、宮崎としての意見はこうだというようなことをおっしゃって帰られますが、時には千羽ヅルなんか折って持ってきてくれまして、私の部屋にこの私たちの願いがかなうまでこの千羽ヅルここへつらしておいてもらうからと言って、今も私の部屋に宮崎の千羽ヅルがつるされてあるわけでございます。  その都度、地域経済といいますか、地域の発展、これを農商工連携等いろんな施策を駆使しながら、その地域に合った対応をしていかなきゃいけないと思いますが、私は、宮崎は地方経済しっかり頑張っていこうという、そうした雰囲気はもう十分でき上がっておる、これから何をすべきか、我々経済産業省としても十分今後の対応に御協力をしてまいりたいと思っておりますので、議員の奮起をお願いしておきたいと思います。
  138. 松下新平

    ○松下新平君 ありがとうございます。  千羽ヅルのお話はこの委員会大臣からいただいたということでまた地元に持ち帰りたいと、そしてまた一緒に頑張ってまいりたいというふうに思っております。  宮崎の実情なんですけれども、最大手の建設業が破綻いたしまして、風評被害もあったんですけれども、相当影響も出ております。どうしても心配しますのは、貸し渋り、貸しはがしの問題であります。大臣所信で具体的なメニューも提示されたわけですけれども、実際、最終段階になって貸出しができなかったというケースもお聞きしております。そういったことがないように、もうこの何年かが正念場でありますので、しっかり支援をしていただきたいと思っております。  予算委員会におきまして、荒井改革クラブの幹事長から、厳しい経済状況の下の中小企業の資金繰りについて質問させていただいておりますが、そのときに二階大臣から、信用保証協会の金融機関の窓口での対応等も含めて、あるいはまた保証協会の現場の対応等も含めて今スケジュールを組んで、我々の側からむしろ中小企業及び小規模企業の実態に即するように協力を要請しようとしているところでありますと、そういった力強い答弁もいただいておりますが、再度、この貸し渋り、貸しはがしのないように、大臣からのメッセージをお願いしたいと思います。
  139. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 世の中に嫌な言葉というのは幾つもありますが、私は貸し渋り、貸しはがしという、これぐらいひきょうな言葉はないんじゃないかと。お金の余っている人には貸してあげようと言うし、お金が必要な人にはもう貸せないと途中で止めるわけですから、これは人間の人工呼吸にしたって同じことであって、途中で止めればどうなるかということは分かり切っておることなんです。それを平気でやってのけるということ、こんなことがあっていいのかという思いを私自身も持っております。  ですから、先般も商工中金の民営化等を図る際に、当委員会でも随分今日のようなことを連想されていろんな御意見を承ってまいりました。私もそのことに対して真正面に御答弁を申し上げてまいりましたが、この間、商工中金のスタートのテープカットの式典に参りましてそのことを申し上げてまいりました。また、忘れてしまってもらっては困るものですから、そのときの議事録を幹部諸公に届けておきました。というのは、こういう議員各位の、委員各位の思いがあって商工中金はこういう経過をたどったんだよ、そこであなた方はそこのリーダーに就任されたわけですから、これだけの思いと、委員各位が御心配なさっていることが当たったということじゃなくて外れたということになってもらわなきゃ困るわけですから、こういうことのないようにということを厳重に私は申し述べてきたはずでありますが、今後もそうしたことはしっかり目を配りながら対応していきたいと思っております。  やっぱり何が大事だといったって、人間性だと思います。私は、その関係者皆さんに、できるだけ中小企業者の立場に立って物事を考えていただきたいということを要請しておりますが、これまた議員各位の御協力をお願いを申し上げる次第であります。
  140. 松下新平

