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2008-02-04 第169回国会 参議院 予算委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年二月四日(月曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  二月一日     辞任         補欠選任      石井  一君     芝  博一君      内藤 正光君     行田 邦子君      牧山ひろえ君     相原久美子君      河合 常則君     西島 英利君      仁比 聡平君     山下 芳生君  二月四日     辞任         補欠選任      浅尾慶一郎君     蓮   舫君      大島九州男君     木俣 佳丈君      行田 邦子君     武内 則男君      友近 聡朗君     牧山ひろえ君      平野 達男君     主濱  了君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         鴻池 祥肇君     理 事                 尾立 源幸君                 櫻井  充君                 津田弥太郎君                 羽田雄一郎君                 水岡 俊一君                 椎名 一保君                 伊達 忠一君                 林  芳正君                 山口那津男君     委 員                 相原久美子君                 植松恵美子君                 大久保潔重君                 川合 孝典君                 木俣 佳丈君                 行田 邦子君                 自見庄三郎君                 芝  博一君                 主濱  了君                 武内 則男君                 辻  泰弘君                 友近 聡朗君                 中谷 智司君                 福山 哲郎君                 藤原 良信君                 牧山ひろえ君                 森 ゆうこ君                 森田  高君                 米長 晴信君                 蓮   舫君                 荒井 広幸君                 有村 治子君                 加納 時男君                 佐藤 信秋君                 末松 信介君                 谷川 秀善君                 西島 英利君                 南野知惠子君                 松村 龍二君                 山田 俊男君                 山本 一太君                 谷合 正明君                 渡辺 孝男君                 鰐淵 洋子君                 山下 芳生君                 福島みずほ君    国務大臣        内閣総理大臣   福田 康夫君        総務大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣地方分        権改革))    増田 寛也君        法務大臣     鳩山 邦夫君        外務大臣     高村 正彦君        財務大臣     額賀福志郎君        文部科学大臣   渡海紀三朗君        厚生労働大臣   舛添 要一君        農林水産大臣   若林 正俊君        経済産業大臣   甘利  明君        国土交通大臣   冬柴 鐵三君        環境大臣     鴨下 一郎君        防衛大臣     石破  茂君        国務大臣        (内閣官房長官) 町村 信孝君        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)        (内閣特命担        当大臣(防災、        食品安全))   泉  信也君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣沖縄及        び北方対策、規        制改革国民生        活、科学技術政        策))      岸田 文雄君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣(金融)        )        渡辺 喜美君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣経済財        政政策))    大田 弘子君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣少子化        対策男女共同        参画))     上川 陽子君    内閣官房長官        内閣官房長官  岩城 光英君    副大臣        内閣府副大臣   木村  勉君        法務副大臣    河井 克行君        外務大臣    小野寺五典君        財務大臣    遠藤 乙彦君        文部科学大臣  松浪健四郎君        厚生労働大臣  西川 京子君        厚生労働大臣  岸  宏一君        国土交通大臣  松島みどり君    大臣政務官        国土交通大臣政        務官       山本 順三君    政府特別補佐人        内閣法制局長官  宮崎 礼壹君    事務局側        常任委員会専門        員        村松  帝君    政府参考人        内閣大臣官房        審議官      山崎 史郎君        総務省行政評価        局長       関  有一君        法務省刑事局長  大野恒太郎君        厚生労働省健康        局長       西山 正徳君        厚生労働省医薬        食品局長     高橋 直人君        厚生労働省医薬        食品局食品安全        部長       藤崎 清道君        厚生労働省職業        能力開発局長   新島 良夫君        社会保険庁長官  坂野 泰治君        国土交通省道路        局長       宮田 年耕君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○予算執行状況に関する調査  (社会保障に関する件)     ─────────────
  2. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  予算執行状況に関する調査を議題とし、社会保障に関する集中審議を行います。  質疑者はお手元の質疑通告表のとおりでございます。  これより質疑を行います。櫻井充君。
  3. 櫻井充

    櫻井充君 おはようございます。民主党・新緑風会・国民新日本櫻井充です。  今日は、私は医療の問題を中心に質問させていただきますが、冒頭医療道路の問題について質問していきたいと思います。  冬柴大臣は、木曜日の委員会でこのパネルをお出しになられました。(資料提示)そのときにどういう説明であったのかというと、救急車バスが擦れ違えないような道路があって極めて大変なんだと。恐らくこれは、ここちょっと端的にお答えいただきたいんですが、真に必要な道路の中で、医療関連で、福祉道路と言われるものですが、こういうものがあるんだという御説明でこのパネルを使われたと思うんですが、その認識でよろしいでしょうか。
  4. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) それで結構でございます。
  5. 櫻井充

    櫻井充君 ありがとうございます。  ここのパネルの中にもう一つ下のところに大事なことが書いてありますが、心停止に至るまで三分、それから呼吸停止に至るまで十分ぐらい、それから出血多量の場合には三十分ぐらいでまあ半分の方が亡くなると、これはそのとおりだと思います。  そこで、大臣がこのパネルを使ってどういう説明をされたのかということを、ちょっと次の議事録に替えてもらえますか。(資料提示)  議事録を読みました。そうしますと、こういうものだけではなしに、から始まって、本当に日常生活で大変困ることが起こるわけでございますと。それが二枚目の救急病院へ行く生活道路整備でございますが、ここで起こりますと、ここで配っていますけれども、この新宮まで三五%の方が行かれますし、それから五條にも三五%行かれますと、ここまで理解いたします。  しかし、ここから後です。心停止の場合は三分、それから呼吸停止の場合は十分、出血多量の場合には三十分というのが亡くなるかどうかの瀬戸際になるわけですが、そのとおりです、こういうこともできなくなるわけでございますと。どういうことですか、これは。つまり、道路整備しないと本来救急医療で助かる人たちが助からないということをこれは意味しているわけですね。その理解でよろしいですか。
  6. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) そのとおりに私は理解しております。
  7. 櫻井充

    櫻井充君 ちょっともう一度前のパネルに戻してもらえますか。  この前のパネルを見ていただきたいんですが、これ五條市まで九十分掛かると、今の道路だと、そして新宮市に行くのには七十分掛かると。これが三分や五分で対応できるようになるんですか、道路ができたら。そういうことじゃないですか。
  8. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 家で心停止したとかそういう意味ではなしに、そういう一分一秒を争うようなところでそのように道路整備されていないということは、命の道が整備されていないということを意味するわけであります。  事実、この五條まで行くためには随分時間が掛かりますし、そこの救急車と擦れ違いが十分できないという状況がそこには写真に写されております。そういうところにつきましては、現在その道についても、その部分はまだ改良できていませんけれども、その前後について改良するために一生懸命工事を進めているというのが、整備工事を進めているということが現実でございます。
  9. 櫻井充

    櫻井充君 これはテレビ中継入りで質問されたんですね。つまり、国民皆さんが見ていて、この道路さえできれば、三分で五分で、そして三十分かもしれないけれども、亡くなる人が助かるかもしれないという説明をされています。これ全然違いますよ。もし本当に三分や五分で助けたいということになれば、この地域病院造れば済むだけの話ですよ。病院を、だから必要なんですというのなら分かりますよ。この道路ができ上がって、この道路ができ上がってこの問題が解決しますか。解決しないのにそういうことを言うのは、大臣としておかしいですよ。
  10. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 私が言わんとするのは、搬送時間というものが救命救急には直結をしているんだということを申し上げるためにそのように申し上げたわけであります。  したがいまして、どんな病気でも、家の中で心停止したとかいう場合には、それはヘリコプター持っていっても助かりません。それはだれが考えたってそうです。しかし、搬送中に心停止するという場合があるわけです。呼吸停止だってそうです。そういうときに道路というものは命の道であると、これは地方に住んでいられる方はひとしくそのように思っていられると思います。
  11. 櫻井充

    櫻井充君 このバス救急車の擦れ違った写真ですね、これはいつ撮られたものか御存じですか。
  12. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 平成四年当時だと聞いております。
  13. 櫻井充

    櫻井充君 冒頭、この道路は真に必要な道路なんだということを大臣は答弁なさいました。平成四年にこれ撮った写真です。平成四年に撮ったこの写真のこの状況は何も変わっておりません。真に必要な道路は十六年間何も変わっていません。バイパスの建設はされているかもしれませんよ、少しずつですが。しかし、十六年間、この村の人たち医療のアクセスは全く変わっていない。  今までやってこなかったものがなぜ急に進んでいくんですか。そして、自分たちがやってこなかったものに対して、これが真に必要な道路なんだという説明をするのは、私はおかしいと思いますよ。  それから、大臣説明の中でこういうのもありました。暫定税率を廃止するとどんな問題が生じますかと、これ自民党の議員の方が質問したら、例えばのところで、東九州自動車道路、これは新直轄で今やらしていただいているところがありますが、それが全部止まります、できません。こんなことがあるんでしょうか。その新直轄、八百二十二キロの国の新直轄でやれということが民営化のときに合意されているけれども、そういうものも一切できなくなります。本当にそうでしょうか。  次は、ちょっと財源パネルを見ていただきたいと思いますが、(資料提示)これがこの国の道路財源です。これは世界比較したものですが、日本道路財源は今でも八・二兆円あります。そうすると、もし暫定税率が廃止されたとしても、ここから二・六兆差っ引いたら五・五兆残るわけであって、五・五兆残っているんですから、速度が遅くなることがあったとしても、一切止まるとか、全部止まってできませんということはないはずです。違いますか。
  14. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 暫定税率で国に入ってくるものは三・三兆です。そのうち、失礼いたしました、特定財源で国に入る分は三・三兆です。そのうち本税が一兆六千、そして、これアバウトですけれども、四捨五入をいたしますと。それから、暫定税率が一兆七千でございます。そのうち、地方補助金としてもそれは回すというふうにおっしゃいまして、そのうち一兆二千余を回しますと、国に残るのは〇・四兆円しか残りません。したがいまして、それは除雪費用とか、あるいは国道の二万二千キロに及ぶ道路管理費用にほとんどが、それが例年四千億掛かるわけです。したがいまして、もう新直轄、新直轄とか直轄でやっている部分については四月一日から止めざるを得ません。そういうことを申し上げたわけであります。
  15. 櫻井充

    櫻井充君 もう一度これ冷静に見ていただきたいんですが、この国の道路財源、まだいまだに八・二兆円あります。アメリカが日本より突出して多いですが、十五・四兆円、しかし国土は二十五倍あります。二十五倍ある国の半分です。ドイツやフランスやイタリアやイギリス、これは一兆円から三兆円前後ぐらいのところであって、これだけ見ていただいてもよくお分かりいただけると思いますが、結局日本道路予算というのはかなり突出しているわけです。  後で説明いたしますが、日本医療費はめちゃくちゃ少ないわけですよ。そういったことを変えていかないと、私は国民皆さんの安全というのは守れないと思っているんです。病院がどんどん減っています。そして、その病院が減っているから今度はそれを全部道路で何とかしましょうということは、これは筋が違っていて、本来であれば、そこの地域病院を造って維持できるように管理してくることが私は筋だと思っていますね。  総理はどうお考えですか。この国をこういう形で道路だけを造り続ける国にするのか、それか若しくは、病院などをもう一度整備し直して国民皆さんに安心を伝える、安全を提供しようとするのか。どちらの国を目指しているんですか。
  16. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 私は、医療体制大事ですよ、これはやっぱり力を入れていかなければいけない分野だと思います。そういう意味で、日本も頑張っているわけですね。ですから、そのおかげで日本長寿国世界一の長寿国というふうに言われているじゃないですか。それは認めるわけですよね。
  17. 櫻井充

    櫻井充君 もちろんです。
  18. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) そういうことを前提として物事を考えていく必要もあると思います。  道路医療かと、こういう質問でございますけれども、道路は、医療のこともございますけれども、地域の発展とかいろいろな機能があるわけでございますから、それはそれでやっぱり大事なんだと。医療も大事、道路も大事、私はそういう考え方を取っております。
  19. 櫻井充

    櫻井充君 今、医療のところで、この国は頑張っているとおっしゃいましたね。何を頑張っているんですか。だれがどのように頑張っているんですか。御自分の発言ですからね。
  20. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) それはそれぞれの分野皆さん頑張っているわけですよ。お医者さんも頑張っていますよ、本当に。  だけれども、昔のような物すごく待遇がいいとかいうような、そういうような世の中ではなくなった。それはそれで、いろいろと合理化とかそういうことも考えていただかなければいけない、そういう部分ももちろんあります。しかし、そういう範囲の中で一生懸命頑張っているわけですよ。また、将来もやはり医療について我々として十分考えていかなければいけない、そういう部分ございます。  ですから、それはそれで考えさせていただきたいと思いますけれども、現状において、そういう中でもいろいろな問題が起こってきているということでございますから、それについてはやはりしっかりと手当てしていかなければいけないというように思っております。
  21. 櫻井充

    櫻井充君 医療の現場は本当に崩壊寸前というか、僕はもう崩壊している分野は随分あると思っていますが、相当無理をしています。しかし、それに対して国が本当に支援しているかどうかが僕は最大の問題だと思いますね。  むしろ、首を絞める、むちを打つ、そういう政策じゃないですか。医療費そのもの自体をもうちょっと増やしてもらうとか、それからリスクの高い分野に関して何らかの担保をするとか、地域医療を担っている人たちが継続できるような政策を取ってもらわないといけないはずなのに、そういったことが全く行われてきていないから、地域医療は崩壊しているし、産科小児科を始めとして、今後リスクの高い脳外科であるとか一般外科、こういったところにもなり手も減っているわけです。こんなことをやっていたら国民の安全は保てませんよ。総理、もう少しそこら辺のところをきちんと認識していただけないでしょうかね。いかがですか。
  22. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 今、櫻井委員が御指摘のいろんな諸問題があることを私も十分認識をしております。  それで、診療報酬の引上げ、それから今おっしゃった産科小児科、それから脳外科、こういうリスクが高いところに対する手当てをする、それから非常に重い過酷な勤務条件にある勤務医の方々のこの条件を改善する、それから地域のネットワークを確立していく、そういうために努力をしておるところでございますし、また長期的にこの医療をどうするかと、これは非常に抜本的な私は検討が必要だと思っていますので、全力を挙げてこの医療体制の再構築、そしてよく言われる、医療崩壊と言われているようなことに対して全面的に全力を挙げて努力をしてまいりたいと思います。
  23. 櫻井充

    櫻井充君 ありがとうございます。  そういう視点で厚生省は随分努力はしていますが、邪魔をしているのは経済財政諮問会議ですから。この経済財政諮問会議民間委員そのものをもうメンバーを替えるなり、それか若しくは、経済財政諮問会議そのもの自体をやめるなりしないと日本医療体制というのは整備できないと、私はそう思っていますね。  この経済財政諮問会議のトップは総理ですね。総理は、経済財政諮問会議の今までどおり言いなりになるおつもりですか。
  24. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 経済財政諮問会議が悪いわけじゃないと私は思いますよ。やっぱり、経済財政諮問会議を、これを、その中で議論されたことを良いものを取り上げて、そして閣議決定してそれを行政で実行してもらうということの責任総理大臣にあるわけですから、ですから総理大臣がいいか悪いかと、こういう問題になりますので、そういう目で見ていただきたいと思います。
  25. 櫻井充

    櫻井充君 今のは明快な僕は御答弁だったと思います。ですから、そうすると、今後何か問題があれば、経済財政諮問会議ということよりも総理のリーダーシップということでよろしいんですね。はい。  それでは、もう一つだけ道路のことについて質問していきたいと思いますが、その道路予算、こんなにどうして必要なんだろうかと。先ほどお見せしました世界の国々から比べれば相当多いんですね。そうすると大体引き合いに出されるのが、ドイツとかほかの先進国道路整備されていると、日本はまだ十分整備されていないんだという話ですが、(資料提示)このグラフは何かというと、道路密度国土面積当たりどれだけ道路整備されているか、距離数があるかということでございます。これ見ていただければお分かりのとおり、日本がこれは断トツの一位でございまして、整備されているドイツの少なくとも五倍ぐらいあるということであって、今までの国交省説明というのは相当違っているんではないのかなと、私はそう思いますが、その点についていかがですか。
  26. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) それは、どこかの出典がそこに、下に書いてあるはずですけれども、例えばドイツのそれは市町村道が入っていません。ところが、日本のその赤には市町村道が入っています。日本の延長は、それは百二十万キロメートルになっているはずでございますが、国道とか、そういうドイツがそこに挙げている程度で比較すれば、十九万キロというのが日本のそこへ書くべき数字でございます。百二十万キロが書かれておるわけです、市町村道まで、隅々の道路まで全部して。そして、ドイツの場合に限っては、それ二十たしか三万キロぐらい書いてあると思いますけれども、それと比較するのであれば日本は十九万キロでございまして、これは比較にならないと思います。それは間違っていると思います、その部分は。
  27. 櫻井充

    櫻井充君 そうすると、じゃちょっとお伺いしたいんですが、この出所、社団法人日本道路協会というところからのこれは出典でございます。ここの社団法人所轄省庁国土交通省じゃないんですか。
  28. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) 所管国土交通省でございますが、元々のデータは世界道路連盟というところでございます。
  29. 櫻井充

    櫻井充君 いいですか。そんな出典がどうのこうのじゃありませんよ。これを出しているところは日本道路協会であって、責任日本道路協会が負うべきですよ。これはしかも国交省所管なんでしょう。国交省所管のところの社団法人が出してきている資料を持ってきて、それが間違っているよなんてそんなのおかしいじゃないですか。  おかしい資料を、おかしい資料をこうやって公に公表するような、そうしたら社団は必要ないじゃないですか。こういうものを、じゃ整理したらいいじゃないですか。違いますか。
  30. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 私は、まあ客観的事実を申し上げたわけでございまして……(発言する者あり)いやいや。ちょっとそれ上げておいてくださいよ、それ上げておいて。  それは、日本国土三十七万七千平方キロを百二十万という市町村道まで入れて割った数字がそこに書かれている赤線でございます。したがって、それは出典がそうであるということで、国土交通省責任あるとおっしゃればそれについては別ですけれども、ここに書かれていることをどう思うかと言われれば、ドイツ面積市町村道まで含めたドイツ道路を割ったものではないものがそこに書かれている。  したがって、それは比較をする場合には正確ではないということを申し上げているわけでございまして、日本道路密度が他国に比較して著しく高いということではないということを申し上げているわけでございます。
  31. 櫻井充

    櫻井充君 私が質問している趣旨はそういう趣旨ではございません。これは全然答弁違っていますよ。  私は、出典そのもの自体が、こういうものを出すのはおかしいでしょうと。そうしたら、誤解招くような数字を出させているところが問題なんですよ。役所そのもの自体はいっぱいデータ持っているでしょう。我々に出してくる資料なんというのは、データなんてほんのごく一部ですよ。そして、我々がその公表されているものを出してきたら全然違うと言うのは、これアンフェアですよ。もっと最初からじゃちゃんと、ちゃんとした情報を出してくださいよ。ちゃんとした情報を出してもらった上で議論できなかったらやれませんよ、こんなの。極めてずるい。  それから、じゃもう一つ、じゃ道路の現状です。そういうふうに言われると思って、これも用意しておきました。(資料提示)  高速道路日本は確かにドイツよりも少ないんです。しかし、これは一体どういう整備の仕方をしてきたのかというと、これは道路特定財源から出たものでは今まではありません。これはいわゆる財投から借り入れて造ってまいりました。いつから始まったのかというと、一九五六年から造り始めました。今でもう五十一年、今年で五十二年目になるんでしょうか。アメリカも実を言うと同じように一九五六年からこの高速道路を造り始めました。この高速道路のネットワークが完成したのは、アメリカは一九九〇年にもう既に完成しております。日本はいまだに、いまだにこの時点で完成していないんですね。  ここの部分だけを取り上げていろいろ議論されるかもしれませんが、これは道路特定財源ではありませんからね。そうしたら、じゃ今まで使っていたお金は一体どこに使われているのかというと、主要道路以下のところに全部使われてきているということになるんだろうと思います。主要道路そのもの自体は日本の方が多い。それから二級道路も多い。それから、先ほど市町村道というお話がありましたが、これは私は資料そこまで詳しくよく分かりませんけど、その他道路としてこれは書かれております。その他道路を全部含めた上で、このその他道路にこのドイツ部分が書かれているのは、恐らく市町村道も入っているんではないのかと思いますよ。  そうだとすると、一体どうかというと、国土面積はこれ見ていただければ分かりますが、ほとんど同程度。日本ドイツの合計の距離は全く違っています。それだけではありません。農道と林道は、実はこの表の中には日本の場合には含まれておりません。日本の農道が十八万キロ、林道が八万キロで、合わせて二十七万キロぐらい更にこれに足されると。こういう農水省が、まあいろいろ無駄な道路をずっと造ってきていて、本来であれば、きちんとした道路を造ればもう今更こういう議論をしている必要がなかったはずなんですよ。  詭弁を弄するのはやめて、もう少し真摯に受け止めたらどうですか。我々は何が問題なのかということをはっきりさせたいんです。私はもっと医療整備をしてほしいから、こういう質問をずっとし続けております。医療費のことについて、もう答弁いただくと長くなるので、いいでしょうか。こうやって、今の私は答弁は違っていると思います。  次、医療の方についてちょっと見ていただきたいんですが、その前に、まず皆さんにちょっと衝撃的な写真をお見せしたいと思います。(資料提示)  これは鳥インフルエンザの資料でございます。皆さんから見ると、この一羽、生きている鳥がいますが、その隣に羽だけになって、矢印がありますが、この鳥は一体何なのかというと、実は鳥インフルエンザにかかって死んだ、これが鳥です。こういう状況になります。そのままの形で亡くなるわけではなくて、こうやって死んでいきます。  なぜ、こうやって死んでいくのかというと、ウイルスが全身に回るからです。一般的なインフルエンザというのは、これは気道に入るか消化管に入るか、どちらかで止まります。ですから、皆さんはせきをしたりたんをしたりと、それから下痢をしたり吐いたりと、そういう症状で止まっているはずです。しかし、この鳥インフルエンザは全く違います。血中にウイルスが検出される確率が六〇%以上。つまり、全身に回っていって脳症やその他いろんな症状を呈してきます。これが鳥インフルエンザです。  これの死亡率は極めて高くてですね、次、お願いします。(資料提示)この鳥インフルエンザの死亡率は、インドネシアで分かっているものに関して言うと、八一%の方が亡くなってきている。百二十四人の方が罹患されて、亡くなっている人が百一人です。これはほかの疾患と調べてみると、今一番重いとも言われている、例えばエボラ出血熱ですが、これが死亡率が八八%、そういうことを考えるとこれは極めて重い病気なんです。いわゆる皆さんがインフルエンザと思っているような病気とは全然違います。この病気が今後日本に上陸してくるかもしれない。今は鳥から人にしかうつらない。若しくは人—人感染があるのかもしれないということが指摘されてきていて、あと何年後かにそのウイルスの遺伝子が変わったときには国内で相当多くの犠牲者が出るであろうということが予想されているわけです。  もう一つです、次なんです。そこの中で、厚生労働省は、今までこの鳥インフルエンザをどこに分類していたのかというと、例えばA型肝炎ですね。A型肝炎というのは、これは死にません。多くの方々がもう罹患しておりますが、これは死ぬ病気ではありませんが、この感染症と同じ類型にされておりました。つまり、その程度だというふうな認識だったわけです。今回その法改正を行って、この鳥インフルエンザを二類に引き上げるということにしていますが、今までの状況から考えると、二類でも甘いんじゃないだろうかと、私はそう思いますね。エボラ出血熱などと同じように一類に分類するべきではないかと思いますが、その点についていかがですか。
  32. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 今委員が御指摘の点で、四類感染症ということですが、その後の経過で政令で二類感染症相当の措置ができることにはしてあります。  それで、今回の法改正で二類の感染症に分類すると、規定するということをやります。その上で、これが人—人という形の、第四フェーズですかね、そういうところに達したときには一類感染症と同様の措置がとれると。今そういう規定をしておるわけでありまして、具体的に建物の封鎖とか七十二時間以内の交通制限などが専門家の審議会の意見を聴いた上で政令で定められるという一応の法的な枠組みにはなっておりますけれども、本当にこれは現実に鳥から人へ、人から人へということになると大変なことですから、万全の体制を取りたいというふうに思っております。
  33. 櫻井充

