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2008-10-17 第170回国会 衆議院 国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動並びにイラク人道復興支援活動等に関する特別委員会 第3号
公式Web版
会議録情報
0
平成二十年十月十七日(金曜日) 午前十時
開議
出席委員
委員長
深谷
隆司
君
理事
木村 勉君
理事
小池百合子
君
理事
後藤田正純
君
理事
新藤 義孝君
理事
中谷 元君
理事
鉢呂
吉雄君
理事
渡辺 周君
理事
佐藤 茂樹君 あ
かま二郎
君 赤城 徳彦君 秋葉 賢也君 新井 悦二君 石原
宏高
君
浮島
敏男
君 江渡 聡徳君 越智 隆雄君 大塚 拓君 木原 稔君
北村
茂男君 杉田
元司
君
鈴木
馨祐
君 冨岡 勉君 中根 一幸君
中森ふくよ
君 葉梨 康弘君
橋本
岳君
松浪健四郎
君 松本 洋平君 三原 朝彦君 矢野
隆司
君
安井潤一郎
君 吉田六
左エ門
君
若宮
健嗣
君 大島 敦君 川内
博史
君 田嶋 要君
武正
公一君 長島 昭久君 伴野 豊君 平岡 秀夫君 松野
頼久
君 三谷 光男君
石井
啓一
君
遠藤
乙彦
君
田端
正広
君
冬柴
鐵三君 赤嶺
政賢君
阿部 知子君 下地 幹郎君 …………………………………
参議院議員
浅尾慶一郎
君
参議院議員
犬塚 直史君
内閣総理大臣
麻生
太郎君
外務大臣
中曽根弘文
君
防衛大臣
浜田 靖一君 国務
大臣
(
内閣官房長官
) 河村 建夫君
外務
副
大臣
伊藤信太郎
君
防衛
副
大臣
北村
誠吾
君
政府特別補佐人
(
内閣法制局長官
) 宮崎
礼壹君
政府参考人
(
内閣官房内閣審議官
)
野田
仁君
政府参考人
(
内閣官房内閣審議官
)
高田
稔久
君
政府参考人
(
外務省大臣官房地球規模課題審議官
)
杉山
晋輔君
政府参考人
(
外務省大臣官房審議官
)
梅本
和義
君
政府参考人
(
外務省大臣官房審議官
)
石川
和秀
君
政府参考人
(
外務省欧州局長
)
谷崎
泰明
君
政府参考人
(
外務省中東アフリカ局長
)
鈴木
敏郎
君
政府参考人
(
外務省国際協力局長
)
木寺
昌人
君
政府参考人
(
外務省国際法局長
)
鶴岡
公二君
政府参考人
(
外務省領事局長
)
深田
博史
君
政府参考人
(
海難審判所長
)
上中
拓治
君
政府参考人
(
海上保安庁長官
)
岩崎
貞二
君
政府参考人
(
防衛省運用企画局長
)
徳地
秀士
君
政府参考人
(
防衛省人事教育局長
)
渡部
厚君
衆議院調査局国際テロリズム
の
防止
及び
我が国
の
協力支援活動
並びに
イラク人道復興支援活動等
に関する
特別調査室長
金澤 昭夫君
—————————————
委員
の異動 十月十七日
辞任
補欠選任
あ
かま二郎
君
浮島
敏男
君
橋本
岳君
安井潤一郎
君
石井
啓一
君
遠藤
乙彦
君
冬柴
鐵三君
田端
正広
君 同日
辞任
補欠選任
浮島
敏男
君 あ
かま二郎
君
安井潤一郎
君
若宮
健嗣
君
遠藤
乙彦
君
石井
啓一
君
田端
正広
君
冬柴
鐵三君 同日
辞任
補欠選任
若宮
健嗣
君
橋本
岳君
—————————————
本日の
会議
に付した案件
政府参考人出頭要求
に関する件
テロ対策海上阻止活動
に対する
補給支援活動
の
実施
に関する
特別措置法
の一部を改正する
法律案
(
内閣提出
第四号) 国際的な
テロリズム
の
防止
及び
根絶
のための
アフガニスタン復興支援等
に関する
特別措置法案
(
参議院提出
、第百六十八回
国会参法
第一三号) ————◇—————
深谷隆司
1
○
深谷委員長
これより
会議
を開きます。
内閣提出
、
テロ対策海上阻止活動
に対する
補給支援活動
の
実施
に関する
特別措置法
の一部を改正する
法律案
及び第百六十八回
国会
、
参議院提出
、国際的な
テロリズム
の
防止
及び
根絶
のための
アフガニスタン復興支援等
に関する
特別措置法案
の両案を一括して
議題
といたします。 この際、お諮りいたします。 両
案審査
のため、本日、
政府参考人
として
内閣官房内閣審議官野田仁
君、
内閣官房内閣審議官高田稔久
君、
外務省大臣官房地球規模課題審議官杉山晋輔君
、
外務省大臣官房審議官梅本和義
君、
外務省大臣官房審議官石川和秀
君、
外務省欧州局長谷崎泰明
君、
外務省中東アフリカ局長鈴木敏郎
君、
外務省国際協力局長木寺昌人
君、
外務省国際法局長鶴岡公
二君、
外務省領事局長深田博史
君、
海上保安庁長官岩崎貞二
君、
海難審判所長上中拓治
君、
防衛省運用企画局長徳地秀士
君及び
防衛省人事教育局長渡部厚
君の
出席
を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
深谷隆司
2
○
深谷委員長
御
異議
なしと認めます。よって、そのように決しました。
—————————————
深谷隆司
3
○
深谷委員長
これより
質疑
に入ります。
内閣総理大臣出席
のもと
質疑
を行います。
質疑
の申し出がありますので、順次これを許します。
小池百合子
さん。
小池百合子
4
○
小池委員
おはようございます。
小池百合子
でございます。
総裁選
の最中にはいろいろと鍛えていただきまして、まことにありがとうございます。
麻生総理
におかれましては、
経営者感覚
、
国際感覚
を生かして、今次の
国際金融
の混乱、そしてまた
国民生活
を守る、そして何よりも、本日
審議
させていただきます国際的な
テロ
に対しての対処、これについてしっかりとリーダーシップをとっていただきますよう、よろしくお願いを申し上げます。 さて、
補給支援特措法
の
審議
に入るわけでございますが、これは大変重要な
法律
であるということから、昨年のこの時期は衆参合わせまして何と百時間近い
審議
を行ったわけでございます。ところが、ことしは一転して、一日でも早く、一時間でも早く結論を出そうという、ある
意味
で御
協力
を野党からもいただいているわけでございまして、そうはいっても賛成をしてくれるわけではなさそうでございますけれども、しかしながら、国際的な
連携
でもってこの
テロ対策
を行っているという
意味
からは、
間断
なく
我が国
の
インド洋
上におけます
海上自衛隊
の
給油活動
が行われるという、その点では歓迎をしたい、このように思うわけでございます。 それでは、経緯がございますので、そもそも論から始めさせていただきます。 まず、
補給支援特措法
、今回
審議
をするわけでございますけれども、そもそもを申しますと、
国際テロ活動
、これは古くて新しいものでございます。サミットでも
テロ対策
ということが
主要議題
にこれまでも何年にもわたって上げられてきたわけでございます。そして、
国際社会
の最
重要課題
の
一つ
であり、長期にわたる困難な
闘い
ということでございます。 しかしながら、最も顕在化いたしましたのが、二〇〇一年、
アメリカ
で起こりました
同時多発テロ
でございます。
皆さん
の
記憶
にもまだまだ鮮烈に残っているものと存じます。その際、六十カ国以上の
方々
が
犠牲
になり、その数二千九百七十三人、そして、その中には
日本
人も二十四名の
方々
が含まれていたということを忘れてはなりません。 こちらの年表をごらんください。
テロ
の翌日、十二日には、
国連安保理
におきまして、
決議
一三六八号、これが
全会一致
で可決されておりまして、
国際社会
に対して
テロ行為
を
防止
、抑止するための努力を呼びかけたわけでございます。そして、十二月十日、
我が国日本
におきましても
テロ対策
のための
法律
が成立をいたしておりまして、これがいわゆる旧
テロ特措法
でございます。 そして、その後、十二月二十日でございますが、
国連安保理
の
決議
一三八六号に基づいて、
国際治安支援部隊
、いわゆる
ISAF
と呼ばれる
支援活動
でございまして、現在でも四十カ国、約五万三千人が
アフガニスタン
の本土で
治安維持活動
を
実施
しているところでございます。 けさの新聞を読んでおりますと、
ドイツ
の議会では、この
ISAF
に送っている
部隊
をさらに千人の単位で増強して、そしてその期間を延長するということを決めたようであります。 このように、
テロ
との
闘い
というのは、これまでは
国対国
の戦争、紛争という形が多かったわけでございますけれども、非対称、国だけではなく、
自爆
もいとわない
テロリスト
との
闘い
ということでございまして、さて交渉のテーブルに着いて解決に向けての話し合いをしようという、その場をつくることさえなかなか難しい、まことに困難な
闘い
であるわけでございます。 さて、九・一一から七年が過ぎました。残念ながら、依然として
世界
じゅうで
テロ事件
は頻発をしているわけでございます。そしてまた、
ウサマ・ビンラディン
などの
アルカイダ
の残党は、今も
アフガニスタン
、そして
パキスタン
の
国境地帯
で潜伏をしていると言われております。
地図
をお願いします。 さて、一方で、
我が国
の
活動
でございますけれども、
海上
における
テロ対策活動
として行われておりますのが
インド洋
上での
海上阻止活動
でございます。 これはかなり大きな
地図
で、
日本
も含めたものでございますけれども、
パキスタン
、
アフガニスタン
のあたりをごらんいただければと思います。そして、その下、南が、
インド洋
が広がっているわけでございますが、
各国
の
艦船
が
インド洋
を常に監視して、航行する船舶への
乗船検査
などを行う。それによって、
テロリスト
、そして、
アフガニスタン
で全
世界
の約九割の
アヘン
が生産をされていると言われておりますけれども、その
アヘン
などの
移動
、そしてまた、
アヘン
をもとにしてできた資金でもって購入をしていると思われる武器などの
移動
を阻止する、そしてまたそれを抑止するということを行っているわけでございまして、
我が国
はまさに、この
海上阻止活動
に従事をしているその
各国
の
艦船
に
燃料
と水を
補給
してきているわけでございます。 そして、この
海上阻止活動
でございますけれども、現在は、
アメリカ
、イギリス、フランス、
ドイツ
、
パキスタン
、ニュージーランドそしてカナダ、合わせまして七カ国十六隻の
艦船
がこれまで
参加
をして、また、ことしの九月からはデンマークも
艦船
一隻を派遣するようになってきているという
状況
でございます。 そして、
我が国
の
海上自衛隊
は、これまでにも七百九十四回にわたりましてこの
補給活動
を
実施
しております。今七カ国と申し上げましたけれども、これは決して大きい
数字
ではございませんし、何よりも、走っている
艦船
に軽油を
補給
するというその行動、
活動
というのはまことに高度な技術を要するというわけでございます。 現在、
補給量
の約九割は
アメリカ
以外の
艦船
への
補給
となっておりまして、中でも
イスラム国
であります
パキスタン
への
補給
が最も多くて、そのうちの約三割を占めております。 私、昨年の八月二十二日でございますが、
防衛大臣
として
パキスタン
を訪問いたしております。
ムシャラフ大統領
、
イクバール国防大臣
などとお目にかかりまして、
日本
の
支援
について
確認
をしてまいったところでございます。 そして、その際でございますが、
イクバール国防大臣
、そして
海軍
の実際の
責任者
の
方々
ともお目にかかったわけでございますけれども、いかに
日本
の
海上自衛隊
の確実な
活動
に対して深く感謝しているかということを直接伺っております。と同時に、この
インド洋
におけます
海上活動
から
日本
が抜けるということは、いかに多くの
活動
の
見直し
、
パキスタン
の
海軍
としての
見直し
を迫られるのかということについて直訴を受けたわけでございます。
インド洋
の範囲といいますのは
日本全土
がすっぽりと入るぐらいの大きさでございまして、その
活動距離
というのは非常に大きい。その中で、
インド洋
上で
補給
をしなければ、そのたびに港に戻って
補給
をする、それだけで、その往復だけで、平均しますと大体三十六時間もしくは四十八時間ぐらいはかかるというものであり、その間は任務につけないということになります。
海上自衛隊
による
補給活動
が一時中断されたということで、
パキスタン
の
艦船
は
自国
の港に戻りまして
燃料
を
補給
していた、その間は稼働の効率が四〇%ほど低下したと言われているわけでございます。 また、
海上阻止活動
が行われている
海域
でございますが、
我が国
にとりましても極めて重要な
海域
であることは言うまでもございません。
インド洋
は
世界経済
を支える原油の輸送の大動脈と言ってもいいわけでございまして、そして、この
海域
が安定するということは、すなわち
我が国
の
国益
に資するものと言うことができます。
我が国
の石油の九割がこの
地域
からのものであるということはここで
数字
で幾つかお示しをしているところでございますし、
ホルムズ海峡
を
日本関連
の船、一日平均で三・五隻、
タンカー
が航行しております。 そしてまた、
補給支援活動
による、
燃料
を提供するということに関しての経費は、
月当たり
にいたしますと約一億六千万円、そういう
数字
になるわけでございます。 そして、もう一点ございますが、特に近年、海賊が、特に
ソマリア沖
、少し南の
アフリカ大陸
の方をごらんいただければ結構ですが、この
地域
でも頻発しております。 昨年の十月のことでありますけれども、
日本
の
海運会社
が保有している
パナマ船籍
の
タンカー
でゴールデン・
ノリ号
というものが
ソマリア沖
でシージャックをされるという
事件
が発生をいたしました。そしてまた、ことしの四月には、
ロケット弾
による
攻撃
を、
日本郵船
の
タンカー
「高山」、これが
アデン湾
において
攻撃
を受けるということも起こっております。そして、このときに現場に駆けつけてくれたのが、
インド洋
上でともに
海上阻止活動
に従事しております
ドイツ
の
艦船
、
エムデン号
といいますけれども、この
艦船
が
我が国
の
日本郵船
の
タンカー
の
支援
に回ってくれたわけでございます。
我が国
の
生存
そして繁栄にとって重要な経路に当たります
インド洋
上の
海上活動
の安全にも、
我が国
の
海上自衛隊
がこの
インド洋
に存在をするということでも極めて大きな役割を担うことになっているわけでございます。 さて、昨年の十一月、残念ながら
旧法
の期限を迎えてしまいまして、
活動
を中止せざるを得なくなりました。その際は、
国際社会
からも、
我が国
が
海上阻止活動
から引くということに対しては、中止に対しては大変惜しむ声が聞こえたわけでございます。
ねじれ国会
の影響もございまして、
衆議院
で可決された、
給油活動
に絞りましたこの
新法
でありますけれども、参院では否決をされ、
衆議院
に戻されてようやく
新法
が可決された。
法案
が右往左往するのと合わせるように、
海上自衛隊
の
艦船
も右往左往したという結果に至ったわけであります。
新法
のもとに
活動
を再開したことしの二月以降、
アフガニスタン
、
パキスタン
を初めとする多くの国々からは、
我が国
が
海上阻止活動
にまた戻ってきてくれたんだということで、再開を歓迎する声が聞かれました。
補給
についても感謝をする声が多く寄せられております。ちなみに、
パキスタン
の艦艇からは、
海上自衛隊補給艦
への
メッセージ
として「私たちは、偉大な国の偉大な船とともに
活動
できることを誇りに思う」という
メッセージ
が寄せられたのであります。
海上自衛隊
によります
補給支援活動
は、
国際社会
が
日本
に求める
活動
であります。そして、
我が国
としても
間断
なくこの
活動
を
継続
するということが
国際社会
の一員としての責務と考えるわけでございます。 さて、国際的にも高い
評価
を得て、
日本
の
国益
にもかなっているこの
補給支援特措法
でございますが、
民主党
は、残念ながらかたくなに
反対
をされ、また対案も出しておられるということでございます。
民主党
の
小沢代表
は、
海上
での
補給活動
を
憲法違反
と決めつけて、そして、むしろ
アフガニスタン国内
、つまり、陸上でのいわゆる
ISAF活動
への
参加
を提唱しておられるわけでございます。 今ごらんいただいているのは主要八カ国の
活動状況
でございますけれども、ごらんのように、
日本
、
海上
での
活動
、
民主党
がおっしゃるようにこれに
反対
であるといたしましたら、ロシアはまた、
アフガニスタン
との歴史的なこれまでの
関係
もございますということで
参加
はしていない、であるならば、
日本
だけが主要八カ国の中で何ら実際の
活動
をしていないということになるわけでございます。 さてそこで、早速でございますけれども、
総理
に御
質問
をさせていただきます。 まず、
補給支援特措法改正
の
必要性
につきまして
総理
の御
見解
と決意をお伺いしたい。そしてまた、何よりも解散・総選挙そして
政権奪取
をすべてに優先されて、
国家
にとりまして最
重要課題
の
安全保障
をないがしろにしているとしか私には思えない、この
小沢民主党代表
の姿勢に対しての
総理
の御
見解
を伺わせていただきます。
麻生太郎
5
○
麻生内閣総理大臣
この
補給活動
は、基本的には、
日本
が
日本
の
国益
をかけて、
日本自身
のためにもしてきた
活動
だったと、私はそう思っております。したがいまして、この
補給活動
というものは、
継続
はぜひとも必要、当然のことだと思っております。 加えて、
テロ
との
闘い
は、二〇〇一年の九月十一日のあの
事件
から、今御
指摘
のありましたとおり、
日本
も多くの
犠牲者
をこの中に出しております。したがいまして
アフガニスタン
での
テロ
との
闘い
に関して我々も
参加
するということでありまして、こういった中で、
各国
いずれも増強したり
いろいろ増派
をしたりしている中において、
日本
だけがこの
地域
から撤収するということは考えられない、基本的にそう思っております。 したがって、
テロ
との
闘い
は今でも
継続
をしております、今、ここに限らず、あちこちで起きておりますので、我々としては、
国際社会
からの
評価
もこれは極めて高い
活動
の
一つ
だと思っておりますので、
継続
はぜひとも必要と思っております。
民主党
に関するお話がありましたけれども、これは、
旧法
、昔の
テロ対策特措法
には一貫して
反対
をしておられたのは御
指摘
のあったとおりです。
現行法
でも、これは単に
反対
するだけではなくて、迅速な
審議
にも応じていただけませんでしたので、
対策
を示すことにも採決するにもなかなか応じられなかったというのが事実であろうと思っております。そのため、
給油活動
は、
法律
の期限切れをして、中断を余儀なくされたということだと思っております。 私は、
所信表明
をさせていただいた中で、
小沢代表
に対して、
日米同盟
と
国連
と、
外交
の基軸というものをどちらに優先させておられるのか、されようとしておられるのか、また、
日本
が
補給支援活動
から手を引いていいのかということをたださせていただいたと思います。
小沢代表
は、この私どもの問いに対して答えられず、
代表質問
におきましては、
外交
と
安全保障
の
基本方針
の中で、
日本
の
安全保障
は
国連
の
平和維持活動
によって担保されると主張されたと
記憶
をいたします。 私は、それに対して正直疑問を持たざるを得ないところであります。これは、
日本
が
日本
という
国家
の
安全保障
というものを確保するに当たって、現在の
国連
というものは
少数国
の
方針
でかなり左右され得るなど、
国連
にそのままゆだねる
状況
にはない、国運というものをそのままゆだね得る
状況
にはないと思っております。(発言する者あり)
深谷隆司
6
○
深谷委員長
お静かに願います。
麻生太郎
7
○
麻生内閣総理大臣
このような
国連
が行う
活動
を
自国
の
安全保障
の最終的なよりどころにするということを
国連中心主義
と言って、称しておられるとするならば、その
主義
のもとで
日本
という国と
日本国民
の安寧を守ることができないというのは明らかなのではないか。 この二点において甚だ疑問と申さざるを得ないと思っております。
小池百合子
8
○
小池委員
憲法問題につきまして、この後も
同僚議員
からも御
質問
をさせていただきます。 そして、本来であるならば、
自衛隊
の
活動
、そして
復興支援
、
民生
の
支援
ということ、これは総合的に行うというのはもちろん重要なことであり、
現実
に
我が国
も、JICAなどの
活動
、それから
NGO
の
皆さん
が地道な
活動
を行ってこられ、そしてそれぞれも実績を残してきておられます。 ところが、残念ながら、ことしの八月、
ペシャワール会
で、井戸を掘るなど
現地
の住民の
皆さん
と力を合わせてやってこられた
伊藤和也
さんが拉致、
殺害
をされる。その前には、その一年前でございましょうか、
韓国
の
宗教関係者
の
NGO
も拉致され、誘拐され、二人が
殺害
をされるということで、丸腰の
支援
というのは
現実
にはなかなか厳しい。 そしてまた、
民主党案
によりますと、抗争に対して、できるだけ両者、
関係者
を
対話
に導くというようなこと、それを前提とするというわけでございますが、ことしは
ノーベル平和賞
をフィンランドのアハティサーリ前
大統領
が受賞されました。
調停活動
をされた。まことに立派だと思います。しかしながら、
テロリスト
とどのような形で
対話
をしていくのか、これは模索はしなければならないけれども、なかなか簡単な話ではないというように感ずるわけでございます。 これまで
日本
が
民生
について、
復興支援
についてどのような
活動
をし、また、こういった
調停
に向けての
活動
、どのようなことをやってこられたのか、
質問
二と三を一緒に伺わせていただきます。
麻生太郎
9
○
麻生内閣総理大臣
これは、
インド洋
におけます
補給支援活動
というのとともに、アフガンにおけます
人道復興支援
等々をいろいろ行ってきたところでありますが、具体的には、
治安
、インフラ、医療並びに
教育
を含む幅広い分野で総額一千六百億円以上の
支援
というものを
実施
してきたと思っております。 これは、
先ほど話
をされました麻薬問題など、まだまだこれは道半ばというのが率直な実感でありますが、着実な成果も見られていると思っております。
国際社会
等々の
支援
によって、少なくとも五百万を超す
方々
が
アフガニスタン
に帰還されておられるという事実が
一つ
。また、学校に就学するという人は、総数百万人以下と言われておりましたけれども、二〇〇七年には五百七十万人に急増したりもしております。 しかし、例えば、先ほど触れられました
ペシャワール会
の
伊藤
さんの話を初め、これはほかにも、
韓国
の
民間団体
や、またその他、他国の
NGO
の
関係者
が
殺害
されるなど、
現地
の
治安状態
は厳しい、これは報道にあるとおりであります。 したがいまして、
治安
・
テロ対策
は
人道復興支援
というもので代替できないというのが
国際社会
の一致した
見解
、認識だと思っております。したがいまして、
治安
・
テロ対策
を含みます
人道復興支援
というものは車の両輪というように理解しておりますので、引き続き
テロ
との
闘い
を
継続
していくということだと思っております。
小池百合子
10
○
小池委員
テロリスト
との
対話
ができればこれにこしたことはないというように思うわけでございますが、なかなか、
ウサマ・ビンラディン
の
生存そのもの
が
確認
されていない、またナンバーツーの
ザワヒリ
、彼も
死亡説
が流れておりますが
確認
がとれていない。
友人
の
友人
が
アルカイダ
という方が以前おられましたが、
ザワヒリ
氏とは、氏と言っていいのかな、
ザワヒリ
と私は
カイロ大学
の同級生でございますが、
連絡先
は存じ上げておりません。そういう中で、非常に厳しい
状況
であるがゆえに、まさに国際的な
連携
が必要ということでございます。 その
意味
で、私が
パキスタン
を訪問いたしました際に、
パキスタン
、
国内政治状況
は、
ムシャラフ大統領
が実権から外れるなどまだまだ非常に不安定でございます。一方で、
国内
の
パキスタン人
の
生活
、停電が起こったり、また
自爆テロ
なども
パキスタン
内でも起こっている。FATAと呼ばれる、法の支配とか、それから
国境
というような感覚がそもそもないと言ってもいいような
地域
、これらも抱えている。
パキスタン
への
支援
ということももう少し本腰を入れて行うべきではないだろうかと考えております。 と同時に、一方で、報道によりますと、
アメリカ
から、それからNATOに関連してと言った方がいいのでしょうか、対
アフガニスタン
支援
、五年間で最大二百億ドル、ざっと二兆円ということになりますけれども、この
支援
要請があるというふうに聞いておりますけれども、こういう
パキスタン
への
支援
、そして
アメリカ
からと言われている
支援
についてはどのような対応をおとりになるのか。 二つまとめて伺わせていただきます。
麻生太郎
11
○
麻生内閣総理大臣
アフガニスタン
から見て東側に隣接しております
パキスタン
、これはパシュトゥンという、族が同じということもありまして、
国境
線というのはなかなか難しいというのはもう御存じのとおりです。 そういった
意味
で、
パキスタン
が安定するというのも極めて大きな要素だ、私どももそう思っております。G8の議長国として、本年の六月のG8の京都外相
会議
において、
アフガニスタン
との
国境
地域
におけます
パキスタン
へのG8によります
支援
強化というのを打ち出させていただいた、御存じのとおりです。
日本自身
としては、本年五月、
パキスタン
に対しまして、インフラ整備を
支援
するために総額四百八十億円の円借款の供与に合意をいたしております。 また、
テロ
の温床となっておりますのは、やはりこれは貧困というのが非常に大きな理由と言われておりますので、これを削減すべく、
アフガニスタン
との例の
国境
沿い、
パキスタン
から見て西側になります、あの
国境地帯
において、
教育
、医療、また
国内
避難民
対策
などの
支援
を
実施
しておりますので、今後とも、同国の安定、発展に向けて
支援
を続けてまいりたいと思っております。 もう
一つ
は、御
質問
の件に関しましては、
アフガニスタン
の情勢などに関しましていろいろ
アメリカ
との
関係
というお話があっておりましたけれども、今、どうしてくれというような話が直接来ているということはございません。
アメリカ
は終始一貫して、
日本
がどのような
支援
を行うかについては
日本自身
が決定する問題だということの立場をとってきておりますので、そのとおりに私どもも対応いたしておるところであります。 いろいろな
意味
で
アフガニスタン
に対しての
支援
を強化してほしいというのは、他国から、これに
参加
をしております大勢の国々からいろいろな形で御要請があっておるというのは事実ですけれども、
日本
ができること、できないこと、いろいろ照らし合わせてみて、今、この
補給支援活動
というのは我々として許される範囲で最もいいのではないのか、我々はそのように判断をいたしております。
小池百合子
12
○
小池委員
今
総理
の方から、貧困が
テロ
の温床であるというお言葉がございました。確かにその部分もございます。一方で、
ウサマ・ビンラディン
とか
ザワヒリ
というのは大変リッチな家庭に生まれているということも、ある種、彼らは彼らで、ある
意味
でいわゆるプライドというものも有しているのかなと思うところもございます。 さて、
ソマリア沖
での海賊問題についても触れさせていただきましたが、その
質問
については同僚に譲るといたしまして、旧
テロ対策
支援
法そして今回の給油
支援
特措法ということで、これまでずっと
特別措置法
の形で常に我々はやって対応してきたわけでございますけれども、危機管理の観点からも、即応性というものも重要でございます。
自衛隊
の海外派遣のルールを定めた恒久法の議論ということ、これは与野党が
協力
して行わなければならない、このように痛感をしているわけでございますが、
総理
並びに
民主党
の提案者から、この点について伺わせていただきます。
総理
からお願いします。
麻生太郎
13
○
麻生内閣総理大臣
いわゆる一般法の整備と言われている、恒久法、一般法の整備というのは、今言われたような、こういう
テロ
という、突発的にある日、何の目的だかわからず、一方的に、何の前ぶれもなく、特定されない人たちが大量に殺されるというような
事件
というものは、その対応は迅速かつ効果的にやらなければならぬというのは、これは当然のことであろうと存じます。したがって、国際平和
協力
に関する
日本
の基本的
方針
というものを内外に示す上におきましても極めて有意義だと思っております。 ただ、一般法につきましては、与党における議論などもいろいろございますし、国民的な議論というものもいろいろ必要なんだと思っておりますので、この点を踏まえまして、野党の
方々
にもいろいろ御意見を、あると伺っておりますので、御理解いただきながらこれを検討させていただければと思っております。
犬塚直史
14
○犬塚
参議院議員
恒久法についてお尋ねがありましたけれども、御存じのように、
民主党案
は、油ではなく水だ、こう言っているわけであります。水といいましても、火消しの水もあれば
生活
の水もあるわけですね。それでは、こういうものをどうやってきちんとした形で恒久法論議の中に入れていくのかという話だと思うんですね。
民主党
は、
国連
平和
活動
については積極的に
参加
すべし、これを担保する恒久法の論議についてはこれを否定するものではありません。 しかしながら、今
民主党
が提案をしておりますこの
テロ
根絶
法の中身をぜひ見ていただきたいんですけれども、今おっしゃいました
国連
の緊急展開能力、これは二〇〇〇年のブラヒミ・レポートで既に言われております。
民主党
の中にありますのは、もう既に、これをどうしたらいいかということについて、具体的な提案も含めてこの中で出してはおりますけれども、今までのところ、だれも
質問
してくれないという事態になっております。 それだけではありません。民軍
関係
についても言っておる、長期的視野についても言っておる、
現地
のオーナーシップについても言っておる。それだけではなくて、保護する責任という、大変大事な、
国家
主権と介入についての議論をどういうふうにするかということについても
民主党案
の中には入っているんですね。 ぜひこの辺も、恒久法を云々する前に、
民主党案
をきちんと
審議
していただきたいと思います。
小池百合子
15
○
小池委員
改めて
民主党
の方に最後に伺いますけれども、では、そもそも、もし政権が交代、これが実現したならば、今のこの
補給支援特措法
というのは廃止をされるんでしょうか。そしてまた、そのときには、
海上自衛隊
の船を戻すのか、
ISAF
には
参加
するのか。この決意、イエス、ノーだけお答えいただきたいと思います。
犬塚直史
16
○犬塚
参議院議員
民主党
は、先ほど申し上げたように、油ではなく水だ、本当に
我が国
が
アフガニスタン
について平和
活動
をするに当たっては油より水だ、こう言っているわけですね。ですから、給油については、当然のことながらこれを中止するということを主張しているわけであります。
ISAF
についてはいろいろな議論があろうかと思いますけれども、今現在は、
アフガニスタン
の平和と安定をどうしたらいいかということを話しているわけであります。ですから、
ISAF
参加
云々ということについてはここでお答えすることはどうかと思いますけれども、ただ、一般論を申し上げれば、
ISAF
に
参加
するということについては、まず
ISAF
というのはNATOの指揮下で行われております。
日本
はNATOの加盟国ではありませんので、これに今すぐ
参加
することについてはどうかと思われる。 もう
一つ
は、今現在、NATOが行われている
ISAF
は、ICC、国際刑事裁判所の規定について挑戦するがごときの地位協定を持っております。こういうことがある中で、果たして
ISAF
に今すぐ
参加
できるのか。 もう
一つ
は民軍
関係
のことでありますが、
ISAF
の
活動
は軍が優先であるという批判もあります。 こうした中で、現行のやり方で果たして本当に
アフガニスタン
の平和と安定に寄与できるのかということを含めて、しっかりと検討したいと思っております。
小池百合子
17
○
小池委員
よく
小沢代表
と打ち合わせを、意見をまとめた上で、
法案
の提出をよろしくお願いいたします。 ありがとうございました。
深谷隆司
18
○
深谷委員長
この際、中谷元君から関連
質疑
の申し出があります。小池さんの持ち時間の範囲内でこれを許します。中谷元君。
中谷元
19
○中谷
委員
引き続き、
民主党
の
法案
提出者に憲法九条につきまして
質問
させていただきます。 小沢党首は、
国連
の
決議
が出た場合は海外で
自衛隊
の
活動
は武力行使ができるという主張をされておられます。 これは、昨年の論文、「
世界
」十一月号で、「
国連
の
活動
に積極的に
参加
することは、たとえそれが結果的に武力の行使を含むものであっても、何ら憲法に抵触しない、」武器の使用も特に
法律
を制定する問題ではないと主張しておりますが、これは
民主党
の憲法九条の解釈としてとらえてよろしいですか。
浅尾慶一郎
20
○浅尾
参議院議員
お答えいたします。
民主党
の
安全保障
につきましては、政権政策のマグナカルタというところでまとめておりまして、その中では、自衛権の行使と集団
安全保障
というものを分けております。
国連
憲章に定めております集団
安全保障
と自衛権とを分けているというのが
民主党
の立場でありますので、今の御
質問
に対するお答えとしては、そういう形でお答えをさせていただきたいと思います。
中谷元
21
○中谷
委員
それでは、
国連
決議
が出たら
自衛隊
は武力行使をしてもいいということですね。
浅尾慶一郎
22
○浅尾
参議院議員
国連
決議
イコール必ずしも
自衛隊
を派遣するという形で政権政策のマグナカルタをまとめているわけではありません。集団
安全保障
を認める
国連
決議
が出た場合に、
我が国
が主体的判断のもと、また、「民主的統制」というのは
国会
の関与のもと、判断をするという形になっております。
中谷元
23
○中谷
委員
そこが
民主党
と我々の大きな違いなんですね。 政府・与党は、現行の憲法九条のもとでは、
国連
の明確な
決議
が出た場合でも、その目的、任務が武力行使を伴うものであれば、
自衛隊
がこれに
参加
することは憲法上許されないとしております。この憲法解釈を否定されるんですか。
浅尾慶一郎
24
○浅尾
参議院議員
繰り返しのお答えになりますけれども、
民主党
の政権政策のマグナカルタにおきましては、自衛権の行使と集団
安全保障
というのを分けて考えている。したがいまして、集団
安全保障
に属する
活動
については自衛権の行使とは性格を異にするというのが政権政策のマグナカルタに明記されているところであります。
中谷元
25
○中谷
委員
それでは、その前提でお伺いしますが、例えば
ISAF
であれ、スーダン・ダルフールのPKO
活動
であれ、
治安
活動
とか警護
活動
とか、
国連
の
決議
に従って
活動
が行われ、いろいろな国が
参加
しておりますが、そういう
活動
の中で、いわゆる戦闘行為も伴うような
活動
にも
自衛隊
を
参加
させることができるということですか。
浅尾慶一郎
26
○浅尾
参議院議員
PKOにつきましては御案内のとおりでありますが、その他の集団
安全保障
の
活動
につきましては、先ほど申し上げましたとおり、
国連
の要請に基づき
我が国
の主体的判断、すなわち
国連
の要請があったからすぐに行くということではなくて、主体的判断をした上で、
国会
が関与をした上で決定をするということであります。
中谷元
27
○中谷
委員
私がお伺いしておりますのは、憲法上それが可能かどうかという
質問
でございます。憲法上、そのような行為が、武力行使を伴う行為が可能であるかということです。
浅尾慶一郎
28
○浅尾
参議院議員
お答えをしておると思うんですが、憲法が定めております自衛権の行使と集団
安全保障
とは性格を異にするというのが政権政策のマグナカルタに書いてあるとおりであります。
中谷元
29
○中谷
委員
この辺は大事なところなんですね。
皆さん
も、
民主党
のホームページをごらんになっていただきたいと思います。 このホームページで、小沢氏は、政権をとったら、
ISAF
、スーダン・ダルフールに
参加
する、武力行使を含むものであっても憲法に抵触しないとはっきり掲載をされておられます。
民主党
は、政権をとったらこれらの
地域
に
自衛隊
を派遣する考えでございますか。
浅尾慶一郎
30
○浅尾
参議院議員
先ほど来、政権政策の
基本方針
、政策マグナカルタというところの「
外交
・安保政策」というところ、これは
基本方針
でありますから、そこを正確に読み上げさせていただきたいと思いますが、「
国連
平和
活動
への積極
参加
」。
国連
は二度に亘る大戦の反省に基づき創設された人類の大いなる財産であり、これを中心に
世界
の平和を築いていかなければならない。
国連
の平和
活動
は、
国際社会
