運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2008-03-17 第169回国会 参議院 予算委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年三月十七日(月曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  三月十四日     辞任         補欠選任      大石 尚子君     池口 修次君      林 久美子君     内藤 正光君      木庭健太郎君     鰐淵 洋子君      山本 博司君     谷合 正明君      小池  晃君     井上 哲士君  三月十七日     辞任         補欠選任      池口 修次君     大石 尚子君      平田 健二君     白  眞勲君      平野 達男君     主濱  了君      渡辺 孝男君     浮島とも子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         鴻池 祥肇君     理 事                 尾立 源幸君                 櫻井  充君                 津田弥太郎君                 羽田雄一郎君                 水岡 俊一君                 椎名 一保君                 伊達 忠一君                 林  芳正君                 山口那津男君     委 員                 相原久美子君                 池口 修次君                 石井  一君                 植松恵美子君                 大石 尚子君                 大久保潔重君                 川合 孝典君                 自見庄三郎君                 主濱  了君                 辻  泰弘君                 友近 聡朗君                 内藤 正光君                 中谷 智司君                 白  眞勲君                 藤原 良信君                 森 ゆうこ君                 森田  高君                 米長 晴信君                 荒井 広幸君                 有村 治子君                 加納 時男君                 河合 常則君                 佐藤 信秋君                 末松 信介君                 田村耕太郎君                 谷川 秀善君                 南野知惠子君                 松村 龍二君                 山田 俊男君                 山本 一太君                 浮島とも子君                 谷合 正明君                 渡辺 孝男君                 鰐淵 洋子君                 井上 哲士君                 福島みずほ君    国務大臣        総務大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣地方分        権改革))    増田 寛也君        外務大臣     高村 正彦君        財務大臣     額賀福志郎君        文部科学大臣   渡海紀三朗君        厚生労働大臣   舛添 要一君        農林水産大臣   若林 正俊君        経済産業大臣   甘利  明君        国土交通大臣   冬柴 鐵三君        環境大臣     鴨下 一郎君        防衛大臣     石破  茂君        国務大臣        (内閣官房長官) 町村 信孝君        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)        (内閣特命担        当大臣(防災、        食品安全))   泉  信也君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣沖縄及        び北方対策、規        制改革国民生        活、科学技術政        策))      岸田 文雄君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣金融)        )        渡辺 喜美君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣経済財        政政策))    大田 弘子君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣少子化        対策男女共同        参画))     上川 陽子君    副大臣        財務大臣    遠藤 乙彦君        厚生労働大臣  西川 京子君        厚生労働大臣  岸  宏一君        農林水産大臣  岩永 浩美君        国土交通大臣  平井たくや君    大臣政務官        厚生労働大臣政        務官       松浪 健太君        農林水産大臣政        務官       澤  雄二君        国土交通大臣政        務官       山本 順三君        環境大臣政務官  並木 正芳君        防衛大臣政務官  秋元  司君    事務局側        常任委員会専門        員        村松  帝君    政府参考人        内閣府政策統括        官        原田 正司君        外務大臣官房参        事官       小原 雅博君        外務省総合外交        政策局軍縮不拡        散・科学部長   中根  猛君        外務省北米局長  西宮 伸一君        財務省主計局長  杉本 和行君        財務省主税局長  加藤 治彦君        厚生労働省医政        局長       外口  崇君        厚生労働省医薬        食品局長     高橋 直人君        厚生労働省保険        局長       水田 邦雄君        国土交通大臣官        房総合観光政策        審議官      本保 芳明君        国土交通省河川        局長       甲村 謙友君        国土交通省道路        局長       宮田 年耕君        国土交通省港湾        局長       須野原 豊君        海上保安庁長官  岩崎 貞二君        環境省総合環境        政策局長     西尾 哲茂君        環境省水・大気        環境局長     竹本 和彦君        防衛省防衛政策        局長       高見澤將林君        防衛省運用企画        局長       徳地 秀士君        防衛省人事教育        局長       渡部  厚君        防衛省地方協力        局長       地引 良幸君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○派遣委員報告平成二十年度一般会計予算内閣提出衆議院  送付) ○平成二十年度特別会計予算内閣提出衆議院  送付) ○平成二十年度政府関係機関予算内閣提出、衆  議院送付)     ─────────────
  2. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  平成二十年度一般会計予算平成二十年度特別会計予算平成二十年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。     ─────────────
  3. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 先般、本委員会が行いました委員派遣につきまして、派遣委員から報告を聴取いたします。  それでは、報告櫻井充君にお願いいたします。櫻井君。
  4. 櫻井充

    櫻井充君 おはようございます。  予算委員会委員派遣調査につきまして御報告いたします。  派遣団は、鴻池委員長を団長とする十五名で編成され、二月十八日及び十九日の二日間、宮城県を訪問し、東北地方経済産業動向宮城県並びに県下の地方団体財政状況等について概況説明を聴取するとともに、タクシー業農業商工業観光業及び水産物市場等状況について調査を行ってまいりました。  宮城県の経済動向は、住宅投資が引き続き大幅に減少しているほか、個人消費及び雇用動き低下傾向にあり、また、企業倒産増加も続いていることから、景気は厳しい状況にあるとのことでありました。  宮城県の財政につきましては、平成二十年度予算編成においては、引き続き多額の財源不足が見込まれる一方、社会保障関係費増加が続く中、法人事業税超過課税である「みやぎ発展税」の導入土地売却広告収入等確保とともに、内部管理経費等の削減・抑制に努めていくが、平成二十年度末には基金残高が文字どおりゼロになる見込みであり、県財政は極めて厳しい状況にあるとのことでありました。  このような概況説明の後、道路特定財源教育福祉予算との関係、「みやぎ発展税創設経緯等について質疑応答を行ったところ、道路特定財源確保、高規格幹線道路網の整備及び原油価格高騰対策についての要望をいただきました。  次に、宮城県下の市町村のうち、仙台市、大崎市及び塩竃市においては、個別に意見交換を行いました。  仙台市においては、景気の鈍化及び厳しい財政状況等についての説明の後、製造業誘致策及びまちづくり課題等について質疑応答を行ったところ、地下鉄東西線建設事業への支援及び道路特定財源暫定税率維持についての要望をいただきました。  大崎市においては、中心市街地空洞化米価低迷等についての説明の後、公立病院支援在り方及び中小企業支援在り方等について質疑応答を行ったところ、米価低迷への対応策公立病院経営支援及び医師の確保策、並びに道路特定財源確保についての要望をいただきました。  塩竃市においては、水産加工業経営状況低迷等についての説明の後、水産業振興策及び原油高による影響等について質疑応答を行ったところ、輸入原料魚安定確保策の構築及び関税率の引下げ、並びに水産加工業へのセーフティーネット適用についての要望をいただきました。  次に、宮城県下の産業状況について、各業界関係者意見交換を行いました。  タクシー業については、近年、仙台市では新規参入や増車が相次ぎ、輸送の安全等懸念されるとして、本年一月、同市が道路運送法に基づく緊急調整地域に指定されたところであります。こうした状況を踏まえ、業界関係者から近年の厳しい経営環境等についての説明の後、タクシー業に対する規制在り方、悪質なドライバーの排除、交通安全確保策及び緊急調整地域の指定に伴う改善計画実施状況等について質疑応答を行ったところ、タクシー業に対する規制抜本的見直し及びタクシー運転手登録制度導入に伴う支援措置等についての要望をいただきました。  農業関係者からは、稲作等における構造的な赤字経営継続等についての説明の後、食料自給率向上取組及び農家への支援在り方等について質疑応答を行ったところ、品種改良のための財政支援及び再生産可能な農業を行うための農家経営安定対策についての要望をいただきました。  商工業関係者からは、厳しい状況にあるまちづくり課題等についての説明の後、農業商工業との連携の必要性及び財政金融支援在り方等について質疑応答を行ったところ、まちづくりのための運営資金に関し実効性のある制度融資創設等についての要望をいただきました。  観光業関係者からは、近年の旅行形態の変化に伴う観光客数低迷等について説明の後、外国人観光客誘致策及び観光業に対する制度融資在り方等について質疑応答を行ったところ、宿泊施設改修資金等に対する制度融資温泉療法に対する健康保険適用拡大及び温泉に対する水質汚濁防止法規制見直し等についての要望をいただきました。  以上で派遣報告を終わります。  調査の詳細につきましては、これを本日の会議録に掲載されますようお取り計らい願いたいと存じます。  最後に、私の地元視察先に選んでいただきました鴻池委員長始め与党の理事の皆さんにも心から感謝申し上げます。いろんな地域を御視察いただきまして、本当にいい議論ができたんではないのかなと思っておりますし、それから、地元関係者の皆様からも、こういって直接国会議員人たちに対して意見を述べる機会があったということに関して感謝の言葉もいただいております。  以上でございます。本当にありがとうございました。
  5. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 以上で派遣委員報告は終了いたしました。  なお、提出された報告書につきましては、これを本日の会議録の末尾に掲載することといたします。     ─────────────
  6. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 平成二十年度総予算三案に関する理事会決定事項について御報告をいたします。  本日及び明日午前は一般質疑を百六十分行うこととし、各会派への割当て時間は、民主党・新緑風会・国民新日本百分、自由民主党・無所属の会二十七分、公明党十三分、日本共産党十分、社会民主党護憲連合十分とすること、質疑順位につきましてはお手元の質疑通告表のとおりでございます。     ─────────────
  7. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) それでは、これより質疑を行います。池口修次君。
  8. 池口修次

    池口修次君 民主党池口でございます。  本日は道路財源について質問をしたいというふうに思いますが、この問題につきましては、私は、一つ税金使い方、それとだれがこの税金負担すべきかという大きな観点があるというふうに思います。その中で、税金使い方については、特定財源と言いながら不特定で非常識な使い方について次々と事実が明らかになってきております。しかしながら、自動車ユーザー暫定税率を引き続き十年間負担をするという法案が出されているわけですが、なぜその暫定税率負担をしなければいけないかという理由についての説明は十分されていないというふうに思っております。  この点を中心に、自動車ユーザー観点で今日は質問をさせていただきたいというふうに思っておりますが、その前に、二点ほどそれ以外の点を質問させていただきたいというふうに思っております。  一点目は、これは通告の時点ではしていませんが、今急激なドル安、さらには原油高が続いておりまして、まだまだ止まっておりません。これは、企業経営なり国民生活に大きな影響が出ております。この点につきまして、政府としてこれからこの問題をどう対応していくのかというのを、是非財務大臣大田大臣見解をまずお聞きをしたいというふうに思います。
  9. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 池口先生のおっしゃるように、今市場がいろいろと動いております。我々はこれを注意深く見守っていきたいと思っております。大きな関心を持っていきたいと思っております。  先般のG7で、為替相場の過度な変動というのは世界経済成長にとって望ましくないというような共通の認識をしているところでございます。私どもは、最近の為替動きについては少し過度の認識をしてもいいんではないかという思いがしておりまして、これについては懸念の気持ちを抱いております。したがって、今後、動向についてしっかりと大きな関心を持って見守っていきたいと思っております。  それから、ブッシュ大統領ポールソン長官も、強いドルが米国の利益にかなうと再三表明していることもよく承知をしているところでございます。
  10. 大田弘子

    国務大臣大田弘子君) 最近の急速な円高原油高、これはドル安から生じております。アメリカでサブプライムローン問題に端を発する金融資本市場の動揺がいまだその信用不安が収束していない、それからアメリカ経済減速懸念が強まってきている、減速感が強まってきているということがございます。これがじわじわと日本経済に効いてきておりまして、足下アメリカ向けの輸出が落ちております。そして、生産伸びが鈍化してきております。さらに、原油高影響中小企業の収益が大きく圧迫されてきております。今非常に心配しながらアメリカ経済動向を見守っているところです。  これからの日本の下振れリスクに早め早めに対応するという観点から、総理施政方針演説あるいは今取りまとめ中の成長戦略の中で早期に実行できるものはすぐに実行していくということで、四月初めに向けて今早期実施策を取りまとめているところです。
  11. 池口修次

    池口修次君 この点は今後の日本にとって大変大きな問題でございますので、是非強い関心を持っていただいて適切な対応をお願いしておきたいというふうに思っております。  二点目ですが、福田内閣メールマガジンについて若干見解なりお考えをお聞きしたいというふうに思っております。  これは週一回配信がされているというふうに思いますが、その三月六日の配信の中で、「改革果実が、給与として、国民に、家計に還元されるべきときがやってきていると思います。」という記述がなされております。この記述の意味するところ、若しくは国民に向かって何のメッセージを与えようとしているのか。今日、総理大臣いませんので、ただ、これは福田内閣メールマガジンですので、是非大田大臣の方で説明をいただきたいというふうに思っています。
  12. 大田弘子

    国務大臣大田弘子君) 賃金伸びないということが今の日本経済の大きい問題です。ただ、賃金というのは労使の交渉が基本ですので、なかなか政府にできることは限られます。ただ、その総理メールマガジンでのメッセージも、なるべく賃金に波及させることで消費の厚みができて経済が持続的な成長になっていくという、その雰囲気を少しでもつくりたいという呼びかけだと考えております。  企業から家計への配分というところで、できることとして次のような取組を行っております。  一つは、特に中小企業賃金伸び悩んでおりますので、下請取引適正化を進めることと併せて、政労使円卓会議をつくり、最低賃金引上げ中小企業生産性向上をセットで進めるべく議論を行っております。  それから二番目に、働く側のポジションを上げるために、非正規労働者常用雇用化厚生労働省で進める取組を行っております。あわせて、本格的な職業訓練でありますジョブ・カード制度をこの四月から導入いたします。  それから、やや間接的ではありますけれども、企業認識を共有するためにも、これからの日本経済の構造の中で企業家計成果配分がどうあればいいのかということを平成版前川リポートと呼ばれております専門調査会議論をしているところです。
  13. 池口修次

    池口修次君 今答弁にありましたように、賃金伸びについて政府のできることは限られているという答弁でしたが、ただ、同じこの三月十三日のメールマガジンで、給与引上げ確保する回答を行い、中には満額回答を行った企業もあります、これは、改革果実を今こそ国民と分かち合うべきことや、経済を拡大するためにも給与引上げが必要だとの理解があったからだと考えていますということで、つい先日、大手企業で三月の十二日に回答があったということを非常に前向きに評価をしておるというふうに私は受け止めますが、必ずしも新聞の評価はそうではないですし、現実問題、数千億若しくは一兆円の利益を上げているトヨタでさえ千五百円の引上げ要求に対して千円ということで、本当にこういう評価をしていいのかどうかというふうに私は思うんですが、ちょっと視点が相当狂っているんじゃないかというふうに私は思いますが、これはいかがですか。
  14. 大田弘子

    国務大臣大田弘子君) 足下原油高が急速に進み円高が急速に進み、しかもこれまで世界経済のエンジンであったアメリカ経済消費が減速するという中での春闘でしたので、やはり厳しい状況があったと思いますが、その中で前向きの回答を導き出す努力をしてくださったんだと思っております。これからこれが中小企業に波及してまいりますので、今後の動きも十分注意していきたいと思っております。
  15. 池口修次

    池口修次君 確かに厳しい状況があったんですよ。企業も精いっぱい労使で話し合ったというふうに思うんですが、結果として賃金が上がらないということは改革果実配分されないということなんですが、それでいいのかどうか。
  16. 大田弘子

    国務大臣大田弘子君) ただ、昨年並み、まあやや上回る程度の妥結額でしたし、一時金はやや増えるということで企業から家計への波及がそんなに早い歩みではないと思いますけれども、続けていく努力を、政府としてもこの景気をなるべく持続させる努力をしながら進めていきたいと思っております。
  17. 池口修次

    池口修次君 私は、この問題は政府が直接できることではないんで、やっぱり政府が直接できることをやるべきだというふうに思っております。  何かというと、私は、一つはやっぱり定率減税、これは大変な反対をする中で、法人税を上げないで定率減税だけ廃止をしたと、これを復活するべきだというふうに私は思いますし、もう一つはやっぱり最低賃金引上げ、これは大事な問題だというふうに思います。もう一つは、これはできるかどうかというのはなかなか難しいんですが、やっぱり超低金利政策からの脱却、これを早くやるべきだというふうに思いますが、この点について説明をお願いしたいと思います。
  18. 大田弘子

    国務大臣大田弘子君) まず、金利につきましては、日銀専管事項ですのでコメントは控えたいと思います。  最低賃金引上げにつきましては、政労使円卓会議をつくって昨年来議論を展開しております。その成果で今年度は通常の年よりは高い引上げになりました。これを更に中期的に引き上げていけるように議論を進めてまいりたいと思っております。  税につきましては、税制全体の中で議論を進めてまいります。
  19. 池口修次

    池口修次君 私は、今の答弁では政府がこの果実配分するという意気込みが全く感じられないということを言っておきたいと思いますし、金利日銀専管事項と言いながら、かつては金利を上げるなという声が多発をしてきたと、言っていたという実態も是非理解をいただきたいというふうに思っております。  時間がありますので、前に進めたいと思います。  自動車特定財源の問題ですが、まず確認をしておきたいんですが、今自動車ユーザーはどのぐらいの税負担、さらには、高速道路料金等通行料負担をしております。この総額が幾らなのか、この事実を確認したいというふうに思います。
  20. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) お答えいたします。  御質問の金額につきましては、財務省総務省からもお答えするべき内容も含まれておりますが、私からまとめてお答えをさせていただきます。  まず、道路特定財源についてでございますが、平成十九年度当初予算で約五・六兆円でございます。  次に、自動車税軽自動車税自動車重量税一般財源分につきましては、平成十九年度当初予算で合わせて約二・一兆円でございます。消費税負担総額につきましては、自動車関連支出の範囲を画した上で一定の試算を行う、そういう必要がございますので他の諸負担と性質が異なるため、今申し上げました二・一兆円には含めておりません。  最後に、高速道路料金についてでございますが、平成十八年度におきます各高速道路会社の料金収入を合計いたしますと約二・五兆円となります。  したがいまして、これらの数字を機械的に足し合わせますと約十・二兆円になります。
  21. 池口修次

    池口修次君 私も資料を作りました。資料の一を見ていただきたいんですが、消費税をどうカウントするかというのはありますが、消費税を入れますと約十一兆円を超える金額を自動車ユーザー負担をしております。この金額というのは、他の資料と比較をしますと、多分消費税全体五%分に相当するぐらいのものを自動車ユーザーだけがプラスして負担をしておるということになります。  今説明ですと十・二兆円、これを負担自動車ユーザーに求める、その理由についてそれぞれ財務省、さらには総務省、さらには国土交通省に、負担を求める理由を御説明いただきたいと思います。
  22. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) お答えします。  先生はもう自動車に関しては専門家ですから我々よりも詳しいところがたくさんあると思いますけれども、自動車関係諸税はそれぞれの創設の経緯とか課税根拠があって、国、地方それぞれの貴重な財源となっていることは今御説明があったとおりでございます。  国税について申し上げさせていただきたいと思います。  揮発油税については、最初は御存じのように一般的な財政需要に応じる必要から揮発油の消費負担を求めるために行われたものであります。石油ガス税については、石油ガスを燃料とするLPG車と揮発油を燃料とするガソリン車との均衡を図るためという意味を持っていたと思っております。自動車重量税については、自動車の走行が多くの社会的な損失というか費用というか、損壊とかそういったことをもたらしていることについて、社会資本の充実をしていくために広く自動車の使用者に負担をお願いしているものと思っております。  現在は受益と負担関係を前提にして、その税収の全部又は一部を道路特定財源として充てられているというふうに思っております。この間に道路財源の充実を図って道路の建設を急ぐために、暫定税率を設定をして今日に至っているということだと思います。  今回政府が出させていただいた案では、道路特定財源の税率水準を維持していくために、道路整備それから国の財政事情、そして環境面への配慮等をよく考えていただいて、納税者の理解を得ながら一般財源化も図ってまいりたいという考え方に立っているわけでございます。
  23. 増田寛也

    国務大臣(増田寛也君) お答え申し上げます。  地方の自動車関係諸税としては、目的税として自動車取得税と軽油引取税、それから普通税としては自動車税軽自動車税と、この四つがあるわけでございます。  まず、自動車取得税ですけれども、これは自動車の取得に担税力を見出しまして、それに対して道路整備という目的に充てるためということで、受益者負担的な性格を持つ税として創設されてございます。それから軽油引取税ですが、こちらはもちろん地方道路整備の緊急性ということがございますが、それと同時に揮発油を燃料とするガソリン車と、それから軽油を燃料とするディーゼル車との負担の均衡なども考慮して、これも道路整備の目的税としてございます。  いずれにしても、この道路目的税、この二つは地方の道路が今改良率、舗装率とも国道に比べて遅れている、それから特定財源の割合が地方の場合には約二割という財源が不足している、こうしたことから、こうした税の負担をお願いをしているというものでございます。  あと残り二つ、自動車税軽自動車税、こちらはいずれも普通税でございますが、自動車税は主たる定置場所在の都道府県、それから軽自動車税は市町村が課す税でございますけれども、これは財産課税的な性格と、それから道路損傷負担金的な性格を併せて持っておりまして、これらはいずれも都道府県、市町村にとって安定的、貴重な財源となっているところでございます。
  24. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 道路は極めて公共性の高い社会資本でございますが、財政的な制約もありまして、特に速達性や快適性に優れた高速道路などにつきましては、利用者の御負担により早期整備を行うための特別の措置として早くから有料道路制度が導入されたわけでございます。  現在では、道路整備特別措置法に基づきまして、高速道路会社国土交通大臣の許可を受けて料金徴収期間内、四十五年以内ですが、機構に支払う貸付料や維持管理費等が賄えるよう料金を設定して、高速道路の利用者から徴収する仕組みとなっております。このようなところが主たるところでございます。
  25. 池口修次

    池口修次君 そうしますと、主なその理由というのはやっぱり受益と負担関係で、道路整備を進めるためにユーザーにお願いをしておると。一部財務大臣から環境面の配慮とかいうのがありましたけれども、これはまた別途質問をするつもりですが、この受益と負担関係で道路を整備するというのが、特には道路特定財源はそういうことだという説明ということでよろしいですか。
  26. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) おっしゃるとおりだと思います。  道路を造ることによって恩恵を受ける人に負担をしていただくという形で明快に受益と負担の原則に基づいて特定財源化されたものと思っております。
  27. 池口修次

    池口修次君 もう一点、重要な点を確認させていただきたいと思います。  今回、政府の案ですと、暫定税率を十年間続けるということになっております。この十年間続ける理由と、税率というのが上乗せで掛けられているわけですが、この税率をどうやって計算をしたのかという点を確認をさせていただきたいというふうに思います。これは、特に法律、暫定税率引上げ法案を出しているのは財務省総務省ですから、財務大臣総務大臣にお聞きをしたいと思います。
  28. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これはもう先ほど来お話を申し上げておりますように、特定財源化することによって、戦後、我が国の道路事情というのは相当整備が進んできたという意味で大きな役割を果たしてきたと思っております。と同時に、じゃ、もう道路のニーズがないのかというと、そうではなくて、やっぱり従来議論をしてまいりましたように、渋滞の解消とか通学道路の整備だとかあるいはまた全国の主要な道路をネットワーク化していく、そういうことを果たしていかなければならないということがあるわけでございまして、政府は一昨年の十八年十二月の閣議決定で、今後の道路整備をしていくに当たって中期的な計画を作成するというふうにしてきたわけでございます。この中期計画に基づいて、今申し上げたような道路の要求に対して解決をしていくために、こたえていくために、責任を持って計画的に対応をしていくために十年間ぐらいの期間が必要ではないのか、そういうことから一つの十年という考え方が出てきたわけでありまして、その間に道路財源として安定的に確保していくためにその税率の水準を維持させていただきたいということを考えたわけであります。  その際に、先ほど申し上げましたように、道路の整備を中心とした上で、さらに日本財政の事情、それから環境面への配慮、そういった考え方、視点からその税率水準の維持をお願いをさせていただいているということでございます。
  29. 増田寛也

    国務大臣(増田寛也君) お答え申し上げますが、私どもも今財務大臣から申し上げましたと同じような考え方に立っておりまして、道路整備、地方道路の場合にも、設計から用地買収、そしてアセス、そして工事と、事業プロセスに大変長期な期間、十年程度の期間が掛かるのが実情でございまして、そうした中でこうした道路整備を中長期的な視点に立って計画的に取り組むという、そういうためには安定的なやはり財源が必要になってくると。  今回、道路の中期計画も同じような観点で十年の計画期間が示されておりますので、そうしたものを確実に実行していくものとして、暫定税率負担も併せてお願いをしつつ、十年間の延長が必要であると、このように考えたものでございます。
  30. 池口修次

    池口修次君 基本的な問題をちょっと二点確認させていただきましたが、その説明を前提にしますと、私はちょっとどうも理解できないところがあります。  というのは、今説明がありましたように、道路整備中期計画というのがあって、それを責任を持って対応するためということで、この暫定税率の根拠は道路整備中期計画だという説明がされたというふうに思います。  しかしながら、この道路整備中期計画は当初は六十五兆円というふうに提案がされたというふうに思います。それが、五十九兆円を上限というふうに削減がされたというふうに今説明がされております。そうすると、六兆円削減がされています。当初は六十五兆円で出された税率を、五十九兆円に途中で変わったんですが、税率は全く見直しがされていません。まずこの点を説明をしていただきたいというふうに思います。
  31. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 整備すべき道路とか、あるいは十六にわたる政策課題、渋滞解消とかあるいは通学路の安全というものを全部拾いますと、百兆円を優に超すような事業量が予想されるわけです。現に、十九年から二十年までの社会資本整備、道路整備費の事業量は三十八兆円であったことは周知のとおりでございまして、これを十年に引き延ばしますと実に七十六兆円にも及ぶわけでございます。  しかしながら、現下の財政状態の厳しい中で、我々としては中期計画を立てたときの事業量は六十五兆円というふうに見積もったわけでございます。しかしながら、財務省あるいは政府とのその後の打合せによって、これを一割相当減額をした五十九兆円を超えない、上回らないものとすると、こういう合意がなされたわけでありまして、大変厳しい数字になっております。  しかしながら、これを見てみますと、税率について考えてみますと、国分、国の分につきましては、中期計画の達成に必要な事業量のうち、国費は、二十九・五兆円に高速道路料金の引下げ等のために必要な国費三兆円加えた額三十二・五兆円と、暫定税率を維持した場合の国分の道路特定財源の税収三十兆から三十三兆円とが見合うこととなります。また、地方分につきましては、中期計画の達成に必要な事業量のうち、地方負担分は十七・一兆円でございます、に地方単独事業の事業量二十兆円以上を加えた額が暫定税率を維持した場合の地方分道路特定財源税収約十九兆円から二十兆円を大きく上回ることから、今般暫定税率の延長をお願いしているわけでございます。  したがって、多くの課題の中でこれを長期、そして先ほど総務大臣も申されましたけれども、道路整備には本当に十年以上の年月が必要でありますし、そこには多くの地権者、あるいは環境アセス等を考えたとき、多くの利害関係人が生じます。そういう人たちに対して、道路整備を着実に進めるためには安定的な財源というものが必要であるということは御理解賜ると思うわけであります。  そういうことからこのようにしたということが私の答弁でございます。
  32. 池口修次

    池口修次君 今国土交通大臣から、五十九兆円を前提にしたときに国費が三十二・五兆円ということで、収入が三十兆から三十三兆だとバランスをしますという説明でした。  ということは、五十九兆円上限と言っていますが、五十九兆円ということでの説明はある意味成り立つかもしれません。ただ、今盛んに議論されていますのは、五十九兆円は多過ぎるんじゃないかという議論がされています。現実問題、与謝野前官房長官はまあ四十九兆円ぐらいじゃないかというような話があります。  資料二を見ていただきたいと思いますが、一応五十九兆円というのは、政府案の五十九兆円は平成十九年度国費が五・八兆円ですから、これをそのまま十年間延長すれば確かに五十九兆円になります。ただ、今までも政府の支出というのは公共事業のシーリングが掛かっておりまして、大体今まではずっとマイナス三%してきました。  そうすると、このマイナス三%はどうなるかというのが一つ質問でもありますけれども、もし仮にした場合にちょうど四十九兆円になります。与謝野さんが言っているのは、ある意味、こういう前提で四十九兆円までしか行かない若しくは使っちゃいかぬということだろうというふうに思っていますが、この点につきまして、四十九兆円になると、そうすると、今国土交通大臣が言った、暫定税率がバランスをするというのがバランスしなくなります。このときはどうするのか、大臣にお聞かせ願いたいと思います。
  33. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 自民党の幹部がそのような発言をされたということは報道等で承知していますけれども、これ三%で全部今後も削っていくんだということは合意されておりません。この会合には私も出席をいたしました。一%ないし三%ということで、三%でフィックスされているわけではございません。これが一つ。    〔委員長退席、理事林芳正君着席〕  それから二つ目には、この十九年から二十三年までの五年間についての合意でありまして、それ以降についての合意ではございません。  したがいまして、その二つの点から、今の発言は、その二つの点を無視すればそうなりますけれども、私は、今の非常に厳しい問題の中でそうはならないというふうに思うことが一つと、もう一つは、災害等がもう毎年あります。災害復旧費の中に占める道路整備費あるいは復旧費というものは補正で措置されるわけでございますが、この金額というのは全部当初予算の話でございまして、補正予算の部分については全然対象になっていないわけでございますから、それで、十年後は四十九兆円になるというのは、そうはならないというふうに思います。
  34. 池口修次

    池口修次君 今の国土交通大臣は、いや、五十九兆円使うんだということが強かったわけですが、じゃ、財務大臣にお聞きをしますが、このシーリングの問題というのは、財務大臣としては、今の日本財政状況なりを考えた場合に、じゃ、五十九兆円やっぱり使っていいというふうに考えているのかどうかお聞きしたいと思います。
  35. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これは背景には、今、冬柴大臣がおっしゃったようなことがあると思います。  と同時に、我々は、今度の政府案においては、考え方としては、道路整備が一つ、もう一つは環境にも配慮をするということ、それから財政事情、そういうことも考えて、本当に必要な道路整備を上回る分については一般財源化を図るというふうに言っております。と同時に、五十九兆円というのは上限であると。その中で、我々は道路のコストダウンとか様々な対応をしていく必要もあると考えておりますので、シーリングとしては先ほど言ったように二十三年までが一から三%ということが決められておりますけれども、それ以降のことについては現段階では考えられてはいないわけでございますが、財政事情ということも一つの視点でございますので、私どもは道路がやっぱり五年なり見直しをする時期においてどういうふうに今後展開をしていくかということについてはよく検討する必要もあると思っております。
  36. 池口修次

    池口修次君 今の説明というのは私は非常におかしいというふうに思います。  私、前段で確認させていただきましたが、今自動車ユーザーには、道路整備をしなきゃいかぬと、受益と負担関係があるんだから是非払ってくださいよというずっと説明をしてきました。で、冬柴大臣は五十九兆円を前提に、五十九兆円であれば今の暫定税率はある意味合理性があるという説明をされました。なおかつ、じゃ、シーリングをした場合どうですかという問いかけをしたら、いや、シーリングは十年後までは分かりません、ただ、五年後までは一から三シーリングを掛けるということは確認しました。  そうすると、これは、まあ四十九兆円になるかどうかというのは分かりませんが、五十九兆円を下回ります。そうすると、それが分かっていながら、じゃ、暫定税率を十年間延長する法律を出すということは、ユーザーに対するある意味裏切り行為ですし、ユーザーをごまかしているというしか私は理解ができません。この点について、大臣
  37. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) ユーザーの御理解を得ながら、税率をしかも維持し、そして一般財源を確保すると、こういう作業をずっとやってきたわけでございます。  ユーザーに対する御説明、これにつきましては、いただいた税金というものは道路整備費に使われるということでございますが、しかしながら、真に必要な道路というものは毎年査定されるわけであります。そして、それによって道路整備費、それから道路歳出というものがそれ以外にありますが、道路歳出というものが税収よりも下回る場合、その場合には、その差額は、一千九百七十五ですか、そういうものは一般財源としてこの道路整備に使うことを、この三条一項ではそのようにしていますけれども、そのただし書でそれはこの限りにあらずというふうな規定をしていただいているわけでございます。  しかしながら、先ほど申しましたように、道路整備費、私ども中期計画で掲げた道路整備費は大変大きなものが必要になるわけでして、例えば通学路自身見てみましても、十一万キロメートルが四十人以上の学童が使っている道路ですが、そのうち約四割相当の四万四千キロは歩道すらないということになっているわけですから、このようなものを直していかなきゃならないというのは今を生きる大人たちの責務じゃないでしょうか。  私は、そのように、高速道路を造るというだけではなしに、そういういろんな課題にこたえていかなければならないというのも道路の整備の内容になるわけでございますから、私どもはそれによって自動的に税率を下げなきゃいけないとかいうことにはならない、このように思います。
  38. 池口修次

    池口修次君 今の国土交通大臣説明ですと、ユーザーの理解を得られるような法案を出したということになろうと思います。で、差額は一般財源として使うんだというのが明言されましたが、ユーザーは全くそう言っていません。  自動車ユーザーは、道路整備以外に使うのならば暫定税率を下げろという署名をもう既に、随分前の話ですが、一千三十三万名署名をしております。さらに、三月の十三日に自動車税制改革フォーラムが声明を出しておりまして、やっぱりこの道路特定財源の問題は自動車ユーザーの立場に立った議論を進めろということをしております。  ですから、今国土交通大臣が言った、いや、ユーザーの理解は得られるような案を作ったんだと言っても、これは全くユーザーの理解は得られてません。得られてないんですけど、このとおりやるんですか。
  39. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 単年度で予算というものは査定されます。したがいまして、その単年度査定のときに真に必要な道路整備費は幾らなのかということを査定されるわけでありまして、それが税収を下回ったという場合には、その差額は一般財源として組み入れるということを言っているわけでございます。しかし、その組み入れられた金額、その額というものは計算上次の年の税収に上乗せをされるということになっております。しかし、それは、その上乗せした額ですべて次の年に道路が整備されるというわけではありません。そのときにはそのときにまた真に必要な道路整備費というのはどれだけかという査定がされるわけでございまして、そのようにして毎年毎年変わっていくわけでございます。一般財源に組み入れられたものについては一般財源として使われるわけですけれども、計算上はそのようにされるわけでございます。  そして、それが十年たって、そしてそれがなお払っていただいた税金と整備した事業量との間に差があれば、それは十年を過ぎた以降、十一年以降に道路整備に充てるということで、そのような法律の仕組みになっております。そして、それによっていわゆるユーザーに対する負担と受益というものはバランスが取れているから、それで御勘弁いただきたいということを、私はその署名もちょうだいいたしましたが、そのときにもるる説明申し上げているわけでございます。
  40. 池口修次

