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2008-03-24 第169回国会 参議院 予算委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年三月二十四日(月曜日)    午前十時三分開会     ─────────────    委員の異動  三月二十一日     辞任         補欠選任      武内 則男君     福山 哲郎君      河合 常則君     佐藤 正久君      長谷川大紋君     山本 一太君      牧野たかお君     荒井 広幸君      仁比 聡平君     大門実紀史君      又市 征治君     山内 徳信君  三月二十四日     辞任         補欠選任      鈴木  寛君     浅尾慶一郎君      内藤 正光君     犬塚 直史君      渡辺 孝男君     浜田 昌良君      大門実紀史君     井上 哲士君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         鴻池 祥肇君     理 事                 尾立 源幸君                 櫻井  充君                 津田弥太郎君                 羽田雄一郎君                 水岡 俊一君                 椎名 一保君                 伊達 忠一君                 林  芳正君                 山口那津男君     委 員                 相原久美子君                 浅尾慶一郎君                 石井  一君                 犬塚 直史君                 植松恵美子君                 大石 尚子君                 大久保潔重君                 川合 孝典君                 自見庄三郎君                 辻  泰弘君                 友近 聡朗君                 内藤 正光君                 中谷 智司君                 平野 達男君                 福山 哲郎君                 藤原 良信君                 森 ゆうこ君                 森田  高君                 米長 晴信君                 荒井 広幸君                 有村 治子君                 加納 時男君                 佐藤 信秋君                 佐藤 正久君                 末松 信介君                 田村耕太郎君                 谷川 秀善君                 南野知惠子君                 松村 龍二君                 山田 俊男君                 山本 一太君                 谷合 正明君                 浜田 昌良君                 渡辺 孝男君                 鰐淵 洋子君                 井上 哲士君                 大門実紀史君                 山内 徳信君    国務大臣        内閣総理大臣   福田 康夫君        総務大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣地方分        権改革))    増田 寛也君        法務大臣     鳩山 邦夫君        外務大臣     高村 正彦君        財務大臣     額賀福志郎君        文部科学大臣   渡海紀三朗君        厚生労働大臣   舛添 要一君        農林水産大臣   若林 正俊君        国土交通大臣   冬柴 鐵三君        環境大臣     鴨下 一郎君        防衛大臣     石破  茂君        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)        (内閣特命担        当大臣防災、        食品安全))   泉  信也君    内閣官房長官        内閣官房長官  岩城 光英君    副大臣        外務大臣    木村  仁君        財務大臣    遠藤 乙彦君        農林水産大臣  岩永 浩美君        防衛大臣    江渡 聡徳君    大臣政務官        農林水産大臣政        務官       澤  雄二君        国土交通大臣政        務官       金子善次郎君        国土交通大臣政        務官       谷  公一君        環境大臣政務官  並木 正芳君        防衛大臣政務官  寺田  稔君        防衛大臣政務官  秋元  司君    政府特別補佐人        内閣法制局長官  宮崎 礼壹君    事務局側        常任委員会専門        員        村松  帝君    法制局側        法制局長     大島 稔彦君    衆議院法制局側        法制局長     郡山 芳一君    政府参考人        内閣規制改革        推進室長     小島愛之助君        警察庁刑事局長  米田  壯君        総務省人事・恩        給局長      藤井 昭夫君        法務省刑事局長  大野恒太郎君        法務省入国管理        局長       稲見 敏夫君        外務大臣官房審        議官       秋元 義孝君        外務大臣官房参        事官       小原 雅博君        外務大臣官房参        事官       渡邉 正人君        外務大臣官房参        事官       大江  博君        外務省北米局長  西宮 伸一君        外務省中東アフ        リカ局アフリカ        審議官      木寺 昌人君        外務省経済局長  小田部陽一君        財務省主計局長  杉本 和行君        厚生労働省医薬        食品局食品安全        部長       藤崎 清道君        厚生労働省労働        基準局長     青木  豊君        厚生労働省職業        安定局長     太田 俊明君        厚生労働省職業        能力開発局長   新島 良夫君        厚生労働省老健        局長       阿曽沼慎司君        社会保険庁運営        部長       石井 博史君        経済産業省経済        産業政策局長   鈴木 隆史君        国土交通大臣官        房運輸安全政策        審議官      福本 秀爾君        国土交通省都市        ・地域整備局長  増田 優一君        国土交通省道路        局長       宮田 年耕君        国土交通省住宅        局長       和泉 洋人君        海上保安庁長官  岩崎 貞二君        高等海難審判庁        長官       岸  良彬君        防衛省防衛参事        官        小川 秀樹君        防衛大臣官房長  中江 公人君        防衛省防衛政策        局長       高見澤將林君        防衛省運用企画        局長       徳地 秀士君        防衛省人事教育        局長       渡部  厚君        防衛省経理装備        局長       長岡 憲宗君        防衛省地方協力        局長       地引 良幸君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○平成二十年度一般会計予算内閣提出衆議院  送付) ○平成二十年度特別会計予算内閣提出衆議院  送付) ○平成二十年度政府関係機関予算内閣提出、衆  議院送付)     ─────────────
  2. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  平成二十年度総予算三案に関する理事会決定事項について御報告をいたします。  本日は、まず一般質疑を四十分行うこととし、質疑片道方式で行い、各会派への割当て時間は、民主党新緑風会国民新日本三十分、日本共産党五分、社会民主党護憲連合五分とすること、また、午後一時から外交防衛に関する集中審議を行うこととし、質疑往復方式で行い、質疑割当て時間は二百四十分とし、各会派への割当て時間は、民主党新緑風会国民新日本百二十分、自由民主党・無所属の会七十五分、公明党二十五分、日本共産党十分、社会民主党護憲連合十分とすること、質疑順位につきましてはそれぞれお手元の質疑通告表のとおりであります。     ─────────────
  3. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 平成二十年度一般会計予算平成二十年度特別会計予算平成二十年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、質疑を行います。津田弥太郎君。
  4. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 民主党津田弥太郎です。  本日は、時間の関係道路問題と年金問題に絞って質問を行います。  まず、先週の金曜日に我が党の平野達男委員が行った質問について、理事会預かりとなった部分がございます。改めて本日、この場で冬柴大臣から政府見解答弁をお願いいたします。
  5. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 二月二十八日の政府見解は、中期計画に合わせて行った高規格幹線道路の未供用区間についての点検及び個別事業の採択についての考え方を述べたものであり、その考え方は現在でも変わってはおりません。  加えて、三月十八日の参議院予算委員会における答弁で申し上げたとおり、高規格幹線道路の未事業化区間事業区間についても、平成十七年の道路交通センサスを基にした新たな交通需要推計など最新データ等が得られた時点で、より厳格性を徹底し、真に必要な道路整備に集中していく観点から、既に行った点検等に加えて改めての措置として最新データ等を用いて点検等を行います。このような最新データ等に基づく客観的かつ厳格な点検等を逐次実施することにより、真に必要な道路整備を適切に進めていくことが必要と考えております。
  6. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 ありがとうございました。しっかり議事録に載せさせていただけたと思います。  引き続き、冬柴大臣にお尋ねをしたいと思います。  ここに公明新聞、昨年十二月六日号というのがございます。大臣は丁寧にお読みいただいているだろうというふうに思うんです。前回マニフェストよりも更に新しいことについて書かれております。  この公明新聞十二月六日号、昨年の、この中で北側幹事長が、「公明党が、車検時などにかかる自動車重量税暫定税率引き下げを主張していることに関しては、「自動車の保有にかかる課税について、暫定税率をいつまでもやっているのはいかがなものか」との認識を示し、引き下げ理解を求めた。」というふうにこの記事に書かれているわけです。したがって、前回マニフェストを更に進化をさせて、この自動車重量税暫定税率というのはもうやめようというふうに、この公明党新聞北側幹事長はこういうふうに書かれているわけでありまして、この公明党立場国土交通省立場というのは、これは同じものなのでしょうか。
  7. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 私が幹事長時代の二〇〇五年の公明党マニフェストにおいては、ユーザーの立場から自動車関係諸税見直しとうたっております。これは道路特定財源制度の趣旨から財源が本来の目的に活用されないのであれば、例えば自動車重量税暫定税率引下げや、その使途の在り方の検討など、何らかの見直しを行うべきとの考え方を示したものであります。暫定税率引下げ立場であるということではありません。  また、私が幹事長時代平成十七年十二月の政府与党協議では、公明党から納税者理解が得られる使途を例示いたしました。これは十七年十二月九日、政府与党道路特定財源見直しに関する基本方針というものを策定する直前に、文書で政府それから仲間与党に例示をしたものでございまして、これには九項目、大きく三つ、そして細かくは九項目にわたって示されております。これは、そういうものがあれば納税者理解が得られる使途だということを例示いたしました。  ここで例示した九つ施策については、さきの答弁でも細かく申し上げましたので再度ここではあえて申し上げませんけれども、昨年十一月に公表した中期計画の素案の中にはこの九つ施策というものはすべて反映したところでありまして、その上で、政府与党合意を踏まえ、今般暫定税率の維持をお願いしているところでございます。  したがいまして、我々の流れとしては、重量税について使途を明確にして納税者理解を得るという努力をしてもらわない限り、こういうものについては、先ほど申し上げましたように、見直しを行うべきであるということが私どもの一貫した考え方であります。
  8. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 マニフェストよりも更に進化をして、一般財源ということではなくて、暫定税率そのものをもうやめたらどうかというふうに北側幹事長は言っているわけで、これは明らかに大臣立場と所属をされている公明党の主張というのは違っているんです。これ、冬柴大臣自身出身政党政策をいとも簡単に否定をしてしまうというのは、これ先日の松島みどり大臣も長年の御自身の信念をいとも簡単に曲げてしまうという、これ何で国土交通省役人の言いなりにみんななっちゃうんか、非常に私は疑問であり、残念であります。  そこで、大臣にお尋ねしたいんですが、道路特別会計から支出がなされている国土交通省所管公益法人の中で、国土交通省出身役職員及び役員というのはそれぞれ何人でございますか。
  9. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) お答え申し上げます。  五十の社団法人財団法人におきます国交省出身役職員の総数は、平成十八年四月一日時点で千二百六十一名でございます。また、このうち役員は三百十九人でございまして、常勤役員は百四十三名でございます。
  10. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 これを旧省庁で分けますと、当然ながら八割以上が旧建設省であります。この旧建設省役人が多数天下りをして、その見返りに道路特別会計から随意契約で多額のお金が流れる。実際、道路特会からの支出が年間六十八億七千万円にも達している関東建設弘済会の百三十一人を筆頭に、随契の多い団体にはすべて四十人以上の天下りが受け入れられている。こうした構図になっているからこそ、巨額の血税を使って何の役にも立たない報告書が作成されたり、あるいは請け負った業務を丸投げしてしまうといった事態が発生しているわけであります。  これとは違った構図についてもちょっと指摘をしたいんですが、道路特会から支出がなされている公益法人の中の一つに社団法人日本交通計画協会という団体がございますが、ここには平成十八年度において道路特会から幾ら支出がなされておりますか、冬柴大臣
  11. 増田優一

    政府参考人増田優一君) お答えを申し上げます。  社団法人日本交通計画協会に対しましては、平成十八年度決算額におきまして、一億三千万円が道路特会から支出されております。
  12. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 それでは、この日本交通計画協会の副会長理事の中に現職国会議員の名前が見受けられるようですが、それはどなたでしょう、冬柴大臣
  13. 増田優一

    政府参考人増田優一君) お答えを申し上げます。  社団法人日本交通計画協会理事として現職国会議員細田博之先生が入られております。
  14. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 現在の自民党の幹事長代理であり、小泉内閣においては現在の福田総理の後任として官房長官も務められているわけであります。  この日本交通計画協会には、実は建設省の元技術審議官、副会長、同じく元道路局長など三人が理事に名を連ねております。しかし、これまで指摘された他の公益法人とは異なり、この四人はいずれも無給の非常勤、そして、日本交通計画協会常勤専務理事常務理事はこの団体プロパー職員です。だからこそ、常勤で多数の天下りを抱える他の公益団体に混じり随契国交省からもらい続けるためには、細田博之議員のような与党大物議員役員に据えて箔を付ける必要があるのではないか、そのように思われるわけであります。  これ、いずれにしても、建設省からの天下りを多数受け入れている公益法人では、事業必要性や金額の妥当性について十分な検証を経ることなく随意契約事業が発注されてしまう危険性が極めて高いと言わざるを得ないわけであります。間違いなく旧建設省利権というものが道路の世界にはあり、これを失うことは役人にとっては死活問題。  そこで増田総務大臣にお尋ねしますが、あなたが東大法学部を卒業し建設省入省されたのは何年ですか。
  15. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 私が大学卒業して建設省入省いたしましたのは、一九七七年の四月でございます。
  16. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 昭和五十二年、一九七七年。  実は、驚くべきことが分かりました。道路局の元総務課長であり現在の国交省大臣官房大森総括審議官、よく御存じですね、この方と増田大臣は大学の学部も一緒建設省入省も同期。また、現在の道路局ナンバーツーである原田道路局次長御存じですね、これも同様の関係。ほかにも、菊川官房審議官下保国道防災課長廣瀬有料道路課長と、道路局の幹部には増田大臣昭和五十二年建設省入省組が不思議と多いんです。  これ、増田大臣建設官僚増田寛也ではなくて、全国知事会会長選にも名のりを上げた元改革派知事増田寛也に戻っていただけませんか。これ、こういう昔の官僚時代仲間に引っ張られるんではなくて、本当に改革派知事としてどうしていくのかという、そういう姿勢を示していただきたいと思うんですが、いかがですか。
  17. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 私の職歴として、今先生からお話がございましたとおり、大学出まして当時の建設省入省いたしました。ちょうど役所も大体年功序列のような形で今それぞれ昇進をしていくようなことが慣例でございますので、私がかつて同期として一緒仕事をしていた仲間人間がちょうどそれぞれ局の次長ですとか審議官ですとかそういうところに今就いて、そして仕事をしているということでございます。  いずれにしても、私は今、総務大臣として総務大臣職責をしっかりと果たすということが私に与えられております使命でございますし、また、同期の人間は同期の人間として、国家公務員としてそれぞれ国民に尽くすと、こういうことで仕事をしているんだと思いますが、やはり立場立場、そしてその与えられた職を十分に、十全に果たすということが大事でありますので、私も今与えられている総務大臣としての職責をその責任において十分に果たしていきたいと、こういうふうに考えております。
  18. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 それでは、年金問題に移ります。資料を見ていただきたいと思います。  この五千万件の宙に浮いた年金について、いよいよ三月末までに、国民にまずは誤解をさせていたということについては大臣からも謝罪が行われたところであります。  これ、大事なことは、年金記録問題がどれだけ解決しているのか、その真の姿を国民に分かりやすく伝え、政府の行う対応への理解を得ていくことでありまして、この三月十四日、カラー刷りの「未統合記録の全体像」、これ公表されたわけでありますが、その数字を、配っておりますように現時点統合済み記録は何件なのか。そして、統合済みではない記録について、これ統合済みについては緑の一番下の右のところに四百十七万件と書いてありますよね。  問題は、統合済みではない記録については、一番、統合する必要がないと確定した記録、二番、現時点統合する必要があるかどうかが不明の記録、三番、統合に必要な記録、このように区分し、情報を公開することが不可欠だというふうに考えるわけであります。  この区分に基づいた数字を、舛添大臣お答えください。
  19. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) いろんな分類の仕方があると思いますが、今委員が御指摘の二枚目のこの枠を埋める作業ですけれども、統合済み記録は今おっしゃってくださったように四百十七万件です。これは十八年六月一日以降やったやつです。  それから、統合する必要がないと確定した記録、これは死亡一時金を受給していると、これはもうやっているわけですから、これ約六十万件、それから脱退手当金受給などにより新たな受給に結び付かないと考えられる記録は五百八十八万件で、これを二つ合わせますと六百四十八万件ですが、ただ、これはもうないと確定したわけですけれども、ひょっとしたら可能性はあるけれども非常に可能性が低いのは、例えば死亡届けがなされている記録、百九十四万件あります。  それから、死亡届けがされている記録又は死亡一時金を受給している記録と同一人の可能性が高い記録及び国内最高齢超記録、これ、今私が読んでいる数字カラー刷りの方を御覧いただきながら見ていただくと、これが百四十七万件でございます。したがって、これも全部含めると九百八十九ということになります。  それから、必要かどうかが不明の記録というのは、今後解明を進めるというところにある二千十九万件と氏名等の調査を継続している約六万件ということで、二千二十五万件です。  それで、まさに今現時点統合する必要があるかどうかが不明の記録を見ているわけですから、その中で統合が必要な記録幾らと出てくるので、最後の欄は、今、一、二、三番目の欄をやりながら出てくるという、そういう仕組みになっております。
  20. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 これ例えば、厚労省の「未統合記録の全体像」では、死亡が判明した方や脱退手当金受給をしている方を同じくくりにしているんです。  しかし、死亡一時金を間違いなく受給しているのかどうか、あるいは本人死亡されて遺族が一人もいないことが確定されているのかどうか、さらには、脱退手当金受給したことについて本人が争いなく認めているのかどうか、こういうことを精査をしないことにはこれは問題はまだまだ大きな問題になっているわけでありまして、私は、年金集中審議がございます、二十六日を予定をいたしております。  委員長にお願いをしたいと思います。  是非、今私が求めた資料の二枚目のこの空きのところ、二番目、三番目、四番目をしっかり埋めていただいて明日中にこの予算委員会に提出していただくことをお願いして、私の質問を終わります。
  21. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) ただいまの津田委員の発言につきましては、後の理事会において協議をしたいと思います。  以上で津田弥太郎君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  22. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 次に、相原久美子君の質疑を行います。相原久美子君。
  23. 相原久美子

    相原久美子君 おはようございます。民主党相原久美子でございます。  本日は、急増しております外国人労働問題についてお伺いをしたいというふうに思います。  まず、厚生労働省の方にお伺いをしたいのですが、外国人労働者の実態を把握するに当たりまして、どのようなカテゴリーで数字を取っているのか、そしてその把握されている実態について御説明をお願いしたいと思います。
  24. 太田俊明

    政府参考人(太田俊明君) お答え申し上げます。  我が国で就労する外国人、これ累計で見ますと、まず就労目的で我が国に在留して就労している方がおられます。平成十八年、約十八万人でございます。この就労目的外国人の具体的な受入れ範囲は、我が国の産業や国民生活に与える影響を総合的に勘案して決定するものとなっておりまして、高度な専門的職業のほか、ホワイトカラー、技術者や語学教師、外国調理人等のいわゆる専門的、技術的分野での外国人が就労を認められております。  こういう考え方の下で、専門的、技術的分野以外の受入れは認められていないところでございますけれども、例えば日系人のように身分に基づきまして在留を認められている者も、我が国での活動に制限がないため様々な分野で就労が可能でございます。平成十八年で約三十七万人おられます。  それから、このほか、資格外活動の許可を得てアルバイトを行う留学生等、これが平成十八年、約十一万人、さらには、技能移転を通じた国際協力を目的とする研修・技能実習制度における技能実習生、これが平成十八年で約七万人、こういう方たちが我が国で就労しているところでございます。
  25. 相原久美子

    相原久美子君 ありがとうございます。  そういたしますと、ちょっと確認させていただきたいんですが、この研修・技能実習制度、この中で研修生以外の技能実習生については労働者というくくりになっているということでよろしいでしょうか。
  26. 新島良夫

    政府参考人(新島良夫君) お答えいたします。  技能実習生につきましては、一定期間の研修を経た上で、受入れ企業との雇用関係の下でより実践的な技能等を習得するための活動を行う者ということでございまして、労働者として扱われるものでございます。
  27. 相原久美子

    相原久美子君 それでは厚生労働大臣にお伺いしたいと思うのですが、今後の外国人労働者施策、これについて何か方向性があればお考えを伺いたいと思いますが。
  28. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 当面の課題と長期的な問題についてお話ししたいと思います。  当面は、先般告示されました雇用政策基本方針というのが、これ五年程度の方向性として、まず第一は専門的な技術的分野の外国人、これはいろんな方がおられます。これはもう積極的にやっていただくと。それから、日系人を始めとして合法的に就労する外国人すべての就業環境の改善、それから外国人研修・技能制度の適正化見直しをやると。  今、最大の問題は単純労働者をどうするかと、こういう問題なんですが、これは安易に受け入れるべきではないだろう。むしろ、それならば若者、フリーターたくさんいる、それから子育て中の女性だってそれは戦力になるわけで、いろんな条件を、子育て支援策をやる、男女共同参画のこの諸施策をやって働いてもらう、それから高齢者といってもお元気な方々たくさんおられますから、こういう方の力を使うということが私は先だろうと思います。  そのことも含めて、長期的な課題ですけれども、実は、私は若いころヨーロッパ諸国で仕事して、この外国人労働者の問題をつぶさに研究して見てまいりました。それで、五〇年代に労働力を不足したからといってフランスもドイツもイギリスも外国人労働者を入れたわけですね。手っ取り早く仕事になった。で、今何が起こっているかというと、第二世代、第三世代、セカンドジェネレーション、サードジェネレーションまで来ている。例えば、ドイツに行くとトルコ系の若者がいる。もうこれドイツ語しかしゃべれません。自分は何なんだというときに、イスラムであってトルコ人である、しかし住んでいるところはドイツでドイツ語しかしゃべれない。アイデンティティークライシスというのが起こって、非常に文化の問題がある。  しかし、逆にヨーロッパ諸国が人権や何かで非常に世界に誇れることをやっているのは、EUの統合を含めて、これはやはり異質な要素を積極的に受け入れることによって国の強さを増していると、そういう面もありますから、移民含めての外国人労働者の導入がすべて悪いことだと思いません。  しかし、見てきていると、やっぱり非常に悲惨な状況があって、社会での差別遭ってきますので、今からもし日本がきちんとした形で外国人労働者を受け入れるならば、日本人と均等の待遇をする、労働者としてちゃんと認めると。そして、研修をきちんとやってもらって、日本語もきちんとしゃべってもらうし、そして我々の側も、やはり皆さん自身日本社会に統合してもらうんだということで、私はそれは今からの日本社会が国際社会に向かってよりいい日本になる方向性だと思っていますので、ただこれはいろんな御議論がありますから、そういう展望の下にこの国会の場でも議論をして、一番いい方向を探りたいと思っております。
  29. 相原久美子

    相原久美子君 ありがとうございます。  ちょっと通告はしてなかったんですが、さきにお話しされたような均等待遇の原則のところをちょっとお伺いしようと思ったんですが、先にきちっと明記していただきましたので、それでは次に、外国人労働の問題の中でも、特にこの研修・技能実習制度というのが今かなり問題になってきているというふうに思われるものですから、私は今日は研修・技能制度についてお伺いしてまいりたいと思います。  調べましたら、担当が相当各省にまたがるという状況なものですから、まず先に法務省にお伺いをしたいというふうに思います。  この制度の目的、創設の概要についてお伺いしたいと思います。
  30. 稲見敏夫

    政府参考人(稲見敏夫君) お答えいたします。  研修・技能実習制度でございますが、これは研修・技能実習生の方に我が国で習得していただきました技術、技能、これを生かしまして、本国の経済発展や技術の進歩に寄与していただく、言わば人づくりを通した国際協力、国際貢献を目的として制度化されたものでございます。  経緯でございますが、研修制度につきましては、多くの企業が海外に進出するようになりました。それで、技能研修を目的として入国する外国人の方が増えてきた。昭和五十六年にそのような背景を受けまして入管法を改正いたしまして、そういう技術研修を目的とする方を対象とする在留資格、これを新設させていただいております。その後、平成元年にまた入管法を改正いたしまして、今も言いました昭和五十六年につくりました在留資格に研修という名称を付与いたしました。加えまして、どういう条件で研修生を受け入れることができるか、これを省令等で明確にしたという経緯でございます。  これによりまして、中小企業におきましても、商工会議所あるいは中小企業協同組合などを研修生受入れ事業の主体といたしまして外国人の研修生の受入れが開始されておるわけでございます。  次、技能実習制度でございますが、これは平成三年十二月に第三次臨時行政改革推進審議会、この第一次答申におきまして、実効性のある途上国への技能、技術の移転、これを更に検討すべきだという観点から、新たな研修制度、これを技能実習制度と言うんですが、をつくるようにという提言がなされました。これを受け検討いたしまして、研修期間中に一定水準以上の技術等を習得した研修生の方につきまして、研修修了後、研修を受けた企業と雇用契約を結び、研修で習得した技術等につきまして実践的に磨きを掛けていただく技能実習制度というものを創設し、平成五年四月から実施し今日に至っているということでございます。
  31. 相原久美子

    相原久美子君 それでは、直近のところでこの研修生、技能実習生の受入れの数というのが分かりましたら教えてください。
  32. 稲見敏夫

    政府参考人(稲見敏夫君) お答えいたします。  研修生でございますけど、昨年、平成十九年一年間、百七十を超える国・地域から延べ十万二千人の方が入国されております。この数字は一年前と比べまして一〇%の増、さらに十年前の平成九年と比べますと二倍以上に増加しております。  一方、技能実習制度への移行者数でございますが、昨年一年間で約五万四千人ということでございまして、この数字は一年前の三二%増、十年前と比べますと八倍以上に増加しております。  なお、国籍別の内訳でございますが、研修生あるいは技能実習生、いずれも中国が圧倒的な一位でございまして、研修生の七割近く、実習生の八割近くを占めております。中国の次はベトナム、インドネシア、フィリピンと続きますが、いずれも中国の十分の一以下の数になっております。  以上でございます。
  33. 相原久美子

    相原久美子君 それでは、財団法人国際研修協力機構、JITCOについて御説明くださいますか。
  34. 稲見敏夫

    政府参考人(稲見敏夫君) お答えいたします。  御質問財団法人でございますが、これは法務省、外務省、厚生労働省、経済産業省、国土交通省の五省共管の公益法人でございまして、研修制度の適正かつ円滑な推進を援助することを目的といたしまして平成三年に設立されております。  この財団が行っております主な業務でございますが、おおむね三つのカテゴリーで説明できるかと思います。  第一のカテゴリーは、研修生、技能実習生を円滑に受け入れて適正な研修、技能実習を実施するために、受入れ機関に対しまして総合的な支援、指導、助言を行うというものでございまして、具体的には受入れ機関を対象にしたセミナーの実施、あるいは受入れに関する相談の受理というような業務を行っております。  第二のカテゴリーは、研修生、技能実習生の悩みや相談に答えるなど、入管法令、労働法令による研修生、技能実習生の法的権利の保障に遺漏がないよう支援を行っていくという業務でございまして、具体的には、母国語によりまして研修生、技能実習生の相談に応ずる、あるいは母国語によります情報紙を作成し、配布するというような業務を行っております。  第三のカテゴリーは、始められました研修、技能実習、これが開始後も本来の制度の目的に沿いまして成果が上げられるように、受入れ機関、研修生、技能実習生に対しまして指導、支援を行っていくというものでございます。具体的には、研修生等に対します日本語教育の支援、受入れ機関に対します調査、巡回指導の実施、研修指導員、生活指導員を対象といたしました各種セミナーの実施というような業務が挙げられます。  以上でございます。
  35. 相原久美子

    相原久美子君 それでは、厚生労働省の方にお伺いをいたします。  技能実習生は労働者であるとされているということで先ほどお伺いいたしました。それであれば、日本人労働者と同じ労働関係法規は適用と考えてよろしいですね。
  36. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 基本的に日本の労働者と同等に考えるべきですから、当然労働関係法令は適用されると、そういうことでございます。
  37. 相原久美子

    相原久美子君 ありがとうございます。  それでは、研修生、技能実習生に関して、劣悪な労働条件下で様々な労働違反が起きているというふうに報道等々でも、今日資料で配らせてもいただきましたが、その実態と、把握の実態ですね、それと、指導について経緯があるのでしたらお知らせいただきたいと思いますが。
  38. 稲見敏夫

    政府参考人(稲見敏夫君) お答えいたします。  委員指摘のとおり、近時、研修・技能実習制度の悪用など不適切な事案が指摘されておりまして、法務省といたしましては、関係機関、関係省庁と連係を密にいたしまして、適正な研修、技能実習の実施につきましての広報を積極的に行うとともに、実態調査を積極的に実施いたしまして、実態調査といいますのは現場に赴きましてあらかじめ出されております研修計画等に沿った研修が適正に行われているかどうか、これを確認する行為でございますが、そういうものを実施しまして、研修生、技能実習生に対して不適正な対応が取られている事案につきましては不正行為と認定し、研修・技能実習生の受入れの三年間の停止というような措置を講じております。また、不正行為に至らないというような不適切事案につきましても、必要な改善を指導するなどの対応を行っているところでございます。  今後とも、受入れ機関に対します実態調査等を強化いたしまして、研修・技能実習制度の適正化に努めてまいる所存でございます。
  39. 相原久美子

    相原久美子君 それでは、三年間受入れの停止ということの措置もされているということですが、この後また受け入れるということになろうかと思うんですけれども、そこの部分の再評価というんでしょうか、十分にもちろん注意しなきゃならないところなわけですけれども、それはされているのでしょうか。
  40. 稲見敏夫

    政府参考人(稲見敏夫君) 省令上不正行為を行った場合には、三年間は当然にこれは受入れができない。その三年間が経過した後も、適正な受入れが確保できたというところまで私どもが確認できるまでは受入れを認めないということになります。
  41. 相原久美子

    相原久美子君 適正にこの制度を運用しているかどうかということに関しまして、先ほど来実態調査を実施しているということですが、この実態調査というのは法務省がなさっているということでよろしいでしょうか。
  42. 稲見敏夫

    政府参考人(稲見敏夫君) 先ほど御答弁させていただきました実態調査といいますのは、私どもの方に研修生を受け入れたいという御申請があった場合、あるいは受け入れた研修生を技能実習生に、在留資格の変更ということになるんですが、をしたいというような申出があった場合、あるいは在留期間を更新したいというような申出があった場合に、そういう機会をとらえまして私どもの職員が現場に赴き、確認をしているということでございます。
  43. 相原久美子

    相原久美子君 それでは、法務省の方にお伺いをしたいと思いますけれども、配付している資料にありますように、パスポートの強制管理、そういうような不正行為が見受けられるわけですけれども、これについては、先ほど来御説明いただいておりますように、指導しているというような状況もございますけれども、平成十九年度に指針を出されましたね。この指針について御説明いただけますか。
  44. 稲見敏夫

    政府参考人(稲見敏夫君) 御質問の指針は、研修生及び技能実習生の入国・在留管理に関する指針と申します。  これは、平成十一年に実は研修生、技能実習生を受け入れる際に、受入れ機関の方々に適正な研修、技能実習を実施するため留意していただきたいという、そういう事項を取りまとめ、公表したものでございますが、策定後八年を経過いたしまして、委員指摘のとおり、不適正な研修、技能実習の増加が見られるということから、昨年の十二月にその内容を改訂したものでございます。  今回の改訂でございますが、特に研修生、技能実習生に対する保護の強化、これを図るということを目的としておりまして、このような観点から、例えば、受入れ機関におきまして旅券、外国人登録証明書を預かる、あるいは宿舎からの外出を禁じるなどの不適切な管理を行うことを禁じましたほか、この八年間に私どもが行いました実態調査の結果などを踏まえまして、不正行為となる事案につきまして具体例を盛り込むなど、その明確化を図ったものでございます。
  45. 相原久美子

    相原久美子君 十九年の十二月ですからまだ数か月しかたっていないという状況なわけですけれども、これについて、今後一定期間でこのまた見直しをされるというような予定はあるのでしょうか。
  46. 稲見敏夫

    政府参考人(稲見敏夫君) 当面、現在は新しい指針出しましたので、それがどの程度守られるかということを実態調査等を通じて把握に努めてまいる、その結果がまとまりました段階でその都度適宜公表させていただく、その結果を踏まえまして、また更に改正が必要なものにつきましては改正について検討していくというようなことは考えております。
  47. 相原久美子