における積極的な役割を求める憲法の理念に合致し、また主権
国家
の自衛権行使とは性格を異にしていることから、
国連
憲章第四十一条及び四十二条に拠るものも含めて、
国連
の要請に基づいて、わが国の主体的判断と民主的統制の下に、積極的に
参加
する。 ということでありますので、そういう範囲での答えでございます。
中谷元
31
○中谷
委員
どこが違うかというと、我々与党は、
国連
で
決議
があったとしても、その目的、任務が武力行使を伴うものであれば、
自衛隊
がこれに
参加
することはできないとされています。 ところが、
民主党
は、
国連
の
決議
が出たならば武力行使が可能な
活動
も
自衛隊
ができるんだということですね。
浅尾慶一郎
32
○浅尾
参議院議員
ですから、先ほど来申し上げておりますように、自衛権の行使と集団
安全保障
とは性格を異にするということでありまして、その上で、
我が国
の主体的判断と民主的統制のもとに、
国連
の
決議
があるから自動的に出るということではありませんが、
国益
に基づいてそれが必要であるとなれば
参加
をするということです。
中谷元
33
○中谷
委員
これは、大変大きな憲法の解釈の変更になります。 この憲法解釈というのは、我々
国会
の場で、この五十五年間、ずっとこの憲法九条について野党も含めて議論をして、それによって積み上げられたいわゆる国民の合意でございます。 したがいまして、私が申し上げたいのは、この憲法解釈というのは、政府がその政策のために従来の憲法解釈をころころと変更することは、いわば憲法の権威を失墜させ、ひいては内閣全体に対する国民の信頼、政治に対する信頼、
安全保障
に対する信頼、こういうことを損なうことになりますが、この点に関して、
民主党
は、仮に政権を担った場合に、この憲法解釈を変えるということですか。
浅尾慶一郎
34
○浅尾
参議院議員
今回提出をさせていただいております
テロ
根絶
法の中では、憲法解釈は、これは特措法でありますから、変えている形にはなっておりません。 しかし、その
テロ
根絶
法の中で、集団
安全保障
のものも含めて恒久法を制定すると。その
法律
を制定する中で、憲法というか、私どもの考え方、集団
安全保障
と自衛権の行使とは性格を異にするというものが
法律
の中に反映されるものと理解しております。
中谷元
35
○中谷
委員
それでは、今提出されている
法案
は従来の政府の憲法解釈の中で考えるということでよろしいですか。
浅尾慶一郎
36
○浅尾
参議院議員
現在提出をさせていただいておりますのは
特別措置法
ということでありますので、
特別措置法
の中でその新たな考え方を盛り込むのは
法律
の構成上いかがかという観点でありますので、
特別措置法
の中で新たな憲法解釈、従来の憲法解釈を超えるものは入っておりません。
中谷元
37
○中谷
委員
特別措置法
であろうが一般法であろうが、党が
法律
を考えて立案するわけですから、特に特措法ということでお考えになる必要はないんじゃないかと思っております。 こういうことで、今まで憲法について議論をさせていただきましたが、これまでの議論を聞いておられて、
麻生総理
にお伺いしますが、
小沢代表
の、現行の憲法でも
国連
の
決議
が出たら武力行使を伴う
活動
にも
参加
できるという考え方、そして現行の憲法の解釈を自分は変えるという考え方、これにつきまして
総理
のお考えを伺います。
麻生太郎
38
○
麻生内閣総理大臣
あれはたしか「
世界
」という本でしたかね、月刊「
世界
」というものの中で書かれた論文の中だと思ったので、私、一回だけ読ませていただいたので、正確な記録は少し違っているかもしれませんが、少なくとも、今言われた論議にありましたように、武器の使用も特に
法律
を制定することは問題ないというようなことが書いてあったと
記憶
するんですね、
国連
の
決議
がありさえすれば。 そういうことだと思うんですが、私は、
国連
の果たす役割の重要性というのは極めて大きい、これはもうはっきりしていると思っております。ただ、他方、政府としては、従来から、
国連
決議
に基づく措置であっても、今、中谷先生言われましたように、憲法第九条によっていろいろ制約があります。したがって、武力の行使に当たる行為というものも、これを
日本
が行うということは
国連
の
決議
があっても許されないのではないかというのがこれまでの我々の考え方であったと思いますし、それで五十五年来たんだと思っております。
小沢代表
の話は、
国連
の
活動
であれば武力行使を含むものであっても憲法に抵触しないというように読めたんですが、私の
記憶
が少し違っているのかもしれませんが、今、中谷先生と浅尾先生との話を聞きながらいま
一つ
よく明確じゃなかったんですが、少なくとも私としては、政府としては、従来の憲法解釈というものを踏まえて今後やっていく、少なくともこの特措法においては、そういった
見解
に基づいて、いろいろ我々として
国際社会
からの期待にこたえるこれが限度と思ってやらせていただいているというのがこれまでの我々の考え方であります。
中谷元
39
○中谷
委員
この
民主党
の憲法問題については、小沢党首が論文の中で、これは
民主党
の党内議論を経て決定したものである、
民主党
の名誉にかけてもそう申し上げるといってマグナカルタが出たと思いますが、伺うところによると、まだいろいろと党内で議論があるような気がいたします。 そこで、私が申し上げたいのは、憲法の解釈というのは非常に幅があって、国際貢献をしなければならないし、憲法というものはだれが読んでもきちんとこういうものだなと国民が理解できるものにしておかなければなりません。そういう
意味
で、憲法をつくるのは我々国
会議
員の仕事なんですね。そういうことで、この
衆議院
には、
国会
には憲法調査会というものがあって、二〇〇〇年から非常に熱心な議論をいたしてきました。その結果、憲法を改正する手続の
法案
を通し、そして、
国会
内に憲法審査会を置くと
法律
で明記をいたしたわけでございます。 ようやく、憲法をどうするかという議論をこの
国会
でできる、そういう環境ができましたが、これを政局第一の立場から壊したのは小沢一郎代表でございます。理不尽な採決の妨害、そして現在も、
民主党
の抵抗によって、
法律
で定められた衆参両院の憲法審査会が始動できないまま一年以上も放置をされています。今はやりませんと。幾ら与党が呼びかけても、何だかんだ理屈をつけて
反対
をしてやらない。伺うところによると、自分が政権をとったらそこでやろうと考えているのかどうか。 御自分が憲法の考え方を述べるなら、この
国会
で議論をしてその中身を詰めるのが
国家
としてのあるべき姿ではないかと思いますが、この憲法審査会の場、参議院ではこれの設置に
反対
をしていると伺っておりますが、いかがですか、
民主党
は。
浅尾慶一郎
40
○浅尾
参議院議員
事前に憲法審査会についての御
質問
の通告がなかったものですから。 憲法審査会については、
国会
の定めに従ってそれは粛々と進めていくべきものだというふうに私も理解をいたしております。 ただ、
国会
の場においてどういう手続で進めるかは、それぞれの
委員
会ないしは審査会で決めていくことだというふうに思っております。
中谷元
41
○中谷
委員
よくその発言を受けとめさせていただきます。一刻も早く
国会
に憲法審査会という場をつくって、この中身を議論しましょう。
小沢代表
の言うような理論も
一つ
では成り立つわけですから、では
国会
としてどうするのかということを考えないと、国際貢献は一歩も先に進まないと考えます。 それでは、
法律
の各論に移ります。 この
法律案
を出されたことには敬意を表したいと思いますが、この
法律
を読んでみますと、
自衛隊
の
活動
の
実施
対象
地域
というのが定められておりまして、抗争停止合意が成立している
地域
、
活動
期間が定められております。与党ではいわゆる非戦闘
地域
、戦闘が行われていない
地域
に限ってということで、現在、
インド洋
とかまたイラクのサマワでは、武力行使にならないという前提で、大変立派な
活動
をしております。どの国からも武力行使とか戦争をしているという批判を得ておりませんが、いわゆるこの抗争停止合意というのはどういう
意味
の内容なのか、具体的にだれとだれの間での合意を
意味
するものでございますか。
浅尾慶一郎
42
○浅尾
参議院議員
まず、抗争停止という概念を入れた経緯から御説明をさせていただきたいと思います。 現在の
アフガニスタン
におきますさまざまな国籍の軍隊の
活動
がいわゆる二次被害、コラテラルダメージというものを惹起しております結果、結果として
アフガニスタン
の
治安
状況
がよくなっていないということは
委員
御承知のとおりだと思います。そういう中で、
我が国
の
自衛隊
が仮に
人道復興支援
活動
であったとしても
アフガニスタン
に行った場合に二次被害を出すということは厳に慎んでいかなければいけないという観点から、この抗争停止という概念を入れさせていただきました。 この抗争停止というものは、現在、
民主党
、そして政府もそうだと思いますが、カルザイ政権を正統な政府としておりまして、それに対して非合法な武装
活動
をして政権を打倒しようとしている集団がいるということであります。そうした集団、これは
一つ
の単体というふうには考えておりません、さまざまなグループがあるというふうに考えておりますが、そういった集団とカルザイ政権との間の抗争停止、
アフガニスタン
全土でそれがある必要ということは認識をしておりませんで、それぞれの
地域
において抗争停止ということがあり得るというふうに考えております。
中谷元
43
○中谷
委員
そうしますと、アフガン
国内
に実質
活動
ができそうな
地域
があるかどうかということでございますが、犬塚議員は参議院の
質疑
におきまして、なかなか抗争相手を特定するのが難しいという答弁をされております。 この
法律
によって
活動
できる
地域
がアフガン
国内
に現在あるとお考えでしょうか。
犬塚直史
44
○犬塚
参議院議員
今、
委員
よく御案内のとおり、アフガン
国内
は非常に
治安
状況
が悪く、この特定の
地域
に限っては抗争停止合意が確実にできるというようなことを断定することはなかなか困難であります。だからこそ、この
法案
の中では、抗争停止合意を促進するという努力も行うということも入っているわけです。 しかし、御案内のように、一たん抗争停止合意ができたからといって、ではもとに戻らないかといったら、決してそんなことはない。あたかも月の満ち欠けのように、住民やあるいは武力集団の
攻撃
性というものも強くなったり弱くなったりする。
地域
ごとによっても違う、時間によっても違う。そのような中においてどうやって復興
活動
を行っていくかということで使わせていただいた言葉が抗争停止合意でございます。 ですから、端的に申し上げれば、ここがそうだよ、いつがそうだよというようなことはなかなか申し上げられないということです。
中谷元
45
○中谷
委員
では、もう
一つ
浅尾議員にもお伺いします。 浅尾議員は、参議院でこの
法律
が
審議
された際に、アフガンには抗争停止合意は成立しておらず、
人道復興支援
活動
に対する妨害その他の行為により住民の生命などに被害が生じることがないと認められる
地域
はないと答弁をされていますが、この考えは現在も変更されませんか。
浅尾慶一郎
46
○浅尾
参議院議員
この
法案
、出しております
テロ
根絶
法案
の二つの柱というのは、
一つ
は
治安
分野改革、それは
外交
の
支援
によって、カルザイ政権とタリバンその他の抗争停止合意を取りつけるための
外交
支援
というものが入っておりまして、それに
我が国
政府が努力をする、それに努力をした上で抗争停止ができる
地域
をつくっていくということがまず第一でありまして、その上で
人道復興支援
活動
に
参加
するということでありますので、御
質問
に対するお答えとしては、現在そういった抗争停止に当たる
地域
が
アフガニスタン
にあるかといえば、
アフガニスタン
の現状にかんがみて、それはなかなか、その
外交
努力がない中では、ないと言わざるを得ないというふうに思います。 ちなみに、少し敷衍させていただきますと、
我が国
が抗争停止のために
外交
努力ができるというふうに私どもが考えております
一つ
の例で申し上げますと、実は、
アフガニスタン
に
参加
をしている多国籍軍の中で唯一被害を受けていないのはトルコ軍だということを聞いておりまして、これは
イスラム国
であるトルコだからいろいろな妨害工作に遭っていない。御案内のとおり、
日本
は
アフガニスタン
に今まで手を染めておりませんので、
外交
的な仲立ちということに関与する要素が十分にあるというふうに私どもは考えております。
中谷元
47
○中谷
委員
これは、
我が国
として人的貢献をいかにするかという内容でありまして、
自衛隊
もそのような
活動
地域
がない、民間人も非常に危険で派遣することができない、政府の職員も警察も同様でございますが、結局、
活動
できる
地域
がないということでありまして、アフガン
復興支援
のために
人道復興支援
というものが直接行くことはできないということになります。それでは、この
法律
を出したのはどういう意義、目的があるんでしょうか。 つまり、先ほどおっしゃったお話ですと、国際機関を使ってアウトソーシングというか
復興支援
をしたり和平を呼びかける。そんなことは今もやっていますよ、今の政府で一生懸命。この
法律
がなくてもできることであります。いろいろな
関係
の努力、国際機関の働きかけ、
NGO
との
協力
、
外務
省の職員やJICAの人たちは、
皆さん
が見えないところで、非常に危険な中でこのアフガン復興のために汗を流していますし、
現実
に、
インド洋
に派遣された
自衛隊
の
艦船
の隊員も、非常に厳しい環境の中で必死で
我が国
のために国際貢献をしているわけでございます。 伺いたいのは、
民主党
はなぜ、安全で国際
評価
の高い
インド洋
上の
補給
支援
に
反対
をするのでしょうか。これは
憲法違反
だと本当に考えておられるんですか。
浅尾慶一郎
48
○浅尾
参議院議員
この間、
インド洋
での
給油活動
をずっと
継続
してまいりましたけれども、
アフガニスタン
、これは内陸国であります、
インド洋
からは離れております内陸にある国でありますが、
アフガニスタン
の
状況
が改善されたというふうには私どもは理解をしておりません。むしろ、
アフガニスタン
の
状況
は少し悪くなっているというふうに考えております。 そういう中で、先ほど来お話をさせていただいておりますように、両輪あろうかと思いますが、
アフガニスタン
の
治安
分野の改革。これは、今
委員
御
指摘
がありました、
我が国
がこれまで従事をしてまいりましたDDR等の武装解除といったような形で、ある程度の成果は上げておりますが、まだまだ不十分だと思っておりますので、その
治安
分野改革にまず注力をする。その過程の中で、抗争停止の合意が取りつけられる
地域
を経て、そこに
人道復興支援
活動
に
参加
をしていくというのが
テロ
根絶
法の趣旨でありまして、それの方が直接的に
アフガニスタン
の現状の改革、そして結果として
テロ
根絶
につながるというふうに考えております。
中谷元
49
○中谷
委員
憲法違反
かどうかという
質問
にはお答えされませんでしたが、答弁者としてお座りになっております浅尾議員も、また犬塚議員も、平成十三年の十一月三十日に参議院でこの
自衛隊
の派遣の
国会
承認を求める議決がありました、そのときに賛成をいただいておりますが、これは憲法に基づく行為であるから賛成をしたということでよろしいですね。
浅尾慶一郎
50
○浅尾
参議院議員
民主党
として、
給油活動
あるいは
旧法
が
憲法違反
だというふうに整理をしたということではございません。 しかしながら、その後、給油をされた油がイラクの戦争に転用されたという可能性がさまざま
国会
の中で
指摘
をされておりまして、それは、
委員
御案内のとおり、イラク戦争に使われたということになれば、まさに武力の行使、これは自衛権ということで言っております武力の行使に当たるわけでありますから、そうなれば、当然
憲法違反
になる、
憲法違反
の疑義が高まっている、イラクの戦争に転用されているということであれば疑義が高まっているということでありまして、今御
指摘
をされました派遣承認の際には、イラク戦争に転用されるというような説明は一切ございませんでしたということも付言させていただきたいと思います。
中谷元
51
○中谷
委員
それでは、この
法律案
の原則としては憲法に抵触しないということを
確認
させていただきました。 そしてもう一点、
民主党
から提出された
法案
で注目すべきことは武器の使用でございます。
民主党案
によれば、
復興支援
活動
の
実施
に対する抵抗を抑止するためにやむを得ない必要があると認める相当の理由がある場合には、武器を使用することができるとされていますが、これは具体的にどのようなケースを想定されているのですか。いわゆる任務遂行型の武器使用というものをお認めになったものだと理解をいたしますが、そのとおりでございますでしょうか。
犬塚直史
52
○犬塚
参議院議員
前
国会
でお答えを申し上げましたが、確かに、この
法案
の中で武器使用に関しては踏み込んだ表現をしております。 具体的に申し上げますと、例えば、食料などを保存している倉庫に盗賊や武装集団が入り込んできたときには、これを阻止するための威嚇射撃を行う、あるいは、例えばですけれども、
我が国
がつくり上げてきたかんがい施設等を破壊するような行為が行われるような場合には、これに対して威嚇射撃を行うというようなところまで踏み込んだ表現をしております。 ただ、その前提といたしまして御理解いただきたいのは、あくまでも抗争停止合意を前提にしたこうした行動であるということです。つまりは、タリバン、
アルカイダ
の掃討作戦をやるわけではないということなんですね。
平和維持活動
の大前提であります停戦合意、この停戦合意がなかなかつくることができないときに、抗争停止合意という表現に直して、より
地域
的、短期的、流動的な
状況
にも何としても応じなければいけない、そうした趣旨でこの武器の使用基準を定めたところであります。
中谷元
53
○中谷
委員
この武器使用基準もこれまでずっと議論をしてきたわけでありまして、
民主党
がこのような提案をされたということは私は
評価
をいたしたいと思います。 今の御発言で、武器使用においてこのような場合は憲法上問題ないという
確認
をさせていただきましたが、それでよろしいですか。
浅尾慶一郎
54
○浅尾
参議院議員
今の犬塚
委員
の答弁につけ加えさせていただきますと、今までの政府、内閣法制局の解釈においても、国または国準に対する武器の使用が武力の行使に当たるので、これは
憲法違反
であるということでありまして、先ほど御答弁にありましたように、抗争停止合意のところには国または国準に当たる集団がないという前提でありますので、現行の政府の解釈と異なるものではないというふうに理解しております。
中谷元
55
○中谷
委員
ここぐらいの議論になりますと、恐らく国民の
皆さん
は、国に準じるものとか言われてもわからないと思います。 したがって、要は国際貢献をしっかりしていくということが大切でありまして、与党は何度も何度も
民主党
に、この問題を詰めましょうよと、一般法の
法律
においても今回のアフガン復興法と我が与党の間の修正協議も
理事
会で正式に議論しましょうと言いました。 しかし、
民主党
のお答えは、そんなのは
理事
会でもやらない、協議会もつくらない、この
委員
会の場でやってくれと言われたんですが、まさにこの
委員
会の場でありますが、この武器の使用において、鳩山幹事長も今の出している
法案
をリバイスする必要があると言っています。我々にも話し合う準備がございます。 この点につきまして、修正を含めて何とかこの
国会
で形を残したいというのが我々の考えでありますが、この武器の使用等において修正に応じる考えはありますか。
浅尾慶一郎
56
○浅尾
参議院議員
武器の使用について修正に応じる用意があるかどうかということでありますが、提出されております政府側からそうした修正案を出されるかどうか、出された上でその協議をしていくということになろうかと思います。
中谷元
57
○中谷
委員
私は、何もしないよりは何か
一つ
でも二つでも喜ばれることをしたらいいということで、ぜひこの与党案も残しつつ、アフガン
国内
でも対応ができる、そういう
意味
では旧
テロ特措法
がそうなんですね。今、
補給
支援
しか取り出していませんが、旧
テロ特措法
はアフガン
国内
においても
民主党
のおっしゃるような
活動
ができる
法案
でありましたので、お考えをいただきたいと思います。 以上、ざっと
質問
をさせていただきましたが、まだまだ詰めるべき点がありますので、月曜日に引き続き
質疑
を続けさせていただきます。 終わります。
深谷隆司
58
○
深谷委員長
この際、新藤義孝君から関連
質疑
の申し出があります。小池君の持ち時間の範囲内でこれを許します。新藤義孝君。
新藤義孝
59
○新藤
委員
自由
民主党
新藤義孝でございます。
質問
の機会をいただきましたことは、
委員長
また
同僚議員
に感謝を申し上げたいと思います。 そして、小池議員の持ち時間の中ということで、十一時半までということになりましたから少し時間が少なくなりましたが、その範囲でいろいろ御
質問
させていただきたい、このように思います。 まず、私たちは、この
インド洋
における洋上
補給活動
、これは
日本
にとって非常に意義ある
活動
だということを再認識しなくてはいけないというふうに思います。 何よりも、ニューヨークの
同時多発テロ
は、二〇〇一年九月十一日、
犠牲者
二千九百七十三人、
日本
人も二十四人が
犠牲
になったということ、これは絶対に忘れてはならないことで、以来、私たち
世界
は、
テロ
との
闘い
を克服することが最大の
国際社会
の目的である、このように思っています。その中においていろいろと、
ISAF
だ、陸上
部隊
だとかいろいろありますけれども、
世界
じゅうで四十カ国を超える国が
参加
をしている。そして、実際に
参加
をした軍隊の中では
犠牲者
ももう既に九百七十七人、
世界
じゅうで
犠牲
が出ているということも我々は踏まえなければいけないと思います。 そういう中で、私たちは何をやっているかというと、海外で武力行使は行わない、それから危険な区域、戦闘区域には行かないということで、この
インド洋
の、
インド洋
というか広い区域です、中東沖から
インド洋
のあの周りの不審船を取り締まる、それから武器の密輸や麻薬の取引を監視する、こういうことのために船を出しております。 ちょっと経費だけで言います。私たちが今までの六年間で
自衛隊
に使った経費は六百十二億円です。そして今年度は、
補給
支援
のための
燃料
代、これは二十億なんですね。これは私たちのこの
日本
の国の
国内
のガソリン販売額の〇・〇二%と、これは大変なお金です、二十億円も。だけれども、
世界
の、先ほど小池議員からもお話ありましたように、私たちの生命線である石油を大量に買ってくる、そういうシーレーンを維持するためのものでもある
活動
がこういう金額でやられているということだと私は思っています。 一方で、湾岸戦争のときは一体どのぐらいのお金を使ったのかというと、これが、資金のみの
活動
でございましたが、一兆八千億円です。増税までやって、我々は本当にもどかしい思いをしながら、私は当時、国
会議
員でございませんでしたから、
日本
は何をやっているんだと。しかも、こんなにお金を出したのに、結果として、戦争が終わった後の感謝広告には
日本
の名前が入っていなかった。お金だけじゃだめだ、顔の見える貢献、私たちは汗をかこう、そして、自分たちのできることをやらなければいけないんだということで、我々は順次、この国も随分変わってきて、いろいろな
法律
を整えて、今この
海上
補給活動
をやっているわけです。 そうしますと、しかも、湾岸戦争のときに比べると予算的にもそんなに大きなものではない、かつ、洋上
補給
の能力と技術を持っている、そういう国というのは
世界
で何カ国もないんですね。だから、
日本
の
活動
が非常に喜ばれている、こういう状態なわけです。 それで、それに対して、これは今まで何をやってきたかとお聞きしたいと思いましたが、時間がございませんから、とにかく大変な成果が上がっているということは私は間違いないと思うんです。 そういう中で、
民主党
は、今回お出しになられた
法律
は
テロ
根絶
法案
と言われているもので、この
法案
におきますと、まず、
自衛隊
による
人道復興支援
活動
、これは抗争停止合意
地域
でないと行かないよということだと。したがって、これは、現時点ではそういう
地域
はアフガンにはないと発議者がおっしゃっているわけだから、できない。それから、今私が申し上げました、
日本
ができる、しかも
世界
から大変に
評価
されている洋上
補給活動
は、
国連安保理
決議
がないのでやりませんと。先ほども、小池議員の最後の
質問
の中で、この
海上阻止活動
からは撤退するんだ、こういうふうにお話しされました。 だとすると、では、今
世界
がみんなで闘わなければいけない
テロ
との
闘い
において、
民主党
はこの
テロ
根絶
法案
をお出しになりましたが、具体的に何をやろうとするのか、まずそこのところを教えてもらいたいと思います。
犬塚直史
60
○犬塚
参議院議員
委員
御
指摘
のとおり、
海上
補給活動
の最大の目的は、紛争
地域
に隣接をしている
海域
の平和維持、秩序の維持にあるわけであります。この秩序の維持をこの
海域
において本当に行うのであればいろいろなやり方はあるわけでありますけれども、この秩序の維持を行う作戦の名前がOEF・MIOというわけですね、不朽の自由作戦の
海上
における下部作戦に、
我が国
は今
参加
をしているわけであります。 私ども提出の
法案
の最もしんになる部分が、このOEFという、今、タリバンと
アルカイダ
の掃討作戦をやっております。つまり、
アフガニスタン
の陸上において、だれがタリバンか
アルカイダ
かわからないような非常に難しい
状況
の中にもかかわらず、この掃討作戦をやっているのがOEFなんですね。 我が党の主張は、こういう掃討作戦に
支援
をするのではなくて、
我が国
の
支援
は油ではなく水だろうと。つまり、
テロ
を本当に
根絶
する、
テロ
に対する
闘い
をやるというのであれば、やはり
テロ
の大もとになっている、今、例えば
アフガニスタン
でいえば、ユーラシア大陸の大干ばつがあります。やはり水が必要だろうと。そして、警察の
支援
が必要だろう、資本の
支援
が必要だろう、火消しの水が必要だろうということを言っているわけであります。 ですから、先ほど来御
指摘
の、
民主党
は油ではなく水である、この水の中身をしっかりと詰めていったのが
民主党案
でありまして、何もしない
法案
だというのは、どこをどう読めば何もしないというふうに読めるのか、私は逆に聞きたいぐらいであります。
新藤義孝
61
○新藤
委員
油なのか水なのか、それは手段なんです。ではなくて、
テロ
との
闘い
に
参加
をするのか、私たちは汗をかくのか、ここのところを私は聞いているんです。 だから、この
法案
ではいろいろなことができるように書いてあるけれども、今はやらないんでしょう。何もできないんでしょう。そこだけ言ってください。
犬塚直史
62
○犬塚
参議院議員
テロ
との
闘い
というのは、
テロ
との戦争ではなくて、対
テロ
戦争ではなくて、
テロ
を
根絶
するのが
闘い
であります。
民主党
が今すぐこの
法案
でやれと言っているのは、この火消しの部分であります。火消しというのは……(新藤
委員
「だから、できるのか」と呼ぶ)できるんです。これはやはり
日本
の
世界
に対するアピールが非常にまだ足りないと思うんですけれども、
アフガニスタン
において北部同盟六万人以上の武装解除をやったのは、
日本
のリーダーシップなんですよ。これだけ大切なことをやったにもかかわらず、ほとんどの方はこれを御存じないんですよ。こういうことを
日本
が今までやってきた。 ところが、今どうでしょうか。DIAGが、確かに今やろうということで
日本
が主導はしておりますけれども、この担当者はたったの二人しかいないという
状況
になっているんですね。力が入っていないんです。これをやろうというのが
民主党案
です。
新藤義孝
63
○新藤
委員
これは
皆さん
御理解いただけたと思いますが、かつてそういうこともあった、それから、紛争停止の合意がなされればいろいろなことをやりますよと言っている、だけれども、今は何もない、だから何もやらないということになってしまうということ。これはみんなで理解したい、このように思います。 それから、今、
インド洋
の
海上
を、要するに
治安
の維持をするということがいろいろな
テロ
との
闘い
プラスアルファもあるんじゃないかと私は思っています。 ちょっとパネルを持ってきましたので。この
インド洋
、もちろん、
世界
じゅうの海は物の
移動
のため重要なものです。そこで、この
インド洋
の
海上阻止活動
というのは麻薬との
闘い
であるということも我々は知らなければいけないと思います。
アフガニスタン
のケシからとれる
アヘン
の生産量というのは、
世界
の九〇%を超えているということです。そして、
国連
の報告では、タリバンがケシの栽培をさせて、そこから買い取ると報奨金みたいなものを出すんですね。それから、逆に収益も取っています。そして、二〇〇七年度でケシの取引だけでタリバンは実に百六億円もの収益を得ている。これに加えて、ヘロインの密輸だとか製造、これによってもさらに資金を得ているわけですね。 それで、今回私たちが
参加
をしているOEF・MIOという
海上阻止活動
では、ことしの二月に再開させてもらって我々今やっているわけです、ことしの二月から七月までで実に三十トン、麻薬を押収しています。これは東京都の二〇〇七年度の押収量の二百倍ですよ。そういうような麻薬を押収しているんだ、こういうことなんですね。 それからもう
一つ
、
海上阻止活動
のエリアというのはすごく広いんですね、ここのアフガンの前から中東のところまで。最近、海賊の問題というのが非常に大きくなっています。 それで、
インド洋
を中心にして中東からマラッカ海峡までずっと通っていかなきゃいけないんですけれども、そういう中で、ここは
我が国
にとっての死活的重要な
海上
輸送路なんじゃないですか。私たちの輸入原油の九割は中東に依存しているというのは
皆さん
よく御存じだと思うんですが、これは結局、今どのぐらいの船が動いているかというと、中東から
日本
へ
タンカー
が往復で九十隻、ずっと行き帰りでもって動いている、こういうイメージなんだということなんです。 さらに、周囲を海に囲まれた私たちの国、
海上
交通の安全確保。海外貿易の割合は、金額で七割が
海上
輸送。それから、量でいうと九九・七%が
海上
輸送なんです。そして、今話題になっているソマリアという無政府状態になっちゃっているところに海賊がたくさん出てきている。これは今、
アデン湾
と
ソマリア沖
というところが非常に海賊がふえているということなんです。それから、この真ん中の、
パキスタン
の前の海、ここのところも麻薬の密輸や武器のために
テロリスト
たちが出入りしている。ここのところを私たちは安全を確保しなかったら、
日本
の国の経済動線も断たれてしまう。それから、
日本
に物資がきちんと安定的に運ばれてき、また我々が出せるということが確保できなかったならば、それは
日本
の信用にもかかわってくる。これは非常に大きな問題だと思っています。 そこで、まず
民主党
に聞きますが、
民主党
の
テロ
根絶
法案
の第二十八条においては、
テロリスト
による
攻撃
等から
海上
交通の安全確保を図るために、公海における自由の確保のための
国際社会
の取り組みに積極的かつ主導的に寄与すべきものとなっているということなんですが、
民主党
は、この海賊
対策
、この
海域
に対してどんなことをやろうと思っているんですか。
浅尾慶一郎
64
○浅尾
参議院議員
お答えいたします。 海賊行為は、御案内のとおり、人類共通の敵というふうに認識しておりまして、海賊行為に対しては積極的に対応していくべきものだというふうに考えております。 今提出をされております政府案のいわゆる
テロ
新法
は、海賊行為そのものを対象にした
法律
ではないというふうに理解をいたしております。 ちなみに、現状ある
法律
を見ていきますと、後ほど
海上
保安庁からも類似の答弁があるかもしれませんが、
我が国
船籍及び
我が国
の船員が乗っている船に対しては、公
海上
で警備
活動
としての
活動
ができるということになっております。ただ、その能力があるかどうかということは
法律
の整備とは別問題でありますが、いずれにしても、
我が国
の船籍あるいは
我が国
の船員が乗っている船以外のものについても対応していくということになるとすれば、それは新たな
法律
をつくって対応していくべきものだというのが本法の二十八条においての考え方であります。
新藤義孝
65
○新藤
委員
では、ちょっと
確認
しますが、
民主党
はたしか、
国連
決議
があれば
海上阻止活動
にも
参加
できるんだ、可能性があるんだ、こういうお話をされていますよね。 そこで
確認
するけれども、この
ソマリア沖
、
アデン湾
、このあたりはOEF・MIOの対象
海域
なわけですね。 そこなんですが、これは興味深いものがあるんですが、
国連安保理
決議
の一八一六です。これは、
ソマリア沖
の海賊・武装強盗行為
対策
に係る安保理
決議
が採択されています。これによって、
国際社会
は、海賊や武装強盗
対策
のために必要な措置をとろうということをみんなで決めました。これはOEF・MIOの
海域
の中です。この部分はできるんじゃないんですか。
浅尾慶一郎
66
○浅尾
参議院議員
繰り返しになりますが、まず、現在提出されております政府案の方からお話をさせていただきますと、政府案そのもので海賊に対して直接的な
対策
をするものではない。つまり、それは
テロリスト
に対するものであるということでありますし、給油を
支援
するということでありまして、海賊
対策
をするものではないというふうに理解しております。 加えまして、本法二十八条に書いておりますことにおいて言いますと、海賊
活動
というものは、これは
海上
警察の国際間の
連携
において対処すべきものだというふうに考えておりまして、先ほど申し上げましたように、公
海上
であれば現在の
法律
でもできるところもあるというところまで
確認
をいたしております。 しかしながら、現在の
法律
でカバーできない部分、すなわち、他国船籍あるいは他国の船員が乗っているものについては新たな立法が必要であるというふうに解釈しておりまして、そういう観点から二十八条を制定したものであります。
新藤義孝
67
○新藤
委員
私たちは、まず何をやるべきかを決めなきゃいけないんですね。その中で、それを法治
国家
としてどうやってやるか。そして、その
法律
がなければ、私たちはどうやってつくっていくか、直していくか、こういうことだと思うんです。 だから、現状において、
国連
決議
がすごく話題になっているけれども、少なくともMIOの
海域
の中でもう
決議
されているところがあって、それはもちろん直接のことではないです、でも、ここの
テロ
との
闘い
というのは
関係
しちゃってくるわけですよね。だから、そういうのをやはり我々は前向きにとらえていく必要があるんじゃないかな、こういうふうに思うんです。 それで、先ほど特措法というのが出ましたから、これもちょっとだけ
確認
をしておきます。 私たちは、
日本
じゅう、この特措法をどうするかということで、大変な論戦を
国会
でやっているわけなんですが、さっき言いましたように、
ISAF
にせよMIOにせよ、
世界
じゅうで四十七、八カ国出てきているわけですね。そういう中で、こういう
国際社会
が
テロ
との
闘い
を行うのに特措法をつくって
活動
している国というのは、主要な国で結構でございますが、私たちの国以外にどこがあるんでしょうか。
外務大臣
、お願いします。
中曽根弘文
68
○中曽根国務
大臣
現在、
アフガニスタン
に
部隊
を派遣している諸国、いわゆる
ISAF
、OEFへの
部隊
派遣を公表している国が四十二カ国ございますけれども、これの対応につきまして可能な範囲で
確認
を行いました。それによりますと、
アフガニスタン
に
部隊
を派遣するに当たりまして、当該派遣を実現するために、今お話ありました個別の限時法、これを制定している例は
確認
されませんでした。
新藤義孝
69
○新藤
委員
よその国がこうだから私たちもこうしようなんて全く思う必要はありませんが、ただ、
世界
じゅうで、一々特措法をつくって
国会
審議
でいろいろな大激論をやって、行くか行かないか、まるでガラス細工のように、これはやっていい、これはだめだとか、そういうふうにやりながら国際貢献を、
協力
活動
をやろうとしている国は少なくとも
日本
しかないということは我々は知らなければいけない、このように思うのでございます。 それで、時間が大分なくなってきましたが、私は率直に言いますけれども、
民主党
はどうして賛成できないの。去年はさんざん議論をやったじゃないですか。二カ月も間を置いて、結局
衆議院
に戻ってくるようなところまでつくってしまった。なんだけれども、
民主党
だって、
テロ
の
根絶
をしなきゃならない、それから
海上阻止活動
だって要件が整えばやるんだと言っているんだから、ならば、ここで今できるのは、今政府が出している案しかないじゃないですか。だからやろうとしているわけなので、もしかして