    池口修次君 一つは、説明はしたと言っていますが、それで納得はしてません。というのは、三月十三日に自動車改革フォーラムの声明でも、説明して納得したのならこんな自動車改革フォーラムの声明は出ません。  それと、今言われましたように、単年度で差は出るんだと、その差が出たときには一般財源に組み入れるんだと。そんなことはユーザーは全く了解はしてません。  既に明らかになっています、五年間で一から三%シーリング掛けるというふうに財務大臣言いました。もう一回資料二見ていただきたいんですが、これは三%シーリング掛ければ八千億また余剰が生まれます。この八千億の余剰は一般財源で使っていいなんてユーザーは全く了解はしてません。  本当にこのユーザーが了解しているという何か証拠がある、根拠があるのなら説明してください。
  41. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 私どもは、この法律を提案をさせていただきまして、そしてその趣旨をこのように説明させていただいているわけでございます。  どうかユーザーの方には、最終的には、最終的にはこれはいただいた税金は道路整備に全部使われるということでございますから、何とか御了解を賜りたい。過去においても、長い期間このような制度が法律で更改されてきているわけでございまして、昭和四十九年以降このような制度で維持をされてきた、大変長いわけでございますけれども、是非理解を賜りたいというふうに思います。
  42. 池口修次

    池口修次君 政府理解を得ているというふうに考えているということですが、一方、国民の信頼を昨年の参議院選挙で得た民主党は、ユーザーの声を代弁をして、暫定税率を廃止すべきだということを主張をしております。  これは真っ向から対立していますが、私はユーザーの声は民主党を支持しているというのは明らかだというふうに思いますので、ユーザーの声がはっきりしたんですから、政府の提案は是非取り下げていただきたいというふうに思いますが、いかがですか。
  43. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 我々は、現時点におきましても、提案した内容が最善のものであると思っております。  それは、やはりこれを廃止することによって二兆六千億という巨額の財源を失うことになります。それは、そういうものがどういう影響を与えるかということも十分お考えいただきたいわけでございます。  現在、百十七路線、ほとんどの都道府県にわたって、七百か所において、七百区間において今国の直轄事業が行われているわけです。これが、その二兆六千億のそういう税収を失うことにより、四月一日以降どういうふうにすればいいのか、めども立たないというようなことになります。地方財政にも大きな影響を与えます。  そういう意味から、是非、これは長期の国の骨格を定めるものでございますから、もちろん、ガソリンが今高騰して、そして自動車ユーザーが大変苦しんでおられる。ユーザーというのはもう一般国民でございますから、今大変苦しんでいらっしゃるということはもう私はよく分かります。けれども、そのために我々の子孫が、今からのグローバル経済化の中で国際競争力を強化し、そしてまた本格的な人口減少を迎える時期を前にして、こういうものを、我々の経済力を引き下げるわけにいかない。また、地方の経済は大変今低迷しておりますけれども、道路が付くことによって非常に活性化する、そういうことがたくさんあるわけでございます。したがいまして、そういう長期的な国家百年の計に立ってこういうものは判断をお願いしたいということでございます。
  44. 池口修次

    池口修次君 もう一回お聞きをしますが、自動車ユーザー理解を得ているというふうに大臣はどうも受け止めているようですが、何をもって自動車ユーザー理解を得たということをこの場で明言されるのか。そうすると、一千三十三万名の署名というのは、あれは違った自動車ユーザーだということになるのか。二種類あるんですか、自動車ユーザーは。ちょっと承りたいと思います。
  45. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 自動車ユーザーの方々のそういう署名簿の中には、もし道路整備に使われないのであれば、そういうものについては減税すべきであるということが言われている。私は、先ほど来申し上げているように、単年度では、一般財源化するもの、もちろんあります。が、しかし、そういうものは、いただいた税金につきましてはすべて最終的には道路整備に使いますということが明言、明瞭にされている以上、御理解をいただけるものと考えているわけでございます。(発言する者あり)
  46. 林芳正

    理事(林芳正君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  47. 林芳正

    理事(林芳正君) 速記を起こしてください。冬柴国土交通大臣
  48. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 今まで私の説明は揮発油税の部分だけですね、今までの。ですけれども、道路整備事業に係る国の財政上の特別措置等に関する法律の第三条一項及び三項について説明をさせていただきました。  私は、今までに、その年度、単年度で真に必要な道路整備費というものと税収とを比較したときに税収の方が、揮発油税の税収が多かった場合に、その差額について、今年四百数十億ありますが、それについてはこの三条一項ただし書によってこれは一般財源とされます。  しかしながら、その金額は一般財源になりますからそれはあくまで一般財源ですけれども、反面、一般財源の中で、自動車が走ることによって、走るために必要な例えば信号機とかあるいは環境対策あるいは交通事故対策というようなものが一般財源の中で全く道路特定財源と離れて、今年度で見れば約二千億あるわけですね、二千億ありますね。したがいまして、我々の方から千九百億余りを一般財源へ入れさせていただいていますが、これは、この金額としては見合っていますということも申し上げているわけでございます。    〔理事林芳正君退席、委員長着席〕  私どもは、ユーザーにどこでその同意を得たんだとか言われますと、これはなかなか今すぐに、これはここで同意いただきました、だれからいただきました、そんなことは言えませんが、しかしながら、私どもは、先ほども言いましたからもう繰り返しませんけれども、こういう法律を非常に起草して提案をさせていただいて、それはユーザーの方々に対して十分説明をし御納得をいただきながらこれを造るんだということの線の範囲内であると、私はそのように思っておりますので、よろしくお願いいたします。
  49. 池口修次

    池口修次君 今の説明、私、ずっと確認させてもらったのは、今までは、道路の整備をするんだということで受益と負担関係で今まで三十四年間若しくは五十四年間ですかね、ユーザーはある意味納得させられてきました。更に十年延長するという法案が出されて、では本当に道路整備に使うのかといったら、いや、シーリングを掛けますと言っているわけですね。  さっき、その五十九兆円についてはある程度大臣から説明がありました。ただ、シーリングを掛ければ当然差が出てきます。それは一般財源化するんだということを言われたって、ユーザーはそんな話は聞いていないよと、おかしいじゃないかということになりますが、これについて、本当に自動車ユーザー理解が得られたから法案を提出したということをいまだに、まあ言っていないんでしょうね、ユーザーの同意は得ていないと言っていますから。どうするんですか、それは。
  50. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) ですから、申し上げますように、一般財源化するというのは、単年度、その年その年で真に必要な道路整備費はどれだけなのかと。これがいつも税収を下回るということとは限りません、もっと多くなる場合だってあるわけでございますから。その場合には、その差額は一般財源からまた繰り入れてもらわないかぬこともありますよ。しかしながら、そういうことで、十年が我々の中期計画でございます。十年が経過したときに、その一般財源に繰り入れた額と整備費とのバランス、こういうものが、一般財源に入れたものが多い場合にはこれを十一年以降の道路整備で使わせていただくということで、トータルで見れば、自動車ユーザーの方からいただいたものについてはすべて道路整備に充てるということがそこで担保される。これが三条のこの三項じゃありませんか。  したがって、私は、道路整備が、道路ユーザーがおっしゃっているその主張についてはこの規定によってお答えはしているというふうに思っています。
  51. 池口修次

    池口修次君 いろいろ法律のことを言いましたが、今そこの議論をしているんじゃなくて、ユーザーの理解を得たのか得ないのか。得たというのであれば、どういう手続で、どういう説明、根拠があるのかというのを示していただきたい。  私は、ユーザーの理解は得ていないと。ユーザーは、この一千三十三万名の人は、道路整備に使う以外になったら暫定税率下げろというのが私の声。私は根拠を示しています。大臣是非、ユーザーの理解を得たというのなら、どうやって理解を得たのかというのを根拠を示していただきたいというふうに思います。
  52. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 先ほど来の説明のとおりでございまして、問いでも自動車整備に使わないのであればと、こうおっしゃったでしょう。使うんですよ。したがいまして、我々は、最後まで一生懸命、誠心誠意、ちょっと難しい法律構成になっておりますけれども、これは御説明申し上げて御理解をいただかなければならない、このように思います。  私どもは、それは、自動車ユーザー、一千万を超える方々一人一人にこれを御理解をいただくという手続はございませんけれども、こういう国会の論議を通じて我々の、その皆さん方の要請、それに対して我々はどういうふうに努力してこたえたか、こういうことを説明し、御理解をいただく以外に方法はないわけでございまして、私はそれでいいと思いますけど。
  53. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  54. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記を起こしてください。冬柴大臣
  55. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 私が委員質問に答えてユーザーの理解を得たと言ったとすれば、これは言い過ぎだと思います。そういう手続はありませんから、我々は得られるように誠心誠意努力をさせていただきます、こういうふうに、もしそう言ったとすればおわびを申し上げ、訂正させていただきたいと思います。
  56. 池口修次

    池口修次君 まだ現段階でユーザーの理解を得ていないということですから、私は、ユーザーの理解を得ていない法律、さらには、自動車ユーザー、冒頭言いましたように、十二兆円、まあ消費税も入っていますが、抜いたとしても十・二兆円の負担をする理由というのは全くユーザーは理解をしておりません。さらに、これ以降十年間もやるということについてはユーザーは全く理解をしていないということを確認をさせていただきたいというふうに思っております。  それと、若干時間もありますので、次の質問にじゃ移らさせていただきますが。  道路整備計画というのが出たわけですが、仮に五十九兆円なのかどうか、もう一回、本当に五十九兆円やるつもりなのか。今いろいろな声が出ていますので、本当に五十九兆円上限というとゼロから五十九兆円までありますので、本当の数字は幾らなのか、これを聞かせてもらいたいと思います。
  57. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 本格的な人口減少、高齢化社会を迎えまして、地方の活力の低下が課題となる中で、我が国が引き続き世界の中でふさわしい、相応の地位を占めて、また活力ある地方を創出するためには、様々な活動の基盤となる道路の果たす役割は非常に重要であります。必要な対策を着実に実施しなければならないと考えています。  こうした必要な対策を進めるためには、地域国民生活の要請にこたえ、課題となる箇所すべてに対応することは理想であります。しかし、それには概算ででも優に百兆円を超える事業量が必要となります。財政上、明らかに困難でございます。  他方、事業中の残事業費は約三十九兆円。安全上の施設なども含めた維持的経費は今後十年間で約十五兆円を見込まれるわけでございます。既に五十四兆円の事業量は今後必要であること、また単年度予算で見た場合、平成十九年度は当初予算と補正予算を合わせますと六兆一千億、十年間にしますと六十一兆円の予算が必要になることも留意が必要だと思います。  このため、中期計画の素案では重点対策箇所数までは絞り込み、これに平均単価を乗じて算出した事業量を六十五兆円としたところでございます。さらに、厳しい財政事情を踏まえて、財政当局を含めた政府部内の協議等を経て事業量の上限を五十九兆円まで絞り込んだわけでございます。これを、社会資本整備の計画の五年間で三十八兆、それで十年に直せば七十六兆円と比べたときに、実に二二・四%の削減をしているわけでございます。実績ベースで比べましても一〇・一%を削っています。  中期計画の実施に当たりましては一層の効率化、重点化を図ってまいりますが、事業量五十九兆円はこのように絞りに絞った額でありまして、上限値とはいえ、中期計画で掲げた目標達成のためには、国土交通省としてはその達成に向けて最大限努力する目標となる額であると考えているところでございます。
  58. 池口修次

    池口修次君 今の百兆円というのは、あくまで国土交通省の希望的数値であるというふうに私は思います。十年間の予算、ある意味、今回の議論というのは、国土交通省道路中期計画でいいますと十年間の予算を確定する話で、それに基づいてユーザーの負担すべき暫定税率が計算がされるというのがこの体系の流れですから、希望的数値を幾ら言われたって、じゃ払いますということにはなりません。十年間で本当にどれだけの整備をするのかと、じゃ分かりましたと、じゃ自動車ユーザーも協力しましょうという流れの中で暫定税率が出てくるべきだというふうに思っております。  それともう一つ是非お聞きしたいのは、じゃ五十九兆円使って、受益と負担ということを常々言っていまして、この道路特定財源、道路税制の問題は受益と負担というふうに言っています。じゃ、五十九兆円の中身の計画が示されていますが、この受益を受ける人はだれなのか、この点を説明いただきたいというふうに思います。
  59. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 受益者は広く国民一般でございますが、しかしながら、それは例えば病院、中枢病院までの距離を、時間距離を短くするために道路を整備するとかいう場合においても明らかでございますし、子供たちの通学路といったって子供たちでございます。しかしながら、道路をお使いになる。これは徒歩の人、自転車は別として、自動車で走られる方は必ず自動車ユーザーという方がいられるわけでございます。また、その方々が、例えば揮発油であればガソリンを注入してそれで走られるわけでございます。そういう人たちが、道路がきれいに整備されるということにおいては、第一次的に、最も直接的に受益をされるという関係が非常に明らかでございます。  したがって、そのような方々に、大変な負担ではありますけれども、このような道路を早く確実に計画的に着実にするためにこのような御負担をお願いしているわけでございまして、だれが受益するのかと言われれば、第一次的、直接的には自動車ユーザーでありますが、最終的には国民全体がこれに対して、あるいは、今生きる国民だけではなしに将来の我々の子孫もその受益を受けるということは間違いないところでございます。
  60. 池口修次

    池口修次君 私は、今の大臣答弁にありましたように、広く国民一般だというふうに思っております。  特に、分かりやすいのは、今回、国際競争力の確保で基幹ネットワークの整備二十三兆円というふうに書かれております。宮崎県の東国原知事も、いや、道路がないと宮崎県は置いてきぼりにされるんだというふうに言っておりまして、主張していますが、これは別に自動車ユーザーが便利になるためというよりも、ここに産業をある意味誘致をして、地域の人がやっぱり豊かな生活をするためにというのが主な理由に今なってきております。  そういう意味からいうと、これは道路特定財源ではなくて一般財源の中から、広く国民が受益を受けるんですから、広く国民負担をすべきだというふうに私は考えております。  ちょっと時間がなくなりましたので、せっかく環境大臣に来ていただいていますので環境問題についてお聞きしたいと思いますが、今回、一つ議論として、いや、道路特定財源ということで道路を整備するって集めたんだけれども、余ったら一般財源というのも変な理屈ですし、何か余った分、若しくは環境に使ってもいいんじゃないかというふうに主張なされている方もおります。私も別に環境を、若しくはこれから温暖化対策をやるということについては理解をしている一人だというふうに思いますが、ただ、温暖化問題、特にCO2の問題というのは、別にこれ自動車ユーザーだけがCO2を発生しているわけではありません。  資料を付け足してもらいました。  資料の四というところで、どこが発生をしているか。運輸部門で発生しているのは全体の二〇%です。ですから、全体の二〇%の人に対しての道路特定財源ということで、払ったお金を環境に回すということに限ったときには、これは環境大臣は賛成されるのかどうか、この点だけをお聞きをして、今日の質問は終わりにしたいと思います。
  61. 鴨下一郎

    国務大臣(鴨下一郎君) 先生おっしゃるように、環境省がこれまで提案してきた環境税の案は、これは自動車燃料のみを対象にしたものではありません。むしろ、石炭や重油などを含めた広く化石燃料全般を対象にしたものであります。  他方、ガソリン等の燃料課税が地球温暖化対策上果たしている役目、これも無視はできないわけでありまして、広い意味では環境に関連する税制と、こういうようなことで私たちは理解しているところであります。  そういうような観点から、この環境税につきましては、これ地球温暖化対策全体の中での具体的な位置付けあるいはその効果、国民経済や産業の国際競争力に与える影響、諸外国における取組の現状など、あらゆることを踏まえてしっかりと取り組んでいきたいと、こういうふうに考えているところであります。  そういう中で、運輸部分は二〇%じゃないかと、こういうようなお話でありますけれども、確かに運輸はそういうようなことで、これについてだけ環境税というような位置付けは果たして合理性があるかというような先生の御指摘については我々も耳を傾けざるを得ないわけでありますけれども、産業は産業として自主行動計画、あるいは家庭の部分についてはこれ国民運動的に取り組むと、こういうあらゆる方途でやっているというようなことについては、これも御理解をいただきたいというふうに思います。
  62. 池口修次

    池口修次君 今日の質疑を通じてとても納得したユーザーは私は一人もいないというふうに思います。まだまだたっぷり時間はあるというふうに思いますので、残余の質問は別途の機会にさせていただきたいと思います。
  63. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 以上で池口修次君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  64. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 次に、内藤正光君の質疑を行います。内藤君。
  65. 内藤正光

    内藤正光君 おはようございます。民主党内藤正光です。  今日は二十分の時間をいただきましたので、四つのテーマで質疑をさせていただきたいと思います。  まずは、道路特定財源についてなんですが、これまで、衆、そして参と、中期計画の問題点、ずさんさ、あるいはまた本当にこんな無駄遣いをしていたのか、多くの問題が指摘をされてきたわけでございますが、私は、この時間をいただきまして、今回新たに創設をされます無利子貸付制度について国土交通大臣を主として議論をさせていただきたいというふうに思います。  まず、その発端となるのが昨年の十二月七日の政府・与党合意、「道路特定財源の見直しについて」という文書でございます。この文書を見ますと、今回新たに無利子貸付制度というものを創設するということが明記をされております。これによって今後、地方の道路整備のため、五年間にわたって毎年一千億円自治体に無利子貸付けを行っていくということになるわけでございます、法案が通ればですよ。  そこで、道路特定財源を使って道路整備を行われている中で、なぜ今回この無利子貸付制度を創設しなきゃいけなかったのか、その理由について説明をいただきたいと思います。
  66. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) この制度は、平成二十年度以降五年間、地方公共団体が直轄事業、補助事業及び地方道路交付金事業に伴い負担する額の一部に対して無利子の貸付けを行うという制度でございます。  この制度は、昨今の地方公共団体の財政状況が非常に厳しいということを踏まえまして、一つ目は、道路整備に当たって必要となる地方負担の軽減をすることが一つ。二つ目には、据置期間五年以内を含む二十年以内の割賦払による地方負担の平準化を図るために創設をするものでございます。
  67. 内藤正光

    内藤正光君 昨今の地方の財政状況が厳しいということをおっしゃいました。これもしっかり記憶にとどめて、ちょっと後、議論をしていきたいと思うんですが。  まず最初、貸付けスキームについてお話を聞かせていただきたいんですが、揮発油税等で一般財源化されるものの中から毎年一千億円取り出して、それを貸付制度に回すわけなんですが、ただそう単純じゃないんですね。ちょっとスキームが複雑なんです。まず、いったん一般財源化されたもののうち一千億を毎年国債整理基金特会にまず入れる、そこを経由して道路整備勘定に繰り入れる、これを地方への無利子貸付けへ充てるということなんですが、何でこんな回りくどい貸付けスキームを取るのか。そして、さらにまた、一般財源化されたものを何で道路建設というふうに使途を限って貸付けをするのか。これが本当に一般財源化と言えるのかどうか、お答えをいただきたいと思います。
  68. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 今、財源、揮発油税とおっしゃいましたけど、自重税ですね、自重税、自重税ですね。
  69. 内藤正光

    内藤正光君 はい。
  70. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 自重税を一般会計へ移します。で、それを国債整理基金特別会計へ移します。で、そこから社会資本整備特別会計道路整備勘定に移しまして、そこから必要とするそのニーズのある地方公共団体へ貸付けをいたします。これが一つの流れです。  反対に、地方公共団体は、その後、年賦、割賦によってこの借りたお金を社会資本整備特別会計道路整備勘定へ償還をいたします。そして、これを特別会計から国債整理基金へ繰入れをいたしまして、そして整理基金特別会計から国債償還に充てていくわけでございます。したがいまして、道路重量税の一部は最終的には国債償還に充てられます。しかし、その間、約二十年近くをこの地方公共団体の、先ほど申し上げた趣旨で使わせていただくと、こういうスキームでございます。
  71. 内藤正光

    内藤正光君 済みません。じゃ、この一千億掛ける五年、計五千億はどういう経費として計上されるんでしょうか。公共事業費として計上されるんですか。
  72. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) お答え申し上げます。  毎年度、国債費として計上されます。
  73. 内藤正光

    内藤正光君 公共事業費ではなくて国債費として計上されるわけですね。最終的には国債償還に充てられるからという理由なんでしょうが、大臣も先ほどの質疑者の答弁でおっしゃっていた、今後五年間の歳出改革目標の中で毎年一%ないし三%の削減を行っていくということが全体として掛かっている。これを全く無視するような形で一千億、五年間にわたって道路建設の目的のためだけに一般会計から歳出をしていくと。今回のスキームはまさにシーリング逃れそのものじゃないんですか。違いますか。
  74. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) これは財務大臣からもお答えいただいたら分かると思うんですけれども、そうではございませんで、政府・与党の申合せのときにこれは合意をされたものでございます。したがいまして、もちろんシーリング外ではありますが、確定額で五千億、五年間、年間に直せば大体一千億ずつがそういう目的のために出捐されるということでございますが、最終的には国債償還に充てられるというものでございます。
  75. 内藤正光

    内藤正光君 ただ、最終的に償還に回ればいいというものじゃないですよね。途中二十年間道路建設のためだけに貸し与えているわけですから、これを公共事業というんではなくて国債費という名目で計上する、私、どう考えてもこれおかしいと思いますよ。もう一度明確に答えてください。
  76. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) お答え申し上げます。  本制度は、地方公共団体におきまして、財政状況が厳しく、必要な道路事業に係る地方負担を捻出するのに苦慮されているという声を踏まえまして、道路整備に当たって必要となる地方負担の軽減と平準化を図るために臨時的に創設するものでございます。将来返済される償還金につきましては、国債整理基金特別会計に繰り入れ、国債の償還財源に充てることとしております。先ほど答弁申し上げました。道路整備のための地方の負担軽減の必要性財政健全化の両面に配慮した制度というふうに考えてございます。
  77. 内藤正光

    内藤正光君 国交省が何と言おうが、これどう見ても財務省と国交省の両省の合作なんですよ、国民不在の。結局、国交省にすれば五千億道路建設費を確保できる、そして財務省にしてみれば、経過はどうあれ最終的には国債償還に戻ってくる、そういう話でしょう。まさに国民不在、もっと言えば総務省不在ですよ。私はどう考えてもおかしいと思いますよ。  じゃ、更に言いましょう。ちょっと返済資金のめどについてお伺いしたいと思うんです。  地方の財政状況が厳しいからということなんですが、地方財政の現状が厳しい、これは確かです。じゃ、かといって将来明るくなるかというと、全くもってめどが立っていないんですよ。先々の見通しは厳しいと言わざるを得ない。そんな中、各地方が借金、後年度負担を増やすまねまでして道路整備をするんだろうかどうか。そこですよ、問題は。  そこで、今回の制度創設に当たって地方の要望というものが具体的にどの程度あったのか、国交大臣にお答えいただきたいと思います。──大臣と言っている。
  78. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) この無利子貸付制度につきましては、既に書面において、高知県、奈良県と県内全市町村、静岡県函南町などから無利子貸付制度創設要望をいただいているところでございます。  また、これら以外の地方公共団体におきましても、事業展開上、投資ピークへの対応が必要となる事業につきまして、道路整備に当たって必要となる地方負担分の軽減、あるいは据置期間五年以内を含む二十年以内の割賦払による地方負担の平準化を図ることが可能となることから、一定のニーズがあるものと考えております。  そして、書面ではありませんけれども、大分県、佐賀県からも要望をいただいております。  それから、無利子貸付けを平成二十年度予算案に計上した自治体の例、三重県もございます。
  79. 内藤正光

    内藤正光君 正式に来ているのは高知、奈良、あとちょっと。もうちょっと四十七都道府県、大きな声上げたのかと思いましたが、これをもって今回の五千億の支出の根拠とするには余りにも薄弱ですよ、これ、薄いですよ、理由としては。  じゃ、聞きます。じゃ、貸付けを受けた地方は返済資金をどのように手当てするのか。いろいろ考えられます。自主財源なのか、交付税なのか、あるいは補助金なのか、まあ、この三通りが考えられると思いますが、国交大臣並びに総務大臣、それぞれのお考えを、もし決まっているものがあったらそれをお示しください。
  80. 増田寛也

    国務大臣(増田寛也君) お答えを申し上げます。  まず、今お話、三通りございましたんですが、今詳細の制度設計が行われているわけでありますので、我々としては、総務省としては地方負担の軽減についてできるだけ関係機関と十分に前広に相談していきたいと思っていますが。  まず、その中で一つだけ、交付税の措置がどうなるかということですけれども、これは最終的には、今お話ございましたとおり、国債の償還に充てられると、こういう制度設計になっているわけですね。国債の償還に充てられるということになっていますので、そういった形のあるものに対して地方共有の財源である地方交付税を充てるということは考えられませんので、交付税を充てるということは選択肢としては、我々、取り得ないと。  したがいまして、以前、こういう似たような制度にはNTTの貸付制度というのがございました。あのときは同額の補助金が最終的に充てられるということでございました。今後の御相談ですけれども、そうしたことなどが行われれば使いやすいものになるのではないかと、このように考えます。
  81. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) この制度は、地域づくりや自治体の財政運営に責任のある首長の御判断に基づき、また議会の判断もありましょうけれども、地方財政全体の中で適切に活用されるということを期待をいたしているところでございます。
  82. 内藤正光

    内藤正光君 当てはどうしているんですか、当て。当てもなくこういう制度をつくっちゃったということですか。お答えください。
  83. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) それはその地方財政について責任を持っている首長が、その弁済資金をどうするかということはよく考えた上で借受けをされる、こういうことでございます。どこでもお金を借りるときには、その借受けする主体がその返済についても、将来の返済についても考えて、そして借り受けるわけでございますから、そのようにされることを期待をいたしております。
  84. 内藤正光

    内藤正光君 正直言って驚きましたよね。あのNTT株式売却益のときは、曲がりなりにも建設国債を発行して手当てするというのが決まっていたわけですよ。今回は、厳しい厳しいとおっしゃっているじゃないですか、地方が。今後どうなるか分からない。しかし、返済のめどは全く用意していない、考えていない。基本的に地方の責任において返してください、これは当たり前なのかもしれませんが。正直言って、こういう地方が厳しい状況の中で借りられるところというのはやっぱりある程度余裕のあるところしか出てこないですよ、こんな制度にしちゃうと。そんなのでいいんですか、私はそこを言っているんですよ。本当、こんなので機能するんですか。
  85. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) お答え申し上げます。  一点、NTT―Bのお話がございました。これは、いわゆる補助金部分を、NTT―Bの無利子貸付けをして、返済のときにそれに対して出すというものでございます。  今回の無利子貸付制度は、例えば補助金を出して、もう国の方から出して、その裏負担にお困りのところについて更に無利子融資を出すということでございます。そこは一点、先ほど委員が御指摘のお話、NTT―Bは手当てができているという話でいえば、若干上乗せの裏負担について更に無利子融資を出すという制度でございます。
  86. 内藤正光

    内藤正光君 総務大臣、ちょっと地方の現状を語っていただきたいんですが、今の財政状況厳しい、今後も厳しいだろうと、なかなか抜け出すことはできないだろうと。そういった中で、この返済資金のめどがないこの制度、どれだけの地方が手を挙げられると思いますか。
  87. 増田寛也

    国務大臣(増田寛也君) まず地方の財政状況ですが、これはもう先生よく御存じのとおり、大変大幅な財源不足が生じているということでございますので、今後にわかに改善するのもなかなか大変でございますし、今後も厳しい状況は続くであろうと。そうした中で、一方で地域の道路事情、道路整備の要望というのは大変高いものがございますので、多くの団体でもう既にいろいろ計画されている道路整備の事業などがいろいろあるであろうと。だから、そういったものに対しての財源手当て、各団体今大変御苦労、御苦心されているんではないかというふうに思います。  そうした中で、今回のこの制度が仮にでき上がるとすれば、我々としては交付税をそこに充当するという選択肢はないというふうに思っておりますが、これは理屈としても国債の返還に充てるものに交付税というのは考えられませんけれども、これは今後の問題として、先ほど委員お話ございましたとおり、補助金等をどういうふうに活用するかというのは、これは判断として政策的にあり得るだろうと思います。  それから、あと公共団体がこういったものを、これに対してどういうふうに取っていくかという判断、公共団体のまさに判断だと思いますけれども、ピーク時の償還をならしていくと、これ大体公共団体が資金手当てをするときは十年とか、今そのくらいのもので手当てをするのが多うございますけれども、そういったものを、ピーク時の負担をならすという意味でこうしたものを使うということは選択肢としてあるというふうに思っております。
  88. 内藤正光

    内藤正光君 財務大臣にお尋ねします。  もし補助金ということを考えた場合に、これまた二つ考えられると思います。特別会計から捻出するか、一般会計から捻出するか、どのオプションも否定はされませんか。あるいは、何かお考えはお持ちですか。
  89. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今お話がありましたように、地方負担の軽減と財政の再建というか健全化と、両面のことを目的にこういう措置がなされていると思っております。今償還時に地方負担の軽減をどうするかということについてきちっと決められているものではありませんけれども、これは、今後関係機関、総務省や地方の皆さんとよく相談には応じたいというふうに思っております。
  90. 内藤正光

    内藤正光君 財務大臣、もう一回お尋ねします。  このどう返済するかという仕組みが全く考えられていない貸付制度、私、これ悪しき前例だと思いますよ。こんな制度を認めてしまっていいのか、あるいは国会に審議しろというのは国会審議をばかにしていませんか、違いますか。
  91. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これは、償還は五年後、据置きになっていますから……
  92. 内藤正光

    内藤正光君 資金のめどということですよ。
  93. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) その時点でいろいろと関係機関と相談をしてきちっとしていきたいというふうに思います。
  94. 内藤正光

    内藤正光君 じゃ、確認しますが、議論はこれからということなんですね。改めて確認しますが、まだ何も決まっていない、そういった制度を今国会に諮ろうとしているわけですね。
  95. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) もちろん、先ほど軽減措置についての話が出ておりますからそういう話をしているのでありまして、借りられた方々は責任を持って返すことが前提になっていると思いますが、軽減措置の話が出たものですから、償還は五年後でございますので、そういう時点でその状況に応じてよく協議をしていきたいという話をしたわけであります。
  96. 内藤正光

    内藤正光君 じゃ、これは、先ほどちょっと出ましたが、借りたいという自治体には普通に貸すんですか。基準とかはあるんですか。これは国交大臣に聞いた方がいいのかもしれませんね。
  97. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) もちろん、それについて申出があれば、返済計画も含めたそういうものが当然提示をされるでありましょう。そういうものを審査をさせていただき、そして、しかしながら、今地方は道路を整備するために一般金融機関からもいっぱい借りていますよ。銀行からも借りていますよ。そういうものについても、金融機関はきちっと審査をして、返済のめどを見て、そして貸付けをしていられるんじゃないでしょうか。  我々としても、もう一つ、道路事業が競合して、そしていろいろと県民のニーズは高いけれども、そこまで手が回らないという事業だってたくさんあります。したがいまして、そういうものを、大きな道路整備というものが終われば余力が出てくるわけですね。  したがいまして、この二十年という長い間に返済をしていくというめどは、そういうもののやりくりの中から考えることができるわけでありまして、それを判断されるのは首長さんです。そして、我々はその方々の、ただ貸してくれと言われたらすぐ貸すわけではなしに、そういうものも審査させていただき、財務省ともよく相談をして、そしてこれは実行されるものであると思います。
  98. 内藤正光

    内藤正光君 国交大臣は、地方も金融機関から借りていますよとおっしゃいました。でも、それは、それこそが実は今大きな問題なんですよ。地方に貸すときに銀行の貸し手責任を問わない、これが地方のモラルハザードを起こしているんですよ。  ということは、金融機関となぞらえて今回の制度をつくったというならば、元々、これから貸し手責任のモラルハザードを織り込み済みでやっているわけですか。何らか手当てするよという口約束した上でこういう制度をつくっているんですか。  いずれにしましても、ちょっとこの制度は大きな問題がある、今後議論を深めていかなきゃいけない、そのことを申し上げまして、次は地方財政について議論をさせていただきたいと思います。  特に、総務大臣財務大臣にお尋ねをしたいんですが、今回、法人事業税を国税化をして、それを地方に再配分するという制度をつくろうとしているわけなんですが、その際、総務大臣法人税消費税は等価交換が行われるべきだという税源交換を主張していた。しかし、今回は残念ながら半分の方がなされなかった。法人事業税の国税化だけが行われたということなんですが、総務大臣は、これはあくまで暫定措置だという御認識ですよね。  そこで、財務大臣にお尋ねをしたいんですが、いつ行われるか分かりませんが、税体系の抜本改革の中で地方消費税の充実は必ず実行されるんですか。確認をさせていただきます。
  99. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) この地方法人特別税というのは、財政力格差に伴う地方の財政力を平均化するために行われたわけでございまして、我々は、委員のおっしゃるように、これは暫定的な措置だという認識をしておりまして、消費税とか税制の抜本改革が行われるときにしっかりと対応させていただきたいというふうに、こう思っております。それは、社会保障の財源をどうするかとか、地方の安定した財源をどういうふうにしていくかとか、多面的な形で税制の抜本的な改革をしていくことが、早期に実現する必要があるというふうに思っております。
  100. 内藤正光

    内藤正光君 消費税改革というのは、地方から見た場合、それは地方消費税の充実ということと同義語ですか。
  101. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これはもちろん地方消費税も含めて総合的に考えていく必要があると思っております。  全体的には、国と地方をいえば、相対的には国の財政の方が大変つらい思いをしているということでございますから、その中でどういうふうにバランスを取っていくかということだと思います。
  102. 内藤正光

    内藤正光君 では、この税制の抜本改革、できるだけ早期にとおっしゃいましたが、普通に考えたら地方分権と同期を合わせるべきだと思うんです。具体的に言えば、新地方分権改革一括法ですよね、これと合わせてどうなのかと本来考えるべきです。総務大臣もそのようにお考えだろうとは思うんです。  そこで、確認をさせていただきます。この税制の抜本改革に関する法案は、その一括法の提出と同じタイミングなのか、あるいは実施が同じタイミングになるようにするのか、あるいはその一括法とは何の関係もなく、全くもって提出時期については未定だと、ただ単に早期だということしかないのか、お答えいただけますか。
  103. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) もちろん委員がおっしゃるように、国の形としては、国の役割とか地方の役割とか、そういう分権とそれから財源の問題、そういうものが総合的に整理されていくことが望ましいというふうに思っております。  そういう中でこの税制改革というのは、社会保障制度の問題、年金の問題、あるいはまた地方の財源をどういうふうにしていくのか、そういうことを総合的に考えて、できるだけ早く形を整えたいということでございます。
  104. 内藤正光