    櫻井充君 ありがとうございます。  これは厚生省の試算は二千五百万人ぐらいの感染者が出るんじゃないかと。ただし、問題はここからでして、死亡者数の推定はスペイン風邪と同程度、要するに、二%弱の死亡率であろうということを推定して、たしか最高で六十数万人ということを予想しているはずなんですね。  これはなぜそういう数字になってしまうのかというと、基本的に言うと、強毒型のウイルスで感染すると、宿主である要するに人間が死んでしまうと、宿主が死ねばウイルスそのもの自体も絶滅しますから、だから、何というんでしょうか、感染者数がそれほどではないんじゃないかということを予想されているのかもしれません。  しかし一方で、潜伏期間が何日間かあって、この東京のような、例えば満員電車のようなところであったとすると、空気感染しますし、それから、こうやってしゃべったりとかせき込んだりとか飛沫感染もするわけであって、そうなってくると果たして本当に強毒型のものがある部分で封じ込めるのかというと、かなり難しいところ、これは専門家の意見は二つに分かれております。要するに、スペイン型のように上気道なりにウイルスが保菌されて、保有されて、今までのような形で感染するから大丈夫だと言う人もいれば、そうではないんだという説もある。これは今後もう一度検討していかなきゃいけないことだと思っています。  いずれにしても大事な点は、じゃそれに対してどれだけの備えがされているかということですね。この間までの説明ですと、例えばワクチンは一千万人分用意されていると、それからタミフルが、今どのぐらい備蓄されているのかよく分かりませんが、ただ、現状、鳥インフルエンザでタミフルが著効したという例は報告されていないはずであって、これが本当の備えになるのかどうかはまだ定かではございません。  さて、そうすると、一番有効であると思われているのはプレパンデミックワクチンなんでしょうが、これを一体何万人分用意して、そして最大では患者数をどのぐらいと、一日です、二千五百万人といってもこれ十年なのか一年の単位なのかということではこれは全く違いますね。そうすると、どのぐらいの期間に、最高ですよ、最高どのぐらいの期間にどのぐらいの患者数が発生して、入院患者はどのぐらいに達するか、その辺の試算を教えていただきたいと思います。
  34. 西山正徳

    政府参考人(西山正徳君) お答え申し上げます。  これはあくまでも類推でございますけれども、現在最大二千五百万人が医療機関を受診すると推計しておりまして、一日当たりの最大入院患者数、これは新型インフルエンザが八週間続くとした場合ですけれども、約十万人と推計しております。  現在、感染症病床や結核病床を使用しつつ、患者数の増加に応じて、感染症病床に限らず一般病床や公的な研修施設の宿泊施設を利用すると、このような計画で準備を進めているところでございます。
  35. 櫻井充

    櫻井充君 実は、二類感染症だと指定されていて、二類感染症のベッドって千八百しかないんですよ。それから一類が八十弱だったかと思いますね。ベッドはまだそれしか整備されておりません。  今、空いているベッドのところを利用するとおっしゃいましたが、僕はここは、何と言ったらいいんでしょうか、ある病棟だけに限って仮に入院させたとしても感染する可能性が高いので、やはりどこかの施設を使うんだということ、それをまず決めておくべきだと思っています。そうすると、そこに入院されている患者さんたちを別な病院に移さなきゃいけないとか、そこら辺のところまできちんとしておかないと対策としては不十分ではないのかなと、そう思います。  なおかつ、ワクチンをどうするのかというときには、ワクチンだけの問題ではないですね。今タンクに貯蔵されているだけかと思いますけれども、それが使えるようになるためには、医者の手に渡るまでに一か月近く掛かるんじゃないかという専門家の話もあります。  問題はここからですが、じゃ、ワクチンというのはこれ筋注するんでしょうが、そうすると、注射器なり注射針なりが必要になりますけれども、この手のものというののストックはあるんですか。
  36. 西山正徳

    政府参考人(西山正徳君) お答え申し上げます。  現在、注射針のストックでありますけれども、十七年の注射器の国内市場流通量、約二十億本で、注射針が約十五億本というようなことで、私ども、プレパンデミックワクチンを接種するに当たっては、その量としてはまあ十分ではないかと認識しております。
  37. 櫻井充

    櫻井充君 それは年間の流通量であって、緊急時にそれだけのものを確保できるかどうかです。  もう少し申し上げれば、これは鳥インフルエンザ以外の病気の患者さんたちもいっぱいいるわけであって、更にその上に乗っかるんだということのまず認識があるかどうかです。病棟の確保も医者の確保もその上に乗っかってあるのかということです。  この注射をする人たちは、今、医師法を改正されて多分看護師さんも筋注できるようになったんだろうと思います。ですから、医師、看護師総動員してワクチンの接種に当たることになるんだろうと思いますが、果たしてその人数が確保されるのかということが次の問題です。  で、ちょっとこれ、医者の数を見ていただきたいんですが、今でも少ないんです。(資料提示総理は頑張っているとおっしゃいました。それだけ医療現場の人たちが頑張っていると思いますけれども、これ人口千人当たりの医師数です。先進国ずっと三人以上いるんですが、日本は二人しかいないと。極めてお寒い状況でして、ですから医療崩壊が起こってきているわけです。日本の医師数は絶対的に足りません。  本題に入る前に、僕は総理にお伺いしておきたいことがあります。総理は今回の本会議で、医師が偏在していると、医師はある程度足りているんだと、偏在している。じゃ、偏在していると言うからには、どこかの地域には医者が余ってなきゃおかしいはずなんです。どの地域に医者が余っていますか。
  38. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 医師の数が不足していると、これは私も認識を共有しております。そして、偏在と言うときに、地域による偏在もあれば、例えば勤務医か開業医かという偏在もあります。それから、診療科目、皮膚科、眼科、それから産婦人科、小児科、こういうところの偏在もあります。  したがって、しかしこれは職業選択の自由がありますから、例えば私なんかが医師不足だ……(発言する者あり)はい、分かりました。医師不足の問題いろいろ問われますけれども、開業医の数が多いんじゃないかと、そういうこともございますんで、きめの細かい形でこの偏在状況を直しつつ全体の医師の数を増やしていきたいと、そういうふうに考えております。
  39. 櫻井充

    櫻井充君 私は、総理が本会議場で答弁されたから、総理からお伺いしたいと思います。総理認識です。総理、どこに医者が余っているんですか。
  40. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 偏在という意味は、余っているということを言っているわけじゃない。この表を見ても、諸外国の中でも医師の数が少ない方だなと、こういうふうにはもう一目瞭然でございます。  そういう中で、産科とか小児科とかそれから救急医療とか、そういったようなことでもって医師がほかのところに行ってしまうというような、そういうような昨今の状況があるということで、それはそれで現在の問題としてこれは是正しなければいけない問題であると。そういうことをどうやったらできるのかなというようなことを意識しながら答弁をしたものでございます。
  41. 櫻井充

    櫻井充君 そうすると、もう少しこれはちゃんとした言葉でしゃべってください。つまり、偏在というのはどこかには余っていてどこかには足りていてという言葉になります。先ほどの冬柴大臣の答弁もそうですが、やはりきちんと分かるように説明、分かるというか、正しく僕らが理解できるような御答弁をいただきたいなと、そう思います。  その上でです。その上で、この医師数しかいないんですよ、舛添大臣。それから、感染症の専門家と言われる人たちがたしか三百人程度しかいない中で研究者も随分多く含まれていて、臨床の現場でどれだけの指揮が執れるかというと、お寒い限りですね。私はそういう認識でございます。  じゃ、こういう状況になったときに対応できる医者は何人いるというふうに考えているんでしょう。
  42. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) この新型インフルエンザの問題、冒頭から委員がおっしゃった点について、例えばスペイン風邪の場合が二・〇%ということで、そういう想定を国際的にもやっています。しかし、そういう想定を超えた場合にどうするか、それから注射針の二十億本、十五億本と、この数字だって一気に使えばどうなるか、それからお医者さん自身が感染する可能性もあります。  そういうことを踏まえて、私は、やっぱり備えあれば憂いなしということですから、片一方で、そういう意味ではありますが、プレパンデミックワクチンを準備する、これの有効期限がどうだ、そういうようないろんな要素を考えながら、今できる限りのことをやっておりますので、想定をどうするか、ここから始まって、その想定によりけりだと思いますけれども、しかしながら、万全の体制を取るという形でやるべきだという、そういう認識で、限られた資源の中でこれをより多く活用するということを考えたいと思います。  ですから、お医者さんどれぐらい使えるか、注射針どうであるかというようなことについて、それはその状況によって違ってくると思いますけれども、今その状況を具体的な数字で確実に申し上げるということはできないと思います。
  43. 櫻井充

    櫻井充君 要するに、何の対応もできないということなんですよ。  これは、総理、お願いがあります。総理のリーダーシップでこの問題をきちんとやってください。そういう予算編成にしてください。そうでなければ国民の命は守られませんよ。  厚生労働省の試算はそうかもしれないけれども、オーストラリアで日本の健康被害を予想しているのは、これは二百十万人ですからね。僕は、日本の厚生省の試算は相当甘いと思っています。これは経済的な損失もかなりのものがあります。  これは経済担当大臣の大田大臣にお伺いしたいと思いますが、こういったインフルエンザが起こったときの経済的損失はどのぐらいだというふうに理解していますか。
  44. 大田弘子

    国務大臣(大田弘子君) もちろんそれは規模によって、どれぐらいの波及で起こるかによって全く異なりますが、今先生御指摘のような規模で起これば、それは甚大なものになると考えられます。
  45. 櫻井充

    櫻井充君 ここは物すごく大事なことなんです。要するに、経済財政諮問会議はこういうことを議論してないんです。日本で試算しているのは第一生命総合研究所でして、ここはGDPで約四・一%減少するんじゃないかと。それから、ほかの国々はちゃんと調べておりまして、WHOなどではやはり三・一%の減少ではないかと。それから、オーストラリアが日本のGDPは約三十兆円、六・一%程度減少するんじゃないかと。  つまり、こういうことも起こり得るわけであって、いたずらに医療費だけを抑制するような政策を転換してもらわないと本当に困るわけです。日本医療費をちょっと見ていただきたいんですが、もう悲惨なものですよ。(資料提示)これは対GDP比です。そうすると、第一位はアメリカでして、一五・三%です。先進国日本より低かったイギリスがブレア政権になって医療費を増やしてから、日本はついに世界で最低になりました。日本医療費は多い多いと言われていますが、日本医療費は決して多くはございません。一人当たりの医療費も多くないのが、これがこの国の実態です。世界から見たときにこういう状況にあるわけです。そうすると、なぜ日本医療費を増やせないのかと、この点が私は本当に疑問です。  これは大田大臣にお伺いした方がいいんでしょうか、それとも額賀大臣にお伺いした方がいいんでしょうか。
  46. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) どちらが御答弁ですか。額賀財務大臣
  47. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 医療費についてはこの二十年度予算案においても相当増えておりまして、社会保障全体では二十二兆円、そしてその中で医療費というのは八兆円ぐらいあります。毎年、これから三千億円から四千億円ぐらいずつ増えていくことになっていくわけであります。  OECDの統計でそういうふうになっておりますけれども、例えば、総医療費ではおっしゃるとおりなんだけれども、公的な医療費、税金とか社会保険料だとか、そういうことになると日本は六・六%で、OECDの平均の六・四%よりは上回っている。それから、地方とかあるいは政府とかあるいは社会保障関係の負担では、日本は一七・七%の負担、そしてOECD平均は一五・二%。  そういうことで、公的医療としては、できるだけ国民皆さん方に安心を与えていく社会保険制度を維持していくために全力投球をしている。しかもなおかつ、医療費は、高齢化社会を迎えまして若い人よりも高齢者の方々の負担がどんどんどんどん増えていって、今の二十八兆円の負担が、これは二〇二五年には実に倍の四十八兆円に膨れ上がろうとするわけです。  だから、適正な医療水準というものをどういうふうに確保していくか。これは、負担と給付の関係を国民皆さん方が納得ができるような形をつくっていかなければならない。そのために政府で、福田首相の下に国民の福祉会議というものを呼びかけて、今、議論をしているところでございます。
  48. 櫻井充

    櫻井充君 医療費に関して言うと、そうやって国家財政上の問題であるとか負担がどうだというふうに出てくるわけですよ。道路に関しては全くそういう議論はないんですね。例えば、今回だって二十五円ガソリンが下がることによってどれだけの経済効果があるかですよ。  それは地域の、僕ら田舎に住んでいる人間からすれば、公共交通で通勤しているわけじゃありません。ですから、二兆六千億円の減税になれば、地域であればあるほど効果が大きくなるはずなんですよ。そういったところの、負担と、何というんでしょうか、供給面での関係というんですか、そういうのは全く議論されずに、いつも医療だけがその対象になります。  しかし、これはイギリスの実例をお見せしましょう。(資料提示)  今まで、医療のことに関して言えば、根拠なきことだけずっと言われてまいりました。イギリスは、サッチャー政権で医療費を大幅に抑制して医療が崩壊いたしました。ブレア政権が誕生してから一体どうなったかというと、一番上の、この折れ線グラフの青ですけれども、この十年間で医療費は倍に伸びております。イギリスは全額国庫です。全額税金でやっておりまして、これだけ増やしてきています。  そしてその上で、いつも言われるんです、借金が増えるから困るんだと言われますが、イギリスの借金を見てください。借金は対GDP比では全く増えていない、横ばいなんですよ。今まで国の説明は、医療費を増やせば財政を圧迫する、借金を増やすだけで大変だという説明しかしていないけど、そうでないということは少なくともこれはイギリスでもう実証されています。  私はお伺いしたいと思いますよ、大田大臣に。私は、こうやって実例を持ってきて、対GDP比で借金は増えないんだということをお示ししました。経済財政諮問会議は何の根拠をもってして、どういう根拠をもってして今までのようなお話をされているんですか。
  49. 大田弘子

    国務大臣(大田弘子君) 医療費が増えても、仮にそれと同じだけ経済が伸びていけば国家財政の圧迫にはなりません。しかし、日本では、医療費の伸びはGDPの伸びを上回っております。しかも、これから高齢化が進みますと、更にGDPの伸びを上回って医療費が増えていくと考えられます。そうしますと、その分は、増税をすれば国家財政の圧迫にはなりませんけれども、負担がやはりマイナスになると、経済へのマイナスになると言えます。  ただ、だからといって必要な医療の機能が損なわれていいということは全く考えておりません。そこはやはり、国民に選択を問いながら、必要な医療をめり張りを持って供給するということだと思います。
  50. 櫻井充

    櫻井充君 今度、もう一度、根拠を持って説明していただきたいと思いますよ。  医療費が増えた場合には、私は、これは経済効果はもっとあると思っています。それはなぜかというと、国民皆さんがまず安心を確保できるということですね。それから、医療産業というのは極めて底が、何というんでしょうか、広いんですよ、かなり広いんです。  例えば、薬なら薬を開発すれば、これは相当世界に売れていく。医療機械もそうなんです。ところが、例えばPETってありますね。PETの検査などは日本が最先端を行っておりました。しかし、医療費が抑制されて、保険に収載されても逆ざやになるから全く進まなかった。その間にアメリカに抜かれているんですね。こういうものがいっぱいあるんですよ。  これは、医療費を抑制してきた結果、経済が本当はもっともっと大きくなっていけるものを圧縮していっただけの話ですからね。もう少しそういうことが分かる人がメンバーに入らないと駄目ですよ。私はそういうふうに思います。  いいでしょうか、皆さん。国の説明はこうやってうそばっかりです。自分たちの都合のいいことだけ出してきて、そして皆さんにこういうことしかないんだということを言ってきている。我々がデータ調べてきてやれば、一方的なデータだというふうに言ってくる。それはおかしな話ですよ。なぜこんなことをやっているのかといえば、先ほど鳥インフルエンザのところで例をお出ししましたが、国民の安全を守るために必要だと。経済だって同じことなんですよ。  じゃ、もう一つ申し上げておきますが、国は感染症対策として幾ら使われているのか。ちなみに、アメリカは保健省疾病管理予防センター、CDCというところだけで八千五百人います。国内外に人を配置しています。そして、その中で感染症対策として三千四百人ぐらいです。日本はたった四百人しかいません。この国立感染症研究所の人員だって削減されるかもしれない、しかも予算も削減されるかもしれないような危機的状況にあります。アメリカは今全体で五百七十億、日本の感染症の予算はわずか三十三億です。道路予算五十九兆あるんなら一兆円ぐらい回してくださいよ。その方が国民の安全や生命を守れるわけであって、そこに極めてこの国は不親切な国だと、私はそう思いますね。  我々は、今医療費を大幅に増やさなきゃいけないと思っています。医療費を増やして、国民の生命やそれから安全を守っていくのが我々民主党の使命だと思っていますよ。今の政府はそうやっておやりになるんなら、それで選挙を戦えばいい。そして、民意をちゃんと問うてくださいよ。私はそのことをまず一つ指摘しておきたいと思います。  その上で、もう一つ現実的な話をしておきましょう。  インドネシアでこの間インフルエンザが起こった。そのときに、一番大事なことは、その地域で封じ込めをすることが一番大事なことなんです。その封じ込めをして、日本にそのインフルエンザが入ってこないことが一番大事なことです。  じゃ、外務省として、若しくは、外務省と言ったらいいのか、これは厚生労働省のマターになるのか分かりませんが、僕は、この感染症研究所の人間をもっと増やして、アメリカと同じように海外に派遣しておく。そして、そこのところで、例えばタミフルが本当に効くのかどうかを自分たちの目で確認してくる。それから、そこでウイルスの株を入手することができれば、プレパンデミックワクチンの効果のあるものを作れる。そういうことから考えてくると、国内に入ってくる前に防御するためにも、海外にそういった出張所みたいなものをつくる、それから人を増やしてとにかく派遣しておく。そのことが、しかも、その相手国からすれば、日本医療技術をもってその地域人たちの安全を守るということになれば、これほどの国際貢献はないんじゃないのかなと、そう思いますけど、その点についていかがですか。
  51. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 現在もWHOや国連などに専門家の派遣は行っています。ただ、委員がおっしゃるように、常駐させておくことのメリットもあるというように思います。  先般、京都でWHO会議の国際会議に私も出まして、今のそのワクチンの株の問題で、例えばある国がどうしてもそれを守るために外に出さないというような問題についても国際的に議論をしてきました。WHOの専門家の皆さんと私もいろんな意見交換をしておりますし、全力を挙げてその国際協力はやっていきたいと思います。常駐することについても、これは今おっしゃったような点で、利点があれば検討に値すると思いますので、検討もしてみたいと思います。
  52. 櫻井充

    櫻井充君 ありがとうございます。  今、感染症研究所の方から人を一人か二人出すのが精いっぱいでして、しかも短期間しか行けないと。それはなぜかというと、国内での業務が追っ付かないからです。これは毎回指摘させていただいておりますが、人間というのは基本的に言うと感染症のずうっと闘いですから、そこの部分、結核が収まったからどうだとかいう問題ではなくて、もう少し力をきちんと入れていただきたいなと、そう思います。  危機管理のところでいうと、もう一つ、どうしても中国のギョーザの問題をやらなきゃいけないんですが、今回のところで僕は、外務省が一体どういうことをしていたんだろうかと。特に、中国にある大使館は、いつこのことを知って、一体これまで何をしてきたのか、御説明いただけますか。
  53. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 外務省が知ったのは、日本でまさに問題になってそのことを知ったわけでありますが、中国にある我が国の大使館は、中国関係当局と緊密に協力をし、連絡をして、調整を行っているわけであります。そういう中で、昨日、中国から調査団がやってきて我が国の関係者と話をしたと。そして、日本からも調査団を出すべく今調整をしているところだと承知をしております。
  54. 櫻井充

    櫻井充君 逆じゃないですか。我々は被害を受けている国であると私は思いますね。  そうすると、中国にある大使館なりなんなりは、まず中国政府、それから若しくは、現地に行けるんだったらちゃんと政府の関係者と一緒に行くべきですよ。そして、そこのところをちゃんと調査できるような体制を整えてくることの方が大事。  ここで細かい日程等をやり取りしていると時間がなくなりますから、資料を求めておきたいと思いますが、外務省としてこの問題に対してどういうような措置をとったのかについて、すべて、すべて時系列に並べて資料を提出していただきたいと思います。
  55. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) ただいまの櫻井君の要求につきましては、後の理事会でお諮りをしたいと思います。
  56. 櫻井充

    櫻井充君 今回問題になったのは、もう一つ、その検査体制なんだろうと思うんですね。  実を言うと、農薬の問題が随分食の安全という点で取り上げられておりますが、実際もっと問題のあるものが入ってきているんです。  例えば、これ、テレビを見ている皆さんは化学物質過敏症という病気を御存じでしょうか。私は化学物質過敏症の患者の一人です。私は新築の住宅に入れません。新車に乗れません。それから、例えば家庭で使っている、うちの娘などが使っていた寝癖直しがあるんですが、スプレーがあるんですが、それを吸うとせきが止まらなくなって、娘にやめてもらいました。  今、そういう患者さんたちが増えています。実際のところ、それはせきが出たりとかいわゆるぜんそく様の発作が起こるものですから、子供たちがそういう病気になると基本的にはアトピー型のぜんそくだという形で治療されています。しかし、私のところの外来に来てくれた人たちや私の周りの人たちは、化学物質をやめてもらった途端にそういった症状が止まっています。じんま疹が出ている人たちもいます。私の場合には、中枢神経系の症状が強く出てくるので、僕は目まいがするとかふらつくとか体がだるくなって実は動けなくなったりします。  僕は全部中国製を悪者にする気はありませんが、中国製の足温器を使って実は化学物質過敏症になった患者さんがいらっしゃいます。つまり、今危ないのはそういった食べ物だけではありません。  今、化学物質過敏症のところを、ちょっとこれ、皆さん見ていただきたいんですが、(資料提示)多分、体調不良を訴えてよく原因が分からないという方いらっしゃると思います。まあ一応、私も内科の医者の端くれでございまして、もし何か不安があればそれはお尋ねいただければ幾らでもお答えしたいと思いますけれども。  ここの中でポイントになるのは、化学物質過敏症というのは実は空気から入ってくるのがほとんどでございます。特にその中の室内の空気汚染でして、これ若干古い数字でありますが七十四人、約半分の方が何らかの住宅関連です。  特に最近私の感覚でいうと増えてきているのは、シックハウス対策がそれなりに取られてきているので、むしろ家庭内での薬品の使用ですね。例えば、芳香剤であるとかそれから防ダニ、それからあとは抗菌処理剤でしょうか、それからこういう嫌なにおいを消しますよとか、そういったものによってせきが止まらなくなってきている子供さんたちを実は多く経験しております。  それだけではなくて、大気汚染のほかに、ここからポイントなんですが、百四十四例のうち入れ歯という方が二例いらっしゃるんです。食べ物での報告はありませんが、基本的に申し上げると、要するに何が原因かよく分かっていないからですけれども、問題は入れ歯の方が二例いらっしゃるということなんです。  今、歯科の技工物がどういう扱いを受けているのかというと、雑貨ということになっておりまして、日本国内だけでも、歯科業界もこれは本当に大変なことになっていて、技工物そのものを中国にお願いして作ってもらっている現状がございます。  ところが、これがノーチェックなんですね。なぜかというと、技工物は雑貨なんです。口の中に入れて病気になるかもしれないものが雑貨で扱われているので全くチェックされておりません。この点について、舛添大臣、どうお考えでしょう。
  57. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 最近、歯科技工物、これは人件費が安いということで海外で作られている例を私も歯医者さんから聞きました。  やっぱりこの安全性ということ、それは四六時中口の中に入っているものですからそれはきちんとすべきだというふうに思っておりまして、具体的に、平成十七年の九月の八日に厚生労働省から、国外で作成された補綴物などの取扱いについてということで、歯科医師に対して注意を喚起し、十分な情報提供を患者さんに行ってくださいと、そして患者の理解と同意を得て、そしてこの良質かつ適切な歯科医療を行うように指示を出しているところであります。  その後、今の委員の指摘をお受けいたしましたんで、更に調査をし、この法制面を含めて、こういうことは雑貨扱いであれば国民の健康を守れないということであれば、しかるべき手を早急に検討して打ちたいと思います。
  58. 櫻井充