反対
のための
反対
をしているんだとすれば、それはやはり政権担当能力があるとはどうしても言えないんだ、こういうふうに私は思うんです。 だから、今回は、
衆議院
は二日間の
審議
で終わらせてもらう。そうすると、今度は参議院に行きますが、
皆さん
はお二人とも参議院の方なんだから、参議院でも同じような
審議
をして、きちんと決められた
審議
で採決まで行く、そしてこの
法案
の
審議
に
協力
する。今回は
衆議院
と同じように参議院も行われるんだということを
確認
しておきたいんですけれども、どうですか。
犬塚直史
70
○犬塚
参議院議員
どうして賛成できないのという御
質問
ですね。簡単なんですよ。 我々は、給油を行うことによって
アフガニスタン
が平和になるとは思っていないんですよ。
アフガニスタン
に必要なのは油ではなくて水だというのが我々の立場なんですよ。ですから、では水をやるためにどういうふうにこれを
法案
として進めていこうかということで我々が一生懸命考えたのが、この
法案
なんですよ。 例えば……(発言する者あり)もう少しだけ言わせてください。今、給油をやっているこの先の作戦はOEFなんです、御存じのとおり。OEFがやっているのは、タリバンと
アルカイダ
の掃討作戦をやっているんです。 九〇年代を通じてPKOが全部失敗してきたのは、紛争の当事者になったからなんですよ。紛争の当事者になって、せっかく平和目的で行ったこの武装集団が紛争の当事者になってしまうことが、今までの九〇年からのすべての間違いのもとだったんですよ。 ですから、
民主党
が大事にしているのは、まずは抗争停止合意。こういう話をするとややこしいかもしれませんが、
ISAF
で今PRTがやっている
活動
のかなりの部分は抗争停止合意に基づいているんですよ。これはどういうことかというと、この
地域
で学校をつくるよ、かんがい施設をつくるよ、こういうものをつくるに当たっては平和維持をしなきゃいけないね、そういうことをやっているんですよ。今OEFがやっているのはそうではないんですよ。だれがタリバンか
アルカイダ
かわからないが、これを掃討しようという作戦をやっているんです。我々は、この先には平和はない、こういうことを言っているわけです。
新藤義孝
71
○新藤
委員
手段はいろいろあっていいと思います。油も必要だし、水も必要だし、
人道復興支援
もやっていかなきゃならない。何よりも、
世界
じゅうの国が平和で暮らせるようにしなきゃいけないんですよ。だから、それはみんなやらなきゃいけないんだけれども、今何ができるのかということをやはり
民主党
は考えるべきだと思う。 最後に、私は
総理
の方へお尋ねします。 私は、この国はもう今壊れかかっている、私たちの今までのやり方が通用しなくなっている。それは、役所の不祥事もたくさん出ちゃったし、それから私たち政治家も含めて反省しなきゃいけないところがたくさんあります。だけれども、壊れかかっているとともに、物すごいチャンスを迎えているんだと私は思っています。 新しい国として、今のこの
安全保障
の確立、これも今までに比べれば随分と前進してきました。そして、私は思うんですが、
日本
は何といったって経済大国。だけれども、それは、資源のない国が外国から安全に物の輸送を受けて、そして加工してまたそれを輸送する。だから、私たちの経済の繁栄は、これは資源の確保とそれから国際的な
安全保障
環境を確立すること。結局、これができなければ、中小企業の
皆さん
も、それからお年寄りの
皆さん
や子供たちにもいろいろなことをやってあげたいと思うけれども、結局は、経済と
安全保障
が確立できなければ何もできないわけです。 だから、
麻生総理
がおっしゃっていることは私はすごく共感をしていて、そのときに、私、幼稚園の園長もやっています、現職の幼稚園の園長なんです。子供たちにどう接するかというと、褒めるんです、大したものだ、すごいねと。そうすると、本当はできていないんですけれども、できないことも頑張るようになるんですよ。 今壊れかかっている
日本
は何をすべきかというと、みんなで明るく強く元気にやるべきだと思うんですよ。その
意味
において、今回の私たちは、やるべきことはやる、
民主党
の
皆さん
ともきちっと協議したらいいと思うんですよ。幾ら
ねじれ国会
だといったって、国の骨格をなすような、例えば海洋基本法だとか宇宙基本法だとか、私が提案させてもらいました地理空間情報の推進基本法だとか、こういう国の将来を開くようなものは皆、
民主党
の若い人たちと我々、公明党、自民党、公明党、
民主党
でお互いに中堅どころが政策を出し合って共同提案すると成立するんですね。 ですから、私は、ぜひ
麻生総理
には、この
日本
を明るく強く元気にするんだ、その意気込みを、この特措法を絶対続けるんだよ、洋上
補給活動
を続けるんだ、そしてその中でもっと
民主党
とも話し合いをして、そして仕事を実行しようじゃないか、こういう決意を語っていただきたいなと思うのでございますが、国に対する思いを
麻生総理
からお願いしたいと思います。
麻生太郎
72
○
麻生内閣総理大臣
今お話があったところですけれども、
ねじれ国会
の話を暗に言っておられるんだと思いますけれども、ねじれているというのは、これは、戦後六十何年の間、自由党が参議院で過半数を握っていたなんということは、昭和二十年代は一回もないと思うんですね、私の
記憶
では。自由党は参議院で過半数を持っていたことは多分一回も、私の
記憶
ではありません。私は、そういう時代を得ていたころの方がうまくいっていたような気も正直ないわけじゃないんですが、ちょっと大分前の
記憶
なので、正確な
記憶
が少しずれているかもしれません。 ただ、今の状態でねじれているからだめなのではなくて、そういった
状況
の中にあって、ほかの先進国の中でも幾つもそういった例がないわけではありません。そこで皆経験を得ていろいろやってきておられるので、我々も一年も経過しておりますので、そういった経験を踏まえて、少なくとも前回は二カ月、今回はそういった時間がなく行きつつあるというのは、この一年の間の、少なからぬ我々なりに成熟してきたと
評価
されてよろしいのではないかと思わないわけではありません。これは率直なところです。 ただ、今後とも、中長期的にこの
日本
という国が、悪いことが起きますと、やはり円が高くなるというのは輸入物価が安くなるということですから、石油も、百四十ドルに上がったと大騒ぎでしたけれども、今七十ドルということになったときはだれも言わないのは、これはどう考えても少し、何というか、悲観的に物を考えるのが趣味、趣味ということはないか、好きなんですかね。 僕は、もう少しいい面というものも考えていかないと、
国家
の将来というのは、常に悲観的、悲観的に物を見るという面も必要ですが、いい面も両方見ないと、先ほど子供も育たないという話がありましたけれども、ぜひ、そういった
意味
でも、政治家を育てる
意味
でも両方を、褒めていただいたりきちんと批判していただいたり、バランスよくいっていただくと、政治家皆育つのではないか、そんな感じがいたします。
新藤義孝
73
○新藤
委員
ありがとうございました。終わります。
深谷隆司
74
○
深谷委員長
これにて小池君、中谷君、新藤君の
質疑
は終了いたしました。 次に、
田端
正広
君。
田端正広
75
○
田端
委員
公明党の
田端
正広
でございます。よろしくお願いします。
補給支援活動
の問題に入る前に、少し経済問題で
総理
にお尋ねしたいと思います。
アメリカ
発そして
世界
同時株安という形で、きょうも八千何がしかのところで推移していると思いますけれども、大変な不況感のあるところに株安ということでまた追い打ちをかけて、そして経済問題というものが大変逼迫した
状況
になっています。 昨日補正予算が成立いたしましたが、しかし、私は大阪ですが、大阪の
皆さん
とお話ししていますと、
インド洋
の国際貢献、それは必要だ、それはわかるけれども、
国内
貢献の方が先じゃないのか、景気
対策
あるいは
生活
防衛
対策
、そこのところをもう少してきぱきとやってくれというのが大阪の庶民の率直な声ですけれども、
総理
のまず御所見、今後の追加
対策
等についてお願いいたしたいと思います。
麻生太郎
76
○
麻生内閣総理大臣
今回のこの金融危機というものに関しましては、御存じのように、これは
アメリカ
発、今からかれこれ九十年ぐらい前になります一九二九年、ウォールストリートの株の大暴落以来、まあ百年に一度とかいろいろな表現がありますが、こういう表現がなされるほど危機であると思っております。 これがあのときはどういう影響を与えたかといえば、結果的には実物経済に後で猛烈な影響を受け、
各国
、保護貿易に走り、
自国
通貨の通貨価格を切り下げ、いろいろな形のものがあのとき起きたと、我々は学校で習ったわけです。 今回も同様に、それよりさらに規模の大きいものが起きておりまして、我々としては、それに対応するためには、おまえのせいだとかあっちのせいだとか言っても始まりませんので、これだけ
世界
じゅうがいろいろ密接につながっておる
状況
では、
一つ
のところで起きた大きな問題は他国にすぐ関連して起きてくるということだと思います。 したがいまして、
日本
としても、そういった金融というシステムを維持するためには、我々、人の失敗をあげつらっても始まりませんので、まずはこのシステムを維持せにゃいかぬということで、今回いろいろな
対策
をさせていただいております。おとといはやたら上がって、きのうはやたら下がって、きょうは多分前場の終わりで百二、三十円上がったと思いますが、そういった
状況
で乱高下するというのは、我々
生活
側にとりましては結構問題です。 なぜなら、これは一般企業は担保になっておりますから、また銀行としてもそれは動産としていわゆる担保になっておりますので、その価格が暴落するということは、いわゆる銀行にとりましては、資産、負債というなら負債超過になりかねぬ。そういう
状況
では、いわゆるBIS規定、自己資本比率規定なんかに全部影響しますので、銀行は結果として貸しはがしをせにゃいかぬ、渋りにならざるを得ないという
状況
になってくるなどなど、これは一般に与える影響は物すごく大きいので、そこらのところの対応を真剣に考えないと、結果として景気にすごく影響を与えるのだと思っております。 ここらのところは、きのうの予算
委員
会、いろいろ御答弁があっておりましたけれども、日銀総裁、財務
大臣
、いろいろ御苦労いただいているところだと思いますが、これは
各国
もう必死にこれをやっておる最中であります。それが今我々がやっている
対策
ですけれども、それでも私は景気にはかなりな悪影響が出てくるということを覚悟しておかないといかぬと思って、予算はきのう上げていただきましたので、その後続いて景気
対策
というものをもう一回全然別に考えないといかぬと思っております。特に
地域
とか
生活
とかまた中小零細企業というものを主に重点的に考えて取り急ぎ対応すべきだと思って、きのう指示をさせていただいたところであります。
田端正広
77
○
田端
委員
国際協調ということが大変大事だと思いますし、また、即政策を打つという、これは今直ちに必要な
状況
だと思いますので、今おっしゃった中小企業
対策
、
生活
者、あるいは
地域
の問題等々、ぜひよろしくお願いしたいと思います。 それでは本論に入りますが、正直言って、
インド洋
というのは、国民の皆様から見てどこにあるのかということが大変わかりづらいというか、遠い国であります。そういった
意味
で、この
インド洋
、そして
アフガニスタン
というのは内陸部にある国でありますから、まず、ここで今
日本
が何をやっているかということの、地理的感覚といいますか、そういったことも
一つ
はぜひしていく必要がある、こう思います。(パネルを示す) それから、今
自衛隊
がここで行っている
活動
というのは大変高度な技術を要するわけでありまして、
海上自衛隊
の
補給
艦と、そして、左側がそうでありますが、給油、水、油を
補給
する、並行して走りながら同じスピードで、同じ
状況
の中でやっていく、こういう大変大事な
状況
だと思います。今
インド洋
でこういうことが行われているんだというその前提が国民の皆様にどこまでわかっていただいているかということ、しっかりとアピールすることが大事ではないか、こう思います。 そもそも、二〇〇一年の九月十一日の
同時多発テロ
、これはもう本当に、今思い出しても、もう七年になりますけれども、大変な、私たちもこれは映画であってほしいな、夢であってほしいなと思うような
状況
でございました。あのワールド・トレード・センタービルが壊れていくさまを見たときに本当にショックを受けたわけでありますけれども、だからこそ、今、
国連
で
決議
がなされ、そして、それに基づいて国際世論として
テロ
との
闘い
に
各国
が一斉に立ち上がっているわけで、
日本
としてもそういう流れの中で今回の
補給支援活動
、こういうことになっています。 それで、今現在
各国
の
部隊
が派遣されているのは、OEF、不朽の自由作戦で十一カ国が
アメリカ
を中心に行われており、そして、
インド洋
の
海上阻止活動
、OEF・MIOはおおむね六カ国から八カ国ぐらいでございますが、この
海上阻止活動
に、今
インド洋
で
日本
の
海上自衛隊
が今言ったような
給油活動
をやっているわけであります。 私は、
アフガニスタン
を
テロ
の温床にしないという国際的世論の中で、
日本
がそれを受けてやっている、これがそういう
意味
では大変大事な大事な国際貢献に当たる、こう思っておりますが、非戦闘
地域
での
海上自衛隊
のこの行動、これこそカルザイ
大統領
あるいは潘基文
国連
事務総長等もぜひ
継続
してほしい、こういうこともあって今回こういう議論をしているわけでありますが、まず
総理
として、国際貢献としてこの
活動
がいかに大事かということの趣旨を国民にわかりやすくぜひおっしゃっていただきたい、こう思います。
麻生太郎
78
○
麻生内閣総理大臣
御
記憶
のように、これは二〇〇一年になりますが、九月の十一日に、いわゆるニューヨークにおきますビルに突っ込んできた話と、もう一点は、
アメリカ
の国防総省に一機というのと、この件は二つ。国防総省のは忘れられておりますけれども、国防総省、あの飛行機の中にも
日本
人が乗っておった、たしか一人乗っておったと
記憶
します。 そういった
意味
で、合計二十四名の
犠牲者
が
テロ
ということによって行われたということでありまして、この
テロ
というのは、戦争と違って、いつどこでだれがどのような手段を使って攻めてくるか、打ってくるか全く特定できない。しかも、その中には多くの無
関係
な人が含まれているということに関しましては、甚だ卑劣な手段だ、私自身はそう思っております。 したがいまして、これは、多くの国々がそれぞれの
犠牲者
を出しながらも、カナダもたしか二千五百人ここに送っておりますが、もう既に八十名を超す
犠牲者
が多分ここも出ていると
記憶
をします。 そうした中で、
日本
も、
国際社会
の中の、
国連
加盟国百九十二カ国の一員としてこの中におるわけですけれども、我々としては、
国際社会
の一員としての
日本
という国が何ができるかというときに、
アフガニスタン
というのは、御存じのように、その
地図
にもありますように、イランと
アフガニスタン
と
パキスタン
というのは
国境
を接しております。その三カ国は接しておりますが、二カ国は海にも接しておるんですが、
アフガニスタン
の東側と
パキスタン
の西側、それは、パシュトゥン族という部族ももともと同じ部族であります、そういう
意味
では、どこが
国境
かようわからぬみたいなぐらいに、もともと同じ人がそこにいたわけですから、行き来が実に簡単にできる。そういった人たちが、先ほど麻薬の話も出ましたけれども、いろいろな形でそれを資金源にするというのをとめる、そこの
意味
では
海上
警備行動というのがなされているんですが、その人たちの往復にかかります時間などなど考えて、この
補給活動
という
日本
ができます技術、そういったものでここに貢献をしているということなのであります。 何となく内陸国だからとか、いろいろな御意見がありますが、今、
アフガニスタン
におきます
補給活動
にかかっております油代は、たしか二十億円前後だと
記憶
します。そういうようなものを使ってこういった
支援
をしていくというのは、ここを通って
日本
に入ってまいります油は、たしか、中近東からはここを通りますので、油の供給の約九割ぐらいはこの
インド洋
通過で入ってきているはずです。したがって、その
地域
の安全というのは、ひいては
日本
の安全にもつながっている、もちろん
世界
の安全にもつながっているんだと思います。その
意味
では、安定的な石油供給というものは、これは
日本
の国民の
生活
に直結している部分でもありますので、そういった
意味
では、我々としてはこれを断固やらねばならぬと思っておるところであります。 先ほどのは、国防総省ではなくて、あれはペンシルバニアに落っこちた方の飛行機、あちらの方にたしか一人乗っておられたんだと、ちょっと今
記憶
が、ペンタゴンに入った方ではなくて、ペンシルバニアに落とされた飛行機、あちらに
日本
人がもう一人乗っておったということだと
記憶
します。
田端正広
79
○
田端
委員
今
総理
からお話ございました、船舶検査を通じて
テロ
活動
、
テロ行為
を抑止する、あるいは武器とか麻薬を押収する、あるいは海賊行為等に対して大きな抑止力が働く等々、
インド洋
における
日本
の
海上自衛隊
が
補給
をしたことによって、OEF・MIOの行動がそういった
意味
では大変
国際社会
に大きく貢献している、そういう
意味
では、
日本
が行っていることは武力行使にも当たらない、憲法に許される範囲の中でやっているんだ、こういう御説明であったかと思います。 しかし、
民主党
の代表の方が昨年来、これは憲法に違反するようなごとき論文等も発表されたりしておりますけれども、官房長官、そういった
意味
では、これは憲法の範囲の中で許されている
日本
の国際貢献であるということが国民の
皆さん
にはっきりわかるように御説明いただければ、こう思います。
河村建夫
80
○河村国務
大臣
この
補給支援特措法
に基づく
海上自衛隊
による
補給支援活動
というもの、これがいわゆる武力行使を含む
国家
の実力の行使に当たるかどうか、そして、その概念でありますいわゆる集団自衛権に該当するのではないかという
指摘
が
憲法違反
論議を呼んでおるというふうに思っておるわけでありますが、明らかに、この
補給支援活動
というものは、それ自体は武力の行使に当たらないわけでありまして、特にまた、その
活動
の
地域
が、現に戦闘が行われていない、またかつ、そこで
実施
される
活動
の期間を通じて戦闘行為が行われていないと認められる
地域
、いわゆる非戦闘
地域
に限って
実施
するというのがこの
法律
上の枠組みになっておるわけでありますから、そういう観点から、
補給支援活動
が他国の武力の行使と一体化するという問題も生じないわけであります。 そういう観点から、明らかに憲法第九条に違反するものではない、このように考えておるわけであります。
田端正広
81
○
田端
委員
こういう
自衛隊
による国際貢献ということも
一つ
の大きな役割でありますが、私は、文民
支援
といいますか
民生
支援
といいますか、これをもう少し
日本
としては重視したらどうか、こう考えます。 既に
補給支援活動
以外の
復興支援
についてはいろいろな形で成果を上げていますが、例えば医療で、子供のはしか予防接種、三五%だったのが六八%、倍増するような実績も残していますし、六百万人以上の児童がポリオワクチンを接種したということで、これは
国連
の機関を通してやったことだと思いますけれども、
日本
の生み出しているそういう大きな実績もあるわけです。 トータルでいきますと
アフガニスタン
支援
として総額十四億五千万ドルということで、大変大きな
支援
を
日本
はしているわけでありますが、私は、この中で今後
教育
に少し力を入れていただいたらどうだろうか、これはぜひ
総理
にお考えいただきたいと思います。 実は、イラク問題のときに、私はメソポタミア湿原の再生事業を主張した一人であります。それが、イラン側の
協力
もあって、
国連
の
協力
によって、今、メソポタミア湿原が見事に再生、回復しまして、これは農業の活性化にもつながるし、また、雇用
対策
でも大変大きな実績を残したわけでありますが、これで二〇〇七年度の
国連
21賞がつい七月に授与されたということでありまして、大変喜ばしい朗報だと思っております。 同じように、直接できなくとも、いろいろな形で
教育
支援
を
アフガニスタン
に今後すべきではないか。 その
一つ
の事例ですけれども、実は、女優の藤原紀香さんが二〇〇二年の七月に
アフガニスタン
に行かれて、バーミヤンのところまで取材に行っておりますが、「アフガンの子どもたちの未来のために」という、みずから子供たちと接した写真を撮って、帰ってきてから東京国際フォーラムで写真展、個展を開きました。 私の知り合いのカメラマンから、これはすばらしい個展だからぜひ見てくれという要請があって、私も拝見しましたが、本当にこの子供の表情、そしてよく彼女があそこまで行って取材したなと思うような、そういうことをこの個展の中で見事に表現されていました。この収益あるいは寄附金等すべてを
NGO
、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンを通してアフガンの
教育
支援
事業に彼女は寄附をされたわけでありまして、そういう
意味
では、一個人でもそういう形でやっていられるんだということを、政府としてもぜひそのことをお考えいただいて、
教育
分野に力を入れていくことが大事ではないかと。 ここにありますように、
教育
分野に四千八百万ドルということで、既にこれはもう大方使われたんだと思いますが、さらにこれを追加されるということでありますけれども、ぜひ
教育
ということに力を入れて、そして二十年、三十年、その子供たちが将来アフガンの指導者になり、アフガンが平和になったときに
日本
とアフガンの大きな橋渡し役になってくれる、こう思われます。 そういう
意味
でも、
日本
とアフガンがより友好的なことをつなげていくために、ここは思い切った
教育
支援
をしてはどうかということを提案したいと思いますけれども、
総理
の御感想をお願いしたいと思います。
麻生太郎
82
○
麻生内閣総理大臣
今御
指摘
のありましたように、四千八百万ドルという
数字
が挙がっておりましたけれども、私どものあれとして、そこに、この前使ってあれしましたけれども、これはたしか女性の就学率がゼロ%から三割ぐらいになっていますね。そこのところは大きく変わったと思いますし、男女問わず子供の就学率が、たしか五倍だか六倍、百万人が五百何十万人になったと
記憶
をしますので、そういった
意味
では、これはいろいろな
意味
で成果はそれなりに出てきているんだと思っております。 ただ、これも
治安
がよくないとなかなかうまくいきませんし、子供は労働のための対価であってというような感じで、子供を就学させるというのは親の理解がないとなかなかできない。識字率を上げるとか義務
教育
にするというときに、どこでやりましても同じような問題を抱えるんですけれども、その
意味
では、子供を学校に行かせるという周りの雰囲気、親の雰囲気、理解等々が重ならないとなかなかうまくいかぬのは、もうどこでやっても同じことであります。 したがいまして、今後とも、これは金を入れればいいという種類の話ではないのははっきりしていまして、いろいろな
意味
でこれは地道な努力を積み重ねないと成果は上がらない、私どもはそれが経験則としてわかっているつもりでもありますので、ぜひ、この
アフガニスタン
、長期的、中期的には最も大事なのはこの
教育
ということになろうと思いますので、この問題に関しましては積極的にやっていかねばならぬ分野だと思っております。
田端正広
83
○
田端
委員
今、
民生
支援
といいますか文民
支援
といいますか、そちらの面の大切さを申し上げさせていただきましたが、もう
一つ
、私はやはり
外交
努力だと思います。それで、一番問題なのは、
アフガニスタン
と
パキスタン
の
関係
が今大変複雑な
状況
になっているということで、我々から見ても非常に心配な要素であります。 それで、
外務大臣
にお尋ねしますが、
パキスタン
の西部の
国境
地域
のところ、ここのところが、FATA
地域
と言われておりますけれども、七つの管区と、小さい丸印をつけておりますけれども、六つの部族、これはパシュトゥン人の居住地でございますけれども、ここのところがタリバンあるいは
アルカイダ
等の大きな拠点という存在になっているわけであります。そういった
意味
で、
国境
より
パキスタン
側のここの
地域
、FATA
地域
、ここのところがもう本当に一番の、今回の問題の大きな根っこになっているんだ、私はこう思います。 しかし、
パキスタン
と
アフガニスタン
が今そういう
意味
で、お互いにしかけたとかしかけられたとか、こういうことになっているんだと思いますが、つまり、そこは
アメリカ
が入っているわけでありまして、
アメリカ
政府と
パキスタン
側とが非常に今うまくいっていない。幸い、先般、
国連
総会のときに両
大統領
がお会いになって会話の第一歩が始まったということであります。 そういう
意味
では、
パキスタン
と
アメリカ
との橋渡しでもう少し
日本
も汗をかくことも大事ではないか、そして、特に
パキスタン
に対する
民生
支援
をしっかりやって、
パキスタン
側の
治安
対策
、
パキスタン
側の
国民生活
が安定することによって、それが大きくアフガンにも影響するのではないか、こういうことを感じるわけでありますが、
パキスタン
に対する
日本
のこれからの
外交
努力のあり方ということについて、ぜひ
外務大臣
の御
見解
をお伺いしたいと思います。
中曽根弘文
84
○中曽根国務
大臣
委員
が御
指摘
のように、
パキスタン
の安定というのは何よりも
国際社会
全体にとって大切なことでございます。
我が国
は、
パキスタン
政府が
テロ対策
にしっかり取り組むように累次働きかけをしてきているわけでありますが、先般の
国連
総会の際にも、私自身が
パキスタン
のクレシ外相に対してそのような働きかけをまず行いました。同時に、
我が国
は、
パキスタン
の安定的発展に向けて
支援
をしてきておりますけれども、特に、今お話ありましたような、
アフガニスタン
との
国境
の
地域
におきまして、
テロ
の温床となる特に貧困、これを削減すべく、
教育
とか医療とか、あるいは避難民
対策
の
支援
を
実施
してまいりました。 お話ありましたけれども、米国と
パキスタン
、これは国際的な
テロ
との
闘い
におきましては同盟
関係
にあるわけでありまして、緊密に
協力
していると理解をしております。さきの
国連
総会の機会に
実施
されました首脳会談におきましても、
パキスタン
のザルダリ
大統領
は、
アメリカ
のブッシュ
大統領
の
継続
的な
パキスタン
支持に謝意を表しまして、両国が
協力
する旨を述べたと承知しております。 そういう
意味
で、今後も米国、
パキスタン
が
協力
関係
を築きながらこの
地域
の安定のために努力していただくことを我々も願っておるところでございます。
田端正広
85
○
田端
委員
六月でしたか七月でしたか、パリで
アフガニスタン
復興支援
国際
会議
が開かれて、そして、アフガンの五カ年計画、
国家
開発戦略に新たに総額二百億ドル、
各国
支援
金を出す、こういうことを決定されて、
日本
も五億五千万ドル新たに追加する、こういうお話もございます。 これは大変大事なことだと思いますが、先ほど私申し上げたように、例えば医療に対して手厚くやっていただくこと、そしてまた
教育
問題に対して、
日本
がアフガンに対してぜひそういった
意味
の
民生
支援
を強化して、つまり、直接はできなくても
国連
の機関を通して、メソポタミア湿原を回復させたように、迂回路線をとってでもそういうことをすべきではないか、こう感じておりますが、
外務大臣
の御決意をお願いしたいと思います。
中曽根弘文
86
○中曽根国務
大臣
まず、
委員
がお話しになりましたメソポタミア湿原の回復については、
委員
初め公明党の
皆さん
大変御努力されて、大変いい結果が出ていることに本当に敬意を表します。 今お話がありました五・五億ドルのODAのことでありますけれども、
アフガニスタン
の復興は、進展はありますけれども、まだ多くの課題が山積しておりまして、
我が国
といたしましては、御
指摘
の五・五億ドルのプレッジを六月に行ったところでございます。
アフガニスタン
の本格的な復興を実現するためには、DIAG、これは非合法武装集団の解体でございますが、これを初めといたします
治安
の改善、それから道路などのインフラ整備、そして、
委員
から先ほども御
指摘
ありました
教育
あるいは保健、医療、こういうものの基礎
生活
分野、さらに、農業とか農村の開発を中心とする地方の総合開発等におきまして、引き続き
我が国
としては
支援
をしていくつもりでございます。
田端正広
87
○
田端
委員
いろいろ問題がたくさんあるかと思いますが、ぜひ、
民生
支援
も力を入れていただいて、今後の
対策
をより強化していただきたい、こう思います。 ありがとうございました。
深谷隆司
88
○
深谷委員長
午後一時から
委員
会を再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時六分休憩 ————◇————— 午後一時
開議
深谷隆司
89
○
深谷委員長
休憩前に引き続き
会議
を開きます。
質疑
を続行いたします。 この際、佐藤茂樹君から関連
質疑
の申し出があります。
田端
君の持ち時間の範囲内でこれを許します。佐藤茂樹君。
佐藤茂樹
90
○佐藤(茂)
委員
公明党の佐藤茂樹でございます。 きょうは、このような
質問
の時間をいただきまして、感謝を申し上げます。 昨年の臨時
国会
で、この
補給支援特措法
の問題につきましては、
衆議院
で四十時間以上、また参議院で五十時間をかけて議論いたしまして、相当論点は整理をされてきていると思うわけでございますが、きょうは、まず最初に、その中でも特に大きな論点につきまして政府にお伺いをし、そして、ようやく臨時
国会
終盤で、
民主党
の
皆さん
も御苦労いただいて対案を出していただきましたので、時間の許す限り
民主党
の皆様にも御
質問
させていただきたいと思うわけでございます。 まず
一つ
の大きな論点は、七年間、
海上自衛隊
がやってまいりましたこの
補給支援活動
、これが
憲法違反
か否かということが
一つ
の大きな論点としてあるわけでございます。 午前中にもございましたけれども、昨年、
民主党
の
小沢代表
は、
インド洋
での
海上自衛隊
の
補給支援活動
は、米軍の自衛権行使に伴う
日本
の集団的自衛権の行使に当たるものであり、憲法に違反するとの
見解
を示されました。そして、結果として、残念ながら、
民主党
は
補給支援活動
特措法の
継続
には
反対
をされたわけでございます。 今まで、
憲法違反
ということについては、共産党さんや社民党さんは言われてきたと私は認識しているんですけれども、ところが、参議院で第一党になられて、次はもう政権を担おうか、そういう政党の党首の方がこのようなことを論文に載せられたものですから、非常に影響があったと私は思っているわけでございます。 ことしの一月の二十四日に、
インド洋
での
補給支援活動
が再開することになりまして、「むらさめ」という護衛艦が横須賀基地から出港することになりました。その出港行事に当
委員
会の
深谷委員長
も
参加
されましたけれども、また午前中
質問
に立たれた小池元
防衛大臣
も
参加
されましたが、私も
参加
をさせていただきました。 そのときに、出港される護衛艦隊の司令が次のように言われました。
憲法違反
と言われた我々にも意地と誇りがあります、頑張ってまいります、こういう短い一言でございます。これは言ったことがいいかどうかは別として、私が思いますのは、
国会
の論議というのがそういう具体的に任務につく
自衛隊
員一人一人にまでやはり微妙にいろいろな影響を与えているわけでございます。 それで、私はぜひ
確認
をさせていただきたいのは、
麻生総理
は
自衛隊
の最高指揮者でもございます。ですから、国民の皆様と、また灼熱の本当に過酷な環境の中で任務につかれる
自衛隊
員の皆様にも、この
補給支援活動
というのが果たして
憲法違反
なのかどうなのか、その理由もあわせまして明確な答弁をいただきたいと思います。
麻生太郎
91
○
麻生内閣総理大臣
補給支援活動
というものは、明らかに実力の行使には当たっておりません。
国家
による実力の行使というものについての概念であります集団自衛権の行使という問題はまず生じていない。まず第一点です。 また、この
補給支援活動
は、それ自体が武力の行使には当たりません。また、
我が国
の
活動
の
地域
は非戦闘
地域
である、
地図
で見られたとおりです。であることなどの
法律
上の枠組みというものも考えてみましても、憲法九条違反に当たることはないということであります。
佐藤茂樹
92
○佐藤(茂)
委員
それで、このことにつきましては
民主党
の提出者にもお伺いをさせていただきたいと思うわけであります。 私の認識では、鳩山代表時代の
民主党
さんは、旧
テロ特措法
の
法律案
の中に
国会
の事前承認がないからだめだ、そういうことで
反対
されたと私は認識しております。
憲法違反
だとはそのときも言っておられなかった、そのように承知をしているわけであります。その証拠に、
民主党
さんは、平成十三年には、
補給活動
の
必要性
を認めて、
法律案
には
反対
したけれども、
自衛隊
派遣の
国会
承認には賛成をされているわけです。ですから、そのころは
憲法違反
だという認識は持っておられなかったのではないかと私は推察をするわけでございます。 いつこの
見解
を変えられたのか。私は、
民主党
内の政策論議というのはよくわからないものですから、ぜひお答えをいただきたいわけでございますけれども、提出者として、党首の言われるように、この
補給支援活動
というのは
憲法違反
だと考えておられるのかどうか、明快な答弁をいただきたいと思います。
浅尾慶一郎
93
○浅尾
参議院議員
午前中も中谷
委員
から同じような
質問
をいただきまして、御答弁をさせていただいたところでありますけれども、
旧法
で定めた
法律
の枠組みそのものをもってして、
民主党
として、党として
憲法違反
ということを結論づけたわけではございません。したがいまして、派遣の承認に賛成をしたということであります。 しかし、その後、二〇〇三年より
指摘
されておりますことでありますけれども、イラク作戦への
燃料
の転用、間接給油疑惑。これは、当時の福田官房長官や石破
防衛
庁長官は、キティーホークへ二十万ガロンの間接給油を認めた上で、キティーホーク一日分の消費量に当たるのでイラク
関係
に使われることはあり得ないと答弁されておりましたけれども、その後の
審議
によって、実は八十万ガロンであったということで、そうだとすると、イラク作戦への転用という、法が定めている目的外の使用の疑いが払拭されない、イラク作戦に転用されるということになれば、これは武力の行使と一体化ということで、憲法上の疑義があるということを申し上げているところであります。
佐藤茂樹
94
○佐藤(茂)
委員
それでは、今、浅尾提出者の御答弁では、要するに、
小沢代表
の言われていることと今の現段階の
民主党
の考えていることとは違うということですか。簡潔にちょっと答弁をいただきたいと思います。
浅尾慶一郎
95
○浅尾
参議院議員
今申し上げたことと重なるわけでありますけれども、イラク作戦へ転用される、それが武力の行使と一体化されるということであれば、それは憲法上の疑義があるということでありまして、特段違うことを申し上げているわけではないと思います。
佐藤茂樹
96
○佐藤(茂)
委員
だから、言っているのは違うんですよ。私は、実態が疑義があるとかそういうところじゃなくて、法の枠組み自体が、
小沢代表
の論文を提出者も読まれていると思います、
小沢代表
は法の枠組み自体が
憲法違反
だ、そういうことを言われているわけです。そのことについては提出者はどう考えておられるんですか。
浅尾慶一郎
97
○浅尾
参議院議員
法の枠組み自体がということ、論文ということでありますけれども、今申し上げましたとおり、イラク作戦へ転用されている、これは二十万ガロンだった部分が八十万ガロンであるということはもう御案内のとおりでありますので、そうだとすれば、武力行使と一体化されるということでありますので、憲法上の疑義があるということであります。
佐藤茂樹
98
○佐藤(茂)
委員
後段の部分は私は何も今さら聞こうとは思っていないんです。聞いていることに答えていただきたいわけですよ。
小沢代表
は、
インド洋
での
補給支援活動
はという、そういう主語になっているわけですね、
我が国
憲法に違反するものとの
見解
を示しておられるわけですよ。ですから、具体的に、この法の枠組み、
補給支援活動
もそうですし、
テロ特措法
の法の枠組み自体を
憲法違反
だと考えられるのかどうか、端的にお答えいただきたいと思います。
浅尾慶一郎
99
○浅尾
参議院議員
冒頭お答えしましたとおり、
旧法
の枠組みについて
民主党
が派遣の承認に賛成したということは御
指摘
のとおりでありますので、したがって、
旧法
の
法律
の枠組みということについて
憲法違反
