運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2008-12-11 第170回国会 参議院 外交防衛委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年十二月十一日(木曜日)    午前十時四分開会     ─────────────    委員異動  十一月十九日     辞任         補欠選任         白  眞勲君     小川 敏夫君  十一月二十日     辞任         補欠選任         小川 敏夫君     白  眞勲君  十一月二十一日     辞任         補欠選任         白  眞勲君     直嶋 正行君      佐藤 正久君     石井みどり君  十一月二十五日     辞任         補欠選任         直嶋 正行君     白  眞勲君      石井みどり君     佐藤 正久君  十一月二十六日     辞任         補欠選任         白  眞勲君     鈴木  寛君  十一月二十七日     辞任         補欠選任         鈴木  寛君     白  眞勲君  十二月一日     辞任         補欠選任         佐藤 正久君     島尻安伊子君  十二月二日     辞任         補欠選任         島尻安伊子君     佐藤 正久君  十二月三日     辞任         補欠選任         小池 正勝君     舛添 要一君  十二月四日     辞任         補欠選任         舛添 要一君     小池 正勝君  十二月十日     辞任         補欠選任         佐藤 公治君     谷岡 郁子君      山口那津男君     山本 香苗君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         北澤 俊美君     理 事                 浅尾慶一郎君                 犬塚 直史君                 藤田 幸久君                 浅野 勝人君                 木村  仁君     委 員                 喜納 昌吉君                 谷岡 郁子君                 徳永 久志君                 白  眞勲君                 牧山ひろえ君                 柳田  稔君                 岸  信夫君                 小池 正勝君                 佐藤 正久君                 橋本 聖子君                 山本 一太君                 浜田 昌良君                 山本 香苗君                 井上 哲士君                 山内 徳信君    国務大臣        外務大臣     中曽根弘文君        防衛大臣     浜田 靖一君        国務大臣        (内閣官房長官) 河村 建夫君    副大臣        外務大臣    橋本 聖子君        文部科学大臣  松野 博一君        防衛大臣    北村 誠吾君    大臣政務官        防衛大臣政務官  岸  信夫君    政府特別補佐人        内閣法制局長官  宮崎 礼壹君    事務局側        常任委員会専門        員        堀田 光明君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       野田  仁君        人事院事務総局        職員福祉局次長  赤司 淳也君        法務省刑事局長  大野恒太郎君        外務大臣官房審        議官       梅本 和義君        外務大臣官房審        議官       中島 明彦君        外務大臣官房審        議官       石川 和秀君        外務省北米局長  西宮 伸一君        外務省中東アフ        リカ局長     鈴木 敏郎君        外務省国際法局        長        鶴岡 公二君        海上保安庁警備        救難監      石橋 幹夫君        防衛大臣官房長  中江 公人君        防衛省防衛政策        局長       高見澤將林君        防衛省運用企画        局長       徳地 秀士君        防衛省人事教育        局長       渡部  厚君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○テロ対策海上阻止活動に対する補給支援活動の  実施に関する特別措置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) ただいまから外交防衛委員会開会をいたします。  委員異動について御報告をいたします。  昨日、山口那津男君及び佐藤公治君が委員辞任され、その補欠として山本香苗君及び谷岡郁子君が選任されました。     ─────────────
  3. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りをいたします。  本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣官房内閣審議官野田仁君外十三名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 本日は、かねてから理事懇談会協議を重ねてきた文民統制在り方等を中心とする審議と併せてテロ対策海上阻止活動に対する補給支援活動実施に関する特別措置法の一部を改正する法律案締めくくり総括質疑を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 犬塚直史

    犬塚直史君 民主党の犬塚です。  ここ随分間が空きまして、質問したい、確認をしたいことが随分たまってまいりました。  まず、田母神航空幕僚長が書きましたこの文章の中身について少し、まずは外務大臣確認をさせていただきます。  大東亜戦争は、「日本戦争に引きずり込むために、アメリカによって慎重に仕掛けられた罠であったことが判明している。」、こう書いてあるんですが、こういう言い方ができると思われますか、外務大臣
  7. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) さき大戦につきましては、その個々行為出来事に対しまして、その評価をめぐりまして様々な議論があるところでございます。政府といたしましては、具体的に断定することは適当ではないと、そういうふうに考えております。  いずれにいたしましても、さき大戦に関する政府としての認識は、平成十七年の村山内閣平成七年です、失礼いたしました、村山内閣総理大臣談話、それから平成十七年の小泉内閣総理大臣談話等において示されてきているとおりでございます。
  8. 犬塚直史

    犬塚直史君 もう少し引用をいたしますと、「実はアメリカもコミンテルンに動かされていた。」と。もう一つ引用しますと、「日本はルーズベルトの仕掛けた罠にはまり真珠湾攻撃を決行することになる。」というふうに書いてあるんですね。これは非常に政治的な、つまり現場人間ではなくて、歴史認識あるいは侵略の定義にかかわるような非常に政治的な発言だと思うんですが、外務大臣、どのようにお考えになりますか。
  9. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 今委員がおっしゃいましたように、田母神航空幕僚長論文にはそのような記述があることを承知をいたしております。  先ほども申し上げましたけれどもさき大戦につきましては、その個々行為とかあるいは出来事に対する評価をめぐりましてはいろいろな議論があるところでありまして、政府といたしまして具体的に断定することは適当ではないと考えております。  先ほど申し上げましたけれども政府としての認識は、さき大戦に関する認識は、平成七年八月十五日の村山内閣総理大臣談話、それから平成十七年八月十五日の小泉内閣総理大臣談話等において示されてきているとおりでございます。
  10. 犬塚直史

    犬塚直史君 私の質問は、こういう発言政治的な発言ではないかという質問なんですが、もう一度お答えください。
  11. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 政治的な発言であるかどうかにつきましても、政府として具体的に断定することは適当でないと考えております。
  12. 犬塚直史

    犬塚直史君 政治的な発言であるか政治的な発言でないかは分からないと、こうおっしゃっているんですか。
  13. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 繰り返しになりますが、この大戦に、さき大戦についての個々行為出来事に対する評価、これをめぐりましていろいろな議論があるわけでございまして、政府として具体的に判断、断定するということは適当でないと、そういうふうに思っております。
  14. 犬塚直史

    犬塚直史君 私が申し上げているのは、自衛隊法六十一条とか国家公務員法百二条に定めている政治的行為の話をしているのではありません。私が申し上げているのは、こういう一連の発言はですよ、自衛隊員のトップにいる者として、現場の事実情報を防衛大臣にしっかりと伝えるというこういう役割ではなくて、そののりを越えた政治的な発言ではないでしょうかと伺っているんです。
  15. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) いや、繰り返しになって恐縮でございますが、政治的発言であるかないかということについて私からのコメントは差し控えさせていただきます。
  16. 犬塚直史

    犬塚直史君 防衛大臣に伺います。  もう一度引用しますが、「タイで、ビルマで、インドで、シンガポールで、インドネシアで、大東亜戦争を戦った日本評価は高い」と、こう田母神航空幕僚長は書いているんですが、これは政治的発言だと思われますか。
  17. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 個人的な見解を述べた論文内容に私どもとすれば一々コメントをすることは差し控えさせていただきたいと思っております。  いずれにしても、今回の発言等によって我々としての処分をしたところでありますので、その点についてはコメントを差し控えさせていただきたいと思います。
  18. 犬塚直史

    犬塚直史君 私は、コメントを差し控えるとおっしゃいましたが、コメントすることがまさに政治責任者の仕事だと思うんですね。  現場人間というのは、現場のことを一生懸命もうこればかりやっているわけですから、どうしても視野が狭くなるわけですよね。そこで、何らかの形で思い込みがあったりとかおかしな方向に行くということは当然あることであります。そのときに責任者として、懲戒権者として防衛大臣なり外務大臣が、いやこの発言政治的発言であると、方向性が違うんじゃないかと時には頭をたたいてやらないと両者の関係というのはうまくいかないと思うんですけれども、いかがですか。  これは政治的発言ですか、違いますか。
  19. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 政治的発言云々というよりも、我々とすると、政府のその方針とは懸け離れたことがあるわけでありますので、当然今回の処分を我々とすれば取らしていただいたということでありますので、私とすれば、いずれにしても不適当な、不適切な発言をされたということで私なりに決断をして今回の処分を下したところでございます。
  20. 犬塚直史

    犬塚直史君 田母神航空幕僚長は、今ちょっと例を挙げたような、非常に一方的かつ偏った、独断に満ちたこの歴史観田母神航空幕僚長の表現によれば、日本は良い国だという歴史観を持たないと自衛隊員士気にかかわるというような発言をされておりますが、防衛大臣はこれを共有されますか。
  21. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 私ども防衛省としましては、自衛隊員歴史について田母神航空幕僚長見解と同じような見解を有さないと自衛隊員としての、自衛隊員士気が低下するとは全く考えておりません。他方、自衛隊員歴史を客観的に理解して強い使命感を保持することは、自衛隊国民の期待と信頼にこたえ適切に任務を遂行していく上で必要であるというふうに考えております。このため、防衛省においては、自衛官の資質を養って職務遂行に必要な能力等を習得させるための教育を行っているところでありまして、この一環として我が国の歴史についても教育を行っているわけであります。  防衛省としては、この教育に当たっては自衛隊員が広い視野、今委員がおっしゃったように狭い視野になってはいかぬということもあって、歴史的に理解をするように努めてきたところでありますけれども、そういった意味では、改めて幹部教育防衛大学校の教育についての点検をして、その結果を踏まえてその見直しについて検討してまいりたいと思っているところでありますので、今回の田母神幕僚長の件に関していえば、自衛隊員士気が低下するとは全く考えていないということであります。
  22. 犬塚直史

    犬塚直史君 大臣、私は広い視野というのは大臣が持つのが職責だと思うんですね、現場人間を束ねるわけですから。その広い視野から総合的な判断をされる大臣が、私は、今回のこの田母神発言がいつまでも尾を引いていることの最大責任は、防衛大臣がこの田母神航空幕僚長懲戒手続に入らなかった、このことが私は最大の今尾を引いている原因だと思うんです。  これに関して、当委員会で、これは十一月十三日ですけれども、どうして防衛大臣懲戒手続に入らなかったかという質問に対して、大臣はこうおっしゃっているんです。本人から迅速な処分手続への協力を得られず、退職期限までに手続を完了するのは困難と判断し、早期退職を求めたと。  そこで伺いますが、ここで言っているのは、要するに期限の問題があるから早期退職を求めたと、こう言っているわけですよね。それでは、期限の問題がなければ懲戒手続に入ったんですか。
  23. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 我々とすれば、当然、懲戒処分の時間というのは我々の考慮の中に入れなければならない話でありますので、その判断を当然そこでしたわけでありますので、当然その期間、あくまで懲戒の値する人間というのは現職自衛官であることが前提でありますので、それが懲戒処分手続を取りつつ最後懲戒処分を決定しないままに結論が出し得ないという状況が起きるのは我々とすれば大変問題であろうと思いましたし、また田母神さんが徹底的に争うという中で自分のお考えをまた今回皆さん方が御指摘になっているようなことを更に申し募るというのは、逆に言えばまたそちらの方が隊員士気の低下につながるんではないか、私ども、そういう判断もあって、今回は一刻も早くお辞めをいただくことが重要だというふうに思ったのがまず第一でありますし、また本来自衛官立場として私を支えるという航空幕僚長があのような形で論文を発表し、まさにそれが政府見解とは違ったものを発表したということでありますから、とにかく航空幕僚長としての地位をお辞めをいただき、そして私とすれば、そういった事態になれば、当然その責任の重さを痛感しておれば、そこでお辞めになるのが、辞表を持って私のところに来ていただくのが当然と思っておりましたので、一刻も早くお辞めいただくことを私としては選択をしたということであります。
  24. 犬塚直史

    犬塚直史君 私の質問は、大臣期限の問題がなければ懲戒手続に入ったんですかという質問です。
  25. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 当然、その時間的な余裕というか、我々とすれば、しっかりとやれるタイミングがあれば当然懲戒処分選択ということも考えていたと思いますけれども、今回の場合はそうではなかったので、我々とすればお辞めをいただいたということであります。
  26. 犬塚直史

    犬塚直史君 確認をしますが、時間がなかったので懲戒手続に入らなかったとおっしゃったんですね。
  27. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 結果として、我々の選択というのは、もう早期に、退職の日数も限りがあり、そしてその中で、当然今回の場合にはその責任というものを、御自分でお辞めにならないということでありましたので、私の方の選択肢として即辞めていただくことが重要だと思ったので、その一番早い方法を取ったということであります。
  28. 犬塚直史

    犬塚直史君 ということは、本来であれば懲戒手続に入るべきという認識があったにもかかわらず、時間が掛かるというこの事実の中で、一刻も早くこれを終結させるべきという判断の中で懲戒手続に入らなかった、つまり時間がなかったから懲戒手続をしなかったということですな。
  29. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 結果として、いろいろな先生方から御指摘を受けているように、退職という形が目の前に来てしまっている以上、その選択肢とすれば、同じことであるならば早くお辞めいただきたいと思ったのも事実であります。
  30. 犬塚直史

    犬塚直史君 私はそこのところが、時間があるとかないとかという話ではなくて、やっぱり懲戒にするべきものは懲戒にするという堂々とした、何をもって懲戒にするのかという議論をやはり国民の前で堂々と行わなかったためにここまで尾を引いてしまったというふうに理解をしております。  それでは、これは事務方の方で結構ですが、伺いますが、懲戒処分等基準に関する達というところで、航空自衛隊懲戒処分基準というのが出ておりますけれども、これによりますと、政治的行為はどのような懲戒を受けるんですか。
  31. 渡部厚

    政府参考人渡部厚君) お答え申し上げます。  隊員政治的行為につきましては、自衛隊法第六十一条第一項におきまして、「隊員は、政党又は政令で定める政治的目的のために、寄附金その他の利益を求め、若しくは受領し、又は何らの方法をもつてするを問わず、これらの行為に関与し、あるいは選挙権の行使を除くほか、政令で定める政治的行為をしてはならない。」と規定されております。  航空自衛隊に所属いたします隊員がこの規定違反した場合には、今委員指摘のとおり、航空自衛隊懲戒処分等基準に関する達というのがございまして、これにのっとりまして処分を検討することになります。  具体的には、政治的行為制限等違反として、違反内容が悪質であり、かつ部内外に及ぼす影響が大きい場合には違反態様が重大な場合ということになりまして、免職、降任又は六日以上の停職のいわゆる重処分となります。また、違反態様が重大な場合に至らない軽微な場合には、五日以内の停職減給合算額俸給月額の三分の一を超えない減給又は戒告ということで、いわゆる軽処分でございます。  このような懲戒処分を行う場合には、その行為の程度でありますとか内容、動機、状況等々を勘案いたしまして、具体的な懲戒処分内容を決定することになります。
  32. 犬塚直史

    犬塚直史君 この基準を適用するに当たっては、これは私、防衛省の方から聞き取り、十一月の二十日にしたんですけれども、この基準を適用するに当たっては「人事院規則一四—七(政治的行為)の運用方針について」と、この解釈を取っているところであるという答えがありましたが、これでよろしいですか。
  33. 渡部厚

    政府参考人渡部厚君) お答え申し上げます。  自衛隊法第六十一条の政治的行為制限につきましては、国家公務員法第百二条に同様の規定がございまして、自衛隊法施行令第八十六条の政治的目的、それから第八十七条の政治的行為につきましては、人事院規則に同様の規定があると承知しております。  その解釈につきましては、防衛省といたしましては、一般職と基本的には同様の解釈をしているところでございます。
  34. 犬塚直史

    犬塚直史君 そこで、人事院に聞きますけれども、今そのような答え防衛省からあったわけですが、私が聞いたところでは、人事院国家公務員一般職について所掌しているのであり、特別職たる防衛省職員服務規定に係る解釈については関知するものではなく、個別の判断については任命権者懲戒権者が行うものと理解していると聞いたんですが、人事院、それでよろしいですか。人事院です。
  35. 赤司淳也

    政府参考人赤司淳也君) お答え申し上げます。  先生先ほど説明のとおりでございまして、人事院特別職職員に関する制度については所掌をしておりませんので、防衛省職員服務規定する自衛隊法について解釈を行い得る立場にはございません。  以上です。
  36. 犬塚直史

    犬塚直史君 ということは、ここに言っているように、個別の判断については、今回の田母神言動政治的行為に当たるかどうかという個別の判断については、懲戒権者、すなわち防衛大臣が行うことになるということになりますが、防衛大臣、そのような理解をしておられますか。
  37. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 当然、我々とすれば、今御指摘のあったとおりだと思っております。その上で、我々とすれば、今回これを、懲戒処分を決定するしないというのは私の権限ということでありますので、当然、これに判断をして、我々とすれば、今回の場合は最後まで懲戒処分を追及しても結果が得られないということを判断したということであります。
  38. 犬塚直史

    犬塚直史君 大臣、それは先ほど質問なんですけれども、その件はもう結構です。  時間がないから懲戒手続に入らなかったというのはもう分かりましたが、時間があれば懲戒手続に入ったとさっきおっしゃいましたから、それでは、懲戒手続に入ったときに、この田母神航空幕僚長言動政治的行為に当たるということを決定するのは、防衛省でもなく人事院でもなく最終的には防衛大臣であります。防衛大臣は、この田母神言動政治的行為だというふうに解釈されますか。
  39. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 田母神航空幕僚長論文は、さき大戦に関する評価についての政府評価と相入れない見解や憲法に関しての不適切な部分があるものの、自衛隊法第六十一条において制限されている政治的行為に該当しないというふうに考えておるところであります。自衛隊法第六十一条において制限されている政治的行為に該当しないということについて、私自身が判断をしたということであります。
  40. 犬塚直史

    犬塚直史君 それはどういう理由で政治的行為に該当しないとおっしゃっているんですか。普通はこれ、目的行為に分けると。目的は、「政治方向影響を与える意図で特定の政策を主張し、又はこれに反対すること。」になっているんですよ。今回の言動はまさにこれじゃないですか。大臣、どうですか。
  41. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 反対をしているというよりも御自分考えを述べているわけでありますので、その意味では我々とすれば今回のこの条文に関して該当しないということを申し上げているところでありますので、その点に関して、隊法上はこれに該当しないということを申し上げるところであります。
  42. 犬塚直史

    犬塚直史君 質問レク等々で事務方と話しているときは、まさにおっしゃるような答えが返ってくるわけであります。  私は、今回のことは、本当に大臣のリーダーシップを今見せないとどんどん議論が混乱していくという状態になっていると思うんですね。これだけのことを言って、自分のまさに持ち場を一生懸命やればやるほど思い込みが激しくなる場合があるんですよ。そういうことにそのまま任せていったら、国の方向を誤るんですよね。そういうときに大臣が大所高所から、それは違うよと、おまえがやっていることは政治的行為だよと、それを言うことができるのは大臣しかいないじゃないですか。どうして今この場で大臣政治家として、時間がなくてできなかったけれども懲戒処分手続に入ることは時間があればやるとさっきおっしゃったんですから、もしそのときに懲戒処分に入るとすれば、唯一のこの処分内容政治的行為なんですよ。その目的として、政治方向影響を与えようとしているのりを越えたわけですから、そこはきちんとこれはいかぬよとここで言っていただきたいんですよ。いかがですか。
  43. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 先ほどから申し上げているように、私とすれば、今回のこの論文内容というのは大変我々とすれば不適切というふうに判断をし、なおかつ、逆に言えば、最高地位である航空幕僚長という地位を剥奪をしたということは、これは自衛隊の組織の中でいえば大変不名誉以外の何物ではないわけであります。本来、今までそういった形で、この組織の中において私が最上位に今いるわけでありますので、その点において、これはおかしい、けしからぬといって今回の地位の剥奪をしたわけであります。普通であれば御自分で辞表を持ってくるのが普通でありますから、そうではなかったわけでありますので、その意味では懲戒というのも確かに一つの方法論かもしれませんが、私としては、降格、更迭をしたということの重さ、そしてまた即時辞めていただくという選択を、この方が私の方とすれば大変重いというふうにしっかりと私の意思をその時点で発揮をしていると、私はそう思っておる次第であります。
  44. 犬塚直史

    犬塚直史君 大臣、それでは何となくという話になるんですよ。自衛隊法六十一条に定めるところの政治的行為に当たらないと今大臣がはっきりおっしゃったので、政治的行為に当たらないと言うのであれば、田母神論文は別に何も法規には違反していないんですよ。ただ、適切ではないから更迭をされたと、そういう話で終わってしまうんですね。事の本質はそんなところではないんです。  この政治的行為をやったことについて、大臣認識をもう一度伺います。
  45. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 今回のこの判断に関しては先生からのいろんな御指摘、当然私の権限として、政治家としての、シビリアンとしての隊員に対するその思いというのを私なりに今回はしっかりと伝えたつもりであります。特に、政治的行為だけではなくて品位の問題等々いろいろあるわけでありますので、そういったことも勘案して私として判断したところでありますので、先生からそういうふうな御指摘を受けることは確かにあるかもしれませんけれども、私自身とすれば、私なりの立場からその判断を下したということは御理解いただければと思う次第であります。
  46. 犬塚直史

    犬塚直史君 航空幕僚長の上司たる防衛大臣がそのような指導力しか発揮できない、つまり本当の意味で総合的な判断をするべき防衛大臣が、懲戒手続に入るべきと言いながら、また臭い物にふたをするような議論しかできないということは私は問責に値すると思います。このような懲戒手続に入ることをしなかったような、まさにうやむやにして終わらせることが一番危ない、これを後で追認したような麻生総理も私は問責に値すると考えております。  官房に伺います。麻生総理大臣はこの防衛大臣懲戒手続に入らないということを認識され、これにオーケーを与えたんでしょうか。
  47. 河村建夫

    国務大臣(河村建夫君) 防衛省において、十月三十一日付けで航空幕僚長の職を解く措置を講ずる、そして解任後、同氏に対して辞任を説得したが拒否したと、迅速な懲戒手続に協力を得られる見込みもないため、十一月三日付けで退職させたということであります。そういうことについては、防衛省より事前に内閣総理大臣秘書官を通じて麻生内閣総理大臣に報告をされたと、このように承知をいたしております。
  48. 犬塚直史

    犬塚直史君 本人にすれば、これだけ言ったと、しかも教育内容まで影響を与えるような形で常に発言をしてきたと、しかし更迭をされたその理由というのが、さっきちょっとおっしゃった品位だとか、あるいはふさわしくないと、その程度の話であると、そういう理解を今されているんだと思います。  麻生大臣も、これは十一月の十三日の当委員会でこうおっしゃっているんですね。少なくとも文民統制がきちんとおりましたから、今回は直ちに解任、航空幕僚長として解任ということになったんだと存じますと、こうおっしゃっているんですね。つまり、懲戒手続に入らなくてもいいと、そのぐらいで今回は収めておけという理解をしておったということでよろしいですか。
  49. 河村建夫

    国務大臣(河村建夫君) 任命権者であります防衛大臣の決断を尊重したと、こういうことだと思います。
  50. 犬塚直史

    犬塚直史君 外務大臣に伺います。  田母神論文の中でこういう表現もあります。相手国の了承があるものは侵略ではない。更に言うなら、もう一つ引用すると、今も昔も多少の圧力を伴わない条約など存在したことはない。外務大臣、こういう非常に一方的なことを堂々と言っているんですが、外務大臣、これに対してどういうふうにお考えになりますか。
  51. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 個人的な見解の一つ一つについて論評することは差し控えたいと考えますが、一般論として申し上げれば、国際法上、侵略の定義に関しましては様々な議論が行われておりまして、確立された法的概念としての定義があるとは承知いたしておりませんが、相手国の了承がある侵略というものを想定するということは困難なことではないかと、そういうふうに思います。  また、条約などの国際約束とは、国際法上の主体間において締結をされて、国際法によって規律される国際的な合意をいうわけであります。国際約束は、その締結に当たりまして各主体が自ら置かれた様々な事情を考慮することが当然想定されますが、最終的には各主体の間の合意に基づいて締結されるものだということでございます。
  52. 犬塚直史

    犬塚直史君 侵略の定義という非常に大きな話題について、今日は国際法局長もいらしているようですけれども、そもそも正式な定義がないと。非常に政治的な話であります、今のところですね。  さかのぼれば、国際連盟、一九二〇年、国際連盟の中で侵略戦争の禁止条約が締結された。あるいは、三三年には侵略の定義に関する条約が発効した。しかし、七か国しか、これには七か国しか批准してなかったと。その後、ようやく一九四六年、国連が国連憲章を採択をして、その中で戦争を含む武力行使を禁じたと。これ以外のものは侵略かどうかは安保理が決めるというような今内容になってきているわけですけれども、まさにこの侵略の定義に関する議論が国際的に今行われていると。  今年ですか、行われたICC、国際刑事裁判所における侵略の定義に関する部会の内容を、抄訳を読んでいただくようにお願いしましたので、外務省、お願いします。
  53. 鶴岡公二

    政府参考人(鶴岡公二君) ただいま委員から御指摘のございました国際刑事裁判所の締約国会合におきまして、議長から配付をされましたICCローマ規程改正案第八条の関連部分を仮訳にて申し上げます。  第八条の二、侵略犯罪。一、この規程の適用上、侵略犯罪とは、国家の政治的又は軍事活動を実質的に管理し又は指示する地位にある者による侵略行為の計画、準備、開始又は実行であって、その性格、重大性及び規模により国際連合憲章の明白な違反を構成するものをいう。二、一の規程の適用上、侵略行為とは、国家による武力の行使であって、他の国家の主権、領土保全若しくは政治的独立に対するもの又は国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものをいう。次に掲げる行為は、いずれも宣戦布告の有無にかかわりなく一九七四年十二月十四日の国際連合総会決議第三三一四号に従い侵略行為とみなす。  以上でございます。
  54. 犬塚直史