    櫻井充君 ありがとうございます。  本当に口腔内に何が入っているかによって全然違うんです。しかも、多分、国民皆さんは、口の中の詰め物で具合が悪くなっているなんて思ってないと思うんですよ。今、本当に訳の分からない病気が増えてきていて、みんな不定愁訴と言っていますけれども、そうすると現場でどうなるかというと、自律神経失調症だとか、それからうつだとか、そういう病名だけ付けられて、本当に気の毒、御苦労されている患者さんがいっぱいいるわけですよ。ですから、そういう点で考えてみても、この辺のところをきちんとやっていただきたいと、そういうふうに思います。  その上で、歯科技工士さんたちがどれだけ苦しいのかということをまず、ちょっとお話だけしておきたいと思いますが、これは歯科技工士さんたちの年齢の分布です。(資料提示)これ見ていただくとお分かりですが、二十五歳未満の方々が毎年毎年減ってきています。これはなぜかというと、余りに仕事が厳しいからです。歯科技工学校がつぶれています。それから、学校で募集しても定数に足りないところがほとんどです。卒業されても、一〇%程度の人しか技工士さんになりません。あとは金属の加工とか、そういうところに行った方がはるかに処遇の面でいいから、そうなってきています。  そうすると、今現在二五%ぐらいを占める五十歳以上の方々がこれお辞めになると、日本の歯科医療の根幹を支えているところが根底から揺らいでくるということになっていくわけです。これも実を言うと、医療費の抑制政策がこういうところにも来ているんです。今まで看護師さんであるとかいろんな人たち取り上げられてきましたが、技工士さんのところ取り上げられてきていませんけれども、この業界もめちゃくちゃ大変です。この点について大臣、どう御認識されているでしょう。
  59. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) これ、全体の医師不足の問題ともかかわりありますけれども、やはり養成に五年、十年と掛かる。そういうときに、長期的な計画を立ててこの定員をどうするかということを考えないといけない。昭和五十年代に歯医者の技工士の方が多過ぎるという要望があったようなことも聞いております。そういうことから抑制路線を取ってきた。そして、今処遇の問題、待遇の問題もありますんで、今おっしゃったように定員割れをしている状況です。  それから、まあ治療よりも予防という方向の転換もありますけれども、今のようなことはきちんとして、それはこれから高齢化社会になって、例えば義歯、入れ歯ということのこの需要も高まりますし、また治療ということは当然行われないといけない。その根幹である技士の方々の不足ということを来しては駄目だと思いますんで、これ、長期的な観点からも今医療ビジョンを作成し直そうと思っていますんで、そこでもこれはきちんと取り上げさせていただきたいと思います。
  60. 櫻井充

    櫻井充君 ありがとうございます。  いずれにしても、この最大の問題は、医療費をずっと削減し続けてきたこと、抑制し続けてきたこと、必要なところに結局はお金が付いていないことが原因なんだろうと、そう思います。  ですから、これ総理、改めて総理の御決意を僕はお伺いしたいと思いますよ。後で自民党の議員もいかに医療費が圧縮されてきたかということをこれ質問されますけれども、もうそういう時代ではないわけです、これは。これは与野党関係なしに取り組んでいかなければいけないことだし、先ほど総理経済財政諮問会議の言いなりにならないんだと。経済財政諮問会議は公的給付を抑制しろばっかり言ってきているわけです。こういう声を聞かないで、本当にもう一度見直していただいて、医療費を大幅に増額していただきたいと思いますが、総理、いかがですか。
  61. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 医療費の重要性というのは十分認識しておるつもりでございます。日本の限られた財政事情というようなこともございますから、それは、じゃ幾らでも増やさなければいけないという、そういうことに直結するわけじゃありません。全体のバランスを見て考えていかなければいけないと思います。  しかし、医療、今は、今は世界一の長寿国だ、しかし、来年、再来年どうなのかということもあります。やはり将来、そういう水準というものを、良い医療の水準を維持できるかどうかというのは、やはりこれも考えていかなければいけないということであります。ただ、この医療費予算を増やすとかいうことになった場合に、国民の負担はどのぐらいになってくるかということも当然考えなければいけないわけでありますので、そのバランスも取らなければいけない。  そういう意味において、ただいま社会保障についての検討会議を開催いたしまして、これは国民会議と私ども申し上げておりますけれども、各般の方々にお集まりいただいて、将来の社会保障、もちろんその中に医療もございますけれども、そういうものはどうあるべきか。当然、負担があるから負担との兼ね合いで考えていかなければいけないというのはこれ当然のことでございますので、そういうことについて十分な議論をしていただきたい。そして、早急に考え方を取りまとめて、それを具体化するというような手はずを整えておるところでございますので、でき得れば、そういうような議論について民主党の皆さん、野党の皆さんにも御参加をいただいて議論をしていただくというのがよいのではないかというように思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
  62. 櫻井充

    櫻井充君 総理、毎回毎回、僕は御答弁聞かせていただいて、この次検討します、この次検討しますばかりで、本当にいつやるのかちょっと全然分からないところがあります。財源財源とおっしゃいますが、景気さえ良くなれば、それは税収は当然上がるわけです。景気が回復してこないからこういうことになり続けているんだろうと、私はそう思いますね。  最後に経済の問題をちょっとお伺いしておきたいと思いますが、サブプライムの問題というのは、これは日本はアメリカと比較するとどの程度の影響があったんでしょうか、渡辺大臣
  63. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 結論としては、比較的軽微で済んでおります、今のところはですね。  例えば、アメリカの巨大複合金融機関に分類されるところは兆単位で損失を出しております。日本の場合には、主要行十一行単純合計の公表ベースでございますが、十二月決算で五千八百八十億円の損失ということでございます。
  64. 櫻井充

    櫻井充君 要するに、ほとんど影響がないに等しいわけですが、ところが、福田総理が就任してからのこの株価の変動を見ていただきたいんです。(資料提示)  アメリカの株が下がった下がったと言っておりますが、実を言うと世界の中で一番株価が下がっているのは日本なんです。今まではサブプライムの問題だというお話をされていましたが、サブプライムの問題は、今、渡辺大臣から御答弁があったようにアメリカよりはるかに影響が低い。にもかかわらず、こうやって株価はどんどんどんどん下落してきております。  その理由は一体何なんでしょうか。
  65. 大田弘子

    国務大臣(大田弘子君) サブプライム住宅ローン問題によりましてドル安・円高が起こっておりますので、日本国内で輸出関連株が下がっております。それから、日本の株式市場で外国人投資家の割合が六割を占めておりますので、この外国人投資家が外で出た損を日本株の売却で埋めている可能性があります。それから、もう一つ考えられる要因としまして、アジアの中で相対的に成長率の高い新興国に株式が流れている可能性がございます。  以上です。
  66. 櫻井充

    櫻井充君 僕はそれは違っていると思っていますね。それはなぜかというと、アメリカの投資会社が、今の日本の株式の三〇%以上外国人が持っておりますから、アメリカの投資会社がどういうレポートをまとめているかというと、日本の内需が極めて弱い、だから日本国内の経済の問題なんだと、そう指摘していますよ。つまり、海外のことだとかなんとかいうことじゃない、国内経済をどうしていくのかということが最大の問題ですよ。ですから、そこの認識が全然違っていると思います。  その上で、僕はまず総理にちょっとお伺いしておきたいのは、総理は、本会議場で景気が良くなる、経済状況が良くなる、株価対策は一体何ですかと我が党の工藤議員、大河原議員が尋ねたところ、要するに補正予算予算を通してくれればこれが対策になるんだということでございました。補正予算を見直しました。具体的に、総理の言葉ですから、総理は今回の補正予算のどの予算案が株価対策になるとお考えなんですか。
  67. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 株価というのは、今現在のこともあるかもしれません。しかし、将来のことも見通している、その要素が強いというような話もございますけれども、いずれにしても投機ですから、先ほど大田大臣から説明したような要素もあるわけでございますから、だからそういうようなもののすべての総合で、どれがどれというわけにはいかないというように思います。  私は、この補正予算それから本予算が、これが通るか通らないか、日本の政治情勢は一体どうなっているかというようなことを海外の投資家が心配をするということ、当然あるんだろうと思いますよ。もし三月末までに予算も通らない、そして補正予算も、これも遅れる、本予算も通らないし関連法案も通らない、そういうようなことになったときに、いかに日本の経済にそのことがダメージを与えるかというようなこともやっぱり考えて、当然考えていると思いますよ。  そこで、この補正予算でございますけれども、この補正予算には、例えば災害の復旧対策費、これは七千三百億円計上いたしております。そしてまた、もしこの補正が通りますれば、深夜の高速道路の料金引下げ、これも二月分から実施したいというように考えておりますけれども、これはもう原油高騰、原油価格の高騰対策というふうにも言ってもいいかもしれません。それから、学校の耐震化事業又は、先ほど委員が御指摘されましたインフルエンザ対策のためのワクチンの買い増し、こういうような重要なこともこの補正予算で手当てをしたい、こういうように考えておりますので、そういうことを総合して、これ、補正予算通らなかった場合と通った場合と随分違いが出てくるんじゃないかと私は思っております。
  68. 櫻井充

    櫻井充君 じゃ、まあいいですよ。補正予算の中で、じゃ何でこれ老人医療給付費とか高齢者医療制度円滑導入とかって、これだけ問題があって、補正でこれ組まれているわけでしょう。これが将来的にわたって景気対策や何かになるんであれば、何でこんな新しい高齢者医療制度を導入しようとするんですか。  つまり、そういうことをやったら問題があると思っているからやっているわけでしょう。だったら、これは補正予算じゃなくて、そんな限られた期間でやるんじゃなくて、もうずっとやった方がいいじゃないですか。  まあいいです。それは総理のお考えとしてお伺いしておきますが、しかし、ここを見たときに、本当の意味で国内の需要が、経済が、何と言ったらいいでしょうか、国内の消費が思い切り伸びていくような政策に僕はなっていないと、そう思います。  もう一つ問題があるんですが、このときに、一月十三日のあるテレビの放送で額賀大臣が何ておっしゃったのかというと、来週、米国の大手銀行の決算が出る、若干下がる可能性があると。  こういうことを担当者がおっしゃるとどういうことが起こるかというと、空売りして利益を出せるんじゃないかとか、そういうふうなことになってきて、これはインサイダー取引に当たると私は思いますけれども、大臣はどういう認識ですか。
  69. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これは、おっしゃるように、テレビ番組で司会者というか、方がこのサブプライム問題を取り上げて、株式市場とか金融市場のことについて様々な角度から議論をいたしました。  その際に、株価は下がるでしょう、下がるでしょうというような質問があったわけでございますけれども、私としては、そういう見方をする人もいるかもしれませんが、日本の経済は、十九年度は下方修正をしたけれども、二十年度は住宅着工も戻ってくるし企業も底堅い動きをしていくと、だから心配はない。確かに、アメリカのサブプライム問題とか、あるいはまたヨーロッパとか原油高だとか、そういうことについては注視をしていかなければならないけれども、世界全体としては底堅い動きがある。だから、そういうことをしっかりと見ておく必要があるという話をしたわけでございます。
  70. 櫻井充

    櫻井充君 大臣、どういう認識か僕はよく分かりません。要するに、財政当局としてかなり権力、権力というか言葉の影響力があるんだということを僕は認識されていないからそういう発言になるんだと思うんです。  大臣が予想されたとおり、翌日には百三十……(発言する者あり)済みません、ちょっとだけ。百三十八円、大臣の予想どおり百三十八円下がりましたよ。すごいなと思いました。六日間で幾ら下がったかというと、千五百円も下落いたしました。やっぱり財務大臣が発言されるとこういうことなのかと、私はそう理解いたします。  最後に申し上げておきますが、冬柴大臣のテレビ入りでの説明にしても、それから額賀大臣の話にしても、それから最近は随分変わりましたが、一時期は舛添大臣が、何でもできるできると、国民皆さんおっしゃるから期待されるとか、総理総理で、何というんでしょうか、どうも意味が我々が十分把握できないような御答弁をされてくると、そういうことの繰り返しのような気がいたしております。そういうことこそが国民皆さんに政治不信を招いてきて、この国は本当に大丈夫なんだろうかという不信感を私は植え付ける最大の問題になってきていると、そういうふうに思っております。  こういう政権は、総理、早く一度信を、民意を問うていただきたい、総選挙をやっていただきたいということをお願いして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  71. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 関連質疑を許します。蓮舫君
  72. 蓮舫

    ○蓮舫君 民主党・新緑風会・国民新日本の蓮舫です。今日は年金について質問をさせていただきます。  まずは福田総理にお伺いをいたしますが、一月十八日の施政方針演説で総理は、私の内閣で年金問題を解決する、全力を尽くすと発言をされました。まずは自信のほどを聞かせていただけますか。
  73. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) この年金記録問題、ただいま着々とその記録の確認をしておるところでございます。過程においていろいろ御批判も受けるようなこともございましたけれども、しかし、大筋は昨年の七月五日に政府・与党で決定した方針に基づいて、その線上で行っているということでございます。  このことにつきましては、これはもう本当に、この年金問題、要するに国に自分の将来の人生を預けるんだというような、そういうぐらい大きな仕組みでございますので、このことに対する信頼が欠けてしまうというようなことは極めて著しい大きな問題というか、政府としての責任も大きなことであります。  きちんと国民に信頼していただけるような、そして長年にわたって十分な持続性のあるものでなければいけないというように思っておりますので、これは全力を挙げてこの問題解明に取り組んでおるところであり、なおかつ、今後このことについて国民からなるほどそこまでやってくれたんなら安心できると言っていただけるような制度にしていきたいと、こういうようなことを考えながら努力をしているその最中でございます。
  74. 蓮舫

    ○蓮舫君 絶対に解決するんだという強い姿勢が見られないのが問題だと思うんですね。  舛添大臣にお伺いをいたしますが、この十九年度の補正予算案で、宙に浮いた五千万件の年金記録、これ名寄せ作業をするのに幾ら予算案を計上していますか。
  75. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) お答えいたします。  十九年度の補正予算案で二百一億円、これを予算計上しておりまして、五千万件の名寄せの該当者の加入履歴のお知らせが百五十八億円、ねんきん特別専用ダイヤルが十八億円、旧台帳データの電子化が二十五億円、これが内訳でございます。
  76. 蓮舫

    ○蓮舫君 総理にお伺いします。  二百一億円の税金を使う、社保庁のミスを国民の税金で補てんをする、これは国民の理解が得られると思っていますか。
  77. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) ただいま委員からおっしゃってくださいましたけれども、これはまさに社保庁におけるこれまでの不適切な業務運営、これを主な原因としているということでございまして、新たな費用が発生すると、その不適切な業務のことによって、これはやっぱりゆゆしき問題だと思います。そして、大変遺憾なことだというふうに思っております。ですから、そういうことを何とか信頼回復すると、そして確実な制度に改めるということで今全力を尽くしておるわけでございます。  これに要する費用、今二百一億円という御指摘ございましたけれども、これは、こういうようなことでもう新たな保険料の負担が生じることのないようにしなければいけないということでございますが、同時に、社会保険庁の既定経費の節約ということも当然やっております。それは大した金額でないとおっしゃればそのとおりでございますけれども、そういうようなことをしながら必要な額は補正予算に計上して、国民の皆様にこういう事情について御理解をいただかなければいけないということでございます。
  78. 蓮舫

    ○蓮舫君 今総理がまさに御答弁をされました、社会保険庁がミスを犯した、ならば社会保険庁が既定経費の節約を行う。社会保険庁も節約を行ったという御説明を私たちいただいております。(資料提示)  社会保険庁長官にお伺いします。  二十六億円、財政合理化努力ができた。これは一生懸命頑張った姿勢の表れで、これ以上もう節約することはできないという額なんでしょうか。長官、お答えください。
  79. 坂野泰治

    政府参考人(坂野泰治君) 現時点までの節約状況につきましては、例えば事務所や宿舎の改修工事などの一部執行凍結、これで十三億円、あるいは職員の研修の一部中止やその他の経費の見直し、これで約十億円、節約等を行っておるところでございます。また、保有施設、主として宿舎などの売却でございますけれども、現在三億円ほど売却が進んでおる、そういうことでございます。  この補正予算提出に当たりましては、今申し上げたことを含めて、既定経費の節減では全体として三十億円程度年度内に節約を行いたい、また資産売却についても全体で十五億円程度の収入を見込みたい、そのように考えているわけでございます。
  80. 蓮舫

    ○蓮舫君 事務所、宿舎の工事を凍結する。凍結って何ですか。
  81. 坂野泰治

    政府参考人(坂野泰治君) 庁舎あるいは宿舎の改修というのは、通常であれば、例えば電気設備であれば十年から十五年が……
  82. 蓮舫

    ○蓮舫君 いや、凍結を聞いているんです。
  83. 坂野泰治

    政府参考人(坂野泰治君) 定期点検のサイクル等でございますけれども、そういう定期点検等を凍結をする、そういうようなことで庁舎の設備の工事の見直しをやっておるわけでございます。  また、宿舎も外壁の修繕その他予定をしておるわけでございますけれども……
  84. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 蓮舫君
  85. 坂野泰治

    政府参考人(坂野泰治君) そういうものについてもこれを……
  86. 蓮舫

    ○蓮舫君 凍結というのは一部中止をするということじゃないんですよ。取りあえず今は工事をしないで、いつかやります、先送りするという意味で、これは無駄遣いの削減だと私はとても思えない。  職員の研修の一部中止もやっておられますけれども、この研修の中止というのは緊急性のない研修だから中止をしたということでしょうか。イエスかノーでお答えください。
  87. 坂野泰治

    政府参考人(坂野泰治君) 本来ならば私ども研修をすべて実施したいと考えておるわけでございますけれども、この年金記録業務で膨大な業務が現場に発生しております関係上、研修期間に充て得るマンパワーというものを縮減をする必要がある、そういうことでやっておるわけでございます。その中で、できるだけ影響の少ない形で一部中止あるいは全部の中止を行っておると、そういうことでございます。
  88. 蓮舫

    ○蓮舫君 中止するカリキュラムをフリップにしました。(資料提示)法令遵守、公務員倫理、個人情報保護の研修、これ中止するんですか。芸能人や国会議員の年金記録を盗み見て千人以上が処分を受けた職員ですよ。国民が納めた保険料を横領したような職員がいる、あるいは記録問題、入力ミス、平気で仕事をしてこなかった職員がいて、最も必要な研修を何で中止するんですか。
  89. 坂野泰治

    政府参考人(坂野泰治君) 今おっしゃるように、先ほど申し上げたとおり、できれば研修というものは全部やりたいと、そう考えていた中で、やむを得ない判断として中止を行っておるものがあるということでございます。したがって、どうしても必要なもの、例えば新任者の研修、これはもう欠かすことができません。そういうものはきちんとやりながら、可能な限りの体制を確保する、そういうことにしておるわけでございます。
  90. 蓮舫

    ○蓮舫君 更に驚いたのは、中止している研修、年金給付・年金相談事務研修、これ中止しているんですよ。これ、どういう内容か、御覧いただけますか。(資料提示)  「年金相談の現状と課題 時宜を得た年金給付や年金相談に関する事務」。時宜というのは今ちょうどという意味で、今まさに総理が公約で五千万件の宙に浮いた年金記録を解決しなければいけない、その研修を中止だと判断する判断、これ、舛添大臣、いいんですか。社会保険庁に任せると、こういうことをやるんですよ。この研修が無駄遣いだという意識はよろしいんでしょうか。
  91. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 例えば、臨時にアルバイトで来るようなこういう職員に対して、それが窓口で対応するのは、これはきちんとそれは今でもやっております。  しかし、職員について、今カリキュラムについてそういうことがございますけれども、これは全体を見て、年金のこの業務に差し障りない形で合理化できる、節約できるところは最大限節約して新たな保険料が生じないようにする。その上で、この作業は何とか一日も早く貫徹したいということで先ほどの補正予算額を計上させていただいたものでございます。
  92. 蓮舫

    ○蓮舫君 必要な研修をやめたり、工事はいったん取りあえず先送りしてみたり、保険料を元手にして造った宿舎を丸投げ、丸売りしたり、これが私たちが汗をかいた努力の表れですと社会保険庁が胸を張ること自体が私はおかしいんだと思います。  自分たちの組織、仕事でミスがあった、その膨大な事務に追われているから、だからなかなか難しいんだという長官の御説明ありましたけれども、処理に掛かる経費というのは職員がやはり汗をかいて、それで自ら反省をして、その姿勢を国民に御納得いただいた上で税金を使わせてくださいというのが私は筋だと思うんですね。  去年の夏、安倍前総理がボーナスの一部を自主返上させました。職員も国庫に自主返納させました。これはどなたが、総額幾ら返納されましたか。総理
  93. 坂野泰治

    政府参考人(坂野泰治君) 昨年の、お話しのようなボーナスの自主返納の協力を求めておるわけでございますけれども、閣僚の方々あるいは歴代の事務次官、社会保険庁長官あるいは社会保険庁の職員等から申立てのあった額を合計いたしますと、約十五億二千三百三十六万円という申立て額になっております。
  94. 蓮舫

    ○蓮舫君 十五億、一回のボーナスの返上でこれだけの財源ができる。  福田総理にお伺いしますが、安倍前総理は夏のボーナスの返上を行って、年金記録の名寄せ作業に使うべく国庫に返納しました。去年の冬のボーナス、福田総理はボーナスの返上を呼びかけましたか。
  95. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 私は呼びかけしておりません。
  96. 蓮舫

    ○蓮舫君 なぜですか。
  97. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) それは、私はこの年金問題の解決に全力を挙げるという、そのことについて責任を負っておるわけでありますので、そのことを一生懸命やろうと、こう考えておるところです。
  98. 蓮舫

    ○蓮舫君 財源国民にしわ寄せを回すだけなんでしょうか。つまり、ある大手金融機関が不祥事を起こして金融庁から行政処分を受けたと。その方たちに聞くと、民間企業は何か問題が起きたときに信頼が失墜したのを回復するために様々な努力を行うんですよ。この金融機関は、一年間のボーナス全行員八割カット、二年目からは二割カット、三年間続けた。民間はこうやって自らの痛みを伴って信頼を回復する。ところが、社会保険庁に至っては、去年の夏の選挙の前だけ、一回だけボーナスの自主返納を呼びかけただけで、その後は何も行わない、おとがめがない。私はこれは違うんだと思います。  国民に痛みを押し付けるのであれば、負担を押し付けるのであれば、まずミスを犯した職員が自らの努力をするべきではないですか。総理、どうでしょう。
  99. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) この点については、委員がおっしゃるように、これまでの積年のこの病弊を積み上げてきた組織、これはきちんと私は責任を取らないといけないと思います。ただ、いろいろ国家公務員法上のいろんな規定がありますから、自主返納を呼びかけました。それで、九割に、ここまで行きました。しかし、それからいろんな問題、例えば仕事をずる休みできるような規定を作ったりしているやつも全部破棄させました。  しかし、それでもなお私は更なる点検をしていって、必要とあれば、この組織を立て直すためには新たななたを振るわないといけないかなということの覚悟も決めておりますので、委員の指摘も受けた上で、そういうことも今検討中でございます。それは、きちんとした組織に立て直す、立て直すために必要な反省が必要であると、そういう認識の下にやっていきたいと思います。
  100. 蓮舫

    ○蓮舫君 いや、必要な組織の改革はもちろんなんですよ。それと、国民に負担を押し付けるまでに、これまで一回ボーナスを返上するだけで十五億の財源ができるのであれば、せめて五千万件の宙に浮いた記録が戻るまで、現内閣がしっかりとその部分は指導をして財源を生み出すべきではないかというのを私たちは指摘をさせていただいている。残念ながらそれを受け止めていただけないようでございます。  次に、お金の使われ方。補正予算案の中で十八億円がねんきん特別便の電話相談に使われておりますが、これはどういう事業でしょうか。
  101. 坂野泰治

    政府参考人(坂野泰治君) ねんきん特別便専用のダイヤルにつきましては、今年の一月二十一日から三月三十一日までの間、一日当たり最大千二百席の電話相談を受けられるように民間業者に委託発注をする、そういうことを考えておるわけでございます。十八億円はそのための必要な経費として要求を申し上げておると、そういうものでございます。
  102. 蓮舫

    ○蓮舫君 ねんきん特別便を受け取った方はまず電話で相談してください、その電話を受けられる方たちの事業に十八億円の予算案を計上している。これ、一般競争入札ですか。
  103. 坂野泰治