    相原久美子君 具体的なところでかなり報告されているものなんですが、パスポートの強制管理、そのほかに預貯金それから印鑑、これらも強制管理の対象になってきたというようなところがあるようでございます。同じ扱いになるかと思うんですけれども、一番私問題だと思っていますのが、送り出し国との間において保証金を取っているというようなことが言われております。そして、指針の中にもこの保証金について明記をしてございます。これについて見解をお伺いしたいと思うのですが。法務大臣、よろしければ。
  48. 鳩山邦夫

    国務大臣(鳩山邦夫君) 保証金の実態というのはなかなか分かりにくいんですね。ちゃんと戻ってこいよと、デポジットみたいなものだから、積んで、我々が金預かっておくから頑張って帰ってこいよという意味なのか、まあ悪く解釈すれば手数料みたいに取っているのかなと、送り出し機関がですね。その辺は非常に分かりにくいんですが、高額の保証金を徴収しているケースというのがありまして、私どもが調べただけでも一人について百十万積ませているという例があるわけで、そういうような送り出し機関からの研修あるいは技能実習は受け入れない、つまりビザを発給しないという処置をいたしておるわけですが、これはなお相当調査しないといけないなと思っておりますし、基本的に、何というんでしょうか、人身売買じゃないんですけれども、絶対あってはならないようなことですが、何か金で人が行き来するというようなことは絶対あってはならないというふうに考えております。
  49. 相原久美子

    相原久美子君 ありがとうございます。  まさに高額か少額かという問題ではないと思うんですね。結局、先ほどからおっしゃっていただきましたように、人身を拘束するわけです、保証金というのは。なおかつ、この制度というのは日本がつくった制度です。ですから、日本がやはり研修生として受け入れるということに当たっては、本当にそういうところは留意していかなければならない。ですから、その意味では、相手国がありますけれども、相手国の方にきちっと指導をするなりしていただきたいというふうに思います。御回答は要りません。  それでは、これは一昨年の規制改革会議で、研修生、技能実習生の法的保護を図るとして見直し指摘されておりました。この見直しの提言というか指摘の部分について、内閣府になるのでしょうか、お答えをいただければと思います。
  50. 小島愛之助

    政府参考人小島愛之助君) お答え申し上げます。  外国人研修・技能実習制度の見直しに関します規制改革会議等における検討につきましては、前身の規制改革・民間開放推進会議が平成十七年三月に取りまとめました第一次答申におきまして、委員指摘のように、実務研修中の法的保護の在り方について関係省庁に検討を求めたことが端緒となっております。  その後、十七年十二月の第二次答申では、技能実習生に対する在留資格の創設の検討を求め、十八年十二月の第三次答申では、遅くとも二十一年の通常国会までに関係法案を提出することとした上で、法的保護の在り方等についてもその施行までに措置すべきとしたところであります。  これらの答申の内容につきましては、昨年六月に閣議決定されました規制改革推進のための三か年計画に盛り込まれ、現在関係省庁の検討が進められているところでございます。  なお、昨年十二月に取りまとめました規制改革会議の第二次答申におきましては、原則として実務研修には労働関係法令を適用すべきという指摘をしているところでございます。  以上でございます。
  51. 相原久美子

    相原久美子君 改めて法務大臣にお伺いしたいというふうに思います。  昨年五月の、当時の法務大臣が私案の中で幾つかの指摘をしております、この制度も含めてですね。そして、現行の技能実習制度の廃止というものを明記しておりますけれども、現大臣としてはどうお考えなのか。それからまた、今後についても受入れの拡大を考えていらっしゃるのかどうか、お伺いしたいと思います。
  52. 鳩山邦夫

    国務大臣(鳩山邦夫君) 非常に難しい問題で、つまり研修とか技能実習というのは本来国際協力であって、人づくりに対する国際貢献という面があるんだろうと、それが発足のいきさつなんですよね。ところが逆に、単純労働者を受け入れて、そしてまた日本人がやりたくないような仕事を受け持ってもらうという考え方もあるんだろうと。いろんな要素があると思いますが、私は、現在はまだ、単純労働者の受入れということについてはかなり慎重な方でございまして、そういう意味では長勢私案とは若干異なっているかもしれません。長勢前大臣は元々、労働行政の大家であられまして、日本の労働の需給関係というものを長勢先生なりに判断されてそういう結論を出された、私案を出されたのではないかと思っております。  ただ、先ほど舛添大臣お答えをされましたように、研修と技能実習とあって、研修は労働でなくて技能実習になって初めて労働だという、そういう考え方はそろそろ改めて、研修もやっぱり仕事はするわけですから労働であって、技能実習も労働だというふうにはしていくべきではないかなと、こう思うわけでございます。  先生質問の点について私が余り歯切れ良く答えられない最大の理由は、法務省という私の仕事関係上、先ほどから入管局長答弁をしておりますように、入管行政あるいは外国人の滞在に関する行政というものがあるものですから、どうしても不法残留がどの程度出るんだろうかなとか、あるいは不法残留された方々の犯罪率というのはやっぱり高いんですよね。その辺を考えますと、そういう意味で、単純労働を受け入れた場合に不法残留が増えやしないかと。いろんな観点を考えなければなりませんので、まだ私なりに結論は出ておりませんけれども、長勢前大臣と私は若干異なる見解かと思います。
  53. 相原久美子

    相原久美子君 これについてはいろいろな考え方があるかと思いますが、ただ、少なくとも来年の通常国会には一定の関係法案を出すというような方向性も示されておりますので、是非ともきちっとした検討をしていただきたいというふうに思います。  米の国務省の二〇〇七年度版人身売買報告書、これにおいて、日本政府は人身売買の構造としての外国人研修制度下における労働者の強制労働的な状況について調査をするためにより一層の努力をすべきであるという指摘がされているんです。私としては、やはり恥ずかしいことだなというふうに思いますし、そして何よりもやはり労働者に、労働者にというより、労働者じゃなくても外国人には人権というものがあるのだという基本の観点に立って、やはりきちっとした法整備をしていっていただきたいなというふうに思います。  ちょっと時間が十分に、余っちゃうような状況なんですが、最後になります。  実は、労働市場改革調査会の第二次報告では、外国人労働者活用の具体的課題として、現行の研修・技能実習制度の問題点と改革の方向性が記されております。研修・技能実習制度の本来の目的から考えますと、私はこの報告そのものがおかしいと思っているんです。国内の労働力不足を解消するためのものではないはずなんですね。これが外国人労働者活用のというふうに規制されているというのが私には合点がいきません。そして、現在のように人権を束縛するパスポートですとか貯金通帳、印鑑などの強制管理、そして最低賃金法違反などが今後も横行することになりますと、奴隷制度とも言われかねない、先ほどの米国務省の報告にもありますように、日本の民主主義の破壊につながりかねないというふうに思っております。  是非、五省に広がるということです。関係の省庁ときちっと連携をいたしまして、国際社会から批判を浴びることのない制度の見直しをしていただきたいというふうに思っております。また、五省の皆さん、ここにはおいでになっておりませんけれども、関係省庁の皆さんは、現行制度下でもあらゆる法違反、不正行為に対して速やかな対応をお願いしたいというふうに思います。  次回以降、新聞に取り上げられることのないように望んでいきたいと思います。  以上で終わります。ありがとうございます。
  54. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 関連質疑を許します。友近聡朗君。
  55. 友近聡朗

    ○友近聡朗君 民主党新緑風会国民新日本の友近聡朗です。  冒頭でありますけれども、なぜ予算委員会はこの第一委員会室を使用するのか、お伺いしたいと思います。通告はしておりませんけれども、文部科学大臣、お願いいたします。スポーツを所管する文部科学大臣、よろしくお願いします。一般論で結構です。
  56. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 何でここを使いまんのや言うておる。渡海文部科学大臣
  57. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 私がお答えするのが適当かどうか分かりません。私もそんなにはっきりしているわけじゃありませんが、従来から、予算というのはやっぱり国家全体の政策を取り扱うと。そういった意味で、通常国会の冒頭でまず予算審議をするということであろうと思います。  そういった意味で、すべての案件を取り扱うから、この第一委員室というか第一委員会というか、そういう扱いにして審議が行われてきたものと、これは私は確信はございませんが、推測をいたします。
  58. 友近聡朗

    ○友近聡朗君 ありがとうございました。  この第一委員会室の趣であるとか雰囲気、そして傍聴席や二階席から私たちとの距離、そして角度、そしてたくさんの応援ややじや歓声が上がります。この部屋は、私はサッカーでいえば本場ヨーロッパのようなスタジアムのようなところであると思っております。国家の根幹である予算の議論をする場にこの部屋が使われる理由が分かるような気がします。  そこで、スポーツにとってもスタジアムはとても大切であります。しかし、日本とヨーロッパで観戦する際に臨場感に大きな格差があると言われており、その一因として観客席の勾配が挙げられております。  日本のスポーツ関係者の間では、ヨーロッパのように切り立った、マッチ箱のような臨場感あふれる観客席を造ることは建築基準法や消防法の規制から困難であると言われておりますが、法の規制は存在するのでしょうか。国土交通省にお伺いしたいと思います。
  59. 和泉洋人

    政府参考人(和泉洋人君) 今御指摘のスタジアムの勾配でございますが、事実関係を申し上げますと、建築基準法及びこれに基づく政令、告示などにおいて直接規制する規定はございません。  しかしながら、同時に、建築基準法の第四十条、これは公共団体が公共団体の判断で基準法の規制に追加することができると、こういった規定がございますが、その規定を使って多くの地方公共団体で、いわゆる安全の観点から階段等の勾配を規制するといった条例がございます。ただし、一方で、そういった条例には大概例外規定というのがございまして、そういった例外規定を使って、一般的な規制を超えた、今委員おっしゃったような臨場感のある急勾配のスタジアムを建設した例もあると聞いております。  ただし、いずれにしても、こういったスタジアムは不特定多数の方が使われますので、高齢者の方々や子供たちの安全確保に十分留意する必要があると考えております。
  60. 友近聡朗

    ○友近聡朗君 観客席の勾配を規制する法律上の明確な規制はないというふうに解釈することもできるかと思います。日本でも今後、臨場感あふれるスタジアムが造られることを望みます。  さて、高校球児にとっての聖地、甲子園球場で先日から高校野球が始まりました。私もこの聖地、第一委員会室で、本日も九回裏ツーアウトまで、はつらつと質問させていただきたいと思います。  それではまず、環境大臣にお伺いいたします。循環型社会をつくる上で大切な取組、スリーRについての御説明をお願いいたします。
  61. 鴨下一郎

    国務大臣(鴨下一郎君) 循環型社会というのは極めてこれからの大事な観点だろうというふうに思います。特に、今まで大量生産、大量消費、大量廃棄、こういうようなことが経済の一番の根幹だったわけでありますけれども、今まさに、地球温暖化、特に、これから二〇五〇年に向けて排出量を半減していかなければいけない、こういうような環境的な制約の中では、これはスリーRというのはまさに重要な観点だというふうに思っています。  その中でも、特に私たちは、やはりごみを出さないというようなことのリデュース、そして、それをしっかりともう一度再利用するというような意味での再使用のリユース、それからリサイクルと、この三つを組み合わせて、しっかりと資源を大事にしていこうじゃないかと、こういうようなことがスリーRの一番の基本の考え方だと、こういうふうに思っております。
  62. 友近聡朗

    ○友近聡朗君 では、そのスリーRの優先順位についてお答えください。
  63. 鴨下一郎

    国務大臣(鴨下一郎君) 優先順位は私はないんだろうと思います。三つがそれぞれ相まってしっかりと環境負荷の少ないライフスタイルをつくっていくというようなことだろうというふうに思いますので、どれが一番大切でどれは三番目だと、こういうようなことはないというふうに思います。
  64. 友近聡朗

    ○友近聡朗君 ありがとうございます。  私は、日本においては優先順位はないというふうにお伺いしましたけれども、どうもリサイクルという言葉だけが先行しているように思います。  私もサッカー留学でドイツの方に二年間ほど行ってまいりました。その中で、子供たちがサッカーから帰ってきて会話している中で、今日から新学期が始まったんだよということで、教室の後ろに透明の容器を置いて、その中に土をいっぱい入れてミミズを先生が一匹入れましたと。そこにキャベツの食べ残しだとかプラスチックのふただとかそういったものを入れて、二か月後、三か月後にプラスチックのふただけがそこに残っているというようなことを取り組んでいるんだよというような話も聞きました。  まずは、ごみになるものそのものをつくらない、リデュースという意識や感性を育てることが大切だと思いますけれども、文部科学大臣、環境教育の観点から見解をお聞かせください。
  65. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) お答えをする前に、先ほどスタジアムのお話がございました。少しだけ印象を言わせていただきますと、実は私はスタジアムを幾つか設計をしておりまして、そのときにやっぱり友近委員が言われるような疑問を随分持っておりました。  確かに海外のスタジアムというのは非常にフィールドに近いんですね。まあトラックがあるスタジアムとないものと、サッカー専用とは随分違うと思います。日本では、たしか埼玉が割とそういう意味では臨場感があると思うんですがね。是非、やっぱり日本でもそういうのを実現して観戦をしていただけるようになりますと、随分いろんなスポーツの環境も変わるなと、このことは率直な印象として申し上げたいというふうに思います。  あと、この環境の問題でございます。ドイツの経験からということでございますが。  一昨年末に教育基本法が改正をされております。その中で、新しい一つの教育の目的として、これは二条の四号で、「生命を尊び、自然を大切にし、環境の保全に寄与する態度を養うこと。」というのがございます。それを受けて、昨年改正されました学校教育法のこれは第二十一条の二号でございますが、「学校内外における自然体験活動を促進し、生命及び自然を尊重する精神並びに環境の保全に寄与する態度を養う」、こういうことがございます。  今、私どもはもう間もなく新しい学習指導要領の改訂を告示をさせていただきますが、その中でもそういったことを受けて、各発達段階、これはもちろん小学校から中学校、高校、それぞれできるだけ具体的にこういったことを教える。例えば小学校の社会科では節水や節電などの資源の有効利用について三、四年で教えるとか、こういった記述を社会とか理科、家庭科、技術・家庭科、こういったことを中心にやっております。  委員指摘がございましたミミズを使ってというのも、今既に総合学習の中でやっておられるような学校も見られまして、そういった体験とかいろんな意味の学習を通じて小学校のころから環境ということが大事なんだということをしっかり日本の学校教育の中でもこれからも教えていきたいというふうに考えております。
  66. 友近聡朗

    ○友近聡朗君 それでは、道路特定財源の問題を地球温暖化対策との関係でお伺いしたいと思います。  京都議定書目標達成計画の評価・見直しに関する最終報告の中で、交通流対策の推進によって約七十万トンのCO2の削減が挙げられておりますけれども、交通流の改善によってCO2の削減が進むと考えているのか、環境大臣にお伺いしたいと思います。
  67. 鴨下一郎

    国務大臣(鴨下一郎君) 交通流対策につきましては、これは現行の京都議定書目標達成計画においても、一つは交差点の立体化、さらにボトルネック踏切、特に開かずの踏切と言われているところの対策、さらには高度道路交通システムの推進、さらに路上工事の縮減、こういうようなことを交通流対策に挙げているわけでありますけれども、また、今先生から御指摘ありましたように、中環審、産構審の合同会合の最終報告におきましても、既存対策の深掘りや追加対策として、特にボトルネック踏切対策のスピードアップ、路上工事の更なる縮減、さらには一般道の渋滞削減に資する高速道路料金の設定等を位置付けると、こういうようなことで、交通流対策につきましてしっかりと対策をすることが渋滞を解消して、これによって実効燃費が改善し、二酸化炭素排出量が減少すると、こういうような見解でございます。
  68. 友近聡朗

    ○友近聡朗君 同じ環境省の地球温暖化対策とまちづくりに関する検討会、お配りしています資料ですけれども、が昨年三月に行った報告書では、自動車の旅行速度を向上させることがCO2の減少に結び付くとは一概には言えない一面があるとして、十八年度版の環境白書でも、道路整備が新たな自動車走行を誘発することもあり、道路整備とCO2排出量には正、負両面の関係があるとしています。  この報告では、一人当たりの道路面積が多くなるとCO2の排出量も増えることが明確に示されておりますけれども、これは最終報告での交通流対策の推進によるCO2の削減と矛盾するのではないでしょうか。
  69. 鴨下一郎

    国務大臣(鴨下一郎君) 効率的な道路整備によりまして、渋滞の解消を通じて二酸化炭素の排出削減につながり得ると、こういうようなことは私はそのとおりだというふうに思います。  ただ、今御指摘のように、例えば沿道開発と一体となった道路整備のように、住宅や商業施設などの立地を促して都市機能を拡散させると、こういうようなことが新たな自動車走行を誘発することにより二酸化炭素の排出増の原因となると、こういうようなこともあるわけでありますから、道路整備と二酸化炭素排出量にはある種、例えば局所的なことについては正しいこともありますし、今先生おっしゃったように、マクロの部分においては負の部分もあると、こういうようなことで両面があるというふうに考えるわけでございます。
  70. 友近聡朗

    ○友近聡朗君 正、負の両面があるということでありますけれども、負の方が大きくならないようにどのように政府、環境省として担保するのか、どのようにチェックするのか、お伺いしたいと思います。
  71. 鴨下一郎

    国務大臣(鴨下一郎君) 今お話あったように、正、負両面があるわけでございますけれども、私どもとしてはできるだけ二酸化炭素排出が増えないような工夫をしないといけないということであります。  そういうような観点から、一つは、低炭素社会の実現、こういうような視点が重要だろうというふうに思っております。これも、今月中に閣議決定予定の京都議定書目標達成計画の改定案におきまして、公共交通機関が中心となる集約的都市構造の実現、これに取り組むというふうにしております。また、これは総理直属の有識者会議であります地球温暖化問題に関する懇談会におきましても、都市や交通の在り方を抜本的に見直すと、こういうようなことが検討課題の一つとされているところでございまして、今後とも、低炭素社会に向けた、例えば歩いて暮らせるようなコンパクトな町づくり、交通体系につきましても公共交通機関を中心とした町づくり、こういうようなことを関係各省とも連携をして進めてまいりたいと思います。
  72. 友近聡朗

    ○友近聡朗君 それでは少し視点を変えたいんですけれども、ちょっと通告はしておりませんが、一人当たりの自家用車の保有台数日本一、もしお分かりになるようであればお答えください。
  73. 鴨下一郎

    国務大臣(鴨下一郎君) 通告を受けておりませんので、今データを持ち合わせておりませんので、また後ほど、もし必要とあればお知らせいたします。
  74. 友近聡朗

    ○友近聡朗君 お配りしております資料にありますとおり、日本一は群馬県であります。福田総理のおひざ元の前橋市、これはウィキペディアのシャッター通りの代表例として一つ出てきます。  シャッター通りになる原因について、環境大臣、一般論としてお答えいただきたいと思います。
  75. 鴨下一郎

    国務大臣(鴨下一郎君) 先ほどコンパクトシティーという話を申し上げましたけれども、例えば歩いて暮らせる町づくりというのは、中心市街地が活性化して、駅前通りに商店街が集約してお年寄りも歩いて暮らせるような、こういうような地域があればよろしいんでしょうけれども、今お話しになったように、例えば群馬県の場合には、都市機能が拡散して、自動車で利用する大規模なショッピングモールが郊外にあると、こういうようなことで残念ながら中心市街地が衰退して、結果的にシャッター通りになっていると、こういうような理解を私なりにはしております。
  76. 友近聡朗

    ○友近聡朗君 結局、道路を次々と造ることで一見幸せになったように見えていたものが、実は生活を激変させて、余計な出費を増やし、排気ガス、CO2という環境負荷を増やしていったものだと思います。  それでは、次の質問に移りたいと思います。  続いて、はしの質問をさせていただきます。はしといっても、道路の橋げたや橋脚の質問ではありません。今日は割りばしの問題についてお伺いしたいと思います。  割りばしの日本国内の年間使用量と一人当たりの使用量を農林水産省、お答えください。
  77. 若林正俊

    国務大臣(若林正俊君) お答えいたします。  平成十八年の割りばしでございますが、輸入量が二百四十五億ぜん、国内生産量は五億ぜん、したがって年間使用量は約二百五十億ぜんであります。一人当たりでは年間約二百ぜん程度になるものと考えております。  このように国産のものが少ないわけでありますが、二%程度となりますけれども、このうち国産材を使用した割りばしの割合は八割強となっております。
  78. 友近聡朗

    ○友近聡朗君 ありがとうございます。  九八%が輸入と、中国からの輸入、そしてわずか二%が国産ということであります。現在、中国製冷凍ギョーザなどが大変大きな問題となっておりますが、輸入割りばしからも漂白剤、防カビ剤などの化学物質が検出される事例があると聞きます。私も以前テレビで見ましたけれども、竹割りばしを入れた水中の金魚が一週間後に死んでしまったというのも見ました。  その化学物質の検出される実態についてどのように把握されているのか、厚生労働大臣お答えください。
  79. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) この問題、昨年の十一月に基準を厳しくいたしまして、まずカビの防止をする防カビ剤、これは前は少量ならば許していたんですが、これはもう全く駄目だと、一切駄目だと、それから漂白剤、これも一定の基準以下であればといったその基準を限度値を三分の一に引き下げると、そういう厳しい検査法についてやっておりまして、今金魚の例とかありましたけれども、熱いお湯なんかに差したときに溶けるんじゃないかと、このことも勘案した上でこの基準ならいいだろうという形で厳格に今やっております。
  80. 友近聡朗

    ○友近聡朗君 厚生労働省の方で「割りばしに係る監視指導について」という通達をされておりますが、これは任意の検査であり、平成十五年にこの通達を出して五年たっておりますが、現在までの報告数をお答えください。
  81. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 平成十五年以降、検疫所において二百三十九件、都道府県において二百七十三件の検査が行われまして、その暫定限度値を超えたものは都道府県から報告された中国製品一件、具体的には二酸化硫黄ですけれども、これがありました。  今後こういうことがないように、先ほど申し上げた限度値を厳しくする、そして監視体制を強めてまいりたいと思います。
  82. 友近聡朗

    ○友近聡朗君 先ほど、農林水産大臣の方から年間二百五十億ぜん使われるというお話がありました。五年掛ければ千二百五十億ぜんであります。五年間でわずか二百七十三件というのは少な過ぎるのではないでしょうか。このサンプル数は極めて少なく、安全と言い切れないと思いますが、いいかげんな検査ではないでしょうか。厚生労働大臣お答えください。
  83. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) これは食品衛生法において厳しくやっておりますので、サンプル検査の数が少ないんじゃないかということですけれども、先般、限度値も厳しくしておりますし、それから保健所でしっかりやれということも申し上げていますので、念のためのサンプル調査でございますけれども、今、更に厳しい指導を行っておりますので、そういう形で国民の安全を守りたいと思います。
  84. 友近聡朗

    ○友近聡朗君 先日も、二月だったと思いますけれども、中国産のまないたに鉛とか六価クロムが含まれていたとの報道がありました。先ほど大臣も言われましたとおり、食品同様に割りばしは毎日口に入れて熱湯にもつけます。そうすると溶け出しやすいという可能性もあると思いますけれども、本当に安全と言い切れるのか、輸入割りばしに対する不安がわくと思いますけれども、基準はこれでいいと本当にお思いでしょうか。そして、監視指導体制を強化して情報を発信すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
  85. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 私は、昨年十一月のこの基準は、例えば防カビ剤、もう全くあっちゃ駄目だということでやっていますので、かなり厳しくなっておると思います。そしてまた、保健所に対しても随時きちんとやるようにという指導をしております。これで国民の不安を取り除くような体制を整えたいと思っております。それで、更にまたもし問題が起こるようなことがあれば更にまた対応を考えたいと思います。
  86. 友近聡朗

    ○友近聡朗君 近年、中国では行き過ぎた森林伐採が進み、砂漠化が進んでいます。黄砂や洪水などの被害も深刻化しております。このため、割りばしの原材料の三割はロシアなどから輸入されていると聞きます。  中国では、日本と違い、割りばしを作るためだけに森林伐採をしてかつらむきをしているというのが現状であります。この点に関して、環境大臣厚生労働大臣に御意見をお伺いしたいと思います。
  87. 鴨下一郎

    国務大臣(鴨下一郎君) 先生指摘のように、中国での割りばしの生産については、特に隣国からそれぞれ輸入をすると、こういうようなこともあって、場合によると森林伐採につながっている、こういうようなことがあるようであります。そういう趣旨においては、単純に割りばしと、こういうようなことだけではなく、むしろ更にその先に森林の問題があり、なおかつ、おっしゃるように、例えば砂漠化の問題にもつながると、こういうようなことで、ある意味で我々はしっかりとイメージを膨らまして環境対策に取り組まなければいけないんだろうというふうに思います。
  88. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 私、実はボランティア活動で森林を育成する、間伐をやる、そういうことをずっとやってきておりますので、森林の重要性というのは非常によく認識をしております。  先般のギョーザの問題でもそうですけれども、私たちの食生活、これは割りばしも含めていかに海外に依存しているかと。そういうことの認識を持って、地球環境全体を守るために、例えば割りばしについてどうするのかと、そういうことも国民的な議論をすべきときに来ていると思っております。
  89. 友近聡朗

    ○友近聡朗君 間伐材とか端材であれば実は環境にいいんだという認識の方も多いかと思います。これはわずか二%の国内産の割りばしというのを前提にしておりますけれども、本当に環境に良いのかと悩んでいる人も多いと思いますけれども、そこで、輸入割りばし、そして国産割りばし、リユースばし、それぞれについて、生産、輸送、消費、廃棄に至る総合的なライフサイクルの観点からの環境負荷、環境を比較、ライフサイクルアセスメントについて調査すべきだと思いますが、環境大臣お答えください。
  90. 鴨下一郎

    国務大臣(鴨下一郎君) 大変問題を整理してお話をいただいているわけでありますけれども、割りばしに関しても、おっしゃるように輸入割りばしと国産割りばし、加えてリユースのマイはし、この三つに分けて考えるべきだろうというふうに私も思います。  その中で、輸入割りばしにつきましては、これは例えば製品の長距離の輸送等に伴い生ずる環境負荷、こういうようなことと、先ほどお話がありましたように、違法伐採につながるような森林の減少、こういうようなことも含めまして考えますと、輸入割りばしに掛かる環境負荷が高くなると、こういうような懸念があることは間違いないと思います。  また、いわゆるマイはしは、これは繰り返し使えると、こういうようなことのため、原料の使用量でいえば輸入割りばしに比べて環境負荷は少ない、こういうようなことでありますが、ただ、マイはしについても、これ、洗浄等に伴って様々な環境負荷もあると、こういうような考え方もあって、これは総合的、定量的に割りばしと環境負荷を比較すると、こういうようなことについてはいまだ十分な知見が得られていないということはそのとおりでございます。そういう意味で、これから調査研究については、それぞれ立場立場でしっかりと検討がなされるべきだというふうに思います。  第二次循環型社会形成推進基本計画では、これは国民によるリデュースに対する取組指標として、輸入割りばしの販売量を、推移をモニターする指標と、こういうようなところに加えたところでありまして、今後ともその動向を注視をしてまいりたいというふうに思います。
  91. 友近聡朗

    ○友近聡朗君 それでは、もう一度確認ですけれども、ライフサイクルアセスメントについて調査をするという御回答でよろしいでしょうか。
  92. 鴨下一郎

    国務大臣(鴨下一郎君) 先ほど申し上げましたように、十分にこの問題について知見が蓄積されているというふうに私も考えておりません。そういう意味で、先生指摘のようなことにつきまして、環境省だけがやれる範囲というのも限られておりますので、総合的に各分野でしっかりと取り組むと、こういうようなことだろうというふうに思いますし、加えて、環境省についてはしっかりと前向きに検討してまいりたいというふうに思います。
  93. 友近聡朗

    ○友近聡朗君 それでは、お配りしています「割箸の供給の現状」という資料にありますとおり、国内産の割りばしというのは、平成元年からの資料でありますけれども、どんどん下がっております。国産割りばしへの転換の可能性について、木材供給やインフラの観点から農林水産大臣お答えいただきたいと思います。
  94. 若林正俊

    国務大臣(若林正俊君) お答え申し上げます。  委員資料にございますように、国産の割りばしというのは大変激減をいたしておりまして、先ほど答弁申し上げましたように、ごく国内的にいいますと少ない量になっております。これは、やはり価格競争力を失ったということでございまして、現在一般に利用、使用されています割りばしの小売価格の面で見ますと、国産は一ぜん、委員資料で三円となっています。幅があるんですけれども、三円ないし四円程度であるというふうに聞き取っておりますが、中国産は一ぜんが一円から一円五十銭程度。したがって、二倍ないし三倍の差があるということでありますから、国産の割りばしの増産を図るということは非常に難しい状況であります。  委員資料にございますように、我が国における国産の割りばしは、この右側にあります、背板をスライスして作るということで、材木を作ったときの残材、残り部分を有効に活用するという形でそこから割りばしを作っております。その意味で、木を有効に利用するという、木をできるだけ使っていくという木づかい運動の中でも評価されていると思います。  そういう意味で、努力をいたしておりますけれども、国産材を使用した割りばしの利用が国内の森づくりに貢献するということについてもっともっと理解を求めたいと。つまり、値段の上では、おっしゃるように、今御説明しましたように、二倍ないし三倍違うんですけれども、実はここに、これ五円という割りばしでございます。こういう木づかい運動の中で、これは五円ですけれども、この一ぜん、これを使っていただくと国産の廃材がうまく利用されていますということをPRしているんですね。これは最近、消費者が大変環境に対する関心が高まってきていると。少し高くてもやはり国内環境にいいものであれば私も貢献したいという、そういう気持ちにこたえるためにこういうような運動も展開をし、できるだけ国産の割りばしの利用に対して理解が進むようにという運動も一方展開をいたしております。
  95. 友近聡朗

    ○友近聡朗君 私も大臣と同様、今日割りばしを持ってきましたので皆様に少し御紹介したいと思いますが、多分大臣が持たれているのは国内産の割りばしだと思います。(資料提示)ここの断面に年輪があるのが大体ほぼ国内産ということで、こちらは中国産のアスペン材でありますけれども、ほぼ真っ白であります。皆さんも食事をするときにちょっと注目して見ていただければと思っております。  それでは、環境大臣にお伺いいたします。  グリーン購入基本方針への追加、また使い捨て製品の規制、一回きり製品の規制についてはどのように考えているのか、お答えください。
  96. 鴨下一郎

    国務大臣(鴨下一郎君) まず、割りばし等の使い捨て製品への対応につきましては、これは先ほどから御議論ありますように、まず物を大切にすると、こういうようなことで、もったいないと、こういうような精神を国民理解をしていただくよう普及啓発等を今までも行ってきたわけでありますけれども、例えばレジ袋の削減と同様に、不要なものは使わない、あるいはもらわない、そういうような行動を広げていくことが重要であるというふうに考えております。  また、今グリーン購入法につきましてお話ありましたけれども、庁舎又は敷地内で営業する食堂に関しては、はしを含めて繰り返し利用できる食器が使われていることというようなことを契約先選定の判断基準として定めているところでございます。
  97. 友近聡朗

    ○友近聡朗君 リユースばしについて個別にグリーン購入基本法等、明記していただくことは可能でしょうか、お答えください。
  98. 鴨下一郎

    国務大臣(鴨下一郎君) 先ほど申し上げましたように、国内の割りばし、輸入の割りばし、あるいはマイはし、公共のリユースのはし、こういうようなことで、どういうようなものが一番ふさわしいのかというようなことについてはいろいろと議論もございますので、今先生からの御指摘も含めて十分に検討をさせていただきたいというふうに思います。
  99. 友近聡朗

    ○友近聡朗君 ある飲食チェーンでありますけれども、リユースはしに変えたということで流通費を含めて年間のコスト削減が千五百万円になったという事例もあります。そして、国内の消費量、割りばしの、二階建ての一軒家に換算すると約一万戸分の木材が消費されているとも言われています。  割りばしの廃棄量を減らすということも大切な観点ではあるかと思います。しかし、一方で、地球環境保護というのは重要な認識が皆さんあっても、仕事などで忙しくてなかなか本格的に環境保護に取り組む時間が少ないというのが現状であると思います。しかし、マイはしへの関心というのはレジ袋に続いて高まってきております。  以前、小池元大臣はふろしきを広めましたけれども、鴨下大臣はマイはしを広めてはどうかと思いますが、決意をお聞かせください。
  100. 鴨下一郎