    ○松下新平君 ありがとうございました。  先ほど二階大臣の方から、意識改革、活性化のためのヒントというか具体的な例として、旭化成の宗兄弟の話をいただきました。宗兄弟は宮崎の旭化成に在籍しておりまして、そういった例もいただいて大変うれしく思っております。  やはり、モチベーションを高めるということが、こういうときだからこそ大事だと思います。どうも最近は、一国の総理がどこでだれとどういう食事をしたかというのがマスコミの話題になる風潮がありまして、大変残念に思っております。  モチベーションを高めるという意味では、大リーグ、日本でも放映されておりますけれども、大リーグはアメリカンリーグ、ナショナルリーグありますけれども、アメリカンリーグで初優勝したレイズという球団があります。初優勝ですね。このゼネラルマネジャーは弱冠三十一歳だそうです。二十八歳で就任して三十一歳でアメリカンリーグを制覇したと。アメリカンリーグというのは、ニューヨーク・ヤンキースとか資金力のあるところもあるんですけれども、このレイズのゼネラルマネジャーは、とにかく若い人を起用して失敗を恐れず果敢にチャレンジした結果だというふうな分析もされております。  日本におきましても、この間までプロ野球日本シリーズが最終戦までもつれて盛り上がっておりましたが、西武ライオンズが見事日本一に輝きました。昨年は五位で低迷しておりましたが、渡辺監督が就任一年目で見事日本一に輝いたわけであります。この西武ライオンズが優勝した一つの要因としては、大久保コーチ、あの体格のいい大久保コーチが選手のモチベーションを上げていったと。少々のミスは目をつぶって、活躍した選手をベンチから飛び出して迎え入れるシーンを見られた方もいらっしゃると思います。  そういった意味で、現下の経済情勢、モチベーションをそれぞれの立場でしっかり高めていく、悲観論に惑わされないでしっかり前を見詰めてやっていくということが重要だと思っており、我々もしっかりそれぞれの立場で頑張ってまいりたいと思っております。  改革クラブ、立ち上げたばっかりですけれども大臣所信の中で触れられております原子力行政についても力を入れてまいりたいと思っております。所信の中では、グリーンITを含む三行で表現されていらっしゃいましたが、省エネルギーの中で、また原油高騰の中で原子力エネルギーが見直されてきております。私の、度々済みませんけれども、宮崎でも串間市というところで原子力発電所の建設の話がございました。地元の漁協も賛成するという状況でしたが、最終的には頓挫したということがありました。しかし、それから現下の経済状況、地域の雰囲気は随分変わっておりますので、そういったものも改革クラブとしてしっかり取り組んでまいりたいと思っております。大臣所信で述べられて、それを具体的に実行すると、そしてそれがしっかり現場皆さんが喜ばれているのか、活用されているのかというのをしっかり注視してまいりたいと思っております。  来週から大臣はAPEC等で外交日程が入っているようであります。資源外交も含めて、またしっかり取り組んでいただくことを改めてお願い申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。(発言する者あり)じゃ、済みません。じゃ、大臣の決意までお願いいたします。
  141. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 大変示唆に富んだお話をたくさん伺いました。  今も原子力行政についての御意見もありましたが、私も、この昼休みの時間に山口県の知事が上京してまいりまして、いわゆる埋立ての認可を下ろしてきたと、そして今後、経済産業省としてしっかり応援をしてもらいたいと、こういうお話がありました。こうした御意見をちょうだいしながら、これからのいわゆるエネルギー新時代、環境の問題等を十分念頭に入れながら、そして何よりも安全を第一にということで原子力行政についても取り組んでいきたいと思います。  そして、また今このアメリカンリーグの話、西武ライオンズの話等を伺いながら、日本の中小企業も元気を出せ、そして頑張ろうと、お互いにみんなでこれを助けていこうじゃないかと、こういう意味の叱咤激励の御意見をちょうだいしたと思っております。常であっても難しい中小企業であります。今日、本当に苦境に立っておられる中小企業の経営者の皆さんに奮起していただくために、せめて金融の面だけでもしっかりした対応があってしかるべきだと。同時に、大手企業、いわゆる下請企業の皆さんに対して、やはり同じ日本のチームなんですから、お互いに愛情を持って、この難関、この苦境を乗り越えていくという、そういう努力が必要ではないかと思っております。  私は、機会あるごとに経済界の皆さんにもお願いしておるんです。例えば、これは誤解があっちゃいけませんが、私は、この下請代金支払遅延防止法等に抵触するような行為を行ったような大企業に対して、やはりペナルティーを考えていくべきではないかと。皆さんも御承知のとおり、例えば運送会社、バス会社、タクシー会社等の従業員の皆さんが交通違反を起こしても、その社長は勲章をもらえるようにもうなっておっても勲章は取り消されるんですよ。大企業の皆さんの中に、いわゆる下請代金支払遅延防止法に抵触するようなことをその企業が行った場合に、どこかの会社の社長が勲章が取消しされたということは、私は聞いたことがない。  そういうことに対しても、今後十分、この私ども少なくとも経済産業省は、推薦者になる場合がありますから、そのときは厳正な措置をとらせていただきたいと、こう思っておるところであります。  以上でございます。
  142. 山根隆治

    委員長山根隆治君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時五十分散会