    政府参考人(坂野泰治君) 一般競争入札でございますけれども、単なる価格のみによる落札方式ではなくて、価格とともに品質の確保、入札者の業務能力、そういうものを勘案することを含めて総合評価を行い、全体としてその評価を基に落札する、いわゆる総合評価落札方式というもので競争入札を行っておるわけでございます。
  104. 蓮舫

    ○蓮舫君 一般競争入札じゃないんですよ。総合評価方式という新しい、耳慣れない、何でこんな落札方式を使うのか分からないんですが、これ、予定価格内で価格と、技術がすばらしいと社会保険庁が主観で判断した会社に事業を発注するやり方なんですね。だけれども、この落札方式だと、経費を下げることができるのに下げなくて済む方式なんです。  こちらにフリップを御用意をさせていただきました。(資料提示)これは、今社会保険庁からの委託で電話相談業務を行っている二社における担当者の時給と設備使用料でございます。問題は、全く同じ仕事をしているA社とB社。管理者、B社は時給が五千五百円、A社は時給が二千九百円、時給に差があるんですよ。同じ仕事ですよ。これ、何でこんな時給に差が出るんですか。
  105. 坂野泰治

    政府参考人(坂野泰治君) 各社が提示をいたします契約単価、これは、直接の人件費以外にも、募集の経費あるいは研修の経費あるいは内部管理のコスト、あるいはその他社会保険料負担や通勤手当の諸手当、そういうものも込みにしてこのスーパーバイザーだとか管理者だとかオペレーター等の単価として事業者が提示をしておるものでございます。  したがって、それぞれの各社のそういう内容の性質が異なれば各社が提示する単価が異なる、そういうことになるわけでございます。
  106. 蓮舫

    ○蓮舫君 いや、分かりません。同じ時給で二千六百円の差がある。これ、常識的な考えであれば、A社の時給に合わせればB社の人件費は圧縮することができるんじゃないですか。それだけ使うお金が減らせることができる。税金の無駄遣いをやめることができる。違うんでしょうか。
  107. 坂野泰治

    政府参考人(坂野泰治君) 今申し上げた各単価の違いの中の単価の一つに、設備使用料がございます。これも社によってかなり差があるということでございます。これも各社の設備の調達あるいは管理、その他のコストを反映して違ってくる。全体として、この席数に対して幾らの経費として応札をするか、そういうことで判断をすべきもので、各単価がそれぞれ違うからということでなくて、全体としての落札価格が、私どもが考えております予定価格よりも、それをかなり下回った額であったということから私どもとしては落札をしておると、そういうことでございます。
  108. 蓮舫

    ○蓮舫君 説明が分かりません。  全体としての落札価格があるから、そこを逆に逆算して置いていくからこうやって格差が出てくるんですよ。  いいですか、設備使用料も見ていただきたい。これは電話相談、つまり作業を行うレンタルスペース代、場所を借りている代金です。  これ、仕様書では社保庁が事細かく指摘をしていて、社会保険庁から徒歩も含めて九十分以内のところで作業をしなければいけないとなっている。でも、このA社、三千万円、一か月のレンタルスペース代はどこに借りているか。社保庁から三十分で行ける新宿の高層ビル群内の高層ビルの二十八階のスペース借りているんですよ。これ、もっと地価の安いところ、賃貸料の安いところに作業料を確保すれば、この設備使用料も圧縮することができるんじゃないですか、どうですか。
  109. 坂野泰治

    政府参考人(坂野泰治君) 私どもの今回の契約をする際の仕様書でございますけれども、その仕様書で一定の地域内にあるという立地の要素を私ども要求をしておるわけでございます。これは、私どもがオペレーターの業務、その実施状況を適切にやっているかどうかというような監視を行うこと、あるいは指導員を私どもが派遣をすること、私どもと業者との連絡を考えますと、そういう場所に立地するのがふさわしい、そういうことでそういう仕様書にいたしたわけでございます。
  110. 蓮舫

    ○蓮舫君 つまり、この総合評価落札方式だと総額の値段がもうまず決まってしまうから、場所代が高いと人件費が安くなって、場所代が低いと人件費が高くなる、だから時給にばらつきが出る、格差が出る、そういう契約方式なんですよ。これ、国民の税金を使う努力をしているってよく胸を張って言えると言えますよ。  いいですか、会計法の原則は一般競争入札です。社会保険庁は、コンピューター等の発注で、随意契約で相当批判を受けた。本来、この原則に基づいて一般競争入札にしなければいけないのに、そうすると予算が削減されてしまうから、何とか圧縮できないような方式はないかなって考えたのが予算使い切りのこの総合評価方式じゃないんですか。  舛添大臣、こんなことやらしてちゃ駄目じゃないですか。五千万件の名寄せ、お金が掛かるの、私たち認めていますよ。税金使わなければいけない部分も認めますよ。でも、無駄遣いはやめようという姿勢は一緒だったんじゃないですか。社会保険庁、こんなことまでやっているんですよ。どうでしょう。
  111. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 基本的に一番大切なことは、国民の税金であれ、社会保険料であれ、これを無駄遣いしない、そしてもう一つは、きちんとした業務ができると、そういうことを図った上で今回の結論だというふうに聞いておりますけれども、しかし、今委員がおっしゃったようないろんな疑念が起こることがあるとすれば、それはもう一度きちんと点検しないといけないと思います。  そして、今おっしゃったように、すべて随意契約が駄目だとか、すべて一般競争入札が完璧だということでもないと思いますが、しかし、原則はやはり一般競争ということですから、この度、私の下に直属の作業委員会を設けました。そして、特別便の見直しも行いましたし、こういう入札の仕方についても外の目できちんとチェックをする、そういう方式をやっていく決意でありますので、いろんな貴重な意見を賜った上で、それに対してきちんと御説明できないようであれば問題があると思いますので、対応していきたいと思います。
  112. 蓮舫

    ○蓮舫君 大臣、よく聞いていましたか、今の社会保険庁長官の答弁、納得されたんですね、舛添大臣は。このお金の使われ方がいいと納得されたような今答弁でしたよ。それはどうなんでしょう。  じゃ、是非これは約束をしていただきたいのは、実はこの電話相談業務はまだあと三月末までに八百席ぐらい新規発注する予定なんですよ。じゃ、これは見直してください。こんな総合評価落札方式なんという訳の分からない使い切りの予算案ではなくて、これは一般競争入札にしていただけますね。
  113. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 今申し上げましたように、外部の目、社会保険庁に最も厳しい人たちのグループを私の下につくりましたんで、その今の問題についてもきちんと検討をして、その作業委員会ができる前です、これが決定したのは。それを作業委員会で検討した上で今のような方向が出せるかどうか、早急に検討を指示いたします。
  114. 蓮舫

    ○蓮舫君 是非その作業委員会に私と長妻代議士を入れていただきたいと思います。正そうじゃないですか。無駄遣いはやめましょうよ。  いいですか、総理、人ごとのように聞いておられますけれども、総理が公約した年金問題、お金の使われ方、こんな状態なんですよ。総理は施政方針演説でも、一般競争入札への切替えを徹底すると言っているんですよ、予算の執行において。これ、徹底された結果なんでしょうか。
  115. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 入札の方式については、これは今までいろいろと問題があったんです。そして、競争入札といいながらも、(発言する者あり)だから説明しているじゃないですか、聞いてください。だから、そういうようなことについて、今後はそういうことないようにということを厳しく今申し渡しておりまして、各省庁にはすべてそれをチェックする第三者委員会を発足さしたということであります。
  116. 蓮舫

    ○蓮舫君 ちょっと時間の時差がありますね、総理と私たち。今後はというのはいつからなんですか。今は今の問題を指摘さしていただいているんですよ。聞いてくださいと言われる前に、じゃ時間認識してくださいよ。今後っていつからなんですか。  私が今指摘しているのは、衆議院を通ってきた平成十九年度の補正予算案の使われ方、お金の使われ方を問わしていただいているんです。
  117. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) ただいま申し上げた第三者委員会は、これはもう既に始まっております。それを全省庁で更に徹底するようにということを申し渡したところであります。
  118. 蓮舫

    ○蓮舫君 じゃ、第三者委員会取り替えましょうよ、機能していません。機能していたらこの補正予算案のこの無駄遣いは計上されてないはずじゃないですか。
  119. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) ちょっと申し上げますけど、補正予算早く通してくださいよ。そうしたら第三者委員会にしっかりとチェックさせます。
  120. 蓮舫

    ○蓮舫君 総理総理……(発言する者あり)
  121. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 御静粛に願います。御静粛に願います。
  122. 蓮舫

    ○蓮舫君 総理、補正予算案を通すのは、丁寧な情報公開と説明がなければ私たちは審議することできません。結論ありきで補正予算通してくださいよという答弁、何ですか、これは。徹底した丁寧な説明をしていくという姿勢はリップサービスなんですか。私たちは、総理が通してくださいと言ったら、はいはい通しますよという、それだけのためにいるんでしょうか。ちょっと今の答弁撤回してください。
  123. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 先ほどの御指摘のありました委託先A社、B社と、こういうことありましたね。あれも、これもチェックしなければいけないんですよ。ですから、そういう新しい機関に十分なチェックをさせるということでありますけれども、その上に加えて、今、舛添大臣の方からも、作業委員会というものをつくったと、こういうふうなことでありますので、そういうところにも十分な検討をさせる、そして国民説明の付かないようなことはさせないという覚悟でやりたいと思っております。
  124. 蓮舫

    ○蓮舫君 是非これはもう、テレビを見ておられる、あるいは報道を通じて知られた国民皆さんに御判断をいただきたいと思います。総理の今の姿勢で国会というのは本当に適切な運営がなされていくのかどうなのか、あるいは年金問題が本当に処理されるのかどうなのか、社会保険庁のお金の使い方が本当に正しいと思っているのかどうなのか、これはもう御判断を国民皆さんにいただきたいと思うんですが。  続いては、今お金の使われ方を指摘をさしていただきましたが、このお金を使って電話相談をして、実は社会保険庁は今まで裏マニュアルを指示して、相談してきた人に情報は教えてはいけない、その人のものと思われる記録があっても、いつの期間のもので、厚生年金か国民年金かという年金の種類も教えてはいけないんだという極めて不親切な対応をしておりましたが、これは裏マニュアルを撤退して、今後は情報を教えていくんですよね、ちょっと簡単にお願いします。
  125. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 委員が御指摘のとおりでありまして、その方一人しかない記録で、生年月日も名前も全部、それから年金の重複期間も非常に近いという方には、窓口来られたら、こういう会社でしたねと、そこまでお教えする。  ただ、問題は、同じような名前の人が五人とか十人いて複数にわたっているときに、不正やいろんな思い込みがあるといけません。そこは段階を追って、例えば目黒区でしたね、それは機械工業でしたね、病院ですかと、こういう形でやるという、そういうきめの細かいマニュアルを作成したところでございます。
  126. 蓮舫

    ○蓮舫君 それは、実は私たちが去年から、窓口に相談に来た、電話相談してきた人に早く教えようと言っていたものが、ようやくここに来て教えるという勇断を恐らく大臣がしていただけたんだと思いますが。  実は社会保険庁がこの年金相談のマニュアルを作っています。この中では、年金記録の期間ですとか種類ですとかあるいは会社名ですとか、いろんなヒントをお教えしていって、それでもやっぱり三十年前、四十年前の記録ですからなかなか思い出せない方がいる場合には問いかけをしましょうとなっている。問いかけの内容は、お子様の年齢ですとか、あるいは当時の通勤方法ですとか、あるいはそのとき、上司の名前、同僚の名前というのは分かるんです。でも、実はこのほかに、何年ごろには日本でこういう出来事がありましたか思い出せますかという、世の中の動き参考事例マニュアルというのを作っているんですが、これ、私、世の中の出来事であなたの年金記録を思い出してくださいというのが本当に親切な行政サービスなのかがこれ疑問なんですよ。  例えば、総理は今から三十二年前、昭和五十一年に民間企業をお辞めになられて衆議院議員の秘書になられている。会社が変わりましたから、これ社会保険庁、事務所にお届けをする内容なんですが、このときに間違って社会保険庁の職員が転記ミス、入力ミスをしたら、せっかく届けた総理の年金記録が宙に浮くことになるんです。例えば、仮に総理の記録が宙に浮いたとき、今あなたのものと思われます記録がありますから相談に来てくださいという特別便が行きます。総理がなかなか思い出せない。じゃ、何がありましたか、昭和五十一年には何がありましたかと、こういう問いかけのマニュアルなんですよ。  総理、昭和五十一年の重大なニュースって何があったか覚えていますか。
  127. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 坂野長官
  128. 蓮舫

    ○蓮舫君 いや、違います。総理総理長官の誕生日、年齢なんか聞いていない。  総理です。総理です。
  129. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 坂野長官
  130. 蓮舫

    ○蓮舫君 総理です。昭和五十一年。総理に聞いている。
  131. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 委員長が指名をいたします。坂野長官
  132. 坂野泰治

    政府参考人(坂野泰治君) まず、先ほど大臣から御答弁がありましたとおり、蓋然性の高い方には加入期間何年何月までお知らせをする、種別もお知らせをする……(発言する者あり)
  133. 蓮舫

    ○蓮舫君 いや、聞いていない、聞いていない、聞いていない。
  134. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 坂野長官に申し上げます。答弁が違いますから、答弁を打ち切ってください。  蓮舫君
  135. 坂野泰治

    政府参考人(坂野泰治君) あるいは事業所名や所在地もお知らせをする、そういう基本に立ち返っておるわけでございます。この参考のために付けました……
  136. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 打ち切ってください。打ち切りなさい。  蓮舫君、質問を続けてください。蓮舫君
  137. 蓮舫

    ○蓮舫君 委員長、御采配、ありがとうございます。  聞いていないことに答えないでくださいよ。時間限られているんですよ、質問の時間。国民が知りたいことを聞いているんですよ。  総理、昭和五十一年、重大ニュース、何があったか、これ、一般の人も多分総理と同じ感想だと思いますよ、分かんないと思いますよ。どうでしょう。
  138. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) よく、そうですね、社会的、経済、政治、世界
  139. 蓮舫

    ○蓮舫君 何でもいいんですけれども。
  140. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 何でもいい。ちょっと、まあ今さっと思い浮かぶのはございません。
  141. 蓮舫

    ○蓮舫君 総理、全く普通のリアクションですよ。国民もそうだと思います、思い出せない。ちなみに調べたら、昭和五十一年、五つ子ちゃんが誕生とか、王選手が七百十五号ホーマーを打ったとか、流行語はピーナツ、グーとか、もう私これよく覚えてないんですけれども、こういうことだと。  いいですか。ねんきん特別便のその時代の世の中の動きマニュアルには、昭和二十一年から平成八年まで、これをぶわっと調べて書き出しているんですよ。こうした情報を提供して、さあ年金を思い出してください、あなたこのときに何していましたか。いいですか、保険料を取っておいて、記録を勝手に宙に浮かしておいて、あなたのものと思われる記録がありますよと言われて、じゃ記録を教えてくれと言ったら、いや、この当時何がありましたかってクイズ出されて、このクイズに答えられないと記録は戻さないと言っているんですよ。  私は、昭和二十一年から平成八年までのこんなマニュアル集を作るお金と人と予算があるんだったら、記録が浮いていると思われる人にお一人お一人に丁寧に情報を教えてあげた方が早く解決するんじゃないですか、この問題。いかがでしょうか。
  142. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) あらゆる記憶のよすがとなるものをお示しするということで付けたわけでありまして、例えば、もう非常に毎年のように職を変えておられた、それが四十年前だというような話になると、どの時代だったかなと。そのときに、昭和何年ですね、このときに例えばこういうオリンピックがありました、こういう大きな事件がありましたということをおっしゃって、そうすると、ああ、そうだったらそういう大きな事件は自分はこういう病院に勤めたときに起こったなという一つのヒントでございまして、これ以外のことをやらないということではなくて、事業所名その他いろんなヒントを差し上げる、それから、社会保険労務士の皆さん方にも協力をいただいてということでありますから、こういうものを使わないで解明できればいいですけど、あらゆるよすがを使ってやるという、その努力の一環だと御理解いただければ有り難いと思います。
  143. 蓮舫

    ○蓮舫君 なかなか理解できないんですね。そんな世の中の動き事例マニュアル作るんだったら、御丁寧にその方の記憶を喚起するような対応をした方が私は早いと思うし、情報そのものずばりじゃなくても、工夫してお示しをして、あなたのですかという丁寧な個別具体的な対応がいただけ、必要だと、これも私たち一年前から言わせていただいているんですが、社会保険庁に任せるとこんなマニュアル作って、自分たちは仕事しているって胸を張るんですよ。是非これはお考えをいただきたいと思います。  次に、総務大臣にお伺いします。  年金記録確認第三者委員会、厚生年金のあっせん、相談、今総数どれぐらいあって、訂正記録を認めた数を教えてもらえますか、数だけで結構です。
  144. 増田寛也

    国務大臣(増田寛也君) 一月二十七日現在で申立て件数の総数三万九千四百八十四件、このうち厚生年金関係の申立て件数が一万四千八百九十七件、これ地方と中央一緒です。それで、あっせん件数は一月三十一日現在で百十一件でございます。
  145. 蓮舫

    ○蓮舫君 総数がちょっと増えているんですけれども、相談した一万四千八百件のうちのあっせんされたのが百十一件。(資料提示)これ、一年間で総理はこのあっせんを解決すると言っていましたけれども、この頻度で、一%に満たないあっせん率で私は本当に解決するかどうか疑問なんですが、問題は、百十一件のうち十五件が実は標準報酬月額、つまり給料に関した記録が訂正をされているんです。総務大臣、これどういう事例ですか。
  146. 増田寛也

    国務大臣(増田寛也君) 御指摘の事案は、申立て者が勤務していた事業所が倒産等によりこの年金保険の適用事業所でなくなった日以降に、申立て者の標準報酬月額を一定期間にわたり引き下げたという例が一つございます。  それからもう一つは、申立て者の被保険者資格を一定期間にわたり取り消す、要は事実に反して資格喪失日を変更して被保険者期間を短くすると、こういった処理が遡及して行われていたものでございまして、これを訂正したものでございます。
  147. 蓮舫

    ○蓮舫君 つまり、会社員時代、厚生年金は給料から年金保険料が天引きをされている、自動引き落としをされている。払っていたにもかかわらず、本人の知らないうちに加入記録が勝手に短縮されて納めた記録がなくなっている、あるいは、本来実際にもらっていた給料の額がそれよりもかなり引き下げられていたという事実があったんですね。それが百十一件ある中の十五件、相当高い割合で給料が改ざんされているんですよ。  これ舛添大臣に聞きますが、あっせんされて訂正されなかった場合、年金給付額にどんな影響が出ますか。
  148. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) あっせんされてきちんと記録が確定すれば、それはちゃんと年金に反映されて正しい年金が払われます。  しかし、それが確定されないと、今のシステムだときちんと年金に反映されないと、そういう不備がございます。
  149. 蓮舫

    ○蓮舫君 訂正されないと、いただける本来の満額の年金を受け取ることができないんですね。だから、大切な問題なんですよ。相当高い割合で給料が改ざんしているのが総務省のお仕事で明らかになった。埼玉県の女性の場合、会社が倒産した直後からさかのぼって二年間、当時、実際二十六万円いただいていた給料が九万八千円に改ざんされていた。家計簿とか雇用保険の記録があって、第三者委員会がしっかりと調査をしてくれたから、記録が訂正されて、年間数万円の、いただけなくなる予定だった年金額を満額いただけることができるようになった。  問題は、第三者委員会の事案を読むと、社会保険事務所において事実に反する処理が行われたことが認められるとあるんです。これ、総務大臣、どういう意味でしょうか。
  150. 増田寛也

    国務大臣(増田寛也君) 会社等が倒産した後にさかのぼって訂正をしているんですね。そういったようなことがございましたので、ケース十五件、いろいろ少しずつ違うんですが、いずれにしても第三者委員会では社会保険事務所がこうした記録変更等を行う合理的な理由が見当たらないと、こういうことで訂正に結び付けたものでございます。
  151. 蓮舫

    ○蓮舫君 総務大臣、済みません。合理的な理由が見当たらない、つまりこれはだれが悪いんですか。
  152. 増田寛也

    国務大臣(増田寛也君) 一般的にこれは保険を、こういった保険を扱っている事務処理が良くないと、こういうことを指摘しているんだと思われます。
  153. 蓮舫

    ○蓮舫君 社保庁長官に聞きます。どんな事務処理していたんですか。
  154. 坂野泰治

    政府参考人(坂野泰治君) 標準報酬月額の変更などを行います場合、私どものルールとしては、まずは事業主の届出に基づいて行うこと、かつ遡及して月額を引き下げる場合など、これについては受給者の権利に大きく影響を及ぼす可能性があるものでございますので、事実確認を関係書類の提出を求めてきちんと行う、そういう処理ルールにしているわけでございます。  ただ、このようなルールの下に実施をすることにしておりましたにもかかわらず、第三者委員会から御指摘のような事例としてあっせんが行われたということでございます。したがって、私どもとしては、まずこのあっせんが行われた事例について現在その担当者あるいは当該職場の監督者その他について調査を今いたしております。どういう事情でこういうことが起きたのかということを調査を今している最中でございます。
  155. 蓮舫

    ○蓮舫君 調査いつ始めました。何月何日ですか。
  156. 坂野泰治

    政府参考人(坂野泰治君) 調査の指示は、一月十一日にこの当時の事案についてまず簡易な聞き取り調査を行うようにという指示をいたしましたが、さらに質問票その他公式な書面による調査も今後追加していきたいと考えております。
  157. 蓮舫

    ○蓮舫君 総務大臣にお伺いします。  この社会保険事務所で事実に反する処理が行われたと認められて訂正された一番最初の日はいつですか。
  158. 増田寛也

    国務大臣(増田寛也君) 昨年の八月二十四日でございます。
  159. 蓮舫

    ○蓮舫君 五か月間問題を放置していたのは、社会保険庁でいったら常識的な速さなんでしょうか。
  160. 坂野泰治

    政府参考人(坂野泰治君) 確かに、最初の事案があっせんされたのが昨年の八月二十四日でございました。その後の推移を見ますと、翌月に二件、さらにその翌月に四件と、こう増えてくる状況になりましたので、私どもとしては、この事案についてまず調査を行う必要があるということで準備を進めて一斉にやることにしたのが一月になってからということでございます。
  161. 蓮舫

    ○蓮舫君 いや、これ大変大きな問題に発展する可能性を含んでいるんですよ。つまり、社員の給料を実態より安く申告すれば、それだけ事業主負担分の厚生年金保険料が安くなる、だから事業主が納めやすくなる、一方で社会保険事務所としては厚生年金の収納率をかさ上げすることができるから、両者にとっていいんですよ。  問題は、社会保険庁が組織的に関与をしてこの偽装工作を行っていたのかどうなのかなんです。これが行われていたら、事業主を信じて疑わなくて実は給料が実際より減額されて今いただいている、将来、いただく保険料が安くなっている人、被害が出るんですよ。  これ、調査、五か月間放置しておいて、今からいろんなマニュアルの指示を出すというたぐいのものじゃないんです。すぐさま始めてすぐさま結果を出さなきゃいけないんですよ。舛添大臣、いかがでしょうか。
  162. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) この事業主の届出、それが不正があった場合にそれをきちっとチェックするのが社会保険庁の役割でありまして、もし仮にも自分の負担を逃れるために標準報酬月額を引き下げるような不正なことをやった事業主と社会保険庁の職員が一緒にそういうことに加担していたような事例がもしあれば、厳重にこれは処分をしたいと思いますし、今御指摘の調査が少し遅いんではないかということでございますので、これも直ちに調査の加速化を指示いたします。
  163. 蓮舫

    ○蓮舫君 社会保険庁は前例があるんです。国民年金の保険料を払ってない人を本人に確認しないで勝手に納付者の分母から引いておいて、免除手続をしておいて、そして国民年金保険料の収納率こんなに高くなったって、組織的にあのときには上司が部下に指示していた事例があったんですよ。二千人近くが処分されているんですよ。  今度は、厚生年金で同じようなことが総務省の第三委員会の指摘でもう十五件も出ている。すぐ着手すべきではないでしょうか。
  164. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 調査結果を待たないとその十五件の中身がどうであるか分かりませんので、直ちにこの調査を加速化させます。
  165. 蓮舫