    内藤正光君 総合的に考えるのは当たり前のことなんです。できるだけ早期に、早期にと、何にも答えてないんですが、私はこの一括法と絡めて税制の抜本改革はいつ行われるのか、いつ提出されるのか、それをお尋ねしているんです。
  105. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これは、今政府においては社会保障国民会議とか、それから分権の問題とか、今議論をし、そして考え方を整理しているところでございますから、そういうこともにらみながら、できるだけ早く、早期に実現をする方途を考えているということでございます。
  106. 内藤正光

    内藤正光君 早期にという国会用語も、ここはしっかり明確にしておかなきゃいけない。というのは、暫定という名の下、三十四年続くのがこの国ですから、早期にといったって、普通に考えれば二、三年と見るべきなんでしょうが、この国会用語では早期にというのが十年先になるかもしれない、三十年先になるかもしれない。  総務大臣、権限だけ移譲されて税源の裏付けがない地方分権なんというのは考えられるんですか。
  107. 増田寛也

    国務大臣(増田寛也君) 地方分権を実現するためには、権限と同時に税財源、いわゆる財政的な自立ということも当然必要になると、こういうことで、今、分権改革推進委員会でこうした問題について、三年間という期限がございますが、その中で今真摯に議論をしているところでございますので、分権改革委員会としてもいろいろそうした考え方を示していただいた上で、政府としても、私どもも財務省を始め関係のところとよく御相談をしながらそうした内容についての実現を図っていきたいと、このように考えております。
  108. 内藤正光

    内藤正光君 どうも財務大臣答弁によりますと、どうも税制の抜本改革とこの分権一括法というのは全く関係ない、早期に、早期にとおっしゃるだけで。ということは、今回の暫定措置と絡めて言うならば、その税制改革が行われるのが例えば十年後になるかもしれない。ということは、今回の暫定という法人事業税だけの国税化がずっと続いていくということですね。そういうことですね。で、地方消費税はそのままと、そういう理解でよろしいんですか。
  109. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 多面的にいろいろと今検討をしていることでございますから、二十年度の税制改革大綱には、消費税を含めてそういう地方法人とか、総合的に早期改革をしていくということを決めておるわけでございますから、ですから、できるだけ早くという形に、今目標を置いて整理をしている最中であるということでございます。  ですから、これは社会保障制度等については、我々党においても野党の皆さん方にも呼びかけて、議論をしようじゃないかと言ったりしているわけでございますから、これは先生のところでも、やっぱりお互いにきちっと議論をした上で、できるだけ早く環境づくりをしていただければ有り難いというふうに思っております。
  110. 内藤正光

    内藤正光君 総務大臣にお尋ねしますが、今回、抜本的な税制改革の時期がどうも明示されていない、明示されない、おっしゃらない。  結果として、それまでは今回の法人事業税の国税化だけがずっと続くわけなんです。片一方で、地方消費税の充実はまだまだお預けと。本当にこのままの状態が今後何年続くか分からないわけなんですが、それでいいんですか。私はちょっと、増田大臣は暫定措置だ暫定措置だとおっしゃっているんですが、どうも全体的に考えた場合、これが暫定の名の下ずっと続くような気がしてならないんですが、いかがですか。総務大臣としてのお考えをお述べいただきたいと思います。
  111. 増田寛也

    国務大臣(増田寛也君) これは文字どおり、まさに暫定的な措置でございまして、法人事業税を国税化をしたと、この方向は、先ほど先生の方からむしろ逆にお話がございました地方消費税の充実を図るということ等の提案の中で一部分先行実施のような形になってございますので、私どもはこうした全体の税制改革が必要だと思っておりますが、そうした認識で税制改革大綱、これは閣議決定している文書にも、地方消費税の充実等を含め地方税財源を充実強化していくという方向がはっきりと示されております。  あわせて、政府全体として大変大事な、これも財源の問題が大変大きな議論を呼びます社会保障につきましては社会保障国民会議議論がちょうど始まって、その関係についてもまた秋までにいろいろな考え方がまとめられるということでございますので、そうしたことを考え合わせますと、まさにこの今回の措置も暫定的な措置というふうに考えておりまして、全体の税財源の地方分権を進めるための考え方というのは、そうした考え方の下に早く暫定措置を解消するという考え方に立って今後検討されるものと、このように考えております。
  112. 内藤正光

    内藤正光君 どうもこの答弁で明らかになったのは、暫定がいつまで続くのか分からないということですね。これはもうしっかりと今後の議論にゆだねながら明確にさせていかなきゃいけないというふうに思います。  そして次に、国の出先機関の見直しについてお尋ねしたいんですが、現在、地方分権改革推進委員会による検討の中で国の出先機関の見直しが大きな議論になっております。全国知事会も本当にしっかりしたまとめを国に提出をしておりますが、出先機関の八割に当たる二千七百七十機関の廃止、統合を政府に提言をしているわけでございますが、そこで総務大臣にお尋ねします。  総務大臣はこれまで逆に、こちら側の知事会の立場にいたわけですから、分権改革において国の出先機関の見直しを進める意義とは何なのか、改めてお尋ねします。
  113. 増田寛也

    国務大臣(増田寛也君) 今先生お話しのとおり、知事会もその考え方をまとめたと。現場を抱えている知事会がそうした考え方をまとめたということは大変大きな意味があると私は思っておりますが、改めてこうした出先機関の改革の意味合いを申し上げますと、一つは、国が出先機関を置いて、そこで仕事をしているということは、それは、その地域のいわゆる現地性と言っておりますけれども、そこの地域地域性とか現地性が非常に高い仕事だと、そういうことで仕事をそこで行っていると、要は住民に身近なものが多いというふうに考えられるということが一つです。また、そうしたものについては、一方で、国の出先機関と地方自治体、多くは広域自治体である都道府県ですけれども、都道府県の取組が結果として二重行政になっているような場合も多いと。  こういう二つのこと、仕事自体が非常に地域の住民に身近なものが多いということと、結果として二重行政になっているということ、こうしたことがあって、それでは今後、資源配分としても、あるいは公的な機関の在り方としても、国の出先機関の事務や権限を抜本的に見直して、地方に移せるもの、そして地方がやった方が住民のサービスという観点からも非常にいいものは地方に移していこうと、そういう改革が必要だと、そこに大きな意味があるというふうに思っております。  そういったことが上手に進められますと、行政の重複とか無駄もなくなりますし、いい行政体制を構築することへつながっていくんだと。  こういうことで、非常にかいつまんで今申し上げましたけれども、そのほかにも幾つか理由ありますが、かいつまんで言うとそういうことで、この改革というのを進めていく意味合いがあると、このように考えております。
  114. 内藤正光

    内藤正光君 一般論としては総務大臣がおっしゃるとおりなんですが、しかし実際に委員会を通じて各省ヒアリングをやってみますと、国が統一的に行わなければ使命が果たせないといったたぐいの答えがオンパレードなんですよね。こればかりなんですよ。でも、考えてみると、各省に聞いたところでそう言うの当たり前なんです。自らの存在を否定するようなことを言うはずがないんです。だからこそ政治的リーダーシップが必要じゃないんですか。  ところが、委員会動向議論動向を待つとか言って、一方では政治家主導の推進本部、今まで二回しか開かれていないんですよね、昨年の六月と十一月。こういったことこそ政治的なリーダーシップ、副本部長ですよね、総務大臣は。各省が、いやいや必要なんだと言うのはある意味当たり前なんですよ、組織は自らの存在意義否定できませんから。じゃ、否定しちゃったら、自分たちは今まで何やっていたんだということになっちゃいますから、政治的リーダーシップが必要なんです。  その辺の政治的リーダーシップをどのようにお考えですか。
  115. 増田寛也

    国務大臣(増田寛也君) この問題というのはやはり大きな政治的なリーダーシップが必要であると私も思っておりまして、この出先機関の整理をしていく上では、まず大きな、その仕事の国と地方の役割分担、もう一度大きく整理をしていく。今後の人口減少化の中にあって、どういう仕事が国がやるべきであり、どういう仕事が地方がやるべきだという大きな整理を行って、その上で出先機関の整理につなげていく必要があるんだろうというふうに思います。  ちょうど分権委員会も発足して三年間という中で、この春以降、六月ぐらいまでには第一次勧告としてそうした役割分担についての勧告を行うことにしていますし、それを受けて中間的な出先機関の整理の取りまとめを夏に行って、今年の暮れに具体的な出先機関の整理についての勧告を行う、こういうスケジュールで今取り組んでおりますので、その際に、やはり各、国の出先機関がどういうことなのかという考え方を、これは確かに委員がお話しになるように、なかなか省庁サイドから大きな改革の方向というのを直接最初から打ち出しづらいという、これは過去の経験もございますけれども、しかしそういう場をきちんとつくって、そしてどういう主張なのかというのを国民の皆さん方にやはり一つ一つ明らかにしていく必要がありますので、おおむね三月ぐらい、今月いっぱいを予定してそうした各省の意見を今丹念に聞いているということでございます。  まだ議論のやり取りの途中でありますので、そういう過程をきちんと踏まえないと具体的な整理になかなかつなげていくことにならないと思いますので、そういうスケジュールでつなげていきたいと思っておりますし、それから、その間に分権委員会の中間報告が出たり、スタートの時点と、それから基本的な考え方を五月にまとめた段階と、それから中間的な取りまとめを行った段階にそれぞれ本部会議もきちんきちんと行って、特に昨年の秋の本部会議の中では出先機関の整理について各省にきちんと協力をしろという指示が出ておりますので、そういう方向性にとって今後大きなこの改革に向けて確実に取り組んでいきたいと、このように考えております。
  116. 内藤正光

    内藤正光君 冬柴大臣にお尋ねします。  冬柴大臣は新進党時代、積極的な地方分権論者と、持ち上げるわけではありませんが、そういった主張の結果、例えば機関委任事務の全廃につながったものと私は思っております。  今回、国交省の出先機関もたくさん整理統合せいと言われているわけなんです。ところが、ヒアリング、まあ途中の経過だと言ってしまえばそれまでなんですが、都市公園についてはどうですかと聞いたところ、ナショナルセンター的な機能として生物の多様性や地球温暖化対策に取り組んでいる、都道府県の区域を越えて国が統一的に行わなければ使命が果たせないと考えている。  あと、ほかにもいろいろ、いっぱいありますが、例えば建設事業者の管理について言うと、これは介護保険者や産廃業者については各県単位でやっているんですよ。ところが、じゃ、なぜ建設事業者だけは国がやらなきゃいけないのかと言うと、建設業の場合、営業活動の取締りの観点から、県域を超える場合には国が統一的に監督をすることとしていると。そして、データベースがあれば十分じゃないかということを全国知事会は言っているんですが、情報管理については今のところ統一的なデータベースはない。全くもって前向きな回答がないんですよね。  私は、少なくとも地方分権に前向きな国交大臣として、国交省、いろいろ言われています。こんなのは地方ができると。私は、そもそも地方がこれは自分たちでできるんですと言っていることを、いやいや、国がやらなきゃできないんだと。こんなこと言っていたら地方分権何もできやしませんよ。  国交大臣の出先機関の見直しについての、少なくとも自分のところの機関の見直し、決意をお話しいただきたいと思います。
  117. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 冒頭、もう十数年前の話ですけれども、地方分権推進に関する法律案、代表提案をさせていただき、審議もやらせていただきました。委任事務についても廃止という、当時だれも考えられなかったことが実現しました。  その中で、今回の、今の見直しについてでございますが、国土交通省が掲げている安全、安心の確保とか、あるいは成長力、国際競争力の確保とか、地域の自立、活性化など国民生活に直結する重要な政策課題につきましては、国民や社会の要請に的確に対応できるよう、国と地方の適切な役割分担の下に施策を推進していくことが不可欠だと考えております。  問題の地方整備局、地方運輸局を始めとする国土交通省の地方支分部局の在り方につきましては、全国の知事会の提言も踏まえまして地方分権改革推進委員会等において論議が進められることとなりますが、その中にありまして、私は、国民生活経済活動に具体的にどのような影響が生じるのか、あるいは国と地方の役割分担をどのように考えていくべきか等について十分検討されることが必要だと思います。  現在の四十七都道府県というのには、非常に広い県域を持ち、しかし人口は非常にまばらだというところとか、あるいは人口が物すごく少ないところも一つの県域としてあるわけですね。どういうふうにしてそれが、そういうところを超えて、河川、道路等、あるいは震災対策等もあるわけでございまして、そういうことが起こったときにはやはり整備局から、本当に数か所から人員が翌日にはそのところへ駆け付け、そして昼夜を分かたずその復旧復興やっていますよ。そういうものが、こういうふうにしたときにどうなるのかという具体的な検討も踏まえながら、私はやはりこれは前向きにやるべきだと思いますよ。私はそのように思います。  今までも、まだ何もしなかったというわけではありません。都市計画に関する権限を都道府県から市町村へ移譲するということは実現しましたし、三位一体改革、これは大分いろいろな評価がございますが、補助金改革についても我々取り組みました。また、道路の一・五車線というようなローカルルールの導入についても、我々は地方分権という見方から積極的にこれまで取り組んできたという自負心も持っています。  したがいまして、国と地方の役割分担ということを十分論議されたら、我々としては当然その方向に従ってこういうものは整備がされていくべきであると、このように思っております。
  118. 内藤正光

    内藤正光君 今後、冬柴大臣の言ったとおり、特に国交省の出先機関がどうなっていくのか、ウオッチをしていきたいというふうに思います。  さて、官房長官、もう時間が余りないというふうに聞いておりますので、公務員制度改革、したいと思います。  まず、渡辺大臣にお尋ねしたいんですが、過日大臣総理に示された原案の中には、内閣人事庁の創設始め、労働基本権の拡大、あるいはまた政官接触の制限等が含まれているというふうに聞いておりますが、公務員制度改革基本法の制定を通じて渡辺大臣が目指す公務員制度改革のビジョン、どういう公務員制度にしたいと思っているのか、どういう霞が関にしたいと思っているのか、ビジョンをお述べいただきたいと思います。
  119. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 今回の公務員制度改革は、公務員が国家と国民に奉仕し、誇りと責任を持って働けるようにする、そして研さんと競争を通じて、より優れた公務員を育て、活躍させようとするものであります。  公務員制度の総合的な改革に関する懇談会から総理に提言された内容としましては、第一に、官僚内閣制とすら言われるような実態から真の議院内閣制への転換を目指します。このため、国会議員と接触専門部隊としての政務専門官を設け、それ以外の職員の接触については大臣のコントロールの下で適切に行われるようルールとプリンシプルを明確にするものであります。内閣主導の機動的な政策立案を支えるため、国家戦略スタッフなどを設けるとしております。  第二に、試験区分に基づく身分制や官民の垣根の打破を目指しております。現行のいわゆる身分制的キャリア制度については、採用試験の段階で幹部候補を事実上固定化をしてしまっております。そのため、言わば特権的、閉鎖的な仕組みになっているという指摘がなされています。こうした身分制的キャリア制度は廃止をいたします。幹部候補は採用試験区分ではなく、採用後の働きぶりを見て選抜をいたします。途中段階での参入もあれば、ふるい落としもあるということであります。民間からの中途採用も拡大をいたします。こうした開かれた競争を通じて真に優秀な人材を選抜、育成すべきとの提言が先ほどの懇談会の提言であります。  第三に、各省縦割り、タコつぼ主義の打破であります。これまでは入省から退職、さらには退職後の天下りまで各省ごとの人事で行われてきているという実態がございました。これが各省の省益ばかりに目を向ける縦割り、タコつぼ主義の源泉であります。また、各省ごとのゼネラリストばかりが育って、中途半端なゼネラリストあるいは中途半端な専門性、省の枠を超えた真のゼネラリストがいないという実態が指摘されているところであります。内閣の一元管理によって各省横断的な人材の育成や登用を行うべきとの提言であります。そのため、内閣人事庁を創設をいたします。  報告書には、このほか、労働基本権につきましては専門調査会報告を尊重すること、定年まで公務員として勤務できるよう仕組みを設計すること、雇用と年金受給開始時期の接続を原則とすることなども盛り込まれております。この提言を尊重して基本法案を早急に提出すべく、今検討をしている最中でございます。
  120. 内藤正光

    内藤正光君 内閣人事庁を創設して、そこに現在の人事院の中央人事行政機能を統合させるということなんですが、そこをちょっとお伺いしたいんですが、となると、内閣人事庁が管理するのはすべての公務員なのか、あるいはまた幹部に限定するのか、その辺を明確にお答えください。
  121. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 内閣人事庁による一元管理は、縦割り行政の弊害を除去し、各府省横断的な人材の育成、活用を行うことに資するものであります。これによって省の枠を超えた真のゼネラリスト、私は日の丸官僚と呼んでおりますが、こうした人材が育成されることが期待されるところでございます。  具体的には、懇談会報告書においては、総合職試験合格者からの採用、そして各府省への配属、第二に、幹部候補育成課程、これは仮称でございますが、この課程に関する統一的な基準作成や運用管理を行うとしております。第三に、各省横断的な人材登用に活用するための幹部並びに幹部候補の履歴管理と幹部人事の調整を行います。第四に、指定職への任用に際しての適格性審査を行います。これらを内閣人事庁で担うということが提言の中身でございます。  要は、国家公務員三十万人すべてを一元管理するというのは非現実的でございます。したがって、幹部職員やその候補を中心に一元管理を行うというのが提言の趣旨でございます。
  122. 内藤正光

    内藤正光君 大臣のおっしゃられたことは、民間企業であればそれはすばらしいことだと言えるんでしょうが、国家公務員となるとちょっと事情が違ってくるんですね。政治的中立性をどのように確保するのかという問題が出てくるかと思います。  改めて申し上げるまでもないんですが、人事院がなぜ創設されたのか、昭和二十二年、考えなきゃいけないんです。これ、二つの大きな理由があるんです。一つは労働基本権制約の代償措置、そしてもう一つは政治的中立性の確保、この二つの大きな理由の下に人事院がつくられたんです。で、今回、労働基本権を拡大する。それは一方はクリアできるんでしょう。ところが、もう一つの政治的中立性をどう確保するか。この中央人事機関行政をそのまま内閣人事庁に持ってきちゃったら、これは大きくバランスが崩れるんですよ。大臣は、人事行政を通じて政治主導を図るために創設するというふうにお思いでしょう。そうなると、これ、崩れちゃうんですよ。  だから、私がちょっとお尋ねしたいのは、これ、政治的中立性の確保というのは憲法の要請ですよ。憲法が要請する、憲法十五条を読んでください。そこの要請である政治的中立性というのは、今まで人事院が存在することで確保されていたんです。その理由は二つある。繰り返しませんが、もう大事な政治的中立性まで飲み込まれてしまう。まさに内閣というのは政治の中身そのものですよ。どうやって政治的中立性を確保するんですか、お答えください。
  123. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 今回の懇談会の提言におきましては、人事院の機能の一部を移す提案が行われておりますが、人事院そのものをなくすという提案ではございません。
  124. 内藤正光

    内藤正光君 提言にはこう書かれているんですよ。現行人事院の中央人事行政の機能を移す、統合すると。これは本質的なものを移すんですよ、一部じゃないんですよ。そこをお答えください。
  125. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 人事院につきましては、今回の基本法の中で消えてなくなるという位置付けにはなっておりません。
  126. 内藤正光

    内藤正光君 ということは、今まで人事院が担っていた、特に政治的中立性の確保のための様々な部局だとか機能、こういったものは残されるという理解でいいんですか。
  127. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 懇談会の提言におきましては、「総務省人事・恩給局、人事院の中央人事行政に関する部門等の関連する機能を「内閣人事庁」に統合する。」としております。
  128. 内藤正光

    内藤正光君 突然棒読みの答弁になってしまったんですが、これ、ちょっとまだODAのことも聞きたいんで、ちょっと最後に町村官房長官にお尋ねしたいんですが、大臣の人事庁創設に対するスタンスと、で、いろいろまだまだ異論があるというふうに聞いております、内閣の中に。本当に三月末までにこの基本法を提出するんですね、そこを確認さしていただきたいと思います。
  129. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) 今、渡辺大臣がお答えをした方向に沿って関係大臣関係省庁とも今いろいろな議論を行っているところでございます。総理大臣のリーダーシップの下ということももとよりございます。そういうことで、できるだけ三月中には内閣としての成案をまとめ、その上で、まず与党の方にもお諮りをし、そして御了解を得た上で国会に提出ができればと、そういうあらあらの作業目途を持ちながら最終的な調整を目下行っている最中でございます。
  130. 内藤正光

    内藤正光君 調整ができればと言うんですが、本来三月七日までに提出しなきゃいけないんです。それを三月末までってなっているんですが、そこの三月末の目標ですら調整できればというスタンスですか。出すのか出さないのかです。
  131. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) 法律はそれぞれ重要でございますが、特にこの法律は一度変えますと、公務員制度という大変に長きにわたって永続をし、かつ国民に与える影響その他いろいろな面で大変大きな問題、課題を抱えているこの公務員制度全般の改革であります。  したがいまして、全体としては、国会の審議のことも考え、三月の上旬までにはお出しするということで政府も調整をしているところでございますが、なかなかこれだけの問題になりますと、通常の法案のように三月七日までにというわけには率直に言っていっておりませんので、ただ、余り遅くなってもそれは国会に対しても大変失礼になるかという思いもございますので、最大限努力をして何とか三月中には政府案をまずまとめてみたいものだと、こういうことで鋭意努力をしているという事情にありますことは是非理解を賜れればと思っております。
  132. 内藤正光

    内藤正光君 官房長官、結構です。  次に、最後になりますが、ODAの話をお伺いしたいかと思うんですが、我が国のODA予算、この十年間で四割も減少しているんですね。骨太方針によれば、しばらくの間マイナス四%が今後も続いていくという現状があると。他方、諸外国はというと、二つの理由、一つはミレニアム開発目標の達成のための支援、そしてまた九・一一テロ、これは、やっぱりこのテロの温床は貧困にあるということで、もう積極的にODA予算を我が国とは反対の方向で増やしていると。  となると、このままの状態が続くと、アフリカ援助で我が国はリーダーシップを振るうだとか言っていますが、それすらもできない。更に言えば、外交上の発言力にまで影響を及ぼしてしまうんですが、予算面から見た我が国のODA予算の現状についての問題意識をお答えいただきたいと思います。
  133. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 今御指摘のように十一年間で四割減っていると。これは財政が非常に厳しいという状況の中でそういうことに相なったわけでありますが、外交の方面からいうとそろそろもう限界に来ている。早く底打ちさせて、そして反転させなければいけない、こういうふうに思っています。  もちろん、その質を高めて、そしてやっていくということは大いに必要なので、ただ質だけでカバーできる状況にあるかどうかと、こういうこともありますので、御指摘も踏まえて内閣の中で、私一人で決められればこんなにいいことはないんだけれども、内閣の中で検討していきたいと、こういうふうに思っております。
  134. 内藤正光

    内藤正光君 そこで、なぜアフリカ援助の強化なのかというのを国民に分かるように説明しなきゃいけない。アフリカは余りにも地理的に遠いし、関係もなかなか希薄だと、見えてこない。ですから、そういう状態ですと、やっぱり今の財政状況に押されてどんどんどんどん削減をされてしまう。ですから、改めて、なぜアフリカ援助を我が国は強化しなきゃいけないのか、その支援理念を語っていただけますか。
  135. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) そこに紛争があり、貧困があると。そうであれば、責任ある国家として、品格ある国家としてお手伝いしなければいけないと。そういうことで、九三年にTICADというプロセスを始めたわけであります。  TICADプロセスはアジアの成功体験をアフリカに適用しようと、こういうことでありまして、一九六〇年代、七〇年代、日本とアジアの貧しさというのは同じ程度だったんです。それが大変な差が付いた。何でそう大きな差が付いたと。それはアジア各国の自助努力というのがあって、その自助努力をまた日本がサポートしたと、こういうこともあるわけであります。そういうアジアの成功体験をアフリカに移すということが必要だ、そういうことでまず始めたと。責任ある国家として、アジア各国にあったような自助努力というのをまずアフリカにもお願いしたい、そしてそういうことを私たちもサポートしていきたい、日本だけでなくて国際社会全体がそういうことをサポートするような形に持っていきたいと、そういうことでTICADプロセスを始めたわけであります。  だけれども、そういうTICADプロセスの中で、自助努力、オーナーシップとか、あるいはそれに対するお手伝い、パートナーシップと、そういう言葉が世界の援助コミュニティーの中でこういうことが定着してきたというのはこれは非常に良かったと、こういうふうに思います。  そういう大きな人道的観点からが一つあるわけでありますけれども、最近、とみに中国やインドが台頭している中で、レアメタル、資源、そういうものもアフリカが注目されてきている。あるいは、国連加盟国百九十二国の中で五十三国アフリカになっていると、それは外交基盤のためにも大切だと。我々は一九九三年からこのアフリカ支援というのをしてきた、そのまさにアセットですよね、資産を生かしてこれからもアフリカ援助をやっていくと、こういうことでございます。
  136. 内藤正光

    内藤正光君 そこで、今回、TICADだとか、それで洞爺湖サミットが我が国で開かれるわけですね。小泉総理のときは、三年間で倍増すると、グラントを中心にするというメッセージを国際社会に向けて発したわけなんですが、今回、TICADⅣそして洞爺湖サミット、福田内閣としては質、量、いかなるメッセージを発するんでしょうか。
  137. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) アフリカについて、これ成長をどうやって加速化させるか、それからミレニアム開発目標をどう達成していくか、こういう人間の安全保障の面、そういったことをやっていくわけでありますが、今、質、量をどうやっていくか内閣の中で検討中であります。特に、私と額賀大臣の間で検討中でございます。
  138. 内藤正光

