○
西島英利君 自由民主党の
西島でございます。
本日は、後期高齢者医療制度、通称長寿医療制度、これは
福田総理が指導力を発揮して名称を変えられたということでございますけれども、このことについて御
質問をさせていただきたいというふうに思います。
実は私、初めて赤いネクタイを締めました。実は今日は私の誕生日でございまして、還暦なんですね。それで先週の金曜日にうちの職員がこのネクタイをくれまして、そのときに喜んでいいのか、何か非常に寂しい気持ちがいたしました。もうそれだけ年を取ったのかなという感じがしたわけでございます。
叙勲を受章された方が時々、私、精神科医でございますけれども、受診をされてきます。叙勲をするともう自分の役割は終わったんじゃないかということで、抑うつ状態になって来られるという方もいらっしゃるわけでございますけれども。
今回、後期高齢者医療制度の名称が大きな問題になっております。ワイドショーを見ていましたら、広辞苑を調べた方がいらっしゃいまして、私も広辞苑を調べましたら、
最後の時期というふうに書いてあって、そういうふうに思われたということは、やはりこの制度を実行するまでの
説明、理解を求める活動が私は足りなかったのではないかなというふうに思っております。
ここに後期高齢者医療制度のお知らせというのが
政府広報であります。私も読ませていただきましたが、残念ながら分かりません。そういう
意味で、長寿医療制度というこの制度をやっぱりじっくりと時間を掛けて理解を求めるような活動が今後必要なのかなと。一度けちが付くとなかなか変わらないんですね。そういうところを是非、
舛添厚生労働大臣もお願いを申し上げたいというふうに思います。
ところで、この高齢者医療制度、どうして導入されたのかといいますと、実は日本医師会が、二〇〇〇年の八月ですから
平成十二年でございますけれども、このときにグランドデザインというのをつくりまして、高齢者医療制度というのを実は提案をいたしました。このときの流れはどうだったのかといいますと、当時、やはりこのままでは
国民皆保険制度は成り立たない、将来的にはということで、
平成十四年度の健康保険制度の改正のときに医療費の伸び率管理制度を導入しようという大変な動きがあったわけでございます。
このときに、実はイギリスがその制度を既に導入をいたしました。そして、その結果イギリスはどうなったのかといいますと、もう医療が完全に崩壊をしてしまいました。病院はばたばたと倒産をしまして、入院が必要なのに一年以上待たされるという方々が実に百二十万人もいらっしゃられて、そういう
状況になったわけですね。結果的に、ブレアさんが首相になられて、もう一度何とか元に戻しますということで医療費をどんどんどんどんつぎ込むんですが、なかなか元に戻らないという状態が当時でございました。
ですから、私どもは、やはりここの
国民皆保険制度は何とかしなきゃいけない、ですからそのためにはやはり制度を変えなきゃいけないということで実は提案をしたわけでございます。
そのときに、どうして七十五歳以上なのかということなんですが、これは、健康寿命という
数字がございます。これはどういうことかというと、寝たきりでない人の平均寿命のことを健康寿命というふうにいいます。普通の平均寿命とは違います。実はこれは日本は世界第一位なんです。この健康寿命が日本は大体七十四から七十六歳ぐらいなんですね。大体七十五歳ぐらいになってきますと病気になる確率は非常に高くなってくるということで、そういう方々でやはりこの医療の在り方というのを考えていこうということで、実は我々はこの制度を提案をしたわけでございます。
しかも、七十五歳以上でございますから、実はもう保険としては成り立たないんですね、病気になる人たちがもうほとんどでございますから。ですから、七十五歳まで本当に日本の国のために一生懸命働いてこられた方々、もうこれは保障としてやっぱり医療を見たらどうかというようなことで実は提案をしたというのが実情でございます。
〔理事林芳正君退席、
委員長着席〕
そういうことで提案をしてきたわけでございますけれども、じゃ、どんな医療が提供できるようになったらいいのかということなんですが、例えば脳卒中になりますと、治療をすれば何とか改善しますから、そのときには出来高払でと。それから、ある程度、麻痺は残りますけれども、落ち着かれた場合には、これは慢性期ということで、ある程度定額の医療と。肺炎とか骨折が起こされた場合には、これは治療をすれば治りますから、それはまたもう一度出来高と。そして、症状が悪化した場合にもこれは出来高というような形でやれば、やはりかなり医療費の適正化ができるのじゃないかという提案を当時の
自民党にさせていただいたわけでございます。
実は、一番の目的は何だったのかといいますと、終末期医療だったんですね。つまり、本当に希望のない、回復見込みのない、ただただ延命だけの治療、今の医療制度では、例えば人工呼吸器を付けてそれを外すということがなかなかできないような実は制度なんです。ですから、この辺りを何とか制度化をして、そしてやれないだろうかという考え方でございました。
ところが、残念ながら、この一番の目的の終末期医療について、この制度が実は成立をした後いろんな検討が行われたんですが、この
議論がほとんどなされてこなかった。ですから、この高齢者医療制度の理解が私は進んでこなかったんだろうというふうに思うわけでございます。
つい先日、国立長寿医療センターが終末期の希望
調査というのをやっております。この
数字が先日出ました。これは高齢者の方に、しかもこの方々は国立長寿医療センターに通院をしている患者さんたちでございますので、一人一人の聴き取り
調査をされました。その場合に、回復見込みのない者であれば、これは積極治療も望まない、そうしてもらいたくない、延命のための人工呼吸器は望まないというのが実に九三%の方でございます。また、終末期は病院で終えたいという方も六割以上いらっしゃるんですが、回復見込みのない積極治療、これはしてほしくないというのは九割以上の方がそういうふうな回答を寄せていらっしゃるということでございまして、この四月一日からこの医療制度はスタートをしたわけでございますけれども、やはり残された課題、これをしっかりやって
国民の間で
議論をしていただいて、これをある程度制度化といいますかガイドラインといいますか、そういうふうにしていただかないと、我々医師もどういうふうにしていいか分からないんですね。
そういう
状況の中で、当然、御家族の方もよくお分かりにならないだろうと。今度の診療報酬の改定にはそういう仕組みが入ってはいますけれども、実は
議論なされていないわけですから、できないですよね。ですから、是非次までにはこれをしていかなきゃいけないと思うんですが。
もう
一つは、実はこの制度ができたら必要な医療が受けられないのではないかという大変な不安を実は
国民はお持ちでございます。それほどやっぱり正確な情報が流れていないわけですね。今までと何にも変わらないはずですね。つまり、保険証が変わるだけだと。何にも変わらないと。今のように好きなところへ、自分の好きなところへ行けて必要な医療機関に受診できるというふうに私は理解しているんですが、いかがでございますでしょうか、
大臣。