    犬塚直史君 防衛大臣、これは今年の六月の二日から六日の間に行われた、今世界百九十か国近くが参加している締約国会議の中でまさに今行われている議論であります。日本は幸いなことに周囲を海で囲まれておりますが、国境をたくさん接している国がある、まさに紛争の火種がいっぱいある国がたくさんある中で、侵略の定義なんという話は、だれかの論文を引用もしないでそのまま張り付けてきて堂々と発表するような話ではないんですね。  こういうことをそのままにしておいて、品位の問題に片付けていいと、防衛大臣、まだ思っておられますか。
  55. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 当然、今、私が先ほど来申し上げていますように、航空幕僚長を解任したという重さ、それがやはり重要だと思っているところであります。私とすれば、今回の職にふさわしくないということを含めて考えれば、当然政府方針とは違うということでありますし、その論文内容について私はどうこう言いませんが、しかし、それは我々にとって、政府にとっては容認しがたいということで今回の処分を行ったということであります。
  56. 犬塚直史

    犬塚直史君 外務省に伺いますけれども、今読んでいただいたこの中に国連憲章が引用されております。我が国としては、この国連憲章の引用については余り積極的にはこれを評価をしていないと、こう伺って、これは三三一四のことですね、今読んでいただいた三三一四ですね、これについては積極的な評価をしていないというふうに聞いているんですが、その辺の事情をちょっとお話しいただけますか。
  57. 鶴岡公二

    政府参考人(鶴岡公二君) ただいまお読み申し上げました議長の配付いたしました草案の最後のところで、国連総会決議三三一四号について言及がございます。  この国連総会決議三三一四号は、一九七四年十二月十四日、国連総会においてコンセンサスにより採択をされた決議でございまして、侵略について一定の行為を具体的に列挙した相当包括的な内容を含むものでありますが、国連総会の決議でございますので、それ自体が法的拘束力を持つものではございません。ただし、この定義の侵略、三三一四号を安保理も含めて今後参照していくというガイドラインとしての性格を付与されたものと理解しております。  そういう性格のものとして、我が国としても、このローマ規程の改定の作業の中で三三一四号を位置付けて議論をしていくべきものだというふうに認識をしておりまして、ただいま委員指摘のような、軽視しているとか重視しているというようなことではございません。
  58. 犬塚直史

    犬塚直史君 軽視も重視もしていないと、引用するのであれば引用する仕方があるだろうと、するかしないかの是非も含めて、これから日本としては検討していくんだと、そういうことでよろしいですか。
  59. 鶴岡公二

    政府参考人(鶴岡公二君) 我が国は、国連総会における先ほど申し上げました三三一四決議の作成過程にも非常に積極的にかかわってきた歴史と実績を持っております。ローマ規程の作成過程においても同様に積極的に参加をしてまいりました。この侵略犯罪の定義は、その中でも非常に大きな重要な課題だと認識しておりまして、これまでも積極的に議論に参加をしてきておりますし、今後とも積極的かつ建設的にその作業に参加していって、できればそれを国際社会における法の支配の強化に貢献させていきたいというふうに考えております。
  60. 犬塚直史

    犬塚直史君 是非、日本政府に頑張っていただきたいと思います。今のままですと、侵略の定義は究極的には安保理で決めるということになってしまう。それに対して、やっぱりここでこれだけ多くの国の代表が集まって侵略の定義を決めようとしている、まさに今佳境に入っているところですので、是非建設的な貢献を日本の方からもお願いをしたいと思います。  ついては、最後になりますが、このローマ規程の画期的な点としてリーダーシップ責任を問うということが挙げられておりますけれども、このリーダーシップ責任とは政府理解では一体どういうものなのか、御説明いただけますか。
  61. 鶴岡公二

    政府参考人(鶴岡公二君) 御指摘のリーダーシップ条項でございますが、これは侵略犯罪の処罰対象者、すなわち国際刑事裁判所は個人を処罰の対象とする、これが原則でございますので、どのような個人を対象とするかというときに、国家の政治活動又は軍事活動を実質的に管理又は指示する地位にある者、こういう個人に対象者を限定することを目的とする条項だというふうに理解をしております。  我が国といたしましては、この条項は侵略犯罪に特有のリーダーシップの犯罪としての性質を明確化するものであると考えておりまして、有益な要素だと理解しております。
  62. 犬塚直史

    犬塚直史君 まさに、田母神航空幕僚長が非常に軽い形で書かれたこの侵略の定義の問題について、まさに国際連盟の時代から今に至るまで世界中の国が集まって議論を闘わせていると。日本はこれに、今のままでは国連安保理が決めたものが侵略であるというようなことになってしまうと。安保理の五大国が拒否権を持つ中で、本当に中立的な、あるいは正当なものができるかどうか疑わしい中で、少しでもいいものをつくろうとしておるという中にあって、是非日本の貢献を期待をしたい。  その上で、もう一度申し上げますが、このような分野に現場人間を入り込ませるようなリーダーシップは是非慎んでいただきたいと申し上げて、私の質問を終わります。
  63. 白眞勲

    ○白眞勲君 民主党の白眞勲です。  まず、今回行われました六者協議についてお聞きいたします。  昨日までに行われた協議、いったん休会する可能性が高いとの報道が今朝のマスコミで一斉にされましたけれども、どこでねじれてどこが問題なのかとか、あるいはサンプル調査についての方法をどうするのかといったところが本当に今どうなっているんだということなんだと思うんですけれども。日米韓ロシア、この四か国の要求の中身と北朝鮮側の主張との隔たりについて、外務大臣に御答弁願いたいと思います。
  64. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 今月の八日から北京で開催をされております六者会合に関するこの首席代表者会合では、冒頭中国から、議長国である中国から、一つは検証について、それから無能力化及び経済・エネルギー支援の取り進め方、さらに北東アジアの平和及び安全のメカニズムの三つの議題が提示をされたわけでございます。翌日の九日には、中国の武大偉副部長からこの検証に関する議論を促進するためのたたき台が提示をされまして、それを踏まえて中国を中心に各国の間で断続的に議論が行われたと、そういうふうに聞いております。  昨日、十日でございますが、昨日も引き続いて首席代表者会合で議論が行われましたけれども、残念ながら合意には至らず、今日十一日、今日も協議が継続されるということになりました。協議はまだ継続中でございますので詳細については差し控えますが、検証の取り進め方について、北朝鮮の立場と、それから他の三か国の立場の間にはいまだに大きな違いがあると聞いております。  今後の見通しについて、予断を持って申し上げることは差し控えたいと思いますけれども、検証に関する合意が得られるように、我が国としても引き続いて関係国と緊密に連絡を取り合って取り組んでいくと、そういう考えでございます。
  65. 白眞勲

    ○白眞勲君 今回の交渉、六か国協議において、日朝交渉についてちょっとお聞きしたいんですけれども、全く先方からのなしのつぶてだったというようなことでよろしいでしょうか、外務大臣答えください。
  66. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 昨日十日ですね、昨日までの間に日朝の首席の代表者の間での接触があったとは聞いておりません。  我が国といたしましては、前から申し上げておりますが、機会があれば日朝間のバイ協議を是非行いたいと、そういうふうに考えておりますけれども、北朝鮮側から具体的な反応は現在までないわけでありまして、今後の見通しを申し上げるということはちょっと困難な状況でございます。
  67. 白眞勲

    ○白眞勲君 そういう中で、日朝国交正常化交渉を担当する北朝鮮の宋日昊大使が十月以降、日本側と連絡が取れない状態であるという報道がありますけれども、これは事実なんでしょうか。
  68. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) その報道については、あったということについては承知しておりますが、事実かどうかについては承知しておりません。
  69. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、事実があるかどうかというか、連絡が取れないという事実があるかどうかですから、それ把握していないというのは変な話ですけれども、それどうなんでしょうか。連絡していないんですか。連絡して、向こうから返事ないんですか。
  70. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) ちょっと事実関係ですので、政府参考人から説明をいたさせます。
  71. 石川和秀

    政府参考人(石川和秀君) 宋日昊日朝国交正常化担当大使の件でございます。  私ども、平素からいろいろな情報収集、分析には努めております。いろいろな情報を持っておりますけれども、具体的なやり取りの詳細については差し控えさせていただければと考えております。
  72. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、ですから、連絡が取れないという報道があるについて差し控えるというのは変じゃないですか。なきゃないでいいと思うんですよ、私は。それまで差し控える必要はないんじゃないでしょうか。
  73. 石川和秀

    政府参考人(石川和秀君) 失礼いたしました。  日朝の国交正常化交渉、日朝実務者協議、これを是非早く再開したいということで、累次にわたりいろいろな形で北朝鮮側には申入れをしております。現在のところ、まだ北朝鮮側から積極的な反応はないということでございます。
  74. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、私が聞いているのは、宋日昊さんがどうなっているんだということを聞いているんですよ。十月以降、宋日昊さんと連絡を取ってみて連絡はなかったんですか、あったんですか、それだけですよ。
  75. 石川和秀

    政府参考人(石川和秀君) 事柄の性質上、北朝鮮とのやり取りの詳細についてはここでは差し控えさせていただければと考えます。
  76. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) ちょっと審議官に申し上げますが、詳細じゃなくて、質問答えることは詳細な部分ではないでしょう。もう一度。
  77. 石川和秀

    政府参考人(石川和秀君) 失礼いたしました。  宋日昊大使は日朝実務者協議の先方の代表でございますので、早く宋日昊代表に連絡を取って日朝実務者協議を再開し、特に調査委員会を中心とした拉致問題の解決のために日朝交渉を前進させようということを度重ねて申し入れているところでございますが、先方から具体的な回答はないということでございます。
  78. 白眞勲

    ○白眞勲君 じゃ、それは具体的な回答なのか、何の回答もないのか、どっちなんですか。
  79. 石川和秀

    政府参考人(石川和秀君) 日朝間では様々なやり取りを行っておりますけれども、具体的に日朝実務者協議を行うという意味での回答はないという意味を申し上げました。
  80. 白眞勲

    ○白眞勲君 つまり、宋日昊さんからの連絡はないということですか。あるかないかだけお答えください。
  81. 石川和秀

    政府参考人(石川和秀君) 宋日昊大使個人からの連絡かどうかは別にして、北朝鮮政府としてそういう連絡がないという意味でございます。
  82. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、窓口が宋日昊さんであるというふうに今おっしゃっているわけじゃないですか。ですから、宋日昊さんからの何の連絡もないのかあるのか、その報道についてのことで、私はそれだけですよ、聞いているのは。それについてちゃんと答えてください。
  83. 石川和秀

    政府参考人(石川和秀君) 御承知のとおり、北朝鮮側とはいろいろなルートを使ってコミュニケーションを取っておりますけれども、具体的には現在は北京の大使館ルートを使ってやっております。そこから具体的な連絡は来ていないということでございます。
  84. 白眞勲

    ○白眞勲君 つまり、そこから具体的な連絡は来ていないと、そこに北朝鮮側から、宋日昊さん個人からは連絡が来ていないということでいいですね。
  85. 石川和秀

    政府参考人(石川和秀君) 北朝鮮、北京にございます大使館ルートを使って連絡をしておりますので、そこが窓口になっております。ですから、その窓口たる北朝鮮側から実務者協議を開催するという連絡はまだ来ていないということでございます。
  86. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 速記を止めて。    〔速記中止〕
  87. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 速記を起こしてください。
  88. 石川和秀

    政府参考人(石川和秀君) 失礼しました。  北朝鮮の大使館が窓口になって北朝鮮政府の対応ぶりについては連絡をしてくることになっております。大使館と宋日昊大使との間でどういうやり取りがあるかということは私どもは承知はしておりません。  したがいまして、委員のお答えをすれば、宋日昊個人、大使個人から連絡があったという事実に関して申し上げれば、そういう事実は今のところございません。
  89. 白眞勲

    ○白眞勲君 要するに、宋日昊さんからの連絡はないということでよろしいですね。確認です。
  90. 石川和秀

    政府参考人(石川和秀君) 宋日昊大使個人からの直接の連絡はないということでございます。
  91. 白眞勲

    ○白眞勲君 拉致問題を担当されているのは官房長官ですけれども、今、北朝鮮の人権侵害問題啓発週間の最中であるという中で、北朝鮮側から何の連絡もないと、日朝交渉しようじゃないかと言っても何も連絡ないと。これ、どうする気ですか。
  92. 河村建夫

    国務大臣(河村建夫君) これは六者協議の中でいろんなやり取りが行われ、これ今動かそうとしております。その中で、いわゆる非核の問題と拉致の問題は日本政府としては一体となって進めていかなきゃなりませんから、やはり今はまず六者協議を動かしていきませんと、その中に北朝鮮が入ってきて、核の問題を動かす中で、日本としては、他の中国あるいは韓国もそうであります、ロシアもそうでありますが、その中で日本立場というものの理解を求めながら、同時に北朝鮮を動かしていくと、今そういう考え方に立っております。
  93. 白眞勲

    ○白眞勲君 これは韓国の報道なんですけれども日本が拉致問題の未解決を理由に留保している例の重油二十万トン相当の、まあ何というんでしょうね、担当の、相当分のものを国際募金、つまり世界各国から集めて代替する予定だという報道があるんですけれども、事実関係はどうなんでしょうか。
  94. 石川和秀

    政府参考人(石川和秀君) 委員指摘のとおり、北朝鮮の無能力化に合わせて百万トン相当の重油ないし資機材が提供されることが約束をされているわけでございますけれども、今現在未決定になっております重油二十万トン分、これについてどのような形で供与できるかというところを今六者会合において議論をしているところでございます。  米国、韓国等が中心になりまして国際社会からの参加について今現在打診をしているところでありますけれども、その対応を含めましてまだ議論が進んでいるところでございまして、何ら決定は見ておりません。
  95. 白眞勲

    ○白眞勲君 これ、おかしいのは、何で議論する必要があるんですか。これは、二十万トンは日本が担当する分であって、日本がやめると言えばそれだけの話であって、それを国際社会が何でその二十万トンどうしようといって議論して、で、国際社会の、まあ今は何も決まっていないということですけれども、オーストラリアとの交渉があったということもあった。そういう中で、何で、議論する必要性もないんじゃないかと私は思うんですけれども外務大臣、お答えください。
  96. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 拉致問題と同時に核問題が非常に大事なわけで、それはもう申し上げるまでもありませんけれども、我が国といたしましては、北朝鮮が核放棄に向けて具体的な措置をとるということに、それに対応して行われる経済・エネルギー支援、これを含む六者会合、これの成果の文書を我々も採択をいたしました、一緒になって採択をいたしました。  その一方で、拉致問題を含む日朝関係に進展が得られないと、そういう限り、この採択に支持しましたけれども経済・エネルギー支援には参加しないと、そういう考えも明確にいたしております。そして、各国の理解も得ているわけでありまして、この我が国の政策というのは適切であったと、そういうふうに考えております。
  97. 白眞勲

    ○白眞勲君 全然答えになっていませんよ。つまり、エネルギー支援二十万トンを世界のほかの国が代替する予定で今話し合っていますと今おっしゃったわけですよ、石川さんが。それってどういう意味なんです。カードを一つ失うことじゃないですかということなんです、私が申し上げているのは。  そういうことでどうなんですかということを聞いているのに。それがいいんですか、悪いんですか。じゃ、それだけちょっとお聞きしたいと思いますが、そういうことでいいんでしょうか。
  98. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) カードを失うということにはならないと、そういうふうに思っております。
  99. 白眞勲

    ○白眞勲君 つまり、カードは失わないんですか。その二十万トンの、重油二十万トン相当を日本が留保しているものを、それをほかの国がやったとしてもカードは失わないということなんですね、じゃ。おかしいんじゃないですか、それ。
  100. 石川和秀

    政府参考人(石川和秀君) 補足をさせていただきます。  委員、二十万トン日本分という御指摘でございますけれども、二十万トンというのが日本分ということで定義をされているわけではございませんで、六者の間で合意をされておりますのは、北朝鮮の無能力化に伴って五者側の方で百万トン相当の重油等が供与されるということでございまして、明示的に日本の分が二十万トンということで合意されているわけではございません。  一方で、無能力化に伴ってこの百万トンが供与されるという約束が既に昨年の段階でできておりますので、この核問題を進めるためには国際社会として百万トンの重油相当が供与されるということが約束を実行する上で必要だという観点でございます。  委員御承知のとおり、我が国の場合には拉致問題を始めとするいろいろな諸懸案がございますので、このエネルギー支援には参加できないということを当初から明らかにしておるわけでございます。それは、その点については、各国とも十分に理解をしているところでございます。  そういう状況にあって、米国等が核問題を進展させるためにその百万トンを何とか国際社会の協力を得て集めようという努力を行っているわけでございますから、そういう努力に対して我が国として異を唱える立場にはないということでございます。
  101. 白眞勲

    ○白眞勲君 要するに、我々がエネルギー支援をしないでほかの国が支援することは、我々として妨害できないんだという意味合いですよね。それと同時に、今大臣は、カードを失うことにもならないんだという言い方をしている。これは極めて私は問題だと思いますよ。では何のために我々二十万トンをやめたんですかということにならざるを得ないんだと思うんですけれども。この件についてはもう少しまた、時間も時間ですので、ちょっと先に進みたいと思いますけれども。  アメリカ国防省の傘下の統合戦力軍が、二〇〇八年合同作戦環境評価報告書で北朝鮮が核保有国と明記されていたということについてお聞きします。  韓国の柳明桓外交通商部長官は、これはホワイトハウスや国防省長官と接触した結果、明らかな誤りだったと。これ韓国の国会で答弁しているということなんですが、日本政府としてはこの問題、どのように把握しているんでしょうか。
  102. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 御指摘の報道については私も承知をいたしております。その報告書、御指摘の報告書、これの記述につきまして、米国政府は、米国の正式な見解を示すものではないと、そういう旨を明らかにしていると。またこれも承知をしております。  いずれにいたしましても、北朝鮮によりますこの核保有を認めるということはできずに、六者会合共同声明に明記されておりますとおりに、北朝鮮によるすべての核兵器及び既存の核計画の放棄の実現を目指す点においては日米の立場というのはもう完全に一致しているものと、そういうふうに理解をしております。
  103. 白眞勲

    ○白眞勲君 今ちょうど六か国協議がまだやられている最中であるということですから、なかなか今の段階でいろいろな話をすることはできないと思うんですけれども。  ちょっとこれ、そもそも論だけちょっと聞きたいんですけれどもアメリカのテロ支援国家の指定の解除というのは、今回、アメリカと北朝鮮、検証措置についてサンプル採取を含めた科学的な手続を採用することが含まれたということで合意したわけで、それによって解除されたということだということですけれども。ちょっと大臣にお聞きしたいんですけれども、このアメリカのテロ支援国家というのはどのような経緯で指定されたんでしょうか。
  104. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 米国によります北朝鮮のテロ支援国家指定解除につきましては、これはもう前から申し上げておりますけれども、日米間で非常に緊密に協議を行ってきたという、そういう経緯がございます。  こうした協議は、特に米国のヒル国務次官補の訪朝後、すなわち十月の三日でございましたけれども、それ以降、十一日のアメリカの国務省による指定解除の発表までの間、相当緊密に行ってまいりました。そして、十月の十日の夜でございますが、私とライス国務長官との日米外相電話会談の後、米国から、米国の政府から日本側の事務レベルに対しまして、日本側の考えもしかるべく踏まえた上でこの最終的な意思決定を行ったと、そういう旨の説明があったわけでございます。
  105. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、私の聞いているのは、テロ支援国家を指定をした理由はどのような経緯で指定したのかなんです。解除じゃなくて、指定したのはどのような経緯なんでしょうか。大臣、お答えください。
  106. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 米国によります北朝鮮のテロ支援国家指定というのは、これはテロリストに対する支援、これを阻止するために国際テロ行為のための支援を繰り返し行っている国、これを指定して、その国に対しまして一定の制裁措置を科すという、そういう米国の制度であるわけでございますけれども、北朝鮮は御案内のように、一九八七年、大韓航空機爆破事件の後、一九八八年にテロ支援国家に指定されたものと承知をいたしております。  アメリカによりましてテロ支援国家に指定された場合には、武器関連の輸出、それから販売の禁止、それから軍民両用品の輸出管理、さらに経済援助の禁止、そして金融その他の分野の規制等の制裁が科されると、そういうことになっております。
  107. 白眞勲

    ○白眞勲君 ラングーンのアウンサン廟での爆破事件については、これは規定されているんですか。
  108. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) ちょっと事実関係について政府参考人から答弁させます。
  109. 石川和秀

    政府参考人(石川和秀君) 事実関係ですので政府参考人から申し上げます。  北朝鮮に関するテロの記述を、記録を見ますと、一九八七年以降、国際的テロに決定的に関連付けられたことは北朝鮮はないという報告書になってございますので、ラングーン事件は八三年でございますので、それ以前ということでございます。
  110. 白眞勲

    ○白眞勲君 では、よど号事件についてはどうなんでしょうか。論理的に合わないじゃないか。
  111. 石川和秀

    政府参考人(石川和秀君) 過去のテロ報告書の記述を見ますと、北朝鮮は日本赤軍関係者をかくまっていることでも知られているという記述がございます。
  112. 白眞勲

    ○白眞勲君 先ほど石川さんは、八七年以前の事件だからラングーンは関係ないんだとおっしゃっていて、今度よど号事件というのはもっと前ですよ、これ。矛盾しているんじゃないですか。止めてください、委員長
  113. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  114. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 速記を起こしてください。
  115. 石川和秀

    政府参考人(石川和秀君) 今、この記録を見ますと、一九九六年のテロ年次報告を見ますと、北朝鮮は大韓航空機爆破事件及び一九八三年の韓国政府関係者をねらった爆破事件への関連で最もよく知られているという記述がございます。  それから、別の年次報告書を見ますと、例えば二〇〇五年の報告書では、赤軍関係者のうち四名が北朝鮮に滞在しているが、その家族は皆二〇〇四年に帰国した等の記述、あるいは二〇〇七年の記述で見ますと、朝鮮民主主義人民共和国は、一九七〇年にハイジャックに参加した四名の日本赤軍メンバーを引き続きかくまっている等々の記述がございます。
  116. 白眞勲

    ○白眞勲君 じゃ、さっきの御発言、御答弁は間違いだったんですね。
  117. 石川和秀

    政府参考人(石川和秀君) 記述はあるということで、そこは訂正をさせていただきます。
  118. 白眞勲

    ○白眞勲君 今、テロ支援国家の指定の解除という問題について、そのそもそも論で、一体何がテロ支援国家の指定の解除かどうかで、今外務省の皆さんを見ていると、何かわさわさわさわさして、どれが関係しているんだかしていないんだかもよく分からない状況じゃ、これ本当、私困ると思うんですよね。その辺は、ちょっともう一回、そもそも論でちょっと一回考えていただいた方がいいんじゃないかなというふうに思うんですけれども。  私の知っている限り、このよど号事件というのは、これ日本が当事者ですよね、これ、間違いなく。と同時に、大韓航空機爆破事件についても日本との関係は私はあると見ているわけなんです。つまり、北朝鮮の工作員が日本のパスポートを持って、当時開催予定だったソウル・オリンピックの阻止を目的に、日韓の友好関係にひびを入れるために北朝鮮が起こした事件ですよ。その事件は日本にとっても重要で、まさに日本の国家主権を揺るがしかねない許し難い行為であると。  つまり、アメリカのテロ支援国家の指定に際しては、同盟国である日本との関係について、この事件、非常に極めて深いものであると。さらに、この女性工作員だった真由美こと金賢姫は、彼女の日本語の教育係、李恩恵こと拉致被害者の田口八重子さんだった。つまり、日本の拉致問題とも極めて関係が深い問題なんだと。  ここでちょっと大臣にお聞きします。北朝鮮は、この大韓航空機爆破事件、認めたんですか。
  119. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 質問通告がございませんので、お答えすることができません。
  120. 白眞勲

    ○白眞勲君 通告しましたよ。
  121. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) まあ、通告がなくてもそのぐらいのことはお答えください。
  122. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 事実関係でございますので、政府参考人から答えさせます。
  123. 石川和秀

    政府参考人(石川和秀君) 事実関係でございます……
  124. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 石川審議官
  125. 石川和秀

    政府参考人(石川和秀君) 失礼しました。お答え申し上げます。  北朝鮮は、一貫して大韓航空機事件の犯人であることは否定をしております。
  126. 白眞勲

    ○白眞勲君 つまり、認めていないにもかかわらず、先ほど申し上げたよど号事件、この大韓航空機爆破事件における日本の国家主権にもかかわる問題、さらには拉致問題との関係も深い事件に関して何ら北朝鮮からの釈明もないまま、つまり、これらの事件自体を北朝鮮が否定している事実に対し、日本側は同盟国のアメリカに対して極めて強硬にこのテロ支援国家指定の解除をするべきではなかったという主張をする必要があったと思いますが、大臣、どうですか。
  127. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 先ほど申し上げましたけれども、拉致問題、非常に重要でありますが、このテロ支援国家指定解除をするということにより核の問題も一歩前進すると、そういうようなことも判断をして米国とは度重なる協議を行ってきたということでございます。
  128. 白眞勲

    ○白眞勲君 米国との度重なる協議だということですけれども、じゃ、ちょっと聞きますけれども、この参考資料ですか、今日お見せしました中に、大臣、こうお答えになっているんですね。つまり、先方のライス国務長官との会談の後に説明があったということ、この最終的な説明について、大臣、こうおっしゃっているんですよ。日本外務省の事務方に対しまして、米国政府のしかるべきところから説明があった、そうお答えになっているんですね。  これ、ちょっと私、おかしいと思うのは、これだけ重要な問題についてだれが聞いたか教えてくれない。どちらも事務的だったから何局のだれというのは差し控えたい。私、それは変だと思うんですけれども、だれなんですか、これ。しかるべきところは、そして事務方はだれですか。これ、日本外務省の事務方ってだれですか、お答えください。
  129. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 事務方がだれということは申し上げるべきではないと思います。外務省のそれなりの者でございます。  それで、この事務レベルへの連絡ということにつきましては、その前から、先ほど申し上げておりますけれども、この指定解除に当たりましては、外相レベルを始めといたしまして日米間で相当緊密な協議やってまいりました。局長レベルもございました。そういう経緯がありまして、一連の協議の中では我が国の考えを十分に説明して、そして米国も理解をしていたということでありまして、したがいまして、我が方の意思とは無関係に米国が意思決定を行ったと、そういう事実はありませんし、また、米国が米国として最終的な意思決定を行った旨の説明、これが我が方の事務レベルに対して行われたということが私は問題であるとは認識しておりません。
  130. 白眞勲