    ○蓮舫君 いつまでにやりますか。つまり、民間の場合ですと、問題が発覚したときには期限と予算を決めて人を配置して調査をして、その結果を迅速に出して被害を最小限に食い止めるための努力をします。  いつまででしょうか。
  166. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) これは、それぞれの事案についてどういうことであるかを調べる、そしてどの程度のメスを社会保険庁、事務所に入れるべきであるか、そういうことがありますので早急に検討をさしていただいて、今すぐいつまでというのは即答はできませんけれども、分かり次第、またしっかりと公表したいと思います。
  167. 蓮舫

    ○蓮舫君 是非、今すぐ本当に被害があるのかどうなのかを調べるやり方があるんです。それは、ねんきん特別便では宙に浮いた記録があるかどうかの御確認だけを行っていますが、ここに標準報酬月額、給料の額を示して、この給料で正しかったですかと問い合わせをすれば、宙に浮いた記録と給料の額が正しかったかどうかが、これを御確認してお送り返していただくことができるんですね。検討していただけますか。
  168. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 七月五日に工程表を作ったときには迅速にコンピューター上での名寄せ作業をやるということで、そのデータがない方が早いだろうと、こういう優先度の決定でありました。そして、今のような問題がありますから、今後どうするのか、そのことも含めて検討したいと思います。
  169. 蓮舫

    ○蓮舫君 是非、よろしくお願いしたいと思います。今後どうするのかを検討するんじゃなくて、すぐやるかどうかを検討していただきたいと思います。本当に大変な問題に発覚する可能性がありますし、その危機感は御共有いただいていると思います。  総理にお伺いします。  時間を掛けて社会保険庁が今どんな仕事をしているのか、相変わらずどんなお金の仕方をしているのか、答弁からお分かりになったと思います。こんな組織をあと二年して民営化しちゃ駄目じゃないですか。民営化すれば飛躍的に業務の向上性が上がるとか仕事の能率が良くなるととても思えないんですが、是非見直していただけませんか。
  170. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) いずれにしましても、この制度を国民が信頼してくれるような制度にしなければいけない、この一点なんですよ。  ですから、そのためにどうしたらいいかということはもう様々な課題があると思います。そういうことを一つ一つ解決していくということが大事なんだろうというふうに思います。  一斉にできるか、一斉にできりゃいいです。しかし、できなければできないで一つ一つ解決する。しかし、本当に早く、できるだけ早く国民から信頼されるようになりたいと、こういう一心でみんなやっているんだろうというふうに思っておりますので、まあしばらくお時間をお借りしたいと思っております。
  171. 蓮舫

    ○蓮舫君 いや、お時間は余り貸せないんですよ。一日も早く年金問題をお戻ししてさしあげないと、いただく人だんだん年取っていますから、いただけるものを、財産権の侵害にもなっているから、やっぱり社会保険庁に私は任せることはできないと思いますし、その部分では年金制度根幹自体も一元化をして、私たちは歳入庁にしようという提案をしておりますから、国から離すんではなくて国がしっかり管理していく制度を私たちは提案をしておきたいと思います。  以上で質問を終わります。ありがとうございました。
  172. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) これにて蓮舫君の関連質疑は終了いたしました。  以上で櫻井充君の質疑は終了いたしました。(拍手)  午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午後零時一分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  173. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  予算執行状況に関する調査を議題とし、休憩前に引き続き質疑を行います。有村治子君。
  174. 有村治子

    ○有村治子君 自由民主党の有村治子でございます。  本日の予算委員会は、社会保障をテーマに集中審議を進めております。  社会保障を実現するその根本の理念は、国民の安全で健やかな生存権、生命権を保障することにあります。当然その根底には温かい思いやりがなければ実施できませんし、同時に社会保障という意味では健全な自主自立の精神を促していかなければ社会保障制度は長続きしません。  そういう意味で、私たちは、この日本社会において本当に社会的に弱い立場に置かれる人々を、あるいは一時的に助けを必要とする人々のその命と尊厳を守り切れているかどうか、そして今後とも、国民の不安が増している中でその不安を取り除くべく守り切れる覚悟があるかどうかということに思いをはせながら、今日は少子化問題を中心に質問をさせていただきたいと存じます。  まず、出産休暇、産後の八週間を十二週間にする提案をさせていただきたいと思います。  福田内閣でも重点政策一つでありますワーク・ライフ・バランス、仕事とそして家庭の両立ということは非常に尊い目標であり、また実現への難易度もなかなかに難しいとても大事なテーマだと思っております。私自身、選挙区である全国を日々走りながら仕事と家庭の両立を夢を見ながら、時に励まされたりあるいは困ったりしながら毎日ジェットコースターのような生活を送っている親の一人でございます。  学級崩壊や児童虐待、いじめを苦にした自殺など、子供を取り巻く様々な問題が現象化している中で、そんな日本だからこそ私は子供たちが安全で健やかに心豊かに育ってくれることを祈り、議会人として命をはぐくむことを温かく見守る社会を実現していくために全力を尽くしていきたいと考えております。  働く女性が現在妊娠した場合、現行の労働基準法では、勤労者としての母体の疲労回復ということを目標にして出産前の六週間、出産後の八週間の休暇が認められており、その後すぐに職場復帰することも可能です。実際、厚生労働省の試算では、出産をした女性勤労者において、長期の育児休暇を取らず、出産後八週間の産休後すぐに職場復帰した女性勤労者は二七・七%、四分の一以上にもなるという計算になっています。  しかし、産休明けの生後八週間では、母体の出産による疲労回復は一定程度なされますが、問題は生まれてきた赤ちゃんの首がまだ据わっていない状況にあるということです。赤ちゃんの首が極めてぐらぐらしていく中で、働く女性は毎日赤ちゃんを連れて車に乗せたり、あるいはだっこひもでだっこしながら、おんぶしながら自転車に乗ったりあるいは通勤電車に乗って毎日保育園に通っているというのが全国で起こっている現在の状況でございます。  生後八週間の子供たち、赤ちゃんがどんな状態にあるのか福田総理や皆様に御覧いただきたく、今日はこの赤ちゃん人形を持ってまいりました。東京の青山にあるこどもの城小児保健部のお医者さんから実際にお借りしてきたものです。(資料提示)お母さんが新生児を入浴させるための練習をするために実際に現場で活用されている、体重、背格好、肌の感触も実際の赤ちゃんに似せた医療保健用のお人形です。看護師さんのお話によれば、このお人形の名前は、偶然ですが総理と同じ青山やすお君だそうでございます。私もびっくりしました。  赤ちゃんの首が据わっていない状態がどれだけ危なっかしいかを実際に目視していただくためにこの人形を用意しました。視聴者の方は、実在の赤ちゃんで決してまねをしていただきたくないので、あらかじめ御協力をいただきたいと思います。  これが三キロ前後の生まれて数か月の赤ちゃん、本当に医療用に使われているお人形でございます。総理、実際御覧になっていただきますと、ここがいびつに重いので、赤ちゃんというのは、ぐらんぐらん首だけががた、がたというふうに動く。これは決して大げさにやっているわけではなくて、本当に授乳のときのげっぷも、ぐらっと首が据わっていない状況は本当に危なっかしい状況だということを御理解いただきたいと思います。  この状況の中で、毎日赤ちゃんを移動させることが果たして健全なのかどうかということをお考えいただきたいと存じます。生後二か月で出産後の勤労が開始できるようにはなっていますが、二か月を三か月に休暇を一か月増やすだけで、この一か月の中で赤ちゃんはしっかりと首を据わることができますし、また外界に対する赤ちゃんの免疫も随分強くなっていきます。生まれたばかりの赤ちゃんと触れ合う時間は健全な母子関係をスタートさせる上で本当に貴重な時間ですし、そうした時間がその後半世紀も続く家族の営みの中できずなを深めていく格好のチャンスになると考えます。  こうした時間を、日本に生まれ育ち、そして日本で家庭を築こうとするだれもが経験できるよう、産後休暇の期間を少なくとも赤ちゃんの首がしっかり据わる三か月まで延長するよう、政府として検討していただきたいと思います。これについて、内閣総理大臣のお考えを伺います。
  175. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 今委員がおっしゃいました産後八週間、これは出産後の母体が妊娠前の状態に回復する期間ということで、フランス、ドイツ、諸外国も大体その期間を設定しております。それから、産後八週間過ぎましたら、子供が一歳に達するまで、ただ保育所に入所できない場合は一歳六か月までの間は育児休業を請求することができるというようなことでございますし、法に基づいてできるだけの支援はやっていきたいと思います。  私自身もその赤ちゃん人形でふろの入れ方を練習しましたのでよく分かっておりますが、私がヨーロッパにいたときに同じ八週間でどうしていたかといったら、バスケットに赤ん坊を入れて、横に寝せて運んでいたことを覚えています。  ですから、そういうことも含めて、一つの御提案として検討してみたいと思います。
  176. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) これは、この問題は、長きゃ長いほどいいと思いますよ、子供さんのためにもね。しかし、それは働く女性という立場もありますので、個々にどういうふうに考えるかという問題でもあると思います。しかし、八週間はこれは最低限必要だと、そういうことでほかの国も、先進国もそういう八週間という規定を決めている。今、大臣からも答弁ありましたけれども、これは個人事情でもって取ろうと思えば取れるということもあります。ですから、そういうことを、そういう制度を活用していただくということです。  ただ、問題は、まだ育児休業の取得率というのはこれ低いですね、日本はね。ほかの国はどうなっているでしょうか。平成十一年度は五六%、そして平成十七年度が七二%ということで、上昇はしているけれども、まだ七二%、それがいいのか悪いのかという問題があります。それから、もう一つの問題は、さっきの仕事との関係で、第一子が出産するときを機会に七割の人が仕事を辞めてしまっているということで、日本独特のフタコブラクダみたいなそういう状態が続いているということも、これもこれからの課題というように考えております。
  177. 有村治子

    ○有村治子君 その課題をどう解決していただくのかということに私は関心がございます。今お話をしていただいている間にも、後ろからも女性議員の声が聞こえました。党は違いますけれども、私も同じ思いを持っています。  育児休暇、一年、一年半というふうに延長していただいても、実際には、社会の中で責任あるポジションを抱えながら一刻も早く仕事に戻らなきゃいけない、あるいは協力をしてくれる同僚の職場の方を思うと、やはりそんな一年、一年半も悠々とできない、あるいは一年後には机がないかもしれないというような懸案を抱えて、実際には制度があるにもかかわらず出産休暇しか取れない人々がたくさんいらっしゃるんです。四分の一以上の女性の就業者が厚生労働省の試算によってもいらっしゃるんです。  その層を救わなきゃいけないということでの切実な検討の提案でございますから、今後とも、ワーク・ライフ・バランスということを最重点事項に挙げられている福田内閣の下で強いリーダーシップを発揮していただきたいと考えます。もしお考えいただけないようでしたら、今後ともまた質問を続けていきますので、それまでに準備をいただければ本当に有り難いと存じます。  次に、産科医不足に向けての国家政策としての奨学金の創設について提案をさせていただきたいと思います。  全国各地で深刻になっている産科医不足に対して、政府はここ二十年来の方針を事実上転換されて、医学部の入学定員を増やすなどの改善策に取り組んでいただいておりますが、なかなか決定打が打てていないような気がしています。産科医師を確保できずに入院分娩施設を備えながらもやむを得ず産科診療を閉鎖した病院も全国に点在しており、現在懸命に取り組んでいただいている産科医の集約化や遠隔治療、あるいは助産師外来の取組も、出産に関する国民的不安を払拭するほどのメッセージにはなっておりません。  加えて、産科は診療時間以外の勤務も多く、そして母子の命を守る前線で献身的に働いていただいているがゆえに訴訟リスクも高く、産科は大変だ大変だと報道されるたびに、すごく皮肉なことですが、将来的に産科を目指そうとしていた研修中の先生方や医学部の学生さんがますます産科を敬遠する悪循環に陥っています。そして、それがより長期化、深刻化する原因になっています。  医師確保のために医学部学生を対象にした奨学金も各地で続々と新設されていますが、私自身、都道府県で創設されたその一覧を一つ一つ拝見をさせていただきましたが、その効果は極めて限定的です。例えば、月五万円の奨学金を貸与された場合、お医者さんになってから六年又は九年間、へき地など、その地域の公立病院に勤務したら返還を全額免除するという内容が多く、お医者さんの生涯賃金ということを考えれば、志ある優秀な学生が医学部を志願してくれて、その上で産科医になってもらうことを奨励するに足る説得力ある奨学金には実際のところなっていません。全然なっていません。  そこで提案です。危機的状況にある産科医師を国家施策として増やすために、産科医師を養成するのに掛かるコスト、例えば医学部卒業までに掛かる授業料等の費用等を全額奨学金という形で大胆に支給して、日本政府が産科医不足解消に本気で立ち向かい、明確にかじを切ったと取れる国民的メッセージを出していただきたいと思います。  例えば、毎年都道府県に二人ずつ全国で計約百人に向けて、大胆に産科医師養成にターゲットを絞った国費奨学金を支給し、経済的にはハンディを負いながらも、成績と人格が優れた学生であれば産科医師になる門戸が確実に開かれるという明確なメッセージを打ち出していただきたいと存じます。  内閣総理大臣、いかがでしょうか。
  178. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 医師の不足ということは昨今随分言われているわけでありまして、これはもう全体的にどうするかという問題を考えなければいけないと思います。  その中で、産科小児科とか特定の科目の先生が、これが様々な事情はあると思いますけれども、少なくなってきていると、こういうようなことがありまして、それはそれでいろいろな事情というふうに申し上げたそれを一つ一つ解決しなければいけないということはあるんだろうと思いますが、今委員からお話ございました産科医を、もっといいお医者さんを増やす積極的な努力ということをおっしゃられました。それはそれで、我々としても十分に考えて対応しなければいけないというふうに思っております。
  179. 有村治子

    ○有村治子君 財務大臣、可能であれば御答弁いただきたいと思います。  実は、施設がありながら産科医師が見付からないので閉鎖するというような、そんな病院は本来年間何百件かお産を取り扱っていた病院であり、その報酬もあったはずでございます。そのコストがなかなか自治体の病院で担えないという現象が実際に出てきています。そんな赤を担うのであれば、積極的に産科医不足にとって国家が立ち上がったというメッセージを国民的に発することもすごく大事なことだと思います。財務大臣、いかがでしょうか。
  180. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 有村先生のお話を聞いていまして、私も双子を育てたことがあるんです、核家族でですね。だから、昼間うちへ帰ってちゃんとおふろに入れて、そういうことをやりましたから、御婦人の御苦労とかそういうことはよく承知をしております。  それから、この委員会でも医師不足についていろんな議論がありました。毎年卒業生が出ているから心配ないんだという説明もありましたけれども、よくよく聞いていると、地域あるいは又は診療科によって偏在があるということでございますので、そのほかにもその勤務医のハードさ、様々な要因がありますから、そういうことを一つ一つきめ細かく対応していかなければならない。その手始めとして、来年度予算は今までの一・七倍の百六十一億円を計上させていただいておりますけれども、これは私の個人的な考え方でありますけれども、大学というのは、医学部でもほかの学部でもやっぱり全国平均的に人材を育てていくということが私は大事なことなんだと思うんです。  だから、東京だけの受験生を入学させるんではなくて、北海道は何人入学させるとか、青森は何人入学させるとか、鹿児島県から何人入学させるとか、そういう形を取って人材をそれぞれの地域で育成をしていく、その中でそういうお医者さんだとか地域の活動だとか経済力だとか、そういうことを育てていくことが大事なんではないのかという感じがいたします。  それから、もう有村先生御承知のとおり、私どもはどっちかというと世界一の長寿国をつくり上げてきたわけでありますから、これまでの医療制度だとか社会保障制度というのは、どちらかというと世界に誇れるものがあるんだろうというふうに思います。ところが、これからは人口減少時代で、しかもなおかつ、お年寄りがどんどん増えていくことはすばらしいことなんだけれども経費が増えていく。医療の場合は完全なる賦課方式でありますから、若い世代に背負わさせていくわけでございますから、この負担と給付をどういうふうにしていくかということが大事であって、その中でお医者さんにも十分に仕事ができるようにさせていくことを考えていかなければならないと、そういうふうに思います。
  181. 有村治子

    ○有村治子君 これから高齢者の皆さんが増える中で、若手を大事にしなきゃいけないという財務大臣の御答弁でございました。その若手が産もうとしているその気持ちにこたえていただきたいと存じます。  実は、千葉県が県として医学部の例えば産科を目指してくれる学生に三千万円強の奨学金を出すということを議会でも決めました。しかし、この東京都内にある私立の医学部を持つ大学と提携をしたはずの、提携をしてやりたかったこの産科医を養成するプロジェクトが頓挫をしていたことがあります。それはなぜか。私立大学が自らの大学病院での医師を確保するために、そのプロジェクト、三千万円を出すと、一人当たり最高額出すというふうに言っている千葉県もこの話がままならないという状況なほどに医師不足、特に産科医への懸案というのはぬぐい去れていません。  この状況を是非直視していただいて、特に厚生労働省と文部科学省連携をしていただいて、産科医あるいは小児科医に特化した奨学金をもう少し実効性のあるものに御検討をいただきたいと存じます。  時間の関係がありますので、次の質問に入らせていただきます。  親が病気中の子供としっかり向き合える社会の体制づくりについて質問をさせていただきます。  近年、家族や地域のきずなの重要性が見直され、去年から十一月の第三日曜日を家族の日と制定するようになりました。健康な子供たちだけではなく、病気中のお子さんでも保育園で預かっていただけるよう、保育園に看護師さんを配置する施策が求められ、厚生労働省もその予算要求をする時代となりました。働く親御さんの立場に立った施策としては、病気中のお子さんを保育園で預かっていただける、病後児保育をしていただけるというのは大変有り難いことでございますが、本来、小さな子供が病気になったとき、体がつらくて不安でいっぱいの子供が一番必要としているのは、親御さんがすぐそばで見守っているという安心感であるはずです。子供が病気のとき一番の薬は、親御さんのだっこ、だっこだと思っています。子育て支援策を打ち出していただくことは大変有り難いことですが、その前提として、やっぱり親が幼子をしっかり抱き締めてあげるという親子の愛情を深め信頼のきずなを深める大事な営みは、社会の基本認識として決してあきらめてはいけない価値観だと思っています。  信頼関係は、平時ではなく非常事態のときに試されます。親子のきずなは、子供が病気をしたときにこそ深まるのだと信じます。子供の成長に急な発熱、病気は残念ながら付き物です。ですから、私は従来から、子供を持つ就業者には、有給休暇とは別に、家族の看病のために取れる休暇を年間五日ほど持てるようにすべきだと訴えてまいりました。幸い、平成十七年の四月から育児・介護休業法が改正され、子の看護休暇制度が新設をされ、小学校前のお子さんを持つ勤労者であれば子供の急病やけがにも制度上は向き合えるようになりました。  しかし、この制度についての認知度はまだまだ低く、制度について就業規則に明記してある事業所割合はまだ三三%しかありません。実際に子供を看護するために休暇を取得した人の割合は、厚生労働省の十七年の調査によっても四・二%にとどまっています。去年十二月には、本当に上川大臣頑張っていただいて「子どもと家族を応援する日本」重点戦略が策定されましたけれども、看護休暇取得に関する記述は盛り込まれていません。  少子化担当大臣、上川先生は、自民党の女性局時代、子どもHAPPYプロジェクトを立ち上げられて、堅実で粘り強いリーダーシップでこの企画を全国の活動にまで育て上げられた実績をお持ちです。家族のきずな、少子化対策に本腰を入れる政府として、小さい子の病気、けがにしっかりと親御さんが向き合える家族支援の普及、実現に向けて具体的に御尽力を賜りたいと思います。  少子化担当大臣、お願いいたします。
  182. 上川陽子

    国務大臣(上川陽子君) 御質問の件でございますが、男性も女性も子育てをしながら安心して働き続けることができる社会を実現するためには、子供が病気のときの看護休暇や、また子供が小さいときの育児休業制度を希望に応じてだれもが利用できるよう、職場環境を整備することが大変重要だというふうに思っております。  今おっしゃったように、子供にとって特に病気のときには、自分の意思を表すことができない乳幼児のお子さんは、とりわけ病気のときに親御さんがそばにいてほしいということを自然に願うわけでありまして、その機会を逃してしまうと、今おっしゃったように、親子の愛情ということについても信頼のきずなの部分で大変スタートが厳しいものになっていくものというふうに思っております。  これら休暇の取得が進んでいない要因といたしましては、もちろん職場の理解が不足していたり、また法制度に対する知識が不足しているということが挙げられます。そういう意味では、親がためらわずに看護休暇や育児時間を取ることができるように、社会全体の機運を醸成したり、また現行の法制度を周知することから取り組むことが大変重要であるというふうに考えております。  昨年の末に公労使、政労使が合意いたしました仕事と生活の調和、ワーク・ライフ・バランス推進のための憲章及び行動指針は、まさに看護休暇やそして育児休暇を取りやすい雰囲気づくりなどを、職場の意識改革を含めた働き方改革ということで取り組んでいくことを目指しているところでございます。また、多様な働き方に対応して、保育サービス等につきましても、子育て支援のための社会基盤の整備も進めていくことといたしております。  いずれも、子供が安心して健やかに育つことができるように子育ての家族を社会全体として応援をしていく、まさに「子どもと家族を応援する日本」重点戦略の基本的な考え方になっているところでございますし、また家族の日の趣旨でもあるというふうに思っております。  今、基本計画の中では、十四の項目の中には病後児のときの看護の問題については指標になっておりませんけれども、それがないからといってこの問題を無視しているわけでは全くございませんので、そういう意味で、仕事と生活の調和の元年として本年を位置付けまして、関係省庁やあるいは労使とよく相談をしながら、この問題につきましてもしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。
  183. 有村治子

    ○有村治子君 ありがとうございます。  やはり認知度がまだまだ低いので、この看護休暇制度について就業規則に明記する、あるいはこのことを周知徹底していただくということに関して数値目標を掲げていただく、しっかりと実現できたかできないか分かるような、そんな目標を掲げていただくなど、引き続き上川大臣の力強いリーダーシップを御期待申し上げ、よろしくお願い申し上げます。私も心して女性局長として頑張っていきたいと存じます。  次に、保育園での集団感染をいかに防止するかという観点から、病児・病後児保育について質問をさせていただこうと存じます。  幼稚園、学校は、風邪などの感染によって一定の欠席者が出ると学級閉鎖となります。が、その一方で、児童生徒よりもはるかに体力や免疫力が弱い乳幼児が集まる保育園では、感染症が流行している場合でも、保育に欠ける園児、お子さんを受け入れる社会福祉施設という趣旨から、学級閉鎖をすることができないのが現状です。そのため、全国の保育園では、園児の手洗いを励行して、子供たちが昼寝で使う寝具の洗濯や空気の清浄化に常に努力され、保護者に対しても予防接種の計画的な実施を呼びかけられるなど、集団保育の中で感染症を最小限に食い止めるために、日夜、衛生管理のために最善の努力を尽くしておられます。私も日常的に全国の保育園に伺い、視察させていただくんですが、本当に頭が下がる思いで、敬意と感謝の念を強めております。  昨年は、首都圏の十代、二十代という若年層を中心にはしかが広がり、小中学校、高校、大学に至るまで学級閉鎖、学年閉鎖、学校全体の休校を実施したところも相次ぎました。このような事態が今後も想定されますが、それでも保育園は学級閉鎖をすることがなかなかできません。あくまで命の安全あっての福祉であるはずです。学校保健法の想定にすら入っていないゼロ歳、一歳、二歳は、その成長段階からして、よだれを垂らし、密度の高い部屋で床にみんなではいはいしている状態で育っていきます。当然、自分で手を洗うこともまだできません。感染症が一たび発症したら、床に近いところで成長を続ける乳幼児は、唾液や寝具、タオル等を介してどんどん集団感染が広がっていくというリスクがあります。  社会の中で最も脆弱な乳児が、集団感染症から守れる体制になっていない現状を早急に改善して、例えばO157やノロウイルス、新型インフルエンザなど、感染力の強い感染症を厚生労働省として指定していただき、保育園での集団感染を防ぐ手だてを国として早急に準備していただきたいと考えます。厚生労働大臣のお考えをお聞かせください。
  184. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) この問題は、広く言うと保育園と幼稚園、これの一元化ということにもある意味ではつながってまいりますが、今委員御指摘のように、児童福祉施設という児童福祉法上の決めがありますので、結局、保護してくれという要求があれば開かないといけない。しかし、今おっしゃったように、幼稚園や小学校は学級閉鎖という手が取れるのでありますけれども、こちらは取れないと。そうすると、子供たちの健康ということを考えれば、早く閉鎖した方がいいということになります。  ただ、そのときに具体的に考えないといけないことは、閉鎖した場合に、どうしても保育が必要な方を例えばどこの保育園で預かってもらうんだろうかと、そういうきめの細かい手だてが実は必要だというふうに考えておりますんで、私自身もこの問題意識は持っておりまして、保育に預けたところで病気にかかるというんでは話になりませんので、何らかの手が打てないか。早急に、法改正までいかなくても、実効性のある集団感染を阻止する道が開かれればいいし、それから保育を継続してもらいたいという親にとっての要求も同時に満たす、そういうことは市町村と、また現場とよく相談しながらしかるべき対策を立ててまいりたいと思います。
  185. 有村治子