    国務大臣(鴨下一郎君) 大変有り難い応援をいただきまして、恐縮しております。  私も、マイはしを広げるというようなことは本当に重要だというふうに思います。そういう意味で、特に先ほど環境教育というような分野について先生大変御関心あると。そういう趣旨においては、子供たちがマイはしを持って物を大事にすると、こういうようなことを原点に体験をしてもらうということは多分教育の現場においても重要なことだというふうに思いますので、これは環境省だけではできませんが、マイはしをしっかりと普及させていって、そして環境についていろいろと考えていただくと、こういうようなことを私も先頭に立って推進をしてまいりたいというふうに思います。
  101. 友近聡朗

    ○友近聡朗君 教育のお話が出ましたので、文科大臣にお伺いしたいと思います。  昔から、つまむとか挟むとかほぐすとか運ぶとかいうような、はしを器用に動かして私たちは食事をしてきました。子供たちにきちんとした形で食事をさせたいという食育の観点からの御感想をお伺いしたいと思います。
  102. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 近年、食育というものに対する関心というのは非常に高くなっております。当然、これは例えば子供たちの栄養のバランスとか、正しい食事をする、これは食事の取り方もありますし、食事における礼儀作法といいますか、そういう言い方が適当なのかどうか、ちょっと今言葉が浮かびませんけれども、やっぱり食事に感謝する気持ちとか、そういったことも含めて総合的に教育の現場、また給食というのもありますから、そういった中でしっかりと子供たちに教えていきたい、そのように考えておるところでございます。
  103. 友近聡朗

    ○友近聡朗君 ありがとうございました。  ここにいらっしゃる皆さんも、なかなかマイはし使うといっても、洗浄のこととか衛生的な部分、気になると思いますけれども、今ではお店などでおはしを洗いましょうかと言ってくれるお店もありますし、食後水洗いをしてくれたり、例えば備付けのお手ふきでさっとふいたり、飲み残しの水でさっと済ませることも可能であります。  そして、いろんな方の意見をお伺いしましたけれども、最も効果的だというのは、食事の席での話題づくりにもってこいだということを、接待での話題づくりということも大きな要素として挙げられている方もいらっしゃいました。  私も今日、別のはしを持ってきましたが、皆さんなかなか長いと持ちにくいと思うんですが、これはねじ式になっていまして、はしをこうつなげるようになっております。(資料提示)これですと携帯用にとても便利ですので、これをこのふろしきのようなこれに入れて、さっと食事のときに出すと、おっ、何を出したのかなということで、また話題づくりにもなると思いますので、是非大臣の皆さんにも使っていただければと思っております。  あともう一つだけ紹介させていただきますと、これは「かっとばし」といいまして、野球のアオダモの木の端材から作られました。これはジャイアンツとドラゴンズと阪神を今日持ってきましたけれども、偏らないように持ってまいりました。こういった、(発言する者あり)ダイエーはちょっと持ってきませんでしたけれども、こういったはしもあるということも御紹介させていただきたいと思います。  本日、CO2の質問をさせていただきました。政府与党の皆さんにも、道路特定財源五十九兆円、暫定税率十年間延長に固執せず、是非とも頭にO2、酸素を吹き込んでいただいて、お願いしまして、私の質問を終わります。
  104. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 以上で相原久美子君の質疑を終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  105. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 次に、大門実紀史君の質疑を行います。大門実紀史君。
  106. 大門実紀史

    大門実紀史君 日本共産党大門実紀史でございます。  介護保険サービスを支えていただいている職員、ヘルパーさんの処遇問題を取り上げます。  お手元に資料を配付しておりますけれども、時間の関係で細かくは触れません。とにかく賃金が低過ぎると、その主な原因は介護報酬の引下げ、それが事業所経営を圧迫して、人件費にしわ寄せをされて人が集まらないと、この四月一日からもう人が集まらないという状況で、このままでは介護保険サービスを支える体制が崩壊の事態になるんじゃないかということが言われております。  緊急に改善措置をとる必要があるということで、我が党も緊急提言を出しました。そして、民主党さんも法案を提出をいたしました。野党は急いで改善措置を図るべきだという立場ですが、厚労省はいかがお考えですか。
  107. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 今、委員指摘のように、介護労働者の人材確保は大変重要な問題だし、いろんな問題があることは私も承知しております。  昨年八月の二十八日でしたか、介護福祉分野における人材確保の基本方針、これを取りまとめまして、関係団体、地方公共団体などと連携の下に必要な措置を講じるということで総合的な取組を行っております。また、社会保障審議会の介護給付分科会で公益委員から成るワーキングチームを設置して、ここでもこの問題への対応を考えています。  さらに、二十年度の予算案においても人材確保推進のための予算を確保して、積極的に介護サービスの人材確保に努めてまいりたいと思います。
  108. 大門実紀史

    大門実紀史君 今御紹介ありました新しい基本指針というのはすっきりしていまして、第一課題に労働環境の改善が必要ということで一定評価をさせていただいているところですけれども、しかし、その後に出されたワーキングチームというのの報告は変節してきているんじゃないかという現場から心配の声が上がっております。  資料の三枚目に、その報告のポイントという資料を付けました。この真ん中の介護労働の実態についていろいろ書いていますけれども、この報告に基づいて、実際に現場説明会などで厚労省役人が、介護労働者の賃金は必ずしも低くない、原因もいろいろだ、人それぞれだというふうな説明をしております。これは基本指針の前提を否定するような話でございまして、現場ではかなり懸念の声が出ていますけれども、例えばこの報告、介護労働者の実態の一番に、性別は女性の割合が高いと書いてありますが、これは何を言いたいんでしょうか。
  109. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) これは、現実に働いていらっしゃる方の労働者の割合で女性が高いということで、こういうふうに御指摘をしていただいているところでございます。
  110. 大門実紀史

    大門実紀史君 現場では女性が多いから賃金が低いのも仕方がないというふうなニュアンスで説明している人もおります。  資料の一枚目に付けたように、男性も低いんですね。一般的な男女格差の問題じゃないんです。男女共に低過ぎると。なのに、わざわざ女性が多いと強調するのはなぜかということで疑問が上がっております。  さらに、この中の四つ目にありますけれども、他産業と単純に比較すれば低いと。これは、単純に比較しなければ高いんですか。
  111. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) どういう形で比較をするかによっていろんな統計データがございます。それで、短時間の労働者の例えば一時間当たりの所定内の賃金というような形で比べればそれぞれかなりばらつきがあるということでございますし、時間数とか年齢とかあるいは場所とか、それぞれによって違ってくるということでございます。
  112. 大門実紀史

    大門実紀史君 ですから、そういういろんな要素を含めると、比較したらやっぱり低くなるんです、単純じゃなくても低くなるんです。  この丸ごとの三つ目と五つ目にあるのが非常に問題になっていますけれども、全産業より勤続年数が短いと書いておいて、五つ目に勤続年数に応じて一定の伸びが見られる実態もあると、こんなの当たり前なんですけれども、この二つを結び付けると、ほうっておいてもそのうち賃金が上がると、こういう説明をしている人がいるんですけれども、それ正しい理解なんですか。
  113. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) そういう具体的な説明をしているとは思っておりません。私どもとしては、講演会等で客観的なデータに基づいて今こういう実態にあるという御説明をしているというふうに承知をいたしております。
  114. 大門実紀史

    大門実紀史君 それは私自身がそういう説明を受けたんです、厚労省のレクのときに。  これも資料の一番目に付けていますけれども、勤続年数と賃金に相関関係はございません。勤続年数が短いのは、離職率が高くて辞めていく人が多いからです。厚労省はそんなことも把握されてないんですか。
  115. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 離職率が高いというデータは把握いたしております。ただ、その因果関係についてはいろんな原因があろうかと思いますので、ちょっと精査をしてみなければ分からないというふうに考えております。
  116. 大門実紀史

    大門実紀史君 舛添大臣、こういうややこしい訳の分からない報告を出すようなワーキングチーム、もうこの際、私解散したらどうかと思いますが、いかがですか。
  117. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) いろんな有識者や専門家の御意見を賜りたいと思います。先ほどの委員の御指摘にあったような問題については、定着率をいかに高めるか、そしてキャリアアップのシステムをどうするのか、そういうことの総合的な取組で人材の確保、そして離職の少ない職場を目指してまいりたいと思います。  したがって、ワーキングチームについても、いろんな御意見は賜った上で、総合的に私が判断を下したいと思います。
  118. 大門実紀史

    大門実紀史君 極め付けは四枚目の資料ですけれども、これは今年の二月二十一日に神戸の事業所説明会で配られた資料でございます。ヘルパーさんも介護職員もそんなに低くないと、まあまあだという説明をされております。これはどういう意図でされたんですか。
  119. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) この四枚目の資料でございますが、これは短時間労働者の女性の場合でございますけれども、の職種別の一時間当たりの所定内給与を一覧表にした資料でございます。  平成十八年の賃金構造基本統計調査結果報告の一部を抜粋したものでございまして、短時間労働者の女性の一時間当たりの給与ということでございますので、これは単価といいますか、一時間当たりの給与としてこういう状態になるということをお示ししたものでございます。
  120. 大門実紀史

    大門実紀史君 これは、ですから実態を反映しているんですかとお聞きしているんです。
  121. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 一時間当たりの所定内の給与としてはこのデータは事実であるということでございます。  ただ、現実に、どれだけ時間数を働くかによって現実の賃金の水準というのは変わってくるということは御指摘のとおりだと思います。
  122. 大門実紀史

    大門実紀史君 ヘルパーさんはお年寄りのところに直行直帰で行くんですよね。ですから通勤時間なんていうのはカウントされていないんです。実際の時給はせいぜい八百円が今の現実でございますし、施設の職員も夜勤十六時間勤務で二十時間拘束とか、こういうのがあるわけですから、こんな単純に時給で比較して低くはないと、こんな資料を出すべきではないと私は思います。  大臣、いずれにせよ、先ほど言われました基本指針にしっかり基づいて進めてもらいたいと思いますが、いかがですか。
  123. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 基本的なこの考え方は昨年八月の指針にあるわけであります。これに基づいて総合的な取組を行ってまいりたいと思います。
  124. 大門実紀史

    大門実紀史君 その指針の中に、介護報酬の改定と職員配置の見直しというのが書いてあります。この点はどうお考えですか。
  125. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) これは、今年度の予算におきましては人材確保の予算を組みましたけれども、来年度の介護報酬改定をどうするか、これ今検討中ですので、できるだけこの介護報酬改定で働く人たちの処遇が好転、改善できるように努力をしてまいりたいと思います。また、配置についても、同様の視点から検討してまいりたいと思います。
  126. 大門実紀史

    大門実紀史君 このままいくと〇九年度改正にいろいろなってしまうと思いますけれども、それまでに何か手を打たれないんですか。
  127. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 二十一年の四月を待たずに、先ほど申し上げましたようなガイドラインに基づいて今年度予算案についてもこの措置をとっておりますし、それから事務負担の軽減というようなこと、これで労働時間が短くなりますから、そういうことを含めて、できるところから順次取り組んでまいりたいと思います。
  128. 大門実紀史

    大門実紀史君 その指針の中で、給与の部分ですけれども、要するに、民間に努力をお願いして、国や自治体は優良事業所だけ公表するとなっていますけれども、民間任せだけで本当に賃金上げられるんでしょうか。
  129. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) これは事業所とそこに働く人たちの労働契約の問題ですから、いろいろな指導を行いますけれども、最終的にはその労働契約に帰着する。例えば、委員が念頭におありなのは、国が直接賃金の上乗せというようなことも一つの手じゃないかとお考えになっているかもしれないんですけれども、そうすると、今度はほかの職種についても同様な措置をとってくれという声が出てくる可能性もありますから、基本的には診療報酬の改定を目指すとともに、今申し上げた様々な手段で総合的に取り組みながら、事業者の方にもその旨を指導していきたいと。  ですから、ちょっと、国が直接税金を使ってということになると、様々な問題を解決しないといけないということだと思います。
  130. 大門実紀史

    大門実紀史君 介護事業というのは公的事業で、介護サービスというのは公定価格ですね、国が決めるわけですね。あとは民間任せというところに今の事態を招いたと思うわけです。  我が党は、処遇改善、保険料に跳ね返らないように税を使った特別助成でやるべきだと、それが給与に反映されるように公的関与も併せて提案すべきだと。民主党の法案も、同じように税で、そして公的関与でとなっています。  こういう野党の提案を真摯に受け止めていただきたいと思いますが、一言いかがですか。
  131. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) それは、自助、共助、公助、この組合せをどういうふうにするか、そして、昔のように何かお国がすべて措置としてやるということじゃなくて、やはり様々な議論の中で、介護保険という形で保険料を負担してやるというところに一つの自助、共助の側面があると思いますから、そのプラスの面も考慮しながら、また、今おっしゃった様々な提案についても同時に参考にさせていただきたいと思います。
  132. 大門実紀史

    大門実紀史君 終わります。
  133. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 以上で大門実紀史君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  134. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 次に、山内徳信君の質疑を行います。山内徳信君。
  135. 山内徳信

    山内徳信君 社会民主党護憲連合山内徳信でございます。  昨日、沖縄県では、二月十日に発生した米兵による女子中学生暴行事件に対し、米兵によるあらゆる事件、事故に抗議する県民大会が開催されました。大雨の中、怒りに満ちた大会で、私も参加してまいりました。大会の趣旨は、基地あるがゆえに起こる米兵の事件、事故による県民生活と人権が脅かされることに対して抗議の意思を表明し、米軍基地の整理縮小と日米地位協定の抜本的見直しを求める県民大会でありました。  そこで、基地あるがゆえに苦悩と恐怖にさらされてきた沖縄県民に対し、政府は昨日の大会をどのように受け止めていらっしゃいますか、外務大臣にお伺いいたします。
  136. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 沖縄に基地が集中して沖縄県民に多大な負担をお掛けしているということを改めて強く認識をいたしました。そして、さらに米兵の事件、事故が続いていることについて強い決意を持って再発防止に取り組んでいかなければいけないと、そういう決意を新たにしたところでございます。
  137. 山内徳信

    山内徳信君 戦後六十三年間も米軍基地を押し付けられてきた沖縄県民の意識の中に、基地は諸悪の根源であるという言葉が使われます。日米地位協定の抜本的改正は時代の要請となってまいりました。外務大臣の決意は固まりつつあると思いますが、お気持ちをお聞かせください。
  138. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 基本的に日米地位協定については、運用の改善を今までも積み重ねてきましたが、これからも積み重ねて機動的に対応していきたいと、こういうふうに考えております。
  139. 山内徳信

    山内徳信君 政府答弁は、判こを押したように、事件が起きても運用改善。もしあなたの近くの、あるいは身内の、あるいは地域の人があのような事件の被害者になったら、そういうときでも外務大臣は運用改善運用改善と。  この地位協定は一度も改定されたことがございません。もう一度、人間外務大臣の心からの気持ちをお聞かせいただきたいと思います。
  140. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 身柄の引渡しについての地位協定は、これは米軍がNATO諸国と結んでいる地位協定と全く同じでありまして、そういう中で日本の場合は運用の改善で起訴前にも身柄が引き渡されたことがあると。NATO諸国の場合にそういうことがあったというふうに聞いておりません。我が国の方がそういう面では進んでいるということであります。  今の選挙区ではありませんけれども、私の前の選挙区に岩国市が入っておりますが、岩国市でもこういう事件が起こりましたが、そういう事件を起こさせないようにどうするかということが一番大切なことであって、その身柄の問題を世界中の標準以上に運用の改善で今持ってきているわけでありますが、それ以上地位協定をということはなかなか難しいということでございます。
  141. 山内徳信

    山内徳信君 私どもも韓国の地位協定、ヨーロッパの地位協定等々も調べてございます。もう少し外務省は外国の地位協定も調べてほしいし、そしてやはり主権国家として独立国家として日本立場から主体的に判断をしていただかなければ次々と起こります。例の横須賀におけるタクシーの死傷事件も起こりました。そういうことを指摘をして、次に進めていきたいと思います。  例の少女暴行事件の被害者の少女側は、一部週刊誌の心ない報道や屈辱的な聴取等に耐えられず告訴を取り下げるという事態になりました。この事件の被害者本人及び家族等に対し政府はどのような補償や精神的ケアを考えているか、説明をしてください。外務大臣、お願いします。
  142. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 被害者への心のケア等については、被害者及び家族の心情やプライバシー保護に配慮した上で教育相談の充実に努めているものと承知しておりますが、今後、必要に応じ、関係省庁と協力して対応を図ってまいりたいと考えております。
  143. 山内徳信

    山内徳信君 加害者米兵は軍法会議にかけられるのですか、どうなるんですか、お答えください。
  144. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 米軍の中で捜査が継続中であると、そういうふうに聞いております。
  145. 山内徳信

    山内徳信君 不起訴になるケースについて防衛省は補償の対象とする事件としてカウントされますかどうか、お伺いいたします。
  146. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) まだ事実関係が明確ではございませんので、ここで断定的なお答えはいたしかねるものでございます。  それがどういうような状況になっていくか、この点につきましては、関心を持って注視をしてまいりたいと存じます。
  147. 山内徳信

    山内徳信君 事実としてあったわけであります。告訴を取り下げたというだけでございます。被害の実態は残っております。  したがいまして、基地を提供し、そして日本政府としてそのことについて補償はちゃんと果たしてほしいと、こういうことを申し上げて、前に進めていきます。  日本に基地を置いている日本政府の責任として、公務外の事件、事故であっても、人権や国民の生命、安全を守る立場から政府は被害者の補償をする責任があります。三月十九日の横須賀市でのタクシー運転手刺殺事件等、米軍人等の犯罪行為が後を絶ちません。日本政府の責任で、被害者の補償をする制度を始め日米地位協定の抜本的改正をする必要があります。責任ある政府答弁を求めます。
  148. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 地位協定については、先ほどお答えしたとおりでございます。
  149. 山内徳信

    山内徳信君 時間ですからここで終わりますが、もっと真剣に地位協定の改正を政府は考えていただきたいと思います。  以上です。終わります。
  150. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 以上で山内徳信君の質疑は終了いたしました。(拍手)  午後一時に再開いたします。休憩といたします。    午前十一時五十五分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  151. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成二十年度総予算三案を一括して議題とし、外交防衛に関する集中審議を行います。浅尾慶一郎君。
  152. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 外交防衛集中審議質問をさせていただきます。  まず初めに、ちょっと国の基本であります憲法の問題について総理に伺いたいと思いますが、憲法第九十九条は、「天皇又は摂政及び国務大臣国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。」と書いてあります。その上で、第五十九条には、「法律案は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、両議院で可決したとき法律となる。 衆議院で可決し、参議院でこれと異なつた議決をした法律案は、衆議院で出席議員の三分の二以上の多数で再び可決したときは、法律となる。」というふうになっておりますが、現在話題となっております、いわゆる暫定税率を含みます政府が提出しております租税特別措置法の改正案と、私ども民主党が提出をしております案とが、その一部が重なっておりますが、一部は重なっておりませんが、これを参議院で民主党案を可決したときには衆議院で可決した議決と異なるものと総理は判断するかどうか、総理大臣伺います。  これ、総理大臣に伺う理由は、総理大臣は憲法を擁護しなきゃいけないと。その最高責任者、内閣においては最高責任者だと思いますが、それが分からないということであれば擁護をしようがないんではないかということで総理に伺いたいと思います。
  153. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) お尋ねの件は、これは国会のことなんですよね、衆議院と参議院というその両院の関係の話ですよね。でございますから、これについて私からお答えをする立場にはないと、このように思っております。
  154. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 衆議院と参議院との両院の関係ということでありますが、国会議員でもあり、なおかつその中で選ばれた最高の、総理大臣がどう解釈するかということでありまして、決めるのは多分両院の関係あるいは衆議院の方で決めるということでしょうけれども、総理がどう考えておられるかというのが私の質問であります。
  155. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) それは憲法の解釈の問題ですか。
  156. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 総理大臣がどう考えておられるかです。
  157. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) どう考えているかと、どういう趣旨でこれを聞いているのかよく分かりません。
  158. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 いやいや、趣旨は、先ほど申し上げましたように、憲法第九十九条は、国務大臣、当然総理大臣も含みます、憲法を擁護する義務を負っていると。擁護するということは、憲法に書いてあることを守らなければいけないと。今申し上げましたように、衆議院と参議院とが異なる議決をするかというのは、何が異なる議決かということについて、異なっているんだというふうになればそれはそういうふうに解釈すればいいわけですし、異なっていないということであればそれを守らなければいけないということですので、総理大臣としてどのように考えておられるかという趣旨で質問をさせていただいております。
  159. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) それは、これ私から答えるべきものかどうかということなんですけれども、政府立場で答えるべきかどうかですね。それは国会のことでございますから、ですから私から答える立場にはないということを先ほど申し上げたんです。
  160. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 そうすると、憲法九十九条との関係で、国務大臣、もちろん当然総理大臣も含みますが、擁護する義務を負っているわけです。これは否定しようのない事実だと思います。その上で、何が擁護したかしていないかというのは個々の解釈になりますが、国会が決めたら自動的に憲法を擁護したというふうに解釈をされるんでしょうか。そのことも含めてお答えいただきたいと思います。
  161. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 憲法では院の構成とかそういうものは決めていますよ。しかし、その国会の中の運営については、別途国会法というものもあるわけですよね。ですから、私は、そこまで国会法の中で解釈すべきものかどうか、私も分かりませんけれども、少なくとも私の立場で今お答えする問題ではないんではないかと、こういうことを申し上げているんです。
  162. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 擁護する義務は負っているけれども、何をもって擁護するかどうか今の段階では決まらないというふうにお答えを受け止めさせていただきました。  その上で、これは内閣法制局に聞いても同じ答えになると思いますが、まず、参議院の法制局長官、これはどういうふうに解釈されておりますか。
  163. 大島稔彦

    法制局長(大島稔彦君) 憲法五十九条二項の再議決の問題かと思いますけれども、これにつきましては、衆議院における議案の取扱いの問題でございますので、私どもとしては答弁する立場にございませんので、御了解お願いいたします。
  164. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 同じ院の法制局長官に余り厳しい質問をするつもりはないんですが、法制局というのは議員立法をサポートする立場だと思います。そうすると、ある議員立法をしたときに、これが衆議院で出ておる法案と異なるかもしれませんよという質問が出たと、あるいはそれは異なるかどうかと解釈を聞かれたときにはどういうふうに答えられますか。
  165. 大島稔彦

    法制局長(大島稔彦君) 議院法制局は、先生おっしゃいましたように、議員の法制に関する立案に資するために置かれておりますので、憲法五十九条二項で異なった議決というのにつきましていろいろ、幾つかの説、学説なり考え方があるということは承知しておりますけれども、そのうちのどれを取るべきなのか、どう判断すべきなのか、そこをお示しする立場にはないということでございます。
  166. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 衆議院法制局長官にもお越しいただいております。法制局長官におかれましては、仮に、今の一連の流れの中で、参議院に提出されました議員立法が可決された場合に、五十九条二項の異なる議決の要件が満たされるというふうに衆議院の法制局として解釈されるかどうか、伺いたいと思います。
  167. 郡山芳一

    衆議院法制局長(郡山芳一君) お答えいたします。  先生御承知のように、私ども衆議院の法制局は議員立法のお手伝いをするというのが中心業務でございまして、当然、議員立法の過程において先生方に直接、いや、ここは先生、こういうお考えもありますし、こういう考えもありますという、申し述べることは当然あります。また、衆議院議員提出の法律案につきましてお手伝いしている関係上、先生方の御答弁委員会において法制面で補佐させていただくということも当然ございます。  しかしながら、先生方の中にいろんな御議論があるときに、憲法上も含めてですね、私ども衆議院の法制局が、こちらの考えが正しくてといいますか、こちらは場合によってはそうではないというようなことを私どもが判断をさせていただいて、判定をさせていただくということは決していたしませんし、またそのような権限も議院法制局には与えられておりませんので、この場においてはお答えはしづらいということを御理解をいただきたいと思います。
  168. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 最後に、法制局長官それぞれお時間があるということでありますんで、最後に衆議院法制局長官に質問させていただきたいと思いますが、そうなりますと、その時々の院の多数派の解釈によって憲法解釈が異なることもあり得るというふうに今の御答弁承りましたが、そういう理解でよろしいですか。多数派が異なった場合には異なる議決にならない場合もあるし、多数派が違う場合には異なる議決になるんだということだと思いますが、そういう理解でよろしいですか。
  169. 郡山芳一

    衆議院法制局長(郡山芳一君) お答えいたします。  繰り返しになって恐縮でございますが、今の御質問に対する関係でも同じでございまして、私どもがそういったことを判断をさせていただく、そういう立場にないということを御理解をいただきたいと思います。
  170. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 判断する人がいない中で憲法解釈が行われるという。まあ、判断するのは最終的には衆議院の多数派だということだと思います。そのことの是非については、多数派が異なれば解釈が異なってくるというふうに理解をさせていただきます。  次の質問に移らさせていただきます。  まず、横須賀のタクシー運転手殺害事件について質疑をさせていただきたいと思いますが、警察庁はこの米兵について顔写真や指紋などの提供を受けておられますか。
  171. 泉信也

    国務大臣(泉信也君) 一般論として申し上げますと、日米地位協定十七条では、捜査に必要な証拠の収集や提出について、日米相互に援助する旨の規定がございまして、警察が米軍側に対し顔写真や指紋等の資料の提供を要請することはできることになっております。  ただ、先ほど御指摘がございました具体的な案件につきましては、まだ捜査の過程でございますので答弁は差し控えさせていただきます。
  172. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 そうすると、次の質問。  米軍に確保されているこの米兵に対する事情聴取の要請というのをいつから行うかということについても、具体的にはお答えいただけないということですか。
  173. 泉信也

    国務大臣(泉信也君) まだお尋ねの件についてはお答えする事態に至っておりません。
  174. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 この米兵は、実は脱走兵というふうになっておりますが、脱走兵というものが非常に定義があいまいなようでありまして、実は日本には脱走兵と行方不明の米兵と二種類存在しているということだそうであります。  先ほど警察庁からいただいた資料によりますと、脱走兵は日本政府に対して通報があって、脱走兵がいた場合には日本政府にその逮捕の要請が来るということでありますが、平成二十年の段階でこの米兵も含めて四人の脱走兵がいるそうですが、まだ三名しか身柄が確保されていないという理解でよろしいですか。
  175. 泉信也

    国務大臣(泉信也君) 二十年の、米軍から都道府県警察に逮捕要請がなされておりますのは、その中で警察庁に報告がありました脱走米兵というのは四名でございまして、そのうち二名は警察が逮捕しております。あとの二名はまだ逮捕されていない、そういう状況でございます。
  176. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 確認いたします。  そうすると、今回の米兵は脱走兵ではなくて行方不明の兵士ということですか。
  177. 泉信也

    国務大臣(泉信也君) 今回の米兵は脱走兵だというように理解をいたしております。
  178. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 そうすると、今回の米兵も含めて二名が逮捕、確保されて、二名が国内で行方不明になっているということでよろしいですか。
  179. 米田壯

    政府参考人(米田壯君) 今回の問題になっております米兵につきましては逮捕要請が来ておりません。したがって、そこに言う二名には入っておりません。
  180. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 このことをるる質問している理由も後々明らかにしてまいりますが、まず、米軍からの脱走兵に関する通報制度があるというふうに聞いておりますが、その通報制度を受ける根拠法令と現在までの実績について、事務方で結構ですからお答えいただけますか。
  181. 米田壯

    政府参考人(米田壯君) これは地位協定に基づきまして、いわゆる刑事特別法が定められております。脱走につきましては、これは我が国の犯罪ではございませんので、あくまで地位協定に基づく刑事特別法によって逮捕がなされるということでございます。したがいまして、その書面によって米軍当局から関係都道府県警察に要請がなされた場合に、そのような権限を日本の警察としても発動ができるというものでございます。
  182. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 米軍の統一軍法典、これは日本語に仮訳したものを読みますと、第八十五条に脱走罪というのが規定されておりまして、その脱走罪の構成要件というか、何をもって脱走罪となるかということでありますが、読み上げますと、権限なく所属する部隊、組織又は任地から、ここから先が問題で、永久にその離脱する意図を持って離脱した者が脱走罪になると。一方で、第八十六条に無許可欠勤というものを定められておりまして、いかなる軍の構成員も際限なく次に該当するときは軍法会議の命ずるところに従い処罰されると。所定の時間に命じられた所属部隊、組織又は任地を不在にし又は不在にし続けること。  したがって、永久にその離脱する意図を持ってというところを米軍側が判断するわけでありまして、永久かどうかが判断されない無許可欠勤、今回の脱走、今回の米兵も先ほどの御答弁でそういう通報がないということですから、該当するのは無許可欠勤ということだと思いますが、国内にこの無許可欠勤でいる米兵というのがどれぐらいいるか、把握はされておりますか。
  183. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) いわゆる行方不明の米兵については、政府としてそのすべてについて把握しているわけではありません。その総数は承知をしておりません。
  184. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 実は、日米地位協定によりますと、米兵は日本に入るときに入管の手続も必要でありませんし、外国人登録も要らないことになっています。したがって、無許可で基地からいなくなってしまった瞬間に、分からないと。脱走という形で通報されれば分かるわけですけれども、今回のように無許可の人がいてもそれは分からないと。それが犯罪に即つながらないんであればいいんですが、今回のように犯罪につながった可能性が非常に強い場合には、やはり何らかの形で、無許可であっても、いない人がどれぐらいいるのかというのを把握しておいた方がいいんではないかと。  脱走という形で永久に離脱する意図を持ってというだけでも本年度で二名、日本国内でどこにいるか分からない米兵がいるということであります。無許可欠勤の人がどれぐらいいるかというのを把握した方がいいんではないかと思いますが、そういう面での地位協定の見直しにつながるのか、あるいはそこの部分についての少なくとも情報提供などを求めた方がいいんではないかと思いますが、その点について政府としてどのように考えておられますか。
  185. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 米軍人について行方不明となった場合には、これまで案件に応じて米側から我が国捜査機関に連絡があったということは承知をしておりますが、米軍人が行方不明になった場合の情報共有の在り方については、委員の御意見も踏まえて米側及び関係省庁で検討したいと考えます。
  186. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 併せて御要請を申し上げたいと思いますが、いわゆる無許可欠勤の米兵が、今回仮にその人間が犯人であったとした場合に、その人間も含めてどれぐらい過去にそうした米兵が犯罪を起こしているかの統計を取っておられるかどうか。取っておられないとすれば、それは早急に取って、そのことも含めて米国に対して申入れをすべきだと思いますが、まず統計を取っていなければ取っていただくように申し上げたいと思いますが、その点について、どなたでも結構ですが、お答えいただけますか。
  187. 米田壯