    ○白眞勲君 事務的な連絡だから教えられないというのは逆だと私は思いますよ。事務的な連絡だったら教えていただいていいと思うんですけれども、だれなんですか、お答えください。
  131. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 事務的な連絡とは申し上げておりません。事務レベルに対しての連絡があったということでありまして、連絡を受けた者の氏名を申し上げることは適当ではないと思います。
  132. 白眞勲

    ○白眞勲君 お手元にある資料には、中曽根外務大臣がどちらも事務的な連絡だというふうにおっしゃっているから私は聞いているんですよ。書いてあるんですよ、これ。三つ目の下のところのここに書いてあるじゃないですか、中曽根外務大臣に。どちらも事務的な連絡だからということでと言うから、それはおかしいんじゃないですかというふうに聞いているのに、今度はまたそれ否定されるんですか。
  133. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 私のさきの答弁で、この議事録にございますが、外務省の事務方に対しまして米国のしかるべきところから説明があったと、最初にそういうふうに申し上げているわけでありまして、これはいわゆる事務レベルということでございます。
  134. 白眞勲

    ○白眞勲君 なぜ私これを聞くかといいますと、衆参の両委員会でこのテロ支援国家の指定の解除をしないでくれということを決議までしているんですよ。決議までしても、かかわらず解除されてしまったということからして、だれから具体的にされたのかというのは、国会に対して政府説明する必要が私はあると思うんですよ、具体的に。それがなぜお話しいただけないのか。  もう一度お聞きします。日本外務省の事務方は具体的にだれで、向こうのしかるべきところはどこか教えてください。
  135. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 度々申し上げておりますけれども、外交というのは、今回のこの件に関しましてはもう十月三日以降度々米国としっかりとした協議を行っております。米国の駐日大使、あるいはヒル国務次官補、そしてまたライス国務長官等と我が方のそれぞれの対応するレベル等での協議も行っておりまして、連絡が事務レベルということを申し上げましたけれども、単に事務的に通告といいますか連絡があったということではなくて、その前の一連の協議を踏まえてそういう連絡があったということですから、是非御理解いただきたいと思います。
  136. 白眞勲

    ○白眞勲君 今事務的な連絡ではなかったと。  「事務的な連絡ということでございますので、」って書いてありますよ、ここに、議事録に。おかしいじゃないか。
  137. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 確かに、私が委員の御質問に対しまして事務的な連絡というそういう文言を使っております。  しかし、最初に申し上げましたように、事務方に対してということで、先ほど申し上げたとおり、だれがということではなくて日本外務省のしかるべき者に対し、事務レベルという言い方しましたけれども、米国のまたしかるべきところから説明があったということでございます。
  138. 白眞勲

    ○白眞勲君 ちょっとごまかされているような感じでしようがないんですよね、それ。  この問題またやりたいと思います。  防衛大臣にお聞きします。  グローバルセキュリティーという雑誌といいますか、がありますけれども、今年の三月二十五日にスカッドミサイルの派生型スカッドERが開発されて、射程距離が五百キロ程度だった北朝鮮のスカッドミサイルが七百五十から八百キロまで伸びたということですけれども。そうすると、これ衛星から、これスカッドCミサイルだと思っていたら、射程が伸びて日本まで届く可能性があるスカッドミサイルができたということにもなりかねない。これ、極めて重要な問題だと思うんですが、この辺はどうなんでしょうか。
  139. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) お答えいたします。  北朝鮮の弾道ミサイルにつきましては、北朝鮮が極めて閉鎖的な体制を取っていることもございまして、その詳細についてはなお不明な点が多いところでございます。ただ、防衛省としては、防衛白書等でも明らかにしておりますけれども、現在北朝鮮が既存の短距離弾道ミサイルでありますスカッドについて長射程化などの改良努力を行っている可能性があるということは認識しておりまして、その点はこれまでも明らかにしているところでございます。
  140. 白眞勲

    ○白眞勲君 航空自衛隊の第一術科学校の校長が部下の女性に対してのセクシュアルハラスメント疑惑で九月に更迭された件について、御質問防衛大臣にします。  これは事実でしょうか。
  141. 渡部厚

    政府参考人渡部厚君) お答えいたします。  航空自衛隊第一術科学校の前校長につきましては、本年九月十七日に航空集団司令部の総務部長から航空幕僚長に対しまして服務規律違反の疑いがあるということで申立てがございまして、翌十八日付けをもって航空幕僚監部付へ異動を行いました。その後、同前校長につきまして、女性隊員の身体に接触したことにより著しい精神的不快感を与えたということで、先般、十一月二十五日、停職三日の懲戒処分を行ったところでございます。  なお、同前校長は十二月一日付けで依願退職をいたしております。
  142. 白眞勲

    ○白眞勲君 大臣、この件に関しては報道で明らかになるまで知らなかった、ほぼ知らなかったという状況だったと。つまり、十月ぐらいまで知らなかったということは、これ、問題が発覚してから全然知らないまま大臣はいらっしゃったということでよろしゅうございますね。
  143. 渡部厚

    政府参考人渡部厚君) 本件事案につきましては、九月の段階で当時の防衛大臣、林大臣でございますが、にその概要を説明しますとともに、九月の十八日付けで航空幕僚監部付に異動させるということにつきまして説明を行ったところでございます。  一方、浜田大臣につきましては、説明を行ったのは十一月の十三日ということでございます。
  144. 白眞勲

    ○白眞勲君 なぜ大臣に報告しないんですか、新しい大臣に。これ当然報告するのが当たり前だと思うんですけれども、何でなんでしょうか。
  145. 渡部厚

    政府参考人渡部厚君) この間、この前学校長につきましてどのような規律違反があるか等につきまして調査をしている状況でございましたので、十一月十三日まで現大臣には報告をしていなかったということでございます。
  146. 白眞勲

    ○白眞勲君 防衛大臣、空将補といえば会社でいえば取締役級ですよ。取締役級の人が、新しい社長さんになって、セクハラで、当時、何ですかこれ、異動させられていた、知らなかったって僕はあり得ないと思うんですよ、普通の会社だったら。それで本当に私はシビリアンコントロール、つまり自分の部下がどういう今状況だということが分からない中でどうやってこれシビリアンコントロールを担保できるんですか。お答えください。
  147. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 私自身に報告が上がってきたのがかなり遅かったわけでありまして、その意味では、今、白先生がお話しになったように、私自身もこれに対しては大変遺憾に思っているところでございますし、今後、そういったことのないようにというふうにしか今言うことができないわけでありますので、もう少ししっかりせいということを申し上げながら、大変私としては遺憾に思っているところであります。
  148. 白眞勲

    ○白眞勲君 これ、セクハラをして学校長が空席だったというのは、これ引継ぎの対象でなかったというふうに今人事局長は言っているわけですよ。それでよろしいんですか、人事局長、お答えください。
  149. 渡部厚

    政府参考人渡部厚君) 先ほど答えを申し上げましたように、この前校長につきましては、処分の検討を行っていたということでございまして、そういう検討中であったということで現大臣には報告に至らなかったということでございます。
  150. 白眞勲

    ○白眞勲君 処分の検討をしているんだったら、処分の検討をしているということを報告するんじゃないんですか、普通は。お答えください。
  151. 渡部厚

    政府参考人渡部厚君) 検討中ということでございましたので、その検討のある程度の結果といいますか、がまとまった段階で御報告をしようというふうに考えていたものでございます。
  152. 白眞勲

    ○白眞勲君 最後に、海賊対策の件でお聞きいたします。  欧州連合のフィリップ・ジョーンズ司令官が記者会見で海上自衛隊の艦船がEUの海上作戦に参加する可能性について日本政府協議していることを明らかにしたという報道がありますが、この件、いかがなんでしょうか。
  153. 橋本聖子

    ○副大臣橋本聖子君) ソマリア沖アデン湾では最近でも海賊事案が多発そして急増しておりまして、この件につきましての状況はもう大変懸念をしているところであります。この問題は、海上輸送の安全確保という意味におきましても極めて重要であり、日本国民の人命及び財産の保護の観点からも急を要する課題だということを認識しております。  我が国の船主協会からも、日本の商船の保護のため政府として万全の対策を講じるように求められておりまして、EUを始めとする欧米諸国やインド、またマレーシアなどの各国も軍艦等を派遣をしております。  政府としても、そのような対応を踏まえまして、早急に実効的な対策を講じる必要があるというふうに考えております。新たな海賊法制の整備ですとか、あるいは現行法制下でいかなる対応ができるかに関しまして関係省庁間で鋭意検討を行っているところであります。
  154. 白眞勲

    ○白眞勲君 私が聞いているのは、この欧州連合と日本政府協議しているのかどうかの事実関係なんですけど、その辺はどうなんでしょうか。
  155. 橋本聖子

    ○副大臣橋本聖子君) EUを始めとする各国も軍艦を派遣するということで海賊対策に取り組んでおりますので、その件に関しては鋭意努力をしているところであります。今……
  156. 白眞勲

    ○白眞勲君 鋭意努力している。
  157. 橋本聖子

    ○副大臣橋本聖子君) はい。
  158. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 質問者は、相手側と協議をしているかという事実関係を聞いております。
  159. 橋本聖子

    ○副大臣橋本聖子君) 当然、EUを始めとする関係国、機関の取組について常日ごろから情報収集を行っております。関係国、機関が我が国との協力について関心を有していることは承知をしておりますので、現時点で、具体的に艦船などの派遣を前提とした協議が行われているということ、そういった事実はありません。
  160. 白眞勲

    ○白眞勲君 これ韓国は今度艦艇を派遣する予定だという報道なんですけれども、補給品はソマリア周辺で活動している日本アメリカの補給艦を通じて補給品を受け取るんだという案を考えているというんですよ。これについて、事実関係どうなんでしょうか。
  161. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) お答え申し上げます。  御指摘のような種々の報道があるということは私どもも承知をしております。また、韓国との間では様々なレベルで種々の問題について日ごろからいろんな意見交換をやっております。そういう中で海賊問題についても触れられるということがあるということも事実でございます。  日韓のいずれもまだ具体的対応について検討中という段階でございますが、海賊事案の急増は懸念すべき事態であり、急を要する課題として海賊対策を進めていくことが重要だという認識は共有をしているというところでございます。  また、今後協力できるようなことがあれば協力していくべきだろうということについても共通の認識があるということでございますが、いずれにしても、まだ双方ともどういう具体的対応を取るかということについて結論が出ている段階ではないということでございます。
  162. 白眞勲

    ○白眞勲君 終わります。
  163. 谷岡郁子

    谷岡郁子君 民主党の谷岡郁子でございます。よろしくお願いいたします。  私の今日の質問は、平成二十年度の防衛白書でも指摘されておりますとおり、給油取り違え事案、航泊日誌の誤破棄事案、また「あたご」と清徳丸の衝突事故による事案、こういう問題が平成二十年度版の防衛白書においても文民統制にかかわる極めて重大な問題だというふうに記述されております。  しかし、今回、田母神論文の発表以来、我々の目の前に明らかになっている一連の状況というものは、更なるシビリアンコントロールの危機というものを明らかにしていると思います。そして、これは早急に国際的な日本のシビリアンコントロールに対する疑いというものを回復しないと、日本の安全保障に大きくかかわる問題で重大なことだと感じております。  したがいまして、今日の私の質問は、今後の改革に資するために幾つかの点を明らかにしたいというふうに思います。  まず第一でございますが、これは官房長官にお答えいただきたいわけですが、第二次世界大戦前や大戦中の日本というものはやはりシビリアンコントロールが利いていなかった状態であったという認識でよろしいでしょうか。また、それがあの悲惨な戦争を招き、多くの国民の苦難につながったというそういう認識でよろしいでしょうか。
  164. 河村建夫

    国務大臣(河村建夫君) さき大戦に関する政府としての認識については、既に平成七年の村山内閣総理大臣談話、あるいは平成十七年の小泉内閣総理大臣談話等で示されておるところでございますが、このさき大戦に関してはやっぱり様々な議論がある。これについては、日本が、日本政府としては我が国の植民地支配あるいは侵略が多くの人々、特にアジアの諸国の国民の皆さんに多大な損害あるいは苦痛を与えたと、こういう認識の下にあるわけでございます。そういう基本的な認識に立っておるわけでございますが、そういうことでこれまで政府としては統一見解として表明してきておるところでございます。
  165. 谷岡郁子

    谷岡郁子君 聞いたことにお答えいただきたいと思います。また、簡潔にお答え得るような質問であると思います。  軍の暴走というものを政府が抑えられなかったということがあの戦争を招いた一因であったかとお聞きしております。
  166. 河村建夫

    国務大臣(河村建夫君) 失礼しました。  旧憲法下においては、統帥権の独立の原則は確立されておりまして、また陸海空大臣は現役軍人であったと、こういう事実上軍部の意向に沿う内閣でなければ成立できなかったと、そういうことがあった。ということは、軍が不当に国政に影響を与えていたということが言えると思います。  こういうことの反省に立って、現在の自衛隊が、国会が自衛隊を民主的コントロールの下に置く厳格な文民統制の諸制度を採用したと。まさに文民統制がしかれたというのは、まさにあの第二次世界大戦前、当時のシビリアンコントロールが利いていなかったと、こういう考え方に立っておるというふうに思います。
  167. 谷岡郁子

    谷岡郁子君 では、続けて官房長官にお伺いいたします。  それでは、内閣総理大臣が現在では自衛隊の最高司令官であるという状況の下において、シビリアンコントロールが実効性を持つような、それに必要な内情把握はできているとお考えになりますか。
  168. 河村建夫

    国務大臣(河村建夫君) 総理大臣がシビリアンコントロールの頂点にあるということ、まさに軍事に対する政治の優先がきちっと守られておる、こういう観点で立っておりますし、日本は議院内閣制を取っておるわけでありますが、主権者たる国民を代表する国会において、内閣、防衛大臣、様々なレベルでも文民統制がしかれております。そういう視点からして、総理大臣がまさにシビリアンコントロールの責任を果たしておると、このように考えます。
  169. 谷岡郁子

    谷岡郁子君 内情把握ができているかどうかについてよくお聞かせいただけなかった、あいまいであったような気がいたしますが、取りあえず次へ進みたいと思います。  システム上の問題を現在言われていると思うんですけれども、システムがあっても人の問題があればそれは機能しないということは、先ほどの先輩議員の方々からの質問の中でも明らかだと思いますし、またシステムがあっても人がそれを守らなかったがために機能しなかった事案としては、失われた五千万件の年金資料、情報というようなものも含めまして、この間明らかになってまいりました数々の官僚の不祥事と言われるような事案で明らかであると思います。システム上の問題もありましょうが、人の問題が大きいのかなと私自身は感じております。  そこで、自衛隊内において、その教育の中でシビリアンコントロール、それを確保するための現憲法、その体制擁護の義務、政府見解に沿った活動の必要性ということはしっかり教えられているのでしょうか。これは浜田大臣にお伺いいたします。
  170. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 文民統制は民主主義国家において当然これは確保されなければならない原則であります。そのため、防衛省では、自衛官としての心構えについて基本となる事項を述べております自衛官の心構えにのっとり、隊員一人一人に対して、民主主義の意義及び民主主義を基調とする我が国における自衛隊の使命を自覚させるとともに、憲法や防衛関連法などの課目を設けまして、基本的人権の尊重や民主主義の原理といった日本国憲法の理念を始め、民主主義政治下における自衛隊の任務とその在り方、そしてまた文民統制、法令の遵守及び規律の厳守等について所要の教育を行っているところであります。  また、自衛隊教育内容については、関係法令に基づき適切に確認をしているところでございます。例えば、自衛隊の各学校における教育については、各課程別にその設置目的教育内容教育期間等、必要な事項を訓令等において大臣等が定めることにしております。また、各幕僚長は、当該年度の実施した教育訓練について、当該年度の終了後、速やかにその実施の成果を大臣に報告することとされているところであります。  いずれにせよ、適切な教育実施するよう、改めて幹部教育防衛大学校の教育等について点検をし、その結果を踏まえて、教育内容のチェックを含めて様々な観点から教育の在り方について検討をしてまいりたいというふうに思っているところであります。
  171. 谷岡郁子

    谷岡郁子君 防衛大学校で憲法が必須科目になっておりますのは理工系の学生だけでございまして、人文社会系の学生に対しては必須になっておりません。そして、シビリアンコントロール等につきましては、実は防衛教養というような科目の中で教えられているというふうに伺っております。シビリアンコントロールという科目もございませんし、また憲法というような科目もございません。その点は私の方から指摘しておきまして、次に参りたいというふうに思います。  今、様々なチェックがなされているというふうに言われましたけれども、実は大きな課程につきましては大臣の承認が必要ということになっておりますが、幕僚長の承認があれば中課目以下の部分については制服組内の中で完全に任されていると。課程、カリキュラム、講師、そしてその内容を任されているということですが、それでよろしいでしょうか。
  172. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) そういうことでございます。今説明をしたとおりでございます。
  173. 谷岡郁子

    谷岡郁子君 そうしますと、ここに仮に田母神的な思想というようなものがどのくらい浸透していたのかというのは、彼は空自の幕僚長であったわけでございまして、そういう意味において、航空自衛隊内部の教育ということについては大きな権限を持っていたということでございます。  私は、田母神氏が自分考えを個人の思想、言論の自由に基づいて発表するということと、自衛隊という組織の中において自らの考え、それはしばしば反政府的であり反憲法的であり、また同時に反シビリアンコントロール的であるものを流布し浸透させようとするということとは、全く別問題の次元のことだというふうに考えております。  したがいまして、その田母神的な思想というものがどのくらい自衛隊に浸透しているのか、そこが心配でございます。チェックはなさいましたか。
  174. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 今先生御指摘のお話の中で、田母神さんがすべての、今回のこの自分考え論文で発表されたことによってどれだけの影響が出ているかというお話があったわけでありますが、私にしてみれば、今回たまたまああいう論文が出て、彼自身が、いかに影響が出たかというのを、これを確認するのは今の時点ではかなり困難でありますし、そしてまた、逆に言うと、田母神さん、教育だけに専任していたわけではございませんし、私自身を支えるために部隊運用等も含めてやってきたわけでございますので、歴史教育等々にすべての全精力を与えてきたということではないと私自身は思っておるわけでございます。  そういった意味におきまして、今回、私が、今先生がチェックをしたのかというお話に関しては、今のところ、私どもとしてはチェックするということにはなっていないわけでありますけれども、しかし、今のすべての幕僚長の地位というものがそこまで細かに教育体制の中に入っているというふうには、反映しているとは私自身は思っていないところであります。
  175. 谷岡郁子

    谷岡郁子君 私は、どれほど困難であっても、自衛隊内に彼の考え方がどのくらい浸透しているのかということは調べるべきであるというふうに思っております。  というのは、彼は幕僚長である以前には五年間にわたって統合幕僚学校の校長であって、まさに自衛隊の、しかも大幹部たちの教育に携わる立場にあったということでございます。そして、その人たちはまた部下に対して自らの考え方を浸透させる立場にあるということでございます。この影響力というものは大変重要な問題だと思います。  したがいまして、私がこの十一月の初めにワシントンを訪れましたときにも、キャピタルヒルで会いました多くの民主党あるいは共和党の関係者たち、日本はシビリアンコントロールが利いているのか、クーデターは起こり得ないのか、最新兵器を売っても大丈夫なのか、そういう意見が様々出ておりました。日米安全保障に、この安全保障、多くを負う日本といたしまして、そのような懸念は早急に振り払う必要があると思います。  したがいまして、そのような心配はないのだということを証明するためにもチェックは必要ではありませんでしょうか。
  176. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 私としては、そういったチェックをすることが逆に士気の低下等にもつながると思っていますし、我々自衛隊、それこそ長年にわたって、戦後、この自衛隊立場ということを自衛官の中にしっかりと植え付けてきておるわけであります。  当然のごとく、今回、たまたま一人の人間論文によってまさかクーデターが起こるなどということがあり得るはずもございませんし、逆に今回の処分をすることによって、我々とすればこの自衛隊の確固たる立場をしっかりと示したというふうに私自身は思っておりますので、あえてそのチェックをせずとも、私自身はクーデターなどというその兆候を見ることもありませんし、まさに自衛官の諸官は整々と自分の任務に今励んでいるところでありますので、逆に言えば、そういった中でそういったチェックを行うことがいかがなものかというのは私自身は思っているところでありますので、今のところ、そういったチェック、そしてその御懸念は心配する必要がないというふうに思っているところであります。
  177. 谷岡郁子

    谷岡郁子君 私がいただいております書類の中に、田母神氏が統合幕僚学校長であった時代に新設されました歴史観・国家観の講師、そしてその内容、時間数等のものがございました。  これは防衛基礎という、先ほどのシビリアンコントロールが防衛教養の中で防衛大学校で教えられたのとは対極的に、防衛基礎という中課目の中で教えられております。そして、その目的は、日本歴史等についてその本質を正しく理解させるということであります。これが防衛基礎なんだそうであります。そして、その歴史観・国家観というのは、二百四十八時間中十五時間から十九時間の時間、最大で七%ぐらいの時間を取って熱心に教えられております。ほかの課目は二、三時間ないし四時間というのが通常であるのに対して、これだけは十五時間から十九時間という驚くべき時間を掛けてこの幕僚学校で教えられていたという事実があります。  そして、その講師たちということを少し紹介させていただきますと、「私の見た東京裁判」を書かれた冨士信夫さんが二回。そして、これは発表されておりませんで、何か公共性をいつも主張されておられる割には、個人情報保護法の下に今までも名前をお隠しになっている八木秀次さん。新しい歴史教科書をつくる会の第三代の会長でございます。また、教育再生機構の代表でもあります。そして、福地惇さん、この方は元文科省教科書主任調査官であった方でありまして、近隣諸国条項を批判なさった方であり、小学校社会科教科書について、ほとんど戦争に対する贖罪のパンフレットなんですと発言して半年で更迭された方であります。また、新しい歴史教科書をつくる会の副会長でもあります。そして、西尾幹二氏のブログにはこの講義内容が紹介されておるわけでございますけれども、この内容というのが、これまたこの間発表されました田母神さんの論文に酷似しているということをこの場で申し上げておきます。また、高森明勅さん、この方も九回、福地さんも九回、講師として登場なさっております。それぞれ三時間ずつです。高森明勅さん、この方は新しい歴史教科書をつくる会の理事であり、また執筆者であります。井沢元彦さん、この方は九回でございますが、作家で、新しい歴史教科書をつくる会の賛同者でございます。櫻井よしこさん、一回でございますが、ジャーナリスト。二〇〇五年の五月二十一日号の週刊ダイヤモンドに、新しい歴史教科書はよくバランスが取れていると思うというふうに書かれている方でございます。  なぜかこの新しい歴史教科書にかかわる方ばかりが偏在して講師として選ばれていてその主張というものが述べられておりますが、その主張は、侵略戦争ではなかった、そして今の現体制下がおかしいと。  ここで、福地惇さんが書かれております平成十八年四月十七日に防衛庁統合幕僚学校高級幹部課程における講義題目、歴史観・国家観の講義案というもの、これが発表されておりますので、読ませていただきます。  本講義の目的は、第一に、昭和の戦争は東京裁判の起訴状と判決に言うような侵略戦争では全くなく、自存自衛のためのやむを得ない受け身の戦争だったこと、第二に、それが了解できれば、現憲法体制は論理的に廃絶しなくてはならない虚偽の体制であると断言できることを論ずることでありますと。  つまり、こういう内容の講義が自衛隊の幹部たちにおいて意図的に課目を作ってなされていて、それが現在も続いているということであります。御懸念がないという先ほど大臣発言に対して私は懸念があると思うんですが、いかがでしょうか。
  178. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) その件に関しましては、確かに先生がおっしゃって、こういう見方をすればバランスを欠いているかもしれませんけれども、しかしながら我々の今学んでいる学生の皆さん方はそれこそ幹部候補生でありまして、いろいろな議論を聞くこと、いろんな見解を聞くことによって自分の見識を広めているわけでありますので、その意味合いにおいて、彼らが今どのような活動をしているかといえば、平然と御自分のお仕事をされているわけでありますので、そういった意味合いにおいては影響がないというふうにしか私自身には思えません。  それを、任務のための、要するに自分の任務を遂行する自衛官としての見識を深め、そして自衛官として何をするのかということを彼らは学んでいくわけでありますので、いかなるいろんな教育関係の発言等々も含めて、彼らがどのように受け取ってやるかは自分たちの任務に反映させることでありますので、今のところ、私とすればそういった懸念はないということを申し上げているわけでございますので、その意味では、この件、この今回のこういったことが行われているというふうに断言をされましたが、確かにこれを変えていくことは極めて重要、これからもしかすれば、今皆さん方から誤解のないような形のカリキュラムを組んでいくのは当然のことだと思っておりますけれども、しかしある意味、そういったいろんな意見を聞くことに対して我々は否定するものではないというふうに考えておるところであります。
  179. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) ちょっと速記を止めてください。    〔速記中止〕
  180. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 速記を起こしてください。  大臣の方からもう一度答弁を。
  181. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 今申し上げたことはこちらサイドの自衛官の取り方というお話でありましたが、我々、そういう意味においては今後、先ほど申しましたように、バランスの取れた適切な教育をし得るように今後もしっかりとやっていきたいというふうに思っておるところでございますので、今御指摘のあった点についてはそのようにお答えをさせていただきたいと思います。
  182. 谷岡郁子

    谷岡郁子君 そうしますと、田母神さんの考え方、まあ彼のお友達で講師になられた方々のお考えというものは自衛隊の一般の人たちが考えているようなことではないと、そういう類似の考え方はないということでよろしいですか。
  183. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) いや、そういう意味ではなくて、講師としてお考えをお述べになるということに対しては、これは当然いろんな意見があるわけでございますので、それをお聞きをして、いろんな自分の知見を広めるためにそういうお話を聞いているわけでありますので、今時点において、そういったことが即自衛官にとって、同じそういった考えを、同調するかということに対しては、またこれは我々とすれば知る由もないわけでありますが、我々は、任務に対してそういったお話を聞くことによって影響が出ているとは考えていないということであります。
  184. 谷岡郁子

    谷岡郁子君 もし類似の考え方が出ているかもしれないなんということを放置していれば、それはゆゆしき問題ではありませんか。
  185. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) いや、出ていません。我々の把握するところでは出ていないということでございます。
  186. 谷岡郁子