    内藤正光君 時間の関係でこれが最後になるかと思いますが、欧米援助国の援助は無償化という流れに流れています。まあアメリカにしろカナダにしろ、イギリスは有償支援をやめています。  ところが、我が国の場合、ODA予算の現状を考えると無償を軸とすることは難しい、となると借款を軸とせざるを得ない。ところが、借款となると、アフリカを見てみると債務負担能力が低い国ばかりで円借款したくてもできない、こういうジレンマがあるんですね。ですから、我が国のアフリカ支援の強化というのは、と同時に円借款に立ちはだかる課題だと、そういった側面もあるんじゃないんでしょうか。  そこで、だからといって駄目よというわけじゃなくて、いろいろ議論していかなきゃいけない。例えば、選択と集中ということで元気なアフリカを取り戻しつつある国に集中的に借款を与える、そして成長路線へ乗せる。これ、我が国のお家芸ですよね。そして、もう一つは、債務負担能力の低い国に対してはマイクロクレジット的な円借款というのも制度として設けてもいいんじゃないんでしょうか。そして、また、一国ではなくてAU等の機関に対して支援をすれば、もっと面的な支援もできるんじゃないんでしょうか。  そういった円借款の改革についてお尋ねして、私の質問を終わりたいと思います。
  139. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) すばらしい指摘をいただきまして、ありがとうございます。  そういうことを考えながらアフリカ一国一国を見ますと、債務返済能力が十分でない国がたくさんあるんで大変ですけれども、まさに選択と集中、そしてそういう中でも小規模融資をどうやっていくか、アフリカ開発銀行などとも連携をしながらきっちりやっていきたいと、こう思っています。
  140. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 残余の質疑は午後に譲ることといたします。  午後一時に再開をいたします。  休憩をいたします。    午後零時十八分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  141. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成二十年度総予算三案を一括して議題とし、質疑を行います。  関連質疑を許します。辻泰弘君。
  142. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 民主党・新緑風会・国民新日本、辻泰弘でございます。限られた時間ではございますけれども、年金、医療、また道路財源の問題について御質問をさせていただきたいと思っております。  まず、先週金曜日に、厚生労働省、年金記録問題に関する関係閣僚会議を開催されまして、報告をされたということでございました。率直なところ、国民的に見れば素朴な感情としてやはり去年の夏から今日までの推移、やはり公約違反というふうに言わざるを得ないと私は思うんでございますけれども、舛添大臣は公約違反という批判は当たらない、約束は守ったと、このようにおっしゃったと聞いておりますが、間違いはございませんか。
  143. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 七月五日の政府・与党のこの工程表の中では、五千万件、コンピューター上で名寄せをするということでございましたんで、これを何とか三月いっぱいに終わるということで終わりました。その結果、まだ四割近くの二千万人の方がコンピューター上の名寄せでは不明であったということでありますんで、残りの三千万、明らかになり、そのうちの約千二百万件、これダブっていますから人数にして千三十万人、この方々に今ねんきん特別便をお送りしているわけで、これが作業が終わったわけでは全くなくて、残りの二千万件についても引き続き住基ネットを使う、その他いろんな手段で確実にこの年金記録の回復を今後とも図ってまいりたいと、そういうふうに思っております。
  144. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 そうすると、大臣がおっしゃる公約に違反しないという、その公約というのは政府の今まで言っていたことと背馳しないという意味ですね。
  145. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 七月の五日に政府・与党でこの工程表でやろうといった意味での公約ということを申し上げた次第です。
  146. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 舛添厚生労働大臣は去年の夏の時点では参議院の政審会長をされていたと思うんですけれども、当時の自民党のホームページやビラでは、五千万件の年金記録問題について、政府・与党は今後一年間ですべての統合を完了させますと明確に約束していたわけですね。  今回は二千二十五万件が特定困難と、こういうふうに言うべき結果だと思いますけれども、やはり明らかに党としての公約、特にその立場でおられたわけですから、政策責任者として。そのことはどうお考えですか。
  147. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) これは、統合と、今委員がおっしゃったような統合という言葉を使ったり名寄せという言葉を使ったり、それから、コンピューター上でというようなきちんとした制約というのをちゃんと説明しなかった、そういう意味での説明が十分じゃなかった。これはもう繰り返し申し上げたようにきちんと反省しないといけない。そして、広報をきちんとしなかった、大変誤解を国民の皆さん方にお与えしたと、そのことはもうずっと私も謝罪をしていますし、ここでもまた申し訳ないと思っています。  しかし、七月五日、党と政府、私は政府におりましたんで、それで、こういう形でやろうということで文書にした、その元の文書にはコンピューター上のということが書いてありましたんで、まあそういう意味ではきちんと国民説明できていなかったということは反省をいたした上で、更に一人でも多くの方の記録を解決すると、いろんなあらゆる手を尽くして今後とも抜かりなくやっていく。それから、ねんきん特別便を発送したらそれで終わりではなくて、きちんとフォローをして窓口対応もきちんとやるように相当改めていますし、またいろんな、与野党含めて、いろんな皆さん方の御提案は、これは真摯に受け止めて、いいアイデアはどんどん採用していくと、そういう方向で今後とも頑張ってまいりたいと思います。
  148. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 説明不足とおっしゃいますけど、そうじゃなくて、あの時点で言っていらしたことと完全に違うようになってきたというふうに理解するのが常識的なことだと思うんですね。  あの六月の時点では、名寄せの完了ということで、二億口があって、五千万口、五千万件があって、それでゼロのところの指標を作って自民党出しているわけですよ、名寄せ完了と。しかも、政府・与党は今後一年間ですべての統合を完了させますということで図表まで出してやっていたわけですよ。それが二千万件、特定困難だったと言ったら全くでたらめというか、公約違反の最たるものと言わざるを得ないと思います。  福田総理自身も、選挙のときの公約じゃないかと言われると抗弁できない、公約違反じゃないかという意味でおっしゃっているわけですけど、これはやはりあのときの自民党としての公約に反することだというふうに大臣としてはお考えになりますか、トップで当選されているわけですから。
  149. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 何度も申し上げますように、例えばそういうビラであるとかいろんなことで説明が十分じゃなかった、不完全であったと、これはお認めいたしますけれども、そして謝罪もいたしました。大変申し訳ないと思っています。  しかしながら、この工程表を昨年の七月五日に策定したときには、コンピューター上でまずやり、そしてどのような手で今後これをやっていくか、住基ネット、そういうことも含めて。そして、最初から全体像が見えないものですから、やりながら、これはこういう手があった方がいいのかな、こうあればいいのかなと、そういうことを今試行錯誤も含めて繰り返しながらやっているので、私はそういう意味で、今なお二千万残っている、しかしそれは一生懸命やりますということを申し上げた上で、いろんなビラや何かでもうこれはこれまでも非常に不明確であった点、そういうことについてはきちんとこれは謝罪しないといけない。しかし、今後とも、党としても今言った広報手段とかいうようなことについての反省はありますが、政府・与党一体として七月五日に決めたわけですから、その工程表に従って行っていると、こういうことでございます。
  150. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 政府・与党のそれは、取組はもちろん重要ですけれども、やはり政党として、政権与党の一番の大きな政党であるわけですから、その時点でしっかりと国民にホームページやビラで出していたものがどうだったかということで、今おっしゃったのは政府の方の話ですけれども、政党の方のことは全く公約違反と言わざるを得ないと思っています。  今回、金曜日に出されたものについても、厚生年金旧台帳等の記録への対応、コンピューター記録と台帳等との突き合わせというのが出ていますけれども、これはこれからおやりになるということですね。
  151. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) ちょっと今の御質問の細かい点が、もし間違っていたら再度御質問ください。  残りました二千万件について、これはコンピューター上でやって出てこなかったものですから住基ネットでやる。それから、御結婚なさって名前が変わった方で、例えば田中さんが山田さんに変わったときに、山田という名前で幾ら探しても出てこないんですね。ですから、今、二月、三月の集中キャンペーンで、婚姻によって名前が変わった方はお知らせください、そうしたら田中という名前でやればすぐ出てくると。そういうことを引き続き努力をしながら、そしてやっていきたいと。そして、現にその作業を進めております。  二千万件になりましたのは、これは十二月に発表したときに、外にあった五百二十万件、その中に入れた統計じゃないやつが先に出ちゃったもので、それで現にそういういわゆる千九百七十五万件については、まあほぼ三百万件近く今解明しておりますので、今後とも地道に一つ一つ着実に努力は重ねてまいりたいと思います。
  152. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 私が申し上げましたのは、三月十四日に今後の対応に関する工程表というのを出されているわけですけれども、その中の、その他の取組の六番、七番に、厚生年金旧台帳等の記録への対応及びコンピューター記録と台帳等の突き合わせと、こういうところがあるわけです。このことはこれからやられるんですねということを申し上げています。
  153. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 失礼いたしました。  最初の方の部分で、後ろの方をお答えしていなかったんですけど、これは、まず国民年金の特殊台帳の記録を平成二十年度中に、約三千三百万件ありますけど、この突き合わせを完了する。それから、国民年金の被保険者名簿の記録、これの準備作業を実施する。そして、最後に厚生年金ですけれども、これは三月までにサンプル調査二万件やりまして、その結果に基づいて四月以降どういう形で取り組むかということをやっておりますので、そのことの、今詳細を申し上げましたけれども、今委員がおっしゃった六項目めというのはそういうことでございます。
  154. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 ですから、四月から御対応になると、こういうことですね。今までやっていないという意味ですね。
  155. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 今申し上げましたように、一部は、その工程のうちの例えばサンプル調査は、これはもうすぐ二万件は三月までに終わって四月から分析をやります。そういう形で、それから、平成二十年度中に例えば特殊台帳をやるということで今既に着手を部分的に始めているということが正確な表現だと思います。
  156. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 言い方を変えますと、要は旧台帳の記録、マイクロフィルム、これについては四月から突き合わせを行うと、こういうことが一つ、それから市町村が保管する国民台帳の被保険者名簿などについては四月から準備作業を進めると、こういうことだと思いますけれども、それでいいですね。
  157. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 申し訳ありません、もう一度具体的に正確にお答えさせていただきたいと思います。  旧台帳いろいろございますけれども、まず特殊台帳というのがございます。これは今既に進めていますが、平成二十年度中に終わると。それから、その次に国民年金全体約一億四千万件ですけれども、これは市町村、社会保険庁において名簿の整理をする。それで、サンプル調査は、厚生年金のサンプル調査は三月で終わります。しかし、その分析は四月からと、こういうことでございます。
  158. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 ですから、今も磁気ファイル化するための入力作業ということで現在進行されているわけですけれども、コンピューターの記録との突き合わせはあくまでも四月からなんですよね、それが一つ。それから、その市町村の名簿についても作業は四月からなんですよ。そこははっきりしてください。
  159. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 今おっしゃったとおり、準備作業は進めておりますけれども、本格的には四月からになります。
  160. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 そこで、申し上げたいのは、昨年の夏の自民党の公約、そのビラですね、ホームページ、そこにはオンライン化されていない、マイクロフィルムや市町村にある記録についても手作業で突き合わせいたしますと、ここまで書いてすべての統合を完了させますと、こう言っているわけですよ。だけど、全くやっていないじゃないですか。
  161. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) ちょっと私が委員質問を正確に把握していなくて、先ほど来申し上げたのは紙台帳の件でございます。今おっしゃったいわゆる千四百三十万件のマイクロフィルムにつきましては、これは確認作業をしたりデータ入力作業を今行っていまして、入力作業も実は実施をしております。  そして、本年五月までにその記録が結び付く可能性のある方へその旨を周知するということで、五月を目途にこちらの、先ほど紙台帳のことを私は答えちゃったんで、マイクロフィルムについては、これは厚生年金保険とか船員保険のものがこのマイクロフィルムの形で保管されているんですけれども、今申し上げたように氏名、性別、生年月日のデータの入力作業を今既に行って、名寄せも行っております。  そして、名寄せの結果、この人は結び付くなというのを五月までにお送りするということで、ちょっとマイクロフィルムと紙台帳を分けて説明するのをしなくて、紙台帳の方だけ申し上げましたので大変失礼しました。マイクロフィルムはそういうことでございます。
  162. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 私、やっぱりこれはここまで具体的なことも見ても、やはり改めてこの去年の六月、七月時点の自民党の公約というのは、やはり根本的に達成されていない、公約違反と言わざるを得ないと思います。今のオンライン化されていないマイクロフィルムや市町村にある記録についても手作業で突き合わせをいたしますとはっきり言って、統合を終了させると言っていたんですからね、そこまでのことを言ってたんですよ。それなのに、そんなこと言っていないというふうなことでずっと逃げておられるんだけど、やはりこれは根本的に公約違反と、政府の文書は一応脈絡あるようにぎりぎりなっていますけれどもね。  しかし、自民党の当時政審会長でおられたわけですから、その責任をどう考えていらっしゃいますか。
  163. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) これは政府・与党の一致した今からの作業工程ということが七月の五日に決定したわけでありますから、これは政府も与党もそこでは一致をしております。しかし、今委員が御指摘のように、選挙を前にしてかつ選挙のキャンペーンの間にいろんなビラであるとか広報手段であるとかいうときに十分に説明をしなかったと、そして国民に誤解を与えた、この点は政党としてきちんと反省しないといけないと、そういうふうに思っております。
  164. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 当時の安倍総理は、最後のお一人に至るまですべて記録をチェックして年金はお支払いしますとおっしゃったわけですけど、そのときに一年ではできないだろうと、こういう指摘があったけれども、専門家に突き合わせができるかどうか精査させたところ、前倒しで可能になったと、ここまでおっしゃっていたんですね。そういった意味で、私は本当にこれはまた今後いろんな審議でお伺いすることになると思いますけれども、やはり公約違反であって、その責任は大臣も免れないということを申し上げておきたいと思います。  それで、次の問題ですけど、年金問題ですけれども、実は昨年の秋の臨時国会におきまして、この予算委員会において、私ども民主党の年金改革案の財源対策について林議員からの質問がございまして、それに対して舛添大臣答弁されております。民主党の案だと四割ぐらいカットせないかぬよと、こういうことなんですが、その点の答弁がいろんなところで使われておりますので、その点について改めてどうおっしゃったか、お話しください。
  165. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) これは、林委員そこにおられますけれども、林委員がお示しいただいた数字がございまして、ちょっと議事録を精査しましたんで読ましていただきますと、林委員が、今回のマニフェストだけ取りましても、対象者全員に六・六万円の満額の基礎年金を支給すれば大体まあ二十二兆円ぐらい掛かるわけでございますが、消費税収、今五%であれば十三兆円しかないわけでございます、九兆円不足するわけでございますと、まあ云々の御設問あって、その数字に基づいて機械的に計算すると、ここは私の答え引用しますと、今先生おっしゃったように、満額、月額六万六千円、これを六十五歳以上の方に一律給付すると二十二兆円、で、基礎年金の給付額は平成十九年度で大体十九兆円ですねと。そこで、消費税一%で二・五兆円ですから、約十三兆円が今の水準です。これを全部その年金給付に当たった場合も、計算からいくとやっぱり四割の給付をカットするということになりますということで、これはあくまで林委員が出された数字をそのまま機械的に計算すればこうなりますということをお答えした次第であります。
  166. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 しかし、それをいろんなところで使っていらっしゃる。政府・与党の年金の協議会においても、また社会保障制度審議会の年金部会においても、上段に我が党の輿石会長の質問に対する答弁を載せた下に今のことが出ているわけですよ。すなわち、民主党案についてのコメントという形で掲載されているわけですよ。それは間違いないですね。
  167. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 与党であれ、政府であれ、どこでどういう方が私の発言をどういうコンテクストでこれはおっしゃるかというのは、細かく一々私がフォローして、それはこういうコンテクストじゃないから訂正してくださいというところまでちょっと目がいきません。ですから、そういう意味で不十分であったかとも思いますけれども、平成十九年の七月十一日に日本記者クラブの主催の七党党首討論会で、小沢民主党の代表が、年収千二百万円強の方は最低保障賃金は全額カット、年収六百万から千二百万の方は緩やかにカット、最低保障年金は現在十九兆円、全部払えばそういうことになるというふうなことをおっしゃって、恐らくこれはそんたくするんで、間違っていればまた後ほど、林委員から後ほどお教えいただきたいんですけど、そういう数字を基にしておっしゃったのかなというふうに私も思いましたので、いろんな誤解があれば解いていきたいと思います。
  168. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 申し上げたいのはそういうことじゃなくて、元々の前提としてのことから民主党の言っていることとは違っているということなんですよ。すなわち、二十二兆掛かると、そして十三兆円が消費税だと、だから九兆円足らないんだと、こういうふうにおっしゃるわけですけれども、私どもが申し上げているのは、あくまでも各制度下の今の基礎年金の、十九兆の基礎年金の給付がございますけれども、そのうちの七兆円が国庫負担であって、残りの十二兆が各制度からの拠出金になっているわけですよね。その拠出金をすぐなくすということは我々は考えてないわけですよ。そのことを前提とすればこういう計算にはなりっこないわけですよ。大体どこの政党が四割、五割すぐ減るようなことを主張するはずがあろうはずがないじゃないですか。そのことを言っているんですよ、これは。それを受けた形で大臣としておっしゃって、それをいろんな資料に使っているわけですよ。それは我々からすればやはりおかしいと指摘せざるを得ないし、やはりそこはしっかりと訂正してもらいたいと、そういう意味なんですよ。
  169. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) これは林委員が出された数字でそのまま計算すればということでありまして、別に林委員に私が責任を転嫁しようという、そういうことではございません。  ただ、辻委員、今おっしゃった、恐らく辻委員は、要するに基礎年金拠出金を維持することで、いきなり税金でやるんじゃないんだということをたしか今おっしゃったと思います、今私が聞いた感じだと。  私は、いつも、この前、衆議院で松本委員が私に説明したときも、いろんな説明の仕方を聞いていると、従来よりも松本委員説明もはるかに分かりやすくなっている。全くこれは自民党案と民主党案が水と油ということで、これは一〇〇%いがみ合うということではないだろうと。それぞれやっぱり取っていいところがあるだろうと。  それから、我が党の中でも、政府・与党の中、自民党だけに限っては自民党の中でもいろんな考え方がございます。そして、恐らく民主党の中でもそういうことだと思いますから、あくまでこれは私は林委員の数字をそのまま使ったらどうかって林委員質問なさったんで、そのまま数字を機械的に計算したらこうですということを申し上げたんで、そういうほかの意図があってやったことでは全くございませんということをはっきり申し上げておくとともに、せっかくの機会ですから、やはりここはみんなでいろんなアイデアを出して、恐らく社会保険方式の所得比例年金から最低保障年金で拠出をやるということは、今、辻委員がおっしゃったようなアイデアというのはどういう形で位置付ければいいか、そしてこれを前向きに新しい案を作るときに考えたとすればどうかと、そういう形で積極的に前向きな形の御提案としてお受けさせていただいて今後の議論に発展させたいと、そういうふうに思います。
  170. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 年金改革案の議論はまた別にさせていただきたいと思いますけれども、私はこれは、要はテレビを通じて民主党の案というのは四割カットするんだと、あるいは四百万以上の人にはかなり給付を切り込むというふうなこともテレビで言って、新聞にも出たわけですよ。でも、私どもはそんなこと全く考えていませんからね。  だから、そのことをはっきり認めてくださいよ。その点は、我々の前提を要は勝手に解釈されて、我々マニフェストに書いていないといったって、昔のやつにはちゃんともちろんそれにつながること書いているんだけれども、大体政党がそんな乱暴なこと言うはずないじゃないですか。だから、そんなことを、はっきりそれを言ったんだから、四割削減することになるよと。だから、そこは直してくださいよ。
  171. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 何度も申し上げましたように、これは林委員の数字に基づいて機械的に計算すればどうかと言ったから機械的に計算したわけでございますから、今、辻委員が、そういうようなこの意図が民主党の案の中になかったということであれば、それはそれとしてきちんとお受けしたいと思います。
  172. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 ただ、林さんが言っていらっしゃらない、五百万以上の方、四百万以上の方云々とか、要は大臣民主党の案について語っているし、その後の社保審の年金部会のときは、上に民主党の輿石さんに対する福田大臣答弁総理答弁を書いた下にですよ、今の発言が出ているんですから、そしてその前後に民主党案の図表があるんですから、ですから民主党のことについて言っていると言わざるを得ないじゃないですか。それを完全に民主党の問題点だと指摘しているというふうに理解しておかしくないでしょう。そういうものじゃないですか。
  173. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) いや、林委員が、仮に消費税で十三兆円で全部やると、こういうふうにした場合、給付をカットすればどういうことが考えられますでしょうかということの御質問でありますから、消費税一%が二・五兆円ですから十三兆円が今の水準、これを全部その年金給付に当たった場合、計算からいくとやっぱり四割の給付のカットになりますということで、これをどうなりますかという質問ですから、林委員の。これは、今申し上げたように、大体五百万以上の方が給与所得の三割なので云々という、このまさに機械的な数字を申し上げたんで、今、辻委員がおっしゃったようなことが民主党の本意であるとすれば、それはきちんと受け止めて、そういう形で今後積極的に前向きにそういう案も含めて検討したいと、そういうことでございます。
  174. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 私が申し上げたいのは、社保審の年金部会においてもですよ、民主党の図表を載せて、何遍も言っていますけど、上に我が党の輿石さんに対する福田総理答弁、要は「民主党案について」と書いてあるんですよ。その下に今のコメントがあるんですよ。だから、民主党案がこういう欠陥を持っているよ、四割、五割カットすることになるよということにつながっている資料を公的なところで配っているじゃないかという、そのことですよ。
  175. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) いや、それは、私の国会での答弁ということですから、それをそのまま正確に記すれば今申し上げたとおりだと思いますが、何度も申し上げましたように、林委員のこの数字に対してそういうお答えをしたと、しかし、民主党の御意見がそういうことであり、これが辻委員が今おっしゃることが民主党の本当の案であるということであれば、それは違いますということを申し上げております。(発言する者あり)
  176. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記止めて。    〔速記中止〕
  177. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記を起こしてください。舛添大臣
  178. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) まあ何度も申し上げますけれども、この林委員の出された数字を機械的に計算して、そういう形になるという計算でございますという私の文章も終わっています。  しかし、今、これ見せていただいたように、これが民主党案だということに、その資料が、その次に福田総理と私の答弁、私の答弁のこの中身はそこの議事録のままですから、それ自体が私の答弁を違う、間違った言葉で引用したということにはなりませんが、しかし、こういう形での編集をやるということについては、きちんとこれは精査して考えて検討をして、こういう形のやはり編集をして誤解を与えたということであれば率直に反省しないといけないというふうに思います。
  179. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 今そのようにおっしゃいますけれども、去年の秋というのは参議院選挙の後で、民主党のマニフェストに対しての批判を与党議員が質問されて大臣が答えるという形があったわけですよ。そういった中でのこれだったんでね、テレビで伝わっていてそのことについて私も聞かれたことがありますけれども。  やはりそれは少なくとも民主党案が四割カットするんだということで伝わっているし、それを受けた形で政府・与党協議会においても年金部会においても配られているということですから、そういった、少なくとも今からでもこの資料はこういう出し方はやめてもらいたいと思うんですけれども、どうですか。
  180. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 誤解を与えるような資料の出し方は今後きちんと反省して正すべきだというふうに思います。
  181. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 これは、だけれども、やっぱりこの会議が開かれたときにはそのことを訂正してくださいよ、それだったら。
  182. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) これは、次回また財政諮問会議が開かれる前に政府全体で、これ経済財政諮問会議に出された資料ということでございます……(発言する者あり)違う、違う、そうじゃなくて。失礼しました。
  183. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 政府・与党協議会と年金部会です。
  184. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 政府・与党の協議会と年金部会ということですので、今度その会議開かれる前に政府・与党で全体でお諮りしてお答えしたいと思います。
  185. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 お諮りしてお答えしたいってどういう意味ですか。
  186. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 委員の御質問は次のその会議に訂正をしてくれということですから、これはきちんとどういう形で訂正するかを、その準備をしないといけませんので、政府・与党全体で、政府・与党の協議会なので、そこで結論を出したいということでございます。
  187. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 では、この件、私はやはり大きな問題だと思っていますから、理事会でも御協議を、お取り組みをいただきたいと思います。お願いします、委員長
  188. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 後の理事会で協議をいたします。
  189. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 では、次のポイントに移らせていただきますけれども、国民年金の納付率のことでございます。  直近の国民年金の納付率はどのようになっていますか。
  190. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 昨年十二月末現在における国民年金保険料の納付率が、つまり四月から十一月分ですが、六二・六%でございます。
  191. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 これは十六年度の年金改正のときから十九年度において八〇%を目標ということで言ってこられたわけですけれども、それと余りに乖離していると思いますけれども、その責任の所在はどこにありますか。
  192. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 目標八〇%で、いろんな意味で手を尽くして、例えばコンビニエンスストアで支払ができるようにとか、そういうことも含めて、それからクレジットカードの導入というようなことも含めて、そしてまた国民の皆さん方に年金の大切さということをこれは説得し御説明し、あらゆる努力で収納対策を進めておりますし、今後とも進めておりますので、この差が、八〇%に比べて今委員おっしゃったように六二・六%というのは、これは差があるわけですから、今後その差を埋めるべく更に努力を進めてまいりたいと思います。
  193. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 これは十六年度の年金改正のときからある意味では公約というふうに私は受け止めておりました。十九年度に最終年度八〇%を目標にするんだと、AプラスBプラスCとかというあの算式まで示されて、できるんだということをおっしゃっていたわけです、何遍も。それで、かつ、この三月になって達成できないという状況になって、全く国民に対する説明がないじゃないですか、私が質問して初めてお答えになるわけじゃないですか。それはどういう意味ですか。
  194. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) これはもう引き続き八〇%を目指して今後とも努力をするということでありますので、それで、年金の今どれぐらい収納率があるかというのは定期的にこれは御報告申し上げておりますので、年金記録問題、我々が反省しないといけないいろんな問題が相まってこういうことになっていますけれども、全力を挙げてこの収納率を上げるために努力をしてまいりたいと思います。
  195. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 今後とも目標としていくとおっしゃったんですけれども、今までのことは十九年度に八〇・〇%ということでおっしゃっていて、最近の会議で文書が出たというのは知っていますけれども、今後のことはまだはっきりおっしゃっていないわけでしょう。あくまでも十九年度の八〇%が目標だったわけでしょう、今まで。この間、去年の夏は私が柳澤さんに聞いてそうでしたけれども、少なくとも今の段階では今年度までのことでしょう。来年度のこと、どうするということなんですか。
  196. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) これは私は、いろんな事情で目標達成がいかないからといって、じゃ目標を下げればいいとは思っていません。私は、やっぱり高い目標を掲げて全力を挙げるべきだと思っていますから、平成二十年度も私はやっぱり八〇%を努力目標に頑張るべきだと、そういう思いで全力を挙げてこの問題に取り組みたいと思います。  したがって、来年度も、それはいろんな御批判あります。だけど私は、目標を下げればそれは到達できるからという態度を取りません。むしろ高い目標を掲げて全力を挙げたいと思います。
  197. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 振り返りますと、十六年度の改正時点で十六年度の目標は六五・七だったんですよ。それで八〇%まで持っていくということを言っていたけど、今は六二・六で初年度の目標よりも低いわけですよ。それで来年度も八〇%でやるんだという、これはもう本当、むなしく響くだけですけれども、本当に来年度も八〇%目標で、毎年八〇%目標で行くことにするんですか。
  198. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 今申し上げましたように、私は、再来年度が、その更に後はまだ決めていません。しかし、来年度、二十年度、これやるときに、じゃ安易に下げればいいかという立場は取らないで、それは確かに非常に困難な高い目標です。しかし、その目標を掲げて全力を挙げたいと、その決意でございます。
  199. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 決意はいいんですけれども、少なくとも十六年度改正のときは、AプラスBプラス、A、B、Cがあって、それぞれ内訳があって、X、Y、Zというのがあってそれを足してやるんだということで一応計画性があったんですよ。元々絵空事のように思っていましたけど。  しかし、少なくとも、今のは決意だけで中身がないじゃないですか。どうやって八〇%まで持っていくんです。一七・四%はアップせないかぬわけでしょう。
  200. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 具体的な手は、先ほど申し上げましたように、例えばクレジットカードによる保険料納付の導入、学生納付特例の申請手続を簡素化する。これ、今までちょっとややこしくて、そこで二の足を踏んでいたような面もあります。  それから、国民年金保険料の未納者に対する短期の国民健康保険被保険者証の交付など、市町村とも連携をする。それから、保険医療機関、介護サービス事業者、社会保険労務士の指定等にかかわる欠格事由などに長期間の保険料未納を追加するなど、これは社会保険労務士の皆さん方の御協力もいただいて、そういう具体策で努力をしたいと思います。  しかし、私は、今委員が御指摘のこの未納率が改善しないということは、それはやはり最大の問題は、この年金記録問題に伴う国民年金への不信、年金制度そのものへの不信があると思いますから、これを全力を挙げて解決すると。そしてこれは、国民的な議論の上に、新しいどういう形での年金制度をつくるのかと、こういう議論を通じながら、年金に対する、政府に対する、国家に対する信頼性を回復させると、そのことが迂遠のようでありますけれども、最大の近道だと思っておりますから、全力を挙げて高い目標を掲げて頑張ってまいります。
  201. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 高い目標は結構なんですけれども、その具体的なプロセスが全く説得力がない、前のことの焼き直しでしかないと言わざるを得ないと思っています。そして、そのことの意味は、やはり政府の年金対策というのは無年金者対策が非常に希薄であるということに突き当たるわけでございます。その意味から我々は税方式を言っているわけですけれども、またその議論は別にさせていただくといたしまして、この点についてもしっかりと取り組んでいただくように申し上げておきたいし、やはり現実可能な目標を掲げることと、その具体策を、裏付けをしっかり示していただきたい、そのことを申し上げておきたいと思います。  次に、年金のマクロ経済スライドについてお伺いしておきたいと思います。  まず、マクロ経済スライドもちょっと定義難しいですけど、最初に大臣の方から御説明をいただけますか。
  202. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 今までは物価水準に見合わせてというそこのスライドしかございませんでした。しかし、これからは高齢者の比率がどれぐらい増えるかとか、それから働く人たち、これは出生率もかかわりますけれども、労働力がどれだけ増えるか減るか、こういうことを相対的に勘案した上でこのスライドを決めると、そういうことがマクロ経済スライドということであります。
  203. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 言い方変えますと、例えば物価上昇が一・〇%であったときに被保険者数の減少率が〇・六%、平均余命の延びが〇・三%、その足した〇・九%を一%から差っ引いて〇・一でスライドさせていくという、そういう考え方がマクロ経済スライドだと、こういうことが政府の十六年の改革の中に入っていたわけでございます。  そこで、内閣府にお伺いしたいんですけれども、「日本経済の進路と戦略」の参考試算を一月十七日に出しておられます。それは二〇一一年度までを対象期間とされているわけですけれども、その試算においては年金のマクロ経済スライドの適用は期間中行われることになっているかどうか、お示しください。
  204. 大田弘子

    国務大臣大田弘子君) 物価が下がる過程で物価スライドを適用するのを凍結しておりました。この凍結分が一・七%ございます。つまり、物価が下がっても物価スライドに合わせて年金額下げるということはせずに凍結しておりました。この累積分一・七%ございまして、物価が上昇してこの一・七、累積して一・七になるまでは年金額は変えない、年金の名目額は変えないということになっております。  それで、御質問の点ですけれども、「進路と戦略」の対象期間中二〇一一年度までは物価上昇率も、それから新規裁定者に適用されます名目の手取り賃金上昇率、これも累積して一・七%には達しません。したがいまして、この期間中は既裁定者、新規裁定者共にマクロ経済スライドの適用はございません。
  205. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 財務省にお伺いいたしますけれども、財務省も後年度歳出・歳入影響試算、出されていて、これも二〇一一年度までを対象期間としているわけでございますけれども、その後年度歳出・歳入影響試算においては年金のマクロ経済スライドの適用、どのようになっているでしょうか。
  206. 杉本和行

    政府参考人(杉本和行君) ただいま大田大臣から御説明がありましたとおりでございまして、過去の物価スライド停止分マイナス一・七%ございます。それぞれ、年度の直前の年の消費者物価指数の伸び率を反映した改定を行いまして、その中で消費者物価指数がプラスとなる場合には、過去の物価スライド分一・七%を解消するまで物価スライドをしないこととなっておりまして、これを解消した後に一定の期間、マクロ経済スライドが適用されることになります。  御指摘の後年度影響試算におきましても、二十三年度までの試算におきましては物価の上昇率がこの累積の一・七を上回ることはございませんので、この試算におきましてもマクロ経済スライドの適用は行った試算とはしていないところでございます。
  207. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 そこで、厚生労働省にお伺いしたいんですけれども、厚生労働省はマクロ経済スライドの適用開始時期ですね、どのように今まで示してこられたでしょうか。
  208. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 毎年、物価や賃金の実績が確定したころ、大体一月の終わりぐらいでありますけれども、ホームページにおきまして次の年度の年金額をお示ししております。そして、そのところに、例えば今年の一月二十五日に発表した資料でございますけれども、これはホームページにも載っておりますが、参考として、平成十六年改正で導入されたマクロ経済スライドによる調整については、物価スライド特例措置による物価下落率の累積分、今の一・七%が解消された後に開始されることとあり、平成二十年度においては行われないと、毎年こういう形で年金額の発表のときに同時に参考として発表いたしております。
  209. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 毎年私は申し上げているんですけれども、財務省内閣府が出される開始年度と厚生労働省のは違うわけです。それは、財務省内閣府は直近の経済情勢を前提にして計算されるからなんです。厚労省の試算はどうしても後追いになるんですね。去年は暫定試算を出されたから二月段階で出ましたけれどもね。  私が申し上げたいのは、マクロ経済スライドという物価スライドから新たなスライドで、我々は反対だけれども導入されたわけですよ。そうである限り、それがいつ開始されるかという、これは極めて大きなことですね、物価スライドの後に年金額はずっと二十年ぐらい名目額が横ばいになるわけですから、あるいはマイナスになるわけですから。  だから、そういった意味で私は、マクロ経済スライド、問えば内閣府も財務省も二〇一一年度までありませんと明言されるわけですよ。そうであるときに、厚生労働省がそのことについて何も言わない。問うならば、去年言っていた新規裁定が二〇〇九年度、既裁定は二〇一〇年度ということをおっしゃることしかないんだろうと思うけれども、それだってずれているわけですよ。  だから、私は、直近のことでマクロ経済スライドはいつから適用になるということは、厚生労働省の責任において、内閣府や財務省以上に早く言うべきことであると私は思っているわけです。だから、そのことに取組を持って、毎年の予算のこの審議のときにはそれが言える、あるいは言われなくてもそれは言うという形であるべきじゃないかと、こういうことなんですね。
  210. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 今、大田大臣財務省からも御説明ありましたように、我々もその数字の試算を基にして計算すれば、二十三年度まではこれは一・七%というのがありますから適用しませんということは申し上げられるわけでありまして、今委員が御指摘のようなそういう統計の発表の仕方に乖離があるということを今おっしゃいましたので、何らかの改善ができるかはこれはちょっと検討課題とさせていただきたいと思います。
  211. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 社会保障の給付と負担の見通しというのは、五年ごとになりますかね、出しておられて、それがベースになるのは分かっています。ですから、去年のときも暫定試算ということで、そのベースはそれを踏襲しつつ直近の経済前提を置いたと、こういうことでやられた。その中で、マクロ経済スライドが十六年の改正のときとは違う二〇〇九年度からと、こういうことを示されたわけですよ。それはそれでいいと思う。  だから、私は、この暫定試算を毎年やるというふうなそういう感じでやって、その時点でのマクロ経済スライド、それは結果として早くなるかもしれませんよ、それは、現実問題として。しかし、それはあり得ることですよ。しかし、内閣府や財務省が言っているものとの整合性も取った形でやはり出すべきだと、このことなんです。いかがですか。
  212. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) どういう書式で表現するかは別として、その整合性を取って出すことは可能だと思いますんで、今後の改善策としてホームページその他で、書式はどういう形でやるかはちょっと御検討させていただきたいと思いますけれども、この委員の御趣旨はかなえられるように努力をいたします。
  213. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 書式というのはさっきの物価スライドのことの、一月十五日でしたか、そのことは分かりましたけれども、マクロ経済スライドを示すというのはまた別の作業ですからね、それと同列に何か組み込んだらしまいだというのは、それは違いますからね。  いずれにしても、そのことはやはり私は大事なことで、やはり年金額がどうなるかという、物価スライドが終わった後は一・七%の取戻しというか、本来水準に戻った後、マクロ経済スライドがないかあるかというのは大きく違ってくるわけですから、そのことをやはり私は厚生労働省が責任を持って第一義的に発表するというか、見通しをですよ、それは早まることはあるかもしれないけれども、とにかくそのことについて誠意を持って取り組むべきだと、このように申し上げておきたいと思います。  それから次、医療保険の方に移りますけれども、政管健保です。  政管健保について今回の予算も含めてですけれども、国庫補助の特例というものを出されました。その内容をお示しください。
  214. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) これは、二千二百億円というマイナスのシーリングを満たすということで、政管健保の支援措置ということをこの被用者保険の間で頑張ってやっていただき、被用者保険間の助け合いの一環として位置付けていただいたわけでありますけれども、今回この医療保険全体の安定的な運営、そしてこの被用者保険間の助け合いと、そういうことで一つの解決を図ったわけでございます。
  215. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 被用者保険間の助け合いといつもおっしゃるんですけれども、しかし、じゃだれとだれの助け合いなんですか。
  216. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) これは本当に皆さん方に御無理をお願いしないといけなくて、私も連合会の皆さん方にごあいさつに行って、本当にお願いして、最後は快くのんでいただきました。  つまり、大きな企業で自ら組合を、保険組合を持っているようなところ、これの中にも様々ありますけれども、そういうところがそうでないところに御支援をすると、そういうことでございます。
  217. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 いや、今のよく分かりませんね。  事の本質はですよ、健保組合、共済組合、また国保組合の優良、優良といいますかある程度いいところでしょうけれども、そのところが結局政管健保をトンネルにして国庫に上納金を払ったという、それだけのことじゃないですか。国を助けただけのことじゃないですか。どこが助け合いなんですか。
  218. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 国民皆保険を維持する、そういう中で非常に厳しい財源を、これは社会保障全体の財源そうですが、それをいろんな知恵を働かせて、皆さんの拠出をいただいて、御支援策をいただいて何とか維持していくと、そういう意味で国民皆保険の維持ということを大きな目的としたときに、今は、もちろん委員がおっしゃったように、これは二千二百億円のマイナスのこのシーリングを満たすためにやったわけですけど、しかし長期的に見れば国民皆保険を維持すると、そういうことに資したという意味で助け合いという言葉を使わせていただきました。
  219. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 これ、全然助け合いじゃないんですよ。例えば政管が助けられたというんなら、それは助け合いと認めてもいいかもしれないんですよ。しかし、政管は何も助かっていませんからね。千億カットされて千億別のところから来たというだけで差引きゼロで、トンネルで、それは二千二百億のつじつま合わせに使われただけの話ですから、助け合いでも何でもないんですよ。国が二千二百億円の部分をやるために国が助けてもらったというだけの話で、助け合いって、全然助け合いじゃないじゃないですか、どこが助け合いなんですか。
  220. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) しかし、健康保険制度というのは、皆保険というのは、私たちが病気になったりけがをしたときの最後セーフティーネットですから、これをしっかり守っていくと。もちろん、いろんな効率化、無駄を省くということを政府全体としてもやっていかないといけないし、現にやってはおりますけれども、非常に厳しい状況の中で最後セーフティーネットをきちっと守っていくことにみんなに協力していただくと。  そういう意味で、もしこれが、社会保障制度の最後のとりでが崩れたときにはやはりみんな困るわけですし、私は国民皆保険を絶対に維持すべきだという立場で仕事をしておりますから、そういう意味で長期的、広い視点からの助け合いということを申し上げた次第でございます。
  221. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 大臣も苦しいお立場だといいますか、論理がすり替わっていると思いますけれども、その過程では極めて筋の悪いことだというふうにもおっしゃっていたわけですから、そういう意味では同情すべきかもしれませんけれども、やっぱり極めて筋が悪いのはやめた方がいいんじゃないですか。
  222. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) これは私たちは、永続すべきものではなくて今年度の措置であると、そういう思いであります。
  223. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 そこで、大田大臣にお伺いしたいんですよ。  これはやっぱり、要は五年間で一兆一千億、毎年二千二百億という、今、舛添さんはおっしゃったけれども、舛添さんももう限界があるとおっしゃっているけれども、結局そこに行き当たるわけですよ。  それで、そもそも骨太の方針で出発、一兆一千億のときに、聖域なく歳出を見直すことによって、国民負担増加をできるだけ小さなものとするために最善の努力を尽くすという流れの中で二千二百億が出てきているわけですよ。しかし、今回のことは結果として、健保組合には労使計で一万円余り、所得の高い国保組合で組合員一人当たり一万円負担増を求めるもので、全く趣旨が外れてきているわけですよ。  だから、そんなことをして守る二千二百億って何なのと、こういうふうになるんですけれども、どう思いますか。
  224. 大田弘子

    国務大臣大田弘子君) 多くの先進国が、中期で財政を管理しながら経済財政の両立を今一生懸命図っております。やはり、その観点日本もこの五年間の歳出・歳入一体改革プログラムというものは守っていく努力をしなくてはならないんだろうと思います。  ただ、もちろん、そのセーフティーネットである社会保障の機能を損ねても財政が健全であればいいということではございませんので、現場の実態に合わせながら何とかめり張りを付けていく努力をしていくしかないんだろうと思います。もちろん、どうしても駄目なときはこれは税負担増といったことになりますけれども、負担増もまた大事な国民税金ですので、なるべくめり張りを付けていく努力というものが必要だというふうに考えます。  いずれにしましても、個々の歳出改革の中身は担当の大臣が責任を持っておまとめになるということで、今回の措置も、厚生労働大臣が非常に厳しい中で努力されて取りまとめてくださったものと思います。
  225. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 要は、こそくなつじつま合わせになっているけれども、それが意味があるのかということなんですね。筋が悪いと大臣はおっしゃいましたけど、大田さんは筋が悪い措置だと思いませんか。
  226. 大田弘子