    ○有村治子君 力強いお約束、本当にありがとうございます。  実際にはノロウイルスにかかっている家族が倒れているという情報が分かっていても保育園に登園拒否ができないという状況の中で、保育園、頑張ってくださっています。今検討していただくことを実現さしていただけるのであれば、通達という形ではなくて、やはり省令というような本当に拘束力のある、実効力のある通知の方法をして、徹底をしていただきたいと存じます。  次に、マタニティマークについて質問をさせていただきます。  四年前、私、妊娠、出産を初めてして、気付いたことがたくさんありました。実際におなかが大きくなってくると周囲の方々も何となく優しくし始めてくださるんですが、一番つらいのは妊娠初期、おなかの出っ張りが全く見えないけれども、私自身お医者さんに診断をされて、流産しやすい体だと診断を受けました。流産しやすい体で流産しやすい、流産のおそれが一番最も高いのは、妊娠初期でございます。でも、そのときにはおなかの出っ張りが見えていないので、だれもそのことに気が付いてくれる人がいません。そのときに、毎年全国百万人誕生するその妊婦さんの中の多くは、孤独感や不安感にさいなまれます。そのとき、私、妊娠しています、席を譲ってください、座りたいんです、これが本当に有り難いんです、つらいんですということを勇気を持って口にすることがなかなかできません。  そこで、全国統一のマタニティマークを作るべきだ、そして自らが妊娠していることを周囲にさりげなく伝え、周囲も命をはぐくもうとするその取組を温かく見守る社会になっていくべきだと、私が首相官邸で提案をさせていただき、厚生労働省の担当のスタッフも、皆さんもう本当によく頑張ってくださって、マタニティマークが実現をしました。埼玉県の母子愛育会の方が応募していただいたこの作品が全国統一のマタニティマークになりました。(資料提示)「おなかに赤ちゃんがいます」と、胎児の出現を心待ちにしているほほ笑ましいお母さんの姿でございます。  このマタニティマークを母子手帳と同時で妊婦さん全員に交付していただく自治体が出てくるなど、積極的に取り組んでくださる自治体も全国で出てまいりましたけれども、まだまだ全国的な広がりが見られません。その後の進捗状況、今後の取組を厚生労働省にお伺いします。
  186. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) これは、今おっしゃったようにマタニティマーク、十八年三月に決めました。首都圏の主要鉄道事業者などにこのマークの無償配布をお願いする、関係団体にも協力をお願いいたしますとともに、平成十九年度から各市町村において母子健康手帳と併せて配布する、今委員がおっしゃったとおりであります。そのための地方財政上の措置も講じました。  それから、国民に対して啓発するためにポスター、リーフレット、これを作成しまして自治体、関係団体にお配りするということで、大分このマークの認知度も高まったと思いますが、ただ、これ、こう見せて何か分かってますかと言ったら、どうでしょうかね、その何割の方が認知してくださるか。それが問題だと思いますんで、政府広報を使う、それからメディアにも御協力をお願いする、そういうふうなことでマークの定着に向けた運動を更に進めるとともに、やはりそのマークを付けてても席を譲ってくれなきゃ話にならないんで、シルバーシートなんというのはちゃんと書いてあるんですけれども、そういうところに元気な若者が足投げ出して、うんともすんとも言わないというのは非常にふんまんやる方ない風景を、光景を見ますんでね、これはやっぱり国民全体がこういうことをきちんとやらないといけないと思いますんで、政府としても全力を挙げて啓発に努めたいと思います。
  187. 有村治子

    ○有村治子君 首都圏の鉄道会社では、東京メトロさん始め多くの鉄道会社が今優先席におなかの大きな妊婦さんのアイコンと別にこのマタニティマークのシールを張り始めていただいて、(資料提示)これが大変助かったという、そんな声が実際に妊婦さんから厚生労働省に寄せられております。  東京メトロ、JR、私鉄すべてが主体的にマークの配布に取り組んでくださっていますけれども、それ以外の全国の地域ではまだまだ活動が見られません。毎年百万人いらっしゃる妊婦さん、当然のことながら首都圏のみならず全国各地にいらっしゃいます。  そこで、全国全域における公共機関、鉄道でのマタニティマークの啓発、配布に取り組んでいただけるよう、国土交通大臣に御検討いただきたいと存じます。いかがでしょうか。
  188. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 一昨年ですか、十月四日の参議院本会議で、有村委員は自由民主党を代表して代表質問されました。その中でこの問題を厚生労働大臣に聞かれまして、私、厚生労働大臣の隣に座っているんですよ、席。それで、直ちに私に、これ協力してもらいたいという話がありましてね。  私もよく話を聞いていまして、実は私も四人子供がおりまして、そのことをよく存じておりますので、これは協力しなきゃならないということで、交通機関をたくさん集めました。そして、協力をしていただきたいということで申しましたところ、皆さん快諾をいただきまして、鉄道関係では、ポスターを五十四事業者に七千二百枚。ちょっと持ってきてください。あなたも見せられましたけれども、こういう機会に全国の人に見てもらった方がいいと思うから。(資料提示)こういうポスターを七千二百枚、それからステッカー、先ほど見せられました、この部分ですね、これを二万一千五百枚、それからバス関係では、ポスターをバス協会に百五十枚、それからステッカーを三百九十五事業者に六万五千枚、それから空港では、ポスターを全国の空港ターミナルに百八十枚それぞれ配布しまして協力を求めましたところ、皆さん本当快く、また積極的に協力をしていただいております。  我々は、妊産婦の方々に優しい環境づくりを推進するために、広く国民の関心を広め、そして優しい社会をつくっていくために頑張りたいと思います。
  189. 有村治子

    ○有村治子君 ありがとうございます。  このマタニティマークは厚生労働省のホームページに載っておりまして、だれでもこのマークを使うことができます。私、有村のホームページのトップページにも載せておりますので、もし可能であれば、興味を持っていただける方は御活用いただきたいと存じます。  本来、厚生労働省マターであります妊婦さんへの支援を国土交通省所管の、しかも業務形態としては圧倒的に男性が多く、安全で堅いことを旨とするそんな鉄道会社の皆さんが、前例主義を乗り越えて自発的に自らの費用でマタニティマークの推進に取り組んでいただいていることを、私は国民の一人としてすごく、すごく誇りに思っています。  駅員さんたちは、日々酒気帯びの乗客から絡まれたり不審物への警戒など次々と緊張を強いられる前線で働いていらっしゃるので、今、社会問題が起こると、犯人捜しが始まって人を容赦なく非難することが多い日本社会にあって、やはり公益のために地道な任務を黙々と、しかも確実に遂行されている駅員さんやそういう人々に対する敬意こそもっともっと必要なものだと私は感じています。  そういう意味で、マタニティマークの恩恵を受ける人が駅員さんに一言有り難い、ありがとうという声を掛けていただくこともまた善意を広げていく大きな力になると御紹介をさせていただきます。  時間が限られておりますので早口になりますけれども、一つ、最後に児童ポルノについてお伺いをさせていただきたいと存じます。  質問時間が限られておりますので、総理に一言求めたいと思います。  大変残念で不名誉なことですが、今、日本は全世界において有数の児童ポルノの発信国、消費国としての現状があります。  読売新聞の朝刊、今年一月三十日に掲載されたトーマス・シーファー駐日アメリカ大使の寄稿文を拝見し、心を揺り動かされました。  この記事は、下院議員としてアメリカの国政にも参加されていた大使が、外交全般ではなく児童ポルノという分野で、やむにやまれぬ思いで執筆された日本人への呼びかけです。事の本質を見事に喝破された説得力のある論文なので、本日委員の皆様には配付しておりますが、世論を形成される日本全国の皆様にもこの問題を共有し、子供たちのために是非手を貸していただきたいと御紹介をさせていただきます。  いわく、シーファー大使がおっしゃるには、児童ポルノという言葉は、犯罪のおぞましい性質を正確に表していない。成人ポルノとは違い、子供たちは自発的に被写体となったのではなく、報酬も得ていない。そのポルノの画像は凶暴で残忍だが、子供の多くは十二歳未満なんだ、実態は児童レイプだとおっしゃっています。被害者の子供は、傷や感染症だけではなく、うつや引きこもりなどの精神障害も生涯続けて成人後もさいなまれます。性的虐待を受けたことに加えて、画像がインターネットで世界中に配信されることで、子供の人生は永久的に変えられてしまいます。  主要八か国の中で児童ポルノ所有を非合法化していないのは日本とロシアだけだと名指しをされています。日本では児童ポルノの所有が違法ではないため、捜査は極めて制限をされています。カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、米国、英国は、プライバシーと言論の自由に高い価値を置きながら、児童ポルノの非合法化は可能だと判断をしています。子供を犠牲にするための行為を保護する必要はありません。日米間の協力が、関係強化がなされれば、世界中で子供の現状が改善される。今こそ日米が連携して児童ポルノに対して立ち上がるべきだと主張をされています。  実在する子供を被写体にした児童ポルノの所持が、子供の人格と人間としての尊厳を踏みにじる市場を拡大させ、意図せず被写体となってしまった子供たちの生涯に及ぶ被害が余りにも甚大なことから、児童ポルノの規制をすべきだと、所持も規制をすべきだと思います。  子供たちを守る前線に立っていただく内閣総理大臣の御所見を伺います。
  190. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 鳩山法務大臣。  その後、福田総理大臣からお願いします。
  191. 鳩山邦夫

    国務大臣(鳩山邦夫君) 残念ながら、シーファー大使の御指摘やあなたのお話は正しいと思います。  この児童ポルノというのは性的虐待と密接に絡んでおって、実際この件数がうなぎ登りに増えておりまして、平成十八年が起訴と略式起訴と、非行少年の場合は家裁送致、合わせますと六百四十件、大変な忌まわしい言わばマーケットがあるということになるんでありましょう。しかも、写真であれば回収すれば済みますが、インターネットへ出回ったものは永久に世界を巡ってしまう。  だから、そのお子さんの人生が未来永劫破壊されるようなそういう要素があるので、あなたの御指摘は、児童ポルノの、商売目的は以前から禁止をされて処罰対象ですが、単純所持も処罰せよということでありましょう。私は、そういう方向にあっていいと思います。単純所持を処罰できるようになれば、そこが穴になってどうしてもうまくいかないという部分があるんでしょう。平成十一年に法律ができて、十六年のときに単純所持を禁止する、しかし罰則はないと、こういう案だったんでしょうが、まあ私はこういうことは厳しくていい、罰則があっていい、そう思っています。
  192. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 児童ポルノと申しますか、青少年を対象にしたそのポルノというのは、今から十数年前は漫画ございましたね、漫画ポルノ、あれもあのときに問題になりましたけれども、やっぱり日本はそういうものを許容する、そういう社会なんでしょうか。これは決して誇るべき社会でないと思います。  そういう観点から、この問題についてはしっかりと対応すべきであり、私もこれは何らかの手を打たなきゃいかぬと、こう思っております。
  193. 有村治子

    ○有村治子君 今、少子化の進む日本において、官民挙げて、与野党挙げて守っていかなければならないのは子供たちの未来です。品格のある国家を目指すためにも、その国家を成す私たち一人一人が品位のある生き方を実践していかなければ、世界から尊敬される日本にはなり得ません。  幸い、去年内閣府がした世論調査でも、有害情報は規制すべきと答えた人が初めて九割を超えました。子供の安全と人格を守るためには有害情報を規制すべきというふうな世論の大きな後押しがここ近年出ています。そういう意味で、世界有数の児童ポルノ王国と名指しされ、一部の心ない人たちがあどけない子供たちを買うために行われる人身売買についても、悪名高き日本の汚名を今こそ勇気を持って社会挙げて返上すべきときだと思います。  この点についての福田政権、福田内閣総理大臣始め皆様の御協力と、私たち自身も与野党挙げて頑張っていきたいという意思を明確にして、残り四十分を同僚の西島議員に御担当いただき、私、有村の質問を完了させていただきます。  ありがとうございました。
  194. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 関連質疑を許します。西島英利君。
  195. 西島英利

    西島英利君 自由民主党の西島でございます。  本日は、まずこの度の中国産の冷凍ギョーザ中毒事件について、まずは御質問をさせていただきたいと思います。  細かいところについてはもう連日のように報道をされておりますので、大体国民の皆様方はお分かりになっているというふうに思いますけれども、今回の事件についての厚生労働省としてどう対応されているのかについてお聞かせいただきたいと思います。
  196. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) お答えいたします。  今回のこの件に対しまして、まず、このような製品は絶対に食べないように、私も繰り返しテレビで国民皆さん方にお訴え申し上げました。  それから、関係自治体に対してこの同じような注意を喚起していただくとともに、徹底した調査をやると。それから、この冷凍ギョーザを作っていた製造業者からのすべての輸入食品について安全性が確認されるまでの間、販売中止と、これを要請を各自治体にいたしました。  また、在日中国大使館を通じて、中国政府に対して本件に関する情報提供を行うこと。そして、昨晩は中国側から係官が参りました。それから、我々の方でも調査チームを派遣すると、そういう方向で今緊急に取りまとめをいたしております。  そしてまた、三十一日に関係閣僚会議を開きましたけれども、二月一日から厚生労働省及び自治体において相談窓口を設置する。それから、このことに、この案件に関する質問と答え、クエスチョンズ・アンド・アンサーズをホームページに掲載すると。それから、日本医師会に対しましても、有機燐中毒の疑いのある患者を診断した場合に、直ちに保健所に通報していただきたいということを申し上げました。  それから、最初の年末の案件、それから年初の一月六日の件についての情報が厚生労働省に直ちに上がってこなかったことにかんがみまして、通知を出して、少しでも疑いがあれば直ちに報告するようにということを徹底させたところでございます。
  197. 西島英利

    西島英利君 今回の中毒事件は、これは急性中毒でございますのであっという間に症状が出て、そして大きな社会問題化になってきた。ですから、マスコミも大きく騒ぎ、政府もそういう対応を取っておられるんだろうというふうに思いますが、もう一歩踏み込んでいきますと、先ほど櫻井委員からもアレルギーのお話が出ましたけれども、実は一番怖いのはいっぱいあるんですね。一つは発がん性の物質でございます。これがいろんな形で製造過程等々で使われているというお話も私は聞きます。  御存じのように、水俣病というのがありまして、今でもまだこれ尾を引いているわけでございますけれども、水俣病はあそこのチッソ工場から出されたそういう物質を魚が食べて、その魚を要するに頻回に慢性的に摂取した結果ああいうような状態になってきたということでございまして、これから我々が食ということを考えたときに、やはり将来的にどうなっていくのかということでの情報というのは非常に重要であろうというふうに考えているわけでございます。  そういう点から、どのようなものがこの生産段階で、例えば今回は消毒液、殺虫薬が使われたとかいろんなことがありますけれども、生産段階でどのようなものが使われたのか。そして、今度は、製造段階で使われているのが何なのかというものを厚生労働省として把握していらっしゃるでしょうか。それを、私は是非この認識を持っていただきたいと思うんですね。  そして、もしそれをしていらっしゃらないんであれば、やはりそういうことを把握する、情報として取る、そしてこれを例えば輸出国に対して、やはりこういうものについてはきちんとした対応をしてくれということを言える、やっぱりそういう体制づくりが必要ではないかなというふうに思うんですね。今回のこの中国産の様々な食品が日本にどんどんどんどん輸入されてきておりますけれども、実際的にそういう情報がほとんど取られていなかったということが今明らかになり始めているわけでございますね。  実は、ここに一つの本がございます。「中国の危ない食品」という本が出ているんですね。これを読みますと、私ども医者がびっくりするようなことがたくさん書いてあります。こういうようなものが使われているのかと。これでは、先ほど言いました慢性的に摂取していけば実は大変な状況になるわけでございます。  C型肝炎が何で今回大きな問題になったのかと。これは、行き着く先が、当時は分からなかったんですけれども、その後で、肝硬変から肝臓がんになるということでああいう大変な問題になったわけでございますので、食というのは毎日食べるものでございますから、この慢性摂取に対しての注意喚起というのは、やっぱり厚生労働省としてはしっかりとしていかなければならないのではないかなというふうに思いますが、大臣、いかがでございますでしょうか。
  198. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 今委員がおっしゃるように、毎日摂取する、例えば食品添加物、こういうものもあります。基本的には食品衛生法で基準を設けておりますけれども、先ほどおっしゃったような添加物であるとか残留農薬その他がありますので、残留農薬については十八年の五月からポジティブリスト制度を設けて輸入時に必要な検査を行っています。今、だから水際で検査をする。  今回の場合は、ああいう加工品のギョーザの場合に、生鮮食料品というか野菜なんかと違ってなかなかやりにくいという問題もありますけれども、少し輸入業者に対して厳しい指導をして検査を強化するというようなことも必要でしょうし、今おっしゃったように、例えば中国の現場でどうなっているかというのは我々があずかり知らない。今回の件でも、輸入業者がそこに行って視察をする、時々監視をする、そういう形で本当に守れるんだろうか。  これは、第一義的には中国当局がしっかりとこの検査体制を確立してもらわないといけないわけでありますから、それは外交ルートを通じて引き続き要請をしていきますけれども、さらに、この輸入食品の安全性をどうすれば高めることができるか、必要な規制も加えて、関係閣僚会議もございますので、鋭意検討してまいりたいと思います。
  199. 西島英利

    西島英利君 本当にこれ、実は気が付いたら全部死んじゃったということにもなりかねないわけでございます、極端に言えばですね。是非そういう体制づくりをしていただきたいと思うんですが。  ところで、外務省として今回のこの事件についてどのように対応されてきたのか、またさらに、やはり先ほどの舛添大臣のお話もございましたように、相手が外国でございますから、情報をどう取っていくのか、どう相手を指導するのか、これは非常に重要なことだと思うんですね。そのために中国と、まあ今回は中国というふうにちょっと特定させていただきますけれども、今後どのような形でチャンネルをつくっていただくのか、そういう施策があるのかお教えいただければと思います。
  200. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) この事件がいわゆる発覚したのは一月三十日でありました。一月三十一日に中国外交部の部長助理、次官補という立場の人でありますが、私のところに来ましたんで、日本国民の食に対する関心は極めて高いと、この問題を重視していると、そして大切なことは、原因を究明すること、再発を防止すること、二度とこういうことを起こさないことだと、こういうことを申し上げました。  それに対して、何部長助理の方から、極めて遺憾である、被害者の方に心からお見舞いを申し上げたいと、そしてこの工場のこの会社の製品については生産停止、出荷停止の措置をもうとった、それから捜査当局も捜査を始めたと、そしてこの問題については日本と協力をしていきたいと、こういうお話があったわけであります。  そして、外務省、駐中国日本大使館の方は、この事件が発覚してから直ちに中国関係当局といろいろ連絡調整をしたと。そして、まず中国側から調査団が日本に来て、そして昨日お互いに話合いを持ったと。そして、日本側としても可及的速やかに調査団を派遣したいということで、そういうことで今やっているわけであります。そういう連絡調整をしているわけであります。  それから、日本大使館としては、農薬の登録状況とか使用状況とか、そういうことをどうなっているかということを把握したいと努めているわけであります。日系企業に対してもそういうことを協力を要請しております。そして、大使館のホームページ、メルマガ等を通じて、日系人に対してこういうことが起こっているという情報提供を今していると、こういうことであります。これは日中双方協力して原因究明、再発防止ということが一番大切でありますから、それに対して外務省としても全面的に協力していきたいと、こういうふうに思っております。
  201. 西島英利

    西島英利君 実はこういう情報交換というのは常日ごろできるということ、それから緊急時には即対応できるというやっぱりそういう体制が非常に大事だろうというふうに思うんですね。今回提出予定をされておりますけれども、日中刑事共助条約、これは是非早く体制づくりをしていただいて、速やかに情報交換ができると、それがやはり国民の安心につながるのではないかなというふうに私自身は思っておりますので、是非よろしくお願い申し上げたいと思います。  それからもう一つ、実は新型インフルエンザ、去年も問題になったわけでございますが、このときに中国が情報を出さないということが実は大きな問題になったんです。そういう意味で、やっぱりこれからいかに速く情報を出すか、出していただくか、そういうやっぱり常日ごろの活動というのが大事かなというふうに思いますので、是非よろしくお願いを申し上げたいというふうに思います。  それで、総理の方へちょっと御質問をさせていただきたいというふうに思うんですけれども、今回こういう食の安全ということで大きな問題になってまいりました。しかし、この食の安全というのも一つのやっぱり安全保障だというふうに思うんですけれども、防衛もやはり安全保障だと思うんですね。まあ先ほど言いました社会保障もこれは一つのやっぱり安全ということだろうというふうに思うんですが。  要はこれから先、先ほどもちょっと櫻井委員からも質問がございましたけれども、検疫的なもの、それから食をどういう形でその安全を確保していくのかというもの、こういうものをきちんと担保するというのはやっぱり国がすべき問題だろうというふうに思うんですね。しかし、一方では小さな政府という言葉も常に使われているところでもございます。防衛省の問題でも、要するにもう物を買うときに、要は少ない人数でとてもとてもチェックできないということが大きな問題になってまいりました。無駄なことをたくさんするという意味では私はないわけでございますけれども、やはり安全保障という点では、無駄なことは僕は物すごく多いというふうに思うんですね。  先ほど、櫻井委員から道路の問題が出てまいりまして救急車との関係がございました。昨日のテレビを見ていますと、民主党の菅直人さんが、つまり道路は造ってそこには行ったけど、そこに行った病院に医者がいないということを言われたんです。これは私は大変な間違いだと思うんですね。例えば、地方に行きますと、すべてをそろえるわけにいかない。心筋梗塞が発症した。そのときにはまずは応急処置をします。それから、その専門病院に送ります。これはまさしくここで時間の重大さというのがその後の生命に左右するわけでございます。そういう意味の、私はやはり高速道路意味というのは物すごく大きいだろうと。そういう意味での、これも一つの、まあ民主党さんに言わせますと無駄という言い方をされますけれども、しかし安全というのを考えたときに無駄というのはいっぱいそれをしていかないといけない。  新型インフルエンザもタミフルを備蓄するわけですよ。使うか使わないか分からないタミフルをたくさん備蓄しなきゃいけない。先ほどの蓮舫さんのお話の中にも、実は注射器がちゃんと、あれは櫻井さんでしたですかね、注射器はちゃんとあるのか等々。つまり、何かあったときのためにそれは確保しとかなきゃいけない。これがやっぱり安全保障だろうというふうに思っております。  そういう意味で、是非、総理からこの安全ということに関しての御答弁をいただければというふうに思います。
  202. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 食品の安全の確保というのは、これは国民の生命や健康にかかわることですからこれはもう極めて重要な案件だと思っております。そういうような心配を国民にさせるようなことであってはいけないと、こう思います。安全保障だと、こうおっしゃいましたけれども、国民の生命ということにかかわるんであれば、まさに安全保障だというように思います。  そして、今、我が国がどういう経済状況にあるかと申しますと、年々、海外とのかかわり、要するに外国から輸入するもの、また輸出するものも当然ございますけれども、輸入をする、そういうものが増えてきていると、こういう状況です。また、日本の活力を維持していくというためにも、海外との交易、また人的な関係ですね、インフルエンザということになれば人の交流ということが重要になってきますけれども、そういう人、物が水際でどういうような体制でチェックできるかということは、これは極めて大事なことであります。また、その数が増えてくるわけですから、ですから、こういう部門に人的な資源を充実させていくという方向というのは、これは我が国の将来を考えた場合にどうしても必要なことだというふうに思います。    〔委員長退席、理事林芳正君着席〕  グローバル経済とかいうように言いますけれども、そういう部分の必要性、日本の安全を確保するためにそういう部分も必要なんだという認識国民全体で持つべきであり、また我々も十分認識しながらやってまいりたいと思います。
  203. 西島英利