    谷岡郁子君 では、私は、先ほど来同僚諸君からも出ております「鵬友」を読ませていただいて、調べさせていただきました。そして、実際に「鵬友」の中に田母神さんと類似の思想がはっきり書かれている案件が幾つかあることを、調べた範囲内でも分かっております。  平成二十年五月号の「鵬友」に書かれました、イシドさんと読むんでしょうか、石で渡ると書く、幹生さん、空将、「朴念仁の独り言」というタイトル。この平成二十年の五月号の「鵬友」の中には、高校等における日本教育の危険性について述べられ、バランスを欠いていると言われ、沖縄戦の強制集団自決、そして大江健三郎さんの岩波裁判の結果等について批判をなさっております。これは、一般に今政府の、文科省の見解で、検定教科書で考えられる見解というものと少し違うのではないかと思います。  また、織田邦男空将、「私の教育論」。平成十九年五月、五十周年記念号の「鵬友」に書かれておりますが、戦後教育を批判なさっておりまして、戦後平和主義は平和カルトをつくり上げたと。平和カルトが国家、歴史、民族と文化をおとしめていると。敗戦トラウマの情緒的風潮と共産イデオロギーに染まった教職員組合に我が国の教育は汚染されていると。そして、日本歴史教育日本を衰退させようとしているとしか考えられないと。学校で使用する歴史教科書は驚くほど自虐的であると。つまり、侵略戦争であったというような言い方、そういうこと自身が間違っているのだと推測できる発言をここの場に載せておられるのであります。  したがって、空将のレベルにあるこのような方々が十九年、二十年と二回にわたって二人もいらっしゃるという事実は、心配でないと言い切れるんでしょうか。
  187. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) ですから、今先生御指摘のこと、そういった意見を述べることに関しては、我々は、論文自分の文を書くのは、それはもう当然拒否するものではありませんし、否定するものでもありません。  しかし、先ほど来私が申し上げているのは、そういったことによって何らか任務に対しての支障が出ているのか、そしてまた、多くのそういった、逆に言えば、個人の意見で他の方に対して影響が出ているのかということに関して言えば、それは特定ができませんし、また、我々とすれば、その内容自身によってどうこうするという、特に今回の場合は、田母神さんの場合には我々の見解とは違ったものを出したから処分をしたわけでございますし、そして、任務の面でいえば、すべて何の問題もなく今のところ任務が遂行している、やっているというところを、我々とすればそこを見ていかなければならないと思っておりますので、今の時点で先ほど委員が、先生がおっしゃったような御懸念というのには当たらないということだけは今申し上げておきたいと思います。
  188. 谷岡郁子

    谷岡郁子君 先ほど来申し上げているのは、現憲法体制が間違っていると、あれは侵略戦争ではなかったと、現憲法体制は廃絶すべきものであるというような考え方が、これは、それを正さなければいけないという考え方で実行されたときには遅いんですよ。遅いんですよ。自衛隊という、武器を持っていらっしゃって、国民の多くが何ともしようのないような方々が何かを起こしてからでは遅いから、だからこの懸念のうちにそれを摘み取っていく、そういう懸念の芽でもあればそれを摘み取っていくというのがシビリアンコントロールではないかと私は思います。  なぜならば、「鵬友」の平成十五年七月号に、これは田母神さん自身が書いておられます。統合幕僚学校長、空将田母神俊雄として、二十五ページに、自衛隊は部内者に対する教育機関として極めて優れているというふうにお書きになっているわけです。つまり、上官命令がその下に伝わりやすい、教育は非常によく浸透するというふうに書かれているわけでありまして、田母神さんが学校長としてなさった教育というものもよく浸透しているということが少なくとも彼の主張であるからです。いかがでしょうか。
  189. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 我々とすれば、私自身、今シビリアンコントロールを任されている防衛大臣として、今先生がいろんな御懸念をお話をされましたけれども、今現時点において我々は規律の統制等も含めてしっかりと運営をされているところであります。  いろんな考え認識があろうとも、我々自衛隊国民の負託にこたえて仕事をしているまじめな自衛官がたくさんおるわけでありますので、そういったことによって影響を受けて、自分たちの任務、そしてまたいろいろな社会の状況も踏まえながら今一生懸命任務に励んでいるわけでありますので、逆に言えば、そういった疑いを持って見ることが果たしていいのか。私はチェック、点検をしながら今まで見てまいりましたが、我々防衛省自衛隊としては、自衛官皆さん方は、今そういった兆候は全くなく、しっかりと整々と自分の任務をしているわけでありますので、そういった御懸念を持っていただくことに対しては今のところは御心配は全くございませんので、その点だけは申し上げておきたいと思います。
  190. 谷岡郁子

    谷岡郁子君 空将などという地位にある方が田母神さんを含めて三人もこういう意見を述べられていて心配をしないと言う人は私は楽天的に過ぎるのではないかと思いますし、それがゆえに、アメリカ政府関係者、議員なども先ほど申し上げましたように懸念を表明しているのではないかと私は思います。  そして、この「鵬友」についてなんですけれども大臣、「鵬友」は今でも私的サークルの刊行物だとお考えですか。十一月十三日でしたかの藤田委員への、質問見解は変わっていらっしゃいませんですか。
  191. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 公的、私的を別にして、サークルであることには間違いございません。我々防衛省として、公的というのは、我々の、防衛省の認定した、防衛省が発行したものを公といえば公でありますし、逆に、自分たちの個人的なサークルというものを、個人が集まってやっているサークルというものを私的といえば私的ということになろうかと思います。ですから、そのサークルにおいて刊行しているものだということだけは認識をしておるところであります。
  192. 谷岡郁子

    谷岡郁子君 年に六回発行されていて、そして五千人に読まれていて、同時に幹部学校の校長が会長になっていて、副校長が充て職で編集責任者になっている刊行物が果たして私的と呼べるかどうかということは論争できる点ではないかと思いますが、次に行かせていただきたいと思います。  それでは、それがもし私的だというふうにおっしゃるのであれば、この「翼」はいかがでございましょうか。  「翼」というのは、これは発行元が、私が持っているのはこれは平成十九年の九月号なんですけれども航空自衛隊連合幹部会となっているんですけれども、これもやはり私的なサークルなんでしょうか。
  193. 渡部厚

    政府参考人渡部厚君) お答え申し上げます。  その「翼」につきましても、航空自衛隊の幹部がそれぞれの意思によって構成した私的なグループということを認識しております。
  194. 谷岡郁子

    谷岡郁子君 そうなんですか。自衛隊連合幹部会なんて書かれていると何かかなり、私は私的かなというふうに思わず思ってしまうんですが。  私が持っておりますこの「翼」の中にインタビュー記事があるんですよ。石原慎太郎さんを、インタビュアーとして空幕厚生課長、一佐の杉山政樹さんという方がインタビューをなさっております、日本という、守る国がどんな国かと知ってもらいたいという。この中に、このインタビュアーであります杉山さんはとても面白いことをおっしゃっております。「今、まさに我々は航空幕僚長から正しい歴史をもう一度学ぼうというキャッチフレーズの下に、学校教育じゃない正しい歴史を、もう一度学ぼうというところの途についております。」。  つまり、組織的に航空幕僚長、このときは十九年でございますから田母神さんです、田母神さんの下に正しい歴史をもう一度学ぼうというキャッチフレーズの下にその途に就いていると。幕僚長という公式の職位を使って組織的に、言わばそういう正しい歴史なるものですね、私に言わせれば、なるものを学ぼうということをやっている。つまり、自衛隊の中に浸透させようということをやっているんだとここに公言していらっしゃるんですが、そのことに対する御見解、いかがですか。
  195. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 私、その記事は読んでおりませんが、しかし今先生御指摘田母神前学校長がそういったカリキュラムを組んだというのは承知をしておりますし、先ほど来申し上げているように、我々とすればそれに対して影響が出ているか出ていないかというのは、これは把握というか今のところ任務については何の支障もございません。  そしてまた、今先生のおっしゃったこの件に関していえば、そういった方向性を出したことに対して石原さんに質問しているわけでありますので、石原知事がどのようにお答えになったのかも、それも聞きたいところでありますけれども、そういったことを繰り返しているということが、逆に言えば先生方に誤解を招いて逆に懸念を持たれるということであるならば、これは我々としてしっかりと対処していかなきゃならぬというふうに思っているところでございますし、今後そういったことに関して我々も先生の御指摘を受けながら対処していきたいというふうに思っているところであります。
  196. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) ちょっと委員長から大臣に申し上げますが、今日のこの委員会は、田母神論文に端を発してシビリアンコントロールがどうなっているかということを理事懇談会で再三にわたって協議をした上でこの質疑を設定したわけであります。  今御答弁を聞いておりますと、偏った講師を招いて教育をしているという指摘があったのに対して、そうではなくてこういうバランスの取れた講師がいますよというようなことを言うんであればいいけれども、そういう者から教育を受けても何ら現場影響を受けていないと、こういう答弁に終始しています。私は適切でないと思います。  ということは、今、谷岡委員も言ったように、実力を持ったこういう団体が、今は平穏であるから全く心配はないと言っているけれども、事が起きたときではもう遅いんですよ。あなたも十分分かっていると思いますが、二・二六事件のときに真崎教育総監がその後ろ盾になっていたという事実があるじゃないですか。そういうことからすれば、事前に心配な芽は摘んでおかなきゃいけないということでこの委員会を開いたんですよ。真剣に答弁してください。  防衛省考え方が今の教育の実態を全部是認して全く問題がないと、こういうことであれば、それはまた今そういうふうに受け止めますから。
  197. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 私の言葉足らずで申し訳ございません。  今回、そういった御疑念を抱かせたということに対しては大変我々も遺憾だと思っておりますし、今回、田母神校長の行ったカリキュラム作成等についても我々も大変遺憾に思っておるところでありますんで、そこは当然変えていくべきだというふうに思っております。  ただ、委員長が今御指摘になられたように、私の説明の仕方が自衛官サイドの影響というものを余りに強く言わんがために誤解を招いたとすれば大変申し訳なく思いますが、今の時点で我々の、その自衛官、当然その統幕学校までに行くまでの過程において大変優秀なメンバーを我々とすれば送り込んでいるわけであります。当然そういった歴史認識等についても御自分認識、見識というものを今まで積み重ねてきているわけでありますので、いろいろなものを、いろんな御意見を聞いた中で自分判断できるだけの立場にあるというふうに私自身が思っておったものですから、ついそういった強めのことを言ってしまいました。  私とすれば、今回のその人選についても大変問題であるということは私自身の中にもあります。そしてまた、そういったことを許していた私の大臣としてのシビリアンコントロールという面で足りないということであるならば、大変私はそこは反省をしておるところでございますので、それは今の委員長の言葉を大変、御指摘を、私自身とすれば今ここで訂正できたことを本当に有り難く思う次第でありますし、今後もしっかりと対応してまいりたいというふうに思っておるところでございますので、よろしくお願いいたします。
  198. 谷岡郁子

    谷岡郁子君 今の大臣のお答えは、田母神氏が校長としてやった教育というものについて問題であったということでございますが、私が先ほどから指摘しておりますのは、空将という地位に、そういう判断がおできになる方が結果として自分のお考えとして田母神氏と非常に類似のことを既に発表していらっしゃるということであり、その方々は今も自衛隊にいらっしゃるということであり、だから私は調査が必要なのではないかということを申し上げているということでございます。  まさに、そしてまた、今大臣が御指摘になった大変優秀な人が幹部に選ばれているのだからということで、私はいま一つの資料をここで御紹介申し上げます。  これは平成十五年から十六年の「鵬友」、これが国会図書館でとじ込まれていたものですが、この平成十五年から十六年にかけての「鵬友」の中にとじ込まれていて見付けたものでございます。第五十二期航空自衛隊幹部学校指揮幕僚課程学生等選抜一次試験所見及び試験問題、そして選抜第二次試験所見ということでございます。この第一次の所見の方には主任試験官、一等空佐の川西孝一という人が書かれております。また、選抜第二次試験所見、ここは主任試験官、一等空佐齊藤勇治という方が書かれておるものでございます。この中で、川西さんはとても私としてぞっとしたことを言われているのであります。「ごく一部の受験者において、自身が戦後のいわゆる自虐史観教育影響から抜けきらず、その考え方を是とした者がいたのは極めて残念であった。」と。  つまり、そういう考え方をしている者が残念であるし、これは試験なんですね、幹部学校の指揮幕僚課程学生等の選抜試験である、つまり、そういう人たち、そういうその自虐史観に汚染されている人たちは低い点が当然付けられ、その結果落ちている可能性があるということなんですよ。つまり、幹部の選択の過程においてすら実はこの史観なるものが大きく左右している可能性がある。  そして、選抜第二次試験、このことの主任試験官が書いておられることがどういうことであるかというと、「必要以上に現状肯定、八方美人、左右均衡のタイプが多かった。」。左右均衡ということは、つまりバランスが取れているということですね。バランスが取れていてはいかぬと書かれているんです。「また、防衛問題(専守防衛、攻勢作戦、武器輸出三原則等)は高等教育を授かった受験者ほど、その弊害としてか、従来の枠組みの中での発想しか見られず、」、つまり、専守防衛でなければいけないという従来の枠組み、そして武器輸出三原則等を守らなければいけないという現在の枠組み、攻勢作戦というようなことについては専守防衛から逸脱してはならないという現在の枠組み、これを「従来の枠組みの中での発想しか見られず、将来の国防組織を担う者としての意気込みを感じることが少なかった。」。  つまり、従来の枠組みを逸脱している者が有望な幹部候補であり、試験に受かる可能性が高いということをこの方は主任試験官としてはっきり言っておられるのであります。つまり、選別過程、候補になっていく過程は特定の偏向した人だけをよりすぐっていくというようなことが現在、自衛隊の中で行われている可能性が大変高いということを示しております。  これでもまだ調査は必要なく、そしてこのままでいいのだと大臣はお考えでしょうか。
  199. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) まだ、そういった意味では今お話しになったのは本人の講評みたいな話でありまして、試験の内容というのは、私どもも今どういった問題の形式で出しているのか分かりませんので、もしかしたら実際に今後いろいろな柔軟な発想の中で、これから世界の防衛体制等々が変わっていくのかということを考えたときには当然いろいろな発想をしていかなければならないということもその中にあるかもしれませんので、一概には今判断できませんが、今先生の御指摘のように、一方的にそういった偏向した人間だけをみたいな話では私自身はないと思っておりますので、そこは今先生の御指摘のあったその試験の内容等も含めてチェックをさせていただきたいと思います。
  200. 谷岡郁子

    谷岡郁子君 私は非常に重大なことを指摘しているつもりでございます。田母神氏等の田母神的な思想の浸透がどこまで自衛隊に、幹部に汚染されているかということは即刻調査すべき問題であるというふうに強く考えますし、またそれを要求いたします。そして、この委員会にその報告がなされるべきであると考えます。同時に、それをやっていただけないような防衛大臣は問責に値すると私は考えます。  以上で質問を終わります。
  201. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午後零時十分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  202. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) ただいまから外交防衛委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、かねてから理事懇談会協議を重ねてきた文民統制在り方等を中心とする審議と併せてテロ対策海上阻止活動に対する補給支援活動実施に関する特別措置法の一部を改正する法律案締めくくり総括質疑を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  203. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 テロ対策の締めくくりということで、この委員会の中で議論をさせていただきましたことの最終の総括という形で質問をさせていただきたいと思います。  まず、アフガニスタンにおける現在の状況は、国際法上では武力の行使という状況ではないという御答弁をいただいておりますが、我が国の憲法との関係について整理がされていない部分がかなりあるのではないかなというふうに思いますので、そのことについて配付をさせていただきました資料に基づいて具体的に伺ってまいりたいと思います。  自衛隊が海外で行う行動類型と憲法第九条との関係について伺ってまいりますが、まず、一の国又は国に準ずる組織の掃討作戦に赴く某国戦車部隊又は航空部隊に自衛隊が弾薬を輸送する、又は提供、補給する。これは現憲法第九条に規定するところに反するかどうか、お答えいただきたいと思います。
  204. 河村建夫

    国務大臣(河村建夫君) 政府といたしましては、憲法第九条の武力の行使について従来から、基本的には国家の、物的、人的といいますか、そうした組織体、これによる国際的な武力紛争の一環としての戦闘行為をいうと、こうなっております。こういう国際的な武力紛争とは、国家又は国家に準ずる組織の間において生ずる武力を用いた争いと、このように解してきておるわけでございます。  今御指摘のあったような場合、憲法上どう評価するかということは、某国戦車等が御指摘のような活動をする、掃討活動をするというような場合、これがどのような活動になるかによって個別具体的な判断をする必要があろうと思います。したがって、一律にこうだということはなかなか言い難い面がございます。  しかし、そういう仮定に立ってはおりますが、その上で申し上げるならば、御指摘のような掃討作戦を今やろうとする。そうすると、今申し上げた憲法第九条に言う武力の行使に当たり得る可能性はこれは排除できないと思います。その場合には、御指摘自衛隊が航空部隊に砲弾、爆弾等を輸送する、又は提供、補給する、この行為については、いわゆる他国の武力の行使の一体化が生じる、生じ得る、このように考えておるところであります。
  205. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 それでは、二に書きました国又は国に準ずる組織の掃討作戦に赴く部隊に燃料や飲食等を提供するということも一体化というふうに解釈されておるかどうか、伺いたいと思います。
  206. 河村建夫

    国務大臣(河村建夫君) これもやっぱり、掃討作戦そのものがどのような活動であるかというのはやっぱり個別の判断が要るわけでございますが、しかしその上で、今御指摘があったようなケース、これはやはり憲法第九条に言う武力の行使に当たり得る可能性は排除できないと思います。  したがって、その場合には、御指摘があった自衛隊が燃料や飲食料等を提供、補給する行為、これはいわゆる他国の武力の行使との一体の問題がやはり同じように生じると、このように考えます。
  207. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 三番目の、そうだとすると、兵士を輸送した場合も武力の行使と一体化というふうに解釈されるんでしょうか。
  208. 河村建夫

    国務大臣(河村建夫君) このような個々のケースも状態を判断をしなきゃなりませんが、その上で申し上げるならば、今御指摘のあったような件も武力の行使に当たり得る可能性はやっぱり排除できないわけであります。その場合には、御指摘の兵士を自衛隊が車両又は航空機で輸送する行為、いわゆる他国の武力の行使との一体化の問題はやはり生じ得ると、このように考えます。
  209. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 それでは、いわゆる国又は国に準ずる組織ではない武装した盗賊集団の警戒、取締りに赴く某国戦車部隊又は航空機部隊に弾薬を提供、補給する場合は、これは憲法九条に抵触しないと解してよろしいですか。
  210. 河村建夫

    国務大臣(河村建夫君) 先ほど申し上げましたように、憲法九条の武力の行使等の考え方、基本的には国家の物的、人的組織による国際的な武力紛争の一環としての戦闘行為をいうということであります。こういう、ここに言う国際的な武力紛争が国家又は国家に準ずる組織の間において生じる武力を用いた争いをいうというふうに、国家又は国家に準ずる組織と、こういうふうに言っておるわけであります。  したがって、御指摘のような国に準ずる組織とは認められないというケースでありますが、このようなケースについて憲法上どう評価するか。この場合の、まさに御指摘のような、これは警戒、取締りということになろうかと思います。それがどのような一体行為であるかということについても、やはり個別具体の状況判断をする必要はあると思います。  その上で申し上げるならば、国家又は国家に準ずる組織でないいわゆる武装した盗賊集団、そういうものの取締りあるいは警戒、これにその戦車部隊が必要であるかどうか、なかなか一般的には想定し難いところがあります。しかし、御指摘あった武装盗賊集団、これが国家又は国家に準ずる組織でない場合には、一般に、御指摘自衛隊が砲弾を提供、補給すると、これは一般的に言えば、憲法第九条との関係では問題はこの場合は生じない、このように考えております。
  211. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 五番は、また燃料ということでありますし、燃料あるいは飲食ということでありますが、これも同じふうに解釈して、まさにこのテロ新法は五番に当たるわけでありますが、こういう理解でよろしいわけですね。
  212. 河村建夫

    国務大臣(河村建夫君) 自衛隊が車両又は航空機で輸送するケースでございます。この場合についても、それ自体が武力の行使に当たらない、また日本の国の活動が非戦闘地域ということである等の法律上の枠組みが設定された場合、旧テロ特措法あるいは補給支援法はそうなっておりますから……ごめんなさい、失礼しました。ちょっと訂正を申し上げます。失礼いたしました。  国家又は国家に準ずる組織でない武装した盗賊集団の警戒、取締りに戦車部隊が必要かどうかということは想定し難いんでありますが、この御指摘いただいた武装した盗賊集団、国家又は国家に準ずる組織でないときには、一般に、御指摘がございましたような自衛隊が燃料や飲食料を提供、補給する行為は、憲法第九条の関係で問題が生ずることはないと考えます。
  213. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 六番も同じ答えだと思いますので、七番の武装した盗賊集団の警戒、取締りに、自衛隊のですね、これちょっとミスプリがありますが、戦車、航空機若しくは艦船が参加し、反撃する盗賊集団に自衛権発動の三要件を満たさない状況で発砲して損害を与えた場合は、これは憲法第九条に抵触するかどうか、お答えいただきたいと思います。
  214. 河村建夫

    国務大臣(河村建夫君) 御指摘のようなケースも、憲法上の評価をする場合には、御指摘の取締り、警戒、どのような活動であるかというのはやっぱり個別具体の判断は必要であると思いますが、その上で申し上げますならば、国家又は国家に準ずる組織でない武装した盗賊集団の警戒、取締りに戦車部隊が必要となるケース、これなかなか想像し難いところでございますが、御指摘いただいた武装した盗賊集団が国家又は国家に準ずる組織でないときは、一般に、御指摘の当該集団に対する実力の行使につきましては憲法第九条との関係で問題が生ずることはないと考えられます。  ただ、実際問題として、ある国家の領域内に国家又は国家に準ずる組織が存在するか否かについては、やはり個別具体的にその実態に応じて判断せざるを得ないわけでありまして、特定の国における国家に準ずる組織の存在についてあらかじめ一概に判断することはなかなか難しいと考えております。
  215. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 私がこの類型で申し上げているのは、まずその類型で判断した上で実際にものに当てはめていくのが多分適切なやり方だろうというふうに思っていまして、実際のものがないとなかなか答えられないというのは、ややちょっとおかしいのかなというふうに思います。  そういうふうに御答弁されるのであれば、例えばアフガニスタン。アフガニスタンは現在カルザイ政権がございますが、カルザイ政権以外に国に準ずる組織がアフガニスタンにあるというふうに政府として考えておられるかどうか、御答弁いただきたいと思います。
  216. 河村建夫

    国務大臣(河村建夫君) アフガニスタンにおいてはカルザイ政権が一応形を整えてあるわけでございまして、これ以外に政府的な機能を果たしているところというのは考えにくいわけであります。
  217. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 そうだとすると、現在アフガニスタンで米国あるいはNATO軍が行っておりますテロリスト掃討作戦、これは武装した盗賊集団の警戒、取締りということとほぼ同値だということだと思いますが、これを仮に自衛隊が行った場合に憲法九条に抵触しないという解釈でよろしいですか。具体的にというふうに、実際の問題でないと答えられないという御答弁でしたので。
  218. 河村建夫

    国務大臣(河村建夫君) 国家に準ずる組織の存在が考えにくいということは申し上げましたが、しかし、さはさりながら、これ、個別のやっぱり具体的なケースがありませんと、これはなかなか判断は難しい問題だというふうに私は思います。  御案内のように、タリバーン、アルカイーダ、アフガニスタンに実際には存在をしておるわけでございます。この点が国家に準ずる組織と言い得るかどうか、この辺はまだ日本政府としても判断をいたしておりません。
  219. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 先ほどの御答弁と異なって、タリバンについては国に準ずる組織かどうかまだ判断をしていないということでよろしいですか。
  220. 河村建夫

    国務大臣(河村建夫君) そういうことであります。
  221. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 政府は公式には認めておりませんが、米国は自衛隊のヘリを使っての輸送ということを日本に対して求めているということで、実は米国の政府関係者は私のところにもそういう要請をしたということをはっきりと言っておりますので、その判断をしていないということは、言わば、その要請に対して、憲法があるから行けないという答えをするのか、それとも自衛隊の能力が、現在の装備も含めて能力がそれに適していないので行けないという答えをするのかの前の段階で、答えを引き延ばすということになると思いますが、それは政府として対外関係も含めていかがな対応かなと個人的には思いますが。  私は、これははっきりと、いや、タリバンは国に準ずる組織なのでというふうに判断をするのでというならそれは一つの考え方ですし、そうでないという判断をするのも一つの考え方なんですが、判断をしないというのは、ある種、政府として責任の放棄ではないかと思いますが、いかがですか。
  222. 河村建夫

    国務大臣(河村建夫君) 今、ある方が正式にやったんだというお話でございますが、まだ私の下へ正式に、アメリカ側から正式な要請を私は受けておりません、受けておりません。そういうことが検討されたということは報道等において承知をいたしております。しかし、正式な要請になれば、これからの課題としてどう考えていくかということは政府として統一見解を持たなきゃいかぬと、このように考えます。
  223. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 速記を止めて。    〔速記中止〕
  224. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 速記を起こしてください。
  225. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 タリバンが国に準ずる組織かどうか判断をしていないということでありますが、判断をしないその理由をお答えいただきたいと思います。
  226. 河村建夫

    国務大臣(河村建夫君) 現時点で、今その必要が生じていないということであります。これは方針が決まれば、当然、今御指摘のような点も含めて判断をしなきゃならぬというふうに思います。
  227. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 先ほども申し上げましたけれども、だから米国からそういう要請があったこと自体も公式に認められないということだと思います。要請があったのは、これは間違いなく事実であります。  私は、国の立場として、国に準ずる組織なので憲法に抵触するから行けないという答えは一つの答えだから、その答えを否定しているものではありません。あるいは、国に準ずる組織ではないけれども、現在の自衛隊の持っているヘリコプターがその能力にまだ達していない、来年度の予算要求もしているわけですから、という答えも一つの考え方でありますが、判断をしないというのはいわゆる逃げ口上ではないかと思いますが、そのことも含めて御答弁いただきたいと思いますが。
  228. 河村建夫