かどうかということであれば、そうではないという判断のもとで派遣の承認をした。しかしながら、今、再三申し上げておりますように、イラク作戦に転用されているということであれば、憲法上の疑義があるということであります。
佐藤茂樹
100
○佐藤(茂)
委員
ですから、まず整理させてもらうと、
旧法
の枠組み自体は
憲法違反
でないという判断だったということですね。ここ自体、まず私は、今の
民主党
代表の
小沢代表
と全然考え方が違う。だから、そこをはっきり言うと、
安全保障
の基本にかかわる部分が全くばらばらの上で今回も法を提案されているとしか言いようがないわけであります。 その上で、ぜひ聞かせていただきたい。
旧法
ではなくて、今の
現行法
、
補給支援特措法
については
憲法違反
だと考えられますか、どうですか。
浅尾慶一郎
101
○浅尾
参議院議員
旧法
と同様の趣旨の
法律
の枠組みということであれば、
旧法
以降と変わりがないということだというふうに認識をいたしております。しかしながら、繰り返しになりますが、仮に転用があれば、それは憲法上の疑義があるところです。
佐藤茂樹
102
○佐藤(茂)
委員
ですから、
憲法違反
にはならない、そういう御判断ですね。 そうすると、これはあらかじめ言っていませんが、
小沢代表
の昨年十一月に載せられた「
世界
」の論文というのは、
民主党
の中ではどういうものだというふうに扱っておられるんですか。
民主党
代表小沢一郎であの論文は掲載されているんです。彼が勝手に書いたものなんですか、どうなんですか。党としてきちっと議論した上でこれを載せているんだという内容をあの論文の中に載せられております。浅尾提出者はネクストキャビネットの
大臣
ですか、ぜひちょっと明確に答弁をいただきたいと思います。
浅尾慶一郎
103
○浅尾
参議院議員
小沢代表
の論文をこの場で議論するという、
小沢代表
が代表として書かれたものでありますが、党として出したものではないということを申し上げておきます。(発言する者あり)
佐藤茂樹
104
○佐藤(茂)
委員
ということは、
小沢代表
が……(発言する者あり)
深谷隆司
105
○
深谷委員長
お静かに願います。
佐藤茂樹
106
○佐藤(茂)
委員
今のは非常に大きな御答弁でございまして、
民主党
代表小沢一郎という名前で載せられたこの「
世界
」の十一月号の論文が党の考え方とは違うんだ、そういう
防衛
政策の
責任者
の発言である、そのように受けとめました。ですから、これは大変な問題である、そのように考えております。 論点の二点目として、政府に
確認
をさせていただきたいのは、もう
一つ
は、今回のこの
補給支援活動
は
国連
あるいは
国連
決議
との
関係
はどうなっているんだ、このことが大きな論点でございまして、最終的に私が聞かせていただきたいのは、
補給支援活動
が
国連
決議
の枠内の
活動
なのか枠外の
活動
なのか、その
国連
、
国連
決議
との
関係
をどのように考えておられるのかということをはっきりさせたいわけです。 これについても、先ほど
民主党
の考えとは違うんだと言われましたけれども、しかし、問題提起として言わせていただきますと、
民主党
の
小沢代表
は雑誌「
世界
」の昨年十一月号で、「今こそ国際
安全保障
の原則確立を」、そういう表題でございましたが、次のように明確に言われています。「
海上自衛隊
の
活動
はあくまでも、米国の自衛権発動を
支援
するものであり、
国連
の枠組みでの行動ではありません。」という一方的
見解
を述べられております。 私どもは、
補給支援活動
は
国連
決議
の求めに応じた
活動
である、そのように確信しておりますけれども、政府として、この
補給支援活動
、
国連
決議
の枠内の
活動
なのか枠外の
活動
なのか、あるいは、
国連
あるいは
国連
決議
との
関係
をどのように整理されているか、
外務大臣
に御答弁をいただきたいと思います。
中曽根弘文
107
○中曽根国務
大臣
海上自衛隊
が
補給支援活動
を
実施
するために、国際法とか憲法の
関係
におきまして安保理
決議
が必要とされるわけではございません。 その上で申し上げれば、すべての
国連
加盟国は、安保理
決議
第一三六八号を踏まえまして、国際的な
テロリズム
を
防止
するために適切と認める措置を積極的にとるべき立場にございます。それから、安保理
決議
第一七七六号及び第一八三三号は、
海上阻止活動
等に対する
各国
の貢献を
評価
いたしておりまして、これを含む努力の
継続
の
必要性
を強調しているところでございます。
海上阻止活動
や
我が国
による
補給活動
は、
委員
もおっしゃいましたが、まさにこれらの安保理
決議
に示されている
国際社会
の意思を反映して行う
活動
でございます。
佐藤茂樹
108
○佐藤(茂)
委員
その上で、時間が大分たってまいりましたので論点の三を言わせていただきたいんですけれども、それは
防衛大臣
にお伺いしたいんです。 先ほどから提出者の浅尾
委員
の方から御
指摘
のございました、昨年の議論では、野党の
皆さん
も最も時間をかけて
質問
をされていたのが、
燃料
の転用疑惑という問題でございました。ですから、給油した
燃料
の転用
防止
策についてどうなっているのかということがひとつはっきりさせておかなければいけないことだろうというのが論点の三番目としてあります。 この
法律
自体は、そういった疑義を招かないような立法上の配慮というものがなされていると私どもは考えております。具体的には、
自衛隊
が
実施
する
活動
を、
テロ対策海上阻止活動
に係る任務に従事する諸外国の
艦船
に対する
補給支援活動
に限定されているということが挙げられようかと思います。旧
テロ特措法
ではそこが非常にあいまいになっておりまして、
協力支援活動
という大きな枠組みがありまして、その中で
自衛隊
は物品や役務の提供をできる、
補給
もその
一つ
であるという抽象的な規定しかありませんでした。しかし、今申し上げましたように、
現行法
ではより明確に、提供する対象等を規定する、そういう内容となっているわけでございます。 ですから、この法の趣旨、目的が旧
テロ特措法
に比べてより明確にはなっているんですけれども、その上で大切なことは、このような立法上の配慮、規定ぶりに加えて、それを実効あらしめるような転用
防止
策というのが本当にきちっととられているのかどうかということがはっきりしなければいけないと思うわけでございます。いささかもそういう去年の議論のような疑問が生じないように、そういう疑念を招かれることがないような運用上の転用
防止
策をこの二月からの再開の上でどのように図ってこられたのか、運用上の
対策
、また措置につきまして
防衛大臣
にお伺いしたいと思います。
浜田靖一
109
○浜田国務
大臣
委員
御
指摘
のように、我々とすれば、この運用上のことに関しましてはしっかりとやらなければいけないということは、これはもう当然のことでございます。 昨年、先生方が大変大きな議論をしていただきましたので、そういう
意味
ではしっかりとやらなきゃいかぬということで、まず第一点として、
我が国
と
補給
支援
の対象国との間の交換公文では、
補給支援特措法
の目的が明記されておりますし、また、新たに協議条項を設け、
我が国
が
補給
した
燃料
等の適正な使用についても必要に応じて協議することとしております。 そして二番目として、さらに、バーレーンに所在する司令部において、
海上自衛隊
の連絡官が、
補給
の都度行う
確認
作業において、
補給
日時、
補給
対象
艦船
の名称、配属
部隊
、そしてまた
補給量
や今後の
活動
予定について定型化されたフォーマットに記入、記録を行うことにより、
テロ対策海上阻止活動
に係る任務に従事する
艦船
であるか否か等について
確認
をしております。また、
補給
艦に
補給
する場合には、以上の内容に関し、
補給
艦自身及びこの
補給
艦の再
補給
先の
艦船
の
活動
についても
確認
を行っております。
我が国
が
補給
した
燃料
の適正な使用について改めて
確認
をしているところであります。 したがって、
補給支援特措法
に従って諸外国に
補給
される
艦船
用
燃料
等は、同法の趣旨に沿って適切に使用されていると認識をしております。
佐藤茂樹
110
○佐藤(茂)
委員
それで、四つ目の論点でございますけれども、
補給支援特措法
はきちっとした文民統制ができているのかどうかということが
一つ
の大きな論点としてございます。要は、
国会
のコントロールのあり方が焦点になったわけでございますが、それが果たして法の枠組みの中できちっと担保されているのかどうか、そういうことでございます。 私どもも、
自衛隊
を海外に派遣するに当たっては
国会
のコントロールが及ばなければならない、そのように考えているわけでございますが、
補給支援特措法
では、旧
テロ特措法
で
国会
承認となっていた基本計画に書かれていた内容そのものがまず具体的に
法律
に直接書き込まれております。 具体的に申し上げますと、派遣する
自衛隊
の具体的な
活動
を外国
艦船
への給油、給水に限定しております。二つ目に、
実施
区域を
インド洋
及びその上空、
インド洋
沿岸領域等と明示しております。 これらの内容というのは、旧
テロ対策特措法
では、政府が作成する基本計画で定められ、
国会
での事後承認事項とされておりましたけれども、
補給支援特措法
では、これらの事項は、今申し上げましたように、あらかじめ
法律
に書き込まれております。ですから、
法案
審議
の対象と
国会
の事後承認の対象とが同じものとなっておりますので、
法案
の
国会
審議
そのものが旧
テロ特措法
に基づく
国会
承認と同等と見ることができます。 その上で、
法律
の有効期限について、旧
テロ特措法
では二年とされておりました。それを、私ども与党の協議の中で、私ども公明党の主張によりまして、適切な期間で
国会
がチェックできるような制度上の保障が重要と考えまして、
法案
の期限を一年とさせていただきました。ですから、延長する場合にも、一年ごとに必ず
国会
でチェックできるようになっているわけでございます。 ですから、この臨時
国会
のように、まさに一年ごとに
国会
審議
を行うことは、実質的にその後の一年間の
活動
の事前承認を
審議
するのと同じことになるわけでございますから、
国会
承認がなくなったといっても、文民統制、シビリアンコントロールが弱まったわけではなくて、文民統制は確保することができている、そのように私どもは考えるわけでございますが、
責任者
として
総理
の御
見解
を伺いたいと思います。
麻生太郎
111
○
麻生内閣総理大臣
今のシビリアンコントロールのお話でしたけれども、これはもう、いわゆる
補給支援特措法
では、
法律
で
活動
を限定して、
活動
する外国の範囲というものを明示してあります。したがって、
国会
審議
そのものを通じて
国会
による文民統制は的確に担保されている、基本的にそう思っております。
佐藤茂樹
112
○佐藤(茂)
委員
そこの部分については、
質問
の中で述べましたけれども、私も
総理
のお考えと全く一致しているわけでございます。 以上四点、昨年の臨時
国会
で大きく議論になりました。ほかにもいろいろな論点があるかと思いますけれども、それは他の
質問
者に譲るといたしまして、あと残りの時間で、
民主党
の提出者の
皆さん
に少々お聞きをさせていただきたいわけでございます。 午前中にもございました。端的にもう一度、
確認
の
意味
でお聞かせをいただきたいと思うわけでございますが、私ども、
民主党
の提出者の御苦労は非常に
評価
をいたします。私どもも、やはり陸上においても何らかの
民生
支援
というのはこれからやっていかなければいけないという考えでは一致していると思うんですけれども、ただ、今回の対案が
現実
に本当に合うのかどうかというところがやはり問われているんだというように私は考えているわけであります。
一つ
は、午前中もございましたけれども、抗争停止合意、そういう考え方を導入されて、その成立の
地域
、これが
一つ
です。またもう
一つ
は、
人道復興支援
活動
に対する妨害その他の行為により住民の生命もしくは身体に被害が生じることがないと認められる
地域
において
人道復興支援
活動
は
実施
するんだ、こういう法的な枠組みになっているわけですね。 抗争停止合意という考え方自体、
現行法
の非戦闘
地域
に比べますと、極めて、さらに安全性を確保しよう、そういう考え方だと思うんですけれども、簡潔にもう一度
確認
させていただきます。この八月にも、
伊藤和也
さんの残念な、不幸な
事件
が
アフガニスタン
で起こりました。今の
アフガニスタン
の現状において、
民主党
さんの言われるこの
人道復興支援
活動
ができる二つの条件の
地域
というのはあるかないか、簡潔にお答えいただきたいと思うのです。
犬塚直史
113
○犬塚
参議院議員
そのような明らかな安全な
地域
というものがない。この時期にもない。将来にわたってはどうかと言われれば、それはいろいろな
状況
によって非常に変化をしていく。そういう非常に難しい
状況
であるからこそ、今月に入ってもいろいろな報道もなされていますが、ミリタリーソリューションはない、軍事のみでの解決というのはない。 だから、停戦合意というものを、まさに
アフガニスタン
のカルザイ
大統領
が、九月の末、サウジアラビアのアブドラ国王に交渉の仲介を要請しているんです。しかも、これに対して、イギリスのカールトンスミス准将、こちらも、軍事作戦だけではこの戦争に勝てないと、今月に入って言明しているわけですね。
アメリカ
もこれに対しては、ペトレイアス米中央軍次期司令官が、武装勢力との交渉を通じて強硬派を孤立化させれば武力衝突は減少すると。つまり、
民主党
の言っている抗争停止合意ということに向けて今まさに動き出しているというところでございます。
佐藤茂樹
114
○佐藤(茂)
委員
後段の答弁は、現状、その努力方向というのは私どもも否定するわけじゃないんですけれども、冒頭申し上げられましたように、今の
アフガニスタン
においては、
民主党
さんが課されている二つの条件に合うような
人道復興支援
活動
ができるという
地域
はない、そういうことでございます。 そうすると、結局、
アフガニスタン
復興支援
のための
人道復興支援
活動
が今の現状では
民主党
法案
によってはできないということを言われているんだと思いますが、そういう認識でよろしいでしょうか。再度答弁を願います。
犬塚直史
115
○犬塚
参議院議員
こういう難しい、
治安
維持に係る
状況
が月の満ち欠けのように常に変わっていくような
状況
下で、民軍の
連携
した
活動
を今
各国
、一生懸命やっているところです。
我が国
がこういう
地域
に対して一体どのような貢献ができるのかということを今真剣に考えた結果がこの
法案
なんです。その結果として申し上げているのが、今
アフガニスタン
に必要なのは油ではなくて水だと言っているんです。 今、水と言ったけれども、物理的な水もあります。しかし、火消しの水というのも大事なんです。今、ドンパチやっている、だれが敵かもわからないというような状態の中にあって、この火消しの水をかぶせるためには、やはり抗争停止合意というものを、
日本
のいいイメージを使ってしっかりとこれは促進していかなければいけない。
日本
というのは、キリスト教国でもない、そしてこの
地域
に武力行使をして政治的意思を強引に通したこともない。
日本
がそういったイメージに基づいて、今、DDR等成功したわけですから、やはり、
アメリカ
が言うから何とかしておつき合いしなきゃいけないという気持ちもわかりますが、そうではない。本気で
日本
がこの
地域
の繁栄と安定を考えるとしたら、
日本
がなすべき貢献というのは当然あるべきだと思います。
佐藤茂樹
116
○佐藤(茂)
委員
ですから、長々と答弁されましたけれども、これから
アフガニスタン
の
状況
がどう変わるかというところを期待しての
民主党案
であると。現状に対しては、対案ということを言われましたけれども、給油
支援
をわざわざ遮ってまで、対案となるような
法案
ではないのではないか、そんなように私どもはお受けとめをいたしました。
総理
、若干のお時間で申しわけなかったんですが、午前中の
民主党案
に対する
質疑
も含めて、
総理
は
民主党案
に対してどのような感想をお持ちか、ぜひ御答弁をいただきたいと思います。
麻生太郎
117
○
麻生内閣総理大臣
海上自衛隊
によるいわゆる
補給支援活動
というものは、これまでの実績を見ましても、我々の持っております高い技術というものを用いて、おかげさまで着実に実績を積んできていると理解をしております。また、諸外国から見ましても、
海上阻止活動
の重要な基軸として既に定着をしておって、
評価
も極めて高い、私自身はそう理解をいたしております。 したがって、
日本
としては、今後とも引き続き、
補給支援活動
の
実施
によって、
テロ
との
闘い
というものに関しましては、
世界
と一緒になってその一翼を担い、そして
国際社会
においてその責任を果たしていく、それが
日本
の責務であって、ここから
日本
だけが撤収するというのは、私どもとしては極めて
現実
的ではない、そう思っております。
佐藤茂樹
118
○佐藤(茂)
委員
以上で
質問
を終わります。ありがとうございました。
深谷隆司
119
○
深谷委員長
これにて
田端
君、佐藤君の
質疑
は終了いたしました。 次に、渡辺周君。
渡辺周
120
○渡辺(周)
委員
民主党
の渡辺周でございます。 今から私を含めて四名の
民主党
の
委員
が、二時間二十分にわたりまして、与えられた時間の中でさまざまな観点から
質問
をさせていただきます。 まず、
インド洋
に派遣されている
海上自衛隊
の
一つ
の体質の問題として、
防衛大臣
並びに
総理
に伺いたいと思います。 先般報道されました、江田島の
海上自衛隊
第一術科学校におきまして、二十五歳の三等海曹が亡くなられました。まことに痛ましい
事件
でございまして、心からお悔やみを申し上げたいと思いますが、この出来事について
防衛大臣
は報告を報道後に受けたというふうなことが、けさの朝刊に報道されていました。 この点について、これまでも何度となく私たちは、昨年のこの
委員
会、あるいは
安全保障
の
委員
会でずっと取り上げてまいりました。このまさに
防衛
省の隠ぺい体質、とにかくこうしたことがあっても必ずすぐに伝わらない。これはもう、イージス艦「あたご」の
事件
もそうでございました。あるいは、その他もろもろ次から次へと出てきた
防衛
省の不祥事に関して、もう本当に繰り返し出てきて、こういう
質問
を何度もすることは私自身も本意ではないんですけれども、この点についての調査を、あるいは実態解明ということにつきまして、
防衛大臣
はどのように今御認識をされて、今後どう取り組むのかということをまず
防衛大臣
に伺いまして、そしてその後、
麻生総理
にも、この点について、どう取り組んでいくのかについてまず冒頭お尋ねをしたいと思います。
浜田靖一
121
○浜田国務
大臣
渡辺先生御
指摘
のように、我々、優秀な隊員をこのような形で死亡させてしまったということはまことに遺憾でありますし、大変申しわけなく思っておるところでございます。 今お話にありましたように、私自身も渡辺先生と一緒に
委員
会等でこういう報告をたびたび受けてまいりまして、常にその報告がおくれるということに対しては極めて遺憾だと申し上げるしかございませんし、また、私とすれば、今回の案件に関しましても、隠ぺい等ということではなく、その事実
関係
をもう一度
確認
させていただきたい、そして、この報告がおくれた理由というものを今後はっきりさせていきたいというふうに思っておるところであります。これに対しては厳正に対処していきたいと思っておるところであります。
麻生太郎
122
○
麻生内閣総理大臣
報告の時間の話は別にして、今はあちらの話ですけれども、いわゆるこういった痛ましい話というのは、これは事実
関係
を私自身が詳しく知っているわけではありませんし、簡単なことを申し上げるわけではありませんけれども、少なくとも、訓練に問題はなかったのかというようなことも含めまして、事実
関係
の全容解明というのをきちんとやった上でないとなかなか答弁はできないところでありますけれども、いずれにいたしましても、こういった
状況
になるというのは、これは再発
防止
というのをきちんとやっておかないと、あたら優秀な人材を失うというのは大変悲劇だと思いますし、損失でもあろうと思いますので、その
意味
では十分な反省の上に立って再発
防止
に努めてもらう、当然のことだと存じます。
渡辺周
123
○渡辺(周)
委員
私は、この特別警備隊という組織が特殊
部隊
としてあって、北朝鮮を想定した対不審船の例えば武力の解除であるとか、あるいは停船なりの実力行使をする上で必要な組織だと思っていますし、これは何ら否定するものではありません。ただ、中にいた方が、潜水隊、潜水艦の
部隊
に希望を出されて、この方が組織を出るに当たって、はなむけのつもりだったと言いながら、一種の、言葉を選ばずに言えば、みんなでリンチのような形で、十五名の方と徒手で、組み手で戦うなどということは今まで通常なかった。こういうことをやったということが、通常の訓練を逸脱して、何か一種の嫌がらせというのか、まさに私刑的な、リンチ的なことがあったんじゃないのか。一体その動機は何だったのかということをぜひ私は調べていただきたいと思うんです。 訓練の内容に問題があったのかないかということはこれから調べられると思いますけれども、なぜこういうことをしなければいけなかったのかについて、もう一回
防衛大臣
の決意を聞かせていただきたいと思うし、また、隠ぺいをした云々というよりも、情報がおくれたというよりも、なぜこういうことが起きたことが即座に上層部に伝わらないのか、この体質についてはどうしますか。
防衛
省改革のことがずっと言われてきましたけれども、これについて何ら改善されていない。この点については、浜田
大臣
とは私も
委員
会でずっと一緒でした、裏金の問題から始まって、いろいろなことも取り組みましたけれども、何ら変わったという手ごたえを私たちは感じないわけですが、
大臣
になられていかがなさいますか。そのことを伺ってから、
法案
の
審議
に入りたいと思います。
浜田靖一
124
○浜田国務
大臣
お答えいたします。 本当にそういう
意味
ではよくよく調べてみなければいけませんし、とにかく我々は、今回の
事件
に関して言えば、確かに精強な
部隊
をつくらなければいけないけれども、しかし、そこにこういった事故が起きる、そしてまた、今先生がおっしゃったように、その心象風景、いわゆる心のこういったことに至った経緯というものを、こういうことが今まで特別の訓練にあったかなかったとかは別にして、そういった今先生が御
指摘
になったことをもう一度よく調べてみたいというふうに思います。 そして、当然のごとく、訓練の内容等も今後もしっかりと我々も見ていかなければいけないことだと思っておりますし、ぜひともそこはしっかりと御報告できるようにやっていきたいというふうに思っています。 そして、
防衛
省改革においてこれを一体どうしていくのかということになれば、当然、我々、今回、
防衛
省改革についての改革本部からの提案もあり、そしてまた我々の検討会においても言われているように、いわゆる内局、制服という、その中の意識改革というのがやはりしっかりとそこに出てきて、風通しのいい組織というものをつくっていかなきゃいかぬ。情報の伝達も同じようなことが言えるわけだと思いますので、その点をしっかりと反映するべく今後頑張っていきたいというふうに思っているところであります。
渡辺周
125
○渡辺(周)
委員
これは重ねて注文ですけれども、いつも、調査しています、調査していますと言って、その調査が、ちっとも答えがいつも出てこないんです。そして、いつの間にか時間切れになってしまうことがこれまでも何度もありました。ぜひ時間を区切って、調査結果をまとめて、そして
国会
に報告をしていただきたいというふうに思うわけでございます。 さて、それでは、
法案
につきまして、
総理
並びに
民主党
提案者に
質問
をさせていただきます。 まず、
麻生総理
に伺いますけれども、これまでアフガンに対して、
世界
各国
がトータルで百五十億ドルを超える
復興支援
のお金を出した。そして、
アメリカ
、NATOあるいは非NATO国も含めて軍隊が派遣されること、今でも五万人を超える
方々
が駐留している。にもかかわらず、このアフガン本土での
治安
がちっとも改善されない。これについては、なぜだと
総理
は思いますか。その点について、まず冒頭お尋ねします。
麻生太郎
126
○
麻生内閣総理大臣
これは渡辺先生、これが答えというのがあれば多分さっさと対応できているんだと思うんですが、それがなかなかないところが難しい背景なんだと、まず基本的にはそう思っております。 ただ、いろいろな
意味
で、先ほどどなたかの資料にありましたように、これまで女性の学校に行く人がゼロだったものが三十何%までの方が行くようになってみたり、男子を含めまして百万人しか就学していなかったものが五百何十万人までふえたりなどなど、幾つか目に見える効果が上がっている部門がないわけではありません。 ただ、基本的には、今言われましたように、
テロ
がとまらないではないかという点、むしろふえておる面もあるではないかというところも、昔は南の方だけだったのが何となく北西部に移ったりなんかしていますので。 そういった
意味
では、社会的インフラの基盤の弱さというところもありますでしょうし、部族対立とか、少なくとも貧困、それに対応する稼ぎは主に麻薬栽培等々になります。ケシ栽培に頼るというようなことになるのは、やはり
テロ
の温床となります貧困への
対策
というのが、今後、
アフガニスタン
政府の
治安
維持能力プラスその面も考えないと、役所用語では包括的な取り組みというんでしょうけれども、そういった
治安
プラス経済とか貧困
対策
、そういったようなものを考えないかぬのであって、
テロ対策
プラス
人道復興支援
とか経済
対策
とか、そういったようなものを組み合わせてやっていく必要がよりあるんだと思います。そこへ行こうとすると、そこは危ないから行けません、何となくいろいろな
意味
で
治安
が悪いために復興とか人道
支援
が進まないというので、何となく悪い方の循環ということになっているというのが今の一番難しいところだと思っております。
渡辺周
127
○渡辺(周)
委員
私ども
民主党
は、二つに分けて
テロ
を考えるべきではないかと私は思います。原理
主義
者
アルカイダ
による思想による
テロ
と、そして、その思想による
テロ
をたたけばたたくほど、まさに
アフガニスタン
の中にいる
アルカイダ
という悪性の細胞をたたいたことによって、もう皆様方も御存じのとおり、民間人が、二〇〇六年で百十六人、二〇〇七年で三百二十一人、〇八年、ことしの七月現在で百十九人、これは空爆に限定してもこれだけの方が亡くなっているんです。つまり、正常な細胞までもが結局たたかれて、そしてその恨みが
テロ
になる。いわゆる
アルカイダ
による
テロ
と、まさに、肉親を失った
方々
が
自爆テロ
に志願をして、そして、西側に対するこれは恨みという形で
テロ
を起こすということを私たちはやはり非常に懸念しているわけであります。そのことが結果的に
アフガニスタン
の
治安
がちっとも改善されない。 ですから、私たちは、洋上による給油というアプローチ、これはもう今まで七年間やってきたけれども、その成果があらわれないのであれば、外科的な治療を変えようと。そのまさにもとである悪性腫瘍な部分をどう取り除くかということにもうこれはアプローチをしなければ
根絶
できないということを我々は考えるからこそ、アフガン本土における
テロリスト
の芽を摘むということのアプローチを
法案
として出しているわけでございます。 私たちは、そのためにはまず
治安
の安定が必要である。だとすれば、今、
日本
がここまで功績を残してきた、六万人の武装解除をやってきた、この実績を生かして今度は、DIAGと呼ばれる、いわゆる非合法武装集団に対するもっとこの点についてアプローチをすることはできるんじゃないか。先ほど犬塚
委員
から答弁がありましたけれども、二名しかいないという中で、我々の国としてはもっとやるべきじゃないか。 このことについては、
総理
、どうですか、もっと取り組むことができると思いませんか。
麻生太郎
128
○
麻生内閣総理大臣
アフガニスタン
の安定のためにこの
治安
活動
の責任、いろいろなことが不可欠、私もそれはそう思います、基本的には。 ただ、この観点から、DDRといいましたか、武装解除とか動員解除とか、いわゆる社会復帰のために武装解除というのをいろいろやらせていただいた、これはそれなりに成果が上がったことは事実だと思っているんですが、さらに、そのときにDDRの対象にされませんでした、いわゆる非合法の武装集団の解体、通称DIAGというんですが、これに積極的に今後取り組んでいかないかぬというときになって、何となく今の
現行法
ではなかなかそれがしにくいルールになっていますので、今後とも、ちょっと申し上げた麻薬
対策
とか、いろいろな
意味
で
アフガニスタン
政府もいろいろ努力をしておられるようですけれども、こういったものに幅広く
支援
をしていくというのは、私も大事なことだと思っております。
渡辺周
129
○渡辺(周)
委員
それは
日本
の予算の中でやるべきことだと思いますが、できることだと思いますが、それについては、
総理
、どうお考えですか。これはやる、例えばもっとDIAGの人員をふやすという形で貢献できるということについてはどうお考えですか。
麻生太郎
130
○
麻生内閣総理大臣
これは、渡辺先生、やれる範囲、
活動
できる範囲というのはかなり限られてきているんだと思いますけれども、前の
法律
のときの方がもっとやりやすかったのかなということは思わないでもありませんけれども、いずれにしても、こういったような形で、何らかの形で貢献できることに関してはもっと
参加
するような努力というのはされてしかるべきだと、私もそう思います。
渡辺周
131
○渡辺(周)
委員
この点については、後の
委員
にさらに
質問
を任せるとします。 ちょっと時間がなくなりましたのでさらに
質問
をさせていただきますが、十月の九日、十日とハンガリーのブダペストでNATOの国防
大臣
の非公式会合が開かれ、そして、アフガン国軍の育成のために拠出をもっとほかの国に求めるべきじゃないかと、
日本
に資金要請があるやに聞いておりますけれども、この点についてこういう報道がありますが、これは事実でしょうか。
日本
に対しての資金要請です。
麻生太郎
132
○
麻生内閣総理大臣
私の聞いている範囲ではございません。
渡辺周
133
○渡辺(周)
委員
これはないというのか、それとも、河村官房長官にお尋ねしますけれども、七月の時点で
アメリカ
の特使からありましたですね。これは会見で認めていらっしゃいます。その後、
アメリカ
やあるいはNATOからこの資金援助についての要請はないですか。
河村建夫
134
○河村国務
大臣
報道等で報道されたことは私も承知しておりますが、今
総理
が答えられましたように、正式な要請等を受けておりません。
渡辺周
135
○渡辺(周)
委員
正式じゃないということは、非公式な形ではあったということで理解してよろしいですか。
河村建夫
136
○河村国務
大臣
非公式的なものも一切ございません。
渡辺周
137
○渡辺(周)
委員
ということは、報道されたことは、あくまで向こう側は言ったけれども
日本
側としては一切受けていないということでよろしいですか、
総理
。
総理
、いかがですか。実際本当にないんですか。(発言する者あり)
麻生太郎
138
○
麻生内閣総理大臣
やじも含めていろいろ御意見がありますけれども、私自身、河村官房長官含めて聞いたことはありません。 また同時に、きのうも
アメリカ
の上院議員が来ていましたけれども、
日本
がどのような
支援
を行うかということにつきましては、少なくとも
日本自身
が決定する問題であるとの立場、私の知っている範囲、
外務大臣
のときを含めまして、
アメリカ
はその態度は一貫していると私自身はそう思っております。
渡辺周
139
○渡辺(周)
委員
それならば、資金要請がない、今の現状で公式にも非公式にもないということでございますが、もしあった場合に、
日本
は国軍の育成という形で資金を出すことはできるんでしょうか。つまり、ODA大綱の援助
実施
の原則に基づくと、軍事的用途については使用を回避するというふうに書いてありますけれども、もしそういう要請があった場合は資金は出すことができるのかできないのか、その点については、この援助
実施
の原則に照らし合わせていかがですか。
中曽根弘文
140
○中曽根国務
大臣
会談ではいろいろな話があったと思います。しかし、先ほど
総理
からも御答弁ありましたように、そのような要請はございませんでした。ODAではできませんけれども、我々としては、いろいろな形で何ができるかということは研究をすることをしてまいりたいとは思っております。
渡辺周
141
○渡辺(周)
委員
まいりたいではなくて、今していないんですか。もうこれだけ、七月の時点からそういう話があった。国防総省がロイターに対してももう言っているわけでございます。当然、その新聞報道等は目を通されているとは思いますけれどもね。その点について、検討をしてまいりたいじゃなくて、実際検討をしているんではないんですか。いかがですか。
中曽根弘文
142
○中曽根国務
大臣
日本
に対する期待というのは大きいのはよくわかっておりまして、何ができるかということについては常に考えているところでございます。
渡辺周
143
○渡辺(周)
委員
もう一回聞きます。 国軍の育成に対して
日本
はお金を出すことができるのかできないのか、イエスかノーかお答えいただけますか。
麻生太郎
144
○
麻生内閣総理大臣
私の知っている範囲で、国軍に直接というようなことはできないと思います。 渡辺先生、いろいろな
意味
で、これまでも警察官の養成とか、これはイラクでもいろいろな要請がありましたのは事実です。国軍と言われましたので、国軍に対する直接の
支援
ということはできないというように理解しております。
渡辺周
145
○渡辺(周)
委員
これは、
アメリカ
やあるいはNATOからそういう要請があってもそのとおりに答えられるということで理解してよろしゅうございますか。もう一度再度御答弁願います。
麻生太郎
146
○
麻生内閣総理大臣
どこの国ということを言われましたけれども、NATOとか
アフガニスタン
とか、基本的に国軍という軍隊に対して直接ということはできないというように理解しております。
渡辺周
147
○渡辺(周)
委員
最後に
民主党
の提出者にも
質問
をしようというふうに思いますけれども、時間の
関係
で次の
委員
に譲りたいと思います。どうせ我が党の時間内での
質疑
でございますので、続く
委員
に
質問
を任せたいと思います。 以上です。
深谷隆司
148
○
深谷委員長
この際、川内
博史
君から関連
質疑
の申し出があります。渡辺君の持ち時間の範囲内でこれを許します。川内
博史
君。
川内博史
149
○川内
委員
民主党
の川内でございます。 本日は、給油
支援
特措法についての
質疑
でございますけれども、私の方からは、渡辺
同僚議員
が冒頭
指摘
をした
防衛
省の体質、隠ぺい体質、あるいは情報を積極的に余り公開をされない、これはいいことではないですねということを中心としてこの時間を使わせていただきたいというふうに思いますが、まず、その前に、
麻生総理
にお尋ねをさせていただきたいと思います。
総理
にとっては愉快な話題ではないというふうに思いますけれども、一昨日、
防衛
医科大学校の教授が、眼科の医療機器納入をめぐって現金を受け取ったとして収賄罪で逮捕され、
防衛
省の本省も捜索をされたというふうに聞いております。贈賄側は、ヤマト樹脂光学という会社の元社長さんで久保村広子さんという人物であるというふうに聞いております。別の同種の贈賄の罪で起訴されて、現在は被告という立場でいらっしゃる。
麻生総理
は、このヤマト樹脂光学の元社長の久保村被告とは長いおつき合いがあるというふうに報道をされておりますが、事実かどうか、まず教えていただきたいと思います。
麻生太郎
150
○
麻生内閣総理大臣
ヤマト樹脂光学という会社から、パーティーのときの券を買っていただいたりしているということは事実だと思います。 正直言って、顔もちょっと正確な
記憶
がないぐらいのつき合いですから、つき合いがあるかと言われたら、私は、そのいただいているという事実、それと一点、たしか社屋ができたときのパーティーか何かにお招きをいただいて出ていった、ざあざあと何だか十分だか五分だかしゃべって、それで終わったしか
記憶
がありません。正直なところです。 ヤマト樹脂光学は、今御
指摘
の点がありましたので、これは今破産手続の何か裁判をしている最中だそうでして、そういった
意味
で、報道によってそれを知りましたものですから、それに基づいて、破産管財人という方が今おられますので、当方の弁護士というか代理人との間で、今、今回の
事件
の事実
関係
というものにつきまして、私どもとしてどういうことかよくわかりませんから、聞いて、返還等々につきましては、その調査結果を踏まえて検討するようにもう指示をして、これはたしか、別の何か
事件
もあったんだそうです。 正直、詳しく知らなくて申しわけありません。
川内博史
151
○川内
委員
いろいろ御説明をいただいたわけでございますけれども、今
総理