    政府参考人(米田壯君) 脱走米兵によります犯罪につきましては、統計は取っておりません。
  188. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 統計取っていないということですが、これは政府全体の話ですので総理に伺いたいと思いますが、脱走にかかわらず様々残念な事件も含めて起きておりますので、そうしたことについて日本政府としても把握すべきだと思いますが、福田総理はいかが考えられますか。
  189. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) いろいろな情報の共有といったようなことも必要なんだろうと思いますけれども、そういうことについて問題意識を持って米側及び関係省庁で検討をさせていきたいと思います。
  190. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 少なくとも、米側と折衝の前に、日本として持てる情報は整理をしておいた方がいいと思いますが、その点の意識、認識はどのように考えておられますでしょうか。
  191. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 必ずしも質問の趣旨がよくはっきり分からなかったんですが、先ほどお答えしたように、関係省庁連絡を取り合いながらアメリカとどこまで、米軍との関係でどこまで情報を共有できるか、そういうことをこれから詰めていきたいと、こういうふうに考えているわけでございます。
  192. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 なかなか議論がかみ合ってないようですけど、私の質問の趣旨だけ申し上げさせていただいて、御答弁結構ですから、申し上げさせていただいて次の質問に移りたいと思いますが、日米地位協定によれば、米軍の軍人は日本に入るときに特に日本の当局の把握することなくそれぞれの人間日本の国内に入れると、これは様々な理由があってそういう形になっております。そのこと自体について議論はいろいろあると思います。しかしながら、同時に行方不明になっている者がどれぐらいいるかも分からない。その中で行方不明になっていた人間が、今回横須賀で起きたタクシーの運転手さんの殺害事件を起こした可能性がかなり高いと。そうだとすれば、少なくともそれがどのような問題があるかということについて日本側として情報を持っておくというのは当たり前のことじゃないかというふうに思いますので、そのことだけ申し上げさせていただいて、次の質問に移らさせていただきたいと思いますが、外務省としては米軍人の犯したいろんな政府の、米軍人の犯した性犯罪というものの統計資料があるわけですから、その中で、そのうちのどれが脱走兵であり、どれが行方不明かというのはすぐ分かるんじゃないかというふうに思いますということも併せて申し添えさせていただきたいと思いますが、その点についてもしお答えいただけるんであれば、外務省あるいは国家公安委員長から御答弁いただきたいと思いますが。
  193. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 必ずしも外務省とは思いませんが、政府内部でいろいろ検討してみたいと思います。
  194. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 次に、イージス艦衝突事故中間報告書と危機管理体制についての質問に移らさせていただきたいと思います。  まず、この中間報告書の配付された対象と、それから配付された時間についてお答えいただきたいと思います。国会議員に対してですね。
  195. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 御指摘の文書でございますが、二十一日、文書を公表いたしました後に、与党の政調、所管委員関係議員の方々、与野党の予算委員会関係議員の方々に、時間的には十一時過ぎ、午前十一時過ぎということになりますが、同時に配付をいたしておるところでございます。与野党を問わず関係議員の方々に順次配付を開始をいたしましたが、もちろん人数の関係等々もございますので、全く皆さんが同じ時間に来たかといえば、それは若干のずれはあろうかと思います。
  196. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 私はその時間がということよりも、一番の問題は、実は与党の方には所属委員会の関係議員の方々に配られている。野党の所属委員会には配られてないんです。野党は予算委員会の所属委員のみにしか配られてないと。そこに差を設けられた理由というのはどういうところにあるんでしょうか。
  197. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 私どもとして、かくかくしかじかこういう理由を持って差を付けましたということはございません。国会に対しましてこれは御要望があればそれはお届けをするのは当然のことだと思っております。民主党さんに限らず、ほかの党の皆様方でも御要望があればそれは今までもお届けをするようにいたしてまいりました。私どもとしても、国権の最高機関である国会の構成員の方にきちんとした情報をお伝えするということは今後とも御指摘を踏まえて努力をしてまいりたいと存じます。
  198. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 いやいや、私の質問は、例えば参議院でいえば外交防衛委員会という委員会がございます。外交防衛委員会の与党議員には配られている、野党議員には配られていないと、そこに差を設けた理由はどういうところにあるんですかということです。
  199. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 特にこういう理由で差を設けたというふうに私は聞いておりませんが、いずれにいたしましても、それはよろしいことではございませんので、今後、野党の先生方、外交防衛委員会、あるいは民主党も、委員がネクストキャビネットですか、防衛大臣でいらっしゃいます、副大臣あるいは政務官というのもいらっしゃるのかもしれません。どういうような形でお届けをすればいいか。あるいは、ただ、こういうような資料をこの範囲にお配りしなさい、配りなさいという御指示をいただければそのようにいたしますが、後、どのような形で党内でその資料が回るかということもまたよくお話をさせていただきながら、いい形を、より良い形を目指してまいりたいと存じます。
  200. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 委員会に所属している議員ぐらいは差を設けずに配っていただきたいということだけは申し上げさせていただきたいと思います。  次に、この事故の後、石破大臣に対する連絡が大分遅れたということが直後から報道され、大臣自身も、それは大変遺憾だというふうにおっしゃっておられますが、当日、大臣はこの連絡を受けてからどれぐらい後に防衛省に入られましたですか。
  201. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 五時四十分に連絡を受けております。その後、七時過ぎに登庁をいたしております。時間等々につきましては、また正確な入門記録等々によりまして明らかにさせていただきますけれども、七時過ぎには登庁いたしておるというふうに承知をいたしておるところでございます。  それは、質問の先取りみたいになるかもしれませんけれども、大臣が登庁しますときは、それは警護官を同伴をし、そしてまた態勢が整って登庁するということになっております。また、いろいろな電話連絡等々で状況を把握をいたしておるところでございますので、そういうような時間になっておるということでございます。より早く登庁すべきであったという御指摘は、それはそれで謙虚に、真摯に承るべきと思います。
  202. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 五時四十分に連絡を受けられて、大臣室に入られたのは七時二十分なんです。五時四十分に連絡受けられて、大臣室に入られたのは七時二十分。大臣専用車の運行記録を見ますと、六時三十分に車庫を出ているんですね、出庫されていると。六時三十分に車庫を出ているにもかかわらず、七時二十分にしか大臣室に入らないと。これは九段と防衛省との間はそんなに遠くないと思うんですが、なぜそのように時間が掛かったんですか。
  203. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) これは、当日はどういう形で登庁したかといいますと、これはドライバーさんの私有車、私有車でないと時間がとても間に合わなかったということがございます。その六時半という時間はどういう時間かといいますと、ドライバーさんが家を出たという時間でございます。これは大臣車で登庁はいたしておりません。
  204. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 大臣車で登庁していないということですけれども、私は別に何車で登庁されても構わないと思うんです。要は、一番の問題は、大臣の専用の運転手さんでないと登庁できないということだとすると、これは問題だと思うんですね。その大臣の専用の運転手さんが仮にどこかで病気になっておられたとすると、そうしたら、そのときに何か緊急事態が起きたら大臣防衛省へ行けないということになってしまうじゃないですか。
  205. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) それはいろんなお考え方がありましょう。それは、私が自分で運転していくということもそれは当然あり得ることでございます、それは。ただし、大臣が警護官を付けずにそれは登庁していいのかという問題は当然ございます。この辺りは、それはみんな、こういう事態のときには早く登庁しなければならないということを思うのは、それは当たり前の話でございます。しかしながら、どういう態勢で登庁するのかということも併せて考えるのが私は国務大臣というものだと思っております。  同時に、九段宿舎は近いというふうにおっしゃいました。そのとおりです。そして、私はそこで、私は常に、常にといいますかね、連絡を受けたときからいかに対応するか。ただ、あの時点でやるべきことというのは、遭難者の捜索、救助に全力を挙げよということ以外に、状況がまだ十分分かっておりません。十分分かっていないで、そして現場でどのような態勢を取るかということで皆が非常にその現場現場で全力を尽くしておるときに大臣が登庁することが、それがそのまま正しかった判断かといえば、それは御議論のあるところだと思います。  衆議院委員会におきまして与党先生から、では、早く登庁できて何ができたと思うかというようなお尋ねがございました。それは、やはり同じように、遭難者の方の救出、捜索に全力を挙げるようにと指示を出すということしかそれはできなかったことでございます。  ですから、危機管理担当大臣の警護の体制もきちんとする、そして取りあえず必ず登庁できるようにするということになれば、それは防衛省の中にそういうようなスペースを設けて、防衛大臣なるものはそれは常にそこにおらねばならないというような体制を政府として考えるということになるのだろうというふうに考えております。  どういう形が一番よろしいのか。これは危機管理体制の在り方をどうするかという根本の問題にもなろうかと思っております。そういうような形でどのようにするのが一番よろしいのかということは、今後議論をしていかなければならないことだと思います。
  206. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 私、これは、警護官云々という話は、危機管理における優先順位の問題だと思うんですね。警護官が必要だというのは一般論で認識いたします。しかし、警護官がいなくて仮にタクシーで行ったときの危険性と、その現場に早めに着いておくときの利便性、公益、便益とをどちらを、比較考量したときに、大臣は、警護官が一緒にいた方がよかったと、一緒に行かないと現場、現場というか防衛省のコントロールルームにいるよりも、警護官が来てから出勤した方が、そっちの、何というんですかね、そっちの方が優先順位が高いというふうに判断されたということでよろしいですね。
  207. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) それは、連絡を受けたときに、すぐに登庁すべきかということも当然聞いております。今どういう状況であるか、その時点で入ってきた状況、今行われていること、そういうようなことを全部判断をして、自分が今すぐ登庁して何ができるかということ、それは対応すべきものであります。  では、そこに、私が大臣室にいたとしてどのようなことができるのか。それは、いろんな情報を整理し分析をして、そこで大臣に判断を仰ぐということもそれはそれで必要なことでございます。これが現場がどのような状況になっているか、そしてまた、現場で護衛艦が、事故を起こした護衛艦が捜索に当たっている状況、そして海上保安庁に連絡がなされているという状況、あるいはいろいろな僚艦が捜索をしているという状況等々ございます。それは、その場にいた方がよかったではないかという判断はそれは一つの判断としてあろうかと思います。  私自身あの場で、何かあればすぐに連絡をよこすようにと、そして自分としては登庁する準備はいつでもあるということ、そして現場からいろいろな情報が入ってくる、それを、私ども組織で動いておるわけですから、それぞれの者がそれぞれの判断をいたします。一番現状、近く、そして現状をよく知悉をした者が判断をするわけでございます。  やはり私は、一番上に立っている者が常にその場にあることがすべてベストだという考え方は常に当てはまるものだとは思っておりません。
  208. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 それでは伺いますが、大臣、そういう中で、運転の専用車ではなくて、その運転手さんの私有車で登庁されたということですよね。そんなに急いで行く必要がないということであれば、なおかつ防衛省と九段宿舎って近いわけですよ。わざわざ私有車じゃなくて専用車で行けばよかったんですが、私有車で行かれた理由というのはどこら辺にあるんですか。
  209. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) その場で、朝早くどうすれば一分でも早く来れるかということで私有車を持ってきたドライバーです。それは、それに対してですね、それで、警護官が到着する時間というのもあるわけです。そこで、役所のドアを開け車を出しというのとどちらが早いだろうかというような、そういう判断をしたものでございます。私はそのことが、私有車で来たんだったらば公用車を出しても一緒じゃないか、ただ、運転手さんが来れるような状況になったところで一番早いのは何だろうかという判断がなされて、私はそれに従ったということを申し上げております。
  210. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 私、一番の問題点を端的に指摘させていただきますと、これは夜間等の緊急時に大臣が登庁する手段を確保してないということなんですよ。特定の運転手さんの特定の車でしか大臣が行けないというのは突発事態に対応できないということだと思いますが、じゃ今、防衛省に緊急時に大臣が登庁するための手段とかマニュアルってあるんですか。
  211. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) それは、いろいろなことはそれは議論をいたしております。ですから、例えばですよ、本当に状況が車も動かないというようなときにはそれでは二輪車で行くかということもあるわけでして、それではそれをどうするかということについて最もよろしいマニュアルというものは考えていかねばならない。今、緊急時にかくかくしかじかこのようにしてというような精緻なマニュアルが整っているわけではございません。
  212. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 やはり安全保障、大臣はミサイル防衛などにも非常に関心を持っておられますが、ミサイル防衛のような事態になったときに、三宿の運転手さんの宿舎から車が来るのを待って一時間半も掛かっていたらもう間に合わないわけですから、そうした即応ドライバーをプールするような体制をつくっておくべきだと思いますが、どのように、そのマニュアルを作っておくべきだと思いますけれども、その点についてどういうふうに考えられますか。
  213. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 私はずっと前の長官のときから思っているのですが、大臣というのは結局、防衛省内に住まいを置かねばならぬのだということではないかと実は思っております。そこへおって、どこにも出ずにそこにいる。  あるいは、そうでない場合には、ただ、大臣は臨時代理というのを立てません限りは、それは大臣でなければ判断できないということがございます。そうすると、その任に当たる大臣というものがどうすればいいかというのは、実はそう簡単なお話ではないというふうに思っております、これは防衛大臣だけに限ったことではございませんけれども。そこのところは本当にまじめに、まじめにといいますか、真剣にマニュアルを考えてみなければいけない問題だというふうに思っております。  ですから、例えば浅尾委員が仮に防衛大臣だとなさいます。そうすると、自分ならばこのようにすると。選挙区には帰らずに、地方には出ずに、そして常におるのだということなのか。何が一番いい方法なのかということ、私ども議論をいたしておりますが、ネクストキャビネットの大臣としてこうすべきであると御提案をいただければ幸甚に存じます。
  214. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  215. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記を起こしてください。
  216. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 私が申し上げているのは、大臣、副大臣、政務官も含めて緊急時に登庁できるような体制のマニュアルを作ったらどうですかということなんです。それに対してお答えください。
  217. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) ですから、今も運用にかかわる者、例えば運用企画局長でありますとか、そういう者が近くに宿舎というものを割り当てております。そこまではできておるわけですね。ただし、それがどのようにして登庁するかというようなマニュアルについては更に検討の要があろうというふうに考えております。  ですから、どういう場合にすればそれがよりパーフェクトかということは、それはより良いものを目指してやってまいりたい、また御提案があれば承りたいと存じます。
  218. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 ちなみに、今、大臣、副大臣、政務官ということを申し上げましたが、今日は江渡副大臣、寺田政務官秋元務官、お越しです。事故から何時間後に防衛省に登庁したか、時間だけで結構ですからお答えください。
  219. 江渡聡徳

    ○副大臣(江渡聡徳君) お答えさせていただきます。  当日ですけれども、七時五十分に公用車で登庁いたしました。
  220. 寺田稔

    大臣政務官(寺田稔君) お答えをいたします。  六時前より連絡を受け、九時十二分に登庁し、省内で事務方から最新の状況の報告を受けたところでございます。
  221. 秋元司

    大臣政務官秋元司君) 当日、五時四十九分に連絡をいただき、登庁したのは十一時五分であります。ただ、その間、党務だけをこなしておりました。
  222. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 大臣はシビルコントロールということをおっしゃっておられて、そのシビルコントロールというのは選挙で洗礼を受けた人間がコントロールをするんだというようなことで言っておられるんだと思いますが、こういうこともありますんで、是非マニュアルを作っていただきたいということを申し上げさせていただきたいと思います。  次の質問に移らさせていただきたいと思いますが、今日は池田訓練企画室長は来ていただいておりますよね。  池田訓練企画室長に伺いますが、池田訓練企画室長は五時十分に連絡を受けてから大臣に連絡するまでに三十分ぐらい掛かっているんです。その間、横のラインに全部電話をしているんです。縦のラインには連絡をしないで横のラインに連絡をして三十分後に大臣に連絡している。これ、なぜ横のラインを重視されたんですか。
  223. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 浅尾委員に申し上げますが、池田何とかというのは来ていません。
  224. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 この池田訓練企画室長が最初に統幕から連絡を受けて、じゃ、読み上げさせていただきますと、五時十分に彼は連絡を受けておりますが、その間、五時十分から五時三十九分までの間に自分の同僚に全部連絡をしていまして、同僚ないしは横のラインですね、縦の大臣に連絡したのは三十分後になっている。だから、それで三十分ロスされ、時間が失われているんですが、なぜ縦に連絡をする体制になっていないのか、お答えいただきたいと思います。
  225. 中江公人

    政府参考人(中江公人君) お答えをいたします。  池田本人から聴き取りをいたしておりますけれども、五時十分にオペレーションルームから連絡を受けまして、池田本人は、この事故自体がオペレーションルームからは池田の方に連絡があったんですけれども、これは訓練中の事故ということではなくて性能試験をやっているときの事故ということでございましたので、所管がほかの艦船武器課であるという認識の下にまず艦船武器課の方に連絡をしたということでございます。  以後、関係各課、それから、担当はそういうことではございましたけれども、その後、池田本人は、その担当はともかく、関係各課それから防衛省幹部等々への連絡を順次行ったところでございます。
  226. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 今、大変重要な発言をされたんですね。つまり、ハワイ沖に訓練、ミサイルの迎撃訓練に行って、一緒に同行していたというふうに理解しておりますが、その訓練中の事故とそれから戻ってきたところで所管が違うからどこが所管だというやり合いをして三十分時間が費やされたということでありまして、本来であれば、その聞いた瞬間に、もっと言えば、統幕のオペレーションルームから直接大臣に行くような、これはマニュアルで決まっているんですが、それも機能していないんですが、そうした、その聞いた瞬間に対応する体制ができていないということが問題だと思いますが、大臣、どういうふうに思われますか。
  227. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 全くそのとおりです、それは。ですから、これは私自身、これは何だという話なんですが。  つまり、今官房長から答弁申し上げましたが、これが訓練であればそのセクションがやる、ところが性能試験をやっていたので担当課はどこだといえば艦船武器課になる、あるいは、そうではなくて人事上の服務上のことであれば人事教育局になるという話で、これは全然お話にも何にもならない。これは即座に改めまして、これは事態対処課で一本にしなければならないということです。当たり前のことです。しかしながら同時に、委員指摘になりましたように、海幕オペに入ったときにすぐ行っていればこういうことは当然起こらないわけでありまして、事態対処課に一本化するというお話とオペルームから直接上げるということは、これは両方同時に対策として打ったものでございます。  課が違うからというような話は、今回の言い訳にも何にもなりません。それは責任者としておわびを申し上げます。
  228. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 この事故があって、防衛会議というものを大臣は招集されていますか。
  229. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 防衛会議と銘打って、防衛会議のメンバーかくかくしかじかというものを防衛会議として招集をしたことはございません。
  230. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 このことを指摘をさせていただいているのは、事故があってすぐに実は海上自衛隊において事故調査委員会が立ち上がりました。しかし、海上自衛隊は、ある意味事故の当事者です。事故の当事者が事故調査委員会をつくるよりは、防衛会議というのは四年前に、大臣長官時代に防衛会議を招集できるという訓令を出しているんですね、ですからよく御存じだと思いますが、防衛会議とは何かというと、大臣をトップに陸海空の統幕、幕僚長、それから事務次官、防衛局長、官房長、副大臣、政務官らのトップで構成される会議であって、その趣旨は何かというと、重要事態に当たって大臣を助言、補佐し、迅速的確に対応するために開催するものと定義をされているんです。  なぜ防衛会議、今回開催されなかったんですか。
  231. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) それは、今御指摘のようなメンバーで日に何度も集まって議論をいたしておりました。それは防衛会議というふうな形で招集をしたものではございませんが、それを、今委員がおっしゃっていただいたような趣旨にのっとってこれを防衛会議として招集をするという選択肢は、それはそれでありました。今から思いますと、そういう防衛会議という名前の招集に看板立てをしておく方がよりよかったかもしれませんが、実態として、そのメンバーによります会議というものは随時、何度も一日行われておったものでございます。
  232. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 御自身が四年前につくられた会議で、今申し上げましたように、重要事態に当たって大臣を助言、補佐し、迅速的確に対応するために開催する会議の制度をつくられたわけですから、おっしゃったように、それをつくっておかれたらよかったんじゃないかなと思います。  私がいろいろとこういったことを申し上げておりますのは、実は中間報告を出していただきました。出していただきましたが、事故が起きた後の防衛省の対応については一切この中には書かれていないんですね。つまり、事故が起きるまでのことは書いてあるんですが、起きた後、いろんな問題があったということはもう明らかになっているんです。  中間報告に一切このことを書いていない理由はどの辺にあるんですか。
  233. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 今回の中間報告は、まさしく委員が御指摘になった艦船事故調査委員会の調査に基づきまして、御指摘のようなことについて、当省としてなぜこんなことが起こったのかということに焦点を絞って御報告をしたものでございます。  何についての中間報告かということで、まず原因を明らかにせよと、そして当省で知り得る限りのものを申し上げて、そして再発防止に全力を尽くすという観点、これが一番急ぐというふうに私は判断をいたしております。そのことをとにかく急ぐということで、それはもう昼夜兼行でこの作業、何日も徹夜をしていたしました。  今御指摘のようなその後の体制というものについて、これもそういうようなチームを立ち上げまして検証して御報告しなければなりません。しかし、何から順番に急ぐのかということを考えたときに、当省として考える事故原因、そして当省として考える分析、これを一番に出さねばならぬというのは、この事故の対応として私は当然のことだと思います。
  234. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 そうすると、一点確認させていただきますが、最終報告の後にはまた別途処分が下るということで、別途責任を取られるということでよろしいですか。処分が下る、別途責任を取るということでよろしいですか。中間報告に伴って処分も、例えば大臣も給与、大臣給与の分三十万円ほど返納されるということですが、別途そういうことをされるという理解でよろしいですか。
  235. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) これは今回は事情が聴けていない対象者もおります。当然、今後さらに明らかになる事象に基づいて、しかしながら、そういうことに、きちんとした状況というものが分からないままで処分というのはできません。今後、状況が明らかになるに従いまして、委員指摘のようなことは当然ございます。
  236. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 私がこの中間報告の中でこの事故について一つ、幾つも気になる点があるんですが、一番気になった点は、確認させていただきますが、イージス艦というのはレーダーの塊ですけれども、イージス艦はレーダーが、非常に機能が高いレーダーを積んでいるということで理解をしておりますけれども、そのレーダーにおいては一切漁船を把握していなかったというのが報告書に書いてあるように思いますが、そういう理解でよろしいですか。
  237. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 清徳丸というふうに映ったものが特定できるかどうかにつきましては、今後更に検討する必要があるというふうに考えております。それが、どれが清徳丸であるのかということについての認識等々は、まさしくこれから先の捜査の核心にかかわるものでございます。そういうところについて記述をしていない点は、これはこういうものの文書の性格について御説明をしておるとおりでございます。
  238. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 この中間報告書、読み上げます。  七ページに、「また、これまでの調査では、当直員が、レーダ指示機で「清徳丸」を認識していたとの情報は得られていない。」と書いてあるんです。  したがって、目では見れてるけれどもレーダーで見ていなかったとすると、これは非常に重大なことだと思います。レーダーは、漁船よりも性能の高いレーダーを当然イージス艦ですから積んでいるはずですから、それが認識していなかったというのは重要な問題だと思いますが、大臣はそういう認識を持っておられるかという質問です。
  239. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) そこが聴取できていない人がいるということ、それは書いておるとおりです。調査できていない人がいるというのは、それは現状においてなぜできないかということもそれは書いておるとおりでございます。そして、清徳丸というふうに特定して認識できたかどうかということについても、今後いろいろな方への聴取が可能になれば、それは明らかになってくることでございます。  ですから、そこに映っている、それが特定できたかどうかというのは、それは今後の調査をより進めていかなければ分からない点が含まれております。
  240. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 中間報告には全く認識していなかったというふうに言っているわけですから、そうであれば、聴取できていない人間もいるけれどもその範囲でと書くべきだと思います。  その上で、私、この中間報告の一番の問題点、今回の処分の一番の問題点は何かといえば、実はこの「あたご」と清徳丸の衝突事案と同時に、過去のイージスシステムに係る特別防衛秘密流出事案、それから護衛艦「しらね」の火災事案、まとめて報告をしています。まとめて報告しているだけじゃなくて、まとめて処分しているんですね。  これ組織の中で、この問題についてこういう処分をするというのが通例であって、三件まとめて処分したら、処分受ける方も、あるいは世間も非常に、何というかな、その個々のことについて混同すると思いますし、組織運営上これまとめて処分するというのは非常に問題だと思いますが、なぜこのタイミングで中間報告を出して、そして中間報告だからまだ追加もあるんだと言いつつ、処分を出したんですか。
  241. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) イージスの情報漏えい事案にしても「しらね」の火災事案にしても、それは徹底的に調査を進めて事実が判明をし、お答えをしたものでございます。イージスと「しらね」につきましてはそこまで状況が行っております。まだ中間段階であるというのは、これは「あたご」のものでございます。  それでは、「あたご」だけ後ろに下げるかというような考え方もそれはあるのかもしれません。しかしながら、今回の処分において、例えば現場の艦長でありますとかそのほかの幹部の乗組員たちに対しては処分は行っておりませんが、この時点に至るまでそれは、これは処分をしなければならない、それは「しらね」あるいはイージスと共通の部分もそれはございます。それは、だれをどのように処分をしたかという樹形図みたいなものを御覧いただければ、それは委員理解をいただけるところだと思います。  そして、「あたご」につきましては、可能な限り早く、分かっておる段階での分析、評価というものをして早く明らかにせよということは当委員会においても何度も御指摘を受けたことでございます。私は、この三つを同時にしたことが混乱を生ずるとか疑惑を生ぜしめるとか、私はそういう評価には当たらないものだと考えます。
  242. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 一般的に考えると、何か不祥事が会社であった場合に、三つの不祥事があって同時に処分するというのはおかしいんですよ。三つあったら一つ一つ、こういう理由でこれは問題だった、それはそれで発表する、その次のことについてはこういう理由でこれが問題で、これはこういう理由でこの人を処分しますというふうになるでしょうし、そして三番目は別にやると。三つ一遍に出してくるというのは、やはりその一つ一つを薄めようという魂胆があったとしか思えないですよ。別々に出せるわけですよ。「あたご」ができた段階で出せばいい。じゃ、なぜイージスと「しらね」が同時の、逆に同じ日になること自体が不思議だと思いますが、報告書を出すこと自体が同じ日になるのが不思議だと思いますが、不思議だとは思われないですか。
  243. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) これは、だれをいかなる理由によって処分をするのかということはすべて細かく明らかにしておるところでございます。いかなることによってだれを処分するか、例えば「あたご」の衝突事案関係者五名、イージスシステムの場合には五十七名、「しらね」の場合には十八名。そういうような、権限が何だか分からない、責任が何だか分からない、委員のお言葉を借りれば、まとめて処分をしてそれぞれのあれが分からないというような、そんなことはいたしておりません。  だとすれば、どれがまとめてやったのか、どれがそういうようなまとめてやったので不分明になるということなのか。私どもはその点はきちんと見ながらやっておる。そのことは、いかなる責任があるか、いかなる権限があるか、それに基づいてだれがいかなる処分を受けるべきか、それは厳正に当省の中でそういうような議論をする場を設けてやっておるものでございます。
  244. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 いや、ですから、報告書の中身は別々なんですよ。中身は別々なものをホッチキスで留めて同じ日に発表するのがおかしいということを申し上げているのであって、それは少なくとも別々に報告をするべきだというふうに思います。同じ日になること自体が私は不自然だというふうに思います。その報告書が取りまとめられる日が同じ日になるのは不自然だということだけ申し上げさせていただいて、次の質問に移りたいと思いますが。  ちなみに、過去、「なだしお」という潜水艦が事故を起こしたときに、ちょうど一か月後に、瓦その当時の防衛長官長官辞任されています。辞任されているときの言葉がこういう答えであったといいます。自衛隊は国民の生命を守るために存在する組織である、その自衛隊が無辜の国民の命を奪ってしまった、これはいかなることがあろうと絶対にあってはならないことだ、いろんなことを言ってくれる人がいて感謝している、しかし自衛隊という組織は国民の信頼があって初めて存在できる組織だ、だから自衛隊の組織が今後も存立していくためにはどうしても組織のトップが辞めなくてはならないんだ、分かってほしいと。ちょうど一か月後に、瓦当時の防衛長官辞任されています。  これは確認が取れていませんが、情報によりますと、瓦長官はその後、今も含めて、もう何十年もたっていますが、いわゆる底物と言われる貝類とかエビとか、そういうものは食べないんだというふうに言っておられるそうです。それはいろんな意味があって食べておられないそうです。食べない理由というのは、自衛隊が起こした事故に対して自分なりにそれを今でも思っているというふうに聞いています。  後段の部分は別として、瓦長官は、国民の命を守るために存在する組織の自衛隊が起こした責任を取って辞められたということでありますが、そのことを聞かれて石破大臣はどのように思われますか。
  245. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 瓦先生は私が尊敬する大先輩であります。いろいろな防衛についての考え方もお教えをいただいております。瓦先生のそのようなお考えというものに私自身、敬意を表するものであります。
  246. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 総理は今の議論を聞いて、瓦元長官のそういう発言あるいは考え方辞任されたという事実についてはどのように考えられますか。
  247. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) そのときの状況など全般見て政治的な決断をしたと、判断をされたというように思います。私も今正確にそのときの状況を把握しておるわけじゃありませんので、やっぱりそれはその時々ということもあろうかと思います。  今は私は、石破大臣は、いろいろな事件も防衛省内であった、自衛隊の中にもあったということ、このことを踏まえていかにしてこの体制を立て直すべきかということを考えてくれているわけでありますので、そのことをしっかりとやっていただきたいと、こう思っておるところでございます。
  248. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 次の質問に移りますが、石破大臣の三月八日付けの関係指揮官等会議の訓示が手元にございまして、これを読み上げさせていただきますと、私はここで言っておられること自体に反対ということではありません。  サイレントネイビーと言いますが、私は物を言わないことが正しいと思わないと、海軍が物を言わなかったことによってこの国は歴史を誤ったことがあるのではないかという気も私自身しないではありませんと。ちょっと間、略しまして、これをこうすべきである、これをああすべきであるということを政治に対して制服の方々がおっしゃっていただくことは、それは制服自衛官の権利であると同時に、私は文民統制を果たす上においてそれは自衛官の義務であると、このように考えておりますという訓示をされております。  ここでおっしゃっておられる、政治に対して制服の方々がおっしゃっていただくというためには、制服組の方に国会に出席をしていただいて、今日の答弁もなかなか現場の方の声を聞かないと分からないこともあると思うんです。そのことも含めて大臣はどのように考えておられるか、ここで訓示言っておられることはそういうことを、国会に出てこられることも含めて、そういうふうに考えておられるかどうか含めてお答えいただきたいと思います。
  249. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 自衛官が国会に出るべきかどうかは国会の御判断でございます。私が行政府人間としてそのことについて物を申し上げる立場にはございません。国会の御判断というものがどのように下されるかということでございます。  ただ、大事なのは、私は政治というのは、立法府という考え方と、そして文民統制の文民として選挙によって選ばれる者が防衛をお預かりする、こういう幾つかの面がございます、文民統制はほかにもいろんな意味がございますが。その文民統制の主体者たる大臣に対して制服組が意見を言えるという仕組みがどれほど制度的に整っているか。これは、委員もよく防衛省設置法、自衛隊法をお読みいただいていると思いますが、その規定がどうなっているかという問題、そこも私は議論の必要があるのだろうと思っております。  そこで私が訓示として申し上げているのは、文民統制の行政府における主体者たる大臣に対して本当に制服自衛官の意見がどこまできちんと反映をされているか、その点に着目をして申し上げたものでございます。
  250. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 国会が決めることということは、最終的にはもちろん国会が決めることですけれども、大臣がどういうふうに考えておられるかということを私は伺ったわけでありまして、多分お答えになられないと思いますが。  私は、制服の方にも国会に来ていただいて、当然必要に応じて議論に参加していただきたいと思いますし、その上で、新聞やテレビの記者会見には各幕僚長応じておられるわけですから、国会に来られないのはおかしいんじゃないかということも申し上げさせていただきたいと思います。  次に、いわゆる思いやり予算について伺っていきたいと思いますが、具体的な事例で伺った方がいいと思いますので、光熱水費、これは日本側が負担することになっています。相模原の家族住宅の一戸当たりの電気料金を計算してみてびっくりしました。年間三十一万円です。年間三十一万円の電気料金を日本の税金で払っております。ちなみに、電力会社等々に我が国の平均の家庭でどれぐらい電力、年間で使うかということを聞きました。大体七万円ぐらいなんですね、平均家庭は。そうすると、米軍の家族住宅で消費されている電気料金は日本の家庭の四倍以上ということになります。  そういうことを全く査定もせずに、総額だからしようがないんだということでいいと思っておられるかどうかについて、これは御担当の大臣はどなたになる、外務大臣になるのか財務大臣になるだろうかと思いますが、まず御意見を伺いたいと思います。
  251. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 思いやり予算であろうと何であろうと節約努力ということはしていただかなければいけないと、新たな特別協定において節約努力を規定することになったわけでありますが、相模原地区で平均三十万円というのはどういうところから計算されたのか、ちょっと教えていただければ幸いであります。私はちょっと分かりません。
  252. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 教えていただければということですが、これは防衛省の提出されていただいている資料でありますが、平成十七年度になりますが、電気料金が一億四千五百万円ということでありまして、これを単純に戸数で割った数字でそういうことになります。
  253. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 提供施設整備により建設した家族住宅が百四十戸あるんですが、それと別に、終戦直後に建設したものなど固有財産として管理していた家族住宅が三百十五戸、そして提供施設整備として建設した学校が一棟あります。それから育児所が一棟あります。青少年センターが一棟あります。消防署が一棟あります。それから米側が独自に建設した家族住宅が存在します。そういうものを全部ひっくるめた上で一戸当たり三十万と言っておられるのでしょうか、ちょっと教えていただきたいと思います。
  254. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 今おっしゃったように、一億四千五百万に対して四百五十五戸ということが政府側からいただいた数字でありますから、それに基づいて質問をさせていただいているわけでありまして、相模原でなくても、例えば池子とか針尾住宅地区でも大体二十五万円掛かっているんですね、一戸当たり。それ全部がその住宅が埋まっているかどうかも分からない中で大体二十五万とか三十万とか掛かっていると。  私が申し上げたい趣旨は、日本の一般家庭に比べて使い過ぎかどうか、その内容を調査しなくていいんですかという趣旨です。
  255. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 節約努力をお願いしているところでありまして、そういう中で、外務省自体が調査するということではないと思いますが、どういうところでどういうふうに米側にその節約努力、具体的に働きかけていくかということは、政府内部でも検討してみたいと思います。
  256. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 外務省が調査しない。まあ、どこかはやはり調査するべきだと思うんですね、これ、一般的に光熱水費、電気料金使い過ぎだということもよく言われていますから。実際に数字で見てみても高いんで、米軍の居住面積が広いから電気料金が高いのか、いろんな理由があると思うんですが、いずれにしても調査する必要性はあるんじゃないかなというふうに思います。  それからもう一点、逗子の池子に今度また住宅を造ることになっておりますが、この建設費用が一戸当たり約七千八百万、土地代ただです、土地代ただで七千八百万掛かると。これ、どうしてこういう値段になるんですかね。
  257. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 池子の住宅地区及び海軍補助施設におきます家族住宅の整備につきましては、神奈川県における米海軍家族住宅の不足の深刻化にかんがみ、昭和五十六年から平成八年にかけて八百五十四戸行ったものでございます。  要した予算額は六百六十四億ということになっておりますが、この六百六十四億につきましては、この整備に先立ちまして、工事に着手する前に文化財の有無について確認調査を実施する必要がございましたので、埋蔵文化財の発掘調査に約五十一億円要しております。そのほか、これは現場を御覧になればお分かりになるのですが、山を大規模に崩して宅地を造成しなければならなかった、あるいは既にできております構造物などを撤去しなければならなかった、その敷地造成工事に百三十五億、これを要しておるわけでございまして、これらを除きますと、当初申し上げました六百六十四億から四百七十八億ということになるものでございます。  この住宅は平たん地に造られますその他の米軍住宅とは異なりまして、基礎の補強を特に要しておりますので、四百七十八億円にはこれに係る予算というものも含まれております。そうしますと、この米軍住宅というものがそもそもどうだというような御指摘であればまた話は別になりますが、この池子に建てましたものがほかの米軍住宅に比べて特に高いというような評価にはならないものでございます。
  258. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 非常に高いものだということだけ申し上げさせていただきたいと思います。  残り一分なので、申し上げさせていただいて、答えられれば、国土交通大臣いらっしゃるんで、一言だけ申し上げさせていただきますと、道路特会でマッサージチェアとかいろいろ買っておりますが、その他の特会、空港特会その他でもいろいろ買っておられます。  道路特会はレク費を廃止されましたが、その他の特会でもレク費を廃止されたらどうかということと、併せて、一般会計でもそういったものを買っておられるということでありますので、この際すべて見直しをするかどうか国土交通大臣に伺って、私の質問を終えたいと思います。
  259. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) レクリエーション経費の使途につきましては、国民から誤解や批判を招かないよう必要最小限に限ることとし、今後、レクリエーション用具の購入はしないようにしようと思います。しません。
  260. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 関連質疑を許します。犬塚直史君。
  261. 犬塚直史

