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2008-04-07 第169回国会 参議院 予算委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年四月七日(月曜日)    午前九時開会     ─────────────    委員の異動  三月二十八日     辞任         補欠選任      小池  晃君     大門実紀史君  三月三十一日     辞任         補欠選任      佐藤 正久君     山田 俊男君  四月三日     辞任         補欠選任      荒井 広幸君     松村 祥史君      河合 常則君     衛藤 晟一君      末松 信介君     西島 英利君  四月四日     辞任         補欠選任      谷合 正明君     浮島とも子君      渡辺 孝男君     荒木 清寛君      大門実紀史君     小池  晃君      福島みずほ君     近藤 正道君  四月七日     辞任         補欠選任      浅尾慶一郎君     富岡由紀夫君      福山 哲郎君     松野 信夫君      鰐淵 洋子君     谷合 正明君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         鴻池 祥肇君     理 事                 尾立 源幸君                 櫻井  充君                 津田弥太郎君                 羽田雄一郎君                 水岡 俊一君                 椎名 一保君                 伊達 忠一君                 林  芳正君                 山口那津男君     委 員                 相原久美子君                 石井  一君                 植松恵美子君                 大石 尚子君                 大久保潔重君                 川合 孝典君                 自見庄三郎君                 辻  泰弘君                 富岡由紀夫君                 友近 聡朗君                 内藤 正光君                 中谷 智司君                 平野 達男君                 藤原 良信君                 松野 信夫君                 森 ゆうこ君                 森田  高君                 米長 晴信君                 有村 治子君                 衛藤 晟一君                 加納 時男君                 佐藤 信秋君                 田村耕太郎君                 西島 英利君                 南野知惠子君                 松村 祥史君                 松村 龍二君                 山田 俊男君                 山本 一太君                 荒木 清寛君                 浮島とも子君                 谷合 正明君                 鰐淵 洋子君                 小池  晃君                 近藤 正道君    国務大臣        内閣総理大臣   福田 康夫君        総務大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣地方分        権改革))    増田 寛也君        法務大臣     鳩山 邦夫君        外務大臣     高村 正彦君        財務大臣     額賀福志郎君        厚生労働大臣   舛添 要一君        農林水産大臣   若林 正俊君        経済産業大臣   甘利  明君        国土交通大臣   冬柴 鐵三君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣(金融)        )        渡辺 喜美君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣経済財        政政策))    大田 弘子君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣少子化        対策、男女共同        参画))     上川 陽子君    内閣官房長官        内閣官房長官  岩城 光英君    副大臣        財務大臣    遠藤 乙彦君        厚生労働大臣  西川 京子君        厚生労働大臣  岸  宏一君        農林水産大臣  岩永 浩美君    大臣政務官        経済産業大臣政        務官       荻原 健司君        国土交通大臣政        務官       山本 順三君    政府特別補佐人        公正取引委員会        委員長      竹島 一彦君    事務局側        常任委員会専門        員        村松  帝君    政府参考人        内閣大臣官房        政府広報室長   高井 康行君        総務省行政評価        局長       関  有一君        法務省刑事局長  大野恒太郎君        財務省主計局長  杉本 和行君        厚生労働省保険        局長       水田 邦雄君        厚生労働省年金        局長       渡邉 芳樹君        社会保険庁長官  坂野 泰治君        社会保険庁運営        部長       石井 博史君        国土交通大臣官        房建設流通政策        審議官      榊  正剛君        国土交通省住宅        局長       和泉 洋人君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○予算執行状況に関する調査  (経済社会保障等に関する件)     ─────────────
  2. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  予算執行状況に関する調査のため、必要に応じ政府参考人出席を求めることとし、その手続につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ─────────────
  4. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 予算執行状況に関する調査を議題とし、経済社会保障等に関する集中審議を行います。  質疑者はお手元質疑通告表のとおりでございます。  これより質疑を行います。内藤正光君。
  5. 内藤正光

    内藤正光君 おはようございます。民主党の内藤正光です。  私は、これから一時間余りにわたりまして、年金について議論をさせていただきたいと思います。  今日はテレビが入っているということもありまして、総理以下大臣皆様方には、大変恐縮ではございますが、ほんのちょっとのお時間をいただきまして年金のおさらいをしてみたいと思います。  年金というのは、これまでのその記録管理の在り方というのは、転職、引っ越しあるいはまた結婚、そういった機会ごとそれぞれに記録管理がなされていました。しかし、これでは記録管理がままならないということで、平成九年、今から十一年前なんですが、基礎年金番号というものが導入をされ、それが一人一人に割り当てられた。そして、今までばらばらだった年金記録をこの基礎年金番号名寄せをして一元管理をすることになったわけです。ところが、すべて名寄せされれば良かったんですが、名寄せし切れなかったものが当時たくさんあった。そして、その後、減少を続けたとはいうものの、今五千万件もの記録名寄せせずに残っている。つまり、持ち主が分からないままシステムの中をさまよっている記録が今五千万件存在するということでございます。これがまさに宙に浮いた年金記録と言われる問題ですが、私はこの問題について具体的に議論をしていきたいと思っております。  さて、三月十四日、先月ですが、社会保険庁はその分析結果を公表いたしました。それ、皆様方のお手元にお配りをしてある一枚目の資料にそれが書いてありますが、簡単に説明をさせていただきますと、(資料提示)五千九十五万件もの宙に浮いた年金記録があった。それを正しい年金記録、つまり基礎年金番号を持つ記録と氏名、生年月日、性別でもって名寄せ作業、突き合わせ作業を行った。そして、その分析結果が大きく言って三分類出てきた。  一つ目、一番上の赤い枠囲みにしてありますが、名寄せできなかった、結局だれのものか分からない記録が二千万件、全体の四〇%です。そして、その二つ目分類として、名寄せできた記録、大体だれのものか分かった、これが一千百七十二万件、全体の二三%。そして、その次、政府解明済みと主張する記録、これはどういうことか。例えば、後で議論をしますが、脱退手当金をもらってもう制度から脱退している、これ以上調査する必要がない、だから解明済み、そういったものが千八百九十八万件、全体の三七%。政府は、この黄色いところと青いところ、合わせて六〇%、三千万件ですね、ここをもう解明済みと言っているわけです。  そこで、総理大臣にお尋ねします。  この解明とはそもそもどういう意味なんですか、解決とはどう違うんですか、明確にお答えいただけますでしょうか。総理大臣にお尋ねします。
  6. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 五千万件をコンピューター上で、これどういうものであったかということで、今委員が御説明くださいましたように、捜査をしてみました。それで、中身がどういうものであるかと。今おっしゃった死亡したとか脱退一時金を支払ったと。中身が何であったかということについて、コンピューター上でできたものが約三千万件、丸い数字で申し上げます。それで、そのうちの千百七十二万件、今千三十万人の方、件数がちょっと人数より多いですけれども、これにお送りしていると。それで、コンピューター上で何であるかというのは分からなかった、これは二千万件ということで、したがって、コンピューター上で解明したらこういうものであったということが分かったという意味解明でございまして、これからまた解決のための努力は続けていきます。  そして、例えば死亡なされた方の記録、これは、例えば年金を受け取ってちゃんと死亡届も出ている、だけれどもそれは人間のやることですからどこかでミスがあるかもしれませんが、それはそれで今からいろいろ調べます。ただ、中身が何であるかということ、そういう意味での解明ということで、私はまだまだそれで解決したとは思っていませんので、残された記録も粘り強く、今も、今日もまたこつこつと解明のための、そして最終的に解決につながるための努力を続けてまいります。
  7. 内藤正光

    内藤正光君 舛添大臣がお答えいただきましたように、解明解決は違うものだと。解明というのはあくまでコンピューターによる解析結果が出た、国民が期待するところの解決というのはまだまだこれからの課題として残っているという、そういうことですね。  もっと分かりやすく言うならば、例えば電車の中での落とし物をした、このことを例に挙げて言うとしますと、解明済みという三千七十万件というのはあくまで落とし物センターに届けられただけの状態。そこに落とし主が名のり出なければ、例えば落としたものが傘であったとしたならば、結局その傘は廃棄されてしまうかもしれないし、貸し傘に転用されてしまうかもしれない。解明済みとはまさにそういうものなんですよね。決して国民にとって満足のいくものではない。ましてや、この赤いところの名寄せできなかった記録というのは、落とし物センターにすら届けられていない。つまり、どうなるか全く分からない。これが今の現状なんですね。展望が切り開けてないわけなんです、赤いところは。  さて、自民党さんは昨年七月の参議院選挙でいろいろ公約としておっしゃっています。一例を紹介します。自民党は全国民が本来受け取ることができる年金を全額受け取れることをお約束をいたしますと。そしてまた、こんなこともおっしゃっているんですね。完全支払抜本改革与党か、あるいは支払先延ばし、問題先送り野党か、こういうことをおっしゃっているんですね。そしてまた、当時の安倍総理大臣はこういうことを、選挙期間中もおっしゃったんですが、いろいろなところでおっしゃっている。最後の一人になるまで年金記録をチェックし、正しくお支払をする。私は何度も聞きました。  そして、先ほどお答えいただきました舛添大臣に至りましては、選挙期間中もおっしゃったんですが、八月末の共同記者会見でこのように明確におっしゃっている。読みます。十一月くらいまでにプログラムを組んで来年の三月、つまり先月の三月くらいまでに完成させるというそのスケジュールに基づいて、公約最後の一人、最後の一円まで確実にやると。そして、本当に命懸けでやりますと、ここまでおっしゃっているわけですね。  ところが、どうなんでしょう、結果は。三月末の結論。名寄せできなかったものが四〇%も存在した。先ほど大臣答弁されたように、解明済みという言葉で、国民は何かこの問題が着実に解決に向かっていると誤解しているんですよ。今テレビを御覧の方も、もう大分解決が六〇%も進んでいるというふうに思っている方が多いんじゃないんですか。  私はこれ、言葉はきついかもしれませんが、言葉の偽装だと思っていますよ。私は、こういうことが実際、現状なんですね。これはまさに私は公約違反ではないかと思っております。総理大臣、この公約違反について、テレビの前で国民に真摯に謝罪すべきではないかと思いますが、いかがでしょう。
  8. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 今までいろいろな発言がございました。その中で、昨年の夏の段階では、三月までに年金記録問題を全面的に解決するといったような誤解を与えるような表現も、また説明もあったというように思います。このことは、誤解を与えたということによって、また過分な期待を持たせたという意味においておわびを申し上げなければいけないと、こういうふうに率直に思っているところでございます。  しかし、その後、昨年七月の五日の政府与党の取りまとめでお約束をしたとおり、本年の三月までに記録コンピューター上で突き合わせ、そして、その結果、記録が結び付く可能性がある方々へねんきん特別便をお送りするといったような作業は、その後も着実に進行していることは確かです。  いろいろ不測のことなどもございまして、すべて予定どおりというわけにはいかなかった。いかなかったけれども、今本当に懸命な努力をいたしておりまして、先ほど来委員説明してくださっているような、そういうような状況ではありますけれども、今後もこの方針に基づいて、そしてまた、分からない部分については更にいろいろな手法を使って、またいろんな御意見も伺っておりますので、そういうことも兼ね合わせて懸命な努力を今後も続けていくということでございます。  今のところ大きなやり方の変更というのはございませんけれども、しかし、それでいいというように思っているわけではありません。人員の投入もしっかりしなければいけないし、これから更に力を入れてまいりたいと思っておるところでございます。
  9. 内藤正光

    内藤正光君 誤解を与えて申し訳なかったという言葉があったんですが、少なくとも昨年中は、多くの国民は、この三月までに政府自民党全面解決約束してくれたと思ってきたわけですよ。少なくとも、昨年七月の参議院選挙、これを公約一つと考えて票を投じた人は絶対いるはずですよ。これ、国民誤解した方が悪いというふうに聞こえるんですが、私は、明言されたんですよ、数々の、総理を始め大臣。そしてまた、選挙公約の中で明確におっしゃっているんですよ、野党問題先送りだと、自民党はしっかりと着実に解決を図っていくと。  私は、誤解を与えた程度では済まないと思います。私は、この現状を正しく国民に伝え、そして真摯な謝罪が必要だと思います。誤解を与えてしまったというのではないと思います。いかがですか。
  10. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 今委員が御指摘になったように、選挙のときにきちんと政府与党工程表、七月五日の工程表にはコンピューター上で名寄せをするというのは書いてあるわけですが、名寄せとか突合とか統合とか、いろいろ様々な言葉を使い、今委員がおっしゃったような本当にバラ色の夢を与えたこと、これは私も何度も謝罪していますし、これはきちんと政府としても党としても国民に謝らないといけないと思います。その上で、私は今も本当に懸命に一人一人の皆様方が御自分の年金を確実に受け取れるように努力を続けております。  そして、解明コンピューター上でできなかったものにつきましても、後ほど議論あるかもしれませんが、例えば住基ネットを活用する、それから旧姓の方、御結婚なさって姓が変わった方に是非お知らせいただいて解明していく、今その作業にまさに特別チーム作業委員会を投入してやっているところでございますので、私は、もう最後の一人、最後の一円までと安倍総理もおっしゃった、私も申し上げた、この決意は全然変わっておりません。そのつもりで今後ともやっていきます。  そして、十月までに、委員、全員にねんきん特別便が参りますから、受給者加入者も。五千万で名寄せした人は今行きました。それで、すべての方がそれを受け取って、みんなで協力していただいて、共同作業をして、一人一人がこれを確認して、これが十月まででございます。それと同時に、今住基ネットとかいう話をしましたけれども、個々にある記録、それをいろんな手で洗い出して、その二つの方法で一日も早く問題の解決ということに努力を続けていきますので、私は誠心誠意今後とも頑張ってまいります。
  11. 内藤正光

    内藤正光君 私が今日こうして一時間議論に立つその目的は、総理を始め舛添厚生労働大臣に駄目じゃないか駄目じゃないかと、それを言うためだけに私は一時間立っているつもりはありません。問題解決のまず原点は現状の正しい認識、これをしないことには問題解決なんて到底できるものじゃありません。そして、誤解を与えてしまったということで、多くの国民が間違った認識をするような発言をしたのは事実です。だからこそ、後からこれ議論をしますが、特別便に対する反応が悪かったんじゃないんですか。もっと政府が厳しい認識を示していたならば、国民はもっと真剣に対応したはずですよ。そういうふうに大丈夫だ大丈夫だという中途半端な誤解を与えたから国民の方も、こういうねんきん特別便を受け取った国民の方も、お上のやることだから大丈夫だろう、間違いないだろう、それでほとんどの人が回答なしで送っちゃったんじゃないんですか。  私は、もう一つだけ、この公約というものに関して、一つ本当に興味深い事例を申し述べさせていただきます。  三月十九日、我が党の同僚議員がある質問主意書内閣に提出をいたしました。質問主意書というのは、このように委員会でやり取りするものではなくて、書面でもって内閣に対して正式に質問を送り付けることです。  どういう質問だったかというと、こう言います。安倍総理は昨年七月五日、年金業務刷新に関する政府与党連絡協議会を開催し、このようにおっしゃっていると。年金記録問題につきましては私の内閣の責任において必ず早期に解決をし、最後の一人までチェックして正しい年金をきちんとお支払いしますと、このようにお述べになられた。そして、その発言を受けて、では、解決済み記録は何件ですかと聞いたわけなんです。  そうしたら、答弁書が一週間後に返ってきたそうです。答弁というのはあくまで閣議を経ているから内閣一致を見ているわけなんですが、このようにお答えになられているんです。安倍総理の言う解決済み記録意味するところが必ずしも明らかでないため、お尋ねについてはお答えすることは困難であると。  安倍さんは当時安倍総理大臣だったわけですね。そして、何もプライベートな場でこのことを発言したわけではない。政府与党連絡協議会という公式な場で発言をしたその発言をいとも簡単に意味不明と切って捨てる福田内閣とは一体何者か。私は、そんな福田内閣だからこそ、公約の重みというものを本当に考えていらっしゃらない、紙切れ一枚の重さもない、そういう認識なのかと言わざるを得ないんです。  そして、更に言いますと、この解明済みとおっしゃっている、解明の一歩手前だということはおっしゃったわけなんですが、しかしながら、この青いところの解明済み、まあ黄色と合わせて三千七十万件なんですが、この数字自体も実は多くの水増しがあるんですね。一つ一つ議論をしながら検証をしていきたいと思います。  例えば、青い部分の下から二つ目、同一人物のものと見られる記録四百九十二万件というものがあります。これはどういうものかといったら、この五千九十五万件の中に持ち主が分からない記録、AとBという二つのものがあったとします。共に持ち主は分からなかったんです。しかし、突き合わせの結果、AとBは同一人物に属する記録だというところまでは分かった、AとB共に。しかし、持ち主は分かってないんです。  しかし、社保庁厚生労働省のロジックはこういうものなんです。共に持ち主は分かってはいないけれども、一方のAの持ち主が分かったらおのずとBの持ち主も分かると、だからBについては解明済みのここに入れるということで、そんな記録が四百九十二万件ここに入っているんです。持ち主分かっちゃいないんです。本来はこの赤いところ、名寄せできなかった記録のところにその数字を書いて、括弧して、例えば、ただし四百九十二万件は重複分と書くべきじゃないんでしょうか。  何で持ち主が分かりもしないその記録解明済みのこの青いところに分類されたんでしょう。答弁を願います。
  12. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) これは、今委員がおっしゃったように、複数持っておられる。で、今後解明を進める記録の二千十九万件と性別、年月日が一致した記録であるわけですから、そちらの赤ですか、一番上の、そこと一致しているということですから、この三月十四日に工程表について今後こうしますということを申し上げましたけれども、例えば、先ほど申し上げましたように、これは二つあって同一人物だとほぼ思われる、そこまではコンピューターで分かりました。例えば住基ネット、これを使うことによって解明できるものは相当あると思います。それから、漢字仮名変換解明できるやつも、つまり特定の読み方をして、例えばイガラシと読まないでゴジュウランというような、そういう、昔の古いコンピューターのときそうやった、こういうことで解明をしていくと当然それに引っかかってくると。  全く架空の人物であるとか分からないということより、むしろ非常に、同一人物であって番号二つあるわけですから、そういう意味で今からの確認作業のうちに分かると、そういう意味分類、何であるかと。つまり、解決ではありません、先ほどのように。だけど、何であったのかということで、コンピューター上で、同一人物だということがコンピューター上で分かったわけです、そういう意味での解明。これをきちんと、今からの作業工程できちんとつなぎ合わせていけると。そうすると、例えば死亡についてもそうですし、ほかのそこに書いているやつも、中身が何でありますかということがコンピューター上で分かったということ、そういう意味での御説明でございます。
  13. 内藤正光

    内藤正光君 舛添大臣がどのように答弁されようとも、かなり苦しいんです、その答弁。  私も、大学時代、物理学科でした、理学部。実験はたくさんしています。こういった分類は慣れているんです。とてもじゃないが、今のようなケース、こんな解明済みというものの中に入れやしませんよ。本来だったら、結局名寄せできなかったものなんですから、こちらに入れて、注意書きとして、ただし四百九十二万件については重複分と、本来そうすべきじゃないんですか。  私は、でも、なぜそうしなかったのか、聞くまでもないし、答えていただくまでもないと思うんです。なぜか。分かっているんです、理由は。この四百九十二万件が名寄せできなかった記録に入ると、名寄せできなかったものが一気に二千五百万件になっちゃうんです。つまり、五千万件の半分が結局名寄せできなかったんですねということになっちゃう。政府としては、そういう印象を何としても抑えたい。しかし、私はそういうことじゃ駄目だと言っているんです。そういうことをやっているからなかなか解決が進まないんじゃないでしょうか。  私は、やっぱり現状を、政府もそして国民にもその厳しさを共有してもらう、それが解決に向けた一歩なんです。こういうどう考えても納得できないような分類、こういうことをしていたんじゃ駄目だと思いますよ。  まだまだほかにあります。先ほど、死亡が判明された方の記録、宙にさまよう記録の中に、もう死亡ということで書かれているから、もうこれ以上解明する必要がないということで済ませてしまおうということなんでしょうが、ところが死亡されたらその遺族がいらっしゃる、遺族年金を受給されている。  では、お伺いします。その遺族年金については、今回のように本当に記録の抜けがないことを確認されたんですか。
  14. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 先ほどのことについてもう一遍、お答えする前に、そのブルーのところなんですけど、これはあくまでコンピューターをはじいてみてどういう内容であるかということが分かったという意味分類してあるわけでありまして、五割を増えるとこの印象が悪くなると、そういう思いで私はやったものでありません。それはまず申し上げておきたいと思います。  それから、死亡の届けが出されている記録なんですが、これは委員御承知のように、死亡記録を出すときに、市町村がそこで、はい、年金の手続、御遺族の方はこうですよこうですよと懇切丁寧にいろんな書類も差し上げてやります。だから、普通はそこで受給資格を持つ方は当然請求しているはずなんですけれども、そういうことをやっていない方がおられる可能性はあります。  これはいずれ、そこの分についても細かく調査をし、またいろんな広報をして、御遺族で遺族年金いただいた方おられませんかと、そういうことはやりますけれども、とにかく一斉にすべてやれないものですから、優先順位を付けてやっていっている。ですから、それともう一つは、今申し上げましたように、やはり何十%に上るかといったら、普通は死亡届を出された方とか脱退一時金とかいうような方については、私は数はこれは少ないと思います。そういう意味で優先順位を付けてやっているんで、ただ、皆無ということではございません、委員が御指摘したとおりなんで、これもまた今後解明をできるだけやっていきたいと思っております。
  15. 内藤正光

    内藤正光君 大臣の御答弁についてまだまだ異論はありますが、ちょっともう一つだけ質問して議論を更に深めていきたいと思います。  その次に、脱退手当金を受給している者の記録、これが五百八十八万件ございます。脱退手当金という制度がどういうものか後からまた説明をさせていただきたいと思いますが、これについても解決済みと。  お尋ねします。この方々、この記録についてちゃんと名寄せをして、その持ち主に、本来の持ち主に、本当にあなたは脱退手当金を受給していますかと確認されましたでしょうか。
  16. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) この死亡一時金、脱退手当金、これは受給済みである旨はそれぞれの記録に記載されているわけでありますから、今後新たな給付に結び付くというのは基本的には考えられないと思います。  そして、これは先ほど申し上げましたように、十月までにすべての方に一人一人お送りする。そうすると、脱退一時金、いや、実は私はこれは受給してないのに受給しているというようになっているとか、いや、正しく記載されていない、そういう過程でこれは解明できるというように思っています。  ただ、基本的には、それは委員もおっしゃるように、私もそれは何人か、何人かというか何%かはそういう人間のやることですからミスがあるかもしれませんけれども、その過程で確認をしていきたいと、そういうように思っております。
  17. 内藤正光

    内藤正光君 さて、その脱退手当金というものなんですが、これは昭和六十一年まであった制度。当時は会社の退職に伴って制度から脱退ができた。ただ、脱退に伴ってその人には支払った分に相当する脱退手当金が給付されたと。しかしながら、その分の加入期間についてはその人の公的年金の加入期間からは除外をされると、そういうものなわけですね。  ところが、この脱退手当金の受給をめぐってもトラブルがいろいろ言われていますよね。何人かはとおっしゃったんですが、実は第三者委員会への申立てが三月の七日時点で千五百七十件届いているんですよ。あっせんも四件ある。どういうものか。脱退手当金などもらっちゃいない、あるいはまた、そもそも脱退した覚えなどないと、こういう申立てが千五百七十件、三月上旬時点で。  私が申し上げたいのは、また私が指摘したいのは、この方々にとっての問題は、単に脱退手当金を受給したかどうかという問題にとどまるんじゃないんです。受給資格そのものを失ってしまっているかもしれないんです。御存じのように、公的年金というのは二十五年間入ってなきゃ年金もらえない。ところが、自分の知らないところで雇い主に勝手に脱退させられた、処理した、その結果、二十五年間の加入期間を満たせないまま無年金者になっている方々多いんじゃないんですか。  私は、そういうことがあるにもかかわらず調査もせずに、まあたかだか数人だろうという意識でもって調査もしない。私は、国民の生活を守るべき責任を負う政府としては余りに安易な対応じゃないかと思いますが、いかがですか。私は調査すべきだと思いますよ。
  18. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 脱退手当金について今委員がおっしゃいました。これは、基本的に本人が勤めている勤務の事業所に正確に申し出ていただく、そして事業所経由で基本的に来ているというケースでありますんで、私は今、先ほど申し上げましたように、今から一人一人の方に、一億人全部に送りますから、その過程で明らかにする。  今、もし調査を実施しようとすると、何千万という数についてもう一遍プログラムを組んで、脱退手当金についてどうかというのをもう一遍これコンピューターのプログラムを組み直さないといけない。だから、これはもう物理的な、コストとコンピューターの作動状況で今すぐやるというのは不可能ですので、取りあえず十月までそれを一生懸命やった上で、そして、その過程で私は相当答えが出ると思います。さらにその後どうするかということは、これはまた考えたいと思いまして、今はそういう対応をして、これは全く調査しないとかいうことではなくて、優先順位を付けて一つ一つ解明していく努力の過程にあると、そういうことでございます。
  19. 内藤正光

    内藤正光君 舛添大臣、よく舛添大臣は優先順位という言葉で逃げられますが、舛添大臣はそういう答弁で逃げられても、無年金で困っている方々は優先順位云々というのは本当に怒り心頭に達する答弁だと思いますよ。その無年金で苦しまれている方々、もし、自分が脱退をしてもいないのに脱退させられた結果、無年金で苦しんでいる方々は、一日も早い調査を望んでいるわけですよ。そういった方々の生活に責任を持つのが政府じゃないんですか。それを優先順位の名の下、昨年七月の公約では問題先送りの民主党とか何か言っていましたが、どちらが先送りなんでしょう。私は、とてもじゃないが、今の優先順位という発言、素直に受け止めるわけにはいきません。もう一度お願いします。  私は、せめてサンプル調査を早く実施する。それで、先ほどの答弁は恐らくということだったんですが、やはり本当にどれぐらいいるのか、まず早急に調査する必要があるんだと思いますが、舛添大臣、サンプル調査をやるのかやらないのか、やるとしたらいつまでにやるのかお答えいただけますか。
  20. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) これは、でも何千万件というのがありまして、そして私が申し上げましたように、もちろんこれは脱退一時金だけのことじゃない、いろんな方が、本当にこれまでの四十年来のこの社会保険庁の無責任、使命感のなさ、こういうことの結果、大変もう困った状況にある、これを一つ一つ解明していかないと。私、優先順位、どの方にとっても、それは皆さん、一刻も早くというのはよく分かっております。ただ、十月までのこの過程において私はできるというふうに思っていますし、そしてサンプル調査を、委員、するにしても、これはもう膨大な作業量があって、そして、その後どういう形でコンピューターを組んでやるのかということで、私は是非、ちょっとこの十月までに何とかやる。  それから、今委員がおっしゃったように第三者委員会、こういうことをラストリゾートとしてやって、今何件も出てきている、そしてこれを統合していっているという作業がありますので、是非そこは御理解いただいて、私が手抜きをしているとかそういうことじゃなくて、優先順位というのは、どこから先にやると。同時に一斉に全部できないですから、それはそれぞれの気持ちは分かります。だけど、この限られたいろんな資源を使いながら、コンピューターも使いながら、そしてやっていくというときにそういう手順だということで、個々の方々を無視して申し上げているわけではございません。どうか御理解いただければと思います。
  21. 内藤正光

    内藤正光君 ただ、どうでしょう、今、今日テレビを通じて見ている方々が今の答弁で本当に理解したでしょうかね。  その次。名寄せできた記録について確認をしたいと思います。  これはコンピューターの突き合わせでもって名寄せができた。しかし、加入者の確認が取れたら統合につながる、解決につながるというものですね。パズルの例に求めれば、合わせるべきピース、これはもう見付かっているわけです。あとは加入者一人一人の確認を取らなきゃいけない、確認が取れたらそのピースを当てはめることができるということなんですね。そういった方々を対象に、昨年の十二月から先月三月までこのねんきん特別便というものを発送した。(発言する者あり)そうです。  ところが、この回答状況が極めて悪い。先月の十一日現在で回答率は三〇%、そのうち訂正ありが三分の一の一〇ポイント、訂正なしと答えた方が回答者の七割、二〇ポイントなんですね、二〇%。しかし、そんなはずはないと。三月までに送った方々というのは、かなりの確率で、もう社保庁の方では当てはめるべきピースが用意されているわけですから、記録回復につながるはずだということで、入念照会というものを行いましたね。電話調査だとかあるいはまた戸別訪問、十万人を対象にしたけど、最終的には二万七千人行った。そうしたら何と、訂正なしと答えた方々であっても、そのうちの八割の方々が最終的には記録訂正につながったわけです。本来、記録訂正につながる可能性がかなり高い人たちを対象に三月までにこのねんきん特別便というものを送ったはずなんです。しかし、何でこんなに反応が悪かったんでしょう。お答えください。
  22. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) このねんきん特別便をどういう仕様にするかということでいろんな議論をしました。そしていろんな、これとこれとこれという要求を満たさないといけないという議論をしたときに、委員御承知のように、多いケースでは一つのデータが十人ぐらいのだれか分からないというようなケースもありました。そうすると、これですよと送ったときにそれが不正に使われたりしてはいけないという配慮がありましたので、そこを実は空欄にした、これが非常に分かりにくかったと思います。しかし、それで来ていただいて、そして、実はこういうのを発見しました、そのころどういうことをおやりになっていたんですか、じゃできますねと。そのときに非常に窓口の対応が不親切だったりしたのを一つ一つ改善して、今懇切丁寧にやっていっております。  そして、これは非常に分かりにくくて申し訳ないんですが、記録が抜け、いわゆる宙に浮いた記録のところがありますね。そうじゃなくて、プリントアウトしたところ、これは既に明確にコンピューターに、もう皆さん方も分かっているはずのところなんですが、そのプリントアウトした、つまり印字された部分について訂正がございますかございませんかという回答なんです。私は、だからこれは、今にして思えば、たくさんの要求を同時に入れたものですから、したがってそこは分かりにくかったと思います。それで、今私が申し上げているのは、特別便をお送りした方々というのは基本的に何らか問題がありましたからお送りしたんで、これは皆さんの協力をいただいて一つ一つ確立していきましょうという、そういうことでした。  それで、今委員がおっしゃっていただいたように、一月七日はその訂正ありで回答した人が一三・〇%でしたけど、三月十八日では二七%に増えていますし、これは受給者の方々です、お年を召された方々。若い現役加入者の方々は、まだこれ送ったばっかりなので一月しかたっていませんけれども、回答率が約一二・八%。そのうち訂正ありというのを書いてこられた方が約七割、六九・六%ということでありますので、今後あらゆる手段を使っていろんな要求、不正もないように、そして皆さん方が分かりやすいようにということで着実に記録の回復につなげていきたいと、そういうふうに思って努力をしております。
  23. 内藤正光

    内藤正光君 実は私、実際に三月に受け取った方のねんきん特別便をお借りしてきました。(資料提示)個人データですので、だれのかというのはなかなか言えないんですが、これ実際に送られてきたものなんです。名前とか何か伏せてあるんですが、単に打ち出し、システムの情報を打ち出しただけですよね。実際に、民主党にも国民から多くの問い合わせが来ています。受け取ったはいいんだけど、どうしたらいいのか、どこをどう見たらいいのか分からない。正直言って分からないですよね、これ、ただ単に記録されているデータを打ち出しただけですから。  訂正なしと回答された方々に社保庁さんもアンケート取っていますよね、何で訂正なしとお答えしたんですかと。そうしたら、間違いがないと思っていた四六%、加入した記憶がない一〇%、記録を思い出せなかった七・五%、手続方法が分からなかった六%、余り関心がない四・八%。つまり、八割近くの方々がこういう方々なんです。ということは、よほどこの送る特別便に工夫を施さないと、ねんきん特別便の効果なんてありゃしないんです。単なるダイレクトメールと一緒の扱いされちゃうかもしれない。  舛添大臣は、四月一日の日経新聞でそのインタビューでこう答えられていますよね。一部の不正を許容しても記録本体を記載する考え方もある、そこは政治判断だと。私は、政治判断でやるべきだと思いますよ。一部の不正を気にする余り、その他大勢、大多数の人たち、被害者ですよ、をそのまま置き去りにしてしまっていいのか。そもそも立証責任はだれにあるんですかというその原点に立ち返らなきゃいけないんです。  私は、政治判断でもう一度、十二月から三月までに送った方々に対してしっかりと、ここにこういう記録が抜けてやいませんかとか、そういう工夫を加えた特別便を送るべきだと思います。政治判断だと思います。いかがですか。
  24. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) まず、委員がお示しいただいたその方の記録でございますけど、これ、作成年月日がたしか一月九日になっています。これは一番最初のバージョンで大変分かりにくいということで、それで、委員作業委員会を設け、私は実はこの今言った不正や何かということを考えたもので、それで二月の初めに新しいバージョンに変えまして、例えばそれ御覧いただきますと、上から三番目から四番目、平成六十二年からその方は平成五年まで何もないことになっている。そうすると、そこに大書特筆して、ここは空白ですね、この期間が問題があると思いますということを書き、それから例えばその方は昭和六十年より前にひょっとしたらどこか勤められたかもしれない、それから、平成十年五月二日以降、例えばその方はまだ現役だと思いますが、もしどこか会社をお辞めになったらまたどこか再就職されたかもしれない。そういうことで、前と後と真ん中についてはっきり、この前もチェックしてくださいよ、その今真ん中抜けたところもチェックしてくださいよ、三番目と四番目、それから後ろもチェックしてくださいよというのを書いて、これは作業委員の方々に社会保険労務士も入っておられます、年金の専門家も入って、連合も経団連も全部入っている中で見ていただいて新しいバージョンを既に送っていますが、この方に対しても再送しますんで、いずれその新しいバージョンが参ると思います。そういうことで、一つ一つ解決をしていきます。  それで、今の問題は、要するに個々に、例えば今その方の三番目と四番目にこの方が何とか病院にお勤めだというようなことを発見しましたよということでそこに書き出した場合に、複数の方がさっき言った不正ということがあってはいけない。これをどういうふうに政治判断をするのか。私も相当、当面迷いました。  ただ、今一つ心配なのは、二つ要因がありまして、作業委員会に申し出る方に、全く根拠もないのに作業委員の方を、窓口を脅すような方々が来られたりしている例がございます。警察を投入しないといけなくなっています。これは大変私は困ったことだと思っています。  それからもう一つは、実は専門家の作業委員の方に、そういう今委員がおっしゃったような政治判断を私はする可能性についてはどうかと今諮問をしております。そうすると、作業委員の中でそれはいいという意見と、いや、ちょっとそこはもっと慎重にしてくれという意見があって、これ少し、今の進捗状況を毎日データを取っていますんで、それで場合によっては委員がおっしゃったようなことも含めて、これは総理の下に年金関係の関係閣僚会議がございますんで、そこでの判断も踏まえて議論をする。そのための今、下作業、材料を取っているところでございます。  本当に国民の皆さん方にいろいろ御迷惑をお掛けして申し訳ございません。ただ、一つ一つ新たな問題が起こったときには、できる限りそれを解決していくということでやっておりますんで、その年金記録持ち主の方もやがて新しいバージョンが参ると思いますので、是非記録の訂正に御協力をいただければ有り難いと思います。
  25. 内藤正光