が、一度パーティーに出てあいさつをしたことがあるよという御答弁だったわけでございますが、新聞の記事によれば、そのときのごあいさつというのが、堅実な商売をしている久保村さんのやっている仕事にお力を賜りますようにという、当時幹事長である
総理
がごあいさつをされたというふうに出ております。堅実なお仕事どころか、この最中は、久保村被告はもう贈賄の真っ最中であられただろうというふうに思うんです。 実際に、これは
防衛
省さんにつくっていただいた、ヤマト樹脂光学が
防衛
医科大学に納入をした契約の一覧でございますけれども、実に……(発言する者あり)ちょっと
委員長
、大事なことを発言しているので静かにさせていただけますか。
深谷隆司
152
○
深谷委員長
いや、聞こえる範囲ですから、静かであります。
川内博史
153
○川内
委員
これは、実に驚くことに、一般競争入札だが、ほかに入札に
参加
している社はいない、しかも、落札率が、一円単位まで予定価格と一緒である、落札率一だという契約がたくさん出てきます。例えば、四百九十九万二千七百五十円、これは落札率一なんですよね。こういうものが散見されるわけですね。 こういう異常な契約をこのヤマト樹脂光学と
防衛
医科大学校は繰り返していた、
防衛
省は繰り返していたというところでございまして、こういうところから献金を受けられていた、パーティー券を購入されていたということでございますけれども、献金については返すことを検討しているというふうに
総理
は今御発言されましたが、私は、返すとはっきりここでお述べになられた方がよろしいかと思いますが、いかがですか。
麻生太郎
154
○
麻生内閣総理大臣
これは、正直申し上げて、相手が既に破産をしておられますものですから、破産管財人との話をということになりましたので、私はちょっと、正直、ヤマト樹脂光学の社長さんという方とも僕は一、二度しかお目にかかったことがないので、ちょっと、正直詳しくわかりません。 そこで、私の方としては、こういった会社というのは多分倒産みたいな形になっているだろうから、破産管財人とか弁護人とかいるから、多分直接じゃない、代理者が出てくるはずだから、その人とうちの弁護士なりだれなりがきちんと対応しろと。 そして、その金をどうするべきなのか。返すというのはもう当然返すんだ、相手に、こう私は思うが。やはりおかしいのであれば。 ただ、
法律
的にどうなっているかさっぱりわかりませんから。きちんとそれで対応しろという指示はもう大分前に出しております。
川内博史
155
○川内
委員
破産管財人の弁護士の先生は、さまざまな債権債務を整理するのに一円でもお金が欲しいでしょうから、恐らく、
総理
が弁護士さんを通じて、返すよ、献金という契約を解除するよ、全部返すよと言えば、あっという間に、ありがとうございますと多分受け取っていただけるというふうに思いますので、ぜひそのようにされることを私からも申し上げておきたいというふうに思います。 さて次に、
防衛
省の不祥事の隠ぺいに関する問題でございますけれども、先ほど渡辺議員からも若干
質疑
をさせていただいたわけでございますが、
防衛
省の改革
会議
というのが七月十五日に報告書を出しておりまして、この報告書には大変重要な
指摘
がされているわけでございます。 これには、
防衛
省改革
会議
というのは
防衛大臣
そして官房長官も御
参加
をされて、この文書がつくられているわけでございますけれども、この中にこのような一節がございます。「例えば情報の隠蔽や操作による不服従はあらゆる官僚組織に稀ではないが、」情報の操作や隠ぺいをすることは官僚組織にまれではない、そういうことは往々にしてあると。しかし「究極的な実力組織機関がそれを行うとき、格別な政治社会的
意味
を帯びるであろう。」究極的な実力組織機関が情報の隠ぺいや操作を行うようになったらそれは大変な問題に発展していくよということをこの
防衛
省改革
会議
の報告書は
指摘
をしているわけでございまして、そういう
意味
でシビリアンコントロールが大事だということを書いております。 これは、
防衛大臣
も官房長官もこの文書に同意をされて、作成に
参加
をされている、まず、そのことを
防衛大臣
に
確認
をしていただきたいと思います。そうだ、そのとおりだとおっしゃってください。
浜田靖一
156
○浜田国務
大臣
報告書にはそのように書かれていると思います。
川内博史
157
○川内
委員
そこで、今回の大変痛ましい、
海上自衛隊
の特別警備隊、特別警備養成課程で訓練をしていらっしゃった、そしてまた特別警備養成課程をやめて原隊に復帰をする、潜水艦隊に復帰をするということが決定をしていた隊員が、異動の二日前に集団で暴行を受けてお亡くなりになられるという痛ましい
事件
、御冥福を心からお祈りしたいというふうに思いますし、御遺族には本当に何と申し上げていいかわからないと思うんです。 私は、この
事件
は傷害致死
事件
であるというふうに考えますが、浜田
大臣
にまず御答弁をいただきたいのは、本件は傷害致死容疑で
海上自衛隊
の警務隊が捜査中であるという理解でよろしいかということを教えていただきたいと思います。
浜田靖一
158
○浜田国務
大臣
基本的には、調査そして捜査、両方向で今進んでいることと思いますが、我々とすれば、その調査というものをまだ報告を受けておりませんので、それを受けてからの話になろうかと思います。
川内博史
159
○川内
委員
今、調査中なんですか、捜査中なんですか。
浜田靖一
160
○浜田国務
大臣
ですから、いずれにしても、この亡くなったということを受けて、いろいろなことがあろうかと思います。 我々
防衛
省としては調査をしつつ、そしてまた、警察の方は警察の方で捜査をしておられるのではないかなというふうに思っております。
川内博史
161
○川内
委員
警察は警察の方でと。
浜田靖一
162
○浜田国務
大臣
警務隊でございました。失礼いたしました。
川内博史
163
○川内
委員
警務隊は警務隊で捜査をしていると。私はそう聞きましたよね。警務隊は捜査をしていますねというふうに聞いたんです。そこを
確認
していただけますか。警務隊は捜査をしていると。
浜田靖一
164
○浜田国務
大臣
そのとおりであります。
川内博史
165
○川内
委員
他方で、呉地方総監部の方で事故調査
委員
会をつくって調査をしていらっしゃるということでよろしいでしょうか。
浜田靖一
166
○浜田国務
大臣
そのとおりであります。
川内博史
167
○川内
委員
それでは、警務隊の捜査と事故調査
委員
会の調査でございますが、「
海上自衛隊
一般事故調査及び報告等に関する達」という文書がございますけれども、この文書によれば、事故調査
委員
会は、この達に基づいて立ち上げられているということでございます。 さらに、事故について、さまざまに事故の種別があって、これをこういう対象として調べるよということがこの文書の中に出ておりますけれども、この「達」の中の何条の何項に基づいて事故調査
委員
会は調査をされているかということを教えていただきたいと思います。
浜田靖一
168
○浜田国務
大臣
済みません、お待たせいたしました。 第十一条の(五)でございます、五項、「公務上又は通勤時の死傷(服務事故に該当するものを除く。)」であります。
川内博史
169
○川内
委員
いや、いみじくも、
大臣
、この達の十一条の(五)、「服務事故に該当するものを除く。」「公務上又は通勤時の死傷」というところを調査
委員
会は調査しているのだということをお述べになられたわけですが、事務方から紙を渡されて。ここがシビリアンコントロールが働いていないところなんですよ。 第十二条の(四)、服務事故の中に「刑罰法令違反又はそのおそれのある場合」というのがちゃんとあるんですよ、「刑罰法令違反又はそのおそれのある場合」。業務上過失にしろ、あるいは傷害致死にしろ、刑罰法令違反が明らかに疑われるわけですから、この事故調査
委員
会は十二条の(四)に基づいて設置をされていなければならないと思いますが、
防衛大臣
としての、先ほど渡された紙とは別に
防衛大臣
としての御所見をいただきたいと思います。
浜田靖一
170
○浜田国務
大臣
第十二条のただし書きがありまして、「五条から前条までに該当する場合を除くものとする。」というふうに書いてございますので、先生の
指摘
には合っていると私は思います。
川内博史
171
○川内
委員
いや、それでは、この間のさまざまな広報の体制について、
防衛大臣
、幾つか
海上自衛隊
あるいは海幕が情報を隠していたと思われるところがあるわけですね。 それは、
海上自衛隊
の広報の方に言わせれば、聞かれなかったから答えなかったのだというふうに答えていらっしゃるわけです。例えば、隊員が二日後に異動する予定だったのだとか、あるいは最初は、一対一で八組で格闘していたというふうに答えている、ところが、実際には一対十五であったというようなこと。それらは、本当のことは、聞かれなかったから答えなかったと言っているんですが、聞かれても答えないと隠ぺいなんですが、聞かれるまで答えないというのは隠ぺい体質なんですよ。 私は、ここを、きちんと情報を明らかにしていくということが、
防衛
省にとってあるいは
自衛隊
の
皆さん
にとって、国民からさらなる信頼を受けるためにはどうしても必要な部分であるというふうに思うからこそこれだけ申し上げているわけでございます。 そこでお尋ねをいたしますけれども、では、隊員が二日後に異動する、潜水艦隊に復帰するんですよということをいつ発表されましたか。
浜田靖一
172
○浜田国務
大臣
その件に関しては公表はしておりません。
川内博史
173
○川内
委員
では、この隊員の方がお亡くなりになられて、司法解剖をされていますか。
浜田靖一
174
○浜田国務
大臣
解剖を行ったと聞いております。
川内博史
175
○川内
委員
解剖の所見について広報されていますか。
浜田靖一
176
○浜田国務
大臣
所見については、これはまだ捜査中でございますし、また我々の方としてもそれをまだ聞いている段階ではございません。
川内博史
177
○川内
委員
大臣
、私が思うには、人事異動が発令されて、発令というのは人事異動をする日ですが、内示というのが一般的に二週間前なり一週間前にありますよね。あなたはもう異動ですよ、部署がかわりますよということになる。 そうすると、この場合でいえば、この訓練生は、もう異動の内示があった時点で、潜水艦隊に復帰する時点で、特別警備隊に入ることはないわけですから、それ以上の訓練は必要としないというふうに私は考えます。実際に、
アメリカ
の特殊
部隊
などは、その特殊
部隊
の訓練、特殊
部隊
から別なところに異動するということが決まった時点で、すべての訓練から解放されるというふうに聞いております。 一対十五の格闘を、異動する直前の格闘を訓練であると強弁をするというような体質について、
大臣
も、問題だ、特殊特別な問題であるというふうに感じているというふうに会見等で述べていらっしゃるわけですけれども、異動する直前の、もう異動することが決まっているのにこのようなことをすることが訓練だというふうに
大臣
はお思いになられますか。
浜田靖一
178
○浜田国務
大臣
今回の場合には、もう既にその隊員が亡くなっているということも含めて考え、そしてまた今先生がおっしゃったことに関して言えば、当然これは、我々とすると、もう異動が決まっているのにと言われれば確かに訓練の範囲を逸脱しているというのはこの間も答弁をさせていただいたわけでありますが、その点も含めて今調査をさせていただいているところであります。
川内博史
179
○川内
委員
大臣
、事の重要性について
大臣
がおっしゃることが、割と客観的におっしゃっているように聞こえて、
防衛
省あるいは
自衛隊
の大変な危機的な問題だというふうに、本件について象徴的にあらわれているのではないかというふうに私は思うんです。いろいろなことを含めてですよ。 では、浜田
大臣
は、この二日前に行われたはなむけ、実際に教官の方が親御さんに、葬式の場で、はなむけでやったんだというふうな言葉を使われたというふうに出ておりますけれども、はなむけと呼ばれる格闘訓練が、一人五十秒、連続十五人でなぐり合うもので意識不明になった、こういうことを十月十四日に初めてお知りになったんでしょう。十月十四日に報道で知ったんでしょう。
大臣
、どうですか。
浜田靖一
180
○浜田国務
大臣
それは、十月十四日に初めて知ったところでありますし、私が冷静にきょう御答弁をさせていただいているのは、そういった
意味
においては、いろいろなこと、こういった、御
指摘
になられていることに対して私自身も問題意識を持って、ただこのことを感情的になって対処するよりは、しっかりと冷静に対処した方がいいと思って、私なりの考えでこのように答弁をさせていただいているところでありますので、その点は御理解願いたいと思います。
川内博史
181
○川内
委員
冷静に対処をするというのはそのとおりなんですけれども、
大臣
がお持ちになっている職務に対する権限をしっかりと行使しながら、指揮監督をしながら本件に対する解明をしていかなければ、十月十四日に報道で初めて知った、では、その前に報告を受けたときに、格闘訓練の事故で死んだ、どんな訓練だったんだ、いつだ、どのようにやったのかというようなことを多分お聞きになっていらっしゃらないのかなと。 私だったら、格闘訓練で亡くなったよという報告が来たら、どんな訓練だったんですか、そんなことがあるんですか、隊員は今どうしているんですか、そういうことをきちっと聞くと思いますけれどもね。どうなんですか。
浜田靖一
182
○浜田国務
大臣
権限を使って調査するというのは、これは当たり前の話でありまして、私なりに、経過報告も含め、聞いておるところでございます。
川内博史
183
○川内
委員
いや、経過を含めて聞いておるって、報道で真実を初めて知っているわけじゃないですか。何を
大臣
おっしゃっているんですか。報道でそういう実態について初めて知ったと。経過については本当のことは報告を受けていないわけでしょう。
浜田靖一
184
○浜田国務
大臣
聞いた後に、当然その後に、一体これは話が違うではないかということを、要するに報告とは違っているという
指摘
をするのは当たり前でありますし、それに対して、報告というか、いろいろな
状況
を含め、調査も含め、しっかりやれ、そしてその中の経過をしっかりと報告しろということは私なりに申し上げているところであります。
川内博史
185
○川内
委員
いや、しっかりやれと言うだけじゃ、
防衛
省改革
会議
のことを最初に言ったじゃないですか。情報の操作や隠ぺい体質は往々にしてあるが、実力組織がそれを始めたら大変なことになるよということを
防衛大臣
も、官房長官も、この文書の中で言っていらっしゃるわけですよ。 さらに言えば、警務隊、捜査をしていると
防衛大臣
に
確認
をしていただいた警務隊は、
自衛隊
犯罪捜査服務規則という服務規則によれば、警務隊を指揮監督するのは、要するに捜査を指揮監督するのは
防衛大臣
であるというふうに書いてありますよ。
確認
していただけますか。
浜田靖一
186
○浜田国務
大臣
そのとおりであります。ですから、私が、しっかりと捜査をしろということを申し上げているところであります。
川内博史
187
○川内
委員
さらに、第九十九条には「警務
部隊
の長は、捜査を行なう場合において、」……(発言する者あり)今ちっちゃいなというやじが来ましたけれども、こういう本当に大事なことをしっかり議論することが大事なことであって……(発言する者あり)大事ですよ、もちろん大事です。
テロ
と闘う、あるいはどう対処していくかということについて、そのそもそもの組織がどういう組織であるかということはしっかりと議論されておかなければならないことなんです。いいですか。
委員長
、続けていいですか。(発言する者あり)
深谷隆司
188
○
深谷委員長
お静かに願います。
川内博史
189
○川内
委員
「警務
部隊
の長は、捜査を行なう場合において、」「当該
事件
の概要その他必要な事項を順序を経て
防衛大臣
に報告しなければならない。」というふうに出ておりますが、では、きちんと報告は受けているということでよろしいですね。警務
部隊
の長から受けているということでよろしいですね。
浜田靖一
190
○浜田国務
大臣
警務隊ではなくて、調査
委員
会の方からの報告を少しずつ受けています。
川内博史
191
○川内
委員
いやいや、この
自衛隊
犯罪捜査服務規則、警務隊が捜査をしている、その服務規則によれば、警務
部隊
の長も
防衛大臣
にきちんと当該
事件
の概要その他必要な事項を報告しなければならないと書いてありますが、では、
防衛大臣
は報告を受けていないということですね。
浜田靖一
192
○浜田国務
大臣
捜査に関しては、やはりそこに厳正な捜査というのがあるわけでありますので、その捜査を途中途中で私のところに報告が来るとは思っておりません。しっかりとした捜査の後に報告があるものと思っております。
川内博史
193
○川内
委員
いや、いいですか、この九十九条には、
防衛大臣
、よく聞いてくださいよ、「捜査を行なう場合において、」と書いてあるんです。「捜査を行なう場合において、」要するに、捜査をするときにはちゃんと
防衛大臣
に報告してねと書いてあるんです。だから、
防衛大臣
は最初、私の
質問
に対して警務隊は捜査をしているとおっしゃったので、ちゃんと報告を受けているんですねということを聞いているんですよ。
浜田靖一
194
○浜田国務
大臣
今のお話でありますが、しかしながら、必然的に、一々すべての捜査というのはまず警務隊に話が行くわけですから、その段階でやはり捜査には入っていくわけですよね。その中で、私のところには調査
委員
会の方の報告があり、その後に警務隊からの報告があるというような形になろうかと思っています。 私は、すべてその場合に、緊急性を帯びて調査、捜査に向かう場合に、要するに警務隊の方が入る場合は、まず、一々そこの部分で、私が、何か
事件
があったときにはそこに入るというのは、通告があってそこに駆けつけるというのがもしも初動とするならば、これは私に一々報告をしながら捜査を進めるということではなくて、まずはそこに駆けつけ、そこから入るということになると思いますので、そこのところが、運用面においてはそういう、迅速に対応できる形になっていると思いますので、そこと報告とはまた別だと思います。
川内博史
195
○川内
委員
九十九条の読み方は、私はそうはお聞きしていないですけれどもね。捜査を行う場合はちゃんと
防衛大臣
に報告しますよということを書いているわけですよね。だから、警務隊は捜査しているとおっしゃったので、捜査しますよという報告を受けていますねということを
確認
しているんですよ。捜査しますよということの報告を受けていますよねということを
確認
しているんですよ。
浜田靖一
196
○浜田国務
大臣
基本的には、
事件
性が
確認
された時点で報告が上がってくるということになっておるというふうに理解をしております。
川内博史
197
○川内
委員
そうすると、今まだ
事件
性を
確認
していないというんですか。警務隊は捜査していると言ったじゃないですか、最初。どっちなんですか。 警務隊は捜査しているんですか。まだ調査なんですか。警務隊は捜査しているんでしょう。
浜田靖一
198
○浜田国務
大臣
大変説明があれで申しわけないんですが、調査
委員
会と警務隊の捜査というのは整理して考えなきゃいけませんので、我々とすると、要するに、警務隊の方は、そこに通報があって駆けつけて、
事件
性のあったものに対して私のところに報告。だから、報告の部分と捜査の指揮の問題と、ちょっと何かごっちゃになっているような思いがするので、私とすれば、まず駆けつけて、そこに何があったかを
確認
し、
事件
性があったことを私に報告してくるわけでありますので、捜査というのが、その予備的なものが捜査なのか、出動したのが捜査なのか、それともそれから先の捜査なのかというのをもう一度私なりに
確認
したいと思います。
川内博史
199
○川内
委員
それじゃ、また月曜日に私
質疑
がありますから、警務隊が捜査をしているのか否か、どういう捜査なのかということを月曜日までに
確認
していただいて、御答弁をいただきたいというふうに思います。 私は、この手の問題に関して、現場で一生懸命頑張っている自衛官の
皆さん
や、あるいは
自衛隊
の
皆さん
や
防衛
省の
皆さん
がさらに頑張れるようにしていくためにも、情報の公開とシビリアンコントロールをしっかりきかせるということをしていかなければならないという趣旨で
質問
させていただいています。 さらに、この九十九条二項に、「
防衛大臣
は、前項の報告を受けた場合において必要があると認めたときは、捜査本部を開設するものとする。」ということが出ています。「捜査本部を開設するものとする。」と出ています。 聞くところによると、
海上自衛隊
の警務隊は
日本
全国で百二十九名しかいないと。それで、呉地方警務隊、あるいは江田島警務分遣隊は、呉地方警務隊で十名ぐらい、江田島警務分遣隊は数名だというふうに聞いております。 そういう体制ではなくて、しっかり
防衛大臣
が捜査の指揮監督をする、捜査本部をしっかりつくって、この
事件
の全容解明、全容解明を徹底的にやるというふうにおっしゃっていらっしゃるわけですから、全容解明、再発
防止
、そして責任をとるべき人には責任をとっていただくということの先頭に立つべきであるというふうに思いますが、
防衛大臣
の御所見をいただきたいと思います。
浜田靖一
200
○浜田国務
大臣
今、川内
委員
から御
指摘
のあった点、しっかりと調べて、また月曜日にお答えをするようにしたいと思います。 私も、その
意味
ではしっかりと真摯にお答えをしたいと思っておりますし、そしてまた、今回の事故というのが今調査中であるということ、そして、それがもしも本当にそこにいろいろな思い入れがあり、集団暴行と
委員
はおっしゃっておりますけれども、その点の要するに真贋をしっかりと見きわめなければいけないと思っております。でなければ、
部隊
の隊員のモチベーションというのが、さっきおっしゃっていただきました、下がってしまう可能性もあるわけでありますので、我々とすれば、その部分はやはり慎重に捜査、調査をすることが極めて重要であります。 私とすれば、すべてがはっきりとした時点で、すべてをつまびらかに皆様方に御報告できるようにしたいと思っておりますので、この時点でそれが要するに集団暴行なのかどうなのかということを決めつけるようなことは、私は今の時点ではしたくないと思っておりますので、冷静にその調査の報告を待ちたいというふうに思っておるところであります。
川内博史
201
○川内
委員
集団暴行であるか否かを問わず、訓練中の事故であったとしても業務上過失致死というところには至るわけで、先ほど申し上げた一般事故のうちの「刑罰法令違反又はそのおそれのある場合」というところに該当するじゃないですか。事故調査
委員
会は全然その観点についての調査でないわけですから、私は、その点については大変に問題がある、これはしっかり
防衛大臣
は指導力を発揮していただかなければならぬというふうに思いますよ。
浜田靖一
202
○浜田国務
大臣
川内
委員
に今しっかりやれというふうに言われましたので、私もそのつもりでやらせていただきたいと思いますが、しかし、私なりに、調査
委員
会そしてまた捜査というものを含めてしっかりと見きわめながら、今後の対処は厳正にさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
川内博史
203
○川内
委員
もう
一つ
、重大な隠ぺいがございます。先ほども出ましたけれども、本年二月のイージス艦「あたご」の衝突事故。 先日の予算
委員
会で、イージス艦「あたご」の自動衝突予防援助装置、ARPAの警報音が衝突のかなり前から鳴っていたか鳴らなかったのかということを、
防衛
政務官が
国会
答弁で、
事件
の核心に触れる部分だから言えない、
事件
の当事者だから言えないというふうに
国会
で答弁をされていらっしゃいます。核心の部分を言えない、当事者だから言えない、これを隠ぺいと言わず何と言うのか私はわかりませんが。 まず、きょう最後に、この前私が、海難審判所で百二十人の乗組員が事情聴取を受けているが、衝突しそうな船があらわれたときにレーダー装置が警報音を発する、音を発するということについて、鳴ったか鳴らなかったのかということについて百二十人の事情聴取の中で
質問
していませんねということをお聞きしたらば、海難審判所の所長さんは、いや、聞いていますというふうに答弁されましたが、それは間違っていた、聞いていなかった、警報音が鳴ったか鳴らなかったかということについては
質問
していません、事情聴取の中で聞いていませんでしたということを最後にここで
確認
して、月曜日に移りたいと思います。
上中拓治
204
○
上中
政府参考人
お答えします。
質問
をしていないということで間違いございません。 その点、十月七日の
衆議院
予算
委員
会の答弁は間違っており、おわびいたします。
川内博史
205
○川内
委員
終わらせていただきます。
深谷隆司
206
○
深谷委員長
この際、平岡秀夫君から関連
質疑
の申し出があります。渡辺君の持ち時間の範囲内でこれを許します。平岡秀夫君。
平岡秀夫
207
○平岡
委員
民主党
の平岡秀夫でございます。 きょうの給油
新法
の延長
法案
については、テレビ入りということもありますので、精緻な議論は来週月曜日にさせていただくということにさせていただいて、きょうは、国民の
皆さん
の良識に問いかける、そうした
質問
にさせていただきたいというふうに思います。簡潔にして率直な答弁をお願いしたいと思います。 まず最初に、この給油
新法
を議論するに当たりまして、議論の前提として
麻生総理
の基本認識を問うていきたいというふうに思います。 先ほど、与党の
質問
のときに
委員
の
皆さん
にこんなものが配られたんですけれども、これは、何か使うのかと思ったら全然使わなくて、何のために配られたかわからないんですけれども、この中に
テロ
の場面の写真が載っています。 確かに、この
テロ
は本当に大変な被害をもたらしたもので、私も痛ましいものであったというふうに思いますけれども、この中に、
自衛隊
の
補給活動
の対象となっている大もとの不朽の自由作戦がアフガンでどのような
犠牲者
を生んでいるのかということについては全く触れていないんですよね。私は、こういう
意味
では、このパンフレットはちょっと意図的なものに過ぎるのではないかなというふうに思います。 そこで、
麻生総理
にお伺いしたいんですけれども、二〇〇一年の十月七日の米軍の空爆で始まったアフガンにおける戦い、この戦いで一体どれぐらいの
犠牲者
が発生しているのか、お答えいただきたいと思います。大体で結構でございますから、よろしくお願いします。
深谷隆司
208
○
深谷委員長
ちょっとその前に平岡
委員
に申し上げたいんですが、この書類につきましては、先ほど
理事
会で承認の上でお渡ししているものであって、
質問
の中にはありませんでしたが、意図的なものではないということを
委員長
から明確に申し上げます。 中曽根
外務大臣
。
平岡秀夫
209
○平岡
委員
総理
の認識を聞いているんですよ、
総理
の認識。
中曽根弘文
210
○中曽根国務
大臣
先に私から御報告いたします。
アフガニスタン
におきましては、反政府勢力によります
テロ
とそれから
テロ
掃討
活動
の双方によりまして、市民に多大な被害が、
犠牲者
が出ていると承知をしております。他方、米国を初めとする多国籍軍の
活動
による
犠牲者
数につきましては、正確に把握することは困難でございます。 なお、
国連
の資料によりますと、本年の一月から八月にかけて、
アフガニスタン
では千四百四十五名の民間人が死亡しており、そのうち反政府勢力の行為による死傷者数が八百名、
アフガニスタン
国軍及び多国籍軍の
活動
に伴う死者数が五百七十七名を占めていると報告をしております。
平岡秀夫
211
○平岡
委員
私は具体的な
数字
を聞きたいんじゃないんですよね。どれぐらいの
犠牲者
が生じているかという、大まかな
麻生総理
の認識を聞きたかったんですね。後で答えていただきたいと思いますけれども。 その前に、
委員長
から注意がありましたけれども、私はこれを配られたことが意図的だと言っているんじゃないんですよ。これを配ったにもかかわらず、これに対して
質問
がないというのはおかしいですねと。ただ、この中身を見ると、この中身は
テロ
の
犠牲
のことだけしか書いていない、その点においてこのパンフレットは意図的ではないかということを言ったんです。ちょっと誤解しないでいただきたいと思います。 それでは、
総理
の答弁をお願いします。
麻生太郎
212
○
麻生内閣総理大臣
今御
質問
がありましたけれども、先ほど、詳しい
数字
につきましては中曽根
外務大臣
の方から申し上げたとおりでありまして、どのような認識を持っておるかといえば、
テロ
というものがもともとで始まったものでありますけれども、
テロ
に対して、それに対してまた
テロ
による報復、そういったものの連鎖というものは、一般の無
関係
な
方々
が三千人近く殺されているわけですが、そういったものを含めまして極めて痛ましいことになるという意識が物すごくあります。
平岡秀夫
213
○平岡
委員
先ほど
外務大臣
は
国連
の統計だけちょっと発表されたので、それが十分であるかどうか、年数が限られていましたからね。 我々がいろいろ調べてみますと、例えばニューハンプシャー大学のマーク・ヘロルド教授なんかが推計したところによれば、この民間人の
犠牲者
は、空爆も含めて六千人から八千人ぐらいの多数の
犠牲者
が出ているということであります。 そういう多数の
犠牲者
を出しているアフガンにおける米国等による武力行使、あるいは戦争と言っていいのかもしれませんけれども、これに対して
我が国
が、
自衛隊
が
協力
しているという認識は
総理
にはおありでしょうか。
麻生太郎
214
○
麻生内閣総理大臣
お忘れかと思いますが、これは、二〇〇一年九月十一日に
アメリカ
のニューヨークがいわゆる
テロリスト
によって襲われて、約三千人近くの死者を出し、その中に
日本
人も含まれていた、これから始まったんですよ。 その話を何かすっかり忘れられて、
アメリカ
だけがしているような感じの御
質問
のように聞こえますけれども、我々の同胞も二十四人、
テロ
によって殺されたという
現実
を無視して、もしくは忘却したかのような発言をされると、私は、ちょっと二十四人の方に関して申しわけがないなという感じが、率直なところします。 加えて、今のお話ですけれども、そういった悲惨なことを招くことになった原因を含めて我々は考えねばいかぬのではないでしょうか。このままほっておいたら、さらにそういった別のビルが襲われていたかもしれない。いろいろなことを考えて、結果として苦渋の選択をやり、
各国
は皆それに
参加
しているという意識が私どもにはあります。
平岡秀夫
215
○平岡
委員
私は
テロ
が悲惨であったということについて否定するものではないんですね。しかし、今進んでいるこの戦争がどういうふうに多くの
犠牲者
を出しているのか、その戦争に対して
我が国
が
協力
しているという認識があるのかを聞いたんです。 幾らやっても多分すれ違いでしょうから、私はこれ以上言いませんけれども、ただ、久間
大臣
が昨年の四月の衆院の
テロ
特では、これは前の
法律
ですけれども、
旧法
について、この
法律
については、「戦争をすることについて、これは
支援
する
法律
に実はなっております。」こういう認識を示されておられますので、多分この久間
防衛大臣
の認識というのは政府を代表しての認識だろうというふうに思いますので、私はそれを前提に話を進めていきたいと思います。 ところで、
自衛隊
の
補給
艦が
インド洋
に行っていることについて言えば、
法律
の中ではこういうふうに書いてありますね。国際的な
テロ
の
防止
と
根絶
のための
国際社会
の取り組みへの寄与をするんだというふうになっているんですけれども、ただ、いろいろと考えてみると、どうも
自衛隊
の海外派遣の実績づくりというようなことを意識しているんじゃないかというふうに思うんですけれども、
総理
はどういうふうに認識されていますか。
麻生太郎
216
○
麻生内閣総理大臣
補給支援活動
というもの、いわゆるこのもともとは
テロ
との
闘い
というものの一翼を担ってスタートしたもので、これは先ほども申し上げましたように、我が方が
テロ
によって殺された人がいるという事実をお忘れの上でしゃべられるような感じがするので私はとがめたんですけれども、
日本自身
のためにしてきた
活動
の
一つ
だと私は思っております。 したがって、
テロ
との
闘い
というのは依然
継続
をしておると思っておりますので、とうとい
犠牲
を出しながらも、
アフガニスタン
での
テロ
への
対策
を
各国
が取り組んでおられるというものだと私は思っております。 したがって、
日本
も
国際社会
の一員なんですから、
テロ
との
闘い
で、我々も
犠牲者
を出させられたんですから、その
意味
におきましては、この
活動
の
継続
はぜひとも必要なのであって、
自衛隊
の訓練のため……(平岡
委員
「実績」と呼ぶ)余り実績づくりとかそういったような話をされると、ちょっと亡くなられた
方々
に申しわけないなと思いますね。
平岡秀夫
217
○平岡
委員
私は根拠なくこんなことを言っているんじゃなくて、昨年六月に
麻生総理
は、当時
総理
ではありませんでしたけれども、「自由と繁栄の弧」というのに
海上自衛隊
の洋上
補給活動
についてこういうふうに言っておられるんですね。「始めて五年半。思いますに、「ネイビー」をこれだけ長い間遠方に展開したことは、
我が国
の歴史始まって以来のことです。」ネイビーというのは、英語に堪能な
麻生総理
ですから、どういう
意味
かはおわかりですよね。これは
海軍
ですよね。
海軍
をこんなにも長い間送っているんだ、そういう話になっているんですよ。だから私はこれを聞いたんです。どうですか。
麻生太郎
218
○
麻生内閣総理大臣
ちょっと御
質問
の
意味
がわからないんですが、長きにわたって海外にずっと送っているというのは……(平岡
委員
「ネイビー」と呼ぶ)ネイビーという
意味
は、セルフディフェンスフォーシズとも
日本
で言いますが、通常ネイビーとよく言いますのでネイビーと使わせていただいただけですけれども、基本的には、そういった言葉じりの話だけじゃなくて、五年半の長きにわたって、海外にずっと
継続
して、あの過酷な条件の中で、大いに
日本
のために、
世界
のために闘っている
海上自衛隊
の隊員諸君に私は敬意を表したいと思っております。
平岡秀夫
219
○平岡
委員
私は、ネイビーという言葉をわざわざ使われるから、何か意図的なものがあるのかなと思って聞いたんですね。 だから、私は認識を聞いているだけですから、そういう基本的認識を持っておられるということを前提に、次の
質問
として、
自衛隊
の
補給支援活動
を今後も
継続
すべきなのかということについて、ちょっと
質問
の分野を移していきたいと思います。 まず最初に、また
総理
の認識を問いたいんですけれども、
自衛隊
の
補給支援活動
の相手先となり得る外国の軍隊等の
艦船
は
インド洋
でどのような
活動
を行っているというふうに
総理
は認識しておられますか。
麻生太郎
220
○
麻生内閣総理大臣
いわゆる
海上阻止活動
の話をしておられるんですね。(平岡
委員
「いやいや、
補給
の対象となっている外国の軍隊等の
艦船
が
インド洋
でどういう
活動
をしているのかを聞いているんです」と呼ぶ) いや、そちらも余り聞いておられる風がなかったので重ねて聞いただけなんですが、
日本
として、外国の軍隊などすべての
活動
について詳細に知っているわけではありません。しかし、
補給支援特措法
のもとで
自衛隊
がこれまでに
補給
をしたいわゆる
艦船
は、
インド洋
で
テロ対策
海上
阻止行動を行っているものだと理解をいたしております。
平岡秀夫
221
○平岡
委員
そこにちょっとごまかしがあるんですよね。 このパネルに、配付した資料を見ていただきたいと思うんですけれども、MSO、
海上
治安
活動
の中に
海上阻止活動
というのがありますね。この部分について、これは広義の不朽の自由作戦の一部なんですけれども、ここのところに対して
補給
をするということを目的にしているんですね。 しかし、この目的を持った外国の軍隊等の
艦船
というのは、必ずしも不朽の自由作戦の
海上阻止活動
だけではなくて、OEFそのもの、あるいはイラクの自由作戦、そうした作戦の任務も負っているというのが実情なんですよね。ですから、これらの船がこういう
活動
をしているということを私はまず
総理
として認識してほしいということなんです。 そこで、
法案
の提案者としての官房長官にお聞きしますけれども、この
テロ対策海上阻止活動
に従事している外国の軍隊等の
艦船
であれば、仮にほかの目的、このパネルにありますように、OEF本体、不朽の自由作戦本体であるとか、イラクの自由作戦、これに従事しているということであっても、この
法律
上は
補給支援活動
の相手先から除外されることはないというふうに理解していいですね。
河村建夫
222
○河村国務
大臣
お答えいたします。
補給支援特措法
におきましては、ある外国の
艦船
が
補給支援活動
の対象となるためには、当該
艦船
が
テロ対策海上阻止活動
に係る任務に従事するものでありまして、その
艦船
に対して
補給支援活動
を
実施
することが
テロ対策海上阻止活動
の円滑かつ効果的な
実施
に資するもの、このことが認められることが必要であります。その際に、当該
艦船
が実態として
テロ対策海上阻止活動
に係る任務に当たっていることが重要であって、その他の任務をあわせて付与されている場合であっても同法に基づいて