    国務大臣(河村建夫君) まず前提は、正式な要請があったのは間違いないと、こうおっしゃいますが、政府としては正式な要請を受けておりません。私の方へこういう要請があってどう検討するかということは、今議題になっておりませんから。
  229. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 これは今、アメリカでオバマ政権が今度誕生いたしますが、オバマ政権はイラクからは撤退しますが、アフガニスタンについては引き続きこれは注力を、イラク撤退の方向ということでありますが、アフガニスタンについては力を入れていくという方向であります。  そういう中で、国が別に米国の要請がないという立場を取られるのはいいんでありますけれども、そうだとすれば、この委員会で私は質問通告をしているわけでありますから、私の質問に対してお答えいただきたいと思います。その判断をしていただきたいと思いますが。
  230. 河村建夫

    国務大臣(河村建夫君) オバマ政権がイラクの次はアフガニスタンだと、こういうことを言っておられることは私も承知をいたしております。  これからも、オバマ政権、現政権も含めてでありますが、これから緊密な意見交換を行っていくわけでございます。そして、オバマ次期政権が実際にどのような政策を取ってくるか、これもやっぱり十分我々注視をしなきゃならぬわけであります。その上で、これからの対アフガニスタンに対して日本政府としてどのような対応ができるか、協力ができるか、これをこれからの一つの課題として当然検討していかなきゃいけない課題だと、このような認識をしております。
  231. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 ですから、どういう協力をするかどうかの前提に憲法に関しての判断をしなければいけないと。判断をすることを放棄しながら協力をしていくことを検討するというのは、私は手続、その検討の手続としておかしいんではないかということを申し上げているわけであります。  まあこれ以上聞いても、多分、そうはいっても判断をしていないんだということで逃げられると思いますので、行為類型の十一番、国に準ずる組織ではないというふうに判断をして、武装した盗賊集団又は海賊集団に対して自衛隊の戦車部隊又は航空機若しくは艦船が自衛権発動の三要件を満たさない状況で発砲して損害を与えたところ、後日、その集団が例えばアルカイダ、テロリストで、その国に準ずるという組織だったという判断をされるような状況だった場合にはどういうことになるんでしょうか。このことを聞くのは、現場自衛隊の人にそのことを任せるというのは法の安定上私は非常に問題があるということなんで、こういうことについてどういうふうに考えておられるかという趣旨で聞いております。
  232. 河村建夫

    国務大臣(河村建夫君) 先ほど来から申し上げておりますが、実際問題として、ある集団がある、これが国家又は国家に準ずる組織であるかどうか、これに該当するか、これはまさに個別的、具体的にその実態を見て、応じて判断をせざるを得ない、だから一律的な判断が難しいということは既に述べてきたところでございます。  そこで、自衛隊によって実力行使を含む法律を作成するケース、こういうケースでもって考えるならば、一般論として、御指摘のように事後になって初めてその対象が国家又は国家に準ずる組織であることが分かると、こういうことがないようにしなきゃならぬと考えるわけであります。そのための法律を、どのような仕組みを作るかどうか、これはやっぱり慎重に検討をしなきゃならない課題だと、このように考えます。  その上で、武装した海賊、海賊集団、これについて申し上げますと、これは、自衛隊法の第八十二条の海上警備行動が発令されている、このような場合には、我が国の刑罰法令が適用される犯罪に当たる行為、これに対して、自衛官が警察官職務執行法第七条の範囲内、いわゆる警察権の行使、これを行う武器の使用であればこれは憲法第九条に反するものではないと、このように考えられます。
  233. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 海賊については、これはいわゆる国際法の、あるいは条約も含めて確立した定義があり、海賊という行為を行う者は国に準ずる者でないという定義をしているんで、多分ここは答えやすいんだと思うんです。ところが、盗賊、まあ軍閥と言ってもいいかもしれません、についてはそうした確定した定義がないので、この十一の盗賊のところも含めてもそういうことがないというふうに現在判断しているのかどうか、そこを伺いたいと思います。
  234. 河村建夫

    国務大臣(河村建夫君) まさに、その集団、個別的判断、どうしても実態を見なきゃならぬことは当然でありますが、現時点で我が日本自衛隊が他国の領域で、武装したいわゆる盗賊集団、これに取り締まるために武器を使用するということは、現時点では想定がございません。  しかし、このようなケースを考える、まあ仮定の上に仮定を重ねたことになるわけでありますが、このことを今の時点で確定的にお答えするということは難しいことなんでありますが、そのことを御理解をいただきながら、政府として自衛隊による実力行使を含む法律を作成する。この場合に、一般論として、御指摘のような事後になって初めてその対象が国家又は国家に準ずる組織であることが判明する、これもやはりこういうことがないようにしなきゃならぬ。これやっぱり同じに考えて、法律上の枠組みをやっぱり考えなきゃならぬというふうに考えます。
  235. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 類型で質問すると、なかなか具体的でないと答えられないというようなお答えを出されるんですが、例えばスーダンのダルフール、今自衛官、隊は行っていません、官が行っていますが、自衛隊をPKOという形で派遣して、ダルフールで反政府組織に対して自衛隊が発砲した場合はどういうことになるんでしょうか。
  236. 河村建夫

    国務大臣(河村建夫君) 今、ダルフールに行っているとおっしゃいましたが、自衛官、ダルフールに行っていないと思いますが。いわゆる、先ほど議論しているような、自衛隊が部隊として行っておりません。
  237. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 自衛隊が部隊として行っていないのは私も承知しております。しかし、連絡で二名ですか、たしか自衛官が行っているということでありますが、その先、部隊として行った場合にどうなるかということの質問であります。
  238. 河村建夫

    国務大臣(河村建夫君) これはあれですか、今、自衛官はスーダンの司令部におることは御承知のとおりです。今は部隊が行った場合の仮定の話をされておると思います。これもPKO法案に基づいて行っているわけで、行く場合を想定するわけでありますから、これはその法律の枠の中でこれまでイラクでもやってきた、こういう形の対応を取っていくと、こういうことになると思います。
  239. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 いわゆるこの話をさせていただくのは、いろんな形で将来、ダルフールにPKOの部隊を派遣することもあり得るかもしれないと、そのときに、今のPKO法に基づく武器使用だとなかなかそういうことは想定できないかもしれませんが、例えば保護する責任という概念に基づいて任務遂行のために武器の使用を認めるということになったときに、後で現場自衛官にその責任を負わせるのは、私は立法府の責任としてそういう考えを取るべきではないということで、派遣する前にこういう議論をすることは意味のあることだというふうに思っておりますが、そういうことも含めて御答弁いただければと思います。
  240. 河村建夫

    国務大臣(河村建夫君) 当然、部隊を派遣するということになればですよ、なれば、今御指摘のような議論をした上で、また憲法上の疑義についてもきちっとした上で部隊を出すと、これはもう当然のことだと思います。
  241. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 それでは、海賊対策の質問に移らさせていただきたいと思いますが、海上警備行動に携わる自衛官には司法警察権がないと承知しておりますけれども、現行犯逮捕は可能だというふうに認識しておりますが、そういう理解でよろしいですか。
  242. 大野恒太郎

    政府参考人大野恒太郎君) 刑事訴訟法二百十三条は、現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができると規定しております。したがって、自衛官も、これはもちろん日本の刑罰法規、刑法等が適用される場合にはということでありますけれども、被疑者である海賊を逮捕することはあり得るわけでございます。
  243. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 その逮捕した海賊犯を日本まで移送することは可能ですか。
  244. 大野恒太郎

    政府参考人大野恒太郎君) 現行犯逮捕の場合でありますけれども自衛官は今御指摘がありましたように司法警察権限がございません。したがって、現行犯逮捕したときには刑訴法の二百十四条において直ちに司法警察職員に引き渡さなければならないということになります。  そういたしますと、司法警察権限のない自衛官日本から遠く離れた公海上等で海賊を逮捕した後に、直ちに短時間で司法警察職員等に海賊を引き渡すことが困難な場合が考えられるわけであります。ただ、刑訴法二百十四条の直ちにといいますのは、逮捕された者の身体を拘束した後、司法警察職員等に引き渡すのに必要な時間以上の拘束を継続することなくという意義でありますので、身柄拘束した海賊を司法警察職員等に引き渡すまでに要する合理的な時間、これは刑訴法も許容しているものと考えております。  それから、もう一つ時間的な制限について申し上げますと、刑訴法上、司法警察員は、逮捕された被疑者を受け取ったときには、被疑者が身体を拘束されてから四十八時間以内に検察官に送致しなければいけない、また検察官は、被疑者が身体を拘束されたときから通算いたしますと、七十二時間を超えずに裁判官に被疑者の勾留を請求しなければいけないという時間制限がございます。  ただ、この時間制限につきましても、刑訴法二百六条一項に、やむを得ない事情によってこの時間の制限に従うことができなかったときには、検察官は、裁判官にその事由を疎明して、被疑者の勾留を請求することができるというふうに定められておりまして、自衛官日本から遠く離れた公海上等において海賊を逮捕した後、仮に今申し上げた四十八時間あるいは七十二時間という時間制限に従うことができなかった場合でも、検察官においてこうした刑事訴訟法に基づく対応、つまりやむを得なかった事由を疎明することによって手続の進行が認められる場合があるということでございます。  ただ、刑訴法上は逮捕後の手続につきまして厳格な時間制限を定めておりますので、そうした趣旨を踏まえますと、遠隔地において海賊を逮捕した場合にできる限り短時間で海賊を日本に護送する現実的な方法等については、現在関係省庁の間で協議をしているという状況でございます。
  245. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 次に、海上保安官は司法警察権を有するというふうに理解しておりますが、海上警備行動に携わる自衛艦に海上保安官が乗り組んで、その司法警察権を行使することは可能ですか。
  246. 石橋幹夫

    政府参考人(石橋幹夫君) 一般的に、海上警備行動の発令により自衛艦が派遣される場合、司法警察権の行使については、自衛艦へ海上保安官が上乗りするなどして対応することは可能であると考えております。  ただ、これまでそのような形態で法執行活動を実施したことがないことから、実施に当たっては、関連する国内法令との関係や実務上の課題について関係省庁と所要の検討が必要であると考えております。
  247. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 時間の関係で文民統制質問に移らさせていただきたいと思いますが、政府において、これは言葉狩りをするという意味ではありませんけれども、大東亜戦争あるいは支那事変という用語を政府関係者が対外的に使用するということはどのように考えておりますか。
  248. 河村建夫

    国務大臣(河村建夫君) その前に一言訂正させていただきます。  先ほど私の答弁の中で、イラクへの派遣をPKO法と申しましたが、これはイラク特措法でございました。PKO法はカンボジア等でございましたので、訂正させていただきます。  今御指摘の大東亜戦争等の用語を自衛隊政府関係者がどう対応するかということですが、この大東亜戦争という用語につきましては、昭和二十年十二月十五日付けの連合軍総司令部覚書以降、一般に政府としては公文書において使用しなくなっております。
  249. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 一般に政府として使用しないという言葉であります。また、支那事変という言葉も一般には使わないということでありますが、お配りいたしました「鵬友」の平成十八年三月号、これは田母神さんの後任の航空幕僚長になりました人でありますが、大東亜戦争という言葉を使っております。それから、「陸戦学会」というのは、これは自衛隊の富士学校というところで教科書として使われているものだというふうに理解しておりますが、歴史の中でその支那事変あるいは大東亜戦争という用語を使っております。  私が申し上げたいのは、政府が一般的に使わないものを自衛隊の中においては一般的に使われていると、そのずれがどの辺から生じるのか、そのずれがあることが適切かどうか、そのことも含めてお答えいただきたいと思います。
  250. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 用語としては、これはもう公文書においては使わなくなっているのは事実でありますし、自衛官、まあその自衛官も含めて、この個人個人の用語の使い方ということに、使用するかについては、まあ文脈等のことにもよると思いますが、この件に関してはちょっと一概にお答えすることは困難であると私は思っております。
  251. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 個人個人ということではなくて、この「陸戦学会」は先ほど申し上げました自衛隊富士学校の教科書として使われているということでありますので、一般に政府が使わない言葉を教科書として「陸戦学会」が使っていると。そのことが、私の質問の趣旨は、政府が一般に使わないものと自衛隊の中で行われている教育で使われる言葉にずれがあることがどの辺から発生しているという認識を持っておられるかという質問であります。
  252. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 「陸戦学会」そのものが、またうちの方の組織、機関ではないものですから、その点は違いがあろうかと思いますので、あえて教科書として使っているというのは、我々とするとそれはまたちょっと別の話なのかなと思っておるわけであります。ただ、今先生が御指摘になったことも含めて、少し我々もその辺は検討してみたい、チェックをしてみたいと思います。
  253. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 時間になりましたので、繰り返しになりますけれども、言葉が悪いとかいいとかということではなくて、それは統一をした方がいいんではないかと。もし政府として使わない言葉であれば自衛隊の中でも使わない方がいいんではないかと。そうでなければその言葉を使えるように、先ほどおっしゃったように、GHQの指令であったのでそれを変えるという、政府解釈を変えるか、どちらかに統一した方がいいんではないかということだけ申し上げて、質問を終えたいと思います。
  254. 浜田昌良

    浜田昌良君 公明党の浜田昌良でございます。  最初に、文民統制の在り方について質問させていただきたいと思いますが、本件が今問題になっておりますのは、前田母神航空幕僚長論文投稿問題を契機にしております。そういう意味では、この言論の自由というものと文民統制と、この二つの在り方はどうバランスを取るのかという問題であります。これを一定の法規範として明確にすること、そういうことはこの「鵬友」事件の再発防止にもつながりますし、逆に法規範が明確でないと必要以上に自衛隊職員の方々の言論が抑圧されるかもしれないと。  そういう意味で、この言論の自由と文民統制の在り方について法規範として確立することの必要性について、河村官房長官にお聞きしたいと思います。
  255. 河村建夫

    国務大臣(河村建夫君) 自衛官につきましても、御指摘のように、思想信条の自由や表現の自由、これが保障されていることは言うまでもございません。しかし、厳格な文民統制の諸制度の下にある自衛官においては、今回の事案のように政府認識等とは明らかに異なる見解を公表する、これは適切でないと、このように考えます。  これからは、やっぱりこのような事案が再発しないようにこれを防止するということが必要であると考えます。具体的なこれからの再発防止等については、総理の指示もございます。防衛省においては、自衛官の基本的人権や文民統制等の重要性を踏まえて今後様々な方法について検討されるものだと、このように思います。  このようなものを法規制によってどうするかということでございますが、これにつきましては、文民統制との関係においてどう問題になり得るか、個別具体的な、かつ網羅的に明確化することができるか否か。これ、なかなか困難な問題も中にございますので、現在のところ、そのことは考えておりません。
  256. 浜田昌良

    浜田昌良君 すぐ規制をするということではなくて、こういう考え方のものはオーケーだと、こういうことはいけないという場合、ある一定の類型化ができるようなことが必要だと思っております。そういう意味で、一般の方の言論の自由と公務員の言論の自由、これやっぱり違うわけですね、政治的中立性が求められますから。  では、この公務員、一般の公務員と、いわゆる実力組織であります自衛隊、それについては任務や組織の特性があるわけですから一定の制約があってしかるべきと考えているわけですが、この一般の公務員と自衛官の言論の自由の違いについて、内閣法制局長官見解をお伺いしたいと思います。
  257. 宮崎礼壹

    政府特別補佐人(宮崎礼壹君) お答えいたします。  お尋ねの点につきましては、平成七年七月六日にいわゆる反戦自衛官懲戒免職事件における最高裁判決というものがございます。その中で次のように判示をしております。  「自衛隊の任務(法三条)及び組織の特性にかんがみると、隊員相互の信頼関係を保持し、厳正な規律の維持を図ることは、自衛隊の任務を適正に遂行するために必要不可欠であり、それによって、国民全体の共同の利益が確保されることになるというべきである。したがって、このような国民全体の利益を守るために、隊員の表現の自由に対して必要かつ合理的な制限を加えることは、憲法二一条の許容するところである」というふうに判示されているものと承知しております。
  258. 浜田昌良

    浜田昌良君 今、最高裁の判例を引いていただいて御答弁いただいたわけですが、次に防衛大臣にお聞きしたいと思うんですが、そういう意味では、逆の見方をすれば、自衛官というのは公務員という政治的中立性、二番目には、武力集団という組織の規律性、さらに三番目には、本人が志願してそこの組織のメンバーになっていると、こういうことから制限される言論の自由の程度はより大きいと考えますが、この点について防衛大臣見解をお聞きしたいと思います。
  259. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 自衛官につきましては、自衛隊法第六十一条に基づく政治的行為制限、同法五十八条に基づく品位を保つ義務が課されておりますし、法的にその言動には一定の制約があるものと考えております。  また、自衛官は厳格な文民統制の諸制度の下にあることから、自らの見解を表明する場合には文民統制の関係で問題となる場合があり得ますし、どのような場合に問題になるかについては個々の事案に即して算段されるべきでありますが、仮に問題となった場合には自衛隊法五十八条に基づく厳正な処分が行われることになっております。  いずれにせよ、自衛官については武器の保有、使用する権限を有しておりますので、その言動については、国民に不安を、皆様に不安を与えることなく、文民統制上の問題を惹起させないように十二分に自覚を持って行うべきというふうに思っているところであります。
  260. 浜田昌良

    浜田昌良君 そういう意味では、自衛官についてはより制限のある言論の自由であるということなんですが。  では、今度、自衛官の中でも研究従事者であったりとか又は内局従事者、また戦闘実戦の部隊と、こういう職域の違いがあるわけですね。また、同じ戦闘部隊にしても、隊員、下士官、そしていわゆる今回のような幕僚長ということで職階もあるわけです。こういうものの領域であったり職階によって言論の自由というものが差があるんだと、この点について御見解をお聞きしたいと思います。
  261. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 自衛官につきましては、その配属等々当然これはあるわけでございますので、自衛官について、その地位を問わずに自衛隊法の五十八条に基づく品位を保つ義務が課されておりますので、その言動を制約する法的な根拠には違いがございません。  他方でいえば、また幕僚長のような要職にある者が部外に対して自らの意見を表明する場合、その発言が社会的な影響等が下位の自衛官に比べより大きなものになるというのはこれは当然のことでありますので、文民統制上、問題となる場合があり得るということを十二分に自覚することが重要だと思っております。
  262. 浜田昌良

    浜田昌良君 確かにランクによって社会への影響する程度も違いますし、また領域においても、研究従事者の場合はどうしても比較して議論をするということもあり得るんでそういうことはあるかもしれない。しかし、かなり強い規律性がある部隊というものについては、そういう余地は余りないわけですね。そういう意味では、そういうことも是非考えていただいて今後対応していただきたいと思いますが。  次に、この前の田母神参考人が出席された質疑におきまして、私の質問に対して防衛大臣がこう答えられました。つまり、自衛官の言論の自由も当然考えなければならないが、あくまで政府見解に沿った中でと言われたんですが、ここで言われた政府見解とは具体的にどういうものを指すのでしょうか。
  263. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 政府見解につきましては具体的な事例を想定していたわけではなく、一般論として、部外に対して自衛官が意見を表明する際には、発言が持つ社会的影響等を十二分に考慮し、政府考え方を踏まえて行うべきである旨を申し上げたところでございます。
  264. 浜田昌良

    浜田昌良君 答弁はそういう具体的なものを想定されていなかったかもしれませんが、今後の再発防止に向けて、実際の教育の課程においてはこういうものということをなるべく例示しながら進めていただきたいと思います。  次に、日本国憲法における文民統制の位置付けについてお聞きしたいんですが、憲法においては第六十六条で、内閣総理大臣及び国務大臣は文民でなければならないという規定がありますし、そもそもいわゆる武力の不保持という第九条の規定もあるわけですが、そういう意味では、文民統制というものは民主主義政治の根本原則の一つであると理解しておりますが、法制局長官にまず憲法における文民統制の位置付けについて御答弁いただきたいと思います。
  265. 宮崎礼壹

    政府特別補佐人(宮崎礼壹君) お答えいたします。  文民統制とは、国防に関する国務の遂行につき、政治的な考慮を軍事的な考慮に優先させることを内容とする原則であるというふうに一般に考えられております。そのまた実現のためには、国防に関する国務の遂行についての枢要な決定が武力の行使を職務の内容とする公務員やまた機関によって下されてはいけないということになっている必要があると存じます。日本国憲法におきましても、御指摘がありましたように第六十六条第二項において、国政の執行を担当する最高の責任者たる内閣総理大臣及び国務大臣はすべて文民でなければならない旨が規定されているところでございます。
  266. 浜田昌良

    浜田昌良君 そういう意味で、田母神事案という具体的事例ではないんですが、一般事案として、自衛隊法六十一条また施行令八十六条第五号の政治目的と、これについては、「政治方向影響を与える意図で特定の政策を主張し、又はこれに反対すること。」というのが一つの類型として書いてあるわけですが、この類型に対して、政治方向に与える意図というのは何なのかということについて、十一月十一日の本委員会防衛大臣はこのように答えられているんですね。日本国憲法に定められた民主主義政治の根本原則を変更しようとする意思、これがここで言う政治方向影響を与える意図なんだということの答弁がありました。  そういう意味では、ただいま法制局長官から答弁もあったんですが、いわゆる田母神という個別論ではなく一般論として、一般論として、文民統制というものを弱めていくというような行為というのは日本国憲法に定められた文民統制の原則を変更しようとする意思に当たると思いますが、これについて防衛大臣見解をお聞きしたいと思います。
  267. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 隊員政治的行為につきましては、自衛隊法第六十一条第一項において、隊員は、政党又は政令で定める政治目的のために、「寄附金その他の利益を求め、若しくは受領し、又は何らの方法をもつてするを問わず、これらの行為に関与し、あるいは選挙権の行使を除くほか、政令で定める政治的行為をしてはならない。」と規定されております。  政治的目的については自衛隊法施行令第八十六条におきまして、政治的行為については自衛隊法施行令第八十七条において、それぞれ具体的に定義をされておるところでございます。施行令第八十六条五号に、「政治方向影響を与える意図で特定の政策を主張し、又はこれに反対すること。」とありますが、この政治方向影響を与える意図とは、日本国憲法に定められた民主主義政治の根本原則を変更しようとする意思と解釈をしておるところであります。  文民統制につきましては、民主主義国家における軍事に対する政治優先又は軍事力に対する民主主義的な政治統制を示すものと承知しておりますが、憲法上では内閣を構成する内閣総理大臣その他の国務大臣が文民でなければならないと規定されております。  お尋ねの政治方向影響を与える意図があったか否かの判断に当たっては、個別具体的な事案に即して慎重に検討すべきものと考えておるところでございます。
  268. 浜田昌良

    浜田昌良君 確かに個別事案に応じて判断する部分もありますが、一般論として、政治方向影響を与える意図というものは、日本国憲法に定められた民主主義政治の根本原則を変更しようとする意思と。じゃ、何が民主主義政治の根本原則なのかという中の一つに私は文民統制というのがしっかりあるんだという、こういう一般論をお聞きしているんですが、御答弁お願いします。
  269. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) まさに、今ある政治体制そしてまた我々が標榜しております民主主義政治というものを、これを変えようとするということは、当然、今おっしゃったように我々の文民統制というものを壊すということが、それが問題になろうかというふうに思っておるところであります。
  270. 浜田昌良

    浜田昌良君 そういう意味では、田母神事案自身がこの自衛隊法六十一条の政治的行為に当たるかどうかは別にしまして、いわゆる文民統制というものを壊していく行為というのが自衛隊法の六十一条の政治行為に当たっていくことがあり得るということをしっかり念頭に置いて隊員の方々の教育をお願いしたいと思います。  続きまして、今回の法案の質疑に移りたいと思います。  このいわゆるインド洋における補給支援法、その契機が何かともう一度考えましたら、それはあの九・一一の同時多発テロだったわけですね。そういう意味では、このいわゆる国際テロの引き起こされる蓋然性についてまずお聞きしたいと思うんですが、先般のインドでのムンバイのテロ事件で我が国の人も被害に遭ったわけですが、これについては、報道によれば、イスラム過激派であったり、アルカイーダの関与というのは報道されているんですが、この関与について日本政府としてどのように認識されているか、中曽根外務大臣にお聞きしたいと思います。
  271. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 今回のテロ事件には二つのポイントがあると思います。  一つは、非常に準備されたと、入念に準備された組織的でまた大規模な活動であったということが一つあろうかと思います。それからもう一点は、外国人が集まる場所がターゲットに含まれていたと。そういうことなど、今までのインドにおけるテロでは見られなかったような、そういう特徴が私は感じております。  こういう特徴から見まして、インド国外に拠点を置くテロ組織の関与の可能性というものも含めて犯行主体について様々な分析が今行われているわけでございますが、我が国といたしましても、事件直後からこの件につきましては精力的に情報収集を行っておりますし、またあらゆる可能性についても分析を行っているところでございます。  いずれにしましても、本当に罪のない人々をねらって、邦人も残念ながら被害を受けました。こういう卑劣な行為は決して許されることではありません。我が国といたしましては、インドの人たちが今回のこの苦難を早期に乗り越えることを期待いたしますとともに、こうしたテロに断固と立ち向かうべく、我々もインドを含む関係国と協力を継続していきたいと、そういうふうに思っております。
  272. 浜田昌良

    浜田昌良君 まさに今、外務大臣がこういうテロは許されないと。こういう思いを是非世界で共有していくことが重要だと思っているんですね。  そういう意味では、日本が今般いわゆる非常任理事国として国連の安保理のメンバーになるわけです。かつ、年明け早々、多分議長国になるだろうと言われていることもあるんですが、こういう中で、もう一度、国際テロに対する非難決議というようなものを日本として提案していく、また行っていくことについて、外務大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  273. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 去る十月十七日でございましたか、我が国は国連安保理非常任理事国に選出されるということが決まったわけでございますが、安保理は、九・一一、このテロに対する非難決議を始めまして、テロリストの資産凍結などを含む累次の決議を採択を行って、国際社会のテロとの戦いにおいて非常に重要な役割を果たしているわけでございますが、我が国は来年一月から正式に安保理非常任理事国になりますが、非常任理事国として国際の平和と安全の維持のために一層の貢献を行っていかなくてはならないと思っております。  テロとの戦いにつきましても、他の安保理理事国と協議をしながら、今委員がおっしゃいましたような決議の採択等、いろいろこれからもあろうかと思いますが、積極的に非常任理事国としての役割を果たしていきたいと、そういうふうに思っております。
  274. 浜田昌良