    内藤正光君 本当に今非常に厳しいという認識、これをこのテレビを通じて、あるいはいろいろな機会を通じて国民に訴えかけていかないことには、絶対受け止めた、これから全員便と称して九千五百万通がすべての人に発送されるわけです。よほど厳しい状況政府が醸し出さないことには、真剣に見てくれませんよ。  そして、そういう意味でいうと、政府は先ほど解明済みが一千何百万件あると言ったんですが、実際はこれが現実なんですよ。ちょっと解明済みと言うよりも解決できていないものと言うべきなんでしょうが、実際に解決できているのは四百十七万件にすぎないんです、今、五千万件のうち。その後四百四十万件に上がったとは言いますが、九%。その時点では四百十七万件、これしか解決されていないという現状政府はしっかりと踏まえるべきだし、国民にも正しく伝えるべきなんです。でなければ決して解決というのは進まない、そのことを申し上げたい。  そして、これからちょっといろいろ提言も含めて議論をしていきたいと思います。  受付相談体制の強化ということなんですが、御案内のように、今、連日新聞報道等々で、社保庁の窓口だとか受付の電話がパンク寸前の状態だと、わざわざ来ても六時間待ち。そしてまた、そのときに相談してもらえればまだましの方です。帰っていかなきゃいけない。そして、その上に更にまた、四月から十月にかけてすべての人を対象にねんきん特別便を送っていく。  そこで、お尋ねします。  その相談体制の充実を図っているという答弁はおっしゃりたいんでしょうが、一億人を対象にした相談体制の強化、講じていらっしゃるんですか。
  26. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 例えば土日にコンピューターを稼働させる、これは委員はもうそちらの方の専門でございますけれども、どうしてもメンテナンスに例えば日曜日使わないといけないというようなことがあるんで、そういう意味がございます。しかし、これは、今何とかやりくりしまして土日に開ける時間を長くしました。それから、八時までは電話を受け付けられます。それから、相談窓口を千席新設する。それから、これ社保庁のOBにもお願いする、それから社会保険労務士など。これ、窓口来られても、アマチュアじゃできません。プロでないとできないんで、どうしても人間を確保するのを非常に困難を来しておりますけれども、これ専門家で相談窓口で対応できる方を千六百人今増設する。それと、社会保険労務士の全国協会にお願いいたしまして、連合会に、これ全面的に協力してくださるということを一ついただいていますのと、郵便局、農協、市町村でスペースを確保していただいて、そこに今張り付けてもらう。そして、ウインドウマシン、これがないと話になりません。これは、今はがせるものははがしてというのは、新しいバージョンをハードウエア的にすぐ作るのが無理だということなもので、メーカーさんの方で。今あるやつを拡充する。そういうことで、何とか相談者の増加に対応したいというふうに思っています。それから、オペレーター、これ今スキルを、技能をどんどん上げていく、更に訓練をして一人が対応できる能力をもっと増やすと、こういうことを総合的にやっております。  それで、委員に御理解いただきたいのは、他省庁からも大分人をもらうようなことを考えたんですけど、能力がなければ、その対応ができなければどうしようもないということなんで、そういうことを含めて、総理の下の関係閣僚会議において、これは政府一丸となって当たらないといけない問題ですので、今後とも努力をしてまいります。
  27. 内藤正光

    内藤正光君 いろいろやっているとおっしゃいますが、私は、やっぱり根本的な問題、ボトルネックはどこにあるのか考えなきゃいけないと思います。  今社会保険の事務所は全国に三百十二か所あるんですね。ところが、各県を見てみますと、大都市を除くと大体三か所ないし五か所なんです。お隣の千葉、六か所なんですね。その各県それぐらいしかないところへありとあらゆる相談が集中するわけです。統合に結び付く可能性のある相談のみならず、単なる相談、あるいはまたこのねんきん特別便読み方が分からぬ、そういった相談。だからパンクしちゃうんです。  更に言いましょう。お隣千葉、六か所あると言いましたが、大体この北部に集中しているんです。一番南は木更津というところなんです。ここにあるんです。そうすると、南の館山から電車を一時間以上乗り継いで来なきゃここに行けないんです。そこ、一時間掛けて結局相談もできずにまた帰ってこなきゃいけない。これは本当にやる気があるのと、どちらに立証責任があるのと改めて申し上げたくなってしまうんです。  であるならば、そもそもが社会保険事務所の対応というのは根本的に不十分なんです。ボトルネックになっているんです、そこが。そもそもウインドウマシン、順番待ちだという状態ですよね、その担当者が。であるならば、社会保険庁だけじゃなくて、もっと全体的にこのウインドウマシンをもっともっと増設をしていく。国民にとって身近な場所ってどこかといったら、やっぱり市役所、町役場ですよ。さらにまた、社会保険労務士協会の方々は積極的に相談をするとおっしゃっていただいているわけですよ。  ですから、市町村に今希望を募っているということだと思いますが、そんな希望を募って置いてくれるところだけ置くというんじゃ駄目なんですよ。すべての今千六百ある自治体にウインドウマシンを置いて、そして社会保険労務士の方々に来てもらって一次相談窓口としてそこを利用する、そして、統合につながるようなものについては申し訳ないが社会保険事務所まで行ってくれと、こういうふうに使い分けしなきゃ、いつまでたってもパンク状態。これから一億人に送るわけですよ。こういう工夫をしないと、幾ら端末を増やすとか何か言ったって無理ですよ。私は増やすべきだと思います。どうですか。
  28. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) それは、先ほど申し上げましたように市町村、これはほぼ八割から九割方の市町村にもう協力をやってくれるということでお願いがしてあります。それから、農協、漁協、郵便局、郵便局もこれ民営化されましたが、しかしこれは協力してくださるということでありますんで、今言ったようにですね、ことをやる。  それから、例えば窓口に来られる、来られて一応受付をさせていただいて、すぐもうその場でできなくても、じゃ、何月何日まであなたの記録についてちゃんとチェックしていますんで、次はいつ来ていただけばそれまでにやっておきますということで、そういう体制も組んでおりますし、今委員がおっしゃったようなことは、これはもう今積極的に進めているところでございます。
  29. 内藤正光

    内藤正光君 ただ、くどいようですが、またいついつ来てくださいと、また電車を乗り継いで一時間以上掛けて来いと。本来だったらば、社会保険の担当者がわざわざ出向いて対応しなきゃいけない、そういうものなんですよ。  また、今希望を募っている、八割と。私は、すべての自治体に対してウインドウマシンを設置すべきだと思います。そんな八割だとか何か中途半端なことをやるんじゃなくて、千六百すべての自治体に設置をして一次相談窓口として機能させなきゃいけない、そして、統合につながるものについては申し訳ないけど社会保険事務所へ行ってくださいと、そういうふうに思うんですが、総理大臣、どう思われますか。これはもうやるかどうかの問題だと思いますが、いかがでしょう。
  30. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 現実にはそういうような場面というのはたくさんあるんだろうと思います。この問題については、できる限り保険者また受益者の立場に立って考えるべきことだと思いますので、できる限りの対応をしてまいりたいと思います。  委員の御意見等も参考にしながら、これからいろと対策を考えてみたいと思います。
  31. 内藤正光

    内藤正光君 時間もあと残すところ七分程度になりました。  最後になっていくんですが、対応に要する費用、一体どれぐらい掛かったのかと。実はこの問題、宙に浮いた年金記録の問題は、昨年の二月、民主党の調査要求によって判明したわけです。その後、政府は、昨年の補正予算、そして今年の予算、どれぐらい投じてきたかというと、五百六十二億円なんです。  しかし、これだけじゃ済むものではありません。私たち民主党が主張しているのは、そもそもシステムの中に入っているデータが不正確なんだから、元の台帳と突き合わせなきゃ駄目だと。八億五千万の台帳と突き合わせをしなきゃ駄目だと。今回の予算案の中には一部分入っています、七十一億円。しかし、これはあくまで三千三百万枚が対象です。じゃ、八億五千万枚すべて突き合わせをしたらどれぐらい費用が掛かるのか。計算してみました。七十一億円のうちに処理枚数に比例する部分が五十九億円あるんです。これを基に八億五千万枚突き合わせをしたらどれぐらい掛かるか。一千五百億円掛かるんです。合わせると二千億円ぐらい掛かる可能性があるんです。  これ、どこから費用を工面しているのかといったら、一般財源です。一般財源というのは、何も社会保険庁の方だけが払っている税金じゃないんです。我々国民テレビを御覧になっている国民すべてが払っている税金なんです。国民の感情としたら、そもそもこの問題は社会保険庁のずさんな記録管理によるものなのに、何でそのしりぬぐいを我々国民の税金でやらなきゃいけないのか、これが素直な感情ですよ。  そして、じゃ、この問題でだれか責任取っているのか。何年か前ののぞき見のときは三千人ぐらい責任を取ったそうですが、今回の事件、何人取っているのか。十月三十一日に検証委員会が報告書を出していると。結局みんなが悪かったねと。終わりですよ。だれ一人責任を、処分をされていないんです。これじゃ、国民、納得しませんよ。  二千億円も掛かるかもしれない、一般財源から。社会保険庁の方々は給料を返したっていうんですが、合計十五億円ですよ。掛かるのは二千億円、何千億円という規模で掛かるかもしれない。我々国民の税金ですよ。とてもじゃないが、これ、はいどうぞというわけにはいかないんじゃないんでしょうか。  そういった意味でも、これ委員長に取り計らいを願いたいんですが、歴代の社保庁長官を当委員会に参考人招致をして、そして責任の明確化を図る、その必要があると考えますが、委員長の取り計らいをお願いをします。
  32. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 後ほどの理事会において協議をしたいと思います。
  33. 内藤正光

    内藤正光君 総理大臣にお尋ねします。  正直申し上げまして、三月までに片付けるという、解決するというその公約を破っても、結局、福田内閣から聞こえてくる言葉は、工程どおり進めている、その一点張り。そして、だれも処分しない、されない、責任を取っていない。そして挙げ句の果てに、すべてのツケを国民に回すと。  私は結果責任を負うべきなのが政治だと思います。福田内閣、中でもその責任者である厚生労働大臣の責任は極めて重いと考えますが、総理大臣の御見解をお尋ねします。
  34. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) この問題は大変奥の深い問題でございまして、この問題をさかのぼれば、四十年以上ずっと積み上げてきたそういう結果だというように聞いております。  ですから、これを根本的に変えないと、この年金制度というものはこれはもう日本には存在し得なくなるということでありますので、その年金に対する信頼回復のために今までのこの四十数年のいろんな問題点を探り出していると、こういうことであります。今その作業をしている最中でございまして、これはまだしばらく掛かるということは間違いないことであります。そしてまた、いろんな困難を伴うこともあると思います。  しかし、そういう困難を乗り越えて、いかにこの制度が信頼を国民の中から回復できるのかということのこの一点に懸かって我々の使命があるんだろうというふうに思いますので、舛添厚生労働大臣を中心として今この問題に懸命に取り組んでおる最中でございます。  私も当然ながら責任者でございますので、私も十分この問題に留意をしながら、いかに、なるべく早く皆さんから信頼を受けられるように今後とも努力をしてまいりたいと思います。そのことが、この信頼回復が我々の責任だというように思っておるところでございます。
  35. 内藤正光

    内藤正光君 最後質問になるかと思いますが、この四月から七十五歳以上のお年寄り、高齢者を対象とする後期高齢者医療制度というものが始まりました。  ここで、時間の関係もありまして、幅広に政策論議をするつもりはありません、また時間もありません。ただ、一つ問いただしたいことがあります。  例えば、具体的に、今基礎年金七十九万円をもらっている方々がいるとします、実際いるわけです。その方の新しい制度による保険料は幾らかというと、一万八百円です、年間。ところが、この高齢者が、収入のある息子夫婦、まあ娘夫婦でもいいです、三百九十万円以上の年収のある子供夫婦と同居したらどうなるのか。保険料が一気に上がるんです。三万七千二百円、四倍に上がるんです。  この制度設計についてお尋ねします。これはもう、同居したら保険料が大幅アップ、四倍。これはお年寄りは一人で暮らせということですか、お尋ねします。
  36. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 全体の国民皆保険をどういうふうにして守るかと、そういう大きな制度設計、特に国保の場合は、これは、例えば私たちもう仕事を辞めて現役を辞めますと国保に入りますから、そういう意味でこれをどう支えるか、そういう大きな制度設計をいたしております。そして、今言った扶養の、被扶養者になる方々についてのいろんな御負担についてはいろんな暫定的な軽減措置をとっておりますので、きめの細かいそういう手当てをしながらこの制度をきちんとやっていきたいというふうに思っております。
  37. 内藤正光

    内藤正光君 どう考えても、これ本当にお年寄りは独りで暮らせという制度設計ですよ。四倍に上がるんですよ。そして、息子さんが親御を引き取るというにはそれなりのやっぱり負担があるわけですよ。これが四倍に上がったら、かなりこれまた判断も悩むと思います。  時間も来ましたので最後申し上げさせていただきたいのは、この新しい制度の開始に伴って、来週十五日ですね、年金からの天引きが始まるわけです。私が申し上げたいのは、この年金問題の解決、全く進んでいない、解決もしない、そしてだれも処分もされていないし、責任も取っていない、しかしながら、取るものは取る、取りやすいところから取る、こんな福田内閣の姿勢に大いに怒りと疑問を感じつつ、私の質問を終わりたいと思います。
  38. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 関連質疑を許します。水岡俊一君。
  39. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 民主党・新緑風会・国民新・日本の水岡俊一でございます。  まず、舛添大臣にお伺いをしたいと思います。  大臣は、お母様の介護が舛添要一さんの社会保障に懸ける思いの原点だというふうにお伺いをしました。そして、大臣は、大臣に就任をされるときに、首相を支えるというよりは国民に対して仕事をしてまいりたい、こういうふうにおっしゃった。そういう人間舛添要一氏、私は心から尊敬をしておりました。しかし、厚生労働大臣舛添要一氏はどうもちょっと違うように思います。  かつて安倍政権を批判をして大臣がおっしゃった言葉があります。世間の常識が分かっていない、危機管理能力ゼロだ、あるいは裸の王様になりかかっている。そういった非難の言葉が今大臣御自身に降りかかっているのではないかと私は思うんですが、そのことをどういうふうにお考えになっているのか、是非大臣のお考えをお聞きをしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  40. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) いろいろな、水岡委員を含めいろんな方々の御批判はそれは謙虚に受け止めないといけないと思いますが、私は自分のできる能力の範囲で誠心誠意毎日仕事をしていると、そのことを申し上げておきたいと思います。
  41. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 大臣、私は、やはり大臣になられても人間舛添要一そのものを是非前面に出して国民のために頑張っていただきたい、人間舛添要一ここにありということを是非今日の審議の中でもお示しをいただきたいと、こういうふうに思っているところであります。  本題に入ります。  厚生労働省のホームページに「子どもQ&A」というのがございます。そして、年金説明を丁寧にしております。それを少し紹介しますと、公的年金は、二十歳以上六十歳未満の国民すべてが加入し、保険料を納めて、年を取るなどによって収入がなくなったときに毎年決まった額を定期的に支払う仕組みです、働いている若い人が皆でお年寄りの生活を支える社会全体の子供から親への仕送りの仕組みがあることによって、若い人も年を取った人も安心して暮らすことができますと、こういうふうに書いてある。非常にいいことが書いてありますね。  しかし、これを読んだ子供たちが、消えた年金とか宙に浮いた年金記録がたくさんある、先ほどの内藤委員質問でもその辺については詳しく指摘をされたところですが、こういう子供たちに分かりやすい言葉大臣としてはどういうふうにこの消えた年金記録を御説明になるんでしょうか、お聞きをしたいと思います。
  42. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 私たちが子供のころに年金について教育を受けたという記憶は私にほとんどありません。そして、若いときにもう少しこういうことをきちんと教えていただいていたならば、我々も、私ももっとしっかり、例えば二十歳代のときも年金についてもっと関心を持っただろうと、そういう意味でキッズページということで、今委員が御紹介になったようなページでお子様の方々にも分かるようにというので書いております。  この年金記録問題というのをどういうふうに解説するかということでありますけれども、それは、昭和十七年に厚生年金始まりました、その後いろんな年金制度ができましたけれども、社会保険庁という組織がこれを担当していた、しかし、それぞれの時代においてきちんと国民のために働かないといけない、そういうことを忘れて自分が先送りすればいいというような感じでやったことのツケがこういうことになったと。  それともう一つは、やはり、先ほど内藤委員がおっしゃったように、基礎年金番号というのがなかったものですから、それまでいろんな複数の番号が出てきたりした。だから、やはり私は、今後は、例えばアメリカのようなソーシャル・セキュリティー・ナンバー、社会保障ナンバーは、子供の生まれたときからあなたはこの番号ですよと付いてくればこういうことがなくなりますから、長期的にはそういうことも含めて改善をしたいと。しかし、これはやはり社会保険庁という組織がきちんと仕事をしなかったツケがこういうところに来ていると。  その他まだ様々な問題がありますので、それはまた時間掛かりますからお答えは省略いたしますけれども、そういうふうにきちんと説明をしたいと思います。
  43. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 難しい問題があった、過去長い歴史の中でいろいろ積み重なったものがあるということは、子供たちにも通じると思います。  子供たちというのは非常に単純明快であります。宿題をやってこい。宿題やります、できますと答えた、しかしできなかった。そのことをどういうふうにお互いに認めるかというところだというふうに思いますね。それで、やっぱり宿題ができなかったことを頭ごなしにできなかったじゃないかと責めるだけが能ではないんですね。やっぱり、宿題がどうしてできなかったか、あるいはどんなところが難しかったのか、どういうふうに工夫したらできるのか、あるいはそもそもこれはできることなのか、それを一緒に考えていくことが人と人のつながりの姿なんですよ。  そういう意味で、今朝も内藤委員からそういった指摘があったわけですから、そういうものをきちっととらえる中でやはり反省に立って次のステップを踏もうと、こういうことが大事だというふうに私たちは常に申し上げているところでありますから、そこのところをしっかりと人間舛添要一氏を前面に出していただきたいというふうに私は思っております。  それでは次に、今日、私は新たな消えた年金というものについて申し上げたいというふうに思っております。これは、五千万件の消えた年金記録問題に勝るとも劣らない大変重要な第二の年金記録問題だと私は感じています。実は、大臣、覚えておられると思いますが、先々月の二月の四日、当予算委員会で蓮舫議員がそれについて質問をされて大臣もお答えをいただいたことでありまして、そのことを今日はおさらいをしながらその真相に迫ってみたいというふうに思っております。テレビを御覧になっていらっしゃる国民の皆さんも是非よく聞いていただきたいと、こういうふうに思っております。  年金が、自分の年金記録がどうもおかしいということが気付いた方は社会保険庁に申出をします。しかし、社会保険事務所ではらちが明かない、これは駄目だということになれば、その案件は今第三者委員会というところに持ち込まれますね。この第三者委員会が審査した結果、どうもこれは社会保険庁が過ちを犯している、そして、だからこそ社会保険庁長官に対して記録を訂正しなさい、そして給付をきちっとしなさいということをあっせんした事案というのがたくさん出てきておりますね。そのことを二月の四日にも指摘をしたところでありますが、総務省にお伺いをしましょう。  第三者委員会で相談を受けた厚生年金の事案の中で、あっせんされた事案三というものはどういうものか、要点のみ是非御説明をいただきたいと思います。
  44. 関有一

    政府参考人(関有一君) お答え申し上げます。  お尋ねの事案は、平成五年一月から同年十二月までの厚生年金記録につきまして、標準報酬月額が五十三万円から二十万円に引き下げられていることが納得できないとして申立てがあったものでございます。  本件につきましては、申立人が五十三万円の標準報酬月額に相当する保険料を控除されていることが厚生年金基金の記録それから給与明細書から確認できます。また、事業所が適用事業所でなくなった日、これ平成六年の二月一日でございますけれども、その約二か月後の平成六年四月七日付けで申立人に係る年金記録平成五年一月にさかのぼって引き下げられております。  第三者委員会といたしましては、社会保険事務所においてこのような処理を行う合理的な理由がないと判断をしたところでございまして、申立期間に係る標準報酬月額につきまして事業主が当初届け出た五十三万円とするようあっせんが行われたものでございます。
  45. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 今の事案の中で大切なことは、社会保険庁が行った処理、これは合理的な理由が見当たらないということ、それからもう一つ、社会保険事務所において事実に反する処理が行われたことが認められるということをちゃんと言っています。  それでは次、地方の第三者委員会である千葉厚生年金の事案一というのはどういうものか、もう少し簡単に説明してください。
  46. 関有一

    政府参考人(関有一君) この事案は、平成十年四月から十二年三月までの厚生年金記録につきまして、標準報酬月額三十八万円に相当する保険料が控除されているにもかかわらず、標準報酬月額が九万八千円になっていることが納得できないという申立てでございます。  本件につきましては、この三十八万円の標準報酬月額に相当する保険料を控除されていることが確認できますし、申立人の勤務する事業所が厚生年金保険の適用事業所でなくなった日以降の平成十二年五月付けで申立人に係る年金記録平成十年四月にさかのぼって引き下げられておりました事案でありまして、申立期間に係る標準報酬月額を事業主が当初届け出た三十八万円とするようにあっせんが行われたものでございます。
  47. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 これまた、社会保険事務所で不正な処理が行われたという事案でありますね。特に、この場合は九万八千円に減額修正をされていますが、九万八千円というのは標準報酬月額の最低ラインですね。それが九万八千円なわけであります。社会保険庁の、事実に反する処理が行われたということが明確に示されています。  もう一つだけ。埼玉の厚生年金事案四はいかがでしょうか。
  48. 関有一

    政府参考人(関有一君) この事案につきましては、平成七年十一月から九年八月までの厚生年金記録につきまして、標準報酬月額が二十六万円から九万八千円に引き下げられたことが納得できないとして申立てがあったものでございます。  本件につきましては、二十六万円の標準報酬月額に相当する保険料を控除されていることが家計簿などから確認できます。また、申立人の勤務する事業所が適用事業所でなくなった日以降の平成九年九月付けで申立人に係る年金記録平成七年十一月にさかのぼって引き下げられておりまして、社会保険事務所においてこのような処理を行う合理的な理由がないと判断をいたしまして、申立期間に係る標準報酬月額を事業主が当初届け出た二十六万円とするようあっせんが行われたものでございます。
  49. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 次々に出てきますよね。これは特殊な例ではないんですよ、そういった意味でいえば。全国的にそういった事案がたくさん出てきている。ここが問題なんですよ。  自分が知らないうちに標準報酬月額が下げられていた。こういったことが起こった場合、何らこういうあっせんが行われなかったとしたら、受給者は一体どういうことになるのか、社会保険庁長官にお聞きをしたいと思います。
  50. 坂野泰治

    政府参考人(坂野泰治君) 仮に標準報酬月額が実際の報酬よりも低く記録されている場合におきましては、保険料の額もこれに応じて低くなるものの、受給する年金の額は本来受給すべき年金額よりも少ないものとなるわけでございまして、年金を受けるようになってからマイナスの影響が生ずるものと考えております。
  51. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 いやにあっさりと答えられたんですが、これは大変なことだと私は思うんですね。  社員の給料を実際少なく申請すれば、事業主負担分の厚生年金保険料は安くなります。それから、社会保険事務所は厚生年金の収納率をかさ上げすることができる。そういったことが相まってこういった事象が起きているのではないかというふうに心配をされたところですが、問題は、受給者年金がどんどんどんどんと下がってしまう、これこそ消えた年金じゃないですか。  社会保険庁長官としては消えた年金という認識がありますか。どうですか。
  52. 坂野泰治

    政府参考人(坂野泰治君) 標準報酬の引下げは、先ほど申し上げましたように、受給者の権利に大きく影響を及ぼすものでございますので、私ども事務の手続のルールとしては、大幅な引下げ等の届出がある場合は賃金台帳など関係書類を十分チェックをしてその上で引下げ処理を行う、そういうルールにしておるわけでございます。かなり年間多数の標準報酬の引下げのお届けもございますが、私どもそういう形で念を入れて正確かどうか確認をしながらやっておるわけでございます。  ただ、今御指摘のように、第三者委員会のあっせんの中で、私どもの記録と相違をするお申立てがあり、かつそのお申立てについて、例えば私どもが参照させていただいてなるほどと、そういう証拠がないという場合において第三者委員会でそういう結論を出されたと、そういうものであると理解をしておるわけでございます。私ども、第三者委員会からあっせんを受けましたものにつきましては、それぞれの事案について個別に調査をいたしておるわけでございます。
  53. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 長官、消えた年金という認識がきちっとあるかないか、これがこの問題を解決することができるかどうかのポイントですよ。そうじゃないですか。  それで、消えた年金という認識が、あるいは消した年金という認識があるかどうか、簡単でいいですから答えてください。
  54. 坂野泰治

    政府参考人(坂野泰治君) 先ほど申し上げましたように、仮に、実態に照らして、それを不当に標準報酬の引下げが行われていたという場合については受給額においてマイナスが生ずると、そういうことでございます。
  55. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 じゃ、もう一回聞きます。  二月四日の予算委員会で、長官はこの問題について、聴き取り調査を指示した、それに加えて質問票その他の公式な書面による調査も追加したいというふうに答えられた。最初のこのあっせんの事案は、こういった不正が見付かった、そして社会保険庁長官に対してこういうふうにしなさいというあっせんの事案が出たのは昨年の八月二十四日。社会保険庁が五か月間もほったらかしにしておきながら、調査を始めたのはこの一月。いまだにその調査中身についてははっきり示されない。  一体この問題に対してどういう認識を持って、その調査はいつ発表するのか、長官、お答えいただきたいと思います。
  56. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) あらかじめ申し上げますが、答弁は簡潔、明瞭に願います。坂野長官
  57. 坂野泰治

    政府参考人(坂野泰治君) 御指摘のとおり、今年に入りましてから調査を開始しております。聴き取り及び書面による回答を当時の担当者について求めておるわけでございます。なお、その際の調査の内容についても、別の機会に申し上げておりますが、単に担当者のみならず相手方の事業主の方からも事情をお聴きし、場合によれば必要な書類を御提供いただくということをしておるわけでございます。  何分にも古い事案であれば証拠となる書類が既に廃棄をされておるわけでございますので、担当者の記憶その他の材料によらざるを得ないわけでございます。したがって、なお時間を要しておると、そういう状況にございまして、できるだけ早く私どもまとめたいと考えておりますが、そういう事情にあることについては御理解をいただきたいと思います。
  58. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 長官、早くと言っても、政府はほかの面で着々と進めていることがあるじゃないですか。来週には引き去るんでしょう、年金保険料から、後期高齢医療制度によって。消えた年金がはっきりしていないのに、そっち側はもう引き去るんですよ。その調査はあと何年掛かるんですか、じゃ。  舛添大臣、二月四日の委員会でも、大臣は再三再四にわたって調査を加速化させますとお約束されましたね。大臣、どうですか。
  59. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 今おっしゃられたように、きちんと調査をする、その結果不正があれば厳正に対処する、その方針は繰り返し出しているところでありますが、今、少し新聞なんかに報道された案件についても、事業主の方々に、例えばその書類を提出してください、事情の聴取をさせてくださいということを今やっているんですけれども、なかなか事業主の方の御協力を得れないというようなこともございますので、引き続き全力を挙げて調査を続けてまいります。
  60. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 大臣、じゃ調査が遅れている理由は事業主さんにあるわけですか。そういう意味だというふうに私は聞こえますが、大臣、いかがですか。
  61. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 今申し上げましたのは、新聞に報道された件について例えばこういうことがあるということでありますので、これはもちろん社保庁の職員、社保庁の中の書類、こういうこともきちんとやらないといけない。今は標準報酬月額その他給料台帳にまでさかのぼって全部チェックしろということを言っておりますので、そういう作業に少し時間が掛かっているということで、私は、先ほど新聞に実名で告白されて自分はこういうことをやったというのが出た件について例えばということで申し上げたわけであります。
  62. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 長官、もう一度聞きましょう。  事業主さんと話をするのに時間が掛かって遅れているということなんですか。それは、じゃ事業主さんとお会いできていない、あるいはお会いできた、その点についてどうですか。
  63. 坂野泰治

    政府参考人(坂野泰治君) 第三者委員会からあっせんがあった事案について、先ほど申し上げましたように、当時の担当者の調査を行うと同時に、相手方の事業主についても御協力を得て事情を聴取したい、あるいは回答を得たいということをやって、かつ、その事業主のお話を受けて更に当時の担当者、あるいは当時もしかして何か記録が残っているかもしれないという書類の調査などに入っていく、そういうプロセスを取っておるわけでございます。  したがって、単に事業主の方の聴取が遅れているということだけではなくて、全体にそういう証拠収集等について時間が掛かっておると、そういうふうに御理解をいただきたいと思います。
  64. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 総理総理、今こういったやり取りをお聞きになってどういう御感想をお持ちですか。総理は二月の四日のときにもお答えになって、少しだけ時間をくれとおっしゃった、少しだけ。でも、二月からもう二か月もたっているんですよ。どうですか、総理
  65. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) この問題はもう本当に、やっていますと様々な追加的な課題出てきますので、そういう意味で臨機応変でやっております。いずれにしても、この問題も時間を掛けて放置するわけにいかないと思います。もうできるだけ早く解決するべく対応をさせていただきたいと思います。
  66. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 総理、もう一つ、できるだけ早くというのは総理にとってはどれぐらいの期間なんでしょう。
  67. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) これは、どのぐらいの分量があるのか、その辺の把握もできておりませんから、今確たることを申し上げるわけにいかないけれども、しかし、全力を挙げてやるということで御理解ください。
  68. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 第三者委員会が、これはおかしい、これはあっせんする必要があるというふうに認められた事案たくさんあるんですが、その中で、今言われたような報酬月額を改ざんしている、そういったもののあっせん事案の件数は幾らか総務省つかんでおられると思いますが、いかがでしょう。
  69. 増田寛也

    国務大臣(増田寛也君) お尋ねの件数でございますが、今年の三月二十八日現在で十七件ございました。十七件でございます。
  70. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 総理、十七件なんですよ。どれほどあるかって、何万件もある話じゃなくて、まず取っかかりとしてはこの十七件を徹底的に調査をして、一か月以内ぐらいに結論を出すというふうにおっしゃるのが総理としての責任じゃないかと思うんですが、いかがですか。
  71. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 十七件限定ということであるなら、物理的に可能な範囲でもう大至急やらせたいと思います。
  72. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 可能な範囲と、あるいはできるだけ加速化すると、こういうような答弁でこれまでずっとごまかされてきたという気持ちが私たちにはあります。ですから、その辺りを国民の皆さんにきちっとした形でその姿勢を示すということを是非やってほしいというふうに思っております。  委員長にお願いをしたいんですが、この第三者委員会で明らかになった不正改ざん事案の調査、もう既に社会保険庁も取りかかっているというお話がありましたが、調査をした日時、調査の内容、調査の項目、調査の方法、調査の回答期限、調査の担当部署、調査の公表予定時期、こういったものについて直ちに予算委員会に提出をしていただきたいと私は思うところでありますが、委員長にお取り計らいをお願いしたいと思います。
  73. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) ただいまの発言につきましては、後の理事会において協議をいたします。
  74. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 それでは、一体なぜこのような事案がたくさん出てくるのか。  これは当初から言われていたことがありました。つまり、社会保険庁の職員が関与をしているのではないか。つまり、事業主が一人で勝手に判断をして勝手に書類を書き換えてやれることではないということが当初から言われていた。これが問題だったんですね。  そこで今日は、その真相に迫る新聞記事が出たので御紹介をしたいというふうに思います。(資料提示)  三月十六日付けの毎日新聞のショッキングな記事が今お手元に、皆さんにお配りをしているものであります。「年金滞納解消 やっぱり不正」と題したこの記事は、社会保険事務所が主導して標準報酬月額を少なく改ざんしたとの証言を紹介をしている。  長官にお聞きをします。これは事実でしょうか。
  75. 坂野泰治

    政府参考人(坂野泰治君) 私ども、この事案について当時の担当者から今ヒアリングをしておりますが、同時に、今御指摘の新聞記事に係る事業主の方が別の場所で証言もしておられるということでございますので、私どもとしても、この事業主の方にできるだけ早くお目に掛かって、詳しく事情なりあるいは関係の書類の御提供なりを聴きたい、あるいはいただきたいということでお願いをしておるわけでございます。  どういう経緯でそうなったのか、これもやはりきちんと事実に照らして確認をする必要があると考えております。
  76. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 また事業主との話ですか。そうやって、ずっとずっと引き延ばして。  事業主、この記事の経営者と言われる人は、御自分の不徳を反省するとともに社保庁の不正実態にメスを入れたいという、そういう思いを持って勇気を持って実名を公表されたわけであります。  先日、我が民主党の厚生労働・総務の合同部門会議に出席をされて、その胸のうちを語っていただいたところであります。その場に社保庁の職員の方もいらっしゃった。目の前でお話を聞いて、そして面と向かってお話もできた。事業主がどこか逃げ回っているという話でもありません。  ここではこの経営者の方の勇気に敬意を表してお名前は伏せておきますが、ちょっと中身を紹介をさせていただきます。  一九九五年、バブル崩壊のあおりを受け資金繰りが厳しくて、厚生年金事業主負担分を分割で払っていたにもかかわらず滞納し、督促を受けていました。社会保険事務所から呼び出されて、二回目の分割を願い出たところ、それはできないと断られた。払えないというならやめてもらってもいいですよと脱退を促されたというところであります。  長官、社会保険事務所は脱退を促すものなんですか。長官、お答えいただきたいと思います。
  77. 坂野泰治

    政府参考人(坂野泰治君) この事業主の方の、そういうお話のようなことが本当にもしあったのであれば、不適正な事務の処理であるということになるわけでございます。そこで、当時の担当者に今きちんと説明を聴いておるという状況でございますけれども、まだ確たる事実が得られておりません。そこで、事業主の方に私どもかねてから、事情の御説明をお願いしたい、あるいは関係のある書類の御提供をお願いしたいということをお願いをしていた、そのプロセスの中で、先ほど御指摘のように、民主党の部門会議に出てこの事業主の方がお話があったということでございます。  私ども、この事業主の方については引き続き、今申し上げた説明なり書類の提出の御協力を得たいと思っております。この社長さんだけのことではなくて、当時の会社の従業員の方々の状況も併せてきちんと把握する必要があると考えておりまして、引き続きそのお願いをしてまいりたいと考えております。
  78. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 これは、どういうことが行われたか明らかでないのできちっと調査をするという手合いのものではないんですよ。なぜかというと、社会保険庁の職員が脱退を促した、あるいは、そういったことを勧める書類を書いた。つまり、社会保険庁職員が関与をしていたと、こういうことじゃないですか。そこが一番問題なんですよ。事業主が休業とかあるいは倒産とかしたから未適用事業者の申請をするというなら話は分かる。しかし、社会保険事務所からそのことを促された、そんなことがあっていいんですか。  問題点の二つ目。社長は再度呼び出されて事務所に行った翌日に、社員全員が退職になっている被保険者資格喪失確認通知書などが既に全部書き込まれて用意されていて、判こを押すだけになっていた。  問題の三点目。次の資料を見てください。(資料提示)この書類は二つのものが切り張りをして一つ資料に作ったものですが、五十三万円だったこの方の標準報酬月額を一年四か月さかのぼって十一万円に訂正をしたという書類であります。少しコピーの精度が悪いので分かりにくいかもしれませんが、上の表の左の方を見ていただくと、この人の報酬月額、給料は九十三万円だったということが分かります。そして、そのときの、その表の右側を見ていただくと、五三〇というのが見えると思いますが、これが標準報酬月額として認定をされた五十三万円なんですね。これを基に保険料は計算をされていると。しかし、これは取消しをされた、それも六年の十月にさかのぼって取消しをされた。その下の表を見てください。この人の給料は十一万円になっています。そして、標準報酬月額も十一万円になっている。つまり、五十三万円だった標準報酬月額を十一万円に一年四か月さかのぼるとこの会社の滞納分二百三十万円が相殺をされたと、こういう形になっているんですね。こういう仕組みなんですよ。そうすると社会保険事務所の収納率はアップするわけです。未収はなくなるわけですね。これを改ざんと言わずして何と言うんですか。長官、お答えいただきたい。
  79. 坂野泰治

    政府参考人(坂野泰治君) 標準報酬の引下げあるいは資格の喪失、例えば倒産、その他の事実については、これはやはりきちんと本来の事実あるいは実態に照らして処理をするというのが私どものルールとしているところでございます。したがって、そういうルールに反した処理が仮にあるとすれば、それは私どもとしてはルールにかなっていない不適正な処理として処理をすべきものだと考えております。
  80. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 長官、この処理を行った職員がどなたであるか、長官は御存じですね。イエスかノーでお答えください。
  81. 坂野泰治

    政府参考人(坂野泰治君) 当時の千代田の事務所の職員であると承知をいたしております。
  82. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 現在どこで働いておられるかも御存じですね。
  83. 坂野泰治