    犬塚直史君 政府参考人の皆さん、ちょっとだけ待ってください。  今、質問通告はしておりませんが、浅尾議員の質疑を聞いておりまして一つだけ大変不思議に思ったことがありますので、お帰りになる前にこの点だけお答えいただきたいと思うんですけれども。  脱走兵は地位協定の対象となるのでしょうか。どなたでも結構なんですが、お答えください。
  262. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 脱走兵といえども、地位協定に基づいて日本国に入ってきて、それからいなくなっているわけで、米軍の規定で脱走兵になったから当然地位協定から外れるということはないと、こういうふうに思っております。
  263. 犬塚直史

    犬塚直史君 大臣、ありがとうございました。  非常に単純な疑問なんですけれども、──参考人の方はもうお帰りいただいて結構です。  当然、日本に来られる軍人軍属の方たちが、その軍務を果たすために日米地位協定の下でパスポート等々入管の管理を経ずに公務を行うことができる、これは分かります。しかし、その兵隊さんが脱走兵となった、脱走兵となったということはもう既にこうした公務からは外れている。  一般論で結構なんですけれども、こういう人たちは地位協定の対象には外れて、やはり不法入国者、その時点でですね、不法入国者としてやはりこれは捜査の対象とすべきではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  264. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 脱走兵と言いますが、日本国内の法律に脱走というのがあるわけではなくて、これはあくまで米国の軍法典の中に脱走罪というのがあって、そして、脱走したからといっても、まだ調べている段階なので、どの時点から外れるかとか、そういうことはなかなか難しい問題があるんで、アメリカ側がこれを脱走の容疑で調べ始めたからといって直ちに、まだ米軍人としての、在日米軍人としての地位はあるわけですから、それで直ちに地位協定から外れるということはないと、そういうふうに承知をしております。
  265. 犬塚直史

    犬塚直史君 ということは大臣、これは当然ながら米国の軍務の中の話ですけれども、米軍がこの特定の兵士に関しては、もう既に軍務を離れていると。脱走兵として捜査を米軍が開始した、その時点でもしその当該人物が米軍の施設外にいるときは、これは当然不法入国になると思うんですが、いかがでしょうか。
  266. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 入ったときは、まさに米軍人として日本に入ってきているわけですね。そして、そういう中で、脱走という観念が日本自体に、日本の中自体に、法の中にあるわけではないわけですが、離れたとしても米軍の規律の中にある、規律の中にあるから軍法会議で裁かれると、そういうことだと思います。
  267. 犬塚直史

    犬塚直史君 これはまた後で、これはもうこれでおしまいにしますが、規律の外にいるから脱走兵として捜査が始まるというふうに私は理解しております。  それでは、本題の質問通告をした部分に入らせていただきます。配付資料を御覧になってください。  まず、十九日四時七分。衝突からヘリの救難体制を横軸に置きましてこのクロノロジーを作ってみました。四時七分に衝突があった。そして、五時四十分に大臣報告があった。この間の経緯についてはもう何度となくお話があったわけですけれども、まず、防衛大臣伺います。  この「緊急事態等が発生した際の速報について」ということで通達を出しておられます。「重複をいとわず、直ちに防衛大臣及び防衛大臣に対して、直接に速報を行う。」という通達を出しておられますが、これで十分だとお感じになっておりますか。
  268. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 重複を恐れず、ちゅうちょすることなく、類型化をきちんと行いまして、こういう場合にはとにかく報告するということを徹底をいたします。そうしますと、オペルームに入った時点で重要なものは大臣に入るということになります。  私は、むしろ短縮すべきは、現場からオペルームに入るまでの時間、ここがどれだけ短縮できるかということを併せて考えたいと思っております。
  269. 犬塚直史

    犬塚直史君 衝突から海幕のオペルームに四時四十分。そして、統合幕僚監部のオペルームに四時四十八分ですね。それと同時に、先ほど来話がありました、政治任用の副大臣は七時五十分。そして政務官は二人、九時十二分と十一時〇五分。そして大臣に対して、この下の九時十分の赤いところなんですけれども、例の航海長に事情聴取をするために、「あたご」から市ケ谷に向けてヘリが飛び立っております。このことについて、大臣にさえも報告、相談がなかった。  ということは、大臣、どうなんでしょうか。どんなに早く連絡をしたところで、政治運用の人たちの意思決定には全く重きを置いていないというような防衛省の体質なんじゃないですか。
  270. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 航海長をヘリで呼びますということは、私は、私に呼ぶということを決めた時点で即刻連絡があらねばならなかったものだと思っております。  それは、呼ぶことは私はむしろすべきことだと思います。しかし、委員指摘のように、文民統制の観点からいえば、現場で何が起こっておるかということを把握をしなければならない。それは大臣報告すべきものでございました。今後、そういうことがあってはなりませんが、仮に、百万が一そういうことがあれば、それは大臣報告をする、そのことは徹底しなければいけないと思います。
  271. 犬塚直史

    犬塚直史君 そういう大臣のお気持ちは当然だと思うんですね。ヘリがそういう形で九時四十五分に市ケ谷に到着をした。このヘリがいるということについては、大臣に連絡があったのは十二時少し前なんですね。    〔委員長退席、理事林芳正君着席〕  これは、参議院の外交防衛委員会で大臣自らこうおっしゃっています。  私は、航海長を呼んでいるということの報告を受けたのは十二時少し前でございました。予算委員会が終わるか終わらないかの時間にメモが入ったような記憶がございます。そのときに、私自身、それは事前に教えてもらいたかったという思いを持ったのは事実でございます。  こういうふうにおっしゃっているんですね。私は、大臣、これは私は大問題だと思うんですよ。シビリアンコントロール以前の話で、自らの防衛省というこの組織をどれぐらい掌握しているかという話だと思うんですね。  既にヘリが飛んでいて、もう既にこの航海長は九時四十五分には市ケ谷に到着していると、まだ大臣は知らない。事情聴取は海幕で終わっている、まだ大臣は知らない。十二時になってようやく大臣にこのような報告をしてくるというのは、何を決めたところで、これを、大臣を意思決定の中に入れようという体質が全くないんじゃないですか。どうでしょうか、この辺は。
  272. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 起こったことからすれば、委員の御指摘は、それは甘受せねばならないものだと思います。つまり、呼ぶという意思、私は呼ばねばならないと思います、自衛隊として何が起こっているかということは把握せねばならない。そのことはむしろすべきことであった。私はそのことに否定的なことを申し上げるつもりは全くありません、しない方が問題だったと思っています。しかしながら、そういうことを行うということについて、大臣に意思決定をするときに報告をする、それは私はなさねばならないことであったと思います。ですから、その点は大臣の掌握が欠けておったではないかというふうにおっしゃられれば、それは返す言葉はございません。
  273. 犬塚直史

    犬塚直史君 総理、この件について総理の御意見を伺いたいんですけれども、私は、石破大臣防衛に関して大変な知見を有しておられますし、大変やる気を持って防衛省改革というものを進めてきたと信じております。しかしながら、この防衛省の中で、海幕でオペレーションルームを立ち上げて、六時十八分には連絡室を立ち上げて、七時には事故調査委員会まで立ち上げていると。  よろしいですか、「あたご」から市ケ谷に向けてヘリを飛ばせという指令は、少なくとも七時二十五分にヘリが館山航空基地を離陸したその前には、これはだれかが決めているわけなんですよ。こんな大事なこと、一大事が起こったときに、大臣には五時四十分に報告をしていながら、それから後のいろいろなこの態勢、処理、意思決定というものを全く大臣を蚊帳の外に置いているとしか言いようがないんですが。このような形で組織を掌握している大臣と言うことはできるんでしょうか。
  274. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 特に防衛省・自衛隊に求められることは、やはり危機管理をしっかりやるということだと思います。そういう意味におきまして、今回の事故が起こったこと、これはこれで問題ですけれども、その後の処理について様々な問題があったということは御指摘の分も含めてあったわけでありまして、そういうようなことについてもう一度よく見直しをしなければいけないというように思います。  それは防衛省だけでない、政府全体もこの点については、様々な危機管理があるわけでありますから、もう一回よく点検をするように指示をしておるところでございます。
  275. 犬塚直史

    犬塚直史君 いや、総理にお伺いしたかったのは、いろいろなその点検をするというのは結構なんです、いろいろな不備があれば、例えば連絡を早くしろ、それでは中間をすっ飛ばしてすぐに大臣報告をしろ、こういうことは当然決めればそういうふうになると思うんですね。しかし、肝心なのは、決めたところで、事故調査委員会や連絡室を立ち上げたところで、そこに政治運用している大臣をかかわらせていない、あるいは副大臣、政務官がこれだけ遅く入ってきているということは、要するに相談をして一緒に何か決めていこうという体質には全くなっていない。ということは、管理者として全く機能していないということじゃないですか。  どう思われますか、総理。
  276. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 結果を見ればそういうこと、そういう部分もあるというふうに言われれば、これ否定するものはありません。しかし、このことはやはり組織としてやらなければいけないことなんですね。組織はどうあるべきかということ、この点が大変大事だと思います。特に、危機管理の場合には機械的にぱっと情報が、連絡が行く、いろんなことを考えなくても判断しなくてもできるというような体制にするというぐらいの日ごろの錬磨も必要だということはありますから、そういうことも含めて先ほど私は全体的に考え直さなきゃいけないということを申し上げておるところでございます。
  277. 犬塚直史

    犬塚直史君 私は、こういうときこそ総合力を持った大臣なりあるいは副大臣なりがどんどん意思決定をしていくということがない限りは、私は大きく間違いが今後も発生していくというふうに思うんです。  それでは、この市ケ谷で航海長が来て事情聴取をした際、この内容についてファクスで海保の方に送っているんですけれども、海保はどのような形でこれを受領しておられますか。
  278. 岩崎貞二

    政府参考人(岩崎貞二君) 二月の十九日三時五十九分でございますけれども、防衛省の運用企画局長から私どもの海上保安庁の警備救難部の管理課長あてのファクスをいただいております。「あたご」の航海長に対して防衛省として事情聴取して内容を取りまとめたと、その際の資料をいただいておるところでございます。
  279. 犬塚直史

    犬塚直史君 防衛省に伺います。  この事情聴取をした際にメモは取ったんでしょうか。
  280. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 出席者は聴取やメモは作成をしておりません。  ただ、ここに同席をしておりました担当者がノートに走り書きをしたということは事実でございます。
  281. 犬塚直史

    犬塚直史君 その場にいた担当者が走り書きをしたものとメモとはどういうふうに違うんでしょうか。
  282. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 走り書きというもの、つまり言っておることをそこで自分の頭で走り書いたという形であって、それをメモと称するかどうか、そこはメモと称するのだよというふうにおっしゃられればそういう形になるのかもしれません。  ただ、私どもは走り書きをしたものがあったということは申し上げておりますが、きちんとした形でこの者がこのようなことを言ったのであるという形で整理をして紙にしたものはないということでメモはないという答弁を今までいたしておるものでございます。(発言する者あり)
  283. 林芳正

    理事(林芳正君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  284. 林芳正

    理事(林芳正君) 速記を起こしてください。
  285. 犬塚直史

    犬塚直史君 それではこの件は委員長にお願いします。後ほどメモとそれから走り書きの違いを文書にして出していただきたいと思います。
  286. 林芳正

    理事(林芳正君) ただいまの犬塚君の件につきましては、後刻理事会にて協議することといたします。
  287. 犬塚直史

    犬塚直史君 いや、でも大臣、これは大変大事なことなんですよ。要するに、その場で正式にメモを取っていなかったということだと思うんですね。しかし、その場に参加していただれかがノートに走り書きをしていたということですね。そのノートに走り書きをしていたものを基にしてファクスを書いて海保に送っているわけですね。海保はこれを我々が情報開示してくれと言っても見せない、つまりは、これは大変大事な証拠であるということなんですね。  それほど大事な証拠がきちんとした正式なメモに取られていない、ただ単なるだれかの走り書き、ひょっとしたら聞き間違いあるかもしれない、あるいは汚い字で読み違いがあるかもしれない、それをファクスにして送ったものが証拠として使われてしまうということは、これは異常事態だというふうに大臣はお感じになりませんか。
  288. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) そのことを私、言葉をぎりぎりやるつもりもございませんが、証拠として採用ということではないと思っております。それは私どもとしてこういうことを聴きましたということをファクスでお送りをしたのであって、それは捜査機関たる海上保安庁が証拠として採用されるかどうか、そのことについて私は知見を持っておりません。なお、その前に海上幕僚監部でこの航海長から聴き取っております。  ですから、私どもがファクスを送りましたものというのは、それは、そういう聴き取ったその時点で、大臣室で聴きましたもの、そしてそこで取った走り書きみたいなものをベースにして作ったというものではなく、その前にかなりの時間掛けまして海上自衛隊の、それこそ専門的な知識を持っている者たちが聴き取ったことをベースにしてそれを起こしたというふうに承知をいたしております。
  289. 犬塚直史

    犬塚直史君 それでは、大臣室で大臣が直接聴き取りをする前に、幕僚監部の方でメモを取っていたと、こういうことでよろしいんですか。
  290. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) ですから、これも既にお答えをしたことでございますけれども、市ケ谷に呼んだ航海長は、これは手書きのもの、これをメモと言っておりますが、手書きのメモは持参をしておったということでございます。これは海上幕僚監部で実施された聴き取りの際、海上幕僚監部として調書、議事録、そのようなものを作成をしているわけではないということでございます。これも既にお答えをしたことでございます。
  291. 犬塚直史

    犬塚直史君 それでは、この幕僚監部で取ったメモについても提出を求めます。
  292. 林芳正

    理事(林芳正君) ただいまの件につきましては、後刻理事会協議いたします。
  293. 犬塚直史

    犬塚直史君 総理の今のやり取りを聞いた感想を伺いたいんですけれども、呼んでいることさえ大臣は知らなかった、そしてこの呼んだ事情聴取の際に、これだけ大事な事案のときにきちんと速記を取るようにだれかに指示することもしていない、何月何日にだれがどういう形でメモを取ったということすら記録にない、一体これは何のための記録なのかと私は思わざるを得ません。  総理大臣は、このような防衛省の組織の在り方について、大臣を全くすっ飛ばしてこのような、いわゆる密室で事を処理するようなやり方についてどのような対処をお考えですか。
  294. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 密室で処理はいたしておりません。そこで何を聴いたかということ、そしてまたそこに当事者も航海長も参りまして、こういうような説明がありましたということを私自身聴き取っておるわけでございます。総理への御質問の前提として密室で処理をしたということは、私は密室で処理なぞはいたしていない、防衛省内で密室で処理をしたということはございませんということを念のため申し上げておきます。
  295. 犬塚直史

    犬塚直史君 私は、自衛隊の最高司令官としての総理に聞いているわけであります。密室でと言った意味は、表現としてどういうふうに取られるか知りませんけれども、少なくともその現場の最高責任者である防衛大臣に全く知らせることなしに、こういうことでいろいろなことを作業していると、しかもきちんとしたメモを取っていないということは、まさにこれは密室以外の何物でもないじゃないですか。総理、どういうふうにお考えになりますか。
  296. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 何か事故が起こったときに、一刻も早くこの事態にどう対処するかということを考えるのは当然でありまして、それはいろんなレベルでそういうような打合せとか会議とかいうことが行われるのだろうというように思います。そのすべてを、緊急に行われているそういう様々な会議というほどのものでない打合せとかいうものも含めて全部を、メモを取って記録を残しているというそういうようなことまで考えている余裕はないというように思います。ですから、それは必要なもの、必要でないもの、当然あるんだろうと思います。  しかし、こういう緊急事態に対処する方針として、どういうようなマニュアルがあって、そしてこういうものについては記録を残すべきとかそういったようなことは、これは決めておくというようなことはあるかもしれません。しかし、といって、緊急事態にそのとおりにいくかどうかということも、私も正直言ってそのとおりにいく、すべていくかなというふうには思いますけれどもね。私は、そういう意味において、今回いろいろなことがありました。不十分なこともありました。ですから、そういうところは改善しなければいけないけれども、そのすべてが悪かったというわけではないというふうに思っております。
  297. 犬塚直史

    犬塚直史君 総理、緊急事態というのはどういう観点で緊急事態かということなんですね。つまり、このときの緊急事態は、一刻も早くこの二人の行方不明になった方を見付け出すこと、これを目的とした緊急事態であって、この事故の原因を内部的に究明するということが緊急事態ではない、事故の原因を内部的にできる限りの情報把握をして、外に向かってどういうふうに説明をするかということをもって緊急事態とするわけではないんですね。    〔理事林芳正君退席、委員長着席〕  この表をもう一度御覧になってください。これは海上保安庁提出資料に基づいて作ったものですけれども、この市ケ谷で航海長の事情聴取をしている間、現場ではMH806、MH931、この二機のヘリコプターが海上を捜索しておったと。しかし、この航海長を運んだヘリも、これは実は海上を捜索できるタイプのヘリだというふうに聞いております。  本来であれば、持てるすべての資源をここに入れて捜索に全力を尽くすべきだったとはお思いになりませんか。
  298. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 対象区域がどれぐらいであるか、そこに何機のヘリを飛ばすのが一番二次災害が起こらないかということはここでも答弁を申し上げたことでございます。これは委員もヘリに何度もお乗りになった御経験がおありかと思いますが、実際に狭い区域でヘリを飛ばしますときに衝突の危険を避けるということにどれだけの労力を割くかということになります。  限定された現場で、限定された海域をまず集中的に捜すというときに、何機を投入するのが一番ふさわしいかということはその場で判断がなされたと承知をしております。その後、海域が広がれば飛行機は増やしますが、同時に、どうすれば衝突しないか、ヘリ同士が衝突して死傷者が出るというのは年に何度かあるというふうに承知をいたしておりますが、そういう二次災害を避けるとともに、どうすれば一番濃密な哨戒活動、捜索活動ができるかということで、海域に応じてヘリの機数を増やしておるものでございます。
  299. 犬塚直史

    犬塚直史君 それでは、海上保安庁に伺いますが、一般論で結構です。こういう事態があったときに適正なヘリの数は何機ぐらいなんでしょうか。
  300. 岩崎貞二

    政府参考人(岩崎貞二君) そのときの事故の状況、それから海流の速さ、そんなことがいろいろ関係しますので、なかなか一般論として言えるわけではございません。  この例で申しますと、当日、私どもの漂流予測に基づきまして一定の捜索海域を設定をいたしました。航空機の捜索については、ジェット機による、固定翼による捜索とヘリコプターによる捜索と海域を分けました。ジェット機、航空機による捜索については三十一キロ掛ける十九キロの広い範囲を海域といたしましたので、これは私どもの保安庁のジェット機で捜索をいたしました。ヘリコプターにつきましては、衝突現場付近の四キロ掛ける八キロ、この海域を保安庁のヘリと自衛隊のヘリ、これで分担してやっていこうということでやったものでございます。  このやり方で大きな影響が生じたとか、必ずしも不十分ではなかったと、このようには思っておりません。
  301. 犬塚直史

    犬塚直史君 それでは、海上保安庁が救難ヘリが二機そして固定翼が一機、海上自衛隊の方がヘリが二機ということで、ヘリが四機と固定翼が一機と、空からはこれでやっておったということなんですけれども、これ以上増やさなくてもいいという判断はどういう基準に基づいて行ったんでしょうか。
  302. 岩崎貞二

    政府参考人(岩崎貞二君) 正しく申しますと、固定翼が一機、それからヘリコプターもずっと飛んでいるわけにいきませんから、そのヘリコプターの海域を少なくとも原則として海上保安庁は一機のヘリコプターが飛ぶように、それから自衛隊の方はこれも何機か用意されたと聞いておりますけれども、常時二機が飛べるようにという体制でやっておられました。  これは、繰り返しになりますけれども、一般的なルールはございません。そのときの海流あるいは遭難の状況に応じて空域を設定し、先ほど石破大臣が述べられましたように、余り多く出し過ぎるとやはり二次災害等もありますし、かえって非効率になります。そうしたことを踏まえながら現場で判断したものでございます。
  303. 犬塚直史

    犬塚直史君 これは大臣、御提案なんですけれども、こういうときには一体何機ぐらいヘリを飛ばすことが重要であるのか、何機以上になるとやっぱり捜索にかえってマイナスになるんだと、そういうような一つのシミュレーションをつくっておくべきではないかと思うんですけれども、いかがですか。
  304. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 御指摘は検討いたします。それは本当に一般論として、ヘリに私もよく乗るのですが、昨日も乗りましたが、本当にある意味固定翼よりも危険性の高い航空機でございます。  そこで、どうやって飛行機を飛ばすか、そしてまた、これは報道のヘリ等々が出てくる場合に更に危険性が増してまいりますので、どういう形で、統制という言い方は好ましくないのかもしれませんが、できるか、それは委員の御提案を受けて検討をいたしたいと思います。
  305. 犬塚直史

    犬塚直史君 それでは、次の質問へ移ります。  事故調査の体制についてお話を伺っていきたいと思います。  まず、海上保安庁。海上保安庁の調査を考えるときに、これは犯罪捜査と考えてよろしいんでしょうか。
  306. 岩崎貞二

    政府参考人(岩崎貞二君) 私ども司法警察職員として、今この件については、事故原因を究明し、犯罪捜査をやっていくという観点から進めているものでございます。
  307. 犬塚直史

    犬塚直史君 それでは、海難審判に伺います。  海難審判の方では、海技免許の取消しあるいは業務停止も含めて行政責任を問うという形で調査をしておるんでしょうか。
  308. 岸良彬

    政府参考人(岸良彬君) 海難審判庁では、海難審判により原因を明らかにし、海技免状を授与しております者を受審人として指定し、職務上の故意又は過失が認められた場合には海技免許の取消し、業務停止といった行政処分を、また、受審人以外の者に原因関係がある場合はその者に対し勧告を行っております。  本件につきましても、海難審判において必要が認められれば、受審人には懲戒を、受審人以外の原因関係者には勧告をすることになります。
  309. 犬塚直史

    犬塚直史君 それでは、防衛省に伺います。  防衛省の事故調査委員会は、あくまでも内部処分、今回七名の処分が出ましたけれども、内部処分を前提として調査をしているんでしょうか。
  310. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) これは、当省として、事故原因を究明し再発防止策を講ずるということを主眼とするものでございます。  処分を行うがことを目的としていろいろな原因を調査したり、そして再発防止策を講じたりということではなく、それはそこにおいて明らかになったことによって処分の内容が固まることは当然ございますが、それが一体の目的と手段との関係に立っておるわけではございません。
  311. 犬塚直史

    犬塚直史君 防衛省の資料でもそのようなことが書いてあるんですね。「艦船事故調査報告書の目的」としまして、「艦船事故の実態を明らかにし、艦船事故の防止に資することを目的とするものであつて、艦船事故に関する隊員の責任を究明することを目的とするものではない。」と、こう書いてあるわけですね。  にもかかわらず、今回、まだ中間報告にもかかわらず、七名の処分をしている。つまり、自分たちの証言の仕方いかんによっては、処分者がこういうふうに出てしまうんだということをもう既に隊員全員に告知したようなものですね。ひょっとしたらこれが原因じゃないか、要するに、犯人探しではありませんので、ひょっとしたらこれが原因ではないかということをみんなが自由に言えるようなことにしておかないと、本当の原因究明にはならないと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  312. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) ここはいろんな判断があるんだろうと思います。  委員は司法取引のことを念頭に置いておっしゃっているわけではないと思いますけれども、やっぱり私どもとしてあってはならない事故を起こしておるわけでございまして、こういう処分が出るから言うのをやめようとか、そういうようなことはそもそもあってはならないことだというふうに考えております。  どういう形が一番いいのかについてはまた御指摘も受けて検討してまいりますけれども、私は、今回のことは、それぞれの者が正直なこと、正確なことを言わなければいけませんし、そしてそれが、Aがこう言っているということだけでは駄目で、Bがどのように言っているか、Cがどのように言っているか、そういうようなことを全体の絵図として明らかにしていかねばならないものだというふうに考えております。どういうような形で正確な原因の究明ができるか、委員に御指摘いただきましたように、処分を目的としているものではございませんので、そこのところ、どういうような工夫ができるかは考えてまいりたいと思っております。
  313. 犬塚直史

    犬塚直史君 この中間報告書を読みますと、八番の「あたご」全体の対応の評価というところで、原因として書いてありますのは、艦全体として周囲の状況等について見張りが適切に行われていなかったということがここに書いてあるんですね。しかし、今私が申し上げたいのは、どうしてこの見張りが適切に行われていなかった状況が出てきたのかな。これはいろんな原因があると思うんです。これだけをもって責任者を処分するんであれば、それはこの時点で切るというのはよく分かります。しかし、そこから先、どうしてこのような事態が出てきてしまったのかな、そこのところを追求するべきだとお思いになりませんか。
  314. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) これで切るということは申しておりません。それはもう委員よく御承知の上でお尋ねをいただいているのだと思います。  今回の中間報告で明らかにこれは不適切だということについての判断をいたしました。一つは、これから先、まだ聴き取れていない者がおるということを申しました。それから聴き取って更に精緻なものができてくる、それによっていろんな処分がなされるということが一つございます。  もう一つ、そもそも根源的に何でこんなことが起こったのかということについて、見張りは、委員御承知のように、いわゆる光学的なレンズで見るというものだけではなくてCICにおいても行うわけであります。CICにおいても要員が不足、不足といいますか、許可を得ることなく少なくなっておった。こういうことがこの艦特有のものなのか、そうではないのか、あるいは海上自衛隊全体にどのような訓練の体制があるか、教育の体制があるか、任務と人員との関係は本当に適切か、これはもう一週間や二週間でこうだということが分かるというほど簡単なものではないという深刻な認識を私自身持っておるところでございます。虚心坦懐にゼロベースでもう一度、特に水上艦に集中しておりますので、なぜこのようなことが起こるのかということを、この「あたご」の特異な例だというふうに片付けることは私はできないのではないか。  全体を把握するのにはどれだけ時間掛かっていいというものでもありませんが、相当に綿密な検証と議論が必要だという認識を私は持っております。
  315. 犬塚直史

    犬塚直史君 そこで、今日は国交大臣に来ていただいています。  日本では二〇〇一年四月に航空事故調査委員会設置法が改正をされまして、ここで何をやったかというと、調査対象が事故から事故の兆候に広げられているんですね。要するに、事故だけを対象にするんではなくて、その兆候に至るまで調査しなければいけない。国交省では、今回の海難審判庁を航空・鉄道事故調査委員会と統合して、そしてこれを、まあ仮称ですが、運輸安全委員会という形にすると。つまり、事故調査と犯罪調査がこれは絶対に競合しないようにするという取組をこれからやろうとしておるというふうに理解しているんですけれども、その辺のところを大臣、御説明お願いします。
  316. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 船舶の交通の安全の向上のためには、責任追及、すなわち懲戒の部分と原因究明、調査を分離し、事故の再発防止に向けた事故調査、原因究明の機能の強化を図ることが国際的な流れでもありまして、この点については、国土交通省といたしましても極めて重要であると認識をいたしております。  このため、今般、海難審判庁と航空・鉄道事故調査委員会、事故調、事故調と呼ばれている部分でございますが、これを改組いたしまして、海難、航空事故、鉄道事故を対象とし、多様化、複雑化する事故の原因究明機能の高度化、原因関係者に対する勧告制度の創設等による事故再発防止機能の強化を図るために、運輸安全委員会、国家行政組織法第三条でございますが、の設置のための所要の法律案を提出しているところでございます。また、船員等への責任追及、懲戒につきましては、今般の組織法改正案によりまして設置される海難審判所において、対審構造で一審制でございますが、行うことといたしております。  運輸安全委員会の設置によりまして、背景、要因まで含めて更に徹底した事故原因究明に努めてまいりたい、このように思っているところでございます。
  317. 犬塚直史