    西島英利君 是非よろしくお願い申し上げます。  それでは、社会保障についてお話を進めさせていただきたいと思うんですが、総理は一月の二十九日に第一回の社会保障国民会議を開催をされました。このときに指示された資料を見てみますと、将来にわたって国民に信頼される社会保障制度に裏打ちされた、すべての人が安心して暮らし、本当の意味での豊かさを実感できる社会をつくっていくために取り組んでいくことが必要であるという観点から、有識者の参加を得つつ、社会保障のあるべき姿と、その中で政府にどのような役割を期待し、どのような負担を分かち合うかを、国民が具体的に思い描くことができるような議論を行うために社会保障国民会議というものを開催をすると、こういう趣旨、目的でございました。  そこで、示された資料を見てみますと、二〇〇六年ですね、二〇〇六年の社会保障の給付が幾らになるのかといいますと、改革前でいきますと九十一兆円、それが二〇二五年になりますと百六十二兆円になると。だから、これではとてもとても持続ができないということで今大きな問題になっているんだろうというふうに思います。よって、この持続可能性を確保するために制度改正をやったと。一つには、平成十六年に年金改正、平成十七年に介護、これは介護保険ですね、それから障害者の自立支援法もこのときに成立をしております。平成十八年には医療関係の改革が行われております。  しかし、その後、実は様々な課題が生まれてきたわけでございまして、それに対して緊急措置が行われてまいりました。これは、やはりまず財源ありきから内容をどんどんどんどん決めていった結果ではないかなと。実際、私もこういう制度をつくる中におりましたので、大分いろんな意見を申し上げたんですが、そういうふうに感じているところでございます。  その結果、直近では今年四月からスタートします後期高齢者医療制度、これの保険料を含めた負担の凍結、先送りをやると。これは総理が御決断をされたところでございます。さらには、障害者自立支援法の抜本的な見直しを行うと。これは総裁選挙のときに公約の中にたしか福田総理が入れておられた部分ではないかなというふうに思っております。  そこで、今度の一月の二十二日に行われました参議院の本会議の代表質問で、参議院自民党の尾辻会長が以下のような質問をされました。プライマリーバランス黒字化での歳出削減方針の下で、このところ毎年社会保障費を二千二百億円削減してきました。来年の予算でもそうなっております。しかし、社会保障費を削るのはもう限界です。乾いたタオルを絞っても水は出ません。来年のことを言うと鬼が笑うと言いますが、あっという間に平成二十一年度予算の概算要求の時期になりますので、申し上げます。平成二十一年度予算では社会保障費二千二百億円の削減は行わないと約束していただきたいのでありますという御質問をされました。  さらに、去年は、川崎厚生労働大臣のときでございましたが、二〇〇七年の予算をどうするかというときに川崎厚生労働大臣は、今年は二千二百億、これはもう認めるけれども、これ以上はとてもとてもできないということを記者会見で言っておられます。  そういうような状況の中で、やはり今後五年間の歳出改革で、二〇一一年度までには本来自然体でいくと四十兆円近く掛かるのを三十八兆三千億円程度に削減をするということもお示しになっておりますし、骨太の方針の二〇〇六そして二〇〇七でもそういうことが実は書かれております。特に、二〇〇七では、機械的な削減は行わないという一項目が入っているんですけれども、しかし、この平成二十年度の予算では、やはり二千二百億円の削減がまず大きな問題になりました。  そして、今回は医療がターゲットになりました。昨年は生活保護と、それから雇用と、それからやはり介護が実はターゲットになったわけでございます。恐らく、来年は何なのかといいますと、介護報酬の改定のときでございますから、恐らく介護報酬がターゲットになるだろうと。  しかし、こういうことで本当にやっていけるんだろうかと言いながら、ちょっとこの二千二百億を検証させていただきたいというふうに思いますけれども。(資料提示)このパネルは、毎年毎年二千二百億ずつ削減をしてきた結果、本当に一兆一千億で済むのかということをこれは示したわけでございまして、皆さん方のところへは配付がされているはずでございます。  これは一つのイメージ図でございますので、これでお話をさせていただきますと、まず二〇〇一年度、将来的に幾らの自然増があって幾ら伸びるのかということを考えた場合に、これではまず二〇〇二年度二千二百億削減をしようと、抑えようと。つまり、自然増の伸びを二千二百億に抑えようということで、ここでまず二千二百億です。ところが、二〇〇三年度の予算を決めるときには、来年はどれだけの自然増になるのか。これはもう二〇〇二年度に二千二百億を抑えた結果の中での来年は幾らかということでございますから、となりますと、また来年、二〇〇三年度に二千二百億を抑えるということになりますと、前年で抑えた二千二百億も合わせた形での実は抑制になると。これをずっと二〇〇六年まで持っていきますと、ただただ一兆一千億ではなくて、完全にその自然増として抑えられた部分はこれは三兆三千億になるということが実は考えられるわけでございます。ですから、二〇〇六年度からスタートしまして二〇一一年度までに一兆一千億更に抑制をするという考え方でございますが、とてもとてもそれでは済まない状況が私は起きているんだろうというふうに思っております。  こういうことに関して舛添大臣はどうお考えでしょうか。この本会議のときはこれは総理がお答えになりましたので、厚生労働大臣としてはこの二千二百の毎年の削減についてどうお考えでしょうか。
  204. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 今年度もこの薬価の引下げ、それから保険のこの健保組合からの拠出というような形で乗り切りましたけれども、もう本当に限界に来ていると、そういう感じがいたします。もちろんその効率化、安全化、そしてその持続可能な制度ということで、財源の面を全く無視をして話をしているわけではございませんけれども、国民の命を守るという観点から見たら、これは給付と負担ということも踏まえて国民的な議論を、どういう財源を持ってきてこれに対応するのか、私は、もう少なくとも次の年に同じことをやれといったら、本当に尾辻議員がおっしゃったように乾いたタオルを絞るのかということになると思いますので、限界に来ているという認識を持っております。
  205. 西島英利

    西島英利君 要するに、厚生労働省としてはこういう考え方だろうというふうに思うんですね。  ところが一方、財務省はどうなのかといいますと、これは平成二十年度予算の編成等に関する建議、これは毎年十一月に財政制度等審議会の名前で出てまいります。この建議の中でかなり詳しい内容が実はこの中に書き込まれているんです。特に、今年は医療がターゲットになりましたし、明確に書いておりますが、この二千二百億は医療で何とか削るということがこの中に書いてあります。  その中には様々な内容が書かれていますけれども、医師確保の対応についても、病院勤務医の厳しい勤務環境などを一つ一つ対応していかなきゃいけないとか、開業医が期待されている役割を担っているか再評価をするとか、それから医療サービス提供コストの縮減合理化を進めると、保険料・税で支える公的医療給付については、サービス産業としての総医療費と峻別し、真に必要なものに給付の範囲の重点化を図ることと、こういうようなことがたくさん書いてあるんですね。  そして、大変申し訳ございませんが、財務大臣が一日の日に記者会見をされておりまして、それに似たようなことをおっしゃっているんですよ。つまり、ああ、財務大臣はこの建議書で言っておられるんだなというふうに私は思いました。  細かいことをここで議論をするつもりは毛頭ございませんが、例えば今、勤務医がどうして激務になったのか。私も勤務医をしていましたので、当時は三日間ぐらい徹夜でやったこともございます。しかし、そのときはそんなに厳しいとは思ってなかったんです。それはなぜかといいますと、回復期の患者さんも一緒に診ていたんです。ところが、今は在院日数をどんどんどんどん短縮しろと。診療報酬上は在院日数が少なければ少ないほど実は高い点数が得られると。こういう状況の中で、急性期の病院は重症の患者さんを次から次に入れて、そして次から次に退院をさせている。こういうことで、来る患者、診る患者はみんな重症なんです。とてもとてもその余裕を持って診るという状況はないんですね。こういうことが実は勤務医の燃え尽き症候群を起こしているんだろうというふうに私自身は思うわけでございます。  そういうことで、と同時に、例えば公的保険をどこまで診るのかということですが、これも臨床医としてちょっと言わせていただきますと、風邪だと思って町の薬局から薬を飲んでいたけれども全然良くならないと、どうしても良くならないから病院に行ったらば実は肺がんだったとか肺結核だったというもの、これはもう結構、我々の常識でもあるんですね。体がだらしいんで栄養剤を飲んでたが良くならないと、病院に行ったら肝臓がんだったというふうなことはあるんですよ。ですから、軽症とか重症とかいうことは、単なる症状だけではとてもとてもこれは決められない話でもございます。  しかし、そういうようなことがこの中にいろいろと書き込まれておりまして、今回も在院日数を短縮しようという動きも見られたようでございますけれども、その中で実はもう一つ重要なことがございまして、今DPCという、要するにこの病気については幾らのお金を払いますよという、その支払方式がございます。例えば、大学病院とか大手の病院は結構この方式を使っているんですが、このDPCを採用している病院の確かに在院日数はどんどん短縮してきました。しかし、病気が良くなる率がどんどん下がってきている。さらには、再入院率がどんどん上がってきておるんです。これが現実なんですね。ということは、医療の質が実は下がってきたんだということはこれで言えるだろうというふうに思います。  そういうことで、平成二十年度の建議書のこのメンバー、出された制度審議会のメンバーを見てみますと、この中には医療、福祉、それから介護のサービスをされている方、だれも入っていらっしゃらない。そういう中でこういう細かいことが実は出されてきて、それが一つの下敷きになって、実は、じゃ、どれぐらい縮減しようかという話にも私なっていくんじゃないかと。  やはり、こういう非常に重要な、来年の予算をどうするかということを議論される場には、やはりそういう委員も、委員というか分科会でも構いませんので、そういうものをやっぱり採用していく必要性が私あるのではないかなと。でないと、本当に現場を知らない、先ほど櫻井さんが何回も言いましたけれども、現場はこうなんだということがなかなか通じない、そういう状況の中で、実はサービスは、いや、保険はあってもサービスがないということが起きてくるんじゃないかなと。  特に、来年は介護だとなりますと、今ホームヘルパー等々の状況をオフィシャルなこの報告書を見ますと、まずは給料が低いということが言われています。それから、離職率が物すごく高いと。それから、要するに、雇用の募集は非常に高いんだけれどもなかなか来ないというようなことが起きていますので、本当に、このままでいきますと、要するに保険あってサービスなしということが起きるのではないかなというふうに思うんですが、そういうことで、要するに審議会の在り方について少しコメントをいただければと思います。
  206. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今日は、櫻井先生とか西島先生とか、医療の専門家の御質問が相次いでおりますけれども、バブル崩壊後、やっぱり日本の国家の在り方、日本の国の在り方、将来像をどういうふうに考えていくかということから見直しが始まったんだと思います。そういう中で、あらゆる分野でこのままでいいのかということで、いわゆる構造改革というものがスタートしたと。  構造改革というのは、ある意味では、改革をすれば破壊に結び付くところもあるわけでございますけれども、しかし、これからは改革と同時に創造していかなければならないという時代なんだと、こう思います。その中で、様々の無駄があったのか、もっと経費削減できないのか、そういうことで我々はやってきました。  一方で何があるのかというと、将来の成長に結び付く分野にお金を使わなければならないということ、もう一つは膨大な借金を抱えているということ、これをやっぱり我々の時代にきちっとしておかなければならない。どこの家庭でも、おやじが借金をしたものを子供に受け継いでいくことは、やっぱり、まあこれはなるべくなくしていこうと考えると同じように、国でもそうだと思うんです。  そういう中で、財政再建と成長産業をどういうふうにしていくか、日本の成長力をどうしていくかということが今までやってきたことだと思います。その中で、おっしゃるように、社会保障、少子高齢化、人口が少なくなっていく中でお年寄りを安心させていくためにはどうしたらいいのかということが問われていることだと思います。  もうそれは、委員御承知のとおり、膨大な負担が掛かるわけであります。医療給付だけで二十八兆円が二〇二五年には四十八兆円になると。今、一人当たり、若い人の医療費というのは十万から十五万でしょう。恐らく七十歳以上だと七、八十万掛かっていますよ。このままほっておいたら医療保険制度は崩壊すると思います。  私も、国民全部が安心して医療にかかり、年金をもらい、そして年取ったら介護にかかって、その人生を、八十年時代、百年時代を生き残るような体制を今つくろうとしているわけです。それが福田政権の社会保障国民会議になるわけでございますから、そういう視点で議論をしていきたいし、政策をつくっていきたいというふうに思っております。  財政制度審議会においては、委員御指摘のとおり、専門家がおりません。これは私も若干問題かなと思いますから、分科会とか何かでそういう専門家からヒアリングをして、現場の声を反映させることが大事なことだと思います。
  207. 西島英利

    西島英利君 ということで、もう限られた財源の中ではどうしようもない時期に来ていることはこれは間違いないんですね。ですから、そういう意味での新しい財源論、要するに、これから先、日本はどういう方向へ進んでいくのか、そのためにはどういう負担を国民に求めるのか、そういう議論を今まさにしなければいけないときであろうというふうに思っています。  そこで、例えば年金の問題にしましても、年金を社会保険方式にするのか税方式にするのかという議論が今盛んに行われております。民主党さんが昨年の参議院選挙のときに出されましたマニフェストを見ますと、こう書いてあります。消費税率は現行のままに抑えて、その全額を年金の財源に充てます。それにより現行の給付水準を確保しますと。そして、年金の基礎部分は全額税で賄いますということなんですが、ところが今、消費税は十三兆二千億ぐらいしか、たしかないはずですね。基礎年金財源を全部税金で賄うということになりますと、二十二兆円掛かるわけでございます。とてもとても足りないという中で、本当にこれで税方式でやれるのかどうか。  そういう議論もやはりしていかにゃいけませんし、やはりこれから先増えていくものに対して、例えば保健、医療、福祉、介護というのは実は労働集約型産業なんですよ。ということは、コストを、どこを抑えろとか、非常に厳しい。つまり、削減をされるということは、一気にその人の収入、生活の部分まで入ってくる、サービスを提供する側がですね、そういうこともあるわけでございまして、まさしく今ここでこの議論をしっかりとしないと、将来、要するに我々の子供たちに悔いを残すことになるのではないかなというふうに思います。    〔理事林芳正君退席、委員長着席〕  是非、総理のコメントをいただければと思います。
  208. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) この社会保障、今、年金、医療、介護、福祉と、こういうふうにおっしゃいました。こういう分野について、これは将来、現在の安全とか安心、もちろん関係ありますけれども、将来、自分たちは安心して老後を迎えられるのかどうかといったようなことも含めてトータルに考えていかなけりゃいけないということでございますので、これは非常に重要な案件なんです。ですから、このことについて国民の皆様に、そういう中身についてよく理解していただくということも必要なんだというように思います。  ですから、そういうことも国民の御理解を深めていただくという機会にもなろうかと思いまして社会保障国民会議というものを開催をいたしたわけでございまして、この議論を通して、いろいろな御議論を通して、国民の皆様方にも内容について、また将来の自分自身のことについてお考えをいただくということは必要なんだろうと思います。  もちろん、そういうサービスには負担は掛かるわけでありますから、その兼ね合いということもあるわけであります。そういうことも視野に入れまして、トータルに我々の人生設計をしやすいような、そういうような制度づくりというものを目指して、できるだけ早く結論を出すようにしてまいりたいと思っております。
  209. 西島英利

    西島英利君 もう時間がございませんので、きれい事ではなくて、やはり国民にしっかりと理解をしていただく活動をしていくのが私は政権与党の役割だろうというふうに思いますので、どうぞ総理のリーダーシップをよろしくお願いいたします。  ありがとうございました。
  210. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) これにて西島英利君の関連質疑は終了いたしました。  以上で有村治子君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  211. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 次に、谷合正明君の質疑を行います。谷合君。
  212. 谷合正明

    ○谷合正明君 公明党の谷合正明でございます。  本日の予算委員会のテーマは社会保障でございます。社会保障といいますと、従来、これまでどうしても高齢者の医療、介護あるいは年金等といいまして、主として高齢者の生活保障をどうするのかという議論が昔は中心であったわけでありますが、しかし今、少子高齢化、そして若者を中心として働き方の多様化が進んでまいりました。とりわけ、非正規労働者の、非正規雇用の増加に伴いまして、やはり社会保障、将来の持続可能な社会保障を考えると、人生の後半の社会保障だけでなくて、現役世代、人生前半の社会保障もこれから重要なテーマになってくるというふうに私自身は考えております。  そこで、私は、今我が国の社会的支出がどういうふうに配分されているのかということを、まずパネルに持ってまいりましたので示したいと思っております。(資料提示)  この図は、政策分野別社会支出の構成割合の国際比較でございます。それぞれの国で、年金、介護、そして障害、医療、児童手当を含んだ家族政策、そして労働政策、住宅、その支出がどういう割合で支出されているかを示したものでございますが、この色づけをしたところが現役世代向けの支出というふうに計上できると思います。すなわち、家族政策、労働政策、そういったものでございます。  我が国は、この現役世代向け支出が八・〇五%なんですね。日本、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、スウェーデンの中で非常に極めて低い数値になっております。  ただ、一つ注意しなければならないのは、住宅政策については、我が国の統計データ、アメリカの統計データはまだ未整備ということで、これ入っていないんですね。しかし、住宅支出を取り除いた割合でも、世界の中で日本は低い割合になっております。この数値について、これまでこれは少なくて済んだんだと私は思っております。  そこで、総理に、この若い人に対する社会支出、社会保障、労働政策含んだ社会保障ですね、社会支出、これは、現在のこの割合というのは妥当であると考えていらっしゃるのか、あるいはこれからを考えるときに少ない、もっと増やすべきだと考えているのか、まずその現状認識についてお伺いいたします。
  213. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 高齢化社会というか、高齢化がだんだんだんだん進んでいくという中で、我々の目はどうしても高齢者がどうなるのかなと、こういうふうなことに関心が行ってしまう、また政策の重心がそっちの方に行きがちなんですけれども、しかし少子化対策とかそれから雇用問題、これはやっぱり同時並行で力を入れなきゃいけない分野だと思います。  しかし、そういうような高齢化というようなことに政策課題がどうしても行ってしまうという、そういう現状というのは、どうしてもそういう若い人に対する手当てというものが手薄になっている可能性があるというような認識は持っておるところです。
  214. 谷合正明

    ○谷合正明君 やはり、なぜ若い人に対する政府の支出が重要になってくるかと申し上げますと、今若い人たちに対して投資した方が、将来行く行く投資しないで社会保障の給付費の増大を招くよりは、私は財政的にこの負担は少なく済むんであるというふうに考えているわけであります。  とりわけ、若年の雇用ですとかあるいは技能訓練というのは、これまで民間部門が担ってきたと私は考えております。しかし、非正規労働が増えてまいりました。この非正規労働が増えてきますと、どうしても所得が低く抑えられているんですね。このままでは若い人は、また若い人の非正規労働に対するニーズがあるとはいえ、私は、若い人が将来的に結果的に犠牲になってしまうんではないか、そういう危惧をしているわけでございます。  総理、ワーキングプアという言葉、今生まれております。そして、ネットカフェ難民という言葉も生まれてまいりました。総理、ネットカフェというのは御存じでしょうか。  私は、国会会期中、臨時国会だったんですけれども、秋葉原のネットカフェに泊まりに行ってまいりました。夜中一時、二時、そこへ行きますと、スーツを着た若い人が普通に利用されているわけであります。今ネットカフェというのは、そもそもシャワーが付いていたり歯ブラシも提供されたり、宿泊を前提に利用するというケースがあるわけであります。しかし、毛布もありませんし、電気もこうこうとついている中で、朝起きてもすっきりしないというのは私も実体験として持ったわけであります。  こうした利用者の中で、実際に住居がなく、寝泊まりするために利用されている方が、いわゆるネットカフェ難民という方が全国で大都市を中心に六千人いるというふうに言われております。大体平均の一泊の宿泊費は八百円前後だというふうに言われております。  私は、この問題についてはいろいろな理由があろうかとは思います。若い人たちの意識の変化であるとかニーズの変化あろうと思いますが、まずこうしたワーキングプアが生まれてきた背景について、また総理にお伺いいたしますが、どのように認識をされているのか、お伺いいたします。
  215. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) いわゆる、何ていうんですか、バブルのころですね、雇用関係が非常に良かったというか引く手あまた、そういったようなときに若い人たちが経験してしまうと、そのころは仕事をどんどん変わっても収入が減ることがなかったという時代があったんだろうと思います。そういうような人たち一つ原因があるかと思います。また、若い人の働き方が変わってきたという、そういうこともあるかもしれません。一生この会社にいるなんていう、私どもが考えていたようなそういう時代ではないということですね。  そういうような背景もあるかもしれませんし、様々な事情があって、そしてまた大事なのは、やはり雇用する側が受け入れないという事情があるのだろうと思います。ですから、両方あるんですね。両サイドにそういうものが発生する原因があるんだろうというふうに思いますので、これ、片方だけの対応というわけにはいかないんだろうというように思います。  ですから、私どもは、採用側に対して雇用について適正化とか、またいろいろな形で雇用を促進する、そしてそれが適正化、要するに正規、非正規というような差別をしないといったような形のお願いを申し上げ、また、政策的にもそういうものを取り入れていく、また、今年の四月からジョブ・カードというものをやると。いろいろなことを組み合わせた政策を提案して、そして実施して、そしてそういう方々をいかにして普通の雇用関係に持っていくかということに努力をしてまいりたいと思っているところです。
  216. 谷合正明

    ○谷合正明君 二〇〇一年から企業収益というのは毎年過去最高収益を上げていっているわけですね。しかしながら、国民の現金給与総額というのは伸び悩んでいると。その原因の一つが非正規雇用の増加であります。非正規雇用の中で、パート、アルバイトの数が多いわけでありますが、その中で、今日は派遣の中でもとりわけ日雇派遣、この問題について取り上げたいと思っております。  実は、私も公明党の党の青年局長として、若い人たちの声、派遣に従事する人たちの声、派遣の会社で正社員として働く方の声を聞いてまいりました。所得が低い、収入が不安定であるとか、年齢を重ねるほど正規雇用への転職というのは非常に難しいと、細切れの単発の仕事でスキルアップができない、そんないろいろな声を聞かせていただいております。派遣社員で正社員として働く方もそのことは認めておるわけでありますね。  この日雇派遣、先日も業界大手が違法派遣をしていたということで問題になりました。この日雇派遣については、労使共にこれは何とかしなければならないというのは、問題意識は共有されております。もはやこれは個別の派遣元事業主の問題ではなくて、むしろ日雇派遣制度そのものの問題に行っているのではないかと、私はそのように今考えております。  携帯で明日の仕事を求めるのをワンコールワーカーとも言うわけでありますが、実は先日、厚生労働省は日雇派遣について見直しのための指針と省令改正を取りまとめたところでございますが、そこでは派遣元事業主による派遣労働者への教育訓練というものがうたわれております。しかし、実際私も体験したわけでありますが、明日の仕事の情報が携帯にばんばん入ってくるわけですね。そういった状況の中で、実際にその訓練、教育訓練というのはできるのかというと、なかなかできないわけであります。  先日、北側幹事長が衆議院の予算委員会で、この日雇派遣については余りにも法令遵守がなされていないということで、これについては今自由化でありますけれども、原則禁止すべきではないかと、特定の専門的な業種については認めるべきであろうと、そのように申し上げたわけであります。私も全く同感であります。  例えば、マージン率とよく言われますけれども、有料の職業紹介所は手数料一〇%なんですけれども、派遣元事業主、日雇派遣については高いところでは四〇%ぐらいある、そういうケースもあるわけであります。そういう問題について、私は今後、原則禁止化へ大きく踏み出していくときが来ているのではないかと、そのように考えております。舛添厚生大臣の見解を伺います。
  217. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 今委員がおっしゃったように、日雇派遣に伴う様々な問題が出てきていることは確かであります。  それで、原則禁止にするかどうか。片一方では、多様な働き方ということで働く人たちの側にも一定のニーズがある、これは委員が御指摘くださったとおりであります。ガイドラインを策定したり、例えば日雇派遣の報告をちゃんとしなさい、それから派遣先の責任者も決めなさい、それから就業記録を義務化する、こういう指導も徹底しておりますけれども、最終的にこの日雇派遣、原則禁止を含めてどうするか。これは、今厚生省の中で研究会を立ち上げまして、早急に検討し、また皆さん方にもお諮りして方向を決めたいと思いますんで、問題意識は共有しております。そして、しかるべき対策を取りたいというふうに思います。
  218. 谷合正明