    政府参考人(坂野泰治君) ちょっと今私、確たる資料を持っておりませんが、都内のほかの事務所に転勤をしておる、立川の事務所ではないかなと思いますが、ちょっとこれは確認をしたいと思います。
  84. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 御存じじゃないですか。その立川で現職で働いているということを答えるのはそんなに時間要るんですか。  実際に公務員がこういったうその記録、事実に基づかない記録、そういったものを書類に書き込んでそういった処理を行う、うその記録をした公文書を作成したというふうに見られると思いますが、法務省に聞いてみたいと思います。一般的には公務員がこういったことをした場合はどういうふうになるんでしょうか。大臣にお願いします。
  85. 鳩山邦夫

    国務大臣(鳩山邦夫君) こういう事案が事実であるとするならば、それは九十三万円の月給を十一万であったかのようにうそを書くとすれば、これはもうとんでもない、許すことのできないことでありますが、法務大臣という立場は個別具体的な事件についてコメントはできないと、こういうことでございますから、これは例えば捜査当局であるならば法と正義と証拠に基づいて適正に判断をしていくだろうと思います。  ただ、一般論として申し上げれば、公務員がその職務に関し行使の目的をもって虚偽の文書を作成した場合には虚偽公文書作成罪が成立をします。ただ、紛らわしいんですが、これは権限を持っている人が作った場合、うそを書いた場合は虚偽公文書。で、このもし権限がないとこれは偽造ということになりますが、罪は両方とも同じでございます。
  86. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 法務大臣、私、今非常に重要なことをお答えいただいたんではないかと思うんですよ。権限がある者が認めた場合、あるいは権限がない者が書類を書いた場合、こういったものについてしっかりと追及をしなきゃいけないということは今大臣から御指摘をいただいたんじゃないかなというふうに思うんですね。だからこそ、担当職員を即座に調査をして、これが担当職員一人のことだったのか、事務所が組織的にやったのか、あるいは社会保険庁が全国的にやったのか、このことを追及しなきゃいけないと私は思うんですよ。舛添大臣、どうですか。
  87. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 今委員がおっしゃったように、こういう件についてはきちんと調査をして、事務職員に対しても、それから事業主に対しても、そしてその結果に基づいて、今法務大臣がお答えになったように法律と証拠に基づいてきちんと厳正に対処すると、そういう方針でございます。
  88. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 舛添大臣、私は非常に残念だなと思うのは、舛添大臣がお答えをいただくときには、やります、できるだけ早期にやります、いつもそうおっしゃる。だから、このごろはやるやる詐欺だと、こういうような陰口さえ聞かれるんですよ。これは与野党を問わず大変残念なことじゃないですか、やっぱり。だから、少なくとも、ここに問題がやっぱりあるんだということであれば、それを期限を切りながら誠心誠意そのことを調査をしてみんなの前に明らかにして、そして対応策を考えようと、こうおっしゃるのが私は大臣の責任だと思うんですが、大臣どうでしょう。
  89. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) きちんと指示を出しておりますので、一日も早く今委員がおっしゃったように結果を出したいと思います。  そして、是非御理解いただきたいのは、やはりきちんと証拠というものを確立しないといけないんで、是非これは事業主の方にも御協力を賜りたい、そして事務職員に対してはこちらできちんとやっていきたいと思います。
  90. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 いや、ここは大臣のお言葉を信じたいと私も思うんですが、ただ、実際に三月二十五日に、この先ほどお見せをした新聞の報道、ある方が実名公表してこういったことが麹町の社会保険事務所で行われたということがはっきりして、それに対して三月二十五日に大臣は記者会見をしておられまして、それが事実だとしたら絶対許せないと、即刻調査をして対処するとお約束をされたと。  新聞報道からもう既に三週間、記者会見から二週間。大臣は、今おっしゃったけれども具体として何もはっきりしていないんじゃないですか。それはどうですか。それについてはどうですか。
  91. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 今きちんと調査をしているところでございますので、その調査の結果はまだ私には上がっておりません。それが今の現状です。
  92. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 それでは、私申し上げたいと思います。  長官、この職員にきちっと聞きましょう、参考人としてお呼びをして。どうですか、長官
  93. 坂野泰治

    政府参考人(坂野泰治君) 議院として御判断をいただく問題であろうかとは思いますけれども、私どもとしては組織として調査をし、組織として明らかにしてまいりたい、このように考えておるわけでございます。
  94. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 では、組織としてというふうにお答えがありました。  じゃ、私は委員長にまたお願いをしたいと思います。  この担当者、その職員とその当時の事務所の所長、そしてその当時の社会保険庁長官、組織としてここに来て事実をお話をいただきたい、参考人としてお呼びをしたいというふうに思いますが、委員長、いかがでしょうか。
  95. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) ただいまの件につきましても、後の理事会において協議をいたします。
  96. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 ここまで来ると、先ほど報酬月額の改ざんだけで十七件あるとおっしゃった。それから、資格喪失の件数もかなりあろうかと思われます。また、脱退手当金が支給されたと言われて、実際受け取っていないという方がたくさんいらっしゃると。  こういった問題というのは、実は消えた五千万件の中の話じゃないですよね。つまり、基礎年金番号が確定をして、この人の年金ですよということが分かっている二億五千万件の中のデータのお話ですよね。約一億人の年金を払っている人、受給者合わせてのその話、その中のデータがおかしいと言っているんだから、これが問題ですよ。つまり、五千万件だけじゃない、二億五千万件のデータも間違っている可能性があるということを、いや、間違っていたということをはっきりと証明されているわけですよ。  だから、私は、先ほどから内藤委員もおっしゃっていますが、サンプル調査だけでもやらないと全体像をつかめませんよ。このままだと日本の年金制度が崩壊しますよ。実際に信用は失墜じゃないですか。はっきり調査をしましょう、サンプル調査だけじゃなくて、私は全数調査をお願いしたいと思いますが、大臣、どうですか。
  97. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 標準報酬月額の届出というのは一年間に約四千万件ございます。そして、今取りあえず総務省の第三者委員会に上がっているこの標準報酬月額の改ざんという可能性があるかもしれないというのは百六十件ぐらい上がってきていますので、これは総務省と協力しながらまずこの点を解明し、そして今委員がおっしゃったように、どのような形でサンプル調査も含めてやるのか。  私は、先ほど来内藤委員にも申し上げていますように、一億人の年金記録を十月までに確立する形で何とか大きな解明につなげたいと思っています。というのは、年間四千万件ですから、それをまずコンピューターで捜査するというのは、これやっぱりプログラム、相当時間と手間暇掛かります。それから、目視でやるのは非常に、当然ながらもっと時間が掛かります。  そういう状況を踏まえた上で、今そういう不正である可能性が上がってきたものについて取りあえずそこを突破口としてやっていきたいと思っていますので、この事務処理、なるべく加速化させるように更に今日また指示を出したいと思います。
  98. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 大臣はまたもや空約束をされているような気がしてなりません。今年の十月までに必ず皆さんのお手元年金記録、ねんきん特別便をお送りをしますと、こういうふうにおっしゃった。本当に必ず全員に行きますか。そうでない可能性だってあるじゃないですか。また、住所が変わっていて見付けられないからとか、何かコンピューターにデータ入力された以後に名前が変わっていて届かないとか、またそんなようなことの理由が並べ立てられて十月に届かないというようなことがあるんではないかと、これは心配するところです。  それで、実際に今全数調査を行っていただきたい、そうでなかったら大変だということを申し上げた。しかし、その全数調査を行うという一方で、私は大きな手掛かりがあると思うんですね。それは何か。  ねんきん特別便にもしも御自分の標準報酬月額あるいは自分の給料がこれくらいだったという情報があったら、これ自分で見付けやすいじゃないですか。今のねんきん特別便じゃ全く分からないでしょう。だから、自分の年金額が不当に減らされていても、あるいは自分の支払っていた、当時の現職時代の払ったお金が不当に下げられていたという可能性があるというところが今問題になっているわけですよね。そのことを見付けるためには、年金受給者年金を払っている国民の皆さんに協力してもらうというのが一番早いじゃないですか。  そういう意味からすると、ねんきん特別便にそういった情報を書き込むということが私はベストな策だと思いますが、いかがですか。
  99. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) ねんきん特別便に標準月額を書くことが今スケジュールとして進めているのは、二十一年四月からについてはすべてそういうふうになります。これを前もってやろうとしますと、少しやっぱり今のコンピューター事情を考えて、稼働の問題、それから特にシステムの作成の問題がかかわります。しかし、今電話を掛けていただいて、例えば私の標準報酬月額幾らになっていますかというと、そこでコンピューターをたたいてお教えするということができるようになっていますので、是非それを御利用いただきたい、二十一年四月までは、そういうことでございます。  そして、今受給されている方についていいますと、基本的には、裁定をして御本人と年金の担当者とでこれを見て、これは過去チェックして、こういうことで裁定してお幾らですということで計算をしていますから、基本的にはその場で不正があれば見付かることになっています。  ただ、何度も申し上げますけれども、そこで人間のやることですからミスがあったりすると。それで、そういうことも含めて、これは二十一年四月からきちんとやります。そして、今、水岡委員のみんなが協力すればと、それは是非お電話いただければお電話でお答えができるようになっております。
  100. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 いや、電話を掛けたら、それはつながればお話ができるでしょう。今つながらないんですよ。つながらないです。  私、今日資料の中に一枚入れましたが、ねんきん特別便が届いたら、ねんきん特別便専用ダイヤルへすぐお電話をください。この電話でつながるかどうか、大臣、一度お掛けになったらどうですか。つながりません、ほとんど。  そして、事もあろうにこの電話有料ですよね。この電話有料ですよね。ねんきん相談ダイヤルというのは無料だったのに、なぜこれは有料になったんですか。いつから国民が負担しなきゃいけないような形に変わったんですか。これについてお答えいただきたい。
  101. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) これもいろいろ考えました。もう基本的には無料にするかどうかということですけど、ただ、一気に物すごい量の今、大変申し訳ない、電話が掛かりにくくなっています。今、これは改善をやっていますけれども、オペレーターの養成にも時間掛かります、いろんなことがございますけれども、今努力はしております。  そういう中で、例えば掛けられる、そして無料にした場合に、これは前のダイヤルの場合そうですけど、非常に長電話におなりになる方がおられたりとか、それからいろんな本当に電話が掛かってきます。それで、もう本当に申し訳ないんですけれども、約八円ですかね、要するに市内便と同じ約八円、八・何円かだと、ちょっと具体的にあれですけれども、十円以内で済む。そして、もし電話をやっていて長くなって、これはもう少し具体的に細かく議論しないといけないときには、こちらからお掛け直ししますので、今お電話番号下さいますかと言ってすぐお掛け直しをするようにして、八円ぐらいのこの御負担も申し訳ないと思いますけど。  ただ、これだけ電話のキャパシティー、一生懸命やっていますが、掛かりにくい状況で、これは私がそういう判断で、ここは全体を見たときにこの十円弱の御負担願いますけれども、これで何とかやっていきたいと、そういう決断をしたわけでございます。
  102. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 大臣、これを有料にするということの合理的な説明じゃないですよ、今のは。それから、携帯電話で掛けるともっと高いですよね。何でそういうことをちゃんと丁寧に書かないんですかね。厚生労働省がいろんな広報活動しますけれども、どんどんと親切さが失われているじゃないですか。それに加えて、社会保険庁の職員が関与をして、刑事罰を問われるような内容があるかもしれないと言われている。そして、年金が、消えた年金かあるいは消された年金かというようなことまで今論議をされている。  総理、今のお話、消した年金かもしれない、そしてそのことを問い合わせるのにもお金が国民にかかる。携帯はもっと掛かる。そして掛かればまだまし、掛からない。そして社会保険庁の事務所に行けば六時間待ち。一体これはどうなんですかね。大臣がやろうと思ってもできないのは総理がお止めになっているんでしょうか。総理としてはこの問題を消えた年金として決定的な対策を練るというお考えはありませんか。どうですか。
  103. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 社会保険事務所に行って六時間待つとかいったようなこと、現実にあるんですね。そういうことを見ていまして、ああ何とかならぬのかなと、こう思いますよ、正直申しまして。自分が行って六時間待たされたらそれはもうたまったものじゃないと思いますけれども。しかし、それがある日ある時間に集中するとかそういうようなこともあるのでありまして、常時そういうことが起こっているというようでもない。ただ、場所によりましてそういうことが多いというふうな地域もあるというふうなことは聞いておりますので、そういうところはできるだけそういうことがないように改善する、そういうきめの細かい配慮をすべきだというように思います。今の電話のこともそうなんですが、悩ましいことではありますけれども、できるだけ国民の立場に立って考えるということは基本であるというふうに思いますので、改善に改善を重ねてまいりたいと思っております。
  104. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 総理、本当に国民の皆さんはもう年金を受け取られる年齢になったとしても、実際に平和で豊かな生活ができる人ばっかりじゃないんですよ。日々何かの仕事をしながら、日銭を稼ぎながら生活されている方だっていらっしゃるわけですから、六時間、七時間並ぶということになると一日パアになっちゃうんですよ。そして、はっきりそれが結論が出なかったらもっと大変なことになる。そういったことを考えれば、決定打をやっぱり総理の在任中に打っていただかないとこれはどうにもならないと私は思うんですね。そして来週からは後期高齢者の医療制度の引き去りが始まる。  同僚の山井議員のところに手紙がある高齢者の方から届いたそうです。脱退手当金を受け取っていないのに受け取ったとされている問題は第三者委員会で審査中です。でも結論がまだ出ません。だから厚生年金は受け取れないで困っています。どうして年金記録不明が解決しないのに医療保険料をわずかな年金から天引きされてしまうのか全く理解できない。今、介護保険料などを引くと月四万六千円しかない中で、それから光熱水費も引かれるし、その上に保険料を引かれるとどうやって生活すればいいのか分かりません。こういう話なんですよ、総理。これいかがですか。
  105. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) いろんな今のようなお声も私もちょうだいをしております。しかし、全体のこの制度設計を考えるということと、やはり何としても国民皆保険を続けていきたい、そして個々の、これはいろんな計算の仕方にもよりますけれども、一般的な平均を取れば個々の方々の保険料の負担は例えば二千八百円が千円になるという形で下げられる、そしてまた非常に困った方については生活保護であるとか様々なこの減免措置がございます。それから政府与党において様々な凍結措置もとってございます。  それから、もう時間ございませんからそのケアの中身については今はもう省略いたしますけれども、そういうトータルなことを考える、そのときにそれぞれの個々の場合にいろんな御不満があったり御不安があったりすると思いますが、それに対してはきちんと市町村の窓口で対応するように、こういう指示をしておるところでございますので、是非国民皆保険を守ると、そういうことのために御理解をいただければ幸いでございます。
  106. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 総理にも舛添大臣にも是非お伝えをしたいと思うのは、私たちは何もこの年金問題を政争の具にしたいなんて思っていないんですよ。誤りをどこかで認めて反省をしないことには、これまでのやり方を見直すことにならないでしょう。これまでのやり方でずっとやっていたら解決できないということがもう明らかなわけですよ。だから、お互いに何が問題だったかを真摯に話し合いましょう。解決の方法はこういう方法があるじゃないですか。やはり、お互い自分たちの身内の中の恥をさらしたり、あるいは罪を明らかにしたり、大変なことかもしれないが、国民のためにどこかで私たちは毅然とした態度を取りながら解決の道を探っていく。私は、総理、そう思うんですよ。  総理がせっかく今日もここにお座りになっている、だから、この後の仲間の同僚の議員の質問にも是非真摯に答えていただきたい、このことをお願いをして私の質問を終わりたいと思います。
  107. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 関連質疑を許します。富岡由紀夫君。
  108. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 民主党の富岡由紀夫でございます。  今日は、同じ群馬出身の一員として福田総理大臣質問させていただく機会をいただきまして本当にありがとうございます。総理のことは私は個人的に非常に尊敬しているんですが、今日は立場上かなり厳しい質問をさせていただくことになると思いますけれども、どうぞよろしくお願いしたいと思います。  さて、いよいよガソリン税が下がりました。一リッター当たり二十五円下がったということで、大きな混乱もなく国民は非常に、おおむね受け入れていると、喜んでいただいているというふうに思っております。  ただ一つ、私、この下げるまでの間の予算委員会での質疑の中で非常に気になったことがございます。それは、一リッター当たり二十五円ということで、総理がそんなちまちましたことを議論していてもしようがないんだと、もっと大きな議論をすべきだというような発言をされたことがございました。総理にとっては一リッター当たり二十五円というのはちまちましたことかもしれませんけれども、国民にとっては非常にこれは大きな問題でございます。四十リッター入れると千円違ってくるということで、今いろんな物価が上がってきている中で、給料が上がらない中で、可処分所得が減っている中で、国民にとっては非常に大きな影響を及ぼしているというふうに思っております。  総理は、恐らく、多分自分でセルフのガソリンスタンドで給油をされたことはないかというふうに思いますけれども、このガソリンが暫定税率が下がったことの経済効果をどのように見ていらっしゃるか、総理から是非御意見をお伺いしたいと思います。
  109. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) ガソリン税が二十五円税金下がるんですから市場価格でも二十五円下がるだろうということだと思いますけれども、これ、まあ朗報ですよね。これは自動車のユーザーからすれば朗報ですよ、まさに。  今、ちまちましたお話だと、こういうふうに言われたようですけれども、私、そんなふうな表現したことはありません。この場にそういう、このことの例としてそういう言葉を使ったことはありません、それは議事録で見ていただきたいと思いますけれども。これはちまちましていない大きな問題ですよ。ですから、これは大いに議論しなければいけない問題だと思います。  ただ、下がって、そしてその結果どうなるかということを考えていただかなければいけないわけであって、下がることによって一体何が生じているのか。それは、ユーザーは喜んでいます。それはもう事実です。しかし、給油所もその値段をどういうふうに付けるかというようなことで大変頭を悩ます。場合によっては損も覚悟でやらなければいけないというようなこともあるんだろうというように思いますけれどもね。そういう流通面における混乱をもたらしたということも事実でしょう。  それと同時に、これからいつまで、いつまでそういう状況を続けるのか。いつまで続けるんですか。いつまで続けるんですか。そういうことも考えてこの大きな問題かどうかということも論じなければいけない。今年度はずっと下げるというんであれば、当然税収にその欠陥、穴が空くわけですね。そのことがどういう影響を及ぼすかということも当然考えなければいけないわけですね。日本全国に影響を及ぼす。そして、その全国に影響を及ぼした結果が日本の経済にどういう効果を及ぼすか。  この一年だけで考えれば、これは税金が安くなったから減税効果で良くなると、こういうふうに言われるかもしれませんけれども、この一年だけを考えた場合には、これは、最近ある民間の研究所が出した数字では、GDPを〇・二%引き下げると、こういうふうな結果を出しておりますけれども、私は必ずしもいい効果を及ぼすと思っておりません。特に各地方自治体においていろいろな計画が実行できないという意味において、地域経済に混乱をもたらす、地域経済の足を引っ張る、そういう可能性は十分にあるわけですから、そういうことを考えても、必ずしもいい効果を及ぼさないというふうに私は思っております。
  110. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 今民間の調査の見込みのお話がありましたから、私もその調査を引用させていただきますと、今のお話は二・六兆円の財源がなくなって公共工事がすべて減ったときのケースでございます。その場合は、確かに最初の一年目、GDPが〇・二%引き下げる効果があります。しかしながら、その調査でも、三年後にはGDPベースで四百六十億円のプラス効果が出ているというふうに思っています。そういう調査が出ているんですね。それは公共工事が全部ない場合。ただし、そんなことは現実的には考えておりません。  先ほど、財源の問題が今お話ありましたから、財源は幾らでもあるということをこれからちょっとお話しさせていただきたいと思いますが、その財源を使って公共工事をちゃんと今までどおりやった場合はどうなるかというと、一年目からその今の民間会社の調査ですと九千三百億円のGDPの押し上げ効果があるということでございます。プラス〇・二%です、率でいうと〇・二%。二年度目、三年度目でいきますと、二兆二千六百億円、三年目で三兆円、GDPでそれぞれ〇・四%、〇・五%の引上げ効果があるという調査結果が出ているんですね。これは、暫定税率の引下げによって国民経済、GDPがマイナスになるということを言っているんじゃなくて、私は非常にプラス効果があるんだというふうにこれは示しているんじゃないかというふうに思っております。  そして、暫定税率二・六兆円足りなかったというところでありますけれども、私は幾らでもあるというふうに思っております。いつまで続けるのか、これずっと続けるべきだというふうに思っております。その点、総理、いかがでしょうか。
  111. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 財源は減税してもその分埋め合わせるものがあるということであるなら話は別ですけれども、しかし今年は、今私が申しましたように、民間の研究所によっては〇・二%GDPを下げる、来年、再来年も続けるということになれば、じゃ、減税ずっと続けるわけですね。じゃ、その必要ないろいろな措置、社会保障もどんどんこれから増えますよ。そういったようなことは一体どうやって財源手当てをするのか。赤字国債を出すというようにおっしゃるんでしょうか。その辺をよくお聞きしないと分からない。どこかから出てくるというんですけど、一体どこから出てくるのかよくお教えいただきたいと思います。
  112. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 財源について今お話ありましたんで、私もいろいろと調べてまいりました。  幾らでもあるんですね、いわゆる埋蔵金みたいなお話もございます。  例えば、外国為替資金特別会計の積立金、いわゆる埋蔵金でいきますと、今、平成十八年度末でも十五・六兆円ございます。そしてまた財政融資資金特別会計、これの変動金利準備金、積立金ですね、これも今十五・三兆円ございます。  これらはどうしてこんなに積み上がるかというと、例えば外為特会の積立金については、毎年三兆円、三・五兆円、三・六兆円等々利益が上がっているんですね。その利益の分を積立てして、今積みに積み上がって、現時点では十七・五兆円ぐらいあるということでございます。こういったものを取り崩して使えば、私は十分財源を補えると思っています。  そして、先ほど申し上げましたもう一つの財政融資資金の特別会計、これも金利変動準備金として十五兆円ほどございます。二十年度末には二十兆円になるということでございます。毎年三・六兆円、二・六兆円、二・一兆円の利益が上がっておりまして、その積み立てた金額が二十兆円ということでございます。今年度はそのうち九・八兆円を一般財源に入れるということで予算の中で書いてありますけれども、そんなことない、もっと入れるべきだと私は思っております。二・六兆円ぐらい幾らでも埋蔵金掘り出してくれば出てくると。  今日も新聞に出てましたけども、財務省は金貨で五十七億円出てきたということでございますけれども、ほかにもたくさん埋蔵金を掘れば掘るほど出てくるんじゃないかというふうに思っております。  さらに、まだございます。税制改正、平成十一年のときに所得税の税制改正をして定率減税を導入したときに、実は所得税の最高税率も引下げをしております。今まで五〇%だった人が三七%になったり、六〇%だった人が三七%になったり、いろいろ税制の引下げが、あっ、五〇%だった人が三七%に下げられたり、四〇%の人が三七%に引き下げられたり、所得税のお金持ちの人の累進税率が下げられました。一般の我々国民は定率減税が廃止されて増税されたわけでございますけれども、この定率減税がなくなったときに、この高額所得者の最高税率は戻されていないんですね。こういったところも戻す私は余地があるんじゃないかなというふうに思っております。そういうことによって幾らでも財源は確保できるというふうに思っております。  そういったことを是非考えていただいて、もう財源がないから何もできないんだと、地方にしわ寄せが行くんだと、そういったことじゃなくて、今回のガソリン税の引下げは地方はみんな喜んでいるんです。地方経済の活性化にもなっているんです。是非その点を御理解を改めていただきたいなというふうに思っております。
  113. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これは、特別会計のことについては予算委員会とか各委員会でも議論をされてきたわけでございますけれども、これはもう財務諸表というのは全部オープンになっておりまして、国民の皆さん方にも全部もう明らかになっているものと思っておりまして、埋蔵金的なものはありません。はっきりと申し上げておきます。  特別会計の積立金等については、委員も御承知のとおり、約八割は、八〇%はこれは厚生保険とか国民年金等の保険事業に充てられている、国民の皆さん方にお返しをしなければならない財源であるということをまず御承知おきいただきたいというふうに思っているわけであります。  もちろん、特別会計につきましては、昨年の三月に作られた法律によりまして、できるだけこれは一般会計や国民の皆さん方にお返しをしていく、そういう形をつくって、積立金等については、委員御承知のとおり、財政特融の特別会計からは九・八兆円がこれは国債整理基金、借金の返済に充てられた。それから、おっしゃるように外為特会等を始め特別会計から一・八兆円余りのお金が一般会計に積み立てられたわけでございます。  委員がお話しのその外為特会あるいは財政特融の特別会計のお話でございますが、今円高によって外為特会は十八兆円近くの評価損を来しておりまして、一ドル百一円で計算をしますと、プラス・マイナス・ゼロであります。それは結果的に為替の安定のために必要な金額は積み立てておかなければならない。もちろん運用益が出れば一般会計にそれは出させていただいて国民の皆さん方に使っていただくことでありますけれども、今、今申し上げましたように、積立金は全くゼロであります。差引きゼロの段階であります。  それから、財政投融資特別会計については、従来の郵貯とか年金の払戻しが終わりましたものですから、そして一時は四十兆円ぐらいの財投債を発行しておったんでありますが、これからはやっぱり我々はそういうものの金利リスク負担が少なくなっていくだろうということで、その変動リスクの金利の水準を引き下げた結果、九・八兆円の余剰金を生み出すことができて、それを国債整理基金に充てることができたわけでございまして、今後、やはり運用の中で、それは余剰ができればできるだけ一般会計に流して国民の皆さん方に使っていただこうということでありますけれども、これは必要な会計の中でできるだけ運用をして活用していただくということ、しかもなおかつ、会計とか財務諸表は全部オープンになっているということ、そういうことでありますから、是非国民の皆さん方にも御理解をいただきたいということでございます。  それから、定率減税の云々でございますけれども、この話もいろいろとありました。この景気が下振れになっていくときに減税をしたらどうだという意見もありますけれども、これはアジア通貨危機、日本の金融危機の直後に、経済を支える、景気を支える意味で定率減税を断行させていただきましたわけでありますが、景気が良くなってきた二〇〇六年、七年に元に戻させていただいたという経緯があるわけでございます。これは国、地方合わせて三・六兆円ぐらいのことだと思いますけれども、これについては、やっぱり当時と比べれば、経済状況も確かにアメリカの経済等の影響で若干下振れのリスクはあるけれども、当時と比べれば日本の経済は緩やかな拡大が予想される中で今減税していいのかということでございます。  減税というのは、やっぱり私は基本的には経済の流れが、国民の皆さん方の受け取り方で、今後も企業の皆さん方の営業は良くなるんだろうか、雇用は安定していくんだろうか、給料は上がっていくんだろうか、そういう長期的な見通しが立ったときに初めて減税の効果というものが出てくるんだと思っておりますから、そういう中でやっぱり我々はきちっと考えた上で政策というものを実行しなければならない。そうでなければいたずらに財政負担を大きくしていくだけである、将来の心配を増やすだけであるというふうに考えるわけであります。
  114. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 非常に長い時間の御答弁いただきまして、ありがとうございます。  今のことについて一つずつ反論は今度、財政金融委員会でさせていただきたいと思います。例えば、さっきの外為特会、そんな含み損あるんだったら、含み損ないように全部売っちゃえばいいんですよ。そんないつまでも持っているから含み損抱えてくるわけですよ。円安のときに何で売らなかったんですかとか、こんなことを後でやりますけれども、そういうのは幾らでもあります。  あと、今の十兆円の、二十兆円のうち九・八兆円は入れたけど、まだ十兆円だって私は多いと思います。今後、金利変動リスクなんかないですから、出てこない。財投に貸すお金と同じ期間で財投債を発行するわけですから、金利の差が出てくるわけないんですよ。そういうふうに財務省だって検討しているわけです。そのためにそういうふうにやったわけですから。そこで十兆円を取っておく必要はないんで、まだまだ引き下げる余地は幾らでもあるんです。ですから、今回、二・六兆円なんか幾らでも出てくると私は思っているんですけれども。  その前に、総理が今後赤字国債でどうするんですかというお話があったものですから、是非ちょっとその点を触れさせていただきたいと思います。  ちょっとこの今年度予算のボードを、歳入と歳出の中身を見ていただきたいと思いますけれども、(資料提示)ちょっとお手元資料をお配りいただきたいと思います。  これを見ると、平成二十年度の予算八十三兆円のうち、歳出の方を見ていただくと分かりますけれども、国債費が二十兆円占めているわけですね。これもう赤字国債、建設国債の債務償還、元利償還のための費用でございます。全体の二四%、約四分の一を占めているわけでございます。  二・六兆円の財源どうするんだというお話ありますけれども、この二十兆円はどうするんですか、これ。だれがこれ作ったんですか。この借金の責任はどこにあるんですか。こういうのがなければ、二・六兆円ぐらい幾らでも財源回せるんじゃないですか、そもそも。そういったことを棚に置いておいて、二・六兆円急に足りなくなったからどうするんだというのは非常に乱暴な私は議論だと思います。  まず、この予算が、今の現状、だれに責任があるのか、こういった予算になってしまった、財政赤字の状況になってしまった、どこに責任があるのか、まずその辺を是非総理認識をお伺いしたいというふうに思っております。財務大臣は今度、財政金融委員会でやりますから、是非今日は、総理は是非リーダーシップを発揮していただきたいと思います。いろんな世論調査の中でも総理が一番気にされているのが、リーダーシップのところを問われているわけですから、是非この財政問題、国の根幹にかかわる問題、今総理自らがこの国債費の問題、赤字国債発行するのかとおっしゃられたものですから、是非総理の口からお答えいただきたいと思います。
  115. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) これ、今現実にこうなっているわけですよね。過去のことを云々と、こういうようにおっしゃいましたけれども、これは、過去、いろいろな政権がございました。そして、その時々の経済の情勢に合わせた経済運営の結果こういうふうになったわけですね。  問題は、そういうことはありました、だから、そのことを云々しても始まらないとは言いませんけどね、言いませんけれども、言いませんけど、今現実の問題として、今、二十年度の予算を考える、二十一年度、二十二年度、そういうふうな予算を考えるというときに、現実的に考えて、今からこの現実を直視してどうしたらいいかということを考えるのが現実、政治家の、我々の役目じゃないんでしょうか。過去のことを言っていて問題解決するということではないと私は思います。その過去のことについての反省というものは当然あってもいいですよ。ですから、その反省を踏まえた上で、今減税をすることが良くないんだということを私は言いたいんです。そしてまた、二〇一一年度のプライマリーバランスを極力達成するために、今ここで努力をしていかなければいけないんだということを申し上げたいということなのであります。
  116. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 過去のことを余り気にしないで今現実問題を対処すべきだというお話ですけれども、それは確かにありますけれども、まず過去の責任を明確にしていただいた上で、最後はそれは国民にツケが回るわけですから、国民に増税をお願いするわけですから、プライマリーバランス二〇一一年にゼロにする、プラスにする、これは大増税をしない限りもう出ないということが政府のいろんなシミュレーションでも出ていますから、国民に増税をお願いする前に、まず、申し訳なかったと、今までの国の政策は財政赤字をたくさんつくってしまって申し訳なかった、失敗だったということをまず明確に認識してもらって国民に謝罪をしてもらって、その上で、申し訳ないけれどもこの財政状況を打破するためには増税を是非協力してくれと、そういう姿勢が国民には私は示していただく必要があるのかなというふうに思っております。  今お示ししましたこの国債費が二十兆円ありますけれども、これはどうしてこういうことが起きているかというと、国の借金、地方の借金、すべて合わせると幾らになるか、ここが一番原因なんですね。  これ、財務省の方から作っていただきましたけれども、平成二十年度末の見込みが、国の借金が八百八十九兆円、地方の長期債務が百九十七兆円、足すと千八十六兆円です。そこから国と地方の重複分三十四兆円引くと千五十三兆円の借金があるということを、これ財務省さんから作っていただきました。千五十三兆円ですよ。GDPが五百兆、その倍以上の借金を今国が抱えているということでございます。だから、国だけでもこんな二十兆円も国債費を払わなくちゃいけないということでございます。この国債費というのはこれから減っていくんですか、増えていくんですか。これからますます増えていくことが明らかでございます。  もう一つ、額賀財務大臣財務省の方に作っていただいたんですけれども、利払い費がこれからどういうふうに増えていくかという数字を出してもらいました。  ちょっとその前に、今この国債費二十兆円のうち利払い費、利息だけが幾らあるかということをお示ししたいと思います。朝ズバッじゃないですけれども、このシールをはがさせていただきます。(資料提示)そうすると、二十兆円のうち九兆三千四百億円、約半分ですね。九・三兆円が利払い費だけでございます。利息だけです。八十三兆の歳出予算のうち一一%が利息だけなんですね。二・六兆円というのは、どうなんですかこれ。利息の何分の一じゃないですか。そういうことを棚に置いて、二・六兆円足らないからどうしたんだというのは、それは非常に私は乱暴な議論だというふうに思っております。  今議論ありましたけれども、この利息が上がったらこれどうするんですか。今非常に低金利だから九・三兆円で済んでおりますけれども、これがどういうふうに金利が上がっていくか分かりません。  これ、やはり同じく財務省から作っていただいた資料でございますけれども、過去の普通国債の平均利回り、五年ごとに出してもらいました。そうすると、昭和五十二年から五十六年までだと平均利回りが七・三三%、七%以上です。昭和五十七年から昭和六十一年でも七・三%。これもやっぱり七%台。昭和六十二年から平成三年で六・二%、平均利回りが六・二%。平成四年ぐらいから下がってきまして、平成四年から八年までの五年間の平均がそれでも五・〇五%。平成九年から十三年で三・一二%。で、最近の平成十四年から十八年までが一・六二%という形で、今極めて金利としては異常なぐらい安い、低い状態なんです。  ですから、普通のことで考えると三%、五%、場合によっては七%の金利が発生をする可能性も十分あるということでございます。そうなったときにこの九・三兆円の利払い費が幾らになるかということを、同じくやっぱり財務省の方に試算してもらいました。  もうこれは我々としては余り受けられないんですけれども、非常に好意的に受け止めました。これはプライマリーバランスがゼロになるという前提で作ってもらいました。実際はプライマリーバランスはゼロになりませんから、国債の残高はどんどんどんどん増えていくわけですけれども、それをなしにしました。そういう前提で、仮定で、極めて私としては不本意なんですけれども、そういう条件で作った金利でも三%になった場合はどうなるかということです。  平成二十年度、平均金利が三%になると、これが十六・六兆円になっちゃうんですね。今九・三兆円だったのが、利息だけで十六・六兆円。平成三十年度だと十八兆円にもなっちゃうんです。もうほとんど二・六兆円どうのこうの言っている場合じゃないんですね。そういうことがいつ起こるか分からない状況だと私は思っております。  さらに、五%だと平成二十一年度でもう二十七・七兆円、利息だけですよ。国債の元金入れたら三十七兆、四十兆円ぐらいになっちゃいます。これが五%で平成三十年になると三十七兆円、利息だけで。どうするんですか。これ七%になるともっとすごいですよ。来年だけで七%になると三十八兆円です。平成三十年度でいうと六十三兆円です、利払い費だけで。  だから、この国の財政赤字の責任をまず明確にしていただきたい。こういう国民に大きな大きなツケを残した責任をどうしたらいいのかと、まずそこを明確にしていただかないと、これから増税だって国民は納得して分かりましたっていうふうには受けられないんじゃないんでしょうか。そういうことを是非総理には認識をしていただきたいというふうに思っているんです。  財政赤字どうするんだと。その財政赤字をいっぱいつくったのは、もう今までの政府与党なんです。そこを、あたかも民主党が駄々をこねて財政欠陥をつくったみたいなことをおっしゃられますけれども、そうじゃないんで、根本原因にはそういったところがあるんだということを是非御認識いただきたいというふうに思います。
  117. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) そういう原因は、何もここ数年に起こっているわけじゃないんですね。随分長い期間起こっているんですよ。  九三年ごろでしたかね、あのころは宮澤内閣だったと思いますけれども、当時から、あなたは銀行家だからよくお分かりだと思いますけれども、不良債権という問題が非常にクローズアップされました。もう皆さんが不良債権処理を早くしなければいけないと、こういうことを言っていましたけれども、不幸にして自民党が政権を降りてしまったんですよ、そういうことをやろうというやさきに。そして、細川政権、羽田政権と、こういうふうな形になりましたね。そしてまた村山政権と、こういうふうなことが続きまして、そして橋本政権になってようやくそういうような機運がだんだんと出てきた。不幸にして橋本政権のときには景気が悪かったといったようなことがありまして、不良債権処理が進まなかった。そして、ようやく小泉政権になってそれができて景気浮揚のきっかけをつくったと、そういう長い長い歴史があるんですよ。そういう中で、だれが責任があるんだということを一概に言い切れないところがあるんだろうというふうに思います。  ということですから、それが今二・六兆円の減税といったようなこととどういう関係があるか。私は、むしろこういう財政状況の中だからこそ、二・六兆円といえども極めて大事な財源だと、こういう認識をしておりますので、認識の違いかもしれませんけれども、私の考え方はそういうことで、大事にしていきたいと、こういうふうに思っております。
  118. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 不良債権処理の仕方というのは、これは日本だけじゃないんですね。先進国はどこの国だってそういう経済危機を何回も乗り越えてきているんですよ。だけど、ほかのOECDの加盟国なんか、日本みたいな財政赤字の状況の国ありますか。日本だけですよ。これは経済危機の乗り越え方が失敗したんじゃないんですか。そういったこともよく考えた上で、これから是非議論させていただきたいなというふうに思っております。  今ありましたけど、財政赤字どうする。これから大増税をするんですか。どうしたらいいんですか、総理のお考えだと、二・六兆円の問題がもしそのままなかったとしても。いずれにしろ、そういった問題が出てくるわけです。そういったときに、まず国民に対して今までのこの状況、責任を明確にしていただく必要は私はあるんだというふうに思っております。  今の経済状況についてちょっと若干お話しさせていただきたいと思いますけれども、今いろんな物価が上がっております。それこそパンからラーメンからしょうゆから小麦、いろんなものが上がっております。非常に、バターも上がって、乳製品も上がっております。電気、ガス、いろんな料金も上がっております。こういった中で給料はなかなか上がっていないというのが実態だというふうに思っておりますけれども、先ごろ四月一日に日銀の短観も発表されました。非常にやや景気の状況も余り力強さがなくなってきたといった内容になっているというふうに思っておりますけれども、総理は日本の今の経済状況をどのように認識されていらっしゃるんでしょうか、お伺いしたいと思います。
  119. 大田弘子