    犬塚直史君 総理、そこでちょっと総理の御意見を伺いたいんですけど、世界的に見ても、責任追及、つまり犯人捜しと原因を究明すること、要するに再発をさせないという視点から原因究明をしていくこと、これは二つに分けるという大きな流れがあると。そうでないと、やっぱり原因というのは分かってこないだろうということなんですね。  例えば、海保でいえば、刑事責任を問う、犯罪捜査を行うということですから、これはやっぱり大変な責任が負ってしまう。関係者は、例えば自分の家族やあるいは長年一緒に働いた同僚が不利になるようなことを本当に言えるだろうかと、ひょっとしたらこれも原因かもしれないというときにそれを本当に言うだろうかと、難しい部分があるんだと思います。  海難審判の方でいえば、業務停止、免許取消しということがある。つまり、僚船の人たちが、いろいろな漁の形があるでしょう、しかし、ひょっとしたらこれが事故の原因かもしれないということはあるかもしれない。しかし、それによって海技免許が取消しにされてしまうような、担当省庁から聴き取りが来たときに本当にそれを正直に言えるか、難しいものがある。あるいは、防衛省の内部調査で、内部処分が既に七名出てしまった中でいろいろな原因が自由に出てくるか、これやっぱり難しいものがあると思うんですね。  それで、私は、今回のイージス艦の事故については、非常にこの原因究明が、この新しい法律がまだ十月にならないとできませんので、やっぱり不備が出てくると思うんです。これは部会でも何度も言いましたが、官房が主導権を握って原因究明のみをやっていくというようなチームを是非大臣のリーダーシップでつくっていただきたい。事故調査の唯一の目的は再発防止ですから、犯人捜しとは分けて、再発防止のためのチームをつくっていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  318. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 今度、運輸安全委員会ができるような法律改正をお願いするということでございますので、今後のことはその運輸安全委員会に万全を尽くしてもらうということになりますけれども、現状、それができていないという状況の中でどうするかということでありますけれども、これ、今現在、海上保安庁とそれから防衛省が適切に役割分担をして、しているというように理解はいたしておりますけれども、なおその不備があるというようなことがあるならば検討してみたいと思います。
  319. 犬塚直史

    犬塚直史君 国交大臣、いかがでしょうか。
  320. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 現行法では、高等海難審判庁というものが対審構造で二審制で、海難審判理事所というものが刑事訴訟における検察官の役割で、こういう形で進めるようになっておりますが、これを先ほども言いましたように運輸安全委員会へ、事故調に陸海空と、陸は鉄道でございますけれども、自動車は含みませんが、こういう航空事故、それから鉄道事故、船舶事故について原因究明をきちっとやるという制度をつくるということでお願いしているわけでございますが。  内閣府へという今お話がございましたが、私は別にセクショナリズムで言っているわけではありませんけれども、航空機につきましても、鉄道にしても、船舶にしても、国土交通省にはそれぞれのセクションがたくさんありまして、多くの知見を持っているわけです。したがいまして、今までの、例えば福知山鉄道事故にしましても、鉄道局始め運輸関係の所管が総力を挙げていろいろな資料を事故調に提出をして、そして事故調が十全な原因究明を行っているということに照らしますと、やはり私は、この運輸安全委員会は、国土交通省の外局として国家行政組織法三条の組織として独立した機関として仕事をされることが最も証拠の収集その他について一番適当であろうというふうに思っているところでございます。
  321. 犬塚直史

    犬塚直史君 是非そうした専門機関ができる前に、できたからといってすぐに万全に機能するというわけにもいきませんし、しかも、防衛省の関連については大変に専門知識も要求される場面が出てまいりましょう。是非、総理のリーダーシップを取っていただいて再発防止にすぐに取り組んでいただきたいと要望したいと思います。  それでは、次の質問に移ります。  配付をいたしました資料平成十八年度防衛調達、一般輸入・中央調達にかかる参議院外交防衛委員会の外国メーカーへの調査の回答状況の表であります。  これは、先般来大変に問題になりました山田洋行を始めとする我が国の防衛予算防衛関連予算を食い物にしているような、見積りを二倍、三倍にする、場合によっては七倍にしていると、そういうようなものを本当に放置していていいのかという危機意識に基づきまして、海外の調査対象百八十社、契約件数でいくと四百四十八件の契約に対して、これは平成十八年のすべての中央調達分の契約ですが、外交防衛委員長の名前で見積書の真偽を確認する手紙を送った、その回答状況の手紙であります。  三ポツのところを見ていただきたいんですけれども、総回答数百七社、百八十社のうち百七社、これを送ったのは去年の年末ですので、いまだに七十三社が回答してきていない。その回答した約百社の中で、原本であり問題ないとするメーカーが七十三、問題ありとするのが十社、そして不明な点があるとするメーカーが三十三社ある。不明な点があるとするメーカーと問題ありを足すと四十三社に上るわけですね。  これ、実は何でこういうふうになっているかといいますと、メーカーがある、そして防衛省がある、その間にディストリビューターといわれる言わば仲買のような見積りを発出する権利のある民民の契約をしているところがある、そこから商社を通す。つまり、間が二重、三重になっているために、いきなりこれが、真偽確認しろと言われてもメーカーとしては分からない。民民の契約でこの見積り発出を許したディストリビューターがこれを出しているのであれば、我が社としてはこれは判定のしようがないというふうに回答が来ているわけですね。  これ、類似の外国メーカーに対する調査、防衛省でやっているものの報告書をいただいております。同じように、調査対象百八十九、回答ありが八十五、そしてその中で真正でないというのが一件、しかし確認中というのが十一件。やっぱり、間に何社かかませることによって、これは抜け道になっているのではないか。  このディストリビューターに対してもこれから二の矢を撃つおつもりがあるかどうか、確認をしたいと思います。
  322. 小川秀樹

    政府参考人(小川秀樹君) 御指摘の件でございますが、御指摘の山田洋行による過大請求の事案でございますが、この場合は、外国メーカーが発行し防衛省に提出された見積書が偽造、改ざんされておったということで、こういったことがないようにということで、山田洋行を始めその他商社につきましても外国メーカーへ直接照会し確認する調査を行っておるわけでございまして、外交防衛委員会の方でも調査をされておるわけでございます。  御指摘のとおり、調査対象の契約の中に、我が方防衛省が契約しております商社と外国メーカーとの間に流通業者が介在しておりまして、こういった流通業者が見積書を発行している場合が一部含まれておりまして、そういったものを外国メーカーへ送り返した場合に見積書の真正性等が十分確認できないと、そういうケースがあるのは御指摘のとおりでございまして、こういった件について更に事実関係のきっちりした確認を行うために、こういった見積書を発行いたしました流通業者に照会することが必要になってくるというふうに考えておりまして、個別ケースの事情に応じてこういった調査を、流通業者に照会する調査を行っていきたいと、こういうふうに考えております。
  323. 犬塚直史

    犬塚直史君 ありがとうございます。  それでは、これで質問を終わりにしますが、一つだけ防衛大臣にお願いをしておきたいと思います。  それは、今回の調査を我々もやってみましてつくづく思いましたのは、やっぱり会計制度が余りにも不備ではないかと。財務省が財務諸表を作れるような方向で平成十六年度からやっておられるのは御存じのとおりだと思いますけれども、バランスシートがない、発生主義でもない、単年度主義である、連結決算もしていない、こういう状況の中で一体どうやってチェックをするんだろうな。これは、国民の血税をこれ以上無駄にさせないためにも、是非防衛省が先頭を切って、まずは防衛省からこうした公会計基準を採用していただくことを要望しまして、質問を終わります。
  324. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 以上で浅尾慶一郎君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  325. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 次に、山本一太君の質疑を行います。山本一太君。
  326. 山本一太

    山本一太君 今日は、参議院予算委員会外交防衛集中質疑ということで、私が外交問題を、この後質問に立っていただく佐藤委員防衛問題を担当していただくということで、役割分担をしていきたいと思います。  今日は、時間にして大体四十分ぐらいということなので、私の持分は、日中関係日本の対中国政策に絞って総理並びに関係大臣に御質問をさせていただきたいと思います。少し長期的な視野に立ってゆっくりじっくり質問をさせていただきますので、じっくり答弁をいただければと、こんなふうに考えております。  さて、三月の初めにある著名な中国研究者が亡くなられました。福田総理も高村大臣も恐らく御面識あると思いますが、慶応大学の小島朋之教授です。病気療養をされる前は、昨年までは慶応大学の総合政策学部の学部長を務めておられて、現代中国政治研究についてはまさに日本の第一人者で、様々な著作もございますし、論文も数多く執筆をされてきた大変大事な方だったというふうに思います。私も、生前、大変小島先生に御指導をいただきまして、こういう日中関係が難しいときにああいう方を失ったということは日本の国益にとって大きな損失ではないかというふうに考え、大変残念に思っています。  さて、その小島先生が生前よく私にこういうことをおっしゃっていました。今、日中の両政府、両国の政治家、ジャーナリスト、それから学者も含めて戸惑いがあると。なぜ戸惑いがあるかというと、これはもう総理にも外務大臣にも釈迦に説法ですが、日中関係が新しい段階に入っているからだと、小島先生がいつもそうおっしゃっていました。  近代百六十年のこの日中の関係史というものを眺めて、日本は常に中国を大きくリードしてきた。戦前も、日本が先進国で中国は発展の遅れた国だった。そして、戦争が終わった後も、日本はいち早く経済復興を遂げて世界第二位の経済大国になって、いわゆる開発の遅れていた中国に対して政府開発援助を供与すると、こういう関係にあった。ところが、もうここ五年、十年の中国の目覚ましい経済発展で、中国は今や政治力、軍事力に加えて経済力を手にした。過去百六十年で初めて日本と中国が地域の大国として並立するという新しい状況が生まれた。これに日中双方が実は戸惑っていて、その戸惑った感覚から抜け出せないでいるんだというふうに小島先生がいつもおっしゃっていました。  そして、この小島先生がおっしゃっていたことは、この戸惑いを乗り越える一つのコンセプトに日中の戦略的互恵関係というのがあるというふうにおっしゃっていました。福田総理も、昨年の北京でのスピーチでこの戦略的互恵関係に言及をされていますけれども、まず最初にこの戦略的互恵関係というものがどういうものなのか、現時点で日中がどういう利益を共有できるのか、そのことについてまずお伺いしたいと思います。
  327. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 戦略的互恵関係と、これは割合、流行語になっていますよね。今、日中だけでない、ほかの国との関係においてもそういう言葉を使うということはあるんです。  この日中関係において申し上げれば、互恵とは、日中両国が将来にわたって二国間、それから地域、それから国際社会といったような様々なレベルにわたって協力を全面的に発展させると、そういう発展させる中でもってお互いに利益を得て共通利益を拡大するということ、それによって両国関係を新たな高みへと発展させていくことを意味しております。  具体的に申し上げれば、私も昨年末に中国に行ったときにも申し上げたことなんでありますけれども、例えば環境・エネルギー問題がございますね。環境・エネルギー、これについては、これは中国が今の状態から抜け出して新しい段階に進むということが大事なことですね。そういうような観点から考えると、我が日本が持てる技術、ノウハウを、これを中国で使ってもらうということも、これも必要なんじゃないかというように考えておりまして、中国各地で日本の技術を紹介する省エネ・環境協力相談センターと、こういうセンターの設置を提案いたしました。これ、中国の各地区、十か所以上になると思いますけれども、そういうものを設置して、そして中国の国民、そしてまた企業等々にそういうものがあるということを理解し、そして活用してもらうと、そういうことも目的としておりますけれども。そしてまた、三年間で約一万人の中国の関係者ですね、環境関係関係者の研修を日本で実施したいと、こういうふうなことも提案をいたしました。  また、知的財産の分野におきましては、これは、知財というのは対立するものではなくて協力し合うテーマであるというように考えております。日本の地方での日本企業とそれから中国側の関係機関の提携などにつきましては、具体的な活動を展開していきたいというように考えております。  このほか、北朝鮮問題もありますね。北朝鮮問題も日中協力すべきテーマだというように考えておりまして、そのような協力関係によりましてこの地域の安定とか発展とかいうことを考える、これが戦略的な互恵関係。実例を挙げまして申し上げたところでございます。
  328. 山本一太

    山本一太君 ありがとうございます。  小島教授のことを申し上げたついでに、昨年、小島先生が「外交フォーラム」に「動き始めた日中関係」という論文を掲載をされています。その中で、今総理から御説明のあった日中の戦略的互恵関係というのはまだ構築の途上にあると、これから更にいろんなものを乗り越えて進めていかなければいけないということをおっしゃっていまして、日中関係がなかなか不確実性を持っている、変数が幾つかあるということをおっしゃっています。それは、例えばアメリカ変数だったり、経済変数だったり、国内変数だったり、アジア情勢変数だったり、台湾情勢変数だったりするわけですが、九つ目の変数ということで、この論文の中でこういうふうに言っているんです。第九が中国の将来シナリオ変数だと。一方で、中国の経済発展が持続し、二〇一五年前後には日本に追い付き追い越し、さらには五〇年前後にアメリカに並んで中華民族の偉大な復興を成し遂げるというシナリオもあれば、あるいは深刻な問題に直面して中国が大変な混乱に陥るシナリオもあると、こんなふうに言っているんですが。  先ほどの戦略的互恵関係お答えと少しオーバーラップするかもしれませんが、総理から見て、日本にとって望ましい中国というのはどういう姿なのか、これについても御答弁いただきたいと思います。
  329. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) これ、日中関係、特に中国がどうなるかといったようなことについて今委員からいろんな状況を提示されましたけれども、それは確かに将来のことは分からない。日本だって将来のことは分からないところありますよ、変数あるんだろうと思いますよ。政治変数も今当面の課題でありますけれどね、そういうようなことも含めて、分からないところある。じゃ、中国が分からないからといってそれで中国が分かるまで日中関係は進展させなくてもいいのではないかというような意見があったら、これは間違いなんだと思いますね。  この日中関係というのは、アジアにおける私は経済的にもそしてまた国力とかいうような面から考えてもやっぱり大きな国だと思いますよ。この両国が安定的な関係を維持できるかどうかというのはこの地域のアジアの安定につながってくるというように思います。場合によっては世界の安定にもつながるというように考えてもいいんじゃないかと、こう思いますから、日本はやっぱり中国とどういう付き合いをしていくかということを考えた場合には、やっぱり中国はいい方向に行ってもらえばいいんですよ、それが一番いいことだというふうに思いますね。  ですから、そういう中国の国内事情にも十分注視しながらも、日本としては中国がいいように行ってほしいと、そういうような環境の醸成を図るということは日本にとっても良いことだというように思っておりますんで、そういう観点から、国際経済のルールとか、それから透明性の向上ということもありますね、そういうことについても説明責任を全うできるような体制にしてもらいたいというようなことも含めて、中国といろいろな意見交換をしながら、そしてより良い関係を築いていくと、そういう信頼関係ですね、これを築いていくということが当面大事なんだろうというふうに思っております。
  330. 山本一太

    山本一太君 昨年の末に総理が訪中をされた。十二月に北京大学でスピーチをされています。昨日、その総理の北京大学のスピーチ、最初から最後までもう一度ずっと読み返してみたんですけれども、福田総理の日中関係に対する非常に思い入れを感じました。  その中で、三番目ぐらいのくだりだったと思いますが、日本と中国は責任とチャンスというものを共有していると、戦略的互恵関係というのはこれはもう時代に求められた趨勢なんだということを強調すると同時に、総理が、日本も中国もさっきおっしゃったWTOの例えば経済のルールも含めて透明性あるいは説明責任、こういうものを国際社会で果たすことが求められていると、こういうことを、こういう責任をお互いに果たしていけば日中関係は更に深化するということをおっしゃっているんですが、総理の目から見て今の中国はこの国際社会に対して開かれた説明責任を果たす国になっていると思われるかどうか、御意見を伺いたいと思います。──じゃ、高村外務大臣でも結構です。
  331. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 総理が答えられると思って安心していたわけでありますが、紆余曲折はありながらもそういう方向に進みつつある、ただそのスピードが我々にとって満足かどうかというのはそれは別でありますが、いずれにしても、豊かで開かれて安定した中国、そして特に大きな国でありますから平和発展の道を追求する中国というのが日本にとって望ましいと、そういうふうに思っております。
  332. 山本一太

    山本一太君 高村大臣答弁に立っていただいたんで、質問通告してないんですが、一つちょっと大きな問題でお聞きしたいと思うんですが、最近、アメリカの外交雑誌のフォーリン・アフェアーズをずっと読んでいると、ほとんど日本のことが出てこない、もう中国の問題ばっかり目に付くわけなんですけれども、昨年、実はプリンストン大学のジョン・アイケンベリーというプリンストン大学の教授が書いた「中国の台頭と欧米秩序の将来」という、こういう記事を昨日ちょっと読んでいたんですけれども、その中でこのアイケンベリーが何を言っているかというと、中国、インド、特に中国です。中国のような新興の大国というものがグローバルパワーになっていく過程では、国際秩序に挑戦して、国際秩序を変えて自らの利益になるようなやり方にしようとする、そういう傾向があるということを書いてあるんですね。  このまま大きくなっていく中国が、国際秩序を壊そうとするのか、それとも今ある国際秩序の中に自らを織り込もうとしていくのかというのは、今ある国際秩序の性格によると書いてあります。そして、この論文が言っているのは、中国がどんどん台頭していく、これはもう時代の流れだと、中国の台頭と同時にアメリカの影響力は確実に下がっていくというふうに書いてありまして、この論文のシミュレーション、あちこちでいろんなシミュレーションありますが、まあ六、七年後には日本のGDPを抜くと、二〇二〇年にはアメリカを抜いて世界一の経済大国になるのではないかという予想がこの中でされていると。  まあ中国人口多いですから、生産性のレベルがアメリカの五分の一まで達すれば当然GDP世界最大になるわけなんですけれども、アメリカ一国ではこれは中国をなかなか抑えられない。そうではなくて、欧米秩序、これはOECD諸国で日本も入っているんですが、OECDが協力してこの国際秩序というものをつくることによって中国が国際社会の中にきちっと自らを織り込んでいこうという傾向が出てくると、こういうことを言っているんですが、これについて外務大臣の御感想をお願いしたいと思います。
  333. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 私自身その論文を読んでおりませんので確実なことは申し上げられないんですが、いずれにしても、中国、これから更に大きくなっていくことが予測される中国には、国際社会に建設的に関与してもらわなければいけないと、そういうふうにしてもらうことが日中双方にとっていいことだ、中国にとってもいいことだと、こういうふうに思っております。  今の秩序がすべていいかどうかというのはまた別の問題でありますが、例えば援助コミュニティーの問題とかいろいろ比較的いい秩序ができているものに、必ずしもそうでないところもありますから、そういうところについてはよく話し合って中国に国際社会に建設的に関与してもらうようにすることが大切であろうと、そういうふうに思っております。
  334. 山本一太

    山本一太君 同じ論文で、必ずしも台頭する国が出てきても国際秩序に挑戦するとは限らないという例で、イギリスと日本の例が出ています。  イギリスは二十世紀の初頭にアメリカに覇権を渡したけれども、アメリカとの関係はうまくいっていると。日本も一九四〇年当時はアメリカのGDPの六%しかなかったものが一九九〇年代には六〇%まで行ったと、しかしながら国際秩序には挑戦していないということで、そこら辺が中国が責任ある政治大国になる可能性をきちっと示唆していると思うんですが。  さてそこで、さっき福田総理の方からもありましたけれども、中国が本当に開かれた国になるかどうかということについてなんですけれども、先般から大変報道をにぎわしているチベットの暴動についてお聞きをしたいと思いますけれども、このチベットの暴動に対する中国政府の対応を見る限りまだまだ中国が開かれている国になっているとはちょっと言い難い面があると思うんですけれども、まず最初に外務大臣の方から、いろんなことが言われています、ダライ・ラマ派の策謀だとか、北京オリンピックを前にした、あるいはむしろ中国側が仕掛けたんだとか、いろんなことが喧伝されていますが、外務大臣からこの問題がなぜ今起こったのか、その背景も含めて簡単に御説明いただければと思います。
  335. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) チベット問題については歴史的に複雑な背景もあり、従来からこのチベット問題については中国政府といわゆるチベット亡命政府との間での全く異なる立場の主張がなされているわけであります。  今回の事態についてもその原因や背景については様々な異なる見解が示されており、また直接的に入手できる情報も限られているために確たる認定はなかなか容易でないわけであります。いずれにしても、現在のチベット情勢については事態が早期かつ平和裏に鎮静化することが重要であると考えておりますが、こういう観点から引き続き関係者の冷静な対応を求めるとともに、国際社会の関心を踏まえた対応を期待しております。  取りあえずそういうことでございます。
  336. 山本一太

    山本一太君 中国政府は、これはダライ・ラマ派の陰謀だと、ダライ・ラマは危険な分離独立主義者だというふうに一貫して言っているわけなんですけれども。  これ、チベット暴動が起きた後の中国の対応について、まず外国人のジャーナリストは一切入れない。日本は邦人保護を目的に外交官を入国させたい、これも断っていると。こういう対応をしている限り果たして中国政府から出てくる情報が正確なんだろうかと、もしかしたらやはり見られたくないことがあるんじゃないかと、こういう疑念が国際社会に広がっても仕方がないんですね。  今、何か中川秀直元幹事長が中国、今日お帰りになるんでしょうか、新聞を見ていましたら戴秉国国務委員と会談をされて、戴秉国さんがチベット情勢が少し落ち着いたら外国人ジャーナリストを入れることも検討するというようなことをおっしゃっているようですけれども、ここら辺について、この辺も含めて、日本政府は今このチベット問題についてどういう姿勢を取っているのか、外務大臣にお聞きしたいと思います。
  337. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 私が記者会見で申し上げたことは、できるだけオープンに透明性を持って国際社会に対応することが中国自身のためにとっていいのではないかと、こういうことを申し上げたわけであります。その方向は、今委員がおっしゃったことと同じ方向だと思っております。
  338. 山本一太

    山本一太君 大臣、特にこれも質問通告をしているわけじゃありませんが、このチベットの暴動、チベットの問題に対する主要国の反応について、今分かる範囲で教えていただければと思うんですが。
  339. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 全体的な私が感じているところでは、極めて憂慮し、懸念を持って注視しているというのが主要国の反応だろうと、こういうふうに思います。
  340. 山本一太

    山本一太君 極めて懸念を持ち注視しているというのが、外務大臣、もうちょっと踏み込んで、私の記憶では深い憂慮みたいなお言葉も使っていた記憶がありますけれども、国際社会のスタンダードかというと、やはり各国もうちょっと踏み込んでいろんなことを言っているんじゃないかというような印象を私は持っていまして、外務大臣御存じのとおり、イギリスのブラウン首相は既に温家宝さんと電話会談をして、中国側に自制を促すと同時に、ダライ・ラマサイドときちっと対話をしたらどうかということを申し入れているというふうに記憶をしています。  フランスの外相は、中国のオリンピックをボイコットしろとは言っていませんが、こういう状況が続いた場合には、EU諸国は北京オリンピックの開会式についてボイコットするということをEUが検討する余地があるんじゃないかというようなことをおっしゃっているわけですが、日本外務省として、この事態の推移にもよりますけれども、もう一歩踏み込んで、例えば中国政府にダライ・ラマ派の方々と交渉といいますか、きちっと話合いをすると、こういうことを促すようなお考えはないのかどうか、お聞きしたいと思います。
  341. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) そこに紛争があるときに、両当事者が双方が受け入れられる形で話し合うということは基本的に大変いいことだと、私はそう思っておりますから、ただ言うということでなくて、どういうふうにしたら中国側に聞いてもらえるかと、そういう状況も考えながら、どういう形を取ればいいかということも考えていきたいと思います。  ただ、一般的に言えば、日本政府とすればオリンピックは成功してもらいたいということでありますし、そのオリンピックを成功してもらうためにも更に中国側がそういう方向で努力をしてもらいたいと、こういうことは常に言っているところでありますし、宮本大使等からも申し入れているところでございます。
  342. 山本一太

    山本一太君 五月には胡錦濤国家主席が来日をされるということになっていまして、高村大臣が、衆議院外務委員会だったと思いますが、これから、例えば温家宝首相とかあるいは中国の外務大臣に会ったときには、直接このチベット問題について中国の自制を求めるとか、あるいは対話の促進について言及をしたいというふうにおっしゃった記憶があるんですけれども、今もそういうお考えでいいんでしょうか。
  343. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 胡錦濤主席が来られる前に楊潔チ外相が日本に来られると、そういうこともあると、私は、どういう機会にどういうふうな言い方で日本政府の求めていることを中国側に伝えたら一番効果的であるかということをこれからも考えていきたいと、そういう文脈の中で楊潔チ外相も来られますねと、そういうときに私が全然この話題に触れないということは余り考えられませんねと、そういうことを申し上げたということでございます。
  344. 山本一太

    山本一太君 中国の北京オリンピックについて、主要国の政府は、フランスのクシュネール外相は、こういう状況が続けばオリンピックの開会式をボイコットすることも検討の余地があるのではないかと、非常に慎重な表現を使っておりますが。一部、この間台湾の総統選挙が終わって馬英九総統が誕生されたわけですが、キャンペーンの最中だったということもありますが、馬総統もこういう状況が続けばボイコットも視野に入れるということですが、これは高村大臣も既におっしゃっていることですが、日本が北京オリンピックをボイコットする、すなわちチベット情勢のいろんな状況が変化してもこのオリンピックをボイコットすることはないと、こういうお考えでよろしいのかどうか、お聞きしたいと思います。
  345. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 北京オリンピックは是非成功してもらいたいと、こういうふうに思っておりますから、そういう方向で中国側に努力をしてもらいたいと、これに尽きるわけであります。
  346. 山本一太

    山本一太君 私も日本は北京オリンピックをもちろんボイコットするべきだとは思っておりません。  これは、スポーツと政治の世界はもちろん切り離せないんですけれども、切り離して考えなければいけないと思いますし、ドイツのメルケル首相が、例えばオリンピックをボイコットして中国を孤立化させるということは、むしろチベット問題を深刻にするんじゃないかというような意見も表明をされているわけなんですが。しかしながら、かといって、チベットの問題についてこのオリンピックを契機に、オリンピックの成功というものは隣国として強く望むということはもちろんなんですけれども、イギリスのマロックブラウン閣外これ外務大臣でしょうか、言っているように、オリンピックを通じて、オリンピックの開催ということを契機に、中国側にもっとチベット問題というものに真剣に目を向けさせる、こういう契機にやはりしていかなければいけないのではないかというような発言もあるわけですが、日本政府もそういうマインドをお持ちなのかどうか、お聞きしたいと思います。
  347. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 何度も繰り返しになりますが、まさに成功してもらいたい、ですからチベットの問題については中国側が成功できるような方向で努力をしてもらいたいと、今おっしゃったマロックブラウンですか、方向性とすれば同じ考え方、言い方はちょっと違いますけれども、と思います。
  348. 山本一太

    山本一太君 先週の水曜日だったと思いますが、超党派のチベット問題を考える議員連盟というのが開かれました。会長民主党の枝野幸男衆議院議員なんですが、この会合の中で、議員連盟として日本政府に毅然とした対応を求めたい、つまり中国に対して自制を促していくべきだという話がありまして、もう一つ、この五月に胡錦濤国家主席が来日をされると、チベット情勢が悪い方向に行くとなかなか、胡錦濤国家主席に来ていただいたときに日本国内のムードが余りよくないのではないかというような話もこの議員連盟の会合で出たわけなんですけれども。胡錦濤国家主席についてもこれも確認をさせていただきたいと思いますが、チベット情勢いかんにかかわらずきちっとこれは訪日をしていただくという、こういう方針でよろしいんでしょうか。
  349. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 何か問題があるから首脳会談をやらないというのは良くないのではないかというのは日本政府の一貫した立場だと、戦略的互恵関係が打ち立てられる前からそういう立場であったと、こういうふうに認識をしております。
  350. 山本一太

    山本一太君 それでは、福田総理にもお伺いしたいと思うんですが、胡錦濤国家主席が来日をされて日本で日中首脳会談をやると。もちろん大変意義深いことだと思いますし、新しい、小島先生のおっしゃっていた日中関係を深化させていくためにも必要なプロセスだと思います。  ただ、今外務大臣がおっしゃったように、問題があるからこそ対話を続けていかなければいけないというようなお話もありましたが、総理が五月に胡錦濤国家主席を日本に迎えたときに、もしそのチベット情勢がなかなか鎮静化しないということであれば、総理の方からも胡錦濤国家主席に対してこの問題について例えば当事者間の対話を促すとか、そういうことを胡錦濤国家主席に対して申し入れるといいますかアドバイスをするという、そういうお考えはお持ちでしょうか。
  351. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 日中関係を、先ほど来申し上げているように、どうやってこれから良い面をお互いに見付けて、そしてそれを伸ばしていくというような観点でお付き合いしていくということができるかどうかということは非常に大事であります。ですから、そういう観点から、互いを非難するとかそういう関係ではない、もう少し前向きな形でこの関係を続けていくにはどうするかということはお互いの首脳同士はよく考えていることだというふうに思います。  まあ、どんなにうまくいっていても、これは問題はありますよ。仲のいい、そしてまた非常に、例えば夫婦だって仲良くなきゃいかぬのだけど、しかしいろいろ問題ありますよね。朝から晩までというときもあるかもしれませんけれども、そういうような一体でなきゃいかぬという関係だってそんな問題があるんですから、ですから、国が違えばそれは意見が食い違うのはあって当然だと思います。そして、相手が、もし日本が間違っていることをしているというときには、例えば中国が日本はちょっと間違っているよと言ってくれるぐらいの関係、逆に日本が中国に対して中国はこういうふうにしたらいいんじゃないのと、こういうふうなことが言えるくらいな関係ができれば最高ですよね。  夫婦関係もなかなかそこまで言えなくて苦労しているところでございますけれども、そういう関係をつくるために、私はこのチベットの問題についても、率直な意見交換がもし必要ならばの話ですよ、必要ならばそういうことを率直に言い合えるような、そういう関係にするべく努力をしてまいりたいと思っております。
  352. 山本一太

    山本一太君 今総理がおっしゃったように、今度の胡錦濤国家主席の来日、そして総理との首脳会談は、まさに戦略的互恵関係というコンセプトに基づいて率直に物を言い合う関係と、そこに本当の第一歩を踏み出していただきたいと思うんですが。  五月に胡錦濤国家主席が来日をされる、もちろんこれは当然首脳会談をやるということなんだと思いますけれども、今、日中の間には総理がおっしゃったようにいろいろまだ問題があります。例の冷凍ギョーザの中毒問題もまだ解決をしていない、東シナ海の共同開発の問題もこれもまだ決着をしていない、チベット問題もなかなかこれは鎮静化を国際世論の中ではしないという中で、総理が率直に物を言い合う関係をつくるために胡錦濤国家主席と会われるわけですけれども、総理としてはこの胡錦濤国家主席との会談でどういうことを達成しようと思われているのか。  例えば、福田総理と胡錦濤国家主席との首脳会談で東シナ海の問題についてある程度のめどを付けるとか、あるいは、これは後ほど外務大臣にもお聞きしたいと思いますけれども、日本の常任理事国入り問題、中国は一貫して決して優しい対応を取っていただけないわけなんですけれども、こういうところも含めて、さっきの戦略的互恵関係に基づいて総理は何を達成しようとされているのか、そのことをちょっとお伺いしたいと思います。
  353. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 私は、日中関係は大きな問題、解決されていないのがあると思いますよ。まあ歴史問題ということもあるのかもしれぬけれども、それ以外に今委員の御指摘なさったようなこと、様々な大きな問題があります。ですから、これを一つ一つ解決しなければいけないと思います。それがやっぱりより良い関係をつくる基礎になりますからね。また、今の問題を将来に残したくないと、そういう思いを持っておりますので、できるだけ早い機会にそういう問題点を解決すべく、双方で本当に胸襟を開いた語り合いをすべき問題だというように思っております。
  354. 山本一太