    浜田昌良君 是非、議長国となるときもあるようですから、そういう機会を使いながら国際的なテロに対する包囲網というのをこれを強固にしていく努力をお願いしたいと思っております。  次に、米国との関係なんですが、今般アメリカにおいてはオバマ政権が発足するということになっておりますけれども、このオバマ政権においてはアフガニスタンが重視されるだろうと言われております。そのときに、我が国に対してどういうことが要望されるのか。いろいろあるかもしれません。しかし、我が国の場合はあくまで日本の憲法の中でできることで対応していくということが求められるわけですが、オバマ政権、オバマ氏に対して、この日本国憲法の制約についてどのような形の理解を求めていかれるのか、外務大臣の御答弁をお願いしたいと思います。
  275. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) アフガニスタンにおきまして仮に日本自衛隊として何らかの活動を、これを実施すると、そういうことを検討するような、そういうことになった場合には、今委員からもお話ありましたような憲法との関係についても慎重な検討を要するということは一番大事でございますが、政府といたしましては、アフガニスタンの平和と復興のために行ってまいりました今までの協力に加えまして更にどういう協力ができるかと、そういうことを引き続いて様々な観点から主体的に検討してまいります。  なお、日米間では、お話ありましたオバマ次期大統領が一月に就任するわけでありますが、今までも緊密な意見交換を行ってきております。次期政権が実際どういう政策を取られるかということは現時点では政府としてはお答えする立場にございませんけれども、米国は、我が国の、オバマ次期大統領も含めて、憲法の制約があるということは十分承知しておると思いますし、米国は、我が国がいかにして実質的な支援を行うかと、そういうことにつきましては、これは日本自身が決定する問題であると、そういう立場を米国は一貫して取ってきているところでございます。
  276. 浜田昌良

    浜田昌良君 ただいま御答弁があったとおりであると思いますが、日本国憲法の下で日本ができること、その大きなものがこの補給支援法なんですね。そういう意味では、この補給支援法、本日採決がなされて私は成立することを望んでおりますけれども、ただし、この成立には相当政府としても厳しい議論をされてこれをやっているんだということをまず先方にも理解していただいて、そして、その上でこれを評価してもらうということをお願いしたいと思います。  次に、前半の文民統制とこの補給支援法の関係について移りたいと思いますが、まず、今回の補給支援法における文民統制は法文上はどのように担保されているのか、これについて官房長官にお聞きしたいと思います。
  277. 河村建夫

    国務大臣(河村建夫君) お答えいたします。  補給支援特措法は、同法の第三条において、活動の種類、それから内容を補給に限定をいたしております。また、同法の二条においても、派遣先の外国の範囲を含む実施区域の範囲についても法律自体に明示がしてございます。このために、国会の審議を経て可決、成立した同法につきましては、自衛隊による対応措置の実施について国会承認が必要とされました旧テロ対策特措法と同様に、国会によるシビリアンコントロールは的確に確保されていると、このように考えます。  また、旧テロ対策特措法と同様に、同法の第四条及び第七条において、補給支援活動実施に関する基本方針などを定めます実施計画については閣議決定によるとなっておりまして、同計画の決定又は変更があったときは、その内容について内閣総理大臣は遅滞なく国会に報告をしなければならないと、こうなっております。  その点、以上の点を踏まえましても、補給支援特措法におけるシビリアンコントロールは法文上的確に担保されている、このように考えております。
  278. 浜田昌良

    浜田昌良君 今、法文上のいろんな条項を挙げていただいて、この法律における文民統制が十分に利いているという話があったんですが、では、その条文どおりに本当に人が動いているのかという問題でありまして、そういう意味では、この法運用上、文民統制をより確実に確保するためにどのような心掛けが今後必要なのか、これについて再度答弁をお願いしたいと思います。
  279. 河村建夫

    国務大臣(河村建夫君) この法案の運用におきましては、活動の適切な実施のために防衛大臣は補給の実施に関しての命令等を発出いたしております。この中で、例えば補給を実施する際の基準を示すとともに、補給の実施の適否については、現場部隊での判断が困難な場合には防衛大臣判断を求めると、こうなっております。こうした運用の仕組みに従って現地部隊の隊員は法の趣旨によって活動しているわけであります。  心掛けいかんと、こういうことでありますが、この指揮を的確に受ける日ごろからのそういう心掛けが私は非常に大事だと、このように思っております。
  280. 浜田昌良

    浜田昌良君 今、心掛けも御答弁いただきました。そういう意味では、この法案については是非成立さしていただいて、そしてその文民統制の下でちゃんと運用されていくと、そういうことを期待しまして、私の質問を終えたいと思います。  ありがとうございました。
  281. 井上哲士

    ○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。  まず、田母神氏の問題にかかわって任命責任について伺います。  田母神氏は、退職後も核武装の必要性などを様々語っておられます。当委員会での参考人招致についても語っておられまして、一体何が問題になったのかということがいまだに分かっていらっしゃらないなということを思うんですね。そういう姿を見て多くの国民は、なぜこういう人物が空幕長に任命されたんだろうかということに不信とそして不安を持っておられます。  報道などでは、この幕僚長の人事というのは、前任者を中心に制服組が決めて、それを内局と政府が追認するだけだと、こういうことも指摘をされているわけですが、政府としてはこの幕僚長を任命するときにどういう基準でされているのか、防衛大臣、お願いいたします。
  282. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 幕僚長を含む高級幹部の任命につきましては、その者の経歴、能力、人格等を総合的に判断して任命を行ってきているところであります。
  283. 井上哲士

    ○井上哲士君 その際に、言わば実力組織の幹部として、そして公務員としての資質というものが当然問われるべきだと思うんですが、先日の質問をした際に、この田母神氏が「鵬友」などで、過去の論文で同様の趣旨のことを繰り返していたということが任命の際に考慮されたのかということをお聞きしましたら、判断の中に入っていたかは分かればお知らせしたいという答弁でありました。その後、この点は確認をした結果どうだったんでしょうか。
  284. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 御指摘の「鵬友」の論文は、今般の田母神氏の論文の存在を認識して以降、同氏のそれまでの部外への意見発表等の状況確認する過程において認識されたものでもあります。  いずれにせよ、私としては、今回の件を受けまして、幕僚長のような要職にある者については自らの社会的地位を踏まえた適切な言動を行う責任があることは当然と考えており、高級幹部としての職責を十二分に自覚した者が適切に任命されるよう、より一層適切な選考を実施していきたいというふうに思っておるところであります。
  285. 井上哲士

    ○井上哲士君 以前の答弁では、そういう「鵬友」などについてチェックできる体制もなかったというようなことも言われておりましたが、田母神氏が空幕長に任命をされる前に侵略戦争の正当化や憲法敵視の言動をされていたというのは、この隊内の雑誌にとどまらないわけですね。  統合幕僚学校長時代に、海外研修の団長として中国やマレーシアを訪問をされております。二〇〇四年の六月に中国に行かれまして、範陸軍中将と面談をされておりますが、その際に歴史論争をやって持論を展開したんだということを雑誌等でも誇らしげに書いていらっしゃるわけですね。    〔委員長退席、理事浅尾慶一郎君着席〕  まず、外務省にお聞きしますけれども、この中国での範陸軍中将との面談の場での田母神氏の発言というのは、外務省に公電が来ていると思いますけれども、どういう内容だったでしょうか。
  286. 橋本聖子

    ○副大臣橋本聖子君) 田母神前幕僚長は、二〇〇四年に統幕学校海外研修において研修団長として訪中をした際に、人民解放軍総参謀部の総参謀長助理との間で会談を行ったと承知をしておりますが、その際の同氏の発言については、公電により、中国側の歴史認識には同意できない部分があること、さらに、江沢民国家主席が過去の訪日で歴史問題を殊更強調したことが日本国内で大きな反発を招いたことを挙げた上で、歴史問題を頻繁に持ち出すことが両国関係の発展の妨げになっているのではないかと指摘をしたという報告は受けております。
  287. 井上哲士

    ○井上哲士君 当時の発言については、今、公電で報告がされているということでありました。  田母神氏は、先ほども紹介されました「翼」という雑誌の中で当時のことを書かれておりますが、この範参謀長助理との面談の際にこう言っているわけですね。私は端的に言って日本軍が中国に対して悪いことをしたとは思っていない、日本は諸外国との比較で言えば極めて穏健な中国統治をしたと思っているということを皮切りに、様々述べたことが書かれております。実力組織の代表が侵略を受けた側の国に行って、そのことを認めて謝罪をした政府見解を否定をする内容を外交の場で述べたということは、私大変重大だと思うんですね。  当時は、小泉総理の靖国参拝をきっかけに中国国内でも様々な反日感情の広がりがありました。しかし、その小泉総理自身も村山談話については受け継いでいたわけですね。にもかかわらず、この田母神氏の発言というのは、政府見解にも反し、そして反日感情を更に広げて、これ重大な外交問題にもなりかねない問題だったと思うんですが、この公電はそれぞれ報告されていると思いますが、防衛省内ではどういうふうに報告をされ、対応が行われたんでしょうか。
  288. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 訪中時における田母神航空幕僚長発言に関する今外務省の副大臣からお話があったほかの記録に関しましては、今現在存在しておりませんで、政府歴史認識と異なる発言をしたことは、今のところ記録上確認できておりません。  また、この記録がどのように報告され、これを受けて防衛省としてどのような対応をしたかについては、これまで確認したところ、当時の記録が残されておりませんで、お答えすることが困難であります。
  289. 井上哲士

    ○井上哲士君 要するに、まともな対応がされてなかったということだと思うんですね。  田母神氏は、最近講演等で、むしろ防衛省内ではよくぞ言ったと私を評価する声が多かったということを講演等でも述べられております。  外務省は公電を受け取った側でありますが、外務省はどういう対応をされたんでしょうか。
  290. 橋本聖子

    ○副大臣橋本聖子君) 二〇〇四年の訪中時における田母神前幕僚長の発言についての、公電に報告を受けておりますけれども、ほかの記録はこちらには存在をしておりませんで、政府歴史認識と異なる発言をしたことは記録上確認はできておりません。  したがって、外務省として防衛省に対し抗議等を行うべき事実等は生じておりません。
  291. 井上哲士

    ○井上哲士君 当時してないということですね。
  292. 橋本聖子

    ○副大臣橋本聖子君) はい、当時しておりません。
  293. 井上哲士

    ○井上哲士君 当時の官邸はどのような報告を受け、対応されたんでしょうか。
  294. 河村建夫

    国務大臣(河村建夫君) 訪中時における田母神航空幕僚長発言に関する先ほど大臣等お答えになりましたほかの記録は存在しておりません。政府歴史認識と異なる発言をした等々、記録上確認ができておりません。  そういうことでありますから、政府がどのような対応をしたかについても、これまでのところでは記録上確認ができておりません。
  295. 井上哲士

    ○井上哲士君 つまり、要するに放置されたんですよ。見逃されたんですね。  私、非常にこの発言は重大だと思っているんですが、彼はこの「翼」という雑誌の中でこう書いているんです。私は、私の言葉によって北京に駐在する陸海空の武官たちに迷惑が掛からなければいいがと思っていた、さらに、これによって日中軍事交流が頓挫するようなことになったとき、私は日本国内においてさえ批判を受けることになるかもしれないという不安もあったと。つまり、こういう影響が起きるということを自覚した上でそういう発言をされているんです。  そして、現実にその後、陸軍の国防大学が研修として日本に来るのがいったん中止になるんですね。その際に彼はこう言っています。私は、元々中国側に一方的に有利な日中関係など我が国の国益を損ないながら続ける必要はないと思っているので、来てもらわなくても結構だから心配するなと統幕学校のスタッフに伝えたと。つまり、自分のその持論、日中関係に対する持論がこうなのだから、少々影響受けてもいいんだと、そういうことを承知の上でこういう発言をされているわけですよ。  ですから、今回、論文で出したということも重大でありますけれども、現実に外交関係でそういう影響が起きると、しかし、自分の持論の方が大切だということでこういう発言をされたということが見過ごされたということは、これ大変重大だと思いますけれども防衛大臣、いかがでしょうか。
  296. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 確かに今回の事案等も含めて、我々とすれば、御指摘の部分に関して見落としたというところは、前から私どももこれに対しては少々、本当に考えて、考えをしっかりしていかにゃいかぬということも、井上先生の御質問のときにたしかお答えしたような気もするわけでありますが、我々とすれば、こういったことも踏まえて、今後のいろいろな人事の考査等も含めて検討していかねばならないというふうに思っているところであります。
  297. 井上哲士

    ○井上哲士君 田母神氏が、防衛省内ではよくぞ言ったと、私を評価する声は多かったと講演等で言われていることについてはどう受け止めておられますか。
  298. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) そのようなことはないと思います。
  299. 井上哲士

    ○井上哲士君 私は、やはり当時、公電として官邸も含めて報告をされながら何も問題にされた形跡がないということが続く中で、そのまま空幕長に任命をされたという、ここのやはり政治責任ということは大変重いと思います。田母神氏は、当時から一貫して同じ発言をしているのに今回に限ってなぜ袋だたきに遭うのかというようなことも言われておりますが、こういうことを言わせしめている政治責任が極めて重大だということを重ねて指摘をしたいと思うんですね。  先ほど、少し答弁、防衛大臣ありましたけれども、この五日の会見で、こういう不適切な見解繰り返した場合に、いろいろな人事査定等のときの参考にするのは当然のことというふうにも述べられておりますが、そして今回、田母神氏の後任の空幕長を任命されたときに、過去、政府見解に反するような論文はなかったというふうに会見でも言われております。  つまり、今後、やはり自衛隊の幹部の任命に当たっては、侵略戦争の正当化とか憲法否定とか、政府見解を否定するような発言をしてきた人はふさわしくないと、こういう基準で対応するということでよろしいでしょうか。
  300. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 当然これは、今委員から御指摘のありました点というのは、これはもう今回いろいろな形で御指摘を受けたわけでありますし、ただ、我々とすれば、当然それもチェックをしながらも、すべての幹部自衛官たる資質、いわゆる部隊の運用等も含めて総合的に判断していくのは当然でありますので、我々とすれば、今委員の御指摘のお話もその中に入れて、国民の皆様方に対して不安のないような形を取っていきたいというふうに思っているところであります。
  301. 井上哲士

    ○井上哲士君 こういう憲法等に関する過去の言動も一つの基準だということだと思います。  そこで、更にお聞きしますが、この「鵬友」等で田母神氏が繰り返しているのは、時代は変わったと、自衛隊がインド洋やイラクまで出かけて行動するという中で、これからは自衛隊を張り子のトラにしておくことでは済まされない、行動する自衛隊士気が高くなければ任務を遂行することはできないと、こういうことを言われています。それから、我が国の歴史に対する贖罪意識を持っているようでは部隊を元気にすることはできないということを繰り返し述べているわけですね。  つまり、戦前の軍と今の自衛隊を連続したものととらえて、そして、自衛隊が海外に出る時代になって、旧日本軍が間違いを犯したと思っていたら元気が出ないんだと、そんな自衛隊では日本が守れないんだということを繰り返し彼は言っているわけですね。  そこで、お二人の大臣と官房長官にお聞きしますが、この戦前の日本軍と今日の自衛隊を連続したものとしてとらえて、昔の日本軍が間違いを犯したと思っていたら日本を守ることができないと、この田母神氏の考えについて、それぞれの御見解を聞かしていただきたいと思います。
  302. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 先ほどからいろいろ田母神氏の発言について議論しているわけでありますが、個人の見解、それから発言の一々について政府としてコメントすることはできるだけ差し控えたいと思いますが、いずれにしましても、現職の航空幕僚長政府認識と明らかに異なる見解を公にしたということは、私は不適切であったと思っております。もう政府考えというものは、再三申し上げておりますように、平成七年八月十五日の村山総理大臣談話、そして平成十七年八月十五日の小泉内閣総理大臣談話にもう示されているとおりでございます。
  303. 河村建夫

    国務大臣(河村建夫君) 政府といたしましては、今外務大臣答弁されたとおり、個人の見解発言について一々コメントすることは差し控えたいと思います。  いずれにしても、現職の航空幕僚長政府認識と明らかに違う見解を公にしたことは極めて不適切であると、このように考えております。
  304. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 今、両大臣がおっしゃったとおりでございまして、その意味では一つ一つこのコメントをするのは差し控えたいと思いますし、ただ、連続しているなどということはあり得ないわけでございまして、そういった意味では、士気が落ちる落ちないというのは、まさに任務に対してどういう思いを持っているかで決まると思っています。戦前、戦後、戦後は当然のごとく我々自衛隊としてやるべきことをしっかりとやるということの中で任務の完遂ということを目指してやっているわけでありますので、そこでの連続性などというものがあるはずがないと私は思っているところであります。
  305. 井上哲士

    ○井上哲士君 防衛大臣、更に聞きますが、連続性については否定をされました。田母神氏はその上で、要するに旧日本軍が間違いを犯したと思っていたら日本を守れないということを言われているんですが、そのことについてはどうお考えですか。
  306. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 私はそうは思いません。
  307. 井上哲士

    ○井上哲士君 外務大臣にもう一回お聞きしますが、一般論として、こういう昔の日本軍が間違いを犯していたと思っていたら日本を守れないという考え方についてはどうお考えでしょうか。
  308. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 今防衛大臣から御答弁ありましたけれども、私も同様に考えております。
  309. 井上哲士

    ○井上哲士君 当然の御答弁だと思うんですが、そうであるならば、そのことが貫かれないといけないと思うんですね。  先日の質疑でも、田母神氏が航空幕僚長として講話や訓話を行って、全国の自衛隊で同趣旨の発言をされてきたということを問題にいたしました。大臣は、質問に対しては、その調査に速やかに着手をしたいというふうに答弁をされました。一部御報告はいただいたわけでありますけれども、記録が残っていないなどとして全容は明らかになっておりませんが、いろんな聴き取りもされているんだと思うんですが、田母神氏が論文と同趣旨の持論を自衛隊内で講話や訓話で繰り返していたと、こういう事実としては把握をされているということでよろしいでしょうか。
  310. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 今回、防衛省におきましては田母神航空幕僚長が在任中に行った訓示、講話等の可能な限りの調査を行ってまいりましたけれども、これまでの調査で判明した範囲において、航空幕僚長在任中に訓示、講話等を合計八十六回実施していることが明らかになりました。
  311. 井上哲士

    ○井上哲士君 その中で、今回の論文と同趣旨の持論を展開をされたものがあるということを把握をされておりますか。
  312. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 今回の公表というお話が今ありましたけれども、原稿や記録の有無について可能な限り調査を行ってまいりましたが、そもそも訓示、講話等については組織的に作成した原稿、記録が必ずしも残っているわけではございませんで、現時点で十三件の原稿が確認されております。これについては既に提出をさせていただいているところであります。
  313. 井上哲士

    ○井上哲士君 参考人質疑の際も、熊谷で行った講話については田母神氏もほぼその内容論文と同様のものであったということを認められておりますし、各地でそういうことが行われたということが様々あるわけですね。先日の審議の際に総理も、職務としてこういう侵略戦争正当化等の話をするということがあれば、これは不適切だというふうに言われました。  ですから、そういう不適切なやはり講話、訓話が空幕長として繰り返されていた、そのことを見逃してきた、問題にしてこなかったということの責任についてはどうお考えでしょうか。
  314. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) いろいろな御質問の中でも私お答えをさせていただいておりますけれども、確かにそのカリキュラムの見直しというのはしていかにゃいかぬとも思っておりますし、これからどういった形にするのかも含めて、今後、しっかりと体制をつくっていきたいというふうに思っています。  先生の御指摘の部分を我々も認識をしながらやっていきたいというふうに思っているところであります。
  315. 井上哲士

    ○井上哲士君 今聞いたのは講話、訓話の話なんですが、今答弁あったのは幹部教育の話だと思いますが、講話、訓話が繰り返されたことへの責任ということであります。    〔理事浅尾慶一郎君退席、委員長着席〕
  316. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 確かにチェック体制が甘かったという御指摘、これはもう当然のことだと思っておりますし、それを真摯に受け止めてやっていきたいということでございます。
  317. 井上哲士

    ○井上哲士君 さらに、先日の質問の際は、統合幕僚学校で田母神氏が新設をした歴史観・国家観の講義について質問をいたしまして、あの論文と同じような中身を教え込む内容になっているということを指摘をいたしました。  あの質問の際には、まだ大臣はカリキュラムの中身については把握しておりませんと、確認したいということでありまして、その後、一定の資料は提出をされたわけでありますけれども大臣自身は、こうしたものに目を通されてどこに問題があるという御認識をされているでしょうか。
  318. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 講義の内容につきましては、歴史観・国家観の講義はその記録が残されておりませんで、詳細に分析しているわけではございませんけれども、部外講師が御自身の見解を講義して、幹部自衛官が様々な見解があることを学ぶことは直ちに否定されるべきものではないと考えておりますが、講師の選定につきましては、講師名のみによって教育が偏向しているか否かを論ずるのは適当ではないと考えますが、その意味では、皆様方から御指摘いただいたように、バランスを欠いているというような印象を受けるというのもこれはもう当然、私もそう思いました。これからは、そういった皆様方からのいろんな御意見を受け入れながらしっかりとやっていくべきだと思っております。  ですから、今御指摘があったように、こういったカリキュラムを考えるときにも、講師というものを適切に考えながらやっていきたい。ですから、今回の場合、少々適切であったとは考えられない、難しいというふうに思っておるところであります。
  319. 井上哲士

    ○井上哲士君 適切であったと言うのは難しいということでありました。確かに、講師を見ますと、先ほど質疑にもありましたけれども、新しい教科書をつくる会の方などに偏っているというものでありますが、ただ、その講師のバランスだけの問題なんだろうかと思うわけですね。  防衛省から平成二十年度の幹部高級課程の教育実施計画をいただきましたけれども、言わば計画として、歴史観・国家観の講義では、主要教育内容として、憲法の問題点とか大東亜戦争史観とか東京裁判史観というものがその主要教育内容として挙げられているんですね。こうやってこの実施計画で主要教育内容を決めて、これに沿った講義を講師に依頼したと、こういう流れだと思うんですけれども、それでよろしいでしょうか。
  320. 渡部厚

    政府参考人渡部厚君) お答えいたします。  歴史観・国家観の講師及び主要教育内容につきましては、基本的には統幕学校の教育課長が、それまでの実績等も踏まえまして、講師それから主要教育内容を含みます一般課程の教育実施計画案というものを作成いたしまして、統幕学校長がその計画を決めていたということでございまして、その主要教育内容の方が先か講師の方が先かという御質問かと思いますが、その辺の詳細な経緯につきましてはこれまで確認できておりません。
  321. 井上哲士

    ○井上哲士君 当時の教育課長の坂川氏、その後講師もされておりますけれども田母神氏と相談してこのカリキュラムを決めたんだと、こういうふうに言われているんですね。ですから、教育実施計画として教育を決めているわけでありますから、当然こういう内容に沿った講師が依頼をされて、講師はそれに沿ってお話をされたんだろうと思うんです。ですから、講師のバランスということはもちろん問題でありますけれども、そもそもこういう教育内容、カリキュラムを作ったことに一番の私は大本があると思うんですね。  こういうこの教育内容については、大臣にはどういうふうに報告をされていたんでしょうか。
  322. 渡部厚

    政府参考人渡部厚君) お答えをいたします。  先ほど申しましたように、この実施計画につきましては統幕学校長が決めていたということでございますが、その計画を定める際に防衛大臣まで報告していたかどうかということにつきましては確認できておりません。
  323. 井上哲士

    ○井上哲士君 内局には報告あったんですか。
  324. 渡部厚

    政府参考人渡部厚君) この教育実施計画につきましては、統合幕僚学校の統合教育及び調査研究に関する達というものに基づいて教育課長が案を作って統合幕僚学校長が決めるということになっておりますので、その達に基づいて作られたということでありまして、当時、内局に話があったかどうかというところにつきましても確認されておりません。
  325. 井上哲士

    ○井上哲士君 そうしますと、現時点においてもいわゆる統合幕僚学校等の教育内容については内局は知らない、あずかり知らないということでいいんですか。そんなことでいいんですか。
  326. 渡部厚

    政府参考人渡部厚君) 答弁いたします。  一般課程の教育実施計画全体につきましては内局の方にも報告されております。  ただ、先ほど申し上げましたように、講師の選定とかあるいは主要教育内容というところ、細部まで報告があったかどうかにつきましては確認されていないということでございます。
  327. 井上哲士

    ○井上哲士君 この歴史観・国家観というのは、それまでなかったのに新たに設置をされたわけですね。なぜそういうものができたかとか、当然、私は内局また大臣なりがしっかり見ておくことが必要だと思います。  大体それまでこういう講座がなかったのになぜ田母神氏がつくったのかと。本委員会での参考人質疑の際に、日本をいい国だと思わなければ頑張る気になれない、きっちりとした歴史観、国家観なりを持たなければ国は守れないと、こういうふうに言われました。  つまり、先ほど大臣も否定をされた、日本が侵略したということを否定しなければ国は守れないという前提で歴史観を教え込もうということでこの講座をつくったということを本人がやっぱり言われているわけですね。そうであるならば、私は講師だけの問題ではなくて、こういう講義そのものが必要なのかということも、そういう廃止も含めてまさに抜本的な検討がされなくちゃいけないと思いますけれども大臣、いかがでしょうか。
  328. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 当然、今先生から御指摘がありましたことを我々も念頭に置きつつ、何が良いか、当然そこまで踏み込んで計画を変えるのか、その課程をなくすのかどうかも含めて、また検討していきたいというふうに思っているところであります。
  329. 井上哲士

    ○井上哲士君 廃止も含めた検討をするということでよろしいですか。
  330. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) その部分に関しては、そういった選択肢を含めて検討させていただきたいというふうに思っております。
  331. 井上哲士

    ○井上哲士君 結局、自衛隊が専守防衛の範囲を超えて海外派兵を拡大をしてきたということが矛盾を生んで、そのためにこういう講義が必要になってきているということだと思うんですね。私は、やはりその大本にあるこういう派兵そのものをやめるということが必要だということも言っておきたいと思います。  次に、この懸賞論文を航空幕僚監部が全国に紹介をしております。そして、多数の応募がされたわけでありますが、大臣直轄の防衛監察本部がその経緯を調べる監察を行っておりますが、その対象と目的及び現在把握している事実について御報告いただきたいと思います。
  332. 中江公人