    国務大臣(大田弘子君) 二〇〇二年の景気回復以来、今三回目の弱い局面を迎えております。ちょうど階段の踊り場のように横ばいになっている状態、これ三回目の局面です。  その背景として三つ申し上げます。  一つは、先生御指摘のように、賃金が上がらない中で生活必需品の値上がりで消費者マインドが落ち、消費が横ばいになっています。それから、設備投資も横ばいになっています。この背景にあるのは原材料高による収益の圧迫です。それから三つ目に、半導体などのITの輸出が落ちておりまして、それを背景に生産が横ばいになっております。今、消費、設備投資、生産が横ばいという状態で踊り場局面を迎えていると認識しています。  先行きですけれども、改正建築基準法の影響はやや収束しつつありますけれども、アメリカ経済の減速感が強まっております。それから、株式・為替市場の変動が続いております。したがいまして、先行きの下振れリスク高まっておりまして、慎重に見ていく必要があると考えております。
  120. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 総理質問させていただきたいんです。是非リーダーシップを発揮して、日本の経済状況、これは経済状況が財政にも大きく影響してきますから、その経済を、日本の経済をどういうふうにしていくのか、日本の国内の中小企業の成長をどういうふうにやっていくのか、図っていくのか、是非総理の口から、まず認識からお伺いしたい、それで今後どうするのかということをお伺いしたいと思います。これ一番日本の、何というんですか、財政の問題もすべて私は経済活動が根幹にあると思っておりますから、是非総理認識をお伺いしたいと思います。
  121. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 現在の経済状況認識というのは、今、大田大臣説明したとおりです。私も全くそのとおりでございまして、下振れリスクがあるということですから、十分注意をしていかなければいけない、こういうことであります。  ですから、また例えば物価の変動ございますね。最近、小麦が上がるとかそれから、まあ原油は当然、石油の方は当然でございますけれども、例のバイオマスの燃料の関係でもって大豆まで上がると、しょうゆまで値上がりする、こういったようなことでもって生活を直撃するようなことが起こっておるということであります。大本は原油の値上げだというように思いますけどね。ですから、その問題がある限りは今後も関連商品の値上がりということはあり得るんだろうというふうに思います。  一方、所得の方は若干ここのところ増えていますけれども、それほど目立ったようなことはないというようなことがありますので、それは生活の面においては大変苦しいところがあるんだろうというふうに私も思っておりますので、そういうことをどうやって解決していくのかということはこれからの課題だと思います。  我々といたしましても、財政出動というのはなかなかできません、今の財政状況でありますのでね。ですから、そうでない方法でどうやって景気を良くしていくかと。今いわゆる成長戦略というものを考えておりますけれども、それをなるべく前倒しをしていこうといったようなことを考えておりまして、ついせんだってそれを発表したところでございますけれど、そういうきめの細かい対応をできるだけ早くやっていくということによって経済の底固めをしていきたいというふうに思います。  決して派手なことにはなりません。なりませんが、着実な方法を取る。そしてまた、今までの仕組みも変えていくということ。例えば縦割りの行政、縦割りの仕事は横に連携を取れるような、農商工連携といったような、そういう考え方も取り入れましてそういうものを進めていく、今までと違ったような形でやっていくと。それから、ITの活用とかいうものも、これは日本は大分遅れておりますので、産業界にもまた個人的にもこれを進めていくというのも、これも経済の加速に役立つことだろうというように思います。  その他いろいろやっておりますけれども、労働対策ですね、労働対策、不適正な雇用を正常化するとかといったようなこと、それからお年寄り、そして女性が働きやすい環境づくりにも励んでいくと。また、ジョブ・カードという制度も四月から発足しました。これも充実させていきたいと、こういうふうに思っております。  いろいろなことを総合的にやる、そういうことによって景気の下支えをしっかりとさせていくということが我々の課題であると思っております。
  122. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 具体的な中身が全く私は理解できなかったんですけれども、例えば、今労働対策というお話ありましたけれども、例えば偽装請負をして行政指導を受けたような人を経済財政諮問会議のメンバーに入れていて、それが労働の、何というんですか、適正化に、私は改善につながるとは思えないんですね。その辺を私、今ちょっとお話あったんで申し上げたいと思っておりますけれども。  それと、今、ITの活用、よく大田総理なんかが言っていますけれども、労働生産性を上げるとか、あっ、大田総理じゃないや、大田大臣がおっしゃっていますけれども、(発言する者あり)テレビでした、済みません、申し訳ございません、失礼しました。労働生産性の話をIT活用によってサービス業とか中小企業で上げると言っているんですけれども、具体的に何をやるのか私は分からないんです。それはまた後で聞きたいと思いますけれども、是非総理に、私は中小企業の活性化、中小企業に対して目を向けていただきたいという思いがございます。  日本は非常に厳しいといっても、大企業は史上空前の利益を上げているわけですよね。例えば法人申告所得、過去最高五十七兆円という利益を上げております。こういう厳しい中でも大企業は大幅な今までにないような利益を上げているわけであります。だけど、何で中小企業にその利益の、景気の良くなった効果が波及しないんですか。そこが一番私問題だというふうに思っているんですね。  総理、是非中小企業に対して、大企業はもうかっているんだけれども中小企業はもうからない、この構図、どこに原因があるのか、総理、読むんじゃなくて、総理認識をお示ししていただきたいと私は思っております。これから検討するのじゃなくて、是非もう私は総理がリーダーシップを出してビジョンを打ち出していただきたいというふうに思っております。  小泉総理も、これはいいか悪いかは別として、何でもかんでも民営化して、そして市場原理をもう過度なぐらい導入しました。それでどういうようになったかというと、今いろんなひずみが出てきているわけなんですけれども、やりたい方向は分かりました。安倍総理大臣も、美しい国ということで、最初はよく分からなかったんですけれども、(発言する者あり)いや、私も分からなかったんですが、ある報道で多摩川でごみ拾いをしていたというんですね。ああそういうことだったのかということで若干分かりましたけれども、福田総理は全くそれが分からない。何をされたいのか。特に経済面、景気面でどういうことをやりたいのか、日本をどういうふうに持っていきたいのか、格差社会をどういうふうに持っていきたいのか、その辺のビジョンが全く私は理解できないんです。  是非、強力なリーダーシップを発揮して日本のやっぱり経済を引っ張っていくんだと、日本の成長を引っ張っていくんだと、その思いを是非語っていただきたいというふうに思っております。よろしくお願いしたいと思います。
  123. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 私が考えていることが、また申し上げていることが分からないというのは、私の申し上げることを注意深く聞いていないということだけのことなんですけれどもね。  私は、施政方針演説でもしっかり言っています。私の考え方というのは、派手なことは言いません。形をこう変えるとか、そういうことは言いません。しかし、中身を充実させていこうと、こういうことに重点を置いているんです。ですから、なかなか見えないですよ。見えないけど、しかし、時間がたてば、ああそうかということが分かるようなことを申し上げているんですよ。それが大事だと思うんです。格好だけじゃないでしょう、中身の充実が大事だというように思っております。質的な向上を図るような政策提言をいたしておりますから、御心配のなさらぬようにしていただきたいと思います。  中小企業のことにつきましても、この施政方針演説にこういうふうに言っておりますよ。いいですか。我が国経済の活力を支える中小企業の底力、これが我が国の経済を支えているということ。そして、いわゆるつながり力、つながり力というものを重視していこうということ。単に系列というだけでない横のつながり、産学官のつながりとか、いろんなそういうようなつながりを付けていこう、そしてそれを、そのことによって新しいビジネスをつくり、新しい発想でもって新しい商品をつくるといったようなこと、そういうようなことをしていく。そのために、地域連携拠点を全国に二百から三百か所整備しようと、こういうことを提案しました。  そこを中心として中小企業、大企業が融和できるような、また大企業のノウハウがそこに蓄積されて、それがそこを拠点にして方々に利用してもらうというようなことにしてもらえるようなこと。そして、そういう場面にITも徹底して活用する、そして経験豊富な大企業の退職者とか中小企業、農業、大学が相互に連携する、そして新たな商品、サービスを生み出す、そういう取組を支援すると、こういう支援を始めております。  また、中小企業の事業承継、これも大事なものでございますから、これを円滑にするための税制措置の抜本見直しをするということも提言いたしておりますけれども、ほかにもいろいろ考えておりますので、またお時間があればどうぞお尋ねください。
  124. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 抽象的な、ITを活用して地域力、つながり力、政官業の癒着を利用する、つながりですか、政官業のつながりを。産学官、政官業の癒着と違うんですか。済みません、何で政官業の癒着を利用してやるのかよく分からなかったんですけれども。  いずれにいたしましても、大企業のノウハウを利用してITを活用して成長を遂げると言っているけれども、私は、ほとんどの企業はそんな簡単に生産性を上げられたり画期的な商品を発明したり、効率的な業務の改善ができるというふうには私は思っていません。ほとんどはもう一生懸命みんなだって努力しているわけです。もう最大限の努力して、それでいろんなアイデアも出しながら努力して日夜一生懸命働いて、それで今なんですよ。これから、これ以上どうやって頑張れ頑張れってやるんですか。それを地域何とか何とかをつくって置いておけばいいという、そういうレベルじゃ私はないと思っております。  大企業が利益を上げて中小企業が利益を上げられない原因は何かというと、私は、そういう何かいろんな、ITのノウハウとかそういう問題じゃないと思っております。今までは大企業は利益を上げれば中小企業にもそれなりに仕事を与えて利益も落として全体的に利益を得たという効果が波及するんですけれども、今はそうじゃないんですね。総理、話聞いていてくださいよ。総理、話を、総理にお答えいただきたいので是非聞いていただきたいと思います。総理総理にちょっとお話聞いていただきたいと思います。ちょっと無視しないで聞いてくださいよ、総理にお答えいただきたいんですから。  大企業は利益を上げているにもかかわらず、中小企業に利益が行っていない、それはなぜかというと、今どちらかというと株主重視になってきているんですね。配当しなくちゃいけない、会社も利益を上げないといけない、株価も上げないといけない。そうすると、どうしても下請企業、原料を納入する企業に対して価格を抑えちゃうんですね。それで下請に発注するときもめちゃくちゃ安い値段で出すわけです、これでできないのかと。嫌だったら違うところへ仕事出すからいいよと。今まではそういうグループ、系列で同じ、何というんですか、取引の昔からの付き合いというか、そういうのを非常に重んじてそういったところに仕事を出していたんですけれども、今はインターネットで公開入札などをして安ければどこでもすぐ行ってしまうと、そういったところがあるんじゃないかと思っております。  原料の輸入する、買うときも、もうたたくだけたたくわけです。嫌だったら違うところから買うよということでやるわけです。中小企業は仕事取らないと毎日の金繰りが回りませんから、安くても仕事取らざるを得ないんですね。だから、中小企業、下請企業、孫請、下請へ行けば行くほど利益が出てこないのは当たり前なんです。これを改めない限り日本の経済は私は立ち直らないというふうに思っているんです。  どこに問題があるのか、総理、考えたことがございますか。今言ったように、ITの活用、地域連携、産学官の連携、こんなのじゃ中小企業の経営状況は改善しないと私は思っております。この大企業の下請に対する物すごい価格決定権を持っているところが圧倒的に強いんです。幾ら企業努力、総合力で勝負をして差が付くのならいいですけれども、価格決定権を持っているか持っていないかで差が付くというのは、これは私は決して美しい日本の姿じゃないというふうに思っております。  安倍総理にも前言ったことがあるんですけれども、大企業はすごい競争力を、国際競争力を上げているわけなんです。だけど、国民の犠牲の上に、中小企業の犠牲の上にこの国際競争力を出している。これは決して美しい姿じゃないと思っております。日本の政府は日本の産業をしっかりと支えて成長するように保護するわけですよね。それ何のためにやっているかということなんです。一部の大企業だけが立派になって利益を上げる、そのためにやっているんですか。違うと私は思っております。国民が豊かになるためにやっているわけなんですよ。そのためには中小企業にもちゃんと利益の分配が行くような、ちゃんともうけが得られるような、そういった構造に変えないと駄目だと私は思っているんです。  そういったところを全く考えないで、IT、生産性、産学官、そんなところだけをやっていたんじゃいつまでたっても国民は豊かにならない、大企業が生き残って国民が犠牲、死んでしまう、そういう状況だと私は思っております。これを改める考えはないんですか。  総理に是非ビジョンをお伺いしたいと思います。
  125. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 私は、中小企業というのは、先ほど申しましたように、日本の経済の活力、源泉ですよ。この中小企業が、これが駄目になったら日本の大企業も駄目になるのだろうというふうに思います。  ですから、海外から、例えばアジアとか、いろんな事業経営者が来ます。私は日本の中小企業を見てくださいというように言います。それは、日本の中小企業にいろいろな知恵が、ノウハウがあるからそういうふうに申し上げているんで、ただ今おっしゃったような部分もあります。  大企業は収益を、史上最高の利益を上げたと、しかし中小企業は余り良くないよ。中小企業は地方にもたくさんあるわけですね。ですから、地方の経済もそれに伴って良くないというようなこともあるわけでありまして、私はそういう今の状況がいいというふうに申しておりません。私も委員と一緒に同じ地域を選挙で回っているわけですよ。ひょっとしたら同じ中小企業のところへ行っているかもしれない。ですから、認識は変わらないと思いますよ。  そういう認識に立って、そしていかに地域の中小企業が努力し、苦労し、そしてまた安い値段でもって製品を提供しなければいけない、そういうふうな状況に追いやられている、そういうふうなこともあります。中にはしかし、そういう中小企業の中でもしっかりと自分の製品を持って、そしてそれを海外にも売っているというところもあるんですね。前はちっちゃな本当に町工場、しかし今は相当大きな事業に展開しているということであります。やっぱり中小企業もいろいろな工夫をしなければいけないと思いますよ。そして、この競争に打ち勝つという努力も必要だと思います。  そういうために、先ほど言いましたようにITの活用とか、やっぱり中小企業、零細企業はそういうのを使っていませんからね。ですから、そういうものの活用も当然必要だと思いますし、またいろいろな人の知恵も必要だと思います。情報も必要だと思います。そういうものをやっぱり駆使して今の事業は成り立つんではないだろうかというように思います。唯我独尊ではなかなかうまくいかないだろうと思います、発展もしないだろうと思います。ですから、やっぱり中小企業も努力をしてもらう。  しかし、大企業は、大企業として考えるべきことは、やっぱり中小企業は自分たちの企業を支えているんだという意識、そして一緒に栄えるというそういう意識も大事だと思いますよ。ですから、今、中小企業取引の適正化というんですか、ガイドラインなんかありますけど、そういうようなガイドラインを駆使して、そして一緒に栄える。そして、やはりコストを下げろというだけでなくて、その中小企業が少しでも発展するような、そういう何かグループとしての協力関係というものをつくっていく、そういうことも必要だと思います。  ただ、最近はグループ化というよりは、いろんな企業に競争でもって入り込んでいくというようなケースも多いと思いますから、そうなるとやっぱりその中小企業の一つ一つ努力をするということがより大事になってくるんだろうというように思いますんで、そういうことを総合して中小企業が発展するということは好ましいんで、ただ中小企業はかわいそうだから助けなきゃいかぬ、それだけじゃ済まないと私は思います。  ただ、今のように原料高とかいうような状況の中において必要な措置は必要なんだと思います。ですから、十二月末とか、それからこの三月末とか、金融面において公的な金融を受けられるような、容易に受けられるような、そういうような行政指導、またそういうような要請も行っているところでございまして、政府としてはそういう面において抜かりのないようにしてまいりたいと思っております。
  126. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 具体的な中小企業に対する支援の方向はよくやっぱり理解できません。  ちょっとこの資料を是非皆さんに見ていただきたいんですが。(資料提示)日本の企業はどういうふうに構成されているかというのを見ていただきたいんですが、これ資本金別に日本の企業を分類しております。日本全体で二百七十三万五千六百二十九社ございます。これは出どころは財務省さんの法人企業統計の調査から引用させていただきました。  これの①とある左側の一番、①というのが資本金が五千万円以上の企業です。これが八万八千社、三・二%。②、次の水色の薄いところでございますけれども、これは資本金が二千万円から五千万円の企業でございます。二十一万二千社ございまして、七・八%。この資本金が二千万円以上の企業だけで一一%ですね、全体の一一%、一割しかないんですね。あと三番、これは資本金が一千万円から二千万円のところが八十七万社、三一%。④、資本金が五百万から一千万のところが三十一万社、一一・五%。資本金が五百万円未満のところが百二十五万社あるわけですね。今言ったように、中小企業といっても幅がすごく広いんです。  今言ったように、画期的な発明をして海外に進出できる、中小企業でも海外に進出できる、そういうのは確かにあるかもしれませんよ。だけれども、この二百万社のうちのそれ何社なんですか。そんなところ、成功した一部のところだけを取り上げて、あたかも日本全体それ頑張れと、それを目指してやるんだと。そういうのは私は非常に非現実的だというふうに思っております。  日銀の短観が四月一日に発表されましたので、よく私は、日銀の短観、毎期三か月ごとに発表されるのを見ているんですけれども、この発表している調査をしているところ、どこだか御存じですか。この今言った資本金二千万円以上、①と②のところだけを調査しているんですね。資本金が大きな上位一一%のところだけを調査してやっているわけです。日銀の短観にも中小企業のアンケートあります。大企業、製造業、大企業、中小企業、あります。日銀が言っている中小企業というのは、資本金が二千万円から一億までの企業を中小企業と呼んでいるんです。しかし、実際には二千万円に満たない企業が九割ぐらいあるということでございます。ですから、日銀の短観発表して、景気が良くなった、もしくは今踊り場だという話ありますけれども、一般の地元の中小企業の感覚と全く違っているんですね。それはそうですよ、調査すらされてないんですから。  ですから、国の政策をやるときに、限られたところだけを調査して、それであたかも日本全体の経済が分かったような形で日本の経済政策、そういったものを、金利政策判断したら、私は大きな過ちを犯すんじゃないかと思っております。現にそれをずっと続けてきたのが今の日本ではないかなと私は思っております。政府が幾らイザナギ景気を超えた景気の長い期間を今維持しているんだと言っても、全く国民はほとんど実感がない。それはこういうところにあるんです。標本調査する、そういうときには是非実態をよく見ていただいた上で判断していただきたいなというふうに思っております。  中小企業が今大切だとおっしゃいましたけれども、九割ぐらいが今資本金二千万円以下の企業なんですね。そういったところに目を向けないで、どうして日本の経済の活性化、景気の回復、中小企業の回復が得られるのか、そこをまず認識を是非改めていただきたいなというふうに思っております。こういった中小企業の頑張りがない限り、日本の将来というのは全く明るいものが見えないんだと私は思っております。  一番の問題は、内需拡大することが今一番日本には求められているんだというふうに思っております。外資頼みで、今の日本の株式市場もそうですよね。東証なんかは売買高、六割が外国人株主でございます。外資が、それこそサブプライムローンとかいろんな問題があればすぐに引いていっちゃいます。それはそうです。そうすると、日本の株式市場なんかは莫大な、一気に甚大な被害を受けるわけです。外資頼みのそういった日本の経済、外資からの投資を仰いで日本は今何とか成り立っているところ、輸出についても外需頼み、そういった状況では、私は日本は本当の回復はできないんだというふうに思っております。内需を拡大することが必要だと思っております。  中小企業にもちゃんと利益の恩恵が受けられるような本物の経済を回復するにはどういうことが必要なのか、総理はどういうふうに考えているのか。さっきおっしゃったような網羅的な、中小企業の抽象的なIT活用とか産学官の連携とか地域のいろんな連携の場所を二百か所置く、それだけで本当に内需拡大が図れるのかどうか、私は非常に疑問に思っております。是非その辺の、実体のある、実効性のある経済政策をどのようにやったらいいか、私は是非総理に考えていただきたいと思っております。  お答えいただいても同じ答えが来ると思うのであれですけれども、どういうふうに中小企業に対して、回復をするためにどういうことが必要なのか、是非総理からもう一度お答えをしていただきたいと思っております。
  127. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 内需拡大ということについて私は同感です。  やはり今、日本は人口減少時代ということで、同時に質的にも高齢化ということでありまして、内需が今までの内需の在り方と違ってきていると、これからだんだん変わってくるんだろうというふうに思います。人に掛ける手間、いわゆるサービス業ですね、サービス業というのは、これはこれから質的にも量的にも拡大していくんだろうと思いますので、昔のように物を作って売るというよりは、そういうサービス分野における経済の拡大というものが期待されるのではないかと思いますので、これはもう十分に考えておかなければいけないと思います。  そして、中小企業というようなことで言われますと、これは中小企業もやはり生産性ということが大事だと思いますよ。やはりいい物を安く売る、そして多く買ってもらうというような、これは当然のことだと思います。悪い物を作って高く売るなんて、そんなことはあり得ないことでありますから、そういう努力はしなければいけない。その生産性を上げるためにどうしたらいいかということで、ITはお嫌いのようですけど、ITだって使ったらいいと思うんですよね。そういうようなことをしながら工夫をしていくということが大事なんだろうと思います。  そしてまた、もう一つは規模の拡大ということもあるんだろうと思います。これは、物を安く作るという意味においてそのことが必要だというのであれば、それもやらなければいけないと思います。  農業についても同じようなことが言えるんですけれども、そういうようなことで、内容をこれから工夫をしていく、こういう時代には特に工夫をしていくということが必要なんだろうと思いますので、そういう個々の企業、そして個々の人の考え方が前向きになるように仕向けていくというのが我々の仕事なのかなというふうにも思っておりまして、そういう面においては努力していきたいと思います。  そして、また同時に、内需拡大と同時に外需と申しますか、今北海道にはこの間まではオーストラリアの人がたくさん来ていたけれども、今も引き続いて来ているけれども、最近は中国、台湾の人がたくさん来るというようなことをつい最近聞いてまいりましたけれども、そういうようなことで、北海道の観光はこれは順調にいっているというような話も聞きました。  やはり、そういうような外国との関係において経済を発展させるということが必要であり、人、物、金、情報、そういうもののオープンな日本にしていくということ。観光でいえば、観光地でもって英語で話をして、その地、名所旧跡等を英語で説明してくれるというような日本人ガイドがいれば、より多くの人が魅力を感じて外国から来てくれるんではないかというように思います。  いろいろ工夫していかなければ日本はこれからやっていけない。と同時に、こういうような環境の問題がございますから、環境に対する配慮、これは大変大事でございますので、環境に関する技術開発、今、日本はそういう省エネ的な技術では世界の先進国でありますけれども、そういう面における技術開発を怠ることなく、そして同時に、もっともっと革新的な、CO2を全然排出しないような技術を開発する、そのためにその研究調査、そういうものを充実させていくと、そういうことも求められていると思います。そういう面における経済というものもこれから当然大きくなってくるだろうというふうに思っておりますので、いろんなことを考えて日本の経済発展に努力していかなければいけないと思います。
  128. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 私は別にIT嫌いなわけじゃございません。ITをどういうふうに具体的に活用するのかよく理解できないということで再三申し上げているんです。生産性を上げるといっても、簡単に私できないと思うんですけど、口で言うように。具体的な中身を是非今度、財政金融委員会でもいろいろと議論させていただきたいと思っておりますが。  大企業が利益を上げているのに中小企業に利益が行かないというのは、今そういう株主のいろんな問題等々があって致し方ない部分があるのかなという感じはします。だけど、そこを変えるような努力は私は継続する必要があると思っているんですね。  例えば、私はこれはもう是非これを進めたいと思っているんですけれども、法人税を上げる方がいいんじゃないかと、戻した方がいいんじゃないかと。昭和五十九年ぐらい、四三%ぐらいの法人税がありましたけれども、そういった法人税を戻すと。だけど、全部一律に戻すんじゃなくて、今も中小企業、申告所得が八百万以下は軽減税率が適用されております。ですから、申告所得に応じて、所得税の累進税率と同じように法人税についてもそういう課税のターゲットを段階的に上げていく必要があるのかなと私は思っております。申告所得が百億円以上とか五百億円以上とか一千億円以上、若しくは五千億円以上、そういった段階ごとに区切って、それ以上については高い税率を、法人税を課すと、そういったことも私は考えてみる必要があるのかなと思っています。  どうしてこういうことを申し上げるかといいますと、やはり企業といっても人の行動ですから、なりわいですから、高い税金を課せれば、税金を払うぐらいだったら自分の取引先、中小企業に少しはもうけを利益配分してもいいんじゃないかと。よく昔、接待費なんかありましたよね、税金払うぐらいだったら接待でどんどん使っちゃった方がいいよと。それと同じ感覚で、税金を払うぐらいだったら従業員に還元するんだと、給料上げてあげるんだと。税金払うぐらいだったら、取引先に、いつもお世話になっているから、悪いことしているから、今回は恩返しでもうける仕事を発注するよというくらいの、そういうインセンティブに私はつながるんじゃないかというふうに思っております。  是非そういったことも検討いただきたいなというふうに思っているんですが、もし我々が政権取れればまたそういったことも検討したいと思っていますけれども、現段階で総理はそういったことをどういうふうに受け止めていただくのか、お伺いしたいというふうに思います。
  129. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 簡単に。  二百八十万社ぐらいの今企業があると。恐らく税金払っていただいているのはその三割弱ぐらいだと思います。国際的な環境とか、どういうふうにそういう中小企業の皆さん方にインセンティブを与えるのか、承継事業とか研究開発費とかそういうのではインセンティブを与えておりますから、先生の意見も踏まえながら合理的に考えさせていただきたいというふうに思います。
  130. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 これで質問を終わります。
  131. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 残余の質疑は午後に譲ることといたします。  午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午後零時一分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  132. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  予算執行状況に関する調査を議題とし、休憩前に引き続き質疑を行います。松野信夫君。
  133. 松野信夫

    松野信夫君 民主党の松野信夫です。  早速、総理大臣の方にお尋ねしたいと思いますが、ここ二、三日の新聞の記事見ますと、内閣支持率が急降下したということが出ておりまして、大体二四、五%程度に急落をしている、こういうことでございます。やはり午前中から、今日は経済・社会保障の集中審議しておりますが、具体的な経済政策なかなか出てきていないし、年金問題についても国民の不信は非常に高まっているというふうに言わざるを得ない。こういうことが反映をしているのではないかというふうに思います。  こういうふうに内閣支持率が下がっているということについて、まず総理はどのように受け止めておられますか。
  134. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 数字は謙虚に受け止めております。
  135. 松野信夫

    松野信夫君 数字数字として具体的に出ておりますが、私としては、しっかりやっぱり国民の声を真摯に受け止めて元気にやっていただきたいなというふうに思います。  それで、安倍総理が参議院の夏の選挙の際、大きな声を張り上げて何度も言っておられました。私の内閣の責任において、この年金問題、必ず早期に解決をし、最後の一人までチェックして正しい年金をきちんとお支払いします。最後の一人、早期に解決、正しい年金を払う、こういうことを繰り返し繰り返し言っておられたわけであります。  これについて、福田総理もこの安倍総理と同じようなお考えかどうか、まずお聞きしたいと思います。総理
  136. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) この年金問題はこれは本当にひどい問題でありまして、これは国の本当に威信を損なう、政府に対する信頼を損なう問題だというように思っております。ですから、これは何とかして国の信頼も回復しなければいけない。  年金制度というのは、これは大事な制度ですよね、我々の老後の生活を支える。特に経済成長は今のように、昔のような高度成長とかそういうような状況じゃない。やはり年金で老後の生活を支えるという、そういうことはだれしも必要なそういう状況になっているわけでありますから、今でこそこの年金の重要さを感じ、そしてまたこの年金制度をしっかりとしたものにしなければいけない、そのように思っておるところでございまして、そういう意味では、この問題発生しました、その問題解決のために全力を挙げるというのは当然でございまして、そのために努力してまいりたいというふうに思っております。  何しろ長い年月にわたって積み重ねてきた問題でございますので、解決は容易でないと思います。容易でないけれども、しかし、なるべく早く威信回復のために一生懸命な努力をしていくべきだというふうに考えております。
  137. 松野信夫

    松野信夫君 今総理解決という言葉をお使いになられました。午前中の審議の中でも、舛添大臣の方は、コンピューター上の名寄せ、これはできている、それで解明は進んでいるというふうにお話ありましたけれども、これは最後の一人まで一円の間違いもなく、きちんとやっぱり正しい年金を払ってこそ解決になるわけで、単にコンピューター名寄せした、あるいは特別便を出した、これで終わりということでは決してあってはならないというふうに、もうこれは当たり前のことだというふうに思います。  それで、次の問題として、国民が非常に不信を持っているのは、政府与党公約を守っていないのではないか、やっぱりこういう点だろうと思います。この点も午前中の審議で出ておりましたが、これも世論調査等々がなされておりまして、これは四月の四、五にかけて共同通信が行ったデータによりますと、与党はこの年金問題、公約守ったと考えている人は一九%しかいない、政府与党公約を守っていないというふうに考えている方が六四%もいる。やっぱりどう見てもこれは公約は守られていないというふうに世間的に見ているというふうに言わざるを得ないと思いますが、こういう数字が出ていることを舛添大臣の方はどのように受け止めておられますか。
  138. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) いろんな世論調査の結果、そしてそれは国民の声、そういうものをきちんとこれは厳粛に受け止めて対応しないといけないというふうに思います。  私は、七月五日の政府与党工程表、これに基づいてきちんと仕事をしております。それで、今委員がおっしゃったように、解明は三月いっぱいコンピューター上やりましたけれども、やはり解決ということをいたさないといけないわけですから、十月までに一人一人に特別便をお送りいたしますので、これ特に生年月日と性別と氏名、この三つがそろい、いろんな条件が、それから年金の重複期間がそろっている方は比較的見付けやすいんですけれども、二つの要素しか分からないとか御結婚なさって旧姓が分からないと。例えばヤマダさんがタナカさんに変わったら、私は一生懸命タナカで検索しているんで、ヤマダということをおっしゃっていただくとヤマダで検索して早く出ると、こういう問題もございますので、これからは特に、厳しい御批判は御批判として、国民の皆様に是非御協力を願って、十月で皆さんのところに行きますので、それでみんなの力でこれは一つ一つ解決に結び付けたいと、そういう思いで今後とも誠心誠意努力をしてまいります。
  139. 松野信夫

    松野信夫君 今、舛添大臣の話では、昨年の七月五日の政府与党合意に基づいてこのスケジュールどおりやっているんだと、こういう話がありましたけれども、しかし、国民の方は必ずしもその七月五日の政府与党合意、これについて十分に徹底しているかというと、私は決してそうではないというふうに思います。むしろ国民の方に多く目が触れられたのは、昨年夏、自民党の方で大量にまかれたチラシの方であります。  これがその選挙前に大量にまかれたチラシで、お手元にも資料があるかと思いますが、(資料提示)この中を見ましても、今後一年で問題の解決、全額支払というふうになっているわけで、そのほか、一年後に名寄せ完了、オンライン化されてないマイクロフィルムや市町村にある記録についても手作業で突き合わせすると、こういうようなくだりになっているわけで、率直に申し上げると、今大臣の言われた七月五日の政府与党合意の内容と当時国民向けに大量にまかれた自民党のチラシとかなり食い違いがあるんじゃないか。率直にこれはもう二枚舌を使っているというふうに私は言わざるを得ないと思いますが、大臣、その辺はどのようにお考えですか。
  140. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 今委員が御指摘のように、例えばここで統合という言葉が使われています。それから、名寄せとか突き合わせ、もうこういう言葉自体が非常に分かりにくいとともに、例えば名寄せと言うときに、銀行員の方々が現場で作業してこうなさっているとき、恐らく統合というところまで入るんだろうと。そういうことについて非常に不正確な言葉遣いをした。そして、三月までに何もかもすべて解決するような誤解を与えた。今委員がおっしゃったように、このビラ自身は言葉の使い方が非常に不正確であります。  そういう意味では、これまで何度も私自身も国民皆様方に謝罪を申し上げておりますように、こういうことはきちんと反省して、そして七月五日の政府与党のこの工程表の文章には正確にコンピューター上の名寄せというような言葉を使ってあります。で、統合というのは最終的に裁定がされるところまでは指すわけですから、そういう不正確な使い方を党のビラでやったということについては本当に深くおわびしないといけないというふうに思います。  しかし、その工程表に従ってとにかく本当に最後の一人まで年金記録を確立して正しくお支払する、私はその決意は変わってもおりませんし、今後ともそういう思いで全力を挙げて取り組んでまいります。
  141. 松野信夫

    松野信夫君 言葉の使い方が良くなかったというふうなお話ですけど、私はかなり意図的にやっているというふうに言わざるを得ないと思います。  というのも、このチラシは第二弾と書いてあるんです。第二弾なんです。バージョンアップしたチラシがこれなわけです。しかも、政府与党の合意というのは七月の五日です。まだ参議院の選挙が始まる前の話です。参議院の選挙が始まる前にそういう政府与党合意はしているかもしれませんが、そういうような内容はこの第二弾、バージョンアップしたチラシに何ら生かされていない。私は、ですから、先ほど言ったように、二枚舌あるいは三枚舌だというふうに言わざるを得ないと、こういうことでございます。その点がまず第一点、指摘をしておきたいと思います。  それからもう一つは、このチラシの中で、相談窓口の充実、積極的対応というふうな記載もあります。ちょっと大きく、相談窓口の充実、積極的対応という記載があります。ところが現実には、もう前から出ておりますように、社会保険事務所に行っても五時間も六時間も待つ、電話掛けても電話もつながらない、そういう問題もありますし、このチラシ見ますと、電話でも二十四時間フリーダイヤルって書いてあります、フリー相談と。これはちょっとひどいんじゃないの。今、社会保険事務所あるいはその関係で二十四時間フリーダイヤル相談、やっていますか。
  142. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) まずそのねんきん特別便は、先ほど来御説明申し上げているように、これは無料ではありません。この無料の年金専用の特別ダイヤルは、これは特別便じゃないやつは無料であります。そして、時間は午前九時から午後八時まで月曜日―金曜日、第二の土曜日は午前九時から午後五時まででございます。
  143. 松野信夫