    国務大臣大田弘子君) これは、厚生労働大臣が厳しい中で知恵を出していただいて取りまとめてくださったものだというふうに思います。やはり、五年間の計画の二年目の予算でございます。ここで崩れたときに、日本はついにもう中期のプログラムは守れない国ということになってしまいます。かつての財政構造改革法は一年で凍結されました。ここで二年目の予算努力して守ったということです。
  227. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 また別に議論をしたいと思いますけれども、二千二百億ということがこういった形に現れているというのは本当にやはり情けない限りでございまして、やはり根本的にその基本方針を見直すべきだと、このように申し上げておきたいと思います。  時間もなくなってまいりましたので一点、医師不足のところでお聞きしておきたいと思います。  平成九年六月の閣議決定がございまして、これが医師の抑制について政府の方針を示しているわけですけれども、これは今も生きているというふうに理解すべきでしょうか。
  228. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 私は就任して以来、この医療体制をどう再構築するかということに今尽力をして、現場もいろいろ見ております。  私の感じからすると、医師が潤沢に余っているというような状況ではないと思います。そして、もちろんそれは地域間の偏在、診療科間の偏在というようなことがあると思いますけれども、私は、やはりこの医師が不足しているという認識の下にきちんと対応すべきだと思いますから、閣議決定はいずれこういう検討をした上できちんと見直すべき時期が来ていると、担当大臣としてはそういうふうに思っております。
  229. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 時間がございませんので多く語れませんけど、これは財政構造改革法がありまして、それは平成九年の秋から出発したわけですけど、その前段階で閣議決定をしていた中なんですね。財政構造改革法は結局途中で停止になって、失効して終わってしまっているわけですけど、そのときに対を成していた閣議決定のこの分は生き残っているわけですよ。それでいろんな医師不足のことに常に顔を出してきまして、これが抑制要因になっていると私は思っています。  そういった意味で、やはり早急に、まあ見直しも言及していただきましたけれども、これは、まあ廃止するというのは閣議決定の廃止はないのかもしれませんが、新たなことを決定するという中においてしっかりと位置付けていただきたいと思うんです。そのことを大臣、お願いします。
  230. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 今委員がおっしゃったように、きちんと新しい位置付けをやりたいと思っております。
  231. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 残余の時間、道路財源のことをお伺いします。  最初に、目的税と特定財源、その定義をお示しください。
  232. 杉本和行

    政府参考人(杉本和行君) お答えさせていただきます。  いわゆる目的税、特定財源につきましては、明確な法令上の定義があるわけではございませんが、従来から、説明の便宜上、特定の経費に充てることを目的として課税される税でありまして、課税根拠となる税法上使途が特定されているものを目的税、譲与税法や特別会計法等、税法とは別の法律等によりましてその使途が特定されているものを特定財源というふうに整理してきたところでございます。  主な例といたしましては、目的税といたしましては電源開発促進税、地方道路税、特定財源といたしましては揮発油税、石油ガス税、石油石炭税などが挙げられるものでございます。
  233. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 改めて財務大臣にお伺いしたいんですけど、今回の法改正で一般財源化が四百二十億、四百二十八億なわけですけれども、この財源は何に充当されるんですか。
  234. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これは、特別にこの目的のために使われるという形にはなっておりませんで、一般財源化を図るという形になっておるわけであります。  ただ、これは特定財源でありますから、納税者の理解を得る形でこの一般財源化を図るという意味で、既に一般会計から信号機だとか道路関係あるいは交通関係に使われている予算があるわけでございますので、そういう流れの中で、ひも付きではない形で使われているということです。
  235. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 もう一点、今回の法改正で、道路整備費を超える部分は次年度以降の予算で措置するとありますが、そのことを御説明をください。
  236. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 本当に必要な道路整備を上回る分は一般財源化を図るという形になっているわけでございます。それが揮発油税等では四百三十億円弱という形になっているわけでございますので、けれども、ほかに重量税とかいろいろな形で二千億円弱、一般財源化を図るという形になっているわけであります。
  237. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 要は、四百二十八億は自動車関連に使い将来の枠取りも残すと、二重取りだということになるわけですけれども。  別のことを聞いておきますけど、エネルギー対策の特別会計で、エネルギー需給勘定、電源開発促進勘定がありますけれども、この固有の財源の余剰分の扱いは法的にどうなっているか、そこをお示しください。
  238. 杉本和行

    政府参考人(杉本和行君) 委員お尋ねの電源開発促進税それから石油石炭税のエネルギー対策特別会計への繰入れにつきましては、特別会計に関する法律に基づきまして、電源開発促進税及び石油開発税につきまして、基本的には、当該年度の税収に前年度までの税収の累積額と前年度までの一般会計から特別会計への繰入れの累積額、この差額を加えましたものを予算で定めるところにより一般会計から繰り入れることにしておりまして、制度上は、電源開発税の場合は電源立地政策及び電源利用対策、それから石油石炭税の場合は燃料安定供給対策及びエネルギー需給高度化対策といった特定の使途に当てられる仕組みを設けておりますが、一方で、当該年度におけますエネルギー対策特別会計における各種歳出に要する費用と照らしまして、その金額の一部につき繰り入れる必要がないときは、当該年度におきましてその一部につき繰り入れないことができるという規定を設けまして、一般会計への使用を認める仕組みとなっております。
  239. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 主計局長、確認しますけれども、その場合のエネルギーの、電源とエネルギー対策ですね、そこの部分は、完全に余った分は一般財源ですね。完全に純粋な一般財源ですね。
  240. 杉本和行

    政府参考人(杉本和行君) 特にその使途が定められておりませんので、一般財源でございます。
  241. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 私が申し上げたいのは、目的税である電源開発促進税でさえ余った分は完全な一般財源なんですよ。しかるに、特定財源である今度の揮発油税、石油ガス税ですね、その四百二十八億、余った部分はやはりひもが付いているわけですよ。やはり目的税であってひもを付けていないのに、今度のものがひもを付けている。やっぱりそれはひもを外すべきじゃないかと、こう思うんですけれども、いかがですか。
  242. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 四百二十八億円については、これはこの分野に使いなさいという形でひも付きの形にはなっておりません。  これは、考え方としては、納税者の理解を得るために、既に一般財源化された、信号機だとか交通関係予算で二千億円ぐらい使われておりますので、その範疇であるならば御理解をいただけるのではないか、そういう形で丁寧に、午前中もユーザーの納得を得たのかどうかという話がありましたけれども、ユーザーに対して御説明をし、その納得を得るように努力をしているということであります。
  243. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 ただ、大臣は、今の部分の使途については、環境だとか信号機だとか交通事故対策だとか、そういうことに使わせていただくということを予算委員会で明言されていますから、そこははっきりおっしゃっているわけで、あしたも審議あるようですから、その点はまた聞かせていただくことにいたしましょう。  それで、最後の点になりますけれども、今度は日本高速道路保有・債務返済機構の債務承継というのが決まりました。二・五兆です。しかし、予算上それが明記されていないと私は思っています。どこに出ていますか。
  244. 杉本和行

    政府参考人(杉本和行君) 委員お尋ねの日本高速道路保有・債務返済機構から一般会計への債務承継につきましては、昨年十二月の政府・与党合意におきまして、二・五兆円の範囲内で債務を国が承継することとされておりまして、具体的な承継額は、今後、改正法案が提出されております道路財源特例法に基づきまして策定される計画において明示されることになっております。  他方、この承継債務に伴います二十年度の償還額につきましては、元本の償還千百九十三億円、利子の支払百九十三億円、合計千三百八十六億円でございますが、これは一般会計の国債費の内数として計上させていただいております。
  245. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 いや、それじゃなくて、二兆五千の残りの二兆二千億ぐらいの話ですよ。それは、じゃどこにあるんですか。
  246. 杉本和行

    政府参考人(杉本和行君) お答えさせていただきます。  財政法二十八条等によります予算の参考書類の中に国債及び借入金の償還年次表というものがございます。この中におきまして、内国債、そのうち日本高速道路保有・債務返済機構債券承継国債といたしまして、その償還計画の中で合計七千三百五十三億円が出ております。  借入金の方につきましては、その表の借入金の中、これ全体で五十七兆五千億円余ありますが、その中の内数でございます。この内数で計上させていただいておりまして、二十年度末見込額でございますと一兆四千六百億円余が計上されております。  それから、財政法二十八条の参考書類、国債及び借入金残高で見ていただきますと、国債及び借入金残高の中のやはり内国債の中の日本国有鉄道清算事業団債券等承継国債、この二十年度末の見込額七千三百五十三億円、それから借入金の五十七兆五千八百億円余の内訳として計上されているところでございます。
  247. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 私は二兆五千億の内訳は一応全部調べていますけれども、大臣、私がお聞きしたいのは、二兆五千億という新たな債務を一般会計で担うと、それは我々側の立場と違うとして、そうされたときに、やっぱり予算の、一般会計予算の総則だとかあるいは何かもっとはっきりと、しっかりと見えるようにすべきだと思うんですけれども、いかがですか。極めて見えないんですよ、実は。
  248. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これは平成十五年の本四架橋の承継のときも同じような形が取られたと思っておりますけれども、これは辻委員がおっしゃるようなことは予算の参考書類を見ただけではなかなか見えないわけでありますから、委員の御指摘のように、お求めがあれば資料にして提出をさせていただきたいというように思います。
  249. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 私がお手元に配っているのは財政法二十八条の資料なんです。その中で申し上げたいのは、ちょっと枠囲っていると思いますけれども、日本国有鉄道清算事業団債券等承継国債、それが二十年度末のところに七千三百五十三あるんですけれども、これは実は今度の高速道路保有・債務返済機構の債務がすべてなんですよ。鉄道事業、清算事業団のやつは全くないんですよ。だから、二十年度は一項目立ててこの高速道路の七千三百五十三が債券としての継承だということを明示すべきだということと、この借入金の内数になっているんだけれども、その後ろのページにその借入金の説明がありますよ。だけれども、その中に何も入っていないんですよね。これほど、二兆五千億も新たな債務を一般会計で担うときに、財政法二十八条資料でしっかり出せと言っているにもかかわらず、そのことが出ていないということは、私は極めて問題だと思います。その点についてどう思われますか。
  250. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) ですから、後で辻委員に提出させていただきたいと思います。
  251. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 これは私だけの問題じゃないと思いますので、財政法二十八条のその予算参考書類、補正版を委員会に提出していただくように理事会でもお諮りいただきたいと思います。お願いします。
  252. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 後の理事会で諮らせていただきたいと思います。
  253. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 以上で質問を終わります。
  254. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 以上で内藤正光君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  255. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 次に、加納時男君の質疑を行います。加納君。
  256. 加納時男

    ○加納時男君 自由民主党の加納時男でございます。  本日は、日中関係中心質疑をさせていただきたいと思います。    〔委員長退席、理事伊達忠一君着席〕  最近、日中関係はその関係、非常に改善が目覚ましいと思っております。首脳間の往復、これが活発になりました。それからまた、貿易額で言いますと、輸出と輸入、貿易の往復ベースで見て、中国にとって日本は世界で第三位の国となり、日本にとっては日中貿易が往復で見るとアメリカを抜いて最近では第一位になったというふうな統計もございます。また、昨年の十二月には日中間のハイレベルの経済対話も行われております。昨年は、日中国交正常化三十五周年、今年は平和友好条約三十周年の年に当たりますので、これを記念した周年行事も活発に行われ、また計画されているのは喜ばしいことだと思っております。もちろん、二国間関係ですから、いいことばかりではなく、様々な問題が発生したり、あるいはまだ未解決の問題が残っているのも事実でございますが、なべてこの関係が良くなってきたということは事実だと思っています。  その中で使われているキーワードは、戦略的互恵関係でございます。  外務大臣にお伺いしたいと思いますが、大臣はこの戦略的互恵関係、これは一体どういうイメージであり、具体的にどのようにお考えになり、どのように発展してきたか、この辺をお聞かせいただけたらと思います。
  257. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 戦略的互恵関係というのは、いわゆるウイン・ウインの関係といいますか、両方が勝つ、両方にとっていいと、単に日中両国だけでなくて、両国が協力して地域全体にも貢献しよう、世界に対しても貢献しようと、具体的には、具体的というか抽象的に言えばそういう関係だと、こういうふうに思っております。
  258. 加納時男

    ○加納時男君 おっしゃるとおりだと思います。まさにウイン・ウインの関係だと思いますが、別に字引を引いて議論するような話でもないと思うんですが、私の理解では、戦略的というのは言わば戦術的に対立する概念であって、戦術的が短期的、局地的なもの、戦略爆撃、戦術爆撃で連想するわけですが、戦略的というのはむしろ大局的な長期的なものであり、戦略的互恵関係とはそういう長期的な両国の国益を実現するようなものではないだろうか。  具体的に今考え、展開していくと、例えば相互に補完する関係日本の強みである資本とか技術、中国の得意なところである労働力とかマーケット、こういうものを相互に補完し合っていくということも重要な、今まさに大臣が言われたウイン・ウインかなとも思います。それからまた、共同開発も大事だと思います。さらには、政治的に非常に機微に触れるような事項については、というか国民感情にとって非常に機微な事項については、お互いに心配りをしながら付き合っていくこともこの戦略的互恵関係かななんて思っているところでございますが。  こういった中で、ちょっと気になることがあるわけですね。今まで解決しなきゃならない課題であって、まだできていないものも幾つかあると思います。その一つは首脳間で合意した歴史の共同研究でございますが、これについてはその後どのような、総論が決まったということだけは知っているんですけど、具体的にどのように推進されているのか、お伺いしたいと思います。
  259. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 二〇〇六年の十二月に両国首脳間の合意で開始されたわけでありますが、これまで三回の全体会合を含めて、日中両委員間で有意義な議論が重ねられております。  本年夏をめどに成果を取りまとめの上、報告書を両国政府に提出し、対外的に公表すると、そういう予定になっております。
  260. 加納時男

    ○加納時男君 ありがとうございました。三回既に研究をやって、今年報告書というふうに伺いました。  温家宝さんが来日されたときに共同プレス発表をされています。その中で、読んでいましたらば、双方は、歴史を直視し、未来に向かって両国関係の美しい未来を切り開くということを決意したという、そういうプレス発表があります。  私は、日本と中国の間は、不幸な歴史だけではない、約二千年にわたる日中の歴史のうちで、私は、約九五%、千九百年間は友好、互恵の歴史であった。不幸な時代は確かにありました。日本の侵略戦争もありました。全部合計しても百年未満の話、五%未満の話だろうと思っています。  そういうことを私は思うんですけれども、歴史に学ぶというときには、ただ、過去のつらい歴史ももちろん目をそらしてはいけないけれども、友好の歴史もしっかり見るべきだと思いますけど、大臣はいかがお考えでしょうか。
  261. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 委員のおっしゃるとおりだと思います。  今後のスケジュールをちょっと御紹介いたしますと、三月十四日から十六日、近現代史分科会が行われ、三月二十日から二十三日は古代・中近世史分科会、五月に近現代史及び古代・中世史の分科会を、これは中国でやる予定、そして六月後半から七月前半に全体会合をやると、こういうようになっておりまして、不幸な時期だけじゃなくて長い歴史をやっていると承知しております。
  262. 加納時男

    ○加納時男君 大変具体的なお話、ありがとうございました。  去年、温家宝さんが来日されて国会で演説されたとき、私は前から五列目ぐらいで直接お話を伺っていたんですが、そのときにこの問題、私はかねてから、百年間が不幸であっても千九百年は友好の時代だったと、中国に行ったときも私はそう演説しているんですが、温家宝さんは実はもうちょっとうれしいことを言ってくれまして、更に五十年、千九百五十年間はいい歴史だったと、五十年が不幸な歴史だというので、私の発言を何か半分に縮めてくれたと思いますけれども、いずれにしても歴史としっかり向き合っていくことが大事だと。しかも、悪い話だけではなくて、いい歴史の共同研究もやっていくという今の大臣のお話はとても力強く伺いました。ありがとうございました。  経済産業大臣にお伺いしたいと思います。  日本と中国の間でまだ解決できていない大きな問題の一つに東シナ海の資源開発があります。総論としては、これ平和の海に共同開発だというとても美しい言葉はあるんですけれども、現実にはこれはまさに国益のぶつかるところでもありますし、非常に御苦労が多いと思いますが、その後の進展状況、今後の克服すべき課題等をお示しいただけたらと思います。
  263. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) 東シナ海の資源開発問題、現在交渉中でありますので、具体的な交渉の中身については申し上げることは差し控えさせていただきますけれども、これまで日中間の協議の中で、共同開発の対象海域やその在り方をめぐって重点的に議論が数度にわたって行われてきたわけであります。  昨年四月に温家宝総理が訪日をされましたが、お話のとおり、この東シナ海を平和・友好・協力の海としようと、そして双方が受入れ可能な比較的広い海域において共同開発を行うということについて、これは日中首脳間で合意をしているわけであります。  昨年末に福田総理が訪中をされたわけでありますが、その際にも改めて確認はされているわけでありまして、その上で具体的にこれを解決していくという作業を今、継続中であります。まだ双方で主張に隔たりがありまして、どこが隔たりかというのはちょっと申し上げられないんでありますが、歩み寄りをしている途中でございまして、この努力を続けていくと。できるだけ早い機会に合意が成り立って、この共同開発が行われるというふうにしていきたいというふうに思っております。
  264. 加納時男

    ○加納時男君 もちろん、具体的な交渉、その論点等を今ここで明らかにするのは私は妥当でないということは十分分かります。  一つ強調しておきたいことは、ある重要なイベントが起こるそのときをターゲットにして、それまでに目に見える形での具体的な第一歩が明らかになる、第一歩が示されるということは非常に両国間にとって大事だということを先般、先月私、中国行ったときもそれ申し上げてまいりましたが、そのことを是非今日は発言させていただきたいと思います。これについての御回答は結構でございますので、そういうことで是非お願い、やっていただきたいというこれは希望を申し上げておきたいと思います。  外務大臣に伺いたいと思います。  日中間での懸案の一つに、日本国の安全保障理事会常任理事国入りに対する中国のサポートの問題があります。これも、私も中国には古い友人もたくさんおりまして、よくこういうことを議論します。中国で応援してちょうだいよと、日中友好の一つの大きなかぎはここにあるよというようなことを言うんですけれども、これなかなか、正直言いまして現実のものになっておりません。非常にこれは大きなポイントだと思うんですけれども、これについては外務大臣はどのようにお考えでしょうか。
  265. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 常任理事国に日本が入りたい、入って当然だと私はそう思っておりますので、中国の人に会うたびに、中国の人が私に会うたびに台湾の話をするように、私は常任理事国入りの話を必ずすることにしております。  かつては、数年前まで中国ははっきり反対という旗を掲げて、それも国際社会いろんなところで働きかけた。非常に残念だと、私は中国の人に会うと私はそれで傷ついているんだと、こういうことを言っていますが、最近はそういうことはなくなりました。そういうことはなくなりました。  福田総理の訪中時に、温家宝総理より日本の国連における地位と役割を重視しており、日本が世界の平和と安定のためより多くの貢献を行うことを望んでいると、こういう発言がありました。同じような発言は温家宝総理が私が前に行ったときもしておりますし、大分前とは違ってきたと、ただ、はっきり賛成だとはまだ言っていないと、こういう状況だと思います。
  266. 加納時男

    ○加納時男君 はっきり反対からはっきり反対と言わないという、これだけでも今大臣が言われたように私は大きな変化だと思いますが、さらに一歩を進めてもらいたいということで、機会をとらえて我々も発言しているつもりでございます。  日本が、私がここで言うまでもなく、世界の中でただ単にGDPが第二位だというだけではなく、国連に対する経済的なサポートの面でも、また国連のPKOについても日本は応分の協力をしてきましたし、ODAについても長い間、世界のトップあえてクラスと言いますが、トップクラスの貢献をしてきている。環境についても日本は世界のモデルと言われるような環境技術を生み出し、また現実に環境負荷も相対的にGDPに比べて極めて少ないという言わば優等生のようなことをやってきている。  こういった国が核兵器を持っていないというだけで、今世界の常任理事国、安全保障理事会の常任理事国以外で核兵器を持っていない日本がここに入っていないというのはどうも私は理解できないと思っています。核兵器を持っている国だけが常任理事国だというのはいつまでたっても第二次大戦のときの連合軍のイメージをずっと引きずっているような印象を与えますので、国連が大好きなのは日本国民であります。そういう意味でも国連に対する更なる貢献のためにも安全保障理事会の常任理事国入りを強く強く中国にも支援してもらいたいということをここで申し上げておきたいと思っております。  ちょっと話題変わりますけれども、日中間の問題で私が一つ問題だと思うことはイメージの問題であります。  昨年でございますか、北京で北京・東京フォーラムの三回目が開かれたという報道がありましたので、資料を取り寄せて勉強をしてみました。そのときに、日本と中国で同じようなテーマで同時に世論調査をやるという非常に興味深いことがありました。もちろん世論調査ですから、その対象の選び方とか主体だとかいろんなことがあって、それから統計誤差もありますから一概には言えないんですけれども、ある程度のイメージギャップが出たのかなと思っていますので、どんな調査を行って、その結果どんなことがあったのか。例えば日本人が中国と聞いて何をイメージするのか。逆に中国人が日本と聞いて何をイメージするのか。あるいは相手の国が好きですかどうですかという感じ。日本の場合には、これ内閣府でずっと経年的に統計が取れますので、それで見ましても大きな変化が実は起きていると私は思っています。こういったことについて、あるいは日中がお互いに軍事的脅威を感じているかどうか、このようなことにつき統計が出ていますので、この概要を政府委員の方にまず紹介をしていただきたいと思います。
  267. 小原雅博

    政府参考人(小原雅博君) お答え申し上げます。  ただいま委員から御指摘のございました日中共同世論調査でございますが、第三回目の調査結果が昨年八月に発表されております。  この結果によりますと、相手国に対する印象あるいは日中関係の現状の評価でございますが、第一に、最近改善傾向にあるということが言えるのではないかというのが一点でございます。それから二点目といたしまして、しかし依然として日中両国の国民感情の面で脆弱な側面があるというふうに言えるかと思います。  それから、ただいま御指摘のございました日本人から見た中国の印象でございますが、これは一番目に中華料理、それから二番目に万里の長城、三番目に反日感情、反日デモ、それから莫大な人口、一人っ子政策、安価な日用品というようなものが上位五つに挙げられております。  他方で、中国人から見た日本の印象でございますが、一番目に電気製品、それからいわゆる南京大虐殺、桜、富士山、中国を侵略した旧日本軍というようなものが思い浮かべるものとして上位五つに挙げられております。
  268. 加納時男

    ○加納時男君 これは大変な問題だと思うんですね。日本人が中国人に対して持っている印象、今、政府委員のお答えですと、中華料理と、とても平和でいいし、第三位の万里の長城も私も大好きですけれども、第二位に反日、第三位に反日感情が入っていた。中国から日本を見て、電気製品が第一位というのは平和でいいんですけれども、第二位に南京大虐殺。南京大虐殺と言われているものは一体いつ起こったのかと。去年ですか、おととしですか、十年前ですか、二十年前ですか。もう今から見ると六十年か七十年前、それもあったかなかったか、虐殺の前の人口と後の人口が三十万人で、その間に虐殺で三十万人殺されるという計算が変だという学者の指摘もあります。事実は、私も現場へ行ってないので分かりませんけれども、そういうこと。  それから、私はやっぱり抗日記念館というのを見てきたんです。これは南京大虐殺を取り上げていまして、日本人が残虐である、そして中国人を百人切りを競争をやった、それからまた死体を川に流した、川に死体がだあっと流れている映像というか写真があります。かわいそうな女たちというので、女性が連れられていく、いかにもレイプされるような感じですけれども、これ全然違ったときの写真だという学説もあります。  いろんなことがあって、この抗日記念館は歴史の中の、さっき冒頭に伺ったつらい時期の一部であることは事実なんでしょうけれども、本当にこれが事実なのかということも検証されなきゃいけないし、そもそもこういうことをやることによって、これを見た人が何と思うのか。日本人は残虐だと、日本の侵略主義、帝国主義、軍国主義は悪い、教えるのは、これは結構だと思うんです。私もそう思いますけれども、しかし、これを見た人が日本人は残虐だと思ったらば、果たして日中友好のためにこれはどんな意味があるんだろうかと。中国共産党の役割がこの鬼畜日本帝国主義を絶滅した輝かしい歴史があるということを教えたいという気持ちは、これは立場を変えればよく分かりますけれども、しかし、その場合でも、このようなことだけで日本人を特別視するような教育が行われているとすれば問題ではないだろうかということを、中国の方にも私は直接申し上げてきております。  確かに、去年見たときには前に比べて一部改善されています。日中関係が、日本経済協力によって中国が復興したというのはごく一部加わっていますけれども、これはずうっとある残虐な日本の一等最後にちょこっとあるだけであります。もうちょっとこれは改善をすべきではないかと思うんですが、これについては外務大臣はどのように、大変答弁しにくい質問で恐縮ですけれども、あえて取り上げて伺いたいと思います。
  269. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 中国のいわゆる抗日戦争記念館におきまして、事実関係に疑義のある展示、あるいは青少年教育上過度に残虐な表現のある展示が見られることは残念であります。  一部の記念館におきましては、今委員が指摘されたように、我が国の戦後の平和国家としての歩みや国交正常化以降の日中関係についての展示も出てきておりますが、私といたしましては、平和を希求する未来志向の側面にもっと光が当たることを期待しております。  こうしたこちら側の問題意識については、累次の機会をとらえ、中国側に伝えてきているところでございます。日中両国、国民感情を踏まえつつ、日中間の健全な相互理解の促進に向けて、抗日戦争記念館の展示内容については指摘すべきは指摘しつつ、中国側の適切な対処を求めていく考えでございます。
  270. 加納時男

    ○加納時男君 分かりました。その方向で是非よろしくお願いいたしたいと思います。  続きまして、環境、エネルギー問題について最後に触れたいと思います。  今日の朝刊を見ていましたらば、三月十四日から昨日まで、幕張メッセで開かれました気候変動、クリーンエネルギー及び持続可能な開発に関する閣僚級対話、いわゆるG20と言っておりますが、実際は二十一か国・地域が出たんですけれども、このG20の対話が取り上げられております。共同議長として甘利経済産業大臣、鴨下環境大臣がなさったということでございますので、両大臣からその所感といいますか、これを終わってどういう感じを持たれたのか伺いたいと思います。
  271. 伊達忠一

    理事(伊達忠一君) どなたに、どなたに。
  272. 加納時男

    ○加納時男君 甘利経済産業大臣、鴨下環境大臣に伺いたい。まず、甘利大臣にお願いします。
  273. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) 二〇〇五年のグレンイーグルズ・サミットで設置をされた対話がG20、WTOにもG20というのがあるんですが、これは途上国集団ですけれども、こっちのG20は先進国と途上国の両方代表が入っているという会議でありまして、しかも環境大臣とエネルギー大臣が参加する恐らくこの規模での唯一の枠組みだと思っております。今回で四回目の会合が終わりまして、これで一応これは幕を閉じると、つまり洞爺湖サミットに向けて議論の中身を提示すると、インプット、材料をつくるということでありました。  大変に率直な、思うところを率直に話ができたと思います。先進国からも途上国からも、何といいますか、なあなあの会議ではない、本音がぶつかり合う、それだけにどこに問題があるかが明確になる会議だったというふうに思っております。  この環境大臣がそろう場で初めてセクター別アプローチというものを提案をしたわけであります。今までAPPの枠組みとか経済大臣の枠組みの中でこの話を私はしてきました。その中ではかなり理解が進んでいい取組だという評価がありましたが、環境大臣の会に初めて出て、要するに今まではその支援策を歓迎されていた、ところがこれが何らかの責務、途上国がですね、つまり技術と資金の移転とともに何らかの責務も来るんではないかと、それは自主的な取組もしていただく、当然していただくんですが、そこで少し過度な警戒感が出たということは事実であります。  ただ、先進国からはかなり前向きな評価が出ました。途上国からは、従来の途上国にとって有利な例えばCDMみたいな枠組みがなくなっちゃって取って代わられてしまうんではないかと、それでは困るということでありました。出席先進国の中からは、これはヨーロッパの中のある国でありましたけれども、そこからは、総量目標にとって必要条件となるというようなお話もありまして、これからも、どういうふうに取り組んでいくか、深掘りをしていくか、いろいろ議論を深めていこうということになったわけでありまして、洞爺湖サミットに向けて有益なインプットとなるというふうに思っております。
  274. 鴨下一郎

    国務大臣(鴨下一郎君) 概要につきましては今甘利大臣の方から申し上げましたけれども、私の方からも付け加えさせていただきますと、今回の言わばグレンイーグルズのダイアローグにつきましては、第四回で、これを洞爺湖サミットにインプットしていくと、こういうような位置付けでございます。    〔理事伊達忠一君退席、委員長着席〕  内容につきましては、今お話しありました技術の点あるいは資金、そして将来枠組みと、この三つの柱について議論がなされたわけでありまして、まあ対話でありますから、この対話の中である種結論を出していくというようなことではございません。ただ、そういうような性質の会議でありますので、それぞれ忌憚のない意見を述べ合うと、こういうようなことにおいては大変意義があったというふうに思っております。  中でも、一番争点になった一つは、今、甘利大臣から話がありましたセクター別アプローチのことでありますが、実際に環境大臣の中では初めてその問題に触れる方もいたようでありまして、多分に誤解もあって、初日は少し意見の相違が顕在化したというのが事実でございます。  ただ、その後にそれぞれ御理解をいただくための努力がありまして、特に、問題意識としては、このセクター別アプローチが国別総量目標に取って代わるものじゃないかと、こういうような認識が途上国あるいは主要排出国の中にはあったようでございますけれども、これについても、今お話あったように、必要条件であるけれども代替するものではないと、こういうようなことと、我が国としてはこれは共通だが差異ある責任と、こういうようなことが基本理念として貫かれているんだと、こういうようなことについてはっきりと申し上げて、全体的には対話としては非常に最終的に成功したと、こういうような認識でございます。  これを受けて、これからそれぞれG8のエネルギーあるいは環境の大臣会合がございますけれども、それの流れの中で最終的にG8洞爺湖サミットに向けてモメンタムが継続して更に加速するようにと、こういうような位置付けにおいては私は大変意義があった会議だというふうに感じております。
  275. 加納時男

    ○加納時男君 ありがとうございました。  今日の朝刊、八紙か九紙ぐらい、私ずうっとこの件、読んできました。その中で、朝早く起きて読んだんですけど、痛感したのは、新聞は例によって余りいいことはニュースにしませんで、対立したとか日本に対して不満が出たとか、そんな記事が随分ありましたが。  私は冷静にこの問題を考えると、こういうこと、一つ目のこれ質問になりますけれども、一つ目は、ポイントは、すべての主要排出国の参加、譲れない原則、日本のですね。私は当然のことだと思います。このすべての主要排出国の参加ということと、共通だけれど差異のある責任、コモン・バット・ディファレンシエーテッド・レスポンシビリティーズというのを訳したらしいんですけど、そういうことですね。この二つの言葉が、概念が矛盾するのかどうか。私は矛盾せずに両立できると思うんですね。  何か日本が言っているのは、すべての主要排出国の参加だから、発展途上国も義務付けられるのは困るよというふうに言っているようですけど、これとんでもない誤解でありまして、まさに今、鴨下大臣が言われたように、共通だけど差異のある責任だから、発展途上国には例えば技術の支援とか資金の支援とかいろんな枠組みも考えましょう。  それから、何よりも私ここで伺いたいのは、例えば、BATと言っていますが、ベスト・アベイラブル・テクノロジーズですか、現在ある技術で、使える中で最も良いもの、環境に良いもの、それを普及させていくということはできることでありますし、それは非常に大事なことなんですね。そういうことを中心としながら先進国が目標を立てていくといったこと、改善目標を立てていく、これは一種のコミットメントになるだろうと。だけど、発展途上国にとっては別に義務付けではないと、自主的にこのような形で効率化を図っていきたい、いい技術を導入していきたいというので、一つのあるべき方向性を打ち出すというのでちょっと差を付けていけば、すべての主要排出国の参加になるんじゃないかと私は思うんで、こういう理解でよろしいのかどうか、環境大臣にまず伺いたいと思います。
  276. 鴨下一郎

    国務大臣(鴨下一郎君) 加納先生、大変お詳しくていらっしゃって、まさにそのとおりだというふうに思います。今、共通だが差異ある責任と各国の責任、こういうような原則を一番基本理念に置いて、しかし、これから次期枠組みにおいてはすべての排出国が参加すると、こういうような二つの命題をかなえないといけないということは誠にそのとおりでございます。  特に、先進国においては、これは今回のグレンイーグルズのダイアローグの取りまとめの中でも書かれていますけれども、先進国は、比較可能性を確保しつつ、率先して排出削減に取り組むとともに、途上国の緩和と適応に対する支援を行うことについて指摘をされた。また、途上国は先進国の支援を受けつつ、測定、報告、検証可能な削減行動を実施することを指摘されたと。こういうようなことで、お互いにそれぞれの意見を言い合いながら、しかし、立場は違いますけれども究極の目的は一緒ですから、それに向かってしっかりとそれぞれ努力をしようと、こういうようなことを確認したと、こういうふうに考えます。
  277. 加納時男

    ○加納時男君 いや、もう私の気持ち、最後の時間になりましたので一言だけ、甘利大臣に伺いたいと思います。  今の件は大変よく分かったんですが、新聞に全く載っていなかったことでIAEAが解決策として重要だとしている原子力、これについては話題になったんですか、ならなかったんですか。そして、大臣は今後このソリューションとして原子力をどのようにお考えか伺って、私の質問を終わります。
  278. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) 原子力を地球温暖化防止のツールとして使うということについて支持する国と、それから懸念を表明する国がありました。懸念を表明する国の方が少なかったと思っております。発電過程でCO2排出がゼロの原子力というのは極めて有効であると私自身思っておりますし、そう思う国が非常に増えてきているというふうに思っております。
  279. 加納時男

    ○加納時男君 ありがとうございました。  私の質問はここまでにさせていただき、河合常則議員に関連質問をお願いいたしたいと思います。
  280. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 関連質疑を許します。河合常則君。
  281. 河合常則