    山本一太君 これから五月まで胡錦濤国家主席が来日されるまでに時間があるわけであって、これはやはり日中の首脳が会うということですから、そのためのいろんな体制の整備をしようというインセンティブが両国に働くんだと思うんです。是非そういう流れをきちっと活用していただいて、なかなか難しい問題だと思いますが、例えば東シナ海の問題についてもこれは一定の政治的決断をしていただくとか、あるいは冷凍ギョーザの中毒の問題についても目鼻をきちっと立てていただくとか、是非そういう方向で御努力をいただければというふうに思っています。  そこで、先ほどちょっと総理にも申し上げた常任理事国入りの問題なんですが、私は個人的に言いますと、総理が五月に胡錦濤国家主席と会談をされると、この中で中国側から日本の常任理事国入りに対してかなり強い後押しがもらえたらいいんじゃないかと。この福田総理と胡錦濤国家主席の会談を契機に、中国側の安保理改革に対する意見が、特に日本に対する意見がかなり変わるといいんじゃないかというような希望を持っているんですが、そこら辺については高村大臣はどのようにお考えでしょうか。
  355. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 国連安保理改革については、昨年十二月の福田総理の訪中時に温家宝総理より、日本の国連における地位と役割を重視しており、日本が世界の平和と安定のためにより多くの貢献を行うことを望んでいると、こういう発言があったわけであります。かつて中国がまさに正面から日本の常任理事国入りに反対したときから考えれば様変わりになっていると。ただ、まだ、常任理事国入りを支持するとか、賛成であるとか、そういうようなことは言っていないと。そういうふうに言ってもらうように、言ってもらう日が一日も早く来るように日本外務大臣として努力するのは当然のことだろうと、こう思っています。
  356. 山本一太

    山本一太君 今、高村大臣がおっしゃったように、中国側の発言はここに来て随分変わってきたというように思っています。福田政権誕生以降のいろんな中国首脳の安保理改革に対する発言も以前に比べたらかなりポジティブになっていると思いますが。  この間、インドのシン首相が訪中した際に中国はもっとはっきりした言葉でインドの常任理事国入りを支持している。中国はインドの国連での立場を重視するとともに、安全保障理事会における役割も含め、国連で一層大きな役割を果たしたいというインド側の願望を理解し支持すると。これは、欧米のメディアは中国が事実上インドの常任理事国入りを支持したというように報道したわけなんですけれども、高村大臣のイメージでいうと、こういうところまできちんと持っていくと、こういうふうに中国にここまで言ってもらうと、こういうことでしょうか。
  357. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 日本外務大臣としてそういう願望を持っているということを言ったんで、それを決めるのは中国側でありますから、そう確実にいつまでに持っていけると、そういう話ではありませんけれども、やはり戦略的互恵関係という以上、私たちはそうあってもらいたいと、そう思って中国側に対して話をしていくと、こういうことでございます。
  358. 山本一太

    山本一太君 分かりました。  この問題は、私も以前国連機関に勤務した経験がありますが、何度か浮上して頓挫をしていると。先般は日本のG4戦略、四か国で組んで国連安保理改革を進めようとした、これもうまくいかずに安保理改革の機運がかなり下がっているというところなんで、是非とも外務大臣にはこの問題を進展させるように努力をしていただきたいということをお願い申し上げたいと思います。  さて、私の時間はもう迫ってきたので、あと一問だけ総理にお伺いしたいと思うんですが。  先ほど日中の戦略的互恵関係というお話をしたときに、総理がこれは世界で大変流行している言葉だというお話をされました。今、欧米のいろんな学術誌とか、あるいはいろんな政治ジャーナルとかの論文を見てみると、こういうことをよく書いてあります。インドとか中国、中国とかインド、どっちでもいいんですが、この新興国がどんどんどんどん台頭している中で、アメリカは既に世界戦略を組み替えてきていると。つまり、新しい世界秩序に合わせた外交戦略というものを打ち出している。大体そういう論文には日本のニの字も出てこないんですが、私がちょっと懸念を持っているのは、特に中国とアメリカがある意味経済を中心に大変戦略的な関係を強めていると、こういう流れがあります。そういう中で、いわゆる日本と中国の戦略的互恵関係というものが、これから十年、二十年の日本と中国とそれからアメリカの関係を考えた中で埋没していくんじゃないかと、影が薄くなってしまうんではないかと、そういう懸念を持っているんですが、これについて。  じゃ、外務大臣の御見解──総理の御見解いただけますか。よろしいですか、総理から一言いただいて。
  359. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 我が国、米国及び中国、いずれも地域及び国際社会に責任を有する国家であり、これら三国の間でそれぞれ良好な関係が築かれることが重要であると考えております。この観点から、米中関係が進展することは我が国として歓迎すべきものだと考えておりまして、これにより日中関係の重要性が減じるということはないと認識をしております。また、日中関係についても米国はその進展を歓迎していると承知しております。  いずれにしても、我が国としては日米同盟とアジア外交の共鳴との方針の下、引き続き一貫して我が国外交のかなめである日米同盟を強化していくとともに、中国との間で戦略的互恵関係を構築し、地域の平和と安定に貢献していく考えでございます。
  360. 山本一太

    山本一太君 もしあれでしたら、総理からも一言、戦略的互恵関係のことについて。
  361. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 先ほど委員から、日米関係の中でアメリカから見ると日本が影が薄くなってきているんじゃないかと、こういう御指摘がありましたが、そういうことが言われるのは、やはり一つには中国が大きく経済的にも発展していきそうだという、そういうことがあると思いますけれども、しかし逆の意味でいうと、日米関係で特別大きな問題がないということの証拠でもあるんじゃないかと思いますよ、それは。米英関係をアメリカが問題にしないのと同じようなことだというふうに思いますからね。ですから、そのこと自身は私はそれほど心配することではないと。しかし、しかしですよ、やっぱりすぐそばに大きくなりそうだというそういう国があったときに、相対的に日本の存在というものは小さく見られがちであるということもあろうかと思いますよ。ですから、それはそれで気を付けていかなければいけない。  ですから、私、昨年秋に訪米したときに、米国における世論喚起ということ、そのために人脈をつくろうというようなことを提案いたしまして、それはもう今実践しておるところでございますけれども、そういうようなことも含めてやはり向こうに、アメリカに日本理解者を多くしていくという努力も当然必要だというふうに思っております。そういうふうなこと、様々な努力をしながら日米関係というものをしっかりしたものに、更にしっかりしたものにしていくということが大事だと思います。  と同時に、アメリカが日本に何を期待しているか。やっぱりこの地域の安定を日本の手でやってほしいと、そのためには日中が争うような関係になったら困るんだという、このこともあるんだろうと思います。アジアには米軍も派遣しているわけですよ。その米軍がこの地域でアメリカの経済の足を取るまでになってしまっては困るという思いは当然あるわけですから、それは、日本がしっかりしている、日米関係がある、その上に中国という友人ができればこれにこしたことはない。そのことによってこの地域全体が安定する。日中関係が安定することはこの地域全体が安定するんだというような観点から、やはりアメリカとしても日本にそういう方向に向かっての一定の影響力と申しますか、力の発揮を期待しているというふうに私は前向きに考えておるところでございます。
  362. 山本一太

    山本一太君 私の質問はこれで終わらせていただきます。
  363. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 関連質疑を許します。佐藤正久君。
  364. 佐藤正久

    佐藤正久君 自由民主党佐藤正久です。予算委員会においては初めての質問になります。よろしくお願いします。  福田総理には、四年前のイラク派遣時におきまして大所高所から御指導を賜りました。日本政府、東京と現場サマワが連携を密にして同じ方向を向いて頑張ったというおかげもあって、サマワの住民から歓迎をされ、そして評価をされて、全員が無事に任務を完遂して日本に帰ってくることができました。中央と現場が連携をすればすごい力が発揮するものだなということを現場で体感したことを実感しております。  その意味で、当時、日本政府のまとめ役として官房長官として御尽力をされた福田総理にこの場を借りて改めて御礼申し上げます。ありがとうございます。  今後の防衛省改革におきましても、やはり中央、それと現場というものの乖離をなくして連携を密にしてやっていくということが私は非常に重要だと考えております。  私は、福島の田舎、近くに郵便局もなく、唯一の金融機関の農協も経営困難のために閉鎖をされてしまっている田舎の出身で、いわゆる田舎の痛みというのをじかに味わった者の一人です。自衛隊におきましても、民生支援とか災害派遣とか、人の痛み、地域の痛みが分からなければ結果を出せないような活動にも従事をさせていただきました。また、直接の部下四人も事故等で亡くし、イラクにおいては、外務省の奥大使と別れて四日後に彼は亡くなり、また小川さんあるいは橋田さんも日本の宿営地に来てその帰り道に銃撃に遭ったという経験もいたしました。自分ではいろんな修羅場を経験させていただいたおかげで、人の痛みとかあるいは命というものに人一倍敏感な者の一人だと思っています。  その意味で、この資料の一をまず御覧をいただきたいと思います。  陰ぜんをささげる家族、太鼓をたたいて生還を祈る地元の方々、その思いがこもったお手紙を福田総理は御親族から受け取られました。私はこの手紙は非常に重たいものだと思っております。防衛省・自衛隊の改革は、冷静さを保って大所高所から議論を続けることは当然でありますが、親族や地元の方々の思いをその改革につなげていくということも、またこれも大事だと思います。私は、国や国民を思い、そして防衛省・自衛隊を愛する者の一人として、あえて耳触りが悪いところがあるかもしれませんが、思いを込めて質問をさせていただきます。  一連の不祥事、原因はいろいろあるかと思いますが、その要因の根っこに現場の自衛官の多忙化があるのではないかと石破大臣はこの委員会で述べられました。  石破大臣、この簿冊、何か分かりますか。(資料提示)これは陸上自衛隊法規類集です。防衛省からお借りしました。これを積み上げるだけで七十二センチあります。注意とか秘密のものはお借りできませんでした。さらに、実行部隊の連隊クラスになりますと、これに更に方面、師団、連隊の規則が重なります。しかも、その上に行動の規範となる教範類というものも更にいっぱいあります。これらを覚えないと行動ができないばかりか、当然法律違反にも問われると。これほどの規則を頭に入れているような企業というのはもしかしたら少ないのかもしれないと思います。  じゃ、次は資料二を御覧ください。  これは、防衛省の予算の縮減あるいは人員の削減と自衛隊の役割の拡大を一表にしたものです。この十数年の間に、昔は三つの任務しかなかったものが、今このように約十を超えるものができていると。これはすべてこの立法府で議論され、成立したものです。それぞれに権限や武器の使用もすべて異なります。これも頭に入れないといけない。結果、昔は戦車の隊員であれば戦車の射撃の精度を高めるために毎日訓練をしていれば良かったと。ところが、今日は戦車の射撃訓練、あしたは戦車を降りて小銃やけん銃を持ってゲリラ対策の至近距離の射撃、右撃ちの射撃、左側の射撃。そして、次の日は座学で武器使用の勉強をする。次の日は米軍の基地警備の警護出動訓練、次は国際貢献の活動の訓練等々、そういう状況が現場です。また、戦車の性能の向上に伴い四人が三人になりました。結果、停止間あるいは夜間の地上警備というものの負担は当然多くなっています。一部の隊員には、災害派遣の関係から三十分待機、一時間待機を命じておりました。私も連隊長ではそうさせました。これが一つの現場です。  ましてや、海上自衛隊は隊員募集で一番苦労しています。希望者が少ないがゆえになかなか集まらない。集まらないがゆえに、合格ラインを少しほかの職種と比べても、下げても入れないといけない。さらに海上自衛隊、特に艦艇はきついということもあって多くの退職者が出る。そうすると、更に人集めに苦労する。合格ラインを下げないといけないと。まさに募集に負担が掛かり、負のスパイラルに入っているような感じすら私は持っております。  人が少なく忙しくなると、どうしても人間は要領に走りがちです。正規の手続を踏まずに要領に走るという場合があり得ると思います。特に主要な、インド洋での活動中とか訓練のメーン、主要な場面では、いわゆるオンのときはすばらしい成果を残しても、ところが停止中のようなオフというような場合はどちらかというと要領に走りがちではないかなと。今回の一連の海上自衛隊の不祥事は、オンのときではなく、どちらかというとオフのとき、あるいは訓練のメーンではない、正式にはオンなんですけれども、意識的にオフのときに発生している場合が多いような感じがいたします。  そこで石破防衛大臣、お伺いいたします。  現場の痛みを分かっていない者、現場で国民との対話を経験していない者が政策をつくっていないか。結果を出すのは現場です。私は、福田総理が言われる国民の目線あるいは現場目線、現場の痛みが分からなければ結果は出ないと思います。現場や国民との信頼関係も当然生まれないと思います。現場の多忙化に対する大臣の御認識、中央との意識の乖離に関する御所見をお伺いしたいと思います。
  365. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) そのとおりです。  例えば、実に基本的なことですが、私どもの自衛隊はポジリストで動いています。あれをやってよい、これをやってよいというのが全部ずらずらずらっと書いてあって、ネガの形式を取っていません。普通の国はという言い方は気を付けてしなければいけませんが、これをやってはいかぬ、あれをやってはいかぬ、あれをやってはいかぬということが書いてあって、それ以外は何をやってもいいという立て方と、やっていいことをずらっと書いてあるやり方とは、それは全然違う。したがって、どうして法規類集がそんなに厚くなるかというと、やってよいことを全部書き、ROEみたいなものはそこから物すごく派生をしということになるわけですね。  本当にこういうやり方で良いのかどうなのか。私は、やり方を変えろということを言っているわけじゃないんです。ポジとネガの違いというのをどれだけの人が知っているか、その議論がどれだけなされているか、それがどれだけ現場で負担掛かっているかということは、やっぱり我々が法律を決め、予算を決め、権限を決めているわけで、そういう議論はきちんとしていかねばならぬし、我々もそれを提起をしていかねばならぬと思います。  私は、副長官のときからずっと申し上げているのは、何ができて何ができないか、それは政治は知らねばならない。しかし、実際にやるのは、委員が御指摘になったように現場の自衛官なのです。そういう人たちが、この法律についてどうか、この権限についてどうか、この装備についてどうかということは現場の人でなきゃ分からぬ。そのことがどれだけ、まず防衛省内においてきちんと伝わるような体制にするかということが必要であって、それを受けて私どもが、この議会において本当にきちんとした議論が、現場で命懸けてやる人の立場に立ってできるかどうか。そのことが必要であり、私は、委員が議席を得られていることはその意味で本当に有り難いことだと個人的には思っておるところでございます。
  366. 佐藤正久

    佐藤正久君 ありがとうございます。  やはり大臣は、どちらかというと現場の意見を聞きたいという意思は何回も表示されておりますけれども、やっぱり大事なのは、そういう現場の意見とか思いというのが大臣の方に入りやすくシステムをつくっていくということも大事だと思います。その意味で、現場とともに中央組織の改革も今非常に大事だと思います。  私は、現場と市ケ谷中央との双方の勤務経験をさせていただきました。現場の思いを伝え政策に反映させようと思っても、現在の中央組織のままでは難しいという部分もあるかと思います。やむを得ないのかもしれませんが、ほかの役所以上に、役人の方が現場で体験を積む機会というのは少ない役所だと思います。あるいは、予算のパイは決まっていますから、残念ながら、陸海空それぞれの利益代表として、予算獲得のために相当なエネルギーを使わないといけないということも多くありました。  一連の守屋前次官の収賄容疑とか給油量の取り違えの報告、あるいは今回の「あたご」の事件の情報発信などを見ても、大臣が言われるように、危機管理庁としての中央組織の見直し、改革は是非必要だと思います。今やらずしていつやるんだという感じすら個人的には抱いています。防衛省に戻って石破大臣を補佐したいぐらいの気持ちもあります。  そこで、中央組織の改革について幾つか質問いたします。  防衛省の参考人の方にお伺いいたします。防衛省中ポツ自衛隊とか防衛省スラッシュ自衛隊とよく言われますけれども、防衛省と自衛隊、この違いは何でしょうか。
  367. 中江公人

    政府参考人(中江公人君) お答えをいたします。  お尋ねの点につきまして、防衛省と自衛隊は共に同一の防衛行政組織でありまして、防衛省という場合には陸海空自衛隊の管理運営などを任務とする行政組織の面をとらえておりますのに対しまして、自衛隊という場合には我が国の防衛などを任務とする部隊行動を行う実力組織の面をとらえております。  具体的には、防衛省の任務、所掌事務等につきましては国家行政組織法の規定に基づき防衛省設置法において定めており、自衛隊の任務や指揮監督、自衛隊の部隊の組織・編成、行動、権限等につきましては自衛隊法において定めているところでございます。
  368. 佐藤正久

    佐藤正久君 要は、自衛隊というのは実行組織という側面があると。普通の行政組織とまた違う側面があるというふうに私も思います。これが、防衛省がほかの役所と違うことは、国内最大の武装組織たる自衛隊を管理し運用するというところにあると思います。  資料の第三を御覧ください。  ここに国家行政組織法が抜粋してありますけれども、防衛省を他の省庁と同じ感覚で扱っているためか、特異性を何一つ記載してありません。他省庁と同様に事務次官を置くとだけあります。ここに大臣がよく言われます市ケ谷中央が使いづらい組織だと言われる一要因があると私は考えます。  次が防衛省設置法です。ここで大臣を支えるべき重要スタッフとして、防衛事官があります。防衛事官は、専属的な所掌を持たずに、フリーに大所高所から大臣を補佐する趣旨で設立されました。防衛事官にはこれまで自衛官が就いたことはありません。現在も、この設置法第九条にあるとおり、ラインの官房長、局長がスタッフとして就いており、他省庁からの出向者を含め三名がそのほかにいると。さらに、第十二条により、局長、官房長は、大臣を補佐する観点から、各幕僚長を指示し承認し監督する立場にあると。  この規定を見て分かるとおり、大臣が、文官と自衛官には上下関係がないんだと、並列で大臣を支えてほしいと願っても実質上下関係があります。俗に言う文官統制と言われる部分だと私は思います。  資料の第四を御覧ください。  今言ったことをイメージとして、組織図を作りました。  今、事務次官というものが大臣の、副大臣の下では事務方のトップとしておられ、そこで有事、軍政と軍令も併せ持って同時並行的に一人が補佐していると。軍事的な専門家でない方が大臣を補佐するという位置にあり、権限も物すごく集中しやすいという部署があります。そしてまた、防衛事官も次官の下にあって、ラインの局長がスタッフを兼務していると。であれば、やはり自分の縄張ありますから、大所高所からフリーで補佐をするということは、今回の「あたご」の件見てもどうなのかなという感じが個人的にはしています。  また、官房長、局長が指示、承認、監督するために、どうしても大臣と制服との意識の乖離、これがあります。大臣に直接物を申すという状況には平時はなかなかありません。内局の方々を通して上げるということが、前回の海幕の防衛課長の給油取り違え問題で上に上げなかったという部分の遠因にもあるような気がしますし、今回の報告が内局の中で四十分ぐらい掛かってしまった、あるいは海幕の方から直接大臣に上げなかった、日ごろの業務、平時の組織がそうなっているがゆえにやっぱり意識的に遠いという部分があるのではないかと思います。  じゃ、資料の第五をごらんください。  これが日本と同じイギリスの議院内閣制における国防省の組織です。国防次官と国防参謀長が横並びで大臣を支えている。その下に第二次官と国防副参謀長がおられ、これはUC混合として実際の内局的な仕事をしているというものがあります。  軍のトップが次官の下に位置付けられているという国は余り聞いたことはありません。それは、次官は役人であってやっぱり責任を取れないということにも原因があると思います。責任を取るのは国防大臣であり、首相、大統領です。国防省はやっぱり他の役所と違って軍を管理し運用する。責任を取るべき大臣や首相が軍を管理運用する場合に、軍事的知見とか経験の少なく責任を取ることができない次官を大臣と軍参謀長の間に入れることは、やっぱり平時管理あるいは実際の有事においても不具合が生じる可能性があるからかもしれません。経験則からかもしれません。  資料第六をごらんください。  それを踏まえて、非常にアバウトな一つのイメージですけれども、やはり大臣を補佐するためのもの、参事官よりも補佐官という表現の方が適当だと思いますけれども、それはやっぱり大臣のそばに置くべきだと。しかも、政治任用すれば事務方との良い緊張関係も生まれ、守屋前次官の収賄容疑のようなことも起きなかったかもしれません。  また、両方が事務方あるいは制服の方が、それぞれ専門分野で大臣を直接補佐をする、権限も分散するというやり方も一案かもしれませんし、有事には軍政と軍令は同時並行的に走ります。軍令というのはやっぱりきちっと切り分けながら、そういう統合司令部的なものを日ごろから、少なくても小さくてもいいですけれども持っておくという部分も必要ではないかなと思います。  そこで大臣にお伺いします。  大臣の補佐体制に対する問題意識と私の考えに対する御意見を含め、今後の防衛省改革に対する御決意をお聞かせ願いたいと思います。
  369. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 私もこの仕事に携わること何回目かでありますが、委員のような詰めた御議論が初めて展開されたと思っております。  まさしくこの組織論をどうするか。防衛省設置法で、よくUとCは車の両輪と言われますけれども、十二条を見れば、上下という言い方が悪ければ、少なくとも参事官が決定に割って入る形にはなっているわけですね。これをどう考えるのか、いいのか悪いのか、その議論はやっぱりちゃんとしないと駄目だと思います。  そして、参事官防衛事官というのは、防衛大臣というのは基本的に素人なのだから、軍事というのは極めて膨大、複雑、巨大なものであって、素人の防衛大臣に全部分かるわけはないだろうと。しかしながら、選挙によって主権者たる国民に責任を取るという一点においてのみこれは文民統制の主体者たり得るのだと。だとするならば、それをどう補佐するのが適切かといえば、それは大臣と進退を共にする者、統制される側ではなくて統制する者と進退を共にする者でなければいかぬだろうという話であったところ、官房長その他の局長防衛事官をもって充てると書いたことは一体それは何なのだという議論はちゃんとなされなければいけません。  そしてもう一つは、車の両輪として支えるという言い方をずっとしてまいりましたし、今も政府としてはその立場でおります。  ただ、両輪として支えるところに意味があるのは、その両輪が同じ方向を向いており、同じスピードで回ってこそ両輪たり得るのであって、違う方向を向いてスピードが違ったらば、それは車は倒れるに決まっておるわけでございます。分かりやすい例えは結構難しくて危険なところはありますが、本当に両輪でという形が正しいかどうか。  他方、じゃ戦前の日本ではどうであったかというと、完全に軍政と軍令は分かれておったわけですよね。軍令は完全に軍部が独占しておって統帥権独立ということになっておった。一切物が言えなかった。じゃ、結果はどうであったかといえば、全然良くなかったということになるわけで、私は軍政軍令二分論が正しいというふうに今のところ完全には理解をしておりません。  だとすると、委員が御提案になったような、スタッフ部門とラインの部門ということをきちんと分けた形で、少なくとも私は、スタッフの部門というのをUC混合で支えるという考え方は取り得ないものだろうか、委員が御指摘になったイギリスのやり方というものをどういうふうにして参考にすることはできないものだろうかという意識が一つございます。  委員の御提案を拝見して、私も全部きちんと理解をしておるわけではございませんが、この幕僚長の位置付けをラインとして位置付けるのか、スタッフとして位置付けるのか。幕僚長でございますから、言葉からすれば当然スタッフになるわけですが、今の形は、ラインとスタッフのところは混線しているところがございます。これをスタッフとしてきちんとして分けた場合にどうなるだろうか、そして統合司令部というのを設けたときに、ここをラインとしてきちんと分けるとすると、スタッフとしての統合幕僚長の下にUC混合があり、次官の下にUC混合があるというのが、これが最も適当にワークするものかどうか。私、また委員と議論をさせていただきたいと思っております。  今のところ私の考えでは、次官というのは、それはUCの上に、上といいますか、UCの全体を束ねる立場に立つのが事務次官ではないか。仮にこういう図にしようと思いますと、国家行政組織法を少しいじらなければいけなくて、その場合に防衛省・自衛隊というものが国家行政組織法の例外たり得るかどうかという議論にひっきょうなってくるものでございます。  問題意識は委員と私、完全に共有するものでございますが、どういう形が一番望ましいか、日本の法体系においてどうかという議論をまさしく立法府の場において御議論をいただき、私どもとしても、有識者会議で行われます意見の方向性を真摯に踏まえながら、尊重いたしながら立法府の御議論も賜りたいと、このように思っておる次第でございます。
  370. 佐藤正久

    佐藤正久君 ありがとうございます。  国家行政組織法があるから、それをいじる必要はないという議論には私はくみしません。大事なのは、いかに国民の命を守り、国の安全を守るかと。その観点で、危機管理庁として有事それがうまく動かないという問題点があるんであれば、それは法は修正すべきものだと私は思います。それがやっぱりこの立法府で政府とは違う立場でいろいろ議論をすべき分野と思います。今後ともよろしくお願いします。  続きまして、今回の「あたご」の事故発生におきます政府全体の動きについての御質問をさせてもらいます。  資料の第七を御覧ください。ここに事故発生当初から数日間の各省庁の連携というものを書かせてもらっています。もう終わったことをいろいろ言うつもりもありませんが、大事なのは、縦割りではなく、各省庁が連携をしながら捜索救助に当たるというものが一番大事だと思います。  捜索救助の一番の任務を持っているのは海上保安庁です。海上保安庁がどういう形でこの捜索救助をコーディネートしていくかという部分が一番大事だと私は思っています。この絵を見ると、もしかしたら海上保安庁の方から二月十九日の日に文部科学省の方に捜索・捜査協力依頼があった方がよかったのかもしれないし、あるいは、素人的に見ると、なぜ海上保安庁の方の専従捜索の方が文部科学省より早く終わってしまうのかと、いろんな、素人的に言うと何かちぐはぐのような感じもしないでもないので、大事なのは、今後いざというときに縦割りをなくして、速やかに今回のような場合では三省庁が連携を取っていくというのが大事だと思います。  そこで、海上保安庁長官の今後のこのような事故対応における早期の、初動の捜索救助活動についてのお考えあるいは決意をお聞かせ願いたいと思います。
  371. 岩崎貞二

    政府参考人(岩崎貞二君) 海上自衛隊等関係機関と私ども海上保安庁が共同で捜索する場合、通常、私どもの方が、海上保安庁の方が漂流予測を行いまして捜索区域を決定して、それで分担をしながら、話し合いながらやっていくのが通例でございます。今回もこのような形をやらさせていただきました。  文科省との関係でございますけれども、私どもも、沈んだ船がどこにあるのかというのは、測量船で見ましたんですが、なかなかやっぱり深いところにあるということで、文科省にこうしたことをお願いするということは当時思い至りませんでした。防衛省の方から文科省の方にこういうやり方もあるよということでお話をいただいて、私どもも、ああ、それなら是非よろしくお願いしたいと答えた記憶がございます。  なかなかすべてのケースで一律にいくとは思いませんが、こうした経験も今後頭に入れながら、きっちりした捜索救難に当たっていきたいと思っております。
  372. 佐藤正久

    佐藤正久君 よろしくお願いします。やはり、今回の地元の漁民の方々あるいは吉清さん親族の思いを結果とするためにも、捜索救助の初動態勢というものは非常に大事だと思いますので、よろしくお願いします。  次に、資料第八を御覧ください。この保安庁と海上保安庁との犯罪捜査に関する協定、昭和二十八年十月一日というものです。この保安庁というのは今の防衛省です。海上保安庁ではありません。防衛省と海上保安庁との犯罪捜査に関する協定、これはまだ生きております。これに基づいて今回の当初の初動捜査がなされたということになります。  ただ、残念ながら、この協定の存在を海上保安庁の方でも認識している方は私が接触した限りでも全員というわけではなかったと。であれば、この協定を読まれたことがある方も少ないのかもしれないと。  海上自衛隊は海上保安庁から分かれて誕生した組織です。まさか子供が親よりもこんなに大きく、そして高度な機密情報を含んだ機器を搭載する艦船を所有するということは想定せずに作られた協定かもしれません。この協定の読み方次第では、今回の事故に関しても海上自衛隊もある程度の捜査はできるのかもしれません。  ここに、前の外交防衛委員会で海上保安庁長官が説明されたように、漁船と漁船の事故であれば海上保安庁が捜査をします、自衛艦とそれと漁船であれば海上保安庁が捜査をします、自衛艦同士の船であれば海上自衛隊の方が捜査をするということを答弁されましたけれども、それ以外にもいろんな多分細かいケースがあるんだろうなという感じがします。  大事なことは、この種の事故が発生した場合に、混乱せずに政府として速やかな捜査を行うためにも、私はこの協定を時代に合うように見直す、あるいはその細部運用協定を作るというのが行政の長たる防衛大臣海上保安庁長官の務めであって、吉清さんの御家族や川津漁港の皆さんの思いを結果にする、あるいは海で行動する国民を守ることにつながると思います。防衛大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  373. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) おっしゃるとおり、これは協定でございますので、どのような協定を結ぶのが一番よいのかという観点から議論をしなければいかぬことだと思います。  軍、まあ普通の国でいえば軍ですね、に警察が入ってくるということはあり得ないだろうというような論評が巷間なされておるわけでございますけれども、私どもとして、今軍法というものが存在するわけではない。しかし、それは憲法の規定によって最終審としてやってはいかぬということが書いてある、あるいは行政裁判所の位置付けが書いてある。  そうすると、それはどういう形が一番望ましいのか。縄張意識とか、親だとか子だとか兄であるとか弟であるとかそういう話ではなく、本当に委員指摘のように、吉清さんの御家族あるいは漁協の関係者の方々の思いというものを考えたときに、同じ海に生きる人間としてどういう形が一番いいのだろうかという形は虚心坦懐に議論はしてまいりたいと思っております。そのときに、本当に縄張意識とかそういうようなものを一切持たずに、どういう形が一番望ましいのかということを今の憲法の枠組みの中できちんと議論をしたいと思いますし、国会においても、こういう形はどうか、ああいう形はどうかというような御提案を賜りまして、本当につらい思いをしておられる方々にこういう形でおこたえできたという形ができればせめてもの慰めかなと、そのために努力をしなきゃいかぬかなと思っておる次第でございます。
  374. 佐藤正久

    佐藤正久君 ありがとうございます。  今回の初動捜査でいろいろやっぱりそごがあったのは、この協定の細部ができていないところに一つの原因があったと私は考えていますので、またどうぞ結果を出していただきたいと思います。  最後に、福田総理にお伺いいたします。  今までの議論を通しまして、いろいろ答弁がありました。今後の防衛省改革、あるいはこういう危機発生時における、海難時における政府の対応等々について、福田総理のこれからの改革に向けての、あるいは見直しに向けての御決意、これをお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  375. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 今般のイージス艦事故に限らず、昨年来、様々な問題が防衛省・自衛隊の中で発生したということ、このことによって国民の信頼を大きく傷つけたということは、本当に残念なことであると思っております。そういうような防衛省・自衛隊、これは、この役割というものは国防でございます。この国防は、いかなる状況にあってもこれはひとときもゆるがせにすることができない大きな責任を担っているわけでございますので、それだけに国民が今信頼できる防衛省・自衛隊であってほしいということを心から願っているんではないかと私は思っております。  私は、この国民の期待の重さというものをしっかりと受け止めて、防衛大臣一緒にこの防衛省・自衛隊が抱える問題点を明らかにして、そして防衛省の改革会議の議論も踏まえまして、全力を尽くしてこの改革を進めてまいりたいと、このように思っておるところでございます。
  376. 佐藤正久

    佐藤正久君 力強い御決意、ありがとうございました。  以上で質問を終わります。
  377. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 以上で山本一太君の質疑は終了をいたしました。(拍手)     ─────────────
  378. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 次に、浜田昌良君の質疑を行います。浜田昌良君。
  379. 浜田昌良