    松野信夫君 要するに、二十四時間というのはやっていないということで、私もホームページも調べましたし、また現に電話もしてみました。夜は掛かりません。それから、フリーダイヤルというふうに言って、確かに今大臣言われたように、年金相談の一般相談は、これは確かに無料でなされております。しかし、今多いのはこのねんきん特別便が約千三十万人に送られたということで、そっちの相談が非常に多い。ところが、このねんきん特別便については無料でもないし二十四時間受付でもない。これはそういうふうになっているわけで、料金を徴収をしてやっている、これが年金特別相談ダイヤルでございます。  これはやっぱりどう見ても公約に違反をするし、そして、このねんきん特別便のダイヤルというのも、元はといえば、やっぱりこれまでの長年にわたる社会保険庁の対応が非常にまずかった。年金基礎番号に統一しないでばらばらに番号を取っていたため、だれがだれのものだか分からない。こういう結果が今回のねんきん特別便になっているわけですから、私は、やっぱり国の責任、そして、現に自民党のチラシ、公約にもうたっている、こういう観点からすれば、もう断固やはり直ちに無料にしてやるべきだというふうに考えますが、大臣、いかがでしょうか。
  144. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) これは、先ほどお答えいたしましたように、大変たくさんの電話が掛かっております。一生懸命これは対応しておりますが、答えをすることが可能な専門的な知識を身に付ける人たちを、既にそういう人もおりますけれども、これの養成に時間が掛かる、そういうこともございます。そして、先ほど申し上げましたように、一通話八・九円、十円欠ける、それで、もし長くなればこちらからお電話でお掛けする。それで、これ今までの経験則なんですけれども、どうしても無料ということになると、大変饒舌なという方がおられたりして本当にパンク状態なので、そういうことも考えて、大変申し訳ございませんけれども八・九円の御負担をということでございますので、御理解いただければと思います。
  145. 松野信夫

    松野信夫君 いや、それはちょっとなかなか理解できる話じゃないです。今、何度も言うように、政府与党公約のチラシでも無料というふうに、フリーダイヤルというふうにうたっているわけですよ。何度も言うように、こういうような問題を起こしたについては国民の側には責任はないんですよ。お役所側に問題があるからこそこうなっている。この二つの点を考えれば、やっぱり真摯に受け止めて無料にして、それはまあ長くおしゃべりになる人がいるかもしれませんけれども、それはもうふんまんがいっぱいあるわけですよ。ふんまんいっぱいあるわけですから、それは多少時間が掛かることだってこれはあり得ます。  しかし、そんなことを理由に無料はできない、有料にする、私はこれはとてもとても通用する話じゃないと思うので、直ちに無料にできないというなら、是非この点を省内で検討する、これは是非やっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  146. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 総理の下の関係閣僚会議もございますので、ここできちんと議論をしたいと。  ただ、私は電話対応できる人手が十分にいて、回線も十分確保してということならばそれも考えたんですけれども、国民の利便性を考えたときに、まあそれぐらいの、何というか、先ほど言った、饒舌な長電話という言葉を使いましたけれども、そういうこととのバランスにおいて、私の判断でこれは私が決断したところでございます。それで、今のような委員の意見も御参考にさせていただいて、それで関係閣僚会議も含めて、検討はさせていただきます。
  147. 松野信夫

    松野信夫君 これはちゃんと国民に大量にばらまいたチラシでもうフリーダイヤルと言っているわけですから、大臣一人の判断で有料にしましたというのは、これは全く筋が通らない話ですから、是非しっかり検討して早急に無料化を実現していただきたいというふうに思います。  それから次の問題は、やっぱり午前中の審議にも出ていましたけれども、コンピューターにおける処理、一応突き合わせが終わったと、五千万件は突き合わせ作業が三月末に終わったというようなお話がありましたけれども、コンピューター名寄せ、これにも様々な問題があることがもう既に明らかになっているわけでございます。二千二十五万件については分からない、こういうことも明らかにできているわけで、やっぱり紙台帳、我々民主党が言っているように、紙台帳との突き合わせをしっかりやっていかなければ、この問題、最後の一人までとか最後の一円まで、これはならないのではないか。紙台帳との照合というものを是非進めるべきだというふうに思いますが、この点については、大臣、いかがでしょうか。
  148. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 今委員、例えば窓口に来られた方でどうもコンピューターの入力ミスであるというようなときには、これ今、紙台帳に当たって、そして統合をやるというような作業も実は進めておりますが、委員がおっしゃった件については、様々な紙台帳がございます。  最初に、特例納付などで複雑な記録になっている国民年金の特殊台帳というのが、これが約三千三百万件ありますけれども、これは突き合わせをこの二十年度で行うということを決めて今やっております。  それから、今度は市町村が保管する国民年金の被保険者名簿の記録がございます。これが約一億四千万件ございます。これは、平成二十一年度にこれを実施するということで今準備作業を進めている。一番多いのは、全部で八億五千万になりますが、六億八千万あるのが実は厚生年金記録でございます。これについて、ほぼサンプル調査が終わり、私のところへまだ全部届いていませんが、これを夏ぐらいまで掛けて解析して、その結果で具体的にどういうふうにやるかという手順を決めたいと思いますが、ただ御理解いただきたいのは、まさにどこから進めていくか。もう無限にいろんなコストとマンパワーがあればいいんですけど、たくさん分かりやすいところからやっていっている。そして、先ほど申し上げましたように、十月までに一億人すべてにお送りして、皆さんの協力をいただいて確立していく、その過程において紙台帳も活用させていただくと、そういうことでございます。
  149. 松野信夫

    松野信夫君 是非紙台帳の方をしていただかないと、何度も言うように、最後の一人まで、最後の一円までというのはこれは解明付かないというふうに思います。要するに、例えばコンピューターに載っていない、しかし紙台帳を見るときちんと出てくる、こういう例もたくさん出てきているわけでございます。  それで、安倍総理も、もちろん福田総理もお考えでしょうが、早期に解決をするというお考えだと思いますが、残念ながら今のペースで行きますと、とてもとても早期にできる状況ではありません。(資料提示)  今、紙台帳の点については、大臣もおっしゃったように八億五千万枚あると。今のお話ですと、紙台帳が平成二十年度で三千三百万件照合すると、こういうお話です。しかし、そうすると、八億五千万ありますから、これ全部で二十五年掛かるということになります。また、ねんきん特別便は一千三十万人に送られた。ところが、これについてももう一遍送るというふうに大臣は言っておられるようですけれども、そうではなくて、やっぱりきちんとそういう方々については電話確認する、あるいは訪問したりして確認をする、そういう入念の照会、これをやっぱりすべきだと思いますが、私が聞いているところでは一日当たり千三百人のペースだと、こういうことのようですから、これまた二十年掛かる、こういう状況ですね。  それから、ついでに申し上げると、年金記録の確認の第三者委員会、現在、これは総務省関係ですが、申立てが約五万件あります。今のところ、取下げも含めて審査済みが五千八百件ぐらいになっているようでありまして、これも月々大体六百件程度ということですから、これまた全部掛けるのに五年掛かる。こういう非常にスピードが遅い状況になっているわけです。  是非、こういうスピードをアップする方策、これはもうやっぱり私は、オール官庁、オールジャパン、これでやっていかなければもうどうにもならないというふうに思っておるんですが、この点は大臣、いかがでしょう。
  150. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 今委員がお示しになったその数字は少しミスリーディングなところがございますのは、例えば入念照会、一日千三百人で二十年ということですが、今千三十万人の方にお送りして、日々年金記録の再確立ということを行っております。  ですから、そういう意味で、入念、念を入れてどうですかというのは、何度もう待っていても全然言ってこない方に対して、そして、恐らくこの方は訂正ないと言っているけどあるんだろうという方に対してやっていますので、単純に数字は掛けられないということとともに、紙台帳の問題にしても、実は私の下に十数名から成ります年金特別チームをつくりまして、これに今現場に入っていろいろ、どういう手段が一番いいのか、それを調査させておりますとともに、社会保険労務士も入った作業委員会も私の直属のチームでやっておりまして、今鋭意、現場を見て、いかに早く今委員が御指摘のような問題を解決するかということをやっております。  何度も申し上げますけれども、十月までに一億人全部にお送りして、皆さんの協力で一億人皆さんの記録を確立するとともに、今おっしゃったそういう記録について、住基ネットと一緒にやってみる、漢字仮名交じり変換の間違いを正していく、そういうことで、ダブルトラックでやっていくことによって一日も早くというふうに思っていますので、是非御理解をいただければと思います。
  151. 松野信夫

    松野信夫君 ねんきん特別便、千三十万人送られている。しかし、現実には約七割ぐらいが回答を寄せてきていないということです。ただ、訂正なしとして回答してきた人へ入念照会した、その結果、大体本人の記録だと確認できたのが約七割ぐらいにも上っているわけで、やっぱりこの入念照会の役割というのは非常に高い。これは恐らく大臣も今首をうんうんと言っておられるから入念照会の役割が高いことはお認めになっていると思うので、是非こういうようなことを進めていく必要が非常に高いというふうに私は考えております。是非、オール官庁で進めていただきたい。  それで、今社会保険労務士さんにも協力を得てということで、それはそれで結構です、是非、社会保険労務士さんとの協力を得てやっていただきたいと思います。ただ、私の方が、社会保険労務士さんにかなり当たって聞いてみました。現実には、国民の皆さんはなかなか社会保険労務士さんのところに行って相談してもらうというのではなくて、圧倒的に社会保険事務所に行っているんです。圧倒的に社会保険事務所に相談に行かれているんです。社会保険労務士会の方に確認しましたけれども、大体ねんきん特別便の相談でこれまでに例えば三か所ぐらいでやっている。熊本でも三か所やった、東京でも三か所やった。ただ、ここに相談に来る人は非常に少ないです。数人、十人程度、現実にそういう数字しか上がっていないんです。圧倒的に社会保険事務所に来られる方が多いわけです。  ですから、もう社会保険事務所にやっぱりマンパワー、そして、もう出ていますけれども、ウインドウマシン辺りは圧倒的に足らないわけですから、是非そういうような社会保険事務所の体制をやっぱり強化することがもう圧倒的に大事だというふうに思いますので、その点、是非お考えいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  152. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) これは、いろんなチラシの広告とか社会保険労務士協会のホームページとか、あらゆるところでそういうことをおやりくださっているというのを今お知らせをしております。ただ、委員、社会保険事務所のどうしてもスペース的な問題もございます。それで、今、郵便局、農協、漁協、市町村庁に場所を借りるということで今体制づくりを進めていますので、これは是非そこでやれるように周知徹底する。  ただ、今一番の問題は、今委員もお触れになったように、ウインドウマシンの数が足りないということで、これ今、一つはそれを増やすという、単に新しいのをつくればといっても、すぐなかなかメーカーがラインに乗っていないということがあります。それで、市町村から、例えば熊本だったら熊本からそういう御要望があって、社会保険事務所でとても対応できない。そうすると、こちら側にオンラインで電話回線を使って引っ張ってくるような方策ができないか、今それを作業委員会で検討して、できるだけの努力をして御要望にこたえたいし、そして、せっかく社会保険労務士の方々から御協力をいただくわけですから、その力を活用できる体制に全力を挙げて持っていきたいと思います。
  153. 松野信夫

    松野信夫君 残された時間について、任意加入後のこの過払い保険料の未返還の問題についてお尋ねをしたいと思いますが、これは平成十六年の法改正で、平成十七年の四月以降は四十年、四百八十か月以上保険料を納めた人については通知が来て、もうそこで支払はストップする。ところが、その改正前はその対象外で、四十年以上任意で払い続けた人がいらっしゃる。私が聞いているところでは、任意加入者が二十七万人存在をする、つまり、四十年以上払ってもう払う必要がないんだけど実は払っている、言うならば過払いになっているわけですね。ところが、今のところ、その過払いについては、これは私は法的には明らかなこれは不当利得に当たると思いますので、これはすぐにやっぱり返さなきゃいけない問題だろうと思いますが、そうはなっていないというのが現実であります。  社会保険庁の方は過払いになっている人の人数とか過払いの金額とか、その辺は確認をしているんでしょうか。
  154. 石井博史

    政府参考人石井博史君) お答え申し上げます。  今委員からお尋ねがございましたのは、六十歳時点において満額年金となる四十年分、四百八十月の保険料納付に達していない方について講ぜられております国民年金への任意加入という形での加入、これは六十歳から六十五歳までの五年間加入可能ということでございますけれども、これにかかわるお尋ねでございます。  これについて、四百八十月を更に超えて保険料を納付している方の数とまた保険料の額と、こういうお尋ねでございましたが、大変恐縮でございますけれども、私ども、そのような状態にある方についての人数あるいはその保険料の金額というのはシステム上把握するような仕組みとなっていないので、大変恐縮でございますけれども、御回答申し上げることができないわけでございます。御理解願います。
  155. 松野信夫

    松野信夫君 これは、法的には明らかに不当利得ですよ、国が不当利得しているの、過払い保険料を。本来ならば、四十年間納めたからもういいですという通知をして、支払を速やかにストップさせると。そうでないのに保険料だけ徴収し続ける、これはちょっとひどい話ですよ。  現実にこれはもう二十七万人の人たちが任意加入しているというその数字社会保険庁もつかんでいるわけですよね。そういう数字をつかんでおりながら、過払いした人の人数が何でつかめないんですか。過払いの保険料が何で把握できないんでしょうか。
  156. 石井博史

    政府参考人石井博史君) お答え申し上げます。  重ねての御答弁ということになるわけでございますけれども、四百八十月を超えるという形でお払いしていただいている任意加入の方についての数字というのは、把握するような仕組みとしてございませんものですからお答えできないということで、是非御理解願います。
  157. 松野信夫

    松野信夫君 どうも理解できない。二十七万人が任意加入しているということはつかんでおきながら、何でその四百八十か月以上の保険料払った人の人数だとか金額とかが把握できないのか、私は全く分からない。  大臣大臣、これは速やかに、これは国が訴えられれば国は必ず負けますよ、これ。国負けますよ。速やかにこれ調査していただくようにお願いしたいと思いますが、いかがですか。
  158. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 二十七万人というのは、現在の任意加入者の数だというふうに思います。  それで、今委員がいみじくも御指摘いただきましたように、十六年の法改正をしましたから、たしか十七年の四月からはもう自動的に過払いを受け付けない仕組みになっています。しかし、その任意加入の二十七万人が十六年、まあ十七年以前において現実に過払いであったかどうか。これもう十七年以降はいいわけですから、それについて正確な数字は、今言った二十七万人との直接な連動がございませんから、すぐには分かりません。  しかし、私はさきの委員会でも申し上げましたように、今委員がおっしゃるように、こういうものはまさに国が取るべきものじゃありません、本人に戻すべきものです。したがって、十六年の法改正との趣旨の関連で、例えば運用によって何かできないか、今検討させています。というのは、運用でやれれば新たな法改正をするよりも早いわけなんで、これはもう法律家の委員を前にして釈迦に説法ですけれども、十六年の法律との整合性、そういうことを考えながら今鋭意検討しているということはしっかりと申し上げておきたいと思います。
  159. 松野信夫

    松野信夫君 これはもう鋭意検討も何もかにも、やっぱり早く返す、過払いは返すということを是非お願いをしたいと思います。  一方では、後期高齢者医療制度でこれはもういきなり天引きをするというふうに一方では勝手にどんどんと天引きをする、一方では取り過ぎたものは返さない、これはひどい話。これは悪いけど、こんなことをしていたらもう悪代官。国はいつの間に悪代官になったんだ、もう悪代官の典型だというふうに言わざるを得ない。是非その点をしっかり改正を取り組んでいただきたいということを申し上げて、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  160. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) これにて松野信夫君の関連質疑は終了いたしました。  以上で内藤正光君の質疑は終了いたします。(拍手)     ─────────────
  161. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 次に、衛藤晟一君の質疑を行います。衛藤君。
  162. 衛藤晟一

    衛藤晟一君 自由民主党の衛藤晟一でございます。社会保障全般について質問をさせていただきたいと思います。  我が国は、御承知のとおり高齢化率が二〇%を超えました。高齢化では世界のトップランナーとなっているわけでございますが、さらに、これからいわゆる団塊の世代、我々の世代が高齢者の仲間入りをいたします。高齢者数が急増いたしまして、高齢化率も二十年後の二〇二八年には三〇%、二〇五〇年には四〇%の大台に乗ることになります。  このような急速な高齢化の中で、今後の年金や医療、介護などの社会保障給付費はどのように伸びていくという具合に見込んでいるのか、また、その水準は国際的に比較して大きくなるのか小さくなるのか、お伺いをさせていただきます。
  163. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 平成十八年五月に公表しました、厚生労働省が作りました社会保障の給付と負担の見通しに従ってお答え申し上げます。  二〇二五年には、給付費ベースで年金は現在の一・四倍の六十五兆円、医療は現在の一・七倍の四十八兆円、介護を含む福祉等は現在の一・九倍の二十八兆円となって、社会保障給付費全体は現在の一・六倍の百四十一兆円となると推計をしております。  これを国民経済との比較で見ますと、国民所得が現在の一・四倍ほど伸びるという前提の下に、社会保障給付費の対国民所得比は、現在の二三・九%から二六・一%へと約二・二ポイント拡大し、経済の拡大を上回ってこの給付が伸びるということでございますが、国際比較をいたしますと、この水準を今言った国民所得の比率で申し上げますと、アメリカに比べれば高い水準となっておりますけれども、イギリス、フランス、ドイツなどの欧州諸国に比べればまだ低い水準であります。  いずれにしても、こういうことを勘案してこれからの制度設計をやらないといけないと思います。
  164. 衛藤晟一

    衛藤晟一君 これまでも、高齢化に伴いまして社会保障の費用は増加してきました。平成七年に自民党が政権に復帰しまして、そのときに消費税の引上げを決定し、そしてこれからの少子高齢化社会に対して何とか対応していこうということで、新ゴールドプラン、エンゼルプラン、障害者プラン等々を策定をいたしまして、最初にこの平成七年度の予算を編成いたしました。  そのとき、一般会計は七十二兆円、国債費、そして地方交付税を除いた一般歳出が四十五兆円で、社会保障関係費はその三一%の十四兆円でありました。これが二十年度予算案では、一般会計予算総額が八十三兆円、そして一般歳出は四十七兆円で、社会保障関係費は約二十二兆円、今や一般歳出の四六%と、半分近くが社会保障関係費になっているわけであります。  一方で、国による負担拡大だけでは賄い切れないということで、保険料の負担や、あるいは医療や介護の自己負担割合も上がるようになってまいりました。このため、国民の皆様の中には、国民にだけ負担を押し付けていると、国は社会保障の予算を削っているんではないのかという具合に思っていらっしゃる方も大変多うございます。このことについて、やっぱりどういう状況なのかということについて説明いただきたいと思います。  この数年、高齢化に伴う自然増がどの程度あり、その増加をどの程度抑制をし、そして結果的にどの程度社会保障予算を拡大してきたのかということについて、国民の皆様に分かりやすく説明していただきたいと思います。
  165. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 厳しい歳出抑制の改革をやった、その結果、自然増で増えるものを相当切り込んだということで、具体的な数字を申し上げますと、平成十四年度から十八年度までおおむね八千億から一兆円程度の増加分が、まあ一兆円程度増加するというのを見込まれたのでございますけれども、一連の、介護も変えました、医療も年金も改革しました、そういうことで、五年間で一・一兆円の伸びの抑制、つまり平均で年二千二百億円の伸びの抑制を行ってまいりました。    〔委員長退席、理事林芳正君着席〕  本年度も様々な工夫をやりまして二千二百億円の伸びの抑制を行っているというのが現状でございます。
  166. 衛藤晟一

    衛藤晟一君 ただいまの答弁で分かりますように、平成七年ぐらいより、国は自然増、平均しますと九千億という中、二千億程度を抑制しながら毎年七千億のペースで社会保障国庫負担を上げてまいりました。それが、平成七年の社会保障十四兆から平成二十年二十二兆という具合に来たわけでもあります。このことについてはよく分かりました。  しかしながら、そういう状況の中で、骨太方針二〇〇六によって、さらに平成十九年度以降につきましても、この拡大の中で、平成十六、十七、十八という具合に大きく抑制をしようということでシステム改革をやってまいりました。年金改革等がそうでございます。それによって自然増が落ちてきたわけでありますけれども、落ちてきたにもかかわらず、平成十九年度以降についても五年間で一兆一千億、年平均にいたしますと二千二百億の伸びの抑制だということでやってきたわけでございます。  最初にお伺いいたしましたように、社会保障費の見込みでは、今後は医療や介護の費用の増加が大きいと。これは、受診率も要介護率も高齢になれば増加するということから、高齢者が増えればある程度避けられないというか、当たり前のことでもあります。これをしっかり私どもは支えていかなければならないというように思っています。  さらに、医療や介護の現場を見ますと、医師不足問題、あるいは地域の産科や小児科、外科などが成り立たなくなっている問題、介護労働者の定着率が悪い問題等、国民生活に必要なサービス提供基盤が壊れないように手当てをしなければいけない状況でもあります。さらには、年金、医療、介護以外の、後ほど質問させていただきます障害者の対策や少子化対策などは国際的に見てもまだまだ小さく、大きく拡充をしなければいけない状況であります。  今国会の冒頭で我が党の尾辻参議院議員会長が、社会保障費の増加分を抑制するのはもう限界、乾いたタオルを絞っても水は出ないという具合に訴えかけましたが、まさに同感でございます。平成十六年から十八年にかけてのかなり厳しい改革を行った上に、さらに機械的に社会保障費の自然増について二千二百億円という厳しい削減を強いるのはもう限界に来ているという具合に思いますが、この点について、総理及び厚生労働大臣に御見解を賜りたいと思います。
  167. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 御承知のように、今回も薬価基準を下げ、それから健康保険組合の間の相互援助という形で何とか二千二百億円を捻出しました。  しかし、医師不足を始めとして様々な国民生活に直結する問題が出てきています。そして、私は、例えば医療制度というのは、これは国民最後の安心のとりでである、セーフティーネットである、これはしっかりやらないといけない。そういう意味では、歳出削減二千二百億円というのはそろそろ限界に来ているという私も感じを持っております。  しかし、こういうことにつきましても、来年度の予算に向けて、総理の下に社会保障の国民会議が開催されておりますので、こういうところで負担と給付、この間の問題をどう解決するか国民的な議論をした上で、きちんと国民に安心を与えるようなそういう政策の実現に厚生労働大臣としても力を注いでまいりたいと思っております。
  168. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 委員御案内のとおり、我が国の財政状況というのは極めて厳しい状況にあるということでございます。その上に、本格的な人口減少、高齢化と、こういうような課題を抱えておりますので、我々としても、次世代に負担を先送りしないという考え方を持ちながらやはり財政健全化に努めていかなければいけない、これはもう大前提としてあるんだろうというふうに思います。  特に、社会保障は経済の伸びを上回って増大していくということが見込まれておりますので、これまでも歳出の抑制努力は行ってきましたけど、他の分野と異なりまして、毎年度予算額を増やすといったような必要な予算の確保には努めてきたということであります。二千二百億を削ったと言うけれども、全体としてはやはり八千億、九千億というような伸びがあったということでございます。  社会保障というのは、国民の暮らしを支えるセーフティーネットであるということでございますので、その役割というものはこれは極めて大事だと。特に、高齢化社会ということを考えますと、その役割を重視しなければいけないというのは当然でございます。しかし、そういうことを認識しながらも、一方では給付の合理化、効率化、こういうものにも引き続き配慮し、努力をしていく必要もあると思っておるところです。
  169. 衛藤晟一

    衛藤晟一君 この二千二百億の見直しを是非、総理も就任のときに、国民の視点に立って頑張りますということを言われました。そして、この二千二百億の削減というのは、抑制というのは、やっぱり九千億ベースで増えたときの削減だったんですね。それがもうこの二年ぐらいは、特にこの両四、五年の間に制度的な改革もやりましたから、自然増が約七千億台にもう低減したんですね。ですから、それにもかかわらず、また機械的に二千二百億削るというのは、明らかに限界が来ていると思います。  そして、これだけの改革を続けてくる中で、私はやっぱり一回ちょっと、抑制し過ぎた部分があるかもう一回見直して、そして、本気でこの少子高齢化社会を乗り切るためにもう一回ベースを決めなければいけない、そういうときが来ているというように思います。頑張ってきたことは間違いなく、非常に私は頑張ってきたと思います。しかし、その改革を続けながら、ちょっと一種の踊り場に来たと。そして、我々がやらなきゃいけない少子高齢化社会対応のために、もう一回ここで踏みとどまって、そしてどうやっていけばいいのかということを見直すときが来たというように思いますので、そういう視点に立って是非見直しをお願いを申し上げたいと思っています。どうぞよろしくお願いします。  それでは、障害者問題についてお尋ねをさせていただきたいと思います。  障害者施策のあるべき方向性については、平成七年に、ちょうどこのころ、障害者プランにおいてノーマライゼーション七か年戦略ということで、ノーマライゼーションの理念の実現に向けて、障害を持たれている方々が社会の構成員として地域の中で共に生活を送れるようにということで、まさに自立と共生を目的として、自立を促そうということで頑張ってまいったところであります。  平成十五年度からは支援費制度ということで導入をいたしましたが、その一環として、これまでの行政が利用者のサービスを決定する措置制度、してあげますよという制度から、利用者が契約により自らの選択でサービスを利用する仕組みというものを導入しました。しかし一方で、この中には精神障害者が対象となっていないとか、あるいは、支援費制度についてどれだけのサービスを提供するかというサービスの総枠も決めないまま、適切なケアマネジメントが行われていないまま野方図にサービス提供ということになりまして、結果的には制度自体が財政的に破綻するようになりました。  これらの経緯を踏まえて、これまでの支援費制度の対象となっていなかった精神障害者を含めた三障害共通の制度を創設し、支援の必要性に関する客観的な尺度を導入するとともに、国の費用負担について責任を持たせると、この責任を持つことについて強化するなど、従前の制度をより良いものとして、障害者が真に地域で自立した生活を営むことができる社会を目指して成立したものが障害者自立支援法でございました。  しかしながら、様々な変遷を経て障害者の地域における自立を実現をするために成立した障害者自立支援法でございますけれども、大臣はどのように考えておられるのか、まず基本的な考え方をお伺いさせていただきたいと思います。
  170. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 私も大臣に就任して、障害者が生き生きと働き、自分で給料を得て胸を張ってやっていると、そういう現場を見てきました。こういうノーマライゼーションの理想がきちんと確立すること、それがこれからの日本の目指すべき方向だと確信しております。(発言する者あり)
  171. 衛藤晟一

    衛藤晟一君 このようにして、後ろからも声がございましたが、理念は良かったんだよという声をいただきましたけど、このようにして実現いたしました障害者自立支援法でございましたが、そもそも幾つかの問題もありました。準備期間や検討体制が不十分であったと、それから極めて内容は多岐にわたっていまして、元々三障害ばらばらで複雑な制度だったものを一元的に改革しようとすることでございましたから、多くの不安を抱えながらスタートをいたしました。  この結果、施行後約二年が経過したこれまでの間、様々な御意見がいろんな方から寄せられたわけでもあります。そのために、一昨年の末には、三年間で国費千二百億円の特別対策を決定をし、そして利用者負担については低所得者を中心に負担上限額を四分の一に軽減する、事業者の経営安定のために激変緩和措置として事業者の従前収入の九割を保障する等の施策を実施したところでございます。  しかしながら、まだ、特別対策後におきましても障害者のいる世帯の負担感が依然として強い、あるいは更なる負担の軽減を求める声がありまして、あるいは多くの通所サービス事業所では収入が大きく減少したと。入所施設においても、入院や帰宅に伴い利用日数が変動するなど、事業者の経営基盤の強化を求める声が依然として強かったわけであります。  これらの声を受けまして、昨年末に与党プロジェクトチームが取りまとめた報告書を踏まえ、二十年度予算案の中で緊急措置を実施することとなりました。今回の緊急措置によってこれらの声にどこまでこたえることができたと考えているのか、見解をお願いいたします。
  172. 岸宏一

    ○副大臣(岸宏一君) 御指摘のとおり、平成二十年度予算におきまして、与党のプロジェクトチームの報告を踏まえまして緊急措置を実施することといたしました。  この緊急措置では、利用者負担について、まず最初に、低所得世帯を中心に利用者負担の上限額をこれまでの半分以下に抑えたと。それから二番目としまして、障害児を抱える世帯について、利用者負担の軽減対象となる範囲を拡大させましたこと。それから、負担上限額につきましては、世帯全体ではなくて本人及び配偶者のみの所得で判断するというふうに見直しをいたしました。これらの措置を実施することによりまして、平均的な負担率はおおむね三%程度になると見込んでおります。  また、事業者の方でございますが、この経営基盤の強化を求める声に対しまして、通所サービスに係る報酬単価を約四%引き上げるとともに、定員を超えた受入れについて更なる弾力化を図る、こういう措置をいたしたわけでございます。  また、特別対策のお話がございましたが、これによりまして、各都道府県に造成された基金を活用いたしまして、重度障害者や就労継続支援事業への対応について支援を行うということをいたしまして、事業者の経営基盤の安定化を図るための措置を講じたところでございます。  このように、緊急に措置すべき事項については対応できたものとは考えておりますが、今後とも、様々な皆様の声に耳を傾けながら、実態もよく把握した上で、残された課題については来るべき抜本的な見直しの時期に向けて検討を進めていきたいと、このように考えている次第でございます。
  173. 衛藤晟一

    衛藤晟一君 障害者自立支援法は、障害者の方々が地域で自立した生活を営み、安心して暮らすことのできる地域社会を実現することを目的として成立したものであります。この障害者が地域で暮らしていくためのサービス基盤が整わなければ、法律の理念は立派であってもその実が伴わないものとなりかねません。  このような障害者の方々の地域移行を進めるために、その受皿となるサービス基盤の整備が必要であります。福祉サービスの充実や住まいの場の確保など、様々な面において地域移行への取組を強化することが重要であると考えています。  そこで、今後、障害者の方の地域移行についてどのように取り組んでいくのか、大臣にお尋ねいたします。
  174. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 地域社会で障害者の方々も健常者と同じように生活できると、そういうノーマライゼーションのために、例えばグループホームで受入れが可能なようにするということで、平成十七年に三・四万人だったこの利用者数を計画によって八万人まで二十三年度には増やしたいと。また、そのグループホームのこれを充実させるために、例えば敷金、礼金の補助を行う。それから、今般の与党プロジェクトチームの報告書を踏まえまして、二十年度予算におきましては、新たにグループホームを整備する場合についてその費用を補助すると。  そういうこととともに、あと、これは障害者の方々の一般就労。私行ったのはパン屋さんなんですけれども、本当に生き生きと働いているんですね。ですから、そうすると、工賃倍増五か年計画ということで、いわゆる恩恵的に上から下りてくる措置ではなくて自ら働いて生活の糧を稼いでいくと。本当に生き生きと皆さんやられていますので、そういう方向で努力をして地域移行に取り組みたいと思います。
  175. 衛藤晟一

    衛藤晟一君 それから、さらに精神障害や発達障害についてお尋ねしたいと思うんですね。  今、実は精神障害者に対する医療費は約二兆円と言われています。ところが、精神障害者に対する社会保障というのは四百億です。この十年間、私ども何とか拡大しようと思って懸命に努力してきましたが、こういう結果でした。それから、国の方でも発達障害に対して何とかやろうということをしてきましたが、まだまだ多くの課題が残っていると言って間違いありません。  精神障害者の方々からは、地域生活に移行するためにはサービスをもっと大幅に拡大してもらいたい、あるいは社会復帰のための施設等を充実してもらいたいと、そういう声が大変強うございます。さらには、地域で生活するときに家族に対してももうちょっとバックアップをしてくれないととても地域生活ができないというような声もあります。また、発達障害につきましても、まだまだ発達障害ということについて我々、私も入れて理解、どういう具合にしたらいいのかということを理解できているとは言えないというように思っています。  そういう中で、何とか私どもこれを進めなきゃいけない。声をお聞きしますと、専門家の養成を行ってほしいとか、あるいはネットワークをつくってもらいたいとか、あるいは支援体制をもっと充実してもらいたいとかいう声が上がっているところでございます。  この自立支援法は、身体、知的、精神障害の三障害について一元的にサービス提供しようと、そして大変遅れている精神障害のみならず発達障害についても何とか頑張っていこうということで決めた法律でもございます。これら、とりわけ精神障害、発達障害についてどのような気持ちでこの施策について充実をされようとするのか、大臣の所見を、意気込みをお伺いさせていただきます。
  176. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 今委員御指摘のように、身体・知的障害者に比べてこの第三のカテゴリーである精神障害者、非常にやっぱり社会へ移行して地域に移行するのは難しい。  先般、福岡の精神障害の方々とお会いしました。大変頑張って地域に溶け込んでおられる方もおられますけれども、御苦労なさっている。そこで、この二十年度予算から精神障害者地域移行支援特別対策事業というのを設けまして、新たな予算、わずかですけど、十七億円計上いたしました。今後ともこれを増やしていけるように努力をしたいと思います。  それとともに、やはり地域でバックアップするという体制をどう組むか、これも大きな課題だと思います。  さらに、発達障害、これ、いろんな今研究も進んでいて、発達障害のメカニズムも分かっていますけれども、御本人も親御さんも御家族も大変な苦労をなさっている。そういうことで、三月二十八日に発達障害情報センターを開設して、ここに情報を集約し、幅広い啓発活動を行っていきたいと思いますんで、更なる研究を続けた上で今のこの大きな問題について取り組む。そして、こういう精神障害者、発達障害者に対する施策がきちんと成るということが私はノーマライゼーションを本当に実現したと思っていますんで、これも全力を挙げて取り組みたいと思います。
  177. 衛藤晟一

    衛藤晟一君 年金問題について、これは今般、やみ専従の問題の存在も明らかになりました。この年金記録問題というのは、まさに年金が始まってからの蓄積がなされてきた。そんな意味では、昭和十七年からと言いますけれども、実質的には戦後のとりわけ四、五十年の制度改革を続ける中でどこかでちゃんとやらなければいけなかった問題をふたをしてきた、そして見過ごしてきたと。政治も大きな責任があると思います。  私どもも十年前に、こういう問題が起こるからということで、みんなで年金番号を統一しようということでやってきました。そのときに、私どももこういう根深い問題があるということを知らないままでした。基礎年金番号を付ければちゃんとなるんだろうというぐらいしか思っていなかったことは事実でございます。  そういう中で、今回、一体どうしてこれが起こったんだろうかという中で、総務庁の言わばいろんな調査の中で出てきました。一つは、国が年金をお預かりしているにもかかわらず、本人申請。利益を受けるのは国民だから受ける人が全部申請すべきであるという非常に傲慢な、まさにお役所仕事の典型みたいなことをやっていました。  それから、いろんな問題があっても、みんな一遍に何とか整理をするということをしないで目を伏せてきました。そして、最終的に年金額を裁定するときに全部調べてやれば何とかなるんだと、そういうことを言い続けてきた。この裁定時主義も問題でありました。  それからもう一つは、言わば三層構造と言われる本庁採用のⅠ種職員、それから本庁採用のⅡ種、Ⅲ種職員、それから地方採用のⅡ種、Ⅲ種職員というこの三層構造の問題が指摘をされました。そんな意味では、社会保険庁、とりわけ地方に至るまでなれ合い構造であったということは強く指摘されているわけであります。  そんな中で、つい先日、このなれ合いの典型みたいなことが出てきました。平成九年から十六年ごろにかけての社会保険庁職員が無許可で組合運動の活動に専従するいわゆるやみ専従の所在であります。今これはまだ東京と大阪しか出ていませんけれども、よもや、まさか、恐らく東京と大阪だけではなかろうという具合に思います。やみ専従の制度がずっとあったということは、当局と組合の幹部と話合いをしてでないとやみ専従というのは絶対に置けない制度であります。  ということでございまして、実質的には、このやみ専従を厚生大臣やあるいは幹部の方が自ら置けと言ったことはないでしょう。恐らくそういう制度をつくれという具合に組合は要求した、その強い要求が通るほど組合管理が強かったというのが恐らく実態であっただろうと思います。そういう意味では、この問題を隠ぺいするような社会保険庁のなれ合い体質というものが極めて大きな原因となっているということは言をまたないという具合に思います。  このような実情を踏まえつつ、社会保険庁改革に向けての舛添大臣の決意をお聞かせいただきたいと思います。
  178. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) いわゆるやみ専従、無許可専従を行ったと認めている者が、東京の社会保険事務局で十七人、大阪で十二人、その他、業務手続を行っていた者が一人判明いたしました。  私は、こういう体質、そして、今おっしゃったように、こういうことを管理者との間でなれ合いでやってきた。そして、先ほど既に明らかになったように、例えば一日に五千タッチ以上はパソコンを打たないとか、私が見た記録だと、お客さん来ても待たせてコーヒー飲んでいたっていいんだと、こんなすばらしい職場を我々につくってくれた先輩たちに感謝って、そう書いたのが九州の事務所から出てきて、これは週刊誌にも公表をされております。  今言った五千タッチ以上働かないとか休み時間を多く取るというようないろんな意味での確認事項ってありましたが、これは平成十七年二月三日までにすべて破棄させております。  今後は、今調査を、いわゆるやみ専従についても調査を進めておりますけれども、先般は、これは社会保険の労働組合の委員長辞任する、そしてお金を返還するということもありましたし、こういうことについて、二度とこういうことが繰り返されないように再発防止策を取り、きちんと厳正な処分をやっていきたいと思います。これは、本当に何十年にわたる積年の病弊の一つがここにあるわけですから、きちんとメスを入れて、新しい日本年金機構では絶対にそういうことはさせない、そういう思いで新しい組織をつくってまいります。
  179. 衛藤晟一