    ○河合常則君 初めて予算委員会質問の機会を与えていただきました。本当にありがとうございます。  実は、質問をするようにと言われましたが、その前後、富山へ寄り回り波がやってまいりまして、本当に大変びっくりしました。ここは、その被害が大きくて見に行きましたら、現地の人に聞くと、八メーターほどの高さの波が五十メーターほどの幅で三枚、四枚とやってくるんだそうでございます、ごおっと音を立ててですね。それで一波と。それから十五分、若しくは三十分、一時間と言われましたが、その現地の人によって違うんでございますが、間隔が。波が引いて、水が引いたかなと思ったところへまた次の一波が来ると。それが三波、四波、まあ一枚、二枚、三枚、四枚の波が一波、二波、三波、四波と、朝の五時から午後の満潮時過ぎたころまで一日で来たところと、それから午前中で終わったところとございますが、富山県の朝日町、それから入善町、黒部市、順番にずっと最後の氷見市まで、九市町全部被害に遭ったのでございます。しかも、二人亡くなられておりますし、十六名の方が重軽傷でございます。二百五十軒以上の家がなくなる、車庫も全部入れたらもっとたくさんになるんですね。漁港の離岸堤もそうでございますし、直轄する海岸も港湾も大変なことでございました。津波なのではないかという意見さえございました。  実は、直轄でない、入善漁港は町管理なんですが、七メーター五十の堤防、そこに、その中に船だまりがあって、そして港内道路があって、さらにそこから電柱が、十メーターほどの電柱出ておるんですけれども、電柱の架線に松の枝が掛かっておるんでございます。そこまで波が来たと。ですので、すごい波。  壊れた家、半壊の家ございます。しかも、こんなことを言っては何ですが、下水全部完備していませんでした。それから、上水も通っていない家もあったようでございまして、壊れた家、半壊の家、それでその後始末、避難された家の、改築するにしても修繕するにしても、衛生面のこともございます。床下へ砂が入っていますので、昔なら畳敷きなんですね。畳はぐって、床板はぐって砂を出せたんですけれども、床下へ来た砂と土砂は、今はほとんどフローリングだそうでございますので、フローリングはぐって、はぐると言いますけれども、それで泥、砂を出さねばならぬと。どこまで半壊というのかとかというようなこともあったようでございます。  これほどのすごいものでございましたが、特に入善町は、漁港、それから前後といいましょうかね、五百メーター、五百メーター、一キロほどは町管理なのでございます。特にそこがひどかったような気がしました。町長さん、災害対策本部長、災害対策本部つくって災害対策本部長になっておられましたが、ちょっと一瞬、まあ何というか、ぼうっとしたような、どこから手を付けていいかというほどの困惑ぶりでございました。  それに引き換えて、実は直轄事務所、黒部河川の直轄事務所、所長さん始め、現場の所長さんなんかは大変なものでございます。直轄海岸でやられたところ、四か所か五か所、当面は緊急に四日、五日で修復してみせると。ばっばっばっと、朝の明るくなってから夕方の八時ごろまで暗くなっても、しかも現場をよく知っている建設会社の人を呼んで知恵借りて大変な復旧作業をしていると。ここが、地方自治とはいいますが、町長さん、町と直轄と、やっぱり国の人は、国の職員は違うのかなと、そういうことに対応能力がすごいなという感じもしました。もっとも町長さんは、所長さん、おれのところは農林水産省の補助もろうてやっておるけど、あんた手伝いしてくれよと、こんなことを言っていましたので、これはそれよりもやっぱり県庁から人の手当てをする方が先かもしれぬなと僕は当時思ったのでございます。  三月一日に、実は伏木外港、富山新港の伏木外港、新湊新港などを見に行きました。あそこには、十五メーターの間口で十二メーターの奥行きで十五メーターほどの高さのビルみたいなものを、コンクリートのビル、それの中に砂を入れた重いものでございます、それが百個ほどずっと横に離岸堤に並べてありまして、もちろん基礎の上に並べてあるわけでございます。それがずれておりまして、一直線がこうずれて、十二メーターもうずれておるところがある。それから、一メーター、二メーターずれておるところがたくさんあるんですよ。基礎から駄目になっておりましてね。波の上には本来いつも四、五メーターほど顔を出しておるんでございますが、大変なすごさだなと実は思いました。特に陸の港のところでは、こんな机、この机二つほど並べたコンクリートの塊とかが五十メーターほど飛んでおるんですね。それはもうブロックははがれておるしアスファルトも、だから大変なことだなと、すごい水の力があると実は思ったのでございます。  で、その後、土曜日でしたが、県庁へ行きました。災害救助法の指定を受けれたらいいんだけどなと知事さん言っておられました。入善は人を出すと言われましたし、それはいいなと思ったのですが、その三時間ほど後に何とかしてやるという話が来まして、だから知事もちょっと愁眉を開かれたような感じでございました。  さて、それで、この昭和三十五年から直轄事業、海岸の直轄事業やっておるのでございますが、できたところはやっぱり被害少なかった、良かったんですよね。それで、これは続けてやってもらいたいと思いますが、何せたくさんの被害がございました。水田も七ヘクタール以上、何か海につかって、水につかっていますので、どうなるのかということございますが、まずは農林水産大臣に、漁業と農業のこの関係の被害とその復旧について見通し聞きたいと。その次に国交、順番に、じゃお願いします。
  282. 若林正俊

    国務大臣(若林正俊君) 委員お尋ねの富山湾を襲った寄り回り波の高波による被害、水産被害状況でございます。  二月二十四日の低気圧の影響で高波が発生をして、おっしゃいますように想像を絶するような大きな被害がございました。人的被害のほかに、漁港については四漁港、漁港海岸で二か所、漁船六十六か所などに被害が生じまして、水産関係でおよそ三十八億円というふうに被害額が報告されております。被災された皆さんに心からお見舞いを申し上げる次第でございます。  特に、入善漁港付近の海岸では大きな被害が生じておりまして、農林水産省としては、災害が発生した翌日二十五日には災害担当官を現地に派遣をいたしました。そして、被災状況の把握に努めるとともに、土のうだとか消波ブロックを設置するなどの応急工事を実施しているところでございます。  また、被害を受けられた漁業者の経営の維持安定を図ることが極めて重要でございますので、漁船被害に対しましては、漁船保険について迅速かつ適切な損害評価の実施及び保険金の早期支払について関係団体について指導を行ったところでございます。幸い、ほとんどの漁船が漁船保険に加入をしておられますということでございました。  金融面では、漁業者の主な取引先であります富山県の信用漁業協同組合連合会に対しまして、貯金の払戻し、資金の融通等について適切な措置を講ずるように要請をしたところでございますが、このほかに、農林漁業金融公庫に対しては、長期低利の制度資金、これはこういう災害等の場合におけるセーフティーネット資金というのがございます、このセーフティーネット資金が円滑に利用できますように関係者にお話しすると同時に、この災害の相談窓口を設置するということとしているところであります。  今後とも、この被災施設の早期復旧と漁業経営の安定については万全を期してまいる所存でございます。  また、お話がございました、農地に海水が入り込んで被害が出たということでございます。約七・一ヘクタールというふうに聞いております。この海水の浸水だとか、あわせて、ごみがこの農地の中に飛散をいたしました。これは大変だという被害報告を受けたのでございます。  海水の浸水被害を受けた水田につきましては、富山県の農業普及指導センターが土壌調査を実施しておりまして、土壌塩分濃度の高い水田につきましては、かんがい用水によって塩分を洗い流す方法というもので地元対応できるというふうに聞いているところでございます。また、国としては、引き続き県と被災地と連携を取りながら技術指導等に努めてまいりたいと思います。  また、水田へのごみの飛散については、三月一日から二日にかけて、これは大したものだと思います、ボランティアなどの支援が直ちにございまして、それでごみについては一応撤去されたというふうに聞いております。  海水とともに実は砂が入ったということがございます。砂が侵入した部分、この規模が四百八十平米の小さいものであったということも幸いでありますが、地元でこの砂の撤去を図ることとしているというふうに聞いております。
  283. 河合常則

    ○河合常則君 ありがとうございました。  それでは、今度は国交大臣にお伺いします。  実は、海岸とか港湾の復旧とその見通しについてと、もう一つは寄り回り波と言われる、これ特殊なものなのかもしれませんが、北海道の西の沖からずうっと海底通ってくるんだと思います。いつもは佐渡のロシア側を通るんだそうですが、今度は新潟沖を通ったようでございます。  いずれにしましても、寄り回り波の科学的解明をしないと駄目なのではないか、そしてそういう予防をできるというようにしなきゃならぬのではないかと。前に気象庁は、いや、とてもじゃないが予測できないとテレビに出ていましたけど、何かやっぱり考えてみなきゃならぬと。科学的な解明について是非、それも含めて大臣のお考え、現段階での見通しをお願いします。
  284. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 今回の高波災害でお亡くなりになられた方もありまして、心からお見舞いを申し上げたいと思います。  今回の高波災害に係る海岸、港湾の復旧見通しに関しまして、直轄下新川海岸、県管理の朝日海岸及び伏木富山港等につきましては、必要な応急復旧を直ちに実施するとともに、詳細な調査は今実施中でございます。また、富山県からの要請を受けまして、国土交通省の専門家を派遣するとともに、技術的支援、助言を行っております。引き続き、早期復旧とともに、国直轄事業の着実な実施に向けて万全を期してまいりたいと思います。  寄り回り波、これ初耳でございますけれども、本当に大変なもののようでございます。冬型の気圧配置で低気圧が非常に発達して、北海道の西の、西方海上をうねりとして伝搬する。で、富山湾沿岸で突然高波を発生させる。随分の距離、来るわけですね。それで、北海道西方からの深海域が続いて、湾内でも千メートルを超える深い深海域があるということで、エネルギーの減衰がないままに伝搬してきたと。そして、このうねりがそのまま湾内へと浸入しまして、それで、沿岸部では当然のことですが、急激に浅くなるということでございますから、急激に波高、波の高さが増大をいたしましてね、そして、そのときはまた湾内でも強風が吹いていたためにうねりが更に増幅をしたと、こういうものが何か寄り回り波というものだそうでございますが。  海岸及び港湾につきまして学識者あるいは富山県等による委員会を設置していただきまして、全国港湾海洋波浪情報網、NOWPHASというものでございますが、の観測データとか、あるいは独立行政法人港湾空港技術研究所の知見、これが世界一なんですね。ここが持っている、百八十四メートルの長さで幅は三メートル五十センチですが、深さ十二メートル、そこで世界最大の波を、三・五メートルの波を起こすことができるという装置を持っていまして、私ももちろん見ていますが、大変な、見たら分かりますが、高波といったら波はこう山があるものですが、ここはようかんが来るように、どっと三メートル五十のようかんが突然来るような、物すごい迫力です。一発で破壊してしまいます。そういうものがあったんだろうと思います。それで、そういう独立行政法人の港湾空港技術研究所の知見を活用いたしまして、水産庁とも技術情報の共有を行いつつ科学的解明を今進めつつあるところでございます。  委員会では、これらを踏まえて、効果的な施設整備等の対策を検討してまいるとともに、避難行動や情報伝達等について検証いたしまして、全国的な見地から今後のハード及びソフト両面で海岸保全や水防などの減災対策在り方等について検討いたしまして災害に強い地域づくりを進めてまいらなければならない、こういう決意でございますので、どうぞ。
  285. 河合常則

    ○河合常則君 よろしくお願いします。  災害が起こってからもう二十日ほどたっていますので、それでそれぞれの対応をしていただいて、ありがとうございました。  さて、災害対策担当大臣にお伺いしたいんですが、これは激甚災の指定というか、それは検討していただいて、いつごろそういうことに決定になるのかお尋ねをしたいと思います。よろしくお願いします。
  286. 泉信也

    国務大臣(泉信也君) 予期せざる大きな波で被害を受けられました皆様方は戸惑っておられることと思います。お見舞いを申し上げたいと思います。  お尋ねの激甚災害制度のことにつきましては、委員もう御承知のとおりだと思いますが、公共土木施設あるいは農地等に係る被害を対象として、その被害額が指定基準を満たした場合に激甚災害の指定をし、国庫補助のかさ上げ等が行われるというものでございます。  今回の災害につきまして、公共土木施設等の被害につきましては、現在関係省庁で額の算定を行っておると承知をいたしておりますが、その結果を踏まえて災害の指定ができるかどうかということを判断しなければならないと思っております。  現在までのところ、全国レベルの被害を対象としたいわゆる本激ということには該当しないんではないかというように予想されております。しかし一方で、市町村レベルの被害を対象とした局地激甚災害につきましては、これは、これも今から被害の額を想定しなければなりませんが、これまでのルールですと今年一月から十二月までの一年間の多数の災害につきまして内閣府が関係省庁等から査定事業費を取りまとめて精査を行った上で毎年三月に、申し上げますならば来年の三月にということが現在のルールでございます。しかし、この度の災害によりまして、局地激甚災害指定の基準を満たす市町村があれば、上記の原則はあくまで原則でございますが、それを踏まえまして適切に対処してまいりたいと考えておるところでございます。
  287. 河合常則

    ○河合常則君 よろしくお願いします。  さて、このことについて、ちょっと最後になると思いますが、実は、町では、壊れた家、それから車、それから車庫はもちろんそうでございますが、海から来たごみ、プラスチック製のものもございますし、鉄板など本当にすごい山になって、三か所も山になっているんです。これどうするといったら、仕分するんだそうですよ。それで、消毒もしなきゃならぬと、その始末大変だと頭抱えておりました。  それは、町長さん、あなた、環境庁へ行って相談されたらどうですかと言ったら、逃げたのではありませんけれども、大臣、いかがでございますか、これについては。環境庁。
  288. 鴨下一郎

    国務大臣(鴨下一郎君) 特に入善町、黒部市を中心にしまして、大変大きな被害が出ていると、こういうようなことで、被災された方々には心からお見舞い申し上げる次第でございます。  また、今先生から御指摘いただきました災害の廃棄物の処理にはこれ多大な費用が掛かると、こういうようなことでございますので、先日も富山県知事がおいでになりまして、災害廃棄物処理に係る被災市町村への支援についての要望がございました。環境省としましても、その被害状況の把握のために現地に職員を派遣したところでございます。  また、災害廃棄物の処理につきましては、これは市町村が実施した収集、運搬及び処分に係る事業費の二分の一を国が補助できることになっておりますが、なお、さらに国が補助した残りの費用についてもその八割が特別交付税により措置できると、こういうふうなことになっております。  環境省としましては、この補助制度により、今回の高波被害による災害廃棄物処理が円滑に行われ、被災された方々が一日も早く通常の生活に戻れるよう最大限の支援を行ってまいると、こういうような考えでございます。
  289. 河合常則

    ○河合常則君 環境省にもそういう温かい仕組みがございまして、本当にありがとうございました。  知事も町長も大変な、そういう面での災害の後のごみの始末って意外に大変なんだということを、意外に気が付かないんですが、さっき農林水産大臣が言われましたように、水田に入ったごみ、全部ボランティアで集めて、それを一か所に集めてそれをまた更に仕分すると、こういうことですから、燃えるものと燃やしたら駄目なものと、そういう仕事なんかもあってみんな大変だな、これはまあ予算議会もあるし大変なんだと、こういうふうに言っていましたが、本当にそれぞれ知恵出していただいて、御協力いただいてありがとうございます。  さて、それでは次の質問に入らせていただきます。もうあと少ししかありませんが、地方と地域の活性化についてお尋ねをしたいと、三つほどお尋ねしたいと思います。  私は、過疎対策とか山村振興一本やりで実は町会議員や県会議員をずっとやってきたのでございますが、まあ格差は本当になくさなきゃならぬと、そういう思いでいっぱいでございます。  ただ、格差がなくて良かったなというのが一つございまして、去年の中学生と小学生の全国一斉テストですね、東京近辺だけが良ければ、また田舎はぶってたたかれたと、泣きっ面にハチだというほどの感じを持っておったのでございますが、幸い地方頑張ってくれた。文部科学省も頑張ったのかもしれません。大体、全国一律、同じようなほどのところに来たと。ああ、やっぱりそれぞれの地方も大丈夫だなと、日本大丈夫だなという、そういう気持ちをお持ちになった方たくさんあったのではないかと思うのでございます。これは非常に大事なことだと思いますが。  さて、地域の発展のためには、これからたくさん議論がありますように、道路もきちっとしなきゃならぬ、それから情報通信網もきちっとしなきゃならぬと、そういうハードなインフラ整備するということは前提でございます。さらに、このソフトの面で、地域が元気出せるのは何かなといろいろ考えた、まああるんですね、幾つか、気持ちで。  私は、実は富山県のスキー連盟の会長をしておりますが、この間、スキーの国体が長野県の野沢温泉町でございました。みんな頑張ってくれまして、今年も天皇杯六位、皇后杯六位でした。種目によっては優勝した人もおりましたし、二位になった人もおりました。それぞれの、県全部を挙げて、それから優勝した市の人たちは大変喜んでいます。  石川県でありました、白峰でございました。大抵スキーの大会というのは過疎地であるものでございますが、そこで私の町の中学生がクロスカントリーのフリーで優勝しました。町挙げて、合併しましたから、市挙げて本当に大変な喜びでございました。そういうことも大事だなと思うのでございます。  スポーツの振興は、競技レベルの向上は、やっぱりそれをお世話する方々の努力、大会運営のためには、大会があれば広告を集めてくる、それから一人一人の善意を集めてそして強化費をつくる、こういうことなどがあって、競技レベル、まあ国レベルの水準も維持されているんではないかなと実は私は思うのでございます。  ここは非常に重要なことでございますので、そういうものが何か寄附控除にならないものだろうかと。ただ、どれも全部というわけにいきませんから、一定のレベル、一定の条件をきちんと付けねばならぬのだと思うわけでございます。そうすれば、やっぱり全国展開でアスリートを発見することになる、コーチの身分をしっかりしたものにすると、本当に青少年に生活する規範を身に付けさせることになる、教育の面でも効果があり、そしてまた競技の成果も得られると、まさに一挙両得、一挙三得の価値はあるのではないかなと、そういうふうに実は思うのでございます。  このことは、私はもう一つは、文化であるとか文化財の保存とかいうことにも同じこと言えるのではないかなと思うのです。私が県会議員のときの地元は、世界遺産の合掌造りのところが私の地盤なのでございますが、そこはやっぱり世界遺産にしてもらってから物すごいそういう感じが、みんなの誇りもありますし、それで、何とかしよう、村づくりしようと、そういう雰囲気ができるものでございます。  私の町には、平成十二年に、三百年続いた曳山というお祭りがございまして、文化庁から国の民俗無形文化財に指定を受けました。まあみんな喜びまして、そしてその維持発展のためには頑張るのでございますが、その頑張る気力、それだけではできませんので、やっぱり大変な費用掛かりますので、これもひとつ、そういうものに支援する善意の寄附は、やっぱり先ほどスポーツで申し上げたようなことができるように──あれ、終わったの、済みません。  じゃ、もう一つ、これだけにします。はい、分かりました。済みません。分かりました。  寄附控除にしてもらえないものかなと思うのでございます。寄附控除するのは、社団法人は二万五千ございますけれども、今度から変わりますよね。それで、特定公益増進法人のできる範囲をスポーツや文化に限ってでも結構ですから広くしてもらいたいと、是非財務大臣の積極的な考えをお聞きします。
  290. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 先生がおっしゃるように、スポーツや文化、個人の寄附というのは重要な役割を果たしてきたと思います。  今般の税制改正において、第三者委員会の関与の下で内閣総理大臣及び都道府県知事の認定を受けた公益・社団・財団法人であれば、全国的な活動法人であれ地域の法人であれ、特定公益増進法人として寄附控除の対象になります。だから、地域においてもそういう対象になりますから、しっかりと頑張ってほしいというふうに思っております。そういうことによってスポーツや文化が発展していくことを期待をしております。
  291. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 以上で加納時男君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  292. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 次に、山口那津男君の質疑を行います。山口那津男君。
  293. 山口那津男

    山口那津男君 公明党の山口那津男でございます。  まず初めに、イージス艦の事故についてお伺いをしたいと思います。  原因の究明、そして再発防止策を確立し徹底するということが今求められていることだろうと思います。しかし、これまで防衛省から発表されている事実関係については明らかでないところが多いわけでありますし、また非常に理解し難いところも多々あるわけであります。この調査、防衛省が独自に持っているとはいっても、捜査の関係で、海上保安庁等と調整をしながらこれを調査をし、また公表すべきであったと、こう思うわけでありますが、現在ではその調整をした上で防衛省なりの調査が行われていると、こう理解をいたしております。  その上でお伺いいたしますけれども、イージス艦から見た、「あたご」側から見た清徳丸の動きというものが必ずしも明らかではありません。漁船は、マスト灯、これは二海里届く照明を持っております。そして、両舷に赤と青、これは一海里届くランプを持っております。これをつけっ放しで夜は航行するという義務があるわけであります。  そうしますと、「あたご」の当時のスピード、これが必ずしもはっきりしないわけでありますが、それと漁船のその照明の関係から、どれぐらいの位置関係からこれを発見することができたかというのは容易に分かるはずであります。当時の気象状況、これは天候も良く、特に視界を妨げるような状況もなかったと、こう思いますので、それらの関係で、一体いつ、どれぐらいのスピードで「あたご」が走っていたのか、そして「あたご」側から清徳丸とおぼしき漁船をどのように視認したのか、この点について御答弁まずいただきたいと思います。
  294. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 委員御指摘のとおり、まさしくこれが核心に触れる部分でございますので、申し上げられないこともございます。私どもの方としまして、捜査に支障のない範囲で国民の皆様方への説明責任を果たすという観点から開示いたしました。  今委員がおっしゃいます灯火の視認状況に関すること、今まで申し上げたことと重複をいたして恐縮でございますが、三点でございます。当日、二月十九日午前三時五十五分ごろ、「あたご」の見張り員は清徳丸の灯火を視認したと思われる。次が、午前四時五分ごろ、「あたご」の見張り員が右方向に緑色の明かりを視認した。その時点では、当該灯火が漁船であるか否かは不明であった。三番目として、午前四時六分ごろ、当該灯火が増速、スピードを上げる、増速し、これが漁船であることが確認されたというものでございます。  私どもといたしましては、先般三月六日、艦船事故調査委員会におきまして、「あたご」乗組員からの事情聴取に着手をいたしました。お尋ねのような灯火の視認状況を含め、事故原因を早急に徹底的に究明をするということにいたしておるところでございます。他方、二月二十三日、海保から、防衛省から報道機関等への発表について、本件の捜査機関たる海保としては事故原因の核心に触れるような内容は控えるようにという申入れがございまして、特に関係者個々人の過失の有無の認定に関係するような部分についての事実関係の公表は、捜査への支障がないように判断をしておるところでございます。  そういうふうなことで、今まで申し上げたことの繰り返しになって恐縮でございますが、私どもとして言えるのはそのようなことでございます。  なお、速度につきましては、事故当時約十ノットで航行していたということを申し上げておきます。
  295. 山口那津男

    山口那津男君 十ノットで十二分前ということになると、ちょうど二海里ほど離れたところで灯火を見たというのと一致する説明ができるようになるだろうと思いますが、しかし、それも定かな確信ある事実関係かどうかよく分からないところがあるわけですね。是非、究明をしていただきたいと思います。  それで、この衝突した地点といいますのは、東京湾口、非常に過密なところがあります。通過する船もありますし、湾口から出入りする船もあります。しかし、その過密な地域よりは更に南東側にありまして、やや余裕のある海域だったはずなんですね。ですから、海上衝突防止法による回避義務は十分に尽くせる余地があっただろうと思われます。  ところで、操艦教範というのが自衛隊には教科書のようなものがありますが、これは大臣も引用されたことがありますけれども、これを一見読むと、漁船群の中に入った場合にはこれは船首が振れ回らないように針路を保持する、保針に努めると。そして、スピードを緩めたり止めたり、あるいは逆進したりということで操作をすると、こういうことが書いてあるんですね。これ一見すると、素人が一見すると、何か真っすぐ行くことを想定しているように読めるわけでありますが、本当はそういうことではないんだろうと思いますが、この法的な回避義務とこの操艦教範に書かれたこの操作の仕方と、これはそご、矛盾がないものかどうか、そして本来「あたご」はどういう回避行動を取るべきだったのか、これについて防衛大臣に御答弁いただきたいと思います。
  296. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 委員御指摘の操艦教範のそこの部分でございます。  群集する漁船に出会った場合は、差し支えない限りその外縁、外の縁と書きます、外縁を航行するのがよいと。やむを得ずその中間を縫って航行する場合は、特に保針、針を保つ、保針に注意して艦首が振れ回らないようにしないと、漁船は動作、措置に迷い、ついに衝突の惨事に至ることになると書いてあるのはそのとおりでございます。  今回のようなケースを群集する漁船に出会ったというふうな評価になるかというと、なかなかそれは難しいのではないかという議論もそれはあるのだろうと思います。つまり、船が操業している場合には本当に一か所に止まって密集した状況で操業するということがございますが、今回の場合にここがまさしく群集するということになるだろうかといえば、そこはいろんな評価があるのだろうと思います。  ここの操艦教範と海上衝突予防法は、当然のことながら内容が相反してはいけないものでございます。回避する場合に何をやろうとしているのかよく分からないと、相手の側から見て、こちらの側が、回避する義務を負った側が何をしようとしているのかよく分からないと、そういうようなことをやってはいけませんということがここの趣旨でありまして、海上衝突予防法の避航船の義務というものと相反するという評価は私どもとしてはしておらないところでございます。
  297. 山口那津男

    山口那津男君 「なだしお」事故の後の通達が出ました。操艦教範にも触れられているところでありますけれども、回避をするためには別な手段もあるわけですね。例えば汽笛を鳴らすとか、あるいはサーチライト等を発光するとか、あるいは無線を使うとかですね、こういうことが実際に当時、自動操舵で直前にこれを解除して後進を掛けたと、こう言われているわけでありますが、じゃ、その今の申し上げた無線やライトやあるいは汽笛、こういうものを実際にどう使ったのか、これについて御答弁いただきたいと思います。
  298. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) この無線をどのように使ったかということについて申し上げますと、船舶安全法及びそれに基づきます船舶設備規程というのがございますが、船舶は一般にVHF無線を備えることが義務付けられております。しかしながら、漁船を含めまして総トン数百トン未満の船舶につきましてはVHF無線を備えることは要しないと、このようになっておるわけでございます。また、電波法及び無線局運用規則に従い、一般の船舶、旅客船や三百トン以上の船でございますが、これは国際VHFを常時受信するということが義務付けられておりますが、旅客船等一部の船舶を除く三百トン未満の船舶につきましては国際VHFの聴取義務、聴き取る義務を負わないということになっておるわけでございます。  そういう前提がございまして、そうしますと、無線によるウオーニングといいますか警告というものがこの場合になし得たか。この清徳丸に限定してどうのこうのということはここで申し上げられることではございませんが、今回、漁船がそのようなものを持っていなかったのではないか、そしてまた常時無線を聴取、聴き取る、そういう義務は有しておりませんので、そのときの状況からすると、いろいろな措置をとることは当然でございますが、無線ということができたかどうかということにつきましてはこれから捜査の過程によって明らかになるものでございますけれども、断定的に無線による交信というもの、警告というものを行うことが妥当であったというふうな前提において議論をすることは必ずしもできないのではないかなというふうに思っております。  汽笛吹鳴等々いろいろな規定がございまして、衝突を回避する場合にいろんな方策がございます。委員御指摘のようにサーチライトの点滅というのもそうでございます。  どのような形で適切な警告を行ったのかということにつきまして、海上保安庁による捜査、あるいは私どもの事故調査委員会の捜査、調査、それが行われるというふうに承知をいたしておるところでございます。
  299. 山口那津男

    山口那津男君 その「あたご」の事故の後、明石海峡でも商船の事故がありました。  海上保安庁に伺いますが、その後、この海上交通センターから無線を使って事故を回避する、そういう改善策がお考えになられたと思いますけれども、この内容を御説明いただきたいと思います。  それと、今、防衛省、防衛大臣からもお話がありましたが、漁船と無線で交信する方法がないんですね、今のところね。しかし、そうなりますと、仮に漁船の側がこちらの船を気付いていないとすると、結局緊急の警告を発するすべがないということになってしまいます。ですから、そこをどうするかということは今後の再発防止策の一つのポイントだと思うわけでありますが、現状でどのようにお考えでしょうか。
  300. 岩崎貞二

    政府参考人(岩崎貞二君) 明石海峡の事故が起こりました後、私どもの方でも通達を出しております。  三点ございまして、一つは自動操舵をしていることについて、そうしたものを手動操作によって航行をする、適切な場合はそういうことをするといった指導。それから、今のお話でございました無線でございますけれども、あの明石海峡周辺には、先生も御案内のとおり、大阪湾の海上交通センターというのがございますので、そこからの情報提供、それから通信に備えてVHFという、十六チャンネルでございますが、それを常時するよう指導したところでございます。それから、航法についても指導したというのが現状でございます。  それから、これは取りあえずの対策でございますけれども、少し本格的にどう考えていくべきかということがございます。今、海上交通センターと船の間、それから先生のおっしゃる船相互間の間、こうした情報、無線連絡につきましては、できるだけ、特に海上交通センターから船舶に対しては、私どもの呼びかけに対して聞くようにという指導をやっておりますけれども、これはあくまで指導ベースにとどまっております。こうしたものをもう少し本格的な制度ができないかどうかと、こうした事故も含めまして今いろいろ勉強しているところでございます。  それから、船舶同士の無線につきましては、今防衛大臣答弁されておられましたように、なかなか同種の無線を持っているケースが少のうございまして、本当に実効性が上がるのかどうか分かりませんけれども、そうしたことも含めまして今後いろいろ勉強していきたいと、このように思っております。
  301. 山口那津男

    山口那津男君 今いろいろな御答弁を聞くにつけ、無線やその他の手段で回避するということはなかなか難しいと、現状では。やはり自動操舵であの地域を航行するのではなくて、早い時間に時機を失しないで回避措置をとるべきであったということが明らかになってくるだろうと思います。是非防衛大臣には、今回の事故を徹底解明の上、再発防止策を確立、徹底していただきたいと、こう思います。  さて、次に厚生労働大臣に伺いますが、前回私が質問して、薬害C型肝炎の対策、これの調査で訪れる人が増えたために大きな病院ではその対応に追われていると、これに対する何らかの支援措置を考えていただきたいということを申し上げました。その検討の結果はどうなりましたでしょうか。
  302. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) これは、山口委員の御指摘を受けまして平成十九年度で九千六百万円を確保しまして、二月末から各医療機関に調査票を送付して協力していただきたいと。そして、その結果、具体的に一医療機関当たり十万円、そして、更に調査対象患者一人当たり三千円という形で大変御苦労をお願いしている医療機関への支援を行っておりまして、来年度も同様な支援を行い続けていきたいと思っております。
  303. 山口那津男

    山口那津男君 その際にもう一つ私は伺いました。葛飾区の例を出しまして、医療機関等と提携をして無料の検査ができる、この仕組みを自治体その他に徹底していただきたいと、で、大臣もお約束されたわけでありますが、その後の経過を見ますと必ずしも現場に徹底されていないんですね。いまだに実施する予定なしという県が四つもあります。そういうことで、やっぱり不安を持っている、あるいは潜在的なキャリアの方が機会を得られないということになっては非常に気の毒であります。是非ともこれを更に徹底をして実施していただきたい。しかし、私が東京都内の幾つかのところに当たってみた限りでは、やっぱり現場の方の意識というのは必ずしもこの制度、そしてその緊急性、これを十分に理解していただけてないと、こういう実感も持っております。是非この点についてもよろしくお願いしたいと思いますが、御答弁をお願いいたします。
  304. 舛添要一

    国務大臣(舛添要一君) 議員の皆さん方の御努力でこのC型肝炎訴訟の問題、一定の道筋ができました。そして一月から、今委員おっしゃったようにこの検査の無料化ということでやっているんですが、なかなかやっぱり周知徹底しない。それで、ちょっと調べてみますと、この四月から実施を予定している自治体を含めて数数えてみたんですが、保健所ですと実施率が九四・六%、しかし医療機関で委託してやる、こちらだとまだ六二・三%となっておりまして、今おっしゃったように委託医療機関の実施を予定していないという自治体も三十七自治体まだあります。  なぜですかと聞くと、まあ保健所で十分検査ができているので、医療機関の委託まで必要ないだろうという答えがあったり、どれぐらいの委託費用を各自治体が病院に払うかと、それでまだ調整が付いていないというような、そういう理由が挙げられましたけれども、しかし、これは国の補助事業もあるわけですし、一日も早く皆さんに検査を受けていただきたいということで、やってないところに個別に今後は働きかけをして、是非この受診希望者の利便性を高めたいと、そういうふうに思っております。
  305. 山口那津男

    山口那津男君 保健所の数というのは限られていますし、アクセスが不便なんですよね。現場の鈍感さというものもあるんではないかと思います。是非よろしくお願いしたいと思います。  さて、次に、先般予算委員会宮城県に委員派遣していろいろ調査をしてまいりましたが、その中で温泉を利用する旅館の組合の皆さんから、この水質規制で特に硼素、弗素と、これは日本温泉水にはかなりの量含まれているのが通例なんですね。これについて、今除去技術を持った機材を入れようとすると過大な設備投資になる、少し規制在り方について検討していただけないかと、こんなお話がありました。  これを考えてみますと、この温泉水というのは何も旅館で全部使っているわけじゃなくて、そのまま天然に流れて川に入ってしまうものもいっぱいあるわけですね。量も把握されているわけではありません。ですから、この温泉で使ったところだけを規制するというのが果たして本当に意味のあることなのかどうかというのは、その温泉利用者の側からは疑問が出ると思います。  それから、都市部ではメッキ業がこれは立地しております。大臣の御地元足立区にもメッキの関係業者の方たくさんいらっしゃると思いますが、しかし、これ元々上水道の水質基準を達成するための目的なんですね。ところが、取水口よりも河口にあるところ、ここで規制してみても海に入った水というのは、海水には元々硼素が多量にありますから、この規制値以上の硼素が元々あるわけですから、その取水口よりも下流で規制してみても何の意味もないはずなんですね。ですから、単にWHOの規制基準を機械的に当てはめたというだけでは、これは少し過度な規制になるわけでありまして、もっと実態に応じて規制の意味というものを、在り方というものを検討していただきたいと、こう思うわけでありますが、大臣どうお考えでしょうか。
  306. 鴨下一郎

    国務大臣(鴨下一郎君) 硼素等の規制につきましては、これ平成十年のWHOの飲料水のガイドラインの改定等を受けまして、平成十一年に水道水源となり得る公共用水域の保全の観点から環境基準が規定されたわけでございます。また、これは環境基準達成のために平成十三年に排出基準を設定しましたが、旅館業、それからメッキ業、これに対しましては、これ処理技術等の困難性等を配慮して、緩やかな暫定排出基準を設定したと、こういうようなことにはなっているわけでございます。  今、先生御指摘のように、温泉はいろいろと自然に流れていくものもあると、こういうような御指摘もありますけれども、現実には特に動力によってくみ上げる、こういうような温泉が増え続けて、その割合が非常に高くなってきたと、こういうような状況にもあるわけでありまして、そういう現状を見ながらこれ規制のことを考えないといけないんだろうと、こういうふうに思っておりますけれども、今先生御指摘になりましたように、様々な現実的な対応というのも十分考えないといけないと思います。  環境と規制在り方、これにつきましては、今の御指摘を受けて更に検討をさせていただきたいというふうに思います。
  307. 山口那津男