    浜田昌良君 公明党浜田昌良でございます。  本日は、防衛問題の集中審議ということで、今話題にもなりましたイージス艦「あたご」の問題、また前事務次官であった守屋さんの問題等々を取り上げながら、こういう問題をいかに再発を防いでいくかという観点から質疑をさせていただきたいと思っております。  まず最初に、イージス艦「あたご」の件でありますけれども、本件につきましては三月の二日に福田総理自身が現地を訪問されまして、御家族に直接会っていただいております。また、御親戚の方が連名にされたお手紙もいただかれたと聞いております。それらを読まれて、総理の御決意、今後のこの問題に対する思い、御決意をお語りいただきたいと思います。
  380. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 三月の二日でございます、遭難された吉清さんの御家族を訪問いたしました。私もずっと予算委員会があり、そして土日は韓国大統領の就任式に参列するというようなことで一日も時間がなかったものですから、二月十九日の事故から二週間たちましたけれども、また先方の御都合もありますので、御都合をお伺いして、そして来てくださいというその日にお伺いしたわけでございます。そして、いろいろと長い時間お話をさせていただきました。また、おわびを申し上げ、そして遭難されたお二人の写真をよく拝見させていただきました。改めて大変申し訳ないことをしたなという、そういう思いでいっぱいでございます。  訪問の最後に、御家族のお一人から手紙をお預かりしました。これは、内容的には、内容はほかの委員会でも申し上げておりますけれども、石破大臣を始め、関係者が簡単に辞めたら済むという問題ではないんだと、そういうことよりも、しっかりと自衛隊の人に今回の教訓を教えて、こういうことが二度と起こらないようにしてほしいと、こういうふうなことを言っておられまして、また自衛隊の体制の立て直しというようなことをお願いしますということを言われました。私としても、こういうような言葉を重く受け止めております。  今回のような悲惨な事故が二度と起きないように、再発防止を徹底するとともに、国民の信頼に堪え得る防衛省・自衛隊に生まれ変わるように努力をしてまいりたいと思います。
  381. 浜田昌良

    浜田昌良君 ありがとうございました。  今総理がおっしゃいましたように、残された家族の方々の思いというものは、再発を防止してほしいと、そういう点が強いわけでございます。  そこで、今回、防衛省がこの「あたご」の調査委員会からの中間的な報告書を先週金曜日に取りまとめしました。この中で、ざっと読まさせていただいて、あれっと思う点が二点ございました。  まず第一点は何かというと、自動操舵の問題でございます。  この「あたご」が事故を起こした時点では、いわゆる直前で手動に変えておりますけれども、その航海に入るところまでは自動操舵で来たと。何らかの委員会で防衛大臣も答えられましたように、普通の民間の船でああいう東京湾の入口で漁船も結構いるというところで自動操舵をしているのは余りないんじゃないかと私も思いますけれども、この点について何らかの記述、また今後自動操舵をする場合のルールを決めると、こういう点について今後どのように深めていかれるのか、防衛大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  382. 徳地秀士

    政府参考人(徳地秀士君) お答えを申し上げます。  今回の公表では、自動操舵に関しましては、これまでの調査で確認できたことといたしまして、二月十九日の一時から二時までの間に約二十分間手動操舵で航行していたこと、それからその後当直士官の命により自動操舵に切替え航行していた旨を明らかにしているわけでございます。  それから、今回の公表では、「あたご」が当時自動操舵を行っていたことの適否については、そのものにつきましては直接的な評価を行っておりませんが、「あたご」全体の対応につきましては、御指摘の自動操舵も含めまして「あたご」は適切な避航措置をとっていない、それから衝突直前に「あたご」がとった措置は回避措置として十分なものでなかった可能性が高いというふうに評価をされているところでございます。  それから、一般論といたしまして、事故が発生した海域は、東京湾のように常に手動操舵が求められるような海域であるとは言えないわけでございますが、周囲に船舶が多く航行していたり、他の船舶と接近するときなどは手動操舵に切り替えるべきものというふうに承知をいたしております。  したがいまして、防衛大臣の方から、自動操舵に係る内規を定めて、いかなる場合にだれの判断で自動操舵にできるのかなどについて明確にすることを検討するようにという指示を受けているところでございます。
  383. 浜田昌良

    浜田昌良君 御答弁いただきましたように、今後そういう手順書をはっきりさせていただくということは重要と思いますので、お願いしたいと思います。  もう一点は何かといいますと、CIC、戦闘情報センターの当直体制でございます。  これについては、本来七名が標準であるところ、前直の体制を見ますと、最初前半の一時間は三名、後半は四名という半分程度のメンバーになっております。かつ、それが本来であれば船務長の了解が要るところを電測員長の独断でなされているという次第が書かれていたわけでございます。  自衛隊というのは、いわゆる武力、実力組織においてこのような現場での独断というものが行われているのか、この点について、今後も含め大臣に御答弁いただきたいと思います。
  384. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) これがほかの艦においてもどうであるのかということでございますが、もちろんこれはあってはならない話で、言語道断な話です。権限がない者がそのようなことをやってよいはずがないということであって、これはもうとにかく話にならないと。  これがほかの船もどうなのだということで、三月二十一日に海上自衛隊の全水上艦艇約百五十隻に対しまして当直員を許可なく減員していないかという確認を行ったところ、許可なく減員は行われていないというふうに回答は得ているところでございます。  要は、その海上衝突予防法五条に言います適切な見張りというものが確保されるように、要は光学的なレンズによって見るということもあります。CICでレーダーによって見るということもございます。適切な見張りというものが行われているかどうか、今この状況にかんがみて、まさしく委員がおっしゃったように、この海域に入るときに適切な見張りとは何なんだという意識を権限がある責任ある者が常にウオッチしておって、今がこの状態にベストという判断が常になされるように、そういう体制を確立をしなければならない。これは急を要すると考えております。
  385. 浜田昌良

    浜田昌良君 ありがとうございました。  今の御答弁で、三月二十一日の調査で百五十隻お調べいただきまして、そういう許可なく行っている例はないという御答弁をいただきましたので、こういうことの再発、より再度取り組んでいただきたいと思っております。  国民の目線から今回の「あたご」の事件を見てあれっと思う点は、これも二点なんですね。  一点目は、自衛隊というこういう立派な組織でありながら、一人が間違えたら、フールプルーフで、また基本的には何らかでそれをカバーするというのが普通の組織ですね。それが、いろんな人がいるはずなのに、多重防護しているはずなのにそれが全部抜けてしまって事故が起きる、こういうことが自衛隊という組織にあっていいんだろうかと。フェールセーフという導入はどのようになされているのか、これについて防衛大臣お答えいただきたいと思います。
  386. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) この多重防護の考え方は、私も事故が起こりましてしばらくたって「あけぼの」という船に乗ってみました、実際同じような時間に。この多重防護の体制というのができていると思いました。実際そうです。ただ、全部が駄目だったらどうしようもないと。つまり、Aが駄目ならBがカバーする、AとBが駄目でもCがカバーする、A、B、Cが駄目でもDがカバーするというような形でシステムとして動くわけですが、全部駄目だったらどうするということを実は余り考えていなかったのではないか。  今度の「あたご」が全部駄目だったということを私は申し上げているわけではありません。これは全部の聴取が終わって全体像が明らかになるものですが、とにかくフェールセーフが効いていればこれは起こらなかったはずなのであって、どこに盲点があったのか。最新鋭艦であり、そしてイージスという、例えばCICは、ほかのタイプの船よりは人間が倍ぐらいおります。最新鋭艦でイージスであるということに何も着目するつもりはありませんが、かつてエアバスの飛行機が名古屋空港で落っこちたときに、フェールセーフがあるにもかかわらず何だという指摘があったと思います。どこに落とし穴があったか、盲点があったかということは徹底的に検証いたします。委員の御指摘は、本当にフェールセーフの実効性ということで極めて重要だと思っております。
  387. 浜田昌良

    浜田昌良君 ありがとうございました。  是非、フェールセーフ、この観点からもう一度、各艦船、また陸空においてもチェックをお願いしたいと、それがある意味ではシビリアンコントロールを徹底するということにつながると思いますので、お願いしたいと思います。  もう一点、国民があれっと思ったことが、やはり防衛大臣、総理への報告が何でこんな遅いんだろうということですね。まあこれはこういう事故で確かに問題ではありますが、いざ有事というときにはこういうことは許されないというわけでございまして、これについては先ほど既に浅尾委員質問で、担当を、情報をすべて受け取る部署をもう固定化して、かつ海幕オペレーションから直接大臣へつなぐということを決められたと御答弁がございましたので、それを是非実施していただきたいと思っております。  そしてさらに、こういう情報がちゃんと上がってくるということがシビリアンコントロールの原則で、前提でありますので、先ほど佐藤委員の御質疑にもありましたように、大臣を支える側の組織、いわゆる大臣によってチェックされる、自衛隊側じゃなくてシビリアンの側にどう体制を強くするのか。大臣、副大臣、政務官といますけれども、それだけではなくて、それはUもCもあるかもしれない、コントロールをするという側をしっかり専門性を持って築いていただきたいと思います。  次に、守屋事件について質問を移らせていただきたいと思います。  これについては、山田洋行の水増し見積書というのが明らかになったわけでございまして、先ほど犬塚委員質疑にもありましたように、外交防衛委員会で調べた回答がありました百七社においても、約十社、一割程度が見積りが違うと、そういう問題があると答えているわけでございます。  そういう意味では、今まではこういうことをしていなかったかもしれませんけれども、今後、商社経由の装備品調達に関してはメーカーの見積書を防衛省が直接確認することを制度化すべきと考えますが、大臣の見解いかがでしょうか。
  388. 小川秀樹

    政府参考人(小川秀樹君) お答え申し上げます。  御指摘のとおり、山田洋行などによります過大請求、外国メーカーの見積書を偽造、改ざんする手法により行われていたということで、山田洋行を始め過去の契約について徹底的な調査をしておるわけでございますが、今後の措置といたしまして、全く御指摘のとおりでございまして、御指摘のような、見積書を直接確認する、契約の事前に直接確認するというのは、こういう水増し請求事案、一般輸入調達の水増し請求事案の防止に極めて有効であると考えております。  そういうことで、昨年末から既に、輸入商社などから当省に提出されました見積書の写しを外国メーカーに送付いたしまして、その真正性を確認した上で契約を締結するという措置を実施に移しておるところでございます。ただ、まだこれは契約上の根拠があるものじゃございませんので、二十年度からこの措置を制度化すべく、こういう直接照会をする、メーカーに対する直接照会をするというのを契約に特約として明記する。それから、先ほどもちょっと御質問がございましたけれども、契約相手方と海外メーカーとの間に流通業者が介在する場合に、メーカーへ送ってもなかなか分からないということがございますので、流通業者を介する場合でありましても原則としてメーカーの見積書の提出を義務付けると、そういった内容も特約に盛り込むべく検討、準備をいたしております。
  389. 浜田昌良

    浜田昌良君 ありがとうございます。二十年度よりそういう制度がしっかりなされるということを是非期待したいと思います。  この守屋事件ですが、角度を変えてみますと、宮崎元山田洋行専務は自衛隊OBでございました。そういう意味では、いわゆる天下り企業との癒着問題とも見えるわけでございます。  データで見ますと、平成十二年から十八年という七年間で、防衛省の管理職クラスの天下りが六百九名、年間九十名ですね。また、国民には余り知られておりませんけれども、前の通常国会で成立しました改正国家公務員法、いわゆる天下り防止法の対象に、防衛省の制服組だけじゃなくて背広組も対象外になっているわけです、現状は。これについては、防衛省の担当に聞けば、法案は用意したけれども民主党が反対をされるから出せないということを言っておりますけれども、私はこの天下りの問題については他の省庁と同じような対応をすべきだと思っております。  そこで、総理に質問したいと思いますが、先般成立したいわゆる天下り防止法の対象に、少なくとも防衛省の背広組、できれば制服でも管理職相当職を加えるべきと考えますが、御見解いかがでしょうか。
  390. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 昨年の四月の公務員制度改革に関する閣議決定におきまして、自衛隊員については、特別職の特殊性を十分考慮した上で、一般職の国家公務員に適用される能力・実績主義、再就職に関する規制に準じた内容の法案を速やかに提出するということになったわけでございます。これを踏まえまして、現在、防衛省において、若年定年や任期制といった実情を十分考慮した上で、改正国家公務員法に準じた内容の法案を検討しているところでございます。  確かに特殊性というのは、自衛官の場合には二曹、三曹で定年、五十三歳とかで、非常に若いときに定年を迎えるというようなこともございますので、そういうような特殊性というものを十分考慮しなければいけないというようには思っております。
  391. 浜田昌良

    浜田昌良君 そういう特殊性はしっかりと考慮していただいて、できるものからやっていくということを是非お願いしたいと思います。  次に、本年二月十日に沖縄で発生しました在日米兵による少女への暴行事件について質問したいと思います。  本件は、十四歳の被害者が告訴を取り下げられておりますので、しかし、だからといって忘れていいわけではないと思っております。きっちり総括をしておかなければならないと思っております。  在日米兵による少女暴行事件は、一九九五年、二〇〇〇年、二〇〇五年、そしてまた今回というふうに、そのたびごとに抜本的な対策というのを打っているはずですがなくならないという実態であります。  そこで、防衛大臣質問したいと思いますが、在日米軍基地と地域社会との共存という観点から、平成二年から十八年までの十七年間で、在日米軍による強姦犯は二十三名、強制わいせつ等風俗犯が二十四名、粗暴犯百三十四名という実態についてどのように評価されるか。また、なぜこのような事件が繰り返されるのか、その原因について御見解をお聞きしたいと思います。
  392. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 私がお答えするのは必ずしも適切ではないかもしれませんが、お尋ねでございますので、お答えをさせていただきたいと思います。  よく、今委員がおっしゃったような数字があって、これは国内で日本人が起こす犯罪と比べて多いとか少ないとか、そういう議論をされる向きが一部ありますが、私はそういう多いとか少ないとかいう話じゃないだろうということだと思います。  やはり、これは日本防衛ということでもあるし、そして極東の平和と安全に寄与をするという在日米軍でございますけれども、主権国家たる我が国に米軍が駐留をする、それが粗暴犯であったり、女性に対するそういう犯罪であったり、それは一件でもあってはならないことなのだという強い怒りとか決意とかいうものを我々がどれだけ持つかということであり、そして、これが起こったときに、先般の沖縄の事例が起こったときに、すぐ在日米軍司令官が来られた。そして、ライス国務長官も私のところへ来られた。それは、一番そういう怒りと悲しい思いをしているのは、あるいは米軍の責任者なのかもしれない、米国政府の責任者かもしれない。やはり、これは一件でもあってはならないという思い、それは理想論さと言われるかもしれないけれど、そういう思いを日米共に持つことだというふうに思っております。  私は、こういうようなことがあって、なぜ良き隣人たり得るのか、数が少なきゃいいだろうとか、そんな話じゃ断じてないというふうに私は思います。
  393. 浜田昌良

    浜田昌良君 まさに大臣がおっしゃいましたように、日本の犯罪と比べてどうかと。多いか少ないかではなくて、こういうことが一件も起きないように努力をするということに非常に意義があると思っております。  少し観点を変えますが、性犯罪、特に子供に対するわいせつ行為については累犯性が高いと言われております。米国では、一九九四年、当時七歳だったミーガン・カンカちゃんがニュージャージー州で誘拐された。性犯罪累犯者によって暴行をされ、殺害されたことを受け、ニュージャージー州では性犯罪者の情報公開法、これが制定されまして、それを受けまして、この動きは全国に広がりました。  そこで、外務省にお聞きしたいと思いますけれども、ニュージャージー州、ワシントン州、テキサス州などの州法や、一九九六年改正ウェッタリング法等、連邦法でアメリカは性犯罪者に対してどういう情報公開をしているのか、その実態をお答えいただきたいと思います。
  394. 西宮伸一

    政府参考人(西宮伸一君) お答えいたします。  米国におきましては、連邦法でありますウェッタリング法によって、未成年者に対する性犯罪又は暴力的な性犯罪で有罪判決を受けた者について、その氏名、現住所、指紋、写真、身体的特徴、それから犯罪歴及び精神障害又は人格障害の治療に関する文書を州政府に登録すると。そして、各州がその登録情報の一部を公開する制度を創設することが規定されております。このウェッタリング法、連邦法の成立を受けまして、全米五十州でそれぞれが性犯罪者登録に関する州法を制定しております。  お尋ねのテキサス州について申し上げれば、犯罪者の氏名、写真、身体的特徴、犯罪歴、現住所等が公開されることとなっておりますし、また、ニュージャージーあるいはワシントン州においては、同じようなことが当該者の再犯の可能性に応じて公開されるということになっております。  なお、二〇〇六年に成立いたしましたアダム・ウォルシュ法によりまして、このようにして各州が保有する性犯罪者に関する情報を統合する全米性犯罪者登録簿が作成されまして、インターネット上に犯罪者の氏名、郵便番号、所在郡名、所在市町村名、所在州名及び国籍が公開されているところでございます。
  395. 浜田昌良

    浜田昌良君 克明な御報告、ありがとうございます。  もう一問追加でお聞きしたいんですが、その方が、今のお話では、連邦の法律でそのデータをつかんで各五十州にデータを送ると、こういう体制ができているという話ですが、そのいわゆる対象者が軍に入った場合は、情報はどうなっているでしょうか。
  396. 西宮伸一

    政府参考人(西宮伸一君) 米軍の採用者につきましてどのようなことになっているかというお尋ねであろうかと思いますが、米軍の人員配置につきまして、各構成員の日本に配置される以前の犯罪歴の有無につきましては、政府として承知しておらないところでございます。
  397. 浜田昌良

    浜田昌良君 今のお答えは、日本政府としては持っていないということのお答えだったですけれども、アメリカ国内にいればそういう人たちは必ず情報が何らかの形で各州に渡っているという状況であると。それに対して、アメリカの本土の中の軍の方にはデータがあるかもしれないけれども、日本政府にはそのデータをいただいていないということだと思います。  それで、いわゆる少女に対するこういう事件を本当になくしていくためには、さっき言いましたように、一九九五年以降もう五年ごとぐらいで起きていること、根絶するためには、こういうアメリカのデータも逆に参考にして、いただくようにして、徹底した対応を取っていくことが重要と考えますが、最後に総理より御答弁いただきたいと思います。
  398. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 在日米軍が円滑に日本においてその任務を全うするというためには、その米軍の施設・区域の周辺住民の理解と支持を得るということは、これはもうとても大事なことだというふうに思います。  そういう意味で、地元の意向は十分踏まえながら、その犯罪防止策がより実効的かつ包括的なものになるように米側と取り組んでいく、忍耐強く取り組んでいくということは、これは大事なことだと思っております。
  399. 浜田昌良

    浜田昌良君 終わります。
  400. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 以上で浜田昌良君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  401. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 次に、井上哲士君の質疑を行います。井上哲士君。
  402. 井上哲士

    井上哲士君 日本共産党井上哲士です。  横須賀でのタクシー運転手の刺殺事件について、関与の可能性の強い米兵が、今、米海軍が拘束中であります。県警による事情聴取や身柄の問題など、速やかな捜査の協力が行われるようにまず強く求めておきます。  今、一件でもあってはならないという答弁のあった米兵による凶悪犯罪が後を絶ちません。今日は特に性犯罪についてお聞きをいたします。  お手元の資料を見ていただきたいんですが、平成七年の少女暴行事件以来、文字どおり毎年米兵による性犯罪の事件が起きております。そして、今年二月に少女への暴行事件がまた起きました。  事件が起きるたびに綱紀の粛正と再犯防止を申し入れたにもかかわらず後を絶たないと。この実態について、まず、総理、どうお考えか、答弁をお願いします。──総理。
  403. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) これまでも米側に対し累次にわたり綱紀粛正、再発防止を求めてきたにもかかわらず、米軍関係者による事件が繰り返されていることは極めて遺憾であると、これは委員と全く同じ感じ方でございます。  先月二十七日に訪日したライス国務長官に対して私から、今般の一連の事件は甚だ遺憾と言わざるを得ず、米側の再発防止に向けた最大限の努力が必要である旨述べたところでございます。その他いろいろのルートを通じてこういうことを申し入れているところでございます。
  404. 井上哲士

    井上哲士君 この間もずっと言われたけれども、それがなくなっておりません。綱紀粛正や教育で果たして解消されるのかという問題なんですね。実効ある措置をとろうと思ったら、実際に米兵の性犯罪の実態を知る必要があります。  アメリカの国防総省は、二〇〇四年以降、軍隊における性的暴行についてという年次報告を出しておりますが、最近の数をお手元の二ページ目に書いております。一年間でこの米軍における性的暴行事件は報告のあった数で二千六百八十八件です。この数も氷山の一角と言われておりますが、内訳を見ますと、そのうち、立件のための申告を行ったもので数を見ますと、約六割がレイプです。民間人への暴行が五百七十四件六百二十三名、こういうことになります。  そして、私、重大だと思いますのは、FBIの報告によりますと、アメリカ国内の強姦事件というのは人口一万人当たり三・〇九件です。しかし、この年次報告でいいますと、米兵一万人当たりの性的暴行の発生率は何と十八件なんですね。そして、日本の犯罪統計によりますと、二〇〇六年の強姦と強制わいせつの認知件数は合わせて一万二百七十四件です。人口一万人当たりの発生率は合わせて〇・八件ということになるわけですね。そのままこの数を比較いたしますと、実に米兵の性的暴行発生率一万人当たり十八件というのは日本の二十二倍以上になるという数になるんです。  総理、こういう実態を持つ米兵が日本に多数駐留をし、現実に性的犯罪事件を起こしているというこの実態について、総理のその認識をお伺いをしたいと思います。お答えください、総理。
  405. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 米軍人が関係した性犯罪は、二〇〇六年は二千九百四十七件であり、また二〇〇七年は二千六百八十八件であったと承知をしております。  これらの統計は、国防省が性犯罪の防止のための取組の一環として性犯罪の透明性をできるだけ高めるために行われているものと承知しており、その多寡を一概に論ずることは困難であるというふうに考えております。
  406. 井上哲士

    井上哲士君 いや、驚きましたね。多いからアメリカは対策を取っているんです。それを、一概に論ずるを得ない、それでどうして私は日本国民の安全を守ることができるのか。  今、本当に米軍内の性的暴行というのは深刻なんです。あの湾岸戦争後に起きましたテールフック事件というのがありました。ラスベガスで行われた海軍と海兵隊員の親睦会で男性士官百十七人が八十三人の女性を暴行した。これは海軍長官辞任をいたしました。  特に、この間のイラクの戦争以降、深刻化もしているわけですね。二〇〇四年に開かれました下院の女性問題の特別会では、例えば湾岸戦争でスカッドミサイル攻撃中にレイプをされたけれども、軍は大量のピルを被害者に与えただけだったと、こういう証言も行われております。  かつて、軍隊における性的暴行というのは不適切な問題という規定しかなかったんですね。しかし、こういうイラクの帰還兵などのいろんな世論の中で性的犯罪とやっと認めるようになりました。そして、二〇〇五年には性的暴行予防対応局というのが国防総省の中につくられております。  そこがどんなポスターを作っているのか。お手元の三枚目の資料を見ていただきたいんでありますが、これは国防総省が作っているんですよ。性的暴行を食い止めようと。尋ねよう、友人に助けが必要か、行動しよう、彼らが求めているなら、やめさせよう、事件を目にしたらと、こういうものなんです。事件を目にしたらやめさせようということをポスターを張ってやらなければいけないということまで、これは本当深刻だと思うんですね。こんなポスターが張ってある職場が日本の国内にあったらどうなるんでしょうかね。そういう事態に今あるんです。  しかも、二〇〇四年以降、報告書も出されておりますけれども、最近の年次報告でもその数は最高水準だと、こういうふうに言われているんです。一体なぜこういう事態になっているのか。こういう部隊が現に日本にいるわけですから、私はきちっとした認識を持つ必要があると思いますが、いかがでしょうか。
  407. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) いや、米軍人が米軍内あるいは外であるにもかかわらずこういう性的犯罪をするということは、それは当然のことながら大変残念なことであります。それは、外国の軍隊のことであってもそれは大変残念なことであるわけであります。ただ一方で、米軍は、今御紹介あったようなポスターを張ったり、あるいは偉い人がそのことによって辞任をしたり、そして透明性を明らかにして必死に取り組んでいる最中であると、こういうふうな認識をしているところでございます。非常に多いということが残念でないはずがないということでございます。
  408. 井上哲士

    井上哲士君 そういう取組をやってもなぜ減らないのかと。今も最高水準にあるというのが国防総省の年次報告なんです。  私、先ほども少し議論ありましたけれども、これは一般社会における性的衝動を抑えられないことによる様々な性的犯罪とは違うと思うんです。やっぱり軍が持っている、とりわけ、この間、海外で軍事行動を続けてきたアメリカの軍が持っているやっぱり本質的な問題があると思うんですね。  この間、話聞きましたけれども、普通の人間が軍に入って、相手に照準を当てて引き金を引くと、なかなかできないと言うんですね。できるようになるためには、もう相手は自分とは違う人間だと思わせる、そして強い者が弱い者を押さえ付けるのも当たり前だと、こういうものを身に付けないと言わば戦場に行って役に立たない、そういう教育が行われているんです。  元沖縄の海兵隊員の方の証言を聞きましたけれども、海兵隊に入りますと、十八歳、十九歳という少年に毎日教官が、おまえは何をしたいかと、こう聞くと。キルと答えさすんですね、殺す。声が小さいと。キル、大声でずっと叫ばせると。こういうことをやっていましたということが元海兵隊員の証言でありました。  ですから、相手を殺しても、そして強い者が弱い者を押さえ付けても当たり前だということを身に付ける、そういうことが行われる中で、私は、一般社会とは違う、まさに非常に大きな発生率が起きているということになっていると思うんですね。特に、沖縄の海兵隊というのは常時前方展開遠征軍です。戦争のただ中から帰ってきた人、今から行く人が混在している非常に世界でも例のない異常な状況なんですね。  ですから、これは管理強化や教育では解消しないと思います。こういう軍や海兵隊の撤去以外に解消の道ないと思いますけれども、これは総理、しっかり答えていただきたい。総理、いかがでしょうか。総理、答えてください。総理、総理、答えてくださいよ。
  409. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 私たちは、日米安全保障条約によって日本の平和と安全を守っていく、独立を守っていくという選択をしたわけでありますから、そういう中でどうやって犯罪を減らしていくかと、そういうことに全力を尽くしてまいります。
  410. 井上哲士

    井上哲士君 昨日の沖縄の県民大会でも、これは基地あるからこその被害なんだと、基地の被害によって人権が侵害され続けている、もう我慢の限界を既に超えていると、こういう決議も上げられました。  私は、今の答弁は到底県民の皆さんの納得は得られないと思います。本当に国民の安全を守るためには、基地の撤去、米兵の撤退しかないと繰り返し申し上げまして、質問を終わります。
  411. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 以上で井上哲士君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  412. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 次に、山内徳信君の質疑を行います。山内徳信君。
  413. 山内徳信

    山内徳信君 社民党・護憲連合山内徳信でございます。  私は質問事項は多くはございません。したがいまして、答弁は、せっかくお見えでございますから総理大臣にお願いいたします。  日本人の人権とアメリカ人の人権は同じく尊重され、同じ価値があると総理大臣は常日ごろからお考えでいらっしゃいますか。どうぞ。
  414. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 人権についての考え方は基本的に同じでなければいけないと思います。
  415. 山内徳信

    山内徳信君 日本人とアメリカ人の間に人権上、法制度上、不公平、不平等があってよいとお考えですか。どうぞ。
  416. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 私が先ほど答弁したことであるならば、あるはずがないんであります。
  417. 山内徳信

    山内徳信君 日米地位協定の抜本的改正についての総理の決断を求めたいと思います。  日本国憲法は国民の平和的生存権をうたっております。総理の目指す国づくりは、憲法の精神を具現化するものでなければいけないと思います。  最近、在日米軍人による事件、事故が続発しており、大きな問題となっております。二月十日、沖縄県における女子中学生への暴行事件、三月十九日、横須賀市におけるタクシー運転手刺殺事件等々、目に余るものがあります。いずれも公務外の事件であり、日本政府は主権国家として毅然とした態度を取る必要があります。  総理は、日本の最高責任者として、国民の生命、人権、安全を守る立場から、不公平、不平等、米軍優先になっている現在の日米地位協定を抜本的に改正していく責任があります。改正に向けての総理の固い御決意を伺いたいと思います。
  418. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 日米地位協定というのは、日米安全保障条約というものがありまして、それを運営するために必要な約束なんですね、両国間の。この約束について、我が国がこの約束を守っていかなければいけない、米軍ももちろん守るわけです、お互いに守っていかなければいけない。こういう枠組みの中で米軍の駐留というのはあるわけでございまして、この地位協定を今改定するということは、これは考えておりません。そういう地位協定がある中で、いかにして運用を改善するかということに力を入れていると、こういうことでございます。
  419. 山内徳信

    山内徳信君 私も日米安保条約とか地位協定についても知っておるつもりでございます。しかし、戦後六十三年たちます。そして、次々と事故、事件が起こっていて、これは、日米地位協定の改正はもはや運用改善等々では対応できない、そういう状況に来ておると思います。したがいまして、時代の要請でございますから、そこら辺の御判断は間違われない方が賢明だと思います。  次に質問を進めていきたいと思います。  普天間飛行場の移設計画は抜本的に見直しをすべき時期に来ておると思います。そのことについて申し上げます。  日米両政府が、世界一危険な米軍基地として普天間基地の移設計画の合意しましたのは一九九六年十二月二日でありました。あれから十二年の歳月が経過しております。騒音、墜落、爆発の危険性のある普天間飛行場は今も居座り続けております。  進まない理由について申し上げたいと思います。これは、一口で申し上げますならば、移設計画場所の選定の誤算であると。私は、ずっと関心を持って歴代の防衛施設庁長官あるいは防衛大臣の皆さん方の発言あるいは動きも注意深く見てきておるつもりでございますが、しかし、そのことについて私は誤算の六つの理由を申し上げたいと思います。  一つ目は、アメリカ側のマキャベリズム的主張によって場所が決められたことであります。このことについては、米軍は今のあの場所にベトナム戦争のころから、一九六〇年代からあの場所に造りたい、こういう計画を持っておりました。私どもの調査によってそれが明らかになってまいりました。そのことが一つであります。したがいまして、私はここでマキャベリズムという言葉を使って申し上げているわけであります。  二つ目は、移設計画場所の自然環境、これは陸域、海域を含めて自然環境についての認識の甘さがありました。  三つ目は、沖縄の戦中戦後史を無視した場所の選定であります。したがいまして、敗戦後、食うのが全く尽きたときに、あの地域のお年寄りたち、当時はやはり三十代だったと思います、その人々が生き残ることができたのは、あの辺野古の海があって魚介類が捕れたから生き残ることができたと。したがいまして、あのお年寄りにとっては命の母である、そこを埋め立てさせるわけにはいかないと、その方々が、七十代、八十代、九十代の方々がずっと十年以上も頑張っておる、そのことを是非、総理大臣ほか関係者、よく認識をしていただきたいと思います。  四つ目は、二十一世紀のキーワードは何といっても環境であります。したがいまして、環境の視点が欠落をしていた、そういう場所の選定であったと思います。  五つ目は、天然記念物ジュゴンの生息海域であるということであります。したがいまして、アメリカにおける裁判もジュゴン裁判が進んでおりまして、その中間の結論が出ております、司法から。アメリカ軍に対しても、ジュゴンの保全のための対策についても裁判所から今求められている状況でございます。  六つ目でございますが、辺野古新基地が実現すれば、沖縄は未来にわたってアメリカの軍事的植民地になってしまう、そういう県民の危機感を全く防衛施設庁、前の長官あるいは関係者、今の関係者も承知していらっしゃらない。それは一口で言いますと、あの大浦湾にいつでも原子力空母あるいは原子力潜水艦が出入りできる、そういう海域でございます。したがいまして、そういう非常な危機感を持っております。  日本政府の南北政策の矛盾について申し上げます。これは項目を改めております。  日本政府は今年七月、北海道において洞爺湖サミットを開催し、地球温暖化、環境問題をテーマとした国際会議が開催されまして、総理大臣は議長として全力を尽くしていかれるわけでございます。そのことについて頑張っていただきたいと思います。  一方、南の沖縄においては、今申し上げましたような政府の手によって環境破壊ということが引き起こされてまいりますので、是非、普天間飛行場の移設計画は、せっかくアメリカ領のグアム島にアンダーセンという使われる基地がございまして、そういうところに計画を移していっていただきますことを要求をいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  420. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 以上で山内徳信君の質疑は終了いたしました。(拍手)  これにて外交防衛に関する集中審議は終了をいたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時九分散会