    衛藤晟一君 年金記録問題につきまして、三月末までにコンピューター上での名寄せ作業を終了すると、そして記録に結び付く可能性のある方には特別便をお送りするということが政府与党公約でございました。  しかしながら、一方で、さきの参議院選挙などの際に、国民の皆様に三月末までに年金記録の統合までも完了するような印象を与えてしまっているのも事実でございます。こうした中で、コンピューター上での突き合わせだけでは解明されない記録が約二千万件残っているのは公約違反に当たるのではないかというように批判されているわけでもございます。  舛添大臣は、これまで年金記録問題について国民の理解を得られるよう尽力されてこられました。この点についても丁寧に説明をしてこられたと思いますけれども、改めてこのような批判についてどのように受け止めておられるのか、大臣の気持ちをお話しいただきたいと思います。
  180. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) いろんな御批判に対して、これは厳粛に受け止めて、反省すべきは反省し、それを糧にして一つ一つ前に進めていく。例えば、ねんきん特別便にしても分かりにくかったことは確かであります。なぜそうなったかの理由は既に述べました。しかし、これは改善していくという努力を続けていく。  そして、やはり政府与党がきちんと決めた工程表どおりにやっていけば、十月までには全員にねんきん特別便が行きます。そこから先、例えば住所変更された方がおられたら、それは市町村の住民台帳と比べてみる、いろんな手を尽くしますけれども、まず一億人、皆さん方が自分のねんきん特別便をチェックしてくださる。先ほど申請主義、裁定時主義というのがありましたけれども、御協力いただけばいただくほど早く結果が出ます。それとともに、残された記録については住基ネットと統合する、それからまた漢字仮名文字変換のミスを直していく、そういうことによって着実に一つ一つこの結果を明らかにしていく。  私は、私のやるべき仕事は、国民の皆さんに一日も早くきちんとやはり年金を取り戻すということであるし、この積年の病弊、だれかがここできれいに片を付けて、そして国家、政府に対する、そして年金制度に対するこの信頼を回復しなければ日本の社会保障制度全体が崩壊に瀕すると思いますので、私は、そういう意味で必ずこれをやり遂げる。そして、着実にその進行状況は、これまでもやってきましたように、ほぼ一月に一度国民の前につまびらかにすると、その態度で今後とも貫いて誠心誠意努力をやってまいります。
  181. 衛藤晟一

    衛藤晟一君 今大臣お話ございましたように、まさにこの年金記録問題というのは、国に対する不信感をこれほど大きくさせたことはなかったというように思います。今、私どももいろんなところに回ったりお会いさせていただきましても、この国に対する信頼関係を基本的に損ねたということについては物すごく大きな問題だと、言わば社会保障全体というか、国の運営そのものが成り立たなくなるぐらいのすごく大きな問題だというように認識いたしております。  それで、これ積年の問題でございますが、これは本当にこの際きれいに何とか整理をして新しいスタートを切る、そんな意味で、今マイナスの状況を逆にプラスに置き換えて、そして信頼回復をして再スタートを切れるような、そういう具合に改革を進めていただきたいと心から念願するのであります。  そういう中に立って、年金制度について私はちょっと私見を交えながら質問させていただきたいと思うんですね。  この年金制度につきましては、平成十六年に思い切った制度改革を行いました。年金財政の長期的な均衡がこれによって図られたんではないのかというように思っています。三十年と言おうが五十年と言おうが百年と言おうが結構でございますけれども、しかし、少なくともこのままの経済情勢であれば、大きく変動がない限りは大体この年金財政はこれでいけますよという形に一定程度の財政的な、長期的な均衡が図られたというように思います。それまで、言わば改革前には毎年、一年間に四十兆の公的年金が払われていますけれども、五兆円の単年度の赤字が出るようになったのを、この赤字をふさぐということについて明確な意思表示がなされ、そしてその見通しが今付きつつあるということについては非常に大きかったという具合に思います。  ただ、この十六年改革の残された課題といたしまして、基礎年金の国庫負担比率を三分の一から二分の一に引き上げますよということはこの財政改革フレームの基本的な要件であります。この税制の抜本改革の動向を踏まえつつ、国庫負担二分の一への引上げ実現を図っていく必要があるわけでありますけれども、この残された課題として、またさらには公務員に対する共済年金と民間サラリーマンに対する厚生年金という被用者年金の一元化の問題もあります。この二分の一への引上げ、そしてまた厚生年金それから共済年金との被用者年金の一元化、さらには、パートや非正規雇用労働者が正規雇用でないためにみんな国民年金に追いやられてしまっているわけでございまして、これが国民年金で一番大きな問題となっているわけであります。このパート労働者への厚生年金の適用拡大というものが残された課題となっています。  これらについて、大臣の、政府の取組について大臣からお伺いさせていただきます。
  182. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 年金制度の一元化につきましては、いわゆる厚生年金と共済組合なんかの年金、このやっぱり被用者の年金をまず第一ステップとして一元化するということが必要だと思いますし、パート労働者へも拡大していくと、そういう趣旨のこの法案を昨年の通常国会に出しております。そういう意味で、是非早急な審議、成立をお願いしたいと思います。  それから、先ほどの問題についてもう一つ、この年金制度の信頼性ということについて一言申し上げますと、私、毎日作業を監督していまして、ああこれがあったら苦労しないでできるのになというのはソーシャル・セキュリティー・ナンバー、社会保障番号です。今カードを作ろうとしています。おぎゃあと生まれたときに、あなたの番号はこうですよ、それ一生付いて回りますよということをやれば、結婚しようが離職しようが会社変わろうが、付いてくるわけです。  やはりこれからも、入力ミスというそういうヒューマンエラーはちょっとおいておいて、制度としてより確実なものにするためには、やはり社会保障番号を一人一人に付すということがないと、本当の完璧な制度に行かないのではないかというように私は今、日々感じているところでございますので、この点も是非国民的な議論、特にこの国会での御議論を待ちたいと思います。
  183. 衛藤晟一

    衛藤晟一君 今大臣からお話ございました。私どもも、党としても、何とかこの社会保障番号制度の導入に向けてやりましょうと、これをどうしても一元化しないことにはチェックできないということについて思っております。大臣からもお話ございました。是非この実現に向かって共に頑張ってまいりたいと思っている次第でございます。  さらに、国民年金についてでございます。国民年金には未納、未加入問題がございます。このことが言わば年金制度全体への国民の不安を非常に強くしていると言って間違いがないという具合に思います。そういう意味で、私はもうこの国民年金制度というものを厚生年金と一元化するということを考えなければいけない時期が来ているんではないのかという具合に考えているわけでございます。  国民年金については、保険料の納付率が今六六・三%という具合に言われています。ただ、その方向を目指すとしても幾つかの問題があることは事実であります。どうしても、自営業者の正確な所得を把握するためにどうしたらいいのか、それからサラリーマンには事業主負担がありますけれども、自営業者のこの事業主負担分というものをどう考えるのか、あるいはサラリーマンは所得税が源泉徴収ということであるわけでありますけれども、今、国民年金の徴収問題が一番大きな課題となっているわけでありますけれども、この保険料の徴収というシステムをどういう具合に国民年金の場合行うのかというような形のものがいっぱいありますけれども、しかしそういう課題を乗り越えて、もう国民年金制度というものを、逆に言えば、これだけやっと育て上げてきた制度でありますけれども、その問題もはっきりしたわけでありますから、一元化についての検討をやっていく、そしてまた、それについて与野党の枠を超えて胸襟を開いてまさに協議していくべきではないかという具合に思いますが、どうでしょうか。総理の御見解を賜りたいと思います。
  184. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 国民年金と厚生年金の一元化、これにつきましてはいろいろ難しい問題もあるんですね。所得把握、それから自営業者の事業主負担分の扱いといったようなことがございまして、そういう問題を克服しなければいけないということはございます。政府としては、まずは被用者年金の一元化、これを実現したいというふうには考えておるところでございます。  それで、今御指摘のことでございますけれども、政府として社会保障の国民会議というものを開いておりますので、この年金問題についても十分な議論をしてもらおうと思っています。この年金というのは、これからの社会にあって極めて重要な老後を支える手段でございますので、このことについて政府の役割、どこまで政府が役割を果たすのか、それから負担をどうするかといったような、そういう面についても議論を行ってまいりたいと思っております。  また、この年金制度というのは国民全体にかかわる問題でありますので、これは政府与党だけで議論して済ますという問題でもないと思います。やはり国会全体、野党も含めて真摯な議論を進めていくということが必要だというように考えておりまして、これは党派を超えた結論を得るべく努力をすべきだと私は思っておりますので、どうかよろしく御協力を野党の方々にもお願いしたいと思っております。
  185. 衛藤晟一

    衛藤晟一君 次に、介護保険制度についてお尋ねをいたします。  介護保険制度は、地域福祉の観点から、地域での助け合いの制度としてスタートをいたしました。ですから、一定程度の自助努力しましょう、そして保険という共助、助け合いの制度でやりましょう、また国が税を入れながら、あるいは県、市町村も税を入れながらこれを共助のシステムとして、言わば自助、共助、公助のシステムとして維持しましょうということでスタートいたしました。そして、具体的には地域福祉ということを原点としたわけであります。しかし、どうもやっぱり、最近何かまた、例えば特別養護老人ホーム等が何かうば捨て山的になっているんじゃないのかなという感を持ちました。  つい先日、テレビ報道で、フィリピン人の介護士さんが一生懸命頑張っています、非常に感謝されていました。嫌な顔一つせずやってくれる、敬老精神があって大変有り難い。でも、そのフィリピン人の介護士さんが日本人の入居者はかわいそうですねと、家族がめったに来ないとか、寂しそうだという話がありまして、私はそれを聞いて本当にはっといたしました。元々この介護保険制度というのは、家族で見れないところをみんなで助け合って一緒にやりましょうということですから、この家族の延長としてのものを求めていたわけですね。それがいつの間にかそういうように言われるようになったということで、制度スタートして八年になるわけでありますけれども、この地域福祉の原点に立ち返らなきゃいけないなと。  ただ、地域福祉といいますと、今度は、ただ地域の方々と交流があればいいというんじゃなくて、本来、この地域福祉という言い方は、家族や親戚やお友達や、あるいは御近所の方々も一緒にそこで交流ができるというものを、これを、制度の根幹の精神としてあるわけでありますので、そのことについて厚生労働大臣に是非御見解を承りたいと思っております。
  186. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 在宅と施設、この二つのサービスをどう組み合わせるかということにその答えがあると思います。  だれもが住み慣れた家で介護されたいと思うとともに、家族の観点から見ると、やっぱり医療のサービスが提供できるのが施設であれば、そこに入ってもらいたい。それから、介護者も本当に疲れちゃいますから、ショートステイ、デイサービス、こういうものの組合せ、これが必ずしもうまくいっていない面があると思いますので、これは改善していきたい。  それから、今ちょうどお花見、まあ終わりましたか、地域によっては桜の花のきれいなお花見の時期です。こういうときに施設から外に出られて、お年寄りの例えば認知症の方々もこの春の季節を楽しむということはないといけない。ところが、施設へ閉じ込めて拘束をする、こういうことがあってはいけないと思いますので、地域全体がある意味で施設であるというような形での、細かい地域密着型の、うば捨て山と言われないような、そういう介護の現場を実現するために努力をしてまいりたいと思います。
  187. 衛藤晟一

    衛藤晟一君 最後になりますが、こういう施設で今働く方々の離職率が高い、あるいは給与水準が低い、あるいは施設自身も、多くの施設やホームヘルパーさんについては、パートの方々の数をうんと増やさなければやっていけないというような問題を抱えています。  これは近々介護報酬の改定があるわけでありますから、そういうところも是非見直していただきたいし、また、こういう施設は健康管理としての嘱託医制度だとかあるいは看護師さんの配置がなされていますけれども、ここにも、お医者さんが診療、医療ができるとか、いろんな形の工夫がもうちょっと要るんではないのかと思いますから、この暮れに行われる介護報酬改定のときに是非配慮していただきたいというように思いますので、それを希望して終わります。  どうもありがとうございました。
  188. 林芳正

    ○理事(林芳正君) 関連質疑を許します。西島英利君。
  189. 西島英利

    西島英利君 自由民主党の西島でございます。  本日は、後期高齢者医療制度、通称長寿医療制度、これは福田総理が指導力を発揮して名称を変えられたということでございますけれども、このことについて御質問をさせていただきたいというふうに思います。  実は私、初めて赤いネクタイを締めました。実は今日は私の誕生日でございまして、還暦なんですね。それで先週の金曜日にうちの職員がこのネクタイをくれまして、そのときに喜んでいいのか、何か非常に寂しい気持ちがいたしました。もうそれだけ年を取ったのかなという感じがしたわけでございます。  叙勲を受章された方が時々、私、精神科医でございますけれども、受診をされてきます。叙勲をするともう自分の役割は終わったんじゃないかということで、抑うつ状態になって来られるという方もいらっしゃるわけでございますけれども。  今回、後期高齢者医療制度の名称が大きな問題になっております。ワイドショーを見ていましたら、広辞苑を調べた方がいらっしゃいまして、私も広辞苑を調べましたら、最後の時期というふうに書いてあって、そういうふうに思われたということは、やはりこの制度を実行するまでの説明、理解を求める活動が私は足りなかったのではないかなというふうに思っております。  ここに後期高齢者医療制度のお知らせというのが政府広報であります。私も読ませていただきましたが、残念ながら分かりません。そういう意味で、長寿医療制度というこの制度をやっぱりじっくりと時間を掛けて理解を求めるような活動が今後必要なのかなと。一度けちが付くとなかなか変わらないんですね。そういうところを是非、舛添厚生労働大臣もお願いを申し上げたいというふうに思います。  ところで、この高齢者医療制度、どうして導入されたのかといいますと、実は日本医師会が、二〇〇〇年の八月ですから平成十二年でございますけれども、このときにグランドデザインというのをつくりまして、高齢者医療制度というのを実は提案をいたしました。このときの流れはどうだったのかといいますと、当時、やはりこのままでは国民皆保険制度は成り立たない、将来的にはということで、平成十四年度の健康保険制度の改正のときに医療費の伸び率管理制度を導入しようという大変な動きがあったわけでございます。  このときに、実はイギリスがその制度を既に導入をいたしました。そして、その結果イギリスはどうなったのかといいますと、もう医療が完全に崩壊をしてしまいました。病院はばたばたと倒産をしまして、入院が必要なのに一年以上待たされるという方々が実に百二十万人もいらっしゃられて、そういう状況になったわけですね。結果的に、ブレアさんが首相になられて、もう一度何とか元に戻しますということで医療費をどんどんどんどんつぎ込むんですが、なかなか元に戻らないという状態が当時でございました。  ですから、私どもは、やはりここの国民皆保険制度は何とかしなきゃいけない、ですからそのためにはやはり制度を変えなきゃいけないということで実は提案をしたわけでございます。  そのときに、どうして七十五歳以上なのかということなんですが、これは、健康寿命という数字がございます。これはどういうことかというと、寝たきりでない人の平均寿命のことを健康寿命というふうにいいます。普通の平均寿命とは違います。実はこれは日本は世界第一位なんです。この健康寿命が日本は大体七十四から七十六歳ぐらいなんですね。大体七十五歳ぐらいになってきますと病気になる確率は非常に高くなってくるということで、そういう方々でやはりこの医療の在り方というのを考えていこうということで、実は我々はこの制度を提案をしたわけでございます。  しかも、七十五歳以上でございますから、実はもう保険としては成り立たないんですね、病気になる人たちがもうほとんどでございますから。ですから、七十五歳まで本当に日本の国のために一生懸命働いてこられた方々、もうこれは保障としてやっぱり医療を見たらどうかというようなことで実は提案をしたというのが実情でございます。    〔理事林芳正君退席、委員長着席〕  そういうことで提案をしてきたわけでございますけれども、じゃ、どんな医療が提供できるようになったらいいのかということなんですが、例えば脳卒中になりますと、治療をすれば何とか改善しますから、そのときには出来高払でと。それから、ある程度、麻痺は残りますけれども、落ち着かれた場合には、これは慢性期ということで、ある程度定額の医療と。肺炎とか骨折が起こされた場合には、これは治療をすれば治りますから、それはまたもう一度出来高と。そして、症状が悪化した場合にもこれは出来高というような形でやれば、やはりかなり医療費の適正化ができるのじゃないかという提案を当時の自民党にさせていただいたわけでございます。  実は、一番の目的は何だったのかといいますと、終末期医療だったんですね。つまり、本当に希望のない、回復見込みのない、ただただ延命だけの治療、今の医療制度では、例えば人工呼吸器を付けてそれを外すということがなかなかできないような実は制度なんです。ですから、この辺りを何とか制度化をして、そしてやれないだろうかという考え方でございました。  ところが、残念ながら、この一番の目的の終末期医療について、この制度が実は成立をした後いろんな検討が行われたんですが、この議論がほとんどなされてこなかった。ですから、この高齢者医療制度の理解が私は進んでこなかったんだろうというふうに思うわけでございます。  つい先日、国立長寿医療センターが終末期の希望調査というのをやっております。この数字が先日出ました。これは高齢者の方に、しかもこの方々は国立長寿医療センターに通院をしている患者さんたちでございますので、一人一人の聴き取り調査をされました。その場合に、回復見込みのない者であれば、これは積極治療も望まない、そうしてもらいたくない、延命のための人工呼吸器は望まないというのが実に九三%の方でございます。また、終末期は病院で終えたいという方も六割以上いらっしゃるんですが、回復見込みのない積極治療、これはしてほしくないというのは九割以上の方がそういうふうな回答を寄せていらっしゃるということでございまして、この四月一日からこの医療制度はスタートをしたわけでございますけれども、やはり残された課題、これをしっかりやって国民の間で議論をしていただいて、これをある程度制度化といいますかガイドラインといいますか、そういうふうにしていただかないと、我々医師もどういうふうにしていいか分からないんですね。  そういう状況の中で、当然、御家族の方もよくお分かりにならないだろうと。今度の診療報酬の改定にはそういう仕組みが入ってはいますけれども、実は議論なされていないわけですから、できないですよね。ですから、是非次までにはこれをしていかなきゃいけないと思うんですが。  もう一つは、実はこの制度ができたら必要な医療が受けられないのではないかという大変な不安を実は国民はお持ちでございます。それほどやっぱり正確な情報が流れていないわけですね。今までと何にも変わらないはずですね。つまり、保険証が変わるだけだと。何にも変わらないと。今のように好きなところへ、自分の好きなところへ行けて必要な医療機関に受診できるというふうに私は理解しているんですが、いかがでございますでしょうか、大臣
  190. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) まず、この制度の周知徹底の努力が足りない。私もそういう思いがありますから、先般、私の下に総務省、厚生労働省合同のチームをつくり、市町村に対して積極的に周知徹底を図るということを申し上げてまいりました。そして、今これはNHKで全国に中継されておりますけれども、お医者さんである西島委員がきちっと説明されたようなことが余り報道されていない。  そして、例えば終末期医療、私は自分の親を両親ともみとりましたから、いかに重要かと。そして、回復の見込みがないのに延命治療をやりたくないというのが九割以上いるとおっしゃいましたね。こういう問題を含めてどうするかと。それは、もう回復見込みないのにメスを当てて体を切り刻む、チューブが体中に差している、そういう状態よりも、やはり自宅で静かに家族と一緒に過ごしたいという、こういう人がおるわけですから、そういう問題についてきちんと議論を静かに、そしてみんなが分かるように議論をする必要があります。それがなされていない。したがって、そういうことをきちんとやる。これは早く死ねと言っているのか、そうじゃありません。終末期の医療をしっかりするということであります。  そして、病院へ行けなくなるのか、行けなくなることはありません。いつでも好きな病院に行けます。そして、先ほど御説明いただいたように、出来高払でやるか、それは治療の量によってやる、ないしは一括の総括払いでやるか、これはやり方もあります。それから、フリーアクセスが閉ざされると、これもためにする議論で、全くそういうことはございません。私はずっと現場を、御高齢の方々の現場を見ています。もう議論をすれば大きな制度設計から始まっていろいろございますけれども、今委員がおっしゃったようなことを更にきちんと御説明をしていきたいと、そういうふうに思います。  要するに、かかる病院が制限されたり好きな病院に行けないということはあり得ないということを申し上げておきたいと思います。
  191. 西島英利

    西島英利君 一番やっぱり高齢者の方が心配されるのは、本当に必要な医療が受けられるんだろうかというのが一番の心配でございますから、是非理解を求める活動をお願い申し上げたいと思います。  もう一つの問題は、本日の質問でもいろいろと野党の方々から出ておりましたけれども、俗に言う保険料の年金天引きの問題でございます。  これは特別徴収という言葉を使うんだそうでございますけれども、これは非常に利便性が良くて、私はその方がいいだろうというふうに思うんですね。特に、高齢者の方々の国民医療保険の支払といいますか、保険料の支払はほとんどの方が支払っていただいているというふうに聞いております。ですから、そういう意味で、今回、保険料の年金を特別徴収という形で天引きするということになりますと、実は、本人は直接役所の窓口に行かなくても済みますし、そして銀行振り込みもありますけれども、この銀行振り込みも、実際、被保険者は振り込み料は支払っておられませんが、でも振り込みのための利用料は、これは保険料から支払われている。ですから余計なコストが掛かるわけでございますね。そういう意味で私は、これは非常にそういう意味では合理的だろうというふうに思っているところでもございます。  ところで、年金の様々な問題がありまして、そういう問題が解決しなければこの年金の天引きはやめろという御議論もございます。しかし、これやはり切り離して考えなければいけないと私は思っております。  どうしてかといいますと、私はそもそも、一連の年金の問題、先ほど舛添大臣もおっしゃいましたし、それから衛藤委員もおっしゃいました。確かに社保庁の幹部、厚生労働省の幹部の責任は大きいだろうというふうに思いますけれども、しかし職員組合、労働組合の責任も私は非常に大きいだろうというふうに思っております。  例えば、コンピューターを導入するときにこの労働組合は大変な反対をされました。絶対に導入させないということでございました。しかし、導入をせざるを得ない状況になったときに何を言われたか。専門家を雇っては駄目だと、一般職でやると言われたわけであります。それもちゃんと覚書の中にあるんですね。さらには、時間外はもう仕事は一切しないと。先ほど大臣も言われましたけれども、一日のキーを打つ回数、これ五千回までと。忙しいときは一万回ぐらいやってもいいよということですが、それでも時間はそんなには掛からないわけでございます。最初は五十分作業をしたら十分休むと。それが、慣れてきたはずなのに、その次には四十五分仕事したら十五分休憩と。こんなことはとても考えられない。もうでたらめ、やり放題の中で作業をされてきたわけですから、正確な情報がコンピューターの中へ入っていくはずがないわけですよね。ですから、それが今の大きな問題に私はなっているんだろうというふうに思うわけでございます。  しかし、これは社会保険庁の改革の法案を議論をしたときに、我々はこんなでたらめな職員組合の方々に仕事をしてもらったらとてもいい仕事はできない、だからこれは、社会保険庁はもう解体しなければいけないということで日本年金機構というその制度をつくらせていただいたわけでございますが、この議論をしているときに、残念ながら民主党さんは一度たりとも実はこのことを追及されていないんですよ、一度たりともこの労働組合の問題を。私は非常に不可思議だなというふうに思いました。  さらには、この日本年金機構のこの法案には反対をされたわけですが、実は一人だけ、民主党の議員の方が一人だけこの職員組合のことに厚生労働委員会で触れられました。  私、正確にちょっと読ませていただきます。正確に読ませていただきますけれども、「私は、こういう自治体の、社会保険庁の職場の皆さん方との付き合いが随分あったんですけれども、そのときにいつも問題になっていたのが、五十三年間も要するに変則的な労使関係だった。」「私の友人が、その運動に従事している人がこういうふうに言ったんです。社会保険庁に勤めている職員は」、僕びっくりしたんですが、「めかけの連れ子だと言うんですよ。これを私も聞いたときに、そんなことまで言わなくてもと思うんですが、そういう話を聞いて、まあ言い得て妙なのか、それとも、いや、そんな表現はよくないよとおっしゃることは私もそうだろうと思うんですが、そういう話を聞いたことがある。」。要するに、労使関係が正しい労働関係でないという状況が五十三年間続いたということに問題があるんだということなんですね。  ですから、私は申し上げたいのは、先日の厚生労働委員会である民主党の方が、自分の年金情報、特別便年金情報ですね、来たんでいろいろと調べたらば、相談窓口の方が分かりました、ちゃんとやりますと言われたと。ところが、その情報が全く伝わっていないと。  つまり、こういう過去の労働組合の状態というのがまだ今でも続いているんじゃないかなと。もしそうであれば、私はこの先に、前倒ししてでも、やはり日本年金機構に私は早く前倒しをして、この作業、要するに国民が安心して年金が受けられると、そういう作業がそういう状況になるように私は早くするべきではないかなというふうに思うんですが、もう一度大臣の御決意をお聞かせいただきたいと思います。
  192. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) やみ専従を始めとする問題、これは今メスを入れております。そして、いろんなあしき労働慣行については、すべての確認書を既に破棄をしたところでございます。そして、今この新しい年金機構設立の準備を着々と進めておりますので、二度とそういうことがないような、新しい日本年金機構に生まれ変わらせたいというふうに思っています。  そして、新しい医療制度については大きな医療設計、医療制度の、保険制度の設計の問題があります。何度もお話しになりましたように、御高齢の方々はほとんど全部国保です。とてももちません。したがって、一割の負担で、四割は若い方の負担を入れる、五割は税金を入れる。むしろ高齢者の方々が安心して老後を過ごせるような、そういう仕組みをきちっとやったというふうに思いますので、是非これは国民的な議論をして周知徹底をしてまいりたいと思います。
  193. 西島英利

    西島英利君 もう一つ、是非大臣にお願いしたいことがありますが、これはもし見直しと、要するに将来的に見直しということは当然出てくると思うんですね、何らかのことで。そのときに、今回この保険料率といいますか、保険料を見ますと、均等割額と所得割率で、これを足して実はそれが保険料になると。ところが、東京は均等割額で、均一保険料ですけれども三万七千八百円。ところが、所得割率は六・五六なんですね。非常に低いんですよ。これは、実は所得に掛けるこの六・五六でございますから、それだけ所得の多い人がたくさんいらっしゃって、ぜいたくな保険料になるんだろうからこうなるんだろうと思うんですが、しかし福岡は、私の住んでいるところですけれども、五万九百三十五円の均等割額。所得割率が実に九・二四なんですね。これは大きな格差が今後出てくる可能性があります。  ですから、私、一番最初に申し上げましたように、保険よりは保障というふうに思っていますので、今度もし見直しの機会がありましたら、できればこの均等割額も所得割率も全国統一になれないだろうかなと、そういうことをちょっと思っているところでございますが、いかがでございますでしょうか。
  194. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) これは、今委員がおっしゃった問題意識は私も持っています。東京都というのは極めて特異なシステムを持って、結局東京都の保険連合が少し減額措置をやらないといけないような、そういう状況にまでなっておりますので、地域差があります。ただ、なぜ地域差があるかということについて言うと、これ、この新しい医療制度を入れたのは、例えば市町村ごとの単位でやっていて、もう御高齢の方ばっかりが住んでいる過疎のような村ではとてもじゃないけどもちません、保険制度がもちません。したがって都道府県単位の広域連合でやりました。  じゃ、東京と福岡の医療提供のサービスの質がどうかというと、これが違います。その提供側のサービスの質に合わせて均等割その他を比例させているという面がございますので、私がやるべきことは、全国どこでも医療サービスの質がなるべく均一になるように、この努力をした上で、その上でじゃなくて、ただ単に均等割含めての全国統一にするということだと若干無理があると思いますので、サプライサイドの方も全国レベルを引き上げていって統一化することによって今の課題に取り組んでまいりたいと思います。
  195. 西島英利

    西島英利君 総理最後にお聞きしたいんですが、先ほど障害者自立支援法の質問衛藤委員がされましたけれども、この高齢者医療制度もほとんどまだ経験したことのない制度がスタートしたわけでございますね。どこかではやっぱり見直しをしなきゃいけない。今の私のいろんな話を聞いて、何かコメントがありましたらいただきたいと思うんですけれども。
  196. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 私も実はあと二、三年すると御厄介になる年なんでございますんですけれども、それだけにこの制度は一体どういうものかなと思っておりました。  今、先ほど来いろいろと具体的に御説明いただきまして、逆に説明していただいて私もよく分かったところもございますけれども、まだこれ、これを皆さんに周知徹底して、そしてこの良さを実感してもらえるというまでにはまだ説明が足りないというふうに思いますので、政府としましても実施本部をつくりまして、市町村も含めてよく説明をこれからというか、鋭意していかなければいけないと、こんなふうに考えているところです。
  197. 西島英利

    西島英利君 ありがとうございました。終わります。
  198. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 関連質疑を許します。松村祥史君。
  199. 松村祥史

    松村祥史君 自由民主党の松村祥史でございます。  本日は予算委員会集中審議ということで社会保障、経済ということで質問させていただいておりますが、前段、衛藤議員、西島議員から社会保障についての質問がございましたので、私は日本経済認識を問うた上で、とりわけ地方経済についてお伺いをさせていただきたいと思っております。  社会保障については、これはやっぱり国民の皆さん方の安心が損なわれているという点では大変この制度設計についてもしっかりとやっていかなきゃいけない部分でありましょう。あわせて、経済のことをお話しすると、その財源の確保をやっていくのがやはり経済の必要性ではないかなと、このように思っております。  まず、そのことを踏まえた上で、日本経済については日銀の短観でも足踏み状態というような発表がなされております。先日、アメリカの経済の中でバーナンキFRB議長がアメリカ経済は後退し得る可能性が出てきたと、こんな重大な発言をなされました。このことについて、今後我が国経済に与える総理の御見識をまずお伺いをしたいと思います、御見解をお伺いしたいと思います。
  200. 大田弘子

    国務大臣(大田弘子君) アメリカ経済は、御指摘のように景気の後退懸念が強まっております。先週末に発表されましたアメリカの雇用者数も三か月連続マイナスということで減速感が強まっています。金融・資本市場の混乱もまだ底打ち感がございません。この影響が日本の企業部門にじわじわと効いてきておりまして、アメリカ向けの輸出が鈍化してきております。それから、ドル安に伴う円高、原油高によりまして中小企業を中心に収益悪化が顕著になっています。ただ、一方で、中国を始め新興国はまだ堅調に推移はしてきておりますけれども、既に中国からアメリカへの輸出は伸びが鈍化してきているという影響がございます。  これからの日本経済への影響ですけれども、このアメリカ経済の減速がどれぐらいの大きさでどれぐらいの期間続くかということによってかなり影響が異なってまいります。いずれにしても、しばらく悪影響が続くということは避けられないと見ております。  それから、アメリカの経済というのは世界経済を引っ張ってきましたので、中国始め新興国もその影響を大きく受けるようですと、日本経済は間接的にも影響を受けることになってまいります。したがいまして、アメリカで今講じられております金融政策、財政政策の効果というものをしっかりと見極めながら、十分な警戒感を持ってこれから日本経済に押し寄せてくるインパクトというのを見極めていきたいと考えます。
  201. 松村祥史

    松村祥史君 財務大臣、いかがでしょうか。
  202. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今、大田大臣からお話がありましたように、アメリカの経済の影響がアジアにどういう影響を与えるのか、それがまた日本にどういうふうにその景気のダウンリスクとして影響を与えるのか、そういうことについてよく見極めていかなければならないというふうに思っております。  政府は、今景気は足踏み状態であるという共通の認識を持っておりますけれども、例の建築基準法の住宅着工件数というのは大体元に戻ってきているし、それから、輸出部門等がアメリカ経済それからアジアの経済の影響によって若干下がっていくけれども、基本的には緩やかな回復をしていくんではないのかという思いをしておりまして、それをきっちりとしていくために、福田政権の下では、原油高対策とかあるいはまた中小企業の金融対策だとか成長戦略だとか、そういうものをきめ細かくしっかりと対策を打ち立てて国民の皆さん方に安心をしていただきたいというふうに思っているところであります。
  203. 松村祥史

    松村祥史君 引き続き、極めて細やかに注視をいただいて、早め早めの対策をお願いしたいと思っております。  日本経済は今景気が足踏み状態、しかしながら戦後最大の景気好況が続いていると、こんな状況でございますけれども、他方で、総理とも何度もここで議論をさせていただきましたけれども、地方経済というのはまだまだ良くないと。  午前中にも中小企業政策の議論を聞かせていただきましたけれども、私は、総理におかれましては、就任後、この地方経済に関しては非常に大胆にかつ細やかに具体的な政策を打っていただいているものと理解をしております。というのが、地方経済成長戦略を始めとしまして、年度末においては、二月に早々に企業の金融対策も早急に打っていただきました。また、先週四日の日でございますか、早々に成長力強化のための早期実施策も取りまとめをいただいたと聞いております。  是非、総理の思いの中で、やっぱり地方と都市の共生、そして地方経済をしっかり今後つくっていくんだという思いがあると私は理解をしておりますので、今日はテレビも入っております、地方の皆様に是非、地域経済に対する思い、総理の思いを語っていただければと思います。
  204. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 地域の、まあ地方の経済と申しますか、これはちょっとやはり都市とのギャップが目に付くといったような、そういう見方が多くなりました。私もその点は強く感じておりましたので、できる限り地域が、地方が元気を出せるような、そういうようなことをしていかなければいけない。したがいまして、財政的には厳しい状況でございますけれども、交付税の面の配慮とか、そしてまた地方が活性化できるようないろいろな施策を、これは大きなことをしているわけではありませんけれども、きめ細やかに、地域地域が活性化できるような方策、政策を打ち出しておると、こういうような状況にあります。  やっぱり地方が元気出さなきゃ日本全体元気にならないんじゃないかというのが私の持論でございまして、そういう観点から、地方の経済活性化のために何がいいのかということ、これはもう常に考えておるところでございます。  一つの今であればいい方策は、早く地方が道路予算を十分に使えるような状況をつくるというのも、これも大事なことだと思いますよ。こんなことで足踏みしているようなことであれば、そのことがまた地方の経済の足を引っ張るという原因になってしまうというように思いますので、これは是非野党の皆さんに御協力をお願いしなければいけないと思っているところであります。  いずれにしましても、地方が頑張れるような施策、これを我々としてもいろいろな面から支えていく、具体的なことを今申し上げませんけれども、いろんな施策を持っておりますので、どうかそういうものを駆使していただいて、中央もそういうものに対してできる限りの支援していきたいと、こういうふうに考えておるところでございます。
  205. 松村祥史