    山口那津男君 是非、検討をした結果をまた公表していただきたいと思います。  問題は、この除去技術を確立してそれを提供する、その費用負担もどうするかを含めて考えるということだろうと思いますが、環境省としてこの技術開発について取り組んでいらっしゃいますか。
  308. 鴨下一郎

    国務大臣(鴨下一郎君) 排水中の硼素等を取り除く技術開発、これは今までも環境省取り組んでまいりましたが、依然、装置の大型あるいは高コストと、こういうような課題を有しているわけでありまして、これらの課題を解決しないと現実には使い勝手が悪いと、こういうようなことでもございますので、これはもう関係省庁と連携をしながらできるだけ省スペース化あるいは低コスト化、これに向けた関係業界の技術開発を支援すると、こういうようなことで本年も予算を計上しておりますし、積極的にできるだけ現実に即した、利便にかなうような、こういうような方向で開発といいますか対応を促進してまいりたいと、こういうふうに考えます。
  309. 山口那津男

    山口那津男君 発生源で除去するという考えもありますが、しかし、水道水として利用するわけですから、その取水するところで除去するということもあろうと思いますので、これ水道事業者からのアプローチというものもあり得るだろうと思います。  また、温泉の利用について、やっぱりこれ観光振興の一環ですから、そのための必要不可欠な設備ということになれば、これは観光振興という観点からの支援ということも考える余地があると思いますので、政府是非とも広い目で検討をしていただきたいと思います。  さて、今日は黄砂が日本にやってきていると、こう言われておりますけれども、北京オリンピックで大気汚染を懸念して参加を辞退すると、こういう選手が現れました。我が日本選手も懸念を持っていると思います。これらについて、文部科学大臣として、どう認識をして、また日本選手たちにどういうメッセージを与えますか。
  310. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 大気汚染が体調に影響を与えるという懸念がありまして、一部選手はマラソンを走らないというふうなこういう報道がなされておりまして、大変残念に実は思っておるところでございます。  我が国は、財団法人JOC、日本オリンピック委員会の専門家に依頼をいたしまして、北京の気象データの分析や現地の調査を昨年の八月に実施をしておりまして、大気汚染の状況は一応把握をいたしております。また、現在JOCにおきまして医学サポート部会で、例えばJOCが選手にマスクを用意したり気象情報の提供をするなどという、この影響を最小限に収める、抑える、こういう対策も検討をされているというふうに聞いております。  我々もJOCに対して適切な対処をするようにということを促してまいりたいと思いますが、いずれにいたしましても、今日もちょっと詳しいことを聞いたんですが、やっぱり競技をするときにマスクをしてというのはなかなかできないようでありますから、そういうマスクがあるんだというような報道も一部ありますけれども、やっぱり大気汚染ができるだけ抑えられるように中国側も対応をしていただければ有り難い、そのように考えております。
  311. 山口那津男

    山口那津男君 科学技術の面でもこの発生源を抑えるという努力をお願いしたいと思います。  それと、環境省として、国内でこの黄砂をどう対策を取るかということと同時に、発生源に対してどういう対応をするかという国際的な取組、これも重要だと思いますが、環境大臣、どう認識されますか。
  312. 鴨下一郎

    国務大臣(鴨下一郎君) 環境省では、国内におきましては黄砂の観測網の整備をすると、こういうようなことと、加えましてホームページを活用したリアルタイムでの黄砂の飛来状況の提供、これを行っているところであります。またさらに、黄砂につきましては、これ物理的なものだけじゃなくて、そこに付着している化学的な性質、こういうようなことも解明する必要がございますので、そういった分野でも取り組んでいるところであります。  また、黄砂問題は国境を越えた環境問題と、こういうようなことでもございますので、北東アジア全体が連携して取り組むと、こういうようなことが重要だというふうに考えておりまして、これも昨年、日中韓の三か国の環境大臣会合が富山でございまして、そのときにも黄砂に関する共同研究の実施を合意をしました。国際的な黄砂の観測網やあるいは黄砂の被害を軽減するための早期警報システムの構築、こういうようなことについて、これは北東アジア地域を通して協力をしていくと、こういうようなことが重要なんだろうというふうに考えます。
  313. 山口那津男

    山口那津男君 近年、ポリタンク、廃ポリタンクが日本海から押し寄せたり、あるいは今の黄砂のみならず様々な大気汚染物質が酸性雨となって日本に被害をもたらすというようなこともあります。これらを含めてやはりこの環境面での日中、あるいは韓国も含めた国際的な取組というのが必要だろうと思いますが、まだこれが非常に弱い、連携も弱いというふうに感じておりますが、外務大臣認識とこれからの取組についてお伺いしたいと思います。
  314. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 漂流ごみの中に中国語表記があるものやあるいは韓国語表記があるものが含まれているケースがあるわけでありまして、そういうものについては、外交ルートを通じて関係国に調査協力を依頼し、原因究明に努めるとともに、必要な対策を取るように要請をしているところでございます。  こういう二国間で要請することと別に、我が国、中国、韓国及びロシアから構成される北西太平洋地域海行動計画の枠組みを通じた取組を進めております。NOWPAPと言うわけでありますが、我が国のイニシアチブによりNOWPAP主催の国際海岸クリーンアップキャンペーンを二〇〇六年には山形県酒田市にて、また二〇〇七年は中国山東省日照市において行いました。  漂着ごみの多くは原因者の特定が困難であるとの課題もありますけれども、政府としましては、漂流・漂着ごみ問題の解決に向けて、各国・地域への働きかけ、NOWPAPにおける多数国間協力枠組み及び二国間での協力を通じて、この問題に対する取組を一層推進していく所存でございます。
  315. 山口那津男

    山口那津男君 特に中国との関係におきましては、大気のことも、また水質のことも、あるいは人材育成といった面も含めて、これからがこの環境的な共同の取組が必要な時代だと我々は思っているわけでありますが、中国も日本も資金を出し合って日中環境基金のようなものを創設をして、ODAはともかくとして、こういう資金でもって協力関係を推進すると、こういうことが必要だと思っておりますけれども、外務大臣の御所見を伺いたいと思います。
  316. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 中国の環境問題は、我が国のみならず、アジアひいては世界の環境に影響を及ぼし得る重要な問題であるわけであります。今後、戦略的互恵関係の重要な分野として環境・省エネ分野における日中の協力を更に推進していきたいと思っております。そのため、現在、近年の経済発展が著しい中国との間でいかなる協力関係を築くことが環境対策上最も効果的であるかを探っているところであります。そのような観点から、先般の福田総理の訪中時には、今後、環境関連情報の供給や人材育成、技術移転、共同研究などの協力を進めていくことで一致しました。今委員が御指摘の基金についても、様々な角度から検討を行っているところでありますが、まだ結論を得るには至っておりません。  政府としては、引き続き、我が国の有する高い技術、知見、経験を最大限活用した有効な協力の方途を探っていく考えでございます。
  317. 山口那津男

    山口那津男君 胡錦濤主席の訪日の機会などは絶好の機会だと思うわけでありますけれども、チベットで暴動が起きまして、これらの影響がいろいろ懸念もされるわけでありますが、これをどう外務大臣として認識をされているか。あわせて、邦人保護、これを徹底して、近年観光客も増えておりますので、やっていただきたいと思うわけでありますが、大臣の所見を伺いたいと思います。
  318. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) チベットの問題については極めて憂慮し、懸念を持って注視していきたいと、こういうふうに思っているところでございます。  邦人保護の点については、東京で中国大使館の公使に、そして北京で中国のアジア局長に、それぞれ申し入れたところでございます。現時点では邦人に被害が出ているという状況はない、今までのところは一応全員無事であると、こういうことでありますが、更に邦人保護をしっかりやってくださいということをお願いしているところでございます。
  319. 山口那津男

    山口那津男君 獣医の問題について、最近のペットブーム、あるいは高齢者に対するいやし効果等々、注目をされているわけでありますが、一方で産業動物医のような、獣医のような分野は減っておりまして、この偏在が見られるということもございます。  まず文部科学省として、この獣医教育在り方について、国立大学あるいは公立、私立大学の教育在り方について改善が必要ではないかと思うわけでありますが、御認識を伺いたいと思います。
  320. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 委員御指摘のように、最近非常に多様なニーズがございますし、また、特に国立の獣医学科というのは大変基盤が弱体であるということが指摘をされておりまして、既に昭和六十年に一度対策をやろうということを言われたようでございます。ところが、なかなか現実には地域の要請とかまた先生の希望とかありまして、いろんなことが進んでいないという現状がございます。大学院レベルにおける連携といいますか、そういうことは少し進んだようでございますが、そういった実態の中で、今後、やはりより整理統合といいますか、そういったことが望ましいというふうには考えておりますが、一義的にはこれはお互いの大学の話合い、また地域理解というものが必要でございます。  そういった意味において、我々としては、いろんな再編整備に向けた連携というものもできるような、そういったプログラムを平成二十年も用意をしておりますので、これは獣医学科だけではありませんけれども、そういったものを利用していただきながら環境を整えていきたいと思っております。  同時に、割と私学が体制が整備されておりますので、私学の獣医学科について、引き続き経常費補助、また私立大学教育研究装置設備整備補助、こういったものを通じて支援をすることによって獣医教育というものの基盤の整備というものを図ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  321. 山口那津男

    山口那津男君 農水大臣に伺いますが、偏在を是正するためには処遇の改善とか様々な工夫が必要だと思います。また、補助者が最近民間のいろいろな資格で増えてきていると。しかし、これだけの人数が増えますとやはり一定の技術基準、資格のようなものも国として考える必要があるんではないかと思いますが、お考えを伺いたいと思います。
  322. 若林正俊

    国務大臣(若林正俊君) 山口委員の御指摘であります産業動物獣医師の不足というのは本当に深刻であります。頭の痛い問題でございます。今後、産業動物獣医師が不足をして、そして公務員獣医師の確保も大変難しくなっていくだろうという見通しが示されております。特に、大動物、牛とか馬とか、あるいは中動物である豚などの獣医師の不足が深刻な問題になるのではないかということを危惧いたしております。  そこで、農林水産省としては、獣医学科の学生に対します産業動物の診療の現場体験期間も非常に少なくなってきているんですね。そういう意味では、現場体験に対しましていろいろ機会を提供するというような支援でありますとか、また、産業動物獣医師を希望する人への研修に対する支援でありますとか、また、こういう獣医学科学生に対しまして奨学金を給付して、産業動物獣医師あるいは公務員の獣医師に就業を誘導するといったようなことを通じましてその育成に努めていくということにしているわけでございます。  また、地域によっては、都道府県が家畜保健衛生所とか、あるいは開業獣医師、生産者団体などで組織します協議会を設置いたしまして地域単位で獣医師の提供体制の構築をしまして、適正な産業動物獣医師の配置を確保していこうといったような努力をしているところもございまして、そのような体制を整えて、何とか必要な産業獣医師を確保していきたい、努力をしていきたい、このように考えておるところでございます。  また、併せて動物のこれらの診療行為を補助する動物看護師の問題でございます。  これもどうしても必要になってまいりますが、この資格の制度につきましては、今複数の民間団体が独自の教育プログラムを作りましてその資格認定をしているということでありまして、国による公的な資格認定の制度、システムはございません。今動物看護師を制度化するというような問題意識を持ちまして、日本獣医師会、これは社団法人でありますが、日本獣医師会を中心としてまず教育レベルを平準化していかなきゃいけない。今のこの民間団体、主な団体でも五団体ございますけれども、それぞれの教育のレベルが必ずしも一致しておらない。また、資格認定の手法も違っておりますから、まずはこれらレベルを平準化をしていくということに取り組んでいるというふうに聞いております。  これらの努力によりまして、一定の教育レベルあるいは資格認定基準といったようなものをできるだけそろえた上で、このような動物看護師の制度化について措置、対応していきたいと、こう考えております。
  323. 山口那津男

    山口那津男君 最後渡辺大臣に伺いますが、中小企業金融の需給の実情と、そして新銀行東京が提起した課題といいますかテーマがあったと思うんですね。これらに対して新銀行東京がどういう役割を果たしてきたのか、そして、これから金融政策上この中小企業金融についてどういう在り方が望ましいのか、一般論としてお伺いをしたいと思います。
  324. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 年度末を控えまして、景気の後退リスクなどもあり、中小企業金融、大変大事な局面に差しかかっております。  中小企業金融において、日本金融の特殊性といいますか、欠けている部分がございました。それは金利体系がちょっといびつなところであります。大体、土地担保融資を中心に二%ぐらいのところに大きな山があり、これがするするっとなくなって、次のところは二〇%を超えたところに小さなこぶができるというスタイルでございます。つまり、真ん中のいわゆるミドルリスクのところがぽっかり穴が空いていたと。金利というものがリスクプレミアムを反映した体系になっていなかったという証明ではなかろうかと思っております。  新銀行東京のビジネスモデルというのは、こういったミドルリスクのところに着目をしたモデルでございまして、それ自体は非常に目の付けどころは良かったんだろうと思うんです。残念ながら、リスクを取って貸出しをしてくれたのは良かったんですが、リスク管理の方が余りよろしくなかったということであろうかと思います。  今、新銀行東京が新たな不良債権の発生の抑制のために融資の審査、それから延滞管理体制の強化に努めているところであって、再建計画が先月発表されたところでございます。こうした取組が今東京都議会で論議されているわけでございますので、そういったところを見守っていきたいと思います。
  325. 山口那津男

    山口那津男君 ありがとうございました。これで終わります。
  326. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 以上で山口那津男君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  327. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 次に、井上哲士君の質疑を行います。井上君。
  328. 井上哲士

    井上哲士君 日本共産党井上哲士です。  イージス艦の衝突問題について質問いたします。  この事件でだれしも思ったのは、あの「なだしお」事件の教訓はどこに行ったのかということでありました。改めて、あの事件で海難審判庁からどういう勧告を受け、防衛省としてどういう教訓を持ってきたのか、お答えいただきたいと思います。
  329. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 私どもとしまして、五つ再発防止策を講じたところでございます。繰り返しになって恐縮ですが、東京湾など船舶ふくそう水域における航行安全を図るため、海上交通センターとの情報交換を確実に実施する、潜水艦が浮上航行する際の見張りの体制などを強化する、事故などの不測の事態が発生した場合の情報伝達要領を整備する、潜水艦、掃海艇などへの港湾電話の整備などや護衛艦などへの船舶電話の整備、潜水艦の艦橋と艦内との間の通信手段の改善等々でございます。  「なだしお」は潜水艦でございましたが、今の申し上げました再発防止策は適用できる範囲で護衛艦についても措置をしたわけでございます。しかしながら、今回例えば通報に十六分掛かっている、前は二十一分で五分短縮したからいいじゃないかというような話には全然なりませんで、これを本当にじゃ徹底できたかといえば、必ずしもそうは言えない、そういう部分があるのではないだろうか。あるいは、見張り体制を強化するということにしておるわけでございますが、それが本当に十分であったかはこれからの捜査あるいは調査の過程で明らかになるものでございます。  「なだしお」の教訓を本当に十分生かしていたかというふうな御指摘をいただきますと、本当にそれが教育の場においてどのように生かされていたか。これは衆議院でもお話をしましたが、艦船と安全という本がございます。これは毎月のように、ほとんど毎月だと思いますが、いろんな事例を書き、そしてまたそれに対する教訓等々、「なだしお」に限らず、海上自衛隊あるいは船舶の安全についていろんな事例がございます。そのことについて教訓をすべて、すべてといいますか、書いたものでございますが、私はそれが教育の現場において本当にどのように徹底されていたのかということも含めまして、「なだしお」事件の教訓がどのように生かされたか、あるいは生かされなかったかということはきちんと検証しなければならないと思っております。
  330. 井上哲士

    井上哲士君 生かされたかどうかきちんと検証しなくちゃいけないという答弁がありました。  具体的に私聞きたいと思うんですが、例えば安全航行する上で、その海域がどういう状況にあるかというのを知るのは当然だと思うんですが、事故後の記者会見で「あたご」の艦長は、漁船が多い海域と認識していなかったという発言をされました。なぜこういう発言が出てくるんでしょうか。
  331. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 正確に言えば、こういうことだと思っております。混雑する海域とは認識しているが、あの時点であれだけの漁船が入っているという認識はなかったと、こういうふうに艦長は言っておるわけでございます。  ここが混雑をしているという認識はあった、しかしながらあの時点で、というのは事故が起こりました四時前後ということでございますけれども、事故が起こった時間の前後ですね、その時点でこういうような状況であるのか、あれだけの漁船が入っているかという認識はなかったというふうに艦長は申しておるわけでございます。  私どもといたしまして、この海域は漁船が多く航行する海域であるというふうに承知はいたしておりました。海上交通安全法にございますように、東京湾内のように船舶がほぼ恒常的にふくそうする海域という、そういう認識ではございません。時間によって船舶交通状況は大きく変化する。すなわち、ここの海域はこうですよというふうに定型的に言えるものではなくて、時間によってそれは増えたり減ったりするものだという認識でございます。  しかしながら、太平洋の大海原のように、見渡す限り見える船とてなしというような、そんな状況ではないということは当然承知をしておったものでございますが、あれだけの漁船があの時点で入っているという認識は持っていなかった。それは、艦長が今申しておることをそのまま申し上げればそういうことでございます。  全然船がないよ、そんな状況ではない。しかしながら、東京湾内のように恒常的に物すごく船が出たり入ったりする、それとは違うのだという認識であったというふうに承知をいたしておるところでございます。
  332. 井上哲士

    井上哲士君 あの時点であれだけの漁船が入っているという認識がなかったと、これが私は重大だと思うんですね。  その周辺の千葉、東京、神奈川だけで八十一の漁協があります。いろんな漁の形態はありますけれども、神奈川と千葉だけでも組合員数は二万二千以上なんですね。あの海域は東北からもたくさん船が来ておりまして、しかもあの時間帯というのは、朝のうちに港に入ろうという入港する船と、そして未明から漁に向かう漁船が交錯をする、こういう時間帯だと。これはいろんな方に聞いても常識だと言うんですね。  そういう、つまり、あの時間帯、そういう状況があるということを艦長が知らなかった、知らすことがなかった、この防衛省の徹底の問題というのはどうお考えなんでしょうか。
  333. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 「なだしお」の事故を受けまして、「船舶が輻輳する海域における自衛艦の安全航行について」という通知が出されたのは委員も御案内のとおりでございます。  ここにおいてうたわれている海域ではないということでございまして、それは当然、時間帯によってはまさしく委員御指摘のように入ってくる船がある。朝、港がオープンするといいますか、いろんな施設が動く時間に入ろうと思って入ってくる船がある。また、漁に出る船がある。そういうように、混雑する海域であったという認識は、混雑という言葉も気を付けて使わなければいけませんが、艦長の言葉をそのまま使えば、漁船が多く走行している、航行している海域であるという認識はあった。そこはあったのです。  そこが、ただ時間によって、あの時間はどうだと言われれば、そこは混雑する海域だという認識はあったのかもしれません。しかしながら、そこは衝突予防法等々、そういうものに定められているような、そういう義務をきちんと履行する、そういうような海域であるというような認識であって、全く太平洋独りぼっちみたいな、そういうような認識ではない、それなりの注意を要する海域であるというふうには認識を持っておりましたし、ここは、この船自体はここに入ったのは初めてでございますけれども、海上自衛隊としてここを通る場合に、この海域がそれなりに多く漁船が航行する海域であるという認識はそれは持っておったと私は考えております。  ただ、この時間、この海域、そういうものに特定をした特段の注意喚起を限定して行っていたということではなかったということは事実でございます。
  334. 井上哲士

    井上哲士君 先ほど申し上げましたように、この時間帯が出て行く漁船と入ってくる船が錯綜していくということ、そして大変豊かな漁場であるということでありますが、そうしますと、この時間帯、しかもまだ暗いというところで、特段の注意をすべきということを防衛省としてきちっと認識をして徹底していなかった、このことに大きな問題あるんじゃないんですか。
  335. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) それはどういう認識であったかということについて、ここは調査あるいは捜査の過程でどういう認識を持っていたか、この当該「あたご」という船がどういう認識を持っていたか、艦長が記者会見において申し述べましたことを更に正確に言えばどのような認識であったかということがこれから先明らかになってくるんだろうと思っております。  時間に限らず、例えば東京湾内でありますとか、あるいは浦賀水道、もっと限定して言えば浦賀水道、それは時間に限定をしているわけじゃなくて、この海域というふうに指定をしておるわけでございます。今回の場合のように、まさしくこの時間におけるこの海域というふうにそれに限定をして、特段の注意喚起を行っていなかった。しかしながら、海上衝突予防法等々に書かれている義務というものは当然履行すべき、それはもうどこの海域も一緒でございます。  そのことについてどれぐらいの評価がなされるかというのはこれから先の問題でございますけれども、私自身として、特段の注意喚起を行う行わないは別として、注意して航行すべきは当然であるし、そしてまた、全く四方見える船とてなしというような状況とは違うので、それは注意義務というのはおのずと異なるものだということは一般論としては申し上げられる。今回、この海域においてどうであったかということ、当該事故に関してどうであったかということは、まさしく捜査、調査の過程において明らかになることだということだと私は思います。
  336. 井上哲士

    井上哲士君 いろんな関係者に聞きましても、あの場所、あの時間帯は大変注意が要るんだと、こう言われています。その時間帯に自動操艦にしていたと。本当に常識では考えられないことだという声がたくさんあるわけですね。つまり、そういうだれが考えても当たり前の常識すら身に付けていないという自衛艦がここを走っていたと。これは艦長の問題なんですか、それとも防衛省の問題なんですか、そこはどうなんでしょうか。
  337. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 自動操舵にするかしないかということについて、防衛省の持っております船が一律こうであるという決まりは現在のところございません。自動操舵にするというのはそれぞれの船において裁量を持って任されておるものでございます。しかしながら、自動操舵にしているからといって見張りがおろそかになっていいとかそういうようなお話でもございません。私は今回、どういう場合に自動操舵にするか、どういう場合に手動に切り替えるのかということについて、それぞれの船ごとに決めるというのはどうだろうかということについて問題は提起をいたしておるところでございます。  そして、私も民間船舶を運航しておられる方からも事故の後いろんなお話を承りました。委員御指摘のように、この場所は自動操舵にする場所ではないということは私自身も聞いておるところでございます。そうしますと、どういう場所において自動操舵というものを許すか。それは例外的に許すということなのかもしれません。あるいは、諸外国においてどのような自動操舵の使い方をしているかということ。自動操舵であれ手動操舵であれ、見張りというものはきちんと行わなければいけないのは当然のことでございますが、自動操舵の使い方というものについて私はきちんとした考え方というものを持つ必要があるのではないかというふうに思っております。  基本的に、自動操舵にしたから即危険だということには直接にはならないのかもしれません。そこのところはいいかげんなことは申し上げられませんが、どのような操舵方式であるにせよ、見張りを厳となさねばならないのはそれは当然のことだと思っておるところでございます。
  338. 井上哲士

    井上哲士君 この海域がどちらに、自動操舵にするのか手動にするのか、迷うようなところではないというのが多くの民間の方の声なわけですね。ですから、今、海を航行する者として当然の常識的な判断を身に付けないままこういうことが起きているということが、私は果たして「なだしお」の教訓が生かされているのだろうかと、こういうことを指摘せざるを得ないわけですね。    〔委員長退席、理事伊達忠一君着席〕  そして、今おっしゃいましたように、自動操舵であれ手動であれ、見張りをきちっとしなくちゃいけません。じゃ、見張りや回避行動についても徹底されていたんだろうかと、このことも大変疑問に思うわけですね。  先ほどありましたように、「なだしお」事故が起きた後に改訂された操艦教範があります。私も持っておりますが、例えばこの第七章、衝突予防及び避航というのがありますが、見張りの重要性、どういうふうに述べられているでしょうか。
  339. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 見張りの重要性でございますが、操艦教範におきましては、衝突予防及び避航の第一条件は厳密な見張りを行うこと、このために、見張り配置、目視見張り、レーダーなどによる見張りを適切に行うことというふうに書かれておるものでございます。  そのほか、幾つか操艦教範におきまして書かれておりますが、見張りの重要性について指摘をしておる部分はそこの部分かと存じます。
  340. 井上哲士

    井上哲士君 さらに、海上衝突予防法の遵守ということもこの中で明記をされておりますが、この点はどういうことを強調しているでしょうか。
  341. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 海上衝突予防法の遵守といたしまして、海上交通の安全は海上衝突予防法の規定の正当な適用により初めて確保できるものであること、同法によらない行為は相手船の了解を得られないばかりか、多くの場合、衝突の予防と反対の結果をもたらすものであることと書いてございます。  また、そのほか漁船に対する措置といたしましては、漁船についてはこれが海上衝突予防法の漁労に従事している船舶か否か留意する必要があること、群集する漁船に出会ったときは海上衝突予防法に沿ったより慎重な操艦が必要になること等がここには書かれておるものでございます。
  342. 井上哲士

    井上哲士君 この教範が本当に実践されていたんだろうか。目視の見張りを厳重にして、レーダーを活用して有効な見張りができるように処置をされていたんだろうか。  そして、今の群集する漁船に出会った場合でありますが、今大臣は読まれませんでしたが、差し支えない限りその外縁を航行することというのがまずあるわけですね。こういうことをきちんとしていれば事故は起きなかったと思うんですけれども、この教範が本当に徹底されていたんでしょうか。
  343. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 先ほど山口委員の御質問にもお答えをしたものであり、重複になって恐縮でございますが、群集した漁船というものの定義をどう考えるかということでございます。  実際に、ある特定の海域において漁をいたします場合には、それはそこに錨泊、錨泊というのか、そこの位置に網を降ろし魚を捕るということになるわけでございます。これはもうどこの海域というふうに特定をするわけではございませんが、そこにおります漁船団というものはまさしく群集という評価、それは飛行機の上から見てみるとよく分かるのでありますが、そこに本当に固まっているという評価でございます。そこの場合には確かにそこを迂回するというようなことが書かれてございますが、じゃ、今回の場合にはそこに群集していたかといえば、そうではないであろう。そこに、漁場に出るために移動しておったという行為を、それを群集している漁船という評価、これに値するかどうかといえば、それはやや異なるのかもしれないというふうに考えております。  そこにおいて迂回する措置というのは確かに群集の場合には書かれておるわけでございますが、実際に漁場に行きますときに、漁場に行きます過程において移動しておる、その船が何隻も航行しておるという状況と群集しているという状況は、それは評価において異なるものだというふうに考えております。  だからいいなどということを申し上げるつもりは全くございませんが、ここの部分はそのままストレートに該当するかといえば、必ずしもそうではない場合があり得るということを申し上げておるのでございます。だからいいということを申し上げているわけでは全くございません。
  344. 井上哲士

    井上哲士君 報道によりますと、航海長は漁船群が接近しているということを当直士官に引き継いだと、こういうふうに言われているんですね。そうである以上、その時点から当然、様々な緊張感を持って対応するべきだったと思うんですね。  ですから、定義と言われましたけれども、漁船群が接近していると、こういう引継ぎをしているということが言われているわけですね。やはり私はこれは大きな問題があると思いますが、改めてどうでしょうか。
  345. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) そこはどういう認識を持っていたかということについては、これから捜査あるいは調査の過程で明らかになるものでございます。  ですので、漁船群が接近しているというのは、それは移動をしているというような評価でございましょう。群集しているというのは、必ずしも移動という概念を中核とするものではないということではなかろうかと思っております。  ただ、そこにおいてどのような判断をするのが適切であったか。海上衝突予防法に書いてございます、いろいろな危険回避の義務が海上衝突予防法には書いてあるわけでございますが、その時点においてどのような行動をするのが最も適切であったのか、今回それがそれに照らしてどうであったのかということが、これは繰り返しになって誠に恐縮でございますが、これから明らかになることでございまして、現時点において、私がいろいろな前提に基づいてあれこれ断定的なことを申し上げることはできないのでございます。
  346. 井上哲士

    井上哲士君 いずれにしても、結果として漫然と航行して、最後まで回避行動を取ることなく事実上こういう事件が起きているわけですね。ですから、やはり「なだしお」の教訓が生かされていない。そして、そうであれば他の艦船でも起こり得る話なわけですね。  私ども、いろんなところで自衛隊がそこのけそこのけで航行しているというたくさんの証言を聞いてまいりました。  千葉の漁協関係者は、事故が起きた海は、黒潮が流れ、少し北に行けば親潮が来ると、年中魚が捕れる豊かな漁場だと、そこをやつらは汚してきたんだと、自分たちの船が来れば漁船はよけてくれると思い込んでいると、わしらはいつも危険と背中合わせで漁をしてきたんだと、こう言われました。母港である舞鶴、危険を感じることは結構あると、自衛隊は小さい船がよけて当たり前というような航行をしておると、こういうお話も聞きました。もっともっと、いろんなところで全国でこういう声があるわけですね。  私は、これだけの声がある以上、やっぱり自衛隊が優先されて当たり前だというような航行のやり方がある。私は、大臣自身がこういう関係者の声も直接聞いて対応するべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  347. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 艦長が記者会見におきまして、今委員が御指摘のように向こうがよけると思っていたのかというようなことについて、そのような認識は持っていないというようなことを申し上げたのではないか。正確ではございませんが、私はそのように記憶をいたしておるところでございます。    〔理事伊達忠一君退席、委員長着席〕  ただ、委員おっしゃいますように、漁業に従事される方々の声というものを真摯に受け止めるということは、それは当然に必要なことでございます。事故が起こったときから、そこのけそこのけイージスが通るというような御批判をいただいておるところでございまして、そういうような御批判をいただくということ自体、私どもとして、国民の生命と財産、国の独立と平和、それを守る者として、そのような御指摘をいただくようなことがかりそめにもあってはならないことだというふうに考えております。  そこは、私、それがどのような効果があるかどうか、そこについてはまた議論をしなければいけませんが、実際問題、私どもが漁船に乗ってみて護衛艦というものがどのように見えるのかということも、それはできればやってみなければいけないことではないだろうか。ちょっと変な日本語になりますが、そういうことも私はやってみたいと思っているのです。  やはり漁民の方々から、国民の方々から本当に信頼される、そういうものであらねばならないのでございまして、そこのけそこのけイージスが通るというようなこと、別にイージスでなくてもいいのですが、そういうことが言われないようにしなければならぬ。保持船と避航船の義務というものは、船の大小に、あるいは船の用途によって変わるものでは全くございませんので、そこのところはよく認識をしなければいけない。  御指摘は、謙虚に真摯に承らねばならないと思っております。
  348. 井上哲士

    井上哲士君 是非、文字どおり真摯に受け止めて、まさにこうした事態が二度と起こらないようにしていただきたいと思うんですが、この二人の捜索をされた仲間の漁船の皆さんが、漁を休む一方で捜索には相当の油代なども掛かっているわけですね。必要な財政措置をとるべきだと思います。  大臣は、休業された方については最大限の誠意を持って当たるということを外交防衛委員会でも答弁をされましたけれども、具体的にどのようにお考えでしょうか。
  349. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 誠心誠意というのは言われてやることではないのでありまして、私どもとして本当に何ができるか、そのためにどんな枠組みができるのかということ、そして、自らの判断によって漁を休んで仲間の捜索に当たられた方々のそういうようなお気持ちにどうすればこたえることができるかということは、私どもとして、ありとあらゆる見地から検討していかねばならないことでございます。  自衛隊法の百五条の第一項、これに、自衛隊の行う訓練及び試験研究のために水面を使用する必要があるときは、一定の区域及び期間を定めて漁船の操業を制限又は禁止し、これにより漁業者が漁業経営上被った損失を補償すると、こういうふうに書いてございますが、これはストレートには使えないということになります。  ただ、私どもは、この法律がこうだから使えるとか使えないとか、そういう話をしておるのではないのでありまして、どういうような枠組みを使って本当に誠心誠意対応ができるかということについて、現在、各方面と検討を行っているものでございます。  これは、繰り返して言うことでございますが、人から言われてやるものだとは思っておりません。私どもでありとあらゆる可能性を考え、ありとあらゆる誠意の尽くし方を体現しなければいけないと思っております。
  350. 井上哲士

    井上哲士君 実際的に休業補償までできるようにしっかり、まず文字どおり誠意を持って当たっていただきたいと思います。  今回の事件を考えますと、改めて、東京湾の入口に横須賀港という軍港を置いたままでいいのだろうか、こういう問題があります。この横須賀港は、しかも、米軍の空母の世界で唯一アメリカ以外にある母港なわけですね。しかも、大変豊かで交通がふくそうした海域に米軍や自衛隊の専用の演習海域が設定をされております。  お手元の資料にもありますけれども、(資料提示)これが「あたご」の衝突位置でありますが、この周辺にチャーリー海域、それからキロ区域、相模湾潜水艦行動区域、さらに自衛隊の訓練水域というものが設定をされております。  今回の事件は、このチャーリー海域と自衛隊の訓練水域のそばで起きているわけでありますが、このチャーリー区域というのはどういうものなのか、御説明いただきたいと思います。
  351. 地引良幸

    政府参考人(地引良幸君) お答えいたします。  御指摘のチャーリー区域につきましては、千葉県野島崎東南方沖の公海上に位置しておりまして、昭和二十七年七月に、日米合同委員会で合意の上、米軍の海上演習場として一定の水域を指定したものでございます。  米軍は、当該区域について、当初、各種艦砲の水平及び対空射撃演習を行っていたところ、昭和三十七年七月以降、使用条件が変更され、各種海軍訓練用兵器の発射もできることとなっております。  当該区域を海上演習場として指定しておりますのは、米軍によります演習が行われる区域を確定することによりまして、船舶、航空機等の航行の安全を図る等のためでございます。
  352. 井上哲士

    井上哲士君 日本が占領中に訓練区域として認められて、それが一九五二年以降ずっと設定されたままなわけですね。  非常に豊かな漁場であります。漁船は年間を通じて進入禁止になっていると思うのですが、ここも含めまして四十九か所米軍の演習海域がありますが、年間、日本が行っている漁業補償の総額というのは幾らになっているか、この五年間で答えていただきたいと思います。
  353. 地引良幸

