○下地
委員 来年の一月の二十日に
オバマ政権が誕生します。そういうふうな環境の中で、もう一度、私たちの
日米関係にとって大事である沖縄の基地問題、そして、その中でも特に重要視している普天間基地の移設問題について、客観的なお話をさせていただきたいなというふうに思っております。そして、私の客観的な話をさせていただいた後に、両
大臣から、答弁をやるともう同じですから、御感想をいただきたいなと思うんです。
一九九六年の四月十二日に橋本総理
大臣とモンデール大使との間で普天間基地の移設計画が合意をしてから、きょうまでにもう十二年と八カ月、時間がたちました。この十二年という時間、その当時は五年間で完成して移設をしようということでありますから、二倍を超える時間がかかっているわけなんですね。
その十二年間の間に、五回、工法が変わりましたね。
一つは、
海上ヘリポート。撤去可能な
海上ヘリポートをやるということを当時の橋本総理がおっしゃって、千五百メートルの千三百メートル。それで、大田政権から稲嶺政権にかわりましたら、
海上ヘリポートの撤去可能なものではだめだ、これはもう沖縄の経済に資するようなものでなきゃいかぬということで、軍民共用の空港ということを言いました。
しかし、軍民共用ということを稲嶺前知事は申し上げましたけれども、そのことも十五年の使用期限で、十五年後には米軍は撤去してくれというような条件をつけたわけですね。二千億近くのお金で米軍基地のために埋め立てをして滑走路をつくるけれども、十五年したらこれはやめてくれというようなことを条件に言って、ここも、この条件をのむかのまないかで暗礁に乗り上がったわけでありますね。
その後、三番目にL字形というのが出て、このL字形で騒音を少なくしてやろうということでスタートしましたけれども、これも変わりまして、最終的にはV字形というのを、今、
日米両
政府で合意をしているわけであります。
しかしながら、このV字形も仲井眞県知事がこれに対して賛成をしていませんから、仲井眞知事が当選なされてこのV字形が一挙に進むのかという期待がありましたけれども、二年たちましたけれども、百メートル移設をしてくれ、もう少し沖に出してくれというのが
日米両
政府でなかなか合意に至らなくて、これも決まっていない。
知事の案まですると、五つの案が十二年間で出て、大きく変わってきたというふうなことになります。
この中でも、県知事は三人、市長は三人、総理
大臣は七人、
防衛大臣は十八人、十二年間でかわっていますよ。
数を申し上げましたけれども、知事が出てきても、大田さんのときと稲嶺さんのときと仲井眞さんのときとは違う。比嘉市長のときと岸本市長のときと島袋市長のときも違う。総理
大臣が出てきても、また
考え方が違ってくる。そして、
防衛大臣が十八人いますから、沖縄寄りの
防衛大臣もおれば、強硬に
日米両
政府の
考え方をやる
防衛大臣もいて、なかなか
防衛大臣の個性でも揺らぐような傾向がいっぱいありましたよ。こういうふうなことで、十八人の方々がやっておりますね。
そして、その後、この報告書も、SACOの報告書、そして普天間飛行場の代替施設の基本計画に対する小泉政権の報告書、再編
実施のための
日米のロードマップというものの三つの報告書が出て、その報告書も先ほど申し上げたように全部変わってきました。
そして、今後の工程ですけれども、この工程は、環境影響評価手続が二〇〇七年から始まって、これを三年間、環境
調査をやって、二〇一五年までに完成したいというようなことを今言っているわけです。環境の現状評価等準備書、評価書、公有水面の埋め立て手続、こういうふうなものが重要なそのときの節目になってくるわけですけれども、現在は、この手続さえも八カ月から九カ月おくれているというような環境になっていますね。
それで、沖縄県知事の意見は三回、この手続の中でやらなければいけない。沖縄県知事の承認は一回なければ、これはできません。まあ、一般的に見て、反対勢力の人は、
住民の意見と沖縄県知事の意見が出ると、この沖縄県知事の意見が
住民の意見と違うわけでありますから、そのときには必ず
裁判に訴えてくるというケースになりますから、泡瀬の埋め立てと同じように、三回は
裁判が行われるだろうなというふうな形になってくるんじゃないでしょうか。そして、最終的には、知事の埋立許可がないとできないというような形になってまいります。
それで、この十二年間で、普天間基地の移設計画に関する予算、これを見てみますと、北部振興費で五百九十億円、特別調整費で一千億円、米軍の所在市町村の活性化で八十四億円、SACOで二千億円、米軍再編で四百五十億円、基地交付金で二百六十三億円、基地周辺
整備事業で七百四十億円。五千百億円使っていますよ。五千百億円、十二年間で予算的には。
そして、これから、その当時と含めて、その当時は、スタートのときは、SACOのときは、大田県知事が反対派で、残りの、総理にしても、衆参にしても、県議会にしても、名護市長にしても、名護の議会にしても、全部が賛成派だったわけですね。
今度は、議会も変わっていまして、国の方は参議院がこの推進はしない勢力、沖縄県議会が、これは変わった勢力。そしてここが、今、総理
大臣や衆議院、名護市長、議会は賛成勢力となっていますから、あのときと政治環境も少し変わってまいりましたよね。
変わってくると、県知事の承認のときに、反対派の県議会は、これは間違いなく反対決議を県議会でやる。この県議会が反対決議をした後、知事が強引にこれを認めて遂行されるかどうかというのも
一つの疑問。いろいろなトラブルがここで起こるだろうというふうに思っていますね。
参議院においては、今のところの段階で変わっていますから、予算の面だとか
法律の面で賛成、反対が必ず起こってくるということになってきますから、周りの政治環境は東京も沖縄も違ってくる。衆議院選挙があったら、またどういうふうに変わるか。またいろいろと流動化をしてくるわけですから、そこも出てくるだろうなというふうに思いますね。
そして、アメリカ側を見ると、アメリカ側も、これは二〇〇七年から始まって二〇一〇年までに環境
調査をやるというようなことを決めておりますけれども、その環境影響評価の工程の素案を二〇〇九年の春ごろまでに、二〇〇九年の年末までに最終案、環境影響評価決定書の署名は二〇一〇年となっておりますけれども、このことに関しても一年から一年半ぐらいおくれるんじゃないかというようなことを言っているんです。
この米軍再編のことに関しては、
日本政府もアメリカ
政府もパッケージだと言っているんですね。辺野古の移設がうまくいかなかったらグアムもやりませんよ、これはもうパッケージだと、これは
政府が言ったことですから、沖縄が言ったことでもなければ。パッケージだと言うけれども、このパッケージということになってくると、辺野古の移設の問題が前に進まないと、辺野古はうまくいかなかった、グアムには二兆円規模でお金を投資した、グアムはできたけれども辺野古がうまくいかないという状況になると、これは
日米の
外交的にも信頼的にもおかしくなりますから、これもなかなかうまくいかないということになりますね。
そして、アメリカも大統領がかわりましたから、まあ、
日米同盟はそう変わらないにしても、米軍再編の中でさまざまな動きが出てくるんだろうなというふうな感じがしております。
ざくっと、今この十二年間の予算であったり経過とかという話をさせていただきましたけれども、これを見ていて、この私の今の客観的な話を見ていて、両
大臣ともどう思われるのかということを一点お聞きしたいと思いますね。