補給
を行うことは可能である、このように考えております。
補給
支援
法に基づく
補給支援活動
は、あくまでも
テロ対策海上阻止活動
に係る任務に従事する
艦船
に対して
実施
するものであるということ、その際に、当該
艦船
が実態として
テロ対策海上阻止活動
に係る任務に当たっている限り、他の任務を付与されている場合であっても同法に基づいて
補給
を行うことは可能であると考えておるところであります。 また、
日本
が
補給
する
燃料
は、その性質上、
補給
実施
後は対象
艦船
に搭載されるその他の
燃料
と一体不可分となってまいります。このため、
我が国
が
補給
した
燃料
と同量以上の
燃料
が
補給
実施
後において
テロ対策海上阻止活動
に係る任務を遂行している間に消費された場合には、
我が国
が
補給
した
燃料
が適切に使用された、こう考えるわけであります。 一方、
法律
の運用上、実際に
補給
支援
を行うか否かについては個別具体的に検討する必要がありまして、バーレーンにある司令部において、連絡調整を通じて対象
艦船
の行動計画、また想定をされる
活動
内容等を把握しながら総合的に判断することになる、こういうことであります。
平岡秀夫
223
○平岡
委員
今の答弁は、
旧法
の時代、あるいは
新法
をつくるときにも議論された話でありますけれども、そのときに問題となったのは、
旧法
の時代の実績として、例えば強襲揚陸艦に対して給油がされていたとか、あるいは空母の随伴艦である巡洋艦に対して給油がされていたとか、そういう問題があって、この
活動
の中でいえば不朽の自由作戦、陸上に対して作戦を展開しているような船に対しても給油がされているというようなことが
指摘
されていたわけですね。 それでお聞きしますけれども、今回の
新法
になって、ほかの目的にも従事をしている、
海上阻止活動
以外のほかの
活動
にも従事している外国の軍隊等の
艦船
に対して
補給
したという実績はありますか。どうですか。
浜田靖一
224
○浜田国務
大臣
それはございません。
平岡秀夫
225
○平岡
委員
お配りした資料がありますから見ていただきたいと思いますけれども、この資料は米
海軍
の広報資料等に基づいて作成したもので、便宜的に八月から九月の作戦行動に関するものだけでありまして、網羅的なデータではありません。 しかしながら、八月から九月にかけて空母艦載機が爆撃とか機銃掃射なんかをやっているというようなことがわかります。艦載機は、これ以外にも威嚇飛行とか偵察なども連日行っているということでございまして、この空母リンカーンが発行する今月十二日付の新聞「ペニー・プレス」によれば、リンカーンに関連する第二空母航空団というのは、ことしの四月末から九月初めまで七千百回の出撃をして、そのうち二千三百七回は爆撃、機銃掃射をしているということであります。爆弾も百十五トン投下しているというふうになっています。 八月十日のところに二つほどありますけれども、見ていただければ、アフガンだけじゃなくてイラクの作戦も同時進行させてやっている、こういう事実があるんですよね。ですから、
インド洋
上にいる外国の軍隊等の
艦船
については、いまだに多くのイラクあるいはアフガンに対する陸上
攻撃
に
参加
している船があるということなんです。 したがって、先ほど聞きましたときに
補給
した事実がないというふうに言われましたけれども、それでは、
補給
をした対象の
艦船
の名称をここで明らかにしていただきたい。お願いします。
浜田靖一
226
○浜田国務
大臣
申しわけございません。 いずれにしても、これは軍の
関係
もございますので、相手の了解が得られない限り私どもとして今まで公表してきていないということもございますので、御了解を願います。
平岡秀夫
227
○平岡
委員
この給油先の船については、
パキスタン
のものについては一応最初だからということで相手方の了解をとって公表しましたというふうに私たちとしては説明をされています。しかし、それ以外のものについては今
防衛大臣
が説明されたような理由で公表されていませんけれども、さっき公明党の佐藤議員が、これは一年ごとにチェックをするんだ、ちゃんとできているかどうか
国会
でシビリアンコントロールのもとにやるんだと言っておきながら、我々がシビリアンコントロールとして
国会
でこの
法案
を延長すべきかどうかということを
審議
する際に、そうした
補給
先の
艦船
の名前が言えないというのは、これは幾ら何でもひどいじゃないですか。どうですか。
浜田靖一
228
○浜田国務
大臣
逆に言えば、今回の今御
指摘
の点につきましては、我々としても確かに努力目標としてしっかりと公表したいとは思っておりますが、相手国の
関係
もございまして、我々とすれば今は明らかにしていないということなので、これからもそういったものができるように努力はさせていただきたいと思いますけれども、今のところできていないということでございます。
平岡秀夫
229
○平岡
委員
それでは、努力した成果を来週の月曜日の
審議
までに報告していただきたいというふうに思います。 それで、この
給油活動
なんでございますけれども、実は、先ほど来から諸外国の
評価
があるといったような話もありましたけれども、それではアフガンの
国内
の一般の人たちがどのように見ているのかという話についてちょっと触れたいと思うんです。 私の手元にある
NGO
の
現地
代表の方が書かれたものがございまして、
関係
箇所をちょっと読み上げますと、安倍首相の
辞任
騒動の際に、
インド洋
での給油
支援
が
アフガニスタン
市民の知るところとなり、
日本
のイメージも変わりつつありますと。いい方に変わっているならいいんですけれども、これは悪い方に変わっているんですね。 私も別の
NGO
の方、アフガンで活躍をされた
方々
の話を聞きますと、安倍
総理
は突然
辞任
されちゃったものですから、何が起こったんだろうかといって、
世界
的にあるいはアフガンの一般の人たちもわかっちゃったんですよね。そのときにアフガンの人たちは、えっ、
日本
もアフガン
攻撃
をする
アメリカ
にくみしていたのかと。先ほど来から話があるように、せっかく今まで
日本
というのは私たちの仲間であり味方であるというふうに信頼していたのに、そういうことになってしまうというのは何か非常に疑心暗鬼になってしまったということなんですよね。(発言する者あり)それは
NGO
の方です。 それで、私はまた
麻生
さんの「自由と繁栄の弧」なんかを見ていましたら、アフガンとイラクについて、中東の話がちょっと載っているんですよね。「もしも本当に、
日本
が中東の
各国
各派から特別の偏見なく見てもらえる国なのだとすると、そこに、
我が国
独自の役割が出て参るはずであります。」ちょっと飛ばして、「すなわち私ども、「憎悪の解消」や「信頼醸成」のため、大いに一役買えるでしょうし、買うべきであります。」こういうふうになっているんですよね。 この
給油活動
というのがアフガンの一般の人たちに対して、先ほど私が申し上げたように、えっ、あの武力行使をしている
アメリカ
に
日本
は味方していたのか、何だというような気持ちを持ったのでは、これからの
日本
の役割が果たせなくなるんだと私は思うんですね。そういう
意味
において、先ほど来の給油対象の問題も含めて、この際私はやめるべきだと思うんですけれども、
麻生総理
の御
見解
をいただきたいと思います。
麻生太郎
230
○
麻生内閣総理大臣
全く
見解
を異にしますので、正直これは、あなたのところに言われた方が、どういう方が言われたのか、一回ぜひ聞かせていただければと思うんですけれどもね。一体どれぐらいの数そういう方がいらっしゃるのかというのをぜひ聞かせていただければと思うんです。 少なくとも、
給油活動
というのは洋上でしていますから、陸上にいる方が見えるはずはないのは当然じゃありませんか。まずは最初に当たり前の話でしょう、それは。だから、そういった話というのは知らなかったからといって別に驚くことではない、まずこれが
一つ
です。 また、これに
艦船
を送っておられる国々からは、いずれも
日本
に対して感謝の言葉が述べられるのは、これは、そこに船を送っておられる国々の
外務大臣
、ほとんど例外なく会っていると思いますが、私にはそのような言葉を賜っております。
外務大臣
はその国を代表していないなんということにはならないと思いますので、私どもとしては、その国を代表される一国の
外務大臣
が当該国
日本
の
外務大臣
に対して感謝を述べられるというのは、感謝をされていると理解するというのは当然のことだと、私自身はそう思っております。 また、安倍
総理
のやめられた話が何でそこに結びつくのか、私には理解を超えていたんですが、私は、少なくとも、
各国
ともアフガンに対してむしろ今増派したり、いろいろな形でこの問題に対して積極的に取り組もうというのを、イラクがそこそこ落ちついてきたので、イラクの軍隊、派遣されている軍人さんを
各国
は減らして
アフガニスタン
の方に増派しておられるような傾向が最近ある、そのように理解をしております。 したがいまして、
国際社会
の一員として我々は活躍をしておるわけで、そういった中にある
日本
が、
日本
一国だけそこから撤収するというような考え方は今の私どものとるべき対応ではない、そのように思っております。
平岡秀夫
231
○平岡
委員
きょうは細かい議論には入りません。 次の議論にちょっと入りますけれども、
補給支援活動
の対象となっているOEFというものは国際法上どういう戦いなのかについての議論をしてみたいと思うんです。 アフガンの武力行使、先ほど言いましたように二〇〇一年の十月七日の米空軍の空爆で始まったわけでありますけれども、国際法上はどのような根拠でどこに対して開始されたというふうに今
総理
としては認識しておられるのか、この点についてお伺いしたいと思います。
中曽根弘文
232
○中曽根国務
大臣
平成十三年の九・一一
テロ
攻撃
は、高度の組織性及び計画性が認められることなどから、
国連
憲章の第五十一条に言う武力
攻撃
に当たるものと考えられます。 この
攻撃
を受けて行われております米国等による不朽の自由作戦は、同条の個別的または集団的自衛権を行使するものとして、
アルカイダ
とそれを
支援
しているタリバンに対して開始されたものと認識をしております。
平岡秀夫
233
○平岡
委員
それが国際的な……あれ、
総理
がいなくなっちゃったけれども。私は
総理
にさっき
質問
したんですよ、
総理
の認識を問いたいと。最初に技術的なことを
外務大臣
が説明されるのはいいけれども、ちょっと困りますね、それは。私にも了解がなかったですけれどもね。 ちょっと時間がないので進めますと、そういう説明で、ここの
理事
の
方々
は、いや、
国連
決議
だとかなんかとつぶやいていて、えっ、ここの
理事
の方も正確に御存じないのかなとちょっと一瞬思ったんですけれども、この自衛権の発動というのは、ただ単に今
外務大臣
が説明された単純なものじゃないんですよね。
皆さん
方のお手元に資料、そしてこちらにパネルがありますけれども、今回の不朽の自由作戦の開始時点の話としていえば、確かに
アメリカ
とイギリスは個別的自衛権あるいは集団的自衛権の行使ということで始めましたけれども、これを行うに当たってはいろいろな要件が要ります。そして行使の客体についてもいろいろ議論があります。 例えば、三要件としていえば、必要的条件。急迫不正の侵害がなければいけない。これは、一カ月前の
テロ
があったということで、本当にその時点で急迫不正の侵害があったと言えるんでしょうか。ほかに手段がない、武力
攻撃
しかなかったのか、本当に。あんな激しい武力
攻撃
をする以外に手段がなかったんでしょうか。 それから、均衡性の要件ですね。目的や方法が必要最小限であるということでありまして、この
攻撃
はタリバン政権の転覆を目的とし、そして、先ほど言いましたように、数多くの空爆の被害者、六千人から八千人と言われる方の被害者が出ている、投入した兵力も今やOEFは五万人近くあるというのが
国会
の、議会の調査室でございます。そういう
状況
にある。 時間的要件のところは、
国連
の措置がとられるまでの措置であるというけれども、一体この
国連
の措置はいつとられるのかということについても明確になっていない。 こういう
状況
のもとで開始されたこの自衛権の行使。しかも、タリバン政権というのはもう崩壊していますよね。そのタリバン政権がなぜ自衛権発動、行使の客体となり得るのか。今までのニカラグア判決なんかを見ても、ただ単に
アルカイダ
をかくまったとか、オサマ・ビンラディンを引き渡さなかったとか、そういうことでこれが自衛権行使の客体となることはないんですよね。そういう議論を全く抜きにして今行動が進められているということについて、私は疑問に思うんです。
総理
、今帰ってこられましたから議論を聞いていなかったと思いますので、かわりに
外務大臣
で結構です。ちょっと答弁していただけますか。
中曽根弘文
234
○中曽根国務
大臣
もう
委員
御承知のとおり、米国は、タリバンに
支援
された
アルカイダ
が九・一一
テロ
攻撃
の中心的な役割を果たした、そういう情報に基づいて、今、
アルカイダ
とそれを
支援
しているタリバンに対して、米国に対するさらなる
攻撃
を
防止
、阻止するために軍事行動を開始したものと承知をしております。 その後、タリバン政権が崩壊するまでの間にも、米国は累次にわたり、
アルカイダ
による米国に対するさらなる
攻撃
があり得る旨の警告を発しておりまして、また、政府といたしましても、これらの
アルカイダ
及びタリバンの構成員が米国等に対してさらなる
テロリズム
の行為を引き起こす可能性が存在するなどの種々の情報に接していたところでございます。 政府といたしましては、これらを含む諸般の事情に照らしまして、米国等による
アフガニスタン
のタリバンの軍事施設への
攻撃
等の行動は適法な自衛権の行使であると考えております。 現在、米国等が不朽の自由作戦において
アフガニスタン
の領域内で
実施
しております
活動
は、国際法上、基本的には、領域国である
アフガニスタン
の同意に基づいて、同国の警察当局等の機関がその任務の一環として行うべき
治安
の回復及び維持のための
活動
の一部を補完的に行っているものと認識をしております。
平岡秀夫
235
○平岡
委員
外務大臣
が私が
質問
する前に答弁をされましたけれども、私もちょっとそれを聞きたいんですね。 現在のOEFはどういう根拠でやっているのかというのは、今
外務大臣
が答弁されたので、とりあえずそれでいいです。しかし、その答弁でいったら、ここで自衛権行使の対象とした
アルカイダ
というのはもういなくなっているという前提ですよね。(発言する者あり)いるんだったら、自衛権行使の
攻撃
が今続いていなければいけないんじゃないですか。今のはそういう話じゃなくて、
治安
回復、
治安
維持のための、武力行使ではない
活動
を行っているというふうに答弁されましたよ。それは矛盾しているんじゃないですか。まあ、いいです。この議論はまた月曜日にしっかりとしたいと思います。 それだけ、この問題について言えば、今、国際法学者の中でも、この
アメリカ
の、あるいはNATO諸国の集団的自衛権とか個別的自衛権の行使については、いろいろ国際法上疑念が呈されているという
状況
なんですよ。このことをやはり私は
日本
国政府としてもしっかりと受けとめなければいけない、このことを申し上げていきたい。きょうは、国民の
皆さん
の良識に問いかける
質問
をしていますので、それぐらいにさせていただきます。 次の
質問
は、
我が国
が果たすべき役割は何なのかということであります。 先ほども、犬塚議員も触れておられましたけれども、カルザイ
大統領
は、カルザイ政権とタリバンとの和解交渉の仲介をサウジアラビアのアブドラ国王に依頼したと九月末に明らかにしています。また、
アメリカ
のゲーツ国防長官も、カルザイ政権がタリバンとの
対話
を通して紛争の政治決着を図ることを容認する考えを十月の九日に示したというふうに伝えています。また、フランスのクシュネル
外務大臣
も、フランスがアフガンに軍隊を送っている中でも、十月七日の
外交
委員
会で、タリバンとの和平を達成する上で、
アフガニスタン
の近隣諸国の
会議
をパリで開催したいということを表明しているわけであります。 そこで、先ほど私、
麻生総理
の「自由と繁栄の弧」の話をいたしました。
日本
は実は大変重要な役割を果たすべきだというふうに思っているんですよ。この点も、
NGO
の
皆さん
方の話をちょっと引用させていただきますと、
日本
が和平に向けた交渉の切り札として仲介できる可能性はまだあります、イスラム圏以外で交渉に立てるのは恐らく
日本
しかない、先進国の中で中東を侵略したことがない
日本
に対して、タリバンを含め多くのアフガン人が欧米とは違う信頼感を持っているんだ、こういうふうに
アフガニスタン
の人たちは見ているんですよね。ですから私は、
日本
がそういう役割をしっかりと果たすべきだと思うんですけれども、今、何かやっておられるんでしょうか。
麻生太郎
236
○
麻生内閣総理大臣
平岡先生の話は時々主語が変わるので、ちょっとあれですけれども、なかなかついていきにくいんですよね。客体が何とかとか言ってみたり、ぱっと変わられるので。 今の場合は、アフガンの人々がと言われますけれども、タリバンもアフガンの方にいるわけなんでしょう。そういう前提でいくと、タリバンも含めてアフガンと言われても、これはなかなか、ちょっと区別してもらわぬと困るところなんですが。 その
意味
でいきますと、私どもは、
アフガニスタン
政府はかねてから、カルザイとも三回ぐらいやったことがありますけれども、基本的には融和策をやっているわけですよ。それを推しているわけですから、多くの人が。しかし、タリバンの指導部は、
アフガニスタン
政府との交渉は拒否しているんですよ。話す気はないと答えているんですから。これが事実でしょうが。(平岡
委員
「アブドラ国王には仲介を依頼しようとしている」と呼ぶ)事実でしょうが。まずそれを認めてくださいよ、あなた。話し合いたいと言っても相手が嫌だと言っているんだから。その嫌だと言う人に我々は接触するすべがないんだから、そういった形で交渉のしようがないでしょうが。 もちろんこれが大前提ですが、私どもはイスラエルとパレスチナとの間に立って、あそこもかなり不毛なあれをしていましたけれども、少なくとも昨年初めてジェリコで、パレスチナ、イスラエルが初めて一緒の席に座って
日本
が仲介に立って、あそこでいわゆるコルホーズみたいな農業
支援
をやるというのをやった。 だから、
日本
は、双方で話し合う気になりさえすれば、我々は仲介の労もとるし、また、それをやった実績もあるし、きちんとできますが、やる気も十分にありますが、相手がその気がないという人をいきなり、ちょいとやろうといったって、平岡先生、それはなかなか難しいというのが正直な実態だと、私自身はそのように理解をいたしております。
平岡秀夫
237
○平岡
委員
総理
、両方がやる気があるときに仲介するというのは、それは簡単な話ですよね。場所だけを提供すれば済むような話かもしれません。私が言っているのは、そういう交渉に着こうとしない人たちに対しても交渉に乗るように仲介するというのが本来
日本
が果たすべき役割ではないかというのを言っているんです。(発言する者あり)ちょっと黙らせてください。私の声が、私の
質問
がちゃんと聞こえないじゃないか。
深谷隆司
238
○
深谷委員長
お静かに願います。
平岡秀夫
239
○平岡
委員
そこで、一九九七年にブラヒミ
国連
アフガニスタン
特別ミッション代表というのが
日本
にやってこられて、当時の小渕
総理
に、当時のアフガン事情の中における和平交渉というのをぜひ
日本
でやってほしいというふうに依頼したんですね。そのとき、小渕
外務大臣
は、もしそのための
会議
が東京で開かれるなら政府はできる限りの
支援
を惜しまないと語ったと。つまり、今
総理
が言われたように、まあ、やるんだったら東京を貸してあげるよ、東京で呼んであげるよ、こういう態度ですよ。 それに対して、ブラヒミさんは、その後の
国連
総会の場に
出席
した小渕
外務大臣
に対して、単に和平
会議
の東京開催を提案するだけでは十分とは言えないというふうに述べた上で、傍観者としてではなく、
日本
は
国連
のパートナーとして和平
活動
にもっと深く関与すべきだというふうに諭したと、これは川端さんという例の方が書かれた本の中にあるんですよ。私は、もっと
日本
として積極的に和解交渉に臨んでいくべきだというふうに思います。 そこで、ちょっとお聞かせいただきたいと思うんですけれども、先ほど申し上げましたように、アフガンで
活動
している
日本
の
NGO
の
関係者
の
皆さん
の中でも、今なら
日本
だったらタリバン側も仲介に乗ってくれるだろうというふうな
見解
も持っているということで、先ほど説明しましたけれども、そういう中で、
我が国
はもっと積極的に和解交渉の仲介の労をとるべきではないかというふうに思うんですけれども、この点について、もう一度
麻生総理
の
見解
を伺わせていただいた後、
民主党
提案者についても、
民主党
の
法案
としてはどういうふうに考えて位置づけられているのかということについて、私は答弁を求めたいと思います。
麻生太郎
240
○
麻生内閣総理大臣
だれが言っておられるかわからぬという話では、なかなか私どもも対応のしようがない。こういう意見もあると言われても、私どもは少なくとも
アフガニスタン
という政府相手に
日本
政府としてやっておるわけですから、
日本
としては、
アフガニスタン
政府が今主体的に、
アフガニスタン
政府がですよ、主体的に和解努力をしておられるということでありますので、その動向を注視するというのが我々の立場であります。 その上で、今後もっとこういうことがしてもらえないかという話があれば、それはいろいろな形ができると思いますが、受けないんだよ、相手は。話を聞く気がないと言っているんですよ、我々が言っても。それをどうやってやりようがあるのか。 それは手口があるという、いろいろ裏の手口というのが、また変に言うとタリバンの友達の友達は私の友達みたいな話になるとまた込み入るから、お互いにこういう
委員
会の場でやるときはよほど注意して言葉を言わないと、いかにもおれはできるような話をされて、これは国民のテレビの前で妙な話になるといかがなものかな、私はそう思いますね。だから、基本的にこれは十分に注意をした上でやらないといけないんだと思っております。
平岡秀夫
241
○平岡
委員
では、ちょっと
民主党
の方、答弁。
犬塚直史
242
○犬塚
参議院議員
今、大変な事態が進行中だと思います。それは何かというと、タリバン、
アルカイダ
の掃討作戦をやっていた米軍と英軍の司令官クラスが、掃討作戦の相手であるタリバンとの和解ということを今月に入って言い出しているんですよ。 その前段として何があったかというと、二〇〇六年、
アフガニスタン
の中で、これは
国内
法ですが、恩赦法というのが通っているんです。これは何かというと、ソ連の侵攻以来いろいろなことがあった、その中でいろいろな戦犯、戦争犯罪を起こした人たちが今の
アフガニスタン
の政府の中にもいるかもしれない、政府の要人の中にもいるかもしれない、そういう人たちに対して、この戦争犯罪は一切問わないよと。はっきり言えば、正義よりも平和が先だよということが二年前からもうスタートをしているんですよ。 そこで、今の
麻生総理
の発言は、私は大変問題だと思います。相手が話を聞かないんだよということを
日本
の
総理
大臣
がここで断言してしまっていいんでしょうか。私は、今こそ
日本
がこういう和平努力をするべきだと思うんですね。 ただ、残念なことに、こういう和平努力というものは大変機微なものであります。ここでいろいろなことを言ったって、それは和平努力にはならないんですよ、
皆さん
。表に出てくるものだけではないんです。それは、
アフガニスタン
政府を初めとして近隣諸国とも話をしなければいけない、部族長とも話をしなければいけない。 そして、
アフガニスタン
の中にある幾つかの場所だけでもいいと思うんですよ。幾つかの場所だけでもいいから、抗争停止合意というものは、私は今必ずできると思います。それぐらいは言ってもいいと思う。その抗争停止合意に基づいて、
自衛隊
が
人道復興支援
のために入る、あるいはJICAが入る、あるいは
NGO
の人たちが入る、そういうことを今
日本
が主導すべきなんです。 そういう
日本
が主導するために何をしなきゃいけないかというのは、今話すべきなんですよ。それに対して
麻生
大臣
が、いや、相手がだめだと言っているからというような話では、
日本
がそういう交渉努力ができるわけがないんです。 もう
一つ
言わせていただくと、そういう交渉をするに当たって一番大事なのは、
日本
がその際にどういうものを提供するかということなんですよ。(発言する者あり)いや、いいですよ。幾つかの
地域
にわたって
日本
が非常に物すごい力を出して、ここの
地域
でかんがい施設をつくる、農業を
支援
する、あるいはいろいろなことをやるということを、
日本
がこれはしっかりと持っていかなきゃいかない。それを出すからこれから交渉しましょうというのが私は
総理
の立場だと思います。
平岡秀夫
243
○平岡
委員
麻生総理
の答弁はちょっと後ろのやじがうるさくてよく聞こえなかったんですけれども、私は、
麻生総理
が仲介をすることのやる気がないのか、それとも、仲介は、やる気はあるけれども、事の性格上、こういう場で表立って言ってしまうのはあれなので、そこはもう私に任せてください、政府に任せてくださいという
意味
で言われたのかわかりませんけれども、私は、ぜひ
麻生総理
が後者の立場で答弁されたものと理解していきたいというふうに思うんです。 ぜひこの
日本
が中東の和平についてしっかりと、それこそ
総理
が言われている主体的な役割ですよ、
アメリカ
に頼まれたからやるんじゃない、
日本
が、これまでの中東の
地域
における
日本
が占めてきた役割、
日本
に対する信頼、期待というものを踏まえてしっかりと行動することを期待して、私の
質問
を終わります。
深谷隆司
244
○
深谷委員長
この際、長島昭久君から関連
質疑
の申し出があります。渡辺君の持ち時間の範囲内でこれを許します。長島昭久君。
長島昭久
245
○長島(昭)
委員
民主党
の長島昭久です。 昨年のこの
委員
会の
質疑
に引き続いてまた
質疑
の機会を与えていただきまして、大変感謝をしております。 昨年の
委員
会でもこう申し上げました。この
委員
会が議論すべきことというのは、単に
補給活動
を
継続
するのかしないのか、
補給活動
に賛成するのか
反対
するのか、こういう単純な問題ではなくて、もっと本質的な議論をすべき
委員
会だというふうに私は思っています。 私の問題関心を申し上げます。まず第一番目は、この
テロ
の時代、
テロリスト
の時代、こういう特異な時代にあって
我が国
の
安全保障
をどのように確保していくか、これが第一番目。第二番目は、
テロ
との
闘い
ということで、
世界
じゅうの国々が今連帯をしております。
アフガニスタン
には四十カ国以上の国々が兵士を送り、あるいは民間の
方々
を送り、五万人以上の方が展開をし、そして、もう既に九百人以上の方が
犠牲
になっておられる。こういう国際的な
テロ
との
闘い
における連帯において、
我が国
がどういう役割を果たすべきか、私はこの二点だというふうに思っております。
麻生総理
、
麻生総理
の問題関心と、私が今申し上げた二つの問題関心が共有できるかどうか、一言コメントいただきたいと思います。
麻生太郎
246
○
麻生内閣総理大臣
極めて似た、共有を持っていると思います。
長島昭久
247
○長島(昭)
委員
ですから、
総理
、ぜひこの本質論を、これから四十分という短い時間でありますけれども闘わせていきたいというふうに思いますので、ぜひ逃げずに、本質論から逃げないでお答えをいただきたい、このように思います。
補給
の
継続
ということだけで本当にいいのかというのが、実は私の問題関心なんです。
補給
がいいか悪いかということについてはさまざまな意見があると思います。私たち
民主党
の中にも、実はさまざまな意見があります。野党の中にも、当然さまざまな意見を持っている方がおります。しかし、きょう私が問題提起をさせていただきたいのは、先ほど申し上げた二点であります。 にもかかわらず、
総理
、この一年間、去年の
質疑
からことしの
質疑
、今の
質疑
にかけてのこの一年間に、国際情勢はさまざま変化をいたしました。さまざまな変化を遂げてきたにもかかわらず、政府は、これは時間的な制約等いろいろあるのかもしれませんが、全く同じ
法律
の延長ということでこの
質疑
を行っているわけです。私は、もう少しほかの問題についても考える必要があるのではないか。
麻生総理
、この一年間振り返って、去年の十一月のこの
委員
会の議論から振り返って、この一年間、国際情勢の上で大きな変化、どんな変化をとらえておられますか。
麻生太郎
248
○
麻生内閣総理大臣
テロ
との
関係
で言わせていただければ、この特措法の
関係
で言わせていただければ、これはイラクというものに
アメリカ
が増派した結果だとは思いますが、イラクは鎮静化してきた。そして、
アフガニスタン
の方はかなり激化した、深刻化した。これは、
テロ
との
関係
で言わせていただければ、大きな変化だったと思います。 他方、先ほど
民主党
の先生が言っておられましたように、少なくとも向こう側、向こう側というのはタリバン側の間で、双方の間で、長い間の戦闘状態が続いた結果もあろうと思いますが、かつてほどは、話す気がないと言ってきて、全く、もううちは話す気はありませんから、こういう態度だったのが、私が
外務大臣
をやめたせいかどうかは知りませんけれども、この一年の間、随分向こうの方も話が変わってきつつある。少なくとも、何となく、ネゴシエーション、交渉、そういった話をしようという機運は、かつてほど、拒否というものよりは変わってきたかなというのが二つ目。 三つ目、
アメリカ
大統領
選挙はあと十八日で答えが出ますが、
アフガニスタン
に関しては、オバマ、マケイン双方とも
テロ
との
闘い
は
継続
、ここの点については言っている表現もほぼ同じように思っておりますので、その点は、
アメリカ
の
大統領
がかわったからといって、
アフガニスタン
に関しては変わらないのではないか。 もう一点、余りみんな触れられませんけれども、僕は、
ソマリア沖
、イエメン等々、あの辺で起きております海賊の脅威というのは結構なものになっていると思います。北朝鮮の船が襲われて
アメリカ
海軍
が助けたとか、
日本
の
艦船
が襲われたのをデンマークだか
ドイツ
の
海軍
が何とか、いろいろな話が出てきて、あの辺が今までとは随分違って、海賊というのは子供のときはよく聞いた言葉ですけれども余り聞かない言葉だったと思っていますが、このところ、海賊行為というのは新たな脅威になりつつあるのではないか。 そういったようなのは、目に見える、あの辺で起きている変化で感じられるところであります。
長島昭久
249
○長島(昭)
委員
総理
がおっしゃった四つの変化、私もパネルを準備させていただきましたが、ほぼ同様であります。 そういう四つの変化が起こっている中でもなお
補給活動
だけを
継続
させてほしい、そういう今の
日本
政府の、申し上げるのは恐縮ですが、視野が狭いというか、非常に、最低限これだけはみたいな、私はもう少しほかの方法も考える必要があると思っています。 一番の問題は、イラクが鎮静化した、そしてアフガンに国際的な努力がシフトしてきている、これは全くおっしゃるとおりであります。 私が特に強調したいのは、
アメリカ
の政権交代が間近に控えている、こういうことであります。 そもそも
アフガニスタン
がこれだけ泥沼化してしまった最初の原因は何かといったら、私の私見ですけれども、これは、ブッシュ政権がアフガンの安定化をある
意味
でほうり出して、そしてイラクに突き進んでいった。その結果、
アフガニスタン
の安定化がおくれた。そして、二正面作戦を強いられた。ヨーロッパが慌てて入っていったけれども後の祭りで、二年、三年、四年、五年、どんどんどんどん情勢は悪化してしまった。 その原因をつくったブッシュ
大統領
が退場するわけです。政権交代というのは、これは
日本
でもそうですけれども、政策転換の大きなチャンスだ、こういうふうに私は思っています。 特に、今勝ちそうな予測がありますけれども、私はここで予測するつもりはありませんが、オバマ候補ははっきり言っているんですね、イラクというのは対
テロ
戦争の主戦場ではない、アフガンの平定に全力を挙げる、彼はこのようにはっきり明言しております。 つまりは、先ほど公明党の佐藤
委員
もおっしゃっておられましたけれども、そろそろ
日本
も
アフガニスタン
の陸上における本格的な
支援
、
協力
というものを考える時期に来たんだと私は第一点思います。それをカバーしているのが、先ほど来説明をしていただいているように、私ども
民主党
の案だというふうに私は理解をしております。 きょうは時間が限られておりますので、アフガンの地上の
支援
については後回しにさせていただきまして、最後に
総理
がお触れになったシーレーンの安全確保、海賊脅威の拡大について少しお話をさせていただきたいと思います。 特に、
ソマリア沖
、そして
アデン湾
の
海域
であります。先ほど新藤
委員
の方からことしのマップが示されましたけれども、推移をちょっと見ていただきたいと思いまして、ことしも含めて過去三年間の推移、これはテレビをごらんの
皆さん
もよくおわかりになると思いますが、如実に、この黄色の点が海賊行為の未遂、赤の点が既遂であります。既遂、未遂、この点が見事に、見事になんと言うと不謹慎ですけれども、この
アデン湾
周辺に集中をしてきております。 私が申し上げるまでもなく、
アデン湾
というのはスエズ運河によってヨーロッパとアジアを結んでいく
海上
交通の要衝であります。
世界
の石油の全輸送量の三割以上が通過をする、年間二万隻以上の商船が通航する、まさに大動脈と言っても過言ではありません。
我が国
商船の航行も年間約二千隻、これは私たち
日本
にとっても紛れもなく生命線と言っても過言ではない
地域
、水域だ、このように思います。 もしこの
アデン湾
が使用不能になった場合、当然のことながら、
アフリカ大陸
の南側、喜望峰をずっと迂回せざるを得ない。まさにバスコ・ダ・ガマの時代に逆戻りをするわけです。距離にして六千五百キロ、日数にして約一週間のロスだそうであります。
燃料
費に換算すれば、これは莫大なコストがかかる、こういうことであります。 したがいまして、輸入原油の九〇%を中東に依存している通商
国家
日本
にとっては、この海賊の脅威の拡大というのは極めて深刻な事態でございます。 私はなぜこういうことをるる申し上げたかというと、本来、きょうここで私たちが議論しなきゃならないのは、こういう一年間に起こった新しい
現実
を踏まえて、もしかしたら新しい
法律案
も含めて議論をしていかなければいけない、我々はそういう立場だと思うんです。 これはぜひ
民主党
の
法案
提出者に伺いたいんですけれども、私の理解によれば、
民主党
の
法案
は、既に一年前に出した
法案
ではありますけれども、これらの起こっている事実を相当程度勘案した組み立てになっていると思うんですね。ちょっとそこの現状認識を伺いたいと思います。
浅尾慶一郎
250
○浅尾
参議院議員
長島
委員
にお答えいたします。
民主党
提案の二十八条に記載しているところでありますけれども、今御
指摘
がありました海賊行為、これは、先ほど午前中もお話をさせていただきましたけれども、現在の
日本
の
法律
でも取り締まれる部分がある程度ある。しかし、
法律
的に取り締まれる部分と
海上
保安庁の能力面でできる部分という区別があろうかと思います。能力を超える部分については、
自衛隊
にもし命じるとすれば
海上
警備行動の発令が前提となるということだと思いますが、その法的枠組みについて早急に検討していかなければいけないというふうに思っております。 なおかつ、
インド洋
上での給油ということは間接的な効果でしかない。海賊の取り締まりを行うということは直接的な行動でありますので、国際的な連帯ということであれば、現在の
法律
でもできることについて直接的な
活動
をしていくということの方がより
国際社会
に対してもアピールができるのではないかということで、法の二十八条の中にも規定をしております。 そして、法の中でカバーできない部分については早急に新たな
法律
をつくって、そして今の
法律
ではカバーできないものについては、例えば、午前中も申し上げましたが、他国船籍について、仮に
海上
警備
活動
があったとしても、
我が国
の
自衛隊
がそれを取り締まるということはできないというふうに理解をしておりますので、それについてできるような仕組みをつくっていくことも含めて検討すべきだということを二十八条に規定しているところであります。
長島昭久
251
○長島(昭)
委員
麻生総理
、今の
法案
提出者の説明を聞かれたと思いますけれども、
麻生総理
は、この海賊の脅威が拡大をしているという今日的な情勢を踏まえて、この
海域
における
我が国
のあるべき役割、ミッション、果たすべき責任、この辺をどういうふうにお考えでございますか。
麻生太郎
252
○
麻生内閣総理大臣
自民党の方が提案されているのかと思ったぐらいです、率直なところを言いますけれども。率直に、逃げないで答弁しろというお話だったので、率直にそう思いました。 この話は、前に私どもも検討したことがあります。多分
民主党
が
反対
するだろうと思って、あのときは取り下げたような
記憶
がありますが。一年ぐらい前、