    政府参考人(地引良幸君) お答えいたします。  米軍の制限水域に係ります漁業補償金の過去五年間の支払実績を述べますと、平成十四年度は二十九億六千二百万円、平成十五年度は二十八億二千七百万円、平成十六年度は二十五億九千百万円、平成十七年度は二十三億一千三百万円、平成十八年度は十九億八千九百万円となっております。
  354. 井上哲士

    井上哲士君 年間、全体で三十億から二十億の漁業補償が行われております。アメリカの訓練のために漁船の通航禁止をして、その補償を日本が行っている。私は大変驚くわけでありますが、こういう豊かな漁場に訓練地域がある、そして大変密集した海域の入口に横須賀基地がある、こういうこと自身、私は今問い直すべきだと思います。  こうした訓練地域も廃止をするし、米軍や自衛隊の基地をなくすという方向での抜本的な対応が必要かと思いますが、大臣、いかがお考えでしょうか。
  355. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 御意見は御意見として承っておきます。  これは、じゃなぜ横須賀にあるんだということを申し上げましたときに、それはやはり首都に近いということ、あるいは整備能力等々、いろんな観点からこの横須賀というものに置いておるものでございます。思い付きで横須賀に置いておるわけではございません。  したがいまして、自衛艦のみならず米艦船においても、本当に航行の安全ということはきちんと遵守をしなければならないものだというふうに承知をいたしております。  また、チャーリー海域につきまして、チャーリー区域につきまして御指摘をいただきました。  これはもうずっと昭和二十年代から経緯のあることでございまして、日米安全保障条約等々に基づいていろいろな定めがなされておるものでございます。どういうふうな形で安全が保てるか、そしてどういうような形で漁業者の利益というものがきちんと確保されるかということについて、私ども本当に常に細心の注意を払っていかねばならないと考えております。
  356. 井上哲士

    井上哲士君 横須賀の基地が首都に近いからという答弁がありました。私は、ああいう首都、しかも人口密集地の近くに外国のそういう基地がある、原子力空母の母港があるということ自身が世界的に見ても極めて異常だということを申し上げておきたいと思います。  最後大臣は外交防衛委員会で、「あたご」が衝突一分前に漁船を認識して後進を掛けて、七分ごろに衝突したということを明らかにされました。  この説明の根拠はどういうことだったのでしょうか。衝突時間等。
  357. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) それは、根拠と申しますのは、事故直後、「あたご」の乗組員に聴取、聴き取りしたことでございます。それに基づいて申し上げたものでございます。
  358. 井上哲士

    井上哲士君 それは航海長の証言ということでよろしいですか。
  359. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 「あたご」の乗組員、それは航海長のことにつきましては、これは航海長がヘリで参りまして、そこで海上幕僚監部が聴き取りをし、そこにおいて整理をしたものでございます。航海長の証言という言い方は、私、正しいかどうか分かりませんが、「あたご」の航海長から聴き取ったもの、あるいはそのことについての確認の作業、そういうものを経た上で申し上げておるものでございます。
  360. 井上哲士

    井上哲士君 昨日のNHKの報道では、当直乗組員から事情を聴いた結果、「あたご」は清徳丸がすぐそばに迫っていると気付いて短い警笛を数回鳴らしたものの、間に合わず衝突していたことが分かったと。つまり、一分前に回避行動を取ったというのは違うんじゃないかという報道がされていますが、大臣説明と違うんじゃないでしょうか。
  361. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 先ほど申し上げました、当該漁船は前方約百メートルで大きく右にかじを切っておるでありますとか、当該船舶との衝突は午前四時七分ごろ発生したでありますとか、そのようなもろもろのこと、これは二月の十九日に申し上げたものでございます。念のため申し添えておきたいと存じます。  なお、今汽笛吹鳴についてのお尋ねがございました。  そこは、本当に汽笛吹鳴というのを行ったかどうか、そしてそれを聞いた者がいるかどうか、そのことにつきまして艦長が申し述べている。しかしながら、そこについて聞いた人がいるかどうか、そういうようなことにつきましてこれから確認作業が行われるということだと承知をいたしております。  私どもは、艦長が吹鳴したということを申しておることは承知をしておるところでございますが、それが実際にそうであったのかどうなのか、艦長がそう言っておるということは申し述べることは客観的事実としてできますが、そのことを聞いた人がいたかどうか、そのことにつきましてこれから調査が行われる、あるいは今行われているところだということだと私は考えております。
  362. 井上哲士

    井上哲士君 今疑問に出ていますのは、まさに一分前に後進を掛けたということ自身も違うのではないかということが昨日の報道で言われているわけですね。私は、これは大変重要な問題だと思うんですね。  「あたご」には艦船の位置や速力、それから船首の方向、時刻などの航行情報を電磁的に記録したものがあるということを認めておられます。大臣は、海保から「あたご」への乗組みを禁じられているからと言って衆議院では公表を拒否されましたが、既に六日から防衛省としても独自の調査をしているわけでありますから、こういう客観的なデータを明らかにしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  363. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) それは、電子的に記録したものはございます。ただ、そこの電子的に記録されているものを防衛省、当省の独自の判断というもので出せるかどうかということは、そのことがまさしく事故原因の核心に触れるということは当然あることでございます。私どもとして、これも衆議院で申し上げたことでございますが、捜査の厳正性というものを確保する上において、それを私どもの独自の判断で出すことについてどうなのだろうかということは、それは当然考えておかねばならないことだというふうに考えております。  電子的に記録をされたものでございますので、それは変更とか改ざんとか隠すとか、そういうことが全くできるものではございません。そういうものを明らかにするということがどういうことになるのか、そのことにつきまして、よくよく議論をし、認識を持って、明らかにすべきものは明らかにしてまいりたいというふうに考えております。  ただ、今この時点で、委員がおっしゃいますように、そのことすべて開示せよということにつきまして、はい、そうですかということが現時点でお答えできる状態に今ないということでございます。
  364. 井上哲士

    井上哲士君 時間ですので終わりますが、客観的事実を明らかにするのは構わないということを海上保安庁長官答弁されているわけでありますから、国民の前に包み隠さず明らかにしていただきたいと思います。  終わります。
  365. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 以上で井上哲士君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  366. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 次に、福島みずほ君の質疑を行います。福島君。
  367. 福島みずほ

    福島みずほ君 社民党の福島みずほです。  まず、劣化ウラン弾についてお聞きをします。  去年十二月、国連の総会で議決がありました。五月までに日本政府意見を国連事務総長に対して言うことになっております。日本は被爆国、劣化ウラン弾の廃絶に向けてリーダーシップを是非取っていただきたい。いかがでしょうか。
  368. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 我が国は、昨年の国連総会におきまして、劣化ウラン弾決議に賛成票を投じたわけであります。これは、劣化ウラン弾が健康や環境に与え得る影響について国際機関による調査等が行われており、かかる調査動向等を注視していくとの立場から賛成したものでございます。  日本意見を言うについては、この知見を持った国際機関がどういう調査を出すかと、このことについて注視していきたいと、こう思っております。
  369. 福島みずほ

    福島みずほ君 是非、ここで廃止に向けて注視すると同時に、意見表明を求められているわけですから、日本がイニシアチブを取ってほしい。いかがでしょうか。
  370. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 健康や環境に与える影響について国際機関が今調査をしておりますので、その調査結果を全く見ないまま、分からないままイニシアチブというのはなかなか取りにくいと。このことについて今調査をやっているので、この調査を注視していきたいと、こう思っております。
  371. 福島みずほ

    福島みずほ君 北欧諸国がそうであるように、予防原則に基づいて、これは日本は被爆国ですので踏み込んでもらいたい。いかがでしょうか。
  372. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 今までお答えしたこと、同じ質問でありますから答えも同じにならざるを得ない、申し訳ございませんが。
  373. 福島みずほ

    福島みずほ君 日本はこれこそイニシアチブを発揮すべきだと考えます。  次に、クラスター爆弾についてお聞きをします。  二〇〇八年、オスロ・プロセス、ウェリントン宣言が日本を含む八十二か国の署名によって成立をしました。日本はこの会議の中で代替案を出していますが、どのようなものでしょうか。
  374. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 主要な生産国及び保有国の参加を確保すべく、人道面と安全保障面のバランスが取れたものになるようにということで、いわゆる、こういう言葉が適当かどうかは分かりませんが、部分禁止という考え方に基づいた代替案を出しているところでございます。
  375. 福島みずほ

    福島みずほ君 地雷防止に関しては、故小渕首相が極めて頑張ったという経緯があります。部分禁止ではなく、クラスター爆弾など非人道的兵器については日本が踏み込んでほしい。いかがでしょうか。
  376. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 小渕総理が踏み込んで地雷禁止についてしたことは、私は政務次官としてお手伝いしたんでよく存じているところでございますけれども、このクラスター弾について、やはり実効性があるためには、主要な生産国、保有国の参加が得ないとこれは実効性がありませんので、この主要な生産国、保有国を引っ張り込めるような役割を果たしていきたいと、こう思っております。
  377. 福島みずほ

    福島みずほ君 今年サミットがありますが、是非外務大臣、主要国を引っ張るようにお願いしたいですが、いかがですか。
  378. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 今までもそのつもりでやってきておりますし、これからもそういうふうにやっていきたいと思います。
  379. 福島みずほ

    福島みずほ君 クラスター爆弾、劣化ウラン弾に関しては、これは非人道的兵器の禁止ということで日本が強くイニシアチブを発揮するようお願いいたします。  次に、昨年十二月、海上自衛隊ヘリ搭載護衛艦「しらね」の戦闘指揮所が火災となりました。原因は何で、損害は幾らでしょうか。
  380. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 現在、調査結果の取りまとめを進めておるところでございます。  原因につきまして、これというようなことが断定できる段階にはございません。今取りまとめを進めておるところでございます。損害金額につきましても、最終的にこれぐらいということが確定して申し上げられるような段階にはございません。
  381. 福島みずほ

    福島みずほ君 新聞には、私物が持ち込まれてそれが燃えたとなっておりますが、そうではないんですか。
  382. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) そのような報道はございます。それが、私物が燃えたことによって発火したというようなことについて断定できるだけの状態に今ないということでございます。
  383. 福島みずほ

    福島みずほ君 昨年十二月、今三月、なぜ原因すら分からないんですか、火災の。
  384. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) これは当然、原因につきましては消防の方あるいは科捜研、そういうような方々の御協力も得てやっておるものでございます。  なぜこのような火災が起こったかということについては、私自身、委員がおっしゃいますように、何でもっと早く分からないのかという思いは持っておるわけでございますが、状況が非常に、CICという区画で起こったということ、普通のおうちが燃えたというのとは少し違っておりまして、なぜこのようなことが起こるかということについて相当に精密な詳細な検討が行われているという状況を私自身今認識をしておるところでございます。防衛省だけで捜査を行い、調査を行い、それによって遅延をしているというものではございません。  繰り返しになりますが、消防当局あるいは科捜研、その他のお力も得ながら捜査を進めているものでございます。それなりの時間が掛かっておるものだということを私自身今認識をいたしております。
  385. 福島みずほ

    福島みずほ君 隊員の私物の保冷機の過熱が原因というふうに報道されていますが、これは間違いなんでしょうか。
  386. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) そのように断定できるという状態に今あると承知はいたしておりません。  それは、火災が起こりましたときから、放火説でありますとか、いろんなお話がございました。私自身そのことについてそんなに高い知見を持っているわけではありませんが、火災の原因特定というのは、これではない、これではない、これではない、じゃどこが一番燃えたのか等々、いろいろなセオリーに基づいてなされるものだというふうに承知をいたしております。  そこから、持ち込んだ私物が原因で火が起こったと断定できる状態に今あると私は承知をいたしておりません。
  387. 福島みずほ

    福島みずほ君 国有財産が燃えて、被害は六百億から三百億と報道されていますが、原因すら究明できない。しかも、何でこんな火災が起きるのか。やっぱり不祥事が余りに続いているということについては、大臣、いかがですか。
  388. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) お尋ねの意味が必ずしも正確には理解できていないかもしれませんが、なぜこういうことが起こるのかということについては、例えばCICという部屋の管理がどのようになされているかという問題、それが事故原因と直結するかどうかは別といたしまして、そういう私物を持ち込むに当たってどのようなチェックがなされていたかという問題、そして火災が起こってから鎮火するまでに相当の時間を要しておりますが、そこにおける消火体制がどうであったのかという問題、そういうものを一つ一つ全部ぎりぎり詰めてみなければいけないということは私自身認識をいたしておるところでございます。    〔委員長退席、理事伊達忠一君着席〕  たるんでおるとか弛緩しておるではないかというような御指摘もございますが、それは、一つ一つ、どうしてこんなことが起こったかということ、そして船の管理体制というのは、一人がやっておるわけではなくて、二重三重にいろんなチェック体制がなされているものでございます。それがなぜ機能していないのかということも含めまして、これは厳密にやっていかねばならないものだというふうに承知をいたしております。  CICというまさしく艦の中枢部でございますが、それが実際に外洋に、外洋といいますか、出て動いておりますときと、こういうふうに係留中の場合と、その場合でどうなんだと、その体制は本当に異なってよいのか等々、いろいろな問題がございます。  これはまさしく戦闘艦、ましてや、このDDHというのは旗艦、旗艦でございますので、そこにおいて本当にこういうことでいいのかという体制について、本当に厳密な検証、徹底した検証、そして改善策、それを示すことは是非とも必要なことだというふうな認識は強く持っております。
  389. 福島みずほ

    福島みずほ君 不可解で、しかもいまだに分からない。こういう火災で全部燃えてしまうのは異常事態だと思います。やっぱり、でたらめなことが続き過ぎているんではないかと強く申し上げたいと思います。  次、思いやり予算についてお聞きをします。  新聞報道で、思いやり予算の人件費の二割が娯楽施設や飲食サービスなどを提供する人々のものだという報道がありました。バーテンダー、バー関係九十三名、ゴルフコース整備士五十二人、思いやり予算二千八十三億。社会保障費二千二百億円カットしていて、何で二千八十三億円なのか。これらの費用は米軍に持ってもらうべきではないですか。
  390. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 今の御指摘の諸機関、いわゆる十五条諸機関と、こう言っておりますが、米軍人等の福祉、士気及び能率を維持することを目的として設立、運営されております。この諸機関の労務の需要については、合衆国軍隊の労務の需要と同様、日米地位協定第十二条四に基づき、我が国当局の援助を得て充足されることになっているわけであります。    〔理事伊達忠一君退席、委員長着席〕  日本側がこれら十五条機関の労働者の給与負担することは、同諸機関の経営基盤を安定させ、米軍人等の福祉、士気及び能率の維持の確保に寄与するものでございます。これは在日米軍の効果的な活動の確保という新たな特別協定の目的に合致するものであり、ひいては、これら労働者の雇用の安定にも資するものであると、こういうふうに考えております。  両国の特別協定で我が方が持つことになっているということでございます。
  391. 福島みずほ

    福島みずほ君 国土交通省の特定財源で旅行に行ったという話で皆やっぱり怒っているわけですよね。でたらめなお金の使い道、全部、税金なわけですから。税金でゴルフコース整備人五十二人、バーテンダー、バー関係九十三名、例えば雇っていると。国民はどう思うでしょうか。必要なものは、その必要とするアメリカ軍が持てばいいじゃないですか。こういう使い方について、これは問題だと思われませんか。
  392. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 委員がおっしゃるように、国民感情からいってすとんと落ちるかどうかという、そういう問題点は私は確かにあると思います。あると思いますが、やはり日米安保条約というのは、まさに、いざというときはアメリカの青年たちに血を流してでも日本を守ってもらわなきゃいけない、そういう中で同盟のコストをどう負担するかということの中で培われてきてこういうことに現時点でなっているわけでありまして、一概に道路公団で我が国のお役人がどういう娯楽をしているということと同じように取り扱われるべきものではないと、こういうふうに思っております。
  393. 福島みずほ

    福島みずほ君 税金の使い道としておかしいですよ、やはり。例えば、光熱費に関して、アメリカに帰るときにクーラーを付けっ放しにして帰るという話を聞いたことがあります。光熱費の無駄遣い等についてはいかがですか。
  394. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 今、無駄遣いについていかがですかと、こう聞かれましたが、無駄遣いは悪いに決まっています。付けっ放しにして帰ってもらっては困ります、そういうことは。そして、今度の特別協定の改定のときに、わずかではありますが光熱費については切り込むということをしております。
  395. 福島みずほ

    福島みずほ君 ほんのちょっとだけ減ったんですよね。でも、基本的には変わっていません。やはり、これは必要なお金かどうかということを検討しないと、国民が社会保障のカットで苦しんでいるときにこのやっぱり思いやり予算の中身を聞けば、自分たちの払っている税金の使い道としてどうかと、やっぱりそれは疑問を持つと思います。いかがですか。
  396. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 委員がおっしゃるように、これ、国民がストレートにすとんと、ああ、いいねと言うかどうか、私も委員がおっしゃることは分からないわけではありません。ただ、同盟のコストとして、そして日米両方で話し合って、アメリカ側からも同盟のコストをもっと日本は持つべきでないかという強い要請がある中で、いろいろ話し合ってここに落ちたということは御理解をいただきたいと。委員のお立場からだとなかなか理解していただけないかもしれませんが、我々、日米同盟が大切だと考えている人間にとっては同盟のコストということで是非理解をいただきたいと、こう思っております。
  397. 福島みずほ

    福島みずほ君 あらゆるものは聖域ではありません。日本経済状態が悪く、社会保障費をカットしている状況でのこの思いやり予算には承服ができないというふうに思います。  次に、「あたご」、イージス艦の問題についてお聞きをします。  航海長が市ケ谷に来たというだけではなく、「あたご」に対して朝早く護衛艦隊幕僚長が行っています。三人部下を連れていって、一日中「あたご」に滞在をしています。これに関して、海上保安庁の許可を得ましたか。
  398. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 許可という形で、海上保安庁の許可という形で受けたというふうには承知をしておりません。
  399. 福島みずほ

    福島みずほ君 じゃ、何をしたんですか。
  400. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) それは、今まで申し述べたとおり、「あたご」から人を降ろすということについて通知はいたしました。一つは航海長、もう一つはけが人ということでございます。  幕僚長が乗り込むことにつきまして特段海上保安庁と何かの連絡を取ったかどうか、そのことにつきましてはちょっと確認をさせてください。
  401. 福島みずほ

    福島みずほ君 何にもしていないんですよ。それでよろしいですね。
  402. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) きちんとした確認をさせていただきたいと思いますが、船から降ろすということについては、これは海上保安庁に対して連絡というものを私どもとしてはしたという認識を持っております。護衛艦隊の幕僚長が「あたご」に乗る、乗艦するということにつきまして、これは船から人を降ろすということとは少し評価が異なるというふうに承知をいたしておりまして、そのことについて海上保安庁に特段の連絡あるいは許可というものをする、あるいは求める、そういうような必要性というものについて、私の今の時点では特段の必要性というものは今承知をいたしておらないところでございます。
  403. 福島みずほ

    福島みずほ君 護衛艦隊幕僚長は、「あたご」に行って、「あたご」の船の上からファクス、あるいは事故当時の状況について連絡をしましたか。
  404. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) これは、護衛艦隊幕僚長はだれに対して報告を行ったかというようなお尋ねであるとするならば、こういうようなお答えになろうかと思います。  すなわち、護衛艦隊幕僚長は、「あたご」乗組員の一部から聴き取った事故当時の状況を「あたご」において文書化をし、これを添付したメールを十九日十五時三十分過ぎに「あたご」から自衛艦隊司令部及び護衛艦隊司令部あてに送信をいたしております。その後、護衛艦隊司令部では、このメールの添付ファイルを印刷し、これを十六時十八分に自衛艦隊司令部発海幕防衛部長あてのファクスにおきまして送信をしたものでございます。  また、護衛艦隊の幕僚長は、十八時三十分ごろ「あたご」を退艦をし、十九時ごろ自衛艦隊司令部におきまして自衛艦隊司令官及び護衛艦隊司令官に同時に報告を行ったと報告を受けております。  なお、海上幕僚監部あてに送信をされましたファクスの内容というものにつきましては、同日二十時三十分から私に対して報告がなされておるものでございます。
  405. 福島みずほ

    福島みずほ君 「あたご」に乗り込んで乗組員の聴き取り調査を行い、その聴き取った事故当時の状況をメールで送信しているんです。事故状況についてヒアリングをやって調査しているじゃないですか。海上保安庁に一言の了解もなく、一言も知らせず、「あたご」に乗り込んで調べて、メールを送り、帰ってきてから報告をし、あなただってその報告をもらっているんですよ。航海長を市ケ谷に呼んだだけではなく、乗り込んでいる。ちゃんと聴いているじゃないですか。「あたご」からメールの送信している。しかも、今、御丁寧にあなたが読み上げたとおり、聴き取った事故当時の状況についてメールで送信しているんですよ。  なぜ海上保安庁に言わない。この事実が分かったのは、海上保安庁が押収したものの中から分かったと。もしそうでなければ、このことをなぜあなたは言わなかったんですか。
  406. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) これも何度かお答えをしておることでございますが、私どもの組織というのは、二十四時間三百六十五日、国の独立と平和、国民の生命と財産、これを守るために片時たりとも休みなく常態的に行動しておるものでございます。そこにおいて一体何が起こりましたかということ、それを掌握しなくて私どもの組織は成り立ちません。そこにおいて何が起こったかということを知ること、それは私どもの組織の使命からいって行わない方がおかしいのだというふうに私は思っております。  それは、海上保安庁にすべてお任せで、海上保安庁が入られ、そして調査をなされ、捜査をなされ、そのときまで一体何が起こったかも把握ができない、どういう状況であったかということも把握ができない、そういうことは私はあるべきだと思っておりません。そしてまた、そこにおいて文民統制における統制者たる私がそこにいないということも私はあるべきことだと思っておりません。聴くことも当然、私がおりますことも当然ということだと思っております。それは私の確信でございます。  ただ、そこにおいて私は聴き取りましたということは、それは早く申し上げておいた方がよかったというふうなことは何度も申し上げ、おわびをいたしておるところでございます。  それは、あなた聴いたじゃないのということをおっしゃいますが、どこまでが原因なのか、どこまでが調査なのか。しかしながら、私どもとして、調査に当たるようなこと、捜査に当たるようなこと、そこは捜査権限を持っておりません。そもそも捜査権限を持っておらない者がこういう場合にそういうことはできません。  そしてまた、そこにおいて聴き取ったことについてそれはお話をしておるわけで、二分前の話あるいはその以前の話、これも私どもの方として不利な話ですけれども、それは聴き取ったことは、それは包み隠すことなく、加工することなく、付け加えることなく申し上げているということはやってきたものでございます。私どもとして、それを事前に聴き取り、圧力を掛けるとか捜査をするとか、それを隠し立てするとか、そういうような意図は全くございません。
  407. 福島みずほ

    福島みずほ君 二月二十五日、衆議院予算委員会において社民党の重野幹事長に対して、現在のところ、私どもとして、捜査の厳正、公平を確保する観点からいたしておりませんと。もっと全文読めば、「現在のところ、私どもとして、「あたご」の艦長以下の乗組員に接触するということは、捜査の厳正、公平を確保する観点からいたしておりません。」と、幹事長に対して答弁しています。これ虚偽じゃないですか。明確な虚偽です。
  408. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) これは理事会にそのときの正確な状況というものを出すようにという御要請をいただいております。これは、委員は、その前の笠委員、直前の笠委員に対する私の答弁というものと併せておっしゃっておられるのかどうなのか私は存じませんが、笠委員の御質問に対しまして私はこのようにお答えをいたしております。「十九日の事故直後のものでございますが、これは護衛艦「あたご」の乗組員から聴取をした情報でございます。二十日に発表いたしました情報につきましては、その後、それとは別に聴取をした情報を発表したものでございます。」。  これ、私どもとして聴き取っているということは、その当日、直前に申し上げておることでございます。これは日本語の使い方の問題でございますが、現在のところというのと現在までのところというのは、そこは使い分けて私は申し上げておるつもりでございます。そうでなければ、その時点でその直前に聴取をしておりますというふうに申し上げているところが、その後になって現在のところ、これはつなぎ合わせで日本語として全く意味が通じません。  それは、その前にいろいろな情報というのは、これも言い方が恐縮でございますが、だれかから聴かなければそんなことは言えないのです。推測や、あるいは何というんでしょうか、そういうもので十九日に申し上げたことが言えるはずがありません。私どもとして聴取をしたということは明確に申し上げておるところでございます。その後、「あたご」が回航され、私どもとして厳正、公平を確保するため、接触をしていない、実際にそのとおりでございます。そこが意図的に何かを偽らんとして申し上げたということは全くございません。
  409. 福島みずほ

    福島みずほ君 笠議員の質問に対して、だれから聴取、だれが聴取をしたという主体言ってないじゃないですか。あなたは、どこかで防衛省が乗組員に接触をして聴いたということを言ってないじゃないですか。言ってないですよ。あなたはどこでもそれを言っていないにもかかわらず、社民党の幹事長に対して、現在のところ接触をしていないと言っているんですよ。  この日本語、現在までのところ接触していないというのは、接触をしていないということです。これ以外の日本語の解釈はあり得ますか。
  410. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) そこは、現在までのところといえば、それはそういうことになってしまいますでしょうね。現在までのところというのは起点があって、ずっとこう来る、それを現在までのところと来るんです。(発言する者あり)いや、今委員は、現在までのところと言ったらば日本語は通じないとおっしゃいましたから、私は現在までのところというふうには申し上げていないということを申し上げたのでございます。現在のところというふうに気を付けて私は物を申しました。  ただ、そこが、おまえが聴いていただろうと、それは虚偽だと言われれば、それは、私として、私は聴きましたと、それは文民統制上当然のことでありますということはきちんとその場で申し上げておけばよろしかったということは、幾重にもおわびを申し上げておるところでございます。  ここで虚偽を申し上げて、何ぞ得るものがございますんでしょうか。私自身が虚偽を申し上げて、何ぞそれは得るところも何もございません。私は、これはずっと申し上げているところですが、航海長を呼びましたと、呼んでおりますと言われたときに、それは私が聴かねばならないと判断をしたということは何度も申し上げておることです。それは聴かない方がおかしいというふうに考えております。  ただ、私自身が、そういうような確信に基づいて私が聴取をいたし、私も聴取をいたしましたということは申し上げておくべきものでございました。その点につきましては、私自身至らぬところがあったことはおわびを申し上げておるところでございます。
  411. 福島みずほ

    福島みずほ君 この二月二十五日の予算委員会の発言は、裁判であれば明確な偽証罪です。明確な偽証罪です。接触してない、現在のところ接触していないと言っていて、しかしその後、事実が分かったわけですよ。市ケ谷に呼んだだけでなく、「あたご」に送り込んでヒアリングして、その結果、メールを送り、帰ってきてから聴いているじゃないですか。きちっと聴いているんですよ。接触しているじゃないですか、いろんな形で。このことを言わなかったんですよ。後から分かりました、「あたご」に行ったことと市ケ谷に呼んだこと。  二十五日の時点は、あなたは明確に虚偽を言っていますよ。
  412. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) その前に、「あたご」の乗組員から聴取をしたものでございますというふうに申し上げております。ですから、そこは、だれがだれから何を聴いたということをきちんきちんと正確にしていかなければ、それは委員がおっしゃいますとおり偽証罪に当たるか当たらないか、私はそこは存じません。  ただ、先ほど来何度も申し上げておりますし、それを言ってもまだ足りなければ何度も申し上げますけれども、私が当然行うべきことを行ったと、そのことをきちんと申し上げておくべきだったと、それを申し上げなかったことにつきましては、それは私の行き届かなかったことであったということでおわびを申し上げておるところでございます。
  413. 福島みずほ

    福島みずほ君 捜査の妨害にしないためだったら両方、海上保安庁、なぜ同席させないんですか。海上保安庁が接触をする前に、一日掛けて「あたご」で護衛艦、幕僚長が部下三人連れてヒアリングやっているんですよ。結果送っているんですよ。これ、妨害していると人は思うじゃないですか。
  414. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) この点につきましては、国土交通省の方から捜査妨害になったというふうに認識していないという答弁があったのは委員御案内のとおりでございます。また、ここは重野委員も、防衛省として調査を行うべきであるということは二月二十五日の予算委員会で、それは行うべきだったということは重野委員も御指摘されたのではないかというふうに私自身承知をいたしております。  私どもとして、それが捜査の妨害になるかどうか、それはどうすればならないかということには細心の注意を払っております。どうすれば妨害にならないか。そして、私どもの組織として、何が起こっているのかということを捜査とまた別に把握をしていく。  それは、今回は漁船がぶつかったという事案でございますけれども、ほかにもいろんな事案は起こり得ることなのでございます。何が起こっているかということはきちんと把握をしなければいけない。そのときに、では保安官が立ち会わなければ必ずならないだろうかということは、それは議論としてあるのだろう、どうなのかということは別にしてですね。しかしながら、それが捜査妨害になったということではない。その見解国土交通省から示されておるところでございますし、それは組織としてやらなければいけないことだね、当然のことだねということは重野委員からも御指摘をいただきました。  そういうことを行うべきではないと、そこにおいては海上保安官を立ち会わせるべきであるというような委員の御指摘、法律家としての御指摘は、それは御指摘として承っておきます。
  415. 福島みずほ

    福島みずほ君 虚偽の答弁を国会でしたということを重要視しているわけです。送り込んで、しかも呼んでヒアリングをしている。しかし、その後、国会の答弁の中で接触を私どもとしてはしていないという全く客観的に違うことを言っているじゃないですか。この発言をこれ以外の日本語として読むことはできないですよ。
  416. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) これは、済みません、御質問という形ではなかったのかもしれませんが、これ以外として読むことはできないという御指摘ですので。  だとするならば、乗組員から聴取を行ったものでございますということを申し上げている。聴いていないなんて言っていない。乗組員から聴取を行ったものでございます。そうでなければ言えるはずがないものでございますよ。(発言する者あり)ですから、いや、聴いたというのは接触したということに決まっているじゃないですか。それは聴いたものでございますということを申し上げておるわけであって、そこは聴取をしたものでございます、聴き取ったものでございますという形で申し上げておるわけでございます。  それは、接触をし、聴取をしたというふうに申し上げておるわけで、だとするならば、それはもっとディテールに至るまできちんと申し上げた方がよりよろしかったということはございます。しかしながら、聴き取ったということは申し上げておるものでございまして、そこのディテールに至るまできちんと申し上げた方がより良かったと、そうすべきであったということは御指摘をいただければ、そのとおりでございます。
  417. 福島みずほ

    福島みずほ君 でたらめですよ。その前の分は海上保安庁から聴いたかもしれないじゃないですか。だれから聴いたか言ってないんですよ。海上保安庁から聴いたかもしれない。あなたのこの重野議員に対する答弁、現在のところ、乗組員に接触することはいたしておりませんと答えていることと明確に違うじゃないですか。
  418. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) これも笠委員とのやり取りでございますけれども、このように、つまり同じ日にやったやり取りでございますので、これは全部トータルで御議論をいただかなければなりません。つまり、当省の指揮系統として、どうであったかということを、事故直後、ある程度の聴き取りを行っておりますというふうにお答えはいたしております。ですから、このような形で、だれがだれからどのようにして聴き取ったということは明確に申し上げた方がよかったということでございまして、その点については先ほど来おわびを申し上げておるところでございます。  ですから、それを虚偽と言われますと、これはやや当惑するところがございますが、私としてきちんとしておくことは必要なことであったというふうに考えております。
  419. 福島みずほ

    福島みずほ君 この期に及んでこのような答弁防衛大臣がされることが理解ができません。あなた自ら防衛大臣室でヒアリングをやって、それをやっているんですよ、事故当日。自分自身が防衛大臣室に呼んでヒアリングをやって直接聴いているんですよ。にもかかわらず、二十五日、私どもとして接触することはいたしておりません。何でこんな答弁ができるのか、この日本語の他の読み方はあり得ないですよ。  私たちは、今後あなたの国会での発言をどこまで信用したらいいのか。信用できないですよ、こんなへ理屈今だってこねているんだったら、本当にこれから信用できない。今、現在、二人の方が本当に残念ながら行方不明です。結果的に二人の方が今行方不明です。そのこととこの虚偽答弁、あなた自身は辞任する気はないんですか。
  420. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) そこは私もずっと先ほど来お答えをしておるとおりでありまして、それは航海長を呼んだことも、あるいは幕僚長が「あたご」に乗艦をしたことも、私どもの組織としてやらねばならないことだと。そこにおいて、またねじ曲げたとか捜査妨害とか、そういう御指摘をいただきますと、それは違うというふうに、ここは明確に申し上げておかねばならないことだと思います。そしてまた、私自身、これは私が必要性にかんがみて私自身が聴き取ったということを申し上げるべきであった、それを申し上げなかったことは大変申し訳ないというふうにおわびを申し上げているところでございます。  委員が、それではおまえの答弁はこれから先全く信用はできないので、それは辞任をすべきだというふうにおっしゃるとするならば、そこは私自身、もっときちんと申し上げておくべきだったというおわび、これを申し上げた上で、今後ともそういう形できちんとした初動の体制というものを把握をしておかねばならない。  つまり、そこできちんと私が聴き取りましたということを申し上げなかったことをもってして、そのことをもってして辞任をすべきというふうに私自身は今のところ考えておらないところでございます。そこは、委員としてそのようなお考えである、そういうふうにもっときちんとすべきであったとの御指摘は、それはそのまま素直に申し訳ございませんというふうに申し上げておるところでございます。
  421. 福島みずほ

    福島みずほ君 国会の中で虚偽答弁し、結果的に二人が行方不明であるということを重く受け止めるべきだと考えます。  石破大臣は別の答弁の中で、本来、普通の国であれば軍隊というのは捜査権限が入るべきではないものである、軍事法廷があればそこで裁かれるものだということを言っていて、これも看過ができません。日本には軍事裁判所はありませんし、あのえひめ丸は軍事裁判所で裁かれたからこそ遺族は中身について知ることができませんでした。自民党新憲法草案は、軍事裁判所の設置を規定をしています。非公開、検察官も裁判官も軍人になり、事実を国民が知ることがより困難になるというふうに思います。  私は、今回のその底流の中に、石破大臣国民に向かってきちっと事実を説明をする、真摯に向かうという姿勢が余りにない、捜査の重要性を重視していないということがこの原因であるというふうに考えております。  この点について、行方不明者が二名いるという重大な点、そして虚偽答弁したということについて辞任をすべきだということを強く申し上げ、私の質問を終わります。
  422. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 以上で福島みずほ君の質疑は終了をいたしました。(拍手)  本日はこれにて散会をいたします。    午後五時十分散会