    松村祥史君 総理の思いを聞かせていただきました。やはり地方の方々はそれぞれに勇気が出たことと思います。  四日に取りまとめられました成長力強化の中に、中小企業の体質強化というような項目も挙げられております。その中でも地域力連携拠点の整備が重要であると私は思っておりますし、そのことも取り上げていただいております。どうか、このことについて詳しくお話をお聞きしたいと思っておりますので、甘利経済産業大臣にお話を聞かせていただければと思います。
  206. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) 小規模企業を含めた中小企業には、大きく言って二つの課題があるんですね。その一つは、財務状況だとか経営上の課題ということを的確に自分自身で把握をすること、自分の企業にどういう課題があるかということを把握することと、それから把握した課題を克服するための必要な知識やノウハウや資金というものを入手をすること。つまり、課題をしっかり分析をして処方せんをちゃんと描く、それに対するツールがちゃんと用意されていることということが大事なんであります。  二十年度予算案におきまして、地域力連携拠点というのを三百か所整備をいたします。ここには、応援をするコーディネーターがこれらの課題解決を支援をするということにしております。  これらの拠点においては、ITを徹底して活用するということ、それから経験豊富な大企業の退職者であるとかあるいは地域の公設試、そして大学等と連携をして、新たな商品であるとかサービスを開発をし販路を拡大をしていく、そうしようと考えている中小企業の取組を支援をするわけであります。しっかりと課題を分析をして、それからこのコーディネーターを活用して、市場に向けて何を生み出し、どう売り込んでいくかということをプログラミングするということであります。  この地域力連携拠点におきましては、地域を超えた中小企業の連携であるとか、地域資源の活用、さらには農商工連携を支援をしまして、地域の中小企業の活性化のために予算、金融、税制、手段を効果的に総動員をして、中小企業の体質強化のためにきめ細かな支援を推進していくということであります。
  207. 松村祥史

    松村祥史君 是非きめ細やかにやっていただきたいと思います。  また、今、甘利大臣のお話の中に農商工連携というお話がございました。そして、今回、今国会でこの法案を提出をされておりますけれども、大変画期的な法案ではないかなと思っております。経済産業省と農林水産省が、これは両省枠を超えて、地域に眠った逸品を掘り起こして、またその販路の拡大に努めると。その成長の先がやはり輸出であったりという、こんなストーリーなのかなと思っておりますけれども、この地域の中の眠った逸品を掘り起こすための政策、農商工連携、この方向性、またその思いについて、まず甘利大臣にお話を聞かせていただきたいと思います。
  208. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) さきの国会で新しい企業立地促進法というものを国会で成立をしていただきました。つまり、今までの企業立地よりも前広に企業立地に必要な人材の育成からインフラから全部連動して省庁連携でやろうと、中央もそうだし、地方局も連携してやっていこうというこの新しい仕組みが成立をいたしました。それに従って各地方から、それぞれの地域の企業立地計画というのがどんどん今でき上がっています。  ただ、企業を立地させて地方を元気にするということはもちろん大事なんです。大事なんですけれども、そこに昔からある業自身を活性化していくということは同じくらい大事なんでありまして、そこで今国会に農商工連携の法案を出させていただいたわけであります。我が省として、一次産業を所管する農水省のお手伝いが有機的にできないだろうかと、この面でも省庁連携ができないだろうかということを考えたわけであります。  農業そのものは農水省の所管でありますが、農業に企業的な感覚を持ち込むとどうなるだろうかと。つまり、企業でいいますと、生産して終わりではなくて、この商品をどうやって市場に売り込んでいくかとか、あるいは逆に言えば、市場のニーズをとらえて生産にフィードバックするとか、いろんな工夫があるわけでありますね。でありますから、農林水産業の現場に市場の方の感覚をつなげていく、つまり売る方と作る方がつながっていく。そこに工業的手法、IT経営というのはもうどこの企業でも当たり前にやっていることであります、農業法人でも、IT経営で生産性を上げていく、無駄をなくしていく。あるいは、今、日本の農産品は安全というのが売り物ですから、安全を消費者に見えるようにITでどうやって工夫をしていくか、そういう手法があるはずなんですね。  一次産業と二次産業と三次産業を全部つなげるような工夫、それを我が省がお手伝いできないだろうかということで農水省と連携をして提案をした仕組みでありまして、かなり好評でありますので、しっかりと成功事例をたくさんつくっていきたいと思っております。
  209. 松村祥史

    松村祥史君 農林水産大臣、いかがでしょうか。
  210. 若林正俊

    国務大臣(若林正俊君) 総理がおっしゃっておられますように、地方が、地域が元気にならなければ日本経済、日本社会自身が活力を取り戻して元気になることはできない、こういう視点でございます。  そして、戦後、作れば売れるという時代がずっと続いてまいりました。その意味では、農林水産業の現場というのは物を作るということに一生懸命力を注いできたわけでありますけれども、やはり需要が多様化してきますから、そういう需要に合わせて売れるものを作るというふうに発想の転換をしなければならない。  そういう観点で、農業も林業も水産もうんと変わってきております。その変わってきている中で、どうして地域の農林水産業がその地域において付加価値を高めて新しい商品開発をする、新しい販売ルートを開いていく、こういうようなことが必要になってきたところで、今甘利大臣が言われたように、商工業の持っている販売力とか商品開発力とか、そういうようなものと連携を付けて、これを広く需要の開発に結び付けて生産の改革をしていくという視点でございます。  そういう角度からいいますと、いろいろなもう新しい芽がいっぱい出てきておりますけれども、私は地域の農林水産業が地域の、委員が専門の分野で活躍いただいた商工会、地域のどの町村にもあるわけでございます。そういう地域の根差した商工会とまずしっかりと連携をして、そして大きな展望を持ったシステムにつくり上げていくということが大事じゃないかというふうに考えております。  具体的には、いろんなものが出てきていますが、例えば一、二挙げますと、北海道において非常に栽培が難しかった小麦、地場産小麦でありますけれども、品質の高いハルユタカという小麦を開発しまして、それを地元の農業者と連携した地元の製粉業者が高品質なめん製品を作ると、ラーメンの材料になるわけでございますが、それを開発して地域ブランドとしてこれを付加価値を付けて売り出しているというような例もありますし、福岡では、旅館業者と地元の農家が連携をしまして、減農薬栽培の農作物を活用したジャムだとかあるいはその他の加工品を販売をしたり、また自然食のレストランを立ち上げまして、そこで新メニューを入れて観光の皆さんを呼び込んでくるといったようなケースも非常に好評でございます。  国産の農林水産物を活用した新商品の開発とか販路の拡大、組織、これを取り組んで、農山漁村地域の再生、また都市と農山漁村との共生につなげていくということが大事だと思います。その際には、やはりその地元、地産地消といいますか、地元の生産物を地元の中で、付加価値を高めていく意味で、地域の商工会の活動というものが連携するのがやはり出発点だろうと、私はそのように考えております。
  211. 松村祥史

    松村祥史君 今お二人の大臣からその決意をお伺いいたしましたけれども、中小企業は四百三十万社あると言われております。そのうちの三百八十万社が小規模事業者と。先ほど商工会というお話いただきましたけれども、商工会や商工会議所に属する方々というのはやはり小規模事業者の方が多いわけですね。こういう方々が経営に対して、地域の人口が減り疲弊する中で、希望が持てる、これがやっぱり一番大事なことであろうと思います。  そういう意味では、一つ私の地元の例を挙げますと、これは私の町なんですけれども、小さなフルーツトマトというのを作っていらっしゃる個人農家がいらっしゃいます。ここが、百キロほど離れた熊本市内のおもち屋さんと連携をしましてトマト大福なんというものを今作り始めました。恐らく、新聞、テレビで取り上げられたんで、一週間、二週間ぐらいで売上げが落ちるんじゃないかと、こう思っていらっしゃいましたけれども、何分味がいいと、やはりいいものを作れば売れていくと、こういうふうに思います。  そういう意味では、こういうことを広く伝えていただいて、しっかりと企業家の方々に目覚めていただくことが一番大事であろうと思っておりますので、是非今後もよろしくお願いします。  そういう意味では、しっかりとした財源の措置が必要かと思います。財務大臣、この農商工連携についての財源措置、どのようにお考えでしょうか、お聞かせください。
  212. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今それぞれ、若林大臣、甘利大臣からお話がありました。  一言で言えば、農業の産業化みたいなものだと思いますから、ひとつ是非これを機会に、各事業主もここにビジネスチャンスありという形で、いろんなアイデアを駆使して発展の起爆剤になっていただきたいと。それぞれの省に二十年度予算で百億円ぐらいずつの予算が計上されておりますから、いろんなアイデアそれから着想を豊かにしてチャレンジをしていっていただきたいというふうに思います。
  213. 松村祥史

    松村祥史君 是非、財源措置はしっかりととられているものの、マッチングした、企業企業に合わせた支援を考えていただきたいと思います。例えば、小規模事業者の方々がマッチングをして、いきなり十億、二十億使えよなんて言われてもこれは無理な話でして、やはりその成長段階に合わせて、また今後、こういったものはやっぱり我が国の政策として必要であると私は思っておりますので、是非そのこともよろしくお願いしたいと思います。  引き続き、若林大臣にちょっとお尋ねをいたしたいと思いますが。  我が国は貿易立国として今後活動をしていくべきだと私も思っておりますし、九〇年代は輸出量、輸入量というのが、輸入額というのが大体、輸出で五十兆台、それから輸入で四十兆台に推移をしていたと。しかし、二〇〇〇年以降顕著な伸びを見せまして、〇八年度には輸出が九十兆円台に達するんではなかろうかと、また輸入が七十兆円台に達するんではなかろうかと。資源のない我が国において、世界からいろんな資源を調達をしてきて、そして国内で製品化し、その商品を売ることによって外貨を稼ぎ、内需を高めていくと、これは大事なことでありますが、おおよそ車産業が引っ張っているんではないかなと思います。  しかしながら、ここにやはり今申し上げたような農商工連携の切り口があるのではないかなと、このように思いますが、今後、農林水産分野においての輸出、どのように検討されているか、お聞かせをいただければと思います。
  214. 若林正俊

    国務大臣(若林正俊君) 政府として、農政も攻めの農政で進んでいかなきゃいけない、これを重要な柱にいたしておりまして、平成二十五年までに農林水産物とか食品の輸出額を一兆円規模にするという目標を掲げまして、平成十九年五月に農林水産物輸出促進全国協議会というのを立ち上げて、そこで了承を得て、我が国農林水産物、食品の総合的な輸出戦略というものを定めました。それに沿いまして、各地域の輸出促進協議会への支援を始めとした海外販路拡大に向けた取組を推進しているところでございます。  もう委員も御承知だと思いますが、今世界各地で日本食レストラン、日本レストランというのがどんどんと広がっております。その日本食のレストランが、先般東京で世界のレストランの皆さんに寄っていただいていろいろなセミナーをし、ディスカスをしたんですけれども、その中でもやはり究極は食材、いい食材を使わなければいい本格的な日本食のレストランの普及、展開がないんだというような意見が非常に出ておりました。その意味で、価格は若干高いけれども、やっぱり良質、おいしくて、そして安全で、そういうようなきれいな美しい食材といったものが非常に需要が高くなってきているというふうに考えております。  そういう意味で、この日本の農産物、食料品というのは海外で大変高い評価が得てきているんでありますが、例えばですけれども、福岡では、御承知だと思いますが、「あまおう」というイチゴですね、これこの間都内で見ましても、もう普通の他の地域のイチゴの二倍ないし三倍ぐらいの値段で売れているんですね。そういう「あまおう」が香港とか台湾とか、さらに最近はアメリカにも輸出をされてきております。また、委員の地元の熊本ではブリの養殖、養殖されたブリがアメリカに輸出されているというような状況になってきております。  こういう農林水産物の海外販売を更に拡大をするということを目標にしまして、農林水産省としては国内外におきます商談の場を提供していく、また海外における販売促進活動に対していろいろな支援をする、またセミナーを通じて輸出情報を提供するといったようなことで輸出への取組を支援しているところでありますけれども、併せて、ワショク・トライ・ジャパンズ・グッド・フードという事業を展開をいたしておりまして、とにかく日本のいい、おいしい、品質の高い食品を輸出をしていこう、そして海外における日本食、日本食材のPRを実施しているところでございます。  今後とも、こうした対策を総合的に講ずることによりまして、民間による輸出の取組を強力に後押しをしていきたい、このように考えているところでございます。
  215. 松村祥史

    松村祥史君 是非強力に推進をいただきたいと思います。  特に「あまおう」のお話でございますが、私もちょっと調べてまいりましたけれども、日曜の夕方に出たものが、成田空港経由だそうですが、水曜日の六時には海外で、タイですね、これはタイ・バンコクでございました、バンコク空港経由で店先に並ぶと。非常に鮮度を重視する中で、その中で輸送に関しては航空便を使っていらっしゃる方もいるでしょうが、やっぱり道路を使ってコストダウンを図りながらやっているというようなお話も聞きます。  そのことを考えますと、地方がそれぞれの地域の活用をやる中で、地域経済しっかりと掘り起こそうじゃないかとやるときに、やはりまだまだ社会インフラの遅れているところというのは、このことは必要ではないかなと。港においても、それから空港においても、その地域地域のやっぱり戦略性が必要ではないかなと。もちろん、道路がだから何でもかんでも必要だというわけではありません。やはりこういうものをしっかりと整備をして、そういう経済政策の中に立ってどう整備していくか。特に空港や港、プラスそこにアクセスをする道路というのは私は必要だと、このように思っております。  そういう意味では、今後、戦略的な道路建設も必要ですし、私は道路は地方経済のやっぱり命であると、このように思っております。そういう意味では、是非国土交通大臣にその御見解をお聞きしたいなと思います。
  216. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 国土交通省におきましては、道路の中期計画の中で明らかにいたしましたように、お説のように拠点的な空港それから港湾、それから高速道路とのネットワーク、地域とのネットワークということの重要性を訴えているところであり、十年以内にこのように造りますというようなことも明らかにしているところでございます。  過日よりも、昨年の十二月に地元の熊本県の玉名というところへ参りました。国道八〇二というところ、ここのアクセス道路が短いんですけれども十年以上掛かっているんですね。ところが、これが非常に重要でございまして、九州新幹線が二十三年の春に開通しますと新玉名駅というのができるんですね。そことのアクセス道路としても非常にこれは重要でございまして、今、国土交通省といたしましてもこのアクセス道路、わずか八・五キロですけれども、これの完成のために工事を急いでいるところでございます。  そのように道路と地域というのは、もう地域経済とのかかわりというのは非常に大事だ、その意味で今私は何としてもお願いをしたいということで頑張っているところでございます。
  217. 松村祥史

    松村祥史君 いや、大臣のその思いというのは私と一緒だなと、こう理解をしました。やはり地域経済をつくっていくときに、まあ道路ありきではありませんけれども、私のような地方に今現在住んでいる者にとって道路の有り難みというのはここ数十年とても感じております。  ですから、やっぱりこれから地方が疲弊する中で地域の産業構造も変えていかなきゃいけない、しかしその最低限のインフラ整備というのは、私はこれは必要だと。そのことを考えると、今後、その財政措置というのも必要だと思いますが、このことについても是非御意見を伺いたいと思います。
  218. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) もう厳しい地方の財政状況とか、本格的な人口減少、高齢化社会を迎えますと、地方の活力低下が話題となってまいります。お説のとおりでございます。  これも私、今年の二月二十三日の体験したことですけれども、新名神高速道路の部分開通に立ち会いました。これは三重県亀山ジャンクションから滋賀県の草津の田上までの四十九・七キロが部分開通したんです。これが三重県側では、もう御存じのとおりですけれども、シャープの亀山工場始め実に七十四社出ているんですよ。そして、滋賀県の方へ参りますと、非常に今までは茶畑とかで甲賀平野ですね、そこで実に五十五社、トヨタ紡機始め五十五社が立地しているんですね。  したがって、その道路とそこにそういう工場誘致、誘致というよりも工場が出てくるんです、もう。そして、そこでは活力あふれる地域というものがつくられるわけです。私は、そのような意味で、もういろんなところでそういう体験を私しています。大分県の中津でも、そこに工場が造られることによって五千三百人の若い人たちがそこで働いていますよ。私は、そういう意味で、道路整備というものの必要性は、これは与野党通じてだと思いますよ、これ否定する人ないと思いますよ。  したがって、これをどういうふうに造っていくか、これを本当に真剣に考えなきゃならないと思います。道路を造るためには本当に巨額のお金が要りますし、しかも長期掛かるんですね。そういう意味で、その間の安定財源をどう求めるか、これが本当に主題だと思います。よろしくお願いしたいと思います。
  219. 松村祥史

    松村祥史君 是非、地方の経済の活性化においては、道路の必要性というのはこれは私はとても大事なことだと思っております。そういう意味では必要な道路を集中的にやっぱりやっていくと、戦略性が必要であると思います。  それから、今質問をさせていただいた農商工連携や、それから中小企業の政策、これはやっぱり必要なことだと思っております。そういう意味では、総理に冒頭語っていただきました地域経済の活性化、これはもう先頭に立って、総理にまたリーダーシップを取っていただいて活力ある地域ができ上がって、地域ありきのやっぱり日本なんだと、こう国民の皆さんに思っていただけるように私どもも頑張ってまいりますので、総理にも先頭に立って頑張っていただきますようにお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  220. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) これにて松村祥史君の関連質疑は終了いたしました。  以上で衛藤晟一君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  221. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 次に、荒木清寛君の質疑を行います。荒木君。
  222. 荒木清寛

    荒木清寛君 公明党の荒木清寛でございます。  まず、総理の改革姿勢について何点かお尋ねいたします。  総理は、先般、道路特定財源につきまして、二十一年度から一般財源化をするという画期的な新提案をされました。もちろん、政府与党としましては、昨年の年末の段階でこの問題、一応結論は出してはおりますけれども、しかし、その後の議論の進行また深まりによって考え方を変える、こういうことはあり得ることであります。特に、私は、社会保障の問題を考えますと、この一般財源化の意義は大変重要である、このように考えます。公明党は、この総理の決断を全面的に支持をしております。自民党も同様であると、このように私は確信をいたします。  今後、与野党の協議が行われると、このように思いますけれども、万が一その協議がうまくいかなくてもこの一般財源化は二十一年度から必ずやると、このように総理にお約束いただけますか。
  223. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 今般、私が提案いたしまして、道路特定財源の一般財源化と、こういうふうに申し上げましたけれども、これは、これまでの国会審議の中で、特に衆議院での予算委員会でございましたけれども、参議院の方は一向に審議してくださらないものですから、衆議院の審議の中で、野党の御意見等を踏まえまして、道路特定財源制度は今年の税制抜本改革時に廃止して二十一年度から一般財源化と、これは明記したわけでございます。  また、一般財源としての使途の在り方については与野党協議会で協議、決定をしたいと、こういうふうに申し上げたのであります。そういうような経緯がございますので、野党との協議をするということは大事なことなんですね。野党には野党のお考えがあるわけでありますので、そういうお考えも取り入れて一般財源化に進もうと、こういうふうなことでありますので、一刻も早くそういうような結論が出るように野党の方にも御協力をいただきたいと、こういうふうに思っております。  党の方が、自民党がどうのこうのという御心配もいただいたようでございますけれども、そういう心配は全くないと、いずれ閣議で決定をするということになります。これは与野党協議をしてから閣議決定をしようと、こういうふうに思っております。それは野党のお考えもそこに取り入れていきたいと、こういうふうな考え方をしているわけでありまして、当然ながら、与党自民党、公明党も一致協力してこの考え方で進もうという、こういう決意をいたしておるところでございます。
  224. 荒木清寛

    荒木清寛君 次に、国土交通大臣に道路関係公益法人の見直しについてお尋ねをいたします。  大臣はこの道路関係公益法人の見直しを今進めておられまして、与党としましても、プロジェクトチームをつくる等でもう全面的にこれはバックアップをしておるところでございます。衆参の予算委員会の審議等でも、この道路関係公益法人、例えば税金丸抱えの慰安旅行等々、様々な無駄遣いということが明らかにされました。そこで、大臣には、もう目に見える形でこの道路関係公益法人の改革を断行し、早くその改革の全体像を国民の前に明らかにしていただきたいと、このように思います。  そして、参議院でも暫定税率の審議がようやく始まったわけでありまして、恐らくこれから急速に審議が進んでいくと思いますので、一刻も早く目に見える形での改革のお示しをいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  225. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 道路特会からの公益法人に対する支出が国民の不信を招いたということにつきましては、私は担当する責任者として深く国民におわびを申し上げたい、何回もおわびをしているところでございます。そのような気持ちの中から、私としては、現在、改革本部で道路特定財源から支出の必要性の徹底的な検証を行った上で、廃止、統合、民営化等による対象法人の徹底した削減を行う、こういうことをはっきり明確にしているわけであります。また、役員数の削減等による総人件費等の抑制、現場業務と直接かかわらない調査研究業務について、公益法人への支出の大幅な削減ということを目指して現在鋭意作業を進めているところであります。  既に今までも、例えば財団法人海洋架橋・橋梁調査会、この海峡横断プロジェクトに関する調査は一切行わないということを明らかにいたしておりますし、あるいは社団法人国際建設技術協会、あるいは財団法人駐車場整備推進機構に対する道路特会からの支出も行わないということを明らかにしております。  また、財団法人道路保全技術センターのMICHIシステム、これは著作権を持っておるんですけれども、そこの業務のうち著作権にかかわらない作業は民間企業への委託をすることにより委託業務を必要最小限にするというようなことも明らかにいたしております。これについては早速実行することを決定もいたしております。  いずれにしましても、早急に必要な検討を行い、そして、第三者委員会というものを立ち上げているので、その方々の御意見を伺いながら、四月中、今月中には最終取りまとめを行うとともに、できるものは今年度中からもう実施するなど、改革を加速するように取り組んでいるところでございます。  なお、この特殊法人に対する随意契約ということが大きな話題になりました。これにつきましても、もう総理の御指示もいただきまして、昨年の十二月二十六日にこれについては競争性のある方式に改めるということも決定しているところでございまして、いずれにしても、早急にこれは結論を出して、皆様方に我々の信頼を回復させていただきたい、こんな思いで取り組んでいるところでございます。  なお、丸抱え親睦旅行のこともちょっと言われました。私もこれはもう恥ずかしい話でございまして、これについては、こういうものにつきまして参加者が、どこの会社でもありますよね、積立てをして、そして一部を会社から負担するというものがありますが、参加者負担額が五割に満たない職員旅行に対しては、福利厚生費の支出は社会的な常識に照らして私は不適切であると判断をいたしております。したがいまして、直近五年間について個人負担が旅行費用の半額以上になることを基本として、不足額がある部分については現在の役員と管理職が法人に自主的に返還するという方向で改革本部において今取り組んでいるところでございまして、さらに、法人に返還された額の取扱いについてどうするかということにつきましても、国庫に返納するというようなことも含めまして、これも外部有識者の意見を基に検討を進めて、もちろんこれも四月中には結論を出したい、このように思っているところでございます。
  226. 荒木清寛

    荒木清寛君 総理は、道路関係法人だけではなく、三月三十一日の会見では、行政と密接に関係ある公益法人の集中点検、こうした指示をされました。  そこで、財務大臣に、こうした公益法人に対しましては年間どのぐらい補助金ですとかあるいは随意契約ということでお金が国から支出になっているのか、報告をいただけますか。
  227. 杉本和行

    政府参考人(杉本和行君) お答えさせていただきます。  民法上の公益法人向けの補助金等の総額は、執行により変動するものではございますが、平成二十年度予算におきましては約三千億円を予定しております。  また、公益法人との随意契約の総額につきましては、平成十八年度におきまして約四千四百億円であると承知しております。
  228. 荒木清寛

    荒木清寛君 そこで総理に、この公益法人に対する支出、あるいは公益法人からの支出につきましてはいろいろ無駄遣いがあると言われておりまして、これを改めませんと国民の理解というのはなかなか得られません。  そこで、総理には強い決意でこの点検を行っていただきまして、その点検の結果をこの新年度の予算の執行ですとか、あるいは来年以降の予算編成にしっかりとこの結果を生かしていただきたいと考えますが、いかがですか。
  229. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 道路予算における不適切な支出に対しましては、国民から厳しい御批判をいただきました。国民の信頼を著しく失墜させたという、そういう事態につきまして国民の皆様にはおわびをしなければいけないと思います。と同時に、こうした支出を根絶することこそが国民の信頼回復のかなめであると考えております。  さらに、より幅広く国の支出の在り方について本格的な改革を行って、先ほど来お話があります随意契約の締結の徹底的な制限を行うなど、行政の無駄を徹底して排除していきたいと思います。  さらに、今般、国会等の議論を踏まえまして、特に行政と密接な関係にある公益法人に着目いたしまして、これらの関係することにつきましては集中点検を実施して、支出の無駄ゼロを目指すこととするということを関係大臣に申し伝えたところでございます。
  230. 荒木清寛

    荒木清寛君 是非、与党としてもしっかりとフォローアップをしていきたいと思います。  次に、総理の今策定をされております新たな経済成長戦略について、私は一層明確なメッセージを国民に発していただきたいということをお願いをいたします。  そこで、一つお尋ねしますが、公明党愛知県本部では、この二月に地球温暖化対策の推進を求める五十三万六千百三十七名の署名を取りまとめました。大変環境問題について関心が高まっている、こうしたことを感じました。  総理も施政方針演説の中で技術革新の加速ということを挙げられておりますけど、私はもう何よりも我が国が得意な環境分野での技術革新ということをこの経済成長の目玉とすべきではないか。この環境技術の飛躍的な革新ということを新たな経済成長の大きな原動力とする、そういう野心的な打ち出しというのを政府はすべきであると考えますが、いかがでしょうか。
  231. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) それは大変大事なことであります。  私は、これからの日本の経済を考える場合に、日本の経済というのは、経済社会というのは、やはり高齢化とか人口減少化だとか、閉塞的などうもそっちの方、社会になってしまうんじゃないかということを恐れておりまして、そういうときこそ中からの改革を進めていくということは大事なんだろうというふうに思います。  そういう意味で、まず全員参加型の社会というものをこれから構築し、そしてその全員参加の成長を遂げていくということが大事だというように思います。そのために、例えば都市も地方も、それから高齢者も、それから若い人も女子もみんな参加できるような仕事、そういう雇用の世界。そしてまた、国民が中心の行政。そしてまた政治もそうです、政治も国民本位にならなければいけない。国民一人一人を大事にする、そういうような形にだんだんと変わっていかなければいけない。そういう先に地方分権があり、また道州制ですね、道州制もあるということになりますけれども、やはり国民一人一人が自分を意識して、そして活力のある、そういう意味のある生涯を送れるような、そういう社会というものを考えていかなければいけないというふうに思っております。  そういう観点から、消費者中心の、最終的には近々まとめたいと思いますけど、消費者行政の一元化といったようなものもその中に入ってくるのでありますけれども、そういうことも考えていかなければいけない。  そういうときにもう一つ考えなければいけないのは、まさにこれはより大きな枠組みの中で考えていく必要のある課題である環境問題ですね。  この環境問題については、これはもちろん、国も、そして企業も、またいろいろな団体もすべて意識しなければいけないけれども、国民一人一人が意識しなければいけない課題なんですね。その課題にどうやって取り組んでいくか。そのためには、やはりそういうような意識させるような政府の取組も必要だろうし、また産業社会に対する指導ということも必要だろうし、また産業社会も自分たちの力でそういう社会を実現するための努力をしてくださるということを期待いたしたいと思いますけれども。  そういう中で、やはり大事なことは技術の開発だと思います。技術の発展なくして私はこの環境問題の解決はないと、こう思っております。取りあえずは省エネですよ。しかし、究極的には、革新的な技術を開発して、CO2を全く排出しない、そういうエネルギーの開発ということでありまして、多少時間は掛かるかもしれませんけれども、これはどうしても実現しなければいけないと思います。  しかし、その前にやることはたくさんありますね。我々国民一人一人がそういうことを意識して、家の中、そしてまた個人の活動、そういう中でもってこの問題をどうやって考えていくかということが大事なんで、その中で技術がいかに大きな力を発揮できるか、これが大変大事でございますので、このことには十分力を注ぐ価値があるということであり、また日本の目指す技術開発国家としての方向性もあるんだというふうに確信いたしております。
  232. 荒木清寛

    荒木清寛君 中小企業対策について一つだけお尋ねいたします。  原燃料価格の上昇をなかなか中小企業は転嫁できない、こういう実態にあります。この価格転嫁を法に違反をして不当に妨げる親事業者に対しましては厳正に対応していただきたいと思います。  そこで、公正取引委員会経済産業省、まあ中小企業庁ですね、そして国土交通大臣に簡単にその取組についての今後の指針を御報告願います。
  233. 竹島一彦

    政府特別補佐人(竹島一彦君) 御指摘の下請法の執行でございますが、情報が大事でございまして、黙っていちゃなかなかその違反情報が入ってまいりませんので、毎年ですが、約二十万社、そのうち三万社は親事業者、十七万社は下請事業者に、我々の方から、公正取引委員会の方から調査票を出しまして違反事実の発掘に努めております。  その結果、十九年度の場合に、親事業者に対しまして十三件、法的措置、すなわち勧告を行っております。それから、二月まででございますが、二千三百四十件の警告を行っております。それからさらに、最近特に問題になっておるトラック業界にかかわりますけれども、荷主による優越的地位の濫用ということがないのかという問題意識から、三月二十八日でございますが、物流事業者約三万社に対しまして特別調査を掛けておりまして、間もなくその結果が回収されることになっております。  いずれにしましても、このようにして違反情報の発掘に努め、厳正な法律の執行に努めてまいりたいと思っております。
  234. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) 駆け込み寺のような窓口をつくって下請いじめに遭っている中小企業者が申し出るということもやっていきますが、なかなか自分からは行きづらいですね、親企業の立場との関係がありますから。  今公取からも話がありましたけれども、中小企業庁としても、親事業者、それから下請事業者に書面調査を掛けます。この対象を増やすということにいたしております。十九年度十三万社から二十年度には十七万社へ対象拡大をしまして、それから聴取した情報を基に公取と連携をしまして、公取に人も出して連携をしましてしっかりとした立入りも行うと、これを是正していこうと考えておりますし、それから自主的な取組としては、あらまほしき姿ということで、適正下請取引のガイドラインを作ってベストプラクティスを横展開していくということをやってまいります。
  235. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) トラック運送業におきましては、燃料サーチャージ制の導入を含めて、取引の適正化を推進するためにガイドラインを策定するとともに、地方運輸局に相談窓口を設置いたしました。今後は、荷主それから元請、下請、行政等関係者によるパートナーシップ会議の設置等により、その効果的な推進に努めてまいりたいと思っております。もうトラック運送業の方は一円上がると百六十億円ですか、ということであります。累積している損金だけでももう七千億を超えるという大きなことでございますので、努めてまいりたいと思います。
  236. 荒木清寛

    荒木清寛君 終わります。
  237. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 関連質疑を許します。浮島とも子君。
  238. 浮島とも子

    浮島とも子君 公明党の浮島とも子です。よろしくお願いいたします。  総理は、生活者そして消費者が主役となる社会を主張されておられます。我々公明党も、生活者のための政治、そしてまた一貫して国民の皆様のため、そして一人の人を大切にという原点を胸に毎日行動させていただいておるところでございます。また本日は、このような生活者のため、そして国民の皆様のためという観点から質問をさせていただきたいと思います。  まず初めに、高齢期における所得保障の在り方についてお伺いをさせていただきます。  現在、高齢者世帯の収入の六九・六%が年金、恩給でございます。年金が高齢期の所得保障の中核であることは間違いございません。この年金がどれだけ給付をされているのか、詳細は省かせていただきますが、二百万円未満が約五割、特に一割の世帯では年金額が年間五十万円未満という状況でございます。また、生活保護世帯の約四割が高齢者世帯ということでございます。このような高齢者の所得状況を考えますと、高齢者の生活実態を踏まえて、社会保障の負担の在り方や年金の給付水準の設定の仕方など、高齢期における所得保障の在り方について総合的に考える必要があるのではないかと私は考えております。  総理は一月に、先ほどもちょっとお話がございました社会保障に関する国民会議を設けられ、総合的な検討を開始されたというところでございますけれども、この高齢期の所得保障の在り方について、そしてその中で年金が果たす役割について総理の御見解をお伺いさせていただきたいと思います。
  239. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 御指摘のとおり、年金は高齢化社会においてとても大事な制度だというように思います。約七割が、高齢者世帯の収入の約七割ですね、公的年金が占めているというようなことから考えましても、これはもう老後生活を支える本当に大黒柱というようなそういう立場の役割を果たしていると思います。したがって、公的年金制度を今後とも確実で信頼できるものにするということが必要でございますが、高齢期の安心した生活を支える医療、福祉などのサービスを適切に保障していくということも必要であります。  さらに、高齢者の雇用の機会を拡大するということも、これも必要でございますけれども、長い目で見れば、若い世代の雇用をしっかりと確保していくということも、これも大事なんです。それが高齢期の生活の安心につながるということにもなるわけであります。したがって、高齢者の所得保障の在り方については雇用政策を含めた議論が必要であります。  社会保障国民会議におきましては、生涯を通じた所得の確保という観点から検討するために三つの分科会つくりまして、その一つのテーマとして所得確保・保障というそういうテーマを設定しまして議論をいただいておるわけであります。そういうような議論の場を通じまして、国民に分かりやすく信頼が得られるような議論を進めてまいりたいと考えております。
  240. 浮島とも子

    浮島とも子君 是非ともしっかり議論をして、そして国民が安心できるビジョンを示していただきたいと思います。  次に、この高齢期の所得保障に関連して、住宅の確保についてお伺いをさせていただきたいと思います。  安心して暮らせる住宅の確保というのは、高齢者の方々そして現役世代の方々にとってもとても重要でございます。この住宅政策は、広い意味での社会保障政策の一つの柱そして基盤であると私は考えております。この社会保障政策との関係の中での住宅政策の位置付けについて総理の御見解をお伺いさせていただきたいと思います。
  241. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) これから高齢者がだんだん増えていく、しかしその高齢者は年金に依存しているということになりますると、やはり住宅費というのはこれは非常に大きな問題になってくるんだろうというように思います。  実は平成十八年に住生活基本法というものを制定いたしました。それは、今までの住宅の量の確保という政策から、生活者、消費者の立場に立った住生活の質の向上ということを目指しているのであります。大転換をしたわけであります。  この法律では、低額所得者、高齢者、子育て世帯などの居住の安定の確保、これを基本理念の一つとして掲げておりまして、国、地方公共団体、住宅関連事業者、居住者、保健医療・福祉サービスの提供者等の関係者が相互に連携するよう努めなければならない旨規定しておると、こういうような内容になっております。  今後、少子高齢化の進展を踏まえた住宅政策の在り方を検討していく必要があると考えておりますので、高齢者などが住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるように、公営住宅とか都市再生機構による住宅の供給、再編に併せて、福祉行政と連携した施策の展開を一層図っていく必要があるんじゃないかというように今私は考えております。  以上であります。
  242. 浮島とも子

    浮島とも子君 安心して帰れる家があるということはとても重要なことでございます。私も、今総理の方からお話がございました、我々公明党も、この住生活基本法、そしてまた住宅セーフティーネット法、この成立に全力で力を注いできたところでございますけれども、この住宅政策の大きな柱が私は公営住宅だと思っております。  そこで、この公営住宅が実際本当に足りているのか、それともまた不足しているのか。東京、大阪そして名古屋の三大都市圏での公営住宅に入居することができる有資格者の数と、それと実際の供給数についてお伺いをさせていただきたいと思います。
  243. 和泉洋人