    ○谷合正明君 原則禁止といいましても、やはり実際働いている若い人たちがおりまして、じゃ、若い人たちをどうするのかとか、あるいは派遣先の企業をどうするのか、そのことも含めて私が申し上げたいのは、政府の役割というのはあるだろうというふうに思っているんです、そこに。ですので、そこはしっかりと今、検討会ですか、研究会の方でやっていらっしゃると思いますが、日雇派遣の人数がしっかり何人なのかという、そういう基本的な数字も是非つかんでいただきたいと思っております。  年長フリーターについて質問をさせていただきます。  今フリーターの数というのが、年々減少しているとはいえ、今グラフ紹介いたしますが、(資料提示)約百九十万人のフリーターがいると言われております。ニートにおいては、約六十万人のニートがいると言われております。フリーター常用化二十五万人プランでそれは実現したといっても、やはりフリーターの数というのはこれだけいるわけであります。とりわけ、年長フリーターという数も、二十五歳から三十四歳、再就職は難しい世代と言われております。  非常にこれは悩ましい問題だと思っておりまして、公明党も、このフリーター等で働く非正規の方の職歴を真っ当に評価していただく制度、いわゆるジョブ・カード制度導入を推進をしてまいりました。今回、福田総理も、このジョブ・カード制度については施政方針演説で述べていただきました。  しかし、このジョブ・カード制度というのは、この四月から導入される割にはなかなかなじみのない制度でございます。具体的に、フリーターのAさんはこのジョブ・カード制度を使ってどのようにしたら正社員の道が開けていくのか、担当大臣の大田大臣に分かりやすく御説明していただきたいと思います。
  219. 大田弘子

    国務大臣(大田弘子君) 日本は企業内訓練が主流ですので、なかなか正社員にならないと技能も身に付かない、したがってこのフリーターを続けざるを得ないという悪循環がございます。それを断ち切るためにつくられたのがこのジョブ・カード制度です。フリーターですとか子育てを終えた主婦の方が企業の現場で職業訓練の機会を得て、その履修を証明されるジョブ・カードを受け取るというものです。  具体的には、このフリーターAさんはハローワークに行きまして、そこでキャリアコンサルティングを受けます。そして、どういう職種が向いているか、相談の上決めて、その希望の職種の訓練を提供している企業できちんとプログラムされた職種訓練を受けます。そして、専門学校などで座学も受けます。その期間の賃金は支給されます。その上で、半年なり一年の訓練期間が終わって履修をしたという証明がなされれば、ジョブ・カードにそれが書かれます。  したがって、これは職業訓練の制度だというだけではなくて、履修を証明する制度でもありますので、そのままその企業が評価してくれれば正社員になれますし、その企業で採用されない場合も、ジョブ・カードに書かれた履修証明を基に類似の職種で就職の機会が開けるということになります。
  220. 谷合正明

    ○谷合正明君 分かりました。  そこで、課題はこの周知なんですね。そしてまた、この制度に参加する企業をいかに増やしていくかということなんですね。  一つ例を出しますけれども、この周知であるとか参加する企業が少ないと、せっかく計画したものも予算が適切に執行されないというケースもあるわけでございます。  例えば、十九年度から政府は、年長フリーター自立能力開発システムというシステムを、長い名前で分かりづらい名前なんですが、やっております。厚生労働省の委託で独立行政法人雇用・能力開発促進機構の事業として始まっております。企業で実習する、そして評価されれば正社員の道が開けてくるという、言わばジョブ・カード制度に類似した制度でございます。  じゃ、この自立能力開発システム、計画と実績、どのように差があるかというと、計画定員は十九年度で五千人なんですね。しかし、十九年の十一月末時点でこの制度を利用した入校者数はわずか三百二人ということで、これ、非常に私は、何というんでしょうか、効率のいい事業では全くないと思っているわけです。そのほかの事業も、若者向けの雇用政策についても、多々こういうケースは散見されているわけでございます。  そこで、若者の雇用対策を担う雇用・能力開発促進機構の仕事をしっかりここでいま一度検証していただきたいと。今後、若者の正規雇用につながるようなそういう施策をしっかりやっていただきたいと思うわけでありますが、舛添大臣の見解を伺います。
  221. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 今委員が御紹介いただいた年長フリーター自立能力開発システム、これ、委員おっしゃるように、どうも企業の方がいま一つ積極的でない。これからハローワークなんかを通じて、そこに求職者を求めてくる企業に対しては周知徹底し、こういうシステムありますということをやらないといけないというふうに思っています。  そして、私自身、雇用・能力開発機構の現場を見まして、そして訓練を見てきました。非常に優れた訓練を行っていて、なかなか企業ができない部分をカバーしているなというのもありますけれども、ある部分において、これはもう完全に民間に任せてこの機構がやる必要はないんではないかというのも散見されましたので、今整理を行い、きちんとそこの仕分をし、必要な訓練は残す、しかし民間に移せるようなものは移していく、そういう今整理をしたところでありまして、ただ、最終的には経済全体が成長し、企業が、これは有効求人倍率の問題になりますけれども、どうしても、もうまさに人不足であるというような状況になればこういうシステムについてももっと積極的になると思いますので、そういう全体の成長戦略の中でこの問題もまた位置付けて、きちんと対応してまいりたいと思っております。
  222. 谷合正明

    ○谷合正明君 事業仕分をしっかりしていただきたいと思うわけです。  次に、ニート対策について伺いたいと思います。  いわゆるニートについては、今、先ほど申し上げたとおり六十万人の数を超えておりまして、依然として高い水準にあります。今ニートに対する専門的相談事業の施設として地域若者サポートステーションというものが全国で四十七か所設置されております。  実は、昨年の十二月から、公明党の青年局で各都道府県、空白県、この施設がない空白県もございますが、この若者サポートステーションを一斉に調査しようということで実態把握に努めました。その結果分かったことは、一、まずこのニーズは非常にあるということでございました。そして二つ目、しかし現在の人員体制であるとかあるいは施設数ではそれに全く追い付かないということです。そして三、今後この事業の質の低下が懸念されているということでございました。四、ほかの、例えば教育分野との連携というものをこれも考えてほしいと。  どういうことかといいますと、まずニーズがある、しかし人的体制、施設数が足りないということであれば、私は、今四十七か所ありますが、少なくとも各都道府県に一つ二つはないといけないと思っているんですね。そのために、やはり倍増する、このことは大事であろうと思っております。しかしながら、倍増した、しかし予算がそれに見合って増えないということであれば、一か所当たりの委託費も減ってくるわけであります。そうしますと十分な相談員体制も取れなくなってくるということで、質の低下も実は現場では懸念されているわけでございます。この点についてどういうふうに考えていらっしゃるのか。  また、先ほど申し上げましたとおり、教育との連携というのは、この施設を利用される方の中には中学校、高校でいじめ体験に遭ったとか、あるいは中退者であるという数も多いわけであります。しかし、高校、中学の中退者の数であるとか進路未決定者の数という情報は、教育委員会は持っているけれども、教育委員会からこの地域若者サポートステーションの方に情報は入ってこない。つまり断絶されているわけであります。私は、そういう意味で、今後のニート対策を考える意味ではこの縦割りを排していくべきでもあると思っています。  大臣の見解を伺います。
  223. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) ニート対策、これは非常に必要でございますので、今おっしゃっていただいた地域若者サポートステーション事業、これは十九年度はまだモデル事業でありましたけれども、二十年度からはこれを本格的な事業に上げたい。それで、十九年度、五十か所である設置箇所を七十七か所にまで大幅に拡大いたします。  そして、訪問支援ということをやらないと、今おっしゃったように引きこもり、いじめられて外へ出たくないというような若者もいますから、そういうためのモデル事業をちょっとつくってみたいと。特に人材が必要だというふうに思います。  そして、やっぱり地域の実情に合わせたきめの細かいサポートをしないといけないので、地方自治体との協議。そして、今おっしゃった学校でのいじめ体験云々というような話は、これは文部科学省、そして地域の教育委員会、こういうところとも緊密な連携を取らないといけないので、やはりその若者が住む地方自治体と国との連携がかぎだと思いますので、今の委員の御指摘も受けまして、この点もしっかりと対応してまいりたいと思います。
  224. 谷合正明

    ○谷合正明君 以上、ニート対策であるとかフリーター対策、申し上げてまいりましたけれども、社会の中で多様化する若者の雇用問題について総合的に政府を挙げて取り組んでいただきたいと思っております。  無年金者、低年金者対策について伺います。  先日、無年金者になることが明らかになった数が百十八万人全国でいるという報告が出ました。我が党としては、この無年金あるいは低年金者対策として追納制度、あるいは二十五年の受給資格、これ余りに諸外国と比べて長いのではないか、短縮したらどうか、そして基礎年金加算制度、こういったことをこれまでも申し上げてまいりました。しかし、なかなかこれは実現しますというふうな回答をまだいただいてないんです。  というのは、例えば受給資格二十五年にあと一年足りない人は何人いるのか、二年足りない人は何人いるのかというこの無年金者、低年金者対策に必要不可欠な情報を社会保険庁は持っていないわけであります。まずこの年金記録問題、最優先されるべき問題ではありますが、しかし若い人たちの雇用の問題も含めて考えると、この問題、低年金者対策、私はしっかりとしたきめ細かい調査をすぐに始めていただきたいと思っておるわけでありますが、大臣の見解を伺います。
  225. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) まず、委員御指摘のこのデータの収集、分析、これをきちんとやりたいというふうに思います。  そして、今御提案のありました件につきましても、その前にいろいろ、すぐ掛金を払えない人に対してはいろんな免除措置とかもありますので、取りあえずはそれで対応しますが、今の新たな公明党さんの御指摘のような提案を入れた場合に、片一方でずっときちんと払ってきた方々との絡みとかモラルハザードの問題とかもありますけれども、こういうことを含めてこの社会保障国民会議ができましたので、この場でもきちんと議論をしてまいりたいと思います。
  226. 谷合正明

    ○谷合正明君 時間がございませんので、最後に総理に質問をいたします。  総理、是非とも我が国の国づくりとして青年を前面に押し出す施策、メッセージを発信していただきたいということでございます。若者担当大臣を是非この内閣に設置していただきたいということでございます。  年金問題あるいは雇用問題、格差社会、少子高齢化、教育問題など、社会に積み重なる課題の多くは、これは実は若者に今関連しているわけでございます。しかし、つかみどころがないということで、若者の政治的な中での議論というのはこれまでは後回しにされてきたと私は思っているわけであります。総合的あるいは省庁横断的にしっかりとこのことをやっていくということを、メッセージを、福田総理にまずその御決意を伺いたいと思っております。
  227. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 若者は明日の日本を担ってくれる方々なんですよね。そういう方が将来に対して希望を持てるような現状というものが必要なわけでありますので、ですから若者に対するいろいろな対応というものは、社会的な対応というのはこれは大変大事だと思います。  政府もそのことは十分に考えていかなければいけないと、こういうふうに思っております。そういうことで、特に青少年の育成施策とか世代間の合意が必要な政策、これについて若者の意見が適切に反映されるようにすることが大切であるということでありますので、政府として横断的な取組、これも不可欠な問題だと思います。今年は五年ぶりに新しい青少年育成大綱を作成する年なんでありますので、若者の声にもよく耳を傾けながらしっかりとした大綱を作成するということで、担当大臣は上川大臣なんでありますけれども、総合的な青少年行政を進める、そういう決意であります。  あわせて、今雇用を必要とするようなそういう若者もいるわけですから、そういう方々に対する施策ということも大事であります。これは今、新成長戦略というものを策定中でございますけれども、その中で新雇用戦略というものも考えていく、そういう中でそういう問題も取り入れていきたいと、こう考えているところでございます。
  228. 谷合正明

    ○谷合正明君 もう終わりますが、海外には青少年担当大臣というか省庁もあるぐらいでございまして、私は、是非このことについてしっかりと政府として、この育成大綱のまとめる年でございますので、しっかりとやっていただきたいということを最後に申し上げまして、質問を終わりにいたします。
  229. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 以上で谷合正明君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  230. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 次に、山下芳生君の質疑を行います。山下芳生君。
  231. 山下芳生

    山下芳生君 日本共産党の山下芳生です。  救急医療について質問します。  最近、救急搬送の受入先がなかなか見付からずに患者が死亡するという出来事が相次いでおります。総理は参議院の本会議で、救急患者の受入れが可能な医療機関を検索するための救急医療情報システムについて、ITを活用しながら、診療の可否や空きベッドの有無等の情報を迅速かつ正確に更新できるようにすると答弁されました。大事なことだと思います。ただ、それだけで解決できるだろうか。  一月の二日、東大阪市で交通事故に遭った四十九歳の男性が五つの救命救急センターから受入れを拒否され、一時間後に収容されましたが、死亡されました。先日、この男性を救急車搬送した大東市消防本部を訪ねて話を聞きました。受入れを断った五つの救命救急センターはすべて処置中か満床だったということが分かりました。受入先がどこも処置中、満床では、幾ら情報を迅速かつ正確に伝えてもらってもこれは搬送のしようがありません。どうしてこんなことが起こるのか。(資料提示)  救急医療体制は、比較的軽い患者を受け入れる初期救急医療、次に、入院を必要とする重症の患者を受け入れる二次救急医療、そして最後に、一刻を争う重篤な患者を受け入れる三次救急医療救命救急センターから成り立っています。ところが、このところ二次救急から撤退する病院が相次いでおります。(資料提示)これは大阪の二次救急を担う病院数の推移であります。二〇〇〇年の三百四病院をピークに減り続け、二〇〇七年には二百五十八病院と一割五分も減りました。全国の二次救急病院もこの二年間で百七十四か所減ったという報道もあります。その結果、本来二次救急で受け入れるべき患者が三次救急に流れ、言わば最後のとりでの救命救急センターがいつも処置中か満床に近い状態になっております。  総理、救えたかもしれない命を救えなかったという事態を二度と繰り返さないためには、救急医療情報システムの改善だけでなく、救急医療から撤退する病院が増えているという根本問題にメスを入れなければならないと思いますが、総理の御認識を伺いたいと思います。
  232. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) この緊急医療体制整備、昨年五月に政府・与党で決めました方針にのっとりまして、今、いろんな理由があります、その一つ一つに対して的確な対応をいたしているところでございますし、例えば診療報酬の引上げ、それから勤務医の過重な、この過酷な労働条件を改善する、そういうこともやっておりますし、今委員おっしゃった大阪の例ありますけれども、地域のネットワークをどうして再構築するか、それは委員おっしゃるような情報システムだけの問題ではございません。そういう意味で、円滑な受入れができる、そして医師を確保する、緊急にやる政策も含めまして来年度予算で約百億円の措置をとったところでありまして、政府として全力を挙げてこの問題に取り組んでまいります。
  233. 山下芳生

    山下芳生君 総理、どうですか。
  234. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 委員御指摘のとおり、この救急医療については、これはやはり深刻な状況にあるんだというように認識、私もいたしております。ですから、この問題をどのように解決していくかということについて、具体的に早急に手当てしてまいりたいというように考えております。
  235. 山下芳生

    山下芳生君 実は、先進的な救急医療情報センターを持つ東京都でも、一月七日清瀬市で、九十五歳の女性が十一病院搬送を断られて死亡しております。ですから、情報システムも大切ですけれども、受入先が縮小しているという根本問題を止めなければ状態は悪くなるばっかりだと思います。  どうやって食い止めるか。大阪府医師会で救急担当の役員の方からお話を聞きました。病院が救急から撤退する原因は、大きく言って二つあるそうです。医師不足と経営難です。元々救急は病院にとって不採算部門です。その上、診療報酬が連続して引き下げられて病院全体の収益が減少したことで救急を維持できなくなっている。  大阪府医師会では、日本医療全体が厳しくなる中で救命救急にひずみが出ていると訴えられました。昨年十二月、六十六歳の男性が十八の病院に受入れを拒否され死亡した姫路市の医師会も声明を出しております。今回このような不幸な状況となったことは、医療制度改革がもたらした医療のゆがみの表れと言わざるを得ません。  ひずみとかゆがみという言葉で救急医療の最前線から政府の医療政策の転換を求める声が噴き出しております。総理、しっかりと受け止めるべきではありませんか。総理
  236. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 今御指摘の点は、例えば診療報酬の引上げというような形で対応する。しかし、最大の問題は、今例えば二次医療機関、三次医療機関、そこに行かなくても、近くのかかりつけ医で処理できる方までそちらに行ってしまうと。こういうことを含めて、地域医療システムのネットワークの再構築、これに全力を挙げたいと思います。
  237. 山下芳生

    山下芳生君 そういう認識では命救えないと思いますよ。  救急医療の現場の医師や看護師は一人でもたくさんの命を救いたいと二十四時間、三百六十五日、一生懸命頑張っております。消防の救急隊員も同じ思いで、訓練や研修を積みながら日夜頑張っております。今頑張らなければならないのは政治だと私は思います。  医師の数や診療報酬を抑制することで医療費全体を先進七か国で最低の水準に抑えてきた政府の低医療費政策を根本的に転換することを求めて、質問を終わります。
  238. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 以上で山下芳生君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  239. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 次に、福島みずほ君の質疑を行います。福島君。
  240. 福島みずほ

    福島みずほ君 社民党の福島みずほです。  今日は、総理に対して、雇用と医療に対してのリーダーシップについてお聞きをしたいというふうに思います。  まず、労働者派遣についてです。  グッドウィル、フルキャストが業務停止命令を受けました。十年間にわたり強制天引きなどは業界の常識でした。それを放置をしてきた厚生労働省の責任は極めて大きいというふうに私は思います。  社民党は、この問題に関して、この一年間、四回以上行政交渉をしてきました。代表質問で総理に質問をしました。ガイドラインを作るというのが総理の答弁でした。一月二十八日、ガイドライン出ました。しかし、これは何の役にも立ちません。この間ずうっと言ってきた、派遣について適法、適切にやるということしかないんですね。労働条件の明示をすると日雇派遣の人たちにやったところでどんな解決が付くでしょうか。  福田総理、この問題に関して総理がきちっと解決をしていく、そのためにこのガイドラインでは不十分だ、そのことについていかがでしょうか。──いや、総理のリーダーシップです。
  241. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) まず、事実を御説明申し上げたいと思います……
  242. 福島みずほ

    福島みずほ君 いや、舛添さん、厚生労働委員会でやっているので短くしてください。
  243. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) はい。  派遣労働者の雇用の安定などを図るために、雇用契約、派遣契約の長期化、就業条件の明示の徹底、安全衛生措置の徹底など、派遣元の事業主と派遣先が守る事項を掲載したガイドラインを策定してきちんと指導監督を行っておりまして、働く人の立場に立って今後ともこの問題について鋭意取り組んでまいります。
  244. 福島みずほ

    福島みずほ君 それが何の役にも立たなかったんです。適正、適切にやりますよということがこの十年間何の役にも立たなかった。このガイドラインは、だから役に立たないものです。ばんそうこうを張るふりして、ばんそうこうにもなっていない。重要なことは、日雇派遣をきちっと禁止をすること。  それから、実は根本的には、なぜこんなスポット派遣などが問題になったか。一九九九年、労働者派遣事業法を規制緩和をして、肉体労働や様々な業種に原則として派遣が可能となりました。ですから、今必要なことは、この派遣の法律の規制強化をすること。  総理、かつてはこれしか派遣ができないという規定でした。今はほとんど派遣ができます。そこにメスを入れなければ肉体労働や様々な労働に関して日雇派遣も含めて問題が起きる。それについていかがですか。──いや、結構です、総理、お願いします。総理のイニシアチブを聞かせてください。いや、時間がもったいないんで、総理、お願いします。
  245. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 日雇派遣は、これは労働者の側からも一定のニーズがあるということでありますけれども、しかし不安定な働き方であるということ、これはもうそれはそのとおりでありますので、これを見直すべきという意見もございます。まあ、いろんな議論があるわけでございます。  しかし、現在の日雇派遣の現状を見ますと、派遣元事業主、派遣先の責任とされている事項が十分果たされていないといった問題があることから、先ほど来御指摘の、その適正化を図るためのガイドラインを策定して指導監督を強化しているというところであります。また、日雇派遣などの労働者派遣制度の在り方の根幹にかかわる問題につきましては、厚生労働省に研究会を設けて、働く人を大切にする視点に立って検討を進めてまいりたいと、こういうふうなことであります。  そういうことで、問題意識は十分に持っております。
  246. 福島みずほ

    福島みずほ君 先ほど総理は、若者は日本の未来だと言いました。小泉・安倍政権において、格差や貧困の問題には認めもしなかったひどい政権だったと思います。にもかかわらず、福田総理は、少なくとも格差の存在は認めている、非正規雇用のことに問題があることは認めている。だとしたら、これからやるべきことは政治が法律をきちっと作り直すことだと思いますが、総理、なぜ踏み込まないんですか。──いや、結構です、総理、お願いします。
  247. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 厚生労働省におきまして研究会を今立ち上げておりまして、そこで今の委員の御意見も賜ってきちんと検討し、法改正も含め必要であるかどうか、早急に結論を出したいと思います。
  248. 福島みずほ

    福島みずほ君 総理のイニシアチブが一切見えません。  後期高齢者医療制度についてお聞きをします。  厚生労働省のホームページを見ると、「高齢者の方々にふさわしい医療を目指します。」「保険料負担を公平にします。」といいことしか書いてありません。四月一日から後期高齢者医療制度が始まります。高齢者の皆さん、問題点を本当にまだまだ周知徹底していません、御存じありません。  七十五歳以上で健康保険制度をつくる。でも、高齢者の皆さんは、若い人に比べて五倍以上病気になる可能性がある。七十五歳以上で健康保険制度をつくれば、制度が破綻をするか個人が破綻をするか目に見えています。診療報酬体系も、七十五歳以上と以下で違います。また、今までは、例えば息子、娘さんの扶養家族であったのが、個人で払わなくちゃいけないというふうになります。年金からも天引きになります。また、所得が少ない人ほど負担の割合が高くなる場合もあるという。  この後期高齢者医療制度が四月一日から始まったら、これは、総理、今の政治が高齢者を明確に切り捨てるということではないでしょうか。──いや、結構です。総理、お願いします。
  249. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 後期高齢者、高齢者は若者と違って心身の特性もあります。そして、いろんな点で必要なケアがありますから、何か暗いイメージばかり委員おっしゃいましたけれども、きちんと高齢者をケアする。そして、安定したシステムにするために財源的にも世代間の公平も図る、そして、市町村ではなくて都道府県を単位とする保険のシステムにすることによる安定感をもたらす、そういう意味の利点もあって政府・与党で決めたことでございますので、どうか御理解を賜りたいと思います。
  250. 福島みずほ

    福島みずほ君 七十五歳以上で健康保険制度をつくるなんという制度は世界のどこにもありません。当たり前です。こんなのつくったら破綻をするからです。  今回の補正予算に関しては、先ほど言った家族の扶養家族になることに関して半年だけ先延ばしをします。二千二百億円に関して与党からも質問が出ています。しかし、この医療制度改革については強行採決で成立をさせた。予算案についても、与党は毎年これを採決して賛成してきたじゃないですか。ひどい制度をつくっている。そして、この制度が高齢者の人々にとって打撃を与える。  総理のイニシアチブ、みんなに安心感を与えるという政治のイニシアチブが何もお言葉からも全く出ないということについて、私はもう政治を本当にやる気があるのかということを申し上げ、私の質問を終わります。
  251. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 以上で福島みずほ君の質疑は終了いたしました。(拍手)  これにて社会保障に関する集中審議は終了いたしました。  暫時休憩いたします。    午後三時四分休憩      ─────・─────    午後三時十二分開会
  252. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  明日は午前九時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時十三分散会