    政府参考人(中江公人君) お答えをいたします。  お尋ねの防衛監察につきましては、今般の事案を踏まえまして、今年度の定期防衛監察の対象項目の一つであります法令遵守の意識、態勢の一環として実施する旨防衛大臣に報告をし、十一月十一日から防衛監察本部が航空幕僚監部並びに第六航空団等を対象に実施をしております。監察の内容につきましては、この法令遵守の意識、態勢という観点から、今回の懸賞論文への応募に至った経緯、手続等につきまして全般的に実施をしているところでございます。  その監察の内容につきましては、現在まさに監察の途中でございますので、現時点で確たることを申し上げる状況にはございません。
  333. 井上哲士

    ○井上哲士君 この紹介を受けて小松基地では幹部論文のテーマをわざわざ懸賞と同じようなものにしてやっておりますが、この小松基地で行われてきた幹部論文のテーマというのはこの五年間はどういうふうになっていたんでしょうか。
  334. 渡部厚

    政府参考人渡部厚君) お答えいたします。  過去五年間で小松の第六航空団が計画しました幹部論文平成二十年度のみでございまして、そのテーマは真の近現代史ということでございます。
  335. 井上哲士

    ○井上哲士君 次官の記者会見では、航空自衛隊においては幹部に論文を書くようにということを恒常的に行っていると理解しておりますと言われましたが、今答弁がありましたように、小松基地における幹部論文というのは五年間やっていなかったんですね。それがこの年に、今年わざわざやって、そしてしかもテーマはこの懸賞論文に合わせたと。ですから、自己研さんというよりも、特定の民間企業の行う懸賞論文に募集を促すためにわざわざ五年間やっていなかった幹部論文を課したということなんですよね。驚くべきことだと思いますが、なぜこのようなてこ入れといいましょうか、便宜供与をしたんですか。
  336. 渡部厚

    政府参考人渡部厚君) お答え申し上げます。  懸賞論文募集の紹介に至る経緯につきましては、これまで調べたところによりますと、航空幕僚監部の教育課長が五月十五日に新聞でアパグループの懸賞論文募集の広告を知りまして、これが幹部自衛官の自己研さんに好ましいと判断しましたことから、同課において、五月の十九日から二十日にかけまして各部隊に対しまして懸賞論文募集について紹介するファクスを送付したということでございます。  第六航空団におきましては、このファクスを受けていたわけでございますけれども、八月に至りまして、第六航空団の司令の方から、先ほど申し上げました真の近現代史観をテーマとする幹部論文を作成するように指示をしたという経緯でございます。
  337. 井上哲士

    ○井上哲士君 経緯は分かっているんですね。  これまでの答弁でいいますと、毎年幹部論文が課せられていて、たまたま今年はこれに合わせたというふうに多くの人は受け止めたと思うんですが、実は五年間は全く幹部論文なんかしていなかったと。それをわざわざ書かせて懸賞に応募をさせたという非常に異常な、異例なやり方が行われていたということなんですね。  大臣、お聞きしますけれども、こういうことがなぜ起きたのか。このアパグループという民間企業の懸賞論文になぜこのような異例の対応がされたのか。そして、このアパグループのホテルは小松基地の宿舎の三割も契約しているという報道がありましたし、この間議論になってきたように、この会長の元谷氏に大変異例の体験搭乗も戦闘機にされていると。こういうことも含めて、癒着の関係はなかったか等も含めて、どうしてこういうことになったかということを更に徹底して解明をする必要があると思いますけれども大臣、いかがでしょうか。
  338. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 今、我々とすれば、先生のおっしゃったような疑問に対してお答えできるかどうかも含めて、今いろいろな角度から検討しておるところでございますし、我々とすれば今のところそういった事実はないというふうには思っております。しかし、まだ足らざるところがあれば、それはしっかりと説明できるだけの調査、そして並びにそれだけの我々の確たるものを持ちたいというふうには思っているところであります。
  339. 井上哲士

    ○井上哲士君 この問題発覚してもう一か月以上たっているわけでありまして、なぜ航空幕僚監部が全国に紹介をしたのか、そして、小松基地が突出してそれに応募をしたのかということはこの問題の一つの核心を成す問題だと思いますが、いまだにそういう状況というのは大変私は遺憾でありまして、更に徹底した解明を強く求めたいと思います。  最後、法案に関連をして幾つかお聞きをいたしますが、この間の議論の中で、アフガニスタンの治安が著しく悪化をして情勢が泥沼だということを指摘をしてまいりました。当委員会で、米軍や多国籍軍の空爆が一般市民に犠牲をもたらし続けるということを看過できない問題として直ちに中止を求めるべきだということを言ってきたわけでありますが、その中で日本政府は、米軍の活動にアフガニスタン政府が同意を与えていると擁護をしてきましたけれども、実はその同意なるものが二〇〇二年の当時の暫定政府時代に交わされた覚書であって、内容的には事実上の白紙委任と言えるようなものであったということ、そして、その下でアフガニスタン政府が見直しを求め、とりわけ空爆の中止を求めているけれども、市民の犠牲が増え続けている、アフガニスタン政府自身が繰り返し空爆中止を求めてきたけれども、聞き入れられなかったと述べているということを指摘をしてまいりました。  それで、その質疑をしていた十一月の三日にアフガンではまた被害者が出ておりまして、カンダハルで結婚式の会場が空爆を受けて、女性や子供を含む民間人三十六人が死亡したと言われております。そして、一番直近でいいますと、つい十日の未明にアフガニスタン南部のザブール州で、何と地元の警察署が空爆をされております。掃討作戦中に警察署の近くから銃撃を受けたということで正当化をしておりますが、警察官六人が米軍の空爆によって亡くなっておるんですね。  ですから、治安活動の援助だと言いながら、警察を米軍が空爆するという驚くべき事態が起きているわけでありますが、外務大臣にお聞きいたしますけれども、アフガニスタン政府がこれほど要請をしながらそれが聞き入れられていないと、こういう実態があることについてどういうお考えをお持ちでしょうか。
  340. 橋本聖子

    ○副大臣橋本聖子君) アフガニスタン政府は、米国等がアフガニスタンの領域内で実施している活動に関しまして一般市民に被害が及ばないよう要請を行ってきておりますけれども、アフガニスタンにおける治安維持回復活動そのものを中止するよう求めているものとはこちらは理解をしておりません。治安の回復、麻薬問題等が山積をしておるアフガニスタンの復興が依然道半ばである中、国際社会は部隊を増派するなどして懸命の努力を続けている状況です。  我が国としては、テロとの戦いは息の長い取組と認識をしておりまして、国際社会と協調をしながらアフガニスタン政府の努力を今後もしっかりと支援していく考えであります。
  341. 井上哲士

    ○井上哲士君 政府の答弁が一年間ちっとも変わらないということを私この間指摘をしてまいりましたが、今も言いましたように、警察すら空爆をされるという事態が起きております。  カルザイ大統領は、オバマ氏の大統領選勝利が確定をした十一月の五日に、アフガンの村落における空爆や戦闘ではテロとの戦いに勝てない、民間人の犠牲を食い止めることが我々の最優先の要求だと、最優先だと言っているんですね。こう言って、一般市民の犠牲者を出さないように次期オバマ政権に求めるという意向を表明をしているんです。  このカルザイ大統領が最優先と言っている要求に私はこたえて、外務大臣、是非このアフガンのカルザイ大統領の叫びを受け止めろということを新しいアメリカ政権に言っていただきたいと思いますけれども大臣、いかがですか。
  342. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 一般の民間人が本当にそういうような空爆によって負傷したりするということは、もう当然のことながら避けなければならないことでありまして、これは米軍等も十分に注意をしていることでございます。ただ、アフガニスタンにおきましては、反政府勢力が逆に意図的に民間人を巻き込む、そういう戦術を取っているというようなところもありまして、そういうところからも民間人もかなり多数犠牲となっていると、そういうふうに聞いております。  一方、テロとの戦いを続けておりますアフガニスタン政府、それから国際部隊の活動によっても、今委員がおっしゃっていますように、犠牲が一般市民に出ているということでございます。アフガニスタンの国民政府、それから国際社会、双方が一日も早いアフガニスタンの安定と復興を望んで今懸命な努力を続けているわけでありますけれども、今おっしゃいましたようなこうした無辜の民間人に犠牲者が出てしまうということは、本当に心が痛むことでございます。  治安・テロ対策が必要であるからこそ、一般市民の被害を最大限回避するということは当然のことでありますけれども、米国等も各国もこういう点は十分に配慮して活動を行っているものと、そういうふうに私は認識をしております。
  343. 井上哲士

    ○井上哲士君 配慮とは言えないような実態が起きているというのが、今の結婚式場の空爆であり、警察署まで空爆をされたということがあるわけですね。私は、それがむしろ事態の解決に逆行しているということを繰り返し求めてまいりました。  当委員会の参考人質疑でも、ペシャワール会の中村哲現地代表が、テロは軍事力では絶対になくならない、ますます拡大する、外国の空爆が治安悪化に拍車を掛けているというふうに厳しく指摘をされました。先日、アフガンNGOの調整事務所代表代行のサター氏が来日をされ、国会内でも迎えての集会があったわけですが、その場でも、軍事で平和は生まれないとして、むしろ日本政府に対しては和解交渉や人道支援の促進で指導性を発揮してほしいということを言われておりました。  この声にこそこたえるべきだと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
  344. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) アフガニスタン政府は、かねてから国内和平を推進する、そういう強い決意を表明をしてきていると、そういうふうに承知をいたしております。  我が国は、アフガニスタン政府によりますこういう和平の取組というものは、当然のことながら同国に政治的な安定をもたらすと、そういうことでアフガニスタン政府のこの取組を支持しているわけでございますが、他方、タリバン指導部が、政府側からの和平の交渉が行われていると、そういう報道を否定をするなどして現地では非常に複雑な情勢が続いていると、そういうふうに承知をしておりまして、困難な道のりも今予想されているところです。  我が国としては、まずはアフガニスタン政府がやっておる主体的な和解努力、これの動向を十分に注視をしながら、今後、同国の政府の要請など、そういうものも踏まえながら、どのような効果的な支援ができるか、そういう点を検討していきたいと、そういうふうに考えております。  いずれにいたしましても、このアフガニスタン政府によります和平の取組というのは治安・テロ対策に直接すぐ代わるというものではなくて、アフガニスタンを今囲んでおります、含んでおります国際情勢、国際社会というのは、依然としてアフガニスタン国軍やそれから多国籍軍による治安・テロ対策が必要である、そういう認識で一致をしていると、そういうふうに思います。  我が国といたしましても、いつも申し上げていますが、アフガニスタンをテロの温床にしないと、そういうことで、そのために引き続いて治安・テロ対策、それから人道復興支援、双方に取り組んでいく、そういう考えであります。
  345. 井上哲士

    ○井上哲士君 時間ですので終わりますが、和平へのアフガン政府の努力にもむしろ逆行する軍事掃討作戦への支援につながる給油延長はやめるべきだと申し上げまして、質問を終わります。
  346. 山内徳信

    ○山内徳信君 私は、質問に入ります前に所感の一端を申し上げたいと思います。  田母神氏の問題が発生してから何回か委員会開かれてきましたが、今日の委員会における質問、答弁、とりわけ答弁を静かに聞いておりますと、見解は差し控えておきたいとか、自らの認識を努めて示さないような答弁が目立っております。私は、これは一体何だろう、日本政治の貧困なのかなと、こういうように勝手に思ってみたんです。  田母神問題が発生して、政府当局、参議院を含めて、議会を含めて、みんな真剣にシビリアンコントロール一体どうなっているんだ、これからどうなっていくんだ、戦前の轍を踏むのかと、こういう深刻な受け止め方があったと私は考えております。ところが、何かしら、今日からの答弁を聞いておりますとその深刻さが薄れてきたのかなと、こういうように思っております。  もし、私の今申し上げたことに間違っておるとするならば後で撤回しても構いませんが、偽らざる私の印象でございます。  さて、前書きは余り田母神問題については要しません。田母神氏をここまでばっこさせた背景、要因は一体何だろう、ここまで反憲法的な言動を許したのは一体何だろうと。このことについて御三名の大臣から簡単に一言ずつお答えをいただきたいと思います。
  347. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 前々から私申し上げているとおり、我が国の憲法の中には言論の自由、そしてまた思想の自由というのがあるわけでございまして、そういった意味合いにおいては、そういったバックグラウンドの中での、大変逆に言えば自分たちの考え方が表に出せるというような状況が出てきたことは事実だろうと思っておるわけでございます。  そうした中でやはり、しかしながらそこで、言論の自由は認められているけれども自分の意見、自分立場をやることによって、そこではっきりと自分の意見を言いながらも自分立場考え発言をするというのは当たり前の話でありますので、逆に言えば、これが余り内にこもり過ぎるというのも大変問題だろうと思っておるところでございますので、ある面でいえば、今回の事案に関して言えば大変問題であったわけでありますけれども、その逆の面もあるということを我々は認識しなきゃいけないというふうに思っておるところであります。
  348. 河村建夫

    国務大臣(河村建夫君) 基本的に今防衛大臣御答弁なされた共通の認識を持っておりますが、自衛官がいろんなケースでいろんなことをお考えになること、そのことは自由であろうと思います。しかし、やはり日本の国家においてはシビリアンコントロールというのが極めて重要であると。やっぱりその認識が十分あればあのような不適切な発言にならなかったのではないか、このように考えます。
  349. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 先ほどからお話ありますけれども、個人の見解、個人の考えというものも憲法で保障されているものでありますが、やはり私は、立場をわきまえて、そして日本政府方針政策とはやっぱり合致したそういう言動を取ってもらいたいなと、そういうふうに思っております。  いろいろ今までの御審議の中で、これはまあ他省庁のことでございますから私から発言するのはいかがかと思いますが、今回のこの問題を通じて組織の在り方、教育在り方等々いろいろ、またシビリアンコントロールの在り方等々御議論がありましたので、私も政府の一員として、今後信頼される防衛省自衛隊のために一丸となってやっていくということが大事だと思っております。
  350. 山内徳信

    ○山内徳信君 私の見解は、発言権が個人にあるにしろ、基本的人権であるにしろ、こういう職責の人がああいう発言、ああいう論文は許されない。それが許されるならば、それは大変であります。  したがいまして、今日のこの総括質疑の後、私は、政府側から、今回の田母神発言あるいは言動等々を許したのは政府側のシビリアンコントロールが利いていなかったと、そういう意味でこの委員会責任ある立場から一言、やはり、何といいますか、謝罪というのか、今後そういうことは再発させませんという決意の一言は欲しいと思っております。  どなたかお一人、最後にお願いいたします、最後に。私の質問の後、どこがいいかは委員長が御判断なさると思います。私は是非お願いしたいと思います。  この委員会は、立場を超えてすべての政党がこの問題については本当に深刻に受け止めております。皆さん方大臣皆さん方に負けない、それを上回る議会としての責任を感じておるから、あえて申し上げるわけであります。  さて、二番目の問題は、質問通告も出してございませんが、防衛大臣にお伺いいたします。  ずっと最初から今日まで、今日も出ておりましたが、なぜ懲戒処分をしなかったかと。それについては大臣から答弁は、何度も同じ答弁を聞いておりますが、この退職金問題はもう決着を付いたんですか、あるいは与党の中で何か法案等の準備があるのかないのか、お伺いしたいと思います。
  351. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 退職金に関しましては支払をされております。これは手続にのっとりまして、十二月の二日にこれは制度にのっとって行われたところであります。いずれにしても、御本人の方は自主的に返納しないということを確認をしております。  今のところ、その後の制度等のお話に関しましては、これは私の答えるところではないと思いますので、お話はここまでにさせていただきます。
  352. 山内徳信

    ○山内徳信君 小さい質問は元々私の性格には合わないんですが、責任論の立場からあと一点お伺いいたしますが、大臣は今回の田母神問題で、御自身は何か、新聞で見たんですか、一月分の云々がありましたが、それはどうなっていますか。
  353. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) いや、今先生が最後に総括で、謝罪なのか何なのか分からぬがコメントしろというお話をされましたので、私とすれば、今回の件に関しては、監督責任という面から、私の給料の自主返納というのをさせていただいたところであります。それでよろしいでしょうか。
  354. 山内徳信

    ○山内徳信君 はい。私はもう世の中の奇妙さといいますか、それを感ずるんです。問題起こしたのは田母神さんでしょう。そして、シビリアンコントロール、その上司としてきちっと指導できなかった責任大臣は取られて、自ら自主的に返納されたと。問題起こした人はぬくぬくと満額受領すると。こういう政治の感覚、こういう無責任な感覚が通るということは、これは世の中やみですよ。そういうことも申し上げておきませんと、新聞、テレビを通して見ておる国民は納得できぬと言いますよ。  ですから、やはり政治の世界、行政の世界は正義論とか筋論も通しませんとね。今、世の中大変でしょう。職場の問題とか、もう福祉、年金、医療、その他いっぱい問題でしょう。そういう中で、少なくともやはりこういう議論のできるようなところはきちっと襟を正していかなければいかぬと思います。  そこで、質問の一番に入りますが、通告した一番です。今問題になっております田母神氏の論文発言等日本国憲法と政府の基本方針に反するものであります。国民に大きな不安を与えておりますし、同時に日本の未来に対する不安感も与えております。そのことは、文民統制が日常的に機能していないということであります。  先般の外交防衛委員会で彼の発言を受けて、政府防衛省として、今後文民統制としてどのような方策を講じていくお考えでありますか。現時点で具体的な取組がありましたらお答えお願いします。
  355. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 当然もう一度、我々とすれば、服務の宣誓から始まり、そしてあらゆる場面場面においてその確認をしておるところでございます。    〔委員長退席、理事浅尾慶一郎君着席〕  当然、先生御指摘のとおり、一体文民統制というものの在り方としてどういうものがあるのかというお話の中では、そういったものの積み重ねをしっかりとすること、そしてまた、自覚を促すために、我々も新たに他に取る方法があればそれをしっかりとやっていきたいというふうに思っておるところでありますが、現在のところ、任務に邁進するための精神的な部分をどういうふうに士気を上げていくかということに形を置きながら、各部隊の隊長を含め、司令官等を含め、各種つかさつかさにおいてそういった意識を持ち直して隊員に対しての指導を行っているというところでございます。
  356. 山内徳信

    ○山内徳信君 大臣の答弁を聞いておりますと、自衛隊士気の問題とか現場に目が向いておることはよく知っておりますが、全体的な、やはりシビリアンコントロールというこの問題についてはまだ具体的な手付けていないと、こういうふうに理解していいですね。いや、余り説明要らぬですよ。
  357. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 手を付けていないわけではございません。それはしっかりと認識を持ちながら今やっている最中でございますので、ないということではございません。
  358. 山内徳信

    ○山内徳信君 認識を持つということと、具体的に検討に入ったとか内部で議論しておるということとは意味が違うと思います。  私は、やはり政治家と行政関係者が議論を深めていくことは非常に基本であり、大事と思っております。私も、この問題が起こってから、やはりみんなシビリアンコントロールとおっしゃる、文民統制どうするんだと、戦前の轍を踏んではいかぬじゃないかと、こういうところまで認識が一致するわけです。  じゃ、具体的にこれだけの実力組織をどうやってコントロールしていくのか、文民統制の実を上げていくのかという具体的な検討が必要と思っているんです。私は地方自治体におりましたから、それを参考にして私なりに考えてみたんです。  そうしますと、東京から会計検査院が四、五名ずつ、県にも市町村にも来るわけです。で、一年間あるいは二年間の予算だとか事業計画と実施が合っているかどうか全部チェックするんですね。そして、問題あったら東京まで来いと言うわけです。ですから、各市町村、会計検査やはり真剣に受けますよ。そして、間違いがあってはいかぬといって、日ごろから事業に対しても気を付けてやっていますよ。ところが、会計検査を見ておりますと、政府の内部の検査は市町村や各都道府県に対する検査より甘いのかなと、こういうふうに思ったりするんです。各省庁のいろんな問題ありますね。なぜあんなのを見逃してしまったんだろうとか思ったりするわけです。  そういうふうにして、このシビリアンコントロールについて私なりに、これは私が考えたことでございますから、もし参考に生かせるならば、生かす方法はないだろうかと考えてみたんです。要するに、文民統制のシステムをつくると。会計検査院があるのと同じように、まずシステムをつくる。そして、定期的に各現場の実態の視察や調査をやると。行政にはありますよ、教育現場にも。やはり、数年に一回ぐらい現場先生方と、あるいは教育の中身どうなっているんだろうとか意見交換したりやるんですね。そういう体験からして、定期的に現場の視察、調査ができぬだろうかと。そして、そのためには、やはり一つのシステムを機能させるためには、それに必要な人づくりといいますか、陣容が必要になりますね。こういうふうにして、システムあるいは機構でもいいでしょう、機構をつくって、その機構を有機的に動かしていくためにやはり人をはめていく。そして、それを定期的に現場の実態も掌握する。  そういう具体的な取組をしませんと、幾ら防衛大臣がここでやりますとかおっしゃっても、議会対応とかあるいはその他の業務でもう夜を昼に継ぐ、昼を夜に継いでの多忙と思いますよ。そういうふうに中立的な、客観的な、そういうシステムをつくってみたらどんなものだろうかと。そういう具体的に取組をするということが、すなわち、戦前のあの軍隊の暴走を許した、日本政府は不拡大方針を打ち出していても、現地、大陸に行っていた軍隊は暴走したじゃないですか。そういうことの体験、あるいは国内における二回の五・一五と二・二六の体験等々踏まえて、今こそ、浜田防衛大臣大臣政治生命を懸けてこの問題を提起をして方向付けをしていく、そういう覚悟がありましたら、覚悟、決意しますと答弁をお願いします。
  359. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 先生のお考えは、当然お考えとして私も受け止めさせていただきます。  そういった意味において、果たして、一般論として、各国の軍隊の成り立ち、そしてまた我が国の、大戦後の我々の自衛隊というもののやはり存在の在り方というもの、位置付けというのは是非ともまたこれからも議論をしていかなければならないというふうに思っておりますし、現状においてシビリアンコントロールが問題だという御指摘はありますけれども、我々のこのチェックをもう一回しっかりとし直すということに対して、そしてまた、今大変、我々の力不足なのかもしれませんけれども田母神幕長のように、ああいうことをしてしまう方がいるということに対して私自身も大変怒りを感じますし、そしてまた、その中において情けない気持ちでいっぱいであります。  今、自衛官の諸官は大変一生懸命、先ほども申し上げました、努力をしているにもかかわらず、そういったことですべてを疑われてしまうというのはいかがなものかというふうに思っておりますし、大変、私自身とすれば無念でたまりません。そのことだけは申し上げておきたいと思いますし、今後絶対このようなことがないようにしっかりと、一生懸命、まじめな自衛官のためにも頑張ってまいりたい、こういうふうに思っておるところでございます。
  360. 山内徳信

    ○山内徳信君 田母神氏の論文発言、講話等について政府の基本方針、基本認識を、田母神のこの論文発言等についてそれは違うんだと、政府の基本方針はこれなんだと、そういう基本方針とか政府の基本認識を一冊、そんな分厚いものは要らぬと思います、やはりブックレットぐらいにまとめて、国民政府見解はこれなんだというふうに示していくということは、これは説明責任立場から当然政府には義務があると思います、これだけの問題を起こしておるわけですから。そういう意味で、防衛大臣の返事をお願いします。
  361. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) それが、まとめていくことがどういうことなのかも含めて、可能かどうかも含めて我々も考えてまいりたいと思いますけれども、いずれにいたしましても、我々政府の基本方針、基本認識というのは、これは当然あらゆるところで官房長官を始め多くの方がお話をしていただけるものと思っておりますので、そういった一般論としてまた検討をさせていただきたいというふうに思います。
  362. 山内徳信

    ○山内徳信君 政府は、それぞれ省庁には国民向けの宣伝用の予算もいっぱいありますから、これはやはり是非やってほしいと、そういうやっていくという前向きの答弁であったと認識しておいてよろしゅうございますね。
  363. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) それも含めて検討させていただきます。
  364. 山内徳信

    ○山内徳信君 私は、もう浜田大臣にすごい大臣だと、そういうふうになってほしいのよ。いつも一言、片足脱いでおるじゃないですか。これじゃいかぬのよ。任せておけと、このぐらいおっしゃってくださいよ。どうですか。
  365. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 検討することを任せていただければと思います。済みません。
  366. 山内徳信

    ○山内徳信君 今の話を外務大臣、官房長官お聞きですから、ひとつよろしくお願いします。  私、基地問題やあるいはこの間WTOの件でも外務省をお訪ねして、この委員会のたびに外務大臣とか防衛大臣等々をいつも厳しくといいますか、いや、温かく叱咤激励をしておるわけです。ですから、その後中曽根外務大臣もどんな思いでいらっしゃるんだろうかと、たまに私も人間的な気持ちになるんですが、今日は、外務大臣よく頑張られたと、こういうことで、お褒めというと失礼になりますが、私の評価を申し上げたいと思います。  先般、中曽根外務大臣は、オスロで開かれたクラスター爆弾禁止条約の署名式に出席されました。平和憲法を有する日本として喜ばしいことであり、平和への道へのこれは具体的な第一歩として私は評価をしたいと思います。やはり大きな平和に達するためには一歩一歩積み重ねていくことが必要と思います。  ところが、こういう条約にまだ署名していない超大国がございますね。アメリカとかロシアとか中国、インド、こういう大国が人類のために、世界平和のためにやはりこういうクラスター爆弾を使用しないと、そういうふうな方向付けを是非日本政府として働きかけ、御尽力をいただきたいと、こういうことを外務大臣にお願いしたいと思います。どうぞ。
  367. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 今委員からお話ありましたけれども、十二月三日にクラスター弾の禁止の条約に、ノルウェーのオスロに参りまして私が署名を行いました。このクラスター弾がもたらす人道上の懸念、これへの対応に向けた国際協力を促進する、それが非常に大事だと、そういう見地から今回のこの署名というものは大変私は歴史的な意義があるものだと、そういうふうに思っております。これは、私が参りましたけれども、福田総理のときに御決断されたものでありまして、我が国の政府の大きな一つの政策でございます。  今お話ありましたけれども、この条約の第二十一条の一項では、締約国が非締約国に対して条約を批准するようにと、そういうふうに奨励することを規定しているわけでありまして、我が国がこの条約の締約国となりました場合には、この規定に従って行動することとなります。  他方、政府としては、このクラスター弾の主要な保有国、それから生産国も締結しておりますCCW、これは特定通常兵器使用禁止制限条約でございますが、これの枠組みにおいてクラスター弾の人道上の懸念に対処するための実効的な国際約束が作成されることも大変重視をしておりますけれども、残念ながら今年のCCWでの交渉では最終的な合意には至りませんでしたけれども、このクラスター弾に関する交渉は来年も継続されることとなっております。我が国としては、引き続いて積極的にこのCCWでの交渉に参加をして、アメリカ、ロシア、中国など今回の署名に参加をしなかった国々に対して、この実効的な国際約束の作成について働きかけを強く行っていきたいと思っています。
  368. 山内徳信