外務大臣
だったとき、いや、やめていましたね、以後、この話をさせていただいて検討しようとしたことがあります。 したがって、おたくはまとまりますか、この案で出てきたとき。それは私どもが聞きたいぐらいです、私らの方も。 したがって、そういった
意味
で、この種の話は、これは本当に
海上
警備行動としては極めて有意義だと思います。事実、結構我々は、被害が余り出ていませんけれども、これまでも、
世界
最高、最強のタグボートは
日本
が持っているんですが、このタグボートが海賊に持っていかれたということをもう忘れておられる方も多いと思いますが、なくなった。これをだれが助けて、だれが取り返してきたんだ、みんな、ほとんどの
方々
はもう
記憶
のかなたなんだと思いますが、そういったことは起きているんですよ、
現実
。それを我々はすっかり忘れておりますけれども、こういうことができるような話というのは極めて建設的な話だと思います。 ただ、これは、先ほどどこかやじが飛んでいましたけれども、撃ち合いになる、銃撃戦になり得るというのは、海賊の方だって、今は難民じゃありません、武装難民と思わなきゃいかぬのと同じように海賊側は武装していますから、それに対しては対応するという覚悟はこっちは持っておかないと、なかなか簡単な話ではない。 ただ、軍艦に向かって襲ってくる海賊船というのは余り聞いたことがありませんから、襲うのは商船と大体相場は決まっておるのが実態だとは思っております。
長島昭久
253
○長島(昭)
委員
前向きな御答弁をいただきまして、ありがとうございました。
民主党
はまとまるのかという御心配をいただきましたけれども、これは私ども
法案
として出させていただいております。私どもの政調を通って、
民主党
の案として出させていただいておりますので、御心配には及びません。 今、大分
総理
が突っ込んでお話をいただきましたので、ちょっとステップ・バイ・ステップで分析を、これはもう本当に
委員
ひとしく、この
委員
会でこれからじっくりと議論していかなきゃいけないと思っていますが、まず現状です。 昨年の十月に、私ども
日本
のケミカル
タンカー
、これは名前をゴールデン・ノリという、こういう
タンカー
が乗っ取られました。ことしの四月には、
日本郵船
の大型
タンカー
「高山」というのが不審船から五回にわたって銃撃を受けました。被弾をいたしました。さらに八月には、イランの貨物船、それから
日本
の
海運会社
が管理する
パナマ船籍
の
タンカー
、さらには
ドイツ
の企業が管理する貨物船の計三隻が海賊に相次いで乗っ取られた、こういう
状況
が起こっている。これに対して、いよいよヨーロッパがこの問題に本気で取り組む姿勢を示してきておられます。 二つの
国連
決議
が出ました。六月二日と十月七日、
国連
決議
一八一六そして一八三八。
先ほど話
が出ましたね、一八一六は、多国籍艦隊に対して、海賊制圧のため、ソマリア領海への進入と領海内での海賊行為を制圧するための必要なあらゆる手段を認める、こういう
決議
であります。これが六月二日に出た
決議
一八一六であります。 そして十月七日、
決議
一八三八、この
決議
は、大要は三つに分かれますけれども、海賊の襲撃がその間、より洗練されてきた、このことを強調している。そして、
各国
ともより積極的な関与をしてほしい、こういう呼びかけをしております。そして、期限を特定せず、かつ、公
海上
での
活動
をあわせて強く要求する、こういう形になっております。 と申しますのも、先ほど昔の海賊のイメージをちょっと
総理
おっしゃいましたけれども、海賊というのは、何だかぼろ船に乗って、何かサーベルでもちらつかせているような、そんなイメージがありますけれども、今の海賊はとてつもなく重火器を持っておりまして、ロケットランチャーとか小銃、こういうもので武装して、母船を持っていて、母船から小さい高速船、小さい船をおろして、それが公
海上
に出て襲うという、しかも警告なしでいきなり撃つという、まさに凶悪な性格を持った連中であります。 そこで、
国連
安全保障
理事
会は初めて、これは海賊に対しては初めての
国連
決議
であります。しかも、これは海のPKOともいうべきものを創設してほしいというような内容を持ったものでもあるわけです。実は、
我が国
もこの二つの
国連
決議
、共同提案国になっていますね。 中曽根
外務大臣
にお伺いしたいんですが、この安保理
決議
の共同提案国として、この
決議
の履行のために
我が国
が何か特別な行動を起こしたんでしょうか、お伺いしたいと思います。
中曽根弘文
254
○中曽根国務
大臣
先ほど
委員
がそのパネルでお示しくださいましたように、
ソマリア沖
におきましては海賊、武装強盗行為が頻発していることを受けまして、これもお話ありましたけれども、安保理
決議
第一八一六号及び
決議
第一八三八号が
全会一致
で採択されたわけでございます。
我が国
といたしましても、
自国
の
海上
輸送への脅威となっておりますこの海賊問題への
対策
の重要性を深く認識しておりまして、これらの
決議
の共同提案国に加わりました。
委員
がお話しのとおりです。 これまでも、沿岸国の
海上
取り締まり能力の強化と人材育成等への
協力
を通じまして海賊
対策
に取り組んできたところでございますが、さらに政府は、海賊に対する取り締まりのための法制度上の枠組みについて今所要の検討を進めていきたいと思っております。 政府といたしましては、今回の安保理
決議
の採択を踏まえまして、引き続き海賊
対策
に積極的に取り組んでまいります。 以上でございます。
長島昭久
255
○長島(昭)
委員
これだけの被害が出て、そしてこれだけ
日本
の船舶
関係者
は困っておられる。まさに
日本
の大動脈が脅かされている。今、中曽根
外務大臣
がおっしゃった、沿岸国の能力強化あるいは法制の整備、それも重要でしょう。しかし、もっと
我が国
としてやるべきことがあるんじゃないでしょうか。 中曽根
外務大臣
に重ねてお伺いいたしますけれども、この
決議
を受けて、EUやNATOといったヨーロッパ諸国は、
ソマリア沖
、
アデン湾
において、この海賊の脅威に対してどのような行動を今とりつつあるか、御説明いただけますでしょうか。
谷崎泰明
256
○
谷崎
政府参考人
お答え申し上げます。
ソマリア沖
の海賊
対策
に関する御
質問
でございますけれども、まず、EUの取り組みでございますが、九月の十五日に
理事
会決定を行っております。この
理事
会決定の中で、既にこの
地域
において
活動
しているEU加盟国の数カ国が監視、護衛
活動
を行ってきておりますが、これらに対してEUは
支援
するということで、
各国
の
活動
の調整及びEUとしての
海上
軍事作戦の
実施
に向けた準備を開始するという決定を行っております。 具体的には、十月の十四日にソラナ代表は言っておりますが、十二月に
海上
軍事作戦を立ち上げるべく作戦計画の立案を行う旨、説明しております。 次に、NATOでございますけれども、NATOにつきましては、十月の上旬に国防相会合というところで決定を行っております。ここで、
国連
事務総長の要請にこたえるという形で、ソマリア向け
支援
物資の輸送のため、WFP契約船舶の護衛及び海賊行為抑止のため、ソマリア周辺
海域
の哨戒を
実施
すると決定したというふうに承知しております。 〔
委員長
退席、新藤
委員長
代理着席〕
長島昭久
257
○長島(昭)
委員
今るる御説明いただいたように、スペインとフランスが中心になって、
ソマリア沖
の船舶の護衛のための協調行動をもう既にとり始めております。ロシア、インド、マレーシアも艦艇を派遣する用意がある。
韓国
も派遣の予定がある、そういう情報もございます。 まさに、先ほど海のPKOと言ったらOPKだというやじが飛びましたけれども、オーシャン・ピース・キーピング、まさに海洋のシーレーンの安全確保のために、もちろん
アフガニスタン
の
テロ
との
闘い
も重要ですけれども、私どもの経済、まさにその生命線を握っているこの
海域
について
各国
が今続々と
協力
の腰を上げている、そういう
状況
であります。 浜田
防衛大臣
にお伺いしたいんですけれども、これら一連の
国連
決議
を受けて、あるいはEUやNATO諸国の具体的な行動を受けて、先ほど
海上
警備行動の話もありましたけれども、
我が国
として何か具体的な行動に移す、そういう準備、可能性は考えておられますか。
浜田靖一
258
○浜田国務
大臣
お答えいたします。 我々とすれば、現在、
ソマリア沖
の
海域
における海賊
対策
の
部隊
を派遣する等は検討はしておりませんが、しかしながら、我々は、総合海洋政策本部という
関係
閣僚から成る法制チームを設置しまして、海賊に対する取り締まりのための法制度上の枠組みについて検討を進めているところでありまして、この法制チームの検討結果を受けてまた考えていきたいというふうに思っているところでございます。
長島昭久
259
○長島(昭)
委員
今、取り締まりというお話をされました。取り締まりというのは司法警察の権限に入り込んでいくものですから、法制的にはなかなかこれは難しいんですよ。新しい
法律
が必要なんです。しかし、やれることはまだあるはずなんですね。 私は、去年のまさにこの
委員
会での
質疑
の中で、何で
補給活動
なんだ、なぜ
日本
は
海上阻止活動
の正面に立てないんだ、やれることがあるんじゃないかと。例えば警戒監視です。
海上自衛隊
には、P3Cという哨戒機が八十機以上もあるんですね。ある軍事専門家に言わせると、余っている。こういうアセットをこの
地域
に持っていけばかなり有用じゃないんでしょうか。例えば
ドイツ
は、もう既にジブチにある米軍の基地を拠点にP3Cの哨戒機の運用を始めました。 浜田
防衛大臣
、まさに
我が国
の生命線を握るこの
海域
が海賊の脅威にさらされている、そういう事態にあって、国防の
責任者
として、少なくともこういった
活動
は
現行法
のもとで私は十分できると思うんですが、いかがでしょうか。
浜田靖一
260
○浜田国務
大臣
我々とすれば、あらゆる可能性を考えながら今まで対応してきたところもあるわけで、当然その警戒監視というものに対してもいろいろな形で検討の材料にはしてまいりましたけれども、今の現状からいえば、大変おしかりを受けるかもしれませんが、目の前にある
法律
をしっかりとやって、そして
インド洋
の
活動
というものをやらせていただいて、その後にまたそういったことも可能性を考えていきたい。お考えはよくわかりますけれども、そういう
状況
であります。
長島昭久
261
○長島(昭)
委員
失礼ながら、国防を預かる、
我が国
の国民の生命財産を預かる
大臣
の御答弁として、私は甚だ不満であります。 先ほど私、わざわざ申し上げました、去年の十月に
我が国
の、
日本
関係
船舶が乗っ取られ、あるいは「高山」という大型
タンカー
が被弾し、そしてさらに拉致をされている。
日本
の
海運会社
が管理する
パナマ船籍
の、これも
タンカー
ですね、乗組員が拉致をされている。こういう
状況
があるにもかかわらず、これから
法律
をつくって頑張りますみたいな話ですよね。
総理
、こんな悠長なことで本当にいいんですか。 もう一度
総理
の御認識をお伺いしたいんですけれども、シーレーンの安全確保というのは、
日本
経済にとって死活的に重要なことですね。同時に、国民の生命と財産に直結する、まさにバイタルインタレスト、死活的な
国益
ですね。
日本
国政府として実効的な
対策
を打ち出さなければならない、そういう時期に、先ほど見ていただきました、これだけ多くの海賊事案があって、
我が国
の
関係者
も皆その
犠牲
になっている、そういう
状況
を見て、
総理
、どうお考えでしょうか。
麻生太郎
262
○
麻生内閣総理大臣
先ほど私の知っている知識の範囲で申し上げましたけれども、この
ソマリア沖
、いわゆる
インド洋
の西側のところなんですが、ここにおいて海賊行為が頻発しておるというのは、このところずっと顕著だと思っております。これは
日本
だけがそういう被害に遭っているのではなくて、他国も同様ということになっております。 したがいまして、
日本
として、政府として収集いたしました情報などなどを集めて、安全確保に関する調整を既に
実施
しているところではあるんですが、その
地域
においては、いわゆるレーダーが不足しておるとか電気がないとかいろいろあるんですね、御存じのとおりに。 そういったことで、これまで人材育成などなど、いろいろ
協力
は行ってきているんですが、さらにこれは頻発しておりゃせぬかなという感じが、去年からことしにかけてそんな意識がありましたので、これは法制上どういった問題があるのかというのを含めまして検討させていただければと思っております。 今、
民主党
の方もこの種のことに御理解があるということに関しましては、我々としては大変心強いところでもありまして、ぜひこの問題につきましてきちんとした、
日本
の
国益
に沿っておる話でもあろうと思っております。
長島昭久
263
○長島(昭)
委員
私は、行け行けゴーゴーの話をしようと思っているわけじゃないんです。本当に深刻な問題だというのが
一つ
。それから、ヨーロッパはもう既に行動を起こしておりますので、いつまで我々が具体的な、実効的な手だてを講じないままでいられるかというのを非常に心配しているんです。つまり、ただ乗り、君たちはただ乗りしているんじゃないか、こういう話になりはしないかということが非常に気がかりなものですから、少しお話をさせていただいたんです。 ちょっと基本的な問題を整理させていただきたいと思います。
海上
の秩序維持というのは一義的には
海上
保安庁の管轄ですね。しかし、
海上
保安庁だけでは対処が不可能あるいは著しく困難な場合には、
海上
警備行動を発令して
海上自衛隊
が任に当たる、一応こういう
日本
の法の組み立てになっています。 きょうは
海上保安庁長官
もお見えだと思いますが、この
ソマリア沖
、
アデン湾
の海賊脅威の拡大に対して、
海上
保安庁として、
海上
輸送の安全を確保するために何ができると考えておられますか。
岩崎貞二
264
○
岩崎
政府参考人
ソマリア沖
の海賊でございますけれども、まず、
海上
保安庁の巡視船を派遣するということがどうかという検討をしております。検討しておるところでございますけれども、やはり
日本
から相当遠距離にあること、それから、先生も御
指摘
のとおり、海賊が所持する武器はロケットランチャー等の重火器を持っていること、それから、有志連合軍の軍艦等が現に今海賊に、
事件
の対応を行っているというようなことを総合的に勘案しますと、
海上
保安庁の私どもの現状の船艇勢力あるいは能力では巡視船を派遣することは大変難しい問題だ、このように思っております。
長島昭久
265
○長島(昭)
委員
今、
海上
保安庁ではこれはなかなか難しいという御答弁だというふうに思いますが、また
防衛大臣
に返ってまいりまして、
海上
警備行動の発令を仮に考えた場合、基本的にはEEZとか
日本
周辺
海域
を念頭に置いているんだろうというふうに思うんですが、
海上
警備行動に地理的な制約はあるんでしょうか。
浜田靖一
266
○浜田国務
大臣
海上
警備行動にかかわる地理的範囲につきましては、その任務を達成するために必要な限度において公海に及ぶというふうに考えます。
長島昭久
267
○長島(昭)
委員
海上
警備の必要の限度において公海に及ぶと。 それでは、
ソマリア沖
、
アデン湾
のように
日本
関係
の船舶が実際に海賊に襲われている事例が頻発をしている場合、当該
海域
を危険な
海域
と認定し、
海上
警備行動を発令することは可能でしょうか。
浜田靖一
268
○浜田国務
大臣
法解釈として、
海上
警備行動の地理的範囲は、任務を達成するために必要な限度、公海に及ぶものでありますので、
ソマリア沖
の
海域
が必ずしも排除されているものではないと考えます。
長島昭久
269
○長島(昭)
委員
だんだんわかりやすくなってきたというふうに思います。 さっきドンパチがあるという話がちょっとありましたけれども、最大のポイントは、海賊襲撃の抑止なんですね。つまり、さっき私がちょっと言いました司法警察、取り締まりとか、捕まえてしょっぴいて刑に服させるとか、こういう話はもちろん最終的には重要な話なんですけれども、私たちが今緊急にやらなきゃならないことは、
タンカー
なり商船なりが海賊に襲撃されないようにエスコートすることなんです。その抑止をすることなんです。 ですから、私は今、浜田
防衛大臣
がおっしゃったように、
海上
警備行動を発令し、
海上自衛隊
の護衛艦によってエスコートをする、このことによって相当程度抑止効果を発揮するものというふうに考えています。それは根拠のないことじゃないんです。実は、
タンカー
「高山」が襲撃されたときに、近くに
ドイツ
のフリゲート艦がいた。そのフリゲート艦がわあっと来ただけで海賊は驚いて逃げているんですね。さっき、軍艦に撃ってくることはないというふうに
総理
はおっしゃいましたけれども。 あるいは、これは
外務
省に事実
関係
を伺いたいんですが、ソマリアに人道
支援
のための物資を運んでいる、これはワールド・フード・プログラム、
世界
食糧機構というんでしょうか、そこの
艦船
をオランダやカナダの
海軍
がエスコートするようになったんです。そのことによってどういう効果があったか。私の知っている情報では、昨年の十一月、エスコートが始まって以来、ソマリアに物資を運んでいるWFPの船は襲撃を受けていないという事実があると伺っておりますが、いかがでしょうか。
杉山晋輔
270
○
杉山
政府参考人
ただいま御
指摘
のとおり、私どもが承知しているところで、昨年十一月以降、フランス、デンマーク、オランダが順番に、このWFP、
国連
世界
食糧計画の船舶の洋上護衛を行っている、そして本年八月からはカナダがこの洋上護衛を担当している。去る九月二十五日にWFP、
世界
食糧計画が発表したプレスリリース、対外的な新聞発表の文書によれば、この間、WFPの船舶に対する襲撃
事件
は起こっていない、WFPとしてはこのようないわゆるエスコートに対して大変感謝しているということが発表されていると承知しております。
長島昭久
271
○長島(昭)
委員
そういうことなんですね。ですから、
自衛隊
の艦艇によるエスコートというのはかなり効果があるというふうに私は思います。これは、武力行使を目的とした派遣ではないですね。行って一緒に随伴するだけで海賊に対する抑止効果がある、こういうことでありますから、私は、実は
現行法
上の範囲内でもすぐにでもやれる行為ではないかというふうに思うんです。
総理
、もう時間がないので、
総理
の御決意を伺いたいんです。
国連
決議
もある。
国連
決議
がありますと私ども
民主党
では大体大丈夫なんです。
国連
決議
もある、それからヨーロッパ諸国も本気で取り組んでいる。いつまでもただ乗りのそしりを受けるわけにはいきませんね。 それからいきますと、その話、油の供給。これは
皆さん
のお手元にもお配りしたポンチ絵がありますのでぜひ見ていただきたいんですが、今、とにかく、この
ソマリア沖
、
アデン湾
、
海上
ルートの大動脈、これが危険にさらされている。そして、
日本
関係
の船舶の安全の確保が火急の課題である。
皆さん
が先ほどからやじの中でおっしゃっている
燃料
の無償提供は、
皆さん
向かって右側の丸であります。これは、間接的な
協力
ですね、貢献ということになるわけです。それから、
皆さん
向かって左側、先ほど中曽根
外務大臣
からお話がありました沿岸国の能力強化。そして、私が今るる申し上げていたのは、ど真ん中の下ですね、直接、
自衛隊
の艦隊によるエスコート。 私は昨年、海洋基本法を超党派でつくらせていただきました。たしか、総合海洋政策本部の本部長は
麻生総理
大臣
だというふうに認識をしております。
総理
、ここまで議論を聞いておられて、そして、最後に
一つ
紹介をさせていただきたいのは、社団法人
日本
船主協会の会長が国土交通
大臣
あてに出した要望書であります。「
アデン湾
における海賊
事件
への対応の強化について」、これは私持っておりますので、ぜひ。 ここにこう書かれています。「二〇〇八年一月から九月の間だけでも七十九隻の船舶がこの
海域
で被害に遭っております。」「海賊が船舶を乗っ取り、乗組員を人質として身代金を要求するという
事件
が二十二件も含まれており、
日本
の企業が
関係
する船は七隻が襲撃されており、うち二隻の船舶が乗っ取られ、乗組員が拉致されました。」一番最後、「
日本
関係
船の安全確保のため、国際条約を踏まえたわが国法制度の整備や
関係
各国
との
連携
を含め、海賊行為を
防止
するより効果的かつ具体的な
対策
を図っていただきたく、何卒お願い申し上げます。」三枚目、見ていただきたいんですが、「有志連合軍等の
活動
強化について
国連
を通じて働きかけ、
日本
としてもこれに貢献すること」、このように
日本
船主協会からも要望が出ております。 ぜひこのことを踏まえて
総理
には御決断をいただきたいんですが、最後に一言お願いいたします。 〔新藤
委員長
代理退席、
委員長
着席〕
麻生太郎
272
○
麻生内閣総理大臣
長島先生御
記憶
だと思いますけれども、昨年の八月に幹事長になって、すぐ首になりましたけれども、あれで一回、ことしの九月になりましたときにもう一回、この種の話はぜひ与野党間で政党間協議をということをずっと申し上げてきておりましたので、こういった御提案をいただけるというのは私は物すごくいいことだと正直思っております。検討させていただきます。 もう一点。ただ、御存じかと思いますが、船主協会の方はこの
補給
には賛成しておるという事実も、給油法に関しては賛成しておるということもちょっと忘れないでいただきたいので、これは両方とも大事なところなので、これも将来
関係
してきますので、ぜひ検討させていただければと思っています。 ありがとうございました。
長島昭久
273
○長島(昭)
委員
引き続き本質的な議論を続けていきたいと思います。 ありがとうございました。
深谷隆司
274
○
深谷委員長
これにて渡辺君、川内君、平岡君、長島君の
質疑
は終了いたしました。 次に、赤嶺
政賢君
。
赤嶺政賢
275
○赤嶺
委員
日本
共産党の赤嶺政賢です。 政府は、二〇〇一年の九・一一
テロ
に対して
アメリカ
が始めたアフガン報復戦争を
支援
してまいりました。
海上自衛隊
を
インド洋
に派遣し、米軍など多国籍軍に対する
給油活動
を七年間行ってきたわけですが、さらにこの
活動
をあと一年延長しようとしております。 今の
法律
は、昨年、ちょうど一年前の
国会
で大問題になりました。昨年七月の参議院選挙の審判を受けて、安倍内閣は政権を投げ出し、
テロ
法は期限切れになり、
インド洋
から
自衛隊
は撤収いたしました。ところが、福田内閣は、あくまで
自衛隊
派遣に固執して、参議院で否決された
法案
を
衆議院
の三分の二の多数で再可決を行う、押し通したわけであります。それが今の
現行法
です。 それを一年間延長するという極めて重大な
法案
を、今回、与党と
民主党
が合意して、本
会議
の
質疑
を省略し、この特別
委員
会の
質疑
もたった二日、週明け月曜日には採決を行うことまで既に決められております。私は、これはとんでもない話だと思うんですよ。解散をめぐる政局の駆け引きで、憲法九条にかかわる重大な
法案
の
審議
をないがしろにする、こういうことは断じて許されない、改めてこの場で
委員長
に徹底
審議
を求めたい、このように述べておきたいと思います。 それで、今のアフガンの現状をどう見るかについて、まず
外務大臣
に伺います。 アフガンの
治安
情勢は最悪だと言われております。
国連
事務総長がことし九月に、
国連安保理
に対し、アフガン情勢に関する報告を行いました。
治安
情勢についてどのように報告しているのですか。
中曽根弘文
276
○中曽根国務
大臣
委員
がおっしゃいましたように、アフガンの
治安
情勢は大変不安定の度合いを強めております。今後の見通しは予断を許さない
状況
にあるのは御案内のとおりでございます。特に、
パキスタン
と
国境
を接する南部それから南東部、東部の
治安
は懸念すべき
状況
にあると認識をいたしております。
赤嶺政賢
277
○赤嶺
委員
今
外務大臣
の答弁にもありましたが、
事件
は著しく増加し、
治安
情勢は著しく悪化しているということだろうと
国連
の安保理に報告しているんです。 もう一点、
外務大臣
にお聞きしますが、こうした
治安
情勢の悪化のもとで、二〇〇一年以降、民間人あるいは多国籍軍に一体どれだけの
犠牲
が出ているのか、どのように把握しておりますか。
中曽根弘文
278
○中曽根国務
大臣
数値的なことでありますが、私からお答えいたしたいと思います。
アフガニスタン
におきます民間人の死傷者数につきましては、
アフガニスタン
政府等から発表された公式な統計は承知をいたしておりません。ただ、
民間団体
の発表によりますと、
テロ
事案による死者数は、二〇〇二年が七十九人、二〇〇三年が百三十三人、二〇〇四年が二百三十人、二〇〇五年が二百八十八人、二〇〇六年が七百五十五人。また、
国連
によりますと、
自爆テロ
の被害者等を含む民間人の死者数は、二〇〇七年、約千五百人、二〇〇八年の一月から八月の間が千四百四十五人となっております。
アフガニスタン
で
活動
する
各国
軍隊の死者数につきましては、OEF、
ISAF
等から発表された公式な統計は承知しておりませんが、例えば
民間団体
の統計によりますと、二〇〇一年が十二人、二〇〇二年が六十九人、二〇〇三年が五十七人、二〇〇四年が五十八人、二〇〇五年が百三十人、二〇〇六年、百九十一人、二〇〇七年、二百三十二人、二〇〇八年、二百四十二人となっております。
赤嶺政賢
279
○赤嶺
委員
多国籍軍も被害がふえ、それで、
国連
報告によると、民間人の死傷者というのはことしの一月から八月までの間に約四割近く増大していると。さっき
自爆テロ
の話がありましたけれども、
アフガニスタン
はもともと
自爆テロ
という行為はありませんでした。この
アフガニスタン
戦争の中で起こってきていることであります。 この
治安
の悪化の情勢、
外務大臣
からも述べられたわけですが、年々悪化してきている、今まさに最悪の
状況
になってきている、
総理
はそういう認識はありますか。
麻生太郎
280
○
麻生内閣総理大臣
アフガニスタン
の情勢というものは、イラクの方が落ちついてきた割に対して、逆に
アフガニスタン
の方は激化しておる、そういう認識を持っております。
赤嶺政賢
281
○赤嶺
委員
問題は、なぜそういう最悪の事態に至ったのかということであります。 この七年間、
アメリカ
は、
テロ
との
闘い
、きょうも朝から
テロ
との
闘い
という言葉がたくさん発せられました。
テロ
との
闘い
と称して
アルカイダ
とタリバンに対する掃討作戦を展開してきました。そのために空爆を繰り返してきました。その米軍を
自衛隊
は給油
支援
してきたわけであります。 そのもとで、何の罪もない人々が空爆の巻き添えになって
犠牲
になっている、こういうことが日常的に起こり、そしてそれが新たな憎しみと暴力を生んできた。それに対し、多国籍軍が
部隊
を増派し、それが
犠牲
を一層拡大する。こういう悪循環に陥っていることがどこでも
指摘
をされております。
総理
に伺いますが、米軍による空爆や掃討作戦が最悪の事態を招いているという認識はありますか。
麻生太郎
282
○
麻生内閣総理大臣
何となく米軍だけが悪いかのような話に今聞こえる御発言がずっと続いているように思いますが、もともとこれは、二〇〇一年九月の十一日に
テロリスト
によって約三千人近い方を殺されたのが
アメリカ
、これがそもそも
テロ
との
闘い
の始まりだったと
記憶
をいたしております。そのうち
日本
人も二十四人含まれていたというのも事実だと思っております。もともとこれからスタートした話だったと、私はそのように理解をいたしております。 したがいまして、今
アフガニスタン
において情勢が激化しておるという情勢の中について、これがどうして激化したのかといって、いきなり外国の軍隊がいなくなったら直ちにすべてが終わるのかといった場合、再び
アルカイダ
等々が出てこないという保証はないんだというのが
世界
じゅうの多くの世論なんだ、あそこに軍隊を送っている国々の多くの理解なんだと、私はそう思っております。 しかし今、現状、
外務大臣
からもお話がありましたように、社会インフラ基盤は弱い、また、いわゆる麻薬の問題など、あそこにおけますいわゆる貧困、
世界
の麻薬の約七割があそこでつくられているという話もあるぐらいですから、そういった
意味
では、いまだに復興は道半ばなんだと思っております。 いずれにしても、この
テロ
の温床となっております貧困問題含めて、いろいろな問題がここにあることは事実でありますので、そういった問題などを考えますと、今
アフガニスタン
政府としていろいろ包括的な仕組みに取り組んでおられる。 ただ、今どれぐらいのところがコントロールされているかといえば、
パキスタン
と
国境
を接しております南東部また南部、そういうところでは極めて
治安
が悪くなってきているのが
現実
というのを踏まえた上でどうするかという話だと思っております。
赤嶺政賢
283
○赤嶺
委員
治安
は、去年のこの
法律
を
審議
するときも最悪だと言われました。年々悪化し、去年よりもことしがさらに悪くなっている。そこの一番かなめになる問題が、やはり
アフガニスタン
における米軍の行為だと。これは私だけが言っているんじゃないんです。カルザイ
大統領
は、連合軍による一方的な作戦を強く非難する、こういう声明を出しました。 この七月にも痛ましい
事件
が起きております。アフガン東部のナンガルハル州で米軍ヘリが結婚式会場を空爆し、新婦や女性、子供を含む二十三人が死亡した。
アフガニスタン
で
活動
する
NGO
、
日本
国際ボランティアセンターの
現地
人スタッフも、結婚式の帰りに空爆に遭っているわけですね。これは誤爆などというものじゃないですよ、結婚式場を
攻撃
するなんということ。 私たちは、ニューヨークの
テロ
の問題が起きたときから、
テロ
をなくするためには、
国際社会
が
協力
、団結し、そして警察力を使って犯人を逮捕し法の裁きにかける、厳重な処罰をする、そういう方向を
国際社会
に提案してまいりました。 戦争で
テロ
がなくなったどころか、逆に悪化している、こういうのを誤爆などという言い方では許されないと思います。軍事的な対応がまさに事態を悪化させているというぐあいに私たちは思います。 それで、一年前、
アフガニスタン
のカルザイ
大統領
自身が空爆の中止を求め、
テロリスト
ではないタリバンとの政治的和解を模索し始めました。私たちは当時この
委員
会で、こういう和解の動きを後押しする
外交
、こういう努力に切りかえるべきである、
アメリカ
の報復戦争
支援
はやめるべきだ、このように主張いたしました。その後、そうした政治的和解の動きは一層強まっていると思います。
外務大臣
、カルザイ
大統領
がタリバンの最高指導者オマル師に
対話
を呼びかけ、あるいはこの九月に、ハリリ副
大統領
が、アフガン政府が手紙などを通じた和解交渉を開始した、このように御本人が述べておられます。九月末にはサウジアラビアのアブドラ国王が主宰して和解交渉が行われたという報道もありました。こうした動きを把握しておられますか。
中曽根弘文
284
○中曽根国務
大臣
アフガニスタン
政府は、かねてから
国内
和平を推進する決意を表明してきておるわけでありますし、一方、タリバン指導部は、
アフガニスタン
政府と交渉しているとの報道を、先ほどもお話がありましたけれども、否定するなど、非常に複雑な情勢があるわけであります。
我が国
は、
アフガニスタン
に政治的安定をもたらすものとして和解の進展に期待をしているところですが、今、同国政府の主体的な和解努力の動向を注視しつつあるところであります。 カルザイ
大統領
は米国等が
アフガニスタン
の領域内で
実施
している
活動
に対しまして一般市民に被害が及ばないよう要請したことを
委員
も御承知のことと思いますけれども、
アフガニスタン
と
関係
国の間で被害を回避するための方策について議論が行われております。 こうしたカルザイ
大統領
の要請は、米国等に対して、
アフガニスタン
における
治安
の維持や回復
活動
そのものを中止するよう求めているものとは理解をしておりませんが、先ほど申し上げましたように、一般市民の被害を最小限にとどめる、そういうことを努力することは非常に重要なことだと思っております。
赤嶺政賢
285
○赤嶺
委員
外務大臣
、
質問
を取り違えないでください。カルザイ
大統領
が
アメリカ
に何を求めたかという話じゃないんです。カルザイ
大統領
がそういう政治的和平交渉に移りつつある、副
大統領
もそのように述べている、そういうようなことは掌握していますかということを聞いているんです。
中曽根弘文
286
○中曽根国務
大臣
先ほど申し上げたと思うんですが、掌握をしております。
赤嶺政賢
287
○赤嶺
委員
政治的な和解交渉、これは
現実
に進んでいるわけですね。
国連
の
アフガニスタン
の特別代表のエイデ氏は、我々が軍事的に勝利できないことはだれもがわかっている、政治的な手段で勝利しなければならない、このように述べて、今必要なことは軍の増派ではなく政治の増派だと述べているわけです。政治の増派、すなわち、政治交渉を強める方向への切りかえが必要だと思っています。実は、私も
アフガニスタン
・カブールのこの
国連
特別代表の事務所に調査に伺ったことがあります。アフガン
現地
で
国連
活動
をしている特別代表のこういう発言、非常に重いと思います。 ところが、こういう変化が起こっている中で、今、一年前と全く同じ
法案
ですよ、出してきたのは。
アメリカ
の
インド洋
における軍隊の
活動
の給油
支援
、これをやろうと。 こういう
国際社会
の変化について
総理
はどのように検討されて今の
法案
になったんですか。
麻生太郎
288
○
麻生内閣総理大臣
意図的に言っておられるのはわからぬわけじゃありませんけれども、給油している相手は
アメリカ
だけではありません。まず、きちっとそこだけはっきりさせておきたいと存じます。多くの、この
地域
に
艦船
を送っておられる
方々
に同様に給油をしているという
現実
をまずきっちり見据えた上で、我々としては、それらの国々からの要請に基づいて今この
給油活動
を続けております。 さらに、
艦船
によります護衛等々の方法があるのではないかと、
民主党
からの御提案も先ほどあったところでもあります。検討させていただきたいと思います。こういった話ができるのはすばらしいことだと思いますから。 そういった
意味
では、ぜひ、今の話というものは、和平が、今までは向こうは聞く耳持たないみたいな感じだった一年前と違って、今そのような感じが出てきたというのはいい兆しだ、私はそう思って、基本的には歓迎をしたいと思っております。
赤嶺政賢
289
○赤嶺
委員
和平への取り組みが始まっている、これは歓迎だと。ですから、
インド洋
における
給油活動
が、そういう和平への取り組みと無
関係
に、一年前と同じようにして出されている、国際情勢の変化を見ていない、私はそのように考えるわけです。 実は、
総理
は
外務大臣
をしておられましたし、ランド研究所についてはよくよく御存じだろうと思います。このランド研究所が、最近、報告書を七月二十九日に出しているんです。これは、
アメリカ
の国防当局にも大きな政策的影響力を持つ研究所ですよね。彼らが、七年間の
アフガニスタン
での
アメリカ
の
テロ
との戦争というものを総括しているんですよ。 見たら、こういうのがあります。軍事作戦で解体された
テロ
組織について、一九六八年から二〇〇六年までの間のものを調べてみたと。そうすると、軍事作戦で解体された
テロ
組織はわずか七%、こう言っているんですね。それから、警察の取り締まり四〇%、政治的解決四三%。
テロ
勢力の勝利、これは一〇%ありますが。 ランド報告は、これを通じて、もう
テロ
との戦争という言い方をやめようじゃないか、こう言っているんですよ。戦争で
テロ
は解決しない、こう言っているんです。この戦略の主要な部分は、対
テロ
戦争という概念を終わらせ、深刻な
テロ
の脅威という問題を抱えるほとんどの国の政府が使用している
テロ対策
といった考え方に置きかえることを盛り込まなければいけない、ほかの政府とともに英国政府は既にこのことを実行し、対
テロ
戦争という言い方を捨てた、このように言っているんですね。 やはり、
テロ
は戦争では解決できない、和平の交渉、今
総理
が歓迎されたその和平交渉を一層後押ししていく立場に
日本
が立つ、そういうことが大事だと思いますが、いかがですか。
麻生太郎
290
○
麻生内閣総理大臣
既にこの種の話は、パレスチナ・ジェリコというところで既にこのような形のものを
日本
としては実行いたして一年少々が経過をしております。イスラエル、パレスチナの新聞では大きく載っておりましたけれども、
日本
の新聞に載ったことはありません。 その中で、私は、今いろいろなお話がありましたけれども、イギリス政府やら
国連
の
アフガニスタン
の
支援
団も、今のお話のとおりなんですが、国際
部隊
による軍事作戦の重要性についても、これを否定するような立場をとっていないという前提に立った上で今話をし、聞いていただかないといかぬところだと思っております。 このような、戦いというような、いわゆる戦闘行為だけで事が進まないというのははっきりしておるというのは御存じのとおりです。他方、
テロ
の暴力によって一〇%、逆にひっくり返ったという例もあるという事実も我々は
記憶