    政府参考人(和泉洋人君) お答え申し上げます。  現在、公営住宅に入居していない世帯の中で公営住宅への入居資格を有する世帯の数でございますが、平成十五年の住宅・土地調査、これを基に推計しますると、東京圏では約百五十四万四千世帯、大阪圏では九十二万三千世帯、名古屋圏では三十五万七千世帯でございます。  一方、ストックでございますが、平成十八年度末現在で、東京圏では約四十九万二千戸、大阪圏では四十三万五千戸、名古屋圏では約十五万八千戸となっております。  募集戸数でございますが、平成十八年度の募集戸数につきましては、東京圏で約一万七千戸、大阪圏で一万五千戸、名古屋圏で約八千戸でございます。  一方、応募倍率でございますが、同じく十八年度でございますが、これ、同一人が複数回応募できますので過大に出ますが、延べで御説明しますると、東京圏で約二十・四倍、大阪圏で約十二・五倍、名古屋圏で約七・六倍となっております。  以上でございます。
  244. 浮島とも子

    浮島とも子君 入居の資格がある方が非常に多いにもかかわらず、実際入居できる住宅が足りないというのが現状だと思っております。そのために倍率が非常に高くなってしまっている。一方で、この公営住宅を建設する地方自治体におかれましては、老朽化した住宅、これの建て替えやまたバリアフリー化などへの対応で精いっぱいであるというのも現状でございます。  しかし、低廉な家賃で良質な公営住宅の供給は格差是正そして社会保障という観点からも非常に重要であると考えています。国、地方共に厳しい財政状況の中ではございますが、現在の高い応募倍率等の状況などから、例えば借り上げ方式などの活用など知恵を絞って取り組む必要があると考えますけれども、冬柴大臣の御見解をお伺いさせていただきたいと思います。
  245. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 低所得者等の住居の安定の確保を図ることは、平成十八年成立した住生活基本法の中でも住宅政策の基本理念として位置付けられているところでございます。  このため、平成二十年度の予算におきましても、公営住宅の整備、エレベーターの設置、耐震改修を始めとする地域における住宅政策の推進を支援する地域住宅交付金制度につきまして、対前年度比で三%増の千九百三十億円の予算額を計上しているところでございます。  また、このように、こういう不足する部分を何とかしなきゃならないというところで、御指摘のとおりでございまして、借り上げ方式による公営住宅というもの、年間で数百戸から一千戸強の水準で供給が行われております。民間賃貸住宅等を活用しながら効率的に公営住宅を供給する手法、こういうものを取られなければならないと思っております。  なお、現在までは、地方公共団体が手数が掛かるからでしょうけれども、この借り上げ対象住宅は新築住宅で一棟丸ごとじゃなきゃ扱えなかったんですけれども、我々はこれを住宅の空き家が発生するのに応じて一戸単位でも借り上げる。そして、これを、例えば五年間の定期借家という方法があります、これで順次更新をしていく、あるいは、管理主体も指定管理者制度等を用いて、できる限り民間事業者にきめ細かくその募集、維持管理、修繕、退去、検査等を委託してこの民間借り上げ住宅というものを充実させていきたいというふうに思っております。
  246. 浮島とも子

    浮島とも子君 ありがとうございました。  是非ともしっかりと供給していけるようによろしくお願いしたいと思います。  次に、公営住宅におけるグループホーム、先ほど舛添大臣の方からもちょっとお話ございましたけれども、グループホームについてお伺いをさせていただきたいと思います。  グループホームの設置状況は着々と進んで、活用も進んでいると伺っておりますけれども、さらに障害があればそれを取り除き、取組を加速していく必要があるのではないかと考えております。  このグループホームの設置は平成八年の法改正で可能となりましたが、この改正のときにお力を尽くしてこられたのが冬柴大臣だとお話を伺っております。このグループホームの増設について大臣の御見解をお伺いさせていただきたいと思います。
  247. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) グループホームというのは、最初は知的障害者の人たちが数名で同じところに住みまして、そこへ一人の世話をしていただく方、このお給料は国から出していただくという形で始めたんですが、グループホームをやりたいというお母さんはもう全国でいっぱいあったんですね。しかしながら、知的障害者の子供たちに家を貸して火事がいったらどうするんだとか、そういう御心配もあってなかなか借りられなかった。そういうことから、私はこれは必要ではないかということで取り上げまして、最初、北海道と静岡と徳島だったと思いますけれども、公営住宅の一部をそのようにしていただくというようなことから始まりまして、これがどんどん広がって、それは公営住宅の一角にそういう人たちが住む。これが知的障害者の人たちだけではなしに高齢者の方にもいいんではないかということで事が進み出しました。  現在、もう細かいことは申し上げませんけれども、そういうことで、グループホームを活用される際のこういう公営住宅を利用するという、そういうことがどんどん広がっていくということは非常に大事なことであります。そういうことから、我々は厚生労働省ともよく連携しながらそういうものに万遺漏のないようにやっていきたいと、このように思っております。
  248. 浮島とも子

    浮島とも子君 ありがとうございます。  また厚労省ともしっかり連携を取って、更なる増設の方にお力を入れていただきたいと思います。  次に、高齢者の雇用についてお伺いをさせていただきたいと思います。  どうしても年金イコール高齢者というイメージになりがちでございますけれども、高齢者の方々が働き続けられるようにしていくことも同時に重要であります。御高齢の方々は様々な御経験や知恵をお持ちでございます。人生経験豊かな方々をどう生かしていくことができるのか、このことも社会にとり重要かつ必要であると考えております。  そこで、高齢者の雇用の在り方について総理の御見解をお伺いさせていただきたいと思います。
  249. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) これからは、働く意欲がある高齢者の方々にも存分に働いていただくということが必要な、そういう時代になると思います。そのために、すべての人が成長を実感できるようにする全員参加の経済戦略というものを展開したいと、こういうふうに思っておりまして、六十代の方々の労働参加率の引上げを一つの柱とする新雇用戦略を展開しているところであります。  具体的には、六十五歳までの雇用確保の推進、労働者の募集、採用時における年齢制限禁止の義務化の徹底、また年齢にかかわりなく働き続ける社会を目指して、七十歳まで働ける企業の普及促進を図るといったような取組をいたしまして、高い就業意欲を持つ高齢者が活躍できる環境を創出してまいりたいと思っております。
  250. 浮島とも子

    浮島とも子君 ありがとうございます。  すばらしい人材だと思いますので、是非とも全力で取り組んでいただけるようお願いをさせていただきたいと思います。  また次に、介護の問題についてお伺いをさせていただきたいと思います。  現在、介護福祉士を中心とした介護職の方々の給与、先ほどもちょっとお話が出ておりましたけれども、非常に給与が低いと。人のお役に立ちたいと使命感を持って専門学校を出て介護福祉士の資格を取って就職したとしても生活がしていけないため、辞めたくないけれども仕方なく離職しなければならないという方が多くいらっしゃいます。  私も福祉系高校の視察に行かせていただきました。生徒さんたちは自分たちの夢、そして使命感を持って本当に一生懸命勉強をされている姿を見て、本当にすばらしいなということを体験したのでございますけれども。  そこで私は、この介護福祉士の資格を取って現場で頑張っている方々が結婚をして、そして家庭を持ち、生活ができる給与を確保していくことがこれからの高齢社会の基盤をつくるという意味でも必要である、重要であると考えますけれども、総理の御見解をお伺いさせていただきたいと思います。
  251. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 今委員が御指摘のように、介護に携わる方々の労働条件、待遇、いろんな問題がございます。  昨年八月に介護福祉分野における人材確保の基本方針、これをまとめまして、今総合的な取組を行っております。さらに、まず実態がどうであるかということを調べる必要がありますので、今この調査をやり、また事業者の立場から経営の状況はどうであるか、これも調査をしております。  そういうことを精査した上で、平成二十一年度の介護保険料の改定、このときには介護報酬について、今の委員の御指摘を踏まえまして、きちんとこれを引き上げることができるような、そういう方向を目指したいというふうに思いますが、介護保険料をどれだけ引き上げるのか、それはまた国民の負担にもつながるわけですから、そのことと介護労働者の確保、待遇の改善、このバランスを考えながらかじ取りをやってまいりたいと思います。
  252. 浮島とも子

    浮島とも子君 現場は本当に非常に大変な状況でございます。是非ともしっかりとした改善をしていただくよう強く要望をさせていただきたいと思います。  また次に、子育て支援策としての妊産婦健診についてお伺いをさせていただきたいと思います。  妊産婦健診は十四回程度が望ましいとされておりますが、しかし公費負担では今まで二回までの自治体が多くございました。現在は五回に引き上げられたという自治体も増えてきております。また私の地元大阪では、大阪市、寝屋川市が七回を予定しておりますが、現状は各市区町村でばらつきがございます。また交付団体、不交付団体にかかわらず、私はすべての方に支援をしていく必要があると考えております。  そしてまた、この妊産婦健診については、実家に戻ってのいわゆる里帰り出産の場合に公費負担の対象から外れることが多いということを現場から数多くお声を伺っております。また、自治体の中には償還払いという形で健診が受けられるように対応しているというところもあるようでございますけれども、まだまだ少ないのが現状でございます。  そこで、この妊産婦健診の完全無料化、そして里帰り出産への対応が必要であると考えますが、総理の御見解をお伺いさせていただきたいと思います。
  253. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 委員おっしゃったように十四回、これ全部見られればいいんですけれども、今は五回までです。平均が二・八回。秋田県なんかは十回ということでやっていますので、これをまず確実に広めていく必要がある。それから、里帰り出産について、これは今の公費助成、後で償還払いでできるところも御指摘のようにありますし、板橋区のように一部助成をしているところもあります。  そういうようなことで、様々な公的な助成措置をとりながら、健診一度もやらなくて、それで救急車でたらい回しされたというような例も先般ございましたので、きちんとこれは対応していきたいというふうに思います。
  254. 浮島とも子

    浮島とも子君 ありがとうございます。  是非とも総理の御見解もお伺いさせていただけたらと思います。
  255. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 地方自治体に対して五回程度の公費による支援を行うよう、こういう取組を平成十九年度から促しておるわけなんですけれども、実態は、今お話ありましたように余り低くないということでございまして、また里帰り先での公費助成も一部の自治体にとどまっていると、こういう実態でございますので、更に自治体の取組を促して、国民だれもが安心して産み育てやすい環境を整えてまいりたいと思います。
  256. 浮島とも子

    浮島とも子君 ありがとうございます。  少子化対策として本当に取り組まなければならない重要な問題だと思いますので、是非とも全力で取り組んでいただきたいとお願いをさせていただきたいと思います。  また、我々公明党は、生活者のための政治、そしてこれからも現場第一主義で働かせていただくことをお誓いし、今日は私の質問を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  257. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) これにて浮島とも子君の関連質疑は終了いたしました。  以上で荒木清寛君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  258. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 次に、小池晃君の質疑を行います。小池君。
  259. 小池晃

    小池晃君 日本共産党の小池晃です。  昨年から今年にかけて、日常生活品といいますか生活必需品、どんどん値上がりをしているんですね。ところが今年、公的年金の物価スライドが行われない。年金額据置きです。  大臣、パンもみそもしょうゆも、もちろん灯油も上がっているのに、なぜ年金額据置きなんですか。
  260. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) これは物価スライドをどういう形でやるかという問題ですけれども、委員おっしゃったように、昨年末から原油価格の高騰ということもありまして、物価は上がっております。  しかし、この物価スライドは一年ごとに数字を取りましてやりますんで、昨年の平均を取りますと、対前年比でまさにゼロ%と、そういうことでございますんで物価スライドをしないと。かえって、一月ごと上げるというわけにいきませんから、一年単位でやると、そして安定的に行うと、そういう趣旨でございます。
  261. 小池晃

    小池晃君 生身の人間の暮らしなんですから、私、本当血が通っていないと思うんですね。食料品、灯油、こういう高齢者の生活の命綱となるものの値上がりというのは、まさに年金暮らしの方々に深刻な打撃となるわけです。  年金の物価スライドというのは、そもそも年金の実質価値を、何が買えるかということを維持するためのものであって、言い換えれば、同じ水準での生活が続けられるようにするために物価スライドするはずです。  ところが、生活必需品がこれだけ上がっている。それが反映されない。これで公的年金の役割が果たせるとお考えでしょうか。
  262. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 繰り返しになりますけれども、一年ごとに物価を前年比で取って決めるということですから、この平成二十年度、一月から十二月を取って、その結果として次の年度にこれを反映させるということは、もし前年比で上がればそれに応じて物価スライドやる、こういう仕組みでございますんで、そこはよく御理解いただければと思います。
  263. 小池晃

    小池晃君 でも、年末に上がっているわけですね。実は下がっている品目があって、薄型テレビとかパソコンとかなんですよ。これはヘドニック法という計算まであって、性能が上がると価格が下がるというそういう設定になっていまして、例えば、パソコンの画面大きくなると値段が下がる、メモリーが大きくなると値段が下がる。どんどん下がっているんです。そういったことで差引き消費者物価がゼロになると。これでは私、高齢者の生活を維持することできないと思う。  しかも、とりわけ年金暮らしの方々に重い負担になっているのが、医療や介護などの社会保険料、それからこの間の増税であります。ところが、消費者物価指数には社会保険料や税金含まれていませんから、幾らこれが増えても年金には全く反映されないという仕組みになっている。  これは実際、横浜市の例で計算をしてみまして、ちょうど今年七十五歳になられる高齢者の御夫婦で、税金と社会保険料がどう増えてきたのか、そして年金が、この間物価の下落でマイナススライドしていますから、どれだけ減ったのかというのを調べてまいりました。(資料提示)そうすると、税や保険料の負担というのは、これは十六万円以上増えている。一方で、年金はどんどん下がって五万円ぐらい減っちゃっているんです、実額で。まさに、社会保険料の値上がりというのが反映されない。だから、負担増一番大きなものが反映されないということになっているわけですね。  大臣、こういうことで公的年金としての役割が果たせているというふうにお考えでしょうか。お答えいただきたい。
  264. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 今の御質問二つのポイントがあると思います。  一つは、CPIを、要するに消費者物価指数、CPIを取るときにどういう項目を取るかと。これはいろんな議論がありまして、例えば原油価格を入れるのか入れないのか。コアとかコアコアとかそういうような言い方をいたしますけれども、そのCPIの取り方が問題であって、それは今おっしゃったように薄型テレビとかいろんなもので安くなったものもありましょう。しかし、これは物価指数をどう取るかという問題で、これはこれでまた一つ議論をする必要があると思います。  それからもう一つは、今そこにお示しになりました、じゃ社会保険料というのは物価指数の中に入れるかどうか。  この議論とは別に、もし仮に、社会保険料の負担増は増えたからというそのことだけを取って、その赤い線の年金の増額をやった場合に何が起こるかと。そうすると、これは、年金受給者は増えますけれども、年金を受け取るわけですから、要するに、現役世代というのは社会保険料の負担だけですから、世代間の公平ということから見てもやはり問題があると思いますから、今の小池委員議論については今の二点からきちんと更に議論を深める必要はあると思います。ですから、一概にこれで生活できないんじゃないかというようなことではないというふうに思います。
  265. 小池晃

    小池晃君 これ、こういうふうに社会保険料をどんどん、一番今負担重くなっているのは社会保険料ですからね。それが年金に反映されなかったら、私は年金暮らしの方の生活は維持できないと思いますよ。現役世代とのバランスと言うけど、現役世代だっていいことないわけじゃないですか。現役世代にも負担増を押し付け、年金暮らしの人にも負担増を押し付けているというのが今のやり方ですから、私はそういう議論は成り立たないというふうに思うんです。  しかも、今日議論できませんが、マクロ経済スライドというのを導入しましたから、たとえこれで物価指数が上昇したとしてもそれが反映されないという仕組みに今なっているわけで、私は公的年金年金暮らしの方の生活を維持する役割を今果たせていないというふうに思うんです。  しかも、この上、この四月から後期高齢者医療制度で保険料が天引きをされるということになる。介護保険料に加えて医療保険料の天引きであります。これは、六十五歳以上の国民健康保険の加入者の方も同時に併せて、便乗ですが、天引きをしようとしている。しかも、わずか一万五千円の年金からの天引きなんですね。高齢者にも資産があるなどと言いますが、高齢者世帯の六割が年金収入のみです。総理、聞いていてくださいね。しかも、年間所得百万円未満では八割が年金のみで暮らしているんです。総理、税金には非課税措置というのがあるんですが、今度の後期高齢者も含めて全員払わなきゃいけないんですね。しかも、これがわずか月一万五千円の年金まで介護に加えて医療も天引き。  私は、憲法で、健康で文化的な最低限度の生活というのは保障しているわけです、憲法二十五条、これに違反するのではないかと思いますが、総理、いかがですか。
  266. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) まずその前に、CPIの中に租税負担とか年金を入れるかどうか、これは、大田大臣もおられますので、私は、普通はそういうことはしない。  それから、やっぱり給付と負担のバランスと書いて天からお金が降ってくるなら問題はありません。しかし、そういうことをきちんと踏まえた上で、そして今高齢の方々は、国民健康保険、私の記憶が間違いなければ九五%ぐらいの人がきちんと払われております。  天引きであれ何であれ、保険料は払わないといけません。それが年金から天引きされるということだけで、これは利便性やその他を考えていった話で、それとこれとは別な話であり、しかも今回かなりの移行措置をとってありますし、これはいろんな計算の仕方があり、市町村によっても違いますが、平均を取れば、例えば基礎年金、月約六・六万円だけで生活している方について言うと保険料の負担が二千八百円から千円に減ります。厚生年金、平均で十六・七万、これだけで生活している人について言うと七千七百円から五千八百円に減りますし、いろんな負担が増える方には、例えば息子の被扶養者だった方、最初の六か月はゼロです。その次の六か月は一割です。さらにその次の一年は半額です。そういうきめの細かい対策を取っていますし、もし本当に憲法二十五条のこの定めることができないなというようなことであれば、生活保護という手もありますし減免措置もありますので、是非これは市町村に来ていただければ、きめの細かい、お一人お一人に心の通った対策をいたします。
  267. 小池晃

    小池晃君 制度によって最後生活保護まで落とし込む、そういう制度設計というのは私はもうそもそも憲法違反だと、そのことを認めたことになると思いますよ。  しかも、いろいろおっしゃったけれども、例えば、国民健康保険で基礎年金だけの場合二千八百円と言い出しているんですが、これ、でたらめな数字です。資産割まで払っているような人の場合はそういう数字になると思いますが、そんな人はわずかなんです。全国の自治体で調べました。均等割と平等割で今二千八百円なんて払っているところはありません。そういうでたらめなことで今になって宣伝しちゃいけないと。  しかも、利便性利便性と最近言うんですね、天引きで利便性だと。利便性だと言うのであれば、じゃ、だれか国民から天引きしてくださいという声があったんですか。利便性だと言うんだったらば希望者だけやればいいじゃないですか。のべつ幕なし天引きするのは、こういうのはおためごかしと言うんですよ、そういう言い方は。  大体、私、この天引きの問題というのはみんな怒っている。なぜかといえば、年金支払うときはこれ申請主義でしょう、年金を出すときは申請しなければ記録の修正すらしないんですよ、出すときは。ところが、そこから取り立てるときは全く逆なんですよ、何の承諾も得ずにもう問答無用で取ってしまうと、こういうやり方に怒っていらっしゃるんじゃないですか。大臣、おかしいと思いませんか、年金払うときは申請主義、取り立てるときは有無を言わさず徴収する、おかしいと思いませんか。国民の納得が得られると思いますか。
  268. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) それは、年金記録問題を含めてこれはきちんと対応を先ほど来ずっと申し上げたようにやっております。  しかし、九五%の方がこれはちゃんとお払いになっているわけですよ。だから、一回一回お払いに行く、そういうことをしなくて年金からこれは天引きする、それは利便性、効率性、取る方にとってもそれから払う方にとってもそうであって、要するに払わないでいいんですかということなんですよ。払わないでいいと、つまり天引きしないなら払わないでいいというなら別ですよ。払わないといけないんです、これは国会できちんと決めた法律に基づいて払わないといけない。しかし、そのことについては様々な暫定的な軽減措置もやり、この凍結を含めてやっているわけですから、こういう二つの話をある意味で情緒に訴えておっしゃるというのはいかがなものかなと私は思います。
  269. 小池晃

    小池晃君 私は情緒に訴えて言っていません。今、年金を払うときには申請主義、取り立てるときは問答無用、こういうやり方はおかしいではないかと言っているのに、全く答えていないんですよ。利便性利便性と言うけど、結局取り立てる側の利便性ですよ。とにかく、のべつ幕なし取り立てるための仕組みとして考えただけじゃないですか。だから、おためごかしだと私言っているんです。  消えた年金、全く解決していないわけでしょう。総理、もう総理最後答えていただきたいけれども、正確な年金額が数千万単位で確定していないわけですよ、今。私のところにもねんきん特別便来ましたよ。もう本当にみんな怒っているわけです。こういう形で徴収だけは強制的に天引きで行う、同じ人にねんきん特別便が届き、同じ人には天引きの通知が来る、こんなことで納得できるかということが私はあると思います。  総理、答えていただきたいけれども、四月十五日には全国で一斉に年金天引きが行われるわけですね。これ、全国で怒りの声が上がることは間違いない。私はこの天引きは中止をすべきだ、後期高齢者医療制度はこれは廃止すべきだというふうに思いますが、総理、いかがですか。総理、答えてください、最後、もう時間ないんだから。
  270. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) そもそも長寿医療制度というのは、七十五歳以上の方々に生活を支える医療を提供すると同時に、これまで長年社会に貢献してこられた方々の医療を国民みんなで支える分かりやすい仕組みをつくるためのものでございます。年金記録問題、これはできるだけ早く解決を図られるよう、市区町村、企業を始め各界の御協力を得ながら国を挙げて全力で取り組んでまいるものでございます。  ですから、先ほど申しましたこの長寿医療制度の目的を、この目的をよく国民に理解していただくということが大事であります。その趣旨を丁寧に御説明申し上げ、そして高齢者の方々の御理解を得ていかなければならないと、こういうように思っております。
  271. 小池晃

    小池晃君 この制度のねらいを国民は見抜いているからみんな怒っているんですよ。やっぱり高齢者の皆さんの医療を安上がりにする仕組みつくったんだと、七十五歳以上の人だけ別枠にしてできるだけ医療費を安く仕上げるための制度としてつくったんだというふうに見抜いているから、だから、後期高齢者医療制度を長寿医療制度と名前変えたってこの問題の本質を覆い隠すことはできないというふうに申し上げておきたいというふうに思います。  私は、高齢者を別枠にして高齢者だけ医療費を粗末にする、高齢者の命を本当に粗末にするようなそんな国でいいはずがないというふうに思います。  財源ということをおっしゃるけれども、財源というのであれば、軍事費四兆八千億円、米軍への思いやり予算はSACO経費も含めて二千億円以上なんですよ。こういったことにメス入れれば、社会保障の切捨てだってやる必要ないです。あるいは、この間、大企業や大資産家に十年間で七兆円も減税やっているわけですね。そういうことを一方でやりながら、高齢者あるいは庶民に対して増税やこういう社会保障の改悪をする。理解が得られないのは当然じゃないですか。  私たちは、消えた年金問題も一刻も早く解決をさせなければいけない。そして、最低保障年金制度をやっぱりつくって、憲法二十五条の生存権を保障する。もちろん消費税の増税で庶民に負担を押し付けるなんてことは絶対にやってはいけない。後期高齢者医療制度については、これは中止をし廃止をする、そのことを強く求めて、私の質問を終わります。
  272. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 以上で小池晃君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  273. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 次に、近藤正道君の質疑を行います。近藤君。
  274. 近藤正道

    近藤正道君 社民党・護憲連合の近藤正道です。  福田総理が三月の二十七日の日に、道路特定財源制度を今年の税制抜本改正時に廃止をして二十一年度から一般財源化すると、こういうふうに会見でおっしゃいました。今ほども御議論ありましたけれども、まず最初の質問は、これから野党と協議をするということでありますが、仮に野党と協議、合意が調わない、こういう場合でも二十一年度から一般財源化の実施の方針、これは変わらないんでしょうか。
  275. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 変わりません。
  276. 近藤正道

    近藤正道君 暫定税率の扱い、税率の扱いは、今年の税制改正のときに行うということでございますが、それは消費税の増税、消費税を増額する、この問題とセットで議論をしたいと、言い換えれば消費税増税とセットでなければ税率の引下げはあり得ないと、こういうことをおっしゃっているんでしょうか。明確に御答弁ください。
  277. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 抜本税制改革なんですよ。抜本的な税制改革でございますから、その中にはいろいろな要素が入ってまいりますね。  どこからどこまでというふうに私今申しませんけれども、社会保障関係の給付と負担といったような観点もございますし、また地球温暖化問題対策というようなものもございますし、社会保障はどうするのかとかいったような議論、いろんな議論がありますんで、そういうものを総合してどういうふうに考えていくかということをこれから、その税制抜本改革時に考えていかなければいけないと、こういうことを申し上げているんです。
  278. 近藤正道

    近藤正道君 少しはぐらかさないでいただきたいんですが、私ども社民党のところに説明に来られた自民党の担当者は、税制抜本改正のときに論議をするということは、つまりこの消費税の増税の話とセットで議論をする、そういう趣旨なんだということを明確におっしゃっておられたんですが、どうですか、もう一回お答えください。
  279. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 消費税というのも、これも今も存在していますけれども、これを増やすかどうかという議論も当然その中に入ってくると思います。それは、消費税の特性ということから考えて、それにふさわしいという、そういうような支出と申しますか、給付ですね、そういうものに見合ったものということでもって、それは適切だということになれば、その消費税というものも当然入ってくると思います。
  280. 近藤正道

    近藤正道君 道路財源の関係で、社民党が広報費の問題を厳しく追及をしてきたわけでありますが、先週の末に広報費のうちの約三割、二十九億円の効果がないとかあるいは事業との関係が疑わしい、こういう報告が国交省の方からありました。四月の末に正式な報告は出るようでありますが、責任の所在を明らかにして厳正に対処をしていただきたいと強く要望申し上げて、次の宙に浮いた年金記録問題に移りたいというふうに思っています。  午前中も議論がございましたけれども、五千万件の宙に浮いた年金、結局、約半分が突合さえ不能だ。そして、言わば解決解明ではなくて解決したのが一割にも満たない八%ということでございます。  そういう中で、これから全員に対して、一億人に対してねんきん特別便が送られると、こういうことになるわけでありますが、そういうことになりますと、多分たくさんの不明、間違い、不正がいろいろ明らかになってくるんだろうというふうに思います。だからこそ、私たちがずっと以前から申し上げておりました、指摘してきた紙台帳との突合、突き合わせ、この作業が大変私は重要になってくると、こういうふうに思っております。  そういう中で、紙台帳全体との突き合わせの中で、とりわけ、私どもは、宙に浮いた年金記録五千万のうち、ワンビシアーカイブズ、これは埼玉県の小川町にあるセキュリティー倉庫でございますが、ここに昭和三十二、三年以前の厚生年金記録、古い記録があると。今、年齢でいうと七十歳以上の方々の該当記録でありますが、ここの倉庫をやっぱりきっちり調べていただきたい、こういう指摘をずっとしてきたわけでございます。千三百六十五万件、これを調査をしていただきたい、こういうふうに言ってきました。  ところで、社会保険庁平成の十八年、十九年、このワンビシアーカイブズに調査の依頼をしたところ、検出率、索出率が五〇%しかなかったと。これは衆議院の議事録の中でも明らかなわけでございます。ヒット率が五〇%。こういう状況の中で、私は、この一千三百六十五万件の記録、これは全部オンラインの中に入っているというふうに社保庁は言っておりますけれども、本当にそうなのかどうか。入っているんならやっぱりヒット率は一〇〇%近くになってしかるべきなのにかかわらず、五〇%しかヒットしていない。これはかなりの部分が入力されていないんではないか、そういう私どもは疑いを強く持っております。  そういうことになりますと、これはまさに長期にわたって相当数の受給漏れ、七十歳以上の皆さんに対して受給漏れの疑いがあると、こういう疑いが非常にやっぱり強いというふうに思っているわけでありまして、そういうことであるならば、速やかに、一般的な台帳との突合の前に、ワンビシのこの記録との突合はとにかく急がなければならない。とりわけ、旧台帳記録をランダムに取り出してオンラインのデータと突き合わせる、そういうサンプリング調査を私は大至急やるべきだ、こういうふうに思いますが、大臣、いかがでしょうか。
  281. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 私自身が一月の十六日にこの倉庫を視察しました。現状を見てみますと、例えば、どなたかの記録をチェックするために来て、その紙の台帳を引き抜いてみて、元に戻さないと、引き抜いたところに、いけないのにどこかほかに置いてあると、こういう状況でしたから、ざあっと番号が並んでいません。それで、その段階で直ちにこの検索が可能なように並び替えるということを指示をしたんですが、その後、私の下にあります作業委員会の皆さん方に更に視察をしてもらいました、この中にはこういう問題のエキスパートがおりますから。  そうしますと、見積りを作って、どれぐらいの費用が掛かるのか、いろんな見積りですが、今の並べ替えだけをやるぐらいなら同じぐらいの費用でデータ入力することが可能だろうということで、今データ入力をやる方向で検討しています。そうすると、もうデータ入力をやれば今先生がおっしゃったことは一気にできるんで、今その最終段取りをやっているところでございますから、今、近藤委員がおっしゃったことは実現できると思います。
  282. 近藤正道

    近藤正道君 二月の十二日の日に大臣は、その並べ替え作業をやると、早急にやると国会で明確に答弁された。それから二か月たっているわけですよね。ところが、今は並べ替えではなくてもう一回入力すると、こういうふうに方向は変わったということでありますが、私どもが社保庁に聞きますと、とにかくどういうふうにしてその整理作業をやるのか、今まさに検討している最中だと。全くやってないです。だから、まさに、午前中もやるやる詐欺なんていう話ありましたけれども、是非、言ったらやっていただきたい。言ったことはやる。二か月もたっているんですから。いつから着手するんですか。具体的に日時を特定してくださいよ。
  283. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 今きちんと説明しましたように、見に行って探そうと思ったら順番に並んでないのが一部ある。私は、その段階で、すぐ並べ替えることがいいだろうと。しかし、物すごい数ですから、人件費幾ら掛かるか、どこにやらせるか、そういうことをやっているさなかに、私だけの知恵ではなくて作業委員会、これはプロがいますから、こういう問題の、そこにその過程で入ってもらった。そして、その人たちに提案をしてもらっていると、ただ単なる並べ替えをやるぐらいなら、同じ費用で同時にデータ入力ができますよということが上がってきた。そうすると、これは作業委員会と一緒に今議論をやって、その方向でいこうかなということで、その方向でいこうということを今最終段階で詰めております。そして、見積りや何か決まればきちんとこれはやっていくということでありますから、何月何日というのを今詰めている最中でございます。
  284. 近藤正道

    近藤正道君 こういって二か月が過ぎちゃったわけですよ。  とにかく、本当に腹の立つことばっかりでありまして、一連の年金記録のでたらめが発覚をして、今日の午前中の議論でも、その解明のための余分な金が五百六十億円を超えちゃったと。更にこれから台帳、旧台帳、突合作業を含めると一千万、二千万のレベルの金が掛かると、一千万、二千億円の金が掛かると、こういう話がございました。一体だれがこの責任を取るんですか。だれが責任を取るんですか。総理大臣、お答えください。総理ですよ。
  285. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) できるだけ国民の皆さんに負担をしていただかないで済むように、例えばこの社会保険庁のいろんな経費を削減する、それから保有の資産を売却する、そういうことの工夫はやっております。そういう中で、今私の考える一番効率的な形でやるということで十月までにすべての皆さん方にねんきん特別便をお送りする、そして片一方ではデータの検索をやる、そのダブルトラックで最終的なゴールを目指して今やっているところでございますので、これは何度も申しますけれども、まさに社会保険庁の積年の病弊が積もりに積もった問題であります。これについて一日も早くこれを解決すると、そういう思いで知恵を絞りながら、そしてできるだけコストを掛けずにやるということで今やっているわけでございます。
  286. 近藤正道

    近藤正道君 だれに責任があるのか、答えがありません。  後期高齢者医療制度についてお尋ねをいたします。  いよいよこの制度が始まります。年金からの保険料天引きがこの十五日から始まるわけでございます。繰り返し議論になっておりますけれども、高齢者の年金に大きな穴を幾つも空けて、その修復もしないうちに取れるところから、取りやすいところからだけは容赦なく取り立てる、こういう理不尽なやり方だというふうに思っています。しかも、保険料は均等割部分が当初の予想を上回って半分を超えると。極めて逆進性の強い、そういう制度でございます。  先ほども年金は一体何のためにあるのかという話がございましたけれども、まさに高齢者の生活を守るための制度である年金が今や保険料を取る行政のためのものに結果としてなっているんではないか、こういうふうに思っています。しかも、提供される医療サービスも切り下げられる。寿命の長い人ほど劣悪な医療となると、まさに憲法二十五条の生存権、高齢者の皆さんから奪い取る、高齢者いじめの典型ではないかと、私はそういうふうに思えてなりません。  総理にお尋ねをいたします。こういうまさに人生の恩人をいじめるような制度、これやっぱりやめるべきだし、とりわけ年金からの保険料天引き、これは本当に私は理不尽な制度だというふうに思っています。これだけは百歩譲っても即刻やめるべきだと、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
  287. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 高齢者いじめをしているのではなく、高齢者の皆さん方が人生八十五年時代に、先ほど西島委員がおっしゃったように、統計的に見ると七十五以上の方々の体の特性ということをおっしゃいました、それにふさわしい医療や介護のケアを与えるにはどうするか。  そして、何度も申し上げますけれども、我々は、例えば現役世代はサラリーマンは厚生年金に入ったりしている、比較的元気だ。こちらの制度はうまくいきますけれども、私たちみんな退職すれば国民健康保険に入るわけですから、国保はほとんどやっていけないことになる。そういう中に一割負担していただく、若い人に四割負担していただく、そして税金を五割投入する、そういうことできちんと最後まで御高齢の方々の健康を見ようと、そういうことでありまして、そしてこの制度は二年前に国会できちんと法律が通っているわけであります。そして、その過程において、私はそれを実施する責任にありますから、きちんとスムーズに実施するように、そしてその過程において、これは与党の皆さん方の御議論をいただいて様々な経過措置、そして減免措置、そういうのをやっておるわけでありますから、どうかこの趣旨の理想というものを、この制度の趣旨、理想をきちんと御理解いただければ幸いだと思います。
  288. 近藤正道

    近藤正道君 強行採決で通ったんじゃないですか。  最後に、日米地位協定の改定案についてお尋ねをいたします。  沖縄で米兵の少女暴行事件、二月にありました。その後、横須賀でのタクシーの強盗殺人、そしてまた沖縄でのタクシー強盗致傷、凶悪事件が相次いでおります。本当にひどい状況で、地位協定を、とにかく運用改善で対処できるレベル超えた、改定をやっぱりしなきゃならぬと、こういうふうに思います。  総理にお尋ねをいたしますが、一連のこの事件についてアメリカ側にきっちりと抗議をされましたか。  そしてもう一つ。この社民党と民主党、国民新党、地位協定の改定の申入れをしておりますが、これについての所見をお聞かせください。
  289. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 日米地位協定につきましては、政府としてその改正ではなく、これまでも運用の改善を積み重ねてまいりました。例えば、一九九五年の日米両政府は、凶悪犯罪を犯した米軍人の身柄を起訴前に日本側に移転する枠組みを設けました。こういうような枠組みの下で実際に起訴前に引渡しが行われております。  他方で、御指摘のような事件が発生していることは遺憾であります。先般の事件につきましては、日本側から抗議をし、そして……
  290. 近藤正道

    近藤正道君 総理から抗議しましたか。
  291. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 私からですか。私自身がしたかどうかということですか。  外務大臣からシーファー大使に抗議をし、そしてシーファー大使は謝罪をしたということであります。  そういうようなことも踏まえて、民主党、社民党及び国民新党におかれて改正要望を出されたと思うのでありますが、今後の参考とさせていただきます。  政府としては、今後とも目に見える運用改善の成果を一歩一歩積み上げていくように最大限努力していく考えであります。
  292. 近藤正道

    近藤正道君 終わります。
  293. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 以上で近藤正道君の質疑は終了いたしました。  これにて経済社会保障等に関する集中審議は終了いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十二分散会