    ○山内徳信君 ありがとうございます。  私は、こういう条約の締結にとどめるんじゃなくして、人類初の原子爆弾を撃ち込まれた被爆国でございます。したがいまして、日本政治として、日本の外交としてやはり核兵器の廃絶、このことは、私も何度か広島、長崎のあの大会に出ておりますが、やはり被爆者の皆さん方あるいはその地域の皆さん方日本国民全体として、本当に世界に向かって日本政治がやはり核兵器の廃絶をやっていこうというのは、これは日本責任だろうと思います。人類が滅亡しない、そういう方向を目指して、日本の動きというのは世界を動かす力になっていくんだろうと、こういうように思っておりますから、おいおいそういうところにも御尽力を賜りたいと思います。  次に、ブッシュ大統領は在任八年を顧みまして、あなたの大統領として一言反省すべきことがあるかと問われましたときに、最大の痛恨事はイラク情報の誤りであったと。こういうふうにアメリカ政治家とかアメリカ人間は、やはり日本国民とちょっと違いまして非常にすかっとしたところがありますね。謝るところはきちっと謝りますよ。私は二十四年間、もう毎月アメリカ軍の司令官たちと会っていますが、怒るときは怒る、ところが、やはり彼らも謝るときちゃんと謝るんですね。そういうことを通しても、アメリカ国民性も若干知っておるつもりでありますが。    〔理事浅尾慶一郎君退席、委員長着席〕  日本政府は、ブッシュ大統領の、テロに付くのかアメリカに付くのかと、こう国際社会に迫ってきたときに、日本は結局ブッシュ大統領のイラク戦争を肯定して追従していったわけですね。したがいまして、アメリカのイラク戦争への加担は、やはり今静かに考えてみたら誤りであったという反省の気持ちが日本政府にありましたら、是非あってほしいんです、ありましたら、国民に向かってそのお気持ちをお聞かせいただきたいと思います。まず、総理大臣に代わって官房長官からお願いします。
  369. 河村建夫

    国務大臣(河村建夫君) いみじくも山内先生御指摘ありましたように、ブッシュ大統領は、顧みて最大の痛恨のことはイラクの情報の誤りだったと述べておられます。ブッシュ大統領は、対イラク武力行使の決定自体を、ついてではなくて、イラクの大量破壊兵器に関してアメリカ政府が収集した情報が結果として誤っておったんだということを認めたわけであります。  当時、イラクは、十二年間にわたって累次の国連安保決議に違反をし続けましたし、国際社会が与えました平和的解決の機会を生かそうとしませんでした。最後まで国際社会の真摯な努力にこたえようとしなかったことは事実であります。またイラクは、過去実際に大量破壊兵器を使用した事実とか、あるいは多くの大量破壊兵器に関する疑惑が存在しておったということ、これは国連査察団の報告等でも明らかになっておるところでございます。  このような認識の下で、日本政府は、主体的な判断に基づいて、安保理決議に基づいて取られた行動を支持したものであって、でありますから、今日振り返ってみても、日本の取った行動は妥当性を失うものではないと、こう思います。  要すれば、イラクにおいては、我が国を含む国際社会の地道な支援を受けて、憲法に基づく民主的な議会及び政府が成立をし、重要法案を成立させる等の進捗が見られております。また、昨年の夏以降、治安状況も全体として改善傾向にあるわけでございます。日本は年内に航空自衛隊の輸送任務を終了させるわけでありますけれども、引き続いてイラクへの支援を継続していく、また政治対話の強化にも加えて、石油分野を含む経済、ビジネス関係も強化しながら、長期的な友好関係の構築に向けて取り組んでいくと、こういう所存でございます。
  370. 山内徳信

    ○山内徳信君 私は、三十分までの持ち時間、あと十何分間しかありませんから、両大臣の答弁は取り消しておきます。  ただ、官房長官、長々と後ろに座っている職員が書いたのを読み上げるんじゃなくて、官房長官は政治家だから、アメリカのブッシュはそう言った、日本がやはりイラク戦争を検証してどうだったこうだったというのはもう少し先に延ばしたいぐらいおっしゃったらいいんですよ。それを余り弁解じみた言い方は、もう同じ答弁、何回も聞いておるんですよ、この委員会は。ですから、私はもう前に進めていきます。  それから、昨日、防衛省から補給支援活動の実績というのが届いております。これはすごい表でございまして、これは是非やろうと思っておりますが、答弁はよろしゅうございます、時間ありませんから。  これは、補給をしております国は九か国、そして補給回数と補給量がここに出されていまして、十一月一日から三十日までの実績が出ております。補給を受けておる国は、アメリカが二回、パキスタンが三回。そして、アメリカはこれは六でございますから幾らですか、パキスタンが二十八回ですね、キロリッターでしたかな、これは。これ、回ですね。補給量は、パキスタンが二百八十キロリッター、アメリカが千五百七十キロリッター。別の国は、フランスなし、デンマークなし、ニュージーランドなし、イギリスなし、カナダ、ドイツ、フランスないんです。こういうふうにもう、実績はこうなっておるんです。  ですから、余り国際貢献だとか国益だと、こうおっしゃらぬで、そのことを強調なさるんじゃなくして、この実態は本当に言われているほどではありませんし、是非、給油活動はここら辺で中止をすべき一つのタイミング、チャンスと思いますよ。それをあえてまた、今日採決をして、さらに衆議院に持っていって再可決をすると。この歴史上のチャンスを、やはりチャンスというのは逃がしたらいかぬのですよ、つかむ必要があると思っております。そういう提起だけして、お答えは今日は求めません。  それから、新聞報道によりますと、七月の下旬、アメリカ大統領の特使が日本にやってきて、アフガンの治安維持費として五年間で二百億ドル、日本円にして約二兆円の支出を日本政府に要求しております。これは事実ですか、外務大臣
  371. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 七月の後半に、今委員がおっしゃいましたように、アメリカのこれは国防次官補でございますが、次官補代理が来日いたしまして、アフガニスタン情勢に関して政府関係者と意見交換したのは事実でございますが、今お話ありましたような支出を日本政府に要求しているということはございませんでした。
  372. 山内徳信

    ○山内徳信君 よく分かりました。  外務省はこれを受けて、補正予算編成時にアフガン関連の国連機関への拠出金として約四百億円を組み込むことを検討したと報道されておりますが、これは事実でしょうか。
  373. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) お尋ねのような、米国からの要請を受けまして補正予算にアフガニスタン関連で約四百億円組み込むと、そういうことを検討した事実はございません。
  374. 山内徳信

    ○山内徳信君 ありませんね。
  375. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) はい、ございません。
  376. 山内徳信

    ○山内徳信君 よく分かりました。  現在の金融危機、国民経済はもう危機に瀕しておる状況であります。したがいまして、二兆円の支援などとんでもない話であります。ただ、アメリカは本音でしょうね。この間、先週でしたか、何げなくテレビにアメリカ大使が、現在の大使が映っていたんです。そうしたら、その話もちょこっと聞き漏らしてしまったんですが、どうも日本に日米再編の、日本から、あるいは沖縄からグアムに移っていく、その費用が莫大な費用掛かるんで、三兆とかなんとかを普通言われていますね、そういうこともあるんで、やはりその面に日本政府は協力してほしいという趣旨のことを大使は言っておるなという感じしたんですが、これは私の見間違いですか。何かありましたかな、外務省に。
  377. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 済みません。御質問の趣旨をもう一度おっしゃっていただければ有り難いんですが。
  378. 山内徳信

    ○山内徳信君 私もその後確かめてもないんですが、テレビに駐日アメリカ大使が映っていたんです、大使が。そして、それ、ちょっと通りすがりでしたから全部は聞いてないんですが、日米再編について、グアム移転について相当経費掛かるんでひとつ日本政府も協力してくれよとか、決められた負担は持ってくれとか、そういう趣旨のコメントをしていらっしゃるのかなと思ったんですが、そのことについて、それは事実だったかどうかを聞いております。
  379. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 私、そのテレビなりの報道を拝見しておりませんけれども、恐らくその大使のおっしゃりたかったことは、この米軍再編をロードマップにのっとってしっかりとやってほしいと、そういうことではないかと思います。
  380. 山内徳信

    ○山内徳信君 私が不信感を感じたのは、なぜ大使ともあろう者がテレビを通してそういうのを国民に向けて訴えると。日本外務大臣とかあるいは総理大臣アメリカのテレビを通してアメリカ国民にそういうお金の話とか経費の話までやりますか。ここまで、いやいや、答弁要らぬですよ。ここまでやるのはおかしいと思ったんです。ですから、やはり主体的な外交を展開してほしいと私は申し上げたいわけであります。  次に、もう時間も余りございませんから、この間、一日から五日まででしたか、沖縄の嘉手納飛行場とか普天間飛行場にFA18ホーネット戦闘機が岩国からもういっぱい集まりまして、深夜、早朝関係なく、どんどんどんどん訓練やっておるわけです。  そこで質問は、日米政府で航空機騒音規制措置というのができています。分かりやすく申し上げますと騒音防止協定と普通呼ばれておるものでありますが、これは無視すべきものですか、守るべきものですか、外務大臣。──いや、これはもう外務大臣大臣に。
  381. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 米軍機によります騒音の問題というのは、もう当然のことながら、周辺の地域住民にとりましても大変深刻な問題でありますし、また迷惑な問題であると、そういうふうに認識をしております。  政府といたしましても、そういう地域住民、周辺住民の皆さんの御負担を軽減するために、これまでも累次の機会に米側に対しましてこの騒音規制措置を遵守するようにということは再三申入れをしてきているわけでございます。  今後も米側に対してはこのことを強く働きかけていこうと、そういうふうに思います。
  382. 山内徳信

    ○山内徳信君 実力集団は、日本アメリカ軍も、やはり責任ある立場のそういう意見も聞かない、やりたい放題にやっているんですね。そして、ホワイトビーチには無通告の原子力潜水艦がもう何度も入っておるんです。  そういう状況があって、今日は、騒音防止協定は日本外務省としてあるいは政府当局として絶対に守らすと、こういう決意をお聞きしておきたいんです。外務大臣
  383. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) ただいま申し上げましたけれども、この航空機の騒音規制措置、これを遵守するようにというのは、度々米側には我が国の方から申入れをし、要請をしているところでございますので、今後もその点はしっかりと地域住民の皆さんのそういう安全のためにも申入れをしていきたいと思っております。
  384. 山内徳信

    ○山内徳信君 私は、是非、首相官邸か外務省に米軍の責任者を呼んで、外交防衛委員会でも問題になっておると、双方で決めたのは守ろうやと、こういうふうに強くおっしゃってください。そのことをお願いをして、最後質問に移ります。  麻生総理は、今回の金融危機を百年に一度の経済危機とおっしゃっております。そして、国内における労働者の首切り、内定取消し、年金、医療、介護、福祉が崩壊の危機に瀕しておるわけです。深刻な政治的問題、社会的問題になっております。  そういう時代に、何兆といいますか莫大な予算を掛けて、亜熱帯の自然環境、海の環境を破壊して、ジュゴンのすむ沖縄の海にアメリカ軍は強引に、その再編協議の結果云々で普天間基地の代わりにもう一つ、辺野古の海を埋めて飛行場を造れといって理不尽に要求してまいりました。したがいまして、新しい基地を造るんじゃなくして、普天間飛行場は即時閉鎖、返還をしていただきたいと。  もう時間でありますから答弁は求めませんが、ひとつ防衛大臣外務大臣も官房長官も、是非、基地負担の軽減ということが大義名分になっていますから、普天間の即時返還をお願いを申し上げまして、終わります。  ありがとうございました。
  385. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 他に御発言もないようですから、テロ対策海上阻止活動に対する補給支援活動実施に関する特別措置法の一部を改正する法律案に対する質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  386. 徳永久志

    ○徳永久志君 私は、民主党・新緑風会・国民新・日本を代表し、ただいま議題となりました補給支援特措法改正案について、反対の立場から討論をいたします。  今回の改正案は、いわゆるテロとの戦いが継続をしているため期限を一年間延長するというものであります。そもそも、政府が法の期限を一年としたのは、当時の官房副長官答弁にあるように、この活動の継続の必要性についてより幅広い国民理解と支援を得るためにも、一年後に改めて継続の可否について国会が判断することが適当だと考えたからであります。  民主党は、その答弁に基づき延長の是非を判断するため、この一年間の補給活動を検証するに必要十分な情報の提供を政府に求めてまいりましたが、政府の対応は、非協力的、不誠実なものと言わざるを得ません。例えば、我が国が補給を実施している外国の艦船による無線照会や立入検査の数等について、以前は公表しておりましたけれども、今回は明らかにはされておりません。何を根拠に延長の是非を判断しろというのでありましょうか。  また、政府が六月に実施したアフガニスタン等における現地調査についても、全会派一致による要求にもかかわらず、審議の前提となる基礎的な情報すら提示されませんでした。一体どのような不都合があるのでしょうか。さらに、アフガニスタンにおけるISAFの活動に関連して、武力の行使に関する国際法と憲法の解釈の違いについての答弁が混乱するなど、政府が自らが一体感を持って対応しているとは思われず、これでは国民説明責任を十分に果たすどころの話ではありません。  我が国は、海上阻止活動を実施している外国の艦船に補給をしていますが、その活動は、本特措法では九・一一テロ関連の活動に限定されているところであります。ところが、政府は、この補給支援活動が結果としてインド洋の海上輸送の安全にも役立つことを殊更に強調しております。このことは、給油している外国艦船が以前に比べて小型化していることから、ソマリア沖の海賊対策を実施している艦船に対して補給しているのではないかという新たな疑惑も呼んでいるところであります。  民主党は、我が国の生存と繁栄にとって重要な輸送路であるインド洋における海賊対策を強化することは必要なことと考えておりますが、この法律目的には海上輸送の安全は入っておらず、誤ったメッセージの下で国民の目を海賊対策に向けさせ、改正法が成立する環境を整えようとしているのではないかと疑わざるを得ません。  また、米国を中心とする国際社会は、アフガニスタンを再びテロの温床としないため、軍事的活動を実施しております。しかしながら、この七年間、治安状況は一向に回復せず、むしろ悪化しています。国連の資料によれば、アフガニスタンにおける治安事件の発生件数は年々悪化しており、さらに、民間団体の統計では、多国籍軍兵士の死者数も今年は既に過去最悪の数字を記録しています。参考人としておいでいただいたペシャワールの会現地代表の中村医師は、一人の外国兵の死亡に対してアフガニスタン人の犠牲はその百倍となり、日々自爆テロ要員が拡大生産されていく状態にあると本委員会発言されました。  軍事力に力点を置いた米軍等の活動ではテロとの戦いは改善されないことは、当事者であるイギリス軍の現地司令官や米国のゲーツ国防長官ですら武装勢力との対話の可能性を示唆していることからも明らかであります。本年九月以降、パキスタンのイスラマバードやインドのムンバイで大規模なテロが発生したように、むしろ周辺諸国の治安を悪化させ、テロの拡大を招いているのではないでしょうか。このまま給油を続けてもアフガニスタンの問題の根本的な解決には少しもならないことを政府認識すべきであります。  最後に、一年前の法案審査の際に、防衛省自衛隊の不祥事が相次ぎ、シビリアンコントロールの在り方が問題となりました。それを受け、総理官邸において防衛省改革が検討をされ、報告書が出されたわけですが、今回も、海上自衛隊第一術科学校における訓練中の死亡事案や航空自衛隊第一術科学校長によるセクハラ問題などの不祥事が相次ぎ、さらに田母神航空幕僚長政府見解を無視した懸賞論文応募、またバランスを欠いた自衛隊内の教育カリキュラムなど、文民統制が正常に機能しているのか疑わざるを得ません。  文民統制政治と軍事の根本原則であり、この問題は国民主権に直結する重大な問題であります。したがって、本法案のように、国際平和協力活動に自衛隊はどう使うかということと切り離して考えることはできず、更なる徹底的な審議が必要となるわけであります。  以上の観点をもちまして、本法案に反対であることを申し述べ、私の討論といたします。
  387. 浜田昌良

    浜田昌良君 私は、公明党及び自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました政府提出のテロ対策海上阻止活動に対する補給支援活動実施に関する特別措置法の一部を改正する法律案に賛成の立場から討論を行います。  二千九百七十三名の犠牲者を出した七年前の九・一一同時多発テロ、我が国も米国、英国に続く二十四名もの犠牲者を出しました。もはや国際テロは対岸の火事ではありません。今こそ国際社会がそれぞれの立場と能力に応じて、一致団結して国際テロとの戦いに立ち向かうべきときであります。特に、アフガニスタンは今が正念場です。明年秋の大統領選挙を控えて悪化する治安状況を何としても改善しなければなりません。その国際社会の意思の表れが、参加国四十数か国で千名近くの犠牲者を出しつつも、この一年間で一万六千名以上の増派を行っている事実であります。  我が国は、補給支援法に基づきインド洋で不審船に対する海上阻止活動を行う諸外国の艦船に対し、水や油の補給活動を実施してきました。本年九月からは、デンマークが新たに海上阻止活動に参加し、早速給油要請を受け、この十月に三回、九百二十キロリットルの補給支援を行ったところであります。  振り返りますと、昨年の衆議院四十時間、参議院五十時間の審議の大半は、補給艦ペコスの給油量取り違え事案や航海日誌の処分事案を通じて、旧テロ特措法により日本が補給した油が米国等のイラク作戦に転用されたか否かについての質疑に費やされました。このことを受け、新補給支援法においては、交換公文や給油ごとの報告様式の採用など、制度的に転用防止策が取られました。このことにより、イラク作戦やアフガン本土への空爆や掃討作戦への給油の転用の可能性はゼロに近いことは本委員会での審議のとおりであります。  一方、我が国は、補給支援活動とともにODAなどを通じた人道復興支援にも車の両輪として取り組んでまいりました。これまでに総額十四・五億ドル、約一千六百億円の支援を実施し、今後、六月に表明した約六百億円の支援も着実に実施される予定になっております。特に、我が国が支援した治安の改善では、旧国軍兵士を対象とするDDRは約六万三千名を武装解除し、非合法武装集団を対象とするDIAGについても今年の九月時点で約三百六十の武装集団を解体し、約七万七千もの武器が政府の管理下に置かれるなど、着実な成果を上げております。  このような各国の取組によりアフガニスタン復興支援は着実に進んでおり、経済も、二〇〇五年から二〇〇七年までの三年間、年平均成長率約一二%と大きな成長を遂げつつあります。  引き続き、アフガニスタンをテロと麻薬の温床にしないとの決意でODAを通じた人道復興支援と自衛隊補給支援活動に車の両輪として取り組むことが、現在のアフガニスタンの状況の下で我が国として現時点で取り得る最も有効かつ現実的な選択肢であります。そのことを引き続き実施するために本法案に賛成すべきことを申し上げ、私の討論といたします。
  388. 井上哲士

    ○井上哲士君 私は、日本共産党を代表して、新テロ特措法延長法案に反対の討論を行います。  そもそも、アメリカの報復戦争を支援するため自衛隊をインド洋に派遣し、アフガニスタンへの空爆を行う米軍艦船などに給油支援を行うことが憲法九条に真っ向から反することは明白です。自衛隊は直ちに撤退すべきであり、法律の延長は断じて認められません。  本委員会での審議を通じ、アフガン情勢の打開のためには軍事から政治への切替え以外にないことがはっきりしました。アメリカによる報復戦争開始から七年、アフガニスタンは今最悪の事態に陥っています。米軍の空爆と掃討作戦で多くの罪のない人々が犠牲となり、それがアフガン国民の反発を招き、更なる情勢悪化を招いてきたのであります。  参考人質疑でペシャワール会の中村哲現地代表は、テロは軍事力では絶対になくならない、ますます拡大する、外国軍の空爆が治安悪化に拍車を掛けていると厳しく指摘しました。戦争でテロはなくせない、政府はこの事実を認めるべきであります。  今、アフガン国内外で和平と対話の動きが日々広がっています。アフガニスタンのカルザイ大統領はタリバンとの政治的和解を呼びかけ、交渉が始まっています。アメリカ政府自身が報復戦争の行き詰まりの中でタリバンとの対話を検討するという大幅な戦略の見直しを迫られているのです。  ところが日本政府は、治安・テロ対策と人道復興支援は車の両輪などと一年前と全く変わらない答弁を繰り返し、あくまで派兵を継続するというのであります。国際社会の変化を全く見ないものと言わざるを得ません。来日したアフガンNGO調整事務所の代表代行は、軍事で平和は生まれないとして、日本政府に対し和解交渉や人道支援の促進で指導性を発揮することを求めています。報復戦争支援をやめ、本法案は廃案にすべきであります。  重大なことは、現職の航空幕僚長日本の過去の侵略戦争を美化し、集団的自衛権も行使できないなどと現憲法を公然と批判、非難する論文を執筆し、民間企業主催の懸賞論文に応募していたことです。私たちの追及で、田母神前空幕長は、空幕長在任時代に職務として全国の基地で同様の主張の講話、訓話を繰り返し、統合幕僚学校長時代には同様の主張に基づく講義、歴史観・国家観を新設していたことが明らかになりました。侵略戦争美化、憲法破壊の主張を繰り返してきた田母神氏がなぜ空幕長に任命されたのか、自衛隊内の教育がどうなっているのか、全容の解明が引き続き必要であります。  同時に強調しなければならないことは、田母神氏の主張が、九〇年代以降政府が進めてきた自衛隊の海外派兵と密接な関係にあることです。田母神氏は、東西冷戦構造が壊れ、自衛隊の海外派遣が頻繁に行われる、自衛隊が働く時代に入ったとして、それに対応した精強な部隊をつくるために自衛官に対し我が国の歴史と伝統に揺るぎない自信を持つよう求めているのです。自衛隊が海外派遣を本格的に実行していくための精神的支柱として侵略戦争を肯定する歴史観、国家観が必要だというのが田母神氏の主張であり、それが現に隊内教育として進行したのであります。この点からいっても、自衛隊の海外派遣を継続することは危険極まりないものとして厳しく指摘しなければなりません。  以上、自衛隊はインド洋から直ちに撤退させるよう強く求め、法案への反対の討論を終わります。
  389. 山内徳信

    ○山内徳信君 私は、敗戦後、難民の経験がございます。そういう経験を含めて、今多くの日本国民戦争への道を歩んではいかないという多くの声があります。そういうのを含めまして、社会民主党・護憲連合を代表し、内閣提出テロ対策海上阻止活動に対する補給支援活動実施に関する特別措置法の一部を改正する法律案に反対する立場から、以下の討論を行います。  一つ、ブッシュ政権は国際社会に向かってアメリカに付くかテロに付くかと大義を掲げて迫ってきました。七年に及ぶテロとの戦いで日本政府は何を学ばれましたでしょうか。アフガン戦争やイラク戦争の解決のめどさえ見出せぬまま、世界を金融危機に陥れてしまいました。ブッシュ政権の世界支配の野望は崩壊し、世界経済を大混乱の渦に巻き込んだ罪は大きいと思います。  日本政府は、テロとの戦いと称してアメリカの要求に従い、戦争を下支えしてきました。今年の一月、度重なる国会延長と衆議院での法案の再可決を強行してまいりました。今回、その反省も検証もほとんどなされぬままに採決の日を迎えました。憲法違反と非難され、国民の声を無視し、これが国益だ、これが国際貢献だと対米従属を続ける政府の態度は憲法の精神に反するものであります。  田母神俊雄前航空幕僚長論文、講話、発言等国民に大きな衝撃を与え、日本の将来に大きな不安を与えるものであります。これは平和憲法を否定するものであり、日本政府の基本方針への挑戦であり、許されるものではありません。このことは、政府の日常的なシビリアンコントロールが完全に機能不全に陥っていることを意味するものであります。政府は、戦前の轍を繰り返すことがないように深刻に受け止め、その対応策を具体的に講ずる必要があります。  アフガン戦争やイラク戦争を通して国際社会が学んだのは、もはやテロは軍事力だけでは根絶できないということであります。今本当に必要なものは、給油活動ではなく、人間が生きていくに必要な条件整備であり、生活環境と教育環境の整備であり、当該地域の人々に生きる希望、平和への希望を与える政策の転換が必要であると思います。  十一月五日の外交防衛委員会に参考人として出席されたペシャワール会の現地代表中村哲さんは証言の中で、自衛隊の給油活動がアメリカを支援していると思われ、NGOの現地活動の安全を妨げているという趣旨の証言がありました。政府が本当にアフガニスタンの復興を願うのであれば、民生復興にこそ日本の特色を生かした支援を考えるべきであります。  麻生内閣が給油活動を更に延長することはアメリカ戦争政策に追従することであります。それは、中東の国々の日本への親日感と信頼感を失わせ、日本の将来を誤らせる選択であります。平和憲法を有する日本政府が真っ先に行うべきことは、給油活動を終わらせる勇気であり、新しい復興支援の在り方をつくり上げていく努力であります。  以上を申し上げまして、反対討論といたします。
  390. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  テロ対策海上阻止活動に対する補給支援活動実施に関する特別措置法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  391. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 少数と認めます。よって、本案は賛成少数により否決すべきものと決定をいたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  392. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。  本日はこれにて散会をいたします。    午後三時五十分散会