にとどめておかねばならぬ。その上で、話し合いとか和平交渉とか、いろいろな形での交渉というものが進展するというのは望ましいことだと存じます。
赤嶺政賢
291
○赤嶺
委員
歴史の経験は何を教えているかはっきりしていると思うんですよ。戦争で
テロ
はなくせない。政治的な和解、平和交渉によって
テロ
を解決していく、追い詰めていく。 朝の議論の中にもありましたが、
ペシャワール会
の
伊藤
さん、大変不幸な
事件
でした。私、胸が詰まるような思いであのニュースを見ていました。強盗そして誘拐、
ペシャワール会
の出した声明を見ますと、物取り、強盗に遭ってしまった、事故だった、このように言っているわけです。 彼らは、武装したからといって
アフガニスタン
で
人道復興支援
活動
が続けられるわけじゃない、
アフガニスタン
のその村の人たち、部族の人たちの信頼をかち得てこそ
人道復興支援
活動
をやるんだと。だから、
ペシャワール会
がかんがい事業をした
地域
、ここには難民が戻ってくるらしいですね、農業ができるということで。やはり、
日本
人がそういう
活動
を
アフガニスタン
で武器も持たないでやっている。そして、
伊藤
さんのこの仕事はこれからも
アフガニスタン
の人たちに望まれているし、続けていきたいということを言っております。こういうあるべき姿も
ペシャワール会
が見せていることに私は本当に敬意の念を表したいと思います。 それで、次に、戦費負担の問題について移ります。この戦費負担ですが、先ほどの
外務大臣
の答弁もありました、
アメリカ
を含む
国際社会
の国々から
日本
に対して、
アフガニスタン
への
支援
を強化してほしいという期待が存在することは事実であると。
外務大臣
、どういう意見交換が
アメリカ
との間にあったんですか。これだけの期待を生々しく発表しているわけですから、その中身を明らかにしていただけますか。
中曽根弘文
292
○中曽根国務
大臣
日米間では常日ごろから緊密な意見交換を行っているわけでありますが、米国は、
我が国
がいかにして実質的な
支援
を行うか、そういうようなことにつきましては、先ほどからもお話ありますように、
我が国
自身が決定する問題であるとの立場を一貫してとっております。 いずれにいたしましても、米国を含む
国際社会
の国々から
日本
に対しまして、
アフガニスタン
への
支援
を強化してほしいという期待は存在をしておるわけでございまして、
我が国
といたしましては、
治安
・
テロ対策
及び
人道復興支援
を車の両輪として、引き続いて、できる限りの
支援
を行っていきたいということでございます。 お話の詳しい内容については申し上げることができません。
赤嶺政賢
293
○赤嶺
委員
報道によると、
アメリカ
政府から
アフガニスタン
の戦費貢献について
日本
側に、五年間で最大二百億ドル、二兆円もの分担を求めてきている、このように報じられているわけです。 ODAの
支援
のお金とは違うんですね。ODAの
支援
のお金はこの前パリ
会議
で決めたばかりですから、それ以外にその
支援
のお金を求められてきている。その中身は明らかにすべきじゃないですか。
麻生太郎
294
○
麻生内閣総理大臣
今のは二つ一緒になっておると思うんですが、先ほど申し上げましたように、ODAというものに関して言わせていただければ、パリ
会議
の話もされましたので、ODAで言わせていただければ、これは、ODAによる、軍というものに対する直接の資金供与は行わない
方針
というのは重ねて申し上げたところであります。これはもうずっと申し上げております。先ほどもちょっと申し上げましたけれども。 ただ、問題は、では非ODAというのもないのかと言われれば、これは、沖縄のいわゆる駐留米軍経費負担等々を含めまして、軍に対しては非ODAでやっておるというのはもう御存じのとおりです。 ただ、今
アメリカ
が、今二百億と言われましたが、二百億ドル等々は、
日本
に対して直接な
支援
を求めてきたということはございません。
赤嶺政賢
295
○赤嶺
委員
総理
、あれですか、沖縄の米軍基地強化に国民の思いやり予算を注ぎ込んでいる、それと同じように、米側が
アフガニスタン
に非ODAの
支援
策、お金をよこせと言うなら、それは検討の余地があるということですか。検討の余地ない、きっぱり断るということですか。
麻生太郎
296
○
麻生内閣総理大臣
ちょっと、全然勘違いしておられると思うんですが、先ほど聞かれましたので、ODAの話で、非ODA、ODAと二つ分けないと、一緒になると話が込み入りますので分けて考えてくださいという前提で、赤嶺先生、申し上げておるのであります。 その上で、
アメリカ
が
日本
に対して、どのような形で、我々を
支援
するということに関してああしてくれ、こうしてくれということを言ってきたことはない。これは基本的に、
アメリカ
は、
日本
が自主的に決めるべきことであるという点に関しましてはずっと一貫して同じことしか言ってきておりません。
赤嶺政賢
297
○赤嶺
委員
総理
は前段に、非ODAという軍事
支援
のあり方は実際に沖縄でやっているでしょうという発言をなさることは、やってやれないことはないでしょうと国民には聞こえるわけですよ。 何で、私たちの税金を使って沖縄で米軍基地を強化して、そして訓練で県民が苦しめられなければいけないんですか。その思いやり予算が毎年二千六百億円ですよ、SACOも合わせると。今問題になっている後期高齢者医療制度、社会保障の予算を毎年二千二百億円削って、
アメリカ
には思いやり予算、それで米軍再編で三兆円、今度は
アフガニスタン
へのお金の出し方もあるよというような雰囲気で答弁なさる。 私は、こういう姿勢は絶対に認めるわけにはいかないということを強く申し上げまして、
質問
を終わらせていただきます。
深谷隆司
298
○
深谷委員長
これにて赤嶺君の
質疑
は終了いたしました。 次に、阿部知子さん。
阿部知子
299
○阿部(知)
委員
社会
民主党
・市民連合の阿部知子です。 本日の
審議
に先立ちまして、きょうと、そして月曜の二日間で、この重大な局面にある
世界
の平和の問題、あるいは、金融危機の問題で昨年とは全く様相を異にした
状況
のもとでも、なお二日間で
審議
に結論を得ようとするこの
委員
会の持たれ方に、私は強く
異議
を申し立てたいと思います。 まず、
麻生総理
、お願いいたします。 今
アメリカ
では、御承知おきのように、サブプライムローン関連で約一兆ドル、百兆円の公的資金がかかるのではないか。もうちょっとかかるかもしれません。そして、イラク戦争に関連する戦費で一兆ドル、百兆円。この二つが
アメリカ
経済を非常に苦しい重荷にしておるということが
指摘
されております。同時にそれは、
アメリカ
は
世界
の基軸通貨であるドルを主にハンドルしておるわけですし、いろいろな
意味
で影響が大きいです。私は、本日の
審議
は、やはりこれまでの戦争中心、武力中心から、ヨーロッパの国々だとて、戦費という形よりは平和の構築に向けるお金の方が本当に重要だし、本当の
意味
で支出も少ないと思っておられると思うんです。 そういう中で、この一年間、最も変わったことというので、先ほど長島
委員
にお答えでしたが、
総理
のお答えの中に
パキスタン
情勢というものが余り強く言及されませんでしたが、実は
パキスタン
は核保有国であり、昨年と最も変わったということは、
ムシャラフ大統領
が退陣されて、そして今政情不安があるということであります。 この
パキスタン
という、
アフガニスタン
と最も近接する
地域
の不安定
状況
も含めて、やはり一刻も早い和平
会議
を、何らかの
日本
の手によって
世界
に働きかけるべきでないか。機は熟していると思います。カルザイ
大統領
のそうした
見解
、ハリリ副
大統領
の
見解
もございます。いかがでしょうか。(
麻生内閣総理大臣
「
パキスタン
の情勢」と呼ぶ)
世界
に向けて、やはり
日本
がリーダーシップをとって、
パキスタン
の情勢が不安定ですから、加えてやはり
アフガニスタン
、
パキスタン
、この情勢の安定を図るような、周辺諸国も含めたテーブルの設定をきちんとすべきではないかという御
質問
です。
麻生太郎
300
○
麻生内閣総理大臣
パキスタン
の政情不安定というのは、阿部先生、
アフガニスタン
情勢に与える影響は極めて大きい。私も何回も行ったことがありますけれども、これは今、政情不安というような表現が正しいのかどうか、ちょっと、極めて厳しい
状況
にあると思っております。 ここが厳しい情勢になると、いわゆる西部というか、その真西に
アフガニスタン
という国が存在しているわけで、これは行かれたことがあると思いますのでおわかりと思いますが、
国境
はないみたいなもので、すぐ、港区から隣の千代田区に移るみたいな感じで、もう全く人は、そこなんかどんどん、同じ部族でパシュトゥン語を使いますので、普通に
移動
しておる。ちょっと、こっち側にいれば
パキスタン人
で、向こうに行ったらすぐ
アフガニスタン
人ということになるでしょうけれども、多分、ずっとどんどん
移動
していますので。 極めて、ここらのところは、
パキスタン
がきちっとした対応をしない限りは、
アフガニスタン
からのいろいろな問題がずっと
パキスタン
経由で外に出ていくとかいうようなことになる。これは、
アフガニスタン
の
外務大臣
ならもう、みんな、我々に言ってくるのはこの点であります。
パキスタン
側もそれに対して一生懸命やっておると言うんですけれども、
パキスタン
は海に面しておりまして、そこから外にということになるので、ここが、
パキスタン
の安定というのは物すごく大きいという、これはなかなか言われませんけれども、阿部先生がそういう意識を持っておられるのは我々としては大変心強いところで、これは物すごく大事なところなんだ。 この中で、イラン、
アフガニスタン
、
パキスタン
で
国境
を接しているんですけれども、この
パキスタン
のところが一番大きい問題だ、私自身はそう認識をいたしております。
阿部知子
301
○阿部(知)
委員
言われるところのタリバン勢力もこの
アフガニスタン
と
パキスタン
の
国境
沿いの
地域
で一番
活動
しているわけですから、ぜひ、それだけ御認識があられる
総理
であれば、先ほど、タリバンに話しても言うことを聞かないんだからというお話でしたが、そうではなくて、そのための和平合意のプロセスを、そもそもボン合意というのはタリバンを排除したものでありました、やはり、当事者、間違いなく今当事者になっています、排除しては和平のプロセスは進まないということで御尽力をいただきたいと思います。 引き続いて、
外務大臣
にお願いいたします。 きょうお手元に配らせていただきましたのは、
アフガニスタン
における空爆の
状況
であります。これは、
アメリカ
の人権団体、ヒューマン・ライツ・ウオッチというところから、私が翻訳をいたしまして載せさせていただきました。 上段には、二〇〇六年、七年、八年と、空爆が、いわば陸上での軍展開に伴って、それを
支援
するために、陸の軍事
活動
と空からの
支援活動
という形でどんどん拡大している回数が書いてございます。特に二〇〇六年、
ISAF
が掃討作戦メドゥーサというのを開始いたしましてからは、このメドゥーサをいわば空から
支援
するために空爆の回数はどんどんふえていきました。 二段目は、そのとき使われた爆弾の総量であります。これも、ごらんになればおわかりのように、中段ですね、どんどんふえる一方でございます。 そして、下段が
犠牲者
でございます。空爆による
犠牲者
というのは、これは、空爆というと
攻撃
する側の言葉ですが、
日本
もまた空襲といって、空から襲われる、何もしていないのに、普通に暮らす人々が空からねらわれるという、非常に無差別であり、そして非人道的な行為でもあります。 まず、
大臣
には、現状において、
アフガニスタン
でこういう形で空爆がふえているという
現実
は御存じであるか。二点目は、こうした戦闘方式がかえって
地域
においては、ねらわれた人は、さっきのお話にもありました、結婚式の参列者だったりする。誤爆というには余りにもひどい
状況
が広がっていて、それがかえってタリバン勢力等々へのアフガンの人々のシンパシー、共感を生んでいる、悪循環を及ぼすのではないかということについてどうお考えか。 一点目は、何度も繰り返して恐縮です。空爆はふえている。御存じですか。そして、それが
治安
状況
や国民感情に悪影響、悪循環を来しているのではないか。いかがでしょうか。
中曽根弘文
302
○中曽根国務
大臣
今資料を見せていただきましたけれども、空爆等々につきましては、当然のことですが、
我が国
は当事者ではございません。 一般的に、
各国
の軍隊は、個々の作戦の円滑な遂行や作戦
参加
者の安全の確保のために、作戦にかかわる事実
関係
の詳細について公表をしていないと承知をしているわけでございます。しかしながら、
テロ
の掃討作戦におきましては、仮に、やむを得ず空爆を行う場合でも、一般市民の被害を最大限回避すべきことは当然でございまして、米国等もこの点を最大限配慮しているものと認識をしております。 現在、空爆を含めまして、
テロ
根絶
のための
活動
の
実施
に当たり、一般市民の被害を回避するための方策につきましては、
アフガニスタン
政府とNATO及びOEF
参加
国との間で協議されているものと承知をしています。 なお、
アフガニスタン
におきましては、
アフガニスタン
国軍及び多国籍軍の掃討
活動
のみではなくて、反政府勢力によります
テロ
の、双方によりまして市民の
犠牲者
も出ているということを承知しているところでございます。
阿部知子
303
○阿部(知)
委員
大臣
、よく聞いてほしいんです。私は、空爆によってと、ここ、出したんです。もちろん
自爆テロ
でも被害者はふえていますよ。しかし、間違いなく空爆という戦闘方式がふえているんですね。 空爆というのは、ハーグ条約でも、軍事的な施設を目標にすることとか、あるいはジュネーブ協定でも、文民保護といって、そこに一般人が含まれないことというのは最低限の国際ルールなんですよ。それすら守られずに拡大しているということが今日の泥沼化の原因ではないかと伺ったわけです。 例えば、八月の二十六日お亡くなりになった
伊藤和也
さんたちの所属する
ペシャワール会
が、今アフガンでの
支援
の困難の中で、二つのことをおっしゃっていました。 空爆が拡大して、二〇〇六年、七年、八年、一日も早くかんがい用水をつくらなければ、空爆が来るさなかではその作業もできなくなる。ことしの三月、私が中村哲さんとお会いしたときに、彼は、本当にもう一刻も争うんだということをおっしゃっていました。それくらい、かんがい
活動
をするにも、空爆、誤爆、あらゆる危険が増していた。 もう
一つ
、
NGO
の
活動
にとっては、PRTという地方の
復興支援
活動
が軍事
活動
と一体になっているがために非常に
NGO
が
活動
しづらい、このことをおっしゃっておられました。 と同時にまた、だからといってそうした
支援活動
をやめるのではなく、
伊藤和也
さんは実は八月には夏休みをとる予定でありました。その夏休みを返上して、かの地で、一日も早くサツマイモがいっぱいとれて、子供たちに食べさせてあげたいと願って、彼は残って、休みもとらず
活動
している中であの
事件
が起こりました。 私は本当に、
大臣
も、あるいは
総理
もお思いだと思います、
伊藤和也
さんの姿というのは
日本
の国際
支援
の心を
世界
に発信したものです。お父様は、九月一日の追悼集会で、和也君は
アフガニスタン
の星になったという話をしておられました。あの地が好きで、あの地に埋めてくれと言って出ていったと。 本当に今
我が国
が考えねばならない、この
委員
会の考えねばならないことは、空爆をやめる、やめさせる、人道
支援
がもっとやれるようにということなんだと思うんです。 私は、この空爆のデータ、きのうも
外務
省に聞きましたが、知らぬ存ぜぬの一点張りでした。カルザイさんに聞いてみればいいんです。カルザイすら、
アメリカ
の空爆によって一般市民が多く被害を受けているその実態調査を命じているわけです。米軍はとぼける。カルザイは、少なくするんじゃなくて、なしにしてくれと言っているんです。
麻生総理
、伺います。
日本
は当事者じゃない、軍事をやっていないからと、きのうの
外務
省のお答えです。でも、アフガン政府から聞くことができます。この空爆がいかにアフガンで無辜の民を
犠牲
にしているか、一度カルザイさんに直接聞いてみていただきたい、どのようなお考えなのか。
総理
ならできるはずです。そして、その空爆
支援
のために
インド洋
上での給油を
継続
するということが妥当なのかどうか、お考えをいただきたいですが、いかがでしょうか。
麻生太郎
304
○
麻生内閣総理大臣
空爆と給油と直接
関係
しているわけではございません。空爆
支援
というものは、私どもは航空機のいわゆる
燃料
を給油しているわけではないので、
艦船
のあれを給油しておりますというのはもう御存じのとおりでありまして、我々としては、あそこから、御存じのように
パキスタン
南部を経由して海に出てくる、そこらのところを、海賊行為になってみたりいろいろいたしますので、そこのところをきちんと
海上
警備行動に資する一環として
給油活動
をやっておると理解をいたしております。
阿部知子
305
○阿部(知)
委員
海上
警備行動に資するとともに、その船が空爆をしていてもそれを排除しないというのが午前中の
審議
でさんざん
指摘
されたじゃないですか。平岡さんが
アメリカ
の
艦船
の名前を挙げて、これだけ空爆しているとデータも出されました。それについても
外務
省は、調べていない、聞いていない、わからない。それでは論議にならないんですよ。
日本
の国民に、
インド洋
での給油が本当に空爆をしていないと言い切れるんでしょうか。私は、そこが極めて不誠実だと思うんです、国民の税金を使うのに。
アメリカ
によってあの無差別空爆を受けて、東京、横浜、そして最後は広島、長崎、原爆ですよ。よもや、そういうことを受けた
我が国
が、アフガンで空爆が行われていいと思えるはずもない、私はそう思うんです。そして、恐縮です、それ以上もう
総理
のお答えも変わらないと思いますから、月曜日に改めてお答えを聞かせていただきたいと思います。 次に、江田島の訓練学校、第一術科学校における、訓練中の二十五歳の三等海曹の死亡についてお伺いいたします。 私は、先ほどこの
審議
が行われるときに、与党席のやじの中から、そんな小さなことを聞くなというやじが上がったことをとてもびっくりしました。だって、
自衛隊
員の一人一人の命は、本当に、この国を支え、またこれからいろいろな
日本
が貢献を考えるときに、大事に、本当にその人たちの人権や命を国自身が大事にできなければ何の国際貢献か、あるいは何のための
自衛隊
かという話になります。 そこで、浜田
防衛大臣
にお伺いしたいと思いますが、この江田島での
事件
、警務隊に報告が行った時間を御存じでしょうか。この人は、ボクシングまがいのというか、一対十五の訓練の中で四時五十五分に倒れました。さて、警務隊に報告が行った時間は何時だとお思いですか。
浜田靖一
306
○浜田国務
大臣
たしか、その時間帯、事故があってしばらくしてからですので、五時半ぐらいだったですかね。
阿部知子
307
○阿部(知)
委員
残念です。浜田
大臣
、
自衛隊
員の、たった一人の死です。でも、残念です。これを見ていたお父さん、お母さんはどう思うでしょうか。 私は、これも二日間かけて
防衛
省に聞きました。なかなかデータを出さない。私なりのルートで、新聞記者にいろいろ電話し、
確認
しました。 時間の制約で私が言わせていただきます。この方は、十六時五十五分に倒れ、すぐ衛生隊員が駆けつけて、近くの江田島市内の病院に到着しました。そこで、十八時十一分、脳のレントゲン、CTを撮りましたら、脳出血でありました。さらに、さらにです。本当は即刻その時点で警務隊に報告が上がるべきです、訓練で倒れたんですから。紛れもなく訓練で倒れたんです。でも、警務隊に報告が上がったのは十九時四十分。そして、警務隊から呉の地方警務隊へ上がったのは十九時五十分です。三時間あるんです。(発言する者あり)こんなことをそちらに聞いても言わないんですよ、
防衛
省に聞いても。当人の命がかかったこと、そしてレントゲンを撮れば頭の出血だってわかった。それから二時間ですよ。 そして、その間、実は、警務隊は駆けつけてもというか、報告が上がって、翌日調査
委員
会ができます。でも、浜田さん、もしこれが集団リンチであったなら、内部調査でいいんですか、警務隊の調査で。だって、警察事案かもしれませんよ。こんな遅きに失する、「あたご」だってそうでした。報告が遅い、命の軽視、それは、「あたご」の被害者も
自衛隊
員の命も、私は同時に
犠牲
にしていると思います。 きょう、ここに、
皆さん
にお示ししたのは、この間、
自衛隊
の相次ぐ不祥事、例えば大麻汚染あるいは放火
事件
、いろいろなことがありました。同時に、いじめ自殺という問題の三件です。護衛艦「さわぎり」「たちかぜ」、そして浜松の訓練の学校の三件です。 一件目では、いわば、
防衛
省はもう控訴を断念されました。上官による過度の、公務を超えた言動、さらに安全配慮義務違反、この二つで、あたら本当に未来ある若者を殺したんですよ。今、二件親御さんが係争中です。この事案だってどんなに、親御さんたちが育てて、大事な息子さんをこうやって殺されたかもしれないと思うわけです。 浜田さん、伺います。 もしこれが訓練だったら、そのときそばについている教官は、当然ながら、この方は八人目くらいと対峙しているあたりから棒立ちになり、ふらふらになり、そして十四人目で倒れたと言われています。この教官たちは、こういう格闘技を指導する資格をお持ちなのか、あるいはなぜ割って入らなかったのか。 もしこれが行き過ぎた訓練ではなくて意図的なリンチであれば、最後は伺います、当然警察に調査を依頼すべきでしょう。全部内部調査です。そんなことでは真実は浮かばない。いかがですか。
浜田靖一
308
○浜田国務
大臣
今、先ほども申し上げましたように、調査というものをやっておりますし、そしてまた、
自衛隊
内のことに関しましては警務隊がそれを調べる、捜査をするということになっております。 我々とすれば、今回、私自身もこの問題に関しては大変厳正に対処しなければならないというふうに思っておりますので、先生からの御
指摘
を受けて、しっかりと表に出していきたい、このように思っておる次第であります。
阿部知子
309
○阿部(知)
委員
自衛隊
員の命の軽視や人権の軽視が、結局はまた逆に、
自衛隊
員がさまざまな不祥事を起こすというような風土を悪循環させていきます。 ちなみに、
大臣
はお答えいただけなかったが、私は、警務隊だけの捜査でいいですかということなんです。三時間もたったら、現場は、もしかしてこれが刑事
事件
なら証拠隠滅ですよ。それから、ここに挙げた調査
委員
会、これもみんな内輪の、内々のものです。医療事故だって外の第三者
委員
会ですよ。私は医療現場ですから。内部調査だけでは、本当に、カルテも隠される、事実は隠される。外から入って、第三者の目できちんと事案を検証すべきじゃないでしょうか。 警察にはどう連絡をとられるのか、外の調査はどうするのか、お答えください。
浜田靖一
310
○浜田国務
大臣
警務隊は刑事
事件
の捜査をすることになっておりまして、その点はしっかりとやることになろうかと思います。
阿部知子
311
○阿部(知)
委員
そうじゃなくて、去年も、二百六十何件のうち、警務隊から警察に行ったのは一件とか二件です。これがもしリンチだったら警察がやることですよ。でも、そういう可能性はあるわけです。
大臣
だってわかっておられるでしょう。 あと、この調査
委員
会も第三者にしてくださいな。こんな内部調査で、一貫して自殺事案も全部そうでした、内部調査で何もわからないんです。本当に変えようと思ったらしっかり頑張っていただきたい。 また月曜日お願いします。ありがとうございました。
深谷隆司
312
○
深谷委員長
これにて阿部さんの
質疑
は終了いたしました。 次に、下地幹郎君。
下地幹郎
313
○下地
委員
私は、コソボ、イラク、
アフガニスタン
、東ティモール、四カ所の紛争
地域
へ自分で行って見てまいりました。二〇〇三年にはイラクに行ってきたんです。そのときに私たちはクルド人自治区に行ったんですけれども、説明を受けますと、上からサリンが降ってきた、三十分かそこらで何千人の方が亡くなった。これはひどい出来事でしたね。その後、私たちは病院に案内されて見ましたけれども、このサリンの影響で奇形で生まれる子供の数が急増した。そして、病院に行くと、少し言葉にあらわし切れないようなさまざまな子供たちの姿を見ました。 それで、私は帰ってきてから、当時の小泉
総理
に、大量破壊兵器があるからイラクに軍事侵攻するとかしないとかと言わない方がいいんじゃないか、今のフセインがやっていることは非人道的だ、これは軍事介入してでもやめさせなければならないということを申し上げたのです。 その後、私たちはイラクのバグダッドに戻って、残念なことにお亡くなりになった奥さんとか井ノ上さんにお会いしたんですけれども、ホテルで一緒にワインを飲みながら話し合いをしましたよ。そうしたら、今でも思い出しますけれども、二〇〇三年五月一日ですけれども、三時間ぐらいお話ししたときに彼が言っていたことが、とにかくイラクの子供たちにノートと鉛筆を配りたい、ノートと鉛筆をイラクの子供全部に配ったらこの国は変わると彼が言っていたことを今でも思い出しますね。 私たちは、和平交渉するにはステップがあると思うんです。軍事介入もしかり、経済
支援
もしかり、両方が成果を出して、その後和平交渉しないで、一挙に和平交渉というのはなかなかうまくいかない。だから、その時々の政治判断をどうするかということをやはり決めていかなければいけないんじゃないかなと思うんです。
総理
に
一つ
御
質問
させていただきたいんです。 今、
補給
艦の
活動
が七年目を迎えましたけれども、実績がありますね。先ほどから
皆さん
が言っていますので、麻薬の問題であったりシーレーンの問題。これで
日本
の経済にも大きな貢献をしているという成果は十二分にあると思いますね。また、
テロ
資金の流入を阻止しているということもあると思います。これは成果として、あの暑い四十度の中で頑張っている
自衛隊
員の
皆さん
が
評価
されて当たり前だというふうに思います。 ただ、もう
一つ
、この
法律
には
テロ
の撲滅とも書いてありますよ。だから、そういうふうなものを見ると、
アフガニスタン
においても、イラクにおいても、さっき
総理
も答弁なされましたけれども、なかなかうまくいっていない。
テロ
がおさまっているわけでもないし、うまくいっていない。
補給
艦が多国籍軍艦にやっている成果とイラクや
アフガニスタン
の成果と、なかなか、ミスマッチといいますか、わかりにくい。
総理
、今まで八百十七億円税金を使って私たちはこの
支援
をしているんですけれども、国民に説明するときに、この八百十七億円の成果はどっちをもって成果だと説明して理解を得た方がいいのか、そのことをぜひまず答弁いただきたいと思います。
一つ
は、イラクと
アフガニスタン
が、なかなか
テロ
がおさまらない、安定しないということがありますね。もう
一つ
は、
自衛隊
がやっていることで成果が出ているわけですよ。このどっちを私たちは成果として見て国民に説明すればいいのかということをまずお伺いしたい。
麻生太郎
314
○
麻生内閣総理大臣
基本的には、まず、イラクは撤収ということになりつつ、航空
自衛隊
も含めて撤収という方向になりつつあります。陸上
自衛隊
につきましては既に撤収が終わっておりますので、イラクの撤収につきましては、これは間違いなく成果があった。 これは何かの機会に、「今日の軍隊」、フランス国防省が毎月出しております「今日の軍隊」という月刊誌があります。その中に、何で
日本
の陸上
自衛隊
だけがイラクで成功したのかという記事は一読に値すると思います。そういった
意味
では、あれは間違いなく、多分、
世界
じゅうのこの種の
関係者
の人は、何で
日本
はあれまでイラク人に迎え入れられたかということが書いてあるので、非常に参考になりました。
アフガニスタン
の場合は、これは
海上自衛隊
でありますので、今
現実
、陸に上がって行動しているわけでもありませんし、
海上
で
艦船
の給油をしておりますので、なかなか目に見えてきていない。年間大体石油換算で二十億円ぐらいのものが支給されているんだと思いますが、そういうものは、
パキスタン
にとりましても
アフガニスタン
にしても視野に入ってこない。 そういった
意味
では、僕は、人数も多かったせいもあるでしょうが、少なくとも今の段階では、イラクの方が成果が上がった、
アフガニスタン
はまだ
継続
中であるとしか申し上げようがないのであって、これがさらにどういった形が出てくるかはいましばらく時間がかかると存じます。
下地幹郎
315
○下地
委員
しかし、給油をやって七年になるんですよね。それで、先ほども話がありましたけれども、
法律
の中身も変えなくてそのまま延長ですよ。 今
総理
がおっしゃったように、成果がなかなか見えにくい、もう少し時間がかかるというふうなことを今申し上げておりますけれども、私は、成果論となると、
総理
が先ほど申し上げたように、イラクは陸上
自衛隊
の成果があった、そういうふうなことを考えると、今、
麻生総理
が
総理
になられて、それならばこの
補給
支援
の
活動
にもう
一つ
バージョンアップした考え方をする、成果が見えなければ成果が見えるような付加価値をつけるとか、
国際社会
の中で
日本
の
評価
が上がるような
支援
のあり方というものを考えるべきだと思うんですけれども、どうもこの
法律
だと、またそのまま
継続
をして、そしてまた
評価
の見えにくい形になっていく。 そうではなくて、一回検証をして、成果が見えるようなやり方というものを検討するお気持ちは全くないのかどうなのかということをお聞かせいただきたいと思います。
麻生太郎
316
○
麻生内閣総理大臣
まず、石油というか船の給油につきましては、成果というのは、
アフガニスタン
という
地域
におけるいわゆる
治安
が戻っていないという点から見て、これは成果が上がっていないということになるんだと思います。 ただ一方、そこでは、先ほどからも答弁申し上げましたように、少なくとも、子供の中でも、女の子の
教育
はゼロ、それが今三八%ぐらいまでになった。また、男の子が学校に行くのが約百万人だったものが、今五百七十万人ぐらいになった。また、
アフガニスタン
から外に、パシュトゥンというか、東側の
パキスタン
の方に亡命したりイランの方に亡命していたのが帰ってきて、結果として約五百七十万人ぐらい亡命者が戻ってきた等々の成果はそれなりに上がっているんだと思います。 ただ、今言われましたように、
治安
という面からいきますと、南部のカンダハルを含めまして、こういったところは今に至るも極めて
治安
が悪く、カルザイ政権が統治をまあまあできているというのは北部、北東部と言われるところであろうと言われております。私はこの
地域
に行ったことがないので、どれぐらい今安定しているのかちょっと正直言えないんですが、そういうような
状況
になってきておると思います。 ただ、今回これを延長するのは、
国際社会
として大いに、
艦船
をそこに出しておるところは皆期待しておるんですが、先ほど
民主党
の長島議員から御提案があった、ああいったようなものができますと、今バージョンアップという言葉を使われましたけれども、
一つ
の
艦船
がそこに遊よくするだけで、少なくとも海賊行為のディターレンス、抑止力が働くということになり得る。 私は、その
意味
では、警察官の制服のお巡りさんが一人歩いているだけである程度の犯罪が未然に
防止
できる、よく使われる言葉ですが。同じように、軍艦、
艦船
、そういったきちんと武装された
艦船
がそこに遊よくしているというだけである程度の抑止力効果が上がるという御意見は、私も全くそう思いますので、この点に関しましては、両党で、もしくは御党を含めまして検討する用意というものは十分にありますと申し上げておきたいと思います。
下地幹郎
317
○下地
委員
今、一千四百億ぐらい、ODAで
アフガニスタン
に出していますね。やはり私はもっと大きくすべきだと思いますよ。それで早目に、先ほど私が言った三つのステップ、軍事介入もあって、その次は経済
支援
がある、そして和平交渉の政治決断というふうになってきますけれども、やはり経済
支援
に力を入れる時期が来ているのかなというふうに私は思っています。 この
テロ特措法
案は
反対
しても通るわけですよ。だけれども、結果的には、
アフガニスタン
のために、そして
日本
の国民に成果があったとわかるようなことをするには、もう一個セットでやはり経済
支援
、
アフガニスタン
の人がわかるようなことをやるというのが大事なのかなと思います。 それと、
麻生総理
は、この金融危機のときに、
我が国
は九〇年代の金融危機を公的資金を投入して乗り越えた経験があるから、それを
世界
に広めなければいけないとよくおっしゃっておりますけれども、私は、このイラク、
アフガニスタン
を見て感じるんですけれども、戦争が起こって他国の施政権下に移って、そしてまた
自国
に戻ってくるというケースも
日本
にあるんですね。これは沖縄なんですよ。 私たち、一九四五年の八月十五日に戦争が終わってから六年後に、サンフランシスコ条約が五一年にあって、そのサンフランシスコ条約の三条で、沖縄は
アメリカ
の施政権下に行くわけです。その六年前は、
日本
という旗頭を先頭にして地上戦を行って、二十万人の人たちが亡くなって、その六年後には、戦争した
アメリカ
の施政権下に行って、政治も経済も全部牛耳られる。これは沖縄県民からしたら屈辱的なことであったことだけは間違いありませんね。 しかし、そのとき署名したのは吉田茂
総理
大臣
でありますけれども、この吉田茂
総理
大臣
は、三条があると沖縄がもうその施政権下、
アメリカ
に行くというときに、沖縄はもう戻ってこないと思ったのか、五年したら私はもう一回沖縄を取り戻そうと思ったのか、沖縄に対してどんな思いであのとき署名したのか、お孫さんとしてわかる範囲でひとつ教えていただきたいと思います。
麻生太郎
318
○
麻生内閣総理大臣
これはうかつなことは言えませんので、「回想十年」とか、いろいろな吉田茂の書いた書物もありますので、それを読まれるとよろしいかと存じますが。 あの取り返すときに当たりましては、佐藤栄作内閣だったんです。佐藤栄作内閣が昭和三十九年にできたんだと思いますが、そのときに、
外交
で沖縄返還ということを佐藤栄作という人は掲げたんです。当時、それこそ松野鶴平先生から頼三先生にかわっていたよね、あなたの顔を見て思い出したわけじゃないけれども。頼三先生にかわっていたんですが、あの時代に、基本的に、岸内閣のときから始まるんですけれども、安保条約の改定と沖縄返還と二つあった、あのとき。それは岸さんも言ったし、佐藤さんも言ったの。両方とも、
外交
みたいな話を政局にするなという話は吉田茂はよく言っていたんですが、昭和四十二年十月に亡くなるんですが、私が
日本
に帰ってきたから、四十一年ぐらい、佐藤さんが当時猛烈な勢いでこの交渉を開始しているときには、極めて沖縄のことに関しては佐藤栄作に対して何回となく言っていたというのだけは
記憶
があります、よくその話はしていましたので。 それで、佐藤さんはこれで
ノーベル平和賞
をたしかとられたんですが、あれを持って最初に多分大磯に行かれた。お墓に持ってこられて、私のおふくろに向かって何か、奥さん、おやじさんのおかげでとお礼を言ったのが私の印象だった。結構近く沖縄に対する思いが自分なりにあったんじゃないでしょうか。ちょっとそこのところはよくわかりません。
下地幹郎
319
○下地
委員
この地位協定の改定なんかありますけれども、沖縄がそのまま本土と同じような歴史で戦後終わって歩けば、今の地位協定は
反対
しなかったかもしれませんね。逆に、二十五年間
アメリカ
の施政権下でトラウマになっているんですよ、これは。 だから、
地域
というのはいろいろと歴史があるんですね、歴史がある。今、沖縄で、騒音が大きくて、米軍基地の問題はなかなか解決しない。しかし、失業は高いし、そして所得は低いし、そういうふうなさまざまな問題があるけれども、基地の問題は解決しないし、所得も解決しない。だから、一応ここでやっていると思っているのは、やっていると思って成果を上げているというのは
防衛
庁だけ。内閣府が沖縄のために一生懸命やっているといっても、
数字
が上がらぬのですよ。 だから、私が言いたいのは、イラクとか
アフガニスタン
とかこういうふうなところの
支援
をするというのは、物すごくその
地域
の人たちの思い、プライド、占領されて多国籍軍が来てやるということも、守ってあげているみたいだけれども、伝統文化があるところは苦しんでいるところが相当にあるんですね。細やかな精神的な配慮を持ってやらないとだめ。それを沖縄で私はもう少しやってもらいたい。 この前の
所信表明
の演説、半行ではだめでしたね、
総理
。やはり……(発言する者あり)違うんじゃないんですよ、これは。大事なんだ、大事。そういう
意味
では、細やかな気持ちを持って政治をやって、そして弱い人たちのところに手を出していくというところはもっと私は丁寧にやっていった方が国民的に
アフガニスタン
においても
評価
されるんじゃないかな、そういう思いを伝えて、私の
質問
を終わります。 ありがとうございました。
深谷隆司
320
○
深谷委員長
これにて下地君の
質疑
は終了いたしました。 以上で
内閣総理大臣出席
のもとの
質疑
は終了いたしました。 次回は、来る二十日月曜日午前九時四十五分
理事
会、午前十時
